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1964-04-02 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君    理事 田中 正巳君 理事 大原  亨君    理事 河野  正君 理事 小林  進君       伊東 正義君    大坪 保雄君       熊谷 義雄君   小宮山重四郎君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       西岡 武夫君    橋本龍太郎君       藤本 孝雄君    渡邊 良夫君       亘  四郎君    伊藤よし子君       滝井 義高君    長谷川 保君       八木 一男君    山口シヅエ君       吉村 吉雄君    本島百合子君       吉川 兼光君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         厚生政務次官  砂原  格君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚生技官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君  委員外出席者         議     員 八木 一男君         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    宇佐美 勝君         厚 生 技 官         (医務局看護課         長)      永野  貞君         自治事務官         (税務局府県税         課長)    佐々木喜久治君         専  門  員 安中 忠雄君     ――――――――――――― 四月一日  社会保障制度改善に関する陳情書  (第三〇〇号)  はり、きゆう及びマッサージの制度に関する陳  情書  (第三〇一号)  妊産婦の栄養強化に関する陳情書  (第三  〇二号)  離農者に対する職業補導強化に関する陳情書  (第三一五号)  老令農民社会保障制度確立に関する陳情書  (第三一六号)  老人福祉対策に関する陳情書  (第三七五号)  原子爆弾被害者援護法早期制定等に関する陳  情書  (第三七六号)  同(第三七七号)  同(第  四七一号)  環境衛生施設整備強化に関する陳情書  (第三七九号)  P・T師法制定及びあん摩師はり師、きゆ  う師及び柔道整復師法改正に関する陳情書  (第四二七号)  同  (第四六九号)  樺太残留者の引揚促進等に関する陳情書  (第四六八号)  看護婦養成制度充実強化に関する陳情書  (第四七〇号)  食品衛生法の一部改正に関する陳情書  (第四七二号)  医療費の値上げに関する陳情書外六十五件  (第四七三号)  中小企業労働力確保安定対策に関する陳情書  (第四八一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三〇号)(予)  保健所において執行される事業等に伴う経理事  務の合理化に関する特別措置法案内閣提出第  一三七号)(予)  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  (八木一男君外九名提出衆法第三九号)  予防接種法の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)(参議院送付)  厚生関係基本施策に関する件(病院の管理運  営に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  予備審査のため本委員会に付託されております内閣提出毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案及び保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。     —————————————   毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案    毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律   毒物及び劇物取締法昭和二十五年法律第三百三号)の一部を次のように改正する。   第四条の次に次の二条を加える。  (販売業登録の種類)  第四条の二 毒物又は劇物販売業登録を分けて、次のとおりとする。   一 一般販売業登録   二 農業用品目販売業登録   三 特定品目販売業登録  (販売品目の制限)  第四条の三 農業用品目販売業登録を受けた者は、農業上必要な毒物又は劇物であって厚生省令で定めるもの以外の毒物又は劇物販売し、授与し、又は販売若しくは授与目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。  2 特定品目販売業登録を受けた者は、厚生省令で定める毒物又は劇物以外の毒物又は劇物販売し、授与し、又は販売若しくは授与目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。   第五条中「左の各号に掲げる」を「厚生省令で定める」に、「第三項」を「第四項」に、「前条」を「第四条」に改め、各号を削る。   第六条第二号を次のように改める。   二 製造業又は輸入業登録にあつては、製造し、又は輸入しようとする毒物又は劇物品目   第六条の二第三項第四号中「第三項」を「第四項」に改め、同条の次に次の一条を加える。
  3. 田口長治郎

    田口委員長 提案理由説明を聴取いたします。八木一男君。
  4. 八木一男

    八木(一)議員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりましたわが党提出日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案提案理由並びにその内容大綱につき御説明申し上げます。  医療保障制度改善向上は、識者の強く主張し、国民の熱心に要望するところでありまして、わが日本社会党はじめ各政党も積極的に公約をいたしております。  しこうして低所得階層対象としてその給付内容のきわめて貧弱な日雇労働者健康保険法改正が最も優先的に取り上げられるべきものの一つであることは論をまたないところであります。ところが御承知のごとく、昨年、国民健康保険法の一部の改正によって国保健保等の幾ぶん改善が進められたにもかかわらず、本法に対する政府提出改正案が、昨年はおろか本年も提出されていないことはまことに当を得ていないことであります。  ちなみに、本法による療養給付は二年であります。国保健保等において、療養給付を転帰までにするという医療保障の本筋の方向が進められながら、本法については置き去りにされているわけであります。また傷病手当金については、健保等におきまして通常傷病の場合六ケ月、結核等の場合一年六ケ月であるにもかかわらず、本法においてはわずかに二十二日、出産手当金健保等においては産前産後計八十四日以内でありますのに、本法においてはわずかに二十一日とはなはだしく懸隔がございます。社会保障制度審議会の一昨年八月の答申勧告にあるごとく、社会保障というものは、必要な人に必要な給付がいくことにならなければなりません。この意味から考えるとき、失対労働者等、最も所得の少ない階層に対する保障は、他の人たちに対するものより以上の保障が必要であり、少なくともすべての給付政府管掌健保並みにすることは、焦眉の急であると信ずるものでありまして、その実現をはかろうとすることが本法提出の第一の理由であります。  次に、療養給付給付率は、医療保障の本質より見てできる限り早期に全国民に対し十割を達成することが絶対に必要であり、そのため即時国保の全被保険者健保制度家族に対する給付を少なくとも七割にすべきことが社会保障制度審議会によって勧告されているにかかわらず、政府がわずかに国保の被保険者の七割を段階的に実現しようとすることのみにとどめていることはまことに不誠意、怠慢であり、池田内閣成立当初の公約にも大きく違反しているといわなければならないと存じます。わが党は、すべての七割に満たない給付率を直らに七割とし、自後短期間年次計画をもって全国民に対する給付率十割を達成するという基本政策を確立しているわけでありますが、その一環として本法の被保険者家族の七割給付を本年度から実現いたしたいと考えるわけでありまして、これが本法案提出の第二の理由でございます。  さらに、労働者でありながら常用雇用でないために一般健保制度適用を受けておらない人が多いことはわが国医療保障制度の大きな欠陥であります。建設労働者山林労働者日雇い労働者健康保険制度が擬制適用されていることはこの欠陥を補っているものでございますが、一歩進めて、これらの人々に法的に適用の道を開き、さらに付添婦鼻緒工等にも適用の道を拡大し、十割給付傷病手当金等々労働者として当然の給付を確立することは制度審議会勧告の精神に沿うものであり、その急速な実現必要性を痛感するものでありまして、これが本法案提出の第三の理由でございます。  これらを実現するために要する費用については、被保険者所得がきわめて低い点より見て当然国庫支出増をもってまかなわれるべきものであり、そのため、高率の国庫負担率になっても社会保障制度審議会勧告に示すとおり労働者健康保険制度が分立され、その中で本制度が特に低所得労働者のみの制度であることより見て当然であると確信するものでありまして、その立場に立って国庫負担率を七割五分にして実現しようとするものであり、年間約八十四億円の国庫支出増をもって確実に実現し得るものと信ずるものでございます。  以下、順次その内容について御説明申し上げます。  まず第一は、療養給付期間現行二年より健康保険法継続給付の場合にならい五年にしようということであります。  第二は、家族療養費給付率現行五割より七割に引き上げることであります。  第三は、傷病手当金支給期間現行二十二日から通常傷病の場合六カ月に、結核等については一年六カ月に改めることであります。  第四は、出産手当金支給期間現行分べんの日以後二十一日以内を、分べんの日前四十二日、分べんの日以後四十二日以内に改めることであります。  第五は、分べん費現行四千円を六千円に、家族分べん費現行二千円を三千円に改めることであります。  第六は、育児手当金を新設し被保険者及び配偶者分べんしたときは育児費の補助として二千円を支給することであります。  第七は、特別療養費給付率本人家族とも現行五割から七割に引き上げることであります。  第八は、給付条件緩和でありまして、まず一般条件として、現行二カ月二十八日あるいは六カ月七十八日のいずれかの要件を満たせばよいことになっていますのを、二カ月二十八日あるいは六カ月六十日のいずれかの要件を満たせばよいこととすることであります。  次に、特別の条件緩和として、初めて被保険者となって二カ月以内に療養給付を受けようとする場合、十四日以上の保険料を納めていればよいこととし、これに伴い傷病手当金及び埋葬料支給条件緩和しようとするものであります。  第九は、認可による被保険者の章を新設し、他の労働者健康保険制度適用を受ける条件を持たない労働者本法法的適用の道を開こうとすることであります。  第十に、給付費に対する国庫負担率現行三割五分から七割五分に引き上げることであります。  最後に、本法案は本年五月一日より施行することにいたしております。  以上、提案理由並びに内容大綱について御説明申し上げたわけでありますが、社会保障改善に熱意を持たれる関係各位には、失対労働者をはじめ仕事と生活の不安定な労働者やその家族が発病あるいは負傷したその苦悩に思いをいたされ、私どもが心血を注いだ本案に対し積極的な好意を持った審議を尽くされ、一日も早く満場一致の御可決あらんことを衷心よりお願いを申し上げまして、説明を終わる次第でございます。
  5. 田口長治郎

    田口委員長 各案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 田口長治郎

    田口委員長 内閣提出予防接種法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤よし子君。
  7. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この法案提案理由の御説明は、すでに二月十二日の社会労働委員会で、お聞きいたしましたので、その内容は了承いたしておるわけでございますけれども、私はまず第一に、最近のポリオ患者発生状況を、ここ数年来の数をお伺いしたいと思います。   〔田口委員長退席田中(正)委員長代理着席
  8. 若松栄一

    若松政府委員 ポリオ発生状況は、三十五年が最高でございまして五千六百六名、三十六年が二千四百三十六名、三十七年が二百八十九名、三十八年は百二十九名でございます。
  9. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 それで、この改正法の施行は四月一日よりするというふうになっておりますけれども、それ以前に、すでに二月中旬から国産生ワク投与を開始されたわけでございますが、その根拠と理由をお伺いしたいと思います。
  10. 若松栄一

    若松政府委員 御承知のように、このポリオ対策は三十五年の大流行を契機にして、特別対策として実施されたわけでございまして、現在までやっておりますものは法律的にはソーク・ワクチン実施されておりまして、そのほかに緊急対策として生ワクチン投与が行なわれておるわけでございます。この生ワク投与は三十五年以来いままで続けておりまして、今度正式にこの法律改正によりまして、生ワク法律規定による正規の予防接種になりますので、ここで切りかわるわけでございます。いままでのものは臨時的なものでございます。
  11. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 臨時的な投与とおっしゃるわけでございますけれども、二月から国産生ワクチン投与をお始めになったのでございますが、四月一日じゃなくて二月からお始めになったのはどういう理由ですか。
  12. 若松栄一

    若松政府委員 二月から始めたわけではございませんで、三十五年以来計画的に投与をやっております。現在やっておりますものも、すでに三十八年の計画といたしまして、三十八年の前期にはどういう対象、後期にはどういう対象というふうにきめて、計画的にやっておるわけでございます。二月に急に始めたわけではございません。
  13. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、すでに三月三十一日の本会議におきまして、国産生ワク投与にあたって事故発生いたしまして、母親の不安がたいへん高まってまいりまして、中には中止する地区も出たということについて緊急質問をしたわけでございますけれども、あの際まだ十分な御答弁をいただかない問題がございましたので、本日は少し重複する点もあるかと思いますけれども、あらためてお伺いしたいと思うわけでございます。  そこで、国産生ワクチン投与をお始めになったのは二月からでございますけれども、その以前に国産生ワクチンに対して一部には反対の声もあったわけでございます。私どもは、その投与をお始めになる前に、もう少し科学的な資料の裏づけを持って、国産生ワクチン安全性とその全体の投与計画などをもっと一般国民にわかるように説明して、その投与に応ずるようによく説得をしておおきになる必要があったのではないかと考えるわけでございますけれども、その点不十分であったためにたまたま事故が起きて、非常にまたおかあさん方の不安がつのったのではないかと思いますが、その点はいかにお考えになっておりますか。
  14. 若松栄一

    若松政府委員 このような不安を起こしまして、接種が困難におちいったことについては申しわけないと存じております。国産生ワクチン安全性という問題につきましては、私ども絶対的な確信をいたしておりまするし、またその安全性の周知ということにつきましても、生ワクチンというものがすでに四千万人も実施されておりますので、この生ワクチンに対してそのような危惧が起こるということを、あまり真剣には予測しなかったわけでございます。といいますのは、私ども七一ビン・ワクチンであるということで安全性を確信しているわけでございますが、国産という問題で、ものが違うのかということを国民考えるということを予想しなかったわけでございまして、この点は私どもはり今後十分注意して、事前PRをやるべきだと考えております。
  15. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいまの御答弁もありましたが、私どもも実はやはり一般のしろうとの考えといたしまして、同じセービンによってつくられたものといえ、やはり国産で初めて生ワクチンができて、それの投与をするのでございますから、もう少しよく事前国民が納得するような御説明PRが十分に行なわれていたら、おかあさん方の不安が少なかったのではないかと考える次第でございます。安全性はわかってまいりましたけれども、なおまだ十分だとも考えられませんので、今後その点は、安全性についての科学的な資料などを添えて、一般おかあさんにわかるように御説明いただきたいと思うわけでございます。  そこで、私は先日も本会議で申し上げたことでございますけれども投与にあたって禁忌条項が現在あるわけでございますが、ただいままでのやり方の中で、あの禁忌条項が十分に守られているとお考えになっているかどうか。実は桑名市で子供さんが一人なくなりました。私はその調査に現地に参ったのでございますけれども、そのなくなった子供さんと同じ日に七百八人の子供投与を受けているわけでございます。それはよく伺ってみますと、三カ所に分かれて投与を受けておるわけでございますが、それに立ち会ったお医者さまは、実はただ一人なんでございます。桑名市の場合は、この問題ではなく、医師会との間に従来多少トラブルがあって、医師会が御協力にならなかったという点もあったようでございますけれども、私が伺ったところでは、当日立ち会ったお医者さまはただ一人であったようでございます。三カ所に分かれて従来予防接種などを受けられるときに、お手伝いになる看護婦さんとか産婆さん、そういう方がお立ち会いになったようで、その人数はあまりよく伺いませんでしたが、普通の状態でやられたとは聞いておりました。私が調査したところによりますと、そのなくなった子供さんのおかあさんは、うちから子供をおぶって行って、そして診療所に着いて、おぶったままで薬の投与を受けてまた帰っておるわけでございます。私はそれを伺いましたときに、やはり投与前の禁忌条項の件でございますが、ただ黒板に書いてあるとか、子供の健康を母親判断のみに現在ではまかされておるのではないかと考えるわけでありますが、この点、投与に当たっての禁忌条項を守るためにどのような御指導をなすっておるか、今後もっと十分にしていっていただかなければいけないと思うわけでございますが、その点、厚生省のほうの御指導の方針としてどういうふうにお考えになっておるか、また立ち会い医者等の数についても、いままでのようなやり方で十分であるとお考えになっておるか、そこらの点を伺っておきたいと思います。
  16. 若松栄一

    若松政府委員 生ワクチン投与はすでに何回かやっておりますが、そのたびごとにこまかな注意をいたしております。したがって予診及び禁忌の問題、あるいは投与対象の把握あるいはその追及というようなことはそのつど指導しておりますので、何回かの経験を積んでかなり徹底しておるものと存じております。  なお、禁忌条項等につきましては、この生ワクチンは、通例の注射等によるワクチンよりもはるかに反応が少ないのが例でありますので、各国ではむしろ、ほとんど禁忌条項というものはないにひとしいというような考え方をいたしております。わが国では、各国の例よりはよほど慎重に禁忌条項を強く書いてあるわけでありまして、その点、諸外国の例に比べて、決して手を抜いておるというようなことはないと確信しております。なお、それらの禁忌徴候を発見するための一種の予診でありますけれども、何ぶんにも相手は子供でございますので、子供自身に聞くことができませんので、母親にいろいろお聞きするということもやむを得ないことだろうと思います。なお、禁忌は非常に強い障害だけを対象にしておりますので、赤ちゃんの様子を見ただけで大体のことは見当がつく程度のものであります。その上に、おかあさん等によく尋ねてやるということにいたしております。したがって今後も、回を重ねるたびごとにやはり同様、一そう注意するように指導してまいるつもりであります。
  17. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、実はそういう予防接種の実情を存じませんので、これは生ワクチンのみではございませんけれども、もう一度伺うのでございますが、その責任の所在と申しましょうか、御指導市町村が全部やるのでございますか。
  18. 若松栄一

    若松政府委員 予防接種法による予防接種は、市町村長がやることになっております。このたびの生ワク投与は、法によらざるものでございますが、指導によりまして市町村長にやらしております。
  19. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は重ねて御質問申し上げて恐縮でございますが、そのときに医師等立ち会いの数とか、何か投与にあたっての、従来やっておいでになったとおっしゃっておりますけれども監督指導ですね、それは何か規定がございますか、特にございませんか。
  20. 若松栄一

    若松政府委員 大体規定というものでございませんで、投与実施の通知によりまして指導いたしておりますが、投与班一単位としては、医師一名、保健婦または看護婦一名、事務職員一名、最小限度三名という編成をいたしております。
  21. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいまそれで十分だとおっしゃったのでございますけれども、私がどうも考えますところ、今度の各所に起きました事故を私ども調査にまいりましても、もう少し事前子供の健康がよく診断をされておれば——これは副作用の点も心配ないとおっしゃってまいりますけれども、やはり下痢、嘔吐、発熱などというものが、その子供の体質にもよるかもしれませんけれども、私はその健康状態判断いかんによっては、もう少し避けられたのではないかと思うのですが、その点は現状ではまだ十分でないように考えますので、今後その点、もう少し十分に事前健康状態を調べられるような一たいへんむずかしいことかもしれませんけれども、今度の事故発生についても厚生省の御指導をもう少し十分にしていただいて、配置等もお考え直しをしていただきたい。その点について伺いたいと思います。
  22. 砂原格

    砂原政府委員 伊藤先生のお説しごくごもっともでございますので、十分今後そうした面に注意をいたしまして、御要望に沿うようにいたしたいと思います。
  23. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 せんだっての本会議でお伺いしたのですけれども、まだはっきりいたしませんので、もう一度お伺いしたいと存じます。  二月中旬から投与をなすったわけでございますけれども、そのときの投与を予定なすった数と、そして現在投与を終わった数、あるいはまだ中止をしているような地区について、詳細にお伺いしたいと思います。
  24. 若松栄一

    若松政府委員 現在予定しております実施対象につきまして正確に把握しておりますのは、二十日現在で、約六一%の実施速報が一部入りかけておりますが、月末の速報が入っております県は、大体七〇%を出ております。   〔田中(正)委員長代理退席委員長着席〕 したがって、現在の予測といたしまして、七十数%程度実施ができたのではないかと予想いたしております。なお、人数は、予定対象が三百十二万五千人であります。  なお、実施を延期したりあるいは中止したりというような例があるということでございますが、これは残念ながら、やはり途中で不安を感じまして市町村議会等中止要望等をいたしまして、市町村長がそれに応じて中止あるいは延期した例がしばしばございまして、なお二、三の市におきましては、結局延期をいたしましたまま四月に持ち越すという市が二、三ございます。なお、京都府におきましては、府下全面的に四月実施ということにいたしております。しかしこれは、中止ではなしに、四月に必ず実施するということでございまして、実施を全くやめるというところは、現在のところございません。
  25. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私はせんだっての参議院社労委員会の速記録などを拝見したわけでございますが、いま流行期に備えて一部の人が投与を受けて、また受けない子供さんもあるということは、特に同じ地区の中で投与を受けた人と投与を受けない子供さんがあるという点については、これはたいへん危険ではないかというふうに感じるわけでございます。参議院の社労における御答弁によりますと、生ワク投与して、それから一カ月くらいの間に排せつ物の中に生ワクの菌が出るようでございますが、それを、同じ地区の中で投与した人としない人が出ておりますことは、危険ではございませんでしょうか。その点伺いたいと思います。
  26. 若松栄一

    若松政府委員 そういう意味での危険は全くないと考えております。この生ワクチン投与いたします場合に、生ワクでございまして生きたワクチンをそのまま飲ませますので、御説明のように約一カ月ぐらい菌が排せつされ得るわけであります。したがって、その菌がまたほかの者に伝染するということで、一部の者に飲ませさえすれば、相当広く免疫ができるじゃないかというような考えがあったわけでございます。しかし実際に実施してみましたところ、菌の排せつ量は案外少なくて、一部の者に飲ませれば、たちまち全住民が免疫できるというようなことではないようでございます。そういう意味で、生ワクによる再感染というようなものは期待するほどのことではございませんし、また危険は全くないと考えております。
  27. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そこで、ただいまの御答弁にありましたように七十数%投与が終わったといたしましても、まだあと残っているわけで、これから四月にかけて実施されるわけでございますが、流行期に備えて四月からのお始めになって十分予防の措置がとれるかどうか、もう一ぺん重ねて伺っておきたいと思います。
  28. 若松栄一

    若松政府委員 計画といたしまして、私どもは夏の流行期だけを避けて、そのほかの期間実施することにいたしております。したがって夏の流行期は、できれば六月から十月ないし十一月——六月から十月はできるだけ避けたいというつもりでおりますので、予防接種法がもしも四月の初めに通りますと、約六週間の間隔で飲ませますので、六月までにはどうやら完了できるであろうという見通しを持っております。
  29. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 これは私、昨日伺った知人の話でございますが、先日投与の御通知をいただいたときに、たまたま子供が下痢の症状がございまして、医者も延ばしたほうがいいとおっしゃったので、十日後でございましたか、なおりましてから、診療所ですか保健所でございますか、受けたいということを申し出に行ったところ、これは生後四カ月でございましたが、今度また六月にするからいまはできない、六月でいいというようなお話があったということでございますが、この点はどういうふうな関係でございましょうか。二、三のそういうような先日の投与期間にはずれた人たちが、あらためて受けたいというときに、今年は少し時期がおくれるわけでございますか、一緒じゃないとできないことになっておるのでございますか、その点ひとつ。
  30. 若松栄一

    若松政府委員 市町村予防接種法の施行という手続でやります場合には、通常年一回市町村実施する、投与の機会をつくるということにいたしておりますので、将来は大体年一回になるだろうと存じております。そういたしますと、その機会に受けられなかった者は一年おくれるということになろうかと存じます。ただ将来、ワクチンその他の保管等につきまして医療機関等でやれるようになれば、その間のことは、法によらぬものとして実施できるようになれば実施すると思いますが、法によるものは、原則として年一回ないし二回ということになろうと思います。
  31. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そういたしますと、その投与を受けられなかった——いろいろな事情で、あるいは不安で受けなかった人がございますね、それは年一回のその期間を除くと、一般の開業していらっしゃるお医者さんなどで適宜受けるということはできないわけでございますか、現在は。
  32. 若松栄一

    若松政府委員 現在は、まだ一般医療機関等ではやっておりません。
  33. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 重ねてくどい御質問を申し上げて恐縮でございますが、そういたしますと市町村で済みまして、この四月一日から——四月一日は済んだわけでございますけれどもこの法が施行されまして、投与をあらためて、また残った人たちに対しておやりになるわけでございますね。
  34. 若松栄一

    若松政府委員 四月の分は、現在二月、三月に実施しておりますものの第二回目をやる場合と新たに第一回目をやるものと、両方の種類がございます。
  35. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そういたしますと、ただいまのように受けそこなった人たちですね、いろいろな理由があるにしても。それは、やれる地区とやれない地区があるわけですか。その市町村の事情によってはそういうことが出てくるわけですか。
  36. 若松栄一

    若松政府委員 今度の新しい予防接種法による接種は、全市町村がやるはずでございます。したがって、やらない地区というものはないわけでございます。ただし、二月、三月にやるべきものが漏れていて、あるいは何らかの理由でやらなかったというものを、できるだけやれるような配慮をしていきたいと存じております。
  37. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点をたいへん私は心配するわけでございますが、ああいう事故が起きまして、おかあさん方の不安がたいへん高まりましていまだにちゅうちょしている人、そしてまたあらためてやろうという気持ちになっている方も、新生児の中にあるわけでございます。ですから、それが市町村でもう終わってしまったからことしはできないというようなことがございませんように、もしあらためてやりたいという方が残らないような、そういう措置をぜひおとりいただきたい。その点、もう一度伺っておきたいと思います。
  38. 若松栄一

    若松政府委員 四月に定期のものを全市町村やりますので、その際にできるだけそういう配慮をしていきたいと存じます。
  39. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 次にお伺いしたいのは、その投与を終わりました人たちに対して先日も私は申し上げたのでございますけれども、何と申しましても生ワクチン投与が始まりましてから、全体的、国際的に見ましてもまだ五、六年ではないかと思います。日本の場合もまだ年数がそんなにたっていないわけでございますので、今後に備えて一人の小児麻痺患者も発生しないように、そしてまた、より安全性とその有効性を確認していくためにも、私は、今度の生ワクチン投与をされた子供さんの今後の健康管理、生ワクチン投与によって乳児のからだにどのような影響があったかという、こういう点はもっと科学的に、組織的に調査をしていっていただきまして、そしてまた安全性、有効性を確かめて将来に備えるということが大切ではないかと思うのでございますが、この点、先日も参議院の社労で参考人としておいでになった東大の先生のお話を聞きましてもそういうことが必要だと言っていらっしゃいますけれども、厚生当局のほうでは、その点どのようなお考えを持っていらっしゃいますか。今後の対策として自後の子供の健康の問題でございますが、その点を伺っておきたいと思います。
  40. 若松栄一

    若松政府委員 この生ワク投与につきましては、世界各国とも、その後における麻痺性の疾患については十分な調査を進めるということが例になっておりまして、私どもも従来から、生ワク投与に引き続いて起こる麻痺性の疾患につき、研究協議会等をつくりまして調査してまいりました。それが現在行政上のルールにまでなってまいりましたので、重要な麻痺性疾患が起こりますと直ちに私どもの手元に報告がまいりまして、さらに専門家の御検討をいただくというふうな形ができ上がっております。
  41. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 それは、何か事故なりあるいは投与によって変化の起きた人に対してだけでございますね。ですから、もう少し全体としての、保健所なんかによって子供さんの健康の管理をするかたわら、投与後の子供のからだに影響がどういうふうにあったかというようなことを、もう少し御調査していっていただく必要があるのではないかと思いますが、そういう御計画はございませんか。ただ事故発生したとか、あるいは変化があった子供さんにのみ調査をするだけで十分でございましょうか。その点もう少し組織的に、全般的に、あるいは国全体といたしませんでも、ある一定地域を限って、もう少し調査検討をしていく必要があるのではないかと思うのでございますが、その点についてどういう御見解か、伺っておきたいと思います。
  42. 若松栄一

    若松政府委員 生ワクチン投与を大々的に始めます前に、そのような下痢あるいは発熱、発しん等の調査をいたしております。その結果、通常接種の方法によりまして起こる下痢、発熱、発しん等の率が、接種を受けない者とほとんどたいした差がないということが確信されましてこれの投与に踏み切ったわけでございまして、今度のような不安等のこともございますので、それらの点等についてさらにまた将来綿密に、部分的ではございますが、やってみることにいたします。
  43. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、その点はぜひ御要望をしておきたいと思います。専門の方、あるいはお医者さまなり私どもはわかりましても、まだ一般おかあさんには、やはり国産の生ワクというものが初めてできて、そして投与を受けたその結果というものにはたいへん大きな関心を持っているわけでございますので、また来年、その次に備えましても、ぜひそういう点は念には念を入れた調査をしていただきまして、おかあさん方を説得する材料といたしましても、また、より十分な安全性と有効性の問題を確認していくという意味におきましても、今後ともぜひお続け願いたいと思います。  それからいま一つは、予防接種行政全般についてのことでもございますけれども、今度の生ワク投与にあたりまして、地方においては医師会の協力が、あとではよかったようでございますが、得られなかったところもあるようでございます。それは必ずしもお医者さまが国産生ワク安全性を疑ってのことではなくて、だれか一人何か事故が起きましたときに、そのお医者さまの責任みたいに一般的に思われる。これは行政上の法的な責任というものではないかもしれませんけれども、評判を落とすとか、そういうような点について何かお医者さまの責任というものがはっきりしないところがございまして、それに対する懸念などもあって、協力されないこともあったんではないかと私は思います。現在各種の予防接種にあたりましても、私どもが知り合いのお医者さまなどでもたいへん犠牲を払って、開業医なども自分の業務を捨ててお手伝いをしていらっしゃるようでございますが、そういう点、今後この予防行政がもっとスムーズに行なわれるように確立させるためには、ぜひともそういう開業していらっしゃるお医者さまの協力を得なければならないと思うわけでございますけれども・そういう点についての責任の所在と申しましょうか、そういうことをもう少し明確にしていっていただく必要があるんじゃないかと思いますが、そこらがどうなっておりますか、一度お伺いしたいと思います。
  44. 若松栄一

    若松政府委員 予防接種事故等が起こりますと、お医者さまがそのために非常に苦境におちいるということ、そういうような点から、むしろ責任の所在をはっきりさせなければ協力しないというような御意見があったことは確かでございます。それらの点につきましても、私ども従来から、明らかに国の責任がはっきりしているものは、当然国が責任を負うことはもっともなことでございます。ただ、医師に責任を負わせるという場合は、ほんとうに純粋に医師の技術的な間違いがあったという場合だけでございまして、そうでない場合は医師には原則として責任はないわけでございます。これは市町村、県、国という段階で責任を分担していくということになっているわけであります。
  45. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 少し重複するかと思いますけれども、価格の点でございます。それと、現在六社が合同されまして生ワクの製造をやっておいでになるわけでございますが、この点、先日も本会議質問のときに申し上げたことでございますが、やはりこういう法によって定められました予防接種ワクチンなどは、営利的なところにつくらせないで、採算のベースをはずして、製造、検定ともに国でやっていくことが将来必要ではないかと思いますが、この点について将来どういうようなお考えであるか、あらためて御意見を伺っておきたいと思います。
  46. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 ワクチンの製造をどのようにするかということにつきましては、医薬品の製造ということになりまして、私どもの薬務局の所管になっておりますので、御返事申し上げます。  一般的に、ワクチン製造につきまして国がやるか民間がやるかということは、これはやはりその国の持っております一般の医薬品その他を含めました製造を、国でやるかあるいは地方でやるかという問題にもつながる問題と思いまして、わが国としましては、現在の経済情勢を維持しておる限りにおいては、やはり薬その他を含めまして、ワクチンにつきましても民間で製造していくというのをたてまえにすべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。現在、生ワクの製造につきましては国でやったらどうだというふうな御意見も承っておるのでございますけれども、しからば生ワクだけをなぜ国でやらなければならないか、その他のワクチンについては民間でやって、生ワクだけをなぜ国でやらなければならないかという必要性といいますか、理由性には乏しいわけでございまして、これはあくまでも民間ベースで製造して、そのコマーシャル・ベースに合った品物としてこれを市販にのせていくというたてまえをくずすわけにはまいらないと思います。しかし価格の点につきましては、これは全国民投与されるものでもございますので、今後とも極力価格を下げることにつきましても指導してまいりたいと思います。また実際に投与に当たる場合、国民の負担する生ワクチン代等につきましては、国庫補助その他の方法によって国民の負担を軽減していくということも、一つの方法として解決しなければならない問題だというふうに考えているわけでございます。
  47. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいま市町村で受益者が払います額は、市町村によって違うのでございますか、ちょっと詳しく伺いたいと思います。
  48. 若松栄一

    若松政府委員 これは市町村によりまして、市町村自体が公費を出しまして負担をしているところがございます。そういうところでは値段が違うわけでございます。
  49. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 こまかく、払っているところは幾らで、無料のところもあるわけなのでございますか。
  50. 若松栄一

    若松政府委員 費用を徴収しておりますところは大体六十円程度です。全部市町村が負担しているところもあろうかと思います。
  51. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 たびたび参議院などでもお聞きしていらっしゃるでしょうが、衆議院の段階で、もう一度伺っておきたいと思います。  安全性が確かめられましてこれから接種法によって投与が始まるわけでございますが、その段階で、万一事故が起きました場合に国家で補償すると言っておいでになりますが、その点もう一度はっきりお伺いしておきたいと思います。これはもとへ戻るようなかっこうでございますけれども、各地で投与が始まってから死亡いたしました子供さんに対して、それは生ワクによるものではなかったからそのままに、何の見舞金というか、補償というようなものも現在まで全然とられなかったわけでございますか、そこらの点もちょっと伺いたいし、今後発生しましたときの補償の点でございますね、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  52. 若松栄一

    若松政府委員 先ごろ来からいろいろ副作用として報告された例が相当数ございますが、これらの者は生ワク投与を直接の原因として起こったものではないということで、この者に対しては、見舞いその他のことは一切いたしておりません。将来予防接種実施にあたりまして、公権を実行いたします市町村以下の職員に重大な過失があった場合、また欠陥がある仕事をした場合は当然国の責任になりますし、ワクチン自体の欠陥によってもし事故が起こるというようなことがあれば、これは全面的に国が責任を負うことになろうと思います。
  53. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私はちょっと桑名に参りましたときに、まだ私どもが参りましたときは、解剖の結果が正確に時間的に判明しないと言っていらっしゃいましたが、あれはその後御報告がございましたか、参考のために伺っておきます。
  54. 若松栄一

    若松政府委員 解剖の結果は非常にはっきりした所見が出ておりまして、内臓諸機関、特に内分泌に関係がある諸機関等が非常に小さく、したがってよくショック等を起こすような性格の体質の患者であるということが判明いたしました。
  55. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点は、私どもが参りましたときも、お医者さんの解剖所見というのですか、それは伺ってきたわけでございますが、死因自体が、まだ二週間くらいたたないと詳細ははっきりしないというようなことだったように思うのでございますけれども……。
  56. 若松栄一

    若松政府委員 ビールス検査その他の結果はまだわかっておりません。まだ培養中でございます。しかし、死因といたしましては、先ほど申しましたように体質的な、ショック死的な死因であるということは、これは間違いないと思います。
  57. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そういたしますと、その場合などはもうやむを得ない、避けられない子供の体質に関することであったという結果になりましょうか。
  58. 若松栄一

    若松政府委員 そのように考えております。
  59. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そこで私は、そういうことも起き得るとは思いますけれども、やはり先ほど来申し上げているように、もう少し日常の保健所の健康管理でございますね、それが行なわれていれば、私どもしろうとが考えましても、あまり——あの子供さんは、生後二回ぐらい保健所で健康診断を受けておりますが、やはり非常におとなしい子供であって、あまりじょうぶでなかったように思いますけれども、そういう場合に、これは生ワク自体ではないかもしれませんけれども投与ども避けたほうがいいというようなこともあったのじゃないかと思いますから、そういう点からも、ぜひもっと事前の健康の管理というものを、現在のような通牒によらないで、日常日ごろからもっと保健所等が綿密な子供の健康の管理をしていって、こういう子供はいけないというようなことは、初めからあらかじめわかるようにならないかと思いますが、そういう点はいかがでございましょう。
  60. 若松栄一

    若松政府委員 そういう特異な体質の子供事前に見分けるということは非常に困難なことでございますので、そういう例を今後とも見分けるということは不可能と思いますが、事前注意というような点につきましては、今後とも努力してまいりたいと思います。
  61. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 そこで私は、いまのような御答弁の中からも感じるわけでございますけれども、副作用については心配ないとおっしゃいますけれども、しかしもっと日常の健康管理ということが、保健所なんかを充実して中心として、もう少し医師を予防面で活用するような体制をおつくりいただくと同時に、また地域の医師が、各家庭の生活や状況をよく知っていただいて、家庭的な機能を発揮することが必要であると考えますけれども、こういう点について、国民全体の健康の問題でもあるわけでございますが、そういう点について、御指導的な立場に立たれた厚生省としてのお考えを、今後の問題として伺いたいと思います。
  62. 砂原格

    砂原政府委員 国民の健康に対して、厚生省考え方あるいは保健所の活動によって完全な健康管理ができるようにというお説でございますが、これはワクチンの問題を取り上げて申しましても、現在の段階で保健所が——幼児たちの健康管理には、何といっても家庭が主体性を持ってくれなければ、なかなか完全にいくものではないと思うのであります。私は医師の問題はよくわかりませんけれども、小児科の友人の申しますのには、なかなか子供の病気の判定というものはむずかしいもんだ、一つは、やはりいつも育てておる親が言われることを中心として、その子供の健康の判定を下さなければならぬ場合も相当あるのだ、というようなことを私の友人が話してくれておるのでありますが、やはり家庭のおかあさん方に、子供の健康管理に対しては特別の配慮をしてもらって、少しどうも不安であるというように、子供の健康に不安を感ずるような場合には、早く医師の手当を受けるような方法をどうしても家庭で考えてもらわなければならぬと思う。ただ厚生省が、いかに健康管理をいたしますと言いまして呼びかけたところで、家庭のおかあさん考え方が、一番幼児を育てていく上においては基本になると思うのです。もちろん、厚生省のほうといたしましても、あらゆる角度から子供の健康管理、ことに幼児に対する問題等については格段の配慮をいたしておりますと同時に、将来も格段の配慮をいたすよう努力をいたします。
  63. 河野正

    ○河野(正)委員 関連して。いま伊藤委員からいろいろ御指摘をされましたことは、私はきわめて重大な問題だと思うのです。特にこのたびの国産の生ワク投与するにあたりまして、いろいろ国民の中からその安全性に対します疑惑というものが出てまいり、その他いろいろ地方におきましては混乱が起こってまいりましたことは、御案内のとおりであります。そこで、そういう地方で混乱が起こってまいりましたにつきましては、いろいろ理由があろうかと考えております。そのいろいろございます理由の中の一つに、この乳幼児の健康管理に対して厚生省のとった指導というものが適切であったかどうか、この点を伊藤委員がいろいろ御指摘なさったと思うのです。そこで、私どもが今日までいろいろ感じてまいりましたことは、しからばいまの保健所等が、実際に生ワク投与等にあたりましては乳幼児の健康管理その他に従事するわけでございますけれども、はたしていまの保健所の能力で、国民が期待しておるような乳幼児の健康管理というものができるのかできぬのか、私どもは、その点につきましてはかねがね非常に疑惑を持っておった点でございます。その点につきましては、もちろん保健所におきます医師の数の確保の問題もございます。それからもう一つは、私はやはり給与が非常に劣悪だというようなこと、あるいは処遇が非常に悪いというようなことで、なかなかりっぱな医師保健所に勤務しない。失礼な話でございますけれども、こういう質の問題があろうかと考えております。こういういわゆる人員確保の問題、なおまた質の問題、こういうような二点の問題から考えてまいりましても、単に、いま厚生省では、むしろ乳幼児の健康管理というものは母親に期待するというようなお話でございますけれども、乳幼児の健康管理については母親に期待するというのであれば保健所というものは要らぬのであって、やはりこの母親の健康管理について不十分な点等については、保健所というものが適切な指導をやっていかなければならぬということは当然なことだと思うのです。ところが、いま申し上げましたような二、三の点があって、単にそこで意見の交換ということでなくて、やはりそういう隘路があり、障害があるわけですから、そういう隘路なり障害というものは克服しなければならぬ、改善していかなければならぬ、解決していかなければならぬということになりませんと、単にここでいろいろと論争するだけに終わって、一つも前進はない、改善はない、かように考えます。そこで、伊藤委員からいろいろ御心配になっております点は、単にお互いに期待するのではなくて、やはり改善するものは改善するということにならぬと、私はこの点の根本的解決はあり得ない、こういうふうに考えますが、この点につきましてはどのようにお考えでございますか、ひとつ具体的に、率直にお答えをいただきたい、かように存じます。
  64. 砂原格

    砂原政府委員 河野先生の保健所の人員が確保されていない、あるいは質の問題が非常に安定感がない、それもやはり待遇の面もあろう、保健所内容をもっと充実したらどうか、こういうお説でございます。厚生省といたしましても、もちろんそうした面にはあらゆる努力を今日までいたしております。けれども、およそ厚生省保健所がやっています仕事の限度が一応きめられておりまして、そういう職務範囲内のいわゆる全般にわたって健康管理という問題も大いにありますけれども、まあ母親のほうに対する乳児の健康管理についての指導をするとか、あるいはそうしたものの健康のときには検査をやってみるとかいうようなことを、限定された範囲内で現在はやっておるのであります。したがって、現在の人員でもって十分であるかといったらそれは十分でない、もちろん完全であるとは申し上げられないと思いますけれども、およそその職責の限度というものがございますから、その点もひとつ御批判の中に入れていただきたい。なお、厚生省保健所内容の充実については、格段の配慮をいたしたいと考えております。特に生ワクの問題等でいろいろ今度議論をされて、非常なおかあさん方の不安も買ったようでございますが、これは厚生省のほうも、まさに国内ワクチンの問題についてはPRが足らなかった。もっと国民の皆さん方に御納得をしていただくような宣伝をせなければならなかったと私たちも考えております。けれども、河野先生は専門家でございまして、日本の医学というものが世界のいずれの国よりも高い位置にあられて、あらゆる日本の医学というものが非常に進歩しておるのだ、しかもこの国産品は世界のいずれの製品よりも劣っていないという確信は、河野先生に持っていただけると私は思うのです。それがやはり一部の策動によりましていろいろと宣伝をされますと、おかあさん方にほんとうにその自信を失わすような結果になりまして、国内の生産品が何か有害なもののように考えられて、自分の子供に、愛児にそれを飲まして健康を管理することをおそれておるというような事実は、まさにあったと思います。今後そうした面についても、厚生省も十分注意をいたしてPRをやりますし、国民の皆さんにも御納得をちょうだいしていきたいと思うのです。こういう意味からは、河野先生のようなその専門の地位にあられる方は、大いに国民を納得さすようにひとつ御指導、御協力を願いたいと思います。
  65. 河野正

    ○河野(正)委員 日本の医学水準が非常に高まりつつございますし、その点につきましても私ども確信をいたしております。しかしながら、要は、この生ワク投与につきましては、これは私どもが確信を持っただけではどうにもならないのであって、やはり服用する側の国民が日本の高い水準というものを認識するということにならないと、これはどうにもならないと思う。特に生ワクの服用の場合は任意性でございますから、安全性に対して国民側がいろいろと危惧を持つということはやはり服用率というものが低くなるわけですから、そのために小児麻痺が流行をし、さらにまた死亡をするということになりますと、非常に不幸な事態だと考えるのでございます。そこで、要は、やはり高い水準であるといたしますならば、その点を国民に徹底的に認識させるということが必要だと考えます。と同時に、やはりそれと並行して考えなければならぬ問題は、この服用にあたって十分健康管理の面に注意をいたしませんと、たとえば生ワクを服用したために起こってきた現象ではなくても、たまたま偶然の一致がありますと、あたかも生ワクを服用したために子供たちがとうとい生命を失う、あるいは非常に大きなからだの故障を起こすというようなことで、いろいろ国民の側が疑惑を持つという結果になってしまいます。そのことは、せっかく高い水準で安全性が高いといわれながら、そういう健康管理の面について手落ちがあったためにそういう誤解を受けるわけですから、私はまことに残念だ、こういうことを考えるわけです。  そこで、先ほど厚生政務次官のほうから、まことに御丁重なお答えをいただきました。しかし私どもは、国民一般的な健康管理について、いまの保健所のスタッフなり保健所の陣容でいいかどうかという問題はございますけれども、今日の段階では、予防接種法の一部改正でございますから、そこまで幅を広げて皆様方に御見解を承ろうとは思いません。しかしながら、この生ワク投与するにあたって、保健所なら保健所の、服用する乳幼児の健康管理というものに対する措置が十分であったかどうか、この辺にも非常に大きな疑問があるわけです。私は、そういうところに完ぺきを期しておられたならば、やはり国民というものが、この生ワクの、国産でございますけれども安全性というものを強く確信して疑わぬと思うのです。ですけれども、いま私が指摘いたしまするように、非常にたくさんの子供たちが服用に参ります。ところが実際は、現状を見てまいりますと、ほとんど保健婦看護婦さんがいろいろお世話しているというのが実情です。ですから、先ほども局長のほうから、医員一に対して看護婦なり保健婦がどれだけの数で実施をいたしますというような話がありましたけれども、実際には、乳幼児の健康管理の点について十分行き届いておったかどうかということにつきましては、また現状を見ますると非常に疑惑を持たざるを得ない。その結果、不幸な事態が起こってくる。それが偶然の一致だといたしましても、ながめておりまする国民の側から言うと、どうもその原因というものが生ワクに基因するのではなかろうか、こういうことになってまいる。そこで私は、この安全性が高く、日本のワクチン技術というものが非常に高い水準であるといたしますならば、それだけの値打ちというものをやはり国民に徹底させなければならない。そのことが、この生ワク投与国民の中に完全に実施していく道にも私は通じていくと考えます。そういう意味で、今日までいろいろ政府がやってまいられました点につきましては、まだまだ欠けている点があったのではなかろうか。いま厚生政務次官のほうから、一部団体がその安全性を疑わしめるような宣伝活動をしたというお話もございますけれども、やはり今日の地方の混乱というものの責任の一半は、厚生省が背負うべきものだというふうに私は感ぜざるを得ないのでございます。  そこで、そのことに関連をしてこの際承っておきたいと思いまする点は、いまのような生ワクを服用する際におきまする乳幼児の健康管理というものに対する指導が適切に行なわれない。そのことからいろいろ国民の疑惑が発生するとするならば、やはりそういう欠けている点を補わなければならぬ。その際には、また考えられますことは、一般実地医家の協力、開業医の協力というものを特に求めて、そうして市町村当局が実施いたしまする際に欠ける点を補っていただく。こういう点が、私はいまの状況を見てまいりますと、非常に欠ける点であろうと思います。そこで私は、国会で、あるいはまた厚生省安全性を確立するためのいろいろな会合をやっておりますけれども、単に学究のみにたよるのでなく、やはり実地医家というものはいろいろな面に接しているわけですから、実地医家の協力を求めていくという方針をこの際強く実行される必要があるのではなかろうか、こういうことを考えるわけでございますので、そういう点に対しまする率直な御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  66. 若松栄一

    若松政府委員 御意見たいへんごもっともだと感じております。私ども今度の経緯から考えましても、おかあさんたちが相談に行かれる場合に、これは安全でしょうかということを専門家であるお医者さんにやはりお聞きになります。その場合に、お医者さんが、安全だとはっきり確信を持ってお答えしていただければ非常によかったと思っております。その点私ども、この安全性について、一番接触の機会の多い医師会の先生方に、もう少し徹底して御理解をいただいておく必要があったということを痛感いたしておりますので、今後そのような点に十分配慮いたしまして、一般医家、特に臨床医家の方々の御協力をお願いいたしたいと思います。
  67. 河野正

    ○河野(正)委員 関連でございますから、あと一点にとどめておきたいと思いますけれども、私がいま御指摘申し上げましたのは、たとえば具体的に地方の医師会で、安全性が疑わしいというようなことで服用を拒否するという態度をとった医師会があるわけです。そこで私は、いま局長からお答えがあったように、医師会の協力を得るという点についても欠くる点があったということですけれども、その欠くる点が、いま申し上げますように、医師会全体が反対をするというような事例もあったわけですから、やはり今後積極的に医師会の御協力を得るという方針を持ち出さなければならぬと私は思うのです。ですから、ただ単に協力してほしいということでなくて、いま申し上げますように、あげて反対するという医師会もあったわけですから、具体的にそういう意味で、この際私は、積極的に医師会の協力を得る方針というものを強く打ち出される必要があろうかと考えます。今後そういう点について具体的に実行されようとされまする御方針がございますかどうか、これは政務次官のほうからお答えをいただきたい。
  68. 砂原格

    砂原政府委員 河野先生のお話はしごくごもっともでございます。実際にこの問題については、厚生省といたしましても、今後医師会の御理解と御協力を得るよう最善の努力をいたします。
  69. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいま河野委員から、私が申し上げた点について特に補足して御質問がありましたので、ぜひともその点は——先ほど私が一つの事例としておあげしました私の友人の子供さんも、近くのお医者さまに御相談をしたために十日間なり延ばして、そしてあらためて受けようとしたわけでございますが、そういうことが十分に行なわれればいわゆる副作用はないとおっしゃいますけれども禁忌条項が完全に守られるということができるわけでございますので、ぜひともこの点は保健所を充実させていただくと同時に、一般医師会の方の御協力によって、家庭的な生活状況についてもよく相談相手になっていただけるような御指導厚生省が積極的にやっていただきますように、この点は重ねて御要望申し上げておく次第でございます。  次に、小児麻痺の後遺症に対する対策でございますが、先ほどお伺いしたところによりましても、少ない年でも百人か二百人出ているわけでございますが、その対策をあらためてお伺いしたいと思います。
  70. 若松栄一

    若松政府委員 小児麻痺の後遺症対策といたしましては、今度の生ワク服用前から実施いたしておりますので、発生いたしました場合に、できるだけ早く治療をして、できるだけ回復を促進するという意味で育成医療という制度が児童福祉法にございまして、ある程度の公費を負担してやるという制度がございますし、また現在、ある程度麻痺が固定した者については、肢体不自由児施設等を設けましてそこで長期間の訓練等を行なう、機能回復をはかるという仕事をしておるわけでございます。幸いに、先ほど申しましたように三十五年ごろには五千名ほど出ておりました患者が、昨年は百三十九名、ことしはさらにまた減少しているようでございますので、それらの点もかなり手が行き届くようになったと存じております。
  71. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 小児麻痺にかかって後遺症がなおらない方の職業の訓練等は、何か特別御施設があってやっておいでになりますか。
  72. 砂原格

    砂原政府委員 これは身体障害者の職業補導所で、こうした不幸な人を指導するようにいたしております。
  73. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 小児麻痺の患者で後遺が残っておる人は現在何人くらいあるか、そういうお調べはございませんでしょうか。
  74. 砂原格

    砂原政府委員 調べまして、あとから資料を出します。
  75. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 先ほどから少しこまかい点を御質問申し上げたのでございますけれども、私最後にお願いしておきたいことは、生ワク投与から四日から三十日の間に何事も起きなかったら生ワクチンのせいでないというようなことを、先日参議院の社労委員会で多ケ谷説明員が言っていらっしゃいます。そういたしますと、今回の生ワク投与が始まったのは二月の中旬あるいは下旬で、三月にかけても投与されておりますから、まだ完全に一カ月たったかたたないぐらいでございますね。先ほどの御答弁によりますと、今度の結果何か事故発生したときは、それを十分に調査すると言っていらっしゃいますけれども、重ねて御要望を申し上げておきたいと思いますが、初めての国産生ワクチン投与が行なわれたわけでございますので、せめて一定地区でもけっこうでございますから、ぜひとも投与した子供の健康を十分科学的に、組織的に調査していただきまして、今後に備えて十分不安のないような資料と申しましょうか、そういうものを出して、また来年も投与されるわけでございますから、何と申しましても子供の生命にかかわる大切なことでありまして、現在でも私どもほんとうに親しい知人の母親の中には、万一をおもんぱかって投与を受けられないで心配していらっしゃる方もまだ多数ございますので、ぜひともより安全性と有効性を今後確かめるためにも、投与された子供の健康管理を十分にやっていただきますことを特に強く御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと存じますが、その点、最後に次官の御答弁をお願いしたいと思います。
  76. 砂原格

    砂原政府委員 乳児の健康問題については、伊藤先生のお説のごとく、われわれも深く注意をしなければならぬと存じます。特に四日から三十日の間症状がない場合にはもう完全であるという問題については、すでに現在までに二百万近い者がこれを飲んでおるのであります。それが一カ月以上を経過いたしておるのでありますが、絶対安全であるということを申し上げることができると確信をいたしておりますが、なお投与者に対しての健康管理は、お説のごとく十分調査を精密にいたして今後に備えたいと考えております。      ————◇—————
  77. 田口長治郎

    田口委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  来たる八日、予防接種法の一部を改正する法律案審査のため、参考人より意見を聴取することとし、その人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ————◇—————    午後一時五十九分開議
  79. 井村重雄

    ○井村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川保君。
  80. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 御承知のように、三月三十日の朝に伊丹市の総合病院である常岡病院が焼けまして、入院患者九人が不幸にして焼死するという事件が起こりました。まことにお気の毒にたえないところでありますけれども、近年病院の火事が非常に多い。そして本年になってからでも毎月病院の火事があって、入院患者が痛ましくも焼死するという事件が起こっているわけです。私はこの事件を、もちろん国民の一人でもが焼死する、こういうことにおきましても見のがすことのできない事件でありますけれども、同時にここに今日の医療行政の欠陥というものが吹きだまりになって、こういう事象が起こってきているように思うのであります。したがいまして、こういうことにつきましてはわれわれは十分な関心を持ちまして、こういう悲惨な事件が起こらないようにしなければならぬと思うのであります。  申すまでもなく、病院には今度の事件を見ましても、入院をしております年とった人々で、中風の後遺症等のために動けないという人、あるいは出産をして、帝王切開をして間もないということで動けないという方々があります。こういうような、自分で自分のからだをどうしようもできない人々が、病院となれば当然入院をしているわけであります。したがいましてもし今日のような事情をそのままにしておきますならば、こういう痛ましい失火事件というものは、今後も連続して起こってくるということを見なければならないのであります。この事件を私は新聞報道及びラジオ、テレビで見ただけでおりますから、まずこの事件の実相をひとつ伺いたいと思います。
  81. 小林武治

    小林国務大臣 かような事故発生することはまことに遺憾でございまして、私どももかねがねいろいろ注意をいたしておりますが、結果的にはなかなか容易におさまらない。この事件を契機として、また三月三十日にも、厚生省から各都道府県知事にいろいろの注意事項をあらためて申し上げておるのでございますが、何といたしましても建物が老朽の木造だ、こういうことが一番大きな原因でありまして、これはいわばいま一つの更新期にきておる、こういうことで私どもはひとつ全国的に耐火建築というふうなことに進まなければならぬということでございます。またどうもこういう事件が発生すると必ず被害が大きくなるということは、たとえば看護婦が一人しか宿直していないとか、こういう問題も自然関連してくるでありましょうし、それから動作の自由でない者を入れておく病室に対する考え方等にも非常に欠けておる。   〔井村委員長代理退席委員長着席〕 こういうことでいろいろの原因があるのでございますが、これらのものをやはり根本的にひとつ考えていかなければ、ただわれわれが通達を出しただけでは問題が片づかない、こういうふうに考えておりまして、十分反省をいたしております。今度の災害につきましては事務当局から内容について申し上げます。
  82. 大崎康

    ○大崎政府委員 ただいまお話がございました常岡病院、これは伊丹市の行基町いうところにある病院でありまして、開設をいたしましたのが二十七年の二月二日でございます。火災時刻は三月三十日午前六時三十分のころ合いでございまして、原因につきましては目下警察及び消防署におきまして調査中でございます。焼けましたのは本館の一階及び二階でございまして、この建物は木造でございます。昭和三十九年に帽子の工場を改築したと承知いたしております。木造でもございますし、建てた時期自体が戦時中でございまして相当老朽していた、こういうふうに考えられるわけでございます。不幸にしておなくなりになりました方が九名でございます。負傷者が三名。なおこの病院につきましては私どものほうでやっております医療監視におきまして、この建物につきましても指摘をいたしておりまして、改造の手はずを病院側では整えていたようでございますが、それが間に合いませんで、このような事故になったということはまことに残念なことであると考えます。
  83. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 いまお話を承りましても、また新聞社が報道しておりますところを見ましても、老朽の木造の病院であったということであり、また新聞紙等が報道するところによりますと、病院長が近くこれを不燃質のものに改築をしようという予定であったということであります。いろいろな不幸が重なったのではありますけれども、現地の報道を新聞によって見ますと、やはり二つ原因があるようであります。  一つは申し上げるまでもなく、いまお話しの木造の老朽の建物であったということであります。もう一つは看護婦、職員の数が、早朝のことで非常に少なかった。わずかに四、五人の者しかいなかった。病人のほうは相当数おったようでありますけれども、職員のほうはきわめてわずかの数であったということでありますが、厚生省のほうでお調べになっておると思いますが、出火当時入院しておりました患者の数は何人でありますか、またそれに対するここにおりました職員の数は何人でありますか。
  84. 大崎康

    ○大崎政府委員 この病院の総ベッド数は百六十一床でございます。その内訳を申し上げますと、一般病床が九十二床、結核病床が六十九床でございます。職員の総数は全部で六十六名でございます。そのうちでいまお話がございました看護婦の数は、看護助手を含めて二十四名でございます。  当日の状況を申し上げますと、宿直者といたしまして医師が一人、看護婦が四人おりまして、そのほかに雑仕婦三人、それから給食の係の者が五人院内に宿泊をしておったわけでございます。そのほかこれは御参考になるかどうかわかりませんが、構内には副院長それから事務長の宿舎及び看護婦宿舎、こういうふうなものがあったわけであります。
  85. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そのときの入院患者の数は。
  86. 大崎康

    ○大崎政府委員 入院患者総数は百五十一名でございます。
  87. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 その看護婦宿舎には何人おったわけでしょうか。
  88. 大崎康

    ○大崎政府委員 看護婦宿舎には何名いたか私ども承知いたしておりません。想像いたしまするに、看護要員は二十四名でございますから、そのうちの相当数がいたものであろうと思います。
  89. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 まず木造の老朽の施設ということでありますが、新聞報道によりますと、二階が病棟になっておる。その二つの階段の両方ともに、煙がそこから上がって、いわば煙突の形になってしまった。そのために出火いたしました外科治療室の二階にあたりまする病室におった人がおもに焼け死んだようであります。朝の六時二十分とかいうことでありますから、もしこれがほんとうであるとすれば、そう早朝というわけでもない。ぼつぼつみな目をさますときであります。もしこれが深夜起こったということになりますれば、もっと大きな犠牲を出したと思うのでありますけれども、それにいたしましても、この木造の老朽の施設というものがどんなに危険であるか、ことにそういうような動けない患者というものを収容する場合、どんなに危険であるかということにつきましては、私どももしばしばそういう病院を見ますときに、何だか背筋が寒くなる思いがするのであります。もちろん政府当局といたしましても、数年来これらに対する対策をお立てになって進めていられるわけでありますけれども、今日これらの老朽の木造の施設というものが一体どれぐらいの数あるいは割合であるのであるか、伺いたいのであります。
  90. 大崎康

    ○大崎政府委員 病院の建物構造の中で、木造建築物と耐火建築物と二つに分けて、いままでの調査によって調べてみますと、昭和三十三年に全病院を調べました際には、木造が七三・四%、耐火が二六・六%ございました。同じ年に公的病院をやりました際には、木造が七二・六%耐火が二七・四%ございました。それからさらに最近になりまして、三十七年の、これは公的病院の調べでございます。それによりますと、木造は五一%、それから耐火が四九%。こういうふうなことになっているわけであります。なお、三十三年の全病院を調べましたものは、日本病院協会の調べでございます。三十七年の調べは厚生省において調べましたものでございます。
  91. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 国立病院療養所なども、行って非常に寒々とするというか、背筋にアワを生じるというような気持ちがするものが多いのです。たとえば大臣の地元である静岡県の国立天龍荘などを見ましても、山の斜面に木造のものがずっと廊下を伝わってできている。私は、行くたびに火事になったらどうするのだろう、ことに二階建てのものもあるわけです。おそらく火事になったとしたらいへんなことになるだろう、何とかこれは早く耐火のものに改造しなければいかぬのじゃないかということを、行くたびに病院長ともよく話すのであります。こういうものは全国にいまお話しのとおりにまことにたくさんあります。国立のものにつきましては、最近整備計画等をお立てになりまして、いろいろやっておるようでありますけれども、それにいたしましても公的及び私的の病院を問わず、その改善は遅々たるものと言わなければならぬと思うのであります。こういうところに災害のまず第一の原因がある。この点を厚生省はもっと十分に力を入れて強力に推進しなければならない。政府はその点を十分考えるべきじゃないかというふうに思うのでありますけれども、まずこれらの改造整備の資金というものは国の予算あるいは公的な融資機関、こういうものでどういうような割合で本年は出ているのであるか伺いたいのであります。
  92. 大崎康

    ○大崎政府委員 まず国立病院から申し上げますと、国立病院は現在御案内のようにがんセンターを除きますと八十七カ所ございます。そのうちで今後年次計画でもってこの病院を整備いたしたいと考えておりまして、三十九年度予算におきましては、施設整備費四十七億三千四百万円を計上いたしてございます。それから国立療養所でございますが、国立療養所につきましても漸次これを整備をいたしまして、耐火建築にいたしたいというふうに考えております。三十九年度の施設整備費の総計は二十五億二千八百万円、こういうことになっておるわけでございます。なおそのほか、御案内のように医療金融公庫におきましては、三十九年度の貸し付け契約額は百四十五億と予定をいたしておるわけでございます。そのほか年金福祉事業団の融質、これが病院につきましては、三十九年度におきまして資金ワクを三十四億程度予定をいたしておりますし、そのほか公的医療機関に対する補助金等もそれぞれ所要の額を計上いたしておるわけでございます。
  93. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そのほかに年金の積み立て金等から地方債の関係の金が出ていると思うのでありますが、これは新しく建てるものだけでありますか、それともこういうような老朽病院等の改善というようなものに使う額が出ているのであるか、それらの額を教えていただきたい。
  94. 大崎康

    ○大崎政府委員 特別地方債で予定せられております三十九年度の資金ワクは、病院につきまして百十七億ございます。その内訳は、新築のみならず改築等も予定をいたしておるわけでございます。
  95. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 いま伺いますと、相当額のものが出ておるのではありますけれども、何ぶんにも老朽化した施設が非常に多いということからいたしまして遅々として進まないという形が見えるわけでございます。これらにつきましては早急に対策を進めていく必要がある。いつも申すことでありますけれども、病院というものは医療費の関係で、利益金が出ないどころではない、赤字になるという形に今日なっておる。大臣も御就任以来非常に熱心にこれらの改善をお考えになって、緊急の是正ということを強く主張しておられることにつきましては私も了といたしますけれども、御承知のように病院の会計というものが赤字になっておる。したがいましていろいろな融資ワク等がありましても、その融資の第一線でそれを扱いますのは大体銀行であります。銀行でありますから、返済の見通しが十分ありませんものには融資をしないということになってまいりますために、これが進まないように思うのであります。ですから最初に申しましたように、ここに医療行政の欠陥の吹きだまりがあらわれてきて、これが火事になっては、国民の何人か焼け死ぬ痛ましい事件になっているように思うのであります。したがいましてこれらの点につきましては、私はさらに格段の御努力を願わなければなりませんし、ただに融資関係だけでなくて、いますぐできますことは進めてもらわなければならぬ、あらゆる点を総合いたしまして、医療行政の欠陥の吹きだまりをすみやかに是正する必要があるように思うのであります。いずれ四月七日の中央医療協の緊急是正に対する答申が出されますれば、厚生当局といたしましては直ちに適当な方法をお立てになると思いますけれども、まず緊急医療費の是正の答申がありましたならばどういうふうになさいますか、大臣のお心がまえを伺いたい。
  96. 小林武治

    小林国務大臣 いまの問題の前に、私はこの際、ひとつ全国の私立、公立の病院を徹底的に調査をいたしまして、そして老朽度等によって役所でも一応の目安を立てて、これの改善計画を立てる、こういうふうなことをとりあえずいたしたい。何ぶんにも実態が、いままで申し出るものを受けて立つという受動的な立場をとっておりましたが、むしろ積極的に改善命令等もいたし、またそれに見合うような資金のワク考える、こういうふうなやり方によりまして、少しでも早く木造を直したい。なお国立のものにつきましては、御承知のように平家建てがほとんど大部分でございます。しかもお粗末なほど開放的であるということなのでありまして、むろんこれらも急ぎますが、何といっても病院は平家建てならそれほどの危険もないということが考えられます。いずれにしましても、私はもっと能動的に役所がひとっこれらの改築の計画を立てていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。  それから緊急是正の問題でございますが、これは答申が出なければどうということはありませんで、出れば私どもがどうこうということでなく、政府としてどういうふうにするかまず態度をきめねばなりません。そういうことでありまして、前々から答申は尊重するというふうなたてまえをとっておりますので、適当な措置がとられるであろうと私は考えますが、出ましたならば政府全体の問題としてまず方針を検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  97. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私が先ほど来申しておりますように、国立病院とか政府関係の病院というものは投資をいたしまして、そうしてできますれば一応独立採算というようなことをいいましても、実際におきましては、古くなってくればまた投資をして建てるというような形をとってまいります。したがって減価償却等の費用等も別に考える必要はないというような形におもになっておりますからまだよろしいのでありますけれども一般の開業医諸君の病院を初めとして、社会福祉法人立その他のものにつきましてはそうはまいらない。どうしても医療法人、社会福祉法人等々の病院、これは日赤、済生会でも同様でありますけれども、これらの病院におきましては、多くのものが銀行の窓口を通して、医療金融公庫にしろ、その他にしろ融資されるわけでありますから、いまのような赤字の医療行政をやられますと、改善したくても改善の方法がない。ことに新しく建築いたします建築基準の単価等々につきまして、医療金融公庫なりその他のものの見方が現実と必ずしも一つでないという事態が出てまいります。しかも二割は自己資本でやらなければならぬということが、医療金融公庫にもあるわけであります。そうなりますと、何とかこれを直したいと思っても直す道がなかなかないわけであります。でありますから、すみやかにこういうような今日の非常な弊害、病院というものは別に営利ではありませんからもうからなくてもいいけれども・ちゃんと経営の収支が合っていく、近代的な会計の方法によってりっぱにやっていけるということでありませんと、言いかえますれば、税金もあるいは利息もあるいはまた減価償却の費用等々もちゃんと加算してございませんと、こういうような事態におちいるのであります。したがいまして、これらについて医療行政を根本的に考え直してもらいたい。いまお話しの、まず全国の老朽木造の病院、危険な病院等がどうなっているかということをお調べになる、これはけっこうです、すみやかにそれをやってもらいたい。そうしてこういうことが起こらないように、その最大の原因を除去していただくために御尽力をいただきたいのであります。  それから第二の原因といたしまして、新聞の報道によりますと、わずかの人しかここにいなかったということであります。新聞報道によりますと、看護婦が非常に少ない。看護婦を集めようと思って募集したけれども応募者がなかった、こういうふうに老病院長が言うております。これは非常に重大な問題だと私は思うのであります。いま厚生省医務局次長のお話では、看護婦は二十四名勤務しておる。看護婦宿舎もあったのであるから、そのうちの大部分の人がおったのではないかと思われるというお話でありましたけれども、木造の老朽の病院で火の回りが早かった、どうにもならぬということがあったのかもしれませんが、もうすでに人々が起きる時間であります。六時二十分でありますから、起きている時間であります。したがいまして、これだけの大ごとになってしまったということにつきましては、そこに何らかの大きな問題があるというように思うのであります。まず看護婦の不足ということが、ことに町の開業医の皆さん、医療法人の皆さん、その他の医療機関では、もう決定的な大きな問題となっております。私も数年来この問題につきましては、たびたび当局に指摘をいたしてまいりました。今日、日本の看護婦の人口比は、世界の各国に比べましても、必ずしも少ないわけではないと思います。もちろん、西欧の諸国におきましては、日本の看護婦とは比較にならぬほど数におきましても充実をいたしておるのでありますけれども、ただ問題は、日本の看護婦の場合、看護婦になりましても、資格をとりましても、就業をしておらぬというものが非常にたくさんあるわけであります。今日、有資格者と看護婦の就業者の数は一体どうなっているのか、伺いたいのであります。
  98. 小林武治

    小林国務大臣 これは概数でありますが、大体有資格者が三十二、三万人、それで就業者がいま十八万人、こういうふうな数字のように承っております。  それからもう一つ、先ほど長谷川さんがおっしゃいましたが、医療費の問題を考える場合に、非常にむずかしい問題があります。いまお話しのように、国立病院とか公立病院は減価償却は要らないということで、使いっぱなし、こういうことでありますが、私立病院についてはそういうわけにいかない。またしたがって、同じ点数でどうこうなんというむずかしい問題があります。私はいまの減価償却と公租公課を入れれば、おそらく一割近く違うのじゃないかというふうなことも考えるのでございまして、国立と私設の診療所は違う、また公立と私設の病院は違う、これらをいままで一本でやるし、また当分一本でなければならぬと思うのですが、そういう姿でいいかどうかというふうな大きな問題もはらんでおるということだけひとつ申し上げておきます。
  99. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 大体いまのようなふうに統計も出ておるのでありますけれども看護婦の不足数は幾らなのか、伺いたいと思います。全国の病院に医療法による基準で配備するとして、看護婦の不足数は一体いま幾らと厚生省は押えているのであるか。
  100. 大崎康

    ○大崎政府委員 看護婦の不足数でございますが、これは非常にむずかしいことにはなると思いますけれども、私どもで現在考えております不足数というものは、三十八年度におきまして約一万六千程度不足しておる、こういうふうに一応推定をいたしておるわけでございます。
  101. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 これはもちろん十分なことは私も計算はいたしておりませんけれども、おそらくそんなわずかなものではあるまいと思うのであります。ことにここで考えなければならぬのは、私は以前にも指摘したことがあるのでありますけれども、国立の看護婦の養成所、この国立の看護婦の養成所におきましては、養成した看護婦を国立以外には出さないようにという非常な努力をしておる。この点は私は国立病院、国立療養所の立場というものはよくわかります。ついこの間も伺いまして、私が資料の要求をしてあるのでありますが、いまだ厚生省当局からは資料をお出しになっておりませんが、この際委員長にも御注意を願いまして、この資料を出していただきたい。これは二月十三日の当委員会におきまして、私は資料要求をいたしました。国立病院、療養所の定床数、その利用率、看護婦の定員数及び不足数について、資料提出するように二月十三日にお願いしたのでありますが、もう一月半以上もたちまして、まだ資料がいただけないのであります。私はこの資料を要求したのにはいろいろの理由があります。一つにはこれを見たいと思ったのであります。つまり国立病院、国立療養所等におきまして、自分の養成所で養成いたしました看護婦を他に出さないということをいたしておる。この間医務局長に伺ったところによりますと、この看護婦数はいま国立病院、療養所等が——ことに国立療養所におきましては、御承知のように利用率というのは大体八〇%を割るのであります。しかるに看護婦の数は定床数に対して保有しておる、こういう医務局長からの委員会におきまする答弁があったわけです。私も以前は国立療養所にずいぶん看護婦が不足しておるように思いましたけれども、最近あちこちの国立療養所をのぞいてみますと、必ずしもそうではない。私どもを支持してくださっております全医労等の意見と私はだいぶ違うのでありますけれども、必ずしもそうでありませんで、相当いるのであります。ことに国立病院等に付属しております看護学校等に対しまして、看護婦の他の施設に対しまする配分をお願いいたしますと、これはがんとして聞かない。直接私がある国立病院等に参りましたところが、病院長——これは学園の長でありますが、もう腹を立てて会わないというような諸君もあるのでありますが。私が何べんか参りましたけれども、忌避して会わない。看護婦を抜かれるという考えでありましょうか。そういう諸君もあります。それくらい一生懸命になって確保しようとするその理由はわかりますけれども、しかしそのところに、先ほど来申しておりますような一般の病院の看護婦不足がしわ寄せされる。国立病院、療養所におきましては相当数を確保いたしておりますかわりに、つまり偏在してまいります。この前伺いましたように、医務局長の御答弁のように、国立病院、国立療養所の定床数に対して、実際にはそれだけの看護婦の定員を必要とするだけ病人は入っていないにもかかわらず、看護婦だけは定床の割合に確保するということをしているわけです。そのしわ寄せが一般の病院にくる。もしそのようなことをなさるならば——国立病院、国立療養所の立場はよくわかります。それだけ一生懸命になってやろうということはよくわかります。それならば、いま国費でもって看護婦の養成をしておられる、国費をもって看護婦養成をし、その補助を出しておる、貸費制度もある、その補助も二分の一しておるということであるならば、当然民間の看護婦の養成所に対しましても同じように国費をもって補助すべきである。そうしなければこの看護婦の偏在は直らない。そして一般の病院におきましては、診療報酬が安いために国家公務員だけの給与が出せない。たださえ安い看護婦の給与がさらに少ないということになりますから、一般の病院には施設も悪いし、行く者がないという形になってくる。そのしわ寄せがこういう事件に発展をしてくる。こういう悲しい結果をもたらすということになるのであります。もしいま国立病院、国立療養所がそういう立場をおとりになるというならば、婦の養成のために出します国費、補助金等々は、当然民間の看護婦の養成所に対しましてもこれを出すべきである、そうでなければ、このような事件はなお続いていくということを考えなければならぬというように思うのであります。まずそれらについて、一般看護婦養成の学園等に対しまして当然補助金を出すべきであると思うけれども、その点のお考えを承りたい。
  102. 大崎康

    ○大崎政府委員 先生のお尋ねがございました国立病院、国立療養所の定床、それに対する看護婦の現員について申し上げますと、国立病院は定床二万八千百八床でございます。それに対しまして看護婦の定員は七千三百五十七、現員が七千十六、充足率が九五・三%でございます。国立療養所のうち結核だけを申し上げますと、定床数が六万六千七百六十、それに対しまして、看護婦の定員が九千七百四十九、現員が九千三百六十三で、充足率が九六%になっておるわけでございます。  そこで先生が御指摘になられました国立病院あるいは療養所における看護婦の養成について、養成所の課程を終えた者についての御質問がございましたが、三十八年の三月の卒業者について見ますと、国立病院、療養所の看護婦の課程を終えた者のうちで、国立病院、療養所に残る者が五四%ございます。それからそのほかの機関に就職をいたしました者、この中には進学者と未就職者を含めまして、四六%でございます。したがいまして、国立病院、療養所におきまして養成した者の半分だけを国立の機関で使っている、こういうことになるわけでございまして、この養成所の卒業生につきましては、私ども承知いたしている範囲におきましては、これは本人の自由意思において就業の場所をきめさせている、こういうふうなことになっておるわけでございます。  さらに、先生のお尋ねの、いわば民間の養成所について何とか国の補助が出せないか、こういうふうなことでございますが、これにつきましては養成所そのものの養成は教育というふうに考えられているわけでございます。したがいまして、法制上のたてまえからいきまして、公の支配に属する、属さないというふうな問題がございまして、この補助金につきましては非常に困難な面があるわけでございます。ただ、これは先生からおしかりをこうむるかもしれませんが、医療金融公庫におきましては看護婦の養成に対しまして、融資の措置をとっております。これは御参考になるかどうか存じませんが、念のため申し上げておきます。
  103. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 看護婦の不足の問題でございすが、三十六年末の社会保障統計年報を見ますと、看護婦有資格者は三十四万三千四百八十五人、それに対して就業者は十二万一千五百九十二人、これは三十六年末の統計であります。最近私どもがいただいた統計でありますけれども、そういうような数字であります。准看護婦のほうは割合がようございまして、これは有資格者が九万二千九十七人、それに対して就業者は七万百十五人、こういうのがこの二二七ページに載っております。でありますから、いま進学者及び未就業者が四六%あるというお話でございましたが、進学いたします者は、もちろん助産婦、保健婦等になるために進学をするわけでありまして、この率がどれくらいありますか、私もこれは明らかにいたしておりませんけれども、高看の学院に参りまして伺えば相当数あるということはよくわかります。未就業者等につきましては、いまお話のように、他の施設に行くという者もありましょう。もちろんこれは、労働基準法から申しましても、あるいは憲法から申しましても、それらの者を縛ることはとうていできません。あくまでこれは自由でなければならないのでありますけれども、助産婦、保健婦の学校に行ったら、また戻っていらっしゃい、国立病院の看護婦は国立病院以外には行かないように——厚生省当局はもちろん私どもに、そうういことをやっておるとは言えないでありましょうけれども、事実はみなそうでありまして、きわめて厳重な行き方をしておる。昨年でございましたか、私はここでも申し上げたのでありますけれども、神奈川県のあるところにおきましては、卒業間近の者がいわば脱走をしてくるというような事件も私は存じておるのであります。それくらいきびしくやっておるのであります。でありますから、いま看護婦が不足しておるということは、日本の医療の非常な欠陥でありますから、憲法のたてまえから申しまして、私立の学校、これは現状におきまして看護婦養成所必ずしも学校と考えてよいかどうか問題がありますけれども、学校でありますならば、やはり文部省の管轄の中に置いて、当然、看護高等学校とか、看護短期大学とかいう行き方、私はそれは非常にいい行き方だと思いますけれども、そういう行き方をすべきでありましょう。すみやかに看護婦を充足しなければならぬという場合に、それはいかなる形にもせよ、必ずしも憲法が今日そういう問題について厳重な立場をとっていないことは、われわれが国会におきまして国政を談ずる場合にいつでもあることであります。いろいろな形においてこれがすでに出されておる。措置費の委託とかなんとかいうような形で出されておる。それならば、看護婦生徒、学生におきましても委託という形でやってもいいのであります。出せない道はないのではない。出す道はくふうをすれば幾らでもある。現在いろいろなほうで出しておるのでありますから、これは、看護婦生徒を委託するというような形で出すにしろ、強力にやる必要がある。いま申し上げましたように、この年報によりますれば、三十六年末に有資格者が三十四万三千人あるにかかわらず、就業者は十二万しかないということになっておるのであります。したがいまして、これは私も三年も四年も前から指摘しておるのでありますけれども、どうも厚生省調査というものは、われわれに報告なさるのは非常に甘過ぎるというように思うのであります。まず第一に、給与の問題がそうであります。御承知のように、ことしあたり方々の企業に、就職いたしますのに、中学卒業生でも二万二千円ぐらいはいっておるのであります。いま、中学を出て、二年間准看の学園で勉強をして、卒業して、そして国家試験を経た者に対して、国家公務員では幾らの給料を出すことになっておりますか、伺いたい。
  104. 大崎康

    ○大崎政府委員 准看護婦で一万二千八百円でございます。それから看護婦で一万五千四百円でございます。  なお、私が先ほど申し上げました数字の中で、あるいは申し上げ方が悪かったために誤解の点があるかとは思いますが、看護婦の養成過程を経た者の中で、国立病院、療養所以外に行く者が四六%あると申しました。その中で進学するパーセンテージは八・三%でございまして、未就職者が一・八%でございます。あとは法人の医療機関でございますとか、その他の医療機関に就業をいたしておるわけでございます。
  105. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 この間の人事院勧告等によって、ことに医療職の給与が改定されて、この非常に困難な仕事をする准看護婦の給与がようやく一万二千八百円ということであります。これには御承知のようにずいぶんきびしい夜勤もありますし、いろいろするわけでございます。でありますから、中学を出てすぐ金が取れる、それに対して中学を出ましてから二年の勉強をしなければならぬ、あるいは高等学校を出ましてから三年の教育を受けなければならぬ、こういうようなことやその責任の重さというところから比べまして、やはり給与についてはもっと考えなければならぬ。そうしなければ志望者かなくなるのはあたりまえです。ことに私ども考えなければならぬことは、看護婦の資格を得たときには大体結婚の適齢期であります。でありますから、看護婦の資格は取っておいて、万一将来のときに備えるということはいたしますけれども、しかし間もなく結婚してしまう、家庭の人になるという形が非常に多い。だからよほどこの点については力を入れませんと、今日のような看護婦不足ということは避けられないのであります。これらの点について、給与問題につきましても、特段のお考えをしていただかないと、この充足は不可能であるというように考えられるのであります。  ついででありますから、一言伺っておきたいのでありますけれども、今日看護婦制度の改革の問題が日程に上がってきております。厚生省でもいろいろ案があるとのことでありますけれども、新聞等で漏れ承っておりますが、これがまた遅々として進まぬ。看護婦問題はこれだけの重大な段階になっておる。しかもこれは前にも予算委員会等で申し上げましたように、世界的な傾向であります。日本だけの傾向ではないのです。世界的な傾向であります。世界各国どこへ参りましても、文明国では看護婦の不足に全く悩んでおるのであります。このような責任の重い、しかも非常に強度の労働を要するこういう仕事には相当な給与を出しましてもなり手がない。この間私はカナダに参りまして聞いてみました。もう方途がないのです。そして給料は幾らですかと言ったら、これこれだ、それはわれわれの国の十五倍ぐらいあるいは二十倍ぐらいであったかと思いますけれども、向こうでは逆に日本では看護婦の給料は幾らですかと聞かれた。私は返事をしたくなかったけれども、言わぬわけにはいかぬから言ったところ、向こうはあきれてそんなことで看護婦になる人がどうしてあるのですかと言われた。英国に参りましても、スエーデンに行っても、ノルウェー、フィンランドに行ってもそうです。こういう点で、看護婦の不足というのは世界的な傾向であります。でありますから、この看護婦対策につきましては、徹底的な対策を立てませんと、この重大課題の解決はできないのであります。ところが厚生当局もその制度の改革をお考えになって進められているようでありますが、さっぱり進まぬようです。どういうふうな方針で進めようとするのであるか、具体的な方針をお伺いしたい。あるいはぐらぐらになってまだきまっておらぬかもしれませんけれども、一応どういうような方向でこの制度改善しようとするのか承りたいのであります。
  106. 小林武治

    小林国務大臣 お話のように看護婦の問題は非常に重大な問題であります。予算委員会等でも非常にやかましい論議が出まして、私も、この際相当思い切った措置をしなければいけないと考えております。看護婦の対策をどうしておるかというと、やはり施設の補助金を出しておる、奨学資金を貸しておる、そんなことを言いますが、ことばとして出しておりますけれども内容はきわめてお粗末でありまして、奨学資金のごときは全体の一割しか出ておらぬ。また施設の補助をしておるというが、幾らしておるかというと年に一億八百万円だ、そんなことではとうてい需要を満たすことはできません。また看護婦の待遇等も、あるいは先ほどお話しの運営費の補助等にいたしましても、ことしは若干出しましたが通らなかったということでありますが、看護婦の養成を医療の利益金でまかなっておるということは、これは間違いであります。私は、やはりこういうものはいろいろの理屈はあるが、とにかく運営費の補助を出しなさいということで、私どもは次の機会には強く要請してやる。いずれにいたしましても、看護婦とかインターンとかの問題はいままでおくれにおくれておるから、この際ほんとうに私は責任を持って解決をいたしたい、こういうふうに存じております。  それから一方法律の問題はこれは身分の問題でありますが、准看をどうして正看にするとかいう身分の問題でありまして、これは、いま長谷川さんがどうなっておるのだということを言われますが、私自身もどうなっておるのだということを最近事務当局にきつく申し渡したのでありまして、かような状態においてはことしは法律を出せないではないかというて私もひどく不満に思っておるわけでありますが、とにかく、あっちがこう言った、こっちがこう言ったということで厚生当局がかき回されておるようなかっこうで、結局結論が出ないというようなことで、私は、こういういろいろなことを言う方を集めて打ち合わせ会議を開いて、そして厚生省が断を下す——と言っては語弊がありまするが、厚生省としての案をとにかく早くつくれ、こういう指示をしておる最中でありまして、昨年以来これの督促を重ねてきておりますが、どうもまだ御期待に沿うようなものが出ない。私も非常に不満足に思っておりますが、とにかくこの際、身分の問題については至急、御意見を聞くならけっこうだが、聞いて、厚生省としての案を出すように、こういうことをいたしておりますが、いずれにしましても、看護婦の問題は今後の課題としてどうしても相当思い切った措置をしなければならぬというふうに思っております。
  107. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 大臣の御意思を尊重いたしまして、看護婦の問題につきましてはこれ以上御案ができるまで伺わないことにいたしますが、ただ私が聞くところによると、保健師とか看護師とかいう先生という字をつけるようですが、どうもクリーニング師ということでクリーニング屋の親方を先生と呼んでおる。床屋さんに行くとやはり理容師で先生と呼んでおる。このごろは市会議員諸君も村会議員諸君も先生になりました。どうも何だか変な感じがする。われわれ国会議員も先生と呼ばれるのでありますけれども、どうも先生という使い方——看護婦ということばでも、師ということばをつけないでもいいのじゃないかという気がします。看護婦という名前は非常にりっぱな仕事であって、看護婦ということで、やはりりっぱな看護婦につきましては尊敬できる、そういう通念が社会にあるのでありますから、看護婦でけっこうだというように思います。別に看護師としないでも、保健師としないでもよかろうじゃないかという感じがいたします。これらにつきましてはいずれ御案ができましたら拝見いたしますが、すみやかにこれは進めていただきたい。そうしないと間に合わない。今日すでに看護婦問題が非常に重大化してから五年以上もたちます。この問題は私どもが国会に取り上げましてから五年以上になります。それがさっぱり進んでいない。いまお話しの貸費制度、これがきわめて数が少ない、また額も少ない。また看護婦と准看とを区別して、三千円と千五百円というふうに分けていられる、こういうこともどうかと思うのであります。同時にまた、給与対策その他について根本的な対策を立てなければならない。養成制度につきましても、その必要があり、また人が不足しているときでもありますから、この点は永野さんが看護課長さんになられる、その前の金子さん時代から私は指摘しておるのでありますけれども、やはりどうも厚生省看護婦の実態の把握のしかたというものは事態を現実につかんでおらぬ。非常に甘く考えておられるということを感ずるのであります。私ども調査機関があってやっておるものではありませんが、第一線におりましてしみじみとそう思う。すみやかにいまのような国立以外の施設に対しましても、あるいは公立以外の施設に対しましても、養成の施設に対しては当然適当な方法で補助金を出すべきであります。そして、公私合わせて、すみやかにこの看護婦の数を増し、質をよくするということも御努力願うべきであると思います。  看護婦問題に深入りし過ぎましたけれども、先ほど来申しましたようなこの病院の事件を見てまいりますと、救う人がなかったようであります。また非常に火の回りが早かったのでありましょうから、その近くにおっても、実際はできなかったという、木造の老朽病院の特異性があったかもしれません。しかし、いずれにいたしましてもこの看護婦その他の職員を病院の構内にできるだけ常におらしめるという態勢をとるべきである。先ほどのお話によりますと、寄宿舎があったということでありますが、しかしそこに二十四人も入れるだけの寄宿舎があったかどうか存じません。それらの人が活躍をしたという記事は何もなくて、逆に看護婦が四人しかいなかったという新聞記事が載っております。いずれにいたしましても、病院の構内に非常の場合、たとえば地震のくる場合もありましょう、暴風雨の場合もありましょう、火災の場合もありましょう、そのときに病院の構内にそういう職員がおるという態勢をできるだけつくる。もちろん、これも自由でありますから、寄宿舎をつくって、そこに何名入れるということには困難な時代かもしれませんが、できるだけ寄宿舎や社宅をつくって、看護婦諸君、その他職員がその構内におる、あるいはその構内の近くにおるという態勢をつくることは、今後こういうような悲劇を起こさないために大事であると思います。寄宿舎をつくることについての融資の道等も医療金融公庫にあるということをいま初めて承りましたけれども、これについてはやはり十分な対策をつくっていくということが大事であろうと思います。私は病院を経営しながら、医療金融公庫に寄宿舎をつくることについての融資の制度があるということを知りませんでしたが、そういうことであればけっこうであります。また寄宿舎等の建設につきましては、住宅金融公庫その他でも融資の道はいまつくられてはあります。ありますが、これらについてやはり積極的になさる必要がある。  それから同時に、私がここで指摘しておきたいことは、看護婦の寄宿舎等をつくりました場合に、いま税金を取るやり方というものが全国まちまちである。たとえば、病院の構内に看護婦の寄宿舎をつくったというような場合には、東京都では固定資産税を取っておりません。しかし、三多摩地区へ行くとこれを取ります。私のおります浜松市でも、つい先ごろまでは私の病院は取られませんでしたが、最近は固定資産税を取ります。また不動産取得税についても同様です。取るところと取らぬところがあります。もちろん、個人の場合、医療法人の場合、それから社会福祉法人の場合、その他の公的病院の場合、いろいろありますが、浜松の事実で申しますと、日赤病院でも、あるいは農業共済の病院であります組合立病院でも、看護婦寄宿舎は構内にあるにかかわらず、固定資産税を取っておる。医療金融公庫などの関係では、病院の施設と一緒に建てるというような場合には、これは必要な施設として医療金融公庫で両方へ融資していることは私どもは知っておる。別個に建てるときには存じませんけれども、一緒に建てるときは融資していることは存じております。しかし、やはりこういうふうな非常の災害の場合も考えなければならぬ。そのときに動けない患者が病院には当然おるのでありますから、それを何としてでもすみやかに救出するためには、やはり病院構内等にあります職員の社宅とかあるいは看護婦寄宿舎とかいうようなものにつきましては、これはなくてはならぬものとして、当然病院と一体のものとして考えるべきである。したがいまして、全国ばらばらにやるということではならぬ。医療法人立でもそうです。閉鎖しますときの残余財産が国に帰属する、公に帰属するという形のものになれば、当然これは固定資産税や不動産取得税をかけるべきでない。あるところは取る、あるところは取らぬという形でなしに、全国一律にこういうものには税金をかけない。そして万一の場合に、その職員によって病人を救出せしめる。こういうように病院に入っておる者を焼け死なせるという惨事を起こさせないために、厚生省当局は特別努力をする必要があると存じます。これらについて、自治省、大蔵省からもおいでいただいておりますので、厚生省当局の御意見、また自治省のほうの御意見——きょうは大臣に来ていただいて両方の御意見を伺うつもりでありましたが、お差しつかえのようでありまして、自治省の税務局のほうと大蔵省の主税局からおいでいただいておりますので、その点を承りたいのであります。
  108. 小林武治

    小林国務大臣 私はただいまのようなことは妥当なことと存じます。全国の実態を調査いたしましてその向きの折衝をいたしたい。実は私、先年公社等−電電公社とかあるいは国有鉄道とかこういうものに対して固定資産税をかけることになったのでありますが、この中で特に病院等にはかけてはならぬ、こういう主張を強くしまして、これらには特に固定資産税をかけておらぬ。こういう実情もありまして、私はさようなものには特別扱いをすべきであるというふうに考えております。
  109. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 看護婦寄宿舎につきましては、固定資産税の場合は原則としてすべて課税でございます。ただ、特定の日赤病院等の場合におきましては、これは日本赤十字社自体の性格からいたしまして、一応非課税にいたしておりますけれども、そのほかの場合には原則として課税というのが法律上のたてまえでございます。さらに、不動産取得税につきましては、現在寄宿舎は共同住宅の取り扱いをいたしておりますので、二戸の部分が今度の改正で百五十万円以下の場合は基礎控除によりまして課税標準がなくなりますので、事実上看護婦寄宿舎の場合には不動産取得税は課税されないということになるだろうと思います。これは同様に医師等の住宅の場合におきましても、この規定適用がございますので、現実の場合には不動産取得税の課税になるということは、まずほとんどあり得ないと私ども考えておるわけであります。
  110. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 佐々木さんに聞いていただきたいと思ったのは、いまのこういうような病院というものは特別な事情があるわけです。ですから非常時災害の場合には、病人をかつぎ出す人が大ぜいいなければ、必ずこういうように焼き殺してしまうのですね。地震の場合でも同様だと思うのです。地震が起こる、すぐ火が出ると考えなければいかぬ。病院が焼けたのは、実は三十七年以来すでに私が知っているだけでも十七件ある。今年に入ってから一月も二月も三月も病院が焼けて、患者を焼き殺しているのです。こういう特別な事情がありますから、今度は自治省のほうでどうしてもお考え願わなければならぬと思います。そうして何としてでも構内にこういうものが建ちやすいように、あらゆる面からすみやかに考えなければならぬ。病院が毎月焼けて、入院患者を焼き殺している、あるいは今度の場合のように、新生児をお母さんと一緒に焼き殺してしまう、中風の年寄りを焼き殺してしまう、小さな病院で九人も焼け死ぬ、こういうようなことになるわけでありますから、この点は特別な場合として考えてもらわなければいけないと思います。でありますから、この病院の構内に建てまする寄舎等につきましては、特別のおはからいを願うようにしなければ、——税を取っているなら別です、しかし取っているところと取っていないところと両方あります。  それじゃもう一つ伺いますが、私は最近医師会ニュースをちょっと拝見しました。医師会ニュースにこういうことが書いてある。「医師会病院・臨床検査センターに対する地方税の免除」「自治省との折衝を重ねた結果、医師会病院・臨床検査センターに対する固定資産税、不動産取得税等の地方税が免除されることになった。」こうなっております。私はこれは将来もあるべきことと思うのでありますけれども、同時にこういうことがなされておるのでありますから、それならば、やはりこの看護婦寄宿舎及び一般の病院等につきましても、この点は同様にお考え願わなければならぬ、こう思うのであります。そういうように考えなければならぬと思うのでありますけれども、これらの点はいかがですか。
  111. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 固定資産税の場合に、看護婦寄宿舎について、病院の構内に設置されておるものについて、これを非課税とすべきであるという点につきましては、私ども十分に検討さしていただきたいと考えるわけでありますが、ただ、ことしの地方税法の改正におきまして、住宅対策の立場から新築住宅につきましては、ものによりまして三年ないし十年間固定資産税の二分の一の軽減措置がとられることになったのでございますが、これによりまして、看護婦寄宿舎もこの場合には共同住宅の一種として同じような取り扱いをいたしたい、かように考えております。建築の態様によりますけれども、新築当初におきましては、ある程度の軽減措置が可能になるということを御報告いたしておきます。
  112. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 課長さんクラスの立場の人に対して、私からこのことについて強く申し入れて、言質をとるわけにはまいりませんが、どうかお帰りになって、こういうような毎月毎月病院が焼けて、病人が焼け死んでいくという事実をお考えいただいたとき、非常災害等のために病院の構内にありますそういう施設に対しましては、どうしても特別な措置をつけていただくように強い要望があったことをお伝えいただきたいのであります。また課長さんのお立場としてそのことをお考えいただきたい。大蔵省からおいでいただいておりますが、御返事をいただく必要はありませんけれども、いまのような次第でございますから、大蔵省当局といたしましても主税局の立場で、これらの点はひとつ配慮していただきたい。もし今後こういうことが重ねて行なわれますならば、実に残念なことでありますし、相すまないことであります。ひとつお考えをいただきたいのであります。  ついでにもう一つ伺っておきますが、今度は敷地であります。この病院の写真を見ますと、いかにも敷地が一ぱいなんです。これでは焼けていきますときに、患者を連れ出して次の患者をまた連れ出すという場合、患者を置いておく必要な場所がない。どちらの写真を見てもそう見える。これは困ったことだなと思う。けれども、市街地におきましてはそういうこともまた今日やむを得ないでしょう。やむを得ないでありましょうが、しかし病院の敷地というものは広いだけいい。大崎さんどうですか、いま病院の建物の建蔽率はどういうことになっていますか。
  113. 大崎康

    ○大崎政府委員 建蔽率につきましては、建築基準法等の法令の関係があると存じますが、ただいま資料を持ち合わしておりませんので、後ほど調査してお答えいたしたいと思います。
  114. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 実はこういうことがやはりある。これは浜松市で起こった事件です。病院の敷地が広過ぎる。だから固定資産税等は病院の建物の建っておる建坪だけは免除する、社会福祉法人の病院ですが免除する。そのほかの敷地については固定資産税をかける、こういうことを言ったのでぼくは腹を立てた。そんなばかなことはない。非常災害のときに、遠くまで患者を運んでいくひまはない。とにかく患者を連れ出して、火の粉をかぶらないところに置かなければならぬ。だからできるだけ広いほうがいいのだ。病院の隣接地区で火災が起こった場合でもそうです。できるだけ病院の敷地は広いほうがいい、だからそういうものに固定資産税をかけるというのはいかぬじゃないか、そういうことを議論をしたのでありますが、浜松市役所は、自治省から助役が行っておりまして、助役が非常に心配しておりましたけれども、ついに固定資産税を取ることにいたしました。この病院を見ましても、これじゃ患者をかつぎ出して置く場所がない。これが広ければ患者をかつぎ出して置いておいて、その次の患者を出すということができますけれども、これではできない。だから病院の構内にあります看護婦その他の寄宿舎とともに、病院の敷地というものに対して、固定資産税をかけるということはすべきでない。でありますから、これらの点についても自治省としてはどうか見解を明らかにしていただきたい。私はこういう事件が起こらなければこういうことは言いません。非常災害の場合にどうして患者の命を助けるかということにつきまして、われわれ病院に関係しておる者は、常に苦慮をいたしております。私は旅から夜帰るたびに、病院の近くへまいりまして、うちの病院は火事になっていないかということを一番先に見ます。これは長年の習慣であります。私の病院は一つは浜松市の近くの郊外にありますが、夜おそく帰ってまいりますと、自動車の中で一番先に見るのは火の気、そういう心配を私ども病院の経営に携わっておる者は絶えずしております。それが広い敷地を持っておりますれば、まだ心配はありません。先ほどの大臣のお話のように、国立療養所あるいは国立病院というものは広い敷地にあって、広い庭があって、火事になってもすぐに庭へ出られる、外へ飛び出られるということになります。町のまん中になりますと、なかなか広い敷地を持つことは困難でしょうが、なおさらできるだけ広い敷地を持つということにつきまして、それらに対して税金をかけないという形をとっていただきませんと、こういう病人を殺すという事件が絶えず繰り返し起こってくるわけです。どうか日本の国民の生命の大事な点を考えて、そういう点をやはり自治省として全国に流してもらいたい。ぜひ免税措置、非課税措置ということをきめていただいて、流していただきたい。どうか大蔵省のほうにも一つこの点をお考え願いたい。毎月病院が焼けて、人を殺しているのです。焼き殺しているのです。こういう惨事を毎月繰り返しているのですよ。どうかひとつ、こういうことが再び起こらないようにあらゆる点で努力をしていただくように、こんなところから税金を取ってもたいしたことはありません。全体の税収から見ればたいしたことはないのですから、少しでも人を殺さないくめんを各方面からしていただきたい。厚生省のみならず、大蔵省のほうからも、ひとつあらゆる努力をしていただきたい。自治省のほうからも御努力を願うということにしていただきたいのであります。たいへん長い質問をいたしましたので、私の質問はこれで終わりますけれども、どうかひとつ毎月こういうことが起こるというようなことが再びないような体制をすみやかに厚生省当局としても十分とっていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  115. 田口長治郎

    田口委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会