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1964-03-30 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三十日(月曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 亀山 孝一君 理事 澁谷 直藏君    理事 田中 正巳君 理事 河野  正君    理事 小林  進君       伊東 正義君    大坪 保雄君       熊谷 義雄君    倉石 忠雄君      小宮山重四郎君    坂村 吉正君       竹内 黎一君    地崎宇三郎君       中野 四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    橋本龍太郎君       藤本 孝雄君    森下 元晴君       渡邊 良夫君    亘  四郎君       伊藤よし子君    滝井 義高君       長谷川 保君    八木  昇君       山田 耻目君    本島百合子君       吉川 兼光君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         検     事         (入国管理局次         長)      富田 正典君         厚生政務次官  砂原  格君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君         海上保安庁長官 今井 榮文君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   海江田鶴造君         厚 生 技 官         (薬務局麻薬第         一課長)    久万 楽也君         厚 生 技 官         (薬務局麻薬第         二課長)    五十嵐吉久君         専  門  員 安中 忠雄君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員橋本龍太郎辞任につき、その補欠として  森下元晴君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森下元晴辞任につき、その補欠として橋  本龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員亘四郎辞任につき、その補欠として田村  元君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田村元辞任につき、その補欠として亘四  郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員浦野幸男辞任につき、その補欠として森  下元晴君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森下元晴辞任につき、その補欠として浦  野幸男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十八日  最低賃金法案勝間田清一君外十四名提出、衆  法第三六号) 同日  業務上の災害による外傷性せき髄障害者援護に  関する請願金丸信紹介)(第二五六九号)  同(渋谷直藏紹介)(第一五七〇号)  同(山口喜久一郎紹介)(第一六〇七号)  同(吉村吉雄紹介)(第一六二四号)  同(松浦周太郎紹介)(第一六六二号)  同(粟山秀紹介)(第一六九一号)  同(西村英一紹介)(第一六九二号)  同(八田貞義紹介)(第一七一三号)  同(河野正紹介)(第一七三一号)  公衆浴場業健全経営維持管理特別措置に関  する請願渋谷直藏紹介)(第一五七一号)  同(八田貞義紹介)(第一五七二号)  同(藤枝泉介紹介)(第一五七三号)  同(粟山秀紹介)(第一五七四号)  同(森下國雄紹介)(第一五七五号)  同(天野光晴紹介)(第一五九二号)  同(中村梅吉紹介)(第一五九三号)  同(川島正次郎紹介)(第一六〇五号)  同(田村元紹介)(第一六〇六号)  同(坂田英一紹介)(第一六五六号)  同(四宮久吉紹介)(第一六五七号)  同(田中榮一紹介)(第一六五八号)  同(濱地文平紹介)(第一六五九号)  同(青木正君外一名紹介)(第一六八一号)  同(荒舩清十郎君外一名紹介)(第一六八二  号)  同(大石武一紹介)(第一六八三号)  同(福永健司君外一名紹介)(第一六八四号)  同(松山千惠子君外一名紹介)(第一六八五  号)  同(南好雄紹介)(第一六八六号)  同(山手滿男紹介)(第一六八七号)  同(岡崎英城紹介)(第一七一〇号)  同(川崎秀二紹介)(第一七一一号)  同(増田甲子七君紹介)(第一七九三号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一八五八号)  緊急就労対策事業打切り反対に関する請願(  井手以誠君紹介)(第一五七六号)  同(井手以誠君紹介)(第一五九七号)  同(井手以誠君紹介)(第一六二二号)  同(井手以誠君紹介)(第一六六〇号)  同(井手以誠君紹介)(第一六九六号)  同(井手以誠者紹介)(第一七二九号)  同(井手以誠君紹介)(第一七五二号)  同(井手以誠君紹介)(第一七八〇号)  同(井手以誠君紹介)(第一七九九号)  同(井手以誠君紹介)(第一八一九号)  同(井手以誠君紹介)(第一八六六号)  かつお漁業従事者失業保険適用に関する請願  (森本靖紹介)(第一五八九号)  公衆浴場業健全経営維持管理特別措置に関  する請願吉村吉雄紹介)(第一五九四号)  戦争犯罪裁判関係者の補償に関する請願壽原  正一君紹介)(第一五九五号)  同(岡崎英城紹介)(第一七〇九号)  母子福祉法制定に関する請願橋本龍太郎君紹  介)(第一五九六号)  同(千葉三郎紹介)(第一六八八号)  同(中垣國男紹介)(第一六八九号)  同(南好雄紹介)(第一六九〇号)  同(佐藤洋之助紹介)(第一七五三号)  同外一件(坊秀男紹介)(第一七六六号)  同(大平正芳紹介)(第一七九一号)  同(西尾末廣君紹介)(第一七九二号)  同(關谷勝利紹介)(第一八一六号)  同(寺島隆太郎紹介)(第一八六〇号)  療術の制度化に関する請願有田喜一紹介)  (第一六〇四号)  同(堂森芳夫紹介)(第一六二三号)  同(井岡大治紹介)(第一六三三号)  同(石野久男紹介)(第一六三四号)  同(落合寛茂紹介)(第一六三五号)  同(勝澤芳雄紹介)(第一六三六号)  同(勝間田清一紹介)(第一六三七号)  同(川俣清音紹介)(第一六三八号)  同(久保三郎紹介)(第一六三九号)  同(久保田鶴松紹介)(第一六四〇号)  同(久保田豊紹介)(第一六四一号)  同(栗林三郎紹介)(第一六四二号)  同(實川清之紹介)(第一六四三号)  同(島口重次郎紹介)(第一六四三号)  同(島上善五郎紹介)(第一六四五号)  同(戸叶里子紹介)(第一六四六号)  同(西村関一紹介)(第一六四七号)  同(野口忠夫紹介)(第一六四八号)  同(野原覺紹介)(第一六四九号)  同(長谷川保紹介)(第一六五〇号)  同(前田榮之助君紹介)(第一六五一号)  同(松本七郎紹介)(第一六五二号)  同(山口シヅエ紹介)(第一六五三号)  同(山田耻目君紹介)(第一六五四号)  同(上林山榮吉君紹介)(第一七一二号)  同(吉村吉雄紹介)(第一八〇二号)  同(亀山孝一紹介)(第一八一五号)  同(加藤精三紹介)(第一八五七号)  P・T師法制定及びあん摩師はり師、きゆ  う師及び柔道整復師法改正等に関する請願(  山口喜久一郎紹介)(第一六〇八号)  同外一件(坊秀男紹介)(第一七六七号)  厚生年金保険法老齢年金給付額引上げに関す  る請願河野正紹介)(第一六五五号)  全国一律最低賃金制の立に関する請願細谷治  嘉君紹介)(第一六六一号)  同外五件(田口誠治紹介)(第一七五〇号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一七七七号)  同外四件(山田耻目君紹介)(第一七七八号)  同(河野正紹介)(第一八〇〇号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第一八六五号)  全国一律最低賃金制即時法制化等に関する請  願(山田耻目君紹介)(第一六九五号)  同(大出俊紹介)(第一七二五号)  同(金丸徳重紹介)(第一七四九号)  同(泊谷裕夫紹介)(第一七七九号)  同(華山親義紹介)(第一八二〇号)  看護人名称改正に関する請願河野正君紹  介)(第一七三〇号)  全国一律最低賃金制即時法制化に関する請願  (堀昌雄紹介)(第一七五一号)  同外八十九件(楢崎弥之助紹介)(第一七七  四号)  同外一件(原茂紹介)(第一七七五号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一七七六号)  同外四十八件(河野正紹介)(第一八〇一  号)  同外八十三件(河野正紹介)(第一八六四  号)  国有林労働者差別待遇撤廃等に関する請願(  久保田豊紹介)(第一七七一号)  同(和田博雄紹介)(第一七七二号)  同外一件(岡田春夫紹介)(第一八〇三号)  同外五件(松浦定義紹介)(第一八〇四号)  同(山内広紹介)(第一八二一号)  同外一件(原茂紹介)(第一八二二号)  同(川俣清音紹介)(第一八三六号)  同外二件(原茂紹介)(第一八三七号)  同(八木昇紹介)(第一八三八号)  同(湯山勇紹介)(第一八三九号)  同外三百六十一件(永井勝次郎紹介)(第一  八七〇号)  同外十三件(八木昇紹介)(第一八七一号)  身体障害者に対する義務雇用及び安全就業等に  関する請願黒田寿男紹介)(第一八三四  号)  同(江田三郎紹介)(第一八六七号)  理学療法士及び作業療法士制度化に関する請  願(田邉國男紹介)(第一八三五号)  中小企業退職金共済法の一部改正に関する請願  (野原覺紹介)(第一八五六号)  失業者就労事業紹介対象者賃金引き上げ等に  関する請願砂田重民紹介)(第一八五九  号)  国有林労働者待期制度制度化に関する請願  外十六件(芳賀貢紹介)(第一八六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  麻薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第四三号)      ――――◇―――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出麻薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 先日二点だけ残したわけです。一つ麻薬免許関係であり、一つ退去強制事由に関する問題です。  まず第一の麻薬免許有効期間の問題ですが、これは「免許の日からその年の十二月三十一日までとする。」ということになっておるわけです。御存じのとおり、麻薬施用者免許を与えられる場合は、医師という職業があって初めて麻薬施用者としての免許が与えられる、すなわち医師免許の上に麻薬免許というものが重なるわけです。いわば麻薬施用者としての免許というものは、医師であるという前提に立っているわけです。したがって、これは何も「免許の日からその年の十二月三十一日までとする。」という理由一つもないわけです。これはなぜこういうことをしておるかというと、占領軍がやってきて、ヘロインというものが占領軍の中に広がるということはたいへんだ、日本を占領したアメリカの兵隊が麻薬中毒患者になって帰ったのではたいへんだというので、アメリカがやってきてからこういう麻薬取り締まりというのは、非常に厳重になってきたことは御存じのとおりです。したがって、すでに日本も講和発効して独立国になっているのですから、問題は、麻薬中毒患者がふえない方法をとればいい。これは免許の問題ではないわけです。ふえない方法はどうすればいいかというと、結局十月十五日現在で、麻薬施用者受け入れをし、払い出しをした麻薬の現在量というものをきちっと把握していけばいいわけです。したがって、麻薬免許に問題があるのではなくて、その受け入れ払い出し関係が明白に把握されていればいいことになるわけです。それは医師であればいいわけなんですから、また医師でなければ患者麻薬を注射その他することはできないのですから、したがってこれを五条のように、免許の日からその年の十二月三十一日までとする必要はない。受け払いを厳重にしたらいい。そのためには、いままでのとおりの届け出をしていく。しかし免許については、医師免許がある限りにおいては、あるいは診療従事をしている限りにおいては、私は麻薬免許を継続いたしますという通知を出したらいいのではないか。この点については、あなたはこの前、その線に沿ってやりますということを言ったが、それは間違いないでしょうね。
  4. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 麻薬施用者免許につきましては、滝井先生の御意見でございますけれども、私どもとしましては、医師免許という身分に基づく免許以外に、麻薬を実際に施用する場合の免許は、別の形でやはり免許をやったほうがいいという考え方に立って立案をされておるというふうに解釈をいたしております。これは麻薬取締法だけに限らず、その他の私ども関係法律の中でもその点は明白に規定されておるところでございますけれども、なぜそういう取り扱いをしたかという立法論につきましては、あるいは先生のような御意見もあろうかと存じますけれども、たとえばこういう場合も考えなければならないというふうに私どもは考えておるのでございます。麻薬施用者のたび重なる累犯につきましては、これは究極的には医師身分制度に及ぶいわゆる医師免許取り消し対象になり得ることになるわけでございます。しかし一回や二回の麻薬施用者免許取り消しにつきましては、究極的に医師身分まで及ぶようなことにはなっておりませんで、一回限りの麻薬施用者免許取り消しということになるわけでございまして、それが書きかえ書きかえのうちに違反が継続されますと、究極的に身分制度にまで影響の出るような事態にもなるわけでございますし、それだけが私は立法理由というふうには考えておりませんけれども、しかし医師身分たる地位に基づいて、やはり片一方において麻薬取り扱いについてなお慎重を期するということで免許制度を考えたというのが立法理由ではなかろうか、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 あなたはそれは勘違いしている。私は麻薬免許を廃止せよと言っているのじゃないのです。一たび麻薬免許をもらったら、その免許というものを、医師免許と同じように、ずっと医師である限りは、診療従事する限りは有効なものとしなさい、こういうことなんです。何も一年一年切らなくても、一たび免許をもらっておって、麻薬累犯をやればその麻薬免許だけ取り消したらいい。さらに医師というものの品位を汚すようなはなはだしい麻薬取締法違反であるならば、医師免許をもらうものとを削ったらいいので、これはいまの立法上ちっとも差しつかえないのです。累犯をやれば取り消すことができる。私は麻薬免許制度を廃止せよと言っているのではない。麻薬免許をやりなさい、しかし毎年毎年麻薬免許を取りかえなければならぬというようなめんどうくさい――そうでなくてさえ医療事務は多くて困っておるのに、こういう事務まで薬務局はかけることはない、こういうことなんですよ。だからこの理屈は私のほうが筋が通っているので、あなたのほうは筋が通っていないのです。取り消すなら取り消すと自由に取り消してよろしいということですから、そのときは麻薬を取り扱うことができないのです、しかし届け出はしますよ、こういうことなんです。そうすると、私の主張が正しいとするならば、問題が出てくるのはどこかと言うと、先日御指摘を申し上げましたとおり、六千何百万円が県の収入になる、国の収入というものはわずかである。そうすると、県の収入をどうするかという問題になる。したがって、妥協してもよろしいから、ことしは十月十五日現在で昭和三十九年は届け出をします、そのときもう一ぺん、予算に関係あるというならば五百円ずつ取りなさい、しかしことし全部の人が免許申請をしたら、現在医師である人が免許申請をしたら、その免許というものは、これからずっと永久に医師である限りにおいては有効ですよ、しかし毎年十月十五日には届け出だけはする、麻薬を受けたり払い出しする届け出だけはします、きわめて筋が通っているのです。それをなぜ、わずか六千万円くらいの金を取り上げるために、複雑な事務を置かなければならぬかということです。はがき一本でいいじゃないか、はがきはよろしい、こう言っているのですから、ちっとも意見の相違はないでしょう。その上に何かあなたのほうで麻薬取り締まり不都合があれば、御指摘を願いたい。不都合はないはずです。
  6. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 ことばを返すようですけれども、私、前の委員会におきまして、はがきでよろしいというふうに先生はおっしゃられましたけれども、私ははがきでいいというふうにお答えをいたしておりません。免許の要件になります最小限度必要な書類は簡素化をいたしまして、やはりはがきということじゃなしに、ある程度の免許登録証明事項は必要だというふうに考えておるわけでございます。それから免許をやる限りにおきましては、その手数料があるということは、これは身分制度に基づきます医師法あるいは保助看法の免許登録と違いまして、薬事法系列におきまして、つまり私のほうの所管する法律系列におきましては全部手数料ということで、金額は別でございますけれども、それぞれ更新のたびに手数料を歳入として見積もっておるわけでございまして、この点は、いまここで直ちに手数料を廃止するというふうな結論を出すことについて、私どもは消極的に考えております。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、またこの前とだいぶ違ってきた。この前は、はがきで、私は今年も継続いたしますよという通知だけは出そうと言ったら、その方向で検討すると言ったが、きょうはまた、免許を発行するためにいろいろの手続は必要だということをおっしゃるのですね。これは私、ちょっと大臣に出てもらってやりたいと思うのです。事務簡素化を、大臣約束しているのですからね、私に。こういうところは一番大事なところで、いまのような行き方では、われわれこれはそう簡単に通すわけにいかぬですよ。大臣をちょっと呼んでいただきます。この問題は、大臣の来るまでちょっとあと回しにいたします。  次は、退去強制事由ですが、総務長官においでいただいておりますから、退去強制事由に関連をして少しお尋ねをしたいのですが、御存じのとおり退去強制事由の問題は、朝鮮人法的地位の問題の中における重要な問題点なんです。そこでまず、原則的なことを先にお聞かせを願いたいと思うのです。そうしていまの問題の核心の各論に入らしていただきたいと思うのですが、一体法的地位の問題における韓国側主張日本側主張とは、どういう点で原則的な一致点があり、どういう点で原則的な食い違いがあるのでしょうか。このものさしがわからぬと、なかなか退去強制事由の問題というのはわからぬわけですね。きょうは所管総務長官がいらっしゃっておるから……。
  8. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 麻薬の問題にからみまして、国外退去所管法務省でございますが、先日の滝井先生の御質問に対しまして、私ども法務省と話しました中身を申し上げてみますと、三十七年度の国外退去審査になりました件数は三千四百程度ありまして、そのうち送還をいたしましたのは大体五百八十前後でございます。そのうちに麻薬退去命令が出ましたのは三十四件ございまして、大部分は中準民国のほうの方でございますが、うち韓国人は二名ということになっております。  それで、国外退去の法令は、これは出入国管理法に基づきまして、国内法に基づきます有罪判決を受けた者、これは国外退去を命ずることができることになっておるわけでございますが、ただ有罪中身につきまして、どういうふうな判決を受けた者について国外退去を命ずるかどうかという点につきましては、ケースバイケースで、いろいろケースによりまして十分事情を勘案いたしまして決定をするということに相なっておりまして、有罪直ちに国外退去という形じゃなしに、その間にはいろいろと取り扱いケースによって違うそうでございますけれども、これはケースによって違いますから、一応のいわゆる基準的なものというのはないのでございます。ただ従来の例に徴しまして、麻薬で退去される件数が少ない点も考えまして、厚生省側としましては、麻薬犯罪重大性にかんがみまして、ケースによります取り扱いをよりシビアーにやっていただくようにお願いをしておるというのが、これまでの段階でございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 あの漁業問題を残して、韓国側との間の交渉というものは非常に切迫しておる。金鍾泌が韓国側学生デモで急遽帰らなければならぬようになったために、三月末に話し合いをある程度まとめて、四月にヨーロッパから丁一権外務部長官が帰るときにまとめるというスケジュールがくずれましたけれども、これは法的地位の問題その他についても、ある程度まとまりがあっておると思うのですよ。特に麻薬の問題というのは、外から入ってくる品物なんですからね。しかもそれが第三国人によって持ち込まれる場合が相当あるということは、御承知のとおりです。今後日韓国交調整ができれば、韓国ルートというものは相当問題になるところなんです。そうしますと、それを韓国側日本側と一体どういう主張で折り合いをつけていくかということが非常に大事なんです。この主管省というものは――今度の法律改正は、御存じのとおり、麻薬取り締りを強化するために人をふやすだけの法律ですからね。その人をふやすということは、外から入ってくる麻薬を一体いかに入らないようにして、国内の善良な民に、国民に麻薬の害毒を与えないようにするかということが問題だと思うのです。そうしますと、当然韓国側との間の問題というものは、あなた方が積極的に、法務省所管だからといって向こうにまかせっきりというわけにはいかぬと思うのですよ。少なくとも専門家薬務局が、やはりその麻薬取り締まりの観点から具体案を出すべきだと思うのです。これは法務省にやってもらうんだから、私のほうはケースバイケースでなるべく厳重にやってくださいということだけではいかぬと思うのです。このくらいのことはぜひやってもらわなければいかぬという、取り締り上の当局の一人なんだから、明白な立場を出さなければ、法務省なり警察にまかせておくだけでは話がつかぬと思うのです。そういうことだから厚生省はなめられるのですよ。厚生省行政、見てごらんなさいよ。ライシャワーが刺されたといって、あわて回って精神病対策をやらなければならぬ。拝啓池田総理大臣水上さんから言われたら、あわてて重度身体障害者の手当を千円ばかりつけるという、こういうまるっきり、昔のことばでいうどろぼうを見てなわをなう政策しかできない。これは厚生行政がいわゆる指南力を失っておるのですよ。医療協議会結論が出なければ、厚生省方針を出すことができぬ。全部他人のふんどしを借りて相撲をとっておるじゃありませんか。そういうことだからいかぬのですよ。やはり麻薬取り締まりの問題についても、厚生省独自の方針法務省へ持っていって、これでずっと韓国側と交渉してくれ、こういうことでなくてはいかぬと思うのです。厚生行政を見ておると、全部他人の力によって小林厚生行政をやろうとしておる。これではますます大臣に来てもらわなくちゃだめですよ。そうでしょう。  水上さんの問題を見ても、ライシャワー事件を見ても、まるっきりあわて回って、それを基礎にして少なかった予算をさらによけい取るという方向に向いていくならいいけれども、根本的な対策を、そういう何か事件が起きてから、それを契機にしてようやくちょっぴり前進していく、こういう厚生行政では私はいかぬと思う。これは根本問題ですからね。政務次官にはお気の毒ですけれども、上げるにあたって、どうせ上げるときは大臣に来てもらわなければならぬのです。だからいまの二点のあなたの答弁では私不満です。われわれの所管でないからどうにもなりませんということではいかぬと思うのです。法的地位の中における退去強制というものは一つの部門ですからね。法的地位の問題がきまらないと、退去強制の位置づけというものは決定できないのですよ。それじゃ退去する人というものは、一体子供でも何でも、みんなどういう形で、どういうところまでの者に退去を命ずるのかというような、非常に具体的な問題になってくるわけです。麻薬に関連してくるのです。常利を目的として麻薬類を取り扱った犯行者というのは、重大な項目としてあるわけです。並んでおるのですから、内乱とか外患に類する問題と同じ程度ですよ。だから委員長、いまの事務当局のあれでは、だめですから、大臣にひとつ……。(「休憩休憩」「理事会を開いてください」と呼ぶ者あり)
  10. 田口長治郎

  11. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この法律案は非常に簡単な法律案でありますが、それだけに政府のほうでは、この法律案を出された裏にいろいろお考えを持っていらっしゃるのじゃないかというように思って、この間から私この委員会でいろいろ聞いておったのでありますが、依然としてこういう簡単な改正案を出して、それでどうするかという点では、あまりはっきりした具体案を持っていられないように思うのです。きょうは時間も非常に短いことでありますから、それらの政府の出された改正案に対して一つ一つ御質問申し上げるよりも、麻薬の根本問題について、若干問題提起という見地から二、三点お尋ねしたいと思うのです。大臣がいらっしゃらないので、厚生省としては砂原さん、あなたが相手になりますが、まことに申しわけないと思いますけれども、よろしくひとつお願いします。  まずお伺いしたいのですが、麻薬について非常な惨禍を受けておる麻薬の秘密のマーケットと申しましょうか、そういう地帯としましては、世界ではどういうところがございましょうか、その点を最初に伺いたいと思います。
  12. 砂原格

    ○砂原政府委員 お答えをいたします。  麻薬の被害を受けている地域といいますと、東南アジア、アメリカ、わが国のほうが被害を受けております。
  13. 谷口善太郎

    ○谷口委員 ばく然とした言い方でありますけれども、いろいろの資料によりますと、東南アジアといいましても特に香港だとか、あるいは南ベトナム、台湾、南朝鮮、それから日本というふうに、極東のほうでは大体資料がそうなっておりますが、そういう点をお認めになりますか。
  14. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思うのでございますが、ただいわゆる被害を受けておる国が、いま政務次官がおっしゃられましたような国であるということでございまして、その他の各国の情報につきましても、情報のとれるところととれないところとございまして、その辺は、とれるところについては先ほどのお話のとおりと思いますが、とれないところの惨禍につきましては、まだ的確な情報を得ておらないということをお含みいただきたいと思います。
  15. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうしますと、日本もその一つの地帯というふうに政府のほうもお認めになるわけですか。その点はどうでしょう。
  16. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 昨年の大改正が行なわれるまでのわが国における麻薬の被害につきましては、おっしゃるとおりでございまして、非常に簡単に麻薬が手に入って、人によっては麻薬天国というふうな表現までされるような被害を受けておったということを申し上げても差しつかえなかろうと存じますが、昨年の改正以後非常に麻薬犯罪件数は減ってまいりまして、取り締まりも厳重になりましたために、現在のところ、三十七年度までの非常な被害から激減しておるということは、はっきり申し上げられると思います。
  17. 谷口善太郎

    ○谷口委員 一口に麻薬犯罪とおっしゃるけれども麻薬を使用される側、使う側、需要者といいますかあるいは中毒者、これの数とか、その中で行なわれる犯罪の検挙数なんかによって、麻薬犯罪が減ったとかなんとかいうことが言えるかどうかは、やはり軽率な判断はできないのではないか。むしろ日本というマーケットを目がけて秘密に輸入されて、それが用いられるという点に大きな問題があるのでありますが、そういうような犯罪について検挙数というのは、これはこの間から伺っておりますと、政府のほうでも、検挙されたものだけ、事実としてそういうふうにあらわれたものだけが資料としてあって、どういう規模で、どういうふうになされてねらわれているかという点についての的確な資料がないというお答えのようであります。そういう点で麻薬犯が減った減ったとおっしゃるけれども、一方にこの委員会の中でも、昨年取り締まりが強化された以後、むしろ麻薬を常習する人の密集地帯などの、たとえば横浜とかあるいは神戸とか東京とかいうところよりも、むしろ地方へ分散した傾向があるし、また地下へもぐってしまって捕捉できないような状態になったという面もあることを言っていらっしゃる。したがって、麻薬犯とか麻薬犯罪とかいう面からいいますと統計上減っておりましても、実際上日本麻薬が流れ込んできて、それが秘密のうちに地下において非常に悪用されておるという点でははっきりしたデータじゃないというふうに思いますが、そういう点についての政府の推定と申しますか、お考えはどうでしょうか。
  18. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 最近の麻薬事犯につきまして、非常に手口が巧妙になりまして、また地方分散化も十分探知できるところでございまして、この点につきましては先日の委員会で申し上げたところでございますが、やはり取り締まりが強化される、しかも刑罰のほうも非常に重加されたということでもって麻薬犯罪というものが潜在化をしまして、向こうも、先方の麻薬犯罪を意図するグループも、いかにして取り締まり官憲の目をのがれるかということで、非常に巧妙に、しかも潜在的に行なうということで、事犯の中身というものがなかなかむずかしくなってきておることは、これは先生も十分御了察いただけるところだろうと思います。私どもとしましては、そのような巧妙化されました事犯につきまして極力機動力を動員し、関係官庁との連絡を密にいたしまして徹底的にこれを、取り締まるということで、現在その取り締まり方針につきましては腐心をいたしておるところでございますが、やはり全体的に総体的な話として申し上げますと、かつての三十七年度までの麻薬犯罪というものの中身と非常に中身が変わってくる、同時に、麻薬の入手自体も非常に困難になったがために、総体的には麻薬の量も非常に減ってきておるということは私は申し上げることができる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  19. 谷口善太郎

    ○谷口委員 資料によりますと、大体中毒者が四万ないし五万くらいじゃないか、それから常用者といいますか常習者、これが二、三十万、見方によっては百万くらいいるんじゃないかというような資料がありますが、そういう点の政府の推定はいかがでしょうか。実はこの間からこの委員会での御討議の中で、正規のルートに乗っておる麻薬の使用量、これについての報告があったようでありますが、その場合に、犯罪として密輸入され、密売されるという不正規のものの量のことなんかのお話はなかったように思うのです。しかし常用者や中毒者、そういうものの推定から見ますと、相当量のものが、不正規、つまり秘密の輸入あるいは販売というような、そういう秘密ルートで消化されているのではないかと思いますが、そこらの資料的なものがありましたらお漏らし願いたいと思います。
  20. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 いわゆる推定といいますのは、非常にこれは誤差の多い推定でございまして、麻薬関係のある方々が言われておる数字は、いろいろとまちまちでございます。しかし、私ども行政的に把握をいたしております中毒者につきましては、先般の委員会におきましてもお話し申し上げましたとおり、大体七千名前後ということで推定をいたしておりますが、それ以外に、やはり隠れた犯罪者、中毒者がおるということも推定をされますし、一応日本麻薬中毒の推定ということである程度公にされました数字は、国連のほうに報告をされております大体四万人という数字が、いままであげられておるわけでございますけれども、この点も、同じことを申し上げるようでございますが、取り締まりの強化によりまして逐次減少しつつあるということで、三十九年度におきましては、この数字はおそらく相当減ってくるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  21. 谷口善太郎

    ○谷口委員 おっしゃるとおりに、これは推定ですから、それはそうはっきりした数字がつかまえられないのは当然であります。しかし中毒者が七千名、常用者が四万ということですか、そういうふうにおっしゃるのですか。
  22. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 七千名といいますのは、私ども行政的に把握できる人員が七千名ということでございまして、四万といいますのは、その裏に隠れた同じような中毒者――数の基礎は同じでございますが、大体推定四万というふうにいままで呼称されておるわけでございます。
  23. 谷口善太郎

    ○谷口委員 政府の言っていられるように、昨年の取り締まり強化以来、非常に巧妙になってもぐってしまっているというような御報告もございますので、こんなことで把握できたものとか、あるいはそれから裏にどのくらいというような推定をされるというようなことは、たいして資料にならないものだと思うのですが、一方に、いま申しましたように中毒者が四、五万、あるいは常用者は二、三十万から、見方によっては百万くらいだろうという資料もあるわけであります。いずれにしても日本麻薬の天国といいましょうか、あるいはこの麻薬犯で大もうけをしようとするような国際的な密輸団や、その他の麻薬犯罪者のねらわれている市場であることに間違いはないのであります。日本がこういうふうな状況になったのはいつごろからで、またその理由といいましょうか、根拠といいましょうか、それは何だと政府は見ておられましょうか。
  24. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 わが国におきまして、麻薬の使用というものが非常に激しくなりましたのは、ここ十年くらいさかのぼりました時代からというふうに考えて差しつかえないと思いますが、理由につきましては、いろいろと推定できることもあろうと存じますが、とにかくわが国が独立国家として発足をいたしまして、しかも航空機あるいは船舶を通じましての出入国が比較的自由になり始めたということにからみまして、わが国におきまして比較的に麻薬の入手が安易な方法でできるというふうなことでもって、ここ五、六年前から、非常な麻薬の乱用というものが目立って社会現象としてあらわれてきたわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃる数字は三十七年度までの統計数字に基づきました中身であろうと思いますが、そういう状況にかんがみまして、衆参両院におきましても麻薬の徹底的な撲滅ということで決議をいただきましたし、それに基づきまして、政府といたしましては徹底的にこの際麻薬禍を撲滅しようということで、御承知の昨年の大改正以後取り締まりを厳重にしたという形になってきておるわけでございまして、過去におきましての麻薬の乱用という事態はまことに遺憾なことではございましたが、今後は絶対にそういうことのないように、日本の市場から麻薬を抹殺するというところまで徹底的に追及の手をゆるめずにやっていくつもりでおるわけでございます。
  25. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この麻薬日本にこんなふうに非常にひどい状態で流行するようになった原因について、国への出入りが非常に安易であるというふうにおっしゃっているのでありますが、それをもう少し具体的に言いますと、どういうことでしょうか。ただ単に人間が日本へ旅行するとか、あるいは外国へ出ていくとかいうことについての自由さの問題は、何もそう変わったわけじゃないのでありまして、しかし麻薬が、出入国が自由である、安易に入ってこられるというふうになりますと大問題でありますが、そういう点でどうしてそういうふうにおっしゃるのか。具体的にはどうなんですか。
  26. 砂原格

    ○砂原政府委員 これは日本の国民が、敗戦になって国情も非常に混乱をしておったというような弱みの点ができた当時には、どうしてもねらわれやすい部面も私はできるのだと思います。そういう混乱状態にあった時代に、いろいろ巧妙な手段を講じながら麻薬の密輸入をやる。特定の者がそうしたことをやる。悪い方面の知能にたけた連中がこれをやる。また、国内取り締まり体制についても、もちろん適当な取り締まりの処置はしておったけれども、しかし十分ではなかった。その警備が十分に行なわれていなかった。また、犯罪というものは、取り締まりをすればするほどそういう犯罪を犯す者は知能指数が高くなってきて、犯罪を巧妙な手段で行なうというようなことが繰り返されてそういう結果を招来したものだ。したがって、この際どうしてもこれを強化して、日本国内麻薬天国といわれるような汚名を返上せねばならぬというので、厚生省は懸命の努力をして、最近において表にあらわれる犯罪が非常に激減したということであると思います。
  27. 谷口善太郎

    ○谷口委員 敗戦によって非常な混乱状態になったというふうにいま政務次官はおっしゃったのでありますが、一つ問題がそこにもあるように私どもも思うのです。しかし、そういうことばで、それこそ安易におっしゃるだけでは問題の本質をつかめないのじゃないかと思うのでありますが、その点につきましては、あとにまた立ち返ります。  大体この十年ほど以前から、特に麻薬日本国内に広がっていったというその状態、これは一体どういう地帯でどういう形態で広がりましたか。
  28. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 さきの委員会におきましても御説明しましたように、麻薬違反ルートはおもに東南アジアが主体になっております。東南アジアにおきましては、ケシの栽培につきましては、ああいう国柄でございますし、それが違反であるということは十分承知であるにしても、なかなか違反の栽培の場所を規制することができない。したがいまして、東南アジアの一部の地域におきましては、農家の方々がケシの栽培を、他の作物と同じようにといいますか、それをむしろ主体的な農家の収入と考えて栽培をしておるというふうな事態もありましたし、また現にそういう地域も残っておるわけでございます。やはり麻薬の密売というものが、国際的な組織において十分生計を維持するに足る収入を伴うということでもって、これが野放しにされておるという状況になっておりまして、これは先般の、ことしの一月から二月にかけて行なわれました国連主催の麻薬極東会議におきましても問題になりまして、すみやかにそういうケシの栽培を他の主要作物の栽培に転換すべきであるということで論議をされまして、それを一日も早く改めようというふうな話し合いもできておるわけでございますが、やはり日本に入ります麻薬のおもなものは、東南アジアであるというのが定説になっておるわけでございます。
  29. 谷口善太郎

    ○谷口委員 局長に申しわけないことをしました。私の質問のしかたがまずいものだから、局長は別のお答えをなさった。これは非常に大事なことでありますから、あとで伺います。  私の伺っておりますのは、日本で、日本の国民が麻薬になじんでいったという場合、皆さんも否定されないと思いますが、私どもの調べたところによりますと、まず赤線地帯だとか、あるいは暴力団のチンピラ、赤線なんかとくっついているひもつきといいますか、そういう暴力団のチンピラども、それから競輪、競馬等の大衆的なばくち、それから失業者、現在では青少年に及んでおる。こういう経路をとっておるようであります。特に戦後進駐軍が来まして、ああいう赤線ができていくという中で、それと結びついた暴力団との関係の中で、麻薬の常習者が出てきたという事実は否定することはできないと思うのです。そういう点について、政府としてはどういう御判断や、あるいは御認識をしていらっしゃるかを伺ったわけであります。ケシの栽培その他の原産地の問題につきましては、あとで伺います。この点について、日本で、日本の国民を麻薬がむしばんでいったという経路について、その社会環境といいましょうか、そういう点について、ここ十年間にどういう推移とどういう状況があったか、その点を伺っておったのであります。その点のお答えをいただきたいと思います。
  30. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 麻薬犯罪の醸成される地域が、先生指摘のようにいわゆる都会の盛り場といいますか、そういったところが潜在的な需要の根拠地になっていることは、争えないところだろうと思います。わが国におきましても、京浜地区とかあるいは阪神地区、あるいは北九州地区といったところが、いわゆる最も麻薬犯罪の多い濃厚地区ということになっておるわけでございまして、これはそこに都会の盛り場としていろいろな悪の温床になる下地が多分にあるわけでありまして、その悪の温床の中で、最も暗いところに咲いたのがこの麻薬犯罪であるというふうに考えられるわけでありますが、最近の趨勢といたしましては、そういう都会の盛り場におきましても、三十七年まで見られました麻薬のいわば半ば公団的な取引といったものもすっかり影をひそめまして、かつて麻薬を施用しておった中毒者もすでに姿を消すか、あるいはもうすでに麻薬の施用を全然やってないといったふうな事態となってあらわれておるわけでありまして、なぜそういうところで麻薬が使われるようになったかということにつきましては、やはり、その都会の盛り場といわれるところの社会的な環境その他のもろもろの原因が、そのような結果を招いたというふうに推定できるわけでございます。
  31. 谷口善太郎

    ○谷口委員 米軍が進駐しまして、方方にいろいろな彼らの集団が住むような場所、基地その他、それに付随していわゆる赤線地帯というのができる。ここでは、残酷な形で麻薬が広がっていっておるという事実は、政府は認めざるを得ないと思います。なるほど、いまおっしゃったような地域、北九州とか、京阪とか、あるいは阪神とか、京浜とかいうような地帯ではなくて、こういう社会環境の上で、まずアメリカの軍隊が入ってくる、従来ないような赤線地帯ができてくる、ここでまず麻薬の洗礼を受ける、こういう環境に落ちた人たちからそれが染まっていっているという事実は、否定することができないと思うのであります。私はここに書いてきたのですが、赤線、やみ市、競輪競馬、特に競輪、競艇、そういう地域、それからこれと関連してやっております暴力団、パチンコなんかの景品買いというか商品買いなんかも、これは相当社会的に見たら膨大な数ですが、こういうもの、それから次第に失業者に及び、現在青少年に及んでおる。局長は、そういうところはあったけれどもいまはだんだん減っている、あるいは麻薬の常習者が非常に少なくなっておるというふうに言っておりますけれども、これは局長、それがいい傾向だというような認識は、私は正しくないと思う。むしろ非常に特徴的な、米軍の周囲の赤線地帯でまずはやる、これが暴力団などを通じて日本国民全体に及んでいくという経路が、この経路の中ではっきり出ておるのではないか。それが一般的なものになってしまって、青少年にまで及ぶということになっているのが現状ではないかと思います。数の上で政府が把握されているかどうかという問題は別としまして、社会的な状況としては、そういうふうに発展しているのが事実だと思う。これは非常に重大なことでありまして、むしろ暴力団や、あるいは暴力団とくっついているああいう不幸な婦人たち、あるいは失業していまの日本の状況の中で前途に希望が待てないということから、こういう麻薬になじんでいくというような、そういうふうに落ち込んでいった人たち、これはもちろん非常に重大なことなのでありますが、現在ではそれ以上に、一般的に青少年までこういうように及んでおる。温床としてはたくさんあるだろうと思います。映画館があります。それから、いろいろなキャバレーや酒場があります。その他社会環境としては、現在の日本では目をおおうような状態があります。そういう中で、麻薬というものとくっついていくという状況が一般的に出てきておるという点では、これは非常に重大でありまして、局長が安心しているというなら、むしろ私は非常に危険だと思うのです。そういうふうになってきているのは事実じゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  32. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 私のお話ししておりますことが、先生には、安心してほうっておるというふうにとられますが、私ども決して安心しておるわけではございませんので、麻薬といいますものは、取り締まりの手をゆるめれば、常に潜在的にこれがまた広がっていくというふうな事態の犯罪であることは御承知のとおりでございまして、ただ現象的に見まして、昨年の大改正以来、先ほど申し上げましたような濃厚地区においても、麻薬の施用というものは非常に減ってきているという事実を私は申し上げたわけでございます。むろん先生のおっしゃるように、なおかつわが国の社会におきましては取り締まりを厳重にいたしましても、やはり麻薬の施用が間断なく行なわれる場所というものは依然として随所に見られる。そういう地区の監視というものを常に怠らずに、今後とも取り締まりの強化をさらに徹底していきたいというふうに私は申し上げておるわけでございます。
  33. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この点については、私どももっと資料を集めてみます。あなたの資料で濃厚地区に減っているということで、それだけ全国的なものになりつつある、青少年までもとらえつつあるという重大な側面を見落としていられるわけではないと思うが、その点に私どもは非常に重要な問題があると思います。この点については、もっと麻薬問題については、正確な調査が私ども必要だと思っておるわけであります。しかし、そういう動向としては、私どもは、これはもう忘れてはならない重大な問題だと思うのです。日本の国民、民族にとって重大だと思うのですが、先に進みまして、いまもちょっと触れたのですが、事実としてアメリカ軍が持ってきた、あるいはアメリカ軍が日本を占領するという事態の中で、麻薬の問題が一般化されてきているというふうに私どもは見ておるのですが、政府はどうですか。
  34. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 米軍がわが国に進駐したことによって、直ちにわが国の麻薬犯罪がふえたというふうに、私どもは必ずしも考えておるわけではございませんけれども、全然わが国に関係のない新しい占領政策、占領の事態ということになりまして、それが先ほど政務次官がおっしゃられました敗戦の退廃といいますか、そういったものにつながりまして社会的な一つの退廃の現象があらわれまして、そういったところで麻薬犯罪が出る一つの温床をつくったということは否定できないと思いますが、その他もろもろの社会的原因というものが指摘されるわけであろう、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  35. 谷口善太郎

    ○谷口委員 法務省の研究所のお出しになった犯罪白書――局長がおっしゃるように、三十七年までの資料というのは、私の資料はこういうところから出ておるわけでありますが、ここで麻薬日本へ密輸入する者、犯罪者について報告が出ております。この中で、麻薬が東南アジアの奥地からわが国の中毒者の手に渡るまでに、つまり日本へ持ってくる密輸入者、そういう者の代表的なものとしてあげておりますのは、軍人、軍属、飛行士、スチュワーデス、それから外交官に船員と書いてある。軍人、軍属といいますと、これは日本の自衛隊もおりますが、外国人で日本へ出入りする自由な軍人、軍属といったらアメリカ軍じゃないですか。これは法務総合研究所でありますから、政府の直接の資料じゃないかもしれませんが、軍人、軍属、外交官、これらは、内容的にいいますと具体的にはどういうことですか、あなた御承知でしょう。
  36. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 アメリカ軍を含めて、やはりもろもろの軍人、軍属の身分を持っておる人というふうに私は想像できるわけでございます。
  37. 谷口善太郎

    ○谷口委員 日本に駐留しております米軍、その軍人、軍属、その家族というのは、御承知のとおりに安保条約に基づく米軍の地位協定で、全く何でも持ち込める自由さを持っておる。この間、小林委員が幾つかの例をあげて、アメリカの軍人関係が基地へ麻薬を持ち込んでいるという犯人の問題があって、これは逃亡しているので、つかまえたいけれども、犯人引き渡し条約、協定がないからどうにもできないでおるという御答弁がございました。これはあらわれたほんとうの氷山の一角にすぎぬだろうというふうに一般世間は認めておるわけです。中央公論なんかでも、その点ははっきり、麻薬などの持ち込みはほとんどこのルートを通ずるというように書いてある。そういう点についての情報は、政府のほうではどういう点までつかんでおられますか。
  38. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 先生指摘のように、航空機を通じましての密輸という事態も、過去におきまして数件あったわけでございまして、すべての航空機に、はたして麻薬の密輸があるかどうかということにつきましては、私ども十分な捜査を完全に行なっておるということは必ずしも言えないとは思いますが、しかし、それぞれの外務省あるいは警察庁その他の機関からいろいろな情報を私ども入手いたしまして、そういう方々の麻薬の搬入ということにつきましては神経質なほど神経を使いまして、十分情報のキャッチをし、未然にそれを防ぎ、あるいは国内に入った場合には、これを直ちに摘発をするというような方法でもって従来とも取り締まりをやってまいりましたし、今後ともなお正確な情報を入手することにつとめまして、一段の努力をしてまいりたいと思っております。
  39. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうしますと、たとえばこの間小林委員が、これは非常に大事なことを質問されました。昨年の一月二十九日ですかの座間米用第六兵たん司令部、レーモン・E・メルトン一等軍曹、これについて、米軍の憲兵隊の協力を求めて共同捜査をしているというような新聞記事があるのですが、これらはどういうふうな米軍との協力で、情報その他の捜査をされたか。あるいはこれも小林さんが例にあげたのでありますが、アメリカへ逃げてしまったというケネス・L・マイラン。行政協定によりますと、こういう問題につきましては米軍と協力して犯人逮捕もできるし、引き渡しも要求できるし、それから情報の一切の調査その他を協力してやるということは、はっきりきめてございますが、そういう点についてどの程度までおやりになって、少なくともこの二つの事件でどういう情報をつかんでおるか、お知らせ願いたい。
  40. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 ただいまの御質問の、昨年一月の座間キャンプ内の陸軍一等軍曹レーモン・メルトンの麻薬事犯につきましては、神奈川県警察本部におきましてこれを検挙いたしたのであります。検挙の端緒は、横浜市内におきまして麻薬の取引があるという事前情報に基づきまして張り込みを実施し、その結果、このメルトンという陸軍の軍人がそれらしい包みを持っておったので、これを発見、職務質問しようとしたところが、これが逃げ出しまして、約三百メートル追跡してこれを逮捕したのでありますが、逃げる途中におきましてこういう包みを二回ほどにわたって投げ捨てておるわけであります。ところが、この投げ捨てた包みの中に麻薬があったわけでありまして、その麻薬の包み紙が韓国のお菓子屋の包み紙である。また紙ひももある。それにつきまして、警察では米軍の憲兵隊に連絡いたしまして、この被疑者が韓国に勤務したことがありやいなや、韓国と相当往来をしておるかどうか、それからこの包み紙あるいはひもというものを韓国において入手できるものであるかどうか等につきまして協力依頼をいたしましたところが、これにつきまして完全な協力を得まして、そうしてこの被疑者は懲役五年という非常に重い刑罰の判決を受けまして、現在服役中であります。  先生指摘の第二のマイランの事件でございますが、これは先日小林先生指摘になりましたような事件でございまして、立川に麻薬が搬入されたということでございます。マイランはその後アメリカに参りましたので、FBIを通じましてその後の余罪を追及中ということで、現在監視状態に付されておりますことは、これも先日の委員会で申し上げましたところでございますが、目下サンフランシスコにおるそうでございます。それで、検察庁を通じまして本人に任意出頭の形で日本に来るようにというふうに、昨年の十二月にアメリカ大使館を通じてお願いをいたしたのでありますが、これも本人が参りませんために実現できておりません。したがいまして、マイランの余罪をなおかつFBIのほうで捜査をいたしておりまして、他の犯罪にからめまして逮捕できるかどうかということが問題になるわけでございます。なお、この事件につきましては、現在、事件は打ち切らないままに、検察庁のほうは、本人が日本に来れば逮捕するというふうな形でもって処分保留のままになっておるそうでございます。
  41. 谷口善太郎

    ○谷口委員 メルトンの場合、もうすでに判決があって服役しておるということですが、それはけっこうですよ。しかし、この事件を通じて、米軍基地や、米軍の軍隊の結集しておるところや、あるいはそのルートの中で、こういうメルトンのような状況の人間があるかないか、そういう点についてどれくらい日本政府と、あるいは日本の警察庁当局ですか、それとアメリカのほうとの間で協力して情報の収集や調査をなさったかどうか、そういう問題を提起されたかどうかということです。それからマイランの場合もそうであります。これは、犯人があって、犯人が暴露されて、それを追及するということも問題でありますが、それだけではなしに、こういう犯人を出しておる、こういう密輸入者を出しておる米軍とその基地、これ一人が犯人であって、あとはないというのではないのであって、自由に麻薬を持ち込めるという状況のもとにおいて一体どうなっておるかという問題で、厳重にその点をアメリカ軍との間の協力で調査したかどうか、あるいは調査する体制をもってやったかどうかという問題です。  御承知のとおりに、関税法からいいましても、その他出入国に至りましても、アメリカの軍人軍属、その家族というものは行政協定によって非常に自由です。自由ですけれども、禁止条項はあるわけです。アメリカの進駐のための公の軍作戦の上で必要な物資や人間の出入りは自由でありましても、そうでないものは厳重に取り締まるということになっておるし、日本法律に服するということになっておる。それに基づいて、十分な容疑があったり状況があったら、これは調査するためにアメリカ軍も協力することになっておる。そういうことをなさったかどうかということを言っておる。犯人をつかまえた、それをどうしたという問題は簡単ですよ。しかし、そういう犯人が出てくるという環境、そういう実情にある米軍の基地、これに対して十分な調査をなさったかどうか、あるいはそういう態度で米軍と交渉されたかどうか、あるいは米軍に対して、それに対する条約違反としての厳重な抗議をなさったかどうかという点を伺っているわけなんです。
  42. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 ただいまの御質問でございますが、私どものほうでは、中央段階におきましても、また各米軍の基地ごとにそれぞれの所管の警察と米軍の当局とが常時緊密な連絡をやっておりまして、犯罪がありました場合には、もとよりいまおっしゃいましたような警告を発するとともに、それ以外の犯罪がないかどうかにつきましても、双方で緊密に捜査をやっております。なお、米軍の中にも麻薬あるいは密輸の担当の機関がございまして、これが相当一生懸命にやっておるようでございまして、私どもとしましては、向こうのほうがわりあいに一生懸命やっており、また警察に対しましても協力的であるということを申し上げることができると思います。
  43. 谷口善太郎

    ○谷口委員 時間も切迫しましたから急ぎますが、一生懸命にやっておるということばはあっても何にもなりません。具体的に、いつ、どういう項目で、アメリカの憲兵隊なら憲兵隊と協力されたか。どういうことをされたか。これはたくさん幾つでも例がございますけれども、いまこの間から問題になっている二つの事例だけあげたのでありますが、この一件について何をやったか。たとえばもっとしぼってレーモンの場合、犯人はアメリカに逃げている。犯人引き渡し協定がない、一般的にはあっても麻薬には及ばないから、だからどうにもできないというのが皆さんのお答えです。しかし、そうですか。行政協定というか、地位協定を見ますと、そうじゃないのです。はっきり犯人とわかっておる。これに対してアメリカは身柄を渡さなければならぬと書いてある。どうです、そういうことをやりましたか。
  44. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 レーモンの事件じゃなしにマイランの事件の御質問だと思うのですが、これは民間のパイロットでありまして、軍人じゃないわけであります。それからあのマイランが密輸したであろうと推定される麻薬犯罪につきましては、これは立川の米軍の基地の関係者が、全部通報その他こちらのほうに連絡をいただきまして、それで協力をしていただきましてああいう麻薬のブツ自体を摘発したわけでございます。先生犯罪が歴然としておるという御指摘でございますけれども、しかしこれは推定でございまして、おそらくマイランが関係者としてあげられておるということでございまして、はたしてマイラン自身の行なった犯罪であるかどうかということも、これは必ずしも現段階においては明確な証拠があるわけではございません。したがいまして、やはり本人を任意出頭の形でわが国まで呼び出して尋問の上でこれをきめるということでもって、昨年の十二月検察庁を通じて米国のほうに依頼をしたわけでございまして、その点、マイランの捜査その他につきましては、米軍の全面的な関係者の協力をいただいておるという点を御了承いただきたいと思います。
  45. 谷口善太郎

    ○谷口委員 あなたのおっしゃることは、もう矛盾だらけです。これはあなたは犯人であるかないかわからぬと言うが、少なくとも容疑者としてちゃんと関東信越地区麻薬取締官事務所から厚生省に報告があったのでしょう。容疑者でも何でもないものを、報告をよこしたのですか。そんなことないでしょう。それははっきり容疑者としての証拠なり何かがちゃんとあったから、報告を出したのでしまう。どうなんです。これが一点です。  それから、犯人と言うのが無理なら容疑者です。それが本国へ逃げて、ちゃんとどこにおるかわかっておる、どこにおるかわかっておるけれども、容疑者としてこっちへ渡さぬじゃないですか。あなた方もらってないじゃないですか。その点どうなんです。
  46. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 私、先ほど申し上げました点は、事件がすでに送検をされておることでありますので、先生指摘のように容疑者として考えております。ただ、どういうルートでどういうふうになったかということにつきましては、本人を呼ばなければわからないということでございまして、明らかに容疑者としての取り扱いとして米国を通じて任意出頭の形を要求をしておる、こういうことでございますので、私の説明が誤解を招きましたら訂正をいたします。
  47. 谷口善太郎

    ○谷口委員 いずれにしましても、米軍の地位協定の中で、はっきり、こういうものについてはこっちは取り締まる必要がある、したがって逮捕する必要があるというような場合には、アメリカ軍はこれに協力しなければならぬし、身柄を引き渡さなければならぬと書いてある。渡すのでなくて、アメリカの本国へ逃げて、向こうでちゃんとどこにおるかわかっておるじゃないですか。それを渡さぬじゃないですか。渡すように交渉しているのですか。その点はどうなんです。いつこっちへ来ます。
  48. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 先生指摘の協定の件につきましては、これは軍人の場合をさしておるわけで、軍人、軍属の場合を言っておりまして、マイランは軍人じゃございませんで、民間のパイロットでございます。したがいまして、日本の官憲がこれを逮捕するということは、本人についてはできないわけでございます。
  49. 谷口善太郎

    ○谷口委員 軍人、軍属その他家族じゃなくてパイロットで、そうして基地に出入りしておるのですか。基地の仕事をやっておるのでしょう。そうじゃないですか。米軍基地の仕事をやっておるんじゃないですか。これは地位協定にどう書いてありますか。
  50. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 この事件につきましては、当時担当いたしておりました麻薬第一課長から説明をしていただいたほうが、はっきりすると思います。
  51. 久万楽也

    ○久万説明員 マイランの件ですけれども、マイランはバンコクにおりまして、バンコクから日本向けに荷物を送りまして、その中にあったわけでございます。それで日本にはおらなかった。私たちが調べたときにはマニラにおりまして、マニラから日本に来るのを待機していたわけですけれども、マニラからアメリカ向けに去ってしまった、そういうことでございます。
  52. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そのとおりですよ。そういうことになっておるのだ。実際に日本に来ておるアメリカの軍人や軍属や、あるいはその家族についての制限規定があります。それにはアメリカ軍の責任規定もある。だけれども、実際はそうじゃなくて、制限されない軍人や軍属と同様に、アメリカ軍の公務に関してやる場合には、日本政府がやりましても百本の関税も無視されるし、日本法律も無視されるし、自由自在になっておるというのが事実です。そこに問題がある。いま私は逆な面を言った。禁止されておることをやったのだから、なぜ逮捕せぬかという言い方をしたら、禁止されてないのだと、あなたのほうは言っておる。そういう身分じゃないのだと言っておる。そうなんだ。実際は軍の仕事をやることによって、自由自在にどんなことでもできるというのが実情で、日本の政府が米軍の必要からやる場合でも、たとえばベトナムあたりにいろいろな資材を送ったり、あるいは人間を送ったりするということも、全部軍の用事で、したがって日本の関税からも、出入国管理令に関することからも、全然自由だということが犯罪の温床になっておる。中央公論で問題になっておるのはその点です。つまり野放しなんです。アメリカの軍、進駐軍、占領軍、これを表面に立てますと全部何でも野放しなんです。そういう状況に全部日本があるところに麻薬がどんどん入ってくる。はっきり書いてある。これは皆さん、そうでないならそうでないという事実をあげてください。あなた方、調査をしてないでわからぬと言うだけだ。実際はそうじゃないのであって、アメリカ軍が日本麻薬を持ち込もうが何を持ち込もうが、あらゆる点で自由だ。ライフル銃を暴力団に渡そうが、ピストルを暴力団に売りつけようが自由だということです。やみ市をつくって、アメリカ軍の物資がどんどん流れていっても自由だ。そういう状況にあるということに問題があるのであります。いま、いみじくもあなたはそういうことを言っておる。日本政府もそれを言っておる。そんなこと、日本人としては、国民としては許せぬというのが私どもの立場です。そういうことをやっておるから麻薬がどんどん入ってくる。ここにあらわれておる、この閥から問題になっておるのは、あらわれたほんとうの一つか二つです。新聞に出ておることでも、もっとたくさん、幾らでも資料がありますよ。アメリカの軍隊が何をやっておるか、軍属が何をやっておるか、アメリカの軍や軍属に使われておる連中が何をやっておるか、新聞に出ておる。幾らでもあげます。しかもそれでも九牛の一毛です。そういう事態のうしろには、もっとたくさんのものがあった。日本で三十万も五十万もいるアヘンの常用者に行き渡るような麻薬が入っておる。これは事実でしょう。もし麻薬がなかったら気違いになるか死ぬか、どうにかしなければならぬ。かろうじて生きている。みんながやっている。やるということは入っているからです。そうじゃないですか。そういう野放しになっているのが日本の状況なんです。この点を私たちは追及しませんと麻薬対策が行なわれぬ、こういうふうに私どもは言いたいのであります。  それでは、急いでおりますから、私最後の問題に入ります。  さっき局上がおっしゃった東南アジアにおけるアヘンの栽培ですね、この問題に入りますが、これはこの間開かれましたアジア極東アヘン対策会議ですか、あそこで問題になったようでありますが、いま局長さんがちょっとおっしゃった原住民の栽培しているアヘン、これに対する支配権はだれが持っていますか。東南アジア、特にラオス、タイあるいはあの辺の国境地帯の栽培地帯における原住民のアヘン栽培、製造、これは全部公然なものではないらしいのですが、それに対する支配権を持っているのはだれですか。
  53. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 東南アジアにおきましても、ケシの栽培は禁止されております。結局つくっております農民の栽培につきましては、これは密作ということになるわけであります。
  54. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは一昨年だったと思うのですが、ラオスの愛国戦線党がアメリカのCIAに抗議をした文書がございますが、御承知でしょうか。
  55. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 残念ながらまだ承知いたしておりません。
  56. 谷口善太郎

    ○谷口委員 こんなことを承知しないで、あなた何の対策ができますか。ラオスの愛国戦線党は、原住民が国境地帯でアヘンの密売をやったり、密栽培をやったりする、こういう事態にあること自身ラオスの国全体の民族的統一に非常な障害になるというので、こういう犯罪地帯を一掃するために、原住民に対して、皆さんが会議で御心配になる前に、ラオスの愛国戦線党が、こういう住民の犯罪的な温床になるような、そういう仕事に従事しているということはよろしくないということで、これを一掃して新しいりっぱな農業に転換させようとしたことがあります。このときに、飛行機やヘリコプターなんかを持ち出して、軍事的にその地帯を支配して、そしてその密売している、あるいは製造しているアヘンを全部運んでいたのは一体どこですか。CIAじゃないですか。アメリカじゃないですか。こういう事実を皆さん知らないと言っておるが、知らないことはないでしょう。こういう事実に目を向けてそういう問題と取っ組まないで、原住民を新しい農業に転換させるとかなんとか言ったって何にもなりはせぬ。そういう戦いがラオスで行なわれている。それを妨害しているのがアメリカ占領軍アメリカの謀略機関であるということは――いま申し上げましたように、これに対して愛国戦線党から厳重な抗議が出ている。私はこの一つの事実でもって全部をはかることはいたしませんけれども、しかしこれは非常に重大です。アメリカのCIAが麻薬密造地帯やあるいは麻薬の密売なんかを実際上支配して、そこから利益を待て、東南アジアやアジア全体の民族解放運動に対する弾圧の謀略の資金にしているということは、世界周知の事実です。そういううわさがあります。だれも知っています。政府はこんな点にどうして目を向けないのですか。向けたことがありますか。
  57. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 残念ながら、先ほども御説明しましたように、私どもそういう情報を入手しておりません。先生のおっしゃるようなお話は私どもは聞いておりませんので、何ともお答え申し上げかねます。
  58. 砂原格

    ○砂原政府委員 まことにけっこうな新しい情報を耳に入れたので、われわれは、将来この取り締まりに必ず役立つと思います。谷口先生には、こういう新しい情報をおとりになりましたら、麻薬取り締まりのためにどしどし御提供をいただきますようにお願いをいたします。
  59. 谷口善太郎

    ○谷口委員 なかなかよろしい。だから私はあなたが好きだ。しかし、情報の出どころがお知りになりたかったら、砂原政務次官も自民党を脱党して共産党に入党されたらどうですか。  そこで、私もう少し申し上げたいのでありますが、麻薬単一条約には、原住民の栽培問題につきまして厳重な国家統制をやれと、非常にはっきり書いております。この問題については非常に論議のあるところでございますけれども、私は非常に重大なことだと思う。これは会議でも問題になりましたが、単にそういうきれいごとではなくて、実際にこういう国際的な麻薬禍の根源を握っているもの、この問題について、私どもは大胆に立ち向かっていかなければならぬのではないか、こういうふうに思うのです。  時間がないから結論に入りますが、私の言わんとするところはこういう点です。中国にしましても、北ベトナムにしましても、朝鮮の北のほう、朝鮮民主主義人民共和国にしましても、戦争前には相当麻薬で苦しんでいた民族であり、国であったのであります。しかし、いまは一〇〇%そういうものはありません。反対に、この極東では、アメリカが実際に支配している国々、もともと原産地であったかもしれませんが、そこの人民の状況、特に日本ではアメリカに占領されていたということから、日本の国民の中にかつてない悪癖が蔓延して、いまや青少年にまでそれが及ぼうとするような状態になっている。これはいま申しましたように、タイにしましても、ビルマにしましても、南ベトナムにしましても、台湾にしましても、南朝鮮にしましても、日本にしましても、アメリカが占領しておる国です。そうして、麻薬禍から全く解放されて、清浄なきれいな国になっておるのは中国や北ベトナムや北朝鮮で、これは民族が独立した国です。ここに問題の本質があると思う。日本の暴力団が、昔はばくちのなわ張りでもうけておったのを、現在は麻薬に転向して、こういう世界的な謀略のルートの中で金もうけをするということは、売国的な行為として国民的に指弾されねばならない。この問題はこの問題として一つありますが、これはまた別の角度から政府を追及することにいたします。麻薬の問題を取り扱う場合、その問題の本質として、日本の現状からいってアメリカの占領政策の問題と、アメリカがアジア支配権を持っておるという問題、そしてそこで何をやっておるかという問題と無関係ではないという点から明らかにしなければだめだと思う。私は、麻薬取締官を十人ふやしたとか、麻薬取締員を十五人ふやしたとかいうことで政府は糊塗しようとしておるけれども、そんなことではない。そんなことで糊塗しようというところに、政府が国民にはっきりさせ得ない何かがある。そこまでこまかくきょうは私は明らかにできなかったことは遺憾でありますが、時間がきましたので、これで終わります。
  60. 田口長治郎

    田口委員長 午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ――――◇―――――    午後一時五十七分開議
  61. 田口長治郎

    田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。滝井義高君。
  62. 滝井義高

    滝井委員 さいぜん質問をしましたけれども、明確な答弁がなかったので、そのままになっておるわけです。したがって、法務省の入国管理局長に来ていただきたいと思います。  そこで、先に大臣麻薬取締法の一部を改正する法律案についてお尋ねすることになるわけですが、この麻薬免許有効期間麻薬取締法の五条で「免許の日からその年の十二月三十一日まで」になっているわけです。結論的に言うと、すなわち免許期間は一年以内ということになるわけです。それで、これは特に麻薬施用者について限定をして議論をしてみますとどういうことになるかというと、麻薬の施用をやるのは医師、歯科医師、獣医師なんです。したがって、麻薬を施用するということは、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師の免許がなければ麻薬施用者免許はもらうことができないわけです。すなわち、医師、歯科医師、獣医師免許があるということが大前提になっておるわけです。したがって、これを一年以内に区切る理論的な根拠というものは一体どういうところにあるのか、こういうことになるわけです。これをまず明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
  63. 小林武治

    小林国務大臣 この制度は去年やおととしに始まった制度ではなくて、相当前から一年区切りでやってきたわけですが、何かまた別に言えば、特別な、これを長くしなければならぬという理由が生じたか、こういうふうな考え方もあるわけでございまして、私どもは、麻薬問題というものは非常に重要問題として考えております。したがって、その取り扱いもあくまでも慎重でなければならぬ、こういうふうに思うのでありまして、麻薬の数量とか、あるいは麻薬の扱い者も交代もあり得ることだし、できるだけ麻薬施用者の実態も把握しておく必要がある、こういうことで一年に限定されておるものと思うのであります。これにつきましてはいろいろの考え方がありますが、私ども麻薬施用というようなこともあくまでも非常に厳重に、また慎重に扱う必要がある、こういうことで一年ときめられておるものと思うのであります。
  64. 滝井義高

    滝井委員 この法律昭和二十八年の三月十七日にできておるわけです。たいして昔からあるわけではない。これは占領軍がやってきまして、特にヘロインという麻薬が非常に麻薬中毒にかかりやすい傾向を持っている薬なんです。これがやはりアメリカの駐留軍が日本に行っておる間に、ヘロイン中毒になったらたいへんだということで強く要請があってこういう法律になってきたわけです。戦前はこういうものはなかったわけです。われわれは、ヘロインが結核患者のせきどめに非常によくきくからやっておったわけです。特に水薬として他のせきどめと一緒に混合して調剤し、患者に与えておったわけです。その当時はそういうことはなかったわけです。そこで、現在は講和条約ができて独立の日本になったわけです。そして最近は医療における事務簡素化ということが言われておるわけです。これは大臣簡素化をやると言っておるし、歴代の大臣事務簡素化を唱えているわけです。そこで、別に一年をやるというのは、大臣のいまの御説明のように、昔からやっておったからやるということでは惰性なんです。こういう惰性はたいして効果のないものならば、これは排除すべきものなんです。どうしても一年にしなければならぬという何か理由があれば別ですが、私はその理由を発見することができないのです。さいぜん薬務局長ともいろいろ議論をしてみましたけれども、業務局長の答弁の中にも、どうしてもこれが一年でなければならぬという理論的な根拠は何も出てこないのです。そこで大臣に来てもらうことになったわけですが、大臣のいまのような御答弁――昔からやっておったからやるんだ、それから麻薬は非常に厳重にしなければいかぬ、そのとおりです。厳重にするということと、免許が一年であるということは違うわけなんですよ。それはイコールにならないわけです。厳重にするためにはどうするかというと、大臣あるいは御存じないかもしれませんが、十月十五日現在で麻薬受け入れ払い出しの報告をするわけです。私はこれで十分目的が達成できると思うのです。もし医師がその麻薬を乱用し、あるいはみずからが麻薬の中毒になるというならば、与えておった免許を、何も一年一年更新する必要はないんだ。悪いことをしたらその免許取り消したらいいと思うのです。なお医師の品位を傷つけるような乱暴な麻薬犯罪を起こすならば医師免許取り消したらいい。こういう方法ができると思うのです。これで十分取り締まりができるわけなんです。届け出はやるんだ。届け出は十月十五日現在で届け出をして、そうして翌年の一月一日付で免許はいただけることになっておるのですから、したがって一年一年にしなくても取り締まりはできるのです。一体他にこういうれっきとした免許を持っておって、その上にまたこういう免許をかぶせている例があるかどうか。
  65. 小林武治

    小林国務大臣 それは昭和二十八年からおやりになっておる。そういうような議論が必要なら、当然前から出ていなければならない。いまそれがどういうわけで急に出てきたのか、こういうふうにも私は考えます。非常に事情が変わってきたということでなければ、従前の方法が慎重を期するゆえんだ、こういう考え方をいたしております。それで昨年も一昨年も麻薬取締法が国会で審議されておりますが、私どもこれを特にいま変えなければならない新しい事態が生じてきた、こういうような認識は持っておりません。そういうことについて何かこういう事情が変わったということがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
  66. 滝井義高

    滝井委員 実は去年私はこれを質問するつもりであったのです。ところが麻薬を早く上げよということで、私の質問の前で切られたのです。私は質問を準備しておったのに切られてしまった。だからきょうは実は去年の原稿を持ってきてやっておるのです。勉強も何もしないで、前の原稿を持ってきてやっておるのです。  いま事務簡素化という至上命令が出てきておるわけです。最近は非常に医者の事務が繁雑になって、医者がほんとうにみずからの技術を発揮することができない。一枚の免許、紙きれをもらうために、いま言ったように十月十五日現在で一年間使った麻薬の全部のカルテを一枚一枚引き合わせをして、そうして届け出をするのですよ。一人一人の患者にやったのを全部記帳しておるのです。そしてその集計をして届け出をするという形態になっておる。このややこしい事務はやりましょうというのです。しかし今度は医師免許というものがもうわかっておるにもかかわらず、その医師免許の写しを毎年写すのですよ。それから精神病者でない、それから麻薬とか大麻の中毒患者でないという診断書も出すのですよ。そういうめんどうなことはしなくてもいいじゃないかというのです、医師免許があるのだから。そうして一たび免許をもらったら、私はこうして医師免許を持って医者を続けます、麻薬免許はいただきます。継続しますということを十月十五日に麻薬の一年間に受け入れた量と払い出した量とをつけ出すときに、それを備考欄につけ加えて出したらいいじゃないか。それがどうしてもその紙と一緒では悪いというならば、保険医の登録規定と同じようにはがきで、私は継続をいたしますということを言ったらいいじゃないか、こういうわけです。これは犯罪取り締まりの上においても、いま言ったように麻薬の施用は届け出をするのですから、犯罪防止はこれでできるというのです。麻薬の使い方が激しかったりしたら調べに行ったらいい、立ち入り検査はできるのですからね。だから、前から長い間やっておるのだからといえば、それはもう伝統ばかり重んじて新しき革新ができないわけです、やはり時代は流れておるのだから。空に浮かんでおる雲も流れておる。水も、そうしてわれわれ人間も、万物はみんな流転をしておるのですよ。何も昭和二十八年の法律が前からあるからといって、そのままでなければならないというはずはない。だから、麻薬取締法も時代即応の形で流転をしていかなければならない。そういう意味で、私はどうもいまの御答弁では納得がいかないのです。これを変えて事務簡素化をはかる、一歩でも二歩でも前進をはかる。大臣も前向きでやるということはお好きでしょうから、これだけをストップしなくてもいいじゃないですか。一歩か二歩か前進してもいいじゃないかという主張なんです。  それからもう一つ、一体一つ免許を持っていて、その上にさらに免許をかぶせるというものが他にあるかどうか。これはどうですか、同時にお答えを願いたい。
  67. 小林武治

    小林国務大臣 いまの二重免許のことは薬務局長がお答えするそうですか、これはいまお話しのように免許を取り消すとかなんとかいって、あなた簡単に申されますが、なかなかこれはたいへんなことでありまして、従前の例を見てもよくおわかりになると思いますが、よほどの非行があっても、なかなか免許取り消しということは、これは私はいいこととは思いませんが、慣行としては容易にできることではありません。それから現在麻薬は、御承知のようにやみルートがだんだん取り締まりがきびしくなってくると、医者回りをやるようなものまでたくさん出てきておりますし、また中には麻薬をひそかに自分で施用する人もないとは限りませんし、いろいろそういう弊害があるわけです。麻薬取り扱いというものを慎重にする、こういうたてまえからいけば、私はやはりこの程度のことはいいんじゃないか。しかも免許簡素化するということにつきましては、相当に簡素化をいたしておりますが、将来もそういう、手続問題等については相当改善の余地があるから、それはいたしたいと思いますが、いまの一年間で、更新するというふうなことは、私はいまそうたっての事情変更があるとは思えません。要はお話のように、事務簡素化しろ、こういうふうなことではないかと思いますが、簡素化麻薬を慎重に扱うということとはどこで調整するか、こういう問題になるのでありまして、私どもはこれをいま変えなければならぬというふうには思いません。  それで実は、これは昨年この委員会で御審議を願ったのでありまして、免許手数料を二百円から五百円にした、こういうことが、医師会方面において非常にけしからぬと言われておる。けしからぬと言ったって、とにかく国会の御審査を経て、りっぱに国会を通過しているものであって、あとからきてこれをまたもとに戻せというような強い主張を私受けておりますが、そういうことから逆算して免許期間の問題になったとは私は思いませんが、そんなことがあるのかどうかというふうなことも私は考えざるを得ないのでございます。純粋に手続の簡素化ということで、これを二年にしろ、三年にしろ、こういうことになるのか、あるいは手数料が知らぬ間に上げられたからして、それをまた戻すために免許期間のほうに移行してきたのか、私はそういうふうな事実があるとは思いませんが、そんなことも世間では考えておる者もございますので、一応私の感じを申し上げておきます。
  68. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 いわゆる身分免許を持っておる者に、さらにかぶせて他の免許制度があるかという御質問でございますが、医師、薬剤師あるいは保助看婦の場合にはこの免許は永久免許になっておりますが、それ以外にこの身分にからんで他の免許を与えておりますのは、いわゆる業務免許として、業務許可の方針に基づきました私のほうの関係法律の中で、たとえば覚せい剤取締法の場合の覚せい剤の施用機関、あるいは大麻取締法の場合の研究者の場合、これは栽培者の場合には身分制度関係ございませんが、研究者の場合には身分制度関係ありまして、これについての有効期間の限度もございます。それから薬事法に基づきます薬局なり、あるいは販売業者の開設の場合の薬剤師の免許と片一方の業務免許は別個の取り扱いでございまして、二年というような期間が定められております。
  69. 滝井義高

    滝井委員 大臣のいまの御答申によりますと、免許を取り消すことが非常に困難だというけれども、これは一年であろうと一回免許を与えておいて取り消す場合は同じことだと思うのですよ。取り消しが困難だということは、免許を毎年やるのと、医師免許のように永久免許とちっとも変わらない。取り消すということは、悪いことがあって取り消すのだから、取り消しの困難さは形がどうあろうとも同じだと思うのです。麻薬の正規のルートの取り締まりをやる、医師回りをするということは、免許とは関係ないことなんです。それから免許事務手続の簡素化は賛成だ、手数料は五百円になった、これはけしからぬ――私はさいぜんから言うように、千円でもいいと思うのです。免許を一回もらったら、その免許はずっと継続いたしますということを、毎年十月十五日に通知は出すのですから、これは何も五百円でなくても二千円でもいいのです。何も二百円が五百円に上がったからといっておこっておるわけではない。問題はいかにして手続を簡素化していくかということなんです。事務を簡略にするかということなんです。同時にその簡略化する方向が麻薬取り締まりに支障がなければいいのです。私の主張はこういう二つの要素を満たしている。十月十五日現在の麻薬の受け払いはやりますというのだから、受け払いをするときに一緒に、私はなお依然として免許を続けますということも出すのです、こういうことなんです。あと残ることは財政上の問題だけです。財政上の問題は六千四百十一万円、これが地方自治体の収入になっている。それからお金はわからぬが二百六十一件に見合う国の収入がある。ここに、もしことしやれば財政上の欠陥が起こってくるということです。だからことしはやむを得ません。六千四百十一万円も地方財政に赤子を出したらたいへんだから、ことしはようございます。昭和四十年の麻薬免許から一斉にやってください。すなわちことしの十月十五日には麻薬免許を一ぺん出して、五百円でなくてもけっこうだから、千円でも二千円でもけっこうだからお金は出します。しかし千円、二千円にすると、今度はかえって地方自治体は収入がよけいになって困るでしょうから五百円でけっこうです。五百円出します。そのかわり四十年一月一日にいただく免許はこれは永久免許にしてください。しかし永久免許といっても取り締まりがあるのでしょうから、四十年十月十五日になったら、私はまた来年も依然として免許を続けます、施用者は続けますという通知をお出しをいたします。これならば麻薬取り締まりについて支障ございませんし、事務簡素化するし、またそのとき医者の免許や診断書を出したりしなくてもいいでしょう。これがどうして悪いのかというのです。大臣の言うように、医師会がにくいのだ、医師会のいうことは何でもかんでも聞かない、滝井義高も医者だから、坊主憎けりゃけさまで憎いということではないと思うのです。それならばひとつフランクな気持ちで受け入れるべきだと思います。大臣、こういうことはよそから言われたからやるのではぐあいが悪いのですよ。私非常に不愉快に思うのは、さいぜんも言ったが、拝啓池田内閣総理大臣殿と水上さんが言ったら重度身体障害者の問題もやる、あるいはライシャワー事件が起こるとこれ幸いと医者に精神病者の申告の義務を負わせる。こういうようにあまり他人のふんどしで相撲をとる方向ばかりで厚生行政がいっていると自主性がなくなる。やはりこの社会労働委員会で論議をしたことが、なるほどよかったからそのままやっていくという、内部からの指南力、オリエンティルンクによって厚生行政が進められていくという形をとるべきだと思う。だから医師会が五百円が高いと言ったからやるのではなく、簡素化のためにやる。しかも麻薬取り締まりを達成できるという方向でやる、こういうことでなければいかぬと思う。だからわれわれはこれをがんばるわけです。これは小さいことのようであるけれども、こういうことからやって積み上げていかないと厚生行政はよくならない。事務簡素化もできない。私はいつも言うように、私が代議士になった目的は医療事務簡素化をやっていくことが目的で出てきた。これが私の公約です。私は県会議員のときから事務簡素化を言い続けてきているが、なかなか進まない。健康保険の簡素化も進まない、国民健康保険の簡素化も進まない、生活保護法の簡素化も進まない、麻薬における簡素化も進まない。だから私は昨年これをやろうと思っていたけれども、時間がなかったからことし特にやっておるわけです。だからがんばるわけです。これは簡単なことですけれども、こういう点からやはり一歩一歩前進をさせていくことが必要なんです。だから大臣もそうがんばらずに、そんなに金が要るわけではないわけですから、金が要らなくてみんなが喜ぶことなんです。だからそれを私はやる必要があると思います。六千四百十一万円、ことしはもう減らないのです、来年は減るかもしれませんけれども。しかし、そのくらいなことは、早川自治大臣じゃないけれども、地方財政計画の中で何兆という財政計画があるから四億や五億の金がなくたってそんなものはたいして影響がございません、こう自治大臣は先ごろ予算委員会で答弁した。あれは取り消しましたけれども、私は早川さんのようにそういう大きなことは言えないから、六千四百万円でも、それはたいしたことだからことしはおさめましょう、こう言っているわけです。だから大臣、こだわらずにぜひ賛成願いたいのです。
  70. 小林武治

    小林国務大臣 これは答弁として申し上げることじゃありませんが、この問題はこの委員会でいろいろな論議をされまして、政務次官もこの問題はひとつ本気で検討いたしましょう、こういう返事をしておるそうであります。したがって、お話のように昭和四十年の暮れはこれでやるんだ、そうすると事実上このままおいても実害はない。したがって政府当局がこういうことはひとつ検討いたしましょう、こういうたなら、おまかせになるという考え方はないものかどうか。これは答弁としてはなはだ申しわけないわけでございますが、私ども事務簡素化ということはやらなければならぬと思う。したがっていろいろのお話があって、いまの一年を二年にするとか三年にするとかいうのは、われわれとしてはこの国会で今度お話をお聞きしたわけでありまして、なるほどそういうことであれば十分ひとつ検討いたしましょう、そういうことを政務次官がお答えになっておるそうでありますので、もし実害がなければ、いま滝井先生も、政府がみずからそういうことをやれ、こういうことをおっしゃっておられるのでありますが、実害がないとすれば政府の検討におまかせ願おう、そしていまどうこうということでなくて、そういうふうな目的が達せられればそれも一つ方法じゃないか。これはどうもはなはだぶしつけなお話で恐縮でございますが、私はそう思っております。
  71. 滝井義高

    滝井委員 大臣なかなか前進してきたわけです。いままではからをとざして、いや、手数料が五百円になったからとか、正規のルートの取り締まりをやると医者のほうに回ってしまうとか、こういう顧みて他を言うようなことをおっしゃったけれども、いまは前向きに政務次官がやったから、自分のほうもひとつことしはこらえてくれ、しかし来年は何とかするというようなニュアンスを含んだ御答弁があったわけです。われわれも子供でないのですから、それならばことしは目をつぶりましょう、しかし昭和四十年からは必ず具体的に、こうやるという結論が出てこないと下がるわけにはいかぬわけです。大臣のメンツもあるでしょう。それならば、あとからでも理事会を開いてもらって、大臣も中に入ってもらって、――われわれはやっぱり十年くらい要求しておるわけです。ほんとうはぼくは免許があったら永久だという考え方なんです。それは筋が通っている。ところが大臣からそういうお話があれば、それならば大臣も入れてここで結論を出してもらわぬと、実は野党というのは非常に疑い深くなっているわけです。前向き前向きと言われて、そうでございますか、そうでございますかと言って乗っていると、一向に翌年になってもしておらぬ。力が弱い。野党の力の強いのは法案を通すときだけです。このとき以外には力はない。したがって、何だったらあとで質疑の終わったときに大臣も入れて、それならばどうする、必ず来年の国会には政府みずからが提案をしてやるんだ、そして私もそれはこういう方向だという約束があればそれでもいいのですよ。確約ができればそれも一つ方法だと思う。これはわが党の理事と相談しなければならぬけれども、これはいままでの大臣の答弁からすれば大きな前進です。しかしおれらにまかしておけというだけで、あとはどうなるかわからぬということでは、われわれも不安心です。やはり法案の通るときに、きちっとした約束を取りつけて、その処置を政府が来年やる、これならばいいのです。検討、検討というけれども、ここで一時間もお互いに議論をすれば結論が出ることです。熊崎薬務局長という専門家もいらっしゃるのですから、それならばそれで、あとで理事会を開いてもらって、大臣も入れて、与野党、政府の意思統一をするということも一つ方法です。
  72. 田口長治郎

    田口委員長 滝井さん、いまの問題を保留していただいて、ほかの問題はどうですか。
  73. 滝井義高

    滝井委員 それなら、相当理事大臣御相談になるそうですから、あと回しにして、私、大体質問の要点だけやってしまっておりますから……。  それじゃ、次に法務省の入国管理局の富田次長がいらしたようですからお聞きしますが、韓国人の法的地位の問題、これに関連をして、その中の重要な問題として退去強制事由というものがあるわけです。この退去強制事由問題の中に、営利を目的として麻薬類を取り扱った犯行者を、強制退去の理由にすることになるわけです。これは法的地位の問題の重要な一つ問題点ですね。先日、業務局長に強制退去を命令する場合に、一体営利を目的として麻薬類を、取り扱った犯行者というものの基準はどういう基準ですかという御質問を申し上げたのですが、それが明確でないわけです。そこで富田さんに来ていただくことになったわけですが、まず退去強制をやるためには、その大前提というものは、この人がたまたま旅行者である場合、これはわりあい簡単だと思うのです。しかし同時に、退去強制をするための前提として、法的地位の問題の永住権を付与する範囲、それからその永住権の許可の申請がどういう方法で行なわれるのか、こういうことが大前提になって、その上で退去、とこうくるわけです。しかも、その退去をやる基準、麻薬をやったという、こういうときにはどういう場合だ、こういう問題と関連してくるわけです。そこで、麻薬問題に入っていくためには、いま言ったような永住権がどういう範囲に与えられるか、そうして、永住権をもらうためには一体いかなる申請方法が必要なのか、とこういう大前提がはっきりしないとひっかけられぬわけです。そこらをまず先に御説明願って、それから麻薬のところを御説明願いたい。
  74. 富田正典

    ○富田政府委員 御承知のように、現在日韓交渉の法的地位で、在日朝韓人の法的地位問題を交渉しておるわけでございますが、その対象といたしまして、戦前から引き続き日本に在住しておる朝鮮人と申しますものは、かっては日本人であった者が日本の社会に定住しておった、それらの者が平和条約の発効とともに日本の国籍を失ったという事情がございますので、一般の外国人に対して適用される退去強制事由というものを全部かぶせることは酷でございますので、悪質な犯罪を犯した者について考慮しようということで、悪質な犯罪というものはどういうものであるかということがいま問題になって協議しておるわけでございます。その中に麻薬の問題というものがあるわけでございますが、それでは麻薬犯罪のうちどの程度のものをどうするかということについてはまだ交渉が煮詰っておりませんので、その点はまだはっきりお答えする段階にはないと思います。  そこで、いかなる対象の者にどういう手続で特殊な永住権を与えるのかという点でございますが、一番最初に申し上げましたように、戦前から引き続き日本に在住しておる朝鮮人、そして平和条約の発効で日本の国籍を失った者、これがまず第一に問題になってくるわけでございますが、このほかにそれらの者の子孫、平和条約発効後に生まれた子供たちというものが問題になってくるわけですが、これをどの辺で切るかということについて、これもまだ現在交渉しているわけでございます。その交渉によりまして、平和条約の発効以後に生まれた子供たちをどこまでに切ってやるかということがきまりました場合には、今度は特殊な永住権の申請手続になってくるわけでございますが、その手続は一定の申請期間を定めまして、この申請期間内に永住の協定に基づく永住の申請をさせる。そうしてこれが戦前から引き続き在住している朝鮮人であるかどうかということ、またそれらの者から生まれた子供であるかどうかというようなことを調査いたしまして、その結果申請に対して永住権を与えていくということになるわけでございます。  そして、特殊な永住権をそこで許可された者、その者について、今度はその者がどういう事由に該当した場合に退去強制を受けるかということになる。その退去強制事由につきましては、入管令は全面的に適用しないで、特殊な、悪質な犯罪に限って退去強制事由としよう。その中で麻薬犯罪が問題になる。ただし、どの程度の麻薬犯罪とするかということについては、まだ交渉中で、固まっておらないというように御理解いただきたいと思います。
  75. 滝井義高

    滝井委員 実は、麻薬を取り扱ったその犯行者というものを、どの程度のものを退去事由にするということが実は聞きたいところなんですよ。これは麻薬取り締まりをやる、法務省もおやりになるだろうし、警察庁もおやりになるだろうし、厚生省麻薬取締員、麻薬取締官をもってやるわけでしょう。今度の法律はその人数をふやすという法律なんです。しかも今後池田内閣が非常に速急に韓国の国交正常化をやろうとしているのだから、やると韓国ルートというのは相当重要なルートになってくる。いままでは、さいぜんお聞きしますと、そう大きくない。しかし今後相当大きくなってくるわけです。そうしますと、これは基準というものをはっきりしてもらわなければいかぬ。そこであなたのほうだけがどんどん進めておやりになると、麻薬取り締まり行政を主体的にやらなければならぬ警察庁なり、厚生省としては、はなはだ困ることになるわけです。そこで、厚生省、一体法務省ばかりにまかせずに、あなたのほうは一体どうなんだと聞くけれども、一向お答えが出ない。あなたのほうもいまのようにどうもまだきまっておりませんということになると、これは処置ないじゃないですか。やはりこれはいままでの経験があるんだから、このくらいのところの基準までは退去にしたいと思いますくらいの一応の線くらいは言ってもらわぬと、ケースバイケースでいきますなどというようなことでは、退去事由は絶えず動くことになりますよ。それはたいへんなことですよ。それから、永住権を付与された者は麻薬施用者になれますか。
  76. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 医師たる免許を持っておる人が施用者になるという場合のお話でございますが、医師たる免許は国家試験を通っておる内外人を問わず与えますので、その方が麻薬施用者免許申請を出せば当然施用者になるということになるわけでございます。
  77. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、医療というものは営利を目的としないですね。ところが、たまたま医師麻薬の中毒になる。韓国人の医師麻薬施用者になった人が麻薬の中毒になったというときには、営利を目的としていないわけですよ。そういう場合はなるのかならないのかという問題が出てくるわけです。だから、やはり何らかの形でここで一応の具体的な線ぐらいは言うておいてもらう必要がある。交渉は交渉でけっこうですよ。これは普通の外交交渉じゃないのですからね。これは三億ドルの金をやるとかやらぬとかいう問題ではないのですからね。全く内攻上の問題です。日本の国民を麻薬から防ぐことでしょう。医師免許を持っている者に麻薬施用の免許をやるのに一年にするかどうかさえごたごたしてきまらぬ内閣が、こういう大事なこともきまっておらないですね。だから、むしろそういう一年にやるのなんかに頭を使わずに、こういうところに厚生省は頭を使うことがほんとうですよ。こういうところにちっとも頭を使っておらない。そして一年どうするか、こうするかということばかり頭を使って、大事なところが抜けている。これがじょうずの手から水が漏れるということになる。じょうずの手から水が漏れたらだめですよ。厚生行政はじょうろになってしまう。だから、もうちょっとしっかりしてもらわないと困りますね、これもまた保留ですか。この前から基準を出してくださいといって頼んでいるのですからね。大事なことだから、答弁できなければまたあとで一緒にしてください。
  78. 富田正典

    ○富田政府委員 ただいま韓国の往来の際の麻薬取り締まり体制の点が問題になりましたが、この点は従来どおり特殊な永住権をもらわない者は一般の入管令の適用を受けるわけでございますから、そうすると、麻薬犯罪を犯した者という入管令の退去強制事由でこれはひっかかってまいるわけであります。特殊な永住権をもらったものについてどの程度の麻薬犯罪退去強制にするかどうか、いまいろいろ協議しているわけでございます。その他の向こうから来る者、旅行者、こういうものは普通の入管令で取り締まることになると思います。
  79. 滝井義高

    滝井委員 だから、普通の旅行者その他は大して問題にならぬと思うのです。問題は、法的地位の問題で、日韓双方で永住権の付与の範囲をどうするか。付与の範囲が、あなたの言うように、戦前からおった者、講和発効前からいる者、あるいはあとから生れたその子孫などに永住権を与えるということになれば、永住権を付与された者の中から当然医者が出てくる。医者が出てくればしたがって麻薬施用者になるという場合が出てきたときに、もし営利を目的として麻薬を取り扱った犯行者というようなことになると、そういう者は営利を目的としないから、かからぬようになりますぞということになってくるのです。ところが、麻薬の中毒になり、人に麻薬をやるということが退去命令に入るということになると、営利を目的とするという条件は消えなければならぬことになるのです。そういう点をもう少し明らかにしてもらわないとはっきりしないですよ。
  80. 富田正典

    ○富田政府委員 先ほど、お答え申しましたように、まだ固まっておらないわけでございますが、そういう考え方もいろいろと念頭におきまして、今後に処してまいりたいと思います。
  81. 滝井義高

    滝井委員 固まっておりませんからと言うけれども麻薬の取締員なり取締官をふやそうというわけでしょう。そして同時に、日本における麻薬の問題というのは、さいぜんから谷口さんも、先日は小林さんも言っておったように、大きな麻薬の密輸というのは全部外人が中に立っている。そうしますと、今後国交の正常化をやった場合に、相当に韓国から入ってくるという可能性がある場所、香港ルート等、ある場所をする場合に、いま非常に大きな問題になってきておるその韓国が、退去の事由の中に、いままだ固まっておらぬからわかりませんと言うが、十四年間たっておるのです。十四年間たって何も基準をつくらずに交渉しておったのですか。そんなばかなことはないでしょう。これはあなたのほうは交渉の当事者だから、当事者からそんなことは言えないだろうと思って、私はあなたのほうは遠慮して、厚生省のほうにお尋ねした。ところが厚生省は、私のほうは知りません、あなたのほうに全部おまかせしてあります、そんなばかなことはない。取締員なり取締官を持っておる厚生省が、しかも主管省である厚生省麻薬の問題についてオフ・リミットでは情けないじゃないですか。だから、あなたのほうも来てもらって、と言ったら、まだ全然きまっておりませんと言う。それならきまるまで待たなければしょうがない。そんなものは人数も何もふやす必要がない。(「ふやさなければ取り締まりできないじゃないか」と呼ぶ者あり)ふやさなければ取り締まりできないと言うならば、厚生省としては、基準としてこのぐらいの最低のものは考慮したいというぐらいなことを示さなければならぬ。何も示さぬで、ただ麻薬犯罪が退去の事由になるというのでは、納得できないですよ。
  82. 富田正典

    ○富田政府委員 所管外のことをお答えしてまことに恐縮でございますが、麻薬犯罪である限り、これは警察でも検察庁でも麻薬取締官でも、これを徹底的に捜査、検挙するのが当然であろうと思うのです。その結果、有罪判決に処せられたものの中で、どういうものを退去強制にするかということになってくるわけでございますから、われわれは有罪になった者を受けまして、その中のどの程度のものを強制退去にするかということになってくるわけでございますから、この取り締まり人員の問題と直接には関係はないと思います。  それからもう一点でございますが、この退去強制事由につきましては、韓国側退去強制事由についてはできるだけ現行法上の退去強制事由で縛られないようなものにしてほしい、それに対してわれわれは、できるだけ悪質な者はどんどん退去強制をしていきたいという線で従来から協議しておりまして、それがだんだん推移しておりまして、わがほうの考え方を向こうも了承し、いろいろな形で退去強制事由がだんだん具体化しつつあるという状況でございます。
  83. 滝井義高

    滝井委員 こういうことは普通の外交交渉と違うわけなんです。これは全く内政上の問題であります。したがってどの程度のものは退去の対象になるというくらいのことは国会で言わなければ、法律を審議する国会で基準を示さないということでは、絶対通さないですよ。人権問題でしょう。これもわかりません、法務省にまかして交渉中ですと言う。十四年も交渉しているんですよ。これはきのう、おとといの交渉なら、基準をつくるということは黙っていてもいいが、犯罪というものがここに大きな役割りを演じているということになれば、大体どの程度のケースのものに退去命令を出せばいいかということはわかっているはずです。それをここで基準さえも言えぬというならば、何も国会というものは要らぬですよ。しかもこんなものは秘密な外交交渉じゃないでしょう。だから、こういう点まで官僚が秘密主義をとってわれわれに何も教えぬというならば、国会は要らない、何のために国会があるんですか。だからそんなことでは法案を通さないですよ。  これでやめます。
  84. 田口長治郎

    田口委員長 小林進君。
  85. 小林進

    小林委員 私はこの前だいぶ麻薬問題については質問をいたしました。いたしましたが、その質問の中で、総理府総務長官に対する質問と海上保安庁に対する質問と、二つの問題だけが残っておりますので、まずこの問題からひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  第一番目には、野田総理府総務長官は、おそらく前任者と事務の引き継ぎをしたときには十分お話があったんだから、這般の経緯については了承せられているものと考えまするけれども、昨年のいまごろこの麻薬取締法改正案が国会に出ましたときには、これは非常に重要法案の一つとして扱われている。何しろ、御承知のとおり、一年間でわが日本麻薬のために第三国人に取り去られる金が大体七百億から一千億といわれている。人間の命を減らすようなヘロインという毒薬を日本国民の血の中にぶちながら、しかも財政的には七百億円なり一千億円の金を日本国民からしぼりあげていくということは重大な問題である。重大な問題だから、一厚生省の管轄だけにはまかせられない。内閣があげてこの問題にひとつ取り組んでもらわなければならぬ、こういうことがこの委員会で論議せられまして、総理府の中で麻薬対策推進本部というような名称のものを設けて、当時は総理大臣にその最高責任者になってもらって、そうして強力な組織を持ちながらこれを全面的に撲滅するという対策を持っていこうじゃないか、こういう話が出たのでありまするけれども、その間紆余曲節を経まして、最後の結果は、総理府総務長官が推進本部長になり、その下にセクト争いをしている警察庁や厚生省の責任者が副推進本部長になっている。事実上総理大臣が本部長になられたのと同じような心がまえでこの撲滅をはかる、こういうことで機構組織ができ上がっておるのであります。でき上がりまして、この推進本部がまず第一に着手いたしましたものは、三十八年度における麻薬対策の予算獲得の問題でありました。これは若干働いて、従来の麻薬の予算、これは五倍ないし六倍で、十数億の予算を獲得するという成果をあげた。けれども、この推進本部は、単に予算を取るだけの委員会じゃないんだ、常時不変に関係各省を督励して、そしてすべての点に手厚い手当てを加えながらその成果をあげていこう、こういう申し合わせであった。自来、総務長官もかわられました。野田総理府総務長官が、輝ける脚光を浴びてその任につかれました。自来一年の歳月を経過いたしたのでありまするが、そういうような着想と構想のもとででき上がったこの対策委員会が、自後どれほどの実績をあげてこられたか、これをお聞きしたいというのが私の質問の第一であります。お尋ねをいたしたい。
  86. 野田武夫

    ○野田政府委員 ただいま小林さんのお申しになった経過は、私も大体引き継ぎを受けております。麻薬対策のいかに重大であるかということも、相当認識いたしております。したがって、御承知のとおり推進本部ができますとともに、内閣全体として非常にこれを重要視いたしまして、麻薬対策関係の閣僚会議というものをつくったのも御承知だと思います。そこで、その結果いわゆる麻薬対策の要綱というものができまして、この要綱に基づきまして関係各省に強力な実施をしていただきたいということで、いわゆる三十八年度の予算におきましても、いまお話しのとおり、前年に比べて三倍も四倍もの量の予算を獲得しまして、そして各関係官庁は、それに基づいておのおの強力に推進していただいているというのが現状でございます。
  87. 小林進

    小林委員 そういう推進対策本部ができ上がったその直後であります。私どもは、同じくこの委員会でこういう要求をいたしました。その推進本部は、関係各官庁のお役人さんや行政官だけを集めた推進本部である、これではほんとうの民間の知能や経験を吸収して、血の通った対策としてはやや欠けるところがあるんではないか、民間の知識人を集めたそういう対策としては、内閣の中に売春対策審議会というものがある、その売春対策審議会の中に麻薬委員会というものがある、まことに小さなセクションであります、そういうセクションだけでは、この問題を官民ともに協力して、万全を期すというためにはやや不完全だ、その意味において、内閣の推進対策本部と相適応して、民間の経験者も含めた強力な麻薬対策審議会というものを設けたらどうだ、学者あるいは経験者あるいは民間の有識者、そういうことを強くあなたの前任者にここで要求した。そのときその前任者は、まことにお説ごもっともだ、非常に貴重なる御意見だ、さっそく帰ってひとつ御趣旨のほどを慎重に検討した上で御趣旨に沿いたいと思いますと、りっぱな発言をしておるが、私のお尋ねしたいのはそれなんであります。まさか夜店のバナナ売りじゃあるまいし、その場限りの答弁をして、あとは野となれ山となれというような、そんな無責任な答弁をされたものとは私は考えておりません。確かに慎重審議をされて、その実現のために努力をせられているものと私は善意の推定をしているわけでありますが、具体的にどういう形になりつつあるのか、それを私はお伺いしたいのであります。
  88. 野田武夫

    ○野田政府委員 前任者が、御提案の麻薬対策の審議会設置につきまして、役所におきましても事務的にも非常に検討したということを聞いております。決してそのときの発言をないがしろにしているということではないのであります。そこでこの問題は、実は私も検討の必要があると存じまして、事務当局はもとより、関係各庁の大体のいまの麻薬に対する実施の面を事務的な関連において一応調べてみました。  そこで、特に御指摘の問題は、役人だけでつくっている推進本部では足りないのだ、広く民間の意見を参考にしてやらねばならぬ、これはごもっともだと思っております。そこで、いまお話しの点について、私が大体事務的並びにその他の情報をとってみますと、現在あります、これもお示しのとおり売春対策審議会の中に特別小委員会ができております。そうしてここでもって民間の有識者、学識経験者の御意見を拝聴しているのでございます。また特別小委員会以外に、各麻薬対策に取り組んでおられる役所の間におきましても、やはりいろいろの場面で広く民間の有識者の御意見を承っておる。したがって今日の場合、民間の学識経験者の御意見を拝聴する機関と申しますか、機会と申しますか、そういう場合が相当広範に行なわれているので、審議会として無用だとか必要がないとか言うのではありませんが、現在の機能においても広く民間の有識者の御意見を承っておりますから、これを参考にしまして施策にあらわしていけば、一応大体推進本部の、いわゆる対策要綱に基づく実施面において民間の御意見を反映することができる、大体こういう答えを私は受けております。  これらにつきましては、いまの小林さんの御意見は、私自身といたしましてもやはり行政をやります場合には、できるだけ民間の方の御意見を承るということは、これは尊重すべきことでございますから十分首肯いたしますが、今日までの経過におきましては、そういう状態でございますことをお答えいたしておきます。
  89. 小林進

    小林委員 残念ながら政府のお考えが、昨年の状態よりも一年経過いたしまして、前の徳安総務長官の時代より、野田総務長官の時代にやや後退したという感じを受けざるを得ないのでありまして、残念にたえません。いままでの既製の麻薬の小委員会あるいは地方における麻薬撲滅国民運動等々を通じて、現在の機構だけで民間の意見や経験を十分吸収できるというそういう考え方は、何といっても私は一歩後退とみなさざるを得ない。まだ昨年あたりは、確かに内閣の中に、いまの売春対策審議会よりももっと強力な麻薬対策審議会というものを設けて、内閣の行政と相対比しながら万全の策を講ずべきであるという考え方が、圧倒的に強かった。その空気を受けて、徳安さんも何とかそれを実現するために努力をしたい、こういうことでこの委員会は終わっている。あなたの答弁は、それを受けていまのままの形でまあいいようだということは、残念ながらこれは退歩です。どうも野田さんは、まだ麻薬の国際的犯罪とおそろしさをほんとうに理解されていないのではないかと思う。あなたは偉大な政治家であるけれども麻薬に対しては若干まだ経験が足りないのではないかと私は思うのでありますが、どうかひとつ、昨年も総務長官が言明されたのですから、その線を踏襲して、強力な民間の学者や婦人代表、あるいは国際的な経験者等も含めて、内閣の中に、売春対策なんかよりも強力な推進委員会を設けることを考慮してくださいよ。これは質問じゃなくてお願いしておるのです。いかがでございますか、御答弁願います。あなたは、答弁がうまくいかないと放しませんよ。どうです。
  90. 野田武夫

    ○野田政府委員 答弁がうまいかへたか、そんなことじゃなくて、あなたのお話を聞いておりますと、私は三十九年度のこの厚生省から出された改正法案でもわかりますとおり、また三十九年度の予算をごらんになってもわかりますとおり、実に、いまお話しのこの麻薬禍が、人道上、社会的に、また犯罪の上におきましても、これはひとり国内だけでなく、国際的にむずかしい問題である。これをいかにして根絶するかということに全力を傾けるということは、私は、しろうとでありましても、政治家の一人として痛感しております。そこで、この三十九年度の予算の内容並びに今回御提出になっております厚生省の法案にいたしましても、政府がこの問題に非常な熱意を持っているということは御理解願いたいと思っております。  なお、なぜ審議会をつくることにちゅうちょするか、私はちゅうちょしておるのじゃございません。その点をひとつ誤解のないようにしていただきたい。必要ならばつくるべきであります。ただ問題は、三十八年度の麻薬対策要綱、並びに私もいろいろ調べてみますと、麻薬対策に対する緊急要綱というものが出ております。これは私、よく御存じだと思いますから、何も説明申し上げる必要はないと思っております。そこで、その内容から見ましても、すでに大体来年度、三十九年度の麻薬対策の実施面におきましても、相当広範に諸般の意見を参酌いたしまして、そしてこれだけでも実施ができますれば相当効果がある。これは別に自民党とか社会党とかいうのではなくて、この問題は全く国民全体の問題であります。しかし要綱をつくりましても――これは決して三十九年度のことを申すのじゃございません。平素要綱をつくりましても、それをなかなか完ぺきに実施することはむずかしいのです。それはだれがいいとか悪いとかというのじゃなくて、これは普通官庁だけではなく、民間の仕事でも大体同様であります。そこで三十九年度に盛り上げておりますところの要綱全体を、完全に熱意を傾けて努力をするというなら、相当効果があるのじゃないか。しかし、その三十九年度に持っている政府の施策というものは、もちろん不備な点がありましょう、不完全でありましょうが、これだけでも完全に努力するということになれば相当効果がある。そういう段階でございますから、審議会がないからどうこうではなくて、大体この要綱の全体を見まして、相当民間の御意見も入っていると思います。しかしいま申しますとおり、決してこれが完ぺきなものであるとは考えておりません。したがって、三十九年度にこういう緊急要綱を実施するにあたりまして、やはりどうしても、これはここにもう少し民間の意見とか、つまり学識経験者の意向とかいうものを織り込まなければいかぬというようなことは出るか出ないか、おそらくいろいろな場合が想起されるのでありますから、その際に審議会が必要ならば、私は審議会をつくることに何ら消極的な態度をとるわけではありません。しかし現在のところ、この要綱全体をやるのに、はなはだ努力が必要であるというように思っておりますから、決して小林さんの御趣旨に反するとか沿わないというのじゃありませんで、その必要を痛感いたしましたならば、私はもちろん審議会設置に対しまして、進んでいわゆる前向きの姿勢をとるということは申し上げておきたいと思っております。
  91. 小林進

    小林委員 長官が要綱を実施する過程において、審議会をつくる必要があればちゅうちょなくこれをやりたいとおっしゃった。ひとつ、野田さんも政治家でいらっしゃいますし、食言をする方ではないと思いますので、そのことばを信頼いたしまして、この問題は、一応総務長官に対する質問は閉じることにいたします。  いずれにいたしましても、あとでも言いますけれども、三十七年度の大検挙で、いま刑務所か何かに入っている麻薬常習者が、相当多量にことしの四月ごろでてくる。二千人くらい出てくるのではないかといわれている。こういうものが出てきたときのアフターケアというか、その後のあと始末という問題になると、あなたのおっしゃるその要綱だけでは、お役人の手だけではまだ始末のできない問題がたくさんある。単なる犯罪だけではないのだ。こういう面において、ここにやはり民間人のあらゆる知恵を借りながら、民間のあらゆる組織も動員していかなければならぬという問題もあるのですから、そういうことも含めて、私どもは審議会の必要を痛感するのであります。どうぞひとついまのおことばを過程において十分生かしていただきたいと思うのであります。  時間がありませんから、総務長官に対する質問は一応これで打ち切りまして、次にはひとつ海上保安庁長官に、これも前の質問の残りでありますけれども伺います。  麻薬取り締まりについては水ぎわ作戦。何といっても四つの島だ、外部から入ってくるのだ。ヘロインだけは日本国内では生産地がない。これは覚せい剤と全く違う。外から入ってくるのです。入ってくるそれを、四つの島の中に入らないように押えるということが重大問題。そこでいわゆる税関とともに、あなた方の海上保安庁の麻薬対策というものが非常に重大な役割りを演じてくる。そこで、去年もあなたの前任者の保安庁長官に来てもらって、どうだい、一体この麻薬に対する海上の取り締まりはどうなっているか、こういうことを質問いたしました。そうしたらそのときに、これは海上保安庁の長官の答弁ではないが、海上保安庁の麻薬に対する取り締まり状況をわれわれはわれわれで調査していった、その中に、海上保安庁のあり方について――これは三十八年度ですよ、去年の話、麻薬対策として小型の快速艇を一隻予算に組んで、その快速艇で、やってくる麻薬の密輸船その他を追い回して海の中で押えよう、こういう計画があって、その予算を組んで大蔵省へ持っていく前に、海上保安庁内部で、他の船の要求を満たすためにその麻薬対策の快速艇を予算から削除してしまった、こういう問題が出てきた。けしからぬじゃないか、もし大蔵省が悪いならば、その大蔵省に、そういう麻薬対策の小型の快速艇を予算に入れるようにわれわれがやってやろうじゃないか、そんなけちな予算の積み方ではいかぬというようなことの問答があったわけです。その問答がありましたら、その結末として、今年度はもう予算編成期を過ぎて間に合いませんが、三十九年度の予算の中には必ずこの小快速艇の予算の要求を復活して、そこで国会の御趣旨に沿うようにひとつ努力をいたしたい、こういう答弁があった。その答弁が間違いなくやれるか、やれると言うから、それじゃ今日のところはこれで終わろう、こういう経緯がある。ちょうど一年の歳月を経過いたしました。まためぐりめぐり来たって予算編成期に来たわけでありますから、その昨年度の公約が一体どのくらいに実施をせられているかということを、ちゃんと確認しておかなければ、国会なんというものはしゃべりっぱなしでいいんだ、あとは責任がないんだということじゃ国会の権威をみずから失うことになります。私はその意味において、あえてここへあなたにおいでを願って、どういうふうにそれが実施をせられているか、お答え願いたいと思うのであります。
  92. 今井榮文

    ○今井政府委員 いま先生のおっしゃいました三十九年度予算におきましての高速巡視艇の予算の要求につきましては、現在巡視艇四隻、それから先ほどお話しのございました趣旨にあるいはかないまする船艇と思いますが、巡視船に積みましてこれを適宜に活用いたしまする高速機動艇、これが十一隻ございます。麻薬取り締まりにつきましては、三十八年度におきましては他の密貿易の部門とあわせまして、特に重点を置きまして特別に捜査班を編成して、各重要港においては強力な捜査を実施いたしたのでございまして、先生のお話にございましたように、三十八年度、われわれとしても極力取り締まりの努力をいたしまして、ある程度の成果はあげ得たように考えております。それから三十九年度におきましては、それらの船艇をもちまして単に密貿易あるいは密入国のみならず、特にこの麻薬取り締まりというものに重点を置きまして、三十九年度、やはり特別捜査班を編成して各重要港において取り締まりを実施する、こういう方針をすでに定めております。
  93. 小林進

    小林委員 私は船のことは専門じゃありませんから、高速巡洋艦が四隻だとか、高速機動艇が十一隻だなどと言われたところでわからぬ。わからぬが、私の聞いているところは、三十八年度、主として麻薬の密輸入を押えることを中心にして要求したその小型快速艇が予算から削除された。それが三十九年度において一体復活したかどうか、この要求が通ったかどうかということを聞いているのだ。私はそれをお聞きしているのです。同時に、特別捜査班を設けてしっかりやっているとあなたは言われた。昨年度のかまえに比較して、今年度のかまえは一体どれだけ進歩しているのか。私どもは、何もあなた方が麻薬犯罪を押えるとか押えないとかを聞くんじゃないのです。日本の水ぎわにおいては海上保安庁というものがあって、こういうかまえで瞬時も密輸入を許さないような体制ができ上がっている、こういうPRが海のかなたの密輸業者に響いていけばそれでいいんです。日本の港には入っていけぬぞ、飛行機で運ぶよりも船で運ぶほうが非常に困難だ、こういうかまえができ上がっていればそれでよろしい、それが一体でき上がっているのかどうかということをあなたにお尋ねしておるところであります。
  94. 今井榮文

    ○今井政府委員 これは先生、おことばを返すようでございますが、各管区本部に配属しております巡視艇そのものは、ある特定の目的だけに使用しているという船は、私どもとしては必ずしも考えられないと思います。したがいまして、一隻の巡視艇にいたしましても、それは常に密貿易のため、あるいは密入国者に対する取り締まりのため、あるいはあわせてまた夜になれば麻薬関係取り締まりのため、こういうように多面的に、機動的に活用しておる状況でありまして、いま先生が申されました万全の体制ができておるかどうかという点については、私ども遺憾ながら必ずしも十全な体制が現在できておるというふうには考えておりません。しかしながら、逐年巡視艇は質量ともに増強しつつある状況でございますので、われわれとしてはできる限り御趣旨に沿って今後とも努力していきたい、かように考えております
  95. 小林進

    小林委員 あなたは正直でよろしい。それは完全にできていないという答弁は非常によろしい。完全にでき上がっていないというのですが、一体麻薬の密輸入は、空から来るのが多いのですか海から人ってくる量が多いのですか。海と空との、この持ってくる量の比率を承りたいと思うのであります。
  96. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 海と空を比べますと、海のほうが麻薬の密輸の量は多いわけでございます。量的に言いますと、七対三くらいの比率になると思います。
  97. 小林進

    小林委員 私はそれが言いたいのですよ。海が多いのですよ。海が多いといえば取り締まるのはやはり海上保安庁、あなたしかない、あなたのところしかない。それならば、あなたのほうでもいま少し責任を感じて、その分をやはり押えることに主力を持ってもらわなければならない。いまは正直にまだ完全ではないと言われた。完全でないならば完全になるように、その不足分を予算の面にもやはり計上して、責任ある体制を持っていかなくちゃならぬ。あなたの前任者はそう言っていましたよ。この麻薬の密輸に対しては、すべての密輸に優先してひとつ徹底的にこれをやりたいと思う。あなたは麻薬ばかりではない、密輸はみな同じだと言った。同じじゃないのです、麻薬だけは特別に人間の精神を奪って、多量の金を持ち去るのですから、がんばってください。あなたの御奮闘を祈るや切なるものがありますから、御決意のほどを承りたいと思います。
  98. 今井榮文

    ○今井政府委員 御趣旨に沿いまして、全力をあげて努力いたします。
  99. 小林進

    小林委員 厚生大臣にお伺いします。  国内におくる麻薬犯罪の密売のルートの問題なんでございますけれども、横浜、神戸の濃厚地区で麻薬の密売が行なわれたのは、これは数年前の話でございました。それから今度は暴力団の手を通じて麻薬の密売が行なわれたというのは、これも去年、おととしだけの話であって、だんだん密売の形が変わっている。最近は、暴力団の手を通じての密売ももう下火になって、新しいルートがつくられて、そうして農村地区あるいは農村都市のほうに新密売者が流れているというのでありますけれども、その新しい密売の組織、形態について承りたいと思うのであります。
  100. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 最近の密売の小林先生の言う新しいルートといいますのは、必ずしも明確にキャッチができないのでございますけれども、しかし最近の麻薬犯罪といいますものが、麻薬施用者を中心とした犯罪が相当数出ておりますので、その点は、従来の麻薬犯罪の場合と異なった現象があらわれておるというふうに言えるだろうと思います。
  101. 小林進

    小林委員 最近は麻薬犯罪者が各地に散って、いわゆる医者回りをしたりあるいは代用麻薬を打ったりしている。医者回りというのは一体何ですか。代用麻薬というのは一体何ですか。
  102. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 医者回りといいます意味は、これは麻薬患者が医者のところに行きまして麻薬の施用を強要するとか、あるいは麻薬の中毒じゃなしに、他の疾病ということで偽って医者に注射をしてもらうというようなことを言っているわけでございます。  それから麻薬代用といいますのは、これは睡眠剤等に移行しておるという意味と思います。
  103. 小林進

    小林委員 そういう方面に対する取り締まりは完全にいっておりますか。
  104. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 完全と言われますと、大体全力をあげて、医者回りの患者等につきましてはできるだけの処置をいたしておるとしか申しようがないわけでございます。麻薬中毒者について、できるだけ私ども関係官庁と相談してリストの作成をやっておりますので、その地区につきましては、こういうふうな麻薬中毒者がおるということを医療機関のほうにも連絡し、また絶対にそういう医者回りの患者につきまして誤用しないように、常に会合を持ちまして連絡をいたしておるわけでございます。
  105. 小林進

    小林委員 そこでお伺いいたしますが、警察庁が昨年の暮れか何かに発表になった麻薬のリストによると、三十八年度末で八千七百二十九人の患者がいる。その中の半数は予備軍なんです。予備軍ということばをお使いなさいますが、別のことばで言いますと前歴者、その半分がいわゆる前歴者という、その予備軍に一体どういった処置をせられておるのか。一たん麻薬の吸飲をした経験のある予備軍は、若干の誘惑があれば直ちにもとへ返る、一番危険な存在だと私は思うのであります。そういう取り締まり、監視の方法はいかようにやっておられるのか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
  106. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 ただいまおっしゃいましたように、麻薬の私どもが視察をしております対象は、麻薬犯罪の前歴者、これは密売とかあるいは密輸入をやったものでございます。そういう麻薬犯罪の前歴者、それから麻薬中毒者の前歴者、それから現在麻薬の中毒者である者、大体この三つに分かれると思いますが、この三つのいずれにつきましても、私どもはすべてリストを整備いたしまして、これに対処しようとしておるわけでございますが、残念ながら中毒者、前歴者であって住所がはっきりしない者がまだ若干ございまして、そういうものの把握がやや不十分でございますが、現在約千八百名ほどの住所をまだはっきりつかんでおりませんが、それ以外は全部視察の対象にしておるのでございます。
  107. 小林進

    小林委員 警察庁では、ことしの三月ですか、中旬か月末までに約九千名程度の完全な最新式のリストをつくりたいというふうな意向で出先警官等も動員しながら努力をせられておるということを聞いておるのでありまするけれども、もう三月も終わりになっておりますので、そういう最新式の新しい、やや完全に近いリストが一体でき上がったのかどうか、いまおっしゃるそのリストを通じて、まだ一千八百名ほどのそういう所在不明なる者をつかめないままに努力を重ねられ中であるのか、這般の事情を承りたいと思うのであります。
  108. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 ただいま私、説明いたしましたリストは、すでに現在つくっておるわけでございますし、またさらに整備いたしつつあるわけでございますが、この前の新聞に出ましたのは、そういう麻薬前歴者、あるいは中毒者の中で、広域と申しますか、東京とか神奈川、あるいは神戸、大阪等、広い地域にわたって動く前歴者なり中毒者、そういう者の写真を含めた詳細なリストをつくりまして、これを全国に配ってこれに対処しようとしておるわけでございます。
  109. 小林進

    小林委員 それでは一問して終わります。  厚生省にお伺いしますけれども、この麻薬追放の国民運動というものを昨年中からおやりになっている、それぞれの地区で、民間の関係者を動員しながらおやりになっているようでございますが、この国民運動のその後の経過、実績、効果等をひとつ承っておきたいと思うのであります。特にいま警察庁がおっしゃった住所不明の者がまだ一千八百名もあるということですが、国民運動が厚生省の指導よろしきを得れば、そういうものも、やっぱり官民が相一致するところによって浮かび上がってこなければならぬと思うのでありますが、どういうふうにやっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  110. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 麻薬撲滅のための国民運動を大々的にやろうという計画で進めておるということでございますが、簡単に申しますと、先ほど警察庁の方から話のありました麻薬中毒者の把握につきましては、これは行政事務的な問題でございますが、さらに私どものほうで、そのリストに基づきまして現状を把握するということでもって、各県にリストに基づきました照会をいたしまして、その後の状況はどうなっておるかということを正確に把握するように現在つとめております。  それから麻薬の撲滅のための施策としましては、昨年度広報関係の予算を相当多額にいただきましたので、これに基づきまして麻薬のおそろしさを知らせるスライドをつくりまして、また新たに映画等もつくりまして、これは相当時日を要しまして、ことしに入りましてスライドなりあるいは映画ができたわけでございますが、これを各県に配りまして、大々的に今年度からひとつ国民運動をやろうということで、現在各地でその空気を醸成しつつあるわけでございますが、さしあたっては、この四月から麻薬禍撲滅運動の一環といたしまして、厚生省主催のもとにブロック別麻薬禍撲滅国民運動の展開をいたしますと同時に、あわせて各県におきましては各県ごとに撲滅大会をやるということで、これにつきましての予算措置も相当多額にいただいておりますので、先生の御趣旨に沿うように今後とも一生懸命にやってまいりたいというふうに存じております。
  111. 小林進

    小林委員 結核は結核で進め、精神病は精神病で、大体厚生省行政というのはぱっと燃え上がってぱっと消えていくという傾向がありまして、これが一番悪いところでありますが、どうか、麻薬問題も去年あたりからようやく軌道に乗って盛んでありますけれども、あまり熱がさめないように執拗にこの運動を展開していただくことを強く要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  112. 田口長治郎

    田口委員長 熊崎薬務局長より発言を求められております。これを許します。
  113. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 先ほど滝井先生からの御質問で、日韓交渉の段階におきます国外退去の問題につきまして、私ども法務省に、悪質なものについて、なるべく退去命令を出していただくようにということでお願いをいたしておりますが、その中身につきまして、より明確にせよという御意見でございますが、先ほど申し上げましたように非常にケースバイケースで、ケースによって違うことはもとよりでございますけれども、私どもの当面の考え方としましては、麻薬犯罪によりましていわゆる体刑を受けた者――おおむね二年程度の体刑を受けた者は、密輸者を含めまして当然退去いただくようにお願いをいたしますと同時に、その他の犯罪につきましても、体刑でなくても、その犯罪が初犯の場合は別といたしまして、累犯になった場合には、これは麻薬犯罪の性質上、なるべく退去していただくようなことでお願いいたしておる状況でございます。
  114. 滝井義高

    滝井委員 厚生大臣、いまのこと確認できますね。
  115. 小林武治

    小林国務大臣 そういうことだそうであります。私も確認いたします。
  116. 田口長治郎

    田口委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  117. 田口長治郎

    田口委員長 ただいま委員長の手元に、本案に対し、小宮山重四郎君並びに河野正君より、それぞれ修正案が提出されております。     ―――――――――――――    麻薬取締法の一部を改正する法律案に対する修正案(小宮山重四郎提出)  麻薬取締法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第五十四条第一項の改正規定の前に次のように加える。  第五条中「免許の日からその年の十二月三十一日まで」を「麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者の免許にあっては免許の日からその年の十二月三十一日まで、麻薬小売業者、麻薬施用者麻薬管理者又は麻薬研究者の免許にあっては免許の日からその日の属する年の翌年の十二月三十一日まで」に改める。  附則を附則第一項とし、同項の次に次の一項を加える。  2 この法律の施行前になされた麻薬取扱者の免許有効期間は、この法律による改正後の麻薬取締法第五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。     ―――――――――――――   麻薬取締法の一部を改正する法律案に対する修正案(河野正提出)  麻薬取締法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第五十四条第一項の改正規定の前に次のように加える。  第五条中「免許の日からその年の十二月三十一日まで」を「麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、麻薬元卸売業者、麻薬卸売業者、麻薬小売業者又は麻薬研究者の免許にあっては免許の日からその年の十二月三十一日までとし、麻薬施用者又は麻薬管理者の免許にあっては免許の日から起算して十年間」に改める。  附則を附則第一項とし、同項の次に次の一項を加える。  2 この法律の施行前になされた麻薬取扱者の免許有効期間は、この法律による改正後の麻薬取締法第五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。     ―――――――――――――
  118. 田口長治郎

    田口委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。まず、小百山重四郎君。
  119. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 自由民主党を代表いたしまして、麻薬取締法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。  修正案は、お手元に配付してあるとおりであります。  その内容は、従来、麻薬取扱者の免許有効期間免許の日からその年の十二月三十一日までであったのを、麻薬取扱者中、麻薬小売業者、麻薬施用者麻薬管理者、または麻薬研究者の免許にあっては、その免許の日からその日の属する年の翌年の十二月三十一日までと改めたものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  120. 田口長治郎

    田口委員長 次に、河野正君。
  121. 河野正

    河野(正)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、麻薬取締法の一部を改正する法律案に対しまする修正案を提出し、その案文を朗読いたしまして提案理由の説明にかえたいと思います。   麻薬取締法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第五十四条第一項の改正規定の前に次のように加える。   第五条中「免許の日からその年の十二月三十一日まで」を「麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、麻薬元卸売業者、麻薬卸売業者、麻薬小売業者又は麻薬研究者の免許にあっては免許の日からその年の十二月三十一日までとし、麻薬施用者又は麻薬管理者の免許にあっては免許の日から起算して十年間」に改める。   附則を附則第一項とし、同項の次に次の一項を加える。  2 この法律の施行前になされた麻薬取扱者の免許有効期間は、この法律による改正後の麻薬上取締法第五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。以上であります。  委員各位の御賛同を心からお願いする次第であります。(拍手)
  122. 田口長治郎

    田口委員長 修正案について御発言はありませんか。
  123. 田口長治郎

    田口委員長 御発言がなければ、麻薬取締法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより採決に入ります。  採決の順序は、まず河野正提出の修正案、次に小宮山重四郎提出の修正案、最後に原案について採決することといたします。  まず、河野正君拠出の修正案について採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  125. 田口長治郎

    田口委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、小宮重四郎提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  126. 田口長治郎

    田口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正案の修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  127. 田口長治郎

    田口委員長 起立多数。よって、麻薬取締法の一部を改正する法律案は、小宮山重四郎提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  129. 田口長治郎

    田口委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明三十一日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後三時四十五分散会