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長谷川(保)
委員 そうしますと、やっぱりそこに一つの矛盾が出てくるわけです。
先ほど伺いました返済
予定と返済
実績の差額に対しまして、こういうようものを——二千万円ばかりでありましたが、五千七百二十一万八千円というような大きなものをここに積んでおく理由は何もない。そのほかにまだ別途積み立て金もある。損失補てんの積み立て金もある。なるほど方法書には、損失補てん積み立て金を持つということが書いてあります。書いてありますが、こんなに大きなものをここにあげておく理由は何もないというように思います。でありますから、積み立て金をつくるのはけっこうでありますけれ
ども、
事業運営がかたくなってけっこうでありますが、しかし仕事をしないでそういうものをしていくということでは何にもならないのでありまして、そこらに、この事業経営はまだまだ十分に考えなければならぬ点があるのではないか。助成等をいたしまして、いわば損金となるものを十分つくっていっていい。そうして法律に掲げられてありますとおりの仕事をどんどんやっていくという態度を当然とるべきである。私は、そういう点がきわめて消極的に過ぎるのではないかという思いがするのであります。
大臣がようやく御出席でございますので、
先ほど来私の御質問申し上げました趣旨をお聞きいただかなかったわけでありますが、少しかいつまんで
先ほど来の質問の要旨、結果を申し上げてみたいと思うのであります。
第一は、
社会福祉事業というものは非営利事業であり、ことに
社会福祉施設というものは、
戦前は皇室あるいは
三井報恩会、あるいは
慶福会、あるいに服部報公会その他多くの助成団体がありまして、そこである
程度必要な
施設費等を満たしてまいりました。しかし戦後におきましては、それらはほとんど全部なくなりまして、かわって
共同募金という制度ができたのであります。しかし
共同募金の
配分金は、何ぶんにもたくさんあります
社会福祉施設のことでありますから、絶対量が足りない、非常に少ない。ところが、
戦前政府が十分なこういう政策をいたしませんために、見るに見かねて、いわゆる側隠の情にかられて多くの
義人が進んで私財を投じ、あるいは無報酬というような立場で、刑余者の方とか保護を要する
子供、
保育に欠ける
子供、あるいは病人、あるいは失業者、母子世帯等々の保護をしてきたわけであります。ところが、それらの
施設はいまや非常に
老朽化しまして、見るにたえないようなものが出てきておるわけであります。それがもし措置費、事務費等に減価償却等の費用が含まれておりますと、それによってまた建て直していくということもできるわけであります。ところがそれが含まれておらぬ。そこで
社会福祉振興会というものをつくって、われわれももちろん賛成をいたしまして、それらの
施設に対する
融資等をしてまいりました。しかし、そこに大きな矛盾がありますことは、非営利事業でありますために、借金をいたしましても返す道がないわけです。減価償却等の費用が措置費、事務費に入っておればいいですけれ
ども、そうでない今日においては、返済をする道が本来はないわけです。そこに矛盾があるわけです。営利をする仕事ではない、しかし同時に、借金をすれば返済をしなければならない、その出す財源がない、こういう矛盾を持っているわけです。そこで先年来
社会福祉施設、
児童福祉施設等を経営いたします職員の
皆さん方から、減価償却の費用を措置費、事務費等に入れてもらいたいという強い
要望があったのでありますが、
先ほど来伺っておりましても、それがついに
児童局あるいは
社会局の御努力にもかかわりませず、ことしの
予算に入らなかったということであります。
そこで私の伺いましたのは、この
振興会法の
業務方法書等を見ましても、あるいは
振興会法第一条を見ましても、助成ということばが入っておるのであります。この
振興会の仕事は大きく分けて三つあります。一つは、それらの
施設に
融資をするということであります。第二は、それらのものに助成をすることであります。助成には
社会福祉事業施設の従事者の研修等のこともございます。第三は、その
社会福祉施設の従事者の退職金の共済制度を運営するということであります。ところが
先ほど来伺っておりますと、その
融資と退職共済のほうはやっておられますけれ
ども、助成はやっておらぬのであります。なぜ助成をしないかという質問に対しましての御答弁は、これは
予算が足りないということと陣容が足りない、不十分である。三十八人ですかの陣容でありまして、陣容が足りないということであります。三十八人のうち十四人は退職共済のほうをやっておる、二十人で
貸し付けのほうをやっておるので手が回らぬ、こういうことであります。一方貸借対照表を見ますと、そこには相当の利益金がある、そしてそれが諸積み立て金になっている。これは
予定額の九七%くらい一応なされておるということでありますが、それならばなぜ助成をなさらないか。その利益金、余裕金をもって当然助成の仕事をやるべきじゃないか。どうもそこに不熱心さがあるのではないか。消極的過ぎるのではないか。事業の安易な運営ということから考えて、ほんとうに日本の社会の第一線で基本人権を守ることができない、その欠けておりまする気の毒な
人々に対する
社会福祉事業あるいは
児童福祉事業の、そのとおとい使命に対する十分な援護の措置、バックアップという措置が当然この
社会福祉事業振興会でなされるべきでありますけれ
ども、それがなされておらぬ、足りないのではないかということをまず第一点に伺ったのであります。
さらに考えさせられますのは、本年度のこの
予算で、前年度一億五千万円でありました政府出資を一億円に減らし、そして
資金運用部
資金からの
借り入れ金をするというようなことになっておる。
資金運用部
資金は、
予定利息は御
承知のように六分五厘、この
振興会が貸します
融資は日歩一銭四厘ということになっておる。逆ざやになってしまうのではないか。本年は、
社会局長の御答弁でございますと何とかやっていけるが、将来はマイナスになるかもしれぬ、したがって、来年は利子補給の
予算措置をしてもらうようにしたい、こう言っておるのであります。もし
資金が足りぬために、いまのように貧弱な職員の組織でもって助成の仕事ができない、法律には書いてあるけれ
ども、いまだかってしておらぬということであれば、なおさら
資金をふやすべきである。一億五千万円をなぜ一億円にしたのですか。しかも逆ざやになると考えられる
資金運用部からの
借り入れをして、そして一銭四厘で貸すという行き方をする。それではいよいよ助成というような仕事はできないという形になってしまう。そこらに、どうも
社会福祉事業振興会に対する政府のお考えというものが——今度は政府自体のお考えが消極的であって、第一線で非常な努力をしておりますこれらの
社会事業家たちの期待に沿わないことになっているのではないか、どうも
振興会のこの経営のやり方というものは納得しかねる、こう思うのであります。こういう点を
先ほど来伺っているのでありますが、まず、どういうわけで一億五千万円が一億円になったのか、その点を大臣から承りたいのであります。