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1964-03-11 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十一日(水曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 小沢 辰男君 理事 亀山 孝一君    理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君    理事 河野  正君 理事 小林  進君       伊東 正義君    浦野 幸男君       大坪 保雄君    熊谷 義雄君      小宮山重四郎君    坂村 吉正君       竹内 黎一君    地崎宇三郎君       中野 四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    松浦周太郎君       松山千惠子君    粟山  秀君       亘  四郎君    伊藤よし子君       滝井 義高君    長谷川 保君       八木 一男君    八木  昇君       本島百合子君    吉川 兼光君       谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    山下 元利君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  医療金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六一号)      ————◇—————
  2. 田口長治郎

    ○田口委員長 これより会議を開きます。  医療金融公庫法の一部を改正する法律案について審議を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。本島百合子君。
  3. 本島百合子

    本島委員 ただいまいろいろと政治的折衝があっておる問題については、私質問を避けまして、前回医療金融公庫法が成立いたしますときに私御質問いたしまして、この法律ができた場合に、無医村あるいは医師不足地域、こういうところに対して特段の配慮が行なわれるかどうかという質問をいたしましたところ、そのつもりでございますと、こういう答弁でありましたので、その後これが発足いたしましてから、私的医療機関についてはどういう貸し付け等が行なわれて、そうした問題の解消に役立ってきたかどうかということを承りたいと思います。
  4. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 お答えいたします。僻地とか病床の少ない地区に対しましては、ほかの病床の多い地区と比較いたしまして貸し付け利率をよくする、また新築増改築等に六分五厘でこれを見る、できるだけ積極的に診療所病床増加というふうなことをはかっておるわけでございまして、いまここに手元にちょっと数字を持っておりませんが、かなり病床の少ない地区等において成果をあげておる、こういうふうに承知いたしておるわけであります。
  5. 本島百合子

    本島委員 ただいまの御説明ではちょっと私ども参考にすることが困難でございますので、資料等がありましたならば後ほど提出をお願いしたいと思います。  それに関連いたしまして、たとえばこの法律ができますときに特に主張されたのは、いま申し上げたような点であろうと思うのです。そういたしますと、今日、国民健康保険の問題におきまして、所管が少し違うかもしれませんが、地方は財政的な圧迫を受けて非常に困っておるからこれは国に返上すべきだという議論が、かなり、地方市長会あたりや、あるいは議員の中では話が出ておるわけなんです。その一つの理由は、ただいま申し上げたような無医地区なり、あるいはまた無医村というようなところに問題があるわけで、これと関連してこの医療金融公庫法がフルに活用させられるようなことができるならば、こうした問題の解消もある程度できるのじゃないか、こういう期待が非常に大きかったわけなんです。ところが、それが、民間の開業医方々に対しましてこの貸し付けが多く行なわれてこない限りはできない。そこで政府は、そのときの答弁を、私、繰り返しますが、公的医療機関配置することによってその問題の解決はできる、こういうことを言われておるわけなんです。したがって、公的医療機関がどの程度にこの医療金融公庫貸し付けを受けて、改造なりあるいはまた新築なりをされてきたか、こういうことを知りたいわけなんです。ですから、資料は別といたしまして、大体の全国的なことの把握はできていられると思いますから、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  6. 小林武治

    小林国務大臣 お話のような僻地等については、なかなか貸し付けというものは——貸し付けは返さなければなりませんから困難で、こういう方面には主として国民健康保険直営診療所というのを持っておりまして、その診療所が現在全国に二千八百五十九、こういう数字がありますが、これには政府補助金を出して助成をする。僻地診療については、おもにそういう方法でやっている。そうして貸し付けのほうは、どうしても返還をするというふうなことからして、多少採算がとれなければ貸さない、こういうことで、都市部病院等、あるいは私設医療機関貸し付ける。そしてお話のような僻地診療機関は、多くは政府が直接助成をするというふうな方法でやっているというふうにひとつ御了承願いたいのでございまして、毎年、僻地診療所をつくる者に対しては政府補助金設備には出す。それから、その上また、せっかくできてもいなかでは採算がとれない、こういうことで病院そのもの赤字が出る、診療所赤字が出る、こういうことで、これらに対しましては国民健康保険調整交付金というものを出してそのお手伝いをしておる、こういうことでありまして、やはりおのずから貸し付けの対象になるものは、初めからどうも一やはり貸し付けでありまするからして、どうしてもほんとう僻地診療所というようなものについては、なかなかこの貸し付け返還というような問題が起きない、こういうふうにひとつ御了承願っておきたいと思います。
  7. 本島百合子

    本島委員 せっかく大臣から答弁していただきましたが、私、国民健康保険の問題を直接に聞いておるわけじゃなくて、適正配置をして、ただいま言った無医村−極端に申し上げたのですが、医療施設の少ない地域、こういう地域公的医療機関を増設するということにおいてその問題の解消をあわせもってやる、こういうふうに答弁されたわけなんです。ですから、そういう点でどういうふうな措置がとられてきたか。また、優先的に貸し付けをする、こういうことを当時答弁されたのです。ですから、今日どの程度にそれが解消されてきたかということを聞いているわけなんです。
  8. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま大臣から御答弁がございましたように、僻地対策といたしましては、国保関係で直診をつくるほか、国から補助をいたしまして公的医療機関と結びつけた僻地診療所、この運営に当たっておりまして、これが六、七年間で三百二十余りできております。こういうふうな僻地対策の問題をやっておりますと同時に、私的医療機関に対しまして、医療金融公庫、この貸し付け関係利率を安くし、優先的にできるだけ見ていくというやり方をやっておりますが、その数字が、僻地だけというように取り上げている数字は残念ながら持っておりませんが、病床の不足しております土地におきましては、一般病床がこの設立以来三十八年十二月末までに三万五千ぐらい、精神病床が二方四千ばかりベッド数として増加しておるような状態でありまして、この病床の不足しております地域新設または増床によるものを、利率を少なくして貸しておるということによっての効果が大いにあらわれておるわけであります。
  9. 本島百合子

    本島委員 そういたしますと、私的医療機関においては、ほとんどこの効果は出てきていないということが言えるわけなんですか。
  10. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 ただいまお話しいたしました一般病床三万五千、精神病床二万四千は、これは私的医療機関でございます。これは病床の少ない地域で、僻地ときまっておりませんが、病床の少ない地域全般としての問題でございます。それから、その私的医療機関のほかに、先ほど大臣から御答弁がございましたように、国保直営診療所、これは国から補助を出しておる。また、そのほか親元病院と連絡いたしました僻地診療所をつくるということに対して、またその運営に対しまして国から——これは医務局関係でございますが、そのほうから補助金を出してやらしておる、こういうようなので、三本立てと申しますかになっておるわけでございます。したがってこの病床は、いま申しましたのは医療金融公庫を通じました私的な医療機関増床でございます。
  11. 本島百合子

    本島委員 そういたしますと、多少効果があがってきておるという感じを受け取るわけなんでございますが、実際問題として利率問題等、これはいま政治折衝があっておりますから、私、深入りいたしませんが、特別の恩恵と、こう言われたのですが、私的医療機関に対する特別の恩恵というのは、どういう点でなされておりましょうか。
  12. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 医療金融公邸でいま二百五十億くらい貸しておりますが、これはみな私的医療機関でございまして、その利率病床の少ない地域には六分五厘にして安くお貸しする、またできるだけ優先的に新築等にもこれはお貸しする、こういうようなことをやっておるわけでございます。
  13. 本島百合子

    本島委員 くどいようですが、この場合に、公的医療機関適正配置と並びに私的なこうした医療機関のあんばいをじょうずにとっていくことによって、医師のないところ、あるいはそういう恩恵の少ない地域を開拓する、こういうことであったわけなんです。それは全部が全部とは言えないと思いますが、特別にそういう地方のことについては考えるという、その配慮をということで私、質問したわけなんです。したがって、私どもが調べております範囲内においては、まだ現在あるところを改築なり増築なりという形において伸ばしていられるわけなんですから、そうすると、公的医療機関においても、そういう地域に特別な設置がない限り問題の解決にはならないということになるわけですが、そういう点に対して厚生省としてはどのようにこれから先を考えられるか、これをひとつ承りたい。
  14. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 公的医療機関に対しましても、病床の少ない地域、こういうようなところに補助とか融資というふうな面で優先的に考えていく。したがいまして、病床の多い地域につきまして公的医療機関をつくるというふうなものにつきましては、融資等においてもそれを押える、補助金ももちろん出さない、こういうようなやり方をやっておるわけです。特に医療法の一部改正に伴いまして、自前でやられるというふうな公的医療機関に対しましても、地域人口数と現在ありますベッド数のそういうふうなものの関係で、あまりにベッド数が多いところは自前でやられても公的医療機関新設は押える、こういうことになりまして、その基準を示します省令も近日出る、こういうような運びになっております。なお、同じような方法で私的の医療機関、これは個人の方もありますれば医療法人等もございますが、そういうようなものに対しましても、医療金融公庫等融資の貸し出しの場合に利率の問題、また新築につきましては、病床の多い地区では認めないのでございますが、そういうふうなことを病床の少ない地区にはどんどん優先的に認めていく、こういうふうにいたしまして、できるだけ日本全体にベッド数が均一化するように努力しておる。さらに、どうしても私立の診療所ができないようなところには、先ほどから申しております国保関係、または医務局から補助金を出します僻地診療所というふうなものでそれを補っていき、さらにいなかのほうにつきましては巡回診療車とかいうような手を打っていく、こういうようなやり方をやっておるわけでございます。
  15. 本島百合子

    本島委員 私どもが特に皆保険下における診療体系というものを考えますときに、そういうアンバランスのあるということが、国保の場合にも大きな問題になってきているわけですね。そうすると、何とかしてそういう点を解消したいということで、医療金融公庫法というものが制定されたわけですから、そういう観点に立てば、こうした問題を、自然発生的に個人の急患においてつくられることに援助をするという形だけでは、私は解決はしないと思います。したがって、こういう点で厚生省も特段の配慮をする、こういう答弁があったのだから、そういう地域はもう把握されておられると思いますので、そうした地域に積極的な働きかけというようなものがあるのかないのか、これがもしないとするならば、私的医療機関においては、特にそういう無医村だとか僻地だというところで開業なさるということはほとんどできないことだと思います。公的医療機関がそれだけの積極性を帯びて漸次そうした問題の解決のためになさるかというと、これまたなかなか採算がとれないということでできないわけですから、こういう点については、この法律のたてまえからして、できるだけ積極的に開業なさる方々を誘致するというような方策がない限り、この法律ができてもやはり都心部に集中的になって、そういう辺地ということになればなかなかできないのじゃないか、都市に集中的なものになるのではないか、こういうことが行なわれる危険性があると思うものですから、もう一度重ねて聞きますが、そういう点について厚生省としては何らかの手を打つという配慮をされておるかどうか、こういう点、せっかく大臣がおられますから、その構想について伺っておきたいと思います。
  16. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のような必要がありますが、医療営利と申してははなはだ語弊がありますが、とにかく採算を考えてやる、こういうことになると、ほんとう僻地等には開業する人がありません。そのためにお金を借りたぐらいでは問題にならない。お金を借りれば返さなければならぬし、あるいはまたふだんの運営費経常費をまかなわなければならぬので、ほんとう僻地解決というものはそれを待つわけにはまいりません。それでやむを得ず、僻地については国民健康保険直営診療所を設けてやっておる。そして恒常診療所設備については国庫債を出し、足りない分については地方債で見てやる、こういうことで、私的の医療機関が設けられないところはそういうふうにしてやる以外にない。いまとにかく民業というものが自由業になっておりますからして、ただ家に金を貸すくらいの方法では、ふだんの商売が成り立たないところに誘致することはできない。したがって、これらのものは、多くは公的の措置によって僻遠の地にも医療機関が設けられるというので、ただいま私が申したように二千数百のものが、そういう関係でもってほんとう開業のできない、普通のお次者さんが行ってくれない、こういうところにやむなくそういう方法をとっておるのでありまして、やはり民音が一つの営業である限りは、どうしても採算のとれるところでなければ行かない。それをどうしてもやれということは、なかなかできません。せっかく医療機関をつくっても、実はいま三百も四百もお次君さんのいない地区ができる。そういうような診療所があって医者がいないというところまでいまできてきておるのでありまして、これらも、どうしてそこへ医者に行ってもらうようにするかという方法もある程度、私的ではできない、公的にひとつ考えよう。すなわち、いまではそういうような直営診療所は、多くは町村月給を払っております。ところが、町村の出す程度月給ではもう落ちつかない、こういうような問題まで出てきておるのでありまして、そういうような運営、すなわち医者月給までひとつ公的に何か考えなけれ、ばならぬときが来ておるのではないか、こういうふうに思っております。  したがいまして、医療機関がややもすれば都市に集中するということは、いまのところ避け得られない現象——それは医者移動というものが自由になっておりますから、これをただ施設に貧し付けをする程度では、これの移動を、いまよりか山村にも行けるようにするということはなかなかむずかしい問題であります。いずれにしましても、この貸し付けが、いまでも二百数十億の残高もある、また、来年度も百三十五億も貸し付ける、こういうことで、医療機関が非常に古くなっておるのもありますし、こういうものの改善のためには都市でもどうしても必要だ、こういうふうに思っております。それで、いま申し上げるように政府助成して、残りの分はい左では起債で扱っておる、僻遠土地は。そういうことまでいたしておるのでありまして、お話のようなことをぜひつとめなければならぬが、これは医療金融公庫活用によってはなかなかむずかしい。したがって私どもは、できるだけ公的手段によってそういう医療機関山村にまで普及できるようにしたい、こういうような考え方を持っております。
  17. 本島百合子

    本島委員 この利息その他の問題については、また明日なさるわけですから、その場合にまた質問したいと考えておりますが、私がきょう質問したのは、そうした公的医療機関私的医療機関が適正に配置をされていく、そのためにこの医療金融公庫法活用があるのではないか、こう思ったわけです。ところが、先ほどから言っておるように都市に集中的になって、辺地といわれる——辺地といっても無次村だとかいうような地域まで考えずに、その中都市地域までおろして考えてみても、この活用がなかなか行なわれていないというふうに私は聞いておるのです。いま言われた線からいえば、これは必ず地域的に片寄っているのであると思いますが、この点どうでしょうか。これを全国的にあなたのほうで計画して、この地区にこれだけ貸し付けるのだというふうに配分されているものかどうか。それがなくて、申し込みがあったもの全部に貸し付けるという形をとっておられるから都市に偏在してきたのじゃないか、こういうふうなことを言っておる者があるものですから、この点もう一度聞きたいのですが、そういうきらいはあったかなかったか。
  18. 小林武治

    小林国務大臣 ただいまのお話でございますが、むろんいま申し込みを全部消化しておればいまのような問題も起きますが、いまでも半分も満たせない、要求に対して半分以下しかお貸しできない、こういうかっこうでありますから、いまのようなことも相当考慮されて運営をされておるというふうに考えます。  なお、医療機関適正配置の問題につきましては、昨年医療法改正になりまして、そして病床の多いところは公的病院増床あるいは設置等を制限するという規定も最近できましたので、むしろ私的医療機関でなくて、公的の医療機関々制限することによっていまのお話のような目的を果たそうというふうに考えておりますし、また、先ほどからお話がありましたように、病床増加の必要なところは特に利率を安くしておる、こういうことによっていまのような目的もある程度果たしておるということで、いまの配置のことにつきましても、貸し付けについては十分考慮して考えておる、こういうふうにひとつ御了解願いたいと心います。
  19. 本島百合子

    本島委員 もう一点お聞きいたしたいのですが、この場合に全部貸し付けられていない、そうすると基準があるはずですね。そういう基準というものか公平に行なわれているかどうかということ。貸し付け順位の問題ですが、そういう点である医療機関からのお話でいくと、これを借りようと自分は考えたがどうしてもできない、それがなぜできないか、こういう質問を受けて私困ったわけなんですか、そういう点の順位というものはどういうふうになさっておるのでしょうか。たとえば、この地域においてこの病院はどうしてもある程度大きくしてやらなければ消化ができない、そういう観点に立って判断されて貸し付けの問題になっておるのかどうか。これは厚生省ではおわかりにならないのでしょうか。
  20. 小林武治

    小林国務大臣 むろんいまのような趣旨で貸し付けをしておりますか、あるいは具体的に個々の問題については多少曲がったことがあったかもしれません。こういうようなことは厚生省十分注意をしておりますし、また、もし具体的にそういうことがあれば御注意をいただきたい。  それから、ことに従来貸し付けをしておりました大病院には一切医療金融公庫から貸さない、これは厚生年金事業団のほうに譲る、こういうことによって、小規模と心してはなんですが、中規模以下の私的の医療機関に対して貸し付けをする、こういうふうな直し方もいたしまして、いま申したように大企業にはこの公庫から出さないというようなことまでいたしております。十分お話のようなことは気をつけてまいりたいと思います。しかし、中には多少間違ったことがあるかもしれませんし、またこれからもあるかもしれませんが、そういうことのないように御注意もいただいてやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  21. 本島百合子

    本島委員 私の質問はこれで終わりますが、これが最初にできましたときに、遡行としてできるだけ優先的に僻地に近いところ、あるいは個人開業をされてもなかなか困難な地域が多いけれども、なるべくそういう地域優先的貸し付けをして開拓してみたいという御答弁があったものですから、私特にこれを聞いたわけなのです。今後の問題として、できるだけそういう医師、医院というものが全国的に適正に配置されてまいりますことについて、やはり厚生省としてもある程度構想をお持ちになって、開業医私的医療機関に対しても何かの手を打たれていったほうがいいのじゃないか。公的医療機関だけにたよってみたところで解決ができるとは私考えてていない。そういう点で何とか配慮できないものかということを考え、そのことが、また皆保険下におけるところの平等なる利益となるわけですから、そういう意味合いで何らかその構想厚生省でお立てになる必要がある、こう思ってその点を最後に私聞くのですが、厚生大臣のいままでの答弁を聞けばだんだんそうしていらっしゃるようですが、だんだんとできるのを持ったのでは間に合わないから、その点積極的に手を打つということがないものか、こういうことでお尋ねいたします。
  22. 小林武治

    小林国務大臣 いまの本島先生お話はもうごもっともでございますから、私どももぜひそういう配慮をしてまいりたい。医療金融公庫にも注意をいたしますし、また厚生省としてもそれを推進するようにしたい、かように考えます。
  23. 長谷川保

    長谷川(保)委員 いまの質問に関連するのでございますが、先般来大臣お話、同僚の委員諸君のを伺っておりますところによりますと、なお資金の需要員が非常に多くて、供給量が足りないのだというお話でございます。しかし一面、いまのような、医療機関によりましては当然貸してくれていいのにと思われるのに貸してくれないという面もあるようであります。供給量需要量が違うのでありますから、当然全部の需要を満たせられないといたしましても、それならそれだけに、また全体の医療機関分布等をも考えながら、あらゆる点で公平に、時宜に適したように貸し付けをしなければならぬということになるわけでありますけれども、いまのお話を聞いておりまして一つ感じますことは、医療というものは営利事業であってはならぬ、同時にまた、さればといって、採算がとれないというようなことではできないというお話もあったわけでございまして、そこに一つ矛盾があるのであります。しかし、当然貸してくれていいと思われるのに貸してくれないという不満が一方にありますのには、私の考えますところでは、医療金融公庫の実際の仕事をやりまする銀行が、私の聞くところでは、貸し付けについて二割くらいの責任を負うのだというように耳にしておるのであります。出先銀行が、貸し付け金額の二割くらいについては返済の責任を負うというような内規か規定があるのであるかどうか、その点を承りたいのであります。
  24. 大崎康

    大崎政府委員 お話のように二割の責任がございます。
  25. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それでは伺いますが、いま実際に医療金融公庫貸し付けば、医療機関に貸します場合にはその医療機関が大体その出先銀行、取り扱いを実際やります銀行を通して診療報酬基金からの支払いを受けておると思います。そういう銀行を大体通して借りていると思うのです。つまりその隆療機関は、一方では銀行を通して診療報酬基金からの支払いを受けている、一方ではその銀行を通して医療金融公庫から借り、そして医療金融公庫にその銀行から返している。実際におきましては、その基金から支払われまする診療報酬、それを一番初めにいわば先取りをいたしまして、優先的にそれからお支払いをしている、こういうのが実情であろうと思うのでありますが、その点は全部そうやっているのではないか。
  26. 大崎康

    大崎政府委員 社会保険の支払基金との関係で、医療機関に取引銀行になっている銀行を通じて医療金融公印においても貸し出しがなされておるということは、お話のとおりでございます。しかしながら、医療金融公庫に対する返済金は、社会保険の診療報酬の中から優先的に返済する、こういうふうなことにはなっていないわけでございます。
  27. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そう考えておるのは厚生省医療金融公庫だけでありまして、実際はそうではない。実際は、支払基金から支払われますものから、優先的にまず公庫のを支払うという形をやっております。これは銀行としては、そういう手を打つのは当然だと思います。そういう手を打って、銀行公庫責任を負っておりますその銀行を通しての貸し付け金の元利の回収をしていく。それは銀行当局としては当然なことだと思います。   〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕 といたしますれば、私は、いまの貸し付け金の二割の責任銀行に持たしておく必要はないではないか。その責任銀行に持たせますから、銀行といたしましては、御承知のように金融機関の当然のあり方といたしまして、念には念を押す、石橋をたたいて渡るという形になります。二割の責任を負わせられておる。したがって、一番先に申しました医療機関一つの矛盾、営利事業であってはならない、同時にまた採算がとれなくてはならない、そういう一つの大きな矛盾を持っておるのでありまして、したがって、医療機関というものかめちゃくちゃにもうける医療機関ならば銀行は少しも心配いたしませんけれども、そういう矛盾の中で、もうけるでもない、もうけぬでもないというような形をしていかなければならぬ、医療機関といたしましては、銀行はつい、あんまりもうからない医療機関に対しましては貸さないという形が出てくる。   〔澁谷委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 先ほど来申しましたような、都市に集中してわりあいにもうかるような仕事には銀行は貸しますけれども医療機関のなくてならない農村地帯、山村地帯、その他先ほど大臣がおっしゃいました、どうしてもどうにもならぬところは公的に医療機関配置をしなければならぬ、そのための起債その他をやっていくということを言われておるわけでありますが、それもぜひやってもらいたいと思いますが、それと、都市のもうかる地域との中間地帯、そういうような医療機関がどうしてもなくちゃならないところ、しかも不十分なところ、銀行は、この仕事を広げてももうかるかもうからぬかわからないというようなところには、二割の医療金融公庫に対する返済の責任を持たせられるということになりますと、貸さないということになってくる。医療事業全体の運営と全体の矛盾がそこに出てくるという形になると思います。でありますから、銀行は当然診療報酬支払基金事務所から支払われますものを優先的に必ず取りますから、二割の返済の責任銀行に負わせるということはせぬでもいいのじゃないか。そういうような二重の負担を銀行にさせていくような形になりますから、銀行としてはいよいよ慎重になって、医療機関のなくてはならぬところにも金を貸さない。そういう利益の十分に上がらないと思われるところには貸さないという形になって、国の金を医療金融公庫を通して出すという制度をつくりながら、なくてはならぬ医療機関、しかし十分な営利的な採算はとれないというものへは銀行は貸さない、二割の返済の責任があるとなれば、銀行としては、営利事業でありますからそうなるのが当然でありまして、そこに先ほど来同僚委員が伺っておりまする一つの矛府が出てくるのではないか。そこに、せっかく医療金融公庫という非常にいい制度をつくりながら、なくてはならぬところに金が回らぬということがあって一方に不満が出てくるのではないか、こういうように思うのです。だから、その銀行に返済の二割の責任を負わせるということをやめるべきだと私は思います。そうして、そのかわり支払基金事務所から銀行を通してその医療機関には出すのだという形をとらせると、その点がよほど変わってくるのではないか、よほど緩和されてくるのではないかというように思うのでありますが、その銀行に必ず二割の返済の責任を持たせなければならぬという理由が、どうも私には十分のみ込めないのだが、それを変える意思はないか、どうか伺いたい。
  28. 大崎康

    大崎政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたいわば医療機関の適正な配置と申しますか、そういうふうな計画に沿って医療金融公庫の資金というものが貸し出されなければならないということについては、全くお説のとおりでございます。したがいまして、医療金融公庫貸し付け準則におきましては、御案内のように甲種地区と乙種地区というものを設けまして、甲種につきましては一定病床を満たしていない地区を甲と称し、それ以外のものを乙種と称して、でき得る限り病床というものを一定水準まで引き上げるというふうな目的に沿って貸し出しが行なわれているわけでございます。そこで、先生のいまお話がございました銀行の二割の責任額というものをやめたらどうかということでございますが、この場合に、銀行公庫の代行として、いわば金融機関といたしまして当然のことではございますが、医療機関の資産の内容なり何なりを調査するということになっているわけであります。そういうふうな調査というもの担保するためには、やはり何がしかの責任額というものを金融機関に負わせるということが、従来の金融界のいわば常識と申しますか、そういうふうなものがあるわけでございます。したがいまして、二割という額につきましてこれをなくすというふうなことにつきましては、先年の御意見はございますが、それはいかがというふうに考えている次第でございます。
  29. 長谷川保

    長谷川(保)委員 いま申しましたように、それをとりませんと、、どうしたって銀行営利機関ですから、なるほど公庫のためには、非常に慎重に金を貸してくれるから、公庫の会計上の収支勘定におきます問題では、公庫は安全でありましょう。しかし、先ほどお話しのような医療適正配置という点では、どうしても銀行営利機関でありますから、それを少しでもかぶせるとなりますと、これは銀行としては二の足を踏む地域が、いまのようなベッド数等の足りない地域におきましては、むしろそういうところにこそ銀行としては不安を感ずるという形になります。もちろん私は、それぞれ尽力していろいろ努力してくれていると思いますけれども、また努力していることも承知しておりますけれども、同時にまた、いまのような、当然貸してくれそうなものだという医療機関が借りられないという点が確かに出てくるのだろうと思います。だからむしろ、貸し付けた場合には、診療報酬支払基金事務所から必ずその銀行を透して支払うのだということをし、それに対しては優外的にそれから返済をさせるということさえやっておけば、二割という責任を打たせなくてもやれるのじゃないか。決してその間に、医療金融公庫が不当な損害を受けるというようなことはないのではないか。銀行が無責任にやるということはないではないか。大体今日の診療報酬というものは、御承知のように保険関係が主で、診療報酬支払基金事務所からほとんど全部支払われるのであります。したがって、診療報酬支払基金事務所から支払われるものから払えないというようなことでは、これは問題にならないのであります。その病院自体が成り立たぬことは明らかであります。公庫の元利返済さえもできないというのは、これは問題にならぬのでありますから、それさえ確立しておけば、二割というものを銀行に負担させなくてもそれはいいと私は思うのです。そこらを考え直す必要があるのじゃないかというように私は思います。  この際、ついでにちょっと伺っておきますが、その出先銀行にはどういう費用を、銀行のそういうような扱いに対しては払っておるのか。そういうことを、いままで一つも同僚議員も聞いたことがないのでありますが、取り扱い銀行に対しては、どういうコミッションというか、そういうものを与えているのか、それを承っておきたい。
  30. 大崎康

    大崎政府委員 二千万円までは実収利息の二割、それをこえる場合は、実収利息の一割五分というものを支払っております。いま申し上げましたのは三十九年度からの予定でございます。それで現在におきましては、すべて実収利息の二割となっております。
  31. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこでもう一つ伺っておきたいことは、資金運用部資金の借り入れ金については、公庫としては幾らの利息を払っているのですか。
  32. 大崎康

    大崎政府委員 運用部資金に対しまして、公庫から六分五厘の利子を払っております。
  33. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうしますと、私、一つそこで問題が出てくると思うのでありますが、何と申しましても公庫融資の一番大きな部門を持ちますものは、これは病院新築、増改築資金であります。新築、増改築資金でございますと六分五厘でございましょう。六分五厘の利息だと思いますが、そうなると、資金運用部資金には六分五厘で払う、そうして銀行へは実収利息の二〇%を支払う、そうなりますと、公庫の経営はずいぶん困難なことになるのじゃないか。もちろん政府出資金もありますけれども、ずいぶん困難になるのではないかというふうに、私は事業経営者の勘として考えるのでありますが、公庫の事業経営の利潤その他のことが参考書に何も載っていないのでありますが、どれくらい公庫はもうかっているのですか。
  34. 大崎康

    大崎政府委員 医療金融公庫の三十九年度の収入は主として貸し付け金利息でございまして、それは二億を予定いたしておるわけでございます。
  35. 長谷川保

    長谷川(保)委員 収支状況はどうなっておりますか。
  36. 大崎康

    大崎政府委員 収支状況は、収入が三十九年度予定額二十二億五千百七十四万八千円、支出二十億一千百七万五千円ということになっております。
  37. 長谷川保

    長谷川(保)委員 人件費その他の諸経費はどのくらいかかっておりますか。
  38. 大崎康

    大崎政府委員 役職員の俸給額は、百三十九人でございまして、六千八百八十五万三千円でございます。なお、これらの俸給を含めました事業損金、これは俸給及び諸手当その他の事務費が入りますが、これが十九億九千五百七万五千円でございます。
  39. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先ほどの収入の二十二億というのは、これは内容は何と何ですか。
  40. 大崎康

    大崎政府委員 事業益金、これが貸し付け金利息二十二億四千五百七十九万一千円でございます。それから雑収入といたしまして五百九十五万七千円、以上でございます。
  41. 長谷川保

    長谷川(保)委員 よくわかりました。  そこで、同僚議員も聞いたと思いますが、私もノートを調べたのでございますが、私のノートに落ちておりますのでもう一度、あるいは重ねてになるかもしれませんけれども伺っておきたいのは、今回の三十九年度の資金量の予想百三十五億で、資金の需要に対してどれくらいの割合になるという予定でございますか。三十九年度の借り入れの申し入れに対して、どれくらいのパーセンテージになりますか。
  42. 大崎康

    大崎政府委員 これは、はなはだむずかしい問題でございます。したがいまして、これは確実な数字を申し上げることはできませんが、私どもの推算によりますと、年間概算二百億の貸し付けの要求があると考えております。それに対しまして三十九年度の原資百三十五億、貸し付け契約額百四十五億、貸し付け契約額は、二百億の七二・五%に当たっておるわけでございます。
  43. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それで、医療金融公庫の当局といたしましては、この七二・五%ということで大体いい、適正であるとお考えでしょうか、それともまた、これではなお実際においては満たすべき需要に対してこの供給量は足りないのだ、こういうようにお考えで、しかし、どうも大蔵省の関係でやむなくここまでになったのだ、こうおつしゃるのでしょうか、そこらの事情も伺いたい。
  44. 大崎康

    大崎政府委員 現在の額で私ども必ずしも満足はいたしておりませんが、政府全体の財政計画もございまして、この程度でやむを得ないかと、こういうふうに考えております。
  45. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、年々こういうようにずっとふえてきておるわけでございますけれども、三十五年度三十億から始まりまして亘二十五億というところまできておるわけでありますが、なおこれはさらに大きくしていくべきものだと公庫当局では考えておられるのでしょうか、少なくとも来年度ですね。
  46. 大崎康

    大崎政府委員 お話のとおりさらに拡大をしたい、こういうふうに考えております。
  47. 長谷川保

    長谷川(保)委員 わかりました。終わります。
  48. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 暫時休憩をいたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕