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1964-02-26 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十六日(水曜日)委員会にお いて、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  雇用失業対策小委員       井村 重雄君    浦野 幸男君       小沢 辰男君    大坪 保雄君       亀山 孝一君    坂村 吉正君       澁谷 直藏君    田中 正巳君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       松山千惠子君    大原  亨君       河野  正君    八木 一男君       八木  昇君    吉村 吉雄君       吉川 兼光君  雇用失業対策小委員長                 澁谷 直藏君 ————————————————————— 昭和三十九年二月二十六日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 井村 重雄君 理事 亀山 孝一君    理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君    理事 河野  正君 理事 小林  進君       伊東 正義君    浦野 幸男君       大坪 保雄君    熊谷 義雄君      小宮山重四郎君    竹内 黎一君       中野 四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    橋本龍太郎君       藤本 孝雄君    松山千惠子君       粟山  秀君    渡邊 良夫君       亘  四郎君    伊藤よし子君       滝井 義高君    長谷川 保君       八木 一男君    八木  昇君       山口シヅエ君    山田 耻目君       山下 榮二君    谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         厚生政務次官  砂原  格君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君         厚生事務官         (年金局長)  山本 正淑君  委員外出席者         議     員 伊藤よし子君         議     員 山下 榮二君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    山下 元利君         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    宇佐美 勝君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     村山 松雄君         自治事務官         (消防庁教養課         長)      山崎 達三君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 二月二十六日  委員本島百合子辞任につき、その補欠として  山下榮二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山下榮二辞任につき、その補欠として本  島百合子君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十五日  母性保健及び母子世帯福祉に関する法律案  (伊藤よし子君外十一名提出衆法第一八号)  国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任に  関する件  医療金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第六一号)  母子福祉法案内閣提出第九四号)母性保健  及び母子世帯福祉に関する法律案伊藤よし  子君外十一名提出衆法第一八号)  公害対策基本法案吉川兼光君外一名提出、衆  法第一一号)      ————◇—————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出母子福祉法案議題とし、審議を進めます。
  3. 田口長治郎

    田口委員長 提案理由説明を聴取いたします。小林厚生大臣
  4. 小林進

    小林国務大臣 ただいま議題となりました母子福祉法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  わが国における母子家庭の総数は、昭和三十九年現在約九十五万世帯と推計されておりますが、これら母子家庭の中には、経済面におきましても、社会生活の面におきましてもきわめて不安定な状態に置かれているものがあり、児童養育面ではもとより、家庭生活健全性がそこなわれる要因が多々内在していると考えられるのであります。  政府といたしましては、このような母子問題の重要性にかんがみまして、この際、母子福祉に関する施策整備し、他の関連施策の充実、強化と相まって母子福祉施策を推進してまいりたいと考え、この法律案提出した次第であります。  次に本法案について、その概要を御説明申し上げます。  最初に、この法律案では、母子福祉に関する基本的な考え方を国民の前に明らかにすることによって、母子福祉に関する国、地方公共団体施策、あるいは母子家庭の母の自立への努力について、その指標を与えることとしております。このため、まず母子福祉基本理念としまして、すべて母子家庭には、児童がその置かれている環境にかかわらず、心身ともにすこやかに育成されるための諸条件と、その母の健康で文化的な生活とが保障されるべきであるとしており、骨子福祉基本を貫いているのは、母とその子の福祉が、一体となって保障されなければならないことを明らかにしております。  次に、福祉措置の第一は、母子家庭経済的自立助成するために必要な資金貸し付けについてでありますが、この貸し付け金制度は、現行母子福祉資金貸付等に関する法律により昭和二十八年から実施されておりますが、今回この法律案提出するに際しまして、現行貸付法を廃止し、この法律案に吸収することとしたのであります。  第二は、母子家庭に対する職場開拓雇用促進についてであります。現在母子家庭の母が公共的施設内に売店等設置したい場合、あるいはたばこ小売り人の指定を受けたい場合にはこれを優先的に許可することとしておりますが、この法律案におきましてはさらに母と子に対し、その雇用促進をはかるため、母子家庭福祉機関職業安定所が相互に協力しなければならないこととしております。  第三は、母子家庭に対する住宅対策についてでありますが、母子家庭自立する上に住宅問題の解決はきわめて緊要でありますので、この法律案では、母子家庭公営住宅への入居については特別の配慮がなされなければならないこととしております。  最後に、母子福祉のための施設としては、無料または低額な料金で母子家庭の利用に供するための総合施設として母子福祉センター及び母子家庭休養施設として母子休養ホームを設けることを規定しております。  以上、この法律案提案理由について御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。      ————◇—————
  5. 田口長治郎

    田口委員長 次に、伊藤よし子君外十一名提出母性保健及び母子世帯福祉に関する法律案議題とし、審査を進めます。
  6. 田口長治郎

    田口委員長 提案理由説明を聴取いたします。伊藤よし子君。
  7. 伊藤よし子

    伊藤(よ)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました母性保健及び母子世帯福祉に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  言うまでもなく、戦後わが国においては、新しい憲法のもとで国民基本的人権が保障され、戦前に比べて国民一人一人の人間としての権利が大きく尊重されることになったのでありますが、現実経済社会生活においては、まだまだこうした権利が十分保障されていないのが現状であります。そのことは、制度上の問題としては、たとえば年金医療心身障害者福祉など社会保障制度の不備、貧困などにはっきりと示されております。国民年金、皆保険の体制が一応整いましたものの、その内容はきわめて粗末なものであります。特に、母と子のしあわせ、言いかえれば、社会の次代のにない手たる子供とその母親権利福祉を守り向上させるという面では、ILOの国際的基準などに比較して著しい立ちおくれがあると言わねばなりません。  今日の制度を見ますと、児童福祉法母子福祉資金貸付法等児童保護未亡人世帯への助成措置個々には応じられておりますが、全体として見た場合、積極的に母と子の権利を守り育て、社会構成員としての子供及びこれをはぐくむ母親福祉社会全体の責任において向上させていくという趣旨制度を欠いているのでございます。  また、この数年の日本経済高度成長の中で、町には高層ビルが林立し、緑の田園に近代的容姿を誇る工場が出現し、家庭には各種の消費財が取り入れられましたが、目を私たちのまわりに向けてみると、この高度経済成長消費ブームに取り残され、物価高の重圧の中で生活に疲れ、明日への希望も失いがちなたくさんの勤労者がひしめいているのが現実の姿であります。特に一家の働き手を失った母子世帯の場合、生活の悩みがひとしおであることは申すまでもございません。  私は、こうした現状にかんがみ、まず第一に、母と子のしあわせを守ることが国民全体の責任であり、国や地方公共団体母子福祉保健のために必要な施策を講ずること、第二に、働き手を失った母子世帯生活安定向上のために特別の措置を講ずることが必要であると考え、この法律案提出した次第でございます。  次に、本法案についてその概要を御説明申し上げます。  まず、この法律案では、基本理念として、すべて母性は、子が心身ともにすこやかに生まれ育つための源として、その健康が保障されるべきこと、及びすべて母子世帯には、児童が、その置かれている環境にかかわらず、心身ともにすこやかに育成されるために必要な諸条件と、その母の健康で文化的な生活とが保障されるべきことを明らかにしたのであります。そして、このため国及び地方公共団体責務を明確に規定いたしました。  その内容としては、第一に母性保健のために、妊産婦無料健康診査妊産婦、乳幼児へ牛乳など栄養食品無償給付、出産に関する費用国庫負担等措置を講ずるとともに、母性保健センター整備拡充することといたしました。  第二に、母子世帯福祉であります。まず生活安定の基本である所得保障、特に年金給付が健康で文化的な最低限度生活を維持し得る額でなければならないことを明記いたしました。たとえば母子福祉年金がわずか月額千三百円にすぎない現状では、この規定を特に強く制度の中に生かす必要があると考えます。また、母子福祉資金の無利子貸し付け母子世帯のための公営住宅の確保、公共的施設内での売店設置等についての優先的取り扱い母子世帯の母や子の雇用促進税制上の優遇措置母子寮増設等について国の責任を明らかにいたしました。さらに母子世帯生活相談、指導のために母子福祉センター整備拡充し、常勤の母子相談員を十分に配置するとともに、レクリエーションのための母子休養ホーム整備拡充母子世帯福祉増進のための母子福祉団体助長育成等についての国の義務を規定いたしました。  以上、この法律案提案理由の御説明を簡単に申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上可決されるようにお願いする次第でございます。      ————◇—————
  8. 田口長治郎

    田口委員長 次に、吉川兼光君外一名提出公害対策基本法案議題とし、審査を進めます。
  9. 田口長治郎

    田口委員長 提案理由説明を聴取いたします。山下栄二君。
  10. 山下榮二

    山下議員 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公害対策基本法案提案理由並びにその概要を御説明申し上げます。  今日、私たち生活環境を取り巻いております公害は、多くの種類のものが、さまざまな形で発生し、これがますます累積化される傾向にあります。  申すまでもなく、公害が及ぼす悪影響は、国民の健康並びに生活利便を害するだけでなく、わが国産業に与える経済上の損失をも放置できない段階に立ち至っております。しかるに今日、これら公害防止のためにとられている措置は、きわめて微弱でありまして、しかもその責任の所在は不明確であります。  また、公害防止対策の基礎となっております実態調査並びに環境科学技術研究も、非常におくれているのが実際の姿であります。  かかる意味におきまして、経済成長とともにますます発生してまいります公害防止することは、政府事業者を問わず、国全体の問題として、これに早急に対処する必要があるのであります。これが本案提出いたします理由でございます。  次に、この法案内容について概要を御説明申し上げます。  第一条、目的は、ただいま申し述べましたことをここに明らかにしてあります。  第二条では、これまで公害が単なる概念であったものを、一、大気汚染、二、水質汚濁、三、悪臭、四、騒音、五、振動、六、地盤沈下と六種類に分類規定し、それぞれが、多数の住民の健康並びに動植物の生育を害し、もしくは日常の生活利便経済上の損失等に害を与え、またはおそれのあるものと定義づけた次第です。  第三条並びに第四条では、公害発生防止対策を国の責務とし、そのための施策を総合的に講ずべきことといたしました。また、地方公共団体は、国に準じて、その施策を講じ、協力しなければならないことといたしました。  第五条では、事業者がその事業活動について、公害発生防止するための装置施設設置等、必要な措置を自主的に講じなければならないことといたしました。なお、これら装置施設の普及については相当な費用を必要とするものもございますので、事業者責務の円滑な遂行のため、第七条、第十七条におきまして、法制上または税・財政上、金融上等政府の行なうべき助成基本を明らかにしてございます。  第二章は、国の行なうべき施策基本方針を明らかにしたものでございまして、第九条では、公害対策上、最もおくれております実態調査並びに環境科学技術研究を積極的に推進すべきこととし、これが公害対策を行なう上での前提であることといたしております。  第十一条より第十六条までは、さきに述べました六種類公害について、それぞれの公害の全体の許容限度を定め、それに伴って、個々の排出及び放散等、必要な規制基準を早急に定めるべきことといたしました。  第三章におきましては、公害防止行政を強化する機関として、総理府に公害対策審議会設置することといたしました。同審議会につきましては、その特色は、委員構成学識経験者のほかに、関係行政機関の職員を加えました。このことは、現在公害問題を所管する事務が、各省庁に細分化されて一元的な行政が困難な実情から、これを補完し、関係行政機関の連絡を密にして公害防止行政が積極化することをねらいとしたものであります。また、公害問題が高度な専門知識を必要とすることから、必要な際は専門事項調査のための専門委員設置できることといたしたのであります。  以上が、本案提出する理由並びに概要でございます。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決のほどをお願い申し上げる次第でございます。  以上大要の説明を申し上げました。
  11. 田口長治郎

    田口委員長 以上の各案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  12. 田口長治郎

    田口委員長 次に、医療金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
  13. 河野正

    河野(正)委員 御承知のように、今日は国民保険の時代でございます。したがって、国民のすべてに適正な医療を受ける機会を与えることは、福祉国家としての当然の責務であろう、私はこういうように考えるわけです。そこで、国民保険のもとにおきましては、私的医療機関というものが公的性格を強く持ってまいるわけでございますから、私的医療機関設置、運営、病床、こういう整備につきましては、本来からいいますと金融措置というよりも、むしろ公的性格私的医療機関が持つわけでございますから、そういう意味ではなるほど金融措置ということも一つの進歩でございますが、基本的には、私的医療機関公的性格を持つといたしまする以上は、何らかの援護措置援助措置助成措置というものを講ずるほうがたてまえでなければならぬ。もちろん私どもは、医療金融公庫というような金融措置を否定するものでございません。ですけれども基本的には、国民保険のもとには、私的医療機関というものは公的性格を持ってまいるわけでございますから、そういう意味では、私的医療機関に対する助成措置というものは基本的に考えられなければならぬ、こういうように私は考えるわけでございますが、そういう私ども考えに対しまして大臣はどのようにお考えでございまするか、ひとつこの際率直な御意見を承っておきたいと思います。
  14. 小林進

    小林国務大臣 ただいまのお話のように、皆保険が実施されている以上、私的医療機関もある程度公的な性格を持っておる、これはお話のとおりでありまして、したがってできるだけの助成ということも考えていくべきだ、この医療金融公庫どもその趣旨から誕生したもの、かように考えております。
  15. 河野正

    河野(正)委員 もちろん私もさっき御指摘を申し上げましたように、助成一環として医療金融公庫という制度が生まれたことについては、私ども前進だという理解に立っております。しかしながら、これは金を貸して返還させるわけですから、私的医療機関公的性格を強く持ってくる、これは国民保険というものが充実されればされるほど、公的性格というものは強くなってくると思うのです。そういう事態の中に、具体的にこの助成措置というものは考えられなければならぬ。もちろんその一環としての医療金融公庫制度というものは、私どももこれは前進だというように考えますけれども、貸すということでなくてむしろ何らかの形で助成する、そういう方策基本的には考えられなければならぬ。そういう点について、具体的に今後どういうふうにお考えになっていかれようといたしまするか、ひとつこの際前向きのお答えをいただきたい。
  16. 小林進

    小林国務大臣 ただいままで具体的にどうこういうことはありません。しかしこれらの問題は、いろいろの関係者相談をして今後は考えていかなければならぬ。たとえばいまの医学教育の問題、あるいはインターン問題等、当然これに関連してくる問題でありまして、そういうふうな前向きなことでこれからひとついろいろと相談をし、検討をしてまいりたい、こういうように考えております。
  17. 河野正

    河野(正)委員 この点は、ひとつぜひ今後具体的に御検討をいただきたい、かように要望を申し上げておきます。  その点と関連をして私どもが感じてまいりますことは、これまた御案内のように、厚生省昭和三十八年度から六カ年計画全国国立病院を全部鉄筋、不燃化にするための整備計画を実施せられておるというように仄聞をいたしております。そういたしますると、昭和四十三年には全国八十五の国立病院というものが、その全貌を一新し、近代化されるということに相なろうかと考えます。それと、いま私が御指摘申し上げました私的医療機関公的性格を非常に強めていくといたしますならば、この国立病院等整備計画と並行して、私的医療機関に対しましても整備計画というものを御検討になるべきではなかろうか、現在の私的医療機関実態というものを十分把握し、承知をし、その上に立ってこの私的医療機関整備計画というものを立てらるべきではなかろうか、そういう線に沿って、先ほど私が御指摘申し上げましたような助成措置というものをお考えになることがきわめて妥当な方策ではなかろうか、こういうことを実は考えるわけでありますが、どのようにお考えになりますか。これはまことに建設的な意見だと思いますので、ひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 小林進

    小林国務大臣 いまの国立病院整備計画につきましては、まあそう確定的なものがあるとは私は考えませんが、これらも全体の病院配置計画の中で考えなければならぬ問題もあろう、こういうふうに思っております。なお、私的医療機関保護と申してはなんでありますが、医療法を改正して、公立病院の、ベッドの規制をするというようなことも私的、医療機関に対する一つ方策である、こういうふうに考えております。私は、いままでここでいろいろ議論されましたが、何と申しましても医師の養成には長い年月と非常に経費がかかる、こういう問題で、私どもとしては、まず第一歩として医学教育の問題、あるいはインターン問題等について相当考慮しなければならない、こういうことを考えておるのでありまして、その他のことは、また皆さんの御意見もお聞きしてこれから検討しなければならぬ、こういうふうに思っております。
  19. 河野正

    河野(正)委員 いま大臣お答えになったように、医学問題とかあるいはインターンとか、そういう点について力を注いでいただく、これは非常にけっこうなことだし、すでにさき委員会におきましてもいろいろお話がございましたから、私はあえて申し上げませんけれども、そういう根本的な問題と同時に、私的医療機関というものは国民保険のもとでは、特に国民保険内容的に充実されればされるほど公的性格を持ってまいりますから、したがって私は、いま申し上げましたような厚生省基本方針と並行して、公的性格を持ってまいります私的医療機関整備についても計画的にお考えになる必要がある、こういうふうに申し上げておるのです。特にこのことは、私は、どうしてこういうことを言うかと申しますと、今度の医療金融公庫法原資ワクというものが、いままで百十億であったのが今度百三十五億というふうに二十五億も原資拡大をされた、非常にけっこうだと思う。けれども、そういう原資を決定する前提として、現在の私的医療機関整備状態がどういう状態であるのかという実情に即して、原資ワク拡大についても御努力願わなければならぬだろう、そういうことを実は考えるわけです。そこで、できるだけ多いほうがいいことはわかっておりますけれども、そういう抽象的なことではなくて、現在の私的医療機関というものは、どういう状態に置かれており、そのためにはどれくらい原資というものが必要だ、そういう科学的な根拠に基づいて原資というものが決定されなければならぬ、そういうことを考えてまいっておるわけです。そういう意味で実は申し上げておるわけでございます。したがってここで聞きたいのは、今度百十億から百三十五億というふうに増資が行なわれたわけでございますけれども、そういう増資というものがどういう根拠で行なわれておるのか。ただ多ければいいのだというような、きわめて抽象的なかっこうで行なわれているのか。その辺の事情を、ひとつこの際お聞かせをいただきたい。
  20. 小林進

    小林国務大臣 医療金融公庫も逐年貸し出しがふえておる、こういうことで、お話のように今度は政府出資金も二十九億もふえた、また財政投融資も八十五億も出ておるというので、ことしはある程度融資のワクをふやせた、こういうふうに思っておりますが、いま医療金融公庫に対する貸し出しの申し込みがなお相当多数になっておる、こういうこともあるのでありまして、これではむろん十分に要望を満たすことはできない、こういうふうに考えておりますし、これについては政府出資金もわりあいによく出してもらったというふうに考えております。これについても、私的医療機関助成するたてまえからいっても、利率の問題も非常にまだ不満足な状態にありまして、これらは政府出資が多くなればなるほど利率も相当下げ得る余地がまだある、こういうふうに思っております。私ども、実はこれらの問題もひとつ根本的にあなたのおっしゃるように調査してみたい。一体どれだけ私的医療機関整備するに金がかかるのか、いま単に受け身として医療金融公庫が受けているだけでありまして、積極的に調査をしたものはありません。したがって、これからほんとうに整備をするには、どれくらい金がかかるか、またその年次計画はどうなるかというようなことも、厚生省としてはひとつ関係者の協力を得て調べておきたい。ある程度の年次計画みたいなものがなければ、一体幾らふやしていいのか、幾ら財投をもらったらいいかということもわかりかねますので、そういうような方面の調査がまだ欠けておるということを私痛感いたしますので、お話のような調査もして、そして科学的な根拠を持って資金ワクをふやす、こういうようにいたしたいと思います。また金融公庫全体としても、いま貸し出し残高が二百五、六十億と相当の増加を示しておりますが、全体の医療機関から見れば、まだきわめて少ないということは考えておるのでございます。
  21. 河野正

    河野(正)委員 そこで私は、こういう私的医療機関整備を実施していくという意味におきましては、いまいろいろと指摘をしてまいりましたような方向でひとつ善処をお願いしなければならぬだろう、そういうふうに考えております。したがっていま大臣から前向きの答弁がございましたから、ぜひそういう方向で具体的に御検討を願いたい。  そこでもう一つ問題になりますのは、根本的には、いま申し上げますように、私的医療機関実態というものを把握して、そしてその整備を完了するためには、どういう計画でどの程度の資金というものが必要なのかということだろうと思います。ところが現実の問題としては、そこまでいくにはなかなか時間も要するでございましょうし、また困難な面もあろうと思います。そこで、その前段の問題としてやはり考えてもらわなければならぬ問題は、現存の木造を不燃化しようというふうに希望するもの、あるいはまた現在の設備というものが非近代的でございますから、そういう施設を近代化しよう。たとえば木造よりも不燃化、鉄筋のほうがいいことは当然のことでございます。また非近代的な悪い設備よりも、設備の整ったいい治療のできる近代的な施設がいいことも当然のことでございます。しかも今日国民保険のもとでは、医療費というものは一定の限度で押えられている。そういうことになりますと、施設の改善あるいは施設の近代化というものを何とかしてやっていこうという意欲のある施設は、これは国の皆保険制度に協力をするということになってまいるわけです。ですから、これはもう別荘、日本の私的医療機関実態というものを十分調査をし、把握をし、それも年次的に計画をしてこの設備の改善等を完了していくということの前段としては、いま申し上げますように、近代化、設備の充実というものに非常に意欲を持った施設に対しましては優先的に融資措置をはかっていくということが当然とられなければならぬ、こういうように私は考えるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えになりますか。
  22. 小林進

    小林国務大臣 ただいまのお話のとおりにすべきものだと思います。ただ私的医療機関のあり方、これはやはり非常に大きな問題を含んでおります。私も外国の例等もよく知っておりますが、病院とそうでない診療所のあり方というものは、私はいまここで何かを申し上げることはいたしませんが、今後の相当大きな課題として検討しなければならぬ。これはすぐに施設整備問題とからんでくる問題でありまして、これらをどうこうということではなくて、これらをみんなで検討してまいらなければならぬ問題を含んでおる、こういうふうに思いますし、いまお述べになりました御意見も、当然そうあるべきことだ、こういうように私は考えております。
  23. 河野正

    河野(正)委員 これはことばをわかりやすくして申し上げますと、被保険者の場合は無料、家族の場合は、現在の段階では五割ということでございますから、五割負担しなければならぬということで、たとえば一ぱいのカレーライスを飲食店で食べても料亭で食べても同じだということになりますと、りっぱな施設を持っているもののほうが、より国民保険という国の方針に協力的な立場をとっていくわけでありますから、そういう意味で私は、近代化あるいは不燃化、さらには設備の充実改善をはかるものを、優先的に考慮する措置を講ずべきであると思う。ところが現在の法律では優先しない。これは特に地域で分けているわけです。そうして甲と乙とに分けて、病院施設の希薄な地域については優先的に考慮されるということでございます。私もそういうことは必要だと思いますが、単価というのは押えられているわけですから、その押えられた中で近代化していこうということが困難なことはわかっている。ですけれども、そうやってもらったほうが国の方針に協力していくという立場をとるわけですから、いまの制度では、大臣がそれは優先するのだと言っても、私どもはなかなか、はいそうですかと言うわけにまいらぬと思うのです。ですから、いま申し上げますような国の国民保険制度に協力するという立場をとるものに対しては優先的に考慮する措置を講ずべきだ、こういうように考えるわけですが、その辺は、どうですか。
  24. 小林進

    小林国務大臣 いまのは法律規制でそうやっているのではなくて、内規と申しますか、内輪のきまりでやっておると思いますから、そういうものはまだ融通をきかせる余地があるというように考えますので、私も河野さんの言われるようなやり方がよろしい、こういうふうに考えますので、内部的にもひとつ検討さしてみましょう。
  25. 河野正

    河野(正)委員 そこで、施設の改善をしたいが金がない。これは公的医療機関でも私的医療機関でも同じことだと思うのです。そこで、たとえばインターン制度の際にも非常に問題になりましたように、特に私的医療機関のごときは設備を充実させなければならぬ、金が要る、金がない。そこで結局、ぼちぼち入学試験も始まりますけれども、この入学試験にはばく大な学債を買わされる、そうしてそういうばく大な学生諸君の負担において教育施設の改善をはかろうというような問題がございます。それからまた、先日の委員会でグルクロン酸を中心としていろいろ追及がございましたが、その中でも論及されてまいりましたように、公的医療機関あるいは国立大学においても、やはり十二分な研究をするためには金がほしい。そのためには業者の援助を受ける。そういうところから、この前のグルクロン酸、強肝剤の問題でもいろいろ論議が展開されたようでございます。それに関連をして、私はここでひとつ取り上げてみたいと思いまする点は、先般千葉大学の中山教授が、実は部下に指示をいたしまして不正診断書を作成さした。これは中山教授に申しわけないと思いますけれども、しかし私はこういう問題が世間で明らかになりましたこの際、この点についてはやはり明確に整理をしておきたい。そういう意味であえてこの問題を取り上げるわけでございますけれども、これもがんセンターに五十万円の寄付を仰ぐ——やはり国立大学のごときも、研究施設というものを充実させなければならぬ、そのためには金がほしい、そこでついに情におぼれて、自分の部下に指示をいたしまして、十八時間も死亡時間をずらすというような不正診断書を書かせた。そういうことで、医学界におきましても社会におきましても、大きなショックを与えた問題が起こってまいりました。私は、この問題は中山教授には非常にお気の毒でございますけれども、単に中山教授のみの問題として解決してまいるわけにはまいらぬと思うのであります。その根というものは非常に深いと思うのです。こういう事件に対しまして大臣はどのようにお考えになっておりまするか、ひとつこの際御所見を承っておきたいと思います。
  26. 小林進

    小林国務大臣 これは私ども遺憾であると申さざるを得ないし、また問題は、医の道義の問題として見てまいらなければならぬのであります。これらの問題についてもまたいろいろの論議があろう、こういうふうに思うのでありまして、私がいま結論的にどうこう申し上げる段階ではございませんが、医の道義の問題として十分に考えるべき問題である、こういうふうに思います。
  27. 河野正

    河野(正)委員 道義の問題というよりも、私はむしろ、いま指摘しましたように、大学の研究機関というものを充実させたい、そのためにはどうしても金がほしい、そういうような問題が今日解決しておらない。そういうところから、ついに、いろいろ話があればこの際ということで、きわめて不祥事件だと思いますけれども、こういう事件が、しかも国立大学の中で行なわれたということになってまいったと考えるわけです。ですから、私は、いまは法案審議でございますけれども、やはりこれは公的、私的医療機関を育成していくという意味と切り離すことができない問題だというふうに私は理解をいたします。ところが、これは新聞紙を見ましても明らかでございますが、医学評論家の大渡順二氏によりますと、こういう診断書の粉飾というものはかなり行なわれているというふうな話も実は記載されておるようでございます。たまたま今度は現職の国立大学の教授ということで、世間では非常に騒がれておりますけれども、もし一般社会においてもそういう問題があったといたしますならば、私はこの際厚生省としても一つの明確な態度というものをおとりにならなければならぬというふうに考えるわけでございますが、その辺はどのようにお考えですか。
  28. 小林進

    小林国務大臣 これはすべて科学的の問題でございますから、事実に基づいてものごとが運ばれなければならぬ、要するに真実に基づいて運ばれなければならぬ、こういうことは当然でありまして、私どもさようなことがそう行なわれておるとは思いませんが、一つの事例としてこういうことが出てきたということになれば、私ども厚生省としても、この問題は医道の問題として、関係者の一般的な反省を求めるということはしたいと思っております。
  29. 河野正

    河野(正)委員 診断書の問題が出てまいりましたから、この点も触れてまいりたいと思いますが、先般別府市において、暴力団の圧力で診断書を開業医は拒否しようというような医師会の申し合わせが行なわれたということもあります。これは当時世間を騒がした問題でございます。こういうように、最近では診断書をめぐる社会的問題が非常に多いような感じを受けます。いま取り上げました中山教授の問題は、いま大臣からもお話しのとおりでございますし、なおまた、暴力団の圧力で医師が診断書を拒否するというような問題については、これは大きな社会問題だというふうに私ども考えておるのでございますが、こういう問題についてはいかがでございますか。
  30. 小林進

    小林国務大臣 これも、お話のとおり、医者というものは真実をもとにして行動すべきであるということで、それにいろいろな力が加わるということはあくまで排除しなければならぬ、当然のことであります。
  31. 河野正

    河野(正)委員 そういう御答弁では、実は満足いかぬわけでございます。実は近々麻薬取締法の一部改正の法案審議が始まると思うのです。この法案審議にも関連してくると思いますが、この暴力団と診断書の関係はなまやさしい問題ではない。いずれ私は麻薬取締法改正の際にも申し上げますけれども、診断書問題が出てまいりました際に、こういう問題について明確にしておかなければならぬ。同時に、いま大臣お答えになったようなことで解決するようななまやさしい問題ではない。これは関係各省とも十分打ち合わせをして、特に暴力団の圧力で医師が診断書を拒否するというような問題は、やはり医師を守り、正しく医師の業務が遂行されるという方針をとってもらわぬと、単に厚生省が医師の良心に従ってやってもらうというようなことだけでは解決しない。特に今度の麻薬の問題では非常に大きな問題になってくると思うのですが、これはいずれ別の機会に申し上げることにいたします。ただ、こういう問題は、厚生省の問題だけで解決する問題ではございません。ですから、そういう問題についてはもう少し認識を改めてもらわぬと、一番困るのは開業医だと思うのです。それはあなた、良心に従ってやれと育っても、現実に暴力団の圧力を受けるのは開業医ですから、そういう点は、もう少し医師の立場に立って認識を改めていただく必要があると思うのです。いかがでございますか。
  32. 小林進

    小林国務大臣 私が暴力を排除すると言うのは、厚生省の力でやるということではありません。当然公安委員会等と連絡をしてやる、こういう意味でございます。われわれがそういうことはできない、むろんその関係者の協力を得なければできないということで、協力を求むることに熱意を私ども持っております。
  33. 河野正

    河野(正)委員 いまの診断書の問題は、これはただ単に診断書の問題ではなくて、その根っこというものは非常に深いわけですから、そういう点を十分認識をしていただいて、ひとつこの際、厚生省としても的確な処置をおとりになることを強く要望いたしたいと思います。  それからもう一つは、文部省が御出席だと思いますが、こういう千葉大学の中山教授の問題が起こりましたもう一つの原因としては、私はやはり、大学の付属病院におきまする診療の責任の所在というものが明確でない、非常に不明確だというところに、今度のような不祥事件が起こった、原因があったろうと思うのです。たとえば国立大学の場合は、国立の機関でございます。ところが、この国立の機関の中に、公務員でない勤務者というものがたくさんおります。これはいわゆる医局員です。実質的には、医局員が患者の診療に当たっておるわけです。ところが実際に国の機関の中で、公務員でないという人が責任ある任務を遂行していいものかどうか。そういう国の機関の中で、責任の所在が明確でないまま職務というものが遂行される。したがって、そこで教授から言われると十八時間もおくらしたにせの診断書を書く、そういう問題が、さらには遺産相続といういろいろな忌まわしい問題と関連してくる。私は、その根本的理由というものは、やはり先ほど大臣にもお尋ねをいたしましたような問題点がございますのと、それからやはり国の医療機関の中で責任の所在というものが明確でない、ここにもう一つの問題があると思うのであります。こういう点について、文部省ではどのようにお考えになっておりますか、ひとつ明確にお答えいただきたい。
  34. 村山松雄

    ○村山説明員 大学病院の次局と申しますのは、これは内科とか外科とかいう診療科に属するものを総称しまして、俗に医局と申しておるわけでございますが、医局員がすべて公務員でないということはございません。医局員の中には、講師、助手といった公務員の身分を持つ者と、それから研究生あるいは副手といったような名前で、国から給与をもらっていない、したがって公務員とは認められがたい者と、両者が一緒になりまして医局員を構成しておるわけでございます。  診療の責任ということになりますと、これは医師法上は、無給の者といえども医師の資格は持っておるわけで、医師法上の責任は個人にあるわけでありますが、医療機関であるという特殊性からいたしまして、研究生はその上の医局員、助手、講師、それから一番上は主任教授の指示のもとに診療行為に従事しておるわけでございまして、そういう意味で指示が適切でなかったというような場合には、指示系統に従いまして、医局長である講師あるいは講座主任である教授にまで、そのための責任が及んでいくわけでございます。必ずしも責任系統が全く不明確であるということはないと思いますが、何と申しましても、給与を受けていない、勤務義務を負っていない者が診療に従事していることは事実でございますので、ここにいろいろ割り切れない問題もございます。  そこで文部省としては、大学病院におきましても診療に必要な者はできるだけ有給の職員とする。講師、助手といったものの定員をふやしまして、無給の職員が責任ある診療には従事しないで済むように、少しずつではございますが、措置を進めております。ただ問題は医療機関でございますので、医師の資格を得てもなおもう少し知識、技術をみがくために、大学病院で修業したいという希望者はどうしてもなくするわけにはまいりませんので、診療に必要な職員の定員化は進めてまいりましても、やはりどうしても研究生というような形で診療に従事する者を大学病院では根絶できないのじゃないか。これは大学病院の本質にからむ問題ではないかと思います。そういう認識の上に、研究生も含めた診療体制を、責任の所在が不明確になるというようなことのないように整備していきたいということで、いま関係者はいろいろ努力しておるのが現状でございます。
  35. 河野正

    河野(正)委員 せっかく丁重な御答弁をいただきましたけれども、全く納得するわけにまいりません。それは全く現実離れした御答弁だと思うのです。  ならば、現状はどうなっておるかと申し上げますと、大学病院に行ってごらんなさい。医局員の大部分が無給の助手であり、無給の職員であるということですね。ですから、大部分が教授であり、講師であり、有給助手であるということであるならば、あなたの御答弁でもある程度納得がいくと思う。ところが、大学病院へ行ってごらんなさい。それは内科でも外科でも同じことですが、大きい医局といいますと、何百人の医局員がおるわけでしょう。その中で公務員としての地位が与えられておる助手、講師、助教授、教授というのはほんのわずかです。ですから、大学病院の機能というものは、無給の国家公務員でない職員によって運営されておるのが実態です。それが逆の比重でございましたならば、あなたの答弁でも了承することに私はやぶさかでありませんけれども、それが逆なんです。ですから、私は非常に問題があると思う。  なおまた、そういう国の公務員でない人に診療行為をやらせぬで済むようにとおっしゃっておりますけれども現状はどうですか。現状は、無給の医局員によって運営されておる。特に私は、きょうは研究ではなくて、むしろ医療の問題を取り上げておるわけです、これは診断書の問題から発展したわけですから。そういたしますと、研究部門はなるほど教授、助教授、講師、こういうところが大体担当いたしております。ところが実際に患者に手を当てて主治医となって診療に直接携わっているのは、ほとんどが無給の医局員です。私は医局にもおったことがあるし、教職にあったのですから、これは私が言うのが真実であって、あなたの御答弁では、どうも納得いかない。もしそういう認識がほんとうの実態だとお思いになるならば、私は、いま申し上げましたような問題点というものは解決しないと思うのです。それはもちろん、今度千葉大学に起こりました問題というのは——こういうことを取り上げることは、私どもまことに中山先生に対しては申しわけないと考えております。ですけれども、私は、そういう問題をひとつこの際抜本的に解決したいという意味で取り上げておるわけです。ですから、いまのようなお答えでは、いろいろ丁重にはおっしゃっていただいたけれども、満足するわけにはまいりません。この点は、どうですか。
  36. 村山松雄

    ○村山説明員 大学病院の診療の実態につきまして、過去の経過にさかのぼってもう少し詳しく申し上げますと、主として国立大学について申し上げますと、現在国立大学は二十一ございます。そこで無給診療員の問題は、戦前からずっとあった実態でございますが、戦後になりまして公務員制度も改定になって、無給の職員は置くべきでないという原則で整備に着手いたしまして、昭和二十二、三年ごろに、無給副手を、大学病院を通じまして約二千名近いものを有給化いたしまして、当時はこれで診療に必要な要員は有給化し得た、かように考えたわけでございます。ところがその後、研究生その他無給の医師がだんだんふえてまいりまして、その結果、有給の者とそれから無給の者とのバランスは、また無給の者のほうが多いというような状態になってまいりました。ところが、無給の者は何せ給与をもらっておりませんので、どれだけの者が、どういう診療の実態であるのかはっきりいたしませんでしたので、昨年六月に、大学における診療要員の実態調査をいたしました。その結果、二十一の大学病院を通じまして有給の職員が約三千八百名程度、四千人近い有給の職員がおります。それから無給の者が約八千名おりました。ところが、この八千名の者は実態がさまざまでございまして、中には一週間毎日出てくる者もございますが、中には三日、四日あるいは一日、それから中には——昨年六月の調査は一週間の実態調査をやったわけでございますが、無給研究員として登録はあるけれども調査をいたしました一週間、全然大学には出てこない者も四千名近くございました。それで無給の研究員で一週間に少なくとも一日以上出てくる者は、大体四千名程度ではなかろうか、かように推定いたしました。それから一方、大学病院のベッド数あるいは外来患者数からいたしまして、診療に必要な職員はどの程度であろうかということを、医療法の基準、それから医療法の基準にプラスいたしまして、大学病院の医師は診療のほかに教育研究にも従事するということを考慮いたしましていろいろ計算の結果、あと千五百名程度ふやす必要があるということで、この千五百名の者を常勤の者と非常勤の者とに分けまして、有給化する予算の要求をいたしたわけでございますが、なかなか大蔵省を納得させるに至りませんので、昭和三十九年度におきましては、これは診療科のベッド数などの増加の分も合わせまして、約六十名程度の要員が定員化されたにすぎないわけでございまして、御指摘のように大部分を有給の者で診療をやっていくという体制にはまだなっておりませんが、できるだけそういう方向に持っていくように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  37. 河野正

    河野(正)委員 いまの具体的な数字をあげての御答弁を聞きますと、ますます納得がいかない。いまの御答弁によりますると、昨年六月現在で有給が三千八百人、それから無給が八千人程度おるけれども、実際に常勤しておるのは四千名ということになりますと、有給と無給が半々ということですね。  それではお尋ねしますが、各医局に平均してどれぐらいの医局員がおって、そのうち有給がどれだけで、無給がどれだけというふうにお考えになっておりますか。これは実態を見てごらんなさい。もう旧帝大関係あたりでは、在局して八年、九年しなければ有給助手になれない。それは教室におりますと、大部分が無給ですよ、それは有給助手、講師、助教授、教授というのは定員がありますから。そういう現状から見て、いまのようなお答えでは、ますます私どもは納得するわけにはまいりません。あなたのほうが、無給が多くていろいろ責任の所在というものが不明確である、そこで今後大蔵省等とも十分折衝して、今後そういう問題については解決のため努力する、こういうお話なら私どもも納得するのにやぶさかではございませんけれども、いまのような、いかにも合理的らしいような数字を並べて御答弁なさるようなことでは納得できない。これは現状を見てごらんなさい。もし私の質問が納得いかなければ、村山さん、ひとつ一週間ばかり大学の医局に入局してください。どういう実態かわかりますよ。そんなことありませんよ。大体教室では、平均して有給が何人ですか、医局員は何人ですか。それはもちろん、多い医局では、百五十人も二百人もいるところもありますよ。その中には非常勤もおりましょう、アルバイトもおりましょう。ですけれども、いま申し上げるように実際無給の常勤の医師が四千名だ、有給は三千八百名だ、半々だということは、どこから推しても私は納得するわけにいかない。いかがですか、そんなことはないですよ。
  38. 村山松雄

    ○村山説明員 大学病院の診療要員が、有給の者よりは無給の者のほうが多いことは事実でありまして、その事実はたいへん不合理であると考えておるわけであります。この不合理を是正すべく努力は従来もいたしておりますし、今後もするつもりでありますが、その実績がはかばかしくいかないのが遺憾でございますことを申し上げたわけでございまして、決して現状でよろしいと思っておるわけではございません。  それから御指摘のありました医局の実態でございますが、これは大学により、またその医局の種類によって非常にさまざまでございます。希望者の多い大学で希望者の多い科、つまり内科とか外科とかいうところには七、八十名も集まっておりますし、それから小さい科、たとえば耳鼻科とか皮膚科とか、そういう科は十数名程度だと思います。それから有給の医師は、大学病院を通じますと、医局平均おそらく十名未満だと思います。
  39. 河野正

    河野(正)委員 何回お尋ねしても、実は納得するわけにまいりません。私ども現状を知っております。私も大学で教鞭をとったことがございます。ですから現状を知っておりますから、幾らそういう御答弁を重ねていただいても納得するわけにまいりません。ですから、現状を正しく認識されれば将来に対する希望があるわけです。ですけれども、いまの現状認識では私は希望を持つわけにいかぬ。ですから、いままでもいろいろ努力された御努力に対して、私は敬意を表することにはやぶさかではありませんが、しかし、現状は正しく認識されなければならない。そういう正しい現状認識の上に立って大蔵省と交渉をされるということになれば、将来漸次改善されるでしょう。けれども、いまのようなどこから集められた資料か知らぬが、全く納得がいかぬような——どこの教室に行ったって、有給と無給が半々ということはありません。内科とか外科とか、大きいところは一つの教室で二百人というところもありましょう、小さいところは少ないところもありましょう。精神科などは少ない。それにしたって、有給と無給が半々というようなところはありません。ですから、大きい医局が内科とか外科とか小児科とかありますとアンバランスが増大する、拡大するわけですから、どこから推しても三千八百対四千という数字は聞こえないと思うのです。ですから、その点はこの際もう少し反省をして、そうして将来に対する努力を行なっていくという前向きの答弁を願わぬと、いつまでたっても進行しませんよ、いかがですか。
  40. 村山松雄

    ○村山説明員 たびたび申し上げますが、実態がはなはだ不満足であるという認識は十分持っておるわけでございます。これを是正すべくつとめておるわけでございまして、その第一段階といたしまして実態調査をやった結果がいま申し上げたような数字でございまして、これは相当大規模に、各大学病院にも相当の協力を願いまして出てまいった数字でございますので、この数字自体はさほど誤ってないかと思います。この実態調査の基礎のもとに、将来に向かって格段の是正をすべく努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  41. 河野正

    河野(正)委員 その数字が誤っておらぬという認識は誤りですよ。それは現状に即してないと思う。もしそれがあなたのほうの調査資料としたならば、再調査しなさい。あなたが一週間ばかり行って、実態をごらんになったらどうですか。要は、私は数字を根拠にしていろいろ論及しておるわけですから、その数字に誤りがないということになると、私どもは納得するわけにいかぬですよ。その数字に対して指摘したことについて、いろいろな疑問があるということになれば、私どもは将来に対する希望を持つわけですから、納得することはやぶさかでございませんけれども、いま私が数字を論拠にしていろいろ論及しているわけですから、その数字に誤りがないということになると、いつまでたっても私は納得するわけにいきませんよ。どうですか。
  42. 村山松雄

    ○村山説明員 これは同じお答えになるわけでございますけれども、昨年の六月に実施した調査では、大学から出てきた数字が先ほど申し上げたようなものになったわけでございます。この数字が正確であるかどうかにつきましては、調査の技術的な未熟に基づく不正確さもあろうかと思います。少なくとも最小限度それだけの者はおったわけでございますので、それ以上ということもあり得るわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、無給の研究生等は毎日出てくるわけでございませんので、たいへん実態が把握しにくいわけでございます。半年おる者もありますし、あるいは一カ月、二カ月で交代する者もございますし、数年にわたっておる者もあるわけでございます。たまたま調査期間ではそれだけのものが得られたというわけで、現在の実態は昨年の実態と同じであるというわけでも、もちろんございません。最近において、ふえているところもあり得るわけでございます。ただ、この調査は大学にも相当な負担をかけますので、そうしょっちゅうやるというわけにもまいりません。
  43. 河野正

    河野(正)委員 そういう不合理な実態というものが存在をする。したがって現状というものは、大学だとほとんど無給の医局員が実は直接診療に当たっておるわけですね。それは助手なんて当たりはしませんよ。ライターですよ。ですから、実際の主治医というものは無給医局員が大部分です。無給の医局員というものは公務員じゃない。私は、そういう公務員でない人が、大学の名前を使って診断書を書くというところに実は問題があると思うのです。医師法では、なるほどそれは患者対医師ですから、そういう関係では診断書を書くということも可能でしょう。けれども、それなら公務員であるわれわれが、黙って東大の病院に行って診断書を書くことができるか、それは問題があろうと思います。ですから、そういう公務員でない身分の医局員が、公的な機関の中で職務を遂行するということが妥当な問題であるのかどうか。しかも現状というものは、無給の医局員というもののほとんどが主治医になって、実際に脈をとり、注射をし、投薬をしておる。そして教授とか講師とか助教授というのが一週間に一ぺん程度回診をして、そこでいろいろ助言をする、これが実態です。ですから今度の千葉大学のように、教授が医局員を呼んで、ひとつ十八時間ずらせということになると、実際責任の所在というのが明らかでないから、そこで医局員が言われたまま死亡時間というものを十八時間もずらして書くという事態が発生をしてきておると思うのです。私は、今度の事件を契機として、こういう不祥事件というものを再び繰り返してはならない、そういう建設的な意味で取り上げておるわけでありますけれども、そのためには、さっき申し上げまするようにやはり金の問題がある、第二には公務員としての責任の所在というものが明確でない、要約すると私は二つ問題があろうと思うのです。そういう意味で、文部省のお答えでは、きょう私は十分納得するわけにいきません。  そこで資料をひとつ委員長要望いたします。医局の有給無給の職員の実態についての資料というものを、文部省から提出せられることを要望いたします。その点よろしゅうございますか。
  44. 田口長治郎

    田口委員長 村山審議官に申し上げますが、いまの資料を委員会にひとつ出していただきたいのです。
  45. 村山松雄

    ○村山説明員 承知しました。
  46. 河野正

    河野(正)委員 大臣に対しましては、いま申し上げまするようにやはり全般の施設の改善をしたい、施設の充実をはかって研究に貢献していきたいというようなところから、ややもすると今回のような問題が起こってまいるわけでございまするから、そういう意味でも、研究しよう、内容を充実しようという意欲のある施設機関に対しましては、十分温情ある措置を、国の場合あるいは私的医療機関の場合、にひとつ御配慮をいただきたいと考えます。この点は大臣から締めくくりで御所見を承りたい。
  47. 小林進

    小林国務大臣 ただいまのお話、了承いたしました。
  48. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ちょっと関連。ただいま河野委員から御質問の千葉医大の中山恒明教授の件でありますが、私は、これはなかなか重大な問題をはらんでいると思いますので、特に関連をしてお伺いをいたしておきたいのであります。  まず、警察庁のほうにお伺いをいたしますが、新聞報道によりますと、中山教授が診断書の死亡時間等を、事実と違ったものを書いたということを認めたので、その結果、警視庁の捜査二課は近く一件書類を東京地検に送致することになったというのでありますが、事実どういうようになっておりましょうか、伺いたい。
  49. 日原正雄

    ○日原政府委員 この事件はただいま捜査中でございまして、一応お話のような容疑で現在取り調べをいたしておりまして、虚偽診断書の作成の点がはっきりいたしますれば、書類送検をする予定でございます。
  50. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 すでに書類を送ったことになっておるのでしょうか、まだその前の段階でありましょうか。
  51. 日原正雄

    ○日原政府委員 私のほうへ参っております報告では、近日中に送致する予定というふうになっております。
  52. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 医務局のほうにお伺いをいたしますけれども、こういう死亡診断書の虚偽の事項の記載ということになりますと、医師法から申しまして、あるいは刑法から申しましてどういうことになるのでありましょうか。
  53. 大崎康

    ○大崎政府委員 刑法におきましては、御案内のように百六十条に虚偽私文書作成の罪が規定してございます。それから医師法におきましては、医事に関し犯罪または不正があった場合につきましては、一定の処置をとり得るという旨の規定がございます。
  54. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そうすると、当然医療審議会等にかけるということになりますか。
  55. 大崎康

    ○大崎政府委員 そういうようなことになり得る余地があるわけでございます。
  56. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私はこの事件を非常に重大だと考えておりますのは、中山教授個人の問題であると同時に、また非常に社会的に大きな影響があると思うのです。確かに先ほど大臣の言われたごとく、これらにつきましては真実を記載するということは法律の命ずるところでもありまするし、当然のことでもあります。しかし、事実はそうなっていかないのであります。そうなっていかないという社会の事実がたくさんあるわけであります。でありますから、事実は全国の医師諸君におかれましても、犯罪ということではない限り、ある程度の便宜を供与していることは事実であります。でありますから、こういうことになりますと、非常に大きな社会的な問題としてこれが広がっていかざるを得ないのであります。法律的には確かにそのとおりであります。皆さんが言うとおりでありますけれども、しかし、社会実情というものと非常にそごしたものになるので、そこで消防庁のほうにお伺いをいたしたいことは、今日、たとえば交通事故で被害者が地上にたたき倒されておるその場合、救急車が飛んでくる、そして生きているか死んでいるかわからぬという場合に、どういうように処置をしていらっしゃいますか、事実をお伺いします。
  57. 山崎達三

    ○山崎説明員 消防庁からお答えいたしますが、御案内のように先年消防法が改正されまして、従来全くサービスでやっておりました救急業務というものが、消防業務にはっきり、盛り込まれることになったのでございます。つきましては、それに対しまして、たとえばどういう業務が救急業務であるかということでございますが、これは事故が起きた場所から厚生省令で定めます医療機関まで搬送するということが、救急業務の内容になっております。さらに救急業務の対象でございますが、これは法律に定められておりますのは、災害による事故、屋外における事故あるいは公衆の出入りする場所での事故、こういうふうに定められております。なお、さらに政令で定めておりますのは、それに準じた事故といたしまして、たとえば屋内でありましても緊急搬送する必要のある傷病者で、他に救急車以外の方法で適当な方法がないという場合には、救急業務として出動するということになっております。  ただいまの御質問の死亡者の扱いでございますけれども、万人が見て明らかに死亡しておる、たとえば首がちぎれておるというような事故の傷病者は、原則として搬送いたしません。生死の明らかでないという場合には、医師の診断に基づきまして搬送する、医師が死亡しておると認めた場合には搬送しない、こういう原則になっております。
  58. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 医師がいない場合にはどうなりますか。ということは、この前も、御承知のように、電車にはねられた労働者の人を、死んだと思ってそこにおった人々はむしろをかけた、たまたま看護婦が電車に乗っておって、飛びおりて脈を見たらまだ脈が打っておる、まだ生きているからすぐ救急車を呼んでくれといって運んで、そうして警視総監から表彰された、たいへんりっぱな看護婦があったわけでありますけれども、そういうような生きているか死んでいるかわからぬという事態が起こってくるわけですね。その場合に、医師とか看護婦とかいうような専門家がいてくれれば、まだ生きているとかいうこともはっきりわかると思いますけれども、いまのような事実もあるわけであります。だから一般の人が見れば、これはもう死んでしまった、こう見える場合もあるわけであります。でありますから、そういうような場合、医師や看護婦がおればそういう点はわかりますけれども、そうでなくて一般の場合、救急車に乗っておられる人はある程度訓練を受けておられると思いますけれども、やはり庭師や看護婦ではない。したがってそういう場合に、生きているか死んでいるか生死の境にあるというような場合には、一体どういうようにしていらっしゃるか、事実を伺いたい。
  59. 山崎達三

    ○山崎説明員 ただいま申し上げましたように、明らかに死んでおるということがはっきりいたします場合には、原則として運んでおりません。ただ、ただいま御質問のような生死が明らかでないというものは、従来とも運んでおります。
  60. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 確かにそのとおりであります。また警察庁のほうでも、当然道交法から申しまして、そういうような場合生命を第一といたしまして、たとえば自動車の事故でありました場合は、その事故を起こした自動車も直ちにその被害者を乗せて病院に運ぶということを命じておるわけですね。そこで、さらにその方が病院に行ったら死んでおったという場合が始終起こっているわけです。今日も、不幸にしてそういう事件は、おそらくただいまも起こっているでありましょう。そのときに、今日どういうように事実いたしておりますか。つまり私が聞きたいのは、その場合に、医者から見ればもう死んでおったのだ、道路の上で死んでおった、それを持っていらっしゃった、この場合にどういうようにいたしておりますか。もう一度死人を連れて持っていって、その傷害を受けました道路のそこのところに死人を置いて、むしろをかぶせて、それから警察においでをいただいて事実を明らかにするというようなふうにしておりますかどうか、それを伺いたい。事実を伺いたい。
  61. 山崎達三

    ○山崎説明員 お答えいたします。  搬送途中でなくなる場合が非常に多かろうと思います。また、救急隊員の判断で明らかに死亡していなかったといって運んで、事実はそのときに死亡しておったという方もいらっしゃると思います。そうした場合には、必要な医師の——消防のほうでは搬送でございますが、医師に一応その結果を確認いたしまして、そうして救急車は直ちに帰る。もちろん、関係の向きには電話なりあるいはその他の方法で連絡はとってございますが、そういった方法をとっております。
  62. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 事実はこうしているのです。事実は、その救急車の方たちは、病院に持ってきた、死んでおった、その場合にはもとのところに持っていかないで、病院のほうに頼んで時間をずらしてもらって、病院に来て死んだことにしてもらっているのです。事実はそうやっているのです。私はそれは正しいと思うのです。なぜなら、いまの話で、一体生死の境で死んでいるか生きているかわからぬというときに、これは直ちに病院に運んでくる、もしそれによって助かることができれば、とうとい生命を救うことができるわけです。だから法律的なことはあとでやって、まず生命が第一でありますから、それをやるという今日の事実は、私は正しいと思うのです。だから医者のほうで見て、これは街路におったときにすでに死んでおった、こう判断されても、その死んだ死体をもとの街路に運んで、もう一度そこに寝かせてむしろをかぶせておいて、それから警察官が来て調べるというようなことはしないで、事実は救急車のほうの関係から時間をおくらしてもらって、病院で死んだことにして、そうして処置をしておるのであります。これが事実であります。私はこのやり方は正しいと思うのです。つまり生命を救うということ、また人道的な立場から、もう一度道路に持っていって、その死骸をさらすということはしないで、死んでいかれるそこに時間は事実とは違いますけれども、医師が便宜を計らって処置をするという行き方はいい。社会的だと思うのです。道義的だと思うのです。正しいと思うのです。しかし、確かに法律からしますればこれは間違いです。事実と違っています。これは一つの例として申し上げたわけでありますけれども、私はこれをすべきだと思います。これでよろしいと思います。でありますから、犯罪の意思がない場合、犯罪のおそれがない場合、これはもちろんデリケートな問題でありますけれども、そういう場合にある程度の便宜を、家族なりあるいはその死者なりの便宜をはかるということは、法律法律といたしまして、当然これは大目に見ると申しますか、その点をある程度考え方を拡張いたしまして、そしてこれを措置するということは、人道上も、社会的にも私は許さるべきだと思います。そういう意味で、これは例としていま申し上げたのであります。今度の中山教授の事件も、犯罪の意思はないのでありますから、これは私文書偽造になるか公文書偽造になるか存じませんけれども、あるいは医師法の違反として医療審議会にかけて、刑事事件としてこれを扱っていくというようなことはすべきでないと私は思うのです。犯罪の意思があれば当然すべきでありますけれども、犯罪の意思はなかった。反社会的なことにはなっておらないのであります、少なくとも新聞報道で私が知っている限りにおきましては。でありますから、ことにこういう世界的な名士でありまする偉大な医学者、しかも、きょうもおそらくたくさんの病人の手術をしていられるでありましょう。そういう人をこの際犯罪人として検挙するというようなことはすべきでないし、大きなところから見て、ただいまの救急傷害者の扱いと同じように犯罪の意思はないのでありますから、私は当然これについては適当な方法をとるべきであると思うのです。単に死亡時間をずらして書いた——これは一般的に全国の医者がみなやっています。善意のものでやっています。そういうようにもし厳格に法律を扱っていくならば、いまの救急車のやり方は法律違反です。事実やっていますよ、消防署は。それをここで、公の席でお認めになるということはいろいろ問題が残りましょうからできないと思いますけれども、やぼな質問はいたしませんが、事実はやっております。また、それでなければほんとうの正しい措置はできないと思います。でありますから、今度の問題も、これが犯罪の意思はないということは、新聞報道によりますと警視庁も認めておるわけです。ただ形式の問題で、初めから犯舞の意思はどこにもないのでありますから……。もしそういうことであれば、警察庁といたしましても適当な方法をとるべきであり、また厚生省としても適当な方法をとるべきであり、文部省といたしましても、これについては適当な方法をとって、これを犯罪として検挙するというようなことはすべきでないと私は確信するのでありますが、この点厚生大臣はどうお考えでありましょうか。
  63. 小林進

    小林国務大臣 刑事法の問題は、もう私どもが関与するところではございません。あとは行政上の問題、また行政上の問題として文部省の問題、あるいは医師法の問題、厚生省の問題、こういうふうに考えるわけでありまして、あなたのような考え方もありますし、要するにこれは道義の問題、意図の問題、犯罪というかどうかわからぬが、何のためにやったかという意図の問題もあると思うのでございまして、われわれも、いまこれをどうこうするということは先ほどから申し上げておりません。慎重に考えてみたい、こういうふうに申し上げておきます。
  64. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 警察庁はどうでしょうか。警察庁でやっている仕事でございますけれども、これらの点について、中山教授の今日までの医学に対する非常な貢献、また今日のガンの医学者としての非常な功績、こういうもの。今日も千葉医大には、中山教授の治療を受けたいと、胃ガン等の患者がたくさんに入っていられるわけです。そういうような点を考慮して、単に形式的に犯罪として扱うというようなことではなしに、やはり彼の偉大な医学的な力をそのまま果たさしていくべきである。国民のためにも国家のためにもそうすべきだと思います。それらの点につきまして、いかがでございましょうか。これはあくまで検察庁に送るというような方法をとらなければならぬとお考えになるでありましょうか。きょうこれは警察庁長官にお伺いしたいと思っていたのでありますけれども、この点はある程度事情を考慮することができぬのでありましょうか、警察庁当局の御意見を承っておきたいと思います。
  65. 日原正雄

    ○日原政府委員 いろいろお話があったのでございますが、中山教授が世界的にも非常に有名な教授で、またりっぱな教授であることもよく存じております。そういう意味におきまして、今度の事犯の取り締まりにつきましても、その点を十分考慮しつつ取り調べに当たっていきたいと思います。ただ、先ほどお話もあったわけでございますが、私どもの立場から申しますと、いつ死亡したということが確認され、もちろん捜査の段階でそれを立証しなければいけませんが……。それから、それを知っておりながらなおかつずらしたということになりますと、一応形式的には犯罪が成り立つわけでございます。この虚偽の診断書作成が犯罪にされておりますのも、これはほかの犯罪に利用されるという点に一つの犯罪として処罰しておる理由があろうかと思います。今度の事犯も、結局太田某に、これを利用して公正証書原本不実記載という容疑で取り調べをいたしておるわけでございます。そういう意味で、この事犯がその手段として悪用された。ただ、そこまで十分承知してやったのか、どうかということは、もちろんお話のとおりであろうかと思いますが、そこら辺の点は、私どものほうの立場から申しますと情状の点になりますので、それらのいろいろな判断は、私どものほうで一応明らかにいたしまして地検に送りまして、地検のほうで判断をしていただきたい、そういうことで書類送致という形を考えているわけであります。
  66. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 一応それで了といたしますけれども、いま申しましたように、ことに私が例として出しましたところの救急の傷害者等につきましては、事実それを救急車の関係者から要望されて、医師は時間をずらして書いているわけです。その事実があります。それが事実である。そういう事実も出てくるのでありますけれども、もしこれを厳格に処分なさるとすれば、それは一切お断わりしなければなりません。しかし、生きているか死んでいるかわからない、生死の境にあると考えて救急車の搬送の係員が、とにかく  一分一秒も早くそれを救急車にかつぎ込んで病院に運ぶということは、当然していただかなければならぬ。たとえ死んでおってもしていただかなければならぬ。けれども、さればといって、医師がそれを、もうそのとき死んでおったのだ、こういう判断をしたならば、またもとへ持っていって道路のところに置かなければならぬというようなことは、やはりあらゆる点ですべきでないと思うのです。そういう事実が現に起こっておって、もしこういうことを厳格にあくまでなさるなれば、医師あるいはその病院に対して悪意を持っている者が、何らかの形で逆に被害を与えようといたしますればそれがひっかかるわけです。ですから、こういう問題については、やはり人道の立場、社会的な立場、そういうものを大きく考えて、犯罪の意思がなければそこには寛容の態度をとるべきだと思いますので、厚生省におかれましても、あるいは文部省におかれましても、警察庁当局におかれましても、これは十分総合してお考えいただいて、中山教授の今川の事件につきましては不幸なことにならないように、ひとつ十分な措置を願いたいと思うのであります。  関連質問でありますから、この程度にしておきます。
  67. 河野正

    河野(正)委員 本論に返りまして、公庫法の運営の点について若干質問していきたいと思います。  その第一は、今回の改正は、政府の追加支出でございますから、御努力の点については敬意を表します。ただ、ワク拡大はしごくけっこうでございますが、はたして公庫の目的において「私立の病院、診療所等の設置及びその機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であって一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」このように明示されておるわけでございますけれども、それが実際に、一般の金融機関が融通することを困難とするものを対象として融通されておるかどうか。この辺が非常に問題だと思うのです。立法の精神はけっこうでございますけれども、それが誠実にそのまま運営されておるかということが非常に問題だと考えます。そこで、実際にどのように運営されておるというように御理解になっておりますのか、これは後ほど私は資料を示してお尋ねしたいと思いますけれども、まずその辺の御所見をお聞きしたいと思います。
  68. 大崎康

    ○大崎政府委員 公庫設立以来昨年末までに、新築資金約百三億の貸し付け決定が行なわれております。医療施設等の不足している地域につきましては、三千三十四施設が新設され、増改築資金の百七十六億の決定によりまして、三千六十施設が増改築をされておるわけでございます。また、病床について申し上げますと、新設または増床によりまして、病床の不足している地域に五万八千床の増床がなされているわけでございます。その他機械購入資金の決定等が行なわれておりまして、御指摘の公庫法の第一条の目的につきましては、十分に運用をやっていくつもりでございます。
  69. 河野正

    河野(正)委員 私は、この辺も厚生省の認識のしかたとして問題があると思うのです。といいますのは、一般の私的医療機関、開業医諸君の間では、公庫の目的で示されたような「一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通する」、こういう方向で必ずしも運営されておらぬ。大体現況を見てまいりますと、公庫指定機関で受理されるというようなケースは、一般の市中銀行からも融通し得られるというケースが多い。そこで、一般の市中金融機関の対象にならぬものは公庫の対象にならぬということで、立法の精神の中では非常にけっこうなことがうたわれておりますけれども、実際には、いま私が指摘いたしますように不平不満というものが非常に多い。これは私は単に抽象的に言っているわけではないのです。具体的な資料があるから言っているわけです。いま非常に円滑に運営されておるようなお話でございましたけれども、時間がございませんからはしょって申し上げますが、たとえば最近の京都の保険民報を拝見いたしましても、実は次のような資料が示されております。保険医協会であっせんをいたしておりまする融資が、利率も安くなる、貸し付け期間も長くなる、それから手続も非常に簡便だというようなことで、私的医療機関の利用率というものが非常に高まった。たとえば資料を拝見いたしますと、一月末現在では、設備資金だけで八百八十一件、十五億四千六百万円、運転資金のほうは三十六件で、合計いたしまして十七億三千四百一万円、こういうように市中銀行の貸し付けというものが非常に増加をいたしております。ですから、私は医療金融公庫が開業医から非常に歓迎されておるということであるとするならば、いまのようなかっこうにはならないと思うのです。ですから、これも京都だけの一例ですから全国的な例ではございませんけれども、一例を見てまいりましてもこのような状況でございます。したがって、私は厚生省がいまお答えになったような御答弁は、そのまま受け取るわけにはまいらぬ、こういう感じがするわけです。こういうように一般開業民の資金需要量が非常に増大しておる。しかも一県だけ見てまいりましても、十七億三千万円というふうな貸し付け額に達しておる。こういう現況をどういうふうに考えておられますか、ひとつ明確にお答えいただきたい。
  70. 大崎康

    ○大崎政府委員 私、いま御提示になりました京都の資料を拝見いたしておりませんので、その点につきましては何ともお答えいたしかねるわけでございますが、御案内のように公庫の平均貸し出し利率は六分九厘となっておりまして、この点につきまして考えてみましても、市中金利より相当低いのではないか、こういうふうに考えております。また、公庫に対する貸し出し申込みも非常に多額にのぼっておることは、これまた先生御承知のとおりでありまして、昨年末現在におきましては、合計いたしますと、百八十五億程度の実は借り入れ申し込みの受理をしておるような状況でございます。
  71. 河野正

    河野(正)委員 いまの政府の答弁では、公庫は金利が安いというような話がございましたけれども、この京都の例でも利率が非常に安いわけですよ、日歩二銭一厘、設備資金の場合は、これは長期になりますから二銭二厘というわけですから。私どもこういう計数には弱いのですが、自民党のほうの議員によりますと、これは公庫よりこちらのほうが安いのだというお話です。それはまあ別として、公庫の場合は、この例を見てまいりましても、厚生省が金融公庫は安いのだといって太鼓をたたいて宣伝されるほどに実は安くないのではないかと思うのです。市中銀行のほうがサービスがいい。私も始終頼まれて医療金融公庫の本店に参りましても、正直言って非常にサービスが悪いのですよ。官僚的ですよ。総裁以下厚生省の古手官僚ですから、そういうことをやっておりますけれども、非常にサービスが悪いです。サービスが悪いなら、少々利息が高かろうとも市中銀行のほうがいいという気持ちになってくる。しかもいまの利率は、浦野さんの話でも、それはやっぱり公庫のほうが高過ぎるというふうな、自民党の中にもそういう声がございます。ですから、私は、どうも厚生省が声を大にして医療行政に貢献しておるというふうな御答弁は受け取りがたいと思うのです。あなたはこの資料はわからぬとおっしゃるけれども、いずれにしてもこの資料は印刷して新聞に出ておるわけですから、こういう実態というものをよく承知して、医療金融公庫の運営というものをお考えにならなくてはだめですよ。何も世間のことは存ぜぬで、自分ばかりいいことをやっておるようなかっこうでおやりになっても、結局は一般の私的医療機関は歓迎しないと思うのです。やはり自分の周剛というものはどういう状態で運営されているかということの正しい認識に立って、公庫の改善なら改善というものをはかっていかなければ、これは満足するような公庫の運営にならぬと思うのです。
  72. 大崎康

    ○大崎政府委員 ただいま御指摘になりました公庫の問題、万事不親切じゃないかというような御質問があったわけでございますが、この点につきましてさような事実があれば、私どもといたしましても戒心をして、十分将来考えてみたいと思うのであります。  公庫の現在の大体の借り入れ申し込みの状況を申し上げますと、受託機関から公庫に受理いたしますまで大体一カ月、それから公庫において二週間、それから決定をいたしますと、通常のものでありますと、翌月は貸し出しを行なっているような状態でございます。もちろんあるものによりましては、不備等によりまして返戻されるものもございますので、その点につきましてはこれより長くなるような場合もあるかと思います。  それから公庫のいろいろな貸し出し条件につきましては、御案内のように毎年改善を重ねてきているわけでございます。この点につきましては今後とも改善につとめたい、かように考えております。
  73. 河野正

    河野(正)委員 ところが現実には、厚生省が出された資料によりましても、そういうふうにスムーズに運営されていないのですよ。その証拠には、この「昭和三十八年度施設別貸付状況等調」を見てまいりましても、前年度の繰り越しというのが非常に多いわけですよ。たとえば病院関係を見てまいりましても、申請件数というものが、前年度からの繰り越しというものが二百六十六件、貸し付け決定を見てまいりましても三百四十四件、大体当年の決定の半分近くが前年の繰り越しということであります。いまお答えになったように受託機関で一カ月、公庫で二週間、その翌月には貸し出すということになりますと、これは非常にスムーズにいくので、私どもに陳情はないはずだと思うのです。ところが私どもへの陳情というのは、公庫に書類が行っているのです。ところが、なかなかその貸し付けという段取りにならぬ。ですから、あなたのほうはどういうようにやっておるか知らぬが、現況はそれと非常に隔たっておると思うのです。それだから地方から私どものほうに、何だかんだとやかましく言って陳情が来るのですよ。不備の点について返戻されるならばいいですが、返戻すべき書類でないものが滞っているわけですよ。ですから、実情の把握というものが的確でない。そういう不的確な把握の上に立ってやられても、なかなか改善することはできぬと私は思うのです。これは非常に建設的な意見ですよ。将来国民から愛される、開業医諸君から歓迎されるという公庫でなければならぬ。ところが、いまのような運営では決して歓迎されないし、また期待されないというふうに指摘せざるを得ないと思います。  そこで現状は、いまおっしゃったように、受託機関で一カ月、公庫で二週間、その翌月貸し出す、こういう方向で進んでいるというふうに認識されますか。医務局長、どうですか。
  74. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 医療金融公庫貸し付けが遅延している例が多いじゃないかというお話でございますが、いま次長から申しましたように、スムーズにいくような例は、ああいう程度でいっているというふうに承知しております。書類の不備とか、特に年度末になりまして貸し付け原資がなくなってくるという場合には、希望があまり多い年には来年度に回すことが起こってきている、こういうふうに承知しております。ただ、お話のように、運営が官僚的にならないように十分いままでも注意しておりますが、さらに乱そうこれからも指導につとめたいと思いますし、またこの借り入れをせられますお医者さん、歯科医師会、そういうふうなものの御意見も十分に伺って、運営について御希望に沿えるように努力をしておる次第でございます。
  75. 河野正

    河野(正)委員 ところが、厚生省から出された資料を拝見いたしましても疑問に感じまする点は、たとえば共同利用施設のごときは、繰り越し分のほうが当年よりも多いわけです。もう一つ問題でございますのは、薬局については三十七年度は申請受理が一件、貸し付け決定は一件もないわけです。三十八年は、御承知のように申請も貸し付けもない。ですから、対象になっておるけれども、一例もない。これは薬局の場合、二年続きの不作です。ですから、私は、資料を見ましても、どうも厚生省が自慢されておるような運営ではないと感ずるのですが、その辺の事情はどうですか。
  76. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 薬局に対して貸し付けがないのはどういうわけかということでございますか、これにつきましては、設立以来現在まで借り入れの申し込みが三件、一千万円程度でございます。ところが審査をいたしました結果は、あるものは貸し付けの基準に該当いたしませんで、あるものは借り入れを辞退されるような事情がございます。薬局につきまして、申し込みが開設以来三件というふうに非常に少ないのは、貸し付け対象の範囲が、調剤に必要な施設ということだけに限っておるということが主たる原因ではないか、かように考えておるのであります。  それから二番目に指摘になりました共同利用施設について、貸し付けの決定額で前年度からの繰り越し分のほうが多いではないか、こういうふうな御指摘であったかと思いますが、これは前年におきまして決定をいたしましたが、資金等の関係で翌年度に繰り越したということもあるかと思いますが、若干前年度に多目に決定をいたしておきまして、それから年度当初になりまして至急貸し付けを開始するというふうな手順を踏んでいる事務の運営の手続もございます。すなわち、前年度に若干多目に決定していませんと、の貸し付けまでは年度開始以来相当の期間かかるわけでございますから、さような処置をやっているためである、こういうふうな事情もあるかと思います。
  77. 河野正

    河野(正)委員 この共同施設のような場合は、これは公共的な性格というものが非常に強くなっていくわけですね。ですから、そういう施設に対して優先的におやりになるということにならぬと、これは大臣の答弁にもとると思うのです。ですから、基本的には、私的医療機関も、今日国民保険のもとでは公的性格が強いということを申し上げましたが、その中でも、やはり共同利用施設というものはさらに公的性格というものが強いわけですから、そういう施設についてはやはり優先的に迅速におやりになるということにならぬと、これは大臣の御答弁にももとると思うのです。これはいかがですか。
  78. 大崎康

    ○大崎政府委員 御趣旨のとおりこれから運営してまいりたいと存じます。
  79. 河野正

    河野(正)委員 医療金融公庫の運営について若干触れたわけですけれども、さらに基本的な問題でございまする医療経済の点についても、かなり大きな問題があると思うのです。これに関連いたしましても若干お尋ねしたいと思いますけれども、もう時間が参りましたので、あとは一応留保して、本日はこの程度で一応終わりたい、かように考えます。      ————◇—————
  80. 田口長治郎

    田口委員長 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  雇用失業対策に関する調査を行なうため、小委員十七名よりなる雇用失業対策小委員会を設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名することにいたしたいと存じますが、ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認めます。よって、   井村重雄君  浦野幸男君   小沢辰男君  大坪保雄君   亀山孝一君  坂村吉正君   澁谷直藏君  田中正巳君   地崎宇三郎君 中野四郎君   松山千惠子君 大原亭君   河野 正君  八木一男君   八木 昇君  吉村吉雄君   吉川兼光君 を小委員指名し、澁谷直藏君を小委員長指名いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕