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1964-08-20 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月二十日(木曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 中山 榮一君    理事 小沢 辰男君 理事 細田 吉藏君    理事 稻村 隆一君 理事 岡本 隆一君    理事 村山 喜一君       大竹 太郎君    加藤 精三君       竹下  登君    森下 元晴君       井谷 正吉君    石田 宥全君       卜部 政巳君    千葉 七郎君       華山 親義君    原   茂君       松井  誠君    山口丈太郎君       麻生 良方君    栗山 礼行君       林  百郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  委員外出席者         総理府事務官         (新潟地震非常         災害対策本部         員)      北川 博正君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    中尾 龍彦君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 梶木 又三君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      森田  進君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (鉱山局開発課         長)      栗林 隆一君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      川原 英之君         中小企業庁次長 影山 衛司君         運 輸 技 官         (港湾局長)  比田  正君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         建設政務次官  白浜 仁吉君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    石川 邦夫君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         会計検査院事務         総長      上村 照昌君     ————————————— 八月一日  委員石田宥全君及び中村重光辞任につき、そ  の補欠として泊谷裕夫君及び小林進君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員小林進君及び泊谷裕夫辞任につき、その  補欠として中村重光君及び石田宥全君議長の  指名委員に選任された。 同月三日  委員西岡武夫辞任につき、その補欠として浦  野幸男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員浦野幸男辞任につき、その補欠として西  岡武夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員田澤吉郎君、中村重光君及び竹谷源太郎君  辞任につき、その補欠として加藤精三君、原茂  君及び麻生良方君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員加藤精三君、原茂君及び麻生良方辞任に  つき、その補欠として田澤吉郎中村重光君及  び竹谷源太郎君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(新潟地震並びに昭和三十  九年七月山陰北陸豪雨等による災害対策)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 細田吉藏

    細田委員長代理 これより会議を開きます。  本日は中山委員長が所用のため御出席がおくれますので、委員長が御出席になるまで、委員長指名により私が委員長の職務を行ないます。  これより災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、山陰北陸豪雨等による被害状況調査のために現地に派遣されました委員から報告聴取することにいたします。森下元晴君。
  3. 森下元晴

    森下(元)委員 命によりまして、昭和三十九年七月の山陰北陸豪雨による被害状況調査のため、去る八月三日より七日までの五日間、松井誠君及び私が福井県、石川県及び富山県に派遣され、さらに現地におきましては地元選出の議員の参加を得まして、つぶさにその実情を視察してまいりましたので、以下その調査の概要について御報告申し上げます。  本年の梅雨は例年と異なり、本邦付近の気流の北上が早く、梅雨季前半梅雨前線は、朝鮮方面から日本海を通り、関東地方に抜ける位置に停滞するようになり、一方、台風第五号が、朝鮮中部で衰弱し熱帯性低気圧となり、日本海に進むに及んで、さきに述べた梅雨前線を刺激し、山陰北陸地方に異常な集中豪雨をもたらしたものであります。  福井地方気象台調査によりますと、県の北部で七日夜半より八日午後六時までの降雨量は、平野部で百ミリ、山間部で二百ミリ、九日早朝には、平野部で一時間十ミリ、山沿い地方では二十ミリ、ところによりましては三十ミリないし四十ミリ、九日午前九時までの降雨量は、平野部で二百ミリ、山沿い地方では三百ミリから四百ミリを記録し、また金沢気象台調査によりますと、七日より九日にかけて、金沢市二百二十五ミリ、大聖寺二百五十四ミリ、山間部においては三百ミリ以上、十七日より十九日に至っては金沢市で二百七十八ミリを記録し、また富山地方気象台調査によりますと、八日早朝より午後三時までに平野部で百ミリないし百五十ミリ、山岳部では五百ミリ、十七日より十八日にかけては、山間部に比し平野部降雨量がはなはだしく、一時間当たり降雨量が四十八・四ミリとなっております。  いま述べましたように、三県における集中豪雨は、短期間にいまだかって各気象台にその記録を見ないような未曾有の降雨量のため、各中小河川が随所ではんらん、都市排水をはるかに上回る雨量のため、都市家屋浸水が続出、山くずれ等が各所で起こり、堤防の決壊、橋梁流失田畑冠水流没等、大被害が発生したのであります。特に富山氷見市の胡桃地区地すべりは、一部落八十七世帯、四百九人が罹災者で、その惨状は目をおおうものがありましたが、不幸中の幸いと申しますか、地すべりの起こったときが昼間であり、また設置してあった予防自動警鐘器のために住民は避難した直後のことであったので、人命には被害がなかったということであります。  次に、各県側調査によります三県の被害額について申し上げます。まず福井県について申し上げますと、人的被害は、死者一名、負傷者四者であります。家屋関係被害額は約二億四千九百万円、公共土木関係は約二十七億八千四百万円、その内訳は、道路三億一千九百万円、橋梁一億六千万円、河川十七億六千四百万円、砂防五億三千八百万円、農林業関係被害額は約十一億六千百万円、その内訳は、田畑冠水等八億八百万円、果樹、蔬菜等一億二千四百万円、林道九千二百万円、農地施設等一億一千三百万円、畜産物等二千四百万円、公共建物関係は約八百万円、商工業関係は約一億三千四百万円、その内訳は、商業三千八百万円、工業四千九百万円、繊維四千六百万円であり、被害総額は約四十三億三千二百万円となっております。  次に、石川県について申し上げます。人的被害は、死者八名、負傷者三十二名であります。建物関係被害額は約三億三百万円、農林関係被害額は約五十二億四千六百万円、その内訳は、農業被害として田畑冠水流失等十九億一千五百万円、耕地被害として農地農業用施設、水路、橋梁農道等十八億五千五百万円、林業被害として、林道林地崩壊林業施設等十四億六千五百万円、畜産被害として約一千万円。土木関係被害額は約三十一億八千九百万円、その内訳は、河川二十二億五千六百万円、道路七億四千万円、橋梁一億八百万円、砂防八千二百万円、商工関係被害額は約六億八千七百万円、その内訳は、商店二億二千万円、繊維工業二億六千九百万円、その他二億円、厚生関係被害額は約六千三百万円、教育関係被害額は約六千九百万円であり、被害総額は約九十五億五千九百万円となっております。  次に、富山県について申し上げます。人的被害は、死者三名であります。建物関係被害額は約五億七千七百万円、公共土木関係被害額は約四十四億七千六百万円、その内訳は、道路八億五千二百万円、橋梁一億九千七百万円、河川二十億九千二百万円、砂防等十二億円、農林関係被害額は約三十一億一千万円、その内訳は、田畑冠水埋没等十三億円、林道災害治山災害等八億七千五百万円、農地流埋失、農業道路等八億五千六百万円、その他八千万円、商工関係被害額約四億一千七百万円、文教関係被害額は約九百万円であり、被害総額は約八十六億となっております。  以上三県の被害額を総計いたしますと、約二百二十五億円に達するのでありまして、これらいわゆる後進県の財政上から見ましても、政府は今回の災害復旧に対しては特段配慮を払うとともに、将来に向かって万全の対策を講ずべきであると思うのであります。  次に、三県並びに被災市町村から数多くの切実な要望がなされたのでありますが、そのおもな項目について申し上げます。なお、詳細につきましては、委員長手元陳情書を提出いたしておりますので、それをごらんいただきたいと存じます。  まず、三県共通した要望といたしまして、  一、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の適用をされたい。  二、本災害を契機に、抜本的改修を要する河川については、災害復旧事業は、単に原形復旧にとどまらず、改良計画によって施工せられたい。  三、中小河川改修事業早期完成をはかられるよう予算を大幅に増額するよう配慮願いたい。  四、民生の安定の趣旨からいって災害復旧事業早期復旧について考慮願いたい。  五、市内の小用排水による浸水がはなはだしいので、都市排水について特段の考慮を願いたい。  六、山腹の崩壊地すべり等、土砂の流失がはなはだしいので、砂防事業費増額を願いたい。  七、災害復興住宅建設並びに被災住宅補修資金については、貸し付け限度額建設単価融資対象面積等十分実情に沿うよう考慮せられたい。  八、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法第二条第一項の規定に基づく天災としてすみやかに指定されるよう措置願いたい。  九、自作農維持資金融資限度額貸し付け利率償還年限を、その被害の大なるにかんがみ十分配慮せられたい。  十、水田等病害予防措置に対し特別補助金交付せられたい。  十一、農作物共済共済金の仮渡しの措置を考慮するとともに、農作物共済にかかる農業共済組合連合会等交付金及び農家負担掛金調整補助金早期交付について特別措置を願いたい。  十二、米穀の事前売り渡し申し込みに伴う概算払い金領増額するように考慮願いたい。  十三、今回の災害は、局地的に発生し、かつ激甚をきわめ、広大なる林地を極度に荒廃させ、下流地域にも多大の被害を与えており、今後さらに崩壊の拡大が予想されますので、緊急に治山並びに林道工事が施行できるよう格別配慮を願いたい。  十四、農機具等が瞬時の豪雨によって使用不能となったので、これについて配慮願いたい。  十五、小規模被害個所が多く、これらの復旧に要する経費多額となる見込でありますので、単独災害債の配分について格別配慮を願いたい。  十六、公共施設に多大の被害を受け、その応急対策並びに復旧事業多額経費を必要とし、かつ地方税減免等もあるので、普通交付税の繰り上げ交付及び特別交付税増額交付について考慮願いたい。  十七、災害対策基本法第百四条の規定に基づき、政府関係金融機関及び制度資金融資対象金融機関は、金融措置について特別の措置を考慮せられたい。  十八、被害地における中小零細企業復旧資金が不足しているので、これが金融措置について特別の配慮を願いたい。  十九、被災所得者に対する世帯更正資金増額を考慮せられたい。  二十、社会福祉施設復旧については、国庫補助または特別融資措置を講ぜられるよう配慮願いたい。  以上の要望があり、また県別に特に要望がありました問題を述べますと、福井県につきましては、九頭竜川の根本的治水対策、荒川、江端川等の改修排水施設設置促進及び流失した新保橋、天神橋、毘沙門橋架橋促進等であり、石川県については、河北潟周辺田畑浸水が年々激増し、また河北潟干拓事業関係もあるので、湖岸堤早期着工及び干拓事業計画の再検討、また加賀三湖干拓事業中、柴山潟、新堀川河口河口工事早期完成等であり、富山県については、山くずれのありました氷見胡桃地区について、被害の度合い、深刻さ、住民経済能力から見て特段配慮を願い、特に集団移住の声も被災者の大部分にあるので、応急仮設住宅建設のための住宅資金、それらに対する国の補助、及び就労の問題、集団移住に伴う地方公共団体財政負担に対する国の補助、また小矢部川、庄川等根本的治水対策等であります。  以上で要望事項については終わりますが、特に三県を視察し痛感いたしましたことは、  一、災害に対する早期復旧、特に中小河川及びそれ以下の小河川改良復旧並びに改修工事早期実施。  二、一水系を一事業とし、事業計画を考慮する。  三、災害復旧対象にならないような小災害についても、国の補助について考慮する。  四、個人災害被害額多額にのぼるので、国の補助について考慮する。  五、林野砂防建設砂防農林砂防を、一貫し、かつ総合的に計画着工するよう考慮する。  六、農家住宅については、一般住宅とは別個の基準による特例を設ける必要がある。  七、胡桃地区羅災者は、現在近くの中学校に収容されているので、至急仮設住宅への移住の必要あり、また職業あっせん等について十分配慮する必要がある。  八、地すべり地帯といわれている崩壊しやすい特殊土壌について技術的な検討を行ない、住民の不安を除くため、予防措置あるいは根本的な対策を講ずる必要がある。等であります。  これらの諸点及び要望事項について慎重に検討を加えられるとともに、政府は、被災県及び各市町村財政事情を十分考慮し、特段措置を講ずるよう強く要望いたすものであります。  以上報告いたします。  なお、最後に、本調査にあたりまして御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝の意を表する次第であります。(拍手)
  4. 細田吉藏

    細田委員長代理 これにて派遣委員よりの報告聴取は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。  この際、委員長から政府当局に申し上げます。  ただいまお聞きのとおり、地元からは種々の要望がなされておりますが、政府当局においては、十分にそれぞれの対策について遺憾のないよう、地元各位の期待にこたえるべく善処されることを強く要望いたします。  なお、秋田県、山形県、新潟県に派遣されました委員から、委員長手元にその調査報告書が提出されておりますので、これを会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 細田吉藏

    細田委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 細田吉藏

    細田委員長代理 この際、岡崎通産政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。岡崎通産政務次官
  7. 岡崎英城

    岡崎説明員 私、このたび通産政務次官を命ぜられました。非常に未熟なものでございますが、どうか皆さまの絶大なる御支援、御鞭撻を賜わりまして、職責を大過なく果たさせていただきたいと思います。  ここにつつしんでごあいさつを申し上げます。      ————◇—————
  8. 細田吉藏

    細田委員長代理 これより災害対策に関する件について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢辰男君。
  9. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 建設省関係質疑は、各委員大臣の御出席される時間中おやりになるというので、大臣がお見えになりますまでの間、文部厚生についてひとつお尋ねをいたします。  その前に、全般的に申し上げておきますが、当災害委員会は、与野党を通じまして一致して、災害地復旧のために、あるいはまた羅災者各位のために、閉会中にもかかわらず非常に熱心に質疑をやっているわけで、きょう開会するにあたりましても、実は各省大臣あるいは責任者の方々の御都合で十八日の予定を本日まで延ばしまして、特に知事会議等がありますからなかなか出席ができないというような意味で本日にわざわざ延ばしまして、しかも本日開会の通知は、すでに、たしかこの前の委員会の後に決定をし、御連絡をしているところでございます。承りますと、各省関係ではほとんど大臣政務次官は、建設通産を除きましておいでにならぬというお話でございまして、まことに災害地並び罹災をされた国民にかわりまして若干文句を言いたいところでございます。もう少し災害対策には各省とも真剣になられて、ほんとう責任者が陣頭に立って上げておきます。  文部省関係でございますが、前々からこの災害対策委員会あるいは懇談会等におきまして、これはもちろん文部省だけできまらぬと思いますけれども学校復旧については、各地共通の問題として、現状の坪数を変更しないように、それから建設単価については必ず必要な単価をめんどう見るようにということを、もう与野党を通じ繰り返し各委員から注文を申し上げ、質疑応答を重ねてまいりました。ところが、いまだにその点がはっきりしません、私ども新潟震災についての最近の査定を終わったあとの、県の、おそらく査定官その他からのいろいろな指示によったことだろうと思いますが、新聞に発表したのを見ますと、新潟県全体で二十四億かかるという発表をしたそうでございますが、これを各羅災学校その他全部頭の中へ入れまして計算をしてみますと、やはり単価は七万二千五百円という、一般学校をつくる場合の単価と同じような計算になっておる。こういう点で、実は各市町村とも非常に問題にしているわけでございまして、取りこわしの費用、あるいは地盤が非常に悪くなりましたところを復旧する特殊基礎の問題、これはあと建設大臣に、建設省として総体の単価問題をいろいろ十分考慮していただくように要望したいと思いますけれども、この点がいつまでたっても未解決でございます。文部省は、おそらく各学校希望市町村希望によっていろいろいま大蔵省と折衝をされていると思うのですが、ほんとうにひとつ相は今度の災害地島根から新潟秋田まで含めまして非常に強い関心の問題でございますから、この際、あなた方がほんとうにわれわれと同じような決意で当たっておるのかどうか、この点をはっきりひとつ責任ある答弁をしていただきたい。また、その後の様子がどうであるか、すでにもう一カ月以上われわれこの委員会を開いているわけでございますから、その点について明確な報告を願いたいと思います。
  10. 中尾龍彦

    中尾説明員 今回の学校災害につきましては、特に新潟県はその被害校数が非常にたくさんございまして、現地立ち会い調査も三班を当ててやっと完了した次第でございます。その結果を持ち帰りまして目下計数の整理中でございます。  御指摘単価問題につきましては、私どもも、二度とかかる災害を起こしてはいけない、したがって、十分堅固な学校建築をもって復旧したいと考えておりまして、特に軟弱地盤の区域におきましては十分強固な基礎構造をとれるように、基礎部分に対するくい打ちあるいは補強等単価を十分に盛り込んでもらうべくいま折衝をいたしております。  なお、基準坪数関係につきまして、原状が基準坪数を上回るような十分な建物を持っておられるものが災害にかかった、これを復旧するについては、特に新潟地区につきましては雪の多い地帯であるという意味から、特に体育館などは、ほかの一般地区とその必要性が教育的にも違う意味を持っておりますので、この点については、先生の御指摘のように、最良の、許される範囲におきまして、でき得る限り、その最大限において実情に沿うよう努力をいたしたいと考えております。
  11. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 とにかくこれは非常に各地区とも要望の強い点でございますから、また、もっともだと思いますので、ぜひひとつ格段の努力をして——毎回、努力します努力しますということだけで、いつまでたってもその結論がつかないということでは困りますから、早急にひとつ結論をつけられるように、この次の委員会にはきちんと、こうなりましたと、それでわれわれ委員会の連中が納得するということで、ぜひひとつ尽力をして、また同時に、文部大臣にもよく申し上げていただいて、大臣みずからこういうような問題を必ず責任を持って解決するというように、よくお伝えを願いたいと思います。  それからもう一つは、あの震災あるいは水害のあと応急措置をしなければいけない、また、いまちょうど休みでございますが、もう間もなく再開をしなければいかぬわけでございます。そこで、この応急措置について、市町村のほうでは、一体全部国で見てくれるのかどうかという点で非常に心配をしている。応急復旧関係の手当ての経費については、文部省でこれは心配なくみんな見るのかどうか、この点をひとつはっきりしておいていただきたいことと、それから私が、島根へ参りましたときの調査団の団長として報告をしておきましたが、全般的に今後非常に危険性のあるものをどういうふうに指導され、そしてこれの対策お尋ねをいたしておきます。
  12. 中尾龍彦

    中尾説明員 震災直後に応急措置として応急校舎をつくられたものに対しましても、これは補助対象になるように私どももいま折衝中でございます。  それから今後災害が予想されるような校舎について、いかなる指導をするかというお話でございますが、これにつきましても、私どもは、それぞれのいろいろな実情に応じまして、でき得る限りの前向きの姿勢でこれを指導してまいりたいと考えております。
  13. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 私ども国会調査団島根へ参りまして、数少ないのですが、地すべり地帯にある小学校が、またあのような問題がもし授業中起こった場合は、子供の非常な災害が起こるだろうというので、先生地元の人も実は非常な心配をしておるという報告をしたはずでございます。この前の今月初めの委員会で、速記録をよくごらんになって——ほんとうに数が少ないのだから、たしかわずか一カ所か二カ所くらいだろうかと思いますが、こういう点は、せっかく衆議院の全体として行って、非常にこの点の心配を訴えられて、これはもっともだから、何とか早急に不安を解消するような技術的な指導をするなり、あるいは対策についての指示を与えていただきたいということをあの際申し上げておったわけです。これは委員会全体としての考え方として、速記録に載っておりますから、至急——授業が再開される九月を目前にしておるわけですから、この点は遺憾のないようにやっていただきたいと思います。  次に、厚生省でございますが、建設大臣が時間のないところをわざわざおいでくださいましたので、理事会の申し合わせによりまして、建設省関係与野党を通じて四人、一人十分ないし十五分の持ち時間で大臣にお願いをしたいということで決定をいたしましたので、建設省関係の問題に移りたいと思います。      ————◇—————
  14. 細田吉藏

    細田委員長代理 この際、小山建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  15. 小山長規

    小山国務大臣 今度建設大臣に任ぜられました小山長規でございます。根っからの野人育ちで、まだ役所のことなどはあまりよくわかりませんが、御協力を願いまして無事大任を果たしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。      ————◇—————
  16. 細田吉藏

    細田委員長代理 この際申し上げます。  建設大臣は時間の都合で約一時間ということでございますので、建設大臣に対する質疑を先にお願いしたいと思います。  質疑を続行いたします。小沢辰男君。
  17. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 時間もありませんから、私がお尋ねしたいこと、お願いしたいことを全部申し上げます。河川局あるいは住宅局あるいは道路局の問題になろうかと思いますが、これにつきまして大臣あるいは政務次官、局長からお答えを願いたいと思います。  まず第一点は、新潟市の非常に大きな事業の一つとしていままで議論をされ、いろいろ検討されてまいりました関屋分水計画というものについてでございます。これはかってわれわれの先輩が内務省直轄工事といたしまして大河津分水というものをやりました。そして信濃川の水系の治水対策をやったわけでございますが、その後、新潟市周辺が、いろいろな関係地盤沈下の問題等もございまして、治水関係から見まして現状では非常に心配であるというようなことから、いろいろな案が検討されて、長年にわたって研究されてまいりましたが、関屋分水というものが一番いいだろうということで、この事業を公共事業の認定ということでいろいろ運動し、また事実、全体の事業に対して一部公共事業としての認定をする方針がきまりました。ところが、河川局長よく御存じですが、全体計画百二十億ばかりかかる、そのうち二十三億を補助対象事業にしようということで、地震前はそれでも、県としては、その結果土地造成もできるし、いろいろな多目的の効果があるから、これをひとつやろうじゃないかということに計画しておったわけでございますが、御承知のとおり、これは信濃川を埋めてしまいまして非常に狭くしまして、関屋の、新潟の入り口において分流をするという計画でございます。ところが、埋め立てしまして、市のまん中でございますから、この土地を相当の値段で民間に払い下げをいたしますと資金が回収できる、そこで、百二十億であっても、そのうちわずか十一億ないし二億の国の補助でやっても十分事業としては成り立つだろうということで、計画を進めてまいりました。ところが、今度の地震でこれはそういう資金の回収という道がおそらくないだろう、これは埋め立てて信濃川のわきに土地をつくりましても、今度は港湾の復旧その他で水面二メートル五十のかさ上げをやるとか、いろいろなことで復旧をしてまいりますと、この土地の処分というもの——また新潟の産業界が壊滅的な打撃をこうむっておりますから、当然売れない。したがって、一般的ないわゆる事業的な面から考えますと、成り立たない事業になってまいります。しからばこれをやめるかといいますと、この前から当委員会で問題になっておりますが、刈谷田川という川が大はんらんを毎年やる。この川はかっての大河津分水のさらに下流にありまして、これがみな信濃川に入ってきます。これをあの広範な地域の治水関係といいますか、農地被害その他いわゆる水害から守るためには、徹底的な治水工事をやらなければいかぬ。これができ上がってまいりまして、またさらに五十嵐川という川が入っておりますが、こういうものの水害対策を万全にやりますためには、相当の経費をかけて刈谷田川並びに五十嵐川の治水関係をやらなければいかぬわけであります。そうなりますと、そちらは、十分それが完成した暁においては二度と水害を起こさないようなことで、たいへんありがたいわけでございますが、これが全部信濃川に入ってきまして、そしてこの河口新潟市まで参りますと、現在予想しております約千トンの流量というものが、二千百トンの流量に計算をしなければいけない、そうすると、新潟市は、雨が降って大洪水がありますと、全市水にひたるということになるわけでございます。したがいまして、関屋分水というのは、いかに金がかかりましょうと——これは新潟市全体の、ことに港湾地帯、産業地帯を控えております。しかも県全体の租税収入のうち、新潟市周辺の負担しておりますのが大体いままでは四割といわれております。そういうようないろいろの点を考えてみますと、今度は信濃川両岸を二メートル五十のかさ上げ工事をやるというお話でございますが、それでもなおかつ、この二千百トンの流量を計算した場合には、とうていまかない切れないわけでございます。そうすると、関屋分水を、たとえ相当の金がかかりましても、思い切ってひとつ、かっての大河津分水のように直轄工事としておやりになるか、あるいはまた、それがとうていできないから、いまの二メートル五十の災害復興の計画を一メール五十なり二メートルなり、適当な高さにさらに計画を変えてやるか、どっちかしなければ、これは将来の新潟市、しかも刈谷田川と五十嵐川の治水計画との関連においても、これは必ずやらなければいかぬ、どっちかにきめなければいかぬ大きな問題でございます。その方針が立ちませんと、現在の新潟災害復旧事業というものは、私は将来にとって非常に不安になると思う。  なお、これに関連しまして、新潟市はいま復興計画をやっておりますが、例の地盤沈下問題がございまして、その沈下のいろいろな測定を建設省通産省、農林省でそれぞれ地域を分担しましてやっておられたのですが、通産省と建設省関係の観測井は今度の地震で全部だめになりました。そうしますと、新潟市の地盤関係をいろいろと測定し、そしてそれに基づいて今後の対策を立てていくということが現状においては早急に不可能でございます。したがって、新潟市全体の、あるいはこれは民間産業にも関係のあることですが、非常に根本的な問題がふらついておって一体対策ができるかという問題に関連をしてまいります。したがいまして、こういう点で、大臣は御就任早々でございますので御答弁は要りませんが、ひとつ真剣に河川局を中心にして御検討いただきまして、できるだけ早くその方向でもきめていただきたいということをまず第一点としてお願いをいたしておきます。  それから、先ほど文部省を相手に災害復旧学校建設単価問題を質疑いたしましたが、これは文部省のみならず、他の公共関係のいろいろな施設に関連する問題でございます。大体建設単価というのは、建設省が中心になられまして一般的に基準をお出しになるわけでございます。建設省責任を持って、単価として国がきめるものが一体妥当であるかどうかという点をやはり考えていただかなければいかぬのでございます。当委員会においては、すでにもう七月以来何回も開きましてこの単価問題について非常な議論をいたしております。災害復旧については、特に高率といいますか、補助をお願いすると同時に、この単価問題というのが実は非常に大きな問題でございます。これが現実の単価と合わないという場合には、市町村が苦しい中から何とかして持ち出しをしていかなければいかぬ。これがみな市町村財政を圧迫するという問題になります。したがって、建設大臣におかれましては、ほんとう建設省責任を持って施行できる復旧単価というものをお出しくださいまして各省にそれを指示する、そしてその指示によって大蔵省は——大蔵省は技術屋はいないはずでございます。やはりこれは建設省が中心になって責任ある単価をおきめになる、それには大蔵省その他も全部異存なく従う、これが私はやはり国としての最も正しい立場じゃなかろうかと思います。その点、特にいままで学校建築等については非常に強い要望を各委員からいたしてあるわけでございますが、文部省の問題だというような感覚じゃなくて、私は、建設省——これはもう各災害地共通の問題でございます。単価問題について、ほんとうにひとつ真剣に技術的によく現地の事情等も把握されまして、支障のない単価を必ずきめてやる、これを、できましたならこの席大臣が御言明になれば、島根から秋田までの広範な今回の災害地の方々は安心して事業ができると思いますので、これについて御所見を承りたいわけでございます。  それから住宅関係でございますが、おそらく住宅関係災害復旧というものは、大体いままで三、五、二という比率で、三年計画——部分は二年間でやるのだ、こういうことでございますが、住宅につきましてはこれはもう島根から秋田まで、日本海海岸で雪国でございますので、住宅は早急に復旧しなければいかぬ、これは単年度復旧、当然だと思いますが、この点が一つと、それから島根でも鳥取でも、あるいは富山でも新潟でもしかりでございますが、今回の災害によりまして、一部、部分的ではありますけれども集団移住をしなければいかぬという問題、これは列席の各政府委員は、毎回よくその話が出ますので聞いておられると思いますが、この集団移住のときの土地造成の件でございます。これは市あるいはまた県がやれば、当然公営でございますから、補助は出ます。しかしながら、災害地の連中が集団移住しなければならぬということは、自分の土地を売り払っていいところへ行くというようなときでも、その土地はほとんどだれも買い手がありません。買い手がある土地ならば集団移住しなくてもいいわけです。したがって、民間の者でも、とにかく移住する場合には、この土地の造成について、少なくとも何か国なり公共団体なりが援助をするような道を考えるべきじゃないか、あるいはまた、近くに国有地があるならば、なるべく、いままでのうるさい、国有財産はどうだこうだということを言わないで、どんどん国有地を開放すべきではないかと私は思います。こういう点についてもひとつ真剣に考えていただきたい。これは新潟にだけではありません、富山にもありますし、また島根にもある問題でございます。  それからもう一つ、災害関係で非常に問題になってまいりますのは、道路復旧を急がなければいかぬ。これは他の地区にもおそらくあると思いますが、せっかく道路をつくるならば、今後いろいろなことを考えて、ある程度かさ上げをしていかなければならぬ。ことに新潟の例に見ますと、中心をなす国道は、もちろん町のまん中のところを相当程度上げませんと、今回の地震で沈下もいたしておりますし、将来のことを考えて、上げなければならぬ。それはそれでけっこうなんですけれども、いろいろな営業その他一般の民家に実は非常な影響が出てきまして、道路が一メートル高くなった、そうすると、現在全般的に沈んでおりますから、今度はその両わきの、商売をやっている方や、いろいろな民家の方が階段をおりて家へ入らなければいかぬ、歩道まで国道でございますから、これを全部上げた場合には、一体民家との調整をどうするかという問題があります。これは災害復旧に関連して、地建なりその他と、いろいろな計画などして、どんどん測量をやっておられます。おそらくその付近の人たちと懇談をされるのだろうと思いますけれども、急にくいが打たれた、さあ今度は、自分の一階の入り口から見ておりますと、何か半分くらいまで埋まってしまうのじゃないかというので、非常に大きな問題が出ておるようでございます。しからばそういう対策をとるときに、その両側の民家、あるいはいろいろな関係で起こってきます一般の民家の関係をどういうようにしてめんどうを見ていくのか、それをかさ上げしなければいかぬときに、国がある程度見てといいますか、援助をやるのか、あるいはそれとの調整でどういうように設計をうまくやったらいいのかという点についても特に考えていただきまして、道路局でひとつ調整をはかるようにしていただきたい。  それから水害地並びに地震による新潟関係でも共通した問題でございますけれども排水機能がもう全部やられております。排水機能がやられておりますと、これの復旧には今度高率補助を適用になりまして——まだわれわれは不満でございますけれども、当然これは法律改正をやるべきだと思っておりますが、高率補助決定していただきまして、排水、下水、工業用水等につきましては八割の補助ということになりましたのですが、しかし、これが復旧にやはり二年なり相当の工事をやらなければいけない。地盤が相当変動いたしております。そういたしますと、その間の二年間というものは、地域的に見てやはり応急排水対策というものをつくっていかなければならない。これが一体どうなるのかという点。これはやはり災害復旧の工事として見ていけるのかどうか。地震直後あるいは水害直後の応急対策については、これはもう問題なく補助対象にしてやっていかれるわけでございますけれども、それが一応終わりまして今度は道路計画が進んでいく、そうすると、いま言ったように、いろいろ道路との関係や各一般の民家との関係も起こってくる。また、地域的に見て全市の排水機能がやられている場合には、雨が降るたびに水につかるという問題が出てまいります。したがって、これは一年なり二年なりの間ではございますけれども、その地区として最小限度の排水対策をやらなければいけない、これを一体災害復旧で見るかどうかという点があるのでございます。これは実は非常に市民がうるさい、あるいは県民がうるさいから、市長なり県知事なりが責任を持って何とかしなければいけないが、さりとて、これだけの大被害を受けますともう金がないから、一体補助対象になるのかどうかということで非常な不安を持っておる。進まない。したがって、雨が降るたびに、一日ちょっと降っても、きょうのような雨でも水浸しになるというようなことでございますので、この点は、特に地区的に応急対策をどうしてもしなければいけない場合には、これはひとつ災害復旧として見ていくということで考えていただかなければいけないわけでございます。  時間もございませんので、以上、私の問題提起を四点について申し上げまして、大臣格別の御高配をお願いいたしまして終わります。
  18. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  関屋分水のことについては、十分御主張も伺いましたが、これは県の計画もありましょうし、県の負担の問題もあろうと思いますので、県知事との間に十分なる打ち合わせをして、将来悔いの残らないような方策をとりたいと考えます。  それから単価の問題については、いろいろ学校とか土地とか河川とか、やり方が違っておるようでございますから、これは詳細なことについては局長からお答えいたします。  それから集団移住についても、私もあの氷見市の胡桃地区というのを見てまいったのでありますが、あそこのごときは、確かにもうあそこで生計を維持することはむずかしいのじゃなかろうかというふうに感じております。そこで、それの集団移住についてのいろいろな国としての援助措置、こういうものについては十分考えたいと思いますが、まだ具体的にこうしてくれという要求は出ておりません。これは県の要求その他を見まして十分な措置をとってあげたい、こう考えております。  それから排水機能がこわれてしまったり、あるいは道路が上がって民家が下がってしまって、そのために雨が降るたびに水がたまるという問題は、応急措置としては、排水ポンプを備えつけたり排水路をつくったりという応急措置をとるということでただいまやっておるようでございますが、それ以後の今後の具体的な問題、あるいは恒久的な問題は、県当局と打ち合わせをしながら恒久対策を立てていく所存でございます。  以上でお答えを終わります。
  19. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  単価の問題でございますが、公共の土木施設につきましては、年の当初でございますが、県のほうから、当県の単価と申しますか、土木一般単価につきまして建設省のほうへ打ち合わせに参りまして、その単価によりまして災害査定を行なっておるのでございます。それで、災害復旧が非常に長くかかりましてたいへん申しわけないのですが、現在三年ないし四年かかっておるようでございますが、だんだんとその単価で間に合わなくなってくる場合が起こるわけでございます。そういう場合に、非常にひどく差があいてまいりますと、これは再査定ということを行ないまして、その単価を現状に合わせて工事ができるようにいたしまして、もう一回査定を行なっております。そういうふうにいたしましてそういう問題を解決いたしておるわけでございます。そのほかの全般的の土木の、たとえばその年度の設計なんかでございますが、こういうものにつきましては、私どもの計画局のほうでいろいろ調査をしておりますが、やはりその年度当初に打ち合わせをして、大体こういう単価でやるということをきめておるわけでございます。
  20. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 ただいまの単価問題は、少し河川局長は土木工事の関係を中心にお答えのようでございます。時間もありませんし、他の委員の質問もありますから、これはあとでもう少し詰めたいと思います。私が言うのは、要するに建設省建物関係でもその他のものでも技術的な中心省なんだから、ここでひとつ学校復旧なり、あるいは公共施設、たとえば病院あるいは保健所あるいは衛生研究所というような、いろいろ災害を受けたところがございますが、こういうものの災害復旧の建築単価について、実際の実情に応じた、技術的に見て支障のない単価建設省で御決定になれば、それで各省は全部応ずるという体制をつくっておかないと、文部省を呼び出して、学校の建築はどうだ、厚生省その他の役所を呼んで、農協の建物復旧はどうだとか、あるいは保健所のあれはどうだとか単価はどうだとかいうようなことを各省別にやっても意味はない。やはり建設省責任を持って技術的に検討をし、その土地土地の災害が起こった場合の災害復旧について、これならやれるという、技術的に十分はじき出した取りこわしなりあるいは特殊基礎なりの単価を考えて、これでやるべきだということを建設省がきちんと方針を示す。それに大蔵省も文句のあろうはずがない。それ以上文句を言うなら、ただ、予算がないからかんべんしてくれというだけの話になります。ひとつそれを早急にやっていただきたいということを申し上げたわけでございますので、なおこの問題は、ひとつ建設大臣、御答弁はいま要りませんが、よく部内のほうで御検討を願いまして、ぜひ早急に解決をしていただきたいということを申し上げて終わります。
  21. 細田吉藏

    細田委員長代理 卜部政巳君。   〔細田委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  22. 卜部政巳

    ○卜部委員 ただいま小沢委員のほうからるる質問がなされておりますので、重複を避けて一、二点質問をいたしたいと思います。  まず問題になりますのは、大臣も御承知かと思いますが、今回の島根災害の大きな原因といたしまして、中小河川のはんらん、こういうものがあるわけであります。この面につきまして、まず抜本的に県下の各河川が未改修部分が多いために今次の豪雨による被害激甚をきわめたということは、すでに調査の段階で御承知のとおりだと思いますが、この県下の各河川根本的治水対策を早急に実施されなくては、いわゆる抜本的な対策を立てていただかなければ、またこの災害が再びめぐり来たる、こういうような観点に立ちまして、ひとつ建設大臣に特にお願いをいたしたいのは、率直に申し上げまして、今度の赤川のはんらんにつきましても、斐伊川に注ぐこの水が、川床が低いというような問題等も初めからわかっておりながら放置されておったなどという、こういう問題がございます。こういう問題についてひとつ早急に改修をするように努力をされたいと思いますが、この点について、建設省当局のほうといたしましては、水系を一貫した具体的な治水計画を策定し、早急に改修するよう努力するというおことばはあるわけでありますが、大臣も就任早々でございますけれども、抜本的にこの問題に積極的に取り組むということをお願いいたしたいと思いますが、この点についてはいかがなものであるか、この点お伺いをいたしたい。
  23. 小山長規

    小山国務大臣 お答え申し上げます。  島根、鳥取の災害を見ましてもわかりますように、集中豪雨によって一番弱いのは、中小河川であります。そこで、従来、予算の関係もありまして中小河川改修が思うようにいっておりませんことは、率直に認めるのでありますが、今度、来年度からは新五カ年計画をつくりますが、その場合に、特に中小河川、あるいは中小河川のうちでも過去に集中豪雨被害の特にはなはだしかったような地方というものを選び出しまして、そういうものに重点的な計画改修をやっていきたい、こう考えておるわけであります。今度の場合は、とりあえずは応急復旧を当然やりますが、同時に、その場合に、助成事業という制度があるわけでありますので、これをできるだけ助成事業ということで、中小河川改修計画に合わせて助成事業でその一部をやっておきたい、こういう考え方で進めたいと思っております。
  24. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、ひとつ具体的にお尋ねをいたしますが、いま大臣がおっしゃられましたように、新五カ年計画というのも今度の大蔵省の重点目標の中にもあげられております。去る十一日の大蔵委員会の中で私はこの問題を大蔵大臣にも質問をしたところでございますが、少なくともそういう計画が、今回の島根の、いま大臣がおっしゃられた一つ一つの河川に対して実行できるものだというふうに確認をしてもよろしゅうございますか。この点はよろしゅうございますか。その点だけでけっこうであります。
  25. 小山長規

    小山国務大臣 計画でありますから、単年度につくれとおっしゃられれば、これは無理でありますけれども、計画に従ってその河川改修をやっていくという考え方でやっていくのでありまして、したがって、その一つの河川河川を全部それじゃやるのかということになりますと、私も具体的な川の名も知りませんし、場所も知りませんので、申し上げかねますが、もし御必要があれば局長から答えさせます。
  26. 卜部政巳

    ○卜部委員 局長の前に私はやはり大臣から御答弁を願いたいことは、先ほど質問を申し上げましたように、そしてまた大臣の答弁の中にちょっと触れておられますように、単年度では実行できるかどうかというおことばがございます。しかし、赤川のこの改修工事の問題についてもそうでありますし、さらに幡屋川という川が今回の予算の中で六百万円という改築工事費がつけられてはおったにしても、それが中途はんぱであるというために、あの赤川の横から突き抜けていったということでこの被害を大きくしておるわけであります。それを放置しておる。さらに、この問題についてそういう予算上の問題、さらにはそういう五カ年計画などというような状態の中で、ただ官僚的に、率直なことばで申し上げますと、措置はこれだけしたのだということで放置をするからそういう結果になるのだと思います。ですから、そういう危険性のあるところにはすぐさま着工をし、さらにそれを完成させるという、こういうことでなければ、災害はまた来年もやってくるような危険性がある、こう考えます。大臣、ひとつその点についてはぜひ——名前も知らなければ状態も知らないということでございますから、その点は、そういう状態は県から申請もきておることでありますし、そういう危険なところ、さらには未修河川については、ひとつ根本的な治水対策をやっていただきたいということをお願いいたしまして、この問題に関しましては終わりたいと思います。  続いて、特殊緊急砂防事業の問題でございますが、これを大幅に実施していただきたいというのが第二の願いであり、さらに質問の内容でありますが、建設省関係のほうといたしましては、緊急砂防の問題、さらには緊急治山事業の合計額が四億をこえるとか、かつ、その標準税収入が百億に満たない府県だとかいうようなことで、盛んに——盛んにというよりも、そういうふうにいわれておるわけでございますが、率直に申し上げまして、この砂防事業の問題はきわめて緊急性を要する問題であります。加えて、その基準に到達をするかしないかという問題についてもかなり問題があるところでございまして、私たちが実地に歩いてまいりましても、三十六年の災害のときに早急にその工事をやっておかなくてはならなかった問題が放置されたままに、さらに、その金額が——金額というよりも、国の負担がないために、県におきましてもこれを実施するだけの能力もない、さらに町村においてもそれを負担する能力もない、危険を十分感じながらも、その居住しておる人々がこれを放置しておる状態の中で生活をさせられたということもあろうと思いますので、こういう基準にあまりとらわれなくて、ひとつ率直に、そういう危険性があるという問題についてはすぐ砂防工事に着手をしていただきたい、このように考えるわけでありますが、この点についてはいかがなものでございましょうか。
  27. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  特殊緊急砂防の件で、建設省関係の分でございますが、これはいま先生がおっしゃいましたいろいろな基準も一応こしらえておりますが、大体島根県はそれに該当するのじゃないかということで、とにかく非常に危険な部分に対しましては農林省ともよく御相談をいたしておりますが、関係の当局のほうと現在折衝中でございまして、危険なところにつきましてはなるべく早く実施をいたしたい、かように考えております。  その他、島根県は特にそうでございますが、いままでああいうふうな集中豪雨というものがございませんでしたので、といいますのは、何といいますか、梅雨前線というのは大体表日本に起こりまして、裏日本のほうはずっといままで長年の間、おそらく日本が近代的日本になってからそういう記録があまりございませんし、砂防指定地というものがいままであまりなかったわけでございます。このことにつきましても今後の問題があるわけでございまして、砂防指定地をなるべくふやしまして砂防事業というものを大いに行なっていきたい、こういうように考えております。
  28. 卜部政巳

    ○卜部委員 時間もございませんので次へ進めてまいりますが、先ほど局長のほうからも答弁がありましたように、折衝中であるから云々ということもございましたが、もうだいぶ時間も経過をし、日時も経過をしておるわけでありますから、早急にその面については実行に移すように御努力を願いたいということを大臣にも局長にもお願いをしておきたいと思います。  次に、災害復興住宅の融資についての問題を提起したいと思いますが、率直に申しまして、これについては特例がございません。ただ住宅金融公庫法の第十七条だとか、さらには二十一条にとどまっておる状態でございます。したがいまして、住宅金融公庫法を改正いたしまして、災害復興住宅の融資についての融資条件というものを特例を設けてもらいたい。それには少なくとも利率を五分程度引き下げ、さらに償還期間を五カ年くらい延長を認めてもらいたい、このように私は考えるわけでございます。なぜなら、やはり今回の集中豪雨の中で一番被害を受けたといわれるのは、また被害を受けておるのは、個人の災害が多い。なかんずく農民の方々が多いわけでありますが、そういう中で、田畑は埋没する、民家は倒壊する、かてて加えて、いま申し上げますように、とうとい人命も奪われるという三重の苦しみをなめておる、こういうような状態の中で、こういうような災害復興住宅の融資についても、そのようなやはり特例を設けて措置することが至当ではないか、こういうふうに考えます。大臣も今度は建設大臣として就任をされたのでありますから、この問題ぐらいはすぐ特例を出してもらうとかいう措置努力をしていただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  29. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  就任早々で法律関係をよく知りませんが、法律の改正を要するのか、あるいは法律を改正しなくても済むのか、検討をしたいと思います。  それからもう一つは、災害住宅の場合には資金をともかく潤沢に貸してあげることのほうが一番大事なことであって、たとえば利息が一分下がりましても、償還の金額にはそう大きな影響はないのではないかというふうに私は感ずるわけであります。しかし、場合によっては年限は少し延長してあげないと実情に合わないのではないかという感じがいたしますが、いずれにいたしましても、災害住宅についていままで特例がないとすれば、何らかひとつ検討してみたいと思います。
  30. 卜部政巳

    ○卜部委員 持ち時間がきたようでございますので、最後に、これは建設大臣に申し上げることが至当であるかどうかは別といたしましても、先ほど小沢委員のほうから冒頭に指摘をされましたように、もうすでに、八月二十日という、このような災害委員会の問題については各大臣に連絡をしてあるはずのものが、全然出席をされてない。全然といっても、建設大臣を除いてですが、そういう意味でこの問題を提起し、閣議の中でぜひともこの問題は問題にしていただきたいという点を私は申し上げておきたいと思います。  今回の豪雨に見られましたとおりに、さらに今後もなお、先ほども委員のほうからも言われました山くずれ等の危険性がある地域に住んでおられる方々がございます。こういうところに住んでおられる方を集団移住をさせるという場合に、炭鉱離職者の場合には、やはり移住に際しましては移住資金の支給を行なっておりますし、加えて、独立した生業を営むためには生業資金の融資というようなものも特例として設けられておるわけであります。今回の災害に対しましても、大臣も御指摘になられましたように、具体的に県から申請がないからまだ検討段階にも入ってないという御答弁がございましたが、少なくともそういう具体的な問題を私は提起したいと思うのであります。この中でひとつ大臣——これは建設大臣という立場の中では即断できない場合もあるかと思いますが、さらにまた、その他の面について明確に答えられない問題もあるかと思いますけれども、少なくとも先ほどの大臣の御答弁とからめ合わせまして、この問題は、何としても、特例といいますか、こういうものを設けてもらうように要望をいたしたい、このように考える次第であります。ひとつ大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  31. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  先ほど申し上げましたのは、私が見ました氷見市の胡桃地区のことを申し上げたわけですが、たとえば山陰のように、あちらのところで一軒、こちらのところで一軒というような場合に一体どうするのかという問題が一つ残ります。それはおそらく現在の法律でもできるのじゃないかと思います。たとえば移住をしたいというときに、たとえば住宅公庫からは移住資金を貸し、それから農地の場合についていうならば取得資金を貸すとか、何か方法があるのじゃないかと思いますが、もし法制上その他の点で、いまの法制ではまずいのだということであって、そして大量にそういう移住希望者が出てくるのだということであれば、これは当然政治的な問題として、いまの制度が悪いならば、変えていかなければならない、こう思います。
  32. 卜部政巳

    ○卜部委員 最後に、ただいま大臣のほうから、島根の場合におきまして個々に云々ということを指摘されましたが、松江市内におきましても、魚瀬という、集団的な移住ということもあるわけでありまして、島根必ずしもそういう個々の問題だけであるという被害ではないのであります。そういう問題とからめまして、ひとつ一いま大臣もおっしゃられました個々の問題についても、率直に言って、まだそういうあれも設けられておりませんし、天災融資法、激甚災害法が適用になりましてもなおかつそういう問題が残ると思います。どうかその面についてはひとつ十分な配慮とさらに適切な措置をお願いいたしまして、時間もございませんので、これをもちまして質問を終わりたいと思います。
  33. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 細田吉藏君。
  34. 細田吉藏

    細田委員 私は、すでに小沢、卜部両委員から建設大臣に各般の問題について質疑がございましたので、二点だけお伺いしたいと思います。  第一点は、非常に具体的な問題で恐縮でございますが、先ほどの卜部委員の質問の中にもちょっと出ておりました中小河川の徹底的な改良復旧をお願いすることについては、先ほど来お話がございました。島根県の場合に、実は中小河川、特に赤川という今度はんらんした川などは、いかに改良復旧いたしましても、斐伊川という大物を片づけないとどうにもならぬという問題がございます。これは実は農林省のほうで昨年度から始めることになっております中海干拓、すでに実施中でございますが、いろいろ問題があることは御承知だと思います。これとの関連もございまして、何としても斐伊川の根本的な改修を考えなければならぬ、こういう事態がきておると思います。これは非常に大きな問題でございます。この点に関しまして、現段階における建設省の斐伊川の改修に対するお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  35. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  斐伊川につきましては、これは直轄河川として現在改修をいたしておるわけでございますが、斐伊川は非常に上流から土砂を出してまいっておりまして、そうして宍道湖に入るところにおきまして、現在までは砂が堆積をするという問題が非常に大きな問題でございまして、これにつきまして、その土砂の排除ということでしゅんせつ機を入れましてこれを取っておったわけでございますが、今回の水害におきましては、宍道湖の水位が平生より一メートル五〇以上上がったということでございますので、これにつきましては、土砂ばかりではなくて、むしろ水量の問題に変わってくるわけでございます。水量の問題につきましても、建設省といたしましては、宍道湖に入れてから水を海に持っていくか、あるいはまた、その途中でショートカットいたしまして持っていくかというような問題につきまして、いろいろ検討を行なっておったわけでございます。それで、島根県のほうに対しましても、この問題の解決につきまして、いろいろ用地問題その他の問題がございますので、これの打ち合わせを行なっておるわけでございまして、今回の水害にかんがみまして、根本策をどうしても立てなければいけないというところに至っておるわけでございます。目下、島根県のほうと、私ども建設省の出先の地建と、それから本省と寄って協議をしかけておるところでございます。  用地問題がいろいろございますので、いまのところはあまりまだきまっておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねるわけでございますが、以上のような状態でございます。
  36. 細田吉藏

    細田委員 大臣、斐伊川の問題、もうすでに御承知と思いますけれども、今度は斐伊川の本流ははんらんしなかったわけです。ただ非常な天井川でございまして、一朝斐伊川の堤防が決壊するというがごときことがありますと、今回の被害のおそらく十倍以上の、もっとすごい被害になるわけでございます。それから今回非常にはんらんして、加茂町という町はほとんど軒端まで浸水したわけでございますが、この赤川を幾らやりましても、斐伊川から逆流するという格好のものでございます。そこで、いままで地方的にもいろいろ問題がございます。いま河川局長からお話のありましたような問題がございますが、今回の災害を契機としましてどうしてもこの問題と真剣に取り組んでいかなければならぬ段階にきておりますので、この点は、いま河川局長からお話がありましたように、大きな計画についてのいろいろ複雑な問題がありますから、なかなか容易ならぬ問題だと思いますが、大臣、ひとつぜひともこれを本格的に手がけていただくということをお願いいたしたいと思います。  それから二番目の問題でございますが、住宅の点につきましては、先ほど小沢、卜部両委員から質疑がございました。今回の集中豪雨災害によりまして、北陸も同様と思いますが、島根県だけ例にとってみましても、いまわかっているだけで二千数百戸というものがこわれたり、あるいはもう住めない、危険な状態にあるというようなことで、移転をしなければならぬ。その大部分が農家でございます。そこで、いま公庫法の問題等も出ましたが、きわめてまあ一般的に言いまして、政府の住宅政策あるいは住宅金融公庫のやり方というものが、私どもいろいろ見たり聞いたりいたしますと、とかく勤労者とかサラリーマンとか、都市の住宅——これはまあ大問題であるからではありますが、そこにどうも重点があるように見受けられるわけでございます。あるいは必ずしもそうでないかもしれませんが……。現に私ども地方へ帰りまして聞きましても、農家の方々は、いまの住宅金融公庫のやり方ではなかなか借りにいかないという問題があるわけでございます。したがって、現に島根県、あるいは島根県の罹災者の皆さんからは、農林漁業金融公庫あたりで別に農家住宅については融資制度を確立してくれぬか、こういうような要望もあるくらいでございます。結局、面積の制限その他いろいろございます。農家を建てるためには、単に住むところだけではいかぬわけでございます。これはもう大臣農林関係のベテランでもございますので、ぜひこの際お願いしたいと思いますことは、農家の住宅というものについて、これは農林省のほうに伺いますと、やはりこれは建設省の住宅局でやるのが本筋じゃないか、こういうことでございますので、私あえて申し上げるわけでございますが、農家にふさわしい住宅——住宅といっても、実際は作業場その他がひっくるまっておりますから、単なる住宅ではないと思いますが、この点について、あるいは資金のワクにいたしましても、あるいはいろんな条件にしましても、相当思い切って考え直していただく必要があるんじゃないか、かように思うわけでございます。これは単に災害復旧の問題だけではなくて、将来の農村の住宅改善、環境をよくする、こういったような前向きの事柄も非常に大切な問題じゃなかろうか、こう思うわけでございます。たとえば今度局部災害があった、どうしても移らなければいかぬ、したがって、まあ団地のようなものをつくろう、あるいはアパート式にして共同作業場をつくろう、いろいろな計画がいま現に行なわれておるわけなんでございます。したがって、これは災害復旧の際にも、もちろん将来の見通しに立って、あるいは構造改善事業その他との関連において住宅というものを解決していかなければいかぬし、またそれが正しいやり方だと思うわけでございます。したがって、これはもう災害復旧だけの問題ではございませんが、いわゆる農家住宅に対して、建設省の住宅局の中で農林省とよく相談をしていただきまして、徹底した農家住宅改善のための特別な制度を確立していただきたい。いまもまあいろいろあることは私も承知しておりますが、複雑なようでございます。もっと簡単に農家というものを対象にした金融制度その他をお考えいただきたい、かように思うわけでございますが、この点、特に、農林行政のベテランでもあります大臣でありますから、お願いをいたしたいと思います。
  37. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  いまの住宅金融公庫としてやっております住宅は、御承知のように、アパートやあるいは借家の賃借りをしておる人たちを何とかまあ一戸建てのうちに入れたいというところに主眼があるものですから、どうしてもそういう方向に向くわけでありまして、しかしながら、今年度から農村住宅については特別ワクをつくったわけなんです。つくったのですが、これはいわばいままでの古い形の住宅を改造して、農村にも住みよい住宅をつくるお手伝いをしたいということから始まっておるわけであります。ですから、この面は来年度も大いにふやしたいと思いますが、いま細田委員から仰せられました分は、災害に対して一体どうするかという問題であって、これがおそらくいままでの住宅金融公庫の住宅の計画の中に入っていないんじゃないかと私は思います。これは確かに一つの御提言でありまして、災害に備えてやはり一つの予備ワクか何か持っていないと、いまおっしゃったような問題の解決ができないのじゃないかということを、いま細田委員お話で私も気がついたわけであります。この点ひとつ十分検討いたしまして、来年度から実現できるようにしたいと思います。
  38. 細田吉藏

    細田委員 災害の融資のワクの拡大、これもぜひお願いしなくちゃいかぬと思いますが、農家住宅に対する、災害の問題だけでなくて、将来にわたって融資制度というものを農林大臣との間にお話しになって、いま、ことしからワクができた云々、これは非常に微々たるものでございまして、この際、徹底的に農村の住宅改善と——これは災害の問題を少し離れるかもしれませんが、もう移転しようかというようなことで、集団移転等もたくさんあるわけであります。特にひとつこの点についてはお考えをいただきますように、大臣に非常に期待をいたしております。御答弁は要りません。御要望を申し上げます。
  39. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 岡本隆一君。
  40. 岡本隆一

    ○岡本委員 今度山陰委員会から派遣されて参りましたが、今度の山陰災害で百名余りの死者が出ております。   〔小沢(辰)委員長代理退席、細田委員長代理着席〕  私は最初、それはやはり水による死者である、こういうふうに思っておったのでありますが現地へ参って、それのほとんどが山くずれによる死者であるということを聞きまして、私どもは今度は雨に対する考え方というものを少し変えていかなければならぬ。いままでは、雨といえば水、こういうふうにわれわれ考えておりましたが、しかしながら、今後は水だけでなしに、雨といえば山をも考えなければいかぬ。そしてまた、現実にたとえば斐川村で、ちょうど参りました日は、埋没された死体が十日以上経て発見されたというふうな日でもございました。その現場に参りましたのですが、そこでやられた人などは、山のふもとに住んでおる、谷合いに住んでおりますから、比較的高いところですから、村は水害だというので避難命令が出たり何かして相当騒いでおったが、おれのところは高いからだいじょうぶだというので、みな安心して寝ておった、そこへどさっとやってきたというふうなことなんです。したがって、私どもはこれから後やはり相当治山対策というものに留意しなければならぬ。もちろんこれは建設省の所管ではございません。しかしながら、そういうふうに、日本の山というものが、いま大きな、従来にない災害が起これば、至るところにつめで山をひっかいたような山くずれが起きるというふうな状態になってきておる。これはやはりいろいろ原因があるかもしれませんが、一つには、大きな原因として、戦時中の乱伐があると思うのです。乱伐されたあと、木の根っ子がだんだん腐食してくる、その中が空洞になってきておる、だから、雨で水をたっぷり持ったら、そのあとでどっとくれば、ざっとくずれやすくなっている。あるいはそのあとに植林いたしましても、やはりそういうふうな山の素質というものは十分回復していない。そういう点で非常に山くずれというものがきやすくなっておるということは、それだけまた治水対策の方向をわれわれは今後変えていかなければならないのじゃないか。いままでは、治水事業といえば、御承知のように護岸を強くして水が漏らないようにというふうに考えておりました。しかしながら、山陰に参りまして、これは護岸ももちろん大切でございますが、しかしながら、やはりどうしても砂防ということに非常に、従来以上に重点を置いていかなければならないのじゃないか。従来からも、大体洪水の場合に出てくる水の中の半分くらいは土砂であるということがいわれております。だから、洪水を形成するのが、単に降った雨だけでなしに、くずれて流れて出てきた土砂や岩までが洪水の量の一部を構成するということになってまいりますと、洪水というものは雨だ、水だという考え方でなしに、やはり洪水というものは水プラス土砂だという、土砂というものを大きくわれわれは頭の中に置かなければいけないのじゃないか。ことに山陰災害死者のほとんどが山くずれでなくなっておる。それほど山くずれが起こるということは、それだけ非常に多くの土砂が流れてきておる、こういうことに私はなると思うのであります。今後新たに来年から五カ年計画を策定されるということでございますが、その五カ年計面の中で砂防というものをどういうふうな地位に置かれますか。従来の予算の比率は私も数字を調べてまいりませんでしたが、河川事業と同時に砂防事業として予算が出てまいりましたそのパーセンテージ、今度はやはり上流に対するところの砂防というものに相当重点を置いた五カ年計画を策定していただかなければ、今日の日本の川の状態あるいは山の状態に対応したところの治水計画というものは成り立たないのではないか。幾ら河川事業として護岸をやったり、あるいは改修をやったり、ショートカットをやったり、いろいろなことをされましても、やはり治水対策としては十分なものではない。そういうことを山陰に参りまして私は特に痛感いたしました。また、島根県でもそうでございましたが、大山のふもとの川でございますが、これもものすごい土砂で荒らされております。大きな岩が流れ落ちてまいっております。また三、四年前に私は観光道路の視察で大山に登りました。ちょうど崩壊した岩石が上から落ちてまいって、そこに岩石、土砂のために大きな雪渓のようなものがつくられてまいるのを見まして、この大山という山は非常にくずれやすい山だなということを感じておったのですが、そのことがやはりことしの大山のふもとの災害となって出てまいっておる。そういうようないろいろな事情を勘案いたしまして、これは山陰だけではないと思います、ほかのところも私はそうであろうと思うのでございますが、今後の治水対策の中で砂防というものの位置づけをどうお考えになるか。そしてそれが従来どおりでいいのか、あるいは従来にも増して砂防というものに重点を置いて考えていかなければならぬかというような点について、大臣の所見を承りたいと思います。
  41. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  治水の問題でありますが、その前に集中豪雨のこともありますから、申し上げます。  私も島根の状態はまだ見ておりませんが、その前に私の選挙区に非常な集中豪雨がありました。これは山が十分育っておるところでも同じようにやられたわけです。集中豪雨は土壌との関係で大森林のところでもやはり同じような被害がくるのだということをそれで感じたわけであります。今度の山陰の場合は、従来あまりそういう雨になじまないところへもってきてそれがきたので、非常な災害を起こしたのではないかというふうに感ずるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、今度の治水計画を立てるにあたっては、護岸を幾ら高くしましても、砂が流れ込んだのでは相対的に低くなるわけですから、当然砂防というものを考慮に入れてやるようにということで命じてあります。  なお詳しいことをお聞きになりたければ、今度の一兆五千億円の内容などについては、河川局長からお答えさせます。
  42. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  砂防について重点を入れるかということでございますが、今度の災害にかんがみまして——いままで砂防指定地というものが非常に少なかった地方がございます。たとえば、先生に見てきていただきました島根県なんかは、砂防指定地が非常に少なかったわけでございます。このことは、先ほど御説明申し上げましたように、梅雨前線というものが、いままで何十年間というものは大体表日本にずっととまりまして、それが裏日本のほうにとまった例はほとんどなかったわけでございます。それが今回の梅雨前線山陰のほうにとまった形になりまして、表日本のほうを素通りして北のほうに寄ったという形になったわけでございます。これによって山陰地方がいままで受けたことのないような非常な集中豪雨、また時間的な雨量を受けまして、これがために非常に山が荒れたわけでございます。それではこういうことが今後起こらないかというと、やはり一度起こりますと、ある程度こういうことが癖になるというようなことも考えられますし、いままで砂防指定地の少なかった山陰地方というものをもう一度検討し直して、砂防指定地をふやして、五カ年計画にはそういうところを入れまして計画いたしたいと考えております。いままでのところは大体表日本に多く砂防のことを考えておりましたが、地すべりは別といたしまして、そういうことを考えていきたいと思っております。
  43. 岡本隆一

    ○岡本委員 新五カ年計画の中では砂防の問題をもう少し従来よりも重点を置いていただくように、私はこの機会に希望しておきたいと思います。  それからもう一、二点お尋ねしておきたいと思うのでございますが、先ほどの質疑にもございましたが、斐伊川の治水計画でございます。これが、関屋分水と同じように、宍道湖でなしに、反対側の日本海に流すという分水計画があるようにも聞いております。しかしながら、地図で見ますと、相当長距離にわたる水路をつくらなければなりませんし、したがって、その地域の住民との話し合いはなかなか困難なように思うのです。そういう分水計画によってその分水された沿岸にまた災害が予想されるというふうなことも考えられる。だから、分水するということは災害を持ち込まれることだというふうなことに現状では想像されるのです。分水して幾ら護岸をつくり、がんじょうにしましても、そこにまたどんどん土砂が流れてくる。天井川になる。そうすると、結局は従来の水路から新たなる水路に災害が移転してくるということになるにすぎない。だから、そういうような考え方では、私はなかなか分水計画というものは話がつかないと思うのですが、分水計画というものがはたしてできるものと思っていられるのか、これは不可能なものと考えていられるのか、建設省の斐伊川に対する治水計画分水計画についての固まった考え方があるのかないのか、そういう点について伺いたいと思います。
  44. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  斐伊川につきましては、先ほどの土砂の問題でございますが、下流のほうに現在はしゅんせつ機を入れまして、ちょっと土量の点は忘れましたが、毎年しゅんせつをいたしておりまして、それによりまして斐伊川の河床というものは、いままでは年々上がっておりましたが、現在ではこれが幾ぶん下がりぎみあるいは現状維持というような程度におきまっております。したがいまして、現在のような降雨状態でございますと、あるいは土砂の流出状態でございますと、これで押えていけるのじゃなかろうかというふうに考えております。  それで、分水計画でございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたように、直接海のほうに宍道湖から持っていくか、あるいはまた、少し上流のほうでほかの川に持っていって、それを海に持っていくかということでございますが、分水をいたしますのは、河床から全部持っていくのではなくて、洪水のときに高い水をある程度分けて持っていくというような方法をとりますれば、先生が先ほど言われた土砂のほうはやはり相変わらずもとの川のほうに持っていけて、そしてそれはしゅんせつ機でまたとってある程度維持していくとか、そして新しいほうにつきましては、もちろんそれを考えに入れて計画をいたしまして安全なようにいたすとか、そういうようなことができるというふうに考えております。したがいまして、分水計画につきまして、もし分水するというふうに決定をいたしますれば、そういう技術的に安全なようにいたすことはできるというふうに確信をいたしております。
  45. 岡本隆一

    ○岡本委員 そういうものをつくることによって分水していきたいというふうなお考えのようでございますが、そうなってまいりますと、やはり宍道湖への土砂の流入というものは避けられない。現地で話を聞いておりますと、これから五十年か百年もすれば宍道湖はすっかり土砂で埋まってしまうだろうというふうなことが言われておりましたが、そういうことでありますと、せっかくの水郷松江が、全く干拓されてしまった宍道湖を持つというふうなことになりますが、やはりそういうようなことでは残念でございますから、そういうような意味から、これはしゅんせつもどんどんやっていただかなければなりませんが、上流の砂防というものに特に留意をしていただかなければならないかと思うのです。それに伴って、いましゅんせつされて少しずつ河床が下がりつつあるということでございますが、この河床に非常に変動がございますと、農業用水の取り水の施設を上げたり下げたりしなければならないので、河川管理の中で河床をどの高さにしておくかということについて、建設省は現在どの河川についてもはっきりしたなにをお持ちにならない。とにかく、土砂がたまれば業者に掘らせる。それで、掘らせて護岸があぶなくなってきたら禁止するというふうに、私は建設省河川管理について持っておられる態度というものについて少しルーズなところがあるのじゃないかと思う。だから、いまの農業用水の取り水との関係で絶えずいろいろな問題が起こったりしておる。だから、やはり河床というものを絶えず同じ高さに維持する、大きな洪水があってたくさんおりたときには、やはり建設省のほうでしゅんせつ機をどの河川にでも入れて、しゅんせつ機だけでなしに、流路の疎通をよくするとか、いろいろな形で、とにかく河床の高低いずれの場合でもある範囲をおきめになって、絶えずその範囲内に置いておくというような努力をしていただかなければ、これは河床によるところの農業用水への影響が非常に大きいので、私はその点についての従来の管理が少しおろそかではなかったかと思うのでありますが、そういう点について従来とも配慮しておられるのか、あるいは今後どういうふうな方針をとっていかれますか、この機会にあわせて承っておきたいと思います。
  46. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  重要な川——と言うと語弊がありますが、昔から国が管理をいたしておりました、たとえば利根川でございますとか、淀川の本川でございますとか、こういうようなところにつきましては、ある程度、計画河床といいますか、これももちろん年代によって変わっております。というのはどういうことかと申しますと、たとえば利根川は、最初明治時代の改修のときにとりました流量と、それから現在とっております流量とは、何回も変遷を来たしておりまして、だんだんと流量がふえておりますので、それによって計画河床というものが、あまり大きな変動はございませんが、ある程度変動を来たして、護岸につきましても根入れを深くいたしておりますが、そういうところで高さは一応きめております。しかし、その支川とか、あるいはまた、他の水系になりますと、この管理は、あるいは県になり、あるいは国になり、その辺非常に変遷をいたしておりまして、そこの辺で、前のときに護岸の根入れがこれだけしがなかった、それを今度計画が変わってこういうふうになったとか、そういうようなところで非常に乱れておるところがございます。まして、以前には河川台帳というものを各府県がつくっておりまして、これが整備されておったわけであります。ところが、戦争中あるいは戦後非常に動乱をいたしまして、これが爆撃で焼かれたり、あるいは終戦後の動乱時に紛失したり、また疎開をするときになくしてしまったりいたしまして、河川台帳というものがなくなってしまったわけであります。河川台帳といいますのは、いま申し上げましたとおり、この川はどういうふうになっておって、どこの場所にはどういう護岸があり、どういう河川工作物があるかというようなことが詳しく明記されておって、その由来が書かれておったのでありますが、そういうものが現在なくなってしまっておるのが大部分の府県の例であります。一部の府県では、それを復活しておつくりになろうとしておりますが、そういう状態に現在なっておるわけでございます。それで、建設省といたしましても、この河川台帳をぜひ復活しなければいけないということで、現在その復活にかかっておるわけでございます。ところが、この河川台帳は、非常に大きなスケールといいますか、大体六百分くらいのスケールでつくっておかないと、なかなかそういう構造物の明細がわかりませんので、そういうものをつくらなくちゃいけない。そうすると非常に高額の費用が必要になってまいりますので、一度にこれをつくるということが、また人手も非常に要りますので、なかなかつくれないわけでございます。したがいまして、現在では、そういうものを順次つくっていこうということで、計画的にこれをつくりつつあるわけでございます。  それから計画河床というものがはっきりしてないような河川であって、砂利の採取に非常に問題が起こる河川、いままでどうもはっきりしなかったという河川につきましては、計画河床といいますか、これ以上掘られては、たとえば農業用水の取り入れに非常に影響があるとかいうような、あるいは護岸の根入れに困るとか、橋脚の根入れに困るとか、こういうような、ある河床をきめましてそうしてそれを維持するように現在命じております。そしてその河床に従ってやっていきたい、こういうふうに考えております。
  47. 岡本隆一

    ○岡本委員 河川というのは、元来低いところに水が流れていって川になったのでありますから、両岸よりも低いのがほんとうなんですね。それがいつの間にか土砂のためにだんだん高くなりまして、全国至るところに天井川ができております。局長も御承知のように、木津川のごときに至っては、その川の下を隧道で自動車が通っておるというほど河床が上がっておるところも相当あるわけでございまして、したがって、これは原則的にはできるだけ河床というものは低くしておく、だから、下がれば下がったに応じて施設を下げていって——昔は自然に導水しなければ農業用水なんかとれませんでしたが、このごろは水さえあれば幾らでも人工的にとれるのでありますから、そういう意味において、できるだけ、河床が下がれば下がったに応じてどんどん護岸根入れを強固にしつつ河床を下げていくというのが、やはり治水の本来のやり方ではないか。ところが、そういうことになると農業川水の取水がしにくくなる、それを防止するのにはやはり河床は高く維持しておかなければいかぬ、こういうふうなことかう、砂利の採取がこのごろ木津川なんかも禁止されております。だから、そういう点についてやはり河川改良事業に伴う、河床を下げるというふうな一種の改良ですね、それに伴う関連事業として、農業施設の用水とかその他の施設を直していくというふうなことは、河川事業としてはお認めにならないのですか。それとも、やはり河川事業として、現在そういうふうな場合、河床をだんだん下げていく必要ができてくる、河床を下げていけば、同時に農業施設も変えていかなければならぬ、その場合に、建設省側はノーコメントで、これは全部農林省側ということになるのですか、それとも、その場合には河川もある程度の負担を持たれるのですか、そういう点についてはどうですか。
  48. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  河川の改良工事を行ないまして、先ほど申し上げましたように、流量がたとえば変わった、こういう場合に、どうしても計画河床というものを下げなくてはいけないということが起こりまして、それによって農業用水が取り入れられないという場合におきましては、従来から建設省といたしましては、原因者負担といたしまして、国のほうでこれを取り入れできるような施設を行なっていくということにいたしております。自然に下がった場合につきましては、これは建設省としては、その場合はようやっておらないわけでございます。
  49. 岡本隆一

    ○岡本委員 これは斐伊川から話が少し横へそれましたが、やはり斐伊川の場合は、現在上がってしまった河床よりもどんどん下げてやる必要があるのではないか。そのためには、宍道湖に対するしゅんせつ工事というものをおやりになる必要があるのではないか。斐伊川の河床が下がれば、そのために農業用水との関連ができるから、斐伊川をなるべく現状維持というふうなお考えに立たれますと、これは赤川であるとか、その他の斐伊川に流入している支流なんかのバック・ウォーターの問題と関連してくる。だから、そういう点について、斐伊川の河床を下げるための方途として宍道湖を大きく掘り下げる、あるいはまた、宍道湖から中海への水路の掘さくをやるというふうなことで、宍道湖の水はけを少しよくすれば、宍道湖の埋まっていくこと、さらにまた斐伊川の河床を下げることに相当成功するのではないかと思います。これは一つの意見でございますけれども現地へ行ってみても私どもがそう感じたということを今後御参考にしていただきまして、斐伊川の治水対策を大いに推進していただきたいと思います。  大臣お急ぎのようでございますから、もう一点だけお伺いしておきたいと思います。  それは新潟県の地盤沈下でございます。御承知のように、地盤沈下というものは、これは現地住民と何の関係もなしに鉱業のために起こってきたものです。これはいわば一種の鉱害でございます。鉱害であるならば、鉱業権者に復旧の義務がございます。また、国もこれを助成する鉱山法の規定がございます。しかしながら、いまそれでは、地盤沈下したものを、全部のかさ上げをそういう鉱害の法律に基づいてやれと言っても、それはちょっと困難な——本来はやっていただかなければならぬ問題でございますが、そこまで申しては少し議論が走り過ぎておると思うのでございますが、しかしながら、そういう地盤沈下地帯で、その地域の住民なり、たとえば学校とかその他の施設が始終水害で困る。せめて、運動場はそのままでも、校舎だけなりと地上げしたいというような議論などが当然出てこなければならないのではないかと思うのでございますが、そういう場合、国はどういうふうな助成をされますか。これは何らかこういう補償的な考え方というものがあっていいのでございまして、そういう点についてのお考えがございますか、お伺いしておきたいと思います。
  50. 小山長規

    小山国務大臣 お答えします。  一般的な話で、お答えしにくいのですが、地方公共団体が管理するものは一体どうするか、国がやるものはどうするかとか、いろいろあろうと思います。いずれにしましても、これは国が命じておそらくそういうことをするということではなくて、地方が、たとえば新潟市なら新潟市がこうしたい、県がこうしたい、こう言ってくると思うのでありますが、それによって一体どうするのかということがやはり具体的に出てきませんと、いま直ちにどうしますというお答えはちょっとしにくいと思いますので、御了承願います。
  51. 岡本隆一

    ○岡本委員 これは地盤沈下を起こして、いわばそこは水害常襲地帯になっておる。だから、重要な施設はやはり水没しないように上げなければうそだと思うのです。たとえば病院でありますとか学校でありますとか、あるいは電報電話の施設であるとか、緊急に必要なもの、その他、災害時でもどんどん活動する必要のある施設、そういうふうなものについては、当然私は、復旧の場合にそういうことを考慮に入れて復旧工事をやるべきだと思うのですね。そういう場合に、それに伴うところの経費というものが、いわゆる一種の改良復旧になりますが、そういうものが改良復旧対象と見られるかどうかということでございます。これはやはり地盤沈下に伴うところの一種の補償事業になってくる。だから私は、建設省としても、地盤沈下をこんなに起こさせたということについては——これは科学技術庁が、あの当時、新潟地盤沈下の原因が地下水のくみ上げに基づくものだ、ガスの採取に基づくものだという結論を出すことを非常におくらしたのです。科学技術庁がおくらしたということは、これは単に科学技術庁だけでなしに、これは政府責任です。やはり鉱業権者のほうから相当な、何といいますか、圧力があって、それで結論を出すのをしぶった。その間にもどんどん新潟は沈んでいったのです。だから、今日新潟のゼロメートル以下のところが非常に広くなったということは、これは政府の大きな責任でもあります。だから、本来ならば、そういうふうなことにしてしまった政府は、新潟の町全体をかさ上げして戻してやらなければならぬ。私は政府にそれだけの責任があると思うのです。しかしながら、そこまで話を持っていっても、とてもいまの政府ではおやりになる意思はないように思いますが、せめて緊急避難の場所であるとか、あるいはまた重要な施設であるとか、そういうふうなものについてだけでもそういうことをやる義務が政府のほうにある、私はこういうふうに理解しておるのでございますが、大臣はどういうふうに御理解になりますか。
  52. 小山長規

    小山国務大臣 いろいろ考え方はあると思いますが、沈下した地盤をもとに戻すのが、災害復旧といういままでの範疇に入るかどうか、どうも私は役所づとめが短いので、その辺が見当がつきませんが、重要な施設について、たとえば地盤が沈下したために、今後雨でも降ったときに水がたまって仕事ができなくなるような場所がかりにあるとした場合に、地盤を上げるのか、それを水が入らぬような防護施設を周囲にするのか、あるいは入った場合に排水の施設をするのか、そういういろいろな考え方があるのであろうと思います。それをいきなり災害復旧対象として地盤を上げていくのだということは、いままでの災害復旧の考え方としてはおそらくとっていなかったんじゃないかと思いますが、不勉強ですから、その辺のところはあるいは違うかもしれません。
  53. 岡本隆一

    ○岡本委員 もちろん、いままでの災害復旧の範疇に入っておりません。しかしながら、今日災害復旧というものが、従来は、普通の天災——あるいは人災の場合もございますが、普通の災害だったわけですね。ところが、新潟の場合に至っては、これは地震によるところの災害でありまして、これは関東震災以来ああいうゼロメートル以下のところに起こった地震というものはなかったわけです。だから、ゼロメートル以下のところに地震によるところのいろいろな破壊が起こったということ、このことは災害についての新たなる経験であります。だから、そういう新たなる経験に基づいたところの考え方というものは、われわれはこの際吊していっても差しつかえないではないかと思う。本来ならば、もちろん災害が起こる前に、その沈下した地盤、ゼロメートル以下であるということは、このことは非常な危険を内包しているわけです。高潮が一つ参りましても、これは地震による高潮、あるいは風雨による高潮、いずれにいたしましても、これはゼロメートル以下であるということは非常に危険なことなんですね。そういうような危険な状態をつくってしまったということは、これは国の責任なんです。だから、国はその責任においてやはりもとの姿に戻してやるということが、住民に対する義務である。そうじゃないですか。首を横に振っておりますが、それはおかしいですよ。そうじゃないですか。——そんなことを言っておると時間がなんですから、あらためてそういう問題についてまた大臣の意見をゆっくりお伺いすることにしたいと思います。そういうことはたな上げにしておきまして、とにかくゼロメートル以下に国はしてしまったんだ、だからそこの重要施設だけはゼロメートル以上にしてやろうというくらいのお考えはお持ちになってもいいのではないでしょうか。それを災害復旧と関連するからとかしないからとか、法律のたてまえからどうだこうだというような問題でなしに、政府責任としてそれはそういうことをする必要があるとお考えになるか、そんなことは知らぬとお考えになるか。あなたはいま、いや、水が入らぬようにすればいいじゃないか——水が入らぬように防潮堤をつくられたのです。パラペットをつくられたのです。しかし、せっかくつくったパラペットも、地震でがらがらになって、そこに高潮がきたから、みんなまくらを並べて討ち死にしています。やはり大きな災害の場合に、幾ら人工的なものをつくっておいても、これは自然の力には人間というものはなかなか勝ちにくいものなんです。だからそういう点で、せめて重要施設だけなりと安全にしておくということは、これは私は必要であるし、またその点について国もそういう点の努力をするというふうなことは当然あってしかるべきだと思いますが、大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  54. 小山長規

    小山国務大臣 残念ながら、国の責任で地震に伴ってというふうに考えることについては、ちょっと私も納得しかねる点があります。ただ、たとえば焼けてしまったとか、あるいはもう取りこわしてしまわなければならぬ施設がある、それを今度はつくりかえるというときには、おっしゃるような考え方でいいかと思いますけれども、まだ建物は残っている、ただ傾いているという場合に、土地を上げることが災害復旧になるかどうか、この点、私はどうもちょっと常識的に、いままでの災害復旧の考え方じゃないのじゃないかというふうに感ずるわけです。
  55. 岡本隆一

    ○岡本委員 大臣は、一時間というお話が、だいぶ過ぎましたから、この程度にいたして、別の機会にもう一度お話を承りたいと思いますが、とにかく地盤沈下に伴うところの災害復旧については、これは新たなる観点からわれわれは考えなければならないと思います。ことにまた、激甚法をつくりました当時は、ゼロメートル以下の地域におけるところの地震に伴う災害というふうなものは全然予想しないで、われわれはあの財政援助に関する法律を審議したのでございます。だから、そういう点、違った観点でものを考えていかなければならぬと思いますし、政府のほうでもまた、そういう点については新たなる事態に対処するという気持ちで善処していただくことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  56. 細田吉藏

  57. 石田宥全

    石田(宥)委員 朝来の質疑を伺っておりますと、どうも何回か同じことを繰り返しておるようで、はなはだ遺憾に存ずるわけでありますが、これは主管の大臣出席されないために特に与党の委員の諸君の出席が悪いというようなこともあろうかと思うのでございまして、委員長代理の細田さんは理事でもあられますので、今後の災害対策特別委員会の運営については、やはり主管大臣出席をされた上で、堂々めぐりをすることのないような運営をひとつ要望いたしておきたいと思います。  建設大臣に一言承りたいと思うのですが、先ほど細田委員から農家の住宅の問題について御質問がございました。この問題もやはり何回か質問のあった問題でございます。細田委員の質問の要旨は、農家の住宅全般について特別な配慮をすべしということと、もう一つは、災害復旧にあたっての農家の住宅復旧についての配慮をすべきだという二点だったと思います。ところが、災害復旧にあたっての農家の住宅金融公庫の融資については、七月三日の本委員会におきまして——これは会議録第十三号の二ページにありますが、稻葉委員がこういう質問をしておるのです。「被災地の国民にわかりやすく聞きますが、たとえば五十坪のうちがこわれた、これを五十坪もとどおりに建てたいという場合に、三十坪は自分で金をくめんして建てる、あとの二十坪分は住宅公庫から借りられるのか借りられないのか、そういう五十坪建てる場合は、二十坪という制限にひっかかって全然だめなんだというのか、どうですか。」という質問、前の住宅局長は「住宅金融公庫の災害復興住宅の現在の制度をもって申し上げますと、これは緊急融資でございますので、金額の限度を限りまして、同時に、家も緊急の分でございますので二十坪を限度にして運用しております。しかし、この場合の住宅と申しますのは居住部分でございますので、農家あるいは商家等におきまして居住部分の範囲外のものがございますときには、それは住宅部分とひとしい面積分だけは家そのものとして認めております。でございますから、設例のように、もしそのお宅が二十坪の住宅部分を有しておる場合には、そのほかに二十坪分の非居住部分が含まれることは差しつかえございませんが、その分が二十坪をこえまして、二十坪の居住部分と二十坪をこえた三十坪の非居住部分でございますと、融資対象は四十坪分になるというのが現状でございます。これでは実態に合いませんので、いま申し上げましたように改正しようという趣旨でございます。」さらに稻葉委員は「農家だとか商家だとかいった、住居でない部分があって、住居の部分が二十坪という場合は、あなたの言ったとおりでしょうけれども、月給取りで五十坪の家を持っている、それがこわれた、それを全部建てかえるという場合に、五十坪のうちの三十坪は自己資金、二十坪は住宅金融公庫からの借り入れ金でやりたい、そういう場合は、住宅金融公庫は貸しませんというのか、貸しますというのか、どっちなんです。」前田説明員「今回の省令の改正によりまして、従来の住宅を原形に復する場合及びこれに準ずるような場合には、ある程度の坪数の家をつくることについて金を貸す、しかし、その資金は、木造の場合五十八万円を限度とする、こういう方向でございます。」稻葉委員「わかりました。つまり、今度省令を改正して、五十八万円までは借りられます、こういうことですね。」前田説明員「さようでございます。その趣旨で省令を近く改正する段取りにいたしておりまして、いま大蔵省ときのうきょう打ち合わせをやっております。」こういう答弁をしておるのです。建設大臣の答弁によりますと、この二つの質問の要旨をごっちゃにして、何か善処するといったような、答弁がぼけておるのです。そうすると、せっかく省令を改正してやろうということで、七月三日の時点で、きのうきょう大蔵省と話し合いをして省令の改正をするつもりでありますとはっきり言っておる。その後もこの問題は出ておるのです。そして、それはやると言明しておるのです。いまの大臣の答弁だと、それはみんなぼけちゃって、前のものはみんな消えてなくなってしまう。これでは困る。ここではっきり確認しておきたいと思うのです。
  58. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。  いま言われましたことが、私も細田君の質問のときにはよく理解できなかったのです。いまここで調べましたところが、いまおっしゃったとおり、原形復旧の場合、二十坪以上でもよろしい、そして金額の限度があるんだ、こういうことで、省令は七月の初めに改正しましたそうでありますから、あらためてお答え申し上げます。
  59. 細田吉藏

    細田委員長代理 午後一時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ————◇—————    午後二時四分開議
  60. 中山榮一

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関する件について質疑を続行いたします。小沢辰男君。
  61. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 午前中の最初の予定で厚生がございますので、厚生省のほうからやります。  私は、厚生省でいろいろな問題がございますけれども、きょうは時間がありませんから、大事な点だけにしぼります。  まず、環境衛生の施設に関する災害復旧でございます。これは通産省とも関連いたしますけれども、その中で大事な問題が住民の入浴問題、地震以来水が出ない、あるいは下水が使えないというようなことで、非常に不便をいたしましたが、一応ついてまいりました。さてこの市民の入浴問題、浴場が非常にやられておる。これを復旧をするということで、各浴場が一体どこへお願いをしたらいいんだ。本来厚生省が料金統制をやり、指導監督をやっていながら、厚生省に頼みにいっても、これについての復旧のめんどうを見てくれるという手段がない。日ごろ環境衛生というのは、とにかく監督をやり指導をやって、やかましいことばかり言うけれども、非常のときにはちっとも世話をしてくれぬじゃないか、しかも、その料金は統制だ、そういうことで非常な不満があります。それで、これを放置しておきますと、一般の市民は入浴できないということになる。  そこで、浴場につきまして、私は現地について調べてみましたところが、確かに厚生次官から県に通牒がいって、できるだけ世話をしてやるようにという通牒が一本舞い込んでおった。それを受けて、県のほうでは中小三公庫やそれぞれのところにできるだけ浴場はお願いしますということを出してある。それを受け取った中小企業金融公庫は、それぞれ金融機関に向かって、浴場については特段の御高配を賜わりたいという通知を出してある。ところが、実際には所要資金が約二億五千万ばかりかかります。浴場全体で六十何カ所やられております。ところが、そのうち自己資金大体一億。一億五千万の融資をほしいんだということで、いろいろ個々の企業でそれぞれ銀行へ申し込む。これが中小公庫では直接貸しの対象にはならぬ、こう言っておる。したがって、代理貸しだ。そうすると、銀行に行きます。御承知のとおり、ことし若干料金を値上げしておる。ところが、銀行へ行くと、おまえのところの前年度の経理状況を持ってこい、あるいは納税証明書を持ってこい、こういうことになります。したがって、今年からまた経営が改善されておるんだと言っても、それは証拠がないわけです。決算書は三十八年。そんなことで、実態を見てみますと、大体がほとんど希望の半分くらいしか許されない。いいところでそうです。私は全部各浴場別に希望と実際に借りたものと一覧表を持ってきておりますが、総体的に見ていままで約四千万ちょっとしか借りていません。そういたしますと、一体市民の浴場、入浴という問題をどうやって解決するんだ、これから冬を迎えて非常に大きな問題になると思いますが、一体どういうように考えておるか。責任官庁としてもっとしっかり対策を練ってもらいたい。  それから、午前中もいろいろ議論がありましたが、新潟全体が今度の地震でさらに地盤が沈下をしておるところがずいぶんございます。したがって、もちろん下水がきかない。この下水の復旧をもとどおりにいたしましても、前よりも、し尿処理については広範に処理をしなければいかぬような、いわば対象面積が広がったという実情がありますから、需要増が猛烈に出てきておるわけであります。そうすると、いままでのし尿処理の復旧については、今度は特例で予算補助が八割になった。ところが、非常な需要増でございまして、いわゆる地盤がどんどん沈下しているから、したがって、下水、水洗が使えないということになれば、当然し尿処理がいままでの計画よりもうんと需要がふえてくるわけです。当然新しく設けなければいかぬ。そうなると、これは災害復旧ではないというようなかっこうになる。新設になる。こういう問題はどういうふうに厚生省では考えておるか。  それから、水道問題で部落の簡易水道。これは島根から秋田までにかけて水害地帯でもあるわけですが、簡易水道が各部落で昔からやっておるのがございます。こういうようなものは市町村公営でないために補助対象でないというようなことで、非常に零細な連中が集まってやっている組合の簡易水道の問題が非常に困っておるようでございますが、こういう点についてどういうような対策を講じているか。  それから、水道の復旧について、改良復旧的になるのでしょうが、前にある町の上水道が地下水にたよっておった。ところが、今度の地震あるいは山くずれ等で地下水が期待できなくなる。根本的に水源地の復旧をしなければいかぬ。幸いに近くに川があるから、信濃川から取ろうじゃないか。そうすると改良復旧だから、これは復旧対象の場合に、災害復旧のあれにならぬというようなことで、水道は復旧したし、しかも改良復旧災害復旧の高率補助対象にならぬ。これで困っておる点があるのですが、こういう点についてはどういうように対策を講じておるか。厚生関係で以上の点。  なお、理容、美容についての養成所。これは厚生省は、法律に基づく養成所はだいぶいろいろな、看護婦養成所からたくさんあります。こういうようなものは学校ではない。したがって、災害復旧としての高率補助の適用になりません。おそらくいままでの厚生省の考え方では補助対象でもない。これが全部やられた場合に、一体養成施設を復旧する方法をどういうふうにして指導するのか、またどういう援助をするのかという点もあります。したがって、これを、たとえば融資等について、厚生省が持っているいろいろな機関を動員してやる考えがあるかどうか。  なお、私的医療機関については、環境衛生局長の所管でないかもしれぬけれども厚生関係全般の問題として、いま全国で値段を統制していますのは米と医療費と、それからいまのふろ屋、ほとんどが自由経済のもとで料金統制というものはありませんけれども、これらがごくわずかな例です。医療費は統制をするが、災害のときにはおまえたちは一般並みの医療公庫でただ借りるだけだ。こういうことでは、これは料金を統制して国民医療のためにというようなこととちょっと合わぬじゃないか。医者から見れば料金は統制されるわ、災害復旧のときには一般と同じだわというのじゃ困るので、この点も特段配慮をしないと、ことに医療金融公庫を持っておられるのですから、この点をひとつよく帰って、きょう答弁できなければきちんとした回答をやって、いつまでも災害対策委員会で同じようなことを何べんも言っておるわけにいかぬのだから、ひとつはっきりとした返事をいただきたいと思います。
  62. 舘林宣夫

    舘林説明員 お答えいたします。  浴場の融資につきましては、お話のございましたように、新潟で相当被害が大きくて再建に困っておるという事態は、私も現地に参りましてよく承知いたしております。厚生省としては、その融資について災害の当初から組合にも連絡し、県にも連絡し努力をいたしておるつもりでございますが、なおお尋ねのような事態がございますので、今後通産省のほうにも連絡をいたしまして、十分復旧できますように末端にまでその趣旨が徹底するように努力をいたします。  地盤沈下に伴って、し尿処理施設の対象人口がふえて、そのためにし尿処理施設をふやさなければならないという事態が起こっておることは、私ども承知いたしております。それによって、復旧でなくて拡張の必要がある、その拡張分についてどういうめんどうを見てやるかというお尋ねでございますが、この件につきましては、もしもそれが確実に災害に起因しておる、直接災害に起因しておるものでございますれば、今回の災害の特別補助対象とすべきものと思いますが、関連性が薄いということでございますれば、それは通常のし尿処理施設の増設ということになるわけでございまして、私ども関係では補助率三分の一ということになるわけでございます。しかしながら、たとえそういうことでございましても、今回新潟市が受けました非常な災害ということを考慮いたしまして、起債の面につきましては十二分に配慮するよう私どもとしては努力をいたしてまいりたい、かように思います。  それから、部落でつくっておりました簡易水道の件でございますが、この件につきましては私どもそういう事態があるということを聞いておりまして、なお詳細を県を通じて調査をいたしております。その調査の結果によりましては、これは、災害復旧として考えざるを得ないということも考えておりますが、なおこれは調査を待って検討いたしたいと思います。  それから、地下水に水源を求めておりましたものが、災害のために他に水源を求めざるを得なくなったということで、これはやや改良復旧の気味がある、こういうお尋ねでございましたが、震災のために地下水が枯渇をいたしまして、水源としての役をなさないということでございますれば、他に水源を求める工事をいたす場合でも当然災害復旧対象といたす、こういうつもりでおります。  それから、理美容の養成所が今回災害を受けたことを私ども聞いておりまして、これに対して補助金というわけにも参りませんが、何らか融資の道はないかということを私どもも考慮いたしておりまして、これが内容のいかんにもよりますけれども、内容によりましては年金融資の対象にする等、できるだけの配慮をいたしてまいりたい、かように考えております。  私的医療機関に対する復旧の特別の配慮につきましては、関係部局に十分連絡をいたしまして、御趣旨の点をよく伝えるようにいたします。
  63. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 次に通産省に移ります。  今回の災害で、激甚法制定以来いろいろ公共事業につきましては相当ルールがしかれまして、順調にいっているような点が多い。個々にはいろいろ問題点がありますけれども。ところが、産業復興につきましては、どうも通産省の力の入れ方が足らぬと私は思っております。なぜ産業復興についてわれわれが言うかといいますと、これらが復興しませんと、県も市も税収入が非常に大きく違ってくる。たとえば大企業についてはといいますか、中小三公庫の対象外のところについては、われわれ個々にいろいろあれしまして、大蔵大臣配慮もありまして、ようやく所要資金の大体半分、五〇%は北東公庫等でめんどうを見よう、そのワクも本年、明年分としてはすっきりきまったようでございます。ところが、半分めんどうは見るが、他はどうするのかという問題、これは通産省として産業復興、企業の復興については責任を持って研究しなければいかぬ問題だと思う。私はこの点について真剣にひとつ通産省が——もちろん中小三公庫についてもあとで言いますが、産業復興、企業復興あるいは中小零細な商工業災害の場合に、もう少し真剣にひとつ取り組んでいただきたい。たとえば三公庫については、この前の災害委員会通産省から、七十億の資金のワクを決定いたしました、なお貸し付けその他については弾力的に運営をいたさすようにいたしております。と言いますが、ただ一つの新潟の中小企業金融公庫の申し込みをとりましても、すでに七月末で六十億ございます。そういたしますと、通産省で島根から秋田までにわたります今次の災害について中小三公庫について七十億のワクを設けましたと言っても、これは中小企業金融公庫の新潟支店一軒だけで終わってしまいます。そういう点をほんとうによくつかんで、支障のないように十分手当てをしているのかどうか、非常に私はこの点で疑問が多い。しかも、七月末までで申し込みをしないものが相当あります。というのは、道路の復興がどうなるのだ、あるいはまたかさ上げはどうなるのだ、というようなことで、それらの公共事業のいろいろな計画を見ながらでないと復旧できないものがたくさんあります。したがって、こういうものはまだ全然申し込んでいない。金額が確定できない。そうすると、これは七十億のワクをきめまして、島根を含めて全部手配しておりますなんと言ったって、こんなものでとうてい間に合うわけがない。しかもこれらがおくれると、必ずその地域の発展というものが市なり県なりに非常な影響を来たす。それから実際の貸し出しの状況を見ますと、先ほど浴場の場合に厚生省にも言いましたけれども、実際の所要資金を非常に値切る。これはなぜかというと、代理貸しですから、銀行がそこまでの責任を負いません。災害復旧について一般市中銀行は責任なんかないわけです。政府の機関だからこそ、中小三公庫というものは災害復旧に特別のワクをもらって大いにろうこうしておるのですが、代理貸しですから、いやおまえのところはどうせ返す金はあれだから、これくらいにしたらどうかとか、いろいろなことで締め上げられる。ですから、実際ほしい金の半分も出ないというのが実態です。そういう点をもう少し——これは中小公庫へ行って、どうしたのだと言ったら、浴場については業務方法書で代理貸し以外はできないということになっております。業務方法書なら法律でも何でもないのだから、すぐ通産省で変更命令でやれば直接対象にできるのじゃないか。しかも、各中小企業については、組合がこの際県下全体でひとつそれぞれ復旧についてはみなで保証をし合おうじゃないかとさえきめております。しかるに、なかなか動きがとれぬ。これが市民生活にも非常に大きな影響を来たしている。  旅館にしましても、もう地震でお客は来ないわ、災害復旧しなければいかぬわというようなことで、いろいろな点で組合で検討しているようですけれども、たとえば期間が七カ年、利子が、百万円までですけれども、六分五厘、あと一般の金利並みだ。そうすると、一体どれぐらい最大限貸してもらえるか。いまの実態をお調べになるとわかりますが、大体五十カ月が最大で、ほとんど五十カ月以内に締められているようです。そうすると、その計算で自分たちがいろいろそろばんをはじいてみたら、とうていこれは借りてもなかなか返済計画が立たぬ。実際に中小公庫なりあるいは銀行なりが窓口で旅館やその他の中小企業の連中と話し合う場合に、せめて十年ならば、なるほどあなた方の要望のように一千万円ならこれは十分返済ができると思うから貸してあげたいと思うのだけれども、遺憾ながらいまそういうような長期はありません。したがって、短期で考えるとすると、一千万円はおたくのほうの今後のいろいろな点を考えて、安全率を見て考えた場合には、これはなかなか償還にも苦労するだろうから、ひとつ三百万円にしておきなさいとか、二百万円にしておきなさいとか、そういうようなことになってしまう。だから、実際の復旧がこの期限と利子に非常に関係をしてくるのでございます。  そこで、私は災害復旧の場合には、利子をまけろということを特例で考えるべきだと思いますけれども、百万までなんというけちなことは言わぬで、もっとひとつ大幅にこの特例を認めるべきだと思いますが、たとえばそれができないにしても、期限については、北東公庫、これは、そういう連中には据え置き二年か三年で、十五年か十七年ということになっているはずです。そうすると、中小三公庫はそれの半分だというようなことは、私は中小企業の対策を抜本的にやろうとしている通産省としておかしいと思うのです。むしろ中小企業の三公庫が期限は二十年くらいで、そして他のものが十五年というのなら話がわかるけれども、これは逆じゃないかと思うのです。  そういう点を考えるのと、それからもう一つは、利子についても、これは政務次官にひとつ考えていただきたいのですが、傾斜方式を考えたらどうか。あとになってくれば一割でも払えますよ。ところが、いま災害復旧のここ一、二年というものは非常に苦しいから、その場合は、おまえさんよろしい五分にしよう、あるいは四分にしてあげよう、そのかわり将来は五年たったら一割にしよう、最終期限のときには一割二分にするというようなことで傾斜方式をいろいろ考えて、平均して八分なら八分に持っていく方法だってあるのではないか。こういう点のいろいろのくふうをして、実際の産業復興にはできるだけひとつ支障のないように、通産省みずからがあたたかい心でうんと努力をするということが私は通産省の責任ではないかと思うのですが、こういう点についてひとつ十分考えていただきたい。  しかも、現状では地盤沈下が起きたり、あるいは今度の地震で海岸地帯あるいは信濃川地帯の工場関係復旧しても、相当のかさ上げをしなければいかぬのだから、市なり県なりが指導して、団地をつくりなさい、そうしてひとつやろうじゃないか。ところが、いまの団地の規定では二十社以上まとまらなければいかぬということになっている。これを十社くらいまとまれば団地を形成してもいいのだというような指導なり方針なりに変えてやるとか、いろいろなことを考えて、経済復興については、ほんとうにいろいろな知恵を働かせていただいて指導をすべきではないかと思うのですが、こういう点も特に考えていただきたい。  また、現実に木工団地——この前、企業庁の次長は、大体二千万円の近代化資金、高度化資金を利用すれば、いま形成している木工団地については支障はないのだという話がありましたが、実際調べてみると、やはりどうしても五千万円以上かかる。こういう点なんかも、何か少し人まかせといいますか、みずからひとつ何とかして企業の——どうせ中小企業はこれから抜本的な対策をおやりになるのだから、もう少しそういう精神で、一本一つきりっとしたところを貫いて、大いに指導なり援助なりをする心がまえをしっかり持っていただかなければならぬのじゃないかと思うのです。  なおいろいろありますが、いずれ委員会でまたそれぞれ各省別に問題点を詰めていくだろうと思いますのでも全般的な問題として通産省に以上の点を申し上げておきます。  なお、今年一ぱいが大体申し込み期限ということにもなっておりますが、いま言った他の公共事業復旧関係との関連でどうしても今年中には復旧計画がなかなか立たない、したがって、具体的な資金の申し込みが今年中に間に合うかどうかわからないというものもあります。あるいは倉庫業者等については、これは運輸省の関係でありましょうが、それに関連するような企業等が、港湾地帯のかさ上げや復旧計画全体が進んでこないと、その上に建てるわけですから、できないわけです。こういう期限なんかについても、現地のほうでは非常に気にしておりますので、この点もひとつ実態に合うように期限の延長をはかるようなこともいまから考えておいてもらいたい。  以上、非常に急いでおりますが、通産関係の問題について御所見を承ります。
  64. 岡崎英城

    岡崎説明員 ただいま小沢先生からお話のございました利子の問題等につきましては、ただいまのところ百万円が六分五厘ということになっておりますが、通産省といたしましても、何とかいたしましてこの額を二百万円とか三百万円とかいうような、現在の情勢に合うようなふうに適用範囲を広げたいというようなこともくふうしております。  また、貸し付けの期限等につきましても、五十カ月前後が非常に多いようでございますが、中には七年というようなのもございますけれども、できるだけくふういたしまして、貸し付けの期間も長くするようにしたい。  また、さっきおっしゃいましたような傾斜式な利子のとり方というような点も、一つの非常にたっとい御意見と思いますので、特にくふういたしまして、大蔵省とも打ち合わせいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。  また、貸し付けの額等につきましても、通産省として把握いたしました現状等については中小企業庁のほうからも御説明申し上げますが、御趣旨に沿うように、額等につきましてもできるだけ罹災者の皆さまの御満足のいけるようにくふういたしたい、こう存じておる次第でございます。  詳細につきましては企業庁の事務当局のほうから御答弁させますが、精神といたしましては先生のいまおっしゃいました精神を取り入れまして、改善くふうをいたしたいと思いますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  65. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 時間がありませんから、次に運輸省に入ります。  運輸省の港湾あるいは飛行場その他についていろいろな復旧が行なわれておりますが、また、計画等については非常によくめんどうを見ていただいておるようでございます。  ただ、私ども委員会でいままであまり議論にならなかった点、たとえば国鉄等の問題については、政府機関だからどうせ適当にやるだろうということで、どうも資金の問題についてここであまり議論なり要望が強くなかったわけです。国鉄の被害については、島根、鳥取に行きましたときも約千億の被害がある。それから新潟管内で約百十億の被害だということになっております。国鉄につきましては、これは御承知のとおり前年の関係での約束になっておるような四百億の例の財投の関係の問題、それから国鉄の職員の例の不均衡是正の問題で約二百五十億手当てが要る。いろいろなことで資金需要が非常に多いのでございますが、災害関係もここに合わさってきて、全般的に相当の——おそらく今度もし補正予算の機会でもあれば国鉄当局としては非常に大きな資金需要の問題が出てくるのじゃないかと私想像しております。  そこで、国鉄はいち早く復旧されてどんどん進められております。むしろその速度は非常に早いのでありまして、私ども敬意を表しているのでありますけれども、一方われわれとしては、この資金手当てについて十分、われわれが政府を督励し監視してやってやらないと、今度は他に非常な影響を来たす。災害以外の点で私はこれは非常な影響を来たすと思うのです。そういう意味で、運輸省当局では国鉄の災害資金について、国鉄で当面もちろんやらなければいけませんけれども、そのしりぬぐいは十分大蔵省と交渉して、われわれも応援しますから、ちゃんとした資金手当てをしてやるというくらいのことをやってやりませんと、国鉄はただでさえ資金が足りなくて困っております。そういう意味で、運輸省のほうからしっかりとやってもらわぬといかぬと思う。大体災害になりますと、いや農地だあれだということで、一般の民衆なりあるいは市町村なりの陳情によってわれわれがそういう点だけを詰め寄っておって、ややもすると国家機関のやつは置き去りになる。したがって、この機会に私この問題を提起して、この資金手当てについては運輸省は監督官庁として大蔵省と交渉し、ひとつ災害復旧についての所要資金は必ず見ていくということでやっていただきたいと思うのです。  それでなお、港湾関係ではずいぶん問題が煮詰まって、たいへんありがたく思っておりますが、新潟港の問題で、上屋の問題がまだ未解決のように聞いております。水道でさえ八割出していたというとあれですが、これは企業であっても、ただ単に県が借金だけでやるような施設じゃない。港湾と一体の施設ですから、これは当然やっていただかなければいかぬと思いますが、ぜひひとつ善処してもらいたいと思う。もうきまっておればいいと思いますけれども、この点を特に要望いたしておきます。  なお、飛行場については、この前の災害対策委員会で各委員とも一致した見解として、国有であり、しかも国営なんだから、これの災害復旧については当然もっと高率のものでやるべきだ、いま八割の法律上の制限がありますが、これらをひとつしっかりやるべきだということで、各委員はみんな賛同をされて、運輸省にも要望しておった。局長はたまたま外遊中でありましたが、一そう努力をしていただきたいと思いますし、特にこの新潟の飛行場地区については、約三百町歩の農地排水問題がからんできております。しかも、飛行場の下に排水管が二本通って、これが動脈になっております。そういたしますと、この地区排水作業については、これは当然国が飛行場といいますか、そっちのほうの災害復旧に関連しましてひとつ排水事業責任を持ってもらわなければいかぬと思うのですけれども、この点も特にひとつ注意をしてやっていただきたいと思います。  一人二十分というので、もう時間がちょうど二十分でございますので、他の委員の御迷惑も考えて非常に走りましたが、以上の点について特に善処を要望して私の質問を終わりますけれども、この前と違って、いや上屋の点はこういうふうにきまったとか、そういうあれがありましたら答えていただきたいと思います。
  66. 比田正

    比田説明員 簡単にお答えいたします。  港湾につきましては、いろいろ御指導によりまして復旧計画も立ち、災害査定も第一次、第二次まで終わりまして、あと第三次だけ残っております。  そこで、ただいまお話のありました上屋の問題でございますけれども、他の部門において非常に高率な補助がありましたので、私どもはそれと同じようなペースでぜひいってもらいたいということを大蔵省当局にお願いをしている最中でございますけれども、御承知のとおり全然補助がなかった補助ゼロの仕事でございますので——戦後におきましては戦災復旧、それと南海地震のときに一割の補助という実例がございます。今回はそれに激甚地というのが加わりますから、プラスした線でどうかというような大蔵当局のご意向もあるようでございます。最初は二分の一くらいのお話を申し上げておりましたけれども、先ほどの他の部門で八割に相当するものは、積み上げていきますと二分の一を下回るような実数が出るようでございますが、しかし理屈が合うものなら私はそこで最終的に近い機会にきめたいとただいま折衝中でございます。県はもちろん、運輸省側といたしましては、大蔵当局の財政上の御都合があるかもしれませんが、できるだけ高いほうがいいということは私どもも交渉の段階で申し上げまして、できるだけ高い率にきまるように折衝いたしております。まだきまっておりませんので、できるだけ早い機会にきめたいと思います。
  67. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいま排水の問題について特に御注意がございましたので、最近の情勢につきまして若干御報告いたします。  御承知のように、飛行場を中心とした一帯の排水の問題は、地盤の沈下とともに非常に重要な問題と存じます。災害発生後、とりあえず応急処置をやって、現在どこの所管ということは別として、ともかくポンプを早く何とかしろということで、現在はポンプが動いておりますので、若干まだ局部的に水のあるところもあるというふうに聞いておりますが、大部分排水は順調に行なわれておる、かように承知しております。一方、恒久対策も着々実施中でございまして、先ほど得ました情報によりますと、建設省の北陸地建がリーダーシップをとられまして、飛行場を含めその付近一帯の排水計画を根本的にやろうということで、現地測量は八月十五日に終了した。それから各関係機関の打ち合わせを来たる二十一日に北陸地建でもって行なうというように、着々実施に移っておる、かような情報をごく最近入手いたしましたので、御報告いたしておきます。
  68. 中山榮一

  69. 松井誠

    松井(誠)委員 最初に新潟地盤沈下のことについてお尋ねをいたしたいと思います。本来なら、きょう実は通産大臣においでを願って、ひとつ政府の決意をお伺いをするという私の心づもりでありましたけれども、残念ながらお見えになりませんので、大臣にお伺いする前にまだ二、三お聞きをいたしておきたいことがございます。そこでその点をお伺いをいたしたいと思います。  先ほど岡本委員から、すでに沈下してしまった地盤についての政府責任についていろいろとお尋ねがございました。これは確かに新潟の復興計画の中における政府責任という問題として非常に重要な問題でありますけれども、私がいまお伺いしたいのは、むしろこれからあとの将来の新潟地盤沈下というものがどういうものになるであろうかという点についてお尋ねをいたしたいわけであります。  最初に鉱山保安局のほうにお尋ねをいたしますが、地震前の段階における新潟市及びその周辺の地盤沈下の速度について大まかにひとつ数字をお教えをいただきたいと思うのです。
  70. 川原英之

    ○川原説明員 ただいま松井先生お尋ねのございました新潟市街地におきます地盤沈下速度の推移につきましてお答えを申し上げます。  これはバーデーでございますが、昭和三十三年十一月から三十四年の二月までマイナス一・五三、三十四年の九月から三十五年二月までマイナス〇・七五、三十五年九月から三十六年二月までが〇・三五、三十六年九月から三十七年二月までがマイナス〇・三九、三十七年九月から三十八年三月までがマイナス〇・二八、三十八年九月から三十九年二月までがマイナス〇・〇六六、三十八年十二月から三十九年二月まで、これはいろいろ水準測量の問題があると聞いておりますが、一応ただいままでの報告によりますとプラス〇・〇〇五五という数字になっております。
  71. 松井誠

    松井(誠)委員 これは地域的にいって平均の数字ですね。  それではお伺いをしますけれども新潟及びその週辺で一番地盤沈下速度の緩慢なところ、あるいは地盤沈下速度のひどいところはおよそどこで、数字はどれくらいか、そういう点はどうですか。
  72. 川原英之

    ○川原説明員 お答えを申し上げます。  ただいまの数字は二等水準点で山ノ下地区地盤沈下のひどいところをとったものであります。
  73. 松井誠

    松井(誠)委員 山ノ下地区がかっては一番ひどかった。しかし、現在も一番ひどいところという意味ではないわけでしょう。現在一番ひどいところはどれくらいかというところは、おわかりでありませんか。
  74. 川原英之

    ○川原説明員 お答えいたします。  現在一番ひどいところもやはりこの地区であると存じております。
  75. 松井誠

    松井(誠)委員 これは新潟のいわゆる市内ではありませんけれども新潟市周辺の農地地盤沈下というのが相当ひどい。これが現在非常に問題になっておりますけれども、これは市街地の一番ひどいところよりもむしろ沈下の速度が早いくらいじゃなかったでしょうか。具体的な資料はお持ちではございませんか。
  76. 川原英之

    ○川原説明員 お尋ねに対しましてたいへん恐縮でございますが、きょうちょっとその資料を持ち合わせておりません。
  77. 松井誠

    松井(誠)委員 実はけさほど新潟市の理事者にお伺いをしたのですけれども、いまでも新潟の港湾部の最もひどいところは年間の沈下速度が約十センチに近いというお話を聞きましたが、この数字ではとうていそうはなりませんね。そういうことはお聞きになっておりませんか。
  78. 川原英之

    ○川原説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げました三十七年九月から三十八年三月までの数字を年間に直しますと、大体そのくらいになるかと思います。
  79. 松井誠

    松井(誠)委員 三十八年からことしの初めにかけては非常に沈下速度が鈍ったという数字になっておりますけれども、その原因はそれではどういうようにお考えになっておりますか。
  80. 川原英之

    ○川原説明員 御不審の点まことにごもっともでございます。ただいまの最近の数字につきましては、一応発表されておりますが、なおこの沈下が非常に減っておるということにつきまして、何か仮不動点の狂いがあったのではないかというようないろいろの原因が考えられますので、ただいま国土地理院においてこれを再検討いたしているというふうに私は聞いております。
  81. 松井誠

    松井(誠)委員 実はこの数字は初めてなので、とまどっているのですけれども。しかし、水準点が変わったとすればむしろ地震後で、この三十八年から三十九年の初めにかけてこれほど大きな変化があったというような、たとえば地勢についての画期的な変化というものはなかったわけですから、そういう意味ではちょっと説明がつかないわけです。  この数字のことは一応別にしますけれども、これでいきますと、実は運輸省の港湾局長お尋ねをいたしたいのですが、今度新潟港の復興をするについて、大体二・五メートルの堤防というのですか、護岸というのですか、そういうものを予定しておるというふうに聞き及んでおりますけれども、それが真実かどうか。もし二・五メートルというものを予定しておるとすれば、その理論的な根拠といいますか、二・五メートルの内訳というものは一体どういうようにお考えになっての上の数字なのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  82. 比田正

    比田説明員 港湾の復旧にあたりましては、ただいま御指摘のように、二メートル五十の高さに復旧することに決定いたしております。これは原形復旧という意味でございまして、その内容は、この間の地震で一番津浪の高いとき——何回も参りましたが、一番高いのは一メートル七十の高さがございました。それから、あそこの新潟港の潮の高さは三十センチないし五十センチぐらいでございます。したがいまして、その一番高い潮がもしそれに重なったといたしますと、二メートル二十になります。さらにそれに三十センチの余裕を加えまして二メートル五十といたしました。将来の問題といたしましては、ただいま原形復旧の計画方針でございますから、いろいろただいまのような沈下の問題の将来の趨勢によりましては、復旧いたします際にさらに上げられるようなことを考えて、とりあえず二メートル五十で復旧いたしたい、こういうのがただいまの計画でございます。
  83. 松井誠

    松井(誠)委員 そうしますと、一応三十センチというものが将来の沈下の最終値という予定でやられておる。しかし、それはさらに沈下がひどくなればかさ上げをするという余裕を残した工法だ。堤防の場合にはそういうことができるでしょうけれども、堤防にいろいろ付属をした、たとえば堤防の中のいろいろな施設、そういうものは一体どういう沈下の最終値というものを予定をして復興計画を立てるべきか。これは現在の地盤沈下というものをそのまま継続することを認めるのか認めないのかということによって非常に違う。そういう点について、運輸省なら運輸省としては、現在の地盤沈下についてどうすべきかという具体的な御意見をお持ちになっておりませんか。あるいは具体的な見通しとして大体どの程度の最終値が許容し得るのか。そういう考え方についての何か御意見はございませんか。
  84. 比田正

    比田説明員 私ども工業用水、地下水のくみ取りの規制が非常にさいてきだ、つまり沈下が非常に少なくなってきたというふうに解釈いたしております。私ども自体でも二、三カ所現地に測地点を設けまして、測量を年々いたしております。これは工事のためにいたしておりますが、そういうのを見ておりましても、またよその省の結果を拝見いたしましても、私どもの判断は、地下水のくみ取りの規制が非常にきいてきたんじゃないかというふうに解釈いたしております。最近では、臨港埠頭辺で一番ひどいところで年間八センチ、もう少し上流の埠頭地帯では五センチ程度であるというふうに私どもは聞いております。したがいまして、五センチぐらい以上には今後ならないだろう。一応計画を立てるのでございますから、何かめどを置かなくちゃなりませんので、ただいま申し上げたようなところを基準といたしまして三十センチの余裕ということできめたわけでございます。これは建設省のほうとも御相談しましたし、もちろん現地の県の詳細なる調査に基づきまして決定いたしたわけでございます。  将来につきまして、ただいま将来もっと下がれば上げられるんだと申し上げましたけれども地盤のかさ上げ等はわりあいに簡単にできることは御想像つくと思いますが、構造物につきましては、私どものつくる港の構造物は相当基礎も入れますし、そういうことで破壊しないように設計いたしております。ただ、奥地の排水との関係は、これは私どもの所管でありませんで、樋門とか水門とか排水とかの問題は、これから下がるならばまた別途に考え得るかと思いますが、港湾施設に関します限りは、幸か不幸か、外郭線、外のまわりのところでございますから、あとからまた下がれば十分に補強できるような余地を残して復旧いたしたい、かように考えております。
  85. 松井誠

    松井(誠)委員 大体三十センチといいますと、いまのお話のように港湾部で一番ひどいところは十センチないし少なくとも五センチ。そうしますと、かりに五センチとしても六年間で三十センチというものは食いつぶしてしまう。そういう、いわば五年間しかもたないような計画でほんとうの復興計画ができるはずがないと思う。いまのお話ですと、建設省とも相談して、言うなればそういう最終値というものについては建設省も了解の上でのようにお伺いしましたけれども、この地震の前の見当では一メートル二十というものを一応地盤沈下の最終値という予定にしておった。それが今度三十センチに変わったいきさつは必ずしもわかりませんけれども、いずれにしても、現在の沈下というものを規制をするというかまえがあるのかないのか。なくて、ただ沈下に追いついていくという、そういうかまえで復興の計画を立てるのか。これは復興計画のつくり方としては非常に重要な問題であるわけですが、いまのお話のように、将来進めばだんだんやって、しかし構造物はそういうようにかさ上げするわけにはいかぬから、排水の点で何とかやり直しをする。その排水のやり直しというのもお説のとおりであるとしても、五、六年ですでにやり直しをしなければならぬという段階でもしあるとすれば、非常に腰だめの復興計画だと思う。一体そういう点について、新潟市なり新潟県なりに対するあなた方の地盤沈下について、あるいはそのガスの規制についての要望なり要求というようなものはございませんか。このままの段階でいい、こういう状況でいいというたてまえで復興をしていこうとされるのですか。何しろ港というのは、今度地盤沈下のおかげで壊滅的な打撃を受けた、地盤沈下の最大の被害地帯なんですからね。
  86. 比田正

    比田説明員 ちょっと簡単に説明をいたしましたので、あるいは誤解があったかと思いますので、もう一ぺん説明いたします。  沈下程度がだんだんにとまってまいりまして、私どもは年々のカーブをとっております。直線でとまるのではなくて、だんだんだんだん緩慢になりまして、最後にはフラットに近くなるような状況になる傾向がございます。従来各地におきますところの地盤沈下の例を見ましても、最終には、ゼロにはなりませんけれども、非常にゼロに近くなって、カーブの形になって、最後は非常に緩慢になる。いま緩慢になりかけたというふうに考えておりまして、ただいまの六センチなり何なりというものがそのままずっと直線的にいくとは考えておりません。これはほかの例を見ましても、また物理的にもそういうふうになるものだと思っております。  そこで、ただいま申しましたように、そのまま六で割れば五年間ということでございますけれども、だんだん沈下が、さらに来年は減り、その次は減るというふうに私どもは考えております。これは規制がいま程度なれば当然そういうふうになるというふうに解釈いたしまして考えたわけでございます。
  87. 松井誠

    松井(誠)委員 議論はしてもしかたがありませんけれども、先般防災科学技術センターですか、あそこの和達さんは、たとえば東京とか大阪とか、そういうところではもうくみ上げる水がなくなった、それで地盤沈下がとまった。しかし、新潟の場合には、まだまだくみ上げる水があるのだ、だからいまは惰性でこうやっているけれども、いずれはひとりでとまるだろうという考え方はうそだという趣旨のことをおっしゃった。  皆さん方がやはりそういう考え方で、いまの規制のままでも、いま進んでいるのは惰性なんだ、いずれはしかしとまるはずだという、そういう容易な考え方でこの復興を一体やっていいのだろうか。やはり根本的な疑問を持つわけです。  そこで、それではひとつ開発課のほうにお尋ねをいたしたいと思うのです。現在ガスの採取あるいはその水のくみ上げについていろいろな規制をやっているわけでありますけれども、その規制の状況、これは時間がございませんから口頭ではひとつ大まかなことでけっこうでございますけれども、地域別、A、B、Cという三種の規制があるわけですが、そういう地域別に、あるいは深さによって規制が違うわけでありますから、そういう階層ですか、地層別に大まかにいってどういう程度の——全体の数字はこの前お伺いをしましたけれども、実はこれからあとの規制の問題と関連がありますので、そういう数字について大まかにお尋ねをいたしたいと思います。
  88. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  現在新潟地区地盤沈下に関しまする天然ガスの規制は、第三次規制まで行なわれております。第一次規制と申しますのは、昭和三十四年の九月並びに十一月、続けて行ないました。それから第二次規制は、昭和三十五年七月、それから第三次規制が昭和三十六年十一月、こういうふうに規制を行なったわけでございます。  第一次規制と申しますのは、通産大臣の勧告によりまして、市街地中心における天然ガス採取の全面的な停止、これを九月に行ないました。それから特定坑井の採取停止というのを十一月行ないました。  それから第二次規制におきましては、天然ガスの鉱業権者から規制要綱が提出されまして、通産大臣の承認を受けてG五層以浅からの排水量を沈下の激化した年の前年、すなわち昭和三十一年における排水量約二十五万立米パーデー程度とすることとしたわけであります。  それから第三次規制におきましては、やはり通産大臣の勧告によりまして、市街地——これをA地域と言っておりますが——における天然ガス採取の全面禁止。それからB地域——これはA地域からちょうど五キロメートルの距離の線を引っぱった地域でございます。——B地域においてG六層以浅からの採水、水の採取を禁止いたしました。G七層以浅からは、従来の実績の範囲内で採取する。それからC地域——これはさらにB地域から五キロの間隔で引っぱった地域でございます。——C地域については従来の実績の範囲内で採取する、こういうふうにきめられたわけでございます。  規制の現状は以上のとおりでございます。
  89. 松井誠

    松井(誠)委員 そういう規制の経過は私も十分知っておりますけれども、その結果現在、というよりも地震直前の各規制地域別の水のくみ揚げ量とガスの採取量、ABCならABCという各地域ごとの総計でけっこうですけれども……。
  90. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  いま申しましたように、A地域につきましては、これは地震前も地震後も全面禁止でございます。  B地域でございますが、G七層以浅、これは坑井数が十一坑でございます。それからG六層以浅、これは四十六坑ございます。  それからC地域でございますが、G七層以深、これが三坑、それからG六層以浅、これが八十一坑でございます。  地震後は、B地域のG七層以浅が現在八坑動いております。それからG六層以浅が三十坑でございます。C地域のG七層以深、これは二坑動いております。G六層以浅、これが七十九坑現在稼働しております。  以上のとおりでございます。
  91. 松井誠

    松井(誠)委員 私がお伺いをしたかったのは、地震後はいろいろな事情でまた違う問題がありますけれども、地震前の採取の量というものを聞きたかった。それは数字はありますか。なければあとで資料をいただくという程度でもけっこうだけれども……。
  92. 栗林隆一

    ○栗林説明員 天燃ガスの生産でございますが、地震前——これは三十九年五月の平均でございますが——地震前は水溶性ガスを四十二万六千立米パーデー生産しておりました。地震後、七月の三十一日現在でございますが、二十九万九千立米パーデーの生産を行なっております。
  93. 松井誠

    松井(誠)委員 私のお願いする数字は出てきませんけれども、時間がございませんからこれでやめますが、端的にひとつ鉱山保安局お尋ねをいたしたいと思います。  いまこの数字ですといろいろ問題がありますけれども、御承知のように、農地のほうの地盤沈下というものが、かっては地震前は新しい問題として問題になった。ところが、地震というものを契機にして、やはり地盤沈下をこのまま放置するわけにはいかぬじゃないかという声が非常に強くなった。御承知かもしれませんけれども、二、三日前、十七日でありましたか、新潟の、団体の名前は忘れましたけれども、いろいろな団体が集まって、十七団体がやはりガス採取の規制をやる運動を再び起こし始めております。こういう現状を御存じだろうと思いますけれども、保安という立場から、現在の新潟市の地盤沈下の現況というものについて、一体どういうお考えをお持ちなのか。大臣がおれば大臣にそのものずばりでお伺いをしたいのですけれども、事務当局として一応のお考えを持っておると思いますので、その点をお伺いをいたしておきたいと思います。
  94. 川原英之

    ○川原説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のごとく、従来三回にわたります規制を行ないました結果、最近に至りまして、先ほど申し上げました数字によりますと、非常に沈下は減っておる状態であります。  しかし、この地盤沈下につきましてこれを放置していいかどうかという御質問でございます。いろいろと先生も御高承のように、地盤沈下の問題を現在の段階で、つまり三次規制と申しますと、先ほど開発課長から申し上げましたように、十五キロくらいのところで若干掘っておるわけでございますが、この関係と現実に起こっております地盤沈下の状態をどう結びつけるか、さらにこれに対してどういうふうな対策を講ずべきかということにつきまして、現在科学技術庁の資源調査会あるいは経済企画庁の地盤沈下対策審議会、これは私のほうも入っての審議会でございますが、こういう関係のそれぞれの学識経験者の委員会におきましてこれを慎重に検討いたしておる段階であります。私が承知いたしております限りでは、現地調査も現在いたしておる段階でございまして、これを具体的に規制をさらに強化すべきかどうかというような問題につきましても、それらの関係機関、さらに問題はやはり何と申しましても地元の問題もございますので、県、市というようなところの意見も十分聞きました上で、私どもといたしましては慎重に研究をいたしたい、かように存じておるわけでございます。
  95. 松井誠

    松井(誠)委員 重ねてお尋ねはいたしませんけれども、しかし、新潟市の地盤沈下の原因が何であるかということはもう論議の段階ではないわけです。もし論議の段階であるとすれば、新しく注目をされ始めた新潟市周辺の農地が具体的にどういう問題を持っておるのかということが問題であるかもしれません。したがって、そういう意味で和達さんは、農地地盤沈下についてはまだ具体的な結論は出ないということをおっしゃっておりましたけれども、しかし新潟市内の地盤沈下について、具体的にどの井戸がどうだという具体的な因果関係の点は別として、ガスの採取に伴う水の大量のくみ揚げが原因だということは論議の余地がない。だとすれば、具体的な案をどう立てるかは別として、地盤沈下の速度が現在のままでいいのかどうかというそういう観点に立って考えたときに、いま復興計画を立てなければならぬ。そのときに規制をするのかしないのかという根本的な方針がどうしても立たなければ、私は具体的に言って新潟市の復興計画は立つまいと思う。これは単に一鉱害の問題、鉱山保安局の問題ではほんとうはなくて、もっと大きい問題でありますけれども、しかし一番当の責任者であるのは鉱山保安局であると思います。ですから、その鉱山保安局が何か右顧左べんをして、市はどうでありましょうか、県はどうでありましょうか、よその業者がどうであるだろうか、あるいはこれを禁止した場合の代替燃料はどうなるであろうかというようなことをあれこれ考慮しておったのでは、私は鉱山保安局の職責上おかしいと思うのです。ですからそういう意味で、少なくともわれわれは事務当局の段階ではこうだというくらいの意思表明はできませんか。それがやはり新潟市の市民運動というものを勇気づけると思う。どうでしょうか。
  96. 川原英之

    ○川原説明委員 お答え申し上げます。  松井先生の御意見、私も全然わからぬわけではございません。ただ、ただいま申し上げましたように、現在その具体的な実態調査現地におきまして、現実に地盤沈下対策審議会等におきましても行なっておる最中でございますし、そういった学識経験者等の意見も十分徴しました上で考えたい、かように申し上げた次第でございます。
  97. 中山榮一

    中山委員長 この際、委員長から政府当局に一言申し上げますが、本委員会も、新潟地震集中豪雨の発生以来、数回にわたりまして委員会を開会し、その対策について政府当局質疑を行なってきたのでありますが、災害復旧に関する公共施設等の建設単価については、はなはだしく実情にそぐわないところがありますので、これについては関係各省において実情に即した改定をされるよう強く要望いたしておきます。  なお、この点について、関係各省には書面をもって早急に委員長まで提出されたいと存じます。  細田吉藏君。
  98. 細田吉藏

    細田委員 私は、数個の点につきましてごく簡単に御質問を申し上げたいと思いますので、御答弁も、もう問題は大体よくわかっておることばかりでございますので、簡潔にお願いいたしたいと思います。  今回の山陰、北陸水害について、激甚法の適用が去る十四日、全部ではございませんが、いち早く行なわれましたことは、政府としては非常に——非常に早いとは申しませんが、とにもかくにも早急に事を運ばれたことに対して敬意を表したいと存ずるのでございます。  そこで、この激甚法の関係で、私どもは当然適用になると考えておりましたような点が二、三残っておりますので、これの経過について伺いたいのであります。  その一つは、天災融資法の発動、また天災融資法関係激甚法の条項の指定の問題であります。  その次は、中小企業の関係についての適用の問題でございます。  この二点について現在の経過をお尋ねいたしたいと思います。
  99. 中西一郎

    ○中西説明員 天災融資法の経過でございますが、被害も、林産物等を含めまして五十数億円ということでほぼ確定いたしまして、関係各省折衝いたしております。大体の見通しはついておると思うのですけれども、特別被害地域等の指定につきまして県嘉島と市町村当局との突き合わせ等になお若干の時日を要します。来週の末ごろを目途に作業を済ませることができるのではないかと思っておりますが、そのころには御期待に沿い得る、かように考えております。
  100. 影山衛司

    ○影山説明員 中小企業に対する激甚法の指定につきまして、経緯を御報告申し上げます。  ただいま集中豪雨関係の六県からの報告がちょうど出そろったところでございまして、ただいま関係省と折衝中でございますが、ただいまのところ、激甚法の指定の基準から見まして、十二条関係の中小企業信用保険法による災害関係保証の特例につきましては大体問題はないと思いますが、十五条の特利の適用につきましては、なお被害状況の実態調査を続けてまいりたいというふうに考えております。
  101. 細田吉藏

    細田委員 中小企業関係の十五条関係、いまいろいろ実態をさらに調査しておられるということでございます。この点十二条とあわせてぜひ十五条の適用をお願いをしたいと思います。  次の問題でございますが、これはもう前々から私数回にわたって質疑を繰り返しておるのでありますが、いわゆる今回の災害の一番大きなものでございました山くずれの関係でございます。これにつきましては、現在査定官現地に行かれて、いろいろ実情に即した措置をとっておられるようでございます。しかし、いずれにしましても、補助対象にならないいわゆる単独事業というようなものがかなり広範に残るのではないかというふうに考えられます。これはまだ実はどういう程度のものが単独で残るかというような点につきまして、はっきりした数量がつかめておらないわけでございますけれども一般的に申しまして、こうした点について現在自治省あるいは農林省等でお考えになっております点を明らかにしていただきたいと思います。
  102. 森田進

    ○森田説明員 お答えいたします。  ただいまお話のございました小規模の荒廃地の復旧事業でございますが、先般も申し上げましたように同一の保全対象に対しまして相関連して緊急復旧の必要のある工事につきましては、これを一工事といたしまして国庫補助対象にするという運営方針で現地調査いたしております。まだ最終的な調査を終えておりませんので、国庫補助対象になおならないものがどの程度残るかは最終的な結論を得られないわけでございますが、このようなものの処置に対しましては、県の起債等の問題もあるわけでございますが、なお関係方面といろいろ折衝中の段階でございます。
  103. 岡田純夫

    ○岡田説明員 小規模治山につきましても、極力補助対象として拾ってもらえるように実は期待いたしておりますが、なおかつ漏れてくるような問題についてどうすべきか、正直なところ苦慮しておるところでございますが、考え方としては、これが施設災害等の概念にはとらえがたいというふうな点もございまして、そういう意味においていろいろ研究しなければならぬのでございますけれども、できることならば一般単独事業債等を活用できないものかという方向で検討中でございます。
  104. 細田吉藏

    細田委員 ただいまの問題につきましては、現段階ではそれ以上のお答えを要求いたしましてもいかがかと思います。いずれはっきり数量的につかめました上で善処方をさらにお願いしなければならぬかと思います。  そこで次の問題ですが、けさほど卜部委員から特殊緊急砂防につきまして建設省のほうに御質問がございましたが、農林関係の特殊緊急治山関係につきましてけさほど建設省から御答弁がありましたが、農林省のほうではどのようにお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  105. 森田進

    ○森田説明員 お答えいたします。  特殊緊急治山事業につきましても、建設省のほうから午前中に御答弁がございましたように、建設省と十分連絡をとりながら検討中でございます。
  106. 細田吉藏

    細田委員 次に、これも前会質問をいたしましてはっきり最後的な御回答をいただいておらないのですが、有線放送の災害復旧につきましては、農協のやっておりますものについては激甚地について九割の補助ということになったようでございます。これはたいへん時宜に適したけっこうな措置だと思うわけでございます。  そこで、地方公共団体、いわゆる市町村営のものについて自治省のほうでいろいろ御検討いただいて、だいぶ進行いたしておるようでございますが、これはぜひ農協営のものと歩調を合わせていただくということにならなければ平仄が合わない、かように考えるわけでございます。この点のその後の経過。  並びに、地方には市町村と農協とが合体をいたしまして、放送協会といったようなものをつくりまして、有線放送を経営しておるものがございますが、これにつきましてはいまの補助関係等がどういうことになりますか、私どものほうの県あたりでも、数個のそうした市町村と農協とが一緒になってやっておるものがございますので、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  107. 岡田純夫

    ○岡田説明員 お答えいたします。  市町村営の有線放送事業につきましても、補助対象として災害復旧をいたすべく、自治省としては主管課をきめまして、目下大蔵省と折衝いたしております。大蔵のほうから種々事情説明を求められておりますので、目下極力実現すべく努力いたしております。  なお、農協等との合同出資と申しますか、共同設立の実態につきましては、正直に申し上げていま初めて聞きましたような状態でございますので、帰りまして検討いたしてみたいと思います。
  108. 細田吉藏

    細田委員 いまの共同の協会のものにつきましては、早急にひとつ御検討をお願いしたいと思います。これは農林、自治両省の関係になると思いますので、早急に解決していただきたいと思います。もっとも、これも自治省関係が農協と同じなみになれば、そのいずれかに入れれば解決がつくことにあるいはなるかもしれないと思っておりますが……。  最後に、一点だけ農林省官房長に。実は農協の経済の問題でございますが、もう申し上げるまでもございませんけれども、連年の災害を受ける、農協が非常に経済的に参っておるというのが各地に起こっておるわけでございます。今度の集中豪雨災害でも、農地はやられる、家はやられる、あるいは農業を放棄して転業するというようなものが至るところに出ておる。あるいは米の予約代金はもらったが、事実は米がとれないから、結局払えない。払えないものは農協の負担になる。いろいろな意味で農協はますます貧乏する、こういうものがたくさん出てきておると思うのでございます。島根県などの場合で見ますと、農協自体が建物もすっかりやられる、品物も全滅させられる、帳簿なども行くえがわからぬようになったものもあるとかいうようなひどい状況のものもあるわけでございまして、これらの点につきましては、そうなかなか簡単に、この損害の集計もまだできておらないと思うのですが、今度の災害だけではありませんけれども、この災害のしわが農協へ寄ってくるという問題がございます。これらの点につきましては、結果をはっきりさせなければ何とも手の打ちようもないかと思いますし、いろいろ困難な問題があろうかと思いますが、しかし、政府としては、これらの貧弱な農協、また財政の基礎を侵されておる農協につきましては、何らかの形で救済の措置を講ぜられるべきだ、こう思うわけでございます。単にこれは一県や二県の問題ではございません。災害地の各県の農協に共通した問題として大きな問題であろうかと思うのであります。いま直ちにどうという対策ということも。なかなか困難かと思いますが、やや長い目でこれに対する対策というものほどうしてもお考えいただかなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけでございます。そこで、この問題につきまして現段階、現時点における農林省のお考え方をお聞かせいただき、さらにこの問題は将来にわたって十分な御考慮をお願いしたい、かように思うわけでございます。農林省の見解を伺いたいと思います。
  109. 中西一郎

    ○中西説明員 お話のございます点、実は非常に大きな問題だと思っております。とりあえずの問題としましては、単協等で役員の個人保証が重なるような事情のために、追加の貸し付けについての保証をしないというようなケースを免れますために、県の信連あたりから直接に貸し付けるという道を開くことによって資金の疎通をはかりたいと考えて、北陸の地震以来そういう措置を講じてきております。そのことは山陰等につきましての豪雨にも当然適用してまいることになります。  将来の大きな問題といたしましては、農業協同組合の体質改善そのものをする必要がございます。現在合併促進等をやっておりますけれども、さらに突き詰めて言いますならば、信用事業と経済事業との間のいわばどんぶり勘定になっておるのが現状でございますけれども、そういう形の農協から、早く合理的な経営体である農協に育て上げなければならないという問題と取り組まなければならない、かように考えております。さらに二段階制等の問題もございます。さらに突っ込んで言いますと、農村の中における農家としての自立を促進いたしませんと、追加の受信力が豊かにならないというような問題にまで発展いたすわけでございます。  本年におきまして金融制度のいろいろ全般的な改正をいたしましたけれども、現在検討いたしておりますところを若干申し上げますと、経営規模拡大あるいは自立経営の育成というような観点から、さらに政策を一歩前へ進めまして、金融制度もそれに即応して建て直すというような気持ちで、目下作業を急いでおるわけでございます。  以上でございます。
  110. 細田吉藏

    細田委員 終わります。
  111. 中山榮一

  112. 森下元晴

    森下(元)委員 裏日本におきましては、新潟震災はじめ山陰豪雨並びに北陸の豪雨によりまして、農業災害、農家災害というものは非常に大であったわけでございます。しかしながら、全国的に現在の水稲の状況を見た場合には、豊作型といわれております。表日本は非常に日照りが続いておりまして、日照時間等の関係で豊作といわれておるように思っております。しかしながら、この日照りの続いております表日本では、干ばつによるいわゆる干害が局部的に生じております。大中河川から用水として取り入れておる地域においては非常に恵まれておりますけれども、小河川並びに零細な河川から取り入れております水稲関係の干害がかなり出ております。特にため池等を利用いたしましてかんがい用水にしておりますところは、かなりな害が出ております。この点につきましては、各農民がせっかく育てましたこの水稲の枯死せんとする姿をまのあたりに見まして、応急の処置をしております。たとえば用水路の新設とか、また揚水機を設置いたしまして、その枯れんとする水稲を助けております。  この問題につきまして、私は農林省、特に農地局の係の方にお尋ねしたいと思います。すなわち、こういうような干害に対する応急対策事業のいわゆる国庫補助金をいかがされるであろうかという点を、まず初めにお尋ねしたいと思います。
  113. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  干ばつでございますが、ことしは春の植えつけからずっと引き続いて各方面で干ばつが続いておりまして、現在までまだ続いております。われわれのほうにまいっております集計では、大体二十二億くらいというような報告もまいっておりますが、一応けじめがつきましたならば、大蔵省と折衝に入りたい、かように思っております。  それで、過去において干ばつに対する措置をやってきておりますので、予算措置でそのつどつど補助等をきめております。過去における被害の額とかその深さとかいうようなものを勘案して今後折衝していきたい、かように考えておるわけでございます。
  114. 森下元晴

    森下(元)委員 この問題は、大蔵省とかなり突っ込んで折衝しなければいけない問題だろうと思うのです。こういう被害を受けておる農民の方々には、いわゆる用水に恵まれておる地区の農作の状態を見て非常にあせっております。農家というものは非常にじみな職業でございまして、経費の支出にしても、従来であれば非常にしまつにする方々でございますけれども、自分の子供のように育てております農作物がまきに枯れんとしておるときに、いわゆる金銭を度外視しまして、またあらゆる点を度外視いたしまして、そういう処理を、しかも適切な処置を早急にやっております。現在の農業共済の制度にいたしましても、十分に報われない制度でございまして、多少の農業共済の資金をいただきましても、農家の生活のためにはならない。このまま放置すれば一部の農家の方の中には、いわゆる生活保護法を受けるような方も出てくるんじゃないか、このように思っております。同じ農家におきましても所得の格差がかなり出るんじゃないか、こういう点におきまして、革命的な農業という前向きにやっておる一方、いわゆるこういう天然現象によってお困りになっておる方々を国の補助金政策によって救うこともまた一つの農政の方向じゃないかと思っております。全国的な被害の状況は、私はまだ関知しておりませんけれども、かなり調査によってはあると思っております。  聞くところによりますと、一反歩当たり十万円、十五万円の金を入れて揚水機を設置したり、また用水路を設置しております。そうしてこのためにかなりの水稲が生き返っております。県当局並びに市町村も、この点につきましてかなり指導しておる。ただ、一番心配なのは、この負担に対して県、市町村とも非常に頭を悩ましておると聞いております。こういう点から見まして、私は大蔵省に強い折衝をしていただいて、高率の適用をしていただいて、そして所得格差のつかないように、農林省当局に特に御要望申し上げたいと思っております。  私の質問は以上でございます。
  115. 中山榮一

    中山委員長 卜部政巳君。
  116. 卜部政巳

    ○卜部委員 時間の関係もございますので、簡単に二、三点質問をいたしたいと思います。  まず第一に、農林省関係の問題をとらえてみたいと思います。この中で、前会も中西官房長に対しまして数多くの質問をいたしました。これに対しまして、明快な答弁を受けておりますが、残された一、二点についてごく簡単に質問をいたしますので、答弁も要領よく答弁していただきたいと思います。  まず、前会も申し上げましたとおりに、農民の方々のこの被害はきわめて甚大でありますし、加えてその中には出来秋を前にして収穫皆無という、こういう状態の農民の方々がおられます。現実に自作農維持資金だとか、天災融資法の適用、こういうものもございますが、率直に申し上げて、現実には自作農維持資金はことしには間に合わない。来年のそれには間に合うかもしれませんが、ことしには間に合わないという、こういう状態。さらには天災融資法の適用につきましても、いまの細田委員の質問に対しましてもなお二週間はかかるという、こういう状態の中で、無一文である農民の方々、さらにこの一年間を何としても切り抜けていかなければならない農民の人々に対しまして、ただ融資をするとか、ただその面における天災融資の補助を行なうということではなくて、やはり生業資金、暮らしていける、あすへの生活に不安がない、こういうような形の中で、政府は当然補助をしていかなければならない。少なくとも援助資金、利子のつかない援助資金、こういうものを出していくべきであると、このように考えておりますが、これに対する考え方について、またどういう措置をとろうとしておるのかをお伺いいたしたいと思います。
  117. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の生業資金等の点につきましては、これは何と言いますか、農家の生活の循環自身が産業的であると同時に生計維持的なものであるというような観点から見ますと、それぞれの生活を得ていくについての個別の援助を当面生活面にも及ぼしたらどうかというふうなお話のように伺えるわけでございます。農林省が従来やっておりますことは、天災融資法にしましても自創資金にしましても、農業ということに着目しながら、特に天災融資法のほうは経営資金ということでやっておりますけれども、自創資金のほうは、これは農業の経営に要する経費その他ということよりも、むしろ今回災害を受けまして、そのために農地を手放さなければならないというようなことにならないように、当面の、おっしゃるような意味での生業を続けていくことができるということを目途にしまして、五分、償還期限二十年というような融資をいたすわけでございます。これは過去におきましてはずいぶんおそくになって農家の手元へいったこともありましたけれども、最近は、天災融資法の発動とともに、資金需要を計算しまして各府県に配分をいたすということで、非常に迅速に処理できるようになっております。かつ、この分は単協等で役員が保証するというようなこともございませんし、資金の疎通は円滑にまいります。そういう意味資金需要の強い資金でございます。できるだけ早くその措置を進めたいと思います。それまでの間どうするかというようなことも御心配だと思うのですけれども、おおむねの方針がきまりましたならば、系統資金でその間のつなぎをつけるということについては、所要の通達を出す手はずにいたしております。
  118. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、自作農維持資金等をもって援助する以外には方法はないというふうに理解をしてよろしいわけですね。そのほかに政府からの援助資金というものはないのですか。ただ融資だけではなくて、現実にそういうことについて、気の毒だ、生活に不安をもたらさないようにということで何がしかの援助を与えるということはないのですか。
  119. 中西一郎

    ○中西説明員 農林省の所管外では、例の災害救助法が発動になりまして、応急的な措置その他につきまして、物品その他についての応急的な措置が御承知のとおりございます。農林省としてはやはりいま申し上げたようなことをやっておるわけですが、そのほかに特段のお見舞い的な現金支出をするというようなことはやっておりませんし、将来も考えておりません。
  120. 卜部政巳

    ○卜部委員 やってもいないし、将来も考えないということですが、私は当然考えるべきだと思います。将来も考えておらないといって平然と答えられるほど、この内容が、また、その面における農家の実態というものをあまり把握されていないというふうに解釈されてもいたし方がない、私はこのように思います。しかし、そのことについて私はいまここで申し上げようとは思いませんが、その自作農維持資金が、五十万、そして二十年間償還、五分、三年据え置き、こういうことになっておりまして、このことを中指官房長はいかにも得々としたようなことでお答えでありますが、少なくとも西ドイツのグリーン・プランなど見てもおわかりのように、やはりそういう問題につきましては、三分五厘、さらにこれと同じような形で二十年、こういう問題も出てきております。ほかの融資の条件からするならば五分というのは確かに安いのでありますが、三分五厘くらいに下げる、こういう将来に向かっての考慮というものが払われないかどうか、また、考慮すべき問題だというふうに考えますが、その点はいかがなものでしょうか。
  121. 中西一郎

    ○中西説明員 金利の体系の問題としまして将来検討は当然していくつもりでございます。ただ、諸外国にも非常に低利な、非常に長期な融資措置がございますが、構造改善といったような前向き資金にそういうものが多いようでございます。その辺も含めまして、他方、当委員会でもよく問題になっております天災融資法の六分五厘をどうするのだというようなお話もございますが、そういうこととからめまして十分検討をしてまいりたい、かように思います。
  122. 卜部政巳

    ○卜部委員 ただいま御答弁の中に天災融資法の問題が出てまいりましたので、細田委員の質問と重複をすることのないようにひとつ質問をしたいと思いますが、私は先般の委員会におきまして、この天災融資法の第二条第一項並びに第二条第四項三号に基づく融資の問題を中心といたしまして質問を申し上げました。官房長はその答弁といたしまして、普通のいわゆる被害農家と特別被害農家との区別は厳たるものにしたい、加えて、私がその前につけ加えておりました災害についての融資が、そのつど法適用、政令の公布によって行なわれる、そのために資金の融資の問題がおくれる、こういうことについて緊急に金融措置を行なうことができるように、ひとつ知事に権限を与えてはどうなのかという質問に対しまして、そういうことは非常に困難だということを指摘されておりました。しかし、先ほど細田委員の質問に答えまして、なおかつ二週間を要するという御答弁がございました。私は、やはり前委員会の中で申し上げましたように、この天災融資法の適用については、すみやかに融資等を行なっていくもこういう措置が望ましいと思うのであります。そういう意味におきまして、この問題は非常にむずかしいということではなくて、将来にわたって私は十分検討していただきたい問題だと思います。もし本法がそういう形の中でむずかしいということでしたら、本法を廃止してもいいのではないか。むしろ、農林漁業の資金の制度の中にこの災害資金の部門を設定して、この経営資金というものを融資する、こういう方途をつくり上げなければ、いつまでたっても、このように一カ月を経過した今日、なお二週間を必要とするといいますと、もう約一カ月半を経過するという形になります。何のための措置か、こういうことにも相なろうと思いますので、そういう問題についてすみやかな適用について要望をいたすとともに、そういう抜本的な方向についての改正についてもひとつ十分配慮をしていただきたいと思います。この点について官房長の御答弁をお願いしたいと思います。
  123. 中西一郎

    ○中西説明員 お話しの点、事情よくわかるのでございますが、被害の大きさが相当な程度に及ぶということを前提にしまして天災融資法を発動するということになっております。われわれ、統計調査部一万二、三千人を全国に配置しておるわけですが、この人が多過ぎるというような話がときどきございますけれども、われわれはそう思っていないということは申し上げるまでもないと思いますが、その統計調査部の中の被害調査の諸君を動員しまして、さらに応援をいたしまして、昼夜兼行でやりましても、農作物の被害が確定するまでにはやはり三週間ないし四週間かかります。その数字を先ほど五十数億と申し上げたのでございますけれども、それをもとにしまして、今度は府県と市町村との間で、特別被害地域の指定、その前提としての特別被害農家の数というようなものを地方公共団体で当たっていただくわけです。そういう意味でぎりぎりかかる日数なんでございます。これを短縮するというのは非常に困難で、いままでおそいおそいといわれておりましたのを、そこまでぎりぎり詰めてきたというのが実情でございます。ただ、それをじんぜん待っておってもあれでございますので、天災融資法が発動できそうだという見込みがつきますと、つなぎ融資についての要請を系統機関にいたしまして、あと天災融資法が発動になりましたら、それに自動的に切りかわるというような仕組みに実はいたしておるわけでございます。
  124. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、農林のほうは終わりまして、建設のほうに一点だけ質問をいたしたいと思います。  さっき午前中の委員会の中で、農家の住宅について細田委員より、さらにまた、この答弁に対する不明確な点についての確認のために石田委員より触れられましたけれども、私はそれを聞きながらもなお若干の不安な点、さらに不明な点がございますので、この点をひとつ質問と同時に確認をしておきたいと思います。  それは、農家の住宅については、従来どおりの面積規模に住宅面積は認めるということでありましたけれども、私はこういうふうに理解していいのかどうかをひとつただしたいと思います。それは、二十坪というのが現在の融資の条件でありますが、しかしながら、いままで五十坪なら五十坪という建物を持っておった場合には、五十坪の建物どおりにこれを認める、同時に融資をする、こういうように私は解釈をしたいと思います。また、そういうふうに解釈をしていいのかどうかをお聞かせ願いたいと思います。どうも聞くところによると、私はどうも建設省が逃げを打つような感じがするのは、それは規模はあくまでも規模でございます。お認めはいたします、しかし融資はどうしても二十坪しかいたしませんという、こういうような感じが私はしてならないのです。この点をひとつはっきりさしておきたいと思います。建設省のほうから答弁を願いたいと思います。
  125. 石川邦夫

    石川説明員 お答えいたします。  災害復興の場合は、農家に限りませんけれども、復興の場合の融資の対象となる住宅の規模は、居住部分二十坪が原則でありますけれども原形復旧等の場合におきましては二十坪以上でもよろしい、原形まではよろしい、それから融資の額につきましては、木造の場合は一戸当たり五十八万円、それから簡易耐火の場合は七十三万円を限度として融資をいたします。こういうことでございます。したがいまして、必ずしも五十坪なら五十坪を融資するということではございません。
  126. 卜部政巳

    ○卜部委員 そこら辺がちょっとおかしいのです。だから先ほどの答弁の中でも私関連して質問しようと思ったのですが、休憩ですからやめましたけれども、少なくとも、その従来どおりの面積を認めるなら、それはそれどおりに私は融資するのがあたりまえだと思うのです。その点、必ずしも、たとえばいまのお答えでは五十坪でありますが、それに融資をするとは限りませんという、ここら辺の問題なんです。五十坪あれば五十坪私は融資すべきだと思うのです。その点どうですか。
  127. 石川邦夫

    石川説明員 住宅の場合、一般に融資の対象となる融資額をどこまでやるかという坪数と、それからそれに自分の力でもって加えていくという坪数とは別でございますので、したがいまして、災害復興の場合の五十八万円、これは金額で限ってございますが、五十八万円、七十三万円までは、最高限度までは融資いたします。しかし、坪数については、それに自分の力であるいは二坪とか三坪とか、あるいは十坪とかというふうに加えられても、それはけっこうでございます。そういうふうなしかけになっておるわけでございます。
  128. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、その五十坪なら五十坪の原形は認めるけれども、融資はしない、こういうことですね。ことばを平たく言えばそうですよ。そういうことではちょっと問題があると思うのです。やはり少なくとも融資をするという形の中で、農家の場合は特に違うのですから——農家に限らず、商家でもそうでしょうが、そういうように付帯関連の建築をしなければならない点があるのですから、それをこの基準でいけば、五十八万円でいったらやはり二十坪くらいのものですよ。そういうことでは私は問題があろうと思います。この点、建設大臣はいまおられませんけれども、私は建設大臣がお答えになったことばとして確認をしておきたいのは、少なくともそういう原形に復旧をする程度の融資は行なう、こういうふうに確認をしたいと思いますので、ひとつお帰りになったら、その面で意思統一をしていただきたい、このように要望しておきたいと思います。  次に、これは林野庁のほうになろうかと思いますが、今回の山くずれによりまして、農地林道、それから家屋などが被害をこうむりました。しかしながら、これを査定する場合におきましても、分割的にそれぞれの違った各省からこれを査定いたします。そういうかっこうになってまいりますと、きわめて小さな被害という形になって、援助というものが十分に行なわれません。一つの山くずれのためにこの三つのものが全体として大きな被害を受けておるのでありますから、この点について山くずれとして一元的な措置をすべきではないか、私はこういうふうに考えますが、いかがなものでございましょうか。
  129. 森田進

    ○森田説明員 お答えいたします。  同じ山くずれの中でも、建設砂防事業といたしまして復旧するものもございますし、あるいは農地災害復旧事業として事業を行なわれるものもあるわけでございますけれども、その事業の実施につきましては、関係各省のほうにおきまして事前に十分分担を協議決定いたしまして実行いたしておりますので、一つの崩壊地につきましてそれぞれ事業を分けるというようなことはないわけでございます。
  130. 卜部政巳

    ○卜部委員 事実は分割してそれぞれに査定をしておるというのが現実じゃないですか。一つの山くずれとしてこれを対処しておるわけですか。林道なら林道というかっこうで林野庁がやるとか、農地農地として農林省とかいうかっこうで、別々にやっているわけでしょう。同じ山くずれ一本としてはやってはいないはずですよ。
  131. 森田進

    ○森田説明員 お答えいたします。  林道に関連いたしますもので、林道と関連いたしまして復旧いたしますものと、それから農地と関連いたしまして復旧するものがございますが、その復旧いたします対象ははっきり分けてやっおるわけでございます。
  132. 卜部政巳

    ○卜部委員 でありますから、それぞれにはっきり分けてやるということになりますと、部分的にとらえてみるとわずかな被害だ、そういう形になる場合もありますね。大きな山くずれのために、林道も、さらにまた家屋も、同時に、また農地もやられたという場合、別々の形で、農地農地林道林道、さらにまた家屋は家屋というかっこうで査定をしてしまうと大したものではない——大したものではないと言ったら語弊がありますが、それよりも一本としてまとめたほうが大きい、またそれに対する政府資金援助なども適用しやすいという方向も出てくると思うのです。私はその後者の場合をとってみて、また、その場合そのような形で行なうべきではないかということを主張しておるわけですが、そういうことはできないものですか、また、やろうとする意思はないのかどうか。
  133. 森田進

    ○森田説明員 同じ山くずれでございましても、先ほど申し上げましたように、その起こりました場所によりまして、それぞれ林道とか、あるいは農地とか、あるいは砂防指定地域であるとかいうところで、その本来の事業と関連して実行いたします場合もございますので、そういったものはむしろそういう事業と関連して実行するわけでございまして、それを細分いたしましたために事業量が小さくなるということはないと考えております。
  134. 卜部政巳

    ○卜部委員 この問題で私討論しようと思いませんし、また十日の日に各省大臣出席をされる、今度は間違いないということでございますので、きょうは時間の関係もございますし、私の持ち時間がなくなりましたので、今回はこれをもって質疑を終わりまして、九月十日に、こういう問題から抜本的な問題に至るまでひとつ質問をし、論議を深めたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。
  135. 中山榮一

  136. 石田宥全

    石田(宥)委員 今回の新潟地震並びに各地の豪雨被害にあたっての農地及び農業用施設災害復旧事業についてでありますが、先般の委員会でも申し上げましたように、特殊の災害を除いては、明年度作付可能なように単年度で復旧事業を行なうべきであるということを主張いたしてまいりましたし、また農林省の当局もそのように考えておったようでありますが、最近まで査定の終わりました地域の農地並びに農業用施設災害復旧事業査定の状況を、農地局の参事官かどなたかからひとつ伺いたいと思います。
  137. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  新潟県につきましては、地震に引き続きましてまた水害がきております。それで、第一次の査定は、七月十四日から二十三日まで十日間やっております。いまのところ二次から五次まで予定しておるのでございますが、二次以降につきましては水害が重なっておりますので、それを両方一緒にやる、こういうことで考えておりますが、第二次が八月三日から十二日、三次が九月一日から十日、四次が九月二十四日から十月三日、五次が十月十八日から十月二十八日と、それぞれ大体十日間ずつでございますが、五班程度で出向くということで、すでに実行したものと、これからの予定のものとあるわけでございます。
  138. 石田宥全

    石田(宥)委員 大体単年度でやれということなんだが、査定の結果はどうか。
  139. 永田正董

    ○永田説明員 ものによりまして単年度でやれるもの、また要望の強いもの、そういうものと、とてもできないものとあるかと思いますが、それらは全体がある程度ほぼ見当がついてきましてから、県の御意向等も聞きました上で、最後的にはけじめをつけたい、こういうぐあいに考えております。
  140. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは今後の査定の分もあるようでありますから、できるだけ単年度で、翌年にまたがるようなことのないように、また翌年にまたがることがあったとしても、明年度の作付に支障のないような指導を極力やってもらいたい。これはひとつ要望で、答弁はよろしいです。  次に、いま申し上げた農業用施設等の災害の問題でありますが、激甚災害の特別財政援助法に基づきまして、地方公共団体も、あるいは土地改良区等もやれるわけですね。そこで、農林省は、大体地方公共団体事業主体になることが、農民の負担を軽からしめるものであり、有利であるという点で指導をされておるようでありますが、この点はどうなんですか。
  141. 永田正董

    ○永田説明員 お答えをいたします。  補助災害でございますれば、市町村でも農民でもいずれでも自由に御決定願えればいいわけでございますが、最近は市町村事業主体になるものが非常に多くなってきております。いろいろ取りまとめの都合もありますので、そういう傾向を、こちらはどちらかというと望ましいというぐあいに考えておりますが、これを無理にそういうぐあいにせよというような指導はいたしておりません。ただ、ここで考えなければならぬことは、いわゆる小災害でございますが、これになりますと激甚法が適用になった場合の起債の関係がございまして、市町村のほうが財政処理の上に都合がいいのではないか、有利と言えるかどうかわかりませんが、そういう点があるかと存じております。
  142. 石田宥全

    石田(宥)委員 私も相当災害地を回って見たのでありますけれども、ほとんどはやはり地方自治体が行なったほうが農民の負担が軽減されるというケースが多いようであります。そこで、その場合に、いま申し上げたような事業について、県の負担区分と市町村の負担区分というようなものが当然分かれてこようかと思うのですが、その負担区分はどういうふうに御指導になっておるわけですか。
  143. 梶木又三

    ○梶木説明員 補助災害には別段県営事業あるいは市町村事業という分類はございませんが、技術的に見まして、たとえば頭首工の復旧、あるいは農地災害にいたしましても、集団的に非常に大きな団地になっており、機械を用いて復旧する必要があるというようなものにつきましては、できるだけ県営でもって実施するようにという指導をいたしております。制度的には別段区分はございません。
  144. 石田宥全

    石田(宥)委員 制度的にないことはわかっておるのです。わかっておるのだが、新潟市の近郊のように、亀田郷土地改良区が所管しておるような、激甚かつ広範な被害を受けた場合に、これはやはり県が負担すべき区分と、それからいま御説明のあったような、さっき卜部委員からも指摘のあったような小災害というような場合、これはむしろ市町村でやるほうがいいのではないかというふうに考えられる。またそのようにいま準備を進めておるようでありますが、それには一定の基準がやはりなければならないのではないか。一切がっさい全部県でやってくれるならこれもけっこうですけれども、そうでない部分も出てくるのではないか。事業を進める便宜の上において当然起こると考えられるのだが、それについての考え方はどう指導しておるか、こういうことです。
  145. 梶木又三

    ○梶木説明員 基準につきましても、ざっくばらんに申し上げまして、まだ設けてはおりません。ただし、先ほども申し上げましたように、相当大きな構造物につきましては、ほとんど全国的に県営でもって実施いたしております。  それから市町村と土地改良区との区分につきましては、これは市町村の自主的な判断にまかしております。先ほど参事官からの答弁もございましたように、われわれとすれば、できるだけ市町村でもってやるような指導はいたしておりますが、強制はいたしておりますん。
  146. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで自治省の方に伺いたいのですが、いまお話のように、どうも具体的に当たってみると、土地改良区が行なうよりは、市町村がやったほうが起債その他の関係で都合がよろしい。あるいは県が事業主体になったほうが何かと便宜だというふうに、地元ではほとんどが動いておるわけです。ところが、目下のところ新潟市などは必ずしも受け入れ体制ができておらないという状況です。そういう場合に、今度のような激甚災害を受けて立ち上がろうとするときに、幾らか農民の負担が軽減され、幾らかやりやすいといって、地方自治体を事業主体として進めようとする場合に、地方自治体が受け入れを拒否するというようなことがあってはならないと思うのでありますけれども、これはまたいま申し上げますような亀田郷のような場合は新潟市だけではないわけであります。土地改良区というものは、新潟市、亀田町あるいは横越村というように、幾つかの市町村にまたがっているわけです。そういう関係もあって、簡単にはいかない面があると思いますけれども、せっかくこの財政援助法もでき、そして政府も農民負担を幾らかでも軽くして便宜な措置をとろうという方向に指導しておるときに、市町村がこれを受け入れを拒否するようなことがあってはならないと思うのでありますが、そういう場合における自治省の指導の心がまえというか、方針というか、これをひとつはっきり承っておきたいと思うのです。
  147. 岡田純夫

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  農地の施設災害復旧につきましては、補助の裏につきまして当該地方団体について約七割の起債を認めております。また、その起債の償還に必要な財源につきましても、十分に交付税によって保障いたしております。したがって、財源的な面から十分な手当てはいたしておるつもりでございますが、そこで、地方団体がやるか、あるいは土地改良区その他の農業団体等がやるか、これはその現地の事情によって判断されてしかるべきじゃなかろうか、それについての指導については、農林省の当然の農業行政上の立場を尊重いたしたいと思いますが、しかし、市町村が積極的に取り上げるということについては、自治省としても賛成でございます。
  148. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 関連して。ただいま石田先生から非常に重要な点の御質問がございまして、実は石田先生お話の中に、新潟市はできるだけ逃げようというような話がある、それでできるだけ県営に持っていってもらおうというような傾向があるのじゃないか、そういう点について自治省の指導をどうしているかというお尋ねでございました。私も実は実態を承知しているものとして、確かに県営にできるだけとってもらおうという動きをしていることは事実でございます。これはなぜかといいますと、ここが私、自治省にお願いをしたい非常に大事な点なんですけれども新潟市は不交付団体でございます。新潟県は交付団体、すなわち赤字団体になっておる。新潟市はいままでは不交付団体ですから、したがって、災害復旧をいまの農地問題について新潟市がやります場合には、来年度はともかくとして、今年度事業につきましては、その点が非常に不安になってくるわけでございます。あとのいわゆる元利を、交付団体でありますと、交付税の算定のときにそれを入れまして、国で元利をめんどう見てくれる、こういうことになるわけでございますから、したがって、県が総体的に取り上げてもらったほうが、農民のためにも自治体のためにもよりいいのだ、こういうのが実情でございます。そこで私は自治省にお願いをいたしたいのは、新潟市なりあるいは全国の市町村で、毎年不交付団体、交付団体の決定をされる場合に、承りますと、大体が六月くらいの全体の状況、その時点における全体の状況で判断をされる。先ほどちょっとお話も申し上げたのですけれども、六月十六日以後は、新潟市は当然全体的に再検討してもらって、復旧事業を進めるにあたっては県と同じような取り扱いを受けるべきだし、またそうなるのが事実実情でございます。したがって、私お願いをいたしたいのは、自治省のほうでそういう点を十分勘案して、これはもう当然赤字団体に転落せざるを得ないし、なるわけでございますから、したがって、そういう点は県と同じような取り扱いだということになれば、これはいま石田先生のおっしゃったような問題、農林省の言われたようなことで県とそれぞれ技術的に区分をして、また特に小災害については市町村がやったほうがいいという場合に、進んで新潟市もそれを受け入れてやるようになるのではないか、そういう点で、この際特に自治省では、交付団体、不交付団体を決定される基準といいますか、時点の取り方を——当然、六月十六日以後は新潟市は非常な財政の危機に見舞われてくるわけでございますから、その点を特段に考えていただきたいのです。それが何か方針としてはっきりしてくれば、いろいろな点で非常にやりやすくなる。この点ひとつここで方針を明示していただきたい。
  149. 岡田純夫

    ○岡田説明員 申し上げるまでもなく、不交付団体と交付団体とでは、不交付団体になるほうが望ましいのは原則論でございます。と申しますのは、御承知のとおり、税収入等につきましても、多少余裕財源も出てまいりますし、一般論としてはそうでございます。ただいま御指摘新潟等の問題につきましては、詳細はここでは申し上げかねますけれども、八月末までに何としても法律上きめなければならないというたてまえにもなっておりますし、したがいまして多少調査時点が早くきまります。したがいまして、交付税の算定上、基準財政収入の見込みその他について変動のあることも、事実問題として十分予想されます。そこで今後の問題でございますけれども、そのような団体については、たとえば今回の給与改定等に伴いますところの再算定等の機会も、いままで例年ございますし、そういう際に検討いたしたい、なおかつ技術的に困難な場合にしかもそのような事実がございます場合には、最終年度末において、やむを得ない措置ではございますけれども特別交付税等を検討いたします場合に十分検討いたすようにいたしたいと思います。
  150. 石田宥全

    石田(宥)委員 それからもう一点伺いたいのですが、いまお話のように、起債部分は、補助部分については当年度は七〇%の起債、こうなっておるのですね。ところが、来年になりますと、過年度分については五〇%しか起債は認められない、こういうことになる。そこでさっき農林省の参事官にも伺ったわけですけれども、単年度では復旧のできないようなところほど災害が大きいわけです。ところが、そういう激甚被害を受けて、単年度で復旧困難なような場合におけるその起債の率が、七〇%が今度五〇%に下がってしまう、こういう不合理があるわけですね。この点については、だから私どもは参事官に、単年度で組むようにということを言ったわけですけれども、その過年度の分についても七〇%を認めるか、またこれはケース・バイ・ケースで、非常に困難な場合があるかもしれないけれども、多少事業が残るような場合においては、繰り越し明許費というような形で、やはりこの際激甚災害の地域指定を受けておるわけですから、後年度の予算としてはこれを組むべきでないか、こう思うのです。そこで、自治省のほうは、いま申し上げたような理由で過年度分についても七〇%を認めることができるかできないかということ、それから農林省の参事官のほうは、いま申し上げたように、やはり予算では単年度で組む、多少残ったら繰り越し明許でそれはやらすという指導体制をとるべきであると思うが、どうか。どうしてもできないということならば、われわれは特例法か何かを考えるよりほかはないと思うので、これをひとつ二人から答弁を願いたいと思います。
  151. 岡田純夫

    ○岡田説明員 過年度分につきましてもできる限り引き上げるのが望ましいと思いますが、これは地方債の全体計画の総ワクの問題もございまして、現在のところ、御承知のように五〇%になっております。ただ現年度分につきましては、とにかく災害のあった年の交付税さえも繰り上げ交付しなければならないというふうな、何と申しますか、資金的に非常に窮迫した年度でございますので、特にその点を考えて七〇%にしておるわけでございますが、明許繰り越し等によりましてずれたというふうな場合には、同様な取り扱い、要するに、過年度分としてしゃくし定木に取り扱わないということでやっております。
  152. 永田正董

    ○永田説明員 お答えをいたします。  極力単年度で予算を組めという御趣旨でございました。実際問題といたしまして、それが確かにだれが見てもできる、またその要望もちゃんとある、こういうことならば、その方向で努力することは当然だろうと思うし、そうしたいと思いますが、ただ過去の、いままでのしきたりといいますか、実績といいますか、そういうものから推しますと、単年度で全部ということはちょっとなかなかむずかしいことではなかろうか。特に積雪地帯ということになりますと、冬分の工事が不可能だということは、だれが見ても当然のことでございますので、とにかく理屈のつく限り、できるものならばなるべく多くするような方向で考えていきたい、こういうぐあいに思っております。
  153. 石田宥全

    石田(宥)委員 農林省のほうにもう一つ伺いたいのですが、先ほど来お話しのように、政府負担分以外のものについては七〇%の起債、その起債残の部分についてのつなぎ資金というか、激甚被害ですから農民はなかなか負担しきれないのですね、そういう場合におけるつなぎ資金というものはどういう資金があるか、特別に考慮する必要があるのではないか。  それからもう一点、国営事業の場合は、これは国営事業としての基本的な国の負担というものがあって、災害を受けたような場合に、いまでは特別な補助率アップがないわけです。国営事業というように、非常に農民の負担の大きな問題をかかえて、事業進行中に災害が起こった、ところが、災害の各種の恩恵を受けることができないという実情ではないかと思うのです。この点も、どうしてもこれはできないというなら、やはり特例法か何かの必要があるのではないかと考えるので、できるかできないかということをひとつはっきり伺いたいと思うのです。
  154. 永田正董

    ○永田説明員 お答えをいたします。  補助災害の分の補助残、これは補助残の八割まで公庫融資が認められております。そして市町村事業主体になっておるという場合には、七〇%起債があると、その残分につきまして市町村は公庫の金は借りられないことになっております。そこで市町村は、それを農民に賦課した場合に、農民がその残分の八割の限度において借りられる、こういうことになっておるわけでございます。  それから第二点の国営直轄事業の点でございます。これは国営直轄事業地区の、国が直接施行しました施行済みの施設、それが被災しました場合に、これは激甚災が適用にならないということになっております。しかし、まだ未施行の部分、それから農地、そういうものについては一般災害として扱う、国が施行済みの施設、それがまだ移管にならない、工事中である、そういう部分についてだけ激甚法の適用にはならないことになっております。ただこの場合にちょっとほかと違いますことは、施設でございますから、暫定法と同様に補助率アップがございます。これは八万円と十五万円というふうに区分いたしまして、八万円までの分につきましては、施設でございますから六五%、八万円をこえて十五万円までは九〇%、十五万円以上は一〇〇%、そういうぐあいな累進補助率といいますか、そういうことが適用になりますから、その分だけで言いますと高い補助が適用になるということになります。  もう一つは、これは国営の事業費と一緒に繰り込められますので、事業が完了後に従来の国営の事業費の農民負担分の償還に入る、完了の翌年度から一緒に償還を始めればいいということになりますから、償還期限がそこに多少開始の時期が一般におくれるということがありますので、いまのところ激甚法の適用にはなっておらない、こういうことになっております。この点につきましては、かつて激しい議論になったことがあまりないと思っておりますので、今後よく検討してまいりたいと思っております。
  155. 石田宥全

    石田(宥)委員 若干不合理な点があるので実は伺ったわけですが、これはなお検討しようということでありますから、今度のような——まあ新潟だけではなくて、山陰被害どもなかなか深刻でありますから、国営の事業が当地にあるかどうか存じませんけれども、あまり不均衡にならないように十分検討していただきたいと思います。  次にもう一点、これは会計検査院に伺いたいのでありますが、災害が起こった後に、先ほど農林省の参事官から答弁がありましたように、第一次査定は終わっておりますけれども、第二次、第三次と漸次査定を進めるわけでありますが、この査定にあたりましては、農林省は農林省関係で、それから建設省建設省関係文部省文部省関係で、それぞれ専門専門で一定の基準があって、それに基づいて査定が行なわれるわけです。その基準単価の問題が先ほど問題になったわけです。私はいまその単価の問題には触れませんけれども、一応いま申し上げたように、それぞれの専門専門で事業主体となるべき立場の人と、それから大蔵省の関係とで査定をするわけです。査定がようやく終わって、いまだんだんと上がってくるわけですけれども査定が終わった後に、やれやれと思ったところへ——刈り取りを待って事業に着工するわけですが、事業着工の前に事前検査を行なうということなんですね。専門専門でそれぞれのいろいろなこまかな規則や法律に基づいて査定が行なわれるわけですが、その行なった査定——工事が始まってからその中間で検査をするとか、あるいは終わってからならば、破壊検査などしばしばやりますから、厳重な検査をすることはけっこうですが、せっかく査定を終わったばかりにまた会計検査院が事前に検査をするということの意味が一体どこにあるのか、私どもちょっと納得のいかない点があるのです。もし必要ならば、査定の際に一緒に検査したらどうか。それをわざわざ行かれるということにはどういう意味があるか。これは地方へ参りますとよく言われるのですけれども査定でも、これは非常な御苦労を願うのだから、その労をねぎらうためにいろいろなサービスもやるわけです。ところが、会計検査院が回ってくると、またやらなければいけない。災害で打ちのめされているところへもってきて、地方自治体や土地改良区、あるいは教育委員会等が、査定でずいぶん苦労をしたあとで、またもや続いて会計検査院が検査を行なう、またサービスをしなければならない、この問題は私は問題だと思いますから、別個にいつかの機会にこれを取り上げなければならないと思いますけれども、いま申し上げたような工事着工前の会計検査院の検査というものに疑いを持つのでありまして、これについて、なぜ一体それをやらなければならぬのか、どういう意味があるのか、納得できぬので、ひとつ会計検査院の方から承りたいと思います。
  156. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 ただいまの御質問の、査定が済んで着工前になぜ検査するかということですが、実際の問題からお話しいたしますと、これはまあ従来からそういう形で査定の検査をやっておるわけでございますが、建設省なり農林省が、あるいは大蔵省と一緒に立ち会いのもとで査定をやっていかれるわけでございますが、過去査定の結果を見ました結果から見ますと、これは建設省なり農林省が間違うことを故意にやられるということじゃございませんけれども、相当大きい災害になりますと、間違いがある程度まで起こっておるわけでございます。去年三十七年度の検査をしたところから見ましても、査定関係で御訂正願ったのが、農林、建設、運輸合わせまして大体十億くらいになって、相当の金額になっておるわけであります。しかも、着手前に見ないとわからないと申し上げますのは、御承知のように、災害関係は、災害があったかどうか、それからどういうふうな形で復旧するのが適当かどうか、これはまあ建設省なり農林省で一応基準を定めておられますので、われわれも検査の場合にはその基準に従ってやっておるわけでございますが、その基準に従って見てもなおかつあとで相当の間違いが出てくる、これをでき七がってあとから見た場合には、これはなかなか発見ができないというようなことで、実際問題としては工事着手前に見なければならぬ、こういうふうに考えるわけです。これは私のほうから査定前に、検査するから着手を見合わせてくれというような、もちろんあれではございませんので、すでに着手されておるものにつきましては査定検査はやっておりません。  先ほど、農林省なり建設省査定のときに一緒に立ち会ってやったらどうだというようなお話がございましたが、検査院の関係から申し上げますと、私のほうの院法で、債務の増減について検査ができるという規定があるわけでございます。その規定に基づいてやっておるわけでございますが、その検査できるときはいつからかという点を数年前にきめたことがございますが、査定決定をされて通知をされたときに債務を負われるという段階から検査が始まっていくんだというような関係でございまして、査定のときに立ち会うというのは、権限関係からいかがなものかというようなこともございますので、査定が済みまして工事に着手前に査定の検査をやっておる、こういうような状況であります。
  157. 石田宥全

    石田(宥)委員 三十七年度ですか、実績で十億くらいの間違いがあったということでありますが、そういたしますと、査定に対する検査、こう受け取ればいいわけですか。
  158. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 まあ査定に対する検査とお聞き取りになってもあれだと思いますが、一応債務を負いますので、債務を負った額が適当であるかどうかという意味で検査するわけでございます。平たく言えば、いまおっしゃったような形で考えてもいいかと思います。
  159. 石田宥全

    石田(宥)委員 この問題、実は最近地方を回ってかなり小言を言っておる面があるので、特においでを願って承ったわけでありますが、私どものほうももう少し調べて、あまり地方自治体なり農業団体などに迷惑がかからないようにひとつ施行していただきたいという要望を申し上げまして、私の質問は以上で終わります。
  160. 中山榮一

    中山委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会