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1964-07-31 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月三十一日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中山 榮一君    理事 小沢 辰男君 理事 細田 吉藏君    理事 稻村 隆一君       天野 光晴君    井村 重雄君       加藤 精三君    田中 正巳君       田村  元君    塚田  徹君       湊  徹郎君    森下 元晴君       卜部 政巳君    小林  進君       千葉 七郎君    泊谷 裕夫君       西宮  弘君    華山 親義君       原   茂君    松井  誠君       山口丈太郎君    栗山 礼行君       竹谷源太郎君  委員外出席者         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (新潟地震非常         災害対策本部         員)      北川 博正君         警  視  長         (警察庁刑事局         捜査第二課長) 関根 広文君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         総理府技官         (科学技術庁国         立防災科学技術         センタ所長)  和達 清夫君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    中嶋 晴雄君         大蔵事務官         (主計官)   吉瀬 維哉君         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         大蔵事務官         (理財局総務課         長)      海堀 洋平君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 岩田 俊一君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    中沢 三郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 梶木 又三君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      筒井 敬一君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      森田  進君         通商産業事務官         (企業局産業立         地部工業用水課         長)      柴崎 芳三君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      斉藤 英雄君         通商産業事務官         (鉱山局開発課         長)      栗林 隆一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         長)      日下部文雄君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信参事官)  大河内正義君         建設政務次官  白浜 仁吉君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      重兼 暢夫君         建 設 技 官         (住宅局調査         官)      尚   明君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         消防庁次長   川合  武君         自治事務官         (消防庁予防課         長)      伊規須徳博君     ————————————— 七月二十四日  委員大久保武雄辞任につき、その補欠として  竹下登君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員泊谷裕夫辞任につき、その補欠として卜  部政巳君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員田澤吉郎君、高橋清一郎君、藤井勝志君、  石田宥全君中村重光君及び西宮弘辞任につ  き、その補欠として田村元君、大竹太郎君、加  藤精三君、原茂君、泊谷裕夫君及び小林進君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤精三君、田村元君、小林進君、泊谷裕  夫君及び原茂辞任につき、その補欠として藤  井勝志君、田澤吉郎君、西宮弘君、中村重光君  及び石田宥全君議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  派遣委員からの報告聴取  災害対策に関する件(新潟地震並びに昭和三十  九年七月山陰北陸豪雨等による災害対策)      ————◇—————
  2. 中山榮一

    中山委員長 これより会議を開きます。  この際、白浜建設政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。白浜君。
  3. 白浜仁吉

    白浜説明員 今回はからずも建設政務次官を仰せつかりまして、私実は驚いておるのでございまするが、従来、御承知のとおりほとんど建設行政関係なく過ごしてまいりました。特に今回の災害にあたりましては、特別委員の諸先生方皆さまが非常な御苦心をなさっておられることでございます。ただいま島根県の代表の方から御陳情もありましたが、私ども建設当局としましては、できるだけの努力をして御期待に沿いたいと考えております。中小河川あるいは災害復旧、また住宅その他の問題につきましても、われわれ建設省関係において十分皆さまの御期待に沿うように検討を加えておる最中でございます。どうか今後とも皆さま方の御支援を得まして——御不幸にあわれました、ことに今回の水害におきましては、私ども従来例を見ない非常な多数の死傷者を出したいということにつきましては、このなくなられました方々に対するお悔やみのことばとともに、関係者皆さま方にもまた深く私ども御同情申し上げておるところでございます。どうか皆さま方とともに私どもの国土を一日も早くりっぱなものに復旧したいということが私どもの念願でございます。今後ともよろしく御指導、御支援のほどをお願い申し上げまして、私のごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  4. 中山榮一

    中山委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、さきに山陰北陸豪雨による被害状況調査のために現地派遣されました委員から報告を聴取することにいたします。小沢辰男君。
  5. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 当委員会決定によりまして、山陰北陸における集中豪雨による被害状況調査のために、社会党の岡本委員、民社党の栗山委員、自民党の私が派遣されました。また、現地においては細田吉藏理事が参加をしていただきまして、四人で鳥取県、島根県の両県下をつぶさに視察してまいりましたので、調査の概要について私から御報告を申し上げたいと思います。  しかしながら、実は私どもこの調査報告書は、気象状況から始まりまして、被害状況、それから対策陳情内容、また私どもの所見というものを非常に詳しく報告書としてまとめ上げたのでございますが、本日の委員会では各委員の具体的な質疑応答中心でございますので、委員長のお許しを得まして、あるいはまた委員各位の御了解を願いまして、この際詳細な報告書委員長の手元に提出をさしていただきまして、これを会議録に掲載されるようお取り計らいを願い、むしろ、われわれ三人の代表現地を見あるいはいろいろ話を聞きました内容の中で、災害対策として特に大事だと考えられます数点を私から申し上げまして、この報告全般につきましては会議録に掲載することによってごらんをいただくように委員長にお取り計らいを願いたい、かように考えるわけでございます。  私は、以上のような趣旨で、特に対策の面で私ども代表団感じました点をこの際特に重要事項についてのみ申し上げてみたいと思います。  まず、こういうような災害があります際には、何をおきましても激甚災害としての取り扱いが一体なされるのかどうかということについて、被害を受けた関係町村並びに関係各県というものは非常な関心を持っておるわけでございまして、われわれ政治的な考え方といいますか感覚からいいますと、もちろん、政府側では、被害額調査をやり査定をやってその金額全体がどうなるというような、事務的に詳細な積み上げをやった上でないとなかなか結論を出さぬのが今日までの現状でございますけれども、やはり政治的に考えますと、これだけの大きな災害が各紙の報道その他でわかるわけでございますから、今回の七月の豪雨全体というものを激甚災というようなものに指定をするんだ、各地域における指定というものは、もちろん追って事務的な積み上げも必要でしょうが、そういうような意味では、今回の豪雨激甚災なんだから、できるだけ厚い措置をしてやるぞというような決定を早急に防災会議等取り上げ決定をすべきだという感じを私は非常に深くしてきたわけでございます。  なお、全般的に関連するものとして、改良復旧原状復旧かという問題が、災害になると常に起こるわけでございますが、今回の豪雨による災害を見ましても、これは中小河川被害によるもの、あるいはまた、山くずれ、地すべり等被害によるものが圧倒的に多いわけでございます。これらの地域につきましては、いずれも昭和三十六、三十七年というようなかつての豪雨によりまして被害を受けた個所でございます。したがって、私は、公共土木復旧にあたりましては、どうしても今後災害を起こさないような配慮のもとに改良復旧を徹底すべきだというふうに考えるのでございまして、おそらくは、昭和三十六年災、七年災の災害復旧のためにつぎ込んだ費用が今回の災害によって全くむだになったということになるわけでございますから、貴重な国費を使う場合には、これは災害基本法にはそういうような趣旨も盛られておるわけでございますが、将来の災害再発防止という観点から、十分にひとつ検討すべきではないか、この点、特に災害対策として、また災害の多いわが国としては特別に考慮をすべき点であるという感じを持ってまいりました。  それからなお、今回の災害で、われわれは、雨が降れば川がはんらん、要するに雨が降ると水ということばかり心配しておりましたが、山くずれが非常に多いのでございまして、したがって、岡本委員がいみじくも言われたのでございますけれども、今回の豪雨——雨という場合に山と川ということを考えなければいかぬということを言われておりましたが、まさに私ども一同感じでも、雨が降ったら川の水が出るということだけが実はいままでのわれわれのびんとくる概念だったものが、雨が降ったら山を考えなければいかぬというようにほんとうに強く感じてまいりました。ただいま関係町村代表が一万カ所と言われましたが、とにかく白いものが、真夏の森の中に全く無数にあちこち山くずれが飛行機の上から見えるというような、非常に大きな——鳥取県、特に島根県についてはそういう状況が強かったのでございます。そうなりますと、山地の災害復旧というものが、いままでのような考え方で、一カ所について相当額被害がなければ災害復旧の対象にはならぬというような考え方を、今度の場合には根本的に改めていかなければいかぬ。一カ所の被害が少額でありましても、それによって一家全滅、六人死亡というような悲惨な事態が起こっているわけでございますので、この点も特に考えなければいけない点だと感じてまいったわけでございます。  先ほど、各部落、町村等におきます有線放送が非常に有効だったというお話が陳情の側からもございましたが、たとえば島根県で一番ひどい加茂町、これはわれわれが行きましたときも、まだまだ家屋は倒れ、あるいは水その他でたいへんな被害を受けたそのあとがなまなましいものがございました。町長は涙ながらにわれわれに状況を説明し訴えておりましたが、この町の人的な被害は全く皆無でございました。町の中心部から非常にひどい被害でございましたけれども、人的な被害は皆無でございます。聞いてみますと、郵便局のほうとそれから有線放送の係の者は、ほんとうに首まで水がつかるまで最後までがんばり、いよいよ危険だというときに引き揚げるまでは有線放送で、刻々いろいろな指令を出しておったということで、このために人的な損害は全くなく済んだという事例もございました。したがって、これはわれわれ過般の通常国会におきましても、有線放送自動化に切りかえる措置だとか、いろいろな問題を審議いたしました。それはそれとしても、この有線放送については、わが国のような災害地において、特に農村部にはこれらの施設重要性というものを認識しまして、われわれとしてこれの助成普及というものを徹底しなければいけないという感じを持ったわけでございます。  なお、鳥取県の米子で私ども水害状態を聞きましたときに、一時小降りにもなったし、どうやらおさまりそうだというような情報が流れまして、そのために警戒をゆるめたことがございます。ところが、その後非常な豪雨であって、それから人を集めるにもなかなか集められなかったというようなこともあり、また島根県下におきましても、地方的な気象観測設備というものが非常に貧弱なために、全体の災害対策というものについての県なり町村なりの指示がなかなか的確にできなかったという点もあるようでございまして、これらの地方的な気象観測設備については、今後相当慎重に考慮していかなければいかぬ問題ではないかということを強く感じたわけでございます。もちろん、自治省関係あるいは建設省関係農林省関係、いろいろたくさんありますけれども個々の問題につきまして非常に大事だと考えられますのは、すでに三十六年、三十七年災で復旧をいたしましたところ等がまた同じようにやられている事例を見ますと、関連事業がおくれているためにその個所から被害が増大しているという例が見られるわけでございます。この原因はいろいろあろうと思いますけれども、現在、政府災害関連事業につきましてこのワクをある一定の限度にしぼり過ぎているのではないか。災害関連事業として取り上げる、すなわち激甚法高率補助適用をするワクを八%ないし一〇%程度にしぼっておられるために、災害関連事業ほんとうに徹底して復旧にあたってやることができないうらみがある、そのためにまた再び災害を繰り返すというような事例が非常に多いようでございますので、今後は、建設省中小河川関係復旧につきましては、特別にこれらの点をぜひ考えていただかなければいかぬという感じを持ったわけでございます。  それから被害を受けました家屋以外に、非常に土質が悪いために、今後はたして安心してその地区に住み得るかどうかという問題が点々として各地区にたくさんございますが、これらの住民に対する移転といいますか、そういう住宅復興関係を特別な考え方でひとつ取り上げていかなければ、今回のように山くずれの個所が非常に多いところにつきましては、また、あるいは地すべり地帯等山陰北陸にもございますが、そういう地帯につきましては、今後の住民の不安を除き、また貴重な生命を守るためにも、この点の徹底した対策をとる必要があるというふうに感じてまいりました。  今度の雨によりまして農地災害が非常に多いわけでございますが、農民はそのために収入が皆無になりました。何で生活するかというと、皮肉なことに、災害復旧事業を早くやってもらって、その公共事業自分たちが労力を提供することによってめしを食っていかなければならぬというような、災害を受けた者が災害復旧事業でようやく露命をつながなければいかぬというような実例が方々にあるわけでございます。そういう点から見ますと、関係各省におきましては、一日も早く復旧工事がどんどん進むようにしていかなければならぬ、そういう点を特にひとつ考えていただかなければならぬし、また、これらの農民はかつて三十六年、七年に相当被害を受けて、そのための融資を受けておる、あるいはまた、その後構造改善事業等融資を受けておる、そんなことで、もうほとんど自分の能力以上の借金を負っており、しかもことしは収穫が全然ないというような状態でございますので、これらの農民についてのいろいろな農林省における配慮というものは十分ひとつ考えていかなければいけない。特に農家住宅については、現在、農林行政の中あるいは農林漁業金融公庫の中で、農家住宅資金制度というものは確立されていないわけであります。農家でありましても、住宅金融公庫の一定制限のもとの貸し出ししかできないというようなことでございますから、農業政策の中に、農家住宅といいますか、作業環境を含めたいわゆる農家全体の復旧といいますか建設といいますか、そういうものについての制度をはっきりと確立していただく必要があるのではないか、こういうように強く感じてまいりました。  なお、今度の水害によります特徴として、人的な被害が非常に多かったわけでございますが、同時に、重軽傷者相当ございます。これらが、いずれも重い外傷でありますために、災害救助法の発動によりまして応急医療を受け得る期間内に治癒する者がほとんどないのであります。これが全部一カ月なり二カ月先にならないと治癒しない、その間の治療費というものについて、実は非常に暗たんたる気持ちになっているというような人々がありますので、これらも早急に具体案を指示いたしまして不安を除いてやる、少なくともその期間国費によって何らかの措置をとってやる必要があろうかと考えたわけでございます。  なお、島根県全般的には、今度一万カ所の地すべり、山くずれがございましたが、全般的に見まして非常に土壌の崩壊しやすいところでございます。また地すべり地帯もたくさんございます。こういうような地域における学校とかその他の公共施設が無傷で幸いに残っているところもありますが、これらの、特に学校につきましては、校長以下先生が児童を預かる立場で、この地すべり地帯にある自分たち施設を、将来これでいいのかどうか、非常事態が起こったときに一体われわれはどうして子供の生命を守ることができるだろうかというような、非常に不安を持っておるようでございました。早急に技術的な検討をして、これらの不安を除く予防措置なり、あるいはまた根本的な対策なりを指示する必要があろうかと、こういうように考えてまいりました。これらの特殊土壌地帯といいますか、そういうものにつきましては、これは北陸地方も同じだと思いますが、そういう個所についての科学的な検討をこの機会にひとつ十分やるべきであろうということを強く感じてまいりましたので、これもふえんさしていただきます。  その他いろいろな点について各委員からの御感想もあるわけでございますが、ほぼわれわれ調査団の共通した意見ということで申し上げまして、個々のこまかい問題につきましては、また重要ではありましょうが、対策等につきましては、本委員会質問を通じまして明らかにされると思いますので、以上、私は調査団全体として気のつきました項目についてふえんをいたしまして、なお詳細は、先ほど言いましたように、委員長の御了解を得て調査報告書会議録掲載により御一覧をいただきたいと思うわけでございます。(拍手
  6. 中山榮一

    中山委員長 派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。  この際、おはかりいたします。  島根鳥取県の調査報告書は、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認め、さように決します。      ————◇—————
  8. 中山榮一

    中山委員長 この際、舘林農林政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。舘林農林政務次官
  9. 舘林三喜男

    舘林(三)説明員 貴重な時間を拝借いたしまして、一言ごあいさつ申し上げます。  先般の異動で、私、農林政務次官を拝命いたしましたものでございます。  今日、日本の農業が重大なる転換期に当面していることは申すまでもありません。また、農業に関する災害連年増加あとをたどっておりますし、ことに本年は各地におきまして非常に被害が頻発している状態でございまして、かようなときに政務次官を拝命いたしまして、責任のまことに重大なるを痛感しておるのでございますが、何ぶん浅学非才のものでございますので、専門家であられます委員皆さま方の御指導、御懇情をいただきますよう切にお願い申し上げます。  まことにありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  10. 中山榮一

    中山委員長 これより災害対策に関する件について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、先ほどの理事会の申し合わせによりまして、質疑時間はおおむね三十分程度となっておりますので、御了承おき願います。  細田吉藏君。
  11. 細田吉藏

    細田委員 今回の山陰北陸豪雨災害につきましては、いち早く当委員会としてとりあえず鳥取島根両県に委員派遣をしていただきまして、ただいま小沢団長から詳細な御報告がございました。私、地元選出の者といたしまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  すでに去る二十一日の本委員会におきまして、私から、きわめて概略の、当時得られました情報等によりまして質問をいたしたのでございます。しかし、その後災害状況は、逐次判明をいたしますにつれまして大きくなっております。二十一日は、島根県だけで約百億足らずの被害というように私申しておりましたが、これが二百三十億にも達するというようなことに相なりまするし、また死者、行くえ不明は、先ほど出雲市長からの陳情にもございましたが、島根県だけでも死者百七名、行くえ不明二名、これはほとんど確実に死亡でございましょうが、死体がわからないという方でございますが、こうした大きな被害になってまいっております。  時間が制限をされておりますので、私は、被害状況等につきましてはこれ以上申し上げることを避けたいと思いますが、今回の災害は、私この前にも少し申し上げましたけれども、非常に特異な点が二、三ございます。  いま小沢団長からの報告にもございましたが、その一つは、いわゆる山くずれあるいは地すべり——大小いろいろございますが、地すべり、こういったようなものがもう一万カ所以上、ただいままだ調査が十分できない程度でございまして、私ども飛行機の上から見ますと、もう全く目をおおわしめるような、至るところ山が赤はだを出しておる、こういうような状況でございまして、これが非常に大きな一つ特徴でございます。島根県に関しましては、花こう岩が風化いたしましたいわゆる第三紀層と申しますか、山くずれを非常に起こしやすい地盤でございます。非常にたくさんなこうした事態が出た、しかもこれが、たまたま耕地が少ないとかいろいろな関係から山すそに住宅が多いというようなことで、このような大きな死者、また大きな負傷者を出しておるのでございます。このことが一つ非常に特異な現象であろうと思います。  さらに、これは山陰だけでなく北陸も共通の問題であろうと思いますし、また国内至るところ、集中豪雨があります際にはどこでもそうでございますが、いわゆる中小河川はんらんでございます。今回は幸いにして島根県などでは大河川につきましては決壊がほとんどございません。名もないような小さなところに至るまで中小河川はんらんをいたしておる。しかもこれは近くは三十六年に大きな被害を受け、さらにもう連年、少し雨が降れば大なり小なり決壊をする、これが二つ目の特徴であろうかと思うのでございます。  さらに私、特にこの機会に、質問に入ります前にあらかじめ申し上げておきたいと思いますことは、島根県にいたしましても、鳥取県あるいは北陸三県にいたしましても同様かと思うのでありますが、いわゆる後進地域でございまして、県並びに市町村の財政が極度に弱い地域であるという点、また中小企業あるいは農業、漁業、こういった被害を受けられた国民の皆さん方が、特に今回の災害地では経済的に基盤の弱い方々である、こういう点が今後の災害対策につきまして特にお考えをいただかなければならぬ点ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。そこで、私、時間の関係がありますので、順序はきわめて不同になるかと思いまするが、特に今回の災害の特異な点、あるいはこれまでいろいろな災害で考えられた以外に考えなければならぬというような点を特に重点を置いて質問を申し上げてみたいと思います。  まず最初に、激甚災害法の適用について御質問を申し上げたいと思いましたが、総理府総務長官が間もなくお見えになるそうでございますので、この問題はあとにいたしまして、危険地帯における住宅の問題につきましてまず質問をいたしたいと思います。  ただいま小沢団長からの御報告にもございましたが、非常にたくさんな倒壊家屋が出、死者が出ておるのでございます。私ども現地を見て回りますと、全くりつ然とするものがございます。そこで、こわれたものをただ復旧すればいいというような性格にございません。もと建っておった場所はくずれてなくなってしまっておる、したがって、こわれたものは、新しい場所を見つけなければならぬという問題がございます。これは当然のことでございますが、このほかに実は今回非常に大きな問題となりますことは、家そのものは今次災害被害を受けておらない、しかし、今回くずれましたところにすぐ隣接しておる、あるいはすでに亀裂が入っておる、こういうようなことで、実は、私ども先日回っております際も雷鳴を伴う夕立がございましたが、もうすぐ逃げ出さなくちゃいかぬ、また、ひどいところは、現在もうすでに、家は建っておりますけれども、あぶなくておちおち眠れないということで、常時避難をしておる、こういうようなところがあるわけでございます。したがって、こわれたものを直すということ以外に、現在建っておりますもので、これがどうしても立ちのきしなければならぬ、こういうものが非常にたくさん出ておるのでございます。実は、まだどれくらいな数量になるか、いろいろな角度から調査をいたしておるのでございますが、大東町という町がございます。これは今度非常なはなはだしい災害を受けました加茂町の隣でございますが、大東町で調べたところだけでも、三百三十戸ばかりのものが、一応調べてもらいたい、あぶない、こういうことでありました。全部写真をとり、専門家にこれを一々検討させたいと町長が言っておりましたが、これは一つの例でございまして、おそらく県下全体では数千戸という家が危険にさらされておるのではないか、かように思うわけでございます。私どもが見ました範囲でも、非常に著しい例は、島根県の簸川郡の多伎村というのがございますが、この多伎村あたりは、連檐地が、山沿いに旧道がございまして、そこに沿っておるわけでございますが、そこの一番大きな建物であるお寺ががけくずれで倒壊をいたしまして、一家全滅、お嫁さん一人残ったというような惨たんたる状況でございますが、その並びの山は全部あぶないということになりますと、一カ所にまとまったこの連檐地は全部どこかに移転しなければならぬ、こういうようなことになっております。また、松江市の、島根半島の日本海岸寄りに魚瀬という漁村があります。これは約百戸の部落でございますが、非常に急峻な日本海に面したがけのようなところに集団をなして、大体七割くらい漁業で三割くらい農業をやっておるところですが、これは倒壊が約十戸くらいございますけれども、そのほかのところも、家の中に亀裂が入り、うしろの山がもう亀裂がある、全部あげて移住をする決意をみんなでしておる、こういうような例もあるわけでございます。実はこうした問題につきましては、昭和三十六年でございましたか、たしか長野県の伊那谷で、あの水害の際に住宅の集団的な移転が行なわれまして、私の記憶にして誤りがなければ、農林、自治、大蔵三省でいろいろ御相談の結果、国の手厚い手が差し伸べられたと思うのでございますが、こういう問題につきましてまずお伺いをいたしたいと思うのでございます。  そこで、まず宅地が一体取得できるかどうかという問題がございますが、これに関しましては、たとえば国有地あるいは国有林の優先的な低価の払い下げでございますとか、あるいは農地の交換分合やそれに付随しまして農用林地とするための国有林の払い下げなど、そういったようなことをお考えいただかなければならぬと思うのでございます。また、場合によりましては、これは職業訓練とかあるいは就労まで考えなければいかぬというような事態も起こるかと思うのでございますが、これらこまかい点は別といたしまして、こうしたいわゆる集団移転について特に政府としてお考えをいただきたい。さらに、この集団移転だけでなくて、今度の場合は単独でも移転しなければならぬというようなものがあるわけでございまして、特にこの単独移転というような点につきましては、もうこわれたも同然でございまして、これを災害復興住宅と同じに考えていくべきではないか。いろいろ認定の問題等むずかしい問題がございましょうが、これはもうこわれたと全く同様で、住むことができないわけでございます。こういう点につきまして、これは関係各省いろいろあると思いますので、どのようにお考えをいただくか、きょうすぐこれは結論が出るという問題ではあるいはないかもしれませんが、この問題につきまして関係の各省からお答えをいただきたいと思います。
  12. 中西一郎

    ○中西説明員 農林省関係についてお答えを申し上げます。  伊那谷の例等のお話がございました。災害復旧のほうでいろいろ査定をいたしまして、その金額を限度にして自治省に移しかえしまして、その経費等によって集団移住をしたという例も確かにございます。実態をよく調査しまして、必要がありますれば、関係各省とよく相談をいたしまして善処いたしたい、かように考えます。また、国有林等で適地があって、そこに移住するというふうなことで申し出がございましたら、具体的なケースにつきまして十分配慮をいたしてまいりたいと思います。とりあえずは、払い下げというようなことになりがたい場合は貸し付けをするというような制度もございますので、御期待に沿えるのではないか、かように考えます。
  13. 尚明

    ○尚説明員 住宅の移転につきまして建設省関係の所管で申し述べます。  移住につきましては、建設省といたしましての住宅対策といたしましては、住宅金融公庫の個人融資、及び地方公共団体が経営いたします公営住宅建設がございます。移住の案につきまして地方公共団体の指導のもとに一定の案が出ましたならば、私どもといたしましては、公庫の抽せんによらない特別貸し付け、それから場合によって、特に低額所得者等につきましては、公営住宅建設というようなもので移転場所に適切な居住環境をつくりたいと思っております。なお、その際、必要があれば宅地造成の資金というようなものも、住宅金融公庫から公共団体に貸すというような手段も考えて、円滑に取り行なわれるようにいたしたいと思います。  なお、一番おしまいにお話ございました単独の家屋の移転につきましては、在来、土地区画整理で移転しなければならない問題、あるいは炭鉱離職者等が産炭地から離れるときにやはり抽せんによらないで個人の特別貸し付けをいたしております。この場合は、市町村長の認定と申しますか、市町村長の証明が要るわけでございます。それを経ましたものは抽せんによらないで特別貸し付けいたしますので、それを活用いたしたいというふうに考えております。
  14. 細田吉藏

    細田委員 両省からいま御答弁がございましたが、私は、今度の移住問題というのは、伊那谷の場合とは少し事情が違っておるのではないかというふうに見ております。ということは、伊那谷の場合には、耕地がすっかりやられて、回復するには非常に膨大な金が要る、ないしはもう不可能に近い、おっても生活はできない、こういうことであったかと思うのでございます。それがまあ主であったかと思うのでございますが、今度の場合は、どちらかと言うと、いまあとからお答え願った住宅関係の問題になるんじゃないか。耕地が必ずしもやられておるわけではございません。また、先ほどお話いたしました漁村の場合にいたしましても、漁場は近くにあるわけでございまして、むしろ海の近くのほうが漁業には非常に便利はいい。しかし、住んでおるところ自体の土台が、とにかく亀裂が入り、あぶなくなっておる。今度ほどの雨はまあ何十年ぶりのようですが、もう一度これの十分の一くらいな雨がさてもやられるんじゃないか、こういう問題になっておるわけでございます。そこで、公営住宅によって解決するものはともかくとして、住宅金融公庫の問題ですが、一部落全部、あるいは危険なところでどうしても移らなければならぬというところが、これが非常に零細な農家等の場合で、借金するにももう借金はできないといったような状態のところがかなり多いわけでございます。そういう点について、これは特別な制度を、場合によってはあるいは法律が要るのかもしれませんが、何とかしなければならぬ、こういう差し迫った問題である。いま、とにかくどこか学校に避難したり、あるいは便宜、親戚が安全なところにあれば、親戚に逃げておるというようなかっこうなんでございまして、そういう点、公庫からの貸し出しの条件緩和といいましょうか、条件緩和には違いありませんでしょうが、徹底的な条件緩和をしていただかなければ、言うべくしてできない、こういう問題なんでございます。  そこで、こういう点について、さらに建設省のほうでどういうふうにするか、これから県当局あたりとも十分御相談いただかなければならぬと思っておりますが、どういうふうにお考えいただくか。いままでの考え方だけではちょっとこれはできない。さりとて、もうそこにおれないということでありまして、もう一ぺんこういう点について御答弁いただきたいと思います。
  15. 尚明

    ○尚説明員 ただいまの集団移転に要する宅地及び住宅を容易に取得できるような方策でございますが、先ほど申しましたように、住宅金融公庫の貸し付けあるいは公営住宅建設を利用するわけでございますが、先生御指摘のとおり、在来、こういうものを計画的にやりました事例がほとんどありません。そうして、いまのような御事情でありますと、在来のものに比べて、たとえば土地もできるだけ安く取得するとか、あるいは建物の面積等につきましても在来より緩和措置をするとか、あるいは据え置く、いろいろの問題が生ずる問題だと思うのでございます。それにつきましては、至急府県、市町村と計画を打ち合わせまして、また、所要の条件につきましては関係各省とも打ち合わせまして、移住対策に支障のないような住宅対策を立てたいというふうに考えております。
  16. 細田吉藏

    細田委員 いまの住宅の問題につきましては非常な不安感が出ておるのでありまして、しかもいま申し上げたように、逆に、むずかしいのは、耕地はある、あるいは漁場は近くにあるということでございますので、とんでもないところに行けば、耕地をどうするかという問題があるわけでございます。新しい問題として県のほうとも十分な御相談をいただいて、他の地域にもあるいはこういうものがあろうかと思いますが、万全の策を立てていただいて不安を除去していただく、これは、今後この種の災害が起こります予防措置として、特に人命尊重というような見地から必要だと思います。私ども、これは委員長にもお願いいたしたいのですが、必要があれば立法措置等もしなければならぬ、こう思うのでございますが、どうか善処をお願いしたいと思います。この問題は、時間の関係上その程度にしまして、後日さらに詳細に詰めたいと思います。  次には、建設省関係でございますが、先ほど申し上げましたように、中小河川はんらんが非常に大きな災害をもたらしております。特に、先ほどの御報告にもございました斐伊川の支流であります加茂町の赤川、あるいは米子市の加茂川、特に赤川につきましては、御承知のように、年々災害をこうむっておるのでありまして、すでに本年度から改良工事にもかかられることになっておった寸前において堤防が決壊し、加茂町は連檐地が全部屋根までつかってしまった、こういうような状況でございます。しかし、赤川は代表的な例でございますが、これに類する中小河川はもう無数と言っていいくらい島根県だけでもございます。鳥取県にも同様な——加茂川なとは、米子市がほとんど全市水につかったというような実情でございまして、この中小河川の予算増額はあるいは国会との関連の問題もあろうかと思いますが、これにつきましては、たとえば赤川ひとつとりましても、現在の設計で十分かどうかという点がございます。全体として今度の災害復旧については、これらの改良復旧をぜひ強力に、しかも早急にお願いしなければならぬ、こう思っておるわけでございます。これらの点につきましては、先般建設大臣も北陸方面においでになりまして非常に強くお感じになったようでございまして、私どもも個人的にはそのお話も承ったのでございますが、建設省の本問題に対する御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  17. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  今回の七月二日から十九日までの豪雨によりまして、中小の河川が非常な災害を受けました。先生の御指摘のとおり、斐伊川の支川の赤川であるとか、あるいはまた旧信濃川の支川の刈谷田川であるとか、河北潟周辺の河川であるとか、非常に災害が大きゅうございまして、その災害をただいま調べておりますが、たとえて申し上げますと、赤川につきましては右岸側のほうに非常に大きな災害を受けております。その金額は一億足らずじゃないかと思うのでございますが、これにできるだけ災害関連の費用をつけ加えましてそして災害復旧的に考えていきたい、しかし、それでもまだなお足りない部分は、本年度あるいは来年度に考えております中小河川——これは県のほうがもちろんお望みのことと思うのでございますが、そういうものが出ますればそれを加えまして、そして改良的な計画を立ててやっていきたい、こういうふうに考えております。その他、刈谷田川につきましても同じでございまして、ケース・バイ・ケースで十分調査をいたしまして、どういう費用をどういうふうにするかということを十分検討いたしまして改修をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  18. 細田吉藏

    細田委員 集中豪雨の場合にやはり中小河川はんらんして災害が起こった場合に、いつの場合でも、いわゆる改良復旧の問題は非常にやかましく国会でも取り上げられるわけでございます。建設省とされては当然そうしたい、こういうことで、以前よりは相当程度改良復旧のほうにおやりいただいておると思うのです。いまお話のことでけっこうなんですけれども、実際には、改良復旧をやろうと思っても、いろいろな関係でそれができない、できない間にまたやられるというような事態が繰り返されておると思うのです。したがって、これは大蔵も含めた政府全体の、あるいは防災本部全体として、やはり裏づけといいましょうか、はっきりしたものにしないと、幾らやるつもりが建設省にあっても、あるいは河川局にあっても、できないのじゃないでしょうか。どうなんでしょうか。
  19. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御発言のとおり、いろいろ場所によって問題があるわけでございます。災害復旧費、これは完全に出るわけでございまして、災害関連費、これはいままでは非常に少なかったわけでございますが、最近だんだんと大蔵省のほう、また関係当局のほうと御相談をいたしまして、これをずいぶん思い切ってふやしていただいたわけでございます。これになお中小河川の改良工事費、こういったものも加えれば相当できるのじゃないかというふうに考えております。ただし、その災害が終わってまいりますと、災害のひどかった地域についてはわりあいに御理解がいただけるのですが、それから少し離れてまいりまして、その改修に非常に関連のある地点の方々になかなか御理解がいただけないというようなことがございまして、それでなかなか用地がうまくいかず、そして工事も進まなかったという例は相当ございますが、これにつきましては、用地対策のほうで、建設省としても、また前国会において国会のほうでも非常に認めていただきましたものでございますから、公共用地の取得については以前とはだいぶ変わってきておるというふうに考えておりますので、この点もこういう改良が大いに進む原因になるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  20. 細田吉藏

    細田委員 ぜひそのようにお願いしたいのですが、この際、農林省関係につきましても、改良復旧あるいは災害関連事業の問題につきましてひとつ御決意をお聞かせいただきたいと同時に、大蔵省からどなたかおいでになっておると思いますが、この点についてお答えいただきたいと思います。
  21. 中西一郎

    ○中西説明員 お答え申し上げます。  改良復旧の点につきましては、現在の制度でも許されておることでございますし、その趣旨に従って十分善処したい、かように考えております。
  22. 長岡実

    ○長岡説明員 ただいまの改良復旧の問題でございますが、先ほどの小沢先生報告にも、ある程度の予算上のワクがあるようなお話もあったわけでございますけれども、これはあくまで事業全体についてどの程度改良復旧予算を投ずるかという問題でございまして、被災の個所別につきましては、そのようなこまかい何%というようなワクを設けておるわけでもございません。したがいまして、そのような点につきましては、建設省農林省現地査定の結果を待ちまして、その改良復旧の必要性を十分に検討させていただきました上で御相談を申し上げたいと思うわけであります。
  23. 細田吉藏

    細田委員 いまの問題につきましてはさらに突っ込んでいろいろまだ伺いたいと思いますが、時間の制限がありますから、これはまたあとの機会にいたしたいと思います。  次に、山地の災害が先ほど申し上げましたように非常に大きいわけでございます。大小まぜて大体一万カ所以上あるだろう、こういうふうにいわれているわけでございます。これにつきまして、県、市町村の単独事業につきましては起債の対象にこれが入っておらないというふうに私は聞いておりますが、これはどうもおかしいので、これを起債の対象とすることと、また、その元利の償還についてはこれは交付税で当然見らるべきものと考えておるのでありますが、これはどういうふうになっておるのでございましょうか、伺いたいと思います。
  24. 岡田純夫

    ○岡田説明員 治山事業その他でもって補助事業として対象になりますものは、その線によりまして、地方団体負担につきましては当然地方債を考えます。また、また、その地方債につきましては、元利償還金のうち相当額を交付税に算入いたしております。ただ、きわめて小災害のものになりますと、これはおっしゃいますように当該団体の単独としてやらざるを得ない場合があるのじゃなかろうか。激甚災害等の場合につきましては、農地とか、そういう施設につきましては、小災害に対しまして起債の対象にいたしておりますけれども、治山等の点につきましては、当該団体の財政力といいますか、単独事業としてやってもらわざるを得ないという実態にございます。その点につきましては、公共施設全体に対応するところの単独の起債というものを、別にまた包括的に算定いたしまして起債を認めておりますけれども、あるいはそれにこたえるだけの十分なワクとは言えないのではあるまいか、そこら辺は、自治省といたしましては、最終的に特別交付税その他の際には検討させていただきますけれども、直ちには起債をもって消化しがたい、制度的に因難な面があると申し上げたいと思います。
  25. 細田吉藏

    細田委員 今度の場合には、その小さいのが無数にあるというところが問題がある。そこで、県も市町村も非常に貧乏だ、これを取ったのでは何にもほかにできない、ぶっつぶれてしまう、こういう点が特別にお考えをいただかなければならぬということなんであります。それを申し上げたいわけなんで、いまあなたのおっしゃった前段のほうの話ではなくて、むしろ非常に小さいものがむちゃくちゃな数ある、そこで、これは何とかしてもらわなければ、地方財政としては破綻する、こういう問題なんであります。その点につきまして、くどいようですが、重ねてひとつ、どう善処していただくか、あるいはきょうすぐ御回答いただかなくともいいわけですけれども、とにかく、いずれにしても御善処をお願いしなければならぬ、こういうことなんですが、いかがでございますか。
  26. 岡田純夫

    ○岡田説明員 私どもは、話を実は伺っておりまして、確かに問題であろうかと思っております。しかしながら、自治省の現在の起債の詮議方針なり何なりをもってしては困難でございますが、なお、その関係、たとえば農林省とかその他の方面の見解、これに対象になれば問題ございませんし、見解その他も聞きますし、十分検討いたしてみたいと思います。
  27. 細田吉藏

    細田委員 それでは、まだ総務長官が見えないようでございますが、この際、気象関係、運輸関係、郵政関係について二、三伺っておきたいと思います。  先ほどの御報告にもありましたが、裏日本の気象観測のいろいろな諸設備が非常におくれておるといわれておるわけでございます。これらの点については、最近、島根県の島根半島にレーダーを一基据えつけるというような話も聞いておりますけれども、とうていレーダー一基というような問題じゃございません。この気象業務の強化というような点につきまして、気象庁のどなたかからお答えをいただきたい。  それから、時間の節約上、あわせて運輸省の関係で申し上げたいと思いますが、国有鉄道の復旧につきまして、木次線、山陰本線が不通になっておりまして、いま盛んに線路開通のための工事が進められておりまして、現地を私見てまいりました。木次線のほうはきょうから全通するようであります。しかし、山陰線のほうはまだなかなかのようでございます。これは予算の問題にかかわらず極力やっていただかなければならぬ、一日も早く開通していただかなければ、経済全体が麻厚いたしますので、これはそうお願いいたさなければならぬと思うのですが、ここで国有鉄道の問題であわせてお考えをいただき、お伺いをいたしておきたいと思いますことは、山陰本線が、至るところでいわゆる小河川あるいは水路等で暗渠がございましたり、あるいは小さい鉄橋がございます。これらの個所山陰線の敷かれた当時のままでございまして、今日のような——これは今回だけではございませんが、雨量が非常に多い、こういうことにぶつかりますと、ちょうど線路が水をせきとめる役をいたしまして、そのためにその上流の地点における冠水が非常に多い、各地でこういう問題が起こっております。また、こういうことのために線路が決壊いたしまして線路不通を来たしておるというようなものもございまして、こういう点につきましては、あるいは北陸線についても同様なことが言い得るんじゃないか、あるいは全国的にもそういう傾向があるんじゃないかと思います。いわゆる暗渠といったようなものについては、こうした災害の機会には根本的に見直していただいて、先ほど建設、農林からお答えもありましたが、いわゆる改良復旧といいましょうか、根本的な水の関係、鉄道と交差しておる水路の関係については見直していただく必要がある、かように思うわけでございます。この点について運輸省のほうからお答えをいただきたいと思います。  それから、郵政の関係につきましては、先ほど報告にもございましたが、有線放送が今度の災害につきまして非常に大きな役割りをしている。死者百七名を出しておりますが、有線がなかったならば、おそらくこれはもう三倍にも五倍にもなったんじゃないかとさえ現地ではいわれております。ところが、有線が各地でかなり大きな被害を受けておりまして、これの災害復旧については、いまのところあまり手段が講ぜられないようでございまして、みな独自でやらなければならぬというようなかっこうになっておるようでございますが、これはどうしてもこうした機会に——有線も全国に非常にたくさんついておるわけでございまして、むしろ農村の革命的な施策といわれておるものでございます。災害の時期はまたすぐあとにも控えておるというようなことでございます。郵政省として何らかこの有線放送災害復旧というような点についてお考えをいただきたい、かように思うのでございますが、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  28. 日下部文雄

    ○日下部説明員 気象の関係についてお答え申し上げます。  北陸山陰の気象施設その他に関しまして、御指摘のように、日本の太平洋側に比べますと、いろいろな施設においておくれておることはいなめない事実でございます。先般の三十六年の集中豪雨以来、北陸山陰方面においても非常に集中豪雨あるいは冬の豪雪というような問題もございますので、それを含めまして、技術的に予報精度を上げるために、特に研究プロジェクトのようなものも行なって技術の向上につとめてまいるとともに、本年度は金沢のほうに目下レーダーを設置するため工事中でございます。本年は、やはり裏日本側の観測網の不備もございますので、鳥取島根のほうに利用できるレーダーを建設するなど、着々と整備を進めてまいりたいと計画いたしております。  なお、通信連絡その他情報連絡に関する回線の整備に関しましても、気象の資料を収集する回線あるいは情報を伝達するための回線等についても近代化を計画いたしまして、何とか災害を軽減するための努力を払いたいと計画いたしておる次第でございます。
  29. 佐藤光夫

    ○佐藤説明員 山陰線の状況につきましては、各方面のたいへんな御協力によりまして逐次開通いたしまして、現在田儀−波根間が不通になっておりますが、これは八月三日に開通の見込みでございます。  なお、お話にございました河川と線路との関係は、河川状態の長年月の変化その他等によりまして、お示しの事例が各所にあるようでございますので、今後十分にこの関係検討を進めるように国鉄に注意をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. 中西一郎

    ○中西説明員 農林省関係の共同利用施設に属します有線放送復旧につきましては、暫定措置法あるいは激甚の適用というような方向で目下進めております。
  31. 岡田純夫

    ○岡田説明員 地方公共団体の有線放送施設災害復旧につきましても、やはり重大な問題といたしまして助成措置ができるような方途について現在研究中でございます。なるべく前向きでできるように考えてまいりたいと思っております。
  32. 細田吉藏

    細田委員 いま御答弁がございました中で、特に国有鉄道の水路の関係につきましては、これは極力やるというような御答弁がありましたが、これは山陰線だけじゃない、各地に起こっておる問題でございまして、特に国有鉄道の今後の長期計画などを立てられる際に、一般の地区住民にとっては非常に重大な問題でございますので、具体的に計画をはっきり立てて、今後五カ年計画とか六カ年計画をやるなら、ちゃんとはっきりしてもらわないと、鉄道に対する怨嗟の声ばかり強くなるのでございまして、通り一ぺんというようなことでなしに、ひとつ具体的に計画をしていただくように特にお願いをしておきたいと思います。  総務長官がお見えになりましたので、お伺いします。一番最初にお願いを申し上げる項目にいたしておったわけでございますが、激甚災害法の関係でございます。  私、実は本日災害地から帰ってまいったのでございますが、この激甚災害法の適用、いわゆる特別財政援助に関する法律の適用につきましては、県、市町村はもとより、災害地住民の皆さんまでが最近は法律関係もよく知っておりまして、この適用を一日も早くしていただく、それからその範囲につきましても、いろいろあとから申し上げたいと思っておりますが、可能な限り広範囲に適用いただきたい、こういうようなことで強く要望いたしておるわけでございます。この点につきましては、ただいままで防災会議における進行の状況等——私、一週間ばかり留守をいたしておりまして災害地を回っておりましたので、その後かなり進行いたしたやにも伺っておるのでございまして、現在の状況を総務長官からお聞かせいただ当、是が非でも一日も早くこの政令をお出しいただきますようにお願いしたいと思います。とりあえず現在の状況をお聞かせ願いたいと思います。
  33. 中山榮一

    中山委員長 この際、臼井総務長官より発言を求められておりますが、ただいまの質問に対する御答弁を兼ねてお願いをいたします。
  34. 臼井莊一

    ○臼井説明員 私、先般総理府の総務長官を仰せつかりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。  ただいまの御質問は、今回の山陰北陸豪雨に対して激甚法が適用されるかどうか、また何とかすみやかにこれを適用してもらいたいという御質問かと思います。  今回の長雨につきましては、私も小山建設大臣と先般北陸また新潟の地震等の現地をお見舞いかたがた視察に総理の命令で参りました。非常な災害でございまして、災害を受けられた方々に対しては深甚なるお見舞いを申し上げる次第でございます。  そこで、激甚法の適用は、御承知のように、一定の要件を具備した大きな災害が発生した場合に、これを中央防災会議にはかった上で、政令によって激甚災害指定する、こういうことになっておりますので、先般もすでに中央防災会議の幹事会を開きまして、そしてこれが報告かたがたいろいろ協議はいたしたのでございますが、ただ、被害額を鋭意集計中でありますために、いまだこの激甚法を適用するということに決定会議でいたしておりませんけれども、しかしながら、現在までに集まった被害額を見ましても、公共土木施設災害復旧事業及び農地、農業施設災害復旧事業、これらにつきましては額も相当にのぼっておりまするので、私どもの考えとしては、当然激甚法は適用さるべきものである、かように考えておりまして、そしてこれもできるだけすみやかに指定の運びに至るようにということを現在取り運び中であります。なお、その他の特別措置を含めての最終的な問題につきましては、いろいろ個々指定という問題等につきましては、今後ひとつ十分被害額の集計ができましてから、残りましたものがございましても、適当なものは逐次これを適用していくようにできるだけすみやかにいたしたい、こう考えております。  簡単ですが、お答え申し上げます。
  35. 細田吉藏

    細田委員 激甚法指定につきましては、いつの場合でも、とにかくいまのたてまえがそうなっておるからだということなんですが、被害額を集めなければなかなかきまらぬ。それから、たとえば公共土木——いまのお話でも、公共土木施設災害あるいは農地等の災害復旧については大体いいが、ほかのものがまだよくわからぬというようなことでとかく延びがちでございまして、この点につきましては、この法律ができますときの経緯その他から考えまして、やはり激甚な災害については、もちろん、ある程度調査はしなければならぬとは思いますけれども、あまりこまかいところまで積み上げなくとも、政府として断を下されてしかるべきじゃないか、かように考えておるわけでございまして、逐次おやりいただいておるということは感謝にたえませんが、何か聞くところによりますと、おとといくらいですか、防災会議の主任官か何かお集まりになって大体の見当もお立てになった、こういうようなことでございまして、大体見通しとしては、これはあるいははっきりお答えできないかもしれませんが、いつごろまでにはというようなことでございましょうか。
  36. 臼井莊一

    ○臼井説明員 いつまでに指定するかという御質問でございますが、これはすみやかにという地元の御熱望もございますし、また、ただいま細田委員の御熱望のとおり、できるだけすみやかにといいますか、具体的に申しますと来月——来月といっても、あしたからですが、来月上旬中には指定するように仕事を運ばせたい。ただその中で多少残っていくものがあると思いますが、これらも逐次追加していくような方向にいきたい、こう考えております。
  37. 細田吉藏

    細田委員 総務長官の力強い、来月上旬にはどうしてもということで、ぜひそのようにお願いしたいと思います。  時間もだんだん過ぎましたので、事務当局のほうでけっこうですが、天災融資法の特例というような点について、これはもう当然激甚の指定をされることになるのじゃないかと私ども考えておるわけでございますが、こういう点についての現在までの防災会議における審議の状況その他がございましたら、お答えいただきたい。  さらにもう一点、例の中小企業の問題でございますが、補償の特例の適用でございます。これらの点につきましてもいまどのような状況でございますか。これは事務当局でけっこうでございますが、お答えいただきたいと思います。
  38. 北川博正

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  第一の、天災融資法を激甚法に適用するかどうかの問題でございますが、実はまず天災融資法を発動するということがございませんと、私のほうとしては、これを激甚法指定するという段階に至らないのでございます。まだ私のほうも、農林省のほうから逐次お話は伺っておりますが、直ちに天災融資法を発動されるという十分なお答えは得ていません。ただ、多分天災融資法の適用があるのじゃなかろうかという程度のお話は伺っております。  それから第二番目の中小企業の関係でございますが、中小企業関係被害額は、通産省等からの資料ではまだ調査中というようなお答えでございます。しかし、状況を聞きますと、比較的被害は少ないのではなかろうかというようなお話は伺っております。
  39. 細田吉藏

    細田委員 私、時間をだいぶオーバーしておりますので、これでやめますが、いま天災融資法の関係につきまして総理府からああいうお答えがあったわけですが、農林省、いかがでございましょう。
  40. 中沢三郎

    ○中沢説明員 お答え申し上げます。  天災融資関係被害状況がほぼ八月十日前後にははっきりいたす予定でございますので、確定次第、天災融資法発動の手続を進めたい、こう考えておりますが、なおそれまでほぼ天災融資法の発動が予想されますので、各金融機関に対するつなぎ融資措置は至急要請いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  41. 細田吉藏

    細田委員 中小企業に関してはどうも損害が非常に小さいというお話ですが、何を基準にして小さいというか、これは現行法上の問題としてはいろいろな問題があろうと思いますけれども、やはり私が最初に申し上げたように、それぞれの災害地の経済実態と見合ったもので考えていただかなければならぬと思いますが、これらの点についても、きょうは、調査中だそうでございますから、詳しく御質疑することをやめて後日に譲りますが、特に貧弱な経済基盤に立っておる中小企業——中小企業というよりも、むしろ零細企業ばかりといったようなところでございます。こういう点を特に考えなければならぬ、この点を要望いたしたいと思います。  他にも伺いたい点がいろいろだくさんございますが、これらについては同僚議員からもまたいろいろ御質疑がありましょうし、また私も後日機会を与えていただきまして質疑を重ねたいと存ずる次第であります。
  42. 中山榮一

    中山委員長 稻村隆一君。
  43. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 私は、細田委員と重複する質問になるかもしれませんけれども、いろいろ重要な要素を含んではおりますから、簡単にその点について刈谷田川の問題を中心にお尋ねしたいと思っております。  刈谷田川の問題ですが、これはどこでもずいぶん共通しておると思うのです。今度山陰などでも、細田委員の御質問を聞きましても、共通点をだいぶ持っておるのですが、刈谷田川は、栃尾、見附の上流を改修していくと、豪雪の場合は下流のほうの中之島、栄が非常に被害額が大きくなる。この点につきまして河川局長はどういう考えを持っておられるか、これは非常に大きな問題なんですが、それをお尋ねしたい。
  44. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 お答えいたします。  刈谷田川につきましては災害査定が済みまして、それによりまして一応下流のほうは中小河川の改修を現在行なっておるわけですが、それをさらに進めまして、上流につきましては災害査定と関連とをあわせまして復旧いたしたい、県当局と打ち合わせをいたしております。  なお、災害査定は八月上旬に行ないますので、その結果を待ちましてさらに具体的な検討をいたしたい、こう思っております。
  45. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それで下流の中之島、栄の改修はまだ九〇%くらいやってないでしょう。そうすると、それは大体毎年一億二千万で、二十億くらいかかるそうですね。そういうことになっておるのですか。
  46. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 お答えいたします。  刈谷田川の河川改修は現在やってはおりますが、進捗状況はあまりよくありません。しかし、今後事務当局としましては、急いで増額いたしまして災害復旧となるべく見合うような速度で改修いたしたい、こういうふうに考えております。
  47. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 金はどのくらい毎年かけるのです。どのくらいかかればそれが改修できるのですか。
  48. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 河川改修のほうの担当課でありませんので、こまかい数字はちょっといま持ってきておりませんが、後刻調査してお答えいたしたいと思います。
  49. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 いや、私が現地で聞いたとき、毎年一億二千万円くらいで、二十億くらいかけてやるのというのですね。それは間違いないですか。それはわかっておるでしょう。ぼくが建設省へ電話をかけたら、そう言っておりましたよ。
  50. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 現在予算は大体一億そこそこだと記憶しておりますけれども、これを相当増額して進めたい、こういうふうなことになっております。
  51. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 増額はむろんしなければしょうがないですが、増額しても、物価も上がるし、二十年くらいかかるのですよ。そうしてこのごろは山が荒れていますから、また少し大雨が降るとすぐ洪水になってしまうのです。そうすると、二、三年の後に、せっかく一億幾ら出して改修した個所がまたやられるのです。これは私は根本的な政治の問題だと思うので、事務当局の方に質問するのは無理かと思うのですが、実際、日本の河川改修その他水害対策の根本的なプリンシプルがないものですから、県とか役人の方はまじめにやっておると私は思うのですけれども、こんなことを幾らやったってどうなるのですか。二、三年もたって、大雨が降ればまたこんなものは流されてしまうでしょう。これでは国費を乱費して、やらぬと同じじゃないですか。これに対して一体どういう考えを持っておられるか。総務長官でもけっこうですから……。
  52. 臼井莊一

    ○臼井説明員 建設大臣も出張中でございますので、私ではあまり御期待に沿うような答弁はできないかと思いますが、先般私も刈谷田川の災害地建設大臣と一緒に視察してまいりました。建設大臣もつぶさに被害状況、決壊場所等を調べてきまして、伺うところによると、あの川はいつも川が荒れるので有名だそうで、したがって、これはひとつ何とか根本的に考えなければならぬだろう、その荒れる原因等をつぶさに調査して、それに適応した対策を講じたい、こういうことをお話しておりましたので、おそらく建設省においては、特にあの川については重大な注意を払って今後善処することと私も考えております。  あまり御期待に沿う答弁は、私の立場でできないかもしれませんけれども、そういうようなことを私もわきから見ておりましたので、ちょっと御報告いたします。
  53. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 この間総務長官も建設大臣と一緒にこの刈谷田川を視察に来られたことを、私はあとで中之島村に行ってお聞きしました。そこで、私は御参考までに申し上げておきますが、刈谷田川という川は、守門岳という山から栃尾市、見附市、南蒲原の中之島、栄を経て信濃川に合流するのです。そうして、あふれてくると鉄砲水になってしまうのです。そうして栃尾市では二十一カ所、見附市では十の橋が流れ、堤防決壊は四十一カ所、水田は四千ヘクタール、こういう小さな区域で十億に達する被害を出しておるのです。この栄村、中之島のところは、村としては全国一の穀倉地帯なんですけれども、この間地震でやられて、またあれでやられる。地震があったのは信濃川の河状整理をやったところですから、これは地盤が低いのでやられたのですが、地震がなくとも、こういうような水害が繰り返されてまいりますと、穀倉地帯は全滅してしまうのです。そういうような状態ですから、ひとつ政府のほうでよく相談していただいて根本対策を立てていただきたいのです。これは役所の人を責めるのは無理だと思うのです。根本的な方策を立ててやらないと、金をつぎ込んだことが何にもならない。それは全くどぶに捨てた金と同じになってしまって、生きてこないわけです。  それで、これは事務当局にお尋ねいたしますが、事務当局としても、こういうようなびぼう策をやって、一億そこそこかけて二十年もかかって、これは河川改修をやるといったって、あのとおりの荒れる川でありますから、そういうことが何にもならないことはわかっているだろうと思う。一年に四、五億ぐらい出して、数年でこの改修を完成しなければならないという、そういうプランか何か持っておらないのですか。そういうプランぐらい持っていそうだと思いますよ。
  54. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 お答えいたします。  この中小河川につきましては、先ほど申しましたように、速度を速めるということは考えておるわけでございまして、さらに今回の災害を考えまして、災害及び関連事業費を加えて促進をいたしたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  55. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それでは、またいずれこれはあらためてお尋ねいたしますが、やはりあとで何か具体的に建設大臣等にもお尋ねしなければならぬと思います。このままでは、全くやったもやらぬも同じようなことになると思いますから、十分ひとつ考えておいてください。こんなことをやったって何にもならないじゃないですか。それには二十億も金が要る。それならば、それを数年にやるような方針を徹底的に——中小河川としての予算として、いままでの慣例上無理だろうと思いますけれども、こういうようなことはやはり根本的に対策を立てなければしょうがないですね。請負師だけをもうけさせるようなことになってしまう。何の役にも立たない。その点は副本部長もよく刈谷田川をごらんになったのだから、大臣とも御相談になって、こういう刈谷田川のようなケースに対しては、ほかでもあると思いますから、根本的な対策を立てて、むだな金をつぎ込まないようにしていただきたいと思います。その点ひとつお願いします。  時間がありませんから、私もう一つだけ質問を申し上げたいと思っておりますが、この間、刈谷田川の問題で私が防災ダムのことを御質問しましたところが、河川局長は、防災ダムはそう期待できないということでした。私しろうとですが、いろいろ聞いてみますと、防災ダムというものは、どうもあそこではやってもたいした効果がない、結局関屋分水の問題だとかいうことを河川局長が答弁されておったようであります。  そこで、この関屋分水のことにつきまして私はちょっとばかりお尋ねしたいと思いますが、信濃川をまだ一級河川に編入しておりませんね。
  56. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 お答えします。  一級河川指定の問題は、目下選考中でありまして、まだ全然触れておりません。きまっておりません。
  57. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 信濃川みたいな川をどういうわけで——これは県のほうでそういうふうにやることを積極的にやらなかったのだろうと思いますが、利根川なんか一級河川ですが、あの信濃川の治水ということは非常に重大な問題ですよ。これは建設大臣がいなければだめですが、それをいままで一級河川にどうして編入しなかったのですか。どういう事情にあるのですか。
  58. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 まだ一級河川についてはどこも指定しておりません。
  59. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 今後これは指定するでしょうね。
  60. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 今後検討して指定するわけであります。
  61. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 この関屋分水のような問題は、新潟県全体の水害対策、治水問題に対しては重要な問題になるわけです。これは実際上県営としてやることは無理ですよ。関屋分水は県営として本年度から着工することになっているのです。それで、財政計画としては、分水地点の下流の埋め立て地を青田売りして、その資金でもって事業をやっていく、こういう計画なんです。ところが今度の地震で、そんなものは、埋め立て地ができても、河川修理の土地ができても、これは軟弱地盤だから、工場地帯なんかに買う者はないのです。それだから、結局、そういう埋め立てしてできた土地というのは、河川敷というのは、野菜でもつくらせる以外になくなってしまうのです。そうすると、これは非常に安いものになってしまう。それだから事実上県では関屋分水はできないですよ。だから、根本的にこれは再検討しなければならぬのじゃないかと思うのです。信濃川が一級河川になれば、これは国の費用でやらなければならぬのだから、国の費用でやるということになる。これは県営では、十二カ年でやる計画を立てているが、できはしませんよ。金はないし、地震のために、工場なんかあんなところへ来はしません。それから宅地なんかにもなりませんから、国営で短期間にやる以外にないのです。こういうわけで、建設次官はきょうおりませんけれども、これもぜひ政府の重要な考慮の中に入れてもらいたい、こう思うのですが、その点ひとつ副本部長にお願いしておきます。  それからもう一つお尋ねしておきたいことは、これは副本部長がおいでになっているから、この機会にお尋ねしておいたほうがいいと思うのです。  地震の問題ですけれども、関東大震災のときに、私若かったのですが、後藤新平さんが内務大臣だったのです。それで、こういう災害があっても、災害を少なくするような根本的の都市計画を立てたわけですね。あの人は、いまから考えても非常に偉かった。そうして土地の強制買収とか、そういうことを計画して着々と進めていった。ところが、当時枢密顧問官の伊東巳代治伯爵が非常におこりまして、人の財産をかってに強制買収で取り上げるということは憲法違反だというようなことを言って枢密院で弾劾をして、とうとう後藤新平内務大臣の計画は龍頭蛇尾に終わったということがあるわけです。いまは時代が違いますから、そんなことを文句を言う者は私はないだろうと思う。それで、こういう地震のような機会でなければ、都市計画の根本的な改革というようなことはなかなかむずかしいのです。こういう機会に私はやるべきだと思うので、これは新潟のみならず、一切の土地において、工場と宅地が一緒になっておったり、あるいはゼロメートルのところにうんと家が建っておったり、いろいろ混雑しておるわけです。新潟の都市を見ても全く混乱しておる。東京でも同じような場所がたくさんある。こういう点は、やはりこの機会に住宅と工場を分ける、あるいは雨が降ればすぐ浸水するような場所には建物を建てさせない、代替地を見つける、こういうふうなことをこの際政府はやるべきだと思うのですが、その点総務長官はどうお考えになりますか。
  62. 臼井莊一

    ○臼井説明員 今回の新潟地震に際して、かつて関東大震災のあとの対応策について、当時の後藤新平総裁がいろいろ考えたことが縮小されて、それが今度の戦災の際にも非常に災いしたというふうに、これは私も当時関東震災で深川で焼け出された者の一人として、まことに痛感するわけでございます。そこで、恒久対策につきましては、去る六月三十日の中央防災会議においても、この問題についていろいろ検討いたしまして、第一に危険物または特殊な工作物を持つような工場の配置等については、立地条件の問題、いまお話のような住宅地の問題、新潟でも昭和石油の工場の火災によって罹災せられた家屋もたくさんございますので、そういう問題とか、保安体制、さらには、今次の例によって科学消防の強化というような問題について、中央防災会議でいろいろ検討いたしまして、危険物に関する保安行政の強化という問題についてもひとつ強化をはかろう、こういうことで、具体的な問題については今後に残っておりますけれども、これらについても中央防災会議でも鋭意検討中でございますが、今回の災いを転じて福となすような施策をひとつ十分行なうべきである、かように考えております。よろしく御了承をお願いいたします。
  63. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 最後に農林省に一点だけお聞きしたいと思うのですが、湛水の問題です。これも刈谷田川の問題ですが、大雨が降ると刈谷田川の下流は必ず湛水するのです。中之島、栄など、最近は連年湛水しております。そこで、この湛水が長くなりますとすぐ収穫皆無になることは、御存じのとおりですが、それは今度も実にひどいのです。激甚法が適用されると政府が国の金でやってくれるが、今度の水害は、むろんこういうところは適用されると思うけれども指定されないところは一体どういうふうな方針をとっておるか、たとえば、市町村とか土地改良組合に補助をさして千馬力とか二千馬力の排水機を設置するというふうなことをやらせるような計画はありますか。
  64. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点ですが、計画の点につきましては、現在国営の湛水排除の計画は出ております。国営の規模での検討をいたしたいと思っております。なお、全体で十カ所ばかり、四千五百万ばかりの被害があるようでありますが、激甚の適用あるいは予算でそれを措置するというような両面の作戦で善処したい、このように考えます。
  65. 中山榮一

  66. 卜部政巳

    ○卜部委員 臼井長官が御臨席であられまして、加えて、御多忙のところでありまして直ちに所用のために退席をしなくてはならないという状況下にありますので、一点だけ御質問を申し上げたいと思います。  先ほど激甚災害指定につきまして好意的な回答がありまして、たいへんうれしく思っておりますが、私一つだけお伺いをいたしたいのは、まず、この間の委員会の中で北川説明員のほうから、十分調査がされていない、こういうことでありましたが、今日に至ってもなおかつ調査が行なわれていないのかどうなのかを御質問申し上げ、同時に、臼井長官も、まだ完全なる調査がなされていないというふうに御答弁があったわけでありますが、すでにあの日から指折り数えて二週間になります。それほどまでに資料が整わないものであるかどうかをまず第一点にお伺いいたしたいと思うのであります。
  67. 臼井莊一

    ○臼井説明員 ただいまの御質問で、今度の北陸山陰方面の長雨に対する被害状況調査状況でございますが、一応は被害のあれは地元から出てきておるようでございますので、これの内容検討しておるというのが現在の段階であります。ただ、中小企業の方面の損失についてはまだ資料が出ていない方面もあるようでございますが、一通りは出たようでございますので、それを先ほど申し上げたように至急にひとつ整理をして、激甚法指定をすみやかにするようにということを私のほうからも督励いたしておるわけでございます。
  68. 卜部政巳

    ○卜部委員 そういたしますと、長官、中小企業のほうの資料は出ていないけれども、激甚の災害としての指定を行なうという長官の腹はきまっておる、このように理解をしていいと思うのでありますが、そういうことになりますと、私は、現在のこの時点においてすでにそういう指定が行なわれるべきではないだろうか、このように考えるのですが、いかがなものでしょうか。
  69. 臼井莊一

    ○臼井説明員 激甚法指定につきましてもいろいろ法律上の基準がございますので、その損害額の出てきたものを一応検討して、その基準に合っているかどうか、こういう点で基準を調べて適用するわけでございます。そこで、現在わかっている点につきましては、先ほど細田委員にお答え申し上げましたように、公共土木方面と農業災害方面についてはある程度わかっております。ただ、そのほかの方面もあわせてでき得べくんば一緒に指定もしたいという個々の問題なんかありますので、そこでさっきお答え申し上げましたように、八月の上旬中には指定するようにさせたい、こう考えております。
  70. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。激甚法にあります各基準に基づいて云々ということが言われたわけでありますが、前回の委員会でも松井委員のほうから指摘をされておりますように、この激甚という災害は、自然科学的な観点からとらえるのではなくて、現実に災害を受けており、それが激甚だということでとらえていかなくてはならぬとする、これが正しいと思うわけです。そういう点で、臼井長官のほうから、いま農業とか公共事業についての問題についてはきわめて明快な御答弁で、たいへんうれしいことでございますが、しかし、その点についてやはり指定基準なるものの法律での規定とかさらには手続等の簡素化をするということが必要ではないだろうか、こういうことを考えるのです。この点、長官はすばらしい手腕の持ち主でありますが、に向かってこういうことを考慮されるかどうかという点をひとつ御回答願いたいと思います。
  71. 臼井莊一

    ○臼井説明員 まことにごもっともな御意見だと思うのでございまして、こういう災害などは、われわれも過去においていろいろな水害、震災、戦災を受けた経験からいいましても、やはり政治的にものは考えていかないといかぬ面が非常に含まれておりますので、ただいまの御意見のように、ひとつわれわれのほうも十分検討してその方向で努力をいたしたいと思います。  なお、必ずしも法律ばかりにこだわらぬで、ある程度は中央防災会議議長に、総理でございますが七ある程度一任されている、こういう面も、全部ではありませんけれども、あるようでございます。私も就任早々でそういう点について十分研究はしておりませんけれども、そういうまかせられておる面がありとすれば、十分これを活用いたしまして、あまりにこまかい法律ばかりにとらわれて時期を失し、また羅災者の不満を招くことのないようにしたい、こう考えております。
  72. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、午後から引き続いて質問に移りたいと思います。  総務長官、どうも御苦労さまでございました。
  73. 中山榮一

    中山委員長 午後一時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後一時五十五分開議
  74. 中山榮一

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関する件について質疑を続行いたします。卜部政巳君。
  75. 卜部政巳

    ○卜部委員 午前中に同じ島根県出身の細田委員のほうから大綱につきまして質問がなされておりますので、私は細田委員質問となるべく重複を避けて質問をいたしたいと思いますが、若干重複する面があるかもしれません、その点は御了承願いたいと思います。  そこで、まず、小沢団長からの報告の中にもありましたように、今度の災害がきわめて甚大であり、特に特徴的な点は、個人の災害がきわめて大きいという、この点でございます。この点につきまして、私も現地を十日間くまなく歩いてまいりましたが、その中で一つ指摘できることは、水害もさることながら、山くずれによります民家の倒壊並びに田地田畑が全部いわゆる川原化して、その収穫が皆無であるというような悲惨な農村の方々が多いということを指摘いたしまして、その点について皆さま方も十分御配慮になっておられると思いますが、この点をまず頭の中に入れていただきまして、農林の関係に対しまして質問をいたしたいと思います。  そこで、細田委員のほうからも指摘されましたとおりに、現在、山くずれのために失った田地田畑、そして家屋、こういう面に対しまして、率直に申し上げるならば、農民方々はあすへの希望がなくなり、同時にまた、あすの生活への不安というものをもたらしておりますので、この点は何としてもひとつ政府のほうで適切な措置をしていただかない限り、農村の被害を受けた方々はおそらくや農村を放棄せざるを得ないのではないか、言うならば、農民としてのいままで住みなれた土地を放棄して転業していただかなくてはならないのではないか、こういう悲惨な状態というものを何とかして解決するようにひとつ御努力を願いたい。この観点に立ちまして質問を申し上げてみたいと思います。  まず第一点でありますが、そのように田地田畑を全部やられておる、さらには、八反を耕しておりながら、三反を残す以外あとはみんなやられておりまして、当然に概算金の前払いが返納できないという状態、さらには近代化資金などを借りておりますけれども、そういうものが返されない、こういう状態にありますけれども、この点に対する措置等についてはいかが取り計らうっもりでございますかをひとつ御質問したいと思います。
  76. 筒井敬一

    ○筒井説明員 概算金の問題につきまして、災害が起こりましたためにそれが返せないという農家が過去におきましてもございました。これに対しましては、やり方といたしまして、過去におきましては、まず概算金の返納の問題に関連して、一つは、概算金そのものの元金の返納の問題と加算金の問題がございます。それで、元金のほうはちょっとあとにいたしまして、利子につきましては、災害程度によりまして、それぞれ無利子にいたしたり、あるいは九厘五毛程度にいたしたり、一銭七厘程度にいたしたり、二銭五厘程度にいたしております。本来は二銭七厘を返納してもらうことになっておりますけれども災害程度によりましていま申しましたような段階を設けております。それから概算金そのものの元金の返納でございますが、これは概算金を払いますときにおきます約定によりまして、農家から払えない場合には、農協なりあるいは経済連、あるいは全販連というような、指定集荷業者と申しますか、そういうものが立てかえて政府に返納するというような約定になっております。過去におきまして災害の非常に大きかった伊勢湾台風などにおきましては、その間におきますところの利子補給をいたした経験がございますけれども、その後においてさようなことはやっておりません。今度の災害に対しましても、災害の事情にもよると思うのでございますが、従来の例によりますれば、農協なりあるいはそういう指定業者から返してもらう、それから利子につきましては、災害程度によりまして先ほど申しましたような利子の減免をいたしていく、こういうようなつもりでおる次第でございます。
  77. 卜部政巳

    ○卜部委員 利子が二銭七厘、これをまた災害程度によって軽減をするということがございましたが、その程度というのは大体どの程度なのか。私、率直に申し上げますと、今回受けた災害の場合におきましては、その程度の差というものは、確かに三反なら三反がつぶれたというようなことになりましても、そのあとに木が流れてきたとか、さらに石ころが流れてきたというような付随した問題等も出てまいりまして、このことがそこに差をつけるというような問題では決してなさそうに私は思うのであります。ですから、災害農家並びに農地、この点についてはひとつ全部措置をしていただきたいと思うのですが、その点はいかがなものでしょう。
  78. 筒井敬一

    ○筒井説明員 お話のように、災害程度によりましてさようなことも一つ考え方と思いますけれども、過去におきましてとりました問題のことをちょっと例といたしまして申し述べますと、天災融資法の指定天災によります特別被害農家の数が被害農業者総数の一〇%でありますところの地域として、知事が農林大臣の承認を受けまして指定した市町村におきまして、米の減収量が七〇%以上で、かつ農林漁業収入の減少が五〇%以上に上るものについては無利子にいたす、こういうのが一つでございます。それからそういう同じ地域におきまして、米の減収量が三〇%以上で、農林漁業収入が五〇%以上のものにつきましては日歩九厘五毛九糸、それから米の減収量が三〇%以上で、農林漁業収入の減少が一〇%以上のものにつきましては一銭七厘八毛、その他の生産者については二銭五厘ということでございます。いま申しましたのは、そういうような特別被害農家が多い市町村でありますけれども、その他の市町村につきましては、米の減収量が三〇%以上で、農林漁業収入の減少が一〇%以上のものにつきましては一銭七厘八毛一糸、その他につきましては二銭五厘というようなことでやっておる次第でございます。今度の災害におきましても、いろいろ事情はあろうかと思いますけれども、従来のような方式でやってはどうかというように考えておる次第でございます。
  79. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまの御答弁でございますが、私ちょっと解せないのは、最後に結ばれたことばの中で、従来どおりにやっていきたいということなんですが、激甚災害指定ということが近く行なわれようとする、こういう段階の中にあって、現実に調査を行なってもらえばわかりますけれども、三〇%だとか四〇%だとかいう率の問題はさておきましても、少なくともそういう被害の中で、来年、再来年おそらくもとの姿に復帰することができるかどうかというような状態のときに——三〇%でもけっこうですよ。そういうような現在までの状態を続けていこうというようなものの考え方ではなくて、むしろもう少し積極的にこの予約概算金の返納の特例に関する法律を立法化するとかなんとかいう措置ども十分考えてみなければいかぬのじゃないかというふうに考えますが、この点についてはどうでしょう。
  80. 筒井敬一

    ○筒井説明員 米につきましての概算金でございますから、米の収穫というものとの関係でこの問題は処理しなければいけないと同時に、農家で米は大部分つくっておりますけれども、その他の農業収入に依存いたしておるということも事実でございますから、米の減収の状態と、それから農業収入の減収の状態とをからめ合わせてどういうように対処していくかということであっていいのではないかと思います。その場合におきまして、被害程度がなかなかつかみにくい場合もございますけれども、われわれといたしましては、単に非常な被害だということだけでなしに、やはり従来からのいろいろな政策、制度からいたしましても、その被害程度、あるいは収入減の程度というものを考慮いたしまして、そこにそれぞれの段階を設けていくということはやむを得ないのではないかと思っておる次第でございますから、先ほど申しましたようなやり方を従来はとっておる次第でございます。
  81. 卜部政巳

    ○卜部委員 このことばかりに時間を費やしておられないような事情もございますから、要望だけをいたしておきたいのですが、ともかく、いままでに起きてきたような被害とは違って、現地を見てもらえばわかりますように、もう川原化しておるわけですから、その中でほんとうに愛情のある政治なり措置というものを行なわない限り、私は、ここに農家方々が、そしてまた、その田地田畑というものがはたしてその機能を発揮するかどうかということを疑うような、こういう状態にあるということを十分御勘案願いたい。同時にまた、私は、そういう面について、従来の問題と同じようなワクの中でものを考えるのではなくて、ひとつ十分な調査の中で、その調査が、少なくともそういう観念的だとかいうことばはちょっと当てはまらないかもしれませんが、ともあれ、実態に即応した、そして農民方々ほんとうに立ち上がる希望を持てるような措置を講じていただきたいことを要望いたしまして次へ進みます。  そこで、まず、この農家方々がつぶされたという——先ほどの私のことばの中にもありますが、農家住宅等に対しての問題についてはどのようにお考えなのか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  82. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。  先ほど来の田畑等の荒廃の事情等についてのお話、まことにそのとおりだと思っております。農地の災害復旧等につきましても、あるいは施設災害復旧等につきましても、原形復旧ということにとらわれないで、十分に地元の要望にこたえ得るような方策を講じてまいりたい、かように思っております。  ただいまお話の住宅のことでございますが、これは新潟あるいは山形等の地震の災害の例もございます。さらに、その場合に建設省住宅金融公庫の貸し付けのワクが五十八万円になった、さらに自作農創設維持資金の貸し付けのワクが、災害の場合は昨年まで三十万円でございましたが、それが五十万円になった、それにつけ加えまして、農業系統金融のほうの資金でもって、農林中金、信連から単協を通じまして一戸当たり五十万円ないし七十万円程度住宅資金が流れるように手配をいたしております。これは純然たる系統資金でございますけれども、金利等につきましても、一般の系統の資金よりは安く、たとえば七分五厘程度というようなことも頭に入れまして、それぞれの融資が円滑に措置できるように措置をいたしております。おおむねの計算でございますが、うまくこれらを組み合わせて利用できますれば、百万円以上あるいは百五十万円近くの資金が確保できるのではないか。そのほか、農家となりますと、住宅だけでございませんで、農舎だ、畜舎だという点も考えなければならない場合が多かろうと思います。この点につきましては別途公庫融資ワクがございます。そちらのほうで手配をいたす、かようになっております。大体いままでの地震等の被災地の例にかんがみまして、それらの措置で十分地元の期待に沿えるのではないか、かように考えております。
  83. 卜部政巳

    ○卜部委員 官房長のおことばでは、百五十万円程度の金が融資されるようになるから、十分にその期待にこたえることができるのではないかということの御回答でございましたが、御承知のように、島根災害は、三十六年度の災害、さらに長雨、さらに豪雪と続いて、その持てる限度の金は借りておるという状態であります。なるほど、そういうような百五十万という金がもしかりに融資されたとしても、それを返済する能力がないという立場に立たされておるのが現実の姿ではないかと私は思うのであります。そうした場合に、担保がなければ貸さないとか、さらに、そういう能力がなければ貸さないなどということになりますと、この人たちのいわゆる生活というものが不安になることはもちろんのことでありますが、この点に対する官房長の明快なお答えを私は聞きたいのです。
  84. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。  お話の点、新潟、山形等の場合にも実は非常な心配がございました。単位の農業協同組合等ではとても融資の扱いができないというようなケースもございまして、県連等からの直貸しをするという道を一つ開きまして、物的担保の点につきましては、必ずしも物的担保を要求しない体制をとる、個人の保証というようなことで融資が円滑にいくようにしていこうというようなことを講じたわけでございます。当初非常に借りにくいというお話もございましたが、最近の実情では相当住宅資金も疎通いたしております。島根についても同様の道を開きまして、資金の疎通化をはかってまいりたい、かように考えております。
  85. 卜部政巳

    ○卜部委員 ただいまの官房長のまことにあたたかいおことばで、感謝をいたしますが、ただ、その中で、もし借りるにしても、率直に申し上げまして、すぐさま返済をしていくという能力は、私はないと思います。率直に申し上げるならば、かりに原形復旧という形だけをとらえてみましても、私は、おそらく三年間ぐらいは、もとの姿になるということは農家の場合には出てこない、こういうようなことを考えた場合に、その家屋の返済についてそういう能力がはたしてあるのかどうなのか、こういうことを考えたときに、政府の補助もさることながら、暫定的に支払いの期間を、経過措置としての三年間とか五カ年間とか、そういうようなもので対処するとかいう、そういう措置はできないものかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  86. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えします。  農家が借り入れております資金はいろいろございますが、その中でも大きな部面を占めます農林漁業金融公庫からの融資あるいは近代化資金等の借り入れ等につきまして、個々農家の負債の実態をよく調べまして、お気の毒なケースにつきましては償還期限を先に延ばす等の措置を講ずることにいたしたいと思います。これは一般的には公庫の業務方法書あるいは近代化資金制度の仕組みの中ですでに既定のものでございますが、その線に沿いまして個々の特にお困りの農家については特段の配慮をいたしていくということで対処していきたいと思います。
  87. 卜部政巳

    ○卜部委員 たいへんあたたかいおことばがありましたのですが、ではその次にお伺いをいたしたいものが一つあります。それは、官房長も、ちょっとこれはことばのあやであろうかと思いますが、大体七分五厘だとかいうようなことばをお使いになったと思いますが、この天災融資法の第二条四項三号によれば六分五厘、特別の場合においては三分五厘となっておる、貸し付け利率の問題もあるわけでありますが、これは住宅とは関係ないのですが、ともかくこの農家住宅等に対しましても、現在までに出されております住宅金融公庫からの融資の道が開かれておったにいたしましても、そのいわゆる条件と申しますのは、三十坪以内の住宅、しかも融資の対象は十八坪以内だということでありまして、官房長がおっしゃられましたように、厩舎だとか、そういう付帯の建築についてはこれが認められてないという実情もございます。そういう点もあわせてひとつ十分に考慮していただきたいことは、第一点は、官房長が言われた七分五厘というような高率では、とうてい利子を払っていかれないんじゃないか。私は、ドイツが示しておりますグリーン・プランのように、やはり三分五厘、三十年間償還というような、そうしたあたたかい措置が講じられてしかるべきではないかと考えられますが、その点についてはいかがなものでしょうか。
  88. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げました七分五厘といいますのは、実は系統金融の原資をもちまして、その組織の中で自主的に行なっておる金融の金利を申し上げたわけでございます。したがって、通常の場合一割前後ということになるのですが、系統自身の災害に対する思いやりといいますか、そういう措置としまして特に七分五厘という金利の体系が新しくできたということでございます。そのほか、一般的には、御指摘のように、天災融資法の場合に三分五厘資金あるいは六分五厘——公庫の農林大臣の指定施設というふうな場合には六分五厘というふうに金利はなっております。それで、三分五厘の分をふやすというふうな御意向のお話でもございましたけれども、これにつきましては、特別被害地域指定がございまして特別被害農業者ということになれば、これは三分五厘になるわけでございます。
  89. 細田吉藏

    細田委員 ちょっと関連して。先ほどから官房長のお答えがいろいろあったわけですが、これは災害だけとは言いませんが、一体この農村住宅についての基本的な対策が立っておらないんじゃないかというふうに私ども考える。住宅金融公庫の貸し付けというものは、実績は伺わないとわかりませんが、農家は非常に少ないと思う。いま卜部さんからも話が出ておりますが、単に災害の問題だけではございませんが、特に災害の場合はそうです。先ほどお話がありましたように、農林漁業金融公庫で若干の付帯的ないろいろのものについての金融制度の道が開かれておるようですが、こういうものをむしろ大幅に拡張して、一般の勤労者の住宅とは違うわけですから、制度として前向きに確立されるということが必要じゃなかろうか。これは農林漁業金融公庫がいいかどうかという問題はあろうかと思いますけれども、系統金融でどうこうするというような、単協あたりの貧弱なところで思いやりでどうこうするというような程度でなくて、抜本的に農家住宅の問題について金融の道を大きく開くというような点についてお考えがあるかどうか、ぜひそうすべきだと私ども思うわけなんですが、そういう点、関連してここで伺っておきたいと思います。
  90. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点、実は伊勢湾台風のころの経験から、住宅地を含めまして、田畑全体が荒廃に帰した、その場合に、いままで散在しておりました農家を適当なところに集結する、都会で見られますげたばきアパートといいますか、あのようなことを頭に入れまして、階下は農舎、畜舎で、二階を住居にする、そのほか、その立地等につきましても、新しい農業をやりますための圃場の条件を整えるために、住宅の立地をいままでとは変えたところに移動するというふうなことも考えられまして、二、三の市町村でそれを実行した例もございます。その際は、国の資金ということでなしに、モデル的な意味も含めて農林中金の資金をあっせんしたのでございます。ただいまの御指摘の点は、そういうことの経験の上にできるだけ、構造改善といいますか、そういうようなことに相応するような住宅を考えていったらどうかというような御指摘でもあろうかと思います。十分検討したいのでございますが、三十九年度の予算では、実は農家住宅の構造を一部改善するというような意味で無利子の融資ワクを開く、これは農業改良資金で若干その道を開いたわけであります。それだけではいまのお話に十分相応しておるとは考えかねますけれども、将来の問題としまして十分配慮してまいりたい、かように思います。ただ、むずかしい点は、農家住宅といいましても、農家にはいろいろな種類がございますし、非農家との限界をどの辺に置くのだという問題になりますと、非常な迷路に入りかねないのでございます。そういう点をどの辺かで交通整理するということも必要かと思いますが、あわせて検討いたしたいと思います。
  91. 卜部政巳

    ○卜部委員 ただいまの農家住宅の問題ですが、私は可及的すみやかな措置を要すると思うのは、現在の町村の中でもとられておりますことは簡易住宅ですね、簡易住宅に収容しようとするところの動きがありますが、そういうような中で、現実に農家方々は子だくさんでもあるし、さらに付帯的なそういう建築などがなければとうていやっていかれないという状態等も出てきておりますので、この点については、適切な措置と同時に、その措置についての具体的な問題をひとつ下部段階のほうに早急に流してこれを実行に移すということのすみやかなことを私はこいねがってやみません。  そこで、次にまいりますが、現実に先ほど申し上げた貸し出しの問題であります。天災融資法の二条の第四項三号によれば六分五厘ということで、特別な貸し付け金につきましては三分五厘ということが出されていると思いますが、しかし、この点について、被害農業方々に対しましては、経営資金の融資のほうを、もう少し三分五厘なら三分五厘という形の中でぴしっと法律化してきめて——法律化ということがちょっとむずかしいとするならば、当面この問題については三分五厘で全部右へならえという措置をしていただきたいと思いますが、その点はいかがなものでしょうか。
  92. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点、私どもはこういうふうに理解するのです。六分五厘の普通の被害農業者あるいは普通の農業被害地域と、特別被害農業者あるいは特別被害農業地域というものの区別をなくして、全部三分五厘ということで一本でやったらどうかというような御指摘のように思うのですけれども、これはそれぞれの地域被害の総体的な大きさに着目しまして、比較的軽微な場合は六分五厘、被害の大きい場合には三分五厘というふうな制度上の仕組みに実はなっております。そういう意味で、現段階ですべてを三分五厘にするということはきわめて困難でございます。ただ、被害を受けました市町村等におきまして、それぞれ実態を調べてもらうわけですが、そういう場合に、法律にありますような五〇%あるいは三〇%というふうなとりきめがございますけれども、そこの認定につきましては、やはり市町村の財政力その他も見合わせまして市町村自身でおきめになることでございます。若干の弾力性は許容されていいのじゃないか、かように思っております。
  93. 卜部政巳

    ○卜部委員 先ほどの質問、若干舌足らずの面があったと思いますが、官房長が指摘をされましたように、確かに六分五厘と三分五厘という二本建てになっております。しかし、率直に言うならば、これがそのつどの政令で定められるという状態になっておるというのが現状だと思います。そこで、そろいう点につきましては、三分五厘ですべて——すべてということはちょっと語弊がありますが、知事に委譲をしてもらって、その権限の中で三分五厘というそれを打ち出せるような措置をすみやかに行なわせるためにも必要じゃないか、私はこういうふうに考えるわけですが、その点についてはいかがなものでしょうか。
  94. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。  なお十分検討さしていただきたいのですが、府県知事に権限を委譲するというのは、これは非常に困難だと思います。現段階でできますことは、市町村長の認定の中で、それぞれ市町村長は被害の実情もよくわかっておることでございますし、十分その辺配慮して市町村長から府県知事のほうに報告をする、それが農林省に参りまして、その市町村指定しまして、その地域が特別被害農業地域というふうになるという現行の制度で運用上相当弾力的に運用できるのではないか、かように思います。
  95. 卜部政巳

    ○卜部委員 現実に、先ほどの午前中の質問の中にも出てきましたが、今日までもうすでに二週間を経過しようとしております。その中で、率直に申し上げるならば、そういう激甚災害地の指定がまだうやむやにされておる等からして、県なら県の措置が、すみやかに融資をする場合の措置として、こういうものはこうだというようなかっこうで住民に安心を与えるということが実際問題としてはできないわけです。そういうことじゃなくて、こういう場合にはこうなんですよというかっこうで打ち出して、住民に次の希望を持たせていくという形にお出しにならなければいけないと思います。いま申されております官房長のお話ですと、まずそういう形が農林省まで来て、農林省のほうからそれを許可して、今度はそれを査定——査定というとおかしいのですが、金融面の措置をする、そういうかっこうではなくて、知事がすぱっすぱっと金融の措置ができるように、こういうことにすべきじゃないか、こういうふうに考えますが、いかがなものでしょうか。
  96. 中西一郎

    ○中西説明員 だんだんのお話でございますが、そこで考えますことは、県が利子補給をし、あるいは損失補償の関係で、市町村とともにこの制度の支柱をなしておるわけですが、そういう体系の中で国が補助をしますのは、利子補給あるいは損失補償額の点でございます。県のほうで国の補助と別に県単独で三分五厘をどうしてもふやしたいというようなことがあれば、その道は実はふさいでおるわけではございません。ただ、その点については、そう大きな金額ではないと思いますけれども、国からの財政の援助はない、県独自の財源でそれをやらざるを得ない、そういう仕組みに実は相なっております。
  97. 卜部政巳

    ○卜部委員 この問題のみ質問をすると時間もございませんから、次へ参りますが、要望としてひとつこのことも十分考慮していただきたい、このことをお願いいたします。  そこで、先ほどから農村の問題をとらえておりますが、農村の災害復旧の問題につきましては、私、率直に申し上げて、生活の基盤を整備して総合的に対策を立てなければならないのではないか、このように考えます。そこで、農業の基盤の確立をまずはからなくてはならないだろう、その面につきましては、大体私が歩いてみましたところで、田畑が全然埋没してしまって、田畑の用をなさない、こういうようなところも出てきておりますが、こういうようなところにつきましては、抜本的に山を削って草地にし、さらにその中で酪農等を経営していくような姿に変えていかなければならぬところも出てくると思いますが、もしそういうところを実地調査して、そういう措置を講じなければならぬとするところがあった場合には、そのような措置をすみやかに、国のいわゆる補助事業として、また補助金を出して基盤をつくり、さらにまた、その中からそういうような措置をとることができるかどうかをひとつお伺いしたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  98. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。  お話のような前向きの形での施策を講ずるということは、その地域に即しまして十分可能性のあることだと思います。いままでの手法で申しますと、構造改善事業あるいは草地造成事業等もございます。いずれにいたしましても、相当調査をした上でないと事業にかかれないわけでございますけれども、地元の設計あるいは熱意等が伴いますれば、先ほどお話のように、埋めたところは水路程度を開く、それに引き続いた山地のほうは、ブルドーザーか何かで削っていく、むしろいままでよりも耕作面積がふえるというようなケースもなくはないと思います。十分県当局と連絡したいと思います。
  99. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。では次へ進んでまいります。  そこで、いま私のほうから、山を削って云々というふうなことも出しましたが、今度はいまの山という問題に関連いたしまして、緊急治山の最大基準八十万、これがございますが、これを五十万に引き下げて、局地的な山壊の分が十分に復旧できるような措置を願いたい。私がこう思うのは、少なくとも三十六年の災害のときに、山くずれ、亀裂が入る、そういうふうな形の中で、当然にこの問題について措置をしておかなくてはならなかった。ところが、現実には、県の場合が三十万、国の場合が八十万、さらにその中で町村負担三分の一、本人負担三分の一、こういうことになるだけに、町村もその負担の能力がない、同時に、町村の負担分までも自分が負担すればやってやろうなどという、こういう問題が出てきたために、とてもじゃないが、零細農家では、三分の二を負担してその山を直す——直すと言ったら語弊がありますけれども、ともかく治山対策を立てるということができなかった、こういう面で今回の被害を大きくしたということは私は指摘できると思います。そういう面について、まずこの率を下げ、五十万というかっこうに引き下げていくという配慮があるかどうか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  100. 森田進

    ○森田説明員 お答えいたします。  緊急治山事業の一カ所の事業の限度額の八十万円を五十万円に下げることができるかどうかという御質問のようでございますが、実はこの一カ所八十万円という基準は、三十五年以来この基準で実施してまいっておる次第でございますが、その後、賃金、物価の高騰等を考えますと、最近ではこの八十万でできます工事はきわめて小規模なものでございます。ただ、先般からお話がございますように、今回の集中豪雨によります災害特徴的な事象といたしまして、小規模な崩壊地が多いわけでございますが、これに対処いたしまして、林野庁といたしまして、小規模な荒廃地でございましても、同一の保全対象に対しまして互いに関連いたしまして緊急復旧の事業を実施する必要のあるものに対しましては、一つの工事として取り扱うというような配慮で対処してまいりたいと存じます。なお県のほうとも十分連絡をとりまして、できるだけ御趣旨に沿った対策をとってまいるつもりでおります。
  101. 卜部政巳

    ○卜部委員 次に、ひとつ角度を変えまして質問を申し上げたいと思いますが、これは農林関係じゃなくてちょっと恐縮ですが、細田委員のほうからも質問をされておりました、現在危険にさらされておるそうしたいまの山の問題がございます。この点に対する答弁が私実はあまりぴんとこなかったわけですけれども、もう一度ここで建設省のほうからでもはっきりしていただきたいのですが、どういう措置をすみやかに行なわんとしておるのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  102. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  河川に関しまして、流水に影響のある部分につきましては、砂防の必要のある部分は砂防工事をいたしますし、現在こわれております部分につきましては、災害にとれる部分は災害として処置をいたしたい、また、災害に関連して改良でございますが、そういうところがありましたら、そういうことも考えていきたい、こういうふうに考えております。
  103. 卜部政巳

    ○卜部委員 ちょっといまわからなかったのですが、私の質問しておるのは、災害を受けて——災害を受けてというよりも、現実に山くずれがあったというところは当然処置しなくてはなりませんが、現実に山くずれの危険を感ずるような、現実には災害を受けていないけれども、先ほど質問の中にもありましたように、将来、雷鳴とともに雨が降ってくればとにかく逃げ出さなければならないというような危険な状態下にあるところについては、どういうふうな措置をしようとするのか、こういうことです。
  104. 森田進

    ○森田説明員 荒廃いたしました山地につきましては、治山事業といたしましてその復旧をやるわけでございますが、荒廃を未然に防止いたしますためには、一つには保安林の制度がございまして、保安林に指定いたしまして山の取り扱いの規制をいたしておるわけでございます。さらに積極的な方法といたしまして、崩壊の危険のあるような個所に対しましては、予防的な治山事業を事前に始めることにいたしております。なお、この予防治山事業の規模の拡大につきましては、今後ともこの拡大につとめてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  105. 卜部政巳

    ○卜部委員 私が質問しておりますのは、すでに一雨降ればあすがあぶないというときにどうするかということなんです。でありますから、いま言うように植林をするとかなんとかいう長期展望の問題もさることながら、あすの日にでも現実に処置しなければならないというところについては、どういう処置をしようとするのかということを質問しておるわけです。
  106. 森田進

    ○森田説明員 新しく崩壊地が発生いたしまして生産されました土砂が次の洪水によって流出するおそれがある、あるいはまた崩壊地がさらに拡大するおそれがあるという個所に対しましては、緊急治山事業ということで、緊急なものにつきましては早急に手当をいたすことになっております。
  107. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  建設省でございますが、農林省とよく歩調をそろえまして、そしてダブらないようにしたいと思います。私ども建設省のほうといたしましては、砂防指定地以外のところであっても、一応災害にはとれないけれども、次期出水時において下流の人家あるいは部落、農耕地、公共土木施設等に直接土砂の被害を与えるおそれのある個所に対しましては、災害防止のために緊急砂防事業といたしまして、土砂扞止堰堤を設立するということも行なっております。
  108. 卜部政巳

    ○卜部委員 では私が国に帰って、その問題についてはすみやかに措置をされるということで県民の皆さん方に確約をしていいということになるわけですね。すぐやってもらえるわけですね。あすの日が困るのですから。
  109. 森田進

    ○森田説明員 緊急を要する個所につきましては、早急に調査をして工事を実施するように県の関係当局のほうにも指示してございますし、なお県の全般的な調査が終わりますと、それに基づきまして私どものほうでも十分それを検討して、さらに工事を進めるという段取りにいたしております。
  110. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。  それで、私申し上げたいことが一点あります。現実に調査は終わっておるのですが、現段階では国の補助がなければどうしようもないという状態が、私は率直に言って、県の置かれておる立場だと思うのです。その面については県が独自にそういう判断に基づいて、今日までもう十余日になりますが、措置ができない現状なので、私はあすの日と言っておるわけですね。ですから、その点は、県に帰って、措置をしなさい、それは国からすぐに出ますということを知事に言ってもよろしゅうございますね。そういう危険なところはどんどん措置をしてよろしゅうございますか。
  111. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  建設省のほうにつきましては、二日に緊急査定に出ることになっておりますので、その打ち合わせを終わって実施をしていただきたいと考えております。
  112. 卜部政巳

    ○卜部委員 その点については私は次のように確認をして次に進みますが、ともかく、査定云々ということはあるにいたしましても、従来から町村の段階でことに訴えられておることは、査定がきびしいとか、その査定が行なわれない限りは着工してはいけないのだとか、いろいろこういう問題がありますが、ひとつその査定をすみやかに行なっていただいてそういう不安を除去していただくことをまずお願いしておきたいと思います。  そこで、角度を変えて質問をいたしたいのですが、そういう危険にさらされておる民家を移動する場合に、これもやはり災害としての措置を行なうかどうか、この点を質問をいたしたいと思います。
  113. 尚明

    ○尚説明員 そういう危険にさらされた家屋を移転する方針が定まりました場合には、純粋に災害として扱うわけではございませんけれども災害に準じまして、抽せんを経ない特別貸し付けをいたすことにいたしております。なお、その場合、市町村長の証明が要るということにいたしております。
  114. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまちょっと変なことをお聞きしたようでありますが、お答えを私はこういうふうに理解したのですが、よろしゅうございましょうか。抽せんによらないところのいわゆる住宅貸し付けを行なうのであって、災害ではない、こういう理解で進めていきたい、こういうふうに御答弁になったと思いますが、そのとおり理解してよろしゅうございますか。
  115. 尚明

    ○尚説明員 さようでございます。現にその住宅が痛んでおりませんので、災害としては扱いませんで、特別貸し付けとして扱いたいと考えております。
  116. 卜部政巳

    ○卜部委員 それは私はあまりに実情を知らな過ぎると思うのです。現実に、先ほどから質問をしておりますように、あすの日が危険だということ、しかしながらそれに対して一つもそういう救助の手を差し伸べてくれないという、こういう状態があるだけに、実際問題として民家をどんどんと解いておる現状があるわけですね。そういうふうなかっこうになったときに、一雨降れば落ちるんですよ。いま実際問題としては、きょうは健全な姿でもって君臨しておるかもしれませんが、あすの日全壊という姿で相まみえるかということをだれが保証できるか、こういう状態にあるからこそ、民家を解いていっておるじゃありませんか。しかも現実の中では、いま解くということがたいへんな労賃ですよ。いまはさらに宅地を求めて解いていくわけなんですが、それを災害として認めないということではたしていいのでしょうか、どうなのでしょうか。この点、私はもう少し愛情のある措置を講じていただきたい、こういうふうに考えます。どうですか。
  117. 尚明

    ○尚説明員 ただいま申し上げましたように、形の上では災害にいたしにくいわけでございますが、実際に借り受けられます金額等につきまして、災害と同等になるように、これは農家の場合は貸し付け金をある程度ふやすことができますので、そういうことで実態として災害で貸し付けられるのと同等になるように運用をいたしたいというふうに考えております。
  118. 卜部政巳

    ○卜部委員 だから、実行面においては災害と同じような形で貸し付けたい、こういうことでよろしゅうございますね。——わかりました。  では、次に進んでまいりたいと思います。  先ほど予約概算金の問題について申し上げましたが、この被害農家に対するところの米麦の売り渡しについてでありますけれども、私は、売り渡しの価格は政府の買い入れの価格といたして、少なくとも代金の二、三年の延長を認めてもいいんじゃなかろうか、こういうふうに考えますが、その点はいかがなものでしょうか。
  119. 筒井敬一

    ○筒井説明員 災害農家に対しまして、米がなくなってまいりましたのに対して、それに対する米の売却についての措置でありますが、従来、これは一般の問題もございまして、災害が発生いたしますと、たき出しとかその他の食糧が要ります、その場合におきまして、知事から要請がございますれば、政府として直ちに食糧を売却する、こういう措置を講じておりまして、その場合におきまして、知事のほうでも、災害のことでございますから、予算措置その他が急にできておらない場合もございますので、直ちに代金を払ってもらうというのではなしに、ある一定期間の延納を認めておりまして、その間無利子で、かつ担保なしというような形で知事に売却いたしておるのでございます。  それからいまお話しの農家の場合でございますが、この農家につきましても、従来、知事を通じまして知事に売却いたしまして、それに対しまして政府はある程度の延納を認めていく、こういうようなやり方をとっておりますわけでありますから、今回も、非常に災害のひどい農家に対しまして、保有米がたくなった、こういう農家に対しましてはさような措置を考えていく必要がある、かように思っておる次第でございます。
  120. 卜部政巳

    ○卜部委員 私の質問は、具体的に二、三年延長してはどうか、こういう質問であります。ということは、先ほど申し上げましたように、三年間くらいは、とてもじゃありませんが、もとの姿に復旧することにはとうていならないと、率直に申し上げて、私は思うのです。そういうときに、その代金を払えなどと言われても、私はとうてい払える能力はないと思うのです。そういう点についてどういうふうにお考えかと言っておるわけですが、そういう点の措置がとられるのかどうなのか、こういうことであります。
  121. 筒井敬一

    ○筒井説明員 災害のひどい農家におきまして、翌年だけではなかなか回復しない、こういう農家もあろうかと思いますけれども、従来見ておりますと、その翌年までには大体農地の復旧をやるところが大部分でございまして、そういう関係がございまして、翌年収穫は、災害の時期にもよりますけれども、大体確保できるのではないだろうか、こういうように考えておりまして、従来から、過去におきまして最大に延ばしたものも一年ということでございますので、二年、三年というような長期に延ばす必要があるかどうか、こういうことについては、過去の経験からいたしますと、その必要はないのじゃないか、かように考えております。
  122. 卜部政巳

    ○卜部委員 その問題につきましてもまた後刻質問させていただきますが、質問の時間が切れたという督促でございますので、次に進んでまいりたいと思います。  そこで、関連をするのですが、一雨降りますと、率直に申し上げますと、いなかの田畑はみな冠水をいたします。それはどういう結果かと申し上げますと、小さな小川が流れておりますが、その小川がはんらんをする結果だと思います。先ほど来からも中小河川の改修の問題、こういうことが質問され、論議をされておるところでございますけれども、そうした小川のこういう状態をどういうふうに処置されようとしておるのか、これは建設省のほうからでもひとつお答えを願いたいと思います。
  123. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの小川でございますが、その川が、いままでの河川法、現在行なっております法律でいきますと、準用河川であるのか——適用河川ではないと思いますが、準用河川であるのか、あるいはまた普通河川であるのか、それによって異なってくるのではないかと思うわけでございます。その河川の影響が非常に大きいと思われる場合には、河川法を準用いたしまして、県知事がそれを準用河川に認定をするわけでございますが、そういうふうにいたしますと、準用河川として県知事が河川改修をやる、そうでない場合で、普通河川であるという場合には、その小川の所在する市町村長がこの改修を必要と思えばやる、こういうことになっております。
  124. 卜部政巳

    ○卜部委員 実際問題として、市町村が行なうにしても、そういう予算的な能力がない、こういう状態だと思うのです。今日の加茂町の被害などといわれておりますが、赤川、この赤川のはんらんといわれておりますが、結果的にはそれを側面から堤防を破壊し去ったところの幡屋川のはんらんがあると私は思うのです。それと付随をして、いま言う中小河川があふれていく、その中に幡屋川に注いでいく、こういう一連の関連がありまして、いわゆる中小河川の問題の根本策というものは、もう少し鋭くメスを入れていかなければならない問題でありますので、この点については後刻に譲ることといたしまして、次に、こういう状態があった場合には一体どうするのかという点、さらにその責任はどうなのかという点を指摘をいたしたいと思います。  それは、木次町の山田川は指定のいわゆる砂防河川であるわけでありますが、この点につきまして、三十六年の災害につきまして全然復旧がなされていないなどという、こういう状態があっていいのかどうなのか、この点をひとつ質問をいたしたいと思います。
  125. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話は、木次町の山田川の災害復旧はとってあるけれども、それがまだなされていないのではないか、こういう御質問ではないかと思うのであります。具体的にその災害がどういう災害であったかということを調べませんと、その内容はわかりませんが、この山田川というのがおそらく準用河川で……。
  126. 卜部政巳

    ○卜部委員 指定河川です。
  127. 上田稔

    ○上田説明員 砂防指定ですか。——それでは、県災になっておりますのでしょうか、市町村災になっておりますか、ちょっとわかりませんが、そういうことでございまして、もしできてない場合といいますと、災害が三十六災でありますから、六、七、八、九と、ちょうど第四年目に当たっておると思うわけでございます。災害はいま一応四年を限度として、ことし予算がついておったのではなかろうかと思います。そういうことで、まだちょっと時期が早かったためにようやっておらなかったのではなかろうか、こういうふうに思われますが、もう少し具体的に調べましてまたお答えを申し上げたいと思います。
  128. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。  では、たくさんありますので、ちょっと簡単に質問させていただきます。  次は、医療関係でひとつ質問をいたしたいと思います。医療関係で、今回の災害によります負傷者に対しましては、入院なんかしておりましても、八月一ぱいで医療費を打ち切る、こういうことであるそうでありますが、これは延長する意見があるかどうかをひとつお伺いいたしたいと思います。
  129. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 災害救助法によります応急医療につきましては、これは期限がございますので、一応災害救助法による医療は打ち切るわけでございます。これは全額公費負担でございますが、その期間を過ぎたものに対しましては、それぞれ社会保険なりその他生活保護、そういう本来の医療扶助なり医療保障に切りかえていく、そういう考えでございます。
  130. 卜部政巳

    ○卜部委員 私の質問は、それを延長することをするかしないか、こういうことでございます。
  131. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 延長はいたしません。
  132. 卜部政巳

    ○卜部委員 その根拠について……。
  133. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 災害救助法による医療はあくまで応急救助の医療でございますので、本来の医療が間に合わない、あるいはそういう手続をするのが適当でないという、いわば臨機応変の措置をとるための医療でございます。したがいまして、医療に限らず、たき出しその他につきましても、家ができ、それぞれ家庭に帰った場合には、本来の生活に復帰させる、それと同じ意味におきまして、医療につきましても、そういう災害時のいわば混乱のときでございますので、一般の医療の手続によって医療を受けるということは適当でない、そういうものに対して、とにかく公的にすべてそのときの必要充足によって医療をするということでございます。ところが、災害が十九日、それ以降としましても、相当期間がたって、いわば医療の体制としては正常に復する状態になるわけでございますから、それ以上の医療につきましては、これは正常の医療の体系によってそれぞれ医療をしていく、それが本来のたてまえである、そういう考え方から、応急救助の医療をいつまでも延長するという考えはないわけでございます。
  134. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。  それでは、今度は文部省のほうにお伺いをいたしたいと思いますが、今回の災害学校が倒壊しておる、半壊でありながらも倒壊と同じような状態がもたらされておるわけでありますが、これに対する査定がいつ行なわれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  135. 岩田俊一

    ○岩田説明員 学校施設復旧につきましては、大蔵のほうと立会で調査を進める手続になっております。これにつきましては、調査を進めます前に、地元のほうの学校復旧計画、つまり建築計画が立っておりませんと、復旧費の見積もりをいたすことができません。そこで、その復旧計画をこの十五日までに出すようにこれは指示してありまして、それが出てき次第、取り急いで立ち会い調査をいたして、復旧に早急にかかりたい、さように考えております。
  136. 卜部政巳

    ○卜部委員 これはちょっとことばがきつ過ぎるかもしれませんが、文部省の措置なんでありますが、学校のこうした関係におきましては、大蔵省との立ち会い云々ということがあるのかどうか、これは私はわかりませんけれども、ともかくこの査定が一般よりはぐんとおくれてくる、しかもおくれたあとに、この査定をされた内容については、全く非常識な建築費の単価を出してくるなどということが出てきておると私は思いますが、少なくとも今日の災害の中で、家はつぶされた、さらに学校にもそういうかっこうでもって行かれないなどという暗い面ばかりを出させるのではなくて、子供だけでもひとつ明るく教室の中で勉強ができるような措置を早急に講じていただきたい、私はこのように思います。この点についてひとつ明快な、かつ、子供の教育のことでございますので、この点は早急に行なうという確約を私は得たいのでありますが、いかがなものでしょう。
  137. 岩田俊一

    ○岩田説明員 施設復旧につきましては、学校の必要基準の範囲内で、被災面積を限度として復旧することになっておりまするが、なお被害の実情、学校状況等を見まして、できるだけ実情に沿うようにいたしたい、さように考えております。  なお、単価についてお話がありましたが、従来の建築単価について、低過ぎるじゃないかというようなこと、いろいろ非難を承っておりまするが、これにつきましては、従来、私どもの計画に比べまして申請が非常に多過ぎる、これは一般の学校建築の場合でありますが、そういったような関係もありまして単価が引き下げられているという結果を生んでおりますが、災害につきましては、そういうことのないように、個々一つ一つ学校の実情に照らして復旧に遺憾のないようにいたしたい、さように思っております。  なお、先ほどの御質問もございましたが、復旧をできるだけ急ぐようにいたしたい、さように考えております。
  138. 卜部政巳

    ○卜部委員 きわめて制限された時間の中でありましただけに、十分な質問が行なわれなかったことを残念に思いますが、あとの機会でこの質問を続行させていただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  139. 細田吉藏

    細田委員 ちょっと関連して一、二点だけ、要望を兼ねて申し上げておきます。  けさほど私、実は時間がなくて申し上げなかったのですが、ただいま卜部委員から学校災害復旧についての問題がございまして、けさほど住宅について申し上げたと同じような、今度はこわれなかったが、もうすぐこわれそうだ、こういうのが、私ども見てまいりました中にもかなりございます。これらの点につきましては、今回は、たまたま日曜日で、そして夏休みに続くというようなことでございましたので、実害がなかったわけですが、学校が開校中に校舎がやられるということになると非常に大きな問題になるわけです。けさほどの団長の報告にもございましたのでお聞きいただいておると思いますが、こういう点について、文部省のほうとされては、十分予防措置について、現地を御調査の上で善処していただきたい。これは御答弁は要りません。当然のことでございますから、おやりいただけると思います。あわせてお願いをしておきたいと思います。  それからもう一点、農林省関係で、先ほど来予約概算金の問題がございまして、これは、卜部先生は、もう当然やってもらえるものと思っておっしゃらなかったと思うのですが、六十キロ当たり千円増額方、これについては、もう実は金がなくて困っておるという実情でございますので、ぜひ御配慮をしていただきたい。当然配慮されるべきであるというふうに考えておりますので、そのように御努力いただけるなら別に答弁は要りませんが、御努力をいただきたい。これは大蔵省のほうと農林省のほう、両方へ特にお願いを申し、要望申し上げておく次第でございます。  さらに、先ほどの質問にもございましたが、地方では、この概算金をもらった、しかし、損害の程度にもよりましょうけれども、全滅したところは、概算金をもらったが返せない、こういうところについては一体どうしたらよろしいのだということで、だいぶ興奮した農民方々からの声もございます。これは二〇%、三〇%やられておるところについては問題はまた別でしょうが、七〇%も八〇%も、あるいは全滅しておるというようなところは現実にそういう問題がございます。これは返さないということができるかどうか、私どもよくわかりませんが、しかし現実には非常に困る、何らかこれにかわるべき措置を講じていただかなければ返せない、こういう問題になるわけでございますが、これらについてはさらに別な機会にこまかく検討いたしたいと思いますが、先ほど話が出ておりましたので、御答弁は、どうせ三日にまたこの会議があるそうでございますから、そのときいただけばけっこうでございます。特に要望を申し上げて、こういったようなものの対策についてお考えをひとつまとめておいてもらいたい、さように思う次第でございます。答弁はよろしゅうございます。
  140. 中山榮一

    中山委員長 華山親義君。
  141. 華山親義

    ○華山委員 新潟の地震の災害のことにつきまして、いままでいろいろの御質問もあり、また協議会も重ねまして大体のことがわかったのでございますが、それにつきまして、その際に保留になった問題であるとか、あるいはよく研究いたしますというふうな問題もあったわけでございまして、その後いろいろ御研究のことでございますので、煮詰まった部分もあろうかと存じますので、その点等につきまして承りたいと思います。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕  その前にちょっとお伺いいたしますが、私、生活保護世帯ボーダーラインの世帯、そういう世帯がこの災害によってボーダーラインから保護世帯に陥るようなことのないように、いろいろの点について手厚い保護をしていただきたいということを申し述べて、二、三のことにつきましても具体的に御要望申し上げたのでございますが、その後、官庁速報等に出ておるのでございますけれども、厚生省から関係府県に通牒をお出しになったということを聞いておりますが、それが事実でございますかどうか。事実でございましたならば、どういう通牒をお出しになったのか。通牒が長ければ、もう時間もございませんから、ほんとの趣旨だけでよろしゅうございますが、承りたいと思います。
  142. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 通牒といたしましては、世帯更生資金の貸し付けに関する特例についての通牒を出しております。これは関係の府県に出したわけでございますが、従来のやり方に対して、今回の地震に対する特例といたしまして、更生資金なり身体障害者更生資金、住宅資金及び災害援護資金の貸し付け据え置きの期間については、これは普通六カ月ないし一年でございますものを、二年に据え置く、そういうふうな特例を出しております。そういうことでございまして、その他は一般的な災害救助の単価の増額、これは家屋補修費の単価の増額、それから応急仮設住宅の単価の増額、そういうふうなものを通牒として出しております。
  143. 華山親義

    ○華山委員 いろいろお聞きいたしたいことはありますが、質問中心を、貧弱な市町村財政、県の財政、そういう点に影響を及ぼすと心配される点について承りたいと思います。  上水道につきましてはどういうふうな補助ということをお考えになっておりますか、結論がお出になりましたかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  144. 舘林宣夫

    舘林(宣)説明員 新潟地震におきます上水道の災害につきましては、従来、災害におけるこれらの施設に関する補助率が二分の一でございましたものを、特に大幅に引き上げたいということで、まだ完全に最終的な決定には立ち至っておりませんが、少なくとも四分の三以上の補助率にいたしたいということで考えております。
  145. 華山親義

    ○華山委員 その他、最近におきまして、し尿、じんかい等の末端処理が非常に規模が大きくなっておりますが、この際、そういうことにつきましてあまり重大な被害がなかったのでございますか、ありとすれば、補助等につきましてお考えになっておりますかどうか、承りたいと思います。
  146. 舘林宣夫

    舘林(宣)説明員 じんかい焼却場は、今回はきわめて軽微な、数百万円程度被害でございましたが、下水道の終末処理場並びにし尿処理場は相当大幅な被害がございましたので、これも水道に準ずる高率の補助をいたしたい。従来は、一番災害のひどいときで三分の二の補助をいたしておりましたが、今回は四分の三以上の補助率に引き上げたい、かように思っております。
  147. 華山親義

    ○華山委員 それで、こういうふうなものにつきまして、これは激甚災害の項目の中に入っておりません。厚生省といたしましては、こういうものは激甚災害の項目の中に入れるべきものとお考えになっておりますか、あるいはこういうふうなものは入れなくてもいいのだ、その際その際に考えていったほうがいいのだ、こういうふうにお考えになっておりますか、その点承りたいと思います。
  148. 舘林宣夫

    舘林(宣)説明員 厚生省といたしましては、従来からこれらの施設激甚災に入れないで独特の補助率で処理いたしておったわけであります。今回につきましても、これを激甚災の法律適用に入れるかどうかということは十分検討いたしたわけでございますが、かりにこれを法律改正いたしまして入れるといたしましても、かなり先に延びるということで、それよりは、当面の補助率を早く決定して災害復旧にかかったほうがよろしいということで、今回の措置は、高率の補助をすることによって処置いたしたい、法律に入れるかどうかは今後の検討に待ちたい、かように考えておる次第でございます。
  149. 華山親義

    ○華山委員 これらの被害は、非常に高率の補助になりましても、市町村あるいは県の負担になります。その負担部分が激甚災害の項目の中に入るか入らないかということによりまして、激甚災害の適用の率が違ってくる、ほかのものまで影響して違ってくる、あるいはこのことのために激甚災害地区指定されないかもしれない、現に私の知っておるある市のごときは、水道災害が、いまおっしゃったような率であっても、これは自分の負担になりますが、それが激甚災害の項目に入れば、全体としてその地区が激甚地区になる、入らなければ激甚地区にならないために、他まで激甚地区の高い率を受けられない、こういう事情もありますし、今後ますます、市町村といたしましては、これらの問題が地方自治体の大きい中心的な仕事になると存じますので、学校等と同じように激甚地区指定する際の項目の中に入れていただきたいと私は思うのでございますが、この点につきまして防災本部の御意見を承りたい。
  150. 北川博正

    ○北川説明員 お答えいたします。  華山先生のおっしゃるのは、おそらく二章グループとして入れてはどうかというお話のようにお伺いいたしますが、御承知のように、二章グループは、学校とか公共土木施設あるいは治山施設というものが入っております。今回市町村によりましては水道被害相当大きいというところがあって、そのようなお話があるのではないかと思いますが、水道施設激甚災害の条項として入るということと、二章グループに入るということとまた話が別問題だろうと思います。こういった水道施設なり何なりが激甚災害としていわば激甚法の適用条項になるかどうかということは、確かに今後の検討事項として政府としては考えておりますが、先生のおっしゃる二章グループに入るという前提では必ずしもございません。場合によりましては、それがどういう研究事項になってくるかわかりませんが、それが必ず二章グループという形であらわれるか、それとも一本の別の柱になるかということは、今後の検討に待つわけでございまして、本質的に激甚災害とするかどうかということと、同時に、どのグループに入るかは、一がいには言えないことだということであります。
  151. 華山親義

    ○華山委員 御研究を願いたいのでございますが、こういうふうな上水道等になりますと、公営企業の観念に入ります。したがって、これが市町村の負担ということになった部分につきましては、まっとうから申しますと、交付税の対象になりません。純粋にその市町村の負担になる、こういうことにもなりますし、また水道等を一例に申しますと、そういうふうな結果借金を増しますから、その償還のために、市町村が負担を負うか、あるいは負い切れない場合には、これを水道料の値上げということでやっていかなければいけない、災害を受けたおまけに飲み水の値段まで上がるというふうなことは、高度に発達をした国のとるべき姿じゃないと私は思います。災害があって貧乏するなどということはできるだけ避けるという方向でいかなければいけないと思いますので、それらの点を考え合わせまして、水道、その他、し尿、じんかいの末端処理、あるいは下水道等につきまして、他の公共事業と同様に、地方自治体の負担にならないような方向でとくと御研究を願いたいと思います。  次に通産省の方にお伺いいたしますが、工業用水道を山形県及び新潟県で持っております。先行投資でございますので、いずれも赤字の経営でございまして、この赤字は将来とも埋められる性質のものではございません。何年来の赤字がたまっております。これらにつきまして、工業用水道の復旧につきましては、県の財政に負担をかけないという意味から、補助をしていただきたいということを前に申し上げておったのでございますが、なかなか渋い御答弁をいただいておったのでございますけれども、現在どのように相なっておりますか、伺いたいと思います。
  152. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答えを申し上げます。  新潟県の工業水道はいままで全量ほぼ売れておりまして、過去の赤字の累積はございません。しかし、被害額は山形県の工業水道に比べましては大きかったわけでございます。山形県の工業水道は、いままで七万五千トンのうち約三万トン程度しか売れておりませんから、これは赤字の累積が相当ございます。災害を受けました工業水道を今後順調に運営させていくために、この工業水道はいままでは全然補助を受けていない、起債単独の工業水道であったわけでございますが、災害部分につきましては国の補助をつけてほしいということで、大蔵省と数次にわたり交渉をいたしました結果、最初大蔵省からの御返事は、新潟の工業水道につきましては復旧額の二五%、それから山形県の酒田の工業水道につきましては二一・六%という一応の計算数字が出てまいりまして、その程度ならば、ここは国の補助金を出してよろしいというような御返事があったわけでございます。それでは非常に企業の採算にも影響いたしますので、企業採算その他を十分検討いたしました結果、新潟県の場合には二五%を三〇%程度、それから山形県の場合には二一・六%を約二五%程度、その程度まで上げても差しつかえないというような御返事をいただいておるわけでございます。その結果、復旧費用をプラスしたあとの経済採算が完全に黒字になるというわけにはまいりませんが、新潟県の場合には、現在の計算でいきますと、赤字の額は大体年間二百万円程度、これも七、八年後には黒字に転換いたしますが、当面二百万円程度、山形県の場合には、その赤字の額はまだ厳密に計算いたしておりませんが、これよりは相当大きくなります。ただし、その大きくなるといいますのは、水が売れないから大きくなる部分が多分にありますので、通産省といたしましては、さらに企業誘致その他総合的な対策をここであらためて考え直しまして、そういう点も考慮いたしまして、できるだけ順調に水道事業を経営さしていきたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  153. 華山親義

    ○華山委員 私から理屈を申し述べるならば、いままでの計算の方法は、妥当投資額につきまして、その妥当投資額からオーバーする部分を、二五%を限度として、ある計算によりましてできた率を、二五%までということで補助しておられたと思うのであります。それで二一%あるいは二五%というようなことでございますが、それは妥当投資額というものとは全然関係ないというところから出た数字でございますか。
  154. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 ただいまの率の計算は、すべて妥当投資計算をやった結果の数字でございまして、その方式を簡単に申し上げますと、現在の水道ができ上がりますまでの投資額に今回の復旧費を加えまして、その復旧費と現在の時点におきます妥当投資額との差額の比率を求めまして、その結果、新潟県の場合には三六・五%程度、山形県の場合には、現在の設備に対しまして被害額が少なかったためにそれが二一・六%という数字になったわけでございます。工業用水道の補助は、復旧災害の補助であろうとも、大体原則としては現在の制度にのっとってやりましょうという考え方をお互いにとっておりましたものですから、最初は、現在の頭打ち制度の二五%というものを適用いたしまして、新潟県は三六・五%割れておるにかかわらず二五%、それから山形県の場合には二一・六%しか割れておりませんので、そういう率を適用したわけでございます。その後いろいろ計算いたしました結果、山形県の場合には二五%程度までは割れてくる。これは先行投資の要素その他を十分加味いたしまして再計算してみたわけでございます。それが二五%程度まで割れてくるから二五%、新潟県の場合には相変わらず三六%以上割れておりますから、災害復旧という特別な事情を考慮いたしまして、三〇で頭打ちにいたしまして、六%程度はカットするというような考え方に立っておるわけでございます。
  155. 華山親義

    ○華山委員 ただいま通産省のほうから御答弁がありましたが、大蔵省のほうは、現在のところそれでよろしゅうございますか。
  156. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 お答えいたします。  ただいま通産省のほうからお答え申し上げましたが、私ども当初、山形県の工業用水道の復旧に対しましては、やはり妥当投資割れの範囲内という考えをとっていたわけでございます。しかしながら、先生が先ほど申されたとおり、非常に山形県営の工業用水道は採算割れの額が大きい、ここら辺を考慮いたしまして、現在の稼働率から出発いたしまして、やはりある期間中に完全稼働に達する、こういうような前提で再計算いたしたわけでございます。その結果二五%程度になるというような計算をやりまして、新潟のほうは若干頭打ちの額を多くして三〇、こういうことで、この計算でやむを得ないか、こう考えておる次第でございます。
  157. 華山親義

    ○華山委員 三六%あるいは二一%、この出された額というものは今度の損害額にかけられて出た数字だと私は思うのでございますけれども、私はそうあるべきものじゃないと思う。何%ということを計算する際には、もとからの投資額と今度の損害額とを合わせて出てきたものとの計算においてパーセンテージが出てくる、その出たパーセンテージというものを今度の損害額だけにかけるということは、私は非常におかしいような気持ちがいたします。いまここで議論を始めても時間がかかるだけでございますから、もう一度御考究を願いたいということにいたしておきます。  その次に、工業用水につきましては公営企業金融公庫から借りておるのが多いのでございますが、これは高い利子がつくのでございます。この際、そういう状態でございますので、全部を政府資金に借りかえるわけにはまいらないのでございましょうか。今度のものは政府資金でお出しになるのではないかと思いますが、あわせてお答えを願いたいと思います。
  158. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答え申し上げます。  補助金以外の復旧費の部分につきましては、全額政府債でお願いしたいということで、大蔵省理財局並びに自治省財政局のほうにお願いしておりまして、現在までのところ、大体原則的にはその線に沿えるであろうという御返事をいただいておりますから、われわれはそういう形で実現するというぐあいに期待しております。
  159. 海堀洋平

    海堀説明員 お答え申し上げます。  実はいまの御質問は、今後行なう災害復旧の問題ではなくて、いままでの資金の問題であろうと思いますが……。
  160. 華山親義

    ○華山委員 両方お聞きしておるのです。
  161. 海堀洋平

    海堀説明員 それでは二つに分けてお答えしたいと思いますが、いままで工業用水に出しております資金を金利の低い政府資金に借りかえを認めろ、こういうお話は、全般にわたる問題でございまして、政府資金に限りがある限り、将来にわたってもそれを実現することはちょっとむずかしいと存じます。  それから、これからの災害復旧に要する地方債をできるだけ政府資金でめんどうを見ろ、こういうお話でございます。これは、災害復旧自体につきまして地方債がどの程度になりますか、相当の起債が必要になってくると思うのでございます。その場合に優先的にまず考えなければいけないのは、一般公共土木の裏負担という問題ではなかろうか、これは直ちに税金、いわゆる地方税で将来返していかなければならない問題でございます。したがって、公共土木が優先してくる、そういう立場に立ちまして見ていくならば、政府資金に限りがある限り、やはり料金でもって収入をまかなっていく。公営企業につきましてはどうしても優先度を落として考えざるを得ない。もちろん、政府資金がある量ございますとそこまで及び得るわけでございますが、その点は、やはり一般公共土木、地方税で将来返していかなければならぬものを優先して、次第に——それはもちろん、災害復旧でございますので、できるだけ低利のものが望ましいわけですから、そこの政府資金の量とかね合いまして考えていきたい、こういうふうに考えております。
  162. 華山親義

    ○華山委員 災害のあったところでございますから、この点はひとつできるだけくふうをされまして、こういう事業にも政府資金でやっていただきたいと思います。  次に、小さな問題かもしれませんが、消防庁のほうにお伺いいたします。  このたびの災害につきまして、いなかに行ってまいりますと、やれ貯水池がこわれたとか、ポンプ小屋がこわれたとか、ぽつぽついろいろな訴えがございますが、こういうものにつきましては何か災守復旧の補助というものはあるものでございますか、いかがなものでございますか。
  163. 川合武

    ○川合説明員 ただいま御指摘の点でございますが、率直にお答えいたしますと、いわゆる災害復旧といたしまして、従来さような制度はないと言ったほうが現状に合うのじゃないか、と申しますのは、私どもは、御承知のように、消防施設の強化促進法という法律に基づきます消防施設、ポンプ車とか、あるいは貯水槽に対しまして補助をいたしておりますが、いろいろ災害にあたりまして被害をこうむりました町の消防機関のさような施設に対しまして、補助の配分の場合に十分考慮は従来もいたしておりましたが、いわゆる災害復旧というような意味におきましての制度というものは、現在のところ、ないと申し上げたほうが正しいのじゃないかと思います。
  164. 華山親義

    ○華山委員 現在、消防ということにつきましていろんな論議のある点でもございまするし、消防ということにつきましてそれに従事される人々に勇気を与えるという意味もございまするし、どれだけの損害があったものかわかりませんけれども、今後は大きい損害だって考えられるのでございまして、やはり消防というふうなことは、金があまりないからということで看過されないで、こういう点につきましても復旧につきまして補助を与える、こういう方針で進んでいただきたいと思いますが、その点、今後——まだそういう話が出ていないとすれば問題になっていないのかもしれませんが、いまからでもおそくないのでございますから、やっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  165. 川合武

    ○川合説明員 現在までの制度では、先ほど申し上げましたとおりでございますが、実は今回の災害、相次ぎますいろいろな災害というような情勢を考慮いたしまして、ただいま御指摘の点につきましては考慮をいたさなければならない、かような気持ちでおります。さらに努力をいたしたいと思います。
  166. 華山親義

    ○華山委員 大体これで私の予定しておった質問は終わるのでございますけれども、私はいままでいろいろ皆さまに御相談申し上げ、教わり、そういうふうなことをもちまして県庁に行弐、市町村に行ってまいりました。その中で一番やはり問題に残るのは学校建設でございます。村の方や町の方々、市の方々と私は議論までして、政府のほうでこの単価でできると言っているのだから、できないという君らのほうが間違えているんじゃないか、なぜできないのだということを聞きましても、決してできません、こう言う。つくれといえばつくりますけれども、それは戦後のバラックみたいなもので、間もなくまた悪くなりましょう、そういうものをつくったって、かえって損じゃありませんか、決してぜいたくを言っているんじゃない、あたりまえのものを、最も簡素な、よけいなものはつけないでつくるとしても、あの単価ではできません、こういうふうに言って、私は説得のしようがない。先ほどの御質問の中に、個々の場合について坪当たりの単価まで御考慮になるような御答弁もありましたが、そのとおりでございますか。先ほどの答弁がございましたので、この点はあわせて関連として伺っておきたい。
  167. 岩田俊一

    ○岩田説明員 災害以外の一般の建築につきましては、先ほどの御質疑にありましたように、計画額に比べまして申請の件数が非常に多いというような事情もありまして、単価がそれだけ薄くなっているというような事情にございます。しかし、災害につきましては個別に審査いたしますので、そのような要素が比較的薄うございます。かつまた、本年度から学校建築単価につきましては相当引き上げておりまするので、今回の災害に対する補助の単価というものは従来以上に改善されるんじゃないか、さように考えておるわけであります。なお、個別に審査するといいましても、これは一般的国の基準の問題でございまするので、それぞれの実態に応じて、実情を考慮しつつ基準とにらみ合わせながら措置してまいりたい、さように考えております。
  168. 華山親義

    ○華山委員 それでは、予算単価をある程度場合によっては上回る場合があるということでございますか。
  169. 岩田俊一

    ○岩田説明員 今回の災害につきましては、特に新潟地震等につきましては、軟弱地盤というようなことも考慮いたしまして、一般の建築単価にプラスしてそういうような要素を加えるとか、かつまた、鉄筋校舎の取りこわしというようなものにつきましては従来なかったようでございますが、こういうようなことも加えてまいりたい、さように考えております。
  170. 華山親義

    ○華山委員 私よくわからないのでございますけれども、前からの御質問によりますると、今度の災害については、大蔵省とも交渉されて坪単価は上げたとおっしゃった。その坪単価は上げた、しかし、さらに調査してみたところが、それでは足りない、したがって、この学校につきましては坪単価はもっと上げて、これでもいい、こういうふうな査定もおやりになるわけでございますか。
  171. 岩田俊一

    ○岩田説明員 個々学校につきましては、それぞれの実情に応じて考えてまいりたい、さように考えております。
  172. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、文部省と大蔵省の間できめられたこのたびの災害に対する復旧学校の単価は、学校によって上がる場合もあるのでございますか。
  173. 岩田俊一

    ○岩田説明員 標準的な予算単価を上回る場合もございます。
  174. 華山親義

    ○華山委員 その点、具体的にお伺いいたしませんとわかりませんけれども、とにかく現地では困っているということだけはよく含んでいただきたい。そういたしますと、おそらくこれは市町村の負担に全くなります。起債の対象になりません。自治省はそれだからといって交付税のことも考えますか。そういたしますれば、市町村自分に金がなければまた寄付というふうなことになる。学校がつぶれて寄付をとられる、これじゃたまったものではない。私は、何もぜいたくだとかなんとかということはない、十分に監督されましてそして適当な学校の建築のできるようにぜひお願いいたしたい。これが現有地方における公共の災害につきまして最大の悩みであることをつけ加えましてお願いをいたしておきます。
  175. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連して伺います。  いまの華山先生のお尋ねに対する答弁で非常にけっこうだと思うのですけれども、答弁は間違いないですね。たとえば半壊校舎が非常に多いのですけれども、それは使用にたえないから、全壊と同じ扱いをしてやらなくてはとうていできない。私はこの前の質問のときに言ったように、従来から文部省は一銭も——いわゆる税外負担で追い込まれたときに言ったのです。とにかく税外負担などと言わないで、当然、自分の児童がいるのだから、ある程度の寄付もやむを得ないだろう、私はそういうことを責めているのではない、しかしながら、建築単価等が低いために、無理な査定をされるために、多くの税外負担をしなければならないようになる、そういうものは御存じかと言ったら、そんなことはありません、税外負担などは一銭もお受けする考えはありませんと、文部大臣は私に対する答弁で言い直られた。ところが事実は、高等学校から小中学校に至るまで税外負担を全部やっているのですよ。やらなければできないのです。ところが、いま華山さんのおっしゃるように、この災害については、この前の私の質問に対して、坪単価を引き上げて七万四千円あるいは七万二千円、これは新潟だけでなくて、地方の実情において弾力性のある処置をする、こういう答弁であったから、それは私はたいへんけっこうだと思っております。けれども、言われたように、取りこわし、それからそういう校舎がいたんだということは、これは地盤の隆起とか沈下とか、そういうことによって、たとえ鉄筋の校舎でもゆがんだり、あるいは木造校舎などに至っては、地盤が隆起をして、ほとんど全壊よりも取り除き等になお手間がかかる、そしてまたあとの整理なども手間がかかりますし、いわんや、そういう軟弱なところでありますから、したがって、たとえ校舎を木造にするにしても、あるいは鉄筋にするにしても、非常に地盤が軟弱なのでありますから、その基礎というものは十分のことをしなければ、あぶなくておれないということを証明したのですから、したがって、いまの答弁でいきますと、そういう基礎もしくは取り除き等についても、それはいわゆる総体的な坪単価としてやられるのだというふうに私は受け取ったのですけれども、それに間違いありませんか。これを念を押しておかぬと困まるのです。
  176. 岩田俊一

    ○岩田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げたとおりでございまして、軟弱地盤に対するところの費用、それから鉄筋建物の取りこわしの費用等を私どもとしては見たいということで、目下現地調査をやっております。この二、三日中に終わるはずでございますが、そういうことで数字がまとまり次第、大蔵のほうと交渉をいたしたいというように考えております。
  177. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと念を押しておきますが、それは木造校舎の取り除き等についても適用されるわけですね。鉄筋だけでなくて、木造校舎についてもできるのですね。それでないと困りますよ。
  178. 岩田俊一

    ○岩田説明員 木造につきましては、従来からの災害の例等もございますが、なおあとの資材の利用の問題その他のこと等もございまして、従来からこれは予算上は見てございません。なお研究いたします。
  179. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それはおかしいじゃないですか。従来といいますが、今度の場合は災害ですから、そして従来鉄筋でも見てなかったものを見てやるという親切さでしょう。非常に私は喜んでいるのだが、しかし、鉄筋の取りこわしを見てやるなら、木造の取りこわしも単価に入れてやるのは当然じゃないですか。それと同時に、木造は危険だ、地盤が軟弱だということで移転していくわけにいかない。したがって、これを当然鉄筋にかえさすべきだと思うのです。そうしなければあぶない。そういう場合にどうなりますか、やはり災害復旧対象としてお考えになりますか。
  180. 岩田俊一

    ○岩田説明員 お答えいたします。  従来の場合と申しましたのは、従来の災害の場合のことでございまして、木造につきましては、なおこれは業者のあとの資材の引き取り価格等の問題もありますので、そういう点で予算上は従来考えてはおりませんでしたが、今後研究してまいりたいと思っております。  なお、ただいまの御質問の中で、今後再度の災害を防止するために木造の建物を鉄筋のものに建てかえていきたいというような場合どうするかというような御質問でございますが、それにつきましては、そういうようないわゆる改良復旧という点は認めていくということで処置いたすつもりでございます。
  181. 細田吉藏

    細田委員長代理 松井誠君。
  182. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私は、きょうは新潟地震の特異の現象である地盤沈下の問題を中心にお尋ねいたしたいと思いますけれども、その前に、最初に激甚災害指定のことについて防災本部の方にお尋ねをいたしたいと思います。  近く今度の豪雨激甚災害指定するやにお聞きいたしましたけれども、この前私がお尋ねしましたように、その豪雨の範囲というのはどの範囲になるのか。つまり、七日から始まって十九日ですか、そういう一連の豪雨一つの単位として激甚災害指定をされるのかどうかという点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  183. 北川博正

    ○北川説明員 このたびの雨は、七月の二日から十九日までという期間でこれを一連の豪雨として考えております。
  184. 松井誠

    ○松井(誠)委員 たとえば冬の間にしょっちゅう雪が降る、その場合に、やはり一つの冬の雪という形で、社会現象としては一つの雪ですから、今度の場合もあるいは梅雨前線というのは二つあったかもしれませんが、しかし、社会現象としては一つだという常識にのっとって、やはり災害の単位としては一つと考えるのが正しいと思うのですけれども、やはり将来豪雪の場合におそらく問題になるだろうと思うのですが、一つのつゆどきの雨は一つにする、一つの冬に降った雪は一つの豪雪にするというように大まかに考えてよろしゅうございますか。
  185. 北川博正

    ○北川説明員 それは必ずしもそうではございません。今度の梅雨前線によりますのは、六月にも実はちょっと降っておりますが、気象庁の御見解を伺いましたところ、二日から十九日までは大体一本の梅雨前線であります。これが若干低気圧の刺激を受けて豪雨を起こしたようでありますが、どの低気圧がどうということはなかなか言いがたいのです。やはり同じ梅雨前線でも六月のあれとは違いまして、七月は一本の雨であるというふうな御見解でやっておるそうであります。
  186. 松井誠

    ○松井(誠)委員 考え方の基礎に私多少異論がありますが、それは今回の結論には関係がございませんので、やめておきたいと思います。  あと、地盤沈下についてお伺いをいたしたいと思うのであります。この新潟の地盤沈下は、今度の新潟の地震の被害との関係も問題ですが、しかし、そのほかにまた、これからあと単なる復旧ではなしに復興をする、その復興の規模なり方向なりというものをきめる場合に、非常に重要な問題になってくるわけです。そこで、最初に和達さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、いま新潟で地震前に問題になっておりましたのは、主として農地の地盤沈下でございました。それが今度の地震に関連をして再び市街地の地盤沈下というような問題になってきておりますが、この前の石田委員からのお尋ねでお伺いしたところによりますと、二十三日に資源調査会の防災部会が開かれる、そのときに、かつて農林省で出した農地の地盤沈下についての原因究明について検討をされるというようにお伺いしたのですが、二十三日の結論がどのようになったのか、そのときの模様から最初にお伺いいたしたいと思います。
  187. 和達清夫

    和達説明員 地盤沈下についてお答え申し上げます。  せんだっての資源調査会防災部会地盤沈下の小委員会におきまして、最近の地盤沈下、特に新潟地震に関連して地盤沈下観測の資料を検討いたしました。その結果最近までの資料は得ましたが、従来から問題でありました農地の地盤沈下と海岸沿いの揚水による地盤沈下との間の関係はなお研究を要するので、この前考えました関係が密接であるか、あるいは関係がないかというような問題は、まだ結論を得ることができませんでした。
  188. 松井誠

    ○松井(誠)委員 密接であるか、関係があるかないか、結論が出なかったというお話でございますが、もう少し具体的にお教えをいただきたいと思います。たとえば、農林省の一応の結論として三つの場合が考えられる。その中で、やはり海岸の揚水による地盤沈下と、それから白根地区の地盤沈下ということとは関係がある、そうしてその関係というものは、たとえば白根地区における農家あたりの自家用のくみ上げというものもこの農地の地盤沈下に関係がある、その比重や具体的な因果関係はわからないとしても、ともかく農地の地盤沈下について、海岸地帯における揚水と、農家の自家用のガスのためのくみ上げ、二つながらが関係があるという結論があったかと思いますが、それについて具体的にそれでは防災部会ではどういうことになったということになるわけですか。
  189. 和達清夫

    和達説明員 ただいまお上げになりました三つの考え方が、結局において、いまだその三つのどれであると決定するには資料不足ということになったのでございます。
  190. 松井誠

    ○松井(誠)委員 いまの白根地区の農地の地盤沈下は相当速度の早いものでありますから、したがって、農業施設復旧なり、あるいはそれに対する恒久対策なりを立てるために早急に結論を出す必要があろうかと思うのですが、その早急に結論を出す必要はもちろんお認めでありましょうけれども、それでは、一体およそいつごろをめどとしてそういう結論が出る見通しなのか、あるいはそういう時期的な見通しというものは全然ないのか、その辺はいかがでしょうか。
  191. 和達清夫

    和達説明員 ある場所の地盤沈下は、少なくともその場所に近いところの地下水の多量なる揚水が原因をしていることは申せると思います。ただ、遠いところの地下水の揚水がどのくらい原因しているかということは、今後さらに観測を続け資料の検討をしたいと思います。私個人でございますが、もう一、二年しませんと、そういう遠いところのしっかりした影響は出ないんじゃないかと思っております。
  192. 松井誠

    ○松井(誠)委員 繰り返すようですけれども、ともかく地下水のそういう大量のくみ上げが地盤沈下の原因であるということには間違いない、そして、それはおそらく近いところのくみ上げが原因であろうということは想像ができる、しかし、具体的にどのくみ上げの個所がそうであるのかという具体的な場所の指定地域の限定ということについてはまだ一、二年かかる、このように理解をしてよろしゅうございますか。——そうしますと、農林省の方にお伺いをいたしたいと思いますが、農林省のほうで、去年の暮れでありますか、ことしの春でありますか、新潟市周辺の農地の地盤沈下について調査をされて一応の結論を出された、その農林省調査の結論の考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
  193. 梶木又三

    ○梶木説明員 農林省では、地盤沈下の調査事務所を設けまして、農地の沈下の実態と地下水との関係を調べておりますが、ただいま中央センターのほうから御説明がありましたように、結論につきましては、われわれはあくまでもその資料を正確に科学技術庁のほうに出すだけでございまして、農林省としては結論は出さない、こういう方針で進んでおります。
  194. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それでは、再び和達さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、ともかく近くの揚水が原因だということはわかる。この近くの揚水といいますと、農家の自家用の問題は別として、あと、現在稼働しておる揚水の個所というのは必ずしも多くはない、そしてその揚水量も一つ一つつかめるわけですが、そういう揚水量がつかめて、しかもその個所が多くない、したがって、近くにある急激な大量な揚水の個所はどこであるかということは、おそらく常識的にも指摘ができる、そういう段階の中で、一、二年たたなければこの決定的な結論が出ないというのは、われわれの常識では、何か非常にまだるっこしいような気がするのです。たとえば、具体的に申しますと、黒崎というところに、現在の新潟周辺における水のくみ上げ量の半分以上をくみ上げておるところがあるわけです。それを具体的に規制をしてみれば、因果関係があるのかないのかということが早わかりするんじゃないかと、われわれは常識的に考えるのですけれども、そういうことが早急にできれば、一、二年という長い期間を待つ必要はないのじゃないかというように考えますが、その点はいかがでしょうか。
  195. 和達清夫

    和達説明員 揚水量を正確に知ることがなかなかむずかしい問題でございまして、今後揚水量を正確につかみたいと思っております。問題は、揚水量もさりながら、地下水の水圧が問題でございます。現在地下水の水圧をはかっておりますから、揚水量とこれとあわせて地下水の状態が十分に把握できると思います。なお、一方、地下水の状態がわかり、一方、地盤の沈下の状態が観測され、このようにして、大体において地盤沈下の原因がどういうところにあるかということが推定できるのでありますが、この際、遠いところの地下水くみ上げの影響がどのくらい及ぶかというこまかい点になりますと、私は一、二年は少なくともかかるだろうと思うとお答え申し上げた次第であります。
  196. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、一、二年すれば、どこをどの程度規制すればどれくらいの沈下になるかという、そういうところまでがわかる。もっとお尋ねをしますと、それがわかるためには、たとえば具体的にどこかを規制して沈下の状況を調べてみるというようなことをやって、それの結論が出るのは一、二年先だということになりますと、具体的に規制に手をつけるということはそれよりももっと前だというように考えてよろしゅうございますか。
  197. 和達清夫

    和達説明員 私どもは科学的の因果関係をきわめておりますが、規制その他は、行政官庁とよく御相談して、一方、科学的調査にも役立ち、一方、実際問題としてもそれが有効であるようにしていただきたいと思っています。
  198. 松井誠

    ○松井(誠)委員 防災科学センターというものの役割りはどういうことかわかりませんけれども、資源調査会の防災部会というものも、やはり具体的に防災の対策というものをお立てになるのが目的ではないかと思うのです。したがって、科学的に少なくともこれが防災の対策であるという結論をお出しになるわけだと私は思いますけれども、それが具体的に政府の政策として実施し得るかどうかという問題は別として、たとえばこれも揚水が原因だ、地下水のくみ上げが原因だということになれば、それを規制する以外にはないという、そういう自然科学的な結論を出すのが、防災科学というものの任務ではないですか。
  199. 和達清夫

    和達説明員 私は、防災センターの所長でありまして、資源調査会の防災部会の部会長と兼ねております。そのために二重人格みたいになっておりますが、防災センターとしましては、センターの任務といたしまして、防災に関係ある現象あるいはその影響について総合的に研究を推進するというようなことが任務となっております。したがって、そういうような総合研究を推進しまして、防災上こういうふうにすべきであるとすれば、科学技術庁を通じてその意見を申し述べることになります。資源調査会の防災部会は、やはり防災に関する調査をいたしまして、必要ありと認めればこれを政府に勧告いたすことになっております。
  200. 松井誠

    ○松井(誠)委員 通産省の方にお尋ねをいたしたいのですが、先ほど和達さんから、この揚水量の正確な把握がなかなかむずかしいので、それを正確に把握したいというお話でございましたが、通産省のほうでは、この新潟周辺地区の規制をされておる地域の揚水量の把握というのは正確にできておるというたてまえではございませんか。
  201. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  通産省といたしましては、地震前の状況におきまして、現在規制地区からどれだけ揚水しておるかという量につきましては、把握しておるというふうに考えております。
  202. 松井誠

    ○松井(誠)委員 ですから、和達先生が、揚水量の把握についてなかなか正確には困難だと言われましたので、私は、通産省の監督に不信を持っておるのかと思ったのですけれども、そういう不信を抱かれるようなものではないのですね。つまり、範囲内の揚水をやっておるかどうかというその規制は厳格に実施しておるわけですね。
  203. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  通産省といたしましては、第一次規制から第三次規制まで行ないまして、その間における揚水量をこの程度ということでやっておりますので、現在、地震前でございますが、大体十八万トン・パー・デーの揚水であったというふうに考えております。
  204. 松井誠

    ○松井(誠)委員 ついでに、新潟周辺のガスをくみ上げておる事業所、名前はけっこうですけれども、数だけをお聞かせを願いたいと思いますが、いま総量で十八万トン——これは水のくみ上げ量ですね。ガスの生産量はおよそ総計で幾らなのか、それに従っておる事業所の数は幾らなのか、その最終的な数字だけでけっこうです。
  205. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  三十九年四月のデータでございますが、くみ上げておりますガスの量は、平均いたしまして約三十五万八千立米パー・デー、数量は十八万二千トンという量でございます。事業所でございますが、帝石をはじめといたしまして、数にいたしまして、量が多いというものにつきましては七社というふうに考えております。
  206. 松井誠

    ○松井(誠)委員 和達先生にお尋ねしたいのですが、いま私は農地の地盤沈下のことをお尋ねいたしましたけれども、市街地の地盤沈下についてまた別にお尋ねをいたしたいと思います。これの地盤沈下の速度というものは非常におそくなりましたけれども、まだ大体年間六、七センチくらいは沈下をしておるやに聞いておりますが、これは最近の新潟市の市街地の地盤沈下の速度と、それからできましたら大阪、東京、尼崎等の地盤沈下のいわゆる先進地の沈下の速度と、その数字をちょっとお教えいただきたいと思うのです。
  207. 和達清夫

    和達説明員 地盤沈下の量につきましては、その規制以前に新潟で非常に激しい地盤沈下をしておりましたところは現在では沈下の速度がおそくなっておることは、ただいま御指摘のとおりでありますが、市街地でなく、その周辺地区で新しくガスの採取を多量に始めたところは、相当の沈下速度をもって現在沈下を続けております。東京、大阪におきましては、いろいろの対策も講ぜられつつありますが、年間十センチ以上というものは非常に少ない場所になりましたが、やはりそういうところも、新しく発展したようなところに近年多く目立って見えるようになったと存じております。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  208. 松井誠

    ○松井(誠)委員 新潟の市街地区の沈下の状況でありますけれども、これは現在の沈下速度というものは、防災という立場から、あるいはその原因であるガスの採取を規制する必要がないという程度の沈下速度であるかどうか、防災という観点からどういうお考えかということをお伺いいたしたいと思います。
  209. 和達清夫

    和達説明員 地盤が沈下するということは、たとえわずかでありましても、長年積もりますれば非常に問題になるところであります。現在それが必ずしも人が住んでおるところでないとかいうことで、相当な沈下がありましても見のがしている点もございますけれども、私個人としましては、できるだけ地盤沈下というものは起こらないようにすべきだと思います。天然ガスの採取に伴う地下水のくみ上げにつきましては、単なる、ほかの産業とか経済とかいうことを考えなければ、もっともっと規制して、ほとんど地盤沈下が起こらないようにするのがよろしいのじゃないかと思うのでありますけれども、私どもは、現状においてはこういう状態ではこれだけ沈下する、もし地下水をもっと使い、水圧が下がればこうなるであろうということを、数字を示しておる次第であります。
  210. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私も、防災という立場からただ自然科学的な因果関係だけを説明するだけで終わるのか、それじゃなしに、やはり防災の立場からこういう措置が必要だというのが、まさに防災というもののあるべき姿ではないかと思うのですが、いま先生のお話ですと、ほかの影響というものを全然考えなければもっと規制は当然すべきである、しかし、規制の結果いろいろなところへ出てくる影響を考えるとまた話は別だという御議論のようでしたけれども、もっとお伺いしますれば、自然の沈下というか、人工の加わらない自然の沈下というものもあるやに聞いておりますが、それはどのくらいの速度が通常ですか。
  211. 和達清夫

    和達説明員 自然の地殻の変動とわれわれが申しております。土地が長い年月にわたって少しずつ隆起したり沈降したりするのは、一年に三ミリ、多くても五ミリ以内の問題であります。しかし、わが国は地震活動の激しいところでありますので、大地震の起こる、少なくとも起こったあとなど、私は起こる前も生ずると思いますが、とにかく大地震あるいは火山の活動に関係して起こる地盤の変動というものは、もっともっと大きなものがございます。しかし、それは特定の地域の特定の時期において行なわれるものであります。
  212. 松井誠

    ○松井(誠)委員 東京や大阪や尼崎でも、場所によれば、新潟の市街地の地盤沈下よりもひどい速度で地盤沈下がある。しかし、その地盤沈下を起こしておる原因は、たとえば工業用水のくみ上げということになると、その工業用水をくみ上げておる事業所の数というものは膨大な数になるだろうと思うのです。その場合に、その工業用水のくみ上げを断念することによって生ずる損害と、あるいは地盤沈下対策事業というものの出費とを比較して、あるいは損得というものが考えられるかもしれないと思う。しかし、新潟の場合には、先ほど開発課長にお尋ねをしたように七社である。その七社がくみ上げておるために実はこういう地盤沈下を起こしておる。そのために、もうすでに何十億という、あるいはもう一けた多いかもしれませんけれども、そういう巨額な投資をしなければならないという形になってきた。そういうことを考えますと、少なくとも新潟に関する限りは、東京や大阪や尼崎の沈下よりもまだ速度が鈍いから、沈下の速度が少ないからこれでいいというようには、私は基本的に考えられない。全くケースは違うのじゃないかと思いますけれども、ひとつその点について和達先生のお考えを伺っておきたいと思います。
  213. 和達清夫

    和達説明員 私はただいま防災センターで働いておりまして、防災センターの任務は、自然現象及び自然現象に密接に関連するところの防災というものを扱うことになっております。ところが、近来の災害というものは、自然現象に密接に関係するいろいろな社会現象、社会活動というものの役割りが非常に多くなってまいりまして、ほんとう災害を防ごうというのには、自然現象もさりながら、いかに社会が防災的観念を持って発達するかということにかかっておると私は思っております。こういう意味において、防災センターもよく各省庁と連絡し、また各省庁におかれても、防災に関係あるところは防災課等がありまして、それぞれに調査もされ、また行政的にもいろいろなさっておることでありますから、片方、科学的に、片方、行政的に、よく連絡して進むべきものだと考えております。
  214. 松井誠

    ○松井(誠)委員 先生に御答弁をお願いをするのは無理かもしれないとは思うのですけれども、東京や大阪や尼崎のように、水をくみ上げるのは工業用水である場合、したがってその需要者が非常に数が多いという場合と、新潟のように、水のくみ上げがガスの採取であって、そのガスの採取の事業所の数というものがほんの一握りだという場合と、防災という点から見て考え方を同じに考えるわけにはいかないのじゃないか。たとえば東京なら東京で工業用水のくみ上げを全部禁止することによってくる損害よりも、むしろその防災のために金を投じたほうが経済的に得をするということもあり得る。しかし、新潟の場合にはそういうこともないとすれば、これはもうそういう社会経済的な障害というものは私はないと思う。東京の場合には現実にあるかもしれません。しかし、新潟の場合にはそういうものはむしろない。ないとすれば、まさに自然科学的な結論に従って規制をするというのが、自然な、すなおな結論だと私は思うのです。そういう点で、東京がこうだからというように、事情が違っておる例を引いてその自然科学的な結論というものを故意に鈍らせるという努力がどこかでなされているように私は思われてしかたがない。そこで、先生から、そういうベールをとって、新潟と東京とは事情が違うのだということを私ははっきりと実はお教えをいただきたいと思うのです。重ねてひとつお答えを願いたい。
  215. 和達清夫

    和達説明員 私どもは、先ほども申し上げましたように、これは人工的に行なっておるのでありますけれども、あたかも自然現象のごとく、こういうことをすればこういう結果になるということを調査研究しておる次第であります。新潟におきましても、東京、大阪におきましても、御指摘のような点はございますけれども、結局において地下水をそれだけくみ上げるということから生じておるのでありまして、考えようによっては似ておるのではないかと思います。お話のような、こういう場合には規制がやさしいとかむずかしいとか、あるいはもっと強く規制すべきであるとかいうことは、私どもはその資料を提供して、規制しなければこうなる、規制すればこの程度とは申しますけれども、そういうことを行なうということにつきましては、通産省あるいは経済企画庁ですか、私はそういう点十分存じておるわけでございませんけれども、そういうところから十分お聞き取り願いたいと思います。
  216. 松井誠

    ○松井(誠)委員 きょうはその政治的な判断のできる方がお見えでないようですので、私はその事実をまず認識するだけにとどめたいと思ったのですが、防災本部の方にお伺いをしたいと思いますけれども、先ほど総務長官の、お話では、新潟地震あといろいろ防災についての検討をされたということでありますが、具体的に新潟の場合、この地盤沈下について何がしかの検討をされたのかどうか、そのことをお伺いしたい。
  217. 北川博正

    ○北川説明員 地盤沈下については特段調査研究ということはございませんが、今回の、たとえば橋梁が落ちたとか、そういう問題に関連いたしまして中央防災会議で問題になり、この点につきましては、建設省等の主たる役所において早急に研究するということになっております。
  218. 松井誠

    ○松井(誠)委員 いま新潟でいろいろ復興計画を立てておる、その中で、一体地盤沈下がどういう形でいつまで進むのか、あるいはそれに伴ってガスの規制をどの範囲にするのかという一番大事な点があまり議論されないで、むしろ問題を避けて通っておるような形になっておる。聞くところによりますと、今度は、護岸にしても、あるいは川の堤防にしても、二・五メートルですか、あるいは二・四メートルですか、そのくらいの高さにするというような案が出ておるやに聞いておるのですが、これは一つの例として建設省のほうにお尋ねをしたいと思いますけれども、信濃川の両岸を、いままでは非常にちゃちな防潮堤であったために非常にひどい目にあった、今度はひとつがっしりしたものにしようという空気が地元にもあることは御承知だと思うのですが、そのときに、今度は防災の立場から、一体その堤防の高さはどれくらいにするというようなめどがすでにおつきなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  219. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  旧信濃川についてでございますが、これは洪水の疎通のほうは、関屋分水をもちまして日本海のほうへ直接に抜こうということでございますので、そのあとの市内の部分でございますが、今回の地震で下がっておりますので、その高さは今度高潮が参りました水位、その水位の分を災害復旧として採択をいたしたい、こういうふうに考えております。
  220. 松井誠

    ○松井(誠)委員 具体的にはどれくらいの高さになるのですか。
  221. 上田稔

    ○上田説明員 いままでの堤防といいますか、その高さに、一メートルぐらい高さが上がることになります。
  222. 松井誠

    ○松井(誠)委員 一ころあの地盤沈下が非常に関心を持たれておったころに、将来の新潟の地盤沈下をおよそどれくらいと見積もって、そして恒久対策はそれを基準にして立てろというようにいわれておったと思うのです。そしておそらくは建設省でも、いろいろな建設の場合に、将来の地盤沈下の見通しというものを立てて恒久対策を立てられたと思う。そのときには、私の聞いておるところでは、将来のこれから進むであろう地盤沈下が、昭和三十五年からでありますけれども昭和三十五年から百二十センチという予想を立ててやっておる。ところが、今度二・五メートルの堤防をつくるというように私は聞いたのですが、あるいは海岸の護岸かもしれません、その二・五メートルの内訳のうちで、将来の地盤沈下というものについては五十センチかそこいらしか見てない。いままで百二十センチだったのが、五十センチというように変わってきたいきさつは必ずしもはっきりしませんけれども、ともかくこれからあとの地盤沈下というものを見通して恒久対策を立てられると思うのですが、そういう点について、いまのその高潮の高さだけかさ上げするということでいいかどうか、この点はいかがでございますか。
  223. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  新潟の地盤沈下対策におきましては、最終値におきまして一メートル二十センチを考えておりまして、前期の五カ年では七十センチメートル、後期の五カ年で五十センチメートルを上げて、最終的に一メートル二十センチ上げるということで、通船川その他の河川について計画をいたしております。
  224. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、今度堤防をつくり直すというときにも、その一メートル二十センチの沈下というものを予想しておつくりになるということになるわけでしょう。
  225. 上田稔

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  災害につきましては、先ほど申しましたように、現在の堤防から一メートル、結局TPにいたしまして二メートル二十を見るわけでございますが、地盤沈下の最終値は、これは場所によって違いますので、何とも申し上げられませんが、まあ一メートル二十、それよりも幾分高いところができてくるのじゃないか、その部分につきましては、将来、予算のつき次第上げられるように、災害でとりましたあとの分ができるようにして採択をして工事をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  226. 松井誠

    ○松井(誠)委員 和達先生にまたお願いをしたいのですが、私の聞いておるところでは、いまでも市街地は年間六センチ内外沈んでおる。そうしますと、もしいまのスピードのままでいけば、十年たてば六、七十センチ進むわけです。かりに百二十センチを予定しておっても、百二十センチをあるいはこえる場合もあるかもしれないという、われわれのしろうと的な心配があるわけです。その上に、聞きますと、いま河川局長は百二十センチと言われましたけれども、実際は五、六十センチくらいに見積もっておるやに私は聞いておるのです。そうしますと、いまのスピードをそのままにしておいて、将来のこの沈下の最終値というのですか、それをいまのような数字に置いて、いまのような工事で一体いいのか。工事をもっと根本的に考え直すか、あるいは地盤沈下の原因そのものについてもう一ぺん考え直すか、どちらかが必要じゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  227. 和達清夫

    和達説明員 仰せのように、地盤沈下は、人間がそれを引き起こしておる部分が大部分であります。したがって、見込みを立てるといっても、これは自分のすることに見込みを立てるので、自然現象に見込みを立てるのでございませんから、片方、人間のほうが、どうやるかということを自分が考えるか、あるいはそれは野放しにしておいて、そうして人間のすることも自然現象と同じようにみなして見込みを立てるかということになると思うのであります。したがって、この問題は、どうしても浸水を防ぐ、いろいろな水害の問題をやるために、この程度に防ごうというならば、堤防のほうでやるか、地盤沈下をとめるほうにやるか、どちらかを思い切ってやるべきだと思うのであります。  なお東京、大阪におきましてある程度地盤沈下が進みますと、かなりスピードが衰えてきているところもあります。これは取ろうにも水がなくなるからであります。つまり、枯渇するまで水を取るからそうなるのでありまして、新潟ではまだまだ水がありますから、枯渇するまで取るにはかなりの時間がかかるんじゃないかと思っております。
  228. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、この百二十センチという最終値が現在とられつつある数字であるかどうか、必ずしもはっきりしないのですが、かりに百二十センチとした場合、そして年間六、七センチ進んでおるというこれをあわせてみて、防災科学的な見地から、これはつじつまが合わないとお考えになるか、つまり、どっちかを手を入れなければつり合いがとれない結果になるというようにお考えになるか、あるいはいまのこの規制のままで、百二十センチという最終値が正しい数字だというようにお考えになるか、その辺はいかがですか。
  229. 和達清夫

    和達説明員 この問題は私にもお答えできないのでありまして、東京都で以前にそういうことをいたしましたときに、委員会は一メートルというものを予測したのであります。その一メートルも、実を申しますと、科学的に根拠ははなはだ薄いのであります。将来の規制も見通し、また水の使い方やその他も見通して大体一メートルにきめただけの話でありまして、大体そういうことがきまらないのではなくて、われわれがきめるべき問題でございますので、私がここでそれを妥当である、妥当でないと言うのでなくして、むしろわれわれ自身が、安全になるように努力するということにしなければ意味がないんじゃないかと思います。
  230. 松井誠

    ○松井(誠)委員 言い回しは非常に遠回しでありますけれども、結局、百二十センチという数字は元来あまり当てにならない、したがって、それは動かしようもないのだ、確実に動かし得るのは年間の速度という数字なんだ、だからそちらのほうで規制するのが当然だということを、非常に遠回しに言われたと思うので、そのようにこれからの防災対策というものを持っていかなければならぬと私は思うのですが、そういう場合に、もしガスのくみ上げを規制するとすると、通産省の方にお尋ねをしたいのですけれども、問題は、現在のガス業者がすぐにガスに困るじゃないかという問題につき当たるわけです。そのために実は上越や中越で構造性のガスが出る、それをわざわざ東京までパイプで送っておる、そういう状況を考えるときに、この新潟の水溶性の危険なガスの採取というものをどうしてもいまでもやらなければならぬかという非常に強い疑問がわいてくる。ですから、これはこの次の委員会でこの政治的な判断をどなたかに求めたいと思いますけれども、かりに規制するということに踏み切った場合に、そのガス業者に対する影響というものはどうなるのか、現在の新潟県におけるこの天然ガスの採取の状況からいって、どうなるかということを通産省にお伺いしておきたいと思うのです。
  231. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  現在新潟県下の天然ガスの需給の見通しでございますが、地震以後需要先が完全にまだ復旧しておりませんので、現状においてはどうやらまかなっておるというような状態でございますが、復旧が済みましてそれぞれ需要先が生産に入るという段階になりますと、現在の見通しでは、本年の十月には需要量がパー・デーにいたしまして四百四十三万一千立米、これに対しまして現在供給可能量と申しますのが三百六十万三千立米、不足分が八十二万八千立米パー・デーというような状況でございます。なお、最盛期に入ってまいります十二月になりますと、この不足量がさらに九十一万八千立米というふうにふえてまいるというような事態が想定されております。この需要量につきましては、現在各社の申し出の数量でございまして、やはりピーク時の数量でございますので、平均にいたしますとこれよりは若干下回るのではないかというふうに考えておりますが、一応各社の数字を集めました状況は以上のとおりでございます。
  232. 松井誠

    ○松井(誠)委員 いまの数字の中で、供給しておるガスというのは、水溶性のガスのほかに、よそから送られてくるいわゆる構造性のガスというものも入ってのものですか。
  233. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  ここで申しました供給可能量三百六十万三千立米パー・デーと申しますのは、構造性ガスが大部分でございまして、この中には、水溶性と申しますのは、現在の三次規制によりまして地震前の三十五万立米パー・デーというものを想定しておるわけでございます。
  234. 松井誠

    ○松井(誠)委員 これは新潟市ではなくて新潟県全体の数字ですね。そうしますと、例の東京に送っておる構造性ガスというのはこの中にはもちろん入っていない。それは幾らくらいの数字になっておりますか。
  235. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  この中には東京ガスへ供給しておりますガス量も含んだ数字でございます。大体現在東京ガスには、平均にいたしまして、年間を通じまして五十万立米パー・デーという量で考えております。
  236. 松井誠

    ○松井(誠)委員 新潟は天然ガス王国で、供給はあり余るというふうに私たちは印象づけられておったのですが、これを見ると、供給が相当下回っておる。これは最初からの現象ですか、あるいは最近の現象ですか。
  237. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  もう先生御存じのとおり、天然ガス、特に構造性ガスと申しますのは、非常にディクラインが激しい状況に置かれております。大体一般的には一年間に平均一〇%ディクラインをするというふうにいわれております。したがいまして、そのディクライン分を新しい井戸の掘さくによって補ってまいるということで供給量が確保されるという状況でございますが、ここ二年ばかり新しいガス田の発見がない状況でございます。非常にそのディクラインをカバーし得ないという状況でございます。そうなった理由としましては、いろいろ考えられるわけでございますが、何といいましても、適正な探鉱が行なわれなかったというところに、今日のような状況に立ち至ったというふうに考えております。
  238. 松井誠

    ○松井(誠)委員 時間がきたようでありますから、だんだん終わりにしたいと思うのですが、だんだん供給が減ってきて需要に追いつけなくなってきたというのは、新しい発掘がないからということ、そうしてその理由は、いま明瞭にはあげられなかったけれども、たとえば帝石が最近経営困難から新しいボーリングを控えておるということが非常に大きな原因だと思うのです。なぜ一体帝石がそういうところに追い込まれたかという問題については、実はこの次にゆっくりお伺いしたいと思うのですけれども、やはり私は、間接的に、そういうものについて国の燃料政策というような点について基本的な問題があったのじゃないかと思うのです。  それはそれといたしまして、きょうは最後に、時間になりましたので、住宅局の方にちょっと簡単にお伺いをいたしたいと思いますが、これは地盤沈下には何も関係はございません。ただ、被災地における在日朝鮮人の問題なんです。在日朝鮮人は災害救助法では救助法の適用がなされるそうでありますし、生活保護法も事実上準用されてまいっておりますけれども、しかし新潟の場合、たとえば朝鮮人で日本人と同じようにやはり家がこわれた、そのときに、外国人だというので、いまのところ金融が受けられない。このことについては、普通の外国人の場合ならこれはやむを得ないと思うのですけれども、朝鮮人の場合には、日本に来たいきさつがいきさつであり、特に朝鮮人の妻となっておる日本人、しかし、それは朝鮮が独立後は朝鮮籍を持っておって、形の上では外国人となっておる、しかし実際には日本人だ。したがって、そういう人たちは帰化の手続をとるというつもりにもならない。こういう問題について、外国人と日本人とのちょうど中間におるような人たちのために、何か具体的な措置というものがないだろうか。これは何も住宅金融公庫だけに限りませんけれども住宅金融公庫を一つの例にしてお尋ねをしたいのですが、何か便法はございませんか。
  239. 尚明

    ○尚説明員 御承知のように、住宅金融公庫法では、日本国民大衆に長期低利の金を貸し付けて住宅建設させる、こうなっておりますので、いまおっしゃいましたように家族の方も全部外国の国籍という方には融資の道がないのでございますが、私この問題は初めて遭遇するような問題でございますので、地元の地方公共団体がその住民福祉のためにどういうふうにしたらいいかという御要望もしくは御意見というものも徴しまして、住宅金融公庫の貸し付けは、きわめて長期の割賦で、困難ではないかと思うのでございますが、たとえば公営住宅とか何かに入れるとかいう方法が現行の中でできるかどうか、検討いたしたいというふうに考えております。
  240. 松井誠

    ○松井(誠)委員 これでやめますけれども住宅の問題だけでなしに、実は国民金融公庫なり中小企業金融公庫なりの融資の問題もあるわけです。そうして担保能力としても、保証人があり、担保物がある。だから、外国人だから、いつ日本から消えてなくなるかわからないというような心配は現実にはない。そういう意味では、返済の確実の度合いということからいえば日本人と同じことだと思うのです。ただ、いろいろな意味において外国人についてはその適用がないという、その根本的な施策そのものにはあえて異論はございませんけれども、ただ、外国人とは言い条、実際は日本人であるというような場合、あるいは、かりに一家全部朝鮮人であっても、日本へ来たいきさつそのものから見て、日本自身がやはり本来責任を持つべき筋合いのものである場合には、事正面からいけば無理かもしれませんけれども、何がしかの便法が考えられないか。したがって、これは公営住宅に入れればいいという問題でなくて、融資の問題を考えれば、それだけでは解決のつかない問題ですから、融資の問題についてはまだこれから先も問題になるわけですが、いずれまた機会を改めてお尋ねをしたいと思いますけれども、これからあとの御配慮をお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  241. 中山榮一

  242. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 時間もおそくなりましたし、非常に暑いところ皆さんたいへん御苦労さんです。よって、私はきわめて簡潔にお尋ねしたい。ただ一点です。それは六月十六日に発生した新潟地震の際に起こった火事の原因並びにそれに関連する問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  六月十六日の午後一時二分に地震が発生をして直後に、昭和石油の新工場のほうの二万五千トンあるいは三万トンという大きいタンクから出火をして、それが長時間にわたって燃え続け、その類焼によって多数の民家も焼失した、このようにわれわれは聞いておったのでございますが、その後よく事情を調べますと、その二万五千トンあるいは三万トンというタンクには、ガスか、あるいは液体か、とにかく火を防く装置がしてあり、それを動かすためには電気を使わなければならぬ、それには、電気会社から供給される電気の設備のほかに自家発電の装置があった、ところが、電気会社からくる電気がとまったばかりでなく、自家発電の装置そのものも地震によって障害を受けて動かない、そのために火事を防ぎ切れなかったという説明を私は消防研究所の所員から聞いたのでございます。ところが、この新工場の大タンクの燃焼とは別に、それから建物を隔てた旧工場内にある五千トンあるいは一万トンの小さいタンクであろうと思うのですが、その辺から地震後約五時間を経過したときに火が出て、その火が付近の民家に燃え移ってたくさんの住宅を焼いてしまった、こういうことをその地帯住民が現認をしている、こういうことでございます。そうなりますと、旧工場、それにすぐ接続して三菱金属の工場があるそうで、そのいずれかは住民にははっきりしないのでありますが、その五時間後に発生した火事は、それらの工場の保安あるいは防火の業務上の責任を十分果たさない、すなわち業務上の失火をしたのではないか、あるいは重大なミスでもあって過失を犯したということになれば重過失になる。業務上の失火は刑法に特別規定があって、普通の失火ならば五万円以下の罰金にすぎないが、業務上の失火もしくは重過失による失火の場合には、三年以下の禁錮または十五万円以下の罰金かになるはずでございまして、そうなりますとこれは犯罪という問題が起きてくる。一面、この火事によって住宅を焼かれた罹災者は、もし保険に入っておれば、地震が原因ではなくて失火による、過失火による類焼であるから、保険金の請求ができるということにもなる。もし業務上の重過失による失火でありますならば、昭和石油もしくは三菱金属に対して、民法上の不法行為による損害賠償責任は失火に関して免除されておりますが、重過失の場合はやはり損害賠償の責任がある、したがって、保険に入らない方々も、会社に対してその重過失に基づく失火の責任を問いまして損害賠償の請求ができる、こういうことにもなるわけでございます。これは付近の住民が見ておった現状を私は話したのでありますが、もし事実そのようでありますならば、これは通産省としては産業災害防止のためにどのような監督を一体しておったか、どのような理由でそういう産業災害が起きたのであるか、また、消防庁はその出火の原因について十分の究明をしなければならぬ、警察や検察庁は犯罪捜査もしなければならぬ、こういう問題になりますので、われわれ民社党は、七月十日付をもちまして、ちょうど自民党総裁公選の直前でございましたので総理には会えませんので、当時の官房長官の黒金君に私会いまして、文書をもって、この出火の原因を至急に調査してこれに対して適切な措置をとるように要請をしたのでございます。  この地震による石油コンビナートの出火というような問題は、各地にあります石油コンビナートというものがその地方に対していろいろな災害を起こす原因ともなるので、これは重大な問題でございます。よって私は、調査を申し入れてからすでに二十日間もたつのでございまして、その五時間後に火の出た原因はいかなるものであるか、これを通産省、消防庁、そしてそれが重過失による、あるいは業務上の過失による失火でありますならば、犯罪捜査上警察庁がこれは調査をしなければならぬし、またしたはずであろうと思うのでありますが、これらの各機関のその後の調査状況、またそれに対する意見をお尋ねしたいのであります。
  243. 関根広文

    ○関根説明員 お答えいたします。  新潟災害のときの発生いたしました火災が数件ございまして、ただいま御指摘の、災害後五時間ぐらいに発生した火災と申されましたのは、午後六時前後ごろ、昭和石油株式会社の新潟製油所旧工場敷地内の新潟アスファルト工場と三菱金属鉱業株式会社工場の境界付近に出火したと思われる火災のことをさしておられると思うのであります。この火災につきましては、ただいま申し上げました両会社の境界付近から突然発火いたしまして、地上に流出したガソリン、原油等に燃え移って、昭和石油構内のガソリン・タンク、原油タンク等が次々に爆発炎上し、付近の住宅街に燃え移りまして相当多数の家屋を類焼したわけでございますが、現在までの調査は、新潟東警察署に災害調査班を置きまして、消防関係と共同してその出火の状況について調査いたしておるところでございます。ただいま申されましたように、影響するところが非常に大きいので、慎重に調査を進めておりますが、出火した場所、それからその場所においてどういうふうな原因で出火したかということにつきまして、関係者多数、現在までに約百名前後の関係者からいろいろ事情を調査し、現場の状況を見聞いたしたりしておりますが、現在の時点におきましてはなお物的なものその他資料を検討中であり、いままでの調査した結果から直ちに、出火場所あるいは原因についてこうであるという結論が出せる段階までいっておりません。しかしながら、なお調査を続行中でございまして、若干の時間が経過しておりますけれども、将来におきましてはっきりさせるように現在努力中でございます。
  244. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 通産省並びに消防庁からの答弁がある前に、ちょっと警察庁のほうに、いま御答弁のあった問題についてお尋ねしますが、実は七月十日に政府にわが党から申し入れをしたのは、昭和石油及び三菱金属、これらの焼けた工場のあと地を、どのような残骸が残っておったか、私現地を承知いたしませんが、ブルドーザー等が入って地ならしをして、そのような火災原因の究明の資料がなくなるであろうと地方民が思うような行動を工場がやっておる、これでは火災の原因をはっきりさせるのに非常に困るので、至急に政府に対して申し入れをして、こういうことをとめてそして調査をしてもらわなければならぬ、こういう考えから、急いで政府に申し入れをしたようなわけでございます。  そこで、新潟東警察署が中心となってこの事情を調査するにあたって、この火災発生地域にブルドーザーが入ったり、取り片づけをしたり、そのために火災原因を究明する資料が失われなかったかどうか、そのために捜査上非常に困難を来たしているのではないか、その点について事情を御答弁願いたいと思う。
  245. 関根広文

    ○関根説明員 新潟東警察署あるいは県本部におきましては、事件発生後直ちに調査を始め、七月初めからは増強して調査班を編成して調査しておりまして、現在までのところ、さらに専門的な見地から、科学警察研究所の係官も新潟県警の要請によりまして現地派遣し、現在科学警察研究所を含めまして共同の調査をやっておる段階でございまして、ただいま御指摘のようなことによって調査に支障があったというふうなことは聞いておらないのでございます。
  246. 伊規須徳博

    ○伊規須説明員 消防の立場からお答えをいたします。  御指摘になりました昭和石油と三菱金属の境界付近と思われるところから出火した火災につきましては、先ほど警察庁からも御答弁ございましたように、消防としましては、警察と一体となりまして現在調査を進めておるような段階でございますが、特に現地の新潟消防署を督励いたしまして、早急にその結論を出すようにということを再々勧告いたしております。ただ、消防といたしましては、御指摘のいまの出火の原因だけでございませんで、ほかに、最初に地震の直後に出ましたタンクの火災の原因自体も科学的にあわせて究明したいというところから、現地の新潟消防署の要請に基づきまして、消防庁といたしまして、消防庁の技術者、それから消防研究所の専門的な技術者をもって班を編成いたしまして、現地の新潟消防署とさらに力を合わせて現在調査を進めておるような段階でございます。たいへん申しわけございませんが、非常に急がせて調査を進めておりますけれども、なかなか技術的に困難な、非常にむずかしい点もございまして、本日ただいまのところ、はっきりした結論を申し上げる段階にまで至っておりませんが、できるだけ早く結論を出すようにということで進めておるような状況でございます。
  247. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 この新潟地震の三、四日あとでしたと思いますが、私は、消防研究所の職員二、三人に来ていただきまして、この火災の問題をお聞きした。そのときに、消防研究所の高級の技術職員は、この五時間後に別に発生した火災のことを知らなかったようである。地震直後に発生した火災そのものがずっと延焼していった、こういうように単純に見ていたようでありますが、このような火災の現実の状況を、消防庁は、新潟、東京と離れてはおりますけれども、十分に把握できないのかどうか、これは消防組織法なり消防法なりに欠陥があるのではないかという疑いがあるわけでございます。消防庁は消防に関する総元締めとしての名称を備えてはおりますけれども、一体、実際どういう消防との連絡があるのか、法律上は、消防庁は消防職員の訓練をやったり、あるいは技術指導をやったり、あるいは消防に関する計画を立てたり、そういう教育訓練や、あるいは計画の樹立というようなことは書いてあるが、現実の消防業務に関して地方の消防機関とどのような連携ができ、どのように適切な指導ができるような組織になっているのか、その点お尋ねしたい。消防庁当局として、現行の消防に関する組織法なりあるいは業務行動上支障はないのかどうか、そういう点に欠陥があるがゆえにこういう場合に戸惑いしてしまうのではないか、火災が地震直後に発生したもの、それとは五、六時間も離れて発生したもの、これは消防上非常に重大な問題であるが、消防研究所という消防庁の大切な科学技術機関が、数日たってこれを承知しないでおったということになったら、これは重大問題であると思う。一体これはいかなる事情に基づくか、お答えを願いたい。
  248. 伊規須徳博

    ○伊規須説明員 消防研究所の職員のうちで、ある人が、五、六時間後に出た火災のことについて、先生がお尋ねになったその時期に知らなかったということでございますと、これはまことに申しわけないことでございますが、しかし、消防庁自体としてはその事情は知っておったわけでございます。ただ、あの新潟の災害が起こりました直後は、御承知のとおり、いろいろな通信機関なども必ずしも十分に通じませんでしたので、その点は、当日なりあるいは翌日、あるいは翌々日までくらいは、十分なる連絡あるいは情報を受けるという事態は必ずしも十分でなかったかと反省するわけでございますが、一般的に組織法の関係から、市町村の消防が消防庁に対してそうした消防情報報告するということは、消防組織法の二十二条で、消防の責任者であります市町村長が、知事を通じて消防庁に報告をしなければならないというような体制になっておりますので、一応体系的にはそういう状態になっておりますが、実際の通信機関とかあるいは報告の迅速的な処理の問題とか、そういう問題については十分検討をしなければならない問題があると考えております。
  249. 斉藤英雄

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  私どもは、新潟の地震に伴いますいろいろの災害に関しまして、直接の火災原因、消火設備等につきましては、第一義的には、ただいま御答弁がありました消防庁なり、あるいは警察のほうの関係であろうかと存じますが、われわれといたしましては、産業災害の観点からやはりわれわれとして考えなければいけないことがあるんじゃないかというふうに考えております。したがいまして、石油の関係につきましては、私ども保安対策会議という研究の会議体をつくりまして、そこに大学の教授その他学識経験の方、あるいは関係の官庁の方等のお知恵も拝借いたしまして、現在、工場の配置の問題あるいは設備の耐震構造の問題、あるいは消火の設備の問題ないしは火災の原因等を調査検討いたしておる段階でございます。なお、先ほどお話がございました昭和石油の旧工場の火災の問題でございますが、私ども現地調査団派遣いたしましていろいろ調査も数次行なっておりますが、その結果は、現在のところ、それぞれの分科会で検討をいたしております段階でございまして、まだ確たる結論が出ていない非常に遺憾な状態になっております。この点につきましては、われわれも早急に検討を進めまして、できるだけ近い機会に結果を得たい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  250. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 もし、民家が焼けた火災の原因が、昭和石油もしくは三菱金属の業務上の失火もしくは重過失に基づくものだとすれば、これは地震を直接とする火災ではありませんので、火災保険会社は加入者に保険金を支払わなければならない、こういう問題が起こってくると私は考えるのだが、大蔵省ではどのような御見解であるか、承りたいと思う。
  251. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 ただいま仰せのように直接の原因でないという場合におきましても、火災保険約款の上におきましては、やはり地震が原因で起こった火災については、直接間接も問わず免責であるという規定が置いてございます。したがいまして、間接の場合でもやはり保険金を払わないということになろうかと思います。ただし、これは因果関係という、法律的に非常にむずかしい問題、それからその基礎に、事実の確認、認定の問題があるわけでございますので、その辺は、これまで各方面から御答弁がありました点がはっきりしてからということになろうかと思いますが、直接間接地震に基因するものは払わない、さようなことに相なっております。
  252. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 その昭和石油旧工場もしくは三菱金属のほうに五時間後に発生した火災が、あるいは昭和石油の新工場のほうの火が飛んできた、それに対する管理者としての当然の責務を果たさなかったために火災がそこに起こったというような場合、火そのものは、地震を直接原因とする火には違いないですね、ギリシャから持ってきたオリンピックの火のように。しかしながら、当然管理者としての注意をなすべきものを、たとえば、その災害の直後に全然放棄して、ふだんならば、地震も何もないときでも防火上の見張りをするなり、あるいは防火上の適宜の措置をするのは当然である、それを全部放棄して管理もしなかった、こういうことになった場合でも、それが間接の地震の火だから、こう言って逃げられるかどうか、これは最後は裁判所の判断になるわけでございますが、非常にデリケートなむずかしい問題、しかし、いま私が申し上げたような例になりますと、これは内容的に完全に失火なんです。たまたま、その火がどこからきたか、マッチの火だったら保険金は払わなければならぬ、遠くから飛んできたから払わなくていいということは、これはどうも正しい解釈でないと思う。これはなかなかデリケートなむずかしい、火災原因を十分究明したあとでないと、この判断は不可能でありますが、しかし、頭からもう直接間接すべてその保険金支払いに該当しない——私は保険約款の中の特約を見ておりません。戦争などの場合には法律に特に特約がなければ払わぬと書いてあるが、これは特約の中で書いておいて、その規定を私は一々見ておりませんが、もしそういうことになれば、ずいぶん大蔵省としては考慮の上、そういう保険会社にあまり有利な解釈を言ってもらっては困ると思う。いま私の申し上げたような例の場合は、当然の管理を怠って、どんな火であろうと出火するような状況を、業務上当然の管理者の注意を払わなかった、こういうような場合はどうですか、もう一ぺんお答えを願いたいと思う。
  253. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 ただいまお尋ねの点は、たいへんデリケートなむずかしい問題でございます。事実の認定の問題が非常に大きなウエートを占めると思いますが、これまでも判例がいろいろございます。たとえば、地震が起こってから二時間たったあとで火災が起こった、これは因果関係があるかないかという点で争われたこともございます。そういう判例によりますと、数時間たっても家の中で燃えておって、それが外形的に外へ火災であるということがわかるまでに数時間たつこともあり得る、したがって、時間がその程度たったから地震と関係がないとは言えないという判例もございますし、また逆の判例もあるようでございます。それぞれの場合によって違うだろうというふうに思います。  新潟の場合は、昭和石油から起こりました火災、これは地震に基づきます多発的な火災、あちこちに一度に起こってくるような火災ではございませんで、はっきりしたある場所からの延焼でございますけれども、やはり間接には地震に基因するものだというふうにいままで考えております。しかし、いろいろ事実の問題がございますので、この辺はなお私ども調べた上で十分検討してみたい、かように考えております。
  254. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 すでに新潟地震による火災発生後もう一カ月半以上になる。ところが、大きな火災の原因がはっきりわからないというのでははなはだ手落ちでございまして、各関係機関がこの五時間後に起こった火災の原因をすみやかに徹底的に究明して、政府は適当な処置をとられんことを要望いたしまして、質問を終わります。
  255. 中山榮一

    中山委員長 本日はこの程度にとどめこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会