運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-07-21 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月二十一日(火曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 中山 榮一君    理事 稻葉  修君 理事 小沢 辰男君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 稻村 隆一君       天野 光晴君    池田 清志君       加藤 精三君    坂田 英一君       壽原 正一君    高橋清一郎君       谷垣 專一君    藤井 勝志君       石田 宥全君    大原  亨君       小林  進君    千葉 七郎君       華山 親義君    松井  誠君       吉川 兼光君  委員外出席者         総理府事務官         (新潟地震非常         災害対策本部         員)      北川 博正君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 後藤 信義君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      森田  進君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部金融第一課         長)      中村 俊夫君         運輸事務官         (大臣官房開発         課長)     若尾  宏君         運輸事務官         (航空局監理部         飛行場課長)  梶原  清君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建設事務官         (住宅局住宅計         画課長)    角田 正経君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         日本電信電話公         社保全局長   鈴木 一松君     ————————————— 七月二十一日  委員仮谷忠男君、湊徹郎君、泊谷裕夫君、西宮  弘君及び竹谷源太郎辞任につき、その補欠と  して坂田英一君、加藤精三君、小林進君、大原  亨君及び吉川兼光君が議長指名委員選任  された。 同日  委員加藤精三君、坂田英一君、大原亨君、小林  進君及び吉川兼光辞任につき、その補欠とし  て湊徹郎君、仮谷忠男君、西宮弘君、泊谷裕夫  君及び竹谷源太郎君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  災害対策に関する件(新潟地震並びに昭和三十  九年七月山陰北陸豪雨による災害対策)      ————◇—————
  2. 中山榮一

    中山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  昭和三十九年七月山陰北陸豪雨による被害状況及び災害対策実施状況等について、関係当局より説明を求めます。警察庁後藤警備第二課長
  3. 後藤信義

    後藤説明員 御報告申し上げます。  山陰北陸地方は、この地方に停滞しておりました梅雨前線によりまして七月の六日から集中豪雨を降らしたのでございますが、七月の七日から九日にかけましての大雨は、新潟石川福井富山県各地方相当被害を出したのでございます。続きまして、十一日から十二日にかけましても同様にこの地方大雨を降らしたのでございます。それから十四日から十五日にかけまして集中豪雨があり、十六日に局地的集中豪雨がございまして、島根鳥取福井の各県下被害を出したのでございます。さらに、このような数回にわたります集中豪雨によりまして相当被害が発生し、さらに地面がしめっているところにもつてきまして、七月の十八日の早朝から十九日にかけまして局地的に集中豪雨がございました。その降雨量は、島根松江市におきまして三百七ミリ、鳥取米子市におきまして二百八十二ミリ、石川金沢市におきまして二百五十四ミリ、富山高岡市におきまして二百三十九ミリ、新潟長岡市におきまして百六ミリ、これはいずれも十八日から十九日にかけましての降雨量でございますが、これだけの降雨量を記録しておるのでございます。このために、島根県をはじめ各地に山くずれあるいはがけくずれ等のために家屋倒壊いたしまして、そのために多数の死傷者を出しており、また、河川堤防決壊あるいは増水はんらん等によりまして建物等相当被害を発生しておるのであります。  その被害状況は、お手元に差し上げました資料の最後の表についておるとおりでございます。ただ、この表のうち、島根県の分につきましては、けさ私どものほうに入りました情報によりまして訂正をさしていただきますが、島根県の人の被害のうち、死者が九十九名となっておりますのは、その後二名ふえまして百一名となりました。その内訳は、倒壊いたしました家屋下敷きになりました者、この倒壊家屋は主として山くずれ、がけくずれによります倒壊でございますが、その下敷きになりました者が九十八名でございます。それから家屋流失しまして、その流失しました家屋とともに溺死いたしました者が二名でございます。それから川に転落をいたしまして溺死した者が一名、合計いたしますと百一名になるわけであります。それから行くえ不明でございますが、表では十七名となっておりますが、その後十名結果が判明いたしまして、七名が現在のところ行くえ不明でございます。七名の内訳は、川に転落をして溺死したのではないかと思われる者が六名でございます。それから土砂等の下に埋没したのではないかと思われる者が一名でございます。合計しまして七名でございます。それから負傷者は、表では百八十九名になっておりますが、これは二十一名ふえまして二百十名となっております。その内訳は、家屋倒壊の際にその下敷きとなりまして負傷しました者が百八十三名、避難の際に負傷いたしたと思われる者が二十七名、合計いたしまして二百十名でございます。それから建物被害は表のとおりでございまして、島根県におきまして二百二十一戸、これが全壊でございます。それから半壊が二百五十九戸、流失いたしましたものが三十九戸でございます。それから床上浸水が四千五百九十四むね床下浸水が一万四千八百五十四むねでございます。その他、水田、畑等の冠水あるいは流失によります被害相当に出ておるのでございます。それから道路決壊、損失あるいは鉄道被害等も、それぞれこの表にございますような被害が出ておるのでございます。それから、鳥取県におきましては、死者が二名、負傷者が四名、全壊家屋が四むね等はじめといたしまして、床上浸水四百九十五むね床下浸水一万七百九十五むねを出しておるのでございます。石川県におきましては、死者が八名、負傷者が二十三名、その他建物損害等がございます。  それから富山県は、死者が四名、行くえ不明が一名でございます。愛知県は、死者が一名、負傷者が三名、岐阜県は、行くえ不明が一名、新潟県におきましては、死者が一名、負傷者が五名、それから静岡県は、行くえ不明が一名というような状況でございます。  おもな被害状況を申し上げますと、まず島根県下状況でございますが、これは山くずれ、がけくずれによりまして家屋倒壊し、その下敷きとなりまして、ただいま申し上げましたような被害死者が出ておりますことは、たいへん痛ましいことでございますが、これらの被害をはじめといたしまして、人的な被害先ほど申し上げたとおりでございます。これまたお手元資料にございますとおりでございます。それから次は、浸水湛水による被害でございますが、これは全県下にわたりまして河川増水し、はんらんをし、あるいは堤防決壊をするというようなことで、住家被害あるいは非住家被害が生じておるのでございますが、平田市は、伊野川をはじめ各河川はんらんをいたしまして、市内平田町を中心に、床上浸水千二百むねをはじめとして被害を出しております。それから大原加茂町でございますが、これは七月の十九日午前三時ごろ、赤川堤防決壊をいたしまして、床上浸水三百五十むねをはじめ、被害を出しております。松江市は、小河川はんらん及び排水溝はんらんによりまして床上浸水九百四十六むね被害を出しております。  鳥取県では、死者が二名出ておりますが、これはいずれも山くずれによるものでございます。浸水状況でございますが、まず、米子でございますが、米子市では、新加茂川をはじめ小河川はんらんをいたしまして、床上浸水三百七十九むね床下浸水六千二百八むね被害を出しております。それから倉吉市では、同様に小河川及び排水溝はんらんによりまして床上浸水三十むね床下浸水二千六百三十九むね被害を出しております。  次は石川県でございますが、石川県では死者が八名出ておりますが、これはがけくずれによりまして倒壊しました家屋下敷きになりまして死亡した者が三名、山くずれの下敷きになりました者が一名、それから河川転落をして溺死した者が四名でございます。浸水状況でございますが、金沢市では、浅野川堤防決壊と金腐川の増水はんらん、それから河北潟護岸溢水によりまして床上浸水七百五十四むね床下浸水四千二百六十八むね被害を出しております。河北郡津幡町の被害は、津幡川の増水はんらんによりまして、全町にわたりまして床上浸水五百むね床下浸水七百むね被害を出しております。  次は富山県でございます。これは死者が四名ございますが、がけくずれの家屋倒壊によります者が三名、溺死が一名でございます。行くえ不明の一名は、がけくずれによります行くえ不明でございます。次は浸水状況でございますが、婦負郡小杉町におきましては、下条川のはんらん溢水によりまして床上浸水六百六十三むね床下浸水三千二百二十五むね被害を出しております。高岡市では、千保川のはんらんによりまして床上浸水五百七十七むね床下浸水千四百三十一むね被害を出しております。  次は新潟県でございますが、死者が一名となっておりますが、これは土砂くずれにより倒壊しました家屋下敷きになったものでございます。負傷者五名も、同様に家屋倒壊によるものでございます。それから西頸城郡の能生町におきましては、木浦の新戸部落付近におきまして、山が長さ千メートル、幅二百メートルにわたりまして地すべりを起こし、住家むね、人の住んでおりません非住家十二むね倒壊をいたしております。それから浸水状況は、新潟市内におきまして、阿賀野川とそれから新潟港を結びます通船川の堤防決壊しましたために、藤見町を中心といたしまして床上浸水七十むね被害を出しております。  鉄道被害状況でございますが、山陰本線は、荒島——波根間におきまして上砂くずれのため不通となっております。木次線は、土砂くずれのため各地において分断されております。私鉄一畑電鉄では、やはり同様に土砂くずれによりまして不通となっております。それから新潟県下におきましては、信越線が米山−青海川間において土砂くずれのため不通となっておりましたが、これは昨日の夕刻開通いたしました。羽越線早川——桑川間が土砂くずれのため不通となっております。  次は道路被害状況でございますが、一級国道八号線は、石川県倶利伽羅峠で約五十メートルにわたりますがけくずれのため不通となり、さらに、新潟長岡——柏崎間でがけくずれのため被害を受けまして不通となっております。一級国道九号線は、鳥取県岩美郡岩見町の地内で冠水のため不通となっておりましたが、昨日の夕刻復旧いたしました。二級国道百十六号線は、新潟県三島郡出雲崎町地内でがけくずれのため不通となっております。  それからその他、田畑の冠水被害、山、がけくずれ、道路の損壊、橋梁流失等が多数出ておることは、先ほど申し上げたとおりでございます。  これからのものがおもなる被害でございますが、これらに対しまして、警察といたしましては、警察官を動員するほか、資材の応援も行ないまして、避難者の誘導あるいは負傷者救出等に当たりまして、災害警備を行なっておる状況でございます。
  4. 中山榮一

  5. 上田稔

    上田説明員 御報告申し上げます。  お手元に「七月七日——十九日の梅雨前線豪重による被害状況」というパンフレットを出しております。  七月七日、八日にかけまして、新潟県と福島県の境付近に非常に豪雨がございまして、これによりまして新潟県の刈谷田川また破間川が非常なはんらんを起こしました。また、引き続きまして九日から十日にかけまして、福井県、石川県に豪雨がございまして、石川県では、河北潟周辺津幡川だとか、あるいは金腐川というような川がはんらんをいたしまして、また福井県におきましては、九頭竜川が計画水位を突破いたしまして、また、浅水川、足羽川、こういうような川が随所はんらんをいたしまして、引き続きまして十一日から十二日、これはやはり北陸をこの梅雨前線が去りやらず、百ミリ以上の雨を降らしておりますが、また十四日、十五日にかけましては、少し北に移っておるようでもございますが、やはり北陸地方には降雨が続いておりまして、このために一番大きな被害を生じましたのは、富山県の氷見市でございますが、ここに胡桃川という川がございますが、その川の上流のほう、ちょうど石川県の境を少し入ったところ、そこにおきまして大きな胡桃地すべりを生じました。大体大きさは百町歩ぐらいでございますが、人家が七十二戸ばかり被害を受けました。これは非常に大きな地すべりでございまして、胡桃川を約二千メートルばかり埋めてしまいました。そしてまた、その支川の東川という川がございますが、これも二千メートルばかり埋めております。こういう大きな地すべりが起こりました。幸いにして、これはたしか十三時ごろ起こったので、人は全部避難をしていただくことができました。  それから最近にまた、十七日から十九日にかけまして、今度は鳥取島根方面、また石川方面、それから一部は新潟付近というふうに、随所に雨が降りまして、しかも一番ひどうございましたのが、先ほど報告がありました島根県でございますが、この島根県では、山に雨が降りませずに、一番山の奥ではなくて、山と海とのちょうど中間から海にかけての部分、こういう部分が非常に雨が多かったわけでございます。時間的には一番ひどいのは七八・五ミリという、一時間雨量としては非常な豪雨でございまして、雷鳴を伴ってきた雨でございます。これによりまして、直轄のような大きな河川はんらんはしておりませんが、小河川と中河川、こういう川が随所はんらんをしたわけでございます。一番大きいのが、先ほどお話が出ました斐伊川の右支川赤川というところ、これが加茂町のところでございますが、この破堤が一番大きゅうございまして、ちょうど国道五十四号線の上流側において二カ所切れておりまして、これが加茂町を水につけたわけでございます。そのほか、中海に入っております意宇川がやはりはんらんをいたしております。そのほか、宍道湖が非常に大きな増水をいたしまして、平生は三十センチから五十センチぐらいの水位のものが、一メートル八十センチにまで水位が及びまして、それによってまた大きな被害を生じたわけで、周辺の市町村を埋めました。  また石川県では、例の河北潟が再び水につかりました。また、金沢市が非常に大きな水害を受けることになりました。  それから新潟県では、一度復旧いたしました仮締め切りがところどころまたこわれまして、はんらんをいたしました。  こういうふうに、今度の災害といいますか、水は、一つの特徴がありまして、北陸沿線山陰は、いままでは梅雨前線がほとんど停滞しない、停滞をしてもほんのわずかであって、去っていったというのが例年の例でございました。したがいまして、この不連続線による豪雨というものに川そのものもなれておらない、地形そのものもなじんでおらないというころに、ことしの雨がきたわけでございます。そして先ほど島根お話でございますと、年間の三分の一と言っておられましたが、そのとおりでございまして、川が非常に小さかった、そこへそういう大きな雨がさたものでありますから、はんらんを起こした。ただし、大きな河川になると、局部的に雨が降るものでございますから、それを集めてまいりましても、そのわりあいに大きな被害がなかった。それから土砂くずれが非常に多いというお話がございましたが、これもその地形と土質が、不連続線のような豪雨を十分に受け入れましたときに、非常にいままでと違った、すべりやすい状態になってしまった、こういうことによって大きな地すべりが各所に生じてきたというのではなかろうか、こういう特徴を持っております。  それによりまして、被害総額は、この梅雨前線によるものは現在約百九十四億でございますが、これはまだまだふえることになると思います。たとえば島根県の赤川などはまだその応急復旧をいたしておるところでございまして、十分に調査ができておりませんので、まだふえる状態にございます。  まず直轄河川から申しますと、直轄河川は、最上川、九頭龍川、信濃川等十三河川でございまして、また国道被害は、八号線、九号線等四路線が被害を受けまして、総額は十二億六千万円の被害を生じております。補助災害といたしましては、新潟県、富山県、石川県、福井県、島根県等、二十三県に及んでおりまして、その被害金額は百八十一億五千四百万円ということに現在なっております。最も被害の大きゅうございましたのは、新潟県の五十七億円で、それから石川県の二十六億円、福井県の二十五億円というのがそれに続いております。こういうふうに被害が出ておりまして、合計で約百九十四億円に至るわけでございます。  これに対しまして、建設省といたしましては、被害激甚新潟県、福井県、石川県、富山県、島根県に対して、さっそく、被害報告がありますと同時に災害査定官、あるいは地すべりに対しましては砂防課長また土木研究所専門官を派遣いたしまして、その状況調査をいたすと同時に、復旧工法指導に当たらせました。そういうことで、現在もまだ島根県には査定官が行って指導中でございます。  島根県の例の赤川でございますが、赤川のところは、先ほどお話がございましたように、軒のひさしまで水につかっておったという状況でございましたが、これに対しましては、土のうでさっそく応急復旧を指示いたしておったのでございますが、現地からの報告によりますと、四万俵の俵が要るということで、そのうち二万俵くらいは地元で何とかなるけれども、あとの二万俵が困るというので、県の土木のほうで県の西部のほうから一万三千俵は何とかするが、あとの七千俵はどうすることもできないというようなお話がございまして、隣の県の広島から国道五十四号線を直しつつ現場へ運んで、現在まだ応急復旧中でございます。すぐ応急復旧できると思っておったのでございますが、国道が思うように通れませんで、途中崩壊がまた起こったりいたしまして、非常におくれているような状態でございます。幸い、雨のほうがいまやんでおりまして少し水が引いてまいりましたので、応急復旧はもうすぐできることになっております。  それから石川県の例の河北潟周辺でございますが、これも金沢市内に流れております浅野川が四カ所ばかり切れましたが、またここに犀川という川がございますが、それの支川の伏見川も三カ所切れました。また金腐川、森下川、これが一カ所ずつ切れておりましたが、これの応急復旧は十九日の夕刻に全部完了いたしました。  それから緊急を要する個所につきましては、県の準備完了と同時に緊急査定を現在実施をいたしております。新潟県は今日たしか——これは地震災害に対する緊急査定は終わりました。そのほか、地すべりにつきましては、非常にこの対策がむずかしゅうございますが、緊急にこれを実施いたしませんと、また川の中に流出いたしました土砂が下流に対して大きな被害を及ぼすことになりますので、早急にこれを実施すべく、現在調査をいたし、また計画をいたしております。砂防堰堤個所を二カ所くらいつくりたいというふうに考えて、胡桃町のところは現在当たっております。  一級国道交通不能個所につきましては、これも早急に措置すべく現在応急復旧をやっておりますが、大体開通は二十二日ごろまでかかるのじゃないかと思いますが、二十二、三日ごろまでかかりまして大体復旧を終わりたい、こういうことで鋭意実施中でございます。  住宅に対しましては、住宅金融公庫から災害復興住宅貸し付け金を出しまして、復旧に当たっていただくようにいたしたい、こういうことで現在対策をやっております。  以上、非常に災害が大きゅうございまして、多くの方々に非常な御迷惑をおかけしておることに対しまして深くおわびを申し上げて、報告を終わります。
  6. 中山榮一

  7. 若尾宏

    若尾説明員 運輸省関係の各輸送機関被害状況並びに復旧措置につきまして概要を御説明申し上げます。  最初に、国鉄関係被害につきましては、山陰地方中心といたしまして、非常に甚大な被害を受けまして、二十日十五時現在不通区間となっておりますのは、山陰線木次線信越線羽越線会津線の五線区二十二カ所となっております。特に中心となります山陰線木次線につきましては、土砂崩壊、線路の浸水、道床の流失というような事故によりまして分断されて、甚大な被害をこうむっておるわけでございます。  国鉄につきましては、区間といたしましては先ほど警察庁のほうから話がございましたけれども、米子の西に荒島というところがございますが、それから松江出雲市を中に入れまして、石見大田の東に波根というところがございますが、この区間山陰線、それから木次線につきましては、宍道から日登、この区間にわたって不通となったわけでございます。  次に私鉄につきましては、山陰北陸地方私鉄六社が、土砂崩壊等被害によりまして不通になりましたが、現在では、鳥取県の日ノ丸自動車私鉄沿線並びに島根県の一畑電鉄及び石川県の北陸鉄道の各線区不通となっております。  次にバス運行状況につきましては、道路破損等によりまして——松江市内バスを運行しておるようでございますが、出雲市内並びに山間部郊外線につきましては、ほとんど運休いたしておるという状況でございます。  さらに港湾につきましては、これは若干の被害でございますけれども、富山伏木港等五港につきまして、護岸決壊などによりまして被害を生じておるという状況でございます。  次に、輸送機関復旧措置状況について申し上げますと、国鉄では、災害発生と同時に、被害個所早期復旧ということに全力を傾けまして、いまなお努力をいたしておるわけでございますが、十九日中に七尾線、信越線山陰線荒島以東、それから二十日になりまして山陰線波根以西がそれぞれ開通いたしました。先ほどお話をいたしました中心になります山陰線荒島出雲市間、この区間につきましても、本日開通見込みでございましたが、鋭意復旧につとめました結果昨日中に開通をいたしたという報告を受けております。あと残りました出雲—波根間につきましては、二十七日開通できる見込み復旧につとめておるわけでございます。その他の線につきましては、木次線は三十日開通見込みでございます。また羽越線会津線につきましては、目下被害について詳細調査中でございますが、羽越線については不明、それから会津線については二十三日中に開通見込みでございます。これに伴いまして、国鉄では、被災地向けに旅客のための迂回臨時列車の運転を行なっておりますし、また、山陰線の一部駅構内の土砂崩壊につきましては、岡山から自衛隊の出動を要請いたしまして復旧作業を進めておるという状況でございます。  次に、私鉄災害を受けました各社につきましては、北陸の四社の不通線区が十八、十九日に開通いたしておりますが、鳥取県日ノ丸自動車の沿線は、二十四日ごろ開通見込みでございます。また、島根県の一畑電鉄復旧につきましては、これは約一カ月かかる見込みという報告を受けております。  次に、海上保安庁関係といたしましては、災害発生と同時に巡視船及び巡視艇の出動を求めまして、島根県の要請によりまして、巡視船携帯のゴムボートを大社で県に貸与したほか、北陸では、列車不通区間において、巡視艇によりまして十八、十九日にわたって直江津——柏崎間等に三回にわたって人員五十一名を海上輸送しておるという措置をいたしております。  以上、大体被害状況並びに経過措置につきましての概要を御説明申し上げました。
  8. 中山榮一

    中山委員長 電電公社鈴木保全局長。
  9. 鈴木一松

    ○鈴木説明員 山陰北陸地方豪雨によります災害並びに復旧概要について御報告申し上げます。  今回の集中豪雨によりまして、島根鳥取両県と、それから福井石川富山三県の電通施設に被害が発生しました。このうち特に被害の大きかった島根電気通信部に非常対策本部を、それから中国電気通信局、鳥取電気通信部に情報連絡室を設けまして、被害状況の把握、応急対策を行なわしております。  現在判明しました山陰地方の両県におきまする障害の状況応急復旧状況は次のとおりでございます。  まず、山陰地方の障害状況でございますが、市内電話は、島根県におきましては、松江中心としました十二局が被害が大きゅうございます。島根は、米子中心としました五局でございまして、両県の電話加入者五万一千名のうち、約三・五%の千八百回線が不通となりました。それから市外電話回線につきましては、島根鳥取両県の二千三百回線に対しまして、二百六十回線不通となりました。なお、島根県につきましては、加茂局を中心といたしました十局が通話ができないようになりました。それから米子電話局の電力室が約三十五センチ浸水しましたが、松江からポンプ車を応援する等いたしまして、給電停止には至りませんでございました。  その他、職員及び家族の被害といたしましては、負傷者が一名、家屋流失、水没が五戸、全半壊が四戸、浸水が二百七十五戸の被害が出ております。  応急復旧状況といたしましては、市内電話は、先ほど申し上げました千八百障害のうち千七十回線復申しまして、あと七百三十回線残っております。市外電話関係といたしましては、二百六十回線障害のうち九十回線復旧いたしまして、百七十回線残っております。  山陰地方被害につきましては、加入者の家屋倒壊流失等のものを除きまして、明日の七月二十二日までには大体復旧を終わる予定でございます。それから先ほど申し上げました加茂中心とした十局の不通地帯も、けさほどの情報によりますと、稗原、上津を除きまして、全部開通いたしました。  山陰地方応急復旧費につきましては、現在調査中でございますが、大体五千万円程度という見込みであります。  それから次に北陸地方でございますが、北陸地方市内電話の障害は、富山高岡津幡中心といたしまして、二千七十七回線障害になりましたが、すでに千五百四十八回線を復旧いたしまして、残りは明七月二十二日までに復旧する見込みでございます。市外電話回線につきましては、百四回線障害になりましたが、これは昨日の九時全部復旧いたしました。電信回線は十八回線障害になりましたが、これも昨日の九時復旧を終わりました。北陸地方復旧費は約七百万円という程度でございまして、通信の被害といたしましては、おおむね明日をもって完了する予定になっております。
  10. 中山榮一

    中山委員長 これにて関係当局からの説明は終わりました。     —————————————
  11. 中山榮一

    中山委員長 引き続き、災害対策に関し質疑の申し出がありますので、これを許します。松井誠君。
  12. 松井誠

    ○松井(誠)委員 最初に防災会議の方にお尋ねをいたしたいのでありますけれども、この前激甚法の改正ないし運用のことについてお尋ねをいたしましたが、それに関連をするわけでありますけれども、今度のこの七月七日から始まった豪雨、これを激甚災害として指定をされるのかどうか、その辺のことを最初にお伺いいたしたい。
  13. 北川博正

    ○北川説明員 このたびの豪雨によります災害につきましては、現在まだ各省から十分被害額等の資料が出ておりません。調査中でございますので、その資料を待って早急に検討いたしたいと思っております。
  14. 松井誠

    ○松井(誠)委員 先ほどの御報告にもありましたけれども、このたびの豪雨が七日から始まって、途中ちょっとすき間がありましたけれども、また十九日ごろに最高潮に達した、これを一連の豪雨としてお考えになるのか、あるいは何か途中で切って、一つ一つ分けてお考えになる予定なのか、そのお考えの基本的な方針というものをお伺いしたい。
  15. 北川博正

    ○北川説明員 今回の七月におきます——大体二回に分かれると考えるのですが、これによります集中豪雨につきましては、その気象現象等を十分判断して考慮したいと思っております。同一の低気圧の関係——低気圧はそれぞれ違うのではないかというようなこともございますが、気象庁等からよくその辺の事情を伺いまして判断いたしたいと思います。御承知のように、従来、激甚災害として指定される災害は、一災害ごとでございます。台風あるいは豪雨、それぞれ別に異なった災害としてとりますし、また、それぞれの集中豪雨については、それぞれの災害としてこれを従来取り扱っておるわけでございます。
  16. 松井誠

    ○松井(誠)委員 一つの災害とは何かという範囲をおきめになるのに、いまのお話では、何か自然科学的な観点からだけか、あるいはそれを一つの重要な要素とするという意味だけなのか、わかりませんけれども、そういうことをいまお述べになったようでありますが、しかし、一つの災害かどうかということは、むしろ社会的な観点から、自然科学的にどうであれ、それが現実に社会的にこれは一つと見るべきであるかどうかという観点からお考えになるのがほんとうではないか。一体なぜ自然科学的な観点から、激甚であり、一つの災害であるかどうかということを判断しなければならぬか。そういう根拠は何もないのじゃないか。むしろ、これは激甚法というものの本来の精神からいえば、やはり継続的な、あるいは少なくとも社会常識としてこれが一つの災害だと見るかどうかということに判断の重点を置くべきではないか、このように考えるのですけれども、いまの自然科学、気象条件やいろいろなことを勘案してと言いましたけれども、それは単に一つかどうかという判断をする一つの材料にすぎないというふうに解釈すべきなのかどうか、その辺をあらためてお伺いしたい。
  17. 北川博正

    ○北川説明員 その点につきましては、従来、自然科学的見地から災害を  とらえておるわけでございます。
  18. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私はそれは根本的に間違いだと思うのです。つまり、これを財政的にどう措置するかという、そういう観点から問題を考えるべきでああって、自然科学的にこれが一つの災害であるかどうかということを基準にすることはナンセンスだ。しかし、もっと根本的にいえば、この前もお伺いをしましたように、激甚災害にはならないという程度の災害が何回か連続して続く、そしてそれを合計すれば一つの激甚災害よりも多い、その場合に激甚災害法の適用がないという現在のこの法律そのものの仕組みの問題だと思うのです。それで、この前の話のむし返しになりますけれども、この激甚災害というのは、地方公共団体なりあるいは被害者なりが激甚な被害を受けた、だから高率の補助をするということにこの法律の趣旨があるとすれば、一体激甚であるかどうかというのは、だれに対して激甚なのか、地方公共団体や被害者に対して激甚だということだけで、この条件だけでもう必要にして十分な条件だと思う。ところが、この法律は、それにプラス、国民経済に重大な影響を及ぼすという、よけいな条件を一つくっつけておる。これは理屈にも合わないし、実際の運用を考えてみても、いま言ったように、たとえば今度の雨、これはもう当然一つの激甚災害として扱うべきものだ、そういうわれわれの常識からいえば、自然科学的にはあるいは別かもしれぬ、しかし、そういう形でぶった切られて、一つ一つの通常災害だということになるのでは、非常におかしいと思う。国民経済に云々という条件を、私はやはりこれは一種のアクセサリー的なものに考えて、そしてその条文の適用基準というものを一ぺん改める。それで現在の法律の運用によってもそれは不可能ではない。そういうことで当面この法律の不備というものを補って、本来的な改正というものに備えるという、そういう心がまえがどうしても必要だと私は思う。こう間断なく災害が続いてくる、それを一つ一つ判断して、それを激甚かどうかということを考えること自体が私はナンセンスだと思う。合計をして、公共団体なり被害者なりにどれだけの影響があったかということを考えれば足りるのじゃないか。少なくともそういう行政的な措置というものをおとりになる、この際そういう勇断はございませんか。
  19. 北川博正

    ○北川説明員 災害のことでございますが、法律上、災害とは被害をいいまして、要するに、異常な天然現象に基づきます被害が大きければ激甚法を適用するということでございまして、ただその災害の形が自然科学的に大きいから適用するというのではなくて、それによってこうむった被害が大きければ適用するということでございます。ただ、ものの考え方は、もちろん、国民経済的に重大な影響があり、かつ地方公共団体の負担が非常に苦しくなると特に認められる場合にこれを適用するということでございまして、その支点はあくまでも受けた被害の額でもって判断するわけでございます。そういう意味で社会的な考慮というものは当然加えられている。それで、一般的にこういった激甚法の適用がない場合には、それぞれの母法、公共土木施設国庫負担法とか農地、農業用施設の暫定法でそれぞれ救われておりますし、あるいは地方財政の面から特交によってこれをカバーしているというのが現状でございます。
  20. 松井誠

    ○松井(誠)委員 これはまたいずれお伺いをいたしますので、繰り返しませんけれども、いまの御答弁は全然御答弁になっていないと思うのです。つまり、だれに対して激甚かということをきめるときに、国民経済的な観点から激甚だという条件が一体なぜ必要なのか。そういうものは全然必要じゃなくて、その補助を受ける公共団体なり被災者にとって激甚であるかどうかということが、必要で十分な条件ではないか。繰り返しますけれども、私はそれだけでいいと思う。これはまたいずれ機会があると思いますので、その程度にいたします。  これは防災会議にお聞きするのがほんとうか、あるいは災害対策本部というものはまだあるだろうと思いますけれども、その新潟地震災害対策本部の方にお伺いをいたしたいのであります。  現実の問題として、あとでお伺いをしますけれども、たとえば飛行場から阿賀野川へ元来出すべき水、湛水をしておる、それの排水を一体どこでやるべきかという問題が必ずしもはっきりしない。あるいは阿賀野川と信濃川を結ぶ通船川という川があるわけですが、その通船川の堤防決壊によって両岸の人家や農地にはんらんをした。そのときに、一体どこが主体になってやるべきかということについて、たとえば土地改良区がやるのか、あるいは県がやるのかということで非常に紛争が起きて、土地改良区の千人という数の人たちが県庁へ押しかけて談判をした。そこで、それでは県がやりましょうということになったという経過がある。こういうように、いままで災害の場合に、非常に無統制で、調整がない、そういうことの弊害があるからいけないということで、私は災害対策基本法というものをつくったはずだと思う。ところが、その災害対策基本法というものがあるにもかかわらず、実際の現場ではそういう混乱が起きておる。これは一体どこに原因があるのか。
  21. 北川博正

    ○北川説明員 実はこれは災害対策本部員としてお答えすることではないと思いますが、要するに、政府の組織的な機能が十分発揮されておらぬ、特に災害についてそういうあれができておらぬという意味で、総理府といいますか、内閣といいますか、そういう立場から御答弁申し上げますが、実はそういう問題につきましてはただいま先生からお伺いしたわけでございますが、各省間の調整が非常にとれてないじゃないかということについて、まさに災害対策基本法は、そういう災害がございますと、もちろん中央防災会議なりあるいは内閣なりに話がくるはずのものでございまして、その話を受けまして調整問題を内閣において処理するというのが現在の体系でございますが、いま伺ったお話についてはまだわれわれのほうでは伺っておりませんので、十分調査させていただきたいと思います。
  22. 松井誠

    ○松井(誠)委員 この通船川の問題は、実は終わった問題のようであってまだあとを引いておる問題です。この通船川のはんらんが起きたときに、本格的に自衛隊を入れるなり何なりして堤防決壊個所についての応急修理をきちんとやっておけば、その後の浸水あるいは湛水ということはなかっただろうと思う。ところが、これは亀田郷土地改良区という、土地改良区としては非常に大きな規模の土地改良区がある。その農地はその一部に入っておるというようなこともあって、土地改良区にやれというような話がある。土地改良区としてはとうてい能力に余るからそういうことはできない。いろいろもたもたしておるうちにだんだん被害がひどくなる。そこでたまりかねて県庁に、あれは千人くらいでしたか、押し寄せたわけです。それで県でやるということになって、どうにかそのとき以来小康を保っておったのですけれども、この間の雨で先ほど報告がありましたようにまたくずれた。これもやはりそういう最初の総合的な調整というものができなかった一つの被害だと思う。飛行場の浸水、飛行場からそれに続く部落の浸水に至っては、これはあとでお伺いをしますけれども、いまだに一体どこが主体になってやるべきものかということが必ずしもはっきりしないように聞いておる。まあ運輸省では責任の権限というものははっきりしないけれども、ともかく何とかしなければならぬだろうということで、ポンプを一つつけるということになったのですけれども、しかしそれでもまだ実は足りない。そこで、いまそこの部落の人たち——下山というのですけれども、そこの人たちは避難所に避難をしておるという、そういう状況なんです。これも排水の責任が一体どこにあるのかというもたもたが一つの原因をなしておると思う。こういうことについては、これは災害対策本部の現地の組織というものはもう引き揚げてしまいましたけれども、しかし、やはりそういう問題について、何か現地から報告がなければ私たちは知りませんということでは、まさに災害対策基本法というものの精神からいって、いかがなものであろうかと思うのです。ですから、これからでもよろしゅうございますけれども、そういう総合調整という、本来やるべき役割りというものをぜひ積極的に果たしてもらいたい。すわっておって、報告がないから初めて聞きましたということでは困ると思うのですよ。  そこで最後に、この前にお伺いをしましたけれども、新潟飛行場に関連をする問題について運輸省の方にお尋ねをいたしたいと思います。問題がずいぶんあるわけですが、一つの問題は、飛行場からくる水、それにその下山という部落に降った水、そういうものが集まって、いまの排水能力ではとても間に合わないので、その部落ではひどい浸水湛水が続いておる。そこで、当面の急は、その排水についてもっとひとつ努力をしてもらいたいということのお願いが一つであります。十四日の日から、とうとう部落の人たちはたまりかねて、飛行場から流れてくる水を自力で土のうを築いてせきとめた。そうすると当然飛行場が湛水をする。飛行場が使用不能になっても、もうわが身を守るためにはしかたがないという形で、その部落の人たちは広大な飛行場と部落との間に土のうを築いてしまった。そういう形で自己防衛をやっておるわけです。この排水というものはどこの責任なのか。飛行場から水が流れてくる、その流れてくる水は下山の根室という部落に集まってくる。その部落には農地もあれば宅地もある。この排水の責任は一体どこなのか。これがもたもたしておるということが、排水がおくれた一つの原因ではないかと思う。これは一体どなたにお聞きすればいいのかわかりませんが、こういう場合には、排水の集中的な機能を動かす最終の責任というものは一体どこにあるか。
  23. 梶原清

    ○梶原説明員 飛行場課長でございます。  先ほど御質問がございました下山部落の排水につきましては、御指摘のとおりに、現在のところどこが主体になってやるかということにつきましてははっきりいたしておりませんけれども、いままでの経緯から考えまして、一応下山部落にございます排水ポンプ所の管理は市当局がやってきておるいきさつでございます。そしてその経費の分担につきましては、維持費につきまして年間数十万円のものを運輸省が分担しておる、地元の農民のほうも若干負担しておる、こういうことでやってきておるわけでございます。今回地震によりましてあの地域一帯が沈下いたしまして、また排水系統が相当変わりましたために、下山部落のポンプ場に対する負担が非常に多くなっておるわけでございます。したがいまして、下山部落の湛水が非常に大きかったということは事実でございます。それで私ども運輸省は、地元の要請に基づきましてできるだけ早くあの地域の排水をしなければいけない、こういうことを考えまして、まず建設省の地建の御配慮とわれわれ運輸省の手配とによりまして、約二十基の小型の排水ポンプを取りつけておるわけでございます。しかしながら、阿賀野川の堤防のかさ上げ工事に伴いまして、そのポンプの排水能力がなかなか十分でない、こういうようなことに伴いまして、下山部落の浸水が非常に大きかったわけでございます。そこで私ども、だれが事業主体になって、またどのような費用の分担をするかは別といたしまして、応急的に飛行場排水並びに飛行場周辺の排水問題の対策を立てるために、現在五百ミリの大型のポンプを備えつけるために手配をいたしております。これがこの月末には取りつけ完了する見通しでございまして、現在の能力の倍以上になる、この見通しを立てておるわけでございます。一応そうした手配をしておいて、あとは、だれが事業主体になるか、そしてこの費用の分担をするか、これは追って関係機関と十分打ち合わせをしたい、かように考えておるわけでございます。一応の御答弁をさせていただきます。
  24. 松井誠

    ○松井(誠)委員 あなたも先日現地へ飛んでいかれたのですから、現地の状況はおわかりだと思うのですが、いまの排水の能力というものがそもそも足りないのじゃないか。いま、五百ミリというのですか、その規模のポンプを月末に取りつけても、そしてそれが全部二十本の既存のポンプと一緒にフルに動いても、本来のあの排水機場の能力からいえばまだ相当下回る。聞きますと、このこわれてしまった排水機場の復旧工事が始まるのは、堤防ができ上がってからでなければならぬということになると、八月の終りごろになるだろう。それからこのこわれた排水機場の修理にかかるということになると、それまでの間に、いまの少ない能力では、なかなか排水が困難ではないか。もう雨が降らないという保証があれば別ですけれども、何とも言えない。そういたしますと、いま一基つけていただいて、それはそれなりに確かにけっこうですけれども、それでもまだ十分だというようには言えないのじゃないか。先ほど申し上げましたように、飛行場との間に土のうを築いて、そしてとりあえず部落の水がいよいよ排水が可能だというめどがついたら、排水の能力に応じて飛行場から水を少しずつ入れてこよう、そういう形で自分の部落を守ろうとしているわけですから、それくらい非常にせっぱ詰まった形なんですから、この一基をどこで費用を負担されようと、ともかく少なくとも住民にしわ寄せがなければ、こっちはどっちでもいいわけですが、いままで一体どこへお願いしていったらいいのか、市へ行けば、市は、いや、建設省だ。建設省へ行けば、いや、おれのところじゃない、どこか土地改良区じゃないかと言う。いろいろなことでぐるぐる回る、こういうことも一つの原因だと思うのです。これからあと法制的にどこが本来の責任があるかということは別として、運輸省なら運輸省が全責任を持ってやるのだということがはっきりすれば、それはそれでいいと思う。そういうようにやっていただけますか。
  25. 梶原清

    ○梶原説明員 お答えをいたします。  先ほどお答えをいたしましたように、どこが事業主体になるかにつきましては、今後打ち合わせの上でなければわからないと思うわけでございます。本来あの下山ポンプ機場の排水にかかります地域は、空港用地が約半分から三分の一近く占めております。そのほか農業排水の関係があります。また、約四百戸ほどの住居の都市排水の問題があります。また大蔵省が所管されております普通財産の関係もあります。それから厚生省関係の日赤センターの関係もございます。そうしたことがふくそうしておるわけでございまして、だれがどういうふうにやるか、また事業主体になるか、それから費用の分担をどうするかは後刻きめればいいわけでございまして、とりあえず、だれがどいうふうな事業主体になろうとも、現在の緊迫した事態においてとらなければいけない措置をだれかがやらなければいけないではないか、こういうような考え方から、運輸省航空局が出向きまして、地元の地建なり市とよく連絡をとりました上で、五百ミリの排水ポンプを早急に取りつける、また排水路につきましても本格的な復旧をまずしなければいけない、こういうことで打ち合わせをして、現在注文をし、またそうした排水路の工事に着工しておるわけでございます。ただ遺憾なことに、十日間の時間がかかります。その間は、小さなポンプをあの沈砂地へ持っていきましてさらに増強するということが非常にむずかしい状態にあります。現在考えられます最善の策といたしまして、五百ミリのポンプを応急的に取りつける。非常に大きいポンプでございますが、それを架設工事をいたしまして取りつける。そうして、今度堤防がかさ上げになっておりますから、非常に揚程の大きいポンプを取りつける必要がございますので、現在あります三台の大型のポンプは使用不能になるのではないだろうか。したがいまして、先ほど問題になりました五百ミリのポンプの上へ持っていきましてなお数台のポンプを取りつけなければいけないのではないか。これは地元の市並びに地建があの地元の環境をよく検討されまして、この排水能力並びに排水ポンプ等の設計をしたい、かようにしてやろう、こういうふうにおっしゃっていただいておるわけでございます。  なお、飛行場に通じております二本の排水の暗渠があるわけでございますが、それが、先生御指摘にございましたように、地元民がそれを土のうで封鎖しておるわけでございます。それを徐々にでもあけて、その飛行場並びに飛行場の上手にございますところの田畑の湛水をできるだけ早く排水するように、こういうふうに私どもは期待しておるわけでございますが、それにしましても、そのために五百ミリの排水ポンプを早く取りつけたい、かように存じておる次第でございます。  なお、事業主体、費用分担につきましては、至急に地元並びに関係当局と打ち合わせをしたい、かように考えております。
  26. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私も、事業主体が何であるかというせんさくは、この際急を要する場合だけに、あと回しでけっこうだと思うのです。私が繰り返しお願いをしたいのは、そういう事業主体が何であるかというせんさくとは別に、ともかく運輸省なら運輸省が責任を持って現在の非常の事態というものを処理するという腹をきめていただけるかどうかということです。五百ミリのポンプを一基取りつけたから、これでもう能事終われりということではなしに、それで一体排水能力は十分かどうか、そういう検討を運輸省がひとつ中心になって責任を持ってやる。それは必ずしも事業主体になるという意味ではありません。しかし、われわれがどこへ行って何を言ったらいいのかという相手がなければ困るわけです。ですから、当面そういうことで運輸省がひとつ全体の責任を持ってやるという決意を表明していただきたいというのが、私の質問の要旨なんです。いまのお話のように、もう土のうを築いて自己防衛をする。そうしますと、飛行場の向こう側には実は自分らの畑が三十町歩ある、その三十町歩の畑というものが、どうしても飛行場でせきとめればだめになってしまう、そういうことで、自分自身が実は損をするにもかかわらず、背に腹はかえられないから、自分らの住宅やそのまわりを守るためにそういう非常手段をとる、それほどのいわばせっぱ詰まった状態ですから、この際、事業主体が何の、権限争いがどうのということは一切たな上げにして、ともかく運輸省なら運輸省、建設省なら建設省、どこでもいいですけれども、とにかくわれわれが折衝する相手というものをきちんときめていただきたい。それが運輸省であるというように了解をしていいかどうか、重ねてお伺いをしたいと思います。
  27. 梶原清

    ○梶原説明員 端的に申し上げれば、それは市当局でございます。なお、設計その他につきましては、先ほど申し上げましたように、市が中心になって、地建の協力を得まして設計等の配慮をする、こういうことに相なっております。
  28. 松井誠

    ○松井(誠)委員 現在まで排水機場の管理が市であったということから、このたびの排水の責任が市だというように、機械的に結論は出てこないと思う。ですから、いままでの管理の責任というものはどこかということとは別に、事業主体というものはきめなければならぬと私は思うのです。しかし、その問題とは別に、繰り返しますけれども、やはり運輸省がひとつ排水の責任を持とうという決意を表明してもらいたい。これは運輸省としては、飛行場からくる水が一つの責任だということもありますけれども、それだけでなしに、飛行場が湛水をすれば使用ができないという当面の目的もあるわけでしょう。ですから、ともかく飛行場を助けるためにだけを考えても、運輸省はもっと真剣にならなければならない。ですから、運輸省がこの際飛行場を守るというだけでなしに、まさに部落の水を一緒に守ってやろうという決意をとりあえず表明していただきたいと思う。それはできないことはないでしょう。現実にいままで飛行場のために部落の人たちがずいぶん迷惑を受けてきておるのですから。
  29. 梶原清

    ○梶原説明員 先ほど来申し上げておりますように、飛行場排水並びにその地区の排水につきまして、運輸省航空局といたしましてできるだけの努力をしておる、またわれわれなりの責任を感じて対策を立てておることは、先生御了承のとおりでございます。答弁をたびたび繰り返して恐縮でございますが、事業主体につきましては、今後打ち合わせての上、私どもも、やはり関係官庁がございますので、その関係機関と打ち合わせの上きめなければいけない、かように考えておるわけでございます。
  30. 松井誠

    ○松井(誠)委員 いま部落の人たちがこの浸水の結果大きな被害を受けたのは、飛行場のせいなんです。だから運輸省が責任を負えという形で補償の問題を持ち出そうとしてきておる、そのことが頭にあって、あるいは課長はだいぶ回りくどい答弁をされるのかもしれないが、私はそのこととは別だと言うのです。つまり、今度の浸水の法律的な責任がどこかという問題を離れて、当面ともかくどこでもいいから責任の中心というものが必要ではないか、そういう意味でお尋ねをするのです。いまのお話では必ずしもはっきりいたしません。しかし、そういう法律的な責任に何か問題をひっかけてものを言うというつもりは毛頭ございません。そういう意味ではないので、つまり法律的な責任の有無、あるいは元来になうべき行政官庁がどこであるかという問題を離れて、当面やはり一番身近に施設を持っておる運輸省というのがやるにも適当であるし、市といっても、いまそれだけの能力がないということになれば、現実に問題がそこへいったように、運輸省がやはり本腰に力を入れるということが自然の成り行きだし、そうしていただいてしかるべきだと思うのです。そういう趣旨でお尋ねをしておるのです。重ねてひとつお伺いをしたいと思います。
  31. 梶原清

    ○梶原説明員 たいへん恐縮でございますが、やはり窓口は市にいたしております。設計監理その他、市が中心になってやっておりまして、私どもそれを応援する、建設省もこれを応援していただく、かような仕組みに打ち合わせをいたしております。これは応急的にいろいろ対策を立てなければいけない現在の段階におきましての体制をそのように打ち合わせをしておるわけでございます。
  32. 松井誠

    ○松井(誠)委員 市が窓口になるのはそれはけっこうです。しかし、現実に力をかすのは、まさに力があるものでなければ力は出ないわけだ。その力のあるものはどこかというと、現在は残念ながら市ではない。ですから、窓口は市になるということは、それはけっこうですけれども、しかし実際の実質的な推進役というものにひとつ運輸省というものがなってしかるべきだ。それは現在までの経過からいってもそうなんだ。そのことをあらためて要望いたしておきます。  それから、この間もいろいろと申し上げましたけれども、いまこの部落の人たちは三十一戸日赤センターへ避難をしております。そうしてもうあそこには住めないからということで、集団移住の先を探しておる。その集団移住の先が、自分らが何年か前に買収をされた広大な飛行場がある、その飛行場が全部を使ってなくて、一部は公務員宿舎の予定地になっておる、一部は現実に応急仮設住宅が建っておる、一部は自分らのところから買い上げていったままの形でたんぼになって自分らがつくっておる、そういうところへ集団移住ができないか、それは当然の要求だと思います。そういうことについて、飛行場の拡張予定との関係があるので即答はいたしかねるというのが、この前の官房長の御答弁でしたけれども、その後、飛行場の拡張予定地との関係でこの地元の住民の願いがいれられるかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思う。
  33. 梶原清

    ○梶原説明員 お答えをいたします。  集団移住の問題につきましては、地元市、県が中心になられまして、関係機関と十分打ち合わせの上行なわれるものと思うわけでございますが、私ども運輸省航空局の立場からだけ申し上げますならば、先生御指摘になりました空港拡張問題がございます。そうした拡張問題と、それからそれに伴いまして、現在、航空局の用地並びにその周辺で、大蔵省の普通財産、われわれの行政財産等が若干交錯をいたしておりますので、そうした国有財産の統廃合を空港整備のときに同時に行ないたい、その際に検討を加えるものは加えたい、かように考えておるわけでございます。この集団移住の問題は地元の非常に切実な問題のようでございますが、前段で申し上げましたように、地元が中心になられまして関係機関と十分早急に適切に打ち合わせされることを期待いたしております。
  34. 松井誠

    ○松井(誠)委員 県や市にあっせんを依頼しておりますけれども、最近の回答では、国のほうで国有財産の払い下げ——私は返還ということばのほうが正しいかもしれぬと思いますが、そういうものはちょっと見込みがないという返事をもらって、県や市のあっせんにたよるということについては、いまのところ望み薄の形になっておる。いま申し上げましたように、公務員宿舎の予定地がある、現に公務員宿舎が一部分建っておる、あるいは応急仮設住宅が九十何戸、約百戸足らず建っておるところがある、あるいは買い上げをしてからもうかれこれ十年近く依然として農地になったままでもとの所有者が耕作しておるというところもある、そういうところへこの際行きたい。農地だけは手放すわけにはいかぬから、農地となるべく近いところに住宅を求めたい。その住宅を求めるわけですから、現在の住宅というものを、もし集団移住という可能性があれば、補修もほどほどにしておかなければならぬ。だから、その基本方針がきまらないと、現在まだ水の中にあるそのうちをどういう形で守るか、守らないでおくかという、その身の振り方もきまらない。ですから、いずれ国有財産の統廃合ができてからゆっくり考えますというようなことでは困るわけだ。それは役所としては一番都合のいい手順でしょうけれども、しかし、待っておる農民としてはとてもそういうゆうちょうなことではがまんできない。ですから、具体的にきちんとした場所がきまるのはまだ先のことにしても、大体拡張予定地はこうなんだ、およそそれに付属する敷地はこれくらいなんだ、だからおよそどれくらいの余裕ならばあるであろうという見当ぐらいは早急に立つのではないか、その辺のことはまだめどがついていませんか。
  35. 梶原清

    ○梶原説明員 先ほどの答弁で申し上げましたように、空港拡張の問題、国有財産統廃合のときにもちろん考えるわけでございますが、現在国有財産のうちで大蔵省の普通財産がございます。その一部を大蔵省から一時借用しておりますのを二カ年間の期限をつけまして返還をいたしまして、現在十六棟、九十八世帯の方が市の応急仮設住宅で建設しておる、こういうような状態でございます。あの地帯と、それから候補にあがっておりますと思われます地帯は、大蔵省の普通財産でございますこの公務員宿舎の隣の地帯だと思うわけでございますが、それは大蔵省でお考えいただくものと思います。また、先ほど御指摘ございました、農耕していただいておる土地がございます。これは十八、九年当時のころからのいきさつがございましてその地元民に農耕をしていただいているわけでございますが、そうした運輸省関係の土地につきまして、いま現在のところでそれは要らないから、すぐに集団移住の候補地としてあげて差しつかえない、こういうようなことをいま申し上げるのは、現在のところでは早いと考えるわけでございます。もう少し検討の時期を与えていただきたいと思います。
  36. 松井誠

    ○松井(誠)委員 いま応急仮設住宅が建っておるところは、大蔵省の普通財産の場所なんですね。それからその応急仮設住宅よりももっと阿賀野川寄りであいているところもある。これはいまのお話ですとどっちになるのかわかりませんが、たんぼをつくっておるというところは、これは運輸省の普通財産ですか。
  37. 梶原清

    ○梶原説明員 農耕地の大半は運輸省の行政財産でございます。一部、大蔵省の普通財産がございます。それで、その坪数等につきましては、現在のところ、つまびらかにいたしておりませんが、大半が運輸省の行政財産である、このように御承知願いたいと思います。
  38. 松井誠

    ○松井(誠)委員 飛行場の拡張予定というのは、おそらくいわゆるB滑走路といわれるものの延長だと思うのです。そうしますと、運輸省の行政財産になっておる農耕地というのはおそらく必要がないということは、常識的に私はおよその検討がつくのじゃないかと思うのです。ですから、大蔵省の普通財産のほうは普通財産のほうとしてまたお話を伺いますけれども、大体拡張予定というのはB滑走路の延長ということであるとすれば、そこからもっと遠く離れておる公務員宿舎の予定地あるいは応急仮設住宅の敷地、あるいは現在農耕地になっておる南側の部分、そういうものについてはおよそ可能性があるというように私は常識的に考えるのですけれども、運輸省として、そういう大体の見通しということさえもできないのですか。
  39. 梶原清

    ○梶原説明員 御指摘のとおりに、新潟空港の拡張はBランの延長を考えたい、かように考えております。それに伴いまして相当大型の飛行機が離発着するようになる。したがいまして、進入表面とか、それからその他いろいろの規制がございますので、いま直ちにどの地域までということは申し上げかねるわけでございます。
  40. 松井誠

    ○松井(誠)委員 拡張予定、それに伴う敷地の問題についておよそのめどをつけるのに一体どれくらいかかるのですか。いまのお話ですと、まるで何カ月もたってやっとおよそのめどがつくようなお話ですけれども、それでは集団移住民の要望にはとうていこたえられない。繰り返しますけれども、集団移住を余儀なくされる原因の一つ、しかも大きな原因の一つは、飛行場の存在、飛行場というものがなければ、おそらく畑からたんぼ、部落と、ずっと地続きになっておる背のそういう平和な農村というもの、それがあったはずだと思うのです。それが地盤沈下と飛行場の出現ということのために、自分の責任でなくてどこかへ行かなければならぬということになる、その一つの原因というものを運輸省がしょっておる、あるいはその一つの原因というものを地盤沈下をさせた国の政策というものがしょっておる。そういう意味で私は国が責任を持たなければならぬと思うのです。少なくとも道徳的な責任を持たなければならないと思うのです。そういうことを考えると、役所の都合からだけいえば、慎重を期して何カ月か先に結論を出すというのはいいでしょう。しかし、それはやはり困っておる国民の立場というものを考えない立場じゃないですか。ですから、早急に具体的におよその結論を出すのはいつごろだというめどをまずつけてもらいたいと思う。それは大体いつごろになりますか。
  41. 梶原清

    ○梶原説明員 できるだけ早い機会にそれを検討いたしまして関係機関と打ち合わせをしたい、かように考えております。
  42. 松井誠

    ○松井(誠)委員 関係機関と打ち合わせをしようと思っても、排水のことでみな頭が一ぱいで相談に乗ってくれないというような話を聞いたが、そんなばかな話はないと思う。水は水、集団移住は集団移住ですから、水のことで頭が一ぱいで相談に乗れないなんという話はない。ですから、水が引いてからゆっくり考えましょうということでなく、水があるからこそ集団移住というものもせっぱ詰まっているわけです。そういうことですから、なるべく早くということでなしに、地元の人の生活におよそのめどをつけさせる、大体いつごろになる、それならそれまでひとつ日赤センターでがまんしようという生活のめどをつけさせるために、およそいつごろということは言えませんか。
  43. 梶原清

    ○梶原説明員 現在のところ、いつまでというめどを申し上げることができませんので、できるだけ早く検討させていただくことにいたしたいと思います。
  44. 松井誠

    ○松井(誠)委員 あなたにこれ以上お尋ねしてもしょうがありませんけれども、現地の事情は十分御存じのはずなわけです。そして、雨がおさまるまではとても相談に乗ってくれないということでなしに、まさに水の責任は運輸省であり、集団移住も運輸省が当面の中心になるとすれば、そういうのんびりしたことでなく、各関係機関のしりをたたいてひとつなるべく早く結論を出していただきたい。それがどういう結論であるかということはまた別です。ともかく早急にあの人たちの生活のめどをつけるためには、それが必要なんです。私はきょうは補償の問題にはあえて触れませんけれども、何もかも含めて、一体運輸省がどういうふうにするかという態度が、三十一戸の部落のこれからの生活のめどをつける一番大きなきっかけになるわけですから、その点ひとつくれぐれも考慮をしていただいて、これからあと対処していただきたいと思う。  私の質問はこれで終わります。
  45. 中山榮一

    中山委員長 細田吉藏君。
  46. 細田吉藏

    ○細田委員 私は、去る十八日夜半から十九日にかけまして山陰及び北陸を襲いました集中豪雨災害につきまして質問をいたしたいと思います。  今回の集中豪雨災害で異常なることは、死者が非常にたくさん出たことでございます。島根県だけでも、先ほど陳情あるいは報告等があったと思いますが、百名以上の死者でございまして、山陰北陸を合わせますと、百数十名の死者並びに行くえ不明者を出しておるのであります。私、この機会に、おなくなりになりました方々に対しまして心から哀悼の誠をささげますと同時に、被災者の皆さまにお見舞いを申し上げたいと思います。  政府とされましても、さっそく山陰に吉武自治大臣、国家公安委員長、また、北陸のほうには小山建設大臣がお出かけになるそうでございまして、たいへん時宜を得た措置と思うのでありますが、私も実は昨日飛行機で島根県のほうに参りまして、ざっと見てまいりました。想像以上にはなはだしい被害でございます。ただ、まだ災害が起こりました直後でございまして、島根県だけでも、報告があったと思いますが、九十億ないしはそれをこえるような 害が、ただいま判明しただけでも出ておるわけでございますが、いずれにいたしましても、まだ起こったばかりでございまして、詳細は明らかでございません。また私ももっと詳しい調査をしてまいりたいと思いましたが、本日のこの委員会がございますために、主として航空機の上から実情は見てまいり、また、県庁または市町村の当局側からいろいろ事情を聴取して帰ったようなわけでございます。いずれ本委員会からも調査の御派遣等もお願いしなければならぬと思っております。本日は、さしあたって若干の当面の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。  そこで、質問に入ります前に、一体なぜこんなに人が死んだのだろうか、今回の災害の特異性というようなことを考えてみたのでございますが、いろいろな問題があるようでございまして、これはどこの省ということよりも、中央地方を通ずる政治、行政の問題としてよほど考えなければならぬ問題があるように感得してまいりました。気象通報の問題もございます。十八日の二十四時、十九日との境目ぐらいのところで、十八日の二十時以降でございましょうか、十八日の夜の大雨に対して、一度上がりました際に、気象庁から、一応山は過ぎたのじゃないか、ただこれからまだ降るかもしらぬというような、多少実際とは違った、やや安心させるような通報があったというようなことも、現地では問題になっております。しかし、その後、夜中になってさらに気象通報を出しておりますけれども、これが必ずしも聞かれておらない。山沿いの家で被害を受けられた方々は、寝てしまって情報が入らない、そのままがけくずれでどろにのまれる、こういったようなことになっておると思うのであります。きょうは気象庁の方はおいでになっておらぬようでありまして、またあらためてもう少し詳しく事情を調査してお尋ねしたいと思っておりますが、こういう問題、あるいはもっと本質的な問題があろうかと思うのであります。  それは、北陸も大体似たような状況かと思いますが、山陰島根鳥取、ことに今回被害を受けました鳥取県の出雲市、あるいは簸川郡あるいは大原郡といったような、死者の非常にたくさん出ましたところにおきましては、地質が非常に悪い。いわゆる第三紀層と申しますか、砂岩、礫岩、泥岩等で、非常に水を含んだ場合は脆弱になるという特殊な地帯でございます。この地帯であるにもかかわらず、何としても耕地が狭いというような関係から、山沿いに家を建てざるを得ない。古くから建っておりますが、また新しい住宅を建てるというような際にも、そういうところを切り開いて住宅をつくる。今回の雨は、松江市で二十四時間に三百九ミリというような豪雨でございますから、ほんとうに例を見ないような豪雨であるには違いございませんが、しかし、この程度に至らなくても、とにかく山くずれを誘発するおそれは多分にある。罹災地の皆さん方言われるのは、一体これはどうしたらいいんだろうかというようなことなのであります。結局そういうところへ家を建てることをやめるということになれば、一体どういうことになるのだといったような根本の問題が一つあるわけでございます。これにつきましては、私どもも、県、市町村あるいは政府の問題になろうかと思いますが、もう少し検討してみないと結論が出ないかと思います。  もう一つは、今度の災害で非常に特異な問題は、先ほど河川局長から、私おくれてまいりましたので伺えなかったのでありますが、小河川はんらんが非常に多いのでございます。これはこれからあとで具体的に少し河川局長にお尋ねしてみたいと思っておりますが、もうほとんど例年やられるというような河川、しかも貧乏な県ではこれは手がつかない、少しまとまった雨が降れば大体はんらんすることは皆が知っておる、これが放置されておる——と言うと語弊がございますけれども、十分なる対策が立てられておらない。こういうところに非常に大きな今回の災害の特異性があろうかと、私はかように考えるわけでございます。  そこで、根本的な点はさらにもう少し調査をいたしましてからいろいろお尋ねしますが、さしあたって当面の問題だけお尋ねをしてみたいと思います。  まず自治省の関係でございますが、これは災害のつど始終いわれておることでございますし、また、昨日現地ですでに吉武自治大臣から御言明もあったので、あらためてお尋ねするまでもございませんが、二点だけ、これは簡単にお答えいただけばけっこうでございますが、交付税の繰り上げ交付の問題、それからいわゆる県、市町村等に対する短期財政融資の問題、これについての現在の自治省のお考え方、簡単でけっこうでございます。お答えいただきたいと思います。
  47. 岡田純夫

    ○岡田説明員 関係団体の資金の問題、大きな問題になると思いますので、概数がつかめます限りすみやかに繰り上げ交付の検討をいたしたい、かように考えます。  それから、それ以外の金繰りの問題につきましては、地元団体のほうから要望があり次第、関係方面に折衝いたしたい、かように考えております。
  48. 細田吉藏

    ○細田委員 自治省はもうそれでけっこうです。  次に、これは建設省でございますか大蔵省でございますか、公共土木施設災害復旧事業に対するいわゆる激甚災害法の適用の問題でございますが、これにつきましても、まだ災害についておそらく御調査をいろいろしておられるところと思うのでございますが、ただいまの段階においてどのようにお考えになっておるか、お答えをいただければけっこうだと思います。
  49. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  先ほど報告で申しましたように、七月の七日から十九日までの降雨によります現在の公共土木施設の被害額はすでに百九十四億に大体達しております。これはまださらにふえることと思いますが、そういうことで激甚災害になるかならないかということは、これまた、そのほかの要素をいろいろ入れましてそうして金額を調べて、被害状況を調べまして決定されるものと思います。先ほど北川本部員からお答えがありましたように、一つの気象条件、天然現象と見るかどうかというお話もございますので、こういうようなことをいろいろ検討させていただきまして決定されるということになると思います。
  50. 細田吉藏

    ○細田委員 私ちょっとおくれてきてなんですが、一つの災害と見るかどうかというのは、山陰北陸をつい数日前に襲ったのを一つと見るか見ないかということでございましょうか、もっと長くということでございましょうか、ちょっとさっきの質疑応答を私聞いておりませんので……。今度の山陰北陸のものは、これは同じ梅雨前線のものでもちろん一体だと思いますし、先般来新潟県等を襲ったものも当然一つに考えられてしかるべきだ、私はこう思うのでございますが、その辺、さっき御答弁があったかと思いますけれども、さらにお答えいただきたいと思います。
  51. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  今回の七月七日から十九日までの梅雨前線による雨でございますが、ひどい降雨といたしましては大体四回くらいに分かれておるわけでございます。それで、それを分けるかどうかということについていろいろ問題があるから、それをよく検討したい、こういうことでございます。
  52. 細田吉藏

    ○細田委員 これは先ほどお話も出たと思いますが、たとえば山陰の十八日から十九日の降雨を見ましても、これだけでは、これだけの災害にはなっておらない。その直前の十五、十六日、それからその前からの梅雨前線のぐずつき、こういうものがみんな固まって最後にどさっときたもので、水を一ぱい含んでいるところへきた、そういう結果によってこれは出ている、私はそう考えざるを得ないわけです。したがって、これは一連のものとしてぜひ考えていただきたい。これ以上ここで議論しても始まらぬことですから、要望を申し上げておきたいと思います。  ついでに河川局長にお伺いしますが、特に、先ほどお話もあったと思うのですが、斐伊川の支流の赤川という川がございます。もう十分御承知のとおりでございます。三十六年にも大原郡一帯が大災害を受けたのであります。あの地域の人たちに言わせれば、ちょっと降ればもう赤川は必ずはんらんする。これについていろいろ一応の復旧はやっておるようでございますけれども、どうしても根本問題を解決しなければいけない。あるいはもっと大きく言えば、斐伊川自体の問題かと思うのでございますが、この赤川対策については、根本的なものを建設省でお持ちになっておるのでございましょうか。さらに、斐伊川もあればなおけっこうでございますが、要するに、斐伊川の系統の一連の非常に危険な支流もあわせてどのような御計画があるか、もしおありであれば、簡単でけっこうでございますが、お答えいただきたいと思います。
  53. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  赤川につきましては、このたび国道五十四号線の上流側においてひどく決壊をいたしまして非常な災害をお受けになったのでございますが、現在、この災害復旧事業費というものについても、一応応急のほうに追われておりまして、県のほうでは金額がまだ出てきておらない。赤川全体については、いま御報告を申し上げました被害報告の中にまだ入っておらないような状況でございますので、この災害費を調べまして、そうしてそれに関連費を入れまして、そして大いに改良復旧をいたしたいというふうに考えております。この前に県から、昨年でございましたか、本格的な改修をいたしたいというお話が出たのでございますが、これも今回の雨によって少し検討をしなければいけないのじゃなかろうかと思われますので、そういう点をあわせ考えまして、本格的に取っ組んでいきたい、こういうふうに考えております。また斐伊川でございますが、これは宍道湖に入っておりまして、宍道湖がまた中海につながっておりまして、中海からさらに日本海に出ておる、この関係を私どもさらによく検討いたしたいというふうに考えております。
  54. 細田吉藏

    ○細田委員 まあこの問題は大きな問題でございますから、いずれ機会をあらためてもう少し具体的にお尋ねしたいと思います。本日のところはこの程度にいたしておきます。住宅局の方おいでになっておりますか。——島根県の大原加茂町を中心にいたしましてかなり多数の罹災住宅が出ておるのでございますが、この災害復興について、これはいろいろ要望も出ておるわけでございます。内容をくだくだしく私は申し上げませんが、住宅局としてただいま当面お考えになっておられる対策についてお答えをいただきたいと思います。
  55. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  災害復興住宅の融資制度がございまして、これにつきましては現在基準がございまして、一被災地域につきまして五百戸以上の滅失戸数があります場合、あるいは一町村につきまして二百戸以上の滅失戸数がございます場合ということでございまして、なお、これに準じます場合も、大臣が指定をいたしますと災害復興住宅の融資ができるようなことになっております。現在まで被害状況ははっきりいたしませんけれども、現在私どものところで検討いたしておりますところでございますと、一応大臣が指定をいたしまして災害復興住宅の融資をいたしたいというふうに考えております。
  56. 細田吉藏

    ○細田委員 次に中小企業庁のほうにお尋ねをいたしておきたいのでございますが、島根県などはほとんど全部中小企業と言ってよろしいわけでございまして、この中小企業が非常に大きな被害を受けておるわけでございます。そこで、これはどこの災害の際にも問題になる点でございますが、いわゆる融資ワクの増大とか、何と言いましょうか、災害復旧に対しまして、政府関係三公庫を通ずる融資の万全を期していただきたい。地元でも非常に強く要望しておるわけでございますが、これらの点について中小企業庁のほうでお答えいただきたいと思います。
  57. 中村俊夫

    ○中村説明員 お答えいたします。  通産省といたしましては、今回の山陰豪雨に伴います災害につきまして、昨日、広島の通産局の中に災害対策本部を設けまして、同時に、広島の通産局長を団長といたします調査団を現地に派遣いたしておりますので、さしあたりは応急の救援物資等の手配等に尽力をしておるわけでございますが、中小企業の金融につきましては、政府関係の三機関につきましても、三機関ともそれぞれ災害のための内規がございまして、災害の度合いに応じましてそれぞれ貸し付け条件の緩和等をはかることになっております。今回の山陰の場合につきましても、被害状況等に応じまして、各機関ともそれぞれ、すでに貸してありますものの返済の猶余はもちろんでございますが、新たに復旧資金として貸し付けますものにつきましても、貸し付け限度あるいは据え置き期間、貸し付け期間その他につきまして条件の緩和をはかるとともに、資金の確保についても十分遺漏のないように措置してまいりたいと思っております。
  58. 細田吉藏

    ○細田委員 次に厚生省の関係でございますが、これまたいつの災害の場合にも要望されることでございまして、私現地へ参りましても要望を受けてまいったのでありますが、世帯更生資金ワクの確保の問題、あるいは母子福祉資金の貸し付け金の起債ワクの確保の問題、あるいは簡易水道等環境衛生施設災害復旧費の確保、あるいは伝染病予防法関係の国庫補助金、こういった問題につきまして、これもまだ、急でございますので、どの程度まで進められておるか、きょうはあるいは無理かと思いますけれども、ただいまにおける考え方を一応お示しいただきたいと思います。
  59. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 山陰北陸災害に対しまして、世帯更生資金の貸し付け、母子福祉資金の貸し付け、その他、簡易水道なり伝染病予防法に基づく国庫補助は、現在私のほうで係官を現地に派遣しておりますし、また県当局からの報告を待ちまして、現在多少の手持ち資金もございますが、もちろん予備費等によって原資の確保をいたしまして、県の要望にできるだけ応ずるような措置を講じていきたい、かように考えておるわけでございます。
  60. 細田吉藏

    ○細田委員 時間の関係もございますし、先ほども申し上げますように、災害の詳細についてまだよくわかっておりませんので、きょうはこの程度にとどめたいと思います。  特に農林関係につきましては、私ども見てまいりました限りにおきまして、まだ相当広範な部分冠水をいたしておるのでございます。島根県だけについて申し上げますと、中海、大橋川、宍道湖というのは、塩水——宍道湖のほうが塩分が多いわけでございまして、かなりの大きな被害なのでございまして、これらにつきましてはたくさんな要望も現地でございましたが、私、機会を改めて質問をいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、私先ほど申し上げましたように、今回の災害は、一瞬にして多数の人命を奪い、また施設をこわし、また産業を麻痺させた大災害でございまして、死者などは、新潟震災の数倍という死者が一挙に出ておるというようなことでございまして、政府におかれても、各方面にわたって十分御調査の上、善処をお願いいたしたいと思います。要望をいたしたいと思うわけでございます。特に山陰島根鳥取——北陸もややそうでございましょうが、地方公共団体の財源が非常に乏しい、貧乏な、おくれたところでございます。こういう点も中央の政府とされては十分考えに入れて、対策の万全を期していただくように要望をいたす次第でございます。いずれ日を改めまして、さらに調査の結果を待って本件に対する質疑を続行さしていただきたいと思います。本日はこれで終わります。
  61. 中山榮一

  62. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 私は臨時にかわって出てきた委員でございますが、質問が始まっておりますので、少しお尋ねしたいと思います。詳細な質問を試みるには、まだ私のほうにも資料が整っていませんので、きわめて抽象的な質問になるわけでございますが、まず委員長にお伺いいたしますが、本日の委員会に大臣の姿が全然見えておりませんが、これはどういう都合でございましょうか。
  63. 中山榮一

    中山委員長 自治大臣はただいま現地に行っております。それから建設大臣もいま行くところでございます。そういうわけできょうは出席ができません。
  64. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 自治大臣はもう帰っているのじゃないですか。
  65. 中山榮一

    中山委員長 まだ帰っておりません。
  66. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 委員長お話のような事情であればやむを得ませんが、関係大臣がそうであれば、かわって官房長官——もしまた真にこの内閣がこういう大災害に対する政治責任を感ずるならば、総理大臣が出て来られてもよろしいと私は思うのでありますが、大臣の姿がまるきり見えておらない。あるいは政務次官——ちょうど交代の時期かもしれませんが、交代するまでは責任はとるべきはずでございまするのに、そういう人たちも見えない。答弁はもっぱら事務当局によって行なわれているようでございますが、ありていに申しますと、事務当局の人だけにお伺いするには、私の考えておることはちょっと適当でない面もあるかもしれません。いま細田委員の御質問の中にもありましたように、死傷者の面から見ましても、新潟地震においてすら、二十数人というのに、今度の集中豪雨による死者は百人をこえておる。人命尊重が現代政治の最も重要な課題であります点から考えましても、これはきわめて重大深刻な災害といわなければならない。  そこで、河川局長さんにちょっと伺いたいと思いますのは、けさの新聞にも出ておったようでありますが、日本の河川はんらんのおそれありとされておりますものが、建設省資料によると、全国土の八%ぐらいに相当する。ところが、その八%の中に住んでおります人が約四千万、全人口の四〇%というものがそうした地域に住んでおるわけになるのでございますが、しかも日本は、いわゆるゲオポリティックの立場から申しましても、太平洋周辺の地震国であり、細長い国土の中央を山脈が縦走しておって、台風の目にも当たり、盛んに雨は降り、川の流れは、ほとんど例外なく非常に急流である、そういうような状況にあるようでございます。それこそいつ災害が起こるかわからぬという自然条件を備えております日本の国土でありますが、それに対しまして建設当局におかれましては災害防止の面についてどういうことをお考えになり、かつまた実行してきておるか、将来に対する計画等についても簡単に伺いたいと思います。
  67. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  建設省におきましては、治水十カ年計画というのを立てまして、その前期を三十九年で終わり、これから後期に移るわけでありますが、すでにいま先生がおっしゃったように、非常に日本の国土は河川による災害を受けておりますので、これによりまして前期の消費をいたしました国費が五カ年計画を少しオーバーするぐらいにまで工事をやったわけでありますが、これでもまだ足りませんので、後期におきましては、最近緊急に五カ年計画を立てまして、さらに災害を減らしていきたい、こういうふうに考えております。ただ河川は非常に工事費が高くなりますので、国費を使うことになるわけでございますから、どうかよろしくお願いを申し上げます。
  68. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 たいへん国費を食うというお話でございますが、なるほど国費は建設省ばかりに持っていくわけにはまいらないでしょうが、予算が足りなければ足りないで、おのずからまたこういう災害を防ぐ行き方があるはずではないでしょうか。予算さえあれば、予算の手当てさえできれば災害が防げるというものでもないと私は思います。決してことばじりをとる意思はありませんけれども……。  次は地すべりの危険についてでありますが、これも建設省の調べだそうですか、危険個所が全国で五千五百カ所ぐらいあるのに、それに対する予防施策を施しておりまするところは、わずかに一割の、五百五十七カ所にすぎないというではありませんか。地すべりと申しますると、地震とは事違いまして、少なくとも専門家の間におきましてはある程度の予知ができる性質のものではないかと思うのでございますが、いま地すべり対策はどうなっているのでしょうか。時間がないので、これも一緒にお答え願いたいのですが、私は先日広島の原爆施設その他の被害あとを見てきたのですが、広島市の中を流れている太田川の周辺に、一種のスラム街といわれておるものが六千戸ほど密集していますが、東京、大阪等のスラム街とはだいぶ意味が違うようで、原爆被害に基づくスラム街のようでありますが、ともかくあの密集家屋——というより、堀っ立て小屋といったほうがいいかもしれませんが、その中に、何といいますか、遊水地帯というのでしょうか、川の内側の堤防にくっついて、土地に建ったうちがだいぶあるのです。あれなどはちょっと川の水が出てもわけなく流されてしまうのではないかと思うのであります。これは私は現に数日前に行って見てきたのでありまして、そのときに、いや、これは大水になったらたいへんだなと痛感して帰ったのでありまするが、私が帰って二、三日後にいわゆる今度の山陰集中豪雨という事件が起こりました。あれは雨がちょっとそれて山から向こう側に流れたので死者は百人で済んだかもしれませんが、もしあの大水が山陽のほうに流れたとしますと、人命の被害はもっと大きかったのではないかと思うのであります。こういう危険な状態に置かれていることにつきまして、建設省当局は何と考えておられるか。ああいう中小河川にはあまりあなた方は重点を置いて考えていないかもしれませんが、町の中央でもあり、うしろにははげ山みたいなのがたくさんありまして、雨さえ降れば必ず水が出るという絶好な条件を備えておりまする、そうした川の中と周辺に六千戸からのスラム街がある。当然建設省でも問題になっていなければならないはずだが、これらに対して大体どういうふうなお取り扱いを考えておられるか、伺っておきたいと思います。
  69. 上田稔

    上田説明員 お答えを申し上げます。  まず第一点の地すべりでございますが、地すべりは、地下大体四十メートルから五十メートルくらいのところにございます。もっと深いところも浅いところもございますが、大体地面から下の部分が水を受けまして、下にすべり面ができまして、それがすべるわけでございます。これに対しましていろいろな工法、たとえば穴をあけまして、そしてそのすべり面の上にたまってくる水を抜いて、なるべくすべり面が水を受けないようにして、そしてその摩擦でとまるようにする、こういうような方法だとか、場所によっては、土をある程度上の重みをとって、そして地すべりをあまり大きくすべらないようにするとか、いろいろなそういう工法をとっておるのでございますが、いずれも非常に——まあ水抜きのほうは簡単に抜けますけれども、また、土そのものが全体がよく動いておるところが大体地すべりでございますので、その突っ込みました管が押しつぶされてしまうわけでございます。とてもその土圧に対抗するだけの強い管というものは入れられませんので、押しつぶされてしまうということが多うございまして、それによって大きな雨のときには動くということが起こるわけでございます。それからまた、上の土をとるということは、これも非常に土量が大きくなりまして金が非常にかかるわけでございます。したがいまして、非常に経済効果の大きなところ、たとえば大阪に亀の瀬というところがございますが、これは奈良県と大阪との境でございまして、大和川という川のへりでございますが、このへりに大きな地すべりがございまして、これが動いていきますと大和川が全部埋塞してしまうわけでございます。そうしますと、大和平野、つまり奈良が琵琶湖のような湖水に変わるおそれがある、また、そこにもしそういうことが起こりまして大和川がその上をまた越えて水が出ますと、山津波となって大阪平野が全部いかれてしまう、こういうようなことになりまして、そういうようなところにおきましては、上の土をのけて何とか重みをとって地すべりが起こらないように考えてみようじゃないかというようなことで、いろいろくふうをいたしておりますが、なかなかそういうことで金が非常にかかりますので、これもあまり着工ができておりません。  第二点の、太田川の川の中に家がたくさんあるじゃないか、しかもそれが少し水が出ますれば流れてしまうような家が多いじゃないかという御質問でございますが、これは実は不法占拠でございまして、こういうものは早くのけてしまわなければ私どもとしてはいけないのでございますけれども、なかなか集団になっておられますし、県のほうともいろいろ連絡して、早くそういうような災害が起こらないようにのいていただきたい、こういうふうに考えて、鋭意努力をいたしております。  以上でございます。
  70. 吉川兼光

    吉川(兼)委員 私の質問はもっぱら建設省資料に基づいてお伺いしているわけでありますが、先刻申しました、河川はんらんを予想される地域に四千万からの人が住んでおる、豪雨のたびに必ずと言っていいほど水害が出る、その水等の被害者の統計が、昭和二十八年から三十七年までの十年間の死傷者が、毎年一万一千人平均と出ておる、損害は二千四百億というのでございまするが、なるほど、太田川の例は、いま申されたように不法占拠でありましょう。しかし、今日この時点における質問に対して、あれは不法占拠だからという御答弁は、ちょっと私にはそらぞらしく聞こえるのでありまして、不法占拠でありましても、被害の対象になることは間違いありませんから、不法占拠はまた別な角度においてこれは早急に解決すべきことでございまするが、私がいまお尋ねしておりまするのは、法律的な根拠の云々ではなく、とうとい人命が危険にさらされておる現状をこのまま見過ごしているのか、それをどうするかという意味のことをお伺いしておるのであります。  いま細田委員の御質問にもありましたように、今度の集中豪雨の最も大きい被害地域でありまする島根県などは、いわば経済力の弱い地帯でございまするが、新潟地震が最近にない大事件と私どもは考えておりましたが、繰り返すようでありますけれども、人命の面から言いまするならば、それの五倍にも相当する被害者が出ておる。これは事務当局のあなたに向かって言うことではないかもしれませんが、私は何とはなしに池田内閣の性格がここに象徴されておるような気がします。要するに、中小企業や農村はほとんど顧みられず、大企業中心の高度経済成長政策、そのために宅地造成ブームが全国に巻き起こりまして、ちょっと人の住めそうにもない川岸であるとか、山のはたであるとか、そういうところまでどんどん家が建っている。基礎施設などあったもんじゃない。いとも簡単に土地の造成が行なわれて、そこに人が住んでいるという状況であります。そういうところに、しかも経済力の弱い地域に豪雨がきたということは、池田内閣に対する私は一つの警告だと思う。これはあなたに御答弁を求めることは無理かと思いますが、きょうは、あなたも見らるるように、大臣も政務次官も一人も来ていないので、あなたに向かってしか私は発言できないのであります。私は、今度の集中豪雨被害発生について、自治大臣はいち早く現地へかけつけたという新聞記事を見まして、その迅速な行動にひそかに敬意を払っておったのでありますが、ここに災害対策委員会が開かれているのに、まだ帰ってもおらない。委員会には大臣が一人も出てこない、そういうやり方に、何となしにこの新しき内閣の性格が出てきておるような気がいたしまして、まことに憤りを私は感じておるのであります。したがって、臨時の委員でありながら私は質問に立っておるわけであります。いずれ私どものこのほうの災害担当の委員から詳細な資料に基づいて質問すると思いますけれども、本日ここに出席していられる河川局長なり、その他各関係官庁からお見えになっておられる事務当局の皆さまにおかれては、民社党の私がこういう質問をしておったということを、お帰りになったらぜひ大臣に取り次いでもらいたいと思います。もちろん、激甚災害に対する特別な法律等もございますから、そういうものによって速急に対処してもらわねばなりませんが、とにかく、いまや日本の全土が一触即発の危機にさらされておる。それは必ずしも自然環境ばかりではない。いわゆる高度成長政策に基づきます宅地造成などという、中間の妙な金もうけの対象として、特に目立つのは民間の宅地造成などの姿勢はその場ごまかしの傾向が強いのでありますが、そういう現実に対する政府の指導その他において欠くるところがおびただしくある、遺憾ながら私はそう言わざるを得ないのであります。  私は貧弱な材料で間に合わせ的な質問に終わるのは私自身にとっても残念でありますけれども、せっかくの発言のチャンスでございますから、一言政府に要望を兼ねたことを申し上げ警鐘を鳴らしておきまして、質問を終わります。     —————————————
  71. 中山榮一

    中山委員長 この際、おはかりいたします。  先ほど理事各位と協議いたしました結果、昭和三十九年七月山陰北陸豪雨による被害状況調査のため、現地に委員を派遣し、実情を調査いたすことに決定いたしたのでありますが、理事会の決定のとおり、委員派遣承認申請を行なうに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  つきましては、派遣地、派遣期間、期日、派遣委員の員数及びその人選、並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、航空機利用の必要があります場合にも、委員長においてしかるべく取り計らいたいと思いますので、御了承願います。  なお、新潟地震及び集中豪雨による被害状況調査のため、新潟北陸及び東北地方等に対しても委員を派遣して現地調査を行ないますので、御了承願います。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は、新潟地震による災害対策に関し、政府当局と協議懇談いたしたいと存じます。  この際暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕