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1964-07-14 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月十四日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 中山 榮一君    理事 稻葉  修君 理事 小沢 辰男君    理事 大久保武雄君 理事 細田 吉藏君    理事 稻村 隆一君 理事 岡本 隆一君       天野 光晴君    池田 清志君       加藤 精三君    仮谷 忠男君       高橋清一郎君    塚田  徹君       中島 茂喜君    西岡 武夫君       井谷 正吉君    石田 宥全君       千葉 七郎君    華山 親義君       原   茂君    松井  誠君       山口丈太郎君  委員外出席者         総理府事務官         (新潟地震非常         災害対策本部         員)      松永  勇君         総理府事務官         (新潟地震非常         対策本部員)  北川 博正君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 後藤 信義君         防衛庁書記官         (防衛局第一課         長)      有吉 久雄君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         大蔵事務官         (主計局次長) 中尾 博之君         大蔵事務官         (理財局次長) 佐竹  浩君         大蔵事務官         (国税庁直税部         審理課長)   小宮  保君         文部政務次官  八木 徹雄君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    中尾 龍彦君         厚 生 技 官         (公衆衛生局防         疫課長)    湯沢 信治君         厚 生 技 官         (環境衛生局水         道課長)    大橋 文雄君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     安藤 繁夫君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    中沢 三郎君         農林事務官         (農政局参事         官)      玉置 康雄君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      森田  進君         通商産業事務官         (鉱山局開発課         長)      栗林 隆一君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         中小企業庁次長 影山 衛司君         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運 輸 技 官         (港湾局長)  比田  正君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  深草 克巳君         労働事務官         (職業安定局業         務指導課長)  佐柳  武君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (住宅局調査         官)      尚   明君         建 設 技 官         (国土地理院測         地部長)    坪川 家常君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         消防庁次長   川合  武君         自治事務官         (消防庁予防課         長)      伊規須徳博君         自 治 技 官         (消防庁消防研         究所第二研究部         長)      堀内 三郎君     ————————————— 七月十四日  委員藤井勝志君及び四宮弘辞任につき、その  補欠として加藤精三君及び原茂君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員加藤精三君及び原茂辞任につき、その補  欠として藤井勝志君及び西宮弘君が議長指名  で委員に選任された。 同日  理事田中正巳君同日理事辞任につき、その補欠  として小沢辰男君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任災害対策に関する件(  新潟地震による災害対策等)      ————◇—————
  2. 中山榮一

    中山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、先般来北陸地方に起きました集中豪雨による被害状況及び災害対策実施状況等について、関係当局より説明を求めます。建設省河川局長
  3. 上田稔

    上田説明員 お手元に配りました「七月七−十三日の梅雨前線豪雨による被害状況」というのをごらんいただきたいと思います。  七月七日に梅雨前線が南下してまいりまして、朝鮮の上で台風が弱まりましてそして熱帯性低気圧になったわけでございますが、それが東進いたしますと同時にその梅雨前線を非常に刺激いたしまして非常な豪雨を降らしたようなわけでございます。最初は新潟県に降りました。それがさらに新潟長野、その付近に降りまして、それがさらに南下いたしまして福井県に相当降らしたわけでございます。  まず新潟県下では、先ほど陳情がありました刈谷田川と破間川の上流、ちょうど只見川のところでございますが、その付近のところに集中的に降りまして、大体二百七十ミリぐらいの雨が降っております。それから南下いたしまして福井県に降ったわけでございますが、その量は、大体福井県の南部の山岳地帯に降っておりまして、九頭竜川上流でございますが、その付近に三百七十ミリ、九頭竜川も本川のほうとそれから支川のほうとございますが、支川の日野川の上流に同量の雨が大体降っております。そういうことによって被害が生じてきたわけでございます。  おもな出水でございますが、直轄河川で申し上げますと、一番水が出ましたのは九頭竜川でございます。これは計画高水位を上回りました水が出ました。これは二センチ上回っております。その次に直轄河川として出ましたのは、手取川が出ております。これは警戒水位以上二メートル五十、ただし計画高水位からは二メートル下がりの水でございますが、そういう水が出ております。そのほか阿賀野川、信濃川、これはいずれも警戒水位の上一メートルぐらいの水が出ております。  いま申し上げましたのは、直轄施行の大きな川でございますが、先ほど申しました雨量の多いところから発しております支川に水が出まして、その支川相当はんらんを起こしております。  直轄災害でまず一番大きいのは九頭竜川でございますが、九頭竜川そのものは、堤防が破堤というほどの大きいものはあまりございませんでしたが、しかし堤防決壊だとか、それから護岸の根が洗われたり、また水制の損傷を起こしたり、そういうような災害がございまして、直轄災害としては、全部といたしまして大体五億七千万ばかり。それから、これに伴って直轄道路が、これは先ほど申しました準用河川の分の被害による道路損害も入っておりますが、とにかく直轄道路のほうでは、八号線とか十九号線、十七号線、こういったような道路被害を受けております。それで、直轄全体といたしまして六億二千五百万円の被害を受けております。  次に補助災害でございますが、補助災害では、やはり一番大きな災害を受けましたのが新潟県でございまして、これには刈谷田川が、先ほど御陳情がございましたとおり、栃尾市、それから見附市、この付近で非常なはんらんをいたしまして、特に見附市の今町付近において堤防をこわしまして、そうして下流のほうにも大きく流れて大きな湛水地をつくってしまいました。そのほか、旧信濃川、これが地震で沈下したところを応急復旧をしておりましたところ、それの上を幾ぶん越えまして、そうして七十町歩くらいでございますが、湛水をいたしました。しかし、これはポンプで排水をいたしましたので、現在ではもう全然水はございません。  そういうふうに北陸並び東北の各県に災害を起こしておりまして、全部で百六億ばかりになります。直轄と合わせまして百十三億ばかりの災害を生じております。  それで、応急対策としてでございますが、建設省といたしましては、被害状況調査並びに応急復旧工事指導のために、新潟県、福井県、石川県に対しまして、それぞれ災害査定官を派遣いたしました。そうして目下査定官が行ってまだ指導をしておるところもございますが、一部は帰ってきております。なお、必要に応じて緊急査定を今後実施いたしまして、早急に予備費の支出をお願いしたいと思っております。  それから住宅滅失者に対する復旧対策といたしましては、住宅金融公庫による個人住宅災害特別貸し付けを行なう予定でございます。  以上のような措置を考えまして、今後被害がわかり次第、対策を立てていきたいと思っております。  以上でございます。
  4. 中山榮一

  5. 後藤信義

    後藤説明員 御報告申し上げます。  今回の災害は二回にわたっておるわけでございます。第一回は、七月の六日の夕刻から七月の九日にかけまして降りました集中豪雨によります災害でございます。それから第二回目の災害は、七月の十一日から十二日にかけまして、第一回の豪雨によりまして被害を受けた地方に相当な集中豪雨があったわけでございましてその災害が起こったのでございます。  第一回目の七月六日の夕刻から七月九日にかけました災害は、北陸東北、中部、各地方の一部でございますが、ここに集中豪雨がございまして、新潟県をはじめといたしまして八県下に被害が発生したのでございます。その状況は、人の被害は、新潟県におきまして死者が六名、岐阜県におきまして一名、計七名の死者を出しております。それから行くえ不明は、新潟県において四名、岐阜県において三名、福井県において一名、福島県において一名、合計九名でございます。負傷者新潟県に十一名を出しております。建物被害は、全壊いたしましたものが、新潟県で四むね長野県で二むね、計六むね半壊新潟で四十三むね長野が一むね福井が一むねでございまして、合計四十五むねでございます。それから流失いたしましたものが新潟県下におきまして六むねでございます。床上浸水は、新潟県が一番多うございまして、これが千三百七十七むねでございます。それから石川県の八百十二むね福井県の三百四十七むねというようなものを主といたしまして、合計いたしますと二千六百九十七むね床上浸水でございました。床下浸水は、同様に新潟が一番激しゅうございまして、八千五百四十二むね石川県の三千八百六十むね福井県の三千二百七十七等を主にいたしまして、合計一万七千百六十八むね床下浸水でございました。それから一部破損いたしましたもの、あるいは納屋などの、人の住んでおりませんいわゆる非住家被害がかなり出ております。それから田畑冠水等もかなりございました。道路決壊いたしましたものが、新潟県において二百四十六カ所等を主にいたしまして、合計いたしますと四百三十二カ所でございます。橋梁流失いたしましたものが、同様に新潟の八十九というのを主にいたしまして、合計百三十六の橋梁流失を見ております。堤防決壊は、新潟県におきまして百九十一カ所を主にいたしまして、合計二百六十七カ所でございました。山くずれ、あるいはがけくずれがございましたのが、新潟の二百二十三カ所をはじめといたしまして、合計三百八十四カ所出しております。罹災世帯の数は、石川県が一番多うございまして四千八百六十五、新潟が千五百八十三、その他を合計いたしますと七千二百四十七世帯、三万三千百三十四人の罹災者を出しております。  それから、このうちでおもな被害状況でございますが、栃尾市では、刈谷田川及び西谷川の堤防決壊いたしましたために、七月七日の夜、約三千戸が浸水いたしまして、市民千七百名が市内の学校あるいは神社等に避難をいたしております。それから見附市におきましては、同様、七日の夜半に刈谷田川堤防決壊いたしましたために、今町、本町、名木野町等の住家が、床上浸水三百七十三、床下浸水六百一というような被害を出しております。それから南蒲原郡中之島村の被害も、同様、刈谷田川堤防決壊によりまして、床上床下浸水をかなり出しております。それから新潟市内は、地震のために堤防決壊し、これを仮締め切り工事をしておったわけでございますが、この信濃川沿岸の白山浦あるいは関屋新町、川岸町、万代町等の各町に対しまして、信濃川増水による溢水あるいは漏水のために浸水いたしまして、床上四百六、床下千五百九十六むね被害を出しております。  それから石川県では、金沢市では、七月八日、犀川、浅野川の堤防決壊いたしましたために、これまた床上浸水二百九十八むね床下浸水二千七十九むね被害を出しております。それから河北郡津幡町、これもやはり同様八日の津幡川の増水はんらんによりまして、床上浸水二百八十三、床下浸水五百六十むね被害を出しております。それから加賀市、これは低地帯湛水をいたしましたために、床上浸水百七むね床下浸水四百九十一むね被害を出しております。  それから福井県下におきましては、福井市内で、荒川用水路増水はんらんをいたしましたために、床上床下浸水被害を出しております。  鉄道関係では、羽越本線の越後早川−桑川間が、降雨による土砂くずれによりまして七日午前十時まで不通になったのをはじめといたしまして、信越線、上越線越後線米坂線越美北線等不通となりましたが、いずれもこれは七月十日の朝までには復旧をいたしております。  それから建設省から御報告がありましたように、道路関係でも、一級国道をはじめ、かなりの被害を出しております。  それから第二回目のほうの被害でございますが、これは十一日から十二日にかけまして集中豪雨があったわけでございます。その雨量は六十ミリないし百ミリといわれておりますが、ただいま申し上げました第一回の罹災地のほうに主として降りましたために災害が大きくなったのでございます。  県別に申しますと、人の被害では、新潟県におきまして負傷が二名でございます。人の被害はこれだけでございます。それから建物のほうは、全壊いたしたものが、宮城県の三むねをはじめといたしまして、合計むね出しております。半壊新潟の四むねでございます。それから床上浸水は、新潟の五百九十を最高といたしまして、合計六百七十二むね床下浸水は、新潟の二千九百十八むね最高といたしまして、合計三千七百十一むねでございます。田畑冠水もかなり出ております。道路の損壊あるいは橋梁流失等も出ており、がけくずれ、山くずれも出ております。罹災世帯数は、新潟の六百十四、山形の五十六をはじめといたしまして、合計七百世帯、三千百八十一名の罹災者を出したのであります。  これらに対しましては、第一回におきましては延べ約九千名、第二回の災害におきまして千六百名の警察官を動員いたしまして、孤立部落の救護あるいは罹災者救出等警察活動を行なったのでございます。
  6. 中山榮一

    中山委員長 以上をもちまして政府当局からの説明は終わりました。     —————————————
  7. 中山榮一

    中山委員長 引き続き、災害対策に関する件について質疑に入ります。質疑は、先ほどの理事会の申し合わせによりまして、一人おおむね三十分程度となっておりますので、御承知おきをお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野光晴君。
  8. 天野光晴

    天野(光)委員 時間が制限されておりますので、答弁はできるだけ簡単に明瞭にしていただきたいと思います。  天災融資法だけの適用を受けるのと、激甚災指定を受けたものの扱い方の違い、内容の違いはどういう点にあるのか。
  9. 中西一郎

    中西説明員 お答えいたします。  天災融資法は、第一条にございますように、その被害の全貌をとらえまして、国民経済的な観点から見て発動を是とするというような場合に発動いたしますが、激甚法の第八条に基づいて、償還期限等について、あるいは貸し出しワクにつきましての特例を適用するかどうかということは、中央防災会議で決定されております激甚法適用についての基準によりまして、現在のところでは、おおむね農作物被害二十五、六億円というところを一つのめどにいたしまして、それをこえるというような場合には発動する、そのほかの基準もございますが、大ざっぱに申し上げると、以上のとおりでございます。
  10. 天野光晴

    天野(光)委員 具体的に申し上げますが、普通天災融資法適用を受けるのと、特に激甚災指定を受けたいと被害民から懇請のあるのは、まず貸し付け金の金高が違うということ、金利が安いということ、返済期限が長いというこの三つにしぼられるのじゃないかと思うのです。そういう点で、四月の下旬の凍霜害の問題をいまここで議論するほど現在の政府はのんびりとした災害対策をやっている状態でありますが、凍霜害に対して政令が出たのですが、返済期限は、激甚災指定を受けた場合は最高何年になっておるのか。
  11. 中西一郎

    中西説明員 天災融資法償還期限につきましては、五年の範囲内で政令で定めることになっております。その場合に激甚法適用を受けるということになりますと、政令で定める経営資金につきましては七年に延長ができるというふうになっておるわけでございます。そこで、昨年の一、二月の豪雪等の場合に見られました果樹植栽に要する資金につきまして、七年というふうに政令を定めまして適用したことがございます。現在の考え方では、果樹植栽を必要とする場合に七年というふうに運用も考えておるわけでございます。
  12. 天野光晴

    天野(光)委員 農林省考え方か、大蔵省考え方か、どちらか私はわかりませんが、少なくとも、天災融資法激甚地指定をするというこの法律内容は、災害を受けたものを救済するという根本的な考え方でできていると思うのですが、農林省大蔵省は、この法律をたてにとって、これを限度として何とか切り詰めてやろうというような考え方ではないかというふうに考えられるわけですが、五年を七年に延長することができるのなら、なぜ七年に全部一律一体にしないのか、七年にしなくて五年にしたという根本的な考え方は、いま官房長が言ったようなことであるとするなら、私は了承できかねるのです。被害をこうむった農家のほうでは、一年でも長いほうがいいという考え方激甚災特別指定を非常に懇請しておったのにもかかわらず、出てみれば、その返済期間が延びていないというような状態で、過去においてはそういうことをやったことはないからやらないのだというような態度自体私は了承できないのですが、今度の凍霜害で五年にしたという根本的な考え方地方自治団体あるいは災害をこうむった農家のほうで、五年でけっこうだというようなことでもあったのか、それとも、天下りで、五年ならばいいだろうというような考え方でやったのか、いずれなのか、ひとつはっきりした答弁を願いたいと思う。  実は農林大臣大蔵大臣出席を要求しておいたのですが、どちらも出ていないようで、委員会軽視もはなはだしいと思うのです。政務次官も出ていないという状態で、責任のある答弁ができるかできないか、問題だと思うのですが、責任のある答弁ができるという考え方官房長が出ておるのだと思いますから、しっかりした答弁をしていただきたいと思います。
  13. 中西一郎

    中西説明員 お話の点、御要望の筋は、大臣の耳にもかねて入っておりまして、大臣から、検討するようにという指示もございまして、検討いたしましたのですが、現段階としましては、過去の先例等にかんがみまして、それよりも特段に軽減するということをいたしておりません。したがって、過去と同程度返済条件の緩和ということで、現段階では、とりあえず必要な措置としては許されるのではないかというふうに考えて、そういう政令をつくったわけでございます。将来の問題としましては、すでに皆さん御承知のようは、天災融資法をどうするかという問題も含まれておりますので、全体の問題としては将来のこととしてさらに検討を続けたい、かように考えております。
  14. 天野光晴

    天野(光)委員 災害対策委員会で特に懇談会を設けていただいて、この問題は議論し尽くしたと思うのですが、そういう点で現在の天災融資法というものを根本的に改正しようということで、できるならこの次の国会でやろうということで委員会は全員の意見が一致しておるということは、政府当局が十二分に了承済みのことだと思う。そういうことで私は、法で規定してあるできる最大限の、愛情のある扱いをすべきであると思うにもかかわらず、いままで五年だ、いままでの慣習がそうだから、いままでやってきたのが五年だから五年だ、そういうのは受け取れないのです。その辺は、前から何回も懇談会で議論をした内容をひとつも参酌していないと思うのですが、その点はどうですか。
  15. 中西一郎

    中西説明員 お話のような経過のとおりでございます。われわれも将来の問題としては十分検討したいと思っております。ただ、現状をさらに補足して申し上げたいのですが、重複して災害を受けたというような場合には、返済資金を貸し付ける、いわば実質的な借りかえ措置でございますが、そういうことも考えております。またどうしても償還できないという場合には、損失補償をするというようなことで、政府あるいは県当局資金をもってめんどうを見るという体制にもなっております。何が何でも五年の間に返済を強行するのだという体制であるわけではございません。そういう意味で、とりあえずの措置として前例どおり参りまして、将来の問題としては、将来のことでございますけれども、全体をひっくるめまして十分に検討いたしたい、かように考えおります。
  16. 天野光晴

    天野(光)委員 大蔵当局にもお伺いしますが、ただいま官房長答弁によりますと、政令は五年で出したが、いろいろな情勢を勘案して、五年でどうしても返済できないものに対しては、特別な措置を講じて、七年くらいまでは考慮できるというふうに聞いたのですが、以上、官房長からそれについて再確認的な答弁を願います。
  17. 中西一郎

    中西説明員 七年というふうに明確に申し上げたわけではございませんけれども、重複被害というような場合には、返済資金を貸し付けるという措置も従来講じております。そういう意味で、実質的には借りかえ資金が出ていくということで、償還期限が延びたと同様の効果のあることもあり得ます。また、所定の期間内に償還ができがたいという場合には、償還できない人につきましては損失補償という制度で、カバーをいたします。だから、何が何でも五年のうちに強行して全部取り立てるのだという制度ではございません。そういう弾力的な措置も含まれております。そこで、とりあえずとしては五年というふうにきめましても、農民に対してそう大きな迷惑を与えるというようなことはないだろうと、現在のところは考えております。将来の問題として、先ほど来の法律改正はどうだというようなお話につきましては、これは全体の問題として当然検討を進めていきたい、かように申し上げたわけでございます。
  18. 天野光晴

    天野(光)委員 時間がないものですから、どうもあれですが……。これは今度の新潟災害にも、あるいは今度の集中豪雨の問題にも影響のあることでございますので、その点十二分に考慮して答弁していただきたいと思います。  そこで、ただいま中西官房長からの答弁によると、五年ではあるが、返済のできないものについては、高利貸しのように取るのじゃないから、適切な措置を講ずるということですが、その講ずるという点についての金利の扱いはどうなるのか、大蔵省答弁を求めます。
  19. 中西一郎

    中西説明員 金利の扱いは、特別地域につきましては三分五厘、その他の地域については六分五厘という通例と同様でございます。
  20. 天野光晴

    天野(光)委員 そうしますと、政令は五年で出たが、災害をこうむった農民ですから、そう簡単に返済は容易でないと思うのです。五年よりは七年、七年よりは十年のほうがいいと思うのです。たとえば今度の場合も、激甚災害による、いわゆる天災融資法による融資よりも、自創資金のほうがいいという農民のほうが私のほうでは多いわけです。それは、金利は高いが返済期限が長いということです。その点は今後の扱いにも十二分に心して扱っていただきたいと思いますし、ただいまの中西官房長答弁によると、どうしても支払いのできなかった者に対して、延期して支払いをするような場合においては、次に三分五厘を借りられる人は三分五厘であるというような答弁でありますが、大蔵省のほうはそれで了承できますか。
  21. 中尾博之

    中尾(博)説明員 ただいま農林省からお答えしたとおりでございます。いまの金利の点、借りかえの点、それから損失補償あるいは利子補給、それらの制度が行なわれておるわけでございます。
  22. 天野光晴

    天野(光)委員 もう一点、これはこの前から問題になって保留になっているものであるが、被害農作物の樹勢回復並びに病虫害予防に対する防除のための肥料、農薬購入に対する助成の件でありますが、災害対策委員会並びに懇談会の席上においては、自治省と大蔵省農林省と話し合いをして特交でこれを扱うということであったのですが、特別交付金で扱うならば、これは災害のための助成金である、これは災害のために出ていく交付金だということで、ひも付きというかっこうか、要するに、つき出しのかっこうで一目瞭然に出せる形であるならば了承できるが、それでなければ了承できない。あくまでもこれは単独で助成をすべきだという主張をし、これを農林省当局は、大臣出席しませんでしたが、農林次官が了承して帰って工作中であったと聞くのですが、話に聞きますと、何か、肥料のほうはまだそのまま継続中であるが、農薬のほうは落ちてしまったんだというちまたのうわさがあるのです。その辺はどういうふうになっておりますか、その経過について……。
  23. 中西一郎

    中西説明員 ちまたのうわさというお話でございましたが、肥料、農薬あわせまして現在考えております。御承知のように、特別交付税をやります場合に、ルール項目といいますか、算出の非常に明らかな項目と、それから準ルール項目といいますか、特にいま考えております農薬、肥料等についての措置は、その準ルール項目で取り扱えないかということで、自治省のほうとも話し合いを進めておるわけでございます。そのほかに、非常に特例的な個別のケースで明らかにしたような特別交付税の出し方もあり、いろんな種類があると思うのです。現段階では、その肥料、農薬両方含めまして準ルール項目として扱ってもらう、これは特別交付税の告示を見ればそういう区別がはっきりするのですが、そういう方向ではおおむお話がついております。さらに欲を出して、特に御要望がありました補助金的性格にさらに近づけるというようなことが可能であるかどうかについてさらに検討を進めておる状況でございます。したがって、準ルール項目として扱うということで手を打つならば、早急に打ち得るというふうに思っておりますけれども、はたしてそれがいいかどうか、また、欲を出せばもう少しいき得るのではないかというふうな気持ちもいたしまして、なお検討を続けさせていただいておるわけでございます。
  24. 天野光晴

    天野(光)委員 その特交で扱う場合は、いろいろ災害があるわけでありますが、私の申し上げておるのは凍霜害対策ですから、凍霜害のときのいわゆる被害農作物の樹勢回復あるいは病虫害防除のために要した農薬並びに肥料に対する助成の分としての交付金であるというかっこうに、きちっとワクづきでわかるようなかっこうで出せるわけですか。出せなくてはこれは意味がないのですから、そういう点でこの前からの懇談会で話し合いをしているように、そういうかっこうで出せないとするならば——出す形で大蔵省が金の用意があるならば、それは助成金で出せるはずですから、その点きちっときょうは答弁をしておいていただきたいと思います。
  25. 中西一郎

    中西説明員 先ほど来申し上げましたようなことで準ルール項目で出ております。総被害の何%というような計算での特別交付税、これは例年出ておりますから、それをめどにして、市町村とか府県で、農薬、肥料についての市町村段階の支出のあと始末をするということは当然できます。したがって、そういう形での解決方法の一つとしてわれわれも頭の中に入れておるわけですが、はたしてそれだけで十全であるかどうかという点についてなお検討さしていただきたいのであります。それでうまくいき得るというふうに判断できますれば、それで自治省とも早急に話を進めたい。それだけでなしに、もう少し込み入った形での特別交付税というものを新しく自治省に注文を出すということになりますと、これは少し時間をいただかなければなりません。そういう筋合いのことを申し上げたわけでございます。
  26. 天野光晴

    天野(光)委員 それは官房長、話がちょっと逆戻りしたような感じがしませんか。この前は、それじゃ困るから、はっきりできないならば助成で出すようにということで、前向きの姿勢でやるという確約をしておるわけですから、それをまたこの前の災害対策委員会のいわゆる懇談会の席上の話し合いと同じ答弁をされたのでは、了承できかねるのです。いわゆる特交でやるのならやるでけっこうだから、いままでの毎年やる災害当たり何%という特交の交付金でなしに、それ以外に、災害のあった県には、この分はその分だといって明確に、出せる形の上ならば特別交付金けっこうですが、そうでないとするならば、やはりあくまでも助成でいくという形をとっていただきたいと思いますが、その点についてはいままで一生懸命やっておるはずですから、この前と同じだという話では了承できかねるのですが、それに対してもう少し具体的に答弁していただきたい。
  27. 中西一郎

    中西説明員 特別交付税につきまして、何といいますか、補助金との関連で、どちらが末端のお役に立つかということにも関連するわけですけれども、それは特別交付税について、具体的なケースをあげませんけれども、ときどき特別交付税のほうにそういうものを算入してほしいという御要望も事によっては多いわけであります。そこで、特別交付税というものの役割りは、それぞれの算定のしかたで効果は違いますけれども、といって、地方公共団体の末端のほうで大体の見通しを立てて、災害がありましたら農薬とか肥料をある程度の考えのもとに支出してそれに裏づけされ得るという見通しさえ立てば、これは当然出し得るわけです。そういう意味合いで、すでに経験を経ておる市町村等では、それを見越しまして肥料、農薬の経費を出すということもやっております。その趣旨をさらに普及徹底させるということで、現在のルール項目でない準ルール項目のほうの取り扱いでも十分ではないかという意見も相当あるわけでございます。それに加えて、他方、補助金ということになりますと、これは使途が非常に明確になって、単純明快でありますけれども、市町村の財政の上での自主的判断をそれだけ拘束するわけでございます。そういう意味で、補助金でやりました過去の先例その他に批判もございましたので、それはとりたくない。そこで、非常に抽象的な言い方ですが、その準ルール項目と補助金との中間的な扱いの特別交付税というものが、これは新しい考えでございますから、また算出その他についても十分検討を要する点が残っております。それを固めまして、そこで従来の準ルール項目との長短をあわせ考えて、最終的に、準ルール項目でいくのか、新しい考えの特別交付税でいくのかということを詰めてまいりたい。それには実はいろいろな積み上げ計算が要ります。単なる抽象的な考え方だけでは済まないのでございます。その作業を目下やっておるわけでございます。前の段階と同じことを申し上げておるわけではございませんので、その後の検討結果を含めて申し上げておるわけでございます。
  28. 天野光晴

    天野(光)委員 こんな問題で貴重な時間を費すのは非常に残念ですが、この前の凍霜害農家が大体どれくらいの被害をこうむったかは農林省は十二分にわかっているはずだと思うし、被害を受けた農家は、生活ができないというので自殺までしているというほどの悲惨な状態に追い込まれた被害農家に対して、政府は一体どういう対策をやって、どういう助成をしたのか、冷静に考えてみなさいよ。天災融資法の融資をした以外に何をやっているのか。これは金を貸しているんですよ。六分というのは、農家に貸す金では高利ですよ。それをともかくもようやく天災融資法を大きく幅を広げて解釈してもらって、特定の県だけが三分五厘で貸していただけるというかっこうになっている。これは貸して利息をとるんです。本来ならば生活にも困るという状態のものに対しては、利息をとって金を貸すという態度は——法律があるから、根本的にこれを直さなければいけないということは、そこから議論がされてきたわけで、これは法律があるのだからというたてまえでどうしてもできないというならやむを得ないのですが、何にもやっていない。私が言っているのは、過去においてもやった経験があるのだから、せめて扱い方において、あるいは途中において間違いでもあるようなことがあるならば、これは厳重に注意をし、監督をして、政府が直接助成をするんだという形のものをやってほしいという、要するにこの前からの話し合いなんです。ところが、いま言ったとおり、特交のほうがいいと言っている者があるという。そういうことでは、地方自治団体の長を呼んで調査をしてほしいとこの前要求しておいたのですが、この前の答弁とは違う。ずいぶん前進しておるんだというならば、いままで末端の町村長を呼んで、あるいは調査をした結果、一体どこの町村長が特交がいいと言ったのか、どこの町村長は特交では困ると言っているのか、具体的にできているなら、これをひとつ答弁していただきたい。
  29. 中西一郎

    中西説明員 先ほど来申し上げましたように、補助金のほうに近い特別交付税の考え方というものを目下練っておる段階でございます。それを固めまして——といいますのは、ある程度災害あるいは非常に激甚な災害というような、程度の差によりまして特別交付税のあり方も変わってくるのではないかと思います。そういう意味で、いろいろな想定を立てて、準ルール項目でやっておられる従来の自治省のやり方と比べてみて、どういう長短があらわれるかということを——これは一つ一つ、計算のことでございますから、詰めていかなければなりません。その上でいまお話のような市町村長の意見を聞くというような段階にもなろうかと思いますけれども、現在のところでは、まだ市町村長さん方の意見を聞くということはやっておりません。
  30. 天野光晴

    天野(光)委員 ここで何ぼ議論しても水かけ論になりそうですから、質問は打ち切りますが、ただ、大蔵省がちょっと文句を言っても、農林省だけは、災害をこうむった農家に対してもう少し愛情のある動きをやってもらわなくては、それでは一体何のために災害対策を考えているのかということはわからないと思うともかく追っかけ災害が来る。今度新潟地震災害があった、これによる農村の災害も相当大きなものがあろうと私は思う。と同時に、今度の集中豪雨による災害等もある。全部扱いは同じですよ。ですから、天災融資法は、要するに被害をこうむった者を幾ぶんでもより多く救おうという考え方でできているという根本的な考え方をして——最大限にこれを使うという考え方でなくて、この法律内容までを制約してやるという考え方に対しては、了承できかねる。そういう点について、いま申し上げた樹勢回復についての助成の問題は、はっきり明確にわかるように至急調査をしてもらいたい。次の機会の委員会において質問しますから。質問される前にその報告をしていただければたいへんけっこうだと思います。と同時に、今後の災害扱いについては、現在の天災融資法にとらわれることなく——ということばを申し上げては、あるいは暴言になるかもしれませんが、ほんとうに生活に困る状態にある者を救済するのですから、幅の広い、弾力性のある考え方天災融資法を執行されるように希望を申し上げて、私の質問を打ち切ります。
  31. 中山榮一

    中山委員長 稻村隆一君。
  32. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 きょう実は河野本部長か野田総務長官に来ていただいて、激甚法の問題について政府のやり方が非常に手ぬるいので、その点につきましてお尋ねしたいと思っておったのですが、来ておられないようでありますから、執行官に対して——執行する上において、いまの激甚法は私は非常に不便があると思うのです。新潟県の地震につきましても、新潟市だけが指定になっておりまして、ほかはまだ全然指定されておらない。むろん、被害状況をいろいろ計算しなければなりませんから、そう簡単にいかぬことはわかっておるけれども、だれが見てもこれは激甚法適用しなければならぬことがわかっておるところは、私は早急にやるべきであると思うのですが、どうも金を使いたがらないで、あまり進まないような気持ちがあるのですが、一体どうなんですか。新潟市以外に、たとえば中之島村とか、ああいうところは、陥没でやられ、おまけに今度水害でやられて、ほとんど惨たんたる状態のところは、だれが見ても激甚法適用さるべきなんですが、早急にやる意思はないのですか、それを聞きたいのです。
  33. 北川博正

    ○北川説明員 お答えいたします。  実は激甚法に対します地域指定の問題でございますが、これは公共土木あるいは農地、農業用施設等に見られますとおり、それぞれ被害額を集めまして、特別地域地方公共団体に適用されるわけでございます。その地域を指定いたしますにあたりましては、各府県及び市町村のそれぞれの災害を査定して行なわれるわけでございまして、目下のところ、激甚法災害指定とそれから適用すべき条項、たとえば農地とか公共土木とか中小企業とか、そういったもあの体制を至急、先般の閣議におきまして、一次、二次に分けまして指定したわけでございます。その個々の地域指定につきましては、今後早急に各省の査定を待ちましてやることになっております。その査定を終わりまして決定いたしますれば、各省からそれぞれ告示が出されることになっております。
  34. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それは時間が多少かかるでしょうけれども、なるべく急いでやるようにしてもらいたい。何カ月後では、ありがたみがなくなりますよ。  それで、私は激甚法を調べてみますと、やはりずいぶん欠陥が多いのです。指定基準が非常に複雑で、時間がかかるというふうなこと。手続簡素化のために、あなた方執行する立場から見て、激甚法を改正しなければならぬとお考えになりませんか。もう少し簡素化して早くやるように、そういうふうな考えはございませんか。
  35. 北川博正

    ○北川説明員 いままで激甚法適用にあたりまして、災害指定あるいは適用条項の決定につきまして若干おくれていたと思われますが、今回の災害につきましては、査定見込み額、相当大ざっぱなと申しますか、概略被害をもちまして早急に決定しております。半月たたずにそれぞれのあれをやっておりますので、それほど手続において複雑怪奇であるというふうには考えておりません。  なお、地域指定の問題につきましては、それぞれの省庁の口入れはございますが、御承知のとおり、災害の査定は、すでに各省の係官が派遣されて、現在一生懸命地域においてその査定を行なっております。そういう意味におきましては、なるべく早くこれを行なうという体制政府全体持っておりまして、激甚法そのものを現在改正しようという意思はございません。
  36. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それはまたあとでいずれあれいたしますが、時間がありませんからこれでやめますけれども、たとえば公営企業の中に、上下水道、ガスなんかは、これは激甚法に入っていないのです。災害復旧に対する補助制度がないのは、私は非常に不合理じゃないかと思う。だから激甚法を改正して、上下水道、ガスなども対象に加えるべきだと思うのですが、こういうものを落としております。これはあなた方執行官としてどうお考えになりますか。
  37. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のように、今度の新潟地震におきまして、いわゆる地下埋設物と称します上下水道等は非常な災害をこうむっております。したがって、これについては、おそらく関係省庁、厚生省あるいは大蔵省当局で現在折衝中と伺っておりますが、これについて特段の措置を講ずるということを伺っております。なお、これらについては早急にこれを措置しなければならないという体制におきまして、予算補助等の面において措置するということになっております。
  38. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これは改正する意思があるかどうかということは聞いてもしかたがないと思うのですが、いずれまた本部長でも何でも呼んで聞かなければならないと思っております。  それから、たとえば公共土木施設ですが、道路橋梁、学校なんかは、激甚災害の場合でも、多くて七〇%、少なくて五〇%程度しか補助がない。あとは受益者負担となっておるわけです。地元負担になっておるわけです。受益者すなわち被災者であり、個人災害に対する援助もないのに、その上公共施設復旧費まで負担させられるというようなことは、私はこれは非常に不合理だと思うのです。おそらく外国ではそういうことはないだろうと思うのですよ。それだから、どうしても激甚法というものは根本的に改正しなければ、執行官として非常に不便を感ずるのじゃないかと私は思うのですが、その点等はどうですか。災害の本質からいって、これは自分に責任がないのですから、それに対してやはり被災者の地元の人に負担をさせるというふうなことは、これは根本的に間違っていると思うのだが、そういう点どう考えるのですか。
  39. 北川博正

    ○北川説明員 公共土木等につきまして、たとえば現行公共土木国庫負担法でございますか、こういう法律にございますのに対しまして、激甚法はかさ上げいたしまして、たとえば三分の二は四分の三にする、あるいは堆積土砂につきましても、十分の九を補助すれば十分の九だけを全部見てやろうというような体制で、相当手厚くこれを補助いたしておるとわれわれ考えております。なお、個人のそういった方々の災害につきまして、いろいろ補助のみならず、融資措置もそれぞれ講じておるのでございまして、自力防衛とでも申しますか、御自分でやり得る範囲を越えると思われますものにつきましては、補助あるいは融資といういろいろの財政援助措置を講じておるのでございます。目下のところ、これを改めようということは考えておりません。
  40. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 次に労務者の問題でお尋ねしたいのですが、被災地はいつでも労務者が不足するのです。そういう場合には、労務者を中央が確保してそうして派遣するような制度を考えるべきじゃないかと私は思うのですが、その点——労働省の人は来られておりますか。そういう点について何か具体的な計画でもありませんですか。
  41. 中山榮一

    中山委員長 労働省はまだ来ていないです。
  42. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それじゃ、労働省は来ていないそうですから、あとでまたお尋ねします。  自衛隊の出動の問題ですが、自衛隊は、応急措置だけに限定しないで、建設面にももっと使用するようにしたらいいと思うのですが、その点はどうお考えですか。——これは総理府ですか。
  43. 中山榮一

    中山委員長 いま来ます。
  44. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これもあとにしますか。  次に建設省にお伺いしたいのです。  新潟市の臨港地域、信濃川河岸地域はいつでも浸水の危険にさらされているのです。こういうところは、新潟だけではなく、至るところにあると私は思うのです。これに対してほとんど対策がないような状態だと私は思うのです。これではもう災害は何度でも繰り返されると思うのですが、もしオランダのような完ぺきな護岸施設が構築できないのであるならば、災害のたびに大騒ぎをしてびほう策を講じても、これは何の役にも立たない、ただ金をむだに捨てるような結果になるのでありますから、根本的な近代的な護岸工事をやるか、ほかに代替地をさがすことを考慮すべきじゃないかと思うのですよ。その点につきまして建設省のお考えはどうですか。
  45. 上田稔

    上田説明員 お答えを申し上げます。  今度の地震災害にかんがみまして、今度の査定方針といたしまして、今度の地震による水については、十分に守り得るような災害の査定のやり方をやりたいと思っております。  それから洪水に対しましてのお話がございましたが、これは現在関屋分水の計画を考えておりまして、これにいま調査費を十分につぎ込んで計画をいたしておりますが、もしそれができますと、いわゆる刈谷田川とか五十嵐川とか、そういうものから出てまいります水は、新潟市内のほうへ行かずに関屋分水のほうへ通したい、こういうふうに考えております。
  46. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 次に、私はやはり建設省にお伺いしたいのですが、刈谷田川の問題、これは単に刈谷田川だけの問題ではなく、あらゆる河川に当てはまると私は思うのですけれども、今度の刈谷田川集中豪雨による溢水というものは、みんな堤防を越えてあれしておるわけですね。そういう状態なんですが、しかも同じところがやられている。同じ場所ではないが、その付近がやられておる。中之島あたりは、この間やられたばかりのところが続けて三度もやられておるわけなんであります。こういう点につきまして、いま建設省刈谷田川の川を広げるということをやっておる。毎年一億二千万の金をつぎ込んで、二十億の予算で二十カ年ぐらいかかってやる、こういうわけですね。こういうやり方というものは、さいの川原の石積みのようなもので、その間に雨でも降ってくればまたくずれてしまうのです。そういうような状態になるわけですから、こういうふうなところ——なるほど、中小河川として一年に一億二千万もつぎ込んでいるところは全国でも珍しいでしょう。珍しいでしょうけれども、二十年も十何年もかかってこういうことをやって、その間にまた洪水が出れば流されてしまうのですから、何の役にも立たないということになる。こういうふうなやり方では私はいけないと思う。何の役にも立たない。さいの川原で石を積むのと同じことで、こういうふうなやり方は根本的に検討を要する問題ではないかと私は思う。災害の政策というものは、現在ソ連やアメリカやあるいは中国などがやっているものを見ましても、より根本的な立場からやっているわけですね。そういうほんとうに根本的な立場から徹底した考えをやれば——日本のようなところは、中国とかアメリカとかソ連と比べると、自然の災害というものを克服する上において、あれだけの根本的な対策をもってやれば、災害は多いけれども、そう難儀なものでないと私は考えておる。そこで、建設省はどう考えておりますか。二十億の予算でもって、一年に一億二千万なら二十年もかかる、こんなことで一体根本的な対策ができるかどうか、その点に対して河川局長の御意見を承りたい。
  47. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  刈谷田川につきましては、いま先生がおっしゃったとおりでございまして、河川改修に非常に予算がかかるわけでございます。ところが、今度の被災、まことに地元の方々にはお気の毒でございますが、猫興野橋上流の地域が非常に災害を受けまして、その金額はまだ査定が十分にできておりませんのでわかりませんが、県からお出しになっております公共土木施設の被害でございますが、大体十二億から十四億程度のものになるのじゃなかろうか、そういたしますと、これに災害関連費をつけましてやりますと、猫興野橋から上流の部分は相当延長できるのでなかろうか。下流の部分は、中小河川でやりますと、先ほど先生がおっしゃっておりましたが、二十億、それに一部、今町の分が抜けますから、もう少し金額が減るのじゃなかろうかと思いますが、そうしますと、大体いまの一億三千万の予算が増額になるということをあわせ考えますと、二十年はかからずに、もっと早くできるのでなかろうか、こういうふうに考えております。  それからいろんな地震関係の問題でございますけれども、そういう問題につきましては、十分、研究所の人間その他地理院なんかも動員をいたしまして調査をいたすようにいたしております。災害直後も、土研からも人をやりまして調査をいたし対策を研究させております。
  48. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それで、地元では、一度、刈谷田川上流の、途中の栃堀のちょっと奥のほうにダムをつくって、いわゆる刈谷田川の水を調整することによって洪水を防ごうというふうな話があったわけです。ところが、それが農業用ダムということだったので、採算に合わないといって建設省がやめたように聞いておるのです。私は専門家ではないからわかりませんが、これは農業用ダムというふうなことでなくして、防災用ダムとして三十億ぐらいでできるのだそうですか、そういうふうなことは、専門的な見地からどうなんですか、可能なんじゃないですか。そういうことをやれば、あの刈谷田川河岸の水害を防ぐ上において非常にいいのではないかと思うのですが、河川局長の御見解はどうですか。
  49. 上田稔

    上田説明員 ただいまのお答えを申し上げます。  刈谷田川という川は、実は地元の方はよくおわかりになっておると思うのでございますが、非常に上流に至るまで蛇行いたしまして、両岸が非常に離れておって、ダムサイトというのが非常に少ない川でございます。それで、先ほどお話がありました栃尾市の布滝でございますが、その地点におきますと、非常に上流になりまして、流量が非常に少のうございます。たとえて申しますと、刈谷田川の流量が、いま計画をいたしておりますのが千五百五十立米パー・セック、一秒間にそれだけの流量でございますが、その布滝の地点で申しますと、二百二十三立米しか流れておらないわけでございます。これをオールカットいたしましても二百二十減るわけでございますが、その地点が非常に上流でございまして、その下流のほうから、塩谷川とか西谷川とか非常に大きな支川が入ってきておりまして、これのバランスがうまくとれるかどうか、つまり、二百二十カットいたしましても、それがそれだけ下流にきいてくるかどうか、そのききがどれだけあるだろうかということが非常に問題になるわけでございます。その点をいろいろ調査いたしまして、そのつくるかつくらないかをきめなければいけないわけでございますが、これは非常にいろいろな調査が必要でございまして、せっかくつくっても意味がないのでいけないので、たとえば測量をやり、勾配をはかり、そしてラフネスといいますか、粗度でございますが、そういうものをきめまして、そうしてそれがどの程度にきくかということをきめなければいけません。そういうことで、今後水系一貫して、先ほど申し上げました災害関連の仕事をやりますときにあわせて検討していきたい、こういうふうに考えております。
  50. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 次に、私は農林省にお伺いしたいのですが、天災融資法の問題、先ほど天野委員からいろいろお話があったので、私はなるべく省略したいと思うのです。ただこれは私はこの前も一度言ったのですが、日本の農業金融というものはもう時代に全くそぐわないことになっているのだから、これを一ぺんに改正せよというふうなことはできないが、何かの機会に徐々に私は改正していくべきであるということをこの前の災害のときに言ったんですよ。いまの日本の農業金融というものは、実際上、借りたら最後返せないのです。これはもうだれでもわかっておる。今日の農業利回りからいって、借りたら返せない金なんです。それだからこそ、あらゆる機会において農業金融を、根本的じゃないが、一つ一つだんだん変えていく。金融体系を乱してはいけないから、それはよくわかっておるから、だんだんに変えていく、こういう方針をとらなければならぬ。その意味において、天災融資法なんといったって、これは天災融資法じゃない、普通の融資ですよ。天災なんて名前をつけるのは私はこっけいだと思う。三分五厘の金でもろて五年というので、これは普通の融資だ。それは農林省でも大蔵省でも、私は、いろいろな先進諸国の農業金融制度をお調べになっていればわかるだろうと思うのですよ。日本みたいな文明国家で金利の高い、短期のところはありはしませんよ。天災融資法なんというのは、ほんとうなら利息をとるのは間違っておると思うのです。これは三分五厘なんて、普通の農業金融の概念からいえば、安くもない、普通の金です。それを天災融資法と名をつけて、そうしてこれをみんながたよりにする。むろん、それはないよりも、あるほうがいいから、利用するけれども、もう借り尽くしているんですね。そういうふうな状態なんです。そこで、災害の起きた場合は、天災融資法と、それから自創資金しかないわけですね天災融資法のいろいろな改正点につきましては、天野委員から先ほど触れましたから私はここで重複を避けますけれども、たとえば二十億以上あるところでなければやらぬとか、そういうことは根本的に間違っている。人間の災害を救うのだから、そこで、範囲が狭くとも、非常に深刻な人間の生活を根本から破壊するようなものに対しては、これは私は融資するように改正するのが当然だと思うのですが、その一点だけ官房長の御意見を承りたいのです。  それから自創資金ですが、これもほとんど借りているのです。相互保証はいかぬというて借りている。連年災害の続いているところは、借りる方法はないという状態なのです。こういうふうな自創資金などをもっと簡易にして、土地を担保にして貸すような方法はできないのかどうかということなのです。これは私ははっきりお聞きしたい。だれもお互いに相互保証以外は保証なんかするものはありませんよ。そういうときに、これはもう金を貸せない、貸すと言っているけれども実は貸さない、こういうことなのです。むろん、これは金を借りた者に対して責任を負わせることは絶対必要だから、私は農地でも担保にして貸すようなことにしたらいいのじゃないかと思うのです。その点については農林省のお考えはどうですか。
  51. 中西一郎

    中西説明員 いろいろお話がございましたが、逐次お答えいたします。  一つは、三分五厘あるいは六分五厘という天災融資法の体系が十分でないというお話でございます。この点は、災害等の場合に、たとえばいま稲で被害を受けた、次の作の用意をする、その次の作を用意する経営資金についての融資を考えておるのが天災融資法でございます。そういう意味で、この天災融資法だけで被害を受けた農家のすべてをカバーするという趣旨では元来ございません。そういう意味でほかの融資と総合的に考える必要があるわけでございますけれども、とりあえずのお話である天災融資法そのものについての根本的な再検討は十分にいたしてまいりたいと考えております。  それから天災融資法のほかにつきまして、たとえば自創資金お話もございました。これはごく最近でございますが、従来の二月当たりの融資額三十万円といっておりましたのを、災害農家につきましてはそれを五十万円まで拡大するという措置をきめました。すでに実施の段取りに入っております。この関係の金利五分五厘あるいは償還期限二十年ということは、従来どおりでございます。  そのほか、農林漁業金融公庫の関係で、施設、農舎あるいは畜舎その他のものについての融資がございますが、住宅のみならず、農舎あるいは畜舎について被害を受けたような場合には、一般の公庫資金としては二百万円をワクとして融資をするというようなことになっております。災害の場合にはぐっとその金額のワクは減っておりますけれども、とりあえずの復旧資金として、二十万円について償還期限が十五年あるいは据え置き三年というようなことでの制度が現在ございます。それぞれの制度がたとえば新潟において活用されておるわけでございます。  最後に申し上げました災害復旧資金の二十万円というようなワクについても、これをある程度増額しなければならないと考えておりますが、先ほどの天災融資法等を含めまして、これも十分検討してまいるつもりです。  また、自創資金についての農地担保の問題あるいは相担保の問題等がございます。農地の担保につきましては従来非常に低い評価をしておりましたが、ことしの七月からは、時価の半分程度ということを目安にしまして、評価額を従来よりも引き上げることができるようになっております。さらに、相担保の問題につきましては、原則的には認めがたいのですけれども、末端の貸し付け機関のほうにおきまして、相担保の場合でも、保証するについての実質的な基盤が十分あるというふうに判断されます場合には相担保も認めていくということで、公庫が中心になりまして末端の委託金融機関を十分指導する、そういうふうに現在取り計らっている次第でございます。
  52. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 公庫の金もあるけれども、天災融資法とか、その金以外は、実際上、借りても高利で返せないから、それは借りようとしません。だから、農業金融の問題につきまして、いずれ根本的ないろいろな御質問をしたいと思っておりますから、これくらいで農林省関係はやめます。  最後に、厚生省にお聞きしたいのですけれども、今度水害のあった新潟県南蒲原郡栄村というところで、この前の地震で簡易水道の水源池が破壊されたのです。それで、いまでは井戸もろくにありませんし、このまま放置していくならば、保健衛生上ゆゆしい問題だと思うのです。ところが、聞くところによれば、水道の起債を頼んでいるけれどもまださっぱり進まない。何かそこに事件が起きたので、もう少し待てというふうなことを、厚生省で、ある国会議員に言ったという話ですが、これはどうなっているのですか。こういうふうなことは早く金を出してやることが必要ではないですか。これはいろいろな問題と別ですから、その点についてどうなっておるのですか、厚生省にお聞きしたいのです。
  53. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答えいたします。  このたびの新潟地震によりまして水道に被害が出て、その中で新潟県が最も被害を受けているわけでございまして、上水道、簡易水道、先ほど申されました栄村もその被害を受けております。ただいまそれに対しまして現地の査定がまだ終了しておりませんけれども、対策につきましては、先ほどの法的措置あるいは予算的措置ということにつきましては関係省とただいま協議中でございます。  なお、事件があったから云々というようなことに関しましては、全くそれは何かの間違いでございまして、事件とただいまの災害復旧あるいは災害対策というものとは全く関係はございません。
  54. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 起債を早急に貸すように……。
  55. 大橋文雄

    ○大橋説明員 そちらのほうの財政的措置につきましては、関係方面と相談いたしまして至急措置をいたしたいと考えております。
  56. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これで終わります。
  57. 中山榮一

  58. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 まず建設省にお伺いします。  今度は、地震とともに、先日来の降雨による震害地の被害が非常に大きな被害になっておりますが、先ほど報告がありましたけれども、こういう災害を受けた場合は、のんびりと調査をまずやってというような——査定をして、その査定をまた査定をして、そして減額をして、そんなことは間に合わないのです。今度震害地の調査に行きましたけれども、査定前の着工は見てもらいたいという痛切な声が各所で聞かれたわけですけれども、一体その災害復旧にあたってどういう緊急処置をとられているのか、建設省に伺いたい。
  59. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  先ほど報告に申しましたとおり、新潟、それから福井石川、富山、こういう被害が非常に大きい地域に対しましては、災害査定官を事前に派遣いたしまして、そうしてその被害調査すると同時に、その復旧工法につきましても指導をいたしておりますので、それに基づいてその地方においては工事をもうすでに行なってもらっているように聞いております。
  60. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私の言うのは、査定前着工を認めるのか認めないのか。認めるなら認める、認めないなら認めないと、はっきり言ってください。
  61. 上田稔

    上田説明員 応急工事をやっていただいておりますものは認めます。
  62. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 応急工事は当然認めなければなりませんが、この応急工事だけではいけないところもあると思うのです。それに一々査定をしていたら、水はどんどんあふれている、そんなときに間に合わないですよ。また次にいつこのように大水がやってくるかわからないのです。そんなときに土のうの薄っぺらな工事ではだめなんですから、できるところはどんどん本工事をやらせる、それは査定前でもやらしてもらいたい、こういうことなんです。それを承認するかしないか、こう言っておるのです。応急工事のことを言っているのじゃないのです。
  63. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  災害が起こりますと、すぐに私ども緊急査定に出かけておりまして、工事をおやりになると同時に私どものほうは査定をいたしております。そして金額をきめてやっておりますので、その点ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは、査定前でも至急に工事をやる、その工事が完全復旧工事であっても、これは事後査定でもこれを認める。全部が全部ではありませんけれども、緊急を要する場合は事後査定も認める、こういうことですか。
  65. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  緊急やむを得ないものにつきましては、工法をお話しいただきまして、その話がつきましたものについては、査定前でも実行さしていただいております。
  66. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 了解しました。  その次に、大蔵省に一つお伺いしますが、いままで、災害について緊急を要する場合、公共団体である県または市町村に対するつなぎ融資等の措置がとられたと思うのですが、やっていますか、やっていないか、それをひとり・・。
  67. 中尾博之

    中尾(博)説明員 ちょっと所管が違いますので、失礼でございますが、こまかい数字等につきましては、いま係官を呼びますが、災害の際には、当然、緊急のつなぎ融資というものにつきましてはワクがございませんので、これを直ちに配付いたしまして、申し出をしてくるようにということを、地元の出先機関を通じまして関係地方公共団体に申し入れをするということになっております。そういう手続が済んでおるものと存じます。
  68. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 係官が来ておらぬとはだめじゃないか。これは一番重要なことなのです。これは大蔵大臣と約束がしてあるから私は聞いているのです。そういうことではだめです。いかに熱意がないかということです。  その次に、私はさらにお伺いをいたしますが、さきの質問に対して答弁がありましたが、家屋の復旧等について融資をされておりますが、これは農民にとりましては、非住家、すなわち、こなし部屋ですが、これは都市に住んでおる者に必要な家屋と同じように必要なのです。しかもこれは生産を伴う工場と同じことなのです。これに対してもそれぞれ融資の道をつくっておる、こういうぐあいに答弁がありましたから、私は適切な措置だと思っておるのですけれども、実際にいままでどのくらい融資されたのか、具体的に答弁してください。安心できません。
  69. 中西一郎

    中西説明員 山形県あるいは新潟県の例になりますが、住宅金融公庫のほうで五十八万円増ワクされたということのほかに、農林省のほうとしましては、先ほど来出ました自創資金のワクがふえました。これは災害地におきましては一月当たり五十万円というふうに、累積の融資額がふえております。そのほかに中金、信用協同組合連合会、いわゆる系統資金が、山形県では二F当たり六十万円程度と聞いております。新潟県では七十万円ないし百万円、これは信連の力によって差があるわけでありますが、これは金利も六分五厘あるいは七分というように、普通の系統金融の金利より引きまして、系統でそれぞれサービスをいたしております。そのほかに、農舎あるいは畜舎等につきましては、これは災害の特別の措置ではございませんけれども、一般に農林漁業金融公庫のワクが二F当たり二百万円ございます。さらに公庫の中で、災害がありましたときに、二十万円の、災害のそういう施設資金を出すという仕組みがございます。それぞれ活用されているわけでございます。
  70. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それは実際にどのくらい実施しているかということです。現在の実情をここで答弁してくれなければ何にもならないので、どのくらい実行しておられるかということを聞いているのです。
  71. 中西一郎

    中西説明員 つなぎ融資の話が先ほどございましたが、とりあえず現段階までは系統からのつなぎでやっております。それぞれ天災融資法あるいは自創資金等のワクは、県当局と、そのつなぎ資金の貸し出しの実態等を参考にしまして、市町村、県の積み上げ数字を得まして自創資金のワクをつくる、あるいは公庫資金を流していく段取りをつけるというようなことをもってやっているわけです。まだその集計はできておりませんけれども、末端のほうではそれぞれ動いているわけでございます。集計ができ次第、資料としてお届けいたします。
  72. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは集計次第集計次第ということでいいかげんに逃げられては困る。やはりその進行状況をずっと把握して逐一本部はおわかりになっていなければだめです。それでなければ何の指導もできぬじゃありませんか。そういうずさんなことではだめです。ですから今後は、この推移に従ってきちんと報告されて、掌握して、足りないところには、こうであるということをはっきり指示してもらいたい。それでなければだめです。それを要望します。  次に、農林省にお伺いしますが、農地の陥没、隆起等による田畑復旧を急いでやらなければならぬことはもちろんでありますけれども、当面一番緊要なことは、水路、樋堤の破壊あるいは井ぜきの破壊、これについては急を要することです。しかも農民の力ではなかなかこれはできない。これに対してどういう処置をしておられるか。
  73. 中西一郎

    中西説明員 ちょうど田植えの時期でもあり、植かえができる、あるいはできないというような微妙な地域もあるようでございます。そういう意味で、緊急に措置するという必要性を認めまして、災害がありました直後、直ちに写真その他の証拠書類を整えるように指示いたしました。現地査定の前に工事に着工できるように財務当局とも話をつけまして、末端を指導いたしております。
  74. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これについては、さきに申したように、査定前復旧工事の着工ということを強く言われている。水田というものは水が命なんですよ。その水路を断たれたということは、人間でいえば、餓死をしいられているのと一緒なんです。しかも水路は至るところで陥没あるいは隆起等によって破壊されておる。ほとんどの水田は水が、関西でいえば、当たらない、こういう状態です。そんなときに、やれ査定だ何だといって、復旧の妨害になるような行為をやっていたのでは間に合わないんですよ。しかも農村は、みな確認されているように、所得は低い。したがって、こんなものは農民の力ではできはしません。どうしてもやはり公共団体の力、国の力でもってやってやらなければいかぬ。その補助対策はどうなんですか。
  75. 中西一郎

    中西説明員 お話の点十分わかるわけですが、そういう意味で、写真等の証拠を整えておいて、緊急に仕事にかかれるように、また、かかるようにという措置をとったわけでございます。その後も査定官を数十名北陸農政局の管外から動員いたしまして、もうだいぶ日数もたっておるのですけれども、それぞれ仕事を急がせております。補助その他につきましては、農地、農業用施設につきましてはもうすでに激甚法適用もありまして、補助率のかさ上げの措置も講じております。そういうことで、農地、農業用施設に関する限り、地元からの不満といいますか、つけ加えた要望というのは現在のところございません。
  76. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これについては、問題は金なんですから、早く補助金を交付してやってもらいたい。そうでなければ、これはもう収入も収穫もありませんよ。田植え時期は済んでいるんです。いまはもう成育時期なんです。その成育時期にやられているのですから、これは収穫に支障のないように、すみやかに処置をしてもらうように希望しておきます。  その次に、建設省にあと戻りいたしますが、山形県の温海温泉のある温海町、ここに槇野代というところがある。ここはまだ落石あるいは地すべり等が続いている。その地域の住民は戦々恐恐たるありさまです。家の中へ何千貫という大きな岩が飛び込んできている。あるいは山くずれのために家が押えられておる。もう住めない状態です。そこへ国道が入っている。その村の入り口では、何万立米という膨大な土砂が、山はだが一メートルから二メートルの地割れを生じて、どんどんと移動して落ちつつある。もしこれが落ちたならば、あすこを流れている川がせきとめられて、大洪水を起こすおそれがある。それでいま村をあげて移転を準備しているような状態にある。これは早急に何らかの防災措置をとるとともに、移転その他の必要のある地区については、それらの住民に一日も早くその移転費用を補償してやるなり何なりいたしまして、一刻も早く民生の安定を期さなければならぬと私は思っておる。これについて御存じあるのかないのか、あるとすれば、どういう措置をしておられるのか。
  77. 上田稔

    上田説明員 山形県の温海町は非常に被害をお受けになりまして、槇野代地区と木の下地区、沢の内地区と三カ所ございます。この木の下地区と沢の内地区につきましては、これは明らかに地すべりでございますので、緊急地すべり事業として対処いたしたいと思っております。槇野代地区につきましても、実は私どものほうからすぐ係官を出したわけでございますが、調べてまいりますと、これは地すべりではなくて、むしろ山くずれ、いま先生のおっしゃいました山くずれという部類、つまり、表面がだんだんくずれてくる。地すべりというのは、下のほうですべって、全体がぐっと動くというものでございますが、そこに差がございますので、どうも山くずれのほうに属するようであるということで、これは林野庁との関係が出てまいりますので、林野庁のほうとお話し合いをいたしまして、林野庁のほうでこの対策をおやりになるというふうにきめまして、やっているわけでございます。調査を目下いたしております。
  78. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは単なる官庁仕事ではだめですよ。早くやってもらわなければならぬ。いまも大体震度四くらいであの裏山から岩が落っこちてくる。また、村の入り口で何万立米という山の表土がすべりおりてくる。ですから、はなはだしいところでは二メートルも口をあけておる。こんなものをそのままほうっておいたら、国道はたちまちとまってしまいますし、村全体が埋没してしまうような状態にあるので、一刻も早く適切な措置をしなければならないし、それからああいう落石地域では住んでおられませんよ。だから、どんどん家をこわして移転しつつある。ところが、資力のある者はいいが、資力のない者はできません。これらには早急に何らかの処置をしてやらなければならぬと思う。ただ調査だの、林野庁の所管だの、何のかんのと、そんなことを言っておられませんよ。早急に実行してもらいたいと思うのですが、どうですか。それでなければ住民は安定しませんよ。しかも、温海町というのは財政はきわめて貧弱で、早く激甚地指定してやらなければならぬ。一体激甚地指定したのですか。
  79. 上田稔

    上田説明員 お答えを申し上げます。  私のほうは、先ほど申し上げましたように、建設省といたしましては、山くずれでございますので、林野庁のほうにお話をいたしまして、県のほうでいまその対策を立てている最中でございます。それで、目下移転をされておりますのは五十戸ばかりでございますが、そのうちの三戸は移転をもうお済みになっておられるようでございます。そのほうに極力お話をいたしまして急がしております。
  80. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 実はお話を聞いていると、他人事のようなことを言っている。もっとわが身になってやってごらんなさいよ。もっと親切にやってやることです。
  81. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連。いまの問題ですが、今回の震災は山くずれと地すべりを非常に伴っておりますので、それが特徴だろうと思います。現在でも、私たちは山形県の庄内地方ですが、温海町や、それから鶴岡市に属しておりますが、由良部落、湯野浜部落ですね。ちょっとした雨のあるごとに山くずれがございまして、山の上に参りますと、大きな地震のときのような裂罅が何十メートル、何百メートルと山の上についているというような調子でございます。今度の震災で中学生が地震のひび割れの中に入りまして死亡いたしましたりするような、ああいうひびが山の上に残っておるのでございます。それで、毎日毎日の地方新聞には、もうあまりのおそろしさにきょうは三戸移転したとか、あるいはきょうは十何戸が避難したというような記事があるのでございます。危険なる国土、裏切られた地面というか、トレチュラス・グラウンドという有名な小説がございますが、自分らの住む地盤そのものが信じられなくなるほど悲惨なものはないのでございまして、国土保安に殉ずる建設省としましては基本的な問題だろうと思うのでございますが、実際は、砂防関係は全額国費に近いような関係から、取り上げるのが非常に慎重過ぎるんじゃないかと思うのでございます。もしその結果——ただいまの具体的の例でございますと、槇野代の川の右岸につきましては、局長さんのおっしゃるとおり山くずれでございまして、六十トン、八十トンの岩石が山の上のひび割れのところからどんどん落ちてくるのでございます。それで、ある家では、親子夫婦の寝る部屋の上に六十トンの大きな石が落ちまして、それがまた道路を隔てた向かい側の住宅をもこわしておるのでございます。地震が正午ごろで、時間が時間でございましたから被害がなかったのですけれども、もし夜間でございましたら、たいへんな人命の被害があったわけでございます。  それで問題は、私、地震と同時に、その日の午後にヘリコプターで党から派遣されまして震災地に向かったわけでございますが、直ちに建設省にお願いしまして、地すべりの専門家である砂防課の技官に来てもらいまして、私もお供して二十数カ所の地すべり地帯を見せてもらったのでございますが、たいへん御熱心に見ていただいたのですけれども、私のお願いしたいのは、国営地すべり砂防をもっと徹底的に大規模に広げてやってもらいたいということ、それから地すべり研究施設というものは相当金のかかるもののようですが、金に糸目をつけないで相当やっていただきたい。そのかわり、地すべりの原因になるような、山の上にたんぼをつくったり、それから土地を確保するのに有力な孟宗竹とか、そのほかの樹種ですね、それをかってに別の樹種に変更したりするというようなことについては制限を設ける。山の上にたんぼ、畑をつくることについては十分に取り締まるとか、制限も非常に強くするかわりに、保護も十分してやるというようなことにお願いしたいのでございます。また、部落移転の必要もあるかないか。あるいは、一戸二戸の家屋の場合もそうですか、そういうふうな巡回指導コンサルタントみたいなものが非常に必要なんだということについて、ぼくは数人の大臣陳情したのでございますけれども、閣議の席上では、そんなことは理想論だ、だれが自分の生まれ故郷を離れるものかということで有力閣僚が何か言われたそうですか、そういうような考え方を持たないで、国民の一人がなくなっても、自分の家族がなくなったぐらいに考えてもらいたい、こう思うのでございまして、その点は再び事務当局より閣議に持ち出していただくくらいのことをしていただきたいのでございます。  なお、この激甚災害法等において、こういう場合の部落移転に対して国庫補助あるいは有利な融資等を考えていただくように特別立法していただくお気持ちがないかどうか、それもあわせてお伺いしたいのでございます。
  82. 上田稔

    上田説明員 お答えを申し上げます。  実はその地すべりという問題につきましては、これは非常にむずかしゅうございまして、その原因につきましても、地中のものが原因になりますので、その対策につきましてはなるべく早く急がなければいけないのでございますけれども、やはり技術的に簡単に結論が出にくいわけでございます。それで、とりあえずの応急措置のようなものは、たとえば出てきたものを取り除くとか、そこのところにどこかためるところをこしらえるという程度の、ごく応急的なものはできるわけでございますが、その対策の根本的なものはなかなかそう簡単には出ないのじゃなかろうかと思うわけでございます。そういうことでございますが、なるべく早く出すために、この地すべり地区の木の下地区と沢の内地区は、緊急地すべり事業としてすぐにやりたい、こういうふうに考えております。それから槇野代のほうは、先ほど申しましたように、林野庁のほうでおやりになっていただくというふうに話ができておりますので……。
  83. 加藤精三

    加藤(精)委員 もう一問だけ。槇野代のほうは林野庁でということでございましたが、槇野代の川の向かって右岸になりますところが、六十トン、八十トンの岩石が山から落ちてくる地域でございます。その対岸のほうは地すべりでございます。これは地質研究所建設省のその専門の博士も調べる必要がないかということが、御視察に来ておられた砂防課の金安技官ですか、あったのでございますけれども、その必要があるという電報を打たれたようでございました。これは地すべりと思っておりますが、この地すべりの原因につきましていろいろお話があって、地球物理学的な問題だから、そう簡単にいかぬとおっしゃるけれども、大部分の地すべりというものは、私の見るところでは、山の上にたんぼをつくったり畑をつくったり道路をつくったり、それから従来の天然の、地盤確保に強い樹種をほかの樹種に入れかえたりしている際に起こるのが多いのでございまして、そういう点、現に諸般の地すべり対策工事を建設省がやっておられるのはみな相当効果をあげておるのですから、われわれは建設省の技術の力を信じているものでございますので、もっと大規模に、もっと研究費もいとわないでやっていただく。そのかわり、地すべりを起こすような人為的原因——水溶性の天然ガスを掘ったために地盤がひどく苦しんで新潟が困っている、そういうようなことの愚を繰り返さないという意味と同じことなんです。そういうことを建設省が十分力を入れて国土の保安をはかっていただきたい、こういう意味でございますから、どうぞ……。
  84. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 いま希望を言われましたが、地すべりをしておる、落石しておるというのは現実なんです。ですから、この部落全部が移転せんならぬようなことなんです。補償せよといったって、補償と補助とは意味が違う。補償せよなんて言わぬけれども、やはりそれ相当の補助をやってでも安全な場所へ移転をさせる、特別砂防地域に指定する、そういうような処置は当然とれるもあだと思う。大蔵省に熱意がないとできないのです。大蔵省どうですか。やるかやらぬか、はっきりしてください。緊急を要するのです。
  85. 中尾博之

    中尾(博)説明員 本件については、地すべりのあったことは存じておりますが、具体的にどういう状況にあって、それで緊急に避難を要するような状況にあるかどうかということにつきまして、関係省からまだ連絡がございませんから、検討いたしておりません。事柄といたしまして、地すべりでございますから、対策も必要ではございましょうが、あぶないところにお住みになっておる方はお気の毒にたえません。おってあぶないところの方は、やはり緊急に避難するということも必要かと思います。それらの場合にはとりあえず避難をするということで、避難の対策としてはあるいは災害救助というような具体的な措置も用意されておるわけであります。実情に応じまして各省でもってそれぞれお考えになると思いますが、実情に即して考えたいと存じておるわけであります。  ただいま、補償の問題は問題にならぬということでございましたが、この点は非常にお気の毒な点だと思っております。地震そのもので即座にやられてしまった、あるいは財産を失ったという方もあるわけであります。一般の保険の問題その他についてもいろいろ考えておる際であります。いずれ関係省のいろいろな御検討を待ちまして、実情に即して考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 答弁どおり、各省からそれぞれ要求があった場合には大蔵省はこの予算を認める、こういうことに了解してよろしいね。  その次に運輸省にお伺いします。次官が見えておりますから、次官からひとつ御答弁願います。  今度、西目村の鉄道の道床が流失をして、その部落の耕地面積の約三分の一はその土砂のために埋没してしまった。にもかかわらず、その土地の人は鉄道復旧にも献身的な努力をしたのです。ところが、気がついてみると、収穫は皆無なんです。何とかこれは国の力で補助をして助けてもらえぬか。ああいう早場米地帯ですから、幾ら土砂を取り除いても、たんぼの植えつけはだめなんです。その村の人はあまりにも真摯な態度で協力をしておる。気がついてみれば、その一年に一回の収穫ができない。私はあまりにも悲惨だと思う。これについても運輸省は補償してやるのが当然だ。どういうふうにせられたか、簡単にひとつ答弁してもらいたい。
  87. 田邉國男

    ○田邉説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、確かに国鉄の施設の一部崩壊によりまして農地に非常に大きく損害を与えた、これは事実でございます。そこで運輸省といたしましては、地元の県、それから町と非常に緊密な連絡をとって、いまその復旧対策について協議をいたしております。これは私の考え方といたしましても、当然早急にこの措置をしなければならぬということと、そして何らかの方法をとらなければならぬ、国鉄としても誠意をもってこの解決に当たる、かように考えております。
  88. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは国鉄が当然やるべきかもわかりませんが、しかし、国としても何らかの措置をして、国鉄も助けてやり、その地方民に対しては、政治はかくあるものだという恩恵を与えてやるということが国の政治だと思う。その措置をやってもらわないといかぬと思う。これは一般の農地の災害とはケースが違っています。ですから、やはり何らかの措置を至急に講じて、住民の安心するような措置をしてもらいたい、これをお願いします。  それからもう一つお伺いします。これは港湾関係ですけれども、酒田港、新潟港等、港湾の被害はきわめて甚大です。ところが、酒田港などは非常に資力も乏しくて、なかなかいかぬ。そこで運輸省としては、直轄工事でこの復旧工事を急ぐ、こういうことを現地に伝えられたと聞いております。一体復旧工事はいまどういうぐあいに進みつつあるのか、将来この新潟、酒田港の恒久対策としてはどういうものを持っておるか、簡単にひとつ説明願います。
  89. 比田正

    比田説明員 簡単にお答えいたします。  酒田に対しましては——新潟以外のところでは酒田が一番大きかったわけであります。大きかったと申しましても、新潟と比べると非常に少ないのですが、そこで一番問題になりましたのは、最上川の下流の背割り堤がひびが入っている。それから防波堤の関係にも被害がございました。それからどろが港内に入った。この三つでございますが、一番急がなければならないのは川の堤防のところでございますので、これはすでに応急復旧を行ないまして、ひび割れいたしましたのは全部修復いたしました。また、川ですから、堤防の根元が洗われてはいけませんから、そういうところには石を捨てまして一応の対策は終わりました。昨今の雨でも別状ないということでございます。さらに、災害復旧といたしましては、これを全面的に本格的に恒久復旧をいたしたい、かように考えております。
  90. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは現地の声を、ここで説明をしませんが、よく聞いて、さらに完ぺきな対策を立てていただくように希望いたします。  その次に文部省にお伺いしますが、今度の地震は特徴があって、地盤の軟弱なところが被害をこうむっておる。ところが校舎は、非常に古い校舎で、幼稚園では死んだようなところもあります。ああいうものを許可しておるのは——これはやはり文部省がいいかげんなことをやっておるからああいうことになるのであって、今後注意してもらわなければならぬ。責任を追及しようとは思わない。そんなことを言うている間がない。けれども、事実上危険であって使用にたえない校舎がずいぶんできている。木造のあんな校舎にしたってだめなんですから、原形復旧だけではなくて、これを全壊とみなして、しかも鉄筋の近代校舎に建てかえなければならぬ。これは文部省はどう考えていますか。
  91. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 改良復旧の問題でございますが、公立学校施設災害復旧費国庫負担法の規定によりまして、木造のものを鉄筋コンクリートに復旧するということも一応方途は開かれております。従来これに対しまして予算措置も万全を期しておりまして、大体設置者の要望に沿い得ておりますので、今回の新潟地震につきましても同様の措置をとろうと考えております。
  92. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 坪単価はどのくらいに見積もって復旧するつもりですか。
  93. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 坪単価につきましては、決して十分ではございませんけれども、現在予算的には坪当たり七万二千五百円、これを新潟地区の特別な事情がございますので、一応、地区の特殊事情を考慮して、七万四千円と考えております。
  94. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは低いじゃないですか。その七万二千円というのは、たとえば西目村とか、こういうような新潟以外のいなかでは七万二千円ですか。どうなんです。
  95. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 単価の問題でございますが、それぞれその設置者のほうでこれを種々補助金に対して薄めてみたり何かされることはございますが、私どもとしては、質を保つために予算単価を堅持したいと思っております。
  96. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 大体地方の声としては、査定単価ではやれません、露骨に言って、査定単価のきわのきわの補助をもらっても、実際にはそれは半分にも満たないと言っておる。私の予算委員会での質問に、文部省は、高等学校の建設費などあなた方に一銭の寄付も仰いだことはありませんと、大きなたんかを切っておる。けれども、実際には、その建設費にしても、査定単価が低いために、私自身だって寄付しているのですよ。町村に割り当てても、町村からどうしたって出せないものだから、出さなければしょうがない。何で一体あんな大きな答弁をするのですか。それで、査定官が出てきては、加藤先生がおっしゃるように、その質においてどんどん査定を削る。高額補助といったって、名目補助じゃないですか。これでは弱小町村じゃできませんよ。あしたから校舎はなくなってしまいますよ。しかも緊急を要することなんです。文部省は大体なってないですよ。大きなことを言ってここで答弁して、実際には何をやっておるか。あなた方見に来てみなさい。見に来ればわかる。こんなことでは災害復旧はできない。どうなりますか。文部省の査定というなら、坪十五万あったって二十万あったって、九割の補助になりませんよ。大体文部省が遠慮してしまうから、そいつをまた大蔵省が出てきて大なたをふるう。なってないじゃないか。全く二重なたをふるっている。そして大きなことをここで答弁する。答弁することと実際と全く違っているじゃありませんか。こんなことで一体復旧工事ができますか。大蔵省どうです、文部省の言うとおりその査定を認めて補助を出すか出さぬか、削るか削らぬか、はっきりしてください。
  97. 中尾博之

    中尾(博)説明員 補助単価の問題については、いろいろ御指摘もございますので、われわれも重要に考えております。しかし、決してむちゃくちゃなことをいたしておるつもりはございません。ただ、現実に地方の父兄負担といったような問題はございますし、それから補助制度によりまして考えておりました以上に金のかかる建築があるということ自体は、私も重々承知いたしております。しかしながら、何分にも予算のことでございますから、標準的な積算に立ちまして、相当合理的な施行の努力をはかるということで、しかもその規格も全国の標準的なものということで予算は積算をいたしておる次第でございます。したがいまして、具体的にこれを建てます場合には、さらにそのやり方を変える、あるいはやり方が必ずしも経済的でなかったというようなことから金額がふえることは間々あろうかと存じます。また、もともと地方の施設でございますから、補助は補助で全国統一の基準は確持いたすわけでございますが、さらにその自治体の生活の性向といたしまして、それにつけ加えましていろいろお考えになるということは、これは自治の本質から申しまして間々ございましょうし、当然なことだと存じております。ただ、国のほうの基準が教育にたえないようなものであるということでありますれば、重要な問題でございますので、これはまさに私どもの責任でございますが、ただいま文部省御当局から御答弁がございました単価は、私どもといたしましても、国立の施設、その他実際にいたしました施設からそれぞれ単価の検討をいたしまして、毎年これに物価の改定あるいはいろいろな状況の変化といったようなものを加えましてこれをきめておる次第でございます。したがいまして、そういうことではございますが、今回は、先ほど来お話も出ておりますように、地盤の問題その他で工法的にあるいは技術的に従来の規格でもってなお足りないというような結論が出るといたしますならば、われわれといたしましては、こわれない、十分に教育にたえるものでその単価を考えていくことは当然であろうというふうに考えておる次第でございます。
  98. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 いまのおことばの中に、私はことばじりを取り上げようとは考えないけれども、教育にたえないものをつくらす考えはない、そんなことは当然じゃないか。何ということを言っておるのですか。そんなことを地方の人が聞いてみなさい、どんなに怒りますか。ほんとうですよ。あなた、そんないいかげんなことを言ってもらったら困る。教育の場所にたえないようなものをつくって一体どうするのですか。そんなことを大蔵官僚としては考えておるから、それだから、あっちへ単価を削り、こっちへ単価を削り、実情に沿わないことばかりしておる。あなた自身の家をいまお建てになるとして、建築費だけでも幾らかかるか、こんなもの、みんな生活しておるではないか、大体わかるじゃないか。何も学校の校舎や公共施設だけ特別に粗雑なものをつくれと、あなたおっしゃるのではないでしょう。そうするなら、もう少し考えてもらわなければならぬ。文部省は何にも知らない、あなた方、いすに腰かけて、のんべんだらりとたばこばかり吸っているから、そういうことになる。もっと地方民の実情をよく把握してやりなさい。特にこんなものは、災害ですから緊急を要するのです。  委員長、もう一問だけで終わります。  その次に、今度は地震なり、そのあとにはまた新潟地方にも大雨が降った、ところが、たいへんと言っては済まないけれども、今日地方によって地域格差があるということは、政府自身もお認めになっているでしょう。その格差の低い地域ですよ。財政負担にたえられないような地域なんです。きわめて貧弱な財政地域です。したがって、地方財政についてはよほどの計画を立てなければならぬ。先ほどから特別交付金の問題あるいは交付金の問題など出ておりましたが、そんな手ぬるいことではできません。ですから、当然補正予算を組んで国会に出さなければならぬと思う。そういう準備を大蔵省はしているのですかどうですか。地方財政計画について自治省もどういうようにしようとしておるのか、これは自治省からも説明願います。大蔵省の考えも聞きたい。自治省来ていませんか。——自治省、答弁しなければだめじゃないか。どうも計画しておらぬな、これは。
  99. 柴田護

    ○柴田説明員 災害につきましては、今回の災害の起きました地域は、お話のとおりでございます。現在、地方財政措置といたしましては、ある程度の発生災害を予定して準備はありますけれども、お話のようにこれで十分でないかもしれません。したがいまして、復旧工事あるいは災害に伴うもろもろの支出金等の実態がわかりまして、不足いたします場合におきましては、しかるべき措置をとります。
  100. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういうことを言うておるからだめなんですよ。もう地方財政計画は、これだけの災害——災害を言いましょうか。九州には長雨だ、北海道は豪雨だ、新潟地震豪雨だ、秋田は地震だ、山形も地震だ。これでは、これらの地方は、地方財政計画というものを根本的に立て直さなければ、こんなものはまかなえませんよ。まかなえないことはわかっているじゃありませんか。それをいまだにそんなことを言っているようなことでどうするのですか。地方の人の声を聞きなさい。どうです。いまの答弁じゃいかぬ。
  101. 柴田護

    ○柴田説明員 地方のことが心配でございますので、災害が起こりましてすぐ地方交付税の概算交付の措置をとりました。しかし、例年の規模にそぐう一定の割合があります。その程度のものは、従来の例からいいますならば、交付税の配分等を通じまして措置できると考えます。しかし、どれくらいの額になりますかということになりますと、やはり事は金でございますので、計算が明らかになりませんと、どうするかという措置は明確じゃございません。したがって、激甚災害法の適用を受けたあとの地方負担がどうなるか、あるいは税の減免を行ないました結果がどうなるか、こういうことを見定めませんと、現在持っております範囲でもってまかなえるものか、まかなえないものかということが明らかになってまいりません。今後なおこの八月、九月を控えまして、風水害ということも予想されるわけでございます。したがいまして、そういうものをひっくるめまして措置をする、こういうことになろうかと思います。  なお、地方債につきましては、例年の例によりますと、秋になりますと大体の額をまとめまして地方債計画を補正いたしておりますし、本年もおそらくはそういうことになるだろうと思います。
  102. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 いま答弁がありましたけれども、もうすでに長野においても凍霜害あり、災害相次いでいるのですよ。けれども、予算を組んだ当初においては、ただ平穏な中の予算を組んでおる。各地方公共団体というものは、新たに予算の財政規模を変えなければ、これはどうにもなりません。それにまだこれから起きるであろうことも予測に入れて、いま起きておる緊急事態を処理しようとしないなんということは、けしからぬ話ですよ。そんなゆうちょうなことを言っておるのじゃない。いまのことを言っておるのです。災害の額はもうわかっておる。われわれ委員会に報告されていることは間違いない。間違いないとすれば、それをやはり根拠にして地方財政計画の立て直しということについては十分な配慮をしてもらわなければならぬことは当然な話です。そんな気の長いことを言っておられません。これはこの委員会の皆さんの全体の意思だと思うので、自治省も十分その措置をしてもらいたいと思う。  以上をもって終わります。
  103. 中山榮一

    中山委員長 稻村隆一君。
  104. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 先ほど労働省と自衛隊のほうが来ておらなかったので、簡単に御質問申し上げます。  被災地の労働力が一番重要な問題でありますが、私は、どうしても今後国が労務者を確保して派遣するような制度を考えるべきだと思うのでありますが、その点につきまして労働省のお考えを承りたいと思います。
  105. 佐柳武

    ○佐柳説明員 お答え申し上げます。  労働省といたしましては、今回の災害が発生いたしました後に直ちに現地におきまする建設関係の業務を中心とした労働者の不足が起こって、このための確保対策が早急に起こるであろうという考えに基づきまして、労働省といたしましては、直ちに新潟県に隣接いたします関係県、すなわち宮城、福島、群馬、長野、富山、石川福井、これらの関係県に対しまして電話もしくはテレックスによりまして、それぞれいま申し上げました以下の安定所におきまして、災害地に派遣できる建設関係労働者の把握を進めておくようにという連絡措置をとった次第でございます。これは新潟県から直接関係県に要請をしてもよろしい、もう一つの方法としましては、新潟県から労働省に必要な旨の連絡をさせて、労働省がそれら関係県に対して派遣の指示をする、その両方の形を予想しての体制をまずとりました次第でございます。  一方、建設業界に対しましても呼びかけをいたした次第でございます。すなわち、全国建設業協会に対しまして、災害地での必要労働力の確保の状況に応じまして、建設業団体の関係事業所に属する大工さんとかあるいはまた左官屋さんとか石工とか、こういう方々の技能労働者の派遣を必要に応じては団体のほうからも御協力をいただきたいという旨の要請を、この災害が起きましたと同時に東京におきましてお願いをいたしまして、これに対しまして直ちに団体のほうにおかれましてもその措置をとっていただき、六月二十二日にはそれに対する連絡をとった旨の通知を受けておりますが、それによりますと、新潟以下においては、建設業協会が建設関係災害対策本部となって——全国建設業団体連合会新潟支部が中心となって、緊急工事に対する労働者の割り当て等を行なうようにしている。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 おもな点はその点でありまして、現在のところ、すなわち六月二十二日ごろの状況におきましては、まだ安定機関が十分な活動状態に入っておりませんが、特に目立った労働者の不足は見られないし、労働賃金の上昇の気配もないという旨の団体のほうからの連絡も受けた次第でございます。  一方、第三の問題といたしましては、個々の事業所におかれまして、災害を受けられた後における復旧のために労務者が必要となる場合がありまして、これは安定所への求人ということだけでなく、事業所自体として労働者を直接県内から募集する、あるいは委託募集をするという必要が生ぜられる場合もあるわけでございます。この直接募集とか委託募集を行ないます場合には、労働省におきましては、その募集の許可申請を事務手続的に相当こまかくきめておるわけでございます。これは募集の秩序を守っていただくために、審査というような事務が入りました事務手続でございますが、こういうようなことを今回特別な措置として除く。とにかく口頭連絡でよろしゅうございます。事業所が従業員の募集をされる場合には、事前にとにかく何らかの形で安定所に連絡をしてくだされば、事後において文書の処置をとっていただくこととして、直ちにその募集活動を開始していただいて差しつかえありません、この旨の措置を直ちにとりました次第でございます。  労働省では、現在までに新潟の安定所のこの災害復旧のための求人状況を統計的に見てみますと、これは何と申しましても臨時的、日雇い的な短期間災害復旧労務が多いわけでございますが、この求人は、紹介体制に入りました六月二十二日から毎週とっております結果によりまして、七月五日まで、この間において受けました求人は六百八十六でございます。これに対して紹介をいたしました実績は六百四十でございまして、その安定所の窓口において御紹介申し上げた求人紹介充足は、まずまずのところにいっているわけでございます。  そのほかに特別な対策といたしまして、直ちに県の組織をもって調査いたしましたところ、新潟県下におきまして、今回の災害によって事業を再開するまでに一週間以上かかるという事業所がどれくらいあるかということを調査いたしましたところ、九百七十六の事業所が再開までに一週間以上かかる。このうち、新潟市内が九百十七でございまして、ほとんどが新潟市内の事業所ということになるわけでございます。これら事業所に雇用されております者は三万八千三百四十四人、新潟市内の事業所におきましては三万五千三百二十七名でございまして、これら被保険者の方々が今回の地震によりやむを得ず休業した場合、その間の特別な措置として失業保険金を差し上げるという特例を今回発動いたしたわけでございます。これは新潟市内の場合におきましては九月三十日まで、それからその他の災害救助法が適用された地域におきましては七月十五日まで、すなわち災害が発生いたしてから一カ月間、一番激しいところにおきましては三カ月半、これらの期間休業した等の事由により給与の得られない方々に対して失業保険金を支給する特例を設けた、このようなことで、一応現在までのところにおきましては、災害地における需要の状況に応じて、その職種等に応じた、また必要な労働力の資質に応じた紹介体制というものをなるべく早急に固めていくという措置をとり、かつ募集の手続における簡素化、あるいは事業所における被保険者である方方の保険金給付の特別措置、これらの諸点を一応現在の段階までとってまいったわけでございます。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 労働省の適切な措置に対して感謝申し上げます。  次に、災害に対する自衛隊の問題ですが、自衛隊は主として応急的な出動に限定しているようでありますが、これはもちろんいろいろ業者などの関係も考慮してでありましょうけれども、災害が原因である問題についてはやはり建設面にも自衛隊をできるだけ使用する、むろん、業者との間のいろいろな調整をしなければならぬけれども、使用することがやはり一番いいのではないかと思うのですが、その点につきましてひとつ御答弁を願いたい。
  107. 有吉久雄

    ○有吉説明員 ただいま先生から御指摘の点でございますけれども、御案内のように、災害派遣につきましての法的根拠は自衛隊法の八十三条にございまして、御案内のような諸種のケースにそのつど出動しているわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、応急の際には出るという実績を見ましてもそういうことになっております。これは今度の新潟地震の際にも、当時中央においてつくられました新潟地震災害対策本部長の河野建設大臣よりもわが防衛庁のほうに対して御指示があった点でございますけれども、とにかくこの程度の大規模の地震になりますと、とりあえず、自衛隊という、人と物を多く持ったところが、また機動力を持ったところが、一日も分も早く現地に行って応急修理をすることである、あとの問題というものは、これはそれぞれの所管省庁においてやれることであるから、とりあえず一刻も早く出発させることであるというふうな御指示を地震発生の当夜いただきまして、それによって、先生も御案内のごとく、陸上自衛隊におきましては、約六千九百名の自衛隊員が十六日並びに十七日の両日にわたって現地に到着いたした次第であります。  そのような応急修理応急の対策ということに自衛隊が出動するだけでなくて、むしろ前向きに、もう少しこういった災害対策というものを考えたほうがいいのではないかという先生の御質問でございますが、御案内かもしれませんが、自衛隊の、たとえばブルドーザーとかその他の土木機材を持った部隊なんかもございますが、これはいわゆる自衛隊の性格からいたしましても、野戦において一応自衛隊の行動といいますか、たとえば道路の啓開でありますとか、そういった自衛隊の性格から出ますいわゆる土木作業でございまして、そこに一つの限界があるわけでございます。御案内のごとく、たとえば自衛隊のいま庁舎というのはどんどん建てかわっておりますけれども、たとえば自衛隊の庁舎を建てかえるというふうな能力は全然持っていないわけでございます。建設関係においてもそうでございますが、土木関係においても、いわば道路啓開あるいは橋梁の修理とか、そういった一応の自衛隊自身の行動を最小限度保障するというふうな意味においての資機材を持っております。また、一般の最近発達しております民間会社のいわゆる土建機材に比べますと、非常にお粗末な、十数年前のものが更新されないでそのままでいるというふうなこともございまして、いま先生の御質問の御趣旨にあるいは異なった答弁になっているかもしれませんが、いまのところは、自衛隊自身の性格から申し上げまして、非常に前向きの、非常な高度化した資機材によるところの土建関係の陣容を強化するということは、いまのところ私どもとしては考えていない次第でございます。
  108. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 自衛隊の任務というものは、人の侵略を防ぐということがたてまえなんでしょう。それだから、自然の侵略、自然の災害を防ぐということも私は重要な任務じゃないかと思うのです。むしろそのほうが重要だと思うのです。ですから、何もそれを回避するようなことは必要ないだろうと思うのです。だから、それこそ近代的な建設的な設備を持って、工作者として重要な任務を果たすのが、私はむしろ自衛隊の任務じゃないかと思うのですよ。実際上今後は自衛隊は人との間の戦争はないかもしれませんよ。そういう点、どうですか。そんな消極的な考えでは、自衛隊の今後のあり方として私はいけないと思うのです。
  109. 有吉久雄

    ○有吉説明員 これまた自衛隊の任務ということにも関連いたしまして、一応今後予想されるいわゆる直接侵略ないしは間接侵略に対応して自衛隊は発動するというのが本来の任務でございまして、そういう任務を課されております以上、そこにいわゆる土建関係と申しますか、国土建設と申しますか、そういった面に重点を現時点において置くいうことについては、いろいろ異論もあろうかと思うわけでございまして、どうも私、一課長でございまして、あまり……。
  110. 中山榮一

    中山委員長 午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  111. 中山榮一

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、理事辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。  理事田中正巳君より理事辞任いたしたい旨申し出がありますので、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任をいたさなければなりませんが、これは先例によりまして委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 中山榮一

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、理事小沢辰男君を指名いたします。      ————◇—————
  114. 中山榮一

    中山委員長 災害対策に関する件について質疑を続行いたします。小沢辰男君。
  115. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 私、前回の災害対策特別委員会で質問を申し上げました総論的な部面について、まず一、二確かめておきたい点がございます。  それは、第二章関係は、これは一応中央防災会議で決定をされたようでございましたが、そのときには、第三章、すなわち第五条以下の条文の適用について目下検討中であり、できるだけ早目に適用したい、こういうお話がございましたのですが、きょうそれを確認してまいりたいと思いますけれども、まず、第五条、第六条は、すでに農林省からいただいております資料によりますと、七月三日に閣議決定、七月六日に政令の公布、こういうことになっております。それからさらに私は、第七条、第八条、十条、十一条、これらについてもお願いをいたしておいたのですが、農林省の資料によりますと、第七条、それから十一条、八条については目下検討中だという資料になっておりますが、これは当然適用されるという前提のもとに検討中ということと理解してよろしゅうございますか、この点をまず伺いたいと思います。
  116. 北川博正

    ○北川説明員 お答えいたします。  御承知のように、指定は、現在、第一次指定、第二次指定を行ないまして、先生ただいまおっしゃいましたように、第一次指定は七月六日、第二次指定は七月十一日の政令で公布したわけでございます。第一次指定は、御承知のとおり、第二章、第五条、六条、それから十二条、十五条、十六条、十七条、二十二条、それから二十四条というぐあいになっておりますが、第二次指定をいたしましたものは、第七条関係一号、それから第十条、十三条、十九条、二十条、それから二十三条、二十五条というぐあいになっております。それでよろしゅございますか。
  117. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 それからいま言ったもの、七条、十一条、八条、未決定で目下検討中……。
  118. 北川博正

    ○北川説明員 現在未決定になっておりますのは農林関係が主でございますが、七条の三号の関係でございます。それから十一条の関係でございます。
  119. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 ですから、それらは目下検討中になっておるが、適用するという前提で検討中だと理解していいかどうかということです。だから、手続はまだ間に合わないが、たとえば来週の閣議にするとか、今週の金曜日にするとか、いま組閣でごたごたしているから無理かもしれぬが、来週になれば適用になるのだ、こういうことなのか。
  120. 北川博正

    ○北川説明員 この七条、十一条関係でございますが、まだ関係省庁間で確実に話し合いがきまっているという段階ではございませんので、必ず適用になるとは、その点まだ判明いたしておらない次第でございます。
  121. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 そこで、関係各省というと、農林省大蔵省だろうと思うのですが、農林省のほうでは、大体なることは間違いがないと心得てよろしゅうございますという答弁はまだできない段階ですか。何か重大な支障があるのですか。
  122. 安藤繁夫

    ○安藤説明員 農林省関係の三つのうち、水産動植物施設と小型漁船につきましては、これは激甚災以前にいろいろ特例法が設けられたことがあるのですが、それは伊勢湾台風とか第二室戸台風とか二つの例がある。今回の被害の絶対額から申し上げますと、その十分の一で被害は非常に少ないということが一つ。それから農地、農業用施設であるとか、天災融資法などにつきまして、激甚災害法を適用する基準というものがきまっておるわけです。ところが、この二つについてはまだその基準がきまっていない。その場合に基準をきめるといたしましても、過去に小型漁船だとか水産動植物に適用した例が今度の当該災害の規模の十倍も多いという例がございまして、正直なところ難航いたしております。農林省といたしましては、これらのものにつきましては、そのほか、公庫融資であるとか天災融資法であるとかいうような、ほかに融資の道もありますので、それらと総合いたしまして検討を進めておる、こういうことであります。  それから第八条の天災融資法につきましては、これはこの間も官房長が御説明いたしましたように、現在のところ、十八億の農産物被害ができておりますので、天災融資法適用することにはほぼ了解がついておるわけでございますが、激甚災害法を適用するという点につきましては、これは激甚災害法の適用基準がありまして、それに到達していない、こういう段階でございます。しかしながら、先般来、新潟、山形地方集中豪雨がありまして、非常な被害が出ているわけであります。これは集中豪雨だけの被害でなしに、地震によりまして地盤が悪くなり堤防決壊した、そういうような事例もある。あれだけではこういう被害は生じない、地震があったから間接的な被害が生じたのである、こういうような被害も相当額に上る、そういう被害額につきましては目下調査を進めておりますが、先ほどの十八億というのにそれらの被害も加えて勘案しなければならぬのじゃないかと、農林省はそういうように考えておるわけであります。したがいまして、天災融資法関係につきましては、これらの被害を十分調査検討いたしまして、激甚災害法の発動につきまして関係方面と折衝を続けたい、かように考えております。
  123. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 ただいまの御説明ですと、私どもが非常に関心を持っておりました共同利用小型漁船の建造費の補助関係、それから水産動植物の養殖施設、特にカキいかだ等の、新潟には特別のそういう施設がございますが、こういうようなところの規模が、他の災害で第七条三号及び十一条を適用した場合の例から見ると、被害の規模そのものが小さいから、これはいま難航しているというお話でございます。中尾さん来ておられますが、これは実はその被害を受けた程度といっても、質と量の問題あるいは地域の広がりの問題がある。やはり被害を受けたものは全然使えなくなるが、特に新潟地震の例をとりますと、漁業組合八組合につきまして、百五十隻以上のものが、徹底的に船そのものがやられているというような状態で、そういう状態を見ますと、これは当然その被害を受けた側から見ますと、そういう組合数あるいは隻数というものが百五十隻だからどうだこうだという議論をされると、非常に受けた者の気持ちが納得しない。全体の大きな規模といいましても、一人死んでも十人死んでも、死んだ者からするとその被害というものは同じもので、ただこれが片足もいだ程度と死んだ場合との違いだとかというから、これは私は理屈はわからないこともありませんが、そうじゃないとすれば、やはり早急にこの七条三号なり、あるいは十一条なりというものは、当該同じような被害を受けたものに適用すべきじゃないかと思うので、ひとつ特別な考慮を払っていただくようにお願いいたしたい。前回の災害対策特別委員会におきましても、地域的な指定について各委員から、たとえば激甚地指定について、ある村とある村の標準税収入、これが被害額が十分の一に達しない場合に云々というような、それが打ち切られた場合には、片一方は適用になって、片一方は適用にならぬというような非常な不公平が出てきたり、また住民感情として納得できないようなこともあるから、それらはひとつ弾力的に運用するように各委員からそれぞれ異口同音に注文があったわけです。ですから、こういう点についても特に考慮していただきたいと私は思うわけでございますが、特に七条三号と十一条について中尾さんひとつ色よい返事をしていただきたい。
  124. 中尾博之

    中尾(博)説明員 御要望の事実につきましては、承知はいたしておりまするし、それから関係の省からもいろいろお話は承っておりまするが、いま農林省からお話がありましたようなことで、取り扱いに苦慮いたしております。お話自体はよくわかります。被害を受けて船を失う、あるいはいかだを失えば、一人失っても十人失っても失った人については同じでありますから、これはまさにそのとおりであります。そこがまたこの災害対策の特殊なものでございまして、火事で一軒焼きましても十軒焼きましても同じでありまするが、災害救助法の発動が出る場合と出ない場合がございます。いずれもこれが社会的な一つの事案といたしまして、これを社会的に対処することを放置することができないというものにはそれなりの一つの限界を設けなければならない次第であります。今回の激甚の指定関係するわけでございまするが、激甚の法律自体も第二条にございますように、「国民経済に著しい影響を及ぼし、」というところに一つの観点を置いておるわけであります。これがお話の点と観点が違うのでありまして、そういう点に問題がないということを申し上げておるのでは決してございません。しかしながら、現在ある激甚地ということの取り扱いが基礎になります関係はそういうようなことでございますので、制度のそういう面につきまして御理解をいただきたいのであります。それらの点に照らしまして私どもも苦慮いたしておるのでございます。もちろん、いろいろな制度でございますから、その運用にあたりましては、いたずらにこれを冷たく運用するということは慎むべきものであろうと存じますが、何ぶんにも、いま申し述べましたことは事の基本に関することであります。しかもこれらの制度はいまに始まったものではございません。すでにある程度の慣行があり、それがまたこういう法律で立法化されまして、方方の地方で現実にそれが適用されておる次第でございます。漁村あたりにつきましても県の単位をとらえましても、今回を上回るような場合もこの激甚ということの取り扱いではないということで、御納得を願っておる例が過去にあるわけでございます。そういうような点を御理解いただきたいと存じます。
  125. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 私は、いま中尾さんのおっしゃったように、確かに社会的ないろいろな災害の度合い等によって取り扱いが異なってくるというような場合もあることは、一軒焼けた、十軒焼けたという場合に、いろいろな違いについては確かにあることはわかります。ただ、この法律を読んでみますと、第七条でも「国は、激甚災害を受けた政令で定める地域において、当該激甚災害を受けた次に掲げる施設の災害復旧事業であって施設ごとの工事の費用が三万円以上のものに要する経費」こうなっているわけです。それから十一条は「国は、激甚災害に係る小型漁船の被害が著しい政令で定める都道府県が、」これは当然新潟県というものは入ると思うけれども、「漁業協同組合の必要とする共同利用小型漁船建造費につき、当該漁業協同組合に対し、三分の二を下らない」こうなっているのです。ですから、法律上は、たとえば被害を受けた隻数が、この前の適用になったところよりも非常に少ないとか、そういうような七条、十一条の考え方ができておれば、たとえば被害を受けた施設そのものの数なり、あるいは損害額なりというものが一定の額以上に達した場合に、それら当該施設の復旧につき云々とは書いてないわけですから、これは私はできるんじゃないかと思うのです。何も法律の違反でもなければ、運用でできるんではないかと思うのです。したがって、農林省と皆さんのほうで御相談を願って、それでこの条文の適用をやることによって救済ができるものである。しかも都道府県なりそういうところができるだけ補助をしてやろう、そして早く漁船の復旧あるいは養魚施設の復旧をさしてその経済の復興に資してやろうというような場合には、国が何もそれを断わる理由はないじゃないかと思いますので、たっていま御答弁をお願いするわけではありませんけれども、そういう趣旨から十分考えていただきまして、早急にこれが適用になりますようにお願いをいたしておきます。  それから総論的な質問の際に、前回私がお尋ねしました上下水道、し尿処理の問題、先ほど稻村先生からもお話があったのですが、これはこの特別の財政援助等に関する法律の第二章の中に入ってない。これは地下埋設物等についての災害復旧事業に対する財源措置の特別法をつくるべきじゃないかと私は考えておりますが、その法律をつくらないでも、皆さんのほうで財政上十分第二章の公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、この法文の趣旨と同じように取り計らっていきますということになれば、これはあるいは法律をつくらぬでも済むかもしれぬけれども、そうでなければ、われわれはこの前から、前回の委員会におきましても、また本日におきましても、各委員から、これは与野党を通じて、とにかく地下の埋設物等の災害復旧事業については、当然特別な財政援助をすべきであるという意見が非常に強い。また、これらはそれぞれの主管省あるいはまた地方公共団体の事業でございますから、それをあずかる自治省においても、そういうような方向でものを考えたいというふうにも、われわれ接触した範囲では聞いておるのでございますが、ぜひ上下水道及びその他のし尿処理あるいは都市ガスの施設、終末処理等については、そういうふうなわれわれの意向が非常に強いということを考えていただいて、場合によれば立法化をするというぐらいの強い気持ちでございますが、いまのところどういうふうに進行しておるか、皆さんのほうでは法律をつくりたくないのだろうと思いますけれども、一体補助率をどれくらいに引き上げるか、この前も申し上げたんですが、関東大震災のときは、水道についてもたしか八五%の補助を出してやっておったと思います。そういうような点を考えまして、一部におきましては、水道は公共企業だからこれはあとで料金が回収になるのだ、こういうような話がありまして、あるいはまた、下水についてもいろいろ手数料をとっておるところがあるじゃないか、そういうようなものについてはやはりそのつど現実に対処する意味での予算措置で十分なんだという意見があるということも聞いております。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 しかしながら、御承知のとおり、前回われわれ通常国会においても、あるいは与野党を通じまして、水道の料金が公共料金に該当するからこの料金の引き上げができない。したがって、水道の事業主体である各市町村においてはとうてい採算がとれない。とれないから、起債の償還の延期なり、あるいはまた、利子の補給なりというようなことをやるか、あるいは水道料金を上げてもらうか、どっちかにしなければいかぬのだというような、非常に強い猛烈な運動があったことは、自治省も大蔵省も厚生省も御存じだろうと思うのです。そういうような、一般的に何も災害のないときの水道でさえそういう状況なんだから、災害復旧の経費はあとで一般住民から水道料金で元をとるなんということはとうていできないと私は思います。しからばこれはやはり一般の公共土木施設の災害復旧に要する費用と同じように特別の財政援助をすべきである。またそれをはっきり法律上——これは新潟地震のみならず、この前の国会でも参考人等が明らかに証言をいたしておりますように、東京都における地震の周期その他から見て、ある程度予想しながら今後考えていかなければいかぬことなんだということも言うております。そういう点から考えますと、地下埋設物につきましては、特にそれが公共団体の非常に公益性の強い、しかも住民の一般の生活には欠くことのできないものであればあるだけに、私はここで特別にひとつ考慮を払う必要があると思う。はっきりとこの機会に、もし結論が出ておればあれですが、どういう方向で検討されておるか、ひとつ大蔵省、自治省から答弁を願いたいと思います。
  126. 中尾博之

    中尾(博)説明員 お答えいたします。  率直に申し上げまして、まだ結論が出ておる段階ではございません。したがって、御要望のような点にお答えする用意がないわけでありますが、今回のように、水道あるいは下水道、地下埋設物が被害を受けるということは実はまれでございます。普通の災害と申しますと、何と申しましても風水害、凍霜害といったようなものでございまして、これらのどういうものが大災害であるか、それに対してどういうふうに手を打ったらよろしいかというようなものは、それぞれ従来から方針があるわけでございますが、必ずしもパラレルに起こる災害でもございませんし、従来から例もないことでもあり、またそれらのものとは趣を異にしたものでございますので 事例、案件といたしましては非常にまれなものであるということであります。したがいまして、既存のいろいろな施薬とこれを同日に論ずるということでは解決がつきません。同時にまた、いろいろ御意見もございましたので十分拝聴いたすつもりでおりますが、上水道あたりも状況はいろいろでございます。もちろん、一般財政との関係におきましてその被害をはかってどうこうするという筋合いのものではない。それから料金の問題につきましても、ただいま御指摘ございましたような事実はまさに事実でございますわけでございます。これによりまして水道というものが未来永却採算というものはないものであるということには、現在の地方税制、国の税制、それから水道事業というものからあわせ考えまして、そういうふうに割り切って処理するというわけにもまいりません。下水あたりになりましても同様でございまして、これは水道に比べますと、いわゆる公益事業とは申しますが、まだその普及率におきましてさまざまな相違がございます。これを完全な意味の収益事業と見るわけにもいかず、かと申しまして、発達しておる段階においてはそういう面もあるわけであります。これを一律の立法においていずれかに律するということもできかねますし、いまもお話がございましたように、地震といえば、関東大震災も今度も同じだというのも一つの理屈であろうと思います。そういうようなことから、下水といえば、どういう下水もやはり同じに考えるべきだという議論も出てこようかと思います。その辺が非常に苦慮を要する点でございまして、何ぶんにも新しい問題でございまするから、そこら辺を十分に慎重に検討いたしておる次第でございます。  なお、特別の立法という話でございますが、そういう意味でちょっとこれは立法措置には乗りがたい。つまり、これを普遍的にどう取り扱うかということはつきましては、いま申し上げましたようなことでこの取り上げ方が非常にむずかしいのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。  具体的な新潟の問題をどうするかという問題につきましては、私がただいま最初に御答弁申し上げましたことで尽きるのであります。いずれにいたしましても、水の供給ということ、それから下水の設備を早く回復するということは、これは生活環境の点からいきまして焦眉の急を要する問題であります。したがいまして、実情に即して無理のない方法におきましてできる限りのことをいたしたい、こう考えておる次第であります。
  127. 岡田純夫

    ○岡田説明員 おっしゃいますように、地下埋設物の復旧は非常に焦眉の急でございます。また、それがしかたによりましては地方財政上関係府県の非常な負担になってまいります。したがいまして、財源措置といたしましてもひとつできるだけの配慮をしなければならない、また、してもらう必要があるということで、目下検討いたしております。なお、内容といたしましては特別立法によるべきではないかとも考えておりますが、あるいはそれ相当の財源措置が得られるかどうか、それを関係の省あるいは防災会議あたりと連絡し、検討いたしておる、かような状況でございます。
  128. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 時間もありませんから次に移りますが、この前大蔵省の澄田次長さんにお尋ねをいたしまして、おおむね御了解得たような答弁をいただいたように思いますけれども、なお非常に大事な点でございますから再確認をしておきたいのです。たとえば北東公庫あるいはまた中小企業の三公庫あるいは医療金融公庫、その他、もちろん三十九年度予算の一般財源、これらを含めまして、それぞれ災害の場合には別途資金の手当てなり、あるいはまた予備費の支出なり、一般財源の手当てなりをしていただかなければいかぬのですけれども、たとえば北海道東北公庫の法律ができた趣旨は、災害復旧とか、そういうもののためにできたのじゃない、東北、北海道の経済の振興に役立つようにということでできた資金でございます。災害復旧のときには、どうしてもいまの現状だと、ことに新潟、秋田、山形等については北東公庫を利用しろ、こういうことに大体何となく方針がきまって、そこへみんな資金の需要が集まっておる。ところが、もし本来の資金にこれが大幅に食い入るということになりますと、北東公庫というものをつくり上げた、またそのために今年度財源措置あるいは財投の資金ワクの決定を見たのが、その目的どおり使われなくなるということになるわけです。あるいは一般の財源についてもそうなのですが、たとえば民生事業、衛生事業、あるいはその他道路にしましても、あるいは港湾にしても、あるいは農地災害にしてもそうだと思うのです。土地改良の事業等が、一般の予算がもうきまってあるのだから、できるだけその中から出せ、いよいよ苦しくなってくれば、予備費なり、あるいは補正予算の機会があれば何とかしてやろうというような大蔵省の態度だと、これは非常に他に迷惑を及ぼす。不慮の災害のときの災害復興のいろいろな財源措置というものは、私は別途やるべきだと思う。これは農林省にしても、運輸省にしても、あるいは厚生省、建設省等においても、それぞれ各省で不要不急の事業を節約してほかへ回せ、災害へ回せなんということを——おそらく三十九年度予算の配分の中には、引く手あまたで相当制限をして配分をしたりしているはずです。そういう点から考えますと、とにかくこの災害の財源というものは全く別に考えていただかなければいかぬのですが、この点は財投の資金も含めて、きちんとそういうふうにいたしますと、一般の財源で——もちろん不用額が立てばこれは別ですけれども、一般の財源からちびってきたり、あるいは既定の財投の原資、北東公庫なり中小公庫なりというところの原資をまあやっておけ、災害のほうへ回しておけというようなかっこうで一般の財源あるいは原資がなくならぬというか、そういうことは一切しません、災害災害で別です、ということをひとつ国会で明言をしていただいて、ほんとうにそれぞれの機関あるいはそれぞれの各省内で平常の業務、それぞれの目的に応ずる活動ができるようにしておきたいと思うのですが、この点、もし両局にまたがる問題なら両人から、あるいは簡単に結論がお説のとおりということになればもう一人からでけっこうですから、ひとつ答弁していただきたい。
  129. 中尾博之

    中尾(博)説明員 予算と財投、国家資金関係と公庫資金関係と両方にまたがっておりますので、こまかい特別な部分につきましてはそれぞれお答えいたすつもりでおりますが、全体といたしましては先般澄田次長からお答えいたしたとおりでございまして、現在の段階におきましてほかに割り当てておる資金をこちらに回さなければ災害復旧あるいは対策にことを欠くというような状況は認められないものと考えております。もちろん全体の査定が済んだわけでございませんから、はっきりした数字が申し上げるということではございせんが、おのずからいろいろな報告もございますので、全体のオーダーというものもおぼろげながら見当はつく次第でございます。そういうことから、考えまして、御心配のような点は現在の時点においてはございません。
  130. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 それではとにかく安心をして、災害の財源というものはそれぞれ——もちろん査定その他はありましょうけれども、政府資金にしても一般財源にしてもだいじょうぶだということを、既定の一般予算、それから既定のそれぞれの政府出資の公庫に回していただいている財投の問題は、これは災害復旧費とは別に考えていいんだということで了解をして、ありがたく拝聴してまいります。
  131. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 ただいま中尾次長から総論を申し上げたわけでございますが、私どもの関係の財投の部分について補足をいたしますと、御承知のように、中小三機関、これは従来とも災害の場合には災害融資確保ということで相当な額が過去においても出ておりますが、その場合に、なかなか既定の貸し出しワクの中でおさまらないというような場合には、年末対策の追加といったような際に合わせて追加の措置が講ぜられておるということでございます。北東公庫につきましては従来災害融資の例があまりございません。かなりの額としてまとまったものとしては今回が初めての例になろうかと思いますが、これにつきましても十分貸し出しの実情に応じて考えていかなくちゃいかぬ。御承知のように、財投計画というのは非常に弾力的な運営をいたすものでございますから、いまのところ、貸し出しとして災害復旧にどのくらい向かうかということがまだ確定しておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねますけれども、あるいは場合によっては中でまかないがつくこともあり得るかもしれませんが、しかしそれでまかないがつかなかったという場合には、これはやはり所要の措置を講じていかなければならぬ。そのほかに、国鉄でございますとか電電公社、これは今回の災害ではかなり被害がございますが、これらにつきましても、やはり事業計画全体あるいは収入の動きその他等見まして、必要に応じて必要な措置をとってまいる、かように考えておるわけでございます。
  132. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 時間もありませんからこれ以上尋ねませんが、大体支障のないように必要ならば財源の確保あるいは財投の原資の確保はやります、こういうことで了解して進みますが、その程度はいいでしょうな。  そこで、佐竹さんは、私だけの質問で、あとずっとおられてもあれですので、済ましてしまいますが、銀行局の関係と理財局の両方にまたがると思いますけれども、例の中小三公庫につきましてこの特別財政援助の政令によりますと、百万円までは六分五厘の低金利にしている。ところが、三百万まで貸し出しを許す、あるいは必要資金が二百万だというような場合に、百万円までは六分五厘だが、あとは八分七厘なり九厘だというのは、中小企業の災害復興の援助としては私は非常にみみっちいと思う。そこで中小企業については、貸すほうも借りるほうも災害復旧はプラスにならぬのですから、そうやたらにこの際にうんと借りてやれというようなものはないだろうし、またその査定も十分されるのだろうから、災害復旧についてはこの際思い切って百万円のワクをもう少し広げて、国民金融公庫で一件当たり二百万なり三百万貸すならば、それが災害復旧で当然必要な金であれば、これはひとつ特利を認めるというふうに踏み切ってもらいたいと思うのですが、この点はおそらくいまここでもっともだ、そういうふうにやりますとは言えないだろうと思う。これは政令の改正の問題でもありましょうし、非常に大きな問題ですから、ただこの点は、災害を受けた人たちが——従来もそうだったと思いますが、どうしても納得できない面でございますから、この点特にひとつ考えて、帰って上司とも相談をしておいていただきたい。これは中小企業庁の長官のほうでも、やはり中小企業の近代化に必要な企業の競争力をつけ、合理化をし、あるいは輸出を伸ばすというためには、近代化資金のワクを設定して都道府県と一緒になって無利子の金を引き出した。これは非常にいいことです。いいことですが、災害の場合に復旧をしたいと思っても、この近代化資金指定業種になっておる業種さえ災害復旧資金は百万円までで、しかも六分五厘だというのでは、これは私は中小企業対策としても非常におかしいと思う。そこで、これから内閣でも中小企業についてはあるいは農村対策と一緒になって抜本的な対策をやろうというようなときなんだから、この際この政令を改正をして、百万円——一千万や二千万とは言いません、中小企業なんだから、所要資金というものをひとつ二百万でも三百万でも、ある一定の限度でけっこうですが、どうしてもこの百万円のワクだけはもう少し広げてもらいたいということを強く要望しておきます。帰ってよく相談をしていただきたい。これはおそらく他の委員も同様な御意見だろうと思うので、特段の検討をお願い申し上げておきます。  それともう一つは、大企業についてはいままで特例というものは全然ありません。ところが、今回の地震等の被害を受けました一番大きなものは、港湾倉庫業者あるいは都市ガスをやっておりますガス会社というようなもので、非常に公共性の強い事業がもう壊滅的な打撃を受けているわけであります。これらの関係の必要資金だけで百十億見当といわれています。これらが九分なり八分七厘なりの金利で一般と同じように金を借りなければいかぬのだというようなことでは、はたして民間の力で復旧できるかどうか、非常に心配をいたしておるわけでございますが、いままでこういう点については、中小企業に百万円の特別な六分五厘のワクがあるだけで、他には全然配慮がない。これらも私どもとして、新潟の産業復興あるいはその他山形、秋田でもそのとおりだろうと思うのですが、ぜひひとつ政府のほうでは特にいろいろな面で、港湾、ことに新潟港の約六割を占めます埠頭を所有し、港湾の利用をはかっておりますのが民間企業でやっております。こういう点を見ましても特別な考慮を払っていく必要があるし、またそうしなければ復旧はとうていできないという実情にあります。またガス事業にしても、もし市がやっている、あるいは町村がやっているということになれば、これは当然一般の起債対象となる、そして非常に低金利で復興が早い。たまたま昔からの関係で民間事業としてやっておるような面の災害復旧について、先ほどの上下水道と同じようにほとんど壊滅的な打撃で、当分今年一ぱいくらいは、ある地区については町のまん中であってもガスが通らないというような状況、見通しでございます。したがって、これらの復興にたとえば一定の時期まで低利で貸してやる。将来たとえば十年なり十五年先にその会社の状況がよくなったら、それをまた還元さしていくというような方法もあろうかと思う。いろいろくふうをこらして何とか復旧に資するような特別な政府資金のもちろんあっせんと同時に、金利面でも考慮を払っていただきたいということを特に強くお願いを申し上げておきます。  なお、話が港湾に入りましたので、時間もありませんので、港湾局のほうにお願いをいたし、あるいはお尋ねをしたいのですが、災害復旧というものは大体原状復旧がたてまえだ、いままでの災害はそういうことになっておるようでございます。しかし、この港湾関係復旧については、たとえばきょうも大蔵省でその当時非常にめんどうを願いました方もおいでになっておりますけれども、この前の委員会で松井委員から、地盤沈下の復旧事業と今度の地震の問題との関連についていろいろ質問がありました。あの地盤沈下の復旧事業のときに、信濃川の治水関係から、あるいは新潟全体の、海水面とのゼロメートル地帯とよくいわれるああいうような地帯の特殊性を考えて、復旧内容というものをもう少し検討しておって考えておったならば、まだまだ被害が少なかったのじゃなかろうかというような気もする面がたくさんあるわけでございます。そこで今度港湾の復旧をやります場合に、どうしてもいわゆる改良復旧的な考え方でやってもらわなければいかぬじゃないかと思う。一説によりますと、県から運輸省に少なくとも二メートル五十のかさ上げをするというような案でお願いするようなことも聞いておりますけれども、これら港湾の復旧についてほんとうに思い切って改良復旧といいますか、将来のいろいろな場合を想定しての復旧計画を立てて、そういう線で協力をしていただけるのかどうか、この基本方針だけでも本日は承っておきたい。
  133. 比田正

    比田説明員 復旧にあたりまして、原形復旧にとどまらず改良的な部分を加えるということは、従来の災害では行なっていたわけでございますけれども、今回の新潟地震につきまして、いま御指摘がありましたような高さとか、あるいはそれに関連したようなものもございます。ただいまこれは激甚災害にはなっておりますし、原形復旧の分に対しましては、大蔵省当局とも相談いたしまして、災害でやることは間違いございません。現に私のほうは、県が非常に勉強いたしまして、七月六日から緊急査定を始めました。十日に完了いたしております。したがいまして、この緊急査定でとりました国の施行分約十九億円、それから新潟県の施行分二十二億円という分は最も急ぐところでございます。これにつきましては、さしあたり原形を中心として復旧いたします。それから残りの災害につきましては、月末から来月の初めにつきまして残り全部の本査定をいたしたい、かように準備中でございます。したがいまして、その間まだ時間もございますので、御指摘がありましたような改良部分に対する問題につきましては、さらに大蔵省と協議いたしまして煮詰めたいと考えております。ただいまお話がありましたような御趣旨は、新潟県からは確かに運輸省当局といたしましては聞き及んでおります。私どももできるならばそういうようにいたしたいということで、大蔵省とこれから協議をいたしたいという段階でございます。
  134. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 原状復旧か改良復旧かにつきまして、もう一点だけ農地関係復旧について農林省にお願いしておきますが、この前農林大臣がごらんになったあるところの農地の災害、堤外地等が約二百町歩全滅のところがございます。これらを復旧するにあたりまして、やはりこの際思い切って、たとえば所有者の配置分合をいろいろうまく指導してもらって、ここに一反区画でなくて三反区画くらいの大圃場の整備事業のような考え方を入れた復旧をしたほうが、より将来のためになるのではないか、合理化されるのではないかと思うのですが、こういう点について、農地の災害復旧についてはそうしたような考え方を入れて災害復旧の計画を立て、またあなた方のほうで、そういう趣旨から指導し、援助していくというお考えがあるかどうか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  135. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  農地が非常に極端にやられまして、もとのとおりの耕地の高さといいますか、そういうことが非常に困難だというような場合に、埋没したとかあるいは流失したとかいうことで、新たにそこで耕地をつくったほうがはるかに安いというようなところでは、原形というものにとらわれずにやっておる例は十分あるのでございまして、たとえば伊那谷などは五反歩区画で復旧をいたしております。こまかく言いますと多少問題があるかもしれませんが、非常にひどくやられたところではそういうものをやっております。それからなお、水田の、耕地に限らず、水利施設でございますけれども、そういったものも数カ所の取り入れ口が一様に大部分がやられたという場合に、数カ所もとのとおりつくるよりも一カ所にまとめるほうがいいと認められる場合には、そういう方法もとっておる実情でございます。実際技術的に検討いたしまして、いずれかいいほうをとるという方向で進んでいきたいと思っております。
  136. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 あと一問だけで終わりますが、河川局長さんにお尋ねしますけれども、信濃川がその後またちょっと雨が降りますと水が出まして、今度の長雨でも地震の影響とリャンハンになって、相当大きな地帯が冠水をされたり堤防が弱って決壊したりしております。そこで応急処理について——いま住民はもうちょっと降ったらまた同じことになるんじゃないかという不安に非常におののいておるわけでありますが、この応急処理をどういうようにされておるか。ただ土のうを積むというようなかっこうだけなのか、もう少しくらいな雨が降ってもだいじょうぶなんだというかっこうで、とりあえずこうしておくから心配要らぬぞというような何か方法があるのか。それはとても手がつきません、結局災害復旧事業としてこれから緊急工事のほうは三割・五割・二割のかっこうでやっていくんで、来年また降ればどうしようもありません、こういうのか。この辺のところを、もし対策の何かお考えがあれば、承っておいて、この国会を通じて沿川の住民にも納得をさせていく必要があろうかと思います。同時に、先ほどちょっと答弁の中でおっしゃっておりました信濃川の治水関係で、関屋分水をやると非常によくなるというお話がございました。そういうことで、これを促進するのだという話があったのですが、私も今回の例を見ますと、この関屋分水というものはどうしても早くこれを促進しなければ、信濃川のあの港湾地帯の大事な産業地帯が常に危険にさらされるという状態だろうと思うのです。ところが関屋分水の事業は全体で百億か何か相当の事業、このうち一定の何か治水関係として特に公共事業に認定できるようなある部分を取り上げて補助対象にして、あとは何かあそこで掘り上げた土を信濃川に埋めれば土地造成もできるのだから、そっちのほうのあれでひとつ振りかえて、県の事業なりあるいに公社をつくってやるとかいうような考え方がずっと進んできたように思うのですけれども、私は今回の災害から、もう一ぺん関屋分水事業というものは、国としての取り上げ方を再検討していただく必要があるのじゃないかと思うのです。詳しくは意見を申し上げませんが、当然信濃川の治水全体から見て、新潟なりあるいは信濃川周辺の上流も含めた治水関係から見て、建設省としてこの関屋分水というものを一つの事業として進めていくという基本的な考え方に立っていくべきじゃないかと思うのですが、従来のような考え方と違った新しい観点から、あなたの所管の公共事業の一つとして早急に進めていかなければいかぬ事業じゃないかと思いますけれども、これについてどういうように考えられるか、お尋ねをいたしておきます。
  137. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  第一点の、いまの応急工事がまだ十分、できてない現在の状態において、このまま進んでしまうのじゃなかろうかという御心配でございますが、応急工事も一応下流のほうから現在手をつけておりまして、まだ上流まで全部行き渡っておりませんので、それができますと、もう少し現在のような流量でも保ち得るようになるのじゃなかろうかというように考えております。  それから災害の査定の方針を先ほど御説明いたしましたように、地震に対する分につきましては高潮の高さまでとらしてもらいたい、そして復旧をいたしたいというふうに考えております。  それから関屋分水事業との関連でございますが、関屋分水の事業計画は新潟県でお立てになりまして、その資金計画も一応新潟県でお出しになっておるわけでございます。これにつきましては、地震について新潟県のほうもいま非常に混乱をしておられますが、私のほうももちろん十分に検討はいたしたいと思っております。国のほうから関屋分水事業に出す金につきましては、いまの被災の部分につきましては先ほど言いましたように、高潮に対する高さのものをつくるのであって、洪水に、それは幾分関係はございますけれども、大きな洪水には間に合わない、大きな洪水は関屋分水に出すようにするわけでございますから、その費用は変わらないようにしてやりたいというふうに考えております。
  138. 小沢辰男

    小沢(辰)委員 終わります。
  139. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 華山親義君。
  140. 華山親義

    ○華山委員 この前にお尋ねしたあとで、末端で仕事をやっております府県、市町村等をたずねまして、いろいろ困っておる問題、そういう点につきまして、また罹災者等につきまして実情等を聞きましたが、なおお尋ねをいたしたいと思うのでございます。こまかい点もありますが、御答弁を願いたいと思います。  厚生省の方にお伺いをいたしますが、生活保護世帯につきまして、家屋の補修費が実施機関限りでは一万円、県知事の承認を得れば一万五千円でもよろしい、こういう金額をいつきめられたのか。ことに地震の場合はあまりに低いのではないか。この限界を上げる御意思がございませんかお聞きいたしたい。
  141. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 生活保護法の保護基準にございます家屋補修費というものは、災害等のことには関係のない一般の家屋の維持補修の費用でございますので、山形の今度の地震の場合の家屋災害補修というものは、むしろ災害救助法の家屋補修費によって処理すべきものでございまして、これは二万八千円でございますので、生活保護の適用以前に、災害救助法に基づく家屋補修の通用がございますので、その点を申し上げます。
  142. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、生活保護世帯でも二万八千円は借りられるということですね、借金になるわけでございますか。
  143. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 二万八千円までは災害救助法に基づいて家屋補修費の現物給付をやるということでございます。借金ではございません。
  144. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、一万円とか一万五千円というのは、この際は無意味ということでございますね。
  145. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 さようでございます。
  146. 華山親義

    ○華山委員 次にお伺いいたしますが、いま二万八千円というお話がございましたが、これでだいじょうぶでございますか。震災等の災害等につきましては、普通の場合とは非常に違って、補修費が非常に高くかかると思う。二万八千円というのはいつおきめになった数字でございますか、ちょっとお伺いしたい。これでだいじょうぶだというようにお考えになりますか。
  147. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 家屋の災害につきましては、一方におきましてはそういう家屋流失その他倒壊の場合には仮設住宅による、それから一般の補修に対しましては、倒壊した場合には住宅金融公庫の貸し付けなりその他ございますが、補修といいますのは、あくまで半壊なり小破壊の場合でございますので、従来は二万四千円、伊勢湾台風等の場合には二万四千円でございましたのを、二万八千円に引き上げをいたしまして、今回の新潟災害から適用するわけでございまして、私どもはいわゆる家屋補修程度の補修費としてはこの程度で十分であろうというように考えております。
  148. 華山親義

    ○華山委員 実際問題として二万八千円で足りない場合には、これは生活保護適用となりまして、別に出すわけでございますが、従来の例によるというと、二万八千円をこえた部分につきましては、厚生省の方針ではほとんどこれを否認しておられるという傾向でございますが、今後も二万八千円では足りない、伊勢湾台風とはまた違った趣があるということから、二万八千円で足らない部分につきまして、地方におきましてこれを出したという場合には、やはり従来どおりこれは消極的にできるだけ否認しておこうという御方針でございますか、できるだけ事情の許す限り見ていこうという御方針でございますか、承りたい。
  149. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 別に制限的な気持ちはございませんので、実情に即しまして処理していきたい、もしどうしても二万八千円で処理できないような事例がございましたならば、その事例に応じて処理していきたい、かように考えておるわけでございます。
  150. 華山親義

    ○華山委員 私は、実際問題としましては、二万八千円という少額、こういうことでは大体の場合できないと思う。これで非常に府県等は困っておる、これが実情でございます。したがって、これをオーバーしたという場合には承認を厚生省に求めるわけでございますが、特別のこういう地震による被害でございますから、特にこういう点は従来のやり方と違って認めてやるということを原則としてやっていただきたいと思います。  その次に伺いますが、低所得者に対しましては、今度の場合、更生資金、住宅資金災害援護資金等が主体となりまして貸し付けが行なわれておるのでございますが、これは二年間でございますか、据え置きがございます。また、貸し付け利率は年三分ということに相なっております。それで、これらのボーダーラインの人々が今度の災害によって生活保護世帯に転落するというふうなことは、これは高度に発達した国においてはどうしてもとめなくちゃいけない問題だと私は思う。その意味におきまして、据え置き期間というものはもっと延長していただきたい。それから、これらの更生資金なり住宅資金なり、災害援助資金というふうなものは、大体において生産を生むものではない。それにつきまして年三分の利子をとる、しかも、これが一日でも延びますと高い延滞利子がとられる、こういうふうなことは、私は災害の事後処理といたしましては不適当だと思う。据え置き期間を延長すること、貸し付け利子の年三分はこれを免除する、延滞利子は、事情によっては——本人が横着であるという場合は別ですけれども、できるだけ情状酌量してこれをとっていかない、そして災害によってこういうボーダーラインから生活保護世帯等におちいる、そういうふうなことのないようにするのが厚生省のおつとめじゃないかと思いますので、この点について御所見を承りたい。
  151. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 まことにごもっともな御意見だと思いますし、災害救助法によります生業資金の貸し付けにおきましては、これは二年以内で無利子の制度がございます。したがいまして、災害救助法による生業資金の貸し付けの制度と、それから最近は世帯更生資金の貸し付けなりあるいは母子福祉資金の貸し付けの制度が相当の資金量を持っておりますので、そちらのほうを資金量の面から優先してやっている。災害の場合にはこの両面が制度としてあるわけでございます。しかし、御説のように無利子ではございませんので、三分でございます。しかし、猶予期間災害の場合は二年間ございますので、その点、期間的には、通常の場合は六カ月でございますのを、災害の場合の生業貸し付けの場合は二年間までの猶予期間がございますし、その点では一般の場合よりは有利でございますが、無利子の制度につきましては、これはごもっともな御意見でございますし、将来の問題として私どもも検討していきたいと思います。
  152. 華山親義

    ○華山委員 ごもっともで、将来とおっしゃいますが、今度はだめでございますか。どういうわけでだめでございますか。ごもっともだったならば、すぐやるべきだと思います。
  153. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 世帯更生資金の貸し付けは、母子福祉資金の貸し付けと同じような趣旨でやっておりますし、これは法律によって規定されておりますので、法律の改正も必要でございますし、応急の間に合うわけではございませんので、そういう点も考慮いたして検討さしていただきたいと思います。
  154. 華山親義

    ○華山委員 あとからも述べますけれども、いろいろな点につきまして、私はそういう法律は今度の臨時国会ででも改正してもらいたい。そのことを申し上げておきます。  その次に文部省に伺いますが、文部省のやり方というものはふに落ちない部分が多い。たとえば工作物、土地または設備について、それぞれ府県では十五万円未満、市町村では十万円未満、おのおのがそうでなければ適用外とするということになっております。これはどういうわけですか。一つの学校について全部の合計が十万円なり十五万円なりをこせばいいのであって、一つ一つ計算するというのはどういう理屈でございますか、伺いたい。
  155. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 現行の災害復旧の負担法におきましては、お話のとおりでございます。施設の区分、すなわち土地、建物、工作物、設備というものに分類いたしまして、それぞれが十万円以上の災害に対しまして補助金の対象といたしております。しかし、それ以下の小さな災害に対しましても、これは累積すれば相当な金額になることが予想されますので、十万円以下というものに対しましては、起債の対象としてこれを措置いたしております。
  156. 華山親義

    ○華山委員 私は理屈を承っておるのですが、どういうわけでこういうふうに区分をしまして、そうして合計が三十万なり四十万になったというふうな、あるいは十万になったという場合に、合計したものにやればいいのに、どうしてこんなふうに一つ一つに区分してやっておるのでございましょう、その理由を承りたい。
  157. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 こういう金額がきまりましたのは約十年前でございまして、その災害の種類によりましては、学校の校地だけががけくずれをやったり、建物被害でもがけくずれだけをやったり、あるいは校地は安全であっても建物だけがやられるというような事例がございましたので、それぞれについてこういう金額が定められた次第でございます。
  158. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、いま御説明の立法理由というものは、今度の地震のような場合には当たらない。総合して全部のものに被害がくるという状態である。これは法律できまっておるというお話でございますが、ひとつこの法律もこの次の臨時国会で改正していただきたい。  その次に伺いますが、先ほど補助単価のことがありましたので、私詳しくはいまここで申しませんけれども、先ほど、部長さんは技術者でいらっしゃいますが、不十分であると、こういうふうにおっしゃった。大蔵省のほうでは、予算の関係があるし、ぜいたくをしてはいかぬからこの程度だと、こういうことをおっしゃった。まことに技術というものを大蔵省は無視しておると思う。文部省は、自分の学校のことでございますから、なるべく高い予算を吹っかけるなんということも、これはあるのかもしれぬけれども、そういう心配があるならば、技術者を動員して、そうしていかなる単価が適正なものであるか、こういう点を、今度の問題についてもできればけっこうでございますが、今度だけの問題でございませんので、予算編成のやり方として考究していただきたい。この点について大蔵省の御所見を承りたい。
  159. 中尾博之

    中尾(博)説明員 ただいまのお話にございましたが、先ほども御質問がございまして御答弁いたしたわけでございます。大蔵省考え方は先ほど申し上げたとおりであります。教育の程度でございまするから、多きを望めば切りのない話、程度のいいほうがよろしいということは私どもよくわかっておりますけれども、そこが予算の配分でございまして、国費の用途は多端でございます。したがいまして、どちらに向かいましても差しつかえないようにということで資金の配分をいたしておる次第であります。  なお、技術的に不満である、あるいは不十分であるという意味は、私は先ほどの御質問の御趣旨の点からよく理解できませんので、明確にお答えできないことになるかと存じますが、文部省といたしましては、もちろん教育の水準ということを考えておられるわけであります。予算の要求はもちろん要求でありまするが、折衝いたしまして予算が妥結をいたしまするまでの間におきましては、文部省といたしましての理想がこれで到達できるかどうかという観点から、最後まで検討されるわけであります。しかも、予算額も相当毎年ふくれて増額をいたしておるのが実情でございまして、そういう観点から予算の折衝を経て現在きまっておる点であります。先ほど私が御答弁申し上げましたような単価になっており、しかもそれに対しまして私が申し上げましたような見解で予算はできておると申し上げましたが、これは決して大蔵省だけではないのでありまして、文部省と大蔵省と予算の折衝におきまして十分に意を尽くしまして得た結論でございます。
  160. 華山親義

    ○華山委員 七万五千円というのは、実際問題として、建築業者に言わしても、もう最低限度のものができないんじゃないですか。七万五千円ということで家ができるのでございましょうか、文部省の部長にお聞きいたしたい。
  161. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 七万五千円という単価は、たいへんじみな単価でございまして、教育上必要最小限度の建物をつくるという単価でございます。
  162. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、そういう建物が七万五千円でできるわけでございますね。そうしますと、府県や市町村で、七万五千円では、どんなものをつくっても、これは現実の問題としてできないということを言っておるほうが誤りなのですか。それは無理だと私は思います。七万五千円でそういう家をつくる、ぜいたくでなくとも、ただあたりまえの家をつくるのでも、七万五千円では単価が低いということを言っておる。これは私は非常に問題だと思う。それで、とにかくぜいたくなんかする必要はない、学校においてぜいたくをする必要はないのであるけれども、予算をきめる前に、文部省、大蔵省のほかに、いろいろな技術者を集めて、建築の人々を集めて、そして最低価格どのくらいでできるのか、そういう点を研究しなければ、負担が市町村にいくばかりです。そういう点をひとつ、今度のことに間に合わないといえばやむを得ないのかもしれませんが、今後研究していただきたい。その点について、これは毎年の問題でございまするので、私はもう一度お伺いしたい。
  163. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 単価の点におきましても、先ほど中尾次長からお話がありましたとおり、予算折衝の段階におきまして、標準設計というようなものをつくりまして、こまかな数字をあげて種々折衝を経て単価がきまる次第でありますが、ただいま先生の御指摘のありましたように、いろいろな権威者を集めて、その人たちの意見をとってそうして単価をきめたらどうか、この点につきましては、私どもも十分検討さしていただいて、でき得る限り合理的な単価に持っていきたいと考えております。
  164. 華山親義

    ○華山委員 市町村にまいりますと、公民館が相当破壊されております。公民館につきましては、これは文部省の所管だと思いますが、何かこのたびのことにつきまして予算の措置をなさいますか、お伺いしたい。
  165. 中尾龍彦

    中尾(龍)説明員 先だって来激甚災害の指定を受けましたので、公民館につきましても、その激甚災害の指定があれば、これに対しては三分の二の補助金が出ることになっております。
  166. 華山親義

    ○華山委員 農林関係について承りたいのでございますが、現在いろいろ農地等の問題がございます。とにかく稲を枯らすわけにはいきませんから、応急的に水を通すなり何とかしてやりくりしながらやっております。今後、耕地の整理をやり直すとか、用水路を直すとか、大きな問題が出ると思いますが、いまここではその問題に触れませんが、現実、農村におきまして最も問題になっておりますのが、家をどうして建てるかという問題でございます。この間質問申し上げましたところ、金を貸すことにつきましては、国民金融公庫なり、あるいは農林中金なり、あるいは自作農維持資金なりから出るということでございますが、これを実際借りられるかどうかの問題につきましてはあとでお尋ねいたしますが、この点につきましては、三者がどういうふうな関連によって、抵当の問題はどうなるのだ、おまえのほうで貸すならば、あとはわれわれのほうは金は取れないから貸せないとか、いろいろの問題があると思うし、末端におきましては、政府の意向というもの、こういうふうなものはまだ徹底いたしておりません。できれば、地方等におきまして、県、市町村、農協、そういうふうな人々が集まって、そして具体的なものにつきまして問題を解決していく、そういうふうな協議的な機関、そして農民の方々の相談に応ずる機関等をつくりませんと、観念に走ってしまって、何ともならないんじゃないか、こういう気持ちがいたします。実際問題でございますが、これらの点につきまして、どこが主体になるか存じませんが、御所見を承りたい。
  167. 中沢三郎

    ○中沢説明員 お答え申し上げます。  災害に基づきまして各種の資金が出ます場合に、やはり御質問にありましたように、一応担保の問題が問題になるかと思います。例をとって申し上げますと、公庫資金が出る場合には、もちろん、原則として第一順位の担保をとるということになっておりますが、事態が事態でございますので、確かにお話のように、信連あるいは単協、公庫等が協議いたしまして、それぞれ金を借りる農家の立場からの協議が行なわれ、資金の融通が円滑になるようなお話し合いがされるだろうということを期待いたしておるわけであります。
  168. 華山親義

    ○華山委員 何か私がお聞きしたことは答弁なさらないようでございますが、三者が現地においてでも連絡協調した相談機関のようなところを設けてやっていただきたいということをお尋ねしたのですけれども、それにお答えになったのでございましょうか。
  169. 中沢三郎

    ○中沢説明員 実際問題として、確かにそういう形で問題が処理されていると思いますけれども、なお御質問にありましたように、積極的にそういう形で農家が金を借りやすくするようにという指導をすべきだという御趣旨だと思いますが、その旨を十分指導したいと思います。
  170. 華山親義

    ○華山委員 金を借りる方法は、これはいろいろなことで大体において整っておるようでございますが、現実に農家がそれならば金を借りられるかどうかという問題、この問題が非常に困っております。大体いま農家というものは借金をたくさん持っておる。したがって、その人に貸すか貸さないか、これが非常に問題でございますが、たとえば単協に責任を負わせて農林中金の金を貸せといったって、単協はなかなか貸しません。現実の問題といたしまして、信連等ができるだけ貸せというふうな指令は出しているようでございますけれども、しかし信連は責任を持つものじゃない。結論として単協が持たなければいけない、こういうふうなことでございますが、資金量の少ない単協、そういうものが末端において責任を持てといっても、これは無理な場合が多いのでございますが、信連が直接貸しをする、そうして信連が責任を持っていく、こういう方法が考えられませんかどうか、お伺いいたします。
  171. 中沢三郎

    ○中沢説明員 確かに、御質問にございましたように、単協がかなりの金を貸す場合になかなか貸しにくいという事情もございます。あるいは、今回の災害に際しまして信連とか中金がそれぞれ低利融資をする場合に、単協転貸方式、単協が一たん借りまして、また単協が農家に貸すというたてまえをとられておる関係上、やはり単協が貸しにくいといういろいろな事情がございます。しかし、それでは農家罹災者の方々に用意した資金がいかないという形になります場合に、どういう方法があるかということでございますが、信連が直接自分の会員である農協の組合員である農家に貸し得るという方法が残されております。各種の資金につきまして、そういう問題があります場合には、できるだけ信連が直接農家に貸す。もちろん、農家の信用力、担保力という観点からいいますと、そのはね返るところの危険負担率というものは同じでございますけれども、それを単協が負う場合と信連が負う場合は、もちろんその経済力の差がございますので、御指摘のような事例の場合には、信連ができるだけ直接農家に貸し得る方法をとることが適当ではないか。法制上も信連は直接貸し得ますし、ただ問題は、信連が定款でそういう直接農家に貸し得るという方法が講じられておるかどうかということでございますが、定款上の措置ができれば貸し得る、こういうふうに考えておりますので、また、できない向きにつきましてはそういう指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  172. 華山親義

    ○華山委員 府県等を通じまして、また農林省におきましても、そういうふうな方途を講じまして、震災地の単協に責任を負わせるといっても、これは無理な話でございますから、できるだけ上部の段階において責任を持って貸すようなことを府県等を通じて御指導願いたいと思います。  その次に伺いますが、それにいたしましても、三つの系統の金を全部借りて、そして家を建てた。百五十万円くらいになりますが、そういたしますと、私の計算では、大体一月一万五千円から二万円の金を返していかなければいかぬ。現在の農村ではとてもできません。しかし、農村の人々はその辺を転々とするわけにはいかない。新潟に家がないから、ひとつ長野にでも行って仕事をしようかというわけにはいかない。どうしたってそこに土着するところの人々なんです。そこで私は、ここに政府に思い切ってやっていただきたいと思うのでございますけれども、市町村の公営住宅というものを、いままで都会のようにこう集めてつくるということでなしに、各農家の庭、各農家の土地につくってもらいたい。ばらばらにつくってもらいたい。この管理がむずかしいということであるならば、市町村にそれを厳重にやってもらったらいい。そして五年、十年たつうちに資力ができたならば、これを買い取らせる。それから別ないろいろな農業用の作業場、そういうものにつきましては別な資金でやったらいい。新しい家をつくるということになると、古材木も何も使えない、非常に不経済な面もある。そういうことにつきまして、これは農業の特別なやり方でございますから、建設省の住宅関係の方にお願いしたいのでございますが、各農家の土地にばらばらに公営住宅を建てることをこの際今後の方針としてお確めを願いたいと思いますが、御所見を承りたい。
  173. 尚明

    ○尚説明員 罹災地の住宅復興につきまして農村の低収入の方に個別に公営住宅をというお話でございますが、公営住宅は、一応原則としては、地方の公共団体が管理しやすいようにするために集団的に建てるようにいたしております。しかしながら、過去の例に徴しましても、現地の実情が非常に窮迫してどうにも困る場合に、これは原則ではないのでございますけれども、個別に建てたような例もございますので、今回もでき得るならば低利融資による持ち家を持っていただくことにしまして、どうしてもできない場合には、必要に応じてそういうことを考えなければならないかとも存じておる次第でございます。
  174. 華山親義

    ○華山委員 その点、各市町村は非常に悩みにいたしておりますが、お答えによりますと、各農家が住宅の部分を自分の屋敷の中につくることを認める、こういうように了解いたしまして、私もそういうことを言って歩いてよろしゅうございますか、念のためにもう一度伺いたい。
  175. 尚明

    ○尚説明員 原則といたしましては、自分の土地の中の家でございますので、なるべく低利融資を御利用いただきたい。どうしてもそれが可能でない場合は、公共団体と建設省と打ち合わせまして個別に建てるということもあり得るというように考えます。
  176. 華山親義

    ○華山委員 公共団体は非常にそのことを希望しておりますので、さっそく、そのお答えがありましたので、協議に参ると思いますから、ひとつお認めを願いたいと思います。  それから農林省関係の方に、小さい問題——とも言えませんでしょうけれども、前に豪雪の場合に炭がまに対しましてある程度の補助をなさったのでございますが、今度の地震でも相当炭がまが破壊されております。この点につきまして何か御調査中だとか何とかいうことがございますか。どういう方針でありますか、伺いたい。
  177. 森田進

    ○森田説明員 新潟地震によります炭がまの被災基数は、新潟、山形、宮城等を通じまして約千四百基でございます。その後に集中豪雨等によりまして被災かま数も増加しておるのではないかと思われるわけでございまして、目下その状態調査中でございます。その調査が判明次第、対策につきまして直ちに検討いたしたいというように考えているところでございます。
  178. 華山親義

    ○華山委員 農地の復旧工事につきまして、これは非常に急ぐわけでございますので、即時工事を認めて、そして単年度の方針をとっていただきたいという要求が強いのでありますが、この点につきまして農林省の御意見を承りたい。
  179. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  特に稲作の単作地帯、ことに災害が春に起こったという場合に、耕地の復旧を非常にお急ぎになる、当面の再植えつけができる、あるいは来春を目ざして非常に急がれるという事情はよくあるので、今度の場合も確かにそういう状況が見られるのであります。できるだけ御要望に沿うようにしたいのでございますけれども、仰せのような、全部を一年でやるということは、施設と農地とは実は一体となって進むべき面があるのでありまして、施設のほうを応旧施設で問に合わせるということはありますけれども、全部それでまかなうというわけにはまいりませんので、全部を単年度で農地をやるということは、実際問題としていかがかというぐあいな懸念を実は持っておるのでございますが、相当程度当該年度、少なくとも次の年度の植えつけに間に合うようにという努力をしたいと思っておるわけでございます。
  180. 華山親義

    ○華山委員 このたびの被害のありました新潟県、山形県の庄内地方、いずれも雪の多い地方でございまするし、その間は工事がなかなか困難であったり進めにくいところでございますので、そういう点を勘案されまして、できるだけ短期間にできるようなふうな予算のつけ方、そういうふうなことを御努力を願いたいと思います。  それから伺いますが、これはたびたび私も言い、皆さん方からもお話があっておるところでございますが、最近の市町村の重要な仕事は一体何かと申しますと、下水道、水道あるいは病院、し尿処理、そういうふうなことがもう最も重要な市町村の仕事になってきております。これは世の中が進んでいくとともに当然そうあるべきことだと思うのでございますが、これがいわゆる激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の対象になっておらない。たびたび言われるのでありますが、これが対象にならなかった立法理由を承りたい。
  181. 中尾博之

    中尾(博)説明員 お答えいたします。  それらの施設が市町村の重要な施設になっておるということは、仰せのとおりでございまするが、御承知のとおり、土木災害あるいは激甚法、それらの考え方は、いずれも市町村の普通財源との関係におきましてその取り扱いを定めるやり方をとっておるわけであります。それに対しまして、これらの事業はいずれもいわゆる収益事業ということになっておりますので、同じ基準をもってこれを取り扱うわけにまいりません。したがいまして、現実にそういうものが災害にかかった、そして追加の投資を必要とする、それらが収益事業としてどういう状況にあるかということを検討いたしまして、それらのものが復旧できるようにと、個々に考えていくよりほかに方法はない次第であります。したがいまして、一般の財源を引き当てにいたします事業とは取り扱いを同一にできなかった次第でございます。
  182. 華山親義

    ○華山委員 なるほど、水道等につきましてはたいへんな問題があります。農村に参りますと、山形県の農村等私知っておりますが、東京都の水道料の七倍の料金を取っている、そういうところが原則的に多い。貧乏人は高い水を飲むという状態です。私はこの点改めなければいけないと思っている。それから、し尿処理等につきましては金は、取るべきものだという御方針のように承ります。私はそういうものじゃないと思う。それからいろいろなその他の問題につきましても、下水道にいたしましても、これは利用者が負担すべきものだ、こういうお考えではなかなかできないのじゃないか、やはりこれは国、そういうものがめんどうを見てやらなければいけないのじゃないか、そういうふうに考えまして、私はこれは当然激甚災害の特別な財政援助の法律に入れるべきものだと思うのでございますが、ただいまの大蔵省の御所見では、入れないほうがいいというふうな御所見のように承りますが、私は法律を改正すべきものだと思いますけれども、大蔵省はあくまでこれは入れないほうがいいという御所見でございましょうか。
  183. 中尾博之

    中尾(博)説明員 重ねて申し上げますが、考え方と申しますか、事業の性質そのものが異なりますので、それに応じた取り扱いをいたしていきたい、こういうことであります。災害でございますから、いずれも予期せざるところの出費でございます。それぞれ一般財源で処理いたしますものには激甚の取り扱いあり、それからそういう収益事業につきましての不利のものに対しましては、今度は料金政策あるいはその経営の見通し——ただいまもお話がございましたように、古い投資の多いところでは非常に有利であります。最近の投資のところではそういう点で確かに不利がございましょう。それらの事情はまことに千差万別でございます。それぞれ実情に即しまして、現実にそれらの機能が一日も早く回復できるようにということで、個別に考えてまいりたいというふうに考えておる次第であります。  なお、水道とか、し尿とかは全部無料にする、要するに税負担にするということがいいかどうかという問題は、いろいろお考えもあろうかと思いますが、現在の税制を前提といたしまして、国税、地方税を通じましてそれぞれ国民の負担を二分いたしましてこの負担をちょうだいいたしておるわけでありますから、その体制から見まして、これらのいわゆる公益事業を税負担に切りかえるということは不可能であろうと存じます。これは全体の事業、財政のあり方、税制、それらを通じての考えでございますので、それらの点から本題の問題につきまして直ちに結論を導き出すということもむずかしいかと存じます。しかし問題は、要するにそれらのものが非常に大事なものでございますし、御質問の趣旨も要するにそういうところにあると存じますので、個々に十分に検討いたしまして適切なる措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
  184. 華山親義

    ○華山委員 与党の方からもいろいろお話のあった点でございますから、重ねて申しませんが、この点について政府に踏み切っていただけないということは私は非常に残念です。東京では、先ほど言ったとおり、水道料につきまして農村の七分の一程度の安い水を飲んでおる。東京では、ごみをとるについては金を取らない、いなかでは取っている。貧乏人ほどひどい目にあっておる、そういう状態です。いまさらにここで災害が起きてもっと貧乏になるだろう。そこではやはりそういうことでまかなうほうがいいんじゃないかというふうなお考えがほの見えますけれども、そういうことでなしに、特に重要な環境衛生、文明国、文化国の今後進むべき道だ、日本全体の国民が同じような環境にある、こういうことが私必要だと思いますので、この点につきましては、高い政治的のものの考え方から御処置を願いたいと考えます。この点は従来二分の一だそうでございますが、二分の一では私は非常な問題が起きると思う。たとえば酒田市等におきましてはこの間水道料を上げたばかり、料金ストップにかからないといってほっとしていた、また上げなければいけない、そういう状態です。災害地の人々がさらに水道で上がる、ごみで上がる、し尿で上がる、そういうことのないようにぜひひとつお願いしたいと思います。  なお、工業用水道につきましては別個の考え方があるわけでございますが、工業用水道につきましては、通産省の企業局のお考えとあわせ考えなければいけないのでございますが、私、施業方針として必ずしも企業局の方針に同調するものではありません。しかし、企業局といたしましてはある一定の水準をきめておる、工業用水というものはかくあるべきものだという一つの水準をきめておる。また、地方におきましては、この程度の工業用水でなければ工場は来ないだろうという考え方をもって水準をきめておる。そのことにつきましての批判は別といたしまして、したがって、今度工業用水に非常にばく大な金がかかるということになれば、それは上げなければいけない。しかし契約ですから、十カ年なら十カ年の契約を地方の公営企業と業者がやっておる。そう上げるわけにはいかない。上げることにつきましては通産省といたしましても反対だ。そういう意味で、この工業用水道につきましては、批判は別といたしまして、結果において、新潟県、山形県、そういう県はどうしても非常に財政負担がかかってくると思います。この点、主義主張もございましょうけれども、地方財政の事情を御勘案になってそして御処置を願いたいと思います。いまここでどうお考えになっておるかとか、何分の一くれるのかというようなことはお聞きいたしません。お聞きいたしますと、おそらくあまりいい御返事をなさらないのじゃないか。そうしますと、あとで各地方庁がお願いにあがったときに、華山にいい返事をしないのに、地方庁にいい返事をするなんと言われては困るから、ここではお聞きいたしませんが、そういう地方財政をお考えになって、ぜひひとつ善処方をお願いいたしたいと思います。  それから中小企業庁にお伺いいたしますが、この問中小企業庁のほうでは、災害救助法を適用した地域にだけ、金利の安い百万円を特別に融資するということをおきめになったそうでありますけれども、地震というものと火事や水害とは違います。地震は非常に広範囲に及ぶ。したがって、救助法の適用をしないところでも、機械が狂った、そういうふうな場所が相当多い。そういうところにつきましては、これはもうその地域からはずれたのだから、めんどうを見ないということでは、中小企業助成の面から私はどうかと思うのでございますが、この点につきまして改められるお考えがないかどうか、中小企業庁のほうにお伺いしたいと思います。
  185. 影山衛司

    ○影山説明員 お答えいたします。  激甚災害地の指定を受けましたところは六分五厘の特利の恩典があるわけでありますけれども、それ以外の地域におきまして災害を受けられました中小企業者につきましては、弾力的にいろいろな点を勘案いたしまして、めんどうを見てあげるという方向でやっていきたいというように考えております。
  186. 華山親義

    ○華山委員 この間、百万円の融資をなさるというふうな閣議決定をなすったそうですか、その閣議決定の趣旨はどういう趣旨でございますか。
  187. 影山衛司

    ○影山説明員 お答えいたします。  激甚災害法の十五条に、商工中金につきまして、中小企業者一人当たり百万円、それから団体につきましては三百万円を限度といたして特利を認めるということになっておりますので、それに準じましてきめたわけでございます。
  188. 華山親義

    ○華山委員 最後に、自治省にお願いいたしますが、いろいろ各省が、特別交付税があるからといって、特別交付税にしりを持ち込む傾向があります。これは自治省といたしましてもよほど警戒しなくちゃいけない問題なのではないか。できるだけ各省がそのときそのときの予算によって処置してやっていく、これが特別交付税の本旨だと私は思うのでございまして、その点、自治省といたしましては、何といっても市町村の立場を守る省でございますから、市町村、府県の立場をよく考えて、そうして各省に強硬にその要求の通るようにして、交付税があるからそこでやるんだという安易な考え方でないように、そうではあるまいと思いますけれども、ひとつお願いをいたしたいと思います。御方針を承りたいと思います。
  189. 岡田純夫

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  特別交付税も、地方交付税といたしまして地方団体のいわば固有財源というように考えております。もっとも、全国的なワクとして固有財源でございますので、具体的には自治省においてその実情に応じまして配分はいたしております。なお、国において、あるいは準義務的と申しますか、補助金を出して地方を誘導していくということは、必要な経費、あるいはその財政的な意味から援助いたす必要がある経費につきましては、まずそれを優先的に考えるべきであります。しかしながら、補助制度に乗らないようなものであって、地方団体が自主的に考えざるを得ないような諸対策費がございますので、そういう問題に着目して配分いたしてまいっておる、こういう考え方を持っております。
  190. 華山親義

    ○華山委員 いままでいろいろな災害がございますが、災害があったときに、特別交付税の性質といたしまして、災害をこうむった府県をめんどうを見ておった、これは当然のことでございます。基礎的にはどういう算定をなすっておりますか、承ります。
  191. 岡田純夫

    ○岡田説明員 特別交付税でございますので、いわゆるあまりしゃくし定木的に配分いたしましたのでは、個々の団体の真に救済にならないという場合もございますので、弾力的には考えておりますが、それにいたしましても、全く恣意的に配分することはもちろん警戒いたさなければならない、自戒いたさなければならないという意味から、たとえば災害等におきましては、公共施設災害に着目いたしまして、それの一定割合を一応考える。それ以外に個々の被害、たとえば農作物その他の被害総額でありますとか、あるいは死傷者といったような、客観的なデータに基づきまして、それをいわゆるかさ上げいたし、さらに個々の団体の財政力によりまして、その団体が非常に総合的に判断いたしまして困窮いたしておるという事実を調整いたしまして配分いたしております。大体そういったような考え方を持っております。
  192. 華山親義

    ○華山委員 その算定のしかたでございますが、このごろ、特別交付税の算定につきましては、抽象的な名目的なものの考え方で配分なさる面があるとともに、最近では、実際額というものを、交付税全体に言えることでございますが、配分の基礎にお入れになっている傾向も出てまいっております。こういう災害の場合につきましては、その府県が災害のためにどれだけの金を単独事業として使ったか、県の負担になったか、そういう実際額というものをひとつ重要な参考とされてそうして配分をされますようにお願いいたしたいと思う次第でございます。しかし、原則といたしましては、そういうふうな負担はできるだけ府県に帰すべきじゃない、こういう原則は先ほど申し上げたとおりでありますが、やむを得ずそうなった場合には、いま申し上げましたような実額というものを重要な参考としてお考えを願いたい。この点につきまして御所見を承りたい。
  193. 岡田純夫

    ○岡田説明員 御意見まことにごもっともであると思います。いままでもそういうふうにやっておりましたけれども、今後ともそういうふうな考え方でもって進めてまいりたいと考えます。
  194. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 松井誠君。
  195. 松井誠

    ○松井(誠)委員 最初に、この前の委員会で宿題になっておりました火災保険の支払いのことについて、国税庁からお答えをいただきたいと思います。
  196. 小宮保

    ○小宮説明員 御説明申し上げます。  この前松井先生から御指摘がございました、消費生活協同組合で火災共済事業を行なっている場合に、その加入組合員に対しまして、罹災した方々に対して見舞い金といったような形のものを支給した場合にどうなるか、こういう御質疑があったわけでございます。  最初に、いわゆる見舞い金といったようなものの通常の場合の税務における取り扱いを御参考までにちょっと申し上げておきますが、一般的には、寄付金あるいは交際費といったようなことになると考えられるわけでありまして、その場合、主としてお金で支出されるときは寄付金、物で支出されるときは交際費、そういったふうに取り扱ってきておるわけでございます。  そこで、今度の新潟地震による火災の場合でございますが、大震災による大火災といったような、非常に異常な事態を前提としているわけでございまして、通常の場合の取り扱いをこれに適用するということは、その支出の動機でありますとか、ないしはその支出の態様等からいたしまして、必ずしも適当ではない、こういうふうに考えられます。そこで、たとえば組合員の罹災の程度に応じているといったような、これはたとえばでございますが、こういうような場合には、実質的には寄付金に準ずるような性質になってくると考えられるわけでございまして、今度の火災が非常に特殊な異常な現象であるということと、それからもう一つ、相互扶助に基づく協同事業である、そういう消費生活協同組合の特殊な性格、こういったようなことを考え合わせますと、税務上の取り扱いといたしましては、組合の経費に認めることが適当だと考えております。  なお、組合の支出の具体的な基準でありますとか、ないしは支出方法等につきまして、現在、所管の厚生省のほうにおきまして現地と協議中であるというふうに聞いておりますので、その協議結果を待ちまして、近々に具体的な処理方針を確定したい、こういうふうに考えております。
  197. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、配分の方法が具体的に被害程度に応ずるという形で実質上の給付であるならば、これは経費と見て、言うなれば税金はかけない、こういう趣旨でありますので、了解をいたします。  それから次に、激甚法適用の問題について防災会議の方にお尋ねをいたしたいわけでありますが、先ほども小沢委員からいろいろ御質問がございましたが、なお適用措置が見送られておる問題の一つに、事業協同組合の受けた損害の補助という、この法律の十四条が適用になっていないようでありますが、この点はどういう理由なのか、見通しはどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  198. 北川博正

    ○北川説明員 お答えいたします。  事業協同組合等の施設の補助でございますが、これにつきましては、実はうちのほうの例の基準から申しますと、そのつど検討する、そうして被害額が少ない場合には一応適用を除外されるような形になっておりますが、これにつきましてはきわめて被害額も少ないのでございますが、別途予算的な融資措置でもってこれを検討するということで行なうということで関係省庁間の了解がついております。
  199. 松井誠

    ○松井(誠)委員 適用基準からいって当てはまらないけれども、別途特別な措置をするというお答えでございます。  そこでお伺いをいたしたいのでございますが、いまも御答弁の中に出ましたけれども、この激甚法適用する基準について、具体的に基準のきまっているのと、きまっていないのが——きまっていないというよりも、むしろケース・バイ・ケースで基準をきめるんだという基準がきまっているという部分があったわけでありますけれども、そのように二つに分けて、一つは、ともかく基準が成文化しておる、もう一つのグループは、基準はそのときそのときにきめるという基準になっておる、こういうように二つに分けたのはどういう理由からなのか、お答えをいただきたいと思います。
  200. 北川博正

    ○北川説明員 この中央防災会議で決定いたしました基準は、それぞれ既往の激甚な災害につきまして行なったわけでございます。したがいまして、それぞれの既往の災害について、なかったものにつきましては、それぞれ個々にきめようではないか、そうして逐次基準的なものができそうなものについては、そのつど行なおうではないかということになっておるわけでございます。
  201. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そういたしますと、基準を将来もきめないでいくというのではなくて、従来の具体的な適用例が積み重なったときに基準をきめていくという趣旨ですか。
  202. 北川博正

    ○北川説明員 明確につくれるものについてはそういたしたいと思っております。
  203. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そこでお伺いをいたしたいのでありますが、先ほども小沢委員から御質問があった点でありますけれども、この法律の七条の中の水産の養殖施設の被害の問題、それからもう一つは、共同利用の小型漁船の問題、この二つが適用がまだ見送られておるという理由は、先ほどの御答弁では、国民経済的な観点から、つまり規模が小さいということでいま難航しておるということでありましたけれども、その規模が小さいという点を一応はずして考えると、つまり、具体的に、両津市のカキいかだが、この施行令にある組合員の何割かの被害だとか、あるいは共同利用の小型漁船についても、やはり被害者の数が組合員の何割とかいうその数字そのものは、そういう意味での規模そのものは、この施行令の基準に合っておるわけですね。
  204. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のとおり、それぞれは一応政令基準には合致しておりますが、その前提といたしまして、先ほど申しましたいわゆる国民経済的に、かつ、それぞれ地方財政あるいは個人の助成が特に必要であるという二つの要件を満たす条件があるわけです。その条件を満たした上において、政令で定めます基準に合致すれば、これは適用するということになっておるわけでございます。
  205. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その点を実はお伺いいたしたいのでありますが、これはむしろこの激甚法という法律のたてまえそのものを問題にしなければならぬ問題でありますので、簡単にお尋ねをいたしまして、本格的な論議をする機会は別にあると思います。したがって、お答えもひとつ簡潔にお願いをいたしたいと思いますけれども、一体この激甚法に、そういう国民経済的な視野というものを前提として入れた理由は何かということなんです。むしろ、この激甚法というもののたてまえは、地方公共団体がその災害のために財政的に危機になる、それを救うという、あるいは個人が非常に深手を負った。その深手を地方公共団体が補助をするというような間接な形でやはり個人の被害あるいは地方公共団体の財政的な危機、そういうものを高率補助によって救おうということがたてまえであると思うのです。したがって、国民経済的な規模というものを必要とする合理的な理由というものは私はないと思うのです。日本の国民経済的な規模というものがもし必要であるとすれば、非常に激甚な災害を受けたために国家財政が危機におちいる、だから、どこかよその国から金でも借りようかということであれば、これは国民経済的な規模が必要でしょう。しかし、そうではなくて、地方公共団体の財政を補うのだ、地方公共団体の財政の危機を救うのだということが目的であるとすれば、国民経済的な規模というものは元来必要ではないものだと思うのです。これはなぜ一体こういうものが入ったのか、むしろ、こういうように条文には書いてありますけれども、これは単なるアクセサリーで、ほんとうはやはり国民経済的な規模というものは単なるお飾りで、そうしてほんとうの本質というのは、地方公共団体がどれだけ困っておるかということに重点を置いて考える、基準の取り方もやはりそこに置くというのがほんとうだと思うのです。そうじゃないですか。
  206. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のとおり、それぞれの災害については、たとえば公共土木、農地、農業施設につきましては、それぞれの法律でこれを救うようになっております。補助立法がございます。こういった補助立法によって通常の被害地方財政を援助することになっておるわけでございますが、この一般の法律ではまかない切れない、要するに激甚な災害については、国民経済的にも非常にピンチであるものについて、特に激甚と名をつけましてやるわけでございまして、何といいますか、小さなもの、一市町村とか、地域激甚につきましては、それぞれの法律が救うようになっておるわけでございます。したがいまして、たとえば公共土木の例で申しましても、基準財政収入額とか、そういうものを検討して補助率をそれぞれかさ上げしておるというのが母法でございます。
  207. 松井誠

    ○松井(誠)委員 普通の国家の補助をきめた法律が、具体的には地方公共団体のそういう財政の深手というものに応じてきめる、それをかさ上げするというだけが激甚法のたてまえだと思うのです。それを、すっかり観点を変えてしまって、国民経済的な視野という、規模というものを入れるという理由は、いまの御説明でも依然として私はわからない。おそらく与党の人でも同意をされると思いますけれども、この国民経済的な視野というものを激甚災害法から除いてしまって、やはり通常の被害の場合よりももっとひどい被害地方公共団体にあるということだけを、激甚というものの基準にすればいいと思うのです。そのように改正をされる意思があるかどうか、あるいは少なくとも具体的にケース・バイ・ケースで基準をきめるというその適用基準の中でそういう考え方を生かしていくというお考えがあるかどうか、重ねてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  208. 北川博正

    ○北川説明員 現在の、たとえば激甚法からまいります指定基準も、A基準、B基準とございますように、単に国民経済的に大きいということではなくて、たとえば一地方団体が相当の被害を受けておるものが一つあれば、そういうものはなるべく救いましょうということで、地域激甚的な要素も含めた基準もございます。決して全国民的な被害ということからのみ考えておるのではなくて、地域激甚というものを十分考慮したたてまえには一応なっておるわけでございます。
  209. 松井誠

    ○松井(誠)委員 ですから、成文化された基準にも、一応そういう特定の地域の被害の深さというものもあわせて基準になり得るように基準のとり方がなっております。ですから、これからケース・バイ・ケースできめるという基準の中にもやはりそういう考え方をできるだけ取り入れていく。そうすることによってこの激甚法というものの持っておる妙な性格というものをぬぐっていくということが私は必要だと思うのです。  具体的に申しますと、いまのような形で、規模が小規模だからということで激甚法指定にならないということになると、実際には非常に妙なことが方々で起きてくるわけであります。全国的に雨が降った、全国的に雨が降ったからこれは激甚災害という指定になる。ところが、地域的に非常に豪雨があった、しかしそれは全国的な規模ではないから激甚災害という指定にならない。そのことのために、特定の地域をとってみれば、激甚災害という指定を受けた場合よりももっとひどい災害を受けた、集中豪雨を受けた市町村が激甚災害によるいわば恩恵を受けられないというさか立ちをした現象が出て、これは明らかに私は矛盾だと思うのです。そういうことはございませんか。
  210. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のように、激甚というものの判定は被害額で考えております。それが一地域的であろうとも、被害額が非常に大きい場合には当然激甚法適用があるわけでございます。伊勢湾においてしかりでございます。
  211. 松井誠

    ○松井(誠)委員 時間がありませんから、ひとつ質問したことに端的にお答えをいただきたいと思うのです。  私がいま申し上げましたのは、規模が全国的であるためにその地域一つをとってみればたいしたことはなくても激甚災害だということになる。しかし、非常に局部的ではあるけれども集中豪雨だというような場合には、それが全国的な規模でないだけに激甚災害の指定を受けない。そういう具体的な町村をとってみた場合に、そういうでこぼこよりも、むしろさか立ちという現象があるではないか。これが矛盾かどうかは別として、少なくともいまの激甚法適用を、従来のような適用基準というものをそのままやっていく限りにおいてはあると思うのです。あるかないかということだけをお答え願えればいいのです。
  212. 北川博正

    ○北川説明員 現在のところいまの制度によって一応かなりやり得る、こういうふうに考えております。
  213. 松井誠

    ○松井(誠)委員 立場があるかもしれませんけれども、御答弁になってないでしょう。具体的な例を私知りませんけれども、たとえば非常に全国的に雨が降った。具体的に何か兵庫県にあったそうですけれども、その少し前かあとかに集中豪雨があった。その集中豪雨激甚災害の指定を受けない。しかし、現実に少なくとも兵庫県に関する限りは激甚な被害を受けた。しかしそれが普通の補助だという矛盾は当然起こり得るでしょう。それを矛盾と考えるかどうかは別なんです。それは議論になりますからいずれあとでやりますけれども、そういう現象があるということをお広めになるかどうかということです。
  214. 北川博正

    ○北川説明員 一地域的にはそういうことがあり得ると思います。
  215. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それから、たとえば今度の場合のように激甚災害があった。そしてそのあと泣きっつらにハチですけれども、豪雨があった。具体的にたとえば佐渡なら佐渡というところは今度の地震ではたいした被害はなかった。しかし、そのあとの豪雨で方方の堤防決壊をしておる。そうすれば県はやはり自分の持ち金を持ち出すということにならざるを得ないと思う。そういう場合に、豪雨のほうは激甚災害の指定を受けてないから、前の地震のほうと合計をしてやるというわけにはいかないということになれば、これも矛盾じゃないかと思うのですが、この点はどうなんでしょう。
  216. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のように激甚法のたてまえから申しまして、災害は一災害ずつということになっております。今度で申しますれば、地震地震、雨は雨ということになると思いますが、雨の全体の被害が、新潟のみならず石川、富山というふうに各地域にわたっておりますが、その雨の被害額を見て考慮すべきである、こう考えております。
  217. 松井誠

    ○松井(誠)委員 ですから、今度の雨が激甚災害という指定になれば、それは問題ないでしょう。しかしそうではなくて、もし激甚災害に指定にならないとすると、激甚災害の被害と普通の災害被害とを合計して激甚災害の高率補助ということはいまのたてまえではできないでしょう。
  218. 北川博正

    ○北川説明員 それはできません。
  219. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そういう矛盾も、激甚災害というもののとり方からくる矛盾だと私は思うのです。  ただ、先ほど農林省の方が非常に注目すべき意見を述べたと思うのです。それは、地震でずいぶん農地の地盤がくずれた。そこへ持ってきて雨が降ったために被害がひどくなった。ですから、今度の雨による被害は、いうなれば地震の間接的な被害というような表現があったわけです。これは激甚災害と普通災害とを合計するのだというたてまえなのか、あるいは激甚災害というものを非常に広く解釈をして、いわゆるそういう形の間接的な災害というものも含めるという趣旨なのか、よくわかりませんけれども、そういう形でこの矛盾を補うという、そういう御配慮はございませんか。
  220. 北川博正

    ○北川説明員 先ほど農林省からあったお話でございますが、私、直接聞いておりませんからわかりませんが、多分地震被害と雨による被害が不分明なところがある。要するにこれが地震による被害である、これが雨の被害であるということがわかりかねる場合がある。そういう場合は性質はまさにそれそれの災害でございますが、被害として求められないというような場合を想像して申したのではないか、こういうふうに考えております。
  221. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、そういう場合には当然激甚災害の被害として考えるということにならざるを得ないわけですね。
  222. 北川博正

    ○北川説明員 被害額が明確でない場合には、あるいはそれが激甚災害になる可能性はございます。
  223. 松井誠

    ○松井(誠)委員 重ねてお願いをいたしておきたいと思いますけれども、水産の養殖施設の被害あるいは共同利用の小型漁船の被害、これはいずれも漁民の受けた被害であります。漁民というのは農民よりももっと所得水準の低い、自営の能力というものは非常に少ない階層です。そういう階層ですから、国民経済的な視野という観点からはあるいは無理かもしれません。しかし、いま申し上げましたように、地域的な傷の深さという点では、まさに激甚なんです。ですから、幸か不幸かその基準が成文化されておりませんから、これからあと激甚法適用という措置をおとりになる際に、ぜひそういう観点からもお考えをいただきたいと思うのです。  そこで、これは農林省の方がいいかもしれませんけれども、この前の御答弁では、干ばつ、つまり水路が陥没をした、そのために自然と干ばつになる、これは農地そのものには損傷はない。農作物の被害はあるけれども、それは別の問題で、農地の被害ではない。それで、農業用施設の被害、つまり水路の被害としては金額はたいしたことはない。しかし、その結果生ずる被害というものは非常に大きい。これをこの激甚災害の母法である農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律で、農地の被害あるいは農業用施設の被害として干ばつによる被害も見られないかということについて、この干ばつについては、解釈でなんとかいまのこの法律適用ができる分もあるというような御答弁になったと思いますけれども、それは具体的にはどういう意味なのか、ひとつお教えを願いたいと思います。
  224. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  川水路が破壊されまして、水がかかりにくくなった、それによって起きる干ばつ、それに対する被害激甚法で見たらどうか、こういうような御質問だと思いますが、現在のところ干ばつそのものを付加的に激甚災に入れるということにはなっておらないのでございます。干ばつが全面的に非常に大きくなってあるいは激甚災になるというケースもあり得ることでございますけれども、通常の場合は、そういうことは別の問題として扱うわけでございます。  ただ、ここで考えなければならぬことは、稲が危殆に瀕しているという場合に、施設の被害額が非常に少額であっても、その稲が干ばつによって枯死する危険が明らかに見える、こういう場合に、それは一カ所当たりの金額というものに関連するのでございますけれども、五十メートル離れたものをつなぎ合わせて一カ所当たりの災害が十万円以上だというケースに当てはまる場合であれば、応急工事を二割の範囲内で認めておるわけであります。それから本工事についても、緊急を要するものは事前に、査定前にも着工してもいいという措置も講じておるわけでございます。水路の復旧が困難であるという場合に回し水路を持っていくとか、そういうことも応急工事としては、その範囲内であればやってもいいではないかという解釈をとっておるわけでございます。したがいまして、ある程度の予見できる干ばつの防止ということは応急工事でやれる、こういうぐあいに解釈しておるわけでございます。  それ以上、現実の問題として干ばつの被害がそういう予備的な措置でまかない切れないで、大きな干ばつが起きたということになりますれば、干ばつに対する措置は、非常にゆるい場合には予算措置だけでやっておりますけれども、非常に大きくなりますれば激甚災でもとる。そうでなければ暫定法でもってまかなうということで考えております。  それから、もう一つ付言をいたしておきますが、暫定法によります補助率は、一年間を通じて累計をいたしまして農家一戸当たりについて八万円、十五万円というものに区分をいたしまして、それぞれ補助率アップをしておるということになっております。したがいまして、暫定法による一つだけの災害で補助率がきめられるものではなくて、年間を通じた累計で補助率アップがなされるということになっておることを付言いたしましてお答えといたします。
  225. 松井誠

    ○松井(誠)委員 御答弁はひとつ簡潔に願いたいと思います。  私がお尋ねをしたのは、いまの激甚法、それの母法である暫定措置法のたてまえからいうと、農地や農業用施設の被害に限られておって、作物の被害というのはないのではないか。とすると、水路が被害を受けた、その水路の額だけが損害額なのか、水路によるいわゆる干ばつということが損害額の中に入るという形で、この干ばつも事実上は救えるということになるのか。どういう形でこの干ばつの場合に、農地、農業川施設の甚大な被害だという形に持っていけるのか、という質問なんです。
  226. 中西一郎

    中西説明員 お答えいたします。お話の干ばつの状況が起こる原因である農地、農業川施設については、農地、農業用施設だけについての被害の累計をいたしまして、それが暫定法の適用でいけるか、あるいは激甚の適用でいけるかという一つのめどになるわけでございます。干ばつという現象によって、農作物が被害を受けますが、農作物については農作物だけの累計をいたしまして、農作物の被害がどの程度になっておるかということに基づきまして、天災融資法を発動するかしないか、さらに天災融資法の激甚適用をやるかやらないかということを判断いたすわけでございます。したがって、農作物と農地、農業用施設とは、別の被害累計の計算をいたすわけでございます。  なぜそういうふうになっておるかといいますと、天災融資法は御存じのように経営資金でございますから、次の作の用意をするという意味での資金繰りの措置でございます。その考えは、もっぱら農作物の被害ということに着目すれば足るのではないか、そういう制度的な仕組みになっておるわけでございます。
  227. 松井誠

    ○松井(誠)委員 この前の御答弁とだいぶ違うと思うのです。もう一度だけお尋ねをいたします。  たとえば新潟県なら新潟県が、現在干ばつというものが激甚法にない、それを入れてもらいたいという要望があるのは、現行法では救えない、そういう考え方であったわけです。作物の被害天災融資法で救えるのは、当然のことで、何も問題になるはずはない。そうではなしに、農業用施設の被害としては少ないけれども、しかし作物の被害としては非常に甚大になる。その作物の被害が農業共済とかそういうもので救えるにしても、それは微々たるものです。ですから、そういうものを農地や農業用施設の被害として、官房長の御説明では現在の法律でも解釈のしようによってはできないことはありませんというような御答弁があったのでありますが、天災融資法適用するというなら解釈のしようも何もない、当然のことです。ですから、私は干ばつによる作物の被害というものを、農地や農業用施設の被害という形に拡張解釈し得るというようにとったのですが、それは私の間違いでしたか。
  228. 中西一郎

    中西説明員 お答えします。  農地、農業用施設に被害が全然なくて、干天が続きまして、ひでりのために作物が非常にとれなくなるというのは、文字どおり干ばつであるわけです。その場合には、農地、農業用施設ということと関係ございません。  干ばつのことしの事情を概略申し上げますと、二十数万町歩に及ぶようなことになって、それぞれ雨が降ったりあるいは水がふえたりして救われてきた地域も多いのでございますけれども、そういう干ばつの状況に対処しますために井戸を掘る、あるいは簡単な水路を別に引き直すというような工事をそれぞれやっております。そういう点については目下累計をいたしておりますが、被害の数字がまとまってきますれば、これについての何らかの補助措置をしなければならないということで、目下準備を進めております。
  229. 松井誠

    ○松井(誠)委員 時間がございませんから、それでは次にまいりたいと思います。実は非常に局地的な問題でありますけれども、非常に急を要する問題がありますので、そのことをお尋ねをいたしたいと思います。  問題は、新潟市の阿賀野川のすぐそばにある下山という部落、しかも下山部落の中の一部である通称根室といわれる三十一戸の部落、この部落の人たちがけさとうとう日赤センターへ全部避難をいたしました。  これはとりあえず運輸省の方にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、なぜこういう状態になったのか。もう地震被害、緊急措置というものが一段落して、避難所というものがほとんどなくなった現在、避難をしなければならないという状態になぜなったのか。  これは、一つには地盤沈下の犠牲者だということです。工業用のガスをくみ上げたために、阿賀野川の周辺が地盤沈下をしたということが一つ。  それからもう一つ、新潟の飛行場がこの下山という部落のまん中を割ってできた。そのために農業用の水路がいままでとは違った形になってしまった。こういうことのために非常に湛水が長時間になった。それだけでなしに、ちょっと雨が降ると、飛行場のほうから流れてくる水のためにどうにも危険でしようがないということで、とうとうけさは避難をいたしました。  そのことについてお尋ねをいたしたいと思うのであります。いまこの部落がこういう形になったのは、この部落の人たちの責任でも何でもない。一つは、飛行場が部落のまん中にできたわけですから、したがって、飛行場をはさんでこっち側には住宅がある、向こう側には畑があるという状態になっておる。畑から部落を通って阿賀野川へ排水をしておりましたけれども、その畑と部落のまん中に飛行場ができた。そしてそれが原因で数年前、三十三年の集中豪雨のときにはその部落の農作物、たんぼが長い間湛水をした。その当時は防衛庁の所管であって、防衛庁のほうでは飛行場の水の責任だということで、六百数十万円の補償金を出した。そしてさらに排水機を強力にするために、一千数百万円の金を出して排水機場をつくった。そこで一応そのときまでのあと始末はできたわけです。  ところが、今度地震のために、飛行場の下を通っていた暗渠排水の排水路が全部だめになってしまった。そうしますと、飛行場の向こう側にある畑の湛水した水が流れてきようがなくなった。それだけでなしに、飛行場の水がどんどん部落に流れてくる。その水を、部落を助けようという意味じゃなしに、むしろ飛行場を早く使いたいということのために排水にひところは全精力をあげたようです。しかし、この千数百万円をもってつくった排水機場も今度の地震でだめになった。そのためにポンプを十数台据えつけて排水をやっておりますけれども、排水能力が思うにまかせないで、湛水しておる。その湛水のところにまた雨が降っておるという状況なんです。  そこでお尋ねをいたしたいと思います。この部落がこういう困窮におちいっておるその責任の一半は飛行場というものの存在にある。その飛行場の存在に責任があるからこそ、数年前には六百数十万円の補償金を出した。いま部落の人たちは、あとで集団移住についてお尋ねをいたしますけれども、ともかく集団移住するについても何にしても金がない、われわれだけがこの犠牲を負わなければならぬのかという深刻な不満や疑問を持っておる。ですから、運輸省にお尋ねをいたしますけれども、飛行場からくる水、これはどうしても防ぎようがない。きのうなんかは、部落と飛行場との間に、飛行場の水がこちらにやってこないように土のうを築いた。そうすると、飛行場の水が湛水をする。当然飛行場との間にトラブルがあるかと思いましたけれども、それはいまのところないようですけれども、そういう形で自己防衛をやっておる。つまり飛行場というものがなければという気持ちが非常に強い。ですから、数年前のその教訓を生かして、一体運輸省はこの気の毒な人たちに何がしかの金銭的な措置をする用意があるのかどうか、そのことをお伺いいたしたいと思います。
  230. 堀武夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  新潟の空港のすぐそばの下山部落の水が非常に引かないというので、現在十一基の排水ポンプを使って一生懸命水をはいております。A滑走路の西側の部落から阿賀野川に向けて排水溝が一本、もう一つは飛行場の水をはくための排水溝が一本、これが地震のために詰まりましたので、応急復旧でこの排水溝を通した。ところが、その通した水が今度は下手のほうにたまった、これはたいへんというので、またそれをふさいだという実情にございます。われわれといたしましても、この気の毒な下山部落の方々を早くその水の災難から救ってあげなければならぬというので、さらに排水ポンプを増強すべくいま計画をいたしております。  この避難をされたにつきまして補償をすべきではないかという問題でございます。これは飛行場管理に瑕疵があったということになれば補償金を出す名目が立つわけでございますが、いま飛行場管理に瑕疵があったかどうかということについては調査をしなければはっきりいたしません。われわれとしては、前に防衛庁ですかがつくった排水ポンプがあって、それでその排水ポンプがうまく動いておればこういう問題が起こらなかったのでありますが、それが地震のためにとまったためにこういう問題が起きたのだと思うのです。飛行場管理そのものについては、われわれの考えでは瑕疵があったといえるかどうか、いま疑問に思っておりますので、きょうも飛行場課長を現地に、三時半の飛行機に乗せて調査にやっておるような次第でございます。
  231. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その点をまたもう一度お尋ねをいたしますけれども、この部落はそういう事情で、いまもう地盤沈下のために海面よりもずいぶん低くなったゼロ・メートル地帯です。したがって、県でも市でも、もう住宅は少なくともそこには置けまいということについては意見が一致しておる。したがって、少なくとも住宅に関する限りは三十一月がどこかに集団移住したいという議論は部落の中で大体意見がまとまっておる。  そうして、ちょうどその部落の隣である飛行場には広大な不用のあき地がある。一時アメリカ軍のために飛行場を拡張しようということで農地や原野を買い上げた。買いあげたあと飛行場拡張の必要がなくなって、いま飛行場としては何ら利用されていない。その一部は公務員宿舎の予定地だということで、公務員宿舎が建っておる。その一部はいま応急仮設住宅が二百戸か何百戸か建っておる。残っておる一部は依然としてたんぼのままになっておって、もとの所有者がそのたんぼをつくっておるという状態になっておる。これは何を意味するかというと、飛行粉用地として買い上げながら飛行場としては何ら利用していないということです。それはもちろんこの下山部活の人たちから買い上げた土地なんです。その土地が本来の目的から必要でなくなったというときに、自分らの集団移住の予定地としてほしいと思うのは当然なんです。目と鼻の先にあるのですから。  そのことについて、いま県や市が中に入って折衝しておりますけれども、それに関連してひとつお尋ねしたいのは、いまでも、いま申し上げましたように自分の買い上げられた土地を依然として自分でつくっておるという土地が、それだけ、でも約一町歩くらいある。少なくともそういうものくらいはこの際やはり買い戻しをさせて、払い下げをさせて、それをこの人たちの更生のために使わせるということくらいは当然やるべきではないか。要らなくなった、しかも飛行場用地として買い上げながら依然としてたんぼになっておるということ自体、買い上げたこと自体がおかしいと思うのです。そういう御配慮は、これはいまのところ運輸省になるのか、あるいは所管がえになって大蔵省になっておるのか、その辺は私のほうではわかりませんので、ひとつ所管の方からお答えを願いたいと思います。
  232. 堀武夫

    ○堀説明員 この飛行場はもと米軍が接収しておりまして、それが返ってきて、いま民間空港に使っておるわけであります。その前は、新潟市の寄付ということで国のものになっておったというふうになっております。空港は、現在の飛行機の離発着の状況から見ますと、非常によけいぎみに土地を確保し過ぎておるように見える場合があると思うのですが、航空の発走は非常に激しいものがございまして、方々の飛行場で拡張計画がたくさん要望をされておるわけであります。新潟空港についても、峠のほうから現に拡張計画がございます。われわれも、四、五年たつと非常に空港が様相を一変するということも十分考えなければなりません。もちろん必要以上の土地を確保する必要はございませんが、よく将来の拡張計画を勘案して、いまの段階でこれは必要でないと思っても、もう二、三年すると必要な場合も起こってくる。一ぺん離した土地をまた土地買収するということは非常に困難が伴いますので、その点は慎重にやりたいと思うのであります。  しかしながら、いまお話のありましたA滑走路の東側の地帯約一万八千坪ばかり、いま国有地でありますけれども、農民の方八十五名くらいの方に農耕を許しております。その部分については、いまさしあたって空港の用には供していないのでありますけれども、B滑走路というのが東西に走っておりまして、いま千二百メートルの長さのものがあります。これを二千メートルにしてくれという要望が新潟の地元からあるわけであります。この拡張予定地としましてB滑走路の先端から約三百メートル、幅が三百メートル、これくらいの土地はB滑走路の延長のために確保しておく必要があると思います。それから、いま農耕を許しております中に海上保安庁のヘリポートがございます。この付近若干の広さはやはり将来とも確保しておく必要があるんじゃないかと思います。それで、新潟空港は行政財産になっておる部分が三十三万七千坪、普通財産になっておるものが十四万七千坪ばかりありまして、現に滑走路の一部にも普通財産のままになっておる部分もございます。そういうふうに行政財産と普通財産が若干入り乱れておる点もございますので、これらを統廃合いたしまして、要るところは確保する、将来の拡張計画から見ても要らない部分は普通財産に切りかえて、そして農民の方に渡したほうがいいものは渡すべきではないか、かように考えております。その具体的な方法といいますか、そういうものについては、これから地元の方々と県と私のところと、それから大蔵省の管財当局とよく相談をしてきわめていきたいと思っております。
  233. 松井誠

    ○松井(誠)委員 何しろ地元の人たちは、集団移住が一体できるのかできないのか、いまこわれて、しかも水浸しになっておる自分のうちを修理をする必要があるのかないのか、そのことも集団移住のめどがつかなければ手がつかないわけです。そういう意味で急を要します。そうして、繰り返しますけれども、この人たちがこういう状態におちいったのはこの人たちの責任ではなくて、第一番には、おそらくは地盤沈下、そしてもう一つはやはり飛行場の存在そのものが、多少間接的かもしれませんけれども、責任があると思うのです。そういう意味で、集団移住するにしても金が要る。その金を国家が責任を持つ、当面その責任者である運輸省が責任を持つという意味も含めて、補償という問題もお考えをいただきたいと思うのです。  時間が切れてしまいましたので、せっかくお待ちいただきましたから、一つ二つだけ、委員長のお許しを得て、簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  一つは厚生省の関係であります。この間お伺いをしたときに、世帯更生資金について、大蔵省とその配分の点や何かについて折衝中だというように私は伺ったと思うのですけれども、地震による住宅の破損は最大の被害である。そのために住宅金融公庫へみな押しかけるわけですけれども、住宅金融公庫は、これはあるいはあとで石田委員から御質問があるかもしれませんけれども、なかなか窮屈であります。したがって、そういうところをはみ出したものが世帯更生資金へ走るわけであります。世帯更生資金の住宅の補修なりあるいは災害救助資金なり、あるいは生業資金なりというものに走るわけであります。  ところが、新潟県の場合に、具体的な数字を申し上げますと、約二千万ぐらいが新潟県の割り当ての額なのです。それはあらかた千六百万ぐらいは使い果たしたという状態になっておる。新潟県ではこの需要を満たすためには、一億二、三千万ぐらいのワクがどうしてもなければ需要を満たし切れまいという数字になっている。しかし、一億二、三千万の県負担が三分の一だということになりますと、約四千万。いま県がこの疲弊をした県財政でそういうものを負担するのは非常に苦しい。だから三分の二の国の補助というものを、ひとつ四分の三に上げてくれないかという要望があり、そのことで大蔵省と折衝中だというような趣旨に私は伺ったのですけれども、そういう点で、現在の段階ではどういうようになっておりますか。
  234. 牛丸義留

    ○牛丸説明員 まず補助率の点でございますが、三分の二を四分の三に上げることは、大蔵省との間に折衝を済ましまして、母子福祉資金の貸し付けの政令と同時に現実にそういうふうにきまりましたので、四分の三で貸し付けを補助する、こういうことになるわけでございます。  それから、世帯更生資金の量でございますが、これは県当局のほうと私のほうと現在話をしておりまして、厚生省の手持ちとしては一億数千万円ございますので、いま新潟県の大体の見込みが一億一、二千万程度要るのじゃないかということで、それに応ずるだけの国からの補助を予定しております。最終的には県のほうの需要に応じてこちらでそれに相応する四分の三相当の補助金を出す計画でございます。
  235. 松井誠

    ○松井(誠)委員 どうもありがうございました。  最後に、消防庁にお尋ねをいたしたいと思います。この前の話では、警察のほうもそうでしたけれども、出火の原因を調査中だということでございました。それが三日の委員会の御答弁でありましたが、その後時日もたっておりますので、現在の段階における調査状況はどうであるか。これは実は、この三百数十戸の焼けた人たちが罹災者同盟というものをつくって、その出火の責任者である昭和石油と補償金の交渉をしております。しかし、肝心の出火の原因というものがはっきりしないと、その点についてもなかなか詰めにくい。そういうこともありますから、事情が事情だけにむずかしいとは思いますけれども、なるべく早急に結論を出していただきたいと思うのです。現在一体どの程度調査ができており、問題は何であるか、見通しはどうなっておるのかということについて、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  236. 伊規須徳博

    ○伊規須説明員 ただいまお尋ねになりました先般の昭和石油の火災の原因でございますが、これにつきましては、あの事案の直後に、消防庁、さらには研究所の技術関係の諸君を調査に出しまして、とりあえずの調査をいたしましたけれども、正確な原因についてはもちろん判明いたしませんでした。その後、消防庁といたしましては、そうした原因の究明のために専門の連中を編成いたしまして、ただいま調査中でございます。  現在、調査しております段階でどの程度のことがわかっておるかということでございますが、現地の新潟消防署のほうも督励いたしまして、さらに、先ほど申しました私のほうで編成した班と一緒にいろいろ検討しておりますけれども、ただいまのところ、理論的にこういうことではなかろうかというようなものが推定される程度でございまして、正確な原因につきましては、もう少し時日を要するように存じます。なお、理論的にこういうようなことではないかという点につきましては、もし必要がございますれば、現在私のほうの研究所研究部長が参っておりますので、科学的な点での意見を説明させてけっこうだと思います。
  237. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その三百数十戸の焼けた人たちは、一体そういう金がもらえるのかもらえないのか、もらえるかどうかによって自分らの、自分自身の復興計画というものも違ってくる。それができないために、さて現在のところにうちを建てるか、建てるとすればどの程度のものを建てるか、あるいは、自力ではどうしても建てられないから、どこか公営住七にでも入ろうか、どっちにするにしても、そのめどというものがつかなければ、右に動くにも左に動くにも動きようがない。そういう状況でありますから、そういう意味でもひとつ早急に結論を出していただきたい。学問的な立場からのいろいろな推測の問題がありましたけれども、これはいまお伺いをしてもあれですから、このあとの機会に、その調査が完了した段階であらためてお伺いをすることにいたしまして、きょうは私の質問はこれで終わりたいと思います。
  238. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 石田宥全君。   〔細田委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  239. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 同僚委員の質問と重複を避けまして、二、三御質問を申し上げたいと思うのであります。きょうは大臣が見えておりませんので、それぞれ事務の担当の方でありますから、その範囲で御質問申し上げたいと思います。  最初に、災害対策本部の北川参事官に伺います。  今回の豪雨新潟地震につき続くものでありまして、一部は新潟地震にプラスアルファになっておる。ほんの一部が豪雨だけの被害というような形になっておるわけであります。地震被害から多少はみ出た部分も、激甚災害法によって指定された新潟地震の範囲にこれを取り扱うべき筋のものであろうと考えるのであります。これはいまここではっきりした御答弁を願うということは無理であろうかと思いますけれども、これは今後近い機会に、やはり新潟地震指定された災害に含めて取り扱うというふうな取り扱いを願わなければならない問題であると考えるのであります。これについて意見を伺っておきたいと思います。
  240. 北川博正

    ○北川説明員 ただいまの新潟地震と雨との関係被害でございますが、先ほども申し上げましたとおり、雨の災害地震災害とはそれぞれ別個でございまして、新潟地震被害被害集中豪雨による被害被害で、別途それぞれ被害額を調べて検討すべき内容と思います。  なお、その被害額は、現在一部出ておりますが、全般につきましてまだ把握されておりませんので、豪雨につきましては今後の課題として検討さしていただきたいと思います。
  241. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 別途に計算をしてということでありますが、これはなかなか別途に計算しがたいものがある。先ほど申し上げたように、大部分が地震プラス豪雨、こういうことになっておるんです。そこの間の区分が困難ではないか、こう考えるのです。ですから、多少はみ出たものはあるにしても、重複するのじゃないか。そういうものはやはり新潟地震被害としての取り扱いをすべきであろうとわれわれは考えておる。これは実際問題として、私が言うように、なかなか区分しがたい点が多いわけです。これはあとでひとつ問題にして、次の機会にだれか大臣でも出席をしていただいてはっきりしたいと思うんですが、しかし、あなたのほうで、やはりそういう点を事実の上に立って検討しておいていただきたい、こう考えます。  次に、先般の委員会で御質問申し上げておいた地盤沈下の問題です。新潟の地盤沈下と西蒲原郡味方並びに白根郷との沈下の関係について早急に結論を出していただくように資源局長にお願いをしてあったわけであります。聞くところによると、近く地盤沈下対策審議会というものが開かれるように承っておりますが、その取り運びの状況はいかがですか、承りたいと思います。
  242. 橘恭一

    ○橘説明員 白根地区の地盤沈下の原因につきましては、七月三日の話もございまして、資源調査会保全防災部会地盤沈下に対する小委員会を、少しおくれましたが今月の二十三日の木曜日に関係の専門委員が集まりまして開くことになっております。  それから、地盤対策審議会のほうは経済企画庁所管でございまして、これはその結果をまちまして、またいろいろ予算面等のことが審議されるかと思います。
  243. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 新潟地震のあとで、従来あまり問題にならなかったクイックサンドの問題が大きく議論の対象になってまいりました。学問的にはすでに明らかであったわけでありますけれども、ほとんど土木事業その他の面で考慮されておらなかったように承っておるのであります。そこで、このクイックサンドの関係が、おそらく新潟の地盤沈下と白根、味方における沈下との関連をもたらしたものではないかと推定されるわけであります。また、農林省の地盤沈下の調査事務所では、やはりそうであろうという結論も出しておるわけです。私はこの点をもう少しはっきりしてもらわなければならないと思うのでありますが、そういう点で今後いろいろな影響が大きいものでありますから、早急に結論をお出し願うように要望申し上げておきます。  そこで、関連いたしまして通産省のほうに伺いたいのであります。いま申し上げたようなクイックサンド、いわゆる流砂の関係で、地下水の伴うガスの採掘というものが至るところに深刻な影響をもたらしておるわけであります。特に最近注目されておりますのは、これは黒埼村が中心のようでありますが、東邦天然ガス株式会社がずっと採掘をやっておるわけでありますが、これはいまどの規模に採掘が行なわれておるか、そうして今後の見通しなどを承っておきたいと思います。
  244. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  東邦天然ガスの生産状況でございますが、六月十六日地震によります災害発生から井戸の復旧に取りかかりまして、七月の六日大体生産できる状態になりました。ただ、需要先の工場等の復旧がおくれておりまして、生産といたしましては、まず日本軽金属にガスを送るということに始まりまして、七月の六日から生産量はパーデー三千七百五十立米という状態でございます。その後七月九日に明道金属というところが復旧いたしまして、これに対しましてパーデー六千立米を送っております。続いて七月の十日、昭和硝子が復旧いたしまして、ここに対しまして四千七百十八立米送るという状態でございます。したがいまして、生産量としましては、現在わかっておりますのは、七月十二日現在一万八千八十二立米パーデー、これだけを現在生産いたしております。  今後の見通しでございますが、七月の十四日に日本瓦斯化学が復旧されますので、日本瓦斯化学から要望がございまして、これは大体パーデー二万立米。それから八月上旬より旭カーボンが復旧いたしまして、これがパーデー三万立米。なお東洋瓦斯化学が八月中旬に復旧をするということでございまして、これが十万立米パーデーという需要量になっております。七月の十二日現在では一万八千立米という生産量でございます。
  245. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いまの採掘、いまのというよりは、地震面前の採掘の総量と今後の見通し、さらにまた拡大をされるような見通しかどうか。これは施業案が出ておっておわかりでしょうから、それらの点について承りたいと思います。
  246. 栗林隆一

    ○栗林説明員 お答えいたします。  大体東邦天然ガスが西蒲原鉱山で生産をいたしておりました実績は、地震前に十六万立米パーデーでございます。現在、先ほど申しました今後のスケジュール等を見ましても、ここは例の規制地域のC地域に当たりますが、十六万立米パーデー以上の生産を行なうという計画は、脱走のところは持っておらない状態でございます。
  247. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 橘さん、いまお聞きのように、十六万立米の採掘をやっておるわけです。あの辺は、白根にしても味方にしても、黒崎にしても新潟にしても、ほとんど層が一つの層のような形だと考えられるんです。そういたしますと、いま西蒲原で大量な水溶性ガスの採掘が行なわれておるということは、ちょうど新潟の地盤沈下が起こって白根や味方の沈下をもたらしたように思われるのでありますが、西蒲原でいま十六万立米も採掘するということが、将来逆に新潟へ影響しないとはいえない。また、その他の農地に影響を及ぼさないとはいえないのであります。そういう点で、私はこの機会にガスの採掘と地盤沈下との関係を明らかにすることが、今後の新潟地震の復興事業を推進する上においての基本的なものであろうと考えるのであります。それらに関連する役所はずいぶんたくさんございまして、数え切れないほど関連する役所はありますけれども、やはりあなたのところが中心になられて、それぞれの機関を十分動かすというか、動けるような体制にしていただいて、一日も早くこれに対する結論を出すようにしていただきたいと考えるわけであります。いかがでしょう。
  248. 橘恭一

    ○橘説明員 資源調査会では、科学技術庁の付属機関でございますが、関係各省の覚え書きによりまして、技術的なデータを全部一たん集めまして、地震学者を含む専門家のところで審議して、技術的な見解を発表することになっております。なお、経済企画庁における地盤沈下対策審議会に技術的な所見を申し述べて、いわゆる総合的な対策を講ずることになっております。またその線に向かって科学技術庁としましても今後とも努力するつもりでございます。
  249. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、建設省の国土地理院の方にお伺いいたします。  今回の新潟地震で、一、二等の水準点がだいぶ変化を来たしておる。やはりコンターというものがはっきりしておりませんと、たとえば護岸工事にしても、堤防の工事にしても、あるいは土地改良事業を行ないますのにも、これは大切なものなんでありまして、これはいままで新潟地区でどれくらいあって、いま役に立つものがどの程度あるのか。伝え聞くところによると、この一、二等の水準点を従来よりも個所を減らす、減点するというように承っておるのです。われわれは、そうじゃなくて、新潟のように地殻変動のあるようなところはむしろもっと個所をふやすべきではないかと考えておるわけでありますが、それらの事情について承りたいと思います。
  250. 坪川家常

    ○坪川説明員 お答えいたします。  現在までに新潟地区でわれわれのほうでやっております水準測量は、一等水準測量——地盤変動地帯が実際上の災害をかなり及ぼすということで、もっと高密度の水準網がほしいということで、昭和三十三年以来、水準網の密度を大きくいたしまして、一等水準測量。それから、準一等といままで申しておりましたが、これは学問的には二等水準測量というものでございますが、地盤沈下が問題になりましてから、河川特別会計によるもの、科学技術庁の調整費、県の受託費などを入れまして、かなり回数の多い繰り返し測量が行なわれております。長いものでも二年周期でやろう、これは一等水準測量の本線みたいなところでございます。地盤変動の非常に激しいところは半年くらいでやろうということで三十三年当時計画しておりました。ところが、沈下が非常に激しいものでありますから、とても間に合わないということで、それを年四回にするというところまで参っております。したがって、この新潟の地盤沈下地帯は非常に高密度の、しかも繰り返しの多い測量がいままで行なわれておりまして、未曽有の沈下地帯であるということがわかっております。  それで、実際上の問題として非常に被害が大きいものでありますから、これは水をくむための原因が一番多いであろうということで、通産省、技術庁その他の指導で水のくみ上げを規制いたしました。そういたしまして測量を繰り返してみますと、規制後かなり沈下の量が減っております。あるところでは少しずつ上昇の傾向になった。したがって、現在の規制による沈下の程度のものは大体バランスをしまして、そろそろ水準測量も大体この程度でかなりの貢献をしていいんじゃないだろうかというところまで参ったわけであります。  ところが、今回地震が起こりまして、また非常な被害で、沈下の量も非常に大きいものになっているであろうと想像されますので、さっそくこの七月下旬あたりに作業を出発いたしまして、前後二カ月ばかりかけて改測を行なう予定にしております。その金は、河川特別会計を一度に注入いたしまして——年四回ということでやっておるのを一度に注入いたしまして、相当広範囲な調査をやりたい。そういたしますと、あとの改測がちょっと見込みが立たなくなるのでありますが、それにつきましては、科学技術庁から研究調整費をいただきまして、今度の地盤沈下の様子を見まして、今年秋にするか、あるいは来年の雪が消えます三月ごろにするか、その辺をきめましてもう一度改測をしたいと計画しております。  先ほど、少し事業量を減らすのではないかというお話もございましたが、これは実は新潟の地下水くみ上げによる地盤沈下の傾向というものがある程度わかってまいりましたので、そういう意味で、一応回数あたりも少し広げていいのじゃないだろうか、間隔を増していいのじゃないだろうかという考えがございましたのと、それから実は地震予知その他の関係で全国的に水準測量の繰り返しをやりたい、そういうことにいたしますと非常に人手不足になる、そういう意味で、新潟のこういう地域の高密度の水準網は、骨幹だけは国土地理院の直営でいたしますが、二等水準のように非常に細部の高密度の網につきましては、これは外注してもたいして問題ない、そういうことで、昭和四十年あたりから、いわゆる二等水準網あたりは外注に依頼しようかという考えがあるわけでございまして、決して網をあらくするというふうなことは現在考えておりません。
  251. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これに関連いたしまして、農林省農地局の関係で、地盤沈下対策事業をはじめとして土地改良関係全般が、やはり従来はこの国土地理院の一、二等水準点を中心にしてコンターラインを引いておったわけでありますが、今後早急にこれはその水準点と路線を引かなければならないと思うのですが、それに対する取り扱いの方針を明らかにしていただきたいと思います。
  252. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  農地のほうの高低が相当に狂って、早くこれを突きとめる必要を感じまして、建設省側のいま一、二等水準点、これがきまったあとではちょっと間に合いかねるということで、これを待たずに、一、二等水準点を一応仮の原点といたしまして、そこから高低測量をやるように実は指示をいたしておるわけでございまして、その仮原点の高さがあとで狂いがわかってきましたならば、それで調整をするということで、地理院側の調査の終る前に農林省側でも末端の測量を始めるという方針で進めておる次第でございます。
  253. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それはいつごろから開始されて、大体事業に支障のないような速度で進められますかどうですか。
  254. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  全般的なことにつきましては、二、三日中に新潟県で査定官会議をやります。実はこれは今度の農地及び施設の災害の査定ともからむものであるが、そのときに、全般をどう扱うかということは相談をしてくると思いますが、さしあたってそれより前に要点についてはある程度のめどがつけられないかということを言っております。ということは、たとえば栗ノ木の排水機場のあたりが一体どれくらい沈下しているのかということは、やはり一つの要点だと思いますので、こういうことについては至急やってもらいたいという指示はいたしておるわけでございますが、全般的にはもうしばらく御猶予願いたいと思います。
  255. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この点は、先ほど申し上げたように、きわめて基本的な重要事項でありますので、建設省のほうも農林省のほうも早急に手配をされるように、要望を申し上げておきます。  次に、先ほどからもお話がございましたが、災害復興住宅資金の問題でお尋ねをしたいと思うのであります。先般水原町がかなり被害を受けまして、この間、同僚議員の松井さんに相談に行ってもらったわけでありますが、水原町では、町役場で集計した災害復興住宅資金四十三件を整理して手続をした、ところが、窓口である銀行は、そのうち二件さえ取り上げることができない、こういう事情であったわけです。これはたいへんなことだというので、松井議員からも私からもいろいろと要請を申し上げておったわけでありますが、その後のこれに対する取り扱いについての状況をお聞かせ願いたいと思います。
  256. 尚明

    ○尚説明員 水原町の災害復興住宅の貸し付け状況を御報告申しますが、七月十日現在で調べましたところ、新築につきましては二十四件承認いたしまして、補修につきましては五十三件を承認いたしているという報告が参りました。
  257. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それはけさほど実は連絡を受けたのでありますが、とかく政府のこの資金というものは貸し出しの窓口に問題がございまして、当委員会などで御質問を申し上げると、なかなか色よい返事がされるのでありますけれども、末端の金融機関に参りますと、いろいろ難くせをつけまして、なかなか貸し出しを渋るというのが従来の実態なんですね。  そこで、先ほど業務方法書のようなものもいただきまして調べておるわけでありますが、これは時間があればずっと掘り下げてまいりたいと思うのですけれども、災害復興住宅資金というのは何重にも保証されているわけですね。まず建物が担保に取られて、その上に保証人をつける、その上にさらに、借り入れ者はその将来の収入の見通し等までいろいろと査定を受けるわけです。これくらい厳重にやっておるにもかかわらず、窓口ではなかなか気やすく貸してくれないわけです。こういう問題についてはまだいろいろと問題があろうかと思います。国の制度金融はみんな同じようなことでありますが、しかし、いま伺ったところによると、相当件数復興資金もあるいは修理資金もお認めになっておるようであります。私はまた一両日中に出かけてまいりまして、窓口ともよく相談をしたいと思いますけれども、あなたのほうもやはりそういう点は十分御承知なんでありますから、あまりそう渋らないで、何重にも保証されたような融資でありますから、なるべくこの際その希望に沿えるように積極的な指導体制をとっていただきたい。
  258. 尚明

    ○尚説明員 災害復興住宅の貸し付け等につきまして、御指摘のとおり、ともすれば現地におきましては慎重を期し過ぎて、罹災者のために御迷惑をかけている向きも必ずしもなきにしもあらずかとも存ぜられますので、公庫の本所の貸付部の次長あるいは各課の係長等で二班を編成させまして、新潟県、及び山形、秋田県班、この二班をもちまして、現地によく融資の趣旨が徹底するように指導する体制で、昨日から現地をまた回り始めております。
  259. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 時間がありませんから、もう一つだけ河川局長に伺いたいのでありますが、けさほど稻村委員の質問にありました刈谷田川の問題であります。御承知のように、この川は特別な川でありまして、昭和二年には、死者と行くえ不明百名ぐらいを出した非常な悲惨事を生んだのでありますが、さらに三十六年にまたもや深刻な被害を出しておるわけです。これは何と申しますか、やはり立地条件が一つある。気象の条件と山その他の関係、結局はその集水面積というか、流水の面積というか、その面積と気象の条件と、それからその河川の幅員というようなものとの関係に問題があるのではないか、そういう点を科学的に調査した上で今後の対策をとられませんと、何回も同じことを繰り返す結果になるのではないか。特に稻村委員からも触れられたのでありますけれども、防災ダムの問題です。従来のダムは、多目的ダムその他発電のダム、あるいはかんがい用水ダムというようなものがありますけれども、こういうところにこそ、防災を中心とする、やはり採算を度外視したところの防災ダムを設置することが必要なのではないか。今日の段階では、気象条件やあるいは集水面積などの関係、あるいは土質の関係というようなものが、かなりこまかなデータが出ておるわけでありますから、これに対しては抜本的な改良をこの機会に行なわれなければならないと思うのです。今朝来いろいろ議論があります中に、原形復旧だ、改良復旧だという議論がありますが、過ぐる三日の委員会においても、ある局長は、原則的には原形復旧なんだからということで、長々といろいろなもったいぶった答弁をしておる。ある局長は、改良復旧が認められるのだから、それはやりますというような答弁をしておる。私は、これはやはり次の機会に責任ある人たちから出てもらって、そしてはっきり区切りをつけなければならないと思う。どういうものについては原形復旧を認める、どういうものについては改良復旧をしなければならないというような、防災本部なりあるいは各省庁なりがきちっとした基準を持たないで、ただそのとき苦しまぎれにいいかげんな答弁をやって、いや改良復旧いたしますなどと言っても、これは大蔵省のほうでなかなか原形復旧ということにこだわって、予算面でなかなかつけてくれないのです。ですから、これは別に政治的に処理をしなければならない問題ではありますけれども、いま申し上げた刈谷田川のような関係というものは、そういうもろもろの問題を総合されてそうして抜本的な処理をされませんと、二十億の規模の工事をやるのに、一年に一億何千万というような予算では、これは途中にまた流れてしまう。それじゃ幾らやったってさいの川原普請で、全くナンセンスといわなければならない。こういうところについては、やはり基本的な姿勢をはっきりして処理されなければならない問題であろうと思うのでございまして、これについてひとつ河川局長から御答弁を願いたいと思います。
  260. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  刈谷田川でございますが、先ほど申しましたとおり、猫興野橋上流におきまして非常な災害をお受けになりました。したがいまして、これに災害関連費というものを入れまして、そうして上流部を思い切って改良計画を立ててみたい、こういうふうに考えております。猫興野橋から下流につきましては、在来から中小河川の改良工事を行なっておりますので、それを引き続いてやりたい。災害関連でやりますには、もちろん大蔵省とも折衝をいたしますが、こういうふうな非常な災害をお受けになったところに対しましては、在来から大蔵省も非常に協力をして御理解をしていただいておりますから、もちろんこれはやっていただけると思っております。これから折衝をいたします。  それから計画につきましては、先生がいまおっしゃいましたように、防災ダムというものももちろん考えなければいけないと思いますが、あまり防災ダムに期待をしていただくと、少し期待はずれになるおそれもある。というのは、先ほどお話を申し上げましたように、ダムサイトというものが非常に上流部になっておる。計画高水流量が現在でも千五百五十をとっておりますが、今度出ました水は千四百ばかりでございます。それでその計画高水流量に対しまして、上流のダムサイトの地点におきましては、二百三十ぐらいの水しか出ない地点でございます。それで、それを全部カットしましても、下流に大きな支川が入っておりますから、それとの洪水の時差がございますので、時差の関係を計算いたしますと、その辺に二百二十が全部切れないというおそれがあるわけであります。そういう点を考えますと、あまり期待をされますと困ると思うのでございますが、もちろん、私どもは計画をいたす上においてはそれを考慮いたしまして、有効であれば採用いたしたい、こういうふうに考えております。あまり期待をされて、防災ダムは非常に有効だ——確かに有効でございますが、その地点によるわけでございます。その辺をひとつ御理解をいただきたいと思っております。  流量につきましては、以前の一番最初の改良をいたしましたときは六百六十立米でございまして、これは最初何もはかるものもなかった関係からそういうふうに出たのじゃなかろうかと思うわけでございますが、三十六年に出ました洪水というのは、そのとき以来の川の出水記録がずっとありますし、それから推しますと、確率的に三十年か四十年以上の洪水になるのじゃないかと思いますので、刈谷田川としては適当な流量じゃないかというふうに現在では考えております。これもなお今後統計的に調べていきたいと考えております。
  261. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 あとでまた御質問もあるようでありますし、私は以上で本日のところは質問を終わります。
  262. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 加藤精三君。
  263. 加藤精三

    加藤(精)委員 最初に住宅復旧対策につきまして御質問したい。これは特に私の郷里が今度新潟震災にあいました山形県の庄内地方でございますので、その実情を申し述べまして、そしてこの対策本部その他各省にお考えをいただきたいということに属するのでございます。  実は昨日、郷里の、災害の最も激甚だった震度六という地帯を所轄しております鶴岡の市長と、震度五だった酒田市長とが、それぞれスタッフを連れて上京しまして、そしていろいろ報告があった中で、特に住宅対策についてはびっくりしたのでございまして、その点については、あるいは政府のある部門の処置には非常に感心をし、ある部門の処置にはなお研究をお願いしたい、こういうわけでございます。と申しますのは、大体住宅の災害が最も激しいのでございますけれども、そのうち農家の住宅復旧につきましては、住宅金融公庫と県信連、それから自作農創設維持資金、この三つがそれぞれ相当便宜をはかって貸し付けてくれるのでございますが、これを実際に徴しまするに、鶴岡市におきましては、農家から四十八件の申し込みがあったのでございますが、これの承認された件数がまだ一件もないのでございます。それから農家以外の住宅復旧でございますが、これは特に住宅金融公庫の仙台支社でございますかの次長かどなたかが、最も災害の激甚だった鶴岡市の大山地域に十日間おってくれまして、そして一生懸命、自分が窓口に立って指導してくれた。そういうことまでしてくれた結果、申請七十一件中六十一件が承認されている。ところが、この住宅金融公庫の扱いでございますが、酒田市におきましては、地方銀行の二つ、荘内銀行扱い、両羽銀行扱い、合わせて百二十七件の申請がありますが、いまだに一件も承認されていない。実際、制度はあるけれども、政治は歩いていないというような状態でございます。  なお、この農家関係につきましては、私この震災のあと二週間の間に四回震災地に帰っております。震災当日ヘリコプターで自治大臣が行かれるときに一緒に帰りまして、それから厚生大臣と一緒に帰っておる、農林大臣と一緒に帰っておる、それから特に建設省にお願いしまして、地すべり、がけくずれの関係の技術の大家を御派遣願うように頼みましてそして一緒に行っておる。四回行っておるのです。相当各省とも手を尽くしてくれているようでございますが、進捗がおそい。これについて特に農家の場合、これは先ほど申しましたように、住宅金融公庫であれ、県信連、中金であれ、それから自作農資金であれ、窓口は開いているのでありますが、それが具体化しないということは、農家がいかに借金が多いかということを物語っていると私は考えておるのです。構造改善なり所得倍増計画なり、そうしたことばを聞きますときに、農村の実情については、昭和の初めに起こったような経済更生のような考え方の行政が必要じゃないか。経済更生事業というものは、各農家の更生計画、それと同時に負債整理計画を伴ってそして農民を指導したものであります。現在、農協当局といたしましては、おっかなくて貸せないというのが一つの態度であり、農家としては、借金が多過ぎるから、ほしいけれども、まあ遠慮するというふうな態度になってきているのじゃないか、こういうことを考えております。現在、罹災農家というものは、全壊、半壊、損傷を入れますと、もう数万戸にわたるわけでございますが、それが承認を受けたものが何十戸にすぎないというような調子でございますから、こういうような状態から見れば、いまからでもおそくないから、農家負債整理というような点につきまして農林省が御指導になって、そうして個々の農家の更生計画に沿ってこの復旧資金をもお貸しになるというような手法にいかれる必要があるんじゃないか。たとえば大正大震災とか、あるいは昭和の初頭の経済不況なんかのときに、農林省の石黒さん等のおとりになったような数々のやり方につきまして、いまから回想してみられる値打ちがあるのじゃないか。今度家を建てるときには、震災の方向に対してこういう向き方で、こういう形のモデルに沿うたような農家住宅をつくれとか、あるいは負債整理と兼ねた精神作興とか、そういうようなことを農林省がお考えになってみられたらどうか。それから、農協というものにつきましてある程度の危険負担をすることができるような何かの方法も考えなければ、これは住宅復旧金融というものがあってもないにひとしいというように考えるのでございますが、これらの大局論について、農林行政に精通しておられる官房長の御意見を一応拝聴したい、こう思っております。
  264. 中西一郎

    中西説明員 実情に即したお話でございまして、われわれも十分傾聴いたすわけですが、鶴岡で四十八件の申し込みに対して現在一件もないという事情については、私どものほうでも十分調べたいと思います。末端の窓口がそれぞれ分かれておるというようなことと、手続の簡素化にはつとめておりますけれども、その辺についての気合いがうまく合っていないところがあるのじゃないかと反省をいたさせられているわけです。先ほど来の答弁でも申し上げたかと思いますが、農地担保金融の問題、あるいは相保証の問題等、それぞれ保証の道も開けておるわけでございます。できるだけ円滑に所要のワクが消化されることを促進いたしたいと思います。  農政のあり方につきまして、個々の農家について、それぞれの農家の自力更生を、手をとり足をとるような形での援助の体制を、昔を振り返って今日の段階でやってみたらどうかというようなお話に伺いました。その点は、やり方は違っておりますけれども、農業基本法以来の考え方としては、そういった意味での自立家族経営というものを育成していきたいというような大きな方向で取り進められておる、これは農政の方向としてそう申し上げて間違いないだろうと思います。そういう意味で、借金も非常にふえておるということ、これは事実でございますけれども、いわば、近代化資金あるいは改良資金、公庫資金といった形での、生産性をさらに上げていく、あるいは共同利用施設を建設するというような前向きの資金が大部分でございます。そういう意味合いで、いずれその成果が上がってくるに従って果実の中から返済し得る資金であるというふうに、抽象的には言えるわけでございます。それが個々のケースにあたりまして必ずしもそのように動いていない。特に、今度の地震等がありました地域の中で、過去の累積した災害によって負債が著しくふえておるというようなことも聞き及んでおります。そういうような点も含めまして、現段階は、何といいましても、金融制度をどうしていくかという大きな転換期に当たっておるわけでございますし、そういうことも含めまして、農林省としては十分勉強もし対処していきたい、大筋はそういうふうに考えます。  なお、初めにお話のございました、私も若干触れましたが、今度の震災に関連しての住宅資金の貸し付けの促進については、格段に努力をしてまいりたいと思います。
  265. 加藤精三

    加藤(精)委員 非常にまじめな御答弁を得まして、私了承いたすわけでございますが、いま山形県の庄内地方等は、農協長が集まりますと、被害が多くて農村は苦しくて、結局今度の災害でわれわれはみんなが総部落あげてこじきになるしかないということを言っておるほどでございます。それほど深刻でございますので、農林省もそのお気持ちでひとつ御指導御援助をいただきたい、こう思っております。  次に、時間がだいぶ経過しておりますので、非常に簡単にお尋ねしますから、当局側も非常に簡単にお答えいただきたい。問題を簡単にするために、聡明なる文部省の政務次官にお尋ねしてお答えいただいたほうが早道じゃないかと思いますので、ちょっと先に学校復旧対策につきましてお尋ねいたします。  私、具体の問題を持って文部省の助成課に行きましてこういう話をしたのです。数字はかりに別にしましても、わかりやすく申し上げます。ある具体の、十二学級の中学校といたしましょう。坪数が千坪の建物の学校で、そのうちの権利坪数は八百坪、そうして罹災坪数が四百坪、そうすると健全坪数が四百坪、こういうようになりますね。校庭がすっかり亀裂を生じて、もう使えない、適当ではないから他に移転をする。ようございますか。移転をする場合に、この建築の補助をもらいたいという問題ですが、その場合に、現有坪数は権利坪数から引かなければならぬ。しかるがゆえに、とにかく四百坪だけの国庫補助だということなんです。そうしますと、敷地は移転して、片方の前の敷地には健全校舎として四百坪の校舎が残る、こっちには今度は四百坪の復旧校舎ができるということになりますね。どうしてもこれは新しい敷地に校舎を集めることはできない。こういう回答なんですが、これは大蔵省の締めつけというものがものすごいものでございますから、どうせ大蔵省に行けばこれは負けるから、あきらめてくれということなんだろうと思うのですが、こういうような事案があります場合に、政務次官はどうお考えになるか、大局から見てですね。
  266. 八木徹雄

    ○八木説明員 非常に具体的なお話なんですが、問題は、その校庭が亀裂を生じて、もはやそこが校舎を建てる余地のないというものであるかどうか、これが一つのポイントになるのではないか。原則的には、校庭の亀裂を生じたものをもとのとおり原形復旧するということについての費用についての助成はもちろんいたします。それから、いま言った災害を受けた校舎について、その被害分に対する改良復旧あるいは原形復旧に対する助成は当然いたします。そこで、おっしゃるとおり、ケース・バイ・ケースでよく実情を見なければわからぬと思いますけれども、校庭自身がもはや使いものにならぬのかどうかということの認定が必要なのではないか。校庭が全然使いものにならぬということになれば、むしろ、校舎あって校庭なしということでは学校教育になりませんから、その場合には特段の措置も必要とするのではないかと思いますが、原則論から申しますと、都合で地方当局が別に移転をしたいという場合には、校庭の復旧費並びに校舎の復旧費に相当するものの助成をしますから、あとはそちらでおやりなさいという場合もあり得るのではないか。問題は、その校庭の亀裂の状況いかんによって判断しなければならぬということになるのではなかろうか、こういうふうに考えます。
  267. 加藤精三

    加藤(精)委員 非常に簡単に申しますが、幾ら私がとんまでも、使える校庭を使わないでほかに移転するということは考えておりません。そういう御想像は必要ないことなんです。校舎が使い得ないから移転改築をしようという場合ですが、政務次官はさすがに御聡明であられますので、いまのような校庭が使えない場合におきましては、残存坪数との関係の処理について特別の措置を講じなければいかぬのじゃないかとおっしゃいましたので、その辺のことを十分ひとつ大蔵省も耳の底に入れてお考えになっていただけばけっこうなのであります。  次に、今度の災害のときに私は最も不愉快に感じましたことは、全壊である場合と半壊である場合との区別でございます。これはまことにつきにくいのでございまして、この前の酒田の大震災とか東京の大震災の当時は、日本の建築学がまだ不十分で、連続基礎というものがまだなかった。全壊したような家屋であっても、今は連続基礎になって、マッチの箱がよじれるようになっても、残っておるのです。しかしながら、家の中に入れば、たてつけはもちろんのこと、家の中の地盤の亀裂、あるいは学校の校庭の中の、たとえば屋内体育館の中のその敷地が一部亀裂したり一部陥落したりして、実にめちゃくちゃになっている。これは全壊しないでも、どうせ使用にたえないし、これを一ぺん取りこわしてまた建て直さなければならぬから、全壊よりもよけい金がかかる場合が多い。その扱い方にはいろいろ無理のない扱い方をすべきだということをわれわれは主張しておるのでありますが、全壊、半壊の区分等につきましても、大蔵省等で御理解ある処置をいただいたら非常にいいのではないか、こう思っております。  なお、あのとっさの場合におきまして、山形県の温海地方の鼠ケ関というところの学校があるのですが、これは校舎のわきの屋内体操場が接続しておりますけれども、実に危険で、校舎に生徒が入りますと、自然と屋内体操場のほうまでもまいりますので、一日も早く、一刻も早くこれを解体したかったのですが、これは大蔵省、文部省両方とも見た上でないと解体しないでくれということで、自衛隊の施設部隊が来てこの着手を始める前まで本省の許可がなかった。こういうような問題につきましてはまあ何とか便法を講じて、子供の生命にはかえられないのですから、だれが見ましても危険校舎と認定されるような場合におきましては、これは解体させるというようなことが、人道問題として必要なんじゃないか、私はこう思っております。  時間がないですから先へ進みますが、第三番目はがけくずれ、地すべり対策でございます。このことにつきましては、ちょうどいま科学技術庁の技術のほうの大家も来ておられるそうでございますので特にお願いしたいのでございますが、何といいましても、この前も私関連質問で申しましたとおり、科学技術の相当の権威者、たとえば地震や建築や河川や、すべてを総合したような意味の科学技術の大所高所からの巡回指導スタッフみたいなもの、たとえば安藝皎一さんのようなああいう偉い人、中谷宇吉郎さんという人が前におられましたけれども、ああいうような学者がたくさんおられるに違いない。そういうような方々を団長にしたような巡回指導のスタッフをお回しになることについて、これからでも決しておそくない、将来の日本の防災対策その他から見まして、そういうことをぜひおやりいただきたい。そうでなければ、ことに私の郷里の山形県の庄内海岸地方等は、毎日毎日数戸ないし十数戸の住宅が、山くずれ、がけくずれのために、いまでも避難しておる状況でございます。これから先、そうした地域は、つい二、三日前も震度四の地震さえあったのでございますから、長雨があり、あるいは集中豪雨等がありますにつきまして、決して安住の地を得ているわけじゃないのでございます。そうしたことにつきまして十分もう一回考え直して、そういう巡回指導のスタッフを政府から御派遣になるようなことを、建設省からはなかなか言いにくいかもしれませんが、科学技術庁等でも発案していただいて、あるいは閣議、あるいは政務次官会議等でそういうことを問題にして、そして事務の組織のほうから政治の組織のほうへ押し上げていただくようにお願いしたい、こう思っております。  それから、まだあまりたくさん言及されていなかったようでありますが、今度は、地下組織の施設に上下水道、し尿処理その他いろいろ被害があったのでございますが、特に防火用貯水槽等で大きな被害がある部分があるのでございます。なお、消防署、消防分署というような建物についての被害も相当ございますので、これらは再びの災害につきまして直ちに活動しなければならない施設でございますから、これらにつきましても激甚災害法その他の指定に見当たらないようでございますので、特別立法等の措置について特段の御配慮をいただきたいと思うのでございます。  非常に時間もかかりまして、またおそくなりましたので、希望だけ申し述べまして、御答弁は要らぬことにいたしたいと思います。
  268. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時六分散会