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1964-07-03 第46回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月三日(金曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 中山 榮一君    理事 稻葉  修君 理事 大久保武雄君    理事 細田 吉藏君 理事 稻村 隆一君    理事 岡本 隆一君       天野 光晴君    小沢 辰男君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       田澤 吉郎君    高橋清一郎君       井谷 正吉君    石田 宥全君       千葉 七郎君    華山 親義君       原   茂君    松井  誠君       山口丈太郎君    竹谷源太郎君       林  百郎君  委員外出席者         総理府事務官         (新潟地震非常         災害対策本部         員)      松永  勇君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 後藤 信義君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         総理府技官         (科学技術庁国         立防災科学技術         センター所長) 和達 清夫君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    中嶋 晴雄君         大蔵事務官         (主計局次長) 澄田  智君         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         大蔵事務官         (国税庁直税部         審理課長)   小宮  保君         文部事務官         (大学学術局学         術課長)    吉里 邦夫君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    中尾 龍彦君         厚 生 技 官         (環境衛生局環         境整備課長)  浦田 純一君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      宮田 千秋君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      森田  進君         通商産業事務官         (企業局長)  島田 喜仁君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部金融第一課         長)      中村 俊夫君         建 設 技 官         (都市局技術参         事官)     大塚 全一君         建 設 技 官         (河川局長)  畑谷 正実君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      安芸 元晴君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (住宅局調査         官)      尚   明君         建 設 技 官         (建築研究所第         三部長)    久田 俊彦君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         消防庁次長   川合  武君         参  考  人         (東京大学地震         研究所所長)  河角  広君     ————————————— 六月二十六日  委員卜部政巳辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として栗  山礼行君が議長指名委員に選任された。 七月二日  委員浦野幸男辞任につき、その補欠として高  橋清一郎君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員泊谷裕夫辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。 同日  委員原茂辞任につき、その補欠として泊谷裕  夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十五日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託され。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新潟地震による災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 中山榮一

    中山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  新潟地震による災害対策に関し質疑の申し出がありますので、これを許します。稻葉修君。
  3. 稻葉修

    稻葉委員 今回の災害に対し、去る六月三十日開催の中央防災会議において、いわゆる激甚(じん)法の第二章、第五条、第六条、第十二条、十五条、十六条、十七条、二十二条及び第二十四条の適用が決定されたわけでありますが、私は、これだけでは今回の激甚なる災害にかんがみまして不十分であるという立場から質疑を申し上げて答弁を願いたいと存じます。  まず建設省。具体的に申し上げますが、ある一つ河川二つ木橋があって、そうして将来これは両者を合併した中間に永久橋をかけかえるということで、かけかえ工事を進行中である、このたびの災害によってそのうちの一つ木橋ないしは二つ木橋が崩壊した、これは激甚地指定を受けて災害復旧をやると、九割補助があるから、市町村ではやりたい、けれども、国家的に考えまして、これは永久橋が完成すれば将来不要になる橋である、したがって、この際この永久橋のかけかえ工事を進捗して短期間に完成し、将来不要となるべき木橋災害復旧はこれを見合わせるということが、国家財政の二重投資にならない方向ではあるまいかと存じますが、そういうことが法的に可能であり、また行政的にもそのことが可能であるかどうか、可能であるならばその方向にやってもらいたい。答弁を求めます。
  4. 畑谷正実

    畑谷説明員 お答え申し上げます。  いま先生のお話でございまするが、私ども取り扱っております災害復旧事業としては、現在、被災前にあったものは原形復旧するということでございまして、実際にこわれたものがあれば、それを原形復旧するということでございますが、ただいまのお話のとおりに、橋が数本ございまして、その橋を復旧するよりも改良復旧を早くやる、これはそのとおりでございまして、できるだけ改良事業を早くやるということは必要でございますが、ただ、そのために、災害復旧事業として採択される橋がありまして、これが今後他の改良事業をやることによって全然不要であるということで、地元の人も御要望がなければ、これは当然災害復旧事業としても取り扱いません。ただ、そうでなく、やはりその間におきましても、ある程度そういうような交通のためにそれを生かさなければならない、あるいは仮橋でもそれをつくっておかなければならぬ、こういうことでございますれば、その範囲において災害復旧事業として取り扱う、こういうふうに考えております。
  5. 稻葉修

    稻葉委員 私に割り当てられた時間が三十分ということでございますから、私はイエスノーか、保留ならば保留と、簡単にひとつ答弁をしてもらいたい。  次に住宅局長に伺いますが、災害で倒壊した家屋がたくさんありますが、その住居の早急な復旧につきまして住宅金融公庫の金を借りたい——先般本部長現地に参りました際には、住宅金融公庫は十分に手当てをするつもりであるということでありましたが、現地から非常な不満がたくさん私どものところへやってまいります。それはどういうことかと言うと、二十坪以上は借りられない、一口に言えばそういうことです。ことに農家のごときは、二十坪以上復旧できないなどということでは、住宅金融公庫はあってもなきがごときものだということで、そんなはずはないだろうというので、私は現地に、住宅金融公庫の前橋の支所ですか、ここから係官をやって説明をさした。ところが、説明された地域においては納得したけれども、説明されない地域においてはまだまだ不満があって、どんどんやってくるのです。どうも中央指導方針がPRが徹底していないように思うが、この点についてはどういうことを処置しているのか、住宅局長答弁を求めます。
  6. 前田光嘉

    前田説明員 住宅金融公庫災害復興住宅規模につきましては、現在省令で二十坪という限定がございますので、この際これを改めまして、従来の住宅住宅部分が二十坪をこえておる場合には、その原形に復するまでの大きさにつきましては、その省令を変えまして貸し付けるように、目下省令改正すべく財政当局と折衝いたしております。近く決定すると思います。
  7. 稻葉修

    稻葉委員 いま省令改正すると言いましたが、現行省令で二十坪以上は絶対にいけないのか。そうではないでしょう。そうでない方針住宅金融公庫では指導しているでしょう。その指導やり方は私は適切だと思うのですが、それが被災地に徹底していないということが非常に困るのです。その点についてもっと徹底する方法を講じますなら講じます、いや、徹底しているはずですならはずですということを聞きたい。ことに農家のごときは、住居だけ復旧したのでは農業をやれるわけはないのですよ。みなこわれちゃったのですから。その辺はどうなっておるか。これも住宅金融公庫に聞けば、現行省令でなるほどとうなずかれる点があるのです。それを現地に徹底する方法として、県の役人も怠慢だと思う、市町村当該係員も不勉強だと思う点がありますが、それらの点について住宅局長として責任があると思うから、それを聞きたい。
  8. 前田光嘉

    前田説明員 現在の省令範囲におきましても、住宅規模が二十坪でございますけれども、家そのもの居住部分以外の部分も含めて考えられますので、建物そのものは、二十坪の場合も四十坪までは建物としては貸し付け対象になります。この点につきましてあるいは現地担当者指導が徹底を欠いたうらみがございますので、その点につきましての考え方を明確にいたしますと同時に、さらにそれを罹災者の便宜をはかるために、省令を変えまして、従来とひとしい住宅を復興する場合にはそれにも貸し付けができるようにしたい、こう思っております。ただいま御指摘のように末端のほうにおきまして徹底していない点につきましては、さっそく連絡いたしまして、十分納得いけるように説明をさせるようにいたします。
  9. 稻葉修

    稻葉委員 被災地の国民にわかりやすく聞きますが、たとえば五十坪のうちがこわれた、これを五十坪もとどおりに建てたいという場合に、三十坪は自分で金をくめんして建てる、あとの二十坪分は住宅公庫から借りられるのか借りられないのか、そういう五十坪建てる場合は、二十坪という制限にひっかかって全然だめなんだというのか、どうですか。
  10. 前田光嘉

    前田説明員 住宅金融公庫災害復興住宅の現在の制度をもって申し上げますと、これは緊急融資でございますので、金額の限度を限りまして、同時に、家も緊急の分でございますので二十坪を限度にして運用しております。しかし、この場合の住宅と申しますのは居住部分でございますので、農家あるいは商家等におきまして居住部分範囲外のものがございますときには、それは住宅部分とひとしい面積分だけは家そのものとして認めております。でございますから、設例のように、もしそのお宅が二十坪の住宅部分を有しておる場合には、そのほかに二十坪分の非居住部分が含まれることは差しつかえございませんが、その分が二十坪をこえまして、二十坪の居住部分と二十坪をこえた三十坪の非居住部分でございますと、融資対象は四十坪分になるというのが現状でございます。これでは実態に合いませんので、いま申し上げましたように改正しようという趣旨でございます。
  11. 稻葉修

    稻葉委員 農家だとか商家だとかいった、住居でない部分があって、住居部分が二十坪という場合は、あなたの言ったとおりでしょうけれども、月給取りで五十坪の家を持っている、それがこわれた、それを全部建てかえるという場合に、五十坪のうちの三十坪は自己資金、二十坪は住宅金融公庫からの借り入れ金でやりたい、そういう場合は、住宅金融公庫は貸しませんというのか、貸しますというのか、どっちなんです。
  12. 前田光嘉

    前田説明員 今回の省令改正によりまして、従来の住宅原形に復する場合及びこれに準ずるような場合には、ある程度の坪数の家をつくることについて金を貸す、しかし、その資金は、木造の場合五十八万円を限度とする、こういう方向でございます。
  13. 稻葉修

    稻葉委員 わかりました。つまり、今度省令改正して、五十八万円までは借りられます、こういうことですね。
  14. 前田光嘉

    前田説明員 さようでございます。その趣旨省令を近く改正する段取りにいたしておりまして、いま大蔵省ときのうきょう打ち合わせをやっております。
  15. 稻葉修

    稻葉委員 それじゃ要望いたしますが、早急に改正して、今回の罹災者にすみやかに適用になるように要望いたします。  次に、建設省関係でもう一つ堤防復旧は早急を要する。現に山形県で日向川のはんらんがあって人が死んだということでございますが、こういう状態にならないように、各県下で今度の地震堤防にどの程度のひび割れがきているか、まず草をみな刈った、そうしたところが意外なところにひび割れがきておって、雨期を控えて非常に戦々恐々たる状態です。こういうところは早急に応急復旧をやらないと日向川みたいなことになるが、河川局長はその辺はどういうように指導しておられるか、答弁を求めます。
  16. 畑谷正実

    畑谷説明員 いまお話のとおりに、出水期を迎えまして堤防脆弱化というものを私ども非常に心配いたしまして、近々査定を始めますが、査定前にもそういう応急工事をやれという指令はすでに各県下に出しまして、各町村にも徹底するように、応急的な処置はどんどんやっていただき、査定事務事後処理としてやるというように指導もし、実際的に進めていきたいと思います。  もう一つ復旧の工法でございますが、目に見える亀裂の状態だけでなく、実際にその地質を調査してみれば堤防の中にいろんな弱体があるということもございますので、引き続きそういうような調査にも全力をあげまして完ぺきを期したい、こういうふうに思っております。
  17. 稻葉修

    稻葉委員 次に、全般に通じますが、ことに学校等公共施設地震でやられてこわれた、たまたまその学校木造建築であったために、今後これを鉄筋コンクリートにしようと思っておったのだからということで、改良復旧をやりたいという場合に、改良復旧原形復旧を問わず、その市町村激甚地指定を受けておったならば、ひとしく高率補助適用になるのかどうか。単に学校のみならず、公共施設は、他に病院とかたくさんあるでしょう、そういうものをこの際改良復旧する場合にも、当該市町村激甚地指定を受けておった場合には激甚災法適用があって、九割補助適用になるのかどうか。いや、それはだめなんだ、原形復旧でなければ高率補助適用はできません、改良復旧はぜいたくだから、そんなところまで九割補助はできませんというのかどうか。
  18. 中尾龍彦

    中尾説明員 ただいまの御質問でございますが、激甚災害指定がございますれば、改良復旧につきましても、一般災害復旧よりか高率の補助を受け得ることになります。
  19. 稻葉修

    稻葉委員 特に施設部長に伺いますが、学校原形復旧にしろ改良復旧にしろ、その復旧規模は、従来の生徒数の多かったピーク高等学校大学に移って、小学校、中学校ピークが去ってその生徒数が減ったから、その減った基準に従って復旧限度を認めるのか、あるいは、もと生徒の多かった時分にこれだけの坪数を持っておったから、それだけの坪数は、原形復旧にしろ改良復旧にしろ認めて高率補助適用するのかどうか。
  20. 中尾龍彦

    中尾説明員 原則といたしまして、罹災時の学級数基準といたしまして、その基準に基づいて災害復旧を認めることになっておりますが、なお事情によって、その事情を勘案いたしましてなおその上にプラスアルファとして考えることもございます。
  21. 稻葉修

    稻葉委員 大体学校その他公共施設単価の見積りは、非常に大蔵省がきびしくて安い。いま鉄筋で七万幾らというが、そんな学校が建つはずがない。これも非常に困るが、そういうふうになっておるから、いまはしょうがないので、せめてその単価の低いのを坪数で補うくらいのあたたかい処置をやってもらいたいものだと思っておるのです。これは査定というけれども、勝負の検査ではないのだから、相撲の検査役のようにあまり厳格にやられると、非常に実情に合わないことになろうと思います。野球のアンパイアじゃあるまいし、査定官というものは非常に厳格にやられるが、そういうことではなくて、あいまいな部分、ボーダーラインというものがあると思いますので、被災者に常に有利に解釈してやるという方針でやってもらいたいと思います。いまの学校等公共施設改良復旧に際しましても、ことに学校は、現在の生徒数できちんとやられて、しかも単価が七万幾らというようなやり方でやられたのでは、市町村財政は持つものではないということを申し添えておきます。  次に農林関係につきまして、六月三十日の中央防災会議で、何がゆえか、激甚災害法の第八条、開拓者の問題とか、第十条等の適用を見落としております。また、第七条の水産動植物養殖施設災害復旧事業に対する補助条項についても適用を除外されておりますが、それは何ゆえであるのか、一般に御答弁を願います。
  22. 中西一郎

    中西説明員 天災融資法激甚法第八条関係での激甚災指定でありますが、天災融資法自体の問題といたしまして、全体の農作物の被害を確定いたしませんと、天災融資法を発動することになるかどうかという点が明確になりません。若干の時日を要するわけですが、その被害の全貌が明らかになりました上で天災融資法を発動する、あるいは激甚災害法適用をするという段取りになるわけでありまして、せんだっての会議には間に合わなかったわけであります。それから開拓者等施設の問題につきましても、被害実態を目下調査いたしております。何ぶん農業関係被害は調べるに従って拡大していく傾向がございます。各地の農政局査定官を動員いたしまして、現在新潟山形査定官を集中しておりますが、それらの報告を待ちまして、いずれも善処してまいりたいと思います。なお、水産関係につきましてもお尋ねがございましたが、その点についても調査いたし、目下大蔵省と折衝しておる段階であります。そういうような事情で抜けておるわけであります。
  23. 稻葉修

    稻葉委員 たいへんまだるっこいような状態で、罹災者としてはいまの答弁不満だろうと思います。したがって、早急に査定を進めて、早急に防災会議においてこれらの漏れている条項適用になるようにこの際特に要望しておきます。  さらに、激甚災法の現在の条項不備があるという点を一つ指摘して改正を要望しますが、今回の地震によって湛水地帯もある。ナシの木畑のような丘が陥没して湛水しておる。ところが、水田が隆起して干ばつ地域になっておる、丘になっちゃっておる、こういう状態であります。土地改良区等の湛水排除事業等に対する補助条項は法第十条にございますけれども、隆起して干上がっちゃったということに対する補助制度は第十条にはありませんが、拡張解釈でそれについても補助ができますか。拡張解釈ができないとすれば法改正を要すると思うが、法改正意思がありますか。
  24. 中西一郎

    中西説明員 若干の研究を要するかと思いますが、現行法範囲内で措置いたしたいという方向で進めております。
  25. 稻葉修

    稻葉委員 それはたいへんによろしい。現行法解釈で、法改正を待たずに……(「法律で何でもきちんとしておかぬとやらないよ」と呼ぶ者あり)いや、法律改正には議会の同意を要しますので時間がかかる。いまの拡張解釈でいけるという政府の責任ある答弁があれば、そのほうがいいと思う。ぜひそういう方向で、現在の法律拡張解釈でもってぜひこの干ばつ地帯復旧については特段配慮を願いたい。  次に建設省に伺いますが、現在の法律では、下水道事業に関し、その復旧については法の対象にならない。第二章に下水道事業を加えて激甚災害特別財政援助法改正をやらなければ、新潟市のような場合には非常に困ると思うが、この点は、下水道建設省ですから、建設省所管局長答弁を求めます。
  26. 大塚全一

    大塚説明員 新潟地震下水が非常に被害を受けております。大体三十八キロの管路のうちの約二十キロが甚大な被害をこうむっておると思います。これに関しましては、目下各市から下水技術屋を動員いたしまして、調査復旧方法等についての検討をいたしております。その復旧につきましては、道路の災害復旧等の前に先行いたさざるを得ませんので、早急に査定を進めたいと思っておりますけれども、これの費用の負担に関しましては、約二十億をちょっと上回るような被害が予想されますので、国においても特段な財政的な援助をする必要がありますし、法制的な措置もする必要があると思いますので、関係方面と十分に折衝を続けていきたいと思っております。
  27. 稻葉修

    稻葉委員 被害額だとか、そういうことをあなたから答弁を求めようとは思わない。イエスノーかということです。要するに、下水道については激甚災法対象事業になっておらないが、これでは、地震のような地下埋蔵物破損する災害には、法ははなはだ不用意ではないか。激甚災害特別財政援助法はそういうことを予想しなかったとすれば、立法者としてわれわれにも欠陥があるが、政府としては、防災本部としては、下水道をこれらの対象事業に加えて解釈をするか、解釈ができないとすれば、早急に法改正用意をするか、その用意があるかということを聞いておる。イエスならイエスノーならノーと——わからなければ、わからぬでよろしい。  次に、地下埋蔵物のうちの上水道とか、それからし尿処理施設、これらは公衆衛生に甚大な関係がありますが、この際、激甚災法の中に、これらの事業に対する補助の道が、各条項を見渡してもありませんが、特にこの地震地域における公衆衛生保持に関しては特段配慮をする必要があると思うのです。したがって、激甚地指定を受けたような地域のこれらの公衆衛生施設災害復旧については、特に激甚災法の中に入れるか、あるいは一つ単独法を起こし、たとえば、地震地域における公衆衛生保持に関する特別措置法とでも称すべき法律を設けて、高率補助の道を講ずる必要があると思うのです。過去の通常の実績につきましては補助率二分の一でありますが、これを三分の二にするとか、四分の三にするとか、そういうことができないものか。伊勢湾台風の場合の例もあることである。伊勢湾台風の場合は、地震と違って地下埋蔵物破損ということはそう甚大ではありませんでした。今度はこれが破損激甚なることは御承知のとおりです。いままでの災害で予想されなかった法の不備をこういう特別法措置する用意をしなければならぬと思うが、厚生省にはその意思があるか、用意があるか、イエスノーか、お聞きしたい。
  28. 浦田純一

    浦田説明員 御説明申し上げます。  御指摘のように、ただいまのところ、上水道清掃施設下水道終末処理施設等環境衛生施設は、激甚災害に関する法律対象となる事業とはなっていないわけでございます。これにつきましては、今後所要の法改正をすることを検討いたしたいと思っております。なお、単独法の問題につきましても、あわせて検討いたしたいと思っております。
  29. 稻葉修

    稻葉委員 質問の時間が切れますから、もう一点だけ総括的にお聞きしておきたい。  現在の激甚災に対する国の財政援助法は、市町村単位に激甚地指定をすることになっておりますが、私は、その政令を改めまして、激甚地指定は県単位ですることができるようにすべきだと思うのです。たとえば新潟県なら新潟県、山形県なら山形県、全県を一区として、これは全部激甚地である。そうしてこの県内に起こった地震災害復旧については、その事業主体が県であろうと、学校等事業主体が市町村であろうとを問わず、激甚地災害として、激甚災に対する国の財政特別援助法の適用をし、つまり高率補助をやるということができるようにすべきだと思うのです。その村から見れば政令基準に合わないかもしれない、その市町村単位では政令基準に合わないかもしれないけれども、そこにも地震災害が起こっている、これらを全部合わせると、県全体としては政令基準に十分に該当する激甚地であるということになれば、県全体を激甚地指定して、その地域内の地震による災害復旧については、すべて激甚災法による高率補助適用を与えることが妥当であるように思うのです。そうでありませんと、その県内の被災害地の公共事業は、県財政が災害地の復旧に全部食われて、進行が非常に困難になるおそれがあるという事態が起こると思うのです。これらは総合的に判断をして、その政令の改正を行ない、激甚地指定は県単位にこれを行なうということにすべきだと思うが、この考えは間違っておるなら間違っておる、たいへんいいならいい、イエスノーか承って、私の質問を終わります。
  30. 松永勇

    ○松永説明員 お答えいたします。  御承知のように、激甚災指定というものは、公共団体の財政援助としてつくられているわけでございます。災害復旧事業というものは、そこにそれぞれの主体がございます。県が主体で行なう事業市町村が主体として行なう事業、そういうものの主体として行なう事業の財政援助に関する法律でございます。したがいまして、現在の法令では、その主体として行なう県もしくは地方公共団体を援助する方式になっておりまして、これが一定の限度以上に達する場合に国として特別の財政援助をしようという仕組みになっております。先生のお話の県一本でするということについては、大まかに申せばそういう考え方もあろうかと思いますが、現段階で各省と研究しました結果、いまのような制度がいいという考え方に立っております。
  31. 稻葉修

    稻葉委員 どうもありがとうございました。
  32. 中山榮一

    中山委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 中山榮一

    中山委員長 速記を始めて。     —————————————
  34. 中山榮一

    中山委員長 次に、本日は、地震に関する学識経験者といたしまして、お手元に配付いたしましたとおり、参考人として、東京大学地震研究所所長河角広君、説明員として、国立防災科学技術センター所長和達清夫君、建設省建築研究所第三部長久田俊彦君、以上三名の方々に特に御出席を願っております。  議事の進行上、まずお三方に、一人約十五分程度、おのおのの専門の立場より御意見並びに説明を承り、その後委員の方々より質問を行ないたいと思います。  本日は、新潟地震に関しまして、河角参考人からは応用地震学の立場から御意見を承りたいと存じますので、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。河角参考人。
  35. 河角広

    河角参考人 私は、このたびの地震に際し、山形県、新潟県その他の各県の大きな災害に対して、心から御同情の念を禁じ得ません。翌日、科学技術庁の御好意によりまして、きょう説明員として呼ばれましたお二方と私と三人で現地までヘリコプターで行きまして、新潟市内の視察をいたしました。そして帰ってきたのでございますが、私自身はその後東京におりまして、今度の地震に対する学術的な調査を、文部省の補助金によりまして、地震、土木、建築の三部門にわたって調査隊をつくりまして、その責任者として調査の組織のほうのことに追われておりまして、その後現地に視察に行ってみるひまがございません。したがって、私のここで申し上げますことは、現地の実情に沿ったことというのは、新聞、ラジオ、テレビその他によって知ったことと、あと一部分調査隊員から聞いております報告によるだけでございまして、詳しいことは、調査隊員の全員からの報告が集まったところでありませんと、結論的なことは申し上げられませんが、まず第一に、この地震はマグニチュード七・七という、関東地震にかなり近いような大きな規模だと報じられておりますが、幸い、この地震が海の中に起こりましたために、被害は比較的軽く、倒壊家屋の数は、その規模から予想されるものの数十分の一、死者の数に至りましては千分の一にも近いような、非常にわずかな被害でとどまったということは、非常に不幸中の幸いであったと思います。あるいはこの七・七というマグニチュードが、私自身の感じから言いますと、少し大き過ぎたとは思いますが、とにかく海の中で起こったということで被害がこのように軽く済んだというのは確かなことと思います。  それで、私の見ました新潟市内の様子でございますが、私は案内されて古町通りを通りましたときに、古い木造家屋でもほとんど被害がない、そう構造的に見て強い建物でもないと思われるものが、ほとんど何の被害もないように見受けられたということから、この地震新潟市内の強さがそれほど強いものでないと思っておったのでございますが、それが川岸町付近の県営アパートの倒壊あるいは鉄道線路の波状の沈下とか、あるいはまた、昭和大橋の破壊、信濃川の護岸の沈下あるいは決壊等を見まして、このたびの被害が非常に地盤による災害であるということをまたつくづく感じたわけでございます。私は、アラスカ地震にも日米合同調査の責任者として向こうへ参りまして現地の様子を見てまいりましたが、アンカレッジ市内の被害も、地盤の悪いところが非常に大きくて、いいところではほとんどたいしたことがなかったというようなこと等から思い比べまして、非常にこのたびの地震で地盤というものの重要さを、かねがね思っていたことではございますけれども、あらためて痛感いたしました。  それから、そのように地震そのものは海に起こりましたために、遠いところに起こりましたために、新潟市内では、われわれの関係しております委員会で設置しました強震計によりました結果から見ましても、強震程度で——それは川岸町の倒れたアパートのすぐわきに一番まっすぐ建っている建物についていたものでございますけれども、それでやってもほとんど強震程度の範囲の強さしがなかったということがわかったわけでありまして、私の感じが確かめられたのでございます。  そういうふうに、地震動による被害は、地盤の悪いところでもあの程度に、倒壊家屋が新潟県内で千戸ぐらいといったようなわずかな数にとどまったというのは非常にしあわせだったのですが、それにもかかわらず、あの昭和石油の火災というものが、このたびの災害を、その製油所の被害だけでなく、付近の住家を焼き払って三百戸以上の焼失家屋を出したというような非常な影響があったということは、非常に残念でありました。私はアラスカの地震で各地を見てまいりましたときに、強震地域の町々でやはりこういうふうな石油タンク、ガソリンタンクその他がほとんど至るところで火事を起こしておりまして、アメリカのこういう施設と日本の施設がほとんど同じであるということから、日本の大地震に対してこれからはタンクの火災というものが非常に大きくなりはしないかということを心配して、帰ってきてからラジオやテレビでその話もいたしましたけれども、そのことがほんとうに実を結ばないうちにこのたびのような災害になったことは、非常に残念だと思います。これを機会にいたしましてぜひこの方面の施設の改善をしていただきたいと思います。  それから、私の見ましたのは新潟県の、しかも新潟市だけでございましたけれども、その後の調査隊の話を総合いたしますと、山形県のほうにも相当な被害があります。これは被害統計から皆さんすでに御存じのとおりでございまして、新潟市というような大都市のある新潟県の被害と、そういう都市のあまりない山形県の被害が、ほとんど二対一よりもっと山形県のほうが多かったのではないかと思いますが、そういう点で、山形県のほうに、激甚災害法ですか、そういうものが行なわれておりませんけれども、山形県の被害が大きいということも見のがしてはならないことだと考えます。震源が山形県に非常に近かったということからも、当然なことだと思います。  あと、私どもの率直なことを申し上げさせていただきますと、日本では明治初年から地震の研究というのは始まりまして、ことに震災予防ということに対しては、長い年月にわたりましてわれわれ研究してまいったことでございまして、その成果が取り入れられた構造物は、今度の地震に対してもほとんど無被害にとどまっておりまして、学問をほんとうに取り入れてなかったものだけが大きな被害を受けていたように見受けられます。そういう点で、学問の尊重ということは、われわれの研究結果をほんとうに実地に取り入れていただいておったら、あのような被害は大部分が食いとめられたのではないかという感を深くいたしました。また私は、アンカレッジで見てまいりましたことから考えましても、高い構造物であっても、ほんとうの耐震的な用意をしておきさえすれば、大正十二年の関東地震の東京程度のものがあっても、ほとんど無被害か、あるいは少なくとも中の人に災害を及ぼすというようなこともなく、またあとで修理して使えるというふうになることを、確信を持って言うことができると思いますので、そういう点で、東京都に将来関東地震が繰り返された場合においても、建物被害という点では安心できると思いますが、しかし火事の点では、私ども消防庁と一緒に検討してまいりましたが、結果から見まして決して安心ができない。東京都で火事が起こったら、江東地区あるいは三河島、尾久といったような辺はほとんど救うことができないだろうという結論になっておりますので、その点ぜひ消防力の増強あるいはその他の対策で安心できるようにいまから準備してほしいということ、それから新潟市で今度の地震において得られた教訓では、水道管の破裂によりまして水に非常に困っておりますが、先ほど言いましたように、もし火事の対策が十分できて江東地区が火災からは免れたといたしましても、今度は水道管の破壊ということは新潟と同じように予期しなければなりませんから、水の供給という点で、あの江東地区の全部の住民が居残った場合のことを考えますと、非常に問題があることだろうと思います。どうしてあれだけ多数の人たちに水を供給するかということをいまから十分考えておかなければならないと思います。あの大地震について、火を消すという大事なことを消防力だけにたよるということではいけないのでありまして、都民の各自が火を消すということを地震の直後にいたしますれば、小学校の子供でも、倒れた家の下の火を一人で雪を運んで消したという話もございますので、必ず東京都が火事で焼けてしまうというわけではないと思いますから、その辺のところも十分に一般の市民に徹底させて、災害を未然に防止するような方法を講じなくてはいけないということを常々痛感しております。  もう一つ、この場を借りて私どもふだん考えておりますことを、お許しを願えればお願いしたいと思います。それは、私ども地震研究をやっておる者たちが常々感じておりまして、地震待ちというようなことを言っておりまして、最近十数年間大きな地震が全くございませんで——全くと言っては語弊があるかもしれませんが、ほとんどございませんで、われわれのやりたいと思う地震の研究に対して、予算がなかなか得られないということで、そういうひがんだような、地震待ちというようなことばがわれわれの仲間で言われていたことがございますが、こういう地震の研究がほんとうに生かせれば、日本の国のこの災害のかなりの部分が救えるということから考えますと、そういう方面の研究費も十分増していただきたいと思うわけでございます。私どもは、われわれの研究費とほとんど二けたも違うアメリカの学者といままで競争しまして、歯ぎしりをし続けてまいりました。実際われわれの研究費では、一人で、二、三千万円というような計算機の使用料を払えば研究ができるようなことを、日本人が考えてやっているわけでございますけれども、それだけの金が得られないために、わざわざアメリカまで出かけて行きまして、私の同僚なども昨年行って、そういう向こうの機械を借りて研究して帰りましたし、今年もまた、そういう金が得られないために、その助教授をまた向こうへやりたいという要求が出ているといったような状況でございまして、百分の一の研究費でアメリカの地震学者と太刀打ちしているわれわれから考えますと、今度の地震のこれを契機に、やはりそういう方面についても皆さまの厚い御支援がいただけたらと願うわけでございます。  何か御質問がありましたらまた伺います。私、一言申し上げて、これで終わります。(拍手)
  36. 中山榮一

    中山委員長 次に、新潟地震に対する総括的な説明和達説明員より聴取いたします。国立防災科学技術センター所長和達清夫君。
  37. 和達清夫

    和達説明員 私は、ただいま御説明のあった河角地震研究所長と建築研究所の久田部長とともに、大地震の翌日新潟市に参りまして、約三時間ばかり被害地を見せていただいたのと、ヘリコプターの上から調査いたしましたことを中心にいたしまして、それまでの経験をまぜまして御説明申し上げたいと思います。なお、ただいま河角所長が詳しく御説明になりましたので、重複する部分はできるだけ避けたいと思います。  とにかく、この地震は近来まれな大地震でございます。特にそれが日本海地区に起こったということにおいて注目されるべきであります。そしてこれが、日本にとりましてはこの十年間ぐらいそれほど大きな被害を与える大地震のなかったあとに発生いたしましたことであります。その間には、わが国が異常な発展を遂げて、近代的の施設がたくさんにできてまいったのであります。この関係を、新潟市をはじめ震災を受けられた方には深甚なるお見舞いの気持ちを申し上げたいのでありますが、実際においてはよき実験を示してくれたわけでありまして、これで私どもは、新しい都会に今度大地震が起こったらという問題のある程度の資料を与えられ、また教訓も与えられたのであります。  新潟の大地震につきましてどの方もおっしゃっていますように、この地震はほとんどが地盤との関係において起こっておるのであります。もちろん、ほかにも問題はありますけれども、大きな被害がほとんど新潟市の軟弱地盤、またこれに人間的に埋め立てなどで手を加えた、そこから起こっておるのであります。この地震の震動は、振幅が非常に大きく、強くゆれましたので、この軟弱地盤は下から地下水を吹き出し、それとともにどろを吹き出し、地割れを起こし、そのために土質が移動したり沈下したり、または隆起したり、そこに非常な乱れを生じましたので、その上にありますところの構築物はもちろん、地下埋設物におきましても非常に大きな被害を受けるに至ったのであります。これが今回の地震の焦点とも申すべきところでありまして、関係研究者においてもこういうことはもちろん考えておったのでありますが、現実においてこの大きな被害に接し、やはりまだ研究調査の行き届かない面も考えられますので、科学技術庁におきましては、防災センターを世話役として、こういうような総合研究を徹底的に進めたいというような考えを持っております。また現実においても、これに対する対策はさっそく立てねばならないと存じます。  次に火事のことでありますが、これは前に河角所長のおっしゃったとおり、従来の日本の大地震において常に伴う大火災というものがなくて済んだということは、第一に新潟の市民に敬意を表するわけでありますが、また実際にも、その地震の起こった時刻とか地震のゆれ方とか、問題はあると思います。ともかくも、いままで一番おそれられておった火事が、ほとんどその被害なくして、ただ近代産業の石油タンクから起こった、この点は十分に考えなければならない点であると思います。  その次は、新潟の地盤の低いという問題からであります。御承知のように、新潟市付近は少し前から地盤沈下に悩んでおります。地盤沈下は、その主原因が地下から地下水を多量に揚水することから生じているということを私は信じておりますが、そういうようなことをいたしまして地盤が沈下するというところは、もうすでに軟弱地盤なのであります。しかも、地盤が沈下して、その地表面は海水面に近い、あるいはそれ以下という低い地盤のところであります。これが大地震のために堤防の決壊とか、あるいは水道管の破裂とかで水が出てきます。また一方、この大地震は津波を伴っておりまして、その津波は、新潟付近では振幅一メートル程度で、さほど大きなものではありませんでしたが、しかしそれらのことが集まりましてここに浸水、しかも長い期間の浸水ということが起こり、たいへん市民は困難な状態になったのであります。この低い地盤におけるこういうときの災害に対しましては、わが国の都市におきましても非常に例があるのでございますから、今後の地震対策については十分注意をすべきものと思います。  次は情報の問題であります。関東大地震のときに、情報というものが十分でないために非常な混乱を起こしたことは御承知のとおりでありますが、その後ラジオ、テレビ等の発達により、大きな災害のときにはそれが非常に有効な役目を果たしてまいりましたが、この新潟の大地震におきましても、ラジオの放送が生きておりまして、適切な情報を出しておったということが、災害防止においては非常に役立ったことでありました。今後も、この情報というものはいかなる災害に対しても絶対に確保されるようなことが望まれるのでございます。  その他、交通とか通信とか、あるいは電気とか水道とかいうような問題につきましては、もう皆さん御存じのとおりでございますから、あえてここで申し上げるまでもないと思いますが、近代の災害と申しますのは、昔の災害と違いまして、近代の施設を通して起こる災害であります。また一方、近代の場合は、いろいろなものが互いに重なり合って、そして一つが麻痺しましても町あるいはその地域全体が非常な困難な状態におちいるのでございます。これは単に都会だけでなく、農村におきましても山村におきましても、通信交通等いろいろ問題があるのでございます。近代の災害というものをいつも新しい感覚で研究調査を進め、そしてその対策を常に時勢におくれないようにすることが大切であると思います。この点におきまして、新潟地震をよき教訓としまして、科学的にも十分調査をいたし、その対策を立てる資料を提供いたしたいと私どもは考えております。  どうもありがとうございました。(拍手)
  38. 中山榮一

    中山委員長 最後に、耐震構造学の立場から久田説明員より説明を聴取いたします。建築研究所第三部長久田俊彦君。
  39. 久田俊彦

    ○久田説明員 私、ただいま両先生からお話がありましたように、翌日現地に参りまして視察をし、さらに昨日まで約四日間現地を見てまいりました。私の専門は建築の耐震構造でありますので、建築耐震という立場から、私の感じておりますことを申し上げたいと思います。  先ほど和達所長からお話がありましたように、今回の建物の震害は全く地変によるものがほとんど全部と考えていいと思います。地変と申しますのは、地割れ、陥没、隆起でありまして、今回特に注目されますのは、軟弱な砂層の流動化というような問題であると思います。砂が水を含んでおりますと、その状態で震動を受けますと砂が液みたいになりまして、支持力を次第に失う、極端な場合にはほとんどゼロになって、重さをささえることができないという状態になるという現象によりまして、新潟市内の多数の重量構造物、鉄筋コンクリート構造物が沈下あるいは傾斜したというふうに考えます。なお、新潟の地盤を見ますと、表面から約十メートルから十五メートルの間までがやわらかい砂層であります。その下に約二、三メートルのややかたい砂層がありまして、十七、八メートル以下は締まった砂層になっております。このやわらかい上部の砂層、特に埋め立ていたしましたところ、並びにもと信濃川の川筋に当たりましたところに大きな被害が今回見られております。この種の現象は過去の震害におきまして見られたことがありました。たとえば福井においては福井地震のときにも見られたのでありますが、これによって大きな建物被害は受けなかったのであります。私どもは耐震構造の設計をいたします場合に、何と申しましても過去の大地震というものの経験を生かして設計いたします。たとえば大正十二年の関東大震災、あるいは昭和二十三年の福井地震というような地震の経験をもとにいたしまして設計をいたすのでありますが、過去におきましてこのような軟弱砂層の流動化による震害というものがあまりございませんでしたので、これに対する設計という点で不十分であったということだと思います。各国とも過去の自分の国の震害に基づいて耐震設計をしているというのが実情でありまして、この点、世界的に震害を見ましても、新潟の震害は非常に珍しい、初めての大規模なものだと思います。新潟市内には、これもはっきり調査しないとわかりませんが、約千五百ほどの鉄筋コンクリートの建物があると思いますが、このうち、これもいま調査中でございますからはっきりわかりませんけれども、二百あるいは三百という鉄筋コンクリートの建物が傾斜あるいは沈下をしているのではないかと思います。これは、この建物の下の地盤がどうなっているか、あるいはどういうくいが打ってあったか、くいがなかったか、木のくいであったか鉄筋コンクリートのくいが打ってあったか、あるいは上部の構造がどういう構造であったかということと互いに密接に関連して起こっている問題でありまして、この点につきまして、ただいま学界をあげて、総力をあげて急遽調査を実施しております。この点、基盤、基礎構造、上部構造、この三つにつきまして震害の実態からその関係をはっきりさせまして、いま非常に問題であります傾斜、沈下した建物復旧対策工法、さらに今後新潟市内に建てまする建物の耐震構造はどうしたらいいか、基礎はどうしたらいいか、くいはどこまで打つべきかというようなことなど、なるべく早くその指針を得たいと考えて、ただいま学界をあげて鋭意努力しております。  最後に、今回の地震に際しまして、川岸町のアパートで六年前につけました強震計が大地震を記録することができました。その御説明は先ほどありましたから省略いたしますが、大地震のときに建物がどう動くかということは、耐震構造をきめる場合に非常に重要な問題でありまして、その観測網を日本じゅうに張りめぐらしまして、大地震実態、特に地盤、基礎構造等の関係においてつかまえるということは大事だと思います。さらにまた、今回の震害の原因になりました軟弱な地盤、特に砂層の震動を受けたときの流動化の問題、これも過去においては研究が若干ありますけれども、この問題をさらに急遽実験的あるいは理論的に十分究明いたしまして、これらの調査結果並びに研究結果を総合いたしまして、このような軟弱砂層の上に立つ都市の震害を今後絶滅したいと研究者は考えております。(拍手)
  40. 中山榮一

    中山委員長 これにて意見並びに説明の聴取は終わりました。
  41. 中山榮一

    中山委員長 引き続き質疑に入りますが、参考人の御都合等もありますので、先に参考人に対する質疑をお願いすることにいたします。石田宥全君。
  42. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいま参考人並びに説明員の各位からいろいろと御説を拝聴したのでありますが、それに関連いたしまして若干の御質問を申し上げたいと思います。  最初に和達説明員に伺いたいのでありますが、この点はどちらでもいいと思いますけれども、今回の新潟地震につきましては、かって昭和二十四年の三月に、中村左衛門太郎という理学博士の方が、新潟地震が起こるのではないかということを発表いたしました。当時新潟地方にはかなり大きなショックを与え、同時にまた、県、市当局では地震対策についての具体的な訓練などをもいたしたことがあるのであります。しかし、その後、中村さんの説は何か荒唐無稽なものであるかのように取り扱われた記憶を持っておるのであります。私はいまの参考人並びに説明員にこの点伺いたいことは、今回の新潟地震にあたって、中村さんはこういう談話を発表しておるのです。「新潟地震は当然起こるべきものが起こったといえよう。新潟地方は日本海の内側地震帯と陸の信濃川流域地震帯の交差点付近に位置しているので地震学の立ち場から統計的に当然起こり得る可能性があった。私が以前福井地震のあとに新潟地方で地震の起こることを予測したことがあったが、当時は観測器材の不備で実際には予測は失敗だった。しかし同地方で起こることの可能性は予測していたので、今になってみると、この予測は七五%当たっていたことになる。」このあとよく聞いていただきたいのですが、「過去のデータからみると多くの場合、地震が起きる前には地盤の隆起現象があり、あとには沈下している。故人の今村明恒東大教授が昭和三年十月二十七日長岡市に近い関原で起こった強震のさいたまたま観測したデータでも同様の現象がみられる。こんどの場合同様な前兆が現地の気象台や大学で観測されなかったのだろうか。また新潟港にあると思われる検潮儀にも地震の前後になんらかの変化があったと思われる。地震の研究は実際に起こった大地震がデータになるわけで、それだけにどんな小さな地震の場合でもそれらのデータを総合分析して予知の材料に集約するような研究体制が確立されなければならないと考える。」こう言っておるわけです。そこで、その前後にいまここに述べたような事柄がはたしてなかったのかどうか、報告があったのかなかったのか、あったとしたならば、それに対してどういう対策をおとりになったのか。これは御両名から伺ったほうがいいのではないかと思います。
  43. 河角広

    河角参考人 お答えいたします。  中村左衛門太郎先生の新潟地震の予言というのは、私どもも十分存じております。そして当時それがどういうふうに片づけられたかと申しますと、先生がお使いになった地球物理学的な観測のデータのほうには、この大地震の予知に役立つといいますか、前兆であると思われるようなものが実はなかったということが学術的には証明されたために、世間ではそのままうやむやに消えたような形になりましたけれども、しかし、われわれとしてその新潟地震が起こり得るという可能性について決して疑いを持っておりませんで、東大の地震研究所でも、なるべく近いところという意味で、しかし地盤のいいところでなければ観測ができないので、間瀬というところに、新潟から数十キロ離れておりますけれども、そこに地殻変動観測所という施設を持っておりまして、観測してまいりました。しかし、今度の地震とは百キロ近く離れておりましたせいか、不幸にしてその前兆と思われるようなものはつかまえることができませんでしたけれども、私ども、そういう前兆をつかまえてそうして予知ができるだろうということについては、ほとんど確信に近いものを持っておりまして、数年来、地震予知計画研究グループというものをつくりまして、日本全国の学者を集めて、その予知をどういうふうに実際に可能にするかというので、まずその準備の観測網をつくるという計画を練りまして、ほとんどその計画が練り上がりまして、昨年の五月から、文部省もこれを取り上げてくれまして、測地学審議会の中に地震予知部会というものをつくって、実際に予算措置を講じて、その観測網をつくるという予算の方面の研究をしている際でございます。おそらくその予知部会でも来年度の予算にはそれを取り入れられるようにしようということで、現在、非常にささやかな計画でございますけれども、とにかく予算を出そうということでほとんどその案もできている状態でございます。一言申し上げました。
  44. 和達清夫

    和達説明員 河角所長が申し上げたとおりでありますが、大体地震予知は、現在非常に精密な方向に向かっております。昔行なわれておりましたように、地震帯というものを想定し、地震活動から見まして、大体あの地方にこれから五年、十年あるいは二十年の間に起こるということでありましたら、どの地震学者でも、大体新潟はあぶないところであっただろうと言うと思います。しかし、現在ではそういうことではなく、確実なる前兆をつかむことでございまして、その点に関しましては、いま地震研究所は真剣になって地震予知の計画を練っておりまして、政府におかれてもこれを推進されるやに聞いておりますので、そういうふうにもう進んでおりまして、まことに中村先生のおっしゃるとおりなんでありますが、これは十分にいま計画を練り、進みつつあるということを申し上げたいと思います。
  45. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 どなたでもいいんですけれども、検潮儀というものが新潟にあったのではないかといわれておるのですが、これはなかったのですか、どうですか。
  46. 河角広

    河角参考人 御返事申し上げます。  検潮儀は確かに新潟にもございました。そして観測があるわけでございますけれども、一番の問題は、先ほど和達防災センター所長からお話がありましたとおり、新潟市の周辺では、天然ガスの採取のために、非常に人為的な原因のために地盤変動の大きいところでございまして、その変動の大きいところで地震の前兆となるような非常に微小な変化を分離して取り出すということは、いまの学問の状況ではできません。観測データも足りません。そういうことでそれが予知に使えなかったというのはやむを得なかったことと私は思います。  それから、ついでにもう一つこの席を借りて申し上げておきたいことは、地震の予知ということは、先ほど中村先生のおっしゃったような意味での警告というものでしたら、それは十分に意義があるわけでございますけれども、実際にそれを世間に発表するとなりますと、いつどこにどの程度の大きさの地震が起こるかということをはっきり予知できなくては、かえって混乱を招き、非常な災いを起こすもとになるわけでございます。  一例を申し上げますと、大正十二年に起こりました関東地震を、明治三十九年に今村明恒先生が一応予知したといわれております。しかし、それはほんとうの意味の予知というようなことでなくて、大地震が起こったら、大火災が起こり、うっかりすると東京市は全部焼け野原になって、十万にも及ぶ死傷者が出るんじゃないかという警告を出して、その対策を政府に要望したものの、ただ発表する機関が「太陽」というような通俗雑誌であったということで、非常に世間の誤解を招いたわけでございます。ところが、それから数年たちまして、大正三年御大典の最中に関東地方に頻発地震が起こりまして、今村先生の予言があったあとでございますので、それが大地震の前兆ではないかということが市民全般から心配されまして、今村先生に聞きに行きましたところ、御本人は、当時の学問のレベルからいいますと、それが前兆でないということを言い切ることは何もできない状態でありましたので、打ち消されないというようなことで、世間はますます大地震がすぐ来はしないかというような心配をいたしまして、ついに株の値段まで下がったということを聞いております。それで、御大典に参列のために京都に行っておられました日本の最高レベルの先生方、おそらく大森先生、田中館先生、長岡先生といった方々だと思いますが、その方々の御相談で、これはどういう犠牲を払ってもこの際を取り静めなくちゃならないということで、大森先生は御大典半ばにして東京に引き揚げてまいりまして、そうして今村先生の学説は何の根拠もない浮説であるというようなことを発表しまして世間を静めた例がございます。  そういう意味で、予知というものは、何月何日ぐらいまではっきりきまらないことには、一年というようなことで予言されたら、その地方の人心が不安になり、産業活動までとまるというようなことにもなりかねない。あるいはそれが当たらないということになりますると、その地震の瞬間には、予知されなかったと同じように人は家の中にいるということで、災害は防げないようなことになるおそれがありますので、われわれ学者としては、いまのようなことにならないように、ほんとうの予知ができるようにしなければならないということで、非常に慎重を期してやっているところでございます。一言申し上げます。
  47. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういう事情がありますから、社会的な不安を与えたりしてはならないということはよくわかるのでありますけれども、新潟地震の場合は、昭和三十六年に長岡で地震が起こっているのですね、そういう事情もありまするし、それからいろいろな学者先生たちが新潟においでになって、またおいでにならなくても、中村先生も、さっき私が読み上げたような談話の中で指摘されておりますように、新潟は大体内側地震帯と信濃川流域地震帯との分岐点だ、こういうことを指摘されておるわけですね。この問題は、あとで私が問題にしようと考えておる問題と関連がありますので、ほとんどの学者がこの点を指摘いたしておりますが、この説は大体間違いのないものでしょうか、どうでしょうか。
  48. 河角広

    河角参考人 お答え申し上げます。  いまの信濃川地震帯というものは、大森先生が初めて言い出されたものでございまして、信濃川の上流、長野県の長野市あるいは飯山とか、その付近から信濃川に沿いまして県境あたりまで、それからまた、三条とか、あるいは関原とかいうようなところに、過去に大地震がかなりその流路に沿ってあるわけでありますけれども、しかし、その信濃川地震帯といわれているものの中に、あるいは十日町の地震とか小千谷の地震とかいうものも含めて考えておりまして、必ずしも信濃川というような一本の線に沿って地震が起こっているとは言えない状態でございます。それから、三条までは過去の記録がありますけれども、それより北になりますと全然記録がない。新潟では土蔵の壁が幾らか痛んだというような記録が一つぐらい残っておるだけでございまして、過去に記録がない。それから、このたびの地震がその信濃川の延長に起こってくれたらほんとうに信濃川地震帯が確立できていいということで、私どもその震源の位置には非常に興味を持っておるわけでありますけれども、このたびの地震は、むしろ、いま内側地震帯と言われました、そのほうの、北から言いますと、秋田のほうから続いて象潟とか、あるいはその南の粟島の北の辺とかいうようなところに昔から地震が起こりまして、百三十何年か前には、象潟付近から、今度の地震のちょうど北に当たる鶴岡とか、あの辺にかなりの被害を及ぼした地震がありましたが、いままでのわれわれの調査結果や気象庁の観測結果を見ますと、それ以後は南のほうに活動が移ってきたということであって、信濃川地震帯というものがほんとうにあるかどうかとか、あるいは活動するかどうかというような問題は、まだ将来の問題として残るのではないかと、私個人は考えております。
  49. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、その点はわかりましたが、先ほどもちょっとお触れになりました流砂の問題クイックサンドの問題、この問題と地盤沈下との関係で、これはどうも関連があるのではないかと、私どもはしろうと目で考えておるわけでありますが、これはどうでしょうか。
  50. 久田俊彦

    ○久田説明員 いま御質問ありましたように、関係があると思います。クイックサンドによりまして沈下が起こったと考えます。なお、この点については、いまボーリングをやっておりますので、その結果によってはっきりわかると思いますが、たとえば例の川岸町のアパートのところにおきましては、上から二メートルまでは砂はややかたくなっておりますが、二メートルから四メートルまでは完全に液状化して、ずぶずぶ入ってしまう。ボーリングいたしました結果はそういう結果が出ておりまして、その意味であのような沈下、傾斜が起こったと考えます。
  51. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、実は今度の新潟地震災害の状況を見ますると、さっき和達さんからはっきり申し述べられましたから、私申し上げる必要もないようなんでありますけれども、軟弱地盤であることは避けられない、それから埋め立てをしたということも、これは一つの問題点ではあるわけです。ところが、和達さんが御指摘になりましたように、軟弱地盤に人工的に手を加えたということが問題である。要するに、地盤が沈下現象を起こしたということは、人工的にここから水溶性ガスの採掘をやって大量の水のくみ上げをやったということが地盤沈下の直接の最大の原因であることは、これは何人も否定することのできないところであろうと私は思うのですが、その関係についてもう少し和達さんからはっきり御答弁を願いたいのです。
  52. 和達清夫

    和達説明員 地盤沈下ということばを間違えないように使いたいのでありますが、いまはっきりした定義がございませんから、おっしゃる地盤沈下は、地下六百メートルくらいまでの深さの全体の地層にわたる問題、これが新潟地区において従来問題になっておりました天然ガスの採取その他地下水に関連している地盤沈下で、今回の大地震は、もちろんそういう地盤全体の問題ではありますけれども、クイックサンドとか、そういう流動化した土質の問題は、もっとずっと上のほうの地表の問題であります。したがって、いままで地震以前にいわれておりました地盤沈下の問題が、今回の大地震にどういう関係があるかという問題は、それ自身はそれほどの関係はない。しかし、そういうような地盤沈下を起こすような地盤においてまたそういうことをしていたということがどういう互いの関係になっておるかは、私は十分調べなければいけないとは思いますが、しかし、本質的には、そのことは、非常に深いところの水を取った問題と、それから浅いところをゆすぶって非常に隆起、陥没が起こった問題と、二つの現象であると思っております。
  53. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この点実は非常に重要なんでありまして、私どもは、昭和二十八、九、三十年ごろから、ガスの採掘による大量の水のくみ上げによって著しい地盤沈下が起こるのだということを指摘してまいりました。一年に四十五センチも沈下をいたしました。これは政府の記録にもあります。私どもはむしろ旗を立てて、ガスの採掘を規制しろ、やめさせろという運動をいたしたのであります。ところが、政府はなかなかわれわれの要求を認めようといたしません。調査不十分だというような名のもとに、じんぜん日を送っておったのであります。その間に、今日ごらんになるような、はなはだしいところでは二メートル近くも沈下をいたしております。そこで、いま科学技術庁の資源局長が見えておられますが、それはやはりガスの採取によって地盤の沈下をもたらしたのだということを最終的には認められたのですから、これは了といたしますけれども、しかし、それによって今度のあの水びたしになった数千戸の住民の被害というものは大きいと思うのです。また湊町付近の火災のごときも、もし沈下がなくていろいろな消防施設があの周辺にまで行くことができれば防ぎ得たのではないかと私は考える。これはむずかしい問題だから私は即断いたしませんけれども、少なくとも水びたしになったために化学消防の施設も近づくことができなかったことは間違いない。ただ空中からいろいろな薬剤の散布は可能であったけれども、近づくことができなかったのです。そういうふうに考えてくると、これはやはり地盤沈下を招来せしめた責任というものを明らかにしなければならないと私は思うのです。大体皆さんのいまの御説明でこの点は明らかになりました。また科学技術庁でも非常におくればせながらもそういう結論をお出しになったのでありますが、しかし私どもがここで問題にしなければならないことは、いやしくも住民の地上権というものは、地上にも地下にも及んでおるわけです。ところが、鉱業権というものがあって、そうして鉱業権は国が持っておって、鉱区を定め施業案というものを出させて、通産省がそれを認めて採掘をさせておる。地下資源というものは国のものとして国が処理しておる。しかし、地下資源を採掘したために沈下現象を起こして、いまごらんになるような深刻な被害をもたらしたという責任を私どもは明らかにしなければならないと思うのです。これはそれがために私は皆さんからいろいろと伺ったわけでありますが、なお通産省鉱山局あるいは通産局長等には、午後の再開を待って別の立場で問題にしたいと考えます。  そこで、もう一、二伺いたいのであります。久田さんに伺いますが、先ほどお話がありましたように、非常にたくさんのビルが傾斜または倒壊をいたしておりますね。これに対する措置、たとえば五度か七度程度ならば何らかの方法でこれをまっすぐに起こすことができるかどうか。聞くところによると、日本では八台ほどそういう傾斜したものをまっすぐに立てる機械があるということもいわれておりますが、はたしてそれは可能なのかどうか。また、ほかの地盤では可能であっても、新潟のような軟弱地盤ではたしてその機械が役立つのかどうかという点をひとつ伺っておきたいと思う。
  54. 久田俊彦

    ○久田説明員 建築研究所でこの四、五日調査いたしました結果は、大体度数で申しますと、一番ひどい清水商店というのは十九度です。それが一番ひどいのでありまして、二度ないし三度というのが、いまのところ一番多いと思います。なおこれは詳細に調査結果を整理しないとわかりませんが、大体そういう結果が出ております。これをどうまっすぐにするかという問題は、なかなかむずかしい問題でありまして、この問題につきましては、学界、業界の施工のほうのエキスパートもまじえましてただいま研究しておりますが、何しろ、現在の地盤がどうなって、流動化がどう進んでいるか、現在の下のほうの地盤の実態を明らかにして、それによって適切な工法を考えるという段階にあると思います。たとえば、駅前に二軒高いビルがありますが、それは、ただいままでの調査では、少なくとも十八メートルくらいの一本の鉄筋コンクリートのくいを、かたい締まった下の砂層まで打ち込んでおるものは被害がなかったような調査結果も出ておりますが、そういうかたいところに支持させるというのが一番確実な方法で、これはアンダーピンニングといっておりますが、そういう方法が一番確実かと思います。起こす機械のことの御質問がありましたが、私は寡聞にして、その機械が有効かどうかは存じませんので、お答えできませんけれども、そういう機械があれば有効に使えると思いますし、その他、たとえばジャッキなんかを使ってやれると思います。ケース・バイ・ケースで、その下の地盤がどうなっているかということをボーリング等で確かめて、具体的な工法をきめていくことになると思います。
  55. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 久田さんの御専門のことでもう一つ向いたいのでありますが、昭和大橋がむざんな姿になったわけですね。ところが、建設大臣は、あの川はやがて廃川になるので、何か落ちるのがあたりまえだったようなことを言っておるのです。設計者などがおそらくそういうような考えでやったものではないだろうと思うのですけれども、これは私は河野建設大臣をいつか呼んでひとつ取り消させなければならぬと思っておるのですが、はなはだ不謹慎のきわみだと思うのです。閣議で発言をしている。オリンピックに今日こういうような状態で道路や橋ができておるのだが、もしまた落ちたときに、あれはオリンピック用の橋だったというようなことになったら、これはたいへんな話だ。一体、建築工法の上で、そんないいかげんな気持ちで設計が行なわれたり建設が行なわれたりするようなことはあり得ざることだと私は信じておる。また国民はそれを信じて安心しておる。あなたは専門の立場でどうお考えになりますか。
  56. 久田俊彦

    ○久田説明員 私先ほど申し上げましたように、専門は建築の耐震でございまして、橋につきましては、土木でございますので、私それについて直接お答えする資格もございませんが、後段の御質問の、設計者がそういう態度と申しますか、それはもちろん災害が起こらないというたてまえで、確信を持って設計しているということは私は確かだと思います。決していいかげんな態度で設計しているのではないことを私は確信します。
  57. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いろいろ質問申し上げたいことはありますけれども、時間でもありますし、参考人に対する質疑はこの程度にいたしたいと思います。  なお、委員長に申し上げますが、新潟地震というような激甚被害を受けて、今日数日前からの決定で本委員会が開かれたのでありますが、与党のほうは、ごらんのとおりの状況で、熱意のほどが疑われると思うのです。そういう点、なるほど総裁選挙というものもありますから、私どもはわからないわけではないけれども、いやしくも政府委員あるいは参考人多数を呼んで、そうして真剣な討議を行なおうとするときにあたって、ごらんのような出席の状況ははなはだ遺憾であります。これからまだ参考人に対する質疑もございましょうが、私は、午後、休憩後の再開にあたっては、委員長しかるべくひとつ対策をおとり願って、あまり見苦しくないような委員会にしていただきますように、一言申し上げて、参考人その他に対する私の質問を終わりたいと思います。
  58. 中山榮一

    中山委員長 かしこまりました。  松井誠君。
  59. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私も簡単に二、三お伺いをいたしたいと思いますが、最初に、いま石田委員からお尋ねのありました地盤沈下との関係についてであります。  地盤沈下と申しますのは、和達先生が先ほど言われたように、地震前の地下水くみ上げによる広範囲の地盤沈下、それと地震との関係についてでありますけれども、その点について、和達先生は、地盤沈下をしておったために浸水がひどかったという意味で、地震被害と地盤沈下とは関係があるということをおっしゃいましたけれども、それ以外、地震そのもの、あるいは地震被害と地盤沈下については、先ほどのおことばでは、それほどの関係はないというおことばをお使いになったと思うのです。つまり、全然無関係ではないけれども、それほどの関係はないということばをお使いになった。これは一体どういう意味かということをお尋ねいたしたいのです。つまり元来が軟弱地盤である、その軟弱地盤が地盤沈下を起こしておる、地盤沈下を起こしたために軟弱地盤がさらに軟弱になったというような関係はあったのだろうか、ないのだろうか、こういう点について和達先生と河角先生とお二人に御意見をお伺いいたしたいと思うのです。
  60. 和達清夫

    和達説明員 まず、地震が起こるということから申し上げますが、地震はもっと地下深いところに原因がありまして、もっと大規模なことから生ずるのであります。特に新潟地震におきましては、新潟からはるか——はるかと申しましても数十キロでありますが、そういう北方の地域が震源とされておる。したがって、地下水関係する地盤沈下と、地震現象、つまり大きな地震が起こったということとは、まず無関係と申していいと思います。  その次に、地震のために受けた害と地盤沈下の関係でございますが、先ほど申し上げましたように、地盤沈下ですでに土地が下がっておったということは、浸水その他非常にいろいろな被害を受けております。地盤沈下を起こすような地盤がそういう地震の大きな害を受けるということについても、十分考えなくちゃいけないと思っています。しかし、地下水を非常にたくさんくみ上げたということが地盤にどういう変化を与え、それがもし地下水を多量にくみ上げなければどうであったかということは、非常にむずかしい問題だと思います。今後研究すべきだと思いますが、今回の地震につきましては、それほど根本的な違いはなかったのじゃないかというのが私の考えであります。しかし、この点は今後の研究を待たないと、私、しっかり申し上げることはできません。
  61. 河角広

    河角参考人 御質問にお答えいたします。  私も和達さんと全く同意見でございまして、今度の地震は、新潟から六十キロかあるいはもう少し遠く離れた粟島の南でございまして、深さは四十キロといわれております。気象庁の発表が四十キロとなっております。私自身それを確かめることはできませんけれども、おそらく、ほとんど大体のところに間違いはないと確信しますから、地震の起こることについて、ガスの採取が影響があったとは全く思われないと思います。  それからあと、災害といいますか、地震度をガスの採取によって強くしたかどうかという問題があると思いますが、これもほとんど否定的だと思います。ガスの採取によって粘土層は収縮いたしますけれども、その収縮することは、かえって地盤をかたくするほうに働くものであって、弱くするものではないと思います。あと、問題は、浅いところの砂の層が水の中につかりますと非常に流動しやすくなるわけでございますけれども、そういう点で、地盤沈下のために砂がしめって動きやすくなったというようなことがないとは断言できませんけれども、かなり普通の建物は基礎を深くいたしまして、おそらく締まっている砂の層の辺まで基礎をするというようなことが普通ではないかと思いますので、そういう意味でも、今度のといいますか、ガス採取による地盤沈下が震度を強くしたというようなことは、それほどないのではないかというふうに考えておるということを申し上げたいと思います。ただ問題は、ガスの採取のために地盤が沈下して、もともと沈下していたところで今度また大地震によって私はある程度また沈下したと思うのでございますけれども、そのために浸水がひどくなったというようなことは、ガス採取がなかったらあれほど浸水区域は広くならなかったというような意味では、関係があったかと思います。それだけ……。
  62. 松井誠

    ○松井(誠)委員 地盤が沈下したことが具体的に浸水その他で被害を大きくしたことは、これはもうだれの目にもはっきりしておるわけですが、私がやはりしろうと並みに疑問に思いますのは、先ほどの河角先生のお話でありましたか、流動性の軟弱砂層ですか、これが流動化した、こういう現象は福井地震でも多少はあったけれども、しかしこれほど大規模なものはいままでなかったというようにおっしゃったと私は思うのですけれども、いままでかって経験しなかったようなこういう大規模な流動化というものは、いままでの地盤沈下というものとは全く無関係だと考えるべきものなんでしょうか。
  63. 河角広

    河角参考人 いまのそのお話は、私が申し上げたことではないのでございますけれども、私も今度アンカレッジの被害を見まして、あそこは氷河の末端地域でございまして、砂もあり、また粘土層も非常に多くあったわけでございますから、そういうところは、日本ではあまり例がございませんでしたけれども、世界じゅう拾いますと、相当例がいままでにもあったかと思いますが、ことに続けてアンカレッジ、アラスカの地震と今度の日本の地震でこういった現象が特に注目といいますか、学者の注意を引いているということは事実でございます。
  64. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それが地盤沈下とは関係がないということですか。
  65. 河角広

    河角参考人 ええ、関係ないと思います。
  66. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それでは、先ほど久田さんでございましたか、軟弱砂層の流動化というのがひどくて、それで建物被害が大きかった、こういう現象は学問的にはわかっておったわけなんですか。学問的にはわかっておったけれども、いままで経験がなかったので対策がなかったという意味なんでしょうか、あるいは学問的にも、これほどひどい現象としてあらわれるというような形ではわかってなかったというように考えるべきものなんでしょうか、どうでしょうか。
  67. 久田俊彦

    ○久田説明員 学問的に研究はいたしましたけれども、十分ではありませんで、たとえば乾燥した砂とか、あまり十分な研究はなかったという状態であります。それから、こういうような現象になるというようなことは、私ども予測しておりませんでした。
  68. 松井誠

    ○松井(誠)委員 先ほどの河角先生のお話ですと、学問の成果というものを十分に取り入れた建築物はだいじょうぶだ、そういう意味で学問の貴重さというものをあらためて感じたというようなお話がございましたけれども、そういう観点から、つまり学問の成果というものを取り入れなかったいろいろな施設被害を受けた、その被害の中でこの点をちょっとお尋ねいたしたいと思うのですが、今度問題になりました例の石油タンクの発火、これは地震に対するいろいろな措置というものを考慮しておったやに伝えられておりますけれども、発火したあとの延焼の問題は、またあとで消防の関係にお尋ねをいたしますが、発火そのものを、やはりいまの学問の成果というものを取り入れておったら防ぎ得たであろうかどうか、こういう点はどうですか。
  69. 河角広

    河角参考人 ただいまの御質問は、私自身専門外のことでございまして、ほんとうにどういう対策をしたら発火が防げるかということもまだ私自身わかりませんが、一応方々から聞いておりますところでは、そういう自然発火を起こすかどうか、震動によって、いままでの説明ですと、中の浮いているふたが動いて、そしてそこで静電気が起きたというような説明が一部に行なわれておりますけれども、そういう現象がほんとうにあり得るかどうかというようなことは、学者間にもわかっていないように、私は少ない見聞ですけれども、聞いております。そういう意味では、あの問題についてはまだ学問的にわかっていない面もあって、もちろん、先ほど私が申し上げましたとおり、学問がすべて全部解明し尽くしたと申し上げたわけではございませんで、未知の問題も、これからやらなければならぬ問題等、数ありますけれども、いまのような点は私にはお答えできませんが、しかし私の聞いておりますところでは、昭和石油の施設と、あそこにあります電力会社の同じような施設と比べますと、一方はほとんど何の問題もないといいますか、非常に被害が少なくて済んでいるのに、他方は非常に大きな配管類の亀裂だとかなんとかいうことが起こり、それにはほんとうのわれわれのいまわかっているような知識が取り入れてなかったということで、当然起こるべきことが起こったというふうに言っている専門家の話を私は聞いております。
  70. 松井誠

    ○松井(誠)委員 もう一つ、ごらんになったかと思いますけれども、地盤沈下のために防潮堤をつくった、その防潮堤が、大阪や東京や尼崎あたりの地盤沈下対策事業とは比べものにならないぐらい非常にちゃちなものだ、これは学問の成果というものを全く無視したようなものであったと思うのですけれども、その点について、ひとつ和達先生と河角先生に御意見をお伺いいたしたいと思います。
  71. 河角広

    河角参考人 私も現地をただ飛行機からほんの短い時間見ただけでございますが、信濃川の両岸の護岸は非常に簡単な構造であって、岸が沈下をしたりあるいは倒れたりしまして浸水を多くしたと思いますが、あの信濃川の左岸の一番長い突堤はたいした被害がないように見受けられましたということで、十分に工事をやるならば、あの程度の地震では被害なくつくることができると思いますが、ただ、いままでの日本に起こった大地震の経験からいたしますと、私どもの目で感じてきたことは、海岸構造物というか、あるいは川の岸の構造物も同じだと思いますが、そういうものが耐震的には一番工事費がかかるとか、むずかしいとかいうようなことがあるためか、一番被害を大きく受けておる、一番弱体であるということを痛感してきております。今度もその例だったと思います。
  72. 松井誠

    ○松井(誠)委員 最後に、和達先生にちょっとお伺いをいたしたいと思いますけれども、今度の地震で、たとえば、新潟市の周辺の農村に行きますと、ほんの少々の局地的な被害があるわけです。ひどいところは五、六戸のうちが全壊にひとしい被害を受けており、すぐその隣はほとんど被害を受けていないというような場所もあります。あるいは何百町歩くらいの農地が被害を受けておるところもありますけれども、それも被害を受けておるところと受けてないところとは格段の違いがある。これを聞いてみますと、昔の川底であったとか、あるいは池を埋め立てたとか、しかもそれも明治初年に埋め立てたというようなことですから、もうかれこれ百年、そうしますと、これからうちを建てるときに、ここの土地は昔からこういう状態にあったのであろうかということを一々調べなければ、うちが建たないということになりはしないか、これでは非常に不便だし、不安だと思いますけれども、これはひとつ国のほうで、そういう少なくとも地震に関する被害が起こり得るようなところについて、軟弱地盤で被害が大きいか小さいかという国土全体の調査というようなものについておやりになっていただくよりほかには、個人の力では何ともできないと思うのですけれども、その辺のところはどういうようにお考えになっておるかをお聞きいたしたいと思います。
  73. 河角広

    河角参考人 この問題につきましては、数年前に、科学技術庁の資源調査会の中に防災部会というのがございまして、その中に地震委員会という小委員会がございまして、そこで私ども、地盤の種別と地震災害とが非常に関係が密接なので、地盤調査をする必要がある、ことにこれから発達させようとする産業都市とか、あるいは大都市とかいうようなものについては、地盤をあらかじめ調査しておく必要がある、また、そこでは建築基準法によりまして建物の強度の指定もしなければならないというような必要もありまして、地盤調査がぜひ必要であるということで、都市地盤調査計画というようなことについて政府に勧告を出したことがございます。それが取り入れられまして、建設省の予算で、最近まで続いていると思いますが、毎年一つの都市くらいの調査がわずかな金で行なわれております。私どもは、数年間で全国の都市を全部調査しようという勧告を出したわけでございますけれども、それがいまだに実行に移されておりませんが、細々ながら現在やっていることではありますから、それをもう少し予算措置がしていただければ大々的にやり、また御要望のような調査をすることも可能だと思います。
  74. 松井誠

    ○松井(誠)委員 いまの調子ですと、全体の調査を終わるのに何十年くらいかかるのですか。
  75. 河角広

    河角参考人 いまの私どもの立てた計画は、人口たしか五万か十万くらいの都市までのことを考えておりまして、たしか十年くらいで全国を四つくらいのブロックに分けて、それぞれの地方建設局みたいなところで鋭意予算をつけてやるというような計画を立てたと思います。いまはっきり年数を覚えておりませんが、そう長く何十年というようなものではなかったと思います。
  76. 和達清夫

    和達説明員 地盤調査につきましては、河角所長が言われたように、計画を持って進んでおりますが、お尋ねのようなこまかいことになりますと、それはこういう地盤調査でも十分に手が届くというわけにはまいりません。したがって、ある範囲を代表するような地盤調査はそういうふうに進めますが、個々の地盤の悪いところにつきましては、その地盤に適合した耐震的にも十分なものを持った建築をするというようにしていただくしかしかたがないと思います。
  77. 中山榮一

  78. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 新潟地震が起きて直後に、新潟、酒田、仙台は震度五という強い地震だったというニュースを聞きますやいなや私は仙台へ電話をかけたところが、すぐに通じた。子供が出てきまして、いまたいへんな地震だったが、池の水があふれて庭へ飛び出したり、あるいは時計がとまったり、電灯が瞬間的に消えたが、またついた、こういうことで、たいしたことはなかったということを知ったのでございますが、同じ震度五の新潟や酒田で非常な災害を見たということで、私はつくづく強く感じました。実は私、前に新潟に一年くらい暮らしたことがあり、よく海水浴に行ったことがあったのでありますが、そこが決壊してひどいことになっているというので、運輸委員会調査に参ったことがあります。現場へ行ってみたところが、私が水泳ぎしたところがずっとなくなっているばかりでなくて、気象台がなくなっちゃっているのです。非常に驚いた。そういうわけで、あの地域のことを多少承知いたしておりますが、これは非常に考えなければならぬのではないか。いま松井委員から地盤調査の話がありましたが、私はこの一点だけお尋ねいたしたいのであります。  日本には国土調査法という法律がある。そこで、いまそれを私見たのですが、それを見ると、「この法律は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るため、国土の実態を科学的且つ総合的に調査することを目的とする。」こう書いてありまして、国土の保全という文字があり、科学的調査をやる、こう書いてありますが、ただ、この法律の内容、それから政令、付属法令を調べてみますと、この地盤の問題、あるいは地震に対する安全性という問題について本国土調査法はほとんど触れていないのではないか、これはたいへんなことだ、こういうことに気がついたわけでございます。国土調査法は、国土の開発あるいは経済の発展、社会生活の安全、そういうことを目途としておるのでありましょうが、国土の保全という点も、治山治水、そういう方面に重点が置かれて水調査などもありますけれども、あるいは農業上の必要等から地表、地質の調査ということがあるようでありますが、地盤ないしはもっと深いところの地質、あるいは地震帯というようなものについては、調査範囲に入っていないのではないか。したがって、地震研究所や、あるいは科学技術庁の和達清夫さんの国立防災科学技術センターですか、こういうようなところにおいて、国土調査のほうには直接御関係を持たれていないのではないかと思う。また、建築専門家の久田さんがおられますけれども、都市計画法、これにも都市の保安というようなことがありますが、これは警察的な意味じゃないか。いわゆる災害に対する保安も入っているのだろうとは思いますが、非常に軽視されている。こういうことについて、科学者であられる諸先生はどうお考えになるか、そして、いわゆる地盤調査をやって、大体こういうところは地震の予知ということは非常に困難である、地震帯というものがあるが、それがいつ起こるかわからぬ、こういうようなことがありまして、なかなか科学的にはっきりした結論が出せないと思うのでありますが、もし地震があれば、よそは一の被害のときに、この地帯は十の被害を出す、こういうようなことはわりあいに正確な結論を出し得るのじゃないか。今度新潟市内で、旧市街はたいしたことはなくて、埋め立て地などが非常にひどい、こういうことを承りました。いま日本は国土が狭いものですから、海岸に膨大な埋め立て地を造成しつつある。これらのところは将来大工場地帯になるだろうと思う。たんぼや畑ではなかろうと思う。そうすると、これは日本の産業経済、また人間の生活の安全に非常な大きな影響を及ぼす、こういうことになるわけでありまして、こういう問題について、地盤調査をして大体色分けをして、その安全度というものを表示できるかいなか、もしできるとすれば、国土調査法においては、単に地表の土壌の性質や、水や、その他の面積や、そういう簡単なものでなくて、その地表に住んでおる人間のその土台の地盤がどういうことかということが国土調査の根本にならなければならぬ。この国土調査法によりまして、国民の生命、身体、財産、また国土の安全のために何ぼ金をかけてもしょうがないことじゃないかと思うのですが、ここらに対する御見解を承りたいと思います。
  79. 河角広

    河角参考人 私、法律のことはわかりませんので、いまの国土調査法というようなもので御希望のような調査を全面的にやることができるかどうかわかりませんが、私ども学者の立場として、そういうことの必要性はかねて痛感しまして、先ほど御答弁いたしましたように、政府に対して勧告もいたしましたし、また私どもの研究所でも地盤研究会というものをつくりまして、もう十数年そのグループとしての活動を続けてまいっております。その結果で、地震に対して、どういう地盤はどんなふうに地震被害と結びつくだろうかというようなことを調べまして、そういうわれわれの別な常時の観測によって地震時の被害を予想するというような地図をつくることも着々と検討を続けてきておりまして、そういったことが取り入れられて先ほどの都市地盤調査というようなことの勧告となり、実行に移されておるというような実情でございますし、研究的な問題は私どもいたしますけれども、それを実際に国土全般に広げるというような問題は、研究者のできることでございませんので、国の力でやっていただきたいと思います。
  80. 久田俊彦

    ○久田説明員 ただいまの御質問でございますけれども、建設省の計画局のほうからあるいはお答え願うのがほんとうかと思いますが、計画局の予算で、毎年一地区ずつ、ある地域の地盤図というものをつくるということをやっておりまして、すでに十地区くらいできておるかと思います。りっぱな本も出ております。たとえば東京でありますとか、四日市とかはできております。ことしちょうど新潟をやるということになっていたわけなんです。そういうところにこの地震が起こりました。それは土地の微動をはかるというようなこともありますし、地震のときにどれだけの力が建物にかかるかということもある程度推定できますので、そういう地震に関する都市地盤図というようなものをつくることができます。現に東京ではできておりまして、たとえば江東の地区はある色分けができておりまして、この地区は、木造は鉄筋の一倍半の力をかけて設計すべし、構造物と地盤との組み合わせによって地震力を変えるというようなことが、建設大臣の告示で、昭和二十六年でございますか、はっきり覚えておりませんが、そのころ一応出ております。地盤と構造物の関係によって地震力を変えるという告示が出ておりまして、これを使えばいいことでありますが、今回の地震に見られたような軟弱地盤の地変——亀裂、陥没、流動化による被害という問題は、新たにそれをさらにその場合につけ加えなければいけない新しい問題だと考えます。
  81. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 防災センターはどうですか。
  82. 和達清夫

    和達説明員 地盤調査は非常に重要なことでありますし、計画もありまして進んでおりますけれども、さらに詳しく、そうしてその完成のスピードアップをするために、防災センターが何らかお役に立てば何かの役割りを果たしたいと存じております。
  83. 中山榮一

    中山委員長 林百郎君。
  84. 林百郎

    ○林委員 河角さんにちょっとお尋ねしたいのですけれども、地震の予知の問題ですが、それは、どこで地震が起こるという意味の予報はできないにしても、地域的にどこにどのくらいの地震が起こることがどのくらいの確率で、つまり何十年に一回ぐらいの割合で起こり得る、こういうような推測は、いまの地震学の範囲で一体できないのかできるのか。
  85. 河角広

    河角参考人 ただいまの御質問でございますが、地震というものは、非常に長い期間にわたって地殻の歴史の中で起こる現象でございます。われわれ人間の歴史というのはたかだか千年そこそこでございますから、その間の事実だけで、ほんとうの予知とかいうようなことを過去の材料だけでやるということはできないので、結局、歴史は繰り返すというようなことをわれわれは信じて、そうしてそれを使って予知をするというようなことをやっております。したがって、その結論は、いま確率というおことばをお使いになりましたが、何十年に一回とかいうようなことについては、ある程度の確かさで、どのくらいの範囲まではその確率がどのくらいだというようなことを言うことはできる状態でございます。しかし、その予知をほんとうにするということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり社会的な影響が非常に大きいので、われわれ学者はほんとうに確信ができるときまでは一般に発表するというようなことはしないというのが、われわれの常識でございます。ただ、それに対する対策を政府当局に望むとかいうようなことは、予知ということばを使わずに、別な方法でやるというようなことは考えております。
  86. 林百郎

    ○林委員 地震帯というのですか、地震の起きる地帯ですね、裏日本の日本海岸地帯では、どの地帯がそういうことが考えられるか。その地帯の地震の震度ですね、何かマグニチュードという基準があるのですが、マグニチュードどのくらいの地震が裏日本の日本海の地帯にはあり得るし、太平洋ではマグニチュードどのくらいのがいままでも起きておるし、今後も考えられる、そういうような大体の確率は考えられないんですか。
  87. 河角広

    河角参考人 いまのようなことは、過去の地震の記録を調べまして、それがどのくらいのマグニチュードに当たるかということは、私が十数年来やっている仕事でございまして、日本の歴史にあって資料の整っているもののマグニチュードは、ほとんど全部きめてございます。  それで、先ほどの日本海側の問題でございますが、日本海側は、いままでの記録では、七・四か七・五というくらいの地震が大部分でございまして、福井地震の七・四とか、あるいは丹後地震の、たしか七・五くらいだったと思いますが、その程度のところまでが最大で、今度の地震が七・七といわれているのは、いままでからいいますと例がないのでございますが、私が感じのようなもので申しますと、やはり七・七というほどではなく、七・四か、あるいはその程度ではないかというふうな感じがしております。これはもっと時をかけてほんとうに調べなくてはならないことで、いま早急に結論を出すというわけにいきませんが、そういう程度の地震が今度はどこに起こるかというような問題、これは結局、歴史上、大地震は千年から八百年くらいで繰り返される、同じところに同じ程度の大きさの地震が繰り返される周期は千年ないし八百年だということを今村先生はおっしゃっておりますが、同じ場所にといいますとそのくらいになりますが、近接地帯にというようなことになりますと、たいていのところで百年に一回くらいは起こっておりますから、そういうふうなことも地震の予知にはもちろん使っておりますが、そういうのと、過去に起こった場所から考えまして、新潟の辺が、先ほどから申し上げておりますとおり、穴があいているブランク地帯でございまして、どの学者もそこのところに起こりはしないかというようなことを考えていた場所ではあったわけでございます。しかし、まだほんとうにそのブランクが埋まったという状態にはなっていないと思います。  それから太平洋側につきましても、いままでの記録を調べて、また、どこにどんな大きな地震が起こったかというようなことを調べておりますが、太平洋に沿っては非常に大きな地震が起こりまして、マグニチュードが八・四とか、あるいは八・一とか八・二とかいう大きなものが起こっております。内陸で起こった地震では、明治二十四年の濃尾地震が八・一かなんかくらいで、わりあいに大きい。それに匹敵するものが、昭和十九年ですかの東南海地震、二十一年の南海地震といったようなものが海のほうに起こっておりますが、それは八・一くらいのマグニチュードでございます。そんなふうに、過去の歴史でわかるだけのものは、大体どの辺に起こったというようなことを、いろいろ今村先生その他の先生方の調べを使いまして、また資料を十分調べまして、そういう図面はつくって出しておりますから、それによりまして、統計的には、日本の国内でどこの場所だったらどの程度の地震度が考えられるかというような予想図のようなものを、確率的なものでございますけれども、そういったものをつくって発表してございます。
  88. 林百郎

    ○林委員 時間がありませんので端的にお聞きしたいのですが、私は新潟の問題がよその県の問題として考えられないのです。ことに京浜地帯から名古屋、この地帯のことも、政治の責任としては考えておかなければならないと思います。これは時間がないので率直にお聞きしますが、私たちが学者の皆さんの意見をお聞きした範囲では、裏日本の日本海沿岸の従来の地震は大体一府県程度に被害を及ぼして、新潟、秋田と他府県まで及んだというのは今度が珍しいくらいです。しかし、太平洋、表日本のほうは、むしろ原則として数県に及んでいる地震が起きている。そうしますと、河角さんのおっしゃる同じ地点に同じ震度の地震が起きるのは何百年単位だといいますけれども、しかし表日本のそういう過去の実績をわれわれが見ますと、少なくとも名古屋から東京、千葉、この周辺のどこかに地震が起きた場合に、われわれはやはり東京、京浜地帯のことも考えなければならないと思うわけなんですが、あなたの学者の良心からいって、過去の実績と確率等からいって、この京浜地帯には近い将来には地震が起きないということが保証できるのか、あるいはそういうことは、過去の実績からいって、それから裏日本と表日本の特色からいって、それから従来起きた地震のマグニチュードからいって、やはり政治としてはそのことを常に考慮しておかなければならないとお考えになられるのか、ちょっとその点をお聞きしておきたいと思います。
  89. 河角広

    河角参考人 太平洋岸には非常に大きな地震が起こっておりまして、宝永四年には、九州から伊豆半島まで、山陰地方までも含め、長野県あたりでも被害があるというような、そういう大規模地震が起こっております。それからそれより少しけたは小さくなりますけれども、安政元年の十一月四日、五日の地震といったようなものは、東南海と南海地方と二つに起こって、被害範囲は宝永の地震と全く同じくらいの範囲に起こっているということで、広い地域を見ますと大体百年くらいの間隔で起こっておりますから、そういう意味で、日本の関東地方から近畿、大阪の辺までの間でやはりまあ百年に一回くらいの間隔で大地震が起こるということは、当然期待しなくてはならないと思います。幸いといいますか、戦争中もうすでに昭和十九年と二十一年に東南海、南海地方は済みましたけれども、東京の近くのほうは、ことしは関東地震からすでに四十一年ですかになりますから、そういう意味では決して関東地方をその注意の対象からはずしていいなんということは言えないと思います。私は、関東地方、特に鎌倉辺で災害を及ぼした地震の周期性というものを統計的に調べてみますと、六十九年というのが非常にはっきり——全く六十九年と一年違っても確率は非常に小さくなるというものが過去の実績からは出ております。もちろん、これは統計でございますので、六十九年でなくて、もっと百年間隔を置いて起こる場合も考えられますけれども、とにかくその六十九年というような周期は、いままでもかなり何回か繰り返されていることに違いありませんから、そういう点で、関東地方はこれから地震の対策をほんとうに考えておかなければいけない時期に近づいているのじゃないかというふうに私は考えております。
  90. 林百郎

    ○林委員 もう二問だけで済ましたいと思います。  一つは、そういう立場から、河角さんに、純粋に学者の立場から、政治的なモメントは除いて、ことに首都の地震に対する対策として政府としてはどういうことを考慮しなければならないのかということを率直に大綱だけ言っていただきたいと思います。実は私新潟に行って調査しましたら、新潟地震研究所自体が被害の最も激しいところに建物が建てられて、もう地震研究所自体が地震被害を受けていて、安心して研究ができないのだという話を聞いたわけですけれども、予算の関係等でそういう危険なところへもやむを得ず研究所が建てられているのじゃないかと思いますが、こういうことも、第一、研究する場所が地震から保障されていないようなところで学者の皆さんが良心的な研究ができるはずはないと思います。いろいろなことがあると思いますが、そういうことも含めて、この際、私たちも政治家の責任がありますので、率直に、日本全体ということでなくて、首都近辺の地震対策としてはどういうことを政治的に考慮しなければならないかということをひとつ最後に聞いて、あと久田さんに一問だけお聞きします。
  91. 河角広

    河角参考人 お答えいたします。  いま、われわれとしては御同情に満ちたおことばをいただきまして、私ども非常にありがたいと思いますが、ただ、新潟には地震研究所はございませんで、おそらく気象台のことではないかと存じます。しかし、おっしゃるとおり、被害を受けるような建物の中にいてほんとうの地震の研究はできないということは、私どもの地震研究所ができるときに、初代の所長である末廣先生がそのことをおっしゃいまして、私どもの、いまも使っておりますが、昭和三年にでき上がった建物は、どんな大地震があっても絶対にだいじょうぶだというような、二階に機関車を走らせてもだいじょうぶだといわれるくらいのものをつくっていただいておりますが、最近それが手狭になりまして、新しく建てました研究所の建物は、まだ三分の一だけしかでき上がっておりませんけれども、それは、予算の関係からそういうふうにまいりませんで、おそらく地震のときにはある程度の被害があるかと思いますけれども、まあ身が危険だというほどのこともないと確信しておりますので、研究のほうに差しつかえがあるとは思いません。  それは別問題といたしまして、御質問の、関東地方といいますか、特に首都の中の地震の対策という問題、これはほんとうに私どもの心配しておりますことでございまして、私も大正十二年の大地震をちょうど一高の生徒として体験いたしましたので、それで首都の地震災害を防ぎたいということが目的でこんな研究をやり始めたわけでございます。日夜その問題について心配しておりますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、関東地震がもう一度繰り返されたら、火事が起こり、その火事を市民がほんとうに協力して消してくれなかったら——まあ火元の半分だけが消すことができなくて残ったらということでございますが、残ったら、江東地区とか三河島、尾久、それから千住方面のあの地域一帯はまた火の海となってしまいまして、ほとんど五時間もたちましたらもう中に生きた人はとどまっていられないのではないかということを、これは消防庁が非常に克明に建物の配置図を一つ一つ地図の上に書きまして、ここの距離は何メートルあるから、火が移るのに何分かかるというようなことも考え、風の強さとか消防力とかも考えてやった実際の計算でございますが、そういうふうな結論がちゃんと出ておりますから、これをどういうふうにして未然に防ぐかということがまず第一の問題でございます。  それから、建物につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、私はアンカレッジに行って地震調査してみまして、日本の建物より弱いアンカレッジの建物——十四階のアパートでございますけれども、それでいて、鉄骨を全然使わない鉄筋コンクリートだけの建物で、とにかく中に住んでいた人にはけがもなく、そして修理すればまた使えるだろうという見通しであるというようなことを考えますと、東京の建物、ことに最近できております建物では、施工さえ完全なら、まずまず中に住んでいて命の心配をする必要はないのじゃないかというふうに考えます。そうなりますと、あとは火を消すことが第一番で、火は消すこともできますから、そうなりますと災害がかなり防げるんじゃないかという、その点に希望を持っておりますけれども、しかし、そこにはほんとうに市民の各位が本気になって火を消すという、また火のおそろしさというものをほんとうによくわかって協力していただかなければならぬという点で、このことを世間にいろいろできるだけ宣伝したいわけでございますが、科学技術庁の資源調査会の先ほど申しました防災部会の中の地震委員会というので「地震の心得」というようなものをつくりまして頒布したことがございますけれども、そういったものの印刷物が非常に少なくて、ほとんど世間には知られていないというような実情でございます。そういった意味で、ほんとうに大事なことを、宣伝といいますか、世間に知らせる費用さえわれわれいま事欠いているというようなことで、ぜひこういった問題は国の政治として予算措置その他考えていただいて、徹底して災害防止に当たっていただきたいと思います。  それから、あとの問題は、地盤が悪いために水道がこわれる問題で、新潟市の市民がいま非常な苦しみをなめておられるということを考えまして、非常にお気の毒に思いますと同時に、東京の市内でほとんど同じようなことが起こる——これは実験済みでございまして、関東地震のときに東京ではもう大部分の水道がとまってしまって、わずかに丸ノ内地区だけくらいが生き残って一時水道が使えたというだけで、あとは全部だめで、消火にも使えなかったというようなことがございますし、あとの水も、幸い関東地震の——幸いと言ってはなんでございますけれども、大部分のところが焼け野原になりまして市民が全部避難していたために、新潟市のように水の配給に苦心するということがなしに済んだわけでございますけれども、もし今度の地震で市民がほんとうに火を消してくださって、そうしてそれが残った場合にも、水の心配だけは相変わらず残ると思いますので、この問題、ほんとうにどういうふうにして水道を完全なものにするか、あるいはガス管その他のものについてもほとんど問題は同じですけれども、そういった問題についてもまだ本格的な学問的な研究ができているとは言えませんので、この辺の問題はこの際ぜひ本格的な研究をしなくちゃならない。それからまた、そういうことをするためには、地盤によってどんなような地震動が起こるかという、その地震動がほんとうにわかって初めて対策ができるわけですから、そのためには各地に強震計というものを私どもつくって配っておりますけれども、その配置がまだ十分でもございませんし、そうして数も十分だとは言えません。もうほんとうに違った地盤の一つ一つの上に強震計を置いて、大地震のときの震動がどうなるかということがわかって初めて対策もできるわけでありますので、いま科学技術庁や建設省その他にも御協力を願って、強震計の配置計画というものも今度の土曜日に相談することになっておりますけれども、それも予算が伴うことでございますので、そういった面に御協力願いたいと思います。  また、地震の予知というようなことも私どもとしては責任がございますので、それをやらなくてはならないわけでございますが、その計画がようやく熟して、いま予算的な措置を文部省が考えていてくれることでございますが、全体の計画は百億というような予算が要るというような計画、それも予知の研究のための施設でございまして、実際の予知をするための施設というわけのものでもないのでございますが、そういったような大きな金が必要なものでございます。できるだけ私どもとしてはそれを効果的にもう少し切り詰めてやるというような案を考えておりますが、そういった点にも御同情がいただけたら幸せと思います。
  92. 林百郎

    ○林委員 かえって皆さんに御迷惑かけてはいけませんから、これだけで終わりたいと思いますが、久田さんにお尋ねしたい。  政府としては、主として首都の地震対策の指導を、マグニチュードどのくらいの震度までならだいじょうぶだということで建築指導されているのか、それから都市建設の行政指導の面でやはり耐震ということをもっと強力に考えなければいけないと思うのですが、そういうことについてどのように考えておられるか、久田さんと、それから和達さんにお聞きしたいのですが、実は新潟は、先ほどもお話がありましたように、耐地震ということを考慮して十分財政的な配慮もして建てたうちはちゃんとりっぱに残っておりますし、そういうことが配慮されず、また財政的な力がなければ——庶民の家屋は、どう考えても金がないので、やむを得ず安直なうちを建てておりますが、そういうところは非常に大きな被害を受けておるわけです。ただ非常に残念なのは、公の施設、先ほど出ました昭和大橋とか県営アパート、こういうところが見るもむざんな形で——昭和大橋はずたずたに、しかもつなぎ目から折れております。折れておるというか、つなぎ目がはずれてしまっておると言ったほうが正確です。県営アパートのごときは、一メートル半かそこらの砂利を敷いた上に建っておりますから、マッチが砂地に建てられたようなもので、砂地が動けば建物はそっくり倒れてしまっておる。はたして一体地震ということを考えて行政指導をして建てた施設かどうか疑わさせるものが非常にあるわけです。それから昭和石油のタンクにしましても、あそこは昭和三十年に火災がありまして、火災を受けた人たちを住まわせるために建てた市営住宅のそばへあとから昭和石油のタンクを建てさせているわけです。しかもそのタンクが林立しているわけです。一度火災でひどい目にあった市民の、しかも市営住宅のそばへあのような昭和石油のタンクを林立させるということは、これは全く建設における行政指導の手抜かりだと思うのです。県営アパートや昭和大橋というのは、政府と県当局と土建業者との間に何か不正があるのじゃないか、そうでなければ、公の施設があんな地震に対してみじめな醜態を演ずるということは、これは全く政治の責任だと思うのです。そういうにがい経験から考えてみて、この首都圏の建設について、耐震ということ、あるいは地震から関連して発生する火災に対するどのような配慮から都市建設について行政指導がなされておるのか、ことにどのくらいの震度を考えてやられておるのか、あるいは震度というようなことは考えないのか、その科学的な地震の確率との関係において都市建設の面での指導をどのようにしているか、久田さんと和達さんの両先生にお聞きしたいと思います。これで私の質問を終わります。
  93. 和達清夫

    和達説明員 地震のゆれ方の強さは、震度ということばで言っております。マグニチュードというのは地震全体の大きさでありますから、防災のほうから見ますと震度が問題になるわけです。どの程度の震度まで考えるかという御質問でありますが、防災の立場から申せば、可能と思われる最大の震度まで考えてやっておると申し上げていいと思います。  なお、先ほど河角所長から詳しく学者側からの意見を申し上げました。実際にこの防災計画を立てる側では、それぞれそういうことを考慮に入れましていたすと思いますが、私としましても、ここで、都市におきましては水の問題、そして交通の問題、そういうようなものが、以前の大地震の経験に比べまして非常に大きなウェートを占めて、重大な問題になるのではないかと心配しておることを申し添えさせていただきたいと思います。
  94. 久田俊彦

    ○久田説明員 東京の建物の耐震設計がどうかという御質問があったと思いますが、現在は法律によりまして震度〇・二という数字を使っております。〇・二というのは、建物の重さの二割の力を横にかけてそれに耐えるように設計するという考え方でありまして、これは概念的に申しますと、関東大震災程度の地震に耐えさせるという考え方であります。なお、この値は地盤によって変化させておりまして、隅田、江東、江戸川等の軟弱な層の厚い地帯の上に建つ木造に対しては、これの五割増しの力を考えるという、地盤と構造の組み合わせによって変えることにしております。一番おそろしいのは、大地震直接の被害ではございませんで、東京の場合は、木造家屋の倒壊によって起こる火事であることは、関東大震災のときに明らかでありまして、このために、軟弱な隅田、江東、江戸川等の地区における木造建物からの火災をどうやって防ぐかということが、建築的には一番大事な問題かと思います。この地区を不燃化するとか、あるいは木造建物の耐震工法を確実にするということが、東京の防災という点からは非常に大事なことだと思います。なお、堤防等の破壊による水害等もありますので、この辺、地震、建築、土木各分野の専門家を入れた総合的な委員会をつくって本格的に研究する、むろん過去においても、さっきお話のありましたように資料ができておりますが、なお、東京は新しく膨張をしておりますから、あるいは将来を予測いたしまして、新しいあるいは将来の東京を考えた都市防災というものを科学技術的に検討する機関を発足させて進めることが大事なことと考えております。
  95. 中山榮一

    中山委員長 この際、ごあいさつ申し上げます。  河角参考人には、長時間にわたり貴重な御意見を承りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後は二時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時十九分休憩      ————◇—————    午後二時二十四分開議
  96. 中山榮一

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、新潟地震による災害対策に関し質疑を続行いたします。石田宥全君。
  97. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 文部省の測地学審議会でいろいろ御審議が行なわれておるそうでありますが、近く答申も行なわれる手はずのように承っておりますので、審議の内容について概要を承りたいと思います。
  98. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 文部省の学術課長でございますが、測地学審議会は非常に歴史の古い審議会でございまして、諮問に応ずるというだけでなくて、関係の各省大臣に対しまして必要な建議をする権限を持っております。実は三十八年の五月にその測地学審議会の中に地震予知の部会を設けまして、この地震予知部会は、東大の地震学研究所の萩原博士、あるいは和達先生、そのほか二十名くらいで組織いたしております。数度以上の会議を持ちまして、現在ある程度の建議の案をまとめております。その中身をあらまし申し上げますと、五つほどに分かれておりまして、一つは、地震予知をやるために、十年間で大体百億くらいの予算を投じまして、測地学的な方法による地殻の変動の調査であるとか、あるいは地殻変動の連続観測をやるとか、あるいは地震活動の調査を、全国的に網を張りまして、地震計その他を置きまして連続観測をするというようなこと、あるいは観測施設を相当広範囲に持つというようなことを考えております。実は十年間でそういう事業をやりますと、ある程度確信を持って今後の地震予知の研究が進められるというようなことを考えているようでございます。先ほど申し上げましたように、その地震予知部会で、現在、さしあたって四十年度の予算をどういうふうにまとめて学者で網を張っていくかということをやっていただきまして、近く測地学審議会の総会を開きまして議論をいたしまして、関係の各省に建議する運びになっております。  簡単でございますが、一応の御報告をいたします。
  99. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ごく大要でございますが、地震と地殻、そういうような問題が若干盛られておるんじゃないかと思われるのでありますが、もう少し補足していただきたいと思います。
  100. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 私も専門家でございませんので、詳しい御説明はできないと思いますけれども、いま少し御説明申し上げますと、測地的な方法による地殻変動の調査といたしましては、国土地理院による連続調査、たとえば三角測量あるいは水準測量あるいは検潮、いわゆる潮の観測というようなことを、地理院を主体にいたしまして相当広範囲に重点的にやるということを考えております。このためには、新しい検潮施設の設置あるいは人員の増、そういうものも必要になってくるように現在聞いております。それから地震活動の調査になりますと、これは現在特に東京大学地震研究所と京都大学の防災研究所に一応中心を置きまして、全国を十八に分けまして微小地震の連続観測をやらしております。この非常に小さい地震を連続的に観測しておきますと、将来大きな地震への道筋が立ちそうだ、こういう学者の発想でございまして、このいわゆる日本全国の地震の地理的分布の研究を今後いま少し予算を投じてやってもらいたいというようなことが内容になっております。それから検潮施設の設置につきましては、これまた全国に現在六十六の検潮施設がございますが、あと二十六ぐらい検潮施設を追加いたしまして、それに必要な予算、定員をつけていくという行き方をしております。そうしますと、これは単なる臨時的な研究あるいは事業ではございませんで、相当恒久的な、また新しく恒久的施設と機構を必要とするものになっております。したがいまして、今後総会でも議論いたしまして、各省庁とも相談いたしまして、全体的なネットワークを張っていくということを現在考えております。
  101. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 現在強震計は全国でどのくらいあって、どのくらいの人たちが従事しているか、それからそれについては今後どの程度に増設されるお見込みか、承りたいと思います。
  102. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 実は強震計の設置につきましては、私の関係しております大学だけでなくて、建設省その他の関係も出てまいりますので、いま伺っておりますのは、強震計を全国的に相当——現在、数は私覚えておりませんが、もっとたくさん数をふやすという言い方をしていらっしゃるようでございます。ただ、これをどうするかということは、私どもだけでなくて、各省庁よく相談をしてきめることになるだろうと思っております。
  103. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その関係は以上でよろしゅうございます。  次に、科学技術庁の資源局長橘さんにちょっとお伺いしたいと思うのでございますが、午前中参考人または説明員の説明によりまして、地盤沈下と地震との関係がほぼ明らかになったわけであります。この関係につきましては、特に流砂との関係について和達さんの説明を伺ったのでありますが、新潟の地盤沈下が、信濃川上流の白根市やあるいは西蒲原郡の味方村などに地盤沈下を起こしたのではないかという観測がされておるわけです。この問題は数年前に私どもがしろうと考えで問題にしておったのでありますけれども、科学技術庁では必ずしもこれを肯定されなかったようであります。最近農林省の地盤沈下の研究所のほうで、新潟の地盤沈下と白根及び西蒲原における地盤沈下とは無関係なものではないという結論を出したようでございますが、これについての見解をただしたいと思います。
  104. 橘恭一

    ○橘説明員 ただいまの白根郷、味方、あの近辺の地盤沈下につきましては、農林省の各観測井あるいは地質調査から出ましたデータは、ただいま資源調査会の場において、各省間の事務処理に関する覚書に基づいて検討中でございます。現在のところは、資源調査会としましては、かつて沿岸地区の地盤沈下の原因について発表したような形において発表し得る段階には至っておりません。農林省の観測井もなお観測を継続して、もう少し正確な判断をするべく継続中でございます。したがって、ただいまのところでは、いわゆる白根地区の近辺——内陸部とよく称しておりますが、その近辺の個々の小規模のくみ上げ、それからいわゆる海岸地区のくみ上げのずっと地下を通っての影響、そういう点について、一応両者とも関係するのではないかということで、総合的な見解は目下検討中でございます。
  105. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 午前中に参考人その他の人たちに伺ったときにも触れたのでありますけれども、とかく科学技術庁が大事をとる、慎重を要するということであれば、その点でわからないことはないのでありますけれども、新潟があのような地盤沈下を招来したことには、やはり科学技術庁がその結論をなかなか出せなかった、私どもはこれは政治的な配慮のように伺っておるわけで、どうもそうではないかと思うのです。そうなりますと、いま若干その沈下の程度は鈍っているとはいいながら、やはりまだ沈下しておるわけです。それから御案内のように、阿賀野川から北部海岸線ではまだ大量のガス採掘をやり、また水溶性でありますから、したがって大量の水をくみ上げておるわけです。そうなりますと、西蒲原のあの平場地帯あるいは白根郷などの水田に及ぼす被害というものはまだどこまで続くかわからないということになり、いま地盤沈下対策の事業が進められておりますけれども、さらにまた追い打ちをかけられるおそれなしとしないわけです。こういう点でほぼわかっておることをいつまでもそう結論を出されないということになると、はっきり申し上げて、これはかなわないですね。ですから、これはあとで鉱山局のほうに伺いますけれども、科学技術庁のほうで、ほぼそのデータがそろっておるのだから、そして両者ともほぼ意見が一致しておる、こういうのですから、その対策について、この前のようにじんぜん日をむなしゅうすることなしに、ほぼ両者の意見が一致をするならば、そのことを明らかにして、それに基づいた対策が立てられなければならないと思うのです。これはさっきの御説明で明らかになったように、流砂の変動というものが地盤沈下と無関係でないということを和達先生もはっきりおっしゃっておられるので、この点はやはり局長さんはお認めになると思うが、これを一ぺんはっきり伺っておきたい。
  106. 橘恭一

    ○橘説明員 まず最初の、慎重を期するのあまり対策が手おくれになりはしないかという御趣旨の件でございますが、確かにその御趣旨はそのとおりだと思います。そこで、いま資源調査会保全防災部会では、和達先生が部会長でございまして、現地の対策なり判断にできるだけ早く間に合うようになお努力したいと思っております。  それからなお関連しましては、沿岸地区の場合も一応はそのような配慮もございまして、せんだっての災害対策特別委員会で申し上げました三十五年六月の報告一八号、これではっきりとさせましたが、その一年前の三十四年六月においても、一応の見通しとして、そういう地下水のくみ上げということを非常に重要視せざるを得ないというところまでは申し上げてはおるわけでございます。  それから、流砂と申しますか、地表から大体十メートルくらいの砂質の流動化の件でございますが、いわゆる新潟のずっと起きております。現在もまあ少しございますが、それの地盤沈下そのものは、六百メートルなり千メートル近くのかなり深いところの地下の層がある部分収縮する、こういうことで、上の流砂のゾーンはそのまま乗っかってずっと下にはおりておりますが、流砂の移動そのものは全体として下がっていることであって、その点には直接には関係はないのではないかと思っているわけです。和達先生のお話もたしかそのように聞き取れたのでございます。
  107. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この科学技術庁の、新潟の地盤沈下全体とガスの採掘についての規制やら大臣勧告の文書は私の手元にもありますから、その順序はよくわかっておるのですが、問題は、いま新たに問題になっておる白根郷その他、それから信濃川沿岸沿いの流砂に伴う沈下、これに対しては早急に結論を出す必要がある。農林省が地盤沈下対策事業を進めておるけれども、それがまたさらに沈下をするということであれば、その工事はむだになって、またやり直さなければならないという事態が起こってくる、しかもそれが農民の負担のもとにおいて行なわれるということは、われわれ忍び得ないところでありますから、やはり早急な結論を出していただきたい。  それからもう一つの問題は、阿賀野川北部の海岸沿線でありますが、これは局長ごらんになったと思いますけれども、非常に大量の水とガスとを上げておるわけです。それがために、最近は新井郷川のポンプ場の地盤沈下が問題になり、あるいは福島潟周辺がかなり沈下をしておるのではないかと考えられるわけでありまして、これらについて、やはり従来行なわれたと同様な規制措置なりあるいは大臣勧告なりが行なわれる必要があるのではないか、こう考えるのですが、どうでしょうか。
  108. 橘恭一

    ○橘説明員 いまおっしゃいました阿賀野川の辺、松浜地区は、C地区と称しまして、各層からの排水量が従来の実績を越えてはならないということになっている区域の中ではないかと思っておりますが、この地区につきましては、やはり沈下量が一日〇・三ミリが一番ひどいところでございます。なお観測は続けておりますので、また、その観測の結果は資源調査会で取りまとめ、各省に連絡し、経済企画庁の地盤沈下対策審議会にも報告をいたしております。資源調査会といたしましても、一応仕事としましては、その線からバトンタッチになるという感じなんです。ただ、先ほどおっしゃいました味方地区は、悪く言えば、ほんとうに、さいの河原のようなところもございまして、あそこは至急にはっきりと解明したいと思っております。
  109. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 海岸線の、いま局長が御答弁になりました最高で一日〇・三ミリくらいということで、規制措置をした状態であるというお話でありますが、私はどうも、いまの観測井の地点ではあるいはそうかもしれませんが、何かそれでは周辺の住民も農民も不安を感じておるようでありますので、この点はさらに慎重な配慮を願いたいと思います。もうごらんのとおりなんで、あのくらいの大量のガスと水をくみ上げておれば、そこの部分が沈下しなくても、白根郷のように二十キロも離れたところが沈下現象を起こしておるのでありますから、あるいは福島潟や豊浦村周辺の今度の地震被害なども何か無関係ではないように思われるのです。そういうふうに考えてきますと、やはり現状のままでいいかどうかということには再検討を要する段階にきておると私は考えておる。  それからもう一つ伺いたいのでありますが、先般の災害対策委員会では、構造性ガスは地盤沈下に影響がないのではないかということを地震課長答弁しておりますが、私はどうも納得がいかないのです。それは、水溶性ガスは大量の水をくみ上げるから、したがって地盤は沈下するが、構造性ガスは、その気体を吸い上げたままで、気体で地盤、地殻が押えられておるとは考えられないから、その気体であるガスをくみ上げても、別なものによってその地盤はささえられておるのではないかという地震課長答弁なんですが、私はどうもこれは納得がいかない。いま何でもないときにはあるいはそうかもしれない。しかし、地震や何かで地殻が変動する、ゆれるというようなときに、そこが空洞になっておれば、それはぺしゃんこになって、やはり地表に影響を与えることは、当然考えなければならぬのではないか、こう思うのです。ですから、いまのところ、新潟では構造性ガスは地盤沈下に影響ないもののように扱われておるけれども、私は、何か起こったときに、軽微な地震でも起こった場合に、やはり沈下現象なり何らかの影響を及ぼすおそれが十分にあるように思われるのですが、これは技術的にどうお考えになりますか。
  110. 橘恭一

    ○橘説明員 いまのお説につきましては、私も、純常識的にはそれはそのような考えになるのが普通ではないかと思います。技術的にどうかということにつきましては、むしろ純学問的に検討をしないと、いま直ちに否定も肯定もちょっと私としてはいたしかねます。
  111. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 慎重な御答弁で、これは当然だと思うのでありますけれども、いろいろな審議会なり調査会なりあるようでありますから、しかるべき機関に早急にかけて処理していただきたい。これはどう処理するかということはまた別の機関だかもしれませんけれども、やはり科学技術庁としては科学技術庁なりに——従来のような、構造性ガスの採掘は地盤沈下に影響はないということで簡単に片づけるには、私は問題があるように思いますので、これはしかるべき調査会なり審議会なりにかけて、やはり専門家の検討を早急にしていただきたい。そういたしませんと、これから通産省の関係者の方に伺いたいと思うのでありますけれども、いま探鉱をやっているわけです。探鉱をやってさらに大規模な採掘をやろうとしているわけです。そういうときに、大規模な採掘を始めて、そうして採掘を始めてから、さあこれはしまったということではこれはならないので、やはりそれと並行して結論が出るように御配慮を要望したい。  科学技術庁の橘局長さんの関係はその程度にいたしまして、鉱山局長さんに伺いたいと思うのであります。  午前中鉱山局長はお見えにならなかったのでありますけれども、新潟地震で震度五という状態、これは酒田も仙台も同じ震度である。ところが、酒田も仙台もそれほど被害がないのに、新潟が特に激甚被害を受けたということについては、新潟が軟弱な地盤であったということは、これは皆さん一致する意見でありました。ただしかしながら、軟弱な地盤の上に、さらに水溶性ガスのくみ上げというようなことがあってさらに地盤を軟弱にしたということが一つ。もう一つは、地盤沈下が激しかったために水没地帯が広範な面積に及んでいる、そうして、水没しておるために被害激甚ならしめ、また、考え方によっては、あの火災のごときも、あそこが水没地帯でなければ防止できたかもしれないということが考えられるわけです。これはあとで別の角度からほかの委員が御質問になるわけでありますが、私が伺いたいのは、ガスの採掘というものについては、これは鉱業法の規定に基づいて施業案というものができて、その施業案に基づいて通商産業局長の認可のもとに採掘が行なわれておると私は考えている。そうすると、地下資源は国の機関がこれを持っておって、そうして許可、認可によって開発が行なわれる。その施業案に基づいて採掘されて、そうして地上権者に対して先ほど私が申し上げたような深刻激甚被害を与えたことは、どうも争えない事実のように思いますが、いかがですか。
  112. 加藤悌次

    ○加藤説明員 ただいま先生御指摘のように、鉱業権者が地下の鉱物を掘採いたしますときには、施業案による監督というものがございます。その施業案による監督の中での主眼の一つに、地上に対する鉱害をできるだけ防止するという趣旨からの監督があるわけでございまして、現在でも、新潟市周辺で規制を行なっておる地域につきましては、この規制の趣旨に合った限度においての施業を認めるということで監督をいたしておるわけでございますが、ただその場合に、地下の鉱物を掘るわけでございますから、どうしても地上に影響があるということは当然考えられるわけでございまして、そのための規定といたしまして、御承知の鉱業法の中に鉱害賠償のための特別の規定がある。地下の鉱物の掘採が直接原因になって地上に損害を与えた場合には、その損害の賠償の責任を地下の鉱業権者が負う、こういう趣旨でございますが、もともと新潟の地盤沈下の原因について、天然ガスの掘さくとどの程度の因果関係があるか、これは先ほど来先生の御質問にございましたように、とりあえず、三十四年から三回にわたりまして新潟市周辺といたしましての規制を行なっておるわけでございます。いわゆる相当因果関係範囲と申しますか、これについてまだ最終的な結論が出ておらないということもございまして、それが当該鉱業権者だけの責任と言えるかどうかという問題がまだあるのではなかろうかと思います。  それから、今度の災害に際しまして、普通の地域における場合よりも、地盤沈下の関係で特に災害の状況がひどいという問題でございますが、これにつきましては、第一点は、いま申し上げましたように、相当因果関係というふうに考えられるかどうかという問題の解明が第一点だと思いますが、さらに、今回のようないわば不可抗力の面から損害が起きたという場合に、これは法律上の問題でございますが、そこまで鉱業法の損害賠償の責任があるのかどうか、こういう同順は、もちろんあるわけでございまして、これは相当慎重に考える必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  113. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私どもはこれは鉱害であろうという判断で実は取り組んでまいったわけです。その因果関係があるであろうことは局長もお認めになっておるわけでありますけれども、まだその因果関係で結論が出しにくい、こういう答弁でありますが、その結論が出しにくい因果関係とは何か。それはすでに科学技術庁でいろいろな機関の議を経て、さっきもお聞きになっておられるように、自粛をさしたり、あるいは大臣勧告をやったり、自主規制をやらせたり、さらに最後にまた大臣勧告をやるというようなことを行なって、そこでその原因というものはほぼ明らかにされておるわけです。にもかかわらず、その因果関係でまだ結論が得られない状態だというのは、一体どういうことを意味するのですか。
  114. 加藤悌次

    ○加藤説明員 ただいま先生御指摘のとおり、三十四年以来三回にわたりまして、大臣勧告なりあるいは自主規制というかっこうで、地下水のくみ上げの制限をやっておることは事実でございます。また、その結果、従前に比べまして地盤沈下の状況が非常に少なくなったということも事実であるわけでございますから、この地盤沈下については、これと競合する他の原因もあるのではなかろうかということも、理屈としては当然考えるべきではなかろうかという気がいたします。  それからもう一つは、これは十分に技術的にも解明を要する問題であろうかと思いますが、先生御承知の、いわゆる地上の被害者同盟というのがございまして、それと地下の帝石等との間に現在紛争がございまして、これが裁判所に持ち込まれておるという関係もございまして、私どもは、やはり裁判所が科学的に見てこれをどういうふうに判断するかということが、問題の処理をきめるかなめになるのではなかろうか、こういうふうに存ずるわけでございまして、御指摘のように、規制をいたしました結果、確かに沈下の程度が非常に少なくなったことは言えるかと思います。ただここで私がはっきり申し上げられるのは、いま裁判所が介入しておるわけでございますから、裁判所での判断を私どもとしては十分尊重する必要があるのではなかろうか、それがまだ訴訟の途中でございますので、特に科学技術庁、経済企画庁のほうでもそういう問題について御検討を願っておる過程にあるということでございますので、私からのお答えとしては、先ほど申し上げた以上のことは申し上げられないのじゃなかろうかというふうに存ずるわけでございます。
  115. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは橘局長から答弁がありましたように、最終的にほとんどガスの採掘によるものであるという結論がつけられたわけでありまして、その点では、私は第一点としてはやはり一番大きな要因であることは否定できないと思うのですが、どうですか。
  116. 加藤悌次

    ○加藤説明員 私も一専門家、技術者でないのでよくわからないわけでございますが、ただいまお答え申し上げましたような事実、経過から見て、これは一つの要因であるということは申し上げられると思います。
  117. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 一つの大きな要因であることは、いろいろな政府の文書で明らかなのですが、そういたしますと、新潟における地盤沈下というものは、鉱業法にいうところの鉱害であるということはお認めになりますね。
  118. 加藤悌次

    ○加藤説明員 先ほど申し上げましたように、地盤沈下の要因の一つ、これは大きな要因だと思いますが、でございますので——鉱害というのは、地上の物件等に損害を及ぼす、その損害をもって鉱害といっておるわけでございますから、ただ地盤沈下だけで、鉱害というかっこうで起こらない場所ももちろんあるわけでございます。私も現地をよく存じ上げないわけでありますが、沈下することによって損害が現実に起きておるということになりますれば、しかもその原因の部分として、地下のガス、水のくみ上げが原因であるということがはっきり解明されれば、これは鉱害であるというふうに存ずるわけでございます。
  119. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そう持って回ったような御答弁をされなくとも、最大の要因であることは明らかであるし、先ほどから申し上げておるように、同じ震度五でも、新潟と酒田と仙台の中で新潟被害激甚であり深刻であるということは、地盤沈下そのものがもたらしたものだと言っても過言ではないのです。軟弱地盤だという。なるほど軟弱地盤だということもあるけれども、今度の水浸しになった地帯は、一メートル五十から二メートルも地盤沈下があったからあの被害が起こったのです。だから、地盤沈下が起こっていなければ今回のような激甚被害を受けなくて済んだわけですよ。私は、この議論がほんとうはもっと早く行なわれておって、そうして政府が、あの防潮堤からこっちの港の付近やら信濃川沿岸のあの防波堤、あれをもっと完全なものにしておけば、ある程度被害は免れた、その鉱害であるかどうかということに対する結論をはっきりしなかったから対策がはっきりしたものが立てられなかった、こういうことが言えると思うのです。私は、その地盤沈下というものは鉱業法に基づく鉱害であるということで、今日の時点において今後の対策を立てる必要があると考えるので、この点は、局長さんのほうから、そう持って回った答弁でなくて、やはりはっきり答弁してもらいたい。
  120. 加藤悌次

    ○加藤説明員 御承知のように、鉱害で一番問題を起こしておるのは九州の炭鉱地帯でございまして、これはもう明らかに、石炭を掘ればその限度においては地下が空洞になるわけでありますから下がるということで、いろいろ農地その他の公共施設等に鉱害が起きておるわけであります。そういう考え方で、いま申し上げました鉱業法の鉱害賠償の規定に基づきまして、訴訟というかっこうにはなっておりませんが、賠償を行なっておるということも事実であるわけでございます。いつもよく問題になりますのは、原状回復の義務を鉱業権者に帰すべきではなかろうかということがいつも議論になるわけでありますが、いまの鉱業法の考え方といたしまして、これはそこに起きました損害を金銭的に見積もって賠償をする、金額にして著しく多額の経費が要らない場合には原状の回復義務があるという規定のしかたをいたしておるわけでございます。事実問題として、一々原状回復ということになりますと損害額以上の金銭を要するということで、先生も御承知のとおり、別に法律をつくりまして、いわゆる公共事業として農地の復旧等を国並びに地方公共団体の補助に基づきましてやっておることは御承知のとおりだと思います。やはりそれと同じような考え方を新潟の地区でも当てはめてしかるべきではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、地盤沈下によって非常に現実に困った事態が起こるということになりますれば、これは当該地方公共団体なりあるいは国としてもこれを放置することはできないということは、御指摘のようでございますので、先生もお話のように、私も一々具体的には存じ上げないわけでございますが、公共事業としていろいろ護岸工事をしたりということが行なわれておるのではなかろうか、こういうふうに存ずるわけであります。問題は、鉱害賠償という考え方は、あくまでも当事者同士、しかもそれも原則は金銭でということになるわけでございますので、地盤沈下によって起きますところの物理的にそこに出てまいりましたふぐあいの状況をどうするかということは、やはり国として特別に考慮していただく必要があるのではなかろうか。現に北九州でもそれをやっておりますし、新潟でもそれはある程度やっていただいておるということでございますので、おことばを返すようで恐縮でございますが、鉱害賠償の責任があるのかどうかということは解決しないためにそういった面の施策に手落ちがあるということについては、どうだろうかという気が実はするわけでございます。事実問題として、先ほど来御指摘のように、地盤沈下、地下水のくみ上げが大きな影響がございますので、これがあってはいかぬということで、大臣勧告なり、あるいは施業案による監督によりましてガスの採掘を規制しておることは事実でございますので、やはり鉱害賠償の問題とこの現実のふぐあいの状況をできるだけ防止し、あるいはそのふぐあいになった事態をよくするということとは別に、ひとつ国なり地方公共団体として考慮になっていただいてしかるべきではなかろうかという気がするわけでございます。
  121. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 どうもそこは責任回避のような答弁で納得いかないのでありますけれども……。なるほど、地盤沈下に対する政府なり県なりの対策としては、これは当然負わなければならないものであって、その責任上、防波堤なり防潮堤なり、いろいろな事業が行なわれておるわけです。しかし、何と言っても、やはり九州地帯における炭鉱などと同じように、鉱物資源を採掘することによって起こったところの地上の被害、これは鉱害の規定というものを適用しなければならないと私は考えておる。もしそれが非常に困難だというならば、これは別に立法措置をすることも必要であるかもしれない。しかし、現状においては、私は、やはり現行の鉱業法の第六竜の鉱害の賠償義務、そういうものに該当するものであろうと考えるのです。局長は、いま民事で訴訟中だから、はっきり結論が出せないような答弁をされておるのだけれども、私はやはり、民事事件は民事事件として、鉱害は鉱害として、少なくとも政府の責任が明らかにならなければならないと思う。その根本はやはりこの鉱害の賠償規定だ、こう私は考える。その鉱害賠償の義務規定というものと、また国や県の責任というものはおのずから別になるけれども、その根本はやはりこの賠償の規定でなければならないと思いますが、どうですか。
  122. 加藤悌次

    ○加藤説明員 現在の鉱業法の考え方を簡単に申し上げますと、地下を掘ることによりまして地上に鉱害が必ず起きる、しかも社会的、公共的な見地から見まして絶対にそういう鉱害の状況を来たさしめてはいけないという場合には、その下を掘らさないわけでございます。これは施業案によりまして採掘を制限するなり、場合によると、その下にあります鉱区を公益を害するという理由のもとに取り消すという制度があるわけでございます。その地下の掘採の制限をそこまでしなくてもいいのではなかろうか——これはもっぱら、地上のある程度鉱害によって受けます損失と、その損失があるにもかかわらず、地下を掘ることによって得ますところの国家的な利益、これは社会的公共的な見地から見てやるわけでございますので、いまの鉱業法に書いてございます鉱害賠償というのは、ある程度鉱害が起こるかもしれないという場合でも、下を掘った結果、現実に案の定鉱害が起きてきた、その鉱害を当事者の間でどういうふうに処理するかということでございまして、いまのそういう鉱害を起こすようなことはさせてはいかぬということになりますと、これはもともとそこを掘らしてはいけない、こういうことに相なるわけでございまして、それはもっばら施業案による監督をどうするか、こういう問題になるのではなかろうかというふうに存ずるわけでございます。鉱害の賠償規定というものは、あくまでも当事者主義と申しますか、当事者間で、そこに起こりました損害を金銭的に見積もりまして、これを賠償させるという趣旨でございますので、先生のいまの御指摘は、鉱害がある形で出てまいりまして、それをそのまま放置することができない、それをどうするかという、こういう問題ではなかろうかと私は存ずるわけでございますが、そういう問題は、先ほど申し上げましたように、現に北九州等でやっておりますようなことを特別にまた考えていただくということも必要ではなかろうか、こういうふうに存ずるわけでございます。
  123. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 従来のこの賠償規定というものは、局長御指摘のように、ほとんど炭鉱地帯が中心に起こっているわけですね。炭鉱のようなものは部分的で、大きな山だといっても、大体限られておるわけですね。今度の地盤沈下というような場合は、さっきも話があったように、二十キロも先まで影響を及ぼすような沈下の現状なんですよ。ですから、山の場合とはまた性格が違っておる。そこで私はさっきも指摘したように、やはりこの賠償規定に基づく受益者負担というか、そういう形におけるものと、それから国や県が行なわなければならない政治的な責任とはおのずから別だけれども、やはり賠償規定というものが前提になるのではないのか、こういうことを言っておるわけです。だから、受益者負担による賠償というものが結論が出ないから、国や県が放置していいというわけにはいかぬので、それはそれで行なわなければならないし、また施業案によってその掘採を制限しなければならないということも当然なことである。私はその点はその点でまた一つの問題はあると思いますが……。そこで、さっきちょっと触れたように、もし現在の鉱業法では新潟のガスの掘採のようなものを当てはめるのに無理があるということであるならば、炭鉱の場合に特別立法が行なわれたように、やはり立法措置を行なう必要があるかもしれないし、これは今後われわれが検討しなければならない問題でありますけれども、少なくとも今日まで通産省の当局がこの地盤沈下というものに対して怠慢であったことは、私どもはこれを許すわけにいかない。だから、この点はもう少し良心的に処理をしてもらわなければならない。  それから、先ほど、今回のものは不可抗力ではないかという答弁ですが、地震というものは不可抗力であることは私も認めます。そしてまた、地盤沈下によって地震が起こったとは私は考えておりません。しかし、たまたま不可抗力による地震が起こったために、地盤沈下によってその被害が非常に大きくなったということは否定できないと思うのですよ。これは何人も否定できない。もし地盤沈下がなくて水浸しにならなければどんなにあの被害が軽く済んだかということは、これはだれでも考える。何か納得いかないような顔をしていらっしゃるが、どうなんですか。そうじゃないですか。
  124. 加藤悌次

    ○加藤説明員 第一点の問題につきましては、先生のおしかりの点、まことにごもっともであると存ずるわけでありまして、先ほど申しましたように、現在も経済企画庁、科学技術庁、それから関係省を中心にしていろいろ真剣に検討いたしておりますので、早くその結論を得まして善処いたしたい、こういうふうに考えております。  それから第二点の問題、これは非常にむずかしい問題でございまして、これは鉱害賠償の問題だけではなくて、一般の損害賠償について当てはまることですが、やはりこの場合にも当てはまるのではなかろうかというふうに存ずるわけでございますので、その点については、非常に恐縮でございますが、はっきりしたことをここで御答弁申し上げることができないことをお許し願いたいと存ずるわけでございます。
  125. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、先ほどちょっと触れました施業案について——施業案を実は私見せてもらおうと思っておったのですけれども、何か公開できないということなんですが、これは一体どういう事情なんですか。
  126. 加藤悌次

    ○加藤説明員 実はその施業案の公開の問題はよく議論されるわけでございますが、ざっくばらんに申し上げまして、施業案というのは、非常に膨大な、しかも複雑なものでございまして、なかなかしろうとがごらんになってもわかりにくいわけでございます。それで、私たちが申し上げているのは、具体的に個々の、たとえば下がどういうふうなかっこうで作業が行なわれているのであるかというふうな御質問でもございますれば、それは私たちのほうでわかる範囲のことは申し上げたいというふうに存じておるわけでございます。もともと施業案と申しますのは、鉱業権者が鉱業を行なう場合のいわゆる計画の基本、憲法のようなものでございまして、これはもっぱら監督官庁といたしまして、ただいま問題になっている鉱害の防止なり、あるいは鉱山災害の防止なり、その他特に重点的に考えておりますのは、地下の鉱物源資をできるだけ合理的に開発しなければいかぬ、そういった面からの掘採についてのいろいろの規制をこれで行なうわけでございます。そういう監督、取り締まりのための必要なものでございますので、これを一般に広くお見せするということについては、個々の企業の秘密にわたる事項も当然あるかと思いますが、そういうことで原則的にはお見せしないというふうなことで進んでおるわけでございますが、ただ地上の権益を持っておられる方々としては、自分の施設なり土地の下がどういうふうなやり方で掘られているか、これは御関心をお持ちのことは当然でございますので、そういった面についての御質問等があれば、これはできるだけわかりやすく御説明を申し上げるべきであろうこういう基本的な考え方を持っておるわけでございます。
  127. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この施業案というものによって、新潟市に例をとれば、新潟市のような大都市の地下が鉱業権者の所有に——所有というか、権利になって掘採ができる、施業案によって制限はするけれども、何びとかが権利を保有しておるのだというような場合に、地上権者がその地下の状態を知りたいということは、これは当然なことなんですね、ところが、いまお話のように、それは公開しないのだ、こういうことはどうも納得がいかないのです。いろいろの場合にいろいろの議論があったようですから、私はあまりそれ以上申し上げませんけれども、そういたしますと、われわれが、たとえば新潟市の周辺の石油やガスの鉱区の状況、それから今後の掘採のいわゆる施業案というものを知りたいというときには、その部分は抜いて見せてもらえる、こういうことなんですか。
  128. 加藤悌次

    ○加藤説明員 先ほど申し上げましたように、鉱区の状況等十分これは御説明申し上げられると思います。ただ、施業案そのものは非常に複雑で、しろうとにわかりにくいものでございまして、しろうとにもわかりいいような説明をしろという御要請に対しては、関係の通産局、新潟地区は東京通産局で監督を行なっておるわけでございますが、そこで十分お答えしたいということでございます。特に石炭その他金属鉱物なんかと違いまして、地下の石油、天然ガスというのは、物理的に掘採するわけではありませんで、ある特定の地点に井戸を掘って、そこから地下の水と一緒にガスなりあるいは石油をくみ出すということでありますので、その地下の状況を手にとるようにということになりますと、これは私もしろうとでありますが、なかなかわかりにくいのではないかという気がいたすのであります。   〔中山委員長退席、細田委員長代理着席〕  それから、先ほど、新潟市の地下というお話がありましたが、これは現在規制地域のA地域ということになっておりまして、ここは絶対的に掘採を認めておらない、施業案ではこれを禁止しております。
  129. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それで、先ほど橘さんに伺ったことでありますけれども、いまあなたのほうで構造性ガスの探鉱をおやりになっておりますね。これはさっきの質疑応答の中でおわかりになっておると思うのでありますが、構造性ガスが地表の地上権者にどういう影響を与えるかということについて、従来常識的に言われておる、それは影響がないのだという簡単な片づけ方では、私は納得できないし、今度の地震以後地域住民が非常な不安感を抱いておるわけです。これについてはあなたも専門家であられないということだけれども、これに対する御見解も明らかにしていただき、また探鉱の方針などについてお聞かせいただければ聞かせていただきたいと思います。
  130. 加藤悌次

    ○加藤説明員 私ども、いままで地盤沈下の原因になりましたのは、ガスと同時に非常に大量の地下水をくみ上げる、その原因になるのはいわゆる水溶性ガスでありますので、水溶性ガスについては、やはり必要な地域についてはこれを規制する必要があるということで、ただいま申し上げましたように、新潟市を中心とする周辺は規制を行なっておるわけであります。構造性ガスにつきましては、鉱害が絶無ということは申し上げられないかもしれませんが、さほど心配する必要はないのではなかろうか、この程度で、今後の天然ガスの開発といたしましては、特に都市周辺等につきましては、もっぱら構造性ガスを中心にして探鉱も行なう、こういう方針でまいっておるわけでございます。構造性ガスが御指摘のように地上に影響を及ぼすということがはっきりいたしました場合に、しからばどうだということになるわけでございますが、先ほども申し上げましたが、たとえば地下の石炭を掘りますと、これは必ず地上に影響があるわけでございます。にもかかわらず、この掘採を認めておるというのも、もっぱら、やはり地上の影響を受けたことによる損失と、地下の資源を掘採することによる利益、これを国家的、社会的に考慮いたしまして、どちらを優先させるべきかという考え方でおるわけでありまして、その結果、やはり下の地下資源を開発しなければならぬということになった場合には、石炭のごときは当然鉱害が起こるわけでありますが、起きました鉱害につきましては、鉱害賠償の規定で、当事者にそこで起きました鉱害を賠償させる、こういう考え方であるわけであります。御承知のように、新潟地域の天然ガスは、都市ガスといたしまして、あるいは化学工業用の原料といたしましても非常に重要な地位を占めておりまして、裏日本の地域開発という点から見ましても、天然ガス目当てに立地した工場というのは相当あるわけでありますので、一がいに地上に影響があるからといって全然これを禁止するということについては、問題があるのじゃなかろうか。要は、九州なんかで石炭を掘っておると同じように、両方の利益の調和をどういうふうにはかるかということに問題があるのではなかろうか、両方がある程度調和したかっこうで下の掘採も認める、できるだけ上に影響のないように認めるということも可能ではなかろうかと考えておりまして、現在の鉱業法というのは、もともとそういった考え方で法律の精神も貫かれておるわけでございますし、実際の監督に際しましても、そういった考え方でやっておるわけでございます。
  131. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私は大体この問題で終わりたいと思うのでありますが、一言申し上げておきたいことは、私がきょう科学技術庁の資源局長あるいは鉱山局長にいろいろと伺いましたのは、そういう科学技術的な面、あるいは鉱山局の施業案を中心とする監督の面、これを明らかにすることによって政府の政治責任を明らかにしたいと考えるからです。きょうは政治の責任者が来ておられませんから、政治上の責任は、あとで関係大臣その他によって明らかにしなければならないと思います。私どもは、少なくとも、先ほどから御質疑を申し上げたような事情で、この新潟の地盤沈下とそれに伴う被害、今回の地震とそれに伴う被害に対する、政府は当然政治的責任を負わなければならない事案であると考える。それで御質問申し上げたわけでありますから、したがって、根本的な政治上の責任の問題については別の機会に譲ることにいたしまして、以上で私の質問を終わります。
  132. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 松井誠君。
  133. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私もこのたびの新潟地震についていろいろお尋ねをいたしたいことがたくさんございますけれども、時間の関係もございますので、重点的にお尋ねをいたしたいと思います。  今度の新潟地震、私自身も新潟市に事務所を持っております関係で、よく実情を見てまいったわけであります。いろいろな特徴がありますけれども、一つは、やはり今度の被災地というのが、比較的低所得者層が多く住んでおるという、そういう地域であります。そういう地域であるだけに、今度の被害も非常に深刻になっております。おまけに、そのような地帯は、先ほどから石田委員からいろいろお話がありましたような地盤沈下地帯であります。したがって、浸水地帯であり、長い間冠水をしておった地帯であります。おまけに、そればかりでなくて、そのうちの一角は、昭和石油の石油タンクだと思うのですけれども、ともかく石油タンクから出た火が延焼をして三百数十戸が焼けた。この一角のごときは、地盤沈下と、自分の責任でない火災と、それから地震という三つの悪条件が集中的にそこへ出てきておる地帯であります。したがって、ここの地帯の人たちがその当時避難をした新潟大学の農学部の空気のごときは、一時は非常に不穏な空気であった、そのようにいわれておったくらいであります。この人たちのことを考えますと、この人たちは、元来、地盤沈下には何にも責任はないはずであります。地盤沈下に何も責任はないにもかかわらず、かつて地盤沈下でいろいろ苦しめられた。今度は、自分ら自身は一つも火事は出さないにもかかわらず、自分らの責任でない火事のために焼けた。しかもその火事は、地震と同時に起きた火事ではなくて、地震と同時に起きた火事が三十時間燃え続けたそのあとで自分のところへ延焼してきた、これは一体だれの責任だろうかという気持ちになる。しかも、今度の津波あるいは地震で非常にちゃちな防潮堤というものが破れて、湛水してきた。この湛水がなければ、先ほど石田委員お話のありましたように、今度の火事にしても、あるいはその他の被害にしても、これほどにはならなかっただろうという。自分らが受けた被害の補償を一体どこへ求めるべきか、はけ口のない怒りや不満をまだ持っておる。ですから、このことを中心に最初私はお尋ねをいたしたいと思うのです。  この地帯が地盤沈下の地帯であるということは、これはもう間違いはございません。この地盤沈下の原因が地下水の急激な大量のくみ上げによるということも、科学的にはもうほとんど疑う余地がない。一つの要因であるとかなんとかいうようなあいまいな因果関係ではなくて、まさに最大の要因であることは、客観的に明らかなんです。ただしかし、その客観的に明らかなことを明らかにし得ないのは、いろいろなほかの要因が重なっているからにすぎない。ですから私は、地盤沈下の原因が何であるかということについてはもうお尋ねをいたしません。ただ資源局長に、最初に、新潟の伝えられた地盤沈下というものの規模についてだけお尋ねをいたしたいと思うのです。大体地盤沈下の範囲というものはどのくらいの範囲か、あるいは海面下一体どのくらいまで沈下をしておるのか、そういうことについて簡単な数字を最初にお伺いいたしたいと思うのです。
  134. 橘恭一

    ○橘説明員 地盤沈下の範囲でございますが、マクロで申しますと、阿賀野川の河口の近辺から西南に下がって内野の辺、大体海岸沿いの地区、新潟市はほぼその中央にある。それから内野の近辺から例の白根郷のあれへ信濃川に沿ってずっといく、そういうところでございます。  現在の沈下状況、これはいろいろくみ上げ規制等で著しく減ってまいりまして、海岸地帯は多少目はございますが、年間で十センチぐらいと大ざっぱに言えるのではないか。それから白根地区も、やはり極端に目の——目と申しますか、沈下のひどいところが年間十センチ、水準測量点の沈下度は、最近は一日当たり〇・二ミリぐらいになっております。  それから新潟近辺の、先ほど御質問のございました海面からどうかという点でございますが、新潟市で、いわゆるゼロメーター以下と申しますか、東京湾の中等潮位をもとにして全国をずっと調べてみますと、大体ゼロメーター以下というのは、大ざっぱでございますが、二平方キロぐらい、それから満潮の平均に比べまして、それ以下になるところが当然ふえまして、約六平方キロメーターぐらい、新潟市につきましてはそういう状況でございます。  概況としましてはそのような状況で、一応地盤沈下の傾向は対策が功を奏して安定している——安定ということはまずいのですが、大体下火になって、前のようなひどいあれは一応おさまったということは一応言えるかと思います。  以上でございます。
  135. 松井誠

    ○松井(誠)委員 いまのお答えいただいたような地盤沈下の状況の中で地震が起きたわけでありますけれども、科学技術庁の関係は私はけっこうです。  こういうゼロメーター以下の地帯が満潮時には六平方キロをこすというような状態の中で、これは建設省にお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、いわゆる地盤対策事業としてでき上がった防潮堤というものが、今度は見るもむざんにくずれたわけです。先ほど東大の河角教授のお話では、もう少し先に出ている防波堤で破損を受けていないのがあったところを見ると、防潮堤はやはり十分の用意が足りなかったんだという意味のことをおっしゃっておられましたけれども、あの防潮堤がああいう形にもろくもくずれた、これは、ゼロメートルの地帯がそれだけのものがあるというその地帯を守るものとしては、やはり非常に弱かったと私は思うのですけれども、建設省の方どなたかおいでになりましたら、ひとつお答えを願いたいと思います。
  136. 安芸元清

    ○安芸説明員 お答えいたします。  建設省の現在やっておりますのは、中小河川の区域をかさ上げいたしておるわけでございますが、この構造等につきましても、今度の地震等におきましていろいろ考えさせられる点もございますので、今後は十分その点を検討いたしまして、耐震構造的な構造で実施いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  137. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私はよそのところを見ておりませんからわかりませんけれども、聞くところによりますと、名古屋とか大阪とか、あるいは尼崎とかというところでは、上をトラックが二台も一緒に走れるという、それほどの広さを持った防潮堤というのですか、そういうものができておるということです。それから見ると、新潟のはまるでかみそりの刃のようだという批評が当時からあった。そのもろさというものが今度出てきた。これは私はあとでまたいろいろお尋ねをいたしたいと思いますけれども、この地元の人たちが地盤沈下というものに対するふんまんや、そういうもののはけ口として、単に地盤沈下を起こしたガス業者だけでなしに、やはりその対策というものについて根本的な考え方が甘かった国にも向けられておる。私は、考えようによれば、この防潮堤のもろさというものが国家賠償法の問題になり得るということさえも考えなければならない、そのように考えるわけです。したがって、この点は、いまのお話ですと、これからも十分耐震的な構造を考え直していきたいということでありますが、ほかの地域と比べて、新潟の防潮堤というのは、それほど、かみそりの刃といわれるようなちゃちなものにしかできなかったという理由は一体どういうところにあるのか、あるいは裏日本というもの、日本海沿岸というものには地震はめったにないんだということで初めから考えられたのか、これはどういう結果なんです。
  138. 安芸元清

    ○安芸説明員 おそらく港湾区域のパラペット・ウォールで囲んだところのことをお話しになっておるのだろうと思いますが、こういう荷役施設のございますところでは、堤防式に全部を上げてしまうということが荷役の関係で非常に不便を伴うということで、壁をもちまして——これをパラペット・ウォールと申しておりますけれども、壁をもちまして高潮を防御するというふうな構造を普通とっておるわけでございまして、そういうところが、背が高いわけでございますので、耐震的には比較的弱いということでございます。ただ、これに扶壁を設けますとか、いろいろな構造をつくることによりまして、より耐震的な構造にし得ると考えておりますので、今後の調査結果を待ちまして一そう耐震的な構造にやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  139. 松井誠

    ○松井(誠)委員 地盤沈下のことはそれくらいにいたしまして、もう一つ、この焼け出された人たちが非常に割り切れない気持ちでおる火災そのもののことについてお尋ねいたしたいと思いますが、最初に、あの火災の出火から延焼に至るまでの経過について、警察庁と消防庁からひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  140. 後藤信義

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  火災は五カ所に発生しておるわけでございます。第一の火災は、地震のありましたのが一時一分五十五秒という時刻でございますが、この地震がありました直後に、午後一時三分ごろに出火をしたわけでございます。その場所は、新潟市山下東臨港町にございます昭和石油新潟製油所の三万五千キロリットル入りのタンクで、これが最初に発火したものと私どものほうでは推定をいまいたしておるわけであります。それから第二は、同じ時刻ごろに、同じく新潟市松島通り二丁目四十七番地にございます成沢石油株式会社、これのタンクが燃え出したわけでございます。それから第三は、やはり同じ時刻ごろに、新潟市柳島町三丁目にございます株式会社藤島製作所、ここから火を出しておるのでございます。それから第四番目は、若干時間のズレがあるようでございます、これは地震がゆれ終わりまして、最初の震動が終わりましたあと若干の時間を置きまして、私どものほうでは大体午後一時十五分ごろと推定をいたしておりますが、この時刻に、新潟市松島通り二丁目四番地にございます日東紡績株式会社新潟工場、ここから火を出しておるのでございます。それから第五番目の火災、これは当日の午後六時前後と考えられるのでございますが、この時刻に第一の火災の現場でございます昭和石油新潟製油所、ここで原油タンク等のタンクが並んでおりましたが、それに火が移りましたと申しますか、そこから火を出しまして、相当な被害を出したのでございます。  以上、第一と第五番目とは関連があるかもわかりませんが、いずれにいたしましても、火元といたしましてはこの五カ所があるわけでございます。この火災のうち、第一と第五に申し上げました昭和石油の火災のほうを除きましては、いずれも早目に鎮火をいたしました。特に第二、第三、第四は当日の夜半に鎮火をいたしておるわけでございます。それで、最初の第一の火災の現場でございます昭和石油のほうのタンクは、これはそこの部分だけの火災にとどまりまして、他の地域の延焼はございませんでした。しかしながら、第五番目の昭和石油の火災のほうは、これは付近の民家あるいは官公庁、会社等まで延焼いたしまして被害を出したわけでございます。いずれも、くすぶっておりました火も、昨日までには鎮火をいたしておる状況でございます。  ただいまお尋ねの点は火災の経過ということでございましたが、この点は私どものほうで鋭意ただいま調査をいたしておる段階でございまして、はたしてどのタンクからどのような状況で発火をしたものであるかどうか——一応考えられますことは、これはあとで消防庁のほうからお話があるかと思いますけれども、タンクにありまする浮きぶたとタンクの側壁とがすれ合いまして、その摩擦によって火が起こったものであるか、あるいは、そうではなくて、油そのものが振動したために静電気が発生して、そのために火が起こったものであるか、そういうことにつきましては、科学的に消防庁関係と十分に連携をとりましてその原因を究明したいと考えまして、ただいま鋭意調査を続行しておる段階でございます。  それから、そのような科学的な調査とあわせまして、この火災の現場付近におりました人々につきましてできるだけ参考になる供述を得るべく、その方面の調査もあわせて進めております。ただこれは、なかなか水が引いておりませんことと、それからタンクそのものの火災がなかなか消えなかったということと、それからまた、付近の働いておった人その他の住民の方々も、何せとっさの非常に恐慌を来たしておるような事態のときの出火でございますので、十分にその原因をこの人人から探求するということもかなり困難な状況でございます。特に、津波が来るということでございましたために、いち早く避難をするという、避難のほうが先であったというようなことからいたしまして、その火が出る状況あるいはその火が燃え移っていく状況というようなものがかなり把握しにくい状況にございます。一応津波のおそれがなくなったということで避難先からそれぞれ戻りまして消火作業に従事するというような段階に立ち至りますと、もうすでに火の手は相当に強くなっておるというような状況でございましたし、なかなか現場付近に近づけないという状況がございましたので、たいへんに捜査がおくれておるわけでございますが、できるだけ早い機会に、警察の側といたしましても、むしろ、これは失火ということになりますと犯罪ということにも関連いたしますので、そういう調査ないしは捜査という方面でこれを早急にやらなければならぬと考えまして、ただいま鋭意県を督励しておる段階でございます。  概要そのような状況でただいま推移しておるわけでございまして、詳しい状況は、さらに今後の調査ないしは捜査の結果を待ちまして、あるいはしかるべき機会に御報告申し上げたいと考えておるわけでございます。
  141. 川合武

    ○川合説明員 私どもの消防活動を中心にいたしまして御報告申し上げます。  先ほどの警察のほうからの報告にもありましたわけでございますが、昭和石油のタンクが、石油群の一つのタンクから出火いたしまして、固定消火設備等ございましたのですが、地震のために直ちに機能を失いまして非常な火勢となったのは、御承知のとおりでございます。そこで、現地新潟市の消防機関が出動いたしましてこれに対処いたしましたが、何分にも火勢に押されまして十分なる活動を——これを制御することができない状況でございましたが、私のほうの、消防庁でございますが、実は午後二時でございましたが、高田にございます新潟の支庁から、昭和石油の炎上の状況を報告を受けたわけでございます。当時はやや推測を交えました状況の容易ならざることが十分わかりましたので、あわ消火剤、粉末等、これは翌日の朝にかけてでございますが、十一万リットルを逐次送ったわけでございます。延べでございますが、自衛隊の飛行機二十二機、米軍輸送機四機、その他トラック七台によりまして送りました。これが着きましたのが翌日の払暁になるわけでございますが、準備整いましたのが、大ざっぱに申しまして二十時間近くたっておったような状況でございます。御承知のように、化学車が新潟の消防署にはございませんで、化学車に準ずるようなものはあったのでございますが、私どもが言っておりますいわゆる化学車というものを持っておりません。工場にはございましたが、消防機関にございませんで、それでノズルをはめかえまして、そうして普通消防ポンプ車であわ薬剤をやるわけでございますが、普通と申しますか、ごく平常時のごく小規模な場合にはこれでできるわけでございますが、くどく申し上げますが、非常な火勢でございましたので、当時の報告を率直に申しますと、あわ薬剤はかけましても吹っ飛んでしまったというような状況であると報告を受けております。そういたしまして、だんだん火勢が強くなりまして臨港町の民家への延焼の危険が出てまいりましたので、全消防力と申しますか、現場にありました消防力をこの地帯に集めたわけでございます。集めましたが、非常に水が浸っておりまして、大部分のところがひざのあたりまで水があったという状況でございまして、そのために作業に困難を感じましたが、大体その日の夕景時にかかる四時半ごろまで燃えまして、最後の火災防御線と申しますか、そこに二十台余のポンプ車を並べまして、ここでようやくと申しますか、正直申しましてようやっと食いとめた状況でございまして、三百余むねの民家を焼失いたしましたわけで、申しわけないと思っております。なお昭和石油のほうの火勢は衰えておりませんので、さらに民家への延焼——これは別の角度のほうの民家でございますが、しないとは保証できないような状況でございました。私どもで東京消防庁の化学車五台を出動を要請いたしまして、これが着きましたのが当夜でございます。そこで東京消防庁と現地の消防機関と打ち合わせ、また会社に十分なる状況の説明を求めまして、行きました男は——多少余談になりまして恐縮でございますが、リアルに申しまして、ちょうど戦争末期にパレンバンの油田を守った男でございます。まあ経験がございますので、その中の大体七割を、全部は無理であるから、一番危険な地域である地帯を防ごう、こういう作戦で、そのために、地面をさすりまして、並びにタンクをさすりまして作戦をとりました。ようやくにして本格的な消火に移ったわけでございます。ただ火が非常に強うございますので、タンクの上にあわをかけるわけにいきませんで、だんだん、タンク自体、下のほうから油がにじみ出て流れておりまして、そのタンクの隣のタンクへ油が流れて火が移っていくわけでございます。したがいまして、そのタンクとタンクの間、大体十数メートルくらいの距離があるのが普通でございます。そこへあわの消火剤で壁みたいなものをつくり、高いところは三尺くらいという報告を受けておりますが、つくりまして、これを押していったわけでございます。ところが、火の勢いが強うございますので、ちょっとゆるめますとあわが押し戻されてくる、火のほうが押してくる、この押しっこといいますか、そういう状況をやりまして、東京消防庁の化学車が一日半フル運転をいたしたわけでございます。現地の消防機関が普通ポンプ車を並べまして送水をいたしまして、御承知のように、消火剤も水を交えてやるわけでございまして、列をつくりまして水を送りまして、最前線にはいま申しました東京消防庁が立ちまして、タンクの間にあわの層石けん水のあわみたいになるわけでございますが、その壁みたいなものをつくりましてやりまして、ようやっと、自後一日半でございますから、始めましてから大体六十時間以上たっておるわけでございます。それで、昭和石油のタンクにつきましては、八十基のうち五十九基焼きまして、二十一基だけをとめたわけでございますが、それで民家へのその後の延焼並びに昭和石油等のタンク群への事実上の制圧をかろうじて終えた次第でございます。現地の消防機関もできる限りの努力はいたしたという報告を受けておりますし、また、行きました東京消防庁並びに応援をいたしました隣の県の高岡市の化学車等々ございまして、それなりの努力をしまして、ただいま申しましたような経過でございますが、何ぶんにもわれわれの従来経験しなかった非常なる火災とは申しながら、数々の状況につきましてお騒がせをいたしましたし、また民家への延焼に至りました状況でございまして、今後の私どもの化学消防についていろいろな検討、反省をいたしておる次第でございます。
  142. 松井誠

    ○松井(誠)委員 お話を伺っておりましても、私もやはりなかなか割り切れない気持ちがするわけでございます。東京の消防庁から五台が来てやっと本格的な消火に着手したというようなおことばがあったこと自体、どうも意味がよくわからないのですけれども、この石油タンクの火災というのは、聞くところによりますと、いまのお話でも、固定した消火設備というものはあったけれども、それは地震で機能がだめになってしまったということであります。地震に耐えられるような設備ができなかったかどうかということも一つの問題でありますけれども、さて一たん出火をしてしまったあと、その鎮火なり延焼の防止なりというものができなかったということのほうに私は重大な不満があるわけです。石油タンクの火事というのは、何もこのときが世界で初めてのわけでもございますまいし、したがって、こういうものについての消火について、いろいろな設備その他の問題についていろいろと他国の経験もあるだろうと思います。ですから、出火をしたこと自体、そしてその出火が、タンクに取りつけてある設備の機能がだめになって出火に至ったということ自体には、あるいはいろいろやむを得ない事情があったかもしれませんけれども、しかし、それを何十時間、いまのお話では、六十時間かかってどうにか制圧をした、そういう消防能力が、それで一体いいかどうか、この点ひとつお尋ねいたしたいのです。いま聞きますと、新潟市には化学消防車が一台もなかった。昭和石油には化学消防車が一台あった。しかし、それも東京から運んだその消火剤でどうにか動くような状態であったように聞いたのですけれども、一たん燃え上がったときにそれを消すという能力は、いまの日本の消防能力の中にはないのですか。
  143. 川合武

    ○川合説明員 あのような状況になったのでございますから、私どもは言いわけをすべきでないし、また、われわれとしては消防元来のあれとして言いわけをすべきでございませんが、あの状況におきまして出火いたしまして、要するに、自衛固定消火設備の機能がとまりましたときにおきましても、現在のわが国の消防力、たとえば、かりに東京の消防力であれば、これを消しとめ得たのではないかと思います。ただ、今回の火勢というものは非常に——現在の私ともの力、端的に申しますならば、東京、大阪等の力は別といたしまして、全国の都市の消防というものがこれに対して比例をいたすだけのものがあったかどうかということにつきましては、あのような状況になったのでございますから、私どもは率直に反省をしなければならない、御批判をいただかなければならないと思っております。例でございますが、あのようなものとは多少規模は違いますが、東京都においても三、四年前にタンクの火災に対しましてこれを消火いたしておりますし、それに先立ちまして御承知のように有名な四日市のタンクの炎上がございました。これにつきましては非常に悪戦苦闘したという経験を持っております。  以上でございます。
  144. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私がお尋ねしたいのは、石油タンクからかりに火が出ても、その備えつけの施設で消せるという、そういう見込みでやっておるのか、あるいは、かりに出火しても、消火、延焼防止、鎮圧をし得るという、そういう見通しでやっておられるのか、そのことをお尋ねいたしたいのです。あとからの話になりますけれども、お聞きをすれば、新潟市には一台も化学消防車がなかったということになると、一たん火を出してしまってからはもう手がつけられない。むしろ、火は出ないだろうという、そういう期待だけで消防の行政をやっておられたように思うのです。ですから、その点をはっきりお尋ねいたしたいと思う。
  145. 川合武

    ○川合説明員 出火いたしましたときに、固定消火設備の法的な義務がかような工場、タンクにはあるわけでございまして、普通の状況でございまして機能が作動いたしますれば、これで初期消火をいたし得るというふうな科学的な検討をいたしました結果、義務づけをいたしております。ただ、それでもまだ必ずしも十分な作動——それのみでもってすることは、事の性質上危険でもございますので、これに対しまして法律の義務づけ、制度の義務づけもいたしております。なお、多少余談になりますが、空地の法律的な義務づけをいたしまして、他のタンクへの延焼を防ぐというような法的な措置もいたしております。さらに、緊急防御の方法といたしまして、化学車等の消防機関による活動があるべきであり、私どももさような考え方を持っております。ただ現在のところ、化学車を全部のかようなタンク所在地の消防機関が持っておるわけではございませんで、現実は先ほど申し上げましたような普通ポンプ車でノズルをかえましてやる方法、訓練をやっておったというような状況でございます。今後は、緊急防御のために化学車の設置がぜひ必要だということを、今回の大きな事例で省みておるわけでございます。くどくなりますが、補完的な意味の数々の予防規制措置の規制を、固定消火設備、防備堤、空地というようなものをもちまして、さらに緊急防御の方法としてただいまのようなもの、こういう対処の方法をやっておる次第でございます。
  146. 松井誠

    ○松井(誠)委員 まだ必ずしもはっきりしないのですけれども、固定消火設備に第一次的にはたよる、それはそれでもちろんわかります。その中で、たとえば防御壁というようなものがあって、それも何がしかの効果をあげたことも私は聞いております。しかし、そういう固定した消火施設というものが地震で一瞬にしてだめになって、さて炎上したときに、そういう最悪の事態を考慮して、石油タンクが燃えておるのを消すということを目的にして消防の施設というものを整備されたのか、あるいは、そういうことはめったにないだろうという期待で、燃え上がったあとの延焼防止なり鎮火なりというものには、言ってみれば手を抜いたという形でやられておったのか。少なくともあとから見た形では、なるほど、消防法の規定やいろいろのものによって、固定の消火設備というものについてはいろいろの注文をつけておる、しかし、それがだめになって燃え上がったときの消防の能力、消防の設備というものは、少なくとも現地の能力は無能力にひとしかったと思うのです。東京からやってきてどうにか消火の能力を発揮し始めたというくらいですから、ほとんど無能力にひとしかったと思う。そういうことはめったにないことだから、まあまあ手を抜こうという形で初めからやられたのかどうかということをお尋ねしたいのです。これだけの能力があれば、燃え上がってからでも消せるという見通しであったけれども、その見通しが甘かったというのかどうかということなんです。
  147. 川合武

    ○川合説明員 先ほど申し上げましたことと重複するかもしれませんが、お尋ねの点が、消防機関の消防力の点でございますので、端的に申し上げまして、従来私どもでいたしておりますところのいろいろな指導方針がございまして、それに対しまして、漸次ではございますが現地の消防機関が消防力の充実をはかっておるわけでございます。しかし、今回のような災害、もっと端的に申しますならば、普通のタンクの炎上の場合ということに加えまして、いろいろな悪条件と申しますか、地震という条件によっての異常なる状態における問題につきましては、私ども率直に申しまして経験がございませんでしたから、さような点についての私どもの現地消防への指導について、少なくとも見通し得なかったという点はあったと思います。それなりの努力をいたしておりましたし、また指導もいたしておりましたが、かような状態までの状況を想定しての指導というものについての見通しまで立てていなかったことは事実でございます。
  148. 松井誠

    ○松井(誠)委員 これからのことはまた別の機会にお尋ねいたしますので、この点はもうお尋ねいたしませんが、それでは具体的にお聞きいたしますけれども、さっきの民家に延焼したのは、石油タンクから出火したあとどれくらいの時間なんですか。
  149. 川合武

    ○川合説明員 どのタンクからどうということが、まだ原因を追及中でございますので、大ざっぱな表現になりますが、御承知のように、昭和石油のタンクの中から一つのタンクが火を出しましたのは、地震後ほどなくであったわけであります。民家に移りましたのは、私どもへの報告では、翌日の朝の午前十時ごろから移り出したというふうに承知いたしております。
  150. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私は約三十時間と聞いておったのでありますが、いまのお話では二十二、三時間のようでありますが、しかし、それにしても、タンクから出火して民家に移るまでには相当の時間があった。いろいろお聞きすれば、ことばの使いようは別として、いまの御答弁では、われわれの不明を恥じるということが基調になっておると思いますけれども、そういう消防能力のために、何の責任もない三百数十戸というものが焼けた。その人たちは、津波だということで、ほんとうに裸で避難をしておった。したがって、何も持って出ないわけです。それから二十数時間たって自分の家が焼けた。それを手をこまねいて見ているという状態に追い込まれた。ですから、そういう人たちは、この火事はおれたちの責任ではないという気持ちが非常に強い。  話が別になりますが、そのような火事ではありますが、一応、地震による火事ということで火災保険の保険金がもらえないということになっておるようであります。この点について、どなたか政府の方がおいでになっておると思いますけれども、火災保険の契約の上から、こういう場合に、いわゆる地震による火災としてそういう免責約款がやはり適用されざるを得ないものかどうか、このことをお尋ねいたしたいと思います。
  151. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 お答え申し上げます。  現在の火災保険約款におきましては、いろいろな免責になる事由が列挙してありますけれども、その中の一つといたしまして、地震あるいは噴火というようなものについては、直接間接を問わず、そういうものに基因する火災については保険金を支払わない、かような規定になっております。したがいまして、今度の新潟地震に基づきます火災につきましても、はなはだ遺憾でございますけれども、契約上はそういう形になっておるわけでございます。
  152. 松井誠

    ○松井(誠)委員 地震や噴火の場合に免責規定があるのは、おそらくそういう場合の火災というのは大規模になるだろう、したがって、普通の民間会社の経営の能力を越えるだろうということが根拠になっておるの、だろうと思いますが、それも普通の場合、地震に伴う大規模な火災というものを予想される、ちょうどあの関東大震災のときのように一瞬にして方々から火が上がる、したがって、いまの消防能力ではとうてい手に負えない、したがって大事に至るという形で大規模な火災が起こる、そういう意味では、幾ら消防能力を備えておっても、その消防能力が、方々で同時に出火をするために事実上無能力になるということを予想しての規定ではないかと私は思う。そうしますと、今度の場合には少し趣が違う。これは現地の人たちの偽らない気持ちでありますが、これは一体地震による火事と言えるかどうか、地震による火事が出てから二十数時間、三十時間近くたって自分の家が燃えた、その間一体消防は何をしておった、これをいわばわれわれのせいのようにして、納めた金さえももらえないというのはひどいじゃないかという、非常に素朴な感情がある。それは単に素朴な感情だけじゃなしに、私は理屈の上でも十分考えてやらなければならぬ事情もあると思うのです。ですから、その免責約款というのが、通常の場合に火災が大規模になるその理由と、今度の場合に火災が大規模になってしまった理由とは少し違うのじゃないか、はっきり言えば、その免責約款というものが予想しなかったような事態によって火災が起きたと言ってもいいのではないかと私は思うのですけれども、その点について御意見をお伺いいたしたいと思うのです。
  153. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 ただいまのお尋ねは、多発性の火災であちこちに火の手が上がって収拾がつかなくなる、そういう場合には免責規定が働くけれども、今度の場合のように、昭和石油のいわば油が伝わって延焼していった、そのために民家が三百戸焼けたというような場合には適用にならないのじゃないか、かようなお尋ねだと思います。私ども、いろいろ約款のつくり方につきましては、そういう考え方も実はあろうかと思いますけれども、現在の普通火災保険約款におきましては、多発性であるか、あるいはそうでないかという点にかかわりなく免責にいたしておりますので、保険金は払えない、これはやむを得ないことだ、かように考えております。
  154. 松井誠

    ○松井(誠)委員 この点は私はまだ議論になり得る問題だと思いますけれども、時間があまりないそうでありますので、これはまたいずれかの機会にお尋ねをいたしたいと思います。  ただ、それに関連をして、伝えられるところによりますと、その損保協会が何がしかの金を見舞金として払おうというような動きがあるやに伝えられておりますけれども、新聞に伝えられるところによると、三県全体で総額二億円という数字が伝えられておりますが、三県でこの火災保険の契約金額の総額はおよそ幾らになるのか、それから、かりに二億円にしたところで、具体的にはその配分はどういう予定なのか、そういうことがおわかりでしたら、ひとつお答えを願いたいと思う。
  155. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 二億円の義援金を損害保険業界が持ち寄りまして、新潟県、山形県、秋田県の被災者の皆様にお送りするということがきまっておりますが、内容につきましては、私が聞きましたところでは、最近、新潟県に一億七千万円程度、それから山形県に二千五百万円、秋田県に五百万円程度の基準でお配りするということを聞いております。しかしながら、どういうふうな方法でどういう方に幾ら差し上げるかという点につきましては、県当局に一括しておまかせをしてあるはずでございまして、業界側があれこれ言う筋合いでもないし、また、そういうことにもなっていないと思います。  それから、新潟県におきます保険契約に基づきます保険料収入あるいは保険金額、この実績でございますが、新潟市だけをとってみますと、普通物件、これは住宅物件が主でございますけれども、三十七年度で三百七十二億円の保険がついております。そのほか、工場、倉庫等を入れまして一千十七億円、これが新潟市の保険契約の推計総額でございます。新潟県全体につきましては二千九百億円程度になっております。したがいまして、これは非常に大だんな推計でございまして、ここではっきりした厳密なことは申し上げかねますけれども、かりに保険金千円につきまして三円という保険料率を考えますと、新潟県全体が二千九百億円でございますから、二億九千万円の保険料が一年間に新潟県下から入ってくる、こういう形になるかと思います。
  156. 松井誠

    ○松井(誠)委員 数字的なことで私がお尋ねしたかったのは、今度の具体的な焼失家屋について民間の保険会社が契約をしている保険金、もしこれが普通の火災であれば払わなければならない保険金の総額は幾らか、それと見舞金との代償の関係をお伺いしたい。
  157. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 いま誤解いたしまして全体を申し上げましたが、三百戸被災されました方で——これは火災だけでございますが、この中で保険にどれくらい入っておられるか、これは実ははっきりつかんでおりません。と申しますのは、そういう調査は保険会社のほうではできかねるわけでございまして、それはいたしていないわけでございますが、大体の推計によりますと、三割程度は保険契約に入っておられるのではないだろうか、かように考えております。その金額は、当初は二千万円程度だというふうに考えておりました。しかし、その後被災家屋の数もふえてまいりまして、最近では、五千万円程度ではないだろうかということを言っておりますけれども、これもはっきりした数字ではございませんので、ここではっきりそういうふうに申し上げるわけにもまいらないと思います。
  158. 松井誠

    ○松井(誠)委員 総額二億の見舞金といいますか、義援金が、さてどういう形で配分されるかということでございますけれども、私は、これが法律的に、いわゆる保険契約に基づいて払うべきかどうかという議論が残っているぐらいの状態でありますから、事実上はこれは保険金額の支払いにかわるものだというたてまえで考えますと、これは一般の義援金の中に込めて配分をしてしまうということでは、本来の趣旨とは違うのではないか、これは法律的には払うべきかどうかということがはっきりしないけれども、しかし道義的な責任があるから見舞金を出そうという、その直接の動機というのは、やはり焼けた人あるいはその損害を受けた人に契約どおりの金を元来は払うべきものなんだという考えが底にあるのではないか。ですから、一般の義援金の中に込みにして配分をするということは、元来の趣旨と違うように私は思うのですけれども、この配分の方法について政府のほうではどういう考えをお持ちか、あるいはそれは全く県にまかせて、関知しないということになるのか、いかがでございましょう。
  159. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 総額で二億円の義援金を拠出することにきめておりますが、まだ実行はいたしていないと思います。この方法でございますけれども、実は大蔵委員会で、政府は何らかの措置について適切な指導を行なえ、という、保険業法の一部改正の際の附帯決議をいただいております。したがって、その趣旨は保険業界のほうにも伝えまして、指導上遺憾なきを期している次第でございますが、どういう契約者に幾らこの義援金を渡してくださいとか、あるいはその基準はこうでございますということを、義援金を出すほうが言うことは、これはいかがであろうかという考え方が保険業界に強いようでございます。したがいまして、県当局へその金をお渡しいたしまして、被災者の方にそれぞれの県のほうでお考えになる基準に従ってこれをお配り願いたいということを申し上げているようでございます。ただその際、保険契約者とその他の被災者の方と全く同じかどうかという点につきましては、これは実は義援金は保険金の支払いとは全然関係のない事柄でございますから、その点ははっきり別ものであるというふうに考えていいわけでございますけれども、やはり現地では、これも私伝え聞いたところでございますが、ニュース等で、保険契約者の方は申し出てくださいということで、契約者の方がしかるべく、県当局でございますか、市当局でございますか、申告をされる。したがって、それを見ながらしかるべく義援金をお配りになれる形ができているやに私どもは伺っております。しかし、政府といたしましては、その内容につきまして、契約者についてこうという基準その他は業界にも指導をいたしておりませんし、また業界も、そういうことは、いわばひもつきの義援金という形は今後もする気持ちはないのじゃないか、かように私どもは考えております。
  160. 松井誠

    ○松井(誠)委員 新潟県の労働者がつくっておる消費生活協同組合、これも火災共済でやはり約款の上では若干問題があるために、その金額の全額をお見舞い金として出そうということをきめておることは、おそらく御承知だと思うのです。そしてそれにつられて、新潟市の市営の共済のほうでも、やはりこれは見舞い金として全額払おう、そういう方針になっておることも御承知だと思うのです。そういう場合に、私よく知りませんけれども、何か一定の額以上の寄付は経費と見ない、したがって、これは利益金の処分というような形で税金がかかるのだというような配慮もあって、実質的にはその契約金額の支払いなんだけれども、やはり県を通して義援金の中に込めるという方法をわざわざとるのは、単にそういうことを何か一般の寄付と同じように見られて、個人個人に直接寄付をすれば、これは県なり市なりに対する寄付とは違ってやはり税金の対象になるというような配慮があって、直接にやらないで県にやるというようになったのじゃないのですか。
  161. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 その点につきましては、県に一括して義援金を差し上げるという点は、確かに税法の上でもこれは損金に認めるということに主税当局も認めております。しかしながら、個人に保険会社が保険金をかりに払うといたしましても、これはもちろんいわゆる経費でございますから、保険会社にはかからないわけでございます。ただ、義援金を個人に出す場合にどうかというお尋ねでございますが、これは個人個人にその被害額に応じて義援金を出すということはなかなか煩瑣でございますし、保険会社としても能力上そこまでなかなか手が回りかねると思いますので、むしろ義援金の趣旨に従いまして一括して出したほうがいい、税の上では、おっしゃるように 一括して出しますと、当然これは損金として経理されるということでございまして、それがねらいでそういうふうにしたというふうには私ども考えておりません。
  162. 松井誠

    ○松井(誠)委員 現に消費生活協同組合のほうでは、何も県というクッションを置かないで、直接に個人個人に見舞い金として払おう、しかし、それが寄付であるということで税金をとられるということなら別だけれども、おそらくはそういうことはないであろうから、直接に払うというように態度を大体きめておるやに聞いておるのです。それは事務は煩瑣であるには違いありませんけれども、その場合に、そういうことはあり得ないと思いますけれども、念のためにお聞きをしたいのですが、個人個人に見舞い金を出す、これは形の上では寄付、しかし実質的には保険金の支払いだということになるわけです。ですから、いわゆる一定額以上の寄付についてはこれは経費と見ないとかなんとか、そういう問題にひっかかって税金をとられるということはまさかないと思いますけれども、この点を念のために伺っておきたいと思います。
  163. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 私、税務当局でございませんので、どういう場合にどういうふうになるか、はっきりしたことは申し上げかねますが、見舞い金、義援金につきましては、そういう形のものは損金になるように税務当局と了解をつけております。したがいまして、かかる場合はないというふうに考えております。
  164. 小宮保

    ○小宮説明員 お答えいたします。  ただいま中嶋調査官からお答えいたしましたことでございますけれども、一般の損害保険会社の場合に、二億円という話は私も伺っておりますが、結局、税の問題は、実際の出し方の事実認定に基づいて態度をきめることになりますので、正確な話を伺ってみませんと最終的な判断はできないわけでございますけれども、県に渡すといったようなかっこうでの場合には、これはいままでの取り扱いにおきましても、災害救助法が発動された場合に、義援金という形で県が募集いたしまして、それが県の立場において配分されるような場合には、これは出したほうで経費に認めておるわけでございます。  それから消費生活協同組合のほうのお話でございますが、これは損害保険会社と同じような形になりますれば、それと全く同様な取り扱いになると思うのでございますが、あと個々の給付というかっこうで出すというようなお話かと思うのでございますけれども、それにつきましては、実はまだその出し方についての詳細を聞いてないわけでございまして、ちょっとそこら辺は判断をしかねるわけでございます。
  165. 松井誠

    ○松井(誠)委員 それでは、たとえば県に見舞い金として出して、それに一つ一つひもをつけて、何の何がしに幾らというひもつきの形の義援金ならば、それでもいいのですか。
  166. 小宮保

    ○小宮説明員 そこら辺は個々のケースによって趣が違うかと思うのでございますけれども、災害救助法が発動されまして、それで県が募集をしましたような場合には、それがあと県の立場において、かりに個々の契約者等に、ひもつきというとどういうことでございますか、厳密な意味のひもつきということじゃないと思うのでございますけれども、その契約者にある一定の基準で配分されても、これは出すほうで経費に認めて差しつかえないと思います。
  167. 松井誠

    ○松井(誠)委員 私が実はこういうことをお尋ねするのは、消費生活協同組合は全額を個人個人に払いたい、これは約款の文句にかかわらず払いたいという気持ちがある。ところが、同じ立場にある損保協会では、それでは今後の例になるから困る、だから義援金という形で、今後の例にならないようにしたいという気持ちがある。それにひっばられて、労働者の団体である消費生活協同組合が自分らの仲間のために金を払おうということ自体をチェックされては困ると思います。そのチェックをする一つの理由は、いま言ったように、これが税金との関係になる。きのう私は国税庁で実はいろいろお尋ねをしました。そのときには、これは結局、個人個人に払う分についても税金の対象にはしないのだというように話し合いがついているというように私は伺ったのです。それを念のために私はここでもう一ぺん確認をしようと思った。しかし、いまのお話ではさっぱり話がはっきりしない。これはまだ方針はきまってないのですか。
  168. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  169. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 速記を起こして。
  170. 小宮保

    ○小宮説明員 それでは、ただいまの件につきましては、実態を調べまして、次の機会にお答えすることにいたします。
  171. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その労働者の団体が災害を受けた労働者に金を払おうというその意図をそこなわないような、前向きな方針を早急にきめていただきたいと思うのです。  それでは、火災地区の問題は、時間がありませんからこれくらいにしまして、あと簡単にお尋ねをいたしたいと思いますが、これは政府のどなたになるのかよくわかりませんけれども、けさほど新潟県の副知事から今度の地震についてのいろいろな要望、御説明がありました。激甚災害指定の漏れた分について、それも入れてもらいたいという要望が主でありました。これについて稻葉委員の質問ではっきりした点もありますけれども、この要望について、現在の段階でどういう御意向かという点について、どなたか、まとめてお答えいただきたいと思います。
  172. 松永勇

    ○松永説明員 お答えいたします。  今回の地震は非常に大きな損害を出しましたので、非常災害対策本部といたしましては、各省に対しまして、早急な復旧激甚災の早急な指定をお願いした次第でございます。一昨日の中央防災会議で一部の激甚災指定が答申された次第でございますが、従来でありますと、この激甚災指定には調査が非常に長くかかりまして、ずっとおくれるのが通常でございます。今回はその点は各省が非常に努力してくれまして、比較的早く指定を見るに至ったわけですが、もちろん、今回は、調査が進んで、間違いないというものについて指定しました。現在も調査は進行中でございます。調査ができ次第、逐次この指定をやっていく。できればもう来週あたりに次の指定もやりたいというふうに考えておる次第でございます。
  173. 松井誠

    ○松井(誠)委員 そうしますと、この激甚災害措置として漏れた分については、調査が未了だから指定をしなかったのであって、調査が完了次第指定をする。まあ指定をしないのもあるわけでしょうけれども、指定をする。調査が完了したけれども、指定をする必要がないから指定をしなかったのだというのは一つもないわけですね。
  174. 松永勇

    ○松永説明員 現段階では、調査をして、指定をしないというものはございません。
  175. 松井誠

    ○松井(誠)委員 問題は、やはりその時期の問題が非常に重要な関係を持ってくると思うのですが、来週早々にもというお話がございましたけれども、けさほど県から要望があったこういう問題についての全体の結論が出るというのは、一番時間的に早く急いで大体いつごろになりましょうか。つまり、これは現地復旧の意欲なりあるいは計画なりというものに非常に関係があるわけですから、なるべく早い時期の指定というものが必要だと思いますけれども、そういう意味で、大まかな見通しでけっこうですが、お伺いいたしたいと思うのです。
  176. 松永勇

    ○松永説明員 通常でございますと、激甚災指定のすべてを終わるというのは三カ月くらいを要するのが従来の例でございました。今回はその点非常に各省に急いでいただいております。先般の中央防災会議指定になりましたものは、大きなものは大体あれに入ったわけであります。あとの残りのものにつきましてもいま急いでおりますから、相当おくれる、一番おくれるというものでも今月一ぱいには全部の指定が行なわれるだろうという見通しでおります。
  177. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その激甚地域の指定とか、ある特定公共団体ですか指定公共団体ですか、それの指定というのはいつごろになりますか。
  178. 松永勇

    ○松永説明員 御承知のように、激甚災法律第三条に掲げてあります種々の事業、これには道路、港湾から河川、一切のいわゆる公共的な土木事業全部が入るわけです。それからもう一つ、今後こういうことがあってはならないと思いますが、この年度内にさらにいろいろな災害があったという場合には、それも合算して計算するたてまえになっております。したがいまして、そういう公共団体が行ないますすべての公共的な土木事業の損害額、復旧額を積算いたしますのには、これは相当な時間がかかります。全部のものをまとめて標準税収入との比較をやるわけでございます。この点は、従来の例もそうでございますが、おそらく年度末近くまでかかる、あるいは来年の初めまではかかるのじゃないかというふうに見通しております。
  179. 松井誠

    ○松井(誠)委員 けさほど農林省の官房長のお話ですと、この激甚法の第七条の関係で、水産動植物養殖施設というものについては大蔵省と折衝中だという御答弁があったわけですが、そうすると、これは調査というものはすでに終わっておるけれども、指定をするかどうかということについての折衝だという趣旨であると思いますが、これはどういう理由なのか、その点おわかりでしたら、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  180. 中西一郎

    中西説明員 水産関係、小型漁船あるいは養殖施設についての被害の状況がごく最近わかりました。それをもとにして昨日来大蔵省と折衝いたしております。その関係での折衝の重点としましては、水産関係についての激甚法適用基準そのものが、中央防災会議等でほかの農地あるいは農業施設のようにはさまっていない事情がございます。その基準の点を含めて現在折衝をしておる段階でございます。
  181. 松井誠

    ○松井(誠)委員 激甚災害の場合にいろいろの措置が発動される、その発動される措置指定基準といいますか、そういうものが一応きまっておる。いまのお話ですと、この水産業関係指定基準というものそのものがきまってない。そのために、被害の額はわかっておるのだけれども、もたついておるということなんですね。これは防災会議のほうにお伺いをいたしたいと思いますけれども、こういう指定基準がきまってないというのは、この激甚法の中でどれくらいございますか。
  182. 松永勇

    ○松永説明員 御承知のように、激甚法法律は、第二章関係のいわゆるグループ方式によって措置をするものと、第五条以下二十五条まで、いわゆる個別方式によって措置するものとがございます。そのうち一番大きいのは、第二章のグループ方式によるものでございますが、個別方式によります五条から二十五条まで二十項目でございますうち、基準としてきめないで、そのつどと申しますか、そのときの災害の状況で判断して行なうというものは七、八項目あろうかと思っております。
  183. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その七、八項目の中に、水産動植物養殖施設災害というのがあるわけでしょうけれども、そういう基準はやはりこの際全部おつくりになるのですか、やはりケース・バイ・ケースで、しかるべき方法指定をするということになるのですか。
  184. 松永勇

    ○松永説明員 こういう災害は、そのときの状態、特に今回のような地震災害について、どういう点が激甚災として指定するのに最もふさわしいかというものを判断してきめていくという必要があろうと思います。もちろん、こういう激甚災法律ができましてまだ日も浅うございまして、こういうものが、将来にわたって幾つかの経験を持ち、基準としてつくり得るような状態になれば、基準をつくっていくということが考えられると思いますが、現段階においては、各省の状況から、各省でそういうものを検討していただく、そして指定すべきものは指定していく、こういう方式をやっていきたいと思っております。
  185. 松井誠

    ○松井(誠)委員 時間がありませんから、次に一、二点ばかりお尋ねをいたしたいと思いますけれども、一つ住宅の問題です。地震ですから、もちろん住宅被害が大きい。その住宅被害の中で、二十坪以上の問題については、先ほど稻葉委員からお話がありまして、およそのことがわかりました。しかし、問題は、そればかりではなしに、ほんの少々いびつになった、少しばかりこわれたというのがずいぶんあるわけです。それも、先ほどちょっと申し上げましたように、今度の被災地というのがおおむね低所得の人たちが住んでおる地域に集中されておる。そうしますと、いわゆる災害復興資金のワクにはまらない二割以下の修理というものについても、やはり自分で金を出してという能力のない人がずいぶんおると思うのです。ですから、そういう普通の災害復興資金のワクをはずれるようなものについて、したがって少額でありますけれども、しかし、少額であるにかかわらず自分では金が出せないという人たちのために、いろいろな方法があるでしょうけれども、一つは、やはり住宅金融公庫の手当てというものも必要ではないかということを考えるわけです。その点について何がしかのお考えをお持ちかどうか、住宅局のほうにお伺いをしたいと思います。
  186. 尚明

    ○尚説明員 御承知のように、災害復興の貸し付けのうちの補修につきましては、家が二割以上破損したものでございます。しかしながら、二割までも破損しないものにつきましては、これは災害復興でなく、在来やっております住宅改修資金というのがございまして、これは改修の度合いに応じまして、五万円ないし二十五万円を貸すわけでございますが、これを運用いたしたいと考えておりまして、現に新潟山形等におきましてその運用をはかりつつあります。
  187. 松井誠

    ○松井(誠)委員 運用をはかりつつあるというのは、これは政令改正も何も必要がなくて、措置だけでできる問題なんですね。
  188. 尚明

    ○尚説明員 さようでございます。住宅改修資金貸し付けというものを昨年来やっておりまして、これは主として農村に向けての貸し付けでございますが、その他、公共団体が必要と認めた改修というのがございまして、これはすでに現行で動いているものでございます。これをすでに貸し付けるということにいたしております。
  189. 松井誠

    ○松井(誠)委員 現地指導では、住宅金融公庫に対する申し込みは八月一ぱいで締め切るというようにいわれておりますので、当初の住宅の復興資金というのはもう潤沢だという印象が、何か薄れてまいりました。そこで、八月三十一日という締め切りはどういう意味を持つのかよくわかりませんけれども、ともかく住宅復興資金というものについては、これでもうワクがなくなったから打ち切りだということはないということを、念のためにもう一度確認をしておきたいと思います。
  190. 尚明

    ○尚説明員 災害復興住宅の申し込みは、一応八月三十一日までで期限を切ろうと思っております。しかしながら、状況に応じまして、なお申し込みがあるようだったら、この延長もそのときに考えなければならないと思っておりますが、ただいま申しました住宅改修資金のほうは、特別に八月三十一日という限期を持っておりません。
  191. 松井誠

    ○松井(誠)委員 最後に一点お伺いをいたしたいと思いますが、何度も言うように、今度の罹災者というのは所得の低い人たちが多いのですから、世帯更生資金だとか生活保護の費用だとかいうものの需要がずいぶん多いだろうと思うのです。こういう問題についても地元からいろいろ要望があると思いますけれども、住宅金融公庫の修理なり補修なりというのは、やはりなかなか条件がやっかいだ、そこで、できるならばやはり生活保護法による応急な修理の金をもらいたい、あるいはそれよりもう少し大きければ、世帯更生資金住宅資金を借りたいというところへどっと流れていくわけです。したがって、通常のワクの中では世帯更生資金にしても生活保護の費用にしても足りなくなるだろうということは、十分予想されるわけですが、これは厚生省のどなたになるのかわかりませんけれども、そういう点についても、今度の被災の持っておる性格というものを考えて、できるだけそういう一番底辺の人たちが困らないような予算の措置というものをお考えいただきたいと思うのです。その点を最後にお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  192. 宮田千秋

    ○宮田説明員 お答え申し上げます。  厚生省の関係におきましては、災害救助法に基づきまして家屋の応急的な修理ということをいたしております。それにつきましては、単価を従前は二万三千円にきめておりましたけれども、今回大蔵省と相談をいたしましてこれを二万八千円に引き上げるという措置を講じまして、そのように現地に指示をいたし、実施をいたしております。それから関連いたしまして、いわゆる低所得階層及び母子福祉世帯につきましては、母子福祉資金貸し付けの中で住宅資金を一部実施いたしております。それから世帯更生資金の中でも災害援護資金等を実施いたしておりますので、それらを適用いたしまして、実情に応じ適宜いたさせるようにいたしております。
  193. 松井誠

    ○松井(誠)委員 もうやめるつもりでしたけれども、御答弁が非常に抽象的で、もう一回お伺いをいたしたいと思うのですが、たとえば世帯更生資金にしても、いままでの県と国の負担の区分をほんとうは変えて、国がもっとよけい負担してもらいたいという要望もある。あるいは、現在の負担区分のままでもいいから、ワクをもっとふやしてもらいたいという要望もある。そういう要望に具体的にこたえられるような配慮をしていただきたいというお願いなんです。
  194. 宮田千秋

    ○宮田説明員 母子福祉資金のほうにつきましては法律で実施をいたしておりまして、激甚災のほうにも入っております。第一回の指定からは除外をいたされておりますけれども、協議をいたしまして、第二回の指定の中で母子福祉資金については激甚災のほうへ加える、かような措置をいたすようにただいま検討いたしております。  それから世帯更生資金のほうで実施いたしておりますものは、法律に基づくものではありませんで、予算補助でありますので、激甚災指定の中には入りませんけれども、激甚災指定があった場合に準じたような予算上の補助率を引き上げるという措置が必要であると私どもは考えておりまして、ただいまそのように予算措置をいたしていただくように折衝、検討中でございます。
  195. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 小沢辰男君。
  196. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 時間もないようでございますので、重複を避けまして若干質問をいたしたいと思いますが、こちらも急ぎますので、答弁もはっきり簡単にやっていただければけっこうだと思います。  まず、先ほど松井先生からもお尋ねがありましたが、罹災市町村、その中の罹災のそれぞれの態様に応じまして、一体今後の復旧に特別な国の援助があるのかないのかという点を非常に地方では心配をいたしております。総理をはじめとして、関係大臣が逐次御視察を願いまして、この点、地元の者として非常に感謝をいたしておりますが、その際でも、各町村から、あるいはいろいろな被害の団体から、激甚法適用をやってくれというようなことで陳情があるわけでございますが、また総理も、新聞記者会見で、その点はもう一切問題ない、これだけの災害なんだから、災害を受けたところはみな指定してやるよ、心配するな、こういう話がありましたのですが、そこで私お尋ねしたいのですけれども、激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律というものの第二条第一項と第二項——第一項で「当該災害激甚災害として政令で指定するものとする。」となっておりますが、これをもとにして、この前の防災会議で、新潟地震、すなわち山形、秋田を含めました今度の名称新潟地震全体を激甚災害指定する、こういうふうにきめたと承っておりますが、そうしてこの財政援助の特例の法律適用するそれぞれの事業につきまして、五条、六条、十二条、十五条、十六条、十七条、二十二条、二十四条というものを御決定になった。それは、前の新潟地震激甚災害として指定するというのが一項で、二項のほうで、いまの適用、それぞれの条文を事業として御決定になった、そういうことでございますか、この点をはっきりお願いします。
  197. 松永勇

    ○松永説明員 趣旨は大体そういうことでございます。激甚災として新潟地震指定する、適用すべき措置ということで、いま申されましたあの条文をさしあたり指定したわけでございます。
  198. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 そこで、第二章の第三条の冒頭には「政令で定める基準に該当する都道府県又は市町村がその費用の全部又は一部」云々とありますが、したがって、この事業適用をおきめになりましても、あるいは新潟地震そのものが激甚災害指定されましても、現実に被害を受けた市町村が、実はしろうとですから、あの決定があったということで非常に安心をして、自分のところもこの法律対象になるのだというふうに思っているわけです。ところが、先ほどの松井先生の質問に対してお答えになったのを聞いておりますと、それぞれ別の角度から、基準財政需要額あるいはまた標準税収額というようなもの、すなわち政令の第一条の関係、それから被害調査をやって、そういう点から、それぞれ、おまえの市はだめだ、おまえの町はだめだ、おまえの村はだめだ、こっちはいいんだ、こういうようなかっこうに事務的にはなっていくのじゃなかろうかと思いますが、その点はどうですか。
  199. 松永勇

    ○松永説明員 激甚災法律の施行令第一条にその趣旨が書いてございます。激甚災として指定はされますが、この激甚災として国の特別の財政援助をしようというには、特別の被害を受けておる、すなわち、通常の補助率以上にこれを引き上げようという措置でございますので、特別の被害を受け特別の需要を必要とするというものを第一条で規定しておるわけでございますが、それは、今回の災害によっていわゆる公共土木災害というものの復旧総額が、その公共団体の標準税収入の、県にあっては百分の二十、市町村にあっては百分の十をこえるものについてこれを指定するということになっております。
  200. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 そこで実は午前中に稻葉さんから、県全体を指定できないかというようなお尋ねもあったわけですが、この稻葉先生の午前中の質問に関連をして、稻葉先生は、別の観点から県全体をやったほうがいい、いろいろ他の公共事業の施行なり、その他いろいろな面から考えて、県全体を指定したほうがいいと思うのだが、それがまたできるように自分も法律解釈できると思うが、その点についての見解をお問いになったわけです。稻葉先生最後の質問のときにそれがあったわけですが、たとえば、ある村におきましては、標準税収入の百分の十をこえなければこの特別な財政援助法律適用を受けられない、こういうようなことになる。そこで、県全体は当然百分の二十を上回るというような場合に、また隣接の関係からいいますと、隣の村が指定になって、部分的かも知らぬけれども、同じように部分的には非常な災害を大きく受けたところは、市町村全体から見て、そうした一割に達しないというような場合に指定にならないで非常に困るという事情もあるようでありまして、こういうようなものを今回の場合にはできるだけ幅広く考えていくような考え方があるかどうか、この点を一つ。それから稻葉先生の、県全体を指定するという考え方に対して、政府は率直にどういうようにお考えになりますか。
  201. 松永勇

    ○松永説明員 稻葉先生の質問にお答えしたところでございますが、この財政援助法律というものは、そういう財政の緊迫した状態にある団体を援助するということでございます。したがいまして、この復旧事業を行ないますのにも、その復旧事業を行なう主体があるわけでございます。県がやる事業市町村がやる事業、その事業を主体としての県あるいは市町村が行なわなければならないために財政需要がかさみ、それが非常に大きな額になるために、国が特別な援助をしようとするということでございますから、したがって、その主体ごとにそれがどの程度の負担になっておるかということを見て、それがある一定の限度以上に達しておるものに対しては、国が特別の援助をしようという仕組みになっております。したがいまして、稻葉先生にもお答えしましたように、その市町村と県とをひっくるめてと申しますが、事業主体として考えた県、事業主体として考えた市町村というものの財政需要をつかんでまいる関係上、いまのような組織から、この基準に該当しないものは援助対象にならないという仕組みになっておる次第でございます。
  202. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 したがって、稻葉先生の質問なり、意見のようには、県全体を指定すればいいというようなかっこうにはならぬで、この財政援助対象になるそれぞれの公共事業というものを実施する主体が県の場合に、その当該県がいわゆる標準税収入の百分の二十以上の被害総額、復旧総額にならないと、その県がだめだし、また、当該市町村がやはり行なわなければいかぬような事業について、当該市町村が今度指定になるかどうかは、その被害総額あるいは復旧に要する全体の事業費がその標準税収入の百分の十をこえなければだめなんだ、こういうことに法律上はなっておると思うのです。したがって、その点を明確におっしゃらないと、たとえば災害地の一般の人たちは、災害の場合には災害救助法の発動があったというと、全部もう自分たちは激甚災指定になって、何かやるときにはみな高率の補助が来るのだというふうに思い込んでしまっている。しかも緊急を要する事態ですから、たとえば、ある村で水道が非常にやられまして、これをもうどんどんやらなければ困るものですから、もう借金してでもといいますか、ある工事人にやらせて応急にみなやっておる。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、その町村はこの指定にならないというような場合には、あとで非常にトラブルが起こるといいますか、財政上非常に困る事態が起こってくる。そこで、私は、将来の立法論なり、あるいは今回の取り扱いについてこの法律なり政令をどういうようにするかという問題は一応別問題にしまして、現状の政令なり現状の法律なり、とにかく現在の法令ではこうなっておるんだから、そういう点をしっかりとやはり地方のほうに認識をさす必要があろうと思うのです。この点について特に県から市町村に対して十分指導が行き届くようにしていただいて、そこで実態に合わないで非常にまた市町村が困ってくるものの対策については、われわれも党なり国会なりで取り上げて、政府にお願いすべき点はお願いをしよう、こういうように考えますが、とりあえず、この激甚法をめぐるいろいろな指定の問題について、たとえば事業そのものを、先ほど松井先生が言われましたように、私どもも、七条なり八条なり、十条なり十一条なり、十三条なり十四条なり、十九条なり二十条というものを早急に適用してもらわなければ困るけれども、同時に、これらの中では、その行なう主体たる市町村なり県が、はたしてこの法律の特例を受け得る市町村として指定されるかどうかという点が非常に問題になってまいりますから、この点をひとつよく県から末端に指導をしてもらうように中央より御指示を願いたいと思います。  それからもう一つ、この激甚法関係事業とそれ以外の事業に分けまして被害総領を出されて、そうして防災会議でいろいろと議論をされたと思いますが、その災害関係適用以外の公共事業として上下水道、し尿処理——先ほど稻葉先生からも他の先生からも話があったと思いますが、いままでは風水害でございますから、地下の埋設物についての被害は、私は部分的にはもちろんひどいのがあったと思いますけれども、これは当然地方公共団体の行なう事業でございますし、しかも公営企業といいながらも特にそれで採算をとっていくというようなもので、普通の一般の企業と違います。したがって、特に下水なり、し尿につきましては、もちろん手数料を取っているところもありますけれども、今回の災害を受けたところにつきましては全然下水手数料を取っておりません。そういたしますと、当然これらはそういう特別財政措置法の対象になる公共事業の中に入れるべきだと思うのでございますが、この点の研究をするのか。関東大震災のときは、水道はたしか八五%予算補助をやったと思います。福井震災のときは、いまちょっと忘れましたが、三分の二かなんかじゃなかったかと思いますが、福井震災以後今日までの物価の上昇、資材、労賃の値上がり、それから、遺憾ながら、新潟と福井の都市の規模、こういう点から考えますと、私は関東震災並みの考え方でひとつ今後の検討を進めてもらいたいと思いますが、この点について大蔵省のほうからひとつ……。
  203. 澄田智

    ○澄田説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  上下水道あるいはし尿処理、こういう点につきまして、これはただいま御質問にありましたように財政援助の特例法には入っておりません。その趣旨は、これはただいまもちょっと小沢委員がおっしゃっておられましたように、準公営企業と申したらよろしいのですか、公営企業的性格を持っているということもございます。したがいまして、従来は、立法した例と、立法しておらない例がございますが、最近においては激甚災法律体系が整備されたことでございますので、これらにつきましては、その体系外の問題といたしまして予算措置をもって処理をしたい、その場合には、もちろん過去の例等を慎重に検討いたしまして、今回の災害の特例、こういうようなことも十分考慮いたしまして、過去の例に従い、あるいはそれを勘案してきめてまいりたい、いずれにしても災害復旧に支障のないように措置してまいりたい、こう考えております。
  204. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 ぜひこれはもう少し深く検討をお願いをいたしまして、次に入ります。  私は今回の昭和三十九年度の一般会計予算を見ますと、災害関係でたしか百億ばかり予備費がある。それから一般会計全体としての予備費が二百億あったと思います。そこでまた足りなければ、他の流用、あるいはまた、これからの状況にもよりましょうけれども、補正予算等当然組んでいただかなければいかぬと思いますが、問題は既定予算、すなわち大部分、もう六月の半ばでございますから、いろいろな公共事業補助の個所づけも大体各省で終わっておると思うのですが、その場合に、たとえばそれぞれの所管別に、どうせこの災害の特別財政援助等に関する法律によって高率補助を出さなければいかぬから、したがって各省の一般公共事業をなるべく縮小して、財源をできるだけ災害のほうに回してやれというような考えをおそらくおとりになる傾向が強いのじゃないかと思う。ところが、ことしは災害予備費というものをはっきりと上げてあるのだし、また私は、決して今後補正予算の財源に少なくとも災害関係の対策費が出ないような日本じゃないと思うので、この点、基本的な方針として、一般補助財源といいますか、そういうものを——もちろん、たとえば当該罹災県あるいは罹災市町村で、どうしても自分のほうは地元負担できませんというので辞退せざるを得ないものは、これは別でございますけれども、他の全般の公共事業をできるだけこの際圧縮をして実行予算で押えて、そしてその財源を災害のほうに回すというようなことのないように、この点は特にひとつお願いをいたしておきたいと思います。おそらくそういうことはないだろうと思いますが、ここではっきり、そういうことは絶対にしない、性質が違うのだからという明確な答弁をお願いしておきたいと思います。
  205. 澄田智

    ○澄田説明員 ただいまの御質問でございますが、まず初めにちょっとお断わり申し上げておきますが、今回予備費が百億円増額になりまして、計三百億円の予備費がございます。これは予算編成の途中におきましては、政府原案の段階に、災害のための特別な予備費というような考え方はちょっと出たことはございますが、でき上がりました予算といたしましては、百億円が特に災害のためということではございません。したがいまして、三百億全部災害に充てることができるわけでございます。現在約五億九千万円ばかり支出いたしております。しかし、そのうちの三億三千五百万円は新潟地震関係、特に急ぐものについて支出したわけでございますので、ほとんど全額災害のために充てることができるわけでございます。そして現在までのところ、もちろん、新潟地震に対しまする国費の支出につきましては、被害の状況をよく詳細に見ませんと、これで足りるかどうかということはわからないわけでございますが、現在はこの予備費をあげて充てることができるということでございまして、ただいまお話にありました公共事業その他の支払い計画、実行計画の段階においてこれを押えて災害に回すというような意味合いで押えるというようなことはいたしておりません。ことしは特に支払い計画を早くきめまして、従来これがおくれているという弊もありますので、そういう点も改めたいということで、これは地震よりもずっと前からでございますが、各省にお願いいたしまして、支払い計画をきめるのを早めてきております。それをわきまえて逐次実行に移されておる、こういう段階でございます。これを押えて災害にどうするというようなことは考えておりません。
  206. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 たいへんけっこうでございますが、それともう一つ、いろいろな財投から出ておる資金の各公庫がございます。これらには、たとえば厚生省関係でも、医療金融公庫に災害復旧の医療機関が申し込みをする、あるいは福祉事業団にもしかり、いろいろな関係が起こってくる、あるいは中小三公庫その他あると思いますが、そういう災害関係資金需要については、全く別個に大蔵省のほうで考えていただくということをここではっきり言明していただきたいと思います。
  207. 澄田智

    ○澄田説明員 これは主計局の関係する面ばかりじゃないところもございますが、それぞれの公庫等には災害のためのワクがすでにとってあるものもございます。そしてあらかじめ災害のための貸し付けという用意がしてあるものもございますが、なおそれで足りるかどうかというのは今後の状況による面もございますし、それからこの場合はほかの貸し出しのワクを回すことも、予算と違いまして、繁閑に応じまして指示ができるという問題もないわけではございません。そういうような点をにらみ合わせまして、遺憾なきを期してまいりたい、こう考えております。
  208. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 次に、自治省関係になるかもしれませんが、大蔵省にも関連がありますので、どなたでもお答え願いたいと思いますけれども、現在新潟県、山形県、秋田県で、それぞれ罹災市町村の、その金額の程度はいろいろ違いがありましょうけれども、今年度起債償還等、とにかく借金をかかえて払わなければならぬのがたくさんあると思います。新潟市の例をとっても、たしか今年度は元利を含めまして四億の償還をしなければならぬ、そういうようなものについては、これは当然延納の措置がとられると思いますけれども、この点を早目に決定していただいて、予算の更正をそれぞれ市町村でできるようにしてあげるべきだと思うのですが、この点は自治省ですか、よろしい、三年でも四年でも延ばしてやろうというようなことになっておるか、それをはっきりお願いします。
  209. 岡田純夫

    ○岡田説明員 査定が進みましたならば、公共施設災害の地方負担分につきましてはほとんど完全に起債を認めるつもりであります。なお、その起債の分につきましては、償還金については、普通交付税で九割五分までは補償することになっております。したがいまして、今度の災害に関連しましては、普通交付税でもって完全に補てんされてまいるだろう。過去の公債費につきましては、やはりいまのように交付税で補てんされているものもございますし、これは返すべきものでございますので、やはり返すべきものは、他の例にかんがみましても返してもらう。しかしながら、災害に関連してのものにつきましては、所要の普通交付税をただいま申しげましたように認めてまいる。なお、その公債費等も含めまして、非常に財政的にこの災害が圧迫を加えてまいりますような場合には、また加えてまいるということは当然考えられますので、年度末に特別交付税におきましてそういう点も十分頭に置きまして配慮してまいりたい、かように考えております。
  210. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 そうすると、たとえば国民の個人個人に対しましても大蔵省のほうで税の延納なり減免なりやっておるわけです。そこで、地方公共団体——いまおっしゃった答弁を聞いておりますと、災害の負担分については、普通交付税の前渡しをどんどんやっていくとか、あるいは特交であとのいろいろ始末をするということなんだが、従来借りてあるものの今年度払わなければならぬ元利償還金については、やはり延納はできません、払うものは払ってもらわなければいかぬ、こういうような答弁のように聞きましたが、これでは、実際大災害を受けた、特に新潟市あたりを見ますと、四億の金を今年度払うということは、事実問題としてなかなか困難だと思う。この点は、当然、一般の民間でも、たとえば東北開発公庫なりあるいは他の公庫から出しておる金を一時償還を延期して、さらに被害復旧についてはまた金を貸しておるというような点もあるわけですから、公共団体だから当然あなたのほうで配慮すべきだと思うのですが、どうですか。
  211. 岡田純夫

    ○岡田説明員 直接そのお答えになるかどうかわかりませんが、そういう問題が地方団体の資金繰りに大きく影響していくということは十分考えられます。したがいまして、自治省といたしましては、交付税の配分——六月、九月等きまっておりますけれども、九月以降の分につきまして今回五十七億二千万円の繰り上げ交付をいたしました。もっとも、そのうち新潟関係は五十五億程度と記憶いたしておりますが、したがいまして、そういうような意味におきまして金繰り的には相当やってまいれるのではなかろうか、また、短期の資金につきましては、理財局とも相談いたしまして応援もいたすことになっておりますので、十分まかなってまいるのではあるまいか、また、そういうような財源の補てんの問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、年度末の特別交付税の際に十分考えてまいりたいということになると思います。
  212. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 時間もありませんから繰り返してやっておれませんが、たとえば罹災市町村は税収入が当然どんどん減ってまいります。これは市としても個人に対しては延納を認めなければいかぬ、それから国民健康保険の保険料あたりも、免除したり延納したりさせなければいかぬ、そういうような事態を考えますと、非常に大きな災害を受けたような市町村については、これはただ資金繰りの点で何とかひとつ交付税の前渡しをやるとかいろいろなことで、最後に特別交付税を年度末に何とか考えてやりますと言っても、現実にはどれくらい特交で最後のめんどうを見てもらえるのかどうかも、なかなかいまからはっきりしない。しかも地震が終わって小一年たった来年の三月には、ほんとうに今日現在のお気持ちのようにあたたかくその分を考えていってもらえるのかどうかという不安もあると思いますので、この点は繰り返し議論はいたしませんが、私どものほうの考え方なり、あるいは対策の一つとして、われわれはなおよく詳細に、もちろん当該市町村の地方財政そのものについても検討しながら態度をきめなければいかぬと思いますが、私どものほうではこの点は答弁に満足したというわけにいきませんので、十分考慮していただきたい、検討をさらに進めていただきたいと思って要望しておきます。  それから、今度の災害について、いろいろな公共事業、これは従来の災害の場合、どこの市町村に参りましても、単年度で復旧してもらいたいという声がありますけれども、これは緊急工事分の七割について大体三年計画、しかも大部分が二年で終わるように三〇%、五〇%という例になっておる。あと残りの三〇%分については四年計画ということになっております。したがって、単年度にすべてのものを復旧してくれという要望は無理だということは、いままでの例からしてわれわれもわかりますけれども、ただこの災害復旧の中で、たとえば農地の土地改良事業の中で用排水事業等を考えてみますと、これを三年でやるような場合に、したがって今年度中途はんぱになるために、非常に用水が不足あるいは排水がうまくいかないで、他の被害を受けないでこれから鋭意米をつくらなければいかぬというようなところも大きく影響を受けてしまって、せっかくとれるべき米が取れなくなるというような関連の土地改良事業等があると思います。そういうような面については、ぜひことしの米作、しかも八月一ぱい、九月早々に収穫期に入るわけでございますが、緊急工事分のうちでも特に全体の三割相当は第一年度にできるわけでございますから、これらを技術的に農林省なり県のほうなり、あるいは土地改良区なりと十分よく打ち合わせをし、現実をつかんでいただいて、支障のないようにやっていただきたいと思いますが、この点は、農林省、よろしゅうございますか。
  213. 永田正董

    ○永田説明員 お答えいたします。  被災農地の様子は非常に多種多様でございまして、流失、埋没、沈下、隆起、亀裂などがあるのですが、直ちに復旧することがことしの稲作上緊要であると認められるものにつきましては、被害の写真とか、それから被害が確認できる資料を整備して、農林省、大蔵省等各省の査定を待たずに緊急に取りかかってもよろしいということにつきまして、農林省から関係県知事に通達済みでございます。また緊急湛水の排除事業とか、あるいは被災後の用水不足による干ばつに対処するため、緊急にポンプを配置し応急工事を実施しております。  なお、農地の復旧事業につきましては、特に米作の単作地帯等について、予算の割り当てについて、翌年度の稲作に支障のないよう特に考慮を払うつもりであります。
  214. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 時間もありませんので、なお詳しく聞きたい点もありますけれども、もう一つ復旧に関連した方針として、大体いままでは原状復旧をたてまえとしておられると思いますが、改良復旧についての強い要望が稻葉先生からもあったわけでございます。私は今度の新潟市だけを申し上げて恐縮ですけれども、他の市町村もあると思いますが、非常に港湾なり、あるいはまた、工場、事業場等の、市の経済、産業の一番中心部が壊滅的な打撃を受けておるわけでございますが、これらの復興計画につきまして、ただ単に昔の姿に返すということでなくて、先ほど松井先生から消防庁といろいろ議論がありましたような点を考えてみましても、復興計画といいますか都市計画といいますか、関東大震災後に、東京都でたしか——あの際は、私ども聞いておるところによりますと、東京都はもちろんでございますが、学者を動員し、それから国のほうでもこれについて援助をされまして、一つの大きな復興計画をつくり、その計画によって将来の東京都をどうするかということをおやりになったと思いますけれども、規模は小さくても、やはりそういうような考え方で今度の新潟市の復興というものを進めていくほうが、より妥当な災害復旧になるのじゃないか。総理が現地へおいでになりましたときも、そういうような意味で特に談話の発表もあったわけでございますが、この災害対策基本法の中にも、「再度災害の防止のため災害復旧事業とあわせて施行することを必要とする施設の新設又は改良に関する事業が円滑に実施されるように十分の配慮をしなければならない。」というような規定もあるわけでございます。したがって、個々のいろいろな場所における公共事業、道路等につきまして、原状復旧以上の改良をさらにやるために予算をどうこうという、あるいは特別財政援助法の規定を使いまして、この際うんとりっぱにしたいんだというようなことについて、個々の場合にはいろいろ議論があるかもしれませんが、全体計画として、午前中の参考人の意見を聞きましても、やはり私は、将来——たとえば今度の被害を見ますと、そういうような地質構造、地盤というものの違いで非常に大きな被害が出ている、そういうところをまたそれぞれ同じように復興させたら、意味がない。河川堤防等につきましても、この前地盤沈下で港湾がやられまして、これの復旧をやります際に、先ほど松井先生も議論されたようでございますが、二回の失敗——と言うとことばは非常に強いのでございますが、将来、信濃川流域あるいは非常に地盤の沈下した新潟市というものを工業都市として復興する場合には、よほど別の考え方から——港湾のかさ上げ工事復旧につきましても、埠頭のつくり方にいたしましても、あるいはまた、先ほど言った昭和石油がそのままの現場で復旧すべきなのか、そういう点も十分考えた上での計画を、やはりよく学者の指導も受け、中央にも指導していただいて復興計画というものをつくって、その計画に沿う事業をやるべきだと考えておるのですが、これらの点につきまして、地方がもしそういう意欲を持ってそうした方向に進もうという場合には、中央でひとつその方針を、ただ単に、災害河川堤防がどこが切れたから、この程度でやっておけというようなことでなくて、いま私が申し上げるような考え方で、新潟の復興、新しい新潟の計画というものをつくり上げる地元の努力について、好意的にこれを技術的にもあるいは他の面においても援助をする意思があるかどうか、この点を内閣のほうから伺いたい。
  215. 松永勇

    ○松永説明員 ただいま小沢先生から、まさに研究しなければならない命題を与えられたわけでございます。本件につきましては、災害が起きました直後から、この復興というもの——復旧でなくて、復興というものをどうすべきかということは、政府としても種種頭を悩ましておるところでございます。それがために、本件について直接的な解決策になるかどうか、問題がまだ残されていると思いますが、このような災害を通じて経験してみまして、まず地盤との関係というものについてもっと検討すべきもの、あるいは総合的な調査研究をすべき問題点が残されているのではないか、この問題につきましては、科学技術庁を中心といたしまして、政府全体の科学技術陣というもの、あるいは国民も動員いたしまして、総合的な調査というものに取り組まなければならないということで、現在問題を進めておる次第でございます。こういう基礎的な調査、総合的な調査を今後生かして、どういうようにこれを基本的に考えていったらいいか。これは先般の中央防災会議におきましても議論された問題の一つでございます。現段階においてはまだ結論が出ているわけではございませんが、そういう地質との関係を考慮して、新潟のみならず、今後日本の防災というものにこれを生かしていくことを考えなければならないのではないかということが第一点でございます。  次は、いわゆる石油コンビナートのような危険なものに対して、都市づくりという面からどう考えていったらいいか、この点につきましても、先般の中央防災会議で種々議論された次第でございますが、特にまず都市計画の面から、こういう危険なコンビナートあるいは将来の爆薬物というようなもの、そういうものと一般市街地との関係をどう見ていくか、そういう点で都市計画上の考慮をもっと加える必要があるのではないかということで、今後この問題を早急に検討しよう。だから、一般的な都市全体の計画をそういう見地から再検討いたしますとともに、その地域地域に設けられているそういう危険物の保安行政というものを強化していかなければならないのではないか、そういう点からは、先ほど議論が出ておりましたように、保安及び安全に関する技術的基準というものをもっと整備していく必要がある。それから事業場における保安要員とか、あるいは自衛消防組織を強化していく必要があるのではないか。それから、先般の昭和石油の火災の例に見まして、化学消防の充実というような、一般的に申しますと、保安行政をさらにその地域の内部においては強化していくということを今後検討していきたい。  第三点としましては、今回のような災害を通じていわゆる地下埋設物というものが非常に大きな損害を受けます。これが都市機能あるいは産業の復興というものに非常に大きな隘路をなしたわけでございます。そういう点で、こういう地下埋設物というものの早期復旧をはかっていく必要があるのですが、特に道路の復旧を行なう前にこういう地下埋設物の復旧を急がなければならないという点も検討する必要があるということで、以上三議題につきまして中央防災会議で議論をし、今後各省で総合的にこれを検討して進めていかなければならない。もちろん、本件の新潟市の場合に当てはめて見ますと、地元公共団体の御意見も聞きながら国としては指導してまいらなければならないと考えておる次第でございます。
  216. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 この点は、なお十四日にまた委員会があるそうですから、その際に——いまの御意見、実はたいへんけっこうなんですけれども、もう少し別の面から私の趣旨を御了解願いたい点があるわけでございますが、いずれ次の機会にいたしまして、時間もありませんので、個々の問題で二、三お伺いいたします。  まず、住宅公庫につきましては各委員からいろいろ御要望がありましたけれども、私は、午前中の稻葉さんの質問に対してお答えになりました住宅局長の、原形復旧でひとつ住宅公庫資金を貸そう、こういうことを信頼いたしまして、貸し出し金額の制限は二十坪でやむを得ませんけれども、農家等につきましては、特に大きな住宅が世帯の構成数が多いために必要となってまいりますので、これが復旧につきまして、住宅部分が三十坪をこえたら対象でないんだ、だから根っこから貸さないんだということのないようにお願いをしておきます。  それから同時に、補修の問題が先ほど若干出ましたが、これは二〇%から五〇%までの被害部分については四万円から二十九万円の範囲内でお貸しする、二〇%以下については五万円から二十五万円という規定があるようであります。これは四万円と二十九万円とでは非常に大きな違い、五万円と二十五万円とでは非常に大きな違いでございます。一々窓口といいますか、そういうところで、あなたのところは、実はもう資金がないから、修繕なら一律五万円にしてくれとか、十万円にしてくれ、そういうようなかっこうにならぬとも限りませんので、どうせ災害を受けた人は非常に困っておりますので、何も余分に借りるような人はおりませんから、この点はひとつ十分指導をしていただきまして、少なくとも補修については、五割以下の災害の方々でも、今度は地盤が沈下したために非常に大きな工事になっておるようでございます。私自身のうちも罹災した一人でございますが、そういう点から考えますと、この末端における指導を、きめられた範囲、二十九万円なり二十五万円なり、できるだけ出してやるのだというふうに末端の御指導を願いたい。  そこで一つだけ要望がございますが、新潟県庁なりあるいは新潟市役所なりの部屋を提供するというふうに地元ではいっておりますので、私は前橋に関東支所があるということを聞いておりますが、新潟市に、法律上の新しい支所なり支店なりというわけにはいきませんけれども、早急にはできませんが、少なくともそこで処置、判断のできるような人を二、三人、市役所なり県庁に常駐をさせていただいて、住宅公庫は、御承知のように各金融機関がみな取り扱う、そういうような点で、金融機関によっては非常に皆さんの趣旨が徹底しない面もありますので、こういう出店をつくっていただくことによって、臨時の前橋の支所でも何でもけっこうですから、置いていただいて、そこへ来た人には、それじゃこれだけできるのだから、この窓口へ行きなさいといって何か持たしてやれば、金融機関のほうでもどんどんスムーズにその手続ができるということになりますから、将来当然新潟市くらいには支所を設けてもらいたいと思いますけれども、この点ひとつ早急に措置をしていただきたいと思いますが、措置ができるというのか、できないというのか、時間もありませんから、それだけでけっこうですから、答弁をお願いします。
  217. 尚明

    ○尚説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の坪数の拡大につきましては、一日も早く手続を終わりまして省令改正をいたしたいと思っております。  それから借り入れ金の額の認定につきましては、御趣旨の線に沿いまして、御迷惑をかけないように十分の融資がいくように努力させたいと思います。  なお、一番おしまいにお話がございました公庫の出店でございますが、現在、特別の臨時の支所という形はとっておりませんけれども、新潟におきましては、第四銀行本店に公庫支所の管理課長と貸付係長を置いて、なるべく現地資金が円満にいくようにやらしておりますが、いまお話趣旨もございますので、さらにこの活動が活発になりますようにさっそく手配をいたしたいと思っております。
  218. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 最後に、私、中小三公庫につきましてちょっとお願いをいたしたいと思いますが、国民金融公庫あるいは中小公庫等の中小企業の金融関係で、承りますと、この法律か政令でございますか、災害融資については、貸し付け限度額を国民金融公庫は三百万にしていただいておるが、ただし、そのうち百万円分についてだけ六分五厘の低金利を適用する、こういうように承っておりますが、どうせ困って借りるのですから、三百万まで貸してやるのなら、三百万までなぜ六分五厘にできないのか、どうして百万円までにしなければいかぬのか、私どもは了解に苦しむわけです。百五十万借りた人は九分くらいの金利を払わなければならぬ。百万円以内であれば六分五厘だ。しかし、災害復旧ですから、何も余分な金を借りるばかもおりませんし、またそれはそれぞれ査定をしていただいていいわけですので、貸し付け限度額を引き上げて罹災者のために政府資金を貸してやろうというなら、私はやはり、百万円にこだわらぬで、六分五厘を全部適用したらどうだと思いますけれども、この点の考えはどうでございますか。  それからもう一つ、県と国の資金を一緒にしまして、いわゆる近代化資金というものを無利子にして、産業機械の合理化、陳腐化をさらに更新するというような制度がございます。これが従来大体一件当たり三百万程度ということにしてあるようでございますが、承りますと、六百万ぐらいに増額をしてもいいというような話があるやに聞いております。たとえば近代化に指定されました業種で、今度全部機械がやられた、更新しなければいかぬという場合には、この機会に合理化計画をやって新しい近代的な機械を入れるわけでございますから、これを三百万に限定するとか、あるいは六百万円にするとか、そういうことを言わないで、この機械がたとえ一千万になっても、その対象として認むべきじゃないか、現実にそこの事業所に貸し出すことになるかどうかは別問題にいたしまして、そういう制限を設けるのは適当でないと思うのですが、この申し上げました金利の面と、いまの近代化資金の活用の面の二つにつきまして御答弁をいただきたいと思います。
  219. 中村俊夫

    ○中村説明員 お答えいたします。  第一点の、六分五厘の特利を適用いたします金額の限度でございますが、これは激甚法の十五条で、商工中金につきまして、法律で百万円以内ということになっておりますので、それを、従来の例でございますと、災害の例によりまして必ずしも百万全部やっているわけではございません、福井の大火等の場合には、三十万とか五十万とか、そういうふうにやっておりますが、今度の場合には被害の状況が相当大きゅうございますので、限度一ぱい百万にいたしましたわけでございます。これと、激甚法ではございませんけれども、商工中金についてそういう措置をとりますので、中小公庫、国民公庫につきまして、これは別に閣議決定で本日同じような措置をとるということにいたしたわけでございます。先ほどの三百万円と申しますのは、中小公庫が従来直貸しですと三千万円、代理貸しですと一千万円という限度がございますけれども、その限度のほかに上乗せとして、従来は災害の場合には百五十万円つけることになっておりましたけれども、今回は特に三百万円ということで上乗せしたわけであります。その三百万円のほうは、これは行政措置としてやりましたのですが、百万のほうは、法律で百万円の範囲内ということになっておりますので、そのまま適用しておるわけでございます。  それから近代化資金お話がございましたけれども、私の担当でございませんので、帰りまして先生のお話を担当の者によく伝えたいと思っております。
  220. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 いろいろありますけれども、時間もないので、遺憾ながらこれでやめたいと思いますが、ただいまの法律十五条は私もよく承知いたしております。いたしておりますが、この点は、中小企業の特別な状況から考えまして、ぜひ中小企業金融全般の政策として、予算編成のときも、この災害にかかわらず、中小企業に対する画期的な政策を遂行するということでいろいろ検討もいたしておるわけでございますから、われわれ、この点についてはなお法律改正の運動をさらに続けていきたいと思いますが、できるだけこの主管の官庁におかれてもその点を特別な考えで検討を進めていっていただいて、現在の法律がそうだから、もうそれ以外にはできませんというだけで、検討をしないようなことのないように特にお願いいたしておきます。  それからなお、私の質問についてたいへんお待たせをいたしておりましたので、最後に一つだけお許しを願って質問をさせていただいて終わりたいと思いますが、文教関係につきまして、特に私立幼稚園の方々、これはたしかこの前の災害のときに若干国からの補助を出したように承っておりますが、今回の災害でもやはりそういうような措置をおとりになるかどうか。それから、たとえば部落で持っております厚生省関係の保育所等がございまして、市町村の正式の公営保育所でありますと、いろいろ災害対策についての特例の措置ができたりいたしますけれども、こういうようなもの、あるいは私立社会事業関係のいろいろな施設、こういうものにつきまして、せっかく社会事業の振興をはかるための社会事業振興会という金融機関的なものをつくりまして、今国会で債券発行団体にいたしまして、財政投融資から金を直接入れることができるような法律改正までいたした団体があるわけでございます。そういたしますと、こういうような機会にこそ——あるいは今後もたびたびあちこちで災害が起こってまいります。私立の社会事業関係の連中には何ら恩典がないというようなことになりまして、しかもそこへは保護児童を預かっているというようなことがたくさんございますので、これも十分検討を願っておきたいというふうに思うわけでございます。  それから今度の災害で、新潟県に例をとって恐縮ですが、県市の公共用建物被害が十七、八億にものぼっているわけでございますが、これらにつきまして、私は当然高率補助適用があると思いますけれども、これの復旧につきまして特段な財政援助を考えていただきたいということを特に強くお願いをいたしまして、時間もありませんので、以上で私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  221. 中山榮一

  222. 華山親義

    ○華山委員 時間がなくなりましたので、いろいろの点をお聞きしたいと思うのでございますが、また十四日に開かれるそうでございますから、こまかい点は十四日に譲りまして、大綱だけをお伺いいたしたいと思います。  このたびの激甚災害地区の財政上の援助のことでございますが、先ほどからいろいろお聞きいたしておりますけれども、わからない点がありますので、示していただきたいのでございますが、市町村別に指定される、このことにつきまして、お話を聞いておりますと、もう来週中にでも、あるいは今月末までには指定ができるだろうというお話もございますし、正確にわかるのは、来年三月ごろでないといろいろな計数は出ないというお話もございますが、この財政援助につきまして、市町村別の指定はいつごろに相なりますか、教えていただきたいと思います。
  223. 中西一郎

    中西説明員 農林省関係を申し上げますが、市町村指定そのものにつきましては、先ほど来災害対策本部の方が言っておりましたが、これは相当の期間を要すると思います。災害指定そのもの、激甚法の第何条を災害激甚として適用するかどうか、この関係は来週の中央防災会議できまる、その後者市町村別にいろいろな災害の積み上げをいたします。その第二段の作業は、先ほどの話では、ことし一ぱいくらいかかるのではないかということであったと思います。
  224. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、市町村のその指定というものは、結局ことし一ぱいかかるのですか。個々にはだんだんきまっていく、こういうことでございますか。
  225. 中西一郎

    中西説明員 先ほど来話がございましたが、市町村の財政の需要等とにらみ合わせての検討を要します。したがって、各種災害全部の積み上げを要するわけです。したがって、第二段の作業と先ほど来申し上げておりますが、これは今月一ぱいではとても済まないと思います。おそらく、先ほど来お話がありましたことし一ぱいかかるというのが実情だと思います。
  226. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、市町村といたしましては、ことし一ぱいは何ともどうなるかわからないということになるわけですね。  それじゃまた一つ伺いますが、私はそれははなはだ不満でございますが、大体、その指定になる、指定にならない、それは一〇%とかいうお話でございますが、そういうことできまる。片方は一〇・五%であったから指定になる、片方は九・八%であったから指定にならない、まことに機械的な考え方でございますけれども、そういうことにいたしますと、指定になったほうは非常にいい、隣のほうでは九・八%であったために何にもならない、非常にここに違いが出てくるのでございますが、そこが行政なんでございまして、数学者のようにきちっと割り切らないで、この町とこの町と比較して、この地方とこの地方を比較して、これがなるならば、これも多少のことはあるけれども認めようじゃないか、こういうふうな裁量は全然あの法律にはないのでございますか。
  227. 中西一郎

    中西説明員 お話のような点は、制度の、何といいますか——暫定法適用の面だけから見ますと、そういうふうな批判が当然出てくると思います。他方、自治省の所管関係等で特別交付税の措置等もございますので、市町村間のアンバランスをできるだけ少なくするという意味合いの調整は、政府全体としてはある程度はできると思いますけれども、やはり両方合わせて結果として見ますれば、市町村間に若干のアンバランスは残るということもやむを得ないかと思います。
  228. 華山親義

    ○華山委員 私は若干のアンバランスじゃないと思いますし、特別交付税というものは、そういうふうにきちっと使えない性質のものだ、そういうふうな性質のものであって、来年の三月まではわからないのだということであるならば、この法律改正して、そういうふうなもっとなめらかな段階的な法律に直していただきたいと思いますが、その点について所見を承りたい。
  229. 中西一郎

    中西説明員 農林省に関しましては、暫定措置法による補助率、さらに激甚災指定になりました場合の高率補助というような二段階になっております。激甚指定のなかった市町村については暫定措置法の補助率、農地については五〇%、あるいは施設については六五%という通常の補助率があるわけです。全体としての被害を積み上げましての激甚法適用でございますから、適用がない市町村は、やはり被害が少なかったところの市町村というふうに考えられます。その市町村の財政の受けた影響というふうなことと高率補助がからみ合うわけでございますから、現在の制度として仕組まれておるいわば合理性もあると考えます。ただ、実際の運用面におきまして御指摘のようなアンバランスが生ずるということも、許容できる範囲にとどめるというのが、やはり政府としてのとるべき態度であろうと思います。そういう点で改めるべき点がございますかどうか、われわれも常時検討はいたしておりますけれども、関係当局ともよく相談いたしましてできるだけ善処したい、かように思います。
  230. 華山親義

    ○華山委員 私は山形の者でございますが、この会議にわざわざ山形から出てまいりまして、いままでお待ちしておりました。それなのに、対策本部の係の方がいつの間にかおいでにならない。非常に不満です。私はこの次にもう二度お聞きいたします。  それから公営企業のことをお聞きいたします。公営企業法というものによってやっておりますが、病院につきましては準公営企業でありまして、一般会計からこれはいろいろな基本的なものは出すというふうなたてまえになっておる。水道につきましては、これは独立採算制である、しかも最近だんだん詰まっておりますし、料金ストップということで非常に困難な問題があって、いまこれをどうしようかということで苦労しておるわけです。そういうふうなことでございますし、工業用水道につきましては、新潟県も山形県もこれは両方の県が先行投資といたしまして毎年赤字を出しておる。いまこの際に、公営企業法の中には、一般会計から繰り入れをするような、災害の場合には出してもいいように規定がなっておりますけれども、地方財政計画では繰り入れの問題を考えておらない、こういうふうな事情でございまして、先ほど大蔵当局から御答弁もありましたけれども、よくわからない点もありますので、もう一度御答弁をお願いしたい。どういうふうな方法で、またどういうふうなお考えでそれに補助を出されるのか、またそういうお考えが十分おありになるのか、御答弁を願いたいと思います。——先ほどこの点につきまして大蔵省から御答弁がありましたから、大蔵省からお聞きしたい。
  231. 中山榮一

    中山委員長 いま呼んでおりますから……。
  232. 華山親義

    ○華山委員 それではお待ちします。  それでは、農林省の方がおられますのでお聞きいたします。建設省にも関係があるかと思いますが、農家というものは一般住宅とは違います。それで、現在の住宅やり方というものは、これは都市の住宅あるいは中小企業の商業の住宅、そういうふうなものをもととして考えられておって、農家というものは住宅ということには考えておられない、そういう前提のもとにできておる、私はそう思います。したがって、このような災害の場合に、従来の住宅の考え方、住宅やり方、そういうことでは私は当てはまらないと思う。それで先ほど、最大限四十坪、それから金額につきまして五十六万円とか八万円とかというお話がありましたけれども、そういうことでは農家はできません。このことにつきまして、もっとこの際に農家というものについては特別な住宅資金の融資、そういうことについて御配慮が願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  233. 尚明

    ○尚説明員 住宅の復興につきましては、実は在来は貸し付け額も非常に少なく、四十二万円というのが限度でございました。今回急遽省令改正いたしまして、五十八万円まで貸すようにいたし、できるだけお金のほうの努力はいたした次第であります。それから面積につきましては、御指摘のとおり、在来の災害は主として都市災害であった経験もありまして、とかく小さくきめられがちでございました。これも先ほど御説明申し上げましたように、面積につきましては、原形復旧するか、またはそれに準ずるような復旧をする限り、面積は問わないというふうに、一、二日のうちに省令改正して、そちらも融資対象にするようにいたしたいと思います。金額はさらに上げるべきであるというお話とも存じますが、今回、一応努力いたしまして四十二万円を五十八万円に上げたわけでございます。さらにということは、いま急にはちょっとお答えしかねるわけでございます。
  234. 華山親義

    ○華山委員 五十八万円でございましたならば、あるいは何ともしかたがないということでわれわれのような者は済むかもしれない。しかし、農家は、五十八万円で倒れたうちをつくれといわれたって、これは不可能をしいるものです。それで、農家については農家に関する特別の考えがなければいけない。やはりそういう面でも都市尊重であって、農村ということは考えられてないのじゃないか。もう二度その点につきまして専門的にお聞きいたしますが、農林省の方がおられると思いますが、そういうふうな四十坪とか五十八万円で農家というものは建ちますかどうですか、お聞きしたい。
  235. 中西一郎

    中西説明員 建設省のほうでいろいろ御配慮願っておる点に加えまして、農林省のほうでは、ごく最近でございますが、自創資金災害を含めた場合の融資の総ワクを、従来の三十万円から五十万円に増額いたしました。その範囲内で、当該農家が収入が減る、支出がふえるというような事態にそれを活用していただく道が開けたわけでございます。それを農舎あるいは畜舎に使うか、住宅に使うかというような関係では、いろいろ農家の選択もあると思うのでございますけれども、総合的に見ますと、先ほどの建設省から申された五十八万円のほかにも、追加的なワクが農林省のほうから用意されておると申し上げることはできると思います。それからさらに、これは農林省の直接の予算関係ではございませんけれども、農林中金のほうでも災害の特別ワクというものをそれぞれ被災地に出しまして、一月当たり山形県では六十万円見当と聞いておりますけれども、農林中金としては、格段に金利を下げてそういう被災地へのサービスをいたしたいということになっております。それらをそれぞれ活用いたしますれば相当な金額にはなっていくのではないか、かように考えております。
  236. 華山親義

    ○華山委員 自作農資金あるいは制度金融その他いろいろな金融機関から金を借りられるわけですが、それと住宅金融公庫からの融資、それは合計をいたしましてつくってもよろしいのでございますか、建設省のほうにお伺いをいたしたいと思います。
  237. 尚明

    ○尚説明員 住宅金融公庫から貸します融資対象は、その住宅部分ということを主体にして貸しているわけでございます。したがいまして、その他の施設のほうの部分でございます作業場その他のほうに別の資金が出ることは一向差しつかえございません。
  238. 華山親義

    ○華山委員 住宅部分といたって、農家というものは、御存じだと思うのですが、こんなものは分けられるものじゃございません。ここが住宅で、ここが作業場などというのは、将来そういう時代も来るかもしれませんが、現在のところ、分けられるものじゃない。したがって、住宅金融公庫あるいは自作農維持資金、それからいろいろなほかの金融機関、そういうものを合計いたしましてこれをつくることはかまわないかということをお聞きしておるわけです。
  239. 尚明

    ○尚説明員 おっしゃるとおりに、農家におきましては、ある場合は居住に使い、ある場合には作業に使う部分が相当ございます。これにつきましては、むしろ有利な解釈をするようにいままでも指導いたしております。住宅復興というのは、いまのところ、住宅とその他の施設というものが別々のところから金融されるというような点の不便さはあるかと思いますが、いまの制度としては、一応住宅部分住宅金融公庫で受け持ち、その他の部分は、農林省関係の融資その他の援助がいくということになると思います。
  240. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、結論的には、みな集めてうちをつくってもいい、こういうことになりますね。
  241. 尚明

    ○尚説明員 私、少し厳密に言い過ぎましたが、住宅をつくるための基準として五十八万円と言ったわけで、そのお金が実は土間なり何なりに出ても別段差しつかえないわけでございまして、合わせてお使いいただいてもけっこうなわけでございます。
  242. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 関連して。いまのお尋ねは、原状復旧を認めるとおっしゃったわけですね、その場合、法律上、いま省令で制限がありますね、それを今度改正していただいて、したがって、前が五十坪の農家であれば、五十坪のうちを復旧する資金も、たとえ三十坪以上になっても、その二十坪限度のものを金としては公庫からお貸しします、こういうことはきまったわけですね。ところが、おっしゃっているのは、そうすると、五十坪のうちを復興すれば、五十八万円では足らぬわけですね。自己資金が要ります。それを農林中金の六十万を借りたい、あるいはまた、自作農維持資金というものは、農地を売らぬように、土地をちゃんと確保するための資金なんだけれども、それらを全部総合して、それでなければあるいは土地を売るかもしれないから、そういうものを含めて、したがって、住宅部分にも農林中金等の金が入るかもしれない、それでもいいかと聞いておられるのだから、したがって、それを総合して、とにかく公庫としては、原状復旧するのであれば、あまりやかましいことを言わぬで、住宅部分に該当する五十八万はお貸しします、それを農舎や何かに回してもらっては困るというだけの話だ。そういう点をはっきりしてもらわぬと困ります。
  243. 尚明

    ○尚説明員 いま小沢先生のおっしゃったとおりでありまして、住宅金融公庫のお金は、農家全体が五十坪なら、そのどの部分に——基準として最高五十八万円というだけでございます。
  244. 中西一郎

    中西説明員 なお、いまの場合にさらに追加しておいたほうがいいんじゃないかと思って発言を求めたわけでございますが、以上申し上げましたほかに、農林漁業金融公庫の災害融資のワクもございます。これは災害の場合の農舎あるいは畜舎等の施設につきまして、われわれ、いまのところ、最高二百万円ぐらいの融資はしていいんじゃないか、金利は六分五厘程度を考えております。つけ加えさせていただきました。
  245. 華山親義

    ○華山委員 それから、従来の農家というものは非常に窮迫した生活をいたしておりますけれども、家賃というものを払わなかった。先祖伝来のうちにただで ——と言ってはおかしいですが、住んでおったので、そういう点は非常によかったわけでございますが、今度は、家賃という形じゃありませんけれども、多額の二百万円なり二百五十万円なりの金を借りますれば、その利息というものを払っていかなければいけないし、償還もしていかなければいけない、こういうことになるわけでございまして、相当の負担になるのじゃないか、私はこういうふうに思います。こういう際に、いろいろな面につきまして、利率なり償還年限なりにつきまして、特に長期低利のことをお考えになっていただきたいと思いますが、その点につきまして何か規定なりございましたら、承りたいと思いまするし、特段の御考慮はございませんでしょうか。
  246. 中西一郎

    中西説明員 御承知のように、自創資金のほうは二十年ということになっております。公庫の、主務大臣指定施設は、据え置き期間を含めてたしか十五年だったと思います。ただ、公庫等の融資あるいは自創資金等に関連して申し上げたいのですが、個々の農家につきまして、償還期限を延ばさざるを得ない、あるいは借りかえ資金を世話せざるを得ないというようなことも、災害等の場合には、天災融資法のワクなどの中でそういう措置をいたしております。一般的にその基準を緩和するというよりも、むしろ個々のケースについてそういう配慮をいたしてまいるという従来の方針を踏襲してまいる方針でおります。
  247. 華山親義

    ○華山委員 今度の災害農家の負担というものは大きいのでございまして、つぶれたうちは、今後の負担が非常に大きいと思う。その点につきまして特別な御配慮をいただきたいと思う。特に火災になった場合でございますと、十分ではなくとも保険というものがあるわけでございますけれども、今度の場合はない。私は、何か知ら、こういう負担に耐えられるかどうか、非常に心配をいたしておるわけでございまして、そういう点、まことに気の毒な農家が多いと思いますので、特に保険金は入らないのだという点を御考慮になりまして、御考究をいただきたいと思うのでございます。いまのところ、新しい方針は出てないようでございますが、今後さらに研究を続けて、新しい方針をお出しになるお考えはございませんでしょうか。
  248. 中西一郎

    中西説明員 何だかだんだんお話をするようで、はなはだあれなんですが、ただいま地震による建物の倒壊等についての保険の話になりましたので申し上げるのですけれども、建物の共済関係、これは農業協同組合の関係と共済組合の関係二つございますが、農業協同組合の関係では、地震による被害——火災は含みませんけれども、地震による被害については保険事故として従来からやっております。それによる保険金の支払いが当然期待されます。ただ、共済組合関係建物の場合には地震が保険事故になっておりません。その点で農協の場合と共済組合の場合と違うのでございますが、最近農林省も中に入りましていろいろと検討しておりまして、共済組合のほうの建物関係につきましても、連合会等で見舞い金を出すべきではないかというふうに、いわばだんだん話が好転をいたしております。つけ加えて申し上げました次第でございます。
  249. 華山親義

    ○華山委員 私昨日まで山形におりましたときに、農協のほうもむずかしいような話を聞いてまいりましたが、農協のほうは出るようになったのでございますね。
  250. 中西一郎

    中西説明員 いまのお話、よく理解できないのですが、間違いないと思っております。新しくそうしたのじゃなくて、かねてからそうなっておるはずでございます。
  251. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、農協は全額出まして、共済のほうは見舞い金程度になるだろうということで了解をいたしておきます。
  252. 中西一郎

    中西説明員 共済建物地震に伴います共済のあり方ですが、これは一定の基準がございますようで、その基準限度では支払いはなされると思います。それがその建物被害額とどの程度見合っているかというのは、ちょっといま明らかでございません。
  253. 華山親義

    ○華山委員 それから林野庁の方にお願いいたしますが、現在、国有林につきましてはいろいろなことが言われておりまして、問題が多いようでございますが、ことに東北地方におきましてはたくさんの木材資源を持っておるというようなこともあります。この際、一奮発をしまして、この地震に対しまして林野庁は材木を出してもらいたい、そういうふうに考えますが、いろいろな法規上のこともございましょうけれども、現在どういうふうなことをなさっておるか、また今後どうなさるつもりか、好意ある御答弁を願いたいと思います。
  254. 森田進

    ○森田説明員 お答えいたします。  新潟地震の発生と同時に、災害復旧用材の需要にこたえますために、林野庁におきましては、被災地にございます長野、前橋、秋田、青森の四営林局に対しまして、木材需要の要請にこたえますために、一般の売り払いを一時中止いたしますとともに、長野県下にございます営林署から被災地新潟県に木材の輸送を開始いたしました。また一方、前橋営林局から長野市に係官を常駐せしめまして新潟県と密接な連絡をとりまして、災害復旧用材につきます新潟県側の要請等を承ってまいったわけでございます。現在までのところ、新潟県におきまして復旧用材として国有林材に期待されております量は、約五千立方メートル程度でございます。このうち、県が行ないます応急仮設住宅の資材といたしまして四百戸分はすでに売り払い済みでございます。なおそのほか、県あるいは市町村の行ないます公共造営物の応急復旧用材につきましても逐次売り払いをやっております。また山形県につきましては、山形県の要請が秋田営林局に対してございまして、これについては、鶴岡市が実施いたします応急仮設住宅五十戸分と、一般罹災者が各個人の住宅応急復旧に使われます用材の供給につきまして要請がございましたので、これに対しましては、秋田県下の営林署から現在鶴岡市に向けて逐次輸送中でございます。なおそのほか、罹災地にございます各営林署に対しまして、罹災者の御要望に十分こたえまして、国有林材の売り払いを適切に実施しますように注意してございます。  以上であります。
  255. 華山親義

    ○華山委員 いろいろ御努力をくだすっていらっしゃるようでございますが、今後とも、農家等につきまして特に林野庁とは関係の深い土地もあるわけでございますし、そこで住宅をつくろうというふうな場合がありましたならば、法の許す限りひとつ便宜をはかって売ってやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  256. 森田進

    ○森田説明員 十分その御要望にこたえたいと思います。
  257. 華山親義

    ○華山委員 先ほど私は、婦っていただいてもいい人を申し上げたのに、逆になったようでございます。本部からお見えになったそうでございますので、承りますが、激甚災害の地方の財政を援助するということにつきまして、先ほどからお話を聞いておりますと、市町村別にやるというお話でございますが、それが市町村別にいつ指定されるのかということにつきまして、各市町村は首を長くして待っているわけでございますが、お話によりますと、今週中とか今月中とかいうお話もございますし、また今年度末にでもならなければ全体的な確定的なことはできないというふうなお話もございますし、その間どういうふうなことなのでございますか、みな各市町村は待っていると思いますので、御説明を願いたいと思います。
  258. 松永勇

    ○松永説明員 お答えいたします。  激甚法の第二章、いわゆるプール方式で計算するというものに掲げてございます事業は、三条第一項に十四号まで掲げた事業がございますが、これは各省のそれぞれに関係する事業でございますので、これの全部を合算しましてそして激甚法に該当するかどうかという計算をする関係上、その事業の全部の査定が終わるというのが、従来の例ですと相当かかるわけでございます。それが計算をして該当するものは主務大臣が告示するということになりますが、従来の例から見て、おそらく年内は無理であろう、年を越したころになるであろうというふうに申し上げたわけであります。  なお、いまのは三条の第一項に掲げてある事業についてでございまして、第五条以下には、いまのプール方式とは別の個々のものが掲げてございます。これはいまのような合算するという措置ではございませんので、それぞれの事項の調査が終わって、それが該当するということになれば直ちに指定が行なわれる、告示が行なわれる、そういう事業としては五条以下になって、それは各省大臣がそれぞれ告示をするという姿になっております。
  259. 華山親義

    ○華山委員 総合的に補助率の問題があるわけでございますが、それにつきまして一〇%というお話がありましたけれども、ある市は一一%、ところが隣のほうでは九・五%だった。片方が指定になって、片方が指定にならない。法だからしかたがないと言ってしまえばそれまでのことでございますけれども、受ける感じとしましては、非常に無理だと思うのです。そこに弾力性を持たしてそして段階的なものの考え方をするとか、あるいは幅広く考えるとか、そういうふうなことにつきまして、何か法的な解釈なり法的な条項なり、そういうものはございませんでしょうか。
  260. 松永勇

    ○松永説明員 先ほど小沢先生の御質問にお答えしたと思うのでございますが、要するに、公共団体の財政需要が非常に高くなったために国が特別な援助をしようということでございまして、それじゃ、どの程度をもって公共団体の財政需要が特別にふえて財政上困難な度を加えたかということになるわけでございます。したがいまして、その公共団体の財政需要というものは、その団体が行なう事業というものの累積になるわけでございますから、そういう市町村市町村、県は県ということで計算するということは、先ほど申し上げたとおりでございます。その財政の負担がどの程度かということを判定する方法といたしまして、どこかでこれを判定する方法を見つけなければならないわけでございますが、公共団体の災害復旧の負担額が当該年度の標準税収入の一割をこえるというところでその負担の度合いを認定し、それに特別の財政援助をしようという組織になっておるわけでございまして、やはり従来政府としてはいろいろな激甚を経験してきた経験から、この程度のものから特別の援助をしようということで政令でもって定めてある次第でございます。
  261. 華山親義

    ○華山委員 おっしゃることはわかりますけれども、しかし人情味のないことだと私は思うのです。地震でございますから、ずっと同じような地域地震があった、だれか見ても同じような損害だった、ところが、片方が指定になって、片方がならなかった。指定になったのと指定にならないのとは非常に違う。こういうことは何か政治じゃないのではないか。あまり割り切ってしまっておるのじゃないか。割り切らなければしょうがないというものの見方もありましょうけれども、そこにいろいろな周囲の状態を考え、この市とこの市ではこれだけの違いしかない、こっちをするならば、こっちはどうしたってしなければいけないのじゃないかという感じも出てくると思いますが、そういうところについては裁量の余地が全然ないのでございますか。省令等におきまして改正されればできるものじゃないかとも思いますけれども、いかがなものでございますか。
  262. 松永勇

    ○松永説明員 従来も政府は、こういう災害に対しての公共団体に対する援助について、激甚災法ができる前には、そのつど特別法を制定し、その特別法が施行される地域というものはそのつどきまったわけでございます。その際にも、その特別法適用を受ける地域と、適用を受けない地域というものはあったわけでございます。これはやはり国が特別の財政援助をしよう、一割になったら同じになるというわけじゃなくて、その場合にも、一割以上の災害を受けた団体におきましても、その災害の度合いに応じて、いわゆる被害額が多ければ何割まではより高い補助率、それからその次の金額についてはそれよりも若干低い率ということで、いわゆる税金の累進課税と同じような計算によって特別の財政援助をする、すなわち、それぞれの団体の困ったぐあいの状況に応じて国から手厚い財政援助をしようというたてまえできておりますので、ただいま申し上げました一割というところの線、それと、それから、特別財政援助はなくても、いわゆる普通の援助はあるわけでございます。そういう団体の均衝、そういう点を見まして、現在の妥当な制度ということで運営されておる次第でございます。
  263. 華山親義

    ○華山委員 それから公営企業のことでございますが、公営企業は、申し上げますまでもなく公営企業法によってやられておるわけでございます。病院につきましては、これは準公営企業といたしまして、地方財政の一般会計から基本的なことについては出すのだということになっております。それから水道につきましては、これは独立採算制でございまして、金がかかれば水道料は上げるのだというふうなかっこうになっておりまして、現在料金ストップの点等もありまして非常に困っております。このたび政府ではそのための委員会もつくって、また衆議院でも小委員会もつくって、今後どうしようかという段階にあるわけでございます。また、工業用水につきましては、山形県も新潟県も県の工業用水を持っておりますが、これは赤字でございます。先行投資でございますので、これは赤字になっている。大体あの近所の宮城県、福島県、みな赤字であります。そういうふうな状態でございまして、いまここで災害がありますが、公営企業法では、一般会計から災害等の場合は金を出してもいいというふうな規定もあります。こういうふうなことでございまして、これがこのままでは結局一般会計に非常なしわ寄せになると思うのでございますが、先ほどのお尋ねにつきまして大蔵省の主計局の方からお話がございましたが、もう少し明確にお聞きいたしたいと思いますが、お願いいたしたいと思います。
  264. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のございましたのは、地方のいわゆる公営企業と申しますか、上水道とか下水道とかいう問題に関してだと思います。公共料金その他の問題につきましてはまた別途の問題かと思いますが、災害に対してどういうことに相なるかという実例と申しますか、過去の実況その他を申し上げますと、たとえば上水道を例にとるといたしますと、上水道は、普通公共団体がおつくりになるという場合には、国から全然援助はいたしません。全く地方の起債単独でもって事業をするというとに相なっております。ただ、この上水道におきましても、過去、たとえば伊勢湾を中心とする三十四災とか、あるいはまた第二室戸を中心とする三十六災とかいう場合におきましては、災害をこうむった水道に対しまして、災害復旧としましてその復旧費の二分の一は国庫で補助をいたし、あと二分の一は起債による。その起債の場合にも、資金運用部の引き受けその他でもってごめんどうを見るというようなことをしてきたわけでございます。  次に下水道でございますが、これは一般に新しくつくるという普通の場合ですと、普通の公共団体につきましては、三分の一の補助が国から出る、あと三分の二は起債によってやるというのがたてまえでございます。ただ、この下水道につきましても、過去の災害、先ほど申しました三十四災とか三十六災とかいう大災害におきましては、補助率を上げまして、三分の一を三分の二にするという措置を過去に講じております。そういったわけでございますので、今回の新潟災害に関しましても、先ほどからいろいろ私どもの次長が御答弁したかと思いますが、こういった災害の現況にかんがみまして、過去のそういった大災害の例等に徴しましていろいろな措置が行なわれる、こういうぐあいに考えている次第でございます。
  265. 華山親義

    ○華山委員 工業用水についてはどうお考えになりますか。
  266. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  工業用水につきましては、たしか新潟県と秋田県でございましたか、俗にわれわれは起債単独事業と言っております。そういう用水が幾分破壊されたという語を聞いております。工業用水につきましては、国のいろいろなやり方を簡単に申しますと、現在、起債単独の事業というものと、それから補助事業という二つ事業がございます。起債単独の事業と申しますと、これはいまの場合で申しますと、トン当たり四円ぐらいの料金でもって売ると仮定した場合、それが起債で全部採算計算いたしましてまかないがつくというものは、すべて起債によってやっていただく。たとえば大阪とか、尼崎とか、川崎とか、そういった地盤沈下地帯で、なおかつ工業用水に転換しなければいかぬという地区がございます。その地区につきまして、それだけとは限らぬわけでございますが、そういった地区にあります工業用水で、たとえば四円なら四円で計算いたします、その場合に、独立採算でそろばんが持てないというのができるわけでございます。これは一にかかって水源地から工業用水道が非常に遠いというところに、ロケーションの関係から申しましてそういうところに多いわけでございますが、そういう場合には何がしかの補助をしている。補助体系が非常にややこしいものですから、ちょっと申し上げかねますが、そういう二通りがあるわけです。今回起債されました工業用水道は、いずれも起債単独の事業でございます。これにつきまして、ただいま通産省からお話があったと思いますが、通産省からも、起債単独であるにしても何らかの国の助成措置をしてもらいたいというお話をわれわれも聞いております。これにつきましては両省間で現在話し合いの途中でございますので、まだ結論を申し上げる段階ではございませんが、いずれにいたしましても、両省間で相当前向きの形で検討をしておるという問題でございます。
  267. 華山親義

    ○華山委員 工業用水につきましては、先ほども申し上げましたとおり、これは災害を受けましたのが、新潟県の工業用水が、ああいう土地でございますから、非常な損害を受けておるというふうに聞いておりますし、先ほど新潟県の副知事も言っておられた。山形県につきましても、庄内地区の酒田にございますが、これも相当の損害を受けております。新潟のほうは、確実に存じませんが、二億か三億の問ではないか。山形県につきましては一億五、六千万円の補修費を要する状態でございます。そして、これにつきまして申し上げますと、現在両県とも赤字だ。宮城県も赤字でございますし、福島県も赤字でございます。なぜ赤字なのか。先行投資をしておりますから、工場の来ない間は赤字なんです。おそらく一般会計から毎年五、六千万円の負担をしておるだろうと思うのでございますけれども、それでいまここで一億何千万円とか二億とかいうふうなことになりますと、どうしてもこれは水道料金を上げざるを得ない。ところが、水道料金というものは毎年毎年改定するのではない。十カ年なら十カ年、五カ年なら五カ年ということで契約をしておるわけです。そういうふうなことで、独立採算制ではございますけれども、これは一般会計に非常に影響があります。この点につきましては、産業のためにやっておる仕事でもございまするし、補助があるとかないとか、そんなことでは、もう工場が動かなくなるし、労働者も働けない、こういう状態でございますので、もう手をつけておりますが、ほかの水道等と同じような意味で、工業用水につきましても応分の補助——金額補助で私はいいと思うのでございますが、ぜひひとつお願いいたしたいと思う次第でございます。前向きにお考えになるということでございますが、重大な問題でございますので、もう一度御答弁を願います。
  268. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  ただいまのお話で、実は、酒田の水道、新潟の水道の個々につきまして、その水道の計算自身がどうなっておるか、私、担当者でございませんので、直接には聞いていないわけでありますが、往々にして、工業用水道という事業自体が、現在の地域開発その他の関連から申しまして、かなり先行投資になる。したがって、初年度のうちには若干赤字が出るということは、どの工業用水道につきましても、少なくとも地域開発という問題との関連で考えますと、あり得ると思います。ただ、水道の採算と申しますのは、三十年とか五十年とか、非常に長い目で見なければいかぬということもございますので、現在赤字だから非常に困ったということじゃない。やはり長い目で見て考える必要があるという問題です。もう一点は、赤字だから困るという問題は、一つは金繰りの問題に帰着すると思うのです。そういった問題も十分考えなければいかぬと思うのですが、事柄はそういうことだと思います。ただ、先ほど申しました上水道下水道と非常に違います点は、工業用水道の制度自身が比較的日が新しいものですから、起債単独の事業でいままで起債をした事業はないわけでございます。そういうこともございまして、今後のいろいろな問題等も考えまして慎重に考えるということは、当然大蔵省としてあってしかるべきだと思います。そういうことも念頭に置きながら十分検討いたしたいと思います。
  269. 華山親義

    ○華山委員 時間もございませんし、ことばをとらえてあれこれ言うことも控えたいと思いますが、ただいまおっしゃったことにつきまして、少し間違えている点があるのじゃないかと思います。と申しますことは、長い目で見れば赤字が埋まるのじゃないかということでございますが、そうじゃございません。これは通産省のほうである一定の限度で押えておるのです。水道のほうはかってでございますけれども、工業用水というものは限度がある。ですから、その限度までの契約をいたしておりますから、前にあったものは永久に赤字、あとで値段を上げて前のものをカバーしていくことはできません。そういう点ちょっと気になりますので申し上げますが、とにかく工業用水につきましては非常に窮極な状態になっておると思いますし、その点、貧弱な町村における水道事業、特に新しく始めた水道事業はいま非常に困っておる段階です。いまここで災害が起こりますと非常に困りますので、お願いいたしますし、病院につきましても、市町村の病院はいずれも赤字でございます。こういう点につきまして公共事業についての特段の御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。  なお、こまかい点はこの次にいたします。
  270. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連して。工業用水は重要ですから、言いますけれども、工業用水道法ができたときには、私は、与野党から要請されて、通産委員にかわってきましてそうしていろいろ質問をしたわけです。これは会議録を見てもらったらはっきりしておる。通産省は、この工業用水道法ができるときには、単価トン当たり四日五十銭を上回るような水道料金が設定されなければ工業用水道の会計が持てない場合においては、その超過分についてはこれは国がめんどうを見ると、はっきり公約されておるんですよ。ですから、これは赤字が出るということになって、尼崎、大阪あたりにおいてもだんだん水道料金が上がるようでありますけれども、それを上げることは、あの工業用水道法ができるときの精神に全く反しておるんです。いまあなたがおっしゃったように、長い目で見て、工業用水は見越し投資であるからして、それがカバーできる、だから当面の金繰りだ、こうおっしゃったけれども、当面の金繰りでそれが一般会計を圧迫することになれば、当然その部分については政府が何らかの処置をとってもらわなければならぬ。そうでなかったなら、どんどん地下の水をくみ上げ、それを法律的に国家的に規制するんですから、その精神によってやってもらわなければならぬ。その場合に、今度のような災害がなおその上にあったのですから、これが復旧については、特段どころではなく、当然政府がそのめんどうを見てやるということにしてもらわなければ、あの工業用水道法ができるときの精神、私が質問をいたしましたときの質問応答の中で約束されたことと違うことになってきますが、これは大蔵省はどう考えておられますか。大蔵省がいまおっしゃったのはそういう精神でないように私は承ったのですが、いかがですか。将来の産業の発展についてきわめて重要なことですから、ひとつ伺っておきたい。
  271. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  ただいまおっしゃいましたことは、たしか工業用水道法ができたときの精神に照らしておかしいというお話かと思いますが、私は、できた年にはいなかったのでございますが、その後四年間通産担当主計官といたしまして、工業用水道の補助全部を形成した人間の一人でございます。少なくとも、通産省が現在工業用水道に対する行政を展開しておる考え方といたしましては、先ほど私が申し上げたようなことで、あるものは起債単独の事業にするし、あるものは補助事業にするという選別をしておられると思います。そういうわけでございまして、別に、起債単独の事業がたまたまある年に赤字になったから、その分を国で事後的にめんどうを見るというようなことは、全然考え方にいままでなかったと私は思います。その点もしそういうぐあいに思っておられるといたしますれば、これは私どもが現在考えておる考え方、あるいはまた、通産省の考えておる考え方とちょっと違うのではないかという感じがいたします。工業用水道事業自身は、何と申しますか、一種の公営企業と申しますか、上水道の場合と非常に違う問題があると私は思うのです。上水道ですと、国民の保健衛生とかという非常に大きな問題につながる問題でございます。ただ工業用水の場合で申しますと、これはその地域にロケーションしたたまたまある特定の企業に対して、あるフェーバーを与えるという形になると思います。たとえば川崎に工業用水ができるといたします。そうしますと、川崎の工業用水道の布設、その受益する部分と申しますか、おそらく特定の何社か何かに限られてしまうという問題でもございます。したがいまして、上水道その他の場合と非常に違ったものの考え方をする必要があるというぐあいにわれわれは考えておるわけでございます。こういった点が、お答えになっているかどうか知りませんけれども、ただいまの御質問に対しましてはさようにお答えいたします。
  272. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 もうこれでおきまして、十四日にしますけれども、そこがちょっと違うんですよ。あなたのおっしゃるのでは、特定のものが利益をするとおっしゃるけれども、あの工業用水道法ができますときの精神というものは、国土保全上からできたものです。いわゆる地下水を無制限にくみ上げるということは、地盤の沈下を来たす重要な原因である、これははっきりしております。地下水をくみ上げたり、新潟のようにガスをとったり、そういうことをしなかったら、もう地盤は沈下しないんですよ。今度のははっきりしているのです。議論はもう要らぬのですよ。昭和石油というものがなかったら、あの周囲には火事はいきませんよ。はっきりしているのに、理屈ばかりこねて、何とかして責任をのがれようのがれようとしているのです。そんなことではいけませんよ。そんなことではだめです。もっと私はすなおに見たいと思うのです。それから工業用水道については、これは私の社会党の質問とかなんとかいうものじゃなかったのです。与野党あげて私の言ったことで附帯決議をつけたのですよ。それはあなたのいまの精神と違いますよ。国土を保全するという意味においてやったのです。このままでいったら、何ぼ防潮堤をつくったって沈んでしまう、国土の保全ができない、だから、工業用水を供給して一産業、一事業が助かるというものではない、こういう精神に基づいて工業用水道法というものができたので、これは与野党全会一致ですよ。それでちゃんと附帯決議がつけてあるのです。その附帯決議を起草したのは私ですよ。そんな考え方を持ってもらったら困ります。よろしいか。だから、そういう意味においては、これは上水道同様に——この災害において被害を受けた工業用水道は、当然いまあなたが認められるように、華山先生がおっしゃるように、どこを見たって赤字なんです。けれども、それを上げられない理由がまたあるんです。そういうものですから、長い目で見て、なるほど、あなたのおっしゃるように、ある程度赤字を将来においてカバーし得るということは、これは私も是認しますよ。それは是認しますが、しかし、そんなゆうちょうなことを言っておれないんですよ。いまそれを復旧してやらぬことにはその地域の工場がとまる、そうすると、またやむを得ず地下水をくみ上げざるを得ない。それを法律で禁止してあるでしょう。そうすると一体その工場はどうなるかというと、停止せざるを得ないでしょう。それはただ地方の産業、事業がもうかるというだけじゃない、その周辺におる労働者もどんどん働きに行く、周辺の農村からも子弟がどんどん働きに行っているんですよ。ですから、それは地方の経済にとっても相関的にたいへんな損害になるわけですから、したがって、その水道の復旧についてはひとつ格別の考慮を払って、上水道同様の処置をしてもらいたい。これが華山先生の質問なんです。大蔵省の考え方はちょっと違っていますよ。いかがですか。これでおいておきますけれども、そんな考え方を持ってもらっては困る。ちょっと違っていますよ。
  273. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃるように、工業用水道自体ができましたときの基本的な精神と申しますか、そういった沿革は、たしか地盤沈下との関連による国土保全ということにあったと思います。それがずっと尾を引いてきているということは私も同感でございます。そのとおりだと思います。ただ、現象面として私申し上げたことなんで、とらえ方の次元が少し違ったので誤解を招いて恐縮に存じております。いずれにいたしましても、通産省からたっての御要望もございますし、先ほど私が、主計官としてこういうことを答弁していいかどうかわからぬ点まで申し上げたつもりでございますので、十分研究さしていただきたい、こう考えておりますので、御了承願います。
  274. 中山榮一

    中山委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後七時三分散会