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1964-04-22 第46回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十二日(水曜日)委員会にお いて、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  選挙区に関する小委員       青木  正君    宇野 宗佑君       渡海元三郎君    加賀田 進君       畑   和君  選挙区に関する小委員長                 青木  正君     ————————————— 昭和三十九年四月二十二日(水曜日)    午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 小泉 純也君    理事 青木  正君 理事 宇野 宗佑君    理事 辻  寛一君 理事 渡海元三郎君    理事 加賀田 進君 理事 島上善五郎君    理事 畑   和君       上村千一郎君    押谷 富三君       鍛冶 良作君    久保田円次君       小島 徹三君    大柴 滋夫君       堀  昌雄君    山中日露史君       山下 榮二君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任に  関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)      ————◇—————
  2. 小泉純也

    小泉委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますから、これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 大臣はまだ御就任日が浅いわけでありますけれども、この公職選挙の問題というのは、実は日本政治民主主義の一番基盤をなしておる非常に重要な問題を扱うのでありますので、いろいろ過去等にも経緯がございますから、それらの問題を含めて、ひとつ本日は少し本質的な問題についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  最初に、今回の国会に、現在すでに提案をされておりますところの、別表の一部改正になると思うのでありますが、選挙法区割りの、定数の問題がかけられております。さらにもう一つ今後法案が予定をされておるように聞いておるわけでございます。そこでお伺いをいたしたいのでありますが、選挙法改正というものはどういう考え方のもとに行なわれるべきかという根本原則ですね。選挙法改正するにあたっての政府の心がまえといいますか、これをひとつお伺いをしたいと思います。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大上段の御質問ですが、私も学問的にお答えはできませんけれども、だれが、選挙民考えてみても、きわめて公正なルールだと見られるような仕組みをつくるのが根本であると私は思います。
  5. 堀昌雄

    堀委員 憲法の前文に、正当に選挙された国会における代表者を通じて日本国民政治を行なうんだということが書かれておりますから、私は、ともかくも正当な選挙を行なうということ、これが一番大事な問題点だと思うわけです。だれが見てもという前に、正当な選挙。そうすると、率直に言って、実はわれわれは現在正当な選挙が行なわれていると思っていないわけです。それで、この前選挙制度審議会設置をされましたが、そういう選挙腐敗をしてきておりますから、実はそれを正したいという政府の意向のもとに、選挙制度審議会設置をされました。その選挙制度審議会の中で、実はこの間総理が御出席になったときにも触れましたけれども、第一次、第二次を通じて、一番根本的なその腐敗をただす問題点は何かという議論がいろいろとされたわけでありますけれども、その議論が集約されてまいりましたところは、非常にこの選挙に金がかかる、要するにその金の出どころのほうを規制する以外にはこの腐敗を救うことができないというのが、実は審議会の一致した意見なんであります。そこで前回の第一次の審議会におきまして非常にこまかに検討をされて、実は答申が出されております。  私は、いまの問題の中で少し政府にお伺いをしておかなければならないことは、その選挙法というものを政府が今日出してまいりますいろいろな手続を含めての処理のしかたにいろいろ問題のある点があると思うのであります。そこで、その点を少しはっきりさせておきたいと思うのでありますが、大臣は現在——いま実は選挙制度審議会は置かれておりません。選挙制度審議会が置かれていないような時期に、何らこれと無関係選挙法改正をするということについて、いまあなたのおっしゃった、だれが見ても問題がない、常識的な問題ということになるのでしょうが、そういうことだけでいいかどうか。選挙制度審議会というものを置いてきた経緯、またこれからも置こうとする考え方があるならば、私は、当然に選挙制度審議会との関連というものを政府はこの際明らかにしておく必要があるのじゃないか、こう考えるわけです。一つは、選挙制度審議会答申に基づいた法改正でございます。ところが、もう一つは、選挙制度審議会答申に基づかざる部分の選挙法改正だと私は理解をしておるわけです。そこで、政府の側としては、二番目のほうの選挙法改正について、選挙制度審議会をどういう位置において考えておられるのか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおり、前の審議会任期が切れておりまして、もっとすみやかに第三次の審議会というものは出発させるべきであったかもしれませんけれども、実は前の審議会答申というものを尊重した形でいまこの法案提案されている。これがまだペンディングであるのに、またこの際次の審議会を構成するのもいかがかと思いますので、実はこれが通過いたしましたら、すみやかに私は次のいろいろな問題についての御審議を願わなければならぬと考えております。いまあなたのおっしゃることは、特例法のことではないかと思いますが、これはたまたまいま審議会の構成ができておりませんけれども、しかしながら、審議会委員方々議論にも出ております。一部はこの中になくもないわけですが、全般にこの前の選挙の経験から、こういうところがまずかった、こういうところをもう少し直したら、そういうふうに正す点は、何もあなたがおっしゃるような正当な意味選挙を阻害するものでもないと考えますので、これを提案に踏み切っておるわけでございます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 いまの答弁については、ちょっと私理解ができないことが多いのです。いま、第二次の審議会答申をした区割りについて国会でやっている間は第三次の審議会は置かないということは、私、実は全然理解ができないわけです。きょう私は少し根本の問題にも触れて議論をいたしたいと思っておるわけですが、そういうことであるならば、審議会が第一次で答申をしましたものが実は非常にたくさんあるのですけれども、その中のごく一部だけを取り上げて政府前回選挙法改正をいたしました。しかし、一部ではありましても、これは実は相当広範囲にわたって選挙法改正前回は行なったわけであります。ところが、第二次の審議会がその後発足をいたしまして、これも実はやはりいろいろな答申をしておるわけです。その中でやはりごく一部だけを取り上げてそして処理をしておられるというのが経緯であります。私は、その点は、選挙制度審議会というもののあり方は、政府なりあるいは国会だけでなくて、やはり公正なる第三者によって選挙法は論議をされ、プランがつくられるのが正当だという国民世論があると思うのです。だから、その世論の中においてそういうものが設けられてきたと私は理解をしておりますから、政府が、いま法案をやっておるから、それができ上がってからその次に審議会を開くなどということは、これは全然理由にもならなければ、非常に問題としておかしいのではないか。そこで、そうなる前に、ずっと過去の選挙制度調査会以来の問題でありますけれども、実は政府がちょっとやる気で何か調査会なり審議会を置いてやりますが、いつもこれがだんだんしりつぼみになって、ほったらかしになっておるというのが、これまでの長い過去の歴史なんです。しかし、それなら選挙法は現状のままでいいかといえば、根本的に改めなければならぬものが実はたくさんあるわけです。ところが、その中で最も都合のいいようなところだけをちょちょっとつまんで直してきたというのが、これまでの政府のやり方であるし、また国会もそれについてそれ以上に出なかった点があると私は思うのです。われわれは選挙法改正をここで幾たびか根本的な問題についても提案をしてきましたけれども、実現していないということがあるわけです。具体的な問題に入ります前に、今後の選挙制度審議会運営とそれに対する政府の対処のしかたの問題を少し伺っておきたいと思います。  法制局長官が何か時間に少し都合があるようですから、先に長官にお伺いをいたしますけれども選挙制度審議会設置法というのがございます。この選挙制度審議会設置法の中で、特別委員取り扱い方について、実は第一次選挙制度審議会以来いろいろと議論が起きておるわけです。その問題を第一に申し上げますと、第一次選挙制度審議会のときに、選挙区制の問題につきまして、第四委員会でしたか、そういう委員会が設けられまして、それに特別委員参加をしてもらいたいという会長の志向がありましたから、実は特別委員というものは一応参加をしたわけです。ところが、各新聞紙で非常にこれがたたかれたわけです。要するに、国会議員である特別委員が、選挙制度審議会選挙制等の問題の審議に入るのはおかしいではないかといって一せいに議論が出まして、そのために、当時の委員であった市川房枝さんはその委員会委員をおやめになったという実は過去の経緯があります。そのことは、やはりこの選挙制度審議会設置法解釈が、われわれはここでこれを立法した一人でありますけれども、やや一般に理解をされておらない点があるのではないか。それが累次の選挙制度審議会の中で常に問題になりますので、ちょっとその点を少し明らかにしておきたいのでお伺いをしておきたいのでありますが、この第四条で、「審議会は、委員三十人以内で組織する。特別の事項調査審議するため必要があるときは、特別委員を置くことができる。」第五条で、「国会議員のうちから任命された特別委員は、国会議員選挙区及び名選挙区において選挙すべき議員の数を定める具体案作成については、その調査審議に加わることができない。」こういうふうに明定をされておるわけであります。そこで、実はその具体案作成というものについては、ある選挙区の名前であるとか、あるいは数であるとか、そういうことは具体案作成の要素になってくる。たとえばどこどこの選挙区を何名にするとか、そういうことは私は具体的な作成関係があると思うのです。ところが、そうではなくて、その区制なり区割りなり定数の一般的な議論については、これは具体案作成ではないから、調査審議に加わってよろしいのだ、こういうふうに実は私は理解をしておりますし、その理解の上に立ってこれらを問題にする委員会特別委員参加を認めたのだと、私は第一次の選挙制度審議会以来理解をしておるわけです。そこで、選挙区制問題等についても、第一次、第二次ともわれわれ特別委員が当初は参加をして、それについてもいろいろ原則的な問題その他については議論ができるわけです。だから、そういうことを裏返して言うならば、今度は最終的に審議会としての具体案が出てきた場合、すでに委員会その他で具体案が出された場合には、今度はその具体案の個々の、そこが多いからいけないとか少ないからいけないということは、これは具体案に対する調査審議に入るかもしれない。しかし、具体案の出し方について意見を述べ、質問をすることは、私はこの法律から可能であるという解釈を実はしておったのです。ところが、第二次選挙制度審議会において、そのことについて質問しようということで実は私のほうで意見を求めたら、審議会の側では、この法律趣旨はそうじゃないのだから、質問は困りますということで、特別委員質問できなかった、こういう事実があるわけですね。だから私は、論理的に見れば、最初から参加してはいけないということになっているなら最後まで参加できないので、それなら話はわかる。しかし、原則論のいろいろな問題について議論をするときには参加を許し、それなら、具体案作成された後に、具体案をつくったことについて原則が曲げられておるというのならば、その原則論範囲でその質問をし、意見を述べることは、私は法律範囲の問題だと解釈をしておるのだけれども、これはわれわれ立法者であった者もそう思ってつくったのだから、間違いない。その点についてはそういう取り扱いが行なわれておるので、内閣側のこれに関する行政府としての解釈を、もう一ぺんいまの問題についてひとつお答えをしていただきたいと思います。
  8. 林修三

    林政府委員 第一に、原則的に、実は審議会議事は、審議会議事運営によっておきめになることであります。審議会において議事運営の進め方、これが第一に原則できまることだと思います。したがいまして、それを横からとやかく言うのはどうかという問題が第一にございますが、しかし、いま御質問でございますので、私どものこの法文を見た考え方を一応お答えさせていただきたいと思います。  いまの審議会設置法第五条で、「具体案作成については、その調査審議に加わることができない。」ということがございます。この具体案とは何ぞやということになるわけでございますが、これは堀先生承知と思いますが、二条一項二号で、議員の数の基準及び具体案ということがございます。つまり、この具体案というものは、基準に対応するものとして考えられているものだろうと思います。したがいまして、これは裏から言えば、特別委員は、委員会であろうと、あるいは審議会の本会議であろうと、基準についての調査審議はできる。しかし、具体案については、これは委員会であろうと本会議であろうと、調査審議に加わることはできない、こういう趣旨だろうと思うわけでございます。したがいまして、そこで議題となっているものが、いわゆる基準なりや、具体案なりやということによってきまってくることなんでございまして、これはなかなか限界はむずかしい問題があると私は考えます。ただ一般的に言えば、具体案をつくるもとにはやはり基準というものがあるので、その基準基準に違いないということになると思います。しかし、いま御質問のような、あるいは私、速記録を見ましたけれども、一番問題になりましたのは、そういう基準を前提としてすでに具体案がその委員会でつくられて、それが審議会の本会議において実は具体案が問題になっている、そういう場合については、やはり具体案作成についての調査審議ということになるのではなかろうか。その場合においていわゆる具体案作成のもとになった基準について質問をすることは、具体案についての質問じゃないじゃないかという、おっしゃるような議論もあるかもわかりませんけれども、そこで議題になっているのが具体案であれば、やはり具体案調査審議ということに一応なるのじゃなかろうか。まさに審議会会長、あるいは議事運営については、そういうお考えのようでございます。私はあえてそうなるのじゃなかろうかという気がいたします。なかなかこの基準具体案限界についてむずかしい問題があると思いますけれども原則的に申せばそういうことじゃなかろうかと思うわけであります。
  9. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、審議会基準についてわれわれが意見を述べておりますね、そうして、その具体案の中で基準を曲げたものが出てきますね、その場合、もうそこから先は、要するに基準が曲がっておることについてもわれわれは発言ができないということになるならば、これは特別委員であっても委員には相違ないわけでありますから、問題が出てくる。それはどういうことかと言いますと、今回のこのアンバランス是正の問題というのは、過去にもいろいろ経緯もありましたけれども、要するに、前回の第一次審議会においては、アンバランス是正なんですから、アンバランス是正ということは、多いところに人をふやして、少ないところを減らすということなんですね。これは一つ増員というかっこうで問題を提起されてないのです。定数是正なんです。だから、増員をしなさいという原則基準がきまったのならば、私は何もそれについてあと質問をしたり意見を述べる必要はないと思うのです。しかし、結果として出てきたものは、十九名増、一名減ということは、これは定数是正という表現があっても、まさに増員と見てもいいわけです。一名は減になりますけれども、まず増員なんです。最初のこれまでの考え方のように、たとえば十五名動かす際に、十五名ふやして十名減らす、結果としては五名増員になりましたというようなことならば、アンバランス是正ということばに該当すると思うけれども、十九名ふやして一名減らすというのは、どうしてもこの場合、アンバランス是正というにしてはやや問題がある。これは基準の問題ですね。要するに、初めにきまった基準審議会の内部において基準どおりにいかなくても、それについてはあと発言ができなければ、初めに基準についてものを言ったって、意味がないということになるわけですね。これはそういうことに理解をされるのなら、むしろ選挙制度審議会設置法を私は改めるべきだと思う。  この中でもう一つ改めなければならぬと思うのは、これは実はいまの運営とは書き方がかけ離れておるのですよ。なぜかと言うと、「特別の事項調査審議するため必要があるときは、特別委員を置くことができる。」ということになっておるのです。この立法はそうですか、実質は、必要があるときに置いているのではなくて、初めから置いているわけです。それからいまの第五条の第二項の問題があって、第四項は、「特別委員は、当該特別の事項調査審議が終了したときは、解任されるものとする。」となっている。だから、この立法は、その当時われわれも議論をしましたけれども、非常に特定された、その委員会審議の中における特定の問題について特別委員を任命するという趣旨が実は書かれておるわけです。しかし、運営の中では現在はそういうことにはなっていないのですよ。初めから全部一律に任命して、そうして全般的にみんな参加をして、最後までそうなっているのですね。そうすると、いまの実態のほうがわれわれは必要だと思うわけです。なぜかと言うと、やはり当事者である者の意見をその場その場で反映しておかないと、選挙なるものはなかなか問題があるのでありますから、私どもはその当事者意見どおりにしようということではありませんけれども当事者意見をこの審議会の中で反映するのは、私は当然だと思うのであります。そうすると、こういうふうにきわめて特定のものだけにしぼるということになるからいまのような問題が出てくるのではないか、こういうふうな感じがするわけです。ですから、いまのあなたの解釈がもしそういうことであるならば、これはもう法律のほうから書き直さなければ、いまのようなかっこう運営ができないほうが正当なものになってしまう、こう思うのです。  そこで大臣にお伺いをいたしますけれども、この選挙制度審議会設置法については、まだほかに問題があるわけです。一つは、委員任期を一年ときめてある。初めはこれは二年だった。ところが二年ということになると答申の出るのが時間がかかるだろうということで、実は一年ということになった。一年ということになったので、見ておりますと、そのときそのときの御都合でしょっちゅうちょん切れて、間があくということに、現在の運営の仕方はなっておるわけです。だから、こう考えてくるならば、選挙制度審議会委員任期は、一年というのは問題がある。過去の例をちょっと調べてみましたけれども、第一次の選挙制度審議会というのは、三十六年六月十六日に任命をされまして、最終の総会は十二月二十六日に終わっている。このときは六カ月問なんです。その間非常に皆さん御熱心な議論をされて、非常に詳しい答申が実ば出された。第二次審議会については、これはもってのほかなんです。審議会ができたら、まず先に公聴会最初からやりだしたわけです。何によるかというと、あまり早く答申が出てもらっては困るということで、おそらく配慮がされた。一体、議論もしないで先に公聴会を開くなんていうルールは、私もこの政治の世界に来てあまり長くはありませんが、大体ないと思うのです。問題が提起されて一番最初公聴会だなんて、審議会皆さん意見も何もないときに公聴会を開くなんということは、取り扱い上おかしかったけれども、そういう経緯があって、そうしてぼつぼつと、四月ごろからですか、問題が始まった、こういう経緯になっておるわけです。そうしてそのまん中に夏休みがあって、九月になったらとたんに、急げということで、たいへんピッチを上げて、そうして十一月選挙に間に合わせるのだ、十月十五日に総会を開いて答申をしろ、こういう経緯で、そしてそのあとは十二月二十何日かで終わりになって今日まできておるということになる。この選挙制度審議会設置法の第二条第二項に「審議会は、前項各号に掲げる事項に関し、自ら調査審議して内閣総理大臣意見を申し出ることができる。」こういうことになっているのですから、審議会というものは、政府が諮問したものだけに限らず、これらの必要な事項については常時検討を進め、政府答申をしたけれども、それを取り上げなかった場合には、それについてはどういう点で取り上げなかったということに基づいてさらにまた審議を継続して、常時、選挙制度審議会が公正な審議が行なわれるような条件に置くべきではないかというような考えもあるわけですね。  こういうふうに、この選挙制度審議会設置法運営取り扱い等について、実は私どもいろいろ疑義がありますが、ここで大臣にお伺いをしたいのは、いますぐどうというわけにいかないかもしれませんけれども、少なくともこの選挙制度審議会設置法の一部改正をして、やはりもう少し国民が納得をして選挙法についての審議その他が前向きに進むような措置を考える必要が政府にあるんではないか、私はこういうふうに考えますが、政府側として審議会設置法の一部改正をやる意思があるかどうか。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 任期を長くするのがいいという判断に立てば当然法改正もいたしますが、先ほどからの堀委員議論をいろいろ承って感ずることですけれども、ほかの審議会と違いまして、ここは、御承知のとおり、委員はやはり法律の面でもわれわれよりさらに学者先生もおられますし、世間的に評論家といわれる方々でもトップ・レベルの方々ばかりでございまして、ですから、政府のほうでこれに対してどうという指導はいたす筋合いでもないし、またわれわれのためのルール選挙をやる、候補に立つ可能性のある人のルールをきめるという立場でございますから、良識に基づいて委員方々がこれを運営していらっしゃると思うのです。だから、さっきも前段にお触れになりました、運営で本筋のことには関係がないことにまで発言を許さないというのは、設置法のたてまえからどうしてもおかしいじゃないかという御議論、これはさっき法制局長官が申しましたように、そういう運営は自身でなさっておるわけでございますので、私たちからは——具体的な問題については私つまびらかにいたしませんが、それは間違っているんじゃないかというふうな意味のことはわれわれはあまり言いたくないという気持ちでございます。しかし、御指摘のとおり、委員の諸先生司前向きでやっていらっしゃるとは思うのですよ。始終前向きだということなら、三百六十五日前向きでおらなければならぬのかということになるのですが、われわれの選挙制度審議会に対します考え方は、御指摘のとおりでして、常時やはり選挙法自体についてずっと——選挙も始終あるわけですから、そういった点もよく実際をごらんになって、資金の問題とか、いろいろな問題について御検討を願わなければいけないと考えております。ただ、選挙というのは、審議会審議の内容の進行度合いにかかわらず、衆議院というものも解散いたしますし、また地方選挙もばらばらであるわけでございますので、そういった面から見れば何かそぐわないものがあるという感じも受けることになるかと思いますが、しかし、それはそれ、これはこれと考えております。ただ、審議会自体の性格その他運用のしかたにつきましては、堀委員のおっしゃることは私どもよく理解できますので、検討いたしたいと考えております。
  11. 堀昌雄

    堀委員 実はいまおっしゃったように、非常に忙しい人が多いのです。ところが、政府都合でここからここまでの間に審議会を開いて答申をしてくれとかいうことになりますと、これは率直に言いまして非常に皆さん迷惑だと思うのです。ですから、長い期間に常時やっておいていただけば、そうしたらその次のときに間に合うものだけが法律にされていくということであっていいはずであって、その点はやはり審議会運営のしかたにももちろん問題がありますが、同時に、任期が一年という問題も、率直に言いまして、これは実は非常に問題があるわけでございます。そこらはひとつ検討をして、設置法につきましては、そのほかまだ答申の出ておる問題もありますから、ひとつ御検討いただきたい。  そこで、ちょっと当面の問題として、実は前回の第一次の審議会答申の中で、来たるべき参議院選挙等においてきわめて重要な問題で、まだ依然として残されておる問題が一つある。それは高級公務員の立候補制限の問題であります。前回は、この高級公務員の立候補制限の問題が、形を変えて、政治活動の制限というかっこうになっておるわけですけれども政治活動の制限と高級公務員の立候補制限の問題は、やはりこの前の選挙をやってみました経緯では、完全に違うということが非常に明らかになっておるわけですね。そこで、前回答申の中で、そのようにしていろいろと答申がありながら触れられていないものでかなり重要なものがございます。たとえば、この間からここで宇野委員が非常に詳しく御議論をしておられる住居投票権の問題等につきましても、前回の第一次選挙制度審議会で、選挙人名簿の合理化等についても答申をいたしておるわけです。そこで私はこの問題について、この間早川さんに、これはどういうふうになっていますかと言ったら、さっそく検討をいたしますという答弁が実はあったわけですね。「しかし、なお基本名簿制度にいまいろいろ不備な点がございます。この機会に、御要望のとおり十分再検討いたしまして、世界で最もすぐれた制度にしたい、かように考えておるわけであります。」かように早川さんが去年答弁をしておるわけですね。そこで、この再検討を事務当局はしておりますか。大臣委員会で答えて、再検討しますと言っても、事務当局で手をつけていないということになれば、私ども大臣の答弁なんというものはいいかげんなことだということになる。大臣がここで、やりますと言ったことは、少なくとも事務当局は作業をどの程度かやらなければ、大臣なんかここで幾ら答弁したって何も意味がないということになる。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま聞きましたところ、一生懸命で検討しておる最中だそうでございますから、いましばらくお待ちを願います。
  13. 堀昌雄

    堀委員 どういうふうに検討していますか。検討しているなんということはどうでも言えるので、それじゃ、どういうふうに検討しているか、具体的に検討の経過をひとつ……。
  14. 長野士郎

    ○長野政府委員 選挙人名簿につきましては、この前からこの委員会でも御議論もございますが、とりあえず、特例法の法制化の場合、補充選挙人名簿の合理化という問題については一歩前進を加えまして、そしてこれが正確なほんとうに選挙資格を有する人のみが登録されるような改正を整えてまいりたい、これはやがて成案ができる予定でございます。  それからその次の基本選挙人名簿の問題でございますが、これも本来から言いますと、永久選挙人名簿と申しますか、そういう体制に移行することが一番いいことだというふうに考えておりますが、いまのところ、そこまで参りますためにはいろいろな準備が必要でございまして、この点でまだにわかにそこまでいけぬのじゃないだろうかというふうな感じがいたすわけでございます。ただし、現在選挙人名簿をつくっておりますつくり方の問題、調製の問題といたしまして、従来からたまっておりますところの補充選挙人名簿をそのまま引き写すような、安易な形で基本選挙人名簿ができていくというようなことは、これは正しいやり方だということになりませんので、具体的な基本選挙人名簿の調製につきまして、職権調製でございますけれども、その調製のしかたそのものの運営について、わかっておるといえばわかっておるわけでございますけれども運営基準その他をいま検討いたしまして、それをまとめたいということで鋭意やっておる最中であります。
  15. 堀昌雄

    堀委員 もちろん、いまの問題で永久基本選挙人名簿の問題は、すぐできるというわけにはいかないでしょうけれども、いまの基本選挙人名簿の作製のいろいろな不備な点を改めるような処置をしておる。いつごろをめどにしてそれを下部におろされますか。
  16. 長野士郎

    ○長野政府委員 現在考えておりますのは、今度の特例法の恒久化の問題と関連をいたすわけではございませんけれども、実質上関連もいたしますので、ことしの基本選挙人名簿ができるのが、いわゆる九月十五日現在で調製をいたしまして、十二月二十日に確定をいたすわけでございますが、ことしの基本選挙人名簿の調製に際しまして、その趣旨が徹底するようなかっこうで成案を得たいというふうに考えております。
  17. 堀昌雄

    堀委員 そこで、いまの問題はまず第一段階としては現行の制度の定められたように適正に運用するということは、もちろん再検討の中に入ると思いますから、それ以上については触れません。  もう一つの高級公務員の立候補制限の問題ですが、これについては自治省として——これは参議院が特にひどいのであって、衆議院の場合ももちろん多少あります。本年でもかなりたくさん選挙直前にやめられた高級公務員が衆議院に出ておられますが、しかしその弊害は参議院のほうにきわめて著しいということは皆さんも御理解をいただいておると思うのでありますが、この問題については法改正をする意思があるのかないのか、ひとつお答えをいただきたい。
  18. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 公務員の選挙活動というものには重大な制限があることは御承知のとおりでありまして、何が高級、何が中級、下級と申す前に、公務員が現職の地位を利用して選挙に立ちまするがゆえに、そこに大きな弊害が出る。やはり重点は地位の利用をしておるかどうかということが問題なのであって、公務員であるかないか、高級か下級かということには、私は大きな重点はないと思います。また逆な意味で言えば、下級の公務員諸君だって、知事が三選が適当か、四選が適当か、こういった形が論ぜられるようになりますのも、その背後関係を見ればいろんな疑問点が出てくるわけでございます。ですから、やはり一番最初堀委員が申されたように、選挙自体が正当に行なわれておるかどうか、法が守られておるかどうかということに重点をかけるべきであって、そのためには地位を利用するということは、法律で禁止してあるはずでございますし、そういった面で扱うべきものであると私は考えます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 自治大臣はこれまでの参議院選挙の中で、第一回から前回までの間に、一体林野庁長官というのはどういうかっこう選挙に出ているか御存じですか。御存じでなければ選挙局長答弁してください。
  20. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 実は私どもお互いに選挙をやってきたものですが、自分の選挙は一生懸命であっても、人さんの選挙のことまではなかなかわからぬ。おそらく秘術を尽くしていらっしゃると思いますが、いわんや、役人諸君にわかろうはずはないのです。戦術がわかれば選挙というものは勝てるというものじゃないわけですから、この御質問はちょっと事務当局としても御返答がむずかしいと思います。
  21. 堀昌雄

    堀委員 実はこれは、前回選挙制度審議会で非常に問題になった中で、選挙制度審議会政府は指示を出したのです。要するに逆に言えば、参議院全国区選挙があったときに出なかった林野庁長官が何人あるかと聞いたほうが早いかわからぬ。これは当然資料があると思うから答えていただきたい。そういう認識がないから赤津さんのような答弁が出てくる。いま答えられませんか。
  22. 長野士郎

    ○長野政府委員 いま手元に資料を持っておりませんので覚えておりません。
  23. 堀昌雄

    堀委員 私の質疑終了までに資料をそろえて答弁してください。  そこで、いまのお話のように、なるほど政治活動は禁止されておる。禁止されておっても政治活動の限界がきわめてあいまいもことしておるわけです。林野庁長官という人が出るときまったら必ず全国区では当選しておるのです。だから現職の人が出てないときは、前の林野庁長官がちょうど六年目に立候補したから、そのときに現職の人が出なかっただけのことで、ずっと過去の例では林野庁長官は出ておるのです。私は林野庁長官を目のかたきにしておるわけじゃないけれども、そういう特殊的な位置の者がそういうかっこうで出ておるということが象徴的に弊害のあることをあらわしておって、審議会の中では、高級公務員の立候補の制限はやるべきだというのが全会一致した意見だったのです。しかし、いまの形で政治活動を禁止すれば高級公務員だって立候補できることになるし、これは制限は及ばないのです。いまの御答弁の中で知事の話が出ましたが、それは全然性格が違うのです。知事は選挙によって出ておる人でありますから、その問題と高級公務員の問題は、ちょっと条件が違う。片方は公務員としてずっときて、選挙で出ている人間じゃないのですから、その点は違いがありますから、よろしいけれども、いまの点はあとで調べて答えられますか。答えられなければ終わりのときに調べて答えてください。  その次に、今回これから出される問題でありますが、ちょっと私ここではっきり申し上げておきたいことは、特例法を一部恒久化して政府案としてお出しになるように聞いております。そこで特例法の部分だけを恒久立法化して選挙法改正をなさるということについては筋として反対をいたしませんけれども、その選挙法改正に便乗をして、何か思いついたような式の問題をここであわせて選挙法改正に出されるということについては、率直に言いまして私は反対なのです。そこで区切りを分けて申し上げておきますが、要するに、選挙制度審議会の第一次、第二次を通じて答申されたものの中で具体化されないものが現実にたくさんある。そういうたくさんあるものの中で、全然触れられないで、そうして思いつきか何かのようなかっこうで出てきたものだけを選挙法改正でここでやるということは、私は政府の姿勢として国民から批判を受けると思うのです。それはなぜかといいますならば、国民はもっと抜本的な、この前も触れました政治資金規正等の抜本的な問題について何らか前進を期待しておるわけです。言うならば現在の政党なり議員にとってはあるべき姿としてはそうだというふうにみな考えるわけです。総理もこの間そう言っておるわけです。当面とてもだめだというかっこうで全然手を触れないものを、あるときに、言うならば、当事者にとって都合のいいような式の問題だけが提議をされるということについては、やはり国民としては、特例法というものの経緯議員立法で出ましたが、その範囲政府として、また次の参議院選挙にも特例法とするということについてはいかがなものかということがあろうかと思いますから、この部分について限定をして選挙法改正をなさることについては、私はやむを得ないと思いますが、それ以外のものは、もし今回竹にやる必要があるとするならば、特例法の形で一応やっておいて、そうして、この次に考えられる選挙法のもう少し広範な改正の際に、これを正規の改正として取り扱うというほうが私は選挙法改正としては筋が通る、こういうふうに考えますが、その点について大臣の御見解を承りたいと思います。
  24. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 思いつきだけで取り上げたというようなことをおっしゃいますけれども、決してそういうことではないのでして、もちろん審議会答申は全面的にわれわれとしては取り入れまして、尊重どころか、ほとんどまるのみにしなければならぬとは考えますが、しかし、御案内のとおりに単にこれだけの薄っぺらなものですから、たとえばこれからいろいろな御質問が微に入り細をうがってあるかもしれませんけれども法案でまとめようといたしますれば、実際、もうひとつ検討をしてもらわなければなかなか結論の出にくいような、ただ方向を示唆したにすぎないようなものもあるわけなんです。しかも、その中に大事なものがあるわけなんです。ですから私どもとしては、もうすぐまた次の審議会が出発するわけですから、この各項について法案化しにくいものについては、これが一体どうなんだというところまでもう少し掘り下げてやっていただかなければならぬと考えております。それから、いまおっしゃったことは、この前の選挙にかんがみまして、常識的にこれは恒久化すべきものであるかどうか、若干やりだしたわけで、何も特に思いつきでやったものであるとは私は考えておりません。
  25. 堀昌雄

    堀委員 表現は必ずしも適切ではなかったかもしれませんが、要するに体系的に、選挙制度審議会答申をされたものの中からやるということと、そうでない角度から入ってきておるものとあるわけです。いまの皆さんの論議をされておる中にありますから。実はいまあなたが薄っぺらいとおっしゃいましたが、第二次選挙制度審議会というのは、薄っぺらにならざるを得なかった情勢があるわけなんです。あなた方のほうで最初公聴会をやって、そうして、ともかく初めには審議会をスローダウンしておいて、九月の十五日ごろから一カ月間に、十月十五日に答申をしてくれと要望をすれば、これは薄っぺらくなるのがあたりまえで、薄っぺらくならないようにやりなさいということを私はここで言っておるわけです。第一次選挙制度審議会答申は実は薄っぺらくないんですよ。少なくとも六カ月、皆さんが十分御努力をなすったから、きわめて多岐にわたって、きわめて具体的な答申が出ているわけです。だから、この薄っぺらいのはどうかと言われるのは政府の責任であって、その点は審議会側には問題がない。あの時間の中で出せと言うほうが無理であって、その点については逆に政府側が反省をしなければならぬと思うのであります。  そこで、その答申の内容のことについてはいいですけれども、要するにそういうふうに、今度の改正法だけでなくて、私どもはもっとやらなければならぬものがいまたくさんあると思っているんです、率直に言いまして。この前の審議会答申の中で残っておるものについてもあります。これは与党の方でも、同じお考えがある方があるかと思いますけれども、今度の答申の中で特に考えておかなければならぬものは、「議員定数の不均衡是正のための恒久的な組織の設置」ということが答申をされておりますね。そしてこの中では参議院の地方区の不均衡是正の問題、これは第一次選挙制度審議会以来取り上げられております。ところが、いまのようなやり方をしておりますと、参議院の区割りの問題というのはなかなかいかないわけです。だからこそ私がさっきも申し上げたように、一貫したものの中でそういう作業が行なわれておれば、今度の参議院選挙の場合でも、あるいは定数是正が間に合っておったかもしれない。この前の参議院選挙のときにすでに議論が出されておりますから。そういう形でここでは参議院の定数不均衡是正の問題が取り上げられ、その不均衡是正のための恒久的な組織の設置についても意見が出ておりますが、こういうふうな問題についても、率直に言いますと、今回は触れられておらないわけであります。その他の問題、こまかいことを一々申し上げませんけれども、いろいろあるわけです。  そこで私が申し上げたいのは、ともかく今回お出しになる法案について、私はこの際——これはあとからいろいろと煮詰めた論議はされると思いますけれども、閣議決定をされるに際しましては特例法範囲にとどめていただいて、その他については、同じものをお出しになってもけっこうですけれども、それは臨時特例としてひとつ切り離して出していただくならば、われわれもそれについて、十分参加をしてやっていきたいと思いますけれども、要するにいまやる選挙法改正というのはこれだけしかないのかということになりますと、これはやや問題が残ると思う。やるべきことがあるのにかかわらず、ごく限られたものだけを選挙法改正として出してくる。特例法の分はやむを得ません。しかし、それ以外のものについてはそういう考え方を私どもは持っておるということを明らかにして、閣議決定においての取り扱い等についてひとつ御検討をいただきたいということを要望しておきます。答弁はけっこうです。  その次に——警察庁、来ておられますね。この前の宇野委員の御質疑の中でもいろいろ問題になっておるのですけれども、住所詐称といいますか詐偽登録、これは公職選挙法二百三十六条に「詐偽の方法をもって選挙人名簿に登録された者又は第五十条第一項の場合において虚偽の宣言をした者は、二千五百円以下の罰金に処する。」という規定がございますね。その次に、二百三十七条は、「選挙人でない者が投票をしたときは、一年以下の禁錮又は一万五千円以下の罰金に処する。」というふうになっていて、まだあとありますが、こういう選挙違反ですね。古いことはおわかりでないでしょうが、最近に違反としてあげられた事実がありますでしょうか。
  26. 日原正雄

    ○日原政府委員 犯罪の統計をとっております関係では、二百二十六条と二百三十七条と二百三十七条の二と一緒になっておりますが、要するに詐偽登録、詐偽投票等の検挙ということでその件数を申し上げますと、昭和三十五年の衆議院選挙のときに四十二件、三十五人検挙しております。それから昭和三十七年の参議院選で七十一件、八十六人、それから昨年の地方選挙のときに二百八十五件、四百十三人、三十八年の衆議院選で七件、八人ということになっております。
  27. 堀昌雄

    堀委員 いろいろ古いこともありますから、一々おわかりにならないかもしれませんが、先般来当委員会議論になっております。ある選挙を目的として、ある部分の人数が、そのために、要するに住居を変更することなく補充選挙人名簿等に記載をして、その結果として摘発されたという例がこの中にあるでしょうか。
  28. 日原正雄

    ○日原政府委員 この中にございます。事例としては、京都、大阪というようなところにありますが、全部は個々にわたって調べておりませんけれども、そういう事例はございます。
  29. 堀昌雄

    堀委員 その事例が捜査の対象になったといいますか、そういうことになった経緯等、わかっておる範囲でちょっと……。
  30. 日原正雄

    ○日原政府委員 大阪の事例で申しますと、創価学会員が、住居地は住吉区で、住吉区の選挙管理委員会選挙人名簿に登録されておるというのに、三十七年の六月十六日ころ一これは三十七年の参議院選挙の場合でございます。これは前の住居地に住所があるというように事実を偽りまして、西成の選挙管理委員会の補充選挙人名簿に登録申請をした上で、詐偽登録をして投票しようとした。そのほか同じような事案でございますが、被疑者二名を検挙いたしております。それから京都の事例では、これも全国区の、やはり三十七年の参議院選挙でございますが、全国区候補者のAの投票を得させる目的で居住の期間が三カ月に満たない出かせぎの土工三名を教唆いたしまして、これは土建業の夫妻が教唆をいたしたわけでございますが、そうして補充選挙人名簿の登録申請書に虚偽の事実を記載させまして、そして詐偽登録をさせておる。それからやはり選挙権のない土工一名の名義を使いまして、補充選挙人名簿の登録申請書を偽造して、詐偽登録の上、投票させた。こういう事案につきまして、吉田外六名、これを昭和三十七年六月三十日から七月五日までの間に検挙しております。それからもう一つは、これも京都でございますが、上京区の選挙管理委員会選挙人名簿に登録されておるのに、三十七年の一月十二日に東山区の選挙管理委員会、それから六月十二日には右京区の選挙管理委員会に対してやはり補充選挙人名簿の登録申請をして、詐偽登録をしたという事案について、被疑者一名を六月二十九日に検挙をいたしております。
  31. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話を聞いておりますと、これは二重に選挙権を行使したということに該当するのでしょうか。それとも、その目的とするところが参議院選挙の場合は地方区ですから、区の範囲をわたっても別に何ら効果がないという感じがするのですが、その点と、もう一つは、今後こういう法律改正等もいろいろあろうと思いますけれども、そういうものが摘発されるに至った端緒、これは私は非常にむずかしいんじゃないかと率直に思うわけですが、その端緒等については、どういうことが端緒であったのか。それがわかりますと、今後われわれとしてもちょっと参考になると思います。
  32. 日原正雄

    ○日原政府委員 これはいろいろな場合があると思いますが、元来選挙権がないのにあるように偽った場合、それから二重にしておりますが、これは投票前に検挙しておりますので、これも様子はちょっとわかりませんが、いろいろな場合があろうかと思います。それから端緒はお話のとおり非常にむずかしいわけでございます。一応風評その他のことに基づいて開始するわけでございますけれども、実際問題としてはなかなか私どものほうで確認するのはむずかしいという実情にございます。
  33. 堀昌雄

    堀委員 そこで、法律にこういう定めがありますから、もし何らかの端緒をつかむことができるならば、処分はできると思うのですが、現状ではその点が非常に不十分である。そこで、この前いろいろと宇野委員との質疑応答も拝見をいたしましたが、この問題の中にはいろいろと制度上のむずかしい問題がありますね。法務省に来ていただいておりますから、この住民登録の問題でありますけれども、住民登録は法務省の所管になっておる関係か、どうも地方自治体としては必ずしもその住民登録法の定めるところによって処理がされておらない部分があるのではないか。この間選挙局長の話では、都会地では三分の一ぐらい住民登録については問題があるんだというような答弁もあるわけでございますが、しかし、これがやはり住居等を公証するものだというふうに法律でもなっておるわけでありまして、土台としてはやはり住民登録というものがある程度完全に行なわれることは、諸般の問題について非常に有効に働くことではないかと思うのです。いまの現状は、この住民登録というものは、法律が定めるように、転入後十四日以内に届けるとかいろいろ規定はありますけれども、必ずしもそれが守られていない点が非常に多いのではないかと思いますが、これについてのお考えはいかがでありますか。
  34. 平賀健太

    ○平賀政府委員 住民登録につきましては、ただいま御指摘のような欠陥も全然ないわけではございませんが、必ずしも全国正確に守られておるとは申しかねる実情でございます。私ども承知しております関係では、多くの市町村におきましては、たとえば基本選挙人名簿の調製の際にはこれを重要な参考資料にするというようなことで利用しているところが多いのでございます。そういう関係で、これを他の行政事務に利用しておられる市町村におきましては比較的正確にいっております。  それからなお、これは全国のすべての市町村が実施しているわけではございませんが、多くの市町村におきましては、年に一回、住民登録がはたしてどの程度正確に行なわれているかどうかを調査いたしますために、管内全部にわたりまして一斉調査をいたしております。そうしてもし不一致があれば、その一斉調査の結果に差づいてそれを正していくというようなことをやっております。その一斉調査の結果が私どものほうにも参りますけれども、それが一〇〇%完全とは申せませんが、そういう一斉調査なんかをやっておられるところにおきましては大体正確であると言っていいのではないかというふうに考えております。
  35. 堀昌雄

    堀委員 いまの御答弁ちょっと抽象的なものですから、それなりとしては理解できますが、そうすると、日本全国の住民登録、これは自治体単位になっていると思いますが、いま一斉調査等をやられる自治体というものは、自治体の数で伺ったのではわれわれは見当がつきませんので、その自治体がやった国民の対象が何割とかいうようなことを、大ざっぱでけっこうですから伺いたい。あまり抽象的でめどが立ちませんので、どのくらいそういう一斉調査をやって、その結果が大体どのくらいになっているのか、要するに住民登録というものは日本のいまの国民全体の何割くらいはわりに正確なのかというような点が理解できると非常に参考になります。
  36. 平賀健太

    ○平賀政府委員 ごく大ざっぱな数字でございますが、全国の市町村の大体七〇%くらいが一年に一回一斉調査をやっております。それから、一斉調査の結果明らかになりました実態と、住民登録の住民票の上にあらわれておりまするところとの不一致、これは多いところ少ないところはあるわけでございますが、多いところと申しましてもそう違っておりません。そもそも住民登録を一番最初に実施いたします際に、ちょうど国勢調査と同じようなものについて全国で一斉調査をやりまして、それをもとにして発足いたしたのでございます。ただ、その後におきまして住所の移動が非常に激しいわけでございますから、住所が移動しましたつど厳格に法定の期間内に届け出されない場合があり得るわけでございます。そのためにずれが出てくるということでございます。私どもの大ざっぱな見当でございますが、世帯にしまして大体九〇%前後、人口にいたしまして九五%前後は正確ではないかというふうに考えております。
  37. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話で、世帯で九〇%、人口で九五%が正確ならば、選挙法の基本選挙人名簿等の問題は、住民登録に何かランクをするようなかっこう処理をされてもいいのではないかという感じがします。自治省ではこれは参考にすることにはしているのでしょうが、基本選挙人名簿の作製と住民登録の関係というものは、この前もちょっとお答えになっておりますけれども、もう少し詳しく承っておきたいのです。
  38. 長野士郎

    ○長野政府委員 基本選挙人名簿、補充選挙人名簿いずれの場合もでございますが、住民登録による届け出というものは重要な参考資料の一つにはしておりますが、現実の選挙権の要件というものは、現状から考えますとこれだけを基礎にいたしまして調製するというわけにはまいらないというのが、少なくとも私どもの聞いております範囲では実態のようでございます。したがいまして、重要な参考資料の一つにはいたしますけれども、それ自身に基づきましてのみ選挙人名簿をつくるわけにはこれまたまいらないという状況でございまして、選挙権につきましては、そう言うと非常に差しさわりがございましょうが、実態といたしましては住民登録の届け出というものを相当とされておると思いますが、かりに届け出をしていないといたしましても、選挙権の要件があれば選挙人名簿には登録させなければならぬ、登録すべきものである。したがいまして、かりにそういう場合がありました場合は、登録は別個の観点から、いわゆる選挙権の要件を満たしておるかどうか、住所が三カ月ぐらいその市町村にあったかどうかということによりまして調製をいたさなければならないということでございまして、根本的には私どももそういうものが結びつくことが方向としてあるべきだという気はいたしておりますが、現在はそこまでにはなっていないような状況でございますし、住民登録の届け出のみを基礎にいたしまして選挙人名簿をつくるということまでは正直申しまして踏み切れない状況であるというふうに考えております。
  39. 堀昌雄

    堀委員 私どもは何も選挙人名簿だけを土台にしてやれということではないのでありますけれども、いまの法務省のお話だけから聞きますと、居住と選挙人名簿というものがかなり一致しておるということになりますから、これをかなり土台として使い得るのではないかと思うのであります。私はいまの法律のたてまえの中で疑問と考えますのは、要するにそういう要件を満たすかどうかの問題の場合に、いまは地方自治体側に挙証責任があるのではないのですか。
  40. 長野士郎

    ○長野政府委員 御承知のように基本選挙人名簿と補充選挙人名簿と両方あるわけでございます。基本選挙人名簿のほうは職権調製ということに相なっております。したがいまして、住所の認定につきましても、市町村の選挙管理委員会が認定をするわけでございます。したがいまして、挙証責任と申しますか、住所の認定そのものにつきまして選挙管理委員会の判定によってこれを行なうということに相なっております。  それから補充選挙人名簿につきましては、本人の申請に基づいて登録するかいなかということの判定をいたすわけでございます。したがいまして、申請がありますから、本人が住所を有しておるということにつきましての一応の説明と申しますか、申し開きと申しますか、申し立てということはあるわけでございますが、それにいたしましても登録するかいなかということの判定は市町村の選挙管理委員会が行なうわけでございます。そういう意味では基本選挙人名簿の場合よりは申請者のほうからの材料の提供ということは事実上やや問題としても、説明としても行なわれるとは思いますが、最終的な判定は選挙管理委員会が行なわなければならない。したがいまして、住所の認定そのものも本人の申し立てだけに基づくというのではなくて、住所認定を別個に選挙管理委員会としていたしまして、そうして登録をする、こういうことに相なると思います。
  41. 堀昌雄

    堀委員 であるからいまのこの問題の一番根本のところはどこにあるかということになると、要するに挙証責任がみな地方自治体の選挙管理委員会の側にあったのでは、能力のないものにそういう挙証責任を求めておる制度の体系から問題が出てくるのではないか。ではなくて、やはり当該選挙人の側に挙証責任があるような法律の体系に改められるならば、この問題は、もうちょっと根本的に解決が前に進むのではないかと思いますが、その点はあなた方どう考えますか。
  42. 長野士郎

    ○長野政府委員 現在の場合におきましてもそういう判定をいたしまして登録するわけでございますが、御承知のように名簿の縦覧期間というものが必ずございます。これに登録が漏れておる、あるいは登録すべからざるものが登録されておるというようなことにつきまして選挙人のほうからの異議の申し立て期間があるわけであります。こういう場合には申し立てる理由というものは向こう側に挙証責任があるだろうと思います。そこで先生のおっしゃる挙証責任ということでございますが、要するに申し立て者のほうで、これだけの生活の本拠と認められるべき説明なり材料なり資料なりというものをかりに提供するといたしまして、調査を含めて真証が得られるかどうか、あるいは真証が得られて登録するかどうかということにつきましては、むしろどうしても選挙管理委員会がその判定をするという行為は一段階としては要るだろう、こういうふうに思うわけであります。かりに選挙管理委員会がそれを登録しなかったという場合に、異議がある者が反論をいたします場合には、それにもかかわらず住所があるんだという証明をしなければならぬということに相なるわけであります。そういうかっこうでございます。今度特例法の恒久化に伴いまして補充選挙人名簿の制度の改正をさせていただきたいと思っておるのでございますが、こういう場合におきましては、現在はそこまでのことが整えられておりませんので、居住を証するような資料、総合判定のために役立つような資料が必要な場合には、いまの申し立てをした、登録申請をした人から取り寄せることができるようにいたしたいと考えております。
  43. 堀昌雄

    堀委員 そうするといまはそれはできないのですか。いまでもあなた方のほうに調査の能力があるから、そのことはそんな法律をそこでそういうかっこうでさわらなくても現在でもできるじゃないですか。あなた方のほうが調査してこれをやらなければならぬことになっておるからそれは調査の段階の中に入らないが、いまのように居住を証明するに足るものを提示してくれということは、そうするといまでは言えないのですか。
  44. 長野士郎

    ○長野政府委員 事実問題として行なうことももちろんできると思います。いまでもできると思います。しかしながら、職権調製とか申請主義ということの区別はございますけれども、それをさらに一歩前進させまして、そういうことは要求できるという根拠を与えまして、そのことによりましてその目的が十分に達せられて公正な判定ができやすいというようなかっこうの整備をいたしたいと思っております。
  45. 堀昌雄

    堀委員 基本選挙人名簿のほうは非常に時期が早く調製をされますから、それに対してかけ込み的な措置は比較的少ないのではないか。やはり問題は補充選挙人名簿のほうにやや問題が多いのではないかという感じがいたしますが、しかしいまの問題は、法律的に詰めていけば、その挙証責任のあり方の位置で問題が非常に変わってくるのではないかという気がいたします。結局、最終的にその責任が地方自治体の側にあるのだということになるならば、これは自治体として調査ができるだけの人間なり能力を備えさせない限りは、少しぐらいさわってもなかなか問題が解決しないのじゃないかという感じがいたします。  さっきのお話で事実事件になって検挙をされておりますが、法務省のほうにお伺いをいたしますけれども、この検挙された者の中でこういうかっこうのものは、みな起訴をされて何らかの処分がきまったのでしょうか。多少いまの関係で、さっき私が伺いまして、警察庁でお答えいただいた範囲に限ってその後の経緯はどうなっておるかお伺いいたします。
  46. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 先ほど警察庁からお話のありました事件が具体的にどうなったかはちょっと統計上申し上げかねますが、たとえば前回の衆議院の選挙におきまして二百三十七条及び二百三十七条の二の不正投票の項目の統計を見ますと、十八人受理いたしまして、七人起訴し、一人が起訴猶予、二人がその他の不起訴というようなことにしるされておるようでありまして、あとは住所地に移送したりなんかしして、最終的にはどこへいってどういうふうに処分されておりますか、統計ではちょっとわかりません。
  47. 堀昌雄

    堀委員 そこで、いまの選挙人でない者が投票したということが皆さんのほうで確定をしてきますと——これは裁判によって確定することになるのでしょうが、確定をしてくると、実は選挙の無効の問題があとで必ず出てくるという関係になると思うのです。そこで自治省のほうにお伺いをいたしますけれども、いまのような経過で、いまお話しのは三十五年の選挙の場合ですね、だから三十五年のときの総選挙の中で七人は選挙人でない者が投票をした、あるいは投票が偽造されたということになっておると思うのですが、これについてはそういう無効の問題が起きてないですか。
  48. 長野士郎

    ○長野政府委員 選挙人でない者が投票したということに基づく選挙争訟でございますが、いま聞いておりますと、それを理由にした選挙争訟というものは出ていないそうでございます。
  49. 堀昌雄

    堀委員 実はこの問題は不当な選挙ですから、正当な選挙でなくなっておるわけですから、無効の訴訟が出れば、もし一名でも選挙人でない者が投票しておったということになると、たしかいまの選挙法では無効になり得るのじゃないですか。
  50. 長野士郎

    ○長野政府委員 公職選挙法に規定がございまして、いわゆる選挙人でない者の投票は法律的には無効でございます。その無効な投票が入っております場合には、潜在無効票というのでございますが、それについての措置といいますか、もちろんそれは当選訴訟の原因になりますが、その当選訴訟につきましては、だれにその無効票が入ったかということははっきりしないわけであります。したがいまして、その無効と思われる票がございました場合にはその票を、いろいろ得票されておる方があるわけでございますが、得票者の得票数の中から案分して差し引くということにいまの規定としてはなっておるわけであります。
  51. 堀昌雄

    堀委員 そういう程度のことであれば、おそらくなかなかその経過をたどって訴訟を起こすことにならぬと思いますけれども、やはりこれまで私どもが聞いております範囲では、かなり多数の者が行なっておってもわからないということのためにそのまま済んでおるという例があるのじゃないかというふうな感じがするわけであります。  そこで、きょうは警察庁と法務省にお越しをいただいておりますから、こういう選挙権のない者が投票をするということを、皆さんの取り締まりの側からなくするということのためには、一体どういう措置が設けられることが、取り締まる側として一番処置しやすいかという点をちょっとお答えをいただきたいのです。おのおのひとつ取り締まりの立場に応じてお答えいただきたい。
  52. 日原正雄

    ○日原政府委員 お話の御趣旨がどういう趣旨かちょっとわかりかねたのですが、こういうようなことを防止するような意味での措置ということになりましょうか、ちょっとその点……。
  53. 堀昌雄

    堀委員 実は防止したいわけです。防止したいわけですけれども、実は私もいろいろ調べてみましたが、防止するために一番いいのは、選挙管理委員会の事務局に人間をもっとふやして、もっと正確な名簿をきちっとして、点検すれば予防できるわけですが、なかなかそういうふうな実情に至らないものですから、そうすると、多少一罰百戒といいますか、何かの部分が改正をされれば、そういうことをしたら捜査当局として比較的それがわかりやすいということですね、要するに摘発を可能ならしめる何らかの道がちょっと開かれておるとすれば、そういうことをやったらこれは処分されるということになって、そういうことはしなくなるという側面が一つあるのではないか。だから本筋としてはそういうほうからやるのが適当だとは思いませんけれども、現実の問題として見ると、さっき私が申し上げたように、いまの状態のままではあなた方のほうで捜査を——法律に罰則があるから、それに違反した者があるとすれば訴訟をされるのが適当ですけれども、そうはいっても、いまの状態では端緒がなければなかなかわからないから、どこかにそういう何かの規定があれば、それに基づいてそういう訴訟をして、そういうことをなくすることができるようになるかどうか。問題としてはちょっとうしろ向きになるという感じはいたしますけれども、そういう何らかの方法はないものかということを伺っておきます。
  54. 日原正雄

    ○日原政府委員 私ども議論の中で、いままでその点議論したことがないのでよく検討しておりませんが、この前大阪で大量の二重登録があって、そして、それは選挙管理委員会の調査で発見できて、それで大部分抹消して不正投票を防止したことがあるわけです。根本的には選挙管理委員会の段階でチェックができれば——それを通ってしまってから私どもの調査ということになりますと、これは私ども全部調べるわけにもいかぬものですから、なかなかむずかしいことになるのではないか。やはり選挙管理委員会の段階で防止できるような措置があればというふうに考えるわけであります。
  55. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、やはり自治省のことになるのですが、自治省としては、これは法案が出ていないいま、その議論をしてもおかしいのですけれども、これまでの経緯の話からすると、補充選挙人名簿の措置だけで、大体当面はかなりいけるという判断でしょうか。
  56. 長野士郎

    ○長野政府委員 法律上の規定の整備という点からは、当面補充選挙人名簿の扱いに改善を加えることを考えさせていただきたいというふうに思っておりますが、ただ問題は補充選挙人名簿だけにとどまらない。むしろ名簿調製に際しましての取り扱いなり、関係者の基本的な考え方、態度、そういうものを厳密に反省を加えまして、そうして名簿調製に際しての取り扱いの方法、要領なりというものを、考え方を改めていくということを考えたいと思うわけであります。したがいまして、先ほど申し上げましたように法改正として私どもがお願いしたいと思いますのは、さしあたっては補充選挙人名簿のことでございますけれども、実質的には基本選挙人名簿の調製そのものから、調製のしかたなり何なりについて十分な指導を加えていきたいと思っております。同時に、お話のように、そういうことになりますと相当人も要るし、経費もかかるし、時間もかかるじゃないかということがございます。しかし、基本選挙人名簿の調製につきましては、毎年一定の期間に、その間に選挙があったりするといろいろありますけれども、一定の期間に相当の期間をかけてやる時間的余裕もかなりあるわけであります。大都市では多少困難はあると思いますが。補充選挙人名簿につきましては、選挙に際しましてそういう名簿をつくる場合、いわばどさくさと言ってはおかしゅうございますが、ややそういう面がある。そこで、いままでは名簿登録申請期間に限って登録申請ということが行なわれることになっておりましたが、これを今回何とか改めまして、登録の申し出というものはいつでもできるようにいたしまして、たとえばその本人が移転をしてまいる、そういうときに必ず一回くらいは役場その他にも出向いていくこともあると思いますけれども、そういう場合に登録の申し出もできる。そうしていきますと、選挙に際しての混雑が幾ぶんでも救われるだろうと思いますし、また同時に非常に前から準備ができる、また選挙人にとりましてもいつでも申し出ができるんだということのほうがはるかに改善されるのじゃないかということを考えまして、そういうふうな改善をはからしていただきたい、こう考えております。しかし、それにいたしましても財源措置その他の問題も出てくると思いますが、いま関係の当局とも、実は自治省の中でも、そういうものにつきましてもできるだけ考えられる方法はないかということで相談をいたしております。何とかそういうことをいたしまして名簿の正しい調製ということに努力をしてもらうようにこれから進めてまいりたい、こう考えております。
  57. 堀昌雄

    堀委員 選挙法で見ると、この前も宇野委員が触れられておりますけれども、衆議院、参議院の選挙だけは選挙法の中では居住についての条件も何もないんですね。それで基本選挙人名簿のほうにだけ——要するに補充選挙人名簿には三カ月云々とありますけれども、しかし、たてまえとしては日本国民であって年齢満二十年以上の者は衆議院、参議院の選挙権を有するというような非常に簡単な規定だけになっているんです。これらについては、法律の体系として見て、いまのようないろいろな問題が起こるとすればこのままでいいかどうか、ちょっと私この点については疑義がある。というのは、片一方のほうは、地方選挙のほうは三カ月居住ということが書いてあって、こっちはそういう居住の条件がない。だから、ないとすれば、それを片一方の補充選挙人名簿のほうで規定をしたりするということが法律上どうなのかという気もするのです。これは法律の体系としては、ここにもやはり、投票権というかっこうで見るならば、日本の中に三カ月以上どこかに居住しているとかなんとかということがあってもいいんじゃないかと思うんです。昔は何か一年だったか、半年だったか、あった時代があったと思うのですが、それがだんだん改正をされて今日に至っておるように私記憶しておるのです。大正十何年でしたか、前は一年か半年か居住していなければ選挙権がないという時代があったように記憶しておるんですが、その点はどうなんですか。
  58. 長野士郎

    ○長野政府委員 国の選挙につきましては、いまのお話のように「日本国民で年齢満二十年以上」ということで選挙権が、欠格条項は別といたしまして、あるわけであります。それから地方団体の選挙につきましては、沿革的にも、地域的な居住という事実に重点を多少置きまして、要するにその地域社会と密接な生活関係にある、地方団体についての様子といいますか、実情というものも相当わかっているというような、住民としての結びつきというものを考えている。そうして、そこに住居要件といいますか、それに時間的な要素を加える、こういうのがずっと従来からの沿革なのでございます。で、おっしゃいますように、前はこの期間が長かったように私も記憶しております。それがだんだん短くなりまして、たしか六カ月からいまの三カ月というようにだんだん短くなっている。これはやはり少しでも多く選挙権を早く行使させるということに重点を置きまして、いまの三カ月ということになってきたと思います。ただ、選挙権の要件といたしましては、地方団体のほうは三カ月の住居要件が選挙権の要件になっております。国のほうは年齢だけが要件になっております。しかしながら、名簿の調製につきましては、補充選挙人名簿だけではございませんで、基本選挙人名簿につきましても引き続き三カ月以来その市町村の区域内に住所を有する者の選挙資格を調査し、基本選挙人名簿を調製するというように、たてまえは同じようにいたしております。そこに問題があれば確かにあるということになりますが、選挙人名簿の調製の要件といたしましては、結局におきまして、国の選挙権を有する者も地方の選挙権を有する者も同一の要件ということで、現在の公職選挙法の二十条の一項に、「市町村の選挙管理委員会は、毎年九月十五日現在により、その日まで引き続き三箇月以来その市町村の区域内に住所を有する者の選挙資格を調査し、十月三十一日までに基本選挙人名簿を調製しなければならない。」こういうふうにいたしまして、選挙人名簿の調製の要件というかっこうで、実質的には三カ月というものが国も地方も調製のために必要だということから一応一致している。理屈の上では国のほうは年齢だけを選挙権の要件にしている、そこ自身に問題があるのじゃないかということになれば、確かにあるといえばあるわけでございますが、結局選挙人名簿というものは、国の選挙におきましても地方団体の選挙におきましても同じ名簿を用いているといいますか、使っておるわけでございます。また、名簿の調製上の技術的な必要から申しましても、ある程度の資格期間というものを考えまして、住所認定その他も考えていくという必要もございますので、従来から二つのものが結果においては一つになって名簿に調製されるという形をとっておるものと考えております。
  59. 堀昌雄

    堀委員 私は、どうも訴訟が起きたことがないからかもしれないでしょうけれども、実は選挙権というのが「日本国民で年齢満二十年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員選挙権を有する。」というふうに、だから選挙権がはっきりあるわけですね。あるけれども、もしいまのこれでいきますと、三カ月以内しか居住していない者は選挙権がないのかということになったときにどうですか。これは憲法でも、ともかく「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」こうなっていて、その憲法を受けて選挙権というものを第九条の第一項に書いたわけですから、それを、だから、私は、ここに二カ月いた、一カ月いました、しかしいまの憲法とこれによって私は選挙権があるから投票させなさい、こういうことになったらどうなりますか。
  60. 長野士郎

    ○長野政府委員 先ほどのお答えのときにちょっと申し落としまして、あれでございますが、たとえて言いますと、選挙権についての差異が一体どこであらわれてくるかということになりますと、市町村の選挙権はもちろん三ヵ月という住所要件がございますから、おっしゃいますように二カ月しかないというときには、市町村の選挙権はないわけであります。国の選挙につきましては、二十年以上あれば選挙権があるわけでございますから、かりにそこで二カ月しかたたなくても、逆に言いますとそこでは二カ月しかたたないから名簿に載りませんけれども、前のところでは名簿に載っているわけであります。そこに行ったら当然投票ができるわけであります。国の選挙でございますから、住所要件というものが選挙権の要件じゃないわけです。いまの名簿の調製のときには便宜上合わしておりますけれども、したがってかりにある人が神奈川県から東京へやってきた。そのときにはまだ三カ月の時間がたっておらないという場合には、その人はそこでは地方の選挙は三カ月の住所要件がありませんからできませんけれども、国の選挙がありました場合には、その人は横浜へ帰っていけば横浜では名簿に載っておりますから、当然投票ができます。その点が違う。そういう意味で、実態は同じだと申しましたのは少し私、どうも言い過ぎでございまして、実質もそのようにして違う、こういうことになっております。
  61. 堀昌雄

    堀委員 それはいまのお話は裏側からしたら、どこかから移動してきても、前には三カ月以上おったということにはなると思うのですけれども、しかしちょっと具体的な問題の考え方として見ると、私は問題が出てくる場合だってあると思うのです。それはいまのような見方を今度裏返して、特例になりますけれども、海外に行っていた、何かの仕事で海外に三年なら三年おった。それからここへ帰ってきた。そうして一カ月目に国の選挙があった。国内には、あなたの言うように前三カ月引き続きということにはならぬでしょう。いまのあれは、ずっと前でもいいということですか。そうならぬじゃないですか。これは不在になっていれば、基本選挙人名簿からはずれますね。当然もうはずれている。
  62. 長野士郎

    ○長野政府委員 そのいまのお話、実は終戦後におきまして、たとえば海外引き揚げ者、そういう方につきましては、要するに三カ月の住所要件がなくてもその選挙権を与えるということで、いまの公職選挙法にもそういう規定で救済規定がございます。しかしロンドンに駐在しておってやって参ったというのがぴしゃりこれに当てはまるかということになりますと、少しむずかしいところがあるわけでございますが、そういう場合の特別な措置というものが十分に整備されておるかということになれば、それは確かに少しお話のようなところがあるように思います。しかしながら純粋の法律的な説明だけからいいますと、その選挙権を有しております者が、まあそういうことは非常識だとおっしゃれば別でございますが、選挙人名簿に登録されていなければ投票はできないわけでございます。ただし選挙人名簿に登録されるべき者でありまして、しかもそれが登録されていないという者につきましては、登録されるべき旨の決定書とか確定判決書があれば投票ができるということにはなっておりまして、全然救済の道がないというわけではございませんが、多少そういう点の法制的な整備が十分でないという場合は確かにあるように思います。
  63. 堀昌雄

    堀委員 私は不備なことを言っているのではなくて、体系として見て、どうも選挙権のほうはいわば抽象的といいますか、そういう規定がされておって、それを選挙人名簿という形式で範囲を限定しようという考え方が、法律のたてまえとして、原則はこう非常にはっきりしていて、出口のところだけをふさごうというような法律の体系は、率直に言うとちょっとおかしいのじゃないかという気がしているわけです。もしいまのようなことであれば、日本国民で引き続き選挙時前三カ月国内に居住しておるということになっておるなら、いまの問題は何も地域を限る必要はないですから、法律の要件としてなら私は話がわかると思うのですよ。しかしこちらの最初のほうはそういう規定がなしにしてあって、とにかく成年であればいいわけですから、欠格条件はありますけれどもこれは特殊的な条件を規定しているだけですから、二十歳以上選挙権があるのだという規定をして、それを片一方で選挙人名簿をつくるということで拘束しておるわけです。だから、私がいま言いたいのは、選挙権があるとかないとかいう議論が、技術的な選挙人名簿をつくるという段階で問題が出てくることになっているこの選挙法体系の仕組みに少し問題があるのじゃないかという気がしておるわけですよ。だからそれを、いまのようなたいへん意地の悪い質問をしているようですけれども、そういうことが起きるのはどこに問題があるのかといったら、法律の体系自体の中に問題があるのじゃないか、こういう感じが私はしているのですがね。これをずっと今度の問題について読んでみたときの私の感じとしてはです。憲法四十四条は、「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。」あといろいろついておりますけれども法律で定めたにしては、この憲法と内容がほとんど変わらないと思うのです。要するに、成年者による普通選挙を保障するということになっている。日本の場合、成年というのは満二十歳以上ということになっているわけですからね。そうすると、憲法と法律とがほとんど同じくらいの規定しかしてないというところに、これはちょっと問題があるのじゃないかという気が、私はこれを読んだときにしたわけです。その点はどうですか。それは別に憲法と法律が同じであったっていいけれども、四十四条は「選挙人の資格は、法律でこれを定める。」とまで書いておるのですから、私は選挙人の資格というのは、やはりいまの選挙権というものに関する規定につながっておるのじゃないかと、こう理解しているのですが……。
  64. 長野士郎

    ○長野政府委員 国の選挙権につきまして一定の住所要件というようなものを考えるべきかどうかということになれば、どうもやはり、お話がございますが、現在のような選挙権の要件ということは一つ考え方であって、なるべく広くも考えるべきでありましょうし、保障するというたてまえからいいましても、いまの二十歳以上の者は選挙権を有するということはやはりそれでいいのじゃないかという気がするわけでございます。それから先ほど申し上げましたように、国の選挙でありますから、住所を移転いたしましてももとのところに載っておるところでは当然投票権が行使し得るわけでございます。したがいまして、実際問題といたしましても、国の選挙の場合には住所要件というものにそれほどかかわらないで選挙に臨める、投票権を行使できるということができ上がっておるわけであります、ただ地方の場合には、地域性といいますか、そういう地域団体との結びつきというものを考えまして、それをなるべく短くしていまの三カ月ということになっておるのでありますから、実質的にはまた名簿調製の技術的な問題もございましょう。住所判定その他のいろいろな基礎資料を整えるに十分であるかないかという問題はありますが、そういう問題もございますので、この三カ月というものが同町に名簿調製のときの登録の要件になっておるということだと思います。そこで、初めは広げておいて、入り口を押えておるではないか、そういう名簿調製という技術上の理由で抑えておるような感じがするではないかという御意見でございますが、そういうことも全然ないとも申せませんが、やはりたてまえが国の選挙の場合と地方の選挙の場合と違うということで、現実に違った行使ができるということで一応の御説明にならないか、同時に名簿調製上の技術としての三カ月というものと地方の公共団体の三カ月というものと必ずしもそれだから合わしたとかどうとかいうことじゃなくて、これは調製上の技術としての三カ月というものが別に要ったんだ、こういうことではないだろうか、こう考えていかなくちゃならぬじゃないだろうかというふうに思っているわけでございます。
  65. 堀昌雄

    堀委員 そこで、もうお時間もきましたから、そろそろおしまいのほうにいたしますけれども、いま虚偽の登録が行なわれておるとしますね。しかし、選挙権は行使をしていなければ、二百三十六条のほうでは、もしわかったらこの処分ができることになりますね。詐偽の方法をもって選挙人名簿に登録された者あるいは虚偽の宣言をした者は、二千五百円以下の罰金に処する、こういうことになっておるのですが、いまから選挙人名簿をつくり直していく中で、現在のものについてそれをどう判断するかということですね。まあ補充人名簿の場合にはさっきいろいろ話をしましたから、提出しなさいということになるのでしょうが、たとえば東京都のようなところで今度の基本選挙人名簿をこの九月十五日現在についてつくるときに、要するにそこに住んでおることになっておれば実際の登録がされる。ところが、その住んでおるということを判定するのは、そうすると一体どうやって判定するのですか。そこのところをもう少し具体的に聞いておかないと、もう来年選挙があればいまごろからいろいろなあれがされておる。実際の居住は別ですよ。民法上にいうようないわゆる居住の具体的な要件というものは別途にあって、しかし、ここにおりますというかっこうだけで処理がされておる場合、その居住ということをあなた方のほうではどの範囲で認定をするのか。
  66. 長野士郎

    ○長野政府委員 先ほどもちょっと私申し上げたときに触れたかと思いますが、従来の名簿がずっと続いておりますが、その名簿と、新しくことしの九月十五日現在でというのでつくります基本選挙人名簿というものとは、法律的にも何ら関係はないわけです。したがって、名簿調製をいたします場合には、あらためて全部の住所要件といいますか、そういうものは調査をいたしまして、確認をして新しく名簿に載せるというのが法律上のたてまえであります。しかしながら、実際問題といたしまして、たとえば東京都なら東京都のある区の選挙管理委員会が、従来から正しいものとして載せてきた補充選挙人名簿や昨年の基本選挙人名簿というものにつきまして、それをもう一ぺん洗い直すということまで全部やり切るかどうかという問題になりますと、それを重要な、あるいは場合によっては唯一の参考資料にいたしまして、引き写しをしてしまうのが実態ではないだろうかという疑問が残るかと思いますが、確かにそういう傾向というものは、実際問題としては起こり得るものであるという感じはいたします。しかしながら、法律的には全く新たに九月十五日現在で名簿をつくるわけでございます。私どもがさいぜんから申し上げておりますのは、そういういままでの慣例的な扱いがかりにあるといたしまして、それを排除いたしませんと、いままでに非常な厳密な態度でなくて、かりにあやまって載せておるものをそのまま載せるということが起こり得ることをぜひ避けたいと考えておるわけでございます。現在の選挙人名簿につきましても住所が移動いたしましたり、あるいはそういうことでわかりましたもので名簿に載せるべきものでない、死亡したというような場合もございますが、そういうものにつきましては選挙人名簿それ自身に付せんをつけまして、付せん整理をいたしまして、現実に合うようにはいたしておるわけであります。しかしながら、そこでそういう慣例的な扱いがかりにあるようなことがあっては事実に反する名簿が作製される結果になりますから、それにつきましてはそういうことにおちいらないように、補充選挙人名簿の手続その他を改正させていただく際に、基本選挙人名簿に問題が残ることを非常に心配いたしますので、取り扱いその他について新しい運営方法というものを十分に徹底させていきたいと考えております。
  67. 堀昌雄

    堀委員 いまの問題は、ともかく皆さんが今後一ぺんやられてからでないとわかりませんから、これは新しい法改正の際に論議をされることでありますから、ここまでにしておきます。  あと二、三点だけ大臣にお伺いしておきます。この前も私は総理大臣に伺ったのですけれども政治資金規正の問題について、実は前回一部、まことに私どもは不十分だと思いますけれども法改正がなされたことがあるわけですが、今後引き続き、ああいう答申が出ておりますけれども政府の側としては、この問題について答申をもとにして検討を進める意思があるのかないのか、あれはとてもだめだからといってたな上げしておいて知らぬ顔をしておるのか、あるいはそれはそれなりに現在の段階としては答申そのもののような法制化はできないにしても、現在で可能な範囲におけるそういう答申趣旨を生かした法改正検討する意思があるのかないのか、その点をちょっと承っておきたいと思います。
  68. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 前回総理大臣がどういう御答弁を申し上げたか存じませんけれども、しかし、私どもの党では、御案内のとおり保守党内でいろいろな脱皮しなければならぬ問題があることを率直に認めて、そうして、御承知の党近代化のために一つ調査会までつくって、一生懸命でやっておるわけでございます。この選挙資金の扱い方で、やはり選挙自体が腐敗する問題も当然大きくあるわけでございますので、この問題はわれわれといたしましても早急に公正ないい方法を見つけ出さなければならぬと考えております。もちろん政府でも自民党と同じで、そういう立法を早急に進めなければならぬと考えております。先ほど申しましたように、答申にも第二の1、2、3と、大体大筋だけはちょっと列記されてありますけれども、さあ、これを法制化するとなると、なかなか問題もございますので、しかし、答申は無視するわけではない、次の審議会の段階におきましてもさらにこの問題を検討して、具体的な結論もいただきたいと思っておる次第でございます。
  69. 堀昌雄

    堀委員 いまの、また次の審議会検討してもらいたいというお話でありますが、実は審議会はもう二回にわたって同じことを答申をしておるわけですね。ですから、もうこれについて審議会が同じことを今後やるとはわれわれは考えられないわけです。そこで、私どもとしては、当然政府がこれまでの段階に応じた何らかの意思表示をもうしなければならぬ段階にきておる、二回も確認をしておることでありますから。いま皆さんのほうの党内としていろいろ御検討になっておるという点もわれわれも新聞紙上等で拝見をしておりますけれども、実はこの政治資金の届け出の資料を見ますと、一件当たり五百万円ずつ出しておるというようなものが相当たくさんにあるわけです。十万円、二十万円、五十万円くらいの単位で出ておるのならば私どもも現状の中ではある程度やむを得ない問題もあるかと思いますが、一番大きいのは、私がこれまで見た中で一千万円という単位があります。それでなくても五百万円という単位で寄付金を出しておるものが相当たくさんにあります。そこで、政治資金規正の問題について、個人の寄付に限るという答申がいま出ておりますが、政府としては、そこまではいかない、しかし、少なくとも営利会社であるものが、ともかく、それも五百万円ただ一カ所に出しておるというなら話はまだわかる。実はその出しているようなところを調べてみると、まあ皆さんのほうの派閥の中にもけっこうおつき合いとしてどこかえ五百万円出したらここへも五百万円、ここへも五百万円というかっこで出ておるのがかなりあるのですね。こういうようなことは私はまことに適当でないというふうに考えるので、少なくとも金額の制限等について、それが幾らであるのが適当であるかは別個としても、常識で考えて、営利会社が五百万円単位であちこちへ政治資金を寄付しておるなどということは、この前の八幡製鉄の裁判等もありましたように、まことに適正を欠く、こう思うのですが、この問題について少し何らかそういう意味検討を進める意思があるのかどうか。もう選挙制度審議会は二回にわたって出しているのですから、さらにそこでひとつおやりくださいなどということでは政府は済まないと私は思う。選挙制度審議会設置法には明らかに答申を尊重するということになっておりますから、その尊重のしかたはいろいろありましょうけれども、無視をしていいとは書いてないのですから。その点はいかがですか。
  70. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 次の審議会にまたお願いすると申しましたのは、ただ個人に限って、会社、組合はいけないといったようなきわめて簡単な表示で第一次審議会答申を再確認するというふうなことで一番は結んでございます。こういった問題は審議会の一回、二回とも続いて議論のあったところでもございますし、私ども堀委員の御指摘になるような点は反省の一番の問題になっている点でございます。党内でもわれわれのほうでは始終この問題について議論を重ねておるわけでございますが、しかしながら、方向としては堀委員が指摘されたと申しますか答申が示しておる形で前向きの姿勢で早い機会にこういった問題に善処したいと考えております。
  71. 堀昌雄

    堀委員 善処するということは、私がちょっといま触れましたようなあり方で、もちろんそれはいきなり個人に限れないと思いますならば、政府としては法人段階においても金額等の規制を一応——おたくの党内にたしか出ておったと思いますが、金額等の規制もする、そういう問題として検討を進めていただくというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  72. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  73. 堀昌雄

    堀委員 それからもう一つ伺っておきたいのは、本年はイギリスで実は総選挙が行なわれることが予想されております。私が早川さんに質問いたしました昨年のときに、イギリス等における総選挙もあるので、これらについて視察等のための予算をひとつ組んでおきたい、要求をしたい、こういうふうな御答弁が実はあったのですが、この問題については、選挙制度審議会のほうに予算が組まれておるのか、国会からの当委員会のほうの者が視察に行けるような予算が組まれておるのか、それらの点について説明してください。
  74. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その点は私も以前から承知をしておったわけですが、予算的には庁費の中に組んであるようでございます。しかし、実際は、この審議会委員方々に、ぜひ間に合うように審議会な構成いたしまして、そしてイギリスの総選挙はぜひ調査していただきたい、かように思います。
  75. 堀昌雄

    堀委員 その次に、参議院のアンバランス是正の問題というのが実はこの次にあるわけですね。いまは私間に合わないと思います。これから審議会がいろいろ答申をされても、来年の参議院の地方区に間に合わせるということは、これまたやや困難があるかと思いますが、少なくとも、政府としては、この次の次に行なわれる参議院の選挙に際しては地方区の定数是正は行なうという方針で今後この問題に取り組まれるかどうか、その点もちょっと伺いたい。
  76. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 やはり参議院とて別ではありませんので、アンバランス是正されるべきものだと私ども考えます。おそらく、察するのに、この審議会がおくれておりますのは、衆議院と違って複数複数でいくわけですね。三年交代でやるわけですから、そういった点で、いろいろ議論の過程を通じても、なかなかやりにくいといったような御判断でもあったのではないかと想像するわけでございますが、にもかかわらず、やはり人口のアンバランスというものは無視できぬわけでございまするから、おそらく審議会は、堀委員の御指摘になった方向で結論をお出しいただけるものと考えております。
  77. 堀昌雄

    堀委員 そういうふうに審議会におまかせになる前に、実は審議会に対して政府は諮問ができるわけです。ですから私は、少なくともやはりこの段階にくれば、いつお始めになるのか、その点もいまから伺いますけれども審議会をいつから発足させて、一体そこに対してそういう諮問をなさるのか。特にこの問題はやはりアンバランス是正といいますか、そういうことでないと、またこれが漸次増加というようなことでは、われわれとしては納得ができないわけでありますので、その点含めて次の審議会に諮問をなさるかどうか。  その点と、それからさっきのお話だと、この法律案が上がったら審議会をつくるというようなお話がちょっとありましたけれども、私は、これは非常におかしなことで、ちょっと納得ができないのですが、そんなことにかかわりなく、審議会はある一つのめどを持ってこれは委員を任命なさるのが適当だと思いますけれども、その点と、二点をちょっとお答え願いたい。
  78. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この審議会の発足のことですが、先ほど、この間の答申がまだもたもたここで議論しておるのに、また第三次審議会をというのはどうかと思うということを申し上げましたけれども、しかし、任期は明らかに去年の暮れ切れておるわけですから、これは間隙を置くということは私もよくないと考えます。しかし、ここまでまいりましたので、少なくとも来月の中旬ごろまでには審議会を発足していただこう、かように思っております。  それからもう一つ、参議院のアンバランスの問題ですが、この間の答申自体にも、五番目に「参議院議員定数不均衡是正措置についても、今後において引き続き審議を尽すこととしたい。」こういうふうに結んであるわけでございますので、当然政府としてはこれは諮問をしなければなりませんし、また審議会のほうでも、いままでに引き続いて、積み重ねたものがあるわけですから、継続してやっていただく、かように考えております。
  79. 堀昌雄

    堀委員 最後に、実は審議会皆さんに今後お願いをしていただく場合に、特にお願いをいたしておきたいのは、第一次選挙制度審議会に比べて第二次選挙制度審議会は、日程の関係等もあったかもわかりませんけれども、実は御出席状態も必ずしも良好ではなかったわけです。このことは、第一次審議会はいろいろな——第一次審議会は非常に御出席がよかったのです。が、その答申に対する政府のあり方について大きな批判が出まして、そのことが私は非常に影響しておったのではないかという私なりの判断をしておるわけです。そこでやはり審議会皆さんにお願いをしていただくに際しては、政府審議会答申その他について、もっと誠意をもってやるという姿勢がなければ、おざなりな審議会なら、われわれ忙しいのだから、もうあまり出てもしかたがないというようなかっこうになったのでは、審議会設置しておることが、国民に対しての義務を果たすことにならないのではないかというふうに考えますので、少なくとも、次回の選挙制度審議会が開かれるに際しては、総理大臣みずからやはり出席をしていただき、そこで政府としての姿勢をこの審議会委員皆さんに明らかにするくらいな熱意を持ってこれを再発足していただかないと、またもや低調なかっこうになったということでは私は困ると思いますから、そのことは、一にかかって政府の、審議会答申の尊重のしかたにある。だからできることとできないことは、それはなるほど判断の問題ですから、ありましょう。ありましょうけれども政府としては、審議会答申についてはこのように努力しておりますということが、審議会委員を含め、国民を含めて、わかるような姿勢で、この選挙法改正に取り組んでいただかないと私は問題が残るというふうに感じますので、その点については特に大臣にそういう要望を付して私の質問を終わりたいと思いますけれども、一応大臣の側として、今後の選挙法改正について、審議会を尊重し、同時に審議会答申について尊重して、少なくとも、もし答弁がすぐできないものについても十分検討を進めて政府の見解を審議会に伝えるとか、その他の措置を講じるようなことについてのお答えをひとつ承って私の質問を終わります。
  80. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 選挙制度審議会委員は、御案内のとおりに非常に忙しい方々でございます。日本でもトップ・レベルの方々ばかりでございまして、それでおしまいに至るほど先細りになって欠席者が多かったということもよく承知をしておるわけでございますが、その原因が政府のこの審議会におけるこの問題を扱う態度いかんにかかっておったかどうかということは別といたしまして、私どもはやはりこの態度を、改めるべきものがあれば改めまして、いままで欠席がちであった方々にも一応お願いしなければならぬ。私は大体根本的に、第三次の審議会のメンバーをがらりとかえるなどということは毛頭考えておりませんので、やはり同じメンバーで継続してやっていただきたい。にもかかわらず、どうしても出るのがいやだとおっしゃる方には、やはりどういうわけですかということもお尋ねしなければなりませんし、礼も尽くさなければならぬと思います。にもかかわらず、忙しくてとおっしゃる方があれば、やはりやむを得ませんから、他の方にかわっていただかなければならぬこともあるかとも思いまするけれども、しかしながら、いままで欠席がちの方は、いま申し上げたように、礼を尽くして、この問題に取り組んでいただくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  81. 小泉純也

    小泉委員長 山下榮二君。
  82. 山下榮二

    ○山下委員 赤津自治大臣に二、三お伺いいたしたいと思うのであります。相当時間もたったようでございますから、できるだけ要点だけを申し上げまして、いずれ具体的なことは次の機会に譲りたいと思うのであります。  まず最初伺いたいと思いますことは、今回提案になりました衆議院議員定数アンバランス是正についての提案は、まあいろいろ不備な点もございますけれども、一応われわれはこれを了といたしておるのであります。ところがこの提案の方法についていささか伺いたいと思うのであります。  過般、長野政府委員のほうに伺ったのでございまするが、少し要領を得ない点等がございましたので、重ねて大臣に伺ってみたい、こう思うのであります。  その第一は、定数是正をするということは、別表を改正しなければならぬということにならなければならぬと思うのにもかかわらず、これを暫定措置として提案された理由は一体どこにあるのか、その理由を伺いたいと思うのであります。
  83. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおりに審議会もあれで終わったわけではないのでございまして、ずっと引き続いて三次、四次という形になると思うのですが、この前の答申をごらんになってもおわかりになりまするとおりに、答申自体が定数是正もまだ検討の途中である。したがって「差し当たって」とか「暫定的措置として」云々といったような表現をしておりますことは、やはりこういった問題も、根本的に最終的な結論として今回の答申をしたのではないという意味と私たちは考えておりますので、きまったものは暫定措置だというようなことにしないでもいいではないかというふうにお考えかもわかりませんけれども、一応そういう措置をとらせていただいたわけでございます。
  84. 山下榮二

    ○山下委員 いま大臣のおっしゃるような前提があるのなら、あるいは明後年に控えました国勢調査に基づいて衆議院議員定数是正根本的に行なわれる、あるいは先ほどもお話になりました参議院議員の地方区等のアンバランス原則的に是正が行なわれる、こういう一つの前提の上に立たなければ、暫定措置ということは言えないと私は思うのであります。そういう処置をとるという確たる政府の方針があるのかどうか、その辺が明らかにならないことには、暫定措置ということは出てこないはずだと思うのであります。そのお考えは一体那辺にあるのでしょうか伺いたい。
  85. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この前私が外国の例を引いて、先進国は区制はこういうふうになっておりますので、選挙制度審議会のほうでもそういう方向をたどるのではないでしょうかということを申し上げたのが、ちょっと問題になったわけでございまするけれども、私ども区制はこうしなければならぬということをここで申し上げるわけにはまいりません。しかしながら、審議会考え方の方向をたずねてみますと、私どもの想像では、次の段階ではやはり区制の問題にお移りになるのではないかというふうに考えられるわけでございまして、この間、総理大臣が答えましたとおりに、政府としては、こうあるべきだとか、これが望ましいということは決して考えておらない次第でございます。
  86. 山下榮二

    ○山下委員 この前も総理にもちょっと伺ったのですが、選挙制度にはいろいろな制度がございます。小選手区、中選挙区、大選挙区あるいは比例代表制、西ドイツ等が採用いたしておりますところの一人一区半分は比例代表制というような制度がありまして、いろいろの議論があると思うのであります。私は、先ほどもお話がありましたように、選挙制度審議会政府がいろいろ諮問をされる場合は、やはり審議会といえども政府の諮問に対して一つ答申をするわけですから、政府政府としての諮問の方法があろうと思うのであります。ただ簡単に選挙制度を変えようということのばく然たる諮問では答申のしようがないのではないかと思うのでありますが、一体、次に来たるべき大改革を試みておられる政府選挙制度の区制改正というものは、いかなるものを理想とし、いかなるものを構想しておられるか、その辺を明らかにされ、さらに審議会にどういう諮問をされる方針を持っておられるのか伺いたいと思うのであります。
  87. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政府のほうで特に方向を示してこれについて答申をしてほしいということは適切ではないのではないかと私は考える次第でございます。この前の政府の諮問は、「選挙制度審議会設置法第二条第一項各号に掲げる事項に関し、選挙の公明化をはかるための方策を具体的に示されたい。」これは簡単ですけれども、では設置法二条一項の各号というのは何かといえば、お手元にあるでありましょうけれども、かなり具体的に載っておるわけでございまして、それを大ざっぱといえば大ざっぱですが、そういう形で諮問をしておるわけでございまして、なお選挙区制の問題だとかあるいは定数是正の問題とか、具体的に問題を提案して答えを求めることは私は適切でないと考える次第でございます。
  88. 山下榮二

    ○山下委員 それではさらに伺いたいと思うのですが、この前の答申の中には——御承知のごとく衆議院の選挙区で行政区がまたがったところがあります。たとえば京都市であるとか北九州市であるとかいうような市のように選挙区が二つの行政区にまたがっておりますのはできるだけ統合すべきであるという答申が行なわれておるようであります。しかるにもかかわらず、今回の提案がそれらに何らの手を触れていられないという理由は一体どこにあるのでしょうか。
  89. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘の点は、この答申の三のところに「分合に関する取扱い」という項目で答申が行なわれておるわけでございますが、こういう分合は、単に分合されたところでなくして、それ自体が周囲に大きく響くわけでございますので、今回はこういう措置をとったわけでございます。
  90. 山下榮二

    ○山下委員 そうすると、これもまた先ほどのごとく、暫定的であるからこれには手をつけなかった、こういうことに解釈していいのですか。
  91. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  92. 山下榮二

    ○山下委員 それではさらに伺いますけれども、これも過般総理にもちょっと伺ったのですが、奄美大島の特別区というものは、御承知のとおり昭和二十八年の日本復帰と同町に特別区を設けて衆議院の選挙を行なわれたのであります、そのときの自治庁長官の塚田さんは、国会で、来たるべき次の選挙法改正期にはこれを本法に直し、鹿児島県第三区の選挙区にするとこう言明されておるのであります。今度提案されましたこの法案を見てみますと、これが暫定的ではなく、今後は恒久化されてまいっておるのであります。これは塚田さんの言明からいたしますならば、今回は鹿児島県第三区に編入されるのが当然過ぎるほど当然ではなかろうか、こう思うのでありますが、これをそのままにして、特別区として一人一区の区を設けられたということは、旧来の観念である中選挙区定員三名から最高五名という線がここでくずれる。こういうことに解釈ができると思うのですが、これは一体、大臣いかようにお考えでしょうか。
  93. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、大体中選挙区は日本では三名ないし五名、それでこの答中にもその方針を貫くということが出ておるわけでございます。ですからこういう一人一区のところがあるということは、将来区制改正された場合にどういうふうになるか存じませんけれども、しかしながら少なくとも中選挙区のたてまえを貴く上におきましては全く御指摘のとおりであると思います。しかし、先ほどから申し上げますとおりに、お手元の法文にも書いておりますとおりに、これは当分の間ここは一人とするというふうに特に書いたわけでございます。あくまで評定措置としてやったのですということをここへはっきり書いてあるわけでございますが、将来の問題については御指摘のとおりであると私は考えます。
  94. 山下榮二

    ○山下委員 当分の間あるいは暫定措置というのは先ほどから聞くことばですが、これはおそらく二十八年に復帰したときから、当分の間、暫定措置、こういうことでこられたのであって、今度の改正のようなときにはやはり政府が中選挙区を貫いていこうと思われるならば、これは鹿児島県第三区に編入するのが当然である。しかし、それをされなかったのは、いわゆる三名から五名という線がくずれてきた、こういうことでありますから、今度の提案されている法案について、あるいは三名ないし五名の線をオーバーしたものをそのままいわゆる特例として置いても何ら差しつかえはない、こういうことになるのじゃなかろうか。その辺いかようにお考えでしょうか。
  95. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおりに、今度は別表全部をいじったわけではないのでございまして、定数是正という意味で極端にアンバランスのできておるところをまず手入れをしようということが主体になっておるわけであります。特に暫定措置として今回わざわざ奄美大島一人ということにしたわけではございません。この前もそうであったわけでございますので、まず暫定と言えば、いつまでもかというお気持ちの御発言かもわかりませんけれども、今回はそういう措置をとらしていただいたということを申し上げたわけであります。
  96. 山下榮二

    ○山下委員 暫定措置あるいは臨時措置ということで何か逃げられるようなかっこうになるのですが、こういう改正には、これはぜひ別表を改正するというのが選挙法改正根本のたてまえではなかろうかと私は思うのであります。そのことを、法律を、何でも特定措置である、あるいは期限を限った時限立法だけということで片づけていくなら、本法というものの意義がなくなってしまうのであります。私はここに一つの疑義を抱くのであります。十九名という相当大幅な増員であります。いかにアンバランス是正とはいいながら、国会議員の十九名の増員というのは、国の運営の上から、また国会構成の上から考えますと相当重要な問題でなければならぬと思うのであります。これを単なる暫定措置やあるいは臨時措置ということで考えておれば、法治国家である日本があまりにも法律そのものを軽視する傾向になると私は思うのであります。こういうことに対して一体いかようにお考えでしょうか。
  97. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 本筋は全く仰せのとおりであると思います。しかしながら、たびたび申し上げますとおりに、この審議会はこれで終わったということでなくて、やはり最終段階にいくまでの道のりからいえば、まだ幾らも進んでいない状態ではないかと思います。ですから、いまの段階ではこの答申にこういう暫定的な扱いしか結論が出ないんだという答申になっておりますので、政府といたしましては、そういう扱いをしておるわけでございます。
  98. 山下榮二

    ○山下委員 次に伺いたいと思うのは、過般私は総理に沖繩の問題について伺いましたところが、必ずしも今回の選挙法改正にこだわらないという答弁でございまして、沖繩の新聞の記者の人が私のところに飛んでまいりまして、沖繩ではこの問題を相当重大視して、しかも非常に悲観をした、こういう報道を持ってきたのであります。これは過般も申し上げましたように、一九六二年の三月十九日ですか、ケネディ大統領が琉球行政改革に関しての声明の中に、琉球は日本国の一部であるという声明が行なわれまして、沖繩島民はもとより、日本民族といたしましてもこの声明には相当深い関心と喜びを持ったはずであると私は思うのであります。私は、こういう機会にそのケネディ大統領のそのことばにこたえるゆえんから考えても、こういう改正のときに定員の割り当てを行なうというのが当然過ぎるほど当然なことでなければならぬと思うのであります。しかも、早川前自治大臣は割り当てを行なう旨の新聞記事をも拝見をいたしました。それが割り当てが行なわれなかった理由は一体どこにあるのでしょうか。
  99. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、別に理由という、そんな深刻なものはないと考えております。ただ、施政権が返還された場合におきましては、定員に四名を加えるということは立法措置できわめて簡単にできることでもあるし、いま選挙が事実できないものを配当したよということだけ言うのもいかがかと思うわけでございまして、こういう措置が適当であると考えると一応答申は出ておりますけれども、私はいま申したような判断をしております。
  100. 山下榮二

    ○山下委員 しかし、衆議院議員定数選挙のあるなしは別として割り当てるということは、沖繩七十万島民にとりましては大きな喜びでなければならぬ、こう思うのであります。そのことによって日本に対する非常な復帰の期待と希望を持って日常生活を送ることができるとわれわれは考えておるのであります。これはぜひそういうふうに行なうべきものではなかろうか、こう考え質問をいたしておるのですが、もう少し島民に対してもあたたかい気持ちのあるお考え大臣は持ってしかるべきではなかろうか、こう思うのであります。もう一度ひとつ答弁を伺っておきたいと思うのであります。
  101. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 沖繩は日本の領土でございます。沖繩の島民諸君はまことに気の毒な立場でもございまするので、日本国民としての沖繩島民に対するあたたかい配慮というものはあらゆる手を尽くして私はやらなければならぬと考えておりますが、ただ、選挙ができもしないのに、ただ配当が幾らあるよといったようなことだけで沖繩の人たちが非常に喜ぶとも考えられない。もっと実のある、現段階で日本としてでき得る限りのことをして差し上げるというのが沖繩島民に対する親切ではないかと私は考えておる次第であります。
  102. 山下榮二

    ○山下委員 それでは沖繩島民は私は非常に悲観をするであろうと思うのであります。もっと政府は積極的に沖繩島民に対するあたたかい援助の手を差し伸べられるようにひとつ希望をいたしておきたいと思うのであります。  次に、今度の選挙法選挙法の附則、特例として行なわれておるのは、先ほどいろいろ御質疑申し上げて大体了承ができたのでありますが、今後はできるだけこういう附則、特例、臨時措置ということのないように国の民主政治の基本である選挙法等は行なわれるように、これも希望を申し上げておきたいと思うのであります。  最後に伺っておきたいと思うことは公明選挙であります。最近、選挙のたびごとに公明選挙の声がやかましいのであります。しかるに、過般島上委員質問の中にもございましたように、選挙違反件数は選挙を重ねるたびにふえてまいっておるのであります。公明選挙の実は一つもあがっていないのであります。政府の公明選挙に対するところの指導あるいはそれを援助されている方法は、一体どういう方法をおとりになっているか、ひとつ伺いたいと思うのであります。
  103. 長野士郎

    ○長野政府委員 公明選挙につきましては、たとえば本年度について申し上げますと、本年度は地方選挙は各地で相当数ございますが、国の選挙は一応ないことになっておるわけであります。しかしながら、そういうときこそ常時、常時啓発と申しておりますが、公明選挙の運動を十分に国民に徹底させるために府県、市町村段階を通じまして話し合い活動その他を活発にやっていきたい。同時に、そのためには話し合いをしてまいりますところの世話役と申しますか、あるいはそういう座長と申しますか、そういうような方々につきましての組織が現在府県や市町村に公明選挙推進協議会というような形でありまして、その地域の学識経験者あるいは民間の諸団体の代表者みな参加を願っておるわけでございまして、そういう方々の運動が活発にできますように、そういう方々が主催される研修会、講習会というようなものと話し合い活動というものとを併用いたしまして行なっていく。同時に、現在全国に四十六カ所公明選挙のモデル地区というものをつくっております。それをことしはさらに倍にいたしまして、それぞれそういうモデル地区をつくりまして、そして話し合い活動なりそういった方法による公明選挙の徹底なり、いろいろな方法の一つの効果測定その他の判断の材料にもいたしまして、そして府県や市町村の公明選挙運動の推進の一つの実験材料と申しては語弊がございますが、そういうものをつくってまいりたい。それから自治省自身といたしましては毎週ラジオ、テレビを通じまして公明選挙関係の番組を放送いたしております。そういうようなことで、選挙に差しかかりましてのいわゆる棄権防止というようなことを中心にいたしました公明選挙運動だけでございませんで、平素からの公明選挙運動というものを、地についた形で、じみではございますけれども、一歩一歩前進させていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  104. 山下榮二

    ○山下委員 公明選挙の、いま答弁をいただきましたようなことは、地方においては型どおりばかりのことが行なわれて、その実、効果があがっていないというのが今日の選挙の実情であると私は思うのであります。あれば三重県でしたかどこでしたか、公明選挙推進の中心になってやらなければならないいわゆる選挙委員方々選挙違反に問われたという新聞報道等もあるのであります。これらに対しましても、これは政府あるいは自治省がもう少し選挙に対する日ごろの啓蒙宣伝等を徹底してまいらなければならぬ、こう私は考えるのであります。最近ややともすると選挙の年だけ、選挙の前だけはなばなしい講演会とかいろいろな催しが行なわれる、こういうことにしかすぎないというのが今日までの公明選挙運動のやり方ではないか、こう考えるのであります。むしろ選挙直前よりも、日ごろの啓蒙運動ということのほうが市大ではないか、かように考えておるのであります。その日ごろの各市町村あるいは府県等の選挙管理委員等に対する啓蒙あるいは宣伝、指導等は、一体どういうことを行なっているのか。
  105. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 公明選挙運動というのは実にむずかしいことでして、やってもやってもなかなか実効はあがらないできておることは残念だと思います。ただ制度自体に責任のある面もあるかもしれませんので、これは制度審議会のほうで御検討も願っておるわけでございますが、大体ことしは選挙があるかないか存じません。しかしながら国費で五億五千万、地方費で三億五千万円、十億近い予算を選挙の公明運動のために使おうと準備はしておるわけでございまして、ただ、いま局長が申しましたようなことを毎年毎年繰り返してやっておりまするけれども、十分な実効をあげておるとは私ども考えられないわけでございます。これはただ、政府は決して逃げ隠れはいたしませんけれども、単に取り締まりを強化するとかという問題で片づく性質のものではないと考えますので、皆さんのほうも十分お知恵もあることでありましょうから、こういう十億に近いお金を使って、これが一番効果があがるということがございましたならば、ぜひお聞かせを願いたいと考えておる次第でございます。
  106. 山下榮二

    ○山下委員 最後に一言だけ大臣に伺っておきたいと思うのでありますが、大臣の所属されている自民党では、知事四選禁止ということがちらほら新聞報道等で行なわれております。また、かつて篠田自治大臣は、三選禁止なんということを言われたこともございます。知事という行政官は、相当大幅な権限を持っておる。これが四期にも五期にもわたって知事をつとめられるということは弊害が多いかもわかりません。こういうことに対して赤澤大臣はいかようにお考えでございましょうか。あるいは法律をもってこれを禁止するお考えをお持ちであるか、あるいはそれらの用意があるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。
  107. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおりわれわれの党でも、この問題についてはかなり真剣に検討が進んでおるようでございますが、御指摘になりましたとおりに、あまり一人の人が古くなり過ぎると、どうしてもどぶ川の水が腐ると申しますか、ボーフラがわくと申しますか、えてして一般的には好ましくない事態が起こりがちですけれども、やはり出ております知事さんを見ますと、中にはやっぱりこれはりっぱだな、名君だ、ちょっとほかに人がないなというのもあるし、これは少しワンマンだな、もう少し何とかならぬかな、いろいろはた目で見ておりますと感想はあるわけですが、ただ一律にもう四選以上はできないのだということをきめますことも、現段階においてはどうかと考えられるわけでございます。したがいまして、これは政府として一律に三選、四選以上は立候補できないのだというふうにはいたしませんけれども、私の党内でも、また皆さんのほうでもいろいろな話があるということを承知しておりますが、もしそういう方向におきめになるとすれば、これは国会全体でおきめになることだ、かように考えております。
  108. 山下榮二

    ○山下委員 いまお話に出ておるのは、大体知事の三選、四選ということが中心のようですが、その他の市町村長等については、知事ほど大幅な行政権限があるわけじゃないわけですが、それらについてはいかようにお考えになっておるか。さらに、アメリカにおきましては、州知事が三選禁止されておるところも相当あるやに伺っております。しかしアメリカと日本の知平はよほど権限が違うようであります。州によってそれぞれ憲法を持ち、一つの国の体制をなしておるところでございます。したがいまして、その辺のかね合いからいたしまして、市町村長というものに対するお考え等を最後にお聞かせをいただきたいと思うのであります。事務当局に対しましては、アメリカの州知事等に対する三選、四選禁止の州が幾つあるか、それらの州の名前と資料をこの次の委員会でお渡しいだきたい、こう思うのであります。
  109. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御要求の資料は後の機会に提出をいたします。  私もアメリカの状態を何ほどか知らぬわけではございませんが、ただ、ただいまの問題は、日本日本独自の立場で考えていかなければだめだ、いまの段階においても、いま御指摘になりましたとおり、私どもの党内でも知事の場合が議論の日程には上っておりますけれども、市町村長に関しましては、これは何も話も出ておりませんし、私どもといたしましても、そこにまで何選禁止とかいったようなことを及ぼすなどということは、夢にも考えておらぬわけであります。
  110. 山下榮二

    ○山下委員 これで本日の質問は終わって、いずれ他の機会にその他の問題についてお伺いをいたします。      ————◇—————
  111. 小泉純也

    小泉委員長 この際、青木正君より発言を求められておりますので、これを許します。青木君。
  112. 青木正

    青木委員 本委員会で議決されまして、現在審議中の公職選挙法の一部改正案の実体は、御承知のごとく選挙区における定数是正を内容といたしておるのであります。  その内容を拝見いたしますと、東京の一区、また東京の第五区、愛知の第二区、大阪の第一区の各区は六名、それから東京第六区は八名ということに相なっておるのであります。申し上げるまでもなく、わが国の現在の選挙区制はいわゆる中選挙区制といわれ、三人ないし五人を採用いたしております。もちろんこの三人ないし五人ということにつきましては理論的根拠はあるわけではありませんが、しかしながら、すでに四十年にわたる慣行として、いわば一つ原則となっておるのであります。したがいまして、定数是正にあたりまして望ましいことは、原則たる三人、五人の中選挙区制を貫くということだと存ずるのであります。  さらにまた、今回の改正案の根拠は、御承知のごとく選挙制度審議会の昨年十月十五日の答申に基礎を置いておるのであります。その審議会考え方は、答申にもありますように、三人ないし五人区が望ましいことであると述べ、また、分区を適当と考えるが、時間的余裕がないからそのまま提出するというような立場に立っておるのであります。それを考えますと、六人ないし八人の選挙区は、これを中選挙の従来の慣行どおり、あるいは原則どおりといいますか、三人ないし五人に分けるということのほうが、選挙制度審議会考え方にも沿うゆえんではないかと存ずるのであります。  しこうして、今回出されました政府提案は、政府自身といたしましていろいろ事情もあったことでございましょうが、一つ政府の立場といたしますれば、答申を尊重するという考え方に立って、今回のような提案をなされたと考えられるのであります。しかしながら、前段申し上げましたように中選挙区の原則を貫き、また審議会の意向を尊重するという立場からするならば、むしろこの際三人ないし五人に分区することのほうがいいのではないか、かように考えられるのであります。  しこうして、元来、選挙区制選挙区割りという問題は公正な、いわゆる第三者に委任すべきであるという考え方ももっともであり、審議会答申にもそのことが述べられておるのであります。しかし、政府がすでに答申を尊重いたしまして現在のような案を提案されました以上、むしろ国会側においてこれを区割りすることのほうがはるかに答申趣旨にも沿い、また日本選挙制度を守るゆえんではないかと思うのでございます。もちろん中立の第三者によって区割りすることは望ましいことであるかもしれませんが、当委員会におきまして各党の方々が参画して区割りということの作業をいたすならば、いわゆるゲリマンダーというような非難も起こらないと私は存ずるのであります。ある意味においては、政府が区区割りするよりは国会審議においてその作業をやることのほうが、かえって世論にもこたえるゆえんではないかと存ぜられるのであります。  以上のような趣旨によりまして、この際私は動議を提出いたしたいと存じます。  すなわち、ただいま議題となっております公職選挙法の一部を改正する法律案審議にあたりましては、特に本案第七項に規定する選挙すべき議員の数六人または八人の選挙区に関しましては、小委員会を設けて慎重に検討を加える必要を認める次第であります。  つきましては、小委員五名よりなる選挙区に関する小委員会設置することといたしまして、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長において指名せられんことを望むものであります。  なお、委員長は小委員会に随時出席して意見を発表できるものといたし、また、同時に、小委員会にオブザーバーの参加を求めることができるものといたしまして、そのオブザーバーも委員長において指名せられんことを望みたいと存じます。  元来この小委員会は、前段申し上げましたような趣旨によりまして各党の参加を求めることが望ましいのであります。しかしながら、小委員会の性格と申しますか、事を処理する上からいたしまして、その数があまりに多くなりましては小委員会本来の目的を達成しがたいのではないか。ところで従来の国会の慣例によりますと、議員数によりまして理事の数であるとか小委員の数であるとかがきめられておりますので、そういうことを考えますと小委員の数を少なくせざるを得ない。少なくする結果として、一部の党の方々の御参加を得られないということになりますといかがかとも考えられますので、この際オブザーバーの参加も求めて審議を進めるというやり方のほうが望ましいのではないか。かように存じまして、そのこともあわせまして動議として提出いたす次第であります。
  113. 小泉純也

    小泉委員長 山下榮二君。
  114. 山下榮二

    ○山下委員 ただいま青木さんから提出されました小委員会設置の動議に対しまして、わが民社党は反対をいたします。  その理由は、いま伺いますと小委員の員数五名、オブザーバーを一人加える、こういうことは結局中身を申し上げますと、自民三、社会二ということになるであろうと想像をいたすのであります。そういたしますと民社党はオブザーバー、こういうことになるのではなかろうかと、これが私の予想でございます。各委員会審議規則というのを見てみましても、小委員会設置するという規則はありましても、どこにもオブザーバーというものの制度を私は見受けることができないのであります。したがいまして、さようなことに対しましては反対でございます。したがって自民党と社会党の二大政党だけの小委員会で、弱小政党を締め出す結果に私はなろうかと思うのであります。これがすなわちゲリマンダーでなければ何でありましょうか。私はそのような考え方からいたしまして、本区割りの小委員会に対しましては、断固反対せざるを得ないのであります。  ことに、選挙法の中で選挙区割りは、民主政治の基礎、基盤をなすものでございまして、あるいは一党一派あるいは二大政党だけで行なうようなものではないと私は考えておるのであります。わが民社党は小なりといえども、衆議院におきまして二十三名、法律案を提出する権利を持っております。参議院におきましても御承知のごとく、法律案を提出する権限を持っております。こういう政党を半分締め出すがごとき行為のもとに選挙区割りを行なうということは、言語道断といわざるを得ないのであります。私は選挙こそは、いかなる政党政派も公正妥当な競争のもとに選挙が行なわれるように行なうことが選挙法であり、選挙区割りでなければならぬと考えておるのであります。かような意味合いからいたしまして、先ほど質問の中にも申し上げましたように、定員三名ないし五名という中選挙区というのは、奄美大島群島の特別区一名というものが存在する限り、すでにくずれておるのであります。私は、政府提案したままでも何ら支障はないものと考えておるのであります。  かかる理由からいたしまして、本小委員会設置に対しまして、わが党は反対をいたします。
  115. 小泉純也

    小泉委員長 他に御発言がなければ、動議について採決いたします。  おはかりいたします。  ただいまの青木正君の動議のとおり、小委員五名からなる選挙区に関する小委員会を設け、その小委員及び小委員長委員長において指名することとするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  116. 小泉純也

    小泉委員長 起立多数。よって、青木正君の動議のごとく決定いたしました。  小委員には    青木  正君  宇野 宗佑君    渡海元三郎君  加賀田 進君    畑   和君を指名し、小委員長には青木正君を指名いたします。  なお、今後小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました際には、そのつど委員会にはかることなく委員長においてこれを決定することとし、また、委員の異動、小委員及び小委員長の辞任に伴う補欠選任につきましては、委員長においてこれを指名することに御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、お話にありましたオブザーバーの指名につきましては、小委員会において御協議をわずらわした上お知らせいたします。  次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会