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1964-10-10 第46回国会 衆議院 建設委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月十日(土曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 岡本 隆一君 理事 兒玉 末男君    理事 山中日露史君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    木部 佳昭君       砂原  格君    田村  元君       堀内 一雄君    堀川 恭平君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       赤松  勇君    井谷 正吉君       金丸 徳重君    久保田鶴松君       西宮  弘君    原   茂君       玉置 一徳君  委員外出席者         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     三枝 三郎君         警  視  長         (警察庁交通局         交通指導課長) 片岡  誠君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 十月十日  委員山崎始男辞任につき、その補欠として赤  松勇君が議長指名委員に選任された。 同日  委員赤松勇辞任につき、その補欠として山崎  始男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 最初、警察庁片岡課長にお伺いしたいのでありますが、実は先月の委員会の際お伺いするつもりでありましたが、時間の関係で、こういう非常に貴重なときに、せっぱ詰まって申し上げることになりました。  名神高速道路はじめ、首都高速道路公団の運営による高速道路における交通事故は非常に頻発をしている。この点、道路構造上の問題があり、また条件なり事故原因というのはいろいろと多面にわたっているかと思うわけです。しかし、私たちがいろいろ仄聞するところによりますと、運転手の無謀な操縦ということが事故の大半の原因じゃないか、こういうことを聞くわけですけれども、この点、特に警察庁のほうにおいては、指導なり、あるいはその他全般的な調査等もやっておられると思うのですが、最近の高速道路における事故発生状況並びに主たる事故原因はどういうところにあるか。もしおわかりになっておれば、お聞かせ願いたいと思います。
  4. 片岡誠

    片岡説明員 初めに名神高速道路について御説明いたします。  名神高速道路供用開始になりました昨年の七月十六日から三十九年、ことしの八月三十一日までの間に発生しました事故を申し上げますと、死亡事故件数が十二件で死亡者十三名、重傷事故件数が四十七件で重傷者六十八名、軽傷事故が二百十九件で軽傷者が四百十六名、物損事故が五百九十九件、計八百七十七件、四百九十七名の死傷者でございます。この死亡事故は、すべて本線車線上で起こっております。しかし物損事故におきましては、本線上で起こっておりますのは六割方でございまして、それ以外、ランプウエーその他ブースの辺、この辺で物損事故が起こっております。  名神高速につきましては、御承知のとおりに自動車専用道でございまして、人間が歩いておりませんし、自転車も通っておりません。原動機つき自転車も通っておりませんので、一般の一級国道に比べまして、事故率としましては約三分の一くらいでございます。したがいまして事故そのものは、やはり高級道路でございますので、三分の一くらいしか発生しておりません。しかしながら、御承知のように、高速で運行しておりますので、一たび起こりますと、死者あるいは重傷事故というものが発生するおそれが多分にございます。特に私ども心配しておりますのは、中央分離帯を乗り越えて、反対車線にまで飛び出す車の事故が十数件ございます。その中では、不幸にして正面衝突によりまして起こりました事故も一件ございます。一般的に事故原因といたしまして考えられますのは、道路がよくなっておりますし、往復交通が分離され、立体交差になっておりますので、一般的な傾向として、道路構造の欠陥に基づくものは比較的少ないと思います。ただ何と申しましても、日本で初めての道路でございますので、運転者高速通行になれていない、特にスピード感覚がまだ身についていないというのが最大の原因だろうと思います。普通の道路でございますと、市街であれば四十キロ、地方におきましても六十キロくらいのスピード運転しているというのが、八十キロあるいは百キロの運転をする、その運転速度についての感覚ズレと申しますか、そういうズレで、たとえば本線車線から急にランプウエーに入りますときに、ランプウエー設計速度が三十五キロでございます。それをいままでのような調子で、スピード感覚で六十キロくらいで飛び出してきてぶつかるといったような事故が往々にして見受けられます。それから、中には、名神高速の上で、無免許運転と申しますか、運転練習をするような者もおります。これはブース警察官がおりまして、チェックはしておるのでございますけれどもブースを通るときには免許証を持った者が運転していて、隣に乗せている。それから上に上がってから入れかえをして運転練習をするというような不心得の者もあります。それから、やはり酒酔い運転をいたしましてぶつけるというのもございます。そういう点で、私どもとしましては、無免許あるいは酒酔い運転取り締まりに重点を置きまして、取り締まりをやっております。また通行方法につきましても、左側のレーンを走るような通行方法指導する意味で取り締まりをいたしております。現在取り締まり用車両としましては、愛知県一台、岐阜県二台、滋賀県四台、京都二台、大阪二台、兵庫一台、計十二台のパトカー、人員にいたしまして百十一名の警察官を使いまして、もっぱら名神高速取り締まりに当たっております。  それから、首都高速のほうでございますが、首都高速事故につきまして、三十九年中の事故について御説明いたしますと、三十九年の一月から八月の事故について申し上げますと、事故件数にいたしまして三百二十八件、そのうち死亡事故が一件、それから重傷事故が二十六件、重傷者三十三名、軽傷事故が八十六件、軽傷者百五十八名、物損事故二百十五件、計三百二十八件、百九十二名の死傷者というのが三十九年一月かち八月までの事故統計でございます。首都高速につきまして、一般に非常な錯覚がございます。名前が首都高速道路公団でございますので、高速で通行してもいいという錯覚がございます。御承知のように、設計速度は六十キロあるいは五十キロでございますので、あの上を八十キロ、九十キロで走ること自体が、もう当初から無理なことでございます。ところが、どうも一般高速道路だというので、八十キロ、百キロ出してもいいのではないかという錯覚がまだあるようでございます。それで八十キロくらいのスピードであの道路上を走りまして、高欄にぶつけておる。あるいは高欄をおどり越えて下に落ちるというような事故発生いたしております。特にやはりカーブ地点に問題があるようでございます。それにつきまして、私ども警視庁のほうといたしましても、パトカー六台をあげまして、取り締まり体制をとっておりますが、パトカーが走っておりますと、スピードを守っております。しかしパトカーの姿、が見えないと、スピードをどうも出す。私どもとしましては取り締まり体制をさらに強化いたして、スピード規制をやる。それからもう一つは、道路管理者のほうに警視庁からも申し入れをいたしまして、問題地点事故の多発しておる地点につきまして物理的な手を加えて、それで現在まで、たとえば浜離宮のところで墜落した事故がございますが、あのあと直ちに首都高速道路公団と一緒になりまして、警戒標識も立てる、それからスピード規制もする、それからゼブラの模様の警戒のしるしをつける、ガードレールも強化するといったような一連の手を打ちましたところ、その後事故が減少しております。そういう施設の面につきましても、警視庁公団側と非常に連絡がよくとれておりまして、物理的な施設による事故の防止もかなり手を打っております。簡単でございますが…。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 名神高速道路首都高速道路の場合を比較しますと、非常に事故発生の率も首都高速道路のほうが——もちろんこれは通過車両数も比較にならぬと思うのですが、これからまた羽田間が全通しまして、より一そう混雑して、事故発生が予想されるわけです。この点について、ひとつ道路局長にお伺いしたいのですが、スピード制限と、それから道路構造上の点等がマッチしない面がかなりあるのではないか、たとえば非常にカーブが多くて、当初許容されたスピードで行っても、未経験経験の浅い運転者等がやはりハンドルの取り違え、こういう点等については、やはり構造上の問題と、スピードのリミットということをもう少し再検討し直す必要があるのではないか。この点について、設計者のほうの立場から、どういうような考えを持っておるか。  それからもう一つは、道路名称がハイウエーということで、スピードを出して走らないといけないのだというような間違った感覚で走る運転手の人が相当多いのではないかと思う。こういう点から、たとえば自動車専用道路とか、そういうような名称をこの際考えることも必要ではなかろうか。こういう設計上の問題と、それから二の点について、局長の見解を承りたいと思います。
  6. 尾之内由紀夫

    ○尾之内説明員 第一の点でございますが、ただいま片岡局長からもお話がありましたとおりでありますが、名神高速の場合には、設計と、それから実際の自動車走行能力、これは本線については少なくともマッチしていると思います。なお、欲を言いますと、もう少し路肩の幅があったほうがいいというふうには考えられますけれども、諸外国の例を見ましても、大体八十キロ、百キロ、百二十キロの設計速度に対しては、幅は十分だろうと思います。ただ、インターチェンジのランプの設計速度、これとのすりつけといいますか、そういう点につきましては、事故本線以外に起こっている場合もございます。したがいまして、できればもう少しインターチェンジ速度というものについては考えたいと思いますけれども、他方、日本の場合におきましては、インターチェンジをつくる用地問題、これもかなり問題がございますので、そうぜいたくもできないというので、どちらかといいますと、インターチェンジにおいてやや不備な点があるかと思いますが、この点については、名神高速その他の今後の高速自動車道路における構造上の問題として、研究の余地があろうかと思います。  それから都市高速道路でございますが、これは東京の場合を例にとりますと、大体地形上河川を利用したり、あるいは地下の隧道を掘りましたり、本来かなり無理なところにつくったものでございます。したがいまして、これは設計速度六十というようにきめましたが、六十ではとうてい全線通り切れませんので、局部的に五十キロあるいは四十キロの区間を設けざるを得ないということになっております。これは設計当初、都市計画を決定しましたときからそういう問題があったのでございます。でございますから、構造的にはかなり窮屈な設計をしておるということが前提になっております。なおかつ、私どもいま自動車専用道路構造基準を、大体成案を得て指導しておりますが、この首都高速設計がきまります段階におきまして、まだその辺についての研究も十分でございません。したがって、ごらんのように中央分離帯、あるいは片側における右側の側帯、あるいは左側路肩、こういったものにつきまして、私ども考えております高速自動車国道の四級の基準に対して、いまの首都高速道路は、幅員がそういう面において足りない面がございます。車道幅員においては三メートル二十五を確保しておりますが、路肩その他におきましてやや不足しておることは事実でございます。そういう点がございますから、いろいろ次の御質問の点もございますが、自動車専用道路であるがゆえにどうしてもスピードを出したいという運転者の気持ちもございますし、また中には早く走らなければならぬという錯覚もありまして、許容されました設計速度の五十キロあるいは六十キロ、こういう速度を守らないために事故が起きている場合が間間あるわけであります。これらにつきましては、先ほど警察庁のほうからお話がございましたように、できるだけ運転者スピードを守ってもらうという以外にないわけでございます。私どもはそういうふうに希望はいたして指導をお願いいたしておりますが、なおかつやはり事故発生する場所というのはまた限定されておるようでございます。そういう点につきましては、当方といたしましても、できるだけ必要な警戒的な標示あるいは照明あるいは防護的なさく、こういったことをやるとともに、また可能ならば若干の構造改善そのものもやらなければならぬ、こういうふうに考えております。なおその点につきましては首都高速道路が初めてのケースでございますので、いろいろそういう点でなお不注意な点があったかと思いますので、今後できるだけケースバイケースで改善をはかっていきたいと考えております。  名称につきましては、先般来いろいろ議論がございまして、自動車専用道路という名称は、実態がそうでありますから、あるいはそうすべきかもしれませんが、ただ、名称を変えただけで効果があるかどうか、これについても検討してみなければならぬと思っております。ただいまのところ、まだ名称を変えるという具体的な案はございませんが、またよく相談してみたいと思っております。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 これは非常に理想的な考え方かもしれませんけれども、たしか昨年の夏ごろだったと思うのですが、高速道路に関する自動車スピード制限問題で、私も読んだことを記憶しておりますけれども幾ら注意を喚起し、法律をつくっても、走る運転者がやはり相当自覚しなければ、この事故の絶滅は期待できない。そこで、どこの国かわかりませんけれども、試験的な段階として、特に事故の多発するところ、並びに非常にスピードアップするところを自動的に制御する設備というのが技術的にはもうすでに解決をされておる。他の問題はコストの面でかなり問題が残されるという、こういう技術の本を読んだことがあるのですが、これが特に、私は自動車スピードアップと交通量というのは幾何級数的にふえると思うのです。こういう点も勘案しますならば、そのような専門的な立場からのいわゆるスピードの自動的な制限装置、こういう一つ道路構造上の問題も当然研究してしかるべきじゃなかろうかと考えるわけですが、この点について、やはり十分先進国例等を検討する必要があるのじゃないかと思いますが、この点についてお考えがあるならば、ひとつお聞かせ願いたい。
  8. 尾之内由紀夫

    ○尾之内説明員 都市内の街路、すなわち交差点が各所にあります道路につきましては、いろいろ自動的な制御方式があろうと思いますが、専用道路的な道路におきまして、交通量との関係においてスピードを制御するという例は、私はちょっと聞いたことはございません。これは構造自体の問題であり、最高スピードを出す場合に、一番事故が起こりやすい。交通量がふえますれば、自然にスピードは落ちてまいりますから、構造上の事故というものは一般的にかえってないのでございます。したがって、もしあるとすれば、これ以上スピードを出すな、むしろ出さないように、たとえば五十キロ、六十キロ区間という区間におきまして、それ以上出さないような物理的な方法を講ずるか、あるいは——いまのお話の点はあるいはこういう場合かもしれませんが、もし自分の守るべきスピードをこえて走っておったならば、それが次の区間において標示が出る、こういう方法であろうかと思います。それは一つ方法としてあり得るわけでございますが、これはあくまでも自分注意しなければならぬ問題だと思います。いまのように、承知しながらスピードを出しているところでは、いずれにいたしましても不可能だと思いますが、自分スピードがこの区間に許容されたスピードよりも出している、ということを注意する方法はあると思いますが、それを守っておらなければ、いずれにしても制御できないわけであります。そういう方法ならば、外国でもそういうことをやっておるところがございますが、物理的に自動車スピードをとめるという方法は、構造的にスピードを落とすような何か特別の方策でもやりませんと、不可能だと思います。いずれにいたしましても、何かいい方法があれば、できるだけそういう方法を取り入れたいと思います。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 きょうは時間の制約もございますので、また次の機会に伺いたいと思いますが、最後に交通課長にお伺いしたいのは、いままでの事故を見ると、道交法上の欠点はあまりないと言われたわけです。この前の改正で、たしか追い越し関係がかなりきびしく規制されたのではないかと思います。それが新聞等を見ますと、追い越しの際に非常に無理をして、追い越し関係における事故が非常に多いということを聞いておるわけですけれども、いままでの統計上あらわれた事故内容において最も多いのはどういう事故か、その点を明らかにしていただきたい。  同時に、これから二週間、国際的な行事が行なわれ、特に首都高速道路においては相当車の台数もふえると思うのですが、これに対する万全の対策を特に要望しまして、高速道路に関する質問言を終わります。
  10. 片岡誠

    片岡説明員 首都高速事故原因別で見ますと、追い越し不適当が原因になっておりますのが全体の事故に対する比率で約七%くらいであります。一番多いのが、先ほど申し上げました最高速度違反が二一・六%でございます。それからハンドルの切り方がまずくて、Sカーブなどでうまく切れないというのが一八・九%。それからわき見運転事故を起こしたのが一五・五%、そういう数字が出ております。酒酔い運転が六・七%。それから名神高速のほうを見ますと、追い越し不適当が九・六%くらいでございます。そこで一番多いのは、ハンドルの操作がスピード関係で十分とれなくて、未熟と申しますか、これが一六・三%。それから景色がいいということで、わき見をしたり、前方をよく見ていなくて事故を起こしているのが一六%。それから名神高速の場合、非常に特徴的なのは、タイヤ破損による事故が一二%ございます。これは非常に危険でございます。特に前輪の破損というのは非常に大きな事故を起こします。特にバーストいたしますと、致命的な事故になりますので、名神ではタイヤが問題になると思います。  先生御指摘のように、追い越しの問題は、今回の道交法改正で、いわゆるキープレフトと申しますか、特に典型的な片側車線道路では、最も理想的な通行方法だと思います。左側を通って右側車線追い越し車線に使う。これは名神では励行されておりますが、首都高速では、九月一日からでございますので、まだなれておりません。これも首都高速模範道路として、キープレフトを守れるように指導取り締まり中でございます。
  11. 正示啓次郎

    ○正示委員 ちょっと課長に一言関連して、質問というよりも、むしろ要望を申し上げたいのですが、交通違反ですね。おまわりさんがおられるところは非常に気をつけておるが、おまわりさんがいないとなると、非常に乱暴が多いわけです。これをわれわれが通報したら、さっそく取り締まりの発動をするようなことを考えてほしいですね。実に見るにたえないような、特に砂利トラその他あるんです。こういうのは、すぐわれわれがもよりの交番に通報して、通報したらそれがどういうことになったかということを通報者に知らせるようなことを励行してもらいたいと思うが、その点について、あなたの考えているところを聞いておきたい。
  12. 片岡誠

    片岡説明員 御指摘のとおり、特に四号線、十七号線あたりでは、砂利トラの無暴操縦が目立っております。それで、警視庁でもまだやっておりませんが、埼玉県では、モニター制度というのをとりまして、一般通行者で気のついた人は、はがきに書いてもいいし、警察官に申告していただく。それですぐ検挙は、ちょっといまの体制では無理だと思いますが、それを呼び出しまして注意をするということで、現在やってきております。将来の問題としまして、そういう警察官の現認以外で検挙送致できるかどうか、立証上どういう問題があるかということは、現在検討中でございます。
  13. 正示啓次郎

    ○正示委員 要望ですが、それをただやっていますというだけではいけないので、通報者にどうしたかということまで知らして——そうでないと権威がないですから、やる以上はぴしっとあと始末もはっきりするようなことを考えてほしい、これをひとつ要望しておきます。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 これは河川局長に伺いたいのですが、その内容の詳細につきましては、実は今回社会党の調査団として沖繩にまいりまして、昨日帰ったわけですが、特に喫緊の問題として、水資源開発が非常におくれておって、米民政府管轄下にあるわけですけれども水資源開発に対する沖繩住民日本政府に対する期待が大きいということで、技術援助なりもしくはそういう調査等は、当然進んだ日本政府技術においてやることが不可能ではない、こういう熱烈な要望がありました。これの根本的な問題はいずれ臨時国会におきましてやるつもりですが、その間の住民の声としまして、特に昨年は干ばつのために、せっかくの農作物等が相当甚大な被害を受けた、また南部地区における重要な水資源というものが、ほとんど米軍のほうにとられておる、こういう状況等から、水資源開発については喫緊の問題じゃなかろうか、私はこういうふうに痛切に考えたわけです。でありますので、特に次の臨時国会におきまして、総合的な立場からいろいろと御質問もし、対策についての御要望を申し上げたいと思うわけです。  当面、一番住民生活関係の深いこういう問題について、戦後二十年間ほとんど基礎的な調査もされておらない、こういうことについて、沖繩水道公社の総裁からもお話があったわけであります。これはやはり日本政府のそういう積極的な理解と協力なくしてはなかなか開発が困難だ、こういうことを特に要望されましたので、河川局なりまた総理府でも、これらの問題について何らかの相談をしたことがあるかどうか。また今後のこれに対する取り組む姿勢というものが最も重要な問題でございますので、ひとつ今後の対策についての見解なり、またいままでの対策等についてお考えだけをお伺いしまして、時間の関係もありますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  15. 上田稔

    上田説明員 お答え申し上げます。  過去におきまして、建設省は、特に河川のほうでございますが、河川開発調査のために、専門家を派遣をいたしましたこともございますし、また砂防の技術指導のために沖繩のほうへ出ていっておる例もございます。そのほか、建設省はもちろん、道路関係とか、それから地理院の測量の指導だとか、そういったような面がたくさん出ておりますが、河川局関係だけで申しますと、いま申し上げたようなものでございます。それで琉球政府のほうから正式に建設技術に関する援助の御要請がございましたら、建設省といたしましては、総理府の所管の援助予算のワク内で、できる限り御援助をさせていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  16. 三枝三郎

    三枝説明員 お答え申し上げます。  沖繩援助につきましては、現在琉球政府がその原案を米側に示しまして、それを米側がこちらに出す、現に先般二十六億の、向こうが日本側琉球政府に対する援助を要請してきた、そういうたてまえになっております。  そこで、御質問の水道関係でございますが、いま河川局長からお話ございましたように、技術援助について、技術者がこちらから出かけていくことはございますが、たとえば上水道そのものにつきまして、これだけの資金が必要だから援助してほしいという要請は、現在のところございません。  それで、現状はどうであるかと申しますと、簡単に数字をあげてみますと、これはちょっと古いので、一九六二年十二月末の数字でございますが、当時人口は八十八万三千、現在この間の発表で九十二万になっておりますが、そのうち給水人口が五十二万、普及率が五八・八%、それから水道事業の個所は合計二百六十七カ所ございまして、このうち上水道が十三カ所、簡易水道が二百五十四カ所ございます。それで、戦前は御承知のことと存じますが、那覇市だけに上水道がありまして、あとは全部天水とか井戸水を利用していたのでございます。その後だんだんよくなりまして、水道そのものについては、米民政府がこれに当たる。それから日本政府については、水源を確保するという観点から、森林開発、これはいま琉球政府が相当力を入れております。戦争でずいぶん森林が痛めつけられておりますので、いろいろな森林の造成をするための森林開発、それから治山治水、これに日本援助を求めております。この数字を申し上げますと、三十八年度につきまして、治山治水関係は六千万ばかりです。三十九年度は六千三百五十万、それから森林開発につきましては、三十八年度は四千百万円、三十九年度約五千万円、これを琉球政府の予算に組み入れまして、間接なことになりますが、水源の確保につとめております。  それから、米民政府のほうはどの程度力を入れているかということにつきましては、先ほど数字を申し上げましたが、その中で一番大きい柱になっておりますのは水道公社でございます。これは先ほどお話がございました、公社の総裁がお話しになったというあの公社でございますが、これは一九五八年にできて、資金が二百七十万ドルで、米民政府の管理下に置かれております。それから離島については、宮古島で宮古水道管理局がやっております。これは府令で行なわれておりますが、その後に、米民政府琉球政府の話し合いで、民立法で性格を変えていこう、これは私もまいりましたが、宮古全島についての計画ができて、もう着工しているはずでございます。それから米側の基本的な計画はどうかということでございますが、ことしの三月に水道の基本計画が発表されました。これによりますと、大体三つの柱で現在の水道施設を強化するという点と、それから北部の水道施設がほとんどできていないのでこれを開発する、第三点が、東部の水道施設を建設する、この三点になっておりまして、昭和三十八年度につきましては四百、五十万ドル、昭和三十九年度につきましては七百一万ドル支出されておまりす。以上のようなことで、水道そのものについては、米民政府琉球政府援助しております。それから間接的な水源確保については、日本本土の政府の、先ほど申し上げました数字のとおりの援助金が出ている。それからその間の技術者の派遣で、技術的な指導については、河川局長のほうからお話がございましたとおり、私ども技術援助のワク内で、できる限り技術者を派遣して指導に当たっております。  以上でございます。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは、河川局長並びに三枝連絡局長に御要望申し上げたいわけですが、特に今回一週間にわたり東部、中部、南部、北部三班に分かれまして、特に感じますことは、七割近くが農業でありまして、しかも水資源の活用ということが非常におくれたために、かんがい用水等ほとんど行なわれておらない。いままで大体たんぼとして利用された地域が、そういうふうに、アメリカのほうでほとんど八割以上の水を独占しておるという関係で、これがかんがい用なりあるいは水田用として利用できない、こういう現実もあります。特に水道公社の総裁の話によりますと、二、三年前、アメリカのほうの技術専門家が来て、一応のレポートは出したそうです。しかしこれは、翻訳されて琉球政府のほうでこれを実際に具体化するような計画は、まだなされておらない。これは明らかに琉球政府自体の専門的な技術の貧しさとか、または総合的な計画の樹立がなされておらない、こういうような、やはり大きな支配下にある一つの問題だと思うのです。そういう点等から、特にかんがい用水を含めた総合的な水資源開発についての、日本政府の積極的な援助を歓望しているように私は感じたわけであります。こういう点はさらに具体的な資料を私、持ってまいっておりますので、次の臨時国会の際、いろいろと意見なりあるいは御質問を申し上げますが、具体的な対策についての積極的な取り組み方を、ひとつこの際御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  18. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十一月十日、火曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会いたすこととし、これにて散会いたします。   午前十時五十三分散会