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1964-06-12 第46回国会 衆議院 建設委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十二日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    木部 佳昭君       木村 武雄君    中村 梅吉君       堀内 一雄君    堀川 恭平君       松澤 雄藏君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       金丸 徳重君    久保田鶴松君       西宮  弘君    西村 関一君       原   茂君    玉置 一徳君       吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (近畿圏整備本         部次長)    八巻淳之輔君         総理府技官         (首都圏整備委         員会事務局長) 谷藤 正三君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君  委員外出席者         議     員 野田 卯一君         建 設 技 官         (計画局技術調         査官)     池田 迪弘君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 六月十二日  委員山崎始男辞任につき、その補欠として西  村関一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村関一辞任につき、その補欠として山  崎始男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月十一日  東海北陸自動車道建設法案瀬戸山三男君外十  八名提出衆法第五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  東海北陸自動車道建設法案瀬戸山三男君外十  八名提出衆法第五五号)  首都圏既成市街地における工業等制限に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一六七号)  近畿圏既成都市区域における工場等制限に  関する法律案内閣提出第一六八号)  近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備  及び開発に関する法律案内閣提出第一六九  号)      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会の件についておはかりいたします。  目下本委員会において審査中の道路法の一部を改正する法律案について、本日、地方行政委員会から、連合審査会開会の申し入れがありました。  この際、これを受諾し、来たる十六日火曜日、午後一時から、地方行政委員会連合審査会を開会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次に、昨十一日本委員会に付託になりました、東海北陸自動車道建設法案議題といたします。
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず、提出者から趣旨説明を求めます。野田卯一君。
  6. 野田卯一

    野田(卯)議員 ただいま議題となりました東海北陸自動車道建設法案につきまして、私は自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、その提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。  思うに、近年来、わが国産業経済驚異的発展に伴いまして、自動車交通の需要は飛躍的な増大を来たし、また、地域格差是正のための適正な産業分散体制確立要請等に対処して、全国的視野に立った幹線的道路網整備拡充をはかることは、刻下喫緊の急務として、重大な政治的課題となってまいりました。特に、今後のおびただしい急進展を予想せられる経済、社会諸情勢の趨向にかんがみまして、高速自動車道緊要性は年とともに著しく高まっているのであります。  すなわち、さき昭和三十二年高速自動車国道法及び国土開発縦貫自動車道建設法が相前後して制定せられ、次いで昭和三十五年には、東海道幹線自動車国道建設法の成立、さらにまた、昭和三十八年には、関越自動車道建設法の制定を見るに至り、これらの各路線については、すでにそれぞれの調査が進められておりますが、なかんずく、中央道東海道については、いまや一部着工の運びとなり、さらに名神高速道路のごときは、昭和四十年度全線完成を目ざして、現在すでにその大半が供用を開始するに至っております。  しかるに東海北陸地方は、国土胴腹部を施して、日本海の要衝と太平洋岸屈指工業地帯に連なり、一大経済圏として大いに将来の発展を期待せらるるところであるにかかわらず、その基幹となるべき交通施設の見るべきものなく、表裏一体的経済の交流に重大な支障を来たしている実情であります。なおまた、一部にはいわゆる積雪寒冷地帯をかかえて、冬季交通確保に著しい難渋を来たしておるのでありまして、これが抜本的打開策を講ずる必要に迫られております。  したがって、この際、両地域を結ぶ産業開発の大動脈としてすみやかに高速自動車道建設を促進する必要があり、関係地域住民もまたつとにこれを要望いたしております。  われわれは、叙上の見地に立って、今後の経済発展上、本地方の持つ地位的重要性にかんがみ、かつまた、熾烈な地域的要請にこたえまして、本道路の早急な実現を期するため、特に本法案を提出することといたしたのであります。これが本法案提出趣旨でありますが、次に本法案要旨について若干の御説明を申し上げます。  第一は、本法案目的についてでありますが、さきに申しましたように、東海地方北陸地方との交通迅速化をはかり、産業経済等関係を一そう緊密にし、かつ、関係地域開発を強力に推進するために、高速交通の用に供する幹線自動車道をすみやかに建設することといたしまして、これにより、産業基盤の強化に資するとともに、広く国民経済発展に寄与せんとするものであります。  第二は、本自動車道予定路線についてでありますが、本路線は起点を一宮市、終点を礪波市付近とし、主たる経過地を関市付近及び岐阜県大野郡荘川村付近とするものでありまして、この基準に基づき、政府は別に法律案を作成し、すみやかに国会に提出しなければならないことにいたしております。  なお、本路線の指定については、国土開発縦貫自動車道の方式に準じてこれを行なうことといたしまして、内閣総理大臣は、国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経て、予定路線を決定することに相なっております。  第三は、本路線建設に関する基本計画についてでありますが、これが決定に当たっても、内閣総理大臣は、前述の予定路線と同様の手続を経て、これを行なうことといたしまして、さらに、この基本計画立案等のための基礎調査についても、所要規定を設けております。  第四は、現行高速自動車国道法の一部改正を行ないまして、同法に準拠する本自動車道整備計画を作成する等、所要規定を設けることにいたしております。  以上が本法案提案理由並びにその要旨でありますが、願わくば慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わらんことを切にお願いする次第であります。
  7. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で、趣旨説明は終わりました。     —————————————
  8. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 本案に対しましては、別に質疑もないようであります。  この際、政府から御発言があれば、これを許します。鴨田政務次官
  9. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 本法案趣旨を十分に尊重いたしまして、新五カ年道路計画作成に対しましては、特に考慮いたしまして、この目的達成のために努力をする次第でございます。     —————————————
  10. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 引き続き本案討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに本案を採決いたします。  東海北陸自動車道建設法案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  11. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  13. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次に、首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案の一案を一括議題といたし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。吉田賢一君。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 近畿圏整備開発法を中心にいたしまして、二、三質問したいと思うのです。  そこで、大体において案自体について伺っていきたいのですが、計画事業といたしまして、第二章に規定されておりますが、工業団地造成事業、第九条において、事業施行者が、地方公共団体住宅公団のみになっておりますが、これ以外のもの、たとえば最近大阪において宅地あるいは工業団地造成、あるいは兵庫県におきましても、同一目的で、それぞれその目的のもとに設立しておる公社があります。この公社は加えることのほうが事態に適応するように思うのだが、その点についてはいかがですか。
  15. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この工業団地造成事業施行主体といたしまして、住宅公団及び地方公共団体以外の、現在宅地造成などが行なわれておりまする、いわゆる民法上の法人で、地方開発公社とかあるいは協会とか、こういうような名称で行なわれておりますものがございます。これらの協会あるいは開発公社という民法上の法人に対しても、施行主体としてはどうだろうかという御意見と承るわけでございます。この法案作成過程におきましても、地元におきまして、そうした御要望もございました。それによりまして、地方におきましても、自治省あるいは大蔵省方面とも折衝していたわけでございますが、こうした民法上の法人に対して、収用権という強権を認めるということにつきましては、まだその性格が十分でないというような意味もございまするし、また、かたがた自治省といたしましても、これらの民法上の法人というものを地方自治法レールに乗せて、もう少し住民の意思を反映する、あるいは議会の監督の目が届くというような形のものにだんだんいたしてまいりたい。もちろん現在の自治法上の事業団というものもございます。しかしながら、これは二つ以上の公共団体市町村、あるいは二つ以上の府県にまたがらないというと事業団がつくれない、こういうようなことで、一つ公共団体だけでは事業団がつくれないというふうな欠点もございますので、これらにつきましては、自治省としても、将来研究してみるということで、その研究を信頼いたしまして、今回におきましては、これらの開発公社あるいは協会という民法上の法人施行主体といたさなかった、こういうことでございます。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは整備本部意見を聞いておるのでなしに、政府意見——これは総理大臣提案になっておりますので、政府意見が適当で、いまの御答弁によりますと、自治省の御意見なんか出たのでありますが、そうでないのです。  それからもう一つは、私の質疑を誤解しておられる。私は一般民法上の法人を称しておる公社、あるいはその他の社団を言うておるのではないのです。たとえば大阪府の実例のごとく、兵庫県の実例のごとく、それぞれ知事が主管いたしまして、そうして公金をもって財源として、土地造成に当たっておる。これらの公社のことをさしているのです。普通民間に行なわれておる株式会社その他の営利団体等法人などをさしておるのではないのでありまして、なぜこれを入れないのか、その入れないということの理由はどこにあるのか。適格性がないのか。入れることがむしろ実情に適しないのか、こういうことでありますから、これは政府側答弁を求めておるのです。
  17. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの吉田委員の御質問でありますけれども、この問題はやはり将来、吉田委員の言われるような線に従わなければならぬのではないか、こう考えられます。ただ現在の状況におきましては、法的な処置も講じておらないので、加えられないのであります。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、現実政府大阪府、兵庫県でそれぞれ知事が主管いたしまして公社を設立して、工業用地造成をしておるという事実はこれはどういうふうにお考えになっておりますか。
  19. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 先ほど民法上の法人と申しまして、広く民法上の法人というふうな表現をいたしましたので、誤解もあったと思いますが、現在の大阪府なり各府県でやっておりまする開発協会あるいは開発公社というものの性格は、法律上はあくまでも民法上の法人でございます。ただその出資が、大部分地方公共団体が出資しておるとか、あるいは、その役員は地方公共団体理事者が入っておるとかいうふうな実質的な構成からいって、地方公共団体がそれをコントロールしておる、マネージしておる、こういうことになっておるわけでございますが、法律上の性格としては、あくまでも民法上の社団法人であったり、財団法人である、こういうことでございます。これらの社団法人なり財団法人に対して、問題は、工業団地造成事業をやる場合に、それに対して強制収用の力を持たせるかどうかということでございます。これらの民法上の法人に対しては、ままだ自治法レールに乗っていないので、公共性が十分にない。そういう意味から、まだそうして土地収用強権力を持たせるということは不十分である、こういうふうに考えております。したがってこの開発法の上では、あくまでも住宅公団公共団体だけにそうした収用権を持たせる、こういうたてまえにいたしたわけであります。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、府県もしくは市町村なりの公共団体に限定をするわけですが、その場合、工業用地造成に、たとえば府県や市が出資して、地方公務員首脳部がその事業執行に当たり、もっぱら公益を目的としたその方面の作業をしておりますが、それらを排除することになるわけですか。
  21. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この開発法上の工業団地造成事業は、あくまで公共団体住宅公団がやる、こういうことでございます。ですから一般的に任意買収土地を求める、こういうような仕事開発公社でおやりになるということもあり得るわけであります。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし、事業主体が、いずれにいたしましても、この収用事業収用対象になる物件もしくは収用事業適格性がありさえすれば、それは土地収用適用があるのじゃありませんか。したがいまして、いまの段階におきましてそれを入れるということは、どうもこの法律を行なう上において、むしろそのほうが事態即応組織法といたしましてはそれは当然でなかったか。なぜこれを排除するのであろうかということが私にはわからぬ。だからお尋ねしているわけでございます。あなたのおっしゃるところによると、主体がまだ地方公共団体でない、あるいは住宅公団でない、けれども事業そのもの収用法認定事業になっておって、それを排除していく、こういうお考えなんですが、どうも首尾一貫しないと思うのだが……。
  23. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 一般民間人であったり、またあるいは法人であっても、土地収用法土地収用はできるじゃないか、しかるにこの工業団地造成事業の場合には、どうして土地収用ができないかという御意見だろうと思うのです。もちろん一般特殊法人であるつまり私鉄会社であるとか、あるいは電気会社であるとかというものは、その目的のために一定土地鉄道用地だとか、あるいはダム用地というものは土地収用できます。しかしながらこの場合は一つの大きな土地、三百ヘクタールとかあるいは百万坪とか、こういうまとまった団地を一括して収用していこう、こういう団地造成事業でございます。したがいまして、その収用の権限を持たせるものといたしましては、そういう私人にはやらせない、こういうことにいたしておるわけであります。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもこれははっきりいたしません。御答弁に対しましてはまだ釈然といたしません。私の質問に対して明確に解明される答弁にならぬことは、まことに遺憾であります。  そこで、事業主体地方公共団体の場合でありますが、これはたとえば工業団地が他の数力行政区画にまたがるというような場合には、これは複数地方公共団体がその事業主体になることがあると思いますが、だからこれは単数複数にかかわらず——この整備及び開発法案の九条の二項で、この主体単数複数にかかわらず、これはその趣旨は含まれておる、こういうふうに理解していいですか。
  25. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 地方自治法上の地方公共団体というワク内で、それが単数でありましょうと複数でありましょうと、それは全部含まれております。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この地方公共団体というのは、財政計画それぞれと、行政計画それぞれと、いろいろな資格要件を持っておりますが、そのような、たとえば数カ市町村が連合いたしまして一つ開発事業を行なうというような場合に、これはやはりそのあたりを明確にしておく必要があるのじゃないだろうか。たとえば特別交付税とか、交付税関係におきましても、かなりの等級に分かれておって、格差があるだろうと思うのです。こういうようなこともいろいろあるだろうと思うが、数カ公共団体の場合には、何かこれを明確にしておく必要があるのじゃないかと思うのだが、その必要はないのだろうか。その辺はどうですか。
  27. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 数カ市町村一つ仕事をやっている。そういう仕組みのために、地方自治法では事務組合であるとか、あるいはこうした造成事業がございますれば、地方開発事業団というものがつくれるようになっておるわけでございます。したがいまして、そうした負担関係とか仕事のやり方というものは自治法レールでやっていく、こういうことになるわけでございまして、どういうふうにやっていくかということは、地方自治法のきめるところでやっていく、そういうことであります。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この公共団体と、数カ団体一つ組織とは、性格は変わってくるんじゃないでしょうか。ちょっとその点は、地方自治法の根拠を明確にしておいていただきたいのです。
  29. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 地方自治法地方公共団体という範囲内には、市町村あるいは事務組合……。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとその法律を示してもらえばいいのです。
  31. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 そういうものを包含するように規定されております。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だから、その法律を示してもらえばいいんだ。
  33. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 地方自治法の二百九十八条におきまして、「普通地方公共団体は、一定地域の総合的な開発計画に基づく次の各号に掲げる事業当該普通地方公共団体事務に属するものを総合的に実施するため、他の普通地方公共団体と共同して、これらの事業の実施を委託すべき地方開発事業団を設けることができる。」すなわち、数カ市町村あるいは数カ府県が共同して、こういう地方開発事業団をつくることができる、そうしてその仕事を委託する、こういうことでございます。その二号には「工場用地その他の用地取得又は造成」という規定がございます。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その地方開発事業団は、それ自身一つ権利義務主体になって、そしてこの構成の要素である普通地方公共団体とは別個の資格取得されるのではありませんですか。とすれば、第九条の二項の地方公共団体とは性格同一でないのではないだろうか。たとえばこの事業団には議会はありませんし、また事業団理事長、つまり統轄する理事長を排除するような民衆の手段もありませんし、またこれ自身が公選されるのではないだろうし、すっかりこの性格が変わりますので、同一でないと思うのです。この法案地方公共団体というのと同じでないという法律性格のように思うのですが、その点どうなんでしょう。
  35. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 地方自治法の第一条の二に「地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。」こう書いてございます。「普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。」「特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体組合財産区及び地方開発事業団とする。」こう書いてございまして、地方開発事業団特別地方公共団体である。したがいまして、特別地方公共団体でありますから、地方公共団体でございます。そこで本法における地方公共団体というのは、特別区、開発事業団を含む、そういうふうに解釈いたしております。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、この財源につきまして、母法整備法の十九条によりますと、国の普通財産譲渡ということがございます。この普通財産譲渡につきまして、たとえば国有林野が、特に地方開発の場合には国有林がずいぶんありますが、その国有林野を特に地方公共団体等に譲り受けるというような場合には、これは多くの場合は行政財産になっておるだろうと思うのです。ところが現実の必要は相当の地域が必要ですから、地域拡大のための土地取得のためには、国有林野払い下げ等が必要である。つまり母法十九条の譲渡規定を活用するためには、国有林対象とすることが相当あるだろうと思うのです。その辺について、事実上の手続のお考え方はどうなんでしょう。
  37. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 地方公共団体の、そうした工業団地造成事業対象になるのは、おそらく国の普通財産でなかろうかと思うのであります。しかし、これが行政財産である、どうしても地方公共団体開発目的のために使わなければいけない、他に転用しなければいけない、こういうことになりますれば、これは行政財産からはずして、普通財産にしてこれを転用する、こういう手続を踏まなければならない、こう思います。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 行政財産普通財産に転換するということにつきましては、これはまあできないこともないと思います。そうすると、大蔵省もしくは農林省等におきましては、積極的にこれに協力するということになるべきでしょうか。これはあなた方のそれじゃないのですけれども、これは所管庁が全く違いますから、政務次官、これはどういうふうにお考えになっておりますか。大部分林野庁所管のわけですね。もうほとんどが行政財産です。したがいまして、この適用を一応受けないというのは通常であります。けれども、実情としましては、やはり国有林等を利用するという場合が多いのであると思うのです。だから、相当積極的にこれらの用意を持って臨まなければ事実は不可能ではないか、こういうふうに思いますが、どうなんでしょうね。
  39. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの御質問は相当行政法的な問題じゃないかと思いますので、この点十分検討してお答え申し上げたいと思います。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、この工業団地造成しました場合に、事実上これを使用するものは各企業者もしくは事業者であろう、こう考えます。ところで、店は開いたけれども客が来ない。せっかく大きな構想のもとに工業団地造成をやったけれども、経済的な地域的ないろんな事情から、企業者事業者は少ないということも間々あるわけであります。こういうような蹉跌、手違い等が相当地方では実際はあるわけであります。そこで、問題の一つは、産業資金構成の問題であります。この点につきましては、いまの法律ではそこまでは触れておりません。触れておりませんけれども、これは本部のほうに聞くのは無理かもわかりませんが、政府といたしましては、要するにこの工業の実態をなす産業資金についての具体的な資金構成はどういうふうに考えておられるのだろうか、これはぜひひとつ大臣に伺っておかなければならぬ点でありますけれども、大体この法案の作成の過程において、そこは当然触れるべきですから相当触れていったと思うのですが、どなたでもよろしいから、これらの点につきまして、具体的な資金構成はどういうふうにお考えになったであろうか、もう放任しておいてもいいというようなお考えで臨まれたのであろうか、そうでないのであるか、そうでないとするならば、具体的にどういうふうなお考え等があったのだろうか、これを話してもらいたい。
  41. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 工業団地造成事業によって工業団地ができまして、そこにたとえば大阪市で増設が禁止されて、どうしても増設するためには工業団地の中で工場を建てなければならない、こういうような事態になりましたのに対して、工業団地を提供するわけでございますが、その場合に、土地を買いあるいはその上に工場を建てる、こういう資金につきましての手当でございますが、まずそういう手当につきましては、この開発法の四十六条の二項で、そうした新設または増設で、この建設計画に適当であるというものにつきましては、国は必要な資金のあっせんにつとめなければならないということが書いてございます。すなわちその意味は、国はそうした企業者に対して開発銀行の融資をあっせんする、あるいは中小企業金融公庫の資金をあっせんする、そういうふうな努力を払わなければならない、こういうことを規定しているわけでございます。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、「国は」というのは、この際、具的体にはどこをさすのですか。
  43. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 開発銀行あるいは中小企業金融公庫に対して、指導権あるいは監督権を持っている大蔵省という方面からやってもらう。そうして、わがほうといたしましては、政府部内としてこういう計画がどうしても必要である、または計画を樹立させるに必要であるというので、大蔵省からそれぞれの公庫に対してあっせんするように、援助してやれ、こう言って頼むわけです。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 個人の産業資金をいまおっしゃった。たとえば日本開発銀行へ国があっせんするというような場合、そういうときに一体大蔵省——現実には大蔵省の銀行局か知りませんけれども、一体そういうあっせんというようなことが現実にあり得ますか。過去においてあるのですか、現実にそういうことをやっておりますか。それはどうです。
  45. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、この法律が施行されました後におきましての資金繰りにつきましては、たとえばその誘致せられます工場のほうで、地方公共団体とタイアップいたしまして、地方公共団体のほうからお願いを申し上げるという筋もございます。また、こういうわけで、法の規定に従って工業地帯に移るのだからというふうな場合におきましては、やはり先ほど局長の言われましたとおり、この法律趣旨に従って行なうという意味から、近畿圏のほうの働きかけによりましてお願いを申し上げ、そうしてスムーズに資金繰りをやるというのが現実ではないか、こう考えているのであります。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 お願いを申し上げて、資金繰りをするというようなことで、目的を達するのだろうかどうだろうか。お願いを申し上げて、せっかくですけれどもといえばそれまでなのかどうか、そういうことで、一体この資金計画とか資金の構成とかいうものが全うできるのだろうかどうか。あるいは政府が資金についてあっせんするという条文にたよっておられるようだけれども、そういうようなことは、およそこれはほんの宣言した文句に終わるのではないだろうか。私は何もあなたに特別の言質を得ようというて質問しているのではないのです。ですから、現実具体的な、たとえば日本開発銀行が——きょうも実は開発銀行を呼べばよかったのですけれども、日本開発銀行が、この広域の、たとえば工業団地造成について、その他の計画事業について、個人へ貸すということが、相当見込みがあって、あなたらお考えになっているのだろうかどうだろうか。そこらについて、何か国はすべきだという、抽象的な一種の義務づけだけで、これは事終われるほどの問題ではありませんですから、非常に現実性を持った問題ですから、相当突っ込んだところを伺ってみよるのです。これは方針の具体的な実施のかまえというようなことにかかりますので、その辺は具体性のある答弁ができれば願いたいと思うのです。
  47. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 四十六条で、抽象的といえば抽象的なことばが書いてあるわけですが、具体的に実務的に申し上げますと、開発銀行では、そうした地方開発資金を融通するワクというものを毎年度設定いたしておりまして、この分は四国であるとか、あるいは北陸であるとか、そういうふうに地域分けをしてそれを運用していく、そういうふうなことをやっているわけであります。したがいまして、近畿における開発計画もだんだんと出そろってまいりますと、それに見合った開発資金というものを、われわれもまた開発銀行と折衝して、それをとらなければなりません。そのきまりましたワクの中で、今度は、具体的にこれこれの工場がそこへ行くというものについて資金を流してほしいということを、開発銀行に連絡するわけでございます。そういうふうな事務的な連絡を十分密にいたしまして、それでわれわれの計画がスムーズに実現するように、こういうふうにしていかなければならぬというふうに思っております。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 基本的な点になりますので、これは大臣に聞きたいのですけれども、次官、あなたに聞きますが、この資金の問題は、いまのようなああいう御答弁の範囲では、私は、ほんとうに不十分だと思うのです。そこで、これは公共団体であろうと、その他の事業団体であろうと、あるいは土地造成に関する資金であろうと、またないしは具体的な事業そのものの施行に伴う諸般の資金であろうと、いずれにもかかわることでありますが、根本的に、政府においてすみやかに資金を用意するということが必要でなかったのかどうかという点なんです。たとえばアメリカにおきましては、最近、失業の相当多い地域の再開発法という法律を実施しております。一定のファンドを設けまして、三億ドル以内で、長期で、ほとんど低利の、二分五厘、二十五年か四十年くらいの貸し付けをやったりしております。まあ、こういうこともあるわけです。したがいまして、これはそのような膨大な資金がそれぞれ必要とするという前提に立って考えなければ、もう五年も十年も後に、ようやく緒につくということになるんじゃないか。ないそでは振れぬと言って、どこでもそんなに積極的にやらないということになるから、資金をあらかじめ用意するというようなことまで考えが及ばなかったのか、これはひとつ聞いておきたいんだが、そういうことは法案立案の審議過程においては問題にしなかったのかどうか、この二つを具体的に御答弁を願いたい。
  49. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 第一点の御質問でありますれけども、この法案の経過の中におきまして、御承知のとおり、国におきまして、資金についてはでき得る限り努力をいたします、こういうふうなことが抽象的に述べられております。しからば、先ほどの御質問のとおり、それでは一定のファンドを持ったものを充てるつもりであるかというふうな、事例を引かれまして御質問がございましたけれども、この法案の作成の過程におきましては、国の総合的な資金計画というものの中から、開発銀行に割り当てまするその線の中から、ひとつこれをこのほうへ充当するように努力をしようという、抽象的な線で、実は、この法案ができたわけでありまして、吉田委員の御質問のような、固まりましたファンドを持った資金を裏づけました法案ではない、こう考えられます。ただ、先ほどの御意見のとおり、確かに一定のファンドを持ちました資金計画を樹立して、そうしてこの計画を実行しなければならぬというのは、これは当然過ぎるほど当然でありまして、現在におきまして、そこまでまいりませんけれども、やはりステップ・バイ・ステップでそういうふうなところへいくのが理想的な行き方じゃないか。またそういうふうに努力するのが当然じゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 根本的に、一点は、国が相当の資金を、進んで一定の割合を負担する、こういう構想はどうであろうか、たとえば義務教育の教育施設等におきましても、あるいはまた離島振興法における四分の一ですか、あの補助規定等によりまして、国の負担、もしくは補助ということは、事例はあるわけです。もっとも、ずばりと工業団地造成というものはまだ例はないようでありますけれども、しかし性質としましては、やはり大きな地域開発でもあるし、あるいはまた行政的には一つの広域行政への発端といたしまして、画期的なものであろうから、国が進んで一定の割合を持つ、そういうような構想には出なかったのかどうか、これをひとつ伺っておきたい。
  51. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、ねらいは非常に私けっこうと思いますけれども、現在におきましては、まだそこまでいっておらないというふうにひとつ御了解願いたいと思います。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで下って、具体的に資金のあっせんの対象というよりも、金庫、公庫などで.ありますが、これは日本開発銀行に限るのでありますか。あるいはこの場合は、大企業というよりも地域開発ことに僻陬の地における新しい開発団地になりますと、中小企業は相当多いだろうと思うのです。中小企業は中小企業金融公庫などになるので、要するに、政府資金は現在におけるそのような政府関係の金融——金庫とか公庫とかあるいは開発銀行とか、場合によりましては、輸出入等の関係におきましては日本輸出入銀行等がこれの対象にするのかどうか。これらの範囲はどういうふうな構想を持っておるか。いまのお話の事例によれば、日本開発銀行が非常に大きく指摘されておるのでありますけれども、私どもは、これはもっと広範囲に活用すべき金融の機関は相当あろう、こう思うのです。  それからもう一つ、資金の財源は、これは財投の金によるのであろうか。そうではなしに、別にまた新たに大きく開発公債でも発行する、こういう線までいくのかどうか。あるいは場合によれば、それぞれの系統の産業団体の資金もないではありませんので、その他の資金を使うのかどうか。この二点はどういうふうにお考えですか。
  53. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの御質問の第一点でありますけれども、これは事業主体考え方もございます。もちろん国があっせんすると申しましても、事業主体の意思を無視するわけにはまいりません。事業主体が特に開発銀行あるいはまた中小企業金融公庫であるとか、いろいろの国の三公庫もございまするし、その面のあっせんを願いたいとか、そういうふうな場合、あるいは国といたしましても、そういうふうな方面に、こういうふうなところへまいりました工場については格別な融通方をやれというふうなことも言われるのじゃないか、こう実は考えるわけでございます。ですから、開発銀行に限らないということはひとつお含みを願いたいと思います。  さらに、財政投融資だけに限るかというふうなお話でありますけれども、もちろん開発銀行は財政投融資が入っておりまするし、他の公庫も財政投融資が入っておるものもございます。ですから、もちろん財政投融資ばかりに限らずに、市中銀行のいわゆる強力なものがありますならば、その方々のあっせんもけっこうじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。要は、国といたしまして、資金面においてでき得る限りのバックアップをしてやろうじゃないかというのを、抽象的にこの条文でうたったわけでございます。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは実はまことに重大な御発言になるわけでありますが、しからば今後、いま私が列挙いたしましたたとえば日本開発銀行、中小企業金融公庫、国民金融公庫あるいは商工組合中央金庫とか輸出入銀行等、このような銀行の業務の方針書ですね、これは政府の許可を得ることになっておると思いますが、相当これは改定を要する面が生じてくるだろうと思っております。いま具体的に全部資料を持っておりませんけれども、私の浅い経験によりましても、相当改定を要するだろうと思うのですが、その辺は、いまのような重大な開発事業の資金問題についての御発言がある以上は、ひとつ責任を持って御検討になって、そして業務の方針書の内容を、御答弁に適合するように、改むるべきものがあれば改めていくという努力はしてもらわなければいけませんが、これはお約束できましょうか。
  55. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 私が知っておりまする範囲内におきましては、ただいま吉田委員の言われるような御心配は、現行法によってはなくて、現行法の運営によってできる、こう確信して御答弁を申し上げた次第でございます。もちろん先ほどの御心配のような点が万一ありますような場合におきましては、これはまた検討しなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この地方公共団体の場合におきましては、地方財政との関係において解決すべきものであるか、そうでなくして、なおその他にいま申しましたような特別の資金関係も当てにしていいかどうか、あるいは母法には、公債関係も若干うたった規定も別にありますから、かなりそこはとらわれないで、在来のいわゆる自治省の指導する財政計画によらずとも資金関係は用意ができる、そのようなふうにこれは理解したらいいのでしょうか。
  57. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 地方自治財政の問題は、先生も御承知のとおり、なかなかむずかしい問題でございます。ただいまの御質問のような点は、私がここではっきりお答えすることにはあまりにむずかし過ぎるのじゃないか。もちろん現在御承知のとおり、地方公共団体は、いろいろな面で個有事務をやりたくてもなかなかやれませんで、委任事務で大わらわでございますので、これをイエスというふうに返答することはなかなかむずかしゅうございますけれども、しかし地方団体に対しましては、やはり国といたしまして相当の手当をいたしまして、事務の遂行に差しつかえないような手を打っていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに、実は私は考えておる次第でございます。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますると、これまた地方公共団体におきましても、その財源、資金計画というものは、国は相当の責任を持ってこれに臨むという体制が用意されなければならぬ。いまある規定だけでは、その辺はまだ明確に浮かび出ておりません。これは「国の財政の許す範囲内において」というようなことが母法の二十条に規定されております。しかし「国の財政の許す範囲」というような抽象文句では解決できません。やはり積極的に、可能な限り財政が相当裏づけされるのでないと、画餅に帰する。いま地方自治体の財政実情は逐次赤字化しつつあるということは御承知のとおりであります。このようなときでありまするから、よほどの魅力がないと進んでやりません。知事さんが何ぼいたけだかになって計画なさろうとしても、関係市町村の首長、自治体自身が乗ってきませんです。こういうこともありまするので、これらの関係のそれぞれ責任者、責任団体の間で意見が一致し、歩調がそろうということでないと、計画が成り立ちません。審議会におきましても、地方意見がそれぞれ吸い上げられてくるのですから、これもそう簡単に同調しない。一番のガンは、やはり財政計画なり構造が地方に重大な新しい負担となっていくというところにあるから、国は財政の許す限りでというような抽象文句だけではいくまいと思う。やはりもとへ戻りまして、国は進んで積極的に一定の割合を負担をする、もしくは一定の割合はその事業計画主体等においてこれを負担する、というようなところまで踏み切るのでないと、これはなかなか思ったように解決できないのじゃないか。ここに私は雄大な一つの構想を持って臨んだこの法律が、十年も後にならなければ成果があがらないのなら、ないほうがいいのです。いたずらな混乱です。むしろそれぞれ法律がたくさんあるのですから、ある法律でそれぞれやっていけるので、こういうもので締めくくっていく必要もないだろうと思うのです。これはやはり数年後には相当りっぱな成果があがっていくということにしなければならぬ。しからば、現状の地方自治体の財政の実態にかんがみまして、国の財政援助の確立、一つの強力な支援態勢を積極的にしなければ、これは実現しないと思うのです。そこでいま申したのは私の一つの提言にすぎませんけれども、国は相当の割合を負担するというところまで考えねばいくまいということについて、御検討をわずらわしたいと思います。政府として検討をしてもらいたい、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  59. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 確かに吉田委員の言われますとおり、地方自治体の財政の負担を過重にして、そうしてこの法律を施行、実施するということはなかなか困難でございます。しかしながら、御承知のとおり、また一方におきまして、この法律が施行、実施せられました暁におきましては、地方住民の福祉増進に非常に役立つという面も非常に出てくるのではないか。そのほうが、地域格差の是正であるとか、あるいはまた行政水準の向上であるとか、こういうふうなものを考えましたときに、私はプラスが多いんじゃないかということを痛切に感じておりまして、国の総合的な——もちろん建設省だけの役割りでは果たし得ません。やはり自治省なりあるいは大蔵省なり、あらゆる省との関連のもとに、地方自治体の発展をいろいろな方面からひとつ側面的にこれをはかっていくというねらいも必要じゃないか、こう考えまして、吉田委員のお考えに、私たちはでき得る限り努力をするというお答えをひとつ申し上げたいと思います。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よその例をとって適切でないかもわかりませんが、さきに述べましたアメリカの、たとえば再開発法などにおきましては、連邦政府は六割を出す。これは一種の貸し付けのようでありますけれども、州は一割ないし三割五分まで出すようになっております。だから五%のみが事業主体において負担する。こういうふうになるようでありますけれども、これは非常に乗ってきやすいと思うのです。この辺はなかなか重大なことでありますから、きょう明快にどうということはありませんけれども、その方向に持っていくということでないとこれはいくまい、こう思いますので、この点についてはひとつ重大な課題として、できるだけ早い機会に、財政的な不安を伴わないで計画実施に乗り出していけるような体制のできるようにせられんことを御要望申し上げておきたいと思います。もちろんそれは他の省との関係もありますけれども、何と言いましても、本部長官は建設大臣でございましょうし、総理大臣の権限を行使いたすような重要な地位にあるし、また広域行政一つの典型的なものとして実現するのじゃないかと思いますので、いろいろな面から見まして、その辺も画期的に踏み切っていかねばならない。他の省との連絡関係も十分にわかりますけれども、主管省は河と言ってもやはり建設省であると思いますので、ここが中心になって、いまのような点の打開の方策をすみやかに立てる必要があろう、こう思いますので、何かその点についてお考えを述べておいてもらいたい。
  61. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたとおり、この地方自治体の財政行政の確立という問題は非常にむずかしい問題でございます。もちろんこの法案が施行、実施されまして、地方自治体にそれだけの財政的な負担を生じてくる、この埋め合わせをどうするかという問題も、将来各省との関連のもとで考慮しなければならない問題じゃないかと思いますので、吉田委員の仰せ非常にごもっともでございますし、私たちはやはり一つのそういうふうなビジョンを持ちながら進んでいくということも、これまた地方自治体の発展のためにも大きに役立つのではないか、こう考えますので、お説を十分承っておく次第でございます。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 単に私は将来の夢を言ったりするのではなくして、現実の問題でありますので、切実にきょうの問題として取り上げていって、積極的に果敢な対策を講ずるようにせられんことを希望しておきたいと思います。  もう一つ伺わねばならぬことは、この問題は、計画ができて実施の段階に入りますと、これに伴ってあらゆる地方的な諸問題が出てまいりますから、この調整が非常に大東だと思います。調整と申しますとたとえばいまのところ工業団地に限っておるようでありますが、前会も御質問申し上げましたように、工業団地だけではびっこになってしまいますから、あらゆる流通機構にしろ、あるいはその他の第一次産業にしましても、果樹栽培とか、あるいは酪農とか、その他農業とか漁業とかを十分に整備をしていかなければ、一つの都市形態をなさぬのです。また都市の周辺の形態をなさぬのですから、住民の生活、国民経済の向上発展に資するというならば、そのような一切の要素を整とんしなければならぬことは申すまでもございません。そこでいろんな地域社会的に、これに随伴して起こる諸問題に、あらかじめ深い配慮、用意を持って臨まねばならぬのじゃないだろうか、こう考えておるのであります。そう考えておりますので、この点についても、たとえば人間が集まっていく、それなら病院をつくらなければいけませんし、工場ならば、一体労働力をどうするかということもあろうし、住宅なら住宅の環境問題もあろうし、公害問題も起こってこようし、いろいろしまするが、随伴して起こる地域社会における這般の積極的な建設の問題は当然のことでもあるし、また非常にむずかしい問題でもありません。一に財政問題にかかってしまう、こう思うのですね。そういたしますると、いまのところ地方財政は、赤字あり黒字あり、再建整備法で縛られておる市あり、また赤字県もあり、裕福県もある。こういうふうでありまするので、このような社会環境の完成整備、ないしは起こる地域問題の調整、また力に大きな格差がありますので、これをどうするのだろう。だから大きな太い柱を立てて、そして広域行政的な一つ開発事業をやるのだから、これに対しましては、負担能力のいかんにかかわらず、これに向かって一種の公共投資をするということがなされぬといけないじゃないか。だから随伴して起こる問題の調整と、これの解決の財政計画は、さっきの問題と関連しまするから、あえて進んで申しませんけれども、いまのそういう諸般の整備はどういうふうにされましょうか。
  63. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 お話のとおり、工業団地という目をつくって、その地域の中核にするわけでございまするけれども、近郊整備区域にいたしましても、開発区域にいたしましても、その広範囲の全体の社会を、いかにしてそうした工業団地、あるいは住宅団地とうまく均衡のとれた形に発展させるかという絵をわれわれはかくわけでございますが、それが実現の過程におきまして、お話のとおり、甲の町村は非常に財政力が低い、乙の町村は非常によろしいという財政力のアンバランスがあるということで、必ずしも全体の調和のとれた計画がスムーズに実現できないのじゃないか、ちんばになるのじゃないか、こういう御指摘でございます。現実に現地にそういう問題が起こってくる。たとえば公団をつくりましても、それに伴って小学校の新設ということになると、その地元の地方公共団体の負担になる。その地方公共団体財政力が非常に貧弱である、こういう問題がいろいろございます。それらの問題は、結局その計画の実現段階において、できるだけそうした財政力を補う、あるいは力のあるものがある事業をやっていくという形で、そうしたちんばにならないようにということを配慮しなければならぬと思っております。それは非常にむずかしい問題だと思っておりますけれども、今後われわれが計画を実現する段階において、十分配慮してやっていかなければならぬと思っております。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 近畿圏整備本部はその事業主体間の、もしくは公共団体間の連絡調整の任務も義務もある。しかしそういうことは、やっていかなければならぬという配慮だけでは解決できない問題であります。どうもここで問答し合ってもしようがないと思うんだが、計画局の方に伺うのですが、いまのところは近畿整備圏における整備開発に関しまして、だんだんとお伺いをしておるわけであります。そこであなたにお伺いするのですが、地域における、特に整備開発事業というものは、相当の資金を要します。したがいまして、あの事業をやるべきか、この事業をやるべきかということについても、おそらく選択に迷うことがあるだろう。一方、この間、今月の六日ごろでしたか、瀬戸内の開発について、大臣以下みんな、あなたも行かれたのじゃないかと思う。伝えられるところによりますと、経済圏の計画なるものが建設省のものとして発表されておりまして、数個の点が指摘されておりますが、これとの関係はどういうことになるのであろうか。それはそれとして、一本立てるのか。あるいは、そういう構想を優先して、知事などが開発計画を立てるのかどうか。両者の関係はどうなのか。またその辺について、建設省といたしましては、財政の負担の問題についてはどうお考えになっておるのであるか。第三としては、第一次産業の整備というものを頭に置いておられるのかどうか。つまりあの経済圏の構想によりますと、一次産業も相当述べておられます。述べておられるのだが、しかしこのたびの近畿整備圏における開発計画整備計画には工業立地一本です。でありますから、この一次産業に触れておらない。この辺はどうなる。一次産業を軽視して開発になるのか。工業優先的な考え方が支配するのかどうか。こういう点について、計画局は根本的にどういうお考えでおられるのか。これをひとつ述べておいてもらいたい。
  65. 池田迪弘

    ○池田説明員 お答えいたします。実は先般行なわれました洋上会談につきましては、私は出席いたしておりませんでしたが、構想につきましては、いろいろと作業をいたしたのでございます。  まず最初に、近畿圏整備本部の整備計画と、瀬戸内開発構想との関係でございますが、瀬戸内海というものの立地条件を考えまして、現在の開発の過程におきましては、なお大きな支配は、やはり大阪を中心としました京阪の影響を受けるわけでございます。しかしながらまた他方、西部につきましては、北九州市を中心といたします経済圏の支配も受けておりますので、今後これらの瀬戸内海の開発構想におきましては、これとの関連を見つつ、ある時点におきましては、産業の振興を見ました上で、自立経済もある程度可能にしていこうという構想でございます。また、そういう関係でございますので、やはり現段階におきましては、京阪地区の工業あるいは商業の開発に相当左右されますので、この京阪地区を中心とします近畿圏整備というものは非常に重大なものでございます。そこで、現在構想として一応述べておりますが、ここ数年あるいは十年程度の期間におきましては、瀬戸内海の地域開発につきましては、そういうふうな面がございますので、これらとの交通通信の連絡を十分に保ちながら、さらに地域内の開発をしていくというために、積極的な努力を、と申しますのは、公共投資を行なう必要があるというふうに考えております。  次に、財政的な面につきましては、道路整備五カ年計画、あるいは河川長期計画等に基づきまして、瀬戸内のほうも積極的に公共投資を進めていきたいというふうに考えておりますが、その財源につきましては、なお今後それ以上に要する財源につきましては、検討をいたしたいというふうに考えております。  次に、第一次産業の問題でございますが、近畿圏整備本部のほうで計画される開発計画におきましても、もちろんこれを無視しおるわけでございませんし、やはり地域内の第一次というものは今後ともに十分に開発推進をしていくことによりまして、いわゆる産業間の格差というものを少なくしていくというふうなことで、もちろんその計画の根底には考慮されておるわけでございます。  以上でございます。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもわかったようでわからぬのでありますが、あなたのほうにそれじゃ伺ってみますが、政務次官、御答弁願えたらなおけっこうなんだが、まず基本的に、第一、いわゆる近畿圏なるものは、福井、三重、滋賀、京都、大阪兵庫、奈良、和歌山、その府県のうち政令で指定した区域は除くということになっております。どこからどこまで除くことになるのか、一体政令においてはどうなっているのか、その点についてひとつ明らかにしていただきたい。大体でよろしいですから。あるいはどこの県は全然触れない、どこの県が触れる、そういう辺まで……。
  67. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 近畿圏の範囲は、近畿圏整備法の二条で、二府六県を一体とした広域というふうに規定してあります。ただ、一定の区域を政令で定めて、その範囲を狭くすることもできるようになっております。しかしながら、本部といたしましては、ただいま計画策定の段階において、その一部を除外いたしまして近畿圏の範囲を初めから狭くしてかかるという態度をとっておりません。前回の委員会におきまして、ほかの法律との抵触の問題について御質問がございました。たとえば、和歌山県は、四国開発法の中で和歌山県というものが入っておる。そこで近畿圏整備法の一府六県と和歌山県の部分について抵触しておる。また福井県については、北陸地方開発促進法におきまして、こちらの近畿圏整備法のほうとダブっておる、こういうことはそれぞれ法律上合理的に解決しております。すなわち、四国開発法におきましての和歌山のダブりについては、われわれのほうの計画ができますれば、そのときにおきまして、四国開発促進法のほうから和歌山県ははずれるということになります。また福井につきましては、両方ダブったままでもよろしい。ダブったままでも、その両方の計画の調整を、内閣総理大臣がはかるということによって、やろうというふうに、法律的な手当てがしてございます。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、いまお述べになりました県を除きまして、他の府県におきましては、政令で定めるという除外区域はつくらないのですか。つくらないといういまのたてまえになっておるのですか。この法律は、当然政令で一定の区域を除外するようにも読めるのですが、それはどちらでございます。
  69. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この法律のつくり方といたしましては、二府大県を対象にしておる。ただ将来において必要があれば、除いてその範囲を狭くすることもできる、そういうことでございます。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 必要があれば、近畿圏から除外する地域を設定し得るという趣旨には、法律はできておりません。書いてありません。だから、必要の有無にかかわらず、これによるならば、政令で一定の区域を除外区域として線を引くという趣旨が、これは文字そのものの解釈から、そう出ます。だから、政府もしくは近畿圏整備本部において、必要の有無を認定いたしまして、その上で線を引くというような文章ではないと思うのです。だから次官に伺いたいが、いま御答弁いただいたような、そういう趣旨にこれを解していいのでしょうか。それならば、いまお述べになりました県、福井とか和歌山を除きまして、他の府県におきましては、除外区域は出ない、当該府県の全地域近畿圏なり、こういうふうに判断し得ると思うのでございますが、どうですか。
  71. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 私は、法のたてまえから申しまして、ただいま事務局長の答弁したとおりで差しつかえないと思います。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 答弁したとおりでは、まだこれは答えが適切になっておらぬので、実は伺っておりますので、私の聞くのは、しからばいまお述べになった福井とか和歌山を除いた他の府県は、政令によって除外区域を設定しないたてまえになっておると理解していいのか。そういうふうにこの文章を理解してよろしいのかどうか。それなんです。
  73. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この法律規定からいいますれば、あくまで二府六県を一体とした広域である。その計画範囲を将来政令で縮めることもできる、こういうふうに私どもは解釈いたしております。しかしながら、私ども現在計画策定段階でございますから、少なくともこの二府六県を一体とした広域という一つのキャンバスに対して絵をかいて、それを額ふちに入れるときに、それじゃこの部分を除いたほうがいいということが、ほかの地域との関連において出てくるかどうかという問題はございましょうけれども、少なくとも、私どもは与えられた二府六県を一体とした広域というキャンバスに対して、全面的に絵をかいておる、こういうつもりでおります。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、将来言、あるいは二府六県の意見が合って、政令で除外地域を設定するということもあり得るけれども、いまはそういうことは一切考えずに、全体の府県地域近畿圏として、計面を策定することになっておる、こういうふうに理解していいのですね。
  75. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 そのとおりでございます。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから次には、近畿整備の区域の問題であります。この区域は、総理大臣の御指定ということになり、近畿圏整備長官の指定ということになるのだろうが、この区域の線、それから都市開発区域の線、あるいは保全区域の線、これらの区域の線はどういうふうに予定されておるのでしょうか。そこもひとつ、詳細でなくてよろしゅうございますから、アウトラインをお示し願いたい。
  77. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 既成都市区域というのは、大体この法律ではっきりしておりますけれども、近郊整備区域というのはどの範囲になるだろうか、また都市開発区域はどういうところに設定されるであろうか、また保全区域はどういうところに設定されるであろうかという、区域の間取りを具体的に示すということになりますると、それこそが計画内容それ自体でございますので、まだそれについて、私から、どの地域というふうに申し上げることはできません。しかしながら大体の考え方といたしましては、そうした既成都市区域というものが外側に無秩序に外延的に広がっていくということのないように、調和のとれた形でもって町づくりをしていこうというところが近郊整備区域でございます。したがいまして、京阪神大都市の周辺区域というものものは、近郊整備区域ということになるでございましょう。また、都市開発区域と申しますれば、既成都市区域内において立地することが妥当でないというような工業を将来受けとめていく、あるいは将来そこが住居都市として発展していくであろうというような地域、あるいは観光文化都市として発展していくであろうというような地域、そうした居住空間というものを秩序よく日づくりをして、都市づくりをしていこうというのが都市開発区域でありまして、勢いどうしてもその重点は、工業的な開発というような問題が重点になりましょうから、近畿の両翼の臨海部であるとか、あるいは内陸であるとか、そういうふうな要点に向かって、都市開発区域が設定されるということになるわけでございます。また保全区域というものは、文化財を保全し、緑地を保全し、観光資源を保全する。そういうふうなところは、大体現在でも国立公園法なり、あるいはいろいろな保全法によりまして指定がございます。そういうようなところを大体かぶせていく。こういうふうなねらいでございます。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは法律案の文章に書いてありますから、文章を御朗読願わぬでもいいのであります。お考え方によりまして、もう少し具体性のある線が引かれねばなるまい。といいますのは、この区域の設定がなければ、第一、この法案によりましても、基本整備計画が立たぬのでしょう。基本整備計画は、整備あるいは開発の区域の指定を前提といたしまして、立つ。また基本整備計画がなければ、近郊整備の区域の建設計画ないしは開発区域の建設計画も立たない、こういうことになるのですから。一番最初の近畿圏というもの、これはまあ一応了解しますけれども、その次の整備区域とか開発区域とかいうものが、いまなお五里霧中で全く手につかぬというのでは、基本計画も立たなければ、近郊整備区域建設計画も立たない。各般の建設計画が立たぬ。各般の建設計画に第一手を染めるわけにいきません。これは、法律をつくるときにやいやい言うて、あたかも何か——ビジョン、ビジョンということばも出ますけれども、何か絵が出て、すばらしい夢が実現するかのように考えはしますけれども、さてこの法律が国会を通過してしまいましたならば、たなの置きものになって、あるいはまたかびが生えてしまうようなことになるのではないだろうか。そのうちに世の中は経済の進歩その他の変化もありますから、社会的諸条件も一変いたします。そういうことも考えますので、そういうような順序を追うて考えていくと、まことに失礼なお尋ねですけれども、私は心もとなくてならぬのであります。  そこで、いまお考え方が全く五里霧中である、まだまだ暗中模索で何の具体性も、意見を述べる段階ではない。もちろん審議会とかその他の御意見もあるし、あるいはまた地方のいろいろむずかしい実情もあるから、むずかしいけれども、すでに母法である整備法に次いで、一つ法案が国会で審議の過程に入っているのですから、相当具体的な線が意見としてくらいありそうなものだ。ただしこれは最終決定ではない、それは総理大臣が指定することになるというような、そこまでいくならば望ましいのだけれども、いまのようなことでは、まことに心もとないと思うのです。全く何もないということなんですか。それはどうなんでしょうね。
  79. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 計画の策定につきましては、この春以来、いろいろと準備を進めているわけでございまして、この計画は、第八条にございます計画の背骨になる基本的な方針に基づきまして、各区域の設定、指定に関する基本事項、それからまた広域根幹となる産業基盤施設あるいは生活基盤となる施設等につきましての施設計画をつくる、こういうことになっているわけでございます。そこで事務当局並びに審議会の専門委員会におきましても御勉強願って、この夏くらいには背骨になる基本方針をきめたい。それから引き続いて秋から冬くらいまでには、根幹になるいろいろな細部の計画をきめてまいりたい。これによって来年度予算に反映すべきものは反映させる。また来年度からは、この法律ができ上がりますことによって、これらの計画を実施に持っていく、こういうような段取りで進んでいるわけでございまして、今日ただいまその計画の内容がどうであるかということについて、具体的に申し上げるという段階になっておらないわけでございます。ただ考え方として、やはり抽象的ではございますけれども、大体の方向として、地域の指定というようなものの方向も、いま申し上げましたように、既成都市区域の外側に近郊整備区域、また各臨海部、内陸等におきまして、相当規模の工業等を受けとめる地域をつくる、こういうことでございます。だんだんと全貌が明確になってまいりますので、それまで御猶予願いたい、こう思っております言。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 慎重におやりにならねばならないこともわかります。また経済、社会各般の利害、また地方自治体におけるいろいろな公私の事情、あらゆる事情てんめんしておりますから、簡単に具体性のある設計図ができないということ、これはよくわかりますが、この整備区域とか開発区域等につきまして、もう少し具体的な線の御説明ができる段階にはまだいきませんでしょうか。あるいは専門委員も相当あり、学識経験者が委員に入り、それぞれ委嘱等々して、勉強しておられるようでありますけれども、国会に対してもう少し——これは何も吉田個人のことではありませんので、数百万の府県民の一つの希望として、その辺が何か政府あるいは近畿圏整備本部側としまして、もうちょっと出ないものだろうか。この間、本月の六日でしたか、さっき述べましたように、建設大臣以下建設省の首脳部の瀬戸内臨海各県知事等との会談によると、新聞などには相当詳細なものが出ておるのです。たとえば、根本構想などとして、基本的な方針とか、開発の方向とか、経済圏の設定とか、交通網の整備とか、観光とかいうようなものが、相当具体的なものが説明せられておる。だから、近畿圏におきましても、もうちょっと開発区域なども何かあるのではないでしょうか。あれば、差しつかえない範囲において、これは素案ですけれども、別に成案でもなければ何でもないのだけれども、という程度でもいいと思うのです。もっと何か、どこらで線を引くのか。たとえば兵庫県でいうならば、但馬区域は全体として開発地域になるのか、そうでないのか、丹波区域はどう。京都関係においてどうなのか。たとえば日本海において、瀬戸内関係において、あるいは臨海関係、第一次産業殷盛な地域において、あるいは港湾、道路等のこの交通関係から見て、大体どの辺の線で引ける、姫路以西がどうであるとか、あるいはまた奈良においてはどの辺の線がどうとか、何か御説明のなにはありませんでしょうか。これはどんなものでしょう。もし同様であれば、いまの御答弁以上に出ないのなら、御答弁要りませんですけれども、どうでしょう。
  81. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 もう先生もすでに御承知のとおり、この問題につきましては、各県でも、また各方面におきましても、いろいろ関心を持たれて、それぞれの御要望があるわけでございます。そこで、近畿圏整備本部の素案と申しますか、そうしたものを、こうであるというようなことを申し上げること自体が、将来審議会においていろいろ各方面の御意見を聞いて、申し上げるわけのものですから、ここでこうであるということを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、考え方といたしまして、先ほど申し上げましたように、おのずから落ちつくところへ落ちつく。すなわち、工業発展と申しましても、臨海型の工業でございますれば、阪神の両翼部の臨海地域というものがそうした地域ということになりましょうし、また内陸型の工業を誘致するということになりますれば、東西を貫く道路の両側に、それを中心にして、そうした開発地域が設定せられるでございましょうし、その他いろいろな面から見て、それぞれの見方から開発地域というものが設定されて、将来のビジョンが描かれる、こう思っております。ただし具体的にその全体のビジョンの中から、どうしたプログラムで逐次設定していくかというようなことは、それぞれその財政力等、実現の可能性というものと見合ってやらなければならぬわけでございまして、それらにつきましては、十分地元の自主性と申しますか、審議会等の御意見も伺って、そうしてきめていかなければならぬ、こう考えております。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしたら、うしろから聞きますが、逆に聞いてみますが、たとえば兵庫県においても、大阪府においても、京都府におきましても、それぞれの自己の府県地域内における産業の開発、あるいはまた工業その他の立地条件とか、人口の動態であるとか、あるいは府県民の所得の実情であるとか、そういった各般の社会構成の要素につきましては、もう大体のところ、専門家の調査も、これはもう前からできておると私は存じております。また、それのみならず、各衛星都市と申しますか、市におきましても、小さな市に至りまするまで、最近におきましては、相当な基本調査、社会的な都市基本調査ももうできております。そういうことになりますると、建設計画、進んで近郊整備区域建設計画とかあるいは都市開発区域建設計画、この作成の内容といたしまして、人口とか、産業とか、土地利用とか、住宅用地とか、道路とか、あるいは教育施設とか、用水とか、その他いろいろな施設関係、こういった方面が、少なくともこの建設計画の要素として調査されなければならぬ、こういうことに法律では規定されておるようであります。そういたしますると、これはそんなにむずかしく考えなくても、みずからの県ですから、みずからの府ですから、みずからの市ですから、それぞれ権威者、経験者を集めまして、すでにデータは責任を持ったものができておるわけです。でありまするので、むしろそういうものを取り上げて、そして再検討をいたしまして、タイミングにこれを処理して、計画を立てていくということが——たとえばオリンピックが何月にあるから、あれもせい、これもせいといってごった返して、都民はこの犠牲を甘受しているというのが現状なのです。でありますので、漫然と審議会のゆうちょうな審議にまつというようなことでは、事態に即応して急速に応じられないというふうにも実は感じられますので、そういう面から見ると、この建設計画というものは、前提になる基本計画などもまだできておらぬようですが、基本調査的な大綱事項はもうすでに調査ができて、一切の資料は完備しておる、こういうふうに見てもいいのじゃないかと思う。それぞれみなこまかい配慮から、相当な経費と時間をかけて調査をやっております。これはもう御承知のとおりです。大阪府にしたって、大阪市にしたって、兵庫県にしても、神戸市にしても、その他の都市にしましても、みなやっております。これは私自身も資料は持っております。持っておりまするから、そういうものを見ましても、これは大体において、法律にあがっておる要綱、大綱なるものはみな持っておると思うのですが、そういうものを集めてやるようなことには、これはできないものでしょうか。
  83. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 お話のとおり、各府県では相当調査資料を持っております。そこで、私どものほうとしましては、現在どういう状態になっておるかということを、調査資料を一つのひな形にまとめて、二府六県が調査のしかたがてんでんばらばらにならないように一つの型にはめて、調査させるということを昨年からやってまいりました。各府県とも、その方向で既存資料を整備するということは大体やってまいっております。現在、それらの資料につきましてもでこぼこがございます。それをある程度ならす、足らないところは再調査させるというようなことで、二府六県についての足並みのそろった既存資料の整備に力を尽くしております。さらに将来の見通しにつきましても、各府県では自分の県ではこうなるであろう、あるいは自分の市ではこうなるであろうということは、十年先、十五年先の将来を見越してのビジョンをそれぞれ持っております。しかしながら、それを全部寄せ集めましても、これは二府六県の全体の中からワクがはみ出てしまう、あるいは重なり合う、こういう問題もございますので、二府六県の全体の産業なり人口のシェアというものが、全国においてどういうものであるべきであろうという見通しをつけなければならない、そのワクの中で各府県計画をおさめなければならない、そういうことで、将来の人口なり産業の規模、配分なりというものを、高度の立場から、われわれ自身が作業をいたしておるわけでございます。これらの作業は、現在そうしたワクづくりから、あるいは根幹になる施設の計画——道路であるとか、港湾であるとか、鉄軌道であるとか、水の問題であるとか、その他それぞれの計画につきまして、大きな立場から筋金を通すという見方から、われわれ自体のほうで調査研究をいたしております。そうしたものさしができました上で、各府県から集まっておりまする計画を調整していく、彫りの深いところでは、確かに各府県計画というものは非常にすぐれておるわけでありますので、そういう長所も取り入れて、総合性のある計画をつくってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと次官に伺いますが、基本計画も必要でありまするが、その建設計画の策定にあたりまして、具体性を帯びてきますところの、たとえば実際の福祉厚生施設等における厚生省関係、あるいは学校教育、社会教育等における文部省関係、こういった方面もやはり——何ですか、これは整備本部とは直接の関係はないようでありますけれども、法律を執行していくという面におきましては、当然これは深い配慮を持っていかなければ、事実上そこで多少の権限も行なおうとする場合には摩擦が生じる、執行できないというような問題も生ずると思うのでありますが、これらの横の連絡は、なお財政については大蔵省において、国が金融のあっせんをするについていろいろな話し合いもしなければならぬというがごとく、他のそういう施設との関係においても、他の主管庁との関係も相当連絡整備はされていくということに、かまえはなるのでしょうか。
  85. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 仰せのとおりでございます。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、整備本部におきましても、それはやはり府県審議会等におけるそれらいろいろな人の意見もあろうけれども、本庁の各関係の省、そういったところとの連絡も、事務事項のうちの一つのいわゆる連絡事項として、そういうものも含んでいるんでございましょうね。
  87. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 先生御指摘のとおり、各関係庁、つまり文部省とか厚生省とか農林省とか運輸、建設はもちろんのこと、そういった関係各省の連絡調整の上に立たなければ、われわれの計画はできないわけでございまして、その連絡は十分に密にしてやっておるわけでございます。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、この事業の執行にあたりまして、今度は執行の段階ですが、たとえば整備計画に基づく事業は、あらゆる当該事業に関する法律に従って行なうということに規定はなっておりますね。したがいまして、その法律に従うということになりますと、あるいは都市計画法もありましょうし、その他の事業法もありましょうし、あるいはまた道路、港湾等々における法律もいろいろとありましょうし、したがいまして、そこはその法律に従っていくというわけですが、その方針と、それから具体的に整備計画開発計画とは、どちらが優先するというわけではないけれども、いずれもそれを調整しながらいく。その調整の役割は本部がとっていく。あるいはまた、それぞれ知事等が立案する際に、そのような面をあらかじめ調整して臨む。審議会でさらにふるいにかけ検討する。こういうふうな手続をして——お互いにそれぞれと根拠法を持っておりますから、その根拠法とこれの実施との関係整備していく、こういうふうにこれは理解していいんでしょうかね。
  89. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 その事業の実施につきましては、それぞれ道路法ならば道路法でやる、河川法ならば河川法でやるということでございまして、その計画それぞれの事業法に基づく事業が、調和のとれた形でもって行なわれるということを確保するためにこそ、計画の段階におきまして、関係各省で十分連絡調整がとれたものである、またその事業計画にプログラムをつくるという段階におきましても、関係各省とも連絡協議は十分済んだものである、こういうことを確保していくわけでございまして、また今度提出いたしております開発法におきましても、その開発計画の中身におきましては、関係各省また地方公共団体とも十分連絡をとって、そして計画がつくられるということでございまして、その実施につきましては、それぞれ手足になる法律がございますので、その法律によってやる、こういうことでございます。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、この交通関係でありますが、交通の場合には、これはいわゆる建設計画の内容の大綱としては、法律には出ておりませんけれども、しかし空の交通の問題は、当然入ると思うのですが、これはそういうふうに解釈していいでしょうね。
  91. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 第八条に、産業基盤施設であるとか、あるいは「その他の施設で、広域性を有し、かり根幹となるべきものとして政令で定めるものに関する整備及び開発に関する計画」と書いてございまして、航空の問題につきましても、陸上、海上と同様に、この計画の内容をなしますもの、こう考えております。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、最近続発いたしております公害問題、これはことに水質の問題なんですが、工業団地が起こりますと当然水質問題が起こってき、あるいは淡水漁業の問題となり、あるいは海に流れて海の漁業の被害問題が生じ、あるいはそれが飲用水の関係におきまして、生活衛生の問題の関連もあり、あるいはまたかんがい用水の場合におきまして、田畑の用水の被害等の問題が生じる等いたしますが、こういったことについては、やはり相当一連の高度の科学的な検討と、そして具体的な対策を立てて、どこがそういう経費を負担するかというところまでやっていきませんと、これは解決しない問題であります。アメリカあたりにおきましては、ニューヨークあたりでは、ある会社がそういうことを一手に引き受けて、そしてある企業、工場のそういう公害問題を検討して、診断して対策を立てるという会社ができておるようでありますが、わが国におきましては、どうも公害問題は、それはお前の責任だ、それは国のほうの責任だ、それは被害が起こってからかってにするんだというようなことで、いまなおこの問題については対策が立っておらぬ。ことにどこがその経費を負担すべきかというようなことは非常に重大であって、この時期を誤まりましたならば、被害発生した上での問題が蔓延していく、こういうことになるのですが、そこらの構想はあらかじめ何か考えておるのだろうかどうだろうか。これはひとつあなたのほうというよりも、建設省として、こういう問題は一般論にもなりますので、当然計画局におきましては、建設省所管の各般の事業の公害問題、これは随伴して起こっておりますので、どういうふうな根本構想、具体的な対策があるのだろうか、これをひとつ述べておいてもらいたい。
  93. 池田迪弘

    ○池田説明員 いまの公害問題につきましては、原因となりますものは種々雑多でございますので、もちろん河川改修だとかいう面におきましては、補償等で部分的なものは解決できますが、工場の配置だとかいうような点につきましても、地域的な観点から地域規制を考慮するというふうにしまして解決する。もちろんこれは建設省、通産省、農林省、十分に打ち合わせながら進めてまいるわけでございます。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いまの問題で、あなたからどうも私の希望する御答弁がいただけなかったのでありますが、やはりこれは抜本的対策を考えませんと、だんだんと深刻化してまいります。そして医学者の説明によりますと、相当悪質な病気にもなるということさえ説く人もございますし、一体その責任はどこへ問うべきかということも被害者は惑うのです。ですから、やはりこのような工業、特にこの工業団地開発ということが大きくクローズアップしておるのは、いま述べたこの法律案の骨子になっておりますので、当然随伴する公害問題、これはあらかじめ権威のある対策を立てておかなければなるまい、こう思うのです。せっかく計画局もお立てになって——ひとりいまの三法案だけの問題ではありません。これは建設省の諸般の事業に関連しますし、またいまの社会問題でもあるし、一般建設地方開発の問題にもなりますから、もっと根本的な対案があってしかるべきだと思うのです。だから、公害防止法とか、あるいは公害に対する抜本的対策の何かの法律制度とか何かなければなるまい。ところによっていろいろあります。騒音防止に関する市条例をつくっているところもあります。損害賠償の訴訟が起こったり、いろいろありますけれども、やはり工業団地をつくることによって、工業開発によって生ずる公害というものはたいへん大きいのですから、もっと抜本的な対策が、建設省としてはもう出ておらなければいくまい、こう思うのですが、ないのですか。いま研究の途上なんだろうか。どういうことなんです。次官、どうです、その辺は。
  95. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいま計画局のほうからお答えしたとおりの状況でございまして、確かに吉田委員の言われますとおり、もちろん主管は建設省でありますけれども、非常に大きな問題でございまして、保健衛生の面から申しましても、あるいはまた経済発展の面からいたしましても、大きな問題であります。これはひとつ何かの強力な手を打っていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この保全区域の指定の問題でありますが、これは、特に近畿圏の場合は、その特殊性にかんがみて、文化財などが主になるのでございましょうか。それとも、そうでない、たとえば特定の文化財に限らず、自然の天然資源などの保護というものも入るのであろうか。これにつきまして、およそこの区域の指定というものは、近畿整備の区域と都市開発区域とは、性格がよほど違った様相があると私は思いますが、これは大体予定された線があるのであろうか。たとえば奈良県における、有名な古都奈良市におけるその歴史的な文化財はあまりにも著名でありますが、また京都における古い伝統等も大きなものであります。その他の地域にわたりましても、いわゆる文化財というものが相当見られるのでございますが、この区域指定というのは大きく線を引くようなことになるのだろうか。たとえば姫路の有名な、今度できました国宝的なあのお城とか、あるいはまた但馬の、日本海における景勝の地であるとか、そういった観光地帯の自然というようなものを特定して線を引くということになるのであろうか、そこいらの構想はどういうものか、ひとつお示しを願っておきたいと思います。
  97. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 保全区域の内容といたしましては、この近畿圏整備法の中でも三つのカテゴリーに分けてございます。すなわち、文化財が集中しておるというので文化財を中心としての、それを保全するという意味での区域、それから自然景観を保全する、こういう意味での区域、それからまたもう一つは、都市がむやみに無秩序に発展していくということで境目がわからなくなってしまう、農村部分と市街地部分との調和のとれた一つの社会というものをつくり出したい、こういう意味での緑地保全的な考え方での指定という、三つの考え方を打ち出しておるようでございます。  そこでわれわれといたしましては、指定にあたりましては、自然景観というような面からいいますれば、相当規模の大きい、自然公園法の対象地域であるとか、都市計画法における風致地区の範囲であるとか、あるいは都市公園法の公園区域であるとか、こういうふうな相当幅の広いものを打ち出すであろう、こう考えております。それからまた、文化財の保全にいたしましても、文化財が集合的に集まっておるというところを、集団的に相当広範囲に保全するというふうな考え方に立ちますれば、範囲は広く押えなければならないという問題がございます。また緑地にいたしましても、くさび型に入れるとか、あるいは目のように入れるとか、いろいろ手法がございますので、これまたその用途に従って、その形というものがきまってまいるわけでございます。一番問題がございますのは、御指摘のとおり、確かに文化財というふうなものにつきまして、どういう範囲で保全区域を設定するかということでございます。たとえばそれぞれの文化財というものをつかまえてきて、点として抑えていくのか、あるいは、それがある程度集合して、それを面として押えていくのかということであろうと思います。私どもの考え方といたしましては、法律考え方と同じように、大体集団的に扱っていくということでいいのではなかろうかと思っておりますけれども、だんだんと計画の策定段階におきまして、いろいろと御議論があることでございましょうし、私ども計画策定の衝に当たる人々の考え方というものも、いろいろ考えているうちに、やはり一つの点としてのその周辺というものも、その区域として設定すべきだという議論が出るかもしれません。その辺のところは、これから詰めさせていただきたい、こう思っております。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これも大臣に聞きたかったのですけれども、ちょっと失礼ですが、次官に伺いたいのです。あるいは計画局でも、どなたでもけっこうでございます。実は私は、将来の地域開発とか地域計画、あるいは地域の再開発というようなものは、やはり文化の自然の発展から、たとえば京都に学園が集結しておるとか、あるいは大阪市には三次産業が集中しておるとか、あるいは兵庫県におきましては、播磨地域のずっと北のほうにまいりますと、特殊な酪農が盛んであるとかいうような、それぞれ自然に発達したものがありますけれども、この際は広域行政といたしまして、さっきもおっしゃるビジョンからいたしまして、たとえば学校地域を相当西に持っていくとか、あるいは農業地域におきましても、特定した農業の地域を設定するとか、この法案にはまだ出ておらぬけれども、根本構想といたしましては、やはりそういった意味におきましても、保全区域は設定せられるのではないだろうか、こう思うのでありますが、この点はどうですか。
  99. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまの吉田委員の御質問でございますが、そういうふうな考えでいくことも行き方ではないか、こういうふうに考えられまするしまた、ただいま次長の説明いたしましたような線に従って、この法律を施行していくという行き方も行き方ではないか、こう考えますので、この問題につきましては、やはり審議会の意見を十分尊重言いたしましてやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。以上でございます。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣が見えましたから、大臣にちょっと伺ってみたいのですが、これは締めくくりとしてお伺いしたいのです。だんだんと事務当局から詳細なことを伺ったのであります。そこで、一つは、近畿圏整備開発の問題ですが、これは法律案としてあらわれておりますものは、工業団地造成ということを大きく出しておるのですね。いかにも工業団地とそれに伴う住宅団地計画が、これらの法案の一番大きな柱になっておるように実は考えるのです。しかしながら、ほんとうの開発あるいはまた整備とかいうものは、それ以外の第一次産業、たとえばあなたが瀬戸内の会談で、事務のほうで言っておられたように、一次産業の面を相当重視して、農業にいたしましても、相当調整をとっていく必要があるのではないだろうか、それから三次産業の場合も、流通過程におきましても相当整備して、かくして第二次産業の工業発展、都市の建設というものが近代的な要素を整備するようになるのじゃないか。この間の調整について構想を持っておられるかどうかが一つ。  二点は、財政の問題です。特に地方財政は御承知のとおり赤字の事態にあります。県も二十九ですか、赤字になっております。これはでこぼこの財政力であります。そこで国の大きな施策として、広域行政のビジョンとして、非常に重要な課題が出ておりますが、地方財政との関係で、国の財政の許す限りという範囲はわかりますけれども、相当具体的な財政の支援体制を積極的に国がとっていくのでないといくまいじゃないだろうかと思いますので、進んで国が一定の割合を負担するとかというくらいまで構想を練っていかれることは、あなたのような果断な政治家の政策立案としまして、一番重要なポイントになるのではないだろうか。さもなければ、資本主義のこんな時代ですから、そんなもうかりもしないようなものに、絵だけかいたって飛びついていかないというふうになりゃしないかということをおそれます。したがいまして、これはせっかくのことであるけれども、諸般の計画が数年あるいは十年もかかりはしないだろうかというようなことを思いますので、この一次産業と三次産業との調整の問題と、財政の基本的な計画の問題と、この二点につきまして、ひとつはっきりしておいていただきたい、こういうふうに思います。
  101. 河野一郎

    ○河野国務大臣 釈迦に説法に属するかもしれませんが、元来、近畿圏におられる諸君あるいは近畿圏の立場におられる人が、一方首都圏のほうにおいてだんだん整備が進んでおるということを見られつつ、また近畿圏の各府県等におかれまして、その実情があまりに過熱になり、無計画になって、県は県、市は市の立場においていろいろと計画し、努力しておられる。その熱意には非常に大きなものがあるということを看取せられて、この議会において、この法案をつくられたということは間違いがない事実であって、私はむべからんことと考えます。これを受けて立ったのが政府でございます。そういう意味において、政府もまたそのような指導はしておりません。したがいましてわれわれがこの問題を考えますときに、いまお話しのように二つあると思います。この法案対象としておるものはということになりますと、先般来私が申し上げましたように、そういう地元の熱意にこたえて、準備作業として、できる準備はしておこうじゃないか。地元の準備ができたならば、地元の御要請によって、いつでもそれを受けて立てるような法律だけはつくっておこうということが、この法律を御審議願っておるゆえんであって、この間からおしかりを受けましたけれども、御了解を得たいというのは、いま申し上げる点である。一次産業と三次産業の調整はどうするか言ということは、そういう調整ができ、広域に計画が立って、できたならばすぐ、法律が準備してありますから、それでやれるということの調子を合わせるために、この法案を御審議願っているということの御了解をまず第一に願いたいと思います。したがって、この法律を持っておるから、調整の有無にかかわらずこれが出てくるのだ、ということは毛頭考えておりません。これらにつきましては、現在ありまする各県、各市の計画、これらを調整しつつ、また基本的には近畿圏一体の上に立って計画を立てて、その計画ができ、準備ができれば、いつでも所要法律はでき上がっておりますということで、遅滞なくやっていけるようにということでやっておるのであります。私どもとしましては、こういう計画は、一次産業、三次廃業の調整がもちろん大事なことであります。またしいて申せば、近畿圏開発につきましても、ただ単に大阪を中心にした過熱地帯の問題を解決すればよろしいということじゃない。一体的な立場に立って、観光の問題を考える場合には、奥地の観光についても考えなければいかぬというような問題も出てくると思います。したがって、それらいろいろな角度から想定できる問題について、逐次協議、決定をして、そうして地元の御意思に基づいてやっていくのだということは御了解願いたいと思います。それは決して早いところ何でもいいから、資本家の要請によって突っ走ればいいのだというようなことは、毛頭考えておりません。しいて申せば、この法律においては、工場の建築を押える、過熱する条件を抑えるということができれば、いつでも先にやっておかなければならぬことを先に準備しておこう、ということであることを御了解いただきたいと考えます。  そこで、そういうことをやるとすれば予算がかかるじゃないか、いまの地方財政ではこの負担は困難じゃないか。私も同様に考えます。さればといって、中央にそれに引き当てた予算がちゃんととってあるわけではございません。中央の財政計画もしくは今後の三年、五年の将来につきましては、すでに御承知のとおりの状態でございまして、その中から、ぜひこういうものをやるからには何がしかのものを置かなければいけないじゃないかと言っても、置ける状態にあるか置けない状態にあるかということは御承知のとおりであります。したがって、それじゃ、ないのにこんなものをやってもつまらぬじゃないかということは、国家財政で占めるから、ないと言えばない、あると言えばある。どうしても必要だというものならば、これは出すべきだと思います。しかしそうするためには、地方ではないのだ、地方は赤字だとおっしゃれば、またそれまでだと言ってしまえば、できることもできない。私はそうじゃないと思う。中央も無理して出す。また地方におかれましても、従来やっておるものであって、緩急の度合い等によっては振りかえて出さなければならぬものもある。私はよく考えるのです。金がない人が貯金ができて、金のある人がみんな飲んですってしまって、貯金ができないということもあるのです。それが自治体である場合、ないから言、貧乏だからといっても、県会議員さんがよけい月給をとっておる場合もある。市会議員さんが何をしているという場合もある。あるとかないとかいうのは議論にならないと思う。どれだけお互いが、地方も中央も一体化して、苦労して、無理して、その必要性を自覚して、でかし上げるか。地方にそういう意欲があるときに、中央が怠慢で、それにこたえることができないというようなことは、断じてあってはならぬ。これは私も相当の決意をしております。しかし、地方は貧乏だ、地方は赤字だ、それは中央でかぶらなければいかぬ。といっても、それは中央にだけかぶらせることは無理だという気持ちがいたしますので、御質問にさからうようになるかもしれませんが、この点はお互いに議員の立場におきまして、中央も地方も一体の立場に立って、こういう緊急な重大な問題を処理するというムードを起こして、そうして所要財政を生み出すようにしていかなければならぬものだと私は考えております。
  102. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 岡本隆一君。
  103. 岡本隆一

    ○岡本委員 きょうは、この法案の採決をやろうというプログラムになっておりますので、採決の前に、党内で問題になっておる点、あるいは疑問として残されておる点を明確にしておいていただきたい。  まず第一に、先ほどからもお話がございましたように、この法案を最初つくったときには、近畿圏整備というふうなことに重点を置かれておりましたのが、それじゃいけないから、均衡のある開発が行なわれるように、奥地であるとか内陸地帯の開発もあわせて行なえるようにというふうなことで、法案に修正が加えられて、この法律が成立した経緯もございます。そしてまた、基本計画が明らかにされておらないじゃないか、だから基本計画が明らかにされておらない段階において、近畿圏を料理していこうとするところのまな板やほうちょうを出すということは不賛成だというような意見も党内にはございます。しかしながら、献立ができたらすぐ調理にかかれるように、ひとつそういう諸般の法案だけは成立させておいてもらいたいという御意見もよくわかります。したがって、結局のところは、近畿圏全体にわたるところの均衡のある整備開発が行なわれるかどうかという見通しについて、一部には疑心暗鬼があるということでございます。したがって、その問題は、結局のところは、都市開発区域がどのようにばらまかれるかということに尽きるであろう。ところが最近、大臣が瀬戸内の船上会談をおやりになって、その中で、第二山陽道をつくることが、もう中国道をつくることよりも優先的に行なわるべきだというふうな御意見が新聞紙上に出、あるいはまた瀬戸内の臨海地帯というものは非常に高く評価されているというふうな御意見も述べておられます。そういうことになってまいりますと、また疑心暗鬼が出てくる。結局は、やはり阪神を中心にした臨海工業地帯というふうなものが一番高く評価され、それ中心の整備開発が行なわれるんじゃないか、そして山陰地域であるとか、あるいは内陸地域というふうなところが後進地域として残されていくのではないか、こういうふうな考え方が出てくるわけであります。そこで、特にこの機会に、市街地都市開発区域というものを、大体これは整備計画ができてくることによってきまる問題であって、いま大臣から、ああするんだこうするんだというふうなことはお答えになるべき性格のものではないという。しかしながら山陰地域にも、あるいは福井にも、あるいはまた滋賀県であるとかあるいは兵庫、京都の内陸地帯にも、都市開発区域というものはある程度の規模においてつくるのかどうか、つくるのだというふうな構想をやはり明らかにしておいていただきますと、この問題についての誤解が一掃されると私は思いますが、その点についての整備長官としての御意見を承っておきたい。
  104. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御指摘になりました瀬戸内の問題は、別に新しいことを新しく私は述べたわけじゃないのでありまして、御承知のように、東海道につきましても、従来無計画にバイパスが計画されておる。東海道の右に左に、都市周辺にバイパスが計画されておるが、これは適当でない。将来一貫してバイパスを結べば一本の第二東海道ができるようなバイパスの計画を、これからやっていきたいということを述べました考え方と同じように、山陽道につきましては、すでにバイパス計画が各地に相当広範に要請され、しかも言計画され実施されておることは御承知のとおりであります。将来はこれらを結び合わせて一本の第二山陽道になるように計画をしていきたいということを私は述べたのでありまして、この点は御了解いただきたいと思います。  第二点の、しからば、都市とかそういうふうなものを非常に重点的に考えておるが、その他の点についてはどうだ、たとえば京都の奥地であるとか兵庫県の奥地だとかいうところはどうなのだ、滋賀県はどうだ。これはすでにこの建設委員会で御了承願っておりますとおり、さらにまた今後いろいろ御協力をいただきたいと考えておりますとおりに、私は全国の道路網を一応考えております。これは道路法審議にあたってもいろいろ御説明申し上げたことでございますが、これらによって、何といっても一番開発の基盤になるものは道路の開設だと私は思います。道路のないところに計画を立てましたところがどうにもならぬ、これが今日の現状だと思います。そこで、私は近畿の場合には、優先的に一番先に道路計画をまず御審議願わなければいかぬだろうと考えております。それに間に合いませんので、その決定を待つまでもなく、当面やらなければいかぬものということになりますと、私もかねて裏日本、たとえば丹後のほうと中央を結ぶ道は一体どの道が一番いいんだというようなことを考えてみますと、御承知のとおり、大阪から池田を回って宝塚を回って出ていく道がございます。もしくはその西側の仁川の方面を回っていく道もございます。いずれにしても、この平野を通って出てきませんことには、大阪には出てこられません。京都に出て、京都から入ってくる道は、御承知のようなことでございまして、適当でない。そういう意味合いから、私は先般まいりました際にいろいろ地元ともよく相談をいたしまして、そうして御承知の宝塚専用道路というものがございます。この専用道路を今度は指定をして、それを二級国道に昇格をして、これを中心に拡幅をして、これから尼崎から宝塚に直行いたす、こういたしますと、私はおそらく二十分くらいの時間が短縮するのではないかと思います。そうしてこれを中心の道路にしまして、これから宝塚から山を越え丘を越えて、そして裏のほうにまいります道路とつなぐということになりますれば、京都、丹波の奥地と阪神とを結ぶ最短距離になる。それによって奥地の開発に相当寄与するんじゃないかということで、いませっかく近畿地建の局長に、これらの調査検討を命じております。こういうふうにして、奥地の開発については十分にこれを活用いたしませんことには、都市の住宅、宅地の価格を下げる——いま私は建設行政で一番大事なことは、皆さんからも常にお小言をちょうだいしておりますように、宅地の値段をどうして下げるかということだと思います。これは、住宅問題の解決も、宅地の値段をどう下げるかということによって究極はきまるかと思います。宅地の価格を下げるためには、いま申しますように、宅地として利用される範囲、半径を広げるということだ、道路を開設することだ、未利用の地方を利用できるようにすることだ、と考えておりますので、奥地のほうの開発——奥地といっても、いま現に奥地かもしれませんが、道路開発さえ完全でありますれば、奥地が奥地でないということになると考えまして、そうして大阪−和歌山の道路にいたしましても、全くいま利用されていない裏街道のほうに道路を新しくつくって、そうしてこれで第二阪和を持っていこうというように考えておりますこと等も、いずれも、私はそういう意図におきまして、未開発地域開発するように、道路政策の上においてやっていこうというように考えておりますので、これらの府県の当事者の諸君もしくは地元の御意見等も承りつつ、こういう計画を進めることによって、私は全体的に開発が進んでいくことになるだろう、こう考えてやっておるわけでございます。
  105. 岡本隆一

    ○岡本委員 道路開発が、地域開発の一番の先決問題であるということは、お説のとおりであります。そこで、中国縦貫道路と第二山陽道路の問題でございますけれども、中国の縦貫道路ですね、これはやはり開発性格のものである。それから山陽のほうは、これは近畿開発地域整備性格のものであります。だから、そういうふうなものは、どちらが優先するとかいうふうな考え方に立つベきでなくて、これは開発のほうは開発のほうとしてどんどん進める、同時にまた整備のほうもやはりあわせて行なわなければならない、こういうふうな考え方に立たなければならない。ところが新聞紙で見ますと、整備的な性格のものを優先させるというふうなことが報道されておりますので、これは国土縦貫自動車道法ができた精神にも反しておりますし、それからまた、近畿圏整備計画という考え方ですね。われわれが法案審査を前回の国会でいたしましたときの考え方にも、ちょっと違ったものがございますし、これは整備本部の長官として、こういうふうな、もし新聞報道のとおりのことを言われたとするならば、これはちょっと行き過ぎではないか、こういうふうな感じを私は持ちましたので、あえてきょうはこういう二とをお伺いいたすわけでございますが、ただいまの御答弁で、開発開発としてやっていくんだ、だからそういうような意味において、私は中国の国土縦貫道路というものは、これはことに兵庫県の内陸地帯は非常に広いところの平野がございます。播州平野というものは、非常に大きな穀倉地帯でもあるし、大きな平野でございますから、こういうようなところの開発というものをあわせて進めていくなにには、やはり山陽道以上の熱意を持って計画を進めていただくようにお願いいたしておきたいと思います。  それから、もう一つお伺いしておきたいことは、このなにでは、この工業団地造成につきまして、先買い権であるとかあるいは買い取り請求というようなことが、十八条、十九条でできるようになっております。ところが、この先買いであるとか買い取りというふうなことは、相当な予算措置がなければできないことです。ところが、現在、地方自治体では実質上こういうふうな金を持っておらない。私、最近経験した例でございますけれども、私の友人が、小さなものでございますけれども、二、三百坪の土地を買おうというときに、調べますと、半分が都市計画道路に設定されておる。だから、そういったところを買ってもしかたがないから、とこういうことになり、片一方は、売り主のほうも持っていてもしかたがない、こういうことになってくるわけです。だから、市のほうでひとつ、ちょうどすっかり整地されておりますから、そこのところをこの機会に買い取っておいて、将来どうせ道路にするんだったら、買いとって児童公園にでもしておいたらどうだ、こういう申し入れをしても、そういうふうな金がない。土地は上がるんです。五年先、十年先、あるいは二十年先になるかもわかりませんが、道路の敷地として買収する場合には、もう相当な値上がりをする。それからまた、値上がりするんだからいま買っておいたらどうだ、こういうふうなことを申したら、金がないから適当に利用しておいてくれ。だから鉄筋コンクリートのものは困るが、木造程度のものならいいでしょう。ところが、木造のものを建てれば、今度は建物に対する補償がまた要るわけです。結局は貧乏人の、何と言いますか、安物買いの銭失いと言いますか、あるいは、とにかくいま買っておかないために、将来うんと補償費がたくさん要るというふうなことになるわけでありますが、そういうふうなことが、全然その自治体でどうにもならないというふうなことであるということは、これは全く建設事業にとって大きなマイナス点であると思います。だから、こういうふうな面を、何か是正する方法を講じてもらわなければならないと思います。  そこで、自治省財政課長にお伺いしますが、従来、たとえば新住宅市街地開発法ですか、昨年成立いたしておりますが、ああいうふうな先買い権があるなにに対して、先買い予算というふうなものが予算措置に組まれておるのかどうか。それから、事実そういう先買いを行なわれるような場合には、どういうふうな方針を持って、財源措置をしておられるかどうかということをお伺いしたいのであります。
  106. 岡田純夫

    ○岡田説明員 おっしゃいますような問題につきましては、特に先買い分の予算というのを、地方財政計画上にも、あるいはまた、特別に財政措置として考えておるところまでには至っておりません。問題は、そういうふうな先買いをいたしまして、将来売却するなり、あるいは公共事業そのものとして処理していくなり、資金繰りの問題であると思います。それをある程度、省のほうで応援できるものにつきまして応援いたしまして、それを、地方団体が、具体的に最終的に買収をしていくという場合もあろうかと思います。これはまだ研究の段階と申しますか、今後の検討の問題と思いますけれども、地方計画の中で、地域開発事業債、これを前年度よりも予算を約八十億ばかり増額いたしまして、相当大幅に用意いたしております。その内容は、海岸等の埋め立て地造成であるとか、あるいは内陸地の方面につきましては、宅地造成というふうな問題につきましても考慮することになっております。実は起債、先行投資等もございますので、それらと見合いながら、できるものについては、おっしゃいますような問題についても、取り上げられるように検討をしてみたい、かように考えております。  なお、地方団体のほうでは、実際問題として、いろいろと公社等を設けまして、そこら辺に対処しているような団体もございますけれども、これは能率的ではあるけれども、必ずしもいわゆる民主的な運営その他において十分であるかどうかというふうな問題もございます。地方開発事業団その他の方途を十分活用しながら、あるいは、それ自身の運用面を制度的にも十分検討しながら、レールに乗せられるものは乗せながら、その乗せたものについては、ただいま申し上げたようなことで、できるだけ対処していくように検討してまいりたいと思っております。
  107. 岡本隆一

    ○岡本委員 そうすると、今度のこの法案の場合も、地域開発事業債でやっていこう、こういうふうな考え方に、いまの近畿圏整備本部ではお考えになっていらっしゃるのですか。
  108. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 開発地域に関する計画をきめまして、それを内閣総理大臣が承認いたします場合には、もちろん自治省等とも連絡いたしまして、その財源の裏づけ等について十分審議をいたしまして、承認する、こういうわけでございますので、その財源の裏づけの先は、いまお話がございましたように、開発事業債というようなものが対象になると思っております。
  109. 岡田純夫

    ○岡田説明員 ちょっと補足して申し上げたいと思いますけれども、地方開発事業債を立てました場合には、まだこの法案が出るところまでまいっておりませんでしたので、国の財務当局と申しますか、融資関係の当局との関係もございますので、検討いたしたい、こういう気持ちでございますので、御了承願います。
  110. 岡本隆一

    ○岡本委員 工業団地をつくる場合には事業債でやっていけますが、これから後、都市開発区域であるとか、あるいは整備区域がいろいろな事業をやっていく場合に、いまのように道路計画その他の場合に、持ち主が処分したい、そのときにその先買いをできるような財政的な手当がないと、みすみす二重投資になってくるような例が、これから幾らも出てくるであろうと思う。したがって、こういうふうな都市計画について、特別に何らかの、そういう先買いができるよう、起債とかその他の面で、予算的な措置ができるように、これは建設大臣として、何か制度を設けていただくようにしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  111. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、首都圏の場合におきましては、現に今年度の予算におきまして、東京周辺の都市をつくる先買いということで予算をちょうだいいたしまして、それによって実施することをやっておるわけでございます。したがって、近畿圏の場合におきましても、そういう運びになりますれば、同様な措置をとるということにしたいと考えております。
  112. 岡本隆一

    ○岡本委員 もう一つお尋ねいたしておきたいのは、保全区域に対する処遇の問題でございます。御承知のように、文化財の保護であるとか、あるいは風致地区の維持には、ある程度の経費がかかります。文化財については文化財保護法の経費があるじゃないかといいましても、これは、まことにスズメの涙ほどのものでございます。さらにまた、文化財、重要文化財として指定されないが、しかしながら、その地域の風致に相当役立っておるような建造物なんかも相当あるわけです。だから、そういうふうな意味において、保全地域に指定されて、その保全地域が保全地域としての面目を維持していくということのためには、ある程度の財政措置が必要でございます。それだけでなしに、保全地域に指定されるということは、これは後進性を強要されるということであると思います。その地域が近代化できない、こういうことになるわけでありまして、最も端的な例は奈良県であると思うのです。奈良の、たとえば法隆寺であるとか、あるいは唐招提寺であるとか薬師寺であるとか、そういうふうなお寺は、奈良盆地のどまん中にあるわけです。だから、ああいうところは、住宅地域として、あるいは工業地域として、伸びれば幾らでも伸びるいわゆる立地条件があるわけです。ところが、やはり薬師寺のそばに大きな近代的な工場が建ったのでは、これは風景ぶっこわしでございますから、勢いああいうところは建物の制限が行なわれると思う。そういたしますと、そういうところの住民も、近くに自分たちが通勤できるような職場ができない。遠隔地へ通勤しなければならない、地域発展もしないというようなことで、勢いその地域住民の収入にマイナス面が出てまいります。それだけでなしに、その地域の自治体の固定資産税、事業税といった面でのマイナス面が出てくるわけです。だから、そういうふうなものをある程度補てんするような措置が講ぜられないことには、保全地域は保全地域として指定しっぱなしということじゃ困るわけです。この整備法の本法では、都市開発区域近郊整備区域については何か特別の法律をつくるということで、ただいま審議中の二法案が出てまいっておるわけでございますが、保全地域については、何も特別の措置を講ずるということを規定いたしておりません。だから、これは当然何らかの措置を講ぜらるべきである、こういうふうに思うのでございますが、大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  113. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ごもっともな御発言でございますが、何ぶんこれまでは、たとえば緑地帯の指定をした、どういう指定をした、という問題も、従来といえどもあるわけでございます。自由に家を建てていいところ、もしくは建蔽率を幾ら以上とらなければならぬということで、差別指定をしておる例はこれまでもあります。しかし、これまでもあるからこれは同様だというわけじゃないのでございまして、そういう問題もございますので、これらについても、将来の日本のあり方として、あわせて検討する必要があるというふうに考えまして、それをいま私がここで、どうするという返事をいたすまでには至っておりません。御了承願います。
  114. 岡本隆一

    ○岡本委員 自民党との話し合いによりまして、保全地域については、別に特別の配慮をするような措置を講じてもらうように、本法の改正をやろうというふうなことも話し合っております。いずれその法案が成立言しましたら、政府のほうで慎重に御検討願わなければならないと思いますが、保全地域につきましては——緑地帯や風致地区ということは、その地域地方自治体の内部の問題、その地域の町づくりの問題から出てくる問題でございまして、保全地域となってまいりますと、さらに大きな観点から、近畿圏の全体計画の中でその保全地域として、非常に広範な地域が後進性を強要されるということになってくるので、少し性格が違ってくるのではないかと思いますので、そういうふうな法の改正が行なわれましたら、政府のほうでも、その点十分検討していただきまして、適当な措置を講じていただくようにお願いいたしておきたいと思います。  以上で、私の質問を終わります。
  115. 丹羽喬四郎

  116. 西村関一

    西村(関)委員 いままで、問題点について、また法律論の立場から、各委員からの質疑が続けられてまいりましたし、また、大臣及び政府委員等におかれましても、それぞれ熱心な答弁がございましたから、一応問題点の把握について、また政府当局の、近畿圏整備本部の考え方については、一応了承をいたしておるのでございますが、この機会に、長官に対しまして、三つの点について、お伺いをいたしたいと思うのでございます。現内閣の有力な閣僚の一人であられる、将来は総理にもおなりになる河野さんに対して、日本の国をどう料理していくか、国土をどのように建設していくかという大所高所からのお考えの中で、近畿圏の問題をどう取り上げておいでになるかということでございます。そういう立場から、三つの点をお伺いいたしたいと思うのでございます。  第一点は、長官もしばしば述べておられますように、今度の関係法案については、地元の要求もあって、これにこたえるために、法律をつくって準備をしておかなければいかぬ、近畿圏の各地域のニードから、必要に迫られて、むしろ受け身の立場でこの法律を出すんだ、というような御見解がございまして——これは、私はどちらでもいいと思うのであります。いずれの法律にいたしましても、地域住民、国民のこれを必要とする要求と、また政府当局が考えるところの考えとが一致しなければ、そこにずれがありましては何にもならぬのでございますから、そういうことはどちらでもいい。私は両方とも意味があると思うのでございます。この近畿圏の問題につきましては、長官もしばしば述べておられますように、これは人口稠密な大阪中心のものではない。この人口稠密な地帯についてこれをどうするかということも考えるし、都市の整備の点についてもそういう見地から取り上げるが、同時に、近郊地域の奥地の開発についてもあわせ考えていくんだ、そういう都市と近郊とのアンバランスをなくすることを頭に置きながら、全体として、近畿は一つだという見地から、すべての問題を取り上げていくんだ、こういう御見解でございまして、この点は私もきわめて賛成するところでございますが、そういう立場から考えまして、また先ほどの御答弁の中にございましたように、道路が中心だ、道路網を整備拡充していくんだ、道路のつくところに、文化も経済も政治も、そこに大きな発展をしていくんだ、まず道路だということで、五カ年計画をお立てになっておられる。約五兆の予算の見通しで五カ年計画をやっておられる。そういうこともきわめて適切、妥当な考え方であり、やり方だと思っておるのであります。名神高速自動車道路がほとんど完成いたしまして、近畿の様相は一変いたしました。確かにいままでの感覚をもって近畿を考えることのできないような状態になっております。それに伴って、政治のあり方も、大阪府は大阪府、京都府は京都府、滋賀県は滋賀県、兵庫県は兵庫県というような、各府県それぞれの立場だけでは政治ができない。もちろん地方自治体の自主性というものを尊重していかなければならぬことは言うまでもございませんけれども、近畿は一体という見地に立って、それぞれの自治体の自主性を尊重し合いながら、そこに高度な政治施策を行なっていくというところに、近畿圏整備法のたてまえがあると思うのでございます。そのたてまえに立って、今度の関係法案が提出されておると思うのでございますが、先ほど、奥地の問題も、道路を中心として開発していくんだというおことばがございました。また、長官がお述べになりましたおことばの中に、首都圏の場合は目が一つだけれども、近畿圏整備の場合においては目が幾つもあるというようなことも言っておられるのでございまして、そういうところをどのように補整していくか、均衡ある整備開発をどのように行なっていくかということが、地方のニードでもありますが、またこれを整備しながら、大局的な見地から、国の責任ある地位にある政治家として当面考えていかなければならぬところであろうと思います。そういう立場から、一つの例といたしまして、私は、御承知のとおり滋賀県の選出でございますが、必ずしも滋賀県の立場だけを重点的に取り上げてお伺いをしておるのではございません。琵琶湖の水は滋賀県だけの水ではない。これはやはり日本の文化や経済発展のために、また住民の福祉のために、天から与えられておるところのものでございます。私は滋賀県だけの立場に立ってものを言うつもりはないのでございますが、また同時に、下流の大阪中心の立場に立って、滋賀県の水を取り上げられるということになりますと、これはまた片手落ちのうらみがなきにしもあらずだと思うのでございます。近畿は一体という立場に立って、一つの例として、私は申し上げておるのでございますが、この琵琶湖の水の問題をどのようにお考えになっておられるか。工業団地考える場合、和歌山から堺に及ぶところの新しい工業団地には水が要る、また膨張しておるところの都市の人口をささえるためには飲用水としての水が要る、そういう立場から琵琶湖の水が非常に重要視されるということは言うまでもございません。また治水の立場から申しましても、琵琶湖の水位をどこに抑えるかということはなかなかむずかしい問題で、下流と上流との利害が相反するというような問題がしばしば起こってくるのでございますが、こういう問題を大所高所から処理し解決をしていくのが政治の使命だと思うのでございます。こういう見地から、どのように琵琶湖の水を今後処理していくことが正しいとお考えになるか。この近畿圏整備の問題と関連をいたしまして、地域差の是正をはかっていくというたてまえから考えまして、たとえば琵琶湖の水の問題についてどのようにお考えになっておるか。また、水の問題を考える場合には、どうしたって水資源の保全涵養ということがなおざりにされることはできないと思うのでございます。ただ水だけとればいいというのではなくて、琵琶湖に注ぐところの各河川の上流にある水資源の涵養林の造林計画等の関係もございますが、こういう点とも関連をいたしまして、地域差の是正、均衡あるところの開発計画というような点について、長官の御所信をまずいただきたいと思います。
  117. 河野一郎

    ○河野国務大臣 だんだん御意見を拝聴いたしまして、結論として琵琶湖の水についてどう考えるかということの御答弁を申し上げまして、他の点については、申し上げる必要があればまた申し上げるということで、御了承願いたいと思います。  私は、河川法の改正によりまして、これをもし実施することになりますれば、御承知のとおり、淀川水系におきまして、琵琶湖の水もその一体として管理することになるということは、御承知のとおりでございます。しかし、私は、建設大臣として琵琶湖の水を考えます場合には、現在のように、近畿は一体であるとは申しながら、滋賀県は滋賀県、大阪府は大阪府、たとえば道路をつくるにも、堤防をつくりますにも、それぞれの負担はそれぞれの県において負担をしております。したがって、琵琶湖の水をただ単に無条件で大阪へ持ってきて、これを工業用水にし、飲用水に使うということが当然であるかのごとくに考えることは、私は賛成いたしかねます。御承知のように、滋賀県の中心部にあれだけ大きなダムをつくって、そこに貯水をして、その水を利用するという立場に立ってものを考えなければいかぬと思います。それが滋賀県全体の県民諸君にどういう利害関係を与えておるかという立場も十分考慮して、この水を利用する場合には、利用するだけのことを十分考えて、下流の諸君にも負担すべきものは負担をしていただくということでなければなるまい。どの程度のものということになりますと、科学的に検討する必要がありますから、いまここでにわかに結論は申し上げかねますけれども、考え方としては、いま申し上げますように、ただ川を流れている水をそのまま使うということではない、これだけの大量の水を貯水して、この水を利用するということになるのでございますから、その点には違いがあるということが基本の考え方でなければなるまい、こう考えております。
  118. 西村関一

    西村(関)委員 時間がありませんから、この問題については、さらに御質問することをきょう避けたいと思いますが、しかし大体の大臣のお考え方については、私もそこに大きな理があるということは認めるものでございます。  それから、第一の問題は、こちらの理事さんからもだいぶせかれておりますので、急ぎますが、保全区域の問題について、先ほど岡本委員からも御質疑があり、大臣の御答弁があったのでございますが、私は、われわれ日本の国土が、これはやむを得ないことではあるかもしれませんが、鉱工業の発達のために、その景観が著しく荒廃されておるということに対して、深い憂いを持つものでございます。今度の近畿圏整備法の中の保全区域の問題につきましても、文化財とともに、自然景観の保全ということが考えられておる。先ほど次長から三点についてのお話がございまして、私もその趣旨はよくわかるのでございますが、しかし現実は、先ほどの民社の吉田さんの御質問にもありましたように、工場の汚水がきれいな澄み切った湖沼、日本の湖水や川水をどれだけ汚しておるか。私は先日北海道へまいりましたが、石狩川が例の国策パルプの汚水のために、あの神居古潭というきれいなところがどろどろの水で、下流のかんがい用水にも影響を来たしておるし、もちろん、昔サケがのぼってきたというようなこともなくなっております。諏訪湖へまいりますと、私ども学生時代に行ったときは澄み切った水でございましたが、どろっと濁った水になっておる。こういうことは……
  119. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 ちょっと西村君に申し上げます。お約束の時間がだいぶ経過いたしましたので、御質問の要点だけ簡単にお願いいたしまして、打ち切られたいと思います。
  120. 西村関一

    西村(関)委員 一例として、そういう点を申し上げておるのでございますが、そういうような点につきまして、私は大臣のお考えをこの際伺っておきたいと思うのです。こういうような点については、政治の面に携わるところのお互いとしては、やはり考えていかなければならぬ。そうでないと、日本の国土は荒らされてしまう。そういうことのために、青少年に及ぼす影響というものは非常におそろしいものがあると思うのです。美しい自然にはぐくまれるところの青少年が、将来の日本を背負っていくという一面があるということは、大臣はよくおわかりになっていらっしゃると思うのでございまして、そういう点からも、近畿圏整備法の中にあるところのこの保全区域の問題につきましても、私の申し上げておるところの趣旨はおわかりいただけると思う。その点についての大臣の御見解を承りたいと思います。
  121. 河野一郎

    ○河野国務大臣 先ほど来、岡本さんその他から、だんだんに保全区域の問題について御意見を拝聴いたしました。私は、これは国全体として考えなければならぬ問題であって、たまたま今回近畿圏の場合に、保全区域の指定をするということにいたしておりますが、大局的に考えれば、わが国全体の地域について保全しなければならぬ地域がある。これらにつきましても、建設大臣として考慮を払う必要があるという問題に当面すると思うのでございます。したがいまして、いま申し上げましたような意味合いにおきまして、もう一ぺん私は、近畿圏整備委員長でなしに、建設大臣の立場に立ちまして、国全体の保全区域というような問題として取り上げまして、この問題と取り組んでいきたいというふうに考えます。御期待に沿うことができるかどうかはあれでございますが、私の最善を尽くしてこの問題の解決に当たるということで、御了承願いたいと思います。
  122. 西村関一

    西村(関)委員 いま大臣から非常に決意のあるところを伺いましたので、私は、きょうは第三問をやめまして、これで質問を終わります。
  123. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 三案に対する質疑は他にありませんので、これにて質疑を終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、三案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  125. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより一案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに、三案を一括して採決いたします。  首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  126. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立総員。よって、一案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  127. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 ただいま議決いたしました近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が自由民主党、日本社会党民主社会党を代表して、瀬戸山三男君外二名から提出されております。  この際、趣旨説明を求めます。瀬戸山三男君。
  128. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案に対する附帯決議を、自由民主党、日本社会党民主社会党三党共同案提として、私から代表して申し述べますから、御賛成を願います。  その趣旨説明を省略する意味において、案文を読み上げます。    近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の運営に当り、次の諸点について特段の考慮を払うべきである。  一、近畿圏整備法昭和三十八年法律第百二十九号)における近畿圏の区域の決定をはじめ、政令に委ねられている事項の制定及び近郊整備区域都市開発区域の指定を早急に行なうこと。  二、近畿圏区域内の総合的計画は、近畿圏区域内の全域にわたる均衡ある整備及び開発を図るものとし、その計画の基本方針並びに基本計画は、適切かつ明瞭なもので、早急に策定されなければならないものとすること。  三、国は、近畿圏区域内における都市の整備開発事業及び工業団地造成事業等を円滑に実施するため、その財源の裏付け確保に努め、地方債の増枠、金融のあつせん等について適切な措置を講ずること。  四、近郊整備区域都市開発区域及び工業団地造成に関する計画並びに建設の実施に当つては、公害の防止対策について万全の措置を講じなければならないものとすること。  右決議する。  これは詳細に書いてありますから、書いてあるとおりでありますので、趣旨説明を省略いたします。御賛成を願います。
  129. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議につきまして、別に御発言もないようでありますから、直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  130. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立総員。よって、瀬戸山三男君外二名提出の動議のとおり、本案に対して附帯決議を付することに決定いたしました。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河野国務大臣。
  131. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御決議になりました趣旨につきましては、いずれも最も適切なことでございまして、私といたしましても、十分御決議の趣旨を体しまして、遺憾なきを期したいと存じます。
  132. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 おはかりいたします。ただいま議決いたしました三法案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕
  134. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次会は、来たる十七日水曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会いたします。  なお、十六日火曜日午後一時から、道路法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会連合審査会を開会いたしますから、この際お知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十六分散会