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1964-06-05 第46回国会 衆議院 建設委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月五日(金曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 服部 安司君    理事 廣瀬 正雄君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    木部 侮昭君       木村 武雄君    正示啓次郎君       中村 梅吉君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       金丸 徳重君    久保田鶴松君       田中 武夫君    西宮  弘君       西村 関一君    原   茂君       八木 一男君    山崎 始男君       玉置 一徳君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (近畿圏整備本         部次長)    八巻淳之輔君         総理府技官         (首都圏整備委         員会事務局長) 谷藤 正三君         経済企画政務次         官       倉成  正君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 六月五日  委員久保田鶴松君、原茂君、山崎始男君及び玉  置一徳辞任につき、その補欠として田中武夫  君、西村関一君、八木一男君及び小平忠君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員田中武夫君、西村関一君、八木一男君及び  小平忠辞任につき、その補欠として久保田鶴  松君、原茂君、山崎始男君及び玉置一徳君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  首都圏既成市街地における工業等制限に関  する法律の一部を改正する法律案)(内閣提出  第一六七号)  近畿圏既成都市区域における工場等制限に  関する法律案内閣提出第一六八号)  近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備  及び開発に関する法律案内閣提出第一六九  号)      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 これより会議を開きます。  首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案の三案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、きょうは、近畿圏整備関連法案につきまして、若干の質疑をいたしたいと思うのですが、その前に委員長にちょっと御了解を得ておきたいと思います。  それは、実は私ゆっくりとやらしていただく予定であったのですが、大臣の御都合もあり、他の同僚議員質疑等もありまして、大体一時間程度の由でございますので、残余は後日に譲って、機会を与えていただくことをまず冒頭にお願いをいたしておきます。  そして、これから質疑いたすときに、長たらしい法律名前を一々読み上げることもどうかと思いますので、たとえば国土総合開発法総合開発法と言います。近幾圏整備法本法と申します。近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案、これを十三条法案と申します。それから近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案、これを十五条法案と申します。その他、新産都市、低開発等々そういうように申し上げますので、まず御了解を得たいと思います。  まず最初にお伺いたしますが、大臣も御承知のように、地域開発法律は種々雑多でございます。まず国土総合開発法があって、それから新産、低開発そして地方開発法北海道以下九つございます。特別地域開発法が四つございます。こういう関係についてお伺いいしたいのですが、この開発法と各法との関係、ことに本法との関係をお伺いいたします、と申しますことは、開発法一般法であって、本法近畿圏に対する特別法と解すべきか、あるいは開発法母法であって、本法はその付属法と解すべきか、そのいかんによりましては、双方の計画その他が競合いたしました場合にどちらが優先するか、こういうことにも関連いたしますので、まず本法、すなわち近畿圏整備法の、これら多種雑多の地域開発法の中における地位を御説明願います。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、これは皆さんが三党でおつくりになった法案でございますから、私がお答えするより、立案者のほうがよく御承知だろうと思います。諸般の関係において、十分御承知でおやりになったと思います。私も賛成者の一人でございます。その点は私から申し上げるよりも、立案者からお聞きになったほうが正確に把握できる。これは三党共同提案ですから、みな十分御承知の上で、私もたいへんけっこうなことだと思います。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣。この法律はなるほど議員立法かもしれません。しかし議員立法が成立いたしましたならば、それぞれ経済企画庁なり建設省なりにおいて、既存法律との関係等において、本法運用を考えていかれると思うのです。したがって法律が成立した後、この法律が種々雑多の地域開発法の中においてどういう地位を占めるのか。ことに総合開発法との関係、これは立案者議員であったからということではのがれないと思うのですが、どうでしょう。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 私も議員の一人でございますが、議員立法で、しかもわが党だけで提案したなら、私もわが党の一議員として正確にお答えいたしますけれども、三党共同でおつくりになった法案で、それぞれ詳細にお打ち合わせの上お出しになった。そのときに十分立案の根拠を把握していらっしゃると思いますから、私が申し上げるより、そのほうがかえって正確だろうと思ってそう申し上げた。しかししいて答えろということでしたら、お答え申し上げます。  国土総合開発が一番基本になりまして、全国的に大きな網がかぶせてあります。その中においてこの法律がある、こういう解釈です。その他とからみ合って、他のものとはあまりからみ合いがないように思います。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、そうおっしゃいますが、かりに議員立法でありましても、すでにありました総合開発法の十四条二項におきまして、総合開発計画東北開発、その他近畿圏整備に至るまで関係がうたってあるでしょう。それが競合した場合はどうなるのか。
  8. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 ただいま大臣から申し上げましたとおり、国土総合開発法に基づく国土総合開発計画基本になるのでございまして、その国土総合開発法における各地域の、そのほかの北陸開発計画であるとか、あるいは四国開発計画であるとか、そういうものとの調整の問題につきましては、それぞれこの本法近畿圏整備法におきまして、これらのほうの調整内閣総理大臣がはかるということで、調整をとるようにいたしております。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 具体的に申しますが、総合開発法の二条四項と、本法の八条の計画、これは立案の際にはどのような関連を持ちますか。
  10. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 国土総合開発法第十四条二項の規定によって、国土総合開発計画調整内閣総理大臣国土総合開発審議会意見を聞いて行なう、こういうことになっております。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 本法八条の計画、すなわち基本整備計画事業計画とありますね。これを立案するときにあたって、すでにある国土総合開発等々の計画との関係、かりに、すでに当該地区において、総合開発等において、何でしたらあとで逐次その事例を示してまいるつもりでおりますが、八条の計画を立てるときに、それらの関係はどうするか、こう言っておるのです。何なら具体的に地区を申し上げましょうか。
  12. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 昨年この近畿圏整備法が出ます際に、国土総合開発法改正いたしまして、第十四条の規定におきまして、内閣総理大臣が、総合開発計画調整の問題につきましては、国土総合開発審議会意見を聞いて調整する、こういうことにいたしております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、それじゃあとで逐次申し上げますが、たとえば奈良県の天理は、低開発促進法による指定地ですね。あるいは兵庫県の家島群島、これは離島振興指定地なんです。あるいは播磨の工業整備特別区域、これは新産都市ではありませんが、そういうもののすでに進んでおる計画と、第八条の近畿圏整備に関する基本計画を立てるときとの関連を伺っておるわけです。
  14. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 先ほど申し上げました十四条の規定は、この近畿圏整備計画と、ほかの国土総合開発計画法に基づく計画との調整の問題をうたっておりますが、そうした調整問題が起こらないという場合におきましても、近畿圏整備計画立案いたします際に、その近畿圏整備審議会のメンバーには、関係各省の方々が入っておりますので、その各省連絡の間におきまして十分調整ができる、そごを来たさないようにできる、こういうふうに思います。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 あとでまた触れますが、基本計画がまだはっきりしていないようだから、そういう点はないと思うのですが、総合開発法の第十条第一項に基づく特定地域として、この近畿圏で、たとえば三重県の桑名市ほか五カ所、あるいは吉野、熊野、奈良県、和歌山県等が特定地域として指定せられておりますね。そういたしますと、この指定ということは二十六年になされておるわけです。すでに十年余りたっておるから、指定しっぱなしではないと思います。すでに総合開発計画に基づくいろいろな施策が行なわれておると思うのです。今度この近畿圏の中で基本計画を立てる場合に、その関係を——それじゃ具体的に三重県についてお伺いいたします。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、元来が近畿圏整備に関する法律案は、最近各県各地におきましてそれぞれ開発に関するいろいろな計画を立てていらっしゃいます。それがお互いに相混淆し、相摩擦を起こすというようなことでは適当ではない。御承知のように、広域経済のもと、広域行政を期待する要求が非常に強い。それにこたえて、議院においてこういうものを基本的につくりまして、そして広域的立場に立って、それぞれの相互の関係調整しつつ開発をされていくということが適当であるという意味において、指導してまいるということでございます。したがってそれぞれの地区におきまして、すでにそれぞれの計画のあることは承知いたしております。そこで私といたしましては、それぞれの府県、それぞれの地区におけるこれらの既存計画、もしくは既存事業の推進、それらを十分勘案いたしまして、幹事において計画を立て、それを御承知のように各県知事と市町村長の代表とかいうようなそれぞれの立場にあられる方の審議会において、そういういまお話しのような既存のものをどうするかというようなものを十分勘案せられまして、近畿圏整備に関する計画ができ上がるということに、またそれを期待しておられると思います。もし法律関係等において、またいまお話しのように立案の際に、摩擦があったり、また既存のものをどうするかというような点において欠けるところがありますれば、これはどんどん直していったらよろしい。要はいかにして近畿圏全体もしくはこれらの広域にわたって住民諸君がこれによって発展するか、安住の地を求められるか、発展の地を求められるかというところに目的があるものと私は期待いたします。したがってそれに合致するようにすべての行政を指導すると同時に、法律関係においてもそういうふうに持っていくことが目的であろうし、本旨であろうと心得ます。御指摘のような点がありましたら、どしどし御指摘いただきまして、十分検討いたしたい、こう考えます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 私は具体的な事例をあげてお伺いしたいと思ったのですが、きょうは一時間ですから、時間がありませんので、後日に譲ります。  いまなぜこういうことを申し上げておるかといいますと、まず国土総合開発法がある。それに対して縦の関係としては新産、低開発、そして横の関係北海道から始まって近畿に至る九つの法律、そうして特別な地域として離島外三法、そうして調査法にいたしましても、国土総合開発関係する調査法から工場立地調査法に至るまでの調査法があります。これら縦横十文字にこれらの法律規定がふくそうしておるわけです。そこに具体的な事実をつかんだ場合に、いろいろ問題が起こります。したがって大臣の言われるような抽象論だけでは片づきません。  そこで、ここで大臣に結論をお伺いいたしますが、この際こういう縦横いろいろな関係でいろいろなものができます。もちろんこれはそれぞれの地域のためにそれぞれの選出の国会議員がいろいろの関係等議員立法で出したものが多い。しかしこれをひとつ整理をする、この必要があると思います。大臣、その必要を認めませんか、いかがです。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 これは私も一議員立場からお答え申し上げますが、三党で十分研究をいたしまして、整理をしていただいて、一番行政のやりいいようにしていただくということが一番適当であろう。ことに御指摘でございますが、私、建設大臣として新しい経済情勢のもとにいろいろわが国としても考え直さなければならぬ、計画を立て直さなければならぬ点が非常に多うございます。したがって、そういう意味合いからしても、総合的に勘案してやる段階が来ておるということは私も認めます。しかしこれはどこまでも議員立法として、議員さんのほうでお互いに勉強することが適当であろう、こう考えます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣議員がそれぞれの立場で三党なり四党が話し合うてやる議員立法、これはけっこうです。またそうせねばならぬ。新しい憲法における一つの権利は、議員法案提出権があるということです。しかし私は議員としての河野さんじゃなしに、建設大臣としての河野さんに伺っておるわけです。いいですか。議員立法であろうとも、政府改正することはできます。したがって今日あまりにも多くのふくそうした規定の中にあって、交通整理が、行政長官として必要ではないか、そう伺っているわけです。議員でなしに、建設大臣河野一郎としてお答え願います。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 建設大臣河野一郎としてお答えをいたします。  由来、議員立法修正議員立法改正等は、大体議員提案でやっておるのが院の慣行と私は心得ます。したがってそういうお答えをしたのであります。  私は建設大臣河野一郎として、与党たる自由民主党の政調会長に対して、そういう意見を申し述べるという意味合いで、お答えを申し上げたのであります。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 必ずしも、議員立法だから議員立法による修正改正ということではないと思います。たとえば電源開発促進法、これは議員立法であります。ところが、政府改正案がすでに何回も出、この国会に出ておるでしょう。そういうことであるならば、議員立法で出ているのを出直しを商工委員会で主張いたしましょうか。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 電源開発修正のごときは、基本のものじゃございません。議員立法基本に関する問題ではございません。行政事務運用の問題の改正案でございます。いまお話しのように、それぞれの立場で、それぞれの区域もしくはそれぞれの地域を代表する皆さんが共鳴されておつくりになった法律を、基本的にこれを云々するという場合には、私は、これは議員立法改正議院においてやることが適当である、こう申し上げたのであります。何も政府がやって悪いという意見は私は持ちませんが、しかしそのほうが妥当であろう、こう申し上げたのであります。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 議員立法だから政府がやらないということでなく、民主的に各党間で話し合ってもらったほうがいい、また建設大臣としてそう望んでおる、こういうことですね。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことです。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、これは大臣はあるいはおわかりにならないから、政府委員でけっこうですが、この近畿圏整備法政令委任している個所が何カ所あるか。総理大臣指定という個所が何カ所あるか。総理府令による委任が幾つあるか。法律によるものが二つ、その法律だけをいま出してきておられます。政令委任については、もしおわかりにならなければ、私があげますが、各所にあります。そのうちに現在出ておるものは二つしかないのです。いわゆる近畿圏整備本部組織令ですね、これが五条四項の政令、それから近畿圏整備審議会令、これが七条五項の政令、そのほか政令委任の場所がたくさんありますが、一つ一つあげて、また、なぜ政令ができていないかを説明願います。
  26. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 政令委任している事項としましては、現在この計画策定段階でございますので、この計画がだんだんとはっきりしてまいりますというと、政令内容もはっきりしてくる、こういうことでございまして、その政令の中身がきまってまいりますれば、おのずから政令も出せる、こういうことでございます。  おもな点は、近畿圏範囲につきまして、二府六県でございまするが、そのうちの一部は政令区域を除くこともできるようにされております。その次は既成都市区域規模でございますが、既成都市区域規模政令で定めることになっております。この既成都市区域規模につきまして、対象とする市の名前は大体考えておるわけでございまするけれども、その市の区域のうちどの部分既成都市区域にするか、すなわち市の中には農村部分もございますが、どの部分市街地既成都市区域にするかという線の引き方につきまして、現在計画を考えて策定をしておる、こういう段階でございます。そのほかにつきましては、計画内容として重要施設計画というのがございます。どういうものを広域かつ根幹の重要施設として取り上げるか、すなわち道路であるとか、河川であるとか、そうした各施設の名称というものにつきましては、これも同じく計画内容をどの幅に持つかということと関連いたしましてきめていかなければならぬ、こういうわけで、それがきまりますれば、その政令を出す、こういう順序でございます。その他につきましては総理大臣指定事項でございまするので、これら計画内容がきまりまして、審議会に付議するという段取りがつき、そして審議会の答申があって初めて指定ができる、こういうふうな順序になるわけでございます。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 いま言ったように、また時間のゆっくりしたときに申しますが、政令委任が九カ所ございますね。そのうち政令が三つしか出ていないのですよ。あとはいまおっしゃったような理由かもしれませんが、たとえば二条第一項の政令、これが出ない限りは近畿圏範囲がきまらぬでしょう。たとえば北陸開発の中に福井県というのがありますね。それから四国開発には和歌山県があります。それは本法附則第五項において、和歌山県は除外することになっています。ところが附則第一項ただし書き政令はまだ出ていないのです。したがってこの項につきましてはまだ施行になっていないわけです。現在和歌山県は四国開発の中にあるということです。そうでしょう。違いますか。この政令が出ない限りは、近畿圏範囲がきまらぬのですよ。その一番基本となるべき政令が出なくて、すなわち対象がきまらなくて、一番いいのは法律だけを先に出して、いわゆる強権を伴うものだけを出してきたことについて、私は疑問を持っているから申し上げている。まず近畿圏範囲はどうなっているのですか。
  28. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 近畿圏範囲は、第二条で書いてございますように、二府六県でございます。で、この二府六県を対象にして計画を立てる。その計画を立て後におきまして、必要に応じては、ある部分につきまして、ほかの地域との接触点におきまして除外するということもあり得る。こういうことでございます。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 除外することもあり得るじゃなしに、まずやるべきは範囲の決定でしょう。いま言っているように、なるほど第二条第一項にございますが、しかし、そのうちの福井県は北陸開発指定せられておる。和歌山県は四国開発指定せられておる。ところがその四国開発のほうを本法附則第五項をもって除外しょうとしている。しかしそれが動くのは、本法附則第一項ただし書き政令が出たときに動くのですよ。したがって現在ではまだ四国開発の中にあるということです。そうでしょう。その政令がなぜ出せないのか。その政令が出て初めて近畿圏範囲がきまるのでしょう。しかも総合開発計画要旨の中で、近畿圏というのは、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県となっておるのですよ。福井県はないわけです。そうすると、本法第二条の規定及びその政令北陸開発四国開発及び国土総合開発法に基づく全国総合計画要旨第一章第一節別表近畿範囲を異にする。そういう点はどうなります。
  30. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 四国開発計画におきましては、和歌山県も入っておりまするけれども、近畿圏整備計画ができましたときには、その分が除かれてこちらのほうに取り込まれておるこういうことになっておる。それから北陸開発関係におきまして、福井とこちらが、ダブるという面におきましては、この整備法の三十二条におきましても、北陸地方開発促進計画近畿圏整備計画調整は、内閣総理大臣が、北陸地方開発審議会及びこの近畿圏整備審議会の両方の意見を聞いて行なうのだという調整規定もございます。したがいまして、その分がダブっておっても差しつかえない、こういうことでございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 これをあんまり突っ込むと、また大臣は、これは議員立法で、おれは知らぬ、こういうことになると思うのですが、これは議員立法のときのミスだと思うのです。福井県は北陸開発に入っている。一方和歌山県は四国に入っている。  ところが、北陸は除かずに二十二条で調整規定がある。和歌山県のほうは附則において除外する。それは政令ができたときに施行せられるというかっこうになっておる。その政令ができていないわけです。したがってまだ近畿圏がきまっていない。大臣、そういう場合は、近畿圏整備というならば、近畿圏という対象をまずきめるのが必要だと思うのですが、今日までこの政令が出されなかった理由はどういうことでありますか。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 近畿圏といえば近畿であって、開発和歌山四国のほうにたまたまある、それは近畿和歌山開発がおくれているから、隣へちょっと浮気をしたというわけだと私は思っているのです。だけれども、地元にりっぱなものができれば、こっちに戻ってくるのはあたりまえであって、それは和歌山の人もこっちのほうに仲間に入れてくれといって、こっちのほうに入られる。この法律ができたときには、ちゃんとはっきり和歌山県の人は、四国ではない、おれは近畿だという意思表示がある。またこちらに入ることはきまっているのです。したがって、四国のほうにたまたまなる前に入っておったけれども、四国のほうから除外されてこちらに入ってくる。これはもう、そういう点において欠ける点があったならば直していけばいいのであって、なるがゆえにどうこうという議論にはならなかろうと私は思います。  いま除外する、除外するとおっしゃるが、この除外の意味は私はこう解釈している。たとえば福井県を入れる。ところが福井県といいましても、福井県は大体北陸です。そこで福井のどの程度まで近畿経済圏に属するかということでございますから、福井の周囲まで入れたらいいだろう。その他の農村北陸開発計画の中に入ったらいいだろう。そこで福井県としては近畿圏整備計画の中に入れるけれども、その中の農村地帯のほうは除外したらどうか、そうしていくべきじゃなかろうか、こうすなおにものを考えてやっていったらいいのじゃないかと思うのでございます。およそ地方の開発をしていこうというのに、やはり地方民の要望にこたえて、なるべく皆さんの御期待に沿うようにものを持っていくということが、一番あるべき姿です。そうしていまおっしゃったような点は、悪かったら悪い点を直すということでいいのではないかと思うのです。  同時に、まだ出てないじゃないか、出てないじゃないかとおっしゃるけれども、基本のものはちゃんと近畿圏整備審議会範囲はきまっていると私は思うのです。だから、そこでこれらの代表者を入れて、みな大筋は、それらの代表者が出ていらっして近畿圏審議会をつくってやっていらっしゃる。その審議会できまったことを私は実行していく、こういうふうに考えているのです。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、政治論でごまかしてはいけないと思うのです。二条の政令が出なければ、近畿圏がきまらないのです。対象がきまらないのです。そうでしょう。なぜ政令を出さないのですか。違いますか。それでは、常識できまっておるならば、なぜ二条のような規定を入れたのですか。これは議員立法だからおれは知らぬ、こうくるのですか。政令政府のほうが出すべきものでしょう。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 この条文をお読みになっても、私は決して落ち度があるとは思いません。大体、近畿圏整備審議会対象となるところはこれだ。近畿だ。和歌山県については、和歌山県に関する限りは除外例があるということです。全体の区域政令が出なければきまらぬということにはならぬと私は思います。だから一方、手続は、いま四国のほうがおくれておりますから、それで四国のほうは除かなければこちらに入れられないという関係があるから、おくれているかもしれませんけれども、元来が、前会にも私が申し上げましたとおり、近畿圏整備審議会にしましても、御承知のように法案ができまして本格的にこれに取り組みましてまだ約一年です。予算関係について考えますれば、事務費等についても、全くささいな事務費が昨年度あっただけである。事務所、事務員の整備もようやく本年度の予算において幾らかかっこうのついたものになっただけだというのが実相でございます。これはもう御承知のとおりでございます。したがいまして、われわれとしては、できる範囲において、なるべく急いでできることは急いでやったらいいじゃないか、できるだけのことをやりましょうといって努力いたしておるのでございまして、その間に社会党の皆さんから御異論がありまして、こんな法律はどうでもいいじゃないか、きまるものがきまってないじゃないかとおっしゃる点も私はよくわかります。それは、全部きまるものはちゃんときまって、お座敷に出せるようにして、全部整えて、そしておぜんの上もきれいにそろえてやったならば、首都圏整備委員会のように非常におくれる。一回首都圏整備委員会で経験いたしましたから、できるものはやっておいたらどうだ、じゃまにならぬものはやっておいたらいいじゃないか、手のあいたものはどんどん勉強しろよということでいっておりますから、そうおっしゃいますけれども、これは御承知のように、大阪を中心にして一番過熱地帯をどうするかということがまず一つの大きな問題だろうと思います。次に、また未開発地域をどういうふうに開発していくかということがあわせて考えられる点だと私は心得ます。したがって、過熱地帯に対して、より以上過熱地帯にほうっておるものを押えるということは、幾ら早くてもよろしい。これは早くしたからといって、どなたも御不満があり御立腹があるとは思いません。あとになってこの過熱地帯を押えることは容易ではありません。それで、そういうことは早くやったらどうかというのが、審議会委員の各代表者の一致した御意見でございます。その御要請にこたえて私もここに本案を御提案しておるものでありまして、それが順序が違う、すっかり整えてから出すべきではないかという御意見なら、その御意見は、御座敷に出て議論されればそのとおりかもしれません。しかし、いま申し上げるように、なるべく地元の皆さんの御要請にこたえてやったほうがいいじゃないかという気持ちで、私はやったのです。したがって、これらの判断については、ひとつ御自由に御判断くださって、早いからこんなものはつぶしてしまえ、すっかりまとまるまで待ったらいいということなら、それも私はけっこうだと思います。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 提出責任者である建設大臣がそのようにおっしゃるなら、もう話は別です。しかし、やるべきことは順序があります。いいですか。その範囲をきめる政令も出ていない。あとから逐次第二条定義について申し上げますが、指定すべき点も指定がなされていないのです。にもかかわらず、法律委任の点だけ、法律条項だけ二つ出してきた。十三条法案では、たとえば二十条以下で土地収用等の強権発動、あるいは四十八条以下で懲役も含む罰則、十五条法案では、同じく四条における強権制限、同じように十六条以下で懲役を含む罰則、こういう強権を含むものだけをまず出している。この態度がおかしいじゃないかと私は申し上げておる。ともかく権力にたより過ぎておる。法律によって権利を制限する。それだけを先に出してくる。この態度がおかしいじゃないか、こう申し上げておるわけなんです。さらに、このことに審議会の要望であったと言われますが、過去、審議会は何回開かれましたか、いかなることが行なわれましたか、お伺いいたします。
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 かねて申し上げておりまするように、何も政府が強権をもって云々というようなことはないことは、御承知のとおりであります。何も好んでそういう法律を、政府が、なければいかぬとか、やらなければいかぬとかいうことは考えておりません。これは地元の皆さんも御承知のとおりに、地元の委員の中から専門委員を選びまして、その専門委員会において種々検討されました結果、そこで立案せられたものが審議会にかかって、そこで審議会の決定を経て——それは御承知のとおり、審議会は各地の代表者がお集まりになることでございますから、何回開いて——一ぺん開いて、その委員会は一ぺんでございます。しかし、その案は政府がつくったのではないので、専門委員会において、こういうものは早くやったほうがよろしい、早くやってもらわなければいかぬという専門委員会の意見を取りまとめて、その専門委員会でまとまったものを審議会にかけて、審議会が早くおやりなさい、こういうものをおやりなさいということでございますからやった、こういうことでございまして、何も懲役だとかハチの頭がどうだとかということを、この法律によってやるわけではない。土地収用法は、ほかの意味において、工場団地を早くつくらなければいかぬじゃないか、工場団地をつくるために、早くこうしなければいかぬじゃないかというふうに、政治が後手後手に回りますから、地価が上がってしまって目標が達成できないということになりますから、こういうものは急いでやらなければいかぬという地元の御要望が非常に熱烈でございますから、私もそれにこたえて一生懸命やっているのです。あなたのおっしゃるとおり、こんな法律ばかり急いで、政府が出す金も出さぬで、やってはいかぬじゃないか、まずやることは行政が先行しなければならぬじゃないか、法律が先行して権力でやるのはけしからぬじゃないか、私もそう思います。しかし、これも地元の方々の御納得の上ならば、私はやってもいいと思います。役人が独善的にやることはよろしくない、これはそのとおりでございますが、どこまでも民意によって事が進むならばちっとも差しつかえない。建設大臣が自己の発意によって、むやみにこういう法律を先行して、法律だけで大いにやろうという態度は適当でありません。しかし、金はあとからついてくる、金があとからついてくることを待っておったのではおくれるから、首都圏の経緯から考えて、早く必要な法律はおつくりなさい、こういう御要請があるから、私はやっている。したがって、これらの判断は近畿圏の各地域の県民諸君が御判断になると思いますから、反対ならばおやめになったらどうですかと私は申し上げておる。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう言い方をするなら、私は、政府が、できないのに、こういう権力的なものを発動するだけの法律をつくるのは反対ですよ。あなたはいま常識的なことを言われたが、審議会においてやったというけれども、審議会は総理の諮問に答えるのでしょう。どういう諮問を審議会に出されたのですか。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 その審議会に出すべき諮問案は、専門委員会でやるのです。総理の独断でつくりません。建設大臣なんかやりません。その専門委員会においてまとまったものを、こうせい、ああせい、そのまとまったものは審議会にかかる。そこで審議会がけっこうでございますと言うからやった、こういうことでございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 近畿圏整備審議会令の第三条に専門委員規定がありますが、規則のたてまえは、いま大臣のおっしゃったようなことになっておりますか。
  40. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この付属の二法案を作成するにあたりまして、この付属二法案のために、審議会の下部組織である専門委員会を二つに分けまして、計画部会と法制部会に分けて審議を願ったわけです。元来、この近畿圏整備法によりますれば、そうした法律をつくることであるとか、あるいは政令をつくるというようなことは、必ずしも法律の上での審議会の付議事項審議会意見を聞いてきめなければいけないのだというような付議事項にはなっておりません。しかしながら、これらのことは非常に地元に利害関係の深い問題でございまするし、また審議会においても非常な熱意をあげて、この法律の手足をつくるということの関心を持たれておるわけでございますので、十分地元の意見を聞くということが必要でございますので、そこで法制部会においても七回、八回にわたって御審議をいただきまして、そして一法案の骨子ができたわけでございます。さらに、この専門委員会の結果を、審議会を開きまして御報告申し上げ、そして審議会の全員がこれに御賛成をいただいて、この線で政府がやっていく、こういうことになった、こういう経過でございます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 私は政令なり法律に基づいてものを言ったのです。大臣のおっしゃることとは若干違います。そこで政府委員の言ったことですが、これは審議会に諮問したのですか。いつやりました。
  42. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 三月十六日でございます。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 過去に二回しか開かれていないですね。二回でしょう。第一回は顔つなぎですね。第一回は三月何日に開かれたそうだが、われわれがこの原案なるものを知ったのはそれ以前なのです。審議会にはどういう形式でおかけになりました。どういうような議論が出ましたか。
  44. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 本年の一月中旬を第一回といたしまして、先ほど申し上げました専門委員会の法制部会を開きまして、それから三月十六日まで七回にわたりまして審議を続けたわけでございます。その間におきましても、各府県の企画部長であるとか、それぞれのチャンネルを通じて、その方面の委員方には、その中間的な審議の模様は反映しておるわけであります。三月十六日の審議会におきまして、この原案を付議し、そして御承認を得た、こういうわけであります。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 専門委員会できまったものを、三月十何日に審議会にかけた。私が知ったときは、それ以前ですから、過去一回しか開かれていないということを聞いておった。その後に一回開かれた、こういうことのようです。私も国土総合開発審議委員をやっておりますが、ともかく審議会にかけるというときには、別にそれを審議するというかっこうじゃないのですよ。地元の要望だ、地元の要望だとおっしゃいますが、行政としてはそうかもしれない。しかし一応法律があるなら、それはルールですよ。ルールに従って行動してもらわなければならぬ。もっと掘り下げて質問したいのですが、時間の関係がありますので、はしょってまいります。  十三条法案の第二条を見てください。この法案の定義、いわゆる「「近郊整備区域」とは、近畿圏整備法第十一条第一項の規定により指定された区域」となっているのです。いいですか。それから同じく十五条法案の第二条の定義の第一項には、それは本法「第二条第三項に規定する区域」となっているわけですね。ところが、このいずれもが、いま申し上げているように指定せられていないのでしょう。中身はないのでしょう。中身がないところにこの法律をつくって、この法律はどこに適用するのかといったら、中身は何もないのですよ。そうじゃないですか。両法案の第二条は、近畿圏整備法の何条何項の指定地域となっている。指定地域指定があったのですか。
  46. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 既成都市区域あるいは制限区域それからまた近郊整備区域というもの、それぞれ計画内容がきまりまして、政令なりまた総理大臣指定という行為が行なわれて、具体的にきまってくるわけであります。その区域がどうきまるかということにつきましては、その計画内容がきまりませんと、線が引けないわけでございますので、そういう区域指定されるということを前提として、指定されたならば、その範囲内ではどういうことが起こるのであるか、どういう権限を持ってその計画実施の行為が行なわれるのであるか、というふうなことにつきましての内容を持った法律を用意しておくということは、必要であると考えております。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 おかしいですね。法律を見て、この法律が一体どこに適用になるのかということが具体的にないのですよ。そうでしょう。こんな法律ってありますか。法制局を一ぺん呼んでください。こんな法律ってありますか。
  48. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この点につきましては、すでに法制局の審議も済んでおるわけでありまして、その内容は、将来確定し得るものであれば何ら差しつかえない、こういう見解でございます。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 それはおかしいよ。二つ法案がいま出ているのでしょう。そしてそれを審議しているのでしょう。その適用範囲がきまっていないのでしょう。そんなから回りの法律の審議を建設委員会はするのですか。
  50. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 既成都市区域につきましては、第二条におきまして「「既成都市区域」とは、大阪市、神戸市及び京都市の区域並びにこれらと連接する都市の区域のうち、産業及び人口の過度の集中を防止」しなければならない、こういう市街地区域で、政令で定めるものをいうということになっておりまして、どういう都市を連接する市街地として押えるかということはきまっておりませんけれども、少なくとも京阪神の三大都市及びその連接するということで、かなり具体的にきめられておるわけでございます。また近郊整備区域にいたしましても、これらの既成都市区域の周囲は、無秩序な外延的な発展を防止する、こういうために、大体大まかには、その法律において観念的にきまっておるわけでございます。どういう線を引いて、どういう部分をとるかというような具体的な現地にわたってのこまかい点につきましては政令にゆだねておる、こういうだけのことでございまして、その政令が出なければ、その法律は出ないということはないというふうに考えております。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 それはおかしい。まず物事には順序がある。その政令できめるべきものが出ていないし、総理大臣指定がなされていないのでしょう。そうすると、この二つ法案の審議をしておるが、一体これが具体的にどこに動くかということがわからないわけですよ。そんなおかしな法律はないですよ。こう言うと、大臣は、かってにしろと言うのだ。こういう大臣も少ないね。自分の責任で法案を出しておきながら、つつかれると、おれは知らない、かってにしろ。きょうは時間がございませんから、委員長河野大臣とじっくり二、三時間論議をする機会を与えていただきたいと思います。そういうことにして、一応、河野さんとの一騎打ちは後日に譲りたいと思います。  そこで、この法案について一、二伺いますが、たとえば十三条法案の二十三条に「生活再建のための措置」というのがありますね。これは注意規定ですか。
  52. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この開発法におきまして工業団地をつくる、そのために土地収用をする、こういうような場合におきまして、その土地を収用された人たちの生活再建の措置を講ずる、アフターケアをするということにつきましては、昨年提出いたしました新庄宅市街地開発法等におきましても、そうした収用の場合の収用された方々に対するアフターケアの規定を設けて、その収用の事後措置というものについての配慮をうたっております。したがいまして、今回の開発法におきましても、それと同じような趣旨の規定を設けたわけでございまして、これはただ単に形式的な飾りの文句ではございませんで、その趣旨を貫くように運用されなければならない、こう考えております。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 前にこういう規定があったから入れました、というような答弁を聞いているのではない。もっと法律的に答えてください。これは宣言規定なのか注意規定なのか、具体的義務はどこから生ずるのか。
  54. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 こういうふうな収用された方々に対するアフターケアを十分考えなければならぬ、こういうふうに考えろ、努力しろということに対する宣言規定でございます。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 実力大臣にものを申します。今日まで、こういう宣言規定で十分やられたことはないのです。空文に終わる可能性が強いのです。そこで、これも、おまえたちかってにしろとおっしゃるのかどうか。二十三条の運用については、大臣、今後どう考えますか。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 いまも申し上げますとおり、これは他の土地収用に関する重大な問題でございます。したがいまして、私は、これはただ単に空文に終わるというようなことは毛頭考えておりません。いかなる場合にも、法律の趣旨に徹するように、行政指導をいたす所存でございます。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 私は中小企業のほうが専門なんですが、たとえば中小企業等協同組合法で、零細企業に対しては特別の税制、金融措置を講ずるという規定があるんですね。ところがあまりこれは動いたためしがないのですよ。同じようにいろいろな法律にこういう宣言規定があります。ありますが、ほんの言いわけ的宣言にすぎなくて、これが法の意図するといいますか、精神にのっとって、アフターケアが十分にやられていないところに問題があると思います。実力大臣のことですから、そういう点は抜かりはないだろうと思いますが、今後とも十分にひとつその点は実力を発揮していただきたい。こう思います。  ただ基本的な問題もたくさんありますが、あとは先ほど申しましたように、時間がありませんので、あらためてお伺いすることにして、きわものについて一、二点だけお伺いいたします。たとえば、三重県に、電源開発関係のダム建設に関連して、俗にまぼろし部落というのがある。これは近畿圏の一つなんです。したがって、このまぼろし部落というようなことについてはどういうように考えておられるか、それが一点。もう一つは、この十三条法案等で、土地収用、団地造成、こういうような場合には農地を収用するとか、買収する場合があります。その場合に、農地法三条四項の規定、すなち知事の認可がなければ売買契約は成立しないという規定、その関係をどうお考えになるか。この二つを先に伺いましょう。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 三重県と和歌山県の境にありますダムの予定地にただいまお話しのような住宅が建設されておりますことは、私も承知いたしております。まことに遺憾に考えておりますが、これは前例もないことであります。したがって、各方面の意見も十分に聴取いたしまして、また同時に、これが収用につきましては、いずれ収用委員会その他において、しかるべき御意見が決定すると思います。その意見の決定に従って、私は善処するつもりでございます。  第二点につきましては、農林大臣と十分打ち合わせをいたしておりまして、農林大臣も、これらにつきましてはひとつ十分考慮しようということになっております。打ち合わせばこの程度でございます。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、この場合、農地法の三条四項は動かぬのですか。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 それをまだ動かすというところまではいっておりませんが、最近、宅造法等につきましても、農林省の中でも、世情の変化と申しますかによりまして、いわゆるC級に属する農地等につきましては、順次これを他の目的に用途変更することについて了解をしつつあります。したがって、これらの所要の問題については後日さらに正確にいたすつもりでございます。さしあたりはいま申し上げるように了解をとり、善処していく所存でございます。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 特に農地を収用するとか、あるは宅地造成、工業団地造成、こういうことに転用する場合には、十分なる配慮とともに、農地法の精神を尊重する、こういうことに対して希望を申し上げます。大臣、どうですか。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま申し上げましたように、農地法につきましては、御承知のように、従来は農地と名前がついておれば、どれでも農地法の適用を受けて、用途転換は宅地等にしないということを原則にいたしておりました。しかし今回の宅造法案につきましては、十分話し合いをいたしまして、農地といえども、大都市の周辺であるとか、他の目的に用途変更したほうが適当であるというようないわゆるC級の農地、これらについては用途変更の受付をする、そうして農地委員会の審議の対象にするというところまで実は御了解を得て、法案を出しております。したがってこの工場団地等につきましても、そういうことでいくべきであると私は考えますが、さればといって、ただいたずらに農地を他の目的に用途変更するというようなことは適当ではないということは十分に考慮しつつ、大きな目から、国家目的にいかように利用することが適当であるか、ということを基本に考えつつ善処していくことが必要である、こう考えております。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば本土と淡路を結ぶ俗に言う夢のかけ橋、きのう神戸のほうで、水中テレビを使って調査したようであります。こういう計画は、この計画が先行しておったわけですが、近畿圏整備基本計画事業計画がはっきりとできるときには、道路その他のものはすべて八条の計画として入るのですかどうですか、その点が一点。  もう一つは、あす、大臣は瀬戸内海で、海上会談、というか洋上会談というか、関西汽船のデラックス船であるくれない丸の上で会談をせられることになっておるそうですが、その目的、参加者等について御説明願いたいと思います。あわせて、あした天気のいいことを願いたいと思う。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、私は建設大臣として、道路計画もしくはその他河川計画等を基本的に持っております。これは近畿圏整備の場合にそれを提出いたしまして、そしてそれと混淆しないように、その計画を尊重していただくようにしていきたいと考えております。したがって、いまお話しの明石海峡の架橋等については、既存計画を尊重していただくということにしていっていただきたいと考えます。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 その近畿圏計画の中でやるのですか。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 近畿圏計画を立てる際に、建設省独自の既存の道路計画、河川計画等を提出いたしまして、この計画と混淆しないように、御調整を願うようにいたしたい、こう考えております。  次の瀬戸内海の問題でありますが、実は、これは神戸市長と大阪市長から私に提案がございまして、兵庫県知事さんと大阪府知事さんと四人が世話人になって、瀬戸内海の問題をみなが東京へ行って話し合うことも非常に困難であるし、最近とみに瀬戸内の問題が問題になっておって、新産都市もこれをめぐって三カ所指定があるというようなことであるから、ひとつ懇談会を持って、よく調整をしていくようにしたいものだ、ついてはみな一カ所に集まることもむずかしいから、ひとつほかとの関係を絶って、一日時間をつぶすようにしてもらいたいという申し出がございまして、私もけっこうな提案と思いまして、これに参加を同意いたしました。私聞くところでは、瀬戸内海関係の県知事さん、主要都市の市長さんが主たるメンバーで、それに議長さんもお加わりになるかもしれませんが、そういう方々のそれぞれの立場を承って、私の行政の参考にいたしたい、こう考えております。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 最初に申し上げましたように、時間の関係でこのうち一枚半くらいのことしか申し上げてないので、あとゆっくりと大臣質疑応答の機会を与えていただきますように、この点は要望しておきまして、ちょうど十一時四十分ですから、終わります。
  68. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 八木一男君。
  69. 八木一男

    八木(一)委員 ただいま上程になっております近畿圏関係の二法案関連をして河野建設大臣並びに政府委員に御質問を申し上げたいと思います。あとでわが党の西村関一委員が質問の順番を待っておりますので、私はたくさん質問がありますけれども、部分的に問題を限って質問をし、残りはまた別の機会に十分に論議を尽さしていただきたいと考えており言ます。  まず最初に、河野建設大臣にお伺いを申し上げたいことは、近畿圏整備法の第十四条に規定をされております保全地域について、責任者としてどのようにお考えになっておられるか、明らかにしていただきたいと存じます。
  70. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 大臣からお答えいたします前に、私から解説的に御答弁申し上げます。  近畿圏整備法の第十四条に保全区域指定についての規定がございますが、御承知のとおり、近畿圏整備法の全体の構想といたしましては、近畿圏整備開発をはかるために既成都市区域近郊整備区域都市開発区域という三つの区域のほかに、近畿における自然観光なり古文化財の集中をしていることに対する配慮をいたしまして、保全区域というものを指定して、それを保全し、また整備していこうというアイデアを近畿圏整備法では持っておるわけでございます。この保全区域指定は、近畿圏整備法の第十四条でするわけでございますが、この指定された以上に、さらにこれについて何らかの法的な措置を必要とするかにつきましては、昨年この近畿圏整備法立案されたときにおきましては、少なくともこれ以上の、現在ある法律体制の上でそれを考えていくという以上に、特に法律的措置を考えておらないようでございます。その意味は、おそらく保全区域に関する既存法律、たとえば文化財保護法であるとか、都市公園法であるとか、自然公園法であるとか、都市計画における風致地区整備であるとか、そういうものを活用してやっていけるというように考えたからだろうと考えます。
  71. 八木一男

    八木(一)委員 大臣は、そういう経過とか技術的な点ではなしに、近畿圏整備法の中にある保全区域というものをどのように認識され、どのようにそれに対処されるかという、大所高所に立った責任者としての大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、近畿圏における京都、奈良その他の歴史上の事実を非常に高く評価をいたしております。したがって、近畿開発には観光に相当の重点を置かなければならぬということも認識いたしております。したがってこの保全区域は、ただいま事務当局が御説明を申し上げました以上に重点を置かなければいかぬというふうに考えております。
  73. 八木一男

    八木(一)委員 大臣のお考えは、まあ大体そういうことでけっこうだと思いますが、観光というより前に、古文化の財非常に多い近畿地区であります。民族の遺産を完全に保存し、また、いままでの形態で見えなくなったり、埋没しているものをちゃんと明らかにして、国民がその遺産を十分に認識をし、世界にも宣伝をするというようなことができるような積極的な古文化の対策の手を打たなければならないと同時に、過密地帯が近畿にあるわけでございますから、そういう人たちの健康上の問題や大阪、神戸のような工業地帯、非常に人口過密地帯があるわけでございますから、この周辺において、歴史的環境とともに、自然的な非常に環境のいい緑地を完全に保存をして、観光資源というようなきわもの的考え方だけではなしに、ほんとうにそこで日本の国民が身心ともに健全に正しく暮らせるような環境を整備をし、また保存をするというなことが必要であろうと思います。さらに加えて、非常に観光資源が多いのでありまするから、それを保全するだけではなしに、非常に俗っぽくならないように、ほんとうの意味でよい開発をやっていくことが必要だろうと思うわけであります。大臣の御答弁は、その点十分に御発言にならなかったと思いまするが、私の申し上げた意味全部について、事務当局より以上に熱意を持って強力に進める気持ちであろうと思いますけれども、それについてもう一回はっきりとお答えをいただきたい。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 大体いまお話しになりましたことに同感でございますが、ただ観光事業は、これはきわものでないのでありまして、本質的なもので、わが国の将来に非常に重要なものであります。こういう意味合いにおいて、特別にこの地方に関心を持っております。  ただ、くだらぬことを言っておしかりを受けるかもしれませんが、八木さんの御所在の奈良県が、その意味においては一番県民諸君の御奮発をいただかなければならぬところでなかろうかという気がいたしまして、特にそういうものについて、地元の諸先生方の御協力をいただきたいし、お願いを申し上げたいと思います。
  75. 八木一男

    八木(一)委員 申しておることは両方とも大差ないと思う。ただ重点の置きどころが違っていると思いますが、そういう点について強力に対処していただく決心を披瀝していただいた点はけっこうでありますが、具体的にはその点についていろいろな準備なり計画が進んでおりません。先ほど次長から答弁があったところによると、それについていろいろな現行法があるというようなことで、特に本法のようにうたわなくともいいという——。  本法のほうに特別の法律を定めることが書いてなかった経過は私も承知しておりますけれども、しかしながらいままで法律をつくった点は、百点満点でなしに、八十点、九十点である。それを百点にするためには、当該の役所が、ちゃんと本文には「近畿圏整備計画立案及びその立案のため必要な調査を行なうこと。」というような任務を持っておられるわけでございますから、その欠点を埋めてそういうことをやる責任があるわけであります。その意味において、今度関係の二法案を出されたときに、保全区域について具体的にそれを保全し、積極的に開発できるような具体的な効果を伴う法律をなぜ出さなかったか。この点について準備あるいは努力が足りなかったと思うわけであります。それについての建設大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 八木さんも御承知でございますが、私は、近畿圏整備は、整備法整備法で、それとは別個に、奈良にもたびたびまいりまして、奈良の公園を、どういうふうにすべきか。一々現実にできることはやってまいるという所存でやっておることは御承知のとおりでございます。また京都についても、私は同様な関心を持っていろいろ努力いたしております。  しかし、なぜ法律を出さぬか。これらのことはいずれも予算の伴うことでございまして、予算の伴わぬことは、地元に御協力願う、ないしはわれわれのできる範囲でやるということであって、いまのお話の点は、法律を出しても、すぐ予算がつかなければどうにもならぬものです。したがって、いまの点については予算が計上してありませんから、法律の提出まで至っておりません。くどいことを言っておしかりを受けるかもしれませんが、いま御審議をいただいておりますものは、これができて、そうして準備ができれば、なるべく急いで、次の議会を待たずして、急いで過密地帯に対処することができたならば、それだけ効果が上がるだろうという意味合いで、地元において非常に御要請がありましたから、この法案の提出を決意した、こういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。
  77. 八木一男

    八木(一)委員 次長に技術的に伺いますが、今度の二法案について、具体的に予算が、本年度組まれておりますかおりませんか。
  78. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 二法案そのものに随伴して予算が組まれておるということではございませんので、この計画がきまりまして、そうしてこの措置によって動かしていくという段階におきまして、おのずから予算がきまる、そういうことでございます。
  79. 八木一男

    八木(一)委員 建設大臣いま次長の答弁のとおりであります。私は技術的な点で答弁の食い違いというようなことをごちゃごちゃ言う気はあまりありません。大臣、いま答弁をお聞きになったように、いまの二法案についても具体的な予算がついていない。それから……。
  80. 河野一郎

    河野国務大臣 金は要らないんでしょう、これは。
  81. 八木一男

    八木(一)委員 これは金が要らないとおっしゃる。それからこの法案については、そういうことでなしに出された。ただそれと似たものを、同じようなものを保全区域について考えられることも、これが出た以上は、大臣の答弁のようなチェックはなくて差しつかえないわけです。保全区域についても、似たような問題について検討をして出しても……。そういう点で、保全区域についてもそのような具体的な案を出されることが至当ではなかったというふうに思うわけです。それについて、時間がありませんから申しますが、次長のほうは文化財保護法とか自然公園法とか都市公園法というようなところで金が出るというものがあるということをさっき説明をしておられると思う。ところがその三法による金は金の出方が非常に少ないし、三法による規制のしかたは強力ではないし、そういうことで文化財が破壊をされ、保存できないようになり、緑地がどんどんとなくなっていくという現状にあるわけです。これは河野さんが言っておられるとおり、私は奈良市に生まれ奈良市に育っておる。一番の民族の文化の故郷が、いまの法律が少なくて予算措置が少ないために、どんどんとこわされていく。ですから、文化財保護法や自然公園法や都市公園法では、大臣がいま明確に答えたようなことに対処するだけのものがないわけです。保全地域に対して、具体的なものを推進するような法律を出されるのが至当である。それを出されるについて、ほかの二法と同じように予算の関係だと大臣言われたけれども、そういうことはいまの段階においては関係はない。ですから、それを出されなかったことは不十分であるということを申し上げているわけです。その点について率直に不十分な点は不十分と認めて、お答え願いたいと思う。
  82. 河野一郎

    河野国務大臣 ちょっとお考えが違っているのじゃないですか。この近畿圏整備法、首都圏整備法にしましても、この整備法本来のものは、そう大きな予算を持つような形にはなりにくいのではないか。これはどの法律でもそうであります。既存法律体系で、近畿圏整備法が主体になって、どういう道路をつくり、どういう道路が適当だといえば、建設省の道路予算の中から、こう書いていくということが一番可能なことであり、一番できることであるということでございまして、いまお話しになりました点につきましては、既存法律で、その法律に予算を十分つけて、そしてこのほうの仕事をやっていっていただく。首都圏近畿圏においてはこういうことが絶対必要だから、それはひとつぜひやってもらわなければいかぬという要望を、それらの既存法律に要請をしていくということのほうが、順序として、従来の慣行からいって、通りやすいということでございまして、あらためてそういう法律をつくるということはなかなか通りにくいということだと思うのでございます。しかしお話しの点もございますから、またその重要性も私は十分心得ておりますから、よく勉強してみる所存でございます。
  83. 八木一男

    八木(一)委員 いまの大臣の御答弁は御答弁として伺っておきますが、非常にダイナミックな政治家である大臣は、ほかの点ではダイナミックかもしれないけれども、この点についてはちょっと消極的過ぎる。というのは、片一方、工場や何かのものの法律はできているわけです。それに対して不均一課税をしたときの補てんとか、国有財産の何とかとか、鉄道を敷く資金のあっせんとか、積極的な規定があるわけです。こっちがなければ、そしてそれならば、地方としては、民族将来の大計もあるけれども、毎日の経済の発展ということも考えるから、こっちのほうに入れば、そこでいろいろ工場が入ってくる。地方公共団体にしたら、地方税が増収をする、回りの人とすれば、そういうことで商売が繁盛したり工場がふえるだろうという期待も持つということで、工場を引っぱりたいという気になるわけです。そこで片一方の保全地域をしたときにも、金の面その他の面で同様の政府の裏づけがなければ、どうしてもこの計画のときにたとえ緑地がこわれても、たとえ文化財があとで発掘ができないような状態になろうとも、工場を引っぱったほうが得だ、住宅を引っぱったほうが得だということになって、これは審議会で審議をし、本部で十分検討され、国会でも内容について質問をするとしても、現地で目の前の自分たちの商売の繁盛のために、工場が来たほうがいいというような気分になって、それに地方公共団体も支配されて、近畿圏全体の、あるいは日本全体の将来の大計を誤るおそれがある。誤らせないようにするために、保全区域にも、工場を引っぱることと同様に国が対処をしないと、あとからでは間に合わなくなるわけです。その意味で、同時にやっていただきたい。文化財保護法や、自然公園法や何かあります。ありますけれども、文化財保護法というのは、そこにもいっているけれども、日本の非常に豊富にして貴重なる文化財を守るためには、ほんとうにちょっとしか役割りを果たしていない。その規定をフルに動かしても、たとえば何といいますか、環境保全のためにいろいろ持ち主のほうが損害を受ける。その損害の補てんをするためには、通常生ずべき損害を補償するということが最高度に発揮されて、それだけなんです。通常生ずべき損害ということになると、いまのように地域開発が盛んになって、土地が値上がりをして、工場ががんがんふえるときに、もしそういうふうにすればもうかるというのを、もうかりそこなったというものを全部補てんすることには、この法律ではならない。ならなければ、そこでそういうことのほうを考える人が、文化財保護とか、名勝とかがつぶれてもそっちのほうに動きたいということで、どんどんつぶれていくことになる。自然公園法、それから都市公園法にしても、設備費について二分の一の国庫補助があるだけで、その地域を買い取るだけの国庫補助は片っ方のほうはない。片っ方のほうは三分の一だ。そういうことで、土地が値上がりをしているときに、地方公共団体が三分の二補てんをして、そういうものを買い取って公園にするというようなことも、いまの地方財政の現状ではできないわけです。そういうように、既存法律三つではほんとうに不十分なわけだ。それを直さなければならないと同時に、現に工場のほうについては法律ができていますから、それによってそういうような古文化財とか、緑地とか、そういうようなものが破壊されるわけですから、片方が発動したと同時に、並んでそのような保全地域を保全するような、そして合理的な積極的な開発をするような具体的な対処がなされなければならないと思います。時間がありませんからこっちでしゃべってしまって、河野大臣のダイナミックなお考えを先に伺ってからと思いましたけれども、時間がありませんので、こっちからしゃべりました。しゃべりましたけれども、そういうことについては、河野さんは全面的に、先ほどの御発言によれば、御賛成であるとすると、それを実行するために、それを裏づけする法律を保全地域についてお出しになる必要があろうと思う。いま出されなかったことについて、私は、よくなければ、いままでの経過についてはとやかく申しません。それを直すために、もちろん当委員会においても努力をされるでありましょう。それについて直接間接に、政府のほうは、それを直すような議会の努力について全面的な協力をし、そういうことで問題に対処をしていただきたいと思う。それについての、河野建設大臣の前向きの御答弁をぜひ期待をいたしたいと思う。
  84. 河野一郎

    河野国務大臣 いまお話しになりましたことは全面的に賛成でございますが、ただ一点どうかと思いますことは、これはすべて日本の古文化、芸術、また国立公園、その他に適用する問題でございます。ひとり近畿圏だけが守られればよろしい問題じゃございません。したがって、いまお話しのような点は、積極的に基本法全体を是正するなり、これらに対して大きな予算の裏づけをするなりして、日本の国全体の立場から、こういうものをどう守るかということを考えなければならぬ問題である。ただ、お話しになりましたように、近畿圏におきまして、特に奈良周辺に工業団地が多く密集するとかいうような計画立案されましたときには、この地方のこれらのものを守る必要があるという特別な条件が出てくると思います。そういう場合におきましても、当然、お話しになりましたように考えていかなければならぬ。こう思うのでございます。ただしできるだけひとつ御協力申し上げることをお答え申し上げます。
  85. 八木一男

    八木(一)委員 その大臣の御答弁は大体満足でございますが、それをほんとうの意味で実行していただくための最大の努力をお願いしたいと思います。  それから、現在文化財、緑地、観光資源のことは全国的な問題でございまするが、特に近畿にそれが集中しているという点。近畿において、過密地帯のために、近郊にどんどん都市をつくるというように状況が今度動く。それに対処するという意味で、近畿圏の中における保全区域について、そういうようなことを進めていただきい。首都圏においても同じように、必要があれば、もちろん進められてしかるべきものだと思います。  私の割当時間はあと九分でありますから、簡単に申し上げますが、今度の近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案の中に「都市開発区域の工業都市、住居その他の都市としての開発に資することを目的とする。」とあります。事務局に伺いますと、これは工業都市と住宅都市を考えているということをこの間説明で伺いましたけれども、事務局は、それだけの考え方でなく、もっと発展して考えていただかなければならないと思いますのと、ぜひ大臣のほんとうの意味の指導力で、ここに学術研究都市というものをこの対象とするというふうにしていただきたいと思います。そういうことで、大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。そのとおりにするという御答弁をいただければ、直ちに質問をやめます。いろいろなことがありましたら、その理由を聞いて、われわれの主張の理由も聞いていただきたい。
  86. 河野一郎

    河野国務大臣 学術研究都市——どうもよくわかりませんが、実は私はいま、東京における研究機関もしくは国立学校等を移すべく努力しておりますが、地元は大体反対しますよ。招致について大体反対です。これをやるには収用法をかけなければいかぬとか、何が起こるとか言いまして、奈良辺でそんなことをやったら、全部反対されます。(八木(一)委員「賛成するところはあるのです。それは、だいじょうぶです。」と呼ぶ)賛成されるところは、適当でないところが賛成されるのです。まあ、あまりくだらぬことを申し上げて御無礼申しましたが、計画ができました上で、これらについては考える。ここであらかじめ御答弁を申し上げることはよろしくないと思います。
  87. 八木一男

    八木(一)委員 適当であるとかないとかいうのは、計画になりますが、とにかく適当なものがある場合も、これは十分あるわけですから、この「その他」の中には、工業都市、住宅都市というほかに、学術研究都市というものも包含をするという意味で、大臣が事務局を御指導願いたいと思います。いま具体的に不適当かどうかについては伺う必要はありませんが、学術研究都市を包含するという意味で、ひとつ最高命令で、事務局を御指導になっていただく、それはひとつ前向きの検討をいただきたい。
  88. 河野一郎

    河野国務大臣 大阪なり京都なりというところにありまする学校を動かす必要がある——研究機関はあまりたいしたものはないですが、あの学校を動かすような必要性が起こってきて、そういう計画近畿圏整備委員会において決定されるというようなことでありますれば、むろん考慮しなければならぬ、こう思います。
  89. 八木一男

    八木(一)委員 いまの質問に引き続き、次長その他の事務局の方に伺いますが、大臣は、いま学術研究都市について、具体的に一つ一つここが適当であるとかないとかということは、具体的な計画でやるけれども、この近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案については、この条項の中にある「都市開発区域の工業都市、住居都市その他の都市としての開発に資することを目的とする。」というところの「その他」の中に、住宅都市はもちろんでありますが、学術研究都市も入るということで、大臣は御答弁になったわけです。次長さんその他事務局の方は、そのつもりでこれに対処願いたいと思います。  いま河野さんは、いみじくも質問することの内容について少し想像されておりましたが、私の申し上げたいことは、もう一つの法律のほうにおいては、工場と学校、そういうものが過密地帯に建つことをブレーキをかける法律です。したがって工場や学校が追い出されるわけです。追い出されたら、今度それをつくるところを、受け入れるところをつくらなければならぬ。その受け入れのところで諸条件を整備するために、たとえば国有財産の譲渡をどうするとか、鉄道の設備についてあっせんするとか、不均一課税について国が対処するとか、そういういろいろなことをしなければならない。工場や住宅だけをするのではなくて、学校とか研究所についても受け入れ体制をつくらないと、アンバランスになる。いまの大臣の御答弁では受け入れるということで、けっこうでありますが、具体的にどんどん積極的に入れられるように、ひとつ政務次官はそういう点について積極的に御努力を願いたいと思います。次官から御答弁を……。
  90. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 ただいま御質問の点は、先ほど大臣の御答弁のとおり、ケース・バイ・ケースによりましてそれを処理していきたい、こういうように考えております。
  91. 八木一男

    八木(一)委員 いま大臣と次官の御答弁で、次長は、きっき言っておられましたが、そういう点で積極的に進めていただきたいと思います。  その問題について、いまたとえば公立学校であったら地方税がないから、地方税の不均一課税の補てん部分関係ないじゃないかという御議論はあろうと思います。しかしながらまた学術研究所や何かをつくった場合に、それにからむ住宅、その従業員の住宅、そういうようなものについては、そういうものが整備されなければ、そういうような学校あるいは研究所が発展をしない。そういう点については、不均一課税に対する補てんという問題が必要であろうと思います。交通機関の整備についての資金のあっせんも必要であろうと思います。国有財産をそのような研究所あるいは学校に使わせるという点について、国有財産の払い下げに関する条項はもちろん必要であります。そういう点で、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。  学校が町のまん中にあることはよくありません。また研究所は、大きな町のまん中のほうが便利なものもありますけれども、基礎的な研究、あるいはほこりがちょっとでも入ってはいけないというような精密機械の研究、こういうものは、少し距離が遠くても、空気の清浄なところでやらなければならないものが多いわけです。先ほど、奈良県にはないというふうに、河野さんは認識不足のことを言っておられましたが、奈良県は奈良市だけではない。山の向こうに丘陵地帯があって、そのような学術研究都市としてものすごくいいところであり、今度の建設省の道路計画で、大阪なんかとも非常に連絡が便利になって、そのようなところに適地があるわけであります。その他、滋賀県にも京都府にもおありになると思います。そういう点について積極的に対処されることを、次官から前向きにお答え願えましたならば、あとの質問は保留して、一応これでやめさせていただきたいと思いす。
  92. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 ただいまの再度の御質問でありますけれども、ただいまの御質問の内容は、各省にも関係がございますし、建設省が主導権をとりまして、善処いたしたいと思います。
  93. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 西村関一君。
  94. 西村関一

    西村(関)委員 私は、本日、大所高所から大臣に質問したいと思っておりましたが、大臣がお帰りになりましたので、次の機会に大臣に質問をいたすことを保留させていただきたい。委員長におかれましても、また理事会におかれましても、ぜひこの点を御考慮願いたいと思うのであります。  私は、本建設委員会におきまして、前に水資源の問題のときも、また河川法の改正のときも、本建設委員会にまいりまして質問をいたしましたが、いずれも河野大臣に直接お伺いをする機会がなかったのであります。これは、大臣の御都合や、質問をいたします委員諸公の都合からそうなったのでありますから、そのことについてはやむを得ないと思いますが、ぜひ次の機会に、近畿圏整備法付属二法について、大所高所から大臣にお伺いをいたしたいということを希望いたしまして、きょうは若干のことを、次官並びに事務当局にお伺いいたしまして、早く切り上げたいと思います。  まず第一は、近畿圏整備法が昨年の六月十四日に本院を通過するにあたりまして、附帯決議がなされております。これは御承知のとおりでございまして、五カ条の附帯決議がなされております。なお、参議院で可決されるにあたりましても、三カ条の附帯決議がついておるのでございます。この附帯決議の中に、「京阪神地区の都市整備と外廓地区地域開発を併行的に促進し、近畿全域にわたる均衡ある発展を図ること。」といことで、均衡ある発展をはかるということ、また参議院の附帯決議には、「地域格差の是正に努めること。」というふうになっておりますが、この付属二法の中で、それがどのように配慮されているか、そういうことをまずお伺いいたしたいと思います。
  95. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 近畿圏整備法の中で、すでにもう近畿圏整備基本方向がきまっておるわけでございますが、その基本方向におきましても、そうした考え方が出ておるわけであります。すなわち、既成の大都市区域につきましては、産業、人口の集中を排除してできるだけその既成都市内になくてもよろしいような工場とか学校というようなものが外に出る、近郊整備地区なりあるいはその外周部の開発地域にそういうものを誘導する、こういう方向によりまして、近畿全体の均衡ある発展をはかるようにしようという基本方向が打ち出されておるわけであります。外周部における開発区域整備開発ということによりまして、そうした大都市圏に集中するということのないように、片ちんばにならぬようにというようなことが考えられておるわけであります。
  96. 西村関一

    西村(関)委員 なぜ冒頭にこういうことをお伺いするかと申しますと、大臣がおられませんから、大臣がおられるときに直接聞いたほうがいいと思いますが、次長もその場に出席しておられたから、その間の事情もおわかりだろうと思いますから、次長にお伺いをいたしますが、昨年の九月二十一日の審議会の初会合が大阪で行なわれました。その初会合のときに、先ほども問題になっておりますように、審議会は二回しか開かれていないのですが、その最初の顔合わせの第一回の審議会の席上におきまして、河野大臣、というよりは本部長は、次のような発言をしておられるのであります。近畿整備目的については、周辺や奥地の開発地域格差の是正に主目的があるのではなく、大阪など過密地区整備目的である、こういう発言をしておられるのであります。  もちろんその大臣が言っていることの重要性は私は認めるにやぶさかではございませんが、しかしあえて周辺や奥地の開発地域格差の是正に主目的があるのではないということを、なぜことさらに言われなければならなかったかということについて、私はその真意を伺いたい、こういうふうに思うのでございますが、次長はその場におられたでしょうから、そのところのいきさつについて伺えればけっこうだと思います。
  97. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 正確な発言の内容は覚えておりませんけれども、私が記憶している範囲におきましては、大臣は、近畿圏整備というものは首都圏整備とは本質的に違う。すなわち首都圏におきましては、東京というものを中心にしてものを考えようということでありましたけれども、近畿圏におきましては、二府六県全体がバランスがとれる、従来の大都市圏だけを中心にして考えるというものの考え方ではないのだということを明白に言っておられたわけです。私はその面において、いまのお話はちょっと違うのではなかろうか、私の記憶ではそう考えております。
  98. 西村関一

    西村(関)委員 新聞の誤報ということもございますから、私はその場に居合わせなかったのでございますから、いま次長からそういう御答弁があれば、それを信用する以外にないと思いますし、また、大臣の本委員会におけるところの御答弁の状態から考えましても、いま私が取り上げておりますような点、そうしてまた本院の附帯決議の精神をじゅうりんするようなお考えでないということもうかがわれるのであります。しかしそういうことが活字になって出ておりましたから、私はあえて伺っているのでありまして、これは第一回の審議会の記録というものがちゃんと残っているはずですから、こういうことをここに問題として出しました以上、一応正確にいたしますために、第一回の審議会の記録を本委員会に御提出を願いたい、その全部でなくてもいいですが、そのことに関する記録を御提出をいただきたいということを、委員長にお願いをいたします。  次の問題に移りたいと思いますが、衆議院の附帯決議の第一に、「整備計画策定に当っては、地方自治の本旨に則り地方自治体の意見を十分尊重すること。」というふうにあります。先ほどから触れております近畿の総合開発近畿は一つという観点に立って、どのような地域差の是正につとめようとしておられるのであるか、近畿圏全体の中におけるところの個々の地域の特殊性、またその特殊性に基づくところの具体的な開発、そういうことにつきまして、地方自治体の意見を十分尊重しろということが、附帯決議の第一の趣旨であったと思うのでございますが、これはぜひ委員会等を通じて、そういう点を事こまかに具体的に議論をせられまして、そうして具体的な計画がなされることだと思うのですが、まだ事業計画も出ていない今日でございますから、こういうことを聞くのは無理かもわかりませんけれども、附帯決議のこの精神が、本付属法案の中においてどのように生かされているか、また生かそうとしておられるか、そういう点について次長の御見解を伺います。
  99. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 近畿圏整備計画は、これからだんだんと策定いたしていくわけでございますが、この策定にあたりまして、この本法の諸規定にもございますように、関係した地方公共団体の意見を聞く、あるいは審議会意見を聞く、それぞれの方法を講じまして、十分地元の意見を反映するような仕組みになっておりますので、私ども整備計画を具体的に個々に策定して、それをきめていくという段階におきましては、十分地方自治体の意見を反映させるというふうに運用してまいりたいと、こう思っております。  また、今回の整備開発法におきましても、その開発計画というものが十分地元の意見の上に立脚するものであるように、関係の機関と十分打ち合わせをする、はかるというふうな手続を踏んでおるわけでございます。
  100. 西村関一

    西村(関)委員 そのことに関しまして、たとえば計画を効率的に推進するために、団地造成の施行者に、民法第三十四条の開発公社を認められたいとか、地方自治法第二百九十八条によるところの地方開発事業団については、一つの地方公共団体でも設立できるように、法の改正を早期にはかってもらいだいとかいう意見が出ておるように聞いておりますが、これにつきまして、近畿圏整備本部ではどういうふうに考えておられますか。
  101. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 工業団地造成事業の施行主体といたしまして、この法律では、日本住宅公団及び地方公共団体、府県、すなわち市町村あるいは地方自治法上の開発事業団というものを予定しているわけでございますが、現地における審議の過程におきましては、いわゆる民法法人でございまするところの協会であるとか公社であるとかいうふうなものを、公共団体と同じように工業団地造成事業の施行主体にしたらどうか、そういう方向でひとつ検討してみてくれという御要望がございました。そこで私どもといたしましても、各省との折衝の過程におきましては、そうしたものを施行主体に加えるということで折衝したのでございますけれども、ただいまの段階におきましては、そうした民法法人というものを、すなわち収用権の主体とするというふうなことにつきましては、なかなかむずかしいという問題がございまして、将来そうした民法法人が自治法上の、あるいは一定の公法上の例に乗るという字句が入るようになるということを希望いたしまして、それまでは待とうということで、今回は、それらの施行者を主体にするということにつきましては、見送った、こういうわけでございます。
  102. 西村関一

    西村(関)委員 私は、この法案を作成せられるときの関係各省との連絡協議等の結果、こういうことになったということもわかるのでありますし、またこういう声が妥当かどうかということについても、私は自分の意見を申し述べていない。こういう声があるということ、それは十分にその声を聞いて、これを尊重して折衝しておるが、今回は見送ったということのようでございますが、しかしある県では、県がうらはらの関係において、開発公社をつくっているところもあることも御存じのとおりでありますし、開発公社、裏を返せば県、地方自治体という形で事業をやっているところもあることは御存じのとおりでございます。そういうところから、開発公社がこの団地造成の施行者になれないということになるというと、根本的に県の方針を変えていかなければならないというきわめて卑近な、具体的な問題が引っかかってくると思うのでございますが、そういうような点。また、お答えがございませんでしたが、地方開発事業団につきましては、一つの地方公共団体でも設立できるようにしてもらいたい、こういう要望があるのでございますが、私はこれがいいとか悪いとかいうことを申しておりません。こういうことに対して、現在の法案ではそうはなっていないということも承知いたしておりますが、今後の考え方として、そういう声があり、そういう実情がある、これをどう処理するかということを、地方自治体の声を十分に尊重するという附帯決議の精神から、これをなおざりにすることはできないと思いますので、その点につきまして、いま次長からは事務的な御答弁がございましたが、政務次官の御見解を承りたいと思います。
  103. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 地方自治体の本旨にのっとりまして、地方自治体の円滑なる運営をはかるという意味におきましては、ただいま仰せのとおりの諸条件を充実させなくちゃならないということは、お説のとおりでございます。ですから、これは私といたしましては、やはり運営の問題でございまして、今後そういうケースによりましては、われわれといたしましても、でき得る限り前向きの姿勢でいくことが必要じゃないか、こういうふうに考えております。
  104. 西村関一

    西村(関)委員 どうもいまの次官の御答弁は、少し私には明確に受け取れないのでございますが、運営の面だけではなくて、実際にこの法案国会を通過して成立いたしました場合に、ある県では県の開発公社を持っている。これがこの法案によるところのいわゆる団地造成の施行者になれないということになると、県のやっている開発公社というものは浮き上がってしまう。それはそういうものでなくやればいいということが言われるでしょうけれども、現実にそういうものをつくっている。それはいい悪いは別の問題です。社会党としても公社については意見がございますが、そういうことはいまここであげるつもりはありませんけれども、しかし現実にそうなっているということについて、これに対して、ただ運用の面だけでなくて、今後この法案の審議の過程において、あるいはまた将来において、こういう点に対する処理をどういうふうにしていったらいいか。運営の面だけでなしに、一応政府が責任を持って提案していられる法案でございますから、政府のほうから、そういう実情に即したように直していこうといったようなことは、もちろん言われないことはわかり切っておりますが、将来の問題として、あるいはまたそういう議論が委員会で出た場合において、それらの点について、実際困っている県の実情を、どうこれに対処していくべきであるか、こういうことを考えてもらうことが、やはり行政の責任にある政府としての立場ではないかと思いますので、あえて政務次官の御見解をもう一度お伺いいたしたいと思います。
  105. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 確かに、現在近畿圏ばかりではなくて、各県にもそういうふうな姿はございます。これが今回の改正によりまして、どういうふうに併用していくかということは、これはもちろん建設省側の意見ばかりではなくて、やはり自治省との関係もございますし、早急にこの問題はひとつ解決しなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに考えておりますので、仰せの線に従いまして、省とも折衝をひとつしてみたい、こういうふうに考えております。
  106. 西村関一

    西村(関)委員 工業用地の造成に関しまして、都市計画の条件の一つに、「近郊整備区域又は都市開発区域整備開発の中核となるべき相当規模区域」というふうに言われておりますが、この相当規模区域というのは具体的にどの程度のものを考えておられるか、またどの地域を考えておられるか、もしそれらの点について計画が具体的に熟しておりますれば、この機会にお述べをいただきたいと思います。
  107. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 工業団地の規模でございまするが、これは工業団地が、結局そうした近郊整備区域ならば、その市街地開発の目になる、あるいは開発地域でありますならば工業都市の目になる、こういうふうなところでございます。したがいまして、その規模というものは、首都圏におきましては、現在のスタンダードといたしまして、十五万坪以上というふうな標準をきめております。したがいまして、近畿圏におきましても、大体同じようなスタンダードで考えていいのではなかろうかと思っております。現在までの各地方で進行いたしております宅地造成あるいは工業団地造成、そうしたものが、そういう規模あるいはそれ以上の規模で行なわれておりますので、そういうことで進んでいいのではなかろうかと考えております。
  108. 西村関一

    西村(関)委員 整備法の中の整備計画、八条から十条までに定められておりますが、基本整備計画及び事業計画がまだでき上がっていない。これはまだ本法が施行されてから一年そこそこですから、そういう一年ほどの間にコンクリートな整備計画事業計画が出されていないということも、私はやむを得ないと思いますけれども、この整備計画事業計画というものが全部この付属法案にかかってくる問題でございますが、これはいままでの本委員会の審議の過程において御答弁があったことだと思いますけれども、大体いつごろまでに、計画のめどとして、整備計画なり事業計画をお出しになる御予定ですか。
  109. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 ただいままでの整備計画立案の事務的な進捗状況といたしましては、基礎的な調査をずっとやっておりまして、さらにこの基本整備計画におきまして根幹になる基本方針をまずきめなければならぬわけでございます。そこで、この基本方針をこの夏ぐらいまでにきめたい。それに引き続きまして、区域指定に関すること、さらにはまた広域根幹の主要施設計画というものをこの秋ぐらいまでに打ち出したい、こういうふうに考えておりまして、ただいま事務当局でその原案を練っておるわけでございます。
  110. 西村関一

    西村(関)委員 先ほどから同僚委員の質問に対するお答えの中においても明らかでございますように、専門委員会が中心になってやっておられるということで、審議会はあまり活発になされていないというふうに受け取られるのでございますが、専門委員会というものは審議会の付属の補助的な機関であって、やはり審議会が中心にならなければならないと思うのでございます。予算等の関係もあって、そう再々お開きになれないという事情もわからないではございませんが、審議会の運営について、もう少しく前向きに審議会を活用なさるということが必要ではないか。そのことが、本院における本法に対する附帯決議の精神にも具体的に沿うていく一つの道だと考えるのであります。  それからもう一つは、今後審議会委員をおきめになる場合に、審議会の組織について——これは別の機会において私も質問をしたと思いますが、財界のウェートが非常に大き過ぎる、財界中心の審議会であるというきらいがあるでのあります。もちろんその中には地方の首長とか議会関係の者とかいうものも入っていないわけではございませんが、しかしウェートが財界に置かれておる。これでは地方の問題あるいはまた特に地方にある勤労者、労働者、農民を代弁する力が非常に弱いということを私は感じておるのでございますが、審議会の組織運営について、この附帯決議の精神に沿うように、今後配慮せられる必要があると思いますが、その点、政務次官いかがでございますか。
  111. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 御承知のとおり、審議会の総員は四十三名でございます。その中で、先ほど仰せのとおりに、地方公共団体の代表の方々、地元の関係いたしまする団体の代表の方々、また議会の代表の方々、こういうふうに取りまぜてみますと、学識経験者、財界というものは六名以内ということになっておりますので、お説のような前向きの姿勢で慎重に人選をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  112. 西村関一

    西村(関)委員 附帯決議の三に、「国は整備計画に基づくところの事業の推進を図るため、事業予算の確保に努めること」とございます。また四には、「整備計画に基づく事業の実施に伴う産業の振興に資するため、日本開発銀行地方産業振興資金の活用に努め、要すれば新たに増枠の措置を講ずること」ということがございます。この附帯決議の趣旨にのっとりまして、新しい都市づくり、団地造成等、企業の受け入れを円滑に実施してまいりますための財源の裏づけと地方債の増ワク、これを開発銀行等からの金融のあっせん並びに税財政上の諸措置が必要ではなかろうかと思うのでありますが、この点に対してどういうことを考えておられるか。  それから第二の点は、先ほど八木委員が触れられましたように、地方税の均一課税に伴うところの措置につきましての規定がございますが、さらに不動産取得税だけでなしに、事業税の問題あるいは固定資産税の問題だけでなしに、事業税についても認められたいということが、地方税の補てん率、他の開発促進法令、たとえば新産都市建設促進法の場合と同等もしくはそれ以上に考えてもらいたい、こういう声が地方からあることも御承知かと思いますが、こういう要望に対しまして、どのようにお考えになっておりますか。
  113. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 前段の事業予算の確保、並びに産業資金の活用という問題についての努力につきましては、私どもといたしましても、できるだけ早く根幹になる整備計画つくりまして、そして来年度予算からでも反映するということで、せっかく鞭撻をしてやっておるわけでございます。計画を決定する段階におきましては、来年度の予算の裏づけができるように、関係各省とも十分連絡をとって、これが実現されるという方向で努力してまいりたい、こう思っております。  後段の、地方税の不均一課税に伴う措置でございまするけれども、これにつきましては、不動産取得税及び固定資産税に対する不均一課税のほか、低開発法におきましては、地方税に対する不均一課税の措置も考慮されておりますけれども、この近畿圏における開発地域につきましては、大体現在の新産都市法と同じようなレベルで考えるということで、不動産取得税と固定資産税だけについての不均一課税の措置を考えられているわけでございます。これをさらに、低開発と同じ程度に考えてほしいという御要望でございますけれども、現在のところは新産並みというところまで来ている、こういうことでございます。ただし、近畿圏内において、すでに低開発法によって指定されたその地域に対する低開発法の適用につきましては、これは当然でございまして、本法によって打ち消されるということはないわけでございます。
  114. 西村関一

    西村(関)委員 大臣に対する質問を保留いたしまして、これで私の質問を終わります。
  115. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 吉田賢一君。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一に地方自治の本旨と、この法律の施行の関係を伺ってみたいと思うのです。  その前に、この法律母法であり、本法である近畿圏整備法とこの法律につきまして、たとえば近畿圏の場合でありますると、第一に母法の二条三項によりまして、既成都市区域政令委任となっておるのであります。そこで既成都市とは何かとなれば、京都市、大阪市、神戸市と連接都市の区域内を指定する、こういうことになるのであります。このような重要な地方自治体の行政区域政令指定するということは、地方自治の本旨にもとるのではないか、こう思いますが、その点はいかがですか。まず第一に建設大臣から聞きたいと思いましたけれども、次官から……。
  117. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 本法のねらいは、ただいま御指摘のとおり、均衡ある発展並びに特に地方自治の本旨に従ってということがうたってございまして、先ほどの御質問のとおり、これを指定して、しかも地方自治を害するということも形式的には考えられると思います。しかし、あくまでも地方自治の本旨に従いましての法律の運営でありますので、この点は御心配はないだろうと、実は考えている次第でございます。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 憲法第九十二条には、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」だから二つの要素がありまして、一つは、地方自治の本旨に基づくこと、一つは、法律によって定めること。その内容たるや、地方公共団体の組織、運営に関する事項、こうなっておりますので、これはやはり地方自治の本来の問題を規定したものと考えるのであります。さすれば、地方自治の本旨に従ってなるべく運用したい、こういう御趣旨は一応わかると思うのでありますけれども、本旨に従うだけでなしに、法律規定しなければならない。したがって、よしんば本旨に従っておりましても、政令、その他訓令、通達等によってこれを左右すべきでないということは、解釈上大体一致しているらしいのです。そこに問題があると思うのです。あなたの、本旨に従って、ということは一応了承いたしましても、なぜこれを法律規定しなかったのか。ここに一つの根本的な錯誤が、次々と政令委任がまた起こってきている。これは、御承知と思いますが、しばしば河川法の改正なり土収法の改正で、政令委任が続出している。この傾向は、中央集権的あるいは官治的な、官僚主義的な傾向を助長する危険があります。地方自治は、申すまでもないことでありますけれども、民意を尊重するということが主眼だろうと思うのです。民意が低ければ、自治精神が乏しければ、これを啓発することがほんとうである。それがなければ、民主政治なんというものは成長しない。めんどうくさいから切ってしまえというおそれがあると思うのです。そこで伺っているんです。これは、自治省の行政局長の御意見を伺いたい。
  119. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方自治の本旨につきましては、いろいろな説明のされ方がなされておるわけでございますが、通常いわれておりますことは、地方自治には二つの要素がある。一つは住民自治、一つは団体自治。住民自治と申しますのは、その地方の行政を地方住民の意思と責任に基づいて処理するという考え方でございます。団体自治と申しますのは、国から独立の法人格を持った地方公共団体が、できるだけ国の干渉を受けないで、独立的に地方の行政を行なっていく、こういう方法でございます。  そこで、住民自治、団体自治と申しますが、本質的には、住民自治ということが地方自治の本質的な要素であろう。くだいて申しますならば、民意によって行政を行なっていくということが本来の性格であろう、かように私どもは理解をしております。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 尋ねておりますのは、その次の、これを「法律」という一つのある形式の手続を必要とする。この点が主になるわけでありますから、その点についての御意見を聞きたい。
  121. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と憲法にございますのは、御指摘のとおりでございます。そこで、地方公共団体の組織、運営に関する事項法律で定めなければならないということで、現在地方自治法その他の法律があるわけでございまするが、その法律の中で、細目につきまして政令委任をするということは、これは差しつかえないものと考えております。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 細目とか、あるいは手続とか、そのような必要事項は、内閣法の十一条によっても明確になっております。細目ではなくして、少なくともここに国民の、住民の権利義務に重大な関係のある、たとえば工場等制限地域の設定ということにもなりますし、あるいはその他の幾多の権利義務に関係する、既成都市区域というものの設定になりまするので、細目とか手続ではございません。細目、手続ならば私は議論しないのです。そのような根本的なことでありまするから、たとえば京都府のある地点からある地点までを、これを近畿整備既成都市区域に入れるというようなことは、ともかく住民にとりましては重大な生活、利害等の関係が公私ともに発するわけでございますので、そのような基本事項につきましては、これは明確に、憲法等によっても、法律に基づくことを要請しておる。これについて、やはり自治省の行政局長立場ですから、明快に、態度、御意見は表明してしかるべきだと思うのです。
  123. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私、この近畿圏整備法は所管の法律でございませんので、詳しく研究をいたしておりませんが、「既成都市区域とは、」云々と書いてございまするが、この区域につきまして、大阪市以下具体的に都市の区域規定されておるわけでございまして、その中で、ここに掲げてありますような要素を持った区域を、政令委任いたしておるように考えられまするので、差しつかえないのじゃなかろうか。ただ問題は、先生の御指摘になりますように、この区域に対して、地方公共団体の権能というものについてどの程度の制約を加えることになるかという一その規制の内容に、むしろ問題があるのじゃなかろうかと思います。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国民の権利義務、利害にどの程度の制約が加わるであろうか。そこで、そのようなおそれもあるし、またそのような関係にあることは当然でありまするので、そのような一線を画してある地域指定するというときは、政令で定めることは少なくとも穏当でない。少なくとも、やはり地方自治の本旨を法律の手続で守ろうという、大きな自治の精神に矛盾するのではないか、こういうふうに考えるので、御質問したのでありまするが、この点ひとつ重ねて次官の御意見を伺いまして、ほかへ転じます。
  125. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 ただいまの御質問でありまするけれども、いろいろただいま先生の言われたとおり、憲法に規定してあります法律事項、こういうふうに解釈されまするけれども、その範囲内において、やはり法律の精神にそのままのっとりまして、住民の意思でありまする本旨にもとらないように、区域指定する、こういうふうなのが、今回の本法の行き方じゃないか、こう考えておりますので、私の考えからいたしまして、仰せのとおりの御非難はないのじゃないか、こういうふうに実は考えております。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは、その後命令が国民の権利義務に何らの被害も及ぼさなかった、結果的によい命令であった、ということは問題じゃないのです。やはりそういうことの結果いかんにかかわらず、法律規定すべきものは法律によるというふうにしなければならぬというのが、大上段の筋なんですから、どうして一体筋を通さなかったのか。そこで、その筋を通さないから、その後のいまの政令内容もまだきまらない、こういうことになってくるわけであります。だから、政令内容などもきまらないのに、さらに次に発展するところの整備計画だとか工場制限法が次々と出ていくということになりまするので、本末逆になってくる危険が生じるのであります。やはり筋を通して、秩序を立てて、当初法律で明記していくということになりましたなら、すでに発効後やや一年に達しようとするときに、このような政令とかないしは指定などはもうすでに行なっておらねばならぬ。手続のことはいろいろだんだんとお聞きしますけれども、どうも私は納得しがたいのであります。  転じて伺いますが、しばしば出てきますが、総理大臣指定とは、これは一体どういう法律上の行為になるのですか。
  127. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 都市開発区域及び近郊整備区域につきましては、整備審議会意見を聞いて、内閣総理大臣指定する、こういうことになっておりまするが、内閣総理大臣指定は、内閣総理大臣の告示という形で官報に公告される、こういうわけでございます。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますると、これはやはり、一つの政令よりももっと弱い行政行為あるいは行政処分、こういうふうなものだというふうに理解すればいいでしょうか。この点、次官、いかがでしょう。
  129. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 総理大臣指定でありますので、効力には甲乙はないと判断せられます。
  130. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一体、総理大臣指定するというのは、そうしますると、これは総理大臣みずからそれをなすというのか、あるいはその他の命令の形でもするというのか、指示という形でもするのか、それはどうなるのですか。
  131. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 近郊整備区域なり都市開発区域というものの指定なり、あるいは近畿圏整備計画というものの決定につきましては、すべて審議会意見を聞いて、そして内閣総理大臣が決定する、こういうわけでございまして、その決定の対外的な効力を発揮させるためには、総理府令の定めるところによって公表する、すなわち告示するということで対外的な効果を発揮する、こういうことでございます。
  132. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題はどうもちぐはぐの答弁ばかりになりますので、まことに残念でありまするが、当初の既成都市の区域政令、それからまた近郊整備区域指定、ないしは都市開発区域指定、こういうことに一連の関連を持った手続上の大きな根本的疑問になるわけなんであります。したがいまして、この疑問を解明するためには、一体その行為の性格なりないしはその効力なり、そういうものを明らかにしないから、手続がおくれてしまうのです。手続がおくれるということは、国民の権利義務にも重大な利害関係があることは当然なんです。だから工場、学校等の制限にしましても、地域開発にしましても、世の中は激しく動いておるのですから、この激動の中であるものを設定していこうというのでありますから、時間も空間も、いろいろな変貌をどんどんと呈しつつあるときなんです。こういうときに、この性格が明らかになっておらぬものだから、これが、政令も手おくれになるし、指定もおくれてしまうし、したがいましてその範囲がまだばく然として明らかにならぬ、こういうことになるわけだと思うのです。この点につきまして、ひとつはっきりとそのお尋ねする趣旨と、しからば、そうではなくて、いまこのような予定もあるというようなことで、こういうような範囲で、ということをお述べにでもなって、せめてこの問題に対する誠意のあるところをお見せ願いたいと思うのです。
  133. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 既成都市区域なり、近郊整備区域なり、都市開発区域というふうなものを、どういうような線を引いて、どこでどのような規模できめるかということにつきましては、計画内容とも関連するわけでございます。したがいまして、そうして計画内容がきまりました上で——問題は、この範囲近郊整備区域を確定する、この地域について、この規模開発区域を設けるというふうな内容計画がきまりましてから、初めて審議会にかけて、それによって一つの図面の上での区域というものが公表できるわけでございます。そうしてまた、総理大臣告示というような形で公表されるわけでございますが、まだその段階に至っておらないということで、その告示が、なされておらない。告示がなされるときには計画がなされる、こういうことでございます。しかしながら、既成都市区域につきましては、現在まず一番、目になると申しますか、京阪神大都市のこの区域の既成都市をどうとるかということは、続いていろいろな近郊整備区域とかその他の問題に関連する一番根本でございますので、この既成都市区域範囲につきましては、現在検討し、近くきめるという段取りをいたしております。  なお、既成都市区域とは、大阪市、神戸市、京都市の区域並びにこれに連接する都市の区域のうち、人口、産業の過度の集中を防止する必要がある市街地区域ということで、政令で定めるというふうに言っておりまするが、この連接する都市につきましては、大阪湾沿辺の大阪神戸を連構いたしますところの芦屋市、西宮市、尼崎市、大阪市の周辺につきましては、守口市、布施市、堺市というふうなところを連接する都市として考えて、その中でどういうふうにまた制限区域をしぼるかということについての検討をいたしておるわけでございます。これらのことにつきましては、すでに先ほど来、地元の意見を十分聞くようにというお話もございましたが、これらの政令が、こうした連権する各都市を——各都市というものは、こういうのであるという前提のもとで、いろいろと制限法のほうも十分御審議をいただいたわけでございまして、御了承をいただいておるわけでございます。
  134. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 近畿に例をとりましょう。近畿圏整備本部、そうしてその長は本部長のようでありますが、近畿整備本部というのは調査機関なのか、行政執行機関を兼ねておるのか、これは一体どういう行政庁になるのですか。
  135. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 近畿整備本部の所掌事務は、第四条に規定してございますとおり、近畿圏整備計画立案及びその立案のため必安な調査、第二号として、近畿圏整備計画の実施に関し各省関係の連絡調整、その次は、近畿圏整備計画の実施の推進、その他近畿圏整備計画に関する内閣総理大臣の権限に属する事務を処理するということでありまして、近畿圏整備本部の所掌事務は、昨年法律が成立いたしました段階におきましては、こういう範囲で所掌事務が行なわれておるということでございます。
  136. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、さっきの地方自治の本旨との関連にまたなってくるのですが、この四条の四号は、近畿整備計画に関しては総理大臣の権限事務を処理する、こういうことになっておるわけです。一体、総理大臣の権限事務といったら、これは内閣の首班でありますので、行政府の最高の権限を保有いたしております。といたしますると、それが整備計画に関する各般の事項を、総理大臣の所管事項である限りは処理し得るのでありますから、これは何をさすのですか。もしこれをかなり広く解していきまするならば、おそらくこれは自治の長の上にあぐらをかく危険があります。首長は御承知のとおりに選挙によります。議会も選挙によります。一切がこれ人民の選挙によってできておるのが日本の自治体の本旨であります。ところが、人民の手が届かないところの任命された役人が上にどっかとすわって、そうしてその地域範囲内において、相当な広範囲の権限を実施するということになりましたら、これはたいへんです。だから、その傾向は相当考慮して進んでいかなければ、これはすでに母法はできておりますので、やはりすでにおそしの感がございますけれども、しかしあらためて提案されました二つ法案は、その中身として相当重要なものですから、だからそれを実施する上におきまして、総理大臣の権限行使ということがかなり大っぴらにやられる場合には、相当慎重に、そうして民主政治と自治の本旨を守るという線がくずされては困ると思いますので、伺っておるわけです。
  137. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 第四条の「近畿圏整備計画に関し、内閣総理大臣の権限に属する事務を処理する」、この内閣総理大臣の権限というのは、何でもかんでも全部という、内閣の首班としての権限という意味ではございませんで、総理府の主務大臣、行政府の長という意味での内閣総理大臣でございます。したがいまして、総理府のこの近畿圏整備本部にどういう仕事をあてがうかということは、それぞれの法律に書いてございまして、その大もとと申しますか、その大部分は、近畿圏整備法に書いてあるわけでございます。この法律範囲内で、内閣総理大臣に権限をゆだねられたということ以外に逸脱して、近畿圏整備計画に関して、何でもかんでも口出しするということはございません。
  138. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、本法案は、近畿圏整備法という母法とともに、大体目的とするところは総合計画にあるようであります。  ところで、この近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律によりますると、これははなはだしく一部の問題に限っておるのではないかということに大きな矛盾を感じております。たとえば、工業団地の造成ということに限定しておるようでございます。しかしながら、地域整備の問題を考えてみましても、この地域整備計画は、都市の開発というものは、工業団地の造成等に限定することはきわめて危険な考え方でございます。したがいまして、この点につきまして、一体なぜこのような狭い範囲でこれをきめたのであろうか、さらに次々と第二、第三と広範な地域整備ないしは都市計画法律案を用意するおつもりでもあるのだろうか、この辺について、まず伺っておきたい。
  139. 八巻淳之輔

    ○八巻政府委員 この整備開発法のほうにおきまする、近郊整備区域の建設計画、あるいは開発区域の建設計画というものの内容といたしましては、この第四条に定めてございますように、その区域の全体の土地利用というものの計画、そしてまたその中身の——土地利用の全体の間取りというものをどう考えるかという間取りの計画と、その中身におけるいろいろな施設整備に関する計画というものに分かれておるわけでございまして、工業団地をつくるだけの計画ではございません。その全体の区域整備、全体の計画の中で、工業団地を造成するためには、一定の強権力と申しますか、権限を与えなければならない。こういう意味で、工業団地造成事業について、第一章でいろいろな規定があるわけでございますけれども、工業団地造成以外のものは、その計画の中で総合的に計画されるというふうに御理解いただきたいと思います。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 工業団地計画のみにとどまらず、さらに発展して幾多の計画が予想されるようでありますが、そうしますと、ますます事重大でございます。たとえば地方とか地域とかいうもの、もしくは都市を含めました地域におきましては、産業におきましても、農業もあるし漁業もございます。こういった整備はどうなのか。あるいはまた商業等の流通機構はもちろん重要でございます。あるいはまた学校教育などの機関も重要であるし、ないしは病院とか、保健施設とか、各種の上下水道から福祉施設、あるいは生活環境のあらゆる施設から、交通におても道路もあろうし、港湾整備もあろうし、ないしは空路もあろうし、といったようなことを伴いますが、こういうことになってきますと、全然これは実体的な広域行政の権限を掌握するということになる、ということになりますと、やはりさっきの地方自治との関係において私が指摘しましたごとく、これは府県の統合とかいう思想との関連も生じてまいりますし、また憲法問題にも入ってくる。ただし工業に片寄るというのでは、これは整備にも都市計画にもならぬ。工業だけでなるというようなことは、そんなことはナンセンスでございますことは申すまでもございません。いま如上私が申しましたような点だけでも、これはきわめて重要であって、同じ整備をするなら、また総合計画という以上はそこまで内容を持たなければ総合にならぬです。片手間でちょっと思いつきでぽつりぽつりやるべきものではございません。そんなことはいたずらに地方を混乱させますから、だから今後幾多の議論を生んでくるわけでございます。でありますので、きわめて重要でありますが、一体ほんとうに、いま申しましたように、地域整備、都市完成、開発ということを、このような内容を持った広範なものにまで発展さすべきものか。そこまで考えておるのかどうか。これは広域行政への発展となる議論もあるかどうか。この点について、これはひとつ次官述べてください。
  141. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 ただいまの御質問は、本法近畿圏整備法、昨年成立させていただきましたこの法律の第一条の目的の、総合的計画というのに関連いたしましての、いろいろな事業計画に対しまする地方自治との関連についての御質問のように実は承りますけれども、これは、地方自治の本旨に従いましてこれを実行していくという線には変わりはございませんので、たとえば、この事業策定に対しましては、地元の公共団体、特に直接利害関係のあります公共団体の意見を徴して、これを実行していくということが出てきておりますが、差しつかえないと思いますので、ひとつ御了解を願いたいと思います。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 公共団体の意見を徴す徴さぬにかかわらず、それ自体が広域行政への発展性はないか、こういうふうな言い方をしておるわけです。そしてこのような内容を持つとするならば、これはたいへんな計画であります。これはたいへんな計画で、全く都市並びに府県を併合してしまわなければ、とうてい実行はできないだろう。そして、ほんとうに均斉のとれた発展的な体制で整備することは不可能であると思うのです。なぜ一体この一部のへんぱなものの、工業整備計画というものが大きくクローズアップして、ここに新らしく法案になってきたんだろうかというように、私はふしぎにたえなかった。そしていま地方自治体とあるいは市長等との協議をしながら、意向をききながらやる。それは何べんも聞いておりますし、それ以上、あなたによって答弁を求めるといったところが無理らしい。根本計画だし根本思想だし、また本来の性格なんだから……。しかしそんなようなことでは、これは問題を幾らでも生んでいくし残っていくということだけは、はっきりしておいてもらいたい。さっきもだんだんと触れておりましたが、まだ私は納得できないことは、地方財政との関連であります。  申すまでもないことでありますけれども、最近、地方財政というものは断然情勢が悪くなっております。自治省の報告を待つまでもありませんが、三十七年度の地方財政の結論を見てみましても、これは都道府県でも二十九の赤字団体が出ております。市町村においては四百八十一の赤字団体を出しておるし、二百三十二の再建整備団体を出しておる。言いかえますと、赤字団体というのが、府県都市を通じまして、総体的に漸増の形勢にあるという実情であります。やはり地方自治というものを無視して、中央からおっかぶせにいくというような政治の傾向は、まことにこれは考えなければならぬ。全くそれは政治じゃないのです。事務屋のする仕事です。ほんとうの政治というものは、国民は何を求め何を悩んでおるかということを基底においてしなければだめだと思うのです。そこで一体このような計画を官庁組織が立てる、これはなるほど審議会意見を徴すということはありますけれども、審議会というものは、りょうりょうとして若干の代表が出ておるにすぎない。その手続たるや任命であります。でありますので、全体の民意を代表しておるとは必ずしも思えない。ききに一言触れたごとくに、いわば民衆の手の届かぬところでこれが計画されていきますので、そこで、地方財政の実態から考えてみましても、幾多の新しい負担が増加するということになりはしないか。その場合は起債を認めましょう、その場合は、東京へいってくるならば、補助金もやりましょうといったようなことがあるかもしれぬけれども、しかし起債は借金です。補助金を出すと言ったところが、補助金はやっぱり国民の税金です。というようなことを考えるならば、私はやはり地方自治は自治の立場を尊重いたしまして、なるべくその発展に大きな負担がかからないような根本的な考え方が、法案内容としても相当整備されていないといけないと思うのですが、どうも見渡したところ、そういうふうな配慮がされておりませんので、これはやはり足らなかったら中央で補ってやる、という思想があるのではないか、こういうふうに思うのですが、この法案が実施の暁に、いまのような広範な総合計画が立てられるとしましたならば、地方財政にどういう影響を与えるか、自治省といたしましてどうお考えになるか、行政局長、お考えを述べてもらいたい。
  143. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私は財政のほうは直接担当をいたしておりませんが、ただいま御指摘になっておられますように、この計画内容いかんによりましては、関係地方公共団体に相当な財政の負担増加をもたらすということは予想されるわけでございます。この地方公共団体に対する財政負担の問題と、先ほど来御指摘になっておられますように、地方公共団体が、自主的にその当該団体内の計画なり事業の執行をいたしてまいります場合に、地方自治の立場から、十分運用上配慮すべきではないかという御趣旨につきましては、私どもも同感でございますので、この法律運用につきましては、よく関係当局とも協議をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次官に聞きますが、法律の一条にもうたっておりますが、あるいは首都圏整備法自身にもうたっておるようでありまするが、首都圏区域、それから大阪を中心としました大都会の地域、そういったところに、日本全体から見ますと、財政がきわめて偏重しておるのではないか。財政の均斉のとれた全国的な配分ということが、財政の面から見ると、私は民主化であると思います。また、国民は同じように税金を払っておるのでありますから、東京だけに、大阪だけに、ばく大な経費を使うというような傾向はきわめて憂慮すべきことであります。だから、大阪においても、一メートル二千五百万円も出すような道路が計画せられておるのであります。東京都も赤字になっておる、こういうような状態でありますので、これら今後指定されるであろう地域整備をめぐりまして、なるべくそういったことを——最近財政が片寄って、地方が軽んぜられ、荷が重い、地域格差がその面からもだんだん拡大しつつあるという傾向を根本的に防ぐというような配慮、そういうようなことは、何かこの法案の中に出ているのだろうか、一々逐条審議をして、ほんとうは聞いてみたいのだけれども、どこをさがしても、そういう配慮が出てこない。この点は、一体、それはするというのもよろしいけれども、そうじゃなしに、法律のたてまえからずばっと、それをいよいよ不均衡にしないというような配慮が一体あったのだろうかどうだろうか、この点をはっきりしておいてもらいたい。
  145. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 確かに仰せのとおり、地方自治の窮乏並びに今後の地方自治のあり方につきましては、現在のいろいろなものを総合いたしましても、私たちといたしましては、これは大いに検討を要しなくちゃならない問題があるのではないか。ただいま御指摘のような、全般的な行政水準の向上であるとか、あるいはまた地域格差の是正であるとか、これはほんとうにうたい文句のように、私たち常に念頭から離れておりません。今回のこの法案は、いわばそういうふうな地域格差をなくそう。しかして地方自治の本旨にのっとってやっていこうというのがねらいでございまして、御懸念のような点は、今後だんだん改良されていくのじゃないだろうか、こういうふうに考えられるのであります。
  146. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点の趣旨が、法案に出ているところがございましょうか。
  147. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 今回の法案本法でありまする近幾圏整備法に、その目的がうたわれておりますけれども、この眼目に従いましての法案でありまするので、そういうふうに考えられるのであります。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと納得できないのですけれども、大臣に聞かなければしようがありませんので、この点の質問は保留をしておきたいと思います。  そこで、最後に伺っておきたいのですが、首都圏整備の事務局長、谷藤局長に伺っておきたいのですが、首都圏整備委員会において、第二国際空港を浦安に予定して、その線で調査を進めておるかどうか。  それから、あなたの委員会においては、羽田空港を貨物の集散空港にするというような意図があるのかどうか。  もう一点は、何か浦安にすることが、鉄鋼関係とか石油関係などの企業者側の希望があるというか、そういうことがあるのかどうか、この点を伺っておきたいのです。
  149. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 第二空港の問題でございますが、昨日の日経の夕刊にそのようなことを、首都圏委員会として検討しているというふうな書き方になって出ております。それは、実際には、第二空港そのものの問題につきましては運輸省の所管でございまして、ただ首都圏といたしまして、第二空港を、今後の空港対策につきましてどう処置すべきかということにつきましてのいろいろの注文がございます。注文と申しますのは、いろいろな交通対策上の問題、あるいはまた今後新しい飛行機ができますまでの間に、第二空港をつくっていただかなければならないというふうな問題がございます。ただ、現在の首都圏の交通計画からまいりますと、首都高速道路公団の都市内の高速道路及び臨海道路及び現在の法定計画になっておりますところの高速道路は、御承知のように、中央道、東名それから関越国道、東北道、こういうものが法定計画になっているわけでございまして、それらの交通計画と相関連いたしまして、できるだけ都心に近いところに選定していただきたいということは、航空局に対して申し上げておるわけでございます。ただ個々の場所につきましては、どの位置でなければならないというふうなことは、運輸省のほうに申し入れをしているわけではございませんで、ただ、こういう問題として考えた場合にはどういうふうな結果が生まれるか、というふうなことについての調査のお願いはしてございます。それは若干新聞の中にも書いてございますけれども、羽田空港をもしもやめるようなことがあった場合にどういうふうな使い方をするか、それから羽田を使わなければならないとしますならば、どういう位置が選定上やむを得ずにその位置でなければならなくなるかというような個々の問題を、実は質問という形でお願いしているわけでございますが、それがいかにも委員会の意見であるかのような形で新聞には出ているようでございまして、その点は、私のほうの事務局の考え方と若干違っているわけであります。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの首都圏整備委員会の計画第二部長井上健一という方がございますね。この方は航空審議会の専門委員となって、航空審議会の会長の平山氏の答弁によれば、専門委員全員一致、それから委員会全会一致の答申ができたということが答弁されております。また、すでにこの問題は政治問題化しております。当委員会におきまして、河野建設大臣は浦安に予定して進めたい、あるいは、運輸大臣は、決算委員会において、審議会の答申案で進みたい二つ意見がまっ二つに分かれて対立しているのです。ですから、その際に、事務当局の方が浦安説を運輸事務当局に申し込んで、しかして、これが石油とか鉄鋼とかの会社が希望しているようなことを理由に、新聞に記載されておりますので、いまお述べになったように、新聞の誤報であればたいへんけっこうだと思います。なすべき仕事が山積しているおりからでありますので、こういうことをあなたがおやりになったのかと思って、そうでなければたいへんけっこうでありますけれども、私は、やはり空港即空の交通の問題は首都圏ないしは近畿圏いずれにいたしましても、日本全体のきわめて重要な動脈的な交通の問題でございますので、事務当局としては、できるだけ慎重な態度をとられることを希望しておきます。  そうすると、新聞に首都圏側の意見としていろいろと書かれておりますことは、そういう趣旨ではなかったのですね。第一は、浦安の地盤のほうは、鉄鋼や石油会社から立地を希望しておる、そういう点から見ても心配はないという意味は、審議会のほうにおきましては、これは悪質などろでありますので、特殊な方法でもってしなければ埋め立てできないというのです。したがいまして、三十億円くらいかかるのですが、私は専門家でないから知りませんが、そういうことで、何か会社側がいろいろ希望するので、だいじょうぶだというようなことが新聞にでかでかと書かれておりますので、こういう点につきましては、非常に政治問題化しているおりからだから、委員会の立場としてはいかがなものか、こう思って伺ったわけでありますが、なければけっこうであります。
  151. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 お答えいたします。ただいまの地盤の軟弱な点につきましては、実は私も、あの荒川のところで現場の橋をかけておりましたので、よく知っておりますが、五十三メートル近くまで軟弱地盤でございますが、昔と違いまして、現在のような技術の進歩した時代には、軟弱地盤であるがゆえに飛行場の設置ができないということであるとするならば、現在のような瀬戸内海の、ああいう軟弱地盤その他のところで、石油コンビナートあるいは鉄鉱コンビナートができるような埋め立ての申請が行なわれておるという現実に対して、若干技術的な内容において、まだ調査が不十分じゃないか、ですから、そういう点については十分な調査をしていただきたい。答申書にあらわれておりますのは、上空の関係から非常に制限を受けておりますけれども、それだけではなしに、やはり技術的には、地上の問題としましていろいろ問題点があるのではなかろうか、そういうような技術的な、地上もしくは上空の総合的な関連において、いろいろ検討いただいて、その結果こうであるということであれば、首都圏としては、またその答えをいただきまして十分検討すべきものであろう、こういうふうには考えているわけでございまます。それ以上のことを、私どものほうとしましては、首都圏基本整備計画の中に、空港の問題は、委員会としての検討すべき事項としてまだ入っておりませんので、首都圏整備委員会として、そこまで積極的な意見を出すということは差し控えるべきであるというように考えているわけでございます。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まだありますけれども、大臣がおられませんから、きょうはこの程度で終わります。
  153. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる十日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十三分散会