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1964-05-22 第46回国会 衆議院 建設委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十二日(金曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君    理事 山中日露史君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       木部 佳昭君    木村 武雄君       佐藤 孝行君    正示啓次郎君       中村 梅吉君    堀川 恭平君       山本 幸雄君    金丸 徳重君       楢崎弥之助君    玉置 一徳君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         水産庁長官   庄野一郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 五月二十二日  委員示啓次郎君、渡辺栄一君、山崎始男君及  び玉置一徳辞任につき、その補欠として佐藤  孝行君、木部佳昭君、楢崎弥之助君及び稲富稜  人君議長指名委員に選任された。 同日  委員木部佳昭君、佐藤孝行君、楢崎弥之助君及  び稲富稜人君辞任につき、その補欠として渡辺  栄一君、正示啓次郎君、山崎始男君及び玉置一  徳君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路法の一部を改正する法律案内閣提出第一  七〇号)  住宅地造成事業に関する法律案内閣提出第一  五八号)(予)  土地収用法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一四五号)      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  道路法の一部を改正する法律案及び住宅地造成事業に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず、両案について、それぞれ提案理由説明を聴取いたします。河野建設大臣
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま議題となりました道路法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近におけるわが国経済発展に伴い、道路における長距離輸送が急激に増大しておりますが、この傾向は、幹線道路において今後ますます顕著になるものと考えられます。  このような状況に対処するため、総合的な計画に基づき、特に全国的な幹線道路を緊急に整備し、輸送隘路を打開するとともに、先行的道路投資を行ない、産業基盤強化をはかることが要請されております。  そこで、この際一級国道及び二級国道は、これを一級国道として統合し、その重点的かつ効率的な整備を促進いたしますとともに、管理体制強化をはかりたいと存じております。  また、最近、道路交通事故が激増しております状況にかんがみまして、交通安全施設に関する規定整備いたしたいと考えております。  このような観点から、ここに道路法の一部を改正する法律案を提出した次第でありますが、以下その要旨について御説明申し上げます。  第一に、従来の一級国道及び二級国道の区別を廃止して、新たに一般国道の制度を設けることといたしました。  第二に、一般国道指定基準は、従来と同様の指定基準に加えて、このたび特に、国土の総合的な開発または利用上特別の建設または整備を必要とする三都市と重要な国道とを連絡する道路を、一般国道として指定できるものといたしました。なおこの法律が施行されますときに一級国道または二級国道でありましたものは、すべて一般国道となることといたしております。  第三に、一般国道管理及びその費用負担につきましては、現在の一級国道のとおりといたしております。なお現在の二級国道につきましては、経過措置として、当分の間都道府県知事においてもその新設、改築を行なうことができる措置を講じております。  第四に、道路交通の安全と円滑をはかるため、道路構造基準につきまして、横断歩道橋ガードレール等交通安全施設に関する規定を設けることといたしました。  第五に、道路整備産業基盤強化等に対する役割り重要性にかんがみ、道路審議会委員の定数を五名増加することといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。  ただいま議題となりました住宅地造成事業に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、近時、都市への人口集中に伴う住宅難は著しいものがありますが、地価の高騰と宅地取得難がこの住宅難を解消する上で重大な隘路となっております。他面、より安い宅地を求めて住宅建設される結果、都市周辺部において無秩序な市街化が行なわれ、環境の悪い住宅地が形成されております。特に最近の民間宅地造成事業の現況を見まするに、公共施設整備等が不十分なため、災害防止上または通行の安全上障害を生じ、あるいは団地周辺溢水等の被害を惹起せしめております。  このような事情にかんがみ、道路排水施設等公共施設整備された良好な住宅地造成を確保するため、必要な規制を行なうとともに、あわせて、民間住宅地造成事業の健全な発展をはかり、民間による良好な住宅地の供給を促進するため、所要の助成策を講ずることが緊要と考え、ここに住宅地造成事業に関する法律案を提出することといたした次第であります。  以上が、この法律案提案いたしました理由でありますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、建設大臣は、人口集中に伴う住宅用地需要の著しい都市及びその周辺都市計画区域内の土地区域を、関係都道府県の申し出に基づき、住宅地造成事業規制区域として指定することができるものといたしております。  第二に、住宅地造成専業規制区域内において、相当規模の住宅地造成事業を施行しようとする者は、事業計画を定めて都道府県知事の認可を受けなければならないものといたしております。  第三に、事業計画においては、災害防止し及び環境整備をはかるため、必要な道路排水施設等公共施設整備に関する計画が適正に定められていなければならないものとし、工業地域災害危険区域等住宅地造成を行なうのに適当でない区域内の土地を含めてはならないものといたしております。  第四に、住宅地造成事業についての助成措置といたしましては、農林大臣または都道府県知事は、農地等をこの事業の用に供するため、農地法上の転用許可を求められたときは、この事業が促進されるよう配慮するものとするほか、国または地方公共団体は、技術上の助言または資金上その他の援助につとめるものといたしております。  なお、設置された公共施設は、原則として地元市町村管理するものといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で、両案の提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 土地収用法等の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎委員 前回委員会で、第五条の海面漁業権収用対象にするという改正点について質問をしたのですが、十分な回答が得られませんでしたので、きょう重複する点があるかもしれませんが、重ねて若干の質問をいたしたいと思うわけです。  今回の第五条の改正については、昨年国会を通過をいたしました沿岸漁業等振興法の指向しておる方向と逆行するものではないか。沿振法では、特にその第三条において、漁場喪失防止について必要な施策を総合的に講じなければならないということがうたわれております。はたして政府は、この沿振法が通りましてから現在まで、漁場喪失防止について、どのような必要な施策を総合的に講じられたか、それをまずお伺いをしたいと思います。
  8. 庄野五一郎

    庄野政府委員 昨年、沿振法が通りまして、それの第三条に、国の施策基本的方向といたしまして、ただいま御指摘の点は含まれておるわけでございます。この第三条の一号は「水産資源の適正な利用水産動植物増殖漁場効用低下及び喪失防止等によって、水産資源維持増大を図ること。」こういうことで、水産資源維持増大をはかる目的をもって、水産資源の適正な利用水産動植物増殖漁場効用低下及び喪失防止等措置を講ずる、こういうことに相なっておるわけでございます。この漁場効用低下及び喪失防止、こういうことになりますと、御承知のように、経済の高度な発展に伴いまして、沿岸等工場地帯ができる、あるいは都市発展いたしまして、都市下水が排水される、あるいは工場地帯から工場排水の悪水が出てくる、こういうようなことで、漁場海水が汚染されまして、漁場価値低下するということもございます。また埋め立て等によりまして、優良な漁場等喪失するというような事態が起こるわけでございます。これにつきましては、いわゆる汚水等の問題につきましては、水質二法というようなものでこれを規制することといたしまして、海水の汚染の基準をつくるというようなことを目的にいたしまして、調査をいたしております。なお、埋め立て等によりまする漁場喪失の点につきましては、御承知のように、沿岸漁業等振興のための構造改善対策を進めておるわけでございますが、これは大体県単位に海区を指定いたしまして、そこで二カ年の調査を行なって、それに基づきまして、沿岸漁業振興のための構造改善事業を推進する、こういうことに相なっておりますが、そういう段階におきまして、県なり国なりの新産都市計画あるいは工場開発計画、そういうものとの調整をいたしまして、沿岸漁業上優良な漁場の保持という点につきましては、そういう計画段階において調整するということにいたしておる次第でございます。
  9. 楢崎弥之助

    楢崎委員 現行法でも、第五条で、河川敷地公共の用に供する場合には、内水面漁業権収用対象にしておるわけです。現行法で、河川だけを対象にして海面のほうを除外をしておる。その点については、私はそれ相当の理由があったであろうと思うのです。長官はどのようにお考えですか。
  10. 庄野五一郎

    庄野政府委員 内水面漁業権は、御承知のように、河川湖沼等におきまする漁業権でございまして、現在までの経済発展におきまして、特に河川の流水の利用あるいは敷地利用といった面が、ダム建設あるいは用排水建設、そういったことで非常に多いわけでございますし、また内水面埋め立て等もございまして、そういう面の経済発展に伴う河川水あるいは河床の利用が多かったわけでございますが、従来の段階では、まだ海面等についてはそれほど問題になるようなことはなかったと承知いたしております。そういう点から、一番やはり需要の多い公益私益調整を要する内水面について、そういう規定が設けられた、こういうふうに承知いたしておるわけでございまして、経済発展がだんだん高度に進んでまいります段階において、海面埋め立て等によりましてあるいは直接海底利用するといった公益上の必要が、非常に強く起こってきておるわけでございます。そういう面から、公益私益調整あるいは公益漁業権調整ということが必要になってくるわけであります。そういう面から、今回土地収用法海底を含めて漁業権収用される、こういうふうに改正されるものと承知いたしております。
  11. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまのお答えですと、河川のほうは非常に対象が多かったという話でございますが、昭和二十六年にこの河川の条項ができましてから今日まで、これが発動された例はどのくらいありましょうか。
  12. 庄野五一郎

    庄野政府委員 事前によく協議がなされておる関係もありまして、また時日をかけて協議をされたということもございまして、球磨川のダムについて一件ある、こういうふうに承知いたしております。
  13. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは実際に収用委員会にかけられたのでしょうか。そして裁決が行なわれたのでしょうか。
  14. 庄野五一郎

    庄野政府委員 私の承知いたしておるところでは、収用委員会にかけるまでに話し合いがついて、和解で片がついた、そういうふうに聞いております。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、土地収用法適用はなされていないということですか。
  16. 庄野五一郎

    庄野政府委員 事業認定がなされて強制収用というところまでいった、こういうふうに承知しております。
  17. 楢崎弥之助

    楢崎委員 前回お答えでは、和解が成立したとおっしゃいましたが、いまのお答えだと、強制収用裁決したと言う。どちらなんでしょうか。
  18. 町田充

    町田政府委員 事業認定を得まして、土地収用手続を進めておる途中で和解が成立した、こういうことでございます。ですから収用委員会裁決ということではございませんが、収用委員会和解手続をやった、こういうことでございます。
  19. 楢崎弥之助

    楢崎委員 結局、強権を発動するまでもなく、話し合いで解決したということですね。そこで実際に強制収用といいますかの発動はされていないということになりますと、この十三年間、一回も河川敷地についての強制収用問題は起こっていないということは、やはりそれなりの理由があったのではなかろうか。あくまでも関係地元の方々との話し合いを通じて、それが円満に解決された、土地収用法を発動するまでもなく解決されたと理解するわけですが、そういう点から考えて、私はやはり、ここでどうしても海底までも入れなくてはならないという、その必要性について疑問を持つわけです。そこで問題は、埋め立ての場合、漁業権消滅等については公有水面埋立法あるいは漁業法がすでにあるわけでありますが、その公有水面埋立法あるいは漁業法と、今度の改正との調整をどのように考えておられましょうか。実際に事業を進める上において、手続その他から考えて、どのようにその関係考えておるのでありましょうか。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 前回私からお答え申し上げましたとおり、相なるべくは、こういう法の適用をせずに、話し合いでやることが一番望ましい、理解と協力を得てやることが望ましいことは申すまでもございません。しかしながら、羽田の付近におけるこれらの問題の取り扱いについて、いかに公共投資が遅延したか、そのためにどういう手続がとられたか、手続をとる者はどういう困難をしたか、それも相手の意思を確かめるために、非常に多数の人がおられて、それらの人を一人一人さがして歩くのも骨が折れるというようなことのために、結論を得ることに非常に困難だったというようなことは、よく御承知のとおりであります。したがって、こういう方法によってやることは好ましいことじゃありませんで、なるべくお互いに話し合いの上でやることが一番理想でございますけれども、さればといって、この処置をとっておきませんことには、万々一そういうことを繰り返すことによって、公共投資がいたずらに遅延するということもまた、国家的もしくは国民的立場において非常に困ることでございます。したがいまして、いま漁業権関係のことで適用したことがあるかどうかというようなお尋ねでございましたが、私は、一般の場合においても、適用した例は非常に少ないのでございます。少ないのでございますけれども、その少ないことのために、どれだけ工事が遅延したかという反面の事情考えてみますると、このままでこの時限におきまして、公共投資をしていくということは、いま申し上げましたとおりに、国家的、国民的立場から考えて適当でない、何らかの処置を講じなければいけないだろうと私は考えまして、本法の改正案提案いたしておるのでございまして、その点につきましては、ひとつ両面の角度から御検討賜わりまして、先ほど水産庁長官も申しますように、漁業法とか沿岸漁業等振興法とかいう立場も、われわれも十分存じておりますので、そういう角度はそういう角度で十分勘案しつつ、一方において緩急軽重の度合いをはかりながら進んでいくことが、私は、国家的立場に立って行政する者としては必要だろう、こう考えまして、御理解いただきたいと思います。
  21. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、たとえば海面埋め立て道路をつくる場合なんかは、まず公有水面埋立法によってその手続を進める、そしてどうしても関係当事者間の了解が得られない場合に、初めてこの五条を適用する、そういう手続考えておられるわけでしょうか。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 当然、その点については申すまでもございません。
  23. 楢崎弥之助

    楢崎委員 前会と質問が重複しておりますので、結論を急ぎたいと思いますが、もちろん、漁業法によりまして、漁業権は物権とみなして、土地に関する規定を準用するようになっております。それはよくわかりますが、しかし、この土地収用法そのものは、収用対象原則として土地に限っておるわけですね。しかし現行法では、すでに河川敷地がその対象になって、もう外堀を埋められたようなかっこうになっておるわけですが、さらにその土地の解釈を広めて、海面漁業権までも入れられるということについては、私ども沿岸漁業者立場からいうと、これは沿振法の精神からいっても逆行する方向であろう。というのは、土地はあるいは地主なんかが持っておられるわけですが、漁業権の場合は、ほとんど多くの零細な沿岸漁業者が入り会って、生活基盤をなしておるのです。いわば生存権です。それで、いかに公益が重大といえども、人間が生きる権利を抹殺するということはできないわけです。少しオーバーな言い方かもしれませんが、土地漁業権の場合のニュアンスの相違というものは、私は性格的にもあると思うのです。したがって、もし第五条を発動される場合には、私は、その補償が単に金銭補償で足りるというわけにはまいらぬと思うのです。それは水産庁長官も御理解いただけるところと思うのです。したがって、事後の沿岸漁業者生存権を確保してやるために、生活権を再確保してやるために、どのような配慮を考えておられますか、その点をお伺いしたいと思います。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 私も、先般参考人の方が御出席になりまして、いろいろ意見を述べておられるのを拝聴しておりました。これらの直接の関係者あるいは公正な御意見を拝聴いたしておりまして、しごくごもっともだという感を深くいたしておるのでございまして、いまお述べになりましたような点につきましては、政府においても十分配意して、可能な限りにおいて、これらの諸君の家業と申しますか職業と申しますか、それを広範な意味において補償するというようなことを考えてやるべきであります。御承知のように、海面につきましては、一般農地以上に政府は常に先行投資もしております。これらの諸君は、自分の田畑だからといって、別に手入れをしたことはないのです、私に言わせれば。むしろ政府のほうがやっている。一般農家よりもとおっしゃるけれども、一般農家の人は、一生懸命、日夜、良田、良畑を維持するために非常に努力する。これが一本づりの人だとか沿岸漁業でいろいろ生活しておられる人が、これらのものを維持管理する面においては、非常に努力が足っておらないかもしれないと私は思うのです。そういう面からまいりまして、いまのお話も、私は決してそれなるがゆえにどうということはございません。ございませんけれども、たとえばノリにしても、最近のノリ業者は、これについて非常にいろいろ投資的なこともやっておられる者もありますが、旧態依然としてあるものをあるがままにとっておられる人もあるので、非常に場合が違う。それから、沿岸魚介類漁業権の場合においても、非常に事情が違うということでございまして、これらはいずれも同一にこれを論ずるわけにいかぬだろうと思う。したがって、政府においては、そういう点は常に細心の注意を払っておられますし、また災害等の例から見ましても、これらに対する考え方を私は広範に考えておるのでございますから、決して、これを一部埋め立てに使う、道路に使うというような場合に、一般埋め立て業者が広範な地域埋め立てる場合のようなことでなしに、考慮する点は十分考慮して、そうして、いまお述べになりましたようなことについては十分配意してやることができる、こう私は考えております。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまの点は、十分具体的にその救済措置考えてもらいたいと思います。  最後に一点だけ、河野大臣に再度お伺いをしたいわけですが、先日も申し上げたのでございますけれども、いわゆる建設大臣代行裁決の問題でございます。御承知のとおり、建設大臣事業認定者であります。そしてまた、事業いかんによっては、収用委員会裁決を申請する、裁決申請人としての性格も持っておられるわけです。その申請人である建設大臣が、緊急を要する場合の裁決について、二カ月以内に結論が出ない場合には代行裁決をするということは、どうしても私は法理的に納得がいかないわけです。この点は、代行裁決が実際に発動されることになると、非常に複雑な問題が起こるということも、せんだっての参考人意見の中に出ておる点でございます。したがって、この代行裁決の点は、これは私はどうしてもこの際再考いただいて、削除すべきではなかろうか、このように思うわけです。どうしても性格上、常識的に考えても、裁決を申請する人が、いざとなったら自分裁決するというのは納得がいかない点ですが、大臣考えをお聞きしたいと思います。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 先般も述べましたとおりに、私はむしろ、何と申しますか、法を実施する意味におきまして、提案者裁決方法がなくても、事業認定どおりにやるのだからいいじゃないか、それで済めばその他の場合は起こってこないということであれば、またその他の場合を想定しなければ、お話のとおり、条文は要らぬ、こう思うのです。しかし、その他の場合があった場合に、この規定が要るのじゃないかというふうに思うのでございまして、お話のとおり、実施いたしてみまして、もうなかったらば、二十日以内に裁決を決定しなければ、提案者提案どおりにやればいいんだということでありますならば、それはもう要らぬということになりましょうけれども、提案者提案とその間に多少考慮する点が起こってくればとかなんとかいうような場合をむしろ考えるから、こういう逆の場合を想定して、こういうものの必要性があるのじゃないかと思うのでございます。これはもうよく、あなたの御趣旨も十分ひとつ考慮いたしまして、運用の経過にかんがみまして、もし実際それが要らぬということであれば、将来、取ることについて十分考えていきたいと思います。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これで最後にしたいのですが、いま大臣お答えは、たいへんその辺のところを配慮されたお答えとお聞きをしますけれども、しかし何としてもこれは構おかしいと言わざるを得ないのです。ただいまのお話のようなことであれば、もう一ぺん裁決申請を新しい角度からし直すことをもって足りるのでありまして、若干、一カ月ないし二カ月延びるだけの話でございますから、この点はどうしても削除すべきであるという意見を述べて、質問を終わらしていただきます。
  28. 丹羽喬四郎

  29. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は本法案を提案なさるまでの大臣の御心境、御苦衷などにつきましては、いままでの質疑応答の中でたびたびお述べになりましたので、よくお察しできるような気がいたします。それはまあオリンピックというような重大な事業を前に控え、またもう一つには、高度成長政策などの影響を受けまして、非常に各方面にわたって事業がスピーディーに、また大きなスケールで進められなければならない段階に立ち至っておりますので、それをお引き受けになっておられる大臣としましては、特に用地の入手難などに直面いたしまして、ずいぶん御苦労を重ねてこられたと思います。したがって、何とかしてもう少し楽にやれば、円滑にこれらの問題を片づけて責任を果たせる道もがなと御苦心の上、こういうような提案をなさったこととは思うのであります。ただしかし、大臣もたびたびお述べになりますように、収用にかけるというようなことは決して好ましいことではない、本質的に好ましいことではないということに立脚し、かつまた特に特別措置法につきましては、成立の際において、本委員会では特に附帯決議をつけておられるのであります。公共事業の指定などにあたっては、最小限度に縮小する方向をとるように、という要望が強く出されておるのでありますが、今回の提案におきましては、この委員会の附帯決議に基づく要望などは無視されて、むしろこれを拡張するというような方向に向かっておられる。これはよくよくのことだと思うのでありますが、大臣の心境をして、かくのごとくよくよくの方向をとらしめた動機、要因というものは、いま日本経済が直面しておるところの、非常なスピードでもってこれに対処しなければならない各種の公共投資というようなことに対処するため、無理をあえて承知でやらなければならなかったことでありましょうか。その他に何か別な要因、あるいは動機というものがおありだったんでありましょうか、その点をお伺いいたしておきたいと思います。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだん申し上げました点で、重複する点があるかもしれませんが、率直に申し上げます。  実は、これまでの法律によりまして、たいていのことはうまくやれるんじゃないか、ところがそういうものを適用した例は少ないのではないか、少ないにもかかわらず、またこういうことをやるのはどういうことか、これは一般の方から御指摘いただく点でございます。ところがひるがえって考えてみますのに、世上一般にごね得ということばそのまま、各地に見られるわけであります。これは一体どういうわけなんだろうかと申し上げますと、従来の法を適用いたしますと、非常に長い期間この収用法の適用期間がかかる。万やむを得ず収用法を適用するようになれば、それによってまず相当の期間たなへ上がってしまう。だからここでたなへ上がることを思えば、もう少しがまんをしてがまんをして交渉したほうが結果が早いじゃないかということのために、交渉の期間がいたずらに長引いております。そこの踏み切りがなかなかつかない。これはなるべく慎重にやらなければいかぬことでございますけれども、私は現行法の一つの盲点だと思うのであります。したがって、実際事に当たっておるものとしますれば、工事を急ぐ、急ぐけれども、収用法の適用をそれではひとつ受けようか、どうしても受けるということになれば、そこでまた半年なり一年なりかかってしまうということになり、その間に話がつくだろうというようなことになります点が、実は一番困っておった点であります。したがって、今回の改正によって、二カ月間という期限を切るとすれば、ある程度の——交渉をする相手方も、いつまでもがんばっておっても、話をつけるならつけよう。決して値切って買うの、たたいて買うのというのじゃございませんので、周囲の方と同じ条件でお引き取りいただきたいというのが、御承知のとおりすべてでございます。ところが、周囲の人と同じでお引き取りいただかぬために、もつれが起こる。またそれに今日のことでございますから、悪いことに、長くかかっておりますれば、その間に値段が上がってまいります。そこで最初に御同意、御了解を得た人と、最後にごててごててごて抜いて、収用法をかけて、いよいよ収用法になりますと、時価ということになりますから、そのときの時価は最初の時価よりも現に上がっておるというようなことになりますので、その時間的なずれが非常に悪い影響を及ぼしております。これが、二カ月間という期限を切ってどうしてもやるようにお願いしなければいかぬ——収用委員会がいたずらに開催がおくれておる、そのために地価が上がるというようなことがいかに一般に悪い影響を与えるか。したがって、今日では大方の関係者諸君が、個々の折衝は一切やめようじゃないか、全部団体交渉にしようじゃないかというようなことになりますから、取りつく島もないわけであります。そういうような場合も起こってきますので、だんだんやっておりますうちに、最初に比較的円滑にいきましたものも、なかなかいきにくくなっておるというものも実はあるわけであります。具体的に申し上げていいか悪いかわかりませんが、その一例に第三京浜というものがあります。これらはもう当然に開通していなければならない。いまの京浜の混雑はごらんのとおり、しかも事業にかかりましてから相当に年月がたっております。まだ一部用地の解決がつかないでおるものもあるというようなことでございます。したがいまして、私といたしましては、普通の常識で考えればそこまでというようなことをお考えいただくだろうと思いますけれども、実際局に当たる者といたしましては、予算のほうは用意した、計画はできたといっても進まないというような事例が各地に見られるというようなことから想像いたしまして、今後これだけの公共投資をしていこうということになりますと、なかなか普通のことではいきにくいのじゃないかということで、私は今回の改正をお願いしておる。むしろ広範になっているのじゃないかという御指摘も、いま申し上げましたように、こういうことになって、一般の御理解も得、そして短期間に御決意をいただいて——こちらのほうも御無理を申し上げるわけではありません。周囲の状況も十分調査勘案して、決して安く買おうというような了見を持っておるものではないのでありますから、よく御理解、御協力もいただけるという慣行が生まれてくることを期待するということでございまして、ごねておれば、長くなりさえすれば、だんだん地価が上がるじゃないか、得するじゃないか、初めにきめた人は損じゃないかというようなことだけはやめたいという点に、私は重点を置いております。
  31. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 非常に急がなければならない、また円滑に進めなければならないことが一つと、それからごね得だの、ずるいやつが利益をするというような悪い例は、何とかしてこれを食いとめなければならないというお考えに出ておられますことにつきましては、よくわかるのでありますが、ただ、この特別措置法を提案された三年前の状況は、まさにオリンピックをかかえ、それから高度成長政策の非常な盛り上がりというようなものを前にしまして、そういう尋常ならざる状況が現出されておったのであります。それに対処すべき特別措置法であったと思うのでありますが、現段階におきますと、もうすでにオリンピック所要の事業というものは、この九月末なりをもって終わるのでありましょうし、また高度成長政策の進度というものも最近はいろいろな方面から批判を受けているようでありまして、従来とはまた変わった方向とスピードぶりを示してくるのではないか、こう思われるのであります。したがって、この両三年来御苦労なさった経験をもって、同じように今後も状況が進むということは、私は必ずしも想像できないのではないかと思うのであります。むしろこの機会においては、腰を落ちつけると言いますか、根本の対策を練って、多少スピードは落ちても、無理を避けて、根本の問題から片づけて取りかかるべきときがまいったのではないかと思うのであります。もしそういうことが考えられるといたしますならば、この改正案はいささかどうもけんか過ぎての棒ちぎりといったような感がないわけでもございません。もっとも、今後さらに国の財政の許す限りは、大いにスピードぶりを発揮して、公共投資公共事業を進めるのだというお考えについてはわかるのでありますが、その進める場合におきましても、非常な無理をして、常識的には考えられないような無理をしてまで進められる必要があるかどうか。またそういう方向が、ほんとうの国土開発建設というようなものの大理想に立脚して考えますと、はたしていいかどうか、こんな心配もあるわけであります。ただ単にオリンピックというような、あるいは高度成長経済政策に対応するというような事態だけではなくて、もっと根本的に、大臣のお考えの中にはあるのではないか、こう思うのでありますが、もう一度その点を伺いたい。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘になりましたオリンピック関係事業、これはわが国全体の公共投資から見ますれば、ごく限られた範囲に、限られたる先行投資をしておるということでありまして、たとえば東京の一部についてやったと同様に、大阪についても、御承知のとおり、大阪の人が飛行場まで行く間のところだけ考えましても、やらなければならぬ。また、大阪の市内において一例をあげれば、丼池のところの道路をどうするかというような問題、これらはいずれも大阪市民全体が非常に強く熱望し、一日も早くと念願しておるものでございます。そういうことは全国の各都市にいずれもあることでございます。皆様からも御要望のありますバイパスをつけろとか、一刻も早くやれというようなことで、御承知のとおり、道路にいたしましても、従来の二兆一千億の予算が、オリンピックが済んだあとで、これが四兆幾らの予算に倍増しておるというようなこと、このこと一つをもって見ましても、問題はオリンピック関係時代よりも倍の事業量になってくる。それだけのものをやるべきことは、予算の上で御審議の過程において御了解を得ましたとおり、わが国全体から見ますれば、全体の立場に立って、そういう緊急な投資をしていかなければならぬという問題があるわけであります。これらは、いずれもその中の五割ないし六割は用地関係のものであります。これがおくれればおくれるほど、用地が高騰して事業はしにくくなる。私は、これらの先行投資は一日も早く進めるべきだ、しかしその他の公共投資もしなければならぬ、いまお話しのとおり、経済政策において多少の前進、後退と申しますか、停止というようなものはありましても、それとは別に、国家の道路政策、公共投資とかいうものは、遅滞なく、可能な範囲で先行投資を続けることこそ適当なことである、決してこれは休むべきことではなくて、あくまで強硬に進めていくことが国全体の発展のためにとるべき策であるというふうに考えて、事業を進めたい、こう思っておるのであります。
  33. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 二十六年に土地収用の基本法が成立し、三年前にそれでまだ足りずして特別措置法をつくらざるを得なくなって、今回さらにまた両法に対してこれを補足して、改正案を出されておりますが、いずれも土地入手難を緩和する、もう一つはごね得などという悪い風潮は一掃しなければならないという考えに立っておられると思うのでありますが、過去十何年かの経験によって、この収用法あるいは特別措置法の効果によって、土地入手難がほんとうに緩和されたかどうか、あるいはごね得というような悪い風潮がなくなる傾向があったか、私は、もしかすると、こういう法案によって、かえってずるっこいやつがますますずるくなるようなことになりはしないか、ごね得をやるものが一そうごね得をやってしまって、正直者は救われない、こういう法律によってはかえって救われない、おどかされてしまって、萎縮してしまって、ということになりはしないか。それは大臣がお考えになっていることとは反対な現象、効果をもたらすような気がするのでありますが、十何年間の経験に基づいて、そういうことはないものでありましょうか。ことに今回の改正などにつきましては、またしてもずるっこいやつは別の手を使ってずるく回る、ごね得をさらに高めるということになっても困ると思うのです。どんなものでありましょうか。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま申し上げましたとおりに、私は、もし全然こういう措置がなかったならば、もう事業を途中で停止しなければならない場合が相当に起こっただろうと思います。そういうものが、曲がりなりにも一応事業が完遂できたということは、各所にその例を見ますが、収用法によって強制的に開通ができたという事例も実はあるわけでございまして、これがなかったら、反面においてお話しになりますようなことが全然ないということは言いかねますけれども、なかった場合には、いま申し上げるように、全然道路があかない、八割できたけれども、最後の画竜点睛を欠いておる。現にいまでも京都においでになるとおわかりのとおり、東山線というのがあります。これは京都の町の出口で数軒のものが立ちのかない。収用法にかけております。そのためにトンネルもできた、道もできた、最後の京都の町に入るところであきませんから、いま申し上げるように、効を実はあげていない。これはようやく収用法で手続を踏んで、解決がつく。こういうような事例は各地にあると私は思うのでありまして、やはり私はこの法律があればこそと思っております。しかしながら、いま申し上げますように、それが、収用法にかけても、先ほど申し上げますように、期間的に相当長い期間がかかって結論が生まれるということでございますから、一切の工事ができておるが、それだけあかない、そのあかないものはっとにその措置に出ておりますけれども、結論はなかなか出ない。いまあなた方が御利用いただいておりまする名神につきましても、名神道路について非常に困難な事例があって、それを収用法にかけ、それがまたおくれたために非常に工事に難渋したというような事例が各地にあるわけでございますが、これがなかった場合を想像いたしますと、私は、こういうものは進行しないというような場合が各地に見られただろうと思うのであります。  そこで今回この措置に出ることによって云々ということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、従来の一番欠点とするところは、期限が非常に長かった。委員諸君にしても兼務しておられる、仕事が多いために、委員会を招集しても定数に満たなかったり、集まりが悪いというようなことのために、委員会が開けない、進まないというようなことのために、だんだん延引して、結論が得られないというような場合が多かったのでございますが、またそういうことを想定して、先ほども申し上げたように、お願いしてもなかなかうまく結論が出ぬから、できるだけひとつ話し合いでということで、話し合いにいたらずに時間を経過してしまう。そして最後に入るときには、話し合いで十分の時間をとり、それをまた委員会に持ち込んでまた時間がかかるというようなことのために、他は一切でき上がって、最後にそこだけではどうにもならないというような例があるわけでございまして、それを今回は、一応委員会にかけた場合もこの期間で済むんだから、一応の話し合いのほうも十分ひとつ御理解を願って、そして三カ月とか六カ月とかいうような期間でひとつ話し合いは一応打ち切るつもりで、これだけの手続はとりなさい、これだけのことはおやりなさいということを、実は私はいま各地建のそれぞれの係を東京に集めまして、この法律適用するためにはこれだけのことはやらなければいけませんよ、ということをきめて、そしてそれを指床し、そして十分それらの措置をその期間内に終わりなさい、そして相手方の御意向を十分勘案した上で発動する措置をとりたいということで、せかっく準備をしておるのでございまして、十分慎重に扱って、それでしかもスピーディーに結論を得るというようにしたいと考えております。
  35. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 できるだけ話し合いで進めなければならないが、場合によると話し合いだけで進まない、ずいぶん苦労をされたこともある、私もそれは承知しております。もちろん大きな事業をやろうとしますれば、いろいろな障害が予想されるわけでありますが、それらの障害をあえて克服していくところに大事業としての効果といいますか、張りもあるように思います。大臣の力をもってしましても、法律によらなければならなくなったということは、よくよくと思うのでありますが、ただ、私はいま大臣お話の中にも出てまいりましたが、たとえば委員会を招集しても集まらなかったということのために、いたずらに時間を空費してしまうというようなお話もございましたが、そういう面において、収用法なりまた特別措置法の運用に何か一本筋が欠けている、あるいは関係者の努力の足りないものがあるのではないかと思われるのであります。委員の選任が誤っておるのか、それとも委員会招集の手続に何かあるのか、それともまた、その委員をもってしましても、問題解決にはちゅうちょ逡巡せざるを得ないような状況でもあるのか。いずれにいたしましても、委員会さえも招集できなかった、あるいは招集しても集まらなかったということにあるならば、これは私はどんな法律をつくってもむだじゃないかというような気がいたすのであります。関係の当局、関係者にとっては苦労の上に苦労をかけるわけでありますが、そういう点においてはベストを尽くして、万人が納得いくような手続も踏んで、そしてなおかつそれで足りないということでないと、三年前にこういう附帯決議をして縮小の方向をとるのだといっておるのにかかわらず、逆に拡張しなければならない、代行裁決というようなたいへん無理なこともしなければならないようなことになるということについて、私は世間を納得させるわけにはいかぬじゃないかと思うわけでありますが、今後は委員の数もふやしていかれるようであります。そういうことについて、委員の選任なり招集手続なり、また委員をして判断をスピーディーならしめるような関係者の用意というものはどういうふうに進められておるのか。たとえば地価抑制についての何かの法案がありましても、看板だけはあげておっても、具体的に委員が判断に自信を持つような材料を与えてやりませんと、つい逃げてしまうというようなことにならないとも限らない。その辺に問題があるのではないかと思いますが、いかがでございましょう。
  36. 町田充

    町田政府委員 従来の収用委員会は、大臣からお話のございましたとおり、全部非常勤でございます。それぞれ専門の職業をお持ちでございます。したがいまして、なかなか一定の期日にお集まり願うということもむずかしい。なかなか折り合いがつかない。それからまた、この事務を扱います部局が都道府県知事の部局でございまして、土木部の監理課あたりで一係が処理をしておるというふうなことで、収用委員会の事務自体がなかなか円滑にスピーディーに運ばないというのが実情でございます。そういうことでございますので、事業を施行する者の側としても、収用委員会に持ち込んでもなかなか審理は円滑にやってくれないというふうなためらいがございまして、法律所定の手続がなかなか進められない、こういう実情でございましたので、今回の改正では、その収用委員会につきまして、必要があれば専任の事務補助部局をちゃんと設ける。それから収用委員会委員も、全部非常勤ではなしに、一部は常勤にすることができる。それから従来は審理をやりますについて、委員の半数以上が出席しなければできないということになっておりましたのを改めまして、一人の委員指名して、その指名された委員調査、審理を予備的に先行的にやらせる、こういうふうな収用委員会の機構、運用、そういうものに改善措置を加えておるわけでございます。
  37. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 もうこの法律が出ましてから十何年たつのですが、その間そういう事実があったにもかかわらず、これについての対策は講ぜられなかったのでありましょうか。現実の面ではどうでありますか。問題は、委員を幾らふやしたところで、委員会を幾らなにしましても、選任を誤ってはならぬし、あるいは委員に対する判断の資料を提供するとか、いろいろ関係者が苦労の上にも苦労を重ねておきませんと、こういうものはうまくいかぬのじゃないか。同時に委員会がうまくさえいけば、この法案を改正して代行裁決というようなことまでいかなくてもいいようにも思うのでありますが、これは、実際お取り扱いになった局長としては、どういう感じを持っておられるのか。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 それが先ほど申し上げましたように、そういう実情を事務当局はつぶさに経験もし承知いたしておりますので、それに持ち込んでも時間が非常にかかってしまう。だから、自分たちの努力によって、あくまでも話し合いによって可能な限りはその委員会に持ち込まないでやろう。でありますから、この収用法の適用を受けました件数は、御承知のように非常に少のうございます。いよいよどうにもならぬものだけはしかたがないからやりますけれどもそうでないものは、法律がありましたけれども、その運用がうまくいかぬというようなことから、持ち込んだ件数は非常に少ないということで御承知いただけると思います。だんだんそういうふうにやってまいりましたが、私といたしましては、建設大臣として責任はどうにもとりかねるというふうに考えまして、少々強度のものであるかもしれませんが、強力に事業を遂行する上におきましては、この程度の規定を御供与いただきませんと所期の目的を達成しにくいというので、私は踏み切ってお願いしたわけであります。
  39. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 話し合いをもってすることを理想としますれば、私は委員会の運用こそにむしろ最重点が置かれるべきだと思いますし、それに向かって努力を集中していかれるということを期待して、この点につきましては、これ以上私も押し問答いたすことは避けます。  次に、私は大臣に御心境を承っておきたいのでありますが、わが国の経済も歩を進めてまいり、平和経済といいますか、進んでまいりまして、これから考えなければならないことは、大臣がいつも言っておられるのでありますが、国土の普遍的開発ということでなければならないと私は思うのであります。いたずらに、いんしんなるところは世界でもびっくりするほどの速度をもって発展していく、捨てられておるところはそのまま、山の中は捨てられておるというようなことは、国の経済なり文化の普遍的発展の上からは、これは嘆かわしい事実であります。そういう意味におきましては、私は、普遍的発展のために、国の政策というものは最重点を置かれるのでなければならないと思うのでありますが、今回の改正案などの裏にあるものは、現にある困難を避けんがために——現にある困難というのは、いまの都市集中開発方策によってあらわれているところのものが一番端的なものだろうと思うのでありますが、それを緩和するということは、国土の普遍的開発方向をとろうとするならばむしろ逆になるのじゃないかというふうな気がいたします。都市開発に困難を生ずるならば、そういうところはむしろほうっておいて、それに対する力をむしろ別な方向に、今後開発の効果がよりあがる面に向けるべきではないか、というような気がするのであります。当面必要だからと言ってしまえはそれは別でありますけれども、当面の必要さをもあえて克服してといいますか、そういうものを次の段階に回してでも、普遍的開発のためにどうしたらいいかということの方向へ力を持っていかれるべき段階ではないかと思うのでありますが、本法案を御提案になった大臣といたしましては、それらのことをも御勘案になっての上のことでありますか、いかがでありますか。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 お話になりました点につきましては、私の現在やっておりますことをごらんになれば御理解いただけると思うのであります。なるべく、過熱いたしております、たとえば東京とか大阪の道路を広げるよりも、その中の人を間引いて外に持ち出す、新しいところに新しい都市をつくり出していくということに重点を置いておりますし、また都市の中の道路よりも周辺道路、もしくは、たとえば大阪−名古屋間の道路にいたしましても、奈良県を通る全く新しい道路考えておる。東京にしても、東京から出ます道路について、従来の東海道にしても、東海道のなるべく離れたところに道路考える。高崎線にしても同様でございまして、なるべく未開発のところに新しい道路を新設してまいるということであります。率直に申し上げれば、従来の道路政策は既存の道路を拡幅する、改良する、そして舗装するということに相当のウエートが置かれておりましたことは御承知のとおりです。万やむを得なければバイパスをつけて、それに沿うて交通が助成されておる。これが従来の道路政策であったと思うのであります。私は、従来の道路は相なるべくはそのままの形態で——事情が許さないものはやむを程ませんけれども、そのままの形態でこれを舗装する。改良、拡幅は第二義的に考える、よりもむしろ、新しいところに新しい道路をつけて、現代の社会が要求する道路を新設してまいる。古い時代に要求した道路よりも、新しい時代の要求によって新しい道路が生まれてくる、それによって新しい地方が開発されるということにいくべきだという考えで、これまでも御説明申し上げましたし、現に計画いたしておりますことは、御了解いただけると思うのでございます。全く新しいところにやりますのに、たとえて申しますれば、東京から学園都市を茨城県なりを考えておる。初めのときは非常に歓迎歓迎とおっしゃいましたけれども、だんだん計画が進むにつれて、なかなか御了解願えないということが起こってくるわけでありまして、決して都市であるから、収用法がこういう強権によらなければいかぬというようなことではないのでございまして、むしろいなかのほうでそういう場合がなかなか多く起こっておることがありますので、この点は御了解いただきたいと思うのであります。
  41. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私のちょうだいしました時間が終わりますので、最後に一点だけお伺いいたしますが、私はこういう法律は、えてしてずるっこい者が得をしてしまって、弱い者、正直者が損をするというような結果を招来しやすい。いままでわが国においてもそういう例があった。よその国の運用例からいいましても、そういうことは否定できないことのように思う。こういう法律の性質上、何と申しますか、体質的に持っておる心配の種だと思うのであります。この法案の改正によりまして、正直者のお百姓さんたちが非常に損をするといいますか、大だんびらにおびえてしまって、ものが言えない。ことにまたボスなどの脅迫——脅迫ということばはよくないかもしれませんが、策略に乗ってしまって手放すというようなことになっては残念だと思います。大臣は非常に農民を愛されて、農林大臣のときから農村のためにお尽くしくださっておりまするので、こういう法律が、心にもなく農民に対して重圧感を与えるようなことになってはならないと思いますので、そういうことにつきましても、大臣どういう御措置をお持ちになっておられますか。私の耳に入ったところからいたしましても、いまの時代、農村にもずいぶんずる賢い者がないとはいえませんけれども、比較的には政府に対して協力的であった、政策に対して従順であったのであります。これがもしこういう法律によって、その方面にいたずらなる重圧といいますか、損を与えるようなことのために、農村に政治に対する不信感をもたらすようなことがあってはならないと思うのであります。関係者がこの法律によって楽をすればするだけ、もしかするとその対象になる土地所有者、ことに農民としては迷惑をする心配があるわけであります。大臣のこれについてのお考えを承りたいと思います。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御指摘になりました点につきましては、よほど私も慎重に考えなければいかぬ点だと思います。つきましては、まず第一に、当該地域の地価と申しますか、売買価格というものについて公正な評価をする必要がある。これには、御承知のとおり現にやっております基準があります。これらの地域調査もしくは当該地区における銀行その他においで千分適正な地価を調査いたしまして、初めから安く買うというような考えは従来も持っておりませんけれども、こちらの予定価格に適正を期するということについても、最も慎重な態度をとることに指導いたしたい。  次は、先ほども申し上げましたように、その地方一帯を適正な価格で買うのであって、個々におとなしい人から安く先に買い上げてしまって、がんこな者はあとに回すというようなことのないように、取るべき手段、それまでの踏むべき手続等について詳細に検討して、指示をいたしたい、そしてその手続一切を終わってなお事情を聴取した上でやむを得ざるものを、この法律適用によって処置してまいるということにしてまいりたいと思うのでありまして、御指摘の点につきましては、慎重に取り扱ってまいりたいと考えております。
  43. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 岡本隆一君。
  44. 岡本隆一

    ○岡本委員 土地収用法というものは、まず公共の福祉の名において私権を否定することになるのでありますが、したがってそこには二つのことがきめられていたと思います。公共の福祉のために必要である場合には私権を否定できるということと、もう一つはそのためにはやはり特別の手続を講じておかなければならない、この二点がきめられておると思います。ところが今度の場合につきましては、その手続を簡素化している。だから私権をより一そう小さくしていくということになっておるわけでございますが、この問題につきましては、代行裁決の問題があるとか、そういう点についてはずいぶん論議を行なわれましたので、私は、もう一つの問題といたしましては、この特別措置法の改正にあたりまして、特別措置法の適用される特定公共事業の認定にあたって、現在それぞれの事業が列記されております。ところが今度はその列記されたもの以外のものをも政令によって指定できるということになってまいるのでありますが、これはときとしてこれがほしいままに行なわれますと、任意に何どきでもどんどん政府のほうで指定していく、しかも話がつかないときには代行裁決、こういうようなことになってまいりますと、この公共用地の取得に関する特別措置法というものが非常に乱用される心配があるというような点が問題になっておるのであります。だからこの政令に委任される——なぜ列挙しないで政令に委任されるのかということ、さらにまた今度は、それじゃ政令に委任される場合にはどういうふうなものを政令でもってきめていくかという、一定の基準がなければならない。無原則に何でも次から次へと範囲を広げていくということでは、これは少し問題を複雑にするのじゃないかと思いますので、その点について、どういうふうなものをこれから後政令で規定していこうとされるのか、その政令の基準がございましたら、お示しを願いたい。
  45. 町田充

    町田政府委員 法律自体でも、実は「前各号に掲げるもののほか、前各号に掲げるものと同程度に公共の利害に重大な関係があり、かつ、その整備の緊急性があるもので」ということで限定を加えておるわけでございますが、ここに掲げてございます公共の利害に重大な関係があり、あるいはその整備の緊急性があるものということの大かたの目安といたしまして、私どもは第一に、交通とか通信とか治山治水、都市、水道等で、公共の利害に直接広範囲に関係のあるようなもの、それからさらにやや具体的に申し上げますと、重要な地域、これは人口五十万以上、現在列挙されております事業の押え方としても、人口五十万以上の地域において行なわれるいろいろな事業というふうな考え方をとっておりますので、そういったある程度の規模以上の都市で行なわれる交通、通信、治山治水、都市水道といったような、公共の利害に直接にしかもかなり広範囲にわたって影響があるような事業、こういうものを考えておるわけでございます。  それから、その整備の緊急性があるものということの判断の基準でございますが、先ほど申し上げましたような事業が早急に施行されなければ広範囲の公衆の利害に重大な影響を及ぼすようなおそれのあるようなもの、そういった観点で事業の範囲を選択をいたしたいと考えておりますが、ただいまのところ各事業主体から御要望がございますのは、たとえば重要港湾であるとか、あるいは人口五十万以上の市街地において行なわれる市街地改造事業であるとか、あるいは同程度の規模の市街地で行なわれる、あるいはその周辺で行なわれる住宅市街地開発事業というようなものが、指定公共事業として指定を受けたいというような申し出があるわけでございますが、よくよく勘案いたしまして、最終的にきめたい、こう考えております。
  46. 岡本隆一

    ○岡本委員 市街地改造やあるいは市街地の開発事業というものを新たに加えたければ、それはこの改正にあたって、そういうふうに列記事項をふやして改正されればいいのでありまして、野放しに思いついたら次から次に何でも加えていける、法律改正をやらなくても加えていけるというふうなことになってまいりますと、だんだん拡大解釈されていく心配がある。特別措置法につきましては、これは代行裁決というものがついて回っている。土地収用法だけでなしに、これは代行裁決がついて回っておりますから、これは非常に強い収用法の強化になっております。それだけに、やはり特にこの代行裁決を伴うものについては、慎重を期さなければならないのに、政令で自由に変えていけるというふうなことになっておるということは、これはいかさま、私どもは承服できない。なるほどそれは、私どもも決して土地収用ということに反対するものではございません。また土地収用法強化が必要であるということも、私どもは考えております。土地公共のものであり、それを有効に利用するために、国民がそれをゆだねられている、それが土地の私有権である、こういうふうな理解に私どもは立っておりますから、国なりあるいは公共の福祉のためにどうしても必要な場合には、それは収用していくのはいいと思うのです。しかしながら、そうでないものをも、どんどん収用の範囲に入れていくということになってくると、これは問題があると思うのです。たとえば、この特定公共事業の中には、軍用施設というものは入っておらない。だから、自衛隊の敷地ですね、これはやはり特定公共事業として現在は指定できないことになっておる。ところが、あなたのほうの今度の改正によりまして、政令でかってにぽっとそれをふやしていく、これもやっぱり国の防衛上必要だ、こういうふうなことになってまいりますと、そこに問題が発生してくると思うのでございますが、一体、将来軍施設というふうなものについては、これは特定公共事業対象にされるのかされないのか、そういうことを、この際明らかにしていただきたいと思います。
  47. 河野一郎

    河野国務大臣 この機会に、運用につきまして、ないしはまた、こういうふうな法案を提出いたしました私の立場を明瞭にいたしておきたいと思います。  御指摘のとおりに、この法律案をいよいよ実施することになりまして、みだりにこれの範囲を広げて施行するということがいかに社会全体に影響があるかということは、私も十分承知いたしております。したがいまして、提案の当初におきましては、私は明瞭にこれを列記するというつもりでおりました。ところが、これを明瞭に列記するということになりますと、各方面には非常に御要望が多い。これをどの程度でまとめるかということになると、なかなかまとまりがつきにくうございます。しかし、私はなるべく小範囲にしぼりたいというその中に立ちまして、私としては法案には列挙主義をやめまして、そしてむしろこの法律の運用にあたっては、極度に圧縮したものでなければやらないという方針で運用するというために、あえて列挙をしなかったということを、ここに速記録を通じて明瞭にいたしておきます。まあ法案審議の過程におきまして、委員各位の御要望等も、この機会に明瞭に意思表示をいただきまして、将来この法案の運用は、いま申し上げたような精神で運用さるべきものなりということを確立いたしておきたい、こう考えております。
  48. 岡本隆一

    ○岡本委員 たとえば、交通の問題であるとか住宅の問題であるとか、これは国民各層間に全然異論のないところです。そういう問題について特別措置法が適用されるということでありますと、私どもはそれについて何ら異議を申し述べるものではございません。しかしながら、国民の間で大きな異論がある、お互いに意見の食い違いがある、こういうふうなものを、公共の名において、一方的に特別措置法の対象にされるということは、これは大きな問題を含んでおると思う。いま大臣の御答弁の中に、軍施設についてはどうするかという私の尋ねに対して、明確な御答弁がございませんでしたが、軍施設についてはどうされるのか。
  49. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、「公共の」という条件がついております。軍施設を「公共の」の範囲に入れるということは適当でない、これはもう社会通念じゃなかろうかと私は思います。そういったことに反したものについてこれをやることは適当でない、こういうふうに私は解釈しております。
  50. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまの点に関連いたしまして、駐留米軍の用に供するための土地収用法の特別措置法の三条では、駐留米軍の用に供することが適正かつ合理的である場合に収用するとなっておりますが、その際の適正かつ合理的の基準は、どういうふうにお考えになっておりますか。
  51. 町田充

    町田政府委員 駐留軍の施設の用に必要な土地につきましては、別の法律、総理府所管の特別措置法、これによって措置をいたすわけでございまして、事業の認定につきましては、その土地利用上、合理的かつ適正である、こういう判断に基づいて、総理大臣事業の認定をする、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、この法律の運用は、総理府で運用される、こういうことになるわけでございますが、考え方につきましては、あくまでその土地利用上、駐留軍の用に供することが必要であり、かつやむを得ない、付近の土地利用からいって、これが相当であり、かつ合理的である、こういう判断が下されますならば、この特別措置法に基づく事業の認定が行なわれる、こういうことに相なろうかと考えております言。
  52. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その適正かつ合理的と判断する基準は何ですか、と聞いているのです。
  53. 町田充

    町田政府委員 この法律の運用につきましては、総理府が所管をされておるわけでございますから、総理府のほうで、この判断の基準について、運用上の腹がまえをお持ちだと思います。私のほうから答弁するのは少し筋違いかと思います。
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 岡本君、運輸大臣がお見えになりましたから、それが済みましたら、ひとつ。……
  55. 岡本隆一

    ○岡本委員 それでは、運輸大臣お見えになりましたから運輸大臣に関連する事項をお尋ねいたしておきたいと思います。  公共の福祉の名において私権を否定し、そういうふうな土地収用法を背景にして取得された土地管理につきましては、これはやはり公共の福祉を阻害しないような管理をしなければならないと思います。この今度の改正案によりまして、非常に土地収用権というものが強化されます。だから、強い権限の強化に対しては、当然その義務が伴うべきだと思います。元来、土地収用法の大きな盲点は、収用された土地の使用、管理というものについて、何らの義務規定が設けられておらないのです。公共事業のために必要だから出せといって、土地を提供さしておる。しかしながら、それに伴って、その後の土地管理というものについて、何も規定がないのです。これは土地収用法の盲点であると思います。ことに今度、こういうふうに代行裁決権まで与えられて強化されるというふうなことになりますと、そういう点、はっきりと明記しておく必要があるのじゃないか。収用された土地管理については、その公共の福祉に沿うように明記しておく必要があるのじゃないか、こういうことを私は主張しておるのです。たとえば例をあげますと、なるほど不用になった土地については譲り渡し人が買い戻しを請求することができる、これは土地収用法規定がございます。ところが、例をあげていいますと、このごろはどんどん市内を、道路にいたしましても、高架で走ります。あるいはまた鉄道にいたしましても、全部高架あるいは地下に入ってくる。そういたしますと、高架下の空間というものはどんどんいろいろなものに利用されていく。ところが、その利用管理というものがきわめてずさんであって、付近の住民がしばしば迷惑するような形になっておる。だから、それの管理については、やはり公共の福祉を阻害しないように管理しなければならぬ、また公共の福祉に沿うように管理しなければならぬ、こういうふうに思うのでございます。まず建設大臣、そういう基本的な——土地収用をする権限を与えられた企業者がそういう権力を背景に用地を取得した、それから必ずしも収用しなくても、話し合いでも、やはりそれは土地収用権を背景にして話し合っておるのでありますから、いわば半ば強制的に提供させておる、そういうふうなものの管理については、当然ある程度の義務が付随するものであるという基本的な考え方について、建設大臣いかがお考えになりますか。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 私も、あなたと全く同じように考えております。
  57. 岡本隆一

    ○岡本委員 そういう立場に立ってみますときに、今日、国鉄私鉄が高架線の下を使っておる姿というものは、これはずいぶん乱雑をきわめておるのででありますが、運輸省としては、何らか特別の指導をいままでしておられたのか、いままでは、そういうふうな点については、対象が少ないから、全然放置されておられたのか、その辺についてお伺いしたい。
  58. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 国鉄の高架下その他のものにつきましては、日本国有鉄道土地建物貸付規則、達によりまして、原則といたしましては、あなたがおっしゃったようなことでやっております。すなわち、爆発の危険のあるようなものは困るとか、あるいは公秩良俗に反するようなものは困る、そういう基準においてやっております。ただ、しかし、その土地を得るために従来旧地主との間にいろいろな契約がある場合には、その契約をなるべく尊重して、しかも公秩良俗に反せず、爆発その他の危険のないようなものについて貸しておるというのが実情でございまして、現在においては、そう著しく社会の非難を受けるようなものはないというように私は見ております。私鉄につきましては、いまの国鉄の基準を援用いたしまして、監督を厳重にしてやっております。ただし、今度の新幹線につきましてはまだきめておりませんが、これはもう全く公共の用に供することを目的にして、たとえばあれは高架線が非常に多うございますから、市街地等においては、モータープールとか、そういうようなものに大体貸すように指示をいたして、あなたの御趣旨に沿うような、公秩良俗に反せず、しかも世間の非難を受けないような貸し方を励行いたしてまいりたいと思っております。私鉄につきまして、その方針はやっておりますが、昔からのいろいろな古い関係のものに、若干あなたのお目にとまったようなものがあるかもしれませんが、そういうものは、御趣旨に従って、今後契約の改定期とかその他におきまして、厳重に処置いたしたいと考えます。
  59. 岡本隆一

    ○岡本委員 厳重にやっていただいておるそうでございますが、私どもの見る目では、いままでは放置されておったのではないか、こういうふうにうかがえるのです。身近な私自身の例を申しましても、私の家は、国鉄にはすかいに切られました。そしてそのあとを奈良電鉄、いまの近畿鉄道が高架線で通っております。国鉄の奈良線の間には問題がございませんが、高架で通るようになってまいりまして、これは高架になったことだけのためにでも、相当騒音、震動、いろいろな影響を受けております。これは私どもはやはり受忍義務であると思っております。しかしながら、その下がいまでは工場にされちゃっている。だから、朝から晩まで旋盤の音で、があがあものすごいものであります。そういうことになってまいりますと、これはその企業本来の目的に使っておるのではない。われわれがその用地を提供したときは、そこを交通機関が走るのだということのゆえをもって、私どもは庭から裏をさっと斜めにとられることを了承した。ところが、それが本来の目的をはるかかけ離れて、数十人の工員が働く旋盤工場に転用されてきておる。そういうことになりますと、その企業本来の目的と大きくずれてしまう。そういうことがいま平然と行なわれておる。最近起こってまいりました事例は、京阪の、やはり近鉄の問題でございますが、桃山の近くに、飲み屋を始めたところがある。しかもそこは、もともと地主が売り渡すときには、次の道路と桃山の道路との間は、高架線の下は、道路にするということを条件に売り渡した。ところが、道路に指定されておりますのは、ピアとピアの間のまん中だけなんです。ピアの両端に、ピアを含めて一間ばかりの間の部分が、私鉄の私有地のままに残されておる。その残されておるところを飲み屋街に貸した。そういうところにできる小さな飲食店は、ちょっとチュウを一ぱいというふうなものであって、これはあなたの言われる良俗、公の秩序を、ある場合はなはだ阻害するような現象が出てまいります。たまたまそこには、とられた家の離れに、お茶やお花の先生がずっと以前から住んでおります。いままでは、晩になると、そこに職業婦人がお花やお茶を習いに来ている。ところが、そこにはもう来れなくなってしまう。こういうふうなことで、非常に影響を与える。それから、そこから少し離れたところになりますと、今度は土建業者その他の材料置き場に、セメントを置いたり、いろいろな材料置き場に貸しております。そうして、きたない、ゆがんだようなトタン板で囲っているというようなことになりますと、およそその辺の美観をそこねてしまう。その辺が、いまでは全く裏町のそのまた裏町と申しますか、非常なスラム的な傾向を帯びてきておる。だから、そういうふうなことを、これは私のほうの私有地でございますから、その使用処分の方法管理方法は自由でございます、こういうふうなことであっては困る。あなたが、厳重な指導をしておられる、古くはいざ知らず、最近はきちんとやっておりますという、その一、二年に、こういうことが始まってまいっておる。それはどういうことでございますか。どういう指導をいままでしておられたのか、どういう通達を出しておられたのか、あるいはいままでそういうことが手抜かりであったとするならば、今後どういうふうな指導方針をもって、その地域管理公共の福祉に沿うようにやっていかれるのか、その辺を明確にしていただきませんと、土地収用法の強面化によって、私有権の制限は強化され、あとの管理はでたらめである、こういうふうなことでは、私どもはこの収用法を通すわけにはまいらない。だから、そういう点について、指導に当たり監督に当たっておられる政府当局から、明確な御答弁をこの機会にちょうだいしておいて、今後そういうふうなことが絶対に起こらぬというふうな事態を、ひとつはっきりさしていただきたいと思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
  60. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 施設の貸与をいたしましたについて、いま実例をあげられたようなことがありとするならば、まことに遺憾でございます。今後さようなことのないように、さらに厳重に監督いたしたいと思います。そしてできることならば、その経営者に命じて、建物の撤去を命ずるように努力いたしたいと存じます。  大体におきまして、衛生上、公衆上の便の悪いものであるとか、良俗に反するようなものとか、あるいは付近の環境を悪くするようなものをなにするというようなことは、あなたのお説のとおり、土地収用された者の身になってみると、全くたまったものじゃないと思います。国鉄につきましては、かなりこのごろはそういうことのないように努力しておりますが、私鉄につきましては、目の届かぬところもあると思います。もしあるならば、厳重に注意をして、そしてそれに応じないものには、またほかの強制手段を講じまして、そういうことのないように努力いたしたいと存じます。
  61. 岡本隆一

    ○岡本委員 それでは、もう一つ、くどいようでございますが、古いものについてはしかたがない。しかしながら、最近厳重な監督をしておると言われる最近になって、そういうことが始まっておるというふうなことは、既得権があっても、なおかつそれを取り消すように、あなたのほうで指示されますか。たとえば、近鉄の場合は、昔の奈良電鉄、これは非常に経営がよたよたしておった。よたよたしておったから、大資本である近鉄が買収したのです。だから、奈良電が近鉄にかわった。よたよたしておる奈良電の時分には、そういうことをやらなかった。非常に資本力の強いしっかりした近鉄になったら、が然そういうことを始めてくる。私は、あまりに大近鉄にしてはみみっちいやり方である、いじましいやり方であると思う。しかも大資本が、大近鉄が、そのような利益の追求をやって、付近の住民に迷惑を及ぼしておる。こういうふうなことになりますと、これは許せない事柄であると私は思います。ひとり近鉄に例をあげて何かもしれませんが、しかしながら、最近、近年そういうことを始めたものについては、厳重な撤去の要求を運輸省はされますかどうか、この機会に、もう一度明確にしておいていただきたい。
  62. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私は、ただいまお答えしたように、尋常の手段でのかないで、しかもそれが非常な迷惑を及ぼすということなら、法律の許す範囲内におきまして、撤去もあえて辞さない覚悟でございます。
  63. 岡本隆一

    ○岡本委員 法律の許す範囲内でということになってまいりますと、現在そういうことを命じる法律がないのです。そこで、私はこの委員会で、土地収用法改正の中で修正をやれ、それは公共の福祉に沿うように管理せぬといかぬという条項を入れろ、こういうことなんです。ところが、いやそうしなくても、運輸大臣のほうで適当に管理さすから、ひとつ了解せよというふうな話し合いで、きょうは大臣に来ていただいた。ところが、そのあなたが、法律の許す範囲内でなどと言われますが、その法律はないのです。しかしながら、法律はなくても、行政指導でできる、それはあたりまえなんです。収用権を持った者は、そのあとの管理については、公共の福祉に沿うようにやるのは当然なんだ、だから、収用法を改正するまでもなく、それが当然の義務なんだ、こういう解釈を持っておられるか。そういう解釈に従って、あなたが行政指導をすることができるというお考えをお持ちであれば、これはそういうことは可能であると思う。  これはくどいようでございますが、この問題は、今後ともどんどん都心部を走るのは、道路にいたしましても鉄道にいたしましても、やはりほとんど高架になります。高架になった場合のあとの管理というものは非常に重要な問題でございますから、とくとこの点を念を押すのでございますが、くどいようでございますけれども、もう一度御答弁をお願いいたしたい。
  64. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 あなたの言うように、根本的には、私ども賛成です。ですから、行政指導を強固にしまして、法律改正があればけっこうでございますが、なくてもやらせますから、どうぞ御安心ください。
  65. 岡本隆一

    ○岡本委員 非常に明快な御答弁で、けっこうでございました。  運輸大臣にお尋ねする事項は、それだけでございます。  もう一つ、手続上の問題、管理上の問題、さらに補償の問題が残っておると思うのでございますが、漁業権収用とともに、その補償の問題がいろいろ論議されております。私は、この補償の問題につきまして、現在この補償規定を見ましても、とにかく補償はお金で払う、金銭をもって行なうのだというようなことでございますが、金銭だけで解決できない問題がある。だから、そこで生活権の保障ということが具体的に出てまいりまして、その生活権の保障をめぐって、この土地収用の場合に、大きな争いが出てまいるわけでございますが、この場合、現在の公共事業のあり方というものが、いわば平面的であって、たとえば、道路をやる場合には道路事業としてだけやる、また河川の場合には河川事業としてだけダムをつくる、というふうに行なわれるものでございますから、勢い他のほうの予算がついておりません。   〔委員長退席、加藤(高)委員長代理着席〕 そこで、事業を総合的に、立体的に、たとえば道路事業をやるときには、その市街地の改造事業として、それに住宅事業を伴わせていく、こういうようなコンビでやっていきますなれば、都市内部の道路事業というものは、生活基盤の維持改善というふうなことに非常に役立ってまいりまして、解決が容易でないかと思うのです。またダム補償の場合にいたしましても、水没地域の住民には、別な、たとえば移民政策と一緒にやるとか、あるいはほかの原野の開墾を政府の手であらかじめやっておいて、そうして入植させるというような方針を講じて、立体的に公共事業をやっていけば、事業の遂行が容易であり、同時にまた、生活権の保障というようなことが容易であると思うのでございますが、その点、建設大臣のお考えを承りたいと思います。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、先ほどから申し上げましたが、漁業関係のものにつきましては、こういう事態が起こらなくても、常に漁村振興漁業振興立場に立って、魚族の保護もしくは魚介類の育成等について、政府はしかるべき施策を年々行なっておるわけであります。したがいまして、私は、一たびそういう事態が起こりましたならば、該当するところに対する補償は、たとえばこの法律適用いたしましたにいたしましても、しかるべきものをいたすと同時に、あわせて農林関係のほうにも御協力をいただきまして、そうして魚礁の構築をしていただくとか、ないしはまた沿岸のそれぞれの整備をしていただくとかいうようなことは、当然していただかなければならぬと考えておりまして、これはもう行政の上において当然なさるべきことだと考えております。
  67. 岡本隆一

    ○岡本委員 漁業権の問題は、ずいぶん論議されたあとでございますので、私は都市の問題を申しております。たとえば、いま道路事業をやられるにしても、同じ建設省内部の問題なんです。ところが道路事業をやられるときには、それと一緒に住宅予算を並行さしておらないから、たとえば青山の場合に、非常に補償が高くついたというような考え方が出てまいります。しかしながら土地開発周辺部でやると、このごろでありますと、東京都近辺では坪二、三万程度に、開発に伴う整備費ともでつくわけです。そうすると、青山あたりの土地が幾ら高くても、あのように十階、十五階というふうに高く積み上げていきますと、結局坪当たり二、三万以内で空間がつくり上げられる。だからそういう観点に立って、土地造成事業である、空間造成事業であるという考え方に立てば、あの青山の道路の用地補償というものもそんなに高いものではないのではないか、こういう考え方が出てまいるわけであります。だから、道路の拡張には必ずそういうような住宅予算というものをつけてまいる、こういう観点に立って、今後、都市内におけるところの道路事業というものは都市改造事業だ、こういうような考え方に立ってやっていけば、非常に住民の側の満足もいって、補償交渉も早くまいりますし、賠償交渉も早くまいりますし、同時にまた、そういう考え方に立てば、別に高くついたということにもならないと思うのでございますが、そういう考え方についての建設大臣のお考えをお伺いいたしたい。
  68. 河野一郎

    河野国務大臣 私も全く同感でございます。たとえば、御承知のように、大阪の丼池の問題を解決するにあたりまして、用地費が非常にかさむ。私は原則として、用地費が五割以上のものについては、いまお話しのような特殊なことを並行して勘案いたしまして、五割以下におさめるように、市街地といえども考えなければいかぬということで、地元から計画されてまいりますものについても、いまお話しのような点を勘案いたしまして、そうして何とか用地費について削減するように考慮せいということを指導いたしておるわけでございます。今後も引き続き、お話のとおり強化していきたいと考えております。
  69. 岡本隆一

    ○岡本委員 いま都市改造が適用されておりますのは、たとえば青山であるとか、あるいは大阪の丼池であるとか、そういうふうな地価の非常に高いところだけに限定されております。しかしながら、坪が十万、十五万といった程度の都心では、まだ都市改造というものが適用された例がございませんが、いま私が言うような考え方に立つなれば、さほどまで地価の高くない地域でも、すでにもう空間開発というものが採算に合う時期になってまいっております。これは、いま大臣の御答弁で大体御意向がわかりましたから、お答えいただかなくても、要望だけ申し上げておきますが、そういうような時期になってまいりますから、そういうような点を勘案して計画を進めていただきたいと思います。  それから、最近問題になっておる空間の使用に関係する補償の問題でございますが、たとえば送電線を引いた場合には、線下補償というものがございます。ところが電波管理法で最近問題になっておりますが、電波が利用されておる場合、そこでは無制限に建物を建てられないというふうな議論が出てまいっておるようでございます。電波を両方から送っておると——いままでは線が見えておったら補償しなければならぬ。ところが全然線が見えないのに、建物の高さがある程度押えられるということになってまいりますと、これは形が出ておったら補償される、形が出ておらなければ補償されないという現象が出てまいりますが、これはどういうことになりますか。
  70. 町田充

    町田政府委員 具体的に、特定の上空に線を張って、それから受ける損失補償をするという問題と、電波の通路について一定の高さ以上の建物を制限するという法律制度を全般的にしいた場合の、その損失に対する補償問題とは、ちょっと形が違いますので、私どもで扱っております損失補償は、個々の事業、個々の場所について、公共事業を施行する際に損害が起こった場合の損失補償の問題でありますから、いまお尋ねの問題は、ちょっと私がここで即答するというのはむずかしゅうございます。
  71. 岡本隆一

    ○岡本委員 これから後、高度利用で、空間の利用ということがだんだん盛んになってまいります。そういたしますと、これは同じ建物を建てるにいたしましても、たとえば、このあたりに十階建てを建てるのと下町で十階建てを建てるのとは、標高はうんと違う。それによって電波の損害の程度が非常に違ってまいります。だから、非常に高みに、たとえば赤坂方面とかああいうところへ建物を建てる場合には、しばしば電波を遮蔽するというふうな問題が出てまいるのではないか。だから、ある程度、電波の送信そのものが、それ以上の高さでなければならないというなにはございますけれども、これから後、建物が上に延びていく。しかも上に延ばすことがいろいろの土地問題を解決する大きなかぎでございますから、私どもはできるだけ上に延ばしていこうと思う。まあそれは限度がございますが、できるだけ上に延ばしていくことになろうと思う。現在でありますと、十階建てくらいまでならば電波の障害にはならない。しかし十階以上にすると電波の障害になってくる、こういうことがございます。そういたしますと、十階では少し足りないのではないか。これから後は、幾ら地震国の日本といえども、いろいろな建築技術士の問題を克服して、一般土地の高度利用というものは、十五階あるいは二十階くらいまではいっていいのではないか。そうして大きな集団住宅を建てる。こういうようなことをすれば、道路、下水その他の公共投資というものが非常に節約できるわけです。だからそういう観点に立って上に延ばしていこうとするときに、電波の問題と衝突してまいりますが、その点、土地の所有者も制約を受けるが、また電波を送る設置者との間の衝突をどう理解していかれますか。
  72. 町田充

    町田政府委員 今回の電波法の改正に関連いたしまして、そういった高さの制限を受ける建築物について、いろいろ補償の議論があったことは、私は間接的に伺っておりますけれども、この問題は、先ほど申し上げましたように、そういった電波法という法律によりまして、制限地区といいますか、そういう制度を設定することに伴う損失をどういうふうに考えるかという問題でございまして、間接的に話は聞いておりますけれども、ちょっと私からここで責任のあるお答えができませんので、ひとつごかんべんを願いたいと思います。
  73. 岡本隆一

    ○岡本委員 送電線の問題は、補償基準の中に入っております。電波の問題は、補償基準の中に入っておりませんね。だから、ある程度公共的なものでなければ、電波をかってに送るという設備をもって、建物の高度制限をするということはできないことだと思うのです。そういう点についての建設省の見解を明確にしておいていただかないと、郵政省のほうでは、電波の重要性から、当然建物は制限されるべきだという考え方に立ちますが、われわれは電波以上に国民の住生活のほうが大切であるという考え方に立っておりますので、その点は、建設省のほうで御検討を願っておきたいと思います。  それから、補償の問題に付随して、当然補償基準についてお尋ねをしなければならないのでございますが、いままで補償基準につきましては、委員会で御説明を願ったことがございませんのですが、補償基準の第三条に「補償額算定の時期」というのがございます。——大臣は忙しゅうございましたら、こまかい問題はようございますから、どうぞお帰りください。補償額の算定の時期は、契約締結のときの価格にする、こういうことになっております。そして追加払いはしない。ところが、このごろのように地価の値上がりがはなはだしいと、ごね得が出てまいります。ねばっておった者は、あとからたくさんの補償をもらうという現象が出てまいります。そうすると、すなおに買収に応じた側には大きな不満がうっせきしてくるわけなんです。だから、勢い、そのためにいま収用法を改正するのだという御意向はわかります。しかしながら、いろいろな手続をもってしても非常に買収が困難である、非常に大きな補償額の開きが出たという場合には、当然最終のときの補償額でもって支払ってやらなければ、いつまでも不満が残るのではないか。そういうことになると、その次またその近くの地域でもって公共用地の取得の問題が出てまいった場合に、ごねたほうが得する、それじゃこっちもごねたろうかいな、こういうことになって、ごね得の風習が一そう広がっていくと思う。だからある時限を切って、ことに今度のようにもう強化された、非常に収用権が強化されて、短時日のうちに解決するのだ、こういう場合には、やはり最終の契約ができ上がったときの価格をもって、あとで追加払いする、こういう制度に改めることはできないか。そうすれば、収用委員会のほうも鋭意努力するでありましょうし、また政府のほうも早急に解決するために努力する、こういうことが出てまいる。現在でありますと、こういう例があるのです。これは道路の場合でありましたが、この前私がタッチした例ですが、十字路のかどの散髪屋さんだけ残して、周囲だけ先にずっと買収しちゃった。一軒だけ残して、しかもそのなにに対しては全然交渉していないのです。ほかの交渉を先に全部済まして、取っ払って、それでもって全く一軒だけすぽっと立ち残している。いかにもごね得をやっているような姿に先にしちゃうのです。それから後、交渉にかかるのです。これは大阪夏の陣ですか冬の陣ですか、堀を埋めて、いても立ってもおれないような状態に先にしておいてから、交渉にかかる。いわば非常に巧妙な交渉が行なわれたのに、私はタッチしました。とにかく近くで商売ができるようにさえしてもらったらいい、こう言うのです。そのことは、生活権の確保の問題なんでありますが、逆にそういうように容易なところから先に落として、むずかしいところはあとに残していく。そうすると、片方ごね得しておるように見えるし、片方先に話に応じたほうは損をした、こういうなにが出てくるわけでありますから、そういうふうな交渉というものを平等に進めていく、公正にやるという観点からいくならば、ある時期を面して、ことにこういうような権限が強化されるという形においては、あとに譲ることができないかということをお尋ねするのですが……。
  74. 町田充

    町田政府委員 確かに御指摘のように、要するにある事業のために必要な土地の提供者に対して、先に買収に応じた者と一番最後に買収に応じた者との間に値段の開きがないように、つまり不公平が起こらないようにという趣旨を何とか実現したいということで、いろいろ苦心をしておるわけであります。たとえば東京都の補償の実際を聞いてみますと、第一番目の人の契約締結時の価格でなくて、この地帯の用地交渉については、最終的に全部片づくまでには一年かかるであろうというような予想を立てますと、おおむね最終的に契約が完結するであろう、その一年後の値段を最初から提示をいたしまして、そしてそのかわり最初も最後も、その値段一本で押し通すという考え方で処理をしておる、という実例もございますので、私どもも用地提供者の間の不公平をなくするという意味では、そういう運用も十分考えていかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
  75. 岡本隆一

    ○岡本委員 従来、収用法が今度のように強化されない段階におきましては、用地取得のために二年、三年ほかかったという例は幾らもございます。そうすると非常に大きな開きが出ますから、あるいは困難だったかもしれません。しかし今度の改正でいけば、一年以内に全部のなにが、計画をすれば済む。だからあまり大きな時間の差というものはないと思う。それにいたしましても、そういうふうななにを一定にまとめるという努力はしていただかないと、今後やはりねばり得というふうななにが出てまいりますから、そういう点については御努力願いたいと思うのです。  同時に、現物補償の問題です。いまの例のように、現物補償を要求しても、金で片づけることばかり考えるのです。建設省の出先は、とにかく現物で補償するということになると非常に努力が要るものでありますから、金銭でもって解決しようとする。しかしながら、たとえば周囲のごく狭い範囲の得意を相手にして営業しておる飲食店であるとか、たとえばうどん屋であるとか、あるいは理髪店であるとか、たばこ屋とか、そういうようなものは、どこへでも行ってぽっと開業したからといって、生活がやっていけるものじゃない。だから勢いそういう特定のものについては、他の用地取得を進めるときに、この人の行くところをこさえてやらぬといかぬぞという考え方に立って、用地買収をやればいいのです。だから、残地ができます。みんな取られれば不規則ないろいろな残地ができる。その残地も一緒に買収すればいいのです。ところがその残地は買収しないでおいて、それでもって道路を先にやってしまう。でき上がってくると、今度はだんだん広い道路の姿が出てまいりますと、地価がぐんぐん上がります。その段階になって幾ら行く先をさがしても、もうもらうところの補償費と——そのときは、支払われるところの補償費は最初の人の契約締結時ですから、地価の開きがうんと出てしまっておりますから、どうにも支払われる補償額をもってしては行く先がつくれない、こういうことが出てまいるわけであります。だから、この補償基準では、原則として金銭をもってする。しかし現物補償が求められてやむを得ないときには、現物補償をするのだということが書いてある。書いてあるのに、それが行なわれていない。そういうふうな狭い範囲の住民相手に生計を営んでおるというような人については、現物補償をするのが当然なんです。そうして求めておるところの補償というものも、とにかく五十メートル以内のところで店を開かしてください、店がやっていけるようにしてください、五十メートル、半町ぐらいの間で店を開けるようにしていただいたら、ほかに何も要求はございません、こういう要求であったにかかわらず、金銭で片づけようとするから、なかなか解決がつかない。そうすると、周囲のほうを先にすっかり買収してしまって、家までとつ払ってしまって裸にしてから交渉する、そこで私のところに泣きついてきた、こういうことです。私はその近くの残地の所有者のところに頼んで、無理言って分けてもらって、そこへおさめて円満に解決をさせましたけれども、しかし、私にできることがどうして建設省にできないのか。だから、そこまでのことをしなくても、もっと最初の話を進めるときに、当然やらなければいかぬことになると思うのです。だからこの補償基準を、もう少し現物補償というものを強化するような方針を打ち出せないものかどうか、その辺いかがでしょう。
  76. 町田充

    町田政府委員 御指摘のような事例は、たとえば水没するダムの部落の住民、そういう者に対して、山林を提供して入植させた、あるいは農地造成して貸し付けた、というふうな事例は若干あるわけでございます。それから、そういう代替用地を、国が道路事業をやります場合にあわせて取得するということにつきましては、それは直接事業の用に供する土地でございませんので、現行の予算制度からは、相当な制約があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった予算上の制約を離れて、代替地として提供するような土地も取得できるような別の組織というものを、昨年度も予算要求をいたしたわけでございますが、実現を見るに至りませんでしたので、来年度あらためてそういう組織を考えたい、そして先生のおっしゃるような御趣旨に沿うように持っていきたい、というふうに考えておるわけです。
  77. 岡本隆一

    ○岡本委員 そういうような予算措置が得られなかったということは、この補償基準の第六条は、「真にやむを得ないものであると認められるときは、事情の許す限り、これらの給付を行なうよう努めるものとする。」という表現でございます。つとめなければならないものとするというのと、これは同じかもしれませんが、ちょっと響きが違うと思います。だからつとめなければならないを、さらに行なうものとする、行なわなければならない。それからもう一つ強い、だからここらまでびしんと、「真にやむを得ないものであると認められる。」ときはと、認めるところに裁量の余地があるのですね。認められるというときは、あなたのほうで、これはどうも現行法の現物補償でやらなければならぬと、認めるというところに裁量の余地がある。現在裁量のゆとりのあるものについて、これは補償する必要がある、現物補償する必要がある、あなた方が認めた場合には、現物補償しなければならぬ、こういうふうにこれを書いたらどうです。そうしたら、今後、補償基準はこうなっているのだから、準備しておかなければいかぬから、少しゆとりのある予算をくれ、こういうことをあなたのほうで要求しやすいようになると思うのです。これは法律じゃございません。だから私どもが修正するというわけにもいかぬでしょう。しかし、これはわれわれのほうで修正の要求を議決すれば、あなたのほうは、委員会で議決をすれば修正をしなければならぬのですか、それなら委員会で議決するように骨を折りますが、いかがでしょうか。
  78. 町田充

    町田政府委員 これは閣議決定事項でございますので、当委員会で修正を議論をしていただくという筋合いのものでなかろう歩思いますが、御意見は十分わかりますので、できるだけ事業費の範囲内で御趣旨に沿うようにいたしたいと思いますし、さらに事業費云々にかかわらず、将来国の会計組織とは別の組織をつくって、そういった直接事業の用に供する以外の土地、つまりかえ地として提供するような土地を自由にあらかじめ取得しておくことができるような、別の、たとえば公団であるとかいうふうな組織を別につくって、十分そういう御要求に対処していきたい、こう考えております。
  79. 岡本隆一

    ○岡本委員 いまのこの第三条のような現物補償の点でありますが、ひとつ、いま採決をしていただかなくてもけっこうですが、しかし今度の採決のときに、あわせて改めるように、そういう現物補償する必要があると認めた場合には、事情の許す限り、これらの給付を行なわなければならぬ、というふうに改めてもらうように、委員会の決議をひとつつくっていただきたいと思います。  それから、この補償基準の一番最後の附則に、駐留軍用地には適用しないという規定がございます。ところが、それでは、自衛隊の用地に対する補償基準はどうなりますか。やはりこの軍用地についてもこの補償基準適用されるのでしょうか、適用されないのでしょうか。
  80. 町田充

    町田政府委員 駐留軍の用に供します場合は、大体、収用というケースよりも、一定期間を定めての使用という形態が多いように伺っております。したがいまして、それに対しまする損失補償も、この要綱には従わないで、別途、防衛施設庁のほうで、補償基準をおつくりになっているはずでございます。
  81. 岡本隆一

    ○岡本委員 自衛隊の場合ですよ、防衛庁のほうで別な基準をつくっているのですか。
  82. 町田充

    町田政府委員 いま申し上げましたのは、駐留軍の施設に対する場合でございまして、自衛隊の施設についての損失補償は、この基準によってやっているわけでございます。
  83. 岡本隆一

    ○岡本委員 そうすると、自衛隊の用地を駐留軍の用地に転換することがございますね、自衛隊のいままで使っているものを駐留軍に使わせる、こういうことになった場合に、これはどうなりますか。そのときにあらためて、話が違うから、じゃ追加払いをしてくれという要求があったら、あなたのほうはどうされますか。駐留軍用地を、これはもう一つ悪くゆがんで解釈すれば、自衛隊用地であるといって、この補償基準によって取得をして、それでもって一、二年自衛隊が使ってから駐留軍に転用するということになれば、駐留軍用地が少し安く使用できる、こういうことになるのでございますが、そういうような場合には、どういう措置がありますか。
  84. 町田充

    町田政府委員 それはあくまで駐留軍の施設の用に供しているのか、あるいは自衛隊の施設の用に供しているのか、その辺の最初の契約——いずれにいたしましても、目的を明らかにして当事者と交渉をし、収用するなり使用するなりあるいは賃貸借でいくなり、契約がきまっておるはずでございましょうから、その契約目的が変更になれば、当然それに応じて、いずれの損失補償基準によってやるかということがきまってくるのだと思います。
  85. 岡本隆一

    ○岡本委員 それはあとの管理上の問題になってくると思いますが、自衛隊用地として取得したものは、最後まで自衛隊用地として使われるのがたてまえであると思う。ところが、しばしば転用される。転用される場合には、取得価格というものに違いが出てまいります。駐留軍に使われるのなら、あんなに安く提供するのじゃなかった、こういうことも、やはりいま、国民感情とかあるいはいろいろな国内の意見の相違というふうなところから、そういう問題が出てまいると思う。だから、そういうふうな場合には、この補償基準のそれぞれの間におけるところの補償価格の開き、こういうものをどう取り扱われるか、こういうことを承りたいのであります。
  86. 町田充

    町田政府委員 駐留軍の施設の用に供します場合の損失補償基準は、別に防衛施設庁でおつくりになっているわけでございますが、その内容は、おおむね一般公共事業の用に供します損失補償基準と、内容的には変わりはございません。ただ、先ほど申し上げましたように、駐留軍に対する施設の供与というのは、一定期間内の使用という形で行なわれている。だから、最終的に所有権を取得するというふうな形で行なわれているのはむしろ少なくて、使用権の設定というふうな形で行なわれている事例が多いために、特別に別の基準をつくっておるわけでございますけれども、その内容は、そう違いのあるものではございません。したがいまして、自衛隊の施設から駐留軍の施設に変わったというふうな場合がかりにございましても、損失補償の内容としては、そう質的に変わらないはずでございます。
  87. 岡本隆一

    ○岡本委員 実質的に変わらないというて、これはそうじゃないでしょう。駐留軍の何に対してはこの補償基準適用しないということが書いてあるということは、これは国民感情から見ても、駐留軍の用に供する場合には、特に住民の感情その他を勘案して、満足の得られるように念入りに話し合いをする、こういうことなんですね。だから、この補償基準に従って自衛隊の場合だったら収用できる、駐留軍の場合だったら、この補償基準によることはできないということであると、そこに相当な開きがおのずから出てまいるわけです。これはそう多くある例ではございませんが、そういう点がこの補償基準の中に矛盾がある。われわれとしては、やはりそういうふうに特にこの補償基準の中に、駐留軍については適用しないということが附則で規定されておるのに、その転用の場合について何も規定がないということで、転用されてしまえばそれでしまいだということになっていると、せっかくのこの条項が、何かもう一つ画龍点睛を欠くといいますか、そういう感じがするので申し上げておるのでありますが、しかしこれはもう議論してみてもきりがないから、この辺で打ち切ることにいたします。  それでは、私はこの程度で、あと関連があるそうですから。……
  88. 山中日露史

    ○山中(日)委員 いま補償の問題が出ましたので、関連して、一点だけお尋ねしておきたいと思います。  土地収用法規定によりますと、起業者が事業認定の申請をする場合には、事業計画書というものを出さなければならぬことになっておるわけです。ところで、この事業計画書の中には、この起業者が土地を買収する場合、あるいは土地収用の場合における補償費というものは当然記載されておらなければならぬと思うのですが、その計画書の中に記載されておる補償費というものが、不当に低過ぎるというような場合があり得ると思うのです。特に起業者の立場からいえば、採算上とても高い補償費は出せないということから、できるだけ低く補償費を見積もるという傾向があると思うのです。現にそれをやっておるらしいのであります。そういう場合に、認定権者である建設大臣とか都道府県知事は、その補償の見積もりが非常に過小であるということを理由に、その認定を拒否するということができるものかどうかという点をお聞きしたいと思います。
  89. 町田充

    町田政府委員 事業認定申請書では、必ずしもその損失補償まで書くことを要求しておりませんので、実際出てまいります事業認定申請書では、起業者の見積もっておる損失補償金額が安過ぎるとか高いかという判断はなかなかできないわけでございます。裁決申請をいたします場合に、初めて起業者の損失補償の見積もり額というのが出てまいるわけでございまして、事業認定申請書の段階では、事業認定権者としては承知する機会がないわけでございます。
  90. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうしますと、事業認定権者は、その事業計画書に補償の問題が全然なくても、それはあとの裁決の場合にやればいいのだということで、とにかく事業認定というものをやっていくということになるのですか。私はそうではいけないのじゃないかと思うのです。少なくとも事業認定をする場合には、とにかく他人の土地収用する場合を予想しておるわけです。また起業者もそれを見越して、いろいろ予算上の問題も考えておるわけでありますから、そういうことを明確にさして、そしてそれに対する一応の調査をして、この程度ならば認定してもいいだろうということになって、初めて認定をしていく。それですから、今度は収用されるほうからいえば、これはちょっと低過ぎるから高くしてくれということで、紛争が起きると思うのです。私は、認定の際に、そういう点についてもっと調査をするということがなければならないのではないかというふうに考えるのですが、その点については、どういうふうにお考えになっておりますか。
  91. 町田充

    町田政府委員 事業認定のためには、あくまで法律所定の事業に該当するかどうかということと、それから起業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有するかどうか、あるいは土地の適正かつ合理的な利用に供するものであるかどうかというふうなことを判断いたすわけでございまして、事業の遂行の能力が十分あるかどうかきわめて疑わしいといったような場合に、一体どのくらいの損失補償を出すつもりなのかということをあるいは聞くことはあるかもしれませんが、一応法律上では、事業認定申請にあたっては、起業者の名称なり、事業の種類なり、起業地なり、あるいは事業の認定を申請する理由であるとかというふうなものを書面にいたしまして、事業計画書を添付して出す、こういうことが要件になっておりますので、その段階では、直ちにその損失補償額まで見積もって出せということは要求しておらない。それはあくまで裁決申請段階で提示をさせる、こういうことにしておるのでございます。
  92. 山中日露史

    ○山中(日)委員 建設省令に基づいて、申請書の様式がいろいろ規定されておると思うのですが、その申請書の様式規定の中に、そういうことは明らかにすべきじゃないかと思うのです。そういうことは政府としてできないことはないと思いますが、そういうことをやるお考えはないですか。
  93. 町田充

    町田政府委員 省令でできる範囲のこともございますので、十分検討いたしたいと思います。
  94. 楢崎弥之助

    楢崎委員 関連して、最後に一点だけ確認をいたしておきたいのですが、先ほどの私の質問の中で、局長もお聞きのとおり、裁決申請人である建設大臣が最終的に代行裁決権者となるということは、絶対におかしいと私は主張したわけですが、建設大臣は、いや、やはり収用委員会でいろいろ論議をされてきまらなかったにしても、その論議の内容を見て、その論議の内容を加味して代行裁決するといううまみがあるというのは、お聞きのとおりです。そこで、私はそれに対して、それは法理に合わないんだ、もしその事業認定、そして裁決申請の内容と違う結論建設大臣裁決する際には、もう一ぺん事業認定をし直して、裁決申請をすべきだと主張しました。お聞きのとおりです。建設省としては、事業認定裁決申請の内容と違う代行裁決建設大臣がしていいんですか。建設大臣はそういうお答えだったですが、これは、最後に私は確認をしておきたい。いいですか。代行裁決ということをここにきめた一つの理由は、そういううまみがあるからということを明らかにおっしゃいました。これははっきりしておきたいのです。それは、おそらく局長、できないでしょう。
  95. 町田充

    町田政府委員 起業者としての立場建設大臣と、それから、そういう土地問題、用地問題を所管をしておる建設大臣と、こういう二つの立場があるわけでございます。それで、建設大臣がたまたま施行いたします事業につきましては、事業を施行する立場建設大臣として事業認定の申請をする、しかし収用委員会でいろいろ議論があったその議論の経過にかんがみて、土地問題、用地問題を管轄しておる建設大臣としては、代行裁決する場合に、その申請にかかわらず、違った裁決をする。考え直してみて、このとおりの土地が必要だという申請があったけれども、いや考えてみると、これだけで十分だというふうな判断をするという機会がある、そういうことのほうがむしろゆとりがあっていいんじゃないか、こういう意味で、大臣お答えなさったものと了解しておるわけです。
  96. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは絶対におかしいですよ。四十七条による収用委員会の却下の裁決の要件は何ですか。収用委員会ですら、却下の裁決の要件としておるのは、事業認定の内容の事業計画と、実際裁決申請をした場合の事業計画が違った場合には、却下の裁決要件になっておるじゃないですか。四十七条の第二項で、そんなことできないです。もし建設大臣代行裁決する場合に、裁決申請をした内容と違う内容をかってにするということはあなた、できますか。そんなオールマイティなことはない。絶対ない。
  97. 町田充

    町田政府委員 収容委員会が却下の裁決ができますのは、事業認定の申請のあった計画と、それから裁決申請で出てきた計画とが著しく異なるとき、全く違った形のものになっているというふうな極端な場合でございまして、事業認定申請をいたしました建設大臣事業計画が、そのまま裁決申請に出てまいりました場合に、これは却下の理由にも何にもならないわけでございますから、代行裁決ができるわけでありますが、その代行裁決をいたします場合に、収用いたすべき土地区域だとか範囲とかいうものは、裁決事項になっておるわけであります。その裁決に際して、必ずしも計画申請どおりの裁決をしない場合があり得る、こういうことでございます。
  98. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それはたいへんなことですよ。私は、建設大臣は政治家ですから、法の細部については御承知ないから、あのとき言いませんでしたけれども、あなたは事務当局者ですから。そういう私益を侵害するのに非常な配慮を払っておるこの土地収用法なんですよ。それに、収用委員会裁決申請したその内容と異なる代行裁決をするなんということはあり得ない。四十七条の精神からいっても、あり得ないです。そんなことは許されるものですか。それは絶対に違いますよ。そんなオールマイティなことがあり得ますか。それはあなたはおそらく程度の差だろうとおっしゃるでしょう。四十七条は「著しく異なる」ということを書いてあります。程度の問題もあるかもしれないが、しかし少なくとも代行裁決、異なった裁決をし得るなんということは絶対にあり程ない。そんな権限を与えるなんということは絶対にあり得ない。そんな権限を与えるなんて、全くあなた、もうこの法律は要らぬようになりますよ。見てごらんなさい。もう建設大臣がいいと思えば、そのとおり裁決になるんだから。そういうオールマイティを建設大臣に与えることになります。それは、私どもは絶対に法解釈としては納得できませんよ。事務当局がそういうお考えであるなら、私はたいへんだと思うんです。建設大臣はまあまあとしましてね。
  99. 町田充

    町田政府委員 現在でも事業認定裁決申請がございまして、収用委員会裁決いたします場合に、「収用する土地区域」あるいは「使用する土地区域並びに使用の方法及び期間」というようなことで、収用する土地区域収用委員会裁決することになっておるわけでございます。それはあくまで「起業者が申し立てた範囲内で、且つ、事業に必要な限度において裁決しなければならない。」こういうことになっておるわけです。したがいまして、起業者が申請した以上に、収用すべき土地裁決することはございませんけれども、そんなに必要でないと、こう判断すれば、その範囲内で裁決ができる、こういうたてまえになっておるわけです。この規定が、建設大臣代行裁決の場合にも働くわけでございますから、事業認定権者あるいは収用裁決申請者としての、つまり事業を施行する立場での建設大臣としては、これだけの土地事業のために必要だから収用裁決をしてくれ、こういう申請をしたといたしましても、収用委員会でいろいろ議論があったという経過にかんがみまして、裁決をする立場建設大臣、これは土地問題、用地問題、土地行政を管轄する建設大臣立場代行裁決をいたすわけでございますが、その場合に、いま申し上げたように、事業のためには起業者があくまで申し立てた範囲内で必要な限度で裁決をする、こういうことになっておりまするので、その申請どおりのような土地は必ずしも必要でないという裁決が下し得る余地がある、そのほうがむしろゆとりがあるのじゃないか、こういう大臣の趣旨と了解しております。
  100. 楢崎弥之助

    楢崎委員 大臣の趣旨は、私はもう百も承知しております、聞いておりますから。ただ事務当局の配慮として、あるいは大臣を補佐すべきあなた方が、その法解釈にあたってそういう解釈では、私は、いよいよもってこの代行裁決という条項は、法理に合わないたいへんな問題だと思うんです。もしそれなら、もしその必要があるなら、あくまでも、もう一ぺん建設大臣裁決申請の内容を変えて、もう一ぺん収用委員会にかける、こういう手続が、あくまでも民主的であるし、法理にかなったやり方であるし、収用法の精神にのっとったやり方である。代行裁決する際に、裁決申請の内容と違うような裁決をするということは、私どもは絶対承服できません。これは議論になりますから……。
  101. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 次会は、来たる二十七日水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時散会