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1964-03-25 第46回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 瀬戸山三男君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君 理事 山中日露史君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       木村 武雄君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    松澤 雄藏君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       西宮  弘君    原   茂君       山崎 始男君    玉置 一徳君       吉田 賢一君  出席政府委員         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         農 林 技 官         (農政局普及部         長)      原  政司君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため、委員長の指名により、私がかわって委員長の職務を行ないます。  公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。金丸徳重君。
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 初めに、私は本案の算出基礎とでも申しましょうか、基本の精神といたしましては、四十五年度までには一世帯住宅、という大理想を掲げて計画を進められておるようでありますが、その中で、七百八十万戸あれば大体その理想に近い、もしくはそれを達成することができるというふうに考えられた基本的な資料とでもいいますか、そういうものと、それからそのうち三百万戸を政府施策のほうで受け持とうとされた根拠、それから、その他のものを民間住宅のほうで受け持ってもらおうというような考えを進められたようでありますが、これらの施策を策定された基本的な資料などにつきまして、一応承っておきたいと思います。
  4. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 現在の住宅不足人口について推定いたしまして、昭和四十五年度までに七百八十万戸と推定いたしましたのは、前に昭和三十六年から昭和四十五年までの十カ年に住宅不足解消して、その間における新規の住宅需要及び建てかえ等を充足いたしますと、一千万戸の住宅建設を必要としたのでございますが、そのうちすでに三十六年度、七年度、八年度、この三カ年に二百二十万戸の建設ができましたので、そのうち残りましたもの七百八十万戸を昭和四十五年度までに完成することによりまして、昭和四十五年度の終わりには、各世帯が安定した住宅を持ち得るという計算のもとに、七百八十万戸の数字を出したわけでございます。そのうち、昭和三十五年度におきまして調査いたしました住宅困窮世帯状況、及び住宅難世帯希望状況等を見ますと、政府施策による住宅希望する者が約半数近くございましたが、従来の実績は、政府施策住宅が三五、六%でございましたので、今後七カ年間における住宅計画といたしましては、約四割の三百万戸以上を政府施策によって建設することが適当であろう、こう考えまして、三百万戸という数字を見ましたが、これは現在の政府施策住宅を今後七カ年にわたりまして、年率一〇%程度引き上げてまいりますと、その戸数が完成できます。同時にまた、残りました民間住宅の四百八十万戸につきましては、民間建設力も活発でございますが、これを八%程度に推定いたしますと十分に完成できますので、この程度数字は、かなり努力が要りますけれども、達成できることは間違いない、こういう考えのもとに、そういう数字を出したのでございます。そのうち政府施策三百万戸の内訳でございますが、これは現在、主として公営住宅のように、低家賃の賃貸住宅供給方式と、個人資金を貸し付けまして個人につくらせる住宅金融公庫によるところの住宅、及び会社、企業等資金政府資金と一緒にいたしました給与住宅方式、この三分類になると思います。その内訳につきましては詳細にはきめておりませんけれども、特に住宅に困窮している者の中で所得の少ない方々に対する住宅につきましては、従来の実績なり、あるいは重点を置くという観点から、合計いたしまして、この七カ年に約五十数万戸ないし六十数万戸の建設考えております。この中には、公営住宅不良住宅地区改良によるところの改良住宅を含んでおりますが、その両者を合計いたしまして、七カ年に五十数万戸ないし六十数万戸、そういたしますと、公営住宅につきましては、この七カ年計画の前期の三カ年におきましては、百二十万戸を建設するということにいたしまして、あと残りのものにつきましては、その残った期間の四カ年に建設することが可能であるということから、二十万戸という戸数計算をしたのでございます。
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 一千万戸と策定された所要の数字は三年前と承っておったのでありますが、それに間違いありませんか。
  6. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 昭和三十六年度当初でございました。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 昭和三十六年ごろから急激に、所得倍増計画進行によりまして、あるいは消費ブームといいますか、あるいは一般的に国民生活向上からいたしまして、住宅などについての希望あるいは期待というものがだんだん大きくなってまいった。その当時は必要としないような面におきましても、必要とする度が高まってまいりまして、当時満足しておった住宅もあるいは不満足になって、建てかえるとか改良するということになってまいると思うのでありますが、これらについてはどういうふうに、この数字の策定上勘案なさっておられるか。
  8. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅に対する希望と申しますか要望は、お話しのとおり、経済の伸展、あるいは社会生活向上につれて変わってまいります。しかしながら、一定計画をつくります場合には、一定基準で引かざるを得ませんので、昭和三十六年度考えましたときには、そのときにおける住宅不足——不足と申しますのは、現に住宅でないところに住んでおる住宅がない人とか、あるいは住宅でありましても、客観的に見まして非常に狭小であり過密である。具体的に申しますと、四人家族程度の普通の世帯が十二畳以下の小さい家に住んでいる場合とか、あるいは二人の家族でございますと九畳未満の小さい家に住んでいるとか、こういう非常に狭小住宅とするにふさわしくないという程度住宅、これを住宅不足考えております。個人といたしましては、あるいはそれよりより大きい家を希望する人もあるかもしれませんけれども、一応政策の対象としては、その程度以下のものは住宅でない、そういうふうに考えます。それから、その期間における新たな世帯を持って家がほしいという方に、少なくともいま申し上げた基準以上の住宅を提供するということから計算をいたしてございます。その関係で、当時の基準をさらに変更いたしますと、住宅不足の推定も変わってきますけれども、ここ当分の間は、昭和四十五年度まではこの基準でいくのがほんとうである、こう考えまして、特にこの際は基準を変えておりません。
  9. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうしますと、この計算基礎になった数字というものは、当時の事情からして、最低この程度はがまんしてもらわなければならぬ、というようなことの数字基礎になっておるように思うのです。現在の状況からしますと、それではとてもがまんできないということがおよそ予想できますので、これは現在から考えますと、とうてい満足な数字ではないのである、ということの結論になるようでありますが、その点についてはどうでありますか。
  10. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅狭小、過密の基準につきましては、これは戦後常時上げてきております。昭和三十六年度には引き上げまして、いま申しましたような基準をつくりましたけれども、その後この基準を改正して新しい住宅需要に対する基準をつくるかどうかにつきましては、全体的な住宅事情から考えまして、なかなか慎重に検討を要するわけであります。もちろん快適なよりいい住宅に住みたいということは、これは理想でございますけれども、現在の住宅事情から考えまして、ある程度の線を引くという点におきまして、十分でないことはあるいは議論がありますけれども、これが最低基準であって、現在の住宅事情に対する基準としては一応妥当である、われわれはこういう考えで、少なくとも昭和四十五年度までは、その基準で全体の住宅事情のバランスをとるということが必要だろうと考えるわけであります。
  11. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 少しくどいようでありますけれども、私はこの計画が、何かものさしがなければならぬわけですから、そのものさしを三十六年度に置くということも、これもやむを得ないと思います。また計画を進める上におきましては、四十五年度まで一応長期計画を立てる場合におきましては、そのものさしを始終変えるというわけにもまいらないことですから、これは一応やむを得ないとは言いながら、これをもって満足しておるものじゃないんだ、住宅需要についてはどんどん変わってくるので、状況によってはさらにこれを変えていかなければならない、増加しなければならないという考え方基礎にあるのかどうか、それとも四十五年まではもうこれで押し通すんだというふうにお考えなのかどうか、そういうことを承りたかったのであります。
  12. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 これは現在における見通しでありまして、いまお話しのとおり、今後の住宅に対する国民の要望なり、あるいは住宅の実態の調査の進行によりまして、この期間内におきましても、適当な機会があれば、さらに検討を加えられるだろうと思います。
  13. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで、公営住宅法公営住宅という前に、政府施策住宅として三百万戸を受け持つ、これはことばがおかしいかもしれませんけれども、受け持ってそれなりの用意をしてかかるということでありますが、この政府施策住宅の、今日までの計画実行上の実際はどうであったでありましょうか。計画どおりいままでの各年度とも進んでおるだろうかどうか、昭和二十七年度からこうした計画が進められておるのでありますが、各年度ごとによりましては、また各地域ごとによりましては、せっかく計画がそう進んでおっても、いろいろな事情から実行面においては達成できなかったという面があろうかと思うのであります。これらにつきましては、どんな足どりで今日まで進んでこられておりますか。それから、今後の見通しは、そうした過去の実績にかんがみまして、どういうふうにお考えを持っておられるか、承っておきたい。
  14. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 政府施策住宅計画とその実績につきましては、ごく端数的な誤差はございますけれども、ほとんど計画どおり達成いたしております。たとえば公営住宅につきましては、三カ年計画につきましては遺憾ながら過去の実績によりましては計画どおりはいかぬ、若干の差がございますが、年度間の予算の中におきまして、予算どおり住宅をつくっております。住宅金融公庫につきましても、若干の、申込者事情等によりまして融資をしなかった面もございますけれども、ほとんど計画どおり実施をしてきておりまして、数字をちょっと申し上げますと、三十六年度公営住宅も五万三千戸、住宅金融公庫が十万五千戸、公団住宅が三万………。
  15. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 パーセンテージで出ておりませんか。
  16. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 予算のとおり仕事をしておりまして、年度内に完成しないものにつきましては、若干の繰り越しはございますけれども、全体としての戸数が減ったということはございません。
  17. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これは、公営住宅におきましては達成率が八六%だというふうな数字を、私何かで見たように思うのでありますが、住宅局のほうでは、そういう数字はお持ちになっておりませんか。公営住宅についての達成率が八六%である、過去三カ年における実績はそういうことでございましたが……。どうでございますか。
  18. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 先ほど申し上げましたように、予算のついたものにつきましては完成いたしておりますけれども、公営住宅三カ年計画につきましては、三カ年の全体計画につきまして計画をきめまして、その中で予算をつけてまいっておりますので、残念ながら、過去の実績につきましては、必ずしも一〇〇%は実施をいたしておりませんので、例を申し上げますと、第四期の昭和三十六年から昭和三十八年までのこの三カ年につきましては、計画十七万一千戸に対しまして建設が十六万一千二百九十六戸でございまして、これは九四%の実現を示しております。その前の第三期におきましては、九二%の実績を示しております。
  19. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その数字は、各地方から報告になったものと思うのでありますが、少し違うのじゃないかと思う。あるいは地方のほうではいろいろな関係上、多少の水増しをして報告してあるのじゃないかと思われる節がある。私が持っている資料によりますと、その達成率は八六%、つまり一四%だけ計画戸数よりも実際にできた戸数のほうが少ないということであります。また、この予算どおり計画どおりいったとすれば、これはたいへんめでたいことでありますけれども、いままでの状況からいって、なかなかそうはいかなかったと思うのであります。いかなかったというほうがむしろほんとうのように思えるのでありまして、先ほどおっしゃるように、九六%とかいう達成率にはまいっておらぬように思うのです。どうでありましょうか、もう一ぺんお確めを願いたい。
  20. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ただいま先生の御指摘の八六%の数字の詳細については、私承知しておりませんが、われわれが予算実施につきまして各県と照合いたしまして、確実に把握している数字は、先ほど申し上げましたようにこまかい数字が出ておりまして、第四期で申し上げますと、十七万一千戸の計画に対しまして、十六万一千二百九十六戸という詳しい数字が出ております。これが九四%強であるということは、私は間違いないと存じております。その以前の第三期につきましても、十五万七千戸に対して、十四万四千十四戸となっておりまして、これは九二%でございますが、この完成した数字には間違いないと信じております。
  21. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういう達成率であればたいへんけっこうなことと思うのでありますが、ここには数字があげてありますから、これは御参考にひとつお聞き取りをいただきたい。計画戸数六十六万三千戸に対して、実績五十七万一千五百二十五戸、これは二十七年度以降の建設計画であろうと思うのでありますが、そういうことになっておりまして、これはまさに達成率八六%、こういうことであります。  これを押し問答しておってもしかたがありませんけれども、私が先ほど申し上げましたように、いままでのように物価がどんどん上がってくる、ことに人件費がどんどん上がってくるというようなことからいたしますと、予算どおり戸数をきまった予算の中でつくり上げるということは容易ならぬことだと思うのであります。もしそういうことができたとしますならば、この計画を引き受けた地方公共団体といたしましては、相当の犠牲を払っているのじゃないかと思われるのでありまして、そういう意味におきましては、むしろ八六%という数字のほうに現実感を覚えるのでありますが、いかがでありましょうか。
  22. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ただいまわかりましたが、先生数字は、第一期から第四期までの合計の数字かと思います。つきましては、第一期は、実は昭和二十七年から九年までの三カ年でございまして、当時は計画実施の段階にかなりの差がございまして、この第一期だけにつきまして、遺憾ながら六九%、十八万戸の計画に対しまして十二万四千二十戸、こういう実績が出ましたので、これを加算した関係上、私がいま申し上げました後期の第三期あるいは第四期の計画よりは下回る実績と思いますが、その後努力いたしまして、第二期は九二%、第三期も九二%、第四期は九四%と、一〇〇%完成に向かって努力しているのでございます。
  23. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 住宅局の御努力によって、最初の一期から見ますれば、最近の第四期の実績はたいへんいい方向へ向いておるということについてはたいへんけっこうなことだと思うのであります。ただ、最近の宅地入手難あるいは資材の高騰、ことに人件費の増というようなことからいたしまして、公営住宅の実際現地責任を受け持っておるところの各地方庁といたしましては、計画どおり進めるについてはずいぶん苦労されておると思います。そしてその結果が、宅地入手難なんかからいたしまして、とんでもないところへ公営住宅をつくらなければならぬということに相なり、それからして、またもう少し規格のいいものでないと、現在はそれでいいといたしましても、あと三年、五年後においては、この住宅公営住宅としてのなにを果たすことができないようなことになりはしないかと思われるほどの質の低下したものができ上がるのではないかと思われる。現に私どもはそういう苦情をちょいちょい耳にいたすのでありますが、こういうことにつきましては、住宅局としてはどういう対策を持って進めておられますか、ひとつ承りたい。
  24. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 御指摘のとおり、最近特に土地入手が困難なために、適当でない、簡単に申し上げますと、東京都で例を申しますと、都心から離れた場所建設せざるを得ないという状況になってきておることは事実でありまして、このためには、適切な都市計画に基づいたところの、総合的な町づくりの一環としての住宅建設するという基本方針とともに、公営住宅用地費等につきましても、適正な用地費を見まして、適正な場所土地を見つけるように努力させております。具体的に申し上げますと、住宅の敷地も、その年度内に買うのではなくて、数年前に、次年度以降の用地といたしまして買わせておきまして、建物は逐次建てていく、しかし一定場所事前に買っておく、そういうことにいたしまして、団地そのものもいいものにいたしまして、同時に土地の値上がりを押えていくという方法によりまして、公営住宅も、戦後とは違いまして、最近はかなり優秀な団地計画によりまして、家を建てさせるように指導しております。
  25. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういうふうに、宅地などについては早く用意するという方針をとって進められておることについてはいいのでありますが、実際に予算が成立し、それを各地方庁に分配するというような手続上の面もありまして、必ずしも何年も前に宅地用意するということにはまいらない。またせっかく宅地用意しておいても、割り当てがなかったというようなことからして、責任をとらなければならぬというようなことも起きてまいっておるのではないかと思う。実際問題として全国的に見まして、そういうようなことからして、せっかくの計画実行できなかったり、せっかく割り当てても返上しなければならなかったり、逆に見ますと、宅地用意しておいたけれども、今度は割り当てがなかったりというようなことからいたしまして、問題を起こした例も多々あろうかと思うのでありますが、こういう実情については、どういうように見ておられますか。
  26. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 個々の公共団体におきまして、あるいは財政状況、あるいはいま先生指摘のような事情もあるのでありましょうが、若干の計画の変更、返上等もございますが、しかし同時に、それはごく一部のものでありまして、全体といたしましては、その余った分はまた他のところでほしいという希望もございますので、全体としての公営住宅建設そのものについては、減少したことはございません。地区の調整は年度の途中において若干は行なっておりますが、土地入手難のために返上したというほどのものはございません。先ほど申しましたように、すでに一定団地といたしまして数年前から団地をきめてやっておりますのが約三万数千戸分ございまして、来年度につきましても、その程度はもうすでに土地の手当てが済んでおりまして、予算配賦次第、直ちに建築にかかるという準備をしております。
  27. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういうことであればけっこうでありますが、実際問題といたしましては、宅地入手難のためにせっかくの計画が流れてしまったという例はたびたび聞くのであります。住宅局のほうで期待しておるように、何年も前に安い宅地用意しておくことについては、これはいいのでありますが、もしそういう用意がなかったような場合においては、何かそれについての特別な対策住宅局としてはお持ちになっておるのでありますか。宅地入手難の現状にかんがみまして、また同時に、先ほどお話がありましたように非常に理想的な住宅地でないところに持っていくことは、住宅地としては決して好ましいとは思っておられないということから考えますと、適当なところに、適当な年度において、適当な計画を進める場合におきましては、宅地入手難ということについての特別な考え方を、予算面におけるバックアップだとか何かについて、お持ちになっておりますかどうか。
  28. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 宅地対策といたしましては、公営住宅におきまして、先ほど申し上げましたように、次年度以降の用地についても補助するような用意をしておりますし、それから住宅金融公庫におきまして、宅地造成資金を貸し出しておりまして、その資金によりまして、公共団体事前宅地を造成するような指導をしております。   〔瀬戸山委員代理退席委員長着席〕 さらに法律制度としては、一団地住宅経営として、土地収用も可能でございますし、昨年御制定いただきました新住宅市街地開発法におきまして、大規模な土地住宅団地として開発をするという方法によりまして、予算措置と相まって、宅地対策には今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  29. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 宅地のことについてなにしましたが、これは政務次官にお伺いしたいのでありますが、宅地入手難からいたしまして、これは地方公共団体ばかりでなしに、公営住宅全部を受け持つ機関ばかりでなしに、個人におきましても、一そうその感を深くしておると思うのであります。しかも今度の計画の中においては、四百何十万戸というものを民間住宅建設に期待されておるということからいたしまして、民間住宅建設希望者に対して、宅地難のゆえにそれがおくれるというようなことがあってはならぬと思うのであります。政府といたしましては、宅地難解消のために、何か特別な手を打たなければならぬときだと思うのであります。これについてはどんなふうにお考えでございますか。
  30. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいま、宅地審議会におきまして、大きな問題として取り上げております。その答申を私たち待ちまして、いろいろ善処いたしたいと考えておりますけれども、結局宅地難解消は、とりもなおさず需要供給関係が第一でございます。特に最近の都市集中並びに人口の増大というものが、住宅に関連いたしまする宅地難の原因ではないか、こう考えます。これに対しましては、やはり仰せのとおり、抜本的な法的な措置をとらなくちゃならぬ。それには、宅地造成に対しましての国家金融考え方、あっせんも必要でありましょうし、また宅地を取得した場合の税の面からの措置も必要でございましょうし、あらゆる角度から検討いたしまして、早急にひとつこの線を打ち出したい。公共用地の問題につきましては、御承知のとおり、政府といたしましても、公用徴収の問題、すなわち工業用地についての法的な強力な措置につきましては現在考えておりまして、やがて法案として提案され、そこで皆様方の御審議に相なると存ずるのでございまするけれども、個人的な問題につきましては、そういう面から特に考えてみたいというふうに考えております。
  31. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いろいろ施策を講ぜられておるようでありまするが、私は非常に緊急を要することだと思うのです。焦眉の急ということばどおりの事態になっていると思うのでありますが、いつごろまでに、その根本策は立てられるのでありますか。一方においては宅地債券ですか、そういうようなことによって、民間資金を吸収しながら大いに進めていくという案もあるようでありますが、それらのさらに基礎になる何らかの根本策というものが早急に講ぜられることによりまして、宅地難による住宅建設の困難を解消する方向をとらなければならぬと思うのでありますが、いつごろどういう方向で、というような具体策がありますれば、この際お示しをいただければありがたいのであります。
  32. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 非常に重要な問題であり、急を要する問題でございますけれども、御承知のとおり、これは一建設省だけの問題ではございませんので、結局、大蔵省の問題もございまするし、自治省の問題、いろいろ関連しておりますので、各省とも至急に連絡を現在とっておるわけでありますので、やがて皆さま方の御審議を願う時期がくるのではないか、早くそういう時期がくるようにひとつ検討いたしたい、こう答弁申し上げる以外、答弁できないと思います。
  33. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 住宅局長にお伺いするのでありますが、終戦後、ことに二十七年から本計画が強力に進められて以来建てられた公営住宅の中には、当時のやむを得ない事情からだとは思いますけれども、非常にちゃちなといいますか、いまの住宅事情からいいますれば、いかにもがまんできないような建物もあるように思うのであります。それらについては、それをどれくらい見込んでおられるのか。またそれらについて、どういうふうな今後の対策を立てておられるのか。いままでの千万戸足りないという計画基礎になった数字の中には、それらも一応の住み得る住宅として計算に入っていると思うのであります。しかし、実際には、それはもう住み得ないところまで荒れ果てたといいますか、どだい建築基礎が悪いものですから、そういう事態になっていると思うのです。それらについては、特別に別ワクか何かでもって、改良計画なり改築計画なりを進めておきませんと、せっかく千万戸の不足住宅を補っても、そのほうからたいへんな不足状態を来たすというようなことも心配されるのでありますが、それはいかがなさっておられますか。
  34. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 戦後公営住宅としてつくりました住宅は、全体で申し上げますと、九十万戸ほどございます。そのうち木造住宅が五十八万四千戸ほどございますが、このうちすでに滅失をしたものが千二百戸、用途を廃止いたしまして、あるいはいま先生の御指摘のように、住宅として維持できなくなったものもあると存じますが、処分をいたしましたものが一万八千戸ほどございます。それから、そのほかに個人に売り渡したものが九万戸ございます。現在木造住宅で四万七千戸余りを管理いたしておりますが、中には、お話のように相当初期につくったものにつきましては、建てかえをしなければならぬものもございます。これにつきましては、公営住宅で建てかえをいたしまして、その敷地を使って、その場所に、新しい鉄筋コンクリートのアパートをつくるということを奨励いたしまして、だんだんとそういう方向によって、その土地を利用し、同時に古い建物を建てかえるという方向に努力しております。
  35. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 公営住宅のいまの計画の中には、そういうものはどういうふうに取り扱っておられますか。改築なさるという場合には、新しい計画では、それはプラスマイナス・ゼロになるわけですけれども、どういうふうに考えておられますか。
  36. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 建てかえによりまして取り払う住宅は、先ほど申し上げましたこの期間における老朽住宅と申しますか、建てかえを要する住宅として計算済みでございます。新たにつくります場合には、それにかえてつくるということで、新築するもの一千万戸のうち、八十万戸の一部として処理していく計画にしております。
  37. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 一部とするというのは、改築する場合、建てかえる場合にはプラスマイナス・ゼロなんですね。戸数としては、一つこわして一つ建てるのですから。それはどう扱っておられるか。別ワクになっておるのかどうか。
  38. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 こわすほうは、この七カ年に全体で百万戸以上も減るものがございますので、その中の一部として、この公営住宅のこわすものも含めてやっておる、ということでございます。
  39. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それでは、いまの非常に悪い住宅につきましては、私も一つの実験として持っておるのでありますが、むしろ民間に分譲して、民間の力によって、住みいいものに改良していくということも一つの手だと思うのでありますが、これらについては、どういうふうなお考えのもとに進められておりますか。
  40. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 公営住宅の譲渡につきましては、法律に、耐用年数の四分の一を過ぎたものにつきまして、特別の事情のある場合は、譲渡をしてもよいという規定がございまして、その運用によりまして、現在入居者に譲渡いたしまして、入居者が自分の住宅として住んでおるものもございます。これにつきまして、譲渡して本人に管理してもらうということも適当でございますけれども、それと同時に、その場所にさらに新しいりっぱな公営住宅をつくって入居してもらうということも必要でございますので、両方を適時運用いたしまして、必要な低所得者のための住宅が十分供給できますような見地で運営いたしております。
  41. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 特別の事情があれば、分譲するというように承ったのでございますが、その特別の事情という中に、いまの住宅事情といいますか、政府住宅政策に協力してもらうという意味におきまして、民間にこれを譲渡して、すみやかに改良し、住みいい住宅に直すという方針をとる、そういうことも入るのかどうか。いままで特別の事情という中には、おそらくそういうものは入っていないように思うのでありますが、いかがでしょう。
  42. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 従来は、特別の事情といたしまして、公営住宅を引き続いて管理することが不適当であるという場合に、譲渡いたしておりますので、ただいま先生お話しのような場合、公営住宅として管理していくよりも、本人が維持管理したほうがうまくいけるという場合も、譲渡処分の一つの場合として含まれるということもございました。
  43. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私がお伺いしているのは、そういう方向がかりにあったといたしましても、今後それをさらに強化していく必要があるのじゃないか、その効果がまた認められていいんじゃないか、こう思うのでありますが、住宅局長としては、どういうお考えのもとに進められておりますか。
  44. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 譲渡処分の方法につきましては、ただいま先生お話しのような御意見もございますし、また一面、同時に土地の譲渡も伴いますので、土地の譲渡ということは将来の都市計画に適当でないという御意見もございますので、その辺を勘案いたしまして、目下検討いたしておる段階でございます。
  45. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大体私のお伺いいたしたいことは終わりました。
  46. 山中日露史

    ○山中(日)委員 ちょっと関連。  いま金丸委員からお尋ねがありました公営住宅分譲の件でありますけれども、いままで建設されました公営住宅戸数の中で、分譲されたのはどのくらいありますか、数字をちょっとお知らせ願います。
  47. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 約九万戸でございます。
  48. 山中日露史

    ○山中(日)委員 最近新聞を拝見いたしますと、従来の公営住宅の分譲の条件を緩和して、かなり多くの公営住宅を入居者に分譲する、こういうようなことが出ておるのでありますけれども、そういうような方向に進まざるを得なくなった原因は、それはあえて入居者の希望だけによるのか、それとも、公営住宅の管理に非常にばく大な費用が要る、だんだん建物が古くなってまいりますので、公営住宅の管理費がよけいかかる、いっそこの場合入居者に売ってしまったほうがいいじゃないかという、管理の面からそういった方向に転じてきたのか、その辺を聞きたいと思います。
  49. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 御指摘のとおり、管理者側といたしまして、財政上の理由で、従来あるものを譲渡して、その資金を活用したいという御意見もございますし、また、入居者のほうから、ぜひ自分の住宅として持ちたいという、両方あると思います。
  50. 山中日露史

    ○山中(日)委員 今度、公営住宅の分譲条件を緩和するという方針の内容は、一体どういうことになっておりますか、この機会にお知らせ願いたいと思います。
  51. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 そういう御要望がありますので、従来の譲渡処分の基準につきまして、再検討を加えている段階でございまして、まだこれを緩和する、あるいは方法を変えるということはきまっておりません。いろいろ各方面の御意見を拝聴いたしまして、検討しておる状況でございます。
  52. 山中日露史

    ○山中(日)委員 まだはっきりしたものは出ておらぬようでありますけれども、新聞で見ますと、五カ年くらいたってしまった木造の住宅は、これを分譲することになるようでありますが、ただ私どもが非常に心配いたしますのは、公営住宅の管理に非常に費用を要するというような面から、入居者に分譲いたしますと、今度は、公営住宅に入っておった連中が、金をかけてりっぱなものにするということはなかなか困難だと思うのです。そういたしますと、そういう古い公営住宅を直接譲渡するということは、入居者が自分の建物を所有するということでは非常によいのでありますけれども、逆に、いわゆるスラム街的な一つの住宅団地が形成されていくというような危険はないか。こういう点については、どういうふうに考えておられますか。
  53. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 非常にごもっともな御質問でございまして、そういう点も考慮しなくてはなりませんので、われわれのほうでも、一方で自分の家を持ちたいということから、譲渡に対する強い御要望もございますけれども、にわかにその御要望にも沿いかねる。公営住宅の本質として、低所得者のために、環境の良好な住宅が供給できるという基本方針に従って、処分方法につきまして検討しておる段階でございます。
  54. 山中日露史

    ○山中(日)委員 それから、公営住宅の敷地の分譲でありますけれども、従来、敷地の分譲というのは行なわれたことがあるのですか、どうですか。
  55. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅を分譲する際に、同時にその住宅の敷地について、同一人に譲渡している例がございます。
  56. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そこで、私ども非常に懸念されるのは、なるほど土地も建物も自分のものになるということはたいへんけっこうなことなんですけれども、それが土地を所有いたしますと、そこへ今度は住宅を建てないで、その土地を投機の目的に使ったりするような危険はないか。譲渡する場合に、絶対よそへ売ってはいかぬという条件がつけられぬものかどうか。おそらくつけられないと思いますが、家と土地とを譲渡したけれども、それをよそへ売ってしまうとたいへんなことでありますが、そういう点に対する配慮はどういうようになっておりますか。
  57. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ごもっともな御意見でございまして、譲渡いたします場合には、本人がそこに今後、将来とも住みたい、こういう御意向のある方に売るわけでございますが、中にはそういう転売をして、その間利益を得ようという考えの方もあるいはおられるかもしれませんけれども、法律上これが転売を規制することはいろいろ問題がございますが、そういう点もございますので、われわれも、公営住宅の譲渡処分につきましては、慎重に検討する必要があるという考えでございます。
  58. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長 西宮弘君。
  59. 西宮弘

    ○西宮委員 私、お尋ねしたい点が二、三あるのでありますが、その前に、局長にちょっとお尋ねをいたしますが、この前、私、資料をお願いしたのですが、なぜ届けていただけないのでしょうか。
  60. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 おくれまして恐縮でございますが、資料が詳細なものでございますので、印刷に手間どりまして、後刻差し上げたいと存じます。
  61. 西宮弘

    ○西宮委員 詳細と言われましても、あれからもう一月以上たっているわけです。それができないはずはないと思うのですがね。いまお持ちになっているのがそれだと思いますけれども、その程度のものをつくるのに何カ月かかるのでしょうかな。
  62. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 おくれまして申しわけございません。さっそく差し上げることにいたします。
  63. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは政務次官にお尋ねをいたしますが、実はその資料をちょうだいしたいということを局長に申し上げたとき、局長は、これは外部に出さない書類だ、こういうことを言われたのであります。しかし、私は、何も別に外部に出してどうという書類では少しもないはずなんで、統計の数字なのでありますから、それは一向差しつかえないじゃないか、ぜひ出してもらいたいということを申し上げたのですが、もらえないところを見ると、あるいはそういう意図なのかもしれぬと思うのでありますが、そういう意味ならば、政府としては、どういう種類のものを、外部には出さない書類、こういうことに取り扱っておられるのか、一般的な方針を聞きたい。
  64. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 ただいまお申し出の資料につきましては、私といたしましては、そういう意図でないのでございまして、ただまだまとまっておりませんので差し上げられず、申しわけないというわけでございますので、ひとつ御了承願います。
  65. 西宮弘

    ○西宮委員 政務次官は御存じないでしょうが、まとまってないということはないので、そこに持っておられるそれを写してくれと言ったので、写すだけならば、十五、六分もかかったら十分写せると思うのですよ。ことにリコピーなんという複写機にかけたら、二分ぐらいでできるのですよ、なぜ外部に出すことをはばかるのか、お聞きしたい。
  66. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 この資料につきましては、取り急ぎまとめましたので、数字におきましてもチェックする点もございますし、それから内容につきましても、それぞれ個々の具体的な件につきまして、あるいは注釈を加える必要がございますので、外部の方に直ちにこのままお示しするのがいいか、あるいは適当な注釈を加え、あるいは数字についてさらにチェックをして出すべきかということにつきまして検討しており、各件ごとにやりますので、時間をとったわけでございまして、その辺おくれましたことをおわび申し上げます。
  67. 西宮弘

    ○西宮委員 そういうのじゃないのですよ。局長は、この前に私の質問に対して、それを資料にしてお答えになったわけです。だから、その資料をお出しいただきたいということを言ったのであります。その後事情が変わったとかなんとかいうならば、それは別の問題なので、その資料をもとにして答弁をしておられるので、それじゃもう少し私も勉強したいと思ったから、それを一部いただきたいということを申し上げたわけで、私はちっとも無理なことを言ってないと思う。
  68. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 この資料はなまでございまして、私はもう少し検討をした上でと思いましたけれども、このままであるいは誤解を招いては悪いと思いましたが、御要求があれば、このままのもので差し上げたいと思います。
  69. 西宮弘

    ○西宮委員 私が質問をいたしましたことに対して、局長はそれを中心にして答弁をしておられた。だから私はそれをもらいたいということを言ったのに、それではお届けしますということを言っておきながら、もうおそらく一月半ぐらいになると思うのだけれども、そういうあれでは、私どもほんとうに安心して審議ができないのです。  それでは、いまそう言っていてもしかたがありませんから、直ちに届けてもらうことにしまして、私がお尋ねいたしましたのは、仙台市のことについてお尋ねをしたので、その仙台市の建築単価あるいは実際の実績、したがってその開き、そういう点をちょっとお聞かせ願います。そこで読んでいただきます。
  70. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 仙台市のは手元にはございませんで、宮城県でまとめてございますので、これを申し上げます。  昭和三十七年度公営住宅の工事費の実績と標準建設費の資料でございますが、宮城県におきましては、木造につきましては、一平米当たり一万六百十一円の標準建設費に対しまして、宮城県の昭和三十七年度実績によりますと、一万四千九百四十七円になっております。その次に簡易耐火構造の平屋住宅で申し上げますと、標準費が一万三千百六十七円に対しまして一万八千二百五十五円でございます。同じく簡易耐火構造の二階建ての住宅で申し上げますと、一万四千八百二十四円に対しまして、一万九千五百五十七円でございます。それから中層耐火構造の住宅では、標準費が一万八千六百三十五円に対しまして、二万四千五百五十八円でございます。
  71. 西宮弘

    ○西宮委員 いまお読みになっているのは宮城県の数字のようでありますが、私がこの前お尋ねして実例として出したのは、仙台なんですよ。仙台市の建築なんです。したがって、答弁しておられるのも、速記録にちゃんとありますが、仙台市については云々、こういう答弁をしておられるのですよ。宮城県と仙台市は全然違います。
  72. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 私は宮城県の資料で申し上げましたので、あるいはその際に仙台市と申したならば、私の誤解でございまして、訂正を申し上げたいと思いますが、宮城県の資料しか持っておりませんので、答えました数字も、宮城県の数字を申し上げたわけでございます。
  73. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、私はほかに材料がないので、仙台市はいわばその平均的な市だろうと思う、したがって、私の住んでいるのが仙台だから、平均のところで仙台を例にとる。こういうことで私は申し上げて、御答弁のほうも、仙台ということで答弁をしておられる。ところが、その仙台は大体が特別高いのだ、こういう答弁をしておられるのだけれども、材料が何もなくては、安いも高いも議論のしようがないじゃないですか。
  74. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 この前申し上げましたのは、宮城県をとりましても、宮城県は、ほかの県に比べまして、いま申し上げました数字はかなり高いのでございます。そのことを申し上げたわけでございます。御参考までに申し上げますと、青森は、木造で申し上げますと、標準が宮城県と同じく一万六百十一円でございますが、実施したのは一万一千七百九十七円となっておりまして、宮城県よりは低い。岩手県につきましても、同じく標準単価でございますが、実施が一万三千四百九十円と、青森と宮城県の間にございます。秋田につきましては、同じく標準建築費でございますが、一万百四十円と、これは標準費よりも安く仕上げておるということを申し上げたわけでございます。
  75. 西宮弘

    ○西宮委員 私が聞いておるのは、あくまでも仙台のことを聞いておるんです。したがって、ことさらに念を入れて、河野大臣などは、その次の委員会において、吉田委員の質問に対して、これは吉田委員は全く別な問題で質問しておったわけですが、それに対してわざわざことばをはさんで、「たとえば先日、仙台の話で、非常に仙台が高いというやかましい御発言がございました」——つまり私のことですね。「ございましたが、私も、宮城県知事さんと非常に懇意にしておりますので、仙台にまいりまして、仙台の川のほとりの非常にりっぱな団地を拝見しまして、なるほどああいうふうにりっぱにやれば、団地も高くなるだろうという気が、実は行ったときにいたした経験がございます。したがって、同じ仙台でも、あそこに建てなければいかぬとか、それとも仙台からバスに乗って三十分も東北のほうに出てまいりますれば、あそこに大きな団地を形成しておられます。あの山の中ほどに、河北新報かどこかがやっておられるようでありますが、あそこまで行けば、坪一体幾らぐらいになるかということになれば、これは相当に安い宅地入手できるということでございますから、」云々と、こういうことで、何も吉田委員の全く関係のない質問にわざわざことばをはさんで、大臣がきわめて念入りに、仙台はべらぼうに高いんだということを言っているわけです。しかし、私は、質問する際にも、仙台の土地の選択などは、仙台市の分については、仙台には百余りの自治体があるのでありますが、百の市町村なり、県があるのですから、県もやっておるし、各自治体もやっておる。その平均と、それからいわゆる仙台市の——仙台市は特に土地などについては、大臣のおっしゃっておるとおりのことをやっておるわけです。それにもかかわらず、全然基礎の違った材料で答弁をされて、それじゃそれをいただきたいと言うと、外部に出すのは困る、あるいは、それでは上げましょうということを約束しておきながら、今日まで全然くれもしない、こういうことでは、私ども審議のしようがないのです。資料を出すのは、これからもちろん出してもらいたいと思うのです。しかし、そういう全然基礎のないもので、全く別な基礎で、安いとか高いとか、そういうことを答弁しておったのでは話にならないと思うんです。
  76. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 いろいろいきさつをお聞きいたしまして、実は私の感触から申しますると、ただいまの御質問並びに調査資料の提出の要求の内容につきましては、こちらのほうでは、宮城県——もちろんその答えの中で仙台市ということもございましたけれども、政府といたしましては、県別にこれを割り当てまして、そして下へずっと流し、それからまた下からずっと統計的に上がってきたものに割り当てるような組織になっておりますので、そこに誤解が、事務局のほうで、あったと思いますので、この点、ただいま仙台市の問題ということでありますので、さっそく取り寄せましてやりたい、こういうふうな考え方でおりますので、ひとつこの際は御了承を願いたいと思います。
  77. 西宮弘

    ○西宮委員 次官のお話で私も了承いたします。別にそういうことにいつまでもこだわるつもりは毛頭ないのでございますが、ただ、この前、局長は、いわゆるオーバーしている分、足を出している分が大体一割程度だろうというような話をしておりましたが、そんなところではとてもおさまっておらない。そのことは私はこの前も申し上げたのでありますが、さらに、たとえばここに持っております横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、こういうのを見ますると、いずれも相当大きく足を出しておるわけです。建築費は四割ないし五割程度、あるいは三割なんというものもあります。それから宅地に至っては大体四倍程度になっているようです。そういう点から推してみて、いわゆる公営住宅建設費は、実際の建設費が足を出すのは一割程度だろうという認識は、だいぶ実情に沿わないのじゃないかと思いますが、その点だけもう一ぺんお聞きしておきたいと思うのです。
  78. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 公営住宅建設費が標準建設費よりもかなり上回っておるということは、御指摘のとおりでございまして、その全国的な平均の数字を先般申し上げました。特定の市等につきましてはかなり多いことも、先生のお話のとおりでございます。われわれのほうで研究しておりますのは、その際に、ただ、公共団体におきましては、公共団体の自主的な判断から、若干の工事の改善と申しますか、建設省で指示した既定のもの以上に追加して工事をしておる分がございます。こういうものを差し引いてどういうふうに計算するかという点につきまして、いろいろ意見がございますので、この数字につきましても、いま申し上げましたのは、ただ実績をぽっと持ってきまして、足し算引き算をしただけでございますので、この辺をどう考えたらいいかということにつきまして、いろいろその後、先生の御質問等もございましたので、慎重に検討しております。しかし、全体といたしましては、やはり実際の府県、市町村がおつくりになる住宅建設費に対しましては、まだ標準建設費も十分でございませんので、その差を縮める必要を認めまして、逐年努力をいたし、本年度もかなりの引き上げを見ましたけれども、今後も引き続き、さらに実際の建築費に合うような標準建設費を立てるべく、努力をしておるところでございます。
  79. 西宮弘

    ○西宮委員 今後大いに努力するということでありますから、それは大いに期待をしたいと思うのでありますが、いま若干の都市について申し上げたのは、私がこの前例にあげた仙台あたりは、はるかに高いわけです。開きが大きいわけです。ですから私が前に言ったのも決して仙台だけの特殊な事情でないので、そういう点十分知ってもらわなくちゃならない。これは、大臣は先ほどたいへんに念の入ったああいう答弁をしておられるけれども、おそらく大臣などは詳しく知っているはずもないので、局長もそういう点でミスリードされないように、ひとつ大臣にもよく補佐の役を全うしていただきたい。そうでないと、まことに困るのは地方の自治体だ、そういうことになるわけですから、その点は十分御注意を願いたいと思います。  それで、私お尋ねしたい一つは、農村住宅の問題であります。これについて、この前、だいぶ前でありますが、ちょっと質問をしかけまして、時間がなくなって終わってしまったのでありますが、農村住宅について、今後どういう考えを当局として持っておられるか、まずお聞かせ願いたい。
  80. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅問題は、単に都市における住宅問題ではなくて、農村におきましても、そこに住む若い人々の住宅なり、あるいは現に住んでおるところの住宅の老朽化に対する対策というふうに、問題はたくさんございます。これにつきましては、政府におきましても、特に重大な項目として施策を進めることにいたしておりまして、昭和三十九年度予算におきましても、あるいは住宅金融公庫の融資及び公営住宅の配分等におきましても、農山漁村向け住宅につきまして、特別の施策を講じておるわけでございます。
  81. 西宮弘

    ○西宮委員 そのいわゆる特別の施策とは、どういうものですか。
  82. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 まず住宅金融公庫につきましては、一般住宅の貸し付けのほかに、農山漁村向けの特別ワクを設けまして、農山漁村向けの住宅について基準も変えまして、農山漁村に適するような住宅を融資をいたしております。昭和三十九年度におきましては、五千五百戸を予定いたしております。その次に、同じく住宅金融公庫におきましては、主として農山漁村向けの住宅の改修融資を行なっております。農山漁村におきましては既存の住宅が古い、同時に改善を要するものが相当多うございますので、この改修について資金を貸し付けるということをやっております。これは昭和三十九年度におきましては、全体といたしまして十二億の予算を見込んでおります。次に公営住宅につきましては、公営住宅のうちで特に農山漁村向けのものにつきまして、そのうち農村の協業化の問題と協力いたしまして、集合公営住宅というものをつくりまして、新しい農村住宅の解決というものも検討しながら、公営住宅の一部をこれに引き当てておるのでございます。
  83. 西宮弘

    ○西宮委員 農林省の普及部長が出席をされておりますが、農村住宅の問題について、建設省ではいまのような施策であるということなんですが、それに対応して、現にどういうことをやっておられるか、また問題点はどういうところにあるか、そういうことをひとつお聞きします。
  84. 原政司

    ○原説明員 ただいま西宮先生から御質問をいただきました農村住宅関係でございますが、御承知のように、農林省といたしましては、住居の利用という点に重点を置きまして、御案内の生活改良普及員を中心といたしました農業改良普及組織を通じまして、利用方法の改善を主体として、御指導を申し上げておるという段階でございます。  なお、農村住宅の現状に関しましては、ただいま建設省のほうから御説明がございましたように、老朽化した問題、あるいは御案内のように、非常に大きいのが特徴でありますけれども、非常に使いづらい、いろいろ工夫改善を要する点も少なくございませんので、そういった利用改善を中心にやっておりますが、なお最近の情勢といたしまして、御承知のように、農村に残ります若い者がだんだん少なくなってまいりますし、特に嫁飢饉というような問題等も非常にきびしくなってまいっております。それらの原因につきましては、たくさん関連したことがございますが、その中の一つといたしまして、農村の従来からございますような雑居といいますか、数世代にわたる多くの世帯員が一緒に住まっておる。しかもから紙一つで若い夫婦と親夫婦がいるというような事情等は、若い人たちの生活の上で非常に不便等もございまして、さようなもろもろの改善を要する点がございますので、三十九年度から農業改良資金の一部改正をさしていただきまして、生活改善資金というのを創設いたしたいということで、御審議願っているわけでございます。その内容といたしましては、ただいま申し上げましたように、生活住居の改善を一段と進めてまいる。その資金系統といたしましては、住宅金融公庫等の改修資金等を活用いたすのはもちろんでございますけれども、それらを有効に促進するためにも、また住宅資金は御承知のように五万円以上ということになっておりますが、農村におきましては、台所の問題、あるいは簡単な改造をいたしますと、若い夫婦の部屋もできるわけでございまして、そういう、きわめて零細でありますが、非常に有効な改造、改修という分野もございますので、五万円以下の零細な分野につきましては、普及上の一つの拠点といいますか、モデルといいましょうか、そういう趣旨も加えまして、生活改善資金のほうで改修のほうをやらしていただく。大口につきましては、住宅金融公庫のほうから御援助いただく分を十分活用するようにやってまいりたい、ということでやっております。  なお、住居関係といたしましては、共同利用施設——御承知のように、最近労力不足に伴いまして、主婦農業ということで、主婦の労働過重が非常にきびしくなってきておりまして、そのためには、農繁期等を中心といたしました共同炊事、洗たく、あるいはいろいろな作業計画等を相談いたしますための集合施設等も必要になりますので、そういった一種の広い意味での住居、あるいは住居利用を改善するための補助施設となりますような共同利用施設につきましての生活改善資金の融資、そういう点に援助の手を拡大いたしたいということで、先ほど来申し上げましたように、生活改善資金というものを農業改良資金の中に創設いたしまして、ほんのわずかでございますけれども、これから一段と力を入れてやってまいりたいということでございます。大要そういう状況でございます。
  85. 西宮弘

    ○西宮委員 原部長には恐縮ですが、実はいま委員部のほうから通知がまいりまして、自治省の財政課長が来ておるけれども、ほかの委員会へ出席するので、先に質問してくれ、こういうことでありますから、あとで原部長に詳しく聞きたいと思います。特に普及部長にお尋ねしたいのは、普及部で出しておられる「新しい農家の住まい方」という冊子があるわけです。こういうことで宣伝をしておられるこの考え方、あるいはあり方、そういう問題についてお聞きしたいと思います。あとから質問さしていただきます。  それでは、住宅局長にお尋ねをしたいのですが、最近団地の造成について、これは公営住宅の場合もありましょうし、あるいは公団の場合も同じだと思います。公営住宅のほうでも、団地の形成に関連していろいろ、たとえば学校をつくらなければいかぬ、あるいは郵便局だとか交番だとか、あるいは保育所であるとか託児所であるとか、あるいは集会所であるとか、保健所であるとか、あるいはさらにバスの交通関係であるとか、そういう問題が非常に続発をして、自治体が音を上げている、こういうことが新聞雑誌等にしばしば報道されるわけですが、そういう点について、実情をどのようにつかんでおられますか。
  86. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ただいまお話しのとおりでございまして、住宅とか団地が大きくなってきますが、そこに住んでおる方々の生活の便宜上の施設が十分伴っておりませんので、それに対して施設を要求される方が相当多うございます。現在、遺憾ながら、公営住宅団地につきましても極力努力しておりますけれども、絶対の住宅戸数を増すために、十分な施設はできておりません。最小限度の必要な道路なりあるいは児童の遊園地なり共同の集会所等をつくっておりますけれども、それ以上に、最近は特に御希望が多うございますので、その点につきましては、いままでは公共団体にお願いいたしておりましたけれども、今後の住宅団地の方向といたしましては、さらに積極的な施策を講じてまいる必要があることをわれわれも十分認識いたしております。
  87. 西宮弘

    ○西宮委員 いまの制度で、公営住宅を建てる場合に、それに伴う公共施設、あるいは下水の問題もあり、し尿処理の問題もあり、あるいはじんあい処理の問題等たくさんあると思うのだけれども、あるいはさっき言ったように、学校その他のいろいろな施設の問題もありましょうし、公営住宅に伴って考えられているそういう施設というものは、いまの制度のほかに何かありますか。
  88. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ただいまお話しの浄化施設なりあるいはじんあいの処理施設は、当然住宅に伴うものでありますから、これはつくってまいりますが、特に大団地になりますと、そのほかに、あるいは共同浴場もほしいとかあるいは集会場が必要であるとか、あるいはまた公園がほしいというような御要望もございます。これにつきましては、共同施設として、公営住宅法によりまして、助成をする道も開かれておりますけれども、遺憾ながら、先ほど申しましたように、現在の財政状況におきましては、とりあえず住宅の数をふやすという点に重点を置いておるわけでありますので、今後、施策の拡充をはかっていきたいという段階でございます。  〔委員長退席、加藤(高)委員長代理着席〕
  89. 西宮弘

    ○西宮委員 若干の制度はあるけれども、現段階においては何も実施しておらない、こういう話でありますが、これはむろん限られた予算の中でやるのですから、いろいろ苦心のあることはよくわかるのですが、それを十分真剣に考えていかないと、せっかく団地をつくっても、非常に悪い生活環境の中に住まなくちゃならぬということになる懸念が多分にある。たとえば、一例として、千葉県の知事さんが、知事への手紙というものを募ったところが、集まってきたのが三千八百八件で、そのうち一千百九十九件、これはいずれも団地からの苦情だったというわけであります。これは団地という、ああいう膨大な、全く新しい一つの生活体ができるのですから、そこにそういう公共施設が何もないということでは、新聞などが陸の孤島というようなことを言っておるけれども、全く陸の孤島になってしまうと思うのです。だから、これに対する十分な対策がなくちゃならぬと思うのだが、それでは、自治省の財政課長が見えておるようですから、こういう問題について、自治省で何か聞いたりあるいは研究したりしたことがございましょうか。
  90. 岡田純夫

    ○岡田説明員 ただいまおっしゃいましたような問題のありますことを、調査したことはございませんけれども、聞いております。特に問題になりますのは、学校あるいはし尿処理施設であるとか、あるいは下水道といったような、要するに生活に直面した問題である。下水道とかし尿処理施設等につきましては、地方計画におきまして、来年度相当大幅に確保いたしておりますので、これの活用で進めてまいりたい、かように考えております。なお学校につきましては、特に住宅公団が建設するところの団地、それは相当まとまった場合でございますけれども、そのような場合には、学校を一応住宅公団で建設いたしまして、それを三年くらいで分割して市町村が買収する。その場合に、分割して買収する所要経費を、地方債で、義務教育の施設債の中から手配いたすようにいたしております。したがいまして、直接結びついておるのは住宅公団と学校の関係だけでございますので、あとは総合的に地方計画なりあるいはまた交付税制度を活用いたしまして、それぞれ具体的ケースについて、関係建設省と御協議しながら、対処してまいりたい。なお交付税におきまして、いままで住宅問題というのは直接は取り上げていなかったのでございますが、特別に柱を立てまして、住宅対策事業費というのを設けまして、府県、市町村を通じまして、約五十億というものを確保いたしまして、三十九年度から配賦いたしてあります。これは何でもいいという気持ちよりは、やはり住宅に直接、間接に結びついた対策事業費というふうな判断でございますけれども、交付税のことでございますので、これは十分頭に置いて、地方団体においては活用してほしい、こういう気持ちを持っております。なお、近いうちに住宅長期計画が立てられるやに聞いておりますので、その際等には、よく御意見をお聞きし、またこちらからも意見を申し上げて、円滑に処理するように持ってまいりたい、かように考えております。
  91. 西宮弘

    ○西宮委員 公営住宅については、さっき私がたまたま前の問題に関連して指摘したように、自治体としては補助単価から大きく足を出す——足を出す程度ではない、からだが出ちゃうような状況だと思うのでありますが、そういう問題があり、さらにそれに加えて、いまのような問題があるわけであります。これは地方自治体にとっては非常に重大な問題であります。したがって、公団でも公営住宅でも、いわゆる団地造成お断わりというような、そういう動きをしたり、陳情をしたり、意見書を出したり、そういうことをしているところもすでに出ている。具体的な例が幾つかあがっておりますが、新聞等にはそういうことも報ぜられておる。これは単に建設省だけで問題は解決しない、自治省自身にとっても重大な問題であります。近いうちに何とか意見を述べようということでありますが、むしろこういう問題は、どっちがイニシアチブをとるのか知りませんけれども、とにかく政府部内で十分に連絡を密にして、そういう問題が起こらないように、十分の手配をして、当然に学校の問題その他が起こることはまさに火を見るよりも明らかなことでありますので、そういうことを十分予想して、それに対策を講じてもらわなければいかぬ、これはきわめてあたりまえだと思います。これはどっちが音頭をとってもけっこうですが、政府部内として、十分連絡を密にしてやってもらいたいと思います。財政課長お急ぎのようですから……。
  92. 岡田純夫

    ○岡田説明員 財源につきましては、ただいま申し上げたとおりでございますけれども、先ほどの単価等の問題につきまして、毎年関係省のほうへ——建設省といわず、各省にいろいろ担当方面がございますので、国家財政の許す限り、ひとつ配慮してもらいたい——もちろん住宅の問題は、実情と多少乖離した問題については、特別前向きで解決してまいるようにいたしております。今後もそういう気持ちで進めてまいりたいと思います。
  93. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは自治省関係を終わりまして、先ほどの農村住宅の問題でお尋ねをしますが、普及部長に、さっき申し上げた新しい農家の住まい方ということで、要するに連棟住宅のことを言っているわけです。それについての今日までの実績なり、あるいは今後の計画なり、そういう点お聞かせをいただきたい。
  94. 原政司

    ○原説明員 農村住宅につきまして、連棟住宅をどういうふうに考えておるかというお尋ねでございますが、御案内のように、伊勢湾台風がありまして、その後保安という点あるいはその他の点からいたしまして、岐阜県と三重県におきまして、御案内のような連棟住宅建設されたのでございます。これに関連いたしまして、連棟住宅の初めてのケースでもございますし、利用の方法あるいはその他の点もございますので、先生お持ちのパンフレット等をつくった次第でございます。いろいろその後の状況を拝見いたしますと、三十七年度には、新潟県に三棟ほどできております。それから三十八年度には、北海道が一棟、青森が二棟、千葉が二棟、島根が一棟、広島が一棟というように、棟数といたしましてはまだほんのわずかでございますが、いわば試験的というようなかっこうで、連棟住宅が年々建設をされております。  なお、それを利用いたしました農家の側からの問題点を要約いたしますと、いままで非常にだだっ広い農家の住宅におりました関係で、入ってしばらくは非常に手狭であるというようなことを申しております。それから、私らが今後非常に問題と思っておりますのは、御案内のように、農業経営が非常に各人各様で内容が違いまして、作目の種類も違いますし、また作業の仕組みも違いますので、農業経営をやってまいるという点と住居が、従来はぴたっと結びついておりましたけれども、連棟になりますと、その間が一応切断されるというふうな関係からいたしまして、農業経営と連棟ということに今後かなり問題が残っていくのじゃなかろうかというふうな感じもございますし、またそういう実態もあるようでございます。それから、農家は、御承知のように、何と申しましても、先祖伝来自分のうちを持ちたいという農村の一種の根強い因習、習慣と申しますか、しきたりもございまして、共同生活をあまり歓迎しない、そういう一種のメンタルな問題もあるようでございます。そういう農家の側から見まして、若干の問題はございますが、また長所もあるわけでございます。いよいよ入ってみますと、水害地等では、伊勢湾台風のあと地では非常に顕著でありますが、いろいろな災害に対しまして非常に心強い、安心感がある。あるいは住みましても、非常に冬はあたたかいし、また夏はかえって涼しいというような長所も認めておりまして、やはり今日の段階といたしましては、そういった経験をいろいろ集約いたしまして、今後の農業の発展なり、農家の生活の動き等を考慮いたしまして、今後だんだんに連棟住宅の行き方を地についたものとして、仕上げてまいるというふうな段階にあるのじゃなかろうかと、私らは考えております。
  95. 西宮弘

    ○西宮委員 連棟住宅、俗にいう農村アパートにつきましては、いま普及部長の言われたような問題等もあると思うのですが、これはやはり、建設省としても、住宅問題として、いろいろ考えておる点もあると思うのですが、建設省としては、こういう点についてはどう考えているのですか。
  96. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 農村住宅につきましては、農林省と密接に協力しながら、各府県におきましても、府県の農林当局と建築当局と協力いたしまして、農村の実態に沿った住宅問題を扱っております。ただいまのお話の連棟住宅も、公営住宅の一部として実施をしておるのでございまして、まだ全国的にはそれほど戸数も要求はございませんけれども、三十九年度におきましては、目下のところ、全国で百戸程度の要望がございまして、一応目下のところはそれだけでございますけれども、将来の農村のあり方等を考えまして、いろいろ研究する点はございましょうけれども、新しい住宅対策として、この方向もぜひ進めようと考えております。
  97. 西宮弘

    ○西宮委員 先ほどの原部長のお話でありますが、だいぶ悲観的な見方が多いようです。もちろんわれわれは、農村には長い伝統があるわけですから、それをくつがえしていくということは容易じゃないと思うのだけれども、ただ、農村住宅の将来のあり方はどうあったらいいのか、そういう点から見ると、どういうふうに評価をしておられますか。私の個人考えをもってすれば、私はそういうふうに、大事な耕地をつぶして農家ががんばっておる、ああいうのを改めて、丘陵地等を利用して、ああいう住宅をつくるのが将来の農村の行き方だ、私はそういうふうに信じておるのであります。ぜひそういう夢を実現したいという願いを持っておるのですけれども、農林省としてはどうですか。
  98. 原政司

    ○原説明員 私の説明が不十分でございましたが、長所といたしましては、先ほど御説明いたしましたように、世帯の分離が中で非常にしやすい。だだっ広い従来の農家の家屋と違いまして、非常に、世帯世帯として、部屋を区分して利用できるというような長所がございますので、若い人たちから見ますと、私は将来にかなり魅力をつないでおるというふうに存じます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、一挙に農業が規模を拡大いたしまして、大きな西欧的な農業になるとか、あるいは協業経営がそこから全体に広く広がるというようなことも、ただいま急にどうこうということは期待いたしかねますから、やはり現段階といたしましては、個別経営の合理化、それと家事あるいは住居の利用改善というものを、両々相まって着実に進めてまいる、そういうことが農村の生活改善といたしましては、やはり基本ではなかろうか、将来には、先生指摘のような一つの期待というものを、私たちもかけておるわけでございます。現段階は、実情に即して着実にやってまいりたい、こう思っております。
  99. 西宮弘

    ○西宮委員 私も、岐阜県などでやった例を、現地のものを読んだのでありますが、それを見ても、いま部長の言ったような問題がたくさん指摘されております。だから、決していままでのあり方が、非常に理想的な状態で運営されておらない、ということだけは、私もよく承知しておる。しかし将来のあり方としては、ぜひそういうところに目標を置くべきではないかということも、私は考えるわけです。しかし、農林省みずからも、こういう冊子をつくって、大いに普及宣伝に乗り出しておるのですから、ぜひこういうことをもっと強く指導してもらいたいと思うのです。なお、建設省においても、これは昭和三十七年の十月二十日に住宅対策審議会から答申をされた答申の中に、農業経営の協業化に即応して、農村向けの公営住宅を普及しよう、こういう一項目があるわけです。これは私が申し上げるまでもなく、局長も御承知だと思うのです。要するに、農業経営の協業化に即応しての住宅のあり方ということになれば、勢いいまのような連棟住宅にならざるを得ないと思うのです。せっかく大臣に答申を出しておるのですから、この点をもう少し真剣に取り上げて研究してもらいたい、ということを要望いたしたいと思います。  それでは農村住宅の問題は終わりまして、最後に、ぜひお尋ねをしなければならぬと思うのは、むしろ大臣にお聞きしたいことなのでありますが、今後の住宅を、二十年計画、いまから数えて十七年ですか、その目標として、西欧並みの住宅にするのだということを言っておる。その西欧並みの住宅というのはどの程度をさすのか、それをお聞きしたい。
  100. 鴨田宗一

    鴨田政府委員 私たちの感触からいたしまして、西欧並みと申しますると、大体三部屋で、台所あり、バスつき、寝室が三つというのが西欧並みじゃないか、こう思考せられます。
  101. 西宮弘

    ○西宮委員 いま住宅の規模について、いわゆる西欧並みというお話があったのでありますが、たとえば住宅全体の中で公営住宅がどの程度の割合を占めているか、これまた西欧並みということを考える場合の一つのめどだと思う。つまり、政府としてこの問題を考える以上は、どの程度公営住宅で消化をしていくのか、言いかえれば、いま次官が言われたのは、部屋が幾つという、そういう規模について言っておられる。ただそれは、黙ってほっておいたのではそういうものはできてこない。これは公営住宅なり、あるいはいわゆる政府施策住宅でやっていかなくちゃならない。そういうことを考える際に、西欧並みと称するが、公営住宅がどの程度のウエートを占めているのか、お答えいただきたい。
  102. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 西欧並みと言っておりますのは、主として、ただいま政務次官からお答えしましたように、居住の水準を西欧諸国における居住水準程度に引き上げたい、こういう考えでございまして、そのためにどれだけの住宅民間でつくり、国が幾らつくるかということは、各国の財政状況なり、あるいはその国の諸制度との関連において異なってまいります。御承知のように、西欧におきましても、終戦後は相当活発に公営住宅をつくりましたが、その後住宅事情の安定に伴いまして、だんだんと民間住宅戸数をふやしております。わが国におきましては、われわれは、当面この四十五年度までの間におきましては、公営住宅を中心とした政府施策住宅をぜひとも大幅にふやしていきたいというふうに考えております。要するに、国民全体として、一人当たりの居住面積なりあるいは居住環境が、西欧諸国における程度の快適なものにしたいという理想に向かって、それぞれの財政状況を勘案した上で、必要な建設を行なっていきたいという所存であります。
  103. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、要望を申し上げてこれで終わりにいたします。  私は、その西欧並みなるものは、少なくとも、今日の日本の状態と比べると非常に違っておると思う。公営住宅などは、向こうの公営住宅とこっちの公営住宅とは、かなり似通っている面もあるから、そう飛び離れて、向こうのがべらぼうにりっぱだというわけではないようであります。ただ、全体の戸数の中に占める公営住宅の割合は——これは企画庁の資料によると、西独、オランダ、ノルウェー、イギリス等々、いわゆる西欧諸国では、公営住宅がずいぶん大幅に全体の住宅の中で割合を占めておる。それで、私はいわゆる西欧並みと称するからには、政府の唱える西欧並みという場合には、そういう点も十分に勘案して、もっとがんばってもらいたい、こういうことを申し上げておきます。  住宅問題について一番最初に質問をしたときに、私は、建設省としては、建設行政の中で住宅にどれだけのウエートを置くか、あるいはランクはどうなんだということを申し上げましたら、建設大臣は、少なくとも来年は——来年とは四十年度かもしれませんが、その際には、住宅問題を第一位として、これに全力をあげる、という決意の表明があったのであります。どうか、そういう点も十分お考えの上で、私のいろいろ申し上げたようなことを、実際の施策の上に生かしていただくように、お願いいたしたいと思います。
  104. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 次会は、明後二十七日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会