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1964-02-28 第46回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十八日(金曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 瀬戸山三男君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君 理事 山中日露史君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       木村 武雄君    正示啓次郎君       服部 安司君    堀内 一雄君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    勝澤 芳雄君       中嶋 英夫君    西宮  弘君       山崎 始男君    吉田 賢一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第二部長)  真田 秀夫君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建 設 技 官         (河川局長)  畑谷 正実君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (営繕局長)  建部 仁彦君  委員外出席者         農 林 技 官         (農政局普及部         長)      原  政司君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         日本電信電話公         社営業局長   千代  健君         日本電信電話公         社施設局長   橋本 一郎君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     挾間  茂君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     水野  岑君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     関盛 吉雄君         参  考  人         (日本住宅公団         計画部長)   島  守一君         参  考  人         (日本道路公団         副総裁)    富樫 凱一君         参  考  人         (日本道路公団         高速道路第三部         長)      斎藤 義治君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 二月二十七日  委員根本龍太郎君及び玉置一徳辞任につき、  その補欠として山本幸雄君及び永末英一君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員原茂君及び永末英一辞任につき、その補  欠として勝澤芳雄君及び玉置一徳君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十七日  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  近畿圏整備本部大阪事務所設置に関し承認を  求めるの件(内閣提出承認第四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  首都高速道路公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二一号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、本件調査のため、日本住宅公団総裁挾間茂君、理事水野岑君理事関盛吉雄君、計画部長島守一君の四君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取は、質疑応答の形式で行ないたいと存じますが、御了承願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。西宮弘君。
  4. 西宮弘

    西宮委員 私は、この間、住宅局関係の問題につきまして、いろいろ質問をしておりましたら、途中で中断いたしましたので、続いてお尋ねをしたいと思います。  この間お尋ねをした最後の問題は、公営住宅について、政府で示している補助単価と実情がそぐわない、そういう点を指摘しておいたわけですが、その点について、もう少し具体的にお尋ねをしたいと思います。  この前の局長お話だと、若干現実補助単価が違っておるけれども、せいぜい一割程度だろう、こういうお話でありましたが、それはどういう調査、あるいはどういう資料で、どの範囲を調べた結果でございましょうか。
  5. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 三十七年度の資料によりまして、各県別の実際にかかった単価と、それからそのときの標準価格調査し、さらに三十八年度につきまして標準建設費用をあげましたものと、実際まだ最後の集計が出てきておりませんけれども、実際かかったであろう単価を推定いたしまして、各地域ごと全国的な表をとってみました。私の申し上げましたのは、そのうち一般地域につきまして見ますと、パーセントでいきますと、構造別で違いますけれども、たとえば木造住宅につきましては、三十八年度の見通しにおきましては約一六%でございます。耐火構造につきましては一〇%ないし一一%、こういう数字が出ておりましたので申し上げたのでございます。ただ、これは一般地域でございまして、特に特別地域であります京浜地区あるいは中京地区京阪神地区、こういう物価の高いと思われる地区におきましては、木造につきましては二三%、鉄筋につきましては一九%程度持ち出し数字になっております。
  6. 西宮弘

    西宮委員 今のは地価も入っておるのですか。
  7. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ただいまのは工事費だけでございまして、地価は入っておりません。
  8. 西宮弘

    西宮委員 地価はどういうぐあいですか。
  9. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 地価かなり持ち出しをいたしております。地価につきましては、地価の選定によりまして、公共団体が買った場所とわれわれが想定した場所との実際の差がありますので、これは公共団体におきましてはかなり持ち出しております。われわれの調査によりますと、これも大都市と小都市によってかなりの差がございます。たとえば大都市で申し上げますと、鉄筋アパートをつくる場合におきましては、約二倍くらいの持ち出しをいたしております。小都市におきましては、鉄筋アパートの場合には一五%増しくらい、その他の場合には四〇%あるいは五〇%程度持ち出しをいたしております。
  10. 西宮弘

    西宮委員 私は、全国資料を持ち組わせておりませんので、ただ私の手近な資料として、私は仙台の人間でありますので、仙台市の実例を調べてまいったのでありますが、それによりますと、建築単価におきましてもかなり違っておるわけです。これは三十八年の実績でありますが、たとえば、主体工事費だけについて申し上げても、中層耐火アパートについて、政府基準が七十七万八千円、実際の支出は九十八万七千円、あるいは簡易耐火二階ブロック建てで、六十三万円の政府基準に対して、七十九万四千円、簡易耐火平家ブロックで、政府の四十七万四千円に対して六十四万円、以下これに準ずるわけでございますが、こういう違いがあるわけでございまして、したがって地方財政にとってはかなり負担ということになるわけでございます。さらに土地代も加えると、いま地価の問題は別の問題として指摘をされましたが、全国的に相当大きな開きとなるのでございます。もちろん私のほうもその例外ではないわけです。これは非常に大きな開きになっておる。ことに私のほうなどでは、ずいぶん安い地価で、特殊な所を使いましたので、四千円ぐらいのところに建てたのでありますが、それでも総体の金額で申しますと、たとえばこれは一種ですけれども、昨年、三十八年度では、一億七千三百九十五万円の事業費に対して、国からもらう金は六千三百五十六万八千円、こういうことになりまして、割合にするとちょうど三六%に当たります。ですから、これは本来一種ですから、五〇%が期待さるべきものなんです。それが三六%しかもらっておらない。あるいは二種について言えば、一億四百二十四万円に対して、政府からもらう金は五千百三十一万円、こういう金で、これは半分以下ということであります。本来ならば、法律規定によれば、三分の二もらえるところであります。それがこの程度だということでありまして、現実は非常な違いになっております。そういう点について、もちろん三十九年度で若干引き上げをいたしておりますが、その程度のものは当然三十九年度で食われてしまう。そういう意味で、過ぎたのはしかたがないとしても、これから先どういう対策を持っておられるか、この点は大臣に伺いたいと思います。
  11. 河野一郎

    河野国務大臣 公営住宅建設につきまして、だんだんお話がありましたように、地方団体にたいへんお世話になっておりますことは、お話しのとおりでございます。しかし、何さま土地にしましても、建築費にしましても、全国単価が非常に違うのでございまして、高いにこしたことはありませんけれども、なかなかそういきかねるところもある。といって、これをまた上げましても、一般物価に非常に響きがかかるというようなことになりまして、実は苦慮いたしておるわけでございますが、この点につきましては、私といたしましては、できるだけ努力いたしまして、順次、宅地にいたしましても、一般の大規模な宅地の造成を行ない、もしくは建築にいたしましても、なるべく、政府施策が徹底して物価の安定を期するようにやっておりますから、その安定を見まして、こういうものが順次地元の負担にならないようにしていかなければならぬ、こう考えております。何ぶんいま申し上げましたようなことでございまして、これを上げることが逆に物価をつり上げる。建築費はことに最近高いものでございますから、これを刺激することにもなるわけですから、そういう点も配慮しつつ適当な措置をとりたい。努力はできるだけいたす所存でございます。さよう御承知願います。
  12. 西宮弘

    西宮委員 ちょっと私の聞き違いかもしれませんけれども、いま大臣の言われたのは、これを上げることによって、かえって物価をつり上げる心配がある、そういうふうに言われたのですか。
  13. 河野一郎

    河野国務大臣 単価を十分にいたしますことによって、建築のほうが——たださえ建築費はだんだん上がっておる。建築関係費が一番上がっておることは御承知のとおりでございます。いまの物価の中では一番大きいものだと思います。したがって、これについてはよほど中央地方、くふうをしていただいて、そしてやっていただかないと、うまくないのじゃないか、こう思うのです。それこれございまして、大蔵省といたしましても、この単価引き上げについては、なかなか渋るのでございます。いまお話しのとおり、たとえば宅地にいたしましても、どこに建てるかということによってだいぶん違います。それから、これをどういうふうにくふうをするか。当然なるべく便利なところへ、いいところへ建てようということになりましょうし、また一方においては、そうすれば高くつくということになりましょうから、そこらのところをうまく勘案していかなければうまくないのじゃないか、こう思うのです。しかし、そうは申しましても地方にもおのずから限度がございますから、できるだけの努力はいたしまして、物価の安定を持ちつつ、これらの適正な補助率の決定をするということでいきたい、こう私は考えておるわけであります。
  14. 西宮弘

    西宮委員 大臣の言われた、補助単価引き上げることによって物価をつり上げていくというのは、私にはどうしても納得できないのですが、要するに、私が申し上げておるのは、現実建築費政府の見ておる補助単価と、その間にたいへんな開きがある、だからそれを埋めてもらいたい、こういうことを言っておるので、補助単価引き上げることによって一般物価をつり上げる、こういう問題では全くないと思うのです。ただ、大臣の言われたことが、そうじゃなしに、高い土地に高い建物を建てる、そういうことを地方団体がいわば野方図にやっていけば、それもやがて物価騰貴の原因になる、こういう御意見ならば、これはそのとおりだと思います。しかし、地方団体は、おそらくどこまでいっても、必要な経費を全部補助金——全部といっても、二分の一なり三分の二なり、その定められた経費を全部政府負担支出をしてもらえるというようなことは、まず決して考えていないと思うのですよ。これはほんとうはそうなくちゃならないのだけれども、実際にはどうしたって足が出るわけです。だから決してぜいたくなところにぜいたくな建物を建てるなんということはおよそあり得ない。私は、その補助単価現実に合わせてもらいたい、そう申しておるのですから、それを引き上げることによって一般物価が上がる、こういう議論は全く当たらないと思うので、もう一ぺん御説明願います。
  15. 河野一郎

    河野国務大臣 私も実はわからぬわけじゃございませんが、いろいろなものを入札をして、業者にこれの建設を依頼いたします場合に、どの程度が適正な価額かということにつきましては、おそらくどなたもようつかむことができないのじゃなかろうかと私は思います。したがって、いま申し上げましたように、予算どおり単価を出せば、必ず、入札した場合には予算以下で入札は落札いたします。というようなことでございますから、一体どれが適正な価額かということになりますと、私はなかなかつかみにくいと思うのであります。これを予算どおりの一応補助金を組んでやりますれば、それで金があるからということで、決して野方図にやるとか、ルーズにやるとかいうことは申しませんけれども、そこにお互いに地方の方にも十分御努力、御協力を願い、苦慮していただいてやっていただくという、内輪の予算でものを仕上げるようにしていくことによって、物価の高騰を押えるというようなことにもなってくるでしょうし、それを積極的にどんどん上げるということになりますと、つい物価のつり上げにもなるというようなことを懸念するのであって、私の申し上げることは、議論になるようなならぬようなことですが、実際問題としては、まさにそうであることだけは御了承いただけると思います。そういうわけでございますから、一応物価が安定いたしますれば、計算をいたすのにも非常に楽でございますから、そういうころには補助金もできるだけ引き上げるようにする。これはひとり補助住宅だけではないのでありまして、学校建築にいたしましても、各種の営造物につきましても、みな同様のことがあるわけでございます。したがって、これだけを補助率を上げるというわけにはいきかねる点があります。したがってこの程度で御努力願う、順次上げていくということでいきたい、こう私は考えております。
  16. 西宮弘

    西宮委員 順次上げていくということはけっこうですが、ただ、いまお話の中に出ておった問題で、たとえば適正な価格をつかまえるということは非常に困難だ、こういうお話でありますが、現在地価がどのくらい、あるいは建築費がどのくらいということは、常識的にわかっておるだろうし、さらに、たとえば権威ある機関として不動産研究所のつくっております全国市街地価格指数、これは政府も使っておるわけです。あるいは建築物については、全国建設業協会建設工業経営研究会、ここで出しております主要都市標準建築費指数、これは毎月月報で出ておるわけですが、これなどは政府が当然資料として使っておるはずです。だからそういうところで、いわば公の機関でつくっておる権威のあるそういう調査があるので、そういう適正な価格が幾らだというようなことはつかむことができないから、いまの補助金はこのままにしておるのだ、こういうことははなはだ権威がないと思うのですがね。私は、安いにしろ、高いにしろ、現実とどのくらい開きがあるにしろ、いまある補助単価をきめておる、その世間並みの相場というようなものは、役所として当然わかっておると思う。そういうことも全く抜きにして、それはきめておるのですか。
  17. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから事務当局からお答え申し上げましたように、昭和三十七年の場合にはどう、八年の場合はどう、これらの過去の基準を一応目安に置きまして、そうして三十九年度にはどう、その間に一割程度の、もしくは一割強の値開きのあることは認めております。認めておりますけれども、それを地方の御努力、御協力によって何とかしていくようにしていただきたい、ということでやっておりますことも、実はわかっておるわけであります。それを順次それに近づけるように努力をしていきたい、こう私は申し上げておる。  ただ、お話しでございましたが、いい機会でございますから、ひとつお聞き取りをいただきたいと思いますることは、私は、建設省として、数千億の建設事業を行なうわけであります。これがはたして適正な価額で行なわれておるかどうかということにつきましては、建設大臣になりましてから、しばしば私は考えるのですけれども、だれがきめたのが一番適正なんだ、従来は役所が一応予算を組む、設計をする、それを入札に出して、競争入札でやりますから、そこで適正な価格最低入札でやるからよろしいということに、一応の社会常識はなっておると思うのでございます。はたして実際はどうなのかということをやってみますと、これがいま言うとおり、競争入札で適正な価額で落札しておるかどうかということになりますと、ここにも実際現実は多少の問題がある。そうかと思うと、一方には非常にダンピングが行なわれる場合もあるというようなことで、現実社会は、われわれの想像する社会と違ったものがまま見受けられます。そこで私は、この予算を最も合理化して、そしてこの予算請負師にお願いするならば、国家としてはむだのない一番適正な価額だというものをつかむことが一番必要だ。それにはどうしたらつかめるだろうかということについて、いま実は研究をしておるところでございます。どういう方面の人に頼んで、そしてそれぞれのものについてどの程度——いま建築協会不動産研究所とかというようなお話がございましたが、これも一つ目安であるかもしれませんが、私は、これは必ずしも最低のものじゃない、もう少し国家としては最低のものでいくべきだというものを考えなければいかぬのじゃなかろうかというので、決してこの住宅問題だけでそういうことを申しておるのじゃございません。ほかの一般のものについても考えなければならぬということで検討いたしておるのでございまして、これらにつきましてもしかるべき御配慮がありましたならば、御教示を賜わればたいへんけっこうだと考えております。
  18. 西宮弘

    西宮委員 ただいまの大臣の御答弁は、たいへん重大なことを言われたと思うのです。私の質問以外の御答弁でありましたが、大臣からそういう話が出たので、私も申し上げたいと思うのだが、実はそういうことは私のほうから申し上げたいと思うわけでございます。というのは、現在の請負制度——制度というか、実際の請負やり方に、ずいぶんわれわれ納得しかねるものがあると思う。したがって現在私は、この公営住宅ということになると地方の問題でありますが、地方にも同じようなことがもちろんあると思うけれども、国として行ないます土木事業について、公共事業費の実際の使い方について、そういう請負師制度というか、請負の実際のやり方について、納得できかねるものがある。そういうことのために、ずいぶん多くのむだがあるのではないか。だからほんとうに適正妥当な請負が行なわれるということがもしできるとすれば、これは全く目の子計算ではありますが、現在の公共事業費の中からも、数百億の節約ができるのじゃないか。そういう点で、いまの実際の請負のしかたに、私ども非常に不明朗なものを感ずるわけです。それをほんとうに文字どおり適正化するならば、いまの公共事業費の中から、数百億の節減さえできるのじゃないかというふうに考えておるのでありますが、そういう意味で、たまたま話が出たので、お尋ねしたいと思うのですが、そういう点、もう少し実際の請負やり方を適正化していくという点について、積極的な大臣の御意向を伺いたいと思います。
  19. 河野一郎

    河野国務大臣 いま申し上げましたようなわけで、これは、第一は、役所自身が適切な設計を持つこと、第二は、その設計に基づいて適切なる単価を持つこと、これが一番大事だと思うのであります。それを請負に出した場合に、二割安、三割安というもので落札するということは、いかに申しましても、私は適正でないと思います。したがいまして、今回建設省設置法改正をお願いいたしまして、現に各地におりまする若手の技術者をなるべく多く中央に引き揚げまして、これらによって、建設省自身が十分に設計について自信を持ち、そして単価等についても自信を持つということをしていかなければいかぬ。いまのように、コンサルタントにまかして、そうして設計させる、単価を入れさせる、それを入札に出すというようなことは、最低競争入札であるからいいではないかということで、理論としては一応筋は通りますけれども、現実はそうじゃないということを、私もしばしば経験いたしまして、何とかここにメスを入れたいという考えで、さしあたりは、でき得るならば、学識経験者のある数の人に、大きな工事については一応の検分を願って、そうしてこれらの人に適正なものであるかどうかということの批判を願うことも適当ではないか。入札に出す前に、まず役所単価について適切であるかどうかということについて批判を願おうというようなことについて、いま検討いたしておるわけであります。それで十分かということについては自信はございませんが、できるだけ努力いたしたいと考えておるわけであります。
  20. 西宮弘

    西宮委員 私はこういうこと言うつもりは全くなかったのですが、たまたま大臣のほうからそういうことを持ち出されたので、申し上げたいと思うのですが、私が、その請負の実際のやり方をもっと適正化することによって、現在の公共事業費の中でも相当領節減ができるのではないかということを申し上げる根拠は、いまのやり方にいろいろ方法論として問題がある。と言うよりも、たとえば、これは世間一つ常識になっておると思うのでありますが、そういう建設関係業者等が多額の政治資金を献納するということが行なわれておるわけであります。だから、そういうことが公然と行なわれておるということは、言うまでもなく、そういう請負の間にいろいろ不明朗な問題がある、ということを裏書きしておることになると思う。これは大臣が言われたので、私はそのことを特に強調したいのであります。しかし大臣は、これについて思い切ったメスを加えるということでありますから、私は今後に期待いたしまして、その点はこれ以上追及しないことにいたしますが、私ども、そういう点をあくまでも明朗なものにして、ほんとうに根本的なメスを加えてもらいたいということを、大臣に特に強く申し上げたいと思います。  そこで、問題をもとに返しますが、さっき大臣も言われたけれども、公営住宅についての地方持ち出しの問題であります。もっとも私も少しお尋ねしたいことがあるので、この問題にそういつまでもかかっておるつもりはありませんけれども、いま大臣も言ったように、たとえば一割程度持ち出しになるというのならばやむを得ないと思うのですよ。私が仙台の例をとったのは、これは何も仙台のことを考えてくれという意図は毛頭ありません。ただほかの材料がないので、仙台をとり上げたにすぎないのです。仙台という町は過大都市でもありませんし、あるいは完全ないなかでもありませんし、いわば平均的な町であろうと思う。だから仙台で見られるような現象は、他の地域においてもいずれも同様じゃないか、そういう点で、私の手近な例として仙台を例にとったわけです。そこでも、たとえば二分の一補助という政府基準に対して、実際は三割六分しかもらっておらない。あるいは七割五分補助というのに対して、五割に足らない。これは用地費も入れてですよ。そういう現実があるので、それを特に申し上げる。  それから、もう一つ申し上げたいと思いますことは、たとえば、大臣が言ったように、土地の選び方などでたいへんに違ってくる、それもそうだと思います。非常に便利な場所に住宅地をつくれば、それだけでもたいへんに狂ってくるのです。しかしこの三十八年度の仙台の実績は、さっき申し上げたように、坪四千円程度に見ておるわけです。四千円の相場と言えば、いまの地価では、全くばかみたいな値段だと思う。これは特殊の場所でありますから、その程度であげておるんですが、そういう値段でやって、なおかついまのような足が出るわけです。ですから、そういう点について十分考えてもらいたいと思うのですが、これから順次これを是正していくというお話でありますから、ぜひそうしてもらいたいと思います。ことに、先刻も申し上げた、この前の機会にも申し上げたが、地方財政がことしあたりから非常に窮屈になってきました。来年はさらにひどくなるんじゃないか、再来年はますますひどくなってくるんじゃないか、こういう点を強調して申し上げたいと思います。  ところで、公営住宅は、三カ年間で二十万戸つくるということになっておりますが、来年、再来年はどの程度ふやしていくつもりでございますか、大体の見当を聞かしてもらいたいと思います。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 仙台は、他の都市に比べて、これは、いいとか悪いとかいう議論は別にしまして、御参考までに申し上げますと、地元の持ち出しが多い数字が出ております。  それから、来年、再来年についてはどういう考えか、これは、全体の数字を申し上げます際に申し上げましたように、一応政府、公社、公団、公営につきましては、前年度の一割強増しというところを目安にしたいと考えております。
  22. 西宮弘

    西宮委員 一番初めにお尋ねをしたように、住宅全体を昭和四十五年度までに一千万戸ふやす、こういうお話でありましたが、三十六年から三十八年までの三カ年の実績から推すと、四十五年までに一千万戸というのは非常に無理な数字じゃないかと思うのですが、その点、局長でけっこうですから……。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。従来の実績から申しまして、そう無理な数字をとっていないのでございます。また、われわれは無理と思っていない。と申し上げましたことは、実は民間のほうでこれまでおつくりになったも一のと、それから政府がこれまでやってきましたものとを比較いたしまして、考えてみました。しかも、民間につきましては、その伸び率を従来よりも下げまして、政府におきましては、いま申し上げましたように、おおむね一〇・五%ぐらい従来も伸びてきておりますから、一〇・五%の伸びを今後も続けてまいる。政府施策につきましては、そうして一〇・五%の政府施策の伸びをやってまいりますと、民間におきましてはおおむね八%程度の伸びにいたしますれば——従来はむろん、政府と同様に一〇%以上民間も伸びておりますけれども、それを民間のほうは八%程度に下げて、こういう数字が出ます。したがって、民間のほうで、これを従来どおりに御協力いただきますれば、結論はもっと多い数字になる、こういうことになっておりますから、決して私はそう架空な数字だとは考えておりません。これだけ、政府、公営で努力してまいりさえすれば、いけるんじゃないか、こう考えております。
  24. 西宮弘

    西宮委員 局長でもけっこうですが、たとえば一千万戸という場合に、その一戸の単位でありますが、どの程度のものを一戸と数えるんですか。ことにごくお粗末なアパートなど、きわめて貧弱な部屋ができてくるわけです。たとえばまん中に廊下が通って、そのわきにずっと三畳か四畳半ぐらいの部屋ができている。ああいうのも一戸になるんですか、その一部屋が。
  25. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 いまお話しのようなアパートは、一戸と数えておりません。普通の世帯向きの住宅を一戸と考えております。
  26. 西宮弘

    西宮委員 そうすると、どの程度のものを——たとえばアパートで三十世帯収容するという場合には、三十戸と数えないで、一戸に数えるわけですか。
  27. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 われわれは現在、四人家族を標準にいたしました場合には、十二畳未満のものは住宅と数えない。二人世帯の場合には、九畳未満のものは住宅と数えないということにいたしまして、それ以下のものは住宅とは勘定しないで考えております。
  28. 西宮弘

    西宮委員 政府建設白書などで見ても、実際には九畳未満の家というのが、最近絶対数が非常に多い。のみならず、昭和三十三年だったでしょうか、三十三年度以降にまた再びこの数字が増加しつつあるということで、建設白書は、まことにゆゆしい問題であるというふうに指摘をしておるのですが、最近の傾向はどうですか。
  29. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 最近も、いまお話のような住宅アパートがふえております。こういうものがふえないで、いま申し上げましたような健全な住宅をふやすという方向におきまして、民間の自力建設もお願いし、政府におきましても、健全な住宅建設を考えておるのであります。
  30. 西宮弘

    西宮委員 いま局長お話しの、そういう健全な住宅をつくることについて、民間の協力を求めておるというのは、具体的にはどういう方法をとっておるのですか。
  31. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 税におきまして、固定資産税を軽減いたしまして、民間が住宅をつくる場合に、負担を軽くしてその促進をはかるという方途を講じておりますが、今回、特に昭和三十九年度以降におきましては、従来の減税方針を強化いたしまして、固定資産税のほかに、さらにまた企業が貸し家をつくる場合におきましても、特別償却の率を高めまして、民間の企業としての貸し家住宅のふえることを考えております。さらに住宅金融公庫におきまするところの融資保険も、料率を下げまして、民間の資金がなるべく多く住宅建設に向かうように努力をしております。
  32. 西宮弘

    西宮委員 それは、局長のおことばでいえば、いわゆる健全なる住宅をつくる場合にそれを適用して、不健全なる住宅には固定資産税のあれは適用しないわけですか。
  33. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 現在やっておりますのは、固定資産税の場合には二十五坪、それから特別償却の場合には、三十坪以下の住宅になっておりますが、住宅という場合には、いま申しましたようなものを、われわれのほうでは、住宅としては勘定しておりませんが、実際上、現在の住宅事情にかんがみますと、そういう非常に小さい民間の業者なんかができておりますけれども、そういうものはやむを得ないといたしまして、われわれといたしましては、健全な住宅ができるように努力することによって、数多くそれが利用されることによって、自然にそういう小さいものがなくなることを期待いたしておるわけでございます。
  34. 西宮弘

    西宮委員 その点もうちょっとお尋ねしたいのですが、たとえば二十五坪とかいう基準は、建物全体について言うのじゃないのですか。だから、たとえば小さな部屋がたくさんあるアパートでも、全体として二十五坪をこせばそれが適用されるのでしょう。
  35. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 アパートの場合は、一戸につきまして二十五坪をもちまして適用されております。
  36. 西宮弘

    西宮委員 それには、その中の小さいものも、局長の言うところの不健全な部屋がたくさんできていっても、全体として大きなアパートが建てば、それが適用されるのですか。それではちっとも局長の言うあれには合わないじゃないですか。
  37. 河野一郎

    河野国務大臣 政府の意図するところは、局長の御説明申し上げたとおりでございます。しかし民間のほうで、たとえば自分で二十五坪のうちを建てて間貸しをなざるというものをやってはいけないというわけにはまいりませんから、そういうふうなものはあってもいいんじゃないか、あまり理屈に走ってやりますと、できるものもできなくなってしまう。困っておる人は、そういうものでもけっこうだと言われる人は、たくさんあるわけであります。ですから、私は、できるものなら何でもどんどんやってくださいという立場でいきたい。こういうことを申し上げてはどうかと思いますが、もし私が建設大臣を続いてやらしていただくことになりますれば、私は昨年河川法の改正を行ない、河川行政について一応のめどを立てたつもりでおります。今年は道路について、できれば道路法の改正その他道路五カ年計画——十分ではございませんけれども、これについて一応の方向をきめる。来年は住宅問題と積極的に取り組みたい、その場合には、少なくとも現在の農村、中小商工業者、これらの諸君にごく低利長期の資金の貸し付けをいたしておりますように、住宅についても年々相当金額の、少なくとも三分、四分もしくはそれ以下の金利で、三十年、四十年というような長期の貸し付けをいたしまして、自分の住宅は自分でおつくりいただくということを、相当大規模にやることによって、住宅問題の解決をはかるということが、住宅に対して最も適切なことではなかろうか、いまのように、公営住宅でどうとか、八坪でどうとか、十坪でどうとかというのじゃなしに、社会党さんとわれわれのほうと、どうしても多少意見の違いがあるかもしれませんけれども、私は住まい、もしくは自己の営業、企業の拠点となるべきものは、自己の所有、自己の責任ということでこれを経理、経営してもらうということにすることが、絶対必要であるという意味において、ひとつこの問題とは積極的に取り組んでやらなければいかぬのじゃなかろうか、こう考えておりまして、いま住宅問題についていろいろ説明しておりますけれども、これでもう十分だ、いいんだというふうに私は考えていないわけであります。どうぞひとつ御了承願います。
  38. 西宮弘

    西宮委員 ただいま大臣の決意表明で、了解いたしましたので、その点は大いに今後に期待いたします。安い住宅をたくさんつくるというようなことは、決して社会党としても反対するはずがないので、これは大いにそういうことに協力いたしたいと思います。ただ、さっき局長が、いわゆる健全な民間住宅をつくる、そういう話をされたので、それは具体的に方法がないのじゃないかということを念を押したかったのです。しかも、いま現にできておる住宅は、ことにアパートのごとき、三年で元を取るというようなことを、アパートの経営者は常識に考えておる。だから、実に粗末なものをつくって、日本全体に非常にマイナスを与えている。そこで、そういうものの災いの根本は、地価のの高騰というようなことにもちろんあると思うのです。この前の宅地制度審議会で、空閑地税とか、あるいは地価の値上がりしたものに対しても課税する、こういう問題なども論議の対象になったはずですが、それがあの程度に、ああいうことで現在とどまっておる経過を、一言だけお聞かせをいただきたい。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 空閑地税につきましては、いろいろ御意見もございますが、宅地制度審議会におきまして、十分学識経験者の御意見を拝聴いたしまして、日本の現状において、空閑地税をとることは適当でないという結論を得ております。したがって、私としては、この問題については、空閑地税はしばらくおきまして、別途何らかの方法で考えなければならぬのじゃなかろうかというのがいままでのいきさつでございます。
  40. 西宮弘

    西宮委員 だいぶ時間がたちましたから、早く切り上げたいと思いますが、ただ特にお願いしまして、農林省と自治省から出てもらっておるはずだと思いますので、もう少し詳しくお聞きをしたかったのですが、ごく簡単に、農村住宅の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  特に私お尋ねをしたいのは、これは建設省でも、農林省でも、どちらからでもけっこうですが、農村住宅として最近進めておりますいわゆる、連棟住宅、アパート式の住宅、あの問題です。私は、今後の農村の住宅はああいう形態でいくべきじゃないかと考えておるのでありますが、これに対する政府施策、あるいは今日までの実績、そういう点を聞かしていただきたい。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 農村の住宅につきましては、昨年建設大臣になりましてから、まずさしあたり農村住宅の改造もしくは増築というものについて、新たな貸し付けの道を開きました。ただ、いまお話しのような農村の住宅全体といたしましては、住宅を農村住宅と都市住宅というように区別いたしておりません。全体の住宅について資金を貸し付ける、もしくは、こういうことをやりたいから協力してくれというものについては、画一的にこれを見ておりまして、それがたまたまいまお話しのように、これを農村で利用する場合には、モデルケースとしてこういうようなものもあります、という程度で、建設省としてはやっております。これは御承知のように、農業経営は全国多種多様でございますので、それの対象となるべき住宅につきまして、いまにわかに建設省として、農村の住宅であるからこうということにはいたしておりませんが、すでにそういう、ただいま御指摘になりましたようなものもやっておるわけでございまして、順次そういうことに対して、農村の方面からの御要望、その意欲が強くなってまいりますれば、これにおこたえをしてやるということにやぶさかではございません。
  42. 西宮弘

    西宮委員 農林省のほうはどうですか。
  43. 原政司

    ○原説明員 農林省の普及部長でございますが、ただいま御質問の農村住宅につきましては、建設大臣のほうから御説明がありましたとおりでございまして、私らのほうといたしましては、生活の合理化と申しますか、住まい方とか、そういう生活方式の改善ということにつきまして、生活改良普及員を中心として、現在指導をしてまいっておりまして、建築自体につきましては、建設省のほうでお進めいただいておりますので、先ほどの大臣の御答弁どおりでございます。
  44. 西宮弘

    西宮委員 これから先の農村の住宅のあり方が、そういう点で大いに改善を要する点があると思うので、これをぜひ積極的に取り上げていただきたいということを希望しておきたいと思うのであります。会議録等によりますと、昨年も、農村住宅について、委員各位からずいぶん熱心な意見が開陳されておるようでありまして、私はぜひそういうことをやってもらいたいと思います。  それから特に私のお尋ねをしたのは、いわゆる連棟住宅の問題でありますが、ただ、いろいろな文献等によりますると、これもずいぶん問題が多いようであります。残念ながら時間がありませんから、これで終わりますが、どうぞそういう点、十分研究していただきまして、農村の生活改善、あるいは漁村の生活改善にも、ほんとうに役立つようにしていただきたいと思います。  それではまた別な機会にお尋ねすることもあるかと思いますので、これでやめておきます。      ————◇—————
  45. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 首都高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案に対する質疑は去る十九日終局いたしました。本案に対して、瀬戸山三男君から修正案が提出されております。
  46. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず、提出者から、その趣旨の説明を求めます。瀬戸山三男君。
  47. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それでは、ただいま議題となっております首都高速道路公団法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党共同提案の修正案を御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元に差し上げておりますが、念のため朗読いたします。第十九条に一項を加える改正規定中「理事長を通じて」を削る。これだけの修正内容であります。  その理由を簡単に申し上げますが、本法の改正案の中に、御承知のとおり、第十九条の改正の項として、従来「監事は、公団の業務を監査する。」これだけの規定でありますのを「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は理事長を通じて建設大臣意見を提出することができる。」という改正案になっておるわけであります。政府のこの改正案の提出の理由には、従来の公団監事の職務執行上やや意に満たないものがある。したがって、行政管理庁等の勧告の次第もあり、監事の職責を明らかにし、公団業務の監査について、その万全を期するという趣旨から、この改正案を提出したのである、という御説明があったわけでありますが、当委員会におきましても、この問題について、いろいろ御意見なり御質疑がありましたことは、皆さんも御承知のとおりでありまして、せっかく、監事の職責を明らかにし、その監査事務の適正を期するという趣旨であるならば、同じ公団の理事長を通じて、建設大臣意見を提出するということは、必ずしも監事の職責の万全を期するゆえんではない、こういう点が明らかになったわけであります。そういう意味で、せっかくの改正でありますならば、理事長に提出するほか、直接建設大臣に、必要な場合には意見を提出することができる、これが政府の改正案を出しました趣旨の徹底をはかるゆえんである。こういう趣旨で、「理事長を通じて」という項のところを削除して、直接建設大臣に監事から意見を提出することができる、こういうふうにしたほうが、より一歩改正の趣旨に適するものである、こういう次第であります。  どうか委員諸君の御賛成をお願いいたします。     —————————————
  48. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 本修正案について質疑の通告がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  49. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいまの説明について、解釈の問題点として、大臣と法制局のほうにお伺いをしたいと存じますが、当初の原案の「理事長を通じて」ということが削除されるわけですけれども、この文章をそのとおり読んでまいりますと、理事長または大臣ということになっておりますが、われわれがここで常識論として考えられますことは、監事が大臣意見を具申する場合、「理事長又は」ということが入っておりますと、やはり情義的にも、一応理事長に意見を申し上げて、そうしてその結果が大臣に上がっていく、こういうふうにわれわれは判断するわけです。そういたしますと、当初の「理事長又は理事長を通じて」というふうなことと、結果的に何ら変わらないのじゃないか。であるから、これは当然、理事長ということを含めて削除したほうが、法文上的確ではないかというふうな判断をいたすわけであります。でありますから、われわれの考えでは、この「理事長又は」という考え方は、意見を具申する場合に、その内容が小さなことは理事長、非常に重要な問題の場合には直接大臣意見を具申する、こういうふうな解釈をとっていいかどうか、この点についての御見解を承りたいと思います。
  50. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 先ほど申し上げたとおりでありまして、監査の結果、必要と認める場合には、理事長にももちろんその監査の結果意見を出すことができますし、直接建設大臣にも出すことができる。先ほど、重要な場合は云々とありましたが、重要な場合でも、やはり理事長にも出すのが、監事の当然の責任であると私は思いますから、軽いものは理事長、重いものは建設大臣、という区別は要らぬのじゃないか。やはり必要と認めるときは、直接建設大臣意見を出すことができる、理事長にも出すことができる、これが監事の当然の職務じゃないかと思いますので、御了承を願います。
  51. 岡本隆一

    ○岡本委員 私どもが念を押しておきたいことは、大体「理事長又は理事長を通じて」ということになっておりますと、結局、監事は一応内輪の人であるから、いままでは、建設大臣意見を具申する場合には、必ず理事長を通じなければならなかった、しかしながら、今度は、理事長または建設大臣にというふうな二段階になっておりますと、やはり内輪の者であるから、まず理事長に通じてくれということに、情義的に、なっていく。そうすると、結局この修正が意味をなさなくなる。だから、その点を確認しておきたいということです。監事は、一応みずからの判断によって、いずれをとってもいいのだ、そしてむしろ重要な問題については、直接建設大臣に言ったほうがいいのだ、こういうふうな考えのもとに、この修正が行なわれるのだということを確認しておきたい、こういう意味であります。だから、私どもは、一応そういう意味でなければ、もう一ぺんこのままで休憩をしてください。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま、提案者の一人である方から、詳細に御意見を承りました。その提案者の御趣旨を十分体しまして、間違いのないように運用をいたします。  念のために申し上げますれば、監事はその自己の監査の結果、自己の判断において、建設大臣に直接意見を申し述べることを、建設大臣としては期待いたします。また、その際に、理事長に言う場合があることもけっこうである。相なるべくは、緊密な連絡を、建設大臣ととって、公団の運用にあやまちのないようにしていただくことを期待いたします。
  53. 真田秀夫

    ○真田政府委員 ただいまの御修正が成立いたしまして、理事長または建設大臣意見を提出する、という法文になりました場合の読み方でございますが、理事長は法人の代表機関であるからして、建設大臣意見を述べると書いても、やはり理事長を通さなければいかぬのじゃないかという御疑問が残るじゃないか、という御趣旨だと思いますけれども、それは、もしこの御修正が成立いたしましたといたしますれば、そういう経過もございますので、私たちの解釈といたしましては、直接建設大臣にお出しになることも、もちろん可能である。それから、大きい問題、小さい問題というのは、これは実は法律問題でございませんので、運用の問題としてお考え願えればいいことだと思います。     —————————————
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 他に質疑の通告もありませんので、これより原案並びに修正案を一括して討論に付します。  別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決に入ります。  まず、瀬戸山三男君提出の首都高速道路公団法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  55. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 起立総員。よって、首都高速道路公団法の一部を改正する法律案は、瀬戸山三男君提出の修正案のとおり修正議決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時五十分開議
  58. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  建設行政基本施策に関する件を議題とし、調査を進めます。  この際、本件調査のため、日本道路公団総裁富樫凱一君、高速道路第三部長斎藤義治君の両君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取は、質疑応答の形で行ないたいと存じますが、御了承願います。  質疑の通告がありますのでこれを許します。勝澤芳雄君。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、きょうは特に地元の国道一号線を中心とした道路行政について質問をいたしたいと存じますが、まず最初に、静岡を中心とした最近の交通量と、今後の見通し等についてお尋ねいたします。
  61. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 静岡県下の一級国道の交通状況について御説明申し上げます。  交通量で申しますと、一番最新の統計は、三十七年に行ないました全国の交通情勢調査でございますが、それによりますと、静岡県下の一級国道の平均交通量は、十二時間で約八千四百台になっております。これを全国の一級国道の平均と比べますと、全国の交通量が、十二時間で約三千二百台でございますから、それに比べますと非常に高い、こういう傾向を示しております。特に市街地におきましては、これは一号国道だけでございませんが、どこでも交通量は割り高になっておる。こういう状況は静岡県につきましても同じでございます。これに対しまして、道路対策といたしましては、直轄で国道の改修事業を行ないますとともに、御承知のように、東海道の高速自動車国道を、すでに実施段階に入っておりまして、日本道路公団が事業に着手しておる、こういう状況でございます。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで最近、三十七年の統計が出てきたのでありますけれども、この東海道高速自動車国道ができる四十二年ですか、この辺までの交通量の見通しというものはどういうふうに推定されるでしょうか。
  63. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 計算としましては、これらの交通量は区間ごとにかなり違っておりますが、それを今後の経済の伸びに応じまして、ある倍率を掛けまして、区間別交通量を出しております。その交通量と、東海道自動車道路ができました場合にそれに転換する交通量、そういう交通量を計算いたします。そういたしますと、現国道に残る交通量が出てまいります。それらに対しまして、その非常に大きなものにつきましては、現在の国道の交通容量をもってははけ得ない、こういうような区間につきましては、別途バイパスというようなことを考えていく、こういう方針で考えております。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、私は、最近の自動車の伸びからいきまして、やはり道路についても、ある程度、この道路は交通量はこれが限度だというものが必要ではないだろうか、こう思うのです。いまの御説明によりますれば、全国の平均からいきましても約三倍以上の伸びだというようなことになりますと、ある程度適正な速度で、適正な交通量についての限度というものをきめて、それをオーバーするものについては、どんどん道路計画を進めていかなければ、経済の伸びというものが道路のためにとまってしまう、こういうようなことになりはせぬだろうかと思うのですが、そういう点については、建設省としては、一つ基準といいましょうか、そういうのはどういうふうにお考えになられますか。
  65. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路を築造する場合の基準として、道路構造令というのがありますが、構造令には、道路の幅員と、そこで一応望ましいと思われます交通量の関係を表にして示してあります。その表に示しました数字は、望ましい数字でございますが、常識的にはその数字よりもさらに三割あるいは五割くらいよけいでありましても、実際は若干速度は落ちるけれども、通れないという状態ではございません。したがいまして、ただいま申しましたような計算をいたしまして、そういうような、現在ある道路の幅員から想定されます交通を流し得る容量、これをはるかに超過するような状況になります区間につきましては、先ほど申しましたように、何か拡幅するとか別にバイパスをつくるとか、こういうような措置が必要ではないか、かように考えております。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 現状からいって、当然見合った道路計画というものがおくれているということは、いま説明されたと思いますけれども、昔は交通地獄といって、いまでは交通戦争だという言い方をしております。私は、この間警察署へ行きましたら、自動車がどうもたいへんな行列だと言ったら、いやあれは自動車の行列じゃない、レールのない汽車が走っているんだ、と警察署では言っておりましたが、まさに私は、レールのない汽車が走っているというような状態だと思います。ちょっと事故があれば、——あるいは、毎日のように事故が起きているわけです。事故があれば、もう一方交通で、迂回路もないわけでありますから、一キロ、二キロにも自動車が並んでしまう、こういう状態が毎日のように続いているわけです。現実からいって、それが、じゃいつ解消できるのかというふうにいま考えてみますと、どうも高速道路ができなければ解決できないというのが、私はこの静岡を中心とした、清水あるいは袖師、あるいは興津、蒲原、富士川、こういうところの状態だと思うのです。国道一号線がこういう状態になっているということは、これは早急に解決しなければならぬ問題だと思うのですが、これについてはどういう御計画を持っておられますか。
  67. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申しましたように、基本的な対策としては、東名高速自動車道路を早期に完成させるということしかないかと存じます。それによりましてもなお救われない区間については、局部的なバイパスをもって対処する、こういうことになると思います。何といたしましても、着工したばかりでございますけれども、東名高速を早期に完成するということが目下の最大の急務である、かように考えております。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 東名高速道路では、全体的な計画なり、あるいはまたこういう交通量の多いところ、しかもまたバイパス道路さえない、こういう場所の部分的に完成された場合の計画なり、こういうような点については、どういうふうにお考えになっておりますか。
  69. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 東名高速は、まだ着工いたしたばかりでございまして、どの部分から先に開通できるかということも、まだ目下のところ見通しがつきません。できるだけ、短区間でも有効な区間を早く完成させまして、沿道の交通緩和対策に役立つようにしたいと思いますが、まだ用地折衝に四月ごろから本格的に入る段階でございまして、どの区間が、そういった問題が早く解決し、したがって早くでき上がるかわかりませんので、具体的にどうなるということを申し上げられませんが、考え方としては、できるだけ現在の交通の混雑しておりますところを、早期に、局部的にも完成する、こういう考え方に立たざるを得ないと思っております。
  70. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大体の東名高速道路の完成の目標なり、あるいは部分的に、ここはこういうふうにしたい、あるいはこういうふうな予定を持っている、こういう点についてはいかがでしょう。
  71. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 大きな方針といたしましては、東名といいましても、東京から小牧まで、相当延長が長いわけでございますが、施行命令の出ました最初の順位は、東京−静岡、こういった区間が出ております。特に、東名の東の部分については、そういう交通需要がたいへん多うございますから、そちらのほうがどうしても早くなるだろう、早くしたいという考えでございますが、問題は、そういうところは、またかえって用地の取得が困難なところでございまして、私どもがかりに早くやりたいと言っても、結果として、早くできるかどうか、これも疑問でございます。それから、豊川から西のほうでございますが、これも施行命令の早く出た区間でございますが、これらも名古屋市を中心にいたしまして、割りに交通の需要が多いところでございますので、できれば早くやりたいという区間でございます。問題は、その間の、静岡と豊川のあたりでございますが、これは、路線の問題が、御承知のようにだいぶもめまして、非常にきまるのがおそかった関係上、やや工事施行の上では立ちおくれておるかと思います。しかし、いずれにいたしましても、全区間まだほんとうに緒についたところでありますから、むしろ早くいろいろ道路建設の諸事情がまとまるところが、結果的には早くなるんじゃないか、こういうふうに見ております。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまのお話ですと、国道一号線はまさに飽和状態になってきているという実情については、おわかりになっているようであります。その一号線の中で、バイパスのない部分については、バイパスをフルにつくるというふうにおっしゃられておるわけですけれども、今度、具体的になっていきますと、どうも四十二年の高速道路のできるまではそのままだというふうに、実は聞こえるわけです。これでは、私は——いまでさえ、とにかく毎日のように事故があって、そして一キロも二キロも自動車が連なっている。それが国道一号線ですが、こういう実情というのは、解消される見通しがついていないと思うのです。だから、私は東名高速道路を急がせると同時に、やはりバイパスの計画なり何なりも国として考えなければならぬときにきている、こう思うのです。ですから、その計画を——いま道路の新しい計画もされておるときでありますから、やはりもう少し具体的な計画が進んでいなければおかしいじゃないかと思う。どうなんでしょうか。
  73. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 局部的なバイパスとしては、たとえば三島におけるバイパスをこの三月には完成して、供用を開始するわけですが、そのほか浜松あたりもたいへん事情が悪くなり、何か対策を講じなければならぬ、そういう段階にきております。それから、静岡−清水あたりも——そういう区間について、もちろんいまでもやれればけっこうなんですが、なかなか全体の投資規模の関係上、そこまで手が回らないというのが実情であります。したがいまして、東名高速は全般的な対策ではございますが、そういうものをつくりましても、将来必ず飽和するであろうと予想されますところにつきましては、やはり引き続きバイパスを進めていかなければならぬ。こういうふうに思っておりますが、新しい五カ年計画でその点をどの程度に見込むかにつきましては、これから作業するところでありまして、まだ具体的に個所を名をあげて、ここをいつまでにやるということは申し上げられる段階には至っておりません。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、局長でなくて大臣に聞きたいのですが、政務次官、よろしいでしょうか。——場所を御存じかどうか、私、知りませんけれども、局長にお聞き願えばいいと思うのですが、いま東海道が一本で迂回路のない町があるわけですね。そういう町の中で事故が起きますと、詰まってしまうわけです。その事故はどうかといえば、道路がよくなればよくなるほど事故が多いというぐらい、家の中に飛び込んだり、おちおち家の中で寝ていられない。店で寝れずに、奥の間でなければ寝られない。二階もこわいというような状態です。そうして、横断をされる場合、横断歩道がないわけですから、横断歩道をつくろうとすれば、むろん地元で負担しなければならぬ。信号をつくろうとしても地元で負担しなければならぬ。あるいは跨線橋をつくろうとすれば、それもまた地元で負担しなければならぬ。こういうような状態が多いわけですね。そうしますと、御承知のように、富士川を越えて、富士川という町も一本道路、蒲原という町も一本道路。由比という町は旧街道と新道がありますから、これは二本だが、興津の町も一本、袖師の町も一本道路、こういうふうになっております。それで、いま清水——静岡一本で、この区間というものは実に交通がふくそうしておるわけです。それで、御承知のように、由比は山くずれが出まして、いまそれをくずして海岸道路をつくっているわけです。ですから、そこが東名高速道路としては一番早く工事が進んでおるわけでありますけれども、現実に、ここ一年、二年ぐらいの先に、何とかいまの国道一号線を解決する道路が欲しいというのが地元の実情であります。しかもその上に、仕事を進める上においては、用地取得についてたいへん困難があると思う。しかし困難があるとしても、ほっとけばほっとくほど問題だ。向こうへいけばますます困難になる。やはりいつか解決しなければたいへんなことになると思う。それは由比の地すべりがあったときに、御承知のとおり、この地すべりがあったら、東海道線もとまる、国道一号線もとまるということで、国中をあげて大騒ぎをして、あの対策を練ったことでもおわかりであろうが、こういう実情になっております。ですから、いま局長の言われたような答弁では——一体いつになるだろう、東名高速道路は、まだ、四十二年だよ——これでは、地元だけでなくて、東海道の経済的開発そのものが私はおくれると思う。こういう点で、これはやはり早急の機会に、次の計画の中にしっかり組み入れて解決しなければならぬ一番のポイントに来ているんじゃないか、こう思うのですが、その点についていかがでしょう。
  75. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 ただいま仰せのとおり、東海道一号国道はもちろんでありますけれども、その他にも、そういう事例は私も承知しておりますし、日本の道路行政がほんとうに、国土総合開発計画の重要な一環として、早急にこれを打開しなくちゃならないところへぶつかっておりますので、現在政府といたしましては、昭和三十九年度から、御承知のとおりの線に従って、根本的な計画だけは進め、実行に移しつつありますけれども、御要望の線にまだまだ遠いことを非常に私たち残念に思っておりまして、さらに御要望の線に沿うように努力をいたしたい、こう考えておりますが、さて具体的に、それではどういう努力をするかということになりますと、やはり国の総合的な財政計画をながめまして、しかも一番おくれております公共投資の面からこれを強く取り上げるということに——抽象的なお答えになりますけれども、そういう面よりないと実は考えております。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、高速道路の、今度は建設の問題ですけれども、いま建設の問題については地元でもいろいろ問題があるわけです。何といっても、自治体も、それから住民も、あげて協力をいたしておるわけであります。しかし、やはり協力している中でも、いろいろとまた自治体なり住民の希望というものは出されておるわけです。ですから、やはりこういう問題については十分話し合ってもらって、そして親切に、できるだけ希望に沿った解決をするように努力していただきたい、こう思うのですが、基本的な問題についてはいかがでしょうか。
  77. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 ただいまの御質問は、やはり同じような御意思で、大臣も、またわれわれ建設省といたしましても、行なっておるわけであります。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣がいらっしゃる前に、東名高速道路建設を促進しなければならない、特に静岡を中心として、大臣も御存じのように、東の富士川あたりまではバイパス道路すらないということで、これは何か考慮すべきだという質問をいたしてきたわけであります。  そこで、あらためて大臣お尋ねいたしたいのですが、大臣、各所に現地に行きまして、現地の交通事情の中から、これは半年繰り上げて完成せよ、あるいは一年繰り上げて完成せよというように適切な指導を行なってまいり、国民からたいへんかっさいを得ておるわけでありますが、いま、私は、東名高速道路につきましても相当テンポを早めなければならぬと存じますので、この辺についての大臣のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
  79. 河野一郎

    河野国務大臣 御説のとおりでございまして、私もできるだけ早く完成したいと思っておりますが、金の手当ても思うようにいきませんし、年限がございます。順次年度割りがございます。そこらのところをこれからどう工夫すべきかという問題かと思います。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、道路の建設について一番困難なのは、用地の取得だと思うのです。用地については、地元でも相当協力しているわけでありますけれども、地方自治体としても、あるいは地域の住民としても、それについてはやはりいろいろ希望がある。その希望についても、できるだけ話し合って、努力をしていかなければならぬ、こう思うのです。その点は大臣も同じお考えだと思うのですが、いかがでしょうか。
  81. 河野一郎

    河野国務大臣 必ずしも同じというわけにまいりません。と申しますのは、だんだんお話を申し上げておりますとおりに、この道路には大きな目的があって、国家的要請によってやるのでございます。地元の要請だけに重点を置くわけにはまいりません。したがって事情の許す限り、できるだけ最短距離を行きたいということでございますから、必ずしも地元の要請にこたえて、ことに静岡のように、あっちへ曲がり、こっちへ曲がりということをおっしゃっても、そうはまいりません。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そういうことではないです。私の言うのは、具体的な問題としていま私たちがいろいろ地元から聞いている問題があります。たとえば静岡市の瀬名川というころを築堤にするか、あるいはまた高架にするかという話が出ております。それで地域の住民としては、毎年災害のたびにとにかく水浸しになるわけです。それは川の改修が完全に行なわれてないから、そういう現象にはなるわけですけれども、しかしその川の改修は十年先になるか、あるいは二十年先になるかわからぬ。こういう中で、道路が築堤でやられると、水浸しになって、その水が引かない、これはやはり高架にしてもらいたい、こういう希望が出されているわけです。そこで実は、高架にさせるためにはまず測量をしなければならぬ。ところが、測量をやるのは反対だということがここ半年ばかり続いておったわけです。そこで測量をやるのは反対だったら、希望を通すわけにはいかぬから、とにかく測量だけはやらせなさい、もう路線がきまっているんだから、その路線を動かすことはできないんだから、一体どういう構造になるか、まず測量をやらしたらどうかということで、地元の人たちを納得さして、ようやく測量を始めたわけです。測量を始めると、これで外堀が埋められたからもう言いなりほうだいになるということで、心配いたしておるわけでありますが、こういう点などは、技術的な問題もあります、あるいは経費の問題もあります。しかし災害を受けたいままでの経験もあるわけでありますから、そういう点をやはり十分考えてやっていただきたい、こういうことを私は申し上げておるわけですが、いかがですか。
  83. 河野一郎

    河野国務大臣 それはお話しのとおりいたします。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、大臣も御承知のとおり、由比というところは地すべりのために、いままで山を通るといった道路が海岸道路になりまして、海の中に道路ができるという、とても珍しい工事がいま行なわれております。特にここでいま問題になっておりますのは、いままで海があって、海で海水浴ができた。しかし海の中に道路ができたために、今度は海水浴ができなくなった。海べの町でありながら、海の中に道路ができてしまったということで——いろいろな個人的な補償は一切がっさい済みまして、町は協力してやりました。しかし、今度はその海が道路になったために、町じゅうの子供たちが、遊び場所がなくて困るといって、おとなに訴えておるわけです。おやじさんたちも黙っておるわけにいかないからということで、この間、PTAから子供会から、みんな県庁あるいは地元の道路公団に押しかけて——海のある町が、長い間自分たちが海の中で育ってきたものが、道路ができて海がなくなってしまう、これについてはプールなりあるいは砂場なり、何かこういうものについて検討してもらえないだろうか、このことが道路公団の立場でできるかできないかは別問題として、町全体としては、次代を背負う子供たちのために考えてもらわなければならぬという深刻な問題になっているわけです。こういう点などにつきましても、やはり十分お考えをいただかなければならぬじゃないだろうか、私はこう思うのですが、いかがでしょう。
  85. 河野一郎

    河野国務大臣 道路をつくるために、砂を海の中に入れるのではなくて、地すべりであの辺一帯が危険だから、その砂を海へ捨てる、海へ捨てるなら、そこへ道路を通そうということで、主客転倒していると私は思います。もし道路をつくるために山をくずして海の中に埋めるというなら、それはお話の点になりますけれども、そうじゃない。あのままほうっておけば、地すべりであの由比の辺はどうにもならぬ、どうにもならぬから、この土をどこに捨てるか、早くのけてくれ、のけてくれと地元でおっしゃったじゃないですか。だから、道路をつくるから、つくらぬからにかかわらず、海は埋めることになっておる。海を埋めるなら、そこに道路を通すだけであって、初めは山を通すことになっていたのを、海を通れというから、海を通るようになった。海を通るなら砂場までつくれ——つくることもいいですが、そうやって、何か公共施設をやろうというと、あとからあとから、次はこれだ、次はこれだと出されるのではかなわぬ。そこらのところはしかるべく善処していただかなければならぬ。だから静岡はあと回しだ、めったにやらぬ、こう言っておる。回りから、名古屋のほうと東京のほうからやっていこう——たまたま新聞にそういう記事が出ておりました。なぜ出したか、ここを先にやる意思はないと、きのうしかったところです。地元と話し合いがついてからやりますから、急いでやりません。
  86. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは、大臣の言われるとおりです。そういうふうにとにかく県も地元も進めてきたと思う。しかし今度は大臣、子供の目に映る国の政治というものは、きのうまでとにかく海があって、海で水を浴びておった。その水を浴びておったところに道路ができた。それは大臣の言われるように、あの地すべりの土を解決するために、山にやるよりも海岸にやったほうがいい、これは町をあげて同じ意見です。大臣もそのために努力されたことを、私もよく承知いたしております。しかし、だからといって、そういうささやかな希望といいますか、あるいは夢といいますか、そういうものについてはやはり政治が考えてやらなければいけないんじゃないだろうか、こう思うのです。その点を私は大臣に申し上げておるわけです。
  87. 河野一郎

    河野国務大臣 道路ができるから道路公団で考えろというのじゃないでしょう。これはそういうふうに地すべりが起きて、地すべりのためということは子供はよく知っております。だから、地すべりのために、山の土で海を埋めた、そこに道路ができるんだと思っています。道路ができるからおれらの遊び場がなくなったなんて、子供はそんなこと考えやしません。子供のほうがりこうです。それを、今度道路をつくるなら道路公団がやるべきだといって、まるで——失礼な申し分ですけれども、私も街道筋だから、よくこういうことばが使われますが、何か人がやると、雲助根性で言いがかりをつけてたかれ、たかれという考えは私はとらない。だから、すっきりものを割り切って、実際に道路公団が責任を負うべきものか、だれが責任を負うべきものか、もしそういう子供の遊び場が必要なら、町の者が厚生省に行って子供の遊び場をつくれ、児童遊園地をつくれと言って、すっきりおやりになったほうが、児童のためになるんじゃないか。道路をつくるから、なんか道路公団に押し寄せる、そういう子供のしつけ方は、私は将来子供のためによくない、こう思います。
  88. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、しかし、希望があって——そうやってくれ、 こういう希望があってやったのだから、それは別だと、こう言われるけれども、しかしこれは現実にお考えになっていただければ、海岸にとにかく道路ができる、たいへんけっこうなことです。世界でも珍しい道路になると私は思うのです。世界でも珍しい道路になるけれども、しかし、その中で子供たちから見れば、それが犠牲によってできたのだ、そういうことを考えたら、そこは大臣として、やはりいままでの希望なりそういうものは聞いてあげるべきだ。あなたは道路専門の大臣じゃないわけですから、国務大臣ですから、ほかのことも全体的に、ここをこうやったらいい、これはこうしたほうがいいだろうというふうに——それは私は道路公団としていままで行なわれてきたと思うのです。私もこの前、名神高速道路を見まして、名神高速道路のつくり方に実に感心したわけです。それは、道路をつくりながらやはり観光を考え、そして立体的に、一つのものをつくるならやはりきれいにつくったほうがいいじゃないかという、ちょっとした気持ちの持ち方で、実にきれいな道路になっている。いや道路公団には植木の専門家もいるのだ、植木はどんなものを植えたほうがいいという、実に国じゅうの権威者を集めて研究したというのです。たいへんけっこうだと思う。それほど一つのものをつくるときに、あらゆる角度から考えておるわけでありますから、大臣だってまさかそれはそのままでいいとはお考えになっていないわけですから、総合的にものをお考えいただきたい、こう言っているわけです。
  89. 河野一郎

    河野国務大臣 私は責任の限界があると思います。道路公団でそれをやるべきかどうかということには限界があります。道路公団がすべてあと始末をしていかなきゃならぬということだと、道路の費用が非常にかかって、どこまでいってもこれは際限がないと思いますので、道路公団の責任は明確にしなければならぬ。埋め立てをするから子供の泳ぎ場がなくなったなんていったら、埋め立て地もできぬでしょう。埋め立てをやる人は、みなそのわきに遊園地をつくらなければならぬことになる。現実に埋め立てに際して、ノリの許可をもらっているのでその漁業権を買収する、そうしたら——大体また海を使っているじゃないですか。それを今度は、埋め立てをすれば子供の海水浴場の費用を弁償するなんて、こんな話は私は聞いたことがない。いまの話は、ことにこの場合は、あれだけのとにかく地すべりでもって、あれをしなくとも、みんなどこかに引っ越さなければならぬといって騒いでおった。私は農林大臣時代にずいぶん御心配を申し上げたつもりでございます。それを幸いに大々的に土をのけようということでやった。さもなかったら、あそこは全部立ちのかなければいけなかった家です。それを立ちのかないで、上の土を取って、大規模に、道路公団で並行して問題を片づけようということになったのです。いわば道路公団は神さまみたいなものですよ。それを今度は、あそこの土をのけて海のほうに捨てた、そこを道路が通るのだということになったら、そうしたら今度は、そこで子供が海水浴ができなくなるから、海水浴場を考えたらどうだ、そこまでいって道路公団の責任においてそれは善処いたしますと、私が答弁したら、これから将来にわたって、道路公団が全国においていろいろなことをやるのに、県によって、静岡ではこういう問題がある、ああいう問題があるとなったら一体どうなる、私はそういう意味で強がって言っているのです。せっかく農業構造改善を村でやろうとした、ところが土を盛るために通風が悪くなる、いままでの構造改善を全部やり変えなければならぬ、全部土を盛ってやる堤防式のものはすべてやめてくれ、こういう要請が静岡だけあるのです。しかし、これを通風式にして下を通るようにしていったらどれくらい金がかかるか、そういうことでは道路なんてとうていできません。ところが、静岡ではがんとして聞き入れない村があります。そういうふうに、道路をつくるまではこっちに持っていけ、あっちに持っていけとあれだけ静岡では騒いでいて、ようやく道路をつくったら、今度はその道路について、橋げた式でいかなければだめだ、それでなければやらせるな、ああしなきゃいかぬ、こうしなきゃいかぬ、こんなところは全国にないですよ。これは静岡の指導的立場に立たれる人がもう少し理解していただいて、道路とはどういうものかということを地元の人に知ってもらうよう協力していただかなければならぬ。それをいまのように、あそこは遊園地をつくるそうだ、ここでは何をつくるそうだ、こういうことになったら、どこまで広がっていってしまうかわからぬから、ある程度限界を知ってもらわなければ困る、こう思いますので、言うたのであります。ただし、道路公団がいま一応のプランを立てて、一応の測量その他をしておりますけれども、これはまだ最終的に私が認めたものではございません。したがって、今後地元の事情も十分承って、あらゆる点で妥協もいたします、あらゆる点で合理性も求めます、そうして最終的にはきめますけれども、やはりある程度のところで線を引かなければならぬ、こう私は思っております。
  90. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私も、大臣の言われるとおりだと思うのです。われわれも同じ立場ですから、かかってくるのは、何といっても国民の税金なんですから、そう私も無理な質問をしているわけではないのです。  大臣からそういう意見がありましたので、次の問題に私は移りたいと存じますが、せっかくこの高速道路ができた場合のインターチェンジの建設になりますと、接続の街路事業というものについて、やはり何らかの考慮をすべきじゃないだろうか、こう思うのです。大臣意見をお聞きしたい。
  91. 河野一郎

    河野国務大臣 それはできるだけしなければならぬと思っております。
  92. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで最後に、これは大臣、いま東海道の新幹線の工事をやられておるわけで、新幹線の工事現場がまだ相当残っておるわけです。そして同じように土地の買い上げなり借り上げをやっていると思うのです。そこへもってきて、いまの東海道の高速道路工事が始まっている。こういう点から、やはり工事をやらせる立場の者、事業者といいますか、こうものを有機的に使うと、相当経費の面において節約になるのではないだろうかというふうに思うのです。そういう点については、ひとつむだのないように御検討をいただきたい。
  93. 河野一郎

    河野国務大臣 承知いたしました。
  94. 勝澤芳雄

    勝澤委員 終わります。
  95. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 山崎始男君。
  96. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 私は主として大臣お尋ね申し上げたいのでありますが、最近、公共事業の予算配分について、大臣は従来の方針を変えて、あるいは財政力あるいは人口比あるいは面積比、こういうものを一つ基準にして、予算配分をきめる、こういうような御意見を発表されたことを承っておるのでありますが、私はこれは非常にりっぱな御方針だと思います。といいますことは、ややもいたしますると、いままでの公共事業費というものは大都市に集中されおります。ちょっと考えてみましても、東京都はオリンピックも控え、そうして日本の人口の一割になんなんとする人口がおる関係でしかたがないとはいいますものの、ちょうど赤坂の上にりっぱな立体交差の橋がいまできておりますが、一メートルで三百万円以上もかかっておるということも聞いておるのでありますが、こういう面から見ますと、公共事業費の配分というものが、ばく大な金が大都市に食われてしまう。しかしこういうふうな配分がいつまでも続くことは、今日の地域格差の是正であるとか、あるいは新しい国土の開発という面からいいますと、非常に不合理な面が出てくる。そういう意味におきまして、面積比あるいは人口比あるいはその都道府県の財政力というものを勘案して配分するんだと、こう言われたのでありますが、非常に私はけっこうなお考え方だと思うのでありますが、その点について、大臣のお考え方の基本でけっこうでございますから、お聞かせ願いたいと思います。
  97. 河野一郎

    河野国務大臣 お話しのとおり、前年度までの数字を別にいたしまして、明年度の予算の配分につきましては、主として人口、道路の延長、県の面積、自動車の台数等を考慮に置きまして、分配をする、ただしこのほかに、新産業都市でありますとかいうものについて、特別に考慮しなければならぬものは別途考えますけれども、そういうものを積み上げて、新しい配分方式をすでにきめまして、それによっていま配分の作業中でございます。
  98. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 非常に安心いたしました。それでは、その配分の事務的な作業というものは、昭和三十九年度の配分にはその意思が織り込まれて、予算配分をされる、こういうふうに承ってけっこうですか。
  99. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことにいたしまして、いま事務当局で配分作業をいたしております。
  100. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そういたしますと、いままでの方針を変えて、いま大臣がおっしゃったような配分方法に変えると言われるのでありますから、昭和三十九年度以降、少なくとも河野建設大臣が御在任中は、非常にわれわれは楽しみにして、非常な期待を持つわけなんであります。  そこで、私は事務当局にひとつお願いを申し上げたいのでありますが、いずれの機会でもけっこうですが、昭和三十六年度から三十八年度に至る過去三カ年間の、建設省関係の公共事業費の、各府県の人口、面積、いま自動車の台数というお話がございましたが、そういう基準になる数字と、それから過去三カ年間の公共事業費建設省関係の配分の金額が、各都道府県幾ら幾ら配分されておったかという、過去の数字資料として出していただきたいのであります。といいますことは、いまの大臣のお考え方からいいますと、いままでのような配分の方法から出てきた数字と変わった数字が今後はそこに出なければならない、こういう考え方から、私は非常に貴重な資料だと思いますので、急ぎはいたしませんが、ひとつ資料の配付をお願い申し上げたいと思うのであります。  次に、いま新産業都市お話大臣から出たのでありますが、新産業都市建設について、建設省の基本的な方針をお聞かせ願いたいと思うのであります。申し上げるまでもございません、新産業都市建設促進法というものは、大都市の人口の集中が過度にわたることを防止して、地域格差を是正する、あるいはまた雇用の安定をはかるための国策上の重要政策だと思うのでありますが、こういうような立場から、新産業都市建設促進法の十七条には、国及び地方公共団体は、道路、住宅等の各種の施設の整備につとめなければならないと、こういうふうに規定されております。もうすでに五つの地区が指定を受けまして、あとの地区も本年度中には指定が完了するやにも聞いております。そこで、この新産業都市建設促進法の法律そのものが、いわば親の法律といいますか、基本法でありまして、中身はいまのところあまりございません。今後この中身を整備しなければならぬと私は思うのでありますが、特に関係各省が、この法律に関係してはあるわけでありますが、その中で、建設省関係の、この新産業都市建設促進法の中身をいかに盛るかということは、これは非常に大きな比重を持っておる。新産業都市というものを育成し、促進する上において、金額的に見ましても、いわゆる長期にわたる将来計画、そういう点からいいますと、道路なんかは特に非常に大きな要素になると私は思うのでありますが、ただいまのところは、新産業都市というもので、何か甘っちょろいムードだけがございます。ところが、あまり中身がいまのところはない。そういう点におきまして、非常に政治力のある建設大臣のことでありますから、私は建設省関係におけるこの法律の中身をいかにつくるかという具体的なものを早く出していただきたい、こういうような考え方からお尋ねをするのでありますが、いまも建設大臣から新産業都市お話がちょっと出ましたが、一体計画局ではどのような方針を持っておられるのか、また大臣はその基本的な考え方をどういうところに置いていらっしゃいますか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  101. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、大都市に過度の人口集中もしくは産業の集中が非常に行なわれまして、このまま放置するわけにまいらぬというところに、新産業都市というものの考え方が出てきたことは御説のとおりでございます。しかし、日本の産業が、しからばどの程度に年々増加していくものか、ただいたずらに増加の趨勢もしくは現実もそろばんに入れずに店ばかり開げたところで、これはまた地方自治体が迷惑をなさるだけでございます。鶏と卵のようなものでございまして、設備をしないところに工場誘致はない、さればといって、設備だけしたところで、工場が来なかったらどうするかという問題がございますので、私といたしましては、一応各指定地区からそれぞれの計画をいま出してきていらっしゃいます、それをせっかく企画庁において検討し、企画庁が中心になりまして各省と協議をいたしまして、大体この程度のものならこの程度でどうだろうか、ということで検討中でございます。しこうして、これをさらに具体的にそれぞれの都市計画をどうするか、その年次別をどうするかというものをきめて、全国的産業の発展と見合って、これを施行してまいるということに相なるだろうと思います。したがいまして、各地においては非常に急激な要望もございますけれども、そう一ぺんに全国十幾つの新産業都市が、工場が、できるものじゃないと私は思います。しこうして、これが全部動き出すのは、少なくとも三年、五年たたなければ動いていくものじゃないと私は思うのです。したがって、準備は万端整えていかなければならぬし、計画は立てていかなければなりませんけれども、さればといって、これをむやみに急いで金ばかりかけてやったところが、あとはペンペン草が一ぱいはえておるということも適当でないと思いますので、そこらのところを、しかるべく情勢の判断をしつつ、事業を進めていくということでなかろうかと思うのでございます。したがって建設省におきましても、企画庁のあっせんによって、これらの計画の進められるのに裏づけをする意味において、用意はしております。たとえば明年度予算におきましても、おおむね二百億くらいの予算を割愛して、街路、道路の計画をやっていこう。河川についても、八十億くらいのものを見ておこうということはいたしております。いたしておりますが、さて具体的に何都市に幾らということは、いま申し上げましたようなものを勘案しつつ実行していきたい、こういうつもりでございます。
  102. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 大体お気持ちのほどはわかりましたが、私は先ほども申しましたように、この新産業都市建設促進法の、卵のいわゆる黄身の役割りを演ずるのは、やはり建設省で、建設省に相当がんばっていただかなければならない、そう思うのでありますが、まとまったお考え方、具体性というものにはまだ入っておらぬような印象をいま受けるわけなんでございます。現在の道路法あるいは河川法等の改正を検討していらっしゃるように私は聞いておりますが、この中に、新産業都市道路というようなものを織り込んだ法律の改正でもやられるようなお考え方までありますか、ありませんか。
  103. 河野一郎

    河野国務大臣 私としましては、ただいまやっております五カ年計画の中にも、むろんある程度の考慮は払っておりますと同時に、将来わが国の道路網はどうあるべきかというものを想定しつつ道路計画を実は立て、実施してまいる所存でございます。その場合に、むろんわが国内において将来の産業拠点となるべきもの、すなわち新産業都市というものを重要な想定の基礎にして、道路計画を立てるということにいたしております。
  104. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そうすると、いまのところは、法の改正というところまでお考えはいっておらぬということですか。
  105. 河野一郎

    河野国務大臣 先般も申し上げましたとおりに、道路法の改正は、この議会に間に合えば出したいということで、せっかく省内は一応の取りまとめを終わりまして、いま各省との打ち合わせをいたしております。ただし、これはすでに御承知いただいておるかもしれませんが、従来の二級国道、一級国道というようなもの、つまり国の管理する道路はこれであり、県の管理する道路はこれである、市町村はこれであるということにきめて、国の管理するものについては、国が大体の責任を負っていくということが基本的な考え方でございます。したがって、いま申し上げますように、従来の法律で、考え方は、二級にするか一級にするか、従来二級だったものを一級にするかということではございませんで、いま新産業都市のために法律を云々ということは考えておりませんで、総括的に日本の道路の将来のあるべき姿、道路管理もしくは道路の新設等に必要な道路法の改正をする、こういうことであります。
  106. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 私は、せっかく道路法の改正というときに、新産業都市道路というような、そういうことばでも織り込んだ改正が望ましいのではないかと思ったのでありますが、そこまでお考えになっていらっしゃらぬように見受けます。そういたしますと、そのような法律の改正をしないということなら、現在の予算の中に、ぜひ新産業都市というようなことばで、ワクでもとったやり方をやっていただきたい。それは政令の改正というようなことにも関連があるかもしれませんが、ぜひそういうふうな、ほんとうに新産業都市法律の中身を盛るんだという熱意を持って、今後そういう方針でお願いを申し上げたいのであります。何といいましても、この新産業都市を育成するという立場からいうと、建設省がどういうふうに考えられるかということは、非常に大きな重要な問題になるだろう。現に、自治省では、新産業都市の財政負担の特別措置法をこの国会へ出すとか出さぬとかいうて、相当作業が進んでおりますことは、御承知のとおりだと思います。よしんば、こういうようなものができても、やはり各事業局における——自治省関係の法律だけが先行しましても、やはりその基礎になるものは——基礎になるということばが適当かどうか知りませんが、それにやはり歩調を合わせて、建設省その他の各事業関係の各局において、その基本になるものが盛られなければ、何ぼ自治省がどういう法律だけつくっても、私は片手落ちだと思うのであります。そういう面から、一番大きな事業部面を持っていらっしゃる建設省は、ぜひ中身を盛っていただくように、強く私は熱望しておきます。  次に、私は、本州と四国の連絡橋のことに関しまして、お尋ねを申し上げたいのでありますが、その前に、事務当局の御答弁でけっこうですが、いままで建設省調査をなさっておられるのでありますが、どういうふうな調査をいままでにしたのか、その経過をお尋ね申し上げたいのであります。
  107. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 本州−四国連絡架橋の調査につきましては、昭和三十四年度から始めております。本年度、昭和三十八年度までに総額で五億四千百万の調査費をかけております。やっております内容は、一応調査のルートとして考えました五本のルートにつきまして、経済調査、地質調査、基礎工法調査、測量、設計、海洋気象あるいは試験調査、こういった面にわたってやっております。三十八年度からは、それらの調査のうち、調査の方針を若干変えまして、神戸市に本州四国連絡架橋調査事務所を新設いたしまして、これが現地調査を担当するようになっております。そこに調査事務所を置きまして、明石の架橋の橋梁調査といたしまして、基礎地盤のボーリングあるいは耐風、耐震等に対する試験調査、こういったものに重点を置きまして調査を進めております。  以上のとおりであります。
  108. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 いま五本のルートとおっしゃったのですが、いままで調査が完了しておるのは五本のルートのうちどこどこか。完了はしておらぬと思うけれども、手をつけていらっしゃるのは五本のルートの中のどことどこか。それをお知らせいただきたい。
  109. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 五本のルートと申しますのは、一番目は神戸−鳴門地区、二番目は宇野−高松地区、三番目は日比−高松地区、四番目は児島−坂出地区、五番目は尾道−今治地区であります。調査はいずれも完了いたしておりません。特に一番初めの神戸−鳴門地区以外は、これは一般的な風速とかそういう基礎調査だけに限られております。
  110. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そうしますと、建設省関係では、明石−神戸−徳島ですか、それの調査が主としていままで行なわれておる、あとは風速調査だけが終わったと言われるのですが、あとの四つのルートは、全部手をつけていらっしゃるのですか。全然手をつけていらっしゃらぬルートもあるのですか。その点はどうなんですか。
  111. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申しましたように、神戸−明石−鳴門地区を重点的に調査いたしております。しかし、この調査の中には、長大橋梁としての基礎的な調査、すなわち風の影響あるいは地震の影響、こういったものがかなりの部分を占めておりますから、これらの基礎的な調査は、各地区ともいずれも長大橋梁が必要と思いますので、共通する問題であろうと思っております。したがいまして、神戸−明石−鳴門地区に重点を置いておりますが、内容的には、他の地区にも共通する調査を行なっておると言ってよろしいかと思います。
  112. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 私が尋ねておるのとちょっと意味が違うように思うのです。私が聞いておるのは、いままで建設省が、五本のルートの調査を、一部分にせよどのくらいにせよ、手をつけた場所と手をつけない場所があるかどうか。もし全然手をつけておらない——いまあなたのおっしゃるのは、今後当然それは明石−鳴門ルートと同じような調査をやらなければならぬだろうという、将来のことを聞いておるのじゃないのでありまして、いままでに手をつけておるのはどこどこか、全然手を触れておらぬのはどこのルートか、ということをお尋ねしておるのであります。
  113. 河野一郎

    河野国務大臣 お答え申し上げておる点がよく御理解いただけぬと思うのでありますが、この本州−四国の間にかけます橋梁は、いずれも長大橋です。わが国としては初めての長い橋でございます。したがって、こういう長い栃に共通しておる耐震、風圧というようなものを調査しておりますから、これらはいずれもすべての橋に共通した調査をしておる、こう申し上げたわけでございます。
  114. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 その点はわかりました。  そうしますと、大臣にひとつお尋ねしたいのですが、大臣は、一昨年でありましたか、日本の将来の産業開発の拠点は瀬戸内海時代——私たちも非常にこれは感心したのであります。いわゆる石油にせよ、鉄鋼にせよ、八万トン、十万トンあるいは十三万トンというような大型船舶と切っても切れない関係がある。そういうような関連から言いまして、大体下が砂地であるところの、どろのあんまりない瀬戸内海、こういうものにおそらく大臣は目をつけられたのだろうと思うのでありますが、この点はさすがに偉大なる政治家だな——これはおじょうずでも何でもございません。ほんとうにそういう印象を持ちました。そこで、最近では、大臣は、いまはもう本土−四国を結ぶ橋をかけるとかかけぬとかいう段階じゃなくて、いっその橋ができ上がるかという時期の段階に来ている、非常に積極的な、意欲的な御発言だと私は思うのであります。そういたしますると、いま五本のルートがある。このルートの調査というものをいまやっておる段階でありますが、大臣のお考えとすると、おおよその目安でけっこうですが、昭和何年ごろまでには調査を完了したいというようなお考えが、私は当然あると思うのでありますが、その点をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  115. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のとおり、わが国といたしましてはもちろんのこと、世界的にも珍しい大きな橋でございます。したがって、これが調査には万全を期さなければなりませんので、慎重に調査はいたしておりますが、さればといって、調査に日を置くわけにまいりません。したがって、今年度も、十億の調査費というものは、調査費としては、これまでにも、少ないだろうと思う。さらに明年度の予算をもって調査は完了する。調査ということは、この調査が予定どおりいきますれば、基礎的なものは済むくらいにしたいと思う。あとは、そこまでまいりましたときに、一体どのくらい金がかかって、何年計画でできるかということがきまってくる、こういうものだろうと思います。したがって、いまここで金の点も、千五百億かかるのか、二千億かかるのか、それとも千二、三百億で済むのかも、いまだ未知数でございます。したがって、明年度の調査が一応目鼻がつきましたところで、これについて、どういう形式でこの橋をつくるか、どのくらいの金をかけるかということをしていかなければなるまい、こう思って、調査にいたしましても、明年度中に一応の基礎調査を終わる、こういうつもりでございます。
  116. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そうすると、昭和三十九年度中に一応の基礎調査が終わる……。
  117. 河野一郎

    河野国務大臣 四十年度でございます。
  118. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そこで、これは、大臣お尋ねするのは多少方向が違うかもしれませんが、建設大臣として私お尋ねするのでなくて、政治家でいられる河野大臣としてお尋ねするのでありますが、建設省所管だとすると、要するに、当然、この橋は道路だけを中心にしてお考えになっていらっしゃるだろうと思うのであります。運輸省は運輸省で過去数年間調査研究をなさっておられます。これは鉄道は鉄道としての調査だと思うのでありますが、一政治家としての大臣の御見解は、道路だけでこの橋をかけるのが日本の将来のためなのか、あるいは鉄道と併用橋でかけるほうが日本の将来のためなのか、この点に対するお気持ちをちょっとお聞かせ願いたいと思う。
  119. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、橋の場合には、併用橋でないほうがよろしい。これほど大きなものを鉄道と併用していくということは、非常に困難が増すばかりで、ますます実現が困難になっていく。ただし隧道の場合には、なかなか自動車を通すということは無理でございますから、これは鉄道でおやりになることであります。しかしいずれにしても、欧米各国の事情を見ましても、こういったところは、もう汽車の時代ではないので、自動車の時代である、こういうふうに考えます。それがトンネルの場合には、自動車は不向きでございますから、やむを得ず電気機関車でやりますけれども、そうでない場合には、私は、併用橋というようなことを考えないで、鉄道には鉄道の使命がございますから、そういうことでなしに、自動車道だけで単独でどんどん進むがよろしい、こういうふうに考えます。
  120. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 土木学会でありましたか、どこかへ、併用橋の場合の調査を、建設省と運輸省とで、両方が委託調査というような形で、調査をさしておられるとかおられぬとかいうことを聞くのでありますが、その点はいかがでございますか。
  121. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 事実でございます。これは日本国有鉄道でも、橋梁の調査費をかけて、道路よりも若干先んじてやっております。建設省でも、先ほど言いましたように、この調査を始めたわけでございます。技術的に見ますと非常に重複する面が出ております。したがいまして、そういうことでむだがないようにお互いに協力しよう、純技術的な意味におきまして、土木学会にそういう点の技術的な指導を仰ぐという形をとっております。
  122. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 大臣お尋ねいたしたいのでありますが、私は本土−四国の橋の問題は、いわゆる九州と本土との連絡、あるいは北海道と本土との連絡も本年度は調査費がついた。非常にけっこうなことだと思うのであります。いわば四国と本州を結ぶ橋も、他の場所の連絡と同じように、これは大きな観点から考えまして、日本列島の再開発とでもいうべき——どこに橋がかかるにせよ、どうしてもやらなきゃならない問題だと思うのでありますが、そういう大きな観点から見た場合に、私は現在の本土、四国を結ぶ橋の五つのルートの中で、どうも大臣のいままでの御答弁は、あまりに東に片寄り過ぎているという気がするのであります。こんなことを言いますと、各同僚の議員の利害関係もあるのでありますが、私はそういう立場から言うておるのではございませんで、大臣の御説のごとく、瀬戸内海は将来の日本産業発展の一大拠点だと言われたことばと、そして日本列島の再開発という立場から考えた場合に、私は橋の位置というものは、やはりそういう大きな観点から選ばなければいけないだろうと思う。いずれにしましても、技術的な調査、科学的な調査を待たなければ、それはわかりません。わかりませんが、大局的に考えた場合に、やはり地域格差の是正をやる、あるいは人口の集中過度を排除するという立場からいいますと、いままで大臣のお考え方はあまりにも東へ片寄り過ぎている。これでは阪神の今日の過大都市がますます過大化することに役立つだけであって、地域格差の解消にも決してならない、あるいは人口の集中排除にも役立たないと私は思う。しかも瀬戸内海の時代なんだと言われるならば、私はそういう立場からいうて、いささかどうも東へ片寄り過ぎているような印象を受けるのであります。結果において技術的な調査を待たなければ何とも言えませんが、かからぬところへかけるわけにはいかぬのでありますから、しかし大きな政治家という立場から見た場合に、いささか東へ片寄り過ぎておるようなうりみを私は持つのでありますが、その点に対してどういう考え方でしょうか。
  123. 河野一郎

    河野国務大臣 橋を一本でやめるのならば、東へ片寄り過ぎているかもしれませんが、私は将来の日本の立場かりいたしまして、瀬戸内海に一つの橋架で済むとは考えておりません。当然さしあたり三本ぐらいの橋はかけなさやならぬ、こう考えております。そりいたしますと、まず、いま政府といたしまして公共投資を非常にたくさんいたしておりまする阪神、しかも公開給済の拠点になりまする神戸というものを四国と結ぶ場合には、なるべく東のほうに結んだほうが四国の開発になるだろう。同時に、御承知のように、神戸は非常に地域が狭うございます。古野川流域、淡路島等を有効に神戸に結びつけて、神戸の港の設備をこれに求めてやることが適切ではないかといりような意味合いからして、もしできるならばまず東の端にかけて、四国全体を本土に結ぶようにする。そしていまだんだん私申しました瀬戸内両側の開発という話は、これとは全然別個に、付来公共投資も相当に進み、ここに新産都市の計画もなりまして、この方面が重工業地帯になりました際には、これはおのずから話は別で、いま申しますように、四国の開発というよりも、瀬戸内循環道路という意味において、ここに橋がかけられて、そしてこれが——私は夢のようなことを申すのでございますけれども、欧州におけるラインの流域のような意味合いにおいて、瀬戸内海が重工業地帯として開発されるということが、あるべき姿として望ましいのではないかというふうに考えて、いまそんなことを考えながら計画を進めておるわけでございます。
  124. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 大臣が三時半からお出かけのようでございますので、まだあとに質問者が残っておりますから、私これでやめますが、いま大臣は三本ぐらいと言われました。さすがに大臣だ。せめて二本と言われるかなと思ったら、三本と言われた。これがもしほかの大臣だったら、ほらを吹いておるという印象を受けるのでありますが、河野さんであるだけに、私は非常にこれは期待をするのであります。どうぞこの橋が三本できるまで、あなた建設大臣としてやってもらいたい。(笑声、拍手)その点を申し上げて、私の質問を終わります。非常な期待をいたしておりますから、どうぞ……。
  125. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 吉田賢一君。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は大臣に少しく伺ってみたいのでありますが、建設行政全体といたしまして、また特にいま非常に力点を置いておられる道路整備の事業につきましては、この広壮な御計画は非常に頼もしいことなんでありますが、同時に、やはりこの問題はきめのこまかい施策が裏づけとなっていきませんと、幾多の弊害をかもすのではないか、こう思うのであります。そういう観点からいたしまして、山崎君の当初の質疑にやや類似するのでありますけれども、若干角度を変えまして伺ってみたいのであります。  一つは、最近の地方財政の実情でございます。地方財政かなり悪化しておるのじゃないかというデータもないではございませんが、そういうようなときに、新五カ年計画のうち地方の単独事業が、当初の政府の策定からいたしますと、当初はまず第一に、現行のものは地方単独事業が三千五百億円となり、それから要求いたしておりました見積もりは六千六百億円になっております。さらにこれが八千億円と修正されて、総計五兆円の要求が全体として四兆一千億円に圧縮されたわけです。この地方単独事業がこぶのように非常に大きくなっているのでありますけれども、これはどういういきさつからこういうふうになったのでしょうか。簡単でよろしゅうございますから、御説明願いたい。
  127. 河野一郎

    河野国務大臣 実は、各府県におかれまして、道路について非常に熱心な知事さんもあり、あまり熱心でない知事さんもあり、それが今日地方の道路が全国ばらばらになっておる一つの理由である。これを私非常に遺憾に思いまして、道路について抜本的に何か考えなければいかぬのじゃなかろうかということを考えたのでございます。いま、地方の単独でやりますものが五カ年に八千億は少し多過ぎやせぬか、それだけの負担能力、施行能力が一体地方の財政にあるだろうか、こういうお話でございますが、これにつきましては自治省との間に十分な打ち合わせをいたしまして、自治省のほうから、それだけの能力も十分あり、それだけの事業をやる意欲があるということで、私のほうはこの八千億を期待いたしておるのでございまして、決して私のほうは無理に押しつけてこれをやっておるのじゃございません。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 建設省といたしましては、各地方団体の財政の実情につきましても事前に十分に掌握をせられて、そしてまた希望もあり計画もあることを参考にして策定していかれるのであろう、こう思うのであります。私が申し上げたいことは、この数字が大きくなるということは、一応はみな歓迎するところでございますけれども、やはり同じような事業を実現するならば、財政の実態に即応するようにできるだけ配慮すべきでないかというのが、私の問題にしたい点なんであります。  ここで、自治省の昭和三十七年度の地方財政の説明という文書が本年一月に発行せられましたが、これによりますと、地方の町村におきまして赤字市町村が団体数にして四百四ございます。赤字の累計が百五十億円にのぼっております。こういうのを思いますと、地方の実態というものが財政的には一つの危険信号があるのではないかとさえ観察することが親心でないか、こう思うのであります。非常におもしろい統計が一つございますが、これは、日本赤十字社におきまして、総理府はじめ政府の出した各データなどをあらゆる角度から検討いたしまして、人口、面積、産業、文化、経済あるいは運輸、通信など、いろいろな部門から地方地方の民力の測定をやったものがございます。こういうようなものによりましても、地方のいわゆる後進地域なる方面は、四国にしても九州にしても北陸あるいは東北等にいたしましても、この地方の民力度というものがかなり低いということも考えられます。この点は東京との比較において一そうおもしろいことになるのであります。  そこで、このように数字が証明いたしております地方の財政の情勢から判断いたしました際に、同じ道路の事業をすることが望ましいにいたしましても、できるだけ負担を軽くするという手はないか、こういう配慮が必要でなかったかと思うのであります。自治省との御相談の上で、負担能力あり、事業実施の能力ありというような了解点に達したということ、これは一面まことにけっこうなことのようでありますけれども、しかし、そこは政治ですから、全体といたしましてできるだけ均勢がとれて、地域格差が累積していくことのないような配慮こそ、私はきめのこまかい道路政策の最高の態度でなければならぬ、こういうふうに思うのであります。そこで、これを現行の五カ年計画と比較いたしてみますると、一般の道路事業におきましては一・六九倍ということになっております。この地方単独事業は三千五百億円が八千億円になりますと、約二倍半ということになります。そこで一般道路事業のほうに相当地方の仕事を割り込ますという手はなかったものであろうか、そういたしますと、それらの方面から相当地方負担が軽減される面が出てくるのではないか、こういうふうにも考えるのですが、そういう点につきましての配慮はいかがなものでありましょうか。
  129. 河野一郎

    河野国務大臣 実はそういう点も十分配意いたしまして、たとえて申し上げますと、まあこれは必ずしもそのものずばりの例にはなりませんが、御承知の名古屋−大阪間の道路をいま始めております。これは実は有料道路にするか公共道路にするかという問題で、だいぶん三重県、奈良県で問題があったことを御承知の方もおありだろうと思います。私も、もし地元においてこういう道路負担が県の財政を非常に圧迫するということであるならば、これを有料道路で道路公団にこの仕事をやらせようということを実は配意いたしました。ところが、両県知事並びに地元の有力な方々がみなお出かけになりまして、ぜひ公共事業でやってくれ、地元の負担は自治省のほうで別途特別起債によって負担することにするから、有料道路でなしにやってくれという御要望がございまして、なかなか道路については相当財政的に県民としてもふんばるからひとつやってくれというような声もあるくらいで、そういうことまで言ったら言い過ぎになるかもしれませんが、これまで各県の県財政を見ますると、県財政の比率において道路予算をたくさん使っておる県もおありになれば、県によって道路予算の比率が非常に少ないところもあります。したがって、ただ単に県の財政のよしあしだけで道路予算が圧迫される、されないということにはならないのではなかろうかと、実は私は配意いたします。私は、少なくともいまの政治において、公共投資において道路はすべてに先行してこれをやることが一番必要であるという意味合いから、決して御無理なお願いはいたしませんけれども、意欲のあるところには十分にそういうふうなことを配意してやることがいいのじゃないかという意味合いにおいて、私はこの八千億というものをきめました。しかも一応自治大臣もだいじょうぶでございますとおっしゃいましたので、この数字を確定いたしたのであります。これが消化ができないとか、これで非常に圧迫されるとかいうようなことは、その圧迫は耐え得る圧迫であるというふうに考えております。
  130. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 吉田君に申し上げます。建設大臣が三時半に御用があるそうですから、そのおつもりでひとつ御質問願います。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 実は私の質疑は、地方の誤解があってはいけませんのですが、地方の道路事業にそんなに力を入れなくてもいいという意味じゃないのです。私は、やはりきめこまかい施策をして、地方の切実な要望に応じるという意味において考えるべき方法が幾多あるのではないか、こういうふうに申し上げるのがその趣旨なのであります。  そこで、目を転じまして、東京都と一般の他の地方との比較をいたしまして——さきに大臣も最近の新しい配分の基準等について簡単にお述べになっておりましたが、この点はしごくもっともだと実は思うのであります。しかし、これとても単にお題目だけで解決できる問題でないほどに深刻な要素があるのじゃないかと私は思うのであります。一例をあげてみますると、特に市町村におきまして舗装のない道路というものは、ばく大な量に上っております。主要な国道などにおいては、五割くらいが舗装されておるかと思いますけれども、そのようなことを思いますと、地方の、特に経済力の低い後進地域におきまして舗装などに力を入れるということは、特に必要ではないかと思うのであります。そこで、それならどうすればいいかということについて、問題を提起してお尋ねするのでありますけれども、首都中心の道路整備というものにつきまして、さらに、一考を要する余地があるのではないかという点なんであります。首都とその他の全国の道府県全体を比較すると、一般道路、街路、単独事業、有料道路を含めて事業経費の総計は、三十五年度は、東京都が二五としますと、全国が二〇五、その割合になりますから、一割余です。三十八年が、東京が一〇三と、いたしますと、全国が五〇一、したがってこれは二割になります。そういうような比率になりますので、東京の占める道路事業費の財政需要というものはばく大なものになります。これらの点につきまして、地方への財政の再配分につき、きめこまかい対策が特に必要ではないかと思うのでございますが、具体的に何か伺うことができませんでしょうか。
  132. 河野一郎

    河野国務大臣 かねて申し上げましたとおり、吉田さん御欠席であったかもしれませんが、道路五カ年計画を樹立いたします際に、実は昭和四十五年までの分を一応想定してやっております。この四十五年までの想定におきまして、従来と根本的に方針を変えましたことは、全国主要道路はなるべく舗装する。これを全部従来のように拡幅するとかもしくはカーブを直すとかということにいたしますと、金がかかってなかなか全部参りません。でございますから、その方針を変えまして、なるべく現状のままにおきまして二級国道もしくは主要県道というものの舗装を優先するということにいたしました。年次割りで申しますと、昭和四十五年までには主要県道は全部舗装を完了する。四十四年までにいま言われる二級国道は全部これを終わる。四十三年、これはもっと早くいきますけれども、いまの一級国道は、その前に、四十二年くらいには大体終わるということで、少なくとも四十五年までには全国の道路を一応舗装を完了するということの計画を立てて、これは実現させるというつもりでございますから、いまお話しのように、いなかの道路の舗装がない、東京があるというようなことは、四十五年になれば、一応いま申しましたように主要県道までは舗装を完了するということにするつもりでございますから、御了承いただきたいと思います。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なおそれに関連しましてこまかい点がありますが、これは後日に譲ることにいたします。  次に、事務当局から、中国縦貫自動車道の調査状況について、一応御報告を願いたいと思うのです。
  134. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 中国縦貫自動車道につきましては、三十六年度から調査を進めておりまして、三十六年度二百五十万円、三十七年度二千万円、三十八年度三千万円、合計いたしまして、本年までに五千二百五十万円の調査をいたしております。内容は、写真測量、計画線調査、地質調査、経済調査等でございまして、来年も引き続き今年程度調査をいたしまして、それによっておおむね一次調査を終わりたいと思います。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最近の実情はそれだけでございますか。まだ御報告いただけますか。
  136. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 三十八年度の三千万円の調査を実はただいま実施中でございまして、これによってやっておりますのは、まだ残っておりました写真測量の図面をつくること、あるいはそれにできましたものから計画線を入れていく。その他経済調査でございまして、現在なお実施中でございます。まだ一次調査が完了いたしませんが、来年度はこれを完了させたいということを申し上げたわけであります。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは審査会などにおきまして相当厳密に審査をしながら進めていく、こういうことになるのでございますか。
  138. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 特にこのために審査会というものは持っておりません。これは地方建設局が国の直轄調査として実施いたしておるものでございます。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の質問はこれで終わります。
  140. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 兒玉末男君。
  141. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は主として住宅公団に関連する全般的な問題について質問したいと存じますが、先ほど大臣が退席されましたので、大臣に関する分については次の機会まで質問を保留いたします。  まず挾間総裁にお伺いしたいのは、現在国の基本施策として、建設行政の中で特に住宅行政というのはかなり力を入れて、相当の地域に団地ができております。地方公営住宅等の団地を含めると、大体八十万戸という非常に多くの団地があるわけですが、これに対して、家をつくりさえすればいいのだということで、人が住むわけですから、当然これに関連する多くの問題を今日提起されております。この点について、私は本日は大体四時ごろまでという時間の制約がございますので、重要な点については次の機会に譲りますが、一括してまず団地における諸問題について御答弁を要求します。  その第一は、今日たとえば高根台等の場合は四千世帯というばく大な人たちが住んでいるわけです。この地域において団地全体から相当要望が出ているわけですが、その一つは、保育所施設がないということ、第二は、最近都内における駐車規制が非常にきびしいために、つとめの人がみんな車を自分の団地に持って帰るために、団地内において相当混雑が起きているが、これに対する駐車場の設備を積極的に考えるべきではないか。  第三については、特にこれは人権に関する重要な問題として医療機関というものがない。既存の医者がおるけれども、距離的な問題、その他いろいろな相互不可侵というようなことで、積極的にお医者さんが行こうとしない。こういう人命に関する重要な医療施設。  それから第四については、夜間等急患が出た場合に救急車の設備がない。これはもちろん団地が急にできたために、その地方自体における負担等の問題もあって、なかなかそれはできないと思うのですが、こういう救急車の問題。  これは五番ですが、電信電話公社のほうにお聞きしたいのでございますけれども、私の聞くところによりますと、集団電話というのですか、これは専門的な用語でありますが、これはつくらないということで、非常に団地に住んでいる人たちが困っているが、これはどういうふうな根拠に基づくものか。当然団地ができれば通信電話というものは不可欠な条件になるわけですが、これに対する電信電話当局の説明を要求します。  次に私は、前の総裁にも質問したのでありますけれども、団地ができるけれども、肝心のその人を運ぶ足の対策、交通政策というものがおくれている。この点から公団としてはどういうふうな働きかけなり、あるいは団地造成にあたっての事前調査等を行なっているのか。  第七点といたしましては、勤務場所が相当異動のために変わる。たとえば高根台なり、いろいろな団地の人たちが、一たん入ってしまうと、相互間の住宅の交流ができないために非常に交通の混雑を来たしておるが、当然入居の資格なり、入居がきまった場合は、相互間の住居の入れかえを認めてもいいのではないか。あまりにも画一的ではないか。この点についての、いわゆる相互の住宅の交換ということについてどういうふうな見解をお持ちであるか。  次に、これもきわめて重要な問題でございますけれども、たとえば教育関係の設備なり、あるいは生活に結びつく水道施設等が非常におくれておるということを聞いています。このことは、特にこのような施設が、一応公団が立てかえをするけれども、地方自治体が大体三年くらいで返済をしなければいけない。そのために千葉県のああいう団地の地区においては、自治体が相当赤字をかかえて苦労しておると聞いておるが、もう少し公団の立てかえ払いに対する償還の期限というものを延ばすべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、自治省との折衝はどういうふうな努力をなされているか。  九番目に、総合計画でございますけれども、少なくとも、先ほど触れましたように全国で八十万戸、もちろんこれは東京都を中心に集中いたしておりますが、八十万戸の住宅街といいますと、大体岐阜県に匹敵するくらい大きな世帯になるわけであります。もう少し公団としてはこのような総合計画というものを考えていくべきではないか。  以上、大体公団関係八点、電電公社関係一点について、まとめて答弁を要求します。
  142. 挾間茂

    挾間参考人 ただいま兒玉委員からの御質問に対して、順次お答え申し上げたいと存じます。  団地を経営管理してまいります場合に、保育所の施設ということは、これは家族構成の上からいって非常に大事なことと存じております。一昨年国会の御決定を得ましたので、株式会社団地サービスに公団より出資し、また融資いたしまして、それによって保育所を逐次建設をして経営いたさせております。また地方公共団体につきましても、いろいろ折衝をいたしまして、つくっていただけるところにはつくっていただくようにいたしております。現在団地サービスにおいて経営しております保育所が五カ所ございます。さらに二カ所つくる、逐次これを拡充していく計画であります。  第二に、駐車場の問題につきましては、これはやはり団地サービスにおいて経営することが政令で定められております。団地内に余裕があるところにつきましては、駐車場の経営を団地サービス等においていたしますし、また余裕の土地のないところでは、その近場に駐車場に必要な土地を借り入れをして、団地サービス等において経営するように逐次これを進めてまいりたいと考えております。  第三の医療施設の問題につきましては、二通りの考え方があるのであります。一つは、団地の近所に相当の医療機関がございますところは、まずそれを使って差しつかえないところはそれでいきますが、現在団地内に診療所を建設いたしておりますものが二十八カ所ございます。東京支所管内において七つ、関東支所において十一、大阪支所において八、名古屋支所に二つ、こういう状況になっております。  なお、救急車の問題につきましても、これは消防庁の問題でございますので、その方面にいま折衝をいたしております。  集団電話の問題につきましては、現在大体大きい団地が十万戸でございます。その中に集団電話の施設を設けておりますのが四十五ございます。団地サービスで経営しておりますのが二つ、それから別の組合をつくりまして、その組合で経営しておるものがございます。交換所も公団が建設いたしまして貸し付けておるものが二十四、公団近接所に入居者が管理組合をつくって経営しておるものが二十一ございます。これは電電公社のほうで無人電話交換機が近くできることになっておりますので、それによって運営するということになると考えております。  第五の交通対策の問題でございますが、これは私ども団地を選定いたす場合に、でき得る限り交通の便利なところを選ぶという方針で進んでおります。いろいろ大都市近郊におきましては、地価の暴騰等におきまして思うようにならないむずかしいところもございますが、でき得る限り交通の至便なところを選択いたしまして、さらに私鉄等につきましても、できる限り便利な、単線であるものは複線にしてもらうというようなことを折衝をいたして実現を期しております。  次の勤務地とそれから入居しておる場所とが非常に離れておるというような場合には、住宅の相互変更ということを認めまして、その方法を講じております。ただ、二十三区内におきましては、なかなか話がつきにくい点もございますが、その他の個所につきましては相互変更ということを実行いたしておるのであります。  次に、教育あるいは水道等の問題につきまして、御存じのとおり学校の建設は、千戸に一小学校、また上水道も布設いたしますが、これは結局その自治体の負担となりますので、この点につきましては、地方財政の問題を考慮いたしますと、あるいは起債の場合にはその据え置き期間を長くするとか、または償還期限を延長するとかというような方法がとれないものであろうかということを、自治省とたびたび話し合いをいたしておりますので、これが実現の方向にできるだけ進めてまいりたいというふうに考えております。  最後の総合計画の問題でございますが、これは公団が国の住宅政策の一環をにないまして、同時にそれによって国民の生活の安定を期するというためには、長期計画を立てて、そして総合的に考えて進むということがぜひ必要であるというので、これは鋭意その点に留意しつつ計画を進めておるのでございます。
  143. 千代健

    ○千代説明員 電電公社の営業局長の千代でございます。団地の電話対策についてお答え申し上げます。  昭和三十年ぐらいから急に団地の電話の需要というものが増してまいりました。それに対する対応策としてどうやっていこうかということを考えまして、私どものほうでは、試験的に三十四年の十二月から現在、先ほど御答弁の中にもあったように、内部の交換手のついたいわゆる手動方式というものでこれに対処してまいったわけでございます。それから約四年ばかりでございますが、いろいろと研究してまいりますと、非常に不便な点が多いわけで、この点では昨年の三月、当委員会に私どもまいりまして、私どものほうの総裁からいろいろお答え申し上げたとおりでございます。その際、岡本先生からも非常に参考になる御意見を拝聴しまして、自来一年間、約十カ所でテストいたしました結果、自動式でこれを供給していく、こういうぐあいにきめたわけでございます。従来の手動方式でございますと、いま全国的にダイヤル化していこうというときに、そこだけが取り残されるというようになってまいります。一般の農村の集落等でございますと、その内部の連絡というものが相当ございますので、便利な点も手動方式にありますけれども、現在の団地は、お住みになっている方は、職業もいろんな方がおられる。実際調べてみますと、団地内で発着している通話というものが非常に少のうございまして、団地から外へ出ておるというのが多いわけでございます。全般的には通話の量は非常に低いわけでございますけれども、中でも団地内相互間でやられておるのは、一日に一電話当たり〇・三度というくらい低いものでございます。したがって、これは内部だけのものを解決するよりも、外部とつながるもので早くつながるというものにしなければいけないというので、従来やっておりますのをやめまして、自動方式へ——現在の加入電話と変わらないようなものを、それを非常に経済的にやっていきませんと、通話度数が少ないものですから、経営上の問題も出ますので、いろいろ研究いたしまして、約十カ所でテストを今日までやってまいりました。したがって、そういう点ではある程度自信は得まして、先般予算委員会でも、私どものほうの大橋総裁から今春からやるということを言っております。一体いつからやるんだというような質問が出ることを予期いたしまして、実は何月何日からやりますということは、先ほどまで会議をやっておったわけですが、まだ結論を得ておりません。  それから従来の手動方式が非常に不便でございますのは、オペレーターの方がかぜの流行等のために一人休まれた場合には、その中の能率が非常に下がるということでございます。この点も悪い点でございます。  それから従来六十九組合でやっておられまして、その中でたしか四十五組合が住宅公団のほうでおやりになっておると思いますが、六十九組合のテストの結果は、あるいは調査の結果は、減価償却とかあるいは保守とかいうものが非常に不十分でございまして、これは一応故障の原因にもなってくるというようなことになっております。私どもが直接することができますならば、一たんつくりますれば、あとあとはずっとこちらだけでかえていくものでございまして、永久に設備的な支出の必要はないというところに、利用される団地にお住まいの方にもこのほうが便利であろう、こういう結論から自動式の方法でやるようにきめてまいったわけでございます。  なお、今年幾らそれができるかという問題は、いましばらく時間をちょうだいしてその戸数をきめようと考えております。大体東京、大阪、名古屋等周辺のところには比較的潤沢に供給できる見通しでございますが、具体的な数字はまだ最終的に決定をしておりません。  なお、そのときの負担の問題でございますが、中にお住まいになる方のこれに伴う負担という問題は、現在行なわれております手動方式による負担と実質上異ならないような、同程度負担までには下げたいというので、この一年間苦労してまいったわけでございますが、ほぼその点までいける見通しがつきましたので、近くこれを公団のほうとも御相談申し上げてやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  144. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいまの答弁では私納得できないわけです。というのは、電話はもうけるためにあるんじゃなくて、今日文化の進展に伴って、私どもの日常生活に欠くことのできないのが電話だと思います。この点については、もちろん電電公社も独算制、いわゆる公社としての立場から採算を度外視して運営はできないでしょうけれども、この点については、公団のいわゆる計画立案の担当である計画部長も出席のようでございますが、大体団地ができてから相当の年月を経ているわけですが、いままでそれぞれ団地の自治会等から、公団当局に対しましても、総合的な計画の面について相当強い要求がなされてきたと思うが、これに対する配慮が足らない。特に電話等のごときは、いま営業局長が言った点から考えましても、もう少し公団当局が団地の設定にあたって、そういうふうな医療施設の問題等についても、先ほど総裁答弁では厚生省等に対する積極的な働きかけがない。しかも当然これは家をつくると同時に、そういう付帯する設備は、公団のほうで当初立案計画をして、これを実施に移すべきだと思うのですが、この点に対する総裁並びに計画部長の立案者としての立場からひとつ御答弁を願いたい。
  145. 挾間茂

    挾間参考人 でき得る限りの努力をいたして入居者の利便をはかることに努力いたしております。  電話につきましては、三十八年度で申し込みが、全体で十三団地ございます。電電公社ともよく相談の上、でき得る限りすみやかに進めていきたいと存じます。  その他の問題につきましても誠意をもってできるだけの努力を尽くして、入居者の生活の利便を重視するような方向に進めてまいりたいと思います。
  146. 島守一

    ○島参考人 ただいま総裁から答弁のありましたとおりでございますが、われわれとしましては、今後できるだけそういった設備の予算を獲得いたすということに努力いたしまして、できるだけ入居者の利便をはかりたいと考えております。
  147. 千代健

    ○千代説明員 ただいまの御趣旨、私どもも別にこれによってもうけようとする意図はございません。せっかく努力をして、公団のほうともさらに密接に連絡をとりながらやっていきたい、かように考えております。
  148. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま計画部長から、予算等の関係も考慮しながら十分意見を聞くということを言われたが、政務次官、ひとつ予算の面について格段の配慮をしてもらいたい。どうですか。
  149. 鴨田宗一

    ○鴨田政府委員 よく配慮いたしたいと思います。
  150. 兒玉末男

    ○兒玉委員 本日は時間の関係もありますが、あと重要な問題については、若干の分を除いて次に繰り越しますけれども、特にこの団地の買収、団地の指定、こういうことについて、私は相当問題が起きておるように思います。第一は、世田谷の船橋地区にある団地指定地がまだ全部の買収ができないで、おそらく私の調べたところでは、ここ足かけ三年ぐらい、一部の指定地を購入したまま、それが全然進行しておらない。これは貴重な国民の税金でありますから、三年間も買った団地が何ら整地もされておらないということは、きわめてゆるがせにできない問題だと思うのです。大体、公団当局は、このような団地の買収なり、あるいはそういう条件、こういうことについてはどのような手続なり、どういうふうな計画を持って団地の買収にあたっているのか、この基本的な点についてひとつ御答弁をお願いいたしたい。
  151. 挾間茂

    挾間説明員 団地の買収につきましては、首都圏関係においては首都圏整備計画等とマッチし、また、一般につきましても、都市計画の関係と互いに連絡をしつつ団地の選定をいたしておるのでございます。  ただいま御指摘になりました千歳船橋の土地の問題でございますが、これは当初、私どものほうで二万八千五百坪余りを購入いたしたわけでございます。これは元来、その地元の諸君が区画整理方式によって造成をしようという計画でございましたが、公団といたしましてそのうち二万八千坪を購入いたしたわけでございます。ところが、この区画整理につきましては、東京都の都市計画のマスター・プランの作成の関係がございますので、東京都からの要請がございまして、この区画整理の区域を拡大する——当初十万坪でございましたのを二十八万坪余りにするということに変更いたしましたので、その折衝等で地元において非常に時間を要したということが一つでございます。  いま一つの問題は、東京都の道路計画でございます。環状八号線その他の計画が確定をいたしませんので、そのために区画整理の組合の設立の申請ができない状態にございまして、これが近く決定することが、たぶんこの五、六月にできる予定でございます。九月にはこの組合が設立をいたしまして進める、こういう外部的な原因がございまして、この土地の区画整理がおくれたという事情がございます。近くこの組合が設立され、公団はその現場として入って全体の区画整理を行なう、こういうことになっております。
  152. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの説明で、大体大筋としてはわかりますけれども、結局未買収地区というのが、虫が食ったように点々としてあるために、全体の整地ができない、こういうふうに聞いておるわけです。しかも相当ばく大な国家投資をやって、一部が残っておるために団地としての整地ができない。でありますから、公団としては、将来ここに団地をつくるのであれば、当然未買収地区に対する積極的な働きをやって、この国家投資がむだにならぬように早急に解決に乗り出すべきだ。もしそれが不可能とすれば、他に適当な地区を選定するほうがより積極的なやり方ではないか。このどちらを公団としては選んでいくのか、この点について御答弁願いたい。
  153. 挾間茂

    挾間説明員 未買収地と申しますか、公団で買収しようといたしました場合に、どうしても買収に応じなかった方がございまして、その坪数が約一万五千坪ぐらいになっておるかと思います。その一万五千坪について買収を希望されるやに伺っておりますが、時点修正をいたしますと、相当地価も上がっておることでございまして、既買収者と未買収の土地とのバランスの問題もございますし、またそれを等価交換をするということになりますと、公団としては買収の地積が狭くなります。同積交換をするということが相当困難でございますので、全体の区画整理方式によって近く組合ができますので、その方式で進めていくというのが現状においては一番妥当な方法ではないか、こういうふうに考えております。
  154. 兒玉末男

    ○兒玉委員 やはり団地の問題で、私の調査したところによりますと、これは先般の週刊新潮にも載っておりましたが、公団の大阪支所管内における光明池団地の件でございますけれども、これは大体総坪数三十八万坪、相当ばく大な地域を買っておるわけですが、この買収にあたって、出先機関である大阪支所においては、排水あるいは上水道その他道路整備等において適地ではないということを、公団本社からの調査依頼に対して、正式に書類を出しておると聞いておるが、出先の支所がそういうふうな不適地だといっておるものを、私の調査によりますと、大体三年くらい前坪千円程度しかしなかったものが、四千百円でこれが買収されておる。その過程において、監査書等がその内容で不適当な個所が削除されておるというきわめて重要な問題を含んでおるのが、この大阪和泉市の光明池団地の問題だというふうに判断いたしておりますが、その経過について、私はまず第一点、この団地はすでに買収が済んでおるのかどうか、その金額は幾らなのか、この点についてまず答弁を伺います。
  155. 挾間茂

    挾間説明員 大阪府におきましては団地の造成を計画いたしておりまして、すでに千里丘陵で四百万坪近い団地の造成をいたしております。その千里丘陵につきましても、公団は府からその一部分を譲渡を受けまして、目下三十八年度において建築にかかるつもりでございますが、また一面、南の方面におきましては、御承知のとおり堺、泉大津、和泉市等の海岸に大きく臨海工業地帯ができまして、その急速な発展に伴いまして、漸次背後地の住宅が必要になってくるわけであります。泉北丘陵地帯として大阪府で計画しておられますのは、約八百万坪ぐらいの大きな新住宅市街地を造成しようという計画でございます。公団といたしましては、光明池と申しますが、それの全面買収をいたしますると同時に、最近なおその一帯の地帯に国有地がございまして、信太山の防衛庁所有の土地約二十一万坪を合わせまして、目下のところ五十九万坪程度の住宅用地の造成をする考えでございます。この計画は漸次拡大せられて、大阪府の計画されております大住宅市街地の一環をなすものと考えておるのであります。買収につきましては、時点修正をいたしまして、四千百円という値段で購入したのでございますが、その実例につきましては、三十六年十二月五千円で買収したところもございますし、また三十五年一月二千円、三十六年七月六千円というようなものがございますが、これを時点修正をいたしまして、なお不動産研究所調査の結果、四千二百円という数字が出ましたので、これを彼此勘案いたしまして、近傍類地の価格等を参照して四千百円という値段で購入いたしたわけでございます。
  156. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の問題がありますので、内容についてはまだ私は相当問題を含んでおりますので、この事実があったかどうかということをあと一点だけきょうはお聞きしまして、残りは次に持ち越したいと思いまするが、そのことは昨年の六月十一日から十九日まで大阪支所の監査書が、いま買収されましたこの団地指定地は、先ほど申し上げたような道路なりあるいは排水、あるいは上水道、こういう点で適当でないという意味の指摘をしたのにもかかわらず、一年後にこれが団地指定地として買収されるようになったことは、常識的な判断として理解をしがたいと思う、こういう監査書が出ております。ところが、この監査書に対して、同じく昨年の八月二十三日、大阪支所の総務部長から本所の用地課長に対しまして、大阪支所の監査書一部削除について、一番問題になりましたこの地域が不適当だという支所からの当初の監査書に対して、なぜこれが削除されたのか——これは問題の一番中心点でありますが、この事実を公団総裁は知っているのかどうか、このに点ついてだけの答弁を私は求めて、本日はこれで私の質問を終わります。
  157. 挾間茂

    挾間参考人 監事の監査につきましては、監査報告書が出ます前に、毎週一回役員会、懇談会を開きまして、その際に監査の要点の報告を受けております。私がその報告を受けた後に監査報告書が出ました。その報告書の内容の一部が削除されたということにつきましては、私は全然関知をいたしておりません。それで、その話がございましたので、出席考査役にその旨を尋ねましたところ、不適当として決定した事実はないのであって、あるいはそういうことをだれかが話をしたかもしれないけれども、不適当と決定をしたという事実は全然ございませんからということで、その点は事実と相違しているということを監事のほうに話をして削除した、こういうふうに私は報告を受けておりますが、その報告書の削除につきましては私は全然関知していない、こういうことでございます。
  158. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これ以上きょうは質問を続けませんけれども、いまの公団の総裁答弁はでたらめだと思うのですよ。少なくとも国の貴重な税金である国家投資による土地買収にあたって、少なくとも私たちの調査した範囲においては、昨年六月十一日から十九日の間にわたるこの監査書の最も重要な部分が、なぜ削除されなければいけなかったのかという事実について、今日のこの光明池団地をあらゆる角度から調査したところ、団地としては決して適当ではないという判断がなされているわけです。もちろんこれは専門的な問題でございますので、さらに私は今後徹底した調査を通じて、この不当性なり、そういうものの客観的な情勢というものを調査して公団に質問したいと思いますが、本日はこれで私の質問を終わります。
  159. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる三月四日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、散会いたします。    午後四時十七分散会