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1964-02-19 第46回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十九日(水曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 瀬戸山三男君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 岡本 隆一君    理事 兒玉 末男君 理事 山中日露史君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       大村 武雄君    島村 一郎君       正示啓次郎君    田村  元君       根本龍太郎君    服部 安司君       堀内 一雄君    堀川 恭平君       松澤 雄藏君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       中嶋 英夫君    西宮  弘君       原   茂君    玉置 一徳君       吉田 賢一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第二部長)  真田 秀夫君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建設技官         (道路局長) 尾之内由起夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 二月十八日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として小  平忠君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小平忠辞任につき、その補欠として玉置  一徳君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員島村一郎君及び田村元辞任につき、その  補欠として渡辺栄一君及び江崎真澄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員江崎真澄辞任につき、その補欠として田  村元君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十八日  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第二二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第二二号)  首都高速道路公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二一号)  日本住宅公団法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四五号)      ————◇—————
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  昨十八日本委員会に付託になりました内閣提出道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 まず本案について提案理由説明を聴取いたします。河野建設大臣
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、現行道路整備緊急措置に基づきまして、昭和三十六年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定し、これにより道路整備事業を推進し、今日まで相当の実績をあげてまいりましたことは御承知のとおりであります。  しかしながら、最近の目ざましい経済の成長に伴いまして、道路輸送需要計画策定当時の予想をはるかに上回って著しく増大しつつあり、現行計画によりましては、とうていその需要に応ずることができないことが明らかになってまいりました。  また、現行計画策定後の新情勢、たとえば全国総合開発計画、新産業都市建設計画の樹立に即応いたしまして、産業開発のための道路整備を強力に促進することが必要となってまいったのであります。  ここにおいて、政府といたしましては、以上の情勢に対処するため、現行道路整備五カ年計画を改定拡充し、昭和三十九年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を樹立し、道路の改良と近代化を促進し、輸送隣路を打開するとともに、先行的道路投資を行ない、産業経済の基盤の強化をはかることといたしたのであります。  このような観点から、計画策定根拠法である道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案要旨を申し上げます。  改正の第一点といたしましては、ただいま申し上げましたとおり、現在実施中の道路整備五カ年計画を改定して、新たに昭和三十九年度を初年度とする新道路整備五カ年計画を策定することといたしたことであります。  第二点といたしましては、道路の改築で土地区画整理事業にかかわるものの費用につきましては、従来、土地区画整理法に定めるところにより、国がその費用の二分の一を負担しまたは補助してきたのでありますが、昭和三十九年度以降五カ年間におきましては、国がその費用の三分の二を負担しまたは補助することができる旨の特例を設けることといたしたことであります。  第三点といたしましては、道路整備計画の一環として実施しております積雪寒冷特別地域道路交通確保に関する計画につきまして、新道路整備五カ年計画計画期間調整をはかるため、昭和三十九年度以降の毎五カ年を各一期とする積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画を策定することといたしたことであります。  その他、これに関連いたしまして、関係規定整備を行なうことといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案についての質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 次に、首都高速道路公団法の一部を改正する法律案及び日本住宅公団法等の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますのでこれを許します。瀬戸山三男君。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 首都高速道路公団法の一部を改正する法律案日本住宅公団法等の一部を改正する法律案、この二法案につきまして、法制局見解をちょっと聞いておきたいと思います。といいますのは、前回委員会でも吉田委員から御質疑があったのでありますが、首都高速道路公団法の一部を改正する法律案の中の第十九条に五項を加えて、監事職責がきめられておる。なお日本住宅公団法等の一部改正において、日本住宅公団及び住宅金融公庫監事職責についても同じような改正がなされておる。この改正案趣旨は非常にわかるのでありますが、現在の関係法では、ただ「監事は、公庫業務監査する。」と簡単になっておりますが、だれが見ても、今度の改正案のようなことを書かなくても、今度の改正案に書かれておるようなことは当然なように思われます。なお現行法においても、建設大臣監督規定上から、業務等についていつでも報告を求めて監督ができるようになっておりますが、特に各公団あるいは公庫監事職責についての規定をこういうふうに改めようとすると、その趣旨について説明があったのでありますが、法制局法律家としてのこれに対する見解を聞いておきたいと思います。
  8. 真田秀夫

    真田政府委員 お答え申し上げます。公庫公団その他の、ある範囲の特殊法人につきまして、従来から各法律で若干の監督規定を設けてございまして、本件の首都高速道路公団につきましても、ただいま先生の申されましたように、現行法でも、この程度のことは当然法律ワクとしてできることだろうと私たちも思っております。ただ今回こういう立法をいたしましたのは、従来行政管理庁のほうで、公団公庫等の監察をなさいました結果、監事の職務の執行につきまして、もう少しこれを実効あらしめるような、何か法制上の手がかりをほしいというような御要望がございましたので、私どものほうでいろいろ御相談申し上げました結果、監事監査権限法制上もう少し具体的に裏打ちしたほうがよかろうというふうな結論に到達いたしまして、各公団等を通じまして、この種の、十九条五項のような規定と、それからいま一つ決算書類その他の財務諸表に監事意見書をつけるという規定と、この二つを一貫して設けようじゃないかという方針を立てまして、その趣旨で立法したわけでございます。首都高速道路公団につきましては、いま申し上げました決算書類監事意見書をつけるという規定は現在ございますので、それで、この公団につきましては、ただいま御指摘の十九条五項の規定だけ挿入したいというわけでございます。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 監事というのはこういう職責を持つのは当然であるから、現行の簡単な規定でも同様に扱えるものである、こういうような解釈であるけれども、やはり実態を見ると、これを法文上明確にしておくことが適当である、こういう御見解であります。それは日本一般民間の会社でも同じでありますが、特にこういう国家目的公団等において、必ずしも監査あるいは監事職責が全うされておらない、こういう意味で、新たにその職責を詳細に明記するという趣旨は了解できます。そこで、この前も議論があったのでありますが、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは理事長意見書を出す、あるいは理事長を通じて建設大臣意見書を出す、こういうふうにすべての公団公庫改正案が出されておる。  そこで、まず第一に聞いておきたいことは、必要があると認めるというのは、これは監事が必要があると認めるので、主観的なことになると思うのですが、むしろ必ず意見書を出すあるいは監査の結果を出すというふうにしたほうがいいのではないかということと、もう一つは、理事長に出すのは当然であります。建設大臣に出すときに理事長を通じてということは、この前も御意見があったのでありますけれども、どうも監事というものの職責上おかしいじゃないか、こういう意見があるわけであります。全く首肯すべき意見のように思われるのであります。そこでこの立案に法律的に立ち会われた法制局見解をこの際聞いておきたい。この二つの問題について聞いておきたいと思います。
  10. 真田秀夫

    真田政府委員 お答え申し上げます。  監事意見を提出するにつきまして、法律上の根拠を持ったわけでございますが、必ず提出しなければならないというふうにもちろん書くことも理論上に可能かと存じますけれども、何せこの条文が「必要があると認めるときは」というふうに書いてございまして、それは、監事監査の結果その必要があると認めるときはという条件でございますので、どうもやはり意見を提出する権限として条文を書きます関係上、提出しなければならないというふうにはなかなか書きづらいという点もございますので、それは必要があると認めるときは監事として当然お出しになるであろうということを期待いたしまして、かような条文にしたわけでございます。  それから、建設大臣意見を提出いたします場合に「理事長を通じて」といたしましたのは、やはり公団の中の機関でございまして、直接、理事長を抜きにしていきなり建設大臣というのもいかがかという趣旨もございますので、また建設大臣のほうでは特別にみずからの監督機関を持っておいででございますので、その辺の調整考えまして理事長を通じてお出し願う。理事長のほうでその意見をごらんになって、処置すべきものがあれば御処置なさるという道も残していいのじゃないかという気持で、かようなことをしたのでございます。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 人間のやることですから、そうしゃくし定木に法律でぴちっときめるということも適当じゃないと思う。そういう御見解だと思います。また、一面前回委員会議論になったのですが、理事長のところで、理事長補佐役じゃないのですから、監督というとおかしいが、国会、政府に対する会計検査院みたいな独立の機関といいますか、対等といいますか、そういう役柄に考えるべきものじゃなかろうか。したがって、理事長を通じてと、これは理事長監督下にそれを付属する機関のようなたてまえをとるということは、いわゆる監事監査という本来の性質上適当でないのじゃないか。こういう意見があるわけでございますが、その点についてどうですか。いまお話がありましたが、もう一度実際の社会の情勢といいますか、実情考えて、法律的にどういうふうに……。もう一ぺん明確にひとつお答えを願いたい。
  12. 真田秀夫

    真田政府委員 お答え申し上げます。ここで、理事長または理事長を通じて建設大臣意見を提出することができるという法文に相なっておりますけれども、この際、理事長に出す分はまず問題ないといたしまして、建設大臣意見を提出する場合には理事長を通すことにしておりますけれども理事長はこれを握りつぶすということはできない。必ず建設大臣のところまで申し上げなければならないというふうに解釈いたします。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 それは、法文は当然ですけれども理事長を通ずるということは、この前の委員会でもありましたが、監事の人物と申しますか、手腕、識見にかかると思います。またそういう監事を選択すべきである、任命すべきであるということは、この前建設大臣お答えになりました。そういうことでありますから、危険はないと思いますけれども理事長に遠慮をして、正当に建設大臣実情を報告すべき場合に、理事長を通ずるということで、その点が人間の人情として曲げられる、あるいは遠慮する、こういう事態が起こりはしないかという疑念が、この委員会の一部にあるわけです。その点についてどうお考えですか。
  14. 真田秀夫

    真田政府委員 お答えいたします。それは私も、直接出すということももちろん考えていいことだろうと思いますけれども、それはいろいろ人間関係もございまして、直接出すということだけを法律に出すか、あるいは理事長を通じて出す。しかしそれは理事長が握りつぶすということを認めるつもりでは毛頭ないのでございまして、必ず出すという程度で、その辺はうまく運用ができるのじゃないかと思います。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一つ、この規定書き方、表現しかたといいますか、仕組みについて、法制局の内部で、直接建設大臣に出すべきであるとか、あるいはここにありまする理事長を通じて出すべきか、こういう点について議論がありませんでしたか。
  16. 真田秀夫

    真田政府委員 その点につきましては、この関係主管局でございます行政管理庁のほうと一緒に御相談いたしまして、できた状況でございます。仰せのような書き方のことも一応議論にはのぼっております。
  17. 丹羽喬四郎

  18. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 首都高速道路公団法の一部改正の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、今回の改正の第十一条に、委員の任命について、「公団に出資した地方公共団体の長が推薦した者のうちから任命しなければならない。」これに委員の数で変更があるようでありますが、現在実際に地方公共団体の長が推薦した者のうちから任命した委員というのは、たしか東京都だけだと思います。そう理解して差しつかえないですか。
  19. 河野一郎

    河野国務大臣 さようでございます。
  20. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 ここでカッコがありまして、「公団に出資した地方公共団体が二以上あるときは、当該地方公共団体の長が共同して」となっておりますが、今後この首都高速道路公団事業というのは、東京都以外の近隣府県等にその路線が延長される可能性がある、というように理解してよろしゅうございますか。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。いまお話しになっておりますように、神奈川のほうに延長しようということと、他のほうはまだその議にのぼっておりませんが、必要がある場合には、近隣の県、たとえば千葉のほうやその他を考え得る場合もあるかもしれません。いまそういうことがあるということはありません。
  22. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 そこで私が伺いたいのは、いわゆる道路公団ですね、首都高速道路公団との設立趣旨がおのずから違いがあると思う。どういう点に違いがありますか。そのおのおのの持つ機能というのは、今後どういうふうに発揮されるか、その点を伺いたい。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 道路整備につきまして、御承知のとおり、本来政府もしくは地方自治体でやってまいりましたが、高速度道路をつくるというようなことから道路公団設立を見ました。ところがさらに大都市におきまして、たとえば首都におきまして、都内道路を重点的にやる必要が起こってきたということのために、これをいまの道路公団においてあわせてやるというので、あまり事務が分散し過ぎる、ないしは目的達成に困難が起こるというような意味で、首都高速道路公団設立されたものと私は考えます。続いて、御承知のとおり、大阪、神戸を中心にして、あちらのほうにまた同じようなものがつくられたのでございます。しからばこの道路行政が今後どうかということになると思いますが、私はいまの日本道路をかくのごとく大幅に工事を進めてまいる上におきまして、たとえばいま申し上げました道路公団にいたしましても、初めのうちは全国各地道路をやっておりましたけれども、近時、阪神−東京間を結ぶ、もしくは中央道というようなことに重点的に作業をさしております。こういうふうな大事業を重点的にやるものに、地方の観光的な、もしくは部分的な小さなものもあわせてやることがいいか悪いかというような問題は、将来起こってくる可能性があると私は思います。またこれは私自身の考えでございますけれども道路敷地等を先行して取得するという場合も、実はときによれば必要ではないかということも考えられるのではないかと思いますし、さらに進んで考えますれば、これら道路産業を重点的に考えました場合に、地方産業開発のために、工場敷地住宅敷地というようなものと、道路建設とあわせて施行するようなものも考えるような時期がくるのではないかというようにも考えます。しかしこれはいずれも十分今後研究して、そういうふうなものをふやすほうがいいか、それとも規模は幾ら大きくなっても一つのものでやるがいいかというような、研究過程においていろいろ意見はあると思いますが、あまりに大きくなりまして、監督上困難を見るというような場合、もしくはまた都市道路建設地方道路建設とは非常に趣が変わっております。こういうものの違いというようなことで、今後大いにこれらについては検討を加える必要があるだろう、こう考えております。いままだいずれにするかということについての結論は持っておりません。
  24. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 なお今後検討なさるということでございますが、首都における高速道路建設というのは必要的に立体化し、立体性を持ってくるわけです。都心の混雑を緩和し、特に首都高速道路公団オリンピック関係で強く促進されておるわけでございますが、オリンピックをゴールとしてどんどん進んでおる。立体化ができた。その立体化が今度平面化と一致する場所、たとえば終点、始点の場合です。最近非常に混雑をしております。ですから東京都を中心とし、あるいは大阪なら大阪中心とする立体的な高速道路は、相当遠隔の地にいって初めて平面に戻るというふうにしないと、平面に戻るところの場所というものはたいへんなものだろうと思うのです。これが遠隔の地にまいりますと、途中のランプがおのずから自然に少なくなっていく。上がってくるほうも分散して上がってくるという関係で、そう混雑はないと思うのです。たとえば最近における羽田線に対しても、鈴ケ森における混雑はたいへんなものなんです。ですから、鈴ケ森から築地ですか、銀座の入り口まで大体十五、六分で来る。ところが東京都に入って、あの鈴ケ森までの間の混雑がたいへんなものであります。ここで四十五分から、ときには六十分くらいかかる。それはなぜかというと、横浜のものも横須賀のものも、あるいは遠隔から来た、関西から来た車も、すべてがあれを目がけて殺到してくるわけです。これはもちろん羽田まで通りますと、羽田周辺の車は鈴ケ森ランプを利用しない。これは変わってくる。これが、何か計画によりますと、横浜まで延ばすということでありますが、延ばしてまいりますと、同様に、そういう意味効果はあると思う。その最後の終点横浜という場所が、これはまたたいへんな混雑している場所なんです。当然これと第二国道——俗にいう第二国道、いわゆる国道一号線との接触点は、想像するだけでもたいへんな混雑だろうと思う。ですから、首都高速道路公団で行なう計画であるから、おそらく横浜までということだろうと思うのですが、もしこの立体化道路を最終的に平面で結ぶ場所遠隔の地になるならば、首都高速道路公団という、地域的に一つワクのある公団で行なうことがいいのか、あるいは国道一号線の相当先で、いわば横浜新道のまだ向こう等で一致したほうがいいのかという問題が当然出てくると思う。そういう理解からいくと、今回計画されておる羽田横浜線というのは、横浜終点で事済む見通しではない。どうしてもそれ以上遠隔の地で国道一号線との合流点というものを設定せざるを得ない、こういう見通しに立つと思うのです。これはおそらく、将来もし首都高速道路公団が埼玉県なり千葉県なりのほうとの関係で、その事業を拡大する場合においては、それらの府県においてもそういうことがいえると思うのです。こういう点、特に合流点相当遠隔の郊外に求めなければ、かえって混雑がそこで集中する、こういう点について、建設省のほうではどのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
  25. 河野一郎

    河野国務大臣 お話しの点、ごもっともの点もございますが、実は私どもといたしましては、御承知のようにまだ完全に一つも完成しておりませんけれども、いわゆる環状線——内環状、中環状外環状というような環状線整備されますと、外環状線出発点にして、たとえば東京——名古屋、もしくは関西という線は、出てまいります。一応外環状線というものをすべての道路出発点にするということに考えておるわけであります。ところが、たまたまいま考えておりますこの横浜東京間というものは、横浜川崎東京という一つの港、これを海岸を結びまして、一つ臨海線というような意味合いにおいて非常な効果をあげるだろう、またここの混雑を緩和しようということでねらったものでございまして、いまたとえば国道一号線もしくは第三京浜というようなものが開通いたしてまいりますと、関西方面の車は相当に第三京浜のほうに回るでしょう。さらにまた、昭和四十一年ですか四十二年ですかに、東京名古屋線が開通いたしますれば、関西の車はずっと北のほうに移行してまいります。したがって、おそらく、この海岸を通る車両は、横浜川崎東京臨海物資の運搬が主になり、もしくはその人の動きが主になってまいりまして、これは、先のほうまで延ばしますと、かえって延ばすことによってさらにこの線が混雑するということになりはせぬかと思うのでございまして、問題は、総合的に他の線が開通したときにどういうふうな車の動きになってくるかということ、もしくは今後の都市の発展の過程はどういうことに発展してまいるか等々、十分検討した上で結論を出すことがいいのじゃないか。いまさしあたり、何にいたしましても、東京横浜間が非常に混雑しております。非常に時間がかかるので、第三京浜に全力をあげると同時に、この線を一応今年の秋までに羽田まで開通いたしますので、羽田から先は、御承知のとおり、用地の関係が非常に楽でございますから、工事も比較的金はかかりますけれども早くできるというような意味において、急速にこの路線の開通をいたしたい、こう考えているわけであります。
  26. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 これはいわゆる臨海道路として、産業上の利便を重点にお考えのようですけれども計画を見ると、大臣がそのようにお考えになっても、実際は国道一号線のバイパス化する可能性が私は多いと思う。ですから国道一号線、おそらく東神奈川の駅の付近だろうと思うのですが、これから東京都内——現在の国道一号線が将来近いうちに立体化するというなら別ですけれども、ちょっとまだその点が現実的な見通しが立ってない段階では、都心にノンストップで入ってくる魅力から当然バイパス化すると思う。そのバイパス化するときの東神奈川付近の混雑、それは神奈川県の産業上の利便、臨海工業地帯の利便に増す不便が、今度は東神奈川付近の混雑によって起きてくると思います。ですから、その混雑を呼んではいけないということで、しり切れトンボの考えのように伺うのですけれども大臣はそうお考えになっても、実際は水が高いところから低いところに流れるように、ノンストップの魅力というものは何ともいえない、これはどんどん入ってくる。ですから、そういう点で、当面のお考え横浜までとしても、計画は、横浜でしり切れトンボにするほうがかえっていいのだというような考えでなくて、相当遠隔の地まで進んで工事をする、そういう点を十分お考えにならなければならぬと思う、こういう点いかがですか。
  27. 河野一郎

    河野国務大臣 いま申し上げましたとおりに、必要が起こってまいりますれば、どこでやめなければならぬ性質のものじゃないと思います。道路のことでありますから、人の流れ、車の流れ、荷物の流れ等を十分勘案いたしまして、羽田から東神奈川から、さらに磯子のほうに延ばすか、さらに鎌倉のほうまで延ばしていくかというようなことは、今後の推移によりまして考えていいのじゃないか、私はこう思っております。
  28. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 特に湘南方面が観光地として最近のレジャーブームで、一号線は、冬場は日曜日車がいつもすいていますが、夏になると一号線はたいへん混雑する。最近は埼玉方面でも、スキーのバスが土曜日の晩など何百台と通る、こういうような問題があるわけです。どうしてもオリンピックを目ざしての東京都内混雑緩和を主とする任務を持った首都高速道路公団事業が、現段階としてはすぐそこまでということであっても、これはいやおうなしに、それを遠隔の地までの立体化というふうに任務が大きくなると思うのです。そうしますと、本来は東京都と国との関係考えられた首都高速道路公団というものが、いつの間にか首都圏全体の公団という任務を持ってくる、こういう可能性が多いと思うのです。そういう点についてはいかがですか。
  29. 河野一郎

    河野国務大臣 最初に申し上げましたとおりに、どの公団にどういう任務を負わせるか、さらにその公団に、別の公団をつくるというようなことは、今後の情勢によりまして取捨検討を加えるべきである。道路の必要性はもうときを許さずどんどん起こってくるわけでありますが、それをどういう組織で事業を進めていくかということは、一番やりやすい、一番効果の上がるものでやらしていくことが一番いいのじゃないかというふうに融通を持って考えておるのでありまして、必ずしも首都圏の何はこれでやらなければいかぬとか、どの仕事はどれでやらなければいかぬとかいうように考えません。また地方実情によりまして、公団でなしに公共事業でやる場合がいい場合には、公共事業でやらなければならぬ場合もあるでございましょう。それらは地方実情等、もしくは事業を遂行するに一番便、不便というようなことを考えていきたい。ただこれまでの事業の進捗もしくは事業を遂行いたします関係からまいりますと、公共事業の場合には敷地の取得が割合に楽でございます。こういう公団になりますと、金を取るのだから用地を高く売ってやれというようなことで、用地の交渉が比較的困難でございます。というようなことでございますから、そちらの点もわれわれとしては考えなければなりませんし、また地元の指導的立場にあられる諸君がそういう点についても十分御理解いただきまして、どちらでやらせるか、どれをやらせるかということも十分お考えいただきまして、御協力くださるようにお願いしなければならぬというようなことがございますので、しかるべく御了解いただきたいと思います。
  30. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 私は補償の関係考えないで御質問しているのですが、それはまた将来別な問題でお聞きすることがあると思いますが、いまはそういうことは考えておりません。まあいまの大臣のお考えは、非常に積極的でやりやすいほうへ行こう、それからテンポの早いほうがいいというお考えだろうと思うのです。ただその場合に、地方自治団体の関係、特に財源措置の問題で、道路公団首都高速道路公団とは性質が違っているように思うのです。私が申し上げたように、見通しとしては、これは大臣もお認めになるだろうと思うのですが、国道一号線のバイパス化は、単なる都内の交通混雑の緩和ではなくて、国道一号線のバイパス化をやるとすれば、国道一号線と同様の使命を持つ道路でなければならぬ、これは主線だろうと思うのです。とするならば、これは日本の一番重要な幹線道路になるわけです。したがってそれを地元の負担、分担というものにたよって、将来相当遠隔のところで合流する可能性のある道路、そういう習慣をつける、単にこれは横浜だけの問題ではなく、都心から遠隔の地へ行けば、いまお話しになったように観光的な面の流れを分割するとしても、これは横浜のほうまで、あるいは藤沢、小田原方面、あるいは一号国道と並行して将来バイパスを延ばすとすれば藤沢市までとなってくる、そういう見通しがあるときに、地方自治団体に対して分担金を首都高速道路公団が要請するということは、これはちょっと問題があるのじゃないかと私は思うのです。そういう点について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  31. 河野一郎

    河野国務大臣 この機会に、ちょうどいいおりでございますから、私はひとつ明確に申し上げておきたいと思います。  最近土地が非常に騰貴いたしました。とりわけ大都市の土地が非常に暴騰しております。そういう関係から、大都市内におけるいわゆる街路と申しますか、道路と申しますか、改修、新設には六割、七割、ひどいところになりますと八割くらいの用地費を要することになっております。こういうふうな用地費を一般の道路の観念で、いまお話しのようにバイパスならバイパスということでやれるだろうか、もしそういうものもあえて同じ感覚でやらなければならぬということになりますと、予算の大部分がこの方面に吸収されてしまいまして、地方道路予算が回るのは非常に少なくなってしまいます。またそこには、公平の原則を申し上げるわけじゃございませんが、あるものは都市計画によりまして、区画整理によりまして、敷地を供出して、名古屋市のごとくに大半の道路をやっております。ところが一方はこれを怠って、そしてただいたずらに道路が込み合うからということで、大半の国費をここに投入して道路をつくらなければならぬということになりますと、これも考えさせられる問題だと思います。  一例をあげますと、大阪の例の丼池と申しますか、わずか一マイルそこそこの距離で三百億からの金がかかる、三百六十億かかります。これからどうしても効果をあげなければならぬ、どうしてもあげなければならぬといいましても、用地費に七割から八割かかります。これをいま申し上げるように、同じ道路の概念で、ここにそれだけの経費を入れてやることがいいか悪いか、よほど地元の御負担を願わなければ、私はやることはできぬと思うのです。と申しますことは、必ずしも大都市だから財源がたくさんあるとは申しません。申しませんけれども、何としても大都市にはそれだけの負担力があるのじゃなかろうか、それが法律的に、大都市だから幾ら出しましよう、いなかのほうはただでよろしいというわけにもいきかねるかもしれませんが、ここらは運用によりまして、しかるべく地元の御負担も願い、そして円満に道路の問題を解決していくことがいいのじゃなかろうか。あらゆるくふうをしまして、たとえば大阪の場合でございますと、いま私が大阪市に向かって、しかるべく用地を買収して、そこに適当なアパートをおつくりなさい、道路はアパートの上を通ります、道路だけのために敷地を買うということは適当ではございませんから、そうして現にあります商店街はそのまま商店街として残していくことにいたしましよう、道路は三階の上でもよろしい、四階の上でもよろしい、何とかくふうしてやろうじゃありませんか、ということをお願いを申し上げております。というように、都市の非常に用地費のかかる場所におきましては、新しい構想のもとにやっていかなければ、とうてい問題の解決ができぬ場所が現に各地においてあるわけであります。でございますから、いま申し上げますように、都市の場合一大都市の場合におきましては、別途こういう道路公団の特別の例をとってやる場合もありますし、一方においては公共事業で交通費を一文ももらわないで、無料で通る場合もあります。バイパスがある程度大きなバイパスになる場合もあります。それらは事情によりまして、中央と地方でよく話し合いの上で施行してまいるということでなければ、一がいにこれを論ずるということでございますと、道路をこれだけ貫通してまいりますには、いろいろ困難な問題が起こってくる。またいろいろな批判が各方面から起こってくる。たとえて申しますれば、大蔵省の面からいえば敷地に五割以上かかるものを道路としてやることはお考え願いたいというような意見も実はないことはないのでございます。そういったようなことで、それでは川の上を通したらいいじゃないか。川の上を通りますと、全部が橋の形式になりますから、非常に工事費がかかります。というようなことでございまして、一概にすべてが議論できないわけでありますので、これらをひとつしかるべくくふうをしてやっていくということでなければ、事業の完成はできぬのじゃなかろうか、こう実は思っておるのでありまして、お互いにいろいろの御意見もございますので、十分御意見を拝聴した上で、ものをつくり上げていくということが本筋でございますから、やっていきたい、こう考えております。
  32. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 お話のことはよくわかるのです。私も用地問題については相当因難があるのを知っているし、それから、大臣が最近発表されたいろいろな構想も、私ども前にも考えたことがあるので、たとえば河川敷の堤防を住宅と道路に使うことを考える、おそらく将来を見越した場合、大きな着想だし効率が多い。ただ私がいま伺いたいのは、用地の問題に苦労する。それはそのとおりですよ。これは御遠慮なさってはいかぬと思うのです。しかしいまのお話ですと、用地の獲得が困難で金がかかる、だから関連の都市と協議して分担してもらいたい、その点にひっかかるわけです。私の伺いたいのは、大都市に限らなくなるということです。先ほどお話ししたように、相当遠隔の地で平面交差しないと無理がある。当然バイパス化するわけです。そういう場合に、いま当面は川崎横浜——私がこんなことを言っていいかどうかしりませんけれども、確かに他市に比べて規模も大きいし、財政的にもそう劣っているとは思いません。しかしそれが遠隔の地で合流する場合、これが前例になって、次の市、次の町村ということが出てくると私は思うのです。なぜかと言うと、一方道路公団では、たとえば横浜新道の場合においても、あるいは箱根新道の場合においても、地元分担金なしに工事を進めておるわけですね。一方首都高速道路公団の場合は、そんなことを考えていなかったかもしれません。いまもそんなことは考えていないかもしれない。そんな遠くまで考えてないかもしれないが、見通しとしては遠くなってくる。そうすると、一方道路公団のほうは分担金がない。一方首都高速道路公団のほうは分担金が要請される。これが一つの矛盾として将来なお大きな問題になってくる。こういう可能性があるということです。それから首都高速道路公団の機能としては、本来東京首都なら首都のみに限る。首都圏と考えるならば、一方首都圏内には、道路公団がすでに道路を完成して持っているわけです。そこは地元の負担なしでやっておる。こういう関係との競合を一般国民はどう理解するか。あるいは行政担当者と大臣の政治力をもってすれば、私は話がつくと思うのです。特に神奈川県のような場合は、大臣の影響力が非常に大きいところですから、大臣の一声でこれはすぐまとまると私は思うのですけれども、これが埼玉とかあるいは千葉とかいう問題が一つ出た場合に、いわゆる首都高速道路公団羽田横浜線の方式というものが前例になって固定化していく、次々の問題を生んでいく可能性があると思うのです。したがって、この辺で道路公団首都高速道路公団との機能の接点なら接点というものをどこへ引くかということを明白にしていかないと、そういうこともまた問題を生むだろうと思うのです。そういう意味で伺っておるので、ひとつもう一度でさましたらお答えを伺いたい。
  33. 河野一郎

    河野国務大臣 よくわかりました。実は私の申し上げたことにも言葉が足りませんでしたが、中嶋さんのお話も、私の考えております本旨と多少食い違いがございます。というのは、御承知のように、いまやっておりまするこの線はあまり幅が広くございません。あの幅の広くないものをあまり遠くまで延ばして、そこへあの車も入ってこい、これも入ってこいと言いましたならば、やはりこれは混雑してしまって十分な機能、つまり川崎横浜東京の機能は達成できなくなると私は思うのであります。これはいわゆる首都の周辺の都会の中の交通を緩和するということが主でございまして、近所の車の入ってくるのは、先ほど申し上げましたように、外環状線にいずれも入ってきて、そこでやれることにしております。それから中には、道路公団の仕事は入れない、一応そういう形式をとっております。でございますから、これもあるところまでいって、それから外に延びる場合には、道路公団事業との関係を変えて、もっと延ばさせていくということで問題は解決するのではないか、あなたのお話のように、もっと外に延ばしていく必要が起こってきたら、その場合には、横浜から先は道路公団にやらせたらよいのではないかということでいけるのではないか、こう思うのでありまして、その点は最初に申し上げたとおりに、東京横浜川崎の臨海のあのふくそうしておる交通を緩和するということに主たる目的を置いて延長していきたい、こう考えるのでございます。これが東神奈川で非常に混雑すれば、さらにもうちょっと適当な場所があれば、そこまで延ばすことは少しも差しつかえない、こういう意味のことを最初に申し上げたのであります。さらにもっと延長したらどうだ、それが一番便利ではないか、そういう議論が起こってくれば、それから先は、場合によっては道路公団につくらせるということも可能でありましょうし、一応申し上げましたとおりに、大阪、神戸でやっておりますものについても、地元の負担を一部お考えいただいておりますように、東京もしくは横浜、この大都市の中の道路につきましては、一部地元の負担をちょうだいするというような考え方でやっていくことがいいのではないか、こう思っております。
  34. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 大臣のお話にありましたように、先はまた先でいいじゃないかということで、幅員の問題をお述べになりましたが、幅員の問題も私は伺いたいと思ったのです。確かにあまり広い幅員ではない。しかしいまは広い幅員ではなくて——むしろ広い幅員にすると殺到してくるから困るのだ、しかし一面見通しから言うと、これが相当延長される可能性がある。その場合には道路公団にやらせればよい、やはり相当これが延長する可能性があることを大臣はお認めになっているわけです。とすれば、当然幅員は広くしたほうがいいのではないかという問題が出てくる。その場合にまた幅員を広くするということになった場合は、たいへんな事業だと思うのです。その点から、いまのお話からいくと、答弁としては理解されるようになっておるけれども、答弁の中に矛盾があるではないか。たとえば終点混雑しないためには幅を広くする、一方延長する可能性があるとおっしゃると、延長するならばそれだけ延ばしていけばよい、延ばしていけばバイパス化する可能性がある、そういう点がありますから、私は分担金がいかぬというのではなく、分担金の問題は、バイパス化した場合に、単なる横浜川崎で済まなくなる、こういう点を伺っておるので、ひとつ道路公団の機能と首都関係で、どこに接点を置くかということをお示し願いたい。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 問題は、初めからあり余る金でかかればすべては解決するのです。ところが少ない金で効果を上げようと思うものですから、幅もこの辺でがまんしておこうじゃないか、それより距離を延ばそうじゃないかということで延ばしております。初めから京浜間で三年先にはこのくらいの台数の車が入ってくるだろうということを想定して幅も広げて十分にやるということであれば、私は考え方も変わってくると思います。しかしそれだけの経費を出すこともでき得ぬというようなことからして計画を立てておりますために、当面はこの程度でひとつ何とかがまんをしようということでやっております。問題は、第三京浜は、道路公団にやらすことにいたしておりまして、これは相当りっぱな道路ができることになっております。これによって京浜間の交通は相当に緩和するという見方を私はいたしております。関西方面の車は全部第三京浜を通るだろうというふうに思います。これも今度はノンストップの高速道にいたしておりますことは御承知のとおりでありますから、決してこれは海岸のほうに入ってこないというふうに思いますので、この海岸線と第一二京浜の使い分けをして、いまものを考えておる、こういうことでございます。ただし先ほど申しますように、そうは言っても、その後一つ大工場ができますと、それによって車の動き、人の動きが非常に変わってまいります。そういうことでございますから、いまは大船を中心としたあたりのところに比較的まだ余裕もございますが、しかしあの方面に大工場ができてくる、あの方面が住宅団地化してくるということになりますと、またそこに一つ変わったものが出てくるというようなことでありましょうから、将来のことについて断言して申し上げることは困難でございますけれども、一応私の考えとしては、東神奈川のところまでいって、臨海的な使命を持ったものをここへつくっていくということで置いておくわけでございまして、それでは、いまお話しのように、横浜の車が全部東神奈川へ殺到して、あそこがまた非常に混雑するだろう——するかもしれません。した場合には、またこれはひとつ考えていく。ただ私の申し上げますのは、第三京浜がありますから、東神奈川へ行く車は、いまの横浜の車、いわゆる第二京浜と第三京浜の方面に行く車はこちらのほうに入ってまいりませんから、そこで相当に緩和されていくのではなかろうか。ことに関西からまいります車は、先ほどから申しておりますように、東京名古屋線があいてまいりますれば、それにみな乗ってくるだろう、こういうふうに考えて、一応の計画を立てておるわけでございまして、もちろん十分ではございませんが、しかしそこまで心配いたしますと、もう全国どこにもそういう場所ができておるのでございまして、まあまあというところでやっておく、こういうことでございます。
  36. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 苦労性のようであれですけれども、私はちょっと問題があると思うのは、本来これはオリンピック考えて、羽田という空港と都心とを結ぶというところにねらいがあったと思うのです。やってみたら、ちょっと川向うに工場地帯がある、これに延ばしてやったらいいだろう、こういうことなのですね。今度は東神奈川が込むだろう、込んだらまたやればいいだろう、そういうことで首都高速道路公団事業首都からどんどん拡大する、伸びていく。一方では道路公団が、おっしゃるようにどんどん工事をやっていく。道路公団のほうは地元の負担がない。一方首都高速道路公団のほうは——東京都の場合は、むしろ東京都内混雑から、東京都の要請もあってこの事業が進んだと思うのですから、これは問題がないけれども近隣府県にそういうものがだんだん延長する可能性があった場合に、いまのお話でいくと、道路公団にやらせるという点が、何かお考えにもあるということであって、やらせるということではない、首都高速道路公団がやる可能性もある。道路公団でもし将来やるならば、現在の羽田空港からのものも道路公団にして——羽田横浜線は臨海工業地帯ということが主のようにお考えになっているけれども、むしろ私は羽田中心だろうと思うのです。羽田からの都内、あるいは羽田からの箱根その他のほうの観光地帯そういうもののねらいが一応あるだろうと思うのです。そうすると、名前は臨海工業地帯の臨海道路だといいながら、実際は非常に観光的な要素をもってくる。それを道路公団とは別に、首都道路混雑の緩和を主とした使命を持った首都高速道路公団事業としていくところに、むしろ問題があるのではないかと思うのです。
  37. 河野一郎

    河野国務大臣 中嶋さんも私も神奈川県でございますから、話が何か内輪話のようになりますけれども、私は本来を言えば、神奈川県、横浜市、川崎市、これらが当然公共道路としてやるべきものだと思います。それをおくれておるから、あのままでは非常にふくそうをして困るという意味から、こういう道路を延長していかなければならないようになるのであって、本来言えば、公共道路でやるからひとつ国のほうでもお考え願いたいという世論が、神奈川県かもしくは川崎横浜のあの道路のふくそうしておる中から、ほうはいとして起こってくるのがあたりまえだと思う。いまお話しのように、バイパスとしてやるのはあたりまえじゃないか。バイパスでやれば、地元に負担が相当かかりますよ。これは全国各地であるのです。バイパスならば国がやるのではございません。やはり国が四分の三、四分の一は地元負担でございます。これで大体の地方は仕事をしていただいておるのでございます。だけれども、これは、いま申し上げるように、羽田空港もございましょう。それだけではない。第一京浜が臨海工場地帯の荷物のために非常にふくそうしておる。であるから、ここにもう一本、羽田のところでとめずに横浜まで持っていったならば、すべてが便利になるだろう。お話しのように、羽田空港はいま移転の話が持ち上がっておりまして、何年か先には羽田は空港をやめて、そしてわきに国際空港をつくろうじゃないかという話が出ておるくらいでございまして、決してこれは、空港をもとにしてこれを延長するというようなことだけで話がいっておるのではない。こういうふうに、中嶋さんも私も、お互いに神奈川県の立場としては、考えなければならぬ問題ではないかと私は思います。
  38. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 私は神奈川県だから言っておるのじゃないですよ。大臣は神奈川県の出身だからと言われるけれども、要するに、埼玉とか、千葉とか、近隣地帯があるが、今回の横浜羽田線の問題が、ひいては首都の周辺の県との間で一つの前例になるのです。これを前例にしないということを先ほど明確にお答えになればいいけれども、そのときはそのときだということになると、前例になる場合が十分あり得るというのです。その点をぼくは伺っておるのです。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 法律に明確になっておりますように、首都もしくはその近郊でございます。その付近でございます。したがって、これが埼玉県まで延びていく、神奈川県の郡部のほうまで延びていく、それから千葉県のほうに延びていくというようなことは、法律改正がない以上は——この法律によって施行する道路はございません。でございますから、先ほど申し上げたように、延ばす場合にはまた別のほうで考えたらいいじゃないか。私は融通性をもって申し上げたので、何も私がいつまでも建設大臣をしておるわけではございません。どなたがおやりになるか知りませんけれども、それはやはりそういうふうに答弁しておいたほうが、あとの人がおやりになる場合に融通性があっていいだろう、こう思って答弁したのでございまして、私自身とすれば、いまここで申し上げましたように、ここまでやっておしまいだというつもりでおるわけであります。
  40. 中嶋英夫

    中嶋(英)委員 どうも、神奈川県のことを私よりも河野さんは知っておられるので、たとえば私が聞かない用地買収の問題が出てきたり、神奈川県が本来やるべきだというような、何か県政に対するお考えのようなことを申されるのですが、私は決してそういう意味ではなくて、お話しになったように、首都から近隣府県に延びていく可能性がある。一方郊外には道路公団事業をやっている。道路公団事業の負担と首都高速公団の負担とは違いがありますね。その違いについて、それは河野さんの政治力で、神奈川県の場合などは特に話がつくだろうと思う。ただ、他府県の場合、そういう場合に、一方の道路公団は負担がない、一方の首都高速道路公団でやってもらうと負担が多いということになると、道路公団でやってもらったほうがいいということが素朴に出てくるだろうと思うのです。そういう意味で伺っておるので、何か……。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 わかりました。御趣旨のほどは十分よくわかりましたから、できるだけ御期待に沿うように善処いたします。
  42. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 吉田賢一君。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 前回に引き続きまして、住宅政策について、宅地造成について少しお尋ねをしたいのでありますが、政府におかれましては、四十五年度までの計画はともかくといたしまして、三十九年度の宅地造成につきまして、政府施策の分とそれからその他のものを合わせまして、かつ内容について、ちょっと数字の概要を御説明願いたい。
  44. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 現在われわれは宅地の長期計画といたしまして、四十五年までの住宅計画に即応いたしまして計画をつくっております。それによりまして、三十九年度には民間及び政府あるいは公共団体全部入れまして、新規に宅地を必要とするのは約三千万坪程度と見込んでおりますが、そのうち、政府施策によりましてこの年度内に供給できるのは約千六百万坪程度、かように考えております。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、三千万坪から千六百万坪を引きますと、千四百万坪ですね。千四百万坪は民間人が個人の力で取得する必要のある敷地、こういうことになるのですか。
  46. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 さようでございます。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで問題なのですが、民間人が土地を取得します場合には、公共の事業主体のように法律を背景といたしまして、土地収用権とか、その他半強制的な取得をするという手はないと思うのですが、その点は、政府もしくは政府機関公団事業団などが宅地を取得する場合よりよほど弱い立場で交渉しなければならぬと思うのですが、いかがでございますか。
  48. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 御指摘のとおり、民間の個人が宅地のために土地を手に入れる場合には、買収あるいは譲渡によって入手する場合が原則でございまして、強制的にこれを取得することはございませんが、それぞれ自分の知人なりあるいは親戚なり、あるいは宅地をつくっておる業者なり、知り合いの方から、現在宅地をそれぞれ入手しておる状況でございます。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、一般の宅地価格の趨勢が次第に高騰しつつあるということは公知の事実でございまして、これが対策に苦心しておることは官民ともに共通の悩みであろう、こう思うのですが、そういう際にむしろ進んで、政府施策というよりも、もっと積極的に、個人の手をできるだけわずらわさないことにして、ほとんどその大部分が政府の手で、もしくは事業団、公団等の手によって、入手できるというふうにすることがほんとうの行き方ではないか、これをしなかったというのはどういうことですか、これを河野さんに伺いたい。   〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、住宅そのものにつきましても、民間施策の住宅を相当の戸数を想定しておりまするし、現にそういうものが過去の例によりましても建設されておる事情でございます。したがってこれらの民間諸施策による住宅は、それぞれ宅地を入手してやっておりますので、政府といたしましては、政府の施策の宅地、さらに進んで宅地をひとつ造成して、これを民間にできるだけ供与しようということは考えておりますけれども、全部ということは、われわれとしては自由経済の立場に立っておりますので、もちろん自分で持っておる者もあるかもしれません、縁故から手に入れる場合もあるわけであります。会社等が工場敷地の一部を宅地に充てる場合もあるわけであります。そういうことでやっておりますので、お話しのとおり、なるべくいま、私の考えとしましては、かねて申しておりますとおりに、住宅もさることながら、宅地の造成には一段と力を入れる、そうして宅地はできるだけ供与することにしたい。そこに建てるうちはそれぞれの好みというか、各人の希望によってお建てになるにしても、宅地だけはなるべく造成して提供するような方向をとるのが一番いいという考えで、鋭意努力するつもりでおります。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 住宅金融公庫などで申し込みをいたしましても、宅地入手難のために破約するという例もずいぶんあると聞いておるのですが、こういった階層に対する宅地の供給ということがむしろ今日は住宅政策の一番大きなねらいになるのではないであろうか。自分の所有地を宅地化するというような人は、むしろこれは政府の恩恵を別に受けなくてもいい階層の人であります。したがいまして、そういう観点からいたしますると、やはり大部分は宅地は供給するというたてまえに立たない限りは、住宅問題は解決しないで悪循環するのではないだろうかとも考えております。現に公団によって土地を獲得しようとする場合においても、いろいろな難問にぶつかっていることは、これも明らかなことでありまするので、いわんや無力な個人、わずかに知人、友人などをたどってなけなしの金で土地を求めようというような人に対しましては、これこそ積極的に土地を供給するという施策を思い切ってするのでなければ、少々の小出しではこの問題は解決しない。私はそこに観点を置いておりますので、これは相当執拗にお伺いしてみたい、こう思うのでございます。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 私もその点は全く同感でございまして、まだ十分にはいきませんけれども、先ほど御説明申し上げました千六百万坪のうち、少なくとも六百万坪程度は宅地として分配するものに引き当てて計画を立てております。もちろん十分ではございませんので、今後できるだけ宅地を造成し、これを分譲するという方向には努力してまいりたいと考えております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 地方の公共団体におきましても、やはり自治体等が宅地造成する場合におきましても、入手難でてこずっておるという例は随所に聞くのでありますが、そういう方面に対しましても、積極的に政府といたしまして手を差しのべて、一そう便益をはかるような手がないものだろうか、こういうふうに思うのですが、この際は新しい法律以外には打つ手はございませんでしょうか、ひとつ伺ってみたいと思います。
  54. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 地方自治体が現在宅地を住宅を建てる人に提供する方法といたしまして、住宅金融公庫から資金を貸し付けておるものと、それから土地区画整理によりまして適当な宅地が供給できるような方法と、それからさらに、最近地方債の中にも、特に宅地のための地方債を認めて、一そうこれを推進するという方法を自治省においてもとっておりますので、地方公共団体が行なう宅地事業も逐年増加をする予定でございます。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから土地の買収の点でありますが、安い土地を求めようとすると、経済的に社会的に交通上等不利な土地を探さねばならぬということのようでありますが、この点につきまして、さらに土地の利用の方法を一そう合理的に考えるということが最近の一つ考え方のようでございまするが、これは四階以上に原則的にきめるとかいうような、そういうふうに積極的に高度利用を原則化するというような行き方はいかがなものでありましょうか、やはり二階建ての程度が普通になるということよりも、将来のことを考えますると、一そうその点がいま考慮すべき一つの利用方法でないかと思うのですが、いかがでございますか。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のとおり、建築基準法によって、そういう地区を設定することは可能になっております。さてこれをやろうということになりますと、なかなか話がまとまらない。私もこれまでしばしば前大臣のころから強く進言し、自分でも部下を督励して、そういう方途に出ようということを考えてみましても、まだそこまでいきませんで、たとえて言えば、神田一帯を指定区域にしたらどうだろうかというふうなことは考えてみますけれども、やったその影響というものはどういうことになるだろうかということになりますと、そう軽々に指定することも困難だ。やはり地元の世論を喚起してすることのほうがよかろうというので、今回高層建築については税の面において考えるということにおいて奨励し、順次そういう方向に、ある段階を経ていく。決してそれを捨てておるわけじゃございません。あらゆる方面から、そういう姿を醸成してやっていくようにしたいと考えております。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 土地の入手につきまして、あるいは公団の手により、またその他個人の手により、事業団の手によって入手するようでありまするが、この場合に、むしろ土地を対象として、これを入手し、造成することのみを目的にしておる何かの機関が別個にあって、これが公団なりその他の委託を受けるとか、こういったことも考えるべきでないかと思うのですが、こういう考え方についてはいかがなものでありましょうか。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 明年度の予算の編成の際にも、実はある程度の用地を先行取得しまして、道路敷地にし、その沿線は宅地にし、というようなことでやることがいいんじゃないかというようなことで、ある程度調査検討してみましたけれども、さて目的なしに用地を買うというような事業は一体進められるだろうかということになりますと、そこらに問題がございまして、まだ議がまとまっておらないというのが実際でございまして、実は私どもとしましては、あらゆる角度からいろいろな場合を想定して検討はしておりますけれども、さてとなりますと、なかなかいろいろな問題で支障が起こってまいりまして、まだそこに踏み切るまでに至っておりません。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は、ひとり住宅ないしは道路だけではございません。たとえば公共の建設物にしましても、病院その他にいたしましても、学校の用地等にいたしましても、最近は、価格問題ないしは補償問題ないしはこれをめぐっての課税の問題等で不測の紛糾が地方地方に起こっておるような実例もずいぶんあるのでございまするし、ことにわが国の地殻の形勢が平面地帯が少ないような実情にかんがみまして、一そう土地問題が、あらゆる開発事業に関連いたしまして、重要性を増してくるおりからでありまするので、この際はやはり進んでこのような一つの構想を持つべきではないだろうか。もっとも私も最近の公団続出に対しましては少しひんしゅくする一人なのでございますけれども、いずれにいたしましても、この土地問題が、考えてみると、どのような開発事業にも必ずひっかかってくる一つの共通した根本問題と思われまするので、これに対しましては、やはり独立した最も権威のある機関ができてよいのではないだろうか。少なくともこれはすぐに検討をして、早急に実現するというところまで持っていくべき重要性があるのではないであろうか、一種のもちはもち屋になるのでありまするから、共通の課題を一手に引き受けて、かなり広範に解決するということが必要でないだろうか、こういうふうな観点からお考えをただしておった次第なのでございまするけれども、なおございましたら伺ってみたい、こう思うのです。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、なお引き続き検討を加えまして、何とか善処いたしたいと考えております。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最近の土地価格につきましては、高騰の趨勢が非常に鈍化しておるとかいうことが巷間伝わっておるのでありまするが、現実に歩いて聞いてみますると、そうではなくして、だんだんやはり高騰の一途をたどりつつあるという現況のようにも思うのでありまするが、事実入手なさり、あるいは交渉なさり、接収するような経過にかんがみまして、実際はどうなのでありましょうか。一つこの点はっきりしておいてもらいたいと思います。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 最近の道路敷地等で見ますと、計数上はある程度鈍化しておるという傾向は見られると思います。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は宅地開発の事業が十分な見通しを持って、住宅の建設と並行してそごを来たさないような見通しのもとに進められていくのでないと、根本的に食い違ってまいりまして、結果的に数字は実現しない、こういう観点に立って、いま問題を検討しつつあるのでございます。そこで、この問題は新しい問題でもございますし、また同時に昨年の通常国会におきましてもずいぶん論議せられた古い問題でもあるようでございますが、まだ未解決の問題であることは実に遺憾にたえぬのでございます。  そこで、しばしば問題になったようでございますけれども、例の税制上の価格抑制対策というもので、空閑地の増加税とかという問題も論議されておるようでありますが、これはそのまま置き去りになったのでしょうか、なお引き続いて審議会その他において御検討されておるのでしょうか、その辺も明らかにしておいていただきたいと思います。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 昨年来いろいろ御意見がありました空閑地税その他につきましては、宅地制度審議会等において、各方面の御意見も拝聴いたしまして、いろいろ御審議の結果、にわかにわが国においはこれを制定するということはまだ早いだろう、しいて申せば困難だろうというのが結論でございまして、審議会から答申を得ておりませんので、いまそのままにいたしておるところでございます。
  65. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 次は西宮弘君。
  66. 西宮弘

    ○西宮委員 住宅問題について若干お尋ねをいたします。できるだけ重複をしないように注意をいたしますが、何ぶんにも建設委員会は初めてでございますので、いろはの質問が多いと思いますので、どうぞその点あらかじめ御了承願いたいと思います。  まず第一に、住宅政策につきましての政府の熱意とでも申しますか、住宅政策についてどの程度のウエートを置いて考えておらるのか、建設行政の中に占める住宅政策の位置という点について伺いたいと思います。
  67. 河野一郎

    河野国務大臣 過般の選挙におきましても、各党一致して一世帯一住宅ということを政策の第一にお掲げになりましたとおり、わが党といたしても、建設行政の中において、道路、河川と相拮抗して、少なくとも私は現在の建設行政の中におきまして、三つの大きなしかも早急に解決しなければならぬ眼目であると、非常に強く意識して、これに取り組んでおるということでございます。
  68. 西宮弘

    ○西宮委員 建設行政といいましてもたいへんに幅が広いわけでありますが、その中でかりに住宅行政をランクするとしたら何番目くらいになるものでしょうか、こういう点はいかがですか。
  69. 河野一郎

    河野国務大臣 何番と番号はつけにくうございますけれども、いま申し上げたとおり、道路、河川、住宅、この三つを第一義的に考えて取り組んでおります。
  70. 西宮弘

    ○西宮委員 私がそういうように申しましたのは、とかく住宅政策、住宅問題というものが他の建設行政よりもおくれがちだ。たとえば道路問題なんかに比べて、政治家の関心を引きにくい、こういうことが世間でもいわれておりますし、また今日までの予算その他から見てまいりましても、そういうことが感ぜられるので、いまあえてそういうことをお尋ねしたのでございますが、大臣は非常な熱意を持ってこれに当たるという話でありまして、その点は大いに今後に期待いたします。  それでは、住宅政策については質の問題と量の問題とあると思いますが、どちらにウエートを置いてやりますか。
  71. 河野一郎

    河野国務大臣 これまでは量に相当のウエートを置いておったと考えますけれども、順次質にウエートを置いて考えていくべきだと思います。
  72. 西宮弘

    ○西宮委員 量の問題でありますが、現在の住宅不足に対して、さらに今後ふえるであろう住宅の需要に対して一応いろいろな案が並べられておりますが、どの程度までにしたらこの住宅需要にこたえることができるか。たとえば国民所得倍増計画の際には、一応四十五年までに一千万戸をつくる、これはもちろん政府、民間合わせてでありますが、そういう計画があったわけでありますが、いまやはりそう考えておられますか。
  73. 河野一郎

    河野国務大臣 それを完遂することを目途といたしております。
  74. 西宮弘

    ○西宮委員 今回の予算では、七年計画計画として公には決定しなかったわけでありますが、これは肯定されるものであるかどうか、政府の正式な計画として七年計画というものはどうなっておるか。
  75. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のとおり五カ年計画の練り直しをやっておりますので、いまさしあたり政府といたしましては住宅政策の三カ年計画を、具体的な数字を三年間とりまとめまして、昭和四十五年までの七年間に全部をやるということにいたしております。いまお話しのとおりに、なぜ七年全部か五年をやらないのか、これはいま申したとおりに、所得倍増計画とにらみ合わせて具体的な数字をはめていくということで、全体がそうなっておりますのでそうしておりますが、これを完遂するにはいかなる困難も排除してやりたいというつもりでおります。
  76. 西宮弘

    ○西宮委員 昨年に発表されましたいわゆる建設白書によりますと、最近は住宅の建築がだいぶ鈍ってきた、こういうように表現をいたしておりますが、それは事実でしょうか。
  77. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 住宅の建築は鈍ってはおりません。逐年増加をいたしております。
  78. 西宮弘

    ○西宮委員 いま私が申し上げましたのは、建設白書の中の一つの表現でありますが、それによりますと、最近鈍っておる、こういうことがいわれておりますので、その点をお尋ねしたのですが、そういう事実がないとすればそれはけっこうなことです。ただ私ども三十六年から三十八年までの計画と実績をながめてみますと、計画と実績との間にはかなりのズレがあるわけです。たとえば政府、民間合わせての数字で申しますと、三十六年には七十万四千に対して実績は六十六万六千、三十七年は七十五万八千が七十三万五千、三十八年は八十一万六千が七十八万七千、こういうふうにいずれも計画から見ると実績がずれているわけですが、そういう点で、今後の七年計画に対しましても、あるいはまた現在練り直しつつあるいわゆる五年計画等に対しましても、私どもも非常な不安を感ずるわけですが、そういう懸念はないかどうか・計画が完全に実現できる可能性を十分に期待して差しつかえないかどうか、ということをお尋ねしたいと思うのです。
  79. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいま御指摘の計画の戸数は、実は正確に計画いたしました戸数ではなくて、一定のパーセントでかりに延ばしました計画戸数でございまして、実際の計画は、後段で申されました、たとえば三十六年度は六十八万九千戸、三十七年度は七十三万五千戸という計画の数字で、実際はそれを達成し、統計の関係で、むしろこれ以上に建築はできておるものとわれわれは考えております。
  80. 西宮弘

    ○西宮委員 いわゆる政府施策の住宅の中にもたくさんの種類がありますけれども、特にその中で、低所得者に対する施策として考えられておるものは地方自治体がやっておる公営住宅だろうと思いますが、これは政府計画に対して完全に実施をされておりますか。
  81. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 公営住宅は、工事関係で年度内の竣工が若干おくれて、次年度に数カ月ずれておるのはございますけれども、建築は全部予定どおり完成しております。
  82. 西宮弘

    ○西宮委員 特に次年度の三十九年度には、公営住宅について完全に消化できる、こういう見通しでございますか。
  83. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 三十九年度はもちろん消化ができます。あるいは用地の関係等によりまして、繰り越しが若干出るかもわかりませんけれども、必ず年度内に仕上げるように、今回は特に督励を強化するつもりでございます。
  84. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、三十九年度は大丈夫かといって特にだめ押しをいたしましたのは、地方財政が三十九年度はいままでに比べてかなり苦しくなると思うのです。これは全国的にそういう傾向にある。もちろん東京その他のような大都市をかかえた大きな自治体は別でありましょうけれども、全国的には非常に地方財政が苦しくなるということだけはきわめて明瞭だと思う。税の伸びなどがとまってまいりましたし、その半面、いわゆる義務的な経費というのは非常にふえてきて、財政の弾力性を失ってきておる。そういう傾向が三十九年度は特に強くなってきたわけです。したがって私はその点を特にだめ押しをするのだけれども、現在の補助率なりあるいはまた現在の補助単価なりで、いま申し上げた完全消化ということについて十分の自信があるかということを伺います。
  85. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 明年度の公営住宅に関する地方負担につきましては、特に配慮をいたしまして、前年度に比較いたしまして、起債につきましては二十六億円の増加をはかっております。これによりまして、起債の充当率も従来の四〇%から四五%に引き上げられますし、また単価の面につきましても、最近の建築の実態に応じますように、それぞれかなりの引き上げを行なっておりますので、もちろんこれで十二分とは申されないかもしれませんけれども、従来よりはかなり改善されましたので、この線に沿って、地方自治体に必ず完成してもらいますように、特に督励を強化するつもとでございます。
  86. 西宮弘

    ○西宮委員 特に単価の問題でお尋ねしたいと思うのでありますが、局長は、現在の単価が実情に照らしてどの程度——これはもちろん県によりまして非常な差があるわけですけれども、かりに大きな都会地を例にして申しますならば、現実の単価とどの程度の開きがあるというふうに認識をしておられますか。
  87. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいま御指摘のとおり、公営住宅につきましては各地区によってかなりの差がございます。国で組んでおります予算単価によりまして、完全にその範囲内でできておる公共団体もございますし、あるいは相当の持ち出しをお願いしておる公共団体もございますが、われわれの最近の資料によりますと、平均いたしまして一割ないしその前後の持ち出しによりまして仕事ができておるようでございますが、われわれは、単価を上げると同時に、工費の節減をはかるために、あるいは大量生産による節減方式、あるいは建築の発注のしかた等によりまして、できるだけ実際に合い、仕事ができるようにしてまいる所存でございます。
  88. 西宮弘

    ○西宮委員 一割程度の違いならば、ある程度地方団体がかぶってもやむを得ないというふうにも考えられますけれども、現実はずいぶん開いておるわけです。たとえば二分の一補助と称するやつがあるいは三分の一程度に下がっておる。特に大都会地等になるともっとひどいじゃないかと思う。そういうところでは、地方団体が泣き泣き全部その分を出さなければならぬということになるわけでありますし、またそれをやらないということであれば、計画が消化されないということになるわけであります。特に単価の問題について考えてもらいたいと思うのですが、私の経験している範囲では、一割とか一割何分という開きでは絶対ないと思う。その点もう一ぺんお尋ねしておきます。
  89. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいま申し上げましたのは、金国平均で申し上げましたので、お話しのように、東京などの地区におきましてはかなりの差がございます。ただ、単価と申しますよりも、特に用地の買収に際しまして、土地を便宜なところに買うためには、われわれが考えておる程度の予算単価ではまいりません。たとえば東京の例で申しますと、中層耐火のアパートをつくります場合に、われわれのほうでは三十八年度は一万七千円程度の単価を示しましたが、東京都の実際買っておる場所を見ますと、二万四、五千円のところを買っておるようでございまして、この点ずいぶん開きがございますが、これは場所をどこにとるかという問題とも関連いたします。しかしながら最近の地価の騰貴にかんがみまして、できる限りこれに近づけようと思いまして、本年度も従来の単価に比較いたしまして一五・六%の引き上げを行ないましたが、できる限りの努力をいたしまして、実際建ちやすいように、公共団体の負担の重くならないように努力しておるわけでございます。
  90. 西宮弘

    ○西宮委員 いま局長も言われたように、建設をする場所によってはもちろんそうですか、私はそういう現実を見て、とても全体を平均して一割ないしは一割少々というような程度のものではないということで、特にこの問題に力を入れて申し上げておったのは、冒頭に言ったように、これはいわゆる低所得者に対する住宅政策として一番大きな役割りを果たす公営住宅である。そして、しかもそれは実施主体が地方団体だ、こういう点にいろいろ問題が多いので、ここに指摘をしたのですが、私もなおそういう点について、私の持っております数字等をあげて、さらに質問をしたいのでありますが、そうなるとだいぶ時間をとりますので、きょうはこれで質問を終わります。
  91. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 次会は二十五日、火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することにし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会