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河野国務大臣 この機会に、ちょうどいいおりでございますから、私はひとつ明確に申し上げておきたいと思います。
最近土地が非常に騰貴いたしました。とりわけ大
都市の土地が非常に暴騰しております。そういう
関係から、大
都市内におけるいわゆる街路と申しますか、
道路と申しますか、改修、新設には六割、七割、ひどいところになりますと八割くらいの用地費を要することになっております。こういうふうな用地費を一般の
道路の観念で、いま
お話しのようにバイパスならバイパスということでやれるだろうか、もしそういうものもあえて同じ感覚でやらなければならぬということになりますと、予算の大部分がこの方面に吸収されてしまいまして、
地方に
道路予算が回るのは非常に少なくなってしまいます。またそこには、公平の原則を申し上げるわけじゃございませんが、あるものは
都市計画によりまして、区画整理によりまして、敷地を供出して、名古屋市のごとくに大半の
道路をやっております。ところが一方はこれを怠って、そしてただいたずらに
道路が込み合うからということで、大半の国費をここに投入して
道路をつくらなければならぬということになりますと、これも
考えさせられる問題だと思います。
一例をあげますと、
大阪の例の丼池と申しますか、わずか一マイルそこそこの距離で三百億からの金がかかる、三百六十億かかります。これからどうしても
効果をあげなければならぬ、どうしてもあげなければならぬといいましても、用地費に七割から八割かかります。これをいま申し上げるように、同じ
道路の概念で、ここにそれだけの経費を入れてやることがいいか悪いか、よほど地元の御負担を願わなければ、私はやることはできぬと思うのです。と申しますことは、必ずしも大
都市だから財源がたくさんあるとは申しません。申しませんけれ
ども、何としても大
都市にはそれだけの負担力があるのじゃなかろうか、それが
法律的に、大
都市だから幾ら出しましよう、いなかのほうはただでよろしいというわけにもいきかねるかもしれませんが、ここらは運用によりまして、しかるべく地元の御負担も願い、そして円満に
道路の問題を解決していくことがいいのじゃなかろうか。あらゆるくふうをしまして、たとえば
大阪の場合でございますと、いま私が
大阪市に向かって、しかるべく用地を買収して、そこに適当なアパートをおつくりなさい、
道路はアパートの上を通ります、
道路だけのために敷地を買うということは適当ではございませんから、そうして現にあります商店街はそのまま商店街として残していくことにいたしましよう、
道路は三階の上でもよろしい、四階の上でもよろしい、何とかくふうしてやろうじゃありませんか、ということをお願いを申し上げております。というように、
都市の非常に用地費のかかる
場所におきましては、新しい構想のもとにやっていかなければ、とうてい問題の解決ができぬ
場所が現に各地においてあるわけであります。でございますから、いま申し上げますように、
都市の場合一大
都市の場合におきましては、別途こういう
道路公団の特別の例をとってやる場合もありますし、一方においては公共
事業で交通費を一文ももらわないで、無料で通る場合もあります。バイパスがある
程度大きなバイパスになる場合もあります。それらは事情によりまして、中央と
地方でよく話し合いの上で施行してまいるということでなければ、一がいにこれを論ずるということでございますと、
道路をこれだけ貫通してまいりますには、いろいろ困難な問題が起こってくる。またいろいろな批判が各方面から起こってくる。たとえて申しますれば、大蔵省の面からいえば敷地に五割以上かかるものを
道路としてやることはお
考え願いたいというような
意見も実はないことはないのでございます。そういったようなことで、それでは川の上を通したらいいじゃないか。川の上を通りますと、全部が橋の形式になりますから、非常に
工事費がかかります。というようなことでございまして、一概にすべてが
議論できないわけでありますので、これらをひとつしかるべくくふうをしてやっていくということでなければ、
事業の完成はできぬのじゃなかろうか、こう実は思っておるのでありまして、お互いにいろいろの御
意見もございますので、十分御
意見を拝聴した上で、ものをつくり上げていくということが本筋でございますから、やっていきたい、こう
考えております。