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1964-04-16 第46回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十六日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 白浜 仁吉君    理事 押谷 富三君 理事 鈴木 善幸君    理事 福井  勇君 理事 片島  港君    理事 勝澤 芳雄君 理事 山田 長司君       鍛冶 良作君    菊池 義郎君       田川 誠一君    田原 春次君       森本  靖君    吉田 賢一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (監察局長)  北脇 信夫君         郵政事務官         (郵務局長)  佐方 信博君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房郵政         参事官)    溝呂木 繁君         郵政事務官         (人事局人事課         長)      岸本 四郎君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山ただ夫君         会計検査院事務         官         (第五局長)  宇ノ沢智雄君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     阿部真之助君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         オリンピック放         送実施総本部副         本部長)    岡本 正一君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月十五日  委員吉田賢一辞任につき、その補欠として鈴  木一君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員千葉三郎君及び鈴木一辞任につき、その  補欠として鍛冶良作君及び吉田賢一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  鍛冶良作辞任につき、その補欠として千葉三  郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十七年度政府関係機関決算書  昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書  (郵政省所管郵政省関係政府関係機関関係)  国が直接又は間接に補助金奨励金助成金等  を交付しているものの会計に関する件(日本放  送協会)      ————◇—————
  2. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度決算外三件及び昭和  三十七年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社関係決算について審査を行ないます。  まず古池郵政大臣より概要について説明を求めます。古池郵政大臣
  3. 古池信三

    古池国務大臣 昭和三十六年度決算及び昭和三十七年度決算概要につきましては、ただいまお手元に印刷物をお配りいたしてございまするので、それによって御承知おきをいただきたいと存じます。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 白浜仁吉

    白浜委員長 委員各位のお手元に配付してあります昭和三十六年度及び昭和三十七年度決算説明書は、便宜委員会会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次に、会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。樺山会計検査院第二局長
  5. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 昭和三十六年度、三十七年度検査報告に掲記いたしましたものは、職員不正行為を除きますと三十六年度では物件二件、役務一件でございまして、また三十七年度分では工事一件、物件一件でありますが、検査報告記述のとおりでございまして、特に御説明申し上げることはございません。  次に、郵便局などの部内職員不正行為検査報告に載せましたものは、三十六年度で十二事項四千四百九十五万円、三十七年度で十二事項九百三十五万円でありますが、これは一事項五万円以上のもので損害がまだ補てんされていないものだけでございます。このうち、三十六年度の四一七号の品川南浜郵便局と同じく、四一八号の長野の乙郵便局の分は、約七年間にわたって不正行為が行なわれておりますが、このように長い間犯罪発覚しないというのは、郵政部内の総合的な牽制制度に欠けるところがあると認められますので、三十七年十二月に会計検査院法の規定によって、郵政省に対しまして不正行為防止対策について改善をはかるよう措置を要求した次第でございます。それに対して郵政当局がとりました対策につきましては、三十七年度検査報告の一二七ページ以下に記述してありますとおりに早期発見対策を主としてとられておるのでありますが、最近の事故などにかんがみましてもさらに努力を要するものと考えております。  以上でございます。
  6. 白浜仁吉

    白浜委員長 次に宇ノ沢会計検査院第五局長
  7. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 日本電信電話公社の三十六及び三十七両会計年度検査につきましては、三十六年度分につきましては検査報告の一三六ページ、三十七年度につきましては一五二ページ以下に掲記してございます。指摘いたしました事項は、三十六年度につきましては工事が三件、物件が一件、そのほか是正改善事項として一件を掲記してございます。三十七年度におきましては工事につきまして一件、物件につきまして二件、その詳細につきましては検査報告に掲記してございますので、これによって御承知おき願いたいと思います。
  8. 白浜仁吉

    白浜委員長 なお、政府関係機関当局である日本電信電話公社よりの資金計画事業計画等についての説明は、便宜委員会会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  9. 白浜仁吉

    白浜委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。勝澤君。
  10. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ここ数年の間、郵政犯罪防止についていろいろと論議をされてきたわけでありますけれども、まだ依然として事件が発生していることはまことに残念なことだと存じます。  特に、最近静岡に起きた事故郵政史上最高のものであるといわれておるわけであります。そこで、私は、まず静岡の七間特定郵便局における郵便貯金三千六十三万余円の横領事件につきまして、しかもこれは二十七年六月から三十九年三月まで、十一年九カ月にわたって行なわれてきたことでありますので、この事件概況、今日までの状況について、まず経過を御説明願いたいと存じます。
  11. 北脇信夫

    北脇政府委員 先般就任したばかりの監察局長でございますが、事件概況を御説明申し上げます。  事件発覚の発端になりましたものは、実はこの問題の静岡七間郵便局預入しました定額貯金が、他局払い戻しを受けまして、それが名古屋地方貯金局報告が参りましたところが、預金者氏名並びに金額が原簿と違っていたということから犯罪容疑があるということで、名古屋地方監察局連絡がありまして、さっそく監察官を急派しまして調べた。ところが、預入申し込み書の筆跡が被疑者でありますところの局長細君小牧ヤエのものであるということから、ついに自供いたしまして、そういうことから三月十二日に逮捕いたしまして、三月十四日に横領事件としまして検察庁に送致し、三月二十日静岡地検としましてはこれを起訴して、さらに、その後捜査を続けておりますと、だんだん金額もふえまして、犯罪金額としましては二百七十七件、三千六十三万円、実損は百七十一件、二千四十九万円、こういうことで四月四日にさらに地検に追送したということであります。  同人は長い間静岡七間郵便局在勤しておりまして、共通事務為替貯蓄並びに保険年金事務に従事しておりました。その手口としましては、定額貯金をもっぱら手段として使いまして、定額貯金預入がありますと、たとえば十万円の預入申し込みがありますと、定額貯金証書の十万円なら十万円と記載したものを預入者に渡して、貯金局への報告には千円とか五百円とかいうことにして、その差額を横領する。あるいは地方によくありますが、地元の人がそうした定額貯金証書を預けるわけでありますが、それをほしいままに使いまして、記号番号払い戻しを受ける、その金を横領する、こういう方法を繰り返しまして、先ほど申し上げましたような犯罪金額になったわけでございます。なお、犯行動機等につきましては、いろいろ自供あるいは家計簿等によりましてやっておりますが、主として生計費あるいは子女の結婚費用あるいは学資等というような方面に使ったもののようでございます。その後も依然として余罪とかにつきまして捜査を継続中でございます。
  12. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この郵便局は、小牧ヤエさんが逮捕されてからその後はどういうことになっておりますか。局長以下どういうようにやられておりますか。
  13. 北脇信夫

    北脇政府委員 これは人事局長からお答えするのが適当かと思いますが、四月四日付で局長局長をはずしまして平局員にいたしまして、付近の局長兼務局長を発令いたしました。それから小牧ヤエ被疑者は四月四日に懲戒免職を発令した。こういうことでございます。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この局は何人ですか。そしてその人数の人一人一人についてどういう処分をされたのですか。
  15. 北脇信夫

    北脇政府委員 この局は局長を除きまして五名局でございます。そして夫であるところの局長共犯関係はどうかということも鋭意検事の指揮のもとに捜査をやったのでまりますが、現在の段階ではその裏づけが出ておりません。したがいまして、行政処分としましては、その他の職員に対する何らの処分はいたしておりません。
  16. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、局長夫人懲戒免職した、局長は格下げして局長代理を設けただけだ、こういうことですか。
  17. 岸本四郎

    岸本説明員 前の局長小牧辻作につきましては、先ほど申し上げましたように、局長のポストをはずされまして、その後も在勤になっておりますが、本人の平素の長年間にわたります服務状況等をいろいろ調査しまして、厳正な処置をしていきたいというふうに考えております。いまのところは当該局在勤となっております。
  18. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 局長責任者でしょう。その局長のもとで、かりに奥さんであろうが、事務員であろうが、行なわれた郵政史上初めてのような事件が起きても、局長はそのままで平にされている。これが今日の郵政犯罪に対する郵政省やり方なんですか。大臣、これはいかがなんですか。
  19. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。事務的な取り扱いにつきましては、いろいろ事務当局において検討を加えておるところでありますが、局長に対する処分につきましては、最後的には未決定でございます。とりあえず局長の座をはずして局付ということにいたしておりますが、これを将来懲戒免官にするかあるいは依願退官の形をとらせるかどうするかというような今後の問題については、いま慎重に検討を加えております。
  20. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それは大臣たいへんな問題ですよ。これだけ大きな事件を起こした責任者である局長がそのままで局にまだとどまっております、これが事務的段階です、これは郵政犯罪に対する郵政省の考え方の基本に誤りがあると思うのです。またあとでまた順に聞いてまいりますけれども、そこで、この郵便局では、三十年の春に盗んだ貯金通帳を引き出しに来た男をこの小牧ヤエさんが発見して、郵政局長表彰を受けたということがある、こう伝えられております。三十年というと、発見された事件からいいますと、二十七年六月からこういうことを行なっておったわけです。こういうことを行なっておった人のところへ引き出しに来て、そして監察局長表彰を受けた、まことに驚くべきことだと存じます。監察は二十七年から具体的にどう今日まで行なわれてきたのですか。
  21. 北脇信夫

    北脇政府委員 犯行期間でありますところの二十七年の六月から三十九年の三月までの間に、総合考査といいますか、当時は年次考査と申しましたが、これを六回やりまして、監察官補による官補考査を三回やっております。
  22. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 年次考査というのと、それから官補考査三回とか言いましたが、これはどのくらいの人数で、何日くらい、どういうことをおやりになるのですか。その二つに分けていま言いましたので、内容をちょっともう少し詳しく御説明願いたい。
  23. 北脇信夫

    北脇政府委員 年次考査のほうは、これは郵政監察官が年間の計画に基づきまして総合的に局務運営状況、あるいは防犯対策はどうかというので、局務全般につきまして考査するものでありまして、また監察官補、これは昭和三十年の暮れに監察官補規程によりまして発足して、現在二百二十五名全国におりますが、これは主として防犯考査ということで防犯面からの考査のみをする、こういう意味の考査をやっておるわけであります。
  24. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、この静岡七間特定郵便局には、今日まで何年の何月幾日にだれが行った、何年の何月幾日にだれが行った、そしてそれは何時から何時まで監察を行なった、むろんこういう調書が、これだけ大きな事件が起きたのですから、取られておると思うのですが、御説明願いたいと思います。
  25. 北脇信夫

    北脇政府委員 いま調書をさがしておりますので、後ほど——何時から何時までということはお答えできかねますが、行った監察官あるいは官補氏名等は大体わかっております。
  26. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこでわかる日程説明してください。
  27. 北脇信夫

    北脇政府委員 それでは申し上げます。犯行期間だけで申し上げますが、二十八年の四月二十四日、二十五日、監察官による年次考査をやっております。その次に、三十年の三月二十八日、二十九日に監察官による年次考査をやっております。その次に三十一年の八月三十日に監察官による年次考査をやっております。   〔委員長退席福井委員長代理着席〕  その次、三十二年の七月二十三日と二十四日に監察官による年次考査をやっております。それから三十五年の三月十六、十七日に監察官による年次考査をやっております。その次が三十五年九月二十一日に監察官補による防犯考査をやっております。それから三十六年四月二十七日、二十八日に監察官による年次考査をやっております。次に三十七年三月十八日にこれは官補による防犯考査をやっております。それからこれは三十八年と思いますが、五月八日に監察官事故調査にまいっております。その次が三十八年の十一月三十七日に防犯考査をやっております。大体以上ございます。
  28. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 三十五年に定額貯金に同一名義預金があって、不審を持たれて検査が行なわれた。そのときに小牧ヤエさんは、事件発覚したのを覚悟して遺書を書いておったということがいわれておりますが、もしこのときに発見されておったらこんな膨大な金額にならなかった、こう思うのでありますが、このときの監察の結果はどういうふうな取り扱いをしたのですか。
  29. 北脇信夫

    北脇政府委員 私も最近監察局長になったばかりでございますが、いま先生のおっしゃることは、考査報告書等を見ますと確かにそういう感じがするわけでございまして、その内容を御説明いたしますと、三十五年の九月二十一日に、当時監察官補が参りまして、かねてから少額の定額が多いということで同局に目をつけまして、伊藤某定額証書引き上げをしてほしいということを局長に言うたわけです。ところが考査の終わるまでに引き上げができなかったために、後ほどでもいいから引き上げてほしいということで、それを頼んで支局のほうへ引き揚げたわけであります。ところがその後当該局から、実はあの証書本人が焼却したという通知がその後ございまして、これはおかしいというのでさっそく別の監察官を派遣いたしまして、伊藤某に会いまして事情を聴取したところが、家庭が非常に複雑でありまして、伊藤某は現在三番目の夫と結婚してすし屋をやっていますが、前夫との間に子供がおりまして、それが商売をやるための資金を現在の夫に百万円出してもらった。ところがそれをいつ返してくれと言われるかもしれない。したがって自分は前の夫からの遺産で家賃が少し入るし、小づかいも少し入る。それで少しずつかねて見知りの七間局の主事に頼みまして定額を積んでおったのだ。ところが夫がたんすを勝手にあけるのでこれがどうも見つかりそうになった。そこあわてて焼いてしまった。こういう申し出をしまして、これは実は小牧ヤエがその間に連絡をとりましてやったわけでありまして、小牧ヤエ犯行を見ますと、実在の人物の名義を使う場合に、いつも自分と非常に懇意の間柄の人、それからまた転居その他によって他局で預払いをしない人、そういうような人を見つけて名義に使っていた。そういう知能犯的な面がありましてその当時は発覚に至らなかった、かような事情でございます。
  30. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そのときの監察のしかたに不都合な点がなかったのですか。もう少し監察官としての任務を忠実に行なったならば当然それは発見できたと思われるのですが、この点はいかがですか。
  31. 北脇信夫

    北脇政府委員 実は内部監査の一環としての監察官としての非常な悩みと申しますか問題点としまして、やはり郵政職員でありますから貯金奨励にマイナスになってはならない、かような気持ちも絶えず持っているわけであります。それで絶えず郵政局貯金部方面からは、あまり手きびしくそうした通帳とかあるいは証書引き上げ対査のために直接本人の家を訪問したりしてもらったりすると、何か事故があったのではないかということで郵便局の信用にかかわるというようなことも、かねてから監察官としては十分心得ておったわけでありまして、それで相手方が焼いてしまった、しかも家庭事情がいま申し上げましたように非常に複雑である、こういう事情をるる聞かされますと、監察官としましても、なるほどそれもそうか、その間に立つところの母親の気がねと申しますか、そういったことも察して、そこでとめたという点で、いまから考えますと、もう一歩突っ込んでやればよかったのじゃないかという気もしないではないのでありますが、しかし家宅捜索まではできませんし、口頭でそれを言うのをそれ以上に突っ込むということもあるいは困難ではなかったか、かように考えているわけであります。
  32. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私の言うのはそこでなくて、小牧ヤエを通じて調査を始めたというところに監察官として問題があるではないかということです。扱っている本人扱い方が変だなと思ったら、当然その本人でなくて、別の人を通じて調査をするというのは、これは常道です。その点を申し上げているのです。その点はいかがです。
  33. 北脇信夫

    北脇政府委員 実は監察官局長にその定額証書引き上げを依頼したわけでありますが、局長は全部を小牧ヤエにまかせ切りである。したがって妻であるところの主事、しかも為替貯金の担当の小牧ヤエにそれをさらに命令をして、小牧ヤエを通じて定額証書引き上げをやらした、かような事情であります。
  34. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 監察官現場検証を行なったときには、辻作局長事務室金庫のあけ方も知らない、あるいは郵便貯金保険預入高もよく知らなかったということが言われておりますが、勤務状態なりあるいはこういう問題についてはどうだったのですか。
  35. 北脇信夫

    北脇政府委員 いま当時の考査報告書等を実は見ておるのでありますが、あまりよくないという程度でございまして、それ以上に突っ込んだことは報告書にはなかったわけであります。と申しますのは、その当時の局長辻作特推連理事をやっておりますし、あるいは部会長もやっております。そういうことで特推連仕事をやっておるんだということも参考にして監察官が判断したのではないか、かように考えております。
  36. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 金庫のあけ方も知らない、それから預入高も知らない、こういうのは常識的に監察官が顔を出して見ればおわかりになるじゃありませんか。それがおわかりにならないというならば、一体監察官というのは何のために行くのか、こう言わざるを得ないのですが、監察官はどういう教育をされて、どういう調査のしかたの指示をされておるのですか。
  37. 北脇信夫

    北脇政府委員 実は特定局考査やり方等につきましは、管理体制の確立ということも重要な一項目になっておりまして、かねてからこまかく指示してあるわけでありまして、そうした面につきましてはおそらく十分配意してやってくれたと思うのでありますが、金庫のあけ方を知らなかったということも、実は今回の捜査の結果私どもも承知したわけでありまして、当時の考査報告書にはそれほど具体的には書いてなかったというふうに私は承知しております。
  38. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この事件が起きて、二十八年からこの三十八年十一月まで、あなたの言われたここを監察された監察官の一人一人について、監察事情について調査をされましたか。
  39. 北脇信夫

    北脇政府委員 実はまだ名古屋監察局静岡支局では、この捜査に一生懸命やってくれておりますので、それが一段落しますと、今度はこの考査あるいは調査等に関与しましたところの監察官から当時の事情を聴取したい、かように考えておりますので、実はまだ個々の監察官からは聞いておりません。
  40. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これだけ長い聞こういうような事件が起きたというのは、これにも言われておりますが、郵政史上初めてだという。郵政史上初めてだというようなものが起きた原因は何か。一つは監察官監察任務を怠っておった、こう言わざるを得ないのですが、あなたはこれをお認めになりますか。監察官が真に監察官任務に従って行なったならば、こういう事故というのはある程度防げたではないだろうか。そのたまたまの例が、三十五年九月二十一日あるいはそれ以前においても、金庫のあけ方を知らないとか、あるいははんこが五十も六十もあるとか、あるいは局長内部仕事をよく知らないということを勘づいただけでも、やはりこれを少し検討しなければならぬなというのは、常識なんです。その常識がここでは当てはまらなかったということは監察官が十分にやらなかったということで、私はこれは明確にすべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  41. 北脇信夫

    北脇政府委員 監察官考査報告書を見ますと、局長管理ぶりはよろしくないとか非常に抽象的に書いてあります。監察官が帰りまして事こまかに具体的に郵政局関係部課長にも連絡をとりまして、その措置郵政局の主管の部のほうでやることにしております。その点であるいは若干知っておったかどうか、私はよくわかりませんが、連絡が十分にいかなかったのじゃないか。また局長特推連の役員をやっておった。そういう配慮があまりに過ぎたのじゃないかというような感じも、いまでありますとするわけでありますが、それで怠慢であった。これは実は考査日程との関係もございまして、おおむね一人で一日程度で大体全般的に業務の運行を見る。それからまたときによって違いますが、たとえば三十五、六年度ごろは、郵便正常運行にむしろ重点を置くという時代もございますし、貯金犯罪防止ということに重点を置く時代もございますので、必ずしも監察官が怠慢であったというふうには考えておりません。
  42. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 監察官は何のために監察するのですか、一回や二回やって監察官が発見できなかったら、あなたの御答弁でいいと思うのです。しかし十何年間も監察していて、その結果何も発見できなかった。これで監察は万全でした、こういうことにならぬと思うのです。ですから具体的に二十八年四月二十四日、二十五日に、どなたが何時に行ってどういうことをしてきたのかということを徹底的に調べていただきたいと思うのですよ。特定郵便局長と一緒になって、特推連の役員だから、役員ににらまれちゃいかぬから監察官が一緒に料理屋に行って一ぱいやっておったらたいへんな問題です。そうであったかどうかわかりませんよ。わかりませんけれども、十何年間にわたってわからなかったという事実は、一体監察官は何をやっているのか、こう言わざるを得ないじゃありませんか。それで監察については何も責任がございませんということを言うならば、それは監察局長として、われわれとしても、一体監察局というのは何のために置いているのだろうということを言わざるを得ないわけです。ですからそれが常識的に、これは無理なことだ、これはたいへんなことだというなら別ですよ。しかし、あらわれてきた事態をずっとつぶさに一つ一つ検討して、この程度のものがなぜわからないのかなというのは、常識ではございませんか。
  43. 北脇信夫

    北脇政府委員 実は私冒頭に申し上げましたとおり、監察局長に着任しましてまだ十日ぐらいでございまして、いま先生のおっしゃったようなことも確かに私自身も感じまして、この捜査が一段落しましたら、関係者につきまして十分徹底的な調査をしたい、それによって処分すべきものは十二分に処分したい、これは私限りで処分できませんけれども、関係のほうにも連絡をとりますし、また大臣、次官にもお話し申し上げましてやりたい、こういうように考えておる次第でありますし、また考査やり方等につきましても、先般私のほうの審議官を派遣しまして、名古屋監察局にやりまして、当時の考査状況等をつぶさに聞いたわけでありまして、ただいまたとえばこういうことを検討しておりますが、考査の対象局の選定の方法であります。実は三十七年の六月南浜川事件の直後に特定郵便局貯金の特別考査をやったわけでありますが、その際に名古屋郵政監察局としては、この七間局をその考査対象局に取り上げていない。こういう点にも若干問題があるのじゃないか。その際は徹底的に考査をやったわけでありますから、もしこれを取り上げておれば、必ずその際に発覚したのじゃないか。それで今後、特定局長が局務の監査、検査を局員にまかせ切りにしておる、こういう局については優先的に対象に取り上げる。それから事前準備考査として各種のデータを集めまして、この局はこういう傾向があるとか、こういう点は注意しなければいかぬということを調べるわけでありますが、前にやった考査と今回やる考査との間の連絡というものを十分にしなければいかぬ。そういったものが寸断して途中で切れますと、何回やっても最初からの考査とちっとも変わらない。つまり積み上げ方式の考査をやりたい、こういう点も実は反省、検討しておるわけであります。  それから名古屋の事例でありますが、全国で三十七年度に三百十四局貯金の特別考査をやったのでありますが、名古屋監察局としましては十七局しかやらなかった。そのほかのほうに力を入れたわけでありますが、しかも本局からは支局に対して、その他追加してもらいたいものがあれば出してこい、そういうことで静岡支局からも七間局がその候補に入っているのでありますが、それにもかかわらずそれは実施していない。こういうふうな点でいろいろ抜かりがございまして、管内事情に最も詳しいのは本局よりはむしろ支局だ。したがって支局長の権限をもう少し強化したらどうか。その他地方貯金局あるいは本省貯金局等に対しても、今後のあり方等につきましては、ちょうど監察局長の入れかわりの時期でございますので、私は私なりの考え方でいろいろ勧告いたしたい、かように考えておるのであります。
  44. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほど出てきました特推連理事とかいうのはどういう役員なんですか。私はしろうとでよくわからないのですが……。
  45. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 お答え申し上げます。特推連と申しますのは略語でありまして、正確には特定郵便局長業務推進連絡会ということでございまして、昭和三十七年の公達によってきめたものでございます。そしてこの会は役員を置きまして、会長一人、副会長一人、それから理事三人以内ということになっております。この役員は一応地方郵政局長指名するようになっております。
  46. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それは特定郵便局長会というのとは違うのですか。それはどういうのですか。
  47. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 ただいま申し上げました特定郵便局長業務推進連絡会というのは、公達によってできました、いわゆる業務をやっていくための公式のものでございます。それからいま先生のおっしゃいました全国特定郵便局長会と申しますものは、現在は私的任意団体ということになっております。   〔福井委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 特推連というのがあって、それから全国特定郵便局長会があって、これは入っている人は違うのですか。
  49. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 いわゆる特推連のほうは全特定郵便局長を網羅しております。それから特定郵便局長会というのは私的団体でございまして、実際は全部入っていると思いますが、一応任意団体という形になっておりますので、強制力はないと思います。
  50. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは特推連というのがあって、どういうわけでもう一つ特定郵便局長会というのがあるのですか。
  51. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 特定郵便局長業務推進連絡会は、省といたしまして、特定局というのは非常に小局でございまして——郵便局というのはいま郵政局長の直接の指揮監督下にございます。しかし特定局は非常に小局であって多数ありますので、それらの業務上の連絡を円滑にし、いろいろ事業を能率的に運営するためには、一つのグループ的な連絡機関をつくったがよかろうということで、特推連をつくったわけでございます。片一方、特定郵便局長会のほうは、私的任意団体でございまして、これは特定郵便局長の経済的な問題、そういったものをお互い同士、将来助け合っていこうというような形でつくられたわけでございまして、これは私的任意団体でございますので、省としてはそれを使ってどうこうということはございません。
  52. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 特推連というのは役所の団体で、特定郵便局長会というのは民間の任意団体だ。そこで特推連と全国特定郵便局長会の役員はどういうふうになっているのですか。
  53. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 特定郵便局長会のほうを、私は簡単に私的任意団体と申しましたが、ちょっと詳しく申し上げますと、全国特定郵便局長会という全国的な組織がございまして、その下に各地区会と申しますか、小さな分かれた団体がございます。あるものは国家公務員法による団体として登録されて、法人格を認められた会もございます。しかし全国特定郵便局長会は私的任意団体となっております。それから役員の構成でございますが、特推連のほうは、先ほど申し上げましたように郵政局長がこれを指名するようになっておりますが、任意団体であるほうは、それぞれの会において適当に処理しているようでございます。この場合、一応調べたことはございますが、詳しい資料はございませんが、相当部分、これがダブって役員になっておるのが実情のようでございます。
  54. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 特推連関係と、全国特定郵便局長会の現状や規約とかなんとか、その役員の現況をあとで資料にしてひとつ出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  55. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 調べまして後刻出します。
  56. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この局長特推連理事であって特定郵便局長会の役員はやっておりますか。
  57. 北脇信夫

    北脇政府委員 ブロックの会長をやっておりました。
  58. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ブロックの会長をやっておる。特推連理事をやっておる。ブロックの会長は私的なものだから別として、特推連理事というのはどういうことをやるのですか。
  59. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 条文を読んでみますと、第四条に各役員の所掌事務がございますが、「会長は、連絡会を総括整理する。二、副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときはその職務を代行する。三、理事は、連絡会の事務を掌理する。」というふうになっておりまして、実際には、会長のもとで、たとえば貯蓄関係の専門の理事とか、あるいは何々の理事と担当を指定しているところも相当あるようでございます。
  60. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この連絡会はどういうことを行なうのですか。
  61. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 第一条にございますように、「特定郵便局の相互の業務上の連絡を円滑にし、事業の能率的な運営に資するため」ということになっておりまして、やはり先ほど申し上げましたように、特定局が非常に小局であるということから、それらをグループにしてお互いに連絡を密にさせることが小局管理のいい方法であろうということで、三十一年に設置したわけでございます。
  62. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、それはレクリエーション団体であって、郵政犯罪とか、そういうものについてはお互いに啓蒙し合うとか、そういうことはやらないのですか。
  63. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 ふだんの仕事としましては、第二条に書いてありますように、「業務の正常運行、事務能率の向上および事故犯罪防止」とあり、どうしたらば防犯ができるかというようなことについてお互い同士連絡し合うということが入っております。しかし、具体的に犯罪が起きたときに云々という問題は、特推連仕事から見て、ちょっと権限外の問題ではないかと思っております。
  64. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 事故犯罪防止というのは、よそからやられる事故防止するのであって、内から起こる事故防止しない、こういう御説明なのですか。
  65. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 説明不足で誤解を招いて申訳ありませんが、そういう意味じゃございませんで、当然自分たちも事故を起こさないようにする、あるいは犯罪を起こさないようにするということも、お互い同士連絡し合う、これがこの会の仕事と思っております。
  66. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 こういうような不正があった局の局長特推連理事になっておる。それを郵政局長が任命しておった。郵政局長は、理事にするためにはもっと厳正な任命をしなければいかぬと思うのですけれども、十何年間も行なっておる。一体郵政局長は何をやっておったのですか。特推連理事にした。その理事にしたために、どうも監察に手心を加えてきたのではないだろうかというような感じを受ける御答弁を先ほど監察局長がされております。そうすると、郵政局長特推連理事を任命するときに一体何を基準にやるのですか。これは事故をやりそうだから、こいつをやっておけば事故をやらなくなるだろう、逆じゃないだろうかと思うのですが、これはどうですか。
  67. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 郵政局長が 犯罪をやりそうだということで理事に任命したのではなくて、要するにその地方のブロックのいろいろ仕事をするについて適任であると郵政局長も判断して任命したものと思います。その後こういう問題が発覚したのではないかと思います。
  68. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この人は特推連理事なり、あるいはブロックの会長はいつからやられておるのですか。
  69. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 特推連のほうの役員は、任期が一年でございますので毎年任命されております。  それから、局長会のほうは、一年のところ二年のところとあって不確定なので、ちょっと申し上げかねますが、七間町局長は、三十九年三月二十二日に局長会のほうの会長に選出されております。それから特推連のほうは毎年再任されておるようでございます。初め理事になりましたのが三十一年で、その後毎年再任されておるような状況でございます。
  70. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ブロックの会長はいつからですか。
  71. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 西駿河の特定局長会長は三十九年三月二十二日に選出されております。
  72. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ブロック会長になるためにだいぶお金をお使いになったといううわさがあるのですが、よくお調べになっておりますか。
  73. 北脇信夫

    北脇政府委員 金の使途につきましては目下鋭意捜査中でありまして、ただ、現金は一切夫の辻作が持ちませんで、つけを全部妻ヤエのほうに回す。しかし、ヤエのほうも月に二千円ぐらいしか払わなかったというようなことがわかっております。
  74. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほどもちょっと局長のおことばに出ておりましたが、神奈川の南浜川特定郵便局、これが会計検査院から指摘されて——三十年の八月から三十七年五月、これも約七年ぐらいですね。千六百九十六万円の横領事件が出ておるわけでありますが、このときの局長はどういうような処分をされておるのですか。
  75. 岸本四郎

    岸本説明員 南浜川の局長につきましては、若干当該犯罪関係がございましたので、停職一年の処分をしまして、いわゆる部外排除というふうな措置をいたしました。
  76. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 停職一年という御処分で部外排除。退職金の関係はどうなりましたか。
  77. 岸本四郎

    岸本説明員 退職金は懲戒免職でありませんので出ております。
  78. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 特定郵便局長を中心として起きた事件について、処分が一般の公務員と違って軽いように私は思うのですが、軽くしなければならぬ根拠はあるのですか。
  79. 岸本四郎

    岸本説明員 処分につきましては、事犯の内容を厳正に調べまして、特に特定局長であるということの理由でもって軽くするとかいうようなことはいたしておりません。
  80. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 品川の南浜川の郵便局で起きたような事件で、局長が引責辞職をするならともかくも、停職一年にして、あと退職金をくれて、就職あっせんまでしてやめさせる。まことに御丁寧なことだと思うのです。これが郵政犯罪を起こしている原因とお思いになりませんか。こういう処理のしかたでよろしいでしょうか。いま、あすの公労協のストライキに対しまして、郵政大臣は厳重な申し渡しを一人一人の職員に言っております。合法か非合法かは別として、その取り扱いと、そしてこういう犯罪事実を起こした者に対する責任者処分と引き比べてみて、これで郵政犯罪がなくなる、国民に申しわけが立つと思われているところに、私は大きな問題があると思うのです。  大臣に重ねてこの問題をお尋ねいたしますが、この静岡の七間郵便局の問題、これは今日まで特定郵便局の中でずっと積み重ねられた結果としてこういうものが出てきているわけでしょう。そして監察が、御案内のように、先ほどの説明でも九回にわたって行なわれておる。二日間にわたって行なわれている監察もある。それで、判こを五十も六十も小牧ヤエさんが持っておって、そして金の出し繰りをして、郵便局長は金庫のあけ方すら知らなかった。業務の運営についていろいろ聞けば、局長は話ができずに、みんな奥さんが説明をせざるを得なかった。こういう局長のもとで何か起きるであろうというのは予測されると思うのです。予測されないとするならば、一体監察というのは何のためにやっているのですか。これは監察の質の向上の問題もあると思う。そういう点から考えまして、いままでの局長もかわって、十日間だけだというんですから、まさか静岡の七間郵便局事件があったために監察局長がかわったわけではないでしょうが、取り扱いとして私はまことに不十分だと思うのです。特定郵便局の制度の問題について、いまほどいろいろな問題で検討せねばならぬときはないわけでありますが、その点で、この事件の処理がいまのような状態でよろしいかどうか。私は、早急にこれは再検討して、きっちりした処理をすべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  81. 古池信三

    古池国務大臣 このたびの静岡七間局において起こりました犯罪事件につきましては、十一年数カ月にわたって犯行をいたしておりまして、まことに悪質な事犯でございます。これにつきましては、私どもといたしまして、まことに申しわけのない次第で、何とも弁明の余地はないと考えております。そこで、先ほど来るる御質問あるいは御意見を伺いました点はまことに一々ごもっともと存じております。私も就任以来、かように大ぜいの従業員が集まって仕事をしている組織でありまするから、その中にはやはり執意を正し、信賞必罰ということが絶対に必要である、かように考えまして、機会あるごとに従業員に対しまして戒めているのでありまするが、そのさなかにかような不幸な事件発覚いたしました。まことに残念でたまらない次第でございます。この事件発覚いたしました後におきまして、私はさっそく部内一般に対して、この問題を契機に今後一そう綱紀を粛正し、かような事故を絶対に二度と繰り返さないように厳重に注意を喚起したところでありまするが、この当該局につきましては、だんだん調べてまいりますると、この小牧ヤエなる者は、非常に悪質な、また知能にたけた犯罪を犯したものでありまして、それは何ら弁解の種になるわけではありませんけれども、今日まで十回以上にわたって考査並びに監査をしたにかかわらず発見できなかったということは、やはりそこに監察の上において手抜かりがあったということは認めざるを得ないと思います。したがって、私は、今後一面においては監察の再検討をいたしまして、これを強化し、そのやり方についてほんとうに実効のあがるような方法に改正をしてまいりたいということを考えると同時に、一面また事務的な方面から言いましても、貯金取り扱いにも不十分な点があったのではないかという点を考慮しまして、貯金の担当者に対しまして至急事務上の改善をはかるように指示をいたしたところでございます。  さらに、この犯罪を犯した者につきましては、今日司直の手によって捜査並びに審理が行なわれておりまするからその点は触れないといたしましても、その局長がかような犯罪を局内に起こしたということは、局長自身がこれに関与したかどうかということはいま調査中でありまして判然といたしませんけれども、関与したしないにかかわらず、監督者として、局長として重大な責任があるということは申すまでもないと考えます。そこで、先ほど申し上げましたように、いまはとりあえずの措置として暫定的に局長からはずしまして、局勤務といたしておりますが、今後十分に調査をいたしまして、その上で厳正なる処分をいたしてまいりたいと思います。  先ほどもお話がございましたように、かような悪質の犯罪に対しまして、あるいはその責任者に対しまして処分が軽いというようなことでありますると、やはり綱紀粛正という上において決してよい影響を与えるものではないと考えます。したがって、今回の七間局の問題につきましては、私はあくまで厳格なる態度をもって臨み、これが部内一般に一つの警告の役目をするという点も考慮に入れて考えてまいりたいと存じております。
  82. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣、ここは、局長を入れて六人だという話です。そして奥さんが引っぱられて、局長を平局員に下げただけで、それで局長代理を持ってきた。また同じメンバーでやっているではありませんか。ですから犯罪についてのきびしさがないと言うんです。これだけ大きな事件を起こしながら、郵政省としてそれでいいと思っているところに問題があると言うんですよ。先ほどもそうでしょう。品川の南浜川で七年間にわたって千六百万円も横領されていて、それで発見された局長関係があった、一年停職で退職金を出したというのです。こんな悪質な処理のあり方がありますか。許されないことですよ。そういう監督の処理のやり方じゃありませんか。国民の立場からいってこれはやはり郵政省としてきっちりした処理をしなければいかぬと思います。私はこれ以上言ってもしかたがありませんから処理を見ておりますけれども、こんななまぬるいやり方をしておったらいつまでたっても同じなんです。ましてやこれが特推連理事としてブロックの会長だ、そこにまた手心が加えられているとするならば、やはり特推連とは何ものだということをいわざるを得ないじゃありませんか。ここに金をかけて一体何をやっているのだ、特定郵便局長と郵政局長が一緒になって飲み食いをやっているのじゃないだろうか、何のためにこういう会をつくっているのだろうかといわざると得ないと思います。  それから監察局長のほうにもよく——まだおかわりになったばかりだそうですけれども、やはり監察をやった事実をよく調べていただきたいと思うのです。先般会計検査院が北海道の大学で一ぱい飲んだとか飲まないというお話が出てきました。会計検査院としてはきっちりこれを取り調べをして、そしてそれについての明確な処理をいたします、それはあたりまえのことです。しかし監察官がこれだけ長い期間やっていながら、事故を発見できなかったというのは、一体どこに欠陥があるのか、これはえりを正して監察やり方について直さなければならないと同時に、特定郵便局という特殊な存在の中における監察やり方というものは、郵政局長と談合でものをすることでなくて、国民の金を預かっておるのだ、大事な貯金を預かっておるのだというもっときびしさを持たせるべきだと思うのです。  そこでもう少しお尋ねいたしますが、会計検査院は三十七年十月二十二日に郵政犯罪防止について改善の意見を出されました。その結果は回答で出ておりますが、この間静岡県七間郵便局事故が起きて、特殊な是正の方法を考えたようであります。私は、もし三十七年十月二十二日に会計検査院から出た報告に基づいて真剣に郵政当局がこれについての対策をしておったら、この事故捜査当局であがらぬうちに、当然これは監察の中でおわかりになったと思うのです。意見を出した検査院としての御感想をひとつ聞きたいと思います。
  83. 樺山ただ夫

    樺山会計検査院説明員 今回の事故は・定額貯金でたとえば十万円の預金がありました場合に、原簿庁へは千円と報告し、差額の九万九千円を横領するというような手口でございます。いままで監査についていろいろ御意見がございましたが、私ども現場の書類を幾らひっくり返してもそれだけではなかなかわからない。また預金者家庭を訪問するということも業務上好ましくないということでございますれば、私ども検査に行きましてもなかなかそういう問題は見つからないということがあるようでございます。結局原簿と預金者通帳あるいは証書というものの対照が全然とられていないというたてまえのところに、われわれとしては問題があるかと考えるわけでございます。したがいまして、たとえば現在郵便局定額貯金証書を発行いたしておりますが、これを原簿庁である貯金局で発行いたすことにいたしますれば、このような犯罪は起こらないということになるわけでございます。もちろん期間とか、そういう関係があって、サービスの点はもちろん考えなければならぬと思いますが、そういう方法でやるとか、あるいは検査院の改善意見書にも述べましたように、あるいは定額貯金証書を全額別に数種類に分けて印刷するというような方法をとりますれば、大きい金額犯罪は行なわれにくいというような結果になるわけでありまして、私ども別に必ずこれをしなければならぬという考えでございませんが、いろいろ業務とか経理の面を考えまして、もう少し犯罪防止につきまして何らか考える必要があるのじゃないかというような意味におきまして、改善の意見を提出いたした次第でございます。
  84. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 会計検査院にお尋ねをするのですが、その改善意見の御説明ではないのです。あなたのほうで出した改善意見を郵政省がまじめに取り上げて実施しておったら、こういう事故がもう少し未然に防止できたのじゃないだろうか、私はこう言っておるわけです。ですから検査院の意見というものについて郵政省当局があまり真剣に取り上げていない、事故が起きて初めて新しい案として、最近金額機をやめて記名計算機にするとか、あるいは受領証をどうするとか、こういうことを言い出したわけです。ですからそういう立場から会計検査院の御感想を聞かしてもらおうと思ったのですが、まさか遺憾であるということは言いにくいでしょうからこの程度で、関連があるようですから……。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣に伺いたいのですが、郵便局は全国に普通局、特定局ずいぶんだくさんございますし、それから明治以来の歴史を持っております。それからもう一つは、零細な国民貯金を預かっております。さらに財政投融資のうちの資金運用部の資金は三十七年度のあなたの御報告によりましてもその五〇%を占めておる、ますます重要性を加える、こういうような数個の点から観察いたしまして、やはりまずくなっていけば、郵便局の窓口の預金というものは、しまいに他の金融機関に取られてしまうのじゃないか、実質的に取り上げられるのみならず、無用である、有害である、こういうような論さえ起こるのじゃないか、こういうことを実に懸念するわけです。でき得べくんばもっと限度を大きくいたしまして、そうして預金の便宜をはかるというような方向でいくべきですけれども、そういった施策を積極的に進める上においても、このような事件が・こんなだらしないことではどうにもならない。先般もこの委員会でありましたか、私はちょっと発言をしたのですが、ともかく金融機関は、いま預金者の金につきましてきわめて神経が鋭敏であります。市中銀行におきましても千円違いましても行員の退出を許さぬのです。そして八時になりましても十時になりましても計算をし直さすぐらい厳重にやっておるのです。そういう点からいうと、何か根本的に大きな能力が欠けておるのじゃないかとさえ実は思うのです。ことに法律を読んでみますと、郵政省設置法には、七条の壁頭に、監察局においては、「郵政省の所掌事務に関する犯罪、非違及び事故調査」するということが書かれております。だから犯罪と非違と事故を普通局、特定局にわたって全国的に監察するということを厳格に履行していかれるならば、前段の調査の集計なり業績なりによって、知識なりそういうものはずいぶん高くなっていくはずだと思うのです。こういう点について私は欠けておるのじゃないかと思う。だからこれは抜本的に対策を立てなければいくまいじゃないかと思います。それらの点をひとつにらみ合わせて大臣の所見をはっきりしていただきたいと思いますが、お願いいたします。
  86. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま御意見の含まれました御質問に対しまして、私は全面的に全く同じように考えております。今日私どもの郵便局は全国で約一万六千でございます。そのうちで普通局は千局余り、あとの一万五千近くのものが特定郵便局でございます。そして全国津々浦々に設置されまして、長い伝統のもとに郵便貯金事業を行なってきておりまして、国民から非常な信頼を得ておるわけでございます。その信頼は国の事業であるから間違いはないであろうというふうな観念のもとに信頼を受けておるものと考えます。そういうような状況のもとにおいてただいまのような犯罪が起こったということは、私として非常に遺憾千万でございまして、これが国の行なっております貯金事業に対する信用を傷けるというような点について、私は非常に憂慮いたしておる次第でございます。したがいまして、今後再びかような不祥事の起こらないように重々注意をし、監督をいたすつもりでありますが、これにはただいま仰せのように、一面においては貯金の事務の取り扱い方、銀行等においては非常に綿密におやりになっておる、そのとおりだと存じます。郵便局におきましてもこういう点において、もちろん放漫にやるという意思は毛頭ありませんけれども、しかし、その間にやはり手抜かりがある、十分でない点があるということは認めざるを得ないと思います。したがって、第一には今後貯金の事務の取扱いの完ぺきを期するということに一そう努力をいたしますと同時に、常時かような犯罪の起こらないように監察の点を一そう強化してまいりたい。いままでいろいろ過去の経過を調べてみますと、もう一歩というところで犯罪を見のがしておるようでございます。今回の静岡七間局の問題にしましてもしかりでございますが、その前の先ほど例にお引きになった南浜川局の場合においても、もう一歩踏み込んで調査したならば、事件が明るみに出たであろうと考えられるのに、いかにも歯がゆい点が見受けられるのであります。こういう点については、今後監察やり方を十分に検討いたしまして、かような手抜かり、手落ちのないようにいたしたい、かように考えております。
  87. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 特に資料をお願いしておきたいと思うのですが、最近の郵政犯罪の実情についてまず資料をお願いいたします。それから特定局犯罪につきましては、最近五年間の事件の経過、結果、そしてそれについての関係者の処分、それから特定郵便局の中に家族郵便局というのですか、家族でやっておる実情、これをひとつ次の機会までにお出し願いたいと思います。  それでは郵政犯罪関係は終わって、まだ大臣に対して押谷先生があるそうですから、そちらに譲ります。あとまた保留しておきます。
  88. 北脇信夫

    北脇政府委員 冒頭に言われました五年間の犯罪の経過、非常に事件がたくさんございますが、これは部内、部外の犯罪を含めてでございますか。
  89. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 部内犯罪だけでいいです。
  90. 北脇信夫

    北脇政府委員 承知しました。
  91. 白浜仁吉

    白浜委員長 押谷君。
  92. 押谷富三

    ○押谷委員 郵政事業の基本問題について少しお尋ねをいたしたいと思います。  郵政事業特別会計職員が三十万人もおります。郵政事業は為替貯金事業、保険年金事業といった大きな事業のほかに、電電公社等の受託業務や国庫金の取り扱い事業等実に膨大なものでありまして、かつ複雑な事業を全国的にわたりまして、一つの大きな組織網を持って行なっていらっしゃるのでありますが、これらの各事業は、いずれも所得倍増計画に従って、その事業量もたいへん増加をいたしております。特に郵便事業における速達、新聞雑誌、小包等はここ十年間におおよそ二倍もあるいは三・六倍にも激増いたしております。非常に御苦労であると存じておりますが、かような業務量の増大に対応するために人をふやすということも考えられましたが、十分の確保ができません。そこでこれをどうするかということを考えますと、事業の近代化、機械化ということが当然浮かんでまいるわけであります。当局におかれても郵政事業の近代化、機械化、合理化、能率化ということにいろいろ御苦心になっていらっしゃると思いますが、しかし郵政事業というものの性格で、郵便の集配というようなものはやはり人の手で集めてきて人の手で配るというのですから、機械化と申しましても、自動車を使うくらいのことしか考えられない向きでありますけれどもしかし相当に大きな事業量を持っており、また多岐にわたるお仕事をしていらっしゃるのですから、やはり企業の合理化、機械化というものはお考えにならなければならぬのであります。  さて、これを民間の事業や他の省庁の事業の近代化、機械化から比べてみますと、どうもおくれているという批判が多いようです。お耳にも達せられていると思います。これは郵政内部からも外部からも、郵政事業の機械化は二十年もおくれているといわれております。私はまさか二十年もおくれているとは考えませんけれども、しかしこういう事態に処すのには、大臣を初め御当局は郵政事業の機械化、近代化に前向きに積極的にやってもらわなければならぬと思うのですが、その点にどうも今日までなまぬるいところがあるのではないか、もちろん私の手元に郵政事業長期計画等もございます。これには近代化もあります。しかしそれがはたしてその計画どおり着々となされているか、あるいは計画だけで机上のプランに終わっているのではないかというような見方もあり、そういうそしりもあります。これは去る一月三十日に郵政審議会に対して郵政事業の近代化に関する御諮問を発せられました。これからしっかりやろうという御決意のほどは、これで一応うかがわれますけれども、しかしここでやはり聞いておかなければならぬのは、これからではおそいので——いまからでもおそくないということばもありますが、三十六年の五月に、郵政事業の長期計画というものがすでに発表されております。この内容は相当多方面にわたって合理化、機械化、能率化というものを考えられた計画が立てられているのでありますが、この計画の実績が一体どうなったか、長期計画というものがペーパープランで終わっているのか、それとも実際に進められているかということを主としてこれからお伺いをしたいと思うのであります。これは郵政事業の機械化というものは、今日どんどん事業量はふえていく、人の獲得は十分でありません今日の時代において、人材を郵政関係で集めるということにも相当の困難が予想されるから、一段と機械化の必要が私どもは考えられるので、当局でも御痛感になっていると思います。  さて、お尋ねをいたしたいと思うことは、長期計画にうたわれているのですが、「東京中央局のほか大中央局および新設予定の大集中処理局の主要局」これは八つだと思いますが、八局に対し、自動区分機、これは普通小包です、また「大物区分機および分類取揃押印機の配備ならびに搬送設備の新改造を行ない、作業の近代化をはかる。」と書いてあるのでありますが、まことにけこっうな機械化でありますが、この実績は一体どうなっているか、はたしてここに書かれているようなことがなされているかどうか、まずそれを伺いましょう。
  93. 古池信三

    古池国務大臣 お尋ねに対しましてお答えを申し上げるに先立って、私の防がまえを簡単に申し上げてみたいと存じます。  仰せのとおり、郵政事業におきましては、郵便にしましてもあるいは貯金にしましても、保険にしましても、その他あらゆる仕事がすべて国民の日常生活に直結した仕事ばかりでございます。したがって、日常私どもはいかにすれば国民に対してよりよきサービスができるかということを心に置いて努力をしてまいっておるのでございます。したがって、事業についての合理化という問題、近代化という点につきましても、今日まで先輩の方々がいろいろと苦心をされて計画を立てられておることも十分承知しております。またその線に沿って今日まで郵政省として努力を続けてきたわけでありまするけれども、御承知のように社会の一般情勢あるいは経済情勢というものは最近飛躍的な発展を見ておりますので、どうしてもこの社会環境に対応するように、郵政事業を一そう近代化していくためには、よほど大きな決意をもってこれと取り組まなければならないと私は考えた次第でございます。そこで、昨年就任しまして以来さっそく九月に全国の郵政局長を集めまして、そうして問題を出しました。それは郵政事業の近代化についての方策いかん、こういう問題を出しまして、それぞれの局に自分の知識、経験に基づいた案を持ち寄ってもらって協議をいたしたのでございます。その中にはいろいろな意見が出てまいりましたが、私はこれを分類いたしまして、まず、すぐに着手でき、すぐに実行できるもの、それからいますぐに実行はできないが、それのためには法律的な処理あるいは予算的な措置を要する、またもう少し調査検討を加えねばならない問題、こういうふうに分類をいたしまして、直ちに実行に移し得るものはすぐにやりなさいということで、直ちに実行に移してまいっております。しかしながら、かようなことではとうてい十分ではもちろんございませんので、本年一月に至りまして、省内に設置されております郵政審議会がございますが、これは御承知のように郵政省の設置法に基づいた法律的な機関でございます。この郵政審議会に対しまして、郵政政事業の近代化についての御意見を伺おうというので諮問をいたしたわけでございます。私は、郵政事業は非常に関係するところが多い事業でありますから、簡単に短時間のうちに結論が出ようとは考えておりません。画期的な大きな体質の改善をやっていくというには、少なくとも一年あるいは二年くらいの日時をかけて、じっくりと腰を据えて、ほんとうの徹底した近代化を行なうべき御意見を承りたい、こういう態度で臨んでおります。しかしながら、その意見が出ますまで待っておるわけにはむろん参らぬ問題もありますから、それらについては並行的にこちらでいろいろ計画を立てておる次第でございます。それから郵政事業については、もちろん近代化といえばすぐに機械化ということが頭に浮かんでまいりますけれども、やはり電信電話の事業などとは違いまして、人間の手足に依存する部面の仕事がたいへん多いのでございます。今日、郵政事業の経理状況から見ましても、経常支出のうちで八〇%は人件費に使っておるということを見てもおわかりいただけると思いますが、そういうふうな性質の事業でありますけれども、なおかつ機械化できるものはあらゆる方法を講じて機械化をしていこう、こういうふうな見地から、ただいま御指摘になりましたような問題についても着々実行に移しております。そこで、先般郵便局としまして、いろいろの機械化を集中してモデル的な局を建てようというので、京都の中央郵便局を指定いたしまして、これが建設されたわけでございます。この局におきましては、局内のもろもろの作業をできる限り機械化をいたしまして、近代的な設備を備えたわけでございます。これを全国的に及ぼすということが必要になると思いますけれども、これも一時に行ないますことは予算の関係上許しません。逐次重要な地点から、かような新しい設備を拡充してまいりたいと考えておるような次第でございます。  余談にわたりますが、先般カナダ国の郵政大臣が日本に来られまして、日本における代表的な郵便局を視察したいという御希望でありましたので、私どもは京都の中央郵便局に案内をして見ていただきましたが、その視察後の感想としては非常にりっぱな施設である、かような近代化された郵便局はカナダにも見られないというような感想を漏らしておられたようであります。もちろん外交的辞令も幾分はあると思いますけれども、しかし現実に相当進んだ施設を用いていることは事実でございます。  なお、先ほどの押印機その他の機械化の具体的な問題につきましては、関係事務当局が参っておりますから、そのほうからお答えいたさせたいと思います。
  94. 佐方信博

    ○佐方政府委員 長期計画で考えておりますことが、いま実績がどうなっておるかというお話でございますので、お答え申し上げます。  先生のおっしゃいました局内の機械化につきましては、大きく言いまして運搬関係と、作業関係とあるわけでございまして、運搬関係では戦前から東京と大阪の中央郵便局で相当の搬送設備を持っておりました。しかし、戦後におきましては名古屋中央郵便局に相当大きなものをつくってまいりました。この方面におきましては、最近は大阪中央郵便局の中の設備をやりかえるというようなことをやりまして、着々実行に移しております。  それから、京都に小包自動区分機というものをつくりました。これは先ほど大臣がお話しになりましたように、諸外国からもいい施設ができておるというようなことをいわれておるわけでございます。  そこで一番問題になりますのは、局内作業の中でも運搬関係じゃなくてほんとうの作業する機械でございます。実は世界じゅうどこの国でも最近郵便物が非常にふえる、人はなかなかいないというようなことから、各国が郵便の近代化の委員会を持っております。日本もその理事国になっております。昨年の秋その大会もございまして、各国いろいろな資料を持ち寄ってきておりまして、非常な熱意を示しているわけでありますが、われわれもその間におきまして、先生おっしゃっているように二十年おくれておるとは思いませんけれども、相当啓発をされる点も多かったのでございます。そこで実績関係につきましては、京都中央でそういうふうに小包区分機は相当実用化せられましたけれども、書状の自動区分機というものを一台置いて実験をいたしております。これがなかなかむずかしい問題がありますけれども、今後開発をしていかなくちゃならぬ問題だと思っております。  それから東京で一番郵便がふえるわけでございますので、いま考えておりますのは、先生御指摘のように小包を東京中央郵便局からはずしまして、一つは東海道線は全部汐留に持っていく、一つは、東北関係につきましては石浜に持っていく、これは両方とも局の敷地がようやく買収できましたし、予算もとれておりますので、ただいま設計をいたしております。したがいまして、ごく最近の機会には発注ができるだろうというふうに考えております。それから東京の各局からその局に持ってまいりますときには、全部コンテナー輸送をしていくというふうに考えております。それから第三種郵便物だの印刷物につきましては、これも晴海に敷地をとっておりますので、設計を終わり次第発注をしていく。そこで近い将来に東京で三つの大きな局につきまして、思い切った機械化したものができるのじゃないか、こういうふうな予定を立てておる次第でございます。
  95. 押谷富三

    ○押谷委員 いろいろ御説明は伺いましたが、私の申し上げているのは、三十六年の五月の郵政事業の長期計画にすでに一つのプランが立てられているのであります。京都郵便局をモデル局として新しい施設をせられたことも聞いております。またその小包に対して機械化したテストもいろいろ披露されたので、新聞雑誌等によって見ましたが、これは一体成功しておるのですか。小包についての仕分けですか、何かベルトコンベアみたいなものでやるのじゃないかと思うのです。私はわからないのだが、非常に成功しておるということになれば、局内施設としてどんどん他の局に用いて施設をすべきものだと思うのですが、よその局でそれを採用されておらない、採用計画もないということになると、どうも京都の試験は、いま大臣のお話ではカナダがほめてくれたというのですけれども、これはまるまる外交辞令であって、ほめるものじゃないんじゃないかという感じもいたします。実は私の手元調査をいたしたところによると、この長期計画の局内施設の機械化はゼロである、できておらぬ、ここにちょっと御答弁との間に食い違いがあると思う。ほかのものには、やや手をつけておるものもありますが、これはプランだけで、一切実行に移しておらぬと聞いているのですが、これはどうですか。
  96. 佐方信博

    ○佐方政府委員 京都中央郵便局の小包の区分機は、相当な成果をおさめております。ただ機械化と申しますと、どの局にもやれることじゃございませんで、やはり相当の引き受け物数がないとやれないということになりますので、たとえば小包等につきましては一日大体一万個ぐらい以上ないと機械化の意味がないわけでございます。そういう意味で考えますと、局内の施設の機械化がいろいろ書いておるけれどもゼロだと先生おっしゃいますが、でき上がった姿としては京都を除きますとゼロだと思います。しかし、すでに予算化もしておりまして、設計も全部終わっておりますので、この辺につきましては、三十七年度の石浜でありますとか、三十八年度の晴海というものがこの長期計画に載っておるわけでございますが、それは全部予算化をして、いま局舎の発注までできることになっておりますので、この分はもう近い機会にそのままの姿として、京都で実験したのをもっとよくしました形で出てくる、こういうふうにお考えいただきたいと存じます。
  97. 押谷富三

    ○押谷委員 せっかくよいものができたら、京都だけが物数が多いというわけじゃない、小包が多いわけじゃないので、東京、大阪、名古屋その他たくさんあるのですから、いいものはどしどし予算化されて、それを実際の施設として増設をせられるほうが、この長期計画の趣旨に合う。私のゼロというのは、この長期計画から見たプランが実行に移されておらぬということを申し上げたのです。  次に、窓口事務の機械化についてであります。窓口事務の機械化については、長期計画の九ページに明らかになっております。主要繁忙局に対して、郵便料金の計器だとか自動引き受け機、または主要普通局、主要駅等に切手、はがきその他自動発売機を大幅に増設するということをいわれておる。小幅にはあるかもわからぬが、大幅に増設するということばを使われておる。どの程度これが実績をおあげになっておるか。また実績があがったならば、これに伴うて必要な資金も要りましょう。人員の節約ということもありましょう。こういうことについて、ひとつ投資はどれくらいか、投資の効果はどれくらいあがっておるかという実績をお尋ねいたしたい。
  98. 佐方信博

    ○佐方政府委員 窓口事務の機械化につきましては、実を申しますと、いわゆる局内施設の機械化ほどはいまのところ進捗いたしておりません。切手、はがき発売機につきましてはできるだけこれを置いて窓口の繁忙を緩和したい、また町でできるだけ買うようにひとつ努力したいと考えておりますけれども、ただいまのところこの方面につきましてはあまりいい結果が出ておりません。本年度から相当力を入れて切手、はがきの発売機の設計その他については研究をしていきたい、いろいろの業者を呼んでもう少し力を入れたい、こういうふうに考えております。それから料金計器の関係につきましても、いまのところこれはいろいろな会社からのいろいろな資料がございますので、いろいろな機械を入れまして実験をいたしておりますけれども、これが一番いいという段階までなかなか至っておりませんので、この辺につきましてはあまり的確に実行はされておらないというのが現状でございます。
  99. 押谷富三

    ○押谷委員 集配の設備の機械化なんでありますが、これも長期計画にはこまかい数字をもちまして、小包の場合あるいは一般郵便の場合を分かち、それに対して自動車、軽自動三輪車、原動機付自転車、軽自動四輪車、それらいろいろな設備をもって機械化をしよう、これは人でやるのですが、その人の力を機械によって補助をしてスムーズに事務を行なおうという機械化計画なんでありまして、これは八ページの(ア)、(イ)にあるわけです。こういうようなものは現に直ちに入手できるものでありまして、別に大きなプラン、大きな発明、大きな研究は必要としない、現在あるものを買ったらいいのですが、これはどんな実績を示されているか。
  100. 佐方信博

    ○佐方政府委員 この方面につきましては、単に能率をよくするだけでなくて、世間一般が相当機動化しておりますので、おっしゃいましたように特別に設計しなくても買えるわけがございます。したがって、大体ここに計画しておるものに近いもの、場合によってはこの計画以上のものが買えてきておる。大体計画に従ったやり方をしておるということでございます。
  101. 押谷富三

    ○押谷委員 いま御答弁によると、この線に沿うてやったように言っておられますが、これは何か誤解かあるいは答弁に誤りがあるのじゃないかと思います。私の手元に持っております資料によりますと、たいへん大きな相違があるのです。計画の半分にも達しないのがずいぶん多いのです。ただ一つ計画を上回っているものもありますけれども、おおむね半分あるいは半分以下、原動機付自転車(二種)というようなものが五百台をかなりオーバーしておりますが、全体が十分に計画どおりつくられておりません。これも簡単にできることであって、集配施設の専用自動車化というこの点につきまして、四十年度までの計画はいろいろ立てられておりますが、これは手軽にやられることでありますから、これがペーパープランにならぬように特に御配慮をいただきたいと思います。  それから、かけ足で、次に大都市の中心部の集配の関係であります。集配度数増回というもの、これは長期計画の六ページにあるやつでありますが、「郵便需要の旺盛な大都市中心部に対し、通常取集は六度、同配達は三度、また速達は、取集配達とも十度まで引き上げることとし、初年度から逐次実施する。」と言っておられるのでありますが、これの実績はどうなっておりますか。
  102. 佐方信博

    ○佐方政府委員 大都市中心部の集配度数、特に配達関係のことにつきましては一応こういう計画をつくっておりましたけれども、御承知のとおり三十六年の前後非常な遅欠配がありましたために、回教をふやすよりもまず正確に、送達速度を安定させなければならぬということから考えまして、この計画はあまり実行されておりません。
  103. 押谷富三

    ○押谷委員 大臣もお急ぎですし、ほかの同僚からも御質問があるようですから、まだこまかいことはありますが、事務当局にお尋ねをすることにして、大臣に総合的なことを一点だけ聞いておきます。  いま申し上げたことは全体に能率化、機械化の問題なんです。こうして郵政事業の全体の能率化、機械化をやるというこの立場に立ちまして、郵政省の事務の状況、事務局の状況をながめてみますと、独立採算の大きなものが三つございます。郵務の関係保険関係貯金関係というようなぐあいになっておるのですが、それぞれの部局において近代化を御計画になり、御立案になっていると思います。しかし、こうした大きな部署、大きな仕事量を持っていらっしゃる郵政省といたしましては、この三つのものを総合して、常に三つをにらみ合わして、総合近代化計画を樹立するという必要があるのではないか。こうなってまいりますと、郵政省には総合してそういう計画を立てるという組織はないのじゃないかと私は考えております。確かにないはずです。経理関係は別であります。それを除いたほかには、総合してこの三つの部局に対して近代化をはかりまして、これに対して予算化をする。またこれはずいぶん利益の上がる省でありますから、いろいろその間におきましての、かれこれあんばいの方法もあろうと思いますが、そういうことをするためには、郵政省内において三つの大きな局を合わせた総合的な一つの近代化、能率化、機械化といったようなことを研究、立案できるような事務局の組織をお持ちになるということが必要ではないか。私は、これは私見でありますが、考えているのですが、大臣としてはその点についてどうお考えですか。
  104. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御意見、全く私も御同感でございます。三つの特別会計がありまして、それぞれもちろん特別性はございますけれども、しかし、近代化、機械化、かような面においては共通する部分がきわめて多いと存じますので、これらを総合的な観点からながめて、全体として近代化、機械化を計画し、また、実施の中心になるものがぜひ必要ではないか、かように私は考えておりまするので、今後十分検討の上、その線に沿って努力をしていきたいと考えます。
  105. 押谷富三

    ○押谷委員 まだこの長期計画の問題でお尋ねしたいのですが、事務局で十分お答えが得られると思いますから、大臣には同僚諸君からも御質疑があるようですから、ここで私の質問はちょっと中断をいたします。
  106. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣がおられる間に一問だけ。あと関係の分は、またNHKの会長にでもお尋ねいたします。  東京オリンピックの世界中継の問題で衛星の費用をNHKで分担したい、こういうことで世界中継の問題が進められていると思うのですが、これはどういうふうになっていくのですか。しろうとでよくわからないのですけれども。
  107. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまお尋ねの点につきまして、詳細に申し上げますとずいぶん時間がかかりまするが、かいつまんで概要だけを申し上げてみたいと存じます。  この秋に行なわれます東京オリンピック大会は、アジアにおいては初めてのものであり、たまその規模においても、今日まで例のないくらい多数の国から選手が派遣されるようでございます。そこで、かような世紀的な行事を、でき得るならば、ただいますでに実験において成功しておりまする通信衛星を利用するテレビの中継によって世界各国の人々に見てもらいたい、こういう念願を持っておる次第でございます。しかしながら、今日の日本の力といたしましては、遺憾ながら自分の国で衛星を打ち上げ、これを利用するということはできないので、どうしてもその実現をはかるためにはアメリカに協力を願って、アメリカの所有する通信衛星によって中継を実現する以外には道がないのでございます。そこで考えられますことは、現在使用されておりまするリレー衛星、テレスター衛星・シンコム衛星と、こう三つの衛星が考えられますが、それぞれ一長一短があるわけでございます。たとえばリレー、テレスターについては映像なり音声はきわめて明瞭に送信できまするけれども、周期が非常に短い関係から長い時間利用することができない。たとえば十五分とか二十分とか短時間しか利用ができないという欠点がございます。それからシンコム衛星でありますと、これは周期がちょうど二十四時間でありまして地球の自転と同様でありまするから、適当な位置に上げられまするならば、相当長時間、利用しようと思えば利用が可能なわけであります。しかしながら今日までシンコムを使ってテレビの中継の実験をしたということはございませんから、はたしてうまくいくかどうかということが技術的に疑問の点もあります。そこでアメリカではこの五月、六月ごろにシンムコ三号の衛星を上げようという計画があるわけでございます。そこで私どもとしては、このシンムコ三号なり、あるいはそれが不都合であればその他の衛星にしましても、何とかこの秋に適した衛星を利用させてもらいたい、こういう意味で再三あらゆる機会を利用して協力方を依頼しておる次第でございます。アメリカ側におきましても、これにつきましては、国務省をはじめ直接技術の担当局でありますNASA、いわゆる全米航空宇宙局においても熱心に研究を進められておるわけでございます。今日の段階においては、はたして実現できるかできないかということは、いずれとも決定していないというのが事実でございます。したがって、さような段階でありますから、その打ち上げないしは操作に関する費用をどうするかというような問題にまではまだ立ち至っていないのであります。そういう事情でありますから、かりに将来アメリカ側から、かようかような事情であるから日本で費用の一部を負担してもらいたいというふうな要請でもありますれば、その場合になって、こちらも十分関係省とも相談をしましてこれに対処していきたいと考えておりまするが、今日の段階ではまだ具体的にそこまで至っておりません。大体以上が概要でございます。
  108. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 費用の分担で、NHKの会長は、オリンピック財団と一緒に負担してもいいという御発言をされているということが新聞で報道されておりますが、具体的に費用の問題になりますと、これは性格からいって国で持つようになるのですか。どういうことになるのですか。
  109. 古池信三

    古池国務大臣 その点も先ほど申し上げましたように、まだアメリカからの要請がありませんから、こちらとして先走って費用の問題をどうこうするような時期ではないと考えております。具体的な問題になってきました際には、政府としましても十分に検討をしてみたいと存じております。いまただちにしからばどこが負担すべきかという結論を出すには少し早いのじゃないかと思います。
  110. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 NHKでもって費用を分担をしてもいいという意向については十分組み入れていきたいという談話が新聞にあなたの談話として出ておるのですが・その辺はどうなんですか。
  111. 古池信三

    古池国務大臣 その辺には、私がお話ししたことと若干ニュアンスの違う記事が出ておりますことを承知しております。当時私もその新聞を見まして、NHKの阿部会長にもその御意向をお聞きしたのでありますが、阿部会長としても、何も十分な検討を加えられた上で発言されたのではなくて、ただそのときの話のぐあいで、非常にテレビの中継を熱望しておる、まあ多少の費用ぐらいは分担してもいいくらいに自分は熱心にこのことを希望しておる、こういうふうなごく軽い意味で話されたそうでございます。私も阿部会長の非常な御熱意には十分敬意を表しまして、そういう御熱意をくんで、ぜひこれは実現させたいものだ、そのために今後も努力をしたい、こういうふうな気持ちをお話したのが、さような記事になって現われた次第でございます。
  112. 白浜仁吉

    白浜委員長 山田長司君。
  113. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣時間がないようですからごく簡単に伺いたいと思いまのす。  御承知のように、最近郵便切手の収集熱が盛んなってきている。これは日本だけではなくて、海外旅行をしてみますと、どこの国へ行ってもかなり収集熱が盛んになっておるようであります。たとえば小学生とか中学生などは他人の郵便切手をはがすような事例が最近出てきておるというようなことで、まことにいかがわしいことが起こっておるようでございます。一方中央郵便局などで切手の発売日になりますと、徹夜で中央郵便局の前に並んで収集される人があるようです。そこで大蔵当局の印刷工芸室の事務官が収集切手のデザインの発売で、ブローカーと結託して謝礼をもらったという、大きな新聞記事が出ていましたけれども、それが印刷される前の下刷りで数千円の価格のものを売却したというようなこともあり、それからデザインのためし刷りで、海外では一枚が数万円で取引されたというような事例があるようです。  そこで二、三点にわたって伺いたいのでありますが、記念切手それから特殊切手は、年間どのくらい発売されておるのか、それから切手の種類、枚数、発売の金額、発売の方法、これが一点。もう一点は、これらの切手の発売に要する経費、年間の収入、それから切手印刷のための方法、大蔵省印別局で刷っているようですけれども、その依頼した場合の原画、デザイン等の保管の状況、こういうような点は一体どのようにされておるのか。これはこまかいことで大臣では無理かもしれませんけれども、しかしこれが及ぼす影響というものはかなりあることでありますから、こまかいようでありますけれども伺っておきたいと思います。
  114. 古池信三

    古池国務大臣 各種の記念切手を発行して売り出しておりますることは、日本ばかりでなく外国もあるのでございますが、郵政省としましては、この発行については相当に慎重な態度をとっておりまして、あらかじめ一年度間においてどういう種類の切手をどのくらいの数量、またいつごろに発行するかというような点につきましては、郵政審議会の中における専門の委員会に付議いたしまして、そこで御検討を願った上で発行することにいたしております。図案等につきましても、およその図案はその委員会におはかりをしてきめることになっております。実際の製版印刷に付する直前の図案は、今日郵政省内に図案家がおりまして、そういう人が書いておるわけでございます。それから印刷はすべて印刷局において行なうということになっております。それから発売の点でありますが、先ほどお話のございましたように、発行日には確かに中央郵便局の窓口あたりに大ぜいの人が殺到されることは事実でございます。私どもとしてはなるべくそういうふうな皆さんの要望に沿うように、あらかじめ所定の手続によって中央郵便局に申し込んでおいていただければ、窓口に並んでいただかなくとも、希望の数量をあとでお送りする、こういうふうな制度もいま採用してやっておりまして、これに対しても相当の申し込みがあるように承知しております。かような切手の収集という趣味がいいか悪いかということでございますが、これがあまりに乱用といいましょうか、非常に行き過ぎてまいりますとやはりいろいろな弊害もあると思いますが、しかし、かような趣味は一がいに悪いといって排斥すべきものでもなかろう、かように考えておる次第でございます。  なお、その数量、金額等については事務当局のほうからお答えいたします。
  115. 佐方信博

    ○佐方政府委員 特殊切手をどれくらい出しておるかというお話でございますが、三十八年度におきましては二十四件、三十四種類、三十七年度は二十二件、三十二種類出しました。枚数はそのときによって七百万ぐらいから二千万ぐらいまで、売れ行きによって違いますけれども、逐次最近ふやしてきておりまして、三十七年度でございますとその分が約二十四億円、それから三十八年度が四十億円ぐらいの売り上げになっております。それから作製原価につきましては、ちょっと詳しい資料を持っておりませんが、大体三十銭ぐらいじゃないかと思います。
  116. 山田長司

    ○山田(長)委員 発売の方法についてただいま大臣からの意見はございましたが、やはり発売の方法等については——切手収集マニアの子供は学校を休んでまでも出かけていくというようなまことにいかがわしいことが、切手収集の間において行なわれているようなので、大臣のいまの御意見は、中央郵便局で発売する場合においてももっとこれが徹底される必要があるんじゃないかと思います。これが一つです。  それから次に、この切手を売り出す場合においてブローカーのところに相当数量の割り当てというものがあるのかないのか。あるとすればどのくらいの割り当てがあるのか。
  117. 佐方信博

    ○佐方政府委員 ブローカーに渡すということはやっておりません。発売日に一斉に売り出す。ただ東京中央郵便局に事前に予約をした方には、あとで送るということにいたしております。
  118. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣に一つ伺いたいのは、御承知のように電信電話公社はあなたの監督下に置かれているわけですが、この電信電話公社の仕事をされる幾つかの会社があるわけですが、この会社の下に何段階も経て下請機関があるわけです。最近その下請機関が、仕事に携わっている人の引っこ抜きがあるので安心して仕事ができなくなるというので、事業協同組合なるものをつくる機運ができて、最近つくられたようです。これについて、同じように下請機関をたくさん持っている建設省の場合においては、これが指導育成を建設省みずから実際の仕事をやっている人たちの間でやっているようですけれども、郵政省の場合はまだそこまで手が伸びていないようです。私は郵政省としても建設省と同じように、かなり種々雑多にわたる仕事が下請機関によってやられているのですが、この人たちが安心して公共性のある仕事をやれるようにするためには、やはりこの下請機関の指導育成をやるべきだと思われますが、この点についてどうお考えでありますか。
  119. 古池信三

    古池国務大臣 電信電話公社の下請の関係についてただいまお話しのような問題があるということは、実は私存じませんでございました。しかし、そこに適当でないような問題が起こるとすれば、これは十分に考えていかなくちゃならないと思いますので、ただいまの御趣旨は私から電信電話公社総裁にお伝えをしまして、善処していただくようにいたします。      ————◇—————
  120. 白浜仁吉

    白浜委員長 次に、国が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付しているものの会計に関する件について調査を行ないます。  本日は、本件調査のため関係当局のほか、日本放送協会より参考人として御出席を願っております。  参考人各位に申し上げます。発言をされる場合は委員長の許可を得て行なっていただきますようお願いいたします。  次に、委員各位に申し上げます。参考人よりの意見聴取は委員質疑により行ないたいと存じますので、そのように御了承願います。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。押谷君。
  121. 押谷富三

    ○押谷委員 オリンピックに関する放送権でありますが、これはオリンピック憲章に基づきましてオリンピック東京大会組織委員会、OOCに所属しているようであります。しかし、OOC自体が放送するのでありませんから、そこで主催国の代表的な放送機関に委託契約によって代行をさせることが、今日までの慣例になっているやに聞いております。今回もこういう趣旨をもちまして、OOCはNHKと契約をいたしまして、NHKが放送権を代行するやに聞いておるのでありますが、おそらくそうなると考えます。  そこで、今回の放送権の対価でありますが、全部で五億六千八百万円であると伺っております。NHKはこの五億六千八百万円ですか、これを各国から放送権の対価として徴収してOOCに納入すると聞いているのでありますが、大体私の調査をいたしているところでは、外国の放送会社から受けるものが五億三千八百万円、またNHKの国内放送料が一億八千万円ですか、そういうことになっているのですが、この放送料の関係につきまして実際の状況を御説明いただきたいと思います。
  122. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。オリンピック関係の放送権料につきましては、ただいま御説のとおりにOOCとの関係におきましてはNHKが日本の窓口になりまして、外国の放送会社等の交渉その他の関係におきましては一手に委託を受けております。そういう関係で従来各国の関係の向きといろいろと折衝を重ねてまいったわけでございますが、今日までに確定を見ておりますおもなものは、アメリカのNBC、ヨーロッパ放送連盟、カナダ、オーストラリヤ、ソ連を含みます東欧圏、こういったところとはすでに契約の金額等は確定をいたしております。NHKといたしましてはこれをオリンピック組織委員会に一括委託を受けました限度におきまして、代行としての組織委員会へ渡しますもの、これはオリンピックの放送権料でございます、それと、さらに外国の放送機関に対しましてはNHK自体といたしましてもこのオリンピック放送のためにはいろいろなお手伝い、便宜を与えることになります、これに対する適正な対価はNHKがいただくわけでございますが、それは別個の契約にいたしませんで、包括をいたしましたそれぞれの金額の中で、組織委員会へ渡すものと、NNKの対価として受け取るものとが混在をいたしております。そういうことで、今日までに一応確定をいたしました金額はおよそ百五十万ドルでございます。それだけのものにつきましては、すでに契約の確定を見ております。日本円に直しまして五億五千万円程度でございます。  大体以上のような状況でございますが、なお細目の関係につきましては関係者も参っておりますので、御要望によりましてお答え申し上げたいと思います。
  123. 押谷富三

    ○押谷委員 そうすると、NHKとOOCの間において放送料の一括した、トータルの料金はきまっておる、そしてNHKがOOCの了解を得てNHKの取得になるものがあるというように承っていいわけですね。
  124. 小野吉郎

    ○小野参考人 そのとおりでございます。
  125. 押谷富三

    ○押谷委員 各国別の料金の定め方につきましては、私は手元に資料を持っておりますし、国際的な関係でもありますから発表もしにくいところもあろうと思いますから、これを各国別に聞こうとは思いませんが、私の資料によりますと、回数とか時間とかいうものが出ております。そしてアメリカに何時間、何回、何日というようなことをきめられておる。よその国も同じようにきめられておりますが、その料金を見ますと、必ずしも回数、時間に比例して料金がきまっておらない、対価がきまっておらないように思うのです。対価をおきめになりましたのは、何か割り当て基準というものがあったのだと思いますが、どういう基準によりまして話し合いをなさいましたか。   〔委員長退席、片島委員長代理着席〕
  126. 小野吉郎

    ○小野参考人 外国の放送機関との関係の話し合いの基準はNHKといたしては持っております。御指摘のとおり、そういう折衝を重ねまして結果として出てまいりましたものを比べてみますと、契約内容によるいわゆる放送の利用時間の関係とかいろいろな面に対しまして、必ずしも同一対価でいっていない、いろいろ結果から見れば違うのではないか、したがって、そこには基準がないのではないか、このような御懸念をお持ちになられることは当然のことであろうと思います。ただしNHKといたしましては、これは結果としてそうなったわけでありまして、折衝の際における基準は持っております。ただ各国の放送機関の現状を見ますると、その経営の内容、規模の大小、非常にまちまちでございます。しかも世紀のできごとでございますオリンピック放送の中継の関係につきましては、各国とも非常な熱望もあることでございますので、その経営形態、規模の非常に貧弱であることをもってこれからオミットせざるを得ないというようなことは、世界的に見まして望むことでもございませんので、結果から見ますと、弱小のと申しては非常に語弊があるかもしれませんが、規模のまだ小さい放送機関につきましては、与える利用の限度、内容から申しまして対価の取り方が少ないという結果も出ようかとも思いますが、これはいろいろ基準によって折衝を重ねました結果、先方の支払い能力の限界についての考慮もいたさなければならないということでございますので、そのようなことになっておりますが、NHKとして持っております基準はどうかという点につきましては、担当の係官が参っておりますので、その基準の内容についてはそのほうからお答え申し上げたいと思います。
  127. 岡本正一

    ○岡本参考人 小野専務理事のお答えを補足いたします。  いろいろの基準がございますが、中心になる基準はテレビジョンのそれぞれの国における台数でございます。これが一番大きな要素でございます。それで前回のローマの大会のときの各国の契約金から割り出しますと、おおむね一台が一セントというような数字が、これは前回の分析でございますが、出ておりますので、先ほど小野専務の申し上げたような条件にこの一セントという基準を加えまして、今回の金額を定めておるわけでございます。  それで先ほど、全体の金額で五億六千八百万円を組織委員会に支払うとお約束しておりますが、その基準になりました数字は、ちょうど世界じゅうのテレビジョンの台数を一億三千万とおおむね計算いたしまして、そのうち一億二千万程度の録画の中継になりますので一セント、それから残りの日本の台数がなま放送でありまして、これは三倍と見て三セント、そういうような計算でおおむね割り出しております。
  128. 押谷富三

    ○押谷委員 よく了承をいたしました。各国のテレビの普及の状況が違いますから、それが料金によく盛り込まれてのお約束とあればまことにけっこうな方針だと思います。  ところで、ただいまお話しのように、総額が五億六千八百万円になっておって、そうしていまきめられているのは、たしかアメリカをはじめABCオーストラリア、CBCカナダ、あるいはEBUユーロビジョン、これとお話しになっていると思うのですが、それらのトータルを見まして、そしてなお不足するというのが千百七十万円、もちろんNHKもあるのですが、この千百七十万円で、これから約束をする国に共産圏がある、朝鮮がある、台湾がある、こういうような諸国とお約束をするということになるのですが、残りの金が少な過ぎて安過ぎやしないかというような感じもいたすのであります。いずれ共産圏の諸国、朝鮮、台湾なんかともお約束になる御予定だと思いますが、その残高との関係でバランスはとれているのですかどうか、伺います。
  129. 小野吉郎

    ○小野参考人 三十九年度のこの関係をも含めましてのNHKの予算で予定をいたしております見通しによりますと、世界各国の放送機関にサービスを提供いたします対価といたしましてNHKが収得する適正な対価は一億五千万円と計算をいたしております。これはただいま申し上げました契約金の中から入るわけであります。そういたしますと、オリンピック組織委員会との関係におきましては、昨年の九月に世界各国との放送権料の取り扱いについて一括委託を受ましてNHKがNHKの立場でそのような代行と申しますか、一括して事務を扱っておるわけでありますが、その際における組織委員会への外国からの放送権料、並びに日本のNHKをも含めましたいわゆる放送権料としての組織委員会への支払い料は最低百五十八万ドルを下らない。これを日本円に直しますと、先ほど岡本君が答えました五億六千八百万円になるわけでございます。そのような関係で、現在、外国からは百五十万ドルが入っております。五億五千万円でございます。その間に千八百万円の開きがございます。なおかつその五億五千万円の中からNHKに一億五千万円いただくということになりますと、その差がなお縮まりまして、組織委員会への約束の金にはまだほど遠いようでございますが、一方NHKが組織委員会に対しまして放送権料として支払いを予定しております金額が一億八千万円と三十九年度予算に計上いたしてございます。これを含めますとおおよそ大体約束の線は守り得る。なお、現在の段階におきましては、全部の外国の機関との契約が完了を見ておりません。まだ残ったところもございます。これは現在の見通しではそうたいした金額になろうとも考えられませんが、一応はやはりNHKが外国放送機関から対価として適正なものを取ることも考慮いたしまして、組織委員会との関係における最低の約束のお金をお渡しし得るめどはついております。ただ組織委員会といたしましては百五十八万ドル、五億六千八百万円そのものずばりでございませんで、これを最低として、できれば外国との交渉の契約の妥結の模様によっては、それをこえれば、できるだけいただきたい、このような話し合いにもなっておりますので、かなり金額が上回われば五億六千八百万円でなく、それをこえた金額を組織委員会にお渡しすることになろうかと考えます。
  130. 押谷富三

    ○押谷委員 このOOCとの間でおきめになったのは最低であって、それからオーバーしたものはOOCの増収となる、これはわかりました。民放との関係はどうなんです。
  131. 小野吉郎

    ○小野参考人 民放との関係につきましては、別段にこれは表に出ておりませんが、やはり一応そのような支払いの能力があれば、これはお出しいただくのがたてまえであろうと思いますので、別途NHKと民放との間に話し合いをいたしております。何がしかのそういった金額は出ようかと思いますが、これはNHK対民放との関係でございまして、OOCとの関係におきましては、日本国内の全部の放送の機関を代表いたしましてNHKが権料を支払うということになっております。
  132. 押谷富三

    ○押谷委員 ちょっと方向を変えまして、最近テレビ、ラジオの料金の徴収ということが憲法違反であるとか、いろいろむずかしい議論もされておるようであります。私は憲法違反であろうなどとは考えてはおりませんけれども、しかしこのたくさんの視聴者の中には、やはり契約を否定する人があるから問題になっていると思うのですが、快く約束を守って払う人、約束はいやだ、金は払わぬ、憲法違反だというようなことを考える人、要するに契約ができない人、料金を払わない人、こういうものはどれくらいありますか。
  133. 小野吉郎

    ○小野参考人 正確に幾らあるかということは、これはなかなか把握しにくい問題でございます。と申しますのは、現在NHKの料金をいただきます契約の種別が、契約の甲乙二本に分かれておりまして、甲のほうはテレビその他一切の放送を含んでおるものです。乙契約のほうはまだテレビのない、ラジオだけでやっておられる方でございます。テレビの関係につきましては、今日トランジスタのものが、ある程度普及はいたしておるとは申しましても、やはり屋上にアンテナがございますので、これは把握が容易でございます。ラジオのみの関係につきましては、これはトランジスタのような目立たないものがありまして、NHKが一方におきまして法律上そういうような施設を持っておられるならば契約しなければならない、こういう義務を受信者に課しておりますけれども、これの調査については、NHKとしては何ら調査権等はないわけでございますので、この辺については非常に正確にどのくらいあるということは申し上げにくいのでございますけれども、大勢から申しますと甲乙契約合わせまして、現在時におきまして千八百五十万の契約があります。日本全体の世帯の関係からいいまして、普及率は相当に高うございます。世界各国の状況等考え合わせましても、この程度の普及があれば全然皆無とは申しませんけれども、いまのような契約をしなければならない立場にありながら契約をしないでおられる方はきわめて少ないんじゃないか、このように判断いたしております。
  134. 押谷富三

    ○押谷委員 こういう問題が起こってくるのは、結局テレビの料金が高い、テレビ、ラジオの料金が三百三十円ですか、これが高いというところもやはり一つの原因をなしておるかもわからぬのですが、そうなりますとこれを安くすることができないかという一面に議論も出てくるわけであります。そこで私はNHKの一つの公共性というものを考えまして、実は放送の番組について放送事項、放送時間及び比率という、これはあなたのほうから出されている三十七年度の事業報告書でありますが、これの十一ページに書いてございます。これを見まして、なるほどこういう比率でこういう時間の放送を報道、教育、教養、娯楽、スポーツに分かってなされております。これで私は納得はできるのですが、ところでこの比率によって放送をされている報道、教育、教養、娯楽、スポーツのそれぞれの放送に、どれくらい費用がかかっているかということは出ておらぬのでありますが、問題はそこにあると思います。時間はこれで十分なんだが、しかしこの娯楽に対して一週間の時間は二十八時間三十五分という、この二十八時間三十五分にどれくらいかかっているか、その他のたとえば報道の二十八時間四十九分にどれくらい費用がかかっておるかという費用とパーセンテージが出ない。比率もここに載っておりますけれども、比率はこれでけっこうだと思いますけれども、しかしその費用の使い方に実は最近問題になるんじゃないかと思います。これは皆さんとしては御迷惑でしょうが、NHKは費用を乱費している。もういまの収入は、すでに公表されているところでも、一日に二億円ずつ入る、こう言われているのです。これは正確な数字ではありませんが、しかし私の手元に持っているデータをもってしても、大体そういうことを言われてもうなずかなければならぬような一日一億の収入がある。そしてこのNHKの大きな機構を動かすのに、さように大きな金は使うわけではありませんから、そこで番組編成に大きな金が要る。最近これも喜んでおる人もありますが、あるいは一部に批判をしているデラックス忠臣蔵というようなものがあります。私も見ておりますが、まことにけっこうなことだと思いますが、しかし、そういうことにうんと費用をかけるということになると、NHKは娯楽放送に重点を置くということの費用の使い方、もちろん視聴者を集める、NHKをよく見てもらうというつもりでそういうことをやられるのですが、これは考えてもらわなければならぬと思うのです。そこでお尋ねをするのは、この計画によりまして、あるいは過去の実績によって報道、教育、教養、娯楽、スポーツ、それぞれにかけられている費用は、どれくらいか。番組編成にかけられている費用は幾らくらいかということを伺いたい。
  135. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  まず前提といたしまして、受信料の関係につきましていろいろお尋ねがございました。御質問の御本旨が、番組編成の経費は一体どうだということでございますけれども、その前提として述べられましたところも非常に重要な問題もあろうかと思いますので、一言簡単にお答えを申し上げたいと思います。  現在の料金の関係につきましては、昭和三十七年度から将来六カ年間の番組編成ばかりでなしに、置局その他の技術、建設関係の問題も全部一括いたしまして、長期の見通しを立てております。現在の状況ではいろいろそのような計画を推進いたしておりますけれども、放送法が日本放送協会に課しておる使命がら申しますと、まだ全国津々浦々までカバーするに至っておりません。これをそのような使命に沿ってまいりますためには、相当ばく大な建設経費を要するわけでございます。そういうような面で、受信料収入と合わせ、借り入れ金の総体をいろいろあんばいをいたしまして、六カ年間になし遂げなければならない事業を遂行いたしますために必要な経費が、およそこのくらいである。これと契約の普及の推移との関連におきまして算定をいたしましたのが現行の料金でございます。そういうことで、現在すでに借り入れ金につきましても、昭和三十八年度末期におきまして三百億近い借り入れ金がございます。これもすべて将来の受信料収入をもって元利償還をいたしてまいらなければならないわけでございますが、他面におきましては、番組に対して好評を博するものもあれば、半面には、これに対する批判もあろうということは、どの番組についても常にあり得ると思います。そのような関係で、私どもといたしましては、できるだけそういう面では公共機関にふさわしい番組を、ということで努力はいたしておりますけれども、やはり受信料、あるいはそれに対していろいろな意見がございます。これは率直に、謙虚に聞くべきものと考えております。  お尋ねの比率の関係で申し上げますと、番組の制作の関係にかけております経費は、伝えられるほど大きなものではございませんので、昭和三十九年度の予算書によりましても、百九十億が番組制作の全体の経費でございます。そのうちで、教育、教養、芸能、娯楽、報道、大体このようにいま私の持っております資料では三つに分けてございます。教育、教養番組に充当いたします経費が約三十三億、芸能娯楽関係の番組に充てます経費が三十六億でございます。報道番組関係の経費が三十六億余でございまして、パーセンテージにいたしますと、教育、教養番組関係にかけます経費は全体の三一・三%、芸能娯楽関係の所要経費が三四・一%、報道番組関係に三四・六%。こういったような比率によって経費を配分をいたしておるのであります。
  136. 押谷富三

    ○押谷委員 大体世間の誤解の点もいまの御説明でわかったのでありますが、NHKは、NHKの使命として教育、教養、報道、スポーツ、聴視者を集めるための娯楽ももちろん必要でありますが、世間は、最近の金の使い方は、娯楽にうんと金をやっておる、デラックス忠臣蔵などと言っておりますが、いま伺いますとそうでもないようであります。娯楽の番組については、NHKのいいところは見て、次にはチャンネルを変えるとかして、かってに変えていくのですから、いろいろ言うのもけっこうでありますけれども、この程度であれば私はいたし方ないと思いますが、世間がそういう誤解をいたしておりますし、特にNHKの金の使い方が乱暴である、乱費であるなどといわれております。これはお気の毒だと思いますが、いま御説明を伺いましてわかりましたが、何せ一日一億円ずつ入るということ、その収入から推しまして、これは大した金を使っているんだからぜいたくしているなどと思うから、ときおりこういう数字等も発表いたされて、そうして娯楽番組にべらぼうな金を使っておるんじゃない、NHKの本来の使命には十分に努力していることをPRせねばいかぬ、PR機関でありますから。よろしくそういうようにせられることを私はお願いをいたしまして終わります。
  137. 片島港

    ○片島委員長代理 勝澤芳雄君。
  138. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先輩の押谷先生がだいぶおやりになりましたから簡単にやります。受信契約と受信料の関係で三十二条にただし書きがあるわけです。「但し、放送の受信を目的としない受信設備を設置した者については、この限りでない。」これはどういうふうな解釈ですか。
  139. 小野吉郎

    ○小野参考人 ただいまのただし書きの解釈につきましては、「放送の受信を目的としない」——もちろん聞こうと思えば聞こえるわけでございますけれども、用途はほかにございまして、放送の聴取を目的としない施設があるわけでございます。こういうものにつきましては三十二条の一項の契約の対象にはならない、こういうことを規定してあるわけでございます。
  140. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 たいへん意地悪い質問をしますけれども、この「放送の受信」というのは協会の放送という意味に読むのですか。
  141. 小野吉郎

    ○小野参考人 そういうことでございます。
  142. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと協会の放送の受信を目的としない場合は契約しなくてもいいというふうに読めるわけです。もっと簡単にいいますと、NHKの放送を聞かない目的ならば契約をしなくてもよろしい、こういうようになるのですが、どうなんですか。
  143. 小野吉郎

    ○小野参考人 三十二条一項の規定が設けられておりますゆえんのものは、まくらことばに放送協会の云々、こう規定はしてございますけれども、大勢といたしましてNHKの放送は聞かない、民間放送のみを聞くというような事態は考えられない。そういうような点を考えまして契約しなければならない。現在非常に民主的憲法下においてこのような規定ができますことは、そういうような事実に着目しまして規定し得るゆえんであろうと思います。したがいまして、先ほどのただし書きのそれは、いわゆるNHKの放送のみでなく民間放送の関係も含めまして、放送のいゆる受信を主たる目的としない施設、こういうようなものについては契約の限りでないということであろうと思います。   〔片島委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いまのお話しでは、主たる目的とありましたが、法律にはそう書かれておりません。「放送の受信を目的としない」とある。一体ここでいう「放送の受信」とは何か。これが協会の放送の受信ということになると、NHKを聞かなければ、どうも受信料を払わなくてもいいということにも読めるのではないだろうかと思うわけであります。それは別として、ここで契約をしない、拒否した場合の対抗といいますか、こういう手段が法律的にあるのですか。
  145. 小野吉郎

    ○小野参考人 現行の放送法の関係では三十二条でかなり強い義務を受信者に課しております。「契約をしなければならない。」こういうような義務づけになっておるわけでございますけれども、この「契約を締結しなければならない。」義務を履行しない場合につきましての罰則は、何ら規定されておりません。そういう関係から申しますと、制裁のない義務規定であって、これの違反をいたしましても別段に放送法上の制裁はないではないかということになれば、まさにそのとおりであろうと思います。しかしながら、この関係につきましては、いろいろそのような法律の規定があれば、直ちに、その義務の違反に基づく原因をもちまして、一定の、支払わなければならない金額を支払わないというような関係も生じてくるわけでございますので、そういう面の損害をカバーいたしますためには、放送法上のこれに対処する規定はございませんが、一般の私法関係、民法関係の扱いにおきまして、いわゆる七百九条の不法行為に該当するものとして、契約保全の関係、あるいはそれに基づきます料金の徴収、将来に向かっての料金の徴収を確保する道は、そのような手段を踏めば可能であると存じます。
  146. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 微妙な話ですから、これ以上進めるのはやめておきましょう。  そこで、最近民放の経営状態からいってNHKの放送コストが高過ぎるじゃないだろうか、こういう意見が出ておりますが、比較はどういうふうになっておりましょうか。
  147. 小野吉郎

    ○小野参考人 恐縮でございますが、御質問の趣旨が取りにくかったのでございますが、民放との関係においてコストが高い、こういうようなことでございましょうか。そのコストと申しますのは、どのような意味合いでございますか。
  148. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 放送番組のコストでございます。
  149. 小野吉郎

    ○小野参考人 番組の関係につきましては、これはいろいろな種別もございますし、いろいろ正確に立ち入って民放関係のコストを調査したこともございませんし、それとの比較においてどうなっておるかというような的確な資料は持っておりません。そういう正確な資料に基づいてではございませんけれども、いろいろNHKと民放との関係におきましては、同じ公共の線に沿って、公共の福祉の増進に役立たなければならない性格を持っておりますことは同様でありますけれども、経営の部分その他の関係に差異がございますので、番組に対する重点の置き方が変わっておろうかと思います。そういうことで、一律同等の立場によってこれを比較することもまたいかがなものか、このように考えておりますが、何しろそういった比較の正確な資料を持ち合わしておりませんので、まことに恐縮でございますが、どうか御了承願いたいと思います。
  150. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そう世間でいわれているのは、これは娯楽番組の比較ではないだろうかと思うのです。安い放送がいいかあるいはいい放送がいいかという点でも、いろいろ議論があると思います。それはやはりNHKの聴視料が安いか高いかという問題にもなろうと思うのです。そこで、これは安いほどいいにはきまっております。しかしある程度の料金を払わなければならぬ。しかし料金を払う以上、公共性のある公正な経理を行なってもらわなければ困るという意見は当然だろうと思うのです。そこで、最近NHKのむだ使いというのが読売新聞に掲載されまして、週刊新潮を読みますと、これに対しまして、浅沼広報室長が新聞社に抗議したという報道もされておりました。これはNHKとしてはたいへん重大な問題だと存じますので、これについての真相といいますか、そういう点をこの委員会を通じてぜひひとつ明確にしておいていただきたい、こう思うのです。
  151. 小野吉郎

    ○小野参考人 三十九年度の予算の国会上程に関連をいたしまして、読売新聞にそのような記事が出ましたことは、私どもも承知いたしております。記事の内容につきましては、われわれ非常に納得のいかない点も多々ございます。しかも、表題がかなり大きく「NHKの“ムダ使い”」、こうきめつけられたわけでございまして、私ども、日本の三大新聞の中に数えられます読売新聞の扱いといたしまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。そのようなことで、読売新聞社に対しましては、まことに遺憾であるという意味合いの申し入ればいたしました。これに対しまして、読売新聞の最高幹部の方におきましていろいろ検討せられました結果、担当の部長をして、遺憾であったという意を表明されました。そのようなことで、何もそういう面で一々、いつまでも取り上げてどうこうということもございません。非常に遺憾である、こういうことを表明されれば、私どもとしても、もはやそれ以上とやかく言う筋合いでもございませんし、また記事の内容がどうでありましょうとも、読売新聞だけではなくて、いろいろな批判は常に公共機関にはあるわけでございます。また、あることが、経営の正しい姿を保っていくいろいろな貴重な資料でございますので、われわれも、そういう面につきましては、真偽を問わず、これに耳を傾けることにはやぶさかではございません。ただ、当該の読売新聞の記事の内容そのものにつきましては、予算全体がいかにもむだ使いの予算であるというような関係につきましては、現実にNHKの予算なり決算は国会で非常な御審議を受け、また会計の処理の関係につきましては、毎年会計検査院の検査の対象にもなって、精密な検査を受けておりますので、ここ数年、かつて非違、不正、不当、こういったようなことで御注意を受けたこともございません。あるいはいろいろな関係の施設について、これは度合いはこの程度でいいんじゃないかということは、常にいえる問題でございます。私どもとしては、必要な事業計画を公共機関の使命に照らして遂行をいたしておる、このように考えております。
  152. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 NHKの決算につきましては逓信委員会で扱っておりますので、決算委員会においで願ったのは初めてだと思うのです。しかし、放送法によりまして、協会会計検査院で行なうということが明確になっております。衆議院規則におきましても、会計検査院で行なった検査事項については決算委員会で審査することができるという立場で、特にこういうことが書かれておるということからいいまして、公共性のあるNHKとして、やはり国会のような場でそういう点を明確にしてもらうことが、私は国民に対する義務ではないだろうか、こう思っておいでを願って、お聞きしたわけであります。真相はよくわかりました。  そこで最後に、先ほど大臣にもちょっとお聞きいたしましたが、東京オリンピックの世界中継の問題で、衛星の費用を担当部分負担してもいい、こういう発言を会長の談話として発表された。その記事によりますと、十二億ぐらいだ、オリンピック財団と一緒に負担しようじゃないか、こういう発言をされておるのですが、これについてどのようにお考えになっておりますか。
  153. 阿部真之助

    ○阿部参考人 先ほど大臣も御答弁になったとおりでございますが、あの新聞の記事というものは、私も新聞記者は長いことやってきてよく存じておりますが、全部うそではないのでございますが、半分不完全でございます。はなはだ不完全であります。そのために、ああいうふうな印象を与えたということは、あの記事に対しては、私は非常に遺憾に存じておるわけでございます。当時の模様をお話ししますと、衛星はぜひやりたいものだというふうな話が出まして、これはなかなか金もかかることだというようなことで、できるならば、少々金がかかるぐらいならやってみたいというようなことの希望は私も述べたわけです。当時小野参考人も私のそばにおりまして、ちょうど予算が両院を通過した直後でございましたが、しかしながら、NHKにおいてはそういうことに出す金はあの予算には一文も載ってないので、一文も出せるわけのものじゃない、こんなことを言うと小野参考人にしかられるということで、新聞記者の前で言っておるのでございますが、そういう点は一つも書かれずに、私のぜひやりたいものだ、少々金がかかってもやりたいものだという希望だけがあそこで記事になって出てしまったものですから、NHKはどこから金を出すんだというようなことになりまして、実は逓信の委員のほうへも私は上がりまして、そういう事情はお話ししたことがございました。御了解を得ていることであまりす。
  154. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 実は私もこれを見まして、予算を見て、予算にも考えられていないのに、NHKというのはなるほど経営がいいのか、そうしてまた非常なむだ使いがある、こう出ておるわけでありますからこれなら放送法に従って、もっとテレビのないところに、聞こえないところを聞こえるようにしてもらったほうが先じゃないだろうか、しかも料金が高いとかいわれているんだから、もっと下げたらどうか、こう思ったわけであります。しかし、そうではないということがはっきりいたしましたので、私も会長と同じように金のかからないものなら、これはやってもらいたい、こういう気持ちは持っておりますので、よくわかりました。質問を終わります。
  155. 白浜仁吉

    白浜委員長 山田長司君。
  156. 山田長司

    ○山田(長)委員 一点だけ阿部会長に伺っておきたいと思います。  放送局が政府予算をもらって、日本の政府の方針に従うPRの仕事をされておるということは、これは常識的であって、われわれも知っておるわけです。阿部さんのお書きになられたものに対してはわれわれは非常に愛情を持ちながら、新聞あるいは雑誌等で御意見を伺って、非常に関心を持って読み、あるいは学び、また議論をし合ったこともあるわけですが、NHKの仕事は、政府機関の一つではあるけれども、時と場合によっては政府を指導する役割りも長い歳月のうちにはあってよいものと思うのです。それが阿部さんがおやりになってから、特に私ども興味を持ってNHKの方針等も拝聴しているわけですけれども、一つの大きな組織の中へ入ると、昔健筆をふるわれたときのようなことはなかなかできないものと見えて、最近、たいへん失礼なことを申し上げますが、政府の御用だけにしか御発言がなされないように思われるのを伺って、ときどきたいへんさびしく感ずることがあるのです。しかし、NHKのワクの外に出ると思ったような発言もできないことはわかるんですけれども、これは阿部さんの立場からいいますと、われわれが常に尊敬している一人で、時と場合によっては大乗的見地に立って政府を指導するようなこともあってしかるべきものと思うのですが、そういうことはなかなかできないものなんでしょうか。それとも、一つの機構の中にあると、政府から補助金をもらっているというようなことで遠慮しなければならないようなことがあるのでしょうか。この機会にひとつ阿部さんの御意見を伺っておきたいと思います。
  157. 阿部真之助

    ○阿部参考人 そのことをお答えするのは、ちょっと議論めいてきてどうかと思いますが、お許しを願います。第一、NHKが政府の機関だというふうな意味の御質問でございましたが、NHKは政府の機関ではないのでございます。全く独立独歩の、どっちかと申せば国民の皆さんをスポンサーとする国民的機関である、かように考えているのでありまして、その点はひとつ誤解のないようにお願いをいたします。そうでありますから、私どもは政府の御用を承わるというようなことは一切いたしておりません。しかしながら、ときどき政治の問題なんかについてはそういうふうな御議論がありまして、政府の側にあるいは政府の与党の側からも、何だ社会党のちょうちんばかり持ちやがってけしからぬじゃないかというようなおしかりもしばしば受けております。あるいは反対党のほうからもそういうような御批判を受けているのでありますが、NHKは常に公平であって、両方の立場をできるだけ正確に伝えて国民の判断にまかせるという立場をとっているのでありまして、その間にはときどき右へ寄ったり左へ寄ったりして、そういう御批判があることは、人間のすることでもうやむを得ないことであると思いますが、私どもはそうならざることを切に念願して努力しているのでありますから、その点を御了解願いたいと思います。  なお、さらに、政府を指導したらどうかということですが、このことは、放送に関する各方面の評論の中でも、いわゆる放送の中の解説というものは、ああでもない、こうでもない、右でもない、左でもないというような解説ばかりで、NHKの意見というものはないじゃないか、まるで無性格じゃないか、もっとはっきり意見を打ち出したらどうか、そういう御意見は私どもはしばしば聞きます。しかしながらそれは、NHKのいまの立場においては非常に重大な関係があって、そこまで踏み切ることはどうかと私は思う。NHKの意見という場合に、一体NHKの意見なるものはだれがきめるのだということになると、会長の私が最終的にはきめざるを得ないことになるが、政治的な一つ一つの問題について、きょうは、右が正しい、きょうは左が正しいというふうに私が一々軍配を上げるということは、はたして可能なりやいなや。可能であっても、常にそれが正しいかどうかということは、いかに何でも私は確信を持つことはできないのです。今日NHKはラジオを含めて千八百万——二千万の戸数にするとほとんど全日本の各家庭にまでラジオ、テレビが入っているときに、NHKが一つの意見を持ってキャンペーンを行なうならば、それはある場合においては日本を動かすこともむずかしくはないだろう。そういう強い力を持っている機関が、自分の意見を各家庭の茶の間まで持ち込むことがはたして妥当なりやいなや。新聞の場合は社説というものがありますが、あれは電波とは違いましてめいめいが自由に発行することができる。電波の場合はそういうわけにいきません。ある点までは独占的な性格を持っているもので、そういう独占的な性格を持っているものが一つの意見を持って、茶の間まで吹き込むことが、現段階においてはたして妥当なりやいなやということについては、私はそこまで踏み込むだけの勇気が実はないのでありまして、あなたに御失望を与えたことははなはだ残念でございますが、私はそういう自分を押し出すということは、NHKの会長である限りはしばらく差し控えてまいりたい、かように存ずる次第でありまして、どうぞ御了解を願っておきたいと思います。
  158. 山田長司

    ○山田(長)委員 いろいろごもっともな御意見を伺うことができたわけですが、やはりNHKは法律的に保護を受けているというようなことから、どうも政府機関である印象を強く持つのです。それと少しばかりであっても補助金を受けておるということから——阿部会長のおられるときにぜひ要望したいのは、政府の保護を受ける問題についても、一応聴視料の値下げやら、あるいは廃止の目標に向かってものを考えていくとか、補助金の問題等についても目くされ金をもらわぬ方針などをほんとうに打ち出していけるようになってくれば、国民的な印象のものになると思うのです。その点がどうもわれわれ少しも感じられないので、何となしにもらっておるというような印象があるのですけれども、この点どうお考えになりますか。
  159. 阿部真之助

    ○阿部参考人 ただいまNHKが政府の補助言を受けておると申されましたが、NHKは一文も政府から補助を受けておりません。補助を受けておるのは国際放送でございます。しかしながら国際放送に要する費用というものは現在五億五千万程度でございまして、政府から受ける補助というのはその五分の一そこそこにも足らないのであります。しかもこれは補助としてちょうだいするのではなしに、政府の命令によってやっておることなのでありまして、その命令の代償として当然一億何千万円というものをいただいておることで、命令がなければわれわれはわれわれ独自の立場においてやるつもりでございます。これは法律によって政府の命令でやっておることでありまして、これを拒否することはできないのであります。どうかその点も御了解願いたいと思います。
  160. 白浜仁吉

  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一つ、阿部会長に伺いたいのですが、実は国内向け放送の番組の問題についてであります。特にそのうち娯楽に関するものについてでありますが、これがわが国の青少年に与えておる影響はかなり深刻であります。この点で根本的な御反省と再検討を願いたい。会長よく御承知だと思うのですけれども、いま非行少年は全国で十四人に一人おります。そして殺人あり、強盗あり、強姦あり、以下多数の犯罪及び虞犯少年がおるのです。そこでテレビの普及率は三十六年度の郵政大臣の意見書によって見ましても、全国で千二十二万戸、四九・五%、つまり半分はテレビを見ておるわけであります。そしてこれはあなたのような広大な部屋に住んでおられる人は別ですけれども、狭い部屋に親子がおって、幼児がだんだん成長し、テレビを見るようになる。テレビでは毎日一ぺんは人殺しが何らかの形で行なわれておる。これは世論なんです。毎日人殺しを見ておるものですから、何とも人命というものに対する感覚が正常に成長しないといううらみがある。こういうことは犯罪白書の原因を追及してみましても、あるいは文部省あたりの教育についての傾向や非行少年の原因を聞いてみましても、どうもその辺が大きな原因になっておると思います。目で見るものですから、なかなか印象は深いのです。表に飛んで出て遊ぶのにも、何をやっておると思ったら、なぐり合い、殺し合いで、これがいま子供にはやっておるのも御存じのとおりです。なるほど放送法の四十四条は、公衆の要望にこたえることになっておるけれども、いたずらにそういうことに迎合することだけが能じゃないだろうと思うんです。みんなが要望するからやるというのではなしに、そこには抜本的にお考えを願わなければ、深刻な影響はおそるべきものがあると思います。でありますから、番組の編集にあたりましては相当重大に取り扱ってもらいたい。事実は事実なんです。この点、はっきりと会長に御意見を伺っておきたいと思います。
  162. 阿部真之助

    ○阿部参考人 たいへん重要な御質問でございまして、青少年が悪化しておるという事実に対しましては、われわれはかねがね甚大な注意を払い、憂慮を持っておるわけでありまして、主たる原因はテレビにあるというような御意見を最近しばしば聞くのであります。これに対して的確なる資料がないのでありますが、今日のごとくテレビが普及した現在において、テレビが何ら影響がないと考えるわけにはいかないので、NHKにおいては、この点については特にかねがね注意を払って、もう数年前から、いわゆる暴力追放と称して、ああいう暴力番組で青少年に刺激を与える番組は、NHKの番組からは一切追放してあります。それにもかかわらずこういう非難がしばしば起こるのは、NHK以外の放送局関係にあるかとも推測されるのでありますが、それについては私はお答えすることはできません。しかしながらNHKに関する限りにおいては、どうもNHKの番組ははなはだかた過ぎてつまらないというような御批判はしばしば聞くのでありますが、私どもは、つまらぬと言われても、害毒を流すような番組は今後といえども一切放送しないというかたい決意を持っておるのであります。もし間違うようなことがありましたら、遠慮なしに即座におまえのところは間違っておるじゃないかとおしかりを願いたいと思います。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まだ聞きたいけれども、時間の関係がありますので、また別の機会をぜひひとつ利用させていただくことにしまして、保留しておきます。
  164. 白浜仁吉

  165. 福井勇

    福井委員 たいへん御多忙のところをお歴々に来ていただきましたが、本会議の予鈴も鳴りましたし、押谷君があまり長くやったものだから私の割り当て時間がなくなってしまったので、一点だけお尋ねしておきたいと思います。  私たちは政界におりましても、また新聞をずっと見ましても、いざ世論をお聞きになる場合に、新聞の世論調査というものは科学的にやっておられるということを活字で見るわけでありますが、いまの政府あるいは官庁などのやり方を見ておりますと、たいてい中央においてわかったメンバーばかりでございます。評論家というような方をお願いするとすれば、まず筆頭には阿部先生だとか、山浦先生だとか、御手洗先生あたりのりっぱな人が東京においでになって、この人たちに固定してしまう。審議会などでも同様であることは御存じのとおりであります。そこでNHKのような天下の公器と申しますか、りっぱな組織のところでは、選挙までやって出ていこうというばかなことはせぬ、あるいは中央までわざわざ金を使って出ていくというようなことはせぬが、非常にりっぱな意見を持っておる人が日本じゅうにはまだたくさんあると思いますので、そういう人の意見を、NHKがいろいろりっぱな方針をお立てになるときに聞かれるというようなことを積極的に考え出すようなことはいかがですか。
  166. 阿部真之助

    ○阿部参考人 御説まことにごもっともでございまして、NHKといたしましては、なるべくそういう人の固定化を防ぎたいと思うのでありますが、隠れた人間を掘り出すということはなかなか困難な仕事でございます。しかも一週に何十本、何百本という番組をつくらなければならぬ非常に忙しい中にその隠れた人間を、一々それが適当な人かどうかわからぬものを掘り出すのは困難なので、ついあるいは番組の編成の場合に、安易に流れて常連になるというおそれは多分にあると思いますが、そういう点は十分戒めて、新しい有力なりっぱな人を発掘するように努力するようにいたしたいと思います。
  167. 福井勇

    福井委員 またとない機会でございますから、いまのような御方針でNHKさんのことだけでなく、私は一般の政治のあり方についても、あるいは国会の運営のあり方についても、もっと積極的に本来の阿部先生のお力を、日本はいまいろいろな難儀な問題に逢着しておるやさきでございますので、もっと昔のように鋭い御指導と御批判を賜わりたいと、一委員である福井からお願いしたいと思います。  最後にお尋ねしたいのは、日本放送協会阿部真之助先生は、放送協会へおいでになってから筆先の動きも鋭さがどうも減ってきたという響きを私たちは何となくよそで——だれが言ったかれが言ったということはもちろん忘れておりますが、聞いております。私は阿部先生などがそのつもりにおなりになれば、内閣の一つや二つはすぐかわるくらいなお力を、(笑声)私は笑ったことばでなくて、ほんとうにかたく信じております。それほど指導的な役割をしておられる得がたい現代日本の指導者だと私は思っております。そこで放送協会の会長になられて、そういうようなおつもりはないでしょうが、昔どおりなお気持ちでわが政界、官界ももっとりっぱになるように鋭い指導的活動をしてもらう御決心はないでございましょうか、最後にお尋ねいたします。
  168. 阿部真之助

    ○阿部参考人 たいへんどうもありがたいお話でございますが、ただいま私はNHKの会長をいたしておるもので、筆を断っておるのであります。評論は目下のところ廃業しておるのです。しかしながら、いつまでもNHKの会長をしておるわけではありませんから、会長をやめたら、あばれ出す機会もあろうかと思います。しかし、だんだん年をとってしまいましたから、はたしてほんとうにあばれられるかどうか、自分でも……。そのときはひとつよろしくお願いいたします。
  169. 白浜仁吉

    白浜委員長 参考人各位には委員会の調査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。      ————◇—————
  170. 白浜仁吉

    白浜委員長 この際参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件中、建設省関係調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 白浜仁吉

    白浜委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお参考人出頭の日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 白浜仁吉

    白浜委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会      ————◇—————