○松岡(亮)
政府委員 ただいま御質問のありました点は、農業金融の基本的な問題にも触れる重要な問題でございます。私どもといたしましても、農業基本法ができましてから近代化資金制度を設けまして、
農協の系統の資金に対しまして利子補給をして、いわゆる近代化資金制度を設けたのでございますが、ただこの資金コストは御指摘のようにかなり高いわけです。一般金利に比べましてそれほど高いというわけではございませんが、
政府が
相当の利子補給をしなければ六分五厘程度に、望ましい金利まで引き下げられないという状況でございますので、
農林省といたしましては、まず
農協の組織なり
事業の
運営につきまして、コストが高くなる要因を分析しております。その結果といたしまして、まず単協の
段階におきましてはいろいろ原因はございますけれども、たとえば大きな原因としましては、信用
事業のほかにいろいろな経済
事業をやって、総合的に
運営されておるわけでございますが、その経済
事業のほうがほとんど黒字を出さない、あるいは赤字になっておるというような状態が見受けられるのでございます。そのために、信用
事業から経済
事業に貸し出します金が無利子になっておる、あるいはその他の、経済
事業のほうの人件費や
事務費を信用
事業のほうで負担するというような無理があるのでございます。もちろんこれは信用
事業だけの改善ではどうにもならないわけでございまして、全体として
農協の制度あるいは
運営の改善に待たなければなりませんが、そのためには、先般来
農協の合併の促進をやっております。これは
相当効果をあげて、現在
相当大型の
農協ができつつあります。大型にすることは、いまのような問題に限らず、全体のコストを引き下げる効果を持っておるわけでございます。そういう対策も取りつつあるのでございますが、他方、農林公庫のほうから
相当な財政資金を出しておるのでございます。これは、昨
年度は八百七十億円の
ワクでございましたが、さらに本
年度は千七十億
——二百億大幅に増額いたしまして、その金利もさらに下げるようにいたしたわけでございます。いま御指摘になりました点は、こういう高い系統資金によらず、むしろ
政府資金に利子補給をしてはどうか、こういう御提案でございますけれども、これはいろいろなやり方があるかと思います。御指摘のようなことも考えられないわけではございませんが、同じ
政府の
支出をやって農家に対して低利の金を供給するという場合に、系統資金のように、償還の期限あるいは運用の年数が平均七、八年という、長期といえば長期でございますが、そういうものと、
政府資金のように
——現在農林公庫の運用は十二、三年、あるいは今回の改正によりまして十四、五年になるかと思います。平均そのくらいの長期に運用している場合と比較いたしますと、
あとのほうの長期の場合におきましては、利子補給でいくよりも、
政府が無利子の資金を出資して、それと資金運用部資金とを合わせまして、低利の資金にして貸し出すという方式をとったほうが、同じ
政府の負担によりまして同じ効果をあげるのにより効率的である、こういう考えからいたしまして、現在におきましては
政府出資をできるだけふやすということで、低利にするということをつとめておるのでございます。しかしながら、御指摘の点は、それだけに限らず、根本的な問題でございますので、
農林省といたしましては、本
年度におきましては、農業金融につきまして基本的な角度から再検討をいたしたいと考えております。