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1964-03-13 第46回国会 衆議院 外務委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十三日(金曜日)    午前十一時三十分開議  出席委員  外務委員会    委員長 赤澤 正道君    理事 安藤  覺君 理事 椎熊 三郎君    理事 正示啓次郎君 理事 古川 丈吉君    理事 戸叶 里子君 理事 穗積 七郎君    理事 松本 七郎君       宇都宮徳馬君    菊池 義郎君       竹内 黎一君    福井  勇君       三原 朝雄君    森下 國雄君       田原 春次君    平岡忠次郎君       松井  誠君    川上 貫一君  大蔵委員会    理事 坊  秀男君 理事 有馬 輝武君       宇都宮徳馬君    田中 武夫君       松平 忠久君  運輸委員会    理事 有田 喜一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       細田 吉藏君    勝澤 芳雄君       内海  清君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (海運局次長) 澤  雄次君         運輸技官         (船舶局長)  藤野  淳君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    鈴木 秀雄君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済協力開発機構条約締結について承認を求  めるの件(条約第一号)      ————◇—————   〔赤澤外務委員長委員長席に着く〕
  2. 赤澤正道

    赤澤委員長 これより外務委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会を開催いたします。  先例によりまして、外務委員長たる私が委員長の職務を行ないます。  経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件を議題とし、提案理由説明を聴取いたします。大平外務大臣
  3. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま議題となりました経済協力開発機構条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  経済協力開発機構条約は、一九六〇年十二月十四日、欧州経済協力機構加盟国十八並びに米国及びカナダによって署名され、翌一九六一年九月三十日に効力を生じたものでありまして、この条約により、欧州経済協力機構欧州地域的性格を脱し、かつ、後進国援助をその目的一つに加えた新たな経済協力開発機構に改組されたのであります。  わが国は、同機構への加盟の希望を機会あるごとに表明してまいりましたが、一九六二年十一月の総理訪欧契機として機構側においてもわが国加盟を招請する気運が急速に高まり、一九六三年三月、機構交渉の開始を決定いたし、同年五月から七月にかけて東京及びパリにおいて交渉が行なわれ、その結果、同年七月二十六日、機構わが国加盟を正式に招請するとともに、交渉の結果を記録する了解覚え書き署名が行なわれた次第であります。  経済協力開発機構は、高度の経済成長後進国援助及び貿易拡大を三大目的とする国際機関でありまして、経済通商の面のみならず、金融、科学技術、農業、漁業、原子力、教育、労働等、きわめて多岐にわたる分野において活動しております。  わが国は、この機構加盟することにより、先進工業国との間の協力関係緊密化を通じ高度の経済成長達成し、もって世界経済発展に貢献することができるのみならず、他の加盟国経済動向に関する情報の入手、対外投資円滑化後進国援助合理化等の面においても期待し得ること大であります。  よって、ここにこの条約締結について御承認を求める次第であります。
  4. 赤澤正道

    赤澤委員長 これにて提案理由説明は終了いたしました。     —————————————
  5. 赤澤正道

    赤澤委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。松平忠久君。
  6. 松平忠久

    松平委員 ただいま提案理由説明のありましたOECD条約加盟について、政府は、十七項目の留保を除いて、貿易外取引資本移動について自由の義務を負うことになったわけであります。この影響は、日本国際収支の上にきわめて重大な影響があると思うのであります。今日、貿易そのもの赤字でありますけれども、さらに、膨大な貿易外収支赤字が累積される傾向にあるわけでありまして、この貿易外収支正常化をするためにも、大蔵大臣の言っておるところによっても、七、八カ年かかる、こういうことを言っておるわけであります。この条約加盟にあたって、私は、外務当局に少し甘く見過ぎておったということが当初あったのではないかと思うのであります。昨年の六月における交渉経過等を見ておりましても、当初のアデアが来たときの交渉についての不手ぎわがあったのではないか、そして、第二回目の交渉にあたって、その不手ぎわを若干認めながら巻き返しをしておったような傾向がこの交渉過程に見られるわけであります。しかし、それにも増して、日本OECD加盟というものを非常に急いでおる、こういうことの考え方政府首脳部にあったために、非常にきつい条件をむしろ逆に押しつけられてしまった、こういうことがこの交渉経過には認められるのでございます。すなわち、背伸びをして加盟をする、こういう非常に急いで加盟をするという態度があったために、先方からいろいろな条件を押しつけられてしまった、これがこの署名に至るまでの経過であろうと思います。そこで、外交と内政とが一致をしておらないきらいがあったが、閣議において、やむを得ぬからこれを調印に踏み切ろう、そして運輸大臣等には泣いてもらうんだ、こういったことによって加盟に踏み切ったといういきさつがあるようでございます。  そこで、その後において、このOECD加盟の決定をいたしました政府としては、当初甘く見ておったのが、案外きつい条件のもとに加盟が行なわれることになったということで、この加盟によって日本国際収支についていろいろな手直しをしていかなければならない羽目におちいった。しかも、その最大なるものは、貿易外収支赤字の解消をいかに早くするかということであります。  そこで、まず第一にお伺いしたい点は、日本加盟を非常に急いだという理由のほんとうの理由というものはどこにあるのか。どうして一体もう少しいい条件で加入をするというようなことをしなかったのか。私は、これは池田総理及び大平外務大臣のものの考え方にあっただろうと思うのですが、こうして日本経済にかなりの混乱を与えることをあえてして、そうして、背伸びをして、そのしわ寄せを国民に押しつけるような結果になるわけでありますが、そういうことをあえてしてまで、どうして一、二年あるいは二、三年待てなかったか、このことについて外務大臣見解をまずただしておきたいと思うのであります。
  7. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘の、国際収支わが国経済運営にとりましての深刻な課題であることは、松平さんと見解を一にいたします。退いて縮小均衡の保持に甘んずべきか、それとも進んで拡大均衡達成に努力するか、いずれを選択するかという選択に迫られた場合に、私どもは、進んで拡大均衡維持達成に努力すべしという考えを持っております。  それから、いま御指摘の、貿易外取引におきまして、特に海運の問題につきましても、海運業の将来を考え国際収支の将来の安定したパターンを考える場合に、OECD加盟するしないという問題と直接の関連なく、海運業増強拡充ということは、わが国経済成長発展にとりましての不可欠の問題でございますので、これもまた進んで積極的な施策をこの際講じて、貿易外取引の改善に実体的な基盤を造成していくように努力するという基本的な姿勢をわれわれはとっておるわけでございます。  したがいまして、OECD加盟という問題を背伸びして急いだわけではなくて、基本の経済に対する考え方といたしまして以上のような考え方を持っておりますので、われわれといたしましては、これはわが国としては当然なすべききわめて自然の道行きじゃないかというように受け取ったわけでございまするし、国内におきましてのOECD加盟論議もまた、これは、加盟について自重すべきだという論議よりも、むしろこれは当然の道行きであるという受け取り方が支配的だったと存じております。  それから、OECD機構側日本側との交渉におきましては、私の印象では、むしろ当初予想いたしておったよりは順調にいった、先方態度もリベラルであったと思っておるわけでございまして、ことさらこちらが御指摘のように背伸びしたという気持ちはございませんし、また、そういう事実も私はないと存じております。
  8. 松平忠久

    松平委員 縮小均衡拡大均衡かというそのことについての考え方で、拡大均衡方向をとった、こういう御答弁でございました。私はこの際伺っておきたいのですが、そういうものの考え方について、大蔵大臣の出席したときに、日本の現在の国際収支のバランスがどうなっているかということについて論議を進めていきたいと思いますが、それはあと回しにいたしまして、背伸びをしたわけでも、あるいは急いだわけでもない、こういうお話でありましたが、また、交渉過程において大体思ったよりも順調に進んだという答弁であったわけでありますが、私ども聞いておるところによると、昨年六月の第一回の会合においては、日本側が現在当面しておる経済の諸問題についてかなりいろいろなことを説明をしたために、かえって向こうのほうに知恵がついてしまって、そして態度を硬化したという事実があるわけであります。そこで、政府部内の役人は、これはいかぬということでもって、考えを直して、そして、あまりに日本国内事情をこまかく説明することはやめようじゃないか、そして、ただこれとこれとこれだけを留保する、そういう考え方に立って第二回目の交渉を行なった事実があると聞いております。したがって、交渉の当初においてやり方を間違えておった。しかし、このことは技術的な問題でありますから、いまさらこの委員会においてかれこれ言う問題ではないと思いますので、ただその点だけに触れて、交渉のしかたがまずかったということだけは私は認めておるわけでありますが、その中で特に私が指摘したいのは、アメリカ自国船主義留保あるいはアメリカの各州でとられておる措置、こういうものについて、この措置規約に違反しているものがあっても、その規約の適用がないという全面的な留保というものを付属書Cにおいてアメリカはいたしておるわけであります。そういうアメリカ側付属書Cにおいて全面的な留保ということをしておきながら、なぜ一体船舶自由化の問題についてああいう不手ぎわをしたのか、そのことについて外務大臣経過の御説明を求めたいと思います。
  9. 大平正芳

    大平国務大臣 それでは、経過でございますから、経済局長から御説明させます。
  10. 中山賀博

    中山政府委員 海運問題についてアメリカが全面的な留保をしていることは事実でございます。この問題につきましては、もともと日本アメリカ立場は相反しておりまして、われわれはむしろ常日ごろからアメリカに対して自由化を要求し、そうしてまた差別待遇の撤廃を要求しているわけでございます。そこで、考え方によりますれば、むしろわれわれがここでいろいろな国内的な措置を講じ、われわれの受ける負担というものを最小限度にしながら、しかもこの自由化コードの中に積極的に参加することによって、将来われわれがさらに強い立場からアメリカに対して話を進めていくということも一つの行き方じゃないかと思います。そういう考慮もありまして、いろいろ交渉いたしまして、海運につきましてはああいう結果になりましたけれども、今後ともOECDの中でアメリカの閉鎖的あるいは差別的な政策というものはやめさせていくというように努力することがわれわれの方向かと存じております。
  11. 松平忠久

    松平委員 アメリカシップ・アメリカン自国の方針をOECD付属文書において全面的に留保している。この了解事項というか、議決に基づくアメリカ付属書Cに基づく留保というものは、当時加盟国全部がこれに賛成しておったわけですか、あるいはどこかの国で反対しておった国があるかどうか、それを伺っておきたい。
  12. 中山賀博

    中山政府委員 もちろん、他のヨーロッパにおける主要海運国はこれに反対いたしまして、非常に激しい議論が行なわれたと聞いております。しかし、結果としてアメリカのああいう留保となったと聞いております。したがって、もちろん激しい反対があったわけでございます。
  13. 松平忠久

    松平委員 日本加盟にあたって当初五年間の期限をつけたのですが、それに対してノルウェーその他のヨーロッパの国で反対をしておったものがある、こういうことを聞いておりますが、一体OECD加盟交渉というものは、OECD事務局とだけやったのか、あるいはそういう反対をしておる国の本国政府と側面的な交渉をしたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  14. 中山賀博

    中山政府委員 御承知のように、OECD事務局からまいりまして、二つの規約に関する交渉をわがほうの係官といたしました。同時に、いま仰せのような、主として北欧の三国等におきまして、日本やり方に対して非常に強い反対があり、いろいろもめました際に、それらの国に駐在しているわがほうの外交機関を通じて、わがほうの立場考方をいろいろ説明したことはございます。
  15. 松平忠久

    松平委員 アメリカ留保したときには、反対はあったが、終局的には北欧三国は賛成している。そこで、日本北欧三国に交渉したけれども、今度は反対をされた。一体北欧三国というものは、なぜアメリカには賛成をして、なぜ日本には反対をしたのか、その人たちはどういう言い分ですか。矛盾じゃありませんか。アメリカシップ・アメリカンについては、最終的には付属書Cによってこれは賛成をしている。ところが、日本はそれよりもずっとゆるい条件でありながら、それに対しては反対をするというその態度はこれは明らかに矛盾であると思います。一体先方はこれは何と言っているんですか。
  16. 中山賀博

    中山政府委員 北欧国等言い分は、日本のような強大な造船能力を持ち、また過去の伝統を持った海運国が、しかるべく国内措置をせられて、そうしてOECDにはあまり大きな留保はしないでこの海運に対する規制をのんでもらいたい、同時に、われわれは一緒になって、将来アメリカに対して、シップ・アメリカンとか、そういうようなこの自由化にあるいは海運の自由の原則に反するようなことを戦っていこうじゃないかという趣旨のことを申しておりました。
  17. 松平忠久

    松平委員 事務局次長アデアは、当初日本の出した五年間の延期ということを黙認をする、それは留保として文書に書くことは困るけれども、しかしそれは黙認をするという態度をとっておったということを聞いておりますが、事実でありますか。
  18. 中山賀博

    中山政府委員 アデア以下OECD事務当局に対してわが国海運界の現状を説明して、さらにわれわれがいろいろ困難な事情説明いたしました。そのときにアデア日本の五年間というのを黙認したという事実はございません。ただ、彼らも日本立場が非常によくわかって、何とかしてここに日本のためにもなる妥協考えたいと努力したことは事実でございます。
  19. 松平忠久

    松平委員 運輸大臣にお伺いしたいと思うのですが、日本はやはり五年間は制限をつけるというものの考え方であった。特に運輸省はそういう考え方であったろうと思うのですが、したがって、海運業再建整備法利子補給法を出したときには、大体五年ということを目標にして出しておると思うのであります。そこで、当初運輸省としては五年が認められるものと思っておった、そういう判断に立っておったと私は思うのですが、そのような判断に立ったればこそああいう法律を出してきたと私は思うのですが、その点について、運輸大臣は当初いかなる認識を持っておったか、ここで明らかにしてもらいたいと思う。
  20. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いま松平委員仰せの御趣旨のように、私どもは、五年間たてばとにかく日本海運は曲がりなりにも再建できるということを考えまして、そういうことを最初考えておりましたが、外務大臣がさっき説明されたように、より高い国家的見地にかんがみまして、タンカーについては二年、鉄鉱船その他については一年の留保期間で同意いたしたのであります。しかして、その五年間かかる分をなるべく縮めまして、造船能力の許す限り、また資金の許す限り、五年かかって船腹の増強をやるのをなるべく早くやるように、政府にあらゆる措置をとるように申し出しまして、政府の了承を得まして、同意した次第でございます。
  21. 松平忠久

    松平委員 その点について後刻運輸大臣に質問申し上げたいと思うのですが、これに関連しまして、いわゆる運賃率に対するアメリカの直接の干渉、このことは私はOECD条約の精神に反すると思うのだけれども、それについて、いままで外務省なりあるいは運輸省なりはいかなる措置をとっているか、ことに海運局長はその問題で最近アメリカに行かれたと聞いておるけれども、この運賃率に対するアメリカの直接の干渉について日本のとっておる措置、並びに今後とらんとする措置について外務大臣からまず承っておきたいと思う。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 松平さんの御質問を伺っておって私一つ申し上げておきたいと思いますことは、アメリカ海運業日本海運業とは立場は非常に違うと思うのです。アメリカでは、シップ・アメリカン政策というものを非常に鼓吹して推進しておるにかかわらず、年々歳々積み取り比率は落ちておりますし、思うにまかせないという状況でございます。あのように留保するということは決してアメリカ海運業の名誉ではないだろうと私は思うのでございます。わが国といたしまして、海運業というのは、OECD加盟するとか加盟しないとかにかかわらず、本格的に光栄ある昔を再現しなければならぬ、またそれだけの潜在的な力を持っておるわけでございまして、戦争中たまたまオーシャン・ゴーイングが壊滅したというような特殊な事情にはばまれまして今日苦悶を重ねておりますけれども、しかし、これは過渡的な状態でございまして、本来日本海運というのは自由に七つの海に雄飛していかなければならぬし、また、それだけの潜在的な能力に恵まれておると思うのでございます。したがって、OECD加盟する加盟しないにかかわらず、本格的な海運再建という仕事は続々進めてまいらなければいかぬ。今度のOECD加盟の問題というのは、これを契機といたしまして一段と国内における海運再建政策というものが数歩前進するのではないかというように私どもは見ておるわけであります。アメリカの場合と日本の場合とは非常に事情が違うということでございまして、今後アメリカ海運政策でいまの海運の自由ということを制約するもろもろの提案がなされてくるという場合には、わが国ももとより果敢にこれに対して抵抗しなければなりませんが、同時に、欧州海運国と協力いたしましてこれに当たるというようにいたしたいと思います。先ほど中山経済局長から申しましたように、われわれが本来あるべき姿勢を取り戻しておくという場合に、これに対する、アメリカに対する抵抗を試みる場合におきましてわれわれの足場がそれだけ強化されるわけでございまして、それは日本海運の将来の進路にマッチしたことであると思うのでございます。  運賃率の問題につきましても、いままでも努力してまいりましたが、今後もっと国際的な組織的な方法においてその自由を制約する要素につきましては是正を求めるよう努力してまいりたいと思います。
  23. 松平忠久

    松平委員 外交上のしわ寄せを受けておる船舶関係において、これを好機にして昔の日本海運のあの隆盛のところまで引き上げていくのだ、このようなふうに受け取ったわけであります。ものは考えようだろうと思うのですが、しかし、重要輸出入貨物自国船積み取り留保ということは、アメリカだけではなくて、フランスもイタリアも西ドイツも、このOECDの中でやっておるわけであります。日本タンカー並びに鉄鉱石石炭専用船について二年、一年の留保条項がありますけれども、しかしながら、現在の日本海運の実際の状況から、この留保というものは、当初考えておった五年というのが正しい考え方であると私は思うけれども、これを向こうのために押しつけられたという今日になって、あわてて日本海運再建をあらためて再検討して、そしてこれを早くやっていかなければならない、しかもこれはOECDとは関係なくやらなくちゃならないのだ、こういうお話であったわけであります。  そこで、伺っておきたいのですが、アメリカ海事法の規則についての違法性については、国際的に、つまり、いまあなたが言われたところのほかの国国一緒になってどの程度これを今日までアメリカ政府に対して抗議もし、またアメリカ政府反省を促して、そして一体いままでどの程度効果がありましたか、それを伺っておきたい。
  24. 若狭得治

    若狭政府委員 ただいま問題になりましたアメリカ運賃調査の問題につきましては、基本的に、海上運賃というものは多数国間の問題でございますので、一国の商業上あるいは経済上の理由によってこれに干渉するということは適当ではないということで、今日までたびたび抗議をいたしてまいったわけでございます。なお、日本だけではなしに、西欧の関係十カ国もアメリカ政府に対して何回となく繰り返してこの抗議を続けてまいっておるわけでございます。ことに、この調査のために国外にある文書提出を要求するというような問題につきましては、国家主権の問題にも関係する問題でございますし、われわれとしては、何回となくこれを抗議いたしますし、また、国内にある各海運会社に対しましては、その文書提出に応ないように指導いたしておるわけでございます。なお、今後の問題といたしましては、欧州の十カ国の関係の閣僚の会議がございますが、それに日本運輸大臣も加わりまして、さらにこれを反対を強化していくということを考えておりますし、また、現実に二月十日からOECDのこの問題に関する特別会議がございまして、運賃調査に関するアメリカ側の具体的な提案を検討いたしまして、現在その対策を関係国の間で検討しているという段階でございます。
  25. 松平忠久

    松平委員 いままで何回となく抗議したというのですが、どういう効果があったかということを私はお尋ねしている。つまり、この海事法規制運賃率に対する先方干渉的な態度というものに対してこちらが抗議をしたのだが、その抗議の実効がどの程度あがったかということをお伺いしている。いままであがりませんか、あがっていますか。
  26. 若狭得治

    若狭政府委員 具体的にはOECD海運関係特別会議におきましてこれに対する具体策を現在検討いたしておるわけでございます。アメリカ政府といたしましても、やはりこの運賃調査の問題については各国の主張との妥協を現在はかっておる段階でございまして、われわれの従来主張してまいりましたところの、各個別の海運会社に対する調査というものを取りやめて、何らか政府間の交渉においてこの問題を解決していこうというような機運に向かっておるわけでございます。どういう結論になるか、まだ結論は出ておりませんけれどもアメリカ国内においてもやはり反省の色が出てきたために、OECDにおきましてこの問題を具体的に相談するというような状態になってきたものとわれわれは考えておるわけでございます。
  27. 松平忠久

    松平委員 三十七年の日米合同委員会において、ロッジ商務長官に対して、シップ・アメリカンのことは困る、これはひとつ大いに反省をして考えてもらいたいということが議題になっておるわけであります。ところが、今回の合同委員会においても運輸大臣とロッジとの会見がありましたけれども、先般の運輸委員会の質疑応答によりますと、ロッジは、これは所管外であるから取り次ぐというようなことだけでもって、取りつく島もなかったという答弁運輸大臣はしております。ところが、三十七年のあの日米合同委員会のときに、すでにロッジと日本運輸大臣との間にこの問題についてのやりとりがあって、そうして、先方では、そのときにも、アメリカ政府の運輸当局に伝えて考えよう、こういうことを言っておる。一体運輸大臣は、今回のロッジとの会見においては何らの進展もないわけであるけれどもアメリカ側に対する一昨年並びにことしのこの日米合同委員会におけるあなたの印象はどうですか。
  28. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は三十七年の日米合同委員会には出ておりませんので、その印象を直接語れませんが、今回も、ロッジ氏の意見は、ただいまあなたの仰せの御趣旨のような意見でありまして、私は、それはすこぶる遺憾だから、よく考えて、そうしてさらに返事をしてくれるように、あらためて外交交渉をするからというので、この間の日米合同委員会で私との間にやりとりされたことでございまして、これははなはだ遺憾でございますが、現在はそういう状態であります。
  29. 松平忠久

    松平委員 三十七年のときにはあなたは日米合同委員会に出なかったと言われておるが、あなたの前任者の運輸大臣は出ているはずであります。また、それは運輸省の報告しておるこの「日本海運の現状」という中に明らかに書いてありますよ。三十七年にすでにそういうことを言って、何らの反響も手ごたえもない、またことしも何もない、こういうことではどうかと思う。外務大臣一体どうですか、こういうようなやり方ではのれんに腕押しみたいなものである、これではしょうがないと思うのだけれども、その間において一体外務大臣はどういうことをなさっておるのか。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 三十七年の日米合同委員会には運輸大臣は出席いたしておりません。今回が初めての御出席でございます。この問題がはかばかしく打開していってないということは御指摘のとおりでございます。しかし、だからといって、挫折してはならないので、大きな象が方向を変えるというのはなかなか手間がかかるわけなんでございまして、私どもは時間をかけて忍耐強く執拗に努力してまいりたいと思います。
  31. 松平忠久

    松平委員 三十七年のときには運輸大臣は出なかったといういま答弁でありましたが、それでは、三十七年にはこの本の中に書いてあることはだれがやったのですか。日米合同委員会でロッジとの間にこのシップ・アメリカンについてけしからぬから検討しろということをだれが交渉したのですか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 たぶん通産大臣が運輸大臣にかわっておやりいただいたと私記憶をいたしております。
  33. 松平忠久

    松平委員 通産大臣ですか。通産大臣だとすれば、通産大臣が交渉したというその交渉の経緯、いきさつというようなものは、運輸大臣はつぶさに聞いておりますか。
  34. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 つぶさということばはどうかと思いますが、大体は聞いております。
  35. 松平忠久

    松平委員 聞いておるとすれば、初耳のような、今度ののれんに腕押しみたいな結果にならぬで済んだと思うのです。二回やっておるのですから、二年の間に何らかの考え方向こうでまとまっていなければならぬのみならず、相変わらず同じような返事をして、そして運輸当局に告げる。三十七年にもそういうことをやっておる。これではいつまでたったって同じことだと思うのです。これはもっと本腰を入れてやらなければならぬと思うのです。  そこで、次に移っていきたいと思うのですが、運輸大臣にお伺いしたいと思うのです。  確かに、運輸省においては、初めの考え方とは違って、OECDよりきつい条件をつけられたために、早く海運再建をしていかなければならない、こういうことになったわけでありますが、現在の赤字の増大、さらには来年度も五億ドルをこすというような赤字でありますが、これに対して大蔵大臣は幾らでも金を出すというようなことも言っているというのだが、一体どうやって赤字を解消するおつもりですか、どういう具体策を持っておられるか、その具体策をこの際承っておきたいと思います。
  36. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 結論的に申しますと、船腹の不足というようなのが非常な問題でございますから、まず船腹の拡充をはかり、それから、次には、諸種の海運運賃以外の赤字であるところの、すなわち、ブイの使用料であるとか、港湾の使用料であるとか、とん税その他いろいろな施策を講じまして、なるべく貿易外の海運による収支の赤字を少なくするように努力してまいりたいと思っております。しこうして、まだ政府の正式の議は経ておりませんが、運輸省といたしましては、少なくとも四十二年までに付属施設の赤字はともかくとして海運収支による赤字をなくすべく、すなわち昭和四十二年までにとんとんになるような計画をただいま作成しまして、それによる船腹の拡充に力を注いでまいりたいと思います。これに要する資金その他につきましては、政府は必ず運輸省の要求に応ずる、資金を出すという了解のもとに私は海運OECD加盟賛成したような次第でございまして、着々とその船腹の増強に向かっていろいろな施策を考えてやっております。
  37. 松平忠久

    松平委員 その点についてもう一つ伺っておきたいのですが、船腹の拡充計画というその建造計画のことしの計画を見ると、六十四万トンばかりですね。運輸省の計画しておるところは百五十万トンくらいずつ今後三年間につくっていかなくてはならない、こういうことでありますが、ことしの六十四万トンといまの百五十万トンとでは半分以下になってしまう。こういうことなんですが、予算の財政投融資その他が決定したあとでも、大蔵大臣は年度内の中途においてどんどん建造費をまかなう、こういうことなんですか。
  38. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 計画造船による船の増強は、三十九年度におきましては約六十八万トンでございますが、そのほかに計画造船によらぬ船腹の増強が、あるいは専用船とかあるいはその他の自己船等によりまして約二十数万トンは拡充される計画になっております。それ以外につきましては、予約制度を実施するとか、あるいは開銀の融資の方法を幾らか緩和と申しますか、いままでは十年間のシェアの確保がなければ造船を認めないとかなんとかいうようなことを緩和するように努力いたしまして、さらに船腹の拡充に向かっておる次第であります。
  39. 松平忠久

    松平委員 いまのお話によりましても、六十八万トンと、それから計画造船以外のものを加えて、それが二十数万トンで、たかだか九十万トンくらいなんです。そうすると、まだ六十万トンというものが百五十万トンという計画には足りないわけです。そこで、いま私が承りたいのは、年度内においてもそれを百五十万トンに計画がえするというお考えはあるのですかないのですか。
  40. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 ただいまお答えいたしたのは、すでに決定したトン数でございまして、そのほかに事業者等の、まだ計画がきちっときまっておりませんが、相当の船腹量が増強されることを期待いたしております。いずれにいたしましても、四十年度、四十一年度、四十二年度におきまして、大体年間百六十万トンくらいをつくっていって、どうしても四十二年には海運運賃のみによる収支をとんとんにするような万全の策を講じたいと考えております。
  41. 松平忠久

    松平委員 四十二年までにとんとんにするということになりますと、現在の八百八十万トンから六百万トンか七百万トンくらい、しかも積み荷率は大体五〇%、六〇%以上、七〇%くらいまでしなければとんとんにならないというのが運輸省の試算のように聞いておりますが、四十二年度とんとんにするには、一体これから何トンつくるのか、積み荷率はどのくらいまで引き上げるのか、そういう目標がなければならないと思うのですが、その目標はどういうふうに立てておられますか。
  42. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 数字にわたることでございますから、事務当局から説明いたさせます。
  43. 若狭得治

    若狭政府委員 われわれのところで、ただいま大臣から御説明のありました昭和四十二年度に海運運賃収支を均衡させるということで船腹増強という対策をとるとすればどういう数字になるかということを一応試算いたしておるわけでございますが、それによりますと、今後五百三十八万トンの船腹を三カ年間に建造しなければならない、その場合の積み取り比率は、輸出につきましては現在五二%程度でございますが、これを約一〇%引き上げて六一%にしたい、それから、輸入につきましては、現在四七%程度の積み取り比率でございますが、これは七二%まで引き上げるということになるわけでございます。ただ、これは一応の数字でございますので、現在各産業界と具体的に、この期間においてどの程度の船舶建造の必要があるかということを詰めておる段階でございます。われわれといたしましては、船舶の建造と一口に申しましても、海運企業の整備を現在行なっているという段階でございますので、大量建造というものは、海運企業の経営の安定を阻害するというようなことではできないわけでございますので、海運経営の安定ということを考えつつ、なおかつこの大量建造を推進していくということにする場合にはどういう措置が必要であるかということを現在検討いたしておるわけでございます。具体的には、各産業界におきまして、たとえば特に石油あるいは鉄鋼関係の業界におきまして、どの程度の建造量をさしむき必要とするかということを、具体的に各積み地あるいは船型によりましてきめて、それによって具体的な政策を立てていきたいと考えておるわけでございます。
  44. 松平忠久

    松平委員 日本の船舶の中には戦後非常にコストの高い船がかなりある。これが国際競争力というものが非常に少ない一つ理由になっておると思いますけれども、こういうスクラップ化してしまわなければならぬようなコストの高い船というものは、一体いま何トンくらい持っておりますか、それに対してはどういう始末をつけていくつもりであるか、それを伺っておきたいと思うのです。また、この五百三十八万トンというものは、そういうものをスクラップ化することを前提としておるのであるか、あるいは、それはそのままにして残しておるものであるか、その点もあわせて伺っておきたいと思う。
  45. 若狭得治

    若狭政府委員 ただいま老朽船のお話がございましたけれども、昭和四十二年度までに法定の耐用年数、——税法上、たとえば貨物船は十八年、油送船は十六年という償却年限がございますが、それを超過するものにつきまして、現在老朽船対策というものを実施いたしておるわけであります。このトン数は約六十万トン程度あるわけでございますけれども、このうち早急に代替建造しなければならぬというものにつきまして、今後毎年この建造資金を開発銀行の融資によって実施していこうという対策も立てておるわけでございます。これは一方をつぶしまして新しいものをつくるということでございますので、船腹の増強とは直接の関連はないわけでございます。明年度からこの計画を実施するように、現在準備を進めておるわけでございます。
  46. 松平忠久

    松平委員 この老朽船の措置について、償却年限を超過しているのは六十万トン、現在償却をほとんどしておらないというから、償却をするためには約六百億から九百億くらい金がかかるということを聞いておるのですが、いまお聞きすると、そういうものは開銀融資か何かだということなんだけれども、その分は一体どういうふうに金融をつけていくつもりであるか、やはりこの際これを伺っておきたいと思う。
  47. 若狭得治

    若狭政府委員 六百億ないし九百億という数字はわれわれのところでまだ検討しておりませんけれども、外航船舶の中で、特にどうしてもわが国の物資輸送のために代替建造しなければならない、船令が古くなって物資輸送に支障を及ぼすというものを重点的に取り上げまして、これに対して五割の開発銀行融資を行なうわけでございます。残りの五割は関係金融機関の協力によって調達するという計画を進めていきたいと考えておるわけでございます。われわれといたしましては、一応税法上の耐用年数超過というものをとらえております。しかし、これも、現在超過しているということじゃなしに、昭和四十二年度までに超過するものということで、非常に幅広く考えておるわけでございます。そういう計画を進めていくことによって、わが国の老朽船は一掃できるというふうに考えております。ことに、従来老朽船の一番大きなものと考えておりました戦時標準船の対策というものは、過去三カ年間これを実施いたしまして、すでに、完全にと申しますか、この代替建造をする必要のあるものは全部これを一掃したわけでございます。それで、今日でもなお戦時標準船は多少残っておりますけれども、それは非常に大きな補修を加えまして、船舶の運航の安全というものについて全く不安がないというものだけが残されておるわけでございます。運航の不安のあるものにつきましては、全部これをスクラップにいたしまして新しいものにかえるという政策を過去三年間続けてまいりまして、今日ではその問題はすでになくなっておるわけでございます。
  48. 松平忠久

    松平委員 せんだって池田総理が、建造価額の安い日本でどんどん外国船をつくって、そうして競争船を出して日本海運は困っておるといういままでのやり方というものは間違っておるところがあるのではないか、これを手直しをしていく必要がある、こういうことを言っておったことがございます。私もまさにそのとおりであろうと思うのですが、したがって、日本の造船関係の建造計画というものは、今日、日本籍船、外国籍船はどういうパーセンテージに造船計画を進めていくということになっておるか、この点についての運輸大臣考え方とともに、現在の状況説明していただきたいと思う。
  49. 藤野淳

    ○藤野政府委員 日本の造船界が輸出船と国内船とどのような比率で受注するかということは、全然計画的には考えておりません。少なくとも、計画造船その他自己資金国内船の需要を満たした上で、残りで輸出船を建造するというたてまえでおりまするが、従来、計画造船の建造が時期的にきわめて不安定の年もございましたので、その間輸出によって必要な事業量を確保するということでまいったわけでございます。少なくとも国内船の建造に支障を与えないように輸出船を受注するというたてまえでは来ておるわけでございます。きまった数字はございません。
  50. 松平忠久

    松平委員 もう一つ伺っておきたい点は、アメリカ自国船主義ということと関連しまして、いわゆる後進国自国船主義というものがかなり増強されてくるように思います。エカフェ等における会議によっても、アジアのこれらの国々から同盟運賃の決定に対して不満の声が出ておる。これらのいわゆるアジア諸国における日本を取り巻くこれらの国々の自国船主義というこの傾向に対して、外務大臣一体どういうような手を打っておられるのか、この際承っておきたいと思います。
  51. 大平正芳

    大平国務大臣 後進国開発の問題といたしましては、貿易の問題と援助の問題がございまして、貿易の問題につきましては、ただいままでガット、OECDその他で推進されてまいりましたが、今回貿易開発会議が近く開かれることになっております。しかし、いま御指摘後進国自国船主義というものが、ラテンアメリカ圏のほうで間々話は聞いておりますけれども、まだ今度の貿易会議の具体的なアジェンダにまでなっておるとは聞いておりません。具体的なイシューとして私どもが具体的に検討する段階ではございませんが、しかし、御指摘のように、ぼつぼつそういう声が出てきておりますので、そういう問題に対しまして、日本として、対後進国貿易援助考える場合に、その問題をどのように考えてまいらなければならぬかということは、慎重に検討をしなければならない問題と心得ています。
  52. 松平忠久

    松平委員 海洋自由の原則とはだんだん違った考え方がこれらの国々には出てきておる。国際会議等においてもそういう発言があるわけでありますが、この問題について、造船関係については一体どういうことを考えておられるのか。つまり、後進国の造船をどんどん引き受けて、その中には、ギリシャとかリベリアとか、いわゆる外国置籍船がかなりあると思うのですが、そういう外国置籍船が日本の脅威になっておると私は思う。したがっていままで造船計画のもとに外国の造船を引き受けてやる場合において、これらの不定期船なり置籍船、そういうものについては一体手心を加えてきたのかどうか、それをほとんど放置してきて、そのために日本が困るという結果が今日出ておるわけでありますが、これに対しては運輸省はどういう方針をとってきたのか、伺っておきたいと思うのです。
  53. 藤野淳

    ○藤野政府委員 輸出船の受注にあたりまして、後進国籍の船を無制限に受注することが正しいかどうかという御質問の御趣旨だと思いますが、ただいま御指摘のようなリベリア籍とかあるいはパナマ籍という船は、いわゆる便宜置籍船でございまして、陰の真実の船主は先進国の船主の場合が多いわけでございます。ただいままで相当の量の便宜置籍船の受注をし、建造をいたしておりますが、これらが日本の近海で日本の物資積み取りのために就航しておるという事実は数字的に的確には把握しがたいわけでございますが、長期の契約のもとに日本の輸入物資を積み取るために使用されている日本のつくりました輸出船は、数量的には非常に少ないということをれわれはつきとめておるわけでございます。
  54. 松平忠久

    松平委員 そういうものが約二百万トンばかりこの辺にうろうろしておるということを聞いたのですが、それは事実ですか。
  55. 藤野淳

    ○藤野政府委員 正確な数字ではございませんが、私ども調査によりますと、日本でつくりました輸出船で日本の輸入物資を積み取るために長期契約で動いておる船は、日本の荷主が用船しておりますものは、重量トンで申しますと約四十六万重量トンでございます。そのほかに、外国の荷主がCIF契約で日本の物資の積み取りに長期契約で配船しているものがございますが、それらを全部合算いたしましても百五十万重量トンぐらいではなかろうかという数字がございますが、これは一面捕捉が困難な対象でございますので、概算それぐらいじゃないかと考えております。
  56. 松平忠久

    松平委員 こういったいわゆる便宜置籍船あるいは後進国における自国船主義考えておる国々の船の造船、こういうものについて一体将来どういうふうにするつもりであるか、日本海運業との関係においてある程度手心を加えなければならない段階に来ておると思うのですが、それらの点については運輸大臣はいかなる見解を持っておられるか、この際承っておきたいと思う。
  57. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 運輸省といたしましては、先ほど船舶局長が申し述べましたように、自国船、すなわち国内の船舶の建造に支障なからしめる意味におきまして、それが輸出振興になる場合に受けるようにして、今後は主力を国内海運増強に集中するような政策をとろうと思っております。
  58. 松平忠久

    松平委員 運輸大臣は何か御用がおありになるということを聞いておりますので、あとで運輸関係の方が詳しい質問があるだろうと思うのですが、通産大臣がそこにお見えになりましたので、通産大臣にこの際一言お伺いしておきたいことがございます。  OECD加盟についての日本国際収支については、かなり貿易というものが関連を持つわけでありますが、まず第一に、IMF八条国移行、OECD加盟という開放体制に向かうところの貿易振興策、あるいは貿易によるところの赤字をいかに埋めていくかということについて、新たなる考え方がなければならぬと思うのであります。私は、この点についてはどうも全般的に通産省と大蔵省との考えというものが必ずしも事務当局では一致しておらない、その結果対策がおくれておる、こういう印象を受けておるわけであります。そこで、この際通産大臣としては一体どういう考え方をもってこれに対処していこうというのであるか、その点について承っておきたいと思います。
  59. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  OECD加盟あるいはIMF八条国移行等々のことは、御案内のように、IMF八条国移行は二年ぐらい前からそういう方針がきまっており、OECD加盟も大体二年間前からきまっておるのでありまして、これに対する通産省としての考え方といえば、何といっても輸出を振興するということでございまして、一方において輸出振興をはかる、また、一方においてむだな輸入がないようにする、国産品の奨励であるとか、あるいはまた、設備をむやみに増設するというようなことのないように、そういう観点から大体対策をずっといままで実行しておりますので、ここにOECDに入ったとかあるいはIMF八条国に移行したから急に何をする、こういうことは特にわれわれとしては考えておりません。これは、前々からの施策を一そう強力に遂行していく、こういうことで今後も臨んでまいりたいと思っております。
  60. 松平忠久

    松平委員 輸出を振興し、不急不要なものはなるべく入れないようにしていくということです。輸出を振興していくという政策についてはいろいろ具体策もありましょうが、不急不要なものや何かをなるべく入れていかないようにするという対策はどういう対策をお持ちですか。
  61. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 まず、国産品であって、いわゆるこれは消費物資に多いのでございますが、たとえば洋服の生地のようなものは、もうイギリスよりはより優秀なものが日本でできて、したがってアメリカ等への輸出も日本品のほうが立ちまさっておるというような状況になってきておる。こういうことは一般にはまだ認識されておりません。その他日本品であっていわゆる外国の品物に負けないものがたくさんあるのでありますが、こういう点があまり認識されておらない。こういうことは一そう国民に認識を持ってもらう必要があるし、また、官公需の物を買います場合にも、同質、同値段というような場合にはもちろん国産品を愛用する等々、いろいろの施策をそういう面において講じていきますと同時に、一方においては、これはすでに松平委員も御承知であると思いますが、いわゆる在庫の面を調べてみますと、製品在庫はかなり最近ふえてきております。一方原料の在庫は七八%というような相当最低の線におるわけであります。しかし、こういうことも、だんだん交通関係が便利になり、いわゆる原料がほしいときにすぐに手に入れられるような姿になっておれば、企業家としては必ずしもたくさんの在庫を持っていなければならないのじゃなくて、むしろ在庫はほんとは少ないほうがいい、ただ必要なときにすぐ手に入ればいいというような事態もありますので、この在庫の数量を伸ばすための輸入というものは今日において必要だとは私たちは考えておりません。こういう点もにらみ合わせながら、日本の生産をある程度過熱したところからスローダウンしていくという政策、これが大蔵省がいまとっておりますところのいわゆる窓口規制、あるいはまた売りオペというような措置にあらわれておるのでございますが、私は、こういうようなことによって、企業家に、あまり設備をむやみにつくっては、あるいはそれだけの効果があがるかどうかわからぬし、また一方生産をふやしてみたところでそれがはたして十分売れるかどうか、売れないときの損害というようなものも十分認識をする必要があるというような感覚を与えていくことによって、かなりそういう面での輸入原材料の抑制等も行ない得るのではないか、かように考えておるわけであります。
  62. 松平忠久

    松平委員 輸出の振興について従来から問題になっておりますところの、アメリカのいわゆる自主規制の要請、この自主規制の要請というものはOECDに違反すると思うのですが、アメリカはその点は留保しておりますか。
  63. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 これは、しておらないと存じます。
  64. 松平忠久

    松平委員 したがって、この自主規制の要請については、かなり強い態度をもって臨んでしかるべきであろうと思うのです。これに対するいままでのやり方は、ある場合にはほとんど業者まかせという傾向があって、そして最終の段階政府が出ていくのであります。この自主規制について、いままでどの程度対米交渉を行ない、そしてどの程度一体成果があったか、今後どういうふうにしてこれをやめさせていくか、どういう態勢を整えて交渉していくかということについて、外務大臣から伺っておきたいと思います。
  65. 大平正芳

    大平国務大臣 自主規制の問題は政府が関与した問題ではたてまえ上ないわけでございまして、日本アメリカ政府の間の交渉の対象になるわけではないわけでございまして、業者同士の間の話し合いでございます。ただ、問題は、今日の対米輸出のうち三割程度がそういった自主規制という名のもとにおいて輸出の制限を受けておるという事実は厳としてあるわけでございます。対米交渉にあたりましては、私どもといたしましては、より貿易自由化という点につきましては果敢に要求してまいらなければなりませんが、同時に、貿易の世界はギブ・アンド・テイクでございまして、わが国自身の自由化の進捗状況を背景にいたさないと、相手国に対して自由を求めるわけにもまいらない、相手の業界のそういった姿勢を正していく場合におきましても、力に乏しくなるわけでございまして、両々相まちまして貿易のより自由な拡大という方向に努力してまいりたいと思います。対米輸出は、御承知のように、近時非常に順調な伸びを見せているわけでございまして、私ども満足すべき状態とは思いませんけれども、しかし、順調な進展を見せておりますし、大事な市場でもございますし、十分努力を払いまして、拡大方向に持っていくように努力いたしてまいりたいと思います。
  66. 松平忠久

    松平委員 自主規制は民間の行為であるということのために民間ベースで折衝するのをたてまえとしておる、そういう答弁でありましたが、これは明らかに私はOECDに反する行為であろうと思う。   〔赤澤委員長退席、椎熊委員長代理着席〕 自分で規制をするならかまいませんけれども、自主規制の要請があって、それに基づいてやる行為でありますから、これはOECDの精神には少なくとも一違反する行為であります。したがって、これは、ただ単に業者まかせというだけではなくて、政府がこれを取り上げて、そしてアメリカ政府をして自主規制を要求させないような手を講じさせるということがたてまえとならなければならぬと思う。それをどうしていままでやらないのですか。私は、OECD日本加盟をするということであるならば、明らかにその条約に違反したようなことをやっている業者があるならば、いかなる団体にしろ、それはアメリカ政府自体が始末をしていかなければならぬ問題ではないか、留保していないとするならば当然そうしなければならぬと思うのですが、この点はどうですか。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 もちろん、OECDには、御承知のように、貿易委員会というマシーナリーがございますから、そういうところで取り上げて、そういった事態の解消に努力してまいることが当然と心得ます。
  68. 松平忠久

    松平委員 アメリカが州の法律等によってこのOECDと内容の違ったことをやっておる場合には、それはしかたがない、認めるのだ、こういうのがたてまえのようになっておりますが、一体、この全面的なアメリカのこういう留保というものは、OECD加盟国の間でいままで問題にならないのですか。私は、アメリカがそういうような包括的な留保をしておるというところに、この条約アメリカ式運営の色がきわめて濃いことを見ておるわけでありますが、これは加盟国が寄ってたかってアメリカのそういう理不尽な留保というものをやめさせていくということにならなければ、いま言った自主規制その他の問題もなかなか解決がむずかしいと思うのです。したがって、加盟国の間に、アメリカの包括的留保というものを、附属書Cというものをやめさせていく、こういう考えにならなければ、アメリカ式運営というものがなかなか根強くなって、そしてアメリカの独善的なことが行なわれていく傾向があると私は思うのです。したがって、加盟国の間にそういう話し合いをするということがきわめて必要であると思うのだけれども、そういう機運はいままであるのかないのか、また、日本はこの附属書Cというものをどういうふうに評価しておるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  69. 中山賀博

    中山政府委員 確かに、合衆国のいずれかの州によってとられた措置で、その州の権限に属するものについてはこの規約が適用されないという規定がございます。これは、アメリカの憲法上議会が各州間の公益について決定の権限を持っているために、念のために置かれた規定でございます。現実にそこで具体的に問題になっているケースもなく、したがって、このOECD成立のときについても、これは念のための規定として設けられたものであって、特に問題はなかったと聞いております。
  70. 松平忠久

    松平委員 従来から、アメリカ外交におきまして、アメリカの憲法のもとにおいて州の立法権というものが問題になったことが過去においてもございます。したがって、そのことをアメリカは認めさせるということで入れたのだろうと思うのですが、私は、やり方によってはこれはとんでもないことになるのではなかろうか、こういうふうに見ておるわけでありまして、将来この種のものが留保として認められるというようなことになって、そしてそれを悪用されたという場合においては、とんでもない結果が出てくるというふうに思うのであります。したがって、この点は、将来慎重に考えて、そうしてこれらの留保条件をやめさせていくという考え方に立たなければならないのではないか。これも私の考え方であります。  次に、先ほど通産大臣は、不急不要のものをなるべく入れないようにすると言われた。なるほど日本も国産愛用運動というようなものをいまから三年ぐらい前に経済企画庁でやったのでありますが、ほとんど竜頭蛇尾みたいなもので、何らの効果も奏しておらぬように思います。そこで、たとえば高級化粧品というようなもの、それらの不急不要のものというのは今日年間約二億ドルくらい入ってきているのではないか、こういう推定でありますが、こういったぜいたく品がどんどんと入ってくるということになると、これはわれわれの生活の上からいきましてもあまり好ましい傾向ではないと思うのですが、こういったものに対して一体どういうような対策をとっておられるのか。国産愛用運動というものは、今度も大蔵大臣の発言で国産愛用運動を強化するのだと言っているのだけれども、どこが一体音頭とりになって、どこが主管となってやるのか。これは、企画庁長官がおりませんが、通産大臣からひとつかわってこの点についての答弁を承っておきたいと思います。
  71. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま二億ドルという数字をお示しいただいたのですが、おそらくそれは食糧品や何かも含めてのことだろうと思うのでありまして、化粧品とかそういうものだけではございませんが、しかし、まあ確かに先生のおっしゃったような傾向があることは事実であります。しかし、われわれとしてそれをどういうふうにチェックするかということは、一つ一つ、項目項目によって違うのでありまして、たとえば、バナナなどは、見てみますと、制限をいたしておった時分には六百万ドルくらいだったのが、今日は四千万ドル近くバナナが入っておると思いますが、これはたいへんなバナナ愛好国に相なってしまったわけでありまして、われわれ自身も実はいささかびっくりしておるわけであります。その種のものが、われわれ調べてみますと二十三品目くらいございまして、これらを計算してみますと相当な金額になっておるわけであります。しかし、化粧品といっても、ものによってはまだ外国のほうがまさっておるものもあろうかと存じます。しかし、また、ある程度はもうほとんどカバーしてしまっておると思うのですが、これは、それをつくっておる会社のPR、あるいはまた、政府としても、包括的に、国産品でもいいものが出ているからということをあらゆる機会にPRをする、あるいはまた、主婦関係の、いわゆる婦人団体等がございますが、こういうところを通じて実態をできるだけ主婦の皆さんにわかってもらうように努力してもらう。いずれにいたしましても、こういう方法をとる以外に私はいまのところ具体的な方法はなかなかあり得ないと思います。あらゆるそういうチャンスをとらえて、ひとつ今後は大いに国産品で非常に優秀なものについては認識をどんどん改めるようにしていくということに努力をいたしたいと思います。しかし、ものによっては、幾らそう言っても、自由化してまだ海外のもののほうが優秀なものもあり得るわけでありますから、そういうものを、しいて国産品のほうが優秀だというふうな、いわゆる逆宣伝的なことをするわけには、これはまいらないと思っておりますが、相当程度もう消費物資においても日本品が立ちまさっておるものが出てきておることは事実でありますから、この実態は国民にあらゆる機会を通じて認識をしていただくようにいたしたいと思います。
  72. 松平忠久

    松平委員 これは大蔵大臣に伺わなくちゃならぬかと思うのですが、ぼろもうけしておるというか、高度成長というもののゆがみの中にかなりそういう消費傾向のぜいたくなものが見られて、国民生活の健全化を妨げておるように私は思う。ですから、この問題については、ただ運動面としてのテクニックの問題ではなくて、財政・金融全体の問題から検討していかなくちゃならぬところがあろうと思います。後刻大蔵大臣にこの点を伺ってみたいと思うのであります。  その次に、過般私が通産大臣に本会議で質問をしたのに対して、通産大臣から答弁があったのですが、それは、いわゆる共産圏貿易について、何かどこかの機関から日本に文句をつけてきて、そして、延べ払いというものはあまり多くしては困る、こういう文句が出たということを新聞が伝えており、当時その新聞はNATOだというようなことを言っておったわけであります。しかし、NATOが筋違いにこういうことを日本に注文をつけてくるというようなことはないのではないか、私はこういうふうに思っていろいろと調査をしてみたところが、このOECDの下部機構というか、DAC、このDACでいわゆる低開発国の援助の問題が取り上げられておるわけですが、この低開発国援助の問題が取り上げられたときにおいて、DACにおいて、共産圏の貿易で延べ払いをすることは制限を加えるべきである、こういう議論が出て、そして、DACから日本に対して、共産圏貿易の延べ払いの制限をするようにという話があったということを、私は確かな筋から聞いておる。これは一体事実でありますかどうですか。それを隠す必要はないと思うのです。私はそういうことを聞いておるのだが、もしそうであるとするならば、このOECDというものは、その下部機構であるDACがそういうことをしたということであるならば、これは明らかに偏向、あるいは私は偏向じゃないと思う、むしろOECDの性格がそういう性格を持っておると見ておるのだが、池田総理は、そういう性格ではない、こう言っておったが、DACからそういうことが何らかの筋を通じて日本政府に言われてきた、私はそういうふうに確かな筋から伺っておるけれども外務大臣はそういうことを御存じですかどうですか。
  73. 中山賀博

    中山政府委員 OECDの内部におきまして、輸出信用、つまり延べ払いの問題及び信用保険について各国の間で話し合いを行なっているということは聞いております。ただ、これは、わが国加盟交渉の前から、つまり昭和三十七年の初めごろから内部でいろいろ話し合っていると聞いております。特に共産圏をねらったものではございません。それから、DACにおいても後進国に対する延べ払いに関して情報の交換等が行なわれておりますが、共産圏は対象にしておりません。
  74. 松平忠久

    松平委員 そのDACにおいて延べ払いについていろいろな意見が出ておる。それは延べ払いをあんまりやるなというような意見なのかどうか。つまり、DACにおいては、そういう場合に一つの決議をつくって、それを押しつけてくる、あるいは決議と言わぬまでも申し合わせのようなものをつくりまして、そうしてやんわり申し合わせに従わせるような方法というものをとるのではないか、こういうふうに考えられますが、いまの延べ払いについてDACの考え方というものはどういう考え方であるか、それをまず伺っておきたいと思います。
  75. 中山賀博

    中山政府委員 ごく簡単に申しますと、DACではむしろ後進国に対してどうしたら有効な援助ができるかという話をしているわけですから、延べ払いはどちらかというと長目にしようという傾向が強いわけでございます。ただ、OECDの内部の輸出信用部会等での話では、むしろ過当競争を制限する意味で、ある程度野方図な長期のものほお互いに自粛しようじゃないかという話も出ております。
  76. 松平忠久

    松平委員 そうだとすると、通産大臣、あなたが中共に対して延べ払いをある程度価額を制限するというようなものの考え方は、どういうところから出てきた政策ですか。
  77. 中山賀博

    中山政府委員 これは、共産圏貿易につきましても、わがほうの政策は非常にはっきりしておりますので、政経分離であり、それからまた純粋のコマーシャルベースに立ってやるということになっております。したがって、わが国における信用の与え得る能力、それからまた相手国の商売の相手としての信用度等々を勘案して出てくる問題だと思います。
  78. 松平忠久

    松平委員 そこで、通産大臣行ってしまったからしょうがないのだが、対中共貿易三千万ドルというワクをつくった基準というか、それは、しからばいまわが国経済実力というかそういうものを勘案したというのだが、いまの三千万ドルという数字をつくった根拠のようなものはどういうところにあるのですか。   〔椎熊委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 三千万ドルという数字は、たぶん、私の記憶では、通産大臣がある機会に、LT貿易の第一年度が二千万ドルでございましたから、少しずつふやしていくという意味で、第二年度は三千万ドルくらいならばというようなことで、わりあい軽い気持ちでおっしゃられたことがあったかと存じます。ただ、それにつきましては、特に何か根拠を持ちまして計算をしたりしてワクという考え方できめたようなものではございません。
  80. 松平忠久

    松平委員 そうすると、いま経済局長の言っておったことと、通産大臣が言ったこととは少し矛盾するように思うのだけれども経済局長の言ったのは、日本経済の実力というか、そういうものを考えてワクのようなものをつくるというものの考え方である。ところが、通産大臣は、去年二千万ドルだからことしは五割増しの三千万ドル、こういう気持ちで予算委員会で答えたように私も受け取っております。そうすると、政府ではまだその固まった考えがないわけですか。これは、外務大臣、どうです。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 ワクというように結晶したものの考え方は持っていないわけでございます。ただ、輸出金融能力というものはできるだけグローバルに有効に使わなければならぬという頭でおるわけでございます。
  82. 松平忠久

    松平委員 ワクというのはコンクリートのものではないけれども、しかし、日本経済力等に基礎を置いて考える、こういうことでありますが、そうすると、関係の各省の間で何かその問題を検討して、そうして、どこの国に対してはどの程度、共産圏、ソ連に対してはどうだ、中国に対してはどうだというような、およそのことをきめようというような段取りをあなた方はやろうとしておりますか。
  83. 中山賀博

    中山政府委員 ワクというようなことは考えておりません。
  84. 松平忠久

    松平委員 わからぬね。さっき言ったときは勘案してやるのだと言っている。いまは、ワクは考えていない、こういうことで、ちっともつじつまが合わぬわけだ。それでしかも大臣はみないなくなってしまった。これは次に延ばしてもらいたい。
  85. 赤澤正道

    赤澤委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会