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安藤委員 従来から長く住んでおった者のみに限定しておるとおっしゃいますが、それは過去においてはそうでございましたでしょうが、今後においてはそれは間違いであります。
飛行機が落ち、そして落ちた
飛行機が危害を与えることは、十年そこに住んでおった人であろうと、三百年前から先祖以来そこに住んでおった人であろうと、きのう来てそこに住んだ人であろうと、同じように殺してしまいます。変わりありません。人命のとうとさにおいては、三百年前から住んでおった人ときのう移ってきて住んだ人と変わりありません。その
考え方は改めていただかなければなりません。
もう一つには、騒音と危険と一緒にされてはいけません。騒音は騒音として
被害を与えておりますけれ
ども、人命に即時に及ぶものではございません。だから、ここは騒音と人命に危険な
滑走路下とははっきり区別して御
承知を願わなければなりません。この点はもう御
承知なさっておると思います。
そこで、時間がすでに経過しておるようでありますから、演説調になるかもしれませんが、私はどんどんと申し述べて
お答えをいただきたいと思います。
御
承知のとおり、この
滑走路先における農民たちについても
立ちのきを勧奨せられまして、それは双方の合意の上ほとんど完成したようでございます。しこうして、その
滑走路先に農民たちが毎日農場へ出て
立ち働いておる。その上を通ることの危険性を農民たちそれ自体が早くから感づいて、不安を感じて、
当局に、せめてこの
滑走路先の危険なところだけ、千メートルから千五百メートルを買い上げてほしいという要望を出しておるのでありますし、かく申す私も幾たびかそのことを伝達したことでありますが、今日までそれが実現しておらないようでありますが、これは、たまたま
昭和四十年度の予算概算もすでに算定され、大蔵省へも提示される時期にもなっておられますが、一体、この地域に対し、いますでに
館野さんの姿が示すようなことは現実であるのでして、これがいつ何どき重ねて起こらぬとも限らぬこの危険区域に対していかなる態度をとられるか、その予算については何らかお
考えになって、またこれに対して大蔵
当局としてもいかようなお
考えを持って対処していただくか、この点について
お答えをまず願いたい。
ついで伺いますが、かねて
政府は、
基地対策の根本方針として、問題ごと
対策、すなわちそのつど解決策というものを打ち出しておられました。全般的な
付近住民の安定基本法的なものをつくることに対してはあまり関心をお示しにならなかったのであります。今度の問題は
町田市の
墜落事故の場合と違いまして、たまたま
滑走路先に落ちておるというこの事実を
考えますときに、そのつどの解決ということではいけないのじゃないか。たとえば
町田の市街に落ちたような場合においては突発的なことだとしていいが、ある程度まで予想されたこの事実に対して、そのつど
対策ということではなしに、一応の固定した継続性を持った
対策が立てられなければならぬのじゃないか。この辺についてのお
考えをひとつお示し願いたいのであります。
それから、次に、いままで
厚木基地周辺の
方々は比較的
基地に対して
協力的でございました。騒音あるいは青少年の風紀の問題あるいは河川の汚濁の問題、さまざまな
基地から受ける
被害にあいましても、そのつどやはりそれぞれの条件を提示せられて交渉をし、できるだけ
基地そのものの存在については多くのことを言うことを避けて、
協力的にやってこられました。しかるところ、このたびの
事件が起こるにあたって、さすがに、いままでこらえてきたけれ
ども、これ以上はこらえ切れない、ついてはわれわれは
基地の撤退を要求する態度に切りかえていかなければならぬという空気がほうはいとして起きてきております。申し上げるまでもなく、
厚木基地にせよ、その他の
基地にせよ、これは
安保条約に基づいております。
安保条約は
日本の安全と極東の平和のためにつくられております。こういった
考え方のもとにおいて
協力してきた
人たちが、いまや、
基地を撤退せよ、どこか他の人なき草原を求めて行ってくれ、こういう運動に転換してきました。いまさら人なき草原といったところで
日本にはあるわけはございません。こういうことになってまいりますと、いや応なしに、
基地の住民諸君は、今度は
アメリカ空軍に対して直接さまざまな反抗運動を行なうことになってきましょう。それが治安を乱すというようなことであれば、警察庁が押えつけてしまうと言われれば事は簡単ですが、だが、日米合同して極東の安全を保障しよう、平和を守ろう、
日本の安全を保障しようとする大精神を、この運動によって破壊する一端をつくり出していくことになりはしないか、アメ公ゴーホーム、アメリカ帰れ、こういう声があの
厚木基地の兵隊はじめ将官に直接耳に響いていくとしたら、どういうことになる。外務省におかれては常にアメリカのみならずすべての国と感情の疎隔のないように調整しつつ
努力しておられる。これは当然なことだ。だが、一方においてこれを、さいの
川原ではございませんが、一方から鬼がたたきつぶす結果になっていったらどうなります。
安保条約の精神は破壊される結果になりはしませんか。これらの点に思いをいたしますときに、この
基地に対して、最小限
基地の
人たちの要望であるところの、危険地域下の
移転及びその
移転した
あとの
宅地及び
移転した
あとのその危険下にさらされた農地を買い上げて、この人々の安全を守ってやるという、安心をさせてやるということは、
安保条約の精神を破壊するような結果になることに比べますれば、それが何億であろうと、九牛の一毛で、わずかの金である。ここに、大蔵省
当局は
国民の血税を預かられて、これを支出するのにきわめて
国民に忠実であるように注意して予算の支出をなされることはけっこうでありますが、一面この大きなものを失うということは
国民の負託に報いられるところではないと存じますから、この点については、
昭和四十年度予算編成にあたって、大蔵
当局におかれましても、
国民の税金を生かして使う、血の通った使い方をするという意味において、大乗的見解に立たれて、
防衛庁の要求が過小であるならば、進んでさらにこれを増額せよとおすすめいただきたい。また、
小野長官におかれても、三日前にこの現実を見られたのであります。三人の人が罪もなく過失もなくて命を失っておられ、
あと四人の
方々もはたして何人お助かりになるやもわからぬ
状態にあります。これがまだ続く危険性があるのです。
飛行機に幾ら落ちるなと言っても、どんなに精密につくられた
飛行機でも落ちることは避けられない。もっとことばを詰めて言うならば、落ちることは必至だ。いつかはどこかに落ちるのだ。その落ちるのが離着陸のときに落ちる率が多いということであるとするならば、この
大和市の離着陸の空のもとにおいては安全な生活ができないということが言えるのであります。どうかこの点については思い切って
小野長官は御要求を願いたい。
さらに、
基地交付金の問題でありますが、これは説明するまでもなく、あなたのお耳に十分入っておることと存じます。四十年度予算の要求にあたって、この点も十二分にお
考えおきを願いたいと思います。
もう一つは、私は外務
大臣に総理
大臣にかわって
お答えを願いたいと思いますが、先ほど来申し述べました中にも出ておりましたが、そのつど解決ということもけっこうでありますが、こうした経過を持った長期的なものについては、そのつど解決はできない。落っこちたら
補償してやればいいんだということになれば、人命を金にかえればいいんだということに通ずる。そうじゃなくて、落っこっても安全なんだという行き方をしていただかなければなりませんが、そのためには、
基地住民安定基本法ともいうべきものをつくることが、
政府をして安んじてこのことを行なわせ、また
国民をして安心せしめるゆえんだと思いますが、今後も、また現在も、そのつど解決でいこうというお
考えでいらっしゃいますか。進一歩せられてとの方向にお進めになることを、これは総理
大臣が
お答えになるべきですけれ
ども、御入院中でございますので、
椎名外務大臣からひとつ勇断をもって総理にかわって
お答えを願いたい、かように存じます。