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川上委員 時間がないので、たいへん残念ですけれ
ども、ごく短い
質問を
外務大臣にいたします。
あなた方は、部分核停
条約、これを国会の承認を求める時分にこういう
説明をした。これは米英ソ三国などによる平和への決意のあらわれである、緊張緩和への第一歩である、こう
説明をされておる。そうして平和ムードというものをたいへん礼賛されておる。これに対してわれわれは、
アメリカ帝国主義の戦争屋としての本質は変わらない、全世界にわたる新しい植民地主義者、諸民族の独立と民族の解放を求める戦いに対する弾圧者、世界の憲兵であると指摘した。そうして、部分核停
条約というものはこの野望をごまかすぺてん
条約である、こうわれわれは主張した。あなた方はこのわが党の主張を強く非難した。笑った。しかし、今日どういうことが起こったか。
トンキン湾を中心とする
アメリカの無法な武力侵略ですよ。
ベトナム民主共和国に対する悪らつなる主権の侵害です。われわれが指摘した正しさが事実によって証明されたと思う。これは明らかな事実なんです。
ここで私は聞きたいのですが、
外務大臣は、やはり
アメリカ政府というのは平和的で緊張緩和の政策を進めている、平和共存的でまことにおだやかなけっこうな
政府である、こう思いますかどうか。これが第一点です。これは
政府の
考えをお聞きしたい。
私は以下数点について
政府の
考えを聞きたいのですが、時間がありませんから一括して
質問をいたします。
外務大臣はその一つ一つについて答弁をしていただきたい。
まず第一に、
アメリカの
政府は
北ベトナム及び中国の内海といって差しつかえのない
トンキン湾に核武装の
軍艦を持ち込んだ。南
ベトナムの艦艇を指揮して先月の三十日以来ホングとホンメ両島に砲撃を加えた。その他数々の襲撃を加えながら、ついに
ジョンソン大統領は命令を下して
ベトナム民主共和国を大規模に空襲した。これは社会党の
委員諸君がるる指摘されたとおりです。これは
ベトナム民主共和国に対する完全なる主権の侵害であります。これは論争の余地はない。ジュネーブ協定の完全なるじゅうりんです。公然たる侵略戦争です。この侵略
行為を
アメリカは
自衛権の発動だと言うておる。一体
アメリカの本国よりどのくらい離れているか。一万数千キロも離れている
トンキン湾、ここに起こった海上の一つの
事件、この
事件が
アメリカ本国の安全に脅威を与えると
政府は
考えますか。安全に脅威を与える、このときに
自衛権を発動しなければいかぬ。この点が今回の
事件の主要な問題であります。
自衛権の発動として、これを公に認めることができるか、これは重要な問題です。
日本政府としてのこれに対する明確な
見解をお聞きしたい。これが一点です。
それから、第二点。
政府は、五日
アメリカが
ベトナム民主共和国に対して五時間も空襲を続けた、そのまつ最中にどういう
声明をしたか。やむを得ない
アメリカの措置である、こう言うた。これも社会党の
委員諸君が指摘されたとおりです。大体
アメリカの
海軍が自分で言うているように、
トンキン湾で先に発砲したのは
アメリカの
軍艦である。
アメリカの
駆逐艦だ。マドックスが先に発砲したと自分で言うておる。先に
攻撃を加えておいて、それでどうして
アメリカの
自衛権の発動と言えますか。
自衛権の発動というものはこんなものですか。これは
政府の、
外務大臣の
考えを聞きたい。こんなことをしておいて、どうしてやむを得ないと言うのか。自分で鉄砲を放して、やむを得ない、何がやむを得ないのか。
外務大臣、これはどう
考えておられるか。一方的に相手国の本土を大空襲を行なって、当然の措置と、こう
政府は言うておる。こんなことがなぜ当然の措置なのか。その理由、その
声明の根拠、これを答弁してもらいたい。これは余分になりますけれ
ども、ヨーロッパ諸国も笑うております。フランスのごときは非常に失望しておる。
日本の軽率な
声明と見ておる。
第三点。
アメリカはこの問題を
自衛権問題として国連に持ち込んでおる。自分がむちゃくちゃな侵略、許すことのできない主権の侵害をやっておいて、それをごまかそうとして国連へ逃げ込もうとしておる。そもそもインドシナの平和維持については国連ではありません。一九五四年並びに一九六二年に厳然として成立したジュネーブ協定があるのです。
アメリカ帝国主義はここ数年来このインドシナ一帯におけるジュネーブ協定を公然と踏みにじった。これはもう世界周知の事実なんだ。われわれはこの
アメリカ帝国主義のこの
国際協定のじゅうりんに対してたびたび抗議をしておる。世界の平和的人民も抗議をしておる。問題は直ちにジュネーブ協定の当事国十四カ国が
会議を開いてこの黒白是非を明らかにすべきである。国連に逃げ込ますべきでない。
アメリカの投票機械になり下がっておる国連、中国が代表権を持たない国連、
北ベトナムも参加しておらない国連、ここに持ち込もうとする。こういうことをさせるべきじゃない。この点については
穗積委員からも
質問がありましたが、答弁きわめてあいまいである。
外務大臣は、国連に逃げ込ませるのがよいか、ジュネーブ協定当事国十四カ国の
会議に託すべきか、これははっきりと御答弁を願いたい。これが三点です。
第四点は、特に重要なことは、この無法な侵略戦争に対して
アメリカの第七艦隊は横須賀から出動しておる。空母を中心として二十六隻のうちの二十四隻までが出ていっておる。ほとんど全部が出動しておる。また、沖縄、本土の基地が利用されておる。ところが、きょう
外務大臣はこういう答弁をなさっておる。これは
アメリカの軍の
哨戒行動であるから
安保条約による
事前協議の
対象にはならぬ、
事前協議の
対象になるのは作戦
行動の場合である、こういう御答弁。作戦
行動、これは正確に言うならば宣戦布告後の軍の
行動です。これが作戦
行動。したがって、宣戦布告もない一切の在
日米軍の軍事
行動はすべて
協議の
対象になる必要がない、こういう答弁、これはきわめて重大なことじゃないか。
日本は
アメリカの意思一つによって実際に戦争に巻き込まれるまで何にも知らされない、何をやってもこれは
哨戒、何をやっても軍の移動だ、何をやっても作戦
行動ではない、これが
日米安保条約の正体ではないですか。この正体を私はきょう
外務大臣の口から明らかにされたと思う。この点はきょうの社会党並びにわれわれの
質問を通じて明らかにされる最も重大な点だと思います。これはひとつはっきりとした御答弁を願いたい。これを明らかにしないというと、
安保条約というもののほんとうの正体がわからない。これが正体なんです。
事前協議とか随時
協議とかいうのはごまかしなんだ。こんなことをやりはしないんだ。そうすると、
日本人民が知った時分にはもう戦闘
行為が始まって、
日本は巻き込まれてしもうておる。宣戦布告なき
日本の戦争突入、これはどういうことになるのですか。ここに
日米安保条約の真の正体があるとわれわれは確認してよろしいと思う。
最後にもう一つだけ。今回の
事件によってますます明らかになりましたが、一切の在
日米軍基地並びに在
日米軍の
行動はもちろん
日本の主権と独立に対する重大な侵犯です。
日本とアジアの平和への脅威である。それだけじゃないです。
日本人民の意思にかかわりはなく、
アメリカの意思だけによって自動的に戦争に巻き込まれる根源は、在
日米軍、在日軍事基地、沖縄、小笠原、第七艦隊、ここにあるんです。これはもう厳然たる事実なんです。私は小さい問題をあれこれと
質疑をし、討論する必要はないと思う。問題の根本はここにあると思う。ここで私は
外務大臣に聞くんですが、聞いてもろくな返事はせぬだろうと思う。ほんとうにこういうことを
考えて、今日こそ
政府が断固として
アメリカ軍による
日本基地の使用を拒否すべきだ。われわれの多年の要求です。これをしない限りは、
日本人民に知らせずして
日本は戦争に巻き込まれてしまうんだ。ここに重大な問題がある。その
考えがつゆほどでもあるのかどうか、とことんまで
日本政府は
アメリカと心中するのか、この点を最後にお聞きしたい。
私の
質問は時間がありませんので詳しくるる述べるわけにいかない。要点はこれだけである。その一つ一つについて御答弁を願いたい。