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1964-06-04 第46回国会 衆議院 外務委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月四日(木曜日)    午前十時二十分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君    理事 戸叶 里子君 理事 松本 七郎君       鯨岡 兵輔君    佐伯 宗義君       竹内 黎一君    三原 朝雄君       森下 國雄君    岡田 春夫君       黒田 寿男君    松井  誠君       永末 英一君    川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         厚生事務官         (援護局長)  鈴村 信吾君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局北東         アジア課長)  前田 利一君         外務事務官         (アジア局中国         課長)     原 富士男君         外務事務官         (条約局         外務参事官)  兼松  武君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 六月四日  委員帆足計辞任につき、その補欠として岡田  春夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として帆  足計君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件(日韓及び日中問題)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。黒田寿男君。
  3. 黒田寿男

    黒田委員 きょうは私は日中問題につきまして御質問申し上げたいと思っておりますが、その前に、御承知のように韓国において緊急事態が発生いたしましたので、これについて、日韓会談との関連におきまして、私ども考えを述べ、また政府の御意見をも聞いておきたいと思います。  第一は、韓国情勢に関する認識の問題であります。御承知のように、最近韓国ソウル大学を中心といたしまして学生デモが引き続いて行なわれておりましたが、昨日になりまして、その規模が、昭和三十五年四月十九日のデモ以来の最大の規模に発展をしたと報ぜられております。この運動に対する評価の問題について、政府の御見解をただしておきたいと思います。  三月に日韓会談の進行の中断がありましたが、これも、韓国大学生会談反対という運動によったものであること、これが主たる阻止の力になっておったということは、今日ではだれも疑う者はございません。ところが、そのデモが発生しました当時、日本に来ておりました金鍾泌は、これを一部の学生のはね上がりというように見て、これを軽視しておりました。日本政府もそれと同じような見方をしておったと思います。しかし、この見方がどんなに誤ったものであったかということは、これはすぐ事実によりまして証明をせられました。由来、率直に申しまして、日本政府韓国情勢につきましてたびたび見通し誤りを繰り返してきた。今回のデモを一体どのようにお考えになるかということですが、今回の学生デモは、単なる日韓会談反対運動という性格から、朴政権反対性格を帯びたものに発展してきております。韓国大学生動向は大体韓国民動向を反映しておるというように従来見られてきておりましたが、学生がいよいよ政府反対態度をここではっきりと表明した。これは、一言で申しますならば、朴政権内外政策失敗に原因がある、このような事件が発生したのは朴政権政治失敗を証明したものである、われわれはそういうように見ておる。軍人内閣というので清廉潔白を標榜してあらわれました朴政権にもいろいろと腐敗のにおいがただよってまいりましたし、それから、経済政策に至りましては、これはいまさら私が説明するまでもない。国民経済生活における絶望的な状態がいま韓国をおおっておるのでありまして、こういう状態に導いた政治に対する反対、この政権の内政の失敗に対する反対及び外交政策に対する不満、こういうものが今回の大学生朴政権反対運動になってあらわれたものである、このように私ども考える。大学生韓国の大体の良識を代表するものであるというふうに私どもは見るのでありますが、そういう見方からすれば、現在の朴政権は真に韓国民を代表する政権ではない、国民基礎の上に立った政権ではない、これは最初から私ども朴政権に対して持っておりました見方でありますが、そういう結論をいま新たに確信を持って述べることができるのです。こういう政権国民基礎の上に立たない朴政権相手日韓会談を進めることは断じて不可である、これは即時に打ち切るべきだというのがわれわれの考えであります。この学生運動に関する政府見方、この学生運動韓国政治の上に及ぼす影響に関する見方、それをお聞かせ願いたいと思います。これが第一の質問であります。   〔委員長退席安藤委員長代理着席
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 日本政府韓国政情の判断についてたびたびあやまちをおかしたという御指摘でございますが、政府韓国政情見通しというものを国会で申し上げたことはないのでございます。政府が申し上げておりますことは、貴重な独立をかち得た新興国として、真の民主主義を確立していく道程におきましてはもろもろの困難があるということ、それに対しまして深甚なる理解同情を持つ必要があるということを申し上げておるだけでございまして、たびたび私が申し上げておるように、私は予言者になったことはないのでございます。また、なっちゃいけないと思っておるのでございます。  それから、第二点として、今度の学生運動評価の問題でございますが、いま黒田さんが御指摘になりましたように、私どもが得ておる情報から判断いたしまして、当初朴政権に直接迫るものではなかった、当初の段階におきましては朴政権そのものに対する反対運動という様相は持っていなかったように思われまするが、最近の学生運動朴政権に対する反対運動様相を濃くしておるということは、私もそのように感じております。すなわち、経済的な困難、生活苦その他が色濃くこの運動の背景にあるということは、運動から読み取ることができると判断いたしております。  それから、第三点として、いつもあなた並びにあなたの属する政党からは日韓会談打ち切りの御要請を受けておるわけでございまするが、私は、日韓会談というものは、そういう便宜的に、相手政情がどうあるからこちらはこうするという便宜論ではなくて、日韓の間には、何か分別をいたしまして、いつかだれかがこの国交は回復して正常化してまいらなければならぬのじゃないかという根本的な立場に立っておるわけでございまして、少なくもわが国の側からはこの会談を打ち切るなどということは考えていないのでございます。あらゆる場合会談に応ずる姿勢と用意をもって臨むという態度をくずしておりませんし、また、今後もくずすつもりはございません。ただ、たびたび申し上げておりまするように、私どもが持っておる会談場面におきましてしからば韓国政情が反映しないかというと、そういうものではないと思うのでございます。どのような態度で先方が臨んでこられるか、韓国政情会談にどのように結晶し具体化してまいるかということは会談に出てくるわけでございますから、そういう会談場面におきまして慎重に対処してまいる、それで必要で十分であると考えておるわけでございまして、独立国である韓国政情につきまして、わが国といたしましてとやかくの論評を加え、見通しをぞんざいに申し上げるなどというのは、きわめて不謹慎でありまするし、他国に対しての名誉を尊重するゆえんでないと思っておりますので、そういうことは一切慎んでおるわけでございます。
  5. 黒田寿男

    黒田委員 これは議論になるかもわかりませんが、従来政府がたびたび韓国政情に関する見通しを誤ったと私が申しましたところ、大臣のほうでこれを否定されたようであります。これは過去のことでございますので、あまり繰り返して申し上げたくはございませんが、一つだけ私どもが言う意味を明らかにしておきたい。見通しを誤ったと私どもが言うのは、次のようなことを言うのです。たとえば、日韓会談の促進につきまして政府は非常な熱意をもってこれに対処しておられた。そして、これは日本言論機関もそのように申しておりましたが、大体三月に一応基本的な問題において会談を妥結させて、それから四、五月ごろにわたりまして条文の作成等の技術的な問題に入る、そして、できるならばこの国会を会期を延長してもついでに国会の承認を得るところまでこぎつける、こういうような考え方でやっておられた、そういうように世間も見ておりました。ところが、韓国で、先ほど申しましたように、三月に学生デモが発生し、そのデモのために日本政府としては思わぬところで会談中断という事態に直面させられたのでありまして、私どもから言えば、韓国情勢についての正しい見通しがなかったから、三月に妥結できるというように政府自身考えかつその努力をしており、世間にもそういうように思わせておった。私は、こういうやり方なり言い方なりを、韓国情勢に対する政府見方と、こう言うのであります。しかも、それが全然政府見通しと異なって、学生デモ事件のために会談中断せざるを得なくなった。ここに見通し誤りがあった、見違いがあった、私どもはそう見ておるのです。こういうことが過去に一再ならずあったのであります。そういう過去の経験政府見通しと現実の実態とのそご、そのことを申し上げたのでありますから、大臣の御弁解にもかかわらず、私どもは依然として政府韓国情勢に対する認識の程度に常に不安を持っておる、こう申すのでございます。そこで、今回の学生デモをどういうふうに理解されておるかそれを以前の経験に関連させていま質問をしたのであります。政府の御答弁にかかわらず、私ども考え方見方は変わっておりません。  そこで、次に申し上げたいと思いますのは、私ども日韓会談を打ち切るべしと言うのは、戦争前に長い間植民地支配をしておりました朝鮮との間の戦後における国交正常化をやらなくてもいいというような意味では絶対にない。これは必ずやらなければならぬ。植民地支配時代責任を十分に負うということも意識しながら、両国人民の、あるいは両国国交正常化をはからなければならぬということは、これは私ども当然そうあるべきだというふうに考えておるわけであります。ただ、私ども反対しておりますのは、朴政権相手にいま政府会談を続けておる、朴政権というものは韓国民基礎の上に立っている政権ではないと言うのです。この根本的な見方が私どもにはあるわけです。軍事政権時代にこのことを私どもは絶えず主張し続けてまいりました。そのときに政府は、大統領軍事政権発生以前の大統領として軍事政権時代までも続いておるというようなことを言われ、これをもって唯一の軍事政権合法性の根拠にされておったようであります。しかし、その後ユン・ポソン大統領もまたやめてしまうというようなことになってしまいました。要するに、クーデターによって成立した朴政権韓国人民基礎の上に立つ政権でないということ、これが、このような政権相手会談を進めるべきでないということの最も大きな理由の一つであったわけです。私どもは、朴政権のこの性格はいまだに本質的には変わっていないという見方です。なるほど、民政移管ということにはなりましたし、一応大統領選挙あるいは国会選挙という過程はとりましたけれども、しかもなお現在の韓国政権が真に韓国民の多数の基礎の上に立っておるものでないということは、これはもう繰り返して申す必要はないと思いますけれども大統領選挙のときの票数から見ても、国会議員選挙における与野党の票数の割合から見ても、そういうことがはっきりとわかるわけです。そこへもってきて、今回また朴政権が自分の内外政策失敗に対する国民反対強権力をもって押えつけようという、そういう事件がまた起こったわけです。それが昨晩公布されました非常戒厳令である。そこでまた朴政権がわれわれ考えておりましたような独裁政権の正体をあらわしてきた。これが私は今回の非常戒厳令意味だと思うわけです。だから、朴政権が真に韓国民基礎の上に立っていないというわれわれの見方は間違ってはいなかった。これを私どもは申し上げるわけです。そういう立場で、社会党としましては、こういう政権相手日韓会談をやってみても、それは真に韓国人民あるいは朝鮮人民相手としての正しい意味での国交正常化にならぬというので、私ども会談打ち切りを主張してきたのであります。これは繰り返すまでもないと思うのです。  そこで、現在の事態において御質問してみたいと思うのですけれども、いよいよまた懸念されておりました非常戒厳令というものが昨晩の八時から公布されたということになるわけです。これは事実上軍政への逆戻りだというように私ども考えますが、これは政府としてはどういうようにこの戒厳令意味を解釈されますか。これをちょっとお伺いしたい。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 その前に、見通し誤りについてあなたが冒頭に述べられたことに対して、非常にくどいようですが念のために申し上げておきますが、私どもスケジュールを組んで、そのスケジュールのワク内で何としても日韓交渉をやるのだということは一回も言明したこともないし、思ったこともないわけであります。これは両国民納得のいく合理的な内容次第であるということをたびたび申し上げたのでございますから、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  それから、第二点として、朴政権が真に韓国民を代表する政権であるかどうかという問題が日本国会で論議されるわけで、私がそれに答えなければならぬというのは、私はこれは非常に奇異な感じがするわけでございます。それは韓国民の問題でございます。私ども韓国政治に参与していないわけでございますから、韓国政権が真に韓国民を代表しているかどうかの判定韓国国民がおきめになることでありまして、黒田さんのお気に召さない政権であるから、それは韓国民を代表する政権でないというような響き方で聞きましたけれども、それは非常に老練な政治家としての黒田さんのおことばとしては私はやや理解に苦しむのでございます。これはあくまで韓国の問題であるということ、これは私がもうたびたびこの国会でも申し上げておるとおりでございます。したがって、他国政権評価というような問題につきまして、日本がその最高の国家機関である国会におきましてとやかく申し上げるなどというのは、全然筋違いであると私は考えております。  それから、第三点として、今度の非常戒厳令がゆうべ八時にソウルでしかれたということは軍政への逆戻り考えるかどうかというような点、そういうことの論評も私は差し控えたいと思います。
  7. 黒田寿男

    黒田委員 同じことを繰り返したくはございませんけれども韓国政権がどういうものであるかということについての見解をわれわれ日本人として持つことは、これは当然のことであると思います。それは、いま政府は現在の政権相手日韓会談というものを継続しておられるのですから、その相手政権韓国人民を真に代表するものであるかどうかということの検討は、日本国民としてはどうしてもやらなければならぬ。真にそれが国民を代表する政権であるならばこれと交渉すべし、日韓会談は単なる韓国における過渡的な一政府との政治交渉ではなくして、韓国国民との間の国交正常化に関する問題でございますから、真に韓国民を代表しておる政府でないということになるならば、またわれわれはそれとして日韓会談に対するわれわれの態度をきめる、これは日本国民としまして当然のことです。だから、韓国政権をどう見るかということについてわれわれが日本国会において議論をするということは、日本国民利益に合致することである、私はそう考えております。われわれが日韓会談考える場合は、決して一政党あるいはある経済勢力というような立場考えるのではなくて、あるいは一部の政治家利益というようなことを考えてやるのではなくして、日本国民利益というものを考えてやる、こういう考え方で私ども韓国政権性格いかんということを問題にしてきたし、またこれをすべきであると思う。この点で大臣との見解は食い違っております。われわれはこのような考え方を持っておるということを申し上げておきたいのであります。  そこで、お尋ねいたしますが、一体、現在のような状況の中における、現在のような韓国学生運動その他の反政府勢力の台頭の中における朴政権が、真に韓国人民利益を代表し韓国人民基礎の上に立つ政権であるとお考えになっておりますかどうですか。現在の時点における朴政権についてどうお考えになっておりますか。これは、先ほど申しましたような意味において、私どもはこのことを判定しておいて、それに従って相手政権との交渉をやるかどうかということをきめるということは、これは当然のことでありますから、いまの時点における朴政権がはたして韓国民基礎の上に立っておる政権であるかどうか、これに対してどういうふうにお考えになりますか、ちょっと政府のお考えを聞きたい。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 それぞれの主権国家はそれぞれの国情に応じてそれぞれの政府をつくっておるわけでございまして、いろいろな政治体制がその国々によって違っておるわけでございます。これは黒田さんも御承認いただけると思うのでございます。一体真にその政府国民を代表するかしないか、これは見方によっていろいろ学問的にあろうかと思うのでございますが、しかし、私どもといたしましては、その主権国家それぞれが、その国民責任において政府を選んでおるわけでございますから、その選んだ政府というものを相手日本といたしましては敬意をもって外交交渉をやるというのが、私はあなたの言われる日本国民利益を守る外交であろうと思うのでございます。百二十幾つもの国を一々分析いたしまして、一体この政権国民の支持を受けているのかどうかということを一々調べた上で、日本世界の裁判所のような立場に立って、一応その判定に立たないと外交ができないなんというのは、私にはちょっと了解がつかないわけでございまして、この政権国民を代表するかしないかの問題は、先ほど申しましたように、あくまでも韓国民の問題であって、われわれの問題ではないわけでございます。ただ、われわはの問題になる接点は、日韓交渉という場面があるわけでございまして、その場合に韓国側がどのように日本に出てくるかということをよく吟味してかかることが私どもの任務だと思うわけでございます。すなわち、私がたびたび申し上げておるように、これはひとり日韓会談ばかりではございませんで、すべての外交案件がそうでありますように、これは国民納得をしていただかなければいかぬわけでございます。政府だけが独走するわけにまいらないのでございます。また、われわれの上にはあなた方が構成する国会があるわけでございまして、その御批准を得なければならぬわけでございます。したがって、国民納得がいくような合理的な内容をもってやる。私が特に注意深く申し上げておるのは、両国民納得がいくような合理的な内容のものを仕上げたいと、こう申し上げておるわけでございまして、韓国民日韓会談をどのように理解させてまいるかということは、これは私ども仕事でなくて韓国政府仕事であるわけでございます。韓国政府仕事の分野まで入っていって一々おせっかいを焼くつもりは私はありません。
  9. 黒田寿男

    黒田委員 誤解していただかないようにお願いしたいと思いますが、どうも大臣質問のつぼをはずされるようであります。私どもは、わが国以外の世界の各国がそれぞれいかなる政治経済体制をとるかという問題について、日本国民としてそれがわれわれに歓迎すべき体制である、あるいは反対であるというようなことを判断しろということを言っておるのではないのです。いわゆる平和共存で、異なる社会体制の国も、社会体制が異なるというだけでその国に対して私ども好悪の念を持って、これとはつき合う、これとはつき合ってはならぬというようなことを言っておるのではない。これはひとしく平和共存すべき相手であります。ただ、私がいま韓国について具体的に言っておりますのは、現在の情勢の中に置かれておる、この時点における朴政権が真に韓国国民を代表し得る政権であるというように認められるかどうか、国民基礎の上に立っておる政府と見ておられるかどうかということ。この政府をその国民が選んだその選び方について私どもが外国としてかれこれ言おうとしておるのじゃありません。現在の政府国民基礎の上に安定したものとして存在しておるのかどうかという問題を私どもは問題にしておるのである。国民基礎の上に立っておるという意味で私どもはそれを安定政府と言うのです。国民基礎の上に立っていないから不安定だ、こういう私ども見方をする。私どもが聞きましたのはそこなんです。体制の相違を聞いておるのではなくて、その体制共産主義であろうと資本主義であろうと、国民がそれを支持しておる、長い間その政権が安定した政権として続いておるということになれば、それに対してわれわれの臨む態度は、平和共存という態度以外にはないのです。現在の朴政権について私がいま質問しておりますのは、そういう問題ではない。そこを誤解していただかないように。現在の朴政権が大多数の国民の利害に即して成立しておるという状態に現在あるのかどうか。そうではない。このような不安定な、前途がどうなるかわからぬようなものを相手にするということは、私は日本政府として不見識もはなはだしいと思う。こういうときには当然情勢を見守るというのが正しいのであります。そこで、そういう意味において不安定であるから、情勢を見るという問題になってくる。安定なら情勢を見る必要はありません。そういう意味において、朴政権は不安定だ、国民基礎の上に立っていない、そういう見方をわれわれはしておるのですが、政府はどうかということを聞いておるわけです。そういう具体的な問題としてお答え願いたい。これを国民基礎の上に立った安定した政府として見るなら見るで、そうおっしゃっていただきたい。そうでないならそうでないというお答えをいただかなければならぬ。そういうふうにはっきりと答えていただかなければ、私の質問に対する答えにならぬわけです。そういう意味において、くどいようでございますが、もう一度政府見方をお尋ねしておきます。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 あなたの御質問に対して冒頭にも申し上げましたように、独立をかちえた新興国がその建設途上いろいろな困難、政治的にも経済的にもいろんな困難を経験するということは、過去の歴史においてわれわれがよく見るところでございまして、韓国もその例外でない、したがって、この韓国の目下の苦悶に対しまして深甚な理解同情を持たなければならぬと私は申し上げたのでございまして、黒田さんの言われる意味は、安定した政権かとおっしゃるが、その安定とはどういう意味なのか。新興国家がその建設途上において真に安定しておるかどうかという、安定をかちうるためにいろんな努力をいたしておる過程だろうと思うのでございまして、真に安定した政権というようなものを新興国家にほんとうに期待できるかどうか、その点に厳密に申しまして私は若干問題がありはしないかと思うのでございます。しかしながら、それはともかくといたしまして、安定しておるか安定していないかとか、国民を代表しているとかいないとかいうことの判定は、やはりその政府を構成しておるその国の国民の問題であって、あなたが日本政府に何とかそれに対して意見を述べろと言っても、そういうことに対して私は軽々にとやかく論評を加える資格はないと私は考えておるものでございます。  もう一つ念のために申し上げておきますのは、われわれはいま交渉いたしておるわけでございます。この交渉というのは、これがまとまりまして、そうして、先ほど申しましたように所定の手続を経まして、国民的な納得を経まして結実するわけでございまして、私は、すべての外交案件が最終的な解決を見るまでには、これは日本におきましても韓国におきましても、両当事国におきましてそれぞれ踏まなければならぬ過程があると思うのでございます。そのために、どのように御納得をいただくかそうしてどのような内容のものに盛るべきか、そういうことは交渉過程におきまして十分われわれが責任を持って考えていかなければならぬ問題だと思うのでございます。そうして、それを国民に御納得がいくような姿にまで主体的にまとめ上げる能力がそれぞれの当事国になければならぬことは、それはもう外交交渉として当然なことなのでございます。当然の前提としてあるわけでございます。このことは私もたびたび国会に申し上げたわけでございます。いまお話し合いをしておるという段階なのでございまして、これは全部煮詰まった上で——これは、いま一か八か勝負しよう、そういうような段階でもないわけなのでございまして、もう少し御寛容にこの事態を見ていただきたいと私は思います。
  11. 黒田寿男

    黒田委員 安定、不安定という問題でいま大臣から御意見を伺いましたが、私どもはこういうように考えておるわけです。新興独立国がその独立をかちえましたその直後から直ちに安定した状態にあり得るということは、これは考えられないわけであります。当然そこには不安定があるわけです。その新興独立国独立の目的を達成する方向に向かっての過程において、ある時期においてまだ不安定であるということ、これはいわば私どもから考えますと前向きの不安定でありまして、こういう不安定が存在しておるからといって、直ちにその政権に対する否定的態度、否定的判断を下すべきである、否定的な価値評価をすべきである、そういうふうに私どもが主張するのではないのです。そこを誤解のないように。私どもが言っておるのは、そういう意味の不安定のことではなくて、ある一国における政権政治内容がその国の国民の大多数の意向なり利益なりに合致しないために、国民政府との間に矛盾が生じて、そこから生ずる不安定、私どもはこういう意味の不安定をいま韓国において問題にしておるわけです。ですから、新興国発展の一段階における不安定という問題とすりかえられては困る。そこを私ははっきりさせてもらいたい。韓国においていまあらわれております不安定は、あとの意味における不安定である、そういうように私どもは見ておるわけです。こういう不安定な政権相手両国人民の利害関係に重大な影響を持つ会談を行なうべきではないというのが私ども考えである。かりに朴政権相手に協定をやってみて、その朴政権が倒れたらどうなるかという問題もあるわけです。これが普通の正常な政府であるならば、前の政府の締結しました国際条約は当然に承継せられる、これは常識でそういうふうに予想できるわけですけれども、そういう正常的な状態には、いまの韓国は、朴政権の異常な性格から見て、ないと私は思う。そういうところにわれわれ日本人の朴政権に対する非常に大きな不安があるわけです。このことまで政府は否定されようとしてはなりません。私は否定すべきではないと思う。  そこで、質問しますが、現在の朴政権は、それがどういう方向に向かって進んでおるかということは別にしましても、それが極端に不安定の状態にあるということは率直にお認めになるべきではないかと思います。これはどうです。それが新興国の発展途上における不安定であるか、私の言ったあとの意味における不安定であるかということは、これはもう論じないことにしましょう。現実に不安定の状態にあるということは、これは認めないわけにはいかないのじゃありませんか。この点について、大臣、どういうふうにお考えですか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 絶対に安定した政権なんというのは世界じゅうにございませんで、どこの国の政権もやはり相対的な安定をもっていっておるわけでございます。今日の朴政権がいろいろな困難に直面しておる、そして大学生等を中心にいたしまして大規模デモの続発を見ておるというような事態から考えまして、非常に安定した状態にあるなどとは私は考えておりません。非常に困難な過程をたどっておると私は思います。
  13. 黒田寿男

    黒田委員 私はきょう別に質問を予定したものがございますので、残念ながらこの問題についてきょうこれ以上に長い時間をとることができないのであります。これはあとでまた質問を続けることにいたしまして、もう一つだけ質問しておきます。  先ほども申しましたように、現在戒厳令が公布されておる。これは事実です。この戒厳令がどうなるかということは、これはまだわかりません。しかし、戒厳令がしかれた以上、言論、集会その他国民の表現の自由が極端に抑圧せられるということも事実である。現在韓国はこのような状態のもとに置かれておるわけです。こういう客観情勢韓国にあらわれてきたということになりますならば、このような状態のもとで日韓会談を続けるということは、韓国民会談に対する考え方を反映することのできない状態のもとで朴政権が恣意的に会談を進めるという状態になるのでありますから、これは、私どもは、そういう状態相手政権が置かれたときに、これを相手として国交正常化をはかるという意味における日韓会談というものは断じてなすべきではないと思います。これは相手韓国側としても当然の人民的要求だと思いますし、また、われわれ日本国民から申しましても、その点よく理解できるのでありまして、こういう状態のもとで会談を続けるべきでは断じてない、そういう確信をわれわれは持っております。ところが、何だか近いうちに農林大臣段階の会談が進められるかのように新聞などでは伝えられております。外務大臣日韓会談の推進については非常に御熱心なようでありますけれども韓国がこういう状態になった以上は、日韓会談を進めるべきではない、こう私は考えます。これに対してどのようにお考えですか、ちょっとお聞きいたしておきたい。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、私ども日韓会談というパイプを持っておるわけでございまして、過去の日韓交渉の沿革を見てまいりますと、実質的に相当進んだ段階もあれば、停滞をいたした段階もございます。先ほど申しましたように、先方の政情がこの会談に無関係であったとは思いません。今後このような政局にある韓国側といたしまして日韓交渉にどのように出てまいりますか、その点よくわかりません。しかし、私は、先ほど申しましたように、この会談のパイプは堅持しておきたい、日本側から中断するとかいうようなことはいたさないつもりでおりまして、先方がどのようなことで出てまいりますか、それを待ちましてわれわれは判断してまいるというようにいたしたいと思っております。
  15. 黒田寿男

    黒田委員 少なくとも日本側からこういう状態のもとにおいて積極的に働きかけるということはしない、情勢を見ておる、こういうのでありますね。そう理解してよろしゅうございますか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 現在日韓会談というものが持たれておるわけでございまして、いま先方の出方を見ておるというところでございます。
  17. 黒田寿男

    黒田委員 先方の出方を見ておる、そういうふうに理解いたします。こちらから積極的にどうこうする意図はない、これはそうだと私ども理解いたします。そうでなければこれははなはだけしからぬと思うのですが、そういうふうに理解いたしまして、この問題はきょうはこれで打ち切ります。またごく近いうちに御質問を申し上げたいと思います。  きょうは、これから方面を変えまして、日本と中国の問題に関して御質問を申し上げたいと思いますが、これから私が御質問を申し上げたいと思います問題は、実は、ある意味において非常に古く、しかも、まだその問題のあと始末がついていないという意味においては新しい問題、そういう性格の問題であります。それは、日本政府が戦争の末期に多数の中国人をわが国に強制連行をいたしまして、そのうち数千人を死に至らしめた事件があったのであります。それにつきましての政府責任と、それから、今日までまだ終了しておりませんその善後処理について今後政府が具体的にどのような方針を持っておいでになるかということを質問いたしまして、なお私ども見方をも申し上げておきたいと存じます。  質問に入ります前に、私は、この事件の概略と今日までに実行せられてまいりました善後処置についてのあらましを一応述べておくほうが便利だと思いますので、それを申し上げたいと思います。  中国人強制連行事件と申しますのは、先ほど申しましたように、戦争末期に、東條内閣の閣議の決定によりまして、当時におけるわが国の筋肉重労働部面における労働力の不足を補うという目的を持ちまして、約四万人の中国人を日本に強制連行いたしました。そして、それらの人々を全国の鉱山、あるいは港湾、あるいは土建工事などで奴隷的に酷使いたしまして、そのうち約七千人が、あるいは過労、あるいは栄養失調、あるいは花岡事件のような直接殺害というような原因によりまして死に至らしめられた事件で、これがいわゆる中国人強制連行事件というものであります。このことは外務省の作成されました文書によりましても大体明らかであると思いますので、これ以上は申し上げませんが、さてそれがどう処理されたかという問題が残されているわけであります。  敗戦によりまして、連合国総司令官の命令によりまして、生存しておりました中国人は全部本国に集団送還されました。その人数が、われわれの調べたところによりますと三万六百十人であります。   〔安藤委員長代理退席、委員長着席〕 そうしますと、連行されたときの中国人の数が三万八千九百三十九人という数字になっておりますので、日本に連行されたときと本国へ帰るときの中国人の数のこの減少の中に、七千人に近い、正確には六千八百三十人というようにわれわれは調査しておりますが、そういう七千人に近い死者の数を読み取ることができる。こういう事件があったのであります。中国人を連行いたしましたのは、先ほど申しましたように、日本政府、すなわち具体的には東條内閣の閣議決定に基づいてなされたものでありますから、むろん中国人を本国へ集団送還いたしましたのも日本政府責任においてであったのであります。これと同じ責任において、日本政府は、死亡いたしました中国人の調査、遺骨の発掘、それに対する慰霊及び中国への送還という仕事を実行しなければならぬ責任があるのであります。ところが、どうも政府としてこの事業に対する責任を果たすべき誠意が従来十分に示されていなかったのであります。  そこで、こういう問題は、国際法の問題であるとともに、また重大な人道問題でもありまして、国交が回復されておるかいないかという問題以前の重大な人道問題でございます。しかも、政府責任を持って死亡者の調査あるいは遺骨の発掘及びそれの中国への送還という仕事を進められようとしませんので、そこで、昭和二十八年の二月に、日本赤十字社、日中友好協会、日本仏教連合会あるいは総評、平和連絡会というような団体が十四団体で中国人俘虜殉難者慰霊実行委員会というものを結成いたしました。この組織は人道と平和、友好の精神に立脚いたしまして、政党政派を越えて、過去の日本の軍国主義が犯しました侵略戦争の罪過に対する道義的責任感の表現といたしまして、戦時中中国から連行され死亡された中国人殉難者を慰霊し、その遺骨を中国に送還する、こういうことを目的としてでき上がった団体であります。これは純然たる民間組織でありまして、民間から集めた乏しい寄付金で事業を進め、苦労に辛苦を重ねて中国人強制連行事件の調査と中国人殉難者の遺骨の収集に当たりまして、現在に至るまで、この民間団体によりまして約三千人、正確には二千七百四十五人の遺骨を収集いたしまして、昭和二十八年七月を第一回として、昭和三十三年四月までの間に八回にわたりまして遺骨を中国に送還したのであります。送還にあたりましては、もちろん政府の協力を得まして、赤十字船をもって送還をするという方法をとったのであります。最初吉田内閣のときはわざわざ特別に赤十字船を仕立てて送ったというようなことで、吉田内閣のもとで四回、鳩山内閣のもとで二回、岸内閣のもとで二回、計八回にわたって遺骨を送還しております。なお、昭和三十五年三月に、中国人俘虜殉難者名簿六千七百三十二人、これは死亡者総数の九八・六%に当たるのでございますが、そういう名簿を完成いたしました。これは政府にも提出してあります。そして政府にこれを確認するように要請してあります。他方、この完成された名簿を同年五月に中国紅十字会に慰霊実行委員会のほうから伝達したというような経過になっております。そして、昨年の十一月二十七日、この殉難者の慰霊事業十周年俘虜殉難者中央慰霊祭というのが東京で行なわれまして、そのときは外務大臣はアメリカに御出張中でございましたが、外務大臣代理の宮津大臣の名前で外務省の参事官が代理でこの慰霊祭に出席せられまして、厚生大臣、外務大臣の花輪もささげられましたし、弔辞も読まれた、こういうこともありました。  そこで、きょう特にこの問題について質問をいたしますのは、このような民間団体の努力で遺骨を送還いたしましたけれども、まだあとからあとからと発見されるわけです。第八回送還以後今日までの間に、また相当な数の遺骨が発掘されておりまして、これは外務省のほうにも通知しておきました。そこで、そろそろ第九次の送還をしなければならぬ、そういう準備が民間団体のほうではできておりますので、そこで、この際この事件に関する未解決の問題点について質問したいと思うのであります。  いままで申し上げましたのがこの事件の概略でございまして、経過はおわかりくださったことと思います。そこで、質問の第一は、民間団体の要請によりまして、政府は、昭和三十三年すなわち一九五八年に至りまして、初めて閣議で、未帰還問題閣僚懇談会というものを設置されまして、それから、引き続いて、第一回の閣僚懇談会で、中国人労務者の遺骨収集、氏名リスト作成等について、従来民間団体、これは慰霊実行委員会のことですが、民間団体の事業として行なわれてきたけれども、これは政府において措置すべきものだという方針に決定をされまして、政府においてこの事業に乗り出すということにやっとこのときからなったのであります。そして、事務の分担として、厚生省が死亡者の調査及び遺骨の発見、発掘の仕事を行ない、その発掘された遺骨を中国へ送還する仕事は外務省の所管にする、そういうように従来政府から説明を受けておりましたが、この点、念のために、現在もそういう区分で政府内部においてこの事件の処理に当たっておられますかどうですか、これは区分の問題だけちょっとお聞きしておきたい。簡単でよろしゅうございます。
  18. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 お答え申し上げます。  事務の担当の区分は、いまおっしゃったとおりでございます。
  19. 黒田寿男

    黒田委員 それでけっこうです。  そこで、中国人の強制連行の事情、それから死亡いたしました中国人俘虜殉難者の氏名及び死亡状況等の調査、それから、遺骨の収集、慰霊、遺骨の送還というようなことは、これは政府責任においておやりになるべきものと考えるわけです。それは、第一には、強制連行が戦時中の昭和十七年に東條内閣の閣議決定すなわち日本政府の閣議決定に基づくものであったということです。それに基づいて、日本政府機関及び軍によりまして、中国大陸の占領地域から一般住民及び軍事俘虜を捕えまして日本に強制連行したという事実が発生した。次に、日本の敗戦直後に、ポツダム宣言の第十条、降服文書及び連合国最高司令官の総司令部一般命令第一号などで、日本が捕虜にいたしました連合国の軍人、それから抑留した外国人に対しまして、次のような原則が立てられました。それは、第一は、捕虜と被抑留者を虐待した者を処罰する。第二は、捕虜と被抑留者に対する解放、保護、送還を行なう。それから、第三は、捕虜と被抑留者に関する報告を日本政府にさせる。これらの諸文書によって、中国人強制連行事件についての日本政府の処理のしかたについて、国際法と人道主義の上に立つ原則が示されたのであります。この原則に基づいて生存者の中国への集団送還が行なわれた事実があります。こういう諸事実にかんがみまして、強制連行の状況及び死亡事情の調査とその報告及び遺骨の収集と慰霊、送還というような仕事は、日本政府の人道上及び政治上の責任において、人道上及び国際法上の義務としてこれを行なうべきものである、これが連行された事情、それから、集団帰国の場合の、先ほど申しましたポツダム宣言以下の文書や命令の上にあらわれた諸原則、それに基づいてなされた処置というようなものと照らし合わせてみまして、日本政府の義務としてこれをなすべきものである、こういうふうに私ども考える。従来、岸内閣の時代に、岸総理あるいは藤山外務大臣、それから坂田厚生大臣等もこれらの義務は認めておられたのでありますが、それ以来今日まで若干の日時がたっておりますので、池田内閣としても同様の態度をもってこの事件に臨まれるかどうか、それをあらためて確認をしておきたいと思います。これにつきまして外務大臣のお答えをいただきたいと思います。原則の問題ですから、大臣から御答弁を願います。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいまこの問題の沿革につきまして黒田議員から詳しくお話がありましたが、御指摘にもありましたように、今日まで八回にわたって民間の御協力を得まして遺骨の送還が行なわれたわけでございます。もちろんまだ残っておるということでもございまして、五月二十一日に、私あてに、慰霊実行委員会から、送還の時期を六月下旬を目途にし、送還方法は赤十字船による、遺骨捧持団は十五、六人にしたいという趣旨の申し入れを受けておるわけでございます。私どもは目下この要請に対しまして政府部内で検討を加えておるところでございまして、できるだけ早く結論を出したいと考えております。
  21. 黒田寿男

    黒田委員 大臣は私の質問の趣旨と違うことを答弁されておるようです。いま大臣がお述べになりましたことも、この問題に関しいま起こっております問題の一つであります。民間の団体が強制連行事件の調査をしてこれを中国に報告する、遺骨を送還するという問題、これも一つの問題であります。しかし、私がいま質問しましたのは、政府の事業としてこれは本来なすべきものではないか、また、過去において、岸内閣のときに、これは必要がありますれば国会の議事録を読んでもよろしゅうございますけれども、これは時間の関係上省略いたしますが、岸総理大臣も藤山外務大臣も坂田厚生大臣も、この調査をすること、調査をしたならばこれを中国に調査の事項を知らせ、また発掘した遺骨を送還するということは政府が誠意をもって実行すべき問題である、そういうことを認めておいでになるわけです。それをいま池田内閣としても同様に確認されるかどうかということを御質問申し上げたのです。変更されたとは思いませんが、一応このことをお尋ねしたいと思います。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 従来の方針どおり、政府の誠意を十分示すという形におきまして、民間人の御協力も得てやってまいりたいと思います。
  23. 黒田寿男

    黒田委員 民間としましては、いろいろ苦心し、先ほど申しましたようにこの事業を進めておりますが、本来はこれは全部を政府がやるべきだというくらいに民間団体としては考えておるわけです。  それは別といたしまして、とにかく民間団体が実際の仕事を進めておるのであります。そこで、質問いたしたいと思いますが、これは厚生省の所管の問題としてお伺いしますが、一体この事件に対して調査はどのように進められておるかということですね。死者の氏名あるいは死因等の調査、それから遺骨の発掘という仕事政府としてはどの程度進められておるか、これをお聞きします。
  24. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 お答えいたします。  政府といたしまして、昭和三十三年から、遺骨の調査、収集、その面を厚生省が担当いたしまして、調査してまいりたのであります。この調査につきましては、都道府県等を通じまして、関係の事業場、それらの方々が働いておられた事業場、あるいは市町村の役場、それから火葬場とか寺院、そういう関係のところをくまなく手を広げまして、できるだけの調査をいたしたわけであります。その結果、現在までに六千四百一名につきまして一応の死亡の事実の認定をいたしております。残りまだ四百名ございますが、これは引き続き現在調査をいしておる段階であります。その間に遺骨も十一柱発見いたしまして、また、その他に、すでに持ち帰られた方の遺骨の残骨と申しますか、それも若干発見をしております。そういうただいままでの状況でございます。
  25. 黒田寿男

    黒田委員 その調査に関してですが、人数は大体いまわかりましたけれども、これはまだ今後も続けてやられるのですか。
  26. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 まだ四百名余りの方の調査が未了になっておりますので、引き続きこれを急いでやっておる次第であります。
  27. 黒田寿男

    黒田委員 その調査の内容をいま少し御説明願いたいと思います。これは別に全部いまここで聞くというようなことではございません。たとえばある一人についてどの程度の調査をしておるかということをお聞きします。
  28. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 先ほど申しましたように、関係のところといたしましては、当人が働いておられました事業場、それから市町村役場、あるいは寺院、火葬場等でありますが、たとえば、死亡診断書を市町村役場で調査いたしますとか、それから、火葬の際の認許証と申しますか、そういうものの調査、あるいは墓碑名を調査いたしますとか、あるいは火葬の受け付け簿でありますとか、その他の証明書、そういうものをすべて調査の対象にいたしておる次第であります。
  29. 黒田寿男

    黒田委員 調査書にあらわれた内容はどの程度になっていますか。たとえば具体的にある一人についてだけでも御説明願って、大体あとはこのとおりだというのでしたら、それでよろしいのです。
  30. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 何ぶんにも六千四百一名という多数の方の調査でありましたので、その六千四百一名の方についての名簿は一応整っておりますが、あいにくここに個々の方についての資料を持ち合わせておりません次第であります。
  31. 黒田寿男

    黒田委員 できてはおるのですか。
  32. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 もちろんできておりますので、時間をいただきますれば、また特定の方についてお知らせばできると思います。
  33. 黒田寿男

    黒田委員 私ども仄聞しておるところによりますと、氏名、それから死亡の年月日とか、死亡いたしましたときの年齢というようなことは調査できておるような話ですけれども、どういう原因でなくなったかということについての調査が、厚生省の調査書の上でなされているかどうかその点はっきりしておりませんので、お聞きしたい。
  34. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 一応死亡診断書等も調査対象にいたしておりますので、たとえば病名とかいうことも一応わかっておるはずであります。
  35. 黒田寿男

    黒田委員 その調査書の上に表示してありますか。内部で調べておるというだけですか。
  36. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 私どものほうでまとめました六千四百一名の名簿には一応書いてございませんが、それぞれ県の段階あるいは町村段階で調べておりますので、それを調査いたしますれば、個々の人についても具体的なことはわかる次第であります。
  37. 黒田寿男

    黒田委員 実は、われわれのほうの調査では、というのは、先ほど申しました中国人捕虜殉難者慰霊実行委員会のことですが、このほうでは、大体人数は厚生省の調査したものと似通っておりますが、非常に苦心して一人一人について死因を調査して、どういう病気で死んだかたということが一人一人について正確に調査ができております。これは政府のほうに提出してあるはずですが、ごらんになりましたかどうですか。
  38. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 厚生省としてはまだその名簿を拝見してないように存じますが……。
  39. 黒田寿男

    黒田委員 もしそうでありますれば、われわれのほうの資料も差し上げます。慰霊実行委員会のほうとしましては、決して自分がこういう仕事を独占しようと思っておるわけではなく、むしろ政府が誠意をもってこれをやっていただけば政府におまかせしてもいいというくらいに考えておる。本来は、政府におまかせしてもいいという問題ではなくて、政府責任でやるべき問題である。ところが、それが行なわれない。そこで、人道上捨てておけないし、日中友好の立場から、また戦争に対する責任感という厳粛な気持ちで、非常に苦労しながら名簿作成の仕事も今日まで続けてきたわけで、現在もやっております。そこで、われわれのほうの資料も、——われわれと申しますのは、私も慰霊実行委員会に関係しておりますからそう申し上げるわけですが、それを差し上げたいと思います。厚生省としても、先ほど申しましたように、政府責任で早かれおそかれ中国に名簿を示さなければならぬものだと私は思います。従来政府はそういうふうにお答えになってきておるわけです。そうだとしますと、できるだけ完全なものにして報告書を提出するのが、これも政府としての正しい態度だと思います。ぜひそのようにやっていただくよう希望いたします。そういう御方針でやっていただけますか。
  40. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 具体的に向こうへ名簿を提出送付等をいたします場合に、どの程度の内容のものにいたしますか、今後厚生、外務両省で十分相談をいたしまして、その際に慰霊実行委員会のほうの資料等を利用させていただくこともあろうかと思いますので、おたくのほうでおつくりになった名簿を参考までに見せていただくようなことがあればけっこうだと思いますが、送付する名簿の内容につきましては両省で十分相談をした上で考えたい、こういうように考えております。
  41. 黒田寿男

    黒田委員 それでは、できるだけ完全なものにされるように努力していただきたいと思います。なお、慰霊実行委員会のほうの書類も、これは政府で確認していただきたいくらいに思っております。私はすでにそれを差し上げておると思っておりましたが、もし差し上げていなければ差し上げます。  なお、政府のほうでいままで調査されましたものは、民間団体にある程度配付されておりますか。
  42. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 日本赤十字社のほうへは渡しております。
  43. 黒田寿男

    黒田委員 今後の協力という関係もございますので、これは慰霊実行委員会のほうにもひとつお分けいただきたいと思ます。それはお分けいただけますか。
  44. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 差し上げて差しつかえないと思います。
  45. 黒田寿男

    黒田委員 私ども仄聞しておりますところでは、先ほど申し上げましたように、病名等は何も書いてない、はなはだ不完全なものであるというように又聞きしておりますので、一応拝見させていただくとともに、完全なものにしていただきたいということを重ねて希望しておきます。  なお、お尋ねしておきますが、この問題については一定の予算を取って仕事を進めておいでになることと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  46. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 予算を取った上でこの仕事を進めております。
  47. 黒田寿男

    黒田委員 この事業は継続して行なわれておるわけですから、毎年予算を取っておいでになりますか。
  48. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 さようでございます。
  49. 黒田寿男

    黒田委員 いままでどのくらいですか。
  50. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 予算額を申し上げますと、三十三年度が百三十五万二千円、三十四年度が百二十、万六千円、三十六年度が百三十五万四千円、三十七年度が百十三万一千円、三十八年度が百十三万四千円、本年度が九十八万三千円、こういう状況でございます。
  51. 黒田寿男

    黒田委員 それから、外務省のほうに、これは事務当局にお尋ねしますが、外務省のほうは予算区分上送還の仕事を担当しておられるというように聞いておりますが、外務省でも予算は取っておいでになりますか。
  52. 原富士男

    ○原説明員 外務本省といたしまして約九百万円の予算を計上しております。正確に申しますと、労務者の遺骨送還費として八百十二万円、残りは、慰霊祭を実施したり、その他の雑費でございます。
  53. 黒田寿男

    黒田委員 大体わかりましたが、いま政府のほうで収集されました遺骨はどういうようになっておりますか。
  54. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 新たに収集いたしました十一柱の遺骨があるわけでございますが、そのうち九柱は外務省のほうへお渡しをしております。一柱は慰霊実行委員会のほうへ、それから、あと一柱は、若干まだ処理について問題がございますので、県のほうで保管しておるという段階でございます。
  55. 黒田寿男

    黒田委員 今度は大臣にお尋ねしたいと思います。先ほど申しましたように、岸内閣の時代に、総理大臣及び外務大臣、厚生大臣等が、名簿が作成されたならばむろんこれは中国に届ける、それから遺骨も届けるというように言っておられるのですから、その根本の方針には池田内閣になりましても変更はないと思いますが、いかがですか。
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 変わりございません。
  57. 黒田寿男

    黒田委員 そうすると、これはいつ実行せられるかということが問題になるわけですが、それをいま具体的にお聞きいたしましても、あるいはまだ政府のほうでは用意が整っていないという御説明があるかもわかりません。しかし、われわれとしましては、本来はこの仕事政府政治的に及び人道上責任を持ってなさるべき義務的な仕事だと考えますので、これはくどいようでございますけれども、実政府自身で必ずやるのだということをここではっきりと御確認願っておきたいと思います。具体的方法をどうするかという問題がございますが、一般論として、現在両国間にまだ国交の回復ができておりませんが、しかし、正式な外交関係のあるなしにかかわらず、これは人道上の根本問題でもありますし、それから、政治的には、先ほど申しましたような終戦直後のいろいろの文章によって原則が示されているというような点からいたしまして、ぜひとも政府責任を持ってこの仕事を一日も早く完成されますよう、これを強く希望いたします。この点あらためてもう一度御確認を願っておきたいと思います。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、政府は、誠意をもちまして、民間の方々の御協力を得まして処理に当たりたいと思います。
  59. 黒田寿男

    黒田委員 この問題について現在具体的に中国と何らかの交渉を持つということは考えておいでになりませんでしょうか。実は、これを申し上げますのは、昭和三十年、日本政府は、ジュネーブ駐在の日本総領事を通じて中国の総領事に対しまして、これはわが国からの要求でありましたけれども日本人行方不明者の消息問題について情報提供を申し入れたことがあった。まだ国交回復以前でございましたけれども、出先の外交機関によりましてこのような申し入れを日本政府としてしたこともあるのであります。それに対して、中国側からは、強制連行されました中国人につきましての釈明がなされていないことに対する不満が表明されるというようなこともあったのであります。この問題はその当時予期した成果をあげなかったのでございますけれども、その後、中国在留の日本人の帰国問題は全部解決いたしましたし、それからまた遺骨もずいぶんたくさん中国から送還されてきたのです。それから、最近では、中国への墓参というようなことも実現しておるような状態であります。その上にまた、これは大臣も御承知のように、北村徳太郎氏、川崎並びに松本両氏などに対しまして、中国の周総理が、日本と中国との間に広い面での接触の必要があるというような御意見で、その具体的な方法としましては、香港の日本総領事と新華社の支社長、あるいはパリの日中両国大使というような機関の間で非公式な話し合いから公式な折衝に持っていったらよいではないかというような、外交機関による接触の呼びかけがあった。これは、実は、鳩山内閣のときに、私がいま申しましたような事柄について政府はやっておるわけです。そこで、中国人の遺骨送還、あるいは死亡者の調査の報告というような問題は、先ほど申しましたように、政治的な義務もございますし、国交回復というような問題以前の重大な人道問題でもございますから、こういう問題について、日本政府としまして、最小限度での交渉でも持たれるというような御意向はお考えになっておられないでしょうか。この問題は、国交が回復されていないからという理由でいつまでもほっておくわけにはいきません。未回復のままであっても、日本政府は中国の政府に対しまして政府としてこの問題の処理をされなければならない。これは原則として従来の政府も認めているわけです。それが方法論でひっかかってしまっている。国交が回復されていないからどうもやりにくいというようなことで、この義務が果たされていない。過去に鳩山内閣のときの例もございますし、何かこの問題について前向きの外交的処理をなされるというようなお考えはありませんでしょうか。これは大臣にお尋ねします。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 日中関係は、御案内のように、政経分離のたてまえによりまして、国交が回復されておりませんけれども、貿易その他実際上の接触は、民間レベルでお願いするというラインでやってきておりまして、特段の不便はないわけでございまして、ただいまのところ、大使レベルで話し合いを持つという、そういうつもりは私としては持っておりません。
  61. 黒田寿男

    黒田委員 貿易の問題は、これは義務的な問題でも人道上の問題でもないのですが、この問題は、先ほど申しましたような東條内閣の閣議決定以来の経緯を見ますと、日本政府として誠意をもって履行しなければならぬ国際法上また人道上の義務の問題だと、私どもそう考えます。貿易の問題のようにだけ考えては、正確に理解できないと私は思うのです。われわれ民間団体としましても、やるだけのことをやっておりまして、また政府にも御協力願わなければならぬことは御協力願うという方針でございます。これはこれとしてまた別にいろいろと要請申し上げるつもりでございます。きょう私が申し上げておりますのは、政府責任としてこの事業を遂行しなければならぬという立場から申し上げておりますので、何かこちらから外交的に接触を求める必要がある、こう考えます。政府の係官が中国へ船で遺骨を持って行く、そうなれば一番よろしい。また、そういうことをするにつきましても、いろいろ交渉をする必要があるということになれば、先ほど申しましたような外交機関の接触ということをこの問題についても考えていただく必要があるのではなかろうか、私はそう考えます。いかがでございますか。貿易の問題とは違うと思います。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、民間レベルの接触で一応処理をいたしておるわけでございます。特に政府間の接触を持たなければならないという具体的な必要を私どもとしては感じていないわけけでございます。
  63. 黒田寿男

    黒田委員 いま現に政府が保管しておられる遺骨、これは政府責任を持って一日も早く中国に届けるべきだと、こう思うのですが、それについては、何か中国側と交渉を持たなければならない。国交回復までほったらかしておくというのなら別問題です。われわれ民間団体にまかすということも、これも私は政府としては筋が通らぬと思います。民間団体がやっておることについては御協力願わなければなりませぬ。しかし、政府が持っておいでになりますもの、あるいは政府自身が御調査になっておるものは、政府自身で一日も早く送り届けていただかなければならぬのであります。この問題がいまあるのであります。そこで、いま政府が保管されておるものは政府責任で早く中国に届けられるべきだ、こう思うのですが、これについてどういうようにお考えになっておりますか。
  64. 大平正芳

    大平国務大臣 この問題につきまして政府が誠意をもって処理に当たりたいということは申し上げたのでございますが、私どもといたしましては、従来もそうでありましたように、今後も民間の御協力を得まして円満に友好的にやりたい、こう考えておるわけであります。政府間の接触を持たなければならぬという問題とは別問題でございまして、私どもは、政府間の接触を特に持たなくてもこの問題の処理はできると考えております。
  65. 臼井莊一

    臼井委員長 黒田君に申し上げますが、大臣だけ退席していただきまして、自余の質問は事務当局に……。
  66. 黒田寿男

    黒田委員 もう一問です。  いま政府が保管しておりますものを民間団体のほうで送還してもらいたいという意味のおことばですが、私が御質問申し上げたのは、政府が保管しておるものは政府責任を持ってお届けになるべきだ、われわれはそういうように考えております。それに対するお考えを承りたいのです。はっきり御答弁いただければ、これで私の質問は終了いたします。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府といたしましては、誠意をもって、民間の御協力を得てこの処理をいたしたいと考えております。
  68. 黒田寿男

    黒田委員 政府がやるという御答弁がない。どうもはっきりいたしません。政府自身で送りたいというお考えは持っておらぬとおっしゃるのですか。それでは先ほど申し上げました原則と趣旨が違うことになります。岸内閣当時にも政府でやると言っておったのですから、そこで、池田内閣になってもどうかということを繰り返して確認を求めたわけで、先ほどは、政府がやるんだ、従前の方針どおりだと、こうおっしゃったから、私どもそう思っていま具体的な問題を最後に出してみたのです。この点もう一度はっきりお答えいただきたい。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 黒田さんもよく御存じのとおり、本件につきましては、実質的には政府はできるだけのことをやってきておるわけでございます。今後もやってまいるつもりでございます。具体的にそれをどのように実行してまいるかという点につきましては、関係者とよく協議いたしまして、円満にやってまいりたいと考えております。
  70. 黒田寿男

    黒田委員 政府が関係部局と十分に協議して、政府でやるつもりだ、こういう御趣旨に承ってよろしいのですか。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 政府がこの問題の処理につきまして誠意をもって当たるということでございます。具体的方法につきましてはとくと協議したい、ただ、これがために特に政府間の接触を持つという考えはいまのところない、こういうことであります。
  72. 黒田寿男

    黒田委員 きょうはこれで終わります。
  73. 臼井莊一

    臼井委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時二分散会