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1964-04-02 第46回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会原子力政策に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二日(木曜日)     午前十時二十五分開議  出席小委員    小委員長 中曽根康弘君       菅野和太郎君    佐々木義武君       西村 英一君    福井  勇君       細田 吉藏君    前田 正男君       石野 久男君    岡  良一君       田中 武夫君    山内  広君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君  小委員外出席者         科学技術振興対         策特別委員   保科善四郎君         原子力委員会委         員       駒形 作次君         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         原子力委員会委         員       西村 熊雄君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局次長)  中川理一郎君  参考人         (日本原子力研         究所理事長)  菊池 正士君         (日本原子力研         究所理事長) 森田 乕男君     ――――――――――――― 四月二日  小委員河野正君同日委員辞任につき、その補欠  として石野久男君が委員長指名で小委員に選  任された。 同日  小委員久保三郎君同日小委員辞任につき、その  補欠として田中武夫君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員石野久男君同日委員辞任につき、その補  欠として河野正君が委員長指名で小委員に選  任された。 同日  小委員田中武夫君同日小委員辞任につき、その  補欠として久保三郎君が委員長指名で小委員  に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  原子力政策に関する件(日本原子力研究所に関  する問題)      ――――◇―――――
  2. 中曽根康弘

    中曽根委員長 これより原子力政策に関する小委員会を開会いたします。  原子力政策に関する件について調査を進めます。  本日は日本原子力研究所に関する問題について調査することといたします。  本問題調査のため、本日は日本原子力研究所理事長菊池正士君、同副理事長森田乕男君出席を願っております。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用のところ、本小委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。これより直ちに質疑に入るのでございますが、どうか忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、これを許します。西村英一君。
  3. 西村英一

    西村(英)小委員 簡単なことですが、一、二お伺いします。  理事長でいいと思いますが、今度のJPDR使用です。出力一万二千キロ、それは運転しますと、電力は何に使うわけですか。  それから、どういうふうに今後運転していくつもりですか。二六時中、昼夜運転するのか、あるいはそれを断続的に運転するのか、使用方法です。
  4. 菊池正士

    菊池参考人 JPDRをどういうふうに運転するかということにつきましては、それに関する外部の人も含めまして委員会がございまして、そこにおいていろいろ計画を立てております。  いまの御質問でございますが、まあ最初少なくとも一年ぐらいの間は、いわゆるフラット運転と申しますか、一万二千キロを出しまして、その電力所内電力、及び余ったものは外部へ出すようになっております。  その目的は、単に電力を供給するということだけでなしに、発電所連続運転をするということ自体が初めてでありますし、おそらくその間にいろいろな意味の欠点その他が出てくることも予想されます。そういうことに対処してやっていきますこと。それから、運転体制そのものの訓練もそのうちに含まれる。そして、実際にデザインされたような燃焼度を上げることができるか、実際の運転発電体系全体としてのいろんな特性がデザインどおりいっているかいないか。そういうことを実際に運転をやりながら検討していくというのが最初目的でございます。  それ以後は、今後あの型の動力炉がどんどん日本に入ってくることが予想されますので、これの国産化、主として燃料部分国産化に大いに活用したい。つまり国産燃料をあの中へ入れてどんどん燃やす試験をやって、あのタイプの炉の今後の導入に際してそれを国産化していくことの研究ないし燃料試作等に使っていく、そういう予定にしております。その他いろいろの計画がその委員会でもって盛り込まれておりますが、おもな計画はそういったことでございます。
  5. 西村英一

    西村(英)小委員 いまお聞きしますと、運営委員会みたようなものができて、それによって今後の運用の計画をするが、まだ確定はしておらない、今後確定する。  しかし、その電力所内に使う、余れば売電する。こういうことになるかと思いますが、売電する場合には、研究所はやはり自家発電事業者になるのですか。どういうことで売電するのですか。  それから、まだいま計画がきまっていないと言いますが、二六時中運転しますと、交代勤務をやらなければならぬ。聞きますと五交代という話ですが、その辺はどうきまっているのですか。これからの問題ですが、その辺をちょっとお聞かせ願いたい。
  6. 菊池正士

    菊池参考人 連帯委員会によるいろいろ計画はきまっております。きまっておりますうちのおもなものをいま申し上げたわけであります。  それから、いまお話しの自家発電のことですが、自家発電所として運営されるわけであります。  それから、交代制の問題は、いま五交代ではなくて、三交代でございます。三交代でございますが、普通の火力発電所ではいままで四班で三交代をやっております。われわれの場合は五班で三交代をやることになっております。五交代ではないのでございます。三交代でございます。だから、一直当たりにしますと、日勤の日がふえるわけであります。
  7. 西村英一

    西村(英)小委員 わかりました。  売電する、売電して自家発電、そうすると、通産省手続をして自家発電事業者になるわけですね。そうするとどうなんですか、次長さん、それはいまの電気事業及び石炭のスト規制法律にひっかかりますか、ひっかかりませんか。
  8. 中川理一郎

    中川説明員 電気事業スト規制対象になっておりますのは、国民生活に影響を与えるという見地からでございます。したがいまして、これの対象になりますものは電気事業者電気を供給することを業とする者に限定されまして、いま原研の場合に、お話の出ましたような自家発電の設備を持ちましてこれを電力会社に供給するのは、自家用に発電所を持っているというだけでございまして、電気事業者ではないわけでございます。これはそのスト規制対象にはならないのでございます。
  9. 西村英一

    西村(英)小委員 それの解釈はちょっとおかしいと思うのです。ここで議論はいたしませんが、そういう解釈原子力委員会科学技術庁でしておるとすれば、どうもおかしいのです。電気事業となっている以上、やはり、その売電というのは常時売電するのだろうと思うのですが、どうなんですか。この辺がちょっと私も疑問に思っておりますが、そういう解釈だというならそれでいいです。あなたと押し問答はしない。  それから理事長に、いまの交代制の問題です。五班で、交代は二十四時間を三交代する、こういうことだろうと思います。私が心配したのは、将来原子力発電所ができますれば、原子力発電特異性から、やはりいまの原研勤務制あたり基準としてやられるのじゃないかと思うのです。五交代といいますから、どういう五交代か私わからなかったのですが、いま日勤で一部交代する、それがまあ昼間の研究をするのだという音加味だろうと思うのです。わかりました。  次に、先般来、準備期間として百万キロを開発して、後期に少し思い切ってやろう、こういう計画を立てて、まあ一般的にはその計画で認められて、よかろうということになっております。その百万キロを、一号炉は御承知のとおり原子力発電所でやっておる。東海村発電所でやっておる。二号炉もやる。こうなっていますが、三号炉以下をどこにやらせるのか。準備期間百万キロをどこにやらしたらいいかということはきまっておって、私だけが知らないのかもしれぬが、三号炉以下はどういうふうになっておるのか。きまっておるのか。きまったとすれば、どういう手続で、どういう方法できまったのか。先般来、関電及び東電、中電のほうで、自分のほうではこうやるというが、それらは何かの手続できまったことなのか。あるいはそうやりたいという希望なのか。その辺は私は知らないので、あなた方は十分わかっておると思うから、駒形さんにちょっとお尋ねします。
  10. 駒形作次

    駒形説明員 長期計画におきまして、前期百万キロ、その第一号炉、第二号炉原電で、三号炉以下は民間電力会社にこれを期待するというのが長期計画の趣旨でございます。そうしまして、関西電力東京電力中部電力、三社がそれにこたえられまして、それぞれ計画を進めて、この間も話がありましたように、場所その他を目下調査をしておられるのであります。したがいまして、それによりまして、前期の百万キロをやや上回ると大体見通しがついているものと考えております。  どこが三号炉、四号炉、五号炉をきめるかという問題につきましては、電力会社においてその準備が完了したならば、当然政府のいろいろな行政的な措置に対して申請が出てまいりまして、それによって、やったらいいか悪いかということも、安全性その他の面でいろいろ検討いたしまして、それが決定されるということになると考えます。
  11. 西村英一

    西村(英)小委員 おかしいです。どうも聞いていると、原子力委員会民間でやることを期待するというのですか。そうして民間で出てくるのを待っている、こういうのですか。  少なくとも原子力発電については、すべて当分の間あなたのほうで計画してここにやらせると決定する。三号炉はどこどこでやらせる。民間はまだ早いから、日本原子力発電株式会社でやらせるとか、やらせないとか、その企画し決定するまでは、少なくとも準備期間のことですから、相当に原子力委員会はオーソリティーを持っていいと思うのですが、いまのところは、民間が余裕のあるところは出してきたらよさそうなものだというのは、全くわからぬですね。まだ決定はしていないのですか。そこをはっきり言ってください。原子力委員会としては決定する意思もないのか。あなたは原子力委員会委員でしょう。
  12. 駒形作次

    駒形説明員 そうです。  四村先生の、三号炉以下は原子力委員会が決定するものであるというようなお話でございますけれども、私どもは、それが出てくるのを待っている、ただ手をこまねいてぽかんと待っているというわけではございません。三号炉、四号炉、五号炉が実現化するように、それに必要な関連する事項というものを積極的に推し進めまして、委員会といたしましてもそれが早く実現するようなぐあいに進めていく。決定するという、そういうことにつきましては、政府がたとえば金を出すということでありますならば、政府がいつどこでどういうふうなぐあいにしてやるのだというふうになるのかと思いますけれども現状といたしましては、政府自分原子力発電をやるというふうになっておりませんので、私が先ほど申しましたようなことを申し上げたわけであります。委員会といたしましても、もちろんなるべく早く実現になるようにいろいろなことを推し進めていく所存でございます。
  13. 西村英一

    西村(英)小委員 わかりません。何か積極的にやることを、消極的にやるように見える。私はちょっとわからぬのです。  二号炉はどうしたのですか。二号炉はやはり日本原子力発電株式会社でやらせるということは、原子力委員会できめたんじゃないですか。あれはどこできめたのですか。  それから、三号炉はどうしようというのか。次長さんでもいいです。どういうぐあいな手順になりつつあるのか。駒形さんの意見ではちょっとわからない。ほかの委員の方はわかったかもしれませんが、私にはどうしようというのかわからない。次長どうするのです。  二号炉はどうしてきめたのですか。それから先に言ってください。
  14. 中川理一郎

    中川説明員 二号炉は、原子力発電株式会社におきまして、一号炉に引き続いて敦賀で建設するという意思を公式に表明しております。  それから、この前この席でお話がございましたように、東京電力関西電力中部電力、それぞれ委員会長期計画前期十年間の期間三つ原子力発電所をつくるということを公式に表明されております。  委員会長期計画におきましては、前期十年間の期間に約百万キロワットの原子力発電所がつくられることが望ましい、これを期待する、こういう態度をとっておりますので、発電所をつくります主体は、おのずとそれをやる意思能力のあるところが自主的におきめになる。ただ、委員会は十年間に約百万キロワットの発電所がつくられることが望ましいと考えておりますので、もしどの電力会社からも前期十年間に百万キロワットの発電所をつくる計画が出てこないということでございますと、これは新しい事態として、原子力委員会はおのずと促進的な立場でどこかにこれをすすめてやらせる。どこにすすめたらよろしいかということを考えざるを得ない事態になったろうかと思うのでございますけれども現状におきましては、ただいま私が申しましたように、原電の二号炉中央三社の三つの炉、発電所をつくるという計画が公式に表明されております。それはやるかもしれないし、やらないかもしれないというようなあやふやなものでは決してございませんので、私どもはこの計画が円滑に進められるように、たとえば使用済み燃料処理施政建設といったようなことからこれを助長する方策を委員会のほうで進めていただくというふうに考えておるわけであります。
  15. 西村英一

    西村(英)小委員 何だか人まかせのように聞こえるのです。少なくともこういうように、まだ今日では経済性がないけれども、将来の日本の状況を見てやっていこうじゃないかといって、これだけの大きな組織をつくってやっておるわけです。出てきたらどうするんだ、民間の発意にまかせるんだ、それから個々に考えるんだということでは、政府にしても、委員会にしても、どうもあまりあれがないじゃないですか。もっと遠慮せぬでいいじゃないですか。民間にまかせる場合には、三号炉はどこどこ――もちろんそれは民間会社ですから、勧誘も要りましょう。そういうことをもう少しイニシアチブをとってやらなければ、出てきたときに初めて勧誘するようなお話をしておりますが、どうもやり方が気にいらないですね。そういうように思われます。しかし、わかりました。  わかったことは、二号炉までは一本原子力発電株式会社でやるということがきまった。三号炉以下についてはきまっておらない。どこか早く出してくるところがあったら、そのときに考えましょう。こういう態度であるということだけはわかった。そういうようにしか私には聞こえない。いいですか。
  16. 中川理一郎

    中川説明員 多少先生の御感触と私ども違った受け取り方をしておるので恐縮でございますけれども原電の二号炉なり、中央三社の三つ発電所計画といいますものは、原子力委員会長期計画におきまして前期十年間に百万キロワットの発電所日本として持つべきだということを表明いたしまして、積極的に電力業界に声をかけました結果として、これが出てきたのでございます。もしこういう計画が出てこなければ、おのずとその前の段階でもっと活発な呼びかけが行なわれたであろうということを私は申し上げただけでございまして、決して手をこまねいて傍観をしておったということではございません。十年間に百万キロワットの発電所がつくられるような計画民間から出てくるような機運を醸成し、これに対して呼びかけを行ない、かつ百万キロワットの発電所が円滑に進められるような諸施策を講じてき、今後も講ずるつもりでございます。  それから、公式に電力会社が行政上の手続をとりますときには、これは公益事業令による認可でございますとか、私どものほうの関係規制法認可というようなものは、建設計画がより具体的になりまして、安全審査その他の審査対象になる細部がきまりましたときに出てきます。これは、原電の二号炉につきましては、非常に近い時期においてその手続がとられることになりますが、三社については多少おくれるであろうということを考えておるだけでございまして、三社が原子力発電所計画を持っておること、それからそれをやる意思を公の場で表明されておること、私どももそれを聞いておりますし、この点にはいささかも心配するところはないんじゃないかと思います。
  17. 西村英一

    西村(英)小委員 どうも時間がないから、あまり押し問答してもしょうがないですが、よくわからぬ。  結局、三号炉はまだどうするともきまっていないわけですね。いろいろなことを言ってもわからぬので、きまっておるとか、おらぬとか、それだけ言ってください。
  18. 中川理一郎

    中川説明員 東京電力関西電力中部電力が、それぞれ十年間に原子力発電所を持とうということは、それぞれの会社がきめております。その順番が、どの会社が一番先になるかということは、建設着手のスケジュールその他がまだディフィニチブにきまっておりませんので、その意味で三番目がどこであるかということにつきましては、私として公式にお答えする能力がないのでございますけれども、三社がそれぞれこの十年間に原子力発電所を一持つことは確かでございます。
  19. 西村英一

    西村(英)小委員 わかりました。きまっておらぬ。きめる能力もないし――能力はなくとも責任はありそうですね、ちゃんとこうやるのだという……。しかし、いまとっておる態度はわかりました。  もう一つだけ。今度電気事業法が出ますが、その中に、原子力のことがちょっと一行くらい出ておる。そうしますと、今後原子力発電所ができますれば、この新しく出ました電気事業法に基づいてやれば、おそらく原子力委員会あるいは科学技術庁はほとんど関係がなくて原子力発電所をやれるようなことになっておるのですが、これはもちろん電気事業法のときに御相談を受けましたでしょうね。四十五条を見ますと、核燃料通産省令基準に通ればいいということだけをうたってある。  そこで、私もあまりよく法律を知りませんが、原子力核燃料についてはたくさん法律があるようですが、それとの関連性はどうなるのか。もし事が起こりますと、通産省とあなた方のほうで、責任分界がわからぬので、なすり合いをやりますと、たいへんなことになる。この辺、あなた方はこの法律を認めた以上は、明瞭な分界が立っておるのか立っていないのか。どうなっているのか、ひとつお答え願いたい。
  20. 中川理一郎

    中川説明員 西村先生の御質問にございました新しい電気事業法案につきましては、おっしゃいますとおりに、通産省から法案の形で私ども相談がございまして、科学技術庁通産省、ことばをかえていいますと、電気事業法規制法関係等につきましては細部にわたるまで打ち合わせをいたしまして、おっしゃいますような両法域での食い違いもしくは両者における権限責任の不分明なことのないように、法律で言いあらわせない実際上の取り扱い等につきましては覚え書き等を取りかわしまして、規制法分野に関します点につきましては全く専管的に科学技術庁が処理できるような形にしております。  もともと電気事業法電気の供給をするということを法の目的として考えておりますし、私ども規制法は、原子炉設置者に対して、これが一般的に公衆に障害を及ぼすことのないようにという角度できめておりますので、この点ではおのずと目的の違った法律によって処理せざるを得ない分野がございまして、その限りにおきましては両方の法律でこれを規律しておるということはやむを得ないことであろうと思います。  ことに、今度の電気事業法のうちで原子力発電に関します部分につきましては、新しい電気事業法でなくとも、古い現在の公益事業令によって行なっております取り扱いと全く同じ取り扱いを新しい法案の中に織り込んでおりますので、その点に関します限り、通産省科学技術庁、旧公益事業令、新しい電気事業法規制法との関係につきましては何ら変更はございません。
  21. 西村英一

    西村(英)小委員 次長、だめですよ。法律がどうあろうとも通産省科学技術庁とうまく打ち合わしてやるから御心配なさらぬでもいいようにあなたは言っておりますが、そんなことじゃ困りますよ。そうはいかぬでしょう。  この四十五条、今度の法律はこうなっておるのですよ。「発電用原子炉燃料として使用する核燃料物質は、その加工について通商産業省令で、定める加工工程ごと通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならない。」これはすべて核燃料のいまの法律でいっておれば、現在までちゃんとそれをうたっておらなければならぬのだが、何もない。どうですか。それだからして、原子力発電所建設するときはあなた方のほうにはいまは関係ないでしょう。あるのかないのか、どうもはっきりせぬのです。いま長たらしく説明しますけれども、わからない。  いままでやっておるとおりでやるんだというような申し合わせとかいうようなものが、あるのですか。わかりませんね。
  22. 中川理一郎

    中川説明員 現在の核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律、先ほどまで規制法と申しておりましたが、この法律におきましても、いまの電気事業法にございますような条項は、この法律自体適用除外をいたしておりますので、その意味におきまして、前の取り扱いとは取り扱いは変わっていないわけでございます。
  23. 西村英一

    西村(英)小委員 前の取り扱いといまの取り扱いと変わらないというが、この法律が出たら、原子力発電所をつくっても何も関係なしに、通産省令の定めるところによって通産大臣が全部やっていけるということになるでしょう。それをあなた方は、ちゃんとこの法律相談を受けておるでしょう。それは時間がないから、私は押し問答はしませんが、不分明です。私にはわからない。  大体、そういう心配のないものなら、原子力研究所が何もJPDRのような研究発電炉をつくらなくてもよさそうなものです。また、九電力があるのに、わざわざ日本原子力発電株式会社というようなものをつくらないで、九電力に初めからやらせればよかった。非常に特殊なものだから、心配があるから、それで九電力には、あれだけの技術のあるところにもやれない、これは高度の技術が要るからということで、特別に日本原子力発電株式会社というものをつくったんでしょう。  それですから、私は、準備期間発電所くらいは、試験もあるし、今後の見通しもあるから、むしろこれは特殊なものとして、通産大臣所管に置かぬで、この日本原子力発電所所管はむしろ原子力委員会が持つ、あるいは原子力委員会を統括しておる科学技術庁が持つ、こういうことにし、一般の民間でやる分については通産省でやる。そういうくらいに考えておるのに、初めからぶっつけにやらせるくらいだったら、何も特別のことはないじゃないですか。それをこんな四十五条でぶっつけて、原子力発電所ができるという。私は、そんな心配のないようにやったのかどうか、はなはだ疑問なんです。私どもよくわかりませんが、どうですか。準備期間日本原子力発電株式会社建設するくらいのものは所管を別にして、いろいろ今後の発達の問題もあるのだから、通産省にまかせぬでやる。これはあなたではちょっと無理かもしれませんけれども、これではよくわかりませんよ。
  24. 中川理一郎

    中川説明員 現在やっております日本原子力発電株式会社につきまして、どういう形で日本で初めての原子力発電を行ないます主体を定めたほうがよろしいかというのには、いろいろ与え方があったであろうと思います。したがいまして、西村先生のおっしゃるような考え方でいまの原電をつくりますときに処理する方法もあったろうかと思います。たとえば原研のような特殊法人としてこれを考えて、科学技術庁分野でこれを取り扱っていくというようなことも考え方としてはあっただろうと思いますけれども、いまの形は株式会社でございますし、しかも電気事業者という形でこれが行なわれておりますので、電気事業者という形での規制につきまして電気事業法もしくは古い公益事業令がこれをこの対象にしておりますことはおのずと当然のことでございます。  ただ、私どものほうの規制法におきましても、当然にこれを原子力規制対象として取り扱ってきておるわけでございます。実体的に炉の設置につきまして双方が関与しますような場合、あるいは燃料の検査につきまして双方が関与しますような場合におきましては、どこまでを科学技術庁がやる、どこまでを通産省にやらせる、あるいは一緒に行ないます場合にはその意思の不一致がないようにということにつきましては、十分に配慮いたしておるつもりであります。
  25. 西村英一

    西村(英)小委員 あなたの言うことはわかりました。「通商産業省令で定める加工工程ごと通商産業大臣の検査を受け、」とこういうが、検査を受ける場合にあなた方はてこになる。通産省に雇われていって、検査のてこになってやるということだろうと思うのです。しかし、時間がないから留保して、私はこれで一応終わりますが、後にまた機会があればやりたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    中曽根委員長 西村委員の御質問は留保いたしておくことにしまして、次に石野久男君。
  27. 石野久男

    石野委員 三月二十七日にJPDRの発電機の実験中に事故が起きましたが、あの事故は大体どういうような原因であって、その後どういうふうに処置なさっておるか、その事情をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  28. 菊池正士

    菊池参考人 あの事故と申しますのは、原子炉を制御いたします制御棒の上げ下げの軸をシールしております部分の問題でございます。そのシーリングの部分には、原子炉の内部の圧力が非常に高うございますから、パッキングの部分に外から水圧を加えております。その水圧を自動的にコントロールするような装置がついております。その装置に多少不備な点がございまして、内圧に比べて、外から加えております水圧が少し下がりましたために、中の無気が外に漏れた、そういう事故であります。  で、さっそく炉はとめまして、温度も冷やしまして、そのパッキングの部分がどの程度にいたんでいるかということをこれから検討する段階にいまなっております。  そのときに漏れました放射能その他のことにつきましては、漏れた直後すぐにそこがどのくらいのレベルであるかその他を測定いたしまして、放射能のための被曝というようなことは、許容量よりもはるかに下回る程度で押えるような作業をいたしております。そういう状況でございます。
  29. 石野久男

    石野委員 事故が非常に小さくて済んだことはよかったと思います。  ただ、しかし、これがもし事故の発見なり手当てがおくれました場合には、やはり障害は大きくなる可能性のあるような状態であったのですか。それとも、相当時間その手当てがおくれても、そうたいして心配ないような部分の障害であったというふうにいえるのですか。それはどういう状態でしたか。
  30. 菊池正士

    菊池参考人 事故の発見がおくれましても、いろいろな種類の発見する装置が二重、三重についておりますから、おそかれ早かれ、どうせ大卒に至る前に発見されることは確かでございます。ただ、修理の場合にどの程度手がかかるかという問題だ、そういうふうに思います。
  31. 石野久男

    石野委員 たまたま早期に発見されたし、そこに作業員がおったりして、手当てが早かったことは非常によかったと思います。  この際、そういう事故の責任といいますか、そういう事故が起きてくるのは、機械的な部分にあったのか、それとも操作上の問題にあったのか。そういう点では、どちらのほうにその事故が発生した原因がございますか。
  32. 菊池正士

    菊池参考人 事故の起こりました原因、それからその当時の事情等をいま詳しく調査中でございまして、その点は一応その機械の、いま申しました自動的に働くはずの弁が多少故障しておりましたところに一つの原因があります。したがって、そういう場合に非常に安全度をとれば、むしろその弁をすっかり完全に修理してからやっておれば、もっと安全であったということがいえると思います。ですから、そういう意味でわれわれは非常に考えなくてはならぬ点があったと思います。  ただ、そのもの自体を見ますと、そこにはそういう故障があるということを予期していながら、それに対する対処をやりつつやっていたのでございますが、われわれとしてテストをどっちかといえばちょっと急いだあまり、そういうことになったというようなことも考えられますので、そういう点は今後もっともっと注意してやらぬといけないという反省はいたしております。
  33. 石野久男

    石野委員 三月三十日の朝日新聞に西堀理事が、建設途中の炉なので大なり小なりの故障は起こり得る、四月一ぱいで通産省の完工試験も完了する予定で、その前にこうした故障などもさがすのが現在のテストの目的になっているんだ、この故障は実験の一つと見ているんだと言っておりますが、こういうような考え方は理事長もお持ちになっておられるのですか。
  34. 菊池正士

    菊池参考人 ある意味では持っております。ただ、しかし、問題は、そういうテストをやりますについて、そのコントロールバルブが多少作動がおかしいということも、できるだけ早くたたき出したいほこりの一つであったわけでありますが、それが一つありましたために、全部とめてやればさらに安全であったのでありますが、その故障自体が、それだけとして見るとあまり大きなことでないので、そのまま続行していたところに多少われわれとしては考えなければならぬ点があったと思います。  しかし、全般的に見て、少なくとも今後一年ぐらいの間に、そういった意味であの装置全体のいろいろな不備な点が出てくるということ、そしてまたそういうことを予期しながらやっていくという点で、いま西堀さんの言われたようなことは、私もそういう趣旨でいいのだというふうに考えております。
  35. 石野久男

    石野委員 私は、西堀理事の言われている後段の問題については、研究所が一つの実験過程にありますから、そういう意味のことはよくわかるのです。  しかし、炉の問題について、原研のこの炉がまだ建設途中の炉なのでということの意味になりますと、ここにはやはり、取引の問題が一つあるわけです。請負をさせたものを、完全にそれはできたということで、設計上のミスはないという確認のもとに原子力研究所は受け取ったわけですね。ですから、炉自体建設はもう済んでいるのでしょう。まだ建設途中なんですか。これはどっちなんですか。
  36. 菊池正士

    菊池参考人 受け取りましたけれども、一年間は、そういう機器の故障については保証がございます。こちらの責任でこわしたものはいけませんですけれども、機能上、一年間普通に使っておりまして悪くなったものについてのギャランティーはついております。受け取りましたけれどもギャランティーは、残っております。
  37. 石野久男

    石野委員 私は契約の内容についてはわかりませんけれども、ギャランティーがついておるということになれば、それは建設途中という認識を持つこともまた一つできるかもしれません。ただ、機械的故障で、たまたま今度の場合は被曝数も非常に少ないということですから非常にけっこうなことでございましたし、それから理事長お話によりますと、かりにそのなにが一カ所ですぐ見つからなくても、その他のやはり機械的操作の中で発見ができるから、こういうお話でございます。  私は、やはり放射能障害についての問題は、どこかで一つの事故があった場合にはこれを危険視しなくてはいけないのではないか、こういうふうに思うのです。  研究所のほうで出しております「JPDRの制御棒シールクーラント系の故障について」という問題の中でも、「現場で原因を調査しようとしたが、蒸気が地下部分に漏れているため直ちに作業ができないので、」こういうふうに書いて、最初には「充満し、」こう書いてありました。こういうふうに訂正されておりますが、その無気がどのぐらいのマイクロキュリーの放射能を持っておるか、これはまた別としましても、相当程度、やはり直接には作業のできないような状態にまでなるようになっておったと思うのです。この当時は、このバルブの故障する前段において、この故障個所の発見は、やはり制御室におけるところの発見よりも現場における作業員の発見のほうが早かったようでございます。故障発見については、そういう非常に恵まれた状態にあったと思うのです。  ですから、私はそういうような意味において、この炉の安全性の問題についての考え方、特に西堀さんがおっしゃっているように建設途中なんだからしかたがないんだというような考え方は、こういうような事故については、やはりちょっと安易に過ぎやしないかという感じがしております。この点は幸いにして事故があまり大きくなかったので、私どもとしても非常にいいことだったと思うのでございますけれども、今後事故に対する考え方の中で、特に建設途中なんだからしかたがないんだという考え方は、やはりやめてもらわなくてはいけないのじゃないかと思います。その点だけ特にこの事故に関連しまして、私はやはり理事者の側に十分注意していただきたい、こういうふうに思います。あとは善後処置をよくしていただいて、自後こういうことのないようにしていただきたいと思います。  もう一つは、ギャランティーがついているのだからいいのだというお話でございますけれども、一応完成品としてこういうものを受け取ったときには、しかもパッキングが焼けて落ちるというような事故というものは、これはやはりほかの機械的な部門と違って、もう少ししっかりしておかないと、設計上の問題からいえばそこにはミスはないわけですから、パッキングはちゃんとはまっているのですから、操作の上から出てくる問題でございますから、非常にこわいと思うのです。私は機械の構造上の問題からくる欠点ならば設計図の上ですぐ見られると思うのでございますけれども、操作の上にこういう状態が出てくるというのは、もしフル回転なんかしている場合には、しかもそれが相当に能力の出ているときだとしますと、ずいぶん危険なものになるのじゃないかと思いますので、この点については十分ひとつ御注意していただく必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。そういう点を理事長にひとつよろしくお願いしたいと思います。  もう一点。これは、原子力研究所理事長にお伺いします。いまちょうど直勤と超過勤務手当の協定の問題について組合側と折衝しておるようでございます。この問題について、昨日までずっと折衝して、三月三十一日で直勤の協定が切れ、超過勤務協定も成立しなかったということでありますから、無協定状態になっているようでございます。組合側は、やはりこれを次の協定ができるまで現行協定をそのまま存続するというような形で、新しい協定ができるまで作業上差しつかえないようにしたいという意向を持っておるやに聞いております。原研当局なり原子力局のほうでは、それを拒否していなさるようでございますが、それはどういう理由に基づいておるのですか。私の考えでは、むしろ次の新しい協定ができるまでは現在の状態で仕事を続けていくのがいいのじゃないかと思うのに、なぜそれを労働組合側の意向をけって、無協定状態にしていかれるのですか。その考え方を聞かしていただきたい。
  38. 森田乕男

    森田参考人 超過勤務の問題と、それから従来の運転手当を管理手当と交代手当に変える、こういうことです。  管理手当の問題でございますが、これは三十九年の四月から予算がついております。従来の運転手当の出しようは、われわれとしては建設段階に該当しておる期間中にきめたものでございまして、勤務時間中に超過勤務を認めて九時間と七時間、十六時間の超過勤務的の手当というようなものがついておったのです。これはいかに考えても不合理でありますし、合理的に管理手当を交代手当に切りかえるべきだという信念のもとに、従来のものを踏襲するという考え方を捨てまして、どうしてもこれに切りかえたいということを考えたのでございます。この手当を受けます者の約三対一、三についてはむしろ、手当の金額はふえるのでございますが、一については減収をするという向きがございますので、これは制度の切りかえによるところの減収については一年間の補償をしましょう、それから実収についての減収については、これは本来は見るべきものではないと思ったのでございますが、急激な減収を来たすということは生活に対する不安を生ずる、それでは悪いということで、三カ月の補償をしましょうということで組合に話をしたのですが、三カ月では少ないから一年の協定をしようというようなことで、ついにもの別れになったわけでございます。かねてから、この協定ができない場合には所は所案のとおりに実施いたしますということを組合にも言っておりましたので、そのとおり実施いたすことにしている次第でございます。
  39. 石野久男

    石野委員 四月一日で切れる直勤と超過勤務協定というものは、双方で交渉することでございますから、四月一日から実施するとかいろいろ皆さんのほうの事情もありましょうけれども、たとえばこの協定が無協定な状態になってしまったときに現実に障害の起こる場所というのは、どことどこですか。
  40. 森田乕男

    森田参考人 協定が切れて、全然われわれのほうで業務命令を出さない場合には、JPDRに関するところと発電に関するところ、こういうようなところに支障を来たすと考えております。
  41. 石野久男

    石野委員 JPDRと発電に関する部門が障害を来たす、その他の部門については障害は来たさないのでしたら、組合側の言うように交渉は交渉として続けていかれて、現行協定を交渉ができるまでの間は持続するというやり方をしていくほうがスムーズに仕事がいくのと違いますか。
  42. 森田乕男

    森田参考人 そういう考え方もあるにはあるかもしれませんが、従来われわれがやってまいりましたものの考え方が、不合理ではあるがこれを当分の間延ばそうということで来たところに非常な混乱を来たす原因があったわけでございますし、ことにこれは建設段階だという観念でつけられた手当でございますし、建設の創業状態を離脱したいまとなってはそういう手当というものはつけるべきではない。手当の性格上からもこれをつけるのはおかしい。しかも、三十九年度から予算がついているのに皆にその金が渡らないということは、従業員に対してお気の毒だから、これをむしろ強行したほうが従業員のためになるのではないかという信念でやったわけでございます。
  43. 中曽根康弘

    中曽根委員長 石野さん、あと二人まだ質問者がございまして、そろそろおまとめを願います。
  44. 石野久男

    石野委員 わかりました。  これは問題は簡単なんですよ。いま森田さんからお話がありましたように、従来はどうもだらだらしておったので、おしかりを受けておったから、ここらでひとつきっぱりと踏み切って強行したほうがいいというようなことで、まあ無協定状態の交渉に入るというようなことらしいのです。では、この直勤あるいは超過勤務の手当の交渉というものは、相当長期にわたって結べないというような見通しで交渉しているのですか。皆さんのそういう考え方からすれば、労働運動の常識からすると、これは非常な長期にわたるので、現行協定を持続しておると負担もずいぶん大きくなってしまうから、だから無協定にしてしまって、そして一か八かひとつやろうじゃないかというかまえなんです。組合のほうは、そうではなくて、協定をなるべく早く結ぶようにするという段階になっても、無協定のままでは作業をするのにまたいろいろごたごたが起こるから、むしろ現行協定をそのままに、協定ができるまでの間、暫定的にやるようなかまえをしたらどうですかと言っているのですよ。  これは、大臣、ここらのところは、労働運動に対する政府の感覚というのか、理事者側の感覚というのか、の問題になるのだと思うのです。交渉をもう全然まとめないつもりで、赤旗を立ててやるというなら、おれのほうもひとつどこまでもロックアウトを食わせるまでやるのだ、というかまえをするときのかまえというのはそういうものなのです。どうもいまのような、原研の労組のほうでもなるべく早くきめたい、中労委のあっせんでもいいからというようなことを申し出ているのに、所側のほうでは中労委のあっせんも断わっているというようなことになると、まとめる意思があるかどうかもわからない。これでは、もし事故があってJPDRのほうの操作とか運営というものができない場合には、労働組合はストライキをやっておりてやらないのだというようなことに、またおそらく一方的に宣伝するのだろうと思いますが、それはいかぬと思うのですよ。  むしろ僕は、この直勤や超勤の協定の問題でちょうど年度末まできまらなかったということは、これはお互いに交渉がうまくいかなかったのだから不幸なことだと思いますけれども、双方ともにまとめようという考え方でしているならば、まとめるまでにおそらく半年も一年もほうりっぱなしということはないと思う。長くとも一月、早ければ一週間か二週間のうちにきまるのではないかと思う。そういう間、労働組合のほうでは現行協定をそのまま持続して、そうして現実にそれを当てはめられるのは、たとえばJRR1はこれは影響がないのでしょう。JRR2は四月二十七日まで結ばれている。JRR3は、これは全出力一万キロワットに達したから、四月一ぱいはしばらく休むということになっているから、実際問題として影響はないのでしょう。そうすると、問題となるのは、JPDRだけが影響を受けるというようなことになる形の中ですから、この問題について全然無協定状態になってしまって、ごたごたを広げていこうというかまえをむしろ所側でしているように見受けられることになってしまう。これは私はまずいと思うのです。交渉過程の中ではやはり労働組合の側も非常に誠意をもってやっているはずなんですから、協定ができるまでの間は現行協定でやっていくのは、これは常識だと思うのです。そういうような心がまえを所側はとるべきだと思うし、また監督官庁のほうでもそういうような指導をして、双方に善意を持って信頼をし合ってやっていくかまえがないと、交渉というものはうまくいかないのではないかと思う。いま所側のとっているそういう態度というものは、いささかあつものにこりてなますを吹くというような、そういう傾向があるのではないかと思います。これはひとつこの際お改めになって、現行協定を次の協定ができるまではやるというようなかまえで交渉を進めたほうがよろしいのではないか、私はこう思います。大臣、どのようにお考えですか。
  45. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま石野さんのたいへん御親切な御勧告があるようでございますが、実は私は、本来申し上げると、これはどうも労使双方の問題には官側は介入しない、また国会においてもあまりこれに介入してもらいたくない。しばらく双方にそれをまかす、また双方においてそれを妥結する、こういうことをやってもらいたい。で、私はあえてこのやり方についての批判をしようといたしておりません。この問題はどこまでも労使双方にまかす。そうして、しかる後に、問題が片づいた後とかそういうときに、そういう批判――どうも態度がおかしいじゃないかという批判もそれはあり得るであろうが、とにかくいま争議最中、ちょうど立ち会っているその際に、私ども介入したくないし、これは静かに推移を見る。そういう意味で、どうか国会においてもそういう立場で見ていただきたい、私かように思います。あえて私の所見を申し上げて、この労使双方の争いには私は介入しない、その態度を厳にいたします。
  46. 中曽根康弘

    中曽根委員長 石野さん、この程度でどうですか。
  47. 石野久男

    石野委員 もう一問だけ。  いま大臣は非常に公正中立な立場をとっているということを示されたようでございますけれども、どうも裏ではいろいろなことをやっていながら表でそういうことを言っているというのは、ちょっと困ると思うのです。  直勤手当についても、先ほどの森田さんのお話のように、皆さんのほうでは制度の改正をされて、直勤のものを管理手当と交代手当に分けるというやり方で、影響を受けるのは、三分の二は非常に有利になって三分の一は若干の減収があるのだというような簡単なお話のようでございますけれども、その三分の一というのは現実に現場で働く方々の問題にかかってくるわけです。しかも、その減収額については、ここでこまかいことを言うのはどうかと思いますけれども、非常に大きい額になってまいります。  早い話が、たとえばJPDR関係では、三万円の本給をもらっている者から見ますると約三千四百円からの切り下げになってくるわけですね。第二ボイラー関係では千五百円、変電所関係では四千二百円、ホットラボのところでは三千三百円というような減収が出てくると計算されております。これは実際問題として現場に働いている人々の立場からいたしまして、月収でこれだけの差が出てくるのは大きいのですよ。だから、これらの点について労働者側の意見が出るのは当然のことだと私は思います。  だから、これは交渉ですから、双方で歩み得る時点は必ず来ると思う。そういう時点が来る間無協定状態にするということは不見識ですよ、率直に言いまして。大臣は、この席上ではそういうことについて介入することを避けられるかもしれませんけれども、しかし、監督庁としてこういうような労働運動の中での非常識な観点については、何か意見の交換なり、いわゆるお話し合いをなさって、こういう非常識なことはなさらないほうがいいと思うのです。現行のものを継続する過程の中でやれば作業者のほうでも安心して仕事ができるのです。無協定になれば、やろうと思ってもやらなくなってしまいます、そういう態度をしますと。これはかえって労働者側をいきり立たせるような形になっちゃって、よくないと思いますから、この際改められたほうがいいと思います。この点は、時間がないので、委員長から非常に締められておりますから、多くを申しません。今日問題になっておりまする原研の労使のこの直勤と超過勤務手当等に対する協定改定の問題につきましては、どうかひとつそういう配慮を大臣もしていただきたいと私は思いますので、ここではどうするこうするとは言えないでしょうけれども、私の意とするところを大臣がおくみ取りいただきますならば、一言お答えいただきたいと思います。
  48. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 とにかく、先ほど申しましたような態度で、労使双方その責任において問題を片づけるようにしたい、これを望んでおりますし、またそういう事態をできるだけ早く妥結したい、これまた私どもの念願でございまするから、そういう意味において石野さんの御意見は御意見として伺っておくことにいたします。
  49. 中曽根康弘

  50. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 私簡単にと思いましたが、少し長くなりますのでお許しいただきたいと思います。  少し観点を変えまして、岡さんなどしょっちゅう言っています安全の問題を少し聞きたいと思います。  まず、原子力委員会で出されました原子力研究に関するレポートで「使命感の徹底」という項目がございます。これに関して原子力委員会は相当ベトンネンしております。その内容を読みますと、安全の問題に関しては何ら触れておらないのです。私答弁を求めておりますと長くなりますので、むしろ私見を述べまして、質問の時間をなるべく短くいたしたいと思います。  私は、原研の使命は、研究開発というだけでなくて、反面原子力というもの、あるいは放射線というものは管理のしようによってはこういう安全なものだという点を、特殊な日本の事情がございますから、原研としては身をもって範を示していくということが大きい使命感の一つではなかろうかとかねがね考えておるのであります。そういう点に関しては、何ら触れてないのでございますけれども、どうお考えでございましょうか。
  51. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 ただいまお話のようなことは、念頭には置いておりましたのですが、そこに使命感というのは何々と書いてないために、それを問題にしてないかのような誤解を受けたのかと思います。むろんそういうことも、使命の中の一つと考えております。
  52. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 ただいまのお話ですが、私は極端にいえば、現段階におきましては最も重要な使命感の一つではなかろうかと思います。  そこで、それをお認めくださいましたので、次に日本の一般的な労働法規からいたしまして、こういう安全保持という点に関して流れている思想がいかに一貫しているかという点を、原子力委員会なり局なりで御勉強なさったことがありましょうか。
  53. 西村熊雄

    西村説明員 いま佐々木先生から御指摘の問題、原子力委員会といたしましても、国内法制の関係におきまして一番重要視している項目の一つでございます。そのために、世界各国における原子力関係の労働法制の進化の情勢というものを把握するために絶えず勉強いたしますと同時に、特に原子力労働災害専門部会をもっておりまして、学界、産業界、関係官庁の責任者をもってやっておりまして、この専門部会に随時提起してきます問題を議題として取り上げていただきまして、結論を得ますればそれに応じて所要の措置を講ずる、こういう方針でやってきております。  同時にまた、この分野の問題は、ある面は国際的な取りきめないしは勧告というような方法によって解決する必要がある面もございまするから、その面での国際的活動に積極的に日本として協力するように配慮しているということは申すまでもございませんが、十分御指摘の方向に努力いたしておるつもりでございます。
  54. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 一般の公労法におきましては、いわゆる争議行為というものが禁示されておることは御承知のとおりでございます。また、電気事業及び石炭鉱業におきましても同様の規制法がございますし、労調法におきましても、三十六条におきまして、安全を保持するために、保安を妨げるような争議行為が禁示されておることは御承知のとおりであります。同時にまた、公益企業に関しましては、争議に入る前十日間という予告期間を置きまして、公益に対する保護と申しますか、そういう一貫した流れの思想のあることは御承知のとおりかと思います。  そこで、こういう安全の保護という点は、どちらかといいますと、主として公衆の経済的な利害、あるいは大衆の生活の便、不便、あるいは工場内における保安という点が主たるねらいでありますけれども、私は、そういう主として経済的な面よりは、人間そのもの、人体そのものに影響を及ぼすほうが、保安的には、国家的な視野から見ましてはるかに重要なことではなかろうかと思いますが、そういう点はいかがお考えになりますか。
  55. 西村熊雄

    西村説明員 ただいま御指摘の点は確かに重要な問題でございまして、わが国の現在の法制では、ある対象が労働争議の対象となることから除外するという法制がある場合には、主として、佐々木先生御指摘のとおり、公衆ないしは住民の安全の保護の見地もさることながら、国家経済に対して悪影響を及ぼさないように、また一般民生の安定を妨げないようにという見地からきております。  それと同じ考え方ないしはそれに類似した考え方を、原子力施設のように、万一の場合に広く国民一般の安全に悪影響を及ぼす危険のあるものにまで及ぼすことの可否という問題につきましては、委員会としても、また原子力局としても、今日まで随時検討してきているところでございますけれども、問題があまりにも重大でございまするし、また世界各国の立法という面からとらえてみましても、その方向へ向いている立法というものはほとんど見ないわけでございます。慎重に研究をいたしておりまするけれども、現段階においては、その方向に進もうというような心境にまでは至りかねているところでございます。
  56. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 私、ただいまの説明と申しますか、御答弁はよくわかりませんが、結局、そういう経済的な影響、大衆に対する被害の問題よりは、人体そのものに対する影響というものを考えますと、はるかにそちらのほうが重大だという点はお認めの上での答弁と思いますので、先に進みます。  そこで、原子力の施設、あるいは保安、あるいは放射線の管理等の問題に関しましては、原子力日本で初めて取り上げられて以来、この問題を中心に問題が展開したように私は考えております。原子炉規制法の問題はもちろんのこと、万々一の場合を考慮して、損害補償法という、ほかには類例を見ない法律までつくっております。国家が責任を負ってこれをやりますからということでこういう精密な法案をつくったのだと私は考えておりますが、原子力の被害というのは、単に工場内のみならず、第三者に、しかも広範囲にあるいは被害が及ぶかもしれない。しかも、その被害は単に現世に生きている人のみならず、後世に遺伝をして、被害を及ぼすおそれがあるというので、いまだかつて人類にない一つのむずかしい被害であるので特に厳重にしようというのが、私はこの法律をつくった内容ではなかろうかと思います。そういう意味からいたしまして、普通の公労法、あるいは労調法三十六条などの比でなくて、もっともっとこの問題に対しては、審議会はもちろんのこと、原子力委員会原子力局におきましても、シリアスに考えてしかるべきではなかろうかというふうに考えます。  そこで、先に進みますが、私は、もしそういう事故、安全を阻害するような事態が起きるという場合を想定してみますと、二つあると思います。一つは設備の面、一つは人間、あるいは人の行為そのものによる被害もしくは事故だと思います。  設備のほうに関しましては、あらゆる場合を想定して、たとえば落ちてこない飛行機でも、万々一落ちてこないだろうかといったようなことまで考慮して、設備の安全というものをはかるように、あらゆる操作を強要したわけでございます。  反面、人の面に対する管理に関しましては、ほとんど一般法規にまかしているだけで、設備の厳格さに比較して、国としてこういうものの管川に対するしかたというものが、何ら法にはなかったんじゃなかろうかという感じがいたしますが、そういう点はどうでございますか。
  57. 中川理一郎

    中川説明員 法制上は、おっしゃるように、物的施設についてこまかく規定しておるのに比べますと、人間の保安面につきますと、規定はいささか薄いのでございますけれども規制法の中でも保安規程をつくらせるという規定を定めておりまして、保安規程を審査いたします場合に、施設と人との関係につきまして十分配慮ができる仕組みになっております。  あとは、その保安規程どおりに炉の設置者の側において管理が行なわれておるかどうかという問題になりまして、これはとても法制上の範囲で及ぶところではございませんので、それぞれの設置者の側で保安規程を厳格かつ忠実に守っていただくということになろうかと思うわけでございます。
  58. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 私は、取り扱い主任をきめるとか、保安規程をきめるとかいうことはよく知っております。しかし、それはそういう被害、事故を防止するという面から見まして、決して万全なものとは思いません。  そこで、問題は、原研の問題に入るのでありますが、いわゆる研究者という面からいたしますと、事故そのものは大して関連性はないように考えます。一番関連性を持ってくるものはオペレーターそのものではなかろうかと思います。そこで、いまの原研で一番問題をはらんでおるのは、むしろオペレーターの体系をどうするか、管理をどうするかといったような問題が実は一番脆弱なように見られるのですけれども菊池さんからでもひとつ……。
  59. 菊池正士

    菊池参考人 まさに御指摘のとおりで、研究者は比較的大学を出てきたクラスの人が多いのでありますけれども原子炉運転員というクラスの人は、研究者をすぐに運転員にするわけにはいきません。そうかといって、原研以外の人にそれを求めるわけにもいかず、いま両校卒業生をとって、これを一生懸命訓練しては運転員を育てておるわけでございますが、この点どうしてもまだ十分に参りませんで、その点の体系を立てるという点で非常に苦労をしております。
  60. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 そういうオペレーターの充実と申しますか、訓練というものは十分やっていただいておる感じがしますが、普通の場合、たとえば運輸等の例によりますと、鉄道におきましても、船におきましても、あるいは飛行機におきましても、事故の起きましたときには、これに対して国会としてはたいへん厳重な監査をしております。あるゆる原因を調査いたしまして、二度とそういうことの起こらぬように対策を講じつつあるわけでございます。  一つの例をあげますと、飛行機の事故が最近起こりまして、そこでその原因が何から起きたかという点を何回となくただいまやっております。けさもやっておるはずでございます。まだ結論はつきませんけれども、しかし、有力な体験者の言によりますと、どうも滑走路あるいは飛行機そのもの、あるいはパイロットの腕、そういう問題よりも、操縦者の慢心あるいは不注意というものが最大の原因ではなかろうか。しかも、最近は、朝めしを食ったか食わぬかということが重大な問題になっておるそうであります。と申しますのは、人体の糖分そのものからくる精神に与えるいろいろ影響と申しますか、そういう点から、そういう問題にまで深く入って研究しておるのが現在の例でございます。  そこで、私は、原研のストの問題に触れてみたいと思います。まずその前に、まだ不勉強なので、こういう資料で恐縮でございますが、きのうの日本経済新聞を読んでみます。見出しは「発足以来六十六回スト」というので、「まずJPDR問題のいきさつをみよう。昨年十月二十六日、日本最初原子力電灯をともした電気出力一万二千五百キロワットのこの沸騰水型動力試験炉は、その三日後には建設者である日本ゼネラル・エレクトリック社の指令で突然運転をストップしてしまった。「労働不安」がその理由である。当時五千円のベースアップ闘争中だった原研労組は二十五日に三十分の事前予告でJRR3のストを行なったが、こうしたふんいきの中ではより大型なJPDRの安全運転は期待できないというのがGEJ側の言い分だった。」  こうなっておりますが、これは真実でございますか。
  61. 菊池正士

    菊池参考人 いまおっしゃいましたことは、そのとおりでございます。
  62. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 よくわかりました。  そこで、私は、人とそういう安全との問題でどういう関連性があるかと考えてみたのです。あるいはもっといろいろな問題があろうかと思いますが、ごくプリミチブに考えまして、一つはさっきから申しましたオペレーターの態度と申しますか、注意、不注意といったような問題が、原子炉の事故に対して特に人との関連において問題が非常に多いのじゃなかろうかと思います。そういう点に関してはどういうふうにお考えになりますか。
  63. 菊池正士

    菊池参考人 そう思います。非常に重要な要素を持っておると思います。
  64. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 次には、保安要員の問題でございます。保安要員は、原子力研究所の内部の構成からいたしまして、単に原子炉のみならず、原子燃料の管理、運搬、あるいは放射線の人体に対する管理等、相当広範にわたる性格のものじゃなかろうかと思いますが、この点はいかがでございますか。
  65. 菊池正士

    菊池参考人 おっしゃるとおり、非常に広範な問題であります。
  66. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 そういう保安要員のあり方、人数等に関しまして、私の承知している範囲では、争議協定で毎年きめる、毎年と言ってはおかしいのですが、争議協定の内容に保安要員の扱い方というものが出てきているように感じますが、どういうことですか。
  67. 森田乕男

    森田参考人 保安要員の協定につきましては、そのつどきめることになっております。  しかしながら、おっしゃるような趣旨から申しますれば、労働協約の中へこれは当然盛るべきものだと思いますし、いま組合側からも労働協約についての協議の申し入れもございますので、全面的に労働協約を協議いたします際に、ストに入らない人に関する条文を置くように話し合いをつけたいと思っております。
  68. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 私は、この点は先ほどから質問しておりますように、国民自体あるいは国家自体としては実に不安なことだと思います。  次に、スト予告期間の問題です。少なくとも公益事業に関しましては、十日前の予告期間をおきまして争議行為に入ります。まして、第三者に対してはるかに重大な肉体的な影響を及ぼす原子力研究所が、わずか三十分の予告をおいて争議に入るということはどういうことですか。それに対する見解を承りたいと思います。
  69. 菊池正士

    菊池参考人 その点につきましては私も非常に遺憾に思っておりまして、ちょうどGEの手でJPDRがストップされる前に、私ども、炉は当然ストップしなければいかぬということを決心したわけであります。三十分前の予告でやったその行為に対しては、私は明らかに、私当時申しましたことを引用すれば、暴挙ということばで私それを言いましたが、全く許されない行為だと思います。
  70. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 私は、冒頭原子力研究所の使命感の問題に触れましたが、かりに原子力研究所がそういう保安に対して模範的で、全国の国民に対して安心を得せしめるという使命感があるという考えで論を進めておるわけでありますが、そういう使命感に徹しておるならば私はこういうことはあり得ないことではなかろうかというふうに感ずるのでありますが、そういう点はどうお考えでございましょうか。
  71. 菊池正士

    菊池参考人 お説のとおりと思います。
  72. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 そこで、最後に聞きたいのです。私の原子力局長時代の経験からいたしますと、たとえば東海大学あるいは京都大学にちっぽけな原子炉を置くという際に、当時の議事録をまだ調べておりませんけれども、記憶をたどっておるのでありますから間違いかもしれませんが、むしろ原子炉自体の、安全性の問題にあらずして、それももちろんありますが、従業員のいろいろな手袋あるいは被服、そういうものを洗い流したその水が川に流れて飲料水その他に悪影響を与えるんじゃなかろうかという点が、私は一番この問題をはばんだ、また攻撃する側の論点じゃなかったかと思います。かりにそうだといたしますと、これはむしろ施設といったような問題よりは、従業員そのものの注意、不注意、慢心と申しますか、規律と申しますか、こういう点が私は原子炉の安全、原子力の安全というものを保持する上に反面の重要な要素であるということを当時から叫んでおったのでありますが、そういう点に関しましては原子力委員のどなたかからひとつ御答弁いただきたいと思います。
  73. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 その当時、いま例にあげられましたところなどの技術能力というような意味でそのことを考えたことはございますけれども、いまの洗い流す水がどうこうというのは、いわゆるそこから不注意によって出てくるものがどうこうというのじゃありませんで、普通に扱われた場合でもということであります。ですから、そのときにどうも従業員が不注意するかもしれないから置くのは適当ではない、そういう結論ではなかったと思っております。
  74. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 ただしかし、原子炉そのもの、あるいは水を流す際の、水から出る廃棄物等の処理、薄め方等の問題のみならず、あのときには万一ということで、あり得ないといっても従業員の不注意その他によって何百かという人に影響を与えるじゃないかというのが、私はあの問題を攻撃した攻撃者側の態度ではなかったろうかと思います。そうすれば、あくまでも私は原子力の安全というものは、単に施設の厳重さだけではなくて、人の行為の問題が非常に重要な要素じゃなかろうかと考えます。  そこで、今後一番あぶないといわれる、扱いがむずかしいといわれている材料試験炉等をこれからつくろうとしている。あるいは発電その他にも相当大規模なものを使う計画になっている。そうなってきますと、私はどうも、いままでのように原子力の法体系が設備の厳格さのみ追求するに急であって、人の管理、特に争議等に対する問題の扱い方というものは、その重要さに比してあまりに一般法規にゆだね過ぎているのじゃないか。それが尋常にいっているのであればわかりますけれども、東海村の周辺の人はどう言っておりますか。たいへん不安がっている。ああいうことでだいじょうぶなものでしょうか、という不安を与えているということ自体が非常にこれは問題だと思います。そういう原子力の安全という面で、設備のみ、原子力だけで一体放置していいものかどうか。この点に関しましては非常に疑問を持ちますので、この点は大臣からむしろ答弁を願いたいと思います。
  75. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 この原子力、ただいまお話がございましたように、施設、これはエンジニアリングの町で安全性を十二分に確保する、こういうことはやられておるようであります。  また、第二の問題で、ここで従事する従業員についての注意は十分払われております。また、外部に万一の場合にはいろいろ影響を与えることはないか、こういう意味で、退避その他の訓練もいたしておるようでございます。  しかし、いま御指摘になりましたように、要はこれは管理の問題で、この管理の面に遺憾があれば、あらゆる法制その他が、また建設設計等が十二分にできておりましても、ときに効果を発揮しない。そういう意味で、非常に管理が大事だと思います。その管理の面で抜かりはないか、あるいはまた組合側のなにはないか、こういう点を御指摘になったのだと思います。  で、研究員としての研究に徹するというか、そのとうとい使命、これももちろんでございます。第一にあげるべき問題でございますが、この種の理解しがたい、また万一のことを考えると、影響するところ非常に大きい問題であります。こういうこともここで働く人たちは十二分に認識されて、そして管理の面で万一の間違いを起こさないようにすべきだと思います。そういう意味で、原研の理事者といたしましては、この管理体系にいろいろ注意をしておると思います。日常の業務遂行上におきましても他よりも厳格な管理体系をとっておると思います。  しかして、法制上の管理体系まで考えるかどうか、こういうことは一般の従業員の労働運動に対する理解等もございますので、その点はまたこれは別な角度があろうと思いますが、現状のままにおきましても、原研の理事者としては、この管理が一番大事だ、その管理ということにはあらゆる面から従業員の十二分の協力を得るような、そういう管理一体制が必要だと思う。先ほど御指摘になりましたストライキの通告の問題にいたしましても、そういう意味で考えなければならない。今度は新しい立場に立ちまして、原研も管理に特別なくふうをしよう、また研究の管理ももちろんひとつ考えてみよう、こういうことでございますので、今後、皆さま方の御注意もございますから、さらにりっぱなものにしたい、そうして協力される外部の方々に不安を与えないようにする、これは私どもの第一のつとめだ、かように考えます。
  76. 中曽根康弘

    中曽根委員長 佐々木委員、きょうは大体一人三十分当てにやっておりますので、そろそろ結論を願います。
  77. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 私は、公益事業の保安に対してさえ特別な法規でもって大衆の経済に害を与えないような厳重な規制をしておる今日、それ以上に危険性が多い、口を開けば危険性を言っておるこの原子炉、のみならず放射線その他ございますが、こういうものに対する国家の体制としての規制のしかたが、労働的な面についで厳重であってしかるべき性格のものであるのに、かえってゆるやかである。といってはおかしいですが、一般法規並みという行き方は、一体現在の段階から見まして正しいものかどうか。もっと研究の要あるものじゃなかろうかという感じがいたしますので、その点に関するお考えを伺いたい。
  78. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほど来私の申し上げたことも、人事管理について特別なくふうをしろ、この御注意、これに対する答弁といたしまして私の所信を申し上げたのでございます。そういう意味において、さらに私どもも特別な人事管理についての諸規程を必要とするか、あるいは法律を必要とするか、そういう点も十分研究すべきものだ、かように考えます。
  79. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 最後に最近の原研原子炉事故の問題をお聞きしてみたかったのですけれども、時間がありませんからやめます。  ただ、これを要するに、私の長い間要望しました点は、そういう点に関して十分ひとつ原子力法規全体をながめて、設備の面のみ偏重して、管理あるいは労働行為といったような問題に対しての配慮が欠けておるんじゃなかろうか、国として片手落ちじゃなかろうかという感じが強くいたしますので、どうぞそういう点に対して十分な御研究を進めていただきたいという要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  80. 中曽根康弘

    中曽根委員長 岡良一君。
  81. 岡良一

    ○岡小委員 佐々木さんの質問を聞いていると、いよいよ佐々木前原子力局長として参考人になってもらわなければならないような感じもいたします。それはさておきまして、私は多くは申しませんが、先ほど来の皆さんの御質問の中で、若干お尋ねしたいことがあるのです。  先ほど、手当等の問題について、大臣は、原研における理事者側と組合側との紛争については不介入の方針でいきたい、両当事者はなるべく妥当な解決に到達することを切望する、こうおっしゃいました。  菊池理事長は、この大臣の御答弁、納得ができますか。
  82. 菊池正士

    菊池参考人 私といたしましては、当然われわれの見解をもって組合と話し合い、事をきめていくべきだと思っております。ただ、もちろんその中に、給与問題その他の面では政府規制その他もございますから、そういう面でまたお願いすべきはそういう面からお願いしたいということはもちろん考えております。  不介入とおっしゃいますのは、私は、こちらからそういう手当その他の面でのお願いを聞かないと言っておられるのではないと思います。そういう点は、われわれは、十分理由のあるお願いをしていけば考慮してくださることと、そういうふうに考えております。
  83. 岡良一

    ○岡小委員 「原研調査項目」の中で拝見いたしますと、給与問題についての「理事者の自主性の幅」というのが三五ページにあります。このうち、要約しますと、「財政当局が予算総枠を指示し、科学技術庁科学技術庁関係法人の調整を行ない」「その範囲内において理事者は自主性をもっている。」「理事者は上述のごとくわずかな裁量権をもっているが、原研職員は若年令層が多いため、その大半が科学技術庁調整階層に属し、理事者としては実際には弾力性を有しないこととなる。このように理事者の裁量権に制約があることが労使紛争の根本的原因であり、少なくとも予算総枠」云々、こう書いてあるわけです。  こうならば、これは科学技術庁責任ですよ。労使紛争の根本的解決をはかるためには、科学技術庁長官として、いわば圧縮されておる予算総ワクというものに対する予算措置がなければならない。野放しで、何とか話し合いをつけてくれというような態度というものは、まことに私は無責任きわまるものと思う。これは大いに予算をつけるという積極的な努力をしてもらわなくては、紛争の根本的な解決はないと思う。野放しで拱手傍観をしようなんということでは解決がつかないのですが、一体あなたの真意はどこにあるのです。
  84. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 これは御承知のように、予算的な制約は受ける。それでは予算的に非常に窮屈な思いをさせておるか、他の公団その他等と比べて非常に遜色がある、そういう状態に置かれておるかというと、そうではないのです。そういたしますと、普通の考え方ならばこれはやっていけるのだ。先ほども菊地さんから、さらに私どもの現場の要望として筋のあることがあるならば十分当局も認めてくれるだろうというお話がございますが、そういう点ならば私どもも当然交渉の相手方になるというか、責任をもって原研を見なければならない。しかし、いわゆる交渉というものじゃないだろう、かように私は考えますので、その範囲においては労使双方の交渉の中に私どもが入ることは間違っているのだ。大体役所が入りますと理事者側の肩を持つという偏見もあるようですから、なるべくそういうことは避ける。そういうのでありまして、先ほど石野さんに申し上げたのもそういう意味で、これは役所が本来入るべき筋のものではございません。  したがって、その運用の面からは十分具体的な実施案を考えておるわけで、そういう場合にどういうような不都合があるか、こういう不都合がある、こういうのがあれば私ども相談に乗らぬことはない。しかし、それをもって直ちに争議に介入する、こういうものではないと思います。
  85. 岡良一

    ○岡小委員 原研が発足当時の趣旨は、まず待遇をよくしよう、そしてすぐれた研究者に来てもらって、りっぱな成果をひとつあげてもらおうじゃないか、こういう趣旨で原研が発足したことは御存じのとおりなんです。ところが、それにもかかわらず、原研は当初はそうであったが、しかし所員の処遇がいろいろな点でレベルダウンされてきて、発足当初の趣旨と違って、他のいろいろな趣旨ではないものと同じような平準化傾向にあるというようなことであるならば、これについてはやはり科学技術庁長官として、原子力委員長として、これは菊地さんが大蔵大臣と談判するわけにいかないのだから、あなたが原研の理事者になりかわって、この趣旨を十分に説得するという努力がなければ根本的な労使の解決はないわけなんです。あなたはそういう御決意があるかどうか。  だから、介入というのは、何も交渉の中に介入するというのじゃない。大いに理事者側の苦衷を察して、あなた方があなた方の権限でやり得るのだから、またそうでなければやれないことがあるのだから、特に予算の関係、この点はほんとうにあなたが責任をもってやるという御言明をいただきたい。
  86. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいまお話しのように、原研の予算が適当なりやいなやということについては私のほうがもちろん責任がございます。そういう意味におきまして、本年度の予算もその成立を見たわけであります。  ただ、いま問題になっておりますものは、先ほど来森田理事長からもいろいろ御説明があったと思いますが、総ワク云々というばくとしたお話でなくて、もっと具体的な科目の支出の方法、そういうことについての御議論ではないかと思う。それならばこれは原研内部の問題だ、かようなことを申し上げておるのでございます。  ただ、一般的に申せば、役所が特にめんどう見ております公団、公社その他になれば、どうしても予算的な総ワクというか、そのワクのあることはいなめない事実でございますから、その意味においてなかなか苦労も多いことだと思っております。しかし、原子力研究所については特別な見方をして、予算をつくっておりますので、そう窮屈なものだと私どもは考えておりません。
  87. 岡良一

    ○岡小委員 しかし、佐藤さんの御答弁は、私は若干ずるいと思う。私は何も、その超勤手当を他の面の手当に振りかえるとか振りかえないとかいうことを申し上げているのじゃないのです。これは原研の理事者側のお考えというものが中心でいいと思う。  ただ問題は、何に振りかえても、予算の総ワクが抑えられてしまって、所員の処遇がだんだんレベルダウンされながら、他の公団、事業団の給与と平準化していくというようなことについては、これは菊池さんにはどうにもしようがないわけなのだ。これはあなた方がバックアップしなければならぬ。交渉は、超勤手当を他の名目に振りかえるかどうかということについて佐藤さんが口出しをなさることを私は好まないし、そんな必要もないわけです。ただ、その場合においても、要るものは、先立つものはやはり予算なのです。これについてはあなたが責任をもって、国務大臣として進んで菊池さんになりかわって大蔵大臣とかけ合うというくらいな御決意がなくては、いま菊池さんの言われる、原研における労使間の紛争の根本的解決はないわけです。これをおやりになるかどうか、御決意があるかどうか、これを聞いているのです。
  88. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 過去におきましても、予算を獲得することについては私自身が責任をもってやっている。ただ、いまお話しのもので、原研ができた当初これはたいへんよく給与等も出た、他と比べて比較的いいものであった。しかしながら、だんだんレベルダウン、そのことばは私は納得しませんけれども、最近の待遇から見て必ずしも研究者にふさわしい待遇だとは思わない。ことに隣に原子力発電所もでき、発電会社もできた、こういうことになりますと、原研についての均衡のとれた予算は要求しなければならない。そういう意味で、来年度予算におきまして、さらに私どもがその実情をよく把握した上で大蔵省と折衝する、これは当然のことでございます。そういう意味合いの一般的な御議論としてただいまの待遇を改善しろ、待遇をよくしろ、幾ら幾らまでよくしろとは言われないがさらにその待遇をよくしろと言われる理事長の言い分も私どもわかる、そういう意味では私ども今後努力すべき点だ、かように考えております。
  89. 田中武夫

    田中(武)小委員 関連。きょうの質問者の全部の質問に関連をしてお伺いをいたします。  まず第一に、いまの岡さん、あるいは先ほどの石野さんの質問に対して、大臣がお答えになった、労使の問題には政府は介入しない、私はそれでよろしいと思います。問題は、介入しないと言って、裏で糸を引いていないかということです。  もう一つは、予算というものの制約を受けることは言うまでもありませんし、その予算獲得にあたって科学技術庁長官が努力をすることも当然です。  要は、理事長菊池さんが特に職員の給料、手当等々労働条件の具体的な問題について組合から要求があったような場合に、こういうことについてこうしたいというようなことを積極的に科学技術庁へ行って話をし、そのための予算をとる、こういうような努力をいままでしたことがありますか。ありましたら具体的にひとつ例をあげてください。また、その結果はどういうことになったか。
  90. 菊池正士

    菊池参考人 争議あるいは交渉の起こっている段階で参りましてそういうことをお願いしましたのは、要するにベースアップのときとか、あるいは予算の段階ではたびたびございます。  たとえば、これはだいぶ前でございましたけれども、当時三木大臣が委員長をしていらしたと思いますが、ベースアップの問題についてたびたび三木大臣にお願いにいったことがございます。そのほかしばしばそういうことはやっております。  その結果私の希望が全面的にいれられているわけではございませんけれども、少しずつは改善の方向に努力してくださっているということは、私は十分あると思っております。
  91. 田中武夫

    田中(武)小委員 三木さんが科学技術庁長官をやられてから今日まで何年たちますか。その間に要求はなかったのですか。
  92. 菊池正士

    菊池参考人 いいえ、その後もたびたびございます。
  93. 田中武夫

    田中(武)小委員 あるのだったら、最近の例を言ってください。
  94. 菊池正士

    菊池参考人 一番最近の例を申しますと、三十九年度の予算の場合にも、われわれのいま苦労をしておりますのは人件費の面でございますが、給与の総額が、一年たちますと自然に昇給のために人件費がふくらんでまいります。まだ研究所が新しいためと、どんどん新しい人を入れるために、古い人、高給の人が出ていくケースがまだ非常に少ない。そういうために、一般の常に経常状態に達しているような組織に比べますと、どうしても給与の自然増の額が多いということがございまして、そのために自然増は幾らということが非常に正確に予算の段階できまりませんので、それがどうしてもわれわれの実情よりは低くなります。それを補うためにいろいろとわれわれは苦労をしなければならないので、それを増していただきたいということは、今度の場合にも具体的な例としてたびたび申しております。しかし、それは残念ながら、いまの段階ではわれわれの思うようにはなっておりません。一つの例とすればそういうことがございます。
  95. 田中武夫

    田中(武)小委員 問題はここだと思うのです。私は労使の交渉に政府が入ることはいけないとはっきり言っておきます。  そこで、当事者である、当局側の人である理事長がそのことについて科学技術庁長官等に進言というか、要求というか、要望というか、そうしたときに、科学技術庁として、あるいは大臣として、一体どういう態度でそれに臨むかということです。いまの話では、そういうことについて要求したが残念ながらいれてもらえなかった。先ほど大臣は、できるだけの努力はする、こういうことであったが、いれてもらえないということは大蔵省との間に問題があるのかどうか。その点もあろうと思いますが、そのときにわれわれが言いたいのは、大臣が当事者間できめたことについて、これは高過ぎる、これは低過ぎると言うことは、言うことが介入になります。言わないで、できるだけ要求したことをいれてやろうという態度を示しておくこと、これが労使問題の解決の第一だと思います。残念ながらいれられなかったと言っていますが、大臣どうですか。
  96. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 もちろん私のところで原研の予算を査定もします。そういう意味では、原研の要求と私のほうの事務当局がぴったり意見が合致するわけでもございません。しかして、さらに私のほうは大蔵省と交渉します際に、その切り詰められた予算がそのまま通るわけでもございません。これは田中さん賢明なので、要求側と査定側と、絶えずそこにいざこざがあることは御承知のとおりであります。  ただ、私がこの際申し上げたいのは、原研が人事予算で非常にやりくりをしている、そのもとでどんぶり勘定のような行き方でもしていないか。もしそういうようなことがあるならば、これは原研が困るばかりでなしに、私のほうの予算の査定が当を得ていない、こういうことだと思いますので、そういう意味から、原研の予算の使い方がどういうことになっているのか、他の費目にまで手をだしているような実情かどうか、こういうことは私のほうでチェックしております。それはむしろ間違いを正すという意味でなくて、原研が非常に苦労して予算を使っておられるその証拠だろうと思います。そういうことは注意をいたします。  ちょうどいまお尋ねがありますから、事務当局から当時要求してまいりました昇給の資金なりあるいは超勤の予算なり、そういう費目について説明させていただきたいと思います。
  97. 島村武久

    ○島村政府委員 昇給原資は、原研の場合、他の政府関係機関と同じ額が割り当てられておるわけでございまして、原研に限って少ないというわけではございません。御承知のように、原研自体は昇給原資をかけますもとになります給与自体が、私どもはかなりよく定められておると思うのであります。大臣から先ほど岡委員に対して、初めはよかったけれども、だんだん悪くなっていっておるというような傾向は自分らとしてはそう思っていないという趣旨の御答弁がございました。事実、原研自身が出しました報告に、当初原研の給与は通産省、工業技術院、東大などのトップクラスの給与の一二〇%を原研給与の基礎として準則を制定したということが書かれている。これは正確に申しますと、私どもといたしましては、事務系統については一二〇%、研究系統については一三〇%を積算の根拠に置いたわけであります。これは田中委員もよく御存じのとおり、通産省、工業技術院というようなところは、いずれも同じ公務員の中では高い給与水準にあるわけであります。それらのトップクラスのさらにまた二〇%ないし三〇%を積んできめたわけであります。その後ベースアップが公務員について行なわれますと、原研等につきましても当然そのような措置が行なわれるわけでございますが、私どもといたしましては、原研に限って初めが高かったからということでベースアップの率をほかと違えて下げた覚えは全然ございません。言いかえますと、これはこまかい数字になるかもしれませんが、もし最初よくて同じ率をかけて昇給していきますならば、ほかとの差額ははさみ状に開いていかねばならぬわけであります。ほかよりも商い率をもって原研の給与というものが比べられていくという形になることは、これは非常に簡単な計算になるわけであります。したがいまして、創立当初はよかったけれども、その後、だんだん悪くなってきておるということは、私どもには理解のできないことでございます。  また、一般の民間産業等との比較という点でございますが、もちろん超一流会社と同じだけの給与を、国家予算で出します原研の給与に当てるというわけにもまいりません。また、民間の場合は好不況その他がございますのでなんでございますが、JPDRに勤務いたします職員の中には、かなり民間からの出向者がありまして、これが原研にやってまいりました場合に、原研が給与を出します。そこで、民間でとっておった場合と、原研の出します給与を比較いたしますと、決してそんな差があるわけではございません。  また、原研の中には公務員から回った者もございますけれども、これらの比較におきましても、はるかにいい数字を私たちはつかんでおります。  先ほど菊池理事長がおっしゃいました昇給原資、これは私たちも、原研みたいな若いところでは一般並みにするということ自体気の毒な面もあると思います。問題は、全体の総額との関係において考えられなければならぬわけでございます。私どもも大蔵省に対して交渉もいたしておりますが、実際のところを申しますと、先般のこの委員会で明らかにされましたように、超勤もしないのに超勤手当を出すというような形をやっておりながら、一方昇給原資が足りないからその分は別に見てくれということは、ちょっと主張しにくい面もございます。みずからの姿勢を正しました上で、主張すべきは主張すべきであるということになると思うわけでございます。
  98. 田中武夫

    田中(武)小委員 菊池参考人、いま原子力局長が言ったことですね、それはそのとおりですか。  それからもう一つは、当初出発のときの基準というか、考えておった工業技術院とか東大等のトップクラスの二〇ないし三〇%上をいくということは、今日も維持せられておりますか。
  99. 菊池正士

    菊池参考人 あとのほうから申しますと、そのトップクラスとか何とかいいましても、非常に不明瞭な比較になりますけれども、そういう比較では維持されていないだろうと思います。そういうトップクラスとの比較では維持されていないわけでございます。しかし、それはどういう人と比較してどうということは、はっきり資料を見ないとわかりません。しかし、比較すべき対象公務員のトップクラスというのは非常にばく然としたことなので、これははっきり維持されている、いないということを、私ここで断言するのははばかりますけれども……。  それから、あとの問題、超勤等の使い方が悪いのに昇給原資のほうを、これはごもっともでございます。われわれとしてもそういう面は極力正していくようにやっております。しかし、そうやりました上でも、なおそういう面はもちろん問題がございますから、十分そういう姿勢を正した上で、これからどしどしそういうようにもっていこうと思っております。
  100. 田中武夫

    田中(武)小委員 工業技術院だとか東大のトップクラスとの比較なんということはとりにくいと思いますが、一応当初出発したときと今日の状況、資料がつくれるなら、ひとつつくってもらいたい。  それから、これは大臣、先ほど局長が申しました当初出発のときのそういう二〇ないし三〇%上をいくのだ、こういうような態度は、今日まだ堅持をしておられますか。あるいはそうでなくなったというならば、その理由をお伺いいたします。
  101. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 私と高村君との間に答弁が違っておるようですが、私はばくとした感じで、類似の研究機関あるいは発電所、発電会社等ができた。そうすると、民間からも来ていろいろ研究しておりますが、それらの給与と比して必ずしも私ども原研の職員を優遇している、こうは言えないじゃないか、まだもっと優遇してもよいじゃなかろうか、こういう気持ちがいたします。これは私自身が科学技術の振興ということを考えた場合に、技術者を優遇しないでどこに科学技術の振興があるか、こういう持論を持っております。そういう立場から一般的に申し上げるのです。  それではどうするか、こう言われると、まだ大蔵当局がこの説に賛成してくれておりませんので、ただいまのところそこまではいきかねますが、他の民間のほうがやや優遇しておるではないか、こういう感じがいたしております。
  102. 田中武夫

    田中(武)小委員 大臣と局長との答弁というか、考え方が若干ずれているように思います。  そこで、いま委員長からも御注意がありましたからこの問題はこの程度にしておきたい、こう思いますが、要は、最初の考え方が今日まで貫かれておるかどうかということが一つだと思います。  そこで、これは原研のほうでできますか。出発当時と今日との給与等の推移、それを比較ができれば出してもらいたい。できなければ、原子力局と共同作業でもけっこうです。
  103. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 私もそういうものができたら見たいと思いますから、そういう意味で、御要望、どういうものができるか、つくらせてみましょう。
  104. 田中武夫

    田中(武)小委員 それでは、佐々木さんの質問に関連してですが、佐々木さんは、管理の面に物と人と分けている。物のほうは法律規則等で管理しておる、人のほうの管理が抜けているではないか、こういうことも言われ、あるいはまた、最近起きましたJPDRの事故の問題にもひっかけてそういうようなことを考えておられるようであります。これはもりはっきりと、事故のほうは人の面ではなくして設備の面であるということがわかっておる。また、人と物と並べて同じような管理を考えるというこの頭が、労働争議というものを解決しにくい状態におとしいらしておると思います。その面について、むしろこれは理事長、そういう物と人と同じような考え方で管理するとか、法律規制するとか、命令で規制するという考え方が基本的に間違っておる。
  105. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 私が佐々木委員のお尋ねにお答えいたしましたから、私からお答えをいたします。  私は、人事管理ということは非常に大事だということを申しました。そのうちの一つで具体的な事例を申せば、保安要員の出し方、こういうことがしばしば原研では問題になります。組合員の諸君も、自分たちに保安の責任がある、こういうことから、保安要員を出すことについては協力されているようであります。しかしながら、保安要員を出すということはどこまでも経営者の責任においてやらなければいかぬ。これが本来のたてまえだ。だから、これは組合側がそういう協力はしてくれましても、その責任の所在ははっきり理事者側にある。たとえば、そういうように管理の面においてやや混淆している面がある。  こういう点をやはりはっきりさしておかないと、この問題は、もしも万一間違いがあれば付近の人多数の者に迷惑を及ぼすのでありますから、そういう意味で、そこに勤める人たちは、もちろんその職分の重いことも十分考えておるが、同時に管理者側としても、そういう意味で人事管理について万遺憾なきを期す、そういう私の考え方であります。
  106. 田中武夫

    田中(武)小委員 大臣は、争議には介入しない、そう言明しておられるし、大臣の考え方は佐々木委員の考え方と表面においては若干違うように思いますが、了承します。  ただ、これは討論じゃございませんが、国家公務員法あるいは地方公務員法、こういうものをとらえて管理だと考えておるところが間違いであって、労働法なら私のほうが専門なんです。原子力ならあまり知らぬが、労働法ならいつでも討論に応ずる用意があることだけを申し上げておきます。  それから、先ほどの西村さんの質問に関連してですが、これは提案せられて、まだ商工委員会で審議に入っておらないのです。その新電気事業法と申しますか、その四十五条、これに関連して質問があったのです。これは大臣、局長は留守であったために内容は聞いておられないと思いますが、次長から、いままでと何ら変わりがない、こういう答弁があったのです。私もそうだと思うのです。  と申しますのは、附則の二十八項で「核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律」の七十三条を改正しておる。これは名前がかわったからという経過規定にすぎない。この七十三条は核原料物質規制法の二十七条から二十九条の二を除外しておる。これは大体二十七条が設計及び工事の方法、二十八条が施設の調整、二十九条が性能検査。こういうことで、原子力発電については一般の原子力というか、核物質等規制のほうから、いわゆる科学技術庁の管轄から通産省に移していることがこの法律のまず本法で明らかになっておる。  そこで問題になっているのは、施設はいいが、それじゃ燃料はどうか、こういう質問があったようでございます。この燃料につきましても、いままでにちゃんと例外規定がある。たとえば規制法の五十二条、これはいわゆる加工にあたるのかどうか、これは疑問といたしましても、すでに発電用原子炉施設規則というのが通産省令で出ております。そこでこの燃料加工等についても規定があります。  新法附十五条の通産省令というのは、おそらく現在あるところの発電用原子炉施設規則の中において指さしておると思うのです。したがって、これに対する経過規定さえ入れればそれで問題はない、私はこういうように思うのです。むしろ西村さんなり佐々木君の考え方のほうが間違っておる、こういうことを申し上げたいのです。やがてこれが商工委員会で審議せられるときに基本的な論議を、これは通産大臣と佐藤大臣と並んでいただいて申し上げようと思っておりますが、ここで言うのは、先ほどの西村さんの考えは間違っておる、こういうことだけを申し上げておきます。
  107. 中曽根康弘

    中曽根委員長 岡委員、それじゃ一問だけお願いいたします。
  108. 岡良一

    ○岡小委員 西村さんの質問電気事業法に関連して、非常に私も関心を持ったわけです。JPDR売電をするとおっしゃった。これは電気事業法の第四十五条で燃料のコントロールをする。おそらく一般電気事業という形で、価格についてもコントロールを受ける。それからもう一つは、そこで働いておる諸君の規制といいますか、そういうことで、あれこれ関係する分野が多いわけなんです。  どうせこの法律案は科学技術庁と十分打ち合わせの上できたのだと思うのです。一体いま申し上げたような諸点、たとえばJPDRのキロ当たり十二円になるだろうという話を聞きました。東海発電所は少なくとも五円二十銭、最近五円三十三銭。ところが、これはみんなプルトニウム・クレジット――一体日本はどういう基準でこのプルトニウム・クレジットを算定するのか。何もプルトニウム・クレジットについてははっきり算定基準を立てるところまで至っていない。そういうような研究開発段階における発電において一般電気事業並みの規制を受ける、あるいはその価格の算定においても不確定要素が非常に多い。これがこういう法律案によって一般電気事業並みに規制を受けなければならないということは、非常に問題が大きいと思うのです。こういう点はいずれあらためて本委員会等で取り扱いたいと思いますが、島村さんは頭がいいから、ひとつ資料を整えて、この次の委員会でぜひ責任のある御答弁を願いたいと思います。  ただ、私は、きょう菊池さんもお見えになるし、佐藤大臣にもお出ましを願っておるので、私ども原研の問題では相当いろいろ皆さんの御意向もあるので、そろそろ小委員会としても結論を出そうじゃないか、この問題は、やはりわれわれにも責任があるのだから、謙虚な気持ちでひとつ結論を出す。そのために皆さんの御意見を聞きたい。そういう気持ちでおったのですが、ただ、そのために実は原子力委員会原研をめぐる諸問題、それから原子力研究所からいただいた調査の報告書、これを拝見しますと、いろんな点にたいへん似通った点もあるし、また根本的に非常に食い違った点がある。それをいろいろ拾い上げてみるとずいぶんあったわけなんです。こういう点を私は皆さんにこもごもひとつ御意見を聞かしていただきたいと思いましたが、時間がないないとおっしゃいますし、一番根本的な点でこの点を私は一言だけお聞きしておきたいと思います。  それは、これまで八年間における原研の経過というものをどう評価するかということでございます。  これについては、原子力研究所の御意見を見ると、原子力研究所では「原子力委員会が政策の決定を行う際、将来計画を構想するのに急で、事業の質的、量的な困難さ、大きさを測定せず、資金、人員等の配慮に欠けるところがあった。そのしわが実施機関である、原研によったという感が深い。今日の段階では、原子力委員会は国の計画の策定に専念すべく、行政機関である原子力局とは別個に経験ある独自のスタッフを擁すべきである。」云々、「原研の体質改善と言っても、ひとり原研のみでなく、国の体制を再検討し、その中で原研の役割を確定すべきである。」という趣旨の御意見があったわけです。  それから、原子力委員会からいただいたものを見ると、ちょこちょこそういう趣旨が出ておりますが、はっきり明文化されておるところは十八ページで、「原研は、発足以来前述の長期計画にしたがって各種の施設の拡充整備を進め、今日では初期的段階から第二の発展段階に移行しようとする時期にきている。」もう準備段階は済んだ、あすからは第二の発展段階だ、こうきわめて簡単に割り切っておる。  一体この準備期間の八年間においては、いろいろな矛盾があり、いろいろな間違いがおかされたということを原研のほうでは指摘しておられる。ところが、原子力委員会は、いや、なに間違っていない、準備は終えたのだから、この次はさあ本格的な発展だ、こう割り切っておる。そこに非常に大きな食い違いがあるような感じがするわけです。私はこの点について、あれこれ事実をあげて申し上げようとは思いませんけれども、これは非常に不幸なことだと思うのです。この点はひとつ、原研側と原子力委員側ともう少しこの食い違いの点について十分御懇談をせられて、そして皆さん方の意見をもっと統一されるというわけにいくまいかと思うけれども、もっとやはり責任のある御返事をいただければ私はけっこうだと思います。ここで御返事は要りません。だから、来週のこの原子力委員会の席上にでも、文書をもってでも、お打ち合わせができるようならば、御返事をいただきたい。もう時間もなんでございますから、私はそのことを強くお願いを申し上げて、質問をやめます。
  109. 中曽根康弘

    中曽根委員長 佐々木委員。簡単に願います。
  110. 佐々木義武

    ○佐々木(義)小委員 私、実は何も電気事業法の四十五条、これについては何ら質疑もしておりません。ですから、先ほど田中委員の言われたのは何かの間違いじゃないかと思います。  ただ、この次、来週議論するということでございますが、私が思いますのは、法律論そのものではなくて、原子力政策上おかしいのではないかという疑点を持っているだけでございますので、その点から、この次にあらためて質問をしたいと思います。
  111. 中曽根康弘

    中曽根委員長 次会は来週木曜日に小委員会の懇談会を開きまして、いままでの原子力政策の話し合いをいたしたいと思います。  なお、電気事業法の改正についてもお話し合いをいたしたいと思います。  本日は、参考人の皆さま、まことに御苦労さまでありました。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会