運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1964-03-19 第46回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会原子力政策に関する小委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年三月十九日(木曜日) 午前十時十七分
開議
出席小委員
小
委員長
中曽根康弘
君
菅野和太郎
君
佐々木義武
君
西村
英一君 福井 勇君 前田 正男君
森山
欽司
君
渡辺美智雄
君
石野
久男
君
久保
三郎
君
田中
武夫
君 原 茂君 鈴木 一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
) 江上 龍彦君
総理府事務官
(
科学技術庁原
子力局長
) 島村 武久君 小
委員外
の
出席者
科学技術振興
対
策特別委員
三木 喜夫君
原子力委員会委
員 駒形 作次君
原子力委員会委
員
兼重寛九郎
君
原子力委員会委
員
西村
熊雄
君
—————————————
三月十九日 小
委員細田吉藏
君及び
河野正
君同日
委員辞任
に つき、その
補欠
として
森山欽司
君及び
石野久男
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員森山欽司
君及び
石野久男
君同日
委員辞任
につき、その
補欠
として
細田吉藏
君及び
河野正
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員久保三郎
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
田中武夫
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員田中武夫
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
久保三郎
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
原子力政策
に関する件(
日本原子力研究所
に関 する問題) ————◇—————
中曽根康弘
1
○
中曽根
小
委員長
これより
原子力政策
に関する小
委員会
を開会いたします。
原子力政策
に関する件について調査を進めます。 去る二月十九日第一回の小
委員会
におきまして、
日本原子力研究所
の
現状
並びに将来に関する
問題点
、
改革点等
数項目について、
日本原子力研究所
及び
原子力委員会当局
に対し、それぞれの
立場
で独自の
見解
を文書をもって本小
委員会
に
提出
するよう要求したのでございますが、
双方
より
提出
されましたので、まず本日は
原子力委員会当局
よりその
概要
について
説明
を聴取することといたします。
原子力委員兼重
君。
兼重寛九郎
2
○
兼重説明員
ただいま
委員長
から御
指名
でございますので、一昨日
提出
いたしました「
原子力研究
をめぐる諸問題」についての
原子力委員会
からの
提出書類
につきまして、
要点
だけを御
説明
申し上げます。 目次にございますように、1の「
国民生活
の中において
原子力
の将来
利用
される
方向
とその
産業構造
への
影響
」から始まりまして、6の「
改革
の
諸点
」まで、五十数ページにわたるものでございます。この中で、1の「
国民生活
の中において
原子力
の将来
利用
される
方向
とその
産業構造
への
影響
」と申しますことについては、私ここで御
説明
を省略させていただきたいと思います。そこで、2の「
原子力
の
日本
における
位置
」でございますが、これもこれまでいろいろな機会にいわれてきておりますこととそれほど変わっておるわけではございませんけれ
ども
、ここに「
位置
と
原研
」というふうに書いてありますために、そこの
要点
だけを簡単に申し上げることにいたします。前に述べましたように、
原子力
は
国民生活
ないし
国民経済
に非常に重要な
位置
を占めるものでありまして、次に述べますような理由から、その
研究開発
は
政府
が
中心
になって、
民間
の
協力
を得ながら強力かつ効率的に進める必要があると考えております。その(イ)は、
原子力
の
研究開発
には
巨額
の
資金
を必要とすること。(ロ)が、
わが国
の
エネルギー資源
の
賦存状況
、
エネルギー需給
の見通しなどから見まして、
エネルギー
の低廉かつ
安定的供給
に対する要求が非常に強い
わが国
におきましては、他国以上にこれらを満たすに足る
原子力
の
平和利用
を
推進
する必要があること。(ハ)は、核兵器の
開発
で蓄積した強力な
技術基盤
と
施設
の上に立って
原子力
の
平和利用
を
推進
しております
先進
諸
外国
、アメリカ、ソ連、イギリスというような国と異なりまして、そのような
技術基盤
を持たず、かつ時間的に非常におくれて着手しました
わが国
といたしましては、そのおくれを早急に取り戻す必要があること。(ニ)に、
原子力
の
研究開発
は、新しい高度な
技術
の集積の上に成り立つものでありまして、それを進めるにあたりましては衆知を集める必要があること、こういうふうなことから、
わが国
は
昭和
三十一年に
原子力委員会
を発足させ、
原子力開発利用
のための
長期基本計画
を策定いたしまして、三十六年にはそれを改定するなど、
原子力
の
研究開発利用
の
基本方針
を明らかにしてきたのであります。このことはここに申すまでもないことであります。その次に、「
先進諸国
と
わが国
との比較」が数字などであげてありますが、これも御承知のことが多いと思いますし、省略させていただきます。次に、3の「あるべき
原研
の姿とその
発展像
」というところに入りたいと思いますが、初めに「
原研
の
設立
の趣旨とその役割」を申し上げます。前に述べてありますとおりに、諸
外国
にも増して
原子力
の
開発利用
の
必要性
が大きい、これは
エネルギー事情
その他から考えましてそういうふうになるのでありますが、それにもかかわらず、非常におくれてスタートいたしました
わが国
といたしましては、そのおくれをできるだけ早く取り戻すというために、先ほ
ども
一度述べましたように、
巨額
の投資を必要とするけれ
ども
、当面直ちにそれの回収ができにくいというようなことから、
資金
の大部分を国が出す必要がある。
研究開発
は、
日本
の持っております
人的要素
及び
資金
あるいは
資源
、そういうふうな
関係
から見て集中的に行なう必要がある。こういうようなことから、
日本
の
原子力開発
の
中枢的機関
として
特殊法人
の
日本原子力研究所
をつくるということが考え出されたわけでございます。それで、
原研
は発足以来、前に述べました
長期計画
に従って各種の
施設
の
拡充整備
を進め、今日では
初期段階
の
整備
を一応終わりまして第二の
発展段階
に移行しようとする時期にきているわけであります。 したがって、現在
原研
が向かうべき
研究開発
の
重点
といたしましては、1
基礎研究
の促進をはかること。2
基礎研究
と
実用化
との
かけ橋的役割り
を果たすための
研究開発
を実施すること。さらに、3
目的
を明らかにした
プロジェクト
、特に
動力炉
の
開発プロジェクト
を
中心
に
学界
、
産業界
と密接な
協力関係
を確立いたしまして、これに意欲的に取り組むこと。こういうようなことが
重点
と考えられておるわけであります。 なお、
基礎研究
というものは、
原研
だけに限るわけではもちろんありません。
大学
でこういうふうなことは行なわれておるわけでありますが、
原研
で行ないます
基礎研究
というのは、
原子力研究開発
に特に
関連
が深く、将来
わが国
独自の創意を
発展
せしめるということを考えながら、
大学
などの
研究
と十分な連携を保ちつつ実施する必要があると考えております。その上に
施設
の
整備
が進み、
研究
の実績が加わるに従いまして3の比重がだんだん大きくなりつつあるというふうに考え、将来さらにそれが大きくなっていくことを
期待
しておるわけであります。 このほか、
原研
は幾らか
事業
をすることも必要であるわけでありますが、三つばかり——1
研究施設
を各界の
利用
に供して、所外の
研究
に広く
協力
すること。2
原子力
に関する
科学技術者
を教育して肝要の
訓練
を行なうこと。3
アイソトープ
の
製造頒布
、それに基づく
廃棄物処理
というようなことの
事業
を行なうということも、
原研
がなすべき
役割り
の一部であります。 そこで、
設立
以来八年を経過いたしまして、今後ますますその
使命
に徹し、
発展
していかなければならないのでありますが、「
原研
の将来の
発展像
」と申しますのは、五年、十年先を考えますと、これをはっきり描くということはなかなかむずかしいことでありますけれ
ども
、私
ども
現在頭に描き得る程度のことを申しますと、第一に、既設の
研究炉
あるいは近く建設に着手される
材料試験炉
の活用を通じまして、舶用の
原子炉
を含め
動力炉
としてすでに
実用化
の域に到達しつつある
原子炉
の改良及び
国産化
に貢献をすること。第二には、
わが国
に適した
動力炉
の
開発
を進めること。第三には、
高速増殖炉
の
開発
を進めて、
燃料資源
の
有効利用
とその
経済性
の
向上
に寄与すること、というようなことをあげることができます。その成果は
炭業界
に次第に
利用
されていくようにならなければならないと考えております。 そのほか、「
放射線化学
」につきましても、あるいは「
アイソトープ
」の
利用
につきましてもいろいろ考えられるわけでありますが、
要点
は、
原研
として
学界
、
産業界
との
共同研究
及び
委託研究
のようなものにも一そうの力を用いながら、
日本
の
原子力開発
の
中枢的機関
というふうになっていくべきであり、またいくことを
期待
しております。 現在、
原究
の問題が非常に大きな問題になりまして、国会におきましてもたいへんこれについて御心労をわずらわすような状態になっておることは、私
ども
、出発の当時
原子力委員会
、
原子力局
、
原子力研究所
というようなものは
三位一体
となって進めていかなければならないといって、みんながその気で出発しましたのが、
現状
、そのときとはやや
期待
に反する点があります。それらの三本柱の
一つ
として私
ども責任
を感じておるわけでありますが、ここではそういうことについての問題を離れまして、4に「
原研
の
問題点
」と考えておりますことを率直に書面に書いておきます。 その第一は、「
経営管理
」のことでございます。
原研
はその
事業遂行
にあたりましていろいろな面で困難な
事情
を持っております。たとえば、その
一つ
は、
設立
したときあるいはその後の急速な
人員
の
充実
に際しまして、
学界
からも
産業界
からも、あるいは
行政機関
など、非常に多方面から
人員
を集めて、そういう
人たち
がいろいろこれまでのやり方などと違ったところから一度に集まってきた、こういうことがあります。第二に、
研究者
あるいは特殊な
技術
を持っておる者、ごく普通の
一般
の
技術者
、あるいは
事務
の
関係者
というふうに、多種多様な
職種構成
になっておりますこと、三番は、
わが国
として経験の少なかった大
規模
な
施設
を持っておる
研究所
であるというようなことは、考えられますその困難な
事情
でございます。
原研
の
経営者
は、これらの困難を克服するために
管理面
にいろいろ
努力
を払ってきたのでありますが、それにもかかわらず、
組織
及び
運営
の面から見まして、次の
諸点
については現在
改善
する必要があると考えております。 その
一つ
は、
理事長
が
東海研究所
の所長を兼務し、他の
理事
もそれぞれの部門を細分して担当しておりますために、ややもいたしますと
理事会議
の
運用
が総合的な見地に立って
事業運営
の
方針
を十分審議し得ない
うらみ
があります。また、各
年度
の
事業計画
や
理事会議
の審議の結果が
研究所
全体に十分浸透しないために、
事業体
として
組織的活動
に欠けるというふうに見える面があることであります。 第二は、
上層部
からの
権限委譲
、
専決処理
が必ずしも十分に行なわれておるとは見えないのであります。
業務
の
進捗度
が常時把握されていなかったり、それに対して
適確
な
指示
を与え得るような
総合調整機能
が十分ではない。また、予算、
人員
などが
業務
の
進捗度
のいかんにかかわらず、
年度
当初に割り当てられたワクに固定されて、その結果、
運営
の
弾力性
が乏しくなっているというようなこともあります。 第三に、所内の各級各階層の
段階
における
意思統一
の決定を行なう
組織
が十分に活用されていないために、下部の
意見
が
組織
的、制度的に上部に伝達されにくいという
うらみ
があります。 第四番目は、
東海研究所
の
組織
が相当平面的に細分化されておりますために、
業務
の総合的、効率的な
運営
を困難にしている、というようなことが
経営管理
の面で見られておりますので、そういうことの
改善
を
期待
したいと思います。
給与
や
昇進制
につきましては、
原研
は、
財団法人
の
時代
が一時あったわけでありますが、そのときには比較的恵まれた
給与ベース
をとることができた。これを受け継いで
特殊法人日本原子力研究所
が発足いたしたのでありますが、その後何回かにわたりまして
国家公務員
に準ずる
給与改定
が行なわれてきました。特に
研究員
の処遇につきましては、
昭和
三十四年のいわゆる
中山あっせん案
といわれております
中労委あっせん
を
契機
にその
優遇措置
として
研究手当
が新設されました。このような
事情
でありますので、
最初
の
財団法人時代
と同じであるとはもちろんいえないのでありますけれ
ども
、現在におきましても、
公務員
及びこの種の
特殊法人
に比べましては、その
給与
の
優位性
というものは保持されておると考えております。
原研
は特に優秀な
研究者
の
確保
を必要とするところでありますから、その
給与水準
は
民間
を含めて考えても相当の
水準
のものであるべきであり、またその
職務
が特に
社会的責任
の大きい
原子炉
及びその
付帯設備
の運転に
関連
する
職務
に従事する者もありますので、そういう者には特殊な考慮を払うことが適当であると考えております。それで、こういう
見解
に立ちまして漸次
給与制度
の
適正化
をはかっていくべきであるということは、去る
昭和
三十七年十一月に
原子力委員会
として
見解
を明らかにしたことがございます。しかし、こういうふうにまだ
努力
をすべき点が残されておることは認めながらも、現在の
給与制度
におきましてもある程度弾力的な
運用
が可能であると考えておりますから、
昇給昇格
にあたりまして、
職種
に応じ適正な
勤務評価
を行なって、
能力
がある者がそれに報いられるものにすることなど、
対策
が全然ないといえないと考えております。ところが、現在はこのようなことが行なわれていないようでありまして、
年功序列主義
におちいっているというふうに見えることは大きな欠陥であると考えております。 なお大事なことは、
原研
の
職員
全体の「
士気
、
モラル
」に関することであります。これはどこの職場においても言うまでもないことでありますので、
職員
の一人一人がその持つ力を十分発揮するように、
士気
、
モラル
の
向上
をはからなければいけないと考えます。この
意味
におきまして、
職員
に対する
教育訓練
に力を入れ、
就業規程
を励行し、
信賞必罰
を行なって、
年功序列主義
といわれる弊害を排しまして、
昇給昇格
に
職員
の
勤務評価
を取り入れなければいけないと考えます。また、
原研
という特殊な
経営体
に適した
能力
のある
経営者
、
管理者
、
研究指導者
の多数を得ることがむずかしいのでありますから、そのために
若年層
のこういう人に対する
信頼感
が薄いというふうなことを耳にするのでありますけれ
ども
、これもそういうことについて
十分対策
を講じておく必要があると考えます。 あと「
研究管理
」の問題、あるいは「
経営管理
と
研究管理
」との
関連
など、そこに書いてございますことで、特に御
説明
を加えることを避けたいと思います。 「労務問題」につきましては、
原研
は、前に述べましたとおり、その
経営
を行なうにあたりまして、特殊かつ困難な諸
条件
があるということは認めなければならないと思うのであります。特に
原研
の
労働関係
は、
労使対等
の原則に立脚した
一般労働法規
の適用を受けます反面、
給与
、諸
手当等
の
労働条件
の主体をなすものにつきまして国の
監督
に服するという、
民間企業
と異なった制約があります。さらに、
放射線下
の作業という新しい特殊な
分野
を含んでおります。したがって、これらの諸問題を内包する
原研
の労働問題の
解決
は容易ではないと考えるのであります。 また、
政府関係
の
研究機関
でありますために、
民間事業
もしくは
公益事業
と異なりまして、
研究機関
でありますために、
業務
の停滞が
経営
を危殆におとしいれたり、
国民生活
に直接的な
影響
を与えることが少ないことが
労使
間の
紛争
を長引かせ、あるいはストライキを安易に発生させるというような
傾向
を生みやすいということは否定できないのであります。ところが、
労組
は良識を欠く傾きがありますし、
経営者
はとるべき
措置
、
対策
を十分講じられませんで、安易な
妥協
を重ねる
傾向
のありましたことが事態を一そう複雑かつ深刻にし、今日のような不安定な
労使関係
が導き出されたものと見るべきであります。 したがって、
原研
が今後その
事業
の円滑な
遂行
をはかっていきますためには、その
業務
の
規模
、
実態等
の進展に即応した
管理体制
を確立するとともに、
紛争
の原因となるような諸問題はつとめて早期に
解決
をはかり、
労使双方
が相
協力
して
原研
の
目的
を達成するように
努力
することが必要であろうと思います。 その次に、「
原研労組
の
おい立ち
」その他書いてございますけれ
ども
、これは私
ども
がこういうふうに聞いておるということを述べたのにとどまります。 最後に6の「
改革
の
諸点
」ということを御
説明
申し上げて、終わりたいと思います。
原子力
は、多くの
分野
におきまして
国民生活
と密接な
関係
にあり、今後
わが国経済
の
発展
のかぎともなるべきものでありますから、その
開発利用
は大いに
推進
しなければならないことは言うまでもございません。
原研
は、かかる
原子力研究開発推進
の
中核的機関
でありますし、これに課せられた
使命
、
役割り
はきわめて大きいのであります。
原研
は、
設立
以来すでに八年を経過しまして、
原子炉
その他
研究施設
は急速に
充実
し、その
業務
も
複雑化
を加え、これに伴ってその
組織運営
に種々の不備が生じてきたことは前に述べたとおりであります。
原研
がその
重大使命
を円滑かつ効率的に達成し得るよう所要の
改革
をはからねばならないと考えます。その
改革
を要すべき
諸点
の
概要
は、大体次のようなものと考えております。 第一は、「
使命感
の
徹底
」であります。
原研
は
初期的段階
としての
施設
の
整備
も一応終わり、第二の
発展段階
に入ろうとしておりますが、この際、
わが国原子力研究開発推進
の
中核的機関たる
の
使命感
に徹し、各人がその
能力
を十分に発揮するよう人心の刷新と
士気
の
向上
につとめるべきである。このため
人材
の
確保
をはかりつつ、
能力評価
を
基礎
とした
給与昇進制
の確立、
適材適所主義
の
徹底
、
信賞必罰
の励行、
教育訓練
の
充実
を行なうべきであります。 第二は、「
経営組織
とその
機能
の
改善強化
」。急送に膨大、
複雑化
してきた
原研
の
組織
につきまして、その
管理機能
が十分に発揮されるよう、特に
理事者機能
の
強化
、
研究管理機構
の
新設強化
、
労務管理機構
の
整備充実
、
安全衛生管理機構
の
充実
に
重点
を置いて
経営組織
とその
機能
の
改善強化
をはかるべきである。 第三は、「
学界
、
産業界
との提携」です。今後ますます
学界
、
産業界
と一体となって
研究開発
を行なう必要があるような
プロジェクト
と取り組まなければなりませんし、また、それが
学界
の
研究
の
推進
、
炭業界
の
技術水準
の
向上
をもたらすゆえんのものでもありますので、
研究協力
と
人材
の交流によりましてその
協力
を得るように
努力
し、
原子力
の
研究開発
のセンターとしての
役割り
を果たさなければならないと思います。なお、
原研
の
施設
は他には求めがたいものもたくさんありますので、
学界
、
産業界
に開放、その
利用
に供することに留意する必要があると考えます。 以上、
日本原子力研究所
を
中心
としまして
わが国原子力政策
の
現状
と将来について述べてまいったのでありますが、
原子力
の
開発利用
の
重要性
を考えますとき、
先進諸国
からのおくれをすみやかに取り戻し、
原子力利用
を本格化するために、
政府
は今後とも
原研
を
中心
といたしましてその
研究開発
を積極的に
推進
することが肝要であると考えております。
原子力委員会
といたしましては、すでに
長期計画
で
わが国
の
原子力
の
研究開発
の進むべき
方向
を示してまいりましたが、この際、
原研
をめぐる諸問題を
契機
といたしまして
原子力政策
を一そう
充実
し、より効率的な
原子力
の
研究開発
が行なわれまして、
国民生活
の
発展
に貢献し得るよう力を尽くし、
国民
の
期待
にこたえたいと考えております。どうもありがとうございました。
中曽根康弘
3
○
中曽根
小
委員長
どうも御苦労さまでした。
—————————————
中曽根康弘
4
○
中曽根
小
委員長
質疑の通告があります。これを許します。
石野久男
君。
石野久男
5
○
石野
小
委員
原子力委員会
の「
原子力研究
をめぐる諸問題」という本
委員会
の設問に答える御
意見
をいまお聞きしたのですが、二、三の点についてお尋ねしたいと思います。 まだこの
意見書
は十分に読み尽くしていませんので、後ほどいろいろの
質問
をしますけれ
ども
、
最初
に
原子力委員会
の
責任
について。特に、この問題の提起された
重点
を
労使
の
関係等
について置かれておるようでございますけれ
ども
、
原子力委員会
は、
原研
の
紛争
についていままでどういうことをしてきておりますか。
兼重寛九郎
6
○
兼重説明員
私
ども
は、
日本原子力研究所
が
政府
の
監督
のもとにありますために、
政府
が
監督
をする、それに対する
意見
を申し述べておるわけでございます。したがって、
原研
の
理事者
のほうに対しましては
指示
あるいは
助言
というようなことができるし、また、それをいたしてきたわけでありますけれ
ども
、
原研
の中での
理事者
とあるいは
組合
との交渉というようなことは、これは
原研
の
内部
の問題でございますので、たとえば
組合側
に対してどういうふうなことをというようなことはこれまでやったことはございません。それで、
組合側
の
主張
がどういうふうになっていますかというようなことも、
理事者
のほうを通じて聞いておるわけでございますが、それに対して
理事者
がその
責任
を果たし、
原研
の
運営
をやっていけるように私
ども
としてできるだけの
努力
はいたしてまいりましたし、また、
理事者
に
助言
もしてまいりました。 先般、
岡先生
から、そういうふうなことについて、どういうときにどんな相談をしたかというその資料の
提出
を求められておりましたので、これはすでに
提出
いたしたかと存じます。
石野久男
7
○
石野
小
委員
原研
の
労使
間の
紛争
については、
内部
の問題に立ち入りたくないからあまりそれには立ち入らないという話ですが、結局
理事者側
に対しては
指示
、
助言
をしておるわけです。
紛争
が起きているときは、その
責任
の一端はやはり
原子力委員会
も持たなければならないだろうにいうように私は考えるわけです。そういう点について、
委員会
は全然その
責任
を感じませんかどうか。
兼重寛九郎
8
○
兼重説明員
私、先ほどこの「
原子力研究
をめぐる諸問題」の
説明
をいたしますときに、この中に書いてないことを
一つ
申したのであります。それは、
日本
の
原子力研究開発
を始めるというそのときに、
原子力委員会
ができ、
原子力局
、あるいは
科学技術庁
と申すべきかもしれませんが、そういうものができ、
日本原子力研究所
がつくられましたときに、
三位一体
となって
開発
に当たるべきである、そういう覚悟をもって出発したというふうに聞いております。私はそのときに実は現在の
立場
にはなかったのでございますけれ
ども
、そういうふうであることはずいぶん前からたびたび聞かされております。したがって、その三本柱の
一つ
であるという
意味
の
責任
は十分感じております。
石野久男
9
○
石野
小
委員
責任
を感じております場合、
紛争
が起きたから
理事者側
からも
いろいろ話
を聞くのも当然だろうと思うし、
労働者側
からも
事情
を聴取するということなど必要なことではなかったかと思いますが、そういう点はやられたことはありますか。
兼重寛九郎
10
○
兼重説明員
量初
、初めの御
質問
にお答えいたしましたような考えから、
組合側
の
主張
を直接聞くということはいたしませんでした。
石野久男
11
○
石野
小
委員
原研
の
紛争
の問題については、非常にあやまって世間に伝えられていることが多いと思うのです。こういう問題については、
委員会
は積極的に
委員会
の
立場
から
国民
に正しくこれを報告するということをしないと、紛糾はますます拡大するだけだと思うのです。 この
報告書
によりますと、
紛争
の問題については常に安易な
妥協
におちいりというふうに結論しているようでございますが、
委員会
は、そういうことをどういう根拠に基づいて結論を出しているのですか。その安易な
妥協
をしているということについては、やはり
労働者側
あるいは
理事者側
双方
の
意見
を十二分に知り尽くさなければなかなか出ないとわれわれは思うわけなんです。しかし、それにもかかわらず、一応安易な
妥協
におちいりというようなことを先ほ
ども
強調されておるようですが、そういう点はどういう根拠からかということをきわめて簡単に、端的にひとつ。
兼重寛九郎
12
○
兼重説明員
私
ども
は、
原子力委員会
の庶務を扱う
原子力委員会
の
事務
局とも申すべきものとして
原子力局
を持っております。したがって、ここに書かれておりますそういう
原研
の中の
事情
などは、その庶務を果たしておる
原子力局
の報告をとっておるわけであります。したがって、その中から出てくることでございますけれ
ども
、たとえて申しますと、相当長期の協約、協定というものがなければ始めてはいけないというふうに考えられるものを、短期の協定だけで仕事を始める。 これは、あまり近い例で申しますのは適当でないかと思いますけれ
ども
、たとえば昨年の暮れ、いわゆるJPDR問題が起こりましたときに、二十四時間の予告問題が出たわけでございます。その予告問題がJPDRの引き渡しを受けるまでというので、そこに進んだことは当時の情勢でやむを得ないと考えておりますけれ
ども
、その協定が失効しましたあと、これを
日本
側に受け取ったあとで同じ性質のものをつくる必要があると私は考えておったのであります。その協定を結ぶ前に運転の再開をしようとするような情報がありましたので、そのときには、
原子力局
長の
責任
においてこれを一時運転再開を待ってもらったようなことがあったのであります。 そういうようなことから考えまして、やはり
理事者側
はもう少しはっきりした態度をとるべきであった。これを安易な
妥協
というのは、
組合側
に対して言うことではございませんで、むしろ
理事者側
に対してそういうふうなことを言っておるわけでございます。
石野久男
13
○
石野
小
委員
長期的な協定を結ぶ際に事を
妥協
的な
立場
で処置したという問題について、いまJPDRの再開の問題等について話がありました。それらを含めて事の起こる基本的
問題点
というのは
原子力委員会
が真剣に
原子力政策
あるいはまた
開発
体制のあり方というものについてはっきりした一定の路線というものを差し示す、そういう
使命感
、むしろ
原子力委員会
にそういう
使命感
が欠けているものがあったのじゃないかというふうにわれわれは思う。そういう点での
努力
が足りないで、いたずらにこれを
労使
間に問題の転嫁をするということは、これは間違いだろうと思うのです。 この報告の中に、「今後ますます
学界
、
産業界
と一体となって
研究開発
を行なう必要がある
プロジェクト
と取り組まねばならず、」こういうふうに書いてありますが、たとえば三十六
年度
に決定したあの
原子力開発利用
の
長期計画
をひとつ見ましても、
原子力委員会
が差し示したその
方向
に
一つ
の誤りがあったのじゃないだろうか。あるいはまた、それを設定するにあたって非常に薄弱な根拠によってつくられたのじゃないかということを、あの半均質炉の
プロジェクト
について言うことができるのじゃないか、私
ども
はこう思う。こういう点について、
原子力委員会
としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
兼重寛九郎
14
○
兼重説明員
私
ども
も
長期計画
が非常に完全であるということは、それは強く申したならばよくないことだと思いますけれ
ども
、あの
長期計画
をつくりますときには、
日本
の
関係
方面の
意見
も十分聞きましてつくったものであります。その
意見
の中には
原研
自体の御
意見
も入っておりまして、そういうことに関する限りは根拠は薄弱ではないと考えております。 いま半均質炉の例が御
質問
に出ましたので、実はこれは私申し上げたくないのでございますけれ
ども
、半均質炉の
開発
が非常に有望であって、これは
日本
の独創的な考えであるということを聞きましたのは、
原研
から聞いたのでございます。そこで、それを奨励し、その
開発
を進めることが非常にいいというふうに判断いたしまして、これを
プロジェクト
にして進めることに計画を立てたのであります。ところが、その後、不幸にいたしまして、その
研究開発
は予期どおりに進まないために、
原研
におきましてその
開発
を中止するというふうになりましたために、いまこれは
プロジェクト
から消えております。
原研
に何らそれを開始する気持ちがなかったものをその計画に入れて、これの
開発
を進めさせ、その後
原研
がこれを熱心に進めつつあるのを予算的に切って
プロジェクト
からはずした、そういうふうなことではなかったのでございますが、そういうふうにいろいろ
事情
がありますことはあまり表に出すことは適当でないと考えまして、この中にはそういうふうなことは書いていないわけでございます。 しかし、すべてのことがみんなその例のようであるというわけではございません。もちろん
原子力委員会
の示したことにも十分趣旨の
徹底
しないこともあるかとは思いますけれ
ども
、これはそのときそのときに両者の間の協議を進めながらだんだん計画を実現していくということは、いつの場合にも行なわれることであり、また必要なことであろうと考えております。
石野久男
15
○
石野
小
委員
私は、この半均質炉の問題について、それが
プロジェクト
として設定されあるいは廃止されるという間の経緯についての
原子力委員会
と
原子力研究所
との
関係等
、それはいろいろあろうと思う。しかし、こういう問題の本質は、やはり
原子力委員会
の、
責任
に帰するというふうに私はむしろ思っているくらいです。そういう点は、はっきりと
委員会
自身が自覚しなければいけないのではないか、こういうふうに私は思います。 ことに、今日ここに出されておる問題の提起のしかたは、ほとんど
原子力研究所
並びに
原子力研究所
の労働
組合
の側に問題の所在点が多いような書き方が、すべての面でなされておるようです。私はそういうことよりも、むしろ
原子力委員会
自身がもっともっと
日本
の
原子力政策
あるいは
開発
政策に対する
責任
感を反省すべきではないかというふうにさえ思う。 特に、先般もわれわれの同僚である
委員
から
原子力委員会
に対する
質問
もあったと思いまするが、
原子力委員会
の
委員
の中には、その
委員
の重責を無視して、非常に長期にわたって海外旅行をしている方が二名もおるということを聞いておるわけです。こういう非常に多事多難な
原子力
問題の提起されているときに、こういうことでは、とても
原子力委員会
自身の責務を
遂行
することもできないのではないかというふうにさえ私は思うので、こういう点についてもやはり
委員会
自身の自覚がもう少しあってほしいものだ、こういうふうに私は思うのだが、どういうふうにお考えになりますか。
兼重寛九郎
16
○
兼重説明員
長期にわたって出張しました二人の中の一人は私自身でございます。私は、昨年の暮れに急に話が出まして、国連の経済社会
理事
会に新たにできました科学
技術
を
開発
のために
利用
することについての諮問
委員会
の専門
委員
として任命されるという問題が起こりまして、これはそれを受けるべきかどうかということを佐藤
委員長
とも御相談いたしまして、受けることにいたしたのでありますが、その第一回の会合が去る二月二十五日から三月六日まで開かれるということは、当時からきまっておったことでございます。十八人の
委員
は全部出席いたしましたので、もし私が向こうに参りません場合は、
日本
から選ばれた——私は
日本
を代表しているわけではございませんが、——
日本
から選ばれた私だけが欠席しなければならなかったという事態になったと思います。幸い私はそこに出ますときに、実は私がこの問題について、あるいはそれに
関連
したことについて果たさなければならなかった問題は一応片づけることができまして、二週間余りの留守中進行するという見通しも立つような状況でございましたので、隣においでになります佐藤
委員長
の御了解を得て出張させていただいたわけでございます。しかし、そういうことが望ましかったことかそうでなかったことかという御
質問
であれば、私も自分から進んで行ったわけではございません。 そういう
意味
で、反省は決してないわけではございませんけれ
ども
、ここに出ております問題は、現在の
原研
の事態というものに
重点
を置きますためにそういう書き方をしておるわけでございます。全然反省の色がないというおしかりを受けますことは、この書類の書き方からそういう印象を与えたかとも思いますけれ
ども
、昨年の秋ごろからいろいろな問題について終始検討を続けてきておることは申し上げることができます。
石野久男
17
○
石野
小
委員
この
報告書
を通じて述べられていることは、ほとんど
原研
の
理事者
並びに労働者の側にその
使命感
が欠除しているというようなことが貫かれて書かれているわけです。そういう問題を
原子力委員会
が書くことはおこがましいことだと私は思っている。そういう書き方をするのだったら、
原子力委員会
それ自体がこの
原研
そのものの本質、それから本来の
使命感
というものについてあれこれ明確な
指示
を与えないで、いろいろな茶々を入れるというようなやり方はむしろやめて、もっと
原研
を本来の
使命感
に立たせるような場をつくるべきじゃないだろうかと思う。 そういう
立場
から、たとえばこの二四ページのところに述べられております「予算、
人員
等は、
業務
の
進捗度
のいかんにかかわらず、
年度
当初割り当てられた枠に固定し、その結果、
運営
が
弾力性
のないものになっている」というようなこの書き方ですね。この書き方についても、たとえば
原研
の
内部
的に、三十九
年度
に計画された
事業
の
遂行
には大体二百五十人の
人員
を必要とするということを要求しておる。それに対して、百五十人に上からさっと削減してきているわけです。そういう結果として、主としてそれが運転要員というような形にしぼってきておりますから、
原研
本来の
使命
、
研究
部員というような形で仕事をすることができないような状態になってきているのじゃないだろうか。
原研
が当面している国産
動力炉
だとか、あるいは
材料試験炉
、あるいはそれらの建設のためには、非常に
研究
部員をさかなければならないような状態がずいぶん出てきているわけですね。こういうことになりますると、
原研
の自主性といいますか、主体性というものをもうその時点で完全に阻害されてしまうような結果になってきている。そういうようなやり方を
原子力委員会
が何らかの形でセーブするということをしないで、むしろそれを押しつけていくというような形になってくれば、これは
原研
当局にしても、あるいは
労働者側
にしても、文句を言うのは当然のことだと思うのですよ。私は、もう少し
原研
の自主性について、そういう時点でのものの考え方を明確にしてもらわないといけないと思うのだが、そういう点では
委員会
はどういうふうに考えておりますか。
兼重寛九郎
18
○
兼重説明員
この二四ページに書かれておりますことは、いまのこととは違ったものであるというふうに私は了解しております。このことは
年度
当初に
原研
の中で、たとえば今度の三十九
年度
に百五十人に
人員
がふえることになると思いますが、その百五十人も含めていままでの人もいれ、いろいろな新しい仕事を考えて配置をする。そのときに
年度
の途中でいろいろ新しい問題が起こり、あるいは事態が出て、それの変更をするというようなときに、これは
原研
の中でやれることがわりあいに
最初
のワクに固定されておって、
運営
が
弾力性
のないものになっていく、こういう
意味
のことを申しておるわけであります。 そこで、初めの問題に戻りますが、要求二百五十人に対して認められた
人員
が一百五十人、そういうふうにひどく削減を受けますことはもちろん好ましいことではございません。けれ
ども
、
わが国
での予算要求あるいは
人員
要求に対して、それの査定を受けます例は、
原研
だけがそういうのではありません。
原研
はその割合からいえば、ほかの場合に比べてむしろ割合は大きいのでございます。したがって、どうしてもそれで仕事がやっていけないという場合には、
人員
がふやしてもらえないときには仕事を引き受けることをやめるよりしょうがないかと思うのでありますが、そういうときに仕事をやめる、あるいは
人員
をどうするというときの最後の判断の
責任
者は、
原研
の場合でありますと
理事長
でありますので、
理事長
がどちらか判断をされる。それを
原子力委員会
が、仕事はこれだけやりなさい、
人員
はこれだけしか出せないということを押しつけるというようなことは、やるべき
立場
でもありませんし、いままでやっておりません。したがって、その二百五十人に対して百五十人しか認められなかったという不満が当然あることは私
ども
もよく了解できることでございますけれ
ども
、不満は不満ながらもそれで承知をした上は、その範囲内でやることを考究するのがその担当の者の任務である、こういうふうに考えております。
石野久男
19
○
石野
小
委員
研究所
の自主性の問題が、われわれの見方では、
原子力委員会
からの計画や
運営
に対するところの細部にわたる干渉のために多分に阻害されておるという見方をいままでしてきたのです。そういう点を配慮されないと、たとえばここに
意見
として「
意思統一
の決定を行なう
組織
が十分に活用されていないため、下部の
意見
が
組織
的、制度的に上部に伝達され難い
うらみ
がある」というように書かれておるけれ
ども
、実はそうではなくて、
原研
内においては全く計画されていないようなものを
委員会
のほうから差し向ける。そのために下部からの上部に対するいろいろな
意見
の出方とか、あるいはまたそれに対して取り組む体制が十分になされないというような結果が出てきていることが間々あると思うのです。たとえばJRR4プール型の
原子炉
なんかについては、
研究所
内では全く計画も何もされていなかったようなものを
原子力局
が押しつけてきているわけです。こういうようなことのために、かえって
協力
体側とか、あるいはそれをスムーズに運ばすという問題ができなかった。結局そういうような問題はホットラボの創設なんかにもあると思うのです。こういうものは、もう少し
原研
の主体性を考えてやるという姿勢がないと、依然として残るだろうと思うのです。そういう問題についてはどうお考えになりますか。
兼重寛九郎
20
○
兼重説明員
これまでの歴史でそういうふうな押しつけが
一つ
もなかったとは私も申し得ないと思います。私の知っております範囲で、
放射線化学
の現在高崎
研究所
というものになっておりますものは、これは、
原研
が発意されたものではありませんし、またこれを
原研
の中に引き取ることについて、おそらく
理事長
もかなり終わりの
段階
まであまり希望されてはいなかったと思います。しかし、いろいろ協議の結果、
原研
の中に置くことがやはり適当であるということになって、現在の高崎
研究所
ができたのでございます。 これに類した例はもう
一つ
ございまして、
アイソトープ
・センターというものがございますが、
原研
の中に
アイソトープ
を生産する部門ができてきたわけでございます。これは
事業
的な性格の強いものでありますので、
研究
をしております部門とはかなり性格が違うので、これを同じ
特殊法人日本原子力研究所
の中に置くにしても、これは
東海研究所
とは別の
組織
にして
運営
するほうが適当であろうということから、
アイソトープ
・センターというものをつくることもこれは
原研
から出た案ではございません。多少は押しつけということばがあるいは当たるかもわかりません。 ただいま御指摘になりました四号炉のできますころは、私はすでに
原子力委員会
に
関係
はしておりましたが、その辺の
事情
は私は非常によく知っておるというわけではございませんので、何でしたらその辺の
事情
は
原子力局
長が存じておるかもしれませんから、お許しがあればそちらから
説明
をさせることにいたしたいと思います。
田中武夫
21
○
田中
(武)小
委員
いまの
石野
委員
の
質問
に
関連
してお伺いいたします。 大臣御承知のように、当
委員会
では先日来
原子力研究所
の
労使
問題、これについていろいろと参考人を呼んだり、あるいはいま問題として
質問
いたしておりますように、
原子力委員会
からその報告といいますか、新聞では白書というような名前で出ておりましたが、それを出してもらってやっておるわけです。
労使
の問題は、
労使双方
に自主性がなければ十分な当事者間においての
解決
はできないと私は思う。
労使
の問題につきましては、一番いいことは、当事者間において十分話し合って
解決
する、これが一番いいことです。 ところが、一方におきまして、自主性がないというところに問題が
解決
しにくかったり、こじれるということがあるわけです。いま
石野
委員
からも
質問
が続けられておりますが、一体
原子力研究所
というものの
運営
に対して一番
責任
を持っておるのはだれか、こういうことになりますと、
原子力研究所
法を見ますと、主体といたしましてはまず内閣総理大臣だ。それがそれそれのところで大蔵大臣との協議とか、あるいは、
原子力委員会
の議を経てとかいうことになります。 少なくとも
原子力研究所
法を見る限り、
原子力委員会
が
原子力研究所
へ法律的に関与できるのは二点だけなんです。その一点は、役員、顧問の任命または解任、これは総理大臣がやるときに
原子力委員会
の議を経てということになっております。もう
一つ
は、
業務
に関する
基本方針
、これがやはり
原子力委員会
の議を経て、こういうことになっておるわけです。 そこで、先ほど来論議が続けられておりますが、
原子力研究
川に対して直接の
責任
者といいますか、
監督
者といいますか、
管理者
というのは、一体だれなのか。
科学技術庁
設置法の第九条の
原子力局
の
事務
と、
原子力
委会設置法の第二条の所掌
事務
、これがほとんど同じような条文があがっているわけなんです。そうすると、ほんとうにそういうことに対して、まず第一線として、
原子力研究
川に対して臨むのは、
原子力委員会
なのか、
科学技術庁
の
原子力局
となりますのか。どっちなのですか。
佐藤榮作
22
○佐藤国務大臣 過日来当
委員会
がこの
原研
の
労使
問題についてたいへん建設的な御検討をいただいておること、たいへんありがたく思っております。私は、本米
労使関係
の問題こそ、それは
研究
以前の問題だ。したがって、正常なる
労使関係
を打ち立てない限り、
研究
はなかなか円滑にいかない。しかも、私自身がただいま
科学技術庁長
官として
責任
を持っておりますが、そういう
意味
から、この
労使
問題に官庁側がタッチすること、これはよろしくないことだ。
労使双方
において正常なる検討を加えていただきたい、こういうことで、ただいままですっと見てきたのです。
労使
の問題は
労使双方
が取りきめることが一番よろしい。おそらく他の何ものの干渉もいれない、そういうことが本来の筋ではなかろうか、かように思います。 そういう
意味
から、私
ども
、はたでずいぶんいらいらしながらも今日まで過ごしてきた。 ただいまお話が出ております
原子力委員会
の
責任
なのか、あるいは
科学技術庁
の
責任
なのか、こういうことなんですが、直接の
責任
は、ただいま申し上げるように
労使双方
できめることです。しかし、こういう問題については、
科学技術庁
の
原子力
のほうは多分に関心を持っておる、こりいうことは言えるだろうと思います。 それから、先ほど来いろいろ議論が出ております。その議論を通じまして私の所見を申しますならば、本来
労使関係
のことは、ただいま申すように、基本的に
労使双方
できめるんだ、これでよろしい。ただ、
原子力研究所
には特別な
使命
があるんだから、その
意味
において
研究
は自由でなければならない。
研究
の自由を
確保
する、こういうことでございます。この点について、いわゆる
原子力委員会
、これが
研究
の大
方針
はきめるだろう。通常のこまかな
研究
の管外——そういうことはが適当かとりかわかりませんが、——
研究
の管理については、
原子力研究所
の
理事長
がその
責任
を持ってやるだろう。したがって、こまかな点にまで
原子力委員会
がとやかく言うことはいかがかと思う。しかし、大きな問題については、
原子力研究所
と
原子力委員会
においては十分連絡をとりまして、そうしてその実情に合ったような
措置
をとる。それから先は、
研究
の題目は
原子力研究所
でやる。そうしてまた、
研究
も分けてみると、
基礎研究
もあるし、また
開発
研究
もある、そういう
意味
のそれぞれの
研究
テーマが与えられてしかるべきではないか。かように私、大まかに申しまして考えております。
田中武夫
23
○
田中
(武)小
委員
まあ、大まかにいえばそういうことでしょうが、実際そのものさしを具体的なところに持っていくと、どこがやるのかわからないことになる。私は、
原子力研究所
の
運営
といいますか、そういうことは、
原子力
基本法のいわゆる三原則ですか、これにのっとって、その中に民主性だとか、平和性だとかいうことがありますが、その民主的
運営
の上に立って、
政府
自体が
監督
命令をするよりか行政
委員会
としての独立した——もちろん大臣が
委員長
を兼ねられるわけですが、役所というものではなくて、いわゆる
政府
という考えてはなくて——独立した行政
委員会
である
原子力委員会
が、まず当面当たる。このことが
原子力
基本法にいう民主的
運営
だということで、こういうかっこうになったのではなかろうかと思うわけです。 ところが、
原子力研究所
法を見ますと、これはもうありふれた
特殊法人
の型に入れた立法の形式になっております。もちろん
特殊法人
でございますので、やはり
政府
、この場合には内閣総理大臣あるいは大蔵大臣あるいは経済企画庁長官、こういうところから
監督
なり管理をするということは、
特殊法人
の性質上当然だと思います。しかしまた、
原子力研究所
という特別な制度、特別な任務からいって、他のいわゆる
一般
の何々公庫とか、何々公団とかいうのと違っておると思う。ところが、この
原子力研究所
法を見ると、定まった
一つ
のタイプに型に入っておるわけです。私はここに
一つ
の問題があるのではないかと思うのです。公社、公団と同じようなタイプのものがきめてある。すなわち
原子力
基本法によって、民主制を強調するために
原子力委員会
という行政
委員会
ができた。それに当たらすということが民主的な、いわゆる
政府
から一応独立したやり方でやるのだというこの上に立つならば、金融公庫だとか何々公団とは違ったタイプを持ってくる必要があると思う。そこに私は問題があると思う。 そこでいまこれを一々言ってもどうかと思いますが、ひとつ実力大臣の
時代
に、この
原子力研究所
を一ぺん他のものと同じようなタイプ、こういうものでないようにやってもらわないといかぬと思うのであります。たとえば、これはほとんど同じようなかっこうですが、
特殊法人
につきましては役員の退職金あるいは
職員
の
給与
、そういうことについては、本文で主管大臣あるいは総理大臣の許可を得る、こうなっておるのと、定款によって、そうして定款変更がそれぞれの主務大臣、主管大臣あるいは総理大臣に許可を得る、こういうことになっておる。この場合は定款三十六条によって退職金、
給与
の基準をきめるとなっておる。それは
研究所
法の第六条二項で総理大臣の認可を得る。もちろん
特殊法人
ですから、かってに退職金をきめたり、どんどんかってな
給与
をきめられても困ると思います。しかし、そういう条文があり、それにのっとらないと具体的な
労働条件
もきめられないというところにいろいろ問題が出てくるのではないか。直ちにこの条文を廃止しろとは申しません。しかし、そういったような、いま申しましたように他の
一般
的な
特殊法人
と違った任務を持つ
原研
でございますから、もう百年一日のように
一つ
の型に入れたような法制局の型で立法するということは改めて、何か特別な方法で、やっていく。そうしてその当局者に、省側に相当な自主性を持たせない限り、私は
労使
の
紛争
は十分に
解決
しないと思います。そういう点について、大臣どうお考えでしょうか。
佐藤榮作
24
○佐藤国務大臣
原子力委員会
、これはいわゆる行政
委員会
ではございません。これは行政
組織
法第八条にはっきり明記してあるところでございます。したがって、ただいま御指摘になるような問題は、内閣総理大臣、それから委任を受けておる
科学技術庁
でやることになっております。 ただ、私はこの際に申し上げたいのです。これは
田中
さんや社会党の方ですから、よく
労使
の問題は御承知なんで、私がとやかく言うことはないように思いますが、本来労働問題と
研究
の問題とを少しごっちゃにしていることがありはしないか。
研究
の自由というか、これについては私
ども
尊重します。しかし、
労使
問題ならばそれはまた別な考え方がある。したがって、その
研究
の範囲にいたしましても、これはやはり
管理者
において
責任
をもって
研究
をしていく、こういうものでなければならない。人事におきましても、やはり
研究所
であるというその特殊性から、年功序列であっては困る、こういうような
主張
もある。ただいまの退職金その他について特別の考慮をしろと言われることは、あるいはいままで扱っていた年功序列の
給与制度
についてもメスを入れろ、こういうことのようにも聞けました。しかし、現在の
労使
の
関係
はそう簡単なものでもございませんから、一がいにはいかないと思います。非常にはっきりした
研究者
の才能というものは生かしていかなければならぬ、かように思いますが、そこらに
研究所
としての特殊性をどの程度生かし得るか、これを考えていかなければならぬ、かように思います。やはり先ほど来申し上げておりますように、
労使
の問題、
労働関係
は
研究
以前の問題だ、この点に特に注意を喚起いたしたい、かように思いますので、
研究
と、
研究
に名をかりての
労使関係
の特殊性、これを
主張
する場合、この点はなかなかむずかしい議論になるのじゃないだろうか、かように思っております。私はそう理屈一点ばりでとやかくの議論をするつもりはございませんが、とかくそれを一緒にしていろいろな要求が出ているように見受けますので、この点ははっきり区別すべきではないか、かように私は思っております。
田中武夫
25
○
田中
(武)小
委員
これはちょっと私の失敗だったと思うが、それでは
原子力委員会
は行政
組織
法の八条の設置ですか。
島村武久
26
○島村
政府
委員
これは
原子力委員会
設置法ができました当時非常に問題になりましたことでございますので、議論が戦わされた問題でございますが、
政府
といたしましては行政
組織
法第八条に基づく機関の
一つ
として
原子力委員会
設置法を提案いたしまして、御承認をいただいたわけでございます。 ただし、立論の過程におきまして、法律上は行政
組織
法第八条にによるものではあるけれ
ども
、諸
外国
がみな
原子力委員会
というものをいわゆる行政
委員会
的に
運営
しております実情もございますし、また行政
委員会
でやるべしという
意見
も非常に強うございました。したがいまして、第八条の機関ではあるけれ
ども
、できるだけ第三条の機関に近いような
運営
をすることが望ましいということで、特にそれまでの法律にはございませんでした、その決定を内閣総理大臣が尊重するというような条文も入れてできておるわけでございます。 しかし、そういう
事情
はございますけれ
ども
、法律的に申しますならばこれは第八条に基づく機関ということになっております。
田中武夫
27
○
田中
(武)小
委員
原子力委員会
の性格の問題はいま当面して議題になっておりませんので、これはこれ以上言いません。どうも八条によるということは、名称等も違うし、何々審議会、諮問に答えるのが八条で、独立にやれるのが、三条ですよ。 そういうような点について、
原子力委員会
の性格、これが
原子力
基本法との
関係
においてどうあるべきかということ、そういうようなことについては後刻また論議することにいたしまして、私は
関連
質問
であるので終わりたいと思いますが、結局大臣、
労使
の問題は
双方
に自主性がなければどんなに
努力
しても
解決
はしないわけなんです。そこで、
特殊法人
という特別な
立場
、地位はあるといたしましても、こういう特殊なものでありますから、相当に自主性を持たしていくということを考えていただかない限りは円満な
解決
はできないと思うので、こまかい点についての
質問
はいたしませんが、基本的な態度として大臣に要望いたしておきます。
石野久男
28
○
石野
小
委員
いま
田中
委員
から大臣に要望したのだけれ
ども
、私は要望だけでなしに、やはり大臣の
意見
を聞いておきたい。 この
研究所
の場合の自主性という問題は、
労使関係
の問題で非常に大事な問題だと私は思っております。
長期計画
を
原子力委員会
がつくって、それを具体的に
研究所
に実施させる、そういう形の中で計画の押しつけというか、
長期計画
は
委員会
の仕事ですが、それで進められておって途中で変更されたり、何か計画の押しつけが
研究所
の実施過税の中で出てまいりますと、混乱を生じてきます。その混乱の中から、大臣がよく言われる
労使関係
は
研究
の自由のその前の
段階
の問題だ、こういうにもかかわらず、この作業過程の中なりあるいは勤務過程の中で出てくる混乱が
労使関係
の問題へ波及し、混乱を生ずるというこの因果
関係
があるというのは、聡明な大臣はわかっておると思う。幾ら
研究
は自由で
労使関係
はそれ以前の問題だといっても、これを切り離して考えるというそういう非科学的なことは考えられないと思います。これは一体の問題だと思います。 そういう
意味
で、私は
研究所
における自主性の問題を先ほど来言っておるわけなんですから、そういう
研究所
の自主性の問題について大臣はどのようにお考えになっておるか、いま明確に御答弁をいただきたいと思います。
佐藤榮作
29
○佐藤国務大臣 これは
石野
さんもよく御存じのことだと思いますが、私はただいま
研究
の自由、こういうことを口にはしておりますが、
研究
の自由というものが完全な自由があるか、これには
一つ
の疑問を持ちます。おそらく
原子力委員会
が
研究
題目、テーマを与えたその範囲においての
研究
の自由だ、かように私は考えるのでございまして、
研究員
みずからが好んで何でもやれる、こういうものでもないだろう。ただ、
基礎研究
につきましてはよほど自由な
研究
というものに私
ども
も敬意を表してまいります。しかし、
開発
計画その他になれば、これは
研究
テーマがちゃんとありまして、それでやっていくものだ、かように考えております。 したがって、ただいまのような押しつけた
研究
テーマ、こういう問題が議論になりますが、その場合におきましても、
原子力委員会
が必ず
原子力研究所
と十分連絡をとりまして、そしてその新しい
研究
題目というものについての相談をするだろう、もしそれに遺憾の点があれば、将来は一そう気をつけて緊密な方法をとっていくだろう、これはもう当然のことのように思います。したがって、ただいまのお話の点は
原子力委員会
と
原子力研究所
との間には議論の余地はほとんどないものではないかと私は思います。 ただ、いま問題になっております。また皆さん方が非常に関心を持っておられます
労使
の問題、これは
労使双方
が自主性がなければならないという
田中
さんのお話でございますが、ただいまのところ、よほど
労使関係
は新しい近代的な
組織
関係
といいますか、そういうほうに移りつつある。ILOの条約につきましてもよほど進歩的な考え方をわれわれも持っておる。そういう
時代
でありますだけに、いかにも今日までの
原研
における
労使双方
の問題は遺憾な点が非常に多い。これはぜひとも何とかして、こういう機会に
労使双方
が真剣にこの問題を取り上げられて、そして
一般
的な話し合いが進み得るようにぜひしたいものだ、このことについての
責任
がどこにあるかとか、あるいはだれがどうしたとかいうことよりも、将来の建設の
方向
へ向かっていくことが最も望ましいのじゃないだろうか。それでこそ初めて
研究者
も安心して
研究
ができ、また
原子力委員会
も安心してそのテーマが出せる、そういう状態に一日も早くすることだ。これも多額の税、
国民
からの
資金
によってこれができておるのですから、そういうことを考えますと、ほんとうに真剣に考えていただきたいものだ、これは
労使双方
に私が強くお願いする次第です。以上です。
中曽根康弘
30
○
中曽根
小
委員長
石野
さん、ほかの
質問
者がありますから、そろそろ締めくくりをお願いいたします。それとも、自民党の方に先にやっていただいて……。
石野久男
31
○
石野
小
委員
答弁が長いのです。私の
質問
は非常に短くやっているわけですから、その点は
委員長
のほうからも注意していただきたい。なるべく
委員長
の意図をくんでやるようにいたします。 大臣から、自主性の問題について、わかったようなわからないような話がありました。実をいうと、私はやはりこの
労使
間の問題の
紛争
を長引かせている、原因の一番大きいのは、
労使双方
の間に、特に現場における
理事者側
の自主的な
解決
の
能力
が欠除しているところにあると思うのです。欠除ということは、それ自体
理事者側
の欠除ではなくて、むしろ上からの押しつけなり干渉があってそれが自由にできないということのためにきているんじゃないだろうか、そういうように理解される。もしそういう点がないならば、あるいは現場におけるところの
理事者
に対してそういう
能力
を明確に与えておられるならば、この際ひとつ大臣からはっきりそのことを言っておいていただきたい。これからあと
理事者
になる方々がそういう
立場
に立たれたとき、いつも上からのいろいろな干渉によって自分の考え方で話し合いができないようなことになれば、これは何ぼどんな白書が出ても私は同じことだと思うのです。この点については、
理事者側
に対して明確な自主性を与えておるかどうか、はっきり御答弁していただきたい。
佐藤榮作
32
○佐藤国務大臣 これは先ほど来たびたび私答えておりますように、一切のものが干渉しない、もちろん自主的に
責任
をもって
理事者
がその衝に当たるものだ、かように思っております。一切干渉させません。
石野久男
33
○
石野
小
委員
そのことばは信じます。 白書では、この
原研
の
給与
の問題については、
特殊法人
として非常に他の
公務員
よりも優位にあるし、そしてまたそれは現在そのとおりに
優位性
は保持されている、こういうように書いておるのです。これはことばの問題で、書くことは非常に簡単に書けるんだけれ
ども
、こういう
問題点
は具体的にどういうようになっておるかということをはっきりさせないと、問題の
紛争
点は
解決
しないだろうと思うので、=黄お聞きしますが、ことしの定期昇給の原資は、本給に対して大体どのくらいつけておりますか。
島村武久
34
○島村
政府
委員
三十九
年度
三・八%見込んでおります。
石野久男
35
○
石野
小
委員
これはいまの
一般
の
民間
産業なんかを見ましても、およそ六%程度のものを与えなければ大体昇給の問題の
解決
は十分にいかないですよ。だから、三・八%という問題で人事考課をやるということになれば、どういう結果が出てくるか、この結果はもうはっきりしていると思うのです。他の産業や何かから比較しても、当然減額だけが効果になってくるのですよ。だから、
優位性
などというものは全然出てこない。むしろ
士気
の高揚とかなんとかいう問題は、こういう
給与
問題や定期昇給の問題等の中に含まれる原資の不足ということからくるのであるというふうにわれわれは見なくちゃいけないし、また現場でも、
労働者側
は他の春闘なんかの見合い等を考えましても、物価高なんかの問題を考えてみても、それだけのもので査定をされ、それで甲乙がつけられていくということになると、これはとてもじゃないが、問題の
解決
にならないと思いますが、大臣どういうふうに思いますか。
佐藤榮作
36
○佐藤国務大臣 これは各公社、公団あるいは
公務員
その他の均衡の問題がございますので、予算の査定はそういうことでございます。 ただ、いまのお話でございますが、
最初
できましたときは、これは確かに
一般
よりもよかったように思います。しかし、その後の推移、経過によりましては、それがだんだんならされる
方向
に行っているのじゃないだろうか、かように思っております。 また、いろいろ
給与
の支払い方法等につきましても、これは
理事者
の
責任
においてやったことでございましょうが、ややルーズであったような気もいたします。したがって、これらの原資が十分
目的
を達するように使われていない。ただいま監査すればそういう結果にもなるのではないだろうか、かように私は率直に過去の問題を見てお答えをしております。
石野久男
37
○
石野
小
委員
この
研究所
員の
給与
の問題というのは、特に
特殊法人
として設定されるその時点から非常に問題だったと思うのです。
人材
をここに集めるという
意味
でも
給与
の問題は非常に大事だった。今後の
原研
のあり方というものについての構想とも当然
関連
してくるわけなんです。 この
給与
の問題は、
一般
の
民間
原子力
産業部門と
研究所
におけるところの
研究員
の
関係等
をどういうふうに
関係
づけるか。
原子力研究所
におけるところの
研究員
の
給与
関係
を
一般
民間
産業における
原子力
部門のものと同一視するという形の考え方も出てくるだろうし、あるいは
原研
なら
原研
の
一つ
の
研究所
としての特殊な
使命
をそこで維持し、
発展
し、
開発
していくということを考えていきます場合には、おのずからやはり
給与
の体制の中でもそれだけの配慮がありませんと、所期の
目的
が達成されないだろうと思うのです。私は
給与
問題に
関連
して、これからあとの
研究所
のあり方ですね、この白書には
使命感
だとかなんとか、ずいぶんむずかしいことばが使われておるわけなんですから、そういう点について大臣は
委員長
としてどういうふうにお考えになっておるか、この際はっきりお聞かせいただきたい。
佐藤榮作
38
○佐藤国務大臣 あまりはっきり答えられぬかわかりませんが、
研究所
の
研究者
の
給与
、こういう問題につきまして、アメリカ式だとか、またその他の仕組みがございます。ほんとうに
研究
の成果をあげるためには、もう少し思い切った
研究
費の
一つ
の構想を立てるべきじゃないだろうか、そういうことも実は
研究
の課目にいたしております。しかし、これはすぐ簡単に右から左にできることじゃないように思います。 アメリカなどは、りっぱな科学者を二年なら二年、あるいは三年なら三年、そういう期間で幾ら幾らだ、こういう報酬をきめて、その方に
研究
に没頭してもらう。そしてその
研究
の成果を
研究所
が取り上げる。こういう方法をとっておるところもあるようです。こういう事柄も必要なように思います。 ただいままでの
日本
の
研究所
、
原研
について申しますならば、今日問題になっておりますが、ちょうど八年たって、ある程度
整備
もできた。これから本格的にいわゆる
研究
テーマに取り組むべき
段階
に来ているのじゃないだろうか。また
研究者
もさような意気込みを持っております。また、この白書にはいろいろなことが書いてございますが、
研究者
の全部が全部とは申しませんが、おそらく
研究者
の中には非常な
使命感
に徹した方もある。そういうことを、これらの方々の
使命
を達し得るような環境を
整備
することが私
ども
の仕事だろうと思います。その中にはいわゆる
給与
の問題ももちろんある、かように考えております。しかし、
給与
の問題になりますと、大蔵省の発行がなかなか強うございます。そう理論だけでは
解決
はいたしません。したがってまた、この白書の中に書いてありますように、年功序列式ではいかぬ、こういう書き方をいたしておりますが、これも現在の
原研
に直ちに適用できることかどうか、もう少しよく具体的に考えてみないと、これはやや無理があるのじゃないだろうか、かようにも思います。 しかし、
一般
的に申しまして、科学者、
技術者
を優遇しなくて科学
技術
の振興のないということ、これは
一般
に通用する
基礎
的な理念のように考えます。そういう
意味
におきまして、大蔵省等がその他の機関との
関連
においても十分均衡とるように
努力
はされますが、一そう突き進んでの
科学技術者
の優遇、そういう方面に私自身が
努力
すべきじゃないだろうか。しかし、これはただいま申しましても、
努力
するのでございますので、いついつから
給与
がどうなる、ここまで申し上げるわけにはいかぬ。その点は
石野
さんなり
田中
さんなりも御了承いただけるだろう。私は、科学者、
技術者
の優遇なしに科学
技術
の振興はないという、これもまた私の持論の
一つ
でございますので、そういう
意味
においての
努力
をいたしたい、かように考えております。
石野久男
39
○
石野
小
委員
科学技術者
の
給与
については優遇するように
努力
するという御
意見
、非常によくわかりました。 もう
一つ
、この際聞いておきたいと思いますことは、
原子力研究所
の者と、それから最近の各
民間
産業における
原子力
産業部門で同じような仕事をしている者との
給与
の
関係
がございます。私
ども
の見ているところでは、
特殊法人
として特に
開発
の部門に携わっている
原子力研究所
の
職員
の諸君は、いろいろ地理的な不便や何かを忍んでみなあそこへ行っている。私は現実にあの地に住んでいるものでございますから、東京とかあるいはそれぞれの文化的なところへお住まいになっている方に対して、その方々があそこへ来ていただくことを思ってみますと、ずいぶん不便をしのんでもらっていると思う。これはただ御本人だけでなしに、奥さん方や子供さんの教育の問題にもみんな
影響
してきます。 そういうような
意味
から言いましても、この
特殊法人
としての
原子力研究所
を
設立
するときの論議のなにをよく思い出すのでございます。が、そういう
意味
で、私は
原子力研究所
におる科学者、
技術者
の
給与
というものは、
一般
の
民間
の医業で同じような仕事をしている者とどういう
関係
にあるかというと、これはやはり
原子力委員会
なり、あるいは担当の佐藤大臣あたりが明確にしておきませんと、いつも俸給で当事者間の交渉の中で、
理事者
の側でもずいぶん混乱する問題が出てくるのじゃないだろうか、こういうように思うのです。そこで、私は大臣にそういう問題についてどういうようなお考えをお持ちになっておられるか、この際お聞きしておきたいと思います。
佐藤榮作
40
○佐藤国務大臣 御承知のように、
原子力
、これは戦後に始まった
技術
でございます。そういう
意味
で、当初におきましては
原子力
関係
の者が非常に
技術者
が得にくい、科学者が得にくい、こういう
立場
からずいぶん優遇もされ、そういう
意味
の要望も達せられたように思います。 しかし、今日、
わが国
においても
原子力
の
技術者
はよほどふえてまいっております。そうすると、その
優位性
というものがいつまで維持されるかどうか、これも
一つ
の疑問があるだろう、かように思います。 しかし、今日まで概して申せますところは、
政府
機関よりも
民間
のほうが優遇しているのじゃないのか。したがって、
民間
には
政府関係
の機関から優秀な
技術者
がどんどん出ていく、
民間
に出かける、こういう心配があるわけです。これはいわゆる
原子力
グループその他の、そういう
研究所
にもそういう問題がございますし、それから
原子力
発電所もいよいよ来年になれば動き出すと思うのでございますが、そういうところで働いておる
人たち
の
給与
、こういうものとのにらみ合わせ、これは絶えず考えていかないと、優秀なる
技術者
をとめておくことが困難になる、これが私の心配している
一つ
でございます。しかし、この点ではなかなか大蔵省がやかましいのでありまして、御承知のように思うにまかせないというのが実情でございます。私
ども
が一番心配しておりますのは、いま隣にできておる
原子力
発電所、そういうものとの均衡をとるように十分考えていかなければならぬ、かように考えております。
石野久男
41
○
石野
小
委員
時間がありませんから、あまり論議はいたしませんが、労務問題の点について、白書は簡単に、ストライキを安易に行なうというふうに書いておるのだけれ
ども
、この白書では
労働者側
というのはほとんど良識を欠いておるような書き方なんですね。しかし、むしろ書く方の良識を私は疑うのです。 そこで、ストライキを安易に行なうという、その「安易に」ということはどういうことなんですか。ここに書いてありますよ。——大臣でなくていい、書いた人でいいですよ。
兼重寛九郎
42
○
兼重説明員
良識を欠いておると申しますのは、私自分でそう感じましたので……。一例を申し上げますけれ
ども
、昨年の十月の末でございますが、三号炉の運転中に三十分の予告でストライキに入ったことがございます。私は、
組合
はストライキをする権利を持っておりますから、ストライキに入ること自体どうこうというわけじゃございません。
原子炉
は、そういうことをしたらすぐあぶないとは申しませんけれ
ども
、人間の力の及ぶ範囲ではできるだけ慎重に取り扱うべきものだと了解しておるのでございます。また、
組合側
の諸君もふだんからそれを強く
主張
しておられるところであります。 ところが、そのときに、
研究所
全体のストライキではなくして、
原子炉
に、いわゆる部分ストというのでございましょうが、三十分の予告で行なわれた。そのことはやはり、
組合
としても
原子炉
に対するストライキは最後の手段として訴えるときに使うものであって、それを一番先に安易に使うべきものではないというふうに私は確信しておるのであります。それがそうでないということは、やはり良識を欠いておると私は判断するのであります。安易であるかないか、これは人の判断によりますけれ
ども
、回数が非常に多いということはやはり安易にという印象を持たざるを得ないということなんでございます。
石野久男
43
○
石野
小
委員
いま兼重
委員
のお話の安易というのは、たとえば労働法規などでストライキというものを——特に
原研
の場合のストライキの問題なんかについて回数が多いとか、あるいは炉をとめる場合の処置が非常に不見識だ、こういうようなことを言われる根拠は、労働
組合側
がそういうストライキをやるのに全く
原研
の側、
理事者側
に無通告でやったというふうなことの
意味
なんですか。
兼重寛九郎
44
○
兼重説明員
無通告でということではございません。三十分の予告ということもございますけれ
ども
、
原子炉
に部分ストを割合に早い時期にかけるということは、やはり労働
組合
がふだんから
原子炉
について言っておられることから見ましても、そう安易にとるべき手段ではなくて、あらゆる手段を講じてもそれが効果を結ばないからやむを得ずということならば、これは私も了解いたしますけれ
ども
、ストライキのことも
原子炉
の性格からいって、人為的に避けられることは避けたほうがいいということからいいまして、二十四時間の予告は必要であると私も考えております。それは最近
組合側
も了解されて、協定ができたということを聞いて喜んでおるわけであります。
石野久男
45
○
石野
小
委員
大臣は笑っているようですけれ
ども
、これは
組合
の側は十分事前に通告もし、また事故が起きた場合の問題などを考えておるから、保安要員も十分置いてやっておるのであって、これは労働
組合
がストライキをやることについて、特に
原子力委員会
が労務者側の
意見
を一ぺんも聞いたことがないというのですから、聞かないでただ一方的な判断を下すというふうなことは、私は
委員会
も軽率だと思うのです。 先ほど来、
紛争
の中には巻き込まれたくない、当事者で自主的に
解決
すべきだということは、大臣もしばしば言っておられます。そういうことは非常にけっこうなことですが、しかし、問題の判断を下し、あるいは何かの
意見
を述べようとする場合には、やはり
双方
の
意見
は聞いた上で判断を下し、あるいは
意見
を述べるべきだ。そういうことを何もしないで、一方的に労働
組合
が安易なやり方をしているのだからというようなきめ方の中にこそ、
紛争
が長引いていく大きな原因があるのだ。先ほど
田中
君からも言っておることは、こういうことを言っておるのだと私は思うのです。こういう労務問題についての
労使双方
の
紛争
問題のあり方については、
原子力委員会
ももう少し勉強してもらわなければいかぬと思うのです。 これは大臣、首を横に振っておるけれ
ども
、この問題は非常に大事なことなのです。大臣は先ほどから、
研究
の事由の前の問題として
労使
問題があるのだと言っておりました。これは人間
関係
もお互いに入っておるわけです。そうであるだけに、お互いに理路整然とした理屈も必要である。けれ
ども
、それ以前に職場の中には、ふだんのいろいろと清水のようにわき出ている問題がたくさんあるわけだ。そういう問題を全然無視して話を
解決
しようとしても、これはできないだろうと思うのです。 だから、たとえば炉をとめるというようなことについても、そこに行くようないろいろな問題があったと私は思います。しかも、それを全然無通告のままでやっているのではなくて、十二分に通告しているという、
労働者側
のむしろ良識のある態度を買わなければいかぬのではないか、私はそういうふうに思います。この問題については当局、特に
原子力委員会
なりあるいは
原子力局
、
科学技術庁
というような、
監督
する
立場
におる人々が、当事者の
理事者
と
組合側
との話し合いの場に対して上からの干渉や何かをしないで、もっと話し合いを進めさせるようにすると、こういう問題の
解決
はもっとスムーズにいくのではないかと私は思う。こういう
問題点
については、ひとつ大臣も理解をもってもらわなければいかぬと思うのだが、どうですか。
佐藤榮作
46
○佐藤国務大臣 いまの三十分前に通告をしたとか、それはそんなことはございませんとか言われるが、二十四時間前の通告、そういうことがいまようやく協定ができた。その事実をお考えになれば、いかにこの三十分だとか一時間とかいうことで長い間議論してきておったかがよくおわかりだと思います。 それから、ただいま
石野
さんが偶然お話しになったのだが、保安要員も
組合側
で出しておる、こう言われましたが、これは保安要員の供出などについて、
組合側
の
協力
も必要でございますが、これはどこまでも
管理者
が
責任
をもってやるべき事柄だ、こういう点もはっきりしておかないといけないと思います。それでこそ初めて近代的な
組合
活動だ、こう言えるのではないだろうか。 私は、いままでの二十四時間の事前通告というのがあれだけ難航した、それで
原子力委員会
が、安易な気持ちでストライキに入っているのではないだろうか、こういう判断をされたことも何だか理解ができるように思います。なお、そういう点は、十分ひとつ考えていただきたいものだ、かように思います。
久保三郎
47
○
久保
小
委員
関連
して。
一つ
だけ大臣と
原子力委員会
の方にお尋ねします。 この白書というか、
原子力委員会
から出たもの、あるいは
原研
当局者から出たもの、それからこれは非公式であったかと思うのでありますが、
研究者
から出たもの、大体読んでみまして、いろいろ各
委員
からいままでお尋ねがあったことに尽きると思うのでありますが、なお大筋として三つあると思うのです。
一つ
は、いままで問題になっているいわゆる自主性の問題でありますね。特に
管理体制
の自主性、それは先ほど大臣がおっしゃるように、特に
給与
の問題その他は
一つ
の大きな壁があるということです。大臣はそれの
一つ
の試案として考えられた点をさっき発表になりました。それも
一つ
の案でありますが、少なくとも自主性をどう回復するかが私は一番問題だと思うのです。 いま
石野
委員
からの御発言で、安易という文句はどうもおかしいではないかというお話がありました。そのお答えが、三十分というのは安易だというふうにお聞きしたのです。三十分と二十四時間のことで安易というふうにとったのでは、それはかえっておかしい。この白書というか、出したものによれば、この御
意見
は、しょっちゅうストライキをやって困るということに尽きるわけですね。中身の問題については別ですが、そういう表現です。それではなぜストライキが起こるかという背景をつかぬ限りは、三十分がいいのか、二十四時間がいいのか、そんなことは抹消的だと私は思うのです。それはそうです。というのは、運転する
原研
の
職員
が、二十四時間なら安全だが、三十分は危険だということを承知しながらやるはずはないのです。でありますから、極端な言い方でありますが、二十四時間とか三十分の問題ではなくて、あなたが
原子力委員会
で見られたような、その根源をつくところの
管理体制
、いわゆる自主性の回復をひとつどうしても掘り下げなければならぬ。これは大きな問題です。 もう
一つ
は、
士気
の高揚とおっしゃった。いわゆる年功序列の問題についても
研究
された。これも見ようによっては
一つ
かもしれません。しかし、
原研
で
士気
の高揚がはかれないというか、
士気
が低下してている原因は何かというと、将来に対する展望がちっともないということですね。
原子力研究所
の
理事長
と
研究者
が参考人としてこの席に出てまいりましたとき、その話の中で共通した点が
一つ
ある。それは、
長期計画
をぜひつくってくれ、少なくとも五カ年間くらいの安定した計画をつくってくれということです。いままでそれはあったかどうかわかりませんけれ
ども
、少なくとも将来に対する展望がないから何をやっていいかわからぬ、行く先がどこだかわからぬというのが今日大きな問題の
一つ
になっている。 それからもう
一つ
は、先ほど来御論議の中に出ましたが、
研究者
のほうで書いておりますものの中に、気のきいた者は論文でも書いてやる、そういうものに
関係
のない者は
基礎研究
などはもういいかげんでほうり出す、こういうようなことが書いてあります。これが事実とするならば、やはりそこにおける
研究
体制というか、
管理体制
というか、こういう
意見
を取り上げて積み上げないと、単なる労務問題だけで終始したのでは
原研
の再建にはならぬ、こういうふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
佐藤榮作
48
○佐藤国務大臣 ただいまのお話の中で、
給与
そのものについては大蔵省という壁がある、これはよく御理解をいただいたようです。 なお、誤解を招きやすいのに自主性ということばがございます。これは十分誤解のないように願いたいと思います。
労使双方
が
原研
の職内においてこれを
解決
してくれ、そうしてそれぞれの
立場
においてそれぞれの
意見
を持たれるだろう、それを自主性ということで申し上げておる。その範囲において所し合いをつけていただくなら非常にけっこうだ。 ただ、
久保
さんにしても、
石野
さんにしても、私は少し理解しかねるのは、通告が三十分あるいは二十四時間、そういうことがいま問題になっておりますが、これは
原子炉
という特殊な場所であるだけに、これについては
経営者
側、
管理者
側にその
責任
があるのだ、こういうことをはっきり申し上げている。その
管理者
側として、三十分の通告では手配がおくれる。これは、
組合側
においていかに自分たちが
責任
を持つと言いましても、それは別なことでございまして、
管理者
側において
責任
を持つべきことです。ですからその点がやや誤解を招くのじゃないだろうか。私は、二十四時間あるいは三十分、それは議論になっておるが、その争議の内容を十分検討しなければいかぬと思います。それについては私も異存はございません。それは争議の原因はどこにあるかということです。しかし、争議行為に入ったときに、
原子炉
という特殊なものを対象にしておれば、これはやはり
管理者
が
責任
の持てるような、その時間だけの余裕はぜひ与えてほしい。またそれは
組合側
においても、
原子炉
の特殊性をしばしば
主張
しておるじゃないか。そういう
意味
からもこれは
組合側
において納得さるべきものだ。最近
組合側
においてもそれを納得したということで、この長い問題が今日
解決
を見ましたことは、これはたいへんけっこうなことのように思います。争議には必ず原因があるのでありますから、そういう
意味
においてはその原因を追及しない限り十分の
解決
はできないだろう。 ただ、
原研
の方々に申し上げたいのは、
政府関係
機関としてのこれは共通の
立場
のものがございますので、他の部門と特殊に、
原研
の特殊性を、どの程度まで
主張
し得るか、これは
一つ
のポイントだと思います。こういう点では、常識のある
解決
をするという
立場
ならば、これまた
原研
側においても納得をしていただかないと、私
ども
としてはまことに困る状況なんです。 いずれにいたしましても、
組合
自身が最近のような形でなしに、今後はおそらく国会の問題にもなり、各方面からも批判を受け、必ず近代的な
組合
のあり方に変わるだろう、私はそれを希望してやまないのです。私はまたそういうようにあってほしい、その点を重ねてお答えしておきます。
久保三郎
49
○
久保
小
委員
大臣のお話で三十分、二十四時間の問題は、
重要性
というか安全性というか、この問題については別として、問題の本質からすればそれは下のほうじゃないか、こう言いたいわけです。それで、自主性の問題も大臣の
立場
でいいますれば権限のワク内でということでありましょうが、そのワクが非常に困るという問題があるから、やはりこれは
管理体制
というか、
管理者
側として多少考えなければいかぬというよりは、もう少し真剣に考えていただいて、安易にストライキができるというか、そういう見方をされていることに少し反省を加えてほしい。私は別にストライキを好むものではありません。正常に話し合いが進んで
解決
がつけば一番いいのですから、そういう点を考えれば、この問題は
労使
が悪いとかなんとかいう議論もいろいろありましょうが、かかってやはりいまの制度自体をもう少し大臣が考えていただきたい、こういうことに尽きやしないかと思うのです。 それから、先ほど私が申し上げた
長期計画
について、それがいままでないというか、あるにはあるのでしょうが、安定していないような話ですね。これは
研究者
としては非常に困る問題だと思うのです。私はしろうとでよくわかりませんが、一号から四号まで何のためにできたかわからない。その先はどうなんだという不安は確かにあると思う。そういう点をひとつはっきりしていただきたいと思います。
兼重寛九郎
50
○
兼重説明員
長期計画
のことでございますが、これは
研究
主任会世話人というところで、一部の
意見
として書かれたものでございますが、そこの中に「毎年のように改稿修正される
原子力
長期計画
ではいかに
特殊法人
といえ
ども
これらの全ての要求は消化しきれない。」こう書いてございます。これは何か誤解がありまして、
長期計画
というのは
原子力委員会
が発足しました直後に一度できました。それから四、五年たちまして三十六年の二月に策定されたものが現存あります。それはそれ以後何ら改定はされておりません。もちろん時勢の進展がありますから、一言一句そのとおりに動いておるわけではありませんけれ
ども
、私などは、むしろその計画にあまりにも沿い過ぎるくらいに沿って動いておると考えておるのでございます。 ところが、毎年、
年度
ごとに、
原子力委員会
の決議に基づきまして内閣総理大臣が示す
事業計画
というのがございます。これは毎年、毎年、その一年間のことをきめて出すわけでございますから、これは一年ごとにまた改定修正されなければおかしいものなんでございます。その改定のときには、
原子力研究所
の
理事者側
とは十分打ち合わせをいたしまして、それをきめておるわけであります。
原子力研究
川の
理事者側
がこういうことはできないとか、やらないとかいっておるものを、無理に押しつけてその中に含めたことは、私の記憶する範囲ではちっともございません。したがって、もしもこれが、こういう
人たち
にとって、自分たちの全然やる気のないものをやれと
原子力委員会
からいわれておるという印象を与えておるとしたならば、それこそ中の管理機構に
改善
を要する点があるのではないかというふうに私は考えます。(
久保
小
委員
「その点は菊池
理事長
がおっしゃいましたよ」と呼ぶ) 菊池理年長が言われましたことは、こういう計画をするときに、いまの
日本
の予算制度は一年こっきりであるので、長いあれはできない、こういうことでございます。ところが、御承知と思いますけれ
ども
、金の面につきましては、債務負担行為を認める制度がございますから、契約などを進めるのに、相当先のことまでできるようにできますので、その点は菊池
理事長
がどういう
意味
でおっしゃったか、 いまちょっとよくわかりません。 ただ、人の面につきましては、いわゆる債務負担行為に類するような、この計画に対しては
人員
は来年幾ら、その次幾ら、そういうことは全然ございませんから、その限りにおいては一年暮らしということもできますけれ
ども
、
原子力研究所
は発足以来今日まで八年間、毎年百人とか百何十人という定員増加がなかったことはないのでございまして、その範囲を多少大き目に見積もるか少な目に見積もるかは別の問題でございますけれ
ども
、そういう点で全然先が約束されていないというふうに考えないでも、やっていく方法はあります。現にほかの
研究機関
などみな同じ状況でありますけれ
ども
、ある程度の計画は立ててやっておるわけであります。 それは、菊池
理事長
のような方がやられるのに、いまのものでは不十分だということはもちろん私も理解できまずから、いまので完全であるということを申すわけでございませんが、全然動けない、あれでは長期のことは何もできないということはないというように考えております。
中曽根康弘
51
○
中曽根
小
委員長
森山
君。
石野
委員
が二問ということで御了解を得ておりますからお待ちください。
石野久男
52
○
石野
小
委員
委員長
のきつい締めつけがきておりますが、なるべく要領よくやりますから、お許しいただきたいと思います。 いまの
長期計画
の問題でもそうですか、これは大臣にひとつお考えいただきたいと思うのです。
原研
は
開発
途上の
一つ
の部門を持っている非常に新しい
組織
である。したがって、他の
政府
機関の部門のような、でき上がった部門と違います。だから予算が年々歳々ふえていきましても、与えられる
プロジェクト
がまた多ければ、それの単位当たりの予算なりあるいは
人員
というものは必ずしも充足されているとは言えないのです。それを他の
政府
機関と同じような見方をして御答弁なさっておられるように見受けられる、私の聞き方が間違っていないとすれば。これはやはり当局の、特に大臣の側で、そういう
問題点
について、菊池世相長なりあるいはその他の
原研
当局、あるいは
労組
の側からも言っておるような
問題点
は謙虚に受けて、問題の
解決
にあたってもらわなければいけないのではないか。そういうことの
意味
をいま
久保
委員
からお話が出ておると思いますので、いま兼重
委員
から言われたような、年々歳々予算がふえているからいいのだということでは、ちょっと
原研
の問題を
解決
するには十分でなかろう思います。この点がまず
一つ
。二回しか言えないのですから続けて
質問
しますが、労務問題です。この白書といいますか、これによるところのいわゆる労務問題では、いろいろな面で労働者に対するきびしい書き方がしてあると思うのです。先ほどから何べんもお附きしているように、ストライキは確かに何回も行なわれておりますけれ
ども
、通告なしで行なわれたストライキはないのです。三七ページに「また近年ストの予告時間が極度に短縮され、抜打的に行なわれることもある。」と書いてある。この「抜打的に」という
意味
は、無通告でストをやったという
意味
なのか。どういう
意味
なのか。これはちょっとした読み方をしますと、労働
組合
が当局には何も言わないでかってにやったというふうにとるのですよ。もしそうでないとするなら、この部分は消してもらわなければいかぬ。これは大きな誤解を生みます。労働
組合
を悪意に理解させようとするような意図を持たれているように思われるので、こういうような書き方はやめてもらわなければいかぬと思います。それについても御
意見
を承りたいと思っております。 それからもう
一つ
、労務
関係
の中で、私は、特にこの四〇ページのところで出されておりまする「
組合
からおよそ次のような
主張
がなされている。」ということを書かれて、(a)と(b)とで、「法定被曝線量をこえて被曝したときは、障害となって発現しなくとも、その超える部分について補償することと。」あるいは「法定被曝線黄以下の部分については、放射線手当を支給すること。」などという、こういうような
労働者側
からの要求が出て、しかも、こういう問題については現場におけるところの
理事者側
との話し合いもついて、これを上部へ上げておるのだけれ
ども
、しかし、上のほうからこれを押えて、こういう問題については全く握りつぶしておるというような
問題点
もあるように聞いておるのですが、そういうことはないのかどうか。もしそういうことがあるとするならば、これは
労働者側
から文句が出るのはあたりまえなんですよ。こういう問題を現場では、もうそれは大事なことなんだからというて出している問題を上で押えてあるいは予算がどうだとかこうだとかで抑えられている場合、労働
組合
はその問題を
契機
としてやはり愚見を述べたり、あるいは何かの行動を起こすことは当然だと思います。そういう点をどういうふうに考えておられるのか、ひとつ聞いておきたいと思います。 それからまた、四三ページに「
原子炉
の安全性についての報告」というのがございます。これは、こまかいことは私は聞きませんけれ
ども
、
原子力委員会
がここに書いてありますることは、
原子炉
の安全性についての報告ということはどういうことを
意味
しているかということなんです。これは
原子炉
等の規制法という法によって安全の問題は規定しておりまするし、あるいはまた
原子炉
の設置基準法等によっても
原子炉
の安全性の問題等についてはちゃんと規定しております。で、
原子力委員会
がここでいう安全性の報告ということの
意味
は、その法との
関係
はどういうふうな
意味
を持っておるのか。まず第一番にこの問題を第一点としてお聞きします。
兼重寛九郎
53
○
兼重説明員
順が逆になるかもわかりませんが、
原子炉
の安全性についての報告というのは、たぶんこういうことだと思います。
原子力研究所
に
原子炉
を設置しますときには、その他の者が設置します場合と違いまして、設置許可の手続が省略されるのであります。しかし、安全性については、やはり
原子炉
安全専門審査会の
意見
を聞きまして、それが
確保
されるかどうかということをするようにいたしております。そのために、そういう
意味
の手続、実質的な設置のときにするような手続をしております。その手続をするための手段として、これが報告という形になっておるのじゃないかと思いますが、ここのところ、この報告が何であるかということを私は直接確かめることを怠りましたので、もし私の答えが間違っておりましたら次の機会に訂正さしていただきます。 〔小
委員長
退席、福井小
委員長
代理着席〕 それから、前の放射線の四〇ページから四一ページにありますそのことにつきましては、
原子力委員会
でも検討したことがございますが、特に(b)ことなどは、こういうようなことは考えるのがおかしいじゃないか。もしもこういうことをしなければならないような職場の状況であるならば、それを改称して、そこで働いてもらうようにしなければならぬ。現在は、私
ども
の了解では、そういうことの必要がない状態の職場になっておると了解しておりますし、そういう状況が国際的にも認められ、よその国でもこういうことはしておるということは聞いておりませんので、この問題を取り上げていないのでございますが、それは
理事長
もそのことについて了解し、もちろんそれに賛成をしておられると私は考えております。そこで、私
ども
は、こういう
原子炉
その他これに類似した
施設
は特に注意して運転をしなければならぬ、そういう社会的な
責任
も負うておることでありますので、それについては、たしか名称は運転手当というので、ある手当を支給することをつくりまして、そのための予算
措置
もとったのでございますけれ
ども
、私の聞くところによりますと、
組合側
がそれを拒否しておりますために、現在も支給されていないというふうに聞いております。
島村武久
54
○島村
政府
委員
ただいまのお尋ねのうち補足申し上げますと、第一の点、兼重
委員
からお答えになりました点はそのとおりでございまして、
一般
的に
原子力研究所
以外のものは、
原子炉
の安全審査を受けまして、そして許可を得て動かすわけでございますが、
原子力研究所
は法律的にはその手続を省略すると申しますか、その規定の適用はございません。しかし、
原子力研究所
におきます
原子炉
につきましても、第三者による公平な安全審査が望ましいというところから、
監督
命令によりましてそのような安全性についての報告を徴収いたしておるわけでございます。 なお、
石野
委員
のお尋ねにありましたストと、予告期間の問題でございますけれ
ども
、原則的にはおっしゃいますように事前の予告を
組合
から
研究者
側は受けておりますが、その例で見ますと、十分あるいは十五分というようなものもちょいちょいございましたし、はなはだしい例に至りましては、実施いたしましたあとで通告があるというような例もございましたので、必ずしもこの表現が非常にオーバーだというわけでもないと思います。しかし、最近は
労組
側も非常に常識的でございまして、ことしになりまして以後は、たいてい一日ぐらい前に事実問題といたしましても通告をしてくれるようになっておりますことを申し添えます。
佐藤榮作
55
○佐藤国務大臣 いまの第二、第三、第四、これは
政府
委員
の
説明
でいいかと思います。 第一間に提示されました問題につきましては、誤解を受けないようにと申しますのは、あまり官側、役所側が干渉しない、そういう
意味
において誤解を受けない程度の連絡は十分するようにいたすつもりでございます。
石野久男
56
○
石野
小
委員
とにかく、そういたしましたとかいたしますとかという問題は別といたしましても、
組合側
としてはストライキを何べんかやったことは事実ですけれ
ども
、それはみな
一つ
の問題の提起された中での事件でございまして、交渉過程の中で起きている問題ですから、たいていどこでも
組合
の争議過程の中ではそういうことはあり得るのです。それをあまりきびしく別な
問題点
のように取り上げられますと、ことさらに
労使関係
が紛糾してきますから、この問題についての考え方は、あまり敵対意識を持たないほうがいいのじゃないか。佐藤
委員長
はむしろ労働
組合
をひとつぶっつぶしてしまえという気持ちでやっておるのではないかとさえ思われるような誤解を受けますから、これはひとつお考えおき願いたいと思います。 次に、私は、労働
組合
と
理事者側
との
双方
の自主的な交渉という問題については、これは先ほど来大臣が何べんもそれを阻害するようなこと、じゃまするようなこと、干渉することはしないと言っておるのです。しかし、たとえば退職金規程のような問題なんかにつきましても、これはやはり
労使双方
で話し合いをしてやらなければならぬ問題だろうと思うのです。しかし、聞くところによると、きのうすでに、退職金規程については
組合
との協議をしないで一方的にきめておるということを聞いておるのですが、そういうことはないのですか。これはひとつはっきりしておいてもらいたいのです。こういう問題を一方でがしっときめておいて——それこそストをやってあとからきめたのではないので——きめておいて、今度労働
組合
がああだったこうだったというようなことにしないように、初めに
双方
で考えて話し合いをしておいてもらいませんと、こういう退職金規程なんというものはやはり長きにわたって
労使関係
の基本的な問題にも触れてきますから、やはりこれは慎重に取り上げておいてもらいたいと思うのです。私の聞いていることが間違っていなければけっこうですけれ
ども
、間違っていればこれは取り消しますけれ
ども
、もし一方的に、労働
組合
との話し合いもなしに、現在も問題になっておる退職金規程の問題が一方的にきめられておるというようなことがあるならば、これはちょっと考え直してもらいたいと私は思います。 それから、先ほど来の炉の安全性の問題については、別に基準法があったりあるいは規制法があったりしますが、これは報告はするのだ、しかしここでいう報告は、報告をした場合、これが悪いというようなことになったときにはどういうように扱うのか。そういう問題を当局のほうではどういうふうに考えておるかということもこの際聞かしておいていただきたい。それで私の
質問
は一応終わります。
佐藤榮作
57
○佐藤国務大臣 私はみずから顧みて非常に進歩的な科学
技術
丘長官だと思っております。したがって、労働
組合
をつぶしてしまえ、こういうようなことは全然考えておりません。 また、いまの退職金を一方的にきめたというお話も、まだ聞いておりません。
島村武久
58
○島村
政府
委員
退職金規程につきましては、長い間
労使
の間で話がつきませんでしたけれ
ども
、私のほうに対しましては、今年に入りまして
理事者側
から申請がございまして、所要の手続に従いましてこれを認可いたしております。しかしながら、御指摘のように、
労組
との間に話がつかないままに一方的に実施したというようなことは承知いたしておりません。 等二の点でございますけれ
ども
、いろいろ
監督
命令を出しておりますが、それでうまくないと考えたときにどういう
措置
をとっておるかというお尋ねでございます。ただいままでのところ、いろいろ報告を徴収したりあるいは
監督
命令を出したりしたことはございますけれ
ども
、その結果につきまして、非常にまずくて、さらにそれに対してあらためてまたこうすべしという
意味
での
監督
命令を発した事例はございません。言いかえますと、それはよく話し合いをいたしました結果、うまくいっておるということになりますので、過去におきましてはうまくいかないがゆえにさらに
監督
命令を出して、それに対して是正を求めるというような
措置
を講じたことはございません。架空の問題といたしまして、どうしてもおもしろくないということになりますれば、やはりさらに
監督
命令によってそれを是正するという道が残されております。
福井勇
59
○福井小
委員長
代理
森山欽司
君。
森山欽司
60
○
森山
小
委員
原研
の問題が新聞紙上をにぎわし、また当
委員会
においても取り上げられているゆえんは、最近において争議行為が頻発してしばしば
業務
が停滞しているということに大きな原因があろうと思います。それによって、先般本小
委員会
においても
原子力委員会
あるいは
日本原子力研究所
のほうに、
原子力研究所
の機構
改革
の問題についての調査をお願いし、その調査のお答えを、きのうですか、おとといですか、お出しになられ、きょうそれについての御
説明
があり、私
ども
がそれについて質疑をしている、こういう順序になっておろうかと思います。 私は、今度の
原子力委員会
のこの
報告書
を通読いたしまして、所感を申し上げますならば、兼重
委員
が、
原子力委員会
にも今日のような情勢を来たしたことに一半の
責任
があるということをお認めになられましたので、そういう
意味
のことを前提といたしまするならば、ここに書いてあるところの報告はすべて妥当なものだというふうに感じておりまして、先ほど来野党の諸君からいろいろな御
質問
がありました点には同意しがたいのでございます。しかし、ここで与野党の間の議論を展開することは趣旨ではございません。よって、この中身の問題の若干について御質疑を申し上げ、私も一時間か二時間やりたかったのでありますが、もう一時まで二十五分しかございませんので、一時ごろまで大臣、よろしゅうございましょうか——できるだけ早くいたしたいと思いますが……。
福井勇
61
○福井小
委員長
代理
森山
委員
、たいへんお待たせをして恐縮しておりますから、大臣の分をなるべく先に集約を願いたいという希望を申し上げておきます。
森山欽司
62
○
森山
小
委員
それでは、できるだけ簡単に申し上げたいと思っております。 先ほど大臣の御答弁で、
原研
の
労使
問題は当面焦眉の問題であると同時に、
原子力研究所
の
運営
ないし
研究
以前の問題であるという御認識の御表明がありました。その点については私も全く同感であります。 この
報告書
によりますと、
組合
は「良識を欠く」
傾向
がある。何が良識を欠くかということについては、おそらくはこのあとにも書いてございますとおり、昨年「
昭和
三十八年は一年間に約四十回行なわれた。」「近年ストの予告期間が極度に短縮され、抜打的に行なわれることもある。」そういうようなことをおそらく良識を欠いたというふうに言われるのではないかと私は思います。 それで、この問題について
原研
の当事者から先般同じような回答書が出ておったのですが、その中に非常におもしろいことが書いてあります。「
労組
活動の最終目標が経済闘争にあるのか、また、それとは異なった別の目標があるのか理解に苦しむ」「これはやはり思想的背景が存在すること」等が「大きな
影響
を持つであろう。」というようなことを書いておるわけでございます。 管理されております
原子力研究
川の当事者がそんな感じを持っておるというこの切実な感じ方については、
原子力委員会
としてはどういうふうにお感じか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。大臣より兼重さん、学者のほうがよろしゅうございます。
兼重寛九郎
63
○
兼重説明員
この点はたいへん判断がむずかしいところでございまして、そういうような見方をする人々もずいぶん多いことも承知しております。そしてそれがこのストライキが非常にたびたび行なわれる理由だということを言う人もございますけれ
ども
、私
ども
それがそうであるのかないのかということを突きとめる手段を持っておりませんので、ここではそれに対して何らの判定はいたしていないわけでございます。それは否定もしなければ肯定もしないという態度でございます。
森山欽司
64
○
森山
小
委員
原子力委員会
の先生方にせひひとつ——先般私がこの
委員会
でも申し上げましたとおり、現在
日本原子力研究所
には、公安調査庁の次長との電話連絡によりますと、
日本
共産党員とはっきり言える者が二十名ちょっとおる。その同調者はその五倍程度にのぼっておる、百二十名くらいの者がおるということ、それから
労組
運動がその
影響
を非常に受けておるという事実、そういう問題等について、ひとつ
原子力委員会
においても学者の方々はよく御勉強していただきたいという希望だけを、私はこの機会に申し上げておきたいと思う次第であります。 そこで、この
報告書
の中に「
労使
懸案事項の
概要
と
労組
の
主張
」というのが三八ページからずっと載っておるわけであります。その項目をあげますならば「労働協約」、「争議協定」、「ベースアップ」、「勤務時間中の
組合
活動」、「放射線労働に関する取極」というようなことでございます。 先般のこの科学
技術
特別
委員会
の本
委員会
のほうで私は
原研
の
理事者側
に聞いたのでございますが、いわゆる争議協定ができたらこれで問題は当面
解決
するかと聞きましたところ、四月一日からいわゆる交代勤務の問題とか、あるいは超過勤務手当の問題、
原子炉
の運転手当の処置の問題等で、この話がきまらないと、またとまるおそれがあるというようなことを承ったわけでございます。それで、
国民
注視の的であるJPDRが動くか動かないかの問題は、動かし始めてからまたとまるおそれがあるというようなことは、われわれとして遺憾にたえない。その
意味
で、先般大臣が、
原子力
委員長
がおっしゃいましたように、JPDRを動かすことについてちょっと待てというようなお話をされたという点は、非常に適切な
措置
であったと私は思っております。ともかく、従来のようなことでいくと、これらの問題についての話し合いがきまらないで、またとまる可能性があるということは、
理事者
自体も言明をいたしておるところでございます。 そこで、私はお伺いをいたしたいことは、ともかくこの
原子力研究
川の労働
組合
というのは、御承知のとおり、勤務時間内の
組合
活動はもう全く野放しにいまのところなっておるわけでございます。専従制度もしかれておりませんし、時川内に
組合
の各種の集会を思うままにやっておる。しかも、回数の制限も、賃金カットもやっておらないというようなことでございます。この問題について、先般、近く
理事者側
は
組合側
に提案をするのだという話を聞きましたが、いままでの提案はちょっと常識外のような提案を
理事者側
はしておるので、今度は変えるのだというお話でございますから、それを拝見してから私
ども
はまた
意見
を申し述べたいと思っております。ともかく、相撲を取るにいたしましてもルールというものがあるわけです。十五尺の土俵の中で相撲を取る。ところが、この
原子力研究
川に関する限り、そういうルールがない。相撲でいえば土俵がないのです。労働
組合
というものは確かにある。りっぱな規約もございます。しかし、
労使
間におけるところの常識的なルールの初歩的な取りきめさえないというような今日の状況になっておるわけでございまして、これは、その
意味
においては、ただにその
研究
以前の問題であるというよりも、体をなしてない、全く問題にならないというようなことでございます。 そこで私は、これは大臣に申し上げたいのですが、先ほど来何か自主性自主性という議論が出ました。自主性もけっこうでしょう。しかし、こんな結果になっておるのは、
労使双方
にあまりにも自主性があり過ぎたことからこういうことになったのである。その自主性を尊重されては困るのではないか。私はそんな事態のような感じすらいたしてならないわけでございます。一体こんなにだらしないことを今日まで、それでは
原子力委員会
あるいは
科学技術庁長
官——これは佐藤長官はごく最近御着任になったわけでございますが、もう八年間この
原子力委員会
はやっておる。歴代、
監督
すべき
立場
にある
科学技術庁長
官ないし
原子力委員会
というものが、あまりにも自主性を尊重して野放しにしておいたからこんなことになったのではないか。あるいはあなた方は、こういうことはいけないと思って、気がついて言ったのだけれ
ども
、やらなかったのか。自主性を尊重していたからこんなことになったのか。その辺のところの経過を、大臣はきわめて大ワクでけっこうですが、うしろに居村
原子力
助長がおりますから、どの程度自主性を尊重し過ぎた結果であるか、自主性というものなしに一々くちばしを入れた結果であるか、この辺のところをひとつ明らかにしていただきたいと思うわけです。
佐藤榮作
65
○佐藤国務大臣 ただいま自主性についての御
意見
がございました。先ほど来誤解はないだろうと思って
久保
さんにもお答えしたのでございますが、私は、
組合
が近代的な
組合
になっておらない、この点が量も大事なことではないか。ただ、ただいま御指摘になりましたように、
労使双方
で協議すべき事柄も全然ないのだ、そしてそれは積み重ね方式とか申しておりますが、八年もたった今日なおその積み重ね方式、そういう点からいまの自主性ということが問題になるだろう、そういう
意味
においての自主性の
主張
は強過ぎるだろう、これも御指摘のとおりではないだろうか。少なくとも近代的な
組合
のあり方というものは、最近はILOの条約すら批准しようとしておる、そういう際でございます。それならば、この勤務時間中における労働活動、
組合
活動、こういうものについてもちゃんときちんとしたルールがあってしかるべきだろう。そういうこともない。これは私はまことに遺徳のように思います。 ただ、誤解を受けるのじゃないかと思いますのは、先ほど来お話がございました思想についての問題であります。今日は、思想の事由、これはあるのでございます。ただ、思想は自由ではございますが、そういう
意味
において特殊な
組合
活動が展開されるということになりますと、これは私
ども
よほど気をつけなければならない。思想は自由にしても、
組合
活動自身として現実に問題を引き起こす場合に、それが他の政治活動を主にするような運動であるならば、これは社会的な批判もあるだろう、かように私思いますので、そういう点について、
組合側
においても自主な、また近代的な
組合
であるべきだろう、こういうことを強く希望してやまないものであります。
森山欽司
66
○
森山
小
委員
、
原子力局
長、
労使
間の問題に
原子力局
としてはどの程度の介入をしておるのか、してこなかったからこうなったのか、したからこうなったのか。はっきりしてもらいたい。
島村武久
67
○島村
政府
委員
全然
労使
間の問題に無関心で何も知らずにおったわけではない。しかし、すべてを知り、かつすべての問題についてこうあったほうがいいというような
意見
を述べ続けてきたというわけでもございません。 先般来非常に問題になっております自主性という
意味
でございますけれ
ども
、これは大臣からも本日も再々お述べになっておられますように、何よりもこの
原子力研究
川というものは、
研究所
法第一条にございますように、
原子力
基本法に基づきできておるわけでございまして、基本法の精神を体していかなければならない。その基本法には自主性ということがうたわれておるということのために、すべての点についての自主性というふうに誤解されやすい血があったのじゃなかろうか。基本法で述べております自生性というものは、
研究
、
開発
、
利用
といったような問題についていっておることであります。
原子力研究
川という
特殊法人
につきましてはそのすべてが自主的に片づけられていくということであり得ないのは当然でございまして、
日本原子力研究所
法提案理由の際にも、
政府
の強い
監督
のもとに
日本原子力研究所
を設けることにしたい、こういうふうに述べております。ただ、先ほど来の
石野
小
委員
も御指摘のように、
研究
の自由あるいは
研究
活動というようなものとその
組織
あるいは労働問題というものが完全に無
関係
ではあり得ない、こういうことでありまして、そこに
原子力研究所
に対します
監督
の実際のあり方といたしましては、非常に困難な問題が具体的なケース、ケースによってあらわれてくるわけであります。 私
ども
の考え方といたしましては、できるだけいわば自主的にやっていただくことを希望いたしますし、大臣の御
指示
もございまして、特に
労使
間の問題というようなことについては極力介入というようなことのないようにやってまいったつもりでございます。その結果今日のような事態を生じておることが、そのことだけのためにそうなっておるのか、つまり、私
ども
はなるべく自主的にやってもらいたいということで、介入をなるべく避けるという
方針
でやってきました結果が今日の事態になったかどうか、これは考えようによることでございます。私
ども
といたしましては、そのような態度をとりましても、もっとうまくいくこともあり得たのじゃなかろうかと思います。いま御
質問
にありましたように、なかなかむずかしいことでございまして、自主的にやらしておったからそうなったのかどうかということにつきましては、判断の問題じゃなかろうかと考えております。
森山欽司
68
○
森山
小
委員
いまの島村
原子力局
長は、何を言っておるのか私はよくわからない。しかし、島村君をとっちめてもしょうがないから……。 とにかく、
原子力研究
川の建設が非常に大事でしたから、そっちのほうに
重点
がいって、
労使関係
の問題なんておそらく眼中になかったんじゃないか。あっても適当にやっておけというような気持ちでやってきたというようなことがこういうことになったので、そういう
意味
においては、先ほど来問題になった自主性を重んじ過ぎたから、むしろこんなことになった。だから、あまりこれから自主性を重んじられることは、よほど慎重におやりになる必要はないか、こういうふうに私は思いますので、大臣、ちょっとそのことだけ……。
佐藤榮作
69
○佐藤国務大臣 私は自主制があってしかるべきだと思います。しかし、問題は、こういうヒューマン・リレーション、あるいは
研究
以前の問題、こういうことについての理解の問題になるだろうと思います。確かにこの点につきましては、
管理者
側において、十分かくあるべき
労使関係
というものについての確固たる考え方が欠除しておったのじゃないか、こういう感じはいたします。これは
研究
に没頭すること、それでもういいんじゃないか、こういう方面で、
研究
ということについては科学者、
技術者
として非常な関心事であり、またそういうことに非常に気をつけてまいりますけれ
ども
、その以前のヒューマン・リレーション、
労使
問題、そういうものについての理解が十分でないじゃないか、私はさように思います。 ただ、白土性だといって、それが
双方
がかってなことを言っている。これが自主性というものでもございません。おそらく十分な理解をもって話し合うならば、同じ
原子力研究
川で、そういうものを生かしていくという
方向
への
協力
が
双方
に生まれてきたはずだ、かように私は理解しておるのでございまして、先ほど来自主性・自主性ということが問題になっておりますが、これは誤解のないように願いたい、かように私は思います。
森山欽司
70
○
森山
小
委員
実は先般契約されました三月十日付の争議協定の共同宣言の中に、「
原研
の自主性のもとに事態を収拾することを」
理事長
と執行
委員長
は「申し合わせた。」この自主性は何を言っているのかと思って、格別気にもしなかったのですが、きょうは野党側からこの問題を
中心
に御議論になったので、念のためにお伺いしたのです。いまの大臣のお考えでけっこうでございます。また
原子力委員会
の
報告書
によりましても、法律のもとにおいて自主性を十分尊重し、国の
立場
から見て必要最小限度のもとに
監督
権は限っておる。法律のたてまえもそういうふうになっており、また大臣のお答えもそうである。願わくはひとつ健全なる
労使関係
の軌道を引かれるように、自主性を十分尊重されて御指導をお願いいたしたい。 もう
一つ
、私お伺いをいたしたいことがございます。それは今度の
労使
間懸案事項の
概要
でございますが、労働協約、争議協定、ベースアップ、勤務時間内の
組合
活動、放射性物質の労働に関する取りきめ等があるのですが、
原研
の
労使
間の取りきめ等を見ますと、個別的なものが非常に多いわけでございます。幾つあるかはあとで
原子力局
長から伺いますが、おそらく二十や三十あるのじゃないかと私は思うのです。そうして、それがいずれも、大部分のものが、一月、二月、三月というようなこま切れです。ばらばら協定のこま切れ協定をやっておるわけです。多少勘ぐるようでございますけれ
ども
、もし十二の協約があって、毎月
一つ
ずつ協約の期限がくるといたします。しかも、これが短期間の一月、二月ずつ更改していきますと、毎月三つや四つの協約の改定でもって、これは
労使関係
は安定しっこないというふうに私は思うのです。 そこで、少なくも基本的な問題については、
一般
的な労働協約を締結するという考え方がなければ、私はこの際まずいのではないかと思う。特に勤務時間内の
組合
活動の規制を含めての労働協約の締結というのをこの際打ち出しておかないと、とにかく毎月毎月問題が出てくる。そうして
組合
の性格によっては——
組合
の性格によってというのは、要するに
労使
間の
関係
を対立抗争の
関係
と見て
労使
間の問題を処理しようという考え方の
組合
、そういう性格を持っておる
組合
の場合は、問題が片づかないと私は思うのです。 そこで、大きな問題は、この際、労働協約という、そういう
一般
的な労働協約の形で処理していくということが私は必要な
段階
じゃないかと思う。もしそれをやらないで、要するにいままでみたいなばらばらのこま切れ協約を続けていくということになりますと、これは毎月毎月
紛争
の種が絶えない。今月終わったかと思うとまた来月出る、来月終わったかと思うとまたその次出てくる、ということになろうかと思うのでございます。そういう
意味
では、
理事者側
のほうでも労働協約の締結は一度したようです。ここにも、「
一般
労働協約は、
労使
間に小
委員会
を設けて協議されたが、三十六年ごろから個別協定の積み上げの
方向
をとり、
一般
労働協約締結の協議は現在行なわれていない」ということですが、だいぶ情勢も変わってきましたので、そういうような動きもあるやに聞いておるわけですから、この際やはりそういう
方向
に持っていくべきじゃないか。しかし、積年のやり方がございますから、そこでそういうことをやっていきますと、相当また問題が起きると思いますが、その
意味
では、今後の
原子力研究所
の
運営
ないしは
原子炉
の運転というものについて相当腹をきめた体制をもって臨むべきだと思うのですが、これについての大臣の御所見を承りたい。
佐藤榮作
71
○佐藤国務大臣 ただいまのお尋ねは、私しごく同感でございます。先ほど来申し上げておりますように、
組合
が近代的でないのじゃないか、かように私自身が考えておりますのは、今日まで基本的な取りきめがない、それが
一つ
の問題でございます。これはぜひとも
労使双方
において、そういう取りきめをしていくべきじゃないだろうか。いままでのような毎月毎月争議を展開するような問題、これについてメスを入れなければならない、かように私は考えております。おそらく今回の問題を
契機
にいたしまして、
労使双方
が建設的な
意見
を戦わすようなことになるのじゃないだろうか。いわゆる対立抗争に終始する
労使関係
ではなくて、同じ職場において、また
国民
の税金によってお互いがそれぞれの
目的
を達する、そういう
原子力研究所
、その性格からもおそらく今度は変わってくるだろう、またそれを私は
期待
しております。 そういう
立場
に立てば、ただいまのような点についても、これは当然メスが入るべきじゃないだろうか。かくして
組合
も近代的になり、また私
ども
が考えましても非常にすっきりした
組合
、こういうものができるだろう。 そこで問題は、
研究
以前の問題だということ、このヒューマン・リレーションというその事柄は、非常に大事な事柄でございます。これは
研究
以前の問題なんだ。そういう事柄についての十分な見通しを立てないで、今日のまま過ごしていくことはまことに遺憾に思う。これだけの投資をし、それが十分効果を上げる、そういう
意味
で、ほんとうに健全な、また進歩的な
労使関係
をこの際樹立すべきである、そのためにあらゆる事柄をいたします、菊池さんもさようなお答えでございますし、また私
ども
は、多額の予算を投入した設備、これが十分生かされて活用されることを希望するのであります。そういう
意味
で、
研究
以前の問題というか、これは基本的な問題です。したがって、ただ
研究
以前の問題、ヒューマン・リレーションだ、こういうことばだけでこの考え方を軽く見ないで、まさしく御指摘のとおり、私
ども
も重大なる決意をもって、一日もすみやかに健全な
労使関係
を樹立することを考えたい、かように考えております。
森山欽司
72
○
森山
小
委員
いま大臣のお話で、重大な御決意をもって事に当たられるということでありますから、
政府
の最高
責任
者の一人である佐藤大臣の今後の行き方に対して、私は大きな
期待
を持っておるわけでございます。 あと二点、ほど続けて
質問
申し上げたいと思います。 先ほど大臣が
研究
の自由ということを言われました。しかし、この
報告書
にも書いてありますように、「従来
原研
においては、
研究管理
の考えが十分であったとはいい得ない。むしろ
研究
は管理の対象とすべきものではないという風潮があった」ということで、
研究管理
の重大性を言っておるのです。
研究
の自由ということは、かって気ままに
研究
をするということではなくて、やはりおのずからなるワクをつくって、そのワク内における
研究管理
の対象となるものだという考え方を、
研究
の自由という大臣のおことばは否定するものではないというふうに理解してよろしゅうございますか。
佐藤榮作
73
○佐藤国務大臣 さように理解されて、それが正しい解釈だと思います。私は、
研究所
の
研究
は、個々ばらばらの
研究員
の
研究
活動というものはあり得ないと思います。したがいまして、
研究管理
——管理ということばに何だかいやみがあるようにお考えのようですが、これはやはり
研究
テーマをもらい、その
研究
テーマで
研究
を続けていく、そうしてその間において絶えずトレースしてみる、こういうことで初めて
研究
の成果があがるのだと思います。今日までの
原研
のあり方等については、
研究
の
管理体制
にどうも遺憾の点があるのじゃないか。これはひとり
原研
について申すばかりではございません。他の
研究
室あるいは
研究機関
等におきましても、
大学
等におけるように、それぞれテーマをもらい、そうしてそのテーマについて
研究
を進めていき、そうしてその
研究
の結果を絶えずチェックされておる、このことを私は
研究管理
体制の
整備
だと考えております。 したがって、
研究
の自由ということは、おそらく
基礎
的な問題についての部分的なものはありましょうが、しかし、今日の
原子力研究所
のほうで、
開発
部門についての
研究
のテーマは非常にはっきりしているものだろう、かように考えます。いわゆる
研究
の自由ということが、それぞれのかって気ままなばらばらな
研究
をする、あるいは
管理者
以外において
研究員
自身がみずからの発意によって
研究
していくということでなしに、これは
管理者
と一体となって、そうして
研究
テーマをもらっていく、こういうことが望ましいのではないか、かように私は考えます。
森山欽司
74
○
森山
小
委員
先般の科学
技術
特別
委員会
におきまして、
研究
主任会の方々も招致されまして、その方々から「
原研
の
問題点
と
改善
の
方向
」という小冊子をもらいました。その中に「部長を含む高級管理職者は会社の停年退職者が多く、その中には
原子力開発
に対する情熱に欠けている人もいる。」というようなことも書いてございますし、また、
原子力委員会
から出しました今回の資料にも、「
経営者
はとるべき
措置
、
対策
を十分講ぜず、安易な
妥協
を重ねる
傾向
のあった」ということが指摘をされております。これからの
原子力研究所
の
理事
はもとより、高級
管理者
と申しますものにその人を得るかどうかが今後の
要点
の
一つ
になろうと思いますが、大臣のそれについての御所見を承りたいと思います。
佐藤榮作
75
○佐藤国務大臣 いま主任者
会議
云々を出されました。私もあの報告を読んでおりましたので、菊池さんに、一体主任者
会議
というものはどういうものですか、かように聞きましたら、これは
原研
が認めておる
会議
ではございません、こういうことでございます。認めておる
会議
はどういうのかといえば、いわゆる
管理者
の加わった
会議
だ、こういうことだろうと思います。 したがいまして、グループ別の
会議
にいたしましても、その中で十分傾聴に値するというか、りっぱな
意見
が出ておれば、もちろんそれを採用するにやぶさかではありませんが、ただいま当
委員会
においてそういう材料を持たれてそれについての
説明
を聞かれましても、私
ども
が
責任
をもって答える筋合いではないように思う、そのことを明らかにしておきます。もちろん傾聴に値する
意見
があるならば、だれが申しましてもそういうことは採用してしかるべきだと思います。 また、他から入ってきた人、これら高給者がいたずらに定年の連中、あるいは退職の連中の、行くべき職場がなくてそういうところに来たのだ、こう一がいにきめてしまうことは、これはたいへん事態にも合わないのじゃないだろうかと思います。ことに私考えますのに、
原子力
は先ほど来お答えいたしましたように新しい
研究
部門であります。したがいまして、若い人で有能な人もおるだろう、また年寄りであってそういう
意味
においての非常な
研究者
もおるだろう、そこに人的構成のむずかしさがあるだろう、かように考えます。しかし、一部だけで
研究
が十分の成果をあげるとは思いませんし、
学界
、財界各方面からの
協力
を得て初めて
原研
はりっぱな成果をあげるのだ、かように考えます。ことに
科学技術庁
の長官として考えますると、
わが国
の科学
技術
でどうも
原子力
はおくれておるのではないか、そのためにはどうしてもこれを早く取り返したい、その
意味
においては一そう
学界
、財界の
協力
を得なければならない、そういう専門的な部門ではないか、かように考えますので、いたずらに毛ぎらいすることなしに、
人材
は各方面にこれを求めていく、こういうことでありたいものだ、かように考えます。
森山欽司
76
○
森山
小
委員
時間もきましたから、最後に一点だけ希望を申し上げて私の質疑を終わりたいと思います。
原子力研究所
は、御承知のとおり
昭和
三十一年以来三十八
年度
までにすでに三百五十億円の国家
資金
の投入をされておって、
人員
は千六百人に達しておるそうであります。十年後には
人員
は四千人、今後十年間の所要
資金
は千二百億円ということでありまして、
原子力開発
の大きな
使命
に思いをいたしますならば、現在はきわめて重要な
段階
だと思います。こいねがわくは、この時期において
原研
の行くべき道に対して、主務大臣として最善の
措置
をおとりになるように
期待
いたしまして、また要望いたしまして私の質疑を終わります。
福井勇
77
○福井小
委員長
代理 本日はこの程度にして、次会は公報をもってお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後一時九分散会