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駒形説明員 先般、八月三十一日から九月九日まで
ジュネーブにおきまして第三回の
原子力平和利用国際会議が開かれまして、私もその
代表の一員といたしまして
出席をいたしました。
今回は、いま申し上げましたように第三回でございまして、第二回は一九五八年に開かれましたので、六年間という時間がそこにございましたのでございます。それで、第二回があまりに膨大な
会議になったというので、今回は
原子動力というものを主題にいたしまして、問題の幅を縮めまして開催をされたのでございます。すなわち、この六年間におきまして実際に
原子力発電所が
運転をいたしておりますので、その
運転をいたしました
発電所の経験、それから、この間に行なわれました
動力炉の
研究開発、そしてそれらのものをもとにいたしまして、将来の
エネルギーにおける
原子動力の
役割りといったようなものを討議検討されたのでございます。
それで、発表されたところによりますと、この
会議に集まりました者は約四千人ということでございます。
原子動力というふうな
ぐあいにしぼりまして、
会議の
規模をなるべく集中しようといたしましたけれ
ども、やはり人数はいま申し上げましたような
ぐあいに四千人に近い数になっておりますということは、
原子動力というものが
各国におきまして現在の段階で非常に
関心事であるということをあらわしておるものであると
考えるのであります。
なお、蛇足かもしれませんが、申し上げますけれ
ども、この参加いたしました中で一番たくさん参りました国はどこかと申しますと、それは
西独でございました。一回、二回とも
西独はそんなにたくさん来なかったのが、今回は
西独が最大の
参加者国であるということは、
西独がこの
原子動力に対しまして非常になみなみならぬ
関心を示しているということであると
感じた次第でございます。
そして、その
会議は、全部で
論文が七百四十七編提出をいたされまして、その七百四十七編のうち
口頭発表は三百三十四編でございました。
わが国といたしましては、この七百四十七編のうちの二十九編というものでございますし、なお、
口頭発表三百三十四編のうち十編というものが
わが国の
口頭発表数でございます。
会議は、
ソ連のエメリアノフという方が
議長になられまして、そして
一般部会、
技術部会という
二つの種類の
部会に分かれまして、
一般部会というのはもっぱら全般的のこと、それから
技術部会というのは技術的の問題を取り上げるのでございます。
技術部会のほうは
三つに分かれまして、そして全部
三つは並行して討議をされた、会を持たれたという次第でございます。
まあ、このように非常にたくさんの
論文、大体一メートルぐらいの高さになるような
論文の量でございましたのですが、この詳細のことは、私
ども参りました
代表団といたしまして正式に御
報告申し上げることにいたしまして、目下それの整理を急いでおりますところでございますけれ
ども、大体のことは進捗いたしておりますので、近いうちにこの
報告書といたしましてまとめて御
報告させていただきたいと
考えております。
しかしながら、今回この
会議におきまして私
どもが
感じましたことを、その中から申し上げさせていただきたいと思っております。
まず第一は、この
原子力発電というものが非常にはっきりした
根拠に立ちまして、その
経済性の
見通しというものが出てまいりましたということでございます。
各国から出ております
設備費でありますとかあるいは
発電コストでありますとかいうものは相当ばらばらになっておるのでありますけれ
ども、ともかく一九五八年前の従来の
考え方に対しますと、大ざっぱにいいまして、
発電設備費というものは四〇%ないし多い場合は五〇%近くも下がってまいっておるということが発表されておるのでございます。ともかく一九七〇年ぐらいにおきましては
火力発電と匹敵できるものであるということは
一般にいわれたのでありますけれ
ども、どうも今度の
会議の結果から見ますと、それはもう少し私は早まるのじゃないかというふうな
ぐあいにも
考えられるのでございます。たとえば
アメリカの
原子力委員会で
大統領に
報告いたしました
大統領報告の中には、そのころに五
ミルないし四
ミル一キロワット時当たりというようなことがいわれておったのでありますけれ
ども、その
数字は今度の
アメリカにおきます
オイスタークリーク発電所において実際にその辺まで
数字が出てまいっておるというようなことからも、私が申し上げましたようなことがうかがわれると思うのでございます。
しかしながら、一九七〇年ごろに、あるいはそれよりちょっと前ぐらいに
経済性が確立するといいましても、ただ何もしないでおって
日本においてこれが確立するわけではない。
日本といたしましては、やはりこれに対しまして十分なる努力をして、やるべきことをやらなければ、
日本においてこれが確立するということにはならないのだということも、そういうふうな
ぐあいに感じてまいったのでございます。
第二は、
各国が
動力炉の
研究開発に対して非常な熱意を持って、いろいろな
タイプにつきましてそれぞれの国が一生懸命出してやっておる。これは前から私
どもが承知していたことでありましたが、数年かかった今日におきましても、その
研究計画というものはそれぞれが一生懸命出してやっておるのでありまして、もう
自分のところは
動力炉の
タイプについて
結論を出してやめた、なんていっておるところは
一つもなくて、まだまだ向上、
研究をさせていかなければいけないということで、一生懸命出してやっておるのでございます。この点は私
どもも、相当
新型動力炉等についてあちこち
研究が進んでおりましたので、
相当程度の見込みというようなものが出てくるのじゃないかというような
感じを持ってまいったのでありますけれ
ども、そうではなくて、それどころか、従来の線をそれぞれが一生懸命出して伸ばしていくというようなことを、私
ども非常に強く
感じた次第でございます。
それから、第三番目にあげられますことは、
国際協力という問題を
各国が非常にうまくやっておるということでございます。今度の
会議におきましても、
一般部会の中に
国際協力という会合が持たれまして、
アメリカ、
ソ連並びにイギリスはじめそれぞれのところでやられております
計画の中から四つ、五つの
計画が発表されたのであります。ともかく
原子動力の
分野というものは非常に
規模が大きくございますので、ただ一国で何でもかんでもやるといったような
考えではございませんで、国際的に協力して大きな問題を解決していこう。私が申し上げました第二の、
各国がそれぞれの
立場で
自分のところの新しい炉の
開発をやっているということを申しましたのですが、そういう
立場に立って、しかもその
立場で
国際協力というものを非常に推進しているということに対しまして、私は強く
印象を受けたわけでございます。
それからもう
一つ申し上げたいことは、今回はいろいろ新しい
話題がありましたけれ
ども、その
話題の中で、
海水を
原子力を使いまして
真水化する。そうして同時に
電気をつくる。結局
電気と水の
二つのものを
原子力でつくっていくということが
話題となったのでございまして、これは
アメリカ、
ソ連共同してこの
原子力平和利用の新しい
分野といたしましてやっていくというようなことで、非常に力を入れて進めてまいっております。水の問題は、そのこと自体、
世界的の視野で見ますならば大きな問題でございます。そして水と
電気を両方ということ、このことは非常に興味あることでございますが、それに加えまして、これが
国際協力のもとにやっていく、IAEAが主になりまして、チュニジア、それからイスラエル、そういうところでいろいろと
計画を進めておるということ、そのことは非常におもしろいことでありますし、今後この
方面の
平和利用というものが相当活発に進められるのではないかというふうに
感じた次第でございます。
いろいろ申し上げたいこともございますが、先ほど申しましたような
ぐあいに、まとまったものは
報告書とさせていただきたいと思っておりますので、はなはだ足りませんけれ
ども、大ざっぱなことで恐縮でございますけれ
ども、
報告を終わらせていただきたいと思います。