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西脇参考人 おそれ入ますが、私図面を用意してきましたので、どこかへ張らしていただければありがたいと思います。
私、
東京工業大学の
教授をしております
西脇と申します。先ほどから皆様方のごりっぱな先生方の御
意見を伺っておりますと、まず最初に
服部先生から
原子炉の
事故についていろいろと御指摘がありました。慎重の上にも慎重を期するようにという御
意見だったと思います。引き続きまして
浅田教授から、慎重にしていればそう心配は要らない。引き続きまして
藤本教授から、
学術会議、それからまたこの
原子力潜水艦の寄港に反対しておられる方の一人といたしまして、その立場から御説明になったと思います。
そこで、私は一応、 何と申しますか、正常な状態において万一入ってまいりました場合に、絶対安全ということはいえないまでも、じゃどの
程度危険なのか。
一般の方は絶対安全ということは保証できないと申しますとすぐに、じゃ絶対危険じゃないかというぐあいに誤解をされるおそれがあるわけでございますけれども、ものごとというものは、決してそういうものではないわけであります。そうすると、どの
程度の
危険性の感覚を持って判断すればよろしいかということになるわけであります。
そこで、よくいわれますように、
放射能は少なければ少ないほどよろしいということ、これはまことにもっともなことでありまして、たとえばこれを交通
事故にたとえますと、 交通
事故は起こすべからずということになります。また自動車について見ますと、自動車から出すところの排気ガスというのは少しでも少ないほうがよろしいというのは、これは
原則論として当然のことであります。ところが、自動車でも、動かしますと何がしかの排気ガスというのは、これはやむを得ない。そこで、一体どの
程度までならばそんなに危険と感じなくてもよろしいのだろうかという限界というものを設定しておきませんと、これはどうにも世の中が動かなくなる。
特にこういう
放射能の問題に関しまして、いま申しましたような問題に逢着しておりますのは、ヨーロッパの諸国でありまして、たとえば非常に大きな河川が幾つかの国を通じて通っております。エルベ川とかライン川。そうしてそういう大きい川のうちには、たとえばチェコスロバキア辺に端を発しまして、そうして東ドイツを通って西ドイツに入ってきておる。そしてチェコスロバキアでも、私も直接何年か前に見てまいりましたけれども、川のへりに
原子炉が建っておるということになります。そうして、東ドイツでも
原子炉がある。そうすると、それの
廃棄物の水というものが西側のドイツに流れ込んでくる。ベルリンを通って流れている場合もございますけれども、そこで少しでもいかぬということになりますと、これはお互にどうにもならない。
じゃ一体どの
程度までならば国際的な感覚という立場からいたしまして危険なものであるということでもって反対するとか、あるいはそういったことがどの
程度までならばまあまあそんなに危険なものでないというぐあいに考えられるかという
考え方が、国際
原子力機関というのがウィーンに、
世界じゅうのほとんどの
原子力をやっている国が加盟したのがございますけれども、打ち出されているわけでございます。この国際
原子力機関というところでもっていろいろ
検討しております。それから、
アメリカのナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス、どう訳しますか、
アメリカ科学アカデミーというようなところでも、こういった問題をそれより以前にいろいろと
検討しております。
こういった
考え方に基づきまして一応判定してみるとどういうことになるかということを、一応簡単に御紹介したいと思うわけであります。
まず最初に、国際
原子力機関から出されております
報告書の中に、
原子力船が将来約三百隻ぐらいになるだろうということを予測しまして、そうして将来いろいろ変わった型の
原子炉というものが出てくるというと、その中の
放射能の成分も多少変わってくるかもしれない。つまり一次
冷却水の中の
放射能も変わってくるかもしれない。しかし一応現在のところこれを
検討してみるためには、現に動いております
サバンナ号、それからノーチラス号といった、商船つまり水上船とそれから
潜水艦というものをいろいろ比較をいたしております。
〔
西脇参考人、図を示す〕
この第一表に掲げましたのが、一応両方を比較してあるわけであります。この比較した
資料によりますと、
サバンナ号の
イオン交換樹脂——一次
冷却水中の不純物をとるために
イオン交換樹脂をもちまして
放射能を集めておるわけであります。その
放射能というものが約五十日作動した後において総計四百五
キュリーの
放射能になります。内訳は書いてあります。これに対しましてノーテラス号の
原子力潜水艦の
イオン交換樹脂というのが約十二・五というように、むしろ厚子力
潜水艦のほうが少なく出ておる。それからもう
一つ、この一次
冷却水中のグロス・アクティビティーといいますか、総
放射能というものも比較いたしてみますと、サバンナの場合には濃度が〇・〇八
マイクロキュリー、一cc当たりの値であります。そうして膨張水分の中の総
放射能量が六・八かける十の
マイナス一乗、〇・〇六八。これに対しまして
原子力潜水艦の場合におきましてはこの値が三二かける十の
マイナス三乗、つまり十分の一以上濃度が低いということになります。非常に半減期の短いもの、数時間のものは、これは急速に減少してしまいすのでそういった数時間で半減してしまうというようなものを除きますと、 大体これくらいになる。それから膨張水、この膨張水分として大体
平均五百ガロン出すというぐあいに仮定をいたしますと、その量というものも五・九かける十の
マイナス三乗。
サバンナ号の値に比べますと、大ざっぱに申しまして約百分の一ぐらい
潜水艦のほうが低い、つまり
サバンナ号のほうが高いということになります。
そこで、
平均的な値というのをどういうところに置いて考えればよろしいかということになりますので、一応国際
原子力機関におきましてはその中間をとりまして、
原子力潜水艦よりはかなり高いけれども、一応
サバンナ号よりは少し低い、
サバンナ号の最高値よりは低いというような、膨張水分中の
放射能にいたしましても〇・四一
キュリー。これでもノーテラス号の
資料に基づくものよりも約百倍
程度高い値になっておりますけれども、こういう値を仮定いたしました。
それから、
イオン交換樹脂を投棄してよろしいかどうかという問題につきましても、これも
サバンナ号の場合でも、五十日
運転したときに四百
キュリーというような値が出ておりますけれども、これも時期によって大体戸
キュリーから四百
キュリーぐらいまで変動があるというので、その中間をとりまして百六十
キュリー。これも
原子力潜水艦について出されております値の十倍以上の値でありますけれども、こういう値を仮定していろいろ
検討しております。こういう値を仮定して
検討してみますと、百六十
キュリーといったような
イオン交換樹脂に吸着している
放射能というのは港の中に捨ててはいけないということになりますので、これは大体
原則として捨てない。もしも捨てるにしましても、十二海里以上離れたところ、既知の漁区を避けて捨てるようにしなければいけないというようなことになってきておるわけであります。ところが、一次
冷却水中の濃度ということになりますと、いま申しましたようにはるかに薄い、その量も少ないということになりますので、その
程度ならば
条件によっては十二海里以内においてもだいじょうぶではないかというような推定も成り立つことになってくるわけであります。
さて、よくこの
放射能について混同が起こっておりますのはなるべく詳しく説明しようとするとやっかいになりますので、申しわけないのですけれども、むずかしくなります。スキップジャック号の
アメリカの国会の公聴会といったものによりますと、二つ値が出ていまして、たとえば十五分値というのは、
原子力潜水艦の
冷却水中の
放射能をとりまして、とった時間から十五分たったときの測定値と、それから百二十時間たったときの測定値というものと、二つ出しております。これはスキップジャック号の
アメリカの国会の公聴会の
報告書に出ておる数字でありますけれども、十五分値でたとえば一cc中に〇・〇五
マイクロキュリー。一
マイクロキュリーは百万分の一
キュリーということでありますが、 それを単位として〇・〇五、一cc中にある。ところが、これが百二十時間
たちますと、数時間というような半減期のものが減少してしまいますので、〇・〇〇三
マイクロキュリーというぐあいに、十分の一以下に下がってきておる。そうしてこれを五百ガロン投棄するといたしまして、その十五分後にはかった値を、月一回としますと、〇・〇九五
キュリーという総
放射能になります。そうしてこれを十二カ月間、一年間足し合わせますと、一・一四
キュリー。一年間にこれだけ、約一
キュリー一年間に投棄する。これを毎月五百ガロンずつ投棄して約一
キュリーということになるわけであります。ところが、現実に月一回ずつ一
キュリー捨てておりましても、一年の終わりに実際にはかってみますと、十五分と百二十時間とでは十分の一に下がっておりますように、ぐっと下ってくる。ですから、たまっておるのはそれだけない。どこへも拡散しないとしましても、半減期がありますので、一定量ずつ投棄しておればそう無限にたまるものではない。百二十時間値で
計算するというのがむしろ現実に近いのではないかというので、百二十時間値で
計算しますと、一カ月当たり〇・〇〇五七
キュリー近いのですけれども、これを十二倍いたしますと一年間に〇・〇七
キュリー。五百ガロンずつ投棄して約七十ミリ
キュリーということになるわけであります。
そして、どんどん
放射能を一定量ずつ入れていくと、無限に量がふえるのではないかというぐあいによく考えられるかと思いまして、ここに
一つの例を持ってきたわけですけれども、いま年間〇・〇七
キュリーということになりますけれども、そのうちのコバルト六〇というのは一体どれくらい入っておるかというと、半減期が五・二年でありますけれどもそうすると大体約五百分の一——五百七十分の一ぐらいになるかと思いますけれども、入っておる。それで、コバルト六〇という半減期五・二年のものについてみますと、cc中には百万分の一
キュリーを単位としまして百万分の五・七というような値になります。百万分の五・七
マイクロキュリーcc。五百ガロン出すとしまして、これをccに直しますと、大体千九百リットルが五百ガロンというぐあいに推定をしておりますけれども、これをかけますと、一月当たり五百ガロンを千九百リットルとして十
マイクロキュリー。
マイクロキュリーは百万分の一
キュリーでございます。これが十二カ月としまして年に百二十
マイクロキュリー。年に百二十
マイクロキュリーずつ捨てていくというぐあいにしますと、これが無限にたまっていくかというと、そうじゃない。五・二年たつと最初の半分になるというぐあいに減少しますので、無限にこれを続けるとしましても大体九百
マイクロキュリー以上にはならない。九百
マイクロキュリーといいますと、ミリ
キュリーという単位にしますと〇・九ミリ、約千分の一
キュリー。一万分の九
キュリーということになる。
ストロンチウム九〇にいたしましても、この量というのはわずかでありまして、約六万分の一くらいだと思います。この
放射能の六万分の一であります。それにつきまして一カ月分総計いたしましても一年で一・一
マイクロキュリー。
マイクロキュリーというのは百万分の一
キュリー。ですから、一年当たり大ざっぱに見ましてストロンチウム九〇が約百万分の一
キュリーということになるわけです。これもずっと連続して投棄しまして、どこへも逃げないというぐあいに投棄していきましても、二十八年で半分になるという割合でもって減少してきておりますので、無限に投棄しましても三七・五
マイクロキュリー、百万分の三七・五ですから、十万分の三・七五
キュリー。これをこえないということになるわけです。
ところが、たとえばいま問題になっております佐世保、大村湾地区というのに空から降ってきているストロンチウム九〇というのを推定してみますと、一九六三年度には、大体東京の一平方キロメートル当たり降った値に佐世保、大村湾の面積をかけますというと、約七
キュリーくらいになります。ですから、この七
キュリーと十万分の三・七五
キュリー、こういった比較になるわけであります。
それから、ヨード一三一という
放射線を出すヨード、これは各病院なんかでも最近は甲状腺の治療に使われておりますけれども、この量が大体一CC中に、
マイクロキュリー、百万分の一
キュリーを単位としまして、十万分の一
程度。これに五百ガロンのCC数をかけますと、月に約十九
マイクロキュリー。ところが、月に十九
マイクロキュリーずつ投棄していきましたら、その総和は一年間で二百三十
マイクロキュリーということになるわけであります。ところが、このヨード一三一は半減期が八日である。つまり八日
たちますというと半分、半分という割合で減っていく。ですから、一年の初めにあったものは八日で半分、十六日で四分の一、それにまた八日足しまして二十四日で八分の一、三十二日でもってまたその半分というぐあいに順番に減ってまいります。したがいまして、大体一カ月
たちますと十分の一以下、約十三分の一以下になりますので、一年の初めに捨てましたものは一カ月ごとに十分の一、十分の一、十分の一にいきますので、もう一番最後の月に投棄したものだけが残る。そこでもって、たとえば毎月一日にヨード一三一を十九
マイクロキュリー投棄したといたしますと、年末には一番最後の十二月の一日に投棄したものが一・四マイクロキューリー。それから、その前から加算してきたのが約一
マイクロキュリー、総計約一・五
マイクロキュリーしかそこにない。これはどこへも逃げないとしても半減期で減っていきますから、そう無限にふえるものではない。
したがいまして、数時間で半減するというような
放射性物質につきましては一応問題が少ないので、非常に量が多いとまた別でありますけれども、少なくともこの
原子力潜水艦から出る
程度のものではまず問題がないということになります。
それから、先ほど
浅田教授からも少し
お話がありました旧艦船局
訓令によりますというと、大体古い国際
勧告案によりまして一CC中に三
マイクロキュリー、こういう濃度をきめておったのであります。これが
アメリカの国立
基準局のNBSハンドブック六九号に出ている。これを反映したといいますので、訂正した値でもって
計算しますと、一CC中〇・二
マイクロキュリーを限界としている。実際に投棄しておりますのは、いままででもこの上限よりはかなり低い値のようであります。これが十五分後にはかった濃度一CC当たりで〇・〇五
マイクロキュリー。それから百二十時間ではこの十分の一、半減期数時間ものが減少しておる。
それから、ノーテラス号、スケート号両艦がニューロンドン港に出入りしておる。これの例が出してありますけれども、この場合の例を見ますと、月間
平均投棄ガロン量というのは六百二十五ガロンでありまして、そして月間
平均投棄回数が七回。七で割りますと大体
平均九十ガロンしか投棄しておらない。これも
平均五百ガロンといいましても、
原子炉の一次
冷却水が高い温度で回っておる。とめると温度が低くなってくる。低くなってくるときに水が収縮しますので、そこへすき間があかないように水を入れる。そうしてまた出港のときに温度を上げると水が膨張するので、その膨張分を外に出すということになる。ところが、その
原子炉をとめまして温度がほとんど冷えない間に出ていくということになりますと、 必然的にその間の膨張する水の量、温度があまり冷えてないから、もとの温度まで上げる温度差が少ないという場合には厳密に申しまして、何といいますか、温度が全然下がらずに、入ってきてすぐ出るという場合ですと、膨張水分というものはほとんどないのではないかというぐあいに考えられるわけでありますけれども、実際に一カ月間その
平均値というのを見てみますと九十ガロンである。九十ガロンとしますと約三百四十リットルになるので、百二十時間後の濃度にこれをかけますと、一回の投棄量が約一ミリ
キュリー、一千分の一
キュリー程度である。そういうぐあいに推定されるわけであります。
それから、
イオン交換樹脂を十二海里以上離れたところで捨てておる。これも一九六一年、六二年にいろいろな値が報告されておりますけれども、それを見ますと、
世界じゅうの海へ投棄した総量が年間約二十
キュリー程度になっております。年間二十
キュリー広い
世界の海の中に投棄したというのが、一体どの
程度危険だと考えられるか。その比較
資料といたしまして、ストロンチウム九〇、一九六三年、昨年度の佐世保、大村湾に降った量というのを、東京における値を
基準にして佐世保、大村湾の面積をかけますと、一年に七
キュリー。先ほど申しましたように
冷却水中分の放出物という中のストロンチウム九〇だけですと大体百万分の一
キュリーということになりますけれども、現実に雨から昨年一年に降り込んでいるのが七
キュリー程度。
日本全体に対しては一年間に七千四百
キュリー。これは、現実にわが国が
実験用に輸入しておるというストロンチウム九〇の量よりもはるかに大きな量が無料でもって空から降ってきておる。まことに迷惑な話でありますけれども、 七千四百
キュリー入ってきておる。北半球全体につきましては、これは東京の
平均値に北半球の面積をかけるわけにはいきません。これはことしの国連の科学
委員会の報告から引用したわけでありますけれども、大体北半球全体の
平均は一平方キロ当たり九・一ミリ
キュリーで、ミリ
キュリーが一千分の一ですけれども、九・一、これに北半球の面積をかけますと、北半球全体に太平洋、大西洋を含めて二百三十万
キュリーのストロンチウム九〇という値を出しておる。
セシウム一三七というのはストロンチウム九〇と同じくらい半減期の長いものでありますけれども、これも佐世保、大村湾に入った量というのが、ストロンチウム九〇に対してセシウム一三七というのが約二倍近いと仮定しますと、一年間に十四
キュリー程度、
日本全体に降り込んでおる量は昨年一カ年でセシウム一三七は一万四千八百
キュリーということになる。それから国連科学
委員会の
資料北半球全体については、一平方キロメートル当たり十四ミリ
キュリーという
平均値に面積をかけたのだと思いますけれども、三百五十万
キュリー降ってきておる。
こういった値に対しまして、
原子力潜水艦から
イオン交換樹脂を
世界中の海に投げる年間の量が六一年、六二年の
平均値で二十
キュリーの
程度であるということと比較をしていただきたいと思います。ここに書いてありますけれども大体約二十
キュリー前後ということになります。
それから、
浅田教授からちょっと話されましたけれども、天然のカリウム四〇という
放射能があります。これが
世界中の海の中にどれだけあるかというのをちょっと見ていただきますと、これは半減期が約十二億五千万年でございますけれども、四千六百億
キュリーというのが
世界中の海にあります。それから、海水の量が多いのでそれで割りますと、一cm当たり大体一千万分の三
マイクロキュリー。
マイクロキュリーは百万分の一
キュリーを単位として一千万分の三というような
程度になる、 ということになるわけであります。
こういうぐあいに、現実に核爆発
実験で降ってきておるのが非常に多いということをよく注目していただきたいと思うわけであります。
それで、実際に六一年から六二年にかけて港にどの
程度投棄しておるかということが
アメリカの公衆衛生局によって調べられておりますけれども、この公衆衛生局にあてられました
アメリカ海軍からの
報告書によりますと、六一年で教ミリないし教十ミリ
キュリー、六二年で教十ミリないし教百ミリ
キュリー程度であります。これは総計であります。沖縄県の那覇にも現に出入りしておりますけれども、ここに投棄しました総量が、これを見てわかりますように約百分の一
キュリー、〇・〇一三
キュリー。普通はこういう場合には千分の一
キュリーを単位としまして、ミリ
キュリーという単位で十三ミリ
キュリー程度、これが六二年に投棄した総量であります。
それから今度は、このニューロンドンという港とか、そういう値が少し高くなっておりますけれども
報告書に注がありまして、これは何も
原子力潜水艦だけから出したものではなくて、造船所から出たものも全部一緒にして大体この
程度と推定されておるんだというぐあいに言われております。
これにありますように
世界中の海に六一年で二十一
キュリー、六二年で約十八
キュリー、ですから
平均しますと約二十
キュリー程度。もちろんストロンチウム90とかそういったものの割合というのはこれよりもはるかに低くなってきております。これに対しまして、北半球全体には数百万
キュリーのストロンチウム九〇とかセシウム一三七が入ってきておるんだということであります。
それから、現実に海岸にイギリスあたりでどれくらい出しているか。ウィンズケール及びコールダーホールという
原子炉がありますが、これがパイプラインを通じましてオープンシーに、外の海に流しておる。これがアイリッシュ・シーに流れ込んで、大西洋のほうに入ってしまうわけでありますけれども、これが年間水の量にしまして約八十万トン、ベータ一線の
放射能にしまして年間約九千
キュリー。これは一九五八年から六〇年の
平均値でありまして、正式に英国の
政府からウイーンの国際
原子力機関に出された
報告書から引用したものであります。それからルテニウムが約年間四千
キュリー、ストロンチウム九〇が年間約千五百
キュリー、それからアルファ線を出す非常に危険なものが年間七十
キュリー。この
程度パイプラインを通じて海の中に出しておる。海の拡散力というものは非常に大きいのじゃないかというような感じがいたしますけれども、この
程度のものを出しております。
それからドーンレーという研究所におきましては、やはりオープンシーにパイプラインを通じて出しておりますけれども、ベータ三線で年間約四千
キュリー、ストロンチウム九〇が年間二十
キュリー、それからアルファ線放射体が難問五
キュリーであります。
それから、一番多いのが
アメリカのハンフォードの
原子炉であります。こういうところはただ
原子炉だけでなくて、いろいろ研究したり
放射能を使ったようなものも一部は入っているのじゃないかと思うのですけれども、この液体
廃棄物としまして川に流しておる。これが川を伝いまして太平洋の中に入ってきておると思いますけれども、これは年じゃなくて一日にべーター線放射体三千
キュリー、それからクローム五一というのが一日に千二百
キュリー、 亜鉛六五は一日七十
キュリー、ストロンチウム九〇が一日に〇・二
キュリー。一年ではこの三百六十五倍であります。
それで、
原子力潜水艦から
廃棄物を出しましても、まあ沖縄県の例なんかですと、千分の一
キュリーを単位として十三ミリ
キュリーであります。ですから、 こういったものと比較しまして、大体どの
程度のものなんだということの感じをくみ取っていただければ幸いだと存じます。