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1964-06-25 第46回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午後一時七分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 佐々木義武君 理事 西村 英一君    理事 福井  勇君 理事 岡  良一君    理事 原   茂君 理事 山内  広君       木村 剛輔君   小宮山重四郎君       坂田 英一君    保科善四郎君       渡辺美智雄君    田中 武夫君       三木 喜夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長事務代         理)      楢林 愛朗君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君  委員外出席者         科学技術会議議         員       梶井  剛君         科学技術事務次         官       久田 太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  科学技術振興対策に関する件  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  まず最初に、閉会審査申し出に関する件についておはかりいたします。  本特別委員会は、閉会中もなお科学技術振興対策に関する件について、議長閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 前田正男

    前田委員長 次に、閉会審査のため、委員会において参考人より意見を聴取する必要が生ずることも考えられますので、その人選その他所要の手続につきましては、あらかじめ委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  6. 前田正男

    前田委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会審査案件が付託になり、実地調査の必要がある場合には委員派遣を行なうこととし、派遣委員の選定、期間及び派遣地並びに議長に対する承認申請手続等は、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、これに  御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 前田正男

    前田委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、福井委員より発言を求められております。これを許します。福井勇君。
  9. 福井勇

    福井委員 先般、当委員会よりの推薦によりまして、三木喜夫代議士不肖福井勇と、ウィーンにおけるOECD会議に出席いたしまして、その概要は前会二人で御報告申し上げたとおりでございますが、なお任務の一端は欧州における原子力関係状況視察ということも付帯として要務を帯びておりましたので、両人そろってそれぞれの部門を検討してまいりました。そのうちの特にこの委員会において報告を申し上げておいたほうがいいという点がございますので、三木福井委員で合同の上の調査を、私がかわって御報告申し上げておきたいと思います。  それは、いま日本においても懸案になっております原子力船に関する問題でございます。私らの調査いたしましたのは、英国原子力委員会を中心として現在までに検討された原子力船に関するいわゆるパドモア卿委員長とする研究会報告書、ニュークリア・パワー・フォア・シップ・プロパルション、通称パドモア報告書というものを基礎にして御報告いたしたいと思います。  本年三月この英国委員会パドモア卿委員長として、五月にこの報告書が刊行されております。その内容は、次の六つの炉型について検討いたしましたもので、結論としては、もしいま直ちに原子力船建造に踏み切るものとした場合、もちろん英国のことでありますが、バルケインBPWRのいずれかを採用すべしというものであります。その順位を申し上げますと、一、バルケイン英原子力公社とベルゴニュークレールと共同のもの。二、BPWR英原子力公社のもの。これが順位がついておりますが、以下申し上げる四つは順位はございません。三番目がCNSG、米バブコック社。四、UNIMOD、米コンバッション社のもの。五、六三〇A、米ゼネラルエレクトリック社。六、SCLMR、英ミッチェル社、こういう報告がなされております。  この報告は最も新しいもので、日本にはまだ参っておりませんが、英国の第二次原子力発電計画とともに、この問題が特に日本と同様に原子力船の推進について検討されたようであります。この内容といたしましては相当詳細な参考資料がありますので、追って文書をもって三木福井委員名をもって報告することにいたしますから、御了承願います。     —————————————
  10. 前田正男

    前田委員長 次に、科学技術の基本問題に関する小委員長より、小委員会調査経過について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。私が小委員長でありますが、佐々木委員にかわって報告していただきますので御了承願います。佐々木義武君。
  11. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 前田委員長の御依頼によりまして、私がかわって科学技術の基本問題に関する小委員会調査経過並びに小委員長の本委員会に対する報告要旨について申し上げます。  本小委員会は去る一月二十四日設置されまして、以来六回にわたり、科学技術振興に関する長期計画に関する問題、あるいは科学技術に関する基本法制定に関する問題、あるいは研究者処遇に関する問題等科学技術基本問題全般について調査を進めてまいったのでありますが、去る六月十日の小委員会におきまして、いままでの調査の結果に基づき科学技術の基本問題に関する対策要旨がまとまり、その要旨を本委員会に対し小委員長より報告することに決定いたしましたので、これよりそれについて御報告申し上げます。    科学技術の基本問題に関する小委員長の本委員会に対する報告    要旨   科学技術行政総合的効率的実施を図り、時代の要請に即応し科学技術振興の実効を収めるため、政府は、次の事項の実現を期すべきである。   一、科学技術振興に関する長期計画策定を促進すること。   二、近く提出される臨時行政調査会報告を尊重して科学技術行政機構整備を断行すること。   三、原子力関係以外の重要総合研究に関する予算についても一括計上措置を講ずること。   四、国立試験研究機関特殊法人研究機関及び大学において研究に従事する者の処遇について格段改善措置を講ずること。   五、技術導入に当っては慎重且つ適切な指導を行ない、併せて国産技術育成格段措置を講ずること。   六、科学技術に関する基本法のすみやかな制定につとめること。  以上が報告要旨でありますが、その趣旨につきましては本文にて明瞭のことと考えられますので、その説明を省略し、報告を終わります。
  12. 前田正男

    前田委員長 ただいまの小委員長報告を了承するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう了承いたしました。  この際、佐藤国務大臣が御出席されておりますので、ただいま了承されました小委員長報告について御所見を承りたいと存じます。佐藤国務大臣
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま科学技術政策についての御報告を承りました。一々ごもっともと存じますとともに、御熱心な御審議に対しまして心から敬意を表したいと思います。  今後、御趣旨を体し、直ちに実行できるものについては実行に移し、あるいは慎重な検討を要するものはさらに検討を加えまして、逐次その実現につとめたいと思いますが、各項目について所信を申し上げれば、次のとおりでございます。  第一の長期計画策定につきましては、何分関係するところが広範かつ多岐にわたるため慎重な検討を要するところでありますが、当庁といたしましては、今後とも各界の十分な協力を得て、充実した総合計画策定を目ざし、本格的に取り組んでまいる所存であります。  第二の科学技術行政機構整備につきましては、近来諸外国においてもその伸展が認められる状況にかんがみまして、近く提出される臨時行政調査会報告を尊重して、格段努力を傾注いたしたいと考えております。  第三の予算一括計上につきましては、御承知のようにすでに当庁におきましては総合調整の一環として原子力関係予算はもちろん、その他一部の重要総合研究につきまして一括計上を行なってきているところでありますが、今後とも御報告趣旨を尊重して、関係省庁十分連絡協議を行なった上、予算一括計上につとめる所存であります。この点は各関係省庁の積極的な協力を得、かつまた皆さま方の御支援を得なければななかなか実現しがたいところだと思いますので、一そう私どもの努力する方向をこの際に明らかにしておきたい、かように考えます。  第四の研究従事者処遇改善につきましては、従来からも努力を重ねてまいったところでありますが、今後とも格段処遇改善がはかられるよう一そうの努力を払いたいと考えております。  第五の技術導入につきましては、導入される技術わが国科学技術振興に資するかどうかを、学識経験者意見をも徴して慎重に検討してまいっているところでありますが、今後とも御報告趣旨を体し、一そう慎重かつ適切な指導を行なってまいる所存であります。  また、国産技術育成につきましては、新技術開発事業団の拡充、発明実施化奨励等措置を講じてまいっているところでありますが、開放経済体制への移行に対処して、今後とも格段の配慮をいたす所存であります。  第六の科学技術に関する基本法制定につきましては、目下科学技術会議におきまして検討中のことでもありますので、その答申を待ちまして実現を期したいと考えております。  以上、所信を表明してお答えといたしておきます。     —————————————
  15. 前田正男

    前田委員長 この際、三木喜夫委員より発言を求められております。これを許します。三木喜夫君。
  16. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この前、ウィーンの第二回議会人科学者会議に出してもらいました報告をいたしました。その報告の中で感じました点、ごく簡単な問題ですけれども、これに対して、会としてもあるいは政府としても考えていただかなければならない、こう思った点につきまして後日申し上げて善処をわずらわしたい、こういうぐあいに申しておりましたので、その点について、三点ほど感じております点を申し上げたいと思います。  これは欧州原子核研究所に行ったときに感じたことですが、日本の一青年がこの研究所でししとして研究に従事しておる。私は非常に頼もしいことだなと思って、福井先生一緒に同青年を激励しておりましたところが、この青年の留学、研究費用というものは一切日本から出ていない、米国の有力な財団からこの金が出ておる、こういう実態に直接ぶつかりました。その青年の言うことを聞きますと、日本からはびた一文も金が出ていない、こういう言い方をするのです。私は、研究しておることは非常にりっぱで、しっかりやってもらいたいと思うのですけれども、そうした日本大学で勉強した青年が、さらに国に役立つという段階になってから他国の費用で行っている。一番大事なところで手放してしまったような感じがするのです。そして、彼が言うのには一文も出ていないという話なんですけれども、よく考えてみますと、大学まで国の費用なり、あるいは父兄の負担なり、いろいろなことを経て今日に至っておるのですから、そういう点でこうした人が一体どのくらい海外に出ておるか、学者の流出ではなくて、もう学生の身分から大きな財団に買われていって、そうして、大きく言えば日本のためかもしれませんが、直接日本の国の学問の研究はしていない、こういうふうに思います。  そこで、科学技術庁では、そうした人々が実際どれくらいあるだろうかということを押えておられるかどうか、最初にそれをちょっと聞いておきたいと思います。
  17. 楢林愛朗

    楢林政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、先生の言われておるとおり重要な問題と考えまして、当庁といたしましては、学生以外の研究者を含めまして、海外に出かけていく者等について現在調査を開始しております。その結果が明らかになりましたら、また御質問の点についてお答えをすることができると思います。現在調査中でありますので、御了承を願います。
  18. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その青年の話を聞きますと、少なくともいま三名の日本人が原子核研究所に行って研究しておるのですが、ここらの悲痛な叫びとして、少なくとも三十人くらいの日本のこうした学生大学を出た人々研究によこしてもらいたいということを言うわけです。私も確かにそうした手中の玉を失っておるような感じでこれを見ましたために、この青年の言うことをよく聞いて、そうして今後日本の力で、三十名とはいわず、三名でも四名でもこの研究にやっていただけたら、こういうぐあいに思います。そういう計画を持ち得るか、あるいはこの委員会でそうしたうしろだてをしてもらうか、かなり強い決意を持ってやってもらわなかったら、肝心な大学を出てから手中の玉をこんなところで逃がしたような感じで、非常に惜しい気がするのでありますが、それについて科学技術庁のほうはどういうぐあいにお考えになりますか。
  19. 楢林愛朗

    楢林政府委員 先生の言われました現在の学生あるいはそれ以外の研究者についての研究訓練の一つの方法といたしまして、海外に留学するということもありますが、それについては一面その成果わが国に伝え、わが国成果として取り上げていくということもありましょうし、その点については、先ほど申し上げました現在の海外交流状況調査いたしまして、その方面からよく検討いたしたいと考えております。
  20. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この点について私も英国ロンドン大学の教授に、英国もかなり頭脳の海外流出があるのでどういうぐあいに考えておるかという話をしましたところが、英国も非常に困る問題だ、しかしながらこれについては個人の考えもあるから無理なとめ方もできないけれども、本人の愛国心といいますか、国を愛するという考え方にやはりたよらなければならない、こういう言い方をしておりました。やはり国を愛するような考え方を持たせるということになるならば、政府においてもしかるべき施策をしてやらなかったら、そこによることができないのですから、この点については十分今後考えてもらわなければならないと私は思うのです。  第二の点は、この前の報告にも申し上げましたが、科学アタッシェの方々にたいへんにお世話になった、私はこのことが非常に重要だと思うのです。しかし、科学アタッシェ努力あるいはいろいろな報告というものが科学技術庁に生かされていく、こういう形態がとられておるのでなかったら、これらの人の努力というものが無になるのではないか、このように私は思うのです。いまのシステムの中では、外務省報告をして、外務省出先というようなかっこうになっておると思うのです。科学アタッシェのほうでは、こういうよい情報を得、こういうことも科学技術庁のほうから指示を受けたいと思っても、一々外務省を回っていかなければならぬ、これでは非常にまどろっこしいということを出先アタッシェが言っております。何とかそういうことを当委員会としても考えてもらって、ほんとうに科学アタッシェを出している、そういう役割りを十分果たせるように、科学技術庁とも直結するという方法をとってもらうほうがいいのではないだろうか、私はこういうように思ったわけです。  それから、同じ科学アタッシェの問題ですけれども、科学技術庁ではどういうぐあいに考えておられるのか知りませんけれども、私は現地へやってもらって、特にウイーンでああいう会議がたびたび持たれておるにもかかわりませず、ウイーンではたった川嶋アタッシェ一人だけで、きりきり舞いをしているわけです。一方フランスではやっぱりOECD関係その他外交上の問題がたくさんありまして、これもきりきり舞いしておる。そこでヨーロッパ各地の、私が行かしてもらったときには川嶋さんだけにお世話になったわけですけれども、イギリスからもこういう会議があったら応援に来る、そういう道を開いてもらって、有無相通ずるというか、相互扶助という考え方でやってもらうか、それともたいへんに人手の足らぬところは人員をふやしてもらわなければならぬ。今後どんどんと海外に出ていって、こうした科学的な交流が行なわれるとするならば、この陣容では非常に不備である、少ない、こういうように思ったのです。これについては、科学技術庁でも相当決意を持って今度の予算要求をしてもらわなければなりませんし、前田委員長並びに当科学技術振興対策特別委員会ではかなり強くこの問題を主張してもらわなければならぬ、こういうように思います。それが第二の問題点です。  それから第三の問題点は、議会人科学者会議において結論として十カ条あげられました。科学担当の大臣を置かなければならぬとか、あるいは予算をどうだというような十カ条をあげられましたけれども、その五カ条までは日本としては、十分に形はできておるわけです。しかしながら、そのうちの六、七、八、九、十というような項目については、これは後ほど文書によって報告さしてもらいますが、いまだ十分でないと思います。そういう点はやはり科学技術特別委員会でしっかりと方針をきめてやってもらうということ。  それから、今後こうしたウイーンのような会議は、そのとき勝負で出ていくか出ていかぬかをきめるのか、あるいは今後それについては行くということを決定を願うのか、そういう長期見通しに立って、きょう会議が終わるのですから、そういう点もひとつきめておいていただいたらどうだろうか、こういうように思います。私はこの前御報告いたしましたように、ぜひこの会議には今後行っていただく、そうしてそれには科学技術庁もそれに対するところの援助計画といいますか、一緒についていくとか、あるいは出先でそれを援助するところの方策を立てるとかいうような長期見通しを立てて、そうしてここで決定してもらったらどうか、こういうように思うのです。  以上、私は、一青年科学者の問題と、科学アタッシェの非常な活躍から考えついて感じた点、こうした国際的な会議日本としてどう対処するか、この三つの問題について提起したのですが、時間がございませんので、私の考えなり提案をしたいというようなことは一切省略いたしまして、それについて委員長善処方科学技術庁善処方をお願いして、私の報告を終わりたいと思います。
  21. 前田正男

    前田委員長 ただいまの三木委員の御発言につきましては、御発言要旨及び視察報告書文書で拝見いたしまして、閉会中の審査においてひとつ委員の皆さんと御相談いたして善処いたしたい、こういうように思いますので、ひとつ御了承願いたいと思います。  本日は今国会最後委員会でありますが、委員各位には長期間にわたり熱心に本委員会審査に御協力くださいまして、どうもありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十六分散会