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1964-03-12 第46回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十二日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 佐々木義武君 理事 西村 英一君    理事 福井  勇君 理事 岡  良一君    理事 原   茂君 理事 山内  広君      小宮山重四郎君    坂田 英一君       細田 吉藏君    森山 欽司君       渡辺美智雄君    久保 三郎君       田中 武夫君    三木 喜夫君       鈴木  一君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    青木勇之助君         原子力委員会委         員       駒形 作次君         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  菊池 正士君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長) 森田 乕男君         参  考  人         (日本原子力研         究所東海研究所         保健物理部気象         海洋調査室長兼         放射線管理室長         主任研究員)  坂岸 昇吉君         参  考  人         (日本原子力研         究所東海研究所         物理部固体物理         研究室長主任研         究員)     高木  豊君         参  考  人         (日本原子力研         究所労働組合執         行委員長)   一柳 勝晤君         参  考  人         (日本原子力研         究所労働組合書         記長)     高島教一郎君     ――――――――――――― 三月十二日  委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として  森山欽司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森山欽司君辞任につき、その補欠として池  田正之輔君議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(日本原子力研究  所に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  本日は、日本原子力研究所に関する問題について調査をいたします。  本問題調査のため、本日は、参考人として、日本原子力研究所理事長菊池正士君、同副理事長森田逓男君、同主任研究員坂岸昇吉君、同じく高木豊君、同労働組合執行委員長一柳勝晤君、同労働組合書記長高畠教一郎君、以上六名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。どうかそれぞれの立場において忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  なお、参考人の御意見の開陳は、はなはだかってながら、時間の都合もありますので、できるだけ簡単にお願いすることにし、後刻委員からの質疑の際十分お答えくださるようお願い申し上げます。  それでは、菊池参考人からお願いいたします。菊池参考人
  3. 菊池正士

    菊池参考人 それでは、簡単にお話しさせていただきます。  いろいろとお騒がせしまして、たいへん恐縮に存じております。  まず、先般来の原研争議協定は成立いたしました。そのことから申し上げますと、この争議協定は、今後一年間の期間で成立いたしました。しかし、私の意見を申し上げたいのでございますが、一年後にはまたこの問題が繰り返されることは明らかであります。それで、私の考えでは、この原子力関係施設に対しては、はっきりとした法的規制でストの予告というものは必要であるということにしていただきたい、これは私は強く要望しておきます。これは原子力研究所に限りません。将来原子力に関するいろいろな施設がだんだんできてまいります。これに対して、発電所などはすでに公益専業としてそういうことができておりますけれども、そうでない、たとえば今度原燃公社の再処理試験所であるとか、あるいは原子力船であるとか、あるいは原研の内部でも、いままでやっております炉のほかに、放射性物質をやっております場所とか、再処理試験所とか、いろいろございますから、そういった全般の施設に対する規制というものは私はぜひあるべきだという考えを持っております。原研といたしましては、この一年間、三つの炉についてその協定はできておりますが、その点は私はそういう希望を持っております。  それから、その他の問題でございます。この協定ができましたから炉がすぐ動き出すというわけではございません。このほかにまだ超勤協定、直に関する勤務態様、それに関連する手当の問題がやはりこの三月一ぱいで切れます。これから三月末日までの間に極力組合と協議して、支障なく四月から運転できるようにしたいと思っておりますが、いろいろと困難な点も予想されますので、四月に入りましてもすぐに運転を続けられるかどうかという点について、ここでまだはっきりと申し上げられないような段階にございます。  いま申しましたのは、目前の争議協定をめぐりまして、あと一、二週間さらに問題になることを申し上げたわけであります。  その根本にさかのぼりますと、これはいろいろな原因を含んでおるわけでございまして、まず第一には、われわれの管理上のいろいろな不手ぎわ、至らないところ、これは何と申しましても第一に申し上げなければならないと思います。しかし、そのほかにも、こういった原子力というような特殊な事業をあれだけの規模で始めますためには、従来のほかのいろいろな施設研究所と違ったいろいろな問題をかかえておりますので、あらゆる面からこれを皆さんに周知していただきたいということを強く感じるわけでございます。  原研人員に対して少し大き過ぎる事業をかかえているとか、いろいろな問題がございます。この問題に対しまして、いろいろな面から御配慮をいただきたいということがございます。  こまかいことをたくさん申しましてもいけませんから、ここでただ一つだけぜひお願いしたいと思っておりますことは、たとえば、ああいうような大きな施設やものをつくっていく事業をやります関係上、少なくともいまから先五カ年ぐらいにわたっての具体的な計画が実際持てるようなかっこうで仕事をやらしていただきたい。と申しますのは、その間にどれだけの人がつぎ込めるのか、またどれだけの金がつぎ込めるのか、そのことを前もって承知の上で、それに合わせたような計画を立てていきたいということが、われわれの前々から非常に強く希望しているところでございます。これが現在のように毎年毎年の予算で査定されていくことになりますと、事業と金、人のアンバランスがどうしても生じるということでございます。それの使途その他について政府その他から強い規制を受けること、これ自体は私は当然受けるべきだと思っております。ただ、その計画を立てる際に、その間に投入し得る金とか人というものが、あらかじめ少なくとも五カ年ぐらいにわたってはっきりしたものがありませんと、第一年度をどうやら動き出しても、あとが続かなくなって事業がやれないというようなことで、とかく支障が起こりがちでございます。そういうことを私は一番強くここで将来の日本原子力開発をしていくためにぜひお願いしたい、こう申し上げたいのでございます。そのことがまたいろいろな面で労務問題その他にもつながってくるということを強く感じる次第でございます。  以上でございます。
  4. 前田正男

  5. 坂岸昇吉

    坂岸参考人 私は研究所の一所員といたしまして、中から見て、現在原子力研究所の置かれている状況は、非常に大事な時期であると思います。  初めにお断わりしておきたいのは、研究所の中に、中堅クラスというのですか、研究所の名前で呼びますと主任、副主任というクラス方々が合わせて七、八十名いらっしゃるのですが、全部ではございませんけれども、大半の方々が参加してつくっている研究主任会というのがございます。もともとその主任会というのは、原研の中にはいろいろ仕事の違った分野が寄り集まっておりますので、お互いの親睦をはかるということで月に一回くらいの集まりをしているわけです。私がその会の世話人の代表ということになりましたのは二月であります。原研発足以来もう八年を経過いたしておると思いますが、各セクションといいますか、各研究分野管理部門におきましていろいろやりにくい面があるというふうなことは、去年八月以来、少数でありますけれどもそのメンバー人たちが集まって、そしていろいろお互い問題点を話し合いまして、現在こういう問題にわれわれは直面しておりますというふうな意見の交換をしていたわけです。私が引き継いだ二月以後、たまたまあの研究所が非常に重大な時期に差しかかるということで、一体私ども中で働いている人にとってはこのままでいいのかどうかということを、フリートーキングといいますか、話し合いの場を何回か持ちました。そういうことで、おそらく私がそのメンバーの一人としてここに呼び出されたものと心得て、お話をいたしたいと思います。  私、研究所に入りまして八年になります。私の担当分野というのは、保健物理という中の気象海洋状態、それと現在は放射線管理室というものを預かっております。結局、何もないところからどうやってやろうかということで仕事を建設してまいったわけです。けれども、私の知る範囲だけのことを振り返ってみても、ここ八年間の経験を生かして今後どうやれば一番いいかというふうなことについて、ここにいらっしゃる菊池先生お話しをしたようで、いままでの実績からどういうふうにやるかということをかなり時間をかけていま検討しておる最中です。そういうことから見まして、研究所全体が現在、ある意味の大きな曲がりかどに来ておるのだと思います。私に限らず、中堅研究員クラス方々は、現在の研究所に入ったときに、原子力開発ということに一生を打ち込むということで来ておりましたのですけれども寄り合い世帯といいますか、そういう面もあるし、それから最近の予算関係といいますか、実際仕事をしていく上にお金が足りない、人が足りない。これは絶対的にどのくらい足りないかということをチェックするのは非常にむずかしいことでありますけれども、とにかく実際仕事をしていく上に、補助員の方が要求してもなかなか入ってこないというふうなこともあります。やはりこの際研究所としては、私どもから見て、何か非常に大きな方針といいますか、そういう方針に向かって研究を進めていくという考えは変わりはないのでありますけれども、先ほど菊池先生お話しになりましたように、五年なり六年なり、そういう期間を置いた大きな目標がないと、先行き一体私どもはどうしたらいいのだろうというふうなことが一つあります。  それから、私自身の仕事を振り返ってみましても、私より十年くらい下、三十代の方々、そういう中堅クラス研究員方々は、原研にとって、おそらく一番研究をやり、管理仕事にも経験が長いということで、こういう方方の意見を何らかの方式で理事長のところに伝えて実施の面に反映していただきたい、そういう声が非常に強いのです。ところが、各研究室、それからその室の上には部長さんがいらっしゃる、その上に理事さんがいらっしゃる。一応組織的にはちゃんと通路は通っておりますけれども、いままでを振り返ってみますと、必ずしもそのパイプがいつもよく通っていたということはありませんで、非常に仕事がやりにくい。そういう点もありまして、結局中堅クラス方々の意思が上のほうに反映しないという結果が確かにあったのではないかと思われます。こういうことは今後大いに改めていかなければならない点ではないかと考えております。  結局、私がここで申し上げたいことは、私どもを振り返ってもそうですけれども、新しい分野に入られた理事さんから私ども、若い人全部がそうだと思いますが、過去のいままでの実績をもとにして、そこで将来のイメージをもう一度検討する、それに向かって力を合わせていくということが、原研をよくしていく唯一の道ではないかと思います。結局、理事さん方にしても、おそらく非常に苦労されて、その御苦労が生きないままにやめていかれるというふうなことでなく、その苦労を生かしてよりよい原研にしていただくというふうに働いてくださるほうがいいのじゃないか、私どもそんな気がいたします。  はなはだ簡単でございますけれども、私のここで申し上げたいことはその程度にとどめます。
  6. 前田正男

  7. 一柳勝晤

    一柳参考人 原子力研究所発足いたしまして八年ばかりたっております。その間、私たちは、わが国唯一原子力センターに働く者として一生懸命働いてまいったわけであります。  その間、私、労働組合委員長という立場でありますので、主として労働問題という観点から見ましても、種々の問題が発生いたしております。御承知のように発足後二年たちました昭和三十二年には、主として東海村の生活環境不備という問題を中心にいたしまして、いわゆる人権闘争というのが起こっております。こえて昭和三十三年になりますと、発足当時のはなばなしいかけ声に反しまして、給与とかあるいは人件費とか、そういう面に関しましては、すでに息切れの現象が出てまいりまして、給与先細りというふうなことが問題になり始めたわけでございます。  昭和三十四年になりますと、その当時東海村におきまして急速にふくれ上がってきました東海研究所の機構あるいは研究体制不備の問題、そういう問題と一緒になりまして、ついに六月には、原研始まって以来のストライキ発展いたしたわけでございます。この給与先細りという問題は、とうとう中労委にまで持ち込まれまして、昭和三十四年の十二月には、公務員に対しまして百二十あるいは百三十という中山あっせん案というものが御承知のように出てまいりまして、一応のケリがついたというふうなことになっておるのでございます。ところが、この中山本格あっせん案と申しますものは、わずか一年足らずの寿命に終わりまして、三十六年になってまいりますと、その骨子がすでにくずれてまいっております。給与も、じり貧と申しますか、相対的にだんだん下がっていくということが急速に表面化してまいるわけでございます。  このころ問題になりましたのが、原研理事者側自主性喪失とか、あるいは原子局とか大蔵省の壁、こういう問題が問題になったわけでございます。この問題は、昭和三十六年度のベースアップにおきましては、再び中央労働委員会にまで持ち込まれたのでございますが、とうとう決着がつきませんで、組合のほうは、中労委の勧告を守ってくれ、所のほうは、守れない、ということで、昭和三十七年度のベースアップについて、四月には給与の一方的改定強行という事態が起こっておるわけでございます。給与の一方的改定強行ということが非常に悪い契機になりまして、その後原研労使間には、不信感と申しますか、そういうものが急速に大きくなってまいりました。労使関係がその後急激に悪化しておるわけでございます。その当時私たちは、理事者主体性喪失とか、そういう問題は、給与とか人事問題とか、そういうことにおいて特に著しいというふうに考えておったわけでございます。当時の組合機関紙などを見ましても、給与に関するそういう自主性喪失というものは、外堀を埋められたようなものである、次に来るのは、予算を通じての研究統制あるいは人員を通しての人事統制というものが来るのではないか、そして原研の経営が全体として主体性を失ってしまうのではないか、こういう警告が出されておるわけであります。  このような警告が不幸事実となったと申しますか、すでに原研発足以来そういうことであったのではないかということが、その後の経過を見てまいりますと、次第に明らかになってまいるわけであります。これは具体的に申しますとJRR2のCP5型、あるいはJPDR動力試験炉、こういう大型原子炉運転開始に伴う諸問題がその後起こっております。そういう問題を通じて明らかになってまいったわけでありますが、原子炉はできたけれども運転のための要員がなかなか十分に確保されない、あるいは直勤務に関する種々の厚生問題、そういうものがなかなか片づかない、あるいは原子炉を使っての研究計画がなかなかうまくいかない、しかも基礎的な研究部門から原子力部門へ人間がどんどん引き抜かれていく、あるいは基礎部門から何か新しいプロジェクトなどにコネをつけておかないと予算人員が満足についていかない、そういうようないろいろ行き詰まりの現象があらわれてきたわけであります。そういう中で、今後も新しい原子炉JMTR国産動力炉とか、そういうものをつくっていく、そういうはなばなしい計画が発表されるわけであります。  そういうわけで、一体そういうことになるのはなぜだろうという素朴な疑問が原研の各部門で起こってきたわけであります。こういう議論をかわしておりますと、行きつく先ははっきりしておりまして、原研自主性というものはどうも初めからなかったのではないか、現在の原子力政策のもとでは、原研は必然的にそういう運命を負わされておるのではなかろうか、それでは困るのじゃないか、こういう声が全所的に起こってまいったわけであります。先ほどからのお話で、原研は曲がりかどに来ておるということをよくいわれております。しかし、私たちの目から見ますと、これは原子力なら原子力、あるいは科学なら科学にはそれぞれそれ自体発展の法則というものがあります、そのような自然の発展の形に比べますと、現在までの原子力政策に基づいて引かれておる路線というものはややずれておるのではないか。それが八年たってそのままきたものだから、現実との乖離が大きくなってきて、急に転換する必要をしいられておる。そういうことで、これは曲がりかどというものではないのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、原子力研究開発というものは、非常にばく大な費用と人員を要する総合的研究でありますから、それを実施していくためには、学界とか産業界はもとより、広く国民の支持の上に立って行なわれなければならないというふうに私は思っております。  そこで、もう一つ見落していただいてならないことは何かと申しますと、やはり原子力研究に従事しておる私たち意見であるというように私ども考えておるわけであります。最近原研では、原子力小委員会からの質問によりまして、「原研調査項目」、いわゆる原研白書というものをつくりになったということであります。こういうものをおつくりになるならおつくりになるで、なぜそれを全所的な討論の上でおつくりになっていただかなかったかということを、私ども非常に残念に思うわけでございます。あれを私もちょっと拝見いたしましたけれども、出だしに比べて結論がはなはだ軽くなつております。龍頭蛇尾というような感じを受けざるを得ないわけでございます。具体的な解決策というものを非常に乏しいように考えております。ですから、そういうものに終わらない全所的な討論の上にこれをつくったならば、そういうものにはならなかったのじゃないというふうに私は、はなはだ残念に思っておるわけでございます。  産業界あるいは学界からの要望、それに原子力に従事している者の意見、この三つが有機的に結合されますと、原子力発展というものは期して待つべきものがあると思います。そのことをあまり考えずに、各種の矛盾とか、現実混乱というものをいたずらに原子力に従事する者のみにしわ寄せしよう、そういう政策が今後もし強行されますならば、原研は将来にわたっても争いが絶えない、原子力開発というものはまた混乱の中に再び道を誤るのではないかと、私どもそういうふうに考えております。
  8. 前田正男

    前田委員長 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 前田正男

    前田委員長 質疑通告がありますので、これを許します。森山欽司君。
  10. 森山欽司

    森山委員 本日は、科学技術振興対策特別委員会に、参考人として、日本原子力研究所理事長さんをはじめとして、関係者方々がお集まりになっております。おそらく、この参考人においで願うという企画は、だいぶ前から当委員会で立っておったと思うし、特に原子炉が従来停止しておった、それについてこれを再開するという目的をもってこの参考人の招致になったと私は思うわけでございます。しかるところ、最近この労使間において原子炉の再開に関して協定書が成立した、これで当面の問題が解決したような新聞の記事が出ております。それで、この際特に理事者側からこの点についての御説明を詳細に伺いたい。  まず第一番に、共同声明なるもの――これは私は異例だと思いますが――共同声明なるものを出した。どういう共同声明を出したか。  それから、争議協定書ができております。そのあらましをごくかいつまんで、これは理事長がおやりになりますか、副理事長がおやりになりますか、御説明を願いたいと思います。
  11. 森田乕男

    森田参考人 それでは、ただいまの御質問に対するお答えをいたします。  原子炉大型炉を動かすということは、われわれ原子力研究所の大きな使命だ、これがとまりますと、それに関連する部門研究もとまるし、原研としてはたいへんなことになる。御承知のとおり、昨年の十二月九日にJPDRをアメリカからわれわれのほうへ引き取りました。そうして、そのときの争議協定というものは引き取りまでということになっておりましたので、そこで争議協定というものはなくなったわけなのです。そこで、われわれといたしましては、そのときの引き取り前のいろいろの問題があった状況から非常に落ちついた状況になりましたので、このままある程度の運転をしつつ争議協定を結ぼうじゃないかという腹がまえはあったのでありますが、いろいろわれわれのほうでも考えまして、とにかく組合の良識を信ずるということにつきましては、組合もまさかストライキを理由に事前通告を短かくしてやるような組合ではないというような観念のもとにそう考えたのではありますが、これはわれわれの主観的の判断であるので、これではどうしてもいけないから、この際争議協定ができるまでは大型炉をとめる。少なくともわれわれの生活のサイクルの二十四時間というものはわれわれとしてはどうしても持たなくては、安心して炉を動かすことはできない。いろいろ説をなすものは、三十分でも一時間でも間違いなく炉は安全にとまるというような議論はあるにいたしましても、万が一これがどうかなった場合につきましては、菊池先生おっしゃるように、この付近に自分が住んでおったとしても安心して住めないということまで言われます。こういう状態ではいけない。とにかく二十四時間というものをわれわれにとるということで、国民を安心させ、われわれも安心して炉を動かすということが絶対必須条件であるということを感じまして、とにかく炉をとめて、いちずに争議協定の締結をやろうじゃないかということで、実は私二月の二十日ごろから労務担当になりまして、二十六日ごろから組合側と折衝をいたしました。そうしていろいろ話をいたしますのですが、炉をとめたその理屈だとか何とかを双方で立場を主張いたしておりますと、これはなかなかに話し合いがつかないと私感じまして、これはわれわれの立場として、従来のいろいろの行きがかりを捨てて何とかひとつさらりとした気持ちで争議協定をやろうというようなことで、共同声明をやろうじゃないかということは、これは理事者側、こちら側から提案をいたしまして、それについていろいろ話し合いをいたしたのであります。いろいろ組合側からも要望が出たりいたしまして、じんぜん日を費やしましたが、ようやく、われわれもいささか不満ではございましたが、とにかくすべて従来正常ならざることが多かった原研において、少なくとも二十四時間の事前通告をとるということは一歩正しきに近づくんだという信念のもとに、共同声明を出しまして、争議協定を結んだ。それが三月の十日に相なったわけでございます。  共同声明は御承知のとおりでございまして、一応読ましていただきますと、  「原子炉が停止している状態原研の社会的使命をはたす上に大きな障害をきたしている。炉の停止措置が事態の収拾をますます困難にしている現実を反省し、労使間の誤解を正し、正常な労使慣行を今後とも尊重することを相互に確認し、原研自主性のもとに事態を収拾することを申し合わせた。」  こういう共同声明を出しまして、協定書に入ったのであります。この協定書につきましては、昨年炉が動いておりますときに協定をいたしました協定と同様のもので締結をいたしました次第でございます。その文書を読み上げますと、  「1、争議行為に入る場合は甲乙は二十四時間前までに文書により相手方に通告するものとする  2、甲は乙の争議行為中争議行為に参加している乙の組合員の業務を他の者をもって代行させない。」ただし部課室長は、これは管理者であるから、これは入れてもよろしいとなっています。  「3、争議中乙は安全確保等のため争議行為不参加者を必要な時間就労させるものとする。」という保安要員の規定を入れました。  「4、争議行為中に天災、地変、火災その他の非常事態が発生した場合または発生のおそれがある場合には、甲の申出により乙は必要な措置に協力するものとする。」  こういう協定書でございます。
  12. 森山欽司

    森山委員 そういう共同声明を出されて、当面の争議協定ができたわけですが、これによって原子炉の停止を解除するということになるわけですか。
  13. 森田乕男

    森田参考人 お説のとおりに、炉を動かすにつきましてのいろいろな手当の問題その他につきまして、この前の十二月末のときに、これは三月末日までそういう諸般の規定はそのままにしておこうということで――三月中は間違いなく炉の運転をすることができるので、すでにJPDR運転の準備をいたしておるはずでございます。  そこで、一つ心配いたしますことは、四月一日から協定すべきものは、一つには超勤の問題です。超勤問題の規定がどうしてこれに影響があるかと申しますと、三直やっております場合に、ラップして三十分オーバータイムがつくわけです。それから、一人の者が休んだ場合に、前の直の者が次の直に直結して二直働くという場合がある。そういう場合に超過勤務というものはどうしても必要になってまいります。しかしながら、超過勤務手当の規定がこの三月三十一日で切れますと、御承知のとおりに、これは組合との協定がなければ支払うことができないという問題が一つ。それから直勤務の問題がからんでまいります。結局三交代をやるについての勤務状態でございますから、これもまた組合協定をしてやらなければならない問題になってまいる。  この場合に、それではこの協定がなければ直勤務というものはできないかということになれば、業務命令で直勤務をしてもらうという方法もあろうかと思いますが、これは組合と十分に話し合いをした上でなければできないことだとわれわれは判断いたしておりますので、この問題からも、組合と話し合いをしなければ、協定がなければ直勤務というものはできないのではないか。それから、もう一つございますのは、従来原子炉運転手当というものを出しております。これは大蔵省当局とお話をいたしまして、これを改定して管理手当と交代手当というものに分けて、従来の運転手当というものを廃止しようじゃないかということで、廃止することになっておるのでございます。この予算というものは、すでに四月一日からついておるのでございます。しかるに、JPDRにおける従来の運転手当をこれにかえますと、一部従来より減額される従業員が出てまいる。この問題をいかに取り扱っていくかということについて、いまわれわれのほうで案をこしらえて、組合と急速に話し合いをしようということになっております。  この三つの問題が、四月一日からの運転支障を来たす三つの条件になっているわけでございます。
  14. 森山欽司

    森山委員 そうすると、現在は原子炉運転すべくその準備をしている。しかるに、四月一日からは超勤の問題、交代勤務の問題、それから原子炉運転手当の処置の問題等について組合と話がつかなければ――またつかない心配がある、ということは、炉がとまるかもしれない、こういうことですね。
  15. 森田乕男

    森田参考人 さようでございます。
  16. 森山欽司

    森山委員 そうすると、三月十日に協定を結んで、原子炉運転の始まるのがいつか存じませんが、まあ半月くらい動いてはまたとまるという可能性があるわけですね。可能性の問題ですが……。
  17. 森田乕男

    森田参考人 遺憾ながら、十分に可能性があると申し上げざるを得ないのでございます。組合と話をして決定すべき事項がたくさんございますので、どうしても可能性が現実になってまいった場合には、いたしかたなくとめて、早急に組合のほうに協力してもらって、諸般の問題を解決いたしたい、こう存じております。
  18. 森山欽司

    森山委員 私は、「原子炉が停止している状態は、原研の社会的使命をはたす上に大きな障害をきたしている。」という共同声明のこの一項については全く同感でございます。しかしながら、この今回の争議協定が成立したというだけでもって、四月になればすぐにまたとまるかもしれないという公算がきわめて大きい現在に、一体原研理事者は直ちに炉の再開準備に入るなんていうようなことは、軽率じゃないですか。ひとつ菊池理事長に御返事を伺いたいと思います。
  19. 菊池正士

    菊池参考人 いま森田理事長から申し上げましたように、すぐ準備に入ると同時に、いま副理事長が申し上げましたようないろいろなことが解決されなければ四月一日から炉は運転できない、そういうふうに考えます。ですから、軽率とおっしゃいました意味がどういうことか、そこを十分確かめた上で運転を再開したいと思います。
  20. 森山欽司

    森山委員 あなたは私の言うことがわからないらしい。とにかく争議協定ができたからといって炉の再開準備を始められた。動かすつもりだ、こういうことが森田さんからお話があったのです。しかし、超過勤務協定の問題、交代勤務の問題、原子炉運転手当等の処置の問題について、組合との折り合いがつかない場合に――つかない公算はかなり大きいということを森田さんは言っておるのです。そうすると、もう一回とまるかもしれない。わずか二十日間か十五日間しかやらないでまたとまるという事態が予想されるならば、いまお動かしになるのは適当であるかどうか、こういうことを私はお伺いしている。理事者としてはっきりした確信を持たないで動かした、またとまった、というような事態をまたおやりになるのですかということを私は伺っておる。
  21. 菊池正士

    菊池参考人 いまのお話は、われわれのいまのその協定三つの炉について関係していることでございます。それで、二号炉と三号炉につきましては、それぞれJPDRと違った目的または性能を持っております。いまのお話は、JPDRの問題に限りますと、いますぐにJPDR現実にフル・パワーの運転を開始するという考えは持っておりません。
  22. 森山欽司

    森山委員 そうすると、二号炉、三号炉はお動かしになる、しかしJPDRは動かすつもりはない、こういうことですか。
  23. 菊池正士

    菊池参考人 動かすという意味次第でございますけれども、四月一日にいまの問題が解決されればすぐにどんどん進めるような準備には入っております。ただ、もしも四月一日にその準備が整わなければ、それはそこでストップせざるを得ません。しかし、解決されれば動かせるような体制をとりつつございます。
  24. 森山欽司

    森山委員 この際、原子力局長がおいでになるようだから伺いたいと思うのです。炉の停止については、原子力研究所のほうから通報を受けているだろうと思う。監督官庁ですか、あるいは原子力委員会の事務局というのですか、わかりませんが、通報は受けていると思う。しかし、この際、すぐ先に、もう一カ月、三週間あるいは二週間以内に問題が起きるようなことについて、はっきりしないうちに炉を動かそうとされるいまの原研理事者の安易なやり方についてあなたはどう考えているか、ひとつ伺いたいと思うのです。
  25. 島村武久

    ○島村政府委員 まず第一点でございますが、森山委員の御指摘になりました原子炉を動かすことについての通報でございます。非常に長い期間にわたっての予定というものをとっておりますけれども、ただいま御質問になり、あるいは菊池理事長からお返事のありましたような意味での炉の運転状況の報告、あるいは予定というものは従来とっておりません。私ども承知いたしておりますのでは、JPDRも本年に入ってできるだけ早く、おそらく二月の上旬ということになっております。そのころから動かすという予定を承知いたしております。先般来の紛争に伴いましてさらにいろいろこちらからお尋ねした結果、争議協定が結ばれれば動かすというふうに承知いたしております。また、いま動かす準備をしておると言われましたが、おそらくはJPDRはそうでございましょうが、ほかの大きな炉につきましては、おそらく三号炉じゃないかと思いますが、もう昨日すでに動かしておるということを聞いております。相当の出力まで上げておるということを承知いたしております。ただ、すべての炉の運転計画というものは、森山委員がお尋ねになりましたような意味で通報を受けるようなシステムにはなっておりません。それが第一点でございます。  第二点、四月一日からまたとめなければならないような不安定な状態において、いまこれを動かす準備を始めるということについてどう思うかという点でございます。この点につきましては、私どもといたしましては、すべての問題が労使閥におきまして円満に解決されましてその上で動かす、あるいは動かす準備を始めるというのが一番望ましいことだと考えております。現在は争議協定こそできておりますけれども、まだスト権は確立されっぱなしというふうな状況でございまして、私どもの目から見ました場合に、原研労使関係が現在安定した状況にあるというふうには残念ながら見ることができないのではなかろうか、そういうふうに考えております。しかしながら、争議協定ができ、少なくとも二十四時間前の通告を受けることができる、あるいは保安要員が確保されるということでありますれば、従来の理事者側から伺っております。そしてわれわれもその考え方を支持しておったわけでございますけれども、そういうような状況においては理事者として責任を持っていわゆる安全面について措置し得るということでありますれば、今度とられた措置、動かすということ、これもやむを得ないことである。つまりすべてが解決した上で動かすのが一番望ましいことでありますけれども、すべてが解決しなくても、理事者の責任において安全が保持できる状態まできたから動かすと言われることに対しましては、私どもは格別疑義を感じていないわけであります。
  26. 森山欽司

    森山委員 いま原子力局長はすべてが解決してとおっしゃいましたが、私はすべてというのをそれほど広くは解してないのです。少なくも森田理事長が言われましたように、超勤手当の問題、交代勤務の問題、原子炉運転手当の処置の問題等、当面の問題ですね。すべてといえば、あとからお話しいたしますが、もう驚くべき状況になっておるのです。それはあとで申し上げます。  そんなことまでやれとは言っていないが、少なくもこの程度の問題は片づけてやる。そして、こま切れ運転にしてやっていくようなことに、もしこのままの情勢でやっていきますと、今度は菊池理事長も十分御心痛のように、原研はすでに今回の問題で二名の理事が退任しておる。非常に大きな一つの社会的批判も受けておる時期です。いままでのようなだらだらしたやり方をやってはいかぬと私ははっきり考えておる。しかるに、今度の炉の再開はきわめてだらだらしたやり方であると私は思う。原子力局長でも、一番よいやり方だと思わない、しかしやむを得ないところがある。こんなやり方で、いままでとやり方が違うのですか。その点ちょっと伺っておきたいと思うのです。心がまえとしての問題です。
  27. 菊池正士

    菊池参考人 私はいままでとやり方を十分違えているつもりでおります。今度のことも、いま森田理事長が言われました三つ協定を結ぶについて、いままでのような態度でなしに、はっきりこちらの納得がいくような態度をどこまでも強く持していきたい、そういう意味で、態度はいままでとはさらにその点十分変えていくつもりでおります。はっきりしていくつもりでおります。
  28. 森山欽司

    森山委員 口ではっきりすると言われましても、いまのようなことをしておられると、私どもはまわりから見てあまりはっきりしているとは思っておりません。しかし、なぜはっきりしていると思わないかということはまた後ほど、これから続ける質疑の中で私は申し上げたいと思う。  そこで、次の問題に入りましてもう一回お尋ねします。共同声明には、「炉の停止措置が事態の収拾をますます困難にしている」、こういうことですが、一体炉の停止措置が収拾を困難にしているかどうか。炉の停止措置が事態の収拾を当面困難にしているかもしれません。しかし、長い目から見たら、まさにこの事態を収拾する最もいい道だというような見解も私は持ち得るだろうと思います。その問題は見解の問題でございますから申しませんが、しかし、「ますます困難にしている現実」、目先だけこういうことを反省されたらしい。  そして、「労使間の誤解を正し」というが、労使間にどんな誤解があったのですか。私は、どういう誤解があったのか、ひとつ伺いたいと思います。
  29. 森田乕男

    森田参考人 これは非常に抽象的な言いようをいたしておりますが、根本的に労使間というものは本来信頼すべき状態にあるのがいままでの状態であるということを私は信じております。遺憾ながら従来の経緯にかんがみまして、正しき労使間、双方に信頼されるような信頼関係があったかどうかということにつきましては、われわれはまことに申しわけないと思っております。そういう背景のもとの意味でございます。
  30. 森山欽司

    森山委員 これは理事長と執行委員長と両方の共同声明ですから、委員長に伺いたいのだが、委員長労使間の誤解というのをどういうふうに解釈しているか、簡単に言ってください。審議の時間が非常に短いですから……。
  31. 一柳勝晤

    一柳参考人 この点につきましては、今回の炉の停止措置というものが理事者の主体的な意思に基づくものであるか、それとも、よそから要請されたものであるかどうかというふうな点について、交渉経過においても種々やりとりがあったわけであります。そういう点についてもいろいろ誤解があったというふうに私は思います。
  32. 森山欽司

    森山委員 労使間の誤解の意味についてはわかりました。表現は、どうも使用者側と労働者側は、内容の解釈はちょっとこの辺違いますが。  その次に、「正常な労使慣行を今後とも尊重することを相互に確認し、」こういうことがございます。正常な労使慣行というのは、どんなことをもって正常な労使慣行としておるのか。ひとつ使用者側から承りたい。
  33. 森田乕男

    森田参考人 たとえば組合の時間内の活動だとか、組合活動等につきまして、これはここで申し上げるのはまことにわれわれ使用者としてもお恥ずかしいのでございますが、現在のところ規制が行き届いておらないというようなことでございます。それを正常ならざるものだとわれわれは感じております。
  34. 森山欽司

    森山委員 それは不正常なお話なんだ。正常な労使慣行とはどんなことをやっておったのかと聞いておるのです。今後尊重するというから、どんなことをこれからあなた方は尊重してやるのか、承りたい。
  35. 森田乕男

    森田参考人 正常なる慣行と申しますれば……。
  36. 森山欽司

    森山委員 森田さんちょっと返事に困られるようですから、聞きますまい。不正常な労使慣行は今後は尊重しない、そういう意味ですね。そういうように逆に読んでいいわけですね。
  37. 森田乕男

    森田参考人 さようでございます。
  38. 森山欽司

    森山委員 それでは組合側に承りますが、「正常な労使慣行を今後とも尊重する」というのは、どういうことをあなた方は考えているのですか。特にいまの組合活動の問題なんか森田さんが出されたが、それはどういうふうにお考えですか。
  39. 一柳勝晤

    一柳参考人 労働者と申しますか、それに働いております者が、私どもの労働条件につきまして、経済的地位とか、そういうものの向上をはかる、そういうような点に関する団結権、団体行動権、団体交渉権、そういうものを信頼しないということが不正常な労働関係であるというふうに思っております。
  40. 森山欽司

    森山委員 労働組合運動というのは労働者の経済的地位の向上を目ざす、そんなことは、組合があればわかり切っている。  ただ問題は、ここに労使慣行ということが書いてある。どんな慣行をやっておったのか。正常な慣行として今後あなた方が維持したいのはどんなことか、言ってください。特にいま組合活動ということが森田さんから出ましたから、お話しください。
  41. 一柳勝晤

    一柳参考人 その点につきましては、現在所側との懸案事項は非常にたくさんございます。したがって、所側から出ております「原研調査項目」、あの中にはっきり書いてございますように、たくさんの交渉事項と申しますか、そういうものがございます。しかも、その交渉が、これも調査項目に書いてございますが、所側のほうのそういう問題に関する主体性のなさと申しますか、そういうところからくる硬直した態度と申しますか、そういうものによって非常に交渉が長引いております。そういうものは、ずっといままでも交渉もやっておりましたし、こういう事務折衝というのはほとんど連日やらなければ問題が片づかないというふうな状況でございます。そういうのが現在まで続いておったわけでございます。  それが正常であるかどうかということは若干問題があると思います。しかし、これは現在までの原研の中におけるひとつの労使関係というものの歴史的な事実というものから見ましてやむを得ないのではないか、というふうに考えております。
  42. 森山欽司

    森山委員 時間内の組合活動というようなものについて、あなたは、問題があるかと思うが、しかしこれはやむを得ないといっても、そういうものは、いまこれから詳しく入りますけれども、あなたはそれでいいと思っているの。それは正常な労使慣行だとあなた方は主張したいのですか。すぐこの次に具体的に入りますから、返事を慎重にやってくださいよ。
  43. 一柳勝晤

    一柳参考人 調査項目などにも、たとえばそういう交渉事項が多いからということで書いてございますが、私はそういう点で非常に困っております。ですから、たとえば専従制の問題とか、そういうふうな問題についても考えなければいかぬということも考えております。  それから、そういう時間内の組合活動というものについても、私も多過ぎて困っておると思っておる。しかし、やはりこのままでは労使間の問題はどうしても解決していかない。その話し合いをやはり続けていかなければならない。そういうような状況の中にありますので、そういうふうな慣行はやっていかなければ問題は片づかない、そういうふうに考えております。
  44. 森山欽司

    森山委員 いまの返事で私は満足しませんけれども、ひとつ具体的にそれでは入ってまいりたいと思います。  第一番に、先ほど森田理事長が、心配なのは四月一日からの超勤協定の問題だ、こういうお話がありました。それで、その超勤協定について現在の原研労使間の協定書というものを読ましてもらったのですが、どうもこれだけだとよくわからない。  三十八年三月三十日に結んだ時間外及び休日労働に関する協定書昭和三十八年三月三十日、三八の一八号というものです。それを三十八年十一月十六日に、三八の一〇二号というので三月三十一日まで延期をしている。これまで大体三カ月ごとにやっておる。何回やっているのかわかりませんが、三回か四回超勤協定を結んでおるようですね。  そしてその内容にいろいろなことが書いてある。これも読んでみると、どうもこれでもずいぶんゆるふんだなと思うんだが、どのくらいの超勤手当をやるのかということは、これには書いてないですね。何かあなたのほうには、労使間だけでもって、よそに見せない秘密協定をやっているのじゃないですか。どういう超勤協定の実情になっているか、この際ここで説明をしていただきたい。要するに、現在どういう形でやっておるのかということを説明していただきたい。
  45. 森田乕男

    森田参考人 私、引き継ぎを受けました直後でございますので、詳細にわたっての御説明は不十分かと存じまするが、大体超過勤務手当というものは、本来は実績でもって超過勤務をいたした者に対して支払うべきものであると観念をいたしておるわけでございますけれども、われわれのほうでは、当初研究が主体をなしておったというような関係もありましてある程度予算がついている範囲内で平均化して超過勤務をしない人に対しても、あたかも給与のごとくに支払われておる部分があるのでございまして、これまで東海村では十三時間の平均がついておる、こういうことをいたしておりました。これは全体の超勤のワクの中でパンクすることは明らかだと存じまするし、また超過勤務という性質上からも、こういうことは許すべきではないということで、これは正しきに戻すべくただいま早急に案を練っております。昨日も大体の骨子を完成いたした次第でございます。
  46. 森山欽司

    森山委員 いまのお話だと、一時間も超過勤務実績がない者でも、十三時間分の超過勤務手当をやる、現状はそういうやり方でおやりになっているのだということですね。
  47. 森田乕男

    森田参考人 さようでございます。
  48. 森山欽司

    森山委員 そういうものは正常な労使慣行とお認めになりますか。そういうことを外部には発表しない覚え書きでおやりになっているらしいですね。
  49. 森田乕男

    森田参考人 これはまことに汗顔じくじたるものでございまして、こういう支払いをしておったのは当然理事者の誤りだと思いますから、これは正しきに戻すべくやるつもりでございます。
  50. 森山欽司

    森山委員 菊池理事長は、こういう問題をどうお考えになりますか。正常な労使慣行とお思いですか。
  51. 菊池正士

    菊池参考人 いいえ、思いません。
  52. 森山欽司

    森山委員 労働組合委員長はどうお考えですか。
  53. 一柳勝晤

    一柳参考人 これはやはり一つの歴史的な背景からそういうものが出てきておるということでございます。これは昨年の、私ども委員会の前の委員会のときにこの協定ができたわけでございますが、そういう点につきまして、私どもこういうふうに聞いております。つまり昨年度のベースアップのときになかなか話がつきにくかった。それで、こういうことを申し上げるのは内部の恥のようなものでございますけれども、なかなか話がつかないというのは、原研理事者給与に関する主体性というものが非常に制約されておるので何ともならないのだ。だけれども、超勤ぐらいについては何とかやっていけるから、そういうもので少しカバーしよう、というような経緯でこういうものがついてきたのだ、こういうふうに私は考えております。  したがって、これは私どもの目から見ますと、確かに超勤自体をとってみますと、それが実績時間に並行しないということはおかしなことでございますが、そういう経緯を考えた上でなければこういう問題は解決できないと思います。それから、これを円満に解決していこうということであれば、そういうようなものは暫定手当というふうな形に直してしまうとか、そういう形で私どもとしては労働条件の切り下げにならないようにものごとを解決していただきたい。そうしなければ話はあまりうまくいかないのではないかと考えております。
  54. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員 関連。ただいま歴史的な結論というお話でございましたが、ちょっとお伺いしたいのです。創立以来いままで原研ではストは何回やっておりますか。
  55. 森田乕男

    森田参考人 これまたお恥ずかしいのですが、六十六回やっております。それから、昨年中だけで四十四回やっております。
  56. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員 組合委員長に聞きたいのですが、そういう歴史的な結論の結果を尊重すべきだ、こうおっしゃるのですか。
  57. 一柳勝晤

    一柳参考人 昨年四十何回というお話でございますが、これはどういう勘定のしかたか、私ちょっとあれなんでございます。つまり、私ども通告してストライキをやっておりますのは、具体的に申しますと、昨年以来大きくもめました問題というのは三つでございます。  一つは、七月にJPDRの直勤務手当を切り下げる。それからもう一つは、五班三交代の約束の時期を延ばすということでごたごたが起こりまして、このときはJPDRの直勤務に関する協定が切れましたので、その切れた分について業務命令が出ました。すなわち通常の時間からはみ出した部分について部分時間ストライキをやったわけであります。これがストライキ通告という回数でまいりますと十日ばかりになっておりまして、その日ごとに出すわけであります。そういうことになっておりますので、そういう勘定をすれば十回ほどということになるかもしれません。しかし、これは一まとまりのそういうものでございます。  それから、もう一つもめましたのは、昨年の暮れの期末手業でございます。この期末手当と申しますのは、所側のほうから一昨年の支給率を二割程度下回る案を出してこられたのであります。それで、これでは困る、これ以上お金はないということで、もめてしまいまして、そのときも一波、二波というふうにやっておりますから、それも二回という所側の勘定になればそうでありましょうが、それも一まとめのものであります。  もう一つは、昨年十月からやっておりますベースアップに関する問題であります。これにつきましても一波、二波あるいは部分という形でやっておりますので、それを一つずっと勘定すれば四十何回ということになるかもしれませんが、もめております問題というのはその三つであります。  その三つも多いとかなんとかいうことはありましょうが、そういうもののうち、ベースアップ及び期末手当につきましては、政府関係機関労働組合協議会というのがありまして、結局統一行動が大部分でございます。  私どもして主としてもめましたのは、昨年七月のJPDRの直勤務手当切り下げの分、あるいは直勤務協定の実施時期延期という問題をめぐって起こったことだけであります。
  58. 森山欽司

    森山委員 この問題については意見が違うわけですから、四月一日から起きる超勤手当の問題について、すでにこれを正常な慣行と見るか見ないかということについて大きな相違があるということがはっきりしたわけです。したがって、このままでいくと四月一日までに簡単に話がつきそうにないということになりますと、原研労働組合というのは、先ほどお話しのように大きな事件は三つかもしれないけれども、その間にあやのごとく、昨年中でも四十四回のストライキをやっておるのですから、大小取りまぜてやっておるわけです。これによって炉がとまることがないとは保証されない、それだけは私は言えるだろうと思います。  それから次に、私は、これはごく簡単に一、二の例として聞いてみたい。時間内の組合運動に対してはどういうふうな申し入れをしておるかということを、ひとつ経営者側に承りたいと思います。資料をお持ちでしょうね。
  59. 森田乕男

    森田参考人 昨年実は東海でこれを決定してまいりましたので、まだこちらに参っておりません。
  60. 森山欽司

    森山委員 頭の中にお入りでしょうから、御説明していただきたい。
  61. 森田乕男

    森田参考人 まだ組合にも説明しておりませんので、……。
  62. 森山欽司

    森山委員 それでは昨日のはよろしゅうございますが、二月の幾日かにお出しになった申し入れ書があると思うのです。その内容を御説明願いたい。
  63. 森田乕男

    森田参考人 十二月に出したものではなくて、二月に出したものでございましょうが、あれについては、二月末日を目途として協定をしようということになっておりますので、あの問題は撤回をいたすつもりでございます。
  64. 森山欽司

    森山委員 二月末日の問題を目当てにして出したものは撤回をされるという御予定に承りましたが、これからお出しになろうという案は、いまおきめになったばかりだから御説明ができないということです。そこで、撤回をされた分でもけっこうですから、その内容についてここで御説明を願いたい。
  65. 森田乕男

    森田参考人 私、あの案をきめますときに直接携わらないので、十分私の記憶にとどまっておらないと思いますが、あれはたしか五人ぐらいの専従、とにかく特定した五人の方を交渉委員として向こうから出してもらうというようなことと、それから大会だとかそういうものには所の認めた者だけに限る、その他全部時間外でやっていただく、たしかそういうようなことだったと思います。
  66. 森山欽司

    森山委員 この問題についての資料はいまちょっと手元にございませんけれども、私の記憶で御確認を願いたいのです。たしか組合総会とか組合大会とかいうのが年に何回か認めておりました。それについては年次有給休暇の中から認める。それに評議員会とか中央執行委員会とか、そういうようなものについてはまた幾日かの、たとえば中央執行委員会なんというのは週に一日ぐらいではなかったかと思いますが、何時間かの休暇をとらせるというようなことを内容としたものだと思っております。そしてそれについては覚え響きとして外部に発表しないという案でもって、賃金カットをしないのだ、まあそういう案です。そういう案を私はお出しになったように記憶しておるのですが、その辺どうですか。
  67. 森田乕男

    森田参考人 これは世の中の一般の通念からいって当然おかしいものだとわれわれは十分に了解いたしておりますので、これは全部撤回いたすことに私きめたわけでございます。
  68. 森山欽司

    森山委員 この勤務時間内における組合活動についての提案は、ここ数年来何回も出ておるようですね。その経過を私が調べたところでは、組合の総会ぐらいは年次有給休暇の中からこれを転用するということにしておるようですが、その他の大部分の評議員会とか中央執行委員会とかその他いろいろな組合活動は相当な回数及び時間これを認め、賃金カットをしないという、外部に発表しない覚え書きがいままでは出ておるじゃないですか。そういう事実をお認めになりますか。
  69. 森田乕男

    森田参考人 さきに出したものについては、相当そういうことになっておったように記憶いたしております。それではとうてい困るということで、撤回することにいたしたのでございます。
  70. 森山欽司

    森山委員 ちょうど労働省の労働法規課長が来ておりますが、時間内の組合活動で、賃金カットをしないで年次有給休暇に振りかえ、または賃金カットにならないで認めているような例が他にございますか。
  71. 青木勇之助

    ○青木説明員 賃金カットをしているかしておらぬかという実態は、各それぞれの事業場の内部問題がございまして、われわれの調査では明らかになっておりません。しかし、御存じのように、労組法の第七条第三号におきましては、一定の事項、すなわち勤務時間中の団体交渉あるいは経営協議会などの協議、そういう法で認められます事項以外の組合活動について賃金を支払うことは禁止されております。
  72. 森山欽司

    森山委員 そうなると、労働組合運動というものは相互不介入、自主運営の原則の上に立っておる。そういうものに原子力研究所は月給をやって、時間内の組合活動を野放しにいままでしておったというやり方、また二月における提案と同様の趣旨を認めるようなやり方は、ある意味におきましては労組法上の不当労働行為になりませんか。
  73. 青木勇之助

    ○青木説明員 法の規定の純法理論的に申しますと、そういう結果になります。
  74. 森山欽司

    森山委員 菊池理事長に伺いますが、なぜとのような不正常な労使慣行を従来やってこられたか。それを承りたい。
  75. 菊池正士

    菊池参考人 これは、いまおっしゃったとおり、純法理論的には認められないことは私も承知しております。しかし、日常そういったようなこと、つまり先ほど来るる言われるようなことがどうしても起こりがちでございますが、一番大きな原因は、やはりわれわれは非常に大きい、たとえばこの間の動力試験炉というようなものをかかえております。これについては、一日おくれればどれだけの補償を払うというようなペナルティーのついた仕事をかかえております。そういう場面で、いよいよ超勤協定が切れた。それで組合との各種の交渉が始まる際に、どうしてもそっちのほうを何とかやらなければいけないという気が強くなりまして、そのためにやむを得ずそういうことを知りつつやった。そのために、その協定期間が二週間とか一月とかの短いもので、次の段階になると、また同じようになる。そういうことが繰り返され繰り返されまして、去年のJPDRの引き渡し直前に、これではどうにもいけないというので、引き渡し前でありますが、私はあえて炉をとめて、労使の正常化をはかろうという決心をしたわけであります。その後いろいろないきさつもございまして、とにかくJPDRは受け取ろうということで、三月一ぱいの、先ほど問題になりました協定を引き渡しまで延ばしまして、やってきたわけでございます。  それで、ここで、いまおっしゃったようなほんとうの正常化をやらなければならぬように考えております。だから、ただいままでそういうようないきさつで、非常にゆるふん的な態度であったことをわれわれははっきり認めます。そういう態度ではいけないと思っております。
  76. 森山欽司

    森山委員 理事者側は、正常な労使慣行にあらず、時間内の組合運動は正さなければならないというお考えのようでございます。  そこで、組合委員長に承りたいが、いままでのような野放しの、野放図な労働組合運動、時間内の労働組合運動、すなわち専従制度さえもまだ認めてない、すなわち組合委員長以下相当数の人間がこの組合運動に相当専念していることは明らかな事実でございます。にもかかわらず、俸給は組合からもらうのじゃなくて、原子力研究所から俸給をもらって組合運動に没頭しておる。その他の各種組合活動におけるところの勤務時間のロスというものを、一切賃金カットをしないというような従来のやり方について、これを正常な労使慣行と考えておるかどうか、承りたい。
  77. 一柳勝晤

    一柳参考人 労使間の諸問題を解決していくための諸手続とか、あるいは諸機関とか、あるいは団体交渉とか、種々委員会とか、そういうものがございます。こういうものをちゃんとやっていくということは、これはいい労使慣行である。そういうふうに私考えております。そういうことにつきまして、いままでいろいろ協議とか事務折衝とか、そういうことがありました。そういう問題が、現在まで生々発展してまいりました原子力研究所の中では、労働条件その他についても変更がたびたびございます。それから、いろいろの職種の問題がございまして、非常にたくさんございます。そういう問題で私どもは話し合いをしてまいりました。そういうことは正しい労使慣行であると思っております。したがって、そういうことはやっていかなければならない。そうしなければ問題は解決していかないし、問題はますます混乱するばかりである、そういうように考えております。
  78. 森山欽司

    森山委員 どうもあなたの言うことはわからない。原子力研究所が設立されてすでに八年たっておる。その間に専従制度すらない。組合運動は野放しである。こういう実情をあなたは正常な労使慣行と考えておるのか。   〔「参考人に対してそんな言い方は失敬じゃないか」と呼ぶ者あり〕
  79. 前田正男

    前田委員長 森山君、もう少し静かに、ひとつお願いします。   〔発言する者あり〕
  80. 前田正男

    前田委員長 お静かに願います。
  81. 一柳勝晤

    一柳参考人 先ほどから申し上げておりますように、労使間のいろいろな問題がございます。その問題を解決するためにやっておりますいろいろな会議とかいろいろな委員会とか、そういうものは正常な労使慣行であると思っておりますので、そういうものは私どもは今後やっていかなければ、原研の当面しておるいろいろなむずかしい問題は解決していかないと思います。  原研発足以来八年というおことばでありますが、これは野原の上から原子炉ができてまいりまして、それを運転していく、あるいはその他の施設ができて運転していく、そういうことになっております。種々のそういう新しい施設がどんどんできてまいります。そういうところの労働条件をどんどん話し合ってきめていかなければならない、そういうようになっております。そういうことでございます。
  82. 森山欽司

    森山委員 あなたの返事はよくわからないのですがね。ただ、専従制度がなくて八年も経過していることは正常だと思いますか。あるいは組合運動が野放しになって、何回やってもよろしいし、また何回やってもこれは賃金カットの対象とならないようなやり方は正常だとお考えなんですか、こう聞いているのです。イエスかノーか、聞かしていただきたい。
  83. 一柳勝晤

    一柳参考人 いまのおっしゃり方では私ははなはだ困るのでございますが……。
  84. 森山欽司

    森山委員 答えやすいように聞いているのですから、ちゃんと答えてください。
  85. 一柳勝晤

    一柳参考人 先ほどから申しておりますように、労使間の諸問題を解決するための諸手続、それから諸機関、それからそういうものに関する調査活動とか、そういうものに関しましては、これは正常な労使慣行であるし、したがって、これは今後やっていかなければならないと思います。
  86. 森山欽司

    森山委員 それでまた、正常な労使慣行について理事者側とこういう常識的なことにおいても違うという事実が明らかになった。  それからもう一つ、最後に伺います。原研発足して八年目だというが、労働協約がない。私ちょっと拝見しますと、ばらばらの協約を、三カ月か二カ月あるいは一カ月、こま切れのようにばらばらにやっている。しかし、総合的な長期にわたる労働協約をいままでも締結してなければならないと私は思いますし、これからも早急に締結しなければならないと思うが、これについて原研理事者はどう考えるか、御返事を承りたい。
  87. 森田乕男

    森田参考人 労働協約がないということはまことに不正常になるゆえんであると考え、われわれも労働協約の締結についてはあらゆる努力をいたしてまいったわけでありまして、まさに協定の寸前にまで至ったことも二、三回あるのであります。最後は三十七年くらいにまさに締結しそうになったのでありますが、遺憾ながら、その当時組合の執行部の期限といいますか、それが半年ごとの更改になっておったわけです。労働協約を締結するためには半年ぐらいはどうしても話し合いをしなければならないので、そうすると、まさに寸前のところに至って、向こうが選手交代というようなことになりますので、数回そのチャンスを逸していままでに至っておるような実情で、まことに遺憾のきわみと存じます。
  88. 森山欽司

    森山委員 労働法規課長がおられるので、労働省に承りたいのです。この程度の規模の、二千人近い組合員を擁するところの組織において組合活動が行なわれ、そして労働協約がかくも長期間締結されないなどという事態は、一体ありますか。少なくとも正常な事態ではないように私は思う。これは私は自由民主党の代議士として言っているのではない。あなたが労働省のこういう問題の調査に当たっておる人として、八年間もたって総合的な労働協約がないのはおかしいじゃないか、こう思うんだが、そういう点について……。  一般にどうですか。これはまあ、行き方としましては、国の予算で制約はされるけれども、労働三法の適用があるから、ある意味で民間団体、それから国の予算によって動く組織であるから、ある意味では公共企業体、まあどっちのとりょうもできるわけです。また、人によっては公務員と同じだという考え方を持つ人もある。まあそこまでいかなくてもよろしゅうございますが、どういうことになってますか。ひとつ一般の常識を聞かしていただきたい。  私が先ほど声を荒らげて質問しましたことは、その点はおわびを申し上げなければなりませんけれども、どうもあまりにも常識と違うことを平然としてお答えになるものですから、義憤にかられて声を大きくしたということでございまして、ひとつ委員長において御了承を願いたい。
  89. 青木勇之助

    ○青木説明員 全国的な調査というものは行なっておりませんが、一昨年民間の事業場単位の労働組合につきまして、協約の実態調査を行ないました。その結果によりますと、千人以上の規模の事業場におきましては約八九%が労働協約を締結いたしておりまして、この労働協約によって労使関係を規律するということに相なっております。  申すまでもなく、憲法二十八条におきまして団結権、団体交渉権が保障されておりますゆえんのものは、団結をし、代表者を選び、その代表者を通じて団体交渉をして、その結果を労働協約としてまとめ上げていき、その労働協約によって労使関係を規律して、企業の安定及び労働条件の維持、向上をはかるという趣旨でございまして、労働協約の重要性というものは労使関係の場においてはきわめて高いものでございます。もちろんこの労働協約の締結のしかたにつきましては、個別協約を積み上げていく方式もございます。しかし、一般的にわれわれは総合的に労働条件の分野、その他ただいまここで問題になっております組合活動の分野、あるいは争議関係分野、そういうものをひっくるめて、総合的な労働協約を労使間で締結をしていただきまして、これによって労使関係の正常化をはかっていくのが最も正常なあり方じゃないか、こういうふうに考えております。  なお、組合活動の規制関係につきましては、この調査によりますと、協約で規定いたしておりますものが千四百九のうち九百十五ございます。その規制の内容はまちまちでございまして、一応届け出によってできるもの、あるいは許可、承認によってできるもの、そういうふうにまちまちになっておりますが、現在約七割以上が協約でもってそういうことを規制しておるというのが、実態調査の結果の数字でございます。
  90. 森山欽司

    森山委員 こういう労働協約を結ぶのは常識的であり、正常ないき方だと私は考えるわけだし、いまの労働省の調査の結果の報告を見ても、これは明らかであります。  組合委員長としては、労働協約の締結についてはどう考えるか。
  91. 一柳勝晤

    一柳参考人 この問題については、前々から私どものほうとしても結びたいということで、やってきたわけでございます。だけれども、なかなか意見が合わなかったり、そのほかにいろいろ問題がありまして、どうも途中で中断してしまってだめになったりするわけであります。  ただ、労働協約がないというお話でありますが、私どもは、ないのではないと思っております。御承知のように、労働約協には債務的なものと規範的なものがございます。そのうち規範的の、いわゆる労働条件とか、そういうものに関する部分、それについては全部あるわけでございます。ただ、そのあるのが、いわゆる個別協定方式、いま言っておられましたが、そういうふうなことの積み重ねということでできておるわけでございます。債務的な部分について欠けておるところがあるということなのでございます。それが、たとえばこの間できました争議協定というものもその一部分でございまして、そういたしますと、それによって追補されていくという形になっております。したがって、全くないというのは、そういうことではないのであって、債務的部分のうち欠けておる部分がある、そういうことであります。
  92. 森山欽司

    森山委員 あなたと論争するつもりはございませんが、ただ私の感じでは、とにかくばらばらである、しかもこま切れであって、もっと労働協約としてまとまったもので、労使間がしっくりいくような協定を結ぶ必要があるということを申し上げた。世にいわゆるその意味の労働協約というものはないじゃないか、こういう議論を言っておるわけです。その点については、これ以上申し上げません。  なお、参考のために、私はいま書類を取り寄せてまいりましたのですが、この一月三十日付に菊池理事長名で勤務時間内の組合活動に関する申し入れ書というのを出しておる。それについて二月末協定成立を目途として別紙案によってやりたい。そこに協定案ができまして、そして例によって外部に発表しないという覚え書きをつくっておる。  その覚え書きの内容によると、労働組合組合活動を勤務時間内に行なうことができるものとして、総会年二回以内、一回の時間午前九時から午後五時五十分までの必要時間、この場合、原子力研究所労働組合組合員から年次有給休暇の請求があったときは了承する。それから、大会というのがありまして、年に八回以内、一回の時間四時間以内。それから、評議員会として年に八回以内、一回の時間四時間以内、ただし闘争委員会設置期間中は認めない。回数は闘争委員会設置期間に応じ減ずる。それから執行委員会としまして、闘争委員会を含む、週一回以内、一回の時間四時間以内。執行活動、ただし専従制に移行する段階の暫定措置として、その期間は一年以内とする、原則として特定の五名以内とする、というようなこと等が規定をされておるわけです。  しかもこれが、年次有給休暇と特に明示してあるもの以外は、全部原子力研究所で月給をもらいながらこれらの組合活動に専念するというようなたてまえになっておるように私どもは了解をいたしておるわけです。すなわち、賃金カットをしないというふうな提案になっておるようでございます。それで、私は、そういうことはおかしいではないか、しかもこういうような協定ができておらない現状については、専従もなければ、総会であろうと、大会であろうと、評議員会であろうと、執行委員会であろうと、あるいは専従にその仕事をしておる人たちであろうと、これらが全く野放し状態になっておって、しかも月給は全部原子力研究所からもらっておる。今日の原子力研究所労働組合の財政的基礎に対してとにかく月給をやっておる。組合活動に金を出しておるわけですから、相互不介入、自主運営の立場からあまりにおかしいじゃないか、労働法上の不当労働行為になるのではないかということを私は質問し、それに同意の意見が労働省からあったわけでございます。やや具体的に皆さまの前に一応御報告を申し上げておきたいと思います。  そこで、私はこういうような点から見まして菊池理事長にお伺いをしたいと思います。それから、主任研究員の方にもお伺いをしたいと思う。  原子力研究所研究方向をどう持っていくかということは、私は大きな問題だと思います。私は原子力問題についての専門家でございませんから、その問題について私見をこの際申し上げることは差し控えさせていただきたい。しかし、研究所であれ工場であれ、とにかくたくさんの人が集まって仕事をするというところでは、今日労働組合ができるのはもう当然でございます。そして、その労働組合というものに折り目がちゃんとついていかなければならない。折り目が正しくなければならない。いま見ますと原子力研究所の労働運動というのは、総合的労働協約はもちろん、勤務時間内の労働組合運動は全く野放しにされているというような状況になっておるわけです。もしたくさんの人が仕事をするにしても、組合というものが結成されて、そういう形における労使関係がないならばまた別ですが、組合というものが結成されておりながら、折り目、筋目の正しくないような組合運動を放置しておっては、どんな方向に研究方向を持っていこうとされましても、ちょうど、イソップ物語だったか何かにありますように、砂の上に皆さま方が楼閣を築こうとするようなものであろうと私は思うのです。まずたくさんの人が集まって仕事をするについては、その基本になるところの労使関係というものががっちりしておらなければ、その上にどんなりっぱな建物を建てたって、下がぐらぐらしておったら、それは全部こわされてしまうと私は思うのです。  その意味において、今日の日本原子力研究所労使関係の実態というものは、まずこれを手直ししていかなければ、これを改善していかなければ、またがっちりした労使関係の基礎をつくっていかなければ、日本原子力研究所はその業績をあげることができないのではないかというふうに私は考えるわけでございまして、この点についての菊池理事長の御見解を承りたい。菊池理事長も、主任研究員方々も、原子力研究所の今後の方向ということについていろいろと御苦心をなさっておられるわけでございます。菊池先生は、特に私どもの学校の先輩でもございますし、その道の大家でございます。かねてから御尊敬を申し上げておるのでございますけれども、しかしながら、どういう方向に原子力研究所の方向を持っていかれるにいたしましても、たくさんの人と一緒に仕事をし、そのたくさんの人が労働組合を結成して、そういうものとの労使関係の上に立って仕事をしなければならないとするならば、その労使関係というものについてはっきり折り目、けじめをつける必要があるのではないか、折り目を正す必要があるのではないか。それなくしていかなる原子力研究所の運営方向というものも、どんなりっぱなものができても、くずれ去るであろうと私は思います。そういう意味で一つ御両者の御意見を承りたいと思います。
  93. 菊池正士

    菊池参考人 御説のとおりと思います。
  94. 坂岸昇吉

    坂岸参考人 私もお説のとおりだと思います。  私どもも、過去をふり返ってみたときに、いまのような状態であってはいけない、そういうことは考えておりましたのですけれども、結果的には今日まで経過した、そういうような実情だと思います。
  95. 森山欽司

    森山委員 そこで、私は組合委員長に今度は承りたいと思います。  私の調査したところでは、原子力研究所にははっきりした日本共産党員が二十名、これは公安調査庁で一人一人の名前をあげることができるような確実な党員がおります。巷間伝えられるところによると、三十名か四十名あげております。その中には一柳さんは入っておられない。しかし、その同調者の筆頭にはなっておる。いわゆるシンパですね。これも相当なシンパと見られるような御業績がおありになることは事実でございます。それより程度が少し薄いけれども、今日御出席原子力究所労働組合書記長の高島さんも、私ども調査では、やはり日本共産党のシンパだ、こういう見方をしておる。まあしかし、これは私どもそういう調査を聞いただけでございまして、そういう認識を持っておるということであります。  しかし、いずれにしても、昨日公安調査庁の次長からの電話によると、日本共産党員は、原子力研究所に二十名は確実に名前をあげることができる、そしておよそその五倍の同調者がおるということでございます。そうすると、大体百二十名くらいの共産党員及びそのシンパ、同調者がいる、こういうふうに私は考えられるわけでございます。  こういうところからいくと、私も実はその原子力研究所労働組合の運動方針はどんなふうな運動方針を掲げておるかということで、研究してみたのです。要約すると、主要闘争目標は、大幅五千円の賃上げ、諸手当の新設、増額等を掲げる一方、原子力基本法の平和利用三原則が米国核戦略の一端や軍事研究、軍事利用の既成事実化の前に空文化されようとしておる、として、内部的には、原研の中心的研究である原子力発電の動力試験炉、いま問題になっている略称JPDR作業の勤務条件改善を名にしたスト強行、外部的にはアメリカ原子力潜水艦の寄港絶対反対を打ち出して、そして政府の施策に対決するかまえを示しておる、というふうに私どもはあなたのほうの運動方針を理解しておるのでございます。特に一柳君は、日本共産党の機関紙の「アカハタ」にこの原子力発電に対する態度と安全性保証要求について記事を書いておるではないかというあれがありましたが、私はそれを読んでいないから、確認はしていないのです。前の委員長さんがお書きになったものは私は読んでおります。そういうことで、本日御列席の委員長並びに労働組合人たちが非常に日本共産党の影響を受けるところが大きいということを私は痛感いたしておるものでございます。  それで、私は一柳さんを委員長とする組合というものにそういう認識を持っておるのだが、そういう認識は間違いでしょうか。ちょっとその認識についてあなたの御見解をごく簡単に承りたいと思います。
  96. 一柳勝晤

    一柳参考人 私も似たようなものを、反共雑誌でございますが、最近何かそういう雑誌で見たことがございます。所内でもそれを見まして、何だこれはというので、だいぶ失笑を買ったような始末でございます。私ども労働組合といたしましては、別にそういう思想性の問題とかいうことについて調査したこともございませんし、そういうことをやったことはございませんので、何人くらいおるかということについては全然わかりませんし、また私も存じておりません。そういうことでございます。
  97. 森山欽司

    森山委員 あなたとしてはその程度のことしかおわかりがないと思うが、私のところにも実は「全貌」というものを送ってきまして、幾日か前にそれを見たら、一柳君もシンパと推定されるものの筆頭に載っておるのです。私がいま申し上げたことは、この雑誌からじゃないのです。この雑誌じゃなくて、別の調査調査をした。その数字において、私はいま申し上げましたように、公安調査庁という名前まであげて正式に申し上げておるのですから、私の言うことについて裏づけがほしいならば、いつでも裏づけができるような態勢にございますから、それはそれでいいのです。この雑誌を見てあなたにそういう話をするのではないのだから、その点お間違えなく……。  それから、組合の運動方針については、さっきのような運動方針ではないのですか。
  98. 一柳勝晤

    一柳参考人 現在の組合の運動方針というのは、四つございます。一つは、原子力平和利用三原則を守り、原研自主性を回復しようというものでございます。二つ目は、原子炉その他の施設の安全を守り、そして国民とわれわれを放射線の障害から守ろうというのであります。三番目は、組合員に対する種々の弾圧をはね返そうというのであります。四番目が、われわれの労働条件を改善しようというのでございます。その四つでございます。  そういうことでございまして、いまお話しのものはどこからおとりになったのか、ちょっと私わかりません。  しかし、そこで問題になってまいりますことは、一番上の自主性を回復しろということが運動のスローガンに入っておるということであります。この点につきましては、これは私ども経済条件を改善しようということで、前々から一生懸命やっておったわけでございます。ところが、これは理事者のほうから最近お出しになっている原研白書にも書いてございますように、やはり給与に関する自主性がどうもないということがだんだんはっきりしてきたわけでございます。そういうことになってまいりますと、なぜ一体そういうふうに自主性がないのだろうかということで、そのうしろにあるものは何であろうかということに当然なってまいります。そこで、それはいままでの原子力政策のままでは、これは原研には自主性が与えられないのではないかというふうにわれわれは考えざるを得ない。したがって、その原研自主性を回復しろ、それがもし経済的条件といったものでできないというのならば、それの自主性を回復してもらうということが私ども運動方針の中の一つの基調になっているわけでございます。
  99. 森山欽司

    森山委員 日本原子力研究所労働組合の運動方針がございますが、そういうものの中にそういう考えはみな書いてありますよ。経済要求ももちろん書いてあります。五千円のベースアップに始まって、いまのような運動方針とか、いろいろ周囲の環境を含む問題とか、みな書いてありますが、私は要約して申し上げた。だから、私の定義づけに御不満ならば、またあらためて、私ども組合はそういう性格ではないのだということで、そちらからお話があれば、私個人でお伺いする気持ちはございます。いずれにしても、私どもはそういう見方をしているということをごく簡単に申し上げておきます。  そこで、そういうお考えでいけば、いわゆるマルクス・レーニン・スターリン主義、その基本的な問題としまして、一つの階級闘争的な考え方を持つ。そうすると、労使間の安定というものはなかなかないのですから、すぐ伝家の宝刀であるストという剣を抜きっぱなしになる。たまに抜くから伝家の宝刀だが、どうも開所以来六十六回、昨年だけでも四十回というのでは伝家の宝刀ではない。そういうやり方をあなた方の組合はしてこられたと思うわけです。昨年四十回のストライキをされたかどうかについては御異論があるようだけれども、しかし、森田理事長は四十回とおっしゃる。あなたはそんなにやらないとおっしゃるが、数えてみると四十回くらいだろう。いずれにしても、容共勢力の増大、とにかく私どもはそういう思想的なことは申し上げませんが、しかし、それによって組合運動が非常に不正常になって、そして業務が非常に停滞しているというようなことはゆゆしき一大事であるといわなければなりません。事実、業務は停滞したと思います。この点は間違いがない。  こういう組合のやり方を、今後どうするのですか。こういうことは、あなた方組合運動の立場からいえば納得できるかもしれないが、皆さん方の研究所は、八千万国民の税金によって運営されているのです。そういう重い国民に対する責任を考えたら、単に自分の組合だけの立場で業務停滞をさせるというようなことは、私はとるべき道ではないと思います。その点、委員長であるあなたの所感を伺いたい。
  100. 一柳勝晤

    一柳参考人 その点につきまして、私どもストライキをやるたびに、実は非常に残念であるということをいつも申しておるのでございます。と申しますことは、何といいますか、いま、すぐストに突っ走るというお話でございますけれども、すぐストに突っ走るということではないのであります。たとえば昨年の七月にJPDRのところでストライキが起こりましたけれども、これは先ほど申しましたように、JPDRの直勤務に関します協定を延期し、それからそれの手当を切り下げるという問題が発端でございまして、何日も交渉しているわけでございます。その結果、とうとう徹夜の団交が決裂しました。決裂しまして、協定の期限が切れてしまった。協定の期限が切れますと、これは通常の勤務に戻るのが普通である。通常の勤務に戻るのが普通であるにもかかわらず、通常勤務以外の部分について労使協議のととのわないことについて業務命令をお出しになった。したがって、やむを得ぬから、そういう通常の勤務時間からはみ出す部分についてストライキを指命したというのが実情でございます。  それから、期末手当のときの問題も、何といいますか、昨年の支給実績を非常に下回っている案を出してこられまして、そうしてこれでおしまいなんだ、これ以上金はないというようなお話でありまして、私どもの計算ではあったのでございます。それでは困るということで、何度も何度も交渉した結果そういうことになっております。そういうことでございます。  それから、ベースアップにつきまして、ベースアップの第一波は、これはやや唐突に行なわれております。スト権を集約いたしましたのが十月の二十四日、その次の二十五日に第一波のストライキを行なっております。しかし、この点に関しましては、積年の問題と申しますか、積年のうらみと申しますか、ことしのベースアップに関しましてはわれわれは異常な決意を持つものであるということは、これは大会でも議決されておりますし、そういう異常な決意を示したいということでそういうことになったのでございます。  こういうふうに、種々のごたごたが起こるということは、労働組合が先鋭であったり、あるいは何か先ほどからおっしゃっておられますように、共産党ですか、そういう指導がよく行き届いておるとか、そういうことではないのでございます。そういうことはないけれども、こういうことになってしまう一番大きな問題といいますのは、やはり原研給与というものが現在非常にじり貧であるということ、あまり上がっていかないということ、その相対的に低下している給与について、理事者側主体性を持っていないということ、ここに最も大きな原因がある、そういうふうに私考えております。決してそういうお説のようなものではない、そのように考えております。
  101. 森山欽司

    森山委員 あなたの意見を聞きにおいで願ったのですから、あなたと論争するつもりはありません。しかし、そういうようなお考えでも、事実こうストばかり頻発して業務が停滞してしまう。政府関係機関は原子力研究所だけではない。他にもたくさんある。中には激しいのも一、二あります。しかし、大部分はそんな状況にない。あなたのところだけが激しい。私は見たことはないが、あなたのところは特に激しい。見たことはないが、あなたのところの東海村なんかの職員宿舎なんか非常ににりっぱだ。たいへんりっぱだと感心して帰ってこられる人の話ばかりだいぶ聞いておるので、人間は不満を言っては切りがない。どんどん幾らでも不満が出ます。そういう不満を取り上げて組合運動の名のもとに、どういう御意図をお持ちか知らぬけれども、トラブルを起こしてくるというやり方をやっていかれては、これはいつまでたっても労使間の安定はないように私は思います。そういう意味において、昨年の一年間業務の停滞が非常に激しかった、今年はそういうことのないようにしたいものだ、何とかならぬかという話を私はしたわけですけれども、どうも先ほど来のお返事のようなことでございますから、これ以上の質疑をすることはやめたいと思います。  ここで最後に、私は原研管理者にお伺いをいたしたいのです。労働組合運動をこのように野放図に走らせたものは、もちろん組合にもいろいろ問題がございます。けれども、多くの場合、労使関係の不安定の原因は管理者がだらしがないからだ。それが一番大きな原因です。そういう問題について菊池理事長森田理事長はどうお考えになります。この際ひとつ立場を鮮明にしていただきたい。
  102. 菊池正士

    菊池参考人 私はこの原研に赴任いたしましたのは四年前でありますが、それ以来のいまおっしゃたような業績を見まして、全くどうにもこうにもできなかったことについて深く責任を感じております。すでにいまおっしゃいましたような意味で私は管理者として落第だと思っております。
  103. 森山欽司

    森山委員 私は管理者として落第である、こう思われたということだけでは済まないのでして、先生のような国家の宝である碩学が、責任をもっておやりになった団体、研究所がこういう状態になって、もう一回先生のお力で立て直すように努力をしていただきたいと私は思います。特に研究方面においてはわが国原子力研究の将来を考えると、どうしても先生のお力をかりなければならない状況だということでございます。私は理事長がもう少し腹を固められて事に当たらなければならないのではないかと思います。  そこで、問題は先ほどに返りまして、今度の争議協定ができたからといって安直に炉を動かすような状態でしょうか。先ほど来の論議を通じて、いつ固まるかわからないような状態です。私は根本的な幾つかの問題は別にしても、当面の超勤問題、交代勤務の問題、原子炉運転手当の処置の問題くらいは片づけてから動かすということが必要なんじゃないか。いままでそういうことで、継ぎはぎ、継ぎはぎやってきてうまくいかなかった。今度は腹を固めてやらなければならないという段階ではありませんか、そうなれば、先ほどのように、これで動かしてみたいと思いますというような安直なお答えが出ましょうか。
  104. 菊池正士

    菊池参考人 この動かす動かさぬということばの問題でありますけれども、何かでき上がった一つの発電所みたいにこれを運転する、しない、簡単にそういう問題ではないのでございまして、運転するについては、いままでしばらく、実は引き渡し以来炉のふたをあけたり、いろいろな保守の整備をしたり、いろいろなことをやっておるわけでございます。いまここで運転がいいとなっても、これをフル・パワーに持っていくまでには、きょうそういう状態になったとしても一週間やそこらですぐいくわけではありません。その前にいろいろなテストを必要としております。そういう意味で、いまやっておりますのは、この協定ができたからいますぐフル・パワーの運転をしようという――私の話はJPDRに限って言っておりますが――、そういう意味で運転しておるのではないのであります。もっとその前にいろいろ動力炉のところでのテストがあります。そういうものを徐々にしながら、できるだけ早い機会に、いま言ったような問題が解決した場合には再開できるような体制に持ち込もうという意味の仕事を現在いたしております。三月一ぱいはそういうこと以上には出られないわけでございます。いまJPDRを動かしておる動かし方が、いまおっしゃったような安直な動かし方ではないのであります。  しかし、根本的には、四月以降そういうようないろいろな問題を控えておるということ、その可能性が大いにあるということで、やはり本格的にこれをやっていくためには、その問題をかっちり固めなければ本格的スタートはできないという点においては、お説のとおりに思っております。
  105. 森山欽司

    森山委員 森田理事長のお考えを伺いたいと思います。
  106. 森田乕男

    森田参考人 もともと労務管理につきましては、たとえば労務課があってそこが全部やるというのではなくて、労務管理というものはその場、その場にある。各室、各課にあるということを考えておりますので、また、管理の面につきましては、菊池先生と違って私の責任であると自分も存じておりましたので、十分にそのつもりで、まず管理者意識の高揚ということにつきまして相当考えてまいりましたが、力及ばずここまで参ったようなことで、これについてもまことに責任を感じております。このままではいけないということで、最近になって管理者意識の高揚のために、いろいろTWIとかMTPとかやりまして、おそまきながら管理者意識の高揚ということに努力いたしておるつもりでございます。まことにここまで至ったことにつきてしては十分の責任を感じております。
  107. 森山欽司

    森山委員 まだこまかいことをお聞きすれば数限りなくありますけれども、要約して、一つの私の質問のデッサンだけを皆さんの前に申し上げたわけでございます。これは要するに、日本原子力研究所の現状は、労使関係がきわめて不安定であるということ、その不安定な基礎の上に、いかなる方向づけというものも意味をなさない。よく、原子力研究所をどういう方向に持っていっていいかわからないからうまくいかぬのだ、という議論を聞くのだけれども、そんなことよりも何よりも先に、まず常識的な労使関係を打ち立てなさい。それをやらなければだめなんだということを私は強調したわけです。  しかし、この点については、理事長、副理事長から完全な御同意を得られたものと思いますので、私の質疑を終わりたいと思います。  最後に一言申し上げたいことは、日本原子力研究所は、申すまでもなく日本科学技術の先端として国民が大きな期待を寄せておる研究所でございます。そうして、その財政的基礎はあげて国民の税金によってまかなっておる。国民はこの原子力研究所の行くえに厳粛なる監視の目を怠っていないということをお忘れなく、今後の運営に当たっていただきたいと思います。  質疑を終わります。
  108. 前田正男

    前田委員長 この際、一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――    午後二時開議
  109. 前田正男

    前田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。原茂君。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 理事長以下理事の皆さんに、きょう午前中質問がありましたことを中心に、それから御存じだと思いますが、出していただきました「原研調査項目」、これを中心にできるだけ質問をさせていただきたいと思います。組合のお二人がお見えになっておりますから、組合の方にも必要があれば関連してお答えをいただくようにしたいと思います。  最初に、菊池理事長さん、森田理事長さんにお伺いをしたいと思います。  この「調査項目」をごらんいただくとわかるのですが、二五ページ、基本的な問題に関して、日本原子力政策のあり方、端的に言いますなら、原子力そのものを本来の国民の利益だけを中心に考えるという立場と、どうもこの原子力そのものが、少しく国民全体の立場を離れた形で、ごく限られた小部分に利用されようとするような傾向というようなものをある意味では感じておりますので、この問題が一番基本だと思いますが、きょうはせっかく両者においでいただいたことですから、第三章の「原研問題点」この項以下に限って質問申し上げてみたい、こう思います。いずれの側に私は片寄ろうというわけではありませんから、忌憚なく遠慮なしに理事長の側もお答えをいただきたいと思います。そうでなくとも、まだ育ち盛りの原子力に対して、その系統的な体制づくりに非常に御苦労願っている理事各位には非常に感謝をいたしておりますし、それと協力をしながら、労働組合立場で、働く者という立場で寧日なく努力をせられている皆さんには、それこそ、世界の原子力といういまの進み方を考えましたときに、日本国民の一人としても、何とかおくれないで早く日本国民全体の福祉のために原子力そのものが利用できるように、こう念願する一人として、衷心から感謝をしているわけでございますから、私のお伺い申し上げたいところを端的にお伺いいたしますので、お答えをいただく方もどうかひとつ要点だけ端的にお答えをいただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、先ほど森山委員質問をなさいました中に、二、三これはおかしいのじゃないかなという考えを持ちましたので、これを先に解明をしていきたい。  第一には、先ほど、六十六回ストライキがあった、森山さんの意見によると、労働組合がすこぶる不逞である、ためにストライキが何回も頻発したのだというような趣旨で、組合の側に対する質問があったようです。私は実は、もし労使間に紛争が起きるとすれば、むしろこれは経営の側のほうにおもな責任がある、六十六回ストが起きたということは、理事着各位のほうにこれを紛争なしに解決するだけの手腕とか、あるいは経綸とか、そういう意味の、情熱といいますか、そういうものに欠けるものがあった、そういう情熱なり手腕、経綸はあっても、何かいまの原研理事者立場では、原子力局との間の関連で、自分自身がこうしようと考えていても、どうしてもやれないというような立場がおありになる。いずれにしましても、労働組合の側にのみストライキというものの責任を負わせた考え方というものは、非常に間違いじゃないかと思うのです。この点、理事長さんにひとつお答えをいただきたいと思うのです。私は、そういう先ほどの森山委員のような考え方というものは、いわゆる労使間を誤って運営させるもとになる、何といって毛、謙虚に、このように頻発したという――実際に行なわれたのは非常に少ないようですが、そのこと自体理事者の側からいうとやはりその面で反省をする必要があるのではないか、ひとり労働組合の責任ではない、こういうふうに考えますが、この点最初にお答えをいただきたい。
  111. 菊池正士

    菊池参考人 おっしゃいましたとおりに、この問題が組合だけの責任であるというふうに私は考えておりません。いろいろな原子力開発体制をめぐる客観的な問題、それから理事者側の経営のやり方、それから一方には、組合の態度――態度と申しますか、姿勢と申しますか、どういう考え方であるかという、そのいろいろなものがまじり合ってそういう問題になりましたので、これのすべてが組合の責任であるというふうに私は決して考えておりません。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 私はもう少し、すべてがおもにやはり理事者の側の負うべき責任が多い、紛争が頻発するということに関してはそのように考えております。そう理事長さんにお答えをいただこうというわけではありませんが、まずそういう意味の立場だけ明快にしておきたいと思うのです。  次に、先ほど何か労働省のお答えの中に、団交とかあるいは経営協議会、こういうものをやるときに賃金を支払ってはならないという規定がありますという、森山委員に対する御答弁があったのですが、もう一度御答弁願いたい。
  113. 青木勇之助

    ○青木説明員 先ほどお答え申しましたのは、団体交渉とか経営協議会における協議というものを除きまして、賃金を支払うことはできない、こういうふうに申し上げたのでございます。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 おそらくあなたが手に持っておられるのは労働組合法でしょう。法規をきっとごらんになっているのだろうと思うのですが、第二条の二号ですか、「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、」とあるでしょう。この解釈と、いま御答弁になったこととすこぶる幅が違ってくるのです。たとえば経営協議会とか団体交渉による協議を除いただけではなくて、そのほかの交渉もあるのですね。第二条の第二号には、協議あるいは交渉、そういうことをやるときに、使用者側が了解するならば決して差しつかえはないのだ、こういうふうに書いてあるのですが、そこをちょっと見てください。
  115. 青木勇之助

    ○青木説明員 いま先生がお引きになりましたのは、労働組合の定義の第二条第二号でございます。これは同じ条文が第七条の第三号にございまして、これ全く同文でございますが、「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、」、ここでいっております交渉は、私どもは団体交渉というふうに考えております。協議につきましては、もちろん、生産委員会なりあるいは経営協議会なり、この名称はいろいろな名称を協約等で使っておりますが、労使間の問題につきまして労使で協議をするという、そういう時間については賃金を支払うことは差しつかえない、そういうふうにこの条文が書いてあるわけでございまして、先ほど御答弁申し上げましたのも、そういう事項を除いては、勤務時間中の組合活動に対しては賃金の支払いはできない、こういうふうにお答え申し上げたわけでございます。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員 交渉というのは団体交渉だというきめつけをする、おそらく組合法にもないのじゃないかという気がするのですが、それはひとつあとでわかったら教えてもらいたいのです。交渉とは団体交渉とはうたっていないと思うのです。あなたがかってに言っているのだと思う。  したがって、団体交渉あるいは経営協議会の協議、こういうものを除くほかは、やはり使用者が話し合いでこれを許せば、交渉とかあるいは協議にある程度の幅を持たして、勤務時間中でもそれを行なうことを妨げない、こういう解釈が成り立ちませんか。
  117. 青木勇之助

    ○青木説明員 御質問の趣旨の、幅を持たせるという点でございますが、たとえば勤務時間中に執行委員会を開く、あるいは代議員会を開く、こういうような場合につきましては、もちろん、使用者が許可をいたしますれば、勤務時間中に当該会合を開くことはできます。しかし、そのような会合に使われた時間に対しまして賃金の支払いをすることは、七条で禁止しておるわけでございます。
  118. 原茂

    ○原(茂)委員 いま私が申し上げているのは、たとえば団体交渉なり経営協議会なり、あるいはその他の交渉なり協議を労使間で行なうのに必要な予備的な組合のいわゆる討議なんです。それにどうしても必要な予備的な、いわゆる組合間におけるディスカスなりというものが必要になったときに、それをも含めるという幅――幅ということばをそういう意味で使ったのですが、そういう解釈を現に行なっているいわゆる経営協議会あるいは団体交渉等は民間においては非常に多く、労働時間、いわゆる勤務中の時間において、賃金を支払う時間においてそのことを許しているところがたくさんにあるのです。  それをただ、この労働組合法の解釈を非常に狭義に解釈をして、いまの、交渉といえば団体交渉であるというような、非常に狭められた解釈だけに準拠しようとするから問題が少しくおかしくなる。労使間の交渉なり協議なりに付随してどうしても必要な、いわゆる組合側の用務があり、あるいは理事者側の用務がある。こういうような用務を、私の言う、幅を広げてという解釈で、民間の労働組合では、勤務時間中、賃金を支払う時間中、組合がその種の協議なりあるいは集会を行なっていることがあるということを、現に原研において行なってきたからといって、条文に照らして絶対にいけないのだという解釈はおかしいのじゃないかというふうに考えるわけです。  なぜ、条文に照らして狭くするとおかしいかといいますと、そこに先ほどから言われています労使の正常な慣行ということがありますが、慣行というものは、あるときには法律に優先することがある。慣行というものは非常に大事なんです。現に原研においては、その種の労働組合活動が時間内に、私の解釈によれば、幅を広げた解釈で行なわれてきたとするならば、その慣行そのものは非常に大きな、大事な既得権であるし、ある意味では、いまあなたが解釈するようなものだけに準拠しないで、今後も引き続き、時間内における労働組合活動という、従前やってきたものを認めることもやぶさかではないという態度がとれるのではないか。そういうように解釈していいのではないか、こういうように考えます。
  119. 青木勇之助

    ○青木説明員 ただいまの先生のお話の中に、団交のための準備というようなおことばがございましたが、その限界をどこに求めるかという点はやはり非常に問題があると思います。たとえば、団体交渉をやっておりまして、どうしても組合側なりあるいは使用者側のほうでちょっと相談をしなければならない、十分ぐらい別席で相談してくるというような時間についてまでなお差し引くべきであるというようなことは、社会通念に合致しないと思います。結局どこへ線を引くかというのは、やはり健全な社会通念によって判断すべき問題だと思います。
  120. 原茂

    ○原(茂)委員 そのどこに線を引くかという限界がすなわち慣行なんですね。それをあとから、現に行なわれている慣行というものを、条文に照らしてこう解釈すべきだと縮めていったのでは、問題が解決しない。要するに、どこに限界を引くかということは、労使間でその場その場で、ケース・バイ・ケースで、いま言った社会通念、社会常識に基づいてそれをきめていく、行なっていくという解釈でいいんじゃないかという気がするのです。そうじゃありませんか。
  121. 青木勇之助

    ○青木説明員 一応私がいま御答弁申し上げましたのも、団体交渉の途中において別席で協議する、そういうような交渉、協議の概念の中に入るもの、これは賃金を支払っても差しつかえないということでございます。なお、不当労働行為になるかどうかという問題は、具体的事案に即して労働委員会が認定をし、判断すべき問題でございまして、午前中も私は、純法理論的に申し上げればという前提をつけて申し上げておりまして、最も明確な、交渉とか協議でない、たとえば組合の大会を勤務時間中に開くというような場合にまでなお支払っておるということであれば、純法理論的には不当労働行為になる、こういうふうに午前中も申し上げたわけでございます。
  122. 原茂

    ○原(茂)委員 だんだんこうやって話しているうちに、純法理論的にはというのが二回も三回も強調されるようになりました。ああいう午前中の御質問のときに答弁なさるのに、ちょっと純法理論的にというのを非常に小さく、すぽっとくっつけまして、あと、先ほど言われたようなことをずっとやられますと、いまやっている時間内における労働組合活動の全部かある部分か知りませんが、それを不当だ、いけないんだというふうに今後理事者側が利用するおそれがすこぶるありますね。しかし、いまの御答弁で、それ以上ここで追及しても、あなたが決定する力もないし、われわれもそれ以上きめようとは思いませんけれども、たとえば団体交渉中に中座をして、その交渉のための何か組合だけの会議を持つのは、これはやむを得ないかもしれない、しかし、団体交渉の事前における準備のための集会だって、そういう解釈をすれば、私の言う幅を広げたというようなことで差しつかえないんじゃないかというので、民間においては非常に大きくそれを適用して、賃金を支払う時間中におけるその種の会合なり協議に対して、組合活動に対して、いわゆる許容しているといいますか、認可を与えているといいますか、そういうところがあるのだということをあわせてもう一度申し上げておくわけです。  それに関連して、この種のいま言ったような問題にしても何にしても、午前中に課長さんおいでになったからおわかりになると思うのですが、理事者労働組合の間に、あなたや私たち考えてみて何かが欠けている、たとえば労働協約が八年もたって今日できてない、おかしいじゃないかといって先ほどずいぶん追及されていました。社会の常識からいうなら、八年もたったら労働協約の相当部分のものができてもいいんじゃないかと考えるわけです。部分的にはできているでしょうが、私たちの常識あるいはあなたの常識からいうとまだ足らないという気がするかもしれない。なぜそれができないのか、もっとできてしかるべきではないか、なぜ一体八年もたっている間にそれができないのだろうかというようなことに疑問を抱く。  そこで、課長さんについでに見解をお伺いしたいのです。私は、労働組合が労働協約を使用者との間に締結しようというような交渉をしようというときに、一番大事なことは、労働基準法の第二条で、おそらく記憶されていると思うのですが、いわゆる「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」この第二条の第一項の基本というものが、慣行としてでも、あるいは法に照らしてでも確立され、それが行なわれてきていれば、おそらく、労働協約というものが、普通常識上考えて、八年間もできていないといわれるような非難は起きてこないだろう、こう考えるのです。どうも午前中の討議を聞いていますと、この種の、当然法律に規定する少なくとも労働基本権のこの問題が、いま原研の場合には労使の間に現に行なわれていないのではないかという気がするのです。もし行なわれていないとしたならば、あなたの考えでは、それはいけないことだ、対等の立場で協議しなければいけないというふうにお考えだろうと思うのですが、その点、念のためにお伺いしておきます。
  123. 青木勇之助

    ○青木説明員 基準法の問題、ちょっと所管でございませんので、正確にお答えできるかどうか別問題でございますが、基準法は、先生御存じのように、個別労働関係、使用者対労働者というものの関係を規定いたしております。これに対しまして労働組合法は、労働条件というものは労働組合と使用者とが実質的対等の立場において決定すべきである、これが労組法一条の精神でございまして、私どももそういうたてまえのもとに事が決定されていくということを期待しておるわけでございます。
  124. 原茂

    ○原(茂)委員 どうもありがとうございました。  そこで、この問題に関してついでに理事長さんなり副理事長さんにお伺いしたいのです。今日まで現に行なわれてまいりました組合との交渉の中で、おそらく労働組合は、いま申し上げた労組法の一条なりあるいは基準法の二条の規定なりというものに準拠して、当然の権利ですね、権利というよりは、逆にいうなら、当然労使間に正常な慣行をつくっていきたい、よりうまく労使間の運営をしたい、よりよく原子力研究というものに全力を傾注する体制をつくりたいというような、それこそ前向きの善意の立場で、強くいま言った対等の条件で話し合おうということを要求していると思うのですが、今日まで要求された事実がおありかどうか。要求されているとするなら、それに対して、そうしましょうという約束がちゃんとできておやりになっておるかどうか。これをひとつ、森田さんでも菊池さんでもけっこうです。
  125. 森田乕男

    森田参考人 労使間交渉の態度につきましては、われわれも常々その精神にのっとって双方対等のつもりで交渉をいたしておるつもりでございます。何分先ほどから申しておりましたように、問題が山積いたしておりますが、双方ともに自主的にその精神をもって交渉をいたしたいとわれわれは念願いたしております。
  126. 原茂

    ○原(茂)委員 おっしゃるとおりなんで、非常に問題が山積しているわけです。山積していればこそ、その問題の解決のためにもいま言ったことは非常に大事なことです。いまの森田さんのお話で、少なくとも今日までどうこうという御回答はなかったわけですが、これを基準にして今後話し合いを進めていきたいという御意思表示があったわけですから、たとえば労働組合が、少なくとも原研労働組合員の労働条件というものは労使が協議決定する、当然、いまそうしたいとおっしゃったそのことを正式に要求されたときに、そういたしますという確認の回答ができるわけですね。
  127. 森田乕男

    森田参考人 これは具体的にどの問題でどうということでないと、非常に答弁に苦しむのでございますが、基本的な労働条件に関しては、もちろん法律に規定されたとおりに協議するたてまえにいたしております。
  128. 原茂

    ○原(茂)委員 ですから、基本的な労働条件――何を言おうとしているのか知りませんが、少なくとも問題がたくさんある、ケース・バイ・ケースで考えなければわからないというのではおかしいので、労働組合といわゆる使用者が話し合いをしようとするときには、いまの法の定めにもありますように、当然対等の立場労使双方が協議決定をするというその大前提をきめておかないと、あらゆる問題があるあると言っておりますが、そのあらゆる問題がいつまでも解決しない。六十六回もスト頻発だといわれるような状態になってみたり、先ほど私が言うように、端的にいうなら、理事者の側に重大なる責任があるといわれたりするようなことが起きてくるわけです。  要するに、絶対に、いまのそのつもりでおりますでなくて、労働組合がそのことを、当然のことなんですから、文書による要求といいますか、お互い協定をしようといったときに、第一条にいう対等の立場で協議決定をするということを承認なさいますか。そのことをひとつ端的にお答え願いたい。
  129. 森田乕男

    森田参考人 先ほど私が申しました基本的な労働条件と申しましたのは、私のつもりでは、たとえば賃金の決定とか、そういう基本的なことを私は考えておりましたので、その他もっと基本的でないものも含めてすべてが協議決定ということになりますと、当方で困ることもあるということで、わざわざ基本的の労働条件ということを申し上げた次第でございます。
  130. 原茂

    ○原(茂)委員 それにしても少しく前進したわけで、けっこうだと思うのです。もう一歩、基本的な労働条件というのは、賃金その他の問題だと、こうおっしゃるのですが、いま労働組合がそこに所属する職場において、その環境整備の問題だとか、あるいは、むしろ積極的に、原研なら原研が追求している目的のためにより協力をしたい、そのためにはこうあるべきではないかというような問題も当然起きてくるわけです。そういうことにもいわゆる労働組合という立場で積極的な協力的な姿勢というものをつくるために、交渉、話し合い、これが必要になってくる。このことをむしろ使用者側も期待していいのです。今日経営するのに、労働組合の活動というのは、賃金の問題だ、あるいは宿舎の問題だ、残業協定の問題だということだけに限定しようとするのではなくて、近代的な経営というものは、むしろ労働組合に対してより広範な、同じ対等の立場の責任を負わせよう、負ってもらおうというように積極的な姿勢を示していかないと、これからの近代経営というものはむずかしい。絶対にいままでのように、いわゆる組合の基本的な条件だけは交渉の条件にしてやる、いわゆる基本的な条件だけは対等の立場で協議をしてやろう、そのほかのことは一切相手にしないというようなことでは、これから運営をされようとする一切の企業、事業場というものは非常に損をするのです。かたわになっていく。そうじゃなくて、もっと積極的に幅広く協力をさせようということを使用者の側では考えていくべきなんだ。その立場理事長なり副理事長立場から言うなら、いわゆる職場そのものの環境の整備、技術を追求する手段なんだ、その一切を含めた管理条項なんだ。あるいは基本的ないまの原子力の置かれている方向なりというものを、組合組合立場で、原子力研究所という全部があげて追求している目的により早く到達するためにそうすべきではないか。そうしたほうがいいのだ。現に仕事をする主体は労働組合員なんだ。理解の皆さん、数少ない人々ではない、現在実際仕事を行なっている者は、原研の目的というものを非常に日夜となく追求している者は一体だれだ。労働組合員だ。その労働組合員が、積極的にその追求をしようとする、より早く効果を上げたいと思う、理事各位の期待により早く沿いたいと思うというためには、ああいうところはこういう条件で、ここはこういうふうにしたいということを、いま言われた基本的な条件という、労働賃金、それ以外の問題にも当然言及して、当然積極的な進言を行なうという場が、団体交渉であり、経営協議会である。  したがって、そういうものに一番大事な基本的な問題としては、幅をあまり狭くしないで、対等の立場で協議決出するということをもっとおおらかな気持ちで解釈をし、回答を与えるというふうにしていただきたいと思うのですが、もう一度御答弁願いたい。
  131. 森田乕男

    森田参考人 環境の労働条件とかいうようなことにつきましては、十分にわれわれのほうでは協議をいたしておりますし、私少ない経験でございますけれども、いままでにないほど多くの問題を取り上げて組合と協議をいたしておるということは、これはもうどこへ出しても負けないほどの自信を持って私申し上げられると思うのであります。  ただ、環境条件と申しましても、安全の問題だとかなんとかいうことになりますると、われわれいわゆる事務屋だけできめられるべきものでもなく、学問的に、また国際的にきまらないような問題をたくさん包含いたしておるわけでございます。その点、普通の労働組合との話し合いとは非常に違っておりまして、われわれがこれは経営権の内容だと思うところも、組合ではそうでないというような場合が起きたり、いろいろ事柄の本質的解明がはっきりしないがために、そういうあいまいな点が残ってまいって、協議をいたしておりながら、双方ほんとうにディスカスにくたびれるというようなことで、なかなか落着しないというような問題がたくさんあります。われわれといたしましては、協議の内容につきましては、よほど多岐にわたって常々組合とは協議をいたしております。
  132. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度押して御意見を伺っておきたいのです。要するに、こういうふうにせんじ詰めていいわけですね。今度の労働組合との交渉に関して、労働条件は労使が協議決定をするということだけはここで確認ができるけれども、その対象になる協議事項なり交渉事項なりというものは、これは幅を広げ過ぎては困る、何をやるということを別途にきめればいいのだ、こういう御意見になるかと思うのですが、そう解釈してよろしいわけですか。
  133. 森田乕男

    森田参考人 ただ労働条件ということになりますると、私先ほど申しましたように、基本的な労働条件についてはそれでけっこうでございますが、あらゆる労働条件と申しましても、われわれが基本的労働条件と認めないものも、組合のほうでは、これは基本的労働条件だとおっしゃることもございましょうし、これはやはり社会通念できめられるべきものだと存じますので、一がいには申し上げかねると思います。
  134. 原茂

    ○原(茂)委員 労働省の課長さん、いまの労働条件、あなたが先ほど読まれたものにも、基本的な労働条件とは書いてないわけです。いまの御答弁を聞いていまして、労働条件に、理事者の側だけが一方的に社会通念というものをどこかから持ってきて、こういうものは基本的労働条件だ、これは基本的労働条件ではないのだ。何か法文の上でそういうものを裁決するだけの規定がありますか。  もう一つ、ついでに、どうも私の考えでは、そういうことは少し無理なんだと思います。やはり労働条件は対等の立場で協議決定するということが原則だ、そう考えてよろしいと思うのですが、それだけを端的にお答え願いたい。
  135. 青木勇之助

    ○青木説明員 第一点でございますが、何が団体交渉事項であるか、すなわち、最終的には労使間の協約できめられるべき事項であるか。この点について争いがあります場合は、労働委員会等のあっせんなり調停なり、あるいは不当労働行為というような手続を経て決定されると思います。  第二点でございますが、労働条件であります限りは団体交渉の対象事項でございます。
  136. 原茂

    ○原(茂)委員 森田さん、いまお聞きになったとおりなんですがね。二つ目の私の質問に対しては、労働条件が対象になることは決定的なんですね。ただし、もし森田さんの言われるように、森田さんの言う基本的な労働条件というものを組合の側で納得できないものがあったり、あるいは組合が当然だと主張するもので理事者の側が納得できないものがあったら、やむなく労使の間で、こういう問題とこういう問題は、お互いに交渉の対象としてきめようじゃないか。もしそのほかに意見の合わないものがあったら、労働委員会なら労働委員会に出して、そこでいわゆる正当な判断を仰ぐということならよろしいわけですか。
  137. 森田乕男

    森田参考人 私が基本的と申しましたのは、法律には書いてないことでございましょうけれども、いわゆるわれわれが当然に労働条件である、協議決定すべき団体交渉の対象となるべきものだと思われるものについては、異議はございません。
  138. 原茂

    ○原(茂)委員 森田さんが言う、理事者のわれわれの側が考えたそれならいい、というわれわれだけではいけないわけですね。労働組合という、実際に主体的に働いておる諸君の側の考え方もあるわけですね。そうでしょう。それを、理事者の側が、われわれが考えておる基本的労働条件と言われたのでは、わからないわけです。そこで、私が先ほど言ったように、もしその点が話し合いをしてみてどうしてもいけない場合には、労働委員会に裁決を仰ぐということはいいのですか、と聞いておるのです。
  139. 森田乕男

    森田参考人 そのとおりでございます。
  140. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、半分くらい前進していったわけですね。そのことは、実はあまり基本的労働条件という一方的な考え方を押しつけますと、不当労働行為も、内容によっては成り立つわけです。したがって、いま私が言ったような立場で、基本的には労働条件は対等の立場で協議決定するのだということを大原則にしてこれから進んでいただくようにお願いをしておく。ただし、その対象になることに関して双方で話し合いを、いままでしたろうし、これからもするかもしれませんが、その問題に関して話し合いがつかないものは、当然正当な機関にかけてその判定を仰ぐのだ、こういうことにしていただく以外にないわけですね。  では、先ほど申し上げました前提について質問を申し上げていきたいと思うのです。  最初に、「調査項目」というのをごらんいただいて、二六ページのまん中ごろです。「通常行政と許認可、規制の両部門関係を明確にして、部局を分けるべきである」。といったところがある。これはいま一つの例に質問をしていますから、そのつもりで聞いていただきたい。全体的に「調査項目」は、何々すべきであるというのが非常に多いのです。このすべきであると考えた、それを実現しようとするときに、いま理事長さん以下、分けるべきであるというのですが、分けようとするときに、一体どういうふうにこれを実施に移せるとお思いになっておるか。どういう手段で実施に移せるのか。二月の上旬か何か知りませんが、おそらく理事長さんの名前か何かで、大臣に対して、新しい原子力研究所の体制としてこういうふうに組織分化を行なうべきだ、部局の機構の新しいつくり方をすべきであるというようなことを何か答申されたことがあると思うのです。二月のいつだか知りませんが、そういうことがあったように思うのです。そのとき大臣からどう答えられて、あるいはその大臣からの意向が原子力局に伝わって、あなた方の出された意見というものがどういうふうに結末がついたのかということを、ここで第一点としてお伺いしたい。  次に、下から六、七行め、「原研理事者は経営を委任されているとはいえ、その権限は非常に幅の狭い分野に限定されており、労働組合に対しても、殆んど実体的な交渉を不可能にしているきらいがある。」くしくも午前中の論議のせんじ詰めた形を忌憚なく理事者各位は反省をされて、私たちには力がないのだ、問題はどこにあるのだろうということをお考えだろうと思います。なぜ一体こんなことが堂々と――「調査項目」に正直にお書きになったからよろしいのですが、書かざるを得ないような状況になったのか。一体どこに問題があるのか。「実体的な交渉を不可能にしている」、だれが不可能にしているのでしょうか。この二つを先に……。
  141. 菊池正士

    菊池参考人 まず第一番目の、佐藤大臣にこちらから答申をいたしましたのは、原研内部の機構の問題でございまして、国全体としての機構の問題ではございません。  それから、ここにございます原子力委員会を行政機関にしたほうがいいとかどうとかいう意見は、ここに意見として出しましたけれども、とうていわれわれの及ぶ範囲ではない。これは私個人この文章については責任を持ちますけれども、個人的な考えとしてここに述べたものでございます。これを実現するということは、とても私などのできるととじゃない。これは議会その他を通じて原子力委員会設置の法律そのものから変えてかからなければできない仕事だと思いますので、これをどう実現するかということは非常にむずかしい問題であるけれども、われわれとしてはそう考えるという意味でございます。  それから、いま最後の、幅が狭いということ、これは事実でございまして、これは準政府機関として国の税金を使う機関がことごとくそうであると同じような意味で非常に狭い幅を持っております。それは確かに、一方、組合が全く民間の企業と同じ形態の労働法によって守られているという面に対して、こういうことのいい悪いは別として、国民の税金で成り立っている準政府機関共通に持っている問題だと思います。ですから、そこに困難な点があるということを言っておるのでございまして、これはすぐどうしなければいけないとか悪いとかいうことを言うよりも、むしろ事実を言っているわけなんです。たとえばベースアップ問題にしましても、国民の税金でやっております以上、国全体としての公務員に準じたベースアップ以上の大幅のベースアップをすべきではないと私どもも思っております。そういう意味で、そういう機関の性質上からくるある意味の幅がそこに当然きめられていると思います。それは、一方に組合が持っている非常に広範な労働法によって守られているものと、対立と申しますか、何といいますか、そこに非常に問題が起こる可能性があるわけであります。
  142. 原茂

    ○原(茂)委員 第一点の、大臣に申請したのは、原研内部の部局編成の問題、そういうお答えでしたね。それはそのまま実現できるようになったのですか。あなたの発案どおりになったのですか。  もう一つ。いまの二つ目の問題で、幅の問題その他ありましたけれども、いまのおことばの中に、労働組合は三法によって保護されている、だが私たちはと言って、それが具体的によく説明できなかったのです。しかし、理事者の側も、原研のいまの経営のやり方や運営のしかたを見ていますと、民間の企業だったらつぶれていますよ。六十六回もストライキを起こすような状態で、労働管理の面だけでも、人事管理の面だけでも、経営は満足に運営できなかった。あなた方はとんでもない大きな力で保護されている。その点は自信を持って、誇りを持っていいんじゃないでしょうか。非常に大きな保護があるんですよ。したがって、そういう点は組合だけが三法によって保護されているのではなくて、組合はぎりぎり、最小限度のところを、当然憲法に保障された範囲で三法による保障があるだけなんです。もっと大きな保障というものは理事者の側にある。いま、どういうふうにしたらいいかということは政府機関全体の問題なんで、どうしたらいいかわからない、こうおっしゃったのですが、そうじゃなくて、共通の問題であろうと、どんな問題であろうとかまいませんが、そういう実体的な交渉を不可能にしているという、その不可能にしているものは一体何だろうということを、一つでも二つでも実例をあげてお聞かせ願いたい。こういうふうに表現される以上は、不可能にしているものは一体何だということを、二つでも三つでも何か具体的な例でお示しを願いたい。
  143. 菊池正士

    菊池参考人 たとえばベースアップに例をとりますと、ベースアップの幅というもの、つまり言いかえれば、組合の側としましても、われわれの置かれている立場というものを十分に了解してもらいたいということが一つございます。そういう一つの共通の地盤の上に立って事を論じませんと、ベースアップの問題にしても、あまりにも違った土俵の上で相撲をとっているようなかっこうになってしまう。そういう意味で、不可能になる、問題がむずかしくなるということを言っております。
  144. 原茂

    ○原(茂)委員 最初の、大臣に申請したやつは。
  145. 菊池正士

    菊池参考人 それは一つには、労務部の新設の問題でございます。  それからもう一つは、理事会の運営を円滑にし、強力なものにするために、理事長室を置く、主としてその二つでございます。
  146. 原茂

    ○原(茂)委員 それは通ったわけですね。
  147. 菊池正士

    菊池参考人 それは労務部のほうはできました。理事長室のほうはまだできておりません。これは四月を目途ということで申し上げております。
  148. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの第一点に最後にまたおそらく問題は突き詰まっていくだろうと思うので、先にお伺いしておいたのであります。  次に二九ページ、「最高経営」の一番下のほうから七行目のところ、「最高経営が、経営意志の決定機関として、十二分にその機能を果しうるためには、次に述べる内部的な権限委譲のほかに、とくに原研の運営に対する自主的な判断と決定が保証されるべきである。この意味で、監督官庁の行政指導の範囲、予算執行上の制約など行政面の運用にも改善すべきものが少なくない。」こうおっしゃるのですが、べきであるというのがまたここに出てきたわけです。要するに、運営に対する自主的な判断と決定が保証されるべきである。いまのところ保証されておりませんか。
  149. 菊池正士

    菊池参考人 ここで申したいことは、原子力のいろいろな仕事というのは非常に長期にわたりますので、それに投入していい予算とか人員とかいうものが、その仕事に取りかかる前に少なくとも数年間にわたってのそういったものがはっきりした上で計画を立てたいということを一番先にちょっと申し上げましたが、そういういったような意味で、予算執行の問題とかその他に、一年ごとにきまっていきますといろいろと問題が起こりますから、そういうことを心配しております。
  150. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、いまの予算執行の一面だけですか。毎年毎年予算が区切られて決定されることがこういう表現になったということでしょう。
  151. 菊池正士

    菊池参考人 そういう結果になりますために、たとえば本年度にきまった予算が、われわれが概算要求として出しましたものよりも、いつでも金の面でも人の面でも少なくなります。そうして一年がそれで済んで、また次年度へいった場合に、前年度と次年度との関連、そういった問題になりましたときに、われわれとしては、前年度のわれわれの概算要求よりもこれだけ少ないから、今年度はこういうふうに変えていきたいとかいうような、いろいろな問題が起こってくるわけであります。そういう場合に、いまの予算制度が年度ごとであるならば、そういう面でもう少し融通をきかせてほしいということを含んでおります。
  152. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。これはまた原研の基本的な問題の一つとして、いまの御希望ですが、確かにそれは必要だと思いますから、そういう意味のことでしたら、それはまたあとでこの問題は取り上げていきます。  次に三〇ページ、(ロ)の「権限委譲」の上から二行目に、「内部的な権限委譲を大幅に行なう必要がある。これに即応しうるためには、総括権限と実施権限を区分し、各級管理職位間の内部報告制度を確立することが、緊要であるのはいうまでもないが、こうした管理組織の全般的強化のために留意すべき諸点については別項に述べる。」こうなっておるわけですね。この「内部的な権限委譲を大幅に行なう必要がある。」、現在こういう点で非常に欠けるものがあるのですか。
  153. 菊池正士

    菊池参考人 ございます。それは原研でずいぶん広い幅の仕事を持っておりまして、それに対してなかなか十分な人材があるとは申せません。したがって、あらゆる部局においてこういう点は十分に、何と申しますか、上のほうから下のほうへわたっての組織形態がなかなか整わない。そして組織形態が整って大幅に下のほうへ権限を委譲していくということが、下のほうの人の、働く人の意欲なり意識にもなると思いますから、そういう意味でここに書いてあるのでございまして、現状では、人材の不足、仕事の幅の広さ等の結果からなかなかそれが行ない得ないということでございます。これは全くの内部の反省でございます。
  154. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの問題で、人材がないからなかなか権限の委譲ができないというのですが、その点に関して、いまの労働組合との十二分な話し合いで、労働組合により意欲を持たせて、労働者により積極的なこの事業に対する情熱を持たせるということを早くやっていかないと、より満足してもらって仕事をしてもらわないと、いつまでたっても人材ができないわけですよ。この人材ができないから権限委譲ができないというところは非常に大事なので、そうであるなら、やはり労働組合とのいわゆる交渉あるいは話し合いなりを通じて、原研全体の追求する目標に対して全員が一致して一つのところに力が集められるようにしていく。現存労働組合との間にいろいろな紛争があったり、協定すべきものが協定されていないと、出すべき力が出てこない。もっとかき立ててもらえるはずの情熱がわいてこない。ために、どれだけ損しているかわからない。それを客観的に見て、何か人材がない、人材がないという一面を言っているんですが、人材がないというところに人材をつくり得る素地というものを積極的に理事者労働組合との話し合いの上からつくっていくんだという面も、労働組合に対する管理の面から非常に重大な問題だということをお考えおき願いたい。よくわかりましたけれども、それが一つ。  もう一つこの問題でお伺いしたいのは、権限の委譲ということを一体だれが認定していくか。どの幅を、権限を、これとこれを委譲してよろしいということを裁定し、それが実際に行なわれるためには、どなたがそれをおやりになるのか。
  155. 菊池正士

    菊池参考人 私でございます。原研でございします。
  156. 原茂

    ○原(茂)委員 次に三四ページ、ちょうどまん中ごろです。「昭三十五年をさかいとして予算状況が窮屈となり、このままでは制度上の給与水準の維持も困難となってきた。すなわち給与費については大蔵省の統一査定がおこなわれる結果、前年度単価に対し、各機関共通の昇給率が加算されるのみ」である。原研の設立当初においては新規採用職員の割合が大きかったためにかなり運用上の優遇措置が可能であった、だがしかし、最近昭和三十五年以来大蔵省の統一査定ということが行なわれ始めてから、どうもその運用にも幅がなくなってきて妙味がなくなってきた、給与水準の維持もいまは困難だ。  給与水準の維持が困難だというからには、給与水準というものも、理事者の側としては、この程度でありたいという水準が頭におありになるか、ものに書いてあるか知りませんが、あるわけですね。その給与水準というものは、一体どの程度のものを考えておいでになって、それが維持困難になったのか、こういう点、ひとつ……。
  157. 菊池正士

    菊池参考人 ここに書いてございます給与水準と申しますのは、これはいま大体科学技術庁関係の五団体で初任給と最高がきまっておりまして、その水準を申しておるわけでございます。  維持が困難になったという意味は、ここで書いてございませんけれども、いろんな面で原研では若い人が多くて、まだ膨張の段階にある。したがって、新規採用の人がなくても、現在いる人間がだんだん給与が高まっていくために要する自然の増率、人件費の増率、これが高給の人が出ていくことが、まだ若いためにございませんから、かなり高いパーセンテージを占めております。一方しかし、その自然の増給の率というものは、政府機関一般にきまっております。したがって、そこに非常に窮屈なあれができまして、どうしてもきまった定員を全部とることが経費の関係上できないというような事態が起こって、それをとるためには昇給率を下げなければならぬというような結果におちいってくる、そういう事態をいっておるわけであります。
  158. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの御答弁、せんじ詰めますと、本来もう少し出したいのはやまやまだ、当初若い人が多かったためによけい給料が出た、優遇ができた、何もあやまって優遇したのじゃなかった、原研の本来特殊法人としてつくられたそのときの趣旨からいっても、当然世間の若い人よりは待遇がいいんだけれども、これは当然なんだという立場で当初の優遇措置が講ぜられたのだと私は思うのだ。当初の優遇措置があやまちであったのではないかと思う。いまの理事長さんのお話も、出せるならもっとうんと出したいんだけれども人件費のワクというものがきめられてくるからしかたがない、本来もっと出すべきだ、もっと出したいんだ、こういうふうに解釈できるわけですが、それでいいでしょうね。
  159. 菊池正士

    菊池参考人 必ずしもそれでいいのではない、と申しますか……。もちろん出したいのは幾らでも出しとうございます。しかし、やっぱりこれは国のあれでございますから、横との関連もございますから、この原子力というものについて何か特別のそういうものを認めていただければ、それによって原子力であるがための特別の給与水準というものは何かできていいと思います。それをきめてくださるのは、われわれ自身じゃなくて、国なら国が、原子力をやる者はこうあるべきだということできめていただけるかどうかという問題だろうと思います。現在の国の政策としては、原子力をやる人間に特に、ほかの技術をやる人よりもよけいに給与を出すんだという方針はないと私は見ております。そうである以上、われわれはそれに従わざるを得ない。しかしながら、原子力という新しい技術をやる、そういうことを奨励する意味で、われわれとしては原子力に固有ないろんな問題を持っておりますから、そういう形のものが認めていただけるならそれに越したことはないと思っております。
  160. 原茂

    ○原(茂)委員 非常に正直な御答弁で、ありがたいのですが、確かにいまの理事長さんのお考えも、国が、あるいはある意味ではむしろこの委員会こそそういうことを積極的に、必要だというなら推進しろ、そうしてくれれば、出せるものはよけい出したいんだ、こういうお考えだと思うのです。  私は、積極的にやはり従業員を使っている立場で、理事長さんが、何も国全体の立場でまわりのワクがみな平等なんだからやむを得ないんだというような引っ込み思案におなりにならないで、いま、はしなくもおっしゃったように、原子力という特殊な技術に挺身しているこの従業員に対しては、出せるものなら出したいんだ、まわりがもっとワクをくれるなら何とかそうしてもらいたいんだというなら、もう一歩突っ込んで、特殊な技術者が一番新しい分野に相撲をとってくれているんだから、この従業員に対しては、まわりがどうあろうと国としても積極的にこの程度のものは出してもらいたい、当然出すべきなんだ、こういうことを、この原研なら原研理事長さんは原研というものを一番よく御存じですから、そこに働く従業員の側に立って主張すべきは堂々と主張して、それが通る通らないというときにわれわれもまた御協力するときがあるかもしれません。しかし、まわりがきめることなんだ、本来そう思うのだけれども、どうもまわりを見ると国の政府機関の一般のレベルと同じようになっているからやむを得ないのだ、こういうところに逃げてしまう態度が、私は労使間の話がうまく進まないで六十六回という記録になってくるのだと思うのです。理事者という立場は、御自分のところで追求している目標のために、ほんとうの意味で献身的な努力をする従業員諸君にある意味ではかわって、従業員以上に国なら国に対して要求すべきものは要求するという態度が、こういう種類の機関の長の態度としてないと、いつまでたっても労働組合と使用者の側との問題が円満に解決していかないという原因もそこにあると私は思う。やはり特殊技術をやるのだから、他の場合とは違うのだから、もっと積極的に、これだけ給与水準というものを絶対維持してくれなければ困るということであらゆる努力をしながら、説得をしながら実現しようという前向きの姿で考えていただくことが必要じゃないかと思うのですが、どうですか。
  161. 菊池正士

    菊池参考人 私は、いまおっしゃいましたような意味で、政府その他にそういった問題を働きかけてないわけでは決してございません。一生懸命努力しております。事実昨年からでしたか、原子力の炉関係運転をする者その他に対しての優遇措置は認められたような事実もございます。
  162. 原茂

    ○原(茂)委員 その次に三五ページのところで、三十七年十月に、これはここに書いてないことですが、科学技術庁のいわゆる規制というものができた。その規制によっていまの学歴別の初任給というものがきめられているようなんです。この規制というものは全部知りませんが、いわゆる給与総額なり最高給なりあるいは諸手当、そういう内容の規制というものがことしのベースアップから適用されるのかどうか。三十七年に何か規制ができ上がっているらしい。それはみな五年間あるいは五年度適用するんだという前提に立っているらしい。本年度のベースアップ考え方も、この三十七年のときの規制というものを基準にして諸手当を含めたいわゆる決定をしようとなさるのかということを、三五ページのところでお伺いをしたいわけです。
  163. 森田乕男

    森田参考人 ベースアップにつきましては、われわれとしては常々よそよりよけいとろうという努力をいたしてまいりました。二、三年前に中央労働委員会にまで持っていって、そのときはわれわれは少なくともこのくらいは出していただきたいという意欲のもとにそれを出していったわけです。しかしながら、不幸にしてそれは通らなかったということと、科学技術庁関係では横の関係がだんだん密接になってまいって、原子力局が科学技術庁の中にあります関係上、科学技術庁関係は一応こういう基準でやるのだということで大蔵省と局との間でお話し合いがついているように思いますので、これはなかなかわれわれの力ではいまのところやり得ないのじゃないか。  それから、給与全体のことにつきましては、おっしゃるとおり、原研発足の当時は当然ほかよりよけい出すべきだという相当はなばなしいスタートをしたように私は承っております。その後、中曽根さんが長官のときに一二〇、一三〇というような大体の基準をお出しになりまして、それを守り抜こうとしてそのときも努力したわけでございますが、漸次これが縮小の傾向にあるということだけは、横との連絡上、これはいまのところ結果論的にはそういうことになってまいったわけです。
  164. 原茂

    ○原(茂)委員 三十七年十月のいわゆる規制というものはあるのですか。
  165. 森田乕男

    森田参考人 科学技術庁の規制は、はっきり三十七年十月という手続上のそういうものがあるとは私は思いませんが、その時分から実質的にそういう横の統制が行なわれてきたということを書いているのじゃないかと私は思います。
  166. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、いま実質的にそういう規制があるかどうか知らないがとおっしゃるのですが、本年度のベースアップの交渉に何か基準がありますか。私のいう三十七年十月の科学技術庁の規制というものが基準になっていないのですか、いるのですか。そういうものを基準にしないのですか。
  167. 森田乕男

    森田参考人 基準にいたしております。
  168. 原茂

    ○原(茂)委員 三十七年の十月ごろにこの種の待遇に関する規制というものができて、それを基準にして、諸物価の高騰、公共料金の値上がり、どんどんものの上がっていくときに、それを三十九年度に適用されたのでは、とてもじゃないけれども、これは初めから問題が起きてくるのはあたりまえじゃないか。交渉を何回しようとも、この規制基準というものを現在に直して考えていくとか、あるいは規制そのものをあらためてつくり直さない限り、これまでのものではいけないのじゃないかと思いますが、どうですか。
  169. 森田乕男

    森田参考人 ここに番いてあることは、三十七年の十月の基準をそのまま適用されるという意味ではございませんで、つまり初任給はかくあるべし最高はかくあるべしというふうに毎年規制ができてくる、こういう意味であります。
  170. 原茂

    ○原(茂)委員 この五年程度というのは何ですか。
  171. 森田乕男

    森田参考人 これは学校を卒業してから、五年間はどこにおっても大体能力は同じであろう。これは民間でも大体そういうものの考え方があると思いますが、五年間は横の連絡はすべて同じようにしようじゃないか、こういう意味であります。
  172. 原茂

    ○原(茂)委員 横の連絡というのは……。
  173. 森田乕男

    森田参考人 科学技術庁の中で、いわゆる情報センターとかいろいろ幾つかの団体がございまして、そのところに入った大学の卒業者を五年間はどこの公社、公団その他原子力研究所においても同じようにしようではないか、そういう意味であります。
  174. 原茂

    ○原(茂)委員 その同じようにしようではないかという基準みたいなものが三十七年十月のものなんでしょう。そうじゃないですか。
  175. 森田乕男

    森田参考人 それは毎年ベースアップのたびに初任給は上がってまいります。これも世間並みにだんだん初任給は上がってまいりますという意味であります。
  176. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、いまの三十七年の十月というここに書いてある規制ですか、そういうものは給与改定があるたびにそれが新しい基準になっていく、そう考えていいですか。
  177. 森田乕男

    森田参考人 毎年その基準が改められてくる、こういうことでございます。最近では毎年ベースアップがございますから毎年変わっていく。初任給はたとえば二千円ずつ上がるとかいうふうに上がってまいる、いわゆる国家公務員に対する適用が準用されてくる、こういう意味でございます。
  178. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、ことしは賃上げはもちろん大幅にやるのですが、同時に時間短縮あるいは扶養家族手当というものも前とは変わるのが当然ですから、時間短縮に対しても、思い切った大幅な時間短縮が要求されておるわけです。この時間短縮とかあるいは扶養家族手当というようなものも、だんだんでき上がったものが基準になって、新しいものとして今度は交渉の基礎になってくる、こう解釈していいのですね。
  179. 森田乕男

    森田参考人 そういうことです。
  180. 原茂

    ○原(茂)委員 次に三六ページの上から五行目、「このように理事者の裁量権に制約があることが労使紛争の根本的原因であり、」という項がありますね。一体こういう労使紛争の解決のために理事者はどのような努力をいままでしてこられたのかということです。これが一つ。  それから、科学技術庁の原子力委員会、いまここに委員会から来ているかどうか知りませんが、どのような態度を一体この労使紛争の解決のために示してこられたのか。原研に対して原子力委員会がどのような態度を示してきたかということ、まず先にこの二つを……。
  181. 菊池正士

    菊池参考人 いま言われました部分の「根本的原因であり、」と申しますのは、私は正直に申しましてちょっと表現が過ぎたと思っております。
  182. 原茂

    ○原(茂)委員 書き過ぎだと思っているのですか。
  183. 菊池正士

    菊池参考人 はあ。「制約があることが労使紛争の根本的原因であり、」、それ一つが原因であるかのごとく聞こえますが、これはちょっと書き方が悪かったと思います。
  184. 駒形作次

    ○駒形説明員 原子力委員会としての答弁を申し上げます。  原子力委員会は、原子力平和利用の研究施設が国の大事な課題であるということを考え、国は研究環境というものを整備すると同時に、優秀な研究者の確保を推し進める、そういうふうなことが必要であると、考えております。そういう原子力研究を行なうために原子力研究所が設立されたのでありますから、研究者の処遇につきましても、この種の政府機関のうちで最も高いものにするということは必要でありますし、さらに外部からも人に来ていただくということを考えまして、民間も含めまして相当の水準のものにするということが基本的な考え方であります。さらに、原子炉だとか、それに付帯する設備の運転に関連した業務に従事するというような人につきましても、その特殊性というものを考えていく必要があるんじゃないかということも、これに関連いたしまして考えておるところでございます。  そういう基本的の考え方ということにつきましては、昭和三十七年十一月に委員会いろいろ話し合いまして決定をいたしておる次第でございます。
  185. 原茂

    ○原(茂)委員 理事長さんが、結局いまの理事者の裁量権に制約があるというところに紛争の起きた根本的な原因があるのだ、こういう反省をしておられるわけです。  この理事者の裁量権に制約があるということが紛争の根本的原因だということに対して、この紛争を解決するために、一体原子力委員会というものはどのような態度をとられてきたのか、どういうふうに協力をされてきたのか。逆に言いますと、いわゆる裁量権の制約というものを取り除いてやれば労使紛争はなかったらしいのです。だから、そういう裁量権の制約というものをはずしてやるように努力をされてくればよかったのですが、そういうことをおやりになったかどうかと聞いている。
  186. 島村武久

    ○島村政府委員 駒形先生に御質問がよくおわかりにならなかったようでございますから、私からかわってお答えさせていただきます。  私は原子力委員会のお世話をいたしておりまして、委員方々のこの問題に対する御意見を伺う機会が一番多いわけですけれども原研から国会に提出されておりますように「このように理事者の裁量権に制約があることが労使紛争の根本的原因であり、」と書かれておりますけれども原子力委員会委員方々のお考えはこのようではないと思っております。したがいまして、理事者の裁量権の制約というものを解きほぐそうというようなことをいままでお考えになったこともありませんし、またそのようなことをされた実績もないわけでございます。大部分国の予算でまかなっていかなければならない原子力研究所というようなところには、ある程度――これは裁量権ということばが適当かどうかという問題もございますけれども――ある程度制約があるということはやむを得ないことであるという考え方でおられると思います。
  187. 原茂

    ○原(茂)委員 それじゃ、理事長さんにちょっとお伺いしたいのです。理事者の裁量権に制約があることが労使紛争の根本的原因であるということは、これはちょっと書き過ぎたのだと先ほど御答弁があったのですが、ちょっとなんですか。全部あやまちだとはおっしゃってないのです。ちょっと書き過ぎたのですか。一体裁量権の制約と労使紛争のつながり、その二、三の例をひとつ言ってみてください。これがはっきりしてくると、おそらく駒形さんもお考えがはっきりしてくるし、局長の答弁もあんな答弁じゃないと思う。局長に言わせますと、原子力委員の皆さんはそんなことを考えていないだろう、私の想像ではそんなことは考えていないはずだ、だからいままでそんなことを必要と認めないから解決のために努力はしてこない、制約をとろうとか、制約がどこにあるとか、そんなことは考えてこなかったんだ、と言っているわけです。  ところが、現実には、これはちょっと書き過ぎたんだとおっしゃるけれども、ちょっとなんですからね、書き過ぎは。要するに裁量権に制約があるということが労使紛争の根本的原因であるということは間違いないわけです。それが何であるかを、ちょっと……。
  188. 菊池正士

    菊池参考人 御質問からちょっとそれますけれども、これのできましたいきさつをお話ししたいと思います。  これはたぶんこの委員会の小委員会だと思いますが、中曽根さんが委員長をしておられます委員会へ私が参考人として出ましたときに、こういう項目を示されまして、こういう項目について、頭に置いて話してくれということで、お話をいたしました。帰るときに、それをまとめて論文みたいなものにして持ってこいというお話がありまして、それが非常に期限が短かったのでございます。それで私、東海へ行ったり、こっちにいる機会もなかなか少なくて、電送写真やなんかで原稿を直したり送ったり、いろいろなことをしてやりましたために、多少この中にミスがございます。そしてまた、これがこういう場合ぱっと出るということも、私は実は考えていなかったわけなんです。そういう意味で、十分な時間を用いていないために、多少この中にミスと、私としては直したい点が直っていないという点が、そういった時間的な制約のために起こったことがございます。私もこれが根本的な原因であるとは決して思っておりません。  それから、いま実例についてというようなお話がございましたが、これはたとえばある争議的なものを――私、労務対策の専門でないので、何とも申せませんけれども、そういうものは現にやはり額にすれば非常に少しの金で済むというようなこともございます。つまり、そういうような場合でも、この人件費の使用とかそういうことについての裁量権が全然ないために、ほんのわずかな金であってもそれができないというようなことが起こり得る。私は必ずしも人件費としてかってに使えるようにしてくれとか、そういうふうにすぐ飛躍しようとは思いません。しかし事実として、民間の会社としてみれば、妥結すれば多少のものは出すことができるということがあります。
  189. 原茂

    ○原(茂)委員 いま理事長お話しになったように、裁量権に対する制約ですね。それがほんのわずかのお金なんです。そういうものに対する裁量権の制約が多少あるために労使の紛争の種になっているという一例をお話しになった。だから、全然ないわけじゃないですね。大きな問題だと思うのです。根本的なことがあると思います。これはあとで問題にしますが、したがって、小さな問題にしても、ほんのわずかなお金ぐらいがどうしてもやはり規定上裁量できないために、労使紛争の種になっているんだということぐらいはあるんだということでございます。  そういうような点は、今後どうですか、原子力委員会としても何とかちょっとした幅を与えるような、そういう努力をなさるべきではないかと思うのです。労使の紛争をなるべく少なくするために、いかがですか。
  190. 駒形作次

    ○駒形説明員 わずかな金で問題が解決するようなことがあったじゃないかという御質問、ちょっと私御質問の意味が、たいへん申しわけないですけれども……。
  191. 原茂

    ○原(茂)委員 そんなことがあったのなら、少し幅を広げて裁量権を与えたらどうか。
  192. 駒形作次

    ○駒形説明員 そういうことは、私ども原子力委員会といたしまして聞いておりません。
  193. 原茂

    ○原(茂)委員 島村さんが知恵つけたのかなにか知らぬけれども、聞いてないとか――聞いたか聞かないかを聞いたわけじゃないのです。要するにそのくらいのことが労使紛争の種にならないように、わずかな金額のいわゆる裁量権ぐらいは幅を広げるように、今後原子力委員会としても努力をなさるべきだと思うがどうですか、こう先のことを聞いているわけです。いままで聞いたかどうかを聞いているのじゃないのです。そういうことを知っているかどうかということをお尋ねしているわけじゃないのです。わずかな金額の裁量権がありさえすれば労使紛争の種にならないというならば、紛争の種をなくすために、さばくために、少しぐらいの裁量権の幅を、わずかな金額に対しては今後お与えになるように努力したらどうですか。そう言っているわけです。わかりますか。――わからないようですね。いいです。それはもうたいしたことじゃないらしいですから、それはあとで記録を見てからあれします。  次に五二ページ、労務問題。上から四行目の「しかし、近代企業における労使の利益が相反するのは必然的なことであり、」、この思想はとんでもない思想なんです。「近代企業における労使の利益が相反するのは必然的」だ、冗談じゃありません。近代企業において労使の利益が相反するという前提に立ったらたいへんですよ。こんな、必然的だなんて。労使の利益は一致するものだ。一致するがゆえに労使は協調が必要なんです。話し合いが必要なんです。相反するのが必然的であり、こういう固定的な観念があったからこそ六十六回なんということになってしまう。これはとんでもない考え違いだと思うのですが、どうでしょう。
  194. 森田乕男

    森田参考人 これはおっしゃるとおりに変な書きようをいたして、申しわけないと思います。これは結局言いたかったことは、金の分け合いということに関しては非常にむずかしい問題である、こう言いたかったのです。金銭の問題については、これは分配の問題になって非常にむずかしい。  それから、先ほどからのお話にもありましたとおり、結局大きな意味での裁量権と申しますか、経営権の内容になるようなものを、われわれは民間のごとくには持っていないということは、これはおわかりだろうと思うのでございます。こういう非常に制約せられた形において交渉することは、どうしてもわれわれとしては信頼をかち得るような交渉がなかなかむずかしいということになるというような意味のことをここで書きたかったわけであります。
  195. 原茂

    ○原(茂)委員 前半の御説明はわかりました。それからいまのことも、金銭に関してはという前提をいまは説明されたのですが、それでもそういう表現なり考え方というものは間違いです。これはあとでまた御検討いただけばよいと思います。  今度は五四ページ、まん中に(イ)の組織。「専従性を採用していないこと。」これはわざわざ意地悪く言うのですが、専従制の「セイ」をセックスの「性」を書いてある。この「性」じゃないのです。ところが皆さんは正誤表をわざわざつけてくだすった。その正誤表の中にそれがついていない。これは不注意きわまる。労働組合の専従制というときに「性」を使うというようなことは、とんでもない。どう間違ったってこんなことは書かないようにならなければ、労使紛争は絶えない。  その次に五五ページ、一行目、「3諸規則の不備」というのがあります。「組合規約等の諸規則に不備な点の多いので、その部分の運用が組合員全員の正式な決定によらず、その都度執行部の考えで決まることが多い。」、こう断定できますか。いやしくもこういう種類のものに書いて、このことを断定して言えるような一体確信がおありになるのですか。大問題ですよ。労働組合自主性を侵しているのですよ。こういうことは非常に気をつけなければいけないのです。おそらくこれも書き過ぎでございます。言い過ぎであります、ということになるのじゃないかと思うのです。こういうことは考え自体もよくない。労働組合に、何か敵対する相手でもあるかのような思想がありありとわかるのです。労働組合の動きが、本質的にどういう機関でどういうふうに審議され、どうなってくるかを、もっと寄り身になって考えてあげなければだめです。何かの現象をとらえてこうだった、どこかで一人聞いたからこうだった、一つあったからといって、こういうものに書くような思想がよくない。労使の紛争が絶えない、あるいは労働協約ができない根本的な思想もここにある。これは理事者の方が上からというか、違った機関から何かの制約があっても、考え直さなければいけません。労働組合に対する考え方というものが、こんな種類の考え方が端的にあらわれるようではだめです。その意味で言うのです。こんなことはおそらく書き過ぎでございます。こう言うにきまっていますから、答弁は要りません。  (ロ)の構成、「若年層の構成比率が高いこと。」「原研職員の平均年齢は三十歳、組合員の範囲における平均年齢は二十八歳であり、若年層の比率が比較的高くなっている。そのため、経済的利益より、大義名分を重んずる傾向が強い。」そうですかね。これも労働組合というものを見る目ですが、若い人が多いから経済的利益よりも大義名分のほうにいわゆるウエイトを置いて行動が起こってくる、こういうきめつけ方は間違いなんです。非常な偏見であって、この種の考え方はやはり、労働組合を自分の家族、自分の手足になって自分の思う仕事をしてくれるもの、この愛情を込めて見ていないから労使紛争が絶えないのです。協約が満足にできないのです。話し合いがスムーズにいくわけがない。この思想がよくない。これが二つ目の思想がよくないところです。これは答弁も要りませんけれども、こんなばかな考え方はありません。  その次、「2高学歴層の比重が高い」こうおっしゃっておる。たとえば情報センターなり、あなた方のいま五機関といわれるものに比べまして、確かに原研職員の構成は大学卒が三九・六といっているのですが、多いですかね。三九・六%の大学卒が、あなた方が先ほど引例された情報センターその他と比べたときに非常に多いのでしょうか。
  196. 森田乕男

    森田参考人 これは大学だけをとりまして三九・六で、短大が九・五、そうすると両方足しますと大体五〇%近くになる。そういうのはやはり日本の中では非常に多いんじゃないか、こう思います。
  197. 原茂

    ○原(茂)委員 私が聞いたのでは理研が六一%、情報センターが六三%です。短大を入れても五〇というのは多過ぎないと思うのですよ。決して大学卒が多いのではないと思う。高学歴者が多いのではないと思う。その考え方は改めていいのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  198. 森田乕男

    森田参考人 科学技術庁関係が世間一般よりは大体多いという傾向にあることは私も認めます。理研だとか何とかと比べますと、あるいはどうでございますか、私はっきりは答弁できませんが、つまり民間とか社会的一般から見れば非常に多いという意味に御了解を願いたいと思います。
  199. 原茂

    ○原(茂)委員 これを私は詳細にわたってやっているわけではないのです。参考にしているのですが、これを一応皆さんにお示ししたほうが話が早いのじゃないかと思うから言っているだけです。具体的な検討はまだこれからやりますが、やり出したらたいへんなんで、すっ飛ばしているのですから、そのつもりでお聞きをいただきたい。  その次に五六ページの下から三分の一ぐらいのところにありますね。いわゆる「労組活動の最終目標が経済闘争にあるのか、また、それとは異なった別の目標があるのか理解に苦しむ」とある。ほんとうにこういうふうにお考えになっているのか。もしほんとうに最終目標というものが経済闘争にあるのか違った目標にあるのか理解に苦しんでおられるなら、一体どういうところからそういうことをおっしゃるのか。違った目標というものは一体どういうところにあるのか。何を言おうとするのか。何ですか。  先ほど森山さんが言った公安調査庁の次長が調べて共産党が云々、二十名だ、百二十名だ、われわれあとでこれは問題にしなければならない問題です。公安調査庁が正式にそのような身分調査をやったこと自体が重大問題です。それがこの委員会で発表されたわけですから、これはあとで問題にいたします。これはほっておけないのですよ、公安調査庁の名において身上調査、思想調査をやったということは。  したがって、そのようなことをおっしゃっているのか。そうでなくて、ほんとうにほかの違った目標が、何の目標があるとお考えになっているのかということ、これをまずお答えを願いたい。それから質問いたします。
  200. 森田乕男

    森田参考人 これは読みようによっては非常に重大なことになりますので、私、実は東奔西走いたしておりまして、十分に私ども責任は持ちますが、読んでなかったのでございます。つまり組合活動というものは本来経済活動であるべきものだと思いますが、いままでのわれわれの組合の活動を見ておりますと、単に経済活動だけでなくて、つまり安全問題だとかいろいろ理屈に走るようなことが非常に多くて、経済活動のみでないということが言えるのではないかと思います。
  201. 菊池正士

    菊池参考人 これに書きましたことは、こういうことでございます。これは現在どこでもそうでございますが、原研の中にもいろいろな政治的な色彩がございます。そうしてそういった政治活動的な場がやはり原研の内部に持ち込まれている気配が十分にあるということを言っておるわけでございます。
  202. 原茂

    ○原(茂)委員 そうであるのでしたら、労働組合の存在理由というものは、経済的な目的を達成するために労働組合があるのですよ。その労働組合を現に認めて、理事者も相手にしているのですよ。それなのに、経済闘争に目標があるのかどうかわからないという、そんな前提に立って組合と話し合いしたら、話になりませんよ。思想的な動きがあるとか、いわゆる政治的な動きだとか、違った目標があるとかということは、労働組合が、組合員というよりは働く者として、基本的にほんとうにそこから国全体の平和を脅かされたり何かしては話になりませんから、これは別途にやるのはあたりまえのことです。国民として当然考えている。あなただって平和を念願しているはずです。その問題をいろいろな形でやっていこうとしてもかまわない。  だからといって、それをやるからといって、何か経済闘争という目標を全然持っていない組合であるかのような思想を持っているから、労使の紛争は絶えないのです。こんなばかなことはない。経済的な目的というものを達成するための存在が組合なんだ。ですから、主目的は当然経済闘争ですよ。それを前提にして、労働組合とは相対するようにしなければいけないということであります。  それから「これはやはり思想的背景の存在することと、また物事のささいな点もゆるがせにできない」というようなことばで結んでおいでになる。はっきりと「思想的背景の存在すること」というのが先ほどの公安調査庁云々ということと軌を一にしているのですから、そういう考え方は、そのこと自体が皆さん自身が自主性を持っていない。なぜ自主性を持たれないのか。どこに欠陥があるのかをもっと真剣に追求して、理事者自身の自主性というものを何とか自分たちで握って、その自主性の上に立って、組合とほんとうの親愛と友誼で話し合いをしていこうじゃないかという、第一自分の基本的な立場というもの、自主性というものを取り戻さなければいけないということを、このことにすりかえている。安易にエスケープしている。こういう考え方がある限り、労働組合との話し合いというものは今後うまくいきません。したがって、いま私の申し上げたことも十分考えていただいて、今後思想的な背景があるのだというきめつけなどをする考え方は改むべきだ、経済闘争が目標であるかどうかわからないというような考え方は持ってはいけない、こういうふうに私は考えるわけでございます。  大体以上で理事者の側に質問したいことを申し上げました。  これから、せっかく組合の方がおいでになりましたので、組合の方に、一問一答はいたしませんから、すみませんが、たいへんでしょうけれども、私の申し上げることに個条的にお答えをいただく。それで終わりたいと思います。組合の方にはあまり押し問答することはたぶんないだろうと思いますけれども、やはりなるべく簡潔に、わかりやすく要点だけお答えをいただけばなお時間が助かると思いますから、お願いいたします。  第一に、先ほどもちょいちょい言われたのですが、いわゆる原研というのは争議が非常に多い、こういうふうにいわれてきました。六十六回だというようなことを言われましたが、先ほど、ことしは三つくらいだというような答弁もありました。しかし、根本的な原因は一体何だろう。私は、午前中といま理事者の各位とお話し合いをしている中で、おそらく尽きているのじゃないかと思いますから、ひとつ簡潔にお答えを願いたい。もしそういう紛争がわりあいに多く起こるとするなら、その状態を正常化するには一体どうしたらいいと考えるか、これを端的に……。  二つ目、原研所員の士気が沈滞しているのは、原子炉をはじめとする開発や建設が原研研究調査に基づいて計画されているのではなく、外部からの圧力によって位置づけもはっきりしないままに進められることと、その成果が有効に利用されないということが原因としてあるのではないか、そういうふうに心配をされておりますが、この点はどうでございましょうか。  三つ目、原研を特殊法人として発足させ、自主性とともに有能な人材を集めるように配慮したにもかかわらず、さらにまた数次にわたる附帯決議を当委員会などでもつけましてその実施を促してきたにもかかわらず、原研給与がだんだん低くなってきたわけですが、これはどういう理由によると考えるのか。また、原研労働組合は経済闘争を最終的目標としていないのではないかという、いま私が理事者にお聞きいたしましたこの点に関して、何かお考えがあるならあわせて聞いておきたい。  四つ目、争議協定をめぐって、最近給料に関していわゆる紛争があった。一応解決を見たようでありますが、一見単純なこの一つだけの問題がなぜあれほど長引いてごたごたしたのか。また、争議協定によって二十四時間前の予告がきめられたということになりましたが、この時間は一体どういう意味があるのだろうか。二十四時間をとるかとらないかでごたごたやっていたのですが、二十四時間というものの意味をひとつ組合立場でお教えをいただきたい。また、去年だったか、三十分の予告でストを行なったという話を聞いておりますが、その際に原子炉の安全は一体守られたかどうか。三十分の予告でストをやったときの原子炉の安全は一体どうだったか、守られていたかどうか。  五つ目、労働組合原子炉管理手当に反対をしているそうですか、放射線下の労働について当然この種の手当は要求すべきものだと思うのですが、一体なぜこれを拒否しているのか、これをお伺いしたい。  最後は、高崎研究所の従業員組合というのが一応できたようですが、いまの皆さんの労働組合とどういう関係にあるのか。その知っている範囲の人数その他をお伺いしたい。従業員組合の設立というものが行なわれるときに、これは仄聞でございますが、理事者が支配介入した事実があるというふうに一応聞いておりますけれども、一体そういうことがほんとうにあったとお考えになるかどうか。ありそうなことだと思うのですが、どうでしょう。  以上六点、これだけをお答えいただきたい。
  203. 一柳勝晤

    一柳参考人 一番最初は、争議が多い根本的原因は何かというお話でございます。この点に関しまして、理事者のほうで出しておられます「原研調査報告」、これには、給与等に関し理事者自主性の幅が少ないということが紛争の起こる根本的原因であるというように書いてございます。一方組合のほうは基本的な労働条件である給与制度の決定とかそういうものは労使間の交渉により行なうべきであるという公式論に終始しておる、というふうにいっておられるわけでございます。  そのうち、理事者自主性の幅がないということが労使紛争の原因になっているということに関しましては、私どももそれはそういうことではないかというふうに考えております。  それから、労働組合のほうが基本的労働条件たる給与制度の決定は労使交渉によって行なうという公式論に終始する、というふうにいっておられますが、これは公式論ではなくて正当論である、そういうふうに私ども考えております。私どもそれに終始しておるわけではございません。それに終始しておりますと、これは当然、何といいますか、妥結せぬわけでございますが、毎年妥結いたしておりますところを見ますと、別に終始しておるわけではないのであります。  それから、そういうのを正常化するにはどうしたらいいかという第二点の御質問でございます。その点に関しましては、理事者給与等の労働条件につき自主性を回復していただくということが何より大事なことである、そういうふうに私ども考えております。労働組合のほうといたしましては、これは従来ともそうであったと私考えておりますが、今後ともますます組合員の意思を集約し、その意思に基づいて行動する、健全に運動を展開するということが、労使間の正常化ということにとっても私は非常にいいことである。そういうふうにすることによって理事者のほうは給与の決定に関して自主性を回復する。私はダラ幹とかはね上がりとか、そういうふうなことではないような、健全な組合員の意思に基づく健全な運動を展開していくということが、労使間を正常化するのに何よりのことである、そういうふうに考えております。  三番目に、士気が沈滞していることについてでございます。士気が沈滞しているということは、やはり残念ながら事実である、そういうふうに思っております。これにつきましては、理事者側の「調査項目」によりますと、人事考課等はあまりやっていないとか、あるいは職務給的な賃金を採用していないということがそもそもの原因であるというふうに述べられておるわけでございます。同じ給与に関する「調査項目」の中で、毎年昇給昇格に必要な原資が十分についてこないとか、あるいは近い将来非常に大規模な給与の頭打ちが起こるということが予想される、給与費全体が非常に苦しい、パンクしそうだ――そういう中において人事考課とかあるいは職務給とか、そういうものが導入されてまいりますと、これは給与全体を低める方向でしか働きませんので、そういうふうなことでありますと、これはますます士気が低下することになります。そういう全体を低めるような職務給とか人事考課というものでは、職員に対しまして将来の見通しをますます暗くする。モラルも低下させざるを得ないのではないか、というふうに考えております。  この士気の上がらない原因と申しますのは、話しますと非常に長うございますが、たとえばJPDRなんかにつきましても、ああいう炉をつくるということに関しまして、私ども初めは、将来軽水型の動力炉というのは日本の動力開発の中心になるというふうに話されまして仕事を始めるわけでございます。ところが、途中になりますと、実際の発電所のほうはコールダーホール型というふうな全然違うものが途中で導入されてみたり、あるいはその次の国産動力炉は重水型でいくというようなことがぽんと出てきたり、こういうような状況というものが、原研の中に一ぱい起こっております。そういうことで、途中までやっておりますと、ひょっと変わってしまうというようなことが研究所の中でいろいろなところにございます。士気が低下するということは、それが最も大きな原因である、そういうふうに私ども考えております。  原研を特殊法人にしたのは給与を高くするためであるけれども、だんだん給与が低くなっておるという点でございます。その原因に関しまして、私どもは、これは原研でお出しになっている「原研調査項目」というのにも載っておりますが、給与に関する大蔵省の画一的査定というものが給与をだんだんに低くしていく最大の原因である、そういうふうに考えております。具体的に申し上げますと、高年齢でやめていく人が少ないにもかかわらず、毎年よそと同じ三・八%という定昇原資に縛るということ、あるいは学歴構成とか人員内容に見合ったベースアップの原資が獲得できないということ、こういうところにやはり全体に下がっていく原因があると思います。この点に関しまして、別のところでは、原子力ブームというものが退潮しておる、あるいは労働組合が政労協というふうな立場で横断的な労働組合運動をやるから下がるんだと言っておられますが、私はそういうものではないというふうに考えております。  それから、経済闘争が最終目標ではないんじゃないかという批判があるということでございます。これは私どものほうとしては、どういうことであるかよくわからぬのであります。先ほど申しましたように、私どもの経済的地位の向上に関しまして理事者自主性の幅というものが非常に少ない、あまりにも少ない、そういうことでございますので、当然理事者と話をしておっても行き詰まってしまうわけでございます。それじゃ困るじゃないか、だから困るということで、経済条件だけではどうしてもすぐ壁に行き当たってしまうので、一体なぜそんなことになるのだということで、かつてそういう問題と機構の不備の問題とが一緒になりまして、理事者に不信任闘争というふうな形で起こってきたことがございます。それから、あるいはそのうしろにあるものは何だ。これはやはり原子力局とかそういうところの画一査定だ。それじゃわれわれだけでは足りないから、政労協というふうなわれわれと立場をともにする人と一緒になって、大蔵省へ陳情に行こう、そういうふうなこともやるわけでございます。したがって、そういうことが最終目標、それがその御批判であるとすれば、それは私やはりそういうふうなことはあると思います。しかし、それはいずれも経済闘争というものから付帯して起こってくる当然の帰結である、そういうふうに考えておるわけでございます。  それから、争議協定の問題につきまして、これが長引いたのはなぜかというお話でございます。これにつきましては、争議協定をめぐってごたごたいたしましたのは、最近二度ばかりあるわけでございます。一度は昨年の十一月でございます。十月の二十九日から始まったので、まあ十一月でございます。これは動力試験炉がまだ工事中でございまして、そこの施工者であるゼネラル・エレクトリックからの指令によって原子炉がとめられたわけでございます。そのときでございます。もう一度は、本年の二月の半ばから、これは新聞等の報道によりますと、原子力局あるいはその他から何かお話があってやったというふうに私は聞いておりますが、それによって原子炉がとまった、その二度でございます。  昨年の十一月のときには、これは御承知のように、後に訂正されましたけれども日本人技術者のミスオペレーションの問題であるとか、そういうふうな問題に関するGEに対する理事者主体性の問題であるとか、こういうふうな問題がひっからまりまして、それと、いまちょっと前におられますので少々あれなんですが、毎週週末になると理事者が東京に帰っておしまいになったというふうなことがありまして、長引いたわけでございます。  今回の二月の場合には、この争議協定の問題に関しまして、炉がとまる前に、それに先立ちまして労使間で非常に平和裏に話し合いをやっておったわけでございます。話し合おう、そういうことになっておりまして、やっておったわけなんでございますが、そこへ突然炉がとまっちゃった。せっかく話し合ってやろうというときに炉をとめて、その問題についてやろうというのは、これは一種の所のほうのストライキみたいなものでございまして、しかもそういう行為というものが、交渉等によって聞くところによりますと、あるいは新聞報道等によりますと、理事者の主体的な意思ではない、よそから何かやられたものらしいというふうなことで、話し合いの空気というものは非常にこわれたわけでございます。しかも時を同じくしまして、たまたまその前のJPDRの事件につきまして、労務の担当の理事の方が辞表を提出されたり、あるいは労務担当理事がかわられたりした。ちょうどそれが同じ時期にきましたので、この間お休みみたいなことになりまして、早く片づかなかったというのが表面的な理由でございます。  しかし、こういう簡単な問題がこういうふうに長引くことには、その背景にもう少し大きな問題があると私は考えております。それは何かと申しますと、まず一つは、先ほどから申しておりますような給与先細りというふうな中でこういうことが行なわれた、そういうことが一つでございます。さらに最近、去年あたりから私ども委員会になりましたわけでございますが、その間に種々のごたごたが起こっております。そのごたごたのほとんどが、労働条件に関する外からの圧迫と申しますか、それが強くなったせいか、労働条件を切り下げるというふうな零囲気の中で紛争が起こっておるということでございます。たとえば昨年の七月に動力試験炉で紛争が起こっております。これは先ほど申しましたように、交代手当の切り下げ並びに五班三交代の時期をおくらすということが紛争の原因になっております。それから、年末に至りますと、期末手当の問題が起こっております。これは二つ目でございます。これは、昨年度支給実績その他が、不況になったのでも何でもないにもかかわらず、昨年の支給率を二割も下回るような案を提出してこられたということが紛争の原因になっておるわけであります。それから、そのほかもう一つの紛争といたしまして、ベースアップがございます。ベースアップにつきましては、私どもの要求を提示いたしましたのが十月であります。しかし、その後回答がずっとゼロ回答、あるいは団交は拒否というのではないのですが、私どものほうから何度も何度も団交を申し入れておるのですが、いまはまだだめであるということで、団交が延期になった。実質的な拒否だと思います。そういうような形で交渉がずっと長引かされて、しかもゼロ回答のままである。最近出てまいりました所側の一時回答というものを見てまいりましても、他の労組に比べて著しく低いというふうな状況であるということが非常にぐあいの悪い点なんでございます。そのほか、まだ先ほど森山委員のほうから御指摘のありました超過勤務手当の問題がございます。これについても、私どもは歴史的な過程、歴史的な経過というものの中でそういうものを考えなければならないということを申し上げたわけでございますが、そういうところを無視してかってにその部分を切り下げてしまうというふうなことは、私どもといたしますと、これは昨年のそういういきさつから見まして、やはり労働条件の切り下げであるというふうに考えざるを得ないわけであります。そういうような状況の中で争議協定というのが行なわれておるわけでございます。ことしの四月になりますと、先ほど森山委員からも言われたように、争議行為については厳然とやれというような御要請があったわけでございますが、しかし、そういうふうな厳然とやれということは、森山委員が言われるまでもなく、理事者はそういうことを言っておられる。そういう状況の中でくるものだから、争議協定については組合に対する弾圧である、そういうふうに私ども考えております。そういう背景の中でこういう話が行なわれる。しかも、そういう中で原子炉をとめて争議協定だというふうにやるというふうにこられるから、非常に話し合いが長引いておるという結果になっておるわけでございます。そういうふうな給与全体に関するじり貧的な傾向、そういうふうなものさえなければ、さらに所側が外から規制が強くて非常に硬直した態度をとるということがなければ、もっと話はスムーズにいっておるのではないか、私はそういうふうに考えておるわけでございます。  それから、二十四時間の意味であります。二十四時間の意味という点に関しましては、団体交渉の席上でも問題となったところでございますが、別にこれは安全性ということとは関係はございません。つまり、炉をとめるのに何分である、それからそれを連絡するのに何分である、そういうふうに積み上げた値ではないのでございます。現にJRR2という原子炉は、三千キロワットで運転しておるときに一分でとまります。それからその後、炉心の熱除去のためには、ポンプを一ないし二時間回しておればよいということでございます。それからJRR3、国産一号炉という原子炉は、一千キロワットの運転時に自動制御計によってとめますが、それには大体三分で出力を下げ、次の一分で化学反応は停止する。それから後三十分ばかり炉心の熱除去をやるということになっております。それから、動力試験炉JPDRに関しましては、さきの争議協定期間中に一度とめたことがございますが、そのときには大体二時間ぐらいでとまったという実績がございます。  それから、三十分前予告のストライキお話がございました。これは昨年の十月の二十五日に行なわれましたベースアップの第一波の争議のことであると考えます。この日は午後二時にストライキの実施を所側に通告いたしまして、現場において直ちに保安要員の交渉に入ったわけでございます。交渉成立後、炉がとまってからストライキに入るということにいたしまして、所側の手で炉の停止が行なわれております。それで二時三十九分に完全に停止いたしましたので、二時四十分から保安要員を残して退出したということになっておりますので、これは安全上は何ら問題はない、こういうふうに考えております。  原子炉管理手当について組合が反対しておるのはどういうわけかという点でございます。これはまだ所のほうから具体的なお話がございませんが、交代制がしかれている現状では、一直当たり――一直と申しますのは一日を三つに分けた三分の一でございます。――直当たり本俸の一・五%プラスアルファという形で交代手当と称するものが支給されております。これにかえて、今後、パーセントではない一定額の交代手当と、それから原子炉管理手当を支給しようというのが所側のお考えであるようでございます。ただ、この原子炉管理手当というものに関しましては、これも過去におけるいきさつがございまして、昭和二十五年ごろに労働組合より提出いたしました放射線手当というものの要求がその初めになっておるわけでございます。ところが、その放射線手当の問題に関しましては、その後所内に労使双方より委員を出します予防補償委員会というものが設置されまして、そこで検討されて答申が出たわけでございます。その答申の中に、低線量の部分については一定額の補償を行なうということが答申されたわけでございます。所側のほうもいろいろお考えになったらしくて、原子力局あたりともいろいろ話をされたらしいのです。放射線手当ということではこれはまずい、放射線を取り扱うには高度の技術が要る、だから放射線取り扱い手当ということならどうかというふうなことで、放射線取り扱い手当という形に一たん変わりまして、話をされておったようでございます。ところが、原子力局あたりへ参りますと、まだそれでもやっぱりいかぬということで、原子炉等については、そういうものの運転は社会的な責任があるから、その責任に見合う手当としてなら払える、そういうふうなことで原子炉管理手当てというふうなものが考えられたわけでございます。ところが全体の額から申しましても非常にぐあいが悪うございますし、そういうわけで、全体の給与が小さくなる中で受ける職務給というような形がはっきりしてまいりました。したがって、労働組合としては、これについてはやはり困る、もとの放射線手当という形にしていただきたいということを申しておるわけでございます。  それから、高崎研の従業員組合と申すものにつきましてでございます。これは本年一月二十二日ごろに、高崎研究所におきまして組合員二十二名で結成された一種の第二組合のようなもののことではないかと思っております。この高崎研と申しますところは、一昨年あたりからずいぶん組合員がそっちに行っておりまして、建設に従事しておったわけでございます。昨年来急に警備員とかそういう方がふえまして、常用臨時というふうな形で二十人ばかり採用されたわけでございます。急に人間がふえた。しかも、あそこは建設時期でございますので、東海研の建設初期のような状態であると思われますので、それらの人たちは身分的にも、また労働条件の面でも、いろいろ不満があったようでございます。われわれの組合でも、そういうものを早く組織しようじゃないかと言っていたのですが、昨年来いろいろ問題がありまして、なかなかそっちへ手が回らなかったというのが実情でございまして、その点が一番遺憾なところなのです。その人たちの不満というものを吸収組織してやれなかったというところが一番ぐあいが悪いところなのですが、その点私たちも反省いたしておるわけです。とにかくそういろわけで、これは第二組合と申しましても、普通の第二組合とは若干性質の違ったものではないか、そういうふうに考えております。ただ問題は、その第二組合つくりました指導者と申します者が、それらの人たちの不満を組織する場合に、普通の正常な労働感覚の持ち主でありましたならば、これはわれわれの組合の分会とかあるいは支部をつくるというふうな形で話をこっちへ持ってくるだろうと思うのです。それを法律上はれっきとした第二組合という形に指導したということには、何か悪い意図があるのではないかというふうに私ども考えたわけでございます。私ども若干調査いたしたのでございますが、その結果、第二組合の結成を新聞発表されるときに、一部の理事の方と幹部の人がどうも一緒にやったのじゃないか、あるいは結成手続等について、そういうものが完全に行なわれたかどうかということをあまり確認しない前に、一部の理事の方と団体交渉みたいなものをおやりになったのじゃないか、というふうな点でいろいろ問題が出てきたのでございます。したがいまして、われわれとしては今後またさらに調査につとめまして、もしそういう支配介入の事実があるという場合には地労委等にも提訴する必要がある、そういうふうに思っております。  それから、私ども労働組合の活動につきまして、朝から晩まで何かかってにやっておるような印象を与えるということでございます。その点につきましては、私どもといたしましてはそういうことはないのでありまして、先ほど労働省のほうからも、大会等まで金を出すのはおかしいというお話がございましたが、私どもの大会は全部賃金カットされております。それから、職場大会、分会その他はいずれも時間外に行なっております。ただ、先ほどから申しておりますように、交渉事項が非常に多い。たくさんある。現在労使間でペンディングになっておる問題が二十ばかりあるかと思いますが、非常に多い。だから、しようがない、毎日一生懸命詰めてやっておる。その準備等のために執行委員のうちのある部分はずっと仕事をしなければならない。そういう状況でありまして、大会その他一般組合員の活動につきましては、全く賃金カットされております。全く正常に行なわれておる、そういうふうに考えております。
  204. 原茂

    ○原(茂)委員 どうもありがとうございました。  大体これで、時間もきたようですから終わりたいと思いますが、もう一つだけ簡単に聞いておきたいと思うのです。いずれにしても、日本原研の皆さんのストライキだけがあって、諸外国にはストライキはないのだ、こう聞いておるのですが、外国にもたくさん原子力研究所はあるのですが、ストをやっておるかどうか、もし知っておったら、二、三、例を知らせてもらいたい。  それから理事者に、特に科学技術庁の島村さんに一つだけお伺いしておきたいのです。本年度のベースアップに、いわゆる扶養手当ですか、それから時間短縮、こういうものの要求に対して何か規制をしたかどうか。それから、退職金規程というものがまだないだろうと思うのですが、これに対しても何か規制があるのかどうか。これだけあとでお答え願いたい。
  205. 一柳勝晤

    一柳参考人 外国の例に関しましては、有名なものといたしましては、例の原子力船のサバンナ号のストライキがございます。この点については前に科技特委で御報告がありましたので省略させていただきます。それから昨年の十月ごろ、カナダの発電試験炉、NPDというところでは、やはり一方的な配置転換に反対してストライキを行なっております。それからアメリカで、昨年十月、オークリッジ研究所におきまして、四千人が賃上げのストライキをやっております。それからイギリスにおきましても、オーダーマストン研究所で、十一月の十四日、それから一月の下旬等に十日間ばかり、千二百人ばかりの人間が配置転換反対のストライキをやっております。それから、これも同じくイギリスでございますが、バークレーの原子力発電所でも、一月の二十七日に、二千人ばかりの人たちが、廃棄物の取り扱いに関する安全措置が不十分じゃないかということでストライキをやっております。  まあ、よそでやっておるからどうだというわけじゃないのでございますが、六十回六十回というふうなお話が出ておりますが、六十回というのは、何度も申しておりますように、これはおかしいのでございまして、先ほどから申しておりますように、一つの問題についてストライキ通告というのは、解決するまで、たとえば十日間なら十日間ストライキがあったといたしますと、毎日一通ずつ出すわけでございます。そういたしますと、それが十回だというふうに勘定しておられるわけでございます。それはおかしいのであります。そういう勘定のしかたが、非常におかしいと思います。
  206. 島村武久

    ○島村政府委員 昨年十月以降のベースアップの問題に関連いたしまして、政府関係機関の公務員に準じまして、七・二%の昇給を認めるということを原研に対しまして通知いたしたわけでございます。時間短縮の問題とこの問題とは全然別個の問題として考えております。  扶養手当につきましては、原子力研究所におきましては、当初ベースをきめます際に、分けないで一緒にするということで、初めから本俸の中に入ったものとして考えております。分けたほうがいいという考え方でありますれば、それは分離してもかまわないようなものでございますけれども、私どもは大勢といたしましてはむしろ吸収していく方向にあるとも考えております。絶対分けてはいかぬということは申しておりません。現在の段階では、初めきめますときに扶養手当は本俸の中に入れて考えるという考えでおりますので、その旨御返事いたしております。  時間短縮につきましては、規制をするというようなことではなくて、労働時間の問題等の取りきめはむしろ報告事項という形で出てきております。事実上御相談がございました。これはもう理事者の健全なお考えにおまかせしておいていいのじゃないかと思っておりますけれども、そういうことをなさるのであれば――また実際なさっておるようでございます。もう土曜日あたりはいままでよりも少し早く帰るような形にしておられるようでありますが、私どもの希望としましては、そういうことをなさるならもう少しきちんとした勤務にしていただけるならということは、希望として申し上げたことはございます。  退職金規程につきましては、これはまた給与関係でございますので、定款によりまして認可事項になっておりますが、認可の申請もございまして、差しつかえないということは御返事はいたしてございますし、またそれに対して、原研のほうからそれで実施するという御通知も受けております。
  207. 前田正男

    前田委員長 関連して、森山欽司君。
  208. 森山欽司

    森山委員 一つは組合のほうから、賃金カットをしているとかしていないとかいう具体的なお話があったのですが、勤務時間中の組合活動については、三十三年十月三十一日案、三十六年八月一日案、三十六年十一月一日案、三十七年十二月二十八日案、三十八年四月二十二日案、それからことしに入っての三十九年一月三十日案と、何回も案を出して、まとまっておらなかったことは御承知のとおり。そして一番最近のものは三十九年の一月三十日案でございます。  それで、ことしの一月の案と去年の四月の案の差はどういうことかと申しますと、総会は年二回やる。要するにこういう問題について、回数の規定もなければ、どのくらいの時間そういうことを時間内にやることについて認めるかということについても規定がなかったから、おそらくきめようとしたのだろうと思います。それによると、総会は年二回やって、一回の時間が九時から十七時半までの必要時間、これはカットすると書いてあります。ただし年次有給休暇の請求があればこれを認める、この場合にはカットしない、こういうことです。これは年次有給休暇という意味でカットしないのですから、これは当然のことです。それから大会というのがあって、これが四月の案では年十二回ということで理事者側が提案した。今度はことしの一月には八回に減らして、一回の時間は四時間、スト権が集約されている時間を除きこれはカットしないということになっております。それから評議員会は、四月の案では年十二回、一月の案では八回に減らしております。一回の時間は四時間以内、これはカットしないということになっておるのであります。だから、いままでもこれはもちろんカットしていない。大会でも評議員会でも、回数も無制限、カットもしていない。大体理事者が十二回を八回に回数を減しただけで、カットしていないのです。それから執行委員会の場合ですが、月に六回、これが去年の四月案です。本年の一月案は、週一回、一回の時間四時間以内、これもカットしないというふうになっておるわけです。  そういうふうに、もう理事者側の提案すらも、これらの問題についてカットしないなんという驚くべき提案を本年の一月三十日までしてきた。したがって、ただ回数を十二回を八回に減らすというまことにだらしのない提案を経営者側がしている。だから、実情はやっていないのでしょう。こういうのは当然のことであって、それを組合委員長が言うといかにもカットしたような印象を与える。こういう種類のことはたくさんございますが、私は一々これを論駁いたしません。もう先ほどの組合委員長の話について納得できないことが多々あるわけでありますが、ここは論争の場でありませんから一々申し上げませんが、手元にありました資料について、理事者側の提案から推してこういうことであるのでしょうということを私は具体的に申し上げるわけでございます。  そこで、もう一つだけ。「原研調査項目」というのができておるのをきょうまで存じませんでしたが、原委員の御質疑で、理事者の裁量権に制約があることが労使紛争の根本原因だ、一体そうですかと詰め寄られたと思う。理事長はそれについて、「根本的原因であり」、という書き方について適当でない点をお認めになったようです。これは三六ページですが、五二ページに「原研労使関係が不安定とされるものは、経営者に与えられた権限と経営の体制が、原研の体質の流動的な発展に追いつけない程固定されたものであること。」そのほか二項目をあげられておるわけです。この問題は私は午前中に申し上げたことであって、確かに予算によって制約を受け、経営上の制約がなかなかあることは事実でございます。特に経理関係について。ところが、他方において組合は労働三法によって労働権はほぼ完全に保障された要求をすることができてくるわけだ。そこで非常に苦しいということは私どもはよくわかるわけだが、一体原研のいまの労使関係の不安定というものは、そういう制度上の問題であろうかどうかということになる。すなわち根本原因であるかどうかということになると、私はそうでないと今朝来申し上げておるのでございます。労働問題というものに対する認識が全くない。その一例として超勤の手当の問題もあげ、それから時間内の組合運動の問題も野放し状態、それから労働協約一般の従来の取り扱いの問題も、大体組合運動のイロハがなっていないじゃないか。そういうことは予算上の制約とかなんとかいうことと関係がないことだ。そういうイロハができていない。もう組合が特殊の性格の組合でありますから、これは私からそういうことを組合に言ってもしょうがありません。しかし、この組合が悪いのは、これは管理者がぼやぼやしているからだ、管理者が認識不足だ、おざなりだ、親方日の丸で眠っているからこういうことになったのだ、それが根本原因なんじゃないですか。そういうことを私は午前中に申し上げた。そういう点お考えになられたから、理事長は、これを根本原因だというふうに、すなわち機構にその責任をおっつけるということにちゅうちょされたのではないか。私たち国民の税金によって立ち、国民から大きな期待と関心の目をもって見られているということに対する心がまえが足りなかった。労働問題とか労務管理というものに対する真摯な姿勢が正されていなかったということが根本問題じゃないかということを私は午前中に申し上げた。そういう点を御考慮になって、根本問題、すなわち制度にその責任をすりかえるということをちゅうちょなさったのではないかと私は思うのですが、理事長、副理事長、いかがでございましょうか。
  209. 菊池正士

    菊池参考人 午前中御返事したとおりでございます。そういう意味で私、非常に責任を感じているということであります。
  210. 森山欽司

    森山委員 そういう心がまえの問題だということで……。
  211. 菊池正士

    菊池参考人 が大きな責任でございます。
  212. 前田正男

    前田委員長 次に、岡良一君。
  213. 岡良一

    ○岡委員 ほかにも質問の方がおられますので、私は特に労使紛争というふうな形でこの問題の経過をあまり取り上げたくはありません。ちょうど兼重さんも来ておられますが、原子力委員会は、原子力研究所の紛争というものに対する責任を感じておられますか。どうもぼやっとしておられるように思うのだが、感じておられるのだろうか。
  214. 駒形作次

    ○駒形説明員 原子力委員会は、原子力政策というものを通して日本原子力を推進するという任務を持っておるのでございます。日本原子力研究所は、この原子力の推進ということについては、非常に大きな役割りを果たしているものでございますから、そういう意味から、原子力委員会というものも、原子力研究所が円滑に運営されていくということをはからなければいけないのじゃないか。でありますから、原子力委員会立場はそういうふうにすべきであると思います。
  215. 岡良一

    ○岡委員 いま駒形委員の言われたことを聞くと、原子力委員会は、原子力政策を企画し、決定する機関である、原子力研究所は、原子力政策を推進する中核であるから、この紛争、その停滞に対しては責任をとると言われるのか、とらないと言われるのか。ここをひとつはっきり言ってもらいたい。
  216. 駒形作次

    ○駒形説明員 それぞれやはり担当すべき部門があって、責任をとる、とらぬということの御質問でございますけれども、当然われわれがやるべきことに対して責任をとる、こうお答え申し上げるよりいたし方ありません。
  217. 岡良一

    ○岡委員 それでは、原子力委員会は一体ことしになってから正規な委員会を何回開かれましたか。そしてこの問題を取り上げられましたか。
  218. 駒形作次

    ○駒形説明員 原子力委員会は定例会議というものを毎週水曜日の午後に一回開いております。これはことしになりましてからずっと開いておるのでありますが、最近二回ほどは開かずにおります。なお、加えて申し上げますことは、定例会議のほかに打ち合わせ会というようなものを持ちまして、それも大体週に一ぺんずつくらい、あるいは二へんになることもございますが、打ち合わせ会というものを開いて、いろいろ検討をしておる次第であります。
  219. 岡良一

    ○岡委員 とにかく、原子力委員会の常勤の方が二人もこの間まで外国へ行っておられたというようなことは、少なくともいまあなたのおっしゃったように、日本原子力政策を推進する中核機関がこういう紛争を起こしておるときに、海外へ行っているということ自体、私は非常に不謹慎だと思う。  そういうことは別としても、これは原子力委員会の事務局長は島村君だが、一体ことしになってから定例日にはたして定足数をそろえて、規則でちゃんと三名以上出なければ開かれないのだが、開かれたか。そしてこの原子力研究所の問題についてどういう取り上げ方がされ、どういう意見の一致を見たかということを、議事録、記録したものを出してください。非常に原子力委員会は今日まで無責任な、拱手傍観の態度をとっておられたと思う。ぜひこの点をはっきりしてもらいたい。これが一つ。  それから、実は私もきょうは、この春さき、気候もいいし、ほのぼのとした委員会だと思ってきましたところが、昼前にわかに春のあらしどころか、マッカーシー旋風が吹きまくって、たださえノイローゼぎみの菊池さんはじめ、たいへんなことで、私も精神病者の専門で、非常に心配です。マッカーシー旋風が吹きまくってオッペンハイマーが追放された。アメリカにはそういうこともある。しかしこれは、要するに原子兵器をつくる国のできごとである。日本では原子兵器をつくらないのだから、何もマッカーシー旋風が吹く必要もないのに、ことさら吹いてくるところを見ると、何かそういう気がまえでもないかという錯覚に襲われたということを、正直に告白しておきたい。  それはそれとして、菊池理事長にお尋ねしたい。あなたのほうの共同声明の中で、原子炉運転をとめたことは紛争の解決上きわめて遺憾であったと反省するという趣旨のことばがございました。これは、あなたも長く理事長をしておられたのだから、そういうとほうもないことを無理無体にやるということは、原研の内部の事情から見てもおもしろくないということは、二月二十二日に炉をとめられない前、あるいは炉をとめるときにそういうお気持ちではなかったかと思うのですが、正直なところをお聞かせ願いたい。
  220. 菊池正士

    菊池参考人 最初その方針でやっておりました。その後いろいろ、これは決して委員会や局からの指示ということではなしに、ただそれでよいかどうかということについて、突っ込んで原子力委員会のほうとも、島村局長とも話し合いをいたしました。そしてその結果、そこに至るまでの私の行なってきた言動から照らしましても、そういうやり方は今回とるべきでない、私はそういうように考えました結果、あの段階で確かにその方針を変えたわけでございます。しかし、これは十分委員会原子力局、島村君と話し合った末、私も確かにそうだという信念で変えたのでありまして、指示によって変えたというわけではございません。
  221. 岡良一

    ○岡委員 ちょうど私ども十四日に原研へ参りまして、非常に皆さんにお世話になりました。そのときの私どもの印象では、JPDRの準備はもうほぼでき上がっている、一両日にでもこの運転ができると、現場の責任者も言っているし、理事者の方もその点チヤフルに言っておられた。あの労組の諸君も、処遇上いろいろ不満はあるけれども、炉をとめるというような非常手段に訴えなければならぬような雰囲気でもなければ、情勢でも全然なかった。ところが、JPDRどころか、他の炉も全部とめてしまう。こういうことは原研理事長としての責任を逸脱したことだと思う。そこまでやることは、いまおっしゃいましたが、原子力委員会と御相談の上でおやりになったのですか。
  222. 菊池正士

    菊池参考人 十分に意見を伺いました。そして、ごもっともな意見でもあると思いました。そういう意味で、相談というよりも、御注意をいただき、それを検討したということです。
  223. 岡良一

    ○岡委員 とにかく十三日の日には、島村局長は、この委員会でこういう答弁をしております。JPDRについては、準備の整い次第、争議協定が結ばれ次第に運転をする、そう言っておられる。ところが、さて争議協定が結ばれたかどうか。現地へ行けばもうほとんど一両日で運転ができるという状態にあった。ところが二十日に、いま申しましたように、他の炉も全部運転を停止して、そして争議協定というものが大きく浮かび上がった。あなたの争議協定を締結次第という争議協定も浮かび上がってきた。きょうはああいうとほうもないマッカーシー旋風というものが吹いている。推理小説じゃないが、一連の関連があると感ぜざるを得ない。原研の炉の停止というものを組合側に責任があるかのようなそういう形において、まじめな研究者団体の権威なり名誉というものを棄損するような方向に原子力政策を振り向けていかれるならば、これまた重大問題だと思う。こういう点もこれ以上申し上げませんが、いずれ小委員会等で十分に究明をしたいと思います。これで私は終わります。
  224. 前田正男

    前田委員長 次に、田中武夫君。
  225. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は先ほどの原委員質問に関連したようなかっこうで行ないます。あと久保委員ほかたくさんの質問者があるようでございますので、簡単に行ないたいと思います。  それから午前中私、大蔵委員会に出ておりましたので、参考人の方の御意見を十分に聞いておりませんので、あるいは重複するような点があっても御了承願いたい。  もう一つ委員長に御了解を得たいのは、あまりやかましいやつはいなくなったようですが、質問中のやじは大いにけっこうです。しかし、悪意に満ちたやじが出た場合には、その委員との間に討論を許していただきたい、そのことだけを申し上げておきます。  先ほど来、六十六回ストライキをやったことは多いとか少ないとか、こう言われておるのであります。一柳行委員長にお伺いをいたしますけれども、このストライキ労働組合法五条八号による全組合員の無記名投票によって、その過半数によってスト権の集約をしてやられたものであるかどうか。  さらにまた、あなた方は同じく労組法の同条によるところの組合員全員の無記名投票によって過半数を得られた役員であるのかどうか。  さらにまた、先ほど原委員があげられました「原研調査項目」の資料の中で、役員がはね上がって、あるいは役員が組合員から遊離して組合運動を続けておるがごとき、こういう調査が出ております。そのことについて、あなた方はすべてものごとをきめるにあたっては、あなた方自体の持つ労働組合規約によって――その組合規約は労組法五条によるところの全員の無記名投票による三分の二以上によって成立したものであるかどうか。そういう点をお伺いいたしたい。  もしいま申しましたような五条各号によってきめられた役員であり、きめられた規約である、あるいはそういうようなストライキであるとするならば、原研の当局の言った一部はね上がりとか、機関を無視したような行動をとるということは、当たらない、こういうことになると思います。皆さん方は組合運動においてどういうように労組法の規定を守っておられるか、お伺いいたします。
  226. 一柳勝晤

    一柳参考人 まず、私どもの役員の選挙につきましては、全員による無記名投票によってきめたわけでございます。  それから、ストライキ権の集約につきましては、規約によりますと、その大会に出席している人間ではなくて、休んでいる者も含めて全構成員の二分の一――したがって、非常にむずかしいわけでございます。――二分の一以上の賛成によってストライキを行なうということになっております。それから現在行なっておりますベースアップ獲得のストライキは、昨年の十月二十四日の大会で確認されたものでございまして、これについては九八%程度の賛成率でもって承認されたものでございます。  それから、組合規約の成立につきましては、これは大会決定事項でございます。大会によって決定するということになっております。なお、そういうものが違法であるかどうかということに関しましては労働委員会とかそういうところでもあれするわけでありますが、私どもの場合、三十七年に茨城県地方労働委員会に提訴したことがあります。そのときに審査に参られまして、法内組合であるということになって審査を受けられることになって、その後審問に参加しております。そういう実体から見ましてもだいじょうぶと思います。
  227. 田中武夫

    ○田中(武)委員 労働省の青木さんにお伺いします。本来ならばあなたは説明員だから、あまり判断を聞くのはどうかと思いますが、いまお聞きのとおり、労働組合法五条各号によって組合活動をしており、正当に選ばれた役員であり、さらにストライキを行使するにあたっても十分に法規が守られておるというならば、先ほど来論議を展開せられておるような一部はね上がり云々というようなことは当たらないと思う。労組法から見て――具体的な事実については申し上げません、組合の形式的行動に対して正当な争議行為である、こういうことは言えると思いますが、いかがですか。
  228. 青木勇之助

    ○青木説明員 ただいまお答えになりましたように、全員の過半数以上という手続に従って行なわれたという以上、当該争議行為は正当である、かように考えます。
  229. 田中武夫

    ○田中(武)委員 菊池理事長にお伺いします。いま執行委員長の私に対する答弁、並びに労働省の答弁がございました。  そこで、少なくとも茨城地労委が法内組合として認めておる、しかも、規約も正当に成立し、その規約に基づいて正当なる手続を踏んで組合活動が行なわれた以上、先ほど問題になりましたようなこういうことで、あなたの意見が書かれることはかってでありましょうが、しかし、そのことは当たらないといわざるを得ないと思いますが、いかがでしょう。
  230. 菊池正士

    菊池参考人 私は、法律論として不当なストライキであるというふうに思っておりません。正当であると思っております。
  231. 田中武夫

    ○田中(武)委員 法律的に正当であると認めておりながら、この「原研調査項目」については、なぜこういった悪意に満ちたような調査が出てきたのでありますか。たとえば経済的目的を忘れた背後に思想的な問題がある、こういうようなことは一体どういう具体的事実をもって認定せられたのか、お伺いいたします。
  232. 菊池正士

    菊池参考人 この問題はたいへん大事でございますから、私ここで急に申すことは差し控えたいと思います。もし必要であれば資料をそろえて提出いたします。
  233. 田中武夫

    ○田中(武)委員 参考人質問いたしました。もちろん証人ではございません。したがって、言いたくないことは言わなくてもいいと思います。ここでは言いにくいとおっしゃるならば、聞きません。書類をもってということならば、ひとつ委員長から書類を要求してください。  ただし、この公開の席上においてはっきりと言えないところには何らかの理由がある、何らかの意図がある、そのように判断いたしますが、かまいませんか。
  234. 菊池正士

    菊池参考人 私は正確を期したいだけでありまして、そういう意図はございません。
  235. 田中武夫

    ○田中(武)委員 正確を期すということですが、事実をはっきりと直ちにその場で言えないにもかかわらず、こういう文書をもって公表せられておることはいかがでありましょう。そういう頭をもって労使間の問題に当たるから、六十六回が多いとか少ないとかいった労使紛争が起こるのです。  あなたは技術屋さんですから、あまり法律のことを聞いてはどうかと思いますが、労調法の二条、四条及び三十五条、これはすべて労働争議は当事者の自主的努力によって解決すべきことを強調しておるのであります。この労働紛争にあたって、一体当事者が労調法の希望しておるような解決についての努力を具体的にやったか、お示しを願いたいと思います。これは労働組合側にも意見を聞きたいと思います。
  236. 森田乕男

    森田参考人 自主的に交渉することについては、われわれは十分努力をいたしておりまして、ほとんど連日のごとく交渉を持っております。事柄の性質上、事務折衝に至ることもございますが、毎日のように自主的に解決すべく努力をいたしております。
  237. 一柳勝晤

    一柳参考人 一番基本的なことは、その理事者自主性を持って労働条件その他に関して判断できるようになっていただくということが一番基本的なことであると思います。  それからもう一つ、いま連日のように交渉を行なっておるというお話がございましたが、そういう実情であります。そういうものもいかぬということになりますと、これはますますぐあいが悪くなってまいります。先ほど申しましたように、時間内にやっておりますが、そういうことで事態解決のために一生懸命やっておるということでございます。  それから大会は、先ほどお話がありましたが、現に賃金カットされております。
  238. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほど原委員と労働省の青木課長との間に、交渉ということについて論議がかわされました。私、労働組合組合を代表し、その代表者が使用者といいますか、それと交渉するのはすべて団体交渉であると理解いたしますが、いかがですか。
  239. 青木勇之助

    ○青木説明員 労働者が労働組合を結成いたしまして、労働条件に関しまして代表者を通じて使用者と交渉する、交渉と申しますか、話し合いをする、これが団体交渉でございます。
  240. 田中武夫

    ○田中(武)委員 したがって、個人的な問題でとかく文句を言うことは別として、少なくとも正当に選ばれたる組合代表が組合員のためにやる交渉はすべて団体交渉であります。そうでしょう。――したがって、先ほど問題になっておりました労組法の不当労働行為の七条の三号にいうところの交渉である、こう理解してよろしいですね。
  241. 青木勇之助

    ○青木説明員 ただいま私から答弁いたしましたように、労働条件に関して行なわれるというものである限り、七条三号にいう交渉でございます。
  242. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、副理事長さんですか、お伺いいたします。先ほど原委員との質疑応答の中で基本的労働条件云々ということがありましたが、労働条件に基本的なものと、そうでないものとありますか。もしそういう法律的根拠があるとするならば、労働省のほうにおいてお示し願いたい。先ほどすべてこれは労働委員会が云々ということがありました。しかし、労働委員会労使の紛争のあるところ、申請があらば必ず中労委規則によって必要あらば調停に出かけます、あっせんに出かけます。したがって、それは紛争の原因が何であるかは別として、それはすべて労働条件であるならば、基本的であるとか、付随的であるとかいうことはないはずです。基本的労働条件とはいかなるものであるか、お伺いいたします。
  243. 森田乕男

    森田参考人 労働条件であるかないかという一つの議論もあるということは、これを労働委員会に持っていって、第三者の裁定を仰ぐということもあるわけなんです。これが労働条件であるかいなかということについては、組合とわれわれと話し合いの上で自主的に決定すべきものと思うのでございますが、あいまいな、非常にボーダーラインにあるような問題もあり得るかとも存じますので、非常にはっきりした労働条件という意味で私は基本的労働条件と申しましたので、客観的に労働条件であれば、もちろんはっきりと組合と話し合いをいたします、こういうことを言っておるのであります。
  244. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もちろん原研原子力研究が主たる業務であります。したがって、その役員その他重要なポストにおる人は技術屋さんが多いと思います。しかし、少なくとも何百人かの労働者、従業員を持つ限り、労働問題くらいは理解してもらいたい。先ほどから話を聞いておれば、あなた方ではたして労働運動とは何ぞや――一体労組法、労調法、労基法の存在をあなた方は知っておるのか、こういうような疑問を持ちます。  そこで、原子力局長にお伺いいたします。こういう労使紛争に対しては、やはり労働運動を理解する、少なくとも労働三法を理解する者が当たらなくてはならない。そういう人をなぜ一人くらいは、それだけかかっておれとは言いませんが、その担当に充てるべきだと思いますが、そういう配慮をいたしましたかどうか。労調法第三条では労働争議に対しては政府はその解決に努力することをうたっております。ここで労調法第三条にいう政府が労働省であるのか、あるいはこの際は科学技術庁であるのかわかりません。しかし、少なくとも監督、管理の任にあるのは科学技術庁であります。それがいかに労働問題に対して配慮したか、そういう点。  それと、労働省の青木さんには、労調法の第三条でいうところの政府とは、この場合いかなるものを意味するか、お伺いします。
  245. 島村武久

    ○島村政府委員 原子力研究所の役員につきまして、労働関係の法律に明るい者をもって充てる、少なくとも一人くらいはそのようにすべきではないかという第一の点につきましては、これはいつか国会でおしかりをこうむったわけでございますけれども、内閣総理大臣の権限に属しておりまして、一局長が云々すべきことではないと思いますが、個人的な見解を申させていただきますならば、そういうことも必要であろうというふうに考えるわけでございます。  第二点、いかなることをそういう事態において措置したかということにつきましては、どのように御返事申し上げたらいいかと思うのでございますが、昨年十二月に原子力研究所理事長に対しまして、原子力研究所の改善案を至急検討して実施するようにという指示を大臣名でいたしましたが、その際に特に労務の問題にも触れた事実がございます。
  246. 青木勇之助

    ○青木説明員 ただいまの田中先生の御質問、第三条だと思いますが、労調法の第三条でいっておりますところの政府というのは、いわゆる政府でございますが、最も中心的になりますのは労働委員会、さらに労働問題を担当いたしております労働省、これはもちろん労働教育その他を通じて、こういう事態の生じないようにいたしております。さらには監督官庁というものも含まれるというふうに考えます。
  247. 田中武夫

    ○田中(武)委員 労調法第三条の規定は、一般の企業会社における労働争議においても、政府はこういう態度をもって臨め、こういう注意的宣言なんであります。いわんや特殊法人であります。その特殊法人が自民党の諸君の言をもってするならば、あまりにもストライキをやり過ぎだというような事態が起こったとするならば、当然それを監督すべき立場にあるもの、あるいは労働省、あるいは中労委規則に基づくところの地元地労委の自主的あっせんということが必要であろうと思います。これは中労委の動きについては労働省から指令はできないと思います。しかし、そういうことには特に関心を持つように私は労働省としては意見を述べるべきではないか、このように思っております。さらに自主的解決ができなかったときには、労調法は、第三者のあっせん並びに調停、仲裁の規定があります。先ほど組合長の話では法内組合としての認定を受けたということでありますから、何らか中労委に救済を求めるようなことがあったのかと思いますが、何十回か行なわれた紛争の中において、当事者双方ですが、まず当局側は、自分たちの手で解決が十分できない、あるいはまた長引くという場合は、労調法の規定によりまして、第三者あっせんを申請すべきであると考えますが、そういうことをしたことがありますか。また、労働側はいかがでございますか。
  248. 森田乕男

    森田参考人 三十六年と思いますが、ベースアップに関しましてなかなか思うとおりになりませんので、こちらも決心をいたしまして、中央労働委員会組合側が提訴しまして、こちらはそれに応じました。そういうことは  ございます。  そのほかに、一昨年でございますか、中労委のあっせんが時間切れになりまして、予算関係上一方実施をいたしましたことについて、今度は組合側から地労委に提訴されまして、半年ほど続きましたが、その後組合側が引き下げられたということで終わりました。  二回ございます。
  249. 一柳勝晤

    一柳参考人 森田理事長は御在席でなかったが、同じことがもう一度ございます。昭和三十四年に一度中労委に対して、その当時給与がだんだん下がってきますので、ぐあいが悪い、原研の本格的な賃金についてあっせんをしてもらいたいということであっせんを依頼いたしまして、その結果、先ほど申しました公務員に対し、事務系百二十、研究系百三十というものが出たわけでございます。これは守られました。ところが、残念ながら一年しか続きませんで、その次の年のベースアップのときにもそれを下回るようなことになってしまいましたわけです。それでぐあいが悪いと思っていましたが、その間一年はさみまして、三十六年にももう一度、今度は中労委に対して、前のあっせんが守られなくてまた下がってきたけれども、何とかお願いしたいということで、あっせんをお願いしております。そのときに中労委のほうからはあっせん案が出たわけでございます。ところが、そのあっせん案を組合は受諾いたしたのでございますが、所側のほうは、ちょっとそこに食い違いがありまして、初め、条件つき受諾などと青っておられたのですが、最終的には、あっせん不調だということになったようでございます。それで、中労委のあっせんを守れ、守れないということで――守らないじゃなくて、守れなのだと思います。守れないということで、とうとうその年には、中労委のあっせんを守れ、守れないということで、給与が一方的にきまってしまったという事態がございます。これは非常にぐあいが悪いじゃないかということで、その点について茨城県地労委に、これはどういうわけかということで提訴したことがございます。その三度でございます。
  250. 田中武夫

    ○田中(武)委員 労働争議というか、労使紛争は、極力その当事者において解決につとめることが第一番です。解決するという気持ちがないところには、労働争議はどうあっても解決いたしません。まずその当事者が努力する、そうしてどうにもできないというときには、第三者あっせんという手が労調法によってきめられている。また労調法においては、先ほど言っておるように、三条に、ことに特殊法人として、政府がその紛争解決のために努力しなければならぬことは明らかであります。そのことが十分に行なわれていなかったりじゃないかと思います。正常なる労使関係が確立せられるのには、労使双方ともに自主的な姿勢がなくてはなりません。自主的な権限を持たなくてはなりません。ここに私は問題があろうと思うのです。たとえば原研法の二十六条では、予算は総理大臣の認可を受けなければならないとあって、三十九条で、総理は大蔵大臣と協議せねばならぬ、こういうことになっておる。金の面からいう自主性がない。もう一つは、他の面からの、いわゆる政府というか技術庁というか、あるいは原子力委員会というか、そういったところから目に見えない何らかの規制が行なわれておる。そこであなた方いわゆる当局側が自主性を持たない、ここに問題があろうと思う。もちろん、特殊法人でありますから、これを野放しにせよとは申しません。しかし、これはこと原研の従業員組合だけではありません。これに類する公社、公団、ただし公労法の適用を受けるところは別といたしましても、それを除く公社、公団、特殊法人は、すべて労働三法が適用されます。大蔵省がきょうは見えていないのが残念でございますが、やはり大蔵省が金という面において縛っておるというところに、自主的な解決ができないと思うのです。そうであるならば、少なくともこの原子力研究所の重大な使命にかんがみて、理事長、あなたは堂々と必要なだけの予算を要求しなさい。また、原子力局長あるいは、大臣がおりませんが、技術庁等は十分な予備措置を考えていく。そうでなくては、この危険な原子炉の逆転ということはできませんでしょう。いま一番問題になっておるのは、たまたま過去にこういうかっこうであらわれておりますが、いわゆる公社、公団、公労法の適用を受ける以外のもの、これは形だけは労働三法の適用を受けるというようなことになっておるが、実際は当局側、理事者側にほんとうのいわゆる自主性がない。そこに大きな問題があり、先ほど委員長が習われたように、中労委のあっせんがあったにかかわらず、それをのむことができない、こういうことについては、これは原子力局長に言うのもどうかと思うが、ここに来ているうちで、月給はどっちが上か知りませんが、いわゆる役人としてはあなたが一番上だから、あなたに言いますが、少なくとも直接担当する原子力局長として、そのくらいの配慮をせなければいけない。なお、このことはあに原研だけではありません、中小企業金融公庫とか、すべての同種のものに言えることでありますが、そういうことに対して労使の紛争が起こって、ストライキがけしからぬ、こういうこと以前に自主的な解決ができるというようなことについて、その監督の任にある諸君がどれだけ努力したかということが問題です。どうします。
  251. 島村武久

    ○島村政府委員 まことにごもっともなお話でございまして、私も同じ考えでおります。また、同じように私はいままで努力してまいりました。いろいろと政府関係機関は田中委員御指摘のようにたくさんございます。ですけれども原研の「調査項目」自体にも書いてございますように、三三ページのまん中よりやや上のほうをごらんいただきたいのですが、「通産省、工業技術院、東大などのトップクラス給与の一二〇%を原研給与の基礎として準則を制定した。」つまり、公務員全般に比べて三〇%増しじゃなくて、トップクラス、しかも中央官庁であり、また技術者、その他、先ほど毛お話がありました学卒者の多いそういうところに比べて一二〇%にきめた。その結果といたしまして、田中先生もおっしゃいましたもろもろの機関の中で、原研よりいわゆるベースの高いものは、金融機関関係、大蔵省所管、そういうところを除きますれば、原研はそれに次いで――これはだいぶ差はあるのでございますが、いわゆる第二グループのトップをいくくらいのところまでいっております。私は必ずしもそれをもって満足しておるというわけでもございません。ことに優秀な研究者、原研の――そのすぐ上にも書いてありますように、原研給与というか、原研はよりよい研究員を集めるということでありまして、そういう研究員に対しては、私はもっともっと優遇するようなことも考えたいというふうに申しておりますけれども、それは原研理事者自体も、これ以上に研究手当はもうつけるのはかえって困りますというお話もありますので、こちらもあまり介入することはしませんで、そういう方向にはわれわれも努力はする。それから先ほど菊地理事長もおっしゃいましたように、原子力のように特殊な仕事を持っておられる方々給与改正のためには私も一生懸命努力しますということも申し上げて、具体案があれば幾らでも検討してそれに努力したいと思います。
  252. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これは局長に言うても始まらぬことであり、ここにおられるだれに言うても始まらぬことであります。いつか私この席でも申し上げたと思いますけれども、現在政府関係しておる特殊法人、これの役員につきましては、ほとんど同率に、退職金は一カ月につき最終月俸の百分の六十五ときめておるでしょう。そういう点においてはみんながうまくいくようにきめられておって、一方においては、うまく職員のほうはきめられないというところに問題がある。同時にまた、特別な技術なり特別な経験あるいは技能を要するものに対しては、それだけのものを見ていかなければならない、こういうふうに思います。  そこでこの際、委員長にひとつお願いをしておきますが、先ほど来の答弁を聞いておられても御承知のように、これは総理の管轄にございますので云々ということで一原子力局長としては、こういうことであります。この問題はたまたま原子力研究所の問題として取り上げられましたが、私は、他の多くの政府関係機関、公労法の適用を受ける以外の公社、公団すべてに関係のある問題であり、その労使関係がうまくないことが、予算において所管大臣あるいは大蔵大臣等々に逃げられておるという点が第一点。運営の面において、なるほど特殊法人であるから監督は必要である、しかしながら、労使の問題について自主性を持たせていないという点が一点。そういう点について、総理に来てもらって、十分に総理と論争というか、総理の意見を聞きただしていきたいと思いますので、その点配慮願いたい、そういうふうに思っております。
  253. 前田正男

    前田委員長 いまの御意見理事会にはかりまして、適当な日程をいろいろ打ち合わせたいと思います。
  254. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほどの原委員質問を聞いておると、八年間労働協約ができなかったという面があったし、一面、争議協定があるというようなことなら、これも労働協約でございますから、労働協約があったとも言えるわけでありますが、しかし、争議協定とか、一時的な、あるいは一部門的なものについての協定はあるが、全般的な労働協約というものはまだないのですか。これはどちらでもよろしいです。
  255. 森田乕男

    森田参考人 労働協約につきまして一般的のものは、目下のところございません。
  256. 田中武夫

    ○田中(武)委員 争議協定だとか、そういうことも私は労働協約だと思うのです。しかし、一般的な、いわゆる狭義の労働協約がないということ、これは交渉せられたと思うのですが、何が原因で八年間結ばれなかったのか。それは具体的な労働条件についてでありますか、それとも、抽象的、宣言規定についてでありますか、その点いかがでございますか。
  257. 森田乕男

    森田参考人 その内容につきましてずいぶん話し合いをしまして、ほとんど話し合いがついたこともあるのでございますが、組合の役員の任期が当時半カ年でございまして、今度初めて一年就任せられたようなわけで、その話し合いを始めまして、その話し合いができるくらいなときにちょうど半年でございますと、やめてしまう。任期がきそうになるともう逃げ腰になって、どうしてもなかなか話し合いがつかないというようなことで、二、三回そういうことがございまして、非常におくれて、われわれも難渋いたしておるわけでございます。
  258. 前田正男

    前田委員長 関連質問を許します。久保三郎君。
  259. 久保三郎

    ○久保委員 午前中の森山委員質問で、全体的な労働協約がまだない、そういうお話がありまして、いま森田参考人からもなおお答えがあったわけですが、聞くところによれば、入り口でつまずいたきりで、中へ入らぬそうですね。実を言うと、一番最初の基本的なものがちっとも進まぬ。と申しますのは、労働条件については労使協議してきめる、至って常識的な基本的なことが、それがなかなか先へいかぬというので、実はそういう全体的な労働協約がまとまらぬ、こういうふうにも仄聞しているのでありますが、この点は組合委員長に聞きましょうか、いかがでしょう。
  260. 一柳勝晤

    一柳参考人 労働協約が欠けております部分と申しますのは、先ほど申しましたように、債務的部分について、つまり労使関係のことについて抽象的なこと、そちらが若干欠けておるわけです。その中で、争議協定とか、できたものもありますけれども、欠けておるわけでございます。  そこで、いつも問題になりますのは、いま久保委員から御指摘になりましたが、総則的なものでございますね。つまり、原子力研究所の労働条件は甲乙で協議してきめるとか、あるいは団体交渉権、団結権、団体行動権を尊重するとか、そういう総則のところでまずそれがひっかかってしまうということもございます。  それから森田理事長の、委員がかわるので、どうも話がとまってしまうというふうなお話もございましたが、そういう点について、いろいろ労働協約につきまして非常に熱心に話し合いました。それは大体いまから三、四年くらい前から、大体統一的労働協約をつくろうということで盛んに熱心に話し合われましたのですが、どうも一番基本的なことがきまらないので、だめになってしまう、そのうちに任期がくる、また話が振り出しに戻るというようなことが繰り返されたというふうに私記憶しております。ところが、最近になりますると、何といいますか、あまり統一的な労働協約をやっているひまがなくなってしまって、そのほかにいろいろな問題が一ぱい出てきてしまうわけであります。たとえば、何でもないのにGEのほうから炉をとめられたり、いろいろなことがどんどん出てまいりまして、統一的労働協約をやっているひまがなくなってしまって、そういう細目について個別的にできたものからだんだん積み上げ方式でいこうということに、ここ二年くらい前からお互い方針が変わったのではないかと聞いております。
  261. 久保三郎

    ○久保委員 大体わかりました。こういう基本的なものは、そう言っては何でありますが、常識的なものでありますから、ものの一分も話せば、ぴたっとわかるはずだとわれわれは思うのですが、森田参考人、いまの点どう思いますか。
  262. 森田乕男

    森田参考人 とにかく、われわれは労使間の話し合いをするルールがないので非常に困っておりますので、どうしてもこれを締結したいという意欲にわれわれも燃えておるわけなのでありますが、現在の状況では、いま一柳君が言ったように、非常に忙しくなってまいって、ゆっくり話し合いをする機会がなくなってきたというような現状なのでございます。少し落ちつきましたら、今度は本腰を入れて何とか解くルールをきめたいと存じております。
  263. 田中武夫

    ○田中(武)委員 結局は、いまの労働協約の問題にしても、より具体的労働条件、これは金が大体において伴います。そこで、予算の問題に、先ほど言ったように二十六条、三十九条というふうなことが特に関係を持ってきます。しかし、総則的な、いわゆる抽象的権利義務をきめるということは金は要らないわけです。それを妥結するところまで煮詰めることができないということについては、はっきり言ってください、労使関係について、あなた方は、理事長とかなんとかいわれておるが、実際は自主性を持っておるんですか、持っていないのですか、どっちなんです。うしろからそれぞれ役所なりなんなりがリモート・コントロールをやっておるんじゃないか、こう思うのですが、もうずばり言ってください。そういうことでありませんということなら、直ちにあなた方の権限内における交渉は開始すべきだ、こう思いますが、いかがですか。
  264. 森田乕男

    森田参考人 リモート・コントロールがあるかないかということなんでございますが、現在置かれているわれわれの立場と申しますか、日本のこういう特殊法人に対する法律の規制上、それから、民間のお金が入っておるとはいいながら、ほんのわずかでございますし、全部国の金を使っておる関係上、これは大蔵省の監督があり、それから原子力局の監督があるということは、やむを得ぬことだと存じておりまして、その点でコントロールが法律的にある程度あるということは私ども認めます。
  265. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いや、もう一つぴんとわからないのですがね。ともかく、先ほど言っておるように、予算の面については制約を受けておる。だから、それについては、科学技術庁と関係者は十分に配慮するように言って、そしてなお総理も一応来てもらって十分にもの申したい、こう言っておる。しかし、いま聞いておりますと、いわゆる抽象的権利義務をきめるところの宣言規定、こういうものでけつまずいておるということは、あなた方自体が、運営権というか、はっきりした経営権を持たないのじゃないか、こういう点まで考えられます。もしそれがあるとするならば、自主的に交渉ができるはずです。組合がそんなに無理を言わない限りといいますか、むちゃ言わない限りはできるはずです。それができないというところに、何らかの規制があるように思います。どうですか。どんぴしゃり言ってみてください。
  266. 森田乕男

    森田参考人 それはわれわれに完全な自主的な交渉能力があるかないかということになれば、他と比較して、他と同様には持っていないということは、私言えると思います。
  267. 田中武夫

    ○田中(武)委員 原子力局長、いま言っているように、特殊法人ということでいろいろの監督があるということは当然でしょう。だが、労使問題について、しかも金の、要らないこと、こういうことについても十分に自主的にやれないような発言をしましたが、いかがですか。
  268. 島村武久

    ○島村政府委員 私、その点につきましては、若干違った考え方を持っております。国からの予算というものが非常に大きなウエートを占めてやっていくものだから、その範囲で自主権がないというふうに考えるべきじゃなくて、自主的な判断をする場合に、そのことを念頭に置いて考えなきゃならぬことだ。これはやや詭弁的かもしれませんが、私はそういうふうに思いますので、自主性というものは十分持ち得るものであるというふうに思います。  また、御質問の第二点の、お金のかからない、労働協約みたいなもの、これについてはどうかというお話でございますけれども、私ども聞いております点では、組合員の範囲をどうするかというような問題、あるいはユニオン・ショップ制の問題であるとか、そういうようなことで非常な対立点があると聞いておりまして、理事者側がたとえば組合の当然の法律上の権利であるものを認めないがゆえに離航しておるとか、そういうふうには聞いておりません。また、その程度の報告を受けておりますだけで、私どものほうから、労働協約について、この点がどうだ、ああだこうだということは一度も申したことはございませんので、その辺に対しては完全な自主性理事者側は持っておられるはずだというふうに私は考えております。
  269. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまの話で、そういう問題については自主性がある。ただ、ユニオン・ショップの問題等々、これは具体的に話し合うべき問題だ。そこで、自主的に労使が努力をして解決をするということで、交渉を直ちに始めてもらいたい、そういうように考えております。  次に、これも原委員質問に関連をいたしまして、安全性の問題が出ました。経済的問題ではなくて、その他のこういうことで、それは何かというと安全性云々と言われます。この場合、私は、安全性については二つに分けることができる思います。  その一つは、労働安全のことです。もう一つは、その原子炉自体の安全、大衆に及ぼす安全という二つになると思います。  第一点の労働安全の問題につきましては、一つの基準もあるであろうけれども、これは働く者が自分の職場を安全にすることについて意見を述べることは当然であります。さらに、原研というような特殊な作業に携わる者が、公益を守るという上に立って炉の安全性ということを主張することは、また当然だと思います。要は、そういう労働安全の問題はいま申しましたようなことで、後者の安全性の問題につきましては、これは団交だとか労使関係だとかいうような頭でやるからまとまらない。むしろ、そこに働いている人たちの創意くふう等を生かしていく、提案を取り入れていく、むしろ、団体交渉という制約のものではなくて、協議的な問題として取り上げていけば解決つくんじゃないか、このように思うのですが、いかがでしょう。
  270. 菊池正士

    菊池参考人 そういう問題を取り上げますために、われわれのほうに安全衛生課というのがございまして、それの所轄で安全衛生委員会というのをやっておりまして、所側代表、組合側代表が出まして、それらの問題についていろいろ話し合いをいたしまして、いろいろ取りきめをやっております。しかし、それは必ずしも組合と所側というかっこうよりも、形は組合員と所側の半数半数でやっておりますけれども、非常にいいそういった協議の場になっております。
  271. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうしますと、先ほど原委員質問に対して、経済問題以外のものということについて、では何か、こう言うたときに、安全性云々と答えられたことは誤りである、こう言わざるを得ない。とにもかくにも、この「調査項目」を一々あげると、あまりにも意図的に書かれておる、こういう点が考えられます。先ほど原委員も申しておりましたが、こういう頭で労使間の問題を解決しようとするから紛争が起こる。同時に、私は労働組合の皆さんにも要望したい。労調法の三十六条等、ストライキをやられる場合であっても、その安全性ということについて十分考慮してもらわなくちゃ困る、こういうことを申し上げたいのですが、いかがですか。
  272. 一柳勝晤

    一柳参考人 何か事故が起こりますと、一番最初に被害をこうむるのは私たちでございますので、安全という問題については私ども最も神経質でございます。それで、いままでも所側と話したこともございますし、団体交渉その他の議題に入れたこともございます。そういうわけで、万全を期しておると考えております。今後もそういうふうにやっていきたいと思います。
  273. 前田正男

    前田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  274. 前田正男

    前田委員長 速記を始めて。
  275. 田中武夫

    ○田中(武)委員 というようなことで、先ほど来速記をとめたときに私が申し上げましたようなことを労使ともに十分ひとつ玩味していただきまして、原研の持つ重要性にかんがみまして労使間をうまくやってもらいたい。さらに、そのためには、先ほど言っておりますように、やはり理事長、監督の任にある人も、十分労使問題については特に自主的な解決をし運営ができるように配慮してもらいたい。  と同時に、これは原子力局長段階ではできないような問題を含みますので、先ほど申しましたように、ある機会に、この問題だけでなく、特殊法人の問題につきまして、総理に来てもらってただしたい、こういうことを保留いたしまして、終わります。
  276. 前田正男

    前田委員長 本日はこの程度にとどめることにいたします。  参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。  次会は、来たる三月十八日水曜日午前十時より理事会、同十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会