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比田政府委員 それでは新潟港の被害について御報告申し上げます。
御承知のとおり、新潟港は大きな船が三十ぱいもつけまして、四百六十五万トンも扱っておった大きな港でございます。岸壁の延長は四千二百メートルございますが、これがほとんど大なり小なり破壊しておりまして、健全なところはほとんどございません。
それから
小型船舶の物揚げ場が千七百メートル、これも小破、大破合わせまして、ほとんど全延長が被害をこうむっております。それから信濃川筋の護岸、これは延長約七千メートルございますが、通船用の両岸千七百メートルは、これはごく最近に高潮
対策、地盤沈下
対策でできたものでありまして、非常にじょうぶにできておったものか、これは全然被害がございません。その他の点は御承知のとおり相当な崩壊をいたしております。
海岸護岸につきましては、五千八百メートルの延長がございますが、その中で東側の二カ所、延長にいたしまして約五十メートルが決壊をいたしております。また西側のほうでは西突堤の基部一カ所、約百五十メートル近くが沈下いたしておりますが、その他は大きな被害はございません。したがいまして海から高潮が入るということはほとんどございません。
それから導流堤千八百メートル、これは古い川と港のほうと境しておるところの川の中の堤防でございますが、千八百メートルが全面的に沈下しております。決壊したところはございません。
それから防波堤は、西防波堤千六百メートル、東防波堤三百五十メートル、このほうは若干沈下いたしましたが、目下のところたいした被害はないようでございます。
なお、西防波堤はプラス三メートル七十、東防波堤はプラス三メートル五十、川筋はプラス二メートル十、これに加えまして沈下を見まして二メートル七十、東海岸は五メートル十、西海岸は三メートル九十五という高さに計画いたしまして、大部分が高潮
対策かできておりましたために、これはこわれましたけれども、津波の被害はそのために非常に低かったというように見ております。
そこで今後の問題でございますが、今朝までに判明いたしました被害額を申し上げますと、その後逐次ふえております。と申しますのは、臨港地帯のほうはなかなか近寄れなかったのですが、この二、三日ようやく海岸線を詳細に調べられるような
状況に立ち至りましたので、その後の被害が増大いたしまして、さきに各方面から発表されたものよりもふえております。総額といたしましては、二百十九億というのが被害総額でございます。これをもう少し分けてみますと、公共事業として処理いたすべきものと見られますのが約百五十六億ございます。その中で国が直轄事業としてみずから復旧しなければならないと思われますのが、岸壁等の構造でございます。これが四十九億七千万円、それから県に補助をいたしまして県の事業としていたしたいと考えますものが五十億七千三百万円という形でございまして、この内訳を
港湾と海岸に分けますと一
港湾関係のほうが合わせまして九十三億二百万円、海岸のほうは七億四千二百万円と、このほうは比較的少のうございます。それから問題になっておりますのは、
港湾施設の中でも民間の
施設がございます。特に臨港埠頭のごときは二十四億八千二百万円という被害がただいま手元にまいっておりますけれども、これをいかに処理いたしますか。民間事業として融資だけでやるのか、あるいは立ち直れないというならば会社のほうは岸壁線は公共用に寄付してもよろしいというような考えも県知事まで申し出ていると聞いております。これらにつきまして、いかが処置いたしますかはただいま検討中でございます。それから県営の上屋が八億八千万円ほどの被害がございます。それから全般的に地盤かさ上げを要するというものが二十一億九千八百万円という額でございます。これらを合計いたしますと、先ほど申しました百五十六億四百万円という数字になるわけでございます。そのほかに民間の
企業といたしまして上屋の被害が相当ございます。これが七億七千八百万円、倉庫の被害、荷物の被害を除きます建物の被害が三十五億四百万円、荷役機械の被害が一億二千万円、それから民間で持っております埠頭が四億六百万円、野積み場、はしけその他の
施設が六億一千八百万円、これらを合計いたしまして五十四億二千六百万円というものが融資によって解決すべき事業になっております。そのほかに国の持っております公用財産、役所の建物とか工事用の
施設等が八億五千万円の被害がございます。
以上、通算いたしますと冒頭に申し上げました二百十八億八千万円という総額になります。
これらの
対策といたしましては、県だけではとうてい短期に復旧ができませんので、先ほど申しましたように、国も半ば受け持って、むずかしい工事は国のほうで直轄でいたしたい。その他は補助工事として県のほうでいたしたいというふうに分けたわけでございますが、岸壁のほうと防波堤の
関係を大体見てやりたい、川筋のほうの海岸の護岸というようなものは全部県のほうでやっていただくというふうに仕分けをいたしております。
それから復旧をいたします期間でございますけれども、相当な量にのぼりますので、まずさしあたり応急
措置をいたしまして、ただいま御案内のように応急
措置は刻々と進めておるわけでございます。これにつきましてはいろいろの報道で御承知と思われますので割愛いたしますが、さしあたり残りました
施設を多少手を入れてでもすぐ使うようにしていきたい。したがいまして、使えるものはそのまま使っていきたい。この場所は、中央埠頭二バースないし三バース、それから山の下の埠頭で二バース、そのほかに県の水産物揚げ場というのがございますが、漁獲物を取り扱うところでございますが、木造桟橋を応急復旧して、この三カ所でさしあたりの荷物を運ぶ。
それから災害の問題でございますが、月末から来月の月初めにかけて、災害の査定をいたしたいというふうに考えております。現地にすでに準備のために人も詰めておりますので、早急に取り運ぶと思いますが、災害額がただいま申し上げた被害額の中からどの
程度復旧すべきかという問題がございますが、ほとんどこれの大部分は対象になるわけでございます。額がきまりましたならば、その一部は予備金をもちまして本年度やりたい、その量は大体半分ぐらいは本年度にやったらどうか。あとの半分は来年度やるというふうにいたしたいと考えております。と申しますのは、岸壁の場合には、若干復旧すれば使える部分が多少はございます。それからすぐ直るような場所もございますので、とりあえず役に立ちますものから仕事を進めていって、二年間で復旧したい。それから護岸とか海岸の堤防につきましては、一年間で一メートル以上に上げまして、絶対に危険のないようにはいたしますけれども、これは応急の処置でございますので、それを補強いたしましたり、さらに絶対に安全になるためにはもう少し上げなければいかぬところもあると思いますので、そういった増強の
措置は二年後にいたしたい、かように考えまして、ただいま
対策並びに事業費を精細はじきまして、大蔵省ともすでに事務的の交渉を開始しておる次第でございます。