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1964-06-10 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十日(水曜日)    午前十時二十分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 塚原 俊郎君    理事 西村 直己君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       佐々木義武君    高橋清一郎君       西村 英一君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    栗原 俊夫君       五島 虎雄君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    山口丈太郎君       内海  清君  出席政府委員         社会保険庁長官 大山  正君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部長)  竹下 精紀君         運輸事務官         (船員局長)  亀山 信郎君         運輸事務官         (自動車局         長)      木村 睦男君  委員外出席者         厚生事務官         (社会保健庁医         療保険部船員保         険課長)    岩佐 武雄君         運輸事務官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         労働事務官         (労政局法規課         長)      青木勇之助君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    東村金之助君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月十日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  栗原俊夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員栗原俊夫辞任につき、その補欠として五  島虎雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員五島虎雄辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海運に関する件(船員福利厚生に関する問  題)  陸運に関する件(自動車行政に関する問題)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  海運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)委員 海運に関する件でありますが、主として船員福利厚生問題について御質問申し上げたいと思うのです。この問題は運輸厚生両省にまたがっておる問題でございまして、いろいろむずかしい問題があると思うのでありますが、これらにつきまして若干の質問を申し上げたい、かように思うのであります。  いまさら私が申し上げるまでもございませんが、わが国産業経済発展ということ、さらに国民生活向上ということから考えまして、海運水産業重要性は申し上げるまでもないと思うのであります。特に戦後壊滅的な打撃を受けました海運水産業の復興につきましては、国といたしましても、不十分ながら相当助成措置が今日までとってまいられ、その結果は、今日世界の主要な地位を確保するまでに成長してまいったのであります。しかもわが国におきまする今日の経済の非常な高度成長に際しまして、船腹増強はさらに国家的な立場からなお強く要請されているのであります。またそれに関しまして、国際競争力経営基盤強化の必要から、すべての面での合理化が強く要請されておることも事実であるのであります。こうした現状に対しまして、海運政策につきましては、あらゆる角度から論議検討が今日までなされてまいりまして、その対策樹立努力が行なわれてまいりましたことも御承知のとおりであるのであります。しかしその反面、これに対応いたしますべき船員の問題については、今日まで十分論議検討が行なわれ、対策が樹立された、かようには言い得ない実情にあるのじゃないか、かように考えるのであります。特に船員特殊性に対応いたしまする福利厚生の問題につきましては、世界における他の主要海運国に比べまして、国家的立場からの基本的な施策にも十分見るべきものがないというのが実情ではないか、かように考えるのであります。海上労働におきましては、船員に、人間的な生活の上で大きな犠牲をしいておる。これは船員特殊性からいきまして避けることのできないものであると思います。特に船員生活社会から孤立される、この孤立性と、さらに家庭から離れなければならぬという離家庭性というふうな人間として最も大きな苦痛、これが船員特殊性であり、しかもその犠牲は家族までにも及ぶものであると考えるのであります。  また御承知のように、近来海運水産業ともに、あらゆる面での合理化が進められておりまして、船質改善、速力の増大機械化あるいは港湾施設機械化などが次第に進んでまいっておるのでありまして、これらの合理化はひいて運航能率増大ということ、あるいは停泊期間短縮ということ、あるいはまた乗り組み員の減員、こういうふうな船員の人間的な生活犠牲はますます大きくなりつつある。これが実情であると思うのであります。ところがこれに反しまして陸上の他産業におきまする合理化の進展は、労働時間の短縮を可能にし、またレジャーや家庭生活充実となってあらわれておるのであります。これはまことに喜ぶべき現象でありますが、船員のこの労働と比しましてここに大きな格差があることを私どもは認めなければならぬと思うのであります。しかしこういう問題は、ただ単に賃金や基本的な労働条件改善向上のみでは、これは解決し得ない海上労働者特殊性でありまして、船員労働におきまする福利厚生問題の重要性というもの、これは陸上労働のそれと同一に論ずることはできないと考えるのであります。  特に最近におきまして海上労働に対しまする一般国民の意欲も非常に減退いたしております。それはすなわち商船学校あるいは水産学校の卒業生の陸上産業への転向の増大となってあらわれ、あるいは漁船乗り組み員の不足などの事実と、さらに労働生産性向上の面からも、経営自体の問題といたしまして、政府並びに船主とも、船員福利厚生問題の重要性に対しまして、ここで認識を新たにされなければならぬと思うのであります。  こういう観点からまずもってお伺いいたしたいのは、これはすでに御承知のことでありますが、一九三六年にジュネーブにおきまするILOの総会で採択されました「港に於ける海員福利増進に関する勧告」、これはもちろん勧告でありまして、義務づけはございませんけれども、少なくとも海運国としてはこれは当然守られなければならない問題と思うのでありますが、その勧告におきましては、整備された価格の安い船員宿泊所や集会、娯楽施設設置とその拡充、あるいはスポーツ、遠足等保健的娯楽の実施、またあらゆる手段による船員家庭生活増進、こういうようなことが決議されておると思います。この点に関しまして政府は、この勧告についてその実現のためにどのような具体的な施策を今日まで行なわれてきたか、またその実現について、政府船主の果たさなければならぬ責任についてどういうふうにお考えになっておるか、それぞれ関係方面から御所見を伺いたいと思います。
  4. 亀山信郎

    亀山政府委員 ただいま御指摘のございました船員の港における福利施設の問題でございますが、海上労働者は、陸上労働者と違いまして、特に長期間にわたり家庭を離れ、船の中で生活をするという点から考えまして、港に帰りました際にそこで休養を得、家庭的な団らんを得るということは、船員にとって特に必要なことであるということは仰せのとおりでございます。運輸省といたしましても、従来この問題につきましては大いに関心を払ってまいりました。まずこういう港における宿泊等船員のための施設設置は、何と申しましても雇い主である船主が第一次的に行なうのは当然でございますけれども、まず船舶が非常に移動性に富み、国内においてもいろいろな港に出入りをする、あるいは外国にいる期間も非常に長いわけでございます。それらのすべての場所において雇い主だけでこれらの施設拡充するということは、はなはだしく困難であります。それと同時に、国といたしましても、海運重要性、それから船員海運に従事する関係で起こります特殊な労働還境に対応する施策というものは、国自体としても必要であると考えておる次第でございます。こういう点から、従来も港を管理いたしております地方公共団体を督励をいたしまして、港の発展のためにも必要なことでありますので、港湾管理者における船員宿泊施設整備ということをいろいろ指導してまいりました。さらに昭和三十四年以降におきましては、海外及び国内におけるかかる施設拡充のために一般会計から予算をいただきまして、不十分ではございますが、年々拡充をしてまいっております。さらに今後におきましてもILO勧告趣旨にも沿いまして、ますます国としての援助を強めていきたい、かように考えておる次第であります。
  5. 内海清

    内海(清)委員 これに関連いたしまして、さらに次の質問をいたしたいと思いますが、さらに昭和三十六年、つまり一九六一年でありますが、ナポリで開催されましたILO合同海事委員会に、これは三者構成でありますが、船員厚生委員会というもので決議されました「船員厚生施設の増設についての原則に関する結論」というものがある。それは十八項目程度あるようでありますが、その中の「船員厚生計画組織財政」、その項では、まず厚生計画組織的に作成し、その財政は適当なる正規の基盤に基づくべきであること、次に、全国的、地域的、または港の厚生委員会を設けるべきである、それは船主船員政府関係団体等の代表によって構成されるべきである、こういうことになっておるのであります。この会議には政府から当時の船員局長が御出席になっておるようでありまして、これに賛成してまいってきておるのであります。そこで、政府はこの賛成いたしました決議につきまして、これの実現のために現在どのような方策を持っておられるか。また具体的にどのような方法によってこれが実現計画をはかっておられるか、この点についてお伺いいたしたい。
  6. 亀山信郎

    亀山政府委員 船員厚生施設には現在船会社、個々の会社がやっておりますもの、また地方公共団体あるいは地方の民法上の公益法人あるいは政府自体つまり船員保険施設しておるもの等々いろいろございますけれども、これらが従来ほんとうの統一的な組織のもとに運営あるいは将来計画というものがなされておったかどうかという点につきましては、遺憾ながら必ずしも十分な連絡統一がなされていなかったわけでございます。この点は御指摘のとおりでございまして、ただ昭和三十四年以来、運輸省におきましては、厚生施設計画的に整備する必要があるということから、三十四、三十五の両年度につきましては、海外における施設強化をはかる、三十六年以降は五カ年計画によりまして、それぞれ各地方における施設整備計画を立てまして、それに対して国庫補助を与えるというふうなやり方をとってまいっておるわけでございます。またこの計画を立てるにあたりましては、使用者団体あるいは船員労働組合等々の意見も聴取してまいったのでございます。また地方におきましては、ILOのただいま御指摘の精神に沿いまして、それぞれ船主団体あるいは労働組合さらに地方海運局官側の者も入りまして、その港における厚生施設運営委員会というふうなものを設けまして、これによってその運営に遺憾なきを期するというふうな方策をとってまいっておるのでございます。これも、しかしながら、それぞれ各地に自発的につくっておるというふうな事情でございまして、ILO勧告に示しますようながっちりした委員会というふうにはまだなっておりません。これは勧告趣旨に沿うように全国的あるいは地方的というふうな、各種の関係者の話し合いの場を今後も強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  7. 内海清

    内海(清)委員 今日までILO委員会決議に参加して、これに賛成してまいっておるのであるけれども、なおこれらの決議趣旨に十分沿い得るような施策あるいは行政が行なわれていないというふうなことでございます。しかし可能な範囲におきまして、今日までいろいろ努力されておることはわれわれも認めるわけでありますけれども、少なくとも今日海運に対しまする国家的要請が非常に大きいだけに、これの一つの重要な要素であります海運問題、ことに福利厚生問題について格段の配慮がなさるべきであると私は考えるのであります。しかもそれらがはっきりした国の行政指導等によりまして、計画的に順序よく遂行されておるとは今日なかなか考えられないのであります。  時間の関係がありますので、十分質疑を尽くすことがむずかしいわけでありますので、先を急ぎたいと思います。  次にお尋ねしたいと思いますのは、陸上労働者というものは、これは一定地域に定住しておるのでありまして、こういう問題は、もちろん問題はございますけれども、比較的に解決がしやすいという状態にあると思います。ところが広範な地域を移動する船員労働特殊性に対応いたします福利厚生施設設置整備、こういう問題は、これは船主のみの責任財政負担ではなかなか解決し得ない問題であると考えるのであります。これに対しましても海運局としての政府の果たすべき役割りというものは、きわめて大きいのじゃないかと思います。政府の果たすべき役割り責任についてどういうふうにお考えになっておられるか、あるいはその基本的な考え方がございますならば、お示しいただきたいと思います。
  8. 亀山信郎

    亀山政府委員 仰せのとおり海上労働者が、陸上労働者と違いまして、非常に移動性に富み、国内のみならず外国にまで、長期にわたって外国生活をするというふうな点も考えまして、それらの厚生に関するいろいろな施策に国も責任を負うべきではないかという点につきましては、仰せのとおりであると考えておる次第でございます。特に海運あるいは海外における漁業というふうなものは、貴重な外貨を獲得いたしまして、国際収支に貢献するものでありまして、それぞれ海運並びに水産については、国の施策がだんだんになされておるのでございます。したがいまして、船員に対するかかる厚生上の施策も、広い意味における海運政策あるいは水産政策一環として拡充をいたしていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  9. 内海清

    内海(清)委員 海運振興をはかるために、その一環として船員の問題あるいは漁業労働者の問題を当然考えるべきだ、こういう御見解、これはまことに私どももそうあるべきだと思うのであります。しかし、その問題が、今日まで海運政策の中で一番大きく取り残されてきたのじゃないか、私はこういうふうに考えるのでありますが、その点についてもう一度お示しを願いたい。
  10. 亀山信郎

    亀山政府委員 海運政策の中で船員部面が取り残されたのではないかという御説でございますが、そういう御見解もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、船員厚生施設整備五カ年計画——先ほど申し上げましたように、国内施設につきましては三十六年度以降、国外の施設は三十四、三十五の両年度にわたりましても国の補助金をもってこれらの整備努力してまいりました。三十六年から始めました五カ年計画は、一般会計からの補助金は二千五百万円でございますけれども、そのほかに、各地方公共団体がそれぞれの負担におきまして相当の支出を行ない、さらにはまた船舶振興会という民間団体からの寄付援助も得まして、また船主の協同もあって、昭和三十四年以降は漸次船員厚生関係整備されてまいっておるというふうに考えておる次第でございます。ただ、これで十分であるかどうかという点になりますと、私どもも決して十分ではない、もっと拡充すべきであると思います。なお、現在港々にあります施設の中には、耐用年数を過ぎた、あるいは戦争中、戦争直後の建設物ではなはだしく老朽化しているものも数多いわけでございます。これらを早急に近代的な快的な施設にかえる。一般的な生活水準向上に伴いまして、こういう厚生施設こそもっと整備されなければならないというふうに考えておりまして、今後も大いに努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  11. 内海清

    内海(清)委員 努力されておることはわれわれも十分認めるわけでありますが、ただいま局長からお話がありました運輸省船員厚生施設整備五カ年計画、これは三十六年度から四十年度まででありまして、これに対しては毎年二千五百万円程度補助金が出ておるわけでありますが、私ども承知いたしておりますのも、今日までいろいろ各地からも要望がありますが、それがなかなか満たされてないというのが実情であります。だから、この二千五百万円の補助で事足れりと考えることは大きなあやまちじゃないかと私は考える。  そこでお尋ねしたいのは、この五カ年で、大体二千五百万程度整備が完了するかどうか、そのお見通し、また四十年度以降について基本的に何かお考えになっておるものがあるか、こういうことです。このことにつきましては、いま局長お話しのような厚生施設新設拡充ということと、いま一つは既存の施設のすでにかなり老朽化したものが多いので、これらを整備する、こういう方面をあわせて考えて、ひとつこれに対するお考えをお伺いしたい。
  12. 亀山信郎

    亀山政府委員 昭和三十九年度におきましては、すでに補助予算も、先般当国会において可決いたしましたので、八幡、室蘭、小樽における宿泊及び医療施設に対する補助ということで、計画が確定をいたしております。四十年度におきましては、先ほど申し上げました五カ年計画に基づきまして、高知ほか数港における宿泊施設計画いたしておる次第であります。四十一年度以降につきましては、実は現在のところ長期計画検討中でございまして、まだございません。実は厚生施設全体のあり方につきまして、あるいは運営一段の拡充をするために、いままでのような方式でいいかどうかという点につきましても、現在関係の向きともいろいろ御相談をし、御意見も承り、考えておるところでございますが、早急に将来の計画を立てまして、各方面要望に沿い得るようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 内海清

    内海(清)委員 四十年度までの計画は不十分ながらいろいろあるようであります。四十一年度以降でありますが、ただいま局長お話しのような、今日までのような考え方でよろしいかどうか、この問題は私も同感であります。後ほど申し上げますけれども、今日ある程度整備されてきたけれども船員福利厚生施設の問題については、その運営あるいは資金その他の面等でいろいろ問題があると思うのであります。しかしながら、四十一年度になってこの計画考えるのでは、考え方を改めていこうというのではいけないのであります。少なくとも今日すでに当局においては考えられてなければならぬと私は思うのでありますが、この問題についてはこれから考えるということであります。ひとつ早急に御検討の上、船員福利厚生問題に対する国としての画期的な策をお立ていただきたい。これは強く要求しておきたいと思います。  次に船腹拡充の問題、これは今日国家的な要請であります。したがいまして、これに対応いたしますところの、先ほど申しましたような船員福利厚生施設整備充実ということが要請されることも、また当然なことであると思うのであります。ところが、政府は、船腹増強あるいは船質改善、あるいは海運基盤強化等につきまして、船主に対しまして相当助成措置をとって今日まで参っておる。ところが船員厚生施設整備拡充に対しては、私どもの見るところでは、なお考えなければならない問題がきわめて多いと思うのでありますが、どのような施策援助を行なうお考えがありますか、この点を一つお伺いしておきたいと思うのであります。
  14. 亀山信郎

    亀山政府委員 いままで船員厚生関係施設に対する国家補助と申しますか、援助という点は、先ほど申し述べましたように、昭和三十四年度以降、金額は少のうございますけれども一般会計から年々補助が出ておるのでございます。このほかに、厚生省のほうの御所管で船員保険のほうでの施設が逐年整備をされてまいっております。これで十分か、今後もこの程度でいいかどうかという点につきましては、仰せのとおり海運に対する大きな意味助成策一環としていままでよりもより多くの国としての援助施策というものが私は必要であると考えておりますので、今後来年度以降の予算要求等におきましても大いに努力をするつもりでございます。
  15. 内海清

    内海(清)委員 次にお尋ねしたいと思いますのは、船員厚生施設現状をいろいろ調査しますと、まことに複雑多岐にわたっておると申し上げて過言でないと思うのであります。宿泊あるいは休憩、保養等内容といたしまして、各会社自社施設ができております。これが八十ばかりあるようであります。それから公共的あるいは共用的な施設が百ばかりあるようであります。それから海外施設が、今後拡充されましょうが、現在では二つばかり。このほか医療施設、これは病院診療所休療所あるいは療養所、これらで六十二、これらを一緒にしますと医療施設では病床数が二千五百六十ばかりあるようであります。そのほかに母子施設というのが神戸に現在ございます。相当な数には達しておるのであります。ところが、これを経営主体別に見ますと、自社施設を除きまして、厚生省が主管しております船員保険関係政府施設、この政府施設財団法人船員保険会経営を委託しておるものであります。そのほか、運輸省監督一般厚生施設経営する日本海員会館、それから日本海外船員厚生協会船員福利協会日本海員掖済会、こういうふうなのが中心になって約四十団体に及んでおるのでありますが、これらの実情はどういうふうになっておるか、それについて簡単にお伺いいたします。
  16. 亀山信郎

    亀山政府委員 御指摘のとおり、現在船主自社施設宿泊施設につきまして八十三カ所、すべての船員が利用できる共通的な施設と申しますのは仰せのとおり百九ございます。それぞれ財団法人日本海員会館船員保険会海外船員厚生協会、その他地方にそれぞれ公共団体がみずから経営いたすものが十八、公共団体中心になりまして公益法人を設立してやっておりますものが二十、その他一般組合その他が経営しておりますのが十五、仰せのとおり宿泊施設につきましては百九十二ございますが、運営団体はそれぞれ区々にわたっておる次第でございます。そのうち最も中核をなしますものは、財団法人日本海員会館及び船員保険施設運営しております財団法人船員保険会、それと各地方公共団体の三つであろうかと考えております。
  17. 内海清

    内海(清)委員 いまお話しのそれらの施設経営内容を見ましても、年間六億円に近い船員保険法に基づくところの福祉施設費、これは申し上げるまでもございませんが、標準報酬の千分の七を船主負担として保険料に含んで徴収しておるのでありまして、三十九年度は五億八千万円でございますか、これを裏づけとして運営されておる。保険関係政府施設や少数の地方公共団体直営施設を除きましては、各団体とも財政的な基盤がきわめて弱い。したがって経営の安定を欠いておるのでありまして、施設内容も今日各施設間に大きな格差があらわれておると思うのであります。さらに各経営団体間に財政的にも運営面においても有機的な連係がほとんどない。同一地域保険施設海員会館、あるいは船員保険病院あるいは診療所日本海員掖済会病院などが競合の状態にあるものもあるのであります。また宿泊施設におきましては、その利用料金の面においても各施設間に統一的な基準がない。特に保険施設一般施設との料金格差は今日かなりあると思うのであります。一例を申しますと、保険寮は夫婦で一泊食事つきで三百九十円に対して、海員会館は約千円かかる、こういう事実があると思うのでありますが、これらの事実について、その実情はどうなっておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  18. 亀山信郎

    亀山政府委員 船員厚生関係施設運営主体が区々であり、それらの財政的な基盤が大部分のものは非常に不安定であるということについては御指摘のとおりでございます。これはそれぞれの団体の財源が区々にわたっております関係上、やむを得ない事情であると考えております。船員保険会船員保険特別会計に財政的な基盤を持っております。また各社が施設しておりますものは各社の財政的な事情によるのでありまして、日本海員会館あるいは地方公益法人公共団体等も、地方はそれぞれ地方公共団体財政が必ずしも富裕県、富裕な都市ばかりではございませんので、その点において財政的な基盤に弱いということは御指摘のとおりでございます。また日本海員会館も財産といたしましては戦時中の厚生施設を引き継いだという事情もございまして、きわめて脆弱な基盤で、年々その経営にはいたく苦労しておる次第でございます。  ただ、各地におけるこれらの施設が非常に競合しておるかという点につきましては、これはものの見方であると思いますけれども、私どもは現在の一般的な不足の状態におきましては、船員保険会あるいは海員会館というふうなものが経営いたします施設が、ある港については競合して存在するということは、これはむだな競合ではございませんで、それぞれそれだけの必要性があってそういうものができておる。競合ということよりも、現在まだ船員厚生施設各地において足りないということがまず第一であろうかというふうに考えております。ただ最後に御指摘のございました利用料金について差があるということにつきましては、まことに遺憾ながら仰せのとおりの数字でございまして、日本海員会館公共団体施設は、施設設置の際には国家補助あるいは寄付等も若干ございますけれども、自後の運営は全部宿泊者の負担ということにならざるを得ないのが実情でございます。したがいまして、船員保険会と比べますとその利用料に差ができてまいっておるということは、残念ながらその事実は御指摘のとおりだと思います。
  19. 内海清

    内海(清)委員 各これらの多くの施設というものは、やはりその必要に応じてこれが生まれたものである、これはもちろんであります。しかしこれらが財政的にも運営面においても有機的な連携が今日まで十分でないというところに、やはり実際利用者の立場から見ればいろいろの問題が出てくる、こういうことだと思う。この点が私は基本的な問題になるのだと思う。さらに宿泊料金などの問題につきましても、これが十分政府において統一的な施策が行なわれていくならば、これはやはりある程度是正できるのではないかというふうにも考えるのであります。それらの点につきましては、さらに十分なる御検討をいただきたい、こう考えるわけであります。  時間がありませんので急ぎまして、十分意をつくさぬと思いますけれども、次に、この保険施設の利用資格です。これは法の五十七条の二ですか、船員保険の被保険者、それから被保険者であった者あるいは保険給付を受けておる者、そういう者と扶養家族に限定されておる。ところが一般海員会館につきましては、船員とその家族、海事関係者を利用対象としております。被保険者であるかどうかにつきましては関係はないのであります。しかし船員については、これは船員法の適用を受ける船員であり、これはすべて船員保険法の適用船員であると考える。したがって、一般会員会館の利用を必要とする船員は一〇〇%船員保険の適用船員考えられるのでありますが、そこらの実情をひとつお伺いしたい。
  20. 亀山信郎

    亀山政府委員 一般海員会館等の福祉施設の利用者が大部分船員法上の船員であるということは、仰せのとおりでございます。ただ、船員保険のように、法律あるいはその他の規則によりまして何々に限るというようなことは法律等によって決定いたされておるわけではございませんが、実質的にはすべて船員法上の船員がその利用者ということになっておる次第でございます。
  21. 内海清

    内海(清)委員 そういう実情から考えてまいりますと、保険施設一般海員会館との間に設置の目的あるいは利用の状況あるいは対象船員施設内容について本質的に私は相違はないと考える。これにつきましてはひとつ運輸省厚生省両方から御意見をお伺いしたいと思います。
  22. 亀山信郎

    亀山政府委員 御指摘船員宿泊施設につきましては、本質的な差はないというふうに考えております。
  23. 大山正

    ○大山(正)政府委員 船員福利厚生施設につきまして、先ほど来お述べになりました重要性あるいは特殊性につきましては、御説のとおりであろうというように考えておる次第でございます。船員保険施設といたしましては、病院診療所、保養所、休養所、母子寮というようなことを、船員保険の特別会計の施設として私どものほうの所管として設置運営しているところでございまして、この設置につきましては、先ほどお話しのありましたような船主団体あるいは船員団体あるいは私どものほうの関係官庁打ち合わせ会を持ちまして、いろいろ関係を調整しながら設置運営しているところでございますが、ただいま御質問にありました船員保険関係保険施設一般海員会館との間におきましては、設置の目的あるいは対象となる船員につきましてはおおむね同じである、かように考えております。
  24. 内海清

    内海(清)委員 そこでこの保険施設におきましては、その性格上、被保険者とその家族の健康保持に重点を置くものでありましょうが、必ずしもそればかりが目的ではない。これは船員保険法五十七条の二、先ほど申しました福祉施設の項におきまして、「政府ハ被保険者、被保険者タリシ者、被扶養者又ハ保険給付ヲ受クル者ノ福祉ヲ増進スル為必要ナル施設ヲ為スコトヲ得」こうなっておるのであります。この点から考えましても、福祉の増進という相当な幅広い意味を持つものであることは明らかであると考えるのでありますが、これにつきましてもひとつ厚生当局の御見解を伺いたい。
  25. 大山正

    ○大山(正)政府委員 ただいま御指摘になりました船員保険法の第五十七条の二の規定でございますが、仰せのとおり、単にこれは短期疾病保険でいうような狭い意味の健康の保持増進ということに限りませんで、広く船員の福祉のための施設というように考えるべきであろう、かように考えておるところでございます。私どもの現在やっております施設でも、病院診療所設置、それから遺族年金受給者等に対します母子寮の経営あるいは船員保険事故の防止のための対策事業というように福祉施設を行なっているわけでございまして、仰せのとおり単に疾病予防だけのための保険施設というよりは幅が広い、かように考えております。
  26. 内海清

    内海(清)委員 特に港湾地域設置されております保険施設について、これは海員会館内容、利用の状況、対象船員設置目的などについて何ら本質的な相違はないと考えるのであります。特に戦時中と戦後のある期間におきましては、これらの施設は一元的に統合されて運用された事実もあるのであります。また昭和三十二、三年ごろまでは、海員会館施設の一部を保健施設として委託経営していた事実もあるので、これらの点からいたしまして、これまた両施設の間に何らの本質的な相違はないと考えるのであります。これに対しまする厚生省の御見解を伺いたい。
  27. 大山正

    ○大山(正)政府委員 私どものほうでやっております保養所、特に港湾地域におきます保養所と一般海員会館関係でございますが、しいて申しますと、私どものほうの関係船員保健施設といたしましては、被保険者、その被扶養者、ほかに被保険者であったもの、あるいは保険給付を受けている者というような点が、一般海員会館とは多少違うかと思います。また一般海員会館のほうでは、海事関係者ということで陸上勤務の方々なども対象になっているというように考えられるのでありまして、その点若干の食い違いはあろうかと思いますが、船員法上の船員に関する限りは全く同じでございまして、したがいまして、その利用者の大多数におきまして同じ人を対象にした施設であるというように考えておる次第でございます。
  28. 内海清

    内海(清)委員 ただいまの保健施設一般海員施設について、先ほど申しましたように、われわれとしては、これは本質的に変わるものじゃない、一応こういう見解を持っておるわけであります。ただいまのお話を伺いましても、本質的には何ら変わるものじゃない、こういう御見解のようであります。  それで船員保険法は、この健保と労災と失業と年金の四つの部門を含む、わが国ではこれは唯一でありましょうが、総合保険制度であるのであります。この中の労災と失業部門につきましては船員法と表裏の関係があることは申し上げるまでもございません。陸上におきましては、この二部門は労働省が主管いたしておるのでありまして、労働基準法と表裏の関係において一元的にこれが運用されておる。これも御承知のとおりだと思うのであります。ところがこれらの部門を含みますところの船員保険法におきましては、この労働行政と保険行政が不可分の関係において運営されなければならぬと思うのです。しかし現在はこれが両省にまたがっておる。こういうことであるのであります。特に福祉施設面においては、労働行政と保険行政つまり運輸省厚生省の間における密接な連携が特別に必要と私は考える。この点につきます両省の御見解をお伺いしたいと思うのです。なおこの点について日常どういうふうな具体的な方策がとられておるか、あわせてお伺いいたしたいと思います。
  29. 亀山信郎

    亀山政府委員 船員保険行政船員労働行政とは密接不可分な関係があることは仰せのとおりでございます。船員保険は、戦前にできましたときから内務省の社会局が所管をしてまいりまして、今日厚生省にそれが引き継がれてきております。他方船員労働行政は明治以来逓信者、引き続き運輸省において現在所管をしておるわけでございます。私どもの念願と申しますか、あえて言いますならば、私どもは、船員労働行政船員保険行政は一体になるべきであるというふうに考えておりますけれども、それはそれぞれ長い歴史を持っておりますし、また保険のほうには保険全体、社会保険全体としての統合調整というふうな問題もあろうかというふうに考えております。現状におきましては両省に分かれて所管しておりますが、その間において密接な連携を保つように今日まで努力してまいりましたし、今後も努力してまいりたいと考えております。これについて特段の機構その他を設置しておるわけではございませんけれども、先ほど保険庁長官から御指摘のございました船員保険に関する各種の審議会あるいは打ち合わせ会等には当方から係官も出席をさせていただいておりますし、そのほか随時そういう会合以外の場所でも、両者は常に一般的な方針あるいは具体的な案件の処理という点につきましては、緊密な連絡を今日もとっておる次第でございます。
  30. 大山正

    ○大山(正)政府委員 船員保険法は、先ほど御指摘のとおり、疾病保険、失業保険、年金保険、労災保険の四部門を総合いたしました総合的な社会保険制度でありまして、社会保険制度といたしましては、私どもは最も理想的な姿であると考えておるのでございまして、これを総合しておりますことが船主あるいは船員にとりましてもきわめて便宜な形である、かように考えておる次第でございます。それから福祉施設部門につきましては、御説のように運輸省、私ども、いろいろ関係の深いところでございまして、今後ともひとつ密接な連携を保ってやってまいりたい、かように考えております。
  31. 内海清

    内海(清)委員 大体両省の御見解はわかりましたが、船員保険が総合保険で、保険の姿としてはまことに理想的だということでありますが、これは私どもあながち否定いたしません。ただ、労災あるいは失業、こういうふうなものが陸上の場合は一元的に行なわれておるために非常に問題が少ないということ、ところが今日まで船員につきまして、これらについてある程度の問題があることは御承知のとおりであります。だからこれらの点につきましては、今後一つ十分解明されて、少なくともこの被保険者、これもに対しまして、もっと国家的な便宜が与えられていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。  時間がございませんので終わりたいと思いますが、以上のようないろいろな事実から、船員福利厚生施設というものが現状のように行政の上から、あるいは運用面から、財政の上から、それぞればらばらの形でこれが経営、運用されておるということ、これは十分考えなければならぬ問題が多いと思うのであります。先ほど来の御答弁の中にもこのことはうかがえるわけであります。この不合理は今後なるべく早い機会に是正されなければならぬ、かように考えるのであります。これらのいろいろな施設経営団体を統合し、一元的な運営をはかることは、どの点から見ましても当然なことではないか、かように考えるのであります。特に船主船員、民間経営団体からその実現について強い要望があるわけでありまして、今日まですでに両省に対しましてもたびたび要望書等によりまして陳情がなされておることは御承知と思うのであります。それらの要望実現については私は反対すべき理由はないのじゃないか、かように考えるのでありますが、これに対しまする運輸厚生両省の御見解をお伺いしたいと思います。
  32. 亀山信郎

    亀山政府委員 船主団体船員関係団体、各種の水産関係団体等を含めましての船員厚生問題に関係のある団体が打ちそろって、これらの福利厚生施設の一元的な運用ということについて、私のほうにも陳情書が出ておるわけでございまして、その趣旨とするところは、運輸省といたしましてもかねて念願をしておるところでございまして、こういう要望はすみやかに実現をいたしたいというふうに考えております。そういう基本的な考え方を持ちまして、具体的なやり方をどうしたらいいかというふうなことで厚生省にも連絡申し上げ、その実現を期したいというふうに考えている次第でございます。
  33. 大山正

    ○大山(正)政府委員 船員福利厚生施設につきまして、各種関係団体からこれを一元的に運営をするようにという要望があることは十分承知しております。私ども船員福利厚生施設のあり方につきまして、今後改善すべき点が多々あるというように考えておるところでございまして、今後運輸省その他関係方面とも十分連絡の上慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  34. 内海清

    内海(清)委員 この要望実現について今日まで両省ではどのような措置がとられておるか、もしありましたらお伺いいたします。
  35. 亀山信郎

    亀山政府委員 この問題につきましては、私どもとしては関係方面要望を受けまして、一応の考え方を持って厚生省のほうに申し入れをいたしております。厚生省のほうにおかれましても御検討いただくということでございますので、今後とも密接に連絡をとりつつ、具体的な案が早くでき上がるように進めたいと私ども考えております。
  36. 内海清

    内海(清)委員 これで終わりますが、私この際特に強く要望しておきたいと思いますことは、この要望に対しまするために、運輸厚生両省当局を中心にして、船主船員あるいは関係団体等によりまする何らかの形の機関を設けて、早急にこれを具体化する必要がある、その検討に入る措置が必要だ、かように考えるのであります。ぜひこの問題は、そういう機関のできることによって一日も早くこれらの問題が解決されるようにということを希望いたすのであります。これに対する両省の御所見を伺いまして質問を終わります。
  37. 亀山信郎

    亀山政府委員 仰せのとおりでございますので、厚生省とも緊密に連絡をいたしまして、そういう方向に向かって努力をいたしたいと考えております。
  38. 大山正

    ○大山(正)政府委員 私どもといたしまして、この問題につきましていろいろ慎重に検討しなければならない問題点が多々あろうかと思います。単なる団体の統合ということではございませんで、おそらく事業団のような形ということが関係者の方々の御要望であろうかと思いますが、事業団につきましては、御案内のとおり一般的な抑制方針というようなものもございますし、また私どもとの関係といたしましては、船員保険のみならず他の社会保険のこの種の施設との関連の問題もございますので、まず、私どもといたしましてこの問題をひとつ十分検討いたしまして、その上で関係団体等とまた何らか御相談するような機関をそのときになって考えてみたい、かように思っておる次第でございます。いずれにいたしましても御趣旨の点はよくわかりますので、われわれといたしましては真剣にこの問題を検討してまいりたい、かように考えております。      ————◇—————
  39. 川野芳滿

    川野委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許したいと存じます。  なお、質疑の通告者にお願い申し上げますが、木村自動車局長はよんどころない御用件のために十二時までで退席いたしたい、こういう申し出がございますので、御了承の上、御質疑をお願いいたしたいと存じます。栗原俊夫君。
  40. 栗原俊夫

    栗原委員 私は運輸行政については全くしろうとでございますが、きょうは特に運輸委員会出席させてもらって、一、二お尋ねをさせてもらうのでございますけれども、よくよくのことでございますから、ひとつ幼稚園児に教えるように親切にお答えを願いたいと思います。  地方を走っておる一般民間バスの運行の安全、これらを指導監督するのは運輸省自動車局でございますか。
  41. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 中央では運輸省自動車局でございますが、出先に九つの陸運局がございます。その下に各府県に陸運事務所があります。これらの三者が一体になって監督しております。
  42. 栗原俊夫

    栗原委員 最近群馬県では民間バスが相次いで大きな事故を起こしておるわけですが、去る六日に群馬県の尾瀬行きのバスが深夜に百メートルも転落して、即死二名、重軽傷者四十二名という大惨事が起こりました。これに対して一番最高の責任としての立場の人が現場を御調査なさっておられるのでありましょうか。
  43. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 自動車運送事業者の運転上の事故等に対します監督の責任者は、第一線は陸運事務所長で、その上が陸運局長であります。その上は運輸大臣でございます。具体的なお話しのような事故につきましては、まず陸運事務所、陸運局が現地の機関といたしまして実情その他の調査をいたし、必要な措置をし、それを運輸省自動車局が報告を受けまして、全国的な問題として各方面に注意を喚起する必要があればそれをするというような措置を講じておりまして、東武バスの転落事故につきましては、先般本省におきまして全般的に警告を発しておる次第であります。
  44. 栗原俊夫

    栗原委員 東武のほうは即死二名、重軽傷者四十二名というようなたいへんな被害をこうむった惨事であるので、そういう措置がとられたのだろうと思います。少しく日はさかのぼりますが、五月二十五日に同じく群馬県の長野境の内山峠というところで、これまた上信電鉄のバスが七十メートル下に転落しております。これに対してはどんな調査、措置がとられておりますか。
  45. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 ただいまの両方のバスの転落事故につきましては、事故が起きましたあと会社の事業者を呼びまして、陸運事務所長から従業員の過労防止あるいは事業計画遂行のための十分な乗務員の確保、そういうことについて遺漏がありはしないかということで、いろいろ注意を与えております。その後、去る八日に陸運局がこの事故のために当該営業所に対して立ら入りの検査をいたしております。その検査の結果の報告を待ちまして、その後の処置を講じたい、かように考えております。
  46. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいまのお話だと、八日に現地の立ち入り調査をする。したがってまだその調査はお手元に届いておらぬ、こういうことでございますか。
  47. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 さようでございます。
  48. 栗原俊夫

    栗原委員 このことにつきましては、私たちも、地元でありますからいろいろと調査をしましたが、会社当局は、特別な原因となるのは霧である、こういうような言い方をしておりますけれども、実際にはそういうことではないようにわれわれには考えられるのです。そこで、私たちもいろいろ調査をしてみました。昨年十一月には、この会社は、公共料金引き上げを抑えるというさなかに、特別な事情のもとに料金の引き上げが行なわれておる。そういうことを行なっておきながら、会社経営自体は、一億四千万円の会社でありながら、十数社の傍系会社をつくって、二億八千万円も傍系会社のほうへ投資をしておる。使っておる車はどうかといえば、群馬県一ぼろ自動車を使っておって、一番車齢は古い、こういうような状態です。こういう中で労務の関係はどうかというと、会社でも、乗務員は、特に車掌等は一・三なければならぬけれども、一・二しか補充できぬというようなことで、休暇もほとんど与えぬというようなこと、特にこの事態を起こした運転手は三十五日間も休暇がとれない、そういう中で事故を起こしておる。こういうことなんですが、こういうことに対して、当局はその事情を知っておるのか知っておらぬのか、知っておって、なおかつ何ら指示を与えておらぬのか、これらの関係等、もしおわかりになっておればお答え願いたい、このように思います。
  49. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 去る五月の二十五日に起きました事故の原因については、いまお話しのように、道路のでこぼこの水たまりを避けようとして路肩に寄ったわけでございますが、谷底のほうから霧が吹き上げてくるので、路肩との境界線がはっきり見えなかった。その辺の勘違いから路肩に乗り上げて墜落したというのが直接の原因であるように、われわれも調査の結果を聞いております。ただ、この会社につきまして、いま御指摘のように、他の会社に比べますと車齢がかなり古い、それから従業員の連続勤務の状況もそういう事実があるということは、去る三十六年に一般的な監査をいたした場合にも、そういう事実を一部発見いたしましたので、勧告をいたしております。その後会社といたしましては、その勧告の線に沿って改善努力をしてまいっておるという報告は来ておりますが、今回の事故を契機といたしまして、一般的な監査も行なって、その報告どおりに今日実現いたしておるかどうか、こういう点は、八日の監査の報告を待った上で、あらためて会社全体に対して監査をいたしまして、その実情を十分に見た上で、また必要な勧告その他を出す必要があれば出したい、こういうように考えて、八日の監査の結果の報告を現在待っておる実情でございます。
  50. 栗原俊夫

    栗原委員 そういうような監督を待ってということになれば、これはこれ以上議論も進められないわけですが、率直に申しまして、この会社はそういうような形で、車が通るようなところはどこで毛路線をとる。私たちが見て、ここをあけておけばおそらく他の会社に路線をとられるだろうというようなところ、われわれが見ては、これは陸運事務所でもとても許せないだろうというようなところを、クモの巣のように路線を申請してとっているのであります。申請するほうも申請するほうだし、許すほうも許すほうだと思う。むろんそういう路線の中には、せっかくとっても、これはとてもペイせぬだろうと思うようなところ、こういうところを特に高崎市を中心にしてめちゃくちゃにとっております。したがって、赤字路線というものがたくさんあるだろうと思うのですが、そういうようなことをやっておる。そうかと思うと、一方では、ことしの四月一日からは、いままで相当もうかったであろうと思われる路線にかなり多数配車しておったものを、地方の住民とは、調査、相談等もむろんなしに、ずばりと回数を下げて、これを陸運事務所からお許しを得ておる。こういうようなやり方は、もちろん会社が、他の会社にいろいろと路線をとられるから、いままでのような休眠路線は持てぬので、許可を得て赤字覚悟でやるということも営業政策上あるでしょうけれども、まるでパスの通るような路線でないところを、申請があったからといってこれを許す。一方ではそれで赤字が出る。赤字が出たものを、今度は従業員との間で、労働強化労働条件の悪化、こういうような中で運営をしていく。また一方では、赤字が出るからというようなことで運賃の値上げを要求する。公共料金の引き上げを押えるという国の基本的な方向の中で、特に群馬でこの会社が昨年の秋に値上げを許された。その運賃の値上げを、ほんとうに公共事業としての内容改善に使うかと思えば、そうではなくて、傍系会社十数社も持って、そういうところへ投資をし、資本金の倍額もこんなところに金を突っ込んでおる。ますます労働条件は悪くなる。こういう中で、労働組合の諸君の間でも、いろいろと論議が続いてきたわけです。とても単独ではいい労働条件はかちとれぬというようなこと、そしてその中では、上部団体にも連ならなければならない、こういうような議論が長い間続けられまして、本年の二月に初めて上部団体私鉄総連に連なる組合ができた。組合ができるととたんに、その晩から会社の職制が一斉に動いて、中には預かっておる印判まで利用して、過半数の新しい組合が結成する、こういうような形で、実はいろいろと問題が起こっておるわけです。こういう問題の中に今度の内山の事件が起こりました。会社では、いま言うとおり、霧が原因なんだと言っています。私たちも会社当局に調べました。車はどうだったんだと言うと、車は四月に車検を取って——おそらく半年しか取れない車でしょう。十一月まで運行できる車だ。年齢はと聞いたら、五十一年の車だと言う。そして、運転手は八カ年も勤務して、しかも遠路の観光にも出してやれる、そして内山峠を専門にやっておる運転手だから、運転技術には間違いない、車は車検を取ったばかりだ、こう言うのですね。原因は霧なんだと言っておるけれども、他の条件を調べてみると、五月二十五日に事故が発生したけれども、四月の二十日以降全然休暇がもらえていない、こういうことなんです。現場の処理にあたって、当時担当の課長が、休暇をとっておらぬというとあとが問題になる、したがって、家族にも頼んで、こちらから休暇をとれとすすめたけれども、給与が思うとおり高くない、実入りが少ないから、少し無理してでもかせがなければ実入りがないんだ、こういうことでとうちゃんを乗せたんだ、とうちゃんも乗ったんだ、こういうようなことにしようということまでやっておることを現場でもって聞かされておる。そういう手もおそらく打たれているのじゃないかと思います。さらにまた私たちが会社へ行って週休の問題等についていろいろ尋ねました。とることになっておりますというようなことになっておりますが、その後かなり——現場は長野県の中込というところなんですが、この現場あたりでいろいろと書類等についても心配なことが行なわれるのではないかというようなことも言われております。こういう問題でどうもこの会社のやり方はなかなかたいへんです。そしてしかも車の回数を減らすのは車掌が足らないからだ、こういうようなことを言っておる。現に百名募集したところが二十二名しか応募がなかった。条件が悪いので二十二名応募しても二十二名が就職してこない。こういう中で組合が二つに割れると、会社側で指導してつくったと思われる組合に参加していかない車掌については、世間でいう第一組合の活動分子については、これを傍系会社に出向を強要する、がえんじないというと、業務命令で出す、業務命令に応じないからといって、解雇を発令する、こういうことまでやっているのです。車掌がないからといって、運行回数を減らし、そしてその足らない車掌を自分たちの考えておる組合へ参加してこないからといって、車掌勤務から他のフェアリー・ランドなどという傍系会社へ四人も五人も出向させる、こういうような経営をやっておる。これではたして公共の運輸事業の経営と言えるのかどうか、自動車局長、こういうものはそれは経営者が資本主としてその自主性に基づいてやるんだからしかたがないとほっておくべき案件なのか、公共事業として特権を与えつつ行なわせる公共事業であるバス事業というものを、運輸事業というものを、いま少しく特権を与える反面、公共性を保たせるために強力な指導監督ができないものなのかどうか、こういう点をひとつ明らかにしていただきたい、このように考えます。
  51. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 バス事業は公共性の高い事業であるわけでございます。それゆえに免許あるいは運賃の認可等もすべて法律で規制をしておるわけでございます。したがいまして、いまお話しのような会社の内部のいろいろな事情が高じて、それが利用者の不便になって、あるいは公益使命の遂行に障害があるという段階になりますと、監督官庁といたしましては、これに対して適切なる監督指導あるいは勧告をするという立場をとっておるわけでございまして、ただ単に会社内のもめごとあるいは問題だけを取り上げまして、監督官庁がこれに差し出てどうこうするということはいたさないことにしておるわけでございます。  それから先般の事故が、はたしてそういうふうな会社の中のもめごとのために、ああいう事故が起きたかどうかということになるわけでございますが、先般の事故は、ただいま申し上げましたように、これは運転上の運転手の誤り、過失、それに基づいて転落した、こういうふうに見ておるわけでございます。もちろん車の車齢はいまお話しのような車齢でもございます。それから当該運転手の勤務の状況も、かなり長い連続勤務をやっておったということも、当時の調査の結果を聞いて承知しておるわけでございますが、それらが原因となって転落したのではないようでございます。  なお全般的に最近の自動車の事故は、車の整備不良あるいは車が古いということが原因で事故が起きておるという例はほとんどございません。それから運転手の過労あるいは連続勤務等によりまして、これが直接の原因で事故が起きるということは間々あることでございます。これにつきましては、八日の日にも全般的にきびしく監査をいたしておるわけでございますが、その前後の事情その他も明白になると思いますので、これを見た上で考えたいと思っております。なお、会社がいろいろな傍系事業に投資をするという問題も、公益事業の中にもいろいろあるわけですが、そのために本来の公益事業の運営に支障が起きて、そしてそれがその事業の公益性を阻害するということになってくれば、当然監督官庁としてもこれに対して適切な指導をなさなければいけないと思っております。赤字路線をいなかの道路まで全部やるというふうな問題もございます。しかしこれは会社全体としての経営上、その赤字路線をやることによって会社全体が赤字になるかどうかという判断の上に立って、当該路線の免許の判断をするわけであります。したがいまして、またその道路の状況あるいは交通量の状況、そういうことも、交通安全の見地から、免許をいたします場合には、道路管理者、それから公安委員会、それらの意見を一々聞いた上で支障ないという前提の上に立って認めておりますので、その点は会社がやみくもにどこの路線も安全を無視してやるというような状況でかりに申請したとしましても、認めるほうでそういう認め方はいたしておらないわけであります。  なお運転手が不足その他で運行回数を減すことも、これは一つ一つ認可を受けてやらなければなりませんので、無認可でかってに運行回数を減すということは許されておりません。ただ黙ってやればそれまでの話でございますが、もしそういう事実がございまして、あとになってそういう事実が発見された場合には、制裁を加えるというふうに従来やってまいっております。したがいまして、この会社につきましては、いま御指摘のようないろいろな傍系事業をやっておりますし、いろいろ運転手の不足の状況あるいは乗務員の連続勤務という事情もあるいはあろうかと思いますので、それらの点は実情の報告がまいりましたら慎重に検討いたしまして、必要な措置を講ずるつもりであります。
  52. 五島虎雄

    五島委員 関連してちょっと。——栗原委員と私が高崎におもむきまして、この上信電気鉄道について、バスの転落問題あるいは不当労働行為の問題、あるいは基準法違反の問題等々について調査いたしました。そしてこれから栗原委員が、労務管理の問題やその他労働関係について質問を展開せられるであろうと思いますけれども、私は数点について簡単に、質問を阻害しないように、その質問に関連して質問をしておきたいと思います。  いままで栗原さんが言っておられましたように、過労があったかなかったか、あるいは継続勤務というものの実情があったかどうかということについてわれわれが調査をいたしましたところ、さいぜん栗原さんが言われたように、三十五日間も運転手は休暇をとっていなかった。これは継続勤務——継続勤務というのはどれまでが限界であるか、こういうことが全国のバスの乗務員に許されていいのかどうか、この事実があるかないかということは調査の上に判明するだろうと思いますけれども、われわれの調査したところによると、三十五日間継続して休暇をとっていなかったということが明らかになりました。そこで会社の総務部次長ですか、運転部次長ですか、会社の幹部とこれらの問題について話をして、質問をいたしましたところ、シーズンのときには一・三人の乗務員の定員ではとうていまかない切れないのだ。だからシーズンの間の人員をまかなうのには一・三人ぐらいじゃとても、一・五人くらいでなければまかない切れない、こういうことを言っております。そうすると、一・五人でまかなわなければならないのを、一・二か一・三の人員でまかなっているということは、当然結論として、過重労働におちいらざるを得ないということに相なるわけであります。そうすると運輸当局としては基準人員一・三人で運転せよという基準が示されているだろうと思うのですけれども、これはシーズンオフを基準にされるのか、シーズンを基準にされるか、あるいは一・三人の基準があれば年じゅうこれによって過重労働もない、安定した運転ができるのだ、そうして公共性の高いバス営業ができるのだ、こういうようなことになるのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。従業員に聞いたところによりますと、シーズンにおいては日曜も出勤せしめられる。しかも日曜には手当がもらえないのだ。しかも出勤簿には日曜が与えられたことになっている。しかもシーズンオフになると、日曜に代替しているのだから今度は強制的に休ませられる。しかも運輸当局としてバスなどを指導される場合は、乗務の系統についての労務割りというのがあると思うんです。それで、全国的には労務割りというのは従業員に対して事前に告知せしめなければならないのじゃないかと私は思うのです。ところが当地に行って調査をしますると、あけの翌日の乗務割りは前の晩にならなければわからない、こういうことです。そうすると、たまたま日曜に休んだバスガールとか乗務員の方々が月曜の割り前はどうなっているのだろうということは、土曜日にはわからないと言うのです。そこでわざわざ家から会社に出かけていって、あすの乗務割りはどうなっておりますかと聞かなければ、月曜日のあれができない、こう言う。それで、千三百名の従業員がおられるのだから、相当に大きい会社です。それがそういうような労務管理でいいのかどうかということについて、木村局長がそれぞれのあれで調べられるとおわかりになるだろうと思うのですけれども、こういうことがあることについて、上信鉄道がこういうことをやっていたら一体どういうようにお思いになりますか。
  53. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 こういった公益事業がその目的の遂行を十分にできるように運営していくということをわれわれも期待をし、監督をしておるわけであります。いまお話しのような労務管理の問題等につきましても、もちろん労働関係の法規で最低限の基準というものがございます。その上に立ちまして、われわれとしては、人命を預かる事業でございますので、経営者にはそれ以上の注意をもって労務管理をやるように常に指導をいたしております。ただいまお話しのように、非常に長期の連続勤務、そういうことは絶対にいけないというふうに、常に事故防止の注意を促す場合あるいは全面的な監査をするときには、そういう観点で見て勧告もいたしておるわけでございますが、いまお話しのように、たとえばシーズン等におきましては臨時便も出すというふうなことになりますと、乗務員が足らなくなる、そこに無理があるわけであります。そういう無理をしちゃいけないということは常に指導しておりますが、実情はやはりそういうふうな現象が各所に見られるわけでございまして、われわれも非常にその点は心配もし、平素の注意がなかなか徹底されないということも痛感いたしておるわけでございます。したがいまして、監督官庁として考えておりますのは、乗務員につきましては少なくとも週に一回の休暇がとれるように乗務割りをするようにということを指導しております。それ以上は、会社のそれぞれの実情に応じて会社のほうでやるというのを一応の基準として指導いたしておりますので、それで今回監査をいたしておりますから、その結果、いま仮定としてお話のありましたような事柄が事実であるということがはっきりいたしますと、それに基づいて注意をいたし、いろいろな方法を講じたい、かように考えております。
  54. 五島虎雄

    五島委員 それでは、責任がある地位の方が一・三人程度ではシーズンをまかない切れませんよ、こういうように言われることは、この監督をされるところの全国のバスの経営者が労働者を使う上において、一・三人ではとうていできませんよと豪語される以上は、これは強力に指導が必要じゃなかろうかと思いますから、この点を添えて、この面についての質問は終わることにいたします。
  55. 栗原俊夫

    栗原委員 自動車局長はお出かけになるそうでありますから、この際ですから一言だけ聞いて、自動車局長に対してお尋ねを終わりたいと思いますが、この上信自動車というのは観光を盛んにやっておるので、観光用のバスとわれわれには思われるが、運転手のところから乗り込んで、全部前向きのシートがついている。これを一般のラッシュ時に使うわけです。まるで話になりません。こういうことで幾らか当局から御注意があったのか知りませんが、半ペただけを今度は横すわりにするようにぼちぼち変え始めておるのですが、これはどうなんですか。普通の一般バスでも観光用に使う、入り口のところがわずか狭い一つの口で、長距離観光に使うようにシートが全部前のほうを向いて、しかも合い間にはスペア・シートがはまるような、そういう車を一般のラッシュ時などに使われていいのですか、どういうことになっているのですか。
  56. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 バスの構造につきましては、一般の通勤ラッシュ時あるいは観光、それにしたがって経営者が適当なバスを使うわけでございますが、ただ出入り口あるいは非常の設備、そういうものだけは十分備えておかなければいかぬわけでございます。したがいまして、全部前向きのいわゆる観光用の車を通勤、通学等に使っても、これは差しつかえないわけでございます。ただああいう車ですと旅客を多く収容できませんので、事業の面からいいますと、通勤とか通学のラッシュ時にはできるだけたくさんの人の乗れるような設備のいわゆる三方シートとか、そういうものが形状からも適当でございますし、乗客のためにも便利でございますが、といって前向きの観光用の車はそれに使ってはいかぬというきめはないわけでございます。それはその路線の実情に応じて経営者がきめて、適当な車を使うということになっております。
  57. 栗原俊夫

    栗原委員 お話は一応わからないわけではありませんが、ラッシュのときに一ぱいになる車に、ああいう全部前向きのシートの車を使うということは、これは実際非常に危険だと思うのです。したがって、どうもいま少しこの点については指導をきっちりやってもらわぬと、観光にも使い、一般バスにも使うというやり方は今後相当考えてもらわぬと、かなり危険があると思います。ここでこうします、ああしますということは局長からは言い切れないと思いますけれども、実際問題としてこれはたいへんなことです。観光用の入り口が一カ所のところから入るバスをラッシュのときに使う、だからといって乗るほうのお客は遠慮なしに詰め込んできますから、うしろのほうまで詰まったらこれは実際いって出られやしません。この点はひとつ十分御研究になって、しかるべき指導をしていただきたい、このように思います。そのことの御意見だけ聞いて、局長さんはお急ぎのようですから、お立ち帰りを願いたいと思います。
  58. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 一つのバス会社が乗り合いバス事業と観光貸し切りバス事業の両方をやっておる、こういうふうな場合には、一応車両につきましてはこれは乗り合いバス用の車両である、これは観光貸し切り用の車両であると区別をいたしまして届けをしてあるわけであります。ただ若干の予備車が必要でございますので、たとえば観光用に持っておる車を乗り合い用の車がラッシュあるいは多客期に足りないときに予備車の一部としてこれを流用するというふうな方法は認めておりますが、乗り合い用と貸し切り用と常にかってに車を交互に入れかえて使うということはできないようになっております。したがいまして、乗り合い用にはこういう車を何両使うということはちゃんと届け出してありますので、そのときに車の状況等を見まして適当であるかどうかということを当局が判断をするわけでございます。
  59. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと関連して質問したい。  私は聞いておったのですけれども栗原さんの質問の中で一番重要なことは労働条件で、観光バスなどはもちろんですけれども、定期バスでも一カ月も二カ月も休みをとらさないで運行させて、そんなぐあいですからして拘束時間といわず労働時間は非常に長時間にわたっておるのではないかと思うのです。そうして観光バスと両方やって、シーズンオフになったときに固めて休暇をとらせる。これは、経営上それはやむを得ないというかもしれませんけれども、それじゃ私は事故のもとになると思う。どうもさっきから聞いておって、栗原さんの質問で、労働条件が非常に悪いようです。こんなものは、タクシーのときも再三この運輸委員会質問があったのですけれども、タクシーなんかの免許にあたっても、やはり運転手の、従業員の労働条件についてはきびしい条件をつげる、そして基準法にかなった労働条件を具備しておるかどうかということも免許の一つの方法である、こういう答弁を私はいただいておるのですけれども、これは一体どうですか。そういう悪条件で働かせるということはゆゆしき問題だと私は思うので、これについて、運輸省としてもひとつ労働条件等の監査をときどき事故が起きたらやれるわけですけれども、その監査を一体どういうふうにしておられるのか。労働条件の監督等もゆるがせにすることはできない問題だと私は思うのですけれども、どうですか。  それからもう一つは、どうも監査に行かれますと、会社の報告書類にずっと目を通してみて、書類上異存がなければ安易にこの監査というものが通されておると思うのです。これは実務監査をもっとやってもらわぬと、ただ事故のときに車両を調べたそのときの労働条件というような、その事故を起こした運転手の個人のそのときの状態だけを調べて、そして万全なりとすることは、私は非常な危険があると思う。こういう点についてどう思われるか。  それからもう一つは、この会社といわず、少し組合がそういうような問題についてやりますと、これは中小企業ですが、こういう経営者はじきに一部の人間をそそのかして第二組合をつくってみたり、そういうことをやって、従業員間の融和というものを会社みずからそぐようなことをやっておる。現にこれは不当労働行為で訴えられておる。こういうようなことはよほど考えなければならぬし、監督官庁としても、内容に立ち入ってどうこうということはできないかもしれませんけれども、やはり経営者に対してはそういうことに対しても一つの警告を与えるべきだと思うのです。そういうことに対しては運輸省としてどういう見解を持って監査をされるか、そういう不都合なことに対しては従来からどういう勧告をされておるのか、これはゆゆしき問題でありますから、いま申した点、固めて質問しますから、ひとつ自動車局長から御答弁をいただきたいと思います。
  60. 泊谷裕夫

    泊谷委員 関連して一問だけ要望いたしたい。  木村局長の答弁の中に、この問題では立ち入り検査を行なったということばを使ったので、これは監督官庁としても容易でない事態と配慮したと思うのです。それ弧いろいろと調査をされておるというのですが、その調査のしかたですけれども、就業規則だって、それから印鑑の扱い方だって、適当なものだと思います。ある個所であるように、印鑑は出勤簿管理者のほうで整理をしているのではないかと思われる節もあります。千三百人もいるバス会社でこんなことでは話になりませんし、またまた事故が起きますとたいへんな世間の話題になりますから、この調査にあたりましては、労働争議に介入するという限界があることは承知しますけれども関係従業員との照合、突き合わせをどうしてもやっていただきたい。会社側の申告だけで報告書をあげることをやめて、その点だけは厳に実態を明らかにしてほしい、こういうことをつけ加えてお願いしておきたいと思います。
  61. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 連続勤務の問題につきましては、毎年、春秋等のシーズンの事前におきまして、包括的に、当局といたしましては特に事故防止の観点から無理な勤務をさせないように注意を喚起しておりますがもやはりこれは会社経営者が責任を持ってやっておられませんと、監督官庁の職員が会社につき切って見ておるわけでもございませんし、われわれはよく連続勤務の事実を聞くわけでございますから、したがいまして、これは経営者がその気になって十分注意をしてもらうということでございます。ただ、これをしからば放置しておいていいのかということになりますが、そういう場合には、そういう事実を耳にするとか、あるいは定例の監査等につきまして、こういう事実を発見でき得るような監査をいたしておるわけでございまして、事後に発見できた場合にも一応注意を喚起し、はなはだしいものにつきましては、ある程度の処罰もするというふうな態度で臨んでおります。これは今後ともそういうつもりでおります。  それから監査の場合の監査のしかたでございますが、もうすでに長年にわたって監査をいたしておりますので、ただ、通り一ぺんの書面だけで事実を確認するということはやっておりません。監査に臨む職員も相当手なれておりまして、紙背に徹するとまではいきませんけれども、一応事実を的確に把握できるようにいたしております。地方で監査いたしましたものも、本省の私のところまで一々監査の報告書も参ってきておりますが、相当詳細な監査をいたし、またこれに基づく勧告をいたしております。したがいまして、ただいま御質問のありましたような監査に対する職員の心がまえ、またほんとうに実情を的確に把握する監査ということにつきましては、今後とも十分指導をいたしまして完璧を期したいと思っております。ただ、お話しのように、会社内部の経営者対組合とのいろいろなもめごと、そういう問題につきまして、それぞれの事柄について当局がこれに関与する——労働関係の当局は別でございますが、運輸行政の当局が関与するということはいかがかと思いまして、これは立ち入ってはおりません。ただ、その結果が、運行がダイヤどおりいっていないとか、あるいは回数を減すとか、いろいろ公衆の利便に阻害を起こす段階になりますれば、もちろんこれに対しましては監督権を発動するというのが従来のやり方でございます。
  62. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいまお聞きのとおり、なかなか容易ならない会社であります。いまお帰りになった木村自動車局長のお話しの中には、会社の中のごたごたでこういう事故が起こった、こう言うのですけれども、そうじゃないのです。こういう事故が起こるような状態にあるから、組合強化して、こういう労働条件ではだめだ、もっと安心して安全運行ができるような労働条件にしよう、こういう気がまえを見せて、組織が上部団体に入ったとたんに、会社が、まあわれわれが見る目では指導して、第二組合をつくったということから、実は、会社の中で組合が二つできて、ごたごたというような形にはなっております。しかしごたごたになったからではなくて、ごたごたになる原因が労働過重である、こういうところにあると思うのです。そこで、お聞きするわけですが、先ほど同僚の五島委員からもお話がありましたが、シーズンには、日曜にも出ていって、日曜には、休みの姿をとっておる。どういう取り扱いをするかというと、会社に貸しておく、こういうんだそうであります。貸しておく。だから、したがって、週休はとっておるんだが、そのとった週休を貸しておくんだ。で、シーズンオフにそれがまとめてお返しを食う、こういうことになる。こういうようなこと。そして、そういう姿の中で、今回、ただいまお調べ中といいますから、事実問題については、調べが上がった上での判定になりますけれども、三十五日間も連続勤務をした、こういうことが大きな事故の原因になっただろうと思います。このことは、ただ単に働く労働者の問題ではなくて、特に、公共事業でありますから、このことによって事故が起これば、それは労働者自身のことばかりではなくて、一般大衆の大惨事に連なるわけでありますから、ここに一般労働問題を越えたもっと重大な意義があろうかと思うのです。こういう事実があった場合に、単なる注意を喚起するというようなことでは、これは事がおさまらぬと思うのであります。たまたま今回の内山峠の事故は、運転手と車掌と二人しかいなかったという、普通の民間バスとしては珍しいケースです。回送車が落っこったような形になっておるけれども、落ちた車は、定期バスの定期便だった、たまたまお客が乗っていなかった、こういうことがあるのですが、こういう事実に対しては、もっときびしい態度で臨んでもらわなければならぬわけです。これに対する基準局の心がまえ、態度、こういうものを一つお聞きしたい、このように思いますす。
  63. 東村金之助

    ○東村説明員 ただいま先生の御指摘の件でございますけれども、交通、特に自動車等における災害問題については、これは社会問題でもございますし、非常に大きな問題だと思うのです。ただ、この問題について、こういう交通災害をなくするという観点から問題を考えてみますと、道路の問題であるとか、施設の問題であるとか、こういう問題はもちろん前提にありますが、何といっても、いま先生御指摘のような労働条件、労務管理、こういうことが大きなウエートを占めると思います。私どもも、そういう観点から、いろいろの業種を労働基準法の対象業種として扱っておりますが、特にこういう交通関係労働者については、厳正な監督をすべしという指示を与えております。問題がややこまかくなって恐縮でございますけれども、先ほどからいろいろ御論議になっておる問題について、労働基準法の問題を若干申し上げますと、労働基準法では、原則として一日八時間、それから週休制というような原則がうたわれております。ただし、この原則につきましては、男子の成年労働者につきましては、労働協約に準ずるような協定を結びますと、残業であるとかそれから休日労働、そういうことが可能になっております。しかしながら、女子労働者につきましては、そういう協定というものがあった場合でございましても、一日二時間、一週六時間、一年間百五十時間以上の残業はできない。さらには、深夜業というものも、原則的には禁止されております。特に年少者につきましては、そういうような残業の協定ということも許されておりません。原則として八時間、深夜業はもちろんだめ、休日労働もやらせてはならない、こういうかっこうになっております。  ところで、この御指摘会社の問題の具体的なケースでございますけれども、先生がいま御指摘のように、厳密なデータは集まっておりませんが、いまのような観点からながめてみますと、特に女子、年少者の休日労働、裏返して言いますと、先生御指摘の連続勤務というような事実があるようにわれわれのほうに中間的な報告がまいっております。そこで、一般的な原則に照らしまして、そういうことが絶対にないようにという監督を厳に進めていきたい、こういうふうに考えております。
  64. 栗原俊夫

    栗原委員 一応心がまえはわかるのですが、この会社はその程度の甘いことではだめなように思うのです。特に、会社が、上部団体に加わる決議をすると、その日から職制を飛ばして、千三百名おる働く者の仲間の中から千百名の判こを新組合に結集する、それが一日半ででき上がるというような、そういう会社なんですから、会社当局へ調べに行ってもむろんだめ、さらに職制をつかまえて調べてもこれはだめです。実際働いている仲間へ入っていって調べぬというと、実態はつかめない。おそらくいまも言うとおり、休みの日に出ていって、しかも帳簿の上では休んだことにしておくような会社なんですから、そんなところへただ当局から監査に来たぞというようなことになれば、形式上から見ればもうぴったりやっておるような姿に、他の会社よりもよりよく整備されておるような整理ができておると思うのです。ところが、実態は全くあべこべだというならば、ことばは悪いけれども、犯人に犯罪の内容を尋ねるようなことになってしまう。こう思いますので、ひとつこれはこういう機会にぎっちりとお調べを願って、そうしてしかるべき処断をして、再び門違いのないように、それはある意味からいえば、会社側が会社自身で損失を受けることだけなら、それはおまえの身がってだと言い切れるかもしれぬけれども、そうでないので、事故が起こった場合は、働く者はもちろんですが、大衆まで被害を受けるという重大問題になりますから、ひとつこの点をぎっちりやっていただきたい。これについて、特にこれはしっかりやるぞという言明をいただきたい、このように思います。
  65. 東村金之助

    ○東村説明員 ただいまの、監督をする場合におきましても、それは会社当局だけ聞いてもわからぬし、書類だけを見てもわからぬじゃないかというお話でございますが、まことにごもっともでございます。私ども労働基準法の監督を十何年続けておりますが、その間、おっしゃいますようなケースが非常に多うございます。そこで、私どものほうの監督官が監督をやる際の規範がございます。執務規範と申しますか、それには、これは内部の規範でありますが、そういうことが予想されますので、やはり事業場に行ったならば、ただ単にそういうかっこうで監督を終わるということでなくて、必要がある場合は、またできるだけ労働組合がある場合は、労働組合の幹部、それから現場で働いている労働者の声を聞くべしということが規範として流れておりまして、現にこのケースにつきましても、ただいま申し上げましたように、一部いま先生御指摘のような女子、年少者等について特に休日に働かしておるという事実がわかっておりますから、先生がいま御心配のようなことがないようにきっちりやってみたいと思います。
  66. 栗原俊夫

    栗原委員 次に、労政局のほうにお尋ねしますが、先ほど来お話の中でおわかりのように、労働条件が非常に悪い、そうして労働組合はつくっておったけれども、なかなか会社当局との折衝でこれを改善することができなかった、こういう事情の中で、こういう組合のあり方ではなかなかうまくいかない、やはり会社としっかり交渉するには上部団体とも連なってということで、私鉄総連に連なろうという意見が出て、そうしてことしの二月に私鉄総連へ加盟しようということが大体三分の二ぐらいの賛成で決定したわけです。決定すると同時に、かねがね会社のほうでは、そういう動きのあることを知っておりますから、直ちに組合を新たにつくった、いわゆる第二組合を結成した、こういう形になったのですが、そういう中から、たいへんな会社組合に対する介入が行なわれて、不当労働行為の訴えが行なわれておるわけなんです。これに対して単に労働委員会で提訴されたものを審議しておるから、その成り行きを見るという程度でとどまるのではなくて、ただいま自動車局長や労基局の方からもいろいろと決意を伺ったように、労政関係としても、少しこういう事態で一般の労政問題ではなくて、本格的な解決をしてやるのだということで、これら不当労働行為の実態等について積極的にひとつ乗り込んで調査をし、そして労政のあるべき姿を実現してもらいたい、こう思うのですが、当局の御決意はいかがでございましょうか。
  67. 青木勇之助

    ○青木説明員 お答え申し上げます。労使関係の問題につきましては、政府といたしましては、原則として中立的な立場に立って事に処するという心がまえで相臨んでおります。特に不当労働行為の問題につきましては、労組法の第七条におきまして、組合員が組合の正当な行為をしたことを理由として不利益の取り扱いをするとか、あるいは同じく第七条の第三号におきましては、使用者側が使用者の意を体して組合組織運営に支配介入するということは一切不当労働行為として禁止されております。そういう不当労働行為の趣旨、精神、そういうものにつきましては常々労政当局といたしましても県の労政課あるいは労政事務所等を通じて講習会その他あらゆる機会に啓蒙指導をいたしております。しかし個別的な具体的な事案が不当労働行為になるかどうかということにつきましては、従来使用者側がとってまいりました態度あるいは職制などがどういう態度でもって組合に臨んでおったか、そういう諸般の事情を具体的に認定をいたしまして、総合的に判断してこれを決する必要がある。そういうことで、労働法のもとにおきましては、公正中立な第三者機関である労働委員会の公益委員のみでもってこれを審査する、こういう仕組みになっておるわけでありまして、事具体的不当労働行為の問題につきましては、やはり法の定める手続に従って労働委員会の公正なる判断を待つべきではないか、こういうふうに考えております。もちろん労使関係というものは双方が信頼関係を持って事に処していくべき問題でありまして、そういう労使関係のあり方あるいは不当労働行為というものをなしてはならないという趣旨、そういうものにつきましては、さらに一段と指導啓蒙につとめてまいりたいと思っております。
  68. 五島虎雄

    五島委員 関連して。——栗原さんの質問は指導監督制度、こういうことです。もちろんいま青木法規課長が言われたように、その事実の問題について、労使双方の争点についてどうであるからどうせいという指導は、これは監督官庁としてもできかねると思います。しかしながら一般的に組合を育成するということは、労働省の一つの任務であろうと思うわけですが、そうするといろいろの事実が固まって、もうまさに無期限ストに入ろうとしておる事実があるわけです。それは何からくるかというと、労働条件の劣悪、それに基づく労働組合の決起、そうしていま栗原さんが言われたように、どうしても企業内組合であったら自分たちの労働条件を維持改善することはできない、したがって私鉄総連に加盟をしようということでずいぶん長い間苦労に苦労を重ね、会社はそれを妨害し続けてきた。妨害したかどうかという事実については、これは別途に調査すればいいことである。しかしやっと去る二月二十七日に大会決定で私鉄総連の加盟が決定された。そうしたら組合が三日の後にはもうでき上がった、こういうのです。そうしてその事実に基づくと、その証言によれば、会社の各責任者が当日当晩に一堂に集まって、そうして組合分裂の策動を行なった。そうして三日の後には私鉄総連に加盟をしようというのが三分の二以上で決定されたにもかかわらず、今度は千二百名の中の七百名が分裂の組合に入ってしまった、こういうのです。さあそれからというものは、第一組合にはあらゆる策動が行なわれ、第一組合に残っているところの従業員に対しては、会社の幹部等々がどんどん個別訪問をするやら、あるいは直接やら、あるいは肉親を通じて、第一組合にとどまっていると将来の立身出世ができない、君たちの結婚に差しつかえるぞ、こういうように組合活動というものを脅威をもって脅迫しながら第一組合の分裂を行なっている。これはすでに不当労働行為として地方労働委員会に提訴をされておりますから、労働省が地労委の結論を、裁断をまたずしてどうこうというようなことは言い得ないだろうと思うのですけれども、あらゆる証拠が整っておると私は考える。そうすると、労働組合に対するところのこういうような弾圧あるいは介入というものが常時行なわれるということが想定されるわけです。そういうような事柄であれば、やはり労働運動の民主的な活動ができるように労働省はよく指導監督をしていく必要があるだろう。それはどういうようにこういうような会社組合との不信行為が爆発しているかということについては、さいぜんから栗原さんの質問のとおりに、労働基準法の違反は平気でやるわ、あるいは会社の恩義を労働者、職員、従業員におっかぶせて、おまえを採用したときの恩義を忘れたかとか、あるいは雇いから職員にしてやったときの恩義を忘れたかと言う、あるいは恩義をもってし、あるいは脅迫をもって第二組合に入るということをそそのかしつつあるということは重大な問題であろうと思う。それは上信鉄道のみならず、全国でもこういうようなことが行なわれておりますけれども、私は千三百名のバス企業あるいは鉄道企業というものは、中小企業の中の大きい企業だと思います。特に十六の傍系会社に二億八千万円も、自分の資本金の二倍も投資することのできる余力のあるところですから、そういうようなことですから、私は基準局も、あるいは労政局も、こういうことを不断に指導監督をする必要があるのじゃないか。もちろんバス企業の問題ですから、自動車局中心として常に指導監督、それらを怠ってはならないのじゃないか、このように思うわけです。われわれが二人で調査し、そうしてどこまでが事実かということはわれわれが推測する以外に道はないのですけれども、調べれば調べるほど、いわゆる不当労働行為の問題については全く現在こういうことが行なわれるかというように疑問を持って帰ったわけであります。あとでこの書類は差し上げますけれども、人権擁護局の問題になっている事件等々がたくさんあるわけです。こういうような事柄については一々ここで読み上げてわれわれが調査してきたことをこうだ、こうだということをやる時間はもうございませんけれども、あとで読んでみていただきたい。そういうようなことですから、私はこの際どうだ、こうだ、これに対する答弁を必要としませんけれども、よく御調査の上で指導をしてやっていただきたいということを関連的に要望いたしておきたいと思います。
  69. 肥田次郎

    ○肥田委員 私も関連で若干質問したいのですが、これは上信鉄道のバスは、事業規模といいますか、あれはいまどんな事情ですか、わかっておれば知らしてもらいたいと思いますがね。
  70. 宮田康久

    ○宮田説明員 現在上信電鉄は一般乗り合い、一般貸し切り乗用事業を私ども運輸事業関係でやっておりますけれども、その車両数は二百三十九両でございます。そのほか鉄道事業はもちろんやっております。
  71. 肥田次郎

    ○肥田委員 私のほうへ実はこういう報告がきのう来ておるのです。これは参考にしてもらいたいと思うのですが、先ほどから言われておったように、非常にこの事業経営というものに対する公共性が欠けておるのではないかということで、ある事業所に——この事業所の名前がちょっと私のほうではっきりわかりませんが、この事業所では車両が六台あるそうです。そうしてその車両が六台に対して運転手が六名、それから車掌が七名で、そのうち男が一名、女が六名。これが一事業所としてやっているようですね。ですから、先ほどから各委員から話が出ておったように、この車両六両に対して運転手が六名、それから車掌が七名といえば、もうこれ以上減らしようがないのですね。そういう実情があるということです。  それからもう一つは具体的に名前を言ってきておりますが、伊藤一人という人は四月二十日、二十五日、三十日、それから五月五日、五月十三日とそういう休日を一応とっておる。ところがもう一人の石井次郎という人は四月二十日と五月六日に一応休日ということになっておるけれども、これはそれぞれ半日出勤をしておる。ですから結局全出勤ということ——全出勤ではないけれども、ずっと出勤をしておる。こういう勤務状態だというのが先ほどの質問の中に証拠づけられると思うのです。そこで私のほうでお聞きしたいのは、この事業所で整備するところがない、こういうのです。ですからおそらくよその、いわば同じ企業の中のどこかの整備工場へ持っていって整備をさしていると思うのですが、そうなってくると問題になってくるのは、この道路運送車両法五十条でいうところの、十一人以上の自動車の使用者は、使用の本拠ごとに整備管理者を置いて、自動車の整備、点検をやる、こうなっておるのですね。こういう点は何か調査をされて、実情がわかっていますか。
  72. 宮田康久

    ○宮田説明員 各営業所ごとの実情をいまつまびらかにいたしておりませんけれども整備管理者は、場合によりましては事業所——営業所と申しますか、事業所を二カ所兼務いたす場合もあり得ます。その辺は十分今後調査して実情を見てみたいと思います。
  73. 肥田次郎

    ○肥田委員 まあどういう形態でやられておるか、これはいま言われておるように、事情がよくわかっておらないということならそれでいいんですが、しかし五十条にいうところの「本拠ごとに」という解釈は、これはそれからあとの法文の一項、二項を調べてみてもわかるように、とにかく一事業所に対してこれは一両でも整備管理者をつくりなさい、こういう法文解釈になりますね。そうするとあちらへ持っていってあちらでやらすというのは、これはできないことなんです。
  74. 宮田康久

    ○宮田説明員 いまの先生のお尋ねでございますが、整備する整備工場を持ちますのは、必ずしもその営業所には、事業所には持っておりませんでも、他の事業所でその整備をいたす場合は往々ありまして、実情によってはそれでもかまわないということであります。
  75. 肥田次郎

    ○肥田委員 かまわないということと、そうしてこの法文解釈とはどうなりますか。
  76. 宮田康久

    ○宮田説明員 御説明が足りませんでしたが、この五十条は、整備管理者を置くということを義務づけておりまして、必ずしもその事業所に認証を受ける整備工場の規模のものを置くということを義務づけておる規定ではございません。
  77. 肥田次郎

    ○肥田委員 そこで私がお伺いしておるのは、この一事業所、いわゆる六台の車両、六名の運転手、ここには整備工場はもちろんない、こういう実情の報告が私のほうに来ております。したがってこの整備工場というものが六台くらいで必要ではないことは、これはわかるんですね。同じ企業の中でどこかで整備しておるという実情もわかります。けれどもその事業所でだれかこの企業の中に、あなたの言われる解釈でいくと、企業の中に一人整備管理者がおればいい、こういう解釈になったら、これは困りますね。そういうことではございませんね。
  78. 宮田康久

    ○宮田説明員 お尋ねのとおり、そういうことではございませんので、整備管理が十分できる程度整備管理者をそれぞれ事業所に置く必要がございます。
  79. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは整備部長、実はこの関係は非常に微妙な関係であると思いますが、この五十条に、あるいは五十一条、五十二条、五十四条——五十四条はともかくとして、五十、五十一、五十二というこの関係は非常にまあ関係の深い事項ですから、先ほど言われたように、事業形態調査がやられておらない、それは早急にやらなければいかぬということを局長も言っておりましたから、ぜひその点を詳細にひとつ調査してもらいたいと思います。聞くところによれば非常にあいまいな事業経営をやっておるということがわかりますし、それからそれぞれの方々の質問を聞いておっても、いわゆる聞けば聞くほどこの公益事業というもの、交通事業というものに対する企業観念というものがまことにあいまいである。何のためにバス事業をやっておるのかわからない、こういう印象を受けます。ですから本来ならこのようないわゆるあいまいもことした経営実情にあるということなら、私はやはりこの当会社の事業代表者にひとつ御苦労でも国会に来ていただいて、そうして言われるような実情があるのかどうかというようなことも参考のためにひとつ聞かしてもらわなければならぬと思います。これは非常に重要な問題ですから、後刻理事会でひとつ提議したいと思っております。こういうような事業形態が今日あるということになりますと、これはもうそのまま黙過するというわけにはまいりませんから、十分その点をひとつ調査をしてもらって、そうしてその調査結果をひとつ報告してもらいたいと思います。ただ先ほどからそれぞれから注意が出ておりましたように、ただ向こうの報告を聞くというのではなしに、実情を実地に点検してもらう、こういうことでなくちゃいかぬと思いますから、その点もくれぐれも要望して私の関連質問を終わります。
  80. 川野芳滿

    川野委員長 次会は明後十二日金曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会