運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-06-09 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月九日(火曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 川野芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       亀岡 高夫君    木村 俊夫君       佐々木義武君    進藤 一馬君       高橋清一郎君    中馬 辰猪君       南條 徳男君    西村 英一君       細田 吉藏君    増田甲子七君       井岡 大治君    泊谷 裕夫君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (自動車局参事         官)      増川 遼三君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     坪井 為次君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 六月九日  委員泊谷裕夫辞任につき、その補欠として米  内山義一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員米内山義一郎辞任につき、その補欠とし  て泊谷裕夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月六日  岩日鉄道建設促進に関する陳情書  (第五七三号)  国鉄安全輸送確保に関する陳情書  (第五七四号)  同(第五七五号)  同(第五七六号)  同(第五七七号)  同  (第五七八号)  同(  第五七九号)  同(第五八〇号)  同(第五八一号)  同(第五八二  号)  同(第五八三号)  同(第五八四号)  同  (第五八五号)  同(第五八六号)  同(  第五八七号)  同(第五八八  号)  同(第五八九号)  同  (第六七二号)  同(第六七三号)  同(第六七四号)  同(第六七五号)  同(第六七六号)  同  (第六七七号)  同  (第六七八号)  同(第六七九号)  同(第六八〇  号)  同(第六八一号)  同  (第六八二号)  同  (第七三二号)  同(  第七三三号)  同(第七三四号)  同(  第七三五号)  千歳飛行場の第一種空港指定に関する陳情書  (第  五九〇号)  同(第  六八四号)  同  (第六八五号)  同  (第六八六号)  同(第六八  七号)  宇野港振興に関する陳情書  (第五九一号)  仙石線の複線化促進に関する陳情書  (第五九二号)  水難救護法の改正に関する陳情書  (第五九三号)  名古屋市の一般乗用旅客自動車運賃改定に関す  る陳情書  (第  六〇六号)  富山県の一般乗用旅客自動車運賃改定に関する  陳情書  (第六〇七号)  三重県の一般乗用旅客自動車運賃改定に関する  陳情書  (第六〇八号)  尾張地区一般乗用旅客自動車運賃改定に関  する陳情書  (第  六〇九号)  福井県南越、大野地区一般乗用旅客自動車運  賃改定に関する陳情書  (第  六一〇号)  三河地区一般乗用旅客自動車運賃改定に関す  る陳情書  (第六一一号)  岐阜県の一般乗用旅客自動車運賃改定に関する  陳情書  (第六一二号)  国鉄山陽新幹線早期建設に関する陳情書  (第六七一号)  列車の増発及び踏切の改良等に関する陳情書  (第六八三号)  国際観光路線形成促進に関する陳情書  (第六八九号)  国際観光事業振興のための整備地域及び国際観  光路線指定に関する陳情書  (第  六九〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路交通に関する条約実施に伴う  道路運送車両法特例等に関する法律案内閣  提出第一四一号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律案を議題として質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 前回の委員会お尋ねしましたが、なお結論的なお話を残しておりましたので、その点をお尋ねするわけですが、その前に、自動車ドア取っ手というか、そういうものの事故がありまして、この点で先日お尋ねしたのでありますが、その後この改良方についてどういうふうになったか、これを御説明いただきたい。  それからもう一つは、最近行楽シーズンになったと同時に、天候もかような状態でありますので、ともすればバス事故というのが多くなる季節になった。そこで、つい最近は、ある会社バス転落をいたしまして、死傷者をたくさん出したというような事故がありますので、これらについて一応当局からの御説明というか、その後の状況お話しいただきたい、こういうように思います。
  4. 宮田康久

    宮田説明員 最初お尋ねの件でございますが、先般トヨタ自動車が製造しておりますパブリカドアの前向きの取っ手事故が起こりました。その実情調査いたしました結果、昨年の一月から生産されておりますドア取っ手につきましては、先端のほうにまるみをつけまして、しかもその先端車体側面から出ないような構造にいたしまして、十分安全をはかっておりましたが、不幸なことに、先般事故を起こしました車につきましてはそれ以前のものでございまして、若干のまるみはつけておりましたものの、車体側面から二、三ミリのすき間がございまして、不幸にもそのすき間におそらくや衣類がひっかかりまして、ドア取っ手があきかげんがちになり、事故が起きたのだと判断をいたしております。したがって、この種の不完全な取っ手につきましては、安全のために全数取りかえる必要があると考えまして、トヨタ自動車工業話し合いをし、直ちに改善をされました取っ手生産にいま移っております。で、ほぼ七月中にはその取っ手が完成いたし、製造ができますので、でき次第次々に約三万弱と考えておりますが、三万台弱の車につきましてできるだけすみやかにこの二、三カ月の間に全数の交換をいたし、今後かかる事故のないようにいたしたいと私ども考えております。  それから第二点の御質問でございますが、六月六日土曜日の午後十一時四十五分に沼田を出発いたしました東武鉄道のバスが、これは栗生峠という、沼田から日光のほうへ回る国道百二十号線を十五キロほど参りましたところで事故を起こしたわけでございますが、この事故を起こしました道路は百六十度の非常な急カーブでございまして、若干上り坂でございます。道路危険標識等事前に出ておりましたが、たまたま道路事情といたしまして、カーブのちょうど終わりごろの地点樹木等がございませんで非常に前方が急にあけております。そういうような道路事情のところでこの事故が起きたわけでございます。  この運転手につきましては、昨年もこの道路路線に従事しており、一昨年も従事しておりまして、経験はございましたが、本年としては初めてのこの路線運行でありました。  いろいろ調査いたしました結果、車両欠陥事故ではございませんで、運転手がそこでおそらくは錯覚を起こしたのではないか。夜間のことでございますし、路肩が非常に見えにくい地点でございましたので、おそらくやハンドルの戻しが少し早過ぎたという結果で、道路と勘違いをしてまっすぐ飛び込んでしまったというような不幸な事故でございました。この地点道路保安施設ガードレール等、あるいは路肩危険標識等、十分な措置がしてあればこの事態にならなかったと考えておりますが、そういうような結果発生いたしました事故でございます。  また、この運転手は前日は公休でございまして、勤務状況を調べてみましたが、この一週間特に過労だと考えられるようなことではございませんでした。  いずれにいたしましても、そういう事故でございまして、直ちに東京陸運局長以下現地に参りまして実情調査し、現地への指示といたしましては、直ちに路肩危険標識等を十分に夜間でも見えるようなものを設置するということ、それから何といっても夜間勤務でございますので、勤務交番を十分考え過労にならないようにさせるということ等、現地指示をしてまいりました。  また運輸本省といたしましても、いまお話しのとおり、梅雨期は四、五月の繁忙期に次いで路肩転落事故の多い時期でございます。御承知のとおり路肩が雨のためにゆるみまして転落というような事故が多い時期でございますので、本日この実情調査の結果を加味いたしまして、全国危険防止のための処置を盛りました警告を発したわけでございます。  以上、簡単でございますが御説明いたしました。
  5. 久保三郎

    久保委員 前向きのハンドルの改装については、すでに当該会社でも良心的に手配をされたということでございまして、いずれこれは解消されると思うのでありますが、それ以外のメーカーの車にそういう装置のものがまだありはしないかと思うので、これらに対して実態調査をしているのかどうか。もしそういうものがありとするならば、この際やはりこの会社がやったような方法で当然改造するなり、あるいは車体検査のおりそういうものの改造を命ずるとかいうことが必要だと思うのだが、この点はどう思っていますか。
  6. 宮田康久

    宮田説明員 いま御説明が足りませんでしたが、他社の製品につきましてもいまお話しのような点がございまして、それぞれの各社いま改造計画を立てさして、直ちに生産に移らしております。そして全車過去に出しました車の交換をいまさせるようにしております。それからお話しのとおり車両検査に参りましたときには必ずそれを私どものほうで確認いたす、そういう処置をいたすことにしております。
  7. 久保三郎

    久保委員 なお貨物車についてでありますが、貨物車車体の外面に出て  いる突起部があると思うのです。たとえばトラックのうしろのとびら、これのとめ金などは間々外方に突出している、あるいはロープをかけるものが変なかっこうになっておるというような装置があると思うので、この際この事故実情にかんがみて、もう一ぺんかかるものについて点検してみる必要がある、こう思うのですが、これはどういうふうに考えていますか。
  8. 宮田康久

    宮田説明員 お話しのとおり、私どもといたしましては、一般的にかつてマスコット等事故がございましたので、保安基準には車体の外側に突起等のないように規定しておりますが、お話しのとおり車体についております各装置について今後十分検討いたしまして、この種の事故が起きないように処置したいと考えております。
  9. 久保三郎

    久保委員 次に、バス転落事故についてでありますが、いまのお話だと、この事故にかんがみて全国的に注意を喚起したと、こういうのでありますが、具体的にはどういう点をあげて注意を喚起したかを聞きたいのであります。特に私は企業責任というものを考えると、この日光の奥で起きた事故にしましても、道路状況がはたして夜間バス運転に適したかどうか。聞きますればそれはSカーブ地点である、Sカーブにおいては当然のごとくガードレールを置くとか、あるいは反射鏡をつけるとかいうのがなさるべきだと思うのでありますが、この事故については、その現場にはそういうものはないようなお話であります。これは企業から道路管理者に向かって要求するなり、あるいはバス運行企業自体路肩注意標識をつける、これは当然なされる性質のものだと思うのですが、そういうものについてどういうふうにやっているのか。  それからここでひとつ提案したいのでありますが、単にそういうことじゃなくて、自社運行路線については、定期あるいは不定期を問わず、そういう場所の道路調査企業はまず第一にやるべきじゃないか、あるいは豪雨があったあととか、あるいは定期的に道路調査するとか、そうして必要な個所には必要な措置をとり、運転者にも必要な注意を与える、こういうことが必要だと思うのです。ところがいまの事故だと、大体シーズンになってこれは一番最初事故だと思うのですが、はたしてそれは道路調査をしたのか、あるいは適切な道路管理者に対する要求をしたのか、これはなかなかしてないと思うのです。だから道路パトロールというか、そういうものを企業自体実施させるようにしたらどうか、こう思うのですが、どうですか。
  10. 宮田康久

    宮田説明員 本日付をもちまして各陸運局長を通じ各バス業者警告を出しました内容は、いまお話しがございましたことを第一点にあげておりまして、通路状況の把握を確実にすること、路線パトロール乗務員報告等により道路状況を常に把握し、特に山間路線については路肩標識危険個所表示等夜間にも十分見えるように、道路保安施設を整備することを第一点にあげております。  第二点に、乗務員安全教育をあげておりまして、常日ごろから乗務員安全教育に留意するとともに、観光輸送等一時的な輸送要請の増大に基づき他営業所路線に臨時的に乗務させる場合においては、当該路線状況を、訓練等によって事前に完全に把握させた後に乗務させるということ。  それから第三点としましては、乗務員過労防止につきまして、特に行楽地等における運行に従事する乗務員については、過労防止を考慮して、適切な乗務交番を作成すること、という点に重点を置いて指示しております。  なお先ほど道路管理者十分要求をして直さすべきではないかというお話でございましたが、昨年、やはりこの六月に全国に警報を出しまして、路線事業者は各路線について道路調査を十分やりまして、ここは不完全だと思うところについては、写真等十分資料を整えて、道路管理者改善要求をするということの指示を与えております。さらにそれにつきましては、陸運局へも報告をする。陸運局はさらにそれを道路管理者話し合いを進めるというような指示をいたしまして、その後、いま調査がだいぶ進んでおりまして、あるいは改善をされたところも次々に出てきております。そういう実情でございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 それからその事故以外に、そのあとだと思うのですが、西武かどこかのバス転落したと思いますが、これは原因は何ですか。
  12. 宮田康久

    宮田説明員 昨日早朝起きました事故でございますが、道路幅五メートルの幅で西武バスが二両すれ違いましたときに、片方の経験の浅いほうの運転手の車が、道路が雨でゆるんでおりましたために路肩がくずれて転落をいたした、そういう事故でございます。はなはだこれは遺憾でございまして、当然この際は、道路幅が五メートルでございますから、どちらかが下がって道路幅のさらに広いところで待避すべきでありまして、もちろんその際には熟練者のほうがやるべきである。会社側も非常にその点は認めておりまして、乗務員訓練についてさらに徹底をさせたいと言っておりますし、またそうすべきであると私ども指示しております。
  13. 久保三郎

    久保委員 前の日に事故が起きたばかりで、どうもそういう点の関心が会社自体にも薄いのじゃなかろうかと思うので、この点は十分注意してもらいたいと思います。  それからいまの通達の中で、運転手過労にならぬようなダイヤを組むようにという指示をするということでありますが、組むようにという指示だけでは、なかなか多客のシーズンにおいては無理な面も出てくると思うのです。これをチェックし、これを指導するのには、現実にどういうダイヤを組むのか、組んだのか、こういういわゆるチェックの方法についてはどういう考えでおりますか。どういうふうにしてこれを点検し、指導しますか。
  14. 宮田康久

    宮田説明員 今回の事故を起こしました当該会社に対しましては、直ちに監査をいたしまして、十分各営業所実態特別監査をいたすことにしておりますが、一般に各バス事業者につきましては、定例的な監査でその勤務交番等は最重点を置いて監査項目に入れて改善をさしております。
  15. 久保三郎

    久保委員 特に観光貸し切りバスの問題でありますが、これは限られた台数と乗務員でより多くの観光客を運ぶということで、多少シーズンには無理が出てくると思うのです。こういうものに対しては、ダイヤではちょっと処理できないと思うのです。何か基準を与えて指導する必要があると思うのでありますが、それはどういう考えですか。
  16. 宮田康久

    宮田説明員 いまのお尋ねの点につきましては、各陸運局で、それぞれ各地区路線状況が若干違いますので、若干の相違はございますが、原則として一日のキロ数がたとえば三百キロ以内あるいは実際のハンドル時間は二時間を基準にして必ず休養をとること、それから深夜の勤務は特に問題がございますので、一日の深夜のハンドル時間は四時間をこえないこと、というような、各陸運局でそれぞれ基準を設けて貸し切り事業者に対して注意を与えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 いずれにしましても、この種の事故は、予算というか、資金と人間の問題で片づく問題でありまして、不可抗力というものはあまりないように考えます。  そこで、これは運輸大臣がおられますので、大臣に伺いますが、どうも事故が起きてから当委員会などでも問題を提起しなければならぬというようなことで、非常に残念だと思うのです。いままでも適切な処置はしておると思うのでありますが、大体口は悪いのでありますが、運輸行政全体を見まして、大臣はたいへん優秀な大臣でありますが、どうも免許行政だけであと指導というものが必ずしも的確ではない。それも大事なことは大事でありますが、むしろいまあるところの輸送機能を安全に動かすということが最大の任務でなければならぬと思うのです。ところが事故が起きてから通達なり監査をする。国鉄についてもそうでありました。どうも昔の官僚行政というか、そういう気風があり、まあ大臣もとは言いたくはないが、大体その上に乗ってやっている。事故があったときは、今後万全を期してやるというような通り一ぺんの答弁を、陸海空全体の事故に対して何べんか繰り返し述べられているわけです。基本的にはやはり安全に機能を働かせるというところに行政指導重点がなければならぬと思うのです。もちろん運輸大臣が持っている権限免許をするかしないかとかいうようなことも大きな問題かもしれませんが、むしろそういう問題こそ私は重点においてやるべきだと思うのです。運輸省は先般交通事故の白書というか、そういうものを発表した。発表したが、それに対する対策として適切な手が今日までに打たれているかどうかというと、残念ながらそういうことはない。事故を起こした会社だけ特別監査をするなり指導をするということに追われていやしないかと私は思うので、毎回申し上げていると思うのでありますが、安全輸送対策運輸省ももっと真剣に考えて、各部局にわたるところもありましょうが、少なくとも統合した施策としてやるべきだと思うのです。その点で大臣はどう考えておられますか。
  18. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御指摘のようなことがままありますので、私どもは各運輸部局に対しまして運輸事故の絶滅を期するよう常に指示いたしておるのでございますが、全く根絶ができないのは遺憾にたえません。今後とも十分に注意いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  19. 久保三郎

    久保委員 やはり前の答弁と同じでありましたから別に悪いということではありませんが、積極性にはちょっと欠けているのじゃなかろうか思うのですが、毎回申し上げておりますから、私から別にこの際提案することはございません。  そこでもう一つ伺いたいのでありますが、たとえばこの間の事故にしても、夜中にバスを何台か出して行楽客を運ばなければならぬ。考えてみれば、なるほど金と時間と行楽客の目的というか、そういうものと三つが結んで初めてそういう輸送の形態も出てきたのだろうと私は思うのです。これは今日の世相からいって無理からぬものもあるのだが、はたして命をかけてのレジャーなりそういうものがあっていいかどうかという問題です。国鉄要求に応じて夜中にかけて汽車を出す。列車が着いた駅では、これまた夜半にバスを並べて出す。夜通しうつらうつら半睡眠状態行楽客は乗っていく。眠い目をこすって行楽地に到着して山登りかなんかをするというような形がはたしていいかどうかという反省、これを運輸最高責任者として考える筋じゃなかろうかと私は思うのです。もちろん金と時間の問題がありますから、金と時間をそのままにしておいてはなかなかむずかしい面もありましょう。そうだとするならば、まあ足元の明るいうちに、安い宿屋でもあればそこへ行って泊まって、翌朝早く起きて行くならば、これはバス運転も安全、行楽客も健康のままで十分な行楽ができる、こういうことだと思うのです。ところがそういう施設が実際は配慮がないために、既存の輸送をつなぎ合わせて無理をしているという結果がここに一つ出たと思います。こういうものについてひとつ検討する用意があるかどうか。これはもちろん観光局等も関係ございますが、いずれにしてもこれは検討して、正しいレジャーと正しい輸送、安全なものをこれは与えるべきだと思うのです。これはいかがですか。
  20. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 そのとおりでございまして、私どももそういう趣旨によって指導いたしておるのでございますが、やはり一方、レジャー要求する人間と、それから私企業の弊として、よくかせげるだけかせごうという考え方があることもいなみがたい事実でございます。これをどういうように指導していくかということは運輸省だけではなかなか困難でございまして、今後とも各省と連絡いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思いますが、なかなか困難であるということをひとつ御了承願いたいと思います。
  21. 久保三郎

    久保委員 仰せのとおり、なかなか困難というよりむずかしい問題だと私は思うのです。しかしこれは正しい国民レジャーを発展させるという観点からも、運輸大臣お一人ではできないと思うのでございますが、内閣全体の問題として取り上げるべき時期である。野方図のままに、行きたいところには行かせよう、そのあとを追いかけて夜中にもバスを出そうということをやっている限りは、これは国民大衆のためにも企業のためにも私はならぬと思うのです。そういう点でひとつこれは懸案事項として御研究をいただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つ、先般、運輸大臣はおいでにならなかったので、あらためてお伺いするわけでありますが、道路運送法の百三条に基づいて自動車運送協議会というものが設けられているわけであります。木村局長は、きょうは席をはずしたのかどうか知りませんが、おりませんけれども、もう木村局長の意見は大体聞いております。的にいえばわけのわからぬことをやっている、こういうふうに感じました。と申し上げますのは、自動車運送協議会があるにもかかわらず、その任命された委員に対しては去年の十一月にすでに各陸運局長から、御苦労であったがお役目ごめんということの通知が出ている。さらに今年度の予算には自動車運送協議会予算は一文もない、こういうのははたして正しいあり方かどうか。法律に基づいて設置されたものが、書面によりますれば関係閣僚懇談会で決定したという。そうなれば大臣が中心になって決定したと思いますが、運輸大臣法律にあることをやめさせる権限を持っているのかどうか。そういう協議会の設置があるのにこれをやめさせるという権限があるのかどうか、聞きたい。  それからもう一つ木村局長答弁では予算流用によってやると言うが、流用ができるほど運輸省予算は余裕があったのかどうか。この二点をまずお伺いしたい。
  22. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 昨年の十月四日の関係閣僚懇談会におきまして、通常の場合は自動車運送協議会に諮問することはない、適時適切に処置するということを議しておるのでありまして、このまま予算流用してどうするとかこうするとかいうようなことにつきましては、私はさような流用をしてやるような予算のあり方というものはまだ承知いたしておりません。輸送力が著しく過剰になったからして、この場合は異例ではあるけれども、同協議会の諮問を慎重に取り扱えということをきめたのでありまして、なお陸運局長に対しては聴聞制度等の活用によりまして行政を民主化するように徹底して、行政のあり方を配慮するよう積極的に指導しておりまして、行政指導によってそれを協議会に諮問するとかしないとかいうのは陸運局長考え方でございますからして、陸運局長自動車運送協議会に諮問しておったのでは車の需給の適時適切の点が行なえないからして、随時それを適用する、自主判断によってやるようにして、法律を適当な機会に改正するよう、いま考えておる次第でございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 大臣答弁は、下僚であるところの局長の答弁とだいぶ違う。一つは、予算の点でも流用などは考えておらぬと言うが、局長は流用考えているのですよ。きょうは局長がおらぬけれども、そんな食い違った答弁はないはずだと思うのです。  それからもう一つは、あなたは書面をお読みになっていないかもしれないが、今度はいわゆる関係閣僚懇談会で、この百三条の第二項の一号、いわゆる需給関係の問題でありますが、この問題については陸運局長の裁量によってやることを示されたからさよう御了承願いたいということです。あなたの答弁は、陸運局長の書面とはだいぶ違うのですよ。陸運局長は、今度は一切おれがやるようになった、だからおまえらに諮問する必要はなくなったからやめてくれ、こういうのです。しかも百三条によるところの自動車運送協議会の役目というものは第二項の一号だけの話ではないのです。たとえばいまお尋ねしたような輸送の設備の改善とか、その他いろいろな問題があります。お読みになっているかどうかわかりませんが、これには「輸送施設改善に関すること。」、これが第二号、第三号は「運賃及び料金の基準に関すること。」、それから四号は、「従業員の服務及び養成に関すること。」、五号として「その他輸送に関する重要な事項」、これは当然のごとく諮問しなければいかぬのです。この前の委員会で關谷委員からもこの立法当時のいきさつをお話しがありましたが、なるほど法律の文言では、陸運局長は必要なときに自分の判断によって諮問をすればよいと書いてある。ところがこれはそうじゃなくて、法律の体系からそう書いたのであって、決して陸運局長の独断で諮問するか諮問しないかをきめるのではなくて、当然諮問すべきものである、こういうのが当時の立法の精神であったと思う。その問題はいずれにしても、先ほどお話があったのは第二項第一号だけの話でありまして、それ以外の案件で重要なものがたくさんあるのです。さらにもう一つは、苦情の問題についても調査しなければならぬ。だから、これはあなたがおっしゃるように当然改正を意図しているから、まあことしは機能停止のままでおこう、そういうことですか。
  24. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いまそれを検討して改正するように努力いたしたいと考えております。
  25. 久保三郎

    久保委員 その努力といまのその陸運局長通達、いわゆる協議会はもうやらないということとは別だと思うのですね。改正する意図があろうがなかろうが、法律に示され、法律によって設置された協議会を、勝手気ままに、内閣の閣僚懇談会かなんかわからぬけれども、そういうもので左右される性質のものではない。むしろいま問題は、料金の問題もあるかもしれない。料金などは、なるほど最終的には運輸大臣の認可事項でありましょう。あるいは運審にかかる問題でもありましょう。しかし自動車運送協議会にかかる問題でもあるわけです。そういうものを抜きにして、いわゆる大臣権限だけを強化していこうということについては、われわれは反対です。いわゆる民主的な政治というのは、広く大衆の声、国民の声を聞くということでありますから、自動車運送協議会もその一つだと思います。なるほど発足当時、いわゆる需給関係は逼迫していたから。大体東京都においては年間幾らぐらい必要だろうか。それを査定してもらうというのも一つ方法でありました。最近は大体需給関係はおよそ問題はなくなった、こうおっしゃれば問題はないかもしれない。実際はないかもしれない。あっても軽微なものだ。しかし、はたしてそういう情勢になっているかどうかは検討を要する事項であります。いずれにしても、この第一号の問題は別としても、自動車運送協議会が果たさなければならない役割りはたくさんあるのです。それを、あなたの御答弁木村局長答弁を聞きますと、法律にあるけれども、それはやらぬのだという結論になりますが、そう了解してもよろしゅうございますか。
  26. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 法律にきめてあることを曲げて、私個人、運輸大臣が、権限でそれをどうこうするということはありません。その車両の増強等につきましての分は、私は何も法律に違反とは考えておりません。陸運局長権限で諮問し、そうしてきめているのを、自動車運送協議会の答申を待つまでもなく、必要の度を、そのつど決定をせなければ困る事情にありますから、行政の作用としてやったのでありまして、協議会のことにつきましては、もちろん法律が言っておるのでございますから、法律に従ってやるということは当然であります。
  27. 久保三郎

    久保委員 法律実態はあなたがおっしゃるとおりなのです。法律に書いてあることをかってに曲げることはできない。ところが御答弁の内容からいけば、あるいは陸運局長の書面から見ると、大体自動車運送協議会は要らないことになる。なるほど形はあるかもしれない。委員はお役ごめんでありますから、法律はあるが中身はないのですよ。それじゃこの自動車運送協議会をことしになってからやったところがありますか。これは事務当局に聞きますが、ありますか。
  28. 坪井為次

    ○坪井説明員 自動車運送協議会につきましては、ただいま大臣が御答弁したとおり、従来その使命がハイヤー、タクシーの輸送力の増強ということについての諮問の答申ということにほとんど重点が置かれておりました。それが閣僚懇談会で、通常の場合には需給の策定について諮問することをやめまして、適時適切に陸運局長が車をふやすことについて処置したほうが適切であるという判断に達しましたために、一応通常の場合の増強につきましては諮問をしないという方針になったのであります。この旨を陸運局長に通牒いたしたわけであります。これを受けました陸運局長は、従来自動車運送協議会の主たる使命がこの問題でありましたために、一応さしあたって協議会を急いでつくらぬでもというような状況になっておるというふうにわれわれは思っております。もし必要がある場合には、われわれとしては陸運局から要請があれば直ちに予算措置を講じたい、内容その他について大蔵省と折衝したい、こういうふうに考えております。
  29. 久保三郎

    久保委員 この諮問の問題でありますが、あなたの答弁では、閣僚懇談会で、需給の関係ではもう諮問しないで、陸運局長でやっていいだろう、こういうことをきめたそうでありますが、これも越権行為だと思うのです。陸運局長権限を持っているのでありまして、閣僚懇談会の筋から自分の権限について何も変化のないことに指示を受ける必要はないのです。私はそう思います。諮問するかしないかは、法律の文言だけによりますれば陸運局長の判断でよろしいので、よろしいのをこの際なぜ陸運局長だけでやれと、こういう指示をされたのですか。なぜ陸運局長だけでやれという指示をされたか、私はおかしいと思う。こういう必要は毛頭ないと思う。  それからもう一つは、法律の第二項第一号の需給関係についてのみこの自動車運送協議会発足の理由があったというが、とんでもない話。それならばあと五号まで書いてある、あるいは二号以下に書いてある事項はなぜつけてあるか。もちろん今日では需給の関係以外に問題が多いのであります。苦情の問題もしかり、たくさんある。そういうものについて諮問する意思は毛頭最初からなかった。これくらい法律の権威を冒涜したものはないと思います。運輸大臣、どう思いますか。
  30. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申しますように、法律できめたことをかってに変えることはできませんから、法律が生きております以上、そういうことが必要であれば諮問するのは当然であると思います。
  31. 久保三郎

    久保委員 委員がお役目ごめんであって諮問ができますか。構成メンバーが欠けておって諮問できますか。
  32. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 あらためてまた委員をお願いしても、指名してもかまわぬと思います。
  33. 久保三郎

    久保委員 任期の切れないものを、昨年の十一月にお役目ごめんという通知を出したのはどういう気持ちですか。
  34. 坪井為次

    ○坪井説明員 任期が切れましてまだ任命の手続きが行なわれていない状況でありますが、別にやめさせたということではないのであります。
  35. 久保三郎

    久保委員 任期が切れて新しく任命しなかったなら別です。これは怠慢ということ。怠慢じゃなく意識的に首を切って、それを空白にして置く。法律無視もはなはだしい。そうですよ。大臣、あなたに申し上げたいのはたくさんあるけれども、この間も、建設大臣との間に空港問題について、あなたは運輸省の設置法から組織法から全部出して、かくかくの条項でおれの権限だとおっしゃった。そのとおりなんです。あなたの権限のあるところを侵されたので、これは話が違うじゃないかということです。ところが、大体やる気がないから法律があってもやらぬというのですよ。じゃ一体どうしてやる。構成のメンバーがない。どうやってやる。諮問の事項があればというが、事項があるなしにかかわらず、構成はしておいて、諮問する必要があればそれを招集するのが陸運局長のたてまえじゃないですか。話は逆ですぞ。
  36. 坪井為次

    ○坪井説明員 札幌の陸運局から何か運輸省の書面が出ているということを聞きましたけれども、いまちょっと手元に来ていませんが、その趣旨は長い間諮問でお世話になったということで、とりあえずこういった需給の調整の諮問については今後しなくなったからという意味で、別にやめさしたとか何とかいうことではないと思っております。   〔「長い間ありがとうございました、お世話になりましたというのはどういうことだ。」と呼ぶ者あり〕
  37. 久保三郎

    久保委員 業務部長、こちらから不規則発言で出ましたが、そのとおりなんです。これは事、札幌ばかりじゃない。この書面を別に私は対象にはしていません。書面が出ていない陸運局があるかもしれないが、同じような形でやっているんですよ。だからさっき聞いたことに答弁できないんですよ。ことしになってからそういう協議会を開いたところがありますかと聞いておる。ないでしょう。
  38. 坪井為次

    ○坪井説明員 ありません。
  39. 久保三郎

    久保委員 ないということと、先ほどの運輸大臣答弁、この前の木村局長答弁を総合すれば、法律にあってもこいつはやめておくんだ、こういうことですよ。そんなことが許されていいのかどうか。なるほど国会の側から、国民の側から見てもいますぐ自動車運送協議会は必要ないということなら、ちょっとお休みという形態もあるかもしれない。しかし、今日自動車運送の問題は各所にいろいろな問題がある。もっと民主的に解決する方法もあるわけです。しかも陸運局のいわゆる要員の問題は、監査をするにしても、指導するにしても、苦情を処理、調査するにしても、これまた実際充足されていない。そういうものこそ民主的なこの協議会によって手助けを受けるのが当然の処置ではないか、そういうふうに思うのです。だから、いままで自動車運送協議会を利用して需給の関係だけをやってきた、官僚がいわゆる隠れみのに使ってきた、そういうばかばかしいことをやってきた、ここで反省したというよりは、もうしようがないからポイだ、こういうやり方に対して、われわれは憤りを感じます。あなたらがやっていることはみんな法律違反です。運輸大臣以下御答弁もありましたが、法律違反ですよ。自動車運送協議会について予算がない、要員も充足できぬと言うんだが、どうします。委員は全部ないと言う、どうします。やりますかやりませんか、いかがですか。
  40. 坪井為次

    ○坪井説明員 協議会委員の問題につきまして、誤解を受けるような書面を出しましたことははなはだ遺憾に思います。協議会の運用につきましては、ただいまお話しのようにいろいろと他の項目もございます。そして従来も輸送力の需給の策定ばかりでなく、ほかの事項につきましても諮問した例もございますが、実績におきましてはあまり明確な運営が期されなかったということから、従来策定に中心を置いておったわけであります。しかし、なおそういった項目がございますので、これらの活用につきましてはわれわれとしても十分検討をして、その上でまたこの協議会についての答申にも触れたいと考えております。できる限り活用については検討してみたいと思っております。
  41. 久保三郎

    久保委員 たびたびの御答弁でありますが、どうもこれは納得できません。予算も取っておかぬし、委員もお役目ごめん、それじゃあなたのほうでは自動車運送協議会は構成されておりますか。
  42. 坪井為次

    ○坪井説明員 この協議会につきましては、任期が定められておりまして、大体任期が切れますと、それぞれ各陸運局でまた人選をしまして、お願いして、また任命して構成されるというかっこうになっておりますので、一応ただいまのところ、任期が切れたままさしあたっての重要な諮問事項が陸運局で見当たらないというようなことになっているので、任命の手続その他もおくれているというふうに考えております。  なお、予算の点につきましては、従来会議が開かれましたときに手当を出しておりますが、額としては非常に少ないものでございますから、これにつきましては事務当局として、大蔵省と、そういった場合には流用で十分めんどうを見てもらえるよう話し合いをしているのであります。
  43. 久保三郎

    久保委員 任期が切れたまま、そのままになっているということでありますが、これは怠慢ですよ。そういう答弁ならば怠慢です。そうでしょう。任期が切れたら直ちにこれは任命の手続をして構成をしておくべきだ。それからもう一つは、諮問する事項がいまのところない、これは独断ですよ。官僚の独断だ。諮問事項は幾らでもある。それから、この協議会が構成されておればこれは建議ができる。どういう構成をして会議を開いたときにどういう建議が出るかわからないですよ。これは一方的な判断であります。これは断じてわれわれは承服しかねる。いまのような答弁だけでは承服しかねる。少なくともこれは綱紀紊乱というか、官僚がいわゆる権力主義を強めていこうというのです。こんな法律を無視したようなやり方については私は徹底的に糾弾していかなければならぬ。大臣、あなたは法律を無視していないとおっしゃるが、実態は、全部無視していますよ。どうですか。
  44. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は法律を無視する意図は毛頭ありませんし、またすべきでないと考えております。ただ、いま必要に応じまして協議会委員を任命することにつきましても、——運営は陸運局長権限を持っておりますから、速急に今後委員を任命いたしまして、もし諮問する申し出の事項があれば、これは審査するということで、私は法律無視の考えは持っておらない。そこで、怠慢といえば怠慢かもわかりませんが、それにつきましては今後十分注意いたしたいと考えております。
  45. 久保三郎

    久保委員 とにかくこういうことを気がつかぬというと、ちょいちょいおやりのようであります。もちろんこの自動車運送協議会をこういう形に、いま実態として、しておく裏はわかっております。裏はわかっておりますが、それとこの問題は実際別なんですよ。そうでしょう。そこらのかみ分けをしないようではいけないということと、法律に違反する意思はなくても実態は違反している、それを平然と、言われなければこのままでこの一年間通しておいていこうという腹は見えすいております。これくらい国会や国民を無視した話はないと私は思うのです。直ちにあしたの生活に響くわけじゃありませんから、事は小さいかもしれませんよ。しかし筋を言うならば、これは法律違反、無視、こういうことになります。これはあらためてまた取り上げます。  次に、もう一つは、運輸審議会という機能があるわけですが、運輸審議会というのは、いままでもたびたびここで論議しましたが、大臣運輸審議会の関係はどういう関係になりますか。
  46. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 運輸免許、許可等につきまして審議会の意見を聞きまして、大臣が判断する資料にいたすということに考えております。
  47. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、大臣の意向が固まってから審議会にかけるものではありませんな。
  48. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もちろんそうでございます。現に審議会の議に付して審議会の意見を尊重して、認可するせぬは私の権限でございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 ところがたびたびというか、いろいろな問題で——きょうはこまかいことは申し上げませんで、大綱だけ申し上げます。大臣なり原局の意向が固まってから運輸審議会にかけている、これが実態のようであります。これまた法律違反というか、越権行為だと思うのです。こういうことを平然といままでやってこられて、言うならば運輸審議会も自動車運送協議会と同じような運命をたどりはしないか、隠れみのになる、こういうことで、いわゆる行政の民主化だとは決して申し上げられません。かえって悪質だと私は思います。そういう意味で、私はこの点だけ私の考えを申し上げておきます。いずれにしてもこれはあとでまた取り上げますが、大臣の方針をきめてそれから運輸審議会に形式的にかけるというようなことがあってはならぬと私は思うわけであります。十分に注意していただきたいと思うし、いま申し上げた自動車運送協議会については、その推移を見守って、あらためて取り上げていきたい、かように考えます。
  50. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私が運輸大臣になってから、私の方針をきめて形式的に運輸審議会に諮問するなんということは絶対にありません。私はそれだけは誓って申し上げます。自動車運送協議会の点につきましては、怠慢といえば怠慢ですが、委員を早急に任命いたすようにして、諮問事項については法律の定むるところによってやっていきたいと考えております。
  51. 久保三郎

    久保委員 誓って、ないそうでありますが、いずれあるかないかは別な機会にお尋ねをしたい、かように考えます。  いずれにしても問題はこういう法律的に見てもおかしいようなものを平然とやられたのでは、われわれとしては困るのでありますから、その点は十分注意していただきたい、かように思います。  以上です。
  52. 川野芳滿

    川野委員長 内海清君。
  53. 内海清

    ○内海(清)委員 陸運行政につきましてはいろいろお尋ねしたいこともございますが、私はとりあえず今度の道路運送車両法の特例法について簡単に二、三御質問して終わりたいと思います。  この条約の締約国の国民が自家用車をわが国に一時輸入した、この場合に条約に基づいていろいろな利益が受けられるわけであります。そこでひとつお伺いしておきたいと思いますのは、締約国登録自動車であるということが明確にならなければならぬ、はっきり識別されなければならぬと思うのでありますが、これはどういうふうな方法によってなされますか、まずお伺いしたいと思います。
  54. 増川遼三

    ○増川政府委員 締約国登録自動車といたしましては、法律の第二条の定義の第二項にも書いてございますとおり、「締約国若しくはその下部機構によりその法令に定める方法で登録されている自動車」あるいは「これにより牽引される被牽自動車」ということが第一の条件となっておるわけでございます。次にこれらに対しましては、さらに一号、二号、三号の条件が掲げられておるわけでございまして、このような自動車であるかどうかということをはっきり確認した上、わが国の法規に照らして取り扱っていくわけでございます。入ります際には当然税関を経由するわけでございまして、その際に大蔵省の関税当局がこれを十分に把握いたしまして、これの一時輸入に関する税金というものを免除をする、こういうことでございまして、これらの条件に合致している限りにおきましては、ただいま議題になっております特例法によりまして、検査、登録というものを適用除外されまして、各本国の手続のままで国内を走らせよう、こういうことになっておるわけでございます。
  55. 内海清

    ○内海(清)委員 わが国に締約国の国民が車を一時輸入して持ち込みます場合の手続は、いまお話しのとおりであります。ただこれが国内へ一たん入りまして、それぞれ使用されておる場合、そういう条約国の登録自動車であるかないかというのは、何か識別するための標識をつけるのですか、その点はどうですか。
  56. 増川遼三

    ○増川政府委員 それぞれの登録を受けております国の識別記号というものが表示されていなければならないというふうに条約で規定をされておるわけでございます。
  57. 内海清

    ○内海(清)委員 それは何か具体的にその自動車車体か何かに表示するものがございますか。
  58. 増川遼三

    ○増川政府委員 ただいま申し上げました識別記号のほかに、証明記号、それから当該車両の固有の登録番号の記載というものがございます。
  59. 内海清

    ○内海(清)委員 これに関しましては、いずれにしてもわが国で取り締まる場合、その締約国の登録自動車であるかないかということが一見してわかるようなことが必要なんじゃないか、こう思いますが、その点はどうですか。
  60. 増川遼三

    ○増川政府委員 締約国登録自動車は、その本国で発行を受けてまいりました登録証書を持っておりまして、これを常に携帯しながら運行をさせるようにいたしております。この登録証書を見ればどこの国のどこで登録を受けたものであり、かつどういう番号の車で、車名、年式その他も全部これでわかることになっております。
  61. 内海清

    ○内海(清)委員 次にお伺いしたいと思いますことは、この条約の利益を受けられるのは、先ほど申しましたような当該車を持ってきた人だけである、あくまでも車をもって国際交通をしたというその場合に限られるわけであると思う。ところが一面では、これは国際免許証の関係がある。その免許によって国内の車でも何でも運転することができるのかどうか、この二つの関係は、どういうことになるでしょうか。
  62. 増川遼三

    ○増川政府委員 法律の二条二項二号にございますとおり、「当該自動車を輸入した者の使用に供されるものであること。」ということになっておるのでございまして、通常の場合におきましては、これを輸入いたしたもの自体でございます。ただ条約で認められておりますとおりに、この自動車運転するということにつきましては、入国をいたしました先の国民、たとえば日本に外国から来ました場合におきましては、日本人を運転手として採用して運転をやらせるとか、あくまで市を使うのは自分が使うのでありまして、これを運転させるのは人を雇ってやらしてもよろしい、こういうふうになっております。
  63. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、それは結局所有権がその人にあればいいというふうに解釈するわけですか。
  64. 増川遼三

    ○増川政府委員 使用権がはっきりしておればよろしいということでございまして、その自動車に対する事実上の支配権があるかどうかということで判断さるべきものであろうと考えております。
  65. 内海清

    ○内海(清)委員 次にお伺いしたいと思いますのは、特にオリンピックがございまして、こういう締約国の外人にしてわが国に一時輸入というような形が相当出てくるのではないか、かように考えるわけでありますが、ところが現在わが国におきますいろいろの交通標識等を見ましても、なかなか複雑であってわからない。ことに私どもが平素車に乗りまして感じることは、日本の運転手でさえどこが右折禁止であるか、あるいはどこが一方交通であるかというふうな点もいろいろ迷うことがきわめて多いのであります。そういう状態でありますので、標識もいろいろ整理されておるようでありますけれども、ただ標識の整理だけではなかなか困難な問題も出てくるだろう、そういうふうなものを入ってきた外人に十分知らすということは非常に重要だと思います。それができなければ、なかなか快適な旅行もできぬだろうというふうに思うのでありますが、これらの点についてはどういうふうな処置が行なわれるように検討されておるか、お伺いいたします。
  66. 増川遼三

    ○増川政府委員 交通標識あるいは交通方法につきましては、現在すでに警察庁がいろいろ検討いたしまして、現在におきましては国際標識を大体ほとんど採用いたしております。多少の違いはありますけれども、大部分の交通関係の標識は国際標識に統一をされておるといってもよろしいかと存じております。現在まだ古い標識でつけかえが完了してないところも多々あろうかと存じますが、大体オリンピックの際までにはこれらについて完全につけかえを徹底するというふうに警察当局あるいは道路管理当局から聞いております。それからこれらの交通標識あるいは通行方法等におけるいろいろの注意すべき点があるわけでございますが、これらにつきましては、われわれ当局側並びに今後一時輸入に関する通関条約あるいは道路交通条約の関係で——民間団体として日本自動車連盟という団体がございまして、この団体は、国際連合の民間機関として設立されておりますFIA並びにAITという両団体がございます。前者が国際自動車連盟、後者は国際旅行連盟というものでございますが、これらの両国際団体に、この日本自動車連盟、通称JAFと申しておりますが、これがすでに加入をいたしておりまして、これが関税関係のお世話をし、また外国から日本に入ってきた車の世話もし、また日本から外国へ行く車の世話もするということに相なるわけでございます。この団体を通じまして各締約国に所要の事項のPRを徹底をさせるようにすでに手配を準備しておる次第でございます。
  67. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろ準備はされておるようでありますが、実際に入ってまいりまして国内旅行する場合に、標識の問題だけではなかなか片がつかない。それはその位置に行かなければわからぬ。したがって、たとえば東京に入ってきても、東京の詳しいものは知悉できぬでしょうけれども、幹線等についてはあらかじめそういう知識を持つようにさせる。このためには、あるいはそういうふうな地図をつくるとか、何か入ってきたときに、これを十分それらの人々に知らす方法考えられなければならぬと思うのですが、そういう点についてはどうでしょうか。
  68. 増川遼三

    ○増川政府委員 仰せのとおり、やはり初めて参りましたところについては、非常に戸惑うことが多いかと存じます。これにつきましては、外国人のわかりやすい外国語も入れました道路マップ等の準備も考えております。また諸注意事項を記載いたしましたパンフレットも用意いたしまして、入国の際に、先ほど申しましたJAFを通ります際に、全部へ交付し、また説明をしてやるというふうにわれわれとしても考えております。諸外国にこれと同様の各団体がほとんど欧米各国全部ございまして、これらに私どもも行っていろいろ見てまいりましたが、非常にこの点は徹底して親切に指導をしてくれるというかっこうになっております。わが国のJAFの団体もこれらと同様の処理ができるように、現在の内容の充実もはかりつつあるわけでございます。
  69. 内海清

    ○内海(清)委員 いずれにしても、この点はよほど詳細な計画とPRがなければ、かえって混乱を来たすのではないかということを心配いたすわけであります。十分ひとつこの点については御研究願いたい。  これで終わりたいと思いますが、最後に、おそらく外人などがわが国に入ってまいりまして、特に東京などでは相当交通につきましては困惑する状態であろう、交通がこれほどひんぱんでない国からやってきた場合、あるいは非常なハイスピードになれている国からやってきた場合、あるいは特に簡単に免許が取得できるような国からやってきた場合、こういうふうな場合に、東京へ車を持ってきたためにかえって事故を起こす心配はないのかという点でございます。したがって、これにつきましては、特にオリンピックを控えまして、あらかじめわが国の交通事情その他について十分承知させておく必要があるのではないか、事前PRが必要ではないかというような気もいたすのであります。もちろん私は、この運転について重要なことは、その運転する人の注意力の問題だと思いますけれども、しかし長年の習慣というものはなかなかそういうわけにまいらない。これらの点を私は非常に心配いたしておるわけでございます。これらについてはどういうふうにお考えになりますか。
  70. 増川遼三

    ○増川政府委員 運転者の技量などにつきましては、同じく道路交通条約の中で国際運転免許に関する規定がございまして、それに基づきましてそれぞれ国内法で措置をとっておるわけでございます。今回わが国におきましても、この条約に加入すると同時に、道路交通法の中でもこの点を改正措置を完了しておるわけでございます。したがいまして、運転技術等につきましてはおそらく問題はなかろうかと存じますけれども、東京とか大阪のように普通と違う交通事情にある、ふくそうが非常にはなはだしいという場合に、スピードになれたところからやってくるとか、あるいはあまり交通の事故等の経験のない地域から入ってくるというようなことも非常に注意をしなければならぬわけでございまして、こういった運転マナーにつきましてのPRにつきましては、現在、警察庁ともかねがね協議をいたしておりまして、国連の関係機関を通じ、また先ほど申しました自動車に関する国際団体を通じまして、あらかじめ承知をしておいてもらうという措置を講ずる予定でございます。また国内に入国した際に、そういったことにつきましては特に注意事項としてそういった点を記載したパンフレットを交付して注意を喚起する、こういう予定にいたしております。
  71. 内海清

    ○内海(清)委員 これで終わりますが、いずれにいたしましても、この条約に加入してそういう外人あたりの一時輸入を認めることによって、わが国の、ことに大都市におきます交通が混乱するとか、あるいは交通事故がそのために増加するとか、こういうことがあったのではまことに相ならぬ、これは条約に加入する趣旨にも反すると思います。したがって、そういう点につきましてはひとつ十分留意されまして、その措置に当たっていただきたい、このことを強く要望して質問を終わります。
  72. 川野芳滿

    川野委員長 他に御質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 川野芳滿

    川野委員長 御質疑もありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  74. 川野芳滿

    川野委員長 これより討論に入るのでありまするが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  75. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  77. 川野芳滿

    川野委員長 次会は明十日水曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会