○
石原説明員 もう
一つの御
質問の、
線路の
故障に対する配意をいかにしているかということでございますが、
線路と申しましても、レールの問題と、その下のどろの問題と、かなり違った実情になりますので、この二つに分けてお答えいたしたいと思います。
レールの
状態が車輪との関連におきまして正しく保たれているということが
高速運転では非常に大事な点でありまして、この点は従来の
鉄道よりもはるかに限度を詰めて
考えなければいけないと思います。それに対しまして何段がまえにも
考えておりまして、まず最初の設計構造というものが在来の
線路構造の概念とは相当飛躍した厳重なものになっております。つまり砂利層を相当厚くいたしまして、その上に
コンクリートのまくら木を敷きまして、これは非常に重くなっております。それからその上に置きましたレールも、太さは、従来のレールに比べて、少しだけではありますが、太くなっております。丈夫さ、こわさという点から申しますと三割増しになっておりまして、それをバネと
ゴムを使いまして、いわゆる弾性的に一定の力でぎゅっと詰めております。こういたしますと伸び縮みも相当に抑制いたしますから、横の張り出しにしても、上の飛び出しにしても、
線路の狂いにつきましても、在来とは比較にならないほど丈夫な構造のものになっております。したがいまして、レールは一キロ半全部接続し溶接してありまして、その一キロ半ごとに、これは安全のために伸縮継ぎ手というところをつくっておりますが、これはほんとうの念のためでありまして、理論的に申しますと、五百キロメートル全部一本のものにしてしまっても大丈夫のような構造になっております。まずそこで非常に丈夫なものになります。
それから、それを検査いたしますのに
車両検測車を用います。従来は大体歩いて回り、見て回ったのでございまして、これが検査の主体になっておりましたが、これには欠陥もございますので、非常に精密な検査測定のできる検測車というのを
列車につないで走らせます。つまり
列車が走行しておる
状態で、高
速度で重荷がかかる、その高
速度で走っておるときに
線路はどんな
状態になっておるか、
線路と車輪との
関係はどうなっておるかということを走りながら非常に精密に測定できる。これは世界に誇っていい精密な
車両であります。それによりまして、大体開業当初は一週間に二度ずつくらい走らせるつもりに
考えております。現在は試
運転期間中でございますから、東京と大阪との試
運転におきまして
——大阪には走っておりませんが、もっとひんぱんに
運行するつもりに
考えております。それから一日に
列車二往復くらいは
車両の中に振動計を前部と中部と後部とに取りつけまして、それで一応の振動を測定する
かっこうになっております。要するに目で歩いて見るかわりに機械的に走行
状態を測定するということを
考えております。このほうがはるかに進歩的だと
考えます。なおレールのきずのようなものは、超音波探傷器のようなものでやることになっております。それできずも未然に発見するというのを使うことになっておりまして、レールのきずというものはいきなりぱっと切れるわけではありませんで、きずが入りましてそれをそのまま気がつかずにおきますと口があきますから、あらかじめそれを調べるということであります。なお一度レールが切れた場合どうなるかということは、研究所の試験をいたしましたが、欠損してもまくら木で抑えつけて非常に厳重にしておりますから口は十センチもあかない。これは押えられておりますので、かってに伸び縮みができないし、そうたいした口があかない。そうすれば高
速度でその上を走りましても飛んでいってしまいますし、危険はないという結論になっております。
以上が大体レールそのものの危険の問題であります。
次に、砂利から下の土の
部分ですが、これのほうがだいぶ問題が多いと思います。土を盛りましたところ、あるいは切り取りましたところであります。土というのは、遺憾ながら草がはえて、土が全部落ちつきますまでに若干の年月を要するのであります。したがいまして、大きな土盛りを要するようなところはなるべく早く工事をいたします。大体土の大
部分は、一年以上の経験を経てから、風雨にさらされてから開業になります。場合によってはそれ以上、二年以上もさらされており、その間に極力落ちつくということになりますが、雨のひどい豪雨のときとか、暴風雨のときといったような場合には警戒をしなければならぬ。要するに今日のようなよく晴れたときに
線路の下の土が急にぱっと下がるというようなことは絶対ございません。そういう工法はいたしておりません。非常に丁寧な工法をいたしております。ただし、ある
程度以上の雨が降りましたときは、土質、地質によりまして心配なところが出てくることが予想されますので、これはあらかじめよく測定をしておきまして、ある
程度以上の雨量の場合には直ちに警備員を配置するという計画にしております。この点は現在線と非常に似たような形式をとることになります。
なお、指導方針といたしましては、少なくとも開業の半年ないし一年の間には十分まえびろに安全側の処置をとる。たとえば少しでも危険を感じられるような場合には徐行をするとか、あるいは一応
列車をとめてから検査をするとか、そういった
措置を従来以上に大事をとったやり方をするように指導しております。
要するに、
鉄道よりも航空機のほうが危険だということで、欠航したり遅延したりするわけでありますが、その
鉄道と航空機の間くらいと
考えて処置しようという指導をいたしておるわけでございます。以上によりまして、大体予想されます
列車の危険ということは設計から警戒に至るまでの全過程において断ち切ることができると信じております。