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1964-02-25 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十五日(火曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 西村 直己君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 田中織之進君       寿原 正一君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    細田 吉藏君       増田甲子七君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    矢尾喜三郎君       内海  清君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         運輸政務次官  田邉 國男君         運 輸 技 官         (港湾局長)  比田  正君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  向井 重郷君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  市来 卓郎君         日本国有鉄道常         務理事     山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     河村  勝君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 二月二十五日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として井  谷正吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井谷正吉辞任につき、その補欠として勝  澤芳雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十四日  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一〇八号)(予) 同日  遠洋漁業海難救助態勢改善に関する請願(濱  田幸雄紹介)(第五四九号)  蒲郡港の港域拡張に関する請願福井勇吉君紹  介)(第五九一号)  国鉄備作線建設に関する請願亀山孝一君紹  介)(第七三一号)  同(和田博雄紹介)(第八三三号)  相馬港の早期完成に関する請願齋藤邦吉君外  一名紹介)(第七三八号)  磐越東線の輸送強化対策に関する請願齋藤邦  吉君外一名紹介)(第七三九号)  磐越東西線電化促進に関する請願齋藤邦  吉君外一名紹介)(第七四〇号)  常磐線全線電化及び複線化に関する請願(齋  藤邦吉君外一名紹介)(第七四一号) は本委員会に付託された。 二月二十四日  名古屋、福岡間直通定期航空路線早期開設に  関する陳情書(第  八四号)  三河港の重要港湾指定に関する陳情書  (第八六号)  観光事業の振興に関する陳情書  (第二三一号)  四国地方主要国際観光ルート指定に関する  陳情書  (第二三二号)  東北本線複線化等に関する陳情書  (第二五七号)  同  (第二  五八号)  三陸縦貫鉄道建設及び東北本線複線化等に  関する陳情書  (第二五九号)  四国循環鉄道早期完成に関する陳情書  (第二六〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  日本国有鉄道経営に関する件(通勤輸送に関  する問題)  港湾に関する件(港湾運送事業等に関する問  題)      ――――◇―――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより開議を開きます。この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします  ただいま外務委員会において審査中の経済協力開発機構条約の締結について承認を求めるの件について、本委員会として同委員会に対し、連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 川野芳滿

    川野委員長 次に、国鉄経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  5. 久保三郎

    久保委員 けさほど、委員長はじめ当委員会委員で、新宿駅を中心としての輸送状況と、それから中央線運転状況視察してまいったのであります。新宿駅の駅長からもそれぞれ要請などがございましたが、一つは、われわれ視察をいたしまして、これが普通の状態であるというので、言うならば、異常が通常であるということでありますこれに対して抜本的な対策としてはなかなか容易でないと思うのでありますが、少なくとも当面あのままで過ごすことには危険もあることでありますから、何か早急に手を打たなければならぬ、こう思うのです。もちろん、新宿駅長からわれわれに要請された一つには学生時差通学をぜひ国会で取り上げてほしいという切なる要望があったのでありますが、この時差通勤通学については、学生ばかりでなく、全体にはどういうふうに今日措置されているか。山田常務は担当でないようでありますが、もしお答え願えれば……。
  6. 山田明吉

    山田説明員 ただいま時差通勤お話がございましたが、これはかねて時期的には終戦直後から東京駅を中心とした官庁あるいは会社方々お願いした歴史がございます。ことに、最近非常な輸送難に直面いたしまして、それをさらに徹底的に行なうということで、ひとり東京中心のみならず、中央線の沿線、あるいは総武線各般にわたって協力お願いしてまいったのです。ひとり学生通学のみならず、会社通勤につきましてもお願いをいたしておりまして、最近その効果が相当見るべきものがあると私どもは考えておりますが、さらにその時差の幅を広くお願いするように働きかけ、今後もその実現を期してまいりたいと考えております。
  7. 久保三郎

    久保委員 これはひとり国鉄だけの要請というか、そういう立場からでは、残念ながら抜本的にはできないと思うのであります。  そこで、内閣審議室長おいででありますからお尋ねするのでありますが、交通問題についても審議室で全体の立場から扱っておられると思うのでありますけれども、都市交通におけるところの、いま申し上げた時差通勤について、内閣としてはどういうふうな考えでおられますか。
  8. 松永勇

    松永(勇)政府委員 交通基本問題調査会というのがつくられまして約二年間にわたって交通問題の基本的対策をいま審議いたしております。三月末までには答申になることを期待しておりまして、その調査会には交通体系部会大都市交通部会交通安全部会の三つの部会をつくって、それぞれ基本的対策をつくっております。これはまだその答申が出ない段階におきましては、私のほうでその対策をこまかくは申し上げられない段階でございますが、もう一つ政府といたしましては、現下の交通事情から考えまして、政府関係機関協議会でございます交通対策本部というのを設けまして、なおその上に交通閣僚懇談会がございますが、先般、主として冬季における東京都の交通の困難な情勢にかんがみまして、国鉄からの要請に応じまして、交通対策本部時差出勤ということをきめまして、各官庁がその線に沿って時差出勤を現在実施いたしておる状況でございます。時差出勤も、昨年よりは各官庁時差出勤の度合いを若干上げまして、すなわち国鉄としてやりやすいように昨年十二月に取りきめまして、実施している次第であります。
  9. 久保三郎

    久保委員 いまの学生時差通学については、どういうことになっておるわけですか。
  10. 松永勇

    松永(勇)政府委員 先般の交通対策本部できめました際は、各省庁において事務上差しつかえないということと両方かね合いの点をにらみながら取りきめましたので、学生関係のほうについては、特に文部省見解で特に繰り上げるとか繰り下げるとかいうことを実施しないで、事実その当時の文部省説明では、出勤者よりも学生のほうが大体少し早目である、だから、むしろ学生は現段階においては現状でよかろう、むしろ通勤者のほうを主にして考えるということで、現在の対策本部の決定になっておる次第であります。
  11. 久保三郎

    久保委員 いまのお話だと、文部省見解は、学生は多少早目であるから、一般の通勤者時差通勤が先である、これも理屈かと思うのでありますが、けさほど要請がありました新宿駅長の言によりますれば、この上にということでありましょうが、学生通学について、時差通学を何とかしてほしいということでありますので、言うならば、関係閣僚懇談会にやはり持ち込みながら、審議室中心にしてやはり問題を解決するという方向をとってみたらどうか、かように思うわけであります。その点について、これは政務次官おいでですから、どうですか、そういう要請けさほどございましたから、文部省見解とはだいぶ、新宿の駅についてだけかもしれませんが、違っておりますので、駅長学生時差通学をひとつ何とかしてほしい、こういうことなんで、運輸省としても考えてみるべきではないか、こう思うので、お答えをいただきたいと思う。
  12. 田邉國男

    田邉政府委員 けさ運輸委員会で御視察をなさったそうでございますが、現在、朝の国電の実態というものは相当ひどい混雑をいたしておりますので、学校に対して私は時差通学を強くお願いして、そしてできるだけ通勤時の交通緩和をしなければならない、運輸省ではできるだけその方針に基づいてやってまいりたい、かように考えております。
  13. 久保三郎

    久保委員 適当な機会学生通学時間については取り上げて、検討をいただきたい、かように思うので、政務次官審議室長には特にお願いしておきましょう。  それからもう一つは、われわれはホーム運転室から、これはホームの末端にあるようでありますが、そこでホーム状況視察したわけです。ホーム指令というか、コントロールする部屋でありましょうか、これと改札口その他を電話装置か何かでやっているようでありますが、これもけっこうだと思うのですけれども、両方責任者がおられて、それぞれ連絡をとりながらコントロールしているようであります。聞きますれば、改札のほうを少ししぼれとか、ゆるめてよろしいとかいう指令お互いに交換しているわけです。これが一朝間違うと流れがダヴってきて、ひどい混雑というか、危険があるので、できますなら、費用のこともあると思うのですが、最近は科学の進歩があります、技術の進歩がありますので、相互テレビを備えつけて、テレビによるところの、声だけではなくて目での操作もああいうところには考えてみるべきだと思うのですが、河村常務、どうでしょうか。
  14. 河村勝

    河村説明員 たいへんごもっともな御説でございまして、わりあいと簡単にテレビを使えるような装置ができましたので、いまそれを具体的にどういうふうにやりますか、検討中でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 それからもう一つは、何といっても定時運転はしかねるという現状だと思うのですね。ほとんどの日があの時間帯は正常運転は困難だということでありますから、そうなればこれに対しての安全運転の用心もしなければならぬということが一つございます。ついては、われわれは新宿東京間だけ運転台に乗って、運転士作業振りなり線路の状況を見てまいったのですが、かなり神経を使う仕事であるし、ノーマルな運転がないということでありますから、できるなら——きょうは特別に一人指導員か何か乗っておられましたが、ああいうかっこうをとっていくことがやはり万全な策ではないかと思うのですが、こういうことについては御研究なさっておりますか。
  16. 河村勝

    河村説明員 本日は雪のため早朝からドアが凍りまして開閉できなかったり、あるいはポイントが凍結した関係で十数分のおくれを出したのでありまして、それで混乱をいたしましたが、最近は改札口である程度乗客を調整しておりますので、大体ふだんはラッシュ時でありましても定時運行いたしております。きょうは異例でございますが、運転士あるいは助手を乗せるという問題につきましては、われわれもいろいろ研究をしておりますけれども、現在保安装置として車内警報器だけがついておりますが、三十九年度中には全部自動列車停止装置がつくことになっておりまして、保安装置としてはまず完備したものができ上がります。したがって、これに助手を乗せるとか、あるいは運転士を二人乗せるというところまでの必要性はないと私は考えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 ただ、いま機械装置による、自動停止装置ですか、これをつけるということですから、その面での安全運転はまあできるかもしれませんが、人間養成の問題からいきましても、いつかもここで申し上げたように、やはりある程度熟練した者を運転士にやっていただかねばならぬと思うのです。そこでそういう養成の問題もからめて、助手というか、そういうものもある場合では御考慮いただいたほうがよさそうにも思うわけです。もちろん踏切などはあまり中央線新宿東京ではほとんどありませんから何ですが、その他の線区についてはやはり御考慮いただいたほうがよさそうに思うということが一つ。それからもう一つは、ああいう混雑時でありますから、見切り発車ということをよく言われますが、ああいうのも程度問題でありまして、必ずしもこれはいいことじゃないと思うのです。あぶないと思うので、そういう点については最近の指導はどういうふうにしておられますか。
  18. 河村勝

    河村説明員 現在見切り発車はやらないようにいたしております。
  19. 久保三郎

    久保委員 そこで問題は、そのほかに、結局、新宿の駅でありましたからきょうは何ですが、ここ四、五年たてばさらに四十万なり五十万なり乗降客がふえてくるということなんですね。副都心ということでそれぞれかってに——と言っては語弊がありますが、いろいろな住宅その他が建ってくる。ところが輸送はこれに関連なく置き去りを食っているという感を深くするのでありますが、こういう問題についてはいままで国鉄なり運輸省はあまり御相談を受けてないのでしょうか、どうでしょうか。
  20. 河村勝

    河村説明員 お話しのように毎年三十万人の人口が東京都にふえております。同時にその周辺の都市もそれに見合ったような比例でふえております。したがって、このまま推移すればどうにも手がつかなくなるようになることは当然だろうと思います。国鉄といたしましても、大体今後の輸送力増強計画はございますけれども、それにはおのずから限界がございます。といって運輸省と御一緒に地下鉄の問題、それから私鉄の乗り入れの問題、その他具体的な計画を今後においても進めてまいるようになっておりますけれども、しかし、おそらくそういった交通対策だけでは通勤問題はもう解決しない時期が当然来るだろうと思いますので、そういう意味では、今後運輸省ばかりでなく、関係の各省と御相談をいたしまして、何かの方法政府としてとっていただくようにお願いをせざるを得ない、そういうふうに考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 それじゃ最後に一つだけ申し上げてみたいのですが、結局要員の問題であります。ホームの整理ですね。新宿の駅で説明を受けた資料の中におきましても、臨時職員をかなり使いになっておるわけです。これはこれなりに理由があるのだろうと思いますけれども、いま臨時要員まで使ってもなかなかああいう人の波をさばくのには非常に困難であると私は思うのです。いま直ちにそれじゃ列車なり電車を増発できるかというとこれまた不可能だし、さらにホームの面積を広げても、これも焼け石に水だろうと思います。ついてはやはり当面をさばくのには、人間力——と言っては語弊がありますが、要員配置して安全に何とか最大の努力をするということだと思う。ついてはいまの要員ではどうも、われわれきょう行ってびっくりしたのでありますが、お客もなれているそうでありますけれども、しかしそれでもかなり混雑というか困難性が見受けられます。これは適正な配置をぜひお考えなさるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  22. 河村勝

    河村説明員 人間配置につきましては、合理的な運用、それを従来からも計画してまいりまして、それぞれ決して多くもなくまた少なくない配置をするつもりでありますが、またラッシュ時の臨時雇用員の問題はほんとうラッシュの一時間だけしか要らない人でございますので、これを正規職員化するということは人間使い方として非常に不経済でございますので、そういった短時間の労務につきましては、今後ともに臨時雇用員をやはり使わざるを得ない、そういうふうに考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 それはラッシュ時だけの問題をとっておられるわけでありますが、なるほど短時間の調節というか、そういうことで恒常的に使うのはいかがかということでありますけれども、事輸送に関する問題でありますので、単なる臨時雇用員というか、言うなればパートタイムで使うということ自体にも、ちょっと問題が出てきはしないかと思うのです。といって全然これを否定するわけにもいかぬ。しかし実際にこのラッシュ以外のいわゆる定員化された正規職員だけでできないところをカバーすると言うんだが、それでは正規職員は、普通の駅というのか、そういうところに比べて、それじゃ同じくらいな労働をしているかというと、ああいうところはかなりオーバーワークになっているんじゃなかろうかと私は思うのです。でありますから、要員査定にしても、特殊な駅は特殊な駅のようにもちろんおつくりになっていると思うのですが、全体としては、あまり多いほうじゃなさそうに思う。たとえば改札にしても、二十何名とかいうような定員というか実員でありますね、三十名足らずですね、そうすればあの改札口もたくさんあると思うのですが、もちろん切符をぱちんぱちんと切る必要はなくて定期が多いのですから問題じゃないかもしれませんけれども、それでもどうもわれわれの常識から言っても少し少ないのではないかと思う。これは臨時雇用員はお使いになっておらないですね。そういうところから言っても、もう少し要員査定の面でもいろいろ計算の方式があるようですが、実情に合ったような形をとってもらったらどうか、こういうふうに思うわけです。
  24. 河村勝

    河村説明員 久保先生も御存じのように、駅の人間配置というものは、非常にひまな駅におきましても最低の出づらが要るわけでございますので、したがって、いなかの列車回数の非常に少ない駅に比べますれば、それは東京都のああいう忙しい駅の勤務時間の中身というものはかなり集約されているとは思います。しかし所定の勤務時間、休憩時間等は十分にとるだけの余裕は持って配置しておりますので、決してオーバーワークというようなものではないと考えておりますけれども、その点を今後とも十分配慮して人員査定をやってまいりたい、こう考えております。
  25. 西村直己

    西村(直)委員 ちょっと関連して——たいへん久保君の御質問はおだやかなんですけれども、実は新宿だけでなく、ああいう現象は赤羽あるいは東京駅のおりるほう、池袋、各線で起こっております。また単に東京だけでなくて、大阪にもあると思う。しかし問題を全体的に大きく広げて恒久対策考えなければならぬと言うだけで毎日毎日そのままを置いておくということでは、大衆政治のためにはたしていいのか。こう考えてまいりますと、当面解決のできる点は極力しぼって早く推進しなければならぬ。いま久保君の御要求は適当に早くやれ、こうおっしゃるが、私はこれを適当にというとなかなか話がつかない。特に国鉄あるいは運輸省のほうに聞きたいのは、全然現場駅長のおっしゃることと、それから内閣審議室あたりに出ている議論と違っていましたり、文部省のほうは、大したことはない、学生は早く出ているんだと言い、現場駅長は非常に苦痛な顔をして時差通勤はまず学生から始めてくれと言う、これは強い要望ですね。そうすると国鉄自体が実態的にその駅長意見を正しく把握されているのかどうか、これですね。もう一つは、把握されていれば、それをやはり多少学生諸君あるいは家庭的に御不便であるかもしれないけれども、何かそこで一歩前進して現実的に解決しなければ、ただ上のほうの人が言い合いっこしているにすぎない。その間にあそこで人が込み合っている。そのうちに不幸なことでも起こったら、あとから追っかけていくような議論になるわけです。こういうようにせっかく国会の皆さんが現場を見られて取り上げた機会に、時差通勤特に学生時差通学だけでも、その方法が正しければ関係方面に十分御了承いただいて、早くその部分だけでも緩和するということをしないと、われわれもただ見にいって見物してきたのではなくて、やはり政治として具体的に結果を割り切っていかなければ政治なりませんから、その点は至急おやりになったらどうでしょうか。あるいはそれに関して、文部省のお考えは抽象論過ぎる、われわれのほうはそうは思わぬという国鉄側にはっきりしたお考えがあれば御答弁願いたいと思う。  それから運び方があるいは事務的に割り切れない場合は、政治としてこれを割り切っていただく。現場措置として、緊急措置としてそういうような体制を、——たとえばどこかでそういう方式を強く打ち出せば右にならえしていくわけですから、国の方でやるとか、あっちこっちで問題を考えていたら時間がたってしまう。だから新宿なら新宿を対象として、政治上層部でその方針をお立てになって積極的にやってみる。こういうようなことをおやりにならぬと、きょうのような視察をしても、今後もまたいつまでもだらだらとああいう状態を繰り返していく。見にこられた現場乗降客から見ると、何だ国会諸君ただ見物にきたのかと笑われたのでは、われわれとしても困る。その点どうですか。文部省は早く出てもそう関係はありませんという御答弁だったが、国鉄現場駅長は、学生さんにやってもらうよりないのだ、あと相互乗り入れとかいうようなことを言っているわけです。もちろん全体の都市構造のあり方にも基本問題がありますけれども、それは別の問題として、どうなんです、国鉄側から見たらやはり駅長の言うのが正しいのか、その点だけははっきりしておきたいと思います。
  26. 河村勝

    河村説明員 昭和三十七年度の実績で、時差通勤通学お願いしている総人員は三十万でございますが、そのうち通勤者が十二万、学生が十八万人でございます。十八万という数は決して少なくはございませんけれども、全体の数から見ますと、もっとお願いしなければほんとう緩和にはならないのではないかと思います。いままでも御協力ただいていないということではございませんけれども、やはりあくまでも国鉄特に東京鉄道管理局方々学校お願いに行きまして御協力を願っているわけであくまでも自主的にお願いという形でまいっておりますので、政府あるいは国の力でもって上からそういうようにきめていただくというふうにいたしますれば、これはほんとうに徹底できると思います。先生の御意見に対しましてはっきりした御返事ではありませんが、かなりやってはいただいておりますけれども、まだ十分ではないという駅長の言い分がやはり正しいであろうと私は考えております。
  27. 西村直己

    西村(直)委員 恒久的な問題あるいはそれに付随した要員問題、いろいろあろうと思います。ただ話を聞くと、問題は三十分から四十分の間にあれだけの現象が起こる。そうするとお互いにわずかがまんし合えば事故が防げるという面も残されておるわけです。国鉄は、商売の立場からお客さんを運んでいる、その弱い立場お願いして歩いたのでは解決できないので、たとえば政務次官もいるが、運輸大臣文部大臣あるいは関係方面、そういうような高い立場からこれをもう少し割り切る姿勢で考えないと、やはり政治の不満となって、現場に毎日通勤している人は、ひどいじゃないかということになっていくわけです。お願いして歩いているだけでは基本的な解決はできません。その点は高い立場から取り上げて、ある程度割り切っていくというような方策をおとりになったほうがいいのじゃないか。そうしないと百年河清を待つような形で、多少は緩和するがまたすぐああいう状態が続いていく。事故が起こってからではあと始末のしようがない、こう思うのであります。案外事柄は政治と遠いようだけれども、実際は毎日数十万の人があそこで苦しんでいる。これをどうしても割り切らなければいかぬじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  28. 田邉國男

    田邉政府委員 私は西村先生お話、ごもっともだと思います。さっそく運輸大臣文部大臣の両大臣に御相談をしていただくと同時に、国鉄運輸省全体もこの問題を前向きの姿勢で考えていく、交通の基本問題についてはこれは当然やらなければならないのですが、いま御指摘の現実の新宿のあの雑踏に対しては適切な措置を考究すべきである、これにつきましては、先生方の御意見を十分私ども拝聴いたしまして、現実の新宿混雑、雑踏を解決する問題を前向きで考えていきたい、かように考えております。
  29. 川野芳滿

  30. 野間千代三

    ○野間委員 時間がございませんし、先輩が大体質問されましたので、三つばかりちょっと簡単にお尋ねいたします。  きょう拝見をいたしまして、いわば危機の直前といいますか、そういう感じをたいへん受けたのであります。きょうの新宿駅の整理をされた人員は通常の人員でなくて、東鉄局でホームその他に配置をされました人員は、公安官が五十名、東鉄局員その他九十名、それ以外に添乗員運転士指導といいますか、そういう方々が十数名というふうに伺っておるのです。これはきょうだけの配置でしょうか、それとも毎日の配置でしょうか。
  31. 河村勝

    河村説明員 公安官は大体そのくらい毎日出ておるかと思います。しかし電車に添乗しておる人間は、これは常時やっておるわけではございませんで、随時指導のために乗っておるわけでありますから、これはきょうだけの数字とお考え願ってけっこうだと思います。  それから局員につきましては、現在東鉄局長が、現場の実態把握と現場の士気高揚ということを含めまして、通勤者は近くの一番混雑しておる駅の朝のラッシュの応援をやって、それから出勤しろというような指導をやっております。そういう意味で出ておるわけであります。
  32. 野間千代三

    ○野間委員 東鉄のけさの九十名の配置というのは、多少平常よりも、いま常務の言われた形よりも多いというふうに私は考えております。いわばそういういま言われたような配置であっても、やはり三百三十五分といわれておるきょうのようなおくれが出るという実態があるのです。これがあの中央線新宿の実態じゃないかというふうに思います。先ほどの常務の、雪その他の原因も多少あると思いますが、やはり平常、ああいうように非常に危険な状態にあるのじゃないか。そういう意味で先ほど先輩も各種の対策を主張せられたと思うのです。そうなりますと、乗客の安全を確保するという意味で、ただ単に日常八時から局で勤務される人たちが通勤の途中でああいう勤務をするということは、非常に危険な作業ですから、非常な労働の過重になるのじゃないかというふうに思うので、これらの勤務対策について、やはり本格的に久保先生の言われたようなことを含めて、当面直ちに人員を何千人ふやすということは困難だと思いますが、そういうことについて本格的に検討されておりましたら、その内容についてお聞かせいただきたい。
  33. 河村勝

    河村説明員 先ほど久保先生の御質問に対してお答えいたしましたように、最近は一方では時差通勤がございまが、一方では非常に乗客が殺到した場合に改札口で押えるという方法をとっておりますので、ここに毎日の実績は持ってきておりませんが、毎日のおくれはほとんどない、定時に運行しているというような実情でございまして、本日は雪のために朝から十分以上のおくれを持ち回っておりました関係で非常に混乱をいたしましたので、一番たいへんなところを見ていただいたことは非常にわれわれとしてもありがたいと思うのでありますけれども、本日の状態は決して常態ではございません。異常の状態でございます。しかし人員配置につきましては、これは抽象論をやりましてもいたし方ございませんので、実際具体的に当たりまして、要るものは置く要らないものは置かないということで進んでおりますので、ここでどういう方針という御質問がありましても、ちょっとお答えのしようがないのでございますけれども、今後とも慎重にこういう配置は研究してまいりたいと思います。
  34. 野間千代三

    ○野間委員 配置についてはそれぐらいにしておきます。  次に運転乗務員なのですけれども、帰る途中東京駅まで添乗してまいったのですが、駅ごとに、特に新宿などでは乗降の始末がつき、そうして発車をするまでの間、運転士が非常に神経を使っておる。それから発車をしてから当然信号の確認その他安全のために多くの神経を使っておりますけれども、そういう関係で乗務時間が非常に問題ではないかというふうに思うのです。いまの中央線を担当している武蔵小金井あるいは三鷹あるいは中野電車区等の作業表を見ますと、実際にハンドルを持っている時間が、たとえば小金井を見ますと、一番短いので三時間十八分、一番長いので五時間三十七分ということでございます。そういう三時間から四時間までの間の仕業が十四仕業、四時間から五時間までのものが十四仕業、五時間以上六時間に至るものが十二仕業あるのでけれども、これは武蔵小金井電車区だけの例でありまして、あとはもう省略しますが、そういうふうになってまいりますと、これに添乗あるいは中継、休憩あるいは出勤準備時間等が入った場合、勤務時間全体が相当長時間になるような気がするのであります。その中で実際にハンドルを持つ時間、これで見ますと、平均をして四時間から四時間半ぐらいになると思いますが、たいへん無理な仕事ではないか。ずっと前の例を見ますと、大体乗務員の実ハンドル時間は平均的に相当短くなっております。いまの実態ではなかなかそれがむずかしいと思いますけれども、今後当局としてはこういう運転乗務員の労働過重の問題について、緩和をして安全をはかるということも相当重要な問題ではないかというふうに思うのです。その点についてどうお考えでありますか。
  35. 河村勝

    河村説明員 ただいまお持ちの資料は、私見たわけではございませんのでわかりませんけれども、おそらく一つ一つの仕業の時間であって、一人の人間の一カ月間の一日平均のハンドル時間ではないはずだと私は思います。一つ一つの仕業に分解すれば、これは四時間半の場合もあるし、五時間半の場合もあり得ます。しかし、そういう場合には、ほかの日でもって、翌日は仕業時間が非常に短いというふうに調整しております。御承知だろうと思いますけれども、換算五時間半が電車の仕業でございます。その中に換算して準備時間、待ち合わせ時間その他を含んでおりますので、平均が四時間に達するものは私はないはずだと思います。
  36. 野間千代三

    ○野間委員 私は勤務時間の問題で、別にいま当局の河村さんの言われることを反駁したりする気はないのですが、ただ一つ一つの仕業を見ましたら、最低三時間五分で、一番長いので五時間何分に至っておる。これはもちろん月を平均すると、各種の組み合わせをして、いま常務の言われるようなことになるとは思います。思いますが、しかしそれにしてもやはり実際にああいう危険な仕事をしている。実務時間が、短いものでも三時間五分、長いものでは五時間、六時間近いものがある。こういう実態については、仕業の交番の編成について相当考慮をして——あれほどの危険な作業、しかもあれがきょう見たような実態でなければ、私はそう問題ないと思うのですけれども、ああいう危険な環境にありますから、もう少し考えてやる必要があるのではないかというふうに思います。特にあらためて回答を求めませんけれども、運転人員が持っている精神労働並びに今日のような事故の危険性が非常に多い状態、そういう内容ではなお検討していただく必要があるのではないかというふうに思いますので、これだけお願いしておきます。  それから、これは委員長にひとつお願いしたいのですが、国鉄の労使——職員、当局を問わず、現在、きょう見たような実態の中で国民を安全に輸送するためにたいへん大きな努力をしていると思います。そういう中で、当局の努力あるいは職員の努力にもかかわらず多くの事故が生まれてくる場合があります。これは国鉄に限らず、陸、海、空にわたって相当多くの事故が起きるわけですけれども、そういう問題についてわれわれこの運輸委員会として根本的にメスを加えて、やや長期的であってもその対策を立てる必要があるのではないか、私はきょう実はそういうような感じがしたのです。そういう問題について、この運輸委員会全体ではなかなか困難なので、ある少数の先輩の方に小委員会的なものをつくっていただいて、基本的な問題並びに当面の対策について相当突っ込んだ検討をして運輸委員会で論議をする、そういうことが必要ではないかと感じたのですが、理事会で御検討ただいて、できればその方向に進んでいけるようにお願いいたしたいと思います。  以上で終わります。
  37. 川野芳滿

    川野委員長 ちょっとお答えしますが、当委員会本日散会後にそういう問題で理事会で話し合うことになっておりますから、さよう御了承願いたいと思います。      ————◇—————
  38. 川野芳滿

    川野委員長 次は、港湾に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保郎三君。
  39. 久保三郎

    久保委員 港湾の問題で、時間もたくさんございませんから、二、三の点についてお伺いをしたいわけです。  まず第一に、内閣審議室にお尋ねしたいのは、港湾労働等対策、審議会でいままで審議を重ねてきたと思うのだが、もう間もなくその結論が出るころだと思うのです。ついては、いままでの作業状況はどうなっておるのか、さらに、いままで審議された事項はどういう点であるか、こういう点についてできますれば御説明をいただきたいと思うのです。
  40. 市来卓郎

    ○市来説明員 港湾労働等対策審議会は、昭和三十七年の八月第一回総会を開きまして、その後十四回総会を開き、それから小委員会が二十四回重ねられております。この審議会は本年の三月末までの設置期限になっておりますので、近く答申があるものと存じます。諮問は、第一回の総会で、近年の港湾労働及び港湾の運営利用の状況にかんがみ、これが改善のためとるべき対策について貴会の意見を求めるということで、港湾労働港湾の運営利用ということについての改善策を諮問されているわけでございます。このすべてにわたりましてこの二年間調査、審議が行なわれ、昨年の八月には、横浜港、神戸港、名古屋港その他の港を調査委員会調査いたしまして報告も出ました。その答申の内容につきましては、実はまだ非常に毎回の会議で動きまして、ただいまここで御報告申し上げることは差し控えたいと思うのでございますが、近く最終決定で答申が行なわれる予定でございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、三月に入れば大体答申がなされる、こういうわけですね。
  42. 市来卓郎

    ○市来説明員 さようでございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、政務次官港湾局長もおられますが、いまの答申はやはり総理大臣に出すのでありましょうから、運輸省だけではないでありましょうが、少なくとも運輸省が大半の答申を受ける形になると思うので、一番当面の問題として、最近は労働事情の問題が一番大きい問題であるわけであります。港湾整備五カ年計画は三十九年度から練り直して新五カ年計画ということになるわけです。その中で港湾労働の問題も当然含んで考えるべきだと思うのですが、この五カ年計画中ではそれに関連した計画というものはございますか。
  44. 比田正

    比田政府委員 港湾整備五カ年計画のほうは、御承知のとおり、港湾施設を拡充、強化、整備するという趣旨でございまして、港湾労働者等、あるいは港湾何役作業に関するものにつきましては直接関係はございません。もちろん間接には関係がございます。やや関係かございますのは、別途に、港湾整備に関しましては、起債事業をもって港湾管理者が港湾の付帯施設をつくるほうの事業がございます。そのほうでは、いろいろ港湾の荷役に関するような荷役機械とか、あるいは労務者に直接関係のあるような施設にも考慮いたしております。これは五カ年計画には入っておりません。これは年々私どもで計画を立てまして、起債につきましては、大蔵省、自治省と御相談してきめることになっております。
  45. 久保三郎

    久保委員 特に労働者の確保ということを考えますならば最近の労働事情からいってこういう業種についてはかなり窮屈になってきたのは事実だと思うのです。それはどういうことかというと、一つには労働の内容にあります。もう一つは定着すべき労働の福利厚生施設というものが実は他業種から見ても非常に劣っておる。そこで先年来雇用促進事業団によるところの住宅なり、あるいは厚生年金の還元融資というか、そういうことで住宅なども考えられてきているようであります。たとえば、住宅の建設資金は何とかなるにしても、その敷地、土地ですね、そういうものがその近辺に見当たらぬというのが多いし、福利施設にしても同様だと思うのです。よって、この港湾整備五カ年計画の中には、少なくとも当然労働者の福利厚生施設に関するところの用地というか、そういうものを含めて考えるべきだと思うのですが、それは入っておるかどうか、いかがですか。
  46. 比田正

    比田政府委員 全般的に申しますと、ある港では入っておることもございますが、港湾労働者等の住宅につきましては、必ずしも港湾の区域内には住まなくても、それからほど近いところに適地があればいいということでございます。ただ、この港湾の区域の中でそういう用地を求めますときには、私どもも関与をいたしまして、極力その用地の確保につとめるように港湾管理者にも指導いたしておりますけれども、それらの範囲外の港湾から離れたところにつくりますときには、たまたま法律によりまして港湾の管理者は地方公共団体の県知事とか、あるいは市町村の市長、町長でございますから、そういう方々が同時に港湾管理者も兼ねておりますので、それらにお願いいたしまして、強力に用地あっせんをしていただくようにお願いはいたしてございます。
  47. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても住宅なり厚生施設が不十分であることでありますから、整備五カ年計画の中に無理に入れろとは申しませんが、これに対してやはり万全の対策を立てなければならないと思うのであります。もちろんこういう問題についても答申の中に含まれて出るべきだと思うのですが、出てきてからお考えになることも一つでありますけれども、十分この五カ年計画の中にもそういう要因に対する配慮が必要だと思うのです。  そこでもう一つ、これに関連してお伺いしたいのは、整備計画の中には、はしけだまりも入っておると思うのですが、そうですね。
  48. 比田正

    比田政府委員 必要なものについては、整備計画の中に入っております。
  49. 久保三郎

    久保委員 実ははしけだまりが非常に不足しておるというのが現実ではないかと思うのです。そこではしけに従事する従業員は、言うならばはしけが住まいでありまして、住まいであるから長時間労働にも利用されるということが悪循環として出てくる。さらにもう一つは、これらの生活というのは、言うならば陸の上には寝られない。はしけだまりがあるならば、そのはしけだまりの近所から陸へ上がるというか、そこから上がるのですが、はしけたまりがなくては、いやでもおうでもその船の中に寝起きしなければならない、そういうことが一つあるわけであります。これなどはまず第一にさっきの福利厚生施設と関連して、十分なはしけだまりというものに対しての整備計画を織り込むべきだと思いますが。これは今後大きくなるわけですか。
  50. 比田正

    比田政府委員 まことにごもっともなお説でございまして、私どもも新しい港湾の整備五カ年計画を立てますときには、従来でも見ておりましたが、さらに検討いたしまして、特に六大港——東京の付近で申しますと、横浜港等に埠頭をつくりますときには、それに見合いまする船だまりを必ずつくるという計画に変えまして、これからの計画は実施していきたいと思っております。
  51. 久保三郎

    久保委員 大体横浜にしても、はしけだまりの収容能力というものは、はしけの六割程度だそうで、あとの四割は先ほど申し上げたように蛋民的な生活をしいられておるわけです。だからいまの御説明のとおり、もしおやりになるとするならば、これは実態はもうすでに港湾局長はよく御存じだと思うのですが、少なくともそういうところから逐一改善していくという方向を示してもらわなければならないということが一つであります。  それから次には、港湾整備五カ年計画で、たとえば横浜、川崎という六大都市を含めて、そこにかなりのバースが増設されるわけであります。それはたとえばいわゆる機械化あるいは自動化という方向もとられるでありましょうが、残念ながら労働の量と質の問題がこれに伴わなければ、バースの増設や機械設備を十分しても、機能をフルに動かすことは不可能だと思います。ついては、労働対策は審議会のほうから答申が出るにいたしましても、これは新しい免許制度への切りかえでありますが、その場合のいわゆる常用の基準数というか、そういうものは、かなり大幅にしておくことがまず第一に必要だと思うのです。日雇いに依存するいわゆる波動性を見込んだ形でやるべき筋合いではない。しかも、これからの荷役作業というのは、言うならば近代的な装いをしなければならない。その場合には、ちょっとかり集めてちょっと使って帰して、あしたはどうかわからぬというような労働の質では、港湾荷役の機能を十分に達成することは不可能だと思うのですが、そういう点についてはどう考えておりますか。
  52. 比田正

    比田政府委員 ただいまおっしゃいましごごとく、港湾荷役につきましては非常に重要な問題でございます。たとえ港湾のりっぱな岸壁ができまして、大きな船が着く。また上屋、倉庫等が建ちましても、やはり荷役を近代化いたすためには機械力も必要でございます。また必要の限度の労務者の確保が必要でございます。しかしながら、現在率直に申しますならば、六大港は大体六大都市にございますので、非常に大きな都会であって、労働需要が非常に多くて、港湾労務者を非常に確保しがたいという状態でございます。港湾労働等対策審議会の二年間の御議論の中でも、そういう問題はかなり詳しく、また突っ込んでお取り上げになりまして、私どもにもいろいろお話がございます。やがて御答申が出ると思いますけれども、基本になる人間の確保ということが非常に問題でございます。ただ、ある港によりましては非常に波動性が多うございまして、いわゆる月末にたくさん船が入ってくるというような問題になりますと、今度は月の中ごろはすいているということで、どれを基準にするかという、その数の問題が、非常に個々の港によって相違がございます。しかしながら、でき得る限り船が一ぺんによけい来ても迅速にやることができる体制だけは備えていかなければならないというふうに考えております。この点につきましてはし審議会等からも御指示があるやに承っておりますので、その御答申をいただきましたならば、私ども真剣に研究いたしたいと思っております。
  53. 久保三郎

    久保委員 波動性の問題を日雇いに依存するということは、ひいては港湾が海運業の支配下に置かれるということにつながるわけです。しかも海運は、国内海運が御案内のとおり六グループに集約合併されるわけであります。これを機会に、はや港湾をその中心的な立場として、その立場を十分に生かして使うのが今日の一つの転機であろうと思うのです。と申し上げますのは、月中にはあまりなくて、月末、月初めに非常にかぶってくるというのが実態でございます。これは商取引の関係等もございますが、これはこれなりに、取引関係は取引関係のほうで別途対策を立てることにいたしまして、一つにはこれをならしていくといういう考え港湾について、たとえば今度の七千二百億でありますか、一応の扱い量からいってこの程度は必要だという計算をなされているのでありますが、はたして日本の経済からいって七千二百億で間に合うかどうかというのは、実際はわからぬと思うのです。なぜわからぬかというと、港湾が主体じゃなくて、国内産業の、言うならば独走といっては語弊があるかもしれぬが、独走によって海運も港湾港湾労働者も支配されている。そういう形がはたしてバランスのとれた経済の発展かというと、これはちっともそうは言えないし、これはむしろ国民的、経済的な立場から見ればロスが多い。たとえば港湾の機能がフルに動かぬで、いわゆる滞船が多くなる、船積みが多くなるということになりますと、デマレージが一つの問題だし、大きな損害であります。でありますから、特に提唱したいのは、港湾をやはり計画的に使用させるということで、これによって配船をひとつ調整してもらう、スケジュール的にこれを使わせるというようなことを考えてみるべきだと思うのだが、この点はどうですか。
  54. 比田正

    比田政府委員 港湾計画的に使うという問題につきましては、私ども非常に大事な問題だと存じまして、いろいろ研究しております。一番抜本的な方法は、ただいま検討いたしておりますが、外国貿易に従事いたします定期船については、もうバースを専用貸しにするほうがいいだろう。専用貸しにいたしますと、公共事業との関係もございます。問題がございますので、公団システムにしたらどうかというようようなことも考えまして、ただいま案を持っておりますが、まだこれは大蔵省等との最終の了解が成り立っておりません。そこまでいきませんでも、たとえば神戸の摩耶埠頭というのが新しくできまして、近代的なバースがたくさんできるのでございますが、そこでは船が入るごとにうしろの上屋までひっつけて、何日か限って貸してやる、いままでは岸壁のところの、岸だけでございましたけれども、うしろの上屋までつけてやれば非常に使いやすいだろうというようなこと、あるいは横浜等におきましては、新しくできました山下埠頭に、つきましては、先ほど申しました公団の構想に近いようなバースの割り当て制度もただいま研究しておるようでございます。いずれにいたしましても、なるべく定期航路につきましては定着した場所にいつも着かしてやるということによりまして、船が着いたら遠くの上屋、倉庫から荷物を運んだり、はしけで引っぱり回すようなむだがなくなるということは、ひいては外国貿易の輸出コストにも影響することでございますので、できるだけそういった使い方によって合理性を保ちたいということで、いま具体的に取り進めて検討いたしておる最中でございます。将来はぜひともそういうふうにいたしたいと考えております。
  55. 久保三郎

    久保委員 摩耶埠頭の問題が出ましたが、一つ考えとしては、そういうことでクイック・ディスパッチの一助にもなることですから、一元化するというか、計画的に使用させるということが私は必要だと思う。もう少し強くしたほうがいいとさえ思うのです。しかしながら、いま港湾局長がおっしゃるような形で、たとえば専用貸しをするにいたしましても、それだけでは港湾の機能は十分でないと思うのです。というのは、いわゆる港湾運送というものが、一元的な系列というか、その方向に向いていなければ、残念ながら魂が入らぬ形になると思うのです。でありますから、そこまでもしも考えられるとするならば、いわゆる港湾運送ももう少しきちんとした戦線整理というか、これをなさるべきだと思うのです。これについてはどういうふうにお考えですか。
  56. 比田正

    比田政府委員 先ほどからの御説のように、港湾行政をずっとながめてまいりますと、第一には港湾の開発とか港湾の改良、建設というような施設を増強する段階がございます。これにつきましては曲がりなりにも大体軌道に乗っております。その次の問題は港湾管理問題でございます。これは港湾法によりまして港湾管理者というのが定まっておりますし、いろいろ経済問題等もございますけれども、半ば軌道に乗った姿だと思いますが、第三の問題の、できたものを使うという運営の場面、あるいはこの中には港湾運送全部を含むのですが、そういう場面になるとまだまだ未解決の問題が多いというような、三段階に分かれております。そこで、ただいま私どもは労働省と運輸省だけで港湾労働の問題と取り組みましたけれども、御存じのとおり、非常に幅のある問題でありますので、総理府にお願いしまして、港湾労働等対策審議会ができたのであります。その御答申を漏れ承るところによれば、第一には港湾労働の問題、第二には港湾運送事業の問題、第三には港湾管理経営に対する問題にまでお触れになるというように承っております。そこで、これらがはっきりいたしますと、われわれの進むべき道しるべもできると思います。御指摘のように、港湾運送事業というのは非常に業者の数も多うございますし、いろいろと今後の問題を幾多含んでおりますが、いずれにいたしましても非常に中小企業でございまして、全体の六〇%は非常に微細な、五百万円以下と記憶いたしますが、そういうような小資本の会社で成り立っております。こういうものを統合したらどうか、あるいは基準はどうか、いろいろ御意見はございますけれども、ただいま港湾運送事業法を改定されまして、昨年の九月末で新しい改定法律によります免許制度に切りかえ中でございます。このほうは非常におくれて申しわけございませんけれども、一応これを取り急ぎまして、ただいまお話がありましたような海運関係会社の系列とにらみ合わす処置につきましては、さらにその後において検討を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 答申を受けてからお考えになるということでありますが、そこで免許の問題でありますけれども、このテンポは必ずしも早いことはいえないと思う。しかも片方では、暫定期間中に地方海運局長権限で許可される船内荷役ですか、荷主ですか、そういうものがどんどん出ているような話も聞いているわけでございますが、こうなりますとどうもいままでも種々雑多でありまして、言うなら一般港湾運送事業、そういうものが全部責任を持っておるということでなくちゃならぬはずだと思うのです。ところが乙仲というような零細なものの存在というものもかなり問題があるわけであります。そういうものをどう統一させるといっては語弊があるが、強固なものにしていくというようなものが当面とられなければならぬと思うのです。いままで免許制の切りかえについてどういうふうな方針でおやりになって、大体法の定められた期間も幾ばくもないと思うし、この期間中に全部やれといってもむずかしいかもしれません。もうすでに期間は切れているのですかな、免許はもうやらなければいかぬでしょう。実際は進んでいるわけでしょう。これはどうなっていますか。しかもそれはあなたのほうでは港湾運送事業を担当する者が実際はあまりに少ないのです。港湾運送について、港湾政課というのはまだできて何年にもならない。前には港政何とか官というのがいてやっていたと思うのですが、そういうことで非常に港湾の構築というか、そういうところには非常に力点というか優秀な技術者もおられましていいんですが、実際は、問題は今度はそういうところが非常に小さい、あるいは倉庫の関係にしても、人員としてはそうりっぱな人員ではないと思うのです。私は人間が少ないだけで批判しているのではなくて、問題のあるところにやはり力点を置いて人間配置も機構も改革していくべきだと思うのです。そういう問題についてはどう考えておられますか。
  58. 比田正

    比田政府委員 ただいま港政課とか倉庫課というおことばが出ましたが、倉庫行政関係あるいは港湾運送事業の関係につきましては、おっしゃるとおり必ずしも手薄でないと申せません。ただ局全体を通じますと人間もたくさんおりますから、ただいまでは一部は応援を命じております。これは本省だけでなくて、地方の海運局にも同じことがいえるわけであります。この定員については毎年大蔵省当局に予算のときにお願いをいたしておりますけれども、いろいろ定員をふやすということには問題がございまして、また予算も伴いますことで、なかなか実現の至りになっておりませんけれども、部内操作ではでき得る限りいたしております。  それから免許の切りかえの期限が来ているがとおっしゃいましたけれども、これは旧法は三十七年の九月末で一応終わりになりましたが、それまでに新しい免許に切りかえる申請をすればよいということになっております。申請を受けましたものがいつまでに運輸省でこれを免許するかという期限は切られておりません。  それから新しい免許をもらわなくても従来登録した者はそのまま業を続けられるということになっておりますから、仕事をやる上には支障はございませんが、おくれているのは非常に申しわけないことでございます。これはいろいろ基準をつくりまして、一定の基準のもとにできるだけ小さくならないように、いままでのように大きな規標にしたいと努力をしておりますゆえに、現地の海運局におきましては、二つ三つを呼んで、一緒になって一つ会社にしろとか、あるいは現地を見まして使用できます施設がどのくらいあるとか、労務数は幾らだということを従来は全然把握しておりませんので、それを把握するために非常に時間がかかっております。またそういうものが完全にできますまでは経験の浅い者では困るわけですので、少なくとも数年間そういう業務になれた者ということになると、急速に充足しがたいという事情がございまして、ただいまおくれているわけでございます。これもできる限り早く片づけたいと考えております。
  59. 久保三郎

    久保委員 できるだけ早く免許をということでありますが、この進度でいくと、第二次というか、新しく練り直した五カ年計画が終わるころでないと免許が出そうわけないと思っているのでありますが、それほどでもないのですか。これはいつまでに大体完了するというか、もちろんこれから答申が出るから、答申とも見合って実際はやはり基準なども改正しなければいかぬだろうと思うのです。大体常用の数にしても先ほど言ったようにいままでの基準ではちょっとおかしいではないか、実態にさえ合わないではないか、このような意見も出てきていると思うのです。そういうことからいって、これもおよそ三十九年度一ぱいぐらいには免許を全部切りかえますか、どうですか。
  60. 比田正

    比田政府委員 非常に複雑なものは別といたしまして、普通のものにつきましては、本年の年末までに大体片づけたいと思うのであります。  それから先程非常に進んでないと申しましたけれども、いわゆる一般港湾運送事業という名目のものでございますが、これも六大港のものにつきましては八五%進んでいるわけです。ですから大きいところの大きなものは大体順調に進んでおるかと思います。また零細なものは、先ほど申し上げましたように、いろいろ行政指導をして手直しをいたしておりますわけで、おくれているわけでありますが、大体全部を通じまして問題のない会社につきましては、年末を目途として大体完了いたしたいということでございます。
  61. 久保三郎

    久保委員 その零細なものが一番問題なんであります。まず一つは、その問題の扱いいかんによっては、免許は形式的になる、これは十分警戒してもらわなければいかぬと思います。しかも港湾荷役を近代化しようという方針になればなるほど、そうであればあるほど、やはりそういうコースで免許というものはきちんとやっていかなければならない。ただ登録業者でいまやっているから何とかやってやろうということではなくて、資本力が少なくて、あるいは第二次下請けをやっているとかいうようなものに、それぞれしかるべきところに位置づけをして免許をしていくということでないと、全体的にはなるほど免許に切りかえたが、ちっとも中身は直らぬということでは、三十七年に始まった新しい免許の法律を改正した意義も精神も失われると思う。そういう点について十分配慮をしてしかるべきだと思いますが、どうですか。
  62. 比田正

    比田政府委員 お説のとおりでございまして、そういう点に十分配慮をいたして進めてまいりたいと思います。したがいまして、きょう、あすにばたばた片づかないということが現況でございます。おくれ九申しわけをいたしておるようでございますが、念には念を入れて、いま御指摘のありました点も含めまして手間どっているわけでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 これも海運の集約と港湾運送事業との関係はやはり新たな目から見直すべきだと思うのだが、たとえば荷主、海運会社との関係、こういう系列関係も多分にあると思う。系列に入らぬ零細なものもあると思うのですが、そういうものの見方を、いま、しておられますか。
  64. 比田正

    比田政府委員 海運会社の系列につきましては、港湾荷役業者は確かにそれにつながりがあるわけでございまして、したがいまして、私どもとしては、これを海運会社をどうこうしたからそれに合わせて急速に港湾運送業者のほうも合併、併合するというようなお説の方もありますけれども、一ぺんにはまいらないわけであります。そこで暫定処置といたしましては船主筋のほうには申し入れをしております。これは当分の間従来の系列どおりやっていただきたい、秩序を乱さないようにしていただきたい。港湾運送業者の集約化につきましては、ただいまお話いたしましたように年末には曲がりなりにも一段落をつけるつりでもございますから、途中から基準を変えることは非常にむずかしいわけであります。すでに基準がきめてございますから、一応その基準のとおりに終えさせていただきまして、さらに必要があれば今後検討を進めたいというふうに二段構えの措置をいたしたいということを考えております。
  65. 久保三郎

    久保委員 次には港湾運輸の基準の料金の問題でありますが、荷役料金に入る前に、大体港湾運送事業の支出の大半はいわゆる労賃である、こういうふうにいわれているのだが、そのとおりにとってよろしいかどうか。
  66. 比田正

    比田政府委員 おっしゃるごとく港湾の運送業の料金の大部分は労賃でございます。特に船内は六〇%ないしは三分の二ぐらいまでは労賃でございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 そうだとすれば最近の労働事情からいっても、人間を手配するのがかなり困難になってきているという実態、そういうものを考えますと、このタリフの問題が出てくると思うのです。これは政務次官にお尋ねしたほうがいいと思うのでありますが、港湾運送のタリフは、これは公共料金として政府はその範疇に入れているかどうか。
  68. 田邉國男

    田邉政府委員 この料金は公共料金の中に入るわけでございます。ただし中小企業のものでございます。から、これは経済企画庁とも相談をいたしまして、そしてその範疇をよくきめる、こういうことにいたしたいと思います。
  69. 久保三郎

    久保委員 公共料金というのは、国民大衆の生活に直接影響があるものと承知しているわけですが、たとえば電車、汽車の料金などは直接響きます。ところが港湾で扱う品物の荷主はどういうものでありますか。大衆ではない。むしろ言うなれば大企業、大資本なのです。こういうものの扱う品物を同じように公共料金として考える筋合いかどうか、どうですか。
  70. 比田正

    比田政府委員 先般閣議できめました公共料金の範疇でございますが、それには一応該当しますが、そのときにただし書きがついてございます。そのただし書きは、御承知のとおり零細企業で倒産のおそれのあるものとか、大衆に直接影響がきわめて少ないというようなことばだと記憶しておりますが、港湾の料金は、まさにこれに該当するわけでございます。したがいまして、この除外例の中に入る範疇でございます。  そこで、われわれの処置といたしましては、運輸省当局だけでは、これをきめるわけにまいりませんから、物価を所管しております経済企画庁とも事務的に御相談いたしまして、経済閣僚懇談会等のお許しを得まして、要すれば閣議の御了解を得てから上げるなら上げるというような順序になりますが、ただいまはいろいろその要求の内容を検討いたしております。ただいまの段階では、まだ上げるとも上げないとも決定いたしておらないのが今日の状況でございます。
  71. 久保三郎

    久保委員 その企業が零細であるかどうかは問題外だと思うのです。よしんば、その企業の経営が困難であっても、国民大衆の生活に大きな影響を与えるものは、公共料金として政策的に押えていくことが正しいと思うのです。それによって企業の経営が困難になり、つぶれるというならば、これは別ないわゆる一つの側面でささえていく、こういう機能が政治の政策的な機能だと思うのです。ところがこの港湾の問題は、先ほど申し上げたとおりなのでありまして、私どもの理解に苦しむところなのです。零細な企業で、しかもそこで働く労働者はどうかというと、命もわからぬという作業をしながら、低い賃金で人のいやがる仕事もやらなければならない。労働条件も必ずしもよくない、というよりは谷間である。こういうことを解決しなければ、先ほど申し上げたようにバランスのある経済成長とは私は言えないと思うのです。われわれは決してその料金を全部上げろという主張はいたしておりません。しかし大企業、大資本がつくるところの独占物資といわれるものは、卸売り物価そのものをとっても、一つも下がっておらない現実なんです。港湾労働者を安く使い、そしてその土台の上に産業が一人だけ独走して発展していくという姿はとるべきでない、こういうふうに考えておる。新聞の報ずるところによりますれば、港湾局長は、業界に対して、別に業界から頼まれてやっているわけではありませんでしょうが、ちょっとおまえらその点は待っていろ、やめろ、こういう指示をなさったそうでありますが、いまの御答弁では上げるとも上げないともまだ結論がつかないということです。結論はつかないが、待っていろというような話はおかしいと思う。これは物価政策に影響があるかどうか、もう一ぺん御検討の要があると思う。われわれとしては、今日言うなれば、そんな谷間にある労働者を使いながら、その犠牲において産業が発展する姿はとるべきではないと思います。  さらにもう一つは、港湾はいわゆる海陸の結接点である。その結接点は、そこでコントロールするという役目が片面なくちゃならぬ。ところが先ほど申し上げたように、大産業の独走のままに、あるいは海運会社の独走のままにしわ寄せを食っておるという姿は、断じてこの五カ年計画の中でもとるべきでない。また今後五カ年計画がオーソライズされるであろうけれども、少なくとも単なる経済成長なり扱い貨物の成長の指数だけで私はそろばんをはじくべきでないと思う。いま申し上げたような港湾の位置づけから始まって、どうあるべきかを考えていかないと、港はできたが、いつまでも前時代的な運営がなされる、これであってはならないのですが、これはどうですか。
  72. 比田正

    比田政府委員 先ほど来のお話にも出ましたし、私からも申し上げましたように、港湾の労務者というのは非常に枯渇してまいりました。しかも非常に重要な荷物を扱う港湾荷役が、それによって非常に困るわけでございます。そこで私どもとしましては、いろいろ関係産業の料金が上がってまいりましたときに、港湾労務者の労賃を据え置くということは妥当ではないということは存じております。ただこれの利用者もございます。それから港湾運送事業者のほかに船主さんとか荷主さんという利用者もございますので、利用者のほうと十分話し合いがつきますればこれは他産業の労賃の上がりぐあいを勘案しまして、これも上がるということになるのではないかというわけでございますが、ただいまの段階では、いろいろとこの港湾運送事業のほうの団体が荷主さんの団体とお話し合いを進めているわけでございます。したがいまして、先ほどまでその時期ではないと申し上げましたのは、利用者が納得いきまして、そのためにはやむを得ないということになりますれば、私どもとしては、これをどの程度に是正すべきかということを最終的に考えたい、こういう段階でございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 利用者である荷主、海運会社、そういうものの意向も聞かなければならぬと思いますけれども、たとえば荷主は私が言ったとおりでありまして、実際を言うならば、国民大衆ではないのです。大きなメーカ、大きな産業です。われわれが送るところの荷物がそんなにあるはずはない。海運会社は再建法によって、もう自力でやっていきなさいという方向がついた。他産業の犠牲で、たとえば石炭のように他産業の犠牲で再建をはかるものではない。だから港湾運送のいわゆるしわ寄せを食わせながら海運がそれで再建するということは、もうオーソドックスな方法ではない、こう思うので、そういう観点から検討すべきだと私は思う。別に上げろという主張ではありません。犠牲になってまでもほかの産業を助けることは政策ではない、こういうふうに私は言いたい。くどく言いますが、私は別に値上げ賛成ではない。そういうことを公共料金だというので、弱い者いじめのかっこうでやっていって、そのために産業を栄えさせるという方向は誤りだと言いたいのです。
  74. 比田正

    比田政府委員 御趣旨はよくわかりました。ただいまのお話の中でありました荷主関係が商工物資関係に限ったようにちょっと受け取りましたが、大きなお得意様には農林物資がございます。これは農民が営々としてつくりましたものを大衆に渡すという中間の流通機構でございますので、農林物資につきましても、まだいろいろと話し合いがきまらないようでございますが、必ずしもその大産業、大メーカーの関係の荷役だけではございませんことを一つつけ加えさせていただきます。
  75. 久保三郎

    久保委員 農林物資は、輸入物資でしょう。輸出物資ならたかが知れているでしょう。卵とかそんなものでしょう。数にすれば少ないですよ。実際言って大量に輸入するのはえさですよ。あるいは殻物ですよ。そんなものです。貿易の自由化で一再困るのは、日本の国内の農業です。しかも安く輸入して、港湾運送料金が安いから農民の手に安く渡るかというと、渡っていない。港湾局長は御承知だと思いますが——だから、あなたが言うから、私もよけいなことを申しますが、それは間違いですから、もう少し分析してください。私はそう思っております。  それからこれは審議室に資料を要求しておきたいのです。答申はかかるものは答申が出てからにいたしますが、港湾労働者の災害の実態統計、これはあなたのほうでお調べになっておるのでしょう、港湾労働等対策審議会もおやりになっているのですからね。やってなければ、関係省はどこですか、労働省ですね。どの程度のどういう種類の災害が多いか、数はどの程度あるか、六大港でいいですよ、これをひとつ近いうちに資料をつくって出していただきたいと思うのです。いいですか。
  76. 市来卓郎

    ○市来説明員 正確な資料は、ことに最近の事情のものは、労働省のほうが適当かと存じますが……。
  77. 久保三郎

    久保委員 労働省はいないし、あなたのほうで港湾労働等対策審議会をやっているのですから、当然労働者の災害の実態をお調べになっていると思うから要求しているのです。なければ、労働省から取り寄せて御検討の上、私のほうに出してください。そうするのがたてまえじゃないですか。港湾労働の中には労働災害も入りますよ。そうでしょう。それをお出しください。
  78. 市来卓郎

    ○市来説明員 審議会の資料を外にお出ししたことはございませんですから……。
  79. 久保三郎

    久保委員 それは法律か何かできまっているのですか。国会は何でも資料を要求できる、ここでみなが反対と言えば別ですが、国会に対しては機密はないはすです。——それなら労働省へあなたのほうから要求してください。
  80. 市来卓郎

    ○市来説明員 連絡いたします。
  81. 久保三郎

    久保委員 港湾の問題は多種多様でありますが、最後に申し上げたいのは、結局港湾行政の問題でありますがこれを一本化するために、これはやはり関係業界が一本になった形の何かシステムが必要だと私は思うのです。こういう点については港湾局としては何が考えておられますか。
  82. 比田正

    比田政府委員 港湾行政一般につきましては、例の臨時行政調査会のほうからいろいろ御意見があるようでございますが、局部的な問題で、ただいまおっしゃいました港湾の運営に直接関係あるところで何かそういう協議会等はないかということにつきましては、港湾の荷役業者はたくさんございますが、全国まとめまして港運協会というようなものをつくっております。また六大港につきましては、一部分ですが、船内等の荷役につきましては、これは公式のものではございませんけれども、荷主さんとの協議会も最近発足いたしております。だんだんにそういうような点で双方がよく話し合って事業の円滑化をはかりたいという方向には向かっております。私どもも今後御説に従いましてそういった意味の行政指導を続けていきたい、かように、考えております。
  83. 川野芳滿

    川野委員長 次会は明二十六日水曜日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十四分散会