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1964-09-10 第46回国会 衆議院 オリンピック東京大会準備促進特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月十日(木曜日)    午前十時二十分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 伊能繁次郎君 理事 小金 義照君    理事 羽田武嗣郎君 理事 重盛 寿治君    理事 永井勝次郎君       川崎 秀二君    小山 省二君       四宮 久吉君    田中 榮一君       中村 梅吉君    藤尾 正行君       大原  亨君    阪上安太郎君       戸叶 里子君  出席国務大臣         国 務 大 臣 河野 一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  金田 智成君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      高橋 幹夫君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 後藤 信義君         検     事         (入国管理局次         長)      富田 正典君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         厚 生 技 官         (公衆衛生局防         疫課長)    湯沢 信治君         厚 生 技 官         (公衆衛生局検         疫課長)    春日  斉君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         運輸事務官         (観光局長)  木村 睦男君         参  考  人         (東京オリン         ピック準備局企         画部長)    森岡 一夫君         参  考  人         (東京道路建         設本部長)   石井 興良君         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務総長) 与謝野 秀君         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務次長) 村井  順君         参  考  人         (東京オリン         ピック資金財団         理事長)    靱   勉君         参  考  人         (日本体育協会         東京オリンピッ         ク選手強化本部         長)      大島 鎌吉君         参  考  人         (日本体育協会         事務局長)   塩澤  幹君     ――――――――――――― 九月十日  委員海部俊樹君、長谷川峻君、小松幹君及び穗  積七郎辞任につき、その補欠として藤尾正行  君、中村梅吉君、阪上安太郎君及び大原亨君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員中村梅吉君、藤尾正行君、大原亨君及び阪  上安太郎辞任につき、その補欠として長谷川  峻君、海部俊樹君、穗積七郎君及び小松幹君が  議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  オリンピック東京大会準備促進に関する件      ――――◇―――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  オリンピック東京大会準備促進に関する件について調査を行ないます。  本日は、政府より河野国務大臣総理府より松永審議室長金田参事官、法務省より富田入国管理局次長、文部省より前田体育局長、厚生省より舘林環境衛生局長運輸省より木村観光局長出席を求めております。  また、委員長より、東京オリンピック準備局企画部長森岡一夫君、オリンピック東京大会組織委員会事務総長与謝野秀君、同事務次長村井順君、東京オリンピック資金財団理事長靱勉君日本体育協会東京オリンピック選手強化本部長大島鎌吉君、日本体育協会事務局長塩澤幹君、以上の諸君参考人として出席を求めております。  いよいよオリンピック東京大会開会まで余すところまる一カ月と迫ってまいりました。去る八月二十一日オリンピアにおいて採火された聖火は、沖繩を経て昨九日日本本土に上陸し、また各国の選手団も徐々に入国しつつありまして、オリンピックに関する内外の関心もますます高まってまいりました。  本特別委員会は、第三十九回国会、すなわち昭和三十六年九月二十九日、オリンピック東京大会準備促進のため、院議をもって設置され、自来その設置の趣意に沿って鋭意努力を続けてまいっておるところでございます。今日まで種々困難な問題もありましたが、関係方面の格段の御努力と御協力によりまして、各競技場関連施設道路等整備、その他の受け入れ体制につきましても、おおむね順調に進行している旨の報告を先般の委員会で承りましたのでございます。当委員会といたしましては、一応の安堵と、関係方面に対し深甚なる敬意を表する次第でありますが、開会式までまる一カ月に迫った今日、受け入れ体制全般にわたって、再度確認をいたし、その準備に万遺憾なきを期したいと考えているところでございます。  そこで、本日は、各般の準備につきまして真に万全であるかどうか、また今日なお問題となっているものがあるかいなか等につきまして、最終的な御検討をお願いいたしたいと考えております。  それでは、まずオリンピック担当国務大臣より御所信のほどを承りたいと存じます。河野国務大臣
  3. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、先般の内閣改造によりまして、オリンピックの仕事を担当するようにということに相なっております。たいへんごあいさつがおくれて恐縮でございますけれども……。  御承知のように、今回のオリンピックにつきましては、皆さまの格別の御協力によりまして、一般準備施設等につきましては、私もできるだけ十分に指導、監督をいたしておりますが、おおむねと申しますか、正確に申せば、御承知のように、環状七号線と国鉄中央線の路線の切りかえ、この工事が、大体は済んでおりますけれども、まだ全部済んでいないという個所が一カ所、しかもこれはもちろん今月のうちには全部予定どおりに完了するということになっておりますものが施設関係においては一番おくれておるということで、他のものは予定どおり全部完了しておると御報告申し上げて差しつかえないと思います、という程度に進捗いたしております。しかもこれらの施設は、一々現地において調べてみますのに、私の知る限りにおきましては、いまだかつてこれだけ行き届いたりっぱな競技施設はこれまで世界のどこにも見られなかったという程度のものが準備されることができた、これはひとえに皆さま方の御指導、御協力のたまものであると深く感謝いたす次第でございます。  こういうふうにして、準備関係におきましては、直接の施設においてはまず欠けるところがない。あとはこれをいかに運営していくかということ、それから環境をどういうふうに整備するかということが一つの問題だと思うのでございます。これらは最大限注意深く努力をするということで、これで万全だというわけには実は御承知のようにいきかねる問題でございまして、きめこまかく気づいたところを指導して、よりよいものにして選手を迎え、競技に万全を期する、さらに外客に対し十分に日本の真価を認識していただくということにいたしたいと思うのでございます。これとても、いずれそれぞれの関係者諸君から御報告申し上げることと考えますが、私といたしましては、これらの関係諸君にお集まりいただいて最終的な打ち合わせも実は済ましております。そして、注意する点はできるだけ注意いたしております。  ただ、この機会に特に御了解を得ておきたいと思いますことは、隅田川の問題でございます。この隅田川浄化につきましては、かねて私雑談大臣当時に、オリンピックまでにはある程度めどをつけたいということで努力を続けてまいりましたが、その後東京都の水の問題が起こりまして、そのために先月の二十五日に東京都のほうに通水をいたしました。そのために、東京都に一部の水を入れると、隅田川の水を浄化するためにその水がどうなるかということを一ころ憂慮いたしましたが、幸いにしてその後相当量の雨量がありましたので、東京都としてはまず水道の問題は一応ある程度までいっておる。これは皆さん承知のとおりであります。それで、オリンピックを控えての水道の問題はどうなるかということになりますと、これは新聞でも御承知いただいておると思いますが、その期間オリンピック関係のところにつきましては一切の制限をいたさぬということに水道局のほうと打ち合わせをしておりますから、オリンピック関係の水の問題はもう一切解消いたしましたが、それと関連いたしまして、隅田川に水をどういうふうに流すかという問題でございます。これは今朝の新聞にも一部見られることでございますが、多少の思い違いの報道もあるようでございますが、こまかな数字も持っておりますけれども、一々申し上げることもどうかと思いますが、大体現在の状態におきましては、相当量の水を日々荒川から新河岸川のほうに取り入れてまいりまして、そしてそこから水を流すということにいたす予定でございます。しかし、その水が、さらに日照りでも続きましてだんだんに減ってまいりますと、東京水道の水が優先いたしまして、隅田川へ流す水が量が減りますから、予定どおりの効果をあげることはできなくなるかもしれませんけれども、いまのところでは、当初予定いたしました程度の水を隅田川に実は今朝から送っておるわけであります。今朝から相当量の水を隅田川浄化のために入れておりますから、それである程度今日までの隅田川とは違った水になってくる。前のように魚が泳いで十分死なない程度の水にするには、もう少し水量が必要のようでございます。しかし、これは雨がどの程度に降るか、どの程度の流水が取り入れられるかということになるのでございまして、まだ万全を期して完全なものになるというわけにはまいりませんけれども、今後引き続きごみを十分取り除ける、下水の流人をある程度押えるということと兼ねて、いま申し上げましたように荒川の水を予定どおりこれに流し込むということになりますれば、かつての隅田川のように、魚が住んでも死なない程度の水になるということは決して不可能のことじゃないということの計画を持っておるのでございます。これがもしもう少し早くできまして、オリンピックまでにある程度きれいな水になることができれば一番けっこうだと思うのでございますけれども、いま申し上げたような次第で、当初から相当きれいな隅田川にするということは不可能であるという点でございます。  その他、これも至急に皆さんの御感触等も承り、委員長さん等から御意見も承ってやったらいいだろうと思いますことは、現在都内交通しておられます――交通取り締まりの中に、道路は一体右を歩くのか、左を歩くのかということが混乱しております。戦後、右側通行だといって右側通行を非常に奨励いたしましたけれども、それがまた今日では右を歩く人もあるし、左を歩く人もある。必ず右を歩かなければいかぬということにも相なっておりません。こういう問題もこの際はっきり、右を歩けとか、左を歩いていただきたいということをきめてそして指導することは、オリンピック、ことに人の混乱するときに一番必要じゃなかろうか。そういう点も早急に決定して、交通取り締まりの面からひとつ指導するようにいたしたい。  その他、この種のことがまだいろいろ残っておる問題がございます。しかし、それらにつきましても各方面の御注意を承りまして、最大限にひとつりっぱなものにしてやっていくようにいたしたい。ただ問題は、開会前に小金さんからもお話がありましたように、予測しないような事態があるんじゃなかろうかということも実はいろいろ勘ぐって、ああいう場合どうだ、こういう場合どうだというようなことも研究いたさぬわけではございません。しかし、これらにつきましては、まず私といたしましては、あくまでもオリンピック組織委員会中心にして、組織委員会において問題の決定を見ていただく、処理していただく、その決定に対して政府協力をするということにして、決定が二途に分れるというようなことのないように、あくまでも組織委員会に自主的に指事的立場をとっていただくということでやってまいるのが一番いいんじゃないかというふうに考えております。おおむね、オリンピックの行事でございますから、あくまでもオリンピック精神にのっとってすべての問題を処理する、それに対し政府協力するという態度でいきたいと考えておるのでございます。  いろいろ御注意を承ることもあろうと思いますが、どうぞよろしく御指導いただくことをお願いいたしまして、ごあいさつといたしたいと思います。
  4. 島村一郎

    島村委員長 この際、松永審議室長より補足説明を求めております。松永審議室長
  5. 松永勇

    松永説明員 オリンピック関係施設その他の準備状況について説明しろというお話でございますが、先般のこの委員会で最近の施設状況の御説明を申し上げました。その際に申し上げましたことは、施設につきましてはおおむね完了しております。あと施設以外の面でオリンピックを迎える体制と申しますか、受け入れ体制という点について、今後、最後の残された期間を有効に使って整備を進めたいということを申し上げたわけでございますが、先般オリンピック担当大臣から、いわゆる受け入れ体制の総点検ということをやれというお話がございまして、各省あるいは関係者間におきましていろいろ連絡会議を持ちましてやったのでございますが、そういう観点から、今後どういう点に問題が残されておるかというような点を中心に申し上げてみたいと思います。  まず競技施設整備でございますが、競技会場三十二カ所、練習会場八十カ所の建設は、武道館の建設がこの九月の十五日に竣工するということをもってすべて終わるという状況になっております。なお組織委員会のほうでこれに若干の仮設工事を加えるという問題がございますが、これはごく簡単な仮設の問題でございます。むしろ、オリンピックが開かれる期間から逆算していつ着工するかということでございまして、多少残っておるものもございますが、これは問題ないと考えております。  次は選手村の整備でございますが、九月の十五日に開村するということですべて整備がされております。なお、選手収容計画は当初七千二百名でございましたが、約千名くらいふえるような見込みになっております。それもベッドその他問題なく手配いたしております。  次は道路でございますが、これは先ほど大臣からの説明がございましたように、環状七号と中央線立体交差、これが大体九月の二十日ごろになろうかと思っております。それから環状八号の多摩美術大学のところの一部が九月の三十日ごろになる、これ以外はすべて完了しておるということでございます。なお、オリンピック期間中の道路上の工事を一応抑制するという措置をとってまいりまして、道路上にございます障害物等も一時撤去するということを申し合わせておるわけでございますが、この処理状況を確実にやっていくということを今後やっていかなければならないだろうということでございます。  次は公園整備でございますが、明治、駒沢、戸田の各公園はすでに完了いたしております。霞ケ関と北の丸はこの九月の二十日ごろまでに完成を予定いたしております。  上水道下水道ともに問題はないと考えております。先ほど大臣の話もありましたように、オリンピック期間中の純水対策も大体だいじょうぶだというめどがつきました。そのように取り計らう予定になっております。  次に清掃対策し尿消化槽ごみ焼却場等施設は、すべて計画どおりに完成されております。オリンピック期樹中における都内ごみ収集につきましては、東京都のほうでいろいろな計画を立て、万全を期しているところでございます。選手村、競技場あるいは都心部中心的な施設ごみ収集については、特にその収集の時期を適正に行なうとか、見苦しくないような措置によってこれを行なうという点で十分な計画が立てられておるところでございます。  それから、道路上にございます公衆ごみ容器あるいは吸いがら入れ等の回収も、今後十分やっていくという計画になっております。  それから、競技会場ごみが非常に散乱するということを考慮いたしまして、競技場に入っていただく方々に自分でごみ処理をしていただく袋を、入場者全員に渡すということも、組織委員会のほうで準備されておるようでございます。なお、灰皿の処理につきましても考慮が払われておるという状況でございます。  それから、し尿処理の問題につきましても、東京都あるいは施設管理者のほうでそれぞれ十分なる処理を行なう、特に、いわゆる公衆便所につきましては、これから一斉清掃を行なって、故障個所等につきましても、東京都のほうもあるいは区を動員いたしまして実施を行なうという計画になっておるようでございます。  なお、便所につきましては、トレーラーの移動便所五台と、仮設便所三十九カ所を予定いたしているところでございます。  それから、いわゆるオリンピック関連道路、あるいは都心部道路清掃というものにつきましても、ロードスイーパー等機械化を行ないますほかに、いわゆる民間団体協力を得て早朝に清掃を行なうというようなことも東京都で実施されております。  それから河川のよごれたところ、隅田川につきましては先ほど大臣から御説明がございましたが、その他の河川につきましても、三十三河川につきまして、いわゆる浮遊ごみ、浮いているごみをこの際一斉清掃するということもはかられておるようでございます。  次に、輸送施設につきましては、施設はすべて完成いたしまして、問題はございません。この期間を利用しての輸送方法、いわゆる観客輸送対策というものにつきましては、すでに半年前から十分な対策を練ってまいっておりまして、運輸省中心になりまして、関係業者等も入れた対策本部をつくって、今日までにきめのこまかい対策を立ててまいったのでございますが、そういう点で、バスの発着、駐車場循環バス、あるいは臨時系統バス等、あるいは外国人算用バス等準備も十分整っているようでございます。  それから、交通機関施設清掃、駅とか、そういう施設清掃美化等も着々と現在行なわれておるところでございます。  羽田空港につきましては、大量の選手団その他が一瞬に入ることが予想されますので、これにつきましては、チャーター機で参ります選手団等につきましては、特別の検疫あるいは税関等の手続を行なう個所を設置いたしまして、一般観客との混乱を避ける等の措置もきめまして、いまその準備にかかっておるところでございます。  宿泊対策としましては、当初三万人の外客を宿泊させる予定ホテル等整備をはかってまいりましたところでございますが、これにつきましても、その予約状況を見ますと、登録ホテルについては九六%以上の予約がすでに参っております。都内あるいは横浜というようなところは、大体満員というか、それに近くなっているようでございますが、なお、箱根、伊豆等においてはそれほど――予約予定より少なかったという実情はあるようでございますが、いずれにしろ、おおむね所期目的を達しているという状況になっております。船中泊としましては、東京港に五隻、横浜港に五隻の船が入港することが予定されております。  その他、観光接遇対策としましては、民間団体あるいは東京都あるいは関係省庁におきまして諸般の準備が速められておりまして、たとえばガイドの問題、あるいは善意通訳という制度を採用いたしまして、ガイドは約二千名、善意通訳は二万五千人ということで、この善意通訳というのは、一般方々から募集いたしまして、街頭において、会話の通じないそういう方々に親切に通訳の役を買って出るという制度でございます。それも大体二万五千人のそういうものが確保できる見通しになっております。その他、警視庁における通訳センター、あるいは主要電話局における英語通話サービス国際観光振興会によるテレツーリストサービスというようなことが計画され、着々進んでおるところでございます。なお、外国人に対する旅行案内のパンフレットとか地図とか、そういうものも関係団体を通じてそれぞれ配付する等の措置がとられるようになっております。  治安維持対策につきましては、警視庁中心としまして、近県の応援を得て相当の人数の動員を行なって、このオリンピック期間中の治安対策に十全を期すということで治安対策がつくられ、今後なお緻密なる計画が実施されるという段階になっております。  なお、交通規制とか駐車場対策は、このオリンピックが非常に混乱された交通情勢のもとで行なわれるという特殊な環境を考慮いたしまして、当初以来この交通対策を非常に重点的にしてまいっておったわけでございますが、先般警察庁におきましてその最終対案を完成いたしまして、この交通規制を十全に行なうために、まず官庁が率先してこの交通の緩和というものに協力するという態勢を示すために、先般、次官会議の申し合わせによりまして、官庁自動車トラック等がこのオリンピック期間中にできるだけ交通の繁雑が予想される地域を避けるというような問題も実施いたすことにいたしておる次第でございます。  その他こまごました点もございますが、大体大筋といたしましては、観客受け入れ体制、あるいは選手団その他の受け入れ体制もおおむね所期目的を達していると考えている次第でございます。しかし、なおこの中には、きめのこまかい措置を今後も十全にやっていく必要があろうかと思います。今後も関係各省において連絡会議等を持ちながら、なおきめのこまかい措置を推進していく、こういう予定になっておる次第でございます。     ―――――――――――――
  6. 島村一郎

    島村委員長 これより質疑に入りますが、委員各位にこの際お願いを申し上げておきたいと思います。  御承知のように大臣は御多忙でありますので、大臣に御質問がありましたら、まずそれを先に御発言願いたいと存じます。  戸叶君。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 他の委員会との関係もありまして、先に発言をさしていただきましてまことに恐縮に存じます。いろいろと専門的に該当する方々がやっていて下さいますので、問題はないと思いますが、女性立場から一言私どももお願いをしておきたいと思います。  それは、私が十年ほど前にアメリカに参りまして自動車に乗りましたところが、運転手さんから、日本女性は自由になっていいんだそうですねということばを聞きまして、私は、ぞっと、何かからだじゅうが寒くなるような思いをいたしました。その後日本では売春防止法なども通りまして、そしてそういうような認識で日本に来る人は少ないであろうということを私は考えておりますけれども、しかし、来た人たちの接する女性によって、また間違った印象を持っていかれても困ると思いますので、そういう点を十分に考えていただきたいと思いますが、売春防止法関係の五条の違反を見ますと、三十八年には八千五百二十二件あり、そして東京ではそのうちの二千四百五十一件というふうな数になっており、三十七年のときの九千六百九十四件のうち、東京は三千四百二十五件というふうで、大体都会にそういうふうな問題が多く起きております。大体三十七年より三十八年は数が減ってきたとはいえ、これはよくなってきたということを物語るのじゃなくて、なかなか取り締まれなくなったというふうな状態であることを、はっきりと警視庁なんかでも言っているわけでございまして、こういう問題に対して、オリンピックの総元締めである大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、御所信を承りたい。そしてまた、時間がありませんので、それに対する対策をどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということもあわせてお伺いいたしたいと思います。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 お話ごもっともでございまして、風俗関係のことにつきましては、特に、直接には警視庁、しかし、警視庁でこれについて万全を期するということはなかなか困難でございまして、民間の団体の御協力を得て、特に戸叶さんはじめ婦人団体等で一般民間の御指導等について格段に御協力を願わなければ、所期目的を達成することは困難じゃなかろうかと思っております。先ほども申し上げましたとおりに、その種の問題というようなことが――これからだんだん近づくにつれまして、一方にはオリンピックに対するムードが非常に高まってくる、その反面においてまたお話しのような点についてどうするかという国民全体の不安も実はあるわけでございます。したがって、これらにつきましては、今後官民一体となりまして、こういうことに対するきびしいムードを盛り上げるということが必要ではなかろうかと考えて、十分意を用いていきたい、配意してまいりたい、こう考えております。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 十分意を用いていらっしゃりたいという御覚悟のほどはわかりますけれども、やはりこの際便乗して悪徳業者が、いろいろとうしろに回って悪いことをしようとする人が出てくるわけでございまして、そういうふうな面を取り締まるのに、警視庁だけではまずいから、民間の人たちにも協力を仰いでということでございますが、もう日も迫っていることでございますが、一体具体的に委員会か何かをおつくりになって、そして励行できるようなことをお考えになっていらっしゃるか、それとも、何も考えてないけれども、どうかしなければならないというばく然たるものであるか、もう一度伺いたいと思います。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 実はおいでになるお客さんも数も多うございますし、なかなかそのほうにも問題が私はあるだろうと思うのです。しかし、それは別にいたしまして、当方といたしましては、御用のある方もしくは夜間散歩等にお出かけの方は、この地区を大体おすすめいたしますということで――東京じゅうと申しましても、なかなかそういうわけにまいりません。したがって、われわれがたとえばアメリカに参りましても、下町のほうはなるべく行くなということをだれでも言うというように、私としましては、初めからとにかく警視庁のほうにお願いしまして、この地区ならば大体散歩なすってもけっこうですというところを、十分に地域を区切ってひとつ万全を期したい。さらに常業につきましては、御承知のようなマークを分かちまして、こういうマークを持っておる店ならば、バーでも一ばいお飲みになってもだいじょうぶでございますということにして、こちらのほうである程度制限して先方の受け入れ体制をつくるということで消極的に守っていきたい。  さらに、いまお話しのようなそういう悪徳業者はどうするか、その他の点につきましては、警視庁のほうからお話していただくことにします。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 あとから警視庁のほうから伺えると思いますが、そこで、いま大臣のおっしゃるのは、大体こういう地域では非常にいかがわしい面が多いから、そういうところへは行かないほうがよろしいということをサゼストして教えてあげる、こういうふうに私は了承したわけでございますが、そういうふうにしてもやはりいろいろなところが出てくると思いますので、よく気を配っていただきまして、せっかく日本女性がよくなってきているのに、たまたま接した女性によって間違った概念を持っていかれないようにしていただきたいし、そういうことがないように万々考えていただきたいと思います。ことにトルコぶろなども、労働省が調査いたしましたところによりますと、半分はいいのがあっても、あと半分というものはまだまだいかがわしいものがあるということさえ示されておるわけでございまして、そういう面で日本はいいところだとか、何かそういうふうな印象を持たれてもたいへん困りますので、この面もぜひ風営法に関係いたしまして取り締まっていただきたい。これはやはりそれぞれの担当官がおありでございましょうけれども、大元締めの大臣が陣頭指揮で責任を持ってやっていただけたらと私どもは考えるわけでございますが、この点についても御決意のほどを承りたいことが一つと、もう一つは、先ほど、交通関係ではたいへんよくやっていらっしゃっているようには伺いましたが、ただ、中の運転手さんの問題なんです。大多数の人たちはいいのですが、たまたま、乗せた外人の忘れものをとってしまったりというような面もあるわけでございますから、こういうふうな交通関係にあわせて、タクシーの運転手人たちにも、そういう間違った考えを起こすような人がないように徹底をしていただきたい、こういうこともお願いをしたいと思いますが、この点についてのお答えを伺いたいと思います。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、いまお話しのような点につきましては、たとえば警視庁のほうから私もトルコぶろの点についてもお話を聞きました。これを総じて、ここならよろしいだろうという店のマークを与えて、おいでになった人にも、そういうマークのある店でそれぞれの用件を足すようにしてほしいということを連絡する、こういうことでございます。これは世界じゅうどこを歩きましても、どんなりっぱなところへ行っても、どんないいところへ行っても、どこからどこまでみんなきれいなところはないのじゃないか、したがって、どこは悪いから行くなというようなことは申しませんが、どこはおいでになってもけっこうですという指導をしていきたい。これはホテルのボーイ等にも、何の用事でどこへ行きたいのだったら、ここの方面にいらしたらけっこうでございますといって連絡をさせるようにするというようなことでやっていきたいという、わりあいにこまかな打ち合わせまで実はいたしておるわけであります。  あと運転手さんのことにつきましては、それは警視庁のほうで相当こまかくこれらの業界との間に打ち合わせをして指導することをいたしておるようでございますから、なおこの上とも注意いたしてまいりたいと思います。
  13. 高橋幹夫

    ○高橋説明員 ただいま河野大臣からお答えしていただきましたので、基本的な方針については御了承を得たことと思いますが、警察におきましても、いま御指摘のようなこまかい点につきましては、具体的に警視庁あるいは神奈川その他の関係の府県、あるいは観光地を担当いたしますところのそれぞれの府県に対して、環境浄化という点について一つの重点をそそいでやっておるわけでございます。したがいまして、風俗営業の取り締まりというような点については、それぞれ業者の自主的な協力あるいは自主的な規制活動というようなものを起こすために、組合活動を私どものほうで積極的に指導いたしております。  さらに、売春等の取り締まりにつきましては、御指摘のありましたようにいろいろと――件数等については、私、詳細に手元に持っておりませんが、街娼とかポン引きの取り締まりとか、悪質なホテル、旅館業者あるいは風俗営業者、飲食店営業者、トルコぶろ、ヌード・スタジオ、こういうようなものについては、できるだけ取り締まりを厳重にしていくということで御指摘のような点のないように十分配慮していきたい。  また、交通関係につきましては、いわゆる白タクの取り締まりという問題、あるいは料金を不当にとる、あるいは乗車拒否というような問題につきましては、警視庁中心になりましてそれぞれ業界と積極的に協力をいたしまして、車のマークをそういうものについて適応したマークをつけて、こういう車にお乗りになればまず間違いないというようなこと、あるいは外人専用のタクシーベイ等についてはそういう車を回すというようなことで、少しでも不愉快なことがないようにいたしたい、こういうふうに考えております。できるだけこまかく配慮をいたしまして、御指摘のような点のないようにできるだけの措置を警察といたしましてはいたしたいと考える次第でございます。
  14. 島村一郎

    島村委員長 永井君。
  15. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣が御多忙で中座されるということでございますから、大した問題でないのですが、この際一応この場所で大臣の御発言を願っておいたほうがいいのではないかと思うので、お尋ねするわけです。  実は、私がオリンピック委員をやっているということで、開会式やいろいろな競技の入場券を何とか都合してくれという話が二、三最近特に出てきております。そして国会議員や大臣なんかうまいことやれるじゃないかという期待をかけておる。それが先日は朝日か何かの囲みに、河野大臣が、開会式、閉会式の入場券を二枚せしめた、実力者の実力を発揮したという記事が出ていて、国会議員や大臣なんか、表面はとにかくとして、裏でうまいことやれるじゃないかというような期待と疑いをこの記事が持たしたと思われる。実際はそんなことはないと思うので、担当大臣から、これらの入場券の問題について特権乱用の余地がないという実情をひとつこの機会にお話しになっていただいたほうが、誤解を招かなくていいのではないかと思うので、この点についてお尋ねいたします。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまのお話についてもし誤解の向きがありましたならば、私から明瞭にするよりも、組織委員会のほうで明瞭にしていただいたほうが、さらに一そう明瞭になるだろうと思います。ただ私の立場で申し上げますことは、今回の入場券のことにつきましては、政府並びに、あえていまお話がありましたから国会も入れますが、そういうものには全然自主権はございません。一切を組織委員会にまかしておりまして、組織委員会のほうに私からどこに幾らやったらよかろう、どこにどうしたらよかろうと言うことは、私の仕事の範囲外と心得ております。別に私はそういうことについては配慮をしない。すべて組織委員会のほうにおいて合理的に――これはもし世間の人が間違ってお考えでしたならば、とんでもないことでございまして、くすねてとるとか、ごまかしてとるということは、このオリンピックの入場券に関しては絶対にない。ただその監督を私がするということだけはこの機会に申し上げられると思うのであります。あと必要があれば、詳細に――組織委員会のほうで新聞社の方とお話し合いの上でやっていらっしゃることでございますから、もしそういう誤解があり御疑念があれば、全部誤解であり御疑念であるということを明瞭にしておきます。
  17. 永井勝次郎

    ○永井委員 一応組織委員会与謝野さんのほうからこの問題についてはっきりお話をいただいたほうがいいと思います。
  18. 与謝野秀

    与謝野参考人 お答えいたします。  すでにたびたび御説明したかと思うのでありますが、オリンピック大会の入場券の割り当てにつきましては、昨年、読売新聞社の副社長の高橋雄射さんを委員長とする割り当ての小委員会をつくりまして慎重に審議した結果、各大臣は御夫妻を御招待申し上げる、国会議員は開会式、閉会式各一枚の切符が割り当てられる、これは何も国会議員ばかりでなくて、関係の深い都会議員その他政府関係職員も同様であります。ただ、これは開会式、閉会式についてきまったものでございまして、いよいよ競技のほうの入場券の入手はどうなるか、自分は柔道を見たい、自分は水泳を見たい、こういう希望があって、やはりある種の割り当てをいたさなければならないということで、また慎重研究いたしました結果、衆議院、参議院の双方と御懇談いたしまして、ある程度の数をお渡しして、それぞれ配分していただくことになったわけでございます。これはあるいは一人四、五枚程度のものかと思いますが、それにしても、水泳一種目でも、五日間通えばやはり五枚は要るわけでございまして、特に特権というようなものとは考えておらないわけでございます。これの割り当ては国会のほうにおまかせした、これが実情でございます。
  19. 永井勝次郎

    ○永井委員 それじゃ大臣への質問は終わります。
  20. 島村一郎

    島村委員長 重盛君。
  21. 重盛壽治

    ○重盛委員 おそらくや本日が促進委員会の最終日になるのじゃなかろうかと思います。したがって、私は大臣に特にいろいろと御配慮をいただきたいのでありますが、先ほど来準備の過程も聞かされ、その経過等は私ども拝見し、大体これならばだいじょうぶという方向づけただけは私もつかんでおるつもりです。さらに、各競技場等についてりっぱな花壇をつくったり、菊を植えたりというようなことで、非常にきれいな――いわんや、隅田川の水まできれいにして、オリンピックをきれいな国内状態の中で見ていただく、やっていただく、こういうお考えは非常にけっこうだと思いますが、もう一つまだやることがありはしないか。これは大臣はおわかりになっておると思いますが、長い間懸案になっていた問題が幾つかある。もちろん、私はオリンピックをきれいな姿の上に、きれいな形の上に行なうことはけっこうでありますし、そうしなければならぬが、もう一つより清潔にしなければならぬ面がありはしないか。いわゆるすべての手続の問題、すべての総合的な施策の問題にほんとうにオリンピックとして恥ずかしくないきれいさを持ってやってきたかという点に対しては、若干の懸念なしとしないのであります。特に新興国競技に出た者は今度は参加できない。従来、インドネシアが参加できないということで、何回かこの委員会でも取り上げ、事務総長等にも非常なお骨折りを願い、全員が協力した形で、今日幸い、九十六カ国とか聞いておりますが、九十数カ国が日本に集まって競技ができるような態勢ができたことは、私はまことにしあわせだと存じますが、たまたま最終段階へきて、朝鮮の辛金丹選手等がどうしても入れられない、これはこの前の委員会でも、委員長にもお願いし、村井次長がおいでになっておってお願いをした、そのことが進んでおるかということをお聞きしたいと同時に、それをお聞きするよりは、もう最終段階にきたので、すべての問題をやはりここで取り上げて最大の努力をし、日本政府としてはできるだけのことをやったのだというような態勢をつくっていただく段階でないか。余分なことまで私は申し上げたくないのでありますが、特に講和ができておらぬ国との関係というようなものは、初めてアジアで開かれるこのオリンピックを契機にして、そういうときにもより効果的な方向づけをしておくということは、政府自身としても、日本の国民全体としても、私は決してマイナスではない、いな、当然やるべきだ、このように考えておりますが、こうした問題をお聞きになっておるのかどうか、あるいは情勢を御存じであるのかどうか、あるいはまた、御存じであれば、どういうふうな方向づけをしようというお考えであるのか、この際大臣に一言お聞きをしておきたいと思います。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどごあいさつの際に申し上げましたとおりに、すでにいままでにおいていまお話のような点があるということも私は承知しております。また、今後オリンピック開催にますます接近するに従いまして、もしくはオリンピック開催の時点におきまして、そういった国際問題を万一惹起するおそれがないかどうかというようなこと等についても、こまかい配慮をする必要があると考えております。しかし、それらにつきましては、いずれもオリンピック競技でございますから、これはオリンピックを実施する、大会を開催するという方向で私はすべてを解決するように考え、それを解決することがよろしい。したがって、それらにつきましては、組織委員会中心になりまして、組織委員会決定をわれわれ政府は支持するということに方針をきめたのはそのためでございます。われわれは自主的にこのチャンスに未講和の国についてどうするとか、外交的にそれをどうするというようなことを、われわれの政治的な感覚、良心においてどうするということは、私は二義的に考えたい。どこまでも組織委員会中心になりまして、そしてこのオリンピックを平和のうちに、いわゆるオリンピック精神にのっとってりっぱなオリンピックを完了するということに支障のないようにオリンピック委員会が善処していただく、その決定政府は支持してそれに協力するという基本方針にのっとってすべてをやっていきたい、こう考えております。したがって、組織委員会からわれわれのほうにどういう点をどういうふうに推進願いたいということがありますれば、それに対してわれわれはあくまでも組織委員会決定もしくは遂行を強力に支持し推進するように努力するということでいきたい、こう考えておりまして、いま御質問の点に対するお答えにならぬかもしれませんが、その基本方針にのっとって私はやっていくということをきめております。組織委員会からいまどうしてくれ、こうしてくれという問題はまだ聞いておりません。したがって、そういうことがありますれば、組織委員会の要請によって私どもは善処する、こういうつもりでおります。
  23. 重盛壽治

    ○重盛委員 大臣に私は決して反発はしませんが、なるほど促進委員会であって、組織委員会の要請を組織委員会との横にらみによって問題の解決をつけていくということは当然なことである。私どもも及ばずながら組織委員も長くやらしていただき、特に促進委員としては、参議院におる時代も、また衆議院に出していただいても、そういう面を担任さしていただいております。ですから、すべての国にオリンピックは平等な気持ち、平等な態度で対処していく、そしてオリンピック組織委員会がこの問題を取り上げていかなければならぬことは当然であります。けれども、あと一ヵ月に迫って――あとから事務総長のほうからお話があろうかと思いますが、率直にいって、事務的な手続はかなりできるだけやってみていただいたが、まだ満足な姿が出ておらぬ。いわんや、反面、好ましいことではないし、あるいは私もこういうことはどうかと考えますけれども、少なくとも辛金丹が参加できないというような状態がかもし出されるならば、朝鮮はこの日本オリンピックには参加をしない、あるいはまたインドネシアもそれに同調しようというような空気すら流れておるのでありまして、こういう面も把握をして、これはいかぬ、そういう事態ができておるとするならば、促進委員会として、日本オリンピック担当大臣として、やはり何とか打開の道を講ずべきではないかという段階にきておるというように私は直感をいたしております。同時に、最後の仕上げとして、率直に申し上げて、ほんとうに努力をしていただいてできないことはやむを得ないと思いますけれども、何かしら、もうここまでくれば時間待ちだというような形でこの問題を押し流すということは、アジアにおけるオリンピック大会を開催する主催国として決して親切でない。だから、そういう点をどうかひとつ大臣組織委員会のほうから十分お聞きになって、私は最後の努力をしていただくようにお願いをしておきたい、このように思います。どうか一言……。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 お話の点よく承りました。なお事務総長とよくお打ち合わせをいたしまして、もし私がやる必要があるということでありますれば、私は決して回避するものではございません。あくまでも、先ほどお答え申し上げたとおり、オリンピックでございますから、組織委員会中心になって一切をやるのでございます。これが日本の外交に支障があるということでありますれば、政府自身もこれを放置するわけにもまいりませんけれども、あくまでも問題はオリンピックを開催するということでございますから、そこで組織委員会のほうでどうお考えになるか、これをやるのにはどういうふうにするのかという自主性は、私は、オリンピック委員会のほうに持たすことが適当であろう、こういうふうに考えましたので、そういう意味において、お話の点は十分配慮いたしまして、組織委員会の御意見を伺った上で、遅滞なく、必要があればやるということにいたしたいと思います。
  25. 重盛壽治

    ○重盛委員 事務総長が陸連から……。
  26. 与謝野秀

    与謝野参考人 お答えいたします。  北朝鮮のオリンピック大会参加及びインドネシアの復帰ということにつきまして、組織委員会としてはできるだけの努力をして今日までまいったことは、御承知のとおりでありまして、北鮮の選手の参加というものにつきましては、できる限りの便宜を与え得るように政府その他にもお願いして今日までまいったわけでございます。ところが、たまたま国際陸連から、辛金丹選手以下陸上競技選手が参加資格を停止された。われわれとしては、この資格停止が解けたら喜んでこれを迎えるためにいろいろ手を考えていたのでございますが、また努力もいたしたのでございますが、今日までのところまだ決定がひるがえるというところまでいっておらないのであります。同じような問題が国際水連にもありまして、これも近々国際水連のこの問題に対する態度が発表されるということを聞いておるわけでございます。われわれとしては、オリンピック大会にはこの二種目以外に十八種目、水球と水泳を一緒にして十七種目あるわけでございます。そうしますと、かりに辛金丹選手が万一来られないようなことになっても、ほかの種目にぜひ参加してもらいたい、こういう気持ちでおります。今日まだここで辛金丹選手の不参加が決定したということを申し上げる段階にはなっておりません。ところが、先般来いろいろこの委員会でも御審議をいただきました選手、役員以外の観客の問題につきましても、いまその辛金丹選手の参加問題とからんでこちらがいろいろ向こうの希望に沿うように努力をしておるのでありますが、ちょっと先決問題があるというようなかっこうになっております。われわれとしては、時期を失しないようにということもあわせてやっている次第でございます。
  27. 重盛壽治

    ○重盛委員 大臣もお忙しいようですから私はやめますが、おそらくや、日本オリンピックをやるということは、われわれの生涯のうちにはこれをもって初めの終わりとするでありましょう。同時に、なかなか将来アジアヘくるという機会は少ないように私は考えられます。ですから、先ほどいろいろとお話があったように、全くきれいな姿を見て、きれいなところで競技をしていただくのはそのとおりでなければなりませんが、同時に私は、次代をしょって立つ世界の九十数カ国の若人が日本に集まるという機会はこれまた初めてである、したがって、この機会に日本のあるべき姿をやはり見て行っていただきたい。日本という国は、姿もきれいであるが、考え方もきれいである、平和な民族であるという姿を見ていただく。ということは、言うまでもなく、自由主義国家群の人たちも来るでありましょう、あるいは共産圏の人たちも来るでありましょう、いろいろな人たちが来るでありましょうが、全く平等に扱って、すべてを明るい、気分のよい形で送り迎えをしていただくように御配慮を願いたいし、いまのような問題も非常に努力をしていただいておりますが、最終決着がついておらぬが、あなたの言われるように、政府自身が、そういう条件があるならば、できるだけひとつ日本の国としてもこの際努力してみようじゃないかというお考え方の上に立っての善処を私は御要望申し上げておきます。いろいろ申し上げたいことがありますが、またとない日本で行なわれるオリンピックに、あのときああもすればよかった、こうもすればよかったというような悔いを百年後に残さないように、せっかく実力大臣オリンピック担当になられたので、国民全体が期待をいたしておりますけれども、万遺憾のないように御配慮を願いたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
  29. 島村一郎

    島村委員長 永井君。
  30. 永井勝次郎

    ○永井委員 オリンピック東京大会は秒読みの段階に入った。一日一日ムードが盛り上がってきておる。これも東京の中に生活していてはその経過がはっきりと体験として出てこないわけですが、私は二週間ほど選挙区に帰っていて、そして二週間ぶりに東京へ出てみて、オリンピックのムードの変わり方、迫ってきたという感じ、それを町のたたずまいの中にも感じて、びっくりするくらいこれは変っておるわけであります。もうここまでまいりますと、ああもしたい、こうもしたいということも時間的にも間に合わない。現在でき上った実態の上に立ってどういうふうに大会をやるかという具体的な取り進め方が今日重要ではないか、こう思う。そこで、いままで何年かかってここまで皆さん努力によってでき上がってまいりました状況の中でも、不十分な点はいろいろあろうと思うのです。総括いたしまして、施設の面でなお不十分とお考えになるものは何なのか。また、その施設の不十分な点は運営で補っていく、また運営の面でまだ十分ではない、不安を感じていると思うものは何であるか。また、生活環境の中で、一般の個人個人の協力の中で問題を処理していくという点でいろいろな問題があろうと思うのですが、いま東京大会をこれから開く具体的な運び方の中で、これを運ぶ青写真として、施設の面ではこういう点がなお心もとなく感じている、あるいは運営ではこの点だ、それから生活環境の点ではこうだというものがありましたら、重点的にこの際お示しを願い、みんなの協力を得る方向をきめることが必要ではないかと思いますので、総括的にそれらの問題の所見をひとつ伺いたい。
  31. 与謝野秀

    与謝野参考人 お答えいたします。  何ぶんにもスポーツの施設というものは、これだけでき上がれば満点であるということはないのでありまして、さらに欲を出せばいろいろな点も出てくるわけでございまして、今日のところ、全般の施設を見まして、これは困ったとわれわれが考えているものはないのでございます。しかしながら、しいてこれを探しますならば、われわれとしては、スポーツに直接関係ないようでございますが、やはり非常に重要な施設であります外国の報道陣の迎え入れのためにプレスハウスというものを建てまして、今日竣工式が行なわれるのでありますが、これは何ぶんにもオリンピック大会が済みました後には日本人の住宅として、アパートとして分譲されるものでありますので、どうしても日本人の体格を基準としたものができてきて、どうも便所が狭いとか、部屋が少し狭いとかいうような不平が出るのではないか。こういう点の施設などでは、われわれとしては非常にひやひやしているとか残念というようなものはございます。しかし、これもようやくのところでプレスハウスというものを建てていただくことになり、これが日本人住宅として分譲されるという前提のもとに建っておるので、やむを得ないのでありますが、何ぶんにも、選手村でいかに選手を優遇しても、新聞のほうで不平が出たならば世界じゅうにそれが報通されるというような点で、これは施設がやはり少し足りない点を運営のほうでできるだけサービスして補わなければならない、こういうことを考えております。  そのほか、交通の面で、私どもは選手村から相模湖へ、また八王子の自転車競技場へ毎日選手を通わせる当初の案だったのでありますが、これが昨年のバーゲンバーゲンのIOC総会で私がだいぶつるし上げられたのでありまして、非常に遠い、毎朝早く出て夜おそく帰ってきて、また翌朝行くということではどうかということの不平がございましたが、幸いいろいろ資金の面で融通ができまして、相模湖及び八王子に急遽分村を建てたのでございます。しかしながら、代々木の選手村でしたならば設備も完全で、余興、夜のアトラクションというようなものもいろいろ考えられるのでありますが、何ぶんにも分村となってしまいますと、料理の面でもあるいは娯楽の面でもいろいろこちらが気を使わなくてはならない、そういう点で、施設の特に心配な点というようなことをあげますならば、そういうことはございますが、競技施設その他については、よくぞ計画どおりできたものだ、こうわれわれは確信して安心しているわけでございます。
  32. 四宮久吉

    ○四宮委員 いまの質問にちょっと関連して伺いますが、新聞紙等の報ずるところによると、参加国が非常にふえた、したがって選手が非常にふえた、これがために選手の宿舎その他がたいへん支障を来たしたような報道を受けたことがあるのですが、この問題は解決されたのですか、どうですか。
  33. 与謝野秀

    与謝野参考人 実は、今日まで選手の総数を推定する根拠というものが確実なものではなくて、あらかじめ予備調査で聞き込んできたようなものを累計して数を出しておるわけであります。大体各地におけるオリンピック大会の例を見ましても、いよいよ参加する選手は大体それの一割減くらいになっているのであります。しかしながら、万一に備えまして、従来ベッドが三つしか入らなかったところに四つ入れるというような措置も講じまして万全を期している、そういう次第でございます。
  34. 四宮久吉

    ○四宮委員 そういう設備でも一般に国際慣例において支障は来たさないのですか。
  35. 与謝野秀

    与謝野参考人 全然支障は来たさないように準備しております。
  36. 永井勝次郎

    ○永井委員 施設の点については史上最大のものであるといわれておりまして、われわれが見たところも、ローマなりあるいはベルリンなり、それらの施設と比べても、すばらしいと思うわけであります。しかし、これらの施設は、金をかけ、それからいろいろ時間をかけてやれば施設は十分にできるわけでありますが、問題は、この中で戦って日本選手がどのような戦果をおさめるかということが、これは銭金で買えない問題でありますし、オリンピックヘの盛り上げの焦点はここにあるわけでありますから、その意味において、われわれは、施設の史上最大、その気合いが競技の成果としてあらわれる、この選手強化の点が非常に心配されるわけであります。いろいろな予選等の記録を見ますと、少し疲労したせいか、あるいはいろいろな天候その他の状況か、期待したほどの記録が出ていないように伝えられておるわけでありますが、今日、大会まで持っていって、大会の中における選手の成果についてどのような計画を持ち、どのような成果を期待し得られるのか。成果ばかりを期待するわけでありませんで、最善を尽くせばいいわけでありますが、その最善を尽くすようなコンディションにどのようにこれから持っていかれる計画があるのか、これらの選手強化の問題について伺いたいと思います。
  37. 大島鎌吉

    大島参考人 お答えいたします。  選手団も、本日バレーの男子が決定いたします。明十一日に蹴球、十二日は柔道ということで、明後日をもちまして全二十競技選手が一応決定をいたすのでございます。あと補欠数人、これを審議する段階で、大体選手団決定をされます。これが現在それぞれ競技団体の監督、コーチの指揮下に入りまして、オリンピックに向かう最終段階の仕上げのトレーニングをやっておるわけでございます。トレーニングはそれぞれ場所がございまして、東京でのみというものではございませんで、最も適当であるという土地並びに施設を求めまして、計画どおりのトレーニングをやっておるということは申し上げられると思うのでございます。そこで、これはわれわれのことばで言えば決戦体制でございますが、選手団の木部役員もすでに決定をいたしました。一部今日までともに非常に努力してまいりましたところの三百名余りのコーチ団も、コーチ団連絡木部というものをつくりまして、村の中にありますところの選手団本部、コーチ団連絡本部との緊密なる連携のもとに、オリンピックに臨む体制をいま固めつつあるのでございます。そのほか、東京の代々木だけが村ではございませんで、分村として八王子があり、相模湖があり、さらに江ノ島、軽井沢というものがございます。それらにつきましても、それぞれ本部との連絡のもとに最後まで選手の強化ができるような仕組みを目下つくっております。同時に、約八十名ばかりの女子の選手があるのでございますが、この女子の選手につきましても、それぞれの競技種目によりましてコーチ、役員を配置しておるのでございます。  現在のわれわれの心配どころと申しますか、ただいま御指摘がございましたとおり、監督、コーチがかなりの責任感を感じまして、また選手も同様でございますが、少し追い込み過ぎていはしないか、疲れていはしないか、そのような現象があちらこちらにあらわれてきておるのでございます。これが現在一番気になっておるところでございます。したがいまして、最近のうち、監督と本部との連絡協議会を開きまして、それらの問題をディスカッションいたしますとともに、われわれの戦いに対します選手団の心がまえを固めたいと考えておるのでございます。もっとも、気持ちだけの問題ではなくて、それにつきましては医学的な、あるいは心理学的ないろいろの注意もあるわけでございますが、それらにつきましては、十分打ち合わせをいたしまして万遺漏なきを期したい、かように考えております。  現在の計画を多少ゆるめたような形の中で選手のコンディションをベストに持っていく計画を進めたいと思っておるのでございますが、ただここでいろいろ気になりますのは、全国各地で行なわれますところの選手の壮行会だとか激励会などでございます。合宿中の選手に、県のほうで激励会をやるから来てくれとか、壮行会をやるから来てくれとか、いろいろ御注文があるのでございますが、これらにつきましては、激励会出席を自粛するということを決定いたしまして、過般、地方のそれぞれの体育協会あてに文書を出しておるのでございます。できれば結団式の前々日、結団式は十月一日に行なわれるのでございますが、その前の二日、つまり九月二十九日と三十日の両日、場所は東京でやっていただくように御配慮を願いたい。それ以外の激励会、歓送会はお断わりしたいということを申し入れてあるわけでございます。最終の責任者は、何といいましてもそれぞれの支部に配属してありますところの監督並びにコーチでございます。私たちは、本部のほうは第一の防波堤になり、監督並びにコーチが第二の防波堤になりまして、最後のトレーニング計画に障害がないように万全の措置をとりたい、かように考えておるのでございます。  もう一つは報道関係に関するところの要請でございますが、昨日も、東京にありますところのオリンピック関係の機関に、日本新聞協会を中心といたしますところのオリンピック対策委員会お話をいたしまして、社会部長、運動部長並びに写真部長の方々お願いをいたしまして、協力方の要請をしたのでございます。ムードが上がってまいりますと、マスコミ関係のほうでは、選手を引っぱってきたり、いろいろな問題が起こって、現にわれわれのほうも困っておるわけでございます。昨日はこの協力方を要請などいたしまして、われわれといたしましては、この間悪者になることは最初から覚悟しております。選手を防衛するように、万全の力が出るように努力をいたしたい、かように思います。
  38. 永井勝次郎

    ○永井委員 選手の金字塔は一日にしてなるものではないわけでありますが、あまりかたくならないで最善の力が出せるという環境整備をしていただいて、その成果に待って、さらにこれを掘り下げれば、国の政治の問題であり、経済の問題であり、体育の問題であり、教育の問題である、そこまで掘り下げて、さらに今後長期にわたって国の青年の体育向上の上に大きな実りをこの大会からとっていただくように期待して、金メダル、銀メダルだけ取るのが目標ではない、こう思いますので、ひとつがんばっていただきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、最初、東京における聖火の休みどころといいますか、夜を明かすところが都庁ということを聞いていたのでありますが、その後変更されて皇居前ということになったようであります。これにはどういう意味があるのか。何か特別な意味があって変更されたのか、その問の事情をひとつ伺いたい。
  39. 森岡一夫

    森岡参考人 御存じのとおり、聖火は東京都内を七、八、九、三日間で都庁前に一応集めます。ただ都庁前の祝典等において、場所等の関係がありまして非常に狭く、そうした関係もあるので、祝典、そうしたものをやるにも、皇居前のある一部をお願いして、九日に皇居前において聖火の祝典をやって、そうして一晩聖火を皇居前にとめまして、十日国立競技場に運ぶ、そういう段取りになっております。
  40. 永井勝次郎

    ○永井委員 その変更したのはどういう意味があるのか、何か意味があってそういうふうになったのか、その変更の意味を伺いたい。
  41. 森岡一夫

    森岡参考人 都庁前がたいへん狭くて、儀式をする場所がないものですから、そういう理由もございます。
  42. 永井勝次郎

    ○永井委員 次に、文部省の関係に伺いたいと思いますが、オリンピック大会の期間を通して学校休校の動きが相当にある。一体学校の教育関係オリンピックとどういうふうに結びつけて考えておられるのか、それが一つ。それから学校を休むというような関係は、全国でどのような数字にのぼっておるのか、あるいはその休みをどのようにオリンピックと結びつけて学校行事としてやるのか、あるいは文部省では休校をしないように画一的にいろいろするのか。それからそれらの行事については学校の自主性にまかせるというような、新聞で見たところでは、そういうふうな態度をとっておられるようでありますが、この学校の教育の関係、休むという関係、それとオリンピックとの関係、これをひとつ明確に示していただきたい。
  43. 前田充明

    前田説明員 オリンピックの意義と申しますか、目的と申しますか、そういう点から申しまして、オリンピックが非常に教育的な価値――ということばは適切かどうかわかりませんが、そういう意味合いが非常にあることは私が一々申すまでもございませんが、東京オリンピックを迎えるということによりまして、またさらに、オリンピックをりっぱに迎えるという意味におきまして、政府全体といたしましてオリンピック国民運動を展開したのでありますが、そのオリンピック国民運動を展開いたしました際に、文部省として、学校におけるオリンピック国民運動の取り扱いについてという通牒を出したのでございます。それは四月十日でございまして、そのときに出しました通牒の内容は、第一に、オリンピックの起源、意義等を理解し、スポーツマンシップを養うとともに、スポーツに対する興味や関心を高める、こういうことが一つ。それから、日本人として自覚と誇りを身につけさせるとともに、国際理解につとめ、国際親善に尽くす心情を養う、こういうことが第二。第三といたしまして、開催国の国民の一員として社会の相互連帯の関係を認識し、お互いに助け合い、善意のある行為をする習慣をつけさせるとともに、公共心、公徳心をつちかう、これが第三。かような趣旨に基づきまして、学校では、各教科において、たとえば道徳とか特別教育活動とか、あるいは学校の行事とか、そういうようなことを利用して十分に教育をしてほしいということを通牒いたしまして、各県においてもそれにのっとりましていろいろな計画を立て、学校に対してもいろいろ指導をいたしておる次第でございます。  そこで、ごく最近になりましてから、オリンピックを見る、ないしはオリンピックのいろいろなそういうことの教育をする意味において学校を休んだらというような意見が出たというようなことは、これはうわさの程度でありまして、決定的なことは実は知ってはおらなかったのでございますが、ちょうど夏休みも終わりごろになってまいりまして、もう二学期がいよいよ始まるというような時期でございましたので、こまかい調査をしておるひまもございませんでした。そこで私どもとしては、九月五日にオリンピック東京大会開催にあたっての学校における指導計画の取り扱いについてという通牒を出したのでございます。そこにおきましてこういう内容を盛ったのでございます。児童、生徒にオリンピック東京大会の実況放送を集団視聴させたり、聖火の送迎に参加させる場合においては、オリンピックの起源や意義等について十分指導を加えてその徹底につとめるようにすること、しかしながら、この場合オリンピック東京大会開催の全期間を休業日とするなど、大幅に授業や指導計画に変更を加えて学校教育に支障を来たすことのないように注意してほしいということを言ったのでございますが、いま申し上げましたように、全期間休業にするというようなことは行き過ぎではないか、また地方の学校におきましては、子供が学校を休んでも、うちにテレビがない、あるいはラジオがなくて聞いたり見たりすることができないような子供もあるわけでございますので、全部そういう休みにしてしまうというようなことは行き過ぎではないかというような意味合いの通牒を出しまして、この両方の通牒で一応私どもの立場は御了解いただけるかと思うのでございますが、オリンピックの意義というようなことについては教育的に十分にやらなくてはならぬが、開会程度は、これは相当集団聴視等をやる方法もたくさんあるかと思うのでございますが、全期間休みにしてしまうというようなことは行き過ぎであろうというような考え方で指導いたしております。  では、実際どのくらいあったかというお尋ねでございますが、私どももその点についてはまだよくわかっておらないのでございまして、いろいろなうわさから聞きました九州の県におきましては、大半休むような何かうわさが流れたのでありますが、担当の課長と連絡して聞きましたが、夏休みを二、三日早めたそうであります。それは、二、三日早めて授業を休み中にやった、そうして次にオリンピック大会のときに二、三日休むということの具体的な計画は別に持っていないが、放送等がどんなふうになってくるか、その辺を考えて、場合によったら二、三日は休むかもしれない、あるいは休まなくてそのまま授業は続けるかもしれない、その辺は実際の面にあたってからきめていくので、いま休もうということを計画的に考えて夏休みを早めたという意味ではないのだということをはっきり伺いましたので、その程度ならば差しつかえはなかろうではないかというふうに考えておる次第であります。
  44. 永井勝次郎

    ○永井委員 オリンピックを教育に取り入れていく、現実にこういう大きな行事があるわけですから、これはけっこうなことだと思うのですが、その扱い方によってはいろいろな行き過ぎも出てきましょうし、間違った方向へいく、あるいは先ほどお読みになった第二項の民族意識の高揚が過ぎるとまた問題がいろいろ出てくることであろうと思います。また学校行事を変更してまでオリンピックに酔っぱらってしまうというようなことではいけないのではないかと思うのであります。全国がオリンピックで何かつかれた人のようにぼおっとしてしまうようなことではいかぬと思う。十分に気をつけてください。  次に、入場券の売れ行きがどうなっているか、全部入場券は消化されている状況なのか、あるいは特に売れない競技種目もあるでしょうし、その辺の関係を、こまかく要らないですが、概観して大体常識的に理解される限度において御説明を願いたいと思います。  それから外国のほうの分、国内のほうの分、それから国内において地方の高校や中学あたりでも、修学旅行でちょうどそれにぶっつけてこっちへやってくるというのもありまして、そういう関係の入場券などはどういうふうになっているのか、あるいは宿泊の関係はどうなっているか、混乱ができないような万般の手配ができているのかどうか、そういうことを含めましてお尋ねをいたします。
  45. 村井順

    村井参考人 入場券の販売状況について御説明申し上げます。  入場券の販売対象になります枚数は全部で約二百五万枚あります。そのうち約二十一万枚を海外販売に向けまして、その他は全部国内販売に向けているわけであります。大体一〇%を海外に向け、九〇%が国内、そういうふうにお考えいただきたいと思います。その国内の中でまず最初から割当をきめました一つは、いまお話のありました学生生徒に対する割合でありまして、約五十七万何千枚という非常に大量の入場券を小学校、中学校、高等学校の生徒に割り当てております。大体小学校は東京周辺、中学校は関西あたりから以東、高等学校の生徒は全国、これを文部省に御相談いたしまして、文部省なりあるいは東京都の教育庁によりまして適切な御配分をいただきまして、ただいまお話のありました修学旅行もこれを全部アジャストしてもらいまして、また旅館につきましても、大体毎年の修学旅行の旅館というものをうまくこれに活用していただきまして、全部この計画は順調に進んでいるようでございます。  それから次は全体の販売の成績でございますが、いま申しましたように初めから割り当てました学生諸君の分、あるいはスポーツ関係者、これが約二十一万枚ございます。こういうものとか、それから資金財団関係のものとか、こういうものは初めから一〇〇%売れているわけでございます。で、問題は一般の販売、たとえば国内のJTB、交通公社を通じまして、あるいはプレイガイドを通じました販売が約七十二万枚というものが出してございます。現在までで大体六十一万枚ぐらい売れていると思います。あと十万枚ぐらい残っておりますが、なおその後の報告がきておりませんので、これはもっと売れるのではないか、大体九〇%ぐらい売れているんじゃないか、こういうふうに思っております。  それから海外のほうにつきましては、二十一万枚のうち約十八万一千枚ぐらい売れておりまして、これも相当な売れ行きでございます。  全体で申しますとすでに大体九〇%近く売れておりまして、あと二十万枚ぐらいがこれから第三次販売といたしまして追加して売り出すことになると思いますが、この内容は、いま御質問のとおり、どういうものが売れないかということに直結しているわけでございます。結局残りましたのはサッカーとホッケー、それから野球とか武道とか、こういうものがおもでございます。しかしながら、陸上は御承知のように収容力が多いので、まだ若干陸上の枚数も確保してございます。そういうものもまぜまして第三次の販売をいたします。さらに残りましたものにつきましては、これはおそらくそれほどの殺到しないという入場券になると思いますので、当日売り等も考えていきたい、さように思っております。現在すでに九〇%売っておりますので、九十数%の売れ行きを示すのではないか。いままでのオリンピックの入場券の販売状況は、大体ローマ大会で四五%くらいであります。メルボルンやヘルシンキも大体五〇%以内でございます。そういうことから考えますと、東京大会は大体九十数%になりますので、いままでにない売れ行きを示しているのではないか、さように思っております。
  46. 島村一郎

    島村委員長 御質疑中ですが、この際委員各位に申し上げます。本日は、この委員会終了後直ちに代々木の選手村、屋内総合競技場、NHK放送センター等の視察を行なうことになっておりますので、各位の御参加をお願い申し上げておきます。なお、十二時三十分、正面玄関からバスが発車することになっておりますから、これに御協力お願いいたします。
  47. 永井勝次郎

    ○永井委員 では、最後に伺います。  ただいまのお話を聞きますと、海外に割り当てた入場券その他の消化の状況から見ると非常に成績がいいようですが、一般から聞きますと、ホテルはりっぱにできたけれども、外人客の予約申し込みが非常にないというので、予想に反しているじゃないかという心配が一部にあるように聞いているのですが、そういう関係は予想どおりの状況なのか、あるいは狂ったとすればどういう点で狂っているのか、その点を一つ。  それからもう一つは、先日テレビを見ていましたら、タクシーの関係で、お前、競技場のほうに行けと言われているのだけれども、車をどこにつけて、どういうふうにすればいいのか、そういうことは自分はさっぱりわからないんだというようなことをテレビで静っていたわけですが、いま地方から来た人なんか、どこへ行けと言っても、行く先がわからないでたらめな運転手もずいぶんいると思うのですが、ことに競技場なんか、混雑するときに、どこにどうあるのだかわからない、車をどこにつけたらいいかわからない、こういうことでは困ると思うので、そういう関係の教育、訓練といいますか、ガイドの徹底というようなことは、タクシー関係その他の関係ではどういうふうにやっているのか、この二点をお尋ねしまして終わります。
  48. 木村睦男

    木村説明員 ホテル、旅館の宿泊の関係でございますが、一般日本人の宿泊につきましては、これはそれぞれまかしておるわけでございます。問題は外人の宿泊の関係でありますが、最初計研いたしましたのは、オリンピック期間中に一日平均三万人の外人が東京周辺に宿泊するであろうという想定を立てまして、その想定に基づきまして宿泊の対策を立てたのであります。東京近辺のホテルにつきましては、大体収容力の九〇%をこれに充てる。それから旅館で外人の宿泊に適しておりますいわゆる登録旅館でございますが、これにつきましては約七割をこれに充てるということで、それぞれホテル、旅館に十月の期間中はそのスペースについては日本人のお客の予約をしないということで確保したわけでございます。それから横浜、川崎、東京、これに外国船等が参りまして、それに乗ってくるお客が一部船中泊と申しますか、船に泊まる。それから一般の旅館を改造いたしまして、一部、外人が宿泊できるような施設に改造するための措置も講じておる。それからさらに各家庭におきましてこの期間中外人をお泊めしよう、積極的に協力してもらう民間泊でございますが、これも一応東京都を通じまして確保してございます。その結果、最近のまとまった状況を申し上げますと、ホテルにつきましては大体九六%という、予定より六%も超過するというような予約ができた。それから旅館につきましては七〇%リザーブできるようにしておりましたけれども、実績は一五%程度でございます。これは東京都内あるいは横浜くらいまでの旅館は大体八〇%予約できている。実は箱根、伊豆地区、この辺にこの対象になる旅館が非常に多いのでありまして、この地区が予約の率が非常に悪い、現在のところ五%くらいしか予約がないということで、だいぶこの辺は旅館はあくびをしておるような状況であります。それから船につきましても、この三つの港で大体十一船が停泊いたしましてホテルの代用をする予定になっております。それから民間の家庭で受け入れてもらいますのも約千五百くらいを予定しておるわけでありますが、現在のところ一千人程度の見通しが立っております。それから外国の新聞記者の諸君の宿泊の施設につきましては、先ほどお話があったような状況であります。  大体以上のような状況でございまして、当初から、もしもホテル、旅館に行っても泊まれないという事態があっては困るということから、かなり余裕のあるような想定でやっておったのですが、いま申し上げましたように、特に中心となりますホテル、旅館がこういうふうな状況でございますので、大体外人客の宿泊につきましては不平のないように全部受け入れられる、かように考えております。
  49. 島村一郎

    島村委員長 川崎君。
  50. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 与謝野事務総長に伺います。  これは、陸連の責任者がおらぬのであるいはわからぬかもしれませんが、何かIAAFの会長から、北鮮あるいはインドネシアのGANEFOの大会に出た者に対する出場停止期間の再検討について問い合わせがきているのですか。
  51. 与謝野秀

    与謝野参考人 これは国際陸連の本部から、国際陸連のメンバーである浅野博士にそういう問い合わせがきたということを伺っておりますが、どういう問い合わせであるか、私はその文書は見ておらないのであります。問い合わせというよりも、私が仄聞しておるところでは、前の決定をくつがえすことがなかなかむずかしいようなことを言ってきている、そういうふうに伺っております。
  52. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 実は四、五の与党のオリンピック特別委員、並びにスポーツ議員連盟の関係者が、現在の閣僚とこの間うち懇談する機会があったわけです。一番おそれておるのは、大会中に、インドネシア並びに北鮮の選手が参加できないことによって、ある種の連動が行なわれて、それが政治問題化することになり、一昨年のジャカルタ大会のようなことになるならば、今度のオリンピック大会における非常な汚点であるということで、非常に深刻な討議をしたことがございます。そこで、これはわが党を代表して申しておることではございませんけれども、大体皆さんの御意見を承って、自民党の考え方の大勢としては、もとより社会党の諸君と同じように、このたびのオリンピック大会はアジアで行なわれる大会である、そのことに意義を置いて、したがって、従来の経緯、既往のいきさつにかかわらず、できる限り多くの人々に参加をさせたい、GANEFOの大会に出た者でも、競技連盟の許しがあるならば参加させたらいいじゃないかということで、足並みそろえて、この委員会における重盛君その他の発言にも同調して今日に至っておるわけです。このことは最後まで変わらぬわけですけれども、しかし、変わらぬといっても、時期の問題があるわけです。これは私見ですが、でき得る限り早くにこの問題に終止符を打ってもらって、大会の会期中に混乱の起こらないようにしたい。そのときには河野大臣も川島副総裁も同一意見でなければならぬということを私は進言いたしております。したがって、国際競技連盟の断定が下るのをなるべく早くしてもらいたい。変わらなければもう変わらぬのだ、そのことによって起こる治安の責任は政府が持つべきである、組織委員会じゃないということから、組織委員会は早く競技連盟の最終決定を促して、少なくとも問題が十月一日から向こうに持ち込まれないようにする、これが今度の東京大会を静ひつに終わらせるかどうかというキーポイントだと思うのです。よく辛金丹の話が出る。辛金丹は、八百メートル一分五十九秒四、驚異的な世界記録をつくっておる。こんな選手はない。ぜひとも参加させたい。しかし、一部の者は言う。あれは純粋に男性であるのだ。筋肉の状態、乳ぶさの状態、これらから見てかなり疑義があるという専門家もあるが、今日は不幸にして、その決定は参加する国の医者が証明をすればよいという規則になっておって、ドイツやハンガリー等では、今日まで、女性選手が男性化した場合において、自分の国の責任においてやっておるけれども、これが全世界に徹底するかどうか非常に疑わしい。私は、ある機会に国際競技連盟が女性選手の性的基準というものに対するもっとはっきりした態度をきめるべきだと思うのですが、これはこの委員会で問題にすべきことではない。なるべく参加させてあげたい。けれども、GANEFOの政治的意義――オリンピック大会に相当の批判を持ってGANEFOの大会が行なわれたのは事実です。したがって、アジアにおける最初の競技であるからわれわれは参加させたいという点に重点を置いて野党と同じように動いておるけれども、国際競技連盟が最後の決定権を持ち、スポーツと政治は泥濁しないという意味において断定を下すならば、これは尊重すべきが、スポーツマンとしての立場であり、また政治家としての立場も、オリンピック大会の意義から見て、それが真髄だと私どもは思っております。これは御答弁は要りません。むしろ早く問題を決定することに組織委員会がお動きいただきたいということを要望しておきますが、そういう線で動いておられますか。
  53. 与謝野秀

    与謝野参考人 全然御同感でございまして、なるべく早く一つの立場を明らかにすることをきめたいと思っております。
  54. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 この委員会オリンピック促進委員会ですから、多少違うかもしれませんけれども、非常に重大な関連があり、今後委員会も開かれないと思うので、一言前田局長に聞いておきたいのですが、オリンピック選手村のあとは大体青少年のために使うということの線が大勢としてきまりつつあるように聞いておりますけれども、文部省ではいまのところどういう計画で――オリンピック選手村のあとに残った鉄筋コンクリート二十何棟ですか、あとはみんな森林公園になるわけですね、それをどういう計画で進めておられるか、これは最終的にはどこがきめるか。
  55. 前田充明

    前田説明員 オリンピック選手村のうちで、約三万坪につきましては、現在鉄筋コンクリート十五棟建っておりまして、そこが森林公園の指定地域からはずれておるわけでございます。したがって、政府としてどうするかということは、今後これを決定するわけでございまして、文部省といたしましては、これに対しまして、オリンピックは青少年の祭典であるということと、それからもう一つには、その地域がちょうど明治神宮本殿のすぐわきの場所にございまして、いわゆる清純な場所と申しますか、そういう場所でございますので、これが済んだあとは、青少年に開放して青少年の研修の場所にするのが最も適切である、こういう理由によりまして、その建物を利用いたしまして、体育、スポーツの青少年の研修はもちろんのことでございますが、その他社会教育の関係の青少年の研修の場合、あるいは高等学校や大学の新しい学生あるいは民間企業に新しく入った人たち、そういう人たちに集団合宿を通じてのオリエンテーションをするというようなこととか、あるいはさらには各種の国際交流によって参ります外国の青少年の宿泊によっての国際交流とか、あるいはさらに、学童の修学旅行の際の研修という意味での宿泊というようなことをさせるように大蔵省の国有財産局に対して要求し、これに対する予算も現在要求いたしております。なお、大蔵省に対しては、直接文書やあるいは口頭をもって、ぜひこういうものに使わしてほしいということを要求いたしております現状でございます。
  56. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 オリンピック資金財団から関係者が来ておられますか。――突然の質問で恐縮ですが、民間の目標をオーバーしたということを聞いておったのですか、あれは十月九日までが募金の期日ですが、それまでに見込まれる募金額は、目標額をどのくらい上回っておるか、大体のところを承っておきたいと思います。
  57. 靱勉

    ○靱参考人 お手元に一枚の資料をごらんに入れておりますが、結論的に申しまして、当初前年度くらいまでに全般の計画を検討したものに対しまして、要求額は相当ふえまして、当初は三十数億という予算計画であったのが、ごらんのように五十億ということに相なっております。それで、すでにもう四十五億が現実に資金財団の関係に入っておりまして、あと残りのものもすべて確定いたしまして、この五十億は絶対に間違いないという形になっております。いまは五十億は絶対だいじょうぶ、これは国民各層の非常なる御協力によりまして、また五十億を上回ることが考えられておりますが、いま具体的に何億上がるかというような点につきましては、三十九年度におきましては、第一・四半期において大体事業が終わり、あと整備の段階と申しますか、いろいろ継続的なものもございますし――新たに事業を起こすというようなことはないようにするのですが、どうしてもこの迫った時期にやらなければならぬような性質のものもあったわけでございます。たとえば切手二十種類を全部ある年度に出すというようなことはできない。したがいまして、いま川崎委興の御質問の、一体どのくらい上回るかということにつきましては、なお若干組織委員会あるいはその他配分できる対象からさらに追加御要望もあるやの傾向も考えられておりますので、そこらを勘案いたしまして、近々どのくらい入るかということをなお正確に確定いたしたいと思っておりますが、十分余裕を持って御要望には沿い得るようになる、こういうふうに考えております。
  58. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 しばらく聞いていただきたいのですが、これはあなたに申し上げるのか、あるいは前田局長から御答弁いただくのか、どちらが適切であるかわかりませんが、今度のオリンピック資金財団の非常な御活躍によって、かつ会長以下財界の有力者、また官界の経験者によって構成された関係で、非常に信用のある財団として実績をあげ、どうやら上回りそうだ、そういうことになってくると、たいへん好結果であり、また国民の信頼を待て、かつて体育協会がアジア前々大会で起こした世間の不信、会計上の不始末ということをこの際に払拭してなお余りあるものだ。絶賛していいと思うのです。こういう組織は、実は民間スポーツのためには、一応これは解散しても、できるならば小規模にしてもこの財産をそのまま継承して、スポーツ振興財団みたいな形で残したらどうだ、こういう意見があるわけです。これはだいぶ体協の中にもあるし、政界、財界にもある。大会が終わってそのままこれが解散して、あと何らの結実がないというのは非常に残念であるし、またオリンピック大会はメキシコ大会もあるわけです。それからユニバシアードあるいはアジア大会というものを考えると、恒久的な組織として小さな形でも残していって誤りなきを期するということが望ましいと私は思うのです。ただその場合意見がありまして、スポーツ全体の振興というようなことにすると、どうも体育協会やスポーツ関係者がそればかりにたよって、自分で金を集め、自力でやろうという気持ちがなくなるから、国内スポーツ振興は文部省がお守りをして、体協は自分でやれ、むしろこれを国際スポーツ交流財団というふうにして、国際的な大きな行事、世界的に普遍性のあるスポポーツ大会の資金として残し活用したらどうだ、こういう意見があって、私はその後者のほうがいいと思うのです。そういう点で資金財団の関係者からも伺いたいし、最終的には前田局長の意見を聞いておいて、これはどうせ自民党としてもあるいは国会全体としても判断しなければならぬことになってくるので、この際意見を聞いておきたい。
  59. 靱勉

    ○靱参考人 資金財団の寄付行為につきましては、解散に伴って残余財産がある場合には、これは類似の目的の公益事業に寄付する、もちろん財団の機関の特別決議及び文部大臣の許可を得て実行するということになっておるわけであります。ただいまの御意見につきましては、私どもとしては大いに共鳴いたす点があるのでございますが、まだ実は内部機関、すなわち理事会、評議員会においてこの問題を論議しておりませんので、実は今月下旬に理事会、評議員会を開き、いままで三十五年以来の活動の総締めくくりを御報告すると同時に、若干残余の措置等につきましても話し合いをいたしたいと思います。いま私からどうこういう意見を申し上げるというわけにはまいりませんので、あしからず御了承を願いたいと思います。
  60. 前田充明

    前田説明員 むずかしいお話でございますが、オリンピック資金財団で集めた金はオリンピックに使うということが本旨でございます。したがいまして、靱理事長からいま申し上げましたように、どれだけ余るかというようなことはとうてい現在では予想がつかないわけでございますので、私どもとしても、もちろんそういう意味からいいましても、残った金をどうするということを計画的に考えてはおりません。したがいまして、オリンピックに使うというたてまえで進んでおります。  それから振興財団というお話がございましたのですが、振興財団は、おのずから別な意味で、このオリンピックの機会に非常にスポーツが振興し、さらにこれを振興させるという意味合いにおきまして、そういう財団があったほうがいいということについては、私ども同感に思っております。しかし、それと現在ありますオリンピック資金財団とはおのずから性格は別でございまして、金が残るか残らぬかはわからぬことでございますので、残ってからのことでその検討をさしていただくというふうに御了解いただきたいと思います。
  61. 島村一郎

    島村委員長 他に御質疑はございませんか。――なければ、本日はこの程度にとどめます。  参考人各位並びに政府関係出席者には、御多用中のところ長時間にわたり御協力いただきまして、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  本日の委員会において明らかになりましたごとく、なお若干の問題もあるようでございますので、関係方面のさらに一段の御努力を期待いたす次第でございます。  これにて散会いたします。    午後零時二十三分散会