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1964-04-07 第46回国会 衆議院 オリンピック東京大会準備促進特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月七日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 伊能繁次郎君 理事 上村千一郎君    理事 小平 久雄君 理事 中嶋 英夫君    理事 永井勝次郎君       海部 俊樹君    金子 一平君       川崎 秀二君    小山 省二君       四宮 久吉君    長谷川 峻君       小松  幹君    戸叶 里子君       穗積 七郎君    森  義視君       柳田 秀一君    佐々木良作君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         法務政務次官  天埜 良吉君         法務事務官         (入国管理局         長)      小川清四郎君         大蔵事務官         (理財局長)  吉岡 英一君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君  委員外出席者         外務事務官         (情報文化局書         記官)     安井 芳郎君         文部事務官         (体育局オリン         ピック課長)  西田 泰介君         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務総長) 与謝野 秀君         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務次長) 村井  順君         (東京オリン         ピック資金財団         事務局長)   近藤 直人君     ————————————— 三月十三日  委員阪上安太郎君、平岡忠次郎君及び横路節雄  君辞任につき、その補欠として森義視君、中嶋  英夫君及び永井勝次郎君が議長の指名委員に  選任された。 四月七日  委員地崎宇三郎君及び板川正吾辞任につき、  その補欠として小山省二君及び柳田秀一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員小山省二君及び柳田秀一辞任につき、そ  の補欠として地崎宇三郎君及び板川正吾君が議  長の指名委員に選任された。 四月七日  理事阪上安太郎君及び平岡忠次郎君三月十三日  委員辞任につき、その補欠として中嶋英夫君及  び永井勝次郎君が理事に当選した。     ————————————— 四月三日  オリンピック東京大会記念のための千円の臨時  補助貨幣発行に関する法律案内閣提出第一  五四号)  は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  オリンピック東京大会記念のための千円の臨時  補助貨幣発行に関する法律案内閣提出第一  五四号)  オリンピック東京大会準備促進に関する件(大  会関係者並びに外客の入国問題)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任に関する件についておはかりいたします。  去る三月十三日、理事阪上安太郎君及び平岡忠次郎君の理事辞任に伴いまして、ただいま理事が二名欠員になっております。この際、その補欠選任を行ないたいと存じます。先例によって委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、中嶋英夫君、永井勝次郎君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 島村一郎

    島村委員長 次に、去る三日、本委員会に付託になりました内閣提出オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案議題とし、審議を行ないます。     —————————————
  5. 島村一郎

    島村委員長 まず、本案趣旨について政府説明を求めます。田中大蔵大臣
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま議題となりましたオリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本年十月、東京において開催されるオリンピック第十八回大会記念するため、政府は、判図案の百円臨時補助貨幣発行することといたしておりますが、オリンピック東京大会記念の意義を一そう高めます見地から、今回さらに、諸外国におけるオリンピック記念貨幣発行の例をも考慮いたしまして、これらと比較いたしましても遜色のない、より高額の貨幣発行することとし、現在臨時通貨法によって発行を認められております百円以下の臨時補助貨幣のほかに、特別にオリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行を行ない得ることとしようとするものであります。  なお、この千円の臨時補助貨幣は、他の臨時補助貨幣の例にならい、二万円を限度として法貨として通用することといたしております、  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ、御審議の上すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  7. 島村一郎

    島村委員長 以上をもちまして、政府趣旨説明は終わりました。     —————————————
  8. 島村一郎

    島村委員長 これより質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。柳田秀一君。
  9. 柳田秀一

    柳田委員 この補助貨幣の件は、オリンピック組織委員会議題になりまして、政府のほうに組織委員会から要請しておった件でございますが、今回政府のほうで法律案を出されたことは、その点においては組織委員会要請にこたえられたと思うのであります。  そこでお尋ねしますが、提案理由にありましたように、各国の例あるいはわが国の例というのですが、各国の例並びにわが国先例等を少し詳細にお示しいただきたいと思います。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 日本において記念貨幣発行した例はございません。この法律が通って発行するとなれば、これが第一号になるわけでございます。  フィンランドにおきましては、額面五百マルカ、オーストリアにおきましては、五十シリングというものがございます。これはオリンピック記念貨幣としてつくられたものでございます。記念貨幣はほかの国にもあるようでございます。イギリス等にもございますが、オリンピックに関しましては、以上申し上げたような実例のようでございます。
  11. 柳田秀一

    柳田委員 いま提案されておるのは、補助貨幣としての千円の銀貨であります。これは臨時通貨法によって法案として出されたと思いますが、聞くところによりますと、政府は百円の記念銀貨を出されるということですが、このほうは、法改正をせずに政府行政措置でおやりになると思うのですが、このほうの計画はどうなっておりますか、それもあわせてお伺いしたい。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のとおり、百円の記念貨幣ということは考えております。これは御承知のとおり現在の百円の図案を変えるだけでございますので、予算措置もいたしておりますし、法律上の準拠法もございますので、現行法のままで発行できるわけでございます。しかし、千円は、法律改正によらなければできないという事情に基づくものでございます。ことしの予算で御決定いただきましたものが大体八千万枚ということでございますので、この程度発行をいたしたいという考えでございます。
  13. 柳田秀一

    柳田委員 新たにオリンピックに対する特別の図案で八千万枚の百円硬貨をお出しになるのですが、現在百円銀貨で流通しておる額は幾らで、したがって、それに対してどれくらいになるのですか。
  14. 吉岡英一

    吉岡政府委員 ただいまお尋ねの百円の流通高でございますが、三十九年二月末で二百九十二億円となっております。
  15. 柳田秀一

    柳田委員 したがって四分の一弱ですね。  千円のほうは、出回っておりますのは紙幣、だけですが、現在千円紙幣として出回っておるのはどれくらいの額になりますか。したがって、今回この千円記念通貨を出されるとすれば、それが現在出回っておる千円紙幣のどの程度分量に当たるか。
  16. 吉岡英一

    吉岡政府委員 ただいま流通いたしております千円の日本銀行券が六千百八十六億円でございます。今度発行いたします千円は、大体いまのところ千五百万枚というものを予定いたしておりますので、百五十億円になるわけであります。非常に小さなものになるわけでございます。
  17. 柳田秀一

    柳田委員 私ここに先般オーストリアのインスブルックで行なわれました冬季オリンピックの、約六百円から七百円の間の五十シリングの臨時通貨を持っていますが、こういうのは、行った方に聞いてみると、みなみやげに持って帰るらしい。通貨としての性格もさることながら、むしろ記念品としてかなりそれぞれ持って帰るとか死蔵するとかいうことで、通貨意味よりもそういう意味がかなり多い。ということになってくると、次の日本において開かれるオリンピックは、百年後になりますかどうなりますか、そうなってくると、かなりの分量というものが死蔵されはせぬか。いま計画されているような枚数では、そういうような意味において、需要と言うと少しおかしいですが、そういうほうの供給が不足するような気がするのですが、そういうときには政府のほうでさらにそれをより多く発行される予定があるのかどうか、そういうような見通しはどうか、その点を伺いたい。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 この種の記念通貨は、確かに退蔵される率が非常に多いということは考えられるわけでございます。また、国外に持ち出される場合でも、退蔵ということが主だと思います。そういう意味で、三十九年度の補助貨幣製造量以外にこの千円貨幣の鋳造を考えておるわけでございます。でありますから、国内において補助貨幣生産量に食い込まないことによって、国内補助貨幣の量は減りませんから、国内においては流通過程において迷惑をかけないように考えております。大体予想しておりますのは千五百万枚ということでありますが、私は、千五百万枚あれば大体間に合うだろう、こういうことを考えております。これは例から申し上げますと、ほかの国は何百万枚というようなものを発行しておらぬ、何十万枚というものしか発行しておらぬわけですが、それでも間に合っているわけです。ところが、日本人はなかなかこういうことに対してはほかの国と違いますから、そういう意味で、希望も非常に多かろうということで、八千万枚の百円の記念貨幣考え、またその上に千円の千五百万枚ということでありますから、あなたの言うように、まだそれでも足りない、プレミアムがつくというようなことになると問題がありますので、そのような場合には弾力的に行なう、率直に申し上げますと、もっとつくってもよろしい、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  19. 柳田秀一

    柳田委員 百円のほうは、もし千円の分が出るとなると、これはそう死蔵されるというあれもないかと思いますけれども、いまの百円銀貨はりっぱとは言えません。これが七百円とすると、ちょっと見ばえがありますから、かなり持って帰るのじゃないか。そこで、どうせ通貨としての性格よりも、オリンピック記念して、記念メダルではないが、記念メダル通貨の両方の性格を持っておるというような意味から私はお尋ねしているのですが、デザイン一つにされますか。デザインは、一つじゃなしに、少し数多くされますか。何か新聞によると、デザインは、公募しておっては間に合わないから、造幣局のほうでおやりになるということらしいのですが、そのデザイン一つですか、その点……。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のとおり、百円の銀貨につきましては、一般から公募いたしましたが、結果を見ますと、やはりほとんど専門家であります。でありますので、千円の貨幣につきましては、造幣局技術屋をもってやらせようということでございます。これは一般から公募するという道をとらないというだけであって、やはりその道の専門家がほとんど選に入るというような例から見ましても、問題はないと思います。  意匠をどうするかという問題でありますが、現在のところは、やはり一種類ということでないと——種類もつくるということになると、ほんとうにあなたの言うようにメダルというふうになりますから、いやしくも国の通貨であるという意味から考えまして慎重さをもって検討しましたのもそいうう意味であって、まあ一種類ということでございます。
  21. 柳田秀一

    柳田委員 一種類ということになりますと、一つメダル東京オリンピックを象徴して、さらにオリンピック精神をそこにあらわすということになると、かなり図案もむずかしくなる。日本通貨というだけの考え方よりも、広く世界の、通貨ではないが、「世界一つ東京オリンピック」というんですから、そのオリンピック記念にするという意味において、これは何と言っても退蔵されますよ。そういう意味においては、日本をシンボライズするような、そういうようなデザインにしてもらって、日本に来た選手、役員、外国の観光の人たちも喜んで持ち帰るようなものにしてもらうことを希望しておきますが、この千円の通貨は、銀の純分度、銅の純分度につきまして、実際は幾らかかるのですか。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 フィンランドでももってつくりましたものが、銀が五百分、オーストリアでつくりましたものが、銀が九百分、日本でつくりますものは九百二十五分でございますから、一番純度が多いということでございます。量目は、フィンランドのものが十二グラム、オーストリアのものが二十グラム、日本のものも大体二十グラムという考え方でございます。それからフィンランドでつくりましたものは直径が三十二ミリ、オーストリアが三十四ミリ、日本が三十五ミリでございますから、純度直径等みな日本のものが最もいいということでございます。  千円のものが幾らかかるか、こういうことでございますが、補助貨幣というものは大体そういうものでございますから、それでひとつ御理解いただきたいと思います。
  23. 柳田秀一

    柳田委員 これは直接大蔵省の仕事じゃありませんが、オリンピック資金財団のほうで、金と銀と銅でワンセットになった記念メダルをお出しになるようです。ここにあるのはローマのときの金のメダルですが、何か新聞によると、大きさもややこれに似たようなものですが、新聞紙の伝うるところによる発行枚数では、とても私はプレミアムがつくと思うのです。これは私の記憶が間違っておるかもしれませんが、たぶん金が十四匁くらいなものじゃなかったかと思います。そうすると、開会式で十万人くらい入れば——金はおそらく五千円だったと思いますが、銀が八百円、銅が二百円、合わせて一組六千円で売り出しますが、私は、それを一つずつ買ってしまったならば、おそらく五千円の金のメダルプレミアムがつくと思うのです。これはおそらく地金量等があってたくさん出せぬと思うのですが、こういうような地金に関して大蔵省のほうへ資金財団のほうから何らかの援助を求めてきましたか。資金財団のほうでは地金供給限度があってどうしてもそれができない場合には、何か大蔵省にそういうことを求めてきましたか。もしわかっておったら……。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 これは資金財団造幣局でもって契約してやっておるわけでございますから、資金財団から地金をもらって生産をしたかということは、私にはよくわかりません。いずれにしても、一つ幾らということで請負をして、製造だけ造幣局でやっておるということでございますから、一般民間から受注しておるわけでございます。そういうことで、契約の値段で仕切っておるという事実でございますから、必要があればもっとつくってもけっこうだということであります。見本がありますから……。
  25. 柳田秀一

    柳田委員 地金を少し大蔵省のほうから融通してくれというような要請は受けておりませんか。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 いずれにいたしましても、これは特別会計の中でございますから、特別会計に保有しておりますものを、ただ差し上げるというわけにいかぬので、契約をした価格で仕切るということでございますので、地金をもらえばそれだけ安くなるわけでありますし、地金を全然もらわない場合は手持ちの地金でつくっていくということでございます。
  27. 柳田秀一

    柳田委員 私の質問しているのは、資金財団でいま計画しているような発行枚数では、おそらくこれはプレミアムがつくだろうと思うのです。金が十四万枚では、開会式閉会式だけで二十万人くらい入るとすれば、それだけでも、一人一枚ずつにしてもとても足りないと思うのです。そうでなくても、もうすでにわれわれ関係者のほうに何らか入手を求めてくる動きが各方面からある。したがって、大蔵省のほうで資金財団のほうに多少なりとも援助して、もう少し枚数をふやして発行せしめるような援助方を与えられてもいいじゃないか、そういう意味です。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 オリンピックにはそのほか多大の援助をいたしておりますので、あとはひとつお集めになって、金がございますからおつくりになるということであれば、私のほうは幾らでもお引き受けいたしますということでございます。
  29. 島村一郎

  30. 永井勝次郎

    永井委員 いま柳田君からいろいろお尋ねがあったのですが、私はそう特別に質問するようなことはないわけであります。  委員長にお伺いしますが、この法案を特に急がなければならないという理由を伺わせていただきたいと思っています。
  31. 田中角榮

    田中国務大臣 私からお答えいたします。  この法律はお通しくださるならひとつ一日も早く、こういうことをお願いいたすわけであります。これは御承知のとおり、千五百万枚というのは非常に大量のものであります。また、発行するのは九月の初めという時期が限られております。  法律が通らないうちにつくるわけにはいかぬわけであります。これをつくったらすぐ決算委員会でおしかりを受けるわけでございます。そういうわけで、こちらはおつくりをするということになったら一時でも早くやっていただかないと、そのときになって千五百万枚が欠けたとかいうことになると、たいへんな問題が起こりますので、私たちといたしましては、発行期日がきまっておる、制約されておるという意味で、違法行為を犯さないという意味からも、一時も早く御審議をいただきたい、こういう考えでございます。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 出すのは大体いつごろですか。オリンピック期日になって以降ですか。
  33. 田中角榮

    田中国務大臣 オリンピックは十月からでございますが、そうやって混乱すると困りますから、九月に入ったらひとつ出せるようにという考えでございます。交換ができるようにという考えでございます。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 何か金と銀と銅の三つセットにして出すようですが、これは出すほうはオリンピック資金財団ですか、やはり同様な時期に同様な組み合わせでお出しになるのかどうか、お伺いします。     —————————————
  35. 島村一郎

    島村委員長 ちょっとこの際おはかりいたします。  本案審議に関し、東京オリンピック資金財団事務局長近藤直人君を参考人と決定し、本日その意見を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  37. 島村一郎

  38. 近藤直人

    近藤参考人 お答えいたします。  オリンピック資金財団発行いたします記念メダルは、金、銀、銅の三種ございまして、それを一つセットにいたしまして発行することも考えておりますし、また、それぞれ別個に売り出すことも考えております。
  39. 永井勝次郎

    永井委員 金のほうは十四万枚と聞いたのですが……。
  40. 近藤直人

    近藤参考人 金のほうは、ただいまのところは十四万五千と考えております。銀が四十万、それから銅が六十万でございます。
  41. 永井勝次郎

    永井委員 これはあるいは売り出しますと片寄って流れる危険もあると思うのですが、国内向け、あるいは国外向けというふうに大体大ワクをきめて、海外旅行者や何かにはなるべく希望に沿えるような流し方をせられる考えでありますか。実際の取り扱い方について伺いたい。
  42. 近藤直人

    近藤参考人 これの発売その他につきましては、資金財団がこれの元売りさばきといたしまして服部と御木本にお願いしております。その二つの元売りさばきが、全国的なチェーンを通じまして、約二千店の時計貴金属店を通じまして発売されるということで、広く皆さまの手に渡るように配慮いたしております。  それから大会当時でございますが、外国人の方もお見えになるわけでございますので、それらの方に対しましては、この数量では足りませんので、実は造幣局のほうにもお願いいたしましてさらに増量を考慮しております。数は、金のほうで二万、銀のほうで十万、それから銅が二十万、全部で三十二万個、これは増量分としてお願いいたしまして、このうちから外国の方にお渡しできるように配慮いたしております。
  43. 永井勝次郎

    永井委員 さらに伺いますが、いまのところ大体発行予定数量限度として、金で原価幾ら、銀で幾ら、銅で幾ら、それぞれどのくらい差益金があるのか、その計算を示していただきたい。
  44. 近藤直人

    近藤参考人 原価を御説明申し上げます。  金は、発売価格が五千円でありまして、地金代が三千八百六十円、製造工賃が百八十八円、ケース代宣伝費等が百二円、卸手数料が二百円、小売り手数料が四百五十円、納付金が二百円、合計五千円。銀について申し上げますと、銀は八百円の発売価格でございますが、地金代が三百四十円、製造工賃が百五円、ケース代宣伝費が五十五円、卸手数料が百円、小売り手数料が百五十円、納付金が五十円、発売価格が八百円。ついでに銅を申し上げますと、銅は発売価格が二百円でございますが、地金代が十三円、製造工賃が七十二円、ケース代宣伝費が三十五円、卸手数料が三十円、小売り手数料が四十円、納付金が十円、以上でございます
  45. 永井勝次郎

    永井委員 もうけのトータルは。
  46. 近藤直人

    近藤参考人 金が十四万五千で、銀が四十万、銅が六十万といたしますと、納付金合計が五千五百万の予定でございます。
  47. 永井勝次郎

    永井委員 大蔵大臣に伺いますが、銀貨デザインについて決定するまでに、幾通り審査されて、その中からこのデザインの特徴というようなものはどういうところによって御選定になったのか、選定経過を伺います。
  48. 田中角榮

    田中国務大臣 百円銀貨においては、大体応募数が三万点、この中から一点をいま審議会にかけまして決定をしていただくという段階でございます。千円については、いま御審議をいただいておるわけでございますから、これから公募をするということはできませんので、造幣局専門家がつくっておるということでございます。何十通りかつくりましたのちに、最もいいものを選んでそれを採用したいという考えでございます。
  49. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 関連して伺いますが、その意匠というのは、盗用の防止については何か特別のことを考えておられますか。
  50. 田中角榮

    田中国務大臣 これは採用いたしますと、貨幣でございますから、貨幣類似のものは使ってはならない、こういうことがあるわけでございますので、それで十分なわけでございます。
  51. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 普通の貨幣類似のものを使ってはならぬことは当然でありますけれども、いま柳田君から話しがあったように、まず少なくて、これがいろいろ枚数をふやさなければならぬような状況にまでなるとするならば、この意匠を使っていろいろなことが僕は考えられるような気がするのです。貨幣そのものをまねなくても、その意匠自身、エッチングをまねて、ペンダントみたいなものをつくったり、いろいろなものができようと思うが、そういうものはかまわぬのか。  それからメダルのほうの係の方にお伺いしたいのですが、この点についてはそれも同様なことを考えておられるのか。
  52. 田中角榮

    田中国務大臣 「通貨及証券模造取締法」というのがございますから、そういうものはつくってはいかぬということでございます。しかし、オリンピックの、五輪マークのように、非常にきびしいという——法律できめてございますから、これを少し変形させてふろしきに染め抜くとか落物の柄にするとか、そういうことまでは取り締まれないわけであります。一万円札の柄で着物をつくったって悪くないわけでございます。ただ、同じようなものをつくって貨幣と見間違うようなことがいかぬ、こういうことでございますので、登録商標式にして、絶対にそういうものは着物の柄にも使ってはいかぬというふうに厳密には考えていないわけでございます。
  53. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 にせ金みたいなものをつくるな、こういう意味のが法律だと思うのです。そうでなくて、いま言っているのは、この貨幣自身が、金の効用よりも、記念品の効用のほうがだんだん多くなるだろうという感じで見た場合に、それを銀でつくったり、それを少しうまいこと——金ではぐあいが悪いかもしれないが、似たようなものでつくって、要するに記念品としての価値をその意匠でとるということ、それもかまわぬといえばかまわぬというようなものであるが、どうですか。
  54. 田中角榮

    田中国務大臣 それはかまいます。そういうのは通貨と間違うわけであります。ここで御審議をいただいておりますが、千円の表示であって、銀は九百二十五分だとか、直径は三十五ミリだといっておりますが、四十ミリのものをつくったって、国民は貨幣と間違うおそれが多分にございますから、貨幣と間違うようなメダルをつくったり、そういうことはこの類似取締法にひっかかるわけでありまして、では一尺のものでもつくったらどうか、こういうことになりますが、貨幣と間違わないものであれば常識的にいいわけでありますけれども、貨幣と見間違うというおそれのあるものはこの法律にひっかかる、こういうことであります。
  55. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 たとえばバッジ、ペンダント、カフスにつけるもの、そういうものは、ここに書いてある絵、あれをそのままみたいのを使ってもいいですか。
  56. 田中角榮

    田中国務大臣 悪いというほど厳密な規定はないと思いますが、あまり好ましくないということは言い得ると思います。同じことで、いま一万円札と同じものをカフス・ボタンにするということは、これは常識の問題でありまして、これを取り締まるということは法律上はできないと思いますが、そういうことは好ましいことではない。国民のモラルの問題だと考えます。
  57. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そのメダルのほうについて重ねて伺います。これは別にいい悪いじゃなくて、実際に、先ほど柳田君が言ったように、通貨の価値よりも記念品の価値があるとするならば、金の関係よりも、女の子では、ぶら下げるほうが価値がある。男の子のほうでも、バッジとかカフスにつけるもののほうが価値がある。したがってなおさら、宣伝の価値があるという観点に立つならそれでもいいかもしれぬけれども、何か貨幣類似なものをつくってはいかぬということと、むしろ記念品的な意味があるのだから、その記念品的な意匠を、貨幣的な意匠でなくても、似たようなもので使っていいか悪いかという基準、ちょっと私はいまの答弁だけではわからぬような気がします。私どももまた検討してみたいと思いますが、いまのメダルのほうは、似たような意匠幾ら使ってもいいという感じでおられるのでしょうか。
  58. 近藤直人

    近藤参考人 記念メダルのほうは、デザイン組織委員会のポスターの意匠をとっておるわけであります。これは亀倉雄策氏のデザインでございます。したがいまして、そのメダルをペンタントとか何かにお使いになることは押えられないわけであります。これは自由だろうと思います。
  59. 田中角榮

    田中国務大臣 この際一言申し上げておきますが、先ほど柳田さんもあなたも、記念的な趣旨が非常に強い、こう言われましたが、これは正式な審議でございますから、一言政府側の考え方を申し上げておきます。  これは貨幣でありますから、記念的な要素は確かに加味されますけれども、あくまでも貨幣であるという考え方でひとつ御審議をいただきたい。そうでないと、これはメダル・イコールになって、そういうところに記念通貨発行反対諭が非常に根強いのでありますから、いやしくも国の通貨であるということであって、一般通貨であって、その上に記念すべきものを加味したものであるという考え方を前提にしております。
  60. 島村一郎

    島村委員長 川崎秀二君。
  61. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 私は一つ批評、注文をしておきたい。これは質問じゃないのです。  資金財団からすでに発行したこれは本物でしょう。このデザインくらい低劣なものはない。これは極言すれば、終戦直後の山手線の電車に乗り込もうとするかつぎ屋が四人集まったようなものをつくって、こんなものはよほどでないと買わないな。われわれも負うのはやめた。この席上ではっきり申し上げておくが、実に低劣なものをつくって、これで記念メダルなどというようなことでは、オリンピックがへそで茶をわかすことになるので、何とかこれをいまからでも直すことはできないものか。これはかつぎ屋を四人応援しているような姿です。インスブルックのメダル、これは貨幣ですね、これは非常にすっきりしておって、スキーのジャンプの姿がそのまま出ておるわけです。田中大蔵大臣のほうにお願いしておきますが、せめて貨幣のほうでもすっきりした姿でお願いしたい。やはりオリンピック大会のことですから、マラソンだとか、あるいは投てきがいいのです。大体はギリシャ時代から、円盤や砲丸を投げておる姿が一番記念的なものになる。これは質問ではないのです。注文を申し上げておきますが、文字は日本語と英語が入るわけですか、それ
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 日本の彫金技術といいますか、これが優秀であるということは、世界に名があるわけでございます。でありますから、りっぱなものをつくりたいという考えでございます。意匠はまだ考えておりませんが、いまお話もありましたし、裏にローマ字を使えということでありましょうが、意匠を決定する過程において十分慎重に配慮いたしたいと思います。
  63. 島村一郎

    島村委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  64. 島村一郎

    島村委員長 次に、討論に入る順序でございますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  67. 島村一郎

    島村委員長 次に、オリンピック東京大会準備促進に関する件について調査を行ないます。  本日は、委員長より、本件調査のため、オリンピック東京大会組織委員会事務総長与謝野秀君、同事務次長村井順君、東京オリンピック資金財団事務局長近藤直人君の諸君を参考人として出席を求めております。  次に、大会関係者並びに外客の入国問題について質疑の通告がありますので、これを許します。柳田秀一君。
  68. 柳田秀一

    柳田委員 委員長、法務大臣をお願いしておいたのですが、見えておりません。政務次官が見えておりますが、別に天埜政務次官がどうこうというのではありませんが、法務大臣に答弁願いたい。佐藤担当大臣が来ておられますが、事入国問題になってきますと、オリンピック担当大臣の所管じゃなしに、明らかに法務大臣の所管になるのじゃないですか。
  69. 島村一郎

    島村委員長 実はそういう要求が前からありましたので、法務大臣をさし招いたのでありますが、きょうは衆参両院に法務委員会がありまして、そちらに呼ばれておりますので、まだこちらにお見えになっておりませんけれども、入国管理局長小川政府委員天埜法務政務次官がお見えになっておりますので……。
  70. 柳田秀一

    柳田委員 この問題は、私のほかに同僚穗積七郎君も質問いたしますが、もしもそれで不十分なところは後日に残すことを留保しておきます。  そこでお尋ねしますが、これは局長、政務次官よりも、オリンピック担当相にお尋ねいたしますが、今回の東京オリンピックに対して、政府としては、共産圏と自由圏との間に、選手、役員、報道関係あるいはそのほかの関連した人の入国等の問題で、オリンピック精神に従って全然差別なしに扱うておられるか、それとも差別をされておるのか、その辺のところをお伺いします。
  71. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 御承知のように、オリンピック大会は、オリンピック精神にかんがみまして、政治的には一切区別をしない、こういう考え方でございます。そこで——それだけでいいかと思いますが……。
  72. 柳田秀一

    柳田委員 そこでからあとが伺いたいのでありますが、共産圏の中でも、国交のある国は問題がないと思います。問題のあるのは、東独と、特に北朝鮮なんです。ここに問題が出てくると思う。しかも東独の場合は、御承知のように西独と統一チームで選手団を派遣する。朝鮮の場合は、ずいぶんI ○Cのほうで統一チームの編成に努力したのですが、どうもこれは韓国のほうが、率直に言うと、少し我が強過ぎている。その結果、不幸にして別個のチームでやってまいる。すなわち、IOCのほうでは、ノース・コーリアとサウス・コーリアという呼称で来る。そうなってくると、そこで国交のない国、すなわち、東ドイツ及びノース・コーリアという二つの国に対してかなりデリケートな問題が政府の間であるだろう。現に法務省のほうではかなり神経を使っておられるやに仄聞しておる。したがって、ここで端的にお尋ねいたしますが、東独は選手団が西ドイツと一緒に来ます。役員も一緒に来る。報道関係も一緒に来る。北鮮の場合は別個に来る。選手団に対してまでも政府は、まさかインドネシアじゃあるまいし、ノーとはおそらく言わぬと思いますが、今度はそれに対して、北朝鮮と日本とは一衣帯水ですから、九月ごろからかなりの応援団が来ると思う。現にこれの入国に政府は頭を悩まされていると思うのです。選手団はまさか問題はないだろう、役員も問題はないだろう、報道関係もまあ問題ないだろう、一番問題になるのは、応援団としてかなりの人間が——特に北鮮には御存じの女子に辛金丹という金メダル候補がおるということになると、必ず応援団を繰り出してくるのではないか。そのときに、おまえさんのところの応援団は入国を認めないということになると、またジャカルタの二の舞いをやられたらたいへんだと思って質問をするのです。そういう場合には、北朝鮮であろうと韓国であろうと、政府としては差別なしに入国をお認めになりますかどうですか、端的にお尋ねいたします。
  73. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 端的にお答えいたしますが、とにかく、承認しているとか、あるいは国交がある国、この場合には問題ございません。しかし、国交がなくても、IOCに加入している、こういうようなものについては、先例がありますので、先例どおりやろう、こういう考え方でございます。したがって、オリンピックを構成する選手、役員等につきましては、これはもう無条件で入れるということでございます。しかしながら、その他の者につきましては、これは当然他の手続上の問題がある、かように御了承いただきたいと思います。
  74. 柳田秀一

    柳田委員 その他の者については先例をもってやる、こういう意味ですか。
  75. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その他の者ではなくて、オリンピックを構成する役員、選手については先例によってやる、かように申しておるわけであります。
  76. 柳田秀一

    柳田委員 そうすると、その他の者は、これはだいぶ問題があるらしい。いまことばを濁されたのですが……。  それでは、そのものずばり尋ねますが、北鮮から応援団がかなりまとまった数で日本に来たい、こういう場合に、入国はお認めになりますか。
  77. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 応援団として当然入国さす、こういうわけにはまいりません。北鮮に対しまして、開会式あるいは閉会式、あるいはまたその他の競技について、それぞれ切符を売り出しておりますから、その範囲において入れるわけでございます。そうして、その切符を持ったからといっても、それで無条件だというわけじゃございません。
  78. 柳田秀一

    柳田委員 問題はそこだ。要するに、応援団というのは一番わかりやすいことばで私は言っておるので、たとえばアメリカの選手が来る。アメリカはオリンピックがあろうがなかろうが観光団が秋なんかに日本に繰り出してくる。たまたま、一九六四年十月の観光団というものは、観光団であると同時に、オリンピックをやるときに、入場したらそのほうの応援団に変わるわけです。これは当然のことなんです。そういう意味なんです。したがって、北鮮なら北鮮から日本開会式にぜひ切符を買ってきたい、あるいは辛金丹の出る陸上にはぜひとも大量に応援したい、まあアジアで金メダル候補といったら、台湾の楊伝広とか、北鮮の辛金丹、これは世界的に有名な選手ですね。そうすると、その出る種目等には、当然かなりの熱狂的な観覧者というのですか、その国の観覧者、台湾なら台湾の観覧車、北鮮なら北鮮の観覧者——そういう場合には台湾はよろしい、アメリカならよろしい、北鮮はちょっと待った、おまえのところは国交が回復していないのだ、ちょっと待ったということを法務省のほうでどうやらおやりになるような気配があるから、私は尋ねているのです。法務省のほうはどうですか、そういうことは、オリンピック憲章の精神に従って、やらないと、ここでそういうふうにはっきりおっしゃいますか。
  79. 天埜良吉

    天埜政府委員 先ほど担当大臣からお答えになりましたとおり、国交未回復の国から来る応援団とか観客というものについても、原則としては入国を認める方針でやっております。しかし、お話しの北鮮からの人について無制限にするかということについては、そうでなしに、いろいろな点から検討をただいま加えて制限をしたいということで進んでおります。
  80. 柳田秀一

    柳田委員 それではもっとはっきり政務次官にお尋ねしますが、自由主義の国は、これは入場券なり、そういうホテル等の資料が整っておれば無制限にお認めになりますか。条件が満たされた場合には……。
  81. 天埜良吉

    天埜政府委員 条件が満たされた場合にはそういうことになると思います。
  82. 柳田秀一

    柳田委員 そうしますと、共産圏の中で国交の回復しておる国においても、条件が満たされた場合には制限はされませんか。
  83. 天埜良吉

    天埜政府委員 これらの点についてはいろいろ検討をしておるところでございます。
  84. 柳田秀一

    柳田委員 そうすると、三つの段階があるわけですね。自由主義の国で国交の回復した国においては、これは条件が満たされたならば無条件で入れる。条件というのは、ホテルのほうの契約もできておる、入場券もそれと同時にあるという者に対しては、これは無条件だ。それから共産圏であると、たとえ国交が回復しておっても、これはどうも無条件ではなさそうだ。それから共産圏で国交の回復していない国に対しては、いろいろ検討しておるけれども、条件があるのか、無条件か、そこまではっきりおっしゃらぬ。こういうことでは、政府みずからがオリンピック精神を冒涜しておると思うが、どうですか。
  85. 小川清四郎

    ○小川政府委員 それでは入管局長からお答えをいたします。  国交のない国からの観客の入国問題の御質問でございますが、これはやはりオリンピック大会というものの本来的な性格と申しますか、政治とスポーツとは完全に切り離すというオリンピック精神に基づきまして、できるだけ広く開放するというのが根本の趣旨であることは、私どもよく存じておるのでございます。しかしながら、国交未回復国の選手、役員、報道関係は、もちろん、オリンピック憲章、オリンピック規約に従いまして平等に扱って前例どおりやっておる次第は、ただいま担当大臣からお答えのとおりでございますが、オリンピック憲章そのものには、私どもの伺っておりますところでは、一般の観客につきましては全然触れておりませんし、また前々大会以来の傾向からいたしましても、各国ともこの問題につきましてはある程度制限を加えた前例がございます。詳しくは資料がございますが、簡単に申し上げましても、前回のローマのオリンピック大会におきましても、やはり東欧共産圏、東独を含めまして、ある種の制限を加えております。したがいまして、わが国といたしましても、特にこの問題につきましては、日本国の環境から考えまして相当慎重に扱わなければならないということで、総理府のほうで肝いりをなされまして、われわれ関係各機関が十分慎重に協議を続けてまいった次第でございます。その結果、オリンピック憲章には直接何らの関連のある問題ではないけれども、しかし全然観客を疎外するということは常識に反するという結論が大勢を占めました結果、原則として未承認国の観客をも入れるという方針が確立いたした次第でございます。そこで現在、それではどの程度のものを入れるかという問題につきまして、目下慎重に検討中なのでございまして、もちろん、人数のほかに、いろいろ入国の諸手続などもございますので、しかも切符の発売組織委員会のほうがおやりになることでもございますので、政府側といたしましては、組織委員会が切符を発売なされる上の参考としていろいろな意見を申し上げておる段階でございます。
  86. 柳田秀一

    柳田委員 それはさかさまであって、組織委員会のほうは、政府の方針がきまらぬものだから、切符の発売が順調にいっていないという。政府のほうで、北朝鮮といえども、韓国と同じように、日本に今度応援に来たい、あるいは日本のアジアにおける初めてのオリンピックの祭典を自分で見聞したいというような人には入国許可を与えるということならば、これはどんとん切符のさばきもつくのでありますけれども、政府のほうがもたもたしておるものですから、組織委員会自体が困っておる。これはいまのあなたのお話は逆です。  そこで私はお尋ねしますが、先ほど政務次官が言ったように、自由諸国は、ホテルも切符も無条件に、条件の整っておるものは無条件に入れる。ところが、共産圏の連中はそこでもまず制限をつけるということは、これはどういうことですか。
  87. 天埜良吉

    天埜政府委員 自由圏、共産圏については区別をいたしておりません。(「それではさっき言ったのは間違いだね」と呼ぶ者あり)さっき言ったのは間違いであります。ただ、入場券の割り当て等についていろいろ未承認国については検討しておる、こういうことでございます。
  88. 柳田秀一

    柳田委員 それでは、その未承認国については検討をしておる、その検討というのは、どういう点を検討しておるのですか。たとえば、入れたならばどういう点がまずいのか、入れたならばどういう点がプラスになるのかマイナスになるのか、プラス、マイナス相殺してこれだけまずい点が残るという、そういう検討の点を言ってください。単なる検討ではない。やはりあなた方内閣筋では、いろいろな点を具体的に、こういう場合はこうだ、こういう場合はこうだといって検討しておられるでしょう。その検討は、どういう点を検討しておられますかということを聞いておる。
  89. 天埜良吉

    天埜政府委員 この点については、各種の方面からいろいろと検討を加えております。
  90. 柳田秀一

    柳田委員 その各種の方面をここで言ってください。一時間はかからないでしょう。二十分かかってもいいし、三十分かかってもいいから、その各種の方面から検討してというのはどういうことかということを言ってください。
  91. 小川清四郎

    ○小川政府委員 ただいま政務次官から、いろいろ検討中であるとお答え申し上げた次第でございますが、一例を申し上げますと、この切符の割り当て、発売数の問題について申し上げますと、すでに御承知のとおりに、開閉会式の割り当て、それから一般の競技の各平日割り当てというふうな問題があるわけでございます、そういった場合に、開閉会式の割り当てをどうするか、一般平日分をどうするかというような問題につきまして、大体の考え方は、組織委員会のほうへたしか総理府のほうから申し上げてあると私は考えております。  それからまた、現実にたとえば国交未回復国から日本に入国する場合にどういう手続をとるか、特別の手続をとるか、あるいは一般的に従来やっておりました手続どおりやるか、そういったこまかい問題につきましても、目下検討中でございます。
  92. 柳田秀一

    柳田委員 目下検討中の内容を言ってくださいと言っておる。もしも国交未回復国に対して、そういうものを無条件に入れるとどういう点がまずいのか。オリンピックという特殊の条件ですから私は聞いておるのです。こういうオリンピックの特殊の条件下においても、国交未回復国に対してそういうような手続をとると、将来外交上こういう問題が起こるのだ、将来法務省の入国管理の手続上こういう悪い問題が起こるのだ、日本オリンピックを開くのは百年に一ぺんですから、私は前例にならぬと思うが、しかし、お役人さんとしてはこういう点がまずいというのなら、それを具体的な例でおっしゃってください。ここは国会ですから、国会では具体的な例をおっしゃってください。
  93. 小川清四郎

    ○小川政府委員 どういう点がまずいかというお尋ねでございますが、まず根本的に、一般観客の入国についてこれを原則として認めるかどうかという問題は、これは一窓口でございます入管局の独自の立場できめられるものではございません。いろいろと入国管理の面におきましても、私ども自身としまして、関係の機関とは始終打ち合わせをしてきめているわけでございまして、特にこのオリンピックの観客の入国問題と申しましても、やはり一般人の入国問題というものと同一である、こう考えたいわけでございます。したがいまして、日本国として内外諸般の情勢を考慮した結果そういう結論に到達した次第でございます。おそらく御質問の趣旨も、その根本の政策の問題についてであろうと思いますが、これは結局、従来の一般人の入国問題に対してどういうふうに特別に扱うかという見地からいたしまして、最終的には入れるという方針がきまりました。そうしてその細目については、ただいま申し上げましたように、慎重に検討中だ、こういうことなのでございます。
  94. 柳田秀一

    柳田委員 君の答弁を聞いていると、ダシがらをしゃぶっているようで、何にも、要するに、どういう点を具体的に検討しているのかということをお答え願いたい。そういう点はどういう点だ、それを具体的におっしゃってください、こう言っているのです。経過とか、そういうことは要りません。どういう点がまずいと率直に言ってください。
  95. 小川清四郎

    ○小川政府委員 重ねての御質問でございますが、やはり経緯を申し上げなければならなかったわけでございまして、経緯から御推察をいただきたいと思って申し上げたのでございますが、やはり、外交上も内政上も、オリンピックの際とはいえ、いろいろな影響があるというためにいろいろ検討している、こういうことなのでございまして、それ以上につきましては何も申し上げられないわけでございます。
  96. 柳田秀一

    柳田委員 いろいろの影響というのは、われわれはそんなことはわかりませんが、先ほどの入国管理局だけではきめられぬということですが、どことどこがそういうことをきめるのですか。政府はどこで責任を持つのですか。閣議ですか、法務大臣ですか、どこですか。
  97. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 出入国につきましては、御承知のとおり法務省が責任を持っているわけでございます。それから外交関係といたしましては、外務省が関係いたしております。オリンピック関係としまして、私の審議室のほうで全体の調整に当たっているという関係で、本件の出入国が、他の一般における出入国と違って、オリンピック時における特殊なも一のであるという関係から、その三省がこの連絡調整に当たって意見を固めつつあるという段階でございます。
  98. 柳田秀一

    柳田委員 それでは佐藤担当大臣にお尋ねいたしますが、北鮮はまだ国交未回復、しかも共産圏ですが、今度は選手、役員外にかなりの観客も来ることが予想される。それは一般人の場合ですが、一般人に対してはある程度の制限はするが、ある程度入れることには政府としてはおきめになったのですか、どうですか。
  99. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 外国からこちらに来るという人は、選手、役員、これはオリンピックを構成しているのですから、その構成員であるという意味においてこれは無条件であります。その他の客につきましては切符の割り当てをするわけです。その間に、未承認国と承認国、あるいは自由国家群と共産圏、こういう区別はしない。各方面で非常な要望が強うございますから、狭い場所に対して切符を割り当てるについては、これはたいへんな手数でございます。そういう点を組織委員会において担当しておるわけでございます。先ほど来お話をしておりますものは、共産圏に対して、特に国交未回復の国に対しては一切入国を断わるんじゃないか、こういうことであったろうと思いますが、ようやくその点は、法務省も、また外務省も、オリンピックは特殊なものだから、それはよろしいじゃないか、こういうことで、切符の割り当てをするという方向に踏み切ったわけでございます。そこで、各国の要望数とにらみ合わして、今度は最後に、何十枚、何百枚を割り当てる、こういう順になるわけであります。それが開会式あるいは閉会式の場合には幾ら、また個々の競技については、自分たちの欲している競技種目があるのだろうが、そういう面に対しての切符の割り当てをする、こういうことでございます。オリンピックとしては、そういう意味で、数の多い少ないは別としても、とにかく入れるということには踏み切った、この点は、先ほど来申し上げておるように、これはたいへんな決断を要したことだと思います。おそらく、皆さんのほうから見れば、オリンピックであるから、何ら入国手続を必要としないで、切符さえ持っておればそれでいいじゃないか、こういうことが話したいのでございましょうが、それは先ほど来申しておりますように、入国管理令そのもの、いわゆる普通時における入国とオリンピックの場合の入国、それを特に区別するかどうか、こういうことでただいま議論をしておるわけであります。ただいま申し上げるように、切符そのものについて枚数限度があるだろう、したがって、その意味では中身を精査する必要はないだろう、こういうことだろうかと思います。しかし、管理令の上から申せば、これはいろいろ国内に影響もあるだろうし、特にオリンピック時にオリンピックだということでいろいろ入ってきてもそれは困るだろう、それが一切のオリンピック以外の行動をしないというわけのものではないのでありますから、そういう意味の入国手続、これはやはりあるだろうと思います。先ほど来申し上げますように、くどく申しますが、選手、役員は無条件であります。しかし、その他の一般観客については、普通時の入国、そういう手続がありますので、切符を持っておりましても、そのほうを変えるわけにはいかないだろう、かように私は考えております。しかし、まだその点については結論が出ておるわけではございません。
  100. 柳田秀一

    柳田委員 この問題はさらに同僚の穗積君から質問いたします。  政府のほうにひとつ伺いますが、聞くところによると、北鮮のNOC、日本でいえば、日本オリンピック委員会というものがありますが、それと同様の委員会から、七人ばかり、事前の調査、準備等で役員を日本に派遣したい、こういう要請があるのです。これは当然だと思うのです。日本でもオリンピックに対して、ローマ・オリンピックの前に日本オリンピック委員会の役員が調査に行くのは当然だと思う。それをすら政府のほうでは入国に対して難色を示しておられる。今回のオリンピックは、「世界一つ東京オリンピック」でありますが、特に標語の中にも、「アジアにひらく平和と友情の祭典」というふうな標語が圧倒的に多いのです。したがって、アジアで史上初めてのオリンピックが開かれるのですから、少なくとも近隣国ぐらいは喜びをともに分け合いたい。たとえその国が共産圏であろうと、国交未回復国であろうと、オリンピック精神に従って、アジアで初めて開くところのオリンピックというものは、アジア民族みんながともに味わいたい。それならば、北鮮のNOCから七人くらいの調査団が派遣されるのは当然だと思う。それに対してすら難色を示しておられるのは一体どういうことか。法務省はそういう問題に対してはすみやかに日本オリンピック委員会と相談されて、そうして調査されるのは調査さして、ベスト・コンディションでわれわれの友邦の選手が来て——こういう民族意識は出したくありませんけれども、アジアの民族が日本オリンピックに堂々と活躍してくれることを期待しているのです。それに対して水をかけるような政府の態度はふに落ちないのですが、どうですか。
  101. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま仰せのような御趣旨オリンピックの事前の調査に来る人は扱ったらいいだろう、かように私ども考えておりますので、ただいまいろいろの経緯があるやに申されましたが、それが正式な手続を踏めば必ず許されるだろう、かように私は期待しております。
  102. 島村一郎

    島村委員長 穗積七郎君。
  103. 穗積七郎

    穗積委員 私は、オリンピック大会の準備状況全体について、それから選手の強化対策等についてお尋ねしたいのですが、きょうは時間がありませんので、いま議題になっております入国問題にしぼって簡単にお尋ねいたしますから、時間を要しないように簡潔な御答弁をわずらわしたい。  最初に、組織委員会のほうにお尋ねをいたします。  四月二日の一部新聞におきましては、組織委員会は、北朝鮮、朝鮮民主金義人民共和国オリンピツク委員会に対しまして、入場券の種目、枚数及びエ−ジェント、それから調査団に対する希望等々について、審議をされました結果、近く北朝鮮に対してそれの通告をして回答を求めるということを決定したということが報道されておりましたが、これは事実でございますか。
  104. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 お答えいたします。  新聞に報道されましたことは事実でございまして、目下北鮮のNOCにいろいろ照会中でございます。
  105. 穗積七郎

    穗積委員 その照会の文書は幾日に御発送になりましたか。
  106. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 四月三日に発送したのであります。ただ、先ほど柳田委員からお尋ねのありました視察団の件につきましては、文書のほかに、電報で要領を通告してございます。
  107. 穗積七郎

    穗積委員 それのデートは同日でございますか。
  108. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 電報のほうは一日おくれております。
  109. 穗積七郎

    穗積委員 ついでにお尋ねいたしておきますが、東京大会に参加予定国でまだ調査団の招待または入国のおくれている国は、朝鮮民主主義人民共和国以外にございますか。
  110. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 オリンピックの事前の調査のために視察団を派遣した国は相当あるのでございますが、これも一括してNOCがあらゆる状況を視察するために送った視察団というものは、フランスとか、あるいはソビエトの、昨年十月の国際スポーツ大会のときに参りましたデレゲーションというようなものはございますが、それ以外に、やはりある種目のエキスパートで、他の種目もあわせて視察に来て、またそれを帰国後オリンピック委員会に報告する、こういう例もあるのですが、視察団を送った国の数というものは、ここに資料はございませんが、そうたくさんはないのでございます。昨年国際スポーツ大会のときに、日本と国交のない東独の選手が呼ばれておりませんでしたので、東独のほうから、視察団だけでも入れてくれ、こういう要望がございまして、当初、視察団六人ということで、政府のほうも入国をはからってくださることになりましたが、東独のほうが非常に数がふえまして、結局十一名の視察団が参ったということがございます。それ以外に、今回は、これはNOCではなく、政府の体育省と申しますか、そういうところか、オリンピックのために、わりあい規模の大きな視察団をよこしたことがございますが、今回のように、七名というような視察団がかたまって来たという例は、数えるほどしかないのでございます。
  111. 穗積七郎

    穗積委員 私のお尋ねしたのは、ちょっと趣旨が徹底しなかったようでありますが、入っておる事実を伺っておるのではないのです。参加予定国で、準備のために事前に視察団または調査団——名前はどちらでもいいけれども、そういうものをぜひ送りたいという希望日本委員会に伝えたのに、いまだこれに対してオーケーを与えていない国がほかにありますかどうかということを聞いているのです。
  112. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 お答えいたします。そういう例は他にはございません。
  113. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、いままで希望が述べられておるにかかわらず、入国に対してオーケーを与えていなかったのは、朝鮮民主主義人民共和国一国だけであるわけですね。
  114. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 組織委員会としては、今日までノーという返事はしていない、入国のために努力しているということで今日までまいっております。
  115. 穗積七郎

    穗積委員 私は、ノーという返事を出すなどという不当なことがあろうと思いません。オーケーを出さなかったという事実は、朝鮮民主主義人民共和国一国に限るわけですね。参加予定国に対して、ノーなんという返事を出す聞いているわけではない。オーケーを出さなかったということ、つまり延ばしておったということですね。
  116. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 昨年、東独の場合には、やはり申し出があったのは二月でありまして、十月に……。
  117. 穗積七郎

    穗積委員 現在あるかないかということです。
  118. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 現在の時点では、ございません。
  119. 穗積七郎

    穗積委員 ここで政府お尋ねいたします。  あえて言えば、オリンピックの問題については、元来は、政治的な差別をすべきではないというのが、原則であろうと思います。これは、政府は、政経分離であるとか、あるいは人道上の問題等々で、北朝鮮に対する態度においても言われてておる。スポーツにおきましても同様です。政治的な問題をからますべきではない。インドネシア大会の場合における日本政府の態度もそうである。したがって、われわれは、経過を、全部ではない、一部かもしれませんが、仄聞しておりますと、いま問題になっておりました北朝鮮からの視察団派遣については、昨年の暮れ以来たびたび強い要望が日本委員会に伝えられたのに、これが不当に政治的に圧力を加えられておる、こういうふうにわれわれは理解して、はなはだ遺憾であります。それで、この問題をいま伺いますと、新聞報道のとおり、三日または四日の日に文書または電報をもってすでに通告したということですから、この問題については済みましたようですけれども、今後他の問題についてこれからそういう政治的な差別があるということは、推測にかたくありませんので、この点については、先ほどから政府一般原則として示されたように、他の取り扱いにつきましても無差別、公平にひとつやっていただきたい、これを要望しておきます。  そこで、オリンピック委員会が発送するについては、政府はこれの連絡を受け、政府は了承の上で三日及び続いて四日に文書並びに電報を発送されたものと思うが、そう理解してよろしゅうございますか。
  120. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 もちろん、手続上は、政府部内の意見を統一してやったことでございます。先ほど来言われるように、オリンピックの精神というものにかんがみまして、私どもはこれを政治的には利用しない、したがって、関係者一同がその気持ちになってもらいたい、これを強く要望いたしておきます。
  121. 穗積七郎

    穗積委員 ただいまの御答弁を了承いたします。  続いてお尋ねいたします。  そういたしますと、朝鮮のほうから回答があるわけですね。まず第一に、時間的な順序でいきますと、調査団をわが国に派遣するという方針が示されるわけでしょう。それに対しましては、いままですでに関係のほうから、およそ何人くらいの調査団を派遣したいという連絡は事前にあったと思うのですが、その事実はいかがでございますか、与謝野総長にお尋ねしておきます。
  122. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 北鮮のオリンピック委員会から連絡がありましたことは、七名の視察団を送りたいということでありまして、大体七名の入国が認められる原則になってまいりましたので、その氏名その他を続いて照会しております。
  123. 穗積七郎

    穗積委員 政府お尋ねします。  そうしますと、予定されておる今度の七名は、正式回答でもそれが繰り返されるでしょう。それ以上にワクを広げることも減らすこともなかろう。そうなりますと、七名につきましては、大体無事に入国が可能であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  124. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 七名は、ただいま聞いたところでございますが、先ほど来の与謝町君の話を聞きましても、大体それでいいのじゃなかろうか、かように私も思います。
  125. 穗積七郎

    穗積委員 小川入管局長にお尋ねいたしますが、その七名に対しては、入国の際には個人審査査をいたされますか。
  126. 小川清四郎

    ○小川政府委員 いままで延び延びになっておりましたけれども、今回政府部内で意見がまとまりまして、一応リストをちょうだいする手はずになっておるようでございます。七名全員を——おそらく各個人につきまして問題はないと思いますが、一応はふだんの手続によりまして、個人審査と申しましても、一応の個人審査だと考えますが、行ないたいと考えております。
  127. 穗積七郎

    穗積委員 この間、目下中国から来つつあります南漢宸使節団についても、われわれから見ると非常に不当な言いがかりをつけて呉学文の入国を拒否された。これは個人審査というたてまえでそういうふうにされたのですけれども、朝鮮の場合も中国以上に法務省は特に神経質になっておる。法務省というより、あなたではなくて、むしろ公安調査庁関係の、偏見を持った諸君が——これは非常に政治性を持っておるわけですが、これらの諸君の不当な圧力に屈せられることなしに、公平に入国を許可されることを佐藤大臣並びに小川局長に要望いたしておきますが、何か御所見がありましたら伺っておきたい。佐藤大臣が締めくくりとしていいと言えば、大体よかろうと思うのです。実力者があまりけちをつけないでやってもらいたいと思うのです。
  128. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 オリンピックは、先ほど来言われておるように、その精神、これは誤解はないと思います。したがって、朝鮮側におきましても、事前の準備委員あるいは調査員、こういうものを派遣するにつきましては、そういう人選をされるだろう、そしてオリンピックの調査、それに限られるだろう、かように私どもも期待しております。そういう意味において、この問題も問題を起こさないことを希望いたしておきます。
  129. 穗積七郎

    穗積委員 大体そこらでよかろうと思いますから、あまり神経質にならないようにお願いしておきたい。  それで、いま柳田君から御質問のありました問題に関連して、続いて具体的にお尋ねをいたします。  先ほどお話がありましたように、まず第一に制限、それから私が第二にお尋ねしたいのは、一般観客についての人数の判り当てが問題になります。  第一は、制限の条件についてお尋ねしたいのですが、先ほど来、目下検討中であるという御答弁であった。わが国の立っておる国際的な環境に従って、そしてその立場で関係官庁の間で総合的に検討をしたいと言っておられるわけですけれども、これはすでにオリンピック委員会のほうは、いま調査団に対する許可だけでなくて、入場券の種目並びに枚数についても、それからさらに続いて手続上早くしなければならぬのは、エージェントの指定でございましょう。他の国ではすでに、われわれの仄聞するところでは、エージェントが決定されまして、一般に入場券の発売等が行なわれておる。これまた非常に政治性があるじゃございませんか。政治性があるのですね。すなわち、政治的な不公平さがここでも行なわれておるわけです。いままでのことはあえて伺わないで、前向きにお尋ねしたいのですが、そうなりますと、ここで朝鮮なり東独なり、その他の国交未回復国の取り扱いにつきましては、やはりオリンピック憲章の精神に従って、国際的に内外の世論から見て合理性のある、すなわち納得のいく制限基準というものがなければならぬと思う。特に最近の入国問題についての日本政府の取り扱いを見ますと、非常に主観的で、秘密主義で、そしてへんぱな行ないを行なっておるという事実を——例をあげれば切りはありませんので、それは申しませんが、そういうことを、誤解、邪推でなくて、私どもは客観的に遺憾に思っております。すでにオリンピック委員会では、種目、枚数並びにエージェントの指定まで要望する通知を出しておるわけです。そのときに、返事があり次第これは手続を進めなければならぬ。そうなりますと、目下検討中だというような御答弁では、オリンピック大会の進捗状態は、非常に主観的かつ不当な政治的判断によってこれが阻止されておる、こう理解しなければならぬ。そういうことははなはだ遺憾でありますので、「世界一つ東京オリンピック」、あるいは先ほど柳田委員の言ったように、平和のためのオリンピックという念願が国内においても圧倒的な世論となっておるわけでありましょう。そのときに、世界一つではなくて、二つや三つに区別をして差別をするということは、「世界一つ東京オリンピック」というスローガンを採用されたオリンピック組織委員会の精神に反する、こういうふうに思いますので、その制限の条件について具体的にひとつもっと明確にしていただきたい。  そこで私は、ついでに関連をしてお尋ねいたしますが、未回復国のうちで、中国と朝鮮、それから東独、これらについては、いわば第二グループですね、国交回復国と国交未回復国の二つに法務省は区別された。そうなりますと、その制限を受けるであろう第二グループの中でのいまのたとえば三つの国、あるいはその他あるかもしれませんが、これらの国々において個別的に条件を付されるわけですか、あるいは、未回復国については一般的に各国に共通する制限基準というものを設定されるつもりでありますかどうか、それを最初に伺っておきたい。
  130. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、政治的な色分けはしない、そういう原則に立っておる。また、こちらが承認した国を第一の原則として扱いますが、それにいたしましても、IOCに加入しておるものについてはこれは認めていいじゃないか、こういうお考え方でございます。したがって中立の場合は違いますが、北鮮あるいは東ドイツ、こういうところに対しましては、招請状も、また選手、役員の入ってくることについても、これは了承しておるわけでございます。ただ、穗積さんが御指摘になりましたように、国交上未承認あるいは国交未回復の国でありますために、どうも事務的には幾分早く進まないといいますか、その精神を取り入れて納得して、準備委員会のほうではこれはもう差別をしないつもりでおりましても、なかなか思うようにいかない面があります。事務的におくれておるというのは、そういう意味のものが多いように思います。他の、入場券の枚数、あるいはエージェントをつくる、こういう問題になってきますと、これは他国との振り合いもありますので、その間にいろいろ組織委員会でくふうしておるものがあるようです。また、エージェントをいかにするか、それにつきましてもただいま交渉中だろう、かように思いますが、今日までおくれましたのは、これはやはり国交が未回復であるために事務的におくれておる、こういうことでありまして、組織委員会といたしましては、全部あのオリンピックの標語のごとく、世界一つオリンピックという、そういう意味で平和なオリンピック、またそれを成功させたい、この一念でございますので、こういう事柄で国際上の問題を起こしたくない、これもやはり成功さすという観点に立てば、しごく円滑に推移すべき事柄のように思います。そういう意味の努力をしております。
  131. 穗積七郎

    穗積委員 原則については、佐藤大臣のはっきりした御方針、それでけっこうですけれども、そのとおり実は事実が処理されてないのですね。私がお尋ねしたいのはこういう趣旨なんです。特に心配いたしますのは、制限の条件をここで明らかにできないというのは、たとえば朝鮮民主主義人民共和国につきましては、日韓会談というものが実は特別にまた加わってきている。つまり、未回復国と区別されて、そのグループの中へ入れておるけれども、その中で特に朝鮮につきましては、日韓会談という政治的配慮が行なわれて、入国の問題がいままで非常に不当に取り扱われておる、差別されておる、こういう事実を見てきておるのです。今度もおそらくはそれでおくれたのであろうとわれわれは思いますけれども、日韓会談は、ごらんのとおり、韓国の事情によりましてこれはもう勝負ありで、打ち切りではないというようなかっこうはつくろうとしておりますけれども、事実上は、特にオリンピック大会をはさんでの前後の国際情勢からいたしますと、これはもう無関係にお考えになるべき段階にきておるのではないかというふうに思うので、朝鮮に対する取り扱い、すなわち、枚数、それから制限、これは未回復国一般として客観的に道理にかなった基準によってさるべきであって、未回復国の中で特に朝鮮だけを日韓会談の政治的な理由によってこれをさらに差別する、制限を強化するというお取り扱いは、私はオリンピック精神に反すると思うので、この際あなたのフェアな精神を生かすためには、事実の上において、これからお尋ねいたします枚数の問題と、それから新聞関係の諸君の入国の問題と、他の国とこれだけを区別するという取り扱いについては、私ども了承するわけにいかないです。そういう情勢判断の中で、先ほど小川局長が言われました、現在わが国の立っておる特別な政治的な環境というか、そういう中に、日韓会談というものが含まれておると思う。日韓会談はいま申しましたとおりですから、ひとつそういうことにとらわれることなくこの際御決断をいただきたい。ひとつ、原則について最初に明らかにしておいていただきたいのです。いかがでございますか。
  132. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほど来原則について御説明をいたしましたので、原則はそれで了承した、かように言っておられたと思いますが、日韓交渉の途中、いままで交渉をされておりました際に、韓国のオリンピック関係者も参りまして、また新聞関係者も来まして、日本に駐在しておるその連中に対して、オリンピックの担当相として考えることは、在来からのオリンピック大会における経緯もある、先例もあるから、日本においてもその先例どおり扱います、別に韓国との交渉をしておるからといって北鮮をいじめるようなことはしませんと申し上げました。また韓国の方々も、北鮮といってもこれは同一の民族でありますので、自分たちのところからオリンピック大会においていい成績を出してくれれば、これは北鮮だろうが南鮮だろうが、そういうところにおかまいなしに、民族的な英雄としての表彰をすること、これはインスブルックの大会においてもすでにそういう先例があります、したがって、そういう点には御懸念のないように、かように申しております。たいへんフェアなスポーツマンシップ、そういう意味で私も非常に喜んでおりますが、おそらく、この問題は、ただいままでのところ、韓国側におきましても十分理解しておることですし、また当方の組織委委会自身も、これで問題を起こさないようにということを考えております。また問題は、日本に駐留いたしております北鮮系だとか、あるいは南鮮系だとか、こういう方々で問題を起こしても困る、こういう意味で、成功さす意味においての立場から十分対策もとるが、同時に相手方に対しても理解してもらう。今日までのところ、よく協力するというお話を聞いておりますので、私は、ただいま御指摘になりますような問題は、あまり神経質にならなくていいのじゃないだろうか、かように思います。ただ、同じような種目で、韓国と北朝鮮とで、たとえばフットボールならフットボールという競技が南北両国民の間の争覇戦になっても、こちらのほうとしては、オリンピックとして非常に困るのですから、そういう意味の事柄はないように注意をいたしますけれども、先ほど来応援団云々と言われると、そういう意味の韓国と北との争いが競技種目によっては、ぶつかるということもあるのじゃないか、そういう場合に、主催国である日本の立場が非常に困りはしないだろうか、そういう立場から、関係者の十分の理解と同情ある処置をしてくれるように、かように申しております。先ほど来お話のございました点は、ただいま準備委委員会へ調査に来られればさらにはっきりするだろうと思いますので、しばらくその問題も経緯を見ていただきたいと思います。
  133. 穗積七郎

    穗積委員 わかりました。  佐藤大臣はじめ、法務省等委員会に関係のないところもおられますから、この際一言だけ申し上げておきたいので、よくお聞き取りいただきたい。  北と南でトラブルが起こるかもわからぬというのは、原因は南側にのみあるのです。北は私も訪問したことがあるのです。ところが、南のいまとっておる政府の政策については賛成ができないけれども、全朝鮮における全人民的な団結と融和ということについては、北は非常に積極的に、しかも友好的にあらゆる問題に提案を続けてきておる。したがって、このオリンピック大会では朝鮮全体の統一チームをつくろうじゃないかという提案は北からされて、南が拒否しているということなんです。したがって、問題が起きるとすれば南側の諸君からであって、競技の大会におきましても、あるいはその他の入国後の行動につきましても、入国する態度につきましても、北側におきましては、南との対立意識、対立していろいろのトラブルを起こすとか、政治的な競争をするというような意識でオリンピックに臨むという精神は全然ない。それは過去のあらゆる政策における事実がこれを証明しておる。これはいかにも神経質になっているように言われる佐藤大臣のおことばですけれども、北に対して神経質になり過ぎているのが政府なんです。だから、与謝野さんもどうぞひとつその御理解で、しっかりオリンピック憲章に従って政府をリードし圧倒するようにやってもらいたいと思いますので、激励をしておきますから、よく理解しておいてもらいたい。  それから議事進行についてちょっと委員長お尋ねいたします。私まだこの問題についてだけ四問ばかり質問をしたいと思っているのだが、時間を見ますとだいぶ過ぎておりますし、他の委員の諸兄にあまり迷惑をかけてもいけないので、ちょっと時間の都合を伺いたい。大臣の都合もありましょうし、それで質問のしようもこれからアレンジいたしますから……。
  134. 島村一郎

    島村委員長 十五分ぐらいでやってください。
  135. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、あと十五分ではどうせきょう十分な審議をして満足のいく御答弁は困難と思いますけれども、問題を提起いたしまして次の機会に御回答をいただく、しかし、きょう御回答のいただけるものは、いまの精神に従って具体的な御回答をいただきたい、こういうふうに思いますから、それでは一括して私のほうから質問をいたします。  まず第一に、政府、特に大臣と法務省にお尋ねいたします。  ただいまの第二グループの差別グループについては目下検討中であるというけれども、いま法務省も組織委員会の総長も大臣からお聞きのとおり、担当大臣の最高責任者が、オリンピック精神に従って無差別でいく、公平にいくということを再度繰り返されておるわけです。そうなりますと、入国について制限グループについて目下検討中ということであるから、これは私はおかしいと思うのだが、実際は、さっきも劣ったように、枚数とかエージェントの問題まで問い合わせしておるのに、まだ方針、基準がきまってないということは——何もそんな外交上の問題じゃない。国会に秘密にする必要はないと思うんですよ。だから、制限は制限だが、それはどういう基準によってやるかということを第一にお尋ねして、約束をしておいていただきたいのは、政府関係並びに組織委員会とので討議をされました後には、制限の基準というものを具体的に次の委員会とか適当な時期にこれをはっきりしていただく、そしていま大臣の御説明のとおり、朝鮮に対してのみ特別な一方的な制限はしないという事実が保証されるかどうか。大臣の精神が生きるか死ぬかは、皆さんがこれから討議して決定される制限基準によってきまるわけですから、それはいま検討中なら、私は急いでいただきたい。急いで検討されましたならば、次の委員会でそれを客観的に公平なものであるかどうか明らかにしていただきたい、これが第一点。御答弁はあとで一括してお伺いいたします。  第二は、この問い合わせにもあります枚数のあれでありますが、資料としてこの前私ちょっと要求いたしまして、ここにございますが、全部の国についてないわけです。アメリカなりその他の国についての枚数割り当て——これは枚数判り当てでしょう。この資料はそうですね。これは向こうから要求してきたものに対してこっちで決定したというものですから、これはありますけれども、われわれが特に心配をして伺いたいという国々のものが個別に出ていないわけです。そこで私はお尋ねいたしますが、個々に向こうの要求数が出て、それを基準にして、国によって何割減、ディスカウントしたものが、パーセンテージが変わりますね。一律何%削るということではない。そうすると、要求希望数だけを基準にしたものではなくて、特別に何かまた他の基準があってこういう数字の割り出しが出たと思うのです。これは一体いかなる基準によってなされておるか。向こう側から何人送りたいということで要求が来て、それに対して全部受け入れたいけれども——精神としては入れるべきですね。ところが、残念ながら、いろいろな会場なりホテルなりその他の都合で無制限に全部のむわけにいかぬから、そこで日本委員会のほうで客観的に公平にこれをディスカウントするということになってきたと思うのです。そうなると、要求だけではなくて、ディスカウントしたについては、何かこっちに別の基準があるだろうと思うのです。一律引き下げではないわけですから。その基準は一体いかなるものによってなされておるか。そして、いま問題になっておる第二グループについては、ソビエトは国交回復国ですから出ておりますけれども、そのほかの国についての具体的なものが出ておりません。きょうは時間があればその基準を伺いたいと思っておったが、時間がありませんから、これは私の質問として、この次には用意をしてお答えをいただきたい。資料としても出していただきたい。資料は、数だけではなくて国別に全部出していただきたい。そして、向こうの要求額はこうであったが、こちらできめたについては何か日本委員会の基準があるだろうと思うので、それは一体いかなるものを基準にしてこういう割り当てをされたか、それを明らかにしていただきたいと思うのです。これが第二です。  第三点は、報道員についての取り扱いでございます。これは一体どういうふうになっておるかお答えをいただいてお尋ねをすべきでございますが、報道員は国別にどういうふうに取り扱うつもりであるか、これについても早く政府間の意思統一を具体化して、次の委員会の機会にお答えをいただき、発表をしていただきたい。同時に、その基準につきましても、これは納得のいく佐藤精神に従ってやっていただきたいということを重ねて要求いたしておきます。これが第三。  第四は、入国の経路の問題でございます。これはきょうここでお答えをいただきたいと思うのです。経路につきましては、オリンピック憲章の私の理解によりますと、入国を許した以上、招待して向こうから来るというOKがあって合意に達した場合におきましては、憲章どおり、近くて安くて安全なコースで入れるように日本委員会は協力する責任がむしろあると思うのです。そうなると、Bグループにつきましても、入国の経路については相手側にまず選択権を与えて差しつかえないのではないか、こういうふうに思うのです。これはBグループ、アメリカ、ソビエトだけでなくて、すべての国を含んで、特別の理由がない限り自由である、もしそれの変更を要望される場合には、こちらからちゃんとした説明をして、相手方の納得の上で入国経路の変更は求めるべきではないか。一方的にこれでは困るということを言うことは、オリンピック精神に私は反すると思うのです。そういう意味でこれだけはお答えをいただきたい。  以上四つの問題に対して、前の三つについてはあとで御答弁いただきたい。第四問については与謝野事務総長からお答えをいただいて、それに対する政府考えをあとで伺いたい、こういう順序で御答弁をお願いします。第一問からお願いをいたしますよ。
  136. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 御質問のありました前の三点につきましては、次の機会に資料をそろえてお答えいたしたいと思います。  第四点、組織委員会に関係のある問題としては、憲章上、役員、選手のためになるべく低廉な旅費で来られるようにはからなくてはいかぬということがございますので、経路について、平素使っておらない航空路を使えないかというような照会などは今日まであるのでありますが、これは十分検討した上で間に合うように処置したい、こう考えております。
  137. 穗積七郎

    穗積委員 検討した上というのがちょっとつかえるわけですが、具体的に私はおお尋ねします。  いま北朝鮮と日本との問は、一昨年から直航貿易の許可が出て、ほとんど定期的に船は動いておるわけです。また中国との間も動いておるわけです。そうなりますと、清津から新潟または敦賀へ来る、あるいは陸路を汽車で参りまして、上海または天津から、中国船、または中国、日本あるいは日本商社がチャーターした策三国船で、これがほとんど定期的に動いて、それで客を乗せる可能性のあるキャビンもあるわけですね、その海運法上許される範囲においてこれと乗船契約をいたしまして、門司または長崎その他の港に船の都合で来る、こういうことは、最も近くて安全で低廉なコースでございますから、全部香港を回って来なければいかぬというような無理解な制限をすべきではないと思うのです。それについて与謝野総長からお答えをいただきたい。
  138. 小川清四郎

    ○小川政府委員 ただいま、入国のルートと申しますか、経路についてできるだけ便宜をはかるようにという穗積委員の御質問でございますが、この問題は、やはり率直に申しまして、船、飛行機のルートというふうな問題もございますし、また臨時という考え方もあるかもしれませんが、ただし、船員並びに乗客に対しましてやはり旅券というものが正式に認められておりませんので、一種の、旅券にかわる渡航証明書というふうな制度をいままでとってきております。そういった、ごく技術的な問題ではございますけれども、やはりたてまえというものがくずせないという見地からいたしまして、この問題は私どもはもう少し検討さしていただきたいと考えておる次第であります。
  139. 穗積七郎

    穗積委員 それじゃ委員長、不十分な御答弁ですけれども、検討中であるというなら、私は小川さん、与謝野さんの良識を信用して検討を待ちましょう。ただし、私どもとしては、先ほど言いましたように、オリンピック憲章の精神に従って委員会は特に努力すべきである、その変更を要求する事情というものは私はないと思っているのですが、それについてそういう精神でひとつ早く検討して、次の委員会で報告をしていただきたい、こういうふうに要望いたしますが、与謝野総長のこれに対する所感を伺って私の質問は終わりにいたしましょう。
  140. 与謝野秀

    ○与謝野参考人 実は朝鮮の出場者の問題につきましては、最近ようやく回答が出たような次第でありまして、今日まで、選手、役員の入国いたします経路についてオリンピック委員会のほうから何ら連絡がなかったものでありますから、今後検討しなくてはならないということを申し上げたわけであります。今後関係機関と連絡してできるだけ早く検討したいと思っております。
  141. 穗積七郎

    穗積委員 それじゃ次の機会に御回答と質問を留保いたしまして、これで終わります。
  142. 島村一郎

    島村委員長 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後零時三十分散会