○梶本
政府委員
オリンピックを控えまして運輸省の
一つの大きな課題は、宿泊対策の問題でございます。これには、まず、一体何人観光客が
日本を訪れるのかということから始めたわけでございますが、運輸省だけの単なる算定では権威もございませんので、幸い
総理府にございます観光政策審議会におはかりをし、
関係各省の幹事会でいろいろデータを出し合った結果、御承知の一日最高三万人
程度というふうな結論が出まして、そしてそれに基づいての対策を立てておる次第でございます。しかし、その三万人を全部ホテルで受け入れようというふうなことは、これは非常に無謀なことでございますし、かつまた
日本の
国情に合いません。したがいまして、ホテルでどのくらいお引き受けするか、
日本旅館でどのくらいお引き受けするか、あるいはユースホステルでどのくらいお引き受けするか、あるいは民泊、
一般の民間の御家庭に宿泊していただく、あるいは船で来るいわゆる船中泊がどのくらいというふうなことで、いろいろ
関係各省とやって一応の結論が出たわけでありますけれ
ども、ただいまのところでは、ホテルが一万二千八百人、旅館が三千五百人、ユースホステルが一千人、その合計で一万七千三百人、それから船中泊なり民泊なりというふうなことで一万二千七百人、合計三万人、こういうふうな一応のめどで対策を立てております。したがいまして、ホテルの一万二千八百人を受け入れるためにはもうどのくらいホテルをつくらなければならないかということで、いろいろ
関係方面と折衝いたしました結果、大体ホテルにつきましては、
オリンピックまでにはただいまの進捗模様では間に合います。そういう段階になっております。旅館のほうも大体間に合う。それからユースホステルも、三十八年度に千人を受け入れるだけの予算がつきましたので、この点もわれわれとしては喜んでおる次第でございます。したがって、開発銀行のほうの融資としましては、三十八年度六十億、ホテル、旅館等についての融資が行なわれるということで、きょう現在では五十億余り融資されておりまして、残りの十億が年度内に出る、こういうふうな段階になっております。
それで、まず、先ほど申し上げましたように、一昨年の十二月一日から予約の開始をした、その十二月一日に予約を開始する直前の十一月二十八日に、運輸省はホテル協会と国際観光旅館連盟に依頼の通達を出しております。これはホテルにつきましては、基準客室の九割を
外人観光客に開放していただきたい、旅館については、基準客室の七割を
外人観光客に開放してもらいたい、こういう、通達と申しますか、お願いをしたわけでございます。ホテル、旅館とも気持ちよくそれに応じてもらいまして、それで予約を受け付けたわけです。最近になりまして、ことしに入ってからでございますけれ
ども、どうも報道
関係あるいは
オリンピック役員
関係等でそれぞれの当てておられました宿泊のほうの
準備がまだ必ずしも十分にいかないので、ホテルのほうでさらにそれだけを優先確保してくれないか、こういう問題がことしになってから出てまいったわけでございます。幸い目下建設中のホテルがございますので、このホテルに対しまして国から財政投融資のお世話もしていることだから、何とか
オリンピックの予約について優先的にお願いしたいということで、
関係各省から御要望のありました八百六十名につきましてさらに優先確保の手配をこの二月十六日にいたしました。その優先確保八百六十名いたしました残りのものは、明後日、三月一日から
一般の予約を受け付けるというふうな手配をただいまいたしております。これで大体ホテルにつきましては私
どもは何とかなるのではないだろうかというふうに考えております。
それからこの予約の中で、買い占めでございますけれ
ども、こういう問題が絶対にないとは、私は残念ながら言えないのでございまして、これにつきましては、そのようなあっせん業者が買い占めたりするようなことがあってはならないぞということは、運輸省としましては再三
関係方面に通達も出して、そのつど警告をむしろ発しておる次第でございます。現在の
状況を申し上げますと、
オリンピックが十五日、その前後の一日を取りまして十七日というものを全体の部屋数に掛けまして、いわば延べ部屋数というものを出しまして、その延べ部屋数に対してどのくらい予約が来ておるかと申しますと、九二・二%、九割をこえる予約率になっております。ただ、この予約率の中に、何のたれそれという具体的の氏名の判明しておるものと、氏名は判明しないけれ
ども、とにかく予約を受け付けておいてくれというのとがあるわけでございます。具体的の氏名の判明いたしておりますものが六割五分ございます。あとは、具体的の氏名は判明していないけれ
ども、あっせん業者等からとにかく予約を受け付けたというのもございます。それから、御承知の、予約制度というものと
オリンピックの入場券をリンク制にしたわけでございまして、予約の証明書の出た方に対して入場券を発売するということを
外人観光客についてとっておる次第でございまして、その予約の証明書を出しましたものが四割六分ございます。ですから、大体半分近くの数字がその証明書を出して、そうして入場券のほうへそれを求めるべく流れていっておる、このようにただいまのところ考えておる次第でございますが、ただ、
オリンピックというものがいわば非常に人気があるものでございますから、先生の御指摘のように、絶対に買い占めがないかと言われますと、残念ながら、
観光局長といたしましても、ないとはお答えできないような
状況でございますけれ
ども、機会あるごとに観光業界に対してはこの問題について強く警告を発して、そういうふうなことのないようにいたしておる次第でございます。