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1964-01-27 第46回国会 衆議院 オリンピック東京大会準備促進特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年一月二十七日(月曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 伊能繁次郎君 理事 小平 久雄君    理事 阪上安太郎君 理事 重盛 寿治君       臼井 莊一君    岡崎 英城君       川崎 秀二君    四宮 久吉君       長谷川 峻君    板川 正吾君       小松  幹君    戸叶 里子君       穗積 七郎君    横路 節雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      高橋 幹夫君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  金田 知成君         大蔵事務官         (関税局監視課         長)      丸山 幸一君         大蔵事務官         (為替局企画課         長)      今泉 一郎君         文部事務官         (大臣官房参事         官)      石川 二郎君         文部事務官         (体育局オリン         ピック課長)  西田 泰介君         運輸事務官         (大臣官房都市         交通課長)   菅川  薫君         参  考  人         (東京オリン         ピック準備局         長)      関  晴香君         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務次長) 村井  順君         参  考  人         (東京オリン         ピック資金財団         事務局長)   近藤 直人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  オリンピック東京大会準備促進に関する件(オ  リンピック国民運動交通輸送防犯環境衛  生対策等)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  オリンピック東京大会準備促進に関する件について調査を行ないます。  まず、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本件調査のため、東京オリンピック準備局長関晴香君、オリンピック東京大会組織委員会事務次長佐藤朝生君、同村井順君、東京オリンピック資金財団事務局長近藤直人君、以上の諸君参考人と決定し、本日その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、本委員会が今後調査を進める上におきまして、東京都、オリンピック東京大会組織委員会東京オリンピック資金財団及び日本体育協会等から、たびたび御出席をお願いせねばならないことと思われますので、ただいまの理事諸君との御協議のとおり、本委員会において必要を生じました場合には、右関係者参考人として出席を求めることとし、その人選及び手続等につきましては委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 島村一郎

    島村委員長 佐藤オリンピック担当国務大臣より発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤国務大臣
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今度オリンピック担当大臣になりました。どうぞよろしくお願いいたします。  ことしはいよいよオリンピック東京大会開催される年であります。アジアで初めて開催されるオリンピック大会として東京大会は全世界の注目を集めており、この大会の成否は日本の将来の国際的な地位に大きな影響を及ぼすものであります。  オリンピック東京大会はこのような意義を持つ国家的な大事業であるので、政府も、オリンピック関係閣僚懇談会オリンピック準備対策協議会など設置するとともに、関係各省事務体制強化をはかるなどして、大会の成功のために積極的な準備を進めてまいりました。幸い、政府東京都をはじめ、関係地方公共団体などが一致協力して、競技施設をはじめ、道路輸送施設環境整備など関連公共施設宿泊施設整備に努力し、ほぼ所期の計画完成できる見通しにありますし、大会の直接の運営主体である組織委員会も、大会運営についての万全の措置をとっており、りっぱな大会ができるよう努力しているところであります。さらに、大会時に来訪する多数の選手、役員、報道関係者外客等に対する宿泊接遇の面及び交通輸送関係などについても、目下万全の準備を進めております。  あと二百五十日余で大会開催されますが、担当大臣としては、この大会が史上まれに見るりっぱな大会になりますよう全力を尽くす所存でございますので、どうぞよろしく御支援のほどをお願いいたします。  これからの余すわずかの期間においては、大会準備の総仕上げをするわけでございますが、特に強調いたしたいのは、オリンピック国民運動推進であります。大会のための直接的準備はおおむね順調に進んでおりますが、大会を迎えるにあたっての国民一般の関心、理解は、まだまだ十分とは言いがたい節もあり、国をあげての本格的ムードの盛り上がりの必要性を痛感する次第であります。そこで、国民一般オリンピック東京大会意義をよく理解してもらい、大会開催国にふさわしい国民として心身ともに健全であるよう、公徳心高揚社会環境の改善などについて、今後一段の努力が必要と考えます。このため、昨年六月オリンピック国民運動推進連絡会議が結成され、オリンピック理解公衆道徳高揚などの七つ運動目標を掲げて、関係機関団体協力して具体的な事業計画実施しているところであります。  そこで、昭和三十九年度においては、政府としても予算を大幅に計上しており、この運動飛躍的発展を援助したい所存であります。他方、各都道府県におきましても、それぞれの実情に即した組織をつくり、具体的活動を展開する準備を進め、この運動が全国津々浦々に浸透するよう努力している次第であります。  あと残されたわずかの期間に、このオリンピック国民運動が大きな成果を上げ大会を成功させるよう、今後とも関係機関団体と連携努力して有終の美を飾りたいと思いますので、国会方面におかれましても特別の御支援、御協力を賜わりますよう、重ねてお願い申し上げる次第でございます。  一言ごあいさついたします。
  7. 島村一郎

    島村委員長 ただいまの佐藤国務大臣の御発言に関し御質疑があれば、この際お願いいたします。——質疑がなければ、本日は、オリンピック予算関係オリンピック国民運動交通輸送駐車場対策防犯対策環境衛生対策、通関、為替、両がえ対策等について、関係省庁及び参考人より説明を承り、続いて質疑に入りたいと存じます。  まず、オリンピック関係予算、並びにオリンピック国民運動に関してでありますが、特に、オリンピック東京大会開催にあたっては、全国民オリンピックに対する正しい理解と積極的な協力が特に必要であると感じますが、幸い、昨年六月、総理府国民運動推進連絡会議が設置せられ、関係方面において活発な活動が展開されているように聞き及んでおります。国民運動現況及び今後の推進強化具体案につきまして、総理府総務長官より御説明をお願いいたします。野田総務長官
  8. 野田武夫

    野田政府委員 総務長官として、この仕事に当たっております。今後皆様にもいろいろお世話になると思いますから、よろしくお願いいたします。  オリンピック東京大会準備は一応所定計画どおり進んでおりますが、本年一月一日現在の進捗状態概要説明申し上げます。  競技施設整備競技場は、二十種目、三十会場余にわたりますが、これらの競技場となる競技施設は、新設増改築仮設工事等それぞれの整備計画に従って準備が進められており、仮設工事が未着工であるほかは、一斉に工事中でありまして、大会時までには確実に完成見通しであります。このうち代表的なもの進捗状況は、国立競技場、これは増改築でありまして、大体九五%できております。屋内総合競技場、本館五五%、別館五五%、戸田漕艇場拡幅完成地上設備四〇%、武道館、三〇%、江の島ヨットハーバー新設九四%、駒沢スポーツセンター新設六八%、大宮蹴球場新設六五%等であります。  競技運営関係施設整備でありますが、プレスセンター日本青年館改修工事中でございます。プレスハウスは、昨年七月に着工いたしまして、約四五%進んでおります。NHK放送センター、昨年四月に着工いたしました。オリンピック記念会館選手——ワシントンハイツ住宅地区は、七百二十六号館を除き、昨年十二月十日全面解除になり、七百二十六号館を本年の八月十四日に解除する予定でありまして、OOCにおきまして選手村としての整備工事に着工しております。かような現況でありまして、大会時までの整備には問題はありません。  選手強化の問題でありますが、国で体協の選手強化対策本部事業に対して、昭和三十四年来毎年助成し、競技技術向上対策進捗しており、いまや本格的な強化訓練期であります。特に、菅平高原の夏季トレーニングセンターは、整備を完了いたしました。  道路整備関係でありますが、オリンピック道路といわれる二十三路線についての整備区間約百三十キロメートルを、総事業費約千八百四十億円で整備をはかっておりますが、戸田ボートコース関係、これは一級国道の十七号線笹目橋等でありますが、これは八〇%でき上がっております。首都高速道路が八〇%、東京単独整備街路の一部がおくれておりますほかは全般的に順調な進捗状態で、平均しておよそ八〇%であります。所定工期内の完工は確実な見通しであります。  環境整備でありますが、明治駒沢戸田等公園整備はほぼ六五%の進捗であり、上水道六〇%、下水道六五%、し尿消化槽ごみ焼却場整備隅田川浄化屋外広告物規制も、それぞれ所定計画に従って進捗中であります。  輸送対策につきましては、東海道新幹線は、目下用地買収が九九・九%まで上がっておりまして、路盤工事九六%の進捗状況にあります。中央線—環立体交差は、用地取得が七四%、工事関係が六二%、都営地下鉄が八五%、営団地下鉄が七〇%、私鉄都心乗り入れが七五%、東京国際空港が九〇%等の状況で、順調な状況にあります。  なお、各輸送機関別輸送力の把握、及びこれに伴う観客輸送処理方法につきましては、目下具体的計画を作成しております。  次に、宿泊観光対策でありますが、外人客三万人の宿泊対策として、登録ホテル一万二千八百人、登録旅館三千五百人、ユースホテル一千人、改造日本旅館三千人、船中泊七千人、民泊千五百人、プレスマンハウス千人、その他二百人の計画区分に従って、それぞれの施設確保につとめておりますが、このうち、最も主要な施設である登録ホテルにつきましては、不足ベッド約三千四百ベッド整備のための開銀融資確保見通しがほぼついてまいりました。  なお、観光対策一般といたしましては、観光案内所休憩施設ガイド等確保整備を進めております。  次に、交通警備対策でありますが、駐車場については、OOCにおいてその具体的候補地確保につとめておりますが、大体見通しを得ております。なお、交通規制警備消防等措置も、具体的計画を作成し検討しております。  次に、放送通信施設整備等でありますが、NHK放送センターは、昭和三十八年四月十三日に着工いたしまして、ほぼ順調に工事が進んでおり、宇宙通信施設整備を進めつつあります。その他、簡易郵便局、新電話局設置等郵便電気通信関係につきましても具体的な準備計画を進めております。  次に、オリンピック国民運動推進の問題でありますが、昨年六月、政府民間団体が提携いたしまして、オリンピック国民運動推進連絡会議を結成し、八つ部会でありますが、各部会ごと基本方針並びに事業計画を定めて実践活動に入っておりますが、特に本年は、これを最重点に考えましてその強化をはかる計画であります。  重点的盛り上げの時期を大体本年の三月、六月、九月に予定するほか、この運動地方への浸透を強化する考えであります。  その他。資金財団資金調達計画は、総額約四十億円でありますが、本年の一月一日現在で実調達額は約二十八億円で、残りは本年の上半期中にほぼ確保できる見通しであります。  その他、青少年キャンプ選手運営方法優良みやげ品提供方法外国人出入国管理の諸問題につきましては、引き続き関係者具体的事項を検討中であります。  次に、オリンピック東京大会準備対策事業関係予算でありますが、これは別紙に詳しく刷ったものがございますから、ごらんいただきたいと思いますが、大体昭和三十三年度来の年々の経費総額について見ますと、大会に直接に必要な関係事業費、これは競技施設整備組織委員会補助競技技術向上助成等でありますが、これが総額約二百二十三億一千万円、その他の関連経費、すなわち、道路とか輸送とか、宿泊施設環境整備などが、財政投融資等を含めまして約一兆五百億円でありまして、合計いたしますと約一兆七百億円余に上るわけでございます。このうち、昭和三十九年度の予算案について御説明いたしますと、直接的関係事業費は、競技施設整備二十億十万円、競技運営関係施設整備が千九百万円、オリンピック東京大会組織委員会補助十二億七千八百万円、競技技術向上助成等一億五千九百十万円、オリンピック国民運動推進オリンピック青少年キャンプ等二億百六十万円であります。  次に、オリンピック国民運動は、昨年六月二十二日、関係各省庁十七、関係民間団体百六十五、計画八十二の参集を得て、オリンピック国民運動推進連絡会議が発足し、議長に足立正氏を選んでおります。この運動は次の七つ運動目標としておりまして、それぞれ部会を置いております。第一はオリンピック理解運動、第二は国際理解運動、第三、公衆道徳高揚運動、第四、商業道徳高揚運動、第五、交通道徳高揚運動、第六、国土美化運動、第七、健康増進運動、なお、この運動別部会のほかに総合部会を置きまして、八つ部会に分かれてそれぞれ具体的運動を進めておりますが、その詳細は別冊配付資料のとおりでございますから、ごらんを願いたいと思います。  なお、いろいろ御質問がございましたら、係の事務当局も来ておりますから、お願いします。
  9. 島村一郎

    島村委員長 次に、交通輸送防犯対策等についてでありますが、開催相当の混雑が予想される国立競技場周辺交通輸送駐車場対策、また防犯対策、さらには、外客輸送対策について、関係当局より順次説明を願います。警察庁高橋交通局長
  10. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 交通局長高橋でございます。  ただいまからオリンピック東京大会における警察活動概要について御説明申し上げますが、私がこれから御説明申し上げることは、お手元に配付してございます「オリンピック東京大会時における警察活動概要」という資料がございますので、この資料概要について御説明申し上げます。  オリンピック大会当時警察庁の情勢の見通しとしてポイントになる部面は、人口がどのくらいになるかということと、車両数がどういうふうになるかということと、道路環境がどういうふうになるかということの三つがおもな事項でございます。  一つは、ここに書いてございますように、都内人口が、三十八年の四月現在で千三十万でございます。したがって、今後いろいろな人口増加等を見込みながら、さらに大会時の地方からの上京者あるいは外国からの観光客というものを予想に入れますと、昼間人口は約千三百万程度になるのではないだろうか、こういうふうに推定をされております。  また、自動車伸びでございますが、すでに御承知のように、年間、一般自動車は、全国的に百万台、原付の関係が百万台というふえ方を示しておりますし、東京都内におきましては約その一割強というものがふえているわけでございます。そこで、そういうような自動車交通伸び東京都内にどういう影響をもたらすかという点につきましては、山手周辺部において平均一〇%、外周部において一二%、こういうような増加を示すわけでございます。したがって、オリンピック当時における都内の人の動き、車の動きというのは相当な数に達するというふうに予想しております。  それに対する道路関係は、先ほど長官から御説明になりましたように、現在順調な建設の過程を踏んでおります。私どもは、一応そのオリンピック関連道路完成されるという前提において都交通警察計画を立てておるということでございます。したがって、この道路完成した暁においては、部分的には交通処理能力というものが相当増大する。したがって、青山通りとか玉川通りとか、環状七号というのは、大体平均三五%から三六%の余裕を生ずるのではないか、その他、高速道路の四号線に並行する道路にも若干の余裕が生ずる、こういう状況でございます。しかしながら、御承知のとおり、オリンピック関連道路建設のないいわゆる後楽園周辺等道路においては、少なくとも交通処理能力を二五%も上回る交通予想されるということで、後楽園あるいは早稲田の周辺におきますところの交通事情相当悪い、こういうふうに予想されると思うのであります。  その他、オリンピック当時における犯罪の問題その他につきましては、ここに書いてありますように、相当の件数の犯罪予想される。それに対する防止対策を考えるということでございます。特に私ども重点を置いておりますのは、開催期間中一番問題になりますのは、開会式閉会式の問題、それからマラソンと五十キロ競歩の問題、これが私どもといたしましては非常に問題があると思っておりますが、一応、開会式閉会式当日の人口予想あるいは車両予想というようなものについては、人は約十万、車両は八千台というふうに予想しております。またマラソンの問題につきましては、この前の朝日マラソンあるいは毎日マラソン等経験から、沿道百万というふうに予想しておりまして、これらに対する警備交通対策というものはある程度の経験を持っておりますので、相当の確信と計画をもって善処いたしたいと思っております。  この問題に関連して、交通規制対策といたしましては、いわゆる明治パーク周辺に内周遮断線、それからその周辺外周制限線というものをもちまして一般交通規制をやる、したがって、相当きつい交通規制をやっていきたい、そういう交通規制のもとにおいて、輸送道路確保選手輸送確保、あるいは大会に参加する者の輸送確保というような点について、競技場周辺交通警察活動について十分な対策を持ちたい、こういうふうに考えておる次第であります。したがいまして、国立競技場周辺に対する活動あるいは甲州街道に対する沿道交通警備というのが、私どもといたしましては、先ほど申し上げたような重点であり、さらには聖火リレーに伴う問題等もいろいろと問題はございます。駐車場の問題につきましては、後刻あるいは説明がございますかと思いますが、オリンピック組織委員会と緊密な連絡をいたしまして、オリンピック憲章その他に要求されておりますところの駐車の台数の確保、あるいは私どもが行ないますところの交通警備対策上必要な駐車場確保という点につきましては、一応の成案を得ておりますが、考え方といたしては、一般オーナードライバーに対する駐車場というものについては、そこまでなかなか手が回らないということで、私どもといたしましては、一般オーナードライバーに対する駐車対策ということについては、積極的な対策を持っておりませんし、そう考えておりません。これらの点につきましては、いろいろ具体的なきめのこまかい対策を必要といたしますので、関係方面とよく連絡をいたし、それに関連するところの交通警備対策というものについて十分な対策を練っていきたい、こういうふうに考えております。  なお、このオリンピック期間中におきましては、警察といたしましては、警視庁あるいは神奈川県、あるいは長野、あるいは千葉、あるいは埼玉、こういうような県に関連がございますが、それぞれの警察の総力をあげまして、組織的な力あるいは警察力をあげて関連活動に十分に対処して、事故防止についてつとめたい、こういうように考えております。したがって、東京警視庁におきましては、警察官の動員数は、少ない日で約六千、多い日は約二万四千の数をこすというふうに考えております。それぞれの点につきましては、いろいろ予算的な問題とか、あるいはいろいろな点につきましては、関係の各関連省庁あるいは関連当局においていろいろと御配慮願っている次第であります。  私どもは、オリンピック開催中、現在の交通事情から見て、また人の雑踏から見て、いろいろな問題が起こるということを予想いたしまして、できるだけの警察力を活用いたしまして、事故のないようにというふうな点について念願をしている次第であります。  以上、まことに概略でございまして、おわかりにくい点がございましたと思いますが、もしもいろいろな点について御質問があれば後刻お答えをいたしたいと考えております。
  11. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 大臣にどなたか御質問があるのかと思ったら、なかったわけですけれども、本日は、私、別に大臣に通告する用意をいたしておりませんので、質問はいたしませんが、ちょうど交通関係のときで質問をいたしますのは、私ども関係しておりまする世界青少年キャンプ計画の中に、一大パレードをやろうという、東京オリンピックにとってはかなりやっかいな新しい問題を提起しようとしておるわけであります。この世界少年キャンプは、この席にお見えの社会党の阪上先生ども非常に御熱心に主張されまして、東京オリンピック大会一つの異色を添えるものである。従来のオリンピック大会は、だんだん規模も大きくなり、参加する人員も多くはなりましたが、ややマンネリズムにおちいっておって、ローマ大会から一つ危機が来ておる。その危機とは何ぞやといえば、言うまでもなく、主力競技である陸上水上中心競技において、世界各国の活躍する場面がだんだん少なくなってきて、アメリカとソビエトの二大強国のえん然対立的状況によって推移をされておることは、御案内のとおりである。米ソ陸上競技会、あるいは米、ソ、オーストラリア、日本四国水上競技会というような状態にあるのでありまして、その意味で、競技本位記録本位——もとより、オリンピックであるから、若人が競技をすることが中心ではあるけれどもクーベルタン男爵の言われた、参加することに勝つことよりも大きな意義があるというものが次第に失われつつある。青年友好大会である、あるいは青年親善大会であるというムードが次第になくなってきたので、この際、これを取り巻く雰囲気を新たに醸成する必要があるのではないかというような意味合いから、世界青少年キャンプという構想が近来生まれつつあるわけであります。幸い、この問題に対しては、政府当局——というよりは、むしろ財政当局が非常な賛成をしてくれて、経費相当に見積もりまして、また総務長官等のお骨折りによってここまで推進をされてきたわけでございますが、せっかく青少年キャンプをやって、世田谷の一角などで千人くらい集まってみてもそう大きな意義はない、この際、もっと広く、世界青少年で参加できる者はより多く集めたらどうかというような意見が台頭してきておるわけであります。これはやり方によっては——ことに、アメリカのケネディ司法長官が、先般東京へスカルノ大統領との会見で来られたわけですが、非常にこの計画に力を入れそうな気配があり、私も中曽根康弘君などとケネディ長官に話をいたしております。したがって、青少年キャンプ計画は突如として大きなものに発展をする可能性はあるわけであります。  そこで申し上げるのは、青少年キャンプが、将来、千名あるいは千二百名というようなものでなしに、もっと大きな規模のものに変わっていくときには、それに対応する用意があるかということが一つの点。その大会関連をして、もしこの千名ないし二千名の青少年がパレードをする、東京都内を行進するということになれば、非常にまた私は意義があると思う。なぜなれば、国立競技場は収容能力わずかに七万一千四百、じかにオリンピック大会の入場式を見る者は七万人しかいないわけです。あとはテレビでがまんしろということなんだ。ところが、青少年キャンプがそういう計画推進されると、二千人もの者が競技場からあるいは銀座街頭まで歩こうというような、異色のある——ちょうど七、八年ほど前にモスクワで行なわれた世界青年友好祭、これは共産党の宣伝も加味しておったが、それとは違った意味で、イデオロギーを越え、国境を越えての若人の大行進というものを計画しようというわけですが、そういうことになった場合に、交通対策はこれに対応する用意があるか。この二点をお伺いしておきたいのであります。はなはだぶしつけではありましたが、まだこれは提案にすぎない、しかし、おそらくそういうことになるだろう、しなければならぬという考えを持っておりますので、この際伺っておきたいと思うのであります。
  12. 野田武夫

    野田政府委員 世界青少年キャンプは、いま川崎さんがおっしゃったとおり、オリンピック東京大会を期して世界青少年が一堂に集まって理解と親善を深める、非常に有意義なことだと思いまして、政府としても非常に賛意を表し、大体その計画は順調に進んでおります。ただいまの御意見でございますが、実はいま初めてお聞きしたのでありまして、いままで、川崎委員の先ほどおっしゃった、学芸大学の世田谷分校で千二百名のキャンプをやるということを基礎として立案いたしておったのでありまして、突然なお話で、いま、それが可能であるか不可能であるかということは、ちょっと私といたしましても明言できないのであります。ことにパレードの問題なんか、もちろん、いまの交通警備その他のこともありましょうし、御意見は十分拝承いたしましたから、こちらでまたひとつ対案を考えたり、また御提案の具体的な内容を承った上で、御相談したいと思っております。
  13. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 ただいまの御提案、私も初めてなものですから、即刻お答えはできませんが、オリンピック関連する行事で、パレードの問題は、事前あるいはその際と、いろいろあるわけでございます。それらのパレードの問題については、それぞれ路線の問題とか、あるいは時間帯の問題とか、いろいろ考えまして、有効な交通警備対策と相関連してやっていきたい。しかし、大会を盛り上げるということについてのわれわれのできるだけの協力ということについてはやぶさかでございません。やはり具体的な計画を見ないと何とも申し上げられませんが、一般的には、いまの都内交通事情から、東京都内を練り歩くという点については、いささかいろいろな問題があるかと思います。具体的な計画によって善処したいと思います。
  14. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 もう質問はいたしません。しかし、オリンピック世界青少年キャンプ組織委員会ができまして、私も副会長でありますから、内部からも盛り上げますけれどもオリンピック特別委員会の席上で最初に申し上げておいたほうが意義がある、こういう意味で、委員長の立場並びに委員会の大きな立場を尊重いたしまして、ここで申し上げたわけであります。
  15. 島村一郎

    島村委員長 続いて、選手団等の輸送対策駐車場対策について、村井組織員会事務次長から御説明を伺います。
  16. 村井順

    村井参考人 私から、駐車場問題と選手大会関係者輸送の問題につきまして御説明いたしたいと思います。  駐車場につきましては、お手元に差し上げました「オリンピック東京大会時の駐車場対策について」、これに大体要点を書いてございますので、お読みいただきたいと思いますが、この問題につきましては、関係方面も非常に多いために、一年数カ月にわたりまして関係方面と折衝いたしてまいりまして、大体の成案がようやくでき上がった段階でございます。何ぶんにも三十もございます競技場が、いずれも付設の駐車場が不足でございますために、特別な仮設駐車場というものをつくらなければならぬ。たとえば、学校の庭だとか、あき地だとか、広場だとか公園、そういう借りられるものを全部かき集めまして臨時の特設駐車場というものを確保いたしまして、それが大体八十五カ所、約一万六千台分というものを確保できたわけでございます。大部分の競技場につきましてはこれで解決できると思いますが、開閉会式のような場合に多数の車が殺到した場合には、とうてい不足でございます。そういう場合の順位といたしまして、大会関係者を第一順位とし、それからバス関係を第二順位とし、一般関係を第三順位といたしまして、優先的に駐車をさしていく、こういう方針をとったわけでございます。特に問題になりましたいまの開閉会式につきましては、大体、ステッカー車、ステッカーを要する大会関係者の車が約二千台分ぐらい、一応われわれは予定しております。そのほかに、バス関係といたしまして約七百台分ぐらいを予定しなければならぬ。約二千七百台分ぐらいを考えておりますが、これに対しまして、国立競技場周辺のいわゆる付設駐車場並びに仮設駐車場全部加えまして約三千二百台分ぐらいの用意がございます。ようやくとにかく間に合うわけでございますが、先ほど高橋局長から説明がありましたように、一般のいわゆるオーナードライバーの車まではお世話できないというような結果になると思います。なお、タクシーその他につきましては、これは乗り捨ててもらうとか流してもらうとか、警察のほうで御研究いただいておると思います。要するに、オーナードライバーその他につきましては、できるだけ電車で来る、あるいはバスを利用してもらいたい、こういう方向で今後指導していきたいと考えております。  次は、選手、役員の輸送の問題でございますが、これは別の「大会輸送の業務概況」という資料に大体載っております。輸送関係組織委員会で担当いたしておりまする業務は、選手団の輸送大会関係者輸送、それから大会関係のある荷物の輸送、それからもう一つ、そのために必要な車両の調達、こういうような面で目下努力いたして作業を続けておるわけでございますが、そのうちの選手並びに大会関係者輸送について御説明いたしますと、資料は非常に長くなっておりますので、要点だけ申し上げますと、大体選手団はバス輸送を原則とする、それから大会関係者もバス並びに一般のハイヤーを使う、そのために、大体バスを延べ六千台、ハイヤーを一万四千台分というものを一応用意してございます。  それからなお、輸送につきましてはいろいろな経路がございまして、まず選手団、大会関係者が到着いたしましたときに、到着輸送といたしまして、羽田から選手村までの到着輸送、それから競技輸送と申しまして、選手村から各競技場あるいは練習場その他の場所への輸送、さらに、選手村からあるいは羽田なりその他への帰国する場合の輸送、大体そういうように分かれまして、それぞれにわたって具体的な詳細な計画を進めございます。  それから、携行する荷物の輸送につきましては、だいぶ前に御説明したことがあると思いまするが、日本通運を公認輸送業者に指定いたしまして、これに全面的に研究をし準備を進めてもらっておるわけでございます。  それから一般車両の調達につきましては、この資料の中の表にありますように、バス、乗用車、トラックと分けまして調達を進めておりますが、バスにつきましてはバス協会に、乗用車につきましては旅客乗用車協会にそれぞれ全面的に御協力いただきまして、大体この数は確保できております。そのほか、防衛庁から、次の表のようなジープあるいはまたヘリコプター等の御協力を得ることになっております。  一般輸送につきまして特に問題になりますのは、埼玉県なり神奈川県、あるいはその他の地の遠隔輸送の問題でございますが、相模湖と八王子につきましては、相模湖はカヌー、それから八王子は自転車でございますが、この両者につきましては、分宿施設というものを目下研究することによってこの問題を解決したい、その他の地域につきましては、大体道路整備されてまいりますので、一時間以内に輸送できます。そういうことで解決できるという大体の見通しが立っております。  以上、簡単でありますが、概略御説明申し上げました。
  17. 島村一郎

    島村委員長 続いて、外客輸送対策について、運輸省梶本観光局長
  18. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 オリンピック関係輸送につきまして、まず国鉄の東海道新幹線の問題は、先ほど総務長官からお話がございましたように、七月には工事完成いたしまして、予定どおり十月から営業を開始いたします。それから中央線は、御承知のとおり、中野と三鷹の間の高架複々線工事をやっているこの問題と、それから環状七号線の立体交差が問題になっておりますけれども、これも九月には完成する予定でおります。  それから地下鉄でございますが、地下鉄は、交通営団でやっております北千住から中目黒まで、いわゆる二号線でございますけれども、これはことしの八月に全線開通する予定でおります。現在は東銀座まで開通いたしておりますので、約七割の進捗率、こういうことが申し上げられると思います。これには東急の東横線とそれから東武の本線が相互に乗り入れをする、こういう計画になっております。それから中野から船橋までの五号線につきましては、高田馬場と九段下の間の工事を進めておりますが、これは大体四割程度ただいまできております。それから東京都営の地下鉄につきましては、押上から品川までの間、これは十二・五キロございますけれども、すでに新橋まで開通をいたしておりまして、新橋から大門までの工事をただいま進めておるわけでございます。  それから、いわゆるモノレール、羽田空港から浜松町までのモノレールでございますけれども、これはすでに羽田空港の前の地下の駅は完成をいたしております。これが予定どおり九月から営業を開始することになっております。  それから、国際空港の新しい滑走路の問題でございますけれども、これは今年度中に国際線が新しい滑走路がもう一本完成いたしますので、飛行機の現在の離着陸もだいぶ緩和するのではないか、かように考えております。  それから一般観客輸送の問題でございますが、これは中央線と地下鉄の銀座線を主力に考えております。現在中央線は、ラッシュ時には三分ヘッドで八両編成ということでやっておりまけれども、これを二分三十秒間隔、それから八両を十両編成にするというふうなことで輸送力を増強していこう。それから地下鉄の銀座線は、現在二分十五秒ないし三分ヘッドで運転いたしておりますけれども、これも二分ないし二分三十秒ということにヘッドを縮めまして、そうして輸送力を増強しよう、こういうふうな考え方でおります。現在平日のラッシュ時の模様を申し上げますと、一時間に約十万人、もっとも乗車効率は二〇〇%という高い効率ではございますけれども、一応とにもかくにもその程度を運んでおりますので、大体何とかなるのではないか、かように考えております。しかし、できるだけ時差を設けて退場していただくとか、あるいは駅の内外にわたって適当な誘導の整理を行なうというふうなことが必要ではなかろうかということで、運輸省といたしましては、組織委員会なり警察関係のほうにお願いをして、ただいま申し入れをいたしておる状況でございます。  それから問題の、外人観光客をどのようにしてお運びするか、こういう問題でございます。まず、ホテルに泊られるお客さん、大体一万四千人を予定いたしておるわけでございますけれども、これは貸し切りバスと、それからホテルを回って歩く臨時路線バス、こういったことで輸送を円滑にやっていこう、こういうふうな気持ちでおります。それからいわゆる船中泊の利用者、これは大体最高七千人程度というふうに考えておるわけでございますけれども、貸し切りバスによって輸送を行なおうというふうな考え方をとっております。  それから、東京都内だけではとても宿泊の設備がまかないきませんので、いわゆる伊豆、箱根、熱海地区もオリンピック宿泊の可能地域としてわれわれは計算をし、設備の対策を立てておるわけでございます、この地域からのお客さんをどういうふうにしてお運びするか、こういう問題があるわけでございますが、これは新東海道線、それから小田急線、あるいはまた、現在の東海道によって輸送をまかなっていこう、このような考え方でただいまおるわけでございますが、新東海道線のほうは熱海での折り返しは不可能なようでございまして、静岡からならば折り返しが何とかなるのではなかろうかというふうな意見も国鉄からはわれわれ聞いておるようなわけでございます。  しかし、そのように輸送力そのものが完備いたしましても、結局快適な輸送ということがやはり問題になるわけでございますので、その点についても十分意を配っていきたい、かように考えておる次第でございます。  以上が大体オリンピック関係輸送対策概要でございます。
  19. 島村一郎

    島村委員長 防犯対策について、大津警察庁保安局長。
  20. 大津英男

    ○大津政府委員 防犯関係対策について概要を申し上げたいと思います。  オリンピック東京大会開催に伴いましての特にいろいろ予想されまする各種犯罪、これを未然に防止いたしまして、選手、役員、外人観光客、あるいは地方からの上京者を含む国内観衆の安全と平和をはかる、こういうたてまえから防犯対策を強力に推進してまいりたい、かように感じております。  その一つといたしましては、競技場及び選手施設等に対する防犯診断及び防犯措置ということで、必要な個所には必要な警察官の配置も考えてまいりたい、かように考えております。さらに、ホテル、旅館等につきましても、同様、防犯の点から措置を講じてまいりたい、かように考えております。また、ぐれん隊行為その他暴力的ないろいろな行為が外人客等に対しましても行なわれるというようなことはもちろん、競技場周辺においていろいろなトラブルが起こらないというためにも、盛り場等につきましても同様でございますが、そういう取り締まりを強化してまいりたい。それからもう一つには、風俗的ないろいろな営業関係の問題から、特に売春その他の問題につきましての客引き行為とか、あるいはバーその他の暴利の営業、いろいろな問題が起こる可能性もございまするので、そういう点につきまして浄化活動を徹底してまいりたい。特に、あらかじめ営業者につきましては指導を加えまして、そういうことの起こらないような体制をつくってまいりたい、かように考えております。  さらに、少年補導の問題あるいは防犯灯の増設、整備、こういうようなこともこの機会に相当やってまいりたい。この点につきましては、東京都におかれましても、相当防犯灯の増設等も考えておられるということでございます。  それから防犯組織の末端における整備ということもこの際確立をしてまいりたい。さらに、首都美化運動が行なわれておるわけでございまするが、いろいろ張り紙とか、ごみ捨てというような問題も、小さな問題ではなくして、こういう期間においては十分にそういう運動協力のできるような警察の体制でまいりたい、かように考えております。  その他、行列の割り込みとか、あるいは押し売りとか、つきまとったり、すり、かっぱらいの問題、あるいは自動車どろぼうとか、いろいろな問題が出てくる可能性があるわけでございまするが、こういう点につきましても、広報活動警察官の街頭活動強化する、そういうようなことで問題の起こらないように警察の取り締まり活動をやってまいりたい、こういうようなことで現在いろいろ対策を講じておる次第でございます。  簡単でございますが、以上でございます。
  21. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 いまの警察防犯関係について、ちょっと私要望しておきます。ということは、けさ新聞を見ましても、中学校の庭などで中学生が不良少年にたかられておるわけです。それから、帝国ホテルで宝石商が殺されて、まだ犯人がわからないわけです。いままでいろいろ御説明のあった駐車場とか、いろいろな問題がたくさんあります。美化運動もやっていますが、なかんずく一番大事なのは、防犯問題じゃなかろうか。ことに、おもなる競技場が代々木であったり明治神宮外苑であったりすると、新宿といい、池袋といい、渋谷といい、やくざなりヨタ公の一番盛んなところなんです。これが世界からたくさんの選手が来たのに、一人に対して、二人に対して、ああいうものが、国内でさえもやるやつが、ことばもわからぬ、多少金を持っておるというふうなことで、ちょっとしたいたずらでもされたら、これは幾ら道路をよくしたとか、外国人に幾ら親切にしたとかいっても、全然水のあわになるだろうと私は思うのです。そういう意味からいって、ベルリンでやった防犯体制、あるいはローマでやった防犯体制、そういうものをしっかりと研究されて、これが——ほかのものはもちろん大事ですが、なかんずく、一つの傷が個人の心証を非常に悪くするというふうなことは——これはいまの日本でわれわれ日本人自体が危険性を感じておる。電車に乗っても、安心して乗れない。町を歩いても、女の子が会社の帰り、あぶなくて暗い道を通れないというふうな事態が間々ある。いわんや、不案内なそういう外国選手、それをお迎えしようという格好で、ホテルの整備だなんだと、いろいろ話しておるけれども、私はこれが一番大事なことだと思うのです。われわれは万全を尽くしておりますというても、将来のことですから仮想になりますが、これをぜひしっかりやってもらわぬことには、百の労力が一つ事故によって一切空に帰する、こう思いますから、この点については、時間もあることですが、だんだんの御協議をお願いしたい、私はこれを要望しておきます。
  22. 大津英男

    ○大津政府委員 御趣旨の点まことにごもっともでございまして、私どもといたしましても、さらに具体的にいろいろな問題について対策を詳細にやってまいりたい、かように考えております。
  23. 島村一郎

    島村委員長 次に、環境衛生対策でございますが、多数の外国人の来日が予想されますし、これに対する防疫対策船中泊に対する終末処理等港湾衛生対策、また、一般生活環境施設整備が必要と思われますが、これらに対する対策について厚生省当局より御説明を願います。舘林環境衛生局長。
  24. 舘林宣夫

    舘林政府委員 先ほど総務長官のほうから環境衛施設予算関係の御説明がございましたので、その部分は省略いたしまして、具体的部分について申し上げます。  東京都につきまして、まず第一に、し尿収集運搬自動車の防臭、あるいは、し尿の積みかえ場所の悪臭、こういうものの防臭設備を強化いたしたいということで、東京都はすでに三百十二万円の予算を獲得いたしております。  それから東京都にホテルがわりに泊まる船の目下の予定は五隻でございます。この五隻に予定される宿泊観光客は千六百人、乗り組み員合わせて二千五百五十人でございますが、これから排出されるし尿は、はしけ取りをいたしたいという計画を目下いたしております。  それから会期中は、その会期の前及びあとを含めまして十五日間、会場並びにオリンピック村の周辺のし尿収集は行なわないそれ前後にやってしまう。どうしてもやむを得なければ、夜間ないし早朝いたしたいという計画でございます。  それから、マラソン、競歩等の地域には特に必要でございますが、移動便所を計画いたしまして、大型移動便所、これは一台、水洗式十三基を持ったものでございますが、二千百九十万円の予算で予定をいたしておるようであります。  次に、競技場から出てまいります約八百トンのごみ、オリンピック村から出てくる日量八トンほどのごみ、こういうものを翌日までの間に早急に収集、運搬してしまう必要があるということで、特別班を設けまして夜間、早朝に作業をするという計画を立てております。また、道路のごみが散布するのを防ぐために、ごみ容器を設置するために、三十七年度、八年度すでに五千個分の予算を予定いたしております。それに一般の寄付が五千個ほどある見込みでございまして、東京都では、これを合わせて一万個、道路上に新しくごみ容器を備える、そのための維持管理費二千万円を特別に予定いたしております。  その他、関係予算といたしまして、道路スウィーパー二台、二千百万円、ごみ収集車の汚水がたれることを防止するための予算が約五百万円、河川の清掃船一隻八百万円、殺虫剤の空中散布二百十一万円等によってこれらの対策強化いたしたいと考えております。  次に、神奈川県でございますが、横浜市は、ごみ処理を海上、河川等において徹底するため、特別予算として目下予算要求中、これは事務当局予算当局に要求いたしておって、まだ決定はいたしておりませんが、約四百万円ほど予定いたしております。  それから、東京都と同じように移動便所を計画いたしておりまして、大型二台、小型十台、牽引車二台、合わせて約二千二百万円ほどを予算要求いたしております。  それから、横浜港には約六隻、乗客にいたしまして六千三百十六名、乗り組み員を合わせて七千九百五十六名程度が、ホテルがわりに船中泊する予定でございます。この船から放出されるし尿、これのための消毒を行なう、これは東京都のようにはしけ取りをすることが不可能な船の構造のようでございますので、これを消毒して海に流すための計画を目下立てておるところでございますが、そのほかに、棧橋上に相当多数の公衆便所を設置する計画を持っております。  そのほか、横浜市においては、衛生害虫駆除のための殺虫剤の空中散布等を検討いたしております。  川崎市においては、目下のところ、二隻船中泊の船が泊まる予定でありまして、乗客六百人、船員を合わせて千人程度でございますが、船の構造ではしけ取りが可能でございますので、し尿ははしけで取って捨てるという予定でおります。  そのほか、相模湖町、葉山町、藤沢市等も、それぞれ目下ごみ処理、し尿のくみ取り等の計画をいたしておるところでございます。藤沢市におきましては、特に簡易焼却炉一基、十月までに早急新設の予定でございます。  埼玉県におきましては、主として県が主体となって計画を立てておりまして、目下衛生害虫駆除のために約四百万円ほどを県が補助するように予算計画を立てておりまして、清掃のためにも同じく約四百万円ほどを補助金として出す予定で計画をいたしております。この中には、移動便所大型二台、小型十二台等を含んでおります。  以上、し尿処理、清掃関係の現在の計画を概略御説明申し上げました。
  25. 重盛壽治

    ○重盛委員 たいへんかってですが、私中座いたしますので——先ほど野田さんの言われた説明の中にも、あるいは交通関係説明された説明の中にも問題があろうと思います。したがって、私どもこの場で全部質問をし、それをお聞きするということにならぬと思いますが、質問がなかったといって、それで全部御了承願ったということには、逆にまたならないように御記憶願いたいと思いますし、特に総務長官が言われた工事関係のおおむねの進み方が四五%から六〇%、非常に進んだのがあるなと思うと、新幹線の用地の買収が八〇%から九〇%。これは進んでおらぬ。用地を買収してさらに新しく工事をしていくということ、これは工事関係がことしの九月までにできる予定だ——もちろん全部がみんな予定でありますが、十月にオリンピックがあるのだから、九月までにできる予定でなければならぬことはあたりまえであって、現実はもっときびしいのではないか。これは現地を見るなり、この委員会の性格からいっても、どうやって促進するかということにかなりな拍車を加えていかないと間に合わないのではないか、こういう感じがいたします。そういう総論的なものに対する質疑は別にいたしますが、国民運動推進連絡会議というものが出されております。私、かつてオリンピック組織委員を三年ほどやらしていただいておりましたが、その当時、オリンピックは、特定な人や、あるいは運動関連する人たちでやることであってはならぬ、国民全体の形でやるべきではないか、資金の面でも運動の面でも、あるいは国の姿をはっきり映し出していくということに対しても、特定な人だけでやってはならぬ、そういうためには、あらゆる団体の御協力を願わなければならぬが、特に国民運動推進連絡会議というものを持つという場合に、私まだ全部見ておらぬからわからぬが、たとえば労働組合の大きな組織、こういう団体の名前がこれに載っておらぬ、労働組合や勤労階級はオリンピックとは縁がないのだというようなお考えがあるのかどうかは知りませんが、これは総意をあげてやるという形の上からいくならば、当然、総評なり全労なり、あるいはその他の団体なり、こうした人たちの中からも御支援と御協力を願うという体制をつくり上げていくべきじゃないかというように考えております。もしありますならば幸いでありまするが、私は前々からそういう主張をしてきました者の一人といたしまして、もしないとするならば、至急にどうあるべきかということを御考慮願いたい。  その他いろいろとお尋ねしたいことがありまするが、冒頭に申しましたように、きょうは一応お聞きするということであって、どうやって推進をしていくかという基本線の上に立って、質問は一応終わったということでなくて、留保させていただきたいと思います。
  26. 臼井莊一

    ○臼井委員 ちょっと関連して——きょうはヒヤリングだそうですが、いま話が出ましたから、私もそれにふえんしてお願いしたいのですが、いま重盛委員から質問があったオリンピック国民運動推進連絡会議、これに労働組合の関係が入っていないように思うのです。あるいはこの中に含まれているかもしれませんが、これは重盛委員の言われたように、今度のオリンピックを機会に、国民があげてこれをやるという気持ちが——気持ちばかりじゃない、実際にやることが必要なのですが、そこで、いまいろいろと伺っておりますと、物的な準備は計数に出てきますから、これは非常に進んでいるし、非常に御苦労さまで、感謝しなければならないのですが、この委員会ができた当初に、私は、オリンピックをやるのを機会に一大国民運動の倫理運動を起こして、外人が来てみて、日本国民が尊敬されるようにしなければいかぬというふうにこの委員会で申し上げたことがあるのですが、それがいま言った連絡協議会で各種団体を網羅しているのだと思うのです。本委員会の気持ちからいっても、いろいろな実務に当たっている労働関係の人にこの趣旨を徹底してやっていただくことがやはり必要であろうし、また、いま長谷川君の言われた、不良連中がいろいろばっこするのも、これは警察の取り締まりだけではとても目が届かぬので、国民があげてお互いに警戒し合う。何かあっても、見て見ぬふりをするような風潮が最近非常にある。近ごろはだいぶ警察協力する勇気のある人も出てきたようですが、やはり国民がみなこの機会にお互いに戒め合って、ちょっとしたことでも注意する。たばこの吸いがら一つ捨てるのでも、君、そんなことをして恥ずかしくないかと言うくらい——スイスではそういうふうだそうです。紙くず一つ捨てるのに、きまりが悪くてしょうがない、そういうことをやると、すぐ顔をのぞき込まれる。そういうことにしてこそスイスがきれいな国であり、日本もそうなくちゃならぬと私は思うのです。そこで、いま重盛君の言われたように、私もちょっと見て申し上げたので、党派的なものを越えての感覚であるということを申し添えておきますが、やはりあらゆる方面に呼びかけてこの運動を展開することが必要だろうと考えましたので、ちょっと一言希望を申し上げておきます。
  27. 野田武夫

    野田政府委員 ただいま重盛委員、臼井委員国民運動に関しての御注意、まことにごもっともだと思っております。この国民運動に参加している諸団体は、一応、スポーツ関係とか、あるいは文化関係とか、いろいろなものを入れておりますが、この国民運動は、いまお話のとおり、趣旨は全国民の各階各層にわたって運動を展開したいということでございまして、決して特殊な特別な意思でもってこのメンバーをきめたのではございません。したがって、われわれの考え方としては、むしろこちらからそういう方々にお入り願って一緒にやっていくということは、何らわれわれとしてはやぶさかでないのであります。大体運動の参加団体というのは、開放的になっておりますから、そういう場合これに参加して協力してやろうといういろいろな団体がございましたならば、われわれのほうからひとつお願いしたいと思っております。
  28. 四宮久吉

    ○四宮委員 私もちょっと希望意見を述べておきたいと思うのですが、オリンピックの問題は、単に線香花火で終わってはならぬし、それだけにひとつこれを契機に——私は都議会の議長当時にも、外遊して、観光という問題に非常に関心を持っていろいろやって、各地の観光に対する考え方や何かを、ローマその他アメリカでも見てきましたが、この間も首相の演説の中で、これから観光に対して力を入れるという話も私は耳にしたのですが、やはりこれを契機として恒久的な観光対策相当研究されてはどうか、ただこれでおしまいになって、あと終わりだということでなく、もう少し恒久的な、これを契機にあともお客さんを引くような対策も同時に考えて、ひとつ研究されると非常にいいのじゃないかと思います。
  29. 野田武夫

    野田政府委員 ただいまの御注意は非常にごもっともだと思っております。実は私のほうでも同じような意見を持っておりまして、この間観光審議会の答申がございましたので、それに基づいて、ごく最近、いま御意見のとおり、そういうふうに観光対策連絡協議会というものを新しくつくりまして、特にこのオリンピックを機会にして恒久的な観光対策を樹立すべきだという基本的な考え方で、この間そういう組織をつくりまして、いまいろいろとその準備をいたしておるところでございます。ごもっともでございますから、私どもとして、さらにその点に深く意を用いまして対策の問題について検討したいと思っております。
  30. 四宮久吉

    ○四宮委員 この機会に予算等も考慮して、十分活発な計画を立てていただきたいと希望しておきます。
  31. 島村一郎

    島村委員長 最後に、通関、両がえ対策でありますが、一度に多数の選手団、観光客を迎え、通関手続は相当な混雑が予想されます。また、国内観光地を含め、外客の両がえの円滑化等についての対策について、大蔵省当局より説明を願います。
  32. 丸山幸一

    ○丸山説明員 通関の面につきましては、人と物の関係両方あるわけでございますが、いずれにいたしましても、簡易迅速にこれをやりたい、こう考えております。  物の面につきましては、たとえば選手個人用品等につきましては、これは携帯品として無条件に免税していく。それからまた、特殊の競技用物品、ボートとかヨット、こういうものは、再輸出免税として簡易に通関させる。その他自動車等ございますけそれも、これもみな再輸出免税ということで簡易に通関させる。また、報道関係者の物品が相当まいります。これも携帯品としての無条件免税、あるいは現像車のように少し大型の車というようなものにつきましては、再輸出によります免税というようなことをやります。また、組織委員会用の物品、たとえば電子計算機等につきましては、すでに再輸出免税といたしまして輸入を完了しております。  以上、物の面でございますけれども、このオリンピックに際しましては、観光客選手団が相当の数にのぼりますので、これが集中いたします羽田空港並びに横浜港につきましては、新年度におきまして増員をはかると同時に、また他の税関から相当数の職員をこれに応援させるということにいたしております。  なお、大型の観光船につきましては、これは船の中ですでに検査を終了するというたてまえから、このオリンピックにおきましては、サンフランシスコあるいは香港、シドニー等に税関職員を派遣いたしまして、日本向けの航行中の船内において検査を完了するという予定にいたしております。人の面、物の面、十分配慮してやっていくつもりでおります。
  33. 板川正吾

    ○板川委員 大蔵省のいまの説明によると、人の面やそういったものについて十分対処するといいますが、税関の官吏の態度もひとつ十分に教育をしてもらいたいと思います。どこでもそうですけれども、その国の印象の第一は、入国の際の税関吏の態度です。この態度が悪いと、その国の印象がいつになってもこびりついておる。そこで、特に日本に入国するときの羽田空港の税関の態度が非常に悪いというのは定評があるのですから、別に外人だからといって卑下する必要はありませんけれども、しかし、ことばのよくわからない異国へ来た人たちに対して親切にするという意味において、態度も、それから税関を通過するときの扱い方も、便利にわかりいいようにくふうする必要があるんじゃないか、そういう点もひとつ十分に考慮して検討してもらいたい。要望しておきます。
  34. 丸山幸一

    ○丸山説明員 ただいま御指摘の点は、私ども常に十分配慮してございます。オリンピックのときに限らず、いわゆる日本の玄関口としての羽田空港の税関の職員の態度は、親切そして厳格でなければならないと考えております。  なお、オリンピックに対しましては、昨年からすでに語学の研修、あるいはいろいろ通関についての態度その他について各税関におきまして研修を行なっております。と同時に、また大蔵本省におきましても、本年二月からこういった関係の職員の研修を特に行なうという予定にしております。
  35. 島村一郎

    島村委員長 次に、今泉説明員から両がえ対策について御説明を伺います。
  36. 今泉一郎

    ○今泉説明員 両がえ商につきましては、現在のところ為替管理法というものがございますので、大蔵大臣の認可事項になっております。従来までも積極的に簡便にどんどん認めてきております。ことにオリンピックとなりますと、国家的な大事業でございますし、また国際収支上も、われわれとしても、一ドルでも多く置いていっていただきたいので、両がえ商の数を積極的に拡充いたしまして、そういうことに不便のないようにしていきたいと思います。また、手続その他につきましても、できますことがございますれば、なるべく簡便、簡素なものにしていきたい。非常に技術的な問題が多いものですから、そういう点は、実際扱っております為替銀行とか両がえ商の方々とか、あるいはまた、オリンピック組織委員会の事務局の方々、そういう方方と御相談いたしまして、十分遺憾のないようにつとめていきたい、こう考えております。
  37. 島村一郎

    島村委員長 これにて政府及び関係当局からの説明は終了いたしました。  これより質疑を行ないます。阪上安太郎君。
  38. 阪上安太郎

    ○阪上委員 先刻来、東京大会準備対策の主要な項目について説明を受けたのであります。きょうは大体ヒヤリングの程度ということでありますが、私これから一点だけ質問したいと思っております。それは、あまりこのままで時期をおくらせますと役に立たないようなことになるんじゃないかとおそれている問題が一つございますので、お聞きしたいと思います。  先刻来、観光事業の問題とか、あるいは優良みやげものの供与というようなことについてお話を承っておりますが、やはり私は、その根本になるのは、オリンピック憲章に規定された例のオリンピック・マークないしオリンピックの標語、これの規制に関する問題が一つあるんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。最近こういったものを乱用する傾向が実はもうかなり出てきておる。いまにしてこれを規制いたしませんと、どうにもならぬ、海外にわが国の信用を失墜するような結果になるんじゃないか、かように思います。  そこで警察当局に伺いますが、オリンピックのマークないし標語、 そういったものについての規制、取り締まりをやっておられますか。
  39. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 この問題につきましては、日本オリンピック委員会の段階でいろいろな点について討議をされているようでございまして、警察の段階までなっておりませんので、前段階の段階でお答えをさせていただいたほうがいいんじゃないかと思います。
  40. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうだと思います。いまの状態では取り締まりできるはずがない。  そこで伺うのでありますが、取り締まりができないということは、法的措置がなされていないからどうにも手がつけられぬということだと私は思うのであります。そういうふうに解釈していいですか。
  41. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 そういうふうに解釈していただいてけっこうであります。
  42. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それでは、どこにお聞きしましょうか。——これは法的措置をやるという考え方は、総務長官、ないのですか。
  43. 野田武夫

    野田政府委員 いま警察当局から、法的根拠がない、取り締まりに困っているというお答えでありますが、そのとおりでありまして、今日の場合は、そういう現象があちこちありますから、一応警告をしている段階でございます。ここに体育局長がおりますから、その経過の内容を詳しく御報告させます。
  44. 前田充明

    ○前田(充)政府委員 オリンピック・マークの問題につきましては、すでに数年以前より問題はございまして、どうするかという問題で、政府側におきましても、国会の皆さんのほうにおかれましてもいろいろ御検討になってまいった問題でございますが、これはオリンピック憲章がもともと条約ということになっておりませんので、その点の問題からいたしまして、いろいろ論議がありまして、現在まではっきりいたしておらないわけでございます。昨年も、この問題で、お話しのように、商業的な利益のためにいろいろなものにオリンピックのマークをつける、乱用されるということがございまして、日本オリンピック委員会におきましても、それについていろいろお話があり、あるいは法的措置をしたほうがいいではないかというようなお話もございました。国会の関係の方々におかれましても、私どもといたしましても、どうするかいろいろ協議をいたしたのでございますが、問題になりますことは、従来からこのマークを使っておる——決して悪い使い方をしないまでも、いい使い方をしている意味においても、非常に多く使われております。悪い使い方をいたしておりますのは、そうむやみに多いのではないのではないかというような考え方がありまして、一方では、オリンピックというのは先ほど来の国民運動関係から申しましても、大いにオンピリックを鼓吹と申しますか、ムードを高めなくちゃならない、こういう問題と矛盾したものをどうして調整するかということになるわけでございます。そこで、法律的にこれを罰則を設けまして、一つ一つ許可をいたすということになりますと、全国的に申しまして非常に数も多いし、繁雑でもあって、何となしに、オリンピックのマークを使っては悪いのではないかというような印象を持たせるのもどうかというようなことで、私ども政府側といたしましては、現在のところ、すぐ政府提案によりましてこれを取り締まるということには考えておらない現状でございます。各方面の方々も、やはり法的規則をしたほうがいいのではないかというような御意見もございますが、かえって逆に、ただいま申し上げましたようなムードをこわしてはいけないのではないかというような意見もございまして、現状として政府の外についての結論もまだはっきりと出たというような感じはちょっと持っておらないのが、私どもの観察でございます。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 御承知のとおり、在来からレストラン等の名前に使ってみたり、あるいはカメラその他の商品の商標に使ってみたり、あるいは最近ではテレビのコマーシャルなんかで、オリンピック資金寄付金のゲームとしてこれらのものを取り上げているという傾向があります。しかし、そういうものは別といたしまして、在来はそうであったからというだけの理由ではいけないのではないか。われわれオリンピックにそれぞれ参加いたしまして、やはりどこの国でも、かなりいかがわしいみやげもの等にオリンピックの商標マーク等が使われているという例が多いわけなんであります。それはどの場合におきましても著しくその国の信用というものを失墜しております。わが国ではそういう傾向が特に強いんじゃないかという断定をすることは、私は日本国民としてどうかと思いますが、しかし、多分にそういう乱用をされる可能性が強いのじゃないかと私は判断するのです。この場合やはり乱用されないような何らかの規制が必要じゃないかという考え方を私は持っておりますが、どうでしょうか。こういったことについての法的措置をやっている国が世界にありますか。私は、オリンピックは恒久的なものでありますから、必ずしも東京オリンピック大会のためだけでやれというのじゃないのです。たとえそれが開催しているときでなくても、やはりこういったものについての規制が私は恒久的に必要だと考えておりますが、諸外国にその例はありますか。
  46. 前田充明

    ○前田(充)政府委員 私もきょう詳しい資料を持ってまいっておりませんが、オーストリア以下数国あるようでございます。しかし、これは既得権の保護という問題とからみますので、相当むずかしい問題のように伺っております。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 むずかしくてもやっているところはある。だから、やる気になれば、そういったものを参考にして何か結論は出てくるのではないかと思うのであります。私、きょうここで結論を出そうとは思っておりません。ただ問題を提起しておきたい、こういうふうに思うだけでございます。よく研究して、そういった資料もひとつ出してください。  それから、組織委員会の方おられますか。——組織委員会のほうでは、こういったものは、IOCとして何か世界的に条約的な、あるいは国際法的な方向へ持っていこうという考え方はないのですか。
  48. 村井順

    村井参考人 この問題は、組織委員会の問題というよりは、むしろ日本オリンピック委員会の問題として、向こうのほうで本格的に取り上げられておりまして、われわれもたびたびその会合に出ましたが、現在までIOCのほうにおいても、そういうことを非公式に聞いたことはございますが、正式にはまだ取り上げられていないように思います。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上委員 赤十字のマークーは、あれは国際的に制限されていると思うわけなんです。ああいったマークはあまり乱用する向きもないと思いますが、オリンピックの場合はどうも乱用の可能性が強いと思います。赤十字のマークなんかも頭に置いて、世界的に措置される方向を東京大会あたりで打ち出してもいいのじゃないかというくらいの気持ちになって——これはなかなか時間がかかることだと思います。しかし、それにしましても、過般の組織委員会の総会でこのことが取り上げられて、そうしてきょうは帰ってしまったのですが、佐藤担当大臣も、組織委員会のメンバーとして、法的措置をいたしますと言明いたしたように聞いているのですが、これはどうですか。
  50. 村井順

    村井参考人 組織委員会でこの問題が出たことはありますが、そのたびに、これは組織委員会で取り上げる問題じゃなくて、日本オリンピック委員会、JOCで取り上げる問題だから、JOCから出ている委員はその意味において御研究願いたいということで、問題はJOCのほうに移っております。
  51. 島村一郎

    島村委員長 ただいまの阪上委員のお話でありますが、オリンピック・マークの規制等の問題につきましては、昨年末、自由民主党及び日本社会党においても研究が進められて、立法措置の話も出ておりましたが、何らかこれらの結論を得るよう委員長としても善処いたしたいと存じますが、各党におかれましてもぜひ御検討をお進めおき願いたいと存じます。
  52. 阪上安太郎

    ○阪上委員 委員長からそうきめつけられても困るのですが、各党において御検討といいますけれども、これはもう時間をおいては何にも意味がないのじゃないかと思います。やるとすれば早くやらなければいけない。それから、先ほど言ったような、単なる道徳規定みたいなものを出してみたってどうにもならないので、悪質なものを取り締まるくらいの法的措置はできるんじゃないかと思うんです。かなり抜け道は出てくると思いますが、そのことを承知の上でやったらどうですか。国会においても、いままで相当ざる法をつくっておりまして、そういうものもずいぶんありますから、こういったものを、ただ単に、協力してくれとかなんとかでは、情けないことですけれども、私はいけないのじゃないかと思います。しかし、日本だけじゃなく、いままでオリンピック開催してきた経験のある先進国の中にでも、やはりそういう盲点があるということをわれわれ聞いているので、東京大会でこのくらいのことはある程度やっていいんじゃないかと思います。日本人だけが特に乱用しようという考えはないとは思いますけれども委員長組織委員会のメンバーですが、先ほど言いました、佐藤大臣が確約したというのは、これはどこでやったのですか、JOCの中でやったのですか。
  53. 金田知成

    ○金田説明員 ただいまの点を御説明申し上げますが、先国会の以前だったかと思いますが、このオリンピック・マークを管理しております日本オリンピック委員会関係者の方から佐藤大臣にお話がございまして、できたら近いうちにぜひ立法措置を講じてもらいたいという御依頼があったと私承っております。その際、大臣は、個人的なお考えとされまして、実情はよくわかったので、国会方面とも連絡をしながら検討してみる、かようなお答えだったと承っております。したがいまして、先国会におきましても、一応立法措置を講じようという方向におきまして、日本オリンピック委員会関係者はもちろん、政府の各省の関係者も、事務当局としていろいろ検討を数度重ねてまいったような実情でございます。しかしながら、すでに御答弁がございましたように、立法をいたしてまいるとしましても、種々難点がございまして、なお、オーストリアその他各国の事例等も十分参考にしながら検討いたしましたけれども、いまだ結論に至っておらないような実情でございます。したがいまして、オリンピック担当大臣とされては、まだ立法するとかしないというところまでは結論に至っていない、かような現状だと承知いたしております。
  54. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうしますと、日本オリンピック委員会は、法的措置をしてもらいたいという希望は持っているわけですね。
  55. 金田知成

    ○金田説明員 さようでございます。
  56. 阪上安太郎

    ○阪上委員 総務長官どうですか。佐藤さんがおられませんから、あなたのお考えを………。
  57. 野田武夫

    野田政府委員 いま御意見を承っておりまして、前からこの問題では各方面でいろいろと論議されたことは承知しておりますけれども、法的措置をやったがいいという結論はまだ出ていないということは、いま政府委員が申しましたとおりであります。私がここで法的措置、つまり、何かこれに対して法制化するとかなんとかいう言明はできませんが、御趣旨はよくわかりましたから、佐藤担当大臣とも御相談し、また、いままでこの問題を審議しておりました関係方面とも至急連絡をしまして、そうして大体意見調整をしてもらいたいと思いますから、御了承を願います。
  58. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それじゃ、この次の委員会あたりに一応確定した御意見が聞けるような検討をやはり進めていただきたい。またそのときに質問をすることにいたします。     —————————————
  59. 島村一郎

    島村委員長 次に、先ほどの理事会で御協議をいただきましたが、今後積極的に各競技場その他の関連施設等の視察を行ないたいと存じますが、その日程等の作成につきましては、委員長に御一任願いまして、日程作成次第委員各位に御案内をいたしますので、御協力をお願い申し上げる次第でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会