○山本伊三郎君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、昨日提案されました三十八年度補正
予算案に対しまして、
池田総理並びに関係大臣に若干の
質問をしたいと存じます。
実は、先ほどの牛田君の
質問に対しまして、国際収支につきましての問題で、
池田総理並びに
大蔵大臣の
答弁は、私は、あれは、うそとは申しませんが、若干問題がございますので、順序を変えて、それをちょっとお尋ねしたいと思います。
本年春の三十八年度の
予算審議に際しまして、私が
予算委員会において、
政府の国際収支に対する問題について
質問をいたしました。これに対しまして、
政府は、
数字を示しまして具体的に
答弁をされたのであります。それはすなわち、貿易収支では、輸出は五十二億ドル、輸入は五十億ドル、差し引き二億ドルの黒字である。しかし一方、貿易外収支では三億八千万ドルほどの
赤字であるが、資本収支においては堅調である。したがって、総合収支においては一億ドル程度の黒字であるという
答弁をされたのであります。なおかつ、また、本年度、三十八年度末における国際収支の帳じりは、二十億ドルの外貨保有が可能であるという主張をされたのであります。しかるに、最近の
わが国の国際収支の
状態を見ますと、必ずしもそうは、いっておられないのじゃないですか。先ほどの
答弁では、若干これに対する
対策を説明されましたけれども、輸出輸入とも若干伸びていることは事実であります。しかし、依然として輸入超過で、貿易収支の
赤字は相当
増加しているようであります。また、貿易外収支の
赤字は、
わが国の構造的な海運界の不況で、好転の見込みは私はないと思う。これがため、経常収支においては危険信号の限界まで来ていると思うのでありますが、この点はどうでございますか。ただ、資本収支においては、先ほど申されましたけれども、若干の好条件がありまして、ようやく経常収支の
赤字を補う限界点に達している現状であると思うのであります。一体、
総理は、本年度当初における
政府の見通しは誤りでなかったのかどうかということを私はお聞きしたいのであります。そして、本年度末において外貨保有高の最低限度ともいわれる十八億ドルを確保できるのかどうか、この点をひとつ
お答えを願いたいのであります。
なお、これは先ほど御
答弁になりましたけれども、これに加えて、アメリカでは金利平衡税法がすでに下院を通っております。これを実施された場合に、わが資本収支におきましてどの程度の打撃があるのか、影響がないのか、この点をひとつ
大蔵大臣にお尋ねしたいのであります。
次に、
経済企画庁長官に
質問をしようと思っておったんですが、本日は……出席されておりますか。このような国際収支の悪化についてどこに原因があるかということについて、
経済企画庁長官にひとつお聞きをしたいと思います。もちろん、
経済現象でありますから、単一な原因とはいえないが、最も根本的な原因としては、われわれが常に主張しておりまするが、
池田内閣のとりつつある跛行的な
経済成長
政策と貿易の自由化の強行であるとわれわれは断じているのであります。もちろん、われわれといたしましても、
生産費の学説をかりるまでもなく、貿易の自由化については、理念としては必ずしも反対はしておりません。しかし、現在の
日本の産業構造は、けだしこの貿易自由化についていけるかどうか、この
実態の認識であります。
御存じのように、
わが国の産業の
実態は、
生産設備において、流動資本力において、
労働条件において、また輸入の代替力においても、直ちに貿易の自由化によって開放
経済体制に移行することはきわめて冒険であると
考えているのであります。それがために輸入は超過いたしまして、今日のこの国際収支の現状を迎えたのではないかと思うのでございまするが、この点につきまして、
池田総理はじめ関係閣僚から、具体的に次の四つについて御
答弁を願いたいのであります。
第一に、先ほどちょっと
大蔵大臣が触れられたと思いますが、再び金融の引き締め
政策をとるのかどうか、これが第一です。第二は、それに応じて公定歩合の
引き上げをやるのかどうか、これが第二です。第三といたしまして、輸入抑制の
技術的な手段としてでありますけれども、輸入担保率の
引き上げをやるのかどうか。けさの
新聞を見ますると、日銀の
政策委員会では
要求払いの預金の準備率を
引き上げるということで、若干この輸入制限の方法をとりたいといっておりまするが、いま申しました三つのものをとらないとするなら、一体、どういう方法でこの国際収支の悪化を阻止する手段をとられるのか、この点をひとつ具体的に
お答えを願いたいのであります。
第二の問題は、本補正
予算に盛っております問題の公務員の給与についてであります。一体、
政府は、この公務員の
生活をどう把握しているかということであります。去る八月十日の人事院
勧告による資料によりますると、公務員の給与の立て方の基礎になっております食料費の境目を検討いたしますと、その食料費は、一食分、独身者の場合はわずか六十一円三十銭であります。これは四人世帯になりますると、はるかに下って、一食四十六円五十六銭で
生活をせよという資料になっているのであります。これで一体公務員といえどもどうして
生活ができるか。
政府はこの人事院の
勧告の資料を見られたと思うのでありますが、担当大臣である大橋
労働大臣から、これについてどう反駁されるか、それをお聞きしたいのであります。
また、今度の人事院
勧告によりますると、六・七%のベースアップであります。
政府はこれで給与を
引き上げたとおっしゃるかもしれませんが、それは名目だけであって、
物価はすでに本年七%から八%に上昇せんとする傾向であります。しかも、その
消費者物価の種類別上昇率を見ますると、生鮮食料品または加工食料品が六〇%、六割のウエートを占めているということであります。私は、簡単に、給与の
引き上げは六・七%である、
物価が七%上がったから、それを算術計算して言うのではありません。今申しましたように、
物価圧力の指数から
考えますると、生鮮食料品または加工食料品のような必需品にウエートがかかっておりますので、これを計算いたしますると、公務員の
実質賃金は下がったということになるのであります。この点につきまして
労働大臣の御所見を承りたいのであります。
この問題につきまして、次の二点を具体的に
質問いたします。その第一点、
労働者の基本的権利すら剥奪されている公務員の給与を、特に低給与の階層に思い切った
初任給引き上げの措置をとるかどうか。
第二は、人事院の
勧告を尊重すると言っているが、実施時期を十月というのを五月から実施する
考えはないか。この点をひとつ具体的にお伺いしたいのであります。これは
総理からお伺いできればけっこうだと思います。
次に、自治大臣にお伺いいたします。このような公務員の給与の一応の
引き上げ措置がとられた場合に、地方公務員について、その財政的の措置をどういうぐあいにやられますか。また、もう
一つ、地方公務員の中には、国家公務員と比較いたしましてきわめて低い地方自治体の職員がおりますが、しかも、その平均は二万円を割っているというような市町村の職員がおりまするが、これに対する自治省の指導の
考え方を、ひとつ具体的に御
答弁を願いたいのであります。
最後に、
減税の問題について、
大蔵大臣並びに自治大臣にお伺いしたいのでありますが、国税について、
所得税その他については先ほどすでに
質問がありましたので、特に地方税に関して両大臣にお伺いしたいと存ずるのであります。
政府は、特にこれは自治省でございますが、住民税については本文方式に統一するということが言明されているのであります。次の
予算にそれが出てくると思いますが、本文方式に移行した市町村のかわり財源をどうするかということ、これをひとつ具体的に御
答弁を願いたいのであります。さなきだに、ただし書き方式をとっている市町村は、きわめて財政的にその
状態が悪いのであります。そのかわり財源を十分見ないとするならば、その市町村の住民にとっては、住民税という税金は若干軽くなりましたけれども、今度は税外負担ということで、結局は見せかけの
減税になり、かえって個人の負担が重くなるのではないかと思うのでございまするが、この点について
お答えを願いたいのであります。
次に、固定資産の評価がえについてであります。
政府は、すでに固定資産の評価がえの作業を始めております。おそらくできたかもしれません。
政府は、この固定資産の評価がえについては、固定資産税の
総額においては決して増額をいたしませんということを、たびたび前の篠田自治大臣も言明されたと思うのでありまするが、このことについてはいまなお変わりはないかということを、ひとつここではっきりと御
答弁を願いたいのであります。
それを前提といたしまして、次の四点についてお伺いしたいと存じます。その第一点は、農地については、なぜ収益還元方式から売買実例の方式に変えられたか、その理由。第二に、宅地については、地区別に相当アンバランスがありますが、その地価の上昇
格差をとう調整するかという問題であります。第三に、家屋については、現在より平均して
減税になると思うが、それはどうか。第四は、償却資産については
減税の意図を持っておるのかどうか。この四点についてお伺いしたいと存じます。
時間が参りましたので、以上私の
質問をいたしまして、
政府の誠意ある御
答弁を願いたいと存じます。(
拍手)
〔
国務大臣池田勇人君
登壇、
拍手〕