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1963-12-14 第45回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十四日(土曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君    理事 櫻内 義雄君 理事 野田 卯一君    理事 松澤 雄藏君 理事 川俣 清音君    理事 辻原 弘市君       相川 勝六君    荒木萬壽夫君       安藤  覺君    井出一太郎君       井村 重雄君    稻葉  修君       植木庚子郎君    江崎 真澄君       小川 半次君    仮谷 忠男君       川崎 秀二君    小坂善太郎君       佐藤 孝行君    周東 英雄君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       中曽根康弘君    古井 喜實君       古川 丈吉君    保科善四郎君       松浦周太郎君    松野 頼三君       水田三喜男君    山本 勝市君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       岡  良一君    角屋堅次郎君       川村 継義君    小松  幹君       高田 富之君    堂森 芳夫君       野原  覺君    細谷 治嘉君       矢尾喜三郎君    山口丈太郎君       山花 秀雄君    横路 節雄君       今澄  勇君    小平  忠君       永末 英一君    川上 貫一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 賀屋 興宣君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         郵 政 大 臣 古池 信三君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         建 設 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         防衛庁参事官         (長官官房長) 三輪 良雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         大蔵事務官         (主計局長)  佐藤 一郎委員外出席者         防衛庁参事官         (装備局長)  伊藤 三郎君         専  門  員 大浜  実君     ————————————— 十二月十四日  委員重政誠之君、羽田武嗣郎君、松  浦周太郎君、山本勝市君、石田宥全  君、加藤清二君、楯兼次郎君及び山  花秀雄辞任につき、その補欠とし  て砂田重民君、佐藤孝行君、山口喜久  一郎君、倉石忠雄君、岡良一君、角  屋堅次郎君、矢尾喜三郎君及び赤路  友藏君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員倉石忠雄君、佐藤孝行君、砂田  重民君、山口喜久一郎君、赤路友蔵  君、岡良一君、角屋堅次郎君及び矢  尾喜三郎辞任につき、その補欠と  して山本勝市君、羽田武嗣郎君、重  政誠之君、松浦周太郎君、山花秀雄  君、石田宥全君加藤清二君及び楯  兼次郎君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計補正予算  (第2号)  昭和三十八年度特別会計補正予算  (特第2号)  昭和三十八年度政府関係機関補正予  算(機第2号)      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計補正予算(第2号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題となし、質疑を続行いたします。  淡谷悠藏君。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 まず池田総理にお伺いしたいのですが、先日アメリカの新大統領ジョンソン記者会見で新しい年度予算の問題に触れまして、外国における軍要員の大幅の削減をするというような声明をしたようであります。これについて総理が入手されておる情報がございましたらお聞きしたいと思うのであります。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 最近の科学技術の進歩、ことに輸送力関係等から見まして、アメリカにおきましては、各地における米軍縮小について、以前から研究いたしておったようでございます。ことにドル防衛関係から、海外基地縮小、あるいは軍人軍属引き揚げ等を考えておる、この点は今年の初めごろ、ギルパトリックが日本に来られたときにもそういう考え方を——確定的ではございません、考え方を述べておられます。われわれも早晩そういうことがあるのではないかと心がまえはしておった次第でございます。最近におきまして、お話のとおり、ジョンソン大統領が、対外援助法の議会における審議の状況を見まして、縮小するということを記者会見で言ったようでございます。御承知のとおり、対外援助法による計画が、四十五億が三十六億ぐらいに減ったかと思います。二割近く減るような一応の決議がなされつつあるようでございます。しかし、具体的の問題につきましては、まだどこをどうするということは聞いておりません。大体そういう方向で案を練っておるということは聞いております。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 六五年度予算は、六四年度予算よりも三十五億ドルをふやす、千二十億ドル程度のものになるであろうということを言っておるようですが、国防予算は、六四年度よりも数億ドルの減額となるであろうということを言っております。そして、特に日本にとって重大なのは、国防総省がかかえている民間雇用人たちを百万人以下に押えたいというマクナマラ長官計画ジョンソン大統領が承認しておる。これによりますと、各種民間人の数を六五年の六月末までに二万五千人を縮減するのだ、そして総人員を九十九万七千人にすることによって実現したいというのが、ジョンソン大統領の承認したマクナマラ長官計画であるということを伝えておるのでありますが、こうなりまするというと、外国における軍人並びに民間人雇用削減が必至と思われるのでありますが、もっと詳しい情報を得ておられますかどうか。もし得ておられるならば、その点をもう少し詳しくお話を願いたいと思うのであります。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 まだ向こう計画しておるようで、私のところには参っておりません。外務大臣あるいは防衛庁長官のところにはきておるかもわかりませんが、私はまだ報告を受けておりません。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 外務大臣からお聞きしたいと思いますが、きょうはひとつ総理大臣に、内閣総理大臣としての御答弁はもちろんですが、いわゆる国防会議議長としての責任ある御答弁をお願いしたいと思うのでありまして、きょうは最後までひとつ御答弁をお願いしたいと思うのであります。外務大臣からお聞きしたいと思います。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、マクナマラ米国防長官は、十二月七日大統領との会見後、本会計年度末並びに一九六五年会計年度末までに実施予定国内及び国外の非戦闘軍人米人軍属並びに米軍直用外人労務者削減計画を明らかにいたしております。それは、いま御指摘のように、明会計年度末に国防省直用米人軍属二万五千人の削減をはじめといたしまして、一応の削減のめどを示されております。しかしながら、これはあくまで米軍のことでございまして、これの実施手順等につきましては米軍発表すべきものでございまして、日本政府でいま得た情報によって国会で御報告申し上げるというのはいかがかと思うのでございます。問題は、日本に対する影響でございますが、これは、いま総理大臣がお示しになりましたとおり、日米の間で協議しておる段階でございまして、それが固まらないと申し上げられないことは御了承をいただきたいと思います。それが固まりましても、先ほど申しましたように、問題は米軍のことでございまして、米軍のほうから発表になるという手順になろうかと私は思います。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 民間人二万五千人を削減して、しかもそのほかに海外米軍基地の米の民間人軍属を一五%削減する、これはまあ二万五千に入っておるわけでありますが、三番目には海外軍事使節団軍事顧問団に付属する米民間人及び民間軍事要員を一〇%減らす、六四年の六月までに一千人削減予定である、こういう情報も伝えられておるのでございますが、この点は確認してよろしゅうございます。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもがいままで得ておる情報によりますと、いま淡谷さんが御指摘のように、明会計年度、すなわち一九六五年六月末までに国防省直用米人軍属二万五千名を削減するということと、それから明一九六四年の六月末までに在外米軍司令部所属の非戦闘軍人及び軍属一五%、すなわち二千五百名削減、それから非戦闘軍人一〇%千名以上の削減となっていますが、これが非戦闘軍人及び軍属一五%の削減とオーバーラップしておるのか、別個のアイテムになっておるのか、その点はさだかでございません。  それから一九六四年の六月末までに国防省雇用外国人労務者を一五%削減する、そういうことまでは承知いたしております。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最後外国人要員の一五%削減でございますが、これによりますと、主として在外米軍施設で働く外国人要員が九千人減るのであります。離職をする。これは日本の場合に適用されますというと、労務の上に大きな問題を起こすと思うのでございますが、その点は九千人という数を確認してよろしゅうございますか。  それからさらに、この結果は、一体どこの国からどういうふうに削減するというふうにお考えになっておるか、伝えられるところによりますと、ドイツに対しては再三米軍の維持ということを約束しておる。したがってドイツは問題にならないだろう。西ヨーロッパではイタリア、トルコ、極東では日本韓国フィリピンなどが引き揚げ対象となるであろうということが伝えられておりまするが、情報として一体どう考えられておるか、その点をあらためてお聞きしておきたいのであります。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 米軍全体の内外にわたっての配置がえの問題でございまして、アメリカのほうも用心深く、まだどの国のどの基地からどのように削減してまいるかということは発表いたしておりません。これは同盟国との間の協議が必要でございますから、そういうことはいたしておりません。日本アメリカとの間におきましては、問題は、先ほど申しましたように協議中でございまして、これがまとまらないとまだ国会で御報告する段階でございません。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは米軍の駐留も日本防衛の中に大体計算し、第二次防衛計画が立てられておると思うのであります。したがって、この米軍削減ということは、二次防はもちろんのこと、そのあとに予想されるだろう第三次防衛計画にも非常に大きな影響を来たすと思いますので、これは単なる情報として流れてくるものを受けとめるだけではなくて、国防会議としてもあるいは政府としても、積極的に十分にこの情報には注意をされておかないと、明年度予算編成にも大きな支障を来たすと思うのであります。  重ねてお伺いいたしますが、さらに、ワシントンの軍事筋が七日語ったところを大体われわれ新聞などによって承知しておりますが、それによりますと、在日米軍は、現在空軍を主体として陸海軍合わせて四万数千人、これは四万六千人と私は記憶しておりますが、これくらいいるはずだ。この四万六千人の人たちアメリカの大空輸作戦の成功で、日本からは大幅な引き揚げを行なっても差しつかえがないということになったということが伝えられておるのであります。日本は将来重装備を置くだけで兵隊引き揚げる、少数の兵隊を残すだけになるだろうということを米軍軍事関係の人が言ったということが伝えられております。そして第五空軍輸送機はすでに本国に帰還しておるが、今後F105戦闘機爆撃機などの戦術空軍を漸次引き揚げるだろうということも言っておる。さらにまた、沖繩フィリピンは今後重器材を置く補給基地としての性格が強くなって、兵員は大幅に減り、一朝事あるときには米軍本土から空輸されるということになるだろう、そしてまた在日米陸軍は主として韓国にいる二個師団補給のためだが、いずれ韓国かからも一個師団引き揚げるだろうから、在日陸軍の規模は一そう縮小されるだろう、こういうふうに伝えられておるのでありますが、この点の情報のとらえ方はどうなっておりますか。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど総理大臣がおっしゃいましたとおり、科学技術が発達いたしまして、兵器が異常な発達を見ておりますことは御案内のとおりでございまするし、また軍の空輸能力は画期的に増大してまいったということも、御案内のとおりでございます。したがって、いま淡谷さんが言われるように、日本だけでなくて、全世界にわたりまして、そういう情勢に昭応いたしまして、アメリカといたしまして軍隊全体の配置がえを考えておるということはおっしゃるとおりだと思います。ただ問題は、そうすることによってアメリカ軍事的能力が減殺するのではなくて、ミリタリー・ケーパビリティ、すなわちアメリカ全体の軍事的能力は落とさないようにやれるということをアメリカもやっておりまするし、また同盟国に対するアメリカ約束というものも十全に果たしていくということもアメリカが保証いたしておるわけでございます。したがって、日本防衛計画との関連におきましては、そういうことがあったから直ちにどうこうという問題ではなくて、われわれの防衛計画は、既定の方針に従いまして、国力に相応して漸増の計画を進めてまいるという姿勢で差しつかえはないと考えておるわけでございます。いま御指摘の点は、日本とか沖繩ばかりでなく、全世界的にそういう新しい情勢に照応して、軍事的能力を落とさない範囲におきまして配置がえをやろうというように私どもは了解いたしております。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらに十月二十二日の「ジャパンタイムス」の掲載した記事によりますと、日本人基地従業員削減がはっきりうたわれております。さらにまた軍人家族の米国への帰還というようなことが伝えられまして、日本におけるアメリカ軍事力削減する計画空軍縮減に重点を置く。在日米軍軍隊は四万六千名の将兵よりなっておって、第五空軍に属するところの二万六千名の空軍軍人、主として第七艦隊に属する一万四千名の海軍軍人及び韓国にいる第八陸軍を支援している補給部隊に属する六千名の陸軍軍人とからなっているが、案の内容というのは、削減案内容でございますがもまず空軍縮減としては、横田空軍基地にあるB57A型軽爆撃機及び板付及び三沢基地F100D型戦闘爆撃機のような旧式航空機撤退F102B型戦闘機部隊削減されるかもしれない、第五戦略空軍は現在F105D型及びF100D型の戦闘爆撃機、これから成る四部隊と、B57A型軽爆撃機部隊とRF101B型戦略偵察機部隊を持っている。第二として、若干の在日米軍基地を一時的に閉鎖しながら、軍事目的のためにそれらを準備体制で保持すると相当数日本人労務者が解雇されるであろうから、日米両国当局は円滑に彼らを解雇するための計画を立てなくてはならないであろう、こういうことが「ジャパンタイムス」に載っているのでありますが、これによりますと、この戦闘機撤退は、日本防衛能力に最も重大な関係があるであろうとその人は語っている。それから、現在国連旗のもとに韓国配置されている二師団のうち、一つは全部撤退されるかもしれないと消息筋は語っている、こういう記事になっているのであります。これなども、大体外務省及び内閣総理大臣情報を押えていられるかどうか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しました情勢に即応して、米軍の全世界的な配置がえに関連して、日本側との間でどういう問題が起こってまいるかという点につきましては、いま日米両国協議中でございまして、まだ固まっておりませんので、いまの段階で御報告を申し上げる自由はございません。ただ先ほど申し上げましたように、そういうことがありましても、米軍全体の軍事的能力というものには変改はないわけでございます。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大平大臣。いまの御答弁の中で協議中だというのですが、もうこれは正式に事前協議に入っているのですか。この点が重大なんですが、単なる情報ですか、それとももうすでに先方政府から事前協議に付すべき案件として提議されているのかどうか。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 これは事前協議でなくて、安保条約の四条に基づく随時協議の種類でございまして、単なる情報でなくて、先方の御提案を中心にいたしまして日米でいま協議いたしておる段階です。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第四条によりますと、「締約国は、この条約実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」というのですが、このどこなんです。まさかいま極東における国際の平和及び安全に対する脅威があったのじゃないと思いますが、私はむしろこの協議交換公文事前協議の条項、これによってなされるのがほんとうじゃないかと思うのです。これはしばしば安保論議の場合にも重大な議論になりましたが、「合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更、同軍隊装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内施設及び区域の使用は、日本国政府との事前協議の主題とする。」この先のほうに従ったほうがあたりまえのやり方だと思いまするが、どうしてこれを事前協議なさらないのか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、第四条に基づく随時協議と私ども心得ておるわけでございます。淡谷さんの御意見でいうところの、日本国における米軍配置変更というのは事前協議じゃないかという御意見でございますが、これは、アメリカから日本への配置の変換でございまして、たとえば日本から米軍引き揚げるとか、日本国内配置がえがあるとかいうようなことは、事前協議対象にならないと私どもは心得ております。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは重大な点です。日本国における軍隊を増強する場合は事前協議対象になるが、日本から引き揚げる場合には事前協議対象にならぬというわけなんですか。これは総理大臣もそのとおりですか。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 これは、安保条約を御審議願うときに、政府としてははっきりそういうふうにお答えしております。いまのように日本から引き揚げる場合、国内における移動等は、四条の協議に入っておるのでございます。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはなお論議を要する点だと思いますが、いずれにしてもアメリカとの間にもう協議が始まっておるとすれば、日本における米軍兵力削減はもはや情報段階ではない。明らかな事実としてあらわれてまいっております。これを国防会議で議論されておるのですか。これは総理大臣にお伺いしたい。外務大臣からそのような報告があったかどうか、そしてそれに対して総理大臣はどのような対策をとっておられるか。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 いま外務大臣が答えておるように、向こう計画でございまして、まだ日本からどれだけどうするということまでいっておりません。国防会議におきましては、そういうことがきまる前後におきましてはもちろん会議を開きますが、いま国防会議を開いて防衛計画を建て直すとか、防衛計画変更するとかなんとかいう段階まで至っておりませんので、開いておりません。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これに関連するかどうか知りませんが、福岡県の板付基地戦闘航空団が近く東京横田基地移動するという報道もございます。これは一体事実はどうなっておりますか。総理大臣、お答え願いたいと思います。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 私のところにはまだその報告が来ておりません。防衛庁長官から具体的なことはお答えいたします。
  27. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 昨日の本委員会におきましてもお答えしたとおりでございまして、十月の初旬にアメリカ側から在日米空軍配置移動に関しまして申し入れがございました。これに関してわが方からも要望事項がございますので、これをもととして目下協議中でございまして、話し合いがまとまって同時に発表するという手順に相なっております。
  28. 淡谷悠藏

    淡谷委員 きのう共産党の川上貫一君から質問があったのに答えて防衛庁長官が、十月に米軍配置転換が要求されたということを言っておりますが、この十月の配置転換の要求というのは板付基地の問題なんでございますか。
  29. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 その分も含んでおります。
  30. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その板付に残る部隊並びに横田へ移ってくる部隊内容お話しになっておるのですか。
  31. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 内容についても目下話し合い中であります。
  32. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その内容をお明かし願いたいと思うのです。
  33. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 わが方の要望事項につきましてのアメリカ回答がまだ決定いたしません。実は催促いたしておりますので、近くその回答が得られる見込みでございまして、合意が成立して直ちに発表いたす、それまでは発表を差し控えるという約束に相なっております。
  34. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたが差し控えましても、読売新聞の十二月十二日にはもう出ているのですよ。幾らあなたが大事に秘密を守っておったってちゃんと新聞に出ているじゃないですか。それさえも一々隠される必要はないと思う。それによりますと「現在横田基地に駐留しているB5ジェット爆撃機二個中隊約五十機と立川にいる輸送機C130一個中隊十数機は、日本から引き揚げることになったといわれる。」これはこのとおりですか。新聞記事に誤りはありませんか。
  35. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほど申しましたとおり、アメリカとの約束でございますので、合意が成立するまでは正式に発表いたしかねます。
  36. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは新聞記事としてだけ見ておってかまわないわけですね。あるいはこのとおりかもしれない、あるいは違うかもしれない、それでよろしいのですか。
  37. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 率直に申しまして、一部あたっている点もあり、あたらない点もございます。
  38. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらにお聞きしますが「当初、米側希望としては、ごく一部の補給整備要員だけを残し板付から全面的に横田へ移りたい意向だったといわれるが、全面撤退日本本土防空体制に穴があくという理由から、日本側から一部残留の希望が出され、その結果同基地に現在置かれているF102防空戦闘機一個中隊はそのまま残ることになった模様である。板付基地には現在約三千人の日本人労務者が働いているが、基地の主力がほとんどいなくなるので、相当数人員整理が行なわれることも予想される。」これもほんとう半分うそ半分というところですか。国民は新聞記事をほんとに信頼していますから、違っているならば違っていることをはっきり言わないと、政府としての責任が果たせないと思う。その点に対して明確な御答弁を願いたいと思う。
  39. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほど来申し上げていますとおり、やはり国と国との約束でございまして、近く決定を見る見込みでございます。それまでは、やはりわれわれとしては申し上げかねます。
  40. 淡谷悠藏

    淡谷委員 交渉中だから発表はできないと言っておりますが、このかなり大部隊の、しかもジェット戦闘機などを中心とする部隊移動によって、東京首都防衛の形あるいはこの移動に伴う環境の問題を考慮されているかどうか。特に、これもやっぱり新聞記事ですが、われわれも政府発表しませんから新聞記事からしか読めない。朝日新聞の十二月三日の記事でございますが、厚木米軍基地の周辺の人々がジェット機の騒音で非常に苦しんでいる。人権擁護局も調査に乗り出したという記事がある。この首都に多くのジェット戦闘機を集中させることによって首都の人たちの生活が非常に撹乱される、こういうおそれはございませんか。
  41. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いまお話しになりました横田基地は、実は私の選挙区内にあります。砂川闘争以来、私も十数年にわたって基地問題に取っ組んできておりまして、十分あらゆる角度からの慎重な検討を続けております。
  42. 淡谷悠藏

    淡谷委員 慎重な検討を加えましても、そうなってしまってから騒いでもおそいのです。その点は十分、今度の問題で確実に調査もし、また人権擁護局などの問題もございますが、その辺との交渉もしてやっておられるのですか。
  43. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほど申し上げましたわがほうの要望の中に、実はそういう点も含まれておるわけでございまして、アメリカ側から私どもの満足する回答がまだ来ておらぬのでございまして、私どもは、ただいま横田基地中心としてお話がございましたので、お話し申し上げたわけでございます。具体的には、われわれからいろいろな条件を出して話し合い中であります。人権擁護局までその点はまだ及んでおりません。
  44. 淡谷悠藏

    淡谷委員 池田総理大臣にお聞きしたいのでありますが、こういうふうにアメリカ軍隊削減が明らかな事実となってあらわれておるようでございますが、第二次防衛計画を立てます当時、すでにこういう事態が予想されておったかどうか、またこの事態によって第二次防衛計画変更をする必要があるか、その点を総理大臣として、また国防会議議長として明確に御答弁を願いたい。
  45. 池田勇人

    池田国務大臣 日本におけるアメリカの駐留軍の随時減っていくということは、もう初めから頭に入れております、考えております。しかし、今回がどの程度で、どういうふうになるかということはまだはっきりきまっておりませんので、第二次防衛計画をただいま変更するという考えはございません。米国のこういう措置がきまりまして、日本との話がついたあとにどうするかという問題が起こるわけでございます。いまのところは、防衛計画を変えるというところまで至っておりません。
  46. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いまのところは変える必要がないというのであれば、この計画がはっきりしたあとでは変えることもあり得ると理解してよろしいかどうか。
  47. 池田勇人

    池田国務大臣 計画がはっきりしていないので、いまから何とも申し上げられません。
  48. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第二次防衛計画を立てました当時、すでに米軍削減されることは予想したというのでございますが、どの程度、何年度にはどれくらい削減するか、この構想があったかどうか、国防会議議長としてひとつお答え願いたい。
  49. 池田勇人

    池田国務大臣 どの程度ということは、第二次防衛計画を立てるときにはきまっておりません。
  50. 淡谷悠藏

    淡谷委員 削減の程度がわからないで計画が立ちますか。削減するという予想が立つ、その程度はわからない、それで一体国防の大事な仕事ができるのですか。程度がわからないでどうして立てたのですか。
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 あなたも御存じのとおり、日本への駐留軍のあれがだんだん減るということは、もう国民全部の知っておることじゃございませんか。そういうことを頭に置いて私はやっているわけであって、いつ、どれだけ減るかということは、具体的な問題はそのときにはないのです。ただ観念上は、そういうようなことをわれわれは予想しておったということでございます。
  52. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ばく然と米軍は減るであろう、そういうことになれば、減らない場合は余分の国防の費用がかかるということになります。すでにもう減ることを予想しておった、それならば一体第二次防衛計画の具体的な進捗状況はどうなっておりますか。
  53. 池田勇人

    池田国務大臣 防衛計画は立ったとおりにいま進んでおります。具体的には、防衛庁長官からお答えいたさせます。
  54. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは詳しくお聞きしましょう。  第二次防衛計画によりますと、特に航空機の点でお聞きしますけれども、ロッキードF104型のジェット戦闘機部隊を一飛行隊編成する。警戒管制の整備及び後方支援体制を樹立する。ロッキードF104型ジェット戦闘機四十七機のほか、ジェット練習機を継続生産し、中型ヘリコプター四機を購入する。その他ミサイル開発並びに騒音防止対策の樹立をはかる。これが航空自衛隊の第一期の計画でしたが、このロッキードの生産はどの程度まで進んでいるのですか。
  55. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 最初はなかなかいろいろな技術上の難点もありまして、予定どおり進まなかったようでございますが、最近非常に改善されまして、順調に計画どおり運んでおるようであります。
  56. 淡谷悠藏

    淡谷委員 順当に計画どおり進んだところで何機できているのですか。あと何機いつまでできるのですか。
  57. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 生産関係の詳部につきましては、政府委員から答弁いたさせます。
  58. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その前に、私は、この際やはり国防の本質的な問題について総理にただしておきたいのですが、いまでも日本の国防には文官優位の原則が貫かれておりますか。これは民主主義の根本的な原則だと思うのです。この点はどうお考えになっております。
  59. 池田勇人

    池田国務大臣 もう防衛庁の規定にもありますとおり、私は文官優位の原則ははっきり確立しておると確信いたしております。
  60. 淡谷悠藏

    淡谷委員 念のために申し上げておきますが、文民統制、文民優位という原則は、絶対制君主が有した統帥権または立憲君主制のもとに、君主が有した統帥権の独立を否定し、軍隊または防衛力に対して民主的統制を加える機構を設け、軍事を政治に従属せしめ、武民武権、武力による政治支配、すなわち、軍国主義的支配を防止することを内容とする原則、こういうふうになっております。しかるに、最近は、ほとんど国防会議議長としての池田総理大臣は、国防会議さえめったに開かぬという情勢です。概念的、観念的にはつかまえておりまするけれども、具体的に日本の国防をどう持っていこうかというような、的確な判断はないように思われます。しかも、防衛庁の長官も、見ておりますと、非常にたくさんかわるのです。大橋武夫さんは昭和二十六年の一月二十三日から二十七年の七月三十日まで、木村篤太郎さんは二十七年の七月三十日から二十九年十二月十日まで、大村清一さんは二十九年十二月十日から三十年三月十九日まで、杉原荒太さんは三十年三月十九日から同じく七月三十一日まで、砂田重政さんは三十年の七月三十一日から同じく十一月二十二日まで、船田中さんは三十年の十一月二十二日から三十一年の十二月二十三日まで、小瀧彬さんは三十二年の二月二日から三十二年七月一日まで、津島壽一さんは三十二年七月十日から三十三年六月十二日まで、佐藤義詮さんは三十三年六月十二日から三十四年一月十二日まで、伊能繁次郎さんは三十四年の一月十二日から三十四年の六月十八日まで、赤城宗徳さんは三十四年六月十八日から三十五年七月十九日まで、江崎真澄さんは三十五年七月十九日から三十五年十二月八日まで、西村直己さんは三十五年十二月八日から三十六年七月十八日まで、藤枝泉介さんは三十六年七月十八日から三十七年の七月十八日まで、志賀健次郎さんは三十七年七月十八日から三十八年七月十八日まで。長くて一年、短ければ半年もしくは三カ月。非常に複雑で、しかも大事な国防の機構は、科学の進歩に伴って著しく変わってきます。この防衛庁の仕事をこんな短い、長官がひんぴんとかわる、これでは一体実際に、防衛庁を押えてやっていけるかどうか。これは文民統制とか、文民優位とか言っておりますけれども、ただ国民の目を欺くイチジクの葉に過ぎない、私はこう言いたい。それをしっかり押えておるのは、私は総理大臣だと思う。あなたは概念的な、観念的なものでものを言わないで、国防の大きな仕事に携わるならば、もっと責任のある、まさにあなたをむなしゅうするところの責任を持って取っ組んでいただきたい。わからないことは外務大臣、あるいは防衛庁長官、そんなことでは、文民優位の原則は立たぬと思う。総理大臣、その点はどうですか。
  61. 池田勇人

    池田国務大臣 最高の責任は私でございます。それは、いろいろの関係で長官はかわっておりますが、私は、現に防衛計画その他国防に関しましての、最高の責任を持っております。文民優位の原則は、私は果たしておると確信いたしております。
  62. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではひとつ、いまのロッキード生産の実態について御質問しましょう。
  63. 伊藤三郎

    ○伊藤説明員 数字にわたることでございますので、私からお答えいたします。  今年の十一月末現在で、104Jは五十四機領収しております。それから、当初の計画からいきますと、当初の計画は八十二機でございますので、三カ月程度のおくれと見込まれております。104DJにつきましては、当初の計画は二十機でございます。十一月末で領収済みが十六機でございますが、先ほど防衛庁長官から申しましたように、当初輸入部品のおくれとか、作業のふなれとか、あるいは悪天候等のためにおくれておったのでございますが、その後作業方法の改善、機械の強化、技術指導の強化というような措置を講じまして、ここ二、三カ月は予定の数字を出しておりまして、逐次おくれを取り戻しつつありますので、最終納期までには、予定どおり全機を完納させるという予定で、目下努力をいたしておる次第でございます。
  64. 淡谷悠藏

    淡谷委員 四十一年度に大体第二次防衛計画は終了するというふうに考えておりますが、四十一年度までに全部の計画ができますか。ロッキードだけじゃない、飛行機全体の装備ができますか。
  65. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 大体遂行し得る見込みでございます。
  66. 淡谷悠藏

    淡谷委員 バッジ・システムなども問題になっておりますが、この進行はどうなっております。
  67. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 バッジ・システムにつきまして、目下最後の詰めに入っておりまして、日米間で近く決定を見る模様でございます。
  68. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これも、日米間の話し合いが済むまでは具体的な報告はなされませんか。また、アメリカの軍事予算削減によって、このバッジ・システムの生産の上に何か障害が起こりませんか。
  69. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 バッジ・システムにつきまして、率直に申しますと、わがほうの期待した分よりはアメリカ側はきびしいようでありますが、生産につきましては、私ども十分の見込みを持っておる次第でございます。
  70. 淡谷悠藏

    淡谷委員 率直にお答えくださるのはありがたいけれども、概念的なことを言われたのではわからない。一体どの点が違うのか、幾ら違うのか、その点もはっきり言ってもらいたい。
  71. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 話し合い最後段階でございまして、いま発表いたしますことは、むしろわがほうに不利でございますので、この点はきまるまで差し控えたいと思います。
  72. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも、国防の問題というのは、不利だとか秘密だとか言えばやむを得ないようなところもありますが、そこに非常に危険なところがあると思います。日本の国防はアメリカとは独立して立てられないものかどうかという問題。どうしてもアメリカと手を結ばなければ日本の国防はできない、こういうお考えでしょうか。これはひとつ総理大臣からお答え願いたい。日本独自の独立した国防観念というものは成り立たないのですか。
  73. 池田勇人

    池田国務大臣 現段階におきまして、日本独自で日本の国防をやるということは非常に困難であり、国としても得策でないと私は考えるのであります。したがいまして、安保条約によってアメリカと共同してわが国を守っておるのであります。したがいまして、わが国の防衛上は、このたてまえから米軍と相談していくことにいたしておるのであります。
  74. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この際池田総理に根本的な問題でお聞きしたいのですが、アメリカ日本とが一つの軍事協定みたいなものを結んで一緒の利害に立つ。これは単にアメリカだけじゃなくて別な観点からもそういう観念が生まれてくるのじゃないですか。たとえば、アメリカだけを入れないで、自由主義の各国と連携をとるとか、あるいは国連との関連、こういうような基本的な問題。アメリカ軍事目的がすなわち日本軍事目的だというのは、われわれどうしても納得し得ない。その点を総理大臣はどうお考えですか。
  75. 池田勇人

    池田国務大臣 従来からたびたび申しておりますように、国連がその使命どおり世界の平和を確保し、全体として安全保障が保たれるならば、これによることは当然でございます。しかし、そこまでいっていない段階におきましては、アメリカと共同してわが国を守る、こういうたてまえで進んでおるのであります。
  76. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は議論をしたくはありませんが、それじゃ、総理防衛構想というのは、あくまでもアメリカ防衛構想と同じものを日本でもやるというふうに、こう理解してよろしいのですか。
  77. 池田勇人

    池田国務大臣 そうではないのです。日本を守るためにアメリカの援助を求めて、そして共同で守ろうとしておるのであります。
  78. 淡谷悠藏

    淡谷委員 日本を守るということをしょっちゅうおっしゃいますが、日本をどこから守るのです。これはいつもはっきりしない。日本が国防の大方針を立てるには、侵略した場合ということを予想しておりまするが、一体どこの国を予想されておるのか。これまでもしばしば予算委員会で問題になりましたが、明確な御答弁がない。その点をもう少し明確に具体的にお話し願いたいと思います。
  79. 池田勇人

    池田国務大臣 どこの国から守るというのじゃございません。みずからを守る。どこから来ようとも、みずからを安全な立場に置くということでございます。備えあれば憂いなしという、このことばのとおりでございます。
  80. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いつでもそんなことを言っていますけれどもね。どうも、私は、総理防衛構想を見ておりますと、八方にらみか八方破れか知りませんが、相手を見きわめないような防衛体制だと思う。はっきり言いたいのはソ連であり、あるいは中共であり、——共産圏だとこの前言っておる。共産圏だとは言っているけれども、これは外交上の問題で具体的な国をあげたくないんでしょう。少なくとも、備えあれば憂いなしなんと言ってぼんやりしておったのでは、これは答弁にならない。孫氏に従いますと、「彼を知り己を知れば百戦して危からず。彼を知らずして己を知れば一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦ふ毎に必ず殆し。」、これは国防の大原則なんです。それを、相手も知らない、おのれも知らないで、それが国防会議議長ならば、私は危ういと思う。その点で、もう少し、日本の独自の防衛計画を立てるならば立てるように、明確な方針を打ち出されなければ、文民優位の原則を国防の上で貫くことはできない。その点、総理の高邁なる理想を聞かしていただきたい。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 高邁かどうかわかりませんが、とにかく、守りあれば憂いなし、こういうことで、どこの国という相手は私は考えておるわけじゃございません。みずから守る、こういうことでございます。
  82. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういたしますと、議論はまた前に進みますが、一体、アメリカ防衛予算削減、特に日本における米軍引き揚げ等にかんがみまして、削減が行なわれた場合に、アメリカが減らした分は日本の自衛隊でこれを埋めていこうという構想ですか。もっと具体的な実のある話をしましょう。国民は非常に心配しているのです。米軍削減した分を自衛隊で補なおうという構想ですか。
  83. 池田勇人

    池田国務大臣 アメリカが減らした分の計算がなかなかむずかしゅうございましょう。やはり、先ほど申し上げましたように、輸送力の関係等が非常に改善せられて、日本に常にたくさんの兵隊を、軍を置かなくてもいい、いつでも有事のときには来れるということは、これは減った数字を相当輸送力で補ない得るのでございます。したがいまして、その計算は、日本の国力、国情等々、そして、アメリカの減った工合、また、それをいかなる方法で補充するか等々を考えて、全般的に防衛計画できめるわけでございます。
  84. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あくまでもアメリカ削減の様子がはっきりしないうちは防衛計画は立てない、こう言うのですね。それでは、新しい年度防衛予算もはっきりしないというふうに受け取ってよろしいのですか。もうおそらく今月中には防衛予算の大綱もきまるでしょう。これは、一体、アメリカ削減方針がはっきりわからないうちにきめて、おぶなくないですか、それでは。
  85. 池田勇人

    池田国務大臣 決してあぶなくないと考えております。向こう削減も、やはり年度の都合その他がございまして、そういうことは、話し合いの上できまれば、それによって予算をつくります。きまらなければ、いままでの考え方でいってけっこうだと思います。
  86. 淡谷悠藏

    淡谷委員 削減することが明らかになっておるし、これは三十九年の六月に日を切ってある。そうなれば、来年度年度中には、大きな削減があった場合には狂ってくる。一体余しますか、その場合はまた防衛庁の予算は。余ることがわかっておって、この大事なたくさんな予算が組み込まれる場合に、当てずっぽうにやるのが一体備えある予算でしょうか。これはまさに八方破れの予算じゃないかと思う。なぜ、アメリカ削減の方向をはっきり突きとめて、事前協議するならしておいて、つかまれた上で予算措置をしないのですか。
  87. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 来年度の三十九年度予算につきましては、いわゆるチャーチ修正案は、御案内のとおり無関係でございまして、その後については十分検討する余地はあろうと思います。
  88. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一体防衛庁の予算というのも少しでたらめですね。債務負担行為が非常に多くなったり、繰り越し明許に全部使ってみたりして、それは、実につかまえにくいアメリカの気持ちを忖度して、その上に立った予算だからなんです。第二次防衛計画ども四十一年までは変えないつもりでいるでしょうけれども総理が言っておられるとおり、すでにアメリカが漸次日本における軍の力を削減することがわかっておったというのです。わかっておって、幾ら減ってもこっちのほうの体制は変えないで予算はとってある。だからとんでもないことが起こるんでしょう。  これは防衛庁長官おわかりかどうか知りませんけれども予算が余るからやることかもしれませんし、それがくせになるのかも知りませんけれども、この間測量大隊長を懲戒免したでしょう。陸地の測量に関して変なことをやったじゃないですか。これだけはアメリカの干渉はないと思いますから、その内容を明らかにしていただきたい。
  89. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 不都合な点がありましたので、先月三十日付で懲戒免としたわけでございます。具体的な内容につきましては政府委員から答弁させます。
  90. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 お答えいたします。  測量大隊におきまして特殊の地図を発明いたしたわけでございますが、これを業者に発注をいたしまして、その発注をした先の者が途中死亡をいたしましたわけでございます。したがって、それはまだ未完成であるものを、完成したごとくにいたしまして、あと部隊の力で完成をして、当初の計画どおり五十六万円の支払いをいたしましたことが一つでございます。なお、ドライバー用の道路地図をつくる会社をつくるということで、民間の方と話し合いをいたしまして、ほしいままに、許可を得ずして任地を離れ、その仕事のために出張をいたしましたりいたしました。そうしてその会社の金を使ったのでございますが、もちろん、そういう私企業に関与することは許されておりませんので、その点が一つでございます。それから、そのさきに申しましたものにつきまして、権限にあらずして部下を使用いたしました点が一つまた規律に触れるわけでございます。なお、そのほかに、記念行事等に地方から寄付をいただいたものがございまして、これをその記念行事等に使ったのでございますけれども、その経理がきわめてずさんであるというような点を勘案をいたしまして、懲戒免職に付した次第でございます。
  91. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは一例ですがね。総理大臣、私は、総理のばく然とした国防計画、概念的な大づかみな国防計画、これによって予算が債務負担行為もしくは繰り越し明許の形でどんどん出されますと、そうしたことの流れがこういう測量大隊長級まで来ておると思う。これはこの間の予算委員会で大蔵大臣にも私の考えを申しました。幸い大蔵大臣も同じ御意見だったようです。国防というものはしろうとにはわからないという一つの迷信がございますから、しろうとにわからないということをいいことにして、非常に予算の使い方も乱雑になっておる。予算の使い方が乱雑なだけならよろしいけれども、そのために国防観念が乱雑になったら大へんなことになると思う。その点でもやはり総理は責任を持ってこの防衛の問題は善処されませんと、とんでもないことになると思う。  私は、そういう形で、いまアメリカとの削減の問題はもっと手詰めてやって、少なくとも予算編成前には、どの程度削減するのか、第二次防衛計画に変化がなくて済むのかどうか、この点を確かめてから、もっとしっかりした予算を組まれていいと思う。なぜ手詰めておやりにならないか。
  92. 池田勇人

    池田国務大臣 防衛関係予算予算外契約とか繰り越し明許があることは、事の性質上ある程度やむを得ぬことであります。しかし、われわれはできるだけそういう場合におきましてのその額を少なくするように努力いたしております。  防衛計画あるいは防衛庁内におきまして、先ほどお話しのような点が起こったことは遺憾でございます。予算の執行、ことにその前の作成につきましては、十分注意してやっておることは、ここではっきり申し上げておきます。
  93. 淡谷悠藏

    淡谷委員 総理、そうおっしゃいますけれども、さっきあなたはお聞きにならなかったからそういうことを言われましょうけれども、別に防衛とは関係のない予算の使い方です。これだけじゃなくて、会計検査院の報告などを見ましても、防衛庁の汚職というのは実に乱暴な汚職が多いのです。これはやはり金が余るからですよ。  一体、陸軍及び海軍で、第二次防衛計画は順当に進んでおるかどうか、その点もあわせてお伺いしたい。
  94. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 おおむね順調に進行しております。
  95. 淡谷悠藏

    淡谷委員 やっぱりわからないのですね、長官は。
  96. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 淡谷委員も御専門でございますからよく御案内と存じますが、第二次防自体につきましても、当初アメリカに約六百五十億承認済みの分、あるいは内示の分におきまして、今後も大体二百億を目標にいたしまして、これからも折衝に努力いたしたいと考えておるわけであります。
  97. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃひとつ、係の方でかまいませんから、陸軍及び海軍とはっきり申し上げましょう。個々における第二次防衛計画の進行状態を承知したい。
  98. 海原治

    ○海原政府委員 先ほど防衛庁長官からお答えいたしましたように、結論といたしましては、おおむね順調に進行しておるということでございます。個々の点を見ますと、たとえば陸上自衛隊につきまして予定しておりました戦車の購入、新しい61戦車と申しますが、これが二次計画では百二十両予定しております。しかし、実際は九十両になっておる。こういう程度の若干の出入りがございます。さらに、各年度におきます充足率と申しまして、定員に対する部隊員の現実の充足の率が、二次計画では一応八八%程度を考えておりましたけれども、現実には若干それを下回る線が出ております。この程度のことでございます。さらに、海上自衛隊につきまして、昨年度に建造着手を予定をしておりました三千トンの駆逐艦一隻が、搭載武器の利用の状況がはっきりいたしませんために、一隻だけ後年度に繰り延べになっております。この程度のいわゆる計画からのおくれはございますけれども、全般といたしましては順調に進んでおるということでございます。と申しますのは、先生御存じのように、一応、二次計画は、目標といたしまして、昭和四十一年度末におきまして、陸上自衛隊は十八万人、海上自衛隊は約十四万トン、航空機約一千機、二十四隊が目標になっておりまして、何ぶんにも五カ年の長期間の契約でございますので、各年度には多少の出入りがあるということでございます。しかし、その五カ年の間には出入りが調整されまして、一応この整備目標は達成され得る、こういうように判断いたします。  なお、先般来マップ——アメリカの対日軍事援助につきましての御質問でございましたが、これは、来年度予算につきましては、すでにアメリカのほうから、どういう品物が無償で供与できる、あるいは費用分担で供与できるという内示を受けております。御存じのように、アメリカにおきまして成立しました予算で購入されましたものが日本に着きますには一年ないし二年という時差がございます。したがいまして、今般のチャーチ議員の修正案は、本年七月一日以前の約束は履行するということになっておりまして、その約束の中に入っているものは、来年になりましても依然としてまいるわけでございます。したがいまして、先ほど大臣からお答えしましたように、来年度予算につきましては、今回のアメリカの対日援助軍事物資の削減というものは具体的に影響はございません。そのような形で現在大蔵省との間で予算案の折衝が行なわれていることを申し上げておきます。
  99. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう少しこまかくお伺いしますが、陸上自衛官は八千五百名の増員が第二次国防計画に入っておりますが、三十六年度末は十七万一千五百名という予定でございましたが、何名欠員ですか。
  100. 海原治

    ○海原政府委員 陸上自衛隊の八千五百人の増員は、計画の上では最終年度、すなわち昭和四十一年度予定いたします。現在は法律定員は十七万一千五百人でございまして、これに対する欠員は、九月末と記憶しておりますが約三万ございます。しかし、その後改善されておりまして、大体二万七、八千ではないか、このように私は記憶いたしております。
  101. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ミサイル実験隊とロケット実験隊はできておりますか。
  102. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたミサイル実験隊という部隊につきましては、ナイキ部隊を編成いたします前に陸上自衛隊において編成した部隊のことを申されておりますが、御存じのように、本年ナイキを編成いたしました。来年はホーク部隊を編成する予定でございます。第二次計画では、引き続きさらにナイキ一個大隊、ホーク一個大隊、合計四個大隊の編成を予定をいたしております。
  103. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ロケット実験隊はどうですか。
  104. 海原治

    ○海原政府委員 ロケット実験隊と申しますのは、30型ロケットと申しますものを現在試作いたしておりますが、この試作ができました場合には、その実験のために編成予定をしております部隊のことかと思います。これはまだ編成いたしておりません。
  105. 淡谷悠藏

    淡谷委員 国産中型戦車の二百三十一両はどうなっております。それからついでに言っておきますが、軽戦車の五百七十二両はどうですか。新型機関銃の一千二十八丁ほどうなっております。小銃五万丁はどうなっています。
  106. 伊藤三郎

    ○伊藤説明員 61式戦車百両、これは三十七年度に長期一括購入契約をいたしております。機関銃につきましては、九百丁、これも同様に三十七年度に長期一括契約をいたしております。それから新小銃につきましては、当初アメリカのM14ライフルを経費分担で五万丁装備する予定でございましたが、その後いろいろ検討いたしまして、日本人のからだに合った新小銃というのを研究開発いたしまして、その結果二万五千丁を三十九年度以降三カ年の一括契約で発注いたしたいということで、これにつきましては現在大蔵省と予算折衝中でございます。
  107. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ついでにもう一点。これでこまかい質問は終わりますが、ヘリコプター百六十二機と陸上航空機二百九十四機は一体どうなっています。
  108. 伊藤三郎

    ○伊藤説明員 非常にこまかい点になりますが、小型ヘリコプターH13三十九機、中型ヘリコプターH19、HUlB四十三機、大型ヘリコプター十二機、P2V7六機、対潜ヘリコプターHSS2二十三機、こういうような航空機を一部調達をいたしております。また今後調達するものもございますが、大体予定どおりに進んでおります。
  109. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一部というのはどのぐらいなんですか。数で申し上げているんです。ヘリコプター百六十二機のうち一部とは何機ですか。陸上航空機は二百九十四機のうち何機できたのですか。
  110. 伊藤三郎

    ○伊藤説明員 H13のヘリコプターでございますが、これは三十八年度までに二十一機契約いたしております。それから、HU1B、これは三十八年度までに八機注文済みでございます。それからP2Vは六機、これは契約済みでございます。HSS2は十一機契約済みでございます。それからB65というのは、三十八年度までに六機契約済みでございます。ほかに練習機等ございますが、おもなものはそういう状況でございます。
  111. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、何もこういうこまかい問題をこの席上でやる必要はありませんけれども総理に聞いてもらいたかったのです。あなたは、備えあれば憂いなしと言いますが、これじゃ備えあって憂いがありますよ。百六十二機という増強計画のうち、現在までできたのが五十二機です。相手も見定めず、国防の方向も見定めない漫然とした国防というものはこうなってしまうのです。ただ軍備をすれば、装備をすればそれで国防だと思っている。私は、この際やはり総理ははっきりした方針を立てまして、第二次防衛計画も直すべきは直したほうが正しいと思う。  それで、防衛庁長官にお聞きしたいのですが、これはもう結論に入ると思いますが、アメリカ兵力削減後に日本に残したいという重装備内容はわかっておりますか。どういう重装備日本に残そうとするのか。
  112. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 この点は、淡谷委員も御案内のとおり、NATO方式とは違いまして、日本では陸軍は約六千人でございまして、いわゆる重装備はございません。病院でありますとか郵便その他の兵たん関係でありまして、重装備はございません。
  113. 淡谷悠藏

    淡谷委員 アメリカ発表によりますと、兵員は削減するのだが、重装備は残すと言っているのですが、現在残すべき重装備はないと言うんですね。はっきりつかまえておられますか。
  114. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 重装備は戦車とか大砲のようなものであることは御案内のとおりでありますが、日本では、先ほど申したとおり、病院あるいは郵便、そういう関係だけでございまして、日本にはございません。
  115. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、アメリカは兵員を引き揚げるかわりに重装備をあらためて置くというような申し入れはないんですか。
  116. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 陸上関係は、陸上自衛隊が主力で日本防衛に当たっていることは御案内のとおりでありまして、先ほどの重装備の問題は、ヨーロッパでもだいぶ問題になりまして、後ほどギルパトリックの発言に対しましてマクナマラ長官その他が否定いたしました。やはり重装備分は約一個師団から二個師団をヨーロッパには残すと言っておりますが、日本では全然方式が変わっておりまして、そういうものはございません。
  117. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうすると、これからアメリカが新しく日本に重装備を置こうとしても、日本の国防上は必要なしというふうに断定してよろしいですか。
  118. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 現在のところ考えておりません。二次防の計画に沿って国防計画を進めております。
  119. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらに、アメリカの場合、爆撃機F105は削減するようになっておりますか、増強するようになっておりますか。
  120. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 F105につきましては、その点はまだ明確に言ってきておりません。
  121. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これが現在ではどこどこにどれだけ配属されていますか。
  122. 海原治

    ○海原政府委員 F105は現在板付に三個中隊配属されております。一個中隊は、編成的の定数としましては二十五機でございます。したがって、それ以内の機数が板付に現在は配属されております。
  123. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらに防衛庁長官にお伺いしたいのですが、米軍削減が確実になれば、駐留軍関係の労務者の削減も必至と思いますが、これは具体的に数字が出ておりますか。労務員の整理というものは、その場になってからやるとたいへんなことになりますから、あらかじめ準備しませんと収拾すべからざる事態になってくると思います。その点は何か話し合いがございますか。
  124. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 現在のところまだ数字は言ってきておりません。ただ、先ほども申しましたとおり、配置変換に伴いまして、国内的にも大きな問題でありますので、たとえば退職金の増額というようなことにつきまして日米間で話し合いをしておる最中でございます。
  125. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あらかじめ閉鎖する基地など話し合いになっておりますか。削減した場合はどこどこの基地を閉鎖するとか、どういう部分の基地で何人くらい整理するという話し合いに入っておりますか。
  126. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 私どもの立場の要望といたしまして、一挙に多量のものは困る、並びに数字がわかった場合には、アメリカ側発表する前に十分前広い日本側に話してもらって、十分の改善その他の施策を具体的にきめてからにしてもらいたいと申し入れておりますが、いまだに数字は言ってきておりません。
  127. 淡谷悠藏

    淡谷委員 労働大臣にお伺いしますが、その米軍基地の労務者について、話し合いがあなたのほうまで伝わっておりますかどうか。それとも防衛庁長官どまりですか。
  128. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まだ具体的な話は承っておりません。
  129. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうしてなされないのですか。これはやはり労働省関係で大きな問題が起こると思う。基地労働者というのは、全然日本の労働法とは関係なしに、日本の労働省とは全然別個に扱われてよろしいのですか。少なくとも首切りが目の前に迫っておるならば、これは労働省に移して対策を立てられたほうがよろしいのじゃないですか。防衛庁だけでおやりになるということはあぶなくないですか。
  130. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御案内のとおり、駐留軍関係につきましては、労働省所管で雇用安定法でありますとかあるいは雇用奨励金の問題、そういうところはありますが、所管は労働省でございますが、われわれといたしましても大きな関係がございますので、施設庁本部並びに労働省各局と随時相談し合ってやっていくつもりでおります。
  131. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁長官内閣総理大臣は、外国の問題ですからいろいろ発表は慎重にされておるようですが、もうすでに新聞にもあらわれ、削減の方針がきまった上では、非常に基地労務者は不安な考えを持っている。あしたにでも首を切られるのじゃないかと心配し、対策も立てなければならない。それは隠してもかまわないけれども、打つべき手はちゃんと打ったほうがよろしいと思うのですが、もう防衛庁の腹の中では整理計画というものはできておるのですか。基地別にどこをどう削減するかといったことまで考えられておりますか。おられなかったならば、すみやかに労働省に移して万全の労働対策を立てられるのが至当と思いますが、どうですか。
  132. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 基地ごとの具体的な数字は、残念ながらまだ向こうから言ってきておりません。ただ、事務的には、先ほど申した施設庁本部、労働省、毎週いろいろ会議をして打ち合わせ中でございます。
  133. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一問、労働大臣にこの際この基地労務者の対策についてお考えがあるならばはっきり言っておいていただきたい。
  134. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 駐留軍の離職者に対しましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法という特別法がございまして、これに基づいて従来から対策を講じてまいっておるところでございまして、すなわち、労働省といたしましては、今後とも従来の離職者対策、すなわち職業訓練、職業紹介の実施及びその裏づけといたしましての職業訓練手当、技能修得手当、職業訓練寄宿手当、移転資金の支給などの援護業務などの措置の徹底をはかり、離職者の再就職の促進につとめたいと思っております。
  135. 淡谷悠藏

    淡谷委員 総理大臣に質問いたしますが、いまお聞きのとおり、防衛関係の施策というのは非常にちぐはぐになっているのです。これはやはり、国防会議というものがある以上、こういう問題は、随時国防会議を開きまして、やはり文民優位の立場からも一貫した方針を貫きませんと、これは軍国主義に逆転するおそれが多分にある。特に、アメリカと共同防備をやっております現在では、アメリカの秘密という形、外交の上の大きな問題というので非常に隠されている面が多くなってくるのです。それが非常に国民に不安を与えています。  その一つには原子力潜水艦の問題がありますが、あの寄港問題は一体どういうふうにピリオドをお打ちになったのですか。結局日本に寄港させるのかさせないのか、その点は一体どうなっているのですか。
  136. 池田勇人

    池田国務大臣 たびたびお答えしておりますとおりでございまして、日米安保条約の当然の結果として、核弾頭を持っていない、原子力を推進力とする潜水艦の寄港は、私は原則として認める立場に立っております。ただ、日本国民は唯一の被爆国民でございまするから、核爆発に対しまして——核弾頭ではございません。原子力の問題につきまして非常に関心が深いので、国民が安心して受け入れられるように、いろいろアメリカと話をしておるのであります。まだそれが、話し合い最後まで来ていないという状況であるのであります。
  137. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この原子力潜水艦の寄港につきましては、よほど慎重におやりになりませんと、思わざる事態が発生するおそれが多分にあると思う。これは、漫画などを見ておりますと、要するに女と水があればいいようなことを言っておりますけれども、事はそう簡単じゃない。特に、安全性の問題に対しましては、慎重にこれはお考え願いたい。これはまたあとで機会がありましたらば突き詰めて話をしたいと思います。  私は、この原子力潜水艦の寄港について、ひとつ別な方面から見て赤城農林大臣にお聞きしたいのですが、沿岸漁業の問題と原子力潜水艦の廃棄物との問題。これはいろいろ農林水産委員会等でもおやりになっているようですが、これは農林大臣どういうふうにお考えになりますか。さしあたりは漁場に対する危険性はないかどうか、日本人の食生活の上に与える危険性はないか、こういう観点でひとつお伺いしておきたい。
  138. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 お答えいたします。  沿岸漁業に対して影響があるかどうかということにつきましては、慎重に調査をしなくてはならぬと思っています。御承知のように、原子力潜水艦が本邦の沿岸や主要漁場で冷却水とかあるいはイオン交換樹脂その他放射性の物質をゆるやかな基準で海中に放棄するということになりますると、水産物に対して損害を与える場合も予想されます。そういうことでありますので、外務省及び科学技術庁と緊密な連絡をとって、海洋及び海産生物の放射能汚染によって沿岸漁業等に不測の損害を与えないように、慎重に措置したい、こういうふうに調査を進めておったのであります。
  139. 淡谷悠藏

    淡谷委員 農林大臣、さらに私お聞きしたいのですが、この廃棄物を魚が非常に好んで食べるというようなことも知っておるのですが、この点のお調べはついていますか。あるいは、好んで食べないまでも、食べても冷血動物の魚には別段影響がないんだという話を聞いておりますが、この点はどうですか。
  140. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 好んで食べるかどうかはわかりませんが、そういう問題につきまして技術者に研究さしております。
  141. 淡谷悠藏

    淡谷委員 われわれがいままで調べたところによりますと、魚はこれを食べても別段害はない、ただし、食べた魚を人間が食べるとこれは危険を及ぼす、こういうことを聞いておるのです。もしこれがほんとうだとすれば、十二海里外に廃棄物を捨てるからといって安心はできない。これは、アメリカ人のように魚を常食としていないところならいいけれども日本人みたいに魚を食う民族にとっては大きな問題なのです。魚がちゃんと日米協定を守って十二海里から入ってこなければいいけれども、魚は守りませんから。十二海里外の廃棄物を食べて近寄ってきたら、これはたいへんなことになる。これは、安全性については別な意味からも重大でございますが、こういう卑近な日常生活に関係のある面からも、農林大臣としては十分にこれは慎重なる調査が必要だと思いまするが、その点に対する御決意を伺いたい。
  142. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまお話しの点等につきましても慎重に研究を続けさしております。
  143. 淡谷悠藏

    淡谷委員 時間もだいぶ迫りましたので、最後総理大臣に結論としてひとつ御答弁願いたいのですが、米軍削減は、これはもう事実としてあらわれてまいっております。このためには第二次防衛計画もこれは変更を免れないだろうと私は思う。したがって、この変更防衛予算にも大きな影響を及ぼしてくると思う。この際、米軍削減された場合に、これを補うために何らかの手を打つのか打たないのか、あるいはその場合でも第二次防衛計画は四十一年度まで正確にこれを実施するのか、その点を総理大臣からひとつはっきり御答弁願いたい。
  144. 池田勇人

    池田国務大臣 米軍削減の程度を見て考うべき問題と思います。ただ、ただいまは、その削減の方法、時期、程度がわかりません。それがわかってから考えることにいたします。
  145. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはわからないと言うのですが、明らかに随時協議事前協議かの条項に入ると思いますから、向こうから来るのを待たないで、予算編成上、どうなのかということをこっちから突っ込んで聞くお気持ちはございませんか。これは向こうの言うままになっておることはないと思う。やはり、こっちの観点に立って、どのくらい削減するのか、どう持っていくのか、その点交渉を始めてもよろしいと思うのですが、そういう自主性をお持ちになりませんか。
  146. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和三十九年度予算編成には支障はないと考えております。したがいまして、向こうの減らす時期、方法、程度につきましては、日米の合同会議で随時話はしておるのであります。まだ最後の結論が出ていないという状況でございます。
  147. 淡谷悠藏

    淡谷委員 かりにアメリカ日本における軍備が大幅に削減された場合に、これにかえるに日本の自衛隊をもって埋めるという構想はお持ちなんですか。それとも、穴のあいた分は穴のあいた分として、日本防衛関係がないというふうにお考えなのか。これは重大な点なんです。アメリカの軍備とは関係なしに日本防衛計画は進めるのだというのか、アメリカの出方によって日本防衛計画も変わるのか、この点はどうですか。
  148. 池田勇人

    池田国務大臣 日本を共同防衛しておるのでございまするから、アメリカ防衛の状況の変化によって日本は考えていかなければなりません。しかし、いずれにいたしましても、国債、国力に相応して漸増計画の方針を変える考えはございません。
  149. 淡谷悠藏

    淡谷委員 安保改定の場合もこれは非常に重点になったのですが、アメリカと同じ観点に立って日本が国防をやっていけば、必ず憲法第九条にぶつかってくる。これは憲法の規定で押えていないアメリカと押えておる日本とは違うと思うのです。一体この調整をどうつけるおつもりなのですか。アメリカの兵力にかわって日本の兵力を充てんしたならば、必ずこれは第九条違反の問題が起こってきます。これに対する総理のお考えはどうですか。
  150. 池田勇人

    池田国務大臣 わが国の憲法は、われわれ国民として絶対に守らなければなりません。憲法違反のような事実は、将来も起こす考えはございません。
  151. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最後にお聞きしておきたいのですが、さっきも詰めてきましたが、私は、日本防衛という名前にかりました軍備がかなり急激に進むのじゃないかという不安をむしろ持つのです。特に防衛産業がいまのように栄えてまいりますと、逆にこの防衛産業の必要のために軍備を増すといったような傾向が生まれてくる。これは文官の優位どころではなくて、防衛産業優位の形が日本の国防の上にあらわれてくるおそれがあると思う。したがって、第二次防衛計画最後からかけて第三次防衛計画を立てるとしたならば、次期戦闘機の問題がまた出てくるのです。これは大幅の注文をした場合に、防衛産業をめぐって政界、財界たいへんなゆさぶりを受ける。これはロッキード、グラマンでも十分おわかりだろうと思う。したがって、このロッキードにかわるべき機種を考えておられるのか。あるいはその継続生産をどうするのか。この点の大体の話し合いでもなされておるかどうか、念のために伺っておきたい。
  152. 池田勇人

    池田国務大臣 わが国の国防は、憲法の条章に従いまして、また国情、国力の漸増に従ってやるのでございまして、防衛産業をどうするとかなんということは憲法並びに国力、国情に基づいてきめることでございます。いまから私はそう非常な激変があるということも期待しておりませんし、またそうあるべきではないと思います。
  153. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、今度の質問を通しましても強く感じますのは、日本の国防の計画が非常にずさんだということが一つ、はっきりした方向を見定めなくて、ただどんどん備えあれば憂いなしというようなことを言って軍備を増強する。それが最後に私はとんでもない点に入っていく危険を多分に感ずるのでありますが、最後は、文官優位という立場を守りまして、やはり日本の憲法第九条を骨子とした国防に進まなければ、とんでもないことになると思いますので、その点に対して最後総理の決意を伺って私の質問を終わります。
  154. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまお答えしたように、憲法の条章に従いまして、また国情、国力に相応して漸増の方針で進んでいきたいと思います。
  155. 淡谷悠藏

    淡谷委員 終わります。
  156. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて淡谷悠藏君の質疑は終わりました。  以上をもちまして昭和三十八年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  157. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 引き続き昭和三十八年度一般会計補正予算(第2号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して討論に付します。  討論の通告があります。順次これを許します。野原覺君  なお、野原君に申し上げますが、内閣委員会が開かれておりまして、防衛庁長官、労働大臣等は、内閣委員会に社会党さんの質問に対しまして出席しておりますから、一応念のため申し上げておきます。
  158. 野原覺

    ○野原(覺)委員 いまの大臣が出席されないととはきわめて遺憾でありますけれども、やむを得ませんから了解いたしておきます。  私は、日本社会党を代表し、政府提出の昭和三十八年度補正予算案に対し反対の討論をいたします。  反対の第一の理由は、本補正予算案の性格についてであります。最近、わが国の経済は、社会党が前から警告していたとおり、物価と国際収支という二つの壁にぶつかって、重大な危機に直面し、政府も経済政策の転換を余儀なくされております。さきに日銀が決定いたしました準備率の引き上げは、この政策転換の第一弾であり、近く公定歩合の引き上げが行なわれることは必至の状況となっております。これは池田内閣になってから二度目のできごとであります。池田内閣が成立して以来、所得倍増のかけ声によって景気を刺激し、大資本のむちゃくちゃな設備投資をあふり、その結果、物価が上がり、国際収支が赤字になれば、一つ覚えの金融引き締めによって、その犠牲を中小企業、農民、勤労者にしわ寄せするということの繰り返しであります。しかも、今度の場合は、いわゆる開放経済体制への移行という重大な課題をかかえているだけに、その影響は一そう深刻なものがあります。  このような情勢を背景にして組まれた本補正予算には、当然経済情勢の激変に伴う国民経済全体への配慮が示されていなければなりませんが、実際にはその片りんすらうかがうことができないのが、その実態であります。たとえば財源は租税の自然増収を充てておりますが、これは物価値上がりによる名目的な増収であり、これを財源に充てて予算をふくらまし、それによって追加支出を行なうという操作は、それ自体財政インフレをつくり出すものと言わねばなりません。こうして通貨はますます増発し、したがって物価はますます上昇し、勤労者の実質的生活水準は切り下げられるわけであります。申すまでもなく、物価値上がりは労働者、農民、中小企業者その他、働く人々の生活を圧迫しますが、しかしその反面、物価値上がりで大もうけしている人もいるのであります。たとえば土地値上がりによってばく大な利益を得るものもあるわけであります。予算の財源は、これらインフレで不当利得を得るものを捕捉し、これに重税を課すことによって捻出すべきであり、それなしには現在のなしくずし財政インフレにストップをかけ、物価を安定させることは不可能であります。ところが、政府は依然として租税特別措置その他いろいろ巧妙な方法で、大資本、大金持ちには優遇措置を講じており、したがって、重税の負担は働く者の肩にかかっている現状を少しも改めようとせず、さらに進んで株式配当の分離課税さえ実施しようとしているありさまであります。こんなことでどうして財政インフレを停止し、物価値上げをストップすることができましょうか。本補正予算は、物価を一両年で安定させるという池田総理の言明が全く裏づけのないものであることを数字をもって証明するものであります。以上が反対の第一の理由であります。  反対の第二の理由は、国家公務員の給与改定の内容についてであります。この給与改定は、本年八月十日行なわれた人事院勧告に基づくものでありますが、その勧告そのものについては、社会党はすでに本委員会においても批判をいたしたのであります。まず第一に、人事院の調査のしかたに客観性がない部分が見られることであります。たとえば、人事院は、初任給は一〇%程度の上昇だとしているが、労働白書によると二三%の上昇になっております。また、標準生計費について見ると、総理府統計による東京都平均五人世帯の消費水準は、本年四月に五万四千七百十六円であるのに、人事院の調査による標準化計費は四万二千二百九千円であります。つまり、人事院は総理府統計よりも一万二千三百六十円、二二・六%低く見積もっているのであります。第二に、この結果として、長期的に官民給与の上昇割合を比較してみますと、昭和二十六年以降の民間賃金の上昇度合いに対して、公務員給与は二五%の立ちおくれを示しているのであります。第三に、人事院の勧告時期がいつもおくれぎみであり、そこに国家公務員の給与を意識的に操作をしていることが明らかであります。人事院は、公務員給与を積極的に民間賃金水準に引き上げるという意欲を持たず、常に民間賃金のあとを追うという方向をとってきており、ここに国家公務員に労働基本権を確立すべしという主張の出る理由があるのであります。人事院勧告はこのように多くの欠陥を持っておりますが、このきわめて低目に見積もった勧告すら政府はそのまま実施しようとせず、五月実施の勧告を五カ月もずらした十月実施の方針をとっているのであります。このように見てきますと、この給与改定では、物価値上がりにあえぐ公務員の生活の負担を軽減することはできないことが明らかであります。これが反対の第二の理由であります。  反対の第三の理由は、事故対策についてであります。去る十一月九日、鶴見事故と三池事故という二つの事件により、実に六百人を上回る人命が一瞬のうちに失われ、全国民は大きな衝撃を受けました。その際政府は、しきりに安全運転、保安作業について強調いたしましたが、その後も国鉄事故は続発しておるのであります。しかも、本院に提出された本補正予算は、この二大事故が起きる前に提出されたものと全く同じであります。このことが、政府の言う保安対策等は全くかけ声だけで何らの裏打ちのないものであることを如実に証明していると思うのであります。しかもこのことは、池田内閣の所得倍増政策が経済の成長しか念頭になく、国民の幸福などは全く無視していることをまたまた雄弁に物語るものであります。これが反対の第三の理由であります。  以上三つの理由により、日本社会党は、本補正予算案に反対するものであります。  以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
  159. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 次に、青木正君。
  160. 青木正

    ○青木委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十八年度一般会計補正予算(第2号)、同特別会計補正予算(特第2号)、同政府関係機関補正予算(機第2号)に対しまして、賛成の意を表明するものであります。  右三案の内容につきましては、さきに大蔵大臣から御説明がありましたとおり、一般会計においては国家公務員等の給与改善、災害復旧費の追加、食糧管理並びに農業共済再保険特別会計への繰り入れ等であり、特別会計においては、公務員の給与改善のため厚生保険特別会計ほか六特別会計につき、また主として一般会計予算の補正に関連して、交付税及び譲与税配付金持別会計ほか二特別会計につき、それぞれ所要の補正を行なうことといたし、政府関係機関においては、日本国有鉄道の東海道幹線増設費並びに日本電信電話公社の工事費の追加が計上せられているのであります。  右三案につきましては、かねてからその成立の一日もすみやかならんことを国民ひとしく待望いたしているところであります。ここに、本三案に賛成の意を表明するにあたりまして、二、三の点につきまして簡単に所見の一端を申し述べたいと存じます。  第一は、国家公務員給与改善費二百六十一億円の追加であります。公務員の給与改善につきましては、前年度におきましてもその引き上げを行なったところでありますが、その後、民間給与の上昇に伴い再びこれとの間に相当の格差を生じ、このため政府は先般の人事院勧告の内容を尊重し、本年十月一日から俸給表の改善、諸手当等の引き上げ等を行なうことといたしたのであります。俸給表については、民間における初任給の上昇と均衡をはかるようにいたしておるとともに、下位等級の引き上げ率を高くいたし、諸手当についても民間との均衡をとって、通勤手当の増額、期末手当、勤勉手当等それぞれ増額し、なかんずく病気休職者等に対しましても期末手当を支給できるように配慮いたしたことは、まことに時宜を得た適切な措置と存ずるのであります。  ただここに注意いたさなければならぬことは、給与改善と業務能率の向上という問題であります。賃金の上昇は常に生産性の向上と見合わなければならぬことは、国民経済運営の大原則であることは論をまたぬところでありまして、高能率高賃金こそ実にわが党経済政策の大眼目であります。今回の給与の改善にあたり、公務員諸君はいよいよ公僕たるの使命観に徹し、職務能率の向上をはかり、国民の期待に十分にこたえられんことを希望いたすものであります。  次に、食糧管理特別会計への繰り入れ二百五十億円は、三十八年度産米の買い入れ価格が、当初予算における見込み価格を石当たり千二十七円、八・四%上回って決定されたことに伴うなど、同特別会計の赤字補てんのためでありまして、これまた妥当な措置と申さなければなりません。  また、農業共済再保険特別会計への繰り入れ百六億円は、本年春以来の長雨による三十八年度産麦等の著しい減収に伴い、同特別会計の支出する再保険金支払い財源の不足に対処するためのものであります。御承知のとおり、本年四月から六月に至る長雨の被害面積は、実に百四十五万町歩に及び、麦の減収百八十五万トン、平年作の六割減に達しました。この事態に対し、政府はさきの第四十三通常国会における三派共同決議の趣旨をも尊重し、万全の諸対策を講じてまいりましたが、なお農業共済再保険特別会計における三十八年度農業勘定の支払い再保険金見込み額は百八十五億円に達し、当初予算及び予備費を充当いたしましてもなおかつ不足いたしますので、政府においては別途法的措置をも準備いたし、その財源措置を講じ、被害農家の救済に万全を期することといたしましたもので、農民の農業生産に対する勇気と希望を与えるものとして衷心賛意を表する次第であります。  次は災害復旧費三百十五億円の追加でありますが、これは三十八年災及び過年災並びに災害関連事業に要する経費であります。三十八年災の復旧については、すでに予備費七十二億円を支出いたしたほか、今後必要な経費百五十六億円を計上し、また過年災についても百五十八億円を追加し、災害復旧の促進をはからんとしておるのであります。これらの補正措置により、三十五年発生災害の復旧事業は完了するほか、三十六年及び三十七年発生災害についても従来の標準をかなり上回る事業の進捗が期待されますことはまことに適切妥当な措置として賛成いたす次第であります。  以上、はなはだ簡単でありますが、賛成の討論といたす次第であります。(拍手)
  161. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 次に、小平忠君。
  162. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提案の本年度予算補正三案に対し、反対の意思を明らかにするものであります。  本案の歳出項目としては、それぞれ一日も早く成立することを必要とするものであります。過般の臨時国会政府が解散を急いだために、今日まで成立がおくれているのでありますから、民社党としましては、これが成立促進には積極的に協力する立場をとってまいりました。  私どもは、政府案のうち、給与改定を除いては一応それぞれの歳出予算について、これを承認するものであります。これは政府案で十分であるという意味ではなく、明年早々の通常国会において、再び歳出補正を行なう機会があるという判断に立つからであります。ただし、給与改定に関しては、政府案を断じて認めることはできないのであります。政府は、本年八月の人事院勧告が、本年五月一日にさかのぼって給与改定を行なうべしと改定内容を提示したのに対して、実施を十月一日に繰り下げた案を提示しております。政府は、これをもって勧告の尊重と言われておりますが、政府予算措置はまさに勧告軽視そのものであります。勧告は昨年四月から本年四月までの一カ年間に、消費者物価が全都市で七・四%上昇していると報告しております。ところが、政府実施期日としている本年十月までの一年に、消費者物価は九%も上昇しております。したがって、本年十月一日より実施の給与改定ならば、物価との関係では少なくとも九%のベースアップが必要なのであります。勧告どおり五月実施なら、今回の六・七%のアップも了承しないでもないが、十月実施で六・七%アップを据え置きということは、勧告尊重でも何でもありません。勧告無視というべきものであります。わが民社党は、あくまで人事院勧告の完全実施を要求いたします。これを実施しない政府案に対し賛成できないのであります。  かりに五月実施といたしますと、五月より九月までの五カ月分の所要経費は約二百二十億円であります。この程度の財源は、本年度の租税自然増収から余裕をもって捻出し得るはすであります。なぜならば、本年度の鉱工業生産は、当初の見通しの八%をはるかに上回って、一四%に達することは明らかであります。雇用の増加、企業収益の増加、輸入原材料の増加、国民消費の増加など、各面から見て、所得税、法人税、関税、物品税などの大幅増収は必至だからであります。争議権を剥奪されている公務員諸君に対して、人事院勧告の完全実施をもって報いずして、どこに政府の公務員管理の健全運営があり得ましょうか。私はあくまでも政府の反省を望んでやみません。  もう一つ、私が政府案について賛成しがたい点は、財政投融資関係におきまして、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金の三機関に対する追加融資を軽視しておる点であります。中小企業政策の革命的前進ということばは、総選挙中における池田首相の公約でありますが、政府の年末中小企業金融対策とは、短期的つなぎ融資の放出として三百億円の短期融資、三機関の自己資金百億円の放出、並びに市中金融機関に対する買いオペ二百五十億円の三本立てで資金量六百五十億円と聞いております。私は、このようないわゆる年末融資の必要も大いに認め、これを歓迎し、支持いたします。しかしながら、いまや政府が預金準備率を引き上げ、明年一月早々日銀公定歩合の引き上げを行なって、金融引き締めを公然として開始せんとしているときにあたり、当然にその犠牲者となる中小企業に対しては、あらかじめ供給し得る資金量の増加の準備をしておくことが当然の任務であると考えます。最近は不渡り手形、倒産件数の双方ともに増加をしておりますのも、一面では企業経営の過度の膨張も原因ではありますが、他面すでに金融機関の窓口規制がきびしくなっていることを意味するものと判断をしております。したがって、明年は中小企業界にとって、金融面ではきびしさを増す年となることを考え、ここで中小企業三機関の融資のワクを恒常的に拡大しておく措置をとることが当然であると考えます。私は、最近の郵便貯金の増加にかんがみ、資金運用部資金より千五百億円を融資し、国民金融公庫、中小企業金融公庫にはそれぞれ六百億円、商工中金には三百億円の融資を行なうよう提案するものであります。  なお、私は食管会計赤字補てん二百五十億円の計上についても、食管会計を今後いかに運用すべきかの政策論抜きの赤字補てんである点は釈然としませんが、この政策論は明年の通常国会に譲りまして、ここでは赤字補てんという財政処理として了承しておきます。  以上、私は、人事院勧告の完全実施並びに中小企業に対する財政投融資ワクの拡大の二つの政策的修正を政府案に要求いたします。これを認めない政府案に対しましては、民社党の総意として反対し、私の討論を終わるものであります。(拍手)
  163. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  昭和三十八年度一般会計補正予算(第2号)、昭和三十八年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和三十八年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  164. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 起立多数。よって昭和三十八年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決いたしました。  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  166. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 この際、おはかりいたします。  予算実施状況について、閉会中審査を行なう必要がある場合には、理事協議の上、委員長において、その旨議長に申し出ることといたしたいと存じますので、この点、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らうことに決しました。      ————◇—————
  168. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  今特別国会における補正予算の審査にあたりましては、委員各位の御熱心なる審議をもってここに円満に審議を終了いたしましたことをつつしんで厚くお礼を申し上げると同時に、ふなれな委員長に対しての御協力を深く感謝を申し上げ、ごあいさつといたします。(拍手)  これにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会