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1963-10-22 第44回国会 参議院 本会議 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年十月二十二日(火曜日) 午前十時十九分
開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程
第四号
昭和
三十八年十月二十二日 午前十時
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件 (第二日)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関 する件(第二日)
━━━━━━━━━━━━━
重宗雄三
1
○議長(重
宗雄三
君) 諸般の
報告
は、朗読を省略いたします。 ————・————
重宗雄三
2
○議長(重
宗雄三
君) これより本日の
会議
を開きます。
日程
第一、
国務大臣
の
演説
に関する件(第二日)、 去る十八日の
国務大臣
の
演説
に対し、これより順次
質疑
を許します。
木村禧八郎
君。 〔
木村禧八郎
君登壇、
拍手
〕
木村禧八郎
3
○
木村禧八郎
君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、
池田首相
の
所信表明
に対しまして、主として
経済政策
を中心といたしまして若干の質疑をこれから行ないたいと思います。
経済政策
の
質問
に入る前に、
池田首相
に一つただしておきたいことがございます。それは、昨日衆議院におきまして、わが党の
河上委員長
が、今
国会召集
の趣旨、
目的
から見まして、また、
池田首相
が
所信表明演説
におきまして、「今国会は短期間であるが、
民主主義
の基盤に立ってすみやかに
予算
、
法律案
の
審議
を尽くし、正々堂々と事を決し、
国民
の信頼と期待にこたえられることを切望いたします」と述べているところからいたしましても、当然、
首相
は、
予算
、法案の
審議
を尽くしてから解散すべきであると思うがどうかという
質問
に対しまして、
首相
は、自分は
予算
を通してくれと言った覚えはないと答弁されまして、
予算
、法案の
審議
を尽くさず解散するような
態度
を示されたことでございます。
社会党
その他各派が協力するというのに、もし
国民
の
生活
に
重大関係
のある
予算
、
法律案
の
審議
を尽くさずに解散をすることになりますれば、
池田首相
の両院に対する食言であります。
うそ
をついたことになります。
首相
は、はっきりと
審議
を尽くすということを言われておるのであります。
法律案
及び
予算案
の
審議
を尽くして、「正々堂々と事を決して
国民
の信頼と期待にこたえられることを切望する」と、切望しておられるのです。それであるのに、もし
審議
を尽くさずして解散されますならば、今後国会運営上重大な問題でございます。
国会正常化
を
首相
みずから破ることになるばかりでなく、
国民
に対する
責任
を果たさないことになる点からいいましても、これは重大な問題でございます。はたして
予算案
及び
法律案
の
審議
を尽くしてから解散するのであるかどうか、この点をまずはっきりと伺っておきたいのであります。 さて、
池田首相
は、わが党並びに
国民
多数識者の正しい批判、
政策転換要求
を無視いたしまして、
経済
のことは
池田
にまかせろという、きわめて高い姿勢で、大
資本中心
の
所得倍増
、
高度経済成長政策
を強行してまいりましたが、最近の
世論
の動向から見ましても、もうこれ以上
経済
を
池田首相
にまかせておくことは断じて許せない情勢になっております。すなわち、
毎日新聞
で九月二十三、四の両日行ないました
全国世論調査
によりましても、「
池田内閣
を支持しますか」という
質問
に対しまして「支持する」と答えたものが三三%、「支持しない」と答えたものが三六%でありました。支持しないほうが支持するほうを三%も上回っておるのであります。支持しない理由の五三%は、「
経済政策
が悪いから」というのにあります。このことは、
高度成長
の反面、
物価
高、その他大
資本本位
の
政策
によって
国民生活
が圧迫されていることを雄弁に物語るものであります。(
拍手
)このように、
世論
、人心はすでに
池田内閣
を去っているのであります。 そこで、私は、まず第一に、三年間にわたり、
池田内閣
が一枚看板として強行してまいりました対
米借金政策
、
日本銀行
の
信用膨張
、
インフレ政策
、
租税特別措置
による大
企業
の
大幅減免税
、さらに、
独占価格
の擁護を「てこ」とする
独占
大
資本偏向
の
所得倍増
、
高度経済成長政策
によりましてもたらされた
国民経済
の広範にわたるはかり知れぬ不
均衡
と混乱の
拡大
、及び
国民生活
の圧迫と不安の
増大
とに対する
重大責任
を追及いたしますとともに、この失政に対していかなる償いをいたし、いかに対処するのであるか、
池田首相
に問いただしたいのであります。 去る十八日の
首相
の
所信表明演説
におきまして、
人つくり
を強調する
池田首相
は、当然、
民主政治
、
責任政治
の道義といたしまして、
宮澤企画庁長官
の指摘によってすでに明らかになっております大
企業
の
設備
の
高度成長
のみに偏向し、
農業
、
中小企業
、
国民生活
の
安定成長
を
犠牲
に供し、
消費者物価
の異常な
騰貴
、
所得
、
国民生活水準
の
格差
の
拡大
、
国民経済
の
アンバランス
の
激化等
をもたらしたことに対する、謙虚にしてまじめな
自己反省
を行ない、
責任
を痛感するという、意思の
表明
を行なうであろうと、おそらく
国民
は期待したと思うのであります。しかるに、いかに
選挙目当て
の
演説
とはいえ、一片の反省も
責任感
も示さず、むしろ逆に、
所得倍増政策
の矛盾、誤謬を強弁さえしているのでありまして、
首相
の良識を疑わしめるものがございます。これでは、
政治的道義
、
政治責任
は、地をはらってむなしと言わざるを得ません。 第二に、
池田内閣
の
所得倍増
、
高度経済成長政策
の
目的
、
条件
と、その実績について、
池田首相
に
質問
いたします。これまで私は、長い間、
池田首相
と
経済
問題について論議を戦わしてまいりました。その間、
池田首相
は、貧乏人は麦を食えという、きわめて率直な御答弁をなさったこともありましたが、
自由競争
、
自由企業原則
のもとで
所得倍増政策
を行なえば、必ず矛盾が起こる、あるいは
物価騰貴
が起こる、そういう問題、あるいは
税制
とか
所得格差
の問題、
設備
過剰の問題、
ドル防衛協力
の
影響
、あるいは
国際収支
の
問題等
について
質問
いたしますと、長い目で見てくれと言って逃げを打ってまいったのであります。すでに
倍増政策
を実施してから三年間経過いたしました。もう長い時日がたちまして、したがって、事実に基づいてこれまでの論争に黒白をつけ、その総決算をするときがまいったと思います。 そこで、この際、
倍増政策
について、あらためて次の四点を
総理
に
質問
いたしたいのであります。 第一に、
池田内閣
が
国民
に
公約
いたしました
所得倍増計画
の
目的
と
条件
についてお聞きしたいのであります。ここに持ってまいりましたこの書類は、その
国民所得倍増計画
の
報告書
でございます。これによりますと、その
目的
のところに、「特に
農業
と非
農業
間、大
企業
と
中小企業
間、
地域相互
間並びに
所得階層間
に存在する
生活
上及び
所得
上の
格差
の是正につとめ、もって
国民経済
と
国民生活
の
均衡
ある
発展
を期さなければならない」と書いてあるのであります。さらにまた、この
倍増計画書
には、
物価
との関連につきまして、「
物価
の安定を維持することはこの
計画達成
のために不可欠の要件であることは言うまでもないので、絶えずその動きに留意し、適時適切なる
物価対策
をとる必要がある。たとえば、
独占
的な行為によって不当に
価格
をつり上げられるような場合には、
消費者
の利益を守る立場から
行政手段
による
対策
の
必要性
も考えられる。なお、短期の
景気変動
に伴う
物価
の
変化
については、主として適切な
財政金融対策
によって、なるべく変動の期間と振幅を小さくする必要があろう」と書いてあるのであります。
池田内閣
が実施いたします
所得倍増計画
の
目的
と
条件
はこのとおりなのでございますか。これは
国民
に
公約
したものなのです。この
公約
に変わりがないのかどうか、これは再確認しておきたいのであります。 第二に、この
公約
が
うそ
でないといたしまするならば、
農業
と非
農業
間、
地域相互
間、
所得階層間
の
生活
上及び
所得
上の
格差
を
拡大
し、
国民経済
と
国民生活
の不
均衡
を
発展
させ、
消費者物価
の三年間二〇%以上にのぼる著しい
騰貴
、これを放任して、何ら適切な
措置
を講じなかったことは、
公約違反
ではございませんか。
うそ
を言ったことにはなりませんでしょうか。
総理大臣
、
企画庁長官
に
質問
いたしたいのであります。 第三に、
池田首相
は本院での
所信表明
におきまして、「
政治
の目標は、すべての面で
国民生活
が向上する
社会
の実現」であると言われ、さらに
国民
総生産の
増大
、特に
国民
一人当たりの
実質所得
、
実質消費
の向上につきましては、語気を強めて自賛いたしましたが、これはあくまでも
平均
の
数字
でございまして、すべての面で
国民生活
が向上し、
国民
すべてのしあわせが増進したことを示すものではございません。たとえば
昭和
三十七年度の、個人にわたって恐縮でございますが、
松下幸之助
氏の
所得
は、
国税庁調べ
で四億三千九百万円でございます。三十五年に比べて一億三千三百五十二万円
増加
しております。四三%の
増加
でございます。この大
所得者
の
増加
に対して、昨日
河上委員長
の
質問
に対して、
池田総理
は、大
所得者
の
所得
は横ばいで、ふえてないと言っておられる。一億三千三百五十二万円、四三%も
昭和
三十五年以後
昭和
三十七年までふえているのでありますよ。その間に全
産業賃金指数
は九・六%しか上がっておりません。ものすごい
格差
の
拡大
ではございませんか。その証拠には、また
毎日新聞
の前に述べました
世論調査
によっても、皮肉なことに、
池田内閣
ができましてから
生活
が苦しくなったという
国民
が激増しまして、五八%を占めておる。五八%、半分以上でございますよ。この事実を
総理
は何とごらんになりますか。
欧米先進国
よりはるかに高度の
成長率
を示しながら、
欧米諸国
よりも
国民生活水準
が著しく低く、苦しくなった人が激増していることは、
国民生活
を
犠牲
にして、大
資本
の
高度成長
をはかったことを意味するものではございませんか。(
拍手
)山高きをもってたっとしとせず、大
企業
の
設備
の
成長率
の大きいことのみがよいのではございません。
国民
のしあわせの
成長
こそが大切なのであります。 第四に、
池田首相
の
演説
によりますれば、「過去三年間に見られる
高度成長
により、十年を予定していた
所得倍増
は、一両年早く達成が可能となって、
計画遂行
上かなり
ゆとり
を生じたので、この
ゆとり
を活用して、立ちおくれている
農業
、
中小企業
を
近代化
するための強力な
措置
を講じ、産業間に
調和
のとれた健全な
経済発展
をはかることといたしました」と述べておられます。こうした
言い方
が、
宮澤企画庁長官
の「
所得倍増計画
は大
企業中心
の第一ラウンドから、
農業
、
中小企業
の
近代化
を重点的に進める第二ラウンドに入るべし」という進言に基づいて行なわれたものと思われますが、これは第一ラウンドの失敗を隠し、
国民
を欺くものでございます。なぜならば、第一ラウンドが成功し過ぎて
ゆとり
ができ、その
ゆとり
を活用するという
言い方
でございますけれども、実際は、第一ラウンドが行き過ぎて、成功ではなく失敗して、不
経済
な施設過剰をもたらし、
農業
、
中小企業
を立ちおくらせ、
物価
を著騰せしめ、今になって急にその
あと始末
をしなければならなくなったという、
政策
の失敗と不手際を暴露したものにほかならないからであります。
首相
は、ことばの上で
調和
のとれた健全な
経済発展
をはかると言われますが、その大
資本
に偏向した誤った超
高度成長政策
によりもたらされました広範深大な
経済
の
アンバランス
によりまして、もし
政策
が適切であったならばもっと早く訪れるべき
調和
のとれた健全な
経済発展
の時期が、取り返しのつかないほど著しく立ちおくらされてしまったのでありまして、その
日本経済
にとってのマイナス、
青少年不良化
、犯罪の激増、
交通事故
の
増加
などの
社会
上の損失、これら
日本国民
にとっての損害は甚大なものがございます。その
重大責任
をどう考えられるか、どう
責任
をおとりになるつもりか、
池田首相
に伺いたいのであります。 次に、
物価
問題について五点
質問
をいたします。 第一点は、
池田首相
の
物価
に対する基本的な
考え方
、
態度
についてでございます。
池田首相
は、これまで、
卸売り物価
さえ安定しておれば
消費者物価
が上がっても
日本経済
の
発展
には心配ないということをたびたび言ってこられました。きのうも言いました。この
考え方
は間違ってはいないでしょうか。この点につきまして、
山際日銀総裁
が九月十九日の
新聞記者会見
で、「
消費者物価
が上がっても
卸売り物価
が安定していればよいといろ一部の考えは同意できない。
消費者物価
と
卸売り物価
は切り離して考えられない問題であって、
消費者物価
が
上昇
しても、一方で
卸売り物価
が傾向的に下がっているなら、
物価
全体のつり合いがとれるが、しかし、最近は
消費者物価
が落ちついていて下がる気配はなく、正常な状態とは言えない。この際、
消費者物価
と
卸売り物価
を総合した
物価対策
をあらためて検討すべき時期に来ていると思う」と、
池田首相
の
考え方
と全く正反対で、
総理
の
卸売り物価
さえ安定していれば
消費者物価
は上がってもいいという
考え方
を否定している。間違いだと言っておられる。これは当然のことなんです。
物価
の問題、
物価
の
考え方
としては当然であります。したがって、
総理
は今までのこういう
考え方
を改められる必要があると思いますが、どうですか。 さらに、
池田首相
は、
消費者物価
が上がっても、それ以上
所得
がふえているから家計を圧迫していないと、こう言っておられるわけです。これは
数字
の魔術です。たとえば「
昭和
三十六年において
勤労所得
は一割上がった。
消費者物価
は六・二%しか上がっていない。だから家計を圧迫していない」と言っております。しかし、これは
数字
の魔術です。みんなの
所得
が一割上がっているのではないのであります。
総理
府の
統計局
で出しました調査によりましても、ことしの一月から六月にかけての
平均
の
勤労者
の
所得
の伸びは一〇%ちょっと超えておりますが、一番最低の一万九千円くらいの人は一割以下、九%ぐらい、七、八万円の人は一二、三%上がっておるのです。さらにまた、
物価
につきましてもその内容が問題です。六・二%
平均
といいましても、低
所得層
に一番大きく
影響
する
食料品
、特に
生鮮食料品
、
野菜類
、これは六%どころの
値上がり
じゃないのです。
総理
もよく御存じであります。一割も二割も三割も、倍にも上がっている。
エンゲル係数
の高い、こういう低
所得層
には、その
影響
は非常に大きいのであります。こういう点を全然無視して、
平均
で
総理
は述べておりますが、これは
数字
の
ごまかし
です。したがって、
内閣広報室
及び
新聞社
の
世論調査
によりましても、
物価
の
値上がり
によって
生活
が苦しくなっている
国民
が激増しているのです。
池田
さんが幾ら、
物価
が上がっても
生活
は苦しくなっていないと、どんなに強弁しても、
国民
はぴんと来ない。事実認識が間違っているのです。この点を改める必要があると思います。 また、「
物価騰貴
は、低
所得層
の
所得
を
引き上げ
、
所得格差
を縮め、
所得
の再
配分効果
があるからよいことだ」と申しております。この点について十月二十一日の
経済
企画庁
の
物価懇談会
では、「
消費者物価
の
上昇
は結局
卸売り物価
に響き、
わが国
の
国際収支
に悪い
影響
を及ぼす上、減税によって救われない低
所得層
の
生活
を大きく圧迫し、
社会
的な問題にもなるので、悪であるとする空気が強かった」と、新聞は報じているのであります。また
首相
は、
所得格差
が縮まった証拠といたしまして、
中学卒
の
初任給
が、三、四年で、四千五百円から一万円になったといっている。こういう倍になったということは
子供だまし
であります。さっき申しましたように、大
所得者
の
所得
は、
松下幸之助
氏の
所得
は四三%、一億三千万円もふえているわけですよ。まるで
子供だまし
です。なるほど
増加率
はふえております。しかし、
増加額
はどうでありますか。十万円と五千円の差は九万五千円であります。五千円の人が倍になったら一万円です。十万円の人は一割上がったら十一万円。その差はどうですか、十万円になります。逆に
格差
が
拡大
しているじゃないですか。このように
物価騰貴
によってむしろ
格差
が著しく
拡大
しているのでございます。(「もう少しこまかく言わないとわからないよ」と呼ぶ者あり)それですから、あなた方わからないと言われますから、
全国町村会
の
臨時総会
におきまして、十月六日にこういう
決議
をしている。皆さんに関係のある
町村会総会
です。「
経済
の
高度成長
の過程において、
国民
の
所得格差
はかえって
増大
を見、
都市町村
の間に不
均衡
を
拡大
し来たっていることは、実に遺憾にたえない。
町村
の財源はいよいよ枯渇し、
増大
する住民の
行政需要
に応ずることを得ない」という
決議
を行なっているのであります。
全国町村会臨時総会
の
決議
でございます。 なお、
首相
は
高度成長
に伴って
物価
が上がるのは当然であるとも言われております。これも間違いではございませんか。前に引用しました十月二十一日の
企画庁
の
物価懇談会
でも、「現状でも
中小企業
や
農業
の
生産性
を
引き上げ
ながら
物価
の
値上がり
を押えることはできるはずだ」との意見が出ていると伝えられております。 要するに、これまで
池田首相
は一貫して
消費者物価騰貴
を是認しておられる。毎年六%以上の著しい
騰貴
を三年間も放任したというより、むしろこれの
騰貴
を促進せしめてきた。したがって、
首相
の
物価
に対する
基本認識
、
態度
が根本的に改められない限り、
幾ら選挙目当て
の口先や作文で
物価安定策
を説きましても、
実施面
で消極的となり、これまでと同様に
物価
は上がらざるを得ないのであります。そこで
池田首相
は、この際、
物価
に対するこれまでの明らかに間違いである基本的な
考え方
、
態度
を、はっきり改める必要があると思いますが、その意思があるかどうか、お伺いいたします。 第二点、
昭和
三十六年以来の
消費者物価
の著しい
上昇
をもたらした
基本的原因
について、
総理
にお伺いいたしたい。
首相
は、今度の
所信表明演説
におきまして、「最近における
消費者物価
の
上昇
は、
高度成長
に伴う
経済構造
の
変化
によるものである」と、
消費者物価
著騰の
原因
を
経済構造
の
変化
に帰せしめておりますけれども、これは
物価上昇
の現象を説明したにすぎないのであります。
物価騰貴
の
基本的原因
の説明ではありません。
池田内閣
の
責任
をのがれようとする
ごまかし
の説明でございます。なぜならば、
わが国
の
高度成長
は大体
昭和
三十年ごろから始まってきているのであります。それから三十五年ごろまでは、
高度成長
のもとでも、
消費者物価
はほとんど上がらなかったのです。むしろ、三十年、三十三年は下がっております。このことは、
高度成長
必ずしも
物価騰貴
を伴うものではないことを物語っております。
消費者物価
は、
池田内閣
が
所得倍増政策
を打ち出しました
昭和
三十六年から、断層的に
騰貴
を示しているのであります。したがって、この
原因
は、
高度成長そのもの
ではなく、
高度成長政策
のあり方、つまり、
池田内閣
の
対外借金政策
と、
日本銀行
の
信用インフレ
を通じての意識的な、積極的な
成長金融
、及び、
独占価格
、
管理価格容認
という方法による
高度経済成長政策
に基づくものでありまして、その
責任
は全く
池田内閣
にあると言わざるを得ないのであります。(
拍手
)ケインズは、
インフレ
ーションは理論ではなく
政策
であるといっております。そのとおりであると思う。
物価変動
は
自然現象
ではございません。
社会現象
であり、
政策
のいかんによって調整し得るものでございます。
高度成長
は、やり方によって、必ずしも
物価騰貴
を不可避的に伴うものではございません。
池田内閣
が、
インフレ政策
と
独占価格政策
を通じ
国民生活
を低下せしめて、大
資本
に奉仕するという方法によって、超
高度成長
を達成せしめるという
政策
を意識的にとったことが、平時としては異常な
物価
の著騰をもたらしたのではございませんか。さらに、シェアの
拡大競争
によって、著しい負債過剰となりました
独占
大
資本
の
債務負担
を、
インフレ
を通じて軽減救済しようという意図からも、意識的に
インフレ政策
がとられたと思うのであります。このことこそが
物価騰貴
の
根本的原因
であります。こういう点につきまして、
池田首相
、
渡辺公正取引委員長
の
見解
を伺いたいのであります。 それから第三点、
物価騰貴
の
影響
について、
総理
、
大蔵大臣
、
企画庁長官
、
公取委員長
の
見解
をただしたいのであります。三年間に二割以上
消費者物価
が
騰貴
をいたしましたということは、三年間に二割以上のお金の値打ちが下がった、通貨が減価したということを物語っております。
昭和
三十五年末の千円札が八百円にしか通用しないということを意味しております。千円札の二割二百円分は、にせ札と同様になったということを意味しているのであります。といたしますと、その
影響
は、単に
実質所得
がそれだけ減価するということだけではなく、実に広範であり、甚大であります。たとえば公社債、恩給、
各種年金
、
退職共済積立金
、
生命保険
、その他長期の預貯金、債権、みな減価しているのであります。
長期的貯蓄
を十兆円と推定いたしますれば、実に二兆円の財産が、
国民
に何らの
責任
がないのに、
国民
のふところから収奪され、盗まれていることを意味するのであります。これはアービング・フィッシャーが「
貨幣錯覚論
」という本の中で書いておりますとおり、
銀行ギャング
と比較にならぬほど大規模な
道徳的犯罪
であり、不正義でございます。(
拍手
)こうした点に対する認識が、
政府
、
日銀当局
、
公取委員会
に欠如しているのではございませんか。そうでなければ、もっと
物価抑制対策
に真剣に取り組んでいたはずであります。閣議で
ラーメン問答
とか
サンマ問答
が起こるはずがないのであります。 第四点。
宮沢企画庁長官
は、
企画庁
の
物価問題懇談会
において、今後の
物価対策
の一環として、
欧米
で行なっている
所得政策
を検討されたいということを要望したとのことであります。あるいは他の
委員会
で
所得政策
を主張しております。これはOECDの
経済政策委員会
の
報告
にあらわれておりますいわゆる
ガイド
・
ライン政策
、すなわち
生産性向上
以内に
賃金
を押えるという、そういう
政策
を意味すると思いますが、どうでございますか。そうだといたしますと、
政府
は今後の
物価対策
として
賃金
を規制するということを示唆しているのではございませんか。この
ガイド
・
ライン政策
の根拠は、
コスト
・
インフレ論
、
賃金インフレ論
に基づいておるのであります。
欧米
と全く事情の異なる
わが国
にこれを適用することは間違いであると思いませんですか、この点、伺っておきたい。 さらに、
ガイド
・
ライン
及び
わが国
の
コスト
・
インフレ
、
賃金インフレ論
に対しましては、
労働大臣
はどうお考えか、
労働大臣
の
見解
をこの際伺っておきたいのであります。 第五点。
物価
問題に対する以上の
見解
に基づきまして、
日本社会党
は
最小限度次
の六点の
物価対策
を
政府
に強く要求いたしますが、
首相
、
企画庁長官
、
大蔵大臣
、
公取委員長
の
見解
を伺いたいのであります。 その第一は、今日まで
国民
の
生活
を圧迫してまいりました大幅な
物価騰貴
に対しまして、その
犠牲
を償うために、
所得税
、
地方税
、
間接税
などの
減免税
、
最低賃金制
の確立、
生活保護基準
の
引き上げ
、
国民年金
、
厚生年金等
の
社会保険
、
退職金
、
生命保険
などの価値が実質的に低下することを防ぐため、すみやかに
物価スライド制
を採用すること。 第二、
独占的商品価格
の引き下げのために、独禁法の完全な運用と、
公正取引委員会
の機能の強化、
独占
的大
企業
による
管理価格
に対し、民主的な
監視機関
を設けること。 第三、
公共料金
を
国民大衆本位
に改変するとともに、
公共料金審議会
の設置、
公共企業体
の
経営委員会
の
刷新強化
をはかるとともに、
料金引き上げ
を押えるために、必要ある場合は、
公共料金
に対しまして、
税制
、
財政
上の考慮を払うこと。 第四、農産物、
中小零細企業製品
、対
個人サービス業価格
などの安定のため、かかる分野の
経営基盤
の安定と
発展
を前提といたしまして、
供給力
の
増大
を主眼とする
財政
、
税制
、
金融措置
をとり、
流通機構
の改善につきましては、公営諸
設備
の拡充をはかること。 第五、
財政
、
金融面
で大
資本
の圧力に屈した
インフレ
的な
成長政策
を改めまして、これまで要求いたしました
物価安定策
の有効な裏づけとしての
財政
、
税制
、
金融政策
の確立と、その実行を期すること。 第六、
政府
はすみやかに安定すべき
物価水準
を明らかにすべきであること。
池田総理
は
所信表明
で、一、二年のうちに
物価
を安定させるといいますけれども、それまではどの程度の水準に
物価
を押えるのでございますか。この
物価水準
を明らかにしないでは
物価対策
のめどが立たないからであります。 以上の要求の中には、すでに
政府
がこれまで作文として発表し、また今度の選挙を控えて
公約
したものも含まれております。しかし、今日の
物価対策
は、その方向なり目標はすでに明白になっているのでございますから、論議の段階ではなく、それを実行するかどうかということが問題なのであります。したがって、私は、以上要求しました
対策
を
政府
がすみやかに実行する意思があるのかどうか、意思があるならばどういう段取りで実施するかを、具体的に答えていただきたいのであります。 次に、税金問題について
質問
いたします。
池田首相
は、平年度、中央、地方を通じ二千億近い減税を
公約
いたしました。大幅減税は賛成であり、けっこうであります。しかし、それには
条件
があるわけでございまして、この
条件
が満たされなくては、名目は減税でありましても、実質は増税になってしまうのであります。したがって、その
条件
について伺いたい。 第一の
条件
は、
物価
が上がらないということなのです。
物価
が上がれば減税しても実質的には増税になることは、三十八年度の減税の例によって明白であります。三十八年度の
所得税
の減税につきましては、
税制
調査会が、
物価騰貴
を五・三%と見て、四控除につき一万円ずつ四万円
引き上げ
て三百九十二億円減税せよと答申しました。しかし、それでも
物価騰貴
による実質増税は全部これを調整できないという答申なのであります。その後、
物価
は五・三%以上上がっているのでございますから、
税制
調査会が当時予想したよりも、実質増税は、はるかに大きいわけであります。にもかかわらず、
政府
は、基礎控除について一万円、その他三控除については五千円ずつしか上げない。それで、
税制
調査会の三百九十二億の減税に対して、二百七十五億しか減税しないのであります。その差額は実質増税であります。しかも、
物価
は
税制
調査会の予想したよりもはるかに上がっているのでございますから、実質増税は一そう大きくなってしまうはずでございます。このため、大蔵省が
税制
調査会に提出しました資料によりますれば、
昭和
三十八年度に減税をしたにもかかわらず、
国民
栄養研究所の栄養調査を基礎にして行なった五人世帯の最低
生活
費は約四十六万円です。これに対して、減税した結果としての最低課税限四十二万円じゃありませんか。最低
生活
費に税金がかかっているのです。これは
物価騰貴
に対する税金調整が不足しているからそういうことになるのであります。その結果、
所得税
の納税者は当初見込みの千七百六十二万人が千八百七十万人に三十八年度はふえる。約百万人も激増するということになる。これまでの
池田内閣
の減税は、
インフレ
によって名目
所得
をふやし、それによって自然増収をふやし、その一部を減税に向けるという、これは巧みな増税、大衆収奪
政策
なのであります。(
拍手
)
物価
が上がれば、二千億減税いたしましても、実質的には増税になり得るのでございます。それであるからこそ、毎年自然増収がふえるのであります。それを大
企業
、大
資本
の
企業
減税や利子、配当の減税や、大
企業
の
高度成長
のための歳出に充てているのでございまして、まさに大
資本本位
の
税制
財政
政策
と言わざるを得ないのであります。 こうして見ますと、来年の
物価
をどう見るかを明らかにしないで減税額だけを発表いたしましても意味がないのであります。また、だまされるわけであります。したがって、
池田首相
は二千億円の減税を
公約
した以上、その場合の
物価
がどうなるかということを明らかにする
責任
があると思いますが、いかがでございましょうか。 第二の
条件
は、徴税強化が行なわれないということであります。大幅減税を
公約
しまして、あとで財源が足らなくなったというときに徴税強化をいたしましたならば、全くこれは意味をなさない。この点についてはどうでしょう。 第三の
条件
は、固定資産税が上がらないということであります。来年一月一日実施しようという固定資産の評価がえは目下どうなっておりますか。自治大臣に伺いたい。地方の住民は、固定資産の評価がえによって、大
企業
の償却資産に対する固定資産税は減税になるけれども、農民とか中小業者、一般住民の土地家屋の固定資産税は著しく増税をされると心配をしているのであります。
国民
は重大な関心を持っております。したがって、この固定資産評価がえの準備の進行状況、修正率、固定資産税率はどうなるか等について、早川自治大臣にお伺いいたしたいのであります。 以上、三年間にわたる
池田内閣
の
経済政策
に対する総決算的
質問
といたしましては、時間が足りませんので、はなはだ不十分で意を尽くしませんでしたが、衆議院の解散を控えまして、
池田内閣
の
経済政策
によりまして甚大な被害を受けました労働者、農民、中小業者、インテリ、サラリーマン等は……
重宗雄三
4
○議長(重
宗雄三
君) 時間が参りました。簡単に願います。
木村禧八郎
5
○
木村禧八郎
君(続)
総理大臣
の、あるいは
関係
閣僚の答弁に対しまして、重大な関心を持っておりますので、これまでの私の
質問
に対しまして、
責任
と誠意のある御答弁を要求いたしまして、一応私の
質問
を終わる次第でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
池田
勇人君登壇、
拍手
〕
池田勇人
6
○
国務大臣
(
池田
勇人君) お答えをいたします。 御
質問
の第一点の
国会
解散問題でございますが、昨日衆議院でお答え申し上げたとおり、
国会
の
審議
の状況によりまして、内閣の
責任
において、適当な時期に解散いたしたいと思います。 次に、私の内閣に対する
国民
の支持の問題でございます。いろいろ統計はございましょうが、いずれはわかることでございましょう。それが答えになると思います。 また
経済政策
で、長い目で見てくれと言ったが、三年間は相当長いから、これで結論を出そうとおっしゃるが、木村さん御存じのとおりに、私は十数年前、十四年前から、
財政
経済
の衝に、国
会議
員として、あるいは内閣の一員としてやっております。長い目で見て下さい。
昭和
二十四年以来の日本の
財政
経済
、
物価
政策
は誤りであったかどうか、あなたと十数年議論してまいりましたが、結果はどうなっておりますか。私がこの十年間の倍増計画で申し上げておりますごとく、七%程度の
上昇
で十年間に倍になるのであります。しかし、当初の三年間は九%程度でいこうと
国会
でも言っております。その九%というのが、
昭和
三十五、三十六と、一四、五%上がったことは、これは自由主義
経済
の結果でございます。これを、九%の見込みよりも違ったから、
うそ
つきだと言うことは、自由主義
経済
のもとにおいての実情をお
考え
にならぬからであります。かの直接統制をやっておりまするソ連、中共におきまして、ああいう
経済
体制、共産主義の
経済
体制におきまして、予定どおりいった例がございますか。それを、毛沢東、フルシチョフは、
うそ
つきだと、あなたおっしゃるでしょうか。そういうものではございません、
経済
というものは。(
拍手
)どうぞ長い目でごらん下さい。そうして、倍増計画は十年間の計画でございます。一応の見取り図でございます。それは早くいく場合もありましょう。あるいは初めのスタートが非常に急ピッチで、途中はゆるいピッチになり、おしまいが適当なピッチになる、いろいろな行き方がありましょうが、十年の倍増計画につきましては、私が先ほど申し上げましたごとく非常な急ピッチで進んだために、ある程度、四十五年までを待たずに、今までの状況を
考え
ると、いきそうだというのであります。 したがって、第二ランウドということをおっしゃいますが、これはものの
言い方
でございましよう。ものの
言い方
でございましょうが、私が、十年たった後には農民は半分以下になりますぞと言ったときには、あなた方どうおっしゃいました。農民の首切りだと。今はそれはないでしょう。私はそうなることは当然——だから、
中小企業
にいたしましても、
農業
基本法と同時に、
所得倍増計画
におきましては、これを早く制定して、そうして実行に移さなければならぬということは、初めからの私の計画でございます。私が先ほど申し上げましたごとく、大
企業
のほうはどんどん進んでおりましたが、
中小企業
、
農業
には、その
生産性向上
のために、
近代化
、革新をやらなければいかぬ。これは前からの
考え方
であります。(
拍手
)これはずっとあなた御存じのとおりだと思う。ただそこで、ほっておきますと、また主として大
企業
のほうにいくから、私は、
政府
としては特に
農業
、
中小企業
のほうにいきたいと言っておるのであります。いまお話に、大
所得者
は横ばいだと、そんなことは衆議院では言っておりません。どうぞもう一ぺん見てもらいたいと思います。 また、
物価
に対する基本問題。はっきり申し上げます。
物価
に
卸売り物価
と
消費者物価
がございます。しかも、
消費者物価
というものは十年くらい前まではほとんど問題にしていなかった。五、六年前から
消費者物価
というものが問題になった。だから、
卸売り物価
と小売り
物価
というものがあったのであります。そこで、
卸売り物価
は世界の各国は相当上がっておりまするが、幸いに日本の
卸売り物価
は上がっておりません。それは、最近一%程度上がっておりまするが、取りようによっては、
昭和
二十七年を基準にいたしますと、
企画庁
の
調査
では、
昭和
二十七年を一〇〇にいたしまして、九三、四といっておるじゃありませんか。
日本銀行
は、前のデータで、前の
調査
資料をもとにして、古い時代、十四、五年前の分を基準にしても、一〇一、二%で横ばい。
企画庁
の
調査
となぜ違うかといったら、
日本銀行
の
調査
には自動車は輸入品だけです。ニッサンとかトヨタというようなものはありません。そうして、スフとか綿布のようなものでございます。ナイロンとかテトロンのようなものはなかった。そういうものを入れますと、十四・五年前に比べまして、相当下がっております、
卸売り物価
は。しこうして、小売り
物価
の上がり方は、今の
消費者物価
のように上がっておりません。それは、小売り
物価
と
消費者物価
がなぜ上がるかといったならば、
消費者物価
には、雑費、すなわち、教育費とか、いろんなものが入っております。サービス料が入っております。したがって、昔は小売り
物価
だけを言ったのでございますが、
消費者物価
ではサービスの部門が非常に重大になってきております、文化
生活
には。それがどんどん上がってくるから
消費者物価
が上がり、
卸売り物価
よりも上がってくる状況になってくるのであります。そこで、問題は、
卸売り物価
は上がりませんから、
国際収支
から申しますると、日本の一般の基本的
経済
につきましては、外国の信用を確保しております。それは、
卸売り物価
が上がらずに、そうして為替相場が安定しておりまするから、国際的には非常に有利な地位になっております。日本の輸出がほかの国の伸び方よりも倍以上伸びるということは、
卸売り物価
が安定しているからでございます。しこうして、
近代化
国家になりますると、
消費者物価
というものにサービス料がどんどん重い部分を占めてきます。すなわち、人間の労働力の
上昇
でございます。労働力の価値の
上昇
でございます。しかも、また、組織労働者の方々は、スケジュール闘争によって、どんどん月給を上げておられるでしょう。スケジュール闘争によって、どんどん月給を上げておられるでしょう。農民や
中小企業
に携わっておる労務者の方々、また、自由職業の方は、ストもできません。中には、ふろ屋もストをやるという計画もございましたが……。こういう人の
所得
を、われわれ
池田内閣
としては
考え
なきゃならぬ。しかも、片一方において、どんどん
所得
が上がってきまして、需要構造が
変化
してきております。その需要構造の
変化
に対して、農産物、ことに野菜の供給が足りません。そのときに、増産のために、野菜がある程度上がってくることは、
経済
の勢いじゃありますまいか。また、
中小企業
の
所得
が上がり、そこに従事しておられる労務者の
賃金
が上がることは、これも自然の勢いじゃございますまいか。植木屋さん、左官屋さん、石屋さん、床屋さん等々も、やはり
考え
なきゃなりますまい。理髪賃が非常に上がったということは好ましいことではございませんが、しかし、理髪業者の
生活
の安全のためにはある程度認めていくということは、自由主義
経済
の原則ではございますまいか。そこで問題は——私はこれを言っておるのであります。しかし、
経済
学者に限らず、だれでも、ことに
政治
家は激変は好みません。
卸売り物価
のごとく安定することを極力望みまするが、今のような事情から、日本の国が
近代化
国家にいく場合において、だんだんおくれた方々の
生活
をよくするために、ある程度の
値上がり
はやむを得ないという
考え方
は、私は捨てておりません。ただ問題は、上がり方が急激であると
国民生活
に
影響
を及ぼしますので、昨年、一昨年来、これに対しまして十分の努力を尽くしておりまするが、なかなか思うようにいかないことは事実でございます。そこで私は、こういう問題に対しましての、いわゆる
上昇
の
原因
がいずれにありや、それは、いわゆる
農業
の
近代化
、生産
拡大
、生産増強、これが必要である。また
中小企業
の
近代化
、革新が必要であり、サービス料につきましても、
流通機構
の改善等、あらゆる
措置
を画期的な
方法
でとっていこうというのが、私の
物価対策
でございまして、
物価
が上がることはあたりまえだとは決して
考え
てはいない、当然な
物価
の上がり方は、近代国家に向かう段階として、極力押えつつ安定をはかるということが、私の
経済政策
であるのであります。(
拍手
) なお、
物価騰貴
の
影響
等につきましては、所管大臣から申し上げますが、貨幣価値の問題につきまして変な議論をしておられましたが、まず貨幣価値というもので一番
考え
なければならぬものは為替相場でございまして、そうして、また、適正な、適当な
物価
の上がりによる分は、これはネグレクトする。ただ
インフレ
になるということは絶対に避けなければならぬ。そこで指標は、為替相場の
変動
に一番目をつけることが必要であるのであります。 なお、今後の
物価対策
につきまして六点を申し述べられました。このうちお話のとおりに、
政府
として大体やっておるものも多うございます。第一の
賃金
のスライド制、これは私は
考え
なくても、やはり今の
賃金
の状況は適正な
方法
でいっておると思います。ただスケジュール闘争を是認するわけではございません。労使話し合いでいくということは適正なことだと思います。 なお、最後の点の
物価
の見通しについて、
卸売り物価
につきましては、最近相当生産が伸びております。私の予想以上に、上期から下期にかけて鉱工業生産が伸びておりますから、ある程度の
卸売り物価
は、一%そこらは上がるかもわかりません。しこうして、
消費者物価
の点につきますと、今年の三月からの
消費者物価
の上がりようは、昨年のそれよりも上がり方の程度が落ちております。そして幸いに台風もございませんし、一番の問題の
生鮮食料品
、ことに野菜は今後下がってくると見ております。したがって、去年は六。何%、おととしも六%くらい上がりましたが、三十八年度の
上昇
は去年よりも落ちると確信しております。そして、三十九年度におきましては、それがまた落ちてきまして、大体、
生産性
の
上昇
、
国民
総生産の
上昇
の二%か三%程度に
消費者物価
を押えたい、そういう施策を、あらゆる
財政
経済
措置
を動員いたしましてやっていく
考え
でございます。したがいまして、
所信表明
で申し上げましたごとく、
消費者物価
は大体一年々々、一両年くらいで落ちつくことをお約束いたします。しこうして、落ちつくということは、絶対に
消費者物価
が上がらぬというのではございません。やはり
国民
所得
の伸び方によりまして、その伸びの四分の一とか三分の一程度に、
所得
が伸びる三分の一か四分の一程度の
消費者物価
の上がり方は、近代国家に向かっていく、そうして
所得格差
を地域的にも業種別にもなくするために、必然通らなければならぬ関門でございます。その関門をできるだけ通りやすくしようというのが私の
物価
政策
でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
宮澤喜一君登壇、
拍手
〕
宮澤喜一
7
○
国務大臣
(宮澤喜一君)
所得倍増計画
と実績との
関係
についてまず申し上げます。 一人当たりの実質の消費支出、これは名目ではございません、実質の消費支出について申し上げますと、
昭和
三十六年度に八%、三十七年度に八%でございますから、おのおの計画の六・七%を上回っております。これは実質について申し上げました。また、可処分
所得
につきましても、
昭和
三十六年度は九・六%、三十七年度は六・六%の増でございます。それらは
平均
の
数字
であろうというお尋ねでございましたが、まさしくさようでございます。そこで、念のために
生活保護基準
についてみますと、五年間に保護基準は五七・五%上がっております。その間に
消費者物価
は二六・六%上がっております。なお
社会
投資につきましては、環境衛生については、三十六年度から三十八年度まで大体計画を名目で四〇%ぐらい、実質で二割ぐらい上回っております。それから厚生福祉施設についても、計画を名目で三割、実質で一割五分ぐらい上回っております。したがって、これらのことについては、
所得倍増計画
の実績は、いずれも計画を上回りつつあると申し上げてよろしいと思います。 次に
格差
の問題についてお話がございましたので、これを幾つかの角度から検討をいたしてお答えを申し上げたいと思いますが、まず
企業
の規模によるところの
賃金
格差
が広がったか縮まったかということでございます。かりに五百人以上雇用しております
企業
を一〇〇といたしますと、
昭和
三十四年には三十人未満の
企業
の雇用者の
賃金
は四四・三でありました。それが三十七年には、大きいほうを一〇〇といたしまして、一番小さいところで五七になっております。四四・三から五七%へ
格差
が縮まっておるわけであります。それから本年の上半期におきましては、さらにそれが六〇・七まで縮まっておる、こういう実情でございます。ちなみに、
所得倍増計画
ではどう
考え
ておったかと申しますと、
昭和
四十五年度にこの
格差
が五五%になると
考え
ておったわけでございますから、すでに昨年でその目標を突破しておるということであります。このことは
格差
の縮小が非常に早いということを意味しておりますが、同時に、ここからやはり雇用が非常に苦しくなっておる、あるいは
物価
に毛
影響
がある。
中小企業
の
設備
の
近代化
が、倍増計画で
考え
ておったよりは、より早く必要であるということを意味しておるように思うわけでございます。 次にもう一つ、次の観点から五分位階層の
所得
指数がどうなっておるかということでありますが、現在一番低いところの第一階層は、
昭和
三十四年を一〇〇といたしまして、現在一四一・五になっておるわけでありますが、一番高いところは一三六・七であります。で、階層が高いほど伸びが少ない。第一階層のごときは、昨年度一八%も伸びておるわけでございますが、一番上の階層は九%でございます。したがって、そこから見ましても、
勤労者
世帯の現金収入、これはやはり年ごとに
格差
が縮まりつつあるということを申し上げてよろしいと思います。なお、五分位階層について、階層ごとに
消費者物価
の指数が、下のほうが上がりの大きいものが多いのではないかとおっしゃったように思いますが、これはともに、三十四年を一〇〇といたしまして、三十七年に一一七でありますから、そういう事実はないように思います。 それから農家
所得
と
勤労者
世帯、この収入についても、同じく
格差
の問題を検討いたしますと、農家
所得
は、三十四年度を一〇〇といたしまして、三十七年度に一四〇・九でございます。
勤労者
世帯は二二八・四でございますから、
格差
は八三から八四・六に縮まりつつある、こう申し上げてよろしいと思います。 それから、金融につきまして、
消費者物価
の
値上がり
に
金融面
の要因はないかということで、フィッシャーの方式をおあげになったわけでございますが、それはやはり、貨幣の流通速度と貨幣の量との相乗積が、
物価水準
と取引量の相乗積に等しいということは、これは
成長
経済
では取引量が毎年非常にふえていくわけでありますから、そういう方式からあまり学ぶことがないのではなかろうか。
金融面
には、簡潔に申せば、たいした
消費者物価
引き上げ
の誘因がないというふうに、本来的には
考え
ておるわけであります。 それから、倍増計画はどういう
達成
のされ方をするかというお話でございましたが、ただいまの実績から
考え
ますと、
昭和
四十五年度に倍増計画を
達成
いたしますためには、年率で大体五・八%程度の
成長
があれば可能であります。なお、倍増計画で
考え
ております七・二%の
成長
があると仮定をいたしますと、目標は
昭和
四十四年度に入りましたほとんどすぐのところで
達成
をいたすはずであります。
所得政策
につきましては、私どもが申しますことは、
生産性
の
向上
の配分を、
賃金
なり、あるいは
企業
の留保、配当なり、及び
消費者
に対する
価格
の引き下げの形で、
国民経済
全体が均てんをしたいということを
考え
ておるのでありますが、それだけの思想がまだ国内に十分熟しておりませんし、労使間にそれだけの
信頼
関係
もございません。したがって、すぐにそういうことが行なわれるとは
考え
ておりませんし、もとよりペイ・ポーズを
考え
ておるわけではございませんが、
長期
的にはそういう
考え方
を
国民
に持っていただくことが望ましい、こう
考え
ておるわけであります。(
拍手
) 〔
国務大臣
田中角榮君登壇、
拍手
〕
田中角榮
8
○
国務大臣
(田中角榮君) まず、二千億減税につきまして、一般と
企業
減税とのどちらに重点を置くかというような御趣旨の御
質問
がございました。御承知のとおり、
総理
の所信に関する
演説
でも申し上げましたが、平年度二千億に近い減税を今
考え
ておるのでございます。一般と
企業
のいずれに重点を置くかという問題につきましては、税負担の軽減ということが問題でありますので、両税のバランスを十分
考え
、
調査
会の答申を待ちながらやって参りたい、このように
考え
ておるわけでございます。来年度における減税の特に主点といたしましては、
国民
負担の軽減及び地域間における負担の不
均衡
の是正ということに重点を置いておりますので、
所得税
、住民税、電気ガス税等の減税を行なう、こういうことを
考え
ておるわけであります。なお、
企業
減税につきましては、開放
経済
への移行を前にいたしているのでありまして、
わが国
企業
の国際競争力培養のために、
企業
減税を実施いたしたいという観点に立っておるわけでございます。 第二点の減税と
物価
の問題でありますが、御承知のとおり、
物価
の増によりまして、減税が相殺されて、むしろ増税になっておるというようなお
考え
は、事実と違うと存じます。
政府
は過去におきまして、御承知のとおり一兆千五百億にわたる大幅減税を行なったわけでございますが、その九〇%は
所得税
減税を行なっておるのでありまして、どう
考え
ましても、
物価
よりも減税幅が非常に大きいということは
認識
いただけると存じます。 それからなお、来年度におきましての
所得税
課税
最低
限度の
引き上げ
、また、
所得税
の負担の軽減を行なうということを今検討をいたしておるわけであります。 それから減税と徴税
強化
の問題についてお触れになったわけでありますが、
政府
は従来とも徴税に対しては適正厳正の
態度
を持しておりまして、徴税
強化
を行なうというような
考え
は毛頭ありません。ただ、御承知のとおり一部に反税闘争というようなものを
目的
にした団体等がつくられておりますが、それらのものについては断固たる処置をとってまいるという
考え方
でございます。 それから固定資産税の減免について具体的なことを示せということでございますが、自治省
関係
の問題に対しては自治大臣からお答えすると存じますので、私が
財政
演説
の中で述べました住宅に関する問題について簡単に申し上げます。 御承知のとおり、住宅は、
政府
及び地方公共団体が努力をいたしておりますが、しかし、民間の住宅建設に対する熱意をより促進することも重要でありますので、来年度につきましては、土地
価格
を抑制し、特に都市の改造をはかり、高層不燃化を進めるというような見地に立ちまして、不動産取得税及び固定資産税の減免を検討いたしておるわけでありまして、
調査
会の答申を待って画期的な
税制
を作ってまいりたい、このように
考え
ておるわけでございます。これは、戦後西ドイツが、また戦後イタリーが労務者住宅を大量に作った場合、このような減税の
措置
を勇敢に行なったために、民間資金が大きく導入せられたという例に徴しましても、これらの
措置
を
考え
ておるわけであります。 それから、
国際収支
の見通しについての御
質問
でございましたが、本年度は、御承知のとおり、輸出は五十四億五千万ドル、それから輸入は、砂糖の
価格
が高騰いたしましたことや、小麦の不作、凶作によりまして緊急な輸入等がございまして、一時的な要因ではございますが、輸入総額五十五億五千万ドルと見込んでおるわけであります。その意味で、貿易収支におきましては、おおむね一億ドルの赤字が出ておるわけでございますが、これらの問題につきましても、
政府
発表のとおり、おおむね
均衡
をとってまいれると
考え
ております。 それから、
物価
等の問題でございますが、
物価
に対しましては、
総理大臣
がお答えを申し上げたとおりでありまして、
物価
の抑制という問題に対しては、
財政
上また
税制
上十分な配慮をいたしてまいりたい、このように
考え
ます。 最後に一点申し上げておきたいことは、
企業
減税と
所得税
減税につきましてのお話がございましたが、私たちが
考え
ておりますのは、日本の
産業
資本
蓄積及び貯蓄に対して
税制
上優遇することは、一般の
所得税
の減税と相反しないという
考え
を持っておるのであります。それは、
所得税
減税はもちろん重要でありますので、過去も現在も将来も、
政府
は重点的に
考え
てまいりますが、しかし、
企業
減税や
資本
蓄積その他につきまして
政府
が
考え
ておりますことは、開放
経済
に向かって自己
資本
が非常に少なく、これからの日本の
産業
に国際競争力をつけなければ、われわれの収入源である
産業
自体が国際競争に勝てないということがあっては困りますので、
所得税
減税にあわせて、
企業
の体質改善、
近代化
、国際競争力培養のために、各般の
措置
をとることは、これは当然のことだと
考え
ておるのであります。(
拍手
)
重宗雄三
9
○議長(重
宗雄三
君) 内閣
総理大臣
から答弁の補足があります。 〔
国務大臣
池田
勇人君登壇、
拍手
〕
池田勇人
10
○
国務大臣
(
池田
勇人君) 一応私がお答え申し上げましたあとは、所管大臣から、ことに税金は非常に大切な問題で、
大蔵大臣
が取り組んでおりますから、
大蔵大臣
がお答えしたほうがいいと思っておったのでございますが、たっての御要求でございますから申し上げます。 ただいま
大蔵大臣
が申しましたごとく、過去十三年ばかり、
昭和
二十四年の暮れから一兆一千五百億円の減税を平年度にいたしております。しこうしてその内訳は
所得税
が
中心
でございます。税金を軽くする——減税ということは、
財政
経済
全般を見て
考え
るべきものでございます。お話のように、
物価
、ことに
消費者物価
がこれだけ上がったから、減税をこれだけしようというような、狭い
考え方
で減税はすべきものではございません。やはり
社会
保障とか、あるいは
社会
資本
とか、あるいは文教とか、いろいろ
財政
支出面もございますから、
物価
高ということは、ある程度の要素になるかもしれませんけれども、それによって減税の額をどうこうという施策は、
池田内閣
はとらないということを、はっきり申し上げておきます。(
拍手
) 〔
国務大臣
大橋武夫君登壇、
拍手
〕
大橋武夫
11
○
国務大臣
(大橋武夫君) 最近におきまする
賃金
上昇
の内容を分析いたしてみますると、従来わりあいに
賃金
が低かった
中小企業
、サービス業などにおきまする
賃金
が目立って
上昇
を示しておるのであります。これは、
経済
成長
に伴う需要に見合う労働力の確保のためには、避けることのできない結果でございまして、また、
賃金
格差
の縮小という観点から見ましても、望ましい方向に進んでいるものと
考え
ておるのでございます。これに伴いまして、この種の生産部門の製品
価格
またはサービス料金がある程度
上昇
し、
価格
体系にして若干の
変動
を生ずることがありましても、ある程度やむを得ないのでありますが、しかし、
政府
といたしましては、
財政
金融政策
の健全なる運用に意を用いまするとともに、中高年齢層を
中心
といたしまして、労働力の流動化を極力推進いたしまするほか、特に
農業
、
中小企業
、サービス業におきまする
近代化
を積極的に進めることによりまして、
経済
の
成長
力を維持しつつ、
消費者物価
の安定を実現してまいりたい、かような所存でございます。したがいまして、現在の
賃金
水準
の
上昇
から直ちに
コスト
・
インフレ
のごとき事態を生ずるおそれは絶対にあり得ないと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
早川崇君登壇、
拍手
〕
早川崇
12
○
国務大臣
(早川崇君) お答えいたします。 固定資産の再評価と税の問題でございますが、私は、固定資産の再評価ということと、どれだけ固定資産税を取るかということは、別個の問題に
考え
ております。したがって、私といたしましては、再評価の結果、全体として固定資産税を増税いたさないつもりであります。特に農地につきましては、現在より増税する
意思
はありません。償却資産、また住宅、宅地等の問題の
アンバランス
を若干調整することはありまするが、いずれにいたしましても、固定資産税全体としては増税をいたさない
考え
でおります。御安心を願います。(
拍手
) 〔
政府
委員渡辺喜久造君登壇、拍 手〕
渡辺喜久造
13
○
政府
委員(渡辺喜久造君) お答えいたします。
公正取引委員会
といたしましては、
物価
問題がきわめて重要な問題であるという
認識
に立ちまして、その使命の重大であることを痛感しております。一部の物資に見られます
独占価格
、
管理価格
が
卸売り物価
の引き下げを阻止しているということは
考え
られますが、具体的にどれがどうなっているか、その
原因
がどこにあるかについては、目下検討中であります。今後この方面について大いに力を入れてまいりたいと思っております。この場合に問題として
考え
られますのは、
政府
の勧告操短でありますが、勧告操短は、非常事態に対処してやむを得ざる
措置
であると思っております。したがって、非常事態が解消しますれば、当然廃止さるべきものであると
考え
ております。今後ともその方向で検討してまいりたいと思っております。 また、
流通機構
の合理化、
農業
、
中小企業
の
近代化
と並行して、
自由競争
による合理化、
コスト
引き下げを促進してメーカー
価格
を引き下げることが、今後の
物価
安定の大きな支柱だと思っています。
公正取引委員会
は、その使命の重大さにかんがみまして、法の
強化
をはかるとともに、その機能を遺憾なく発揮するよう、今後も大いに努力していきたいと思っております。(
拍手
) —————————————
重宗雄三
14
○議長(重
宗雄三
君) 杉原荒太君。 〔杉原荒太君登壇、
拍手
〕
杉原荒太
15
○杉原荒太君 自由民主党を代表して、主として外交問題に関し、
池田内閣
総理大臣
の御所信をただしたいと思います。 去る八月、米英ソ三国間に核実験停止協定の成立を見ました。まず第一に、この核停条約成立後の国際情勢の判断についてお尋ねいたします。私のお尋ねしたい
質問
の焦点を明らかにするため、米ソの持っておる核兵器の破壊力とその将来の予想に関し、あらかじめ簡単に触れておきたいと思います。 ケネディ氏は、約四年前、一九五九年十二月十一日付の手記の中で、当時すでに「、アメリカの持っている破壊力の総計は、敵を二十五回以上も全滅させるに十分なほどである。敵はわれわれを十回も全滅させる破壊力を持っている。双方合わせると全人類を七回壊滅させ得る破壊力である。現在飛んでいるB52一機に搭載され得る核兵器は、人類の歴史上起こった、今まで全部の戦争に使われた爆発力よりも、もっと大きな破壊力を持っている」と言っております。また、ケネディ大統領は、本年八月二十日の記者会見で、「これから新たな実験を行なわなくとも、現在すでにわれわれは、一時間に三億の人々を殺す破壊力を持っている」と述べております。一方、軍事専門家として有名なハーマン・カーン氏は、米ソ両国の軍事技術の
発展
を分析した結果、一九五一年以来、約五年おきに、軍事技術の革命的
変化
を経験しつつあるとして、一九五一年、五六年、六一年の、各軍事技術
水準
を示す新兵器体系の
変化
を明らかにし、一九六〇年代の中期の技術
水準
から予測される新兵器体系の驚くべき
発展
を予見し、さらに、一九六〇年代の後期と、一九七〇年代の初期の可能性を予想しております。 〔議長退席、副議長着席〕 米ソの核兵器の威力を
中心
とする戦略
関係
は、両国の政略面に直接大きな
関係
を持つに違いありません。このことは、あの深刻なキューバ事件のてんまつに端的に表現されております。また、核停条約の成立それ自体がこれを証明しております。米ソ
関係
を
中心
とする、きびしい国際
現象
の観察にあたりまして、われわれは、米ソの保有する核兵器の威力を
中心
として、それが両国の政略の面にどのようなあらわれ方をしてくるか、また、それが一般国際情勢にどのような波紋を起こしてくるかの点を注視せざるを得ません。いずれにいたしましても、米ソ
関係
を
中心
とする今後の国際情勢を判断するにあたっては、その根拠となるべき幾多の
政治
的、軍事的、
経済
的要因のうち、米ソの現有する核兵器の威力と、今後の予測とを除外しては、
考え
るわけに参りません。以上のことを念頭に置いて
質問
を進めてまいります。
総理大臣
は、今後の国際情勢の判断に関し、
所信表明
の中で、「今後の国際
関係
は、依然、東西間の力の
均衡
を背景としつつ、
経済
力の
発展
拡充と
経済
援助の競争に、より大きな重点が置かれていくものと予想される」と申しておられます。
総理
の言わんとしておられる御趣旨は、ほぼ推察し得るのでありますけれども、その趣旨を、さらに、はっきりさしていただきたい点があるのであります。その趣旨の中には、核停条約の成立にかかわらず、米ソのすでに保有する驚くべき核兵器の破壊力と、その将来の
発展
の予測と、これが政略面に及ぼす
影響
だけの角度から見ても、世界の平和と安全の問題が、国際
政治
上、今後ますます重視されるに至る情勢にあるとの判断が含まれておるかどうか。また、米ソ
関係
の直接の
影響
を離れて見ましても、核停条約の拘束を受けない中共の今後の動向や、朝鮮半島の形勢、ベトナム情勢等の中にはらんでいる幾多の
矛盾
、危険性と不安定の要素から判断すると、平和と安全の問題が、今後極東方面において特に重視さるべき情勢にあると見ておられるかどうか、まず、この二点を確かめておきたいのであります。 以上の情勢判断の見方いかんは、それと見合って、今後とるべき方策の課題を示すものであります。そこに平和と繁栄を目標とする
わが国
外交にとって、各種の
政策
問題が出てくるわけであります。しかし私は、ここには問題の範囲を、安保体制の問題一つだけにしぼって
質問
いたします。
総理
は、
所信表明
の中で、今日まで米国との安全保障条約によって、
わが国
の安全と繁栄を確保することを、外交
政策
の基本としてきたこと、及び安全保障条約が今日まで果してきた役割りを述べておられます。今日までの実情、実績は、まさしく
総理
の指摘しておられるとおりであります。しかるに、国内には、安保体制の打破の主張を、最近もまた確認して、
国民
に呼びかけている向きがあります。世界の情勢、極東の情勢から見まして、安保体制の存否いかんは、日本の国運を左右すると申しても差しつかえない重大問題だと信じます。かくのごとき重大問題に対する公党の
態度
は、存否いずれの方針をとるにしても、
国民
に対し大きな
責任
を伴うものであります。安保条約はあと約七年で第一次の期限が到来することになっております。その間における安保体制に対する
国民
世論
の動向いかんは、今後
わが国
政治
外交の方向を定める決定要因としてきわめて大事であります。かるがゆえに、私は、特にこの際、安保体制の問題について
総理
の御所信をはっきりとお伺いいたしたいのであります。 第一に、
総理
は、今後の世界情勢及び極東情勢の
長期
判断の上から見て、将来も相当
長期
にわたって安保体制を存続していくことを必要とする情勢にあると見ておられるかどうか。 第二に、安保体制打破論者の主張どおりの
政策
をとったとすれば、その結果はどうなるか、
わが国
の将来にいかなる不利を覚悟しなければならないと見ておられるか。 第三に、安保体制の存続によって
期待
し得る大局上の利益をどう見ておられるか。要するに、安保体制の存続と打破の両論につき、
国民
がいずれかの選択をするにあたって、判断の根拠となるべき要点について、一般
国民
が容易に理解し得られるよう、
政府
の所見を親切かつ明確に示していただきたいのであります。 また国内には、安保体制打破とともに、自衛隊を漸次解体して国土建設隊なるものに改編していくことを主張している向きがあります。国土建設隊なるものは、国営の土建事業団でも作るというのか、私には理解しにくいのでありますが、いずれにいたしましても、このような主張に対し、
政府
はどのような見方をしておられるか。また、安保条約を合法的に廃棄するかわりに、相当の自主的防衛力を作るという論に対する
政府
の
見解
はどうか。さらにまた、この際、自衛隊に対する
総理大臣
としての確固たる御所信を明確にしていただきたいのであります。 次に、今回の
政府
演説
の中には、北方領土問題については言及しておられません。従来のソ連との交渉の経緯から見まして、今日の段階において特に言及しておられない理由はわれわれの理解し得るところであります。しかるに、国内には安保体制の解消と見合って北方領土問題の解決をはかることを主張する向きがあります、鳩山内閣当時、私は、鳩山
首相
の命によって日ソ交渉の方針案を草案いたしました際、わがほうの要求事項を三種類に区分し、その中の絶対条項、すなわち、もしその主張をソ連側がいれない場合には、交渉全体の決裂もやむなしと腹をきめてかかる条項の中に、第一の項目として、日ソ交渉と日米安保条約とは絶対にからませないという条項を入れました。すなわち、日米安保条約については、ソ連側にくちばしを入れることを許さないという建前をとりました。この建前は、当時
政府
の方針として正式に採用され、また事実、貫徹されました。北方領土問題の処理と安保条約との
関係
の取り扱い方は、外交
政策
の立て方の基本に触れる問題であります。この点に関し
政府
はいかなる基本方針をとられるか、お尋ねいたします。 最近、私は、ソ連通と言われている人から、北方領土問題に関し、
日本国民
が署名運動を大々的にやれば、ソ連は耳を傾けるかもしれぬという意見を聞かされました。私は、甘いとの感想を持ちました。本来きびしい現実の国際
関係
の中でも、今日までの歴史が証明しているように、最もきびしい領土問題について、そのようなあさはかな国際感覚でのふらふら外交は、かえって危険だとの感想を持ちました。しかるに、国内にはそのような
考え方
を持つ向きが相当にあるやに聞きますので、この点についての
政府
の
見解
をお尋ねしておきます。
総理
の、西太平洋四カ国訪問については、
所信表明
の中に述べておられますが、遠慮されたのか、機密に属するものがあるためか、お言葉が少ないようであります。 第一に、われわれは、
総理
御自身が、じかに目で見、はだで感ぜられたこれら諸国の指導者及び民衆の、
総理
に対し、また
総理
を通じて示した対日感情のあらわれを、なまのまま生き写しにしたような姿を、率直に、若干の具体的事例で示していただきたいのであります。この点は、今後ますます重視しなければならない、これらの国々に対する
わが国
の外交
政策
を
考え
ていくにあたって、きわめて重要な事柄だからであります。 第二に、マレーシア問題でありますが、マレーシア紛争問題が勃発した当初の激越なあらわれ方から見て、このまま放置しておけば、どんなに悪化していくかと一般に憂慮されておりました。具体的にどう解決するかという問題は第二段として、まず早急に、これ以上悪化の方向に落ち込んでいかないよう何らかの
措置
が講ぜられることが、東南アジアの平和維持上第一に緊要なことでありました。しかるに、より以上悪化の方向に流れていかんとする潮流が、
総理
の訪問と時を同じゅうして、ぴたっと、とまったようであります。何とか話し合いによって平和的に解決をはからなければならぬという方向に潮流が変わったようであります。
総理
は、
所信表明
の中で、マレーシア紛争問題については一言も触れておられません。しかし、私は、コミュニケの中に、抽象的表現ながら、外交的にきわめて含蓄のある一節を見て、
総理
の訪問が、この潮流の急転と
関係
あるものと読んでおるのであります。外交上機微な問題を含んでおりましょうから、あまり立ち入ってはお尋ねいたしませんが、事は東南アジアの平和に関する大きな問題でありますから、私のコミュニケの読み方に誤りがあらば正していただきたいのであります。 最後に、
わが国
の外交
政策
の基本に触れる問題について、多少私見を交えつつお尋ねいたします。 明治以来
わが国
は、大陸
発展
の
政策
をとってきました。この大陸
発展
政策
は、当時においては
国民
多数の支持を得た国策ともいうべきものでありました。
わが国
の外交は、この大陸
発展
の国策を中軸として動いてまいりました。しかるに、敗戦によって、
わが国
は、大陸における
政治
的
経済
的拠点をすっかり失ってしまいました。ここに、
わが国
は、対外国策の方向転換を余儀なくさるるに至りました。しかし、敗戦後の日本は、自主的に新しい対外国策の基本線を打ち出す力もなく、その余裕もありませんでした。さりながら、今日では、今後
わが国
の進むべき外交国策の基本線が打ち立てらるべき時期が到来してきていると言えましょう。新しい時代における世界
政治
、世界
経済
の構造や、動向を見るとき、
わが国
としては、一局部に偏することなく、広く世界全体をにらんで外交を展開していかなければならぬことは申すまでもありません。それと
矛盾
する意味ではなく、いな、むしろそれがための
基盤
をかたくする意味において、平和と繁栄をはかることを基本目標とする
わが国
外交の健全な
基盤
となるものをつくり上げていかなければなりません。
わが国
は、いわば摂理とでも言うべきでしょうか、正真正銘の太平洋国であります。太平洋は戦前と違い、その名の示すとおり、太平洋各地域を結ぶ平和の紐帯とならんとしております。
わが国
とアメリカ、カナダとの
関係
においては、太平洋はすでに平和のハイウエーと化してきております。このたび
総理
が訪問された国々を含め、西太平洋の国々との
関係
も、戦前のとげとげしい
関係
を解消してきております。
わが国
は今後これら太平洋諸地域の国々との提携を特に密にして、お互いに平和と繁栄をはかり、世界の進運に寄与することこそ使命とも申すべきではないでしょうか。かつて地政学者として有名なハウスホーファーは、太平洋地域の地政学的諸
条件
を研究した結果、将来いつの日かパン・パシフィック・ユニオンの形成を見るに至るであろうと予言しました。また最近では、太平洋共同体あるいは太平洋
経済
協力機構とかいうような呼び声も聞かれるようになりました。しかし、今日の段階においてそのようなことはまだ現実的基礎を欠いておると認めざるを得ません。そうではなくして、もっと現実的に、しかも将来に希望を持って、
わが国
が太平洋地域の各国とそれぞれ親密な隣組としての
関係
を結ぶように特に努力していくことは、健全な
政策
だと信ずるのであります。そうすることによって日米協力の基本線もかえって一そう健全な基礎を持つに至ると思うのであります。この意味において、新日本のとるべき外交
政策
の柱として、太平洋
政策
とも言うべきものを打ち出していくことはいかがなものでしょうか。これがためには、日米提携の親密化、健全化をはかる一方、
わが国
とその他の太平洋地域各国との間に、まず
信頼
と協力の
期待
を込めた友好的雰囲気をかもし出すことが基本的に大事でありますから、そうした観点からして、われわれは
総理
の西太平洋諸国訪問を注視しておったのであります。しこうしてその成果の評価の基準をそこに置いて見るとき、国内においてよりも、むしろ訪問先の各国において、予想以上に高く評価しておる事実を、私は承知しておるのであります。またアメリカ国務省極東担当国務次官補ヒルズマン氏は、去る八月二十日ホノルルにおいて、「太平洋地域における米国の
政策
」と題する大講演を行なっておりますが、その中において、米国は大西洋国であると同じ程度に太平洋国であるという、アメリカ外交史上注目すべき宣言を発表し、日本の
政策
樹立の上から見ましても示唆に富む講演をしておるのであります 世界の大勢を見ますと、われわれの注目すべき各種の指標は、一九七〇年の目標を差し示しております。
わが国
も一九七〇年を目標として大躍進をしなければなりません。一国の
政治
を背負って立つ
総理
としては、深く期しておられるに違いありません。
総理
としては、対外
政策
の面におきましても、今後
わが国
が自主的、積極的にとるべき外交国策の構想を抱いておられることと思います。この機会に
総理
の構想の一端をお漏らしいただくことをお願いいたしまして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣
池田
勇人登壇、
拍手
〕
池田勇人
16
○
国務大臣
(
池田
勇人君) お答えいたします。 世界の情勢、ことに平和と繁栄を
中心
とした点で世界の情勢についての意見を求められました。私は
所信表明
で申し上げましたごとく、核実験停止の協定ができたことは平和への第一歩でございまするが、これはあくまで軍事力の
均衡
からもたらされたものでございます。したがって、私はこの平和への第一歩を今後ますます進めていく上におきまして、世界の今の現状、自由国家群の結束をこの上とも固めていかなければならぬ。私はソ連が平和共存の空気を持ち出したことも、一に自由国家群の団結と力によるものと確信いたしております。こういう意味におきまして今までの外交
政策
を強力に進めてまいります。しこうして、従来はベルリン問題その他ヨーロッパに相当の関心が払われましたが、今やヨーロッパよりもアジアの地に相当の世界の関心が向けられつつあるのであります。これに位する日本といたしましては、そう一そう近隣との協調をはかって、アジアの繁栄と平和に協力しなければなりません。私は、ソ連と中共との
関係
、また、ことに、中共が核実験停止に反対し、自分で核武装を意図していること等、またラオス、ベトナムの問題、また中印国境等々いろいろわれわれとして
考え
なければならぬ問題があるのでございまするが、幸いにお話のとおり、私は組閣早々外交方針として、あくまで自由国家群からの
信頼
を受け、共産主義の国々から畏敬せられる、ばかにせられないこの外交
政策
を堅持してまいりました。幸いに、日本に対しまする自由国家群の
信頼
は、私の予想以上なものがございます。昨年のヨーロッパ旅行におきまして、進んでイギリス、フランス、ベネルックス三国が、今までの懸案であるガット三十五条を撤回しまして、日本との友好
関係
を増進しよう、お互いにやっていこう、そうして、いまだかつてない、ヒューム外務大臣の来訪、クーブドミュルビル外相の来訪、また近くはドイツ大統領、ドイツ外務大臣の訪日等は、日本に対する自由国家群の
信頼
を意味し、また東南アジア四カ国の私に対する好意と歓迎はこれをあらわすものでございます。また共産圏におきましても、ソ連と日本との
関係
については、十九日に、
政府
機関紙であるイズヴェスチアは社説に掲げまして、日本とソ連との国交は青信号が出ていると社説を掲げました。ほんとうに今ソ連と日本との
関係
は、従前にも増して、
経済
交流、またソ連の日本に対する気持ちは従前とは変わって、貝殻島あるいは抑留者の帰還等々、非常な、何と申しますか、日本に対しましての相当の関心と、何と申しますか、いわく言いがたいような気持ちが出ているのであります。しかし安心はいたしません。安心はいたしませんが、あくまでもやはりまあ青信号でだんだん仲よくしていくのだということが出るような状況になってきている。同時に中共におきましても、政経不可分と言っておりますが、進んで、政経不可分というものをいつおろしたかわかりませんが、貿易していこうということは、いわゆる共産圏から畏敬せられるようになった
証拠
ではございますまいか。ソ連、中共のみならず、ヨーロッパの衛星国、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド等々、日本に対したいへんな関心を向けつつあることは、私は
国民
がわれわれの外交
政策
を支持して下さったたまものだと思います。(
拍手
)したがいまして、安保条約はこれをあくまで維持していきます。そうしてこれを維持し、この建前で日本の外交を進めていきたい。そうして私は、防衛力につきましても、日本の国力の許す範囲内におきましてこれを漸増していく、これには変わりないのであります。従来の方針を強力に進めて参ります。 また、四カ国訪問の経過についての
報告
でございますが、
所信表明
の冒頭に述べたとおりでございます。私は、もともと、西太平洋の諸国は、とにかく他の地域よりも、もっと緊密でなければならぬという
考え方
を持っております。西太平洋の日本、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、そうして豪州及びニュージーランド、この
考え方
は私は各国ともそう
考え
ておられると思います。ことに、フィリピンのマカパガル大統領は、これを神の恵みだ、日本からニュージーランドまでの七、八カ国のこのつながりは神の恵みのつながりだと、公開の席で言っているのであります。私も全く同感でございます。私は、こういう意味におきましても、いまのマレーシア問題につきましても、フィリピン大統領の
考え
も聞き、また、非常に強硬であったというスカルノ大統領の
考え
も聞きました。私は、ジャカルタにおけるイギリス大使館が焼かれて、イギリス国旗がおろされて、かわりにインドネシアの国旗が立っているのを見まして、これを直ちにおろすようスカルノ大統領に申し込みましたら、快諾いたしまして、その日におろした。そうして、トンクー、またそのうしろにおられるマクミラン、いまはヒューム
首相
になりまして、こういう方々とスカルノあるいはマカパガル両大統領との間の
信頼
がだんだん深まり、話し合いができる、いわゆるムシャワラの精神——話し合いの精神で進められるよう、陰に陽に努力して、そうして申し上げました。西太平洋の繁栄と平和、ひいてアジアの平和に尽くしたい、こういう気持ちは持っておるのでございます。杉原君のお気持ちと全く同感で、私は、日米
関係
、アジア
関係
、ヨーロッパ
関係
をこの上とも進めていきまして、いわゆる自由国家群の
信頼
と共産圏諸国の畏敬を、この上とも確保したい
考え
でおるのであります。(
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)
重政庸徳
17
○副議長(重政庸徳君)
質疑
はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
重政庸徳
18
○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。 次会は、明日午前十時より開会いたします。
議事日程
は、決定次第、公報をもって御通知いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十三分散会 ————・————