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1963-12-03 第44回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月三日(火曜日)    午前十時十九分開会   —————————————   委員異動  十月十六日   辞任      補欠選任    重宗 雄三君  小沢久太郎君  十月十八日   辞任      補欠選任    三木與吉郎君  小西 英雄君    米田 正文君  天埜 良吉君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            武内 五郎君    委員            天埜 良吉君            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            小山邦太郎君            高橋進太郎君            瀬谷 英行君            田中  一君            藤田  進君            村上 義一君            田上 松衞君   説明員    建設省計画局長 町田  充君    建設省都市局長 鶴海良一郎君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (最近における建設工事事故に関  する件)   —————————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまより委員会を開会いします。  まず、先ほど理事会の結果を御報告いたします。  本日は、最近における建設工事事故について、建設省当局より説明を聴取の後、御質疑をしていただくことで進めてまいりたいと存じます。   —————————————
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) では、これより議事に入ります。  まず、委員異動について御報告いたします。  十月十六日、重宗雄三君が辞任せられ、小沢久太郎君が選任せられました。また、同月十八日、三木與吉郎君、米田正文君がそれぞれ辞任せられ、小西英雄君、天埜良吉君が選任せられました。
  4. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  本日は、最近における建設工事事故について、当局より説明を聴取いたします。鶴海都市局長
  5. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 十一月十二日に起きました首都高速道路四号線千駄ケ谷付近におきます事故について御報告申し上げます。お手元報告書図面とをお配りしてありますが、それをごらんになりながらお聞き願いたいと思います。  事故発生いたしましたのは、昭和三十八年十一月十二日午後四時三十分ごろでございます。事故現場は、渋谷区千駄ケ谷一丁目地内の高速道路四号線と環状四号線との交差部分でございます。事故の内容を申しますと、環状四号線をまたいでおりますスパン三十二メートル六十五センチのけたが落下したのでございます。この事故によります被害者は、死亡者一名、負傷者十三名でございます。十三名のうち、作業員が十二名でございまして、部外者一名でございます。  この工事は、住友建設株式会社が請け負ってやっておりました工事でございまして、工事延長は四百四十三メートル、これを約三億円の金額をもちまして、工期は三十七年の三月十六日から来年の一月三日ということで施工していたものでございます。  この高架橋の型式は、プレストレストコンクリート箱げたで、一部につりげたを有する二ないし三径間連続ラーメン橋でございます。下部工は、鉄筋コンクリートの円柱二本からなる十基の橋脚、橋台からなっております。全幅員は十六メートルでございます。事故のありましたけたの部分は、縦断勾配は信濃町より千駄ケ谷に向かいまして四・二六%の上り勾配をもった直橋でございます。本工事支保工構造は、上記二つりげた以外はすべて水平梁木構造とし、支柱パイプサポートとした構造によって行なわれました。事故げたにおきましては、両端を木構造水平梁パイプサポートによる支保工構造といたしまして、中央部は、I型鋼による水平梁支柱ぺコサポートとした支保工構造によって行なわれております。また、型ワクはすべて耐水ベニヤ板によって行なわれました。本工事は、契約当初より順調に進みまして、事故発生時の進捗率は約九三%でございました。  事故発生いたしました部分工事につきましては、支保工並びに型ワク組み立てから工事が進められたわけでございますが、下り線は九月二十二日、上り線は十月十四日にそれぞれ支保工組み立てを完了いたしまして、コンクリート打設は、第一回目として下床版並びに腹部コンクリートを、下り線は十月十六日、上り線は十月三十日に、それぞれ五十二立方メートル、約百二十五トンでございますが、それを打設したわけでございます。次いで、上床版コンクリートを十一月十二日の朝八時より打設を開始いたしまして、上下線を翌十三日のお昼までに打設する予定でございました。なお、このけたの上下線合わせて打設される予定だった総コンクリート量は、約二百七十四立方メートル、重さにいたしまして約六百六十トンでございます。で、コンクリートは、千駄ケ谷寄りのタワーで高架上に上げられ、ネコ車によって、信濃町寄り下り線から一時間当たり六立方メートルの速度で打設され、二台のフレキシブルバイブレーターで仕上げながら進んでいたのでございます。ところが、午後四時三十分ごろになりまして、下り線床版コンクリートを約半分の三十九立方メートル、重さにいたしまして九十三トン打設いたしましたところで、突如として支保工が崩壊いたしまして、けたが落下したのでございます。  以上が事故概要でございます。  この事故が起こりまして、直ちにこの原因究明にかかったわけでございます。首都高速道路公団におきましては、そのための委員会を設けまして、また、建設省におきましては、土木研究所長班長といたします調査班を組織いたしまして、この事故原因究明に当たったわけでございます。その原因究明の結果によりますと、次のような報告調査班から提出されております。「事故発生は、つか柱の傾斜水平梁橋軸方向連結不十分等により、支保工に作用する水平力が増大し、これが支柱倒壊させたことにあると考えられる。なお、事故は、構造物計画設計及び工程上の不備に起因するものではない。また、支保工設計施工については、鉛直力に対しては通常の考慮が払われていたと認められるが、勾配橋であるために発生することが予想される水平力に対する特別の配慮に欠ける点があり、これが事故発生原因になったものと考えられる。」、かような報告を受けております。  以上が、本事故概要でございます。
  6. 田中一

    田中一君 いま読み上げた報告書をひとつ出してもらいたいと思います。
  7. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは報告書を、営団のほうですか、報告書を提出してもらうように。いいですか。
  8. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) ただいま読み上げました事故原因報告は、建設省土木研究所長班長といたしまして調査いたしました際の当該調査班報告でございます。
  9. 田中一

    田中一君 それを出していただきたい。
  10. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまの説明報告書、出していただけますか。
  11. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 後刻提出いたします。
  12. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に前田住宅局長
  13. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 去る十一月二十六日に、神宮プール上屋根が落下いたしましたので、その概況について御報告申し上げます。お手元に「神宮プール屋根落下事故概要」という印刷物を配付申し上げましたので、ごらんいただきたいと思います。  事故の起こりましたのは十一月の二十六日の午後三時ごろでございます。場所は、新宿区霞ケ丘町五、神宮水泳場でございます。下に図面をつけてございますので、ごらんをいただきたいと思いますが、建物は、建築主明治神宮外苑部でございます。それを小松源逸氏という一級建築士設計いたしまして、工事監理者は同じく一級建築士岡正一氏でございます。施工は、大和ハウス工業株式会社が行なっております。  建物構造は、その図面に書いてございますように、プールの上に上屋根をかけるものでございまして、構造は、鋼管トラス構造でございます。張間が二十七メートル、けた行きが五十五メートル、軒高が三メートルでございます。これを工事いたしておりましたが、工事の途中、屋根材料を運び上げるために職人が上がった際に、屋根中央部に、その図面に切断の個所を図示しておきましたが、数個所ボルト及びつなぎ材が切れまして、そのために倒壊をしたわけでございます。幸い、職人の一名がけがをした程度で、一般に危害を加えることが少なかったことはせめてもの幸いと存じます。  この原因につきまして目下、東京都庁におきまして詳細を調べておりますが、目下のところ、ここに書きましたように、倒壊した原因といたしまして、ボルト及びつなぎ材が切れたことはわかっておりますが、どこにその原因があったかにつきましては詳細調べておる状況でございます。  以上、簡単でございますが報告いたします。
  14. 北村暢

    委員長北村暢君) 以上で説明は終わりました。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 藤田進

    藤田進君 まず、最初の都市局長の文書によりますと、支保工が崩壊してけたが落ちたということなんだ、要するにね。その原因について若干説明があったんだけれども、傾斜面という考慮が払われていないために落ちたんだというふうに聞こえた。もっと詳しく説明していただきたい。
  16. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) お手元図面がお配りしてございますが、この図面は、事故げたにつきまして、その支保工がどのようになっておったかということを復原いたしました図面でございます。事故原因は、先ほども申し上げましたように、この支保工の横に対する力——水平力に対する力が足りなくて倒壊したという結論になっております。倒壊状況等を見ますと、支保工の大部分千駄ケ谷寄りに倒れておりまして、そういう状況から判断いたしまして、この支保工の上に乗っておりますI型鋼、これが何らかの原因によりまして水平力を受けまして橋軸方向に力が働いたものというふうに見られております。なお、このI型鋼の上につか柱が立っております。これは勾配のある橋でございますので、このつか柱の長さ等も場所によってすべて変わっておるわけでございます。このつか柱の傾斜ということも若干あったように認められております。こういうことで横の力が働きまして、横といいますか、水平の力が働きまして支保工が崩壊したというふうに考えております。
  17. 藤田進

    藤田進君 どうもそれだけではよくわかりませんがね。かなり複雑な事情で結論的には落ちたんでしょうけれども、このコンストラクションのうち施工法部分は、監督される側とそれから施工者——請負のほうの側ですね、住友建設、これはどういう状況なんですか。一連のこういう工事については、まず設計書ができ、図面ができ、これを請負に付すると。その場合に、第一次的には請負工事者のほうが、現場では普通、段取りと言っているが、そういう段取りについては第一次的な案を立てて、監督者である側でこれを精査して、そして着工すると、打ち込みを始めるということじゃないんですか。それとも請負まかせなんですか。
  18. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 本件請負につきまして、どのようになっているかということでございますが、この橋の本体部分は、これはもちろん発注者側におきまして設計いたしまして、これを請負に出すということになっております。問題の支保工につきましては、これは発注者側といたしましても、一応の積算の関係等から、仮の設計を組みまして、金額をはじいて請負に出すわけでございますけれども、施工に当たりましては、これは施工業者がその責任におきまして、どのような支保工をするかということをきめます。きめました上で、発注者側の承認を求めまして、実際の施工に当たる、かような仕組みになっております。
  19. 藤田進

    藤田進君 この場合も施工方法においては、この程度のものならば、あらかじめ図面もつけてちゃんと施工者——つまり施工主の側とそれから請負との側で了解されたものが、現地の段取りに逐次移されていったと見ていいのですか。
  20. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) さようでございます。
  21. 藤田進

    藤田進君 そうすると、技術的な点はまだよくわかりませんが、こういう場合には、請負契約の面から見ると、請負者責任を生ずることになるのでしょうが、結局現場にいる最高責任者である人たちの手落ちというふうに見るのが正しいのじゃないか。地震でもあったとか、何か予想せざる場合もあり得るでしょう。しかし、施工については、ある程度そういった天災関係も考えられた上で、経費のかかることですから、あまり百年に一ぺんの地震を予想したりしてこういう施工をしないことはわかりますが、いずれにしても、あらかじめわかる話で、技術的にはこれは日本で初めての施工でもなかろう。そうなるとまあ、未熟な技術であったと見るべきか、他に原因があるか、責任の所在と同時に技術的な面について、探索されていれば、ひとつ報告していただきたい。
  22. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 先ほども申し上げましたけれども、支保工施工は、これは受注いたしました業者責任において施工いたしているわけでありますが、この施工につきましての監督責任というものは、これは公団の現場監督者にあるわけです。さようなことも考慮いたしまして、本件につきましては、業者建設業法上の処分をいたしますと同時に、首都高速道路公団におきましても、工事関係監督責任を持っております者に対しまして、それぞれ去る十一月三十日に処分を行なっております。
  23. 藤田進

    藤田進君 しかし、現場人たちは、そう簡単に処分されたのじゃ、ほかにいろいろ工事費なり工期関係で制約があるのでしょうから、それが現場にある程度専決事項としてまかされているならば、それを怠ったということもいえるでしょうけれども、もっと高次的な問題が付随しているように私は思うのですね。このスパンだけでなしに、ここまでくるについては、これと同一な条件、かなり同一の施工をやってきたのじゃないですか。ここが初めてこのスタイルなり、こういう事故を起こしたということについては……。しかし、前後の事情から見て、このスパンだけでは特殊な事情ではなかったようにも思われる。
  24. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) この工事区間は四百四十三メーターございますが、この問題になっておりますけたと、それからもう一カ所千駄ケ谷の駅の前の所、この二つを除きましては、報告書にも出ておりますように、すべて水平梁木構造として支柱パイプサポートした構造でやっているわけであります。これはこの二つのけた以外のところにつきましては、下に交通がないわけでございまして、下の交通を確保する、要するに空間を確保する必要がなかったわけでございますので、したがいまして、事故を起こしましたけた以外につきましては、事故を起こしましたけたと違った支保工を行なっているわけでございます。
  25. 藤田進

    藤田進君 技術の人で詳しい人は見えておりませんか。原因新聞では見ました。きょうも聞きましたが、どうも頭に入りませんので、あなたもあまり詳しくないように思いますから、ですから、そこをはっきりつかまないと、次にお伺いすることがあいまいになってくると思うのですが、だれか見えておりませんか。
  26. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 本日は橋梁技術関係の者は来ておりませんの.で、後刻御質問賜わりたいと思います。
  27. 藤田進

    藤田進君 あなた自身も、まだはっきりとこういう原因でここが悪かった、こうすべきだということはつかめていないんじゃないですか。
  28. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 私も技術者でございませんので、詳細につきましては、わかりません。
  29. 藤田進

    藤田進君 どうもそんなような気がしますね。
  30. 田中一

    田中一君 一昨日新聞施工者住友建設処分が発表されたのですがね。そこで、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の区域におけるセメントコンクリート橋梁工事に関する貴社営業は、向後一カ月間一切停止すること、こういう処分業法によってきめられたわけですけれども、ちょっと疑問に思うことが一つあるのです。それは、営業というものの定義はどうなっているのかということです。業法を見ると、業法にも、営業というのはどの範囲の何をいっているのかということが明らかになっておらぬのです。そういうことを質問するのは、結局、こうして時限のある、ことにオリンピックというものを中心にした工期という場合、その場合に、こうした事故、それは営業という毛のが一切停止されるということになると、むろん復旧工事営業の一部かどうかですね。復旧工事、これを営業というのか、あるいはだれかほかの請負人が入ってきてこの復旧工事をするのか、その点があいまいなわけですがね、どういう限界になるのですか。セメントコンクリート橋梁工事に関する貴社営業は、向後一切使わない、停止するということは、どういう範囲のことを停止しようとするのか、ひとつ説明して下さい。
  31. 町田充

    説明員町田充君) 営業という言葉の定義は、なかなかむずかしゅうございますが、常識的に考えまして、継続反復して建設仕事を行なう、これはまあ営業範囲と考えてよろしかろうと思います。田中委員の御心配は、一部停止を受けると、たとえばその復旧仕事はどういうことになるのかということでございますが、その点は、建設業法にもちゃんと明文がございまして、営業の一部停止処分を受けましても、現に請負契約に基づいて工事施工している分については、引き続いて工事がやれるのだという断わり書きがついてございますので、復旧工事もむろん営業範囲の一部として当然従来どおり住友建設現場でやるということになっておりますので、御心配の点はなかろうと存じます。
  32. 田中一

    田中一君 このセメントコンクリート橋梁工事受注するための営業行為、まあ発注者のところへ行って、これをお願いします、とかいうことですね。いま言っているのは施工ですよ。施工の面を言っているんですがね、施工の面は、当該事故のあったものはそのまま継続して、今度間違いなくやるんだということになっておりますが、営業という定義——一カ月間の営業停止ということの処分目的が達せられるのかどうかということです。受注するような運動もしちゃいかぬということなのか、あるいは他にそういう同じようなコンクリート橋梁工事をしておるものも全部停止するのか、施工を中止するのか。営業というものは非常にあいまいなんです。具体的に何をさしているのか。たとえばほかの同じような橋梁工事をやっておるそれもやめるのか。当該事故のあったものに対する復旧はこれはやる、ほかの工事も一切中止するのかどうか、その点はどうなんですか。
  33. 町田充

    説明員町田充君) 厳密に申し上げますと、処分の通知をいたしました日から一カ月間、新たに請負契約を締結するということはできない、こういうことでございまして、したがいまして、指名を獲得するための、あるいは施工するための運動というようなことは、厳密な意味では、この営業範囲の中には入ってこないかと思いますけれども、現実受注をいたしましても、この一カ月間は請負契約を締結できないということでございますので、事実上そういうこともなかろうかと思います。ともかく法律的に申しますと、一カ月周は新は新たに請負契約を締結することはできない、したがって、もちろん新たな工事施工はできない、こういうことになる。
  34. 田中一

    田中一君 請負契約でなくて、実費採算なら実費採算という、請負じゃなくて施工する場合はどうなんですか。何も民間じゃ請負ばかりが施工形式じゃないわけです、契約形式じゃないわけです。その場合はどうなんです。
  35. 町田充

    説明員町田充君) 請負契約でございませんでも、とにかく新しい形で新しい請負契約に基づいて一あるいはどんな形であろうと営業活動、つまり継続反復の意思をもって営利目的として工事施工するという事実上の活動、そういうことができない、こういうことでございます。
  36. 田中一

    田中一君 営利目的としない工事ならできるんですか。
  37. 町田充

    説明員町田充君) 現実営利目的とするかしないかを問わず、継続反復して業として建設施工の事実活動、これは建設業者であります限り、これは営業範囲ということになりましょうから、当然そういうことはできないということになろうと思います。
  38. 田中一

    田中一君 その点、一つ判決例ですからね、具体的に見解をひとつ資料として出してほしいと思うんです。  それからやはりいままでの経験で安易じゃないだろうけれども、経験で、いま藤田委員が言っているように、高度の非常に神経を使ったこまかい一々の計算の上でやらないで、もうほんとう経験で、この程度のものはこれでいいんだという——経験、これはとうといものです、そういうものでやったんだろうと思いますけれども、いま質問があったように、監督者、それから一々そういう場合には見て歩くんでしょうから、これまた経験でこれならよかろうということでやったものだと思うんですが、そのほかに何か別な原因は発見できなかったんでしょうか。たとえば地盤がゆるんでいるとか、あるいは大きな震動があったとかなんとかいう他の原因は発見できなかったんですか。
  39. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) ただいま御指摘の震動の点は、これはすぐそばに国電が通っている、常時震動を受けているという状態になっておるわけであります。なお、この施工の成立前におきまして、この下の環状四号線を自衛隊の戦車が百台ほど往復しておるというふうな事実もございまして、相当の震動を受けておったということは言えると思います。
  40. 田中一

    田中一君 いまのようなまだ的確な原因というものが、千駄ケ谷のあのほうにサポートが全部倒れているというような現象からの判断だけに技術的にもいいかどうかということも、私疑問に思うのですよ。サポートがそっちに向かって倒れれば、これとこの処分というものとがどういうつながりを持つかということなんです。現象だけとらえてこうだああだと判断するだけじゃ、ことに工場内におけるところのものじゃなくて、いろいろな意味の多種多様な影響を受けるという野外現場においては、それが完全に究明されないで処分をするというのでは、一体どうかと思う。それもいま言うとおり、いまやっている仕事は全部できるのでございます。一カ月間の受注契約ができないのだということだけの処分になりますと——私は処分せよというのじゃないのです。場合によったらしないでもいいんじゃないかと思うのです。ほんとう原因が突き詰められてあるならば、もっと強い停止条項というものをもって臨んだらどうかと思う。処分なんかしないでもいいんじゃないかと思う。それから、やるならば、もっと的確な、それこそ住友建設の他の現場等をも見て強い規制をしたらいいじゃないかという気持もするわけなんですよ。何だか一人の人を殺し、社会問題として新聞に書かれたから、それでこういう形式的な——形式というとおかしいけれども、この条項によって処分をしたということも、おざなりなどこ向け処分かわからぬような処分じゃなかろうかと思う。どこを向いて処分をしているのか、いまこの事故防止対策技術委員会からの答申というものの資料ももらいませんから、まだ説明だけじゃわからぬけれども、もう少しほんとうのものが結論づけられてくるんじゃないかと思うのですよ。たとえば藤田委員が質問したように、監督員というものは一つ一つ図面において、むろん図面にも仕様書にも何にもないものを、これをこうしてやれああしてやれと指図する。いろいろなケース・バイ・ケース、異なった条件において、屋外の建設現場においては一々指図するものなんです。一々聞くものなんです、これは。そうすると、落としたという現象、公害を及ぼしたという現象ははっきりしていますけれども、原因というものを突き詰めて処分なんかする必要はないじゃないかということにならないかと私は思うのですが、この処分が、おざなりにどこ向きか知らぬけれども、被害者、一般社会に対するおざなり的なそっちのほうを向いている処分じゃないのかというように感ずるのです。ということは、実際の問題というものを突き詰めないで、その現象を、これを一般の社会に向かってこういう処分をしたからまあまあというような行き方をしているのじゃないかと思うので、はなはだ業法上のいろいろな罰則とか、いろいろな問題はほんとうのものをつかまないのじゃないかと思うんですよ。ほんとうの方向に向かっているのじゃないのじゃないかと、こういうような気がするのですがね。これも町田君に聞いても、おれはわからぬということになっても困るけれども、この処分はどういう機関できめたのですか。
  41. 町田充

    説明員町田充君) 事故原因につきましては、先ほど都市局長から御説明いたしましたとおり、技術者によります特別の調査班というものをつくりまして現地について調査をしてもらって、その結果が判明したわけでございますが、御承知のとおり、建設業法に基づいて、こういう業者に対しまして処分をいたしますためには、聴聞という手続をとらなければならぬわけでございまして、聴聞の手続を所定どおりやったわけでございますが、その際に、私どもで得ておりました事故原因というものを業者に伝えまして、われわれの推定ではこういう原因と思われるけれども、それに対して特別に陳弁をすることがあればひとつ聞かしていただきたい、ということでお伺いをしたわけでございますが、私どもの推定いたしました原因に対して、特別の反論はございません。確かにそういうことが一つ原因であったでございましょう、というふうな、いわば当方の推定した事故原因というものを承認されるというふうな結果でございましたので、聴聞の結果、諸種の事情を勘案いたしまして——と申しますのは、この種の事故は、従来どおり工事の際に、たまたま一労務者の不注意から屋上からものを落として、それがたまたま下を通行していた人に当たってけがをした、死なしたという事故がないではございませんが、これは一労務者の不注意といいますよりも、やや工事の本質にからむ事故である。架設工事の不始末ということではありますけれども、橋ゲタという本体の構造物が落下して事故を起こしたということでございまして、従来の事故とはやや本質的なものをはらんでいるというふうな結論から、従来にはないきつい処分ではございますが、業界一般に対して、事故防止対策ということにさらに一段と注意をしていただく、こういう意味合いで処分をした次第でございます。
  42. 田中一

    田中一君 そうすると、いま業界一般に対して、みなが注意するようにこの処分をしたということのファクターが入っているわけですね、そういう意味も。
  43. 町田充

    説明員町田充君) そういう趣旨ももちろんございます。
  44. 田中一

    田中一君 どうも、こういう技術的な問題についての処分の問題について、これはもうよそ向きの要素なんというものは、ぼくは今後ともあってはならぬと思うのですよ。技術的に一切の悪いことをきちっときめて、その点についての責任追及はいいけれども、よそのお手本でこいつを処分したのだ、これの処分によってみなが注意しろよと、こういう考え方は実際問題としてどうか。  もう一つ聞きたいのだが、そうすると、一カ月済んだらば、また住友建設に対しては、同種の仕事もおのずから指名競争には、入札には参加させるということになるわけですね。
  45. 町田充

    説明員町田充君) もちろん指名停止と申しますのは、これは全く行政上の手心でございますから、これは別に一カ月の営業停止の期間が過ぎれば、指名を受けることももちろん可能になるわけでございますが、発注者としては、行政上の手心として、指名云々の問題については、何分の配慮をすることがあろうかと存じますけれども、それは全く事実上の問題でございまして、営業停止処分、法律上の処分とは直接関係がなかろうかと思います。
  46. 田中一

    田中一君 これは、きょうはあまり質問をすることになっておらぬから、いずれいろいろ拝見したり何かしてまた質問します。留保しておきます。
  47. 藤田進

    藤田進君 それで、ぼくは原因がはっきりわからないので、いまの説明範囲では先に進めないわけですけれども、住友建設という建設会社が当該工事を請け負って完全に仕上げていく能力があったのかどうかという点も、技術陣、機材といったような点もよくわかりませんので、いずれあすから国会も引き続き開かれるわけで、田中委員も言われたように、これは今後の問題もあるし、引き続きひとつもっと詳しく聞ける機会を持ってもらいたいと思います。
  48. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまの藤田委員の要望については、後刻現地調査もいたし、その後に質疑をする予定をいたしておりますので、そのように取り計らいたいと思います。  ほかに発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて   〔速記中止〕
  49. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十二分散会