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1963-03-26 第43回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十六日(火曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員の異動  三月二十六日   辞任      補欠選任    大矢  正君  羽生 三七君    田上 松衞君  向井 長年君     —————————————  出席者は左の通り。    主査      館  哲二君    副主査     近藤 信一君    委員            太田 正孝君            小山邦太郎君            下村  定君            杉原 荒太君            羽生 三七君            横川 正市君            鬼木 勝利君            向井 長年君            須藤 五郎君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君    国 務 大 臣 近藤 鶴代君    国 務 大 臣 志賀健次郎君   政府委員    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁衛生局長 軽部彌生一君    防衛庁経理局長 上田 克郎君    防衛庁装備局長 伊藤 三郎君    防衛庁参事官  麻生  茂君    防衛施設庁長官 林  一夫君    防衛施設庁総務    部長      大石 孝章君    防衛施設庁総務    部会計課長   大浜 用正君    防衛施設庁施設    部長      鈴木  昇君    科学技術政務次    官       内田 常雄君    科学技術庁長官    官房長     森崎 久壽君    科学技術庁長官    官房会計課長  松田 壽郎君    科学技術庁計画    局長      杉本 正雄君    科学技術庁研究    調整局長    芥川 輝孝君    科学技術庁振興    局長      杠  文吉君    科学技術庁原子    力局長     島村 武久君    科学技術庁資源    局長      井上啓次郎君    農林省園芸局長 富谷 彰介君    通商産業政務次    官       上林 忠次君    通商産業大臣官    房長      渡邊彌榮司君    通商産業大臣官    房会計課長   赤澤 璋一君    通商産業省通商    局長      松村 敬一君    通商産業省企業    局長      佐橋  滋君    通商産業省石炭    局長      中野 正一君    通商産業省公益    事業局長    塚本 敏夫君    特許庁長官   今井 善衞君    中小企業庁長官 樋詰 誠明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十八年度一般会計予算内閣  提出衆議院提出) ○昭和三十八年度特別会計予算内閣  提出衆議院提出) ○昭和三十八年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院提出)     —————————————
  2. 館哲二

    主査館哲二君) ただいまから予算委員会の第二分科会を開会いたします。  昭和三十八年度総予算中、防衛庁所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。防衛庁長官
  3. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 昭和三十八年度防衛庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十八年度の防衛庁歳出予算総額は、二千二百九十二億五千七百六十五万二千円でありまして、これを昭和三十七年度の歳出予算額二千四十億四千七百二十三万四千円(補正予算を含む)に比べますと、二百五十二億千四十一万八千円の増加となっております。このほか国庫債務負担行為として、航空機購入について二十六億七千七百五十六万五千円、器材整備について三百五十六億千二百三十六万三千円、弾薬購入について三十三億四千二百六万五千円、施設整備について十一億二千四十八万四千円、艦船建造について十八億二千五百二十八万四千円、計四百四十五億七千七百七十六万千円を計上し、さらに継続費として昭和三十八年度甲型警備艦建造費について三十億五千五百六十二万九千円、昭和三十八年度甲II型警備艦建造費について四十一億千十五万六千円、昭和三十八年度潜水艦建造費について三十九億七千百八十万四千円、合計百十一億三千七百五十七万九千円を計上いたしております。また、職員定数につきましては、防衛庁昭和三十八年度の予算上の職員定数は、自衛官二十四万五千百八十一人、自衛官以外の職員二万六千八百二十六人、計二十七万二千七人でありまして、これを昭和三十七年度の予算上の職員定数に比べますと、自衛官千二百五十八人、自衛官以外の職員において五百五十七人、計千八百十五人の増加となっております。  以下、予算の内容について組織別に申し上げます。一、陸上自衛隊につきましては、昭和三十六年度以来改編してきた十三佃師団態勢改編完了に伴い、後方支援能力整備充実をはかる等のため所要の改編増強を行なうとともに、既存部隊改編によってホーク一個大隊を編成することを目途にその準備業務に対手することといたしておりまして、三十八年度末における陸上自衛隊職員定数は、自衛官十七万千五百人、自衛官以外の職員一万三千六百三十一人、計十八万五千百三十一人となります。陸上自衛隊運営に必要な経費は、防衛本庁八百九十六億八千三十三万七千円、航空機購入費九億三千九十五万六千円、施設整備費二十四億八千八百六十四万六千円、施設整備等付帯事務費二千六百六万千円、計九百三十一億二千六百万円でありまして、これを昭和三十七年度に比べますと、百一億三千四百五十二万五千円の増加となっております。このうち防衛本庁において八十九億五千三百七十万一千円の増加航空機購入費において四億八千百三十万二千円の増加施設整備費において七億四百三十二万円の増加施設整備等付帯事務費において四百七十九万八千円の減少となっております。このほか陸上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為航空機購入六億八百四十二万円、器材整備百三十九億千八百五十六万八千円、弾薬購入十億六千八百七十万六千円、計百五十五億九千五百六十九万四千円を計上いたしております。  二、海上自衛隊につきましては、三十八年度就役艦艇及び就役航空機の増に伴う要員確保のため、自衛官七百五十九人、自衛官以外の職員二百六十七人、計千二十六人を増員することといたしておりまして、三十八年度末における海上自衛隊職員定数は、自衛官三万四千五十人、自衛官以外の職員四千七百八十七人、計三万八千八百三十七人となります。次に、昭和三十八年度に増勢を計画してる艦船といたしまして甲型警備艦三千トン型一隻及び二千トン型一隻、潜水艦千六百トン型一隻、駆潜艇一隻、中型掃海艇二隻、支援船六隻、合計十二隻八千九百四十トンの増加を予定しております。これにより、昭和三十八年度末保有艦艇は四百七十二隻、十四万五千四百六十二トンとなる予定であります。また、航空機増強につきましては、対潜哨戒機P2V7六機及び対潜ヘリコプターHSS2十一機の継続生産を行なうとともに、新たに救難ヘリコプター二機、練習機三機を購入することにしておりますので、これらにより昭和三十八年度末の海上自衛隊保有航空機は二五五十八機となります。海上自衛隊運営に必要な経費は、防衛本庁三百七十九億八千九百三十万八千円、航空機購入費二十二億七千三十七万一千円、施設整備費二十億二千八十九万八千円、艦船建造費二十億一千四百二十三万六千円、昭和三十五年度甲型警備艦建造費十三億八千七百五万円、昭和三十五年度潜水艦建造費五億四千八百十九万四千円、昭和三十六年度乙型警備艦建造費十億四千五十九万四千円、昭和三十六年度潜水艦建造費十四億四千七百九十八万八千円、昭和三十七年度甲型警備艦建造費八億九百三十七万九千円、昭和三十八年度甲型警備艇建造費五億四千百二十九万九千円、昭和三十八年度甲II型警備艦建造費八億五千七百二万四千円、昭和三十八年度潜水艦建造費七億六千六百五十三万六千円、施設整備等付帯事務費一億三千二百二十二万六千円、計五百十八億二千五百十万三千円でありまして、これを昭和三十七年度に比べますと、三十六億百二十七万五千円の増加となっております。このうち防衛本庁において四十四億五千三百七十一万六千円の増加航空機購入費において三十七億四千六百四十一万四千円の減少施設整備費において三億四千三百八十五万八千円の増加艦船建造費において二億九千四百十六万四千円の減少施設整備等付帯事務費において二千七百五十五万七千円の増加となっております。このほか、海上自衛隊に属する分として国庫債務負担行為航空機購入五億八千六百五十万三千円、器材整備四十六億八千五百五十六万七千円、弾薬購入八億五千二百六十九万一千円、施設整備三億八千二百七十万四千円、艦船建造十八億二千五百二十八万四千円、計八十三億三千二百七十四万九千円、また、継続費昭和三十九年度以降の年割額として、昭和三十八年度甲型警備艇建造費昭和三十八年度甲II型警備艦建造費昭和三十八年度潜水艦建造費等百二十八億七千二百十五万九千円を計上いたしております。  三、航空自衛隊につきましては、F104J飛行隊二隊の新編等に要する自衛官四百九十六人を増員することにいたしておりますので、昭和三十八年度末の航空自衛隊職員足数自衛官三万九千五百五十三人、自衛官以外の職員五千三百五十六人、計四万四千九百九人となります。次に、航空機増強につきましては、前年度に引き続きF104戦闘機及びジェット中間練習機生産を行なうとともに、輸送機YS11二機及び救難ヘリコプターS62二機の購入をはかりますので、昭和三十八年度末の航空自衛隊保有航空機は、実用機七百機、練習機五百十七機、計一千二百十七機となります。航空自衛隊運営に必要な経費は、防衛本庁四百九十二億一千六百四十万六千円、航空機購入費、二百三十四億一千五百四万五千円、航空機騒音対策費二十一億九千七百四十二万六千円、施設整備費二十九億七千九百十九万一千円、施設整備等付帯事務費四千三百九十二万七千円、計七百七十八億五千百九十九万五千円でありまして、これを昭和三十七年度に比べますと百六億五千三十六万一千円の増加となっております。このうち防衛本庁におきまして五十六億八千五十四万二千円の増加航空機購入費において三十九億八千八百五十六万三千円の増加航空機騒音対策費において五億七千六十二万五千円の増加施設整備費において四億六百八十二万円の増加施設整備等付帯事務費において三百八十一万一千円の増加となっております。このほか、航空自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為航空機購入十四億八千二百六十四万二千円、器材整備百六十一億九千九百八十四万三千円、弾薬購入十四億二千六十六万八千円、施設整備四億三千五百五十七万二千円、計百九十五億三千八百七十二万五千円を計上しいたしております。   四、長官官房及び各局統合幕僚会議防衛研修所防衛大学校技術研究本部並びに調達実施本部職員定数は、自衛官七十八人、自衛官以外の職員三千五十二人、計三千百三十人でありまして、昭和三十七年度に比べますと、自衛官三人、自衛官以外の職員五十八人、計六十一人の増加となっております。長官官房及び各局並びに統合幕僚会議に必要な経費は、防衛本庁十億四千九百七十七万三千円、施設整備費六億七百十八万七千円、施設整備等付帯事務費千四百八十四万円、計十六億七千百八十万円でありまして、昭和三十七年度に比べますと、防衛本庁において、八千三百十万二千円の増加施設整備費において二億七千二十万九千円の増加施設整備等付帯事務費において九百三十一万六千円の増加、計三億六千二百六十二万七千円の増加となっております。付属機関、すなわち、防衛研修所防衛大学校技術研究本部及び調達実施本部運営に必要な経費は、防衛本庁二十二億千八百四十万七千円、研究開発費二十一億六千四百五十五万六千円、施設整備費三億九千三百三十五万七千円、施設整備等付帯事務費、六百四十三万四千円、計四十七億八千二百七十五万四千円でありまして、昭和三十七年度に比べますと、防衛本庁において一億九千二百二十万二千円の増加研究開発費において二億二千四百九十八万八千円の増加施設整備費において四千二百七十八万八千円の増加施設整備等付帯事務費において百六十五万二千円の増加、計四億六千百六十三万円の増加となっております。以上の経費のほか、技術研究本部国庫債務負担行為として器材整備八億八百三十八万五千円、施設整備三億二百二十万八千円、訂十一億千五十九万三千円を計上いたしております。  以上をもちまして防衛庁予算概略説明を終わります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成下さるようお願いいたします。
  4. 館哲二

    主査館哲二君) 続いて防衛施設庁のほうから御説明願います。
  5. 林一夫

    政府委員林一夫君) 昭和三十八年度防術施設庁歳出予算要求額についてその概要を御説明いたします。  昭和三十八年度の(組織)の防衛施設庁歳出予算要求総額は百十六億四千三百七十五万八千円で、これを昭和三十七年度の予算額九十三億八千七百六十八が八千円に比べますと二十二億五千六百七万円の増額となっております。これを項別に見ますと、防衛施設庁二十七億三千八十八万八千円、施設提供等諸費七十八億二千九百六十九万六千円、調達労務管理事務費七億八千九百七十三万三千円、国際連合軍等関係補償費二億九千三百四十四万一千円であります。  次に各項別について御説明いたしますと、防衛施設庁、この項より支出するものは、防衛施設庁業務遂行に必要な人件費及び物件費でありまして、この要求額は二十七鍾三千八十八万八千円であり、昭和三十七年度の二十二億六千六百五十四万五千円と比較いたしますと、四億六千四百三十四万三千円の増額となっております。このおもなるものは、人件費給与ベース引き上げに伴う一億八千三百四十三万九千円、防衛施設局庁舎新営費二億五千九百六十一万三千円、その他二千百二十九万一千円であります。施設提供等諸費、この項より支出するものは、行政協定及び地位協定により、在日合衆国軍隊に対する施設区域提供に伴って生ずる経費及び駐留軍行為に基づき生じた損失補償等に要する経費であります。要求額は七十八億二千九百六十九万六千円でありまして、これを昭和三十七年度の六十億七千三百八万六千円と比較いたしますと十七億五千六百六十二万円の増額となっております。増額したものは、提供施設借料一億五千六百一万円、不動産購入費二億四百九十二万五千円、施設提供等関連事業費補助一億五千八百七十万四千円、特別損失防止対策事業費補助三億二千四百五十一万二千円、教育施設等騒音防止対策事業費補助六億八千万円、道路改修等事業費補助一億八千七十八万三千円、施設提供等関連補償費九千二百六十二万一千円、その他一千六百六十二万七千円、計十八億一千四百十七万二千円の増額となっております。減額したものは、施設提供等管理費の五千七百五十六万二千円でありまして、差引十七億五千六百六十一万円の増額になっております。調達労務管理事務費、この項より支出するものは、駐留米軍及び歳出外資金諾機関の使用する労務者労務管理を処理するため必要な経費であります。この要求額は七億八千九百七十三万三千円でありまして、これを昭和三十七年度の七億四百十二万九千円と比較いたしますと八千五百六十万四千円の増額となっております。このおもなるものは、人件費引き上げに伴う五千二百九十七万六千円、労務者宿舎施設整備費二千三百六万二千円、労務者職業訓練委託費二百六十九万二千円、その他六百八十七万四千円であります。国際連合軍等関係補償費、この項より支出するものは、国連軍協定を実施するため及び旧連合軍提供した土地等返還にかかる各種補償並びに占領期間中の人身被害者に対する事故給付金に要する経費でありまして、この要求額は二億九千三百四十四万一千円で、昭和三十七年度の三億四千三百九十二万八千円と比較しますと五千四十八万七千円の減額となっております。増額したものは、返還財産等見舞金八百万円、その他四百十八万六千円、計一千二百十八万六千円となっております。減額したものは、事故給付金五千五百五十一万四千円、その他七百十五万九千円、計六千二百六十七万三千円でありまして差引五千四十八万七千円の減額になっております。  以上が防衛施設庁として計上いたしております経費概要であります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 館哲二

    主査館哲二君) 速記ちょっとやめて下さい。   〔速記中止
  7. 館哲二

    主査館哲二君) 速記を始めて。  ただいまの説明に対して質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 下村定

    下村定君 大体時間はどのくらいいただけますか。
  9. 館哲二

    主査館哲二君) 今四人の方がありまして、十二時半か、半過ぎくらいまでにやりたいと思うのですが。
  10. 下村定

    下村定君 それでは少しこまかい問題につきまして防衛庁当局の御意見を伺いたいと思います。  第一に、陸上自衛隊隊員募集難につきましては、防衛庁におかれまして非常に御帯心になっておる、また、昨年あたり上向きになっておるということも承知しておる、その点は万般お察しいたしますが、現在の時点におきまして、第一線部隊、すなわち訓練をしなければならぬ部隊定員と、それからそれに対する実際におります人員との比率、それから同じことで、本庁総監部、あるいは補給機関というような、いわば事務をやっておるところ、そこでは定員実員との比がどういうふうになっておるか、概略お伺いいたしたい。
  11. 小野裕

    政府委員小野裕君) 実はただいまのお尋ねの点につきまして、正確なデータを持ちませんで恐縮でございますが、全般状況と、それから各出先と中央部関係につきまして概数でお答えをいたしたいと思います。全体の問題といたしましては、ただいまお話のように充足向上のあとが出て参りまして、昨年の今ごろと今日とで比較いたしますならば、陸上自衛隊におきまして約二千七一名、海上自衛隊におきまして約千二百名、航空自衛隊におきまして約二千三百名、合計いたしまして約六千二百名の現員増になっております。現在員の増加になっております。現在の充足率は、陸上自衛隊におきまして八四・五くらい、海上自衛隊におきまして九八%、航空自衛隊におきまして九六%、この程度の充足になっております。さらにこの充足でございますが、実動の部隊ではどうかというお話でございますが、御承知のように、教育期間中のものは第一線定数に入っておりながら、教育隊等に入校いたしておりますので、現実には第一線充足になっていないわけであります。この点につきまして、まことに概数で恐縮でございますが、第一線部隊におきましては、現在の実充足は六〇%前後ではないかと考えております。これはこまかく申しますならば、階級別にも考えなきゃなりませんし、また部隊機関別にも申し上げなきゃならぬのでありますが、その点の資料を今持ち合わせませんので、お許しをいただきたいと思うのであります。なお、中央中枢部第一線定員比率という点につきましても、それを分けました数字をただいま持っておりませんので、恐縮でございますが、全般に申しまして、中枢部隊上級司令部というところは定員に近い、満度に近い充足であり、第一線が六、七〇%、これは陸、海、空を通じてほぼ同じような傾向にあるのではないかと、このように考えております。     —————————————
  12. 館哲二

    主査館哲二君) この際、分科担当委員の変更について御報告申し上げます。  本日付で、大矢正君及び田上松衞君が辞任されまして、その補欠として羽生三七君及び向井長年君が選任されました。     —————————————
  13. 下村定

    下村定君 私が特に重要視いたしますのは、この第一線訓練をやらなければならぬ、また災害等に当たっては出動しなきゃならぬこの部隊定員実員との差が半分近くもあるということは、これはもう非常にこれは工合の悪いことだと思うのです。今伺いますと、上級司令部のほうはそれほどでない、ほぼ満ちておる。これはいろいろ理由があることはお察しできますけれども、自衛隊能率向上という点から言いますと、どうしてもこれは第一線充足していなければ訓練も何もできないのです。これは。そういう点についてひとつ今後とも御配慮を願いたいと思うのであります。次はやはり人員不足でありますが、医官不足が特にひどい。それから駐屯地あるいは海上艦艇で全く医官のないところがあるということを承っております。その実情につきまして関係局長からお伺いしたいと思います。
  14. 軽部彌生一

    政府委員軽部彌生一君) 自衛隊医官不足しておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございまして、その実情を申し上げますと、ことしの一月一日現在の数字によりますと、定員が八百三十三名のところ、現在員は四百四名でございます。充足率が。
  15. 下村定

    下村定君 時間がありませんから、私の主として伺いたいのは、五千人以上の駐屯地医官が何名おるか。それから五千人以下の駐屯地がたくさんあると思うのですが、そこで医官の全くいないところと、いるところとの比率、それから同じく海上艦艇につきましても、定員に対して実員はどうなっておるか、それだけひとつ抜き出して御答弁願います。
  16. 軽部彌生一

    政府委員軽部彌生一君) ただいま御指摘のございました五千人以上というお尋ねでございますが、ちょっと私今まとめてございませんのですが、陸上自衛隊で五千人以上の人員を持ちます駐屯地におきます定員が五十二名ございますが、現在、定員配置されておりますのが二名であります。五千人以下の駐屯地に対する定員は、総計五百八十一名でございますが、そのうち現員は二百七十八名でございます。海上自衛隊につきましてのお尋ねでございますが、海上自衛隊の幕僚監部並びに総監部におきましては、定員十一名に対しまして三名、その他の基地艦船等に対しますもの、総計いたしまして八十九名の定員に対しまして五十二名でございます。
  17. 下村定

    下村定君 まだはっきりしません。五千人以上の駐屯地に対して定員が五十二名に対して実員は二名しかない。それから五千人以下の駐屯地で、これは人数はあまり関係がないので、この駐屯地が幾つあって、その中で医官が全くいないのは幾つあるかということを伺いたい。それから海上のほうは、陸上にある司令部なんかは問題ない、独立して動いている船の中に定員は幾らあって、それに対して実員は幾ら、その点をお伺いしているのです。もう一度御答弁を願います。
  18. 軽部彌生一

    政府委員軽部彌生一君) 駐屯地の数で申し上げますと、陸上自衛隊で五千人以上おります駐屯地医官配置のないものはございません。五千人以下のものにつきましては、駐屯地が百五カ所ございまして、そのうちの医官配置のございませんのが四十三カ所、それから艦船配置につきましては、定員十五名に対しまして現在三名でございます。
  19. 下村定

    下村定君 今承りましたとおり、医官は非常に不足しておると思うのです。これは隊の衛生ということは、さらに進んで一面からいえば、これは人道問題だと思うのです。これは列国と比較してのことを伺えばいいのですが、それは時間がございませんから省略しますが、戦前におきましては、医官隊員五百名に対して一人は必ず置いたものです。今は状況が違いますから、苦しいことは十分お察しいたしますが、このままでは私は放置できないと思う。それにつきまして、医官待遇、これは給与を含めますが、そういう待遇の面において現在どういう措置をとられておるか、また将来どういうふうにそれを拡充されるお考えであるか、それをひとつお伺いしたい。
  20. 小野裕

    政府委員小野裕君) 医官充足の目標といたしまして、一方におきましては貸費学生を募集いたしまして、この人に勤務していただきたいということを努力しております。また待遇給与という面につきましては、できるだけ上位の等級、階級を設定いたしますとともに、医官の昇進あるいは昇級という点につきまして特別な計らいをいたしつつあるのでありますが、この問題につきましては、さらに他の国立病院の医官等の待遇等とも比較をいたしまして、おくれている点があるならば、さらにこれを改善をいたしたい、今検討をいたしておる段階でございます。さらにまた、いろいろ国内あるいは国外の各研究施設に対する研修への便宜あるいはいろいろな診療についての便宜の供与というような面におきまして、勉強のできるような道を、医官の落ちついて勤務できるような体制を少しでも固めて参りたい、このように努力しておる次第でございます。
  21. 下村定

    下村定君 給与の問題は承わりましたが、また医官に対して停年が普通の自衛官よりも長いということも知っております。が、私はこの医官の応募者が少ないということは、もう少し深いところに原因がある。結局、自衛隊に入るとつぶしがきかない。それから扱う人は達者な人が多いものですから腕も上がらない。それから学位をとるというようなことも、研究機関がないからなかなかむずかしい、そういう点だろうと私は思う。で、なかなかすぐにはいきませんけれども、たとえば東京にあります中央病院のようなものは、これはもう陸海空一体の病院にして、そうして十分な研究機関を持ち、そこで修業をすればりっぱなお医者になれて、外に出ても十分な地位が得られるということをしなければ、結局この問題は解決しないと思う。むろん急にはいきませんけれども、戦前の例から考えましても、たとえば陸海軍の軍医学校におきましては、これはりっぱな研究機関がありました。そうして定期に医官をそこに召集して教育をする。その結果、世界的なガンの治療の権威であるところの後藤博士、耳鼻咽喉の斎藤博士、ああいう人は軍医の中から出ている。そういうところまでいかなければ、ほんとうにこの医官の充実はできないと思う。この点は先ほども申しましたとおり、ただ隊の衛生業務をやるというだけでないので、大きくいえば人道問題だ、これはひとつぜひ将来にわたって御研究を願いたい。  それから次は、婦人自衛官、一般の言葉でいえば看護婦の、この応募状況はどうでございますか。
  22. 小野裕

    政府委員小野裕君) 婦人自衛官の応募状況は、本年度、三十七年度におきまして採用試験をいたしましたものについては、応募人員が四十名でございましたが、募集者が千五百名余り、約四十倍の競争率の試験がございまして採用いたしております。
  23. 下村定

    下村定君 医官の応募率が少なくて、婦人自衛官の応募率が非常に多い、それはどういうわけでございますか。
  24. 小野裕

    政府委員小野裕君) 婦人自衛官——看護婦でございますが——婦人自衛官は採用になりまして研修教育を三年受けますると下士官、曹になるわけでございますが、それからあとは大体男子と同じような条件で進級をして参ります。ただいま婦人自衛官定員としては、最南の階級は二佐でございます。昔の階級で中佐でございますが、ここまで伸びられるわけでございます。この二佐の停年は五十才でございますが、それまで自衛隊におきまして、長くなれば三十年近く勤務できるわけでございまして、それからでも民間進出は十分できるわけでございます。一般に比べましてこの進級あるいは昇給という状況が、一般の看護婦よりも婦人自衛官たる看護婦のほうがいいということがいえるのじゃないか、こういうふうに考えます。
  25. 下村定

    下村定君 応募率が多いということ、したがって、優秀な人が採れるということは非常にけっこうなことであります。せっかく応募したものが予期に反して進級がおそいとか、あるいは居住その他の設備が一般病院に比べて悪いというようなことがあっては、これはまた逆効果になるわけです。そういう点についてどういう工合になっておるのか。
  26. 小野裕

    政府委員小野裕君) 一般の看護婦に対する配慮といたしましては、まあこの自衛隊の看護婦についてはいわゆる労働基準法は適用除外になっておりますけれども、これに準じまして、総理府令、自衛隊法の施行規則等によりまして、いろいろ休暇の問題にしましても、あるいはこの看護婦の配置の基準と申しますか、定数と申しますか、こうしたようなことについても工合の悪いことのないように十分考えておるのでございます。また、この人たちの宿舎の問題であるとか、あるいは厚生の問題であるとか、こうしたことにつきましては、他の自衛官も同様でございまするが、特に少数の関係もありまして厚く面倒が見られておるかと思うのであります。そういう意味で、婦人自衛官につきましては、一般の医官と比べまして、途中で早目に退職するというものは比較的少ない状態にありますことは、落ちついてやってくれていることであろう、また今わずかでございますけれども、気を使っておりますことが効果を上げておるのじゃないかと思います。
  27. 下村定

    下村定君 次は、兵器についてお伺いします。この兵器の調達費に前払い金制度のあるということ、それからどういう種目についてそれが行なわれておるかということは、先般、一般質問の場合に承ったのでありますが、今年度、三十八年度の予算におきまして、前払い金と全般の調達費との比率、これを簡単にお答え願います。
  28. 伊藤三郎

    政府委員(伊藤三郎君) 前払いの認められました兵器の項目については、先般の予算委員会の一般質問のときにお答えいたしましたが、その金額の比率についてはまだ数字を検討いたしておりませんので、後ほど資料で御提出いたします。
  29. 下村定

    下村定君 それでは、今度は防衛庁長官にひとつお伺いいたします。せんだって、総括質問の際に、第二院クラブの佐藤尚武先生が外務大臣に質問されました。その中に、現在、国際関係の交渉、会議等におきまして、軍事上のことの入らないものはほとんどない。言葉をかえていえば、いろいろな国際会議でもう軍事上の問題のウエートが非常に高くなっておる。しかるに、この軍事の調査ということが日本ではおくれておるのじゃないか。で、具体的には、軍事専門家をそういう会議に参列をさせるといいますか、随員として参加させるといいますか、そういう点が必要じゃないかという御質問があったのであります。で、それに対して大平外務大臣は、目下検討中であるという御答弁でございました。これにつきまして、防衛庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  30. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 外務大臣との当時の問答のやりとりを、私は拝聴いたしておらなかったのでございますが、下村先生の御指摘のとおり、やはり軍事問題がかなりウエートを占めつつあることはお話のとおりでございまして、今後、外務大臣とも十分に協議をいたしまして、逐次善処いたして参りたいと思っております。
  31. 下村定

    下村定君 次は関係局長にお伺いしますが、現在、海外におります防衛駐在官、これの人員配置及びその任務、それについて概略をお答え願いたい。
  32. 海原治

    政府委員(海原治君) 現在、在外の公館に防衛駐在官として勤務いたしておりますものは、国の数では七カ国でございます。合計十二名現在出ております。アメリカに五名と、それからソ連に二名、以下は全部一名ずつでございますが、イギリス、西独、トルコ、タイ、フランス、これが現在の派遣先であります。防衛駐在官の任務は、在外公館長の指揮を受けまして、軍事に関する情報調査、これが主たる任務でございます。ただアメリカにおきましては、御存じのように米国の陸海空軍三軍から、いわゆるMSMSと申しておりますが、有償援助という形における装備品の購入をいたしております。この関係事務を合わせて、ワシントンにおります者がつかさどっております。以上が概略でございます。
  33. 下村定

    下村定君 駐在官の職務でございますが、それは主として、何と申しますか、用兵関係のことの専任者でありますか、専門家でありますか、あるいは技術関係の任務をも負った人があるんですか、それをお伺いします。
  34. 海原治

    政府委員(海原治君) 防衛駐在官を派遣いたしますときには、通常の場合、まず語学ができますことが一つ条件でございますが、赴任国におきます言葉が必ずしも十分でない場合においては、一応英語というものについて十分用を弁じ得るということが基礎的な条件でございます。このほかに選考いたします範囲につきましては、情報関係の経験のある者、あるいは技術関係の経験のある者、こういう者を数人選びまして、具体的に、選考の委員会におきまして一応本人と面接いたしました上で、それぞれ配属を決定いたしております。
  35. 下村定

    下村定君 今の問題に関連しますが、第二次防衛力整備計画の第二項、「防衛力整備の方針」という項の中にこういうことが書いてある。「情報機能を整備充実し、防衛力の向上に資する」ということがある。これは三十八年度予算で、この点でどういう配慮がなされてありますか、お伺いします。
  36. 海原治

    政府委員(海原治君) 二次計画に今御指摘になりました情報機能の強化ということをうたっておりますのは、先ほどから申し上げておりますような防衛駐在官の派遣の国をふやすということも一つの方法でございます。自衛隊内におきますところの各種情報調査機構の内容の充実ということがその次の問題でございます。むしろ実際的には現在の陸海空三幕僚監部及びその下部機関にございますところの情報調査機構に従事しております人間の教育、これのいろいろ調査に当たりますところの資料の整備、こういう方面に具体的には重点を置いております。したがいまして、来年度予算におきましては防衛駐在官を一名さらにアジアの国に出したいということで、現在御審議を願っておりますことが駐在官につきましての増員でございます。各自衛隊につきましては、具体的に当該情報機能の強化という目的のために、金がどの程度要るかということにつきましては、現在そういう見地での資料の持ち合わせがございません。しかし昨年度に、比べまして、相当、調査委託費あるいは事務関係が、私の記憶が正しければ、前年度に比べまして約一割程度はふえている、こういうことになっております。
  37. 下村定

    下村定君 これは防衛庁のことじゃございませんが、政府全般としてやっておる仕事の中で、非常におくれておるものの一つは私は情報機能だと思う。第一、各省庁でばらばらにやっておって、それを統一して十分にそれを活用するというような機構もなし、また実際におきましても、それがはたしてうまくいっておるかどうか疑問の点がある。したがって、防衛庁といたされましても、外務省とか、それからそのほかの情報に関係する機関と密に連絡をとって、効果を上げるという御配慮が必要だと思うのですが、そういう点についてどういう程度に進んでおりますか。
  38. 海原治

    政府委員(海原治君) 今御指摘のございました政府各省におきます情報交換ということは、私どもも従来からその必要を十分認めておりまして、外務省を中心といたしました各関係機関の定期的な会合、あるいは防衛庁内部におきます関係部課の会合、ないしは在日米軍との間の情報の交換、こういうことは、従来からもできるだけ正確な情報を得て判断の正確を期するように努力してきておりますが、今後とも大いにその方向につきまして努力したいと、このように考えております。
  39. 下村定

    下村定君 次は技術研究開発のことでありますが、これも第二次防衛力整備計画の第二項に、「防衛力の向上に資するため、技術研究開発を推進する」という一句がある。防衛庁自体としては大いに勉強してやっておられると思いますが、これまた情報機能と同様に、防衛庁の中だけでやっておったのでは非常に非能率であり、不経済である。したがって、部外——防衛庁所管外の学校とか、研究機関、これらと密接に連繋をとって、両々相待って進むということが一番大事じゃないかと思う。ところが現在はどうもその間に壁があって、何か軍事上の技術を研究すると、それが戦争につながるというような議論も出たりしまして、なかなかうまくいっていないというふうに私は承知しておるのであります。そういう点の打開についての御配慮を伺いたい。
  40. 伊藤三郎

    政府委員(伊藤三郎君) 防衛装備の新技術の開発につきましては、技術研究本部を中心にして実施をして参っておりまして、逐次予算増加して参っておるのでございますが、今、下村委員の言われますように、もちろん防衛庁だけの技術で所期の目的が上げられるわけではございませんので、広く民間にもいろいろ研究を委託いたしまして、民間の最新の技術も取り入れるように配意いたしておりますし、海外の必要な資料もできるだけ広く集めますように、そういういろいろ資料を収集整理いたします一課も設けたわけでございます。また、アメリカとの間には、御承知のように昨年の十一月、技術資料の交換の取りきめを結んだわけであります。ではありますが、御指摘のような、特に学校関係と申しますか、そういう点で防衛庁の目的とする研究については協力をしない、あるいはそういう委員会なり何なりに防衛庁関係の出席があるのは好ましくないというような点も、例は聞いておるのでございますが、特にそういう点につきましては、われわれのほうでは、そういう協力を拒否されたことについてとがめると申しますか、何だというわけには参りませんけれども、政府機関等については十分その趣旨を話しまして、政府機関のほうとしては了承をして協力を得ております。われわれとしても、政府機関内部においては十分な協調、調整ができて進んでおると考えております。それ以外につきましては、一般の認識と申しますか、そういう学界の防衛庁に対する認識を深めてもらいたいということを希望しておるわけでございます。具体的に個々のそういう意見を吐かれる方々の意見を直すというところまでは参っておりませんけれども、政府機関等を通じまして協調方をわれわれとしては期待をし、努力をしておるわけでございます。
  41. 下村定

    下村定君 仰せのとおり、これは防衛庁だけの仕事じゃございません。政府の責任だと思いますけれども、防衛庁におかれましても、今後ともあらゆる手段を尽くしてひとつ今のような不経済な、不合理なことのないように御努力を願いたいと思います。  次は、同じく第二次防衛力整備計画の第三項に防衛力整備の目標という項があるのでございます。その中に、「計画実施に際しては、内外情勢の推移等に伴って、戦略構想等に基づき、長期的見通しに留意しつつ、随時再検討せられるものとし、必要ある場合はすみやかにこれを修正する。」とあります。これは第二次防衛力整備計画の中の明文でございます。これについて考えますと、本年度はいろんな内外の情勢から、ことにアメリカの軍事援助が減少するというようなところから、必然的にこの検討をやらなくちゃならぬ状態にあるのじゃないかと私は思うのでございますが、これにつきまして長官の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  42. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) ただいまお話のありました問題につきましては、予算委員会でも何回か私はお答えいたしておるとおりでございます。アメリカの対日援助の額がどのような具体的な形で現われるか、正確な資料がございませんが、少なくともただいま御審議願っておりまする昭和三十八年度の防衛予算には、さしたる影響がないという判断の上で私ども対処いたしているわけでございまして、したがって、昭和三十八年度予算に盛られました二次計画は、これは変更する必要なしと現在判断いたしております。しかし三十九年度以降になりますると、アメリカの新しい予算の編成の様子もわかって参りますので、その場合に対処して参りたいと思っておるわけでありまして、ようやく二次防の第二年度を迎えんとしているやさきでございまして、今後、対日援助の削減の様子などを見ながら慎重に処して参りたいと思います。もとより修正しなければならぬ場合においては、これは修正しなければいかぬのでありまして、何も修正しないというのが金科玉条でもないのでありまするから、特に慎重にかまえて参りたいと思っておるのであります。
  43. 下村定

    下村定君 長官の御意図はよくわかりましたが、特に今読み上げました中の「長期的見通しに留意しつつ」ということに、この上ともひとつ御配慮を願いたいと思います。  まだ質問もありますが、時間でございますから、中止いたします。
  44. 横川正市

    ○横川正市君 まず防衛庁長官に、この百幾つかある国の中の相剋というのは、あとを絶たない現状であるが、さらにまた世界観の違いが平行線を辿っているという、そういう事実もこれまた事実でございます。しかし、実際にそういった事実の認識が一つの団体の中でどういうふうに論議をされておるかということは、非常に私は重要な問題だと思うのでありますけれども、その論議の中で、大きく分けて、防衛庁の中にせびろ組と制服組というのがあるわけでありますが、大きく言えばいわゆる世界観の問題、それから当面の任務からいえば防衛の問題、こういつたことで意見の違いがあるのがこれは当然なんでありますけれども、その意見の違いに対してどういう調整を行なわれているか、この点まず一点お伺いしたいと思います。
  45. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 御指摘のとおり、たくさんの人間が一堂に会しているのでございますから、いろいろの意見のあることはこれは当然でございます。そこで防衛庁といたしましては、制服とそれからせびろの意見の調整なり、意見の隔意ない交換は、事務次官が中心になりまして常に会議を開いております。ほとんど一、二日置きぐらいに最近では開いておるのでございまして、これはあらゆる問題につきまして、小さな問題に至るまで、せびろと制服の間の意見の調整を行なっておるのでございまして、その点は御心配のないように万全の議を尽くしておる所存でございます。
  46. 羽生三七

    羽生三七君 どこにそういうせびろと制服の意見の違いがあるのですか。
  47. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) まあそれはいろいろな問題につきまして、たとえばバッジの問題でございますね。   〔主査退席、副主査前席〕  バッジの問題につきましては、制服と申せば航空幕僚監部が所管いたしておるのでありますが、ここの技術的な意見と、あるいはまたせびろのほうの技術的な意見と、そういう問題がいろいろ食い違う場合があるわけでございまして、そういう問題を調整することに事務次官が中心になりましてやっておるのでございまして、それ以外の問題につきましても、すべてが食い違うわけではございませんから、意見の違う問題がありますれば徹底的にこれを究明して、いわゆる思想統一をやり、調整をする、そういう努力をいたしておるわけでございます。
  48. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、前回私は防衛庁長官からアジアにおけるところの極東米軍の配置状況、それからNEATO傘下の国の内情、そういったものから日米間に調整すべき問題として問題はないか、こういう質問をいたしましたところ、安保体制下における日本の防衛という問題は、いわば国内的なもので、外に向かっては、これは外の問題はアメリカが全部やってくれるから、内の問題だけを考えればいいのだというふうに言われておりましたけれども、この防衛庁長官の考え方に全然庁内では意見はありませんか。非常に俗っぽい比喩でありましたから、あまりにも戦略的な問題からいきますと、少し比喩がかち過ぎたような格好になっているわけでありますけれども、私はもっと現実的な直視の中から、これにはいささか問題があるのじゃないかと思うのでありますけれども、お伺いいたしておきます。
  49. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これも何度も私は申し上げているのでございますが、日本の戦略体制は、何と申しましても日米安保条約が前提でございまして、またこれが背景になって日本の憲法上認められる範囲内のいわゆる国力、国情に応じた最小限度の必要な自衛力、それ以外にないのでございますから、その自衛力をもって応分の責任を分担する、日米安保条約を背景にする応分の責任を分担する、そういうことでございます。なお、アメリカの米庫の配置なり、あるいは応分の責任の分担につきましては防衛局長から答弁させます。
  50. 横川正市

    ○横川正市君 いいです。これは私は現状認識の問題ですから、その認識が年次計画によって改められるという防衛力もありますし、思想の問題も背景として出てくると思うのであります。ただ最近、一月の十七日、林統幕議長が国防会議員懇談会で次のように言っておるわけでありますが、「アジアでは中共を中心として北鮮、ベトナムの動向が注目される。さらにインド、パキスタン関係、ラオスの内部事情、インドネシアの動向など微妙なものがあり、中共の圧力に対して抵抗力が少ないうえ、アメリカのアジア自由主義諸国に対する援助にも限界がある実情である。したがって中共の出方によっては、アジアに問題が起るかもしれず、日本の責任は軍事的というわけではないが、重大になろう」、こういうふうに発言をされておるわけでありますけれども、これに対して、統幕議長の意見というのは、おおよそ私は現在の極東における情勢をとらえて、日本の負うべき任務というものについては一応腹づもりの中にあるんだと、こう考えるわけでありますけれども、長官どういうふうにお考えですか。
  51. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 林統幕会議議長の見解でございましょう、それは。また当然それと同時に、われわれのまた重大な関心事でございます。しかし、重大な関心を持つからといって、すぐにわれわれの責任というものがまた別に発展するわけではないのでございまして、ただいま申し上げたように安保条約を基調として、日本への直接侵略に対処するという体制を、われわれがこれを固めることに全力をあげておるのでありまして、したがいまして、同時に極東におきますそういう動向は、常に大きな、また深い関心事であることは、これは間違いないところであります。
  52. 横川正市

    ○横川正市君 もうすでに現役を去られた人でありますけれども、この人の考え方は、原爆戦争は絶対にあってはならない。それは人類の滅亡を意味する。だから原爆で武装することによって平和は保たれる。最高の軍備の均衡の上に平和は支えられるのであるから、わが国も最高の軍備を整えなくてはならない、こういうふうに言っておるわけでありますけれども、これは私は総理、それから防衛庁長官の国会答弁とは、制服のものの考え方というのは違うんじゃないかということを率直に感ずるわけですが、この意見の中には原爆戦争は絶対避けよう、避けるためには原爆を持たなければいけないのだ、だからその最高の軍備の均衡上平和は支えられるのであるから、わが国も最高の軍備を整えようじゃないかということを、これは公にしている意見なんであります。先ほど私が一番先に聞きましたのは、せびろと制服との間で、いわゆる防衛という問題に関しては、いささか意見の違いがあって、そのうちの端的な現われがここに出ているんではないかと、こう私は思うのでありますけれども、これはまた統括の問題にも関係することですから、個人の考え方を発表することは自由だと、こういうふうには私はなかなか責任のある地位の人たちが、こういう重要な問題について発言することは少し影響が多過ぎるんじゃないかと思うのでありますけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
  53. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) まあ、ただいま御披露になった見解は、どういう肩書きの人がおっしゃったのか私はわかりませんけれども、しかし、今日少なくとも防衛庁の陸海空、自衛隊の現職の中にそういう考えを私は持っておる人はないと思うのです。それは最高の軍備、つまり核武装しなければならぬということを、そう私は積極的に考えておる人はないと思うし、また、現に私も各幕僚の相当責任のある諸君からいろいろなフリーな意見を聞く機会がしばしばあるのでございますが、そういう意見が片鱗も出ないのでございます。これは。しかし、その中で軍籍に身を置いたような人がフリーな立場になってものをおっしゃることは、これはもとより自由なことですから、そういうことと今日の陸海空自衛隊の幹部の考え方と結びつけて御判断願うことは、非常に私はちょっと迷惑をいたす次第でございます。率直に申し上げて。
  54. 横川正市

    ○横川正市君 もし迷惑であるということならば、私は実はこの言った人をここで名前を言ってもいいのですが、しかし、差しさわりがあるから私は遠慮して言わないのであって、一番問題なのは、私はまあ制服とせびろとの間のものの考え方というのは、一事がたとえばすべてで、また国際関係状況が変化すればするほどにかけ離れた状況に行くのではないか。ことに国会での総理や防衛庁関係の皆さんのおいでになってお聞きをする分については私どもも十分知っているわけであります。ところが、制服の方々とは接触する機会がありませんから、結局どこかで何かを言われていることに対して、私はものの考え方を判断する以外はないのでありまして、これはひとつ課題として置いておきたいと思うのです。私はこの考え方は、実は先月、イギリスで核禁止運動の先頭に立っている有名な人が、力の均衡による平和維持という問題の究極というのは、やはり核戦争への発展を意味するものであって、どこかでこれを阻止しなければならないという、こういう考え方のもとに平和運動をやっている、こういう人の意見を読みましたけれども、同時に、平和維持の考え方はもう一本あるのです。今ここにいわれているように、わが国も最高の軍備を整えなければならないという考え方というものがあって、やはり平和維持のための均衡論というものがあるのだと思う。二つ意見というものがあるのだと思う。しかし、私は最南の軍備を整えなければならないということは、常にこれは仮想敵国があって、その仮想敵国よりかまさったいわゆる装備、火力、もちろんミサイル兵器等の充実といいますか、そういったことがなければならぬということになるでありましょうし、思想的にいえば、私は相手側が力の弱いうちにたたいておいて、自分の安全をはかるということに発展をする。私はこれは危険なものの考え方だと思うのであります。そういう考え方が制服の中にある、これはあるのです。実際にこれは言っている人を私は知っているわけだから、あるのですよ。ということは、私は少なくとも防衛庁の中の防衛についての意識というものは、これはもうなまはんかな問題のとらえ方でなしに、とことんまでひとつ論議をして、制服、せびろの意見の違いというもののないようにしておいていただきたいと思いますが、これのひとつ御意見を伺いたいと思います。
  55. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは私から申し上げるまでもないことでございますが、やはり民主主義政治下におきましては、何と申しましてもシビリアンが優先するのでございますから、また、しなければたいへんなんでございます。これが。したがって、ただいまのいろいろまことに参考になるお話でございますが、私はきぜんたる態度でシビリアン優先を貫いて参りますので、この点はひとつ御安心を賜りたいと思うのであります。
  56. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、これは防衛局長にお伺いしたらはっきりするんじゃないかと思うのでありますけれども、同じ一月十七日の林さんの出席をされた会議の中で問題になっているわけでありますけれども、中国は核兵器原料を大量生産するに十分な動力炉やプルトニウム生産炉は、これは存在をしない、しかしまあ一発や二発程度の実験用の原爆による核実験という形のものがデモンストレーションのような格好で行なわれる可能性はあるということが言われておるのでありますが、まず中国の核兵器の保有についてどうとらえておられるのか、お聞きをいたしたいと思う。
  57. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま核兵器についての御質問でございますが、御引用になりましたのが、核実験、核爆発とも関連がございますが、合わせて申し上げます。防衛庁といたしましては、特に中共の核実験というものにつきましての資料を独自に入手するという方途はございません。従来いろいろなところでそれぞれ責任のある、権威のある方の言われていることであるとか、あるいは新聞、雑誌等に報道されておりますこととか、こういうものを基礎にいたしまして、ある程度の技術的な判断もそれに加えて一つの考え方があったわけでございます。それはすなわち北京に一九一五八年六月に熱出力一万キロワットの原子炉というものができた。これは中国側が発表いたしております。その前に一九五五年に中国とソ連とが原子力の開発援助協定というものを結んでおります。この北京に熱出力一万キロワット、これにつきましては七千キロワットという報道もございますが、七千ないし一万程度の熱出力を持つ原子炉があるということは、これははっきりいたしております。しかし、それ以外に通常伝えられますところの三カ所の原子炉につきましては、これは確かにあるということについての確証は一つもございません。かっこの北京の原子炉につきましても、これは実験用の原子炉でございます。しかし中国の要人が、自分のところは原子炉を持ってこの方面の研究をしておる。これは平和的利用だけではないんだ、核兵器というものも将来考えておるんだ、こういう言明もございますので、かりにこういう実験用の原子炉を使ってプルトニウムを生産いたしまして、これをまあ毎年積み立てていくというと、たとえて申しますと、ことしになれば大体三十キロ程度のものができるという可能性はある。そうなりますというと、最初の核爆発の実験が二回程度は行なわれるんじゃないかと、こういうような推量もあるわけです。そういうことがいろいろな機会に出ておる次第でございます。これも人によりましては、とても中共にはそれほどの科学力はない。今申しましたような進度で研究を進めるに必要な十分な学者、つまり物理学者、数学者、科学者、こういう者が十分いない。かつはこういう熱出力、この程度のものを必要といたしますところの電力でございます。これも十分でない。したがって、そう早い時期に最初の核爆発実験が行なわれるということは考えられない、こういうことを言う人もあります。ちょっと引例いたしますというと、たとえばラスク長官は昨年の四月に米下院外交委員会で、ここ一年以内に中共が核爆発実験を行なったとすれば自分は驚くけれども、それが二年以内である場合には驚くに当たらない。それから同じアメリカの人でディーン、これは核停止会議の米国代表でございますが、これはワシントンにおけるテレビ会見で、中国は現在——これは昨年の九月でございます。現在核実験を行なう能力がある、こういうことを言っております。しかも中国の最初の核爆弾はきたない爆弾になるであろう、こういうことも言っております。この種のいわゆる権威者と申しますか、学者方の発言は相当ございます。これによりますと、早ければことしくらいに実験が行たわれる可能性があるということでございます。次はこの最初の核爆発実験が行なわれましてから、核兵器、核装備になるということにつきましては、これはまたさらに長期を要するわけでございます。したがいまして、最初の核爆発実験が行なわれましても、これは現実の核装備になるためには運搬手段の問題もございますし、爆弾を作るということは非常に高度の技術を要しますので、フランスの例等を見ましても、数年あるいは六、七年から十年はかかるのではないか、こういう観測もございます。以上を総合いたしまして、かりにことし早ければ実験が行なわれましても、これが現実に核兵器の装備になるためにはまだまだ相当な年月を必要とするであろう、この程度までのものがわれわれの観測でございます。
  58. 横川正市

    ○横川正市君 防衛庁長官に関連してお聞きしたいのでありますが、中ソ論争の到達すべき究極のところはどういうふうに判断をされているかという問題がある。私はこの共産国の各国の代表が集まって話し合いをするという、そういうこともありますし、結局いいかえれば、今の情勢の中で中ソ論争は究極に両者が意見の相違のままに会談等が決裂をするであろうというような見方よりか、やはり相当激しい論争があっても最後はまとまっていくのではないか、こういうことになれば、ソ連の対外援助も、アメリカの率からいいますと半分くらい、半分以下でありますので、そう多くを望むということはできなくても、近い将来にやはり力の均衡論が平和維持の一つの究極の手段だ、こういうことになっておれば、中ソの関係というものは、将来私は変わってくるのではないか。そういうことになると、中ソ関係のいわゆる核装備、そういったものにも変化がくるのではないか、こういうふうに考えられる状況ではないかと判断をするのでありますけれども、長官どうお考えですか。
  59. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは純粋の外交問題でございまして、私がとやかく答弁することは範疇以外のことだと思うのであります。私も先生のおっしゃるとおり、中ソの論争が平行線でずっといく場合と、それからけんか別れになる、きわめて端的に申し上げまして、そういう二つのケースがあると思うのでありますが、どうもただいま私は外交関係には知識がございませんから、はたしてどういう筋をたどってどういうところにおさまるか、その点の見通しは私はつきかねます。もう少し時間を見なければ私なりの先行きの判断ができない状況にあることをひとつ御了承願いたいと思います。
  60. 横川正市

    ○横川正市君 これは私は中国の核武装というようなことが自力でもって行なわれる場合とか、中ソの論争の結果からさらに時期が早められるということやら、そういったことからあわせますと、アジアの軍事情勢というものは非常に変わってくると判断をするのが当然じゃないかと思うのです。そういう意味から、逆に実は私どもの周辺でよく聞かれる言葉は、これは議会の中に非常に強いそういう意見がある。あるのは、中国が核爆発を自力で実験をするということと核兵器を保有するということと関連して、日本の装備の強化の問題も、これもあわせて行なわなければいけないのだというような意味のことが強く言われている。そういう場合にぶつかるわけです。これは私は二面に自衛隊の、今は日本の社会におけるところの評価といいますか。こういったものがいろいろあなたのほうでも腐心をされるような現況にあるので、この際そういった一般国民との間にある隔たりというものを解決するためには、中国のこの核保有という問題と結びつけて、国内にひとつの防衛思想というものを、これをまあいわば持たせるようにしなければいけないのではないか、こういう考え方もあるというふうに言われておるわけなんです。回りくどい言い方でありますが、これはせびろの皆さんの考えている以上に制服の方は神経をとがらせて、しかも日々自分の隊員に対し、社会のいろいろな待遇等も勘案しながらものを考えているのではないかと思われる節があるのでありますけれども、そういう点から勘案してみますと、防衛当局として、中国の核武装というものをどうとらえて、これを国内の軍事情勢、いわゆる戦略の問題にどう結びつけていくか、この点は従来どおり変わらないものなのか。私はどうも変わらないという意見は、国会答弁は聞いておりますけれども、どうもこれは納得ができないわけです。変わるものだと思うのです。どういう変わり方をするか、それをお聞きしたいと思うのです。
  61. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 海原防衛局長から、われわれの持っておりまする情報に奉づいての判断を申し上げたのでありますが、もし中共が今年中に核実験をやりましても、少なくとも八年ないし十年核装備するまでに時間が経過することは、日本の国民もよくわかってきておると思うのであります。したがって、かりに中共が年内中に一発ドンとやっても、日本の国民はそう私は驚かないと思う。びっくりするようなことはないと思うのであります。したがって、防衛庁といたしましては、中共が第一回目の核爆発をやったからといいまして、それに便乗して、そうして新しい戦略体制を作るとか、新しい考えでいくとか、そういうことは全然考えておりません。しかしながら、さいぜんも申し上げましたとおり、極東におきまするいろいろな軍事情勢なり、その推移というものは、われわれの重大な深い関心事でございますが、ただいまお話になりました中共が核実験をやったからといって、われわれが踊り上がって、そして日本の防衛体制を再検討するとか、そういうことは考えておりません。もう十年も先のことでございまして、これは個々の日本人は、そういう事態に直面すればいろいろな感情を持つ者もあるかもしれません。しかしながら、私は先ほど申し上げましたように、きぜんとした態度で、日本の防衛体制というものを、しっかりと着実に、安保条約を基調として二次防、さらに遠からずは三次防の策定にも取りかからなければならないと思うのでありますが、そういう態度で私は参りたいと思うのでありまして、いやしくも中共が核実験をやったからと申して、それに私が左右せられて、そうしてまたそれを利用していろいろなことをやるというようなことは全然考えておりません。
  62. 横川正市

    ○横川正市君 これは時間がないから論議はひとつこの辺でやめておきます。ただこの問題は将来相当出てくることだろうと思いますので、隊内の制服とせびろということよりか、防衛思想全体の問題に関連するわけですから、しっかりとしたひとつ基礎的な論議はしておいていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、実はポラリス潜水艦の寄港問題で一点お聞きをしておきたいと思ったのですが、このノーチラス号の寄港を認めるというようなことがかりにあった場合は、私は防衛問題からもぜひこれは国民に納得のできるようなはっきりとした内容を発表できるようにしていただきたい、と思うのは、やはり国民の中には、サブロックは核弾頭の大体キロトンぐらいの威力を持った魚宙を装置できる、そういう改装が時間的に近いと、   〔副主査退席、主査着席〕  こういうふうに報道されている問題があるわけでありまして、一体このノーチラス号の横須賀、佐世保への寄港という問題が、そういう核ロケットが積まれていない、積むことができないというようなはっきりとしたことが明確になるように、これはひとつ防衛庁でも検討しておいていただきたいと思うのです。外交上の問題ではなくて、実際にはこれは装備の問題ですから、私は防衛庁の責任はやっぱりあると思うのですよ。それからもう一つは、これと同時にこういう疑いがあるわけです。国会でも一般にも、日本は核装備はしないしないと言っているけれども、いわゆる間接的核装備をする意味では、ノーチラスからこのポラリスまでのいわゆる潜水艦寄港という問題を認めておいたほうが、いわゆる暗に核装備のできるそういう状態になるのではないかというので、一部制服の中の首脳部にはこれを歓迎するという考え方がある、こういう報道があるわけでありまして、非常に迷惑しごくな報道だと防衛庁としては思うと思うのでありますが、この点もしっかりと御検討しておいていただきたいと思います。次に、基地問題で一、二点お伺いをしたいと思うのでありますけれども、大体今の米軍関係の基地で問題になっておりますのは、たとえば北富士演習場の問題とか、茨城の東海村の移転問題とか、こういったことがあるわけでありますけれども、新聞の報道、昨日の報道を見ますと、私はまず第一に、防衛庁自衛隊関係の基地とあわせて当地問題については、すみやかにこれを解決をしたいという意思を持たれたようであります。そういう意思を持ったということは、これは今の日本の現状としては、基地反対の意思というものがあるわけでありますから、どこかでこれは火花が散るわけであります。一体基地問題を解決するということは、いわゆる基地の問題で当然起こってくるこれらに対処して、どういう処置をとられるつもりなのか、いわゆる強制収用というようなことで、血で血を洗うような格好をとられるのか。私は少なくともそういうことは好まないだろうと思うのでありますが、この点が一つ。もう一つは、北富士の問題等でも、防衛本庁の前にハンガー・ストライキの看板を掲げられるというようなことは、こういう状態は世界のどこを探してもないわけであります。日本の基地の持つ私は宿命だろうと思うのでありますが、こういうものを解決する側に立つのは国家権力を持っておるわけでありますから、そういう点から一体今後どう対処していくのか、これをひとつお聞きいたしておきたいと思います。
  63. 林一夫

    政府委員林一夫君) 基地の問題は各地に起こっておるのでございまするが、この基地の問題を解決する基本的な方針は、どこまでも地元の方々と十分協議をいたしまして、十分御理解、御納得をいただいて問題を処理するという方針で進んで参ってきておるのであります。これは終始変わらない方針でございます。現在においてもそのような態度でもって、なるべく早く問題が起こらないように解決するべく努力をいたしておるような次第でございます。たとえば北富士の補償の問題、御指摘になりました北富十演習場の草の補償の問題でございまするが、なるほどこれは地元の入会組合の方々が大挙して反対連動を行なった例があるのでございます。このような問題につきましても、なるべくこれらの方々の御理解、御納得をいただいてこの補償の問題を解決するように努力をいたしておるわけでございます。また、水戸の射爆場の問題につきましても、これはあの演習場の近くに原子力研究所がある。この原子力研究所があるから、危険であるから、早く返還を受けよという地元の方々並びに関係方面の御要望がありますので、このことについては米側と現在折衝をして、早く返還を受けるように努力をいたしておるのであります。いずれにしましても、基地の問題の解決というのは、やはり地元の方々の御理解、御了解を得まして、何と申しましょうか、平和的に解決して参りたい、こういうふうに考えております。
  64. 横川正市

    ○横川正市君 もう一つ、防衛庁長官、いつかまあ基地の解放をやって、住宅緩和とか、そういう民生へ用地転用をして、今の非常な用地不足を緩和する方向に協力をしたいということを言われて、私のほうから、たとえば都市の中に——まあもとは都市ではなかったんですが、その後だんだん発展をして、都市の中に非常に広大な土地を持って業務を行なっている、そういう基地があるわけでありますが、そういうような場合には、適当な土地を提供がされれば移転をされるかどうかという点を申し上げましたが、これは今もって変わりはないですか。
  65. 林一夫

    政府委員林一夫君) この基地の問題の解放と申しましょうか、返還のことにつきましては、私どもも米軍と折衝しまして努力をいたしておるわけでございます。やはりこの基地の返還と申しますのは、米軍が必要でなくなった場合において米軍がこれを返還しなければならないという地位協定の規定に基づきまして、その必要であるかどうかということは日米合同委員会において十分協議、検討いたしまして、必要でないと認めた場合においてはこの返還を求める。これに対しては米軍も返還に応じなければならないというようなことになっておるのでございまして、基地の解放、返還につきましては、絶えず米側と合同委員会において協議をいたしまして進めておるわけでございます。検討いたしておるわけでございます。
  66. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。防衛庁当局とわれわれとの立場の違いはまあ別として、防衛庁の立場に立っても、日本の自衛隊が質的な向上や装備の近代化を進めていく場合、やがていずれかの時期にはアメリカ軍の基地の縮小ないし廃止の方向へ進むのが理の当然だろうと、私はこう思うんですが、今の米軍基地の縮小あるいは廃止という方向で、何らか具体的に問題を検討されたことありますか。これは長官から、政治的な角度から、こまかいどこの施設がどうという問題じゃないですから。
  67. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 現在そのような具体的な動きと申しましょうか、話し合いはないのでございまするが、やはり将来は真剣になって考えなければならぬ問題だと私は常に考えておるわけでございます。
  68. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つ、それは先ほども申し上げたように、くどいようですが、立場の違いは、これは全然別なんです。けれども、あなた方の立場に立っても、そうしないと、同じことを、アメリカも日本も同じことをやっていくということになれば、それにかわって日本が自衛力の増強をやるという理屈からいえば、そういつまでもアメリカの御厄介になっておるということは理屈に合わなくなるから、当然問題としてはそういうところへいかざるを得ないが、私はきょうはそのことを言っておるというわけじゃない。しかし、その問題と本格的に取り組むつもりかどうかということを、重ねてひとつお伺いしたい。
  69. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) ただいま申し上げたとおりでございまして、将来の問題として真剣に考えなければならぬことであろうと心得ております。
  70. 横川正市

    ○横川正市君 最後に、要望だけこの基地問題にはいたしておきますが、憲法論議までさかのぼってどうこうということをここで言うつもりは全くありません。しかし、意見の違いとか、思想の違いとかいってみても、基地をめぐって同じ日本人が反対、またその反対を根こそぎ圧殺するというようなことは、これはもう絶対私どもとしては歓迎しない。もちろん皆さんも歓迎しないと思うのでありますが、そういう意味では、今施設庁長官の言われたように、今当面全く緊急要務で基地をどうしても作らなければいけないというような情勢ではないことは、これはもう国会の論議を通じて防衛庁がはっきりいたしたことなんでありますから、そういうようなときに無理をして、問題を解決しないで、ほんとうに納得ずくで問題の解決をする努力を、日限に限りなしに努力をしてもらいたいと、こういうことをひとつ基地問題では御要望申し上げて終わります。
  71. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと問題が全然違うのですが、さきの予算委員会の総括質問でしたか、下村委員防衛庁長官に質問をして、それは日米安保協議委員会の下部機構の専門機関として軍事委員会を作る意思はないかと、こういう質問に対して、長官が、まあなるべく御趣旨の線で検討をしたいと、こういう話があったわけですが、そのことの内容は全然別として、今の憲法で軍事委員会という、軍という字を使えるのかどうか。常識の問題は別でありますけれども、常識判断は全然別として、純然たる憲法解釈上からいって、軍という言葉を使用できるかどうか。私はこれは非常な問題点だろうと思いますので、これはほんとうは法制局長官に来てもらうといいと思うのだけれども、今急に間に合いませんから、長官からひとつお答えいただきます。
  72. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは安保条約が締結せられた当時から、安保協議委員会の一つの機構として、まあわれわれからいえば防衛問題というのが適切であろうと思うのでありますが、当時軍事的な一つの専門委員会を作ろうじゃないかということになったもののようであります。それから惰性で軍事専門委員会というものが新聞にも出るし、いろいろ国会でも取り上げられているのでありますが、やはり私どもの立場から申せば、日米安保条約に基づいての防衛問題のいろいろな意見の交換なり情報交換をする委員会ということでございまして、私は、文字にとらわれずに、あくまでも日本の防衛問題、また日本を中心とする、あちらさんからいえば極東全般に関する防衛問題というふうに理解し合っておるものと、私は了解いたしておるのでありまして、あえて私は軍事という言葉には拘泥いたしておらぬのであります。
  73. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私は、予算について少しばかりお尋ねいたします。  まず第一に、海上自衛隊器材整備費のことですが、国庫債務負担行為のほうは四十六億であるのだが、それについてはあとのほうでまたお尋ねしますけれども、歳出予算で、海上自衛隊器材整備費というのはどういうふうになっておりますか。
  74. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 海上自衛隊の三十八年度の器材費の総額は十五億九千二百万円——切り上げまして十五億九千二百万円になっております。そのうちの一番大きなものと申しますか、金額の大きいのは、修理保管用備品費が四億三千六百万円でございます。そのほか順次申し上げますと、航空備品費が一億四千二百万円、艦船の備品費が三億七千百万円、みんな端数を切り捨てております。それから武器備品費が三億二千八百万円、車両及び同付属品費が二億五千百万円、それから施設機械の購入費が一千万円、そのほかに雑備品費として約五千万円、端数は切り捨てておりますので……。合わせまして十五億九千二百万円、そういうふうになっております。
  75. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それから、国庫債務負担行為器材整備費が四十六億、これのおもなる内容はどういうものか。さらに、特に私が聞きたいのは、対潜関係器材費というものは一体どれくらいのものか、どういう比重が置かれているかということについて。
  76. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) たいへん申しわけございませんが、対潜関係整備した数字は今持ち合わせがないので、あとで調査して御報告申し上げることにいたします。
  77. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 それから、歳出予算にせよ、それから国庫債務負担行為の分にせよ、器材費の中でその器材を外国に発注せにゃならぬといったような分が大体どれくらいあるのですか。大体でいいですよ。
  78. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 輸入に二つ種類が御承知のとおりございまして、一般輸入とそれからMSMSの輸入とございますが、海の関係では歳出予算で三億六千八百万円、これが一般輸入でございます。それからMSMSで十五億二千八百万円、これがMSMSであります。合わせまして十八億九千六百万円というものを三十八年度で予定いたしております。これは歳出分でございます。そのほかに今年度負担の国庫負担行為で一般輸入が八億三千九百万円、それからMSMSで十九億一千四百万円、合わせまして二十七億五千四百万円、端数は切り上げておりますので、合わせまして合計が若干ふえておりますが、二十七億五千四百万円、そういうふうになっております。
  79. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 器材整備費で、陸海空と、三つを国庫債務負担行為だけで見るというと、陸のほうが百三十九億、空が百六十一億、そうして海のほうが四十六億となっておるが、これは陸と空に比べてみて、海のほうがどういうふうな特徴的な事情からこういうふうな大きな違いが出てくるわけですか。
  80. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 陸上自衛隊航空自衛隊器材費については、特殊な項目がそれぞれに入っておるわけでございます。と申しますのは、陸上自衛隊国庫債務負担行為百三十九億千八百万円、三十八年度でございますが、このうちの百三十一億という相当部分がナイキ、ホーク関係国庫債務負担行為ということになっております。それから、航空自衛隊器材整備費は、御承知のようにF104関係器材整備に要します費用が入っておりまして、それで多くなっております。
  81. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 その次に、技術研究木部関係のことですが、歳出予算で前年度に比べて約二億増、それから国庫債務負担行為のほうで増がどれだけか、とにかく器材整備費と施設整備合計して約十一億、これは何ですか。歳出予算のほうも国庫債務負担行為のほうも合わせてみてこれだけの予算増になっておるが、従来技術研究木部でやっておる研究の継続、充実というようなほかに、新たに何か新しい研究題目を取り上げて、それに必要なものというものが含まれておるのですか。
  82. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 全体の金額では、御承知のように、前年度が二十七億二千六百万円に対しまして、本年度三十億二千百万円でございまして、一割程度の増にしかなっておらないわけでございますが、そのうちあれの開発費だけを見ますと、十九億四千万が昨年度でございますが、三十八年度の予算が二億ぐらいふえておるわけであります。これは技術調査研究の委託費というのが歳出で一億八千二百万ございます。この点が歳出の増加のおもなる原因でございまして、そのほかに小さなものといいますか、多きに達しないものでは研究用器材、機器で約四千四百万、それから試験研究費で六千三百万程度の増を見ておる程度でございます。全体として見ますと、特別に新しいものをやるというほどの特徴はないかと考えております。
  83. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 次に、技術研究本部でいろいろなことをやっておられるわけだが、しかし、その中でも全般的な今後の防衛力の質的向上という点から見て、特に力を入れておられるおもなる研究項目というのはどういうものですか。
  84. 伊藤三郎

    政府委員(伊藤三郎君) 従来からありますので申しますと、たとえば艦艇の主として船体、エンジンになるわけでありますが、こういうのは新型の艦艇を作る問題には当然技術研究本部の研究開発の対象になるわけでございまして、そういう意味で艦艇につきましては、新型については常に研究をやっておく必要があるということでございます。そのほか、今後、現地もやっておりますけれども、今後重点を償いて考えるべきものとしましては、レーダーの関係でございますが、いわゆる三次元レーダーというようなものについての研究、それからそういうレーダーに対する妨害の排除、ECCMと申しておりますが、そういう関係のものがございます。それから誘導弾関係、これは三十一年度ごろからやっておりますが、誘導弾、ミサイルでございますが、これにつきましても、地対空、空対地、空対空というようなものについては、引き続いて重点を置いて研究を進めて参るわけでございます。そのほか、対潜の兵器としましての対潜の飛行艇の研究というものをやっております。それから、小さいものとしましては、新小銃、これは現在小銃としましては米軍の供与品を使っておりますけれども、日本人の体格に合ったような小銃を作ろうということで現在試作をいたしております。また、機関銃につきましても、新機関銃、これを試作をいたしております。こういうものもやはり開発を続けて参りたいと思います。おもなものとしましてはそういうものでございますが、今拾って申しましたので、あるいは落としておるかもしれませんがそういうようなものでございます。
  85. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 今言われた中にも入っておったのですが、特にミサイルと対潜兵器関係ですね、このウエートの置き工合というか、比重というか、それは金額だけじゃ言えぬかもしれませんが、ざっとその二つの項目に属するもの、これは限界点は非常にむずかしいけれども、ざっと全体の金額のしからいってどのくらいな比重になるのですか、総額
  86. 伊藤三郎

    政府委員(伊藤三郎君) これは三十八年度の予算額で申しますと、ミサイル関係が二億八千六百万、このほかに国庫債務が六千七百万、それからレーダー関係が実は3Dレーダーだけではなくて、現在使っておりますサイド・レーダーの性能の向上とか、あるいはECCM装置というものもございますが、一応3Dレーダーの関係としましては三十八年度が七千七百万、国庫債務がそのほかに九千万で、これは三年間に約七億円程度のものを3Dレーダーの研究に向ける、こういうふうな腹案は持っております。
  87. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 最後に、技術研究木部はずっといろいろ研究してきておられるわけだが、その中で研究の成果を得たものですでに実用化せられたものは、実用の程度にもよるけれども、どのくらいありますか、どういうものがありますか。
  88. 伊藤三郎

    政府委員(伊藤三郎君) 新型艦艇はほとんど技術研究本部の研究の成果と申してよろしいかと思います。それから、魚雷関係は非常に成果を上げております。さらに通信機関係、これはいろいろこまごましたものがございますが、これもいろいろ成果を上げております。それから、陸上関係では戦車、装甲車、自走砲、それから対戦車ミサイル、それから先ほど申しました新機関銃、これは仮制式にいたしております。小銃はさらに研究を続ける必要があると思います。それから、空の関係におきましては練習機ジェット中間練習機などがございます。そういうものがおもなものだと思います。
  89. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 防衛庁予算について私少しお尋ねしたいと思いますが、防衛庁長官にひとつお願いしたいのですが、対日軍事援助費がだんだん漸減されておると、こういうのですが、三十九年度に生産完了されるところのF104ジェット機ですね、ところがそれをまだずっと継続生産される、新たに百機から百五十機ほど生産されるという問題が取り上げられておる。それは事実ですか、そういうお考えがありますか。
  90. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) F104の継続生産をやるかどうかという問題は、これは三次防ともきわめて密接な関係がございますので、寄り寄り研究をいたしております。しかし、継続生産をするかどうかということについて、まだ決定いたしておりません。
  91. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 まだ決定していない。こういうことを聞いたのですがね、三十九年度に生産完了するというと、その後業界に空白ができる。そこで、日本航空工業会などが中心になってF104機の継続生産を各方面に働きかけた。そこで、防衛庁内でもこれは継続生産に踏み切ったというようなことを聞いたんですがね、そういうことがありますか。
  92. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) それは当面の最高の責任者は私でございまするから……。
  93. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それだから、あなたに聞いているのです。
  94. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私はまだ決定いたしておりません。また、航空機の工業会というようなお話もございましたが、私は何らそういう陳情がましいことはないのでございます。ただ現在のF86からF104に移行する場合におきましても、やはりギャップが出て参りますというと、防衛生産に非常に支障を来たす。継続生産するかどうかということは、非常に日本の航空機工業界なり、あるいはまたそれに関連する防衛生産に非常な影響があるものでございまするから、それらをも勘案しつつ、目下研究中でございまして、現在のところ決定いたしておりません。
  95. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは二百機生産完了するということに対しても、相当のこれは論議があったところでありますが、またあと継続生産されると。しかも、メーカーから突き上げられるのだ。もしそういうような事実があるとするならば、これは私はたいへんな問題だと思うんです。ただいまあなたのおっしゃったように、最高責任者だから、おれも知らないことだから、さようおっしゃっておるから、私はそれを決してどうこう言うのじゃないけれども、それは長官のおっしゃることだから間違いないと思いますが、いささかでもそういう考えがおありであるとするならば、国土防衛の体制樹立をするということが主であるか、あるいはそういうメーカーを助けるためにやるのか、これは本末転倒もはなはだしい。そこで、お尋ねしたいんですが、新三菱重工業あたりが政治資金でだいぶ金を出しているんじゃないですか。そういうことは、防衛庁長官は詳しいことはおわかりにならなければ、関係の方、ひとつはっきり申し上げてもらいたい。
  96. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) それはただいまのお尋ねの儀は防衛庁所管以外のことでございますから、それ以外のところからお聞き取り願いたいと思います。
  97. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは所管外でしょうが……。
  98. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 政治献金があるかどうかということについては、これはわれわれの関知せざるところでございまして、われわれの所管外のことでございます。これはおそらく政治資金規正法を取り扱う自治省の所管だと私は考えております。
  99. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは長官としてはさようにおっしゃるのがあたりまえで、御存じあるわけがないと思うんですがね。だがしかし、新三菱重工業あたりがおそらくそういうことをやっているのじゃないかというようなことが私は考えられる。それはあなたは御存じない、関係ないと。ごもっともですがね、お調べになるというとわかる。ですから、新三菱重工業あたりがぜひあと継続生産してくれと、生産の継続を各方面から運動しているのだと、そういうことを私聞いたから、それでちょっと、あなたがもしその間の事情を御存じならばということで私はお尋ねしたのです。御存じなければいいです。
  100. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私は、その事情は全然承知もしなければ関知もしませんが、104の継続生産をするかどうかということは、もっぱら日本の防空体制をどうすかということを中心に考えておるのでございまして、ただ、それと同時に、日本の今後自主防衛というものを強化する場合におきましては、日本の防衛生産というものを全然無視するわけに参りません。これは自主防衛を強化すればするほど、防衛生産というものもそれに歩調を合わせて伸びてもらわなければいかぬのでありますから、これは無視するわけにいきませんが、先ほどからお尋ねF104ジェット戦闘機継続生産するかどうかということは、日本の防空を中心に考えておるのでございまして、防衛生産はその次でございます。どうぞその点、ひとつ誤りのないように御認識を願いたいと思います。
  101. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、それが誤りがあったらたいへんだ。あなたのおっしゃるとおりに、そうなければならぬから、その間の事情について私ちょっとお尋ねしたのです。これはまたあとで私よく調べますから。  その次に、それでは全然この継続生産ということに対しては今のところは考えていない、だから何ともここで申し上げることはできないというあなたの御答弁をそのまま私は了解してようございますね。
  102. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 全然考えておらぬということじゃないのであって、防空を中心に継続生産するかどうかについて目下検討いたしておるのであって、決定いたしませんから、継続するともしないともはっきり申し上げられないという私のお答えでございます。
  103. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 はい、それはそれでわかりました。  さよういたしますと、F104のジェット機を継続生産するということになりますと、したがって、地上施設とも私は関連してくると思うのですが、これは防衛局長お尋ねしたいのだが、地上のほうに対して、あるいは飛行場なんかも私は作らなければならぬと思うのですが、そういう地上施設との関連性ということに対する予算処置とかいうようなことは、これは膨大なものになると思うのだが、どういうふうな御計画ですか。
  104. 海原治

    政府委員(海原治君) これも一般質問の際にも申し上げましたが、F104Jのための飛行場といたしましては、一応滑走路の長さがいずれも二千四百メートル以上のものであれば、それに部隊配置できるわけでございます。現在二千四百メートル以上の滑走路を持っておりますものを北から申しますというと、千歳、松島、それから現在関東地方では建設中でございますが百里、それから中部地方に参りまして浜松、小松、小牧、さらに九州の新田原、この飛行場はいずれも滑走路長二千四百メートル以上でございます。私どもといたしましては、ほかの条件が許しますれば、さらに三百メートル延長いたしまして二千七百メートルということにしたい、こういうふうに考えております。二千七百メートルなければ置けないというものでもございません。今申し上げましたような滑走路を持っております基地に104の部隊配置したい、こういうふうに事務的には考えております。
  105. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは、F104ジェット戦闘機をもしかりに将来継続生産するとして地上施設などは考える必要はない、こういうことですね。
  106. 海原治

    政府委員(海原治君) 104の継続生産のために特に地上施設が必要である、こういうふうには考えておりません。
  107. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは、その次お尋ねしたいのですが、米国の六四会計年度に米国側の負担分を入れるためにFジェット戦闘機継続生産する、そういうことは考えられますか。
  108. 海原治

    政府委員(海原治君) そういうことはございません。
  109. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうことはない。
  110. 海原治

    政府委員(海原治君) はい。
  111. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうことは考えていない。それでは、大体私こうしてお尋ねしているのは、何もどうだこうだ申し上げているわけではないのですけれども、将来の予算との関係がありますから、前もってそういうことをお聞きして、われわれはよく知識を作っておかなければならぬ、そういうことでお尋ねしておるのですからね。  次に、防衛庁の三十八年度の遠洋航海で、欧州に派遣する、自衛隊員を欧州に派遣する、こういうふうにお話がきまっておったらしいのですが、何か池田さんの強い指示があってこれが変更になったというような話を聞いたのですが、そういうお話がありますか、防衛庁長官
  112. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは三十八年度の予算の積算の上からは、アメリカ方面に今年も練習艦隊を派遣するということで予算の積算をやっておったのであります。ところが、ヨーロッパ方面から日本の練習艦隊を迎えたいという空気が非常に盛り上がって参りました。御案内のとおり、先月でございましたか、フランスの海軍の練習艦隊も日本に来朝せられまして、ぜひともひとつヨーロッパを訪問してもらいたいという声など毛急速に出て参りまして、いろいろ再検討いたしました結果、ひとつヨーロッパ訪問を考えてみようじゃないかということで、現在外務省その他関係方面と連絡協議中の段階でございます。
  113. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 みんな話し合い中ばかり多いようですが、何でも聞くところによると、護衛艦を四隻派遣する、英国、西ドイツ、あるいはイタリー、フランス、トルコあたりに派遣する。しかも、人員も千二百名の膨大な数に上っておるというように聞いておりますが、そういうふうに具体的に話し合いをもうしていらっしゃるのじゃないですか。
  114. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) お答え申し上げます。ただいま御指摘がありましたように、欧州方面、特に英、独、仏、伊、トルコ等を中心といたしまして、七月中旬から、乗組員が四隻で約千名、それから二百名が今度初めて幹部になった若い士官といいますか、そういう連中が二百名、航程約百三十回をもってそういうところを歴訪したいということで、現在外務省と協議中でございますが、相手国のあることでありますので、若干寄港地その他訪問地等については外務省の意見も諮って、最終決定になるにはもう少し時間がかかるかと考えております。
  115. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは最終決定はまだはっきりしていないかもしれないけれども、大体具体的に話し合いは何もかもきまっているのじゃないですか。まだはっきりしないというようなことを長官が言われるけれども、あなたたちのところでははっきりしておるならば、長官との連絡が不十分じゃないですか。はっきりしなさいよ。
  116. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 長官にも十分御連絡申し上げておりますが、遠洋航海はいつも外務省が、在外の出先の日本の公館を通じまして、相手国の十分了解を得まして、向こうの口上書が正式に参りました上で正式決定を従来やっておりまして、それまでは日本の希望でございまして、希望といたしましては先ほど申し上げました原則は内定しておりますが、正式にはまだきまっていない、そういう状況でございます。
  117. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは防衛庁長官もよく御承知でしょうが、あなたに言わせようと思ってそうおっしゃったのだろうと思いますが、主要目的は何ですか。
  118. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 御承知のように、艦艇乗組員は相当海になれます熟練的な機能を必要といたします。これは一般商船ですと、たとえば船舶職員法で遠洋航海をしなければ免状をやらぬというような規定があるのでございますが、海上自衛隊の自衛艦は一般の船舶職員法等からは除外されておりますが、実質上はそういった遠洋航海をしてからでなければやはり操船の能力がないということになるわけでございます。したがいまして、一般の船舶職員法の遠洋航海というものとも実情は均衡をとりまして、相当長距離の航海を正式な部署に荒く前にやるということは、一つの重要な点であります。第二は、訪問国のいろいろ軍施設その他を見学いたしまして、十分外国の知識を得るということもその一つであります。なお、あわせて訪問先の国家との親善関係を深めるといった外交しの一つの便益もあろうかと思うわけであります。そのことが第三点であります。以上のような諸点を考えまして、今までは約七回行っておりますが、主として北米、あるいはカナダ、あるいは豪州、それからメキシコというふうに、大体豪州から東のほうへ行きましたものですから、今度は方向を変えて、欧州方面に航路を向ければさらに意義が深いものと考えておる次第であります。
  119. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これはもう当然、それが目的だろうと思いますがね。これに対する予算措置はどういうふうにしてありますかね。
  120. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 遠洋航海の分として特別予算措置はないわけでありまして、平常の訓練をやる経費の中に、おもなものは燃料費でございますが、平常の訓練経費の中から遠洋航海の経費が出るわけでございます。これは今の御質問に沿って申し上げますと、北米、カナダ方面に行くのにどれくらいの経費がかかるかというような積算は、それぞれの項目でやるわけでございますが、それに比べましてヨーロッパ方面に参りますと、約五千五百万円くらいはよけいかかる。そのうちの大部分、四千二百万円余でございますが、それは燃料費がよけいかかるという形になっております。それで、一般訓練費から出します関係で、それだけ遠洋航海に燃料を食いますと、この日本周辺で練習いたします訓練の燃料費がそれだけ減るというような格好になるわけであります。  なお、御参考までに申し上げますと、北米、カナダ方面に行く積算は約一億九百万円と考えておりましたが、ヨーロッパ方面には一億六千四百万円という経費がかかるであろう。そのふえた分だけは日本周辺の訓練費がそれだけ減る、そういう形に考えております。予算の流用その他の必要はない形になっております。
  121. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 予算の流用はないんですね。だがね、これは私は大事なことだと思うが、そういうことにもう少し的確に予算措置をして、打ち合わせを皆さんとして、予算をそういう一般訓練費から取って、足らぬのは国内国防のほうに食い込んでいくのだ。そういうことをやって、あなた方は予算措置がそれで十分だと思っていますか、そういう行きあたりばったりで。しかも、途中からこれは変更したのだな。何か池田総理の話で、昼食会かなんかで変えたということを聞いているが。
  122. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) その点釈明をいたしておきますが、私は防衛庁長官になりましてから、まあ両建で研究しよう。何せアメリカ、カナダ方面には数回も参っておるのでございまして、昨年は豪州にも参りましたが、ヨーロッパに一度足を伸ばしたらどうかという考えを私は持ちまして、両建で研究してみたらどうかということを申したんでございますが、まず従来の経験からして簡単に積算ができるものでございますから、北米行きのほうが出たんでございますが、たまたまその問題を私が総理と会食しました場合において話したところが、それは君が考えておった構想のように、ひとつヨーロッパのほうどうだろうという話題が出たまででございまして、総理から変更してやれというような、そういう強い指図ではないのでありまして、私が防衛庁に参りましてからの私の構想であったことを御了承願いたいのであります。
  123. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私もそうであってほしいと思うのです。そんな昼食会かなんかで話したら、ころころと変えてやるようなそんな不見識なことでは、これは今の防衛庁長官の御答えで、さもあるべきだ。それで私ははっきりいたしましたが、予算措置というような点も、もう少し私は、そういう幹部候補生あたりの前途ある人たちの見識を広めるために海外派遣をする、最も有意義なことだとあなた方は信じてやっておられるのだと思うので、でありましたならば、行き当たりばったりでなくて、もう少し計画性のある予算指貫をやるし、計画もやる、スケジュールも組むというふうにやったらどうですか。
  124. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) お説のとおりでございます。重ねて申し上げまするが、ヨーロッパ方面を研究いたしました際に、何と申しましても、ヨーロッパに行きます道々が幾分不安定なところもございまして、いろいろ考えておったわけでございます。その後の情勢などを見まして、ヨーロッパ行きに私は踏み切り、総理にも相談しましたところ、総理から大賛成を受けたというのが決定の経過でございます。
  125. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、主要目的ということはそれではっきりいたしましたが、第三点の親善を目的としておる。まことにごもっともですが、そして各地の海外の軍事施設なんかもあわせてこれを研究してくる、視察をしてくる、そういうことになりました場合に、私は派遣ということと、派兵、それから出動、この三者の意義についてお聞きしたいのですがね。
  126. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 海外派兵との区別と申しますと、そういったものはどこにあるかという点につきましては、われわれは、海外派兵は、何らか国際的に紛争がございまして、武力行使とかあるいはそれに準ずるものを前提にした場合の部隊の派遣が海外派兵だと思っております。遠洋航海は、先ほど申しました主要目的を持ちますもので、各国海軍も国際的な訓練の通常の慣行として行なっておるのであって、海外派兵とは考えておりません。海外派兵には該当しないと思います。
  127. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それから、出動の意義。こちらから尋ねたとおり言いなさいよ。はっきりしなさいよ。
  128. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 出動という意味は、われわれは武力行使をなし得るような状態に置くことを出動というふうに自衛隊法上考えております。
  129. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 じゃ、出動と派兵ということは全然これには無関係だ、いささかも関係ないと、かように解釈していいですね。
  130. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 全くお説のとおりでございまして、先生からかかる御質問のあることを私はむしろ意外に思っておるのです。第一、たま一発も持たなければ小銃弾一発も持たぬものがヨーロッパに行ったところで、それは出動にもならぬはずでございます。いやしくも自衛隊法においても、また日本の国防の基本方針におきましても、自衛ということは非常にわれわれは厳格に、また厳粛に考えておるのでございまして、その自衛官が国際親善あるいは海上訓練のためにヨーロッパに参りますことが派兵とか出動ということと混同せられることはまことに心外でございまして、どうぞ御心配にならぬようにお願いを申し上げます。
  131. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 長官、それは私の舌足らずだがね。誤解されておるが、こういうことが将来派兵、出動につながるような、結びつくような憂いはないかということをお尋ねしているので……
  132. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) かかることは絶対にございません。
  133. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それははなはだ舌足らずだったので……。
  134. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) かかることは絶対にございません。
  135. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それを聞いているのでね。それは出動と派遣とは……。
  136. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) それはあまりにも意外な御質問だったものですから……。
  137. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それくらいはわかっているのだが、私はしろうとで長官のように詳しくはないけれども……。
  138. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私もしろうとで……。
  139. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そのくらいのことはわかっているが、親善だということを目的としているから、あまり仲よくなった場合には、将来何かあった場合に派遣が派兵になるのではないか、出動をやりますというような憂いがありはせぬかということで、お尋ねしているわけです。  次にお尋ねしたいのは、今日の世界情勢を見てみまするというと、大体において軍縮のほうに傾いているようです。先般のキューバ事件なども、あれを契機として国際紛争を話し合いの中において解決していこうというようなムードが生まれてきておると思う。したがって、米国の対日軍事援助費なんかもだんだん漸減されておるというような現在において、ひとりわが国のみが第二次防衛計画などをどんどん進めて、しかも予算増額しよう、そうまでして国防体制を強化しなければならぬか。対日軍事援助費はだんだん、だんだん少なくなっても、日本としてはふやしていかなければならぬか。むろん少なくなるから、少なくなる分ふやす、足らぬ分だけは補なっていくという意味もありますが、それより以上にオーバーして予算増額していく、それで国防体制を固めていかなければならぬ。少しこれは国際情勢と逆行しておるのじゃないかと、こういうふうな考えを私は持っておるのでありますが、これに対する防衛庁の御見解はどうですか。
  140. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先生の仰せのとおり、軍縮協定が順調に進み、あるいはまた核実験禁止の協定が結ばれるような明るい傾向にあれば、非常にわれわれも安心なんでございまするが、しかし、見方によりましては、必ずしもそういう方向にいっているとは私は思わない。これはやはり一進一退、どうもあるときは明るい希望が生まれ、あるときは非常に前途が暗くなるというような状況でございまして、われわれ日本国民全体としましても、われわれといたしましても、軍縮協定なり核実験禁止の協定が一日もすみやかに締結せられることを希求してやまないのでございますが、しかし、それとこれとは、日本の防衛は違うと私は考えております。  日本の防衛はあくまでも自衛でございまして、自分の国を内分の手で戸締まりをする、外部からの侵略を、これを阻止し得るだけの、憲法で認められたる範囲内の最小限度の防衛力でございまして、NATO並みにこれをやろうとか、よその国様のように防衛力を増強しようということは決してないのでございまして、今日の国際情勢のムードと全然別個に考えておるのでございまして、その点ひとつ御了承を賜りたいと思うのであります。
  141. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなたの一貫したお考えは、予算委員会、あるいは時にふれおりにふれ、よく私はお話を聞いておりますから、よくわかりますが、今日の世界情勢と別個に独自の立場でわが国の防衛体制を整えていくんだ、たとえよそが核兵器を用いようが断じてこちらは用いない、そうしたあなたのお考えで私はやっていただきたい。その点においては私もあなたと全く同感です。その点をよく私はあなたに聞きたかったから申し上げたんです。  その次に、飛び飛びになってはなはだ相済まぬけれども、お尋ねしたいが、基地問題について少しお尋ねしたいと思うが、先ほど防衛施設庁長官ですか、たいへん基地問題の処理に対してはごりっぱな御答弁があって、私もさようなければならぬと思うのですが、はそれと違った面があるんじゃないかと、非常に私はそれを憂えている。たとえば伊豆の新島、式根島のミサイル発射の基地の問題ですが、あそこの漁業補償問題は地元民との話し合いというものがスムーズにいっておるか、またできたか。聞くところによると、非常に不穏な形勢もないでもない。ある人に言わせるというと、これは伊豆の一部の人と防衛施設庁の方々とのやみ取り引きだ、大部分の者は承知していない、むしろ交渉中止の抗議を七割に及ぶ島民が声として叫んでいる。中止を希望している。しかも、あそこの漁業組合ですか、三漁業組合が——最もこの漁獲の多い組合が、われわれには何の話もないと、非常に不平を言っておる。それで、一部の者と話し合ってわれわれには何の話もない、こういうふうなことを言っている。これは朝日新聞にも載っているんで、私、縮刷版を持ってきているんですが、そういう話もあっておるが、今日この新島、式根島のミサイル基地に対してどういうふうな経過をたどっておるか。先ほどおっしゃるように、地元民と平和的に納得するようにお話し合いを進めておりますと、進めてこれを基本方針にいたしておりますと。それはそのとおりだが、そういうふうにできておりますか。
  142. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 結論的に申し上げますと、式根島で反対せられた方も、新島の木島で賛成しておられた方と同じ方式で最近賛成をいただきました。それを一番最初に結論的に申し上げておきますが、今日までに至ります経過につきましては、先生も御承知のように、いろいろと賛成、反対で、今日に至りますまでにいろいろな紆余曲折を経ましたことは御承知のとおりでございます。約一カ月ほど前に、新島の木島の大部分の漁民の方、全体の五分の三以上だと思いますが、賛成の方たちとの協定ができまして、円満に参りました。残りの方の賛成も、今言ったように式根島が主たるものでございますが、その賛成も得られたような状態でございます。そのようで、新婦、式根島に関する限りは、試射には現在支障のない御同意を得ております。ただ、ほかの島の漁民の方たちとはこれからお話をするという格好でございますが、新高の大きな問題が片づきましたので、ほかの島々の方たちの御同意も得られるものと考えております。  補償の話し合いの仕方でございますが、これは組合とやるという形も一つの形でございますが、各個人の賛成者の方がその代表を出して、賛成者の方の実は補償は各人にいたすことになりますので、その各人の賛成者の方の代表者と最初の賛成の協定を結んだのはそのような格好で、組合として代表者を選ぶということでなくて、漁民の賛成者の方の代表者と結んだ、そういう形になっております。それも決してその少数の方の代表者とやったのではございませんで、先ほど申し上げましたように、全体の漁民の五分の三ぐらいの方と話し合いを続けたと、そういうことでございます。で、金額も一応のめどがきまりまして、それならばわれわれも賛成であるということになりまして、その結果を見られました式根島の方たちも、今まで反対しておられました方たちも、その補償額でよろしいということで、自分たちもそういう協定を結びたいという形になっているのが現状でございます。
  143. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体、結論として大部分の賛成を得た、まだあと小さい島の一部了解を得ればそれで終わるとおっしゃっておるから、事実そうだろうと思いますが、ずいぶんここはいろいろな話を私ら聞いておるところであって、先ほどからのお話と全然話が違うんです。何か昔の官尊民卑というような、押えつけるようなやり方をしている面が非常に多い、そういうように私聞いたんです。大体この基地問題ですが、今現在まで引当これは飛地行政ということに対してはあなた方の御苦労も多いということに対しては、それは私は大いに労を多としますが、なお現在何カ所ぐらい問題が残っていますか、未解決で、問題を惹起しているところの基地。
  144. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 問題と申しますのを、どの程度の問題に考えるかによりますが、現在基地の取得につきまして、あるいは整備につきまして、基地の周辺の方と交渉いたしております懸案を申し上げますと、まず北のほうから申し上げますと、矢臼別の演習場、これを取得しようと考えまして現在交渉中でございます。これは問題というほどの問題はなくて、現地の北海道庁あるいは現地の市町村の方、それから関係の農林省、それから北海道開発庁、そういう方面からの御同意を得ておりますので、これは順調に進展するものと考えております。  それから、その次に百里の基地、これは航空基地でございます。これは三十一年からの懸案でございましたが、これもいろいろ反対者の方に説得を今続けているところでございまして、われわれの希望といたしましては、四十一年までにはこの問題を片づけてしまいたい、いわゆる飛行場を作り上げたいという形で、現在説得中でございます。われわれといたしましては、先ほど施設庁長官がお答えになりましたような趣旨で、できるだけ納得のいく方法でいきたいという気持には変わりはございません。その方向で今全力を尽くしている次第でございます。それから、日本原という所が岡山県にございますが、この演習場の取得のことにつきまして、現在話は、ごく最近の情報を申し上げますと、一応意見が対立したままになっております。いろいろと私たちのほうで先方の意向もくみまして条件を出していったの、でございますが、その条件にまだ折り合わないでいる状態でございます。あとは、懸案と申しますか、たとえば四国の小松島のヘリコプターの培地の問題、これも原則論は大体片づきましたが、あとの細部の交渉、基本的なやり方、そういうことで問題を解決する。  そういうのが一応の大きな問題として今私が思い出しておりますものでございますが、これは自衛隊関係だけでございますので、そのほか施設関係での基地問題というのは別にございますが、これは施設庁長官からお願いいたしたいと思います。
  145. 林一夫

    政府委員林一夫君) 米軍の基地関係の、問題になっておる点を申し上げます。まず第一に、関東方面では、水戸射爆場の返還問題がございます。これは米軍が爆撃訓練場として使用しておる演習場でございますが、御承知のように、あの近くに原子力研究所がある。したがって、ああいうふうな演習場がそばにあるのは危険であるから早く返還をしてもらいたいという要望が強いので、米軍にその返還を強く要望してきたところでございまするが、米軍としましては、代替施設提供がなければ返還に応じられないという強い立場をとっておるのでございます。現在のところ、その代替施設の調査をいたしておるような次第でございます。そのかわりの土地の調査が終わり、米軍との意見の調整ができ、地元民との御了解がつくならば、これを米側に提供するということになるわけでございまして、そうすれば、この演習場も返還になるということでございます。  さらに、関東方面では、群馬県に太田小泉の訓練場がございます。これはパラシュートの訓練場でございます。パラシュートで人員が降り、また物資が投下される、そのパラシュート訓練場でございます。この返還をかねてから地元の方々が要望しておったのでございます。政府としましても米軍に強くこの返還を要望しておったのでございまするが、これも水戸射爆場と同じように、代替施設提供があれば返還するということになっておりまして、現在その代替施設の調査検討をいたしておるような次第でございます。  次は、富士演習場の問題でございまするが、この富士演習場は、米側から返還を受けまして、自衛隊施設として必要なつど米軍に共同使用させるという方式のもとに、地元と各種の条件について協議を進めて参っておるような次第でございます。次に、立川飛行場の問題もございます。これは、御承知のように、砂川問題としてやかましかった問題でございまするが、この立川の米軍の飛行場でございますけれども、飛行場の滑走路を延長し、ここに障害物の制限地域を設定するということについて、米側から要請が相当以前にございました。地元とこの土地の買収等について折衝を続けて参ってきておるのでございますが、まだ一部に反対者がおりまして、全面的な同意というところまでは至っておりません。この問題につきましては、訴訟事件がからんでおりまして、その訴訟の判決が近くあるものと存じております。まあその判決のいかんにかかわらず、われわれとしましては十分地元の説得に当たりまして、円満に解決をしたい、こういうふうに考えております。  そのほか、九州に板付飛行場というのがございます。これは米空軍の飛行場でございまするが、この飛行場の滑走路の延長方面にオーバーランと進入灯の施設を設置するということで、一昨昨年米軍から要請がありまして、この要望に基づいて地元と折衝をして参ってきて、現在においてはこの地域については米側に提供をいたしたのでございまするが、その提供施設を横断して県道があるのでございます。この県道をどうするかについて、現在県当局と協議を進めておるような次第でございます。その協議が整えば、この問題も平和裏に解決するというような段階でございます。大体以上でございます。
  146. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 まだ私の調べておる範囲では相当あるようですが、あなたの施設庁のほうの関係、それから自衛隊関係はあるようですが、いずれにしても、この基地問題ということに対しては、十分あなた方も周到な用意をもって内容をよく検討して、地元の方方と円満裏に解決していただきたいということを私は特に要望するのですが、昨年都道府県知事連絡協議会から出た当地周辺民生安定法の案ですか、あれに対して御研究なさいましたか。
  147. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 都道府県から出ておる案という問題は、具体的には私存じ上げませんが、国会議員のある方からの案というものがわれわれにも示されまして、原案をわれわれは十分研究いたしておるわけでございますが、それにつきまして、都道府県知事から、ぜひその案を進展させてほしい、法律化してほしいというような御意見があるやに聞いております。ただ、この問題につきましては、いろいろとまだ検討しなくちゃならない問題、特に予算との関係というようなもので、どの程度までこれを法律化したほうが、いつの段階で法律化したほうが適切であるかという点で、いましばらく慎重に検討いたしたいということで現在に至っているわけでございます。
  148. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 国会から出たなんておっしゃるけれども、国会からまだ出ているわけはないと思うが……。
  149. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 関連して、私からも防衛庁の見解を申し上げたいと思うのであります。与党でありまする自民党の中に基地対策特別委員会がございまして、この委員会が中心となりまして基地対策基本法要綱を作ったわけであります。この要綱に基づいて、内閣にありまする基地対策閣僚懇談会でもいろいろ検討いたしておるのでございます。防衛庁といたしましては、このような抜本的な対策の法律が国会で御決定願うことは非常に望ましいものでございまして、すみやかにこうした法律の決定を待望いたしておったのでございますが、いろいろ事情もございまして、ついにこの国会では口を見るに至らなかったのでございますが、ただいまお話しのありました、控地関係の知事諸君の意見なども十分に聴取いたしまして、でき得まするならば、来たるべき国会にりっぱな法律を作って出したいと考えておるような次第でございます。
  150. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私はそれを聞きたかったんだ。長官でこれははっきりしたけれども、施設庁長官としては、自民党はどういうあれで今やっており、都道府県知事はどういう考えを持っておるか、そういうことをよく考えて、あなた方も研究していただかなければ、私らは自民党諸君のお考えになっておることも十分拝見さしていただいて、それから都道府県知事から出ておるところの要望書もにらみ合わせて、十分に研究いたしております。それをまだ見ていないとか、知らぬとか、あなたたちがめくらめっぽうで基地行政をやろうとするから、何だか場当たり主義で一貫性がない。もう少し熱心に基地問題でも解決してもらわないと非常に困ることです。あなた方は長官の意思を体してやっていない。あえて私は苦言を呈しておきます。  その次に、時間がだいぶ延びましてはなはだ恐縮ですけれども、現在自衛隊の隊舎で老朽化しており、あるいは危険を伴うというようなおそれのあるような隊舎がありはしませんか。
  151. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 自衛隊の隊舎全般に、戦前の旧軍時代の隊舎を使用しておりますものが相当多うございまして、その中にはいわゆる老朽化して、危険と申しますか、そういうものも中にはあろうかと思います。まあ危険の程度でございますけれども、建てかえたほうがいいと思うものが相当ございます。自衛隊といたしましては、この隊舎をできるだけすみやかに建て直したいということで現在考えておりますが、昭和二十七年から三十七年度まで、約三万五千人分に相当する建てかえを終わりましたが、今後大体三十七年度から四十一年度までに約三万人程度のものを建てかえたいというのが二次防の計画でございます。われわれといたしましては、さらにこの建てかえをスピードアップしたいという気持を現在持っておるところでございます。
  152. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そなん経理局長だなんていって、老朽隊舎があるだろうと思うとか、だからどうとかしようと考えておるとかという、そんな無責任なことを言わないで、実際ありましたよ。あろうかと思うんじゃない、ありますよ。私ら視察してあったのだもの、どこだとおっしゃれれば言いますがね。だから防衛計画を、年次計画をやっておるというならば、自衛隊隊員の大事な隊員を、それは私は何もぜいたくをせよという意味じゃないけれども、危険だとか老朽だとか、明治三十年とか四十年に建てたそんな所に入れておくというのは、これは防衛庁長官の方針にも反する。長官は就任と同時に、隊員が安んじて職務に忠実に働けるように私は隊員をかわいがる、優遇すると言っているのだもの、防衛庁長官としてはそれに反対することはないもの、なぜどんどん予算措置をやってやりませんか。経理局長、もう一度あなたの考え方を。
  153. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 先生の今おっしゃいましたのは、私も同感でございまして、隊員の隊舎をできるだけすみやかに老朽隊舎を建てかえるということに私も同感でございますが、何と申しますか、防衛庁予算の立て方といたしまして、やりたいことはたくさんある中で、それぞれに配分いたしますと、今申し上げたような計画にしかたっていないのが現状でございまして、気持としては私もこれはできるだけスピード・アップしたいという考えを持っております。
  154. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは具体的に三十七年度に、来年度の計画もいいが、三十七年度にどこを増築したか、どこを新築したか、その点を承りたい、価格なんかいいから……。
  155. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 三十七年度にやりましたもの、陸の部隊では東千歳、それから船岡ほか三件をやっております。それから海の関係では佐世保の警備隊をやっております。それから空の関係では当別のサイトをやっております。そのこまかいあれは、今手元にちょっと持ち合わせておりませんが、三十八年度は今手元に……。
  156. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 三十八年度の計画は……。
  157. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 三十八年度の計画といたしましては、陸の場合にいたしますと、北のほうから申し上げますが、遠軽、それから釧路、苗穂、青森、習志野、金沢、前川原、久留米、稚内ということを陸では考えております。海では佐世保で一つ考えております。それから空では稚内と襟裳でございます。人数にいたしまして約五千七百人分を考えて、十億一千四百万円を考えております。
  158. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは隊舎ですね。
  159. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) さようでございます。
  160. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは、三十七年度にやられた所とそれから三十八年度の計画と、大体坪数とか収容人員の数とかいうようなことを資料として私は要求しますから提供して下さい。なるべく早く作って下さい。今明日中に出して下さい。
  161. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) はい。
  162. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その次は、最近自衛隊機がひんぴんとして三日にあげずにぼろぼろ落ちているようだが、これは一体どういうわけでこんなに落ちておるのか。訓練が足らぬのか、その航空機がつまらぬのか、技術がないのか、あるいは天候の情勢判断を誤っておるのか、あるいは隊規に服しないで勝手なことをやっておるのか、これは言語道断と思うんですがね。そう始終自衛隊員を殺されているんじゃ、これは大きな問題だがね、長官ひとつ。
  163. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先般、衆議院の本会議でも鬼木先生のような御心配やらいろいろなお等ねがございまして答えたのでございますが、何をおいても原因のいかんを問わず、自衛隊航空機の事故が発生しますることは、国民に対して非常に私は申しわけないことでありまして、この点は衷心からおわびを申し上げるものでございます。具体的な内容については、政府委員から答弁をしていただきますが、何と申しましても航空自衛隊が、これは陸海空全部それぞれ違った飛行機を持っておりまするが、中心は航空自衛隊で、ございますが、新たに発足いたしましてわずかに十年足らずでございます。大部分の操縦士は若年兵でございます。しかもこの若年兵に対して相当な苛烈な訓練が行なわれておるのでございまするから、勢いいろいろな事故生発のすることもやむを得ない場合もあるのでございます。まあ、事故の原因を大ざっぱに見まするというと、操縦士の過誤、これが第一に相なっております。第二番目には機械の欠陥、それから第三は監督指導上の不十分もございまするが、何と申しましても気象関係、気象が非常に急変するというようなこともありまして、これらが原因で自衛隊航空機事故が発生するのでございますが、これはあえて弁解として申し上げるのではありませんが、アメリカあるいはその他各国の軍隊の航空機事故に比較しますると、日本の事故は少ないのでございます。ただ、どうも日本の場合は、事故が相次いで集中的に発生するものでありまするから、ただいまのお話しのようにぼろぼろというような表現が出て参るのでありまして、非常に遺憾でございます。私どもはこうした事故の絶滅が自衛隊全体の目標でございまして、この目標を達成するために非常な努力を払っておるのでありまするが、しかしながら、努力しておるにもかかわらず、ときどきこうした事故が起きまして、まことに遺憾しごくにたえないのでありますが、自衛隊あげて万全の策を講じながら、航空機事故の絶滅を期して参りたいと思うのでございまして、この点はひとつ御了承、また御同情賜りたいと思うのであります。決してよその国よりも上回るような航空機の事故を出しておるわけじゃないのでございまするが、何せこういう狭い国土で、月に二回ぐらいありますというと、ぼろぼろということになって国民に非常な心配をかけたり、いろいろな不安を与える結果になりまして、何とも申しわけない次第でございまして、重ねて御了承賜りたいのでございます。
  164. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 全く長官のお話しのとおりで、これはかって私も源田先生にお尋ねしたところが、いやこれは実はあっちゃならぬけれども戦前よりも少ないんです。なおアメリカあたりよりも少ないんですよというような、専門家の源田先生のお話も、今あなたのお話しのとおりお聞きしたいのですけれども、いずれにしても現実問題として三日とあけずに落とされたんじゃ、これは自衛隊の募集ということにも大いに関係すると思うが、国民は大きな不安を持っておりますからね。今の長官のお話しで、まことに国民に対して相済まぬというその長官のお気持は私はありがたくいただく。今後十分ひとつ各観点からよく検討して、慎重な態度でこういう事故が頻発しないように切に私は希望するものであります。  時間がなくてだいぶ催促されておるのですが、その次にお尋ねしたいことは、これはいつも長官に申し上げて恐縮ですけれども、もちろん長官の慈悲ある、親心あるお気持に対して私常に敬意を表しておるから申し上げるのだが、自衛官を大いに優遇するのだとこう御就任のときにおっしゃったが、どういうふうに具体的に自衛官を優遇していらっしゃるか。第一次防衛計画、第二次防衛計画と年次計画をやっておられるが、自衛隊員をどういうふうに優遇していらっしゃるか。防衛年次計画というならば、その年次計画の中に自衛隊の最も大事な隊員そのものに対する優遇の年次計画もあってしかるべきだと私は思う。長官でもどなたでもいいから、相談しなくてもどなたでもいいから、的確に具体的にこういうふうにやっておる、こうやっておるということをひとつ御答弁願いたい。
  165. 小野裕

    政府委員小野裕君) 私、長官の御指示のもとにあれこれとほかの局長とも協力でございますが、今お尋ねの点について微力ながらお助けもしておる立場から申し上げたいと思います。  長官は御就任以来、隊員の幸福のために、また士気の高揚のためにいろいろと御指示をいただいたわけでありますが、一つずつ申し上げまするならば、たとえば若い隊員につきましては、これはいずれにいたしましても長い間御奉公するわけではないのであります。若い隊員は数年にして交代するのは当然でございますが、そういう隊員に対しましては、営内の生活環境をよくするように、また除隊して世間へ出るためには、しかるべき技術を身につけさせるように、できるならばせっかく隊内で習得した技術に対して公の資格を持たせて出すようにというような御配慮をいただいております。あるいはまた曹以上の隊員につきましては、それぞれ長年苦労をしておるわけでございますから、こういう人がりっぱな技術を持って御奉公をするにあたりまして、少しでも落ちついて長く御奉公できるようにというような見地からも、停年の延長ということについても御配慮願いまして、この四月から一部実施されることに相なっております。あるいはまた、隊員の中に不幸にして殉職する者が出るわけでございますが、その遺族のためにも気を使ってということから、まあ、一般に公務員といたしまして公務災害による諸般の手続はございますが、そのほかにお見舞、弔慰金、というような形でございますが、そういうものを範囲を広げ、あるいは金額を高めるようにというような御指示もございまして、この点も若干でございますが、新年度予算につきましては、二千万円ほど予算増額をお願いしてあるわけでございます。その他いろいろ御配慮願っておるのでありますが、若干の例を申し上げた次第でございます。
  166. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 どうもあなた方のお話は抽象的ですよ。そんなことはだれでもわかっておるのですよ。あなたのあれに書いてある公的資格の付与だとか、退職後の就職のあっせんとか、隊員の処遇の改善とか、その他いろいろなんて、そんなことは……。ここ三年間なら三年間、四年間なら四年間どういうふうにしております。就職はこういうふうな方面にあっせんしてこういうデータが出ております。こういうふうに努力しております。長官の御趣旨に沿うてわれわれはこういうふうにやっております。公的資格の付与に対しては、以前はこうであったが、ことしはこういうふうになっております。来年度はこういうふうにしていこうと思っておりますと、あるいは生活環境の整備に対してはこういう施設をやっております。本年度はこうやりますというような、もう少し具体性を持ってつぼつぼを答えてもらいたいんだ。そんな抽象的な、ただ文章を読むような総理大臣の施政演説みたいなことをやられたのでは、そんなことはもうわかっていますよ。だから私はこれの資料を要求しますから、年度別にどういうふうにやっておるか、今まではこうだった、志賀防衛庁長官が御就任と同時にこうなってきておると、そうしなければ、長官が何ぼそう言われたって、あなたたちがそういう気にならなければ、勇将のもとに弱卒なしというけれども、勇将のもとに弱卒ばかりだ、そういう考えじゃ。
  167. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) いろいろ自衛隊隊員のために御心配のお話を承りまし三非常に感激をいたしておる次第でございますが、御案内のとおり私が防衛庁に参りましたのは、昨年の八月に近いころでございまして、そのころにはただいま御審議願っておる予算の概算要求ができ上がっておるところでございました。私が参りまして、いきなりそれを変更するということも、なかなか行政事務的にも困難な事情もございまして、とりあえず私の構想ででき得る構想をひとつ予算に反映して三十八年度から発足してみよう、三十九年度以降になりますれば、私の構想が一つの計画性を帯びてさらに拡大してこれが実行せられるものと私は信じておるし、また、そのようにいたす考えでございまして、途中まん中に私が防衛庁に参りまして、もうすでに予算の骨格ができておる。予算の裏づけのないものを私がいかにラッパを吹いたところで、これは隊員の幸福にならぬことでございまして、むしろ本格的な今後の処遇の問題なり、私の常に申しておりまする自衛隊隊員が安んじて国の防衛に自信と誇りを持って御奉公のでき得るような環境は、むしろ三十九年度以降に本格的にやりたいというのが、私の強い希望でございまして、どうかそういう意味合いをひとつ御了承願って、今後ますます御鞭撻を賜りたいと思うのであります。
  168. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体長官のお話を聞いてわかりましたが、なかなかあなたの部下をかばわれるところは、たいへんあなたのいいところで私も感心しましたが、ぜひそうしてもらいたいと思う。何といったってほとんど二十四時間勤務で、国家の防衛を双肩にになっておる自衛隊そのものに対して、私は絶対これは優遇しなければいけない、これは私は長官と全く同感です。その点においては十分努力していただきたいと思う。  時間がありませんから最後に一言お尋ねしたいが、先ほどから背広と制服の問題が出ておりましたが、先般私は資料要求をして出していただいて、旧軍人の方が二割を占めている、こういうようなお話があった。先般来よく自衛隊の中に暴力事件が起こったり、あるいはその思想の自由を押えたり、いろいろのことが起こったのでありますが、私は先ほどから長官もおっしゃるように、これは自衛隊が誕生するときからはっきりしているのだから、あくまで文官優先でなければならない。そういうところが幾らかずつでもこわされていくようなきらいがあったら、これは私たいへんなことになる。この点をはっきりと、天皇の自衛隊でなくして、国民の自衛隊、国民に親しまれる自衛隊でなければならない。こういうことを私は十分ひとつ幹部の皆さんに知っていただきたい。認識してもらわぬと、いたずらに思想を押えたり、言論の自由を押えたりする、そういうようなことがままあるのです。そういう点については教育局長にひとつ私はお尋ねしたいが、どういう方針でやっておられるのか。
  169. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 当時の基本方針といたしまして、今おっしゃいましたように国民の自衛隊ということを非常に強調いたしております。たとえば民主主義社会において、一体自衛隊というものはどうあるべきかということが、一つの新しい自衛隊の精神的基礎でありますが、それにつきましては、まず第一に、民主政治のコントロールに服するという点を第一にとらえております。  第二には、国家と国民に奉仕するという点を第二にとらえております。  第三は、部隊内の規律は理性ある服従と申しますか、幹部の切磋琢磨によりまして、隊員が心から服従するように、面従復背にならぬような服従の状態を作り上げるというところに、真の規律の基礎があるということを強調しております。  以上の三点を中心にいたしまして、民主主義における自衛隊の新しい精神というものを普及する努力をして、今日まで参ってきております。
  170. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなた方のお話を聞くと、僕はあるところで、先般自衛隊に参りまして、そういう問題があったからと言った。ところがその団長や副団長は、あなたのおっしゃるようなそんなことがあるわけはございません、そんな憲法違反みたような、そんなことはもう常識で考えてもわかっております。上層部はわかっておりますと言うが、だんだんそれが下のほうにいくに従ってぼやけてしまう。だから、そういうところにまだ古い思想を持って間違った指導をしている人がいらっしゃるのじゃないかということを、私はこの前もあなたに一度お尋ねしたことがある。そういう点はひとつ十分に指導をしてもらいたいと思うのです。そういうことが今後あったら私は承知しないですよ、ほんとうに。どうですか教育局長
  171. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ただいまおっしゃったような問題も、決して絶無とは申しません。また、長官からは特に最近教育調査会なるものを設けまして、教育全般につきまして、自衛隊が発足してから十年間たった今日、いい点、悪い点をよく区別して、いい点は伸ばし、悪い点はためていくように徹底的なものを作るように指示を受けているわけでございます。この調査会を活動いたしまして、八月末日までにしかるべき案を作りまして、自衛隊の教育に相当のメスを入れたいというように考えております。
  172. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 八月末日までに自衛隊の教育方針に検討を加えてやるというお考えですね、まことにけっこうだと思います。新時代感覚を持って、いわゆるセンスを持って、古い思想で、むろんそれは古い思想だっていいこともありますけれども、そんな頑迷固陋な憲法違反、明らかに違反であることを犯すような、そういうような常識で考えてもできないようなことを、まだ今日自衛隊の一部にそういうことが残っておるということは断じて許されない。あなた方の御答弁を聞いていると、なかなかりっぱな御答弁で、それがだんだん下にいくと間違ってくる。そういうことは今日許されない、国民の自衛隊においてそういうことは許されない。だから、もう少しそういうところを下部にまで浸透するように、上をなでていくような、そういうやり方はだめだ。ときには各自衛隊の教育状況など、あなた見て回っておりますか。本年度どのくらい回っておりますか。
  173. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 本年度国会等ありまして、なかなか回る機会はないのでございますが、それでもことしは人の行かないところにも努めて参りまして、自分の職責にできるだけ忠実にやっていきたいと考えておる次第でございます。
  174. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 国会があるから忙しい、国会があることはわかっているんだもの、われわれ国会議員だって私ども行っておりますよ。あなたは国民に奉仕すると言って、ただ机の上だけで事務をとっているのが奉仕じゃない。そういう観念がすでに官僚主義で、ただ机の上で命令を出せばいいというような考えは改めてもらいたい。常に大衆とともに生き、大衆とともに死んでいくというのが、それが国民に奉仕する精神です。さようにやってもらいたいと思う。長官、そうでしょう。
  175. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) そのとおりでございます。
  176. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いろいろお聞きしたいことがありますけれども、あとまた委員会がありますから、委員会でまた親しくおつき合いを願うことにして、本日はたいへん長いこと恐縮でございましたけれども、ありがとうございました。
  177. 館哲二

    主査館哲二君) 他に御発言もないようでございますから、以上をもちまして防衛庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午後は、通商産業省及び科学技術庁の所管について審査を行なうことといたします。午後二時二十分まで休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      —————・—————    午後二時三十分開会
  178. 館哲二

    主査館哲二君) これより予算委員会第二分科会を再開いたします。  昭和三十八年度総予算中、通商産業省及び科学技術庁所管を一括して議題といたします。まず政府説明を求めます。通商産業省政務次官。
  179. 上林忠次

    政府委員(上林忠次君) ただいま議題になっております通商産業省予算各案について御説明を申し上げます。  まず三十八年度通商産業省所管一般会計の予定経費要求額は、四百三十億六千八百万円でありまして、これを三十七年度当初予算額三百十八億二千万円に比較しますと、百十二億四千八百万円増額することになり、三五・三%の伸びとなります。  このうち石炭関係予算が百十七億八下三百万円で、前年度に比し、五十八億六百万円の増加となっておりますが、石炭関係以外の予算も相当の増加となっています。すなわち、石炭関係以外の予算は三百十二億八千五百万円で五十四億四千二百万円の増、二三%の伸びとなっており、一般会計予算全体の伸びを上回っております。そのうち特に中小企業関係予算は八十五億三千七百万円で、前年度に比し二十億一千万円の増、三一%の伸びとなっております。  三十八年度予算のうち政策事項につきましてこれを(一)中小企業対策費、(二)石炭対策費、(三)貿易振興及び経済協力費、(四)鉱工業技術振興費、(五)自由化対策及び地下資源対策費、(六)工業用水道等産業基盤対策費の六項目に分けて御説明申し上げます。  第一に、中小企業対策費といたしましては、中小企業のわが国経済の発展に果たす役割の重要性にかんがみまして、前述のように二十億一千万円の増、三一%の伸びとなっております。  まず、中小企業の近代化、高度化の促進につきましては、中小企業設備近代化補助金として前年度に比し六億円増の四十一億円を計上するとともに、新たに中小企業高度化資金融通特別会計を設けることとし、工業団地、商業団地、共同施設等を対象とする融資資金として、一般会計から二十三億百万円繰り入れることとしています。  また中小企業診断指導員の養成、研修等を行なう日本中小企業指導センターの事業に対する出資及び補助として一億五千六百万円、小規模商工業者に対する経営の改善指導業務を行なう商工会等の事業補助として十一億九千八百万円、中小企業に対する企業診断及び技術指導等を実施する経費として三億九百万円を計上しております。このほか、新たな経費としまして、中小企業の人つくり予算とでもいうべき中小企業管理者及び技術者研修費を六千八百万円計上しております。なお、形式的には大蔵省計上になっていますが、実質的には中小企業関係予算というべきものとして中小企業信用保険公庫への出資金三十億円が計上されております。  第二に、石炭対策費といたしましては、昨年閣議決定のありました石炭対策大綱に基づく諸対策を強力に推進していくための経費を計上しており、全体の予算額といたしましては、前述のように百十七億八千三百万円であります。  内容といたしましては、石炭鉱業の近代化促進及び石炭専用船の建造を含む流通合理化等に要する資金として石炭鉱業合理化事業団への出資金四十三億八千八百万円、産炭地域の振興に関する事業を行なう産炭地域振興事業団への出資金十三億円、電力用炭の価格の安定をはかるために設立する電力用炭代金清算会社(仮称)への出資金一億円、鉱害賠償を促進するため新たに設立する鉱害賠償基金(仮称)への出資金三億円、石炭鉱業合理化事業団が行なう非能率炭鉱整理事業費の補助として五十億五千四百万円、保安不良炭鉱の終閉山に伴う整理交付金二億千百万円等であります。その他鉱害復旧費、石炭技術振興費補助、原料炭炭田総合開発費等につきましても必要な経費を計上しております。  第三に、貿易振興及び経済協力費につきましては、今後とも輸出の振興、経済協力の推進なくしてはわが国の経済の長期的な発展は望み得ないということにもかんがみまして、前年度に比し六億千八百万円増の四十三億三千六百万円を計上いたしております。  まず貿易振興につきましては、特殊法人日本貿易振興会の事業運営に必要な経費として、前年度に比し三億八千七百万円増の二十一億五千七百万円を計上いたしまして、従来にもまして海外市場調査、国際見本市の開催及び参加、トレード・センターの運営、日本商品の海外宣伝等総合的な輸出振興事業を行なうこととしております。このうちにはニューヨーク世界博覧会関係予算が二億七千五百万円計上されているほか、軽機械の輸出振興関係予算が六千八百万円含まれております。  次に、日本輸出雑貨センター事業運営に必要な経費として一億四千四百万円計上いたし、輸出生産技術の指導、常設展示場の運営、デザインの改善指導等を行なうこととしております。  またプラント類輸出振興につきましては、日本プラント協会の業務の拡充整備等を考慮いたしまして、二億四千三百万円計上いたしております。このほか貿易振興関係といたしましては、工作機械輸出振興費八千万円、生糸及び絹織物輸出振興事業費補助六千八百万円、工業品検査所及び繊維製品検査所の経費四億九千三百万円を計上しております。  次に経済協力費でございますが、主な経費といたしましては、特殊法人アジア経済研究所に対する補助金として三億二千二百万円、海外技術開発協力費として一億一千万円、海外技術者の受け入れ研修費二億六千百万円、低開発国一次産品買付促進費補助として四千七百万円等を計上し、諸外国とりわけ東南アジアを初めとする未開発国との経済協力を一層推進することといたしております。  第四に、鉱工業技術振興費でございますが、今日の経済における鉱工業技術振興の緊要性にかんがみ格段の配慮をいたし、前年度に比し九億一千万円増の七十四億八千八百万円を計上しております。  まず、試験所の研究課題中特に緊急駐要なものに関する特別研究費として十億五百万円を計上したほか、試験所設備及び施設整備費として六億九千七百万円、民間における試験研究の助成のための鉱工業技術研究費補助として七億一千万一等を計上しております。  なお国立試験研究機関の総合的能率的な研究体制を整えるため、これら機関を集結団地化することにつきましては、前年度に引き続き調査費としまして四百万円計上いたしております。  次に、特許制度を初めとする工業所有権制度の有効適切な運用が、鉱工業技術の振興に役立つことはいうまでもないことでございますが、現在審査の遅延その他いまだ十分でない点もございます。こうした事実にかんがみまして、特許行政強化費といたしまして十億一千六百万円を計上し、前年度に比し一億六千二百万円の増加をはかってございます。  第五に、自由化対策及び地下資源開発費でございますが、このうち自由化対策費につきましては、一般会計予算よりも、むしろ後に述べます財政投融資による対策が主要な役割を果しているということができるかと存じます。  一般会計予算におきます自由化対策費といたしましては、国産品普及事業費二千八百万円、国産機械愛用促進費三千百万円、生産性向上費九千万円等でありますが、次に述べます新鉱床探査費も非鉄金属についての近要な自由化対策ということができます。  地下資源開発費といたしましては、まず国内鉱山の探鉱促進をはかるための新鉱床探査費補助といたしまして三億円が計上されております。新鉱床探査費の補助につきしまては、前年度におきましても三十八年度と同額の三億円でございますが、融資対象の変更等により実質的には相当増加したものということができます。また試験所の金属鉱床調査研究費としても特に八千万円を計上いたしております。その他天然ガス探鉱補助金といたしまして六千五百万円、それに試験所の特別研究費の一部として計上されているものとして属序試錐すなわち天然ガス埋蔵量基礎調査費一億六千九百万円、天然ガス調査費四千万円等がございます。  第六に、工業用水道事業費補助等の産業基盤の強化対策でございますが、そのおもなものは工業用水道事業費補助でございます。これは既成工業地帯における工業用水の供給確保と、地盤沈下の防止並びに工業開発地帯における工業用水の先行的開発をはかるもので、継続事業二十一地区、新規事業十地区、合計三十一地区の事業に対し補助を行なうものでありまして、前年度に比し十六億三千六百万円増の五十三億五千六百万円を計上いたしております。  このほか産業立地の指導及び立地条件整備対策に要する経費として三千八百万円、産業構造の調査研究に要する経費として千二百万円等を計上いたしております。  なお工業用地造成確保につきましては、三十八年度におきましては、三百万円の経費を計上いたしまして、調査をすることとしております。  以上をもちまして、当省所管の一般会計に関する御説明を終わりますが、詳細につきましては、お手元の予算要求重要事項表をごらんいただきたいと存じます。  次に、当省が所管しております特別会計につきまして、以下歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、三十八年度の歳入予定額は五十四億八千二百二十七万六千円、歳出予定額は四十六億九千三百十九万八千円でありまして資産その他の関係を加減しますと、三十八年度の一般会計への納付予定額は七億八千九百七万八千円となります。  第二に、輸出保険特別会計でございますが、三十八年度歳入予定額及び歳出予定額は、ともに百三十八億八千百三十八万三千円でありまして歳入のおもなものは、保険収入十八億四百五万六千円、資金運用収入六億四千九百五十万円、雑収入五億五千七百六十八万八千円、前年度剰余金百八億七千十三万九千円であり、歳出のおもなものは支払保険十八億五千四百万円、予備費百十八億五千百五十二万四千円であります。  第三に、機械類賦払信用保険特別会計でございますが、三十八年度の歳入予定額及び歳出予定額はともに八億三千五百二万五千円でありまして、歳入のおもなものは保険料収入一億七千五百六十五万九千円、前年度剰余金六億一千五百五十三万九千円、であり、歳出のおもなものは支払保険一億五千七百七十六万六千円、予備費六億六千百六十二万四千円、であります。  第四に、三十八年度に新たに設けられます中小企業高度化資金融通特別会計でございますが、本会計は一般会計の御説明の際に申し上げましたように、中小企業の構造の高度化に必要な貸付資金の財源を新たに設置するものでございまして、三十八年度の歳入予定額及び歳出予定額はともに二十三億百万円でありまして、歳入は一般会計よりの繰り入れ、歳出は都道府県への貸付であります。  以上をもちまして一般会計及び特別会計の概要についての御説明を終わりますが、次に当省関係の財政投融資計画について簡単に御説明いたしたいと存じます。  昭和三十八年度における当省関係の財政投融資総額は余剰農産物資金を含めて二千八百六十八億円でありましてこれを昭和三十七年度当初計画の二千五百二十四億円と比較しますと、三百四十四億円の増加となります。  本計画の運用にあたりましては、貿易自由化の要請、欧州共同市場の進展、世界的な関税引き下げ等きびしい国際経済環境のもとにおいて、さらに間度の安定した経済成長をとげることを目標といたしまして、わが国産業の国際競争力の強化と産業体制の整備、輸出の振興、中小企業の近代化の促進に特に重点を置きますとともに、自由化を控え問題のある産業部門の企業及び雇用の安定化を進める所存でございます。以下機関別にその概要を御説明いたします。  まず、日本開発銀行につきましては、施策の重点を、産業の合理化、近代化と産業体制の整備、エネルギー等の産業基礎の拡充、輸出産業の強化、地域間の均衡的発展を目途とした地域開発に置きたいと考えております。三十八年度におきましては、電力、石炭、特定機械、硫安、非鉄金属等に対する融資を重点的に取り上げることといたしますほか、新たな施策といたしまして、経済成長のにない手であると同時に技術革新の先導的役割を果たす乗用車工業及び石油化学工業などのいわゆる戦略産業部門の産業体制の整備を強力に進めることといたしております。  運用総額は、三十七年度の当初計画に対し百四十五億円増の千百三十億円を確保するものとし、このため財政資金七百五十八億円の融資を行なうほか、産業投資特別会計を通ずる外貨債百十八億円の導入が予定されております。評次に、日本輸出入銀行でございますが、輸出の振興が経済発展の基本的要請でありますことから、プラント類を中心とする輸出の伸長と東南アジア等に対する経済協力と賠償の実施の促進をはかるため、千三百億円の貸付計画を予定いたしまして、これに要します出資二百億円、融資六百十億円、計八百十億円の財政資金を投入する計画であります。  次に、中小企業金融公庫でございますが、わが国の中小企業が、生産構造におきましても、また輸出構造におきましても重要な地位を占めていることにかんがみまして、中小企業の設備の合理化、近代化とその企業の経営の安定化に資するよう資金運用を行ないたいと考えております。貸付規模といたしましては、前年度当初計画より百五十億円増の千百三十五億円を確保し、このため財政資金六百六十二億円の融資を受けることとした次第であります。このほか中小企業が強く望んでいる長期株式資本の供給と経営、技術面のコンサルテーションを行なう中小企業投資育成会社(仮称)を新たに設立することとし、これに要する出資金といたしまして六億円を中小企業金融公庫を経由して出資することといたしております。  商工組合中央金庫につきましては、中小企業の組織を強化し、中小企業の基盤を確立するため積極的な融資活動を行なうこととし、前年度に比べて五十五億円増の四百二十億円の貸出純増を行なう計画でありまして、財政資金による商中債の引受純増五十億円を確保いたしております。  以上で政府関係金融機関の御説明を終わりまして、次に電源開発株式会社に移りたいと存じます。  三十八年度におきましても前年度に引き続き、火水力も源開発の継続工事に主力を注ぎますほか、九頭龍等の若干の新規地点の開発を計画いたしまして、三百七十億円の工事規模を確保し、このため財政資金二百七十三億円の融資と政府保証債五十七億円を予定いたしております。  次に、日本航空機製造株式会社につきましては、中型輸送機YS11の量産事業を進める計画でありまして、そのための運転資金二十六億円を政府保証によって調達することといたしております。  石油資源開発株式会社につきましては、第二次石油資源開発五カ年計画に基づき、昭和三十八年度における探鉱活動に要する資金として、産業投資特別会計から四億円を出資する計画であります。このほか、油田及びガス田の開発にかかわる民間調達の社債につきまして十億円を限度として政府保証を付することといたしております。  次に、石炭鉱業合理化事業団につきましては、閣議決定された石炭対策大綱の趣旨に沿い炭鉱のスクラップアンド、ビルドを進めることとし、非能率炭鉱の終閉山と合理化に伴う炭鉱離職者に対する退職金の支払いを円滑に行なわせるため、石炭鉱業合理化事業団から長期低利の貸付を行なうことといたしております。このため、財政資金六十億円の融資を行なう計画であります。  次に、産炭地域振興事業団でございますが、これに対しましては、さきに御説明いたしました一般会計からの出資金十三億円のほかに、財政融資十九億円を予定し、土地造成事業および貸付事業を通じまして、産炭地域の振興に遺憾なきを期したいと考えております  次に、金属鉱物探鉱融資事業団(仮称)でございますが、これは、非鉄金属鉱業の自由化対策でありまして、当省施策の重点の一つとして取り上げたものでございます。わが国の鉱業が激しい国際競争に耐え得るようコストの引き下げをはかるためには、現行の鉱石品位を引き上げることが必要で、それには、優秀な高品位鉱床を確保するよう探鉱置を増大しなければなりません。そのため従来から交付して参りました新鉱床探査補助金のほかに長期、低利の資金を大量に融資することを意図いたしまして、金属鉱物探鉱融資事業団(仮称)を新設することとした次第でございます。三十八年度には、初年度といたしまして、出資二億円、融資十三億円計十五億円の財政資金の投入を予定いたしております。  最後に機械数の延べ払い対策を御説明いたしたいと存じます。最近、欧米諸国からも電機器および工作機械等の機械類の延べ払い条件による売り込みが激化しており、かかる傾向は、自由化の進展に伴って一そう拍車をかけられることが予想されますので、これが対策として、重電機器については前年度同様開銀資金を活用するほか、工作機械等については、財政投融資計画には入っておりませんが、資金運用部が興長銀債を六十億円引き受けることによって、低利な延べ払い資金を供給する道を開くことといたしました。  以上をもちまして、通商産業省所書の一般会計、特別会計の予算及び財政投融資計画の御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議の上、可決されますことをお願いいたします。
  180. 館哲二

    主査館哲二君) 次に、引き続きまして、科学技術庁長官説明を願います。
  181. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 昭和三十八年度における科学技術庁関係予算案について御説明申し上げます。昭和三十八年度一般会計の予定経費要求額は、歳出予算額百三十二億六千四百万円・国庫債務負担行為額四十四億四千万円でありますが、このほかに、大蔵省所管経費として計上いたしましたものが、歳出予算額十四億九千四百万円、国庫債務負担行為額四億二千二百万円でありますのでこれを合計いたしますと、歳出予算額百四十七億五千八百万円、国庫債務負担行為額四十八億六千二百万円となりこれを三十七年度歳出予算額百二十七億二千九百万円、国庫債務負担行為額三十一億五千二百万円に比較いたしますと、歳出予算額二十億二千九百万円、国庫債務負担行為額十七億一千万円のそれぞれ増額となっております。  次に、予算要求額のうち主なる経費について予定経費要求書の順を追って、その大略を御説明申し上げます。  まず科学技術庁一般行政費、科学技術会議、原子力委員会等各種審議会の運営費及び諸調査に必要な経費等を初めとし、科学技術者の海外留学のための渡航費、発明実施化の促進をはかるための助成費、共通的基礎的試験研究を行なうための助成費、及び日本科学技術情報センターの業務に必要な経費並びに宇宙科学技術の開発研究を強化するための経費のほか、多数の研究機関が総合研究を推進するための経費及び特別研究促進調整費等に必要な経費として十四億三千八百万円、を計上いたしました。これは前年度歳出予算額に対し一億八千七百万円の増額となっております。  次に、原子力平和利用の促進をはかるため、日本原子力研究所、原子燃料公社等の施設整備するための経費及び国立機関、民間機関等の行なう原子力平和利用試験研究に必要な経費並びに放射能対策のための調査研究に必要な経費のほか、新たに設置を予定しております日本原子力船開発事業団に対する出資金及び原子力発電所立地調査等に必要な経費として歳出予算額八十五億七百万円、国庫債務負担行為領三十二億七千九百万円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと、歳出予算額十一億六千三百万円、国庫債務負担行為額十七億五千八百万円の増額となっております。  次は、所管試験研究機関の経費でありますが、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所及び放射線医学総合研究所の研究施設等の整備に必要な経費のほか、新たに設置を予定しております国立防災科学技術センターの設立し必要な経費として歳出予算額三十三億一千九百万円、国庫債務負担行為額十一億六千一百万円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと、歳出予算額三億三千五百万円、国庫債務負担行為額一千五百万円の増額となっております。  以上申し述べました経費のほか、大蔵町所管に計上いたしました新技術開発事業団及び理化学研究所に対する出資に必要な経費がございまして、歳出予算額十四億九千四百万円、国庫債務負担行為額四億二千二百万円となっておりますが、これを前年度予算に比較いたしますと、歳出予算額三億四千四百万円の増額国庫債務負担行為額六千三百万円の減額となっております。  最後に原子力損害を賠償することにより生ずる原子力事業者の損失を国が補償するため原子力事業者と契約を締結することのできる金額の総額を、三十五億円と予定いたしました。  以上簡単でありますが、昭和三十八年度科学技術庁関係予算案について、その概略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  182. 館哲二

    主査館哲二君) 都合により、暫時休憩いたします。    午後三時五分休憩      —————・—————    午後三時二十七分開会
  183. 館哲二

    主査館哲二君) これより分科会を再開いたします。先刻の説明に対して質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  184. 近藤信一

    近藤信一君 まず通産関係からお尋ねするわけでありますが、通産省の行政で最も大きな動きは貿易の自由化だと思うのであります。過去二十数年間、貿易が全く政府の統制下にあったと言ってもよかったが、それが自由化されるのだから、通産省としてはその変化に応じて行政の面でも大きな変更をしておると思うのであります。自由化によって割り当て行政や統制的な行政が要らなくなったところもあるのじゃないか。そのかわりまた保護助成、助長行政が加わったというところもあろう。部局でいえば一体どこがひまになってどこが忙しくなるか、また管理の部局の増減はどういうふうになるのか、この点まず大臣からお答え願いたいのであります。
  185. 福田一

    国務大臣(福田一君) 御承知のように、通産行政は産業全般にわたっておりますので、自由化が離業に大きな影響を与えて参りますから、通産省としては、各方面に影響を与えておりますが、特に重点的に問題が出てくるのは、やはり通商局であろうと存ずるのでございます。詳しい内容については、もし必要ならば政府委員から答弁させたいと思います。
  186. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) 自由化によりまして、通商局の中で、貿易関係事務全般的には国際競争が激しくなって参りますのにつれまして、事務がだんだんと複雑にといいますか、繁忙になって参るかと思うのでございます。それからなお、この自由化の影響を受けます。たとえば鉱山関係、石炭関係等は、国際競争力に対応していきますために、いろいろむずかしい問題が出て参ります。たとえば石炭等は、その大きい一つの例かと存ずるのでございます。それからまた、中小企業等につきましても、国際競争及び外国からの影響をできるだけ円滑に処理をいたしまして、中小企業に不当な影響を与えないように、種々の施策が必要になって参ります。まあ一般的には自由化に対処するために、従来以上に、真剣に問題に取っ組んでいかなければいけないことになろうかと存じます。
  187. 近藤信一

    近藤信一君 通産省が産業界ににらみをきかしていた大きな手段は、今まで、輸入物資をどう割り当てるか、こういうことだったと私は思うのです。それがだんだん少なくなるので、今後、通産省が行政指導の奥の手として、今後の権能をどういうところへ持っていくか、通産予算を問題とする場合には、重要なので伺っておきたいのであります。  それからもう一つ、輸入割当にかわるものとして、補助金、それから開銀資金、それと特定産業の許可、認可、こういうことが重要なきめ手になるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  188. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) ただいま御指摘の点でございますが、確かに、従来、貿易関係の割当事務関係に従事しておりました定員は、若干減少して参るわけでございますが、これは具体的な数字を申し上げますと、三十七年度におきまして、自由化の進展に伴います割当事務関係定員減少を見込みまして約四十名すでに削減済みでございます。そういたしまして、今後、ただいま御指摘のように、ますます充実していく必要がございます特許その他に、削減の人員を振りかえまして、万遺憾のないように事務を進めて参りたい、かように考えているわけであります。
  189. 近藤信一

    近藤信一君 輸入割当等の問題については、あとからまたお尋ねいたしますが、聞くところによりますと、輸出検査法に基づく検査でございますが、これは民間の検査協会が代行している。こういうこともあり産すし、この民間の協会では検査料が引き上げられないので、これは非常に因っているんじゃないか。ところが一方においては、人件費その他の経費はどんどんとかさんでくる。そこで、今、民間の検査協会は、運営が非常に困難になってくるのじゃないかというふうに思われるわけでございますが、その実情はおわかりでございますならば、お聞かせ願いたいのであります。
  190. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) ただいまの民間の検査協会の実情でございますが、後ほどお答え申し上げます。
  191. 近藤信一

    近藤信一君 輸出検査は本来ならばこれは国がやるべきものでございまして、それを民間の協会で代行させておる。これは先ほど官房長が言われましたように、人も足りないという結果もございます。こういうふうに通産省でも割切っておられるようでございまするけれども、この今通産省が実際、ここだけでなくして他のところでも非常に今日人員不足しておるということは、私もよく承知をしておるわけでございまして、この不足分をこの協会が補っておる。したがってこの協会で運常に困るというふうな、これは財政の面でございますが、困るというふうなときには、やはりこれは国がそのめんどうを見てやる。こういうことにならないものだろうかと思うのですが、この点はどうですか。
  192. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) 今の民間の検査協会の運営及びそれの経費その他の問題でございますが、これは具体的に個々の品目、側々の検査協会の実態によって解決方法がいろいろ出て参ると思うのですが、法律的な実効のある検査をいたしまして、それに相応します適当な検査料等の面につきましで。十分行政指導等今後ともやって参りたいと思っておるわけでございます。ただいまの不足分の、経費不足等をどういうふうに処理していくかという問題でございますが、先ほども申し上げましたように、個々の問題につきまして具体的に検討して対処していきたいというふうに考えております。
  193. 近藤信一

    近藤信一君 それから検査員の待遇たどでございまするけれども、これは民間でございますると、官庁のように恩給だとか退職金の問題、これは退職金なんかはあるかもしれませんけれども、これは公務員の割でいうと少ないんじゃないかと私は思う。これを公務員並みにしてやらなければ、私はほんとうのしっかりした検査ということは、民間の検査協会ではできないじゃないか。これは官房長も御承知だろうと思うのですが、かつてトランジスターの検査で不正の問題があった。ああいうふうなこともやはり生活に困るとかなんとかと、こういうことでああいうふうなことも起こってくるわけなんだから、そういう面に対してもやはりこれはもう少し考える余地があるんじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  194. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) 検査員の待遇等の問題につきましては、ただいま御指摘のように検査員が十分権威を持って職務に精励できるような配慮は当然必要かと存じます。具体的なことにつきましては、後ちほど通商局の検査業務の担当の者によりましてお答え申し上げたいと思います。
  195. 近藤信一

    近藤信一君 民間の検査協会のことでございますから、官庁のほうであまり十分おわかりにならんかもしれませんけれども、またあとで一ぺん資料を出していただくことにいたします。  それから輸出検査の手数料を引き上げると、それだけ輸出のコストが高くなるというふうなことも考えられるわけでございますが、輸出価格を低位に抑える意味で、これは大きな声では言えませんけれども、輸出検査料を国家補償で安くしたらどうか、そうして、安くすれば輸出奨励金と同じような効果が得られるのではないかと私思うのですが、こういう点はいかがですか。
  196. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) ただいまの輸出検査の手数料と輸出価格の関係でございますが、御指摘の点はごもっともな御指摘だと存じます。ただ、御承知のように、ただいま各国とも輸出について国が補助をするといいますか、助成することにつきまして、的な監視と申しますか、非常に神経質な相互監視のような実情になっておりますので、この検査料の引き下げ等によって輸出価格にいい影響を与えるような措置を直ちに実行できるかどうか、これは十分検討を要すると存じますが、ただいまの輸出検査手数料はできるだけ低位にしておいて、輸出価格に不当な影響を与えないように十分配慮する必要があるというお考えにつきましては、まことにごもっともだと存じます。
  197. 近藤信一

    近藤信一君 やはり日本の製品が海外の国際市場で競争する、こういう場合には、やはりしっかりした輸出検査というものがどうしても必要だと思うのです。そこで、今年検査員をふやすような措置というものはとられていないのか。それとも、簡単にそうふやすといったってふやせない。これは検査員を養成しなければならぬと思いますが、そういうふうなことを今年度として考えておるかどうか。
  198. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) 国営の検査関係の問題につきましては、定員の増員は今見込んでおりませんが、待遇その他につきまして、極力改善をはかるような措置を考えているわけでございます。民間の検査協会等の検査員の定員増等につきましては、ただいま私ここに資料を持ち合わせておりませんので、後ほど提出申し上げたいと存じます。
  199. 近藤信一

    近藤信一君 昨年の十月に八八%の自由化と、こういうことになって、景気後退による受注減、それから、さらに加えて外国メーカーの延べ払い攻勢と、こういうようなことでわが国の機械業界は相当な苦境に立たされておることは御承知のとおりだと思うのです。機械工業は、申すまでもございませんが、産業発展のかなめでもあると、こういうように私は思うのです。産業構造対策の上でも、これは最もその伸長を期待されておるわけでございまして、わが国の重化学工業化のかなめともまたいわれておる。それでこそ、通産省におきましては、三十八年度の施策の策定にあたりまして、機械の延べ払い対策を重要視されておるわけです。そこで、当初の構想は、特殊法人の機械類の延べ払い基金の設立という方法を考えておられたようでございますが、この当初の構想が変わって、延べ払い金融という形になったのは、どういういきさつでこういう結果になったのか、この点お伺いいたします。
  200. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 機械類の輸入代行延べ払い金融の件でございますが、当初は基金という小さなものを作りまして、これを中心にして運用していく考えでございましたが、実態は、基金が膨大な業務を営むわけではございませんので、基金が受けました金を開発銀行に業務を全部委託をいたしまして、開発銀行がこの業務をするというふうな構想を考えておったわけでございます。その後、財政当局その他と相談をいたしましたが、基金という、まあいわば、ごく小さな特殊法人を作って、しかも、実質の業務は全部開発銀行が行なうというような仕組みよりも、むしろ現在こういったような資金を供給いたしております興銀、長銀等がその実務に詳しいものでございますので、ここに必要な資金を流して所期の効果を上げしめるというほうが、より効果が上がるのではないかというような見解等が出て参りました。その間、種々打ち合わせをいたしましたが、利率等についても七分六厘ということでございまするので、まず私どもが当初考えておりました基金構想による実行は、これをもって十分可能ではなかろうか、こういうことで対策を決定いたした次第でございます。
  201. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、機械類に対しては、この四月に一部自由化される、こういうことが新聞にも出ておりますが、これはどの程度の自由化がされるのか、この点おわかりでございますれば御説明願いたい。
  202. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) 四月からの自由化の計画につきましては、関係の各省間でただいま最終案を練っておる段階でございます。機械関係の自由化につきましては、先般ある程度大規模な自由化に踏み切りましたので、今後四月からの自由化は、そうたくさんの品目は予定していないのでございますが、その細目につきましては、ただいまは具体的な品目を手元に持っておりませんので、これも後ほど提出するようにいたしたいと存じます。
  203. 近藤信一

    近藤信一君 通産省関係昭和三十八年度の財政投融資で、機械類延べ払い金融のために、電電機については、開発銀行の電力向け融資ワクの中に二十億円、それから工作機械その他の設備機械については興、長銀行融資によりまして六十億充てることになっておるようですが、工作機等の六十億の運用について、対象機種ですね、それから興、長銀の配分、それから融資の条件、機械保険との関係、こういう点について、この際、もしおわかりであるならば御説明を願いたいと思います。
  204. 渡邊彌榮司

    政府委員(渡邊彌榮司君) 興、長銀の配分につきましては、今後の実行ということでございまするので、まだ具体的な詰めができていないと存じております。機種につきましては、当初の構想当時は十数機種ということでございましたが、これまた興、長銀等とも打ち合わせをする必要がございますので、最終にはまだ確定をいたしておりません。
  205. 近藤信一

    近藤信一君 それから、次に、延べ払い金融制度と機械工業振興臨時措置法に基づくところの融資制度との関係はどういうことになりますか。  それから、同一機種に対する二重融資チェックの問題が起こってくるだろうと、こう思うのですが、こういう点についてはどういうように考えておられますか。
  206. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 延べ払いのほうは、むしろ外国からこちらに売り込んで参りまするものに対抗するのでございますので、先ほど来御指摘がございましたように、主としてこういったような外国に対抗するものであって、しかも、日本品が価格条件と申しまするか、延べ払い条件等において十分でないという機種を十数機種選びまして、これに重点的に投入するということになろうかと思います。機械工業振興法の関係で、いわゆる開銀の特定ワクというのがございますが、これにつきましては、従来からの引き続きの計画に基づまして、いわゆる振興計画に基づきましてこれをいたしますものでございまするから、その間、性質と申しまするか、融資の性質がそれぞれ違った面で出て参ると思います。ただ、機種によりましては、あるいは一部のものが両方とも関連をいたしまして、その場合にどういうふうにこの両者の調整をはかるかという点は非常に具体的な問題でございますので、今後検討して参りたいと存じます。
  207. 近藤信一

    近藤信一君 それから、この業種を指定するのに、たとえば工作機械なら工作機械、工作機械の工業会でまず検討させて、その中から何か本省のほうで指定する、こういうふうなことがちょっと新聞に出ておりましたが、その後どういうふうに進んでいますか、おわかりになりませんか。
  208. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) ただいまのは延べ払いの点についての御質問だと存じますが、延べ払い金融につきましては、私どもは外国の輸入に対抗いたしますると同時に、日本における優良な機械につきまして、ある程度専門生産と申しまするか、そういったような体制を確立して参るということを、この金融措置を通じまして誘導して参りたいという考えを持っておるわけであります。したがいまして、業界の意見を十分聴取をいたし、かつ、尊重いたしまする必要はあると存じまするが、やはり国の施策として、このメーカーのこの機種はぜひ将来国際的な機種として外国の機種に負けない性質を持っておる、そういうものを重点的に育成をしていく、そういうものについて外国の機械が国内の市場を荒らさないようにしたい、のみならず、将来輸出にまで持っていきたい、こういうような趣旨で本件を運用するつもりでございまするので、業界の意見を十分尊重はいたしまするが、同時に、やはり国として必要な方向に誘導して参る考えで本件を処理していくという考えでございます。
  209. 近藤信一

    近藤信一君 次に、中小企業庁にお伺いいたしますが、中小企業基本法案では、官公需を中小企業のために確保することに努める、こういうふうになっているわけであります。通産省で発注する官公需の発注先は、企業の大小別にしてどんな割合になっているのか、できれば物資別に過去の実績を調べて報告していただきたいと思うのです。もしできている調査があればここでお示しいただきたいし、なければ、あとでひとつ提出していただきたいと思います。
  210. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 通産省はどういう物資を所管しておるかということは、これは後刻官房の会計課のほうから資料を提出していただきたいと思っておりますが、今の質問に関連いたしまして、各省の会計課について調べましたところ、大体各省が調達いたしております物品、あるいは役務契約というものは、件数にいたしまして約八割、金額にいたしまして一九%程度を中小企業から調達しておるというのがこの一年間の実績でございます。
  211. 近藤信一

    近藤信一君 それから、試験研究所の団地促進のための調査費が四百万円計上されております。これは今年度は一千万円であったので、四百万円に減ったのはどういうわけか、この点。
  212. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 試験研究機関の団地化につきまして昨年度一千万円、昨年度と申しますか、三十七年度で一千万円、三十八年度四百万円の予算が計上されておりますことは御指摘のとおりでございます。これは団地化の計画を推進をいたしまするために、まずどういう立地条件を求めたらいいかということが中心で三十七年度は運用いたして参ったのでございまして、候補地を二十数カ所東京周辺にあげました。その候補地それぞれにつきまして所要の調査を現地におもむいていたしております。三十七年度で相当数の候補地につきましてこれを厳選をいたしまして、ある程度しぼった数の候補地が出て参っておりまするので、三十八年度におきましては、こういった候補地について、さらに必要があれば現地調査をする、ないしは、今後団地化をいたしました後におきまするところの試験研究機関の組織、今後の運用といったような点につきましての調査研究をいたしまするために四百万円という費用を計上したのでございます。
  213. 近藤信一

    近藤信一君 東京都内で二十九カ所ですか。
  214. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 二十数カ所。
  215. 近藤信一

    近藤信一君 二十九カ所でまあ目標を置いてやっておると、こういうことでございますが、特に東京都では、もう人口が密集しておりまして、工業技術院、工業技術試験所なんかを置くということに対しては、ちょっともう不適当じゃないかと私は思うんです。そこで、どうしてもこれは他に求めなければ身動きができないんじゃないか。特に今日、ある研究所がもう移転をさしてもらいたい、こういうふうな申し入れもあるわけなんで、そうすると、現存しておる研究所をよそへ持っていかなければならぬというときに、都内に二十九カ所も目標を置いて今探しておるということでは、私いささか逆じゃないかと思うのでございます。それから、先年、川口にあります資源研究所ですか、これを川口からどこかに移転してほしい、あの川口ですらどこかへ移転してもらいたい、こういうふうな請願があったわけですね。で、商工委員会ではこれをもう採択したと思っておりますが、そういう際に、わずか四百万円の予算でもって適当にできるかどうかという点は、私非常に心配になるんですが、この点はどうですか。
  216. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 私の御説明不足でございましたので、東京都内というふうに実は申し上げたのではございませんで、私どものほうで本年度一千万円、来年度四百万円、計一千四百万円の経費を使いまして調査をいたしたいと考えております。また、現に調査をいたしましたのは、東京の環状線から大体七十キロ離れている周辺の地区というあたりのところを中心に実は検討いたしております。都内ではございません。  また、試験研究機関の団地化につきましては、別途、首都圏整備委員会等におきましてもそれぞれ御計画を持っておられるようでございまするので、そのほうとも十分連絡をいたしまして調査を進めておるわけでございまするが、通産省関係の研究機関といたしましては、やはり大学等がまだ都内に相当数残っておる。また、関係の会社等の研究機関も東京周辺にあるというようなことで、あまり遠隔の地に参りますことは、試験研究を実施いたします場合に、非常に困難を生ずるというような点等もございまするが、逆に、先生も御指摘のように、非常に込み合っておる東京都もしくはその周辺ということでは団地化をいたす意味がないわけでございまするので、その辺両者勘案をいたしまして、大体七十キロ前後といったような地点につきまして適地を求めて団地化を実施したらどうかというふうな考えで研究をいたしておるところでございます。
  217. 近藤信一

    近藤信一君 川口の試験所の、これは移転さしてくれという話が出ておるので、これに対して、何かあなたのほうでどこかへ団地を作って、そこへ移転さしてやろうというようなお考えは持っておられますか。
  218. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 川口にございまする資源技術研究所につきましては、御指摘のとおり、川口駅のまん前に相当な地域を占めておりまするので、御指摘のように、早く立ちのいてもらいたいというような陳情、請願等が出ておることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、資源技術研究所だけをどこかへ移すということは比較的困難である。と申しまするのは、別に資源技術研究所は、浮間の地区にやはり分室がございまして、そこでもやはり研究をいたしております。こういうふうに二カ所に分かれておりますうちの一つが、今立ちのき問題と申しまするか、地元の要請があるわけでございまするので、将来これを一本にして移すといたしますれば、ただいま申し上げましたような、やはり相互に関連を持っておりまする電気化学その他のものもやはり一つの所に入れまして、総合研究ができるようにするというのが、試験研究を最も効率的に進めていく具体策ではなかろうか、こういうことでございまするので、ただいまのところ、川口の資源技術研究所だけをどこかへ移すという計画は持っていないのでございます。
  219. 近藤信一

    近藤信一君 これは過日予算委員会でも、自治大臣、それから大蔵大臣も言っておられましたが、また、河野さんもそんなような試案を持っておられる。何か富士山ろくのほうに官庁を移してと、こういうふうな話があるので、あの富士山ろくのほうに広大な土地があるので、ああいう所に団地化を計画して、試験所なんか東京を中心として七十キロ云々という話なんだが、こういう所へ移転をさせるというふうなことは、大臣も盛んにそのこと予算委員会を力説しておられたので、そういうようなことを考えたほうが私はいいのじゃないかと、こういうように思うのですが、そういう点はいかがですか。
  220. 赤澤璋一

    政府委員赤澤璋一君) 富士山ろく、あるいは赤城山ろくといったような点につきまして、昨年そういう何と申しまするか、考えが政府の一部にあったことは事実でございまして、そういう点等につきましても、実は十分私どもといたしまして、通産省所管の試験研究機関の試験研究の実態等も申し上げ、今後の調整にゆだねたいという考えでございまするが、ただ、通産省といたしましては、あまり遠隔の地であるということは、先ほども申し上げましたように、他の大学等の試験研究機関との連絡、研究の総合化というような観点、さらに、また、試験研究者の住居と申しまするか、こういったような点等もございまするので、なかなかにわかにそういった非常な遠隔の地に持っていくということには問題があろうかと存じます。なお、今後引き続きその方面とも十分連絡をとりまして、万遺漏なきを期したいと考えておる次第でございます。
  221. 近藤信一

    近藤信一君 次に、電力関係についてちょっとお尋ねしたいのですが、開銀から電力向けの貸し出し計画は、電電機械延べ払い分を含めまして二百四十億と聞いておりますが、このうち、重電延べ払いは一体どれくらいになりますか。
  222. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 最終的にまだ額をきめておりませんが、大体二十億見当ということで今話を進めております。
  223. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、電源開発分は二百二十億ということになりまして、三十七年度分の二百三十億より十億は減る、こういうことになるのですが、これはどうですか。
  224. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) その点は、三十八年度におきましては、三十七年度より少し減ることになっております。
  225. 近藤信一

    近藤信一君 他の予算がふえてきておるのに、今特に電力関係におきましては、もう電力が足りないということで、火力発電の建設に対しても各電力会社が非常に力を注いでおる。こういう場合に、まあ電源開発の予算が十億減るということは、どうも私は了解できないのですが、これは何か通産省としては大きな原因でもあるのですか。
  226. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これはわれわれとしましては、御承知のように、現在一般に需用は落ちておりますが、これをすぐ電源開発に反映させまして、冠源開発をある時期に落とすということは、将来に向かって非常に不安を残すわけでございます。そういう面でなるべく水平化したいという考えで、今までも財政資金の投入につきまして、大蔵省とも話を進めて参ったのであります。たまたま来年度につきましては、いろいろ財政資金の要求も、ほかのほうからの要求も多かったせいもあります。なお、また、社債の消化につきまして、相当今後電力向けの社債につきまして、政府としても力を入れよう、特に御承知のように、買いオペの対象にもいたしまして、そういった面で力をいたそうということで、一応今年の実績よりも来年は落ちることにはなりますが、大体横ばい程度でありますので、この程度であるならばいたし方ないのじゃないか、かように考えます。
  227. 近藤信一

    近藤信一君 電源開発は国策会社としてこれは発足したわけですが、これが三十八年度は政府出資がない。それから、政府からの融資が、三十七年度は三百四十億、今年が二百七十三億ですか、二百七十三億、それから公募債五十七億入れて三百三十億、これでは三十七年度よりもだいぶ少ない。電源開発会社は主として水力開発をやるわけでございまして、その水力開発地点も、だんだんとこれは少なくなってきておるわけなんです。最近では電源を、私が先ほど申しましたように、火力にたよる、こういう傾向がだんだんと強くなって参りまして、各電力会社がそういう方向に向いておるわけなんで、そういう関係からいたしますると、電発の事業は、これはもうだんだんと縮小していく御計画ですか。
  228. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 御承知のように、水力につきましては、大きな個所がだんだん減っていくことはお説のとおりであります。ただ、まだ相当大きな所、数カ所は残っておりまして、これを電発にやらすか九電でやるかという問題は、今後の問題として残っているわけであります。なお、また、電発といたしましては、揚水光電、これも相当これから特にピーク用の水力といたしましては、今後ますます揚水発電の必要があるわけであります。そういう面におきましても電発を大いに活用して参りたい、あるいはまた電力の広域運営のために送電線の合理化が必要なわけであります。そういった面につきましても、十分指導監督の上、活用をして参りたい、かように考えている次第であります。もちろんお説のように、従来のように水力のみに重点を置いて参りますと、電発もだんだん仕事が先細りになるのじゃないかという点も考えられるわけであります。そういう点は十分検討いたしたい、かように考えております。
  229. 近藤信一

    近藤信一君 水力開発は、まあ塚本さんも御承知のように、相当金がかかるわけですね。そこで、特に金がかかるけれども、一つの利点というものがある。ダムを作って水をためて洪水を防ぐ。それから、その水が水資源となっていろいろと使われる、こういう大きな一つの目的を持っているわけなんです。特に東京都なんかは、今年は養う昨年の暮れからずっと水不足で、水に困っている。世界のいずれの国へ行ったって、水で困るということは私はないと思うので、火事が起これば焼けほうだい、こういうふうな結果を招くわけなんで、私は、水力電気を開発するということは、ただ電気だけでなくして、非常に大きな利点というものがあるわけなんです。さらにその奥山が開発されれば、そこに道路ができますし、そして、そういたしますると、道路を作るにも、御承知のように、相当まあ費用がかかる。こういうことになって参りますると、いわゆる水力発電所を作るために、電発としても、これは戦後間もなく国策としてこれは発足して、そうして相当の今日まで苦労をしてきているわけなんで、じゃ、金がかかればかかりほうだいで、政府が見ている、こういう手は私はないと思うのですが、やはりそういう大きな利点を考えて、大きな国の立場から、これはやはり従来やってきたような方針で進むべきじゃないか、私はこう思うのです。その今後の見通しについてお聞かせ願えたらけっこうだと思います。
  230. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) お説のように、多目的、ダムは相当ほかにも利点があるわけであります。特に電発といたしましては九電との関係もありまして、総合開発上必要なダムの建設に重点を置いてきたわけであります。そういう面につきましては、将来総合開発という面、多目的、ダムの建設につきまして、十分電発を活用するように考えて参りたい、かように考えております。
  231. 近藤信一

    近藤信一君 公益事業局長はそれでけっこうです。  小売商問題について二、三お尋ねするわけでありますが、御承知のように、現在流通革命といわれるような事態が進んでおりまして、小売商の大規模化、すなわち百貨店やスーパーマーケットの攻勢が一方にあるとともに、他方では、やはり大メーカー、問屋などの小売業兼常があります。また、一方には農協とか生協の進出ということで、これまた中小小売商は非常に圧迫をとうむるわけなんです。そこで、この四方八方から痛めつけられているというのが今日の零細小売商業の私は立場ではなかろうかというふうに思うのです。そこで、こういういろいろな入り組んだ小売商というものがこうたくさんあるわけでございますから、したがって、いろいろな紛争というものが起こってくることも、これは事実でございまして、また、そういう紛争が今後私は一そう激しくなるのではないか、こういうふうにも考えるわけでございますが、これは基本法案でも、中小企業者以外のものの不当な侵害を防止するための施策を講ずる、こういうことになっております。具体的には小売商業調整特別措置法、これによらねばならんと思うわけでございますが、政府は、小売商業調整特別措置法を新事態に即応して改正するつもりがあったように聞いております。私は、現在政府がそういうふうな意思で調整法の改正というものをやられるのかどうか、まずこの点をお尋ねいたします。
  232. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 確かに最近の非常に急激な大信生産、マスコミ、大量販売というものに伴います需給構造の変化というものから、中小小売商が非常に今苦しい立場、曲がりかどに立たされているという点は先生の御指摘のとおりだと存じます。現在も、今御指摘になりました小売商業調整特別措置法によりまして、中小小売装着とその他のものとの間に紛争が生じました場合には、知事が調停あっせんに立つということになっております。現在まで正式にこの法律を発動したということはないわけでございますが、大体正式にいく前に、それぞれの県等で行政指導によりまして、関係君の間の事実上の調停あっせんを行なうということで現在まではきたわけでございます。ただいま御指摘になりましたように、非常にこの一、二年間の急激な情勢の変化によりまして、今後は今までのような程度と回数ではなくて、もっと頻繁に、もっと深刻な事態が起こるのではないかと存じております。そこで、昨年末から、産業合理化審議会に流通部会というのがございますが、そこでこの流通の問題、特に小売商業の問題を優先的に取り上げていただくことにいたしまして、現在御審議をお願いいたしております。この流通の問題は、これは申し上げるまでもございませんが、よい品をできるだけ安く消費者に提供するという、消費者に対する考慮と、それから流通機構に携わっておる人たちの生活の問題と、両方の配慮をしなければなりませんので、この流通部会におきましても、全体的な見地から、特に慎重な考慮が要るということで、いろいろ今そのデータの作成等もわれわれのほうでやっておるわけでございます。順序といたしまして、まず小売商、それに次いで卸商ということで結論を出していただきましたならば、その結論に従いまして、現行法をもし改正する必要があれば改正したいと思っておりますが、それまでの間は、府県を通じ、あるいは直接われわれのところで関係者に対する指導によって不幸な事態がこないように指導していきたいと思っております。
  233. 近藤信一

    近藤信一君 今、長官も、言われましたように、流通革命の進行というものは、私は相当根強いものがあると思うのです。したがって、現在数多くの小売商がこのままで繁栄していくというようなことは、私は考えられないと思うのですが、これは、長官も御同感だろうと思うのですが、どうですか。
  234. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 御承知のように、日本の企業は三百三十万程度でございますが、そのうち、二百四十万がサービス業並びに小売商業ということになっております。今も先生の御指摘のとおり、私どもこの膨大な小売商たちが今のままの数を維持して、そうして売り上げを大いに伸ばし、生産性を上げるということは非常に無理じゃないかと、こういうように考えておりす。やはり今後は何らかの格好で適正規模にするという方向に小売商の方々もひとつ努力をすべきだし、また、われわれもそういう方向で施策を進めて行くべきだと思います。
  235. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、小売商業の近代化ということが問題になってくると思うんです。そこで、近代化や合理化もせなければならぬと、こういうことであなたも相当御苦労をなさっておると思うんです。で、今もお話がございましたように、そういう形で何ともならぬような結果になるから、これはどうしても小売商の近代化、それから合理化をやっていかなければならぬと、こういうふうになりまするから、どうしてもそれをあなたのほうで促進していかなければならぬのじゃないか。今のままではもうだめだ、これは工業に関するものではございませんが、商業については、規定業種になると、近代化促進法というふうなことがございますれば、どうしても指定していくという、こういうことになりますね。そういうふうなことはあなたのほうではまだ考えておられませんか。
  236. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 別途御審議願っております近代化促進法案におきましては、製造業種にあってはこういうこと、それで、その他の業種にあってはこういうことということになっておりますので、一応法律の形といたしましては、商業も決して除外しているわけではございません。ただ、いわゆる近代化というものをこの際急激に進めなければ外国との競争に負けるといったような、対外的な問題という点からの緊要性に迫られているのは、さしあたり工業のほうが多いいんじゃないか、こう思っておりますので、三十八年度にすぐ商業を近代化促進法で指定するということは、これは実際問題として非常にむずかしかろうかと、こう思っておりますが、別途この予算でも御審議願っておりますような、卸商業の団地という卸段階のほかに、小売商につきましては共同スーパー・マーケット、あるいは寄り合い百貨店というようなものにつきましては、三十八年度から新しい予算を組んで、これでやりたいということを今御審議をお願いしておるわけでございますので、今後こういう方向をさらに進めていくことによりまして新しい小売商業のあり方を見い出していきたいと思っております。
  237. 近藤信一

    近藤信一君 近代化、合理化政策として、あなたのほうでは商業団地ということを考えられて、いわゆる一億円ですか、今年度予算で一億円を予定されまして、そうして準備をされておりますが、私は、一億円やそこらではとてもこれは追いつくわけではないと、こう思うんです。しかし、あなたのほうで、一億円でも今年やろうという熱意でやられることは、私は非常にけっこうなことだと思うんです。しかし、私は、一方、小売商のほうは団地ができたからといって、じゃあ小売商が全部うまくいけるかというと、これまたなかなか困難じゃないかと思う。で、今都市の商店は、だいぶそういう点では整備されてきた点もあろうかと思うんですが、この点はどうですか。
  238. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 私の御説明が、あるいは舌足らずだったかと思いますが、団地は、これは卸商の団地でございまして、小売商のいわゆる商店街の中に卸商がぽつんぽつんと散在することによって、最近のように、非常に大量商品を運んで荷さばきしなければいかぬといったようなときに、その町のまん中に卸商があるために自分も不便であるし、その商店街自体の発展も妨げている。これは何も東京、大阪とか大都市だけではございませんが、富山とか前橋といったような、地方都市あたりにも、そういうことから、むしろ卸商がこの際町の中心地域から郊外に出ていく、そうして出たあとに、ひとつ小売商の方々はもっと近代的な商店街を作っていただきたいといったような希望がぼつぼつ出てきておるわけでございます。工業団地のほうにつきましては、初年度が十、次年度が二十、来年度が二十五というふうに、漸進的にやっておりますが、卸商は初めてのことでございますので、特にそういう希望の強いところをやっていきたいということでございます。
  239. 近藤信一

    近藤信一君 卸商のほうは団地計画で一応まあよろしいとしますが、小売商のほうは、先ほどもお話がございましたように、これはとても始末におえないような結果になる。そこで、今考えられることは、合併とか協業ですね、こういうことを促進していかなければならぬのじゃないか、これよりもう手はないと私は思うのですが、こういう点はどうですか。
  240. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 今、先生御指摘の方針に沿ってわれわれもぜひ進めなければいけないのじゃないかと存じまして、ただいま御審議願っております予算の中にも、昨年までは、一応中小商工業全部合わせて、共同施設に対する予算として三億円が計上されたわけでございますが、それを今回は商工業の共同施設、それから今の先生御指摘の協業というものを合わせまして、七億四千万を御審議をいただいている予算に計上いたしておるわけでございます。この七億四千万の予算を、工業のみならず、商業のほうにできるだけ多く回すということによりまして、最も緊急性を要するというようなものから適正規模に団結するように指導しながら予算の執行をしていきたいと存じております。
  241. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、長官が先ほども、言われましたように、スーパーマーケットなんかの問題もいろいろと考えて促進をしていくような方法をとる。そこで、まあスーパー・マーケットもよろしいけれども、これは外国資本のスーパー・マーケットが進出してくる。これはこの前もセーフウエーの進出に対して、小売商の方々が非常に反対運動をされておった。これは幸いまあ通産省もいろいろと努力されまして、これは何か中止になったようにも聞いておりますが、はたして通産省のお話であきらめるかどうか。今のところはまああきらめておるが、これは自由化になればそんなことは当然じゃないかということで、外国資本がどんどんと日本に入ってくる危険性は私は大いにあると思うのです。ただ、これは食料品のスーパー・マーケットだけでなくして、やはりくだもの関係もそういう点が出てくると、私はそういうふうに思うのですが、この前、通産省からセーフウエーのスーパー・マーケットに対しては御努力されたようでございまするけれども、その後の外国資本の日本への進出ということが雑誌なんかでもちょいちょい出るわけなんですが、その後の動きというものはどういうふうになっておりますか。
  242. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) われわれとしても、外国資本がH本に進出してスーパー・マーケットをやるといった場合も、これはいきなり外国人だけで出てくることはまずなかろう、これは必ずやはり日本の国内の市場に対して相当通暁しているといった日本の大資本と組むというのが普通で、いきなり出てくる危険は侵さないと、こう思うのでございますが、そのために、過般、大臣からもいろいろの委員会で申し上げましたが、セーフウエーの問題が起こりましたのを機会に、三井、三菱を初め、日本の有力な貿易商社、そのあたりがいろいろな関係で外国と取引等もございまして、一番提携する可能性があるわけでございますが、そのおもだったところに、企業局のほうから、この際、中小企業者を圧迫するといった外国資本との提携は遠慮してもらいたいということを、東京と大阪と二カ所に申し入れいたしまして、大体一流の貿易商社につきましては、今のところ提携いたしませんというふうな確約をいただいているわけでございます。ただ、これがいつまで続くかということになりますと、これは問題でございますので、これは先ほど申し上げました流通部会の結論をできるだけ早くいただきまして、場合によっては所要の措置を講じたいと考えております。
  243. 近藤信一

    近藤信一君 もう一度中小企業庁の長官にお尋ねしますが、中小企業関係で、企業診断ということが非常にこのごろ積極的になってきたのです。ところが、長官も御承知のように、診断員というものは非常に不足しておるということも、これは事実でございますし、それから、過日も私頼まれて企業診断を連絡したこともあるのですが、地方では一カ月かかってもまだできないうふうな結果もあるわけであります。先日私が帰りまして、できたかと言うと、まだできないというので困っているのですが、この前、今月の二十二日の新聞にもちょっと投書が出ているのですが、企業診断員の養成を十分にやれということで、なかなか診断を頼んでもおいそれとすぐやってくれない。したがって、この診断を受けなければ融資ができない、金を借りることができないという企業が相当あるわけなんです。そういう場合に、いわゆる診断員が非常に足りないから、これをもっと早く養成をして、そうして中小企業者の要望にこたえるということに、もう少しあなたのほうで何か努力されるようなあれはありませんか。今年の予算にも企業診断に云々という予算がございますが、なかなか地方に行くと、この診断員が少ないということで、非常に困っているという事実は、これは動かせないと思うのですが、何かいい考えがございましたらひとつお聞かせ願います。
  244. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) これも本国会において別途御審議を願っております中小企業指導センター、その関係で、今回五千万円の出資——これは予算でもお願いいたしておりますが、お願いいたしまして、すでに現在までに庁県、五大市あるいは民間等から出していただきました資金を全部引き継ぎまして、国の機関として、新しい中小企業の経営者、あるいは管理者といったような者を指導していくための、まず今御指摘の府県の診断員というものの養成並びに研修の事業に本格的に取り組むということにいたしたのであります。現在すでに特殊法人になります前から、昨年の十月から一年間の予定で都道府県等から診断員を集めまして、現在講習いたしておりますが、この第一期生に引き続きまして、三十八年度に入りましても、引き続き今度また予算でもって指導員の新しい養成と、それから途中でもう一度勉強し直す研修と、両方をやっていきたいと思っております。
  245. 近藤信一

    近藤信一君 それじゃ次は輸入関係の問題をちょっとお尋ねしたいのですが、いよいよ四月からバナナの自由化ということが新聞にもちらほら出ているのですが、これはもうすでにはっきりときまりましたか。
  246. 松村敬一

    政府委員(松村敬一君) バナナは四月一日から自由化する方針で進めております。
  247. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、日本には現在バナナ・ボートはどのくらいありますか、バナナ専用船。
  248. 松村敬一

    政府委員(松村敬一君) 専用船につきましての資料は現在持っておりませんでございます。
  249. 近藤信一

    近藤信一君 日本としてのバナナ専用船というのはないのですか。
  250. 松村敬一

    政府委員(松村敬一君) ちょっと資料を持っておりませんので、調べさせていただきますが、専用船を特に必要とするあれでもないと思いますので、あまりたくさんはないと思いますが。
  251. 近藤信一

    近藤信一君 私が調べましたところによると、日本には専用船はないと思うのですが、どうですか。
  252. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 台湾から入れます関係で、日数も短かいものでございますから、内地まで持ってくる口数が短かいものでございますから、中南米のような専用のバナナ・ボートはおそらくないだろうと考えております。
  253. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、自由化になって、台湾だったから、今までは短かったから日本には専用船はない、今新聞や雑誌等に出ているところによると、今度は中南米から相当入ってくる。中南米から入って参りますと、だいぶ遠いので、二十旧くらいかかるのですか。その場合に、専用船というものを日本の船会社で持つような計画というものがございますか。
  254. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 私そういう話は聞いておりません。
  255. 近藤信一

    近藤信一君 やはり運賃は外国のかせぎということになるわけですね。日本のもうけにはならない。貿易は商売だと通産大臣がしょっちゅう申しますが、そうすると、日本に専用船がないのだから、今度は遠いところから運ぶにしても、相当量が今度入ってくると思うので、その場合に、日本はバナナ専門船を一隻も持っていないということになると、そのかせぎというのは全部外国にとられてしまう、こういう結果になると思うのですよ。
  256. 松村敬一

    政府委員(松村敬一君) ただいまは、お話しのように、承知しておりますところでは、バナナ専用船はないと思いますが、しかし、中南米等から、自由化の結果、これは日本人の好みで、台湾バナナと中南米バナナと比べまして、中南米のほうに相当傾くかどうかということが根本だと思いますが、中南米バナナに対する需要が相当大きく、かつ、長期的にあるということになると、日本の船会社等においても、新たに専用船というものを考えるということになると思います。現在のところ、自由化いたしまして、その後に中南米バナナがどのくらい入ってくるかということは、ちょっと見通しがつかない状態であります。
  257. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、台湾のバナナが、四、五、六の三カ月は、今度は日本の通産省のほうで割り当てるのじゃなくて、私が聞いたところによると、台湾で台湾政府が今度は割当をやる、こういうふうなことを聞きましたが、もしそういうことになると、私は、今まで日本の政府が益金とか何とか設けていたのを、利益金は、これは全然なくなるのですか。
  258. 松村敬一

    政府委員(松村敬一君) こちらの日本側の問題といたしましては、差益はとっておりませんわけでありまして、今度自由化いたしますと相当の分量が入って参りますので、それだけ益金も少なくなる見込みでございまするし、また、益金が少なくなりますと、はたして非常に大量なバナナが入ってくるかとうかということもちょっと疑問じゃないかというふうに考えております。今御指摘の台湾の側のほうの問題でございますが、これは実はバナナが近く自由化になるということになりまして、日本側から非常にたくさんのバイヤーが殺到をいたしまして、それであちらのほうにございます生産者の幾つかの団体がどういう日本のバイヤーと話をしていいのか、一時混乱のような状態があった由でございます。その結果、台湾のほうの諸団体もいろいろ話し合い、日本側のほうも話し合って、かなり秩序の立ったような買い方をするというふうに話がまとまりつつあるように聞いているわけであります。そのことが何か割当というふうに伝わったのじゃないかと思いますが、向こう側が割当をするというふうな仕組みではないように思います。
  259. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つお尋ねいたしますが、四、五、六は台湾政府のほうで割り当てる、七月からは台湾で直接競争入札をすると、こういうふうに私聞いているのですが、そういたしますると、日本政府としても、今までバナナから得ておった益金というものがなくなるんじゃないかという私は心配があるのですが、この点はどうですか。
  260. 松村敬一

    政府委員(松村敬一君) 台湾側のほうで六月以降に新しいやり方をする、その辺の詳しいことはよく承知いたしておりませんが、バナナに関する差益金のほうは、すでに日本側のほうでとっておりませんので、今後自由化いたします以上は、差益金が出ない形のほうがむしろ本体でございますので、特別の益が出ないということにつきましては、それでそのほうが正常な状態であると思います。
  261. 近藤信一

    近藤信一君 私がなぜこういうことをお尋ねするかというと、去年の十一月の十八日のサンデー毎日ですね、これに「黄色いバナナの黒いシミ」と、こういう大きな見出しで出ておる。外国資本のスーパー・マーケットの話が出ましたけれども、ユナイテッド・フルーツ・カンパニーですね、これがちょうど日本の貿易大手の六社ですか、この六社と提携して、そうして日本に百八十万円の資本で受け入れ機関を作る、こういうふうなことが出ておるわけんです。こういうことを御存じですか。
  262. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) その話は承知いたしております。目的は、外国資本と一緒になりまして、日本の販路の開拓といったことをねらいに作られたものというふうに承知いたしております。
  263. 近藤信一

    近藤信一君 このユナイテッド・フルーツ・カンパニーは、もう御承知だと思うのですが、これはもう日本の業者と比較すると、けた違いなんですね。このでかいのが、日本の、しかも、大手の輸入業者と提携してそうしてやるということになると、これは小さな中小貿易関係はもうだめになるんじゃないかと、こういう心配も出てくるわけなんです。そこで、私は、やはりこういうのは日本と提携し、そして私が先ほどお尋ねしましたように、これはこの会社がバナナ専用船ですね、これを何隻か持っておる。そうすれば、この運賃はこのユナイテッドの会社がかせぐ、日本でもうけたやつはそっくり本国へ持っていくということになりますると、これは日本では政府も損するが、日本の中小の貿易業者も危険になってくるんじゃないかということになると、せっかくの自由化が、取るものも取らずに、ただ取られるものだけと、こういう結果になるんじゃないかという私は心配をするわけなんです。この点どうですか。
  264. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 農林省からお答えするのが適当かどうか存じませんが、便宜上私が申し上げますと、私どもが承知いたしました範囲では、今のユナイテッド・フルーツと日本側の大手六社が共同いたしました極東フルーツという会社は、主としてミンダナオ島でございます。フィリピンでバナナ店を一緒に経営しまして、それを日本に持ち込んで売ろうということのように承知しているわけございます。幸いか不幸か知りませんが、今ところ、まだミンダナオの開発計画というものはなかなか緒につかないというふうに承知いたしております。かりに将来これができましても、やはり台湾バナナとの競争になりますので、長い間日本人の嗜好に合いました台湾バナナの国内における販路というものが、一ぺんにこういう極東フルーツのほうにとってかわられるかどうか。やはりミンダナオになりますと、台湾よりも若干輸送日数が延びます。したがって、内地に着きまして熟成しました後の味も、台湾バナナよりも落ちるということが想像されますので、したがって、私、必ずしも先生がおっしゃるとおり、全面的に日本の販売業者が参ってしまうということはなかろうというふうに考えております。
  265. 近藤信一

    近藤信一君 今の御答弁のとおりに、現在は中南米のほうであるけれども、計画は、四、五年先には東南アジア、ミンダナオですか、あれに一万近い農園を持とうという計画を持っておること、これは事実と思うのです。そういうことになって、台湾と競争するにはと言われるけれども、台湾のバナナだけでは日本の需要量に満たないじゃないかと私は思うのですが、特に今年なんかは不況で困っている、こういう事態があるわけです。そういたしますと、ここに問題があると私は思う。  それから、自由化が四月からされるので、関税の引き上げということになります。何かここ二、三日——きょうあたり衆議院で関税引き上げがきまるらしいのですが、関税を引き上げてバナナの自由化を少しセーブする、こういうことですが、私は、それで日本の果樹農園が被害を受けないかどうか、私は、関税を上げたからといって、日本の果樹農園が今までどおりでいけるかどうか、その点ちょっと心配ですが、その点は。
  266. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 御指摘のとおり、台湾あるいはその他の国のバナナが自由化されましてどんどん入って参りますと、当然日本の国産の果実の消費というものが、ある程度食われることであろうかと思います。したがって、これを野放しにするのではなくて、関税率を七〇%ということで、しかも、それを漸進的に下げて参る、最終の目標は消費者に安い果実を食べてもらうことであるけれども、一ぺんに関税率を下げますというと、たいへん混乱も起こりますので、その点は漸進的に今よりも逐次安くして参るということでやって参りたい。一方、国雄の果樹農家に対しましては、農林省といたしまして、いろいろ何と申しますか、国際競争力に耐え得るような競争力をつける手段を一方で講じつつある次第でございます。
  267. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、お尋ねいたしますが、日本で今レモンを作っている所、オレンジはおらそく作っていないと思うが、日本でレモンを作っている所はどのくらいあって、どのくらいの生産量があるか、おわかりでありたならば……。
  268. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 生産量といたしましては、むしろオレンジのほうが多うございまして、レモンのほうは少ないのであります。レモンを作っております所を今資料でお答え申し上げますと、兵庫県、広島県、熊本県、大体この三具に少し存在する程度でございます。
  269. 近藤信一

    近藤信一君 オレンジは。
  270. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) オレンジは、ミカンの産地ではほとんど至るところでやっております。
  271. 近藤信一

    近藤信一君 レモンを作っている産地というのは兵庫県と広島県、熊本県の三県だと、量としては、大した量は日本ではできないんじゃないかと私は思いますが、それは資料がなければわかりませんか。
  272. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 今手元に資料がございませんけれども、たしか数量にいたしまして千トンくらいじゃないかと思います。ミカンの生産数量が大体八十万トンから九十万トンでございますから、したがって、数量的には非常に少ないものだと記憶しておりますが、もし違っておりましたら後ほど訂正いたします。
  273. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、私が不思議に思うのは、リンゴやミカン、カキ桃、こういうのを作っている所は日本でたくさんあるわけですが、そこで、私は、バナナが全面的に自由化になるならば、レモンが一体なぜ自由化にはらないのだろうか、レモンが自由化になったところで、広島と熊木と兵庫と、このわずか三地方で、これも今お尋ねしますと千トンくらいしかできないと、わずかな被害を受けるほうがこれは自由化にならず、全面的に被害を受けるほうのバナナのほうが自由化になる。これは私ははなはだおかしいのじゃないかと思うのですがバナナが自由化になれば、私はこの被害の少ないレモンというものも当然自由化にすべきだと、かように私は思うのですが、レモンが自由化にならないという原因は一体どこにあるか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  274. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) バナナは、御承知のように、日本国内では生産されませんので、しかも、歴史的な関係から、台湾バナナというものが日本の国民の長い間の嗜好の対象になっておるわけで、したがって、これをなるべく安い価格で食べられるようにというつもりで自由化に踏み切るようなことになったわけであります。一方、レモンのほうは、確かに先生御指摘のとおり、栽培農家も少のうございますし、生産量も少ないのでございますが、これは実は最近になりましてからレモンの植栽ということが始まりまして、まだまだほんとうの経済年令に達しまして十分に対抗できる段階になっておりません。したがって、そういう何と申しますか、対抗力を考えまして、現在レモンの自由化ということは見送っている次第でございます。
  275. 近藤信一

    近藤信一君 だからこのレモンが非常に商い。レモンの需要というのもだんだんと一般化して参りましたけれども、まだ非常に貴重のように考えられているのですね。それで、私は、やはりバナナは日本でできない、レモンはわずかであるが、三県でできると、こう言われるけれども、バナナは日本でできないけれども、被害を受ける果樹農園というものは広範な地域にわたっておると、こういうふうに思うのですよ。作っていないから被害を受けぬとか、作っているから被害を受けるとか、そういうものじゃないと私は思うのですが、これはどうも農林省の考え方がおかしいじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  276. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 先ほど私申し上げまして、言葉が足りないので先生に御迷惑をおかけしたようですが、農林省では、バナナの自由化によって国内の果樹の生産農家が影響を受けないように、これらの国産の果実の栽培農家に対しまして、いろいろ競争力を強めるような手段を講じて参っておりますということを申し上げたような次第でございます。
  277. 近藤信一

    近藤信一君 私は、もうくどくど申しませんが、それならばレモンを自由化にされるというふうなお考えがあるのか。これは一年先か半年先か二年先か知りませんが、そういう点、もし農林省のほうで何か御意見があればお聞かせ願いたいと思います。
  278. 富谷彰介

    政府委員(富谷彰介君) 農産物といえども、いつまでも自由化せずに放置しておくわけには参らぬかと思っておるわけでございますが、ただ、レモンの自由化は、日本の対米ミカンの輸出の禁止の措置と見合ってやっておりますので、したがって、わがほうがアメリカから入れるものだけは自由にして、こっちからアメリカに送り込むミカンその他は、アメリカの貿易措置によって輸入を禁止されるということでは、はなはだおもしろくありませんので、その点との見合いで考えておる次第でございます。
  279. 近藤信一

    近藤信一君 じゃ、それでもうよろしいですから。  次は、工業所有権の問題でちょっとお尋ねいたしますが、これは衆議院の予算分科会でもどなたか尋ねておったようでございまするから、私、時間がございませんから、簡単に申し上げますが、工業所有権制度の最近の事情は、非常に私が思うのには、だんだんと迅速にはなってきたけれども、なかなか今日たくさんのまだ堆積量というものはある。これは私どもが昭和三十五年でしたか、この委員会でいろいろと改正のときに審議いたしましたが、それで特許、それから登録商標、こういう審査が非常に長引くから、何とかこれを早く始末をせなければならぬじゃないということで、こういうことで人員なんかをふやして参りましたが、依然としてまだまだたくさんの堆積量というものが残っておるわけです。一体今どれくらい残っておるのか、まずこの点からお尋ねいたします。
  280. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) ただいま先生御指摘のように、審査能率は年ととむに幾分ずつ上がっておるのでございますが、他方、出願が非常に激増いたしまして、そのために審査能力が出願件数の処理に追いつかないという関係になっておりまして、ただいまの滞貨は昨年末で三十六万件、約二年六カ月分堆積しておるような次第でございます。
  281. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、この三十六万件という膨大な数が残るということは、これは審査を申請するのも年々ふえてきておると思うんですね。その申請するのと審査するのとのかけっこみたいなことになって、今では審査するほうが負けておるんじゃないか。人員をふやして早くやろうということであのたなほうでもお考えになって、一生懸命に努力しておられることは私よく存じております。しかし、幾らやられても、まだどんどんあとからあとから申請があり、なかなかそれが処理できない。今でもやはり二年半から三年ぐらい私はかかるというふうに聞いております。一体どこに欠陥があるか、こういう点、長官何か検討されたことがありますか。
  282. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 特許制度の理想といたしましては、迅速に、かつ、的確に結論を出すということが理想なのでございますが、ただいまのやり方におきましては、的確にやるということで参っておるわけでございますが、出願件数が非常に膨大なために、したがいまして、それに取りかかるのに非常に時間がかかるというような事態になっておるわけでございまして、特に出願件数の増加の傾向でございますが、昨年は一昨年に比べまして約二二%増加したのでございます。ところで、上半期におきましては、比較的増加率は穏かでございまして、約前年に比べまして一割程度の伸びであったのでございますが、特に貿易の畠山化を反映したと思いますが、下期におきまして伸び率が約三五%というふうに、激増して参っておるわけでございます。審査能力のほうも毎年幾分ずつ、昨年も一昨年に比べまして一割近く審査能率を上げておるのでございますが、ただいま申しましたように、出願があまりにも急テンポに伸びておりますために、それに追いつかないという関係になっておりまして、もちろんこれの解決策としまして人をふやす、あるいは審査能力をふやすということが一番根本だと思いますけれども、はたして急に間に合うかどうかという問題があるわけでございまして、諸外国におきましても同じような事情がありまして、いろいろ検討しておるような状態になっておりますので、わが国におきましても、その点につきまして、特許制度のあり方について、新しい観点からやる方法はないかというようなことで、検討しておるような次第でございます。
  283. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、これは私時間がありませんから、ほんの簡単な要点だけ二、三カ所しか質問できませんが、人為的なあれではもう追いつかない、だから審査の機械化、こういうふうなことを考えられまして、その研究室を設けて研究しておられるというふうにも聞いておるのですが、さらに電子計算機の利用だとか、そういうふうなことは、今どういうふうになっておりますか。まだ機械化していないのか、もうすでにやっておられるのか、この点。
  284. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 各国も、その同じような悩みを解決いたします一つの方法としまして、審査の機械化ということを電子計算機を用いまして検討しておるのでございます。アメリカにおきましては相当前からやっておるのでございまするが、まだ実用化する段階に至っておりません。日本におきましても、約二年前から、これにつきまして取りかかって、いろいろ検討しておるのでございます。部分的には試験は、たとえば金属材料というふうなものについて成功はしておりますけれども、さて、すべての物資について、それが及ぼせるかということになりますと、機械数等につきましては、ほとんど至難ではないかというふうな見通しでございまして、したがいまして、やれるものから将来やっていきたいというふうに考えておりますけれども、全面的に機械化ができるかどうかということになりますと、その辺は非常にむずかしいと思います。アメリカ等におきましても、同様の結論になっておるようでございます。
  285. 近藤信一

    近藤信一君 これは衆議院でも質問しておられますけれども、特許関係で収入が多い、支出より収入が多い、もうかっておる、簡単な言葉で言えばもうかっておる。もうかっておりながら、なかなか思うようにあなたのほうでは、その予算というものが十分でない。私はこれ、まことに残念なことだと思うのですが、特許の収入は、これはあげて特許関係の業務の円滑化のために私は使うべきじゃないかと思うのです。まあ、大蔵省がおらぬから、この点はわかりませんが、私はそうすれば、今長官が言われましたような、いわゆる機械化して、まあスライドの問題やいろいろあると思うのですよ。この商標なんかでも、一々写真にして目で見て、それで審査をされておるようでございまするけれども、私はそういうことでは、なかなか何万件とあるものは処理されない。で、もうかっておるならば、その収入は、全部特許関係で使って、十分な予算で、そうして業務をもっと円滑化していく。そうして申請者の要望にこたえなきやならぬ。私は特に中小企業の新案特許を発明された人は困るということは、実用新案を申請して、二年も三年もかかるということになると、これがいいということになりますると、大資本のほうでどんどんと、それを作るのですね。せっかく苦労して中小企業の方が実用新案をされても、もう三年、四年先になって、やっと許可が来たということでは、これは何にもならぬ。もくあみです。現在も、そういう申請者がたくさんあると私は思う。現に私もそういう関係で二、三頼まれておるのもあるわけなんです。  私はやはり中小企業は、特にせっかく発明したものが、まあ作って、そのままずっと隠しておけばいいけれども、何とか早く作って実用新案申請中なんてやって、どんどん作っておる。これがいいなと思うとすぐそれに、まだ特許が下りていないのだから、許可が来ていないのだから、同じようなものを、また類似したものを、そういうものがどんどんと作られて市販される。こういうことになりますと、私はやはり中小企業は大資本に押されてしまう。こういう結果を招くから、私はできるだけ円滑に早くこたえるべきだ、こういうふうに考えるわけでございまするから、まああなたのほうも、いろいろと少ない予算で苦労されているでございましょうが、もう少し早く何とかできるような方途というものをひとつ考えてやっていただきたい。かように要望しておきまして、私時間がございませんので質問終わります。  次に、科学技術庁長官お尋ねいたしますが、科学技術庁長官が就任されまして、近藤長官は科学には弱いけれども、予算は十分に取って見せると、こう言われたようでございますが、今回の予算は私は科学技術庁としては、あまり満足した予算ではないのじゃないかと思うのですが、この点長官、今度の先ほど御説明のございました予算で十分御満足なさっておられますかどうか。その点から、まずお尋ねいたします。
  286. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) ただいまお尋ねになりました本年度の科学技術庁の振興費につきましては、御指摘のように、決して十分だとも思っておりませんが、三十八年度の予算で三百六十七億九千八万円、一般会計歳出予算の約一・三%でございますが、その前年度までは年々低下の傾向でございましたのが、今年度は前年度並みにとどまることができたということ1前年度に比較いたしますと、四十八億五千六百万円の増加で、増加率にいたしますと、一五・二%ということになっております。その内容の一つには、経常研究費の増額とか、あるいは防災科学技術とか、環境科学技術等の至要研究の推進のための研究費の確保などの面で、かなりの配慮がされておりますので、現在のわが国の財政事情によりますれば、十分満足とはいきませんけれども、一応やむを得ないものだと考えております。しかし、もちろん今後は、さらに飛躍的な増額をはかって参らなければならないということは十分に考えて参りたいと思っております。
  287. 近藤信一

    近藤信一君 科学技術庁の予算は、先ほど御説明ございましたように百四十七億円、ほかに債務負担行為額が四十八億円のようだが、それが一般会計に占める割合は、外国と比べまして多いほうか、少ないほうか。まあ当然、これは少ないほうだろうと思うのですが、総予算に占める科学技術庁の行政費の割合の、やはり史要国との比較ですね。ちょっとその点お聞かせ願いたい。
  288. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 主要国の政府予算におきましての科学技術振興という予算比率は、大体私どもの調べましたところでは、会計年度などの違いもございまして、あるいは十分でない点もあるかもしれませんけれども、私どものほうで調べられました範囲においてお答えいたしますと、アメリカにおきましては一九五九年から六〇年には総予算の約一〇・八%、ソ連のほうは一九六〇年度において三・七%、イギリスは一九五八年から五九年六・三%、フランスは一九六一年が四・二%、西ドイツは一九六一年から六二年二・三%ということになっております。日本は一九六一年から六二年三・  一%でございますが、なお西ドイツではこのほかに州政府の分があって、それを含わせますと、三・三%程度となりますし、また、わが国の三十八年度分は三・〇%となっておりますので、この面から見ましても、あまりそう遜色があるようには思っていないわけであります。
  289. 近藤信一

    近藤信一君 諸外国と比べると、あまり大差ないようでございまするから、これはけっこうなことだと思うのですが、科学技術の振興は、政府だけが熱心にやっても、これはあまり追いつかない。これには民間が協力するといいますか、こういうことがなければだめじゃないかと思うんです。日本では、もうかる見込みがよほどしっかりした計画でないと、重要な研究にも、あまり研究費を出さない。そして、自分から研究しないで、特許などを、外国技術を買う、導入する、こういうふうなことが民間の会社では多くやられておるのです。  そこで、民間の会社の研究費ですね、これは今、一体どれぐらい使っておるか、それから売上高と生産高に対する研究費の割合、これはどうですか。簡単でよろしいんですが。
  290. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 昭和三十六年度に、総理府の統計局の調査によりまして調べますと、民間会社において支出された研究費は約千六百二十九億円で、全体の国も民間も合わせての研究費の約六八%を占めております。
  291. 近藤信一

    近藤信一君 私、科学技術研究なんて重要な研究だと思うのです。  そこで、諸外国の例をとってみますると、外国では富豪の方が、そういう重要研究に対しては、進んで金を出すわけです。寄付するわけです。ところが、日本の富豪はあまり金を出したがらない、自分のところの会社のためなら一生懸命金を使うが。そして、日本の大きな会社では、そういう国の研究所に寄付するのではなくて、自分のところの会社だけでこっそりやろうと、こういうふうな考え方が強いのじゃないかと思うのですが、一体民間から、政府のこういう研究機関に、どれぐらい寄付されておるのですか。
  292. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 科学技術庁で承知いたしております範囲では、国立の研究所には民間の寄付というものはほとんどございません。ただ、委託を受けて研究をするものにつきましては、それの費用は出ております。
  293. 近藤信一

    近藤信一君 委託をするのは、当然委託研究費を出さなければならぬと思いますが、私はそこに日本の、いわゆる研究機関の進んでいかぬ点の原因があるのではないか。政府から、割合からいけば三・三%ですか、予算を科学技術庁ではとられて、そして研究に一生懸命やっておられますけれども、まだまだこんなことでは、私は思い切った平和的利用の研究だって十分にできない。やはり、研究するためには人を使わなければならぬ。しかも優秀な人を使わなければならぬ。こういうことになれば、相当費用も要るわけでございますから、やはり、これは日本のそういう富豪者に、もっと協力させる、近藤長官のひとつ手腕によって。日本の富豪者は横を向いて黙っておるというのじゃなくして、やはり、どんどん進んで金を出させるような、何か方途でも考えておられますか。
  294. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 確かにパーセンテージの上では、日本も諸外国にあまり劣ってはおりませんけれども、やはり、絶対予算総額から申しまして、少ないわけでございますので、御指摘のように、民間のそういったような寄付金というようなものも、十分集まるようにありたいと思いますけれども、私も、自信は決してございません。決してというとあれですけれども、自信はございませんけれども、しかし、ちょいちょい聞きますところによりますと、大会社、大企業者の人たちも、それぞれの自分のところにおいて同じような研究所を持つことは意味がないから、お互いに総合的な研究所を持つようにというような動きもあるやに聞き及んでおりますし、やがて国立の研究所に対しても、そういうような気持で協力をいただける機会もあるかしらと思っております。
  295. 近藤信一

    近藤信一君 災害を防ぐための防災科学技術センターというものを創設することになるわけですね。これは大いにけっこうなことでございますが、これは名前は研究所というのでなくして、今度センターということになるわけですが、何かそこに、センターということに意味があるのかどうかということと、それから既存の研究所や施設と十分に連絡がとれているかどうか。ただ、いたずらになわ張り争い的なことで研究をしているのでは、うまく研究もできない。それから、ことに大学などの研究機関と摩擦が起こるようなことでは、これは十分な研究もできないと思うのですが、この点はどうですか。
  296. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) センターという名前にいたしましたのは、性格の一部には、確かに研究所と名づけていい面を持っているわけでございますけれども、研究所と申しますと、非常に狭い範囲で、奥行き深い、と申しましょうか、また非常に基礎的なことだけを対象にしたという印象が深いのでございますけれども、今度の防災センターと申しますのは、従来も、すでに各省にありますところの研究所で、防災科学に対するような処置もなされておったわけでございますけれども、年々歳々日本に繰り返される災害に対して、もう少し抜本的な、総合的な見地から事を運ばなければならないという意味で作りましたわけでございますので、従来ありますお互いの研究をより密接に、より有機的に、より効果的に、大所高所に立って中枢的な役割を果たして、その機能を上げていきたいという意味で、防災センターという名前をつけたわけでございます。
  297. 近藤信一

    近藤信一君 防災で重要なことは、災害が起こってからということでなくして、やはり災害の起こらないようにするということと、それから、もし起こった場合に、それを早く察知して、予知、予報、こういうことも重要なことになるのではないかと私は思うのですが、そういうことを私は大いに研究をしてもらわなければならぬ。今度の豪雪地帯のなだれの問題でも、やはり勘で予知した、そうして避難させたということも、新聞にも出ておったわけなんで、やはり起こる前に、これを防ぐ、こういう研究を大いに科学技術庁としてもやっていただきたいと、こういうふうに思うのですが、こういう点はどうですか。
  298. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 防災は、あくまでも早く予知することによって災害を防いでいくということでなければなりませんが、直接、防災センターとしては予知するというような機構を持っておらないわけでございまして、たとえば気象庁であるとか、あるいは建設省というのが、それを予知する、予報するという一つの機構を持っております。したがいまして防災センターといたしましては、より的確な情報を把握することによって、建設省、あるいは気象庁というような、予報を出すところへの連絡が、密に早急にとられるというような働きを果たして参りたいと、そう思っておるわけでございます。
  299. 近藤信一

    近藤信一君 最後にお尋ねをいたすわけですが、原子力発電所の立地調査費が三十八年度から五百八十五万円ついておりますが、これはどういうふうな調査をされるのかどうか。  それから、四カ所というふうに聞いておりますが、この四カ所は探される、ので、目的地といいますか、適地、そういうのは、もう現在見当がついておるのかどうか。  それから、発電所は民間会社において建設するのか。それとも、政府が土地の選定だけを行なって、民間会社にこれを、そこで建設させるのか。この点はどうですか。  これで、私の質問を終わります。
  300. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 原子力発電所の場合の立地は、ただ電力の地域需給であるとか、産業立地というようなことの経済的な面だけを配慮するだけではいけませんので、特に地形とか地盤とか気象とかいうことに十分の配慮をする必要がございますので、そういうものについて国として長期的な観点に立って、全面的な原子力発電所建設適地の状況を把握しておく必要がありますので、昭和三十五年以来、図上調査をいたして参りました。その調査の充実をはかりますために、昭和三十八年度からは地質調査及び気象調査の現地調査を実施することといたしましたので、この予算昭和三十八年度に入ったわけでございます。  対象といたしましては、図上調査の結果を基礎といたしまして、地質分類、系統別にサンプリングを行なう。主として国有地について四地点を選定して、地元の県、または公社及び気象協会に委託して実施することとしておりますが、その四カ所につきましての具体的なことは、まだ全然きまっておりません。
  301. 横川正市

    ○横川正市君 私は質問をするよりか、おそらくこれは研究中、その他いろいろ資料を集められている段階ではないかと思いますので、要望を申し上げておきたいと思うんです。  それは、きょうの新聞でも発表されておりますように、原子力関係の科学者グループが、アメリカの原子力潜水艦の寄港については、安全性についてはっきりとした証左を、これを確認した上でなければ許可すべきではないという態度を明確にいたしております。ですから、この原子力関係の最も権威者である人たちの、こういう安全性に対する危惧というものは、非常に私は当面重要な問題だと思うのであります。そこで、この原子力潜水艦というのは、一体何なんだという点で、今まちまちなんですね。一つは、ノーテラス型であれば、これは単に商船に取りつけられた原子炉による推進式だから、別に核兵器ではない、こういう言い方の場合もあります。しかし、実際にはこの同型のフレッチャー号で、すでに昨年の太平洋核実験で実際にテストされておるものに、サブロックという核装備をした弾頭をつけた魚雷の搭載が実際上行なわれておるわけです。このサブロックの持っている、いわゆるメガトン級の破壊力を持った核兵器というものについて、まだ明確にされておりませんし、同時に、フレッチャー号に積めるならば、ノーチラス号にもおそらく積むだろう、こういうふうに一般に推測をされております。なぜかといいますと、アメリカの潜水艦の発展度合いというものをずっと見ておりますと、すでにもうポラリスまでの段階の、前段でのノーチラスというのではなくて、もうポラリスに、すべて戦略配置として変えるという段階でのノーチラス号の寄港と、こういうふうに考えるほうが妥当なように、すでに核地域に対する戦略配置というものがきめられているようです。ですから、私どもは、単にポラリスがやがて隠れて寄港するのではないかということも非常に重要でありますけれども、その前段として、核兵器であるサブロックの搭載の事実というものも、これもやはり確認いたさねばならぬと思いますので、この点で、ことに技術庁は専門家の方々によって網羅されておるわけでありますから、安全性という問題については、ひとつ厳重に検討していただいて、その上で結論を出していただくようにお願いしたいと思います。そのことだけ要望いたします。
  302. 館哲二

    主査館哲二君) 速記をちょっとやめておいて下さい。   〔速記中止
  303. 館哲二

    主査館哲二君) 速記を始めて下さい。
  304. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 福田通産大臣もお見受けしたところ、ちょっとお疲れのようですからすわったままで答弁していただいてけっこうです。私もすわったままで伺わしていただこうと思います。  きょう私は、きのう提案されました特定産業振興臨時措置法案、これについて少し御質問申し上げたいと思うのです。通産大臣に端的に質問申し上げたいと思いますが、池田総理は日本経済を自由主義経済体制の中で初めて発展させることができるし、またそうさせると、こうおっしゃっていらっしゃると思うのです。自由主義経済というと、一種の言葉の魔術で、中小企業家や小売商、農民までが、素朴に引きつけられるおそれがあると思います。ところでこの法案は、独占集中を一そう強め、自由競争を極端に制限しようとしている法案だと思うのです。独占集中を強めることと、池田内閣の言う自由主義経済とは矛盾しないかどうか、この点について通産大臣に御意見をお聞きしたい。
  305. 福田一

    国務大臣(福田一君) 御承知のようにこの法案は、自由化を控えまして、また関税の引き下げということを通ずる世界の動きに対処いたしまして、日本の重化学工業を中心として、将来育てていかなければならぬというものについて、今まで非常に過当競争が行なわれたり、あるいはまた細分化して競争をしておるような、世界の産業に比べれば非常に規模が小さいというようなのが今日本の姿でございます。日本の実際の姿でございます。そこでそれでは自由化をしていくということになって、自由化をしますというと、その産業は一ぺんに波にさらわれてしまう、波にさらわれれば、それに関連しておる中小企業者も、また労働者の人たちも、やはり非常な損害を受けると同時に——今度はそういうような産業というものをできるだけ助成していこうという考え方、育成していこうという考えですね。それは目的がどこにあるかといえば、今自由化をするというと、海外から安い品物がどっと入ってきますね、今、日本が作っているより。そうしますとその産業はつぶれる、その産業をつぶさないようにするには、もっと安い品物を作らなければいけないということになると、私は消費者にも決して悪影響を与えない、いわゆるこの日本の中小企業また労働者の方にも関連のものに対しては悪影響がないし、また消費者にも悪影響がない、だから、そういうようなことをして、そして自由化並びに関税引き下げで世界の動向に対処していこう、こういうのが今度の特定産業振興に関する法律の目的でございます。したがいまして、今あなたの御質問がございましたのは、自由主義国の中にあって——われわれ自由主義国の中に入っておるわけでありますが、決して独占をして、独占の弊によって消費者を圧迫しよう、いわゆる独占の弊害というのは、消費者に非常に損害を与えるということでありますが、それが目的ではない、こういうことでございます。
  306. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょうは時間もありませんことですから、あまり議論しないようにしていきたいと思っておりますが、私はそうは思わないんです。自由どころか独占の強化によってますます独占に支配されるという結果がくる、こういうふうに私は考えるわけです。  二番目に、この法案には二つの目的がある、こういうふうにみておるわけです。一つは生産規模、経営規模を世界的水準にまで引き上げるための集中合併を進める、残りの企業を切り捨てること。もう一つは強化されは独占資本のためにカルテル行為を公然とやらせること、この二つだと思うんです。その結果どうかと申しますると独占価格の人為的なつり上げがやられる、物価は下がるのではなくて、むしろ上がるおそれがある。政府は価格を最低限上げないという具体的保証をこの法案のどこに入れておるのか、それをお聞きいたしたいと思います。
  307. 福田一

    国務大臣(福田一君) 前段の御質問でございますが、われわれは目的が今申し上げたように自由化に対処して日本の、われわれが考えている重化学工業の中で、将来育てなければいかぬというのが全部つぶれてしまう、それを防止するんだというのが目的なんでございますから、したがって、これによって価格のつり上げなどということは考えられない。またそういうことになれば、公正取引委員会というものも、カルテル行為をやるときには正しいか正しくないか認定するわけです。取引委員会がやはりその権限を持っております。  一方、そういうような基準を作って、この産業は一体どれくらいの規模にして、どういうふうな企画でもって、どういう工程でものを作っていったらうまくいくだろうかということは審議会にかけて、いろいろ相談をしてもらった上で、なおかつ大蔵、通産とか、そういう業者とか、銀行とかいうような関係者で、いろいろ相談していくわけですから、二重にも、三重にも、そういう問題について消費者の問題も考え、またアウトサイダーになるべき人たちが、どういうふうになるかというようなことも考慮しながら基準をきめていくわけです。私は須藤さんの言われるようなことにはならないし、またそういう目的でもない。  事実問題として、私は値段が上がれば、外国の品物がどっと入ってきますから、こっちが負けてしまう。決して値段をつり上げるということにはならない。日本の産業が完全に海外の産業以上に、アメリカやイギリス、フランスの同じような産業よりは、はるかに上にまで行って、そうして全部アメリカの産業をつぶしたというときになったら、独占のいわゆる弊害が出てきて、価格をつり上げるということもあるでしょうが、イギリスよりも、アメリカよりも、ずんと劣っている。それを何とかそこまで持ち上げていこうというだけなんですから、これから日本の今の重化学工業を持ち上げるというか、育成を現実にわれわれは考えている、その段階において、もしその産業が値段をつり上げたら、自由化されるのですから、海外から安い品物が入ってくるから負けてしまう。だから、私は値段をつり上げることにはならない、こう考えます。
  308. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 昔から独占が強かったときには、いわゆる独占価格のつり上げで物価が上がって、国民は非常な迷惑を受けた。そのために戦後独占禁止法で独占を禁止された。そういうことは歴史が証明しているところです。ところが、今度独占禁止法に風穴をあけて、そうしてこういうふうな独占の復活のような政策をとられる限り、将来この独占が強くなった場合、昔のような弊害が起こってくるだろう、こういうふうに私たちは考えるわけなんです。  それで、この法案の中に、政府が実際、価格を最低限上げないという具体的な措置を独占が復活した結果物価が上がらないと、価格をつり上げないというような、そういう保証をこの法案のどこかでしておく必要があるのではないか。それがされていないということを私はお聞きしておるわけです。
  309. 福田一

    国務大臣(福田一君) しかし、具体的に言いませんと、これは抽象論でやってもだめだと思うのです。たとえば自動車の問題を取り上げてみましても、自動車は、今、日産ブルーバードが五十八万円くらいです。これは最近に値を下げると思いますが、五十何万円くらいまで、二、三万円下げるでしょう。それに対抗する車というか、フォルクスワーゲンというのがあるのですが、それが二十四、五万円くらいですかね、それくらいのものなんですよ。それで船賃だとか・いろいろなものを入れて三十五、六万円ならやってくるでしょう。とてもかないませんわね。これで自由化されたら、一ぺんに参ってしまいます。そういう場合に、じゃ、フォルクスワーゲンならフォルクスワーゲン、あるいはワイアットとか、いろろいな車があります。シトロエンとか、そういう系統のものがありますけれども、そういうものと比べると、はるかに値段が違うのですね。今のところ、日本のほうがうんと高いわけです。  そこで、これをもし集中して生産することによって、どんどん下げていきますね、下げていっても、やはり形というものはいろいろなものがございますから、そう簡単にできるもんじゃありません。それだから、やはり日本のブルーバードがある程度下がってきても、まあ、海外の車よりは、私は若干高いところくらいしか合理化できないと思うのですよ、やってみても。そうすると、その場合に、じゃ、だめじゃないかという意見も出るのですがね。そこで自由化したら——ところが、そこに好みというものがございまして、日本人は日本人好みのものを作っています。いろいろな産業によって。それで少し高いくらいなら、何とか対抗できるというところぐらいには落ち着くわけです。そのとき、もし価格を十万も十五万も上げますと、そんな高いのならば外国のものを買おう、自由化ですから、入ってきますから買えるわけです。それだから私は価格を今の段階において、たとえば三年とか五年とかいう期限を切っておる限りは、価格が、これをやるから上がるということはあり得ない。それほど日本の産業は重化学工業において、世界の工業に劣っておるのだと、こういうふうに考えておるのです。劣っていないなら、こんなことをする必要がない。実は、そこのところにも問題がある。そこが心配なんです。  それじゃ、そんなものは自由化しないでいいじゃないか。やめたらいいじゃないないかということになりますと、今度は日本が海外に品物を売ろうとすれば、お前のところは、外国の品物を買わせぬように、門戸を開放しない、いわゆる戸をあけないなら、おれのところおも前のところのものは買わないように戸をしめますよ、こう言われるから、やはり、一、二年の間には、力をつけて自由化をしていきたい、こういうところで考えておる法案なんです。  だから私は、御心配はごもっともなんですよ、そういう御心配をしていただくのは非常にありがたいと思いますけれども、具体的な問題としては、はたしてこれがそんな弊害をもたらすか。私はむしろ弊害はもたらさない。効果はあって弊害は……。これは言葉が過ぎるかもしれませんが、将来の問題は、あるいはアメリカの会社でもイギリスの会社でもつぶれたということになれば、独占の弊害が表われるかもしれませんが、向こうはいい安いものができておるのですから、日本は追いつくのがやっとというくらいに私は見ておるのであります。したがって、今仰せのような弊害は、御心配としては、また、われわれもよく考えて、そういう弊害が起こらないように将来努力はいたしますけれども、今、そこまで考えないでもいいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。  しかも、そういうような弊害が起きるおそれがあるという場合には、公取が一やはりカルテルの許可権は公取が持っておるわけです。御承知のように、今度の法案におきましては、公取が許さないということになるので、そういう御心配があれば、そこに公取に十分働いてもらう余地があるというように考えておるわけであります。
  310. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 第二条の四は、どういう業種を考えていらっしゃいますか。
  311. 福田一

    国務大臣(福田一君) これは私ちょっと、この条文を持っていませんから、企業局長からお答えさせます。
  312. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 御承知のように、二条には石油化学、特殊鋼、自動車というように例示的に法定してあるほか、政令で審議会の意見を聞いて業種をきめることになっております。ここで予定しておりますのは、いわゆる日本の産業構造の高度化に資するいわゆる重化学工業であって、国際競争力の培養の必要のある、つまり現在まだ未熟産業である、こういうものを考えておるわけであります。
  313. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 三番目ですが、この法案によりますと、特定産業の大企業に対しては、政府金融機関の融資から税制面から、至れり尽せりの優遇措置をとろうとしておると思うのです。ところが集中、合併、合理化によって、一番打撃を受ける労働者にとっては、一体政府は、どういう措置をとろうとしておるのか、ちょっとわからない始末です。ただ、第九条におきまして「当該特定産業を営む者の従業員の地位を不当に害するおそれがないこと。」を申しわけ的に付け加えておるに過ぎないと思います。明らかにこれは、私はごまかしではないだろうか。政府は労働者の賃金水準をこれ以上悪化させないための保証、首切りさせないための保証、あるいは再就職のための確実な保証を、この法案のどこに入れたのか示していただきたいと思います。
  314. 福田一

    国務大臣(福田一君) 御承知のように、先ほど来も申し上げましたが、非常に劣っておる、力の弱い日本の産業を強くしようというのでありまして、このままの形で自由化をすれば、それに関係のある経営者といわず、中小企業といわず、労働者といわず、失業をしなければならないという形になるわけです。自由化をするな、しなければいいじゃないか、こうおっしゃれば、これは別問題でありますが、やはり自由に貿易をしていくのだという方針を貫くということになれば、日本のその関係の産業が参ってしまう。そこでそういうことになっては困るから、その産業は、どういうふうなやり方をしていったらいいのだということについて基準を作るわけですね。この作業はどうするか、その基準を作るには利害関係者の問題をよく気をつけなければならないということは、三条にも実は利害関係者のことを十分考えて作れということに、ちゃんと法律をいたしております。  それから同時に、今あなたが御指摘になりました第九条においても、もう一度公正取引委員会が、特に労務者、労働者等の問題を十分考えていかなければならぬ。  そうすると、全部だめになってしまうか、あるいは大部分のものを助けるかという問題がここに出てくる。これをどうしたらいいか。大部分を助けても、小部分は一体どうなるか、この問題であります。そしてそのときにおいても、やはり利害関係者でございますから、そういう人たちのことを十分考慮して考えなければいけない。たとえば七社あるうちで五社合併なり何なりしてやった。たとえばの話でございますが、二社は、一体どうなるのだ、こういうことが疑問になってくる。その場合においては、二社のそういう人たち、労務者の人たちとか、あるいは株主擁護の問題もありましょう。いろいろな問題も十分考えて、そして処理をしていくようにせよ、するのだということをきめておるわけであります。もちろん合併したものに対しては利益を、そういうふうな税制上あるいは金融上の利益を与えるとともに、片一方のしないものはだめじゃないかということになるのですから、そのときに、どういうようにしたらいいかということについては、残るほうは、やはり考えなくちゃいけない。しかし合併するほうの人たちも、やはりこっちの分も考えながら、一緒になったらどうだ、こうしたらどうだということのように話をつけていく。おれはそんなことをしてもらわぬでいいのだ、国から援助してもらわぬでもよろしい、金を借りられないでもよろしい、おれはやっていくのだ、こう言われるのなら、御承知のように、今は、いわゆる自由主義経済でございますからわれわれやっておるのは。それは、その人たちがやれるというのを、それをやってはいけませんとは言えない。その場合には、今言ったような税制上、金融上の、その意味における利益を与える、こういうことに相なろうかと思います。
  315. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちは、もともと今のようなやり方の自由化に対しては反対なんです。そういう立場で言っております。自由化をしたら、必ず日本の労働者に犠牲がしわ寄せされるだろうということをこれまでも言ってきたわけです。今度の特定産業の振興臨時措置法、この結果、そういうとにかくカルテルの復活、独占の復活ということになれば、おそらくあなたがおっしゃったような、整備とか再建とかいろいろなことが起こり、強いものが一つ生き残って、そうしてたくさんのものがその犠牲となって倒れてしまうだろう。そうして、そのしわ寄せが必ず労働階級にきて、たくさんの失業者を出す結果になるだろう。それを、どういうふうにして救うかということなんですね。あなたはたくさんが生き残るために少数を犠牲にする結果になるのだ、こういうふうな意味のことを今おっしゃったですが、しかしこれは、やはりすべての犠牲者を出さないように、少数といえども、犠牲者を出さないように考えていくのが、私は当然ではないだろうか。そのためには、私たちはまた別のことを考えておるわけなんです。ここであなたと私の意見の相違が起こるわけなんです。  だから、意見の相違につきましては、また後ほどに述べることにしまして、議論しても食い違いで平行線になってしまうおそれがありますから、やめますが、今あなた、私の言うことを否定するような意味のことをおっしゃいましたが、通産省の企業局が作った企業合併白書によりますと、企業合併を妨害している諸原因のうちで約半分は、一、合併会社間の従業員の賃金水準及び賃金体系の相違、二は、配置転換、解雇等の労務問題、三は、労働組合の反対、こういうふうになっておるわけですね、こういう資料から見ましても、大企業間の合併を進める場合、配置転換、解雇が起こることを予定していると私は思うのです。これが通産省企業局が作った企業合併白書の中にあるわけなんです。ちゃんとこういうことを予測しておるわけなんですね。もうすでに合併を振興基準の重要な要因としている以上は、今あなたもおっしゃったとおりですが、合併を妨害している賃金水準、賃金体系を排除した配置転換、解雇等の労務問題を排除しようという政策があるのではないかどうか。  一例を申しますと、年功序列賃金をやめて、新しく低賃金政策の変質である職務給賃金を導入しようという、こういうことも、その下準備のために総理がおっしゃったのではないか、こういうように考えますが、どうですか。
  316. 福田一

    国務大臣(福田一君) 総理が、そういう意味のことを言いましたか。それは、私の聞いているところじゃございません。
  317. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたかだれか、予算委員会で、そういう意味のことを述べられたように思うんですがね。
  318. 福田一

    国務大臣(福田一君) いや、そういうことを私は聞いておりませんが、そもそも合併を必要とするかいなか、合併しないでもやれるかもしれませんし、この法律は何も、合併を必ずしも強制はいたしておりません。したほうがいいという基準ができれば、そういう方向で皆でやろうじゃないかということを言うておるわけでございます。私が須藤さんの御意見と、やはり根本的に対立するのは、もし対立がありとすれば、自由化をするのがいいかどうかという問題に帰着するのじゃないか、そこの問題になる。自由化するという仮定でものを考えていきますと、私たちの考えは、一応筋を通していただけると思う。ただ、自由化しちゃいけないのだという考え方に立ちますと、これは確かにあなたのほうで、またお考えになるような御意見が出てくるのじゃないか、こう私は思います。
  319. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、第三条ですね。振興基準の八には、「前各号に掲げるもののほか、生産又は経営の規模の適正化を通じ産業活動を効率化するために必要な事項」、こう書いてあります。この中にも、私は政府の労働政策がきわめてたくみに織り込まれていると、こういうふうに考えるわけです。「経営の規模の適正化」という言葉の裏に、就業人員の数を予定し、含めていると私は考えます。また、「産業活動を効率化する」という言葉の裏にも、労働強化を含めており、さらに低賃金も、効率化の重要なあるいは決定的な要因として予定していると、そういうふうに私は考えます。さらに「必要な事項」という一般的な言い方の裏に、幾らでも新しい労働政策を織り込んでおる、こういう意向がうかがわれるわけなんです。通産大臣は、振興基準の中の最後の、あるいは最終的なねらいは、今私が言ったような労働政策、これにあるのじゃないかと思いますが、どう思いますか。
  320. 福田一

    国務大臣(福田一君) ただいまお話がございましたことでありますが、たとえば効率化ということをおっしゃったから、それについて申し上げてみてもいいんでありますが、効率化というのは、必ずしも労働強化じゃなくて、たとえば機械力の導入というようなことも効率化の一つだと思います。ただし、機械力を導入した場合に、今度は労働者が要らなくなって解雇の問題が起こるんじゃないか、それは必然的についてくると思いますが、私は、そういうことは、この法律では、そういう問題を中心に考えて、この法律を取り上げたのではなくて、一体政治というものは、どういうことが必要かといえば、国民全体が楽な生活ができるようにするということだろうと思います。そうして、文化的な生活ができるようにする。これは政治の目的だろうと思います。その場合において、できるだけ安くていい品物を供給するということになれば、私はそれが正しい政治である、こういうふうに考えております。  その観点から見てみるというと、今度の特定産業の法律案の場合においても、いい品物を安く供給するというのは、この法律の目的である。それが全体の国民のためになっていく。同時に、収入面、いい品物を安く供給すると同時に、それが同時に、国際競争力になって、海外へ品物をたくさん輸出する。そうなれば、やはりそこで、たくさんの労働力を必要とするようになり、それで栄えていけば、決して労働者は、何も職場を減らすということにならないで、むしろ確保する。少なくとも維持し確保する方策にも相通じてくる。こういう考え方で見ているわけです。だから決してそんな、いわゆる労働者の首切りとか、あるいは犠牲にしようとかいう考え方は毛頭ございません。
  321. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産大臣は、労働者を首切る気は毛頭ないといいましても、日本のような状態では、一つの工場に新しいオートメーションの機械が入る。そうすると、今日まで、それまでは三百人かかって動かした機械が百人で動かせるようになると、あと二百人首切ってしまうのです。それはもう、ほうぼう、で起こっていることじゃないですか。要するに、電話交換局一つ見ましても、オートメになるというと、交換手がやはり配置転換を受けたり、また、首切りにあってしまうわけです。だから統合されて大きな会社になって、そうしてどんどん新しい機械が入ってくる。オートメーションにずっとなっていく。そうしたら、そこから不要になった労働者はどこへ行くのですか、やはりその工場から排除される結果になるのじゃないですか。
  322. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私はそこにまた、いろいろ問題がある。あなたのような一面的なものの考え方にはならない。たとえばそういういい機械が入ったとします。その場合においては、経営者は、労働者を首切るのが目的ではなくて、配置転換をしているのがずいぶんあります。全部が全部首切っているのじゃありません。交換手だって首切らぬようにしている。ああいう方法もあるわけです。ほかに仕事を見つけて配置させるということもある。  しかし、もしそういう機械を入れないで、機械を入れることによって対抗できるものが、機械を入れないということになってその工場がつぶれ、その会社がつぶれたら、一体そこの労働者はどうしたらいいんでしょう。自由主義経済のもとであったら、つぶれるおそれは多分にあります。そこでそのことを見れば、全部首切りにならないようになっているわけだし、一部分は、そういうような人もあるいはできるかもしれません。これは絶対とはいえないから、私はそれは肯定しないわけにはいかないと思います。しかし、今度は、そういうことをすることによって、たとえばよそへ、もっとよけい物が売れるようになれば、それに伴って、ほかのいろいろな仕事が、その会社にたくさん出てくる。私はそこへ配置転換ができるようになるから、だから、あなたのおっしゃるように、もういい機械を入れれば、全部その分だけは首切りになるという考え方ではなくて、そのいい機械を入れることによって、その会社が栄え、会社が栄えることによって職場が確保される、こういう考え方もあり得ると思うのです。
  323. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは資本主義の社会では、私はなかなかむずかしいことではないかと思うのです。オートメーションが入って、物の生産が少人数でできるならば、労働時間を短縮するとか何とか、そういうことを考えていく必要が起こってくると思うのです。どこの国でも全部そういうふうな形になって、どんどん物を作る。それはだれが買うか、労働者の賃金をうんとよくしていく以外に購買力はないから、できた物を買う人がないということになるわけです。必ずそれは行き詰まってくる道だと思うのです。だから、その場合は、やはり社会政策を立てて、労働賃金を、うんと高度の労働賃金にするか、それと同時に、いわゆる労働時間を短縮するとか、そういう社会主義政策を立てていかない限り、この問題は解決していかないと思うのです。
  324. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私は、あなたのおっしゃるように、そういうふうにオートメをしていって、将来、たとえば労働時間を短縮することにはちっとも反対ではございません。将来の姿としては、そうあるべきだと思います。それには何も反対しておりません。  しかし、今日のこの段階において、全部がつぶれてもいいというわけにいかないから、そこで全部つぶれるかつぶさぬかということになれば、自由化の問題で意見が対立するわけなんで、自由化という問題での議論なれば、私はあなたと意見が対立するということはあるけれども、一応自由化するという立場をとれば、われわれがいっていることは、大体どなたにも納得していただける議論であり、すべてのものが、その鹿柴が全部参ってしまうというよりは、大部分のものを残すほうがいいし、また、それによって安い、いい品物を提供することがいいことだし、こういうふうなことは、そうしてまた、それで輸出力が伸びるのだしということになれば、全体としてはプラスになるのじゃないかという考え方を、これはちょっと、独占禁止法に穴をあけるというような素朴な言葉でおっしゃっていただくと、非常にわれわれとしては心外なんです。決して独占禁止法に穴をあけるのが目的ではないので、日本の産業を育成して、日本の労働者も、それによって保護するのだという逆の立場を考えていただきたい。
  325. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それが言い方で、私たちは、これは日本の労働者の犠牲によって、日本の独占が肥え太る道だと、こういうふうに考えているわけです。決して、こういうことで日本の労働者は幸福を得ない。必ず労働者に犠牲がしいられるのだ、こういうふうに私たち考えているわけなんです。
  326. 福田一

    国務大臣(福田一君) そこは意見の相違でしょうね。
  327. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちょっと意見の相違になりそうですね。ここで、「必要な事項」という言葉が使ってあるのですが、この「必要な事項」というのは、どういうことを考えていらっしゃるのですか。
  328. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) お答えいたします。三条で並べてあるほかに、八号を書いておりますのは、大体共同計算をやるとか、あるいは何といいますか、コンビナートを作るとかいうような事項を現在ではわれわれは考えているわけでございます。
  329. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この法・案の第六条の二項及び第七条についてお聞きしたいと思います。ここでも両方にわたりまして、「生産又は経営の規模の適正化を通じ産業活動を効率化する」云々として、資金をつける努力や義務が書かれております。この資金の中には、首切り資金も予定されているのか、石炭鉱業整備事業団に、一般会計から首切り資金が出資されて、出資金がもとになって退職金が出されている、そのような性格の資金をつけることを予定しているのかどうか。
  330. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) われわれがこの法律の六条の二項あるいは七条で考えておりますのは、前向きのいわゆる資金というものを考えておりまして、ただいま先生の御指摘のようなことは、現在の段階では考えておりません。
  331. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、将来そういうことに使われるということがわかった場合には、金融をしないのですか、そういうことを防止することは、何かちゃんと考えてあるのですか、どうですか、
  332. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) これはあくまでも何と言いますか、個々の企業と、これに資金を供給します銀行との間の個々の問題でありまして、われわれこの法律では、いわゆる振興基準の線に沿って、できるだけ金融機関も協力していただきたいということを、いわゆる訓示的に規定をしておるだけでございまして、そういった今、先生の御指摘のような問題は、個々の銀行と個々の企業との間の具体的な問題でありまして、これはわれわれとしては予定をしていないわけでございます。
  333. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは何も保証がないじゃないですか。そういう面に融資を受けた金が使われるということを政府は何も監督することもできないし、何も措置することができないんでしょう。それは借りたものの自由ということになるんじゃないですか。
  334. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) これは個々の企業の経理の内容なりあるいは資金をずっとトレースしようというような考え方ではございませんので、その特定産業を営む企業自体のその事業活動が、この法律の趣旨に沿っておるかどうかということを考えて、金融機関は金を貸してくれということを言っておるだけでございまして、そこでいわゆる融資をされた金が、どういうふうに回っていくかということを、ずっとトレースして、この方向に沿ってない場合には、どうしようというようなことは全然考えてない法律でございます。
  335. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 拘束をすることは、とにかくできない、この法律では。そしてまた、そういうことは考えてない、だから、そういうふうに使われてもやむを得ない、こういうふうに理解していいですね。
  336. 福田一

    国務大臣(福田一君) そういう場合においては、やはり基準を作る場合において、どういうふうにしていったらいいかというようなことをやるときに、十分私は討議、研究をされておる、こう考えているわけであります。それからまた今度は、それによって合併をやったり、カルテルをやる場合においては、御承知のように合併の場合は基準を作らせますし、それからその基準を作ることについては、公取が十分考える、カルテルの場合においては、やはりそういうようなことで、業者間に意見のないように考えるということは、十分あるのですから、だからその限度において、十分尊重されておると、こう思っております。
  337. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この法律案には、独占集中を徹底させて特定業種の生産面を完全支配させるだけでなく、流通面も支配させようとしているのです。そして小売面までも、大企業がスーパーマーケットなどのあらゆるやり方で支配させようとしております。零細な卸売、小売商に対して、政府はどういう措置をとろうとしているのですか。
  338. 福田一

    国務大臣(福田一君) これは御承知のように、重化学工業というものを中心に運営されることになっておりますので、今御指摘のような問題まで及ぶことは非常に少ないと思っております。そういう小売商まで扱うということはないでしょう。
  339. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし、こういうことになれば、結局中小企業や小売商を圧迫するような結果が起こってくるのではないですか。そのため 政府は、今度、中小企業基本法などを作ったのではないですか。
  340. 福田一

    国務大臣(福田一君) だから、もしこれに関連した中小企業をどういう形でやっていくのが合理的であるかということは、それは基準を作るときに、また相当考えるでしょう。親会社があって下請がある、また販売会社がある。そういう部分も、やはり一応考えると思いますけれども、今あなたのおっしゃるような一般論としての中小企業とか、あるいはまた小売業者には、そんな影響はない。それから中小企業や小売商の問題につきましては、中小企業基本法で特定産業以上に金融、その他の面において、実は保護するような法律になっております。これは、この問題とは別でありますからお答えいたしませんが、中小企業については、そういうふうに作ってございます。
  341. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 えらくお急ぎのようですが、中小企業基本法及び今度出される特定産業関連諸法は、特定産業振興法による独占集中に役立つ限りで、ごく一部の中小企業を育成して、零細企業は切り捨てよう、こういうところにねらいがあるのと違うのですか。
  342. 福田一

    国務大臣(福田一君) 中小企業基本法には、零細企業についてもちゃんと条文も作ってありますし、それを救済していかなければならないということが帯いてございますし、政府としても、商工会とか、商工会議所等を通じて、そういう面には力を入れて、いわゆる零細企業の育成をしよう、それからまた、そこに働いている人たちの待遇改善にも力を入れよう、こういうような法律になっておるわけでございます。
  343. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 中小企業基本法を拝見しましても、あれで中小企業家の大きいところは、これで何とかやっていけるというような幻想を抱いておるかもしれない。ところが、もっとずっと小さいほうの中小企業、零細企業というか、それは中小企業基本法でも救われません。それと同時に、中小企業基本法で救われると思った人たちも、今度のこの振興臨時措置法で生き延びることができるかなと思った人たちも、やはり今度は生き延びることができないような条件がくる、いわゆる関連産業に入らなければ生きられない。独占の関連産業に入っていくと、上からしめつけられる、どんどん。それは、何しろ関連産業はしめつけられていることは通産大臣も御存じでしょう。今日、金を払ってもらのだって、六カ月も八カ月もかかるような手形をもらって、手形を割るのに、あっちにうろうろ、こっちにうろうろして苦労しなければならぬ。そういう苦労して関連産業をやっている、そうして持っていくと、倉庫へほうり込んでおけといって、倉庫へほうり込まれる、持っていっても金はもらえない。何カ月かたって、金をもらいにいくと、それをたたかれる、安い金をもらって帰らなければならない、そういうことが今日起こっているわけです。そういうことがだんだん私はひどくなってくるのじゃないか。だから、中小企業基本法を作って、幻想を与えて、それでその次に、今度の振興法を出してきて、大きなところをうんと強力にして太らしていく、結局、基本法で幻想を抱いた人たちまでもしぼり取られて、やせ細っていかなければならない、こういう結果がくると思うのですが、どうですか。
  344. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私は須藤さんとは、ずいぶい長いおつき合いをしているつまりで、あなたともずいぶんこういう議論の上ではいろいろお話をしました終戦後十七年たっております。あの時分でも、われわれは、われわれのやり方でやっていけば国民生活は伸ばせるという建前で、事実上、また伸びていることは御承知のとおりです。そのときにもあなた方は、絶対このやり方では、もうだめだ、ひどい目にあうというようなお話だったと思うのです。私はこれは筋からいって、これでやれる、こういう考えでおるわけです。特定産業といいましても、そういうふうに大身な産業全部を縛るわけでありません。非常に限られたものになると考えております。だからこそああいう縛り方をした第四号において、ほかに候補になるものをあげることはできます。その候補になるには、まず、産業合理化審議会で一ぺん議を経なければならんということになっていまして、そうしてやっと候補者になる。候補者になってから、今度また基準を作るまでには、ずいぶんいろいろな段階を経ていく。それほど心配している。それは、あなた方がおっしゃるように、独占の弊害を起こしたり、あるいはそういうことはいかぬということが非常に考えられておるわけです。だから、これをやるから、日本の産業はますますそういう意味で、独占の弊を起こすとは私は考えない。それからまた、中小企業基本法を読んでみたけれども、それは幻想を与えるにすぎないとおっしゃいますけれども、それは意見の相違になるのじゃないかと思うのですね。あなたは言いっぱなしで切り捨てごめんで、われわれをお切り捨てになるかもしれないが、私たちは、そうは思っていないわけでございます。
  345. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 稲田さんとは、私は電源開発のときからのおつき合いなんですが、あのとき私は、電源九分割に反対した、私一人が反対した。
  346. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私も反対ですよ。
  347. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたは賛成じゃなかったですか。
  348. 福田一

    国務大臣(福田一君) 反対ですよ、見て下さい。
  349. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたが反対して、なぜ、あれが成立したのですか。
  350. 福田一

    国務大臣(福田一君) だからこそ、ポツダム政令によって九分割されたのです。僕らはあれは反対だった。ところがポツダム勅で九分割されてしまった。これでは、日本の電源開発は、こういうことをやっていたのではだめだ、国家資金を使わなければできないというので、電源開発促進法を作った。それであなた方にお願いをしたのですよ。あなたのおっしゃるのは違いますよ。認識不足だ。私は追放になりかけたのです。
  351. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、僕と稲田さんとが反対したということになるようですね。
  352. 福田一

    国務大臣(福田一君) もちろん、非常に反対しましたよ。あのときには、アメリカから、まかり間違うと追放するぞと言われたけれども、僕は追放するなら追放してもよろしい、自分の意見が通らないというのなら追放してもよろしいと言ったのですよ。
  353. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これはとんだところで福田さんの男をあげてしまった。  そこで、最後に、私は、大臣に質問する、というよりも、私は質問もあり、意見もあるわけですが、この特定産業振興臨時措置法で日本産業の発展が保障されると思っていらっしゃるのか。ほかに日本産業の発展の方法はないというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか。
  354. 福田一

    国務大臣(福田一君) 御質問が非常に簡単ですから、私は、あるいはよく当たるかどうか知りませんが、この今の日本の経済の運行の段階及び世界経済の動きの面から見れば、この種の法律を作ることが最善であると思ってわれわれ出しておるわけであります。
  355. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これからが私の意見になりますが、一番あなたに聞いていただきたい点なのです。大臣、よく世界を見ていただきたいのです。これも一つの道だというふうにあなたはおっしゃるが、またほかに、もう一つの道があるということをよく念頭に置いて、政治をやっていただきたいと思うのです。世界経済と結びつくもう一つの道があるわけです。それは平和共存に基づく平等互恵、この道です。自主的な日本経済発展の道があると私は考えます。その道は、同時に国民の生活を向上させ、労働者階級の地位を高める道でもあると私たちは確信するわけであります。あなたたちが進もうとする道は、全く盲目的で、不安定で、国民の生活を根底から破壊し、必ずもっとひどい反動的な政治支配に結びつく道だと信じます。あなた方のやり方は、出口のない、窓のない、ただひたすらに矛盾の拡大再生産を強行し、国民にますますしわ寄せを強める道だ考えます。もう一つの道、それは明るく開放されていて、平和で平等で自主的な発展の遂げられる道であるばかりでなく、国民にとりましても、労働者にとりましても、向上と発展を保障する道であります。しわ寄せなどあり得ない通なんです。こういうことを、あなた、真剣に考えたことがありますか。そのための具体的な措置をとろうとなど考えたことがありますか、どうでございますか。
  356. 福田一

    国務大臣(福田一君) かつて学生時代に、その問題を考えました。しかし、私は、その道を歩みませんでした。それは私は今の考えの、今のやり方のほうが正しいと思ったからであります。あなたのおっしゃるように盲目的われわれは盲目だという言葉で言われるその表現は、誇張されて言われているのだろうと思いますけれども、私はしかし、社会主義とか共産主義というようなものは、決して盲目というような言葉で表現したくはございません。どちらがいいかということになれば、どちらがいいかと言えば、われわれのやっているほうがいいといったような言葉で表現するだけで、須藤さんの言われるように、われわれを盲目という言葉で表現されるのは、ちょっと言葉が過ぎるのではないかと思います。
  357. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣、最後でございますが、もうちょっと眼をあけて、広く世界を見ていただきたい。それを見ないから盲目と、私は言うわけなのですよ。よく見ていただきたいと思うのです。国連で中立主義国、社会主義国の提唱した世界貿易会議が、正式議題になっているような時代なんです。A・A諸国会議でも、最近行なわれたエカフェ会議でも、私の今言った諸原則が確認されている時代だと思います。あなた方が、いつまでも国際カルテル組織の中で生き抜こうとするなら、それでもよろしゅうございます。しかし政治的には世界に孤立し、滅亡する道であると考えます。国内でも、政治的には国民から孤立し、滅亡する道であることを、ここではっきり私は申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  358. 館哲二

    主査館哲二君) 他に御発言もございませんようでございますから、以上をもちまして、通商産業省及び科学技術庁所管に対する質疑は終了したものと認めます。  以上をもちまして、昭和三十八年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算中、総理府のうち、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁及び外務省、大蔵省、通商産業省所管に関する審査は終了いたしました。  なお、予算委員会における報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、先例によって主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  359. 館哲二

    主査館哲二君) 御異議ないと認めます。  これで散会いたします。    午後六時二十七分散会