○
政府委員(上林忠次君) ただいま議題になっております通商産業省
予算各案について御
説明を申し上げます。
まず三十八年度通商産業省所管一般会計の予定
経費要求額は、四百三十億六千八百万円でありまして、これを三十七年度当初
予算額三百十八億二千万円に比較しますと、百十二億四千八百万円
増額することになり、三五・三%の伸びとなります。
このうち石炭
関係予算が百十七億八下三百万円で、前年度に比し、五十八億六百万円の
増加となっておりますが、石炭
関係以外の
予算も相当の
増加となっています。すなわち、石炭
関係以外の
予算は三百十二億八千五百万円で五十四億四千二百万円の増、二三%の伸びとなっており、
一般会計予算全体の伸びを上回っております。そのうち特に中小企業
関係の
予算は八十五億三千七百万円で、前年度に比し二十億一千万円の増、三一%の伸びとなっております。
三十八年度
予算のうち政策事項につきましてこれを(一)中小企業対策費、(二)石炭対策費、(三)貿易振興及び経済協力費、(四)鉱工業技術振興費、(五)自由化対策及び地下資源対策費、(六)工業用水道等産業基盤対策費の六項目に分けて御
説明申し上げます。
第一に、中小企業対策費といたしましては、中小企業のわが国経済の発展に果たす役割の重要性にかんがみまして、前述のように二十億一千万円の増、三一%の伸びとなっております。
まず、中小企業の近代化、高度化の促進につきましては、中小企業設備近代化補助金として前年度に比し六億円増の四十一億円を計上するとともに、新たに中小企業高度化資金融通特別会計を設けることとし、工業団地、商業団地、共同
施設等を対象とする融資資金として、一般会計から二十三億百万円繰り入れることとしています。
また中小企業診断指導員の養成、研修等を行なう日本中小企業指導センターの事業に対する出資及び補助として一億五千六百万円、小規模商工業者に対する経営の改善指導業務を行なう商工会等の事業補助として十一億九千八百万円、中小企業に対する企業診断及び技術指導等を実施する
経費として三億九百万円を計上しております。このほか、新たな
経費としまして、中小企業の人つくり
予算とでもいうべき中小企業管理者及び技術者研修費を六千八百万円計上しております。なお、形式的には大蔵省計上になっていますが、実質的には中小企業
関係予算というべきものとして中小企業信用保険公庫への出資金三十億円が計上されております。
第二に、石炭対策費といたしましては、昨年閣議決定のありました石炭対策大綱に基づく諸対策を強力に推進していくための
経費を計上しており、全体の
予算額といたしましては、前述のように百十七億八千三百万円であります。
内容といたしましては、石炭鉱業の近代化促進及び石炭専用船の
建造を含む流通合理化等に要する資金として石炭鉱業合理化事業団への出資金四十三億八千八百万円、産炭地域の振興に関する事業を行なう産炭地域振興事業団への出資金十三億円、電力用炭の価格の安定をはかるために設立する電力用炭代金清算会社(仮称)への出資金一億円、鉱害賠償を促進するため新たに設立する鉱害賠償基金(仮称)への出資金三億円、石炭鉱業合理化事業団が行なう非能率炭鉱整理事業費の補助として五十億五千四百万円、保安不良炭鉱の終閉山に伴う整理交付金二億千百万円等であります。その他鉱害復旧費、石炭技術振興費補助、原料炭炭田総合開発費等につきましても必要な
経費を計上しております。
第三に、貿易振興及び経済協力費につきましては、今後とも輸出の振興、経済協力の推進なくしてはわが国の経済の長期的な発展は望み得ないということにもかんがみまして、前年度に比し六億千八百万円増の四十三億三千六百万円を計上いたしております。
まず貿易振興につきましては、特殊法人日本貿易振興会の事業
運営に必要な
経費として、前年度に比し三億八千七百万円増の二十一億五千七百万円を計上いたしまして、従来にもまして海外市場調査、国際見本市の開催及び参加、トレード・センターの
運営、日本商品の海外宣伝等総合的な輸出振興事業を行なうこととしております。このうちにはニューヨーク世界博覧会
関係の
予算が二億七千五百万円計上されているほか、軽機械の輸出振興
関係の
予算が六千八百万円含まれております。
次に、日本輸出雑貨センター事業
運営に必要な
経費として一億四千四百万円計上いたし、輸出
生産技術の指導、常設展示場の
運営、デザインの改善指導等を行なうこととしております。
またプラント類輸出振興につきましては、日本プラント協会の業務の拡充
整備等を考慮いたしまして、二億四千三百万円計上いたしております。このほか貿易振興
関係といたしましては、工作機械輸出振興費八千万円、生糸及び絹織物輸出振興事業費補助六千八百万円、工業品検査所及び繊維製品検査所の
経費四億九千三百万円を計上しております。
次に経済協力費でございますが、主な
経費といたしましては、特殊法人アジア経済研究所に対する補助金として三億二千二百万円、海外技術開発協力費として一億一千万円、海外技術者の受け入れ研修費二億六千百万円、低開発国一次産品買付促進費補助として四千七百万円等を計上し、諸外国とりわけ東南アジアを初めとする未開発国との経済協力を一層推進することといたしております。
第四に、鉱工業技術振興費でございますが、今日の経済における鉱工業技術振興の緊要性にかんがみ格段の配慮をいたし、前年度に比し九億一千万円増の七十四億八千八百万円を計上しております。
まず、試験所の研究課題中特に緊急駐要なものに関する特別研究費として十億五百万円を計上したほか、試験所設備及び
施設整備費として六億九千七百万円、民間における試験研究の助成のための鉱工業技術研究費補助として七億一千万一等を計上しております。
なお国立試験研究機関の総合的能率的な研究体制を整えるため、これら機関を集結団地化することにつきましては、前年度に引き続き調査費としまして四百万円計上いたしております。
次に、特許制度を初めとする工業所有権制度の有効適切な運用が、鉱工業技術の振興に役立つことはいうまでもないことでございますが、現在審査の遅延その他いまだ十分でない点もございます。こうした事実にかんがみまして、特許行政強化費といたしまして十億一千六百万円を計上し、前年度に比し一億六千二百万円の
増加をはかってございます。
第五に、自由化対策及び地下資源開発費でございますが、このうち自由化対策費につきましては、
一般会計予算よりも、むしろ後に述べます財政投融資による対策が主要な役割を果しているということができるかと存じます。
一般会計予算におきます自由化対策費といたしましては、国産品普及事業費二千八百万円、国産機械愛用促進費三千百万円、
生産性向上費九千万円等でありますが、次に述べます新鉱床探査費も非鉄金属についての近要な自由化対策ということができます。
地下資源開発費といたしましては、まず国内鉱山の探鉱促進をはかるための新鉱床探査費補助といたしまして三億円が計上されております。新鉱床探査費の補助につきしまては、前年度におきましても三十八年度と同額の三億円でございますが、融資対象の変更等により実質的には相当
増加したものということができます。また試験所の金属鉱床調査研究費としても特に八千万円を計上いたしております。その他天然ガス探鉱補助金といたしまして六千五百万円、それに試験所の特別研究費の一部として計上されているものとして属序試錐すなわち天然ガス埋蔵量基礎調査費一億六千九百万円、天然ガス調査費四千万円等がございます。
第六に、工業用水道事業費補助等の産業基盤の強化対策でございますが、そのおもなものは工業用水道事業費補助でございます。これは既成工業地帯における工業用水の供給確保と、地盤沈下の防止並びに工業開発地帯における工業用水の先行的開発をはかるもので、継続事業二十一地区、新規事業十地区、
合計三十一地区の事業に対し補助を行なうものでありまして、前年度に比し十六億三千六百万円増の五十三億五千六百万円を計上いたしております。
このほか産業立地の指導及び立地条件
整備対策に要する
経費として三千八百万円、産業構造の調査研究に要する
経費として千二百万円等を計上いたしております。
なお工業用地造成確保につきましては、三十八年度におきましては、三百万円の
経費を計上いたしまして、調査をすることとしております。
以上をもちまして、当省所管の一般会計に関する御
説明を終わりますが、詳細につきましては、お手元の
予算要求重要事項表をごらんいただきたいと存じます。
次に、当省が所管しております特別会計につきまして、以下歳入
歳出予算の大要を簡単に御
説明申し上げます。
まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、三十八年度の歳入予定額は五十四億八千二百二十七万六千円、歳出予定額は四十六億九千三百十九万八千円でありまして資産その他の
関係を加減しますと、三十八年度の一般会計への納付予定額は七億八千九百七万八千円となります。
第二に、輸出保険特別会計でございますが、三十八年度歳入予定額及び歳出予定額は、ともに百三十八億八千百三十八万三千円でありまして歳入のおもなものは、保険収入十八億四百五万六千円、資金運用収入六億四千九百五十万円、雑収入五億五千七百六十八万八千円、前年度剰余金百八億七千十三万九千円であり、歳出のおもなものは支払保険十八億五千四百万円、予備費百十八億五千百五十二万四千円であります。
第三に、機械類賦払信用保険特別会計でございますが、三十八年度の歳入予定額及び歳出予定額はともに八億三千五百二万五千円でありまして、歳入のおもなものは保険料収入一億七千五百六十五万九千円、前年度剰余金六億一千五百五十三万九千円、であり、歳出のおもなものは支払保険一億五千七百七十六万六千円、予備費六億六千百六十二万四千円、であります。
第四に、三十八年度に新たに設けられます中小企業高度化資金融通特別会計でございますが、本会計は一般会計の御
説明の際に申し上げましたように、中小企業の構造の高度化に必要な貸付資金の財源を新たに設置するものでございまして、三十八年度の歳入予定額及び歳出予定額はともに二十三億百万円でありまして、歳入は一般会計よりの繰り入れ、歳出は都道府県への貸付であります。
以上をもちまして一般会計及び特別会計の
概要についての御
説明を終わりますが、次に当省
関係の財政投融資計画について簡単に御
説明いたしたいと存じます。
昭和三十八年度における当省
関係の財政投融資
総額は余剰農産物資金を含めて二千八百六十八億円でありましてこれを
昭和三十七年度当初計画の二千五百二十四億円と比較しますと、三百四十四億円の
増加となります。
本計画の運用にあたりましては、貿易自由化の要請、欧州共同市場の進展、世界的な関税引き下げ等きびしい国際経済環境のもとにおいて、さらに間度の安定した経済成長をとげることを目標といたしまして、わが国産業の国際競争力の強化と産業体制の
整備、輸出の振興、中小企業の近代化の促進に特に重点を置きますとともに、自由化を控え問題のある産業部門の企業及び雇用の安定化を進める所存でございます。以下機関別にその
概要を御
説明いたします。
まず、日本開発銀行につきましては、施策の重点を、産業の合理化、近代化と産業体制の
整備、エネルギー等の産業基礎の拡充、輸出産業の強化、地域間の均衡的発展を目途とした地域開発に置きたいと考えております。三十八年度におきましては、電力、石炭、特定機械、硫安、非鉄金属等に対する融資を重点的に取り上げることといたしますほか、新たな施策といたしまして、経済成長のにない手であると同時に技術革新の先導的役割を果たす乗用車工業及び石油化学工業などのいわゆる戦略産業部門の産業体制の
整備を強力に進めることといたしております。
運用
総額は、三十七年度の当初計画に対し百四十五億円増の千百三十億円を確保するものとし、このため財政資金七百五十八億円の融資を行なうほか、産業投資特別会計を通ずる外貨債百十八億円の導入が予定されております。評次に、日本輸出入銀行でございますが、輸出の振興が経済発展の基本的要請でありますことから、プラント類を中心とする輸出の伸長と東南アジア等に対する経済協力と賠償の実施の促進をはかるため、千三百億円の貸付計画を予定いたしまして、これに要します出資二百億円、融資六百十億円、計八百十億円の財政資金を投入する計画であります。
次に、中小企業金融公庫でございますが、わが国の中小企業が、
生産構造におきましても、また輸出構造におきましても重要な地位を占めていることにかんがみまして、中小企業の設備の合理化、近代化とその企業の経営の安定化に資するよう資金運用を行ないたいと考えております。貸付規模といたしましては、前年度当初計画より百五十億円増の千百三十五億円を確保し、このため財政資金六百六十二億円の融資を受けることとした次第であります。このほか中小企業が強く望んでいる長期株式資本の供給と経営、技術面のコンサルテーションを行なう中小企業投資育成会社(仮称)を新たに設立することとし、これに要する出資金といたしまして六億円を中小企業金融公庫を経由して出資することといたしております。
商工組合中央金庫につきましては、中小企業の
組織を強化し、中小企業の基盤を確立するため積極的な融資活動を行なうこととし、前年度に比べて五十五億円増の四百二十億円の貸出純増を行なう計画でありまして、財政資金による商中債の引受純増五十億円を確保いたしております。
以上で
政府関係金融機関の御
説明を終わりまして、次に電源開発株式会社に移りたいと存じます。
三十八年度におきましても前年度に引き続き、火水力も源開発の継続工事に主力を注ぎますほか、九頭龍等の若干の新規地点の開発を計画いたしまして、三百七十億円の工事規模を確保し、このため財政資金二百七十三億円の融資と
政府保証債五十七億円を予定いたしております。
次に、日本
航空機製造株式会社につきましては、中型
輸送機YS11の量産事業を進める計画でありまして、そのための運転資金二十六億円を
政府保証によって調達することといたしております。
石油資源開発株式会社につきましては、第二次石油資源開発五カ年計画に基づき、
昭和三十八年度における探鉱活動に要する資金として、産業投資特別会計から四億円を出資する計画であります。このほか、油田及びガス田の開発にかかわる民間調達の社債につきまして十億円を限度として
政府保証を付することといたしております。
次に、石炭鉱業合理化事業団につきましては、閣議決定された石炭対策大綱の趣旨に沿い炭鉱のスクラップアンド、ビルドを進めることとし、非能率炭鉱の終閉山と合理化に伴う炭鉱離職者に対する退職金の支払いを円滑に行なわせるため、石炭鉱業合理化事業団から長期低利の貸付を行なうことといたしております。このため、財政資金六十億円の融資を行なう計画であります。
次に、産炭地域振興事業団でございますが、これに対しましては、さきに御
説明いたしました一般会計からの出資金十三億円のほかに、財政融資十九億円を予定し、土地造成事業および貸付事業を通じまして、産炭地域の振興に遺憾なきを期したいと考えております
次に、金属鉱物探鉱融資事業団(仮称)でございますが、これは、非鉄金属鉱業の自由化対策でありまして、当省施策の重点の一つとして取り上げたものでございます。わが国の鉱業が激しい国際競争に耐え得るようコストの引き下げをはかるためには、現行の鉱石品位を
引き上げることが必要で、それには、優秀な高品位鉱床を確保するよう探鉱置を増大しなければなりません。そのため従来から交付して参りました新鉱床探査補助金のほかに長期、低利の資金を大量に融資することを意図いたしまして、金属鉱物探鉱融資事業団(仮称)を新設することとした次第でございます。三十八年度には、初年度といたしまして、出資二億円、融資十三億円計十五億円の財政資金の投入を予定いたしております。
最後に機械数の延べ払い対策を御
説明いたしたいと存じます。最近、欧米諸国からも電機器および工作機械等の機械類の延べ払い条件による売り込みが激化しており、かかる傾向は、自由化の進展に伴って一そう拍車をかけられることが予想されますので、これが対策として、重電機器については前年度同様開銀資金を活用するほか、工作機械等については、財政投融資計画には入っておりませんが、資金運用部が興長銀債を六十億円引き受けることによって、低利な延べ払い資金を供給する道を開くことといたしました。
以上をもちまして、通商産業省所書の一般会計、特別会計の
予算及び財政投融資計画の御
説明を終わります。
何とぞよろしく御
審議の上、可決されますことをお願いいたします。