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1963-06-11 第43回国会 参議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十一日(火曜日)    午後一時十一分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            大谷藤之助君            平島 敏夫君            米田 正文君            北村  暢君            横川 正市君            大竹平八郎君            田畑 金光君    委員            植垣弥一郎君            太田 正孝君            加藤 武徳君            川上 為治君            木村篤太郎君            草葉 隆圓君            小林 武治君            小柳 牧衞君            古池 信三君            後藤 義隆君            河野 謙三君            郡  祐一君            斎藤  昇君            館  哲二君            松野 孝一君            山本  杉君            吉江 勝保君            稲葉 誠一君            近藤 信一君            瀬谷 英行君            戸叶  武君            羽生 三七君            松本 賢一君            山本伊三郎君            和泉  覚君            鈴木 一弘君            市川 房枝君            向井 長年君            須藤 五郎君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    厚 生 大 臣 西村 英一君    農 林 大 臣 重政 誠之君    通商産業大臣  福田  一君    運 輸 大 臣 綾部健太郎君    労 働 大 臣 大橋 武夫君    建 設 大 臣 河野 一郎君    自 治 大 臣 篠田 弘作君    国 務 大 臣 志賀健次郎君    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   政府委員    警察庁警備局長 三輪 良雄君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 上田 克郎君    防衛庁装備局長 伊藤 三郎君    防衛庁参事官  麻生  茂君    経済企画庁調整    局長      山本 重信君    経済企画庁総合    開発局長    大来佐武郎君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    大蔵省主計局長 佐藤 一郎君    大蔵省主計局法    規課長     相沢 英之君    大蔵省主税局長 泉 美之松君    文部省調査局長 天城  勲君    厚生大臣官房会    計課長     今村  譲君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    厚生省援護局長 山本浅太郎君    運輸省鉄道監督    局長      広瀬 真一君    国有鉄道部長  向井 重郷君    運輸省港湾局長 比田  正君    労働省労政局長 堀  秀夫君    労働省職業安定    局長      三治 重信君    建設省計画局長 町田  充君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省住宅局長 前田 光嘉君    自治省選挙局長 松村 清之君    自治省財政局長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    日本国有鉄道総    裁       石田 礼助君    日本国有鉄道副    総裁      磯崎  叡君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査継続調査承認要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ―――――――――――――
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。山木伊三郎君。
  3. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まず第一に外務大臣に、六月五日に政府から発表されましたいわゆる原子力潜水艦についてというこれについて、内容に相当われわれとして納得のできない、特にこの安全性について、ますますわれわれとしては不安な感じ国民に与えておるのでないかと思いますので、数点について政府の見解をただしたいと思います。その前に、この中間報告は全部これでなされておるのかどうか、おそらく内容を見ますると、アメリカからの報告を出されておると思うのですが、まだこちらに来ておらないものは別として、来ておるものは全部これに載せられておるのかどうか、この点をまず聞いておきたい。
  4. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいままで参りましたものは全部網羅いたしております。
  5. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは時間の関係で、前提をはぶいて、ずばり内容にひとつ入りたいと思います。  まず第一に、原子力推進装置安全性ということで……。原子力潜水艦原子炉制御棒が減数された、減らされたということが、弁明を前提にして出されておりますが、今まで専門雑誌なんかを見まして、この種アメリカ潜水艦には制御棒が減らされておるということがいわれておったが、初めて明らかに、公文書の中で制御棒の数を減らしておる、こういうことを言っておるのですが、これに対して、減らしても原子炉安全性は守られておるというのですが、内容を見まするというと、それが科学的な証明がされておらない、この点について政府はこれをどういう受け取り方をしておられるか、この点をひとつ御説明を願いたい。
  6. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 安全性科学的な判断の問題は、政府部内の科学者の御協力を得まして検討を重ねておるわけでございます。今問題になっておりまする中間報告というのは、先方に対してこちらからの照会に対して、先方が明かにしたことを主観をまじえずにそのまま書いておるわけでございまして、政府判断というものは加えてないのでございます。この点を御了解いただきたいと思います。ただそこに現われておりますことは、制御棒が減らされた場合に、安全性いかんということに対して、技術の進歩によって制御棒が減らされても安全性に損傷はないのだというようにうたわれておるわけでございまして、これを科学的にどのように評価すべきかという問題につきましては、私、科学者でございませんから、自信を持って申し上げることはできませんが、先方答えは、そのままそこに移すと、そういうことになっておるということを御報告いたしたわけでございます。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 このアメリカ報告書だと思うのですが、これはそのまま出したのだ、今後この報告書によってこれで安全性が守られておるかどうか、こういう点を今後検討すると言われるのですが、この報告書日本科学者、また政府検討をするのでなくして、アメリカのほうに、なぜこの制御棒が減らされても安全性に障害がないのだというそういう科学的な証明を私はむしろ求むべきだと思う。おそらく日本科学者原子力物理学者にいたしましても、この点が相当今庄で問題になっておると思う。日本学者はこれだけのいわゆるデータで、これが安全性があるという結論が出されると外務大臣思っておられるのですか。
  8. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私ども判断といたしまして、安全性の問題は、アメリカ自体にとりまして、アメリカ乗組員寄港いたします住民一般にとりましてきわめて深刻な課題であると思うのでございまして、アメリカ自身最大限努力をいたしておることは想像にかたくないところでございまして、そうしてまた、原子力利用、あるいは艦船の造船技術等の問題につきましては、アメリカ科学水準というものは世界最高を行くものであるということも、一般的には常識的と言われておるわけでありまして、今まで寄港いたしておりまする他の国からこの種の照会アメリカになかったように聞いておるわけでありまして、しかしながら日本では、いろいろ御指摘のように、いろいろな問題がありますので、政府といたしましては、アメリカ照会をし、そうしてその向こうからの返答に対して、なおただすべきはただしつつあるわけでございます。私が申し上げたいのは、一般的にアメリカ科学水準というものに対する信頼、そうしてアメリカ安全性を保障するためにとっているあらゆる措置、そういうものに対して、世界がこれを信頼しておるという常識をまず申し上げたいと思います。しかし、日本の事情からいたしまして、究明すべきものは究明しろということでございますので、資料を取り寄せておりますし、今御指摘制御棒の問題につきましても、なお若干ただすべきものがありますので、ただしつつありますけれども、こういった点につきましては、私ども前提に申し上げたように、アメリカ科学というものに対して安全性を確保する措置につきましての信頼ということは、前提として忘れてはならないことだと考えております。
  9. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は今の外務大臣のその答弁にはきわめて不満なんです。なるほどアメリカ原子科学については世界最高水準を行っておるということは常識上認められますけれども、今度の原子力潜水艦日本の港に寄港するということは、科学水準が高いから無条件にそれを信頼せよということだけでは私は国民納得されないと思う。今度幸いに――幸いか不幸か、やや具体的な、この制御棒の数を減らすとか、あと廃棄物処理のところで私は触れますけれども、具体的な問題が一つ上がってきたので、私はある意味においては喜んでおる。御存じのように、制御棒原子炉においては枢要な役目をしております。炉の中の中性子速の調節をして、熱出力のいわゆる調整をして一定に保つ、また非常の際にはこの働きによって中性子を全く閉塞せしめて、いわゆる炉の火を消すという大きな役目をしておるのですね。こういう点について、単に数を減らしたけれども、ここに出ておるのは、ただ安全だから信じろ、リコーバー中将の証言なんかをここへ記載したまま、国民にこれで安全でございますということをいっても、私は逆にますます国民はこの安全性についてきわめて疑いを持ってくると思う。この点について、先ほど外務大臣が言われましたが、アメリカ原子科学については最高水準にいるんだから、これにまかしきりでいいというような考え方は、日本国民劣等感を持たせますよ。そういう意味において、今言われたことが、今後そういうことでこれを続けていかれるかどうか、これをもう一つ再質問したいのです。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 冒頭に申し上げましたように、日本科学者皆さんのお知恵を拝借しながら、照会すべきものは照会し、質すべきものは質しておるわけでございます。一応照会に対して回答が与えられたものにつきましても、疑点があるものにつきましてはなお質しておるわけでございます。しかし、これは私ごとき科学的な素養のない者が云々すべき問題でなくて、政府部内の科学者皆さんの助言によりましていたしておるわけでございます。ただ、私が申し上げたいのは、山本さんも私も含めて、たいへん失礼でございますが、日本国民全体に、原子物理学とか、あるいは造船工学とかというものに対して、そんなに高い素養があるものとは思えないわけでございます。質すべき点は科学者判断によりまして、いろいろやっておるのでございますが、全国民一人残らず精細に科学的な確証を得なければならぬという性質のものでもなかろう、その点はやはりアメリカ科学水準あるいは安全性保障措置、そういったものに信頼をおくよりほかに道がないのじゃないかということを私は申し上げております。
  11. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ますます不満なんです。なるほどアメリカ原子力に限らず、すべての科学についても高水準の国であるということは一応認められますけれども、それは人の知能の問題でなくて、やはりアメリカ物材の問題が今日まであの発展をもたらしておると思う。戦前からも、原子力についてはわが科学者も相当研究した文献も出ております。それを一がいに、アメリカ科学水準が高いのだから、あえてこういう点はまかしたらどうかという考え方で今後この問題を処理されますと、一体問題があったときに、だれが責任を持つかということなんです。この制御棒の問題につきましても、今公式に明らかにされましたけれども、この問題については、もう科学者の間では相当論議を尽くされておるのです。アメリカスレッシャー号が沈没いたしましたけれどもアメリカのこの原子力潜水艦は、今度制御棒を少なくしておる、これは当然のことです。大きいスペースを持った原子商船とか、そういうものと違って、水中にくぐっていくのですから、艦内のスペースが非常に狭い。したがって、何らかの集約をして簡素な原子炉にしようという苦労の跡があるから、したがって、どうしても安全性については若干犠牲にされる憂いがあるのです。そういう点が一つ問題に残っておる。日本科学者意見を聞いて検討してやるというけれども、これだけのもので日本科学者検討しても、おそらくこの結論は私は出ないと思う。そのままずっと原子力潜水艦寄港の問題を話を進めることはきわめて私は問題があると思うので、しつこくこれを追及しておるのでございますが、私は先ほど言われましたアメリカ原子科学について非常に進んでおるから、アメリカにまかすのだという考え方を持っておられるということについては改めてもらわなければ私は承知できないと思うのです。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 責任の問題は、これは政府政治責任、どこに転嫁すべき性質責任でもございません。百パーセント政府政治責任で問題を処理すべきものだと心得ております。  それから、科学的な納得の問題でございますが、これは科学者皆さんの御意見を聞いて、質すべきものは質しておるということでございまして、私どもがこれまで手順を踏み、ここまで努力をいたしますならば、もうこれでよかろうということで、政治責任は私ども責任において断行してよろしいという心証を得るまでは最大限努力をしなければならぬと思って努力をいたしておる段階です。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 こういうほんとうに一部分――制御棒ということだけここに出てくるので、非常に私は日本科学者と申しますか、また政府自体も困っておられると思う。それで、すでに明らかにされておるかどうかしりませんが、この種原子力潜水艦はどういう燃料を使っておるのですか。これは制御棒ときわめて関連が深いのですが、その点はわかっておるのですか。
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は科学者でございませんで、そういう科学的なことをへたに申し上げると、かえって御迷惑になると思うのでございますが、まあ原子力潜水艦軍艦であるから、これがいろんな安全性犠牲にして作られておるという懸念も国内にあることは確かでございまするし、そうしてそれの一つに、今御指摘制御棒の問題もあるということを私は承知いたしております。したがって、それに対して照会いたしましたら、今の段階ではそういう答えであるということでございまして、なお究明すべきものは究明したいと思いますが、逆に原子力潜水艦であるから安全に作られておるという説もあるわけでございます。しかし、いずれが正しいかという問題は科学者の判定に待たにゃいけませんけれども、ただ大前提として山本さんにも御了解を得ておきたいのは、言うところの軍事機密というものの奥御殿にはなかなか私ども入れません。またこれを、入るべき性質のものでもないと思うのでございます。国際的に定立した慣例はやはりわが国として尊重しなければならぬ。その限界に至らない範囲で最大限努力をしておるというのが私どもの立場でございます。したがいまして、あなたの言う安全性をみずからの手で百パーセント検証しなければ気が済まぬというお気持はよくわかりますけれども、それが事実上制約があるということは御了解いただきたいと思います。  それから、潜水艦に使っている燃料でございますが、これは原子エネルギー推進力として使っておるというように私は承知いたしております。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はもちろん、大臣もみずから科学者でない。私も科学者でないのですが、しかし私が尋ねておるのは、これはきわめて常識的なことで、少なくとも原子力潜水艦の問題を取り扱う場合には、どういうものに携わろうとも、少なくとも政治に携わるものは、この時局の問題ですから、きわめて常識的なことを言っておるのでありまして、燃料原子力だ――これは原子力というのは燃料だとは思っておらない――おそらく私はウランを使っておると思うのです。それ以外のものではないと思うのですが、まだ原子量の多い元素もあります。私は、潜水艦というものは、スレッシャ一号が沈没したので相当問題になってきましたが、相当長距離の航続、長時間の航続をするために、同じウランでも優秀な燃料を使っておると思う。優秀な燃料になればなるほど放射能が非常に強く発散される。そこに問題があるので、単に制御棒だけこう出されておるので、そういうものも簡単に向こうからきたから、きたものを発表するという態度でなくして、国民にやはり安全性信頼さすという政府政治的な責任からいえば、そういうものをはっきり突き詰めた上で私は発表すべきであると思うのです。そういう点においてどう考えられますか。
  16. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申しましたように、私どもは、これまでいたしますれば政治責任をもって処置するに差しつかえないというところまでの心証を得るまで努力したいと思っております。今中間報告をいたしましたのは、政府が好んでやったのじゃなくして、国会からも要求がありましたし、それからまた院外からも今までの分を一ぺん国民に知らせたほうがいいじゃないかということでございまして、ありのままをそのまま出したわけなんでございますが、たびたび本院の外務委員会でも申し上げたとおり、これですべての措置が完了したとは私は思っておりません。あなたが御懸念のように、国民最大限の御安心を得るような処置はちゃんとやりまして、それから措置すべきものと考えております。
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 外務大臣がそういうことで答弁されるのですから、私これ以上は追及したくないのですが、私の見る面では、この中間発表によりまして、なおこの問題について論議をかもすような結果になりゃしないかという憂いを持つわけです。これだけ出されておるのを見ると、今まで制御棒が減らされておるのだと考えておったけれども、これで、はっきり制御棒は少なくされておる。しかも、どういう燃料を使っておるかわからない。そのほか専門的になるけれども減速材にしても冷却材にしても、この報告書に何にも出ておらない。アメリカ科学水準が高いというならば、日本科学水準をなめた――かは知りませんが、これだけ出して、あとのものを全部出さずにおくというアメリカ報告自体に、私は不満を持つのです。外務省はそういう感じを持たなかったのですか。
  18. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) こちらから質すべきものは質しておるわけでございますが、先ほど申しましたとおり、向こうから回答が得られないものがございます。これは、いうところの軍事機密だろうと思うのであります。しかし、一たん回答がもたらされたものにつきましても、なお追加して照会をいたしておるわけでございます。こういう報告を出すことによって、なお疑惑が深まるじゃないかという御指摘でございますが、それはやむを得ないと思います。私どもは、ありのままを御報告して判断を求めるわけでございますから、かりにそれで疑惑が深まる、あるいはこれで安心感が深まる、そういう意図を持たずに、一応今までの分は御報告申し上げるという措置に出たわけでございます。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 外務省の――政府といいますか、政府態度、ありのままを国民発表するというその態度に、私は敬意を表します。しかし、私はいろいろこう見ておりますが、アメリカからくるデータそのものずばりの発表ということを、私は実は疑っておるんです。疑うのは悪いかもしれませんけれども、私は、先ほどこれが全部だと言われますが、やはり何かまだあるのだろうという気持がして、まあそういう質問をしたわけでございますが、信頼する大平外相、あなたの言葉から、向こうからきたものをすぐそのまま出すんだというその態度に、私は敬意を表します。今後、外相から、これについて照会されたものを、そのまますぐ出していただきたいと思います。  そこで、この問題について、まあ一応もう一ぺんただしておきますが、先ほど大平外相がこういう科学的な安全性というものが、国民全般――といっても、それは科学知識のない、こう言っては非常に悪いのですが、低い方もありますが――少なくとも日本原子力物理科学者と申しますか、原子力科学者が一応納得するというものが得られるまでは、原子力潜水艦寄港というもののオーケーを出さない、こういう態度ですか。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) この問題の処理は、先ほど申しましたように、百パーセント政府責任でやることでございまして、政府がこれで十全の責任を持って処置していいという心証が得られるまでは、あらゆる努力をいたしたいと思っておるわけでございます。科学者の御意見を承ることは当然でございますが、科学者責任を転嫁できませんから、私どもといたしましては、政府責任において処置していいという心証が得られるまでは、最大限努力を払いたいと思っております。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もちろんそれはそうですよ。科学者責任を転嫁して、科学者がこれで安全であるからというかりに意見が一致しても、これをやるのはやはり政府責任、それを私は言っておるんじゃない。事こういう問題でありますから、科学者意見で、これならば原子力推進力として使っておるこの潜水艦については安全であるという、そういう意見が一致するという前提を私は言っておるんですが、それに間違いないですね。
  22. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私どもがこれで措置してよろしいという心証が得られるまでは努力すると先ほど申し上げたわけでございます。科学者皆さんが全員一致して納得するという状態は、どのような状態を想定されるのかわかりませんけれども、可能な限り科学者の御判断を求めて、私ども心証といたしまして、これでやればという判断に基づいて、私ども自身の決意で処置すべきものと思います。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大平さんね、これを区別していただきたいと思うのです。問題になる原子兵器――潜水艦のみならず核兵器の持ち込みについては、これはなかなか問題があると思うのです。これはわが党として断固として方針があるのですが、これは私そういうものを前提に言わなかったのですが、そういうものを一応まず横に置いておいて、アメリカの言う、単なる推進動力原子力に求めておるだけだということで今論議をしている。したがって、これは平和利用というものに通ずる問題なんです。したがって、そのくらいのものは、学者意見というものを検討すれば明らかに一致するものであるということは、日本原子力科学者も十分私は信じておると思う。そういうものが公表されて、その点がはっきりするまでは、政府は外交あるいは政治上、そういう意見がまだ十分疑問の点があるのに、政府はそれに先んじて寄港を認めるということをするのかしないのか、こういうことを言っておるので、どうもあなたの言われることがはっきりしないのですが、その点、はっきりとひとつ言っていただきたい。
  24. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、これは群軍艦でありまして、軍事機密にわたる点につきましては、今あなたが御要請されたようなことはできぬと思います。それ以外の分野につきましては、最大限あなたの言われるような努力をいたしまして、私どもは確たる心証を得てから処置すべきものと思います。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 たびたび繰り返して――繰り返すのではなくして、一歩一歩前進しておるのですが、軍事秘密である、いつもそういうことで逃げられておるのです。しかし、この部分に関しては軍事的な秘密だとは私は考えておらない。これは原子炉の開発に通ずる問題です。それを潜水艦にどう装備するかという問題については、あるいはこれは軍事秘密になるかもわからぬ。私は原子炉の進歩開発というものの点から論じておるのですよ。それすらも明らかにされないままに、学者のいろいろな意見がまだあるのに寄港を許すのだという問題が起こるから、私は言っておるのです。これは軍事秘密に関する部分について私は言っておるのではないのですよ。その点を混淆されておると私は思うのですが、その点どうですか。
  26. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのとおり、だんだん原子力利用――これは軍事的にも平和的にも利用が進んで参りまして、だんだんポピュラーになってきつつあるということは、あなたの御指摘のとおりでございまして、さればこそ、私どもは従来この問題についてきわめて警戒的だ態度であったのでありますけれども、こういう段階になりまして、一つの問題を提起をして前進しようということでやっておりますことは、あなたも御案内のとおりでございます。軍事的機密にわたらない領域につきましては、あなたが言われるとおり、私どもといたしましては、科学者意見を聞き、ただすべきものはただしてやっておることに変わりはないわけでございます。現在もそれを続けておるわけでございます。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一体、単に原子力推進力に用いて来る、これについて、なぜ日本は反対を――日本全部でないと言われますか知りませんが、相当な反対があるというのも、やはり世界でただ一つの原爆の洗礼を受けた国であるというので、国民全般原子炉について非常に恐怖感を持っておるからだと私は思う。私は、政府としてはそれを解明し、解消するだけの責任があるというので今まで言っておる。ところが、政府はそれについてどうも私の考える方向と若干の食い違いが私はあると思う。普通ならば、この報告書にもありますとおり、NATO諸国には百回以上も寄港をしておる。しかし何ら問題が起こらない。日本でだけ問題が起こるのはおかしいという――大平外相ではなかったのですが、そういうことを言っておられる方がある。そこに一つの原因がある。NATO諸国のどの国を見ても、原爆の洗礼を受けた国は一つもない。日本だけ残酷ともいうべき原爆の被害を受けておるのですよ。その一つの観点をはずしては、私はあやまちを犯すと思う。その意味において、私は執拗に、安全性がはっきりと国民納得されるまでは、たとえそれが核兵器を持っておろうがおるまいが、日本寄港を許すことは、政府としてはあるべきでないという観点に立っておるのですが、私のこの主張が間違いであるかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  28. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) さればこそ、諸外国からはこういう照会がないわけでございますけれども、わが国といたしましては、そういう国民感情をおもんぱかりまして、あらゆる努力を払って解明に努めておるわけでございます。ただ、原子力利用というものがだんだん進んできておるということは、山本さんもお認めのとおりでございまして、ここまで理解が進んで参りますと、唯一の被爆国としての国民感情というものに、いつまでもおぼれるのもいかがかと思うのでありまして、あなたが御指摘のように、できるだけそれを解明していくという前向きの努力が、今日の段階において必要だと思うのでございまして、したがいまして、この問題についても、そういう角度から私どもといたしましては問題を提起して理解を求めておるわけでございます。その努力がなお足らないという御指摘でございますれば、なお努力するわけでございまして、あなたのお気持と私どもがやっておることと、ちっともそこにそごはないと思います。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃもう一点ひとつこの問題で聞いておきたい。この報時書をもらわれたのは一体いつですか。
  30. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) もう一度ちょっと……。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この報告書アメリカからきたのは時期はいつですか。
  32. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これは、いろいろな時期にきたのを取りまとめてあるわけでございまして、一ぺんにきたわけではございません。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 相当前からこの資料というものは外務省に集まっておられたのですね。集めかけられたのは一体いつごろからですか。
  34. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 二月ごろからやりかけて、返答が参りましたのは三月ごろからぼつぼつ参りました。三月、四月、五月というようにきましたのを取りまとめたものです。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この「放射性廃棄物処理、汚染問題」ということで、ここにも相当問題を含んだ報告発表がされておるのです。で、先ほどちょっと私お尋ねしたのですが、回答がないのですが、冷却水について、これは原子炉にはストロンチウム―九〇が相当含まれておるというのが定説なのですがね。十二マイル以内はだめだけれども、以外であれば、これは放出してもよろしい。しかもその沃素なり――沃素というのはヨードということになりますが、及びストロンチウムについては、「月別に分析、一定の水準以上の場合は海中に放出してはならない。」――一定の標準というのは放射能の含有量どれくらいのことをいっておられますか。
  36. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういうことは私はよくわきまえていないのでございますが、そこに出してある報告は、アメリカの内部的な規制がどうなっておるかということを客観的に出したものでございまして、アメリカの港、アメリカの近海――これは原子力潜水艦がしょっちゅう航海しているところでございます。そういう前提に立って、アメリカが現在廃棄物処理についてどういう規制を行なっておるかということをそこに出したわけでございます。くれぐれも申し上げますが、日本政府がそれに判断を加えてというのじゃ決してないわけでございます。  そこで、これからは日本政府判断になるわけでございますが、一体十二海里外というのは公海でございまして、あなたなり私なりが何ぼ言っても、これは規制する道がないのでございます。どこの国であろうと、公海でございますから……。したがって、そういう廃棄物処理について有効な規制措置を、これではまだ危険だからやろうじゃないかというと、これは国際条約がなければならぬことになるわけでございますが、現在そういうものがないという状況でございます。ただ、私ども判断は、しょっちゅう原子力潜水艦アメリカ周辺の海域を行動し、アメリカの軍港、商港に寄港いたしておるという状況において、アメリカ政府がこれで安全だというみずからの規制措置を、そういうアメリカの関係艦船を規制しているのが、そこに書いておることでございまして、したがって、アメリカはそれで安全であると判断しておると思うわけでございます。そういう性質報告をそれでいたしたわけでございまして、かりに、日本政府がそれに反対だと言っても、これは公海においてどうする何らの権限を行使する道がありませんから、これはやっぱり一つの有効な国際条約がなければならぬが、しかし、そういう国際条約を締結せにゃならぬという世界的な世論もないわけでございまして、私はそのアメリカの内部規制というものは十分安全性を考慮して考えられておるものと判断して間違いなかろうと、私は一応受け取っておるわけでございます。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それに反駁するものはたくさんあるのですが、時間がございませんから――今言われました公海上であるから原子炉から廃棄されるものはどこにしてもいい、現在条約がないからやってもいいと、アメリカはそう言っておらない。ごていねいに、十二マイル以上のところでも付近三マイル以内に他船がおるということで、また既知の漁区の場合には投げてはいけませんぞと言っておるのです。私はそういう判断のもとに言っておるのですから。これはきょうは取り上げませんが、今私が尋ねたのは、十二マイル以内において放出する場合に、一定の水準以上の場合は海中に放出してはならない。一定水準以内であったら十二マイル以下でもいいのだと言っているのを私質問している。そう言っているのです。
  38. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) いろいろこの点についてアメリカに聞きまして、いろいろ来ておるわけですが、実際この一定水準というのは、米国の海軍艦船局通達というのがあるようでございます。これは非常に専門的ないろいろ詳しいものでございまして、科学技術庁の専門家の方に御検討願っておるわけでございます。ただ私の承知しておりますところでは、冷却水の問題について廃棄物という大きな問題につきまして、国際的な約定がございませんが、国際放射線防護委員会、ICRPというものがありまして、それが勧告を出しております。私が聞いておりますところでは、この米国の海軍の基準というものは、この勧告の範囲内であるというふうに聞いております。しかし、この通達そのものの専門的な内容科学技術庁等において研究してもらっております。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今後いろいろ問題はあるのですが、今の答弁を聞きますと、これは向うから来たデータであって、今後これを土台に日本科学者意見を聞いて方針をきめる。こういうことで間違いないですね。
  40. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) さよう心得ております。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その際に注文があるのです。科学者はこれ以外にもまた要求をされておると思いますが、実はこれ自体だけではおそらくなかなか日本科学者も、推定は許せませんから、制御棒を減らしておるというけれども、一体幾らに減らしておるかわからないが、外務省は直接の外交の担当者ですから、科学者の言うデータ要求を大胆にやっていただきたい。事、軍事秘密に関する点になれば、どういう点が軍事秘密であるかという点もただして、十分にこの資料を与えてやっていただきたい。推定でやると、あやまちを起こします。この点について外務当局のいわゆる腹を聞いておきたい。
  42. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 最大限努力するのが当然と心得ております。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは文部大臣に聞くのかどうか――総理大臣かどうかしれませんが、この原子力潜水艦問題について、学術会議が反対の意向を表わした声明を出したことで政府と学術会議で問題があったと思うのです。私は、先ほどから大平外相なり政府委員に尋ねましたけれども、きわめて疑問がある、しろうとでも疑問がある。安全性という意味から見ても疑問がある。私は学術会議の諸公が学者的良心から、学術会議という一つ政府機関であるけれども国民にこの点は知らさなくちゃならんという良心から私はやったと思うのですが、この点について文部大臣が答弁するかどうか知りませんが、どういう考え方でおられますか。この問題についてどう考えるか。
  44. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 学術会議の声明なるものを拝見いたしました。私は、これは反対であるというように受け取っておりません。で、自主的に調べなければということを言われておる。これに対しまして、私どもは、それは学者的な良心から言って当然だ。できるだけそれをかなえましょうということでやっておるのでございますが、先ほど申しましたような軍事機密的な限界があるということは、御了承いただかなければいけないと思うのです。それまでも検証しないと納得しないのだというようにきめてかかるということも私は学者のわがままじゃないかと思うのでございます。ただ、行政機関としての学術会議ということにつきましては、私は所管でございませんからお答えの事由は持ちませんが、最大限科学者の御要求に応じまして御判断の資料を供するのは、私ども責任だというふうに考えてやっておるわけでございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今、大平外相が言われた学術会議の声明の問題で、これは別に政府としてはいいのだ、こういうことですが、新聞紙上によると、相当朝永会長なんかと、それから徳安さんあたりでいろいろ問題があったように聞いておるのですが、それはそういうことでなかったのですか。
  46. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申しましたように、行政機関としての学術会議に対する行政というのは私やっていないわけでございます。ただ私は、科学者のお気持をそんたくし、これに対しこれを最大限尊重して、政府の施策に反映するというのは当然だと思っております。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の答弁の相手があなたであるからそうなったんですが、私の質問しているのはそうではなかったのですが、この問題で学者が声明したことがありますね。その際に、声明の内容がやはり問題であるということで、いわゆる政府としては異議を申し立てられたと、私はそう見ておるのです。そういうことでないのですか。きょうはそういう担当の大臣がおられないからだめですか。この回答は、できなければそれでいいけれども。こちらから担当大臣を呼んでおかなかったので、なかなか微妙な問題であるから、いつもであれば大蔵大臣がいつもみずから出てやられるのですが、きょうはなかなか慎重にかまえて――これは、この問題はそのままにしておきます。  じゃ、この問題で最後にひとつ政府態度だけ、態度と申しますか方針を聞いておきたいと思いますが、こういうデータをとられていろいろと国民安心感と申しますか、安全性を訴えよう、この措置についてはいいと思うのですが、一体政府のそういう見解と申しますか、それに対してもちろん学者なりあるいは政府技術者なんかの意見を聞くのでしょうが、どれくらいの時日を考えておられるのですか。
  48. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今、照会中のことでもございまするし、いつまでに返事を送るときまっておるわけでもございませんし、私どもは確たる日を目安にいたしておるわけではございません。先ほど申しましたように、あらゆる手順を尽くしまして、私ども責任を持って措置してよろしいという確たる心証が得られるまでは、ただいままでの努力を続けるべきものと思います。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一応原子力潜水艦の問題については、この程度にしておきます。  次に、防衛庁関係について――実は時間があと五分ということになりましたので、枢要の点だけはしょって質問いたしますが、F104の事故について尋ねたいのですが、特に千歳で事故が多い。F104のロッキード戦闘機について非常に事故が多いのですが、一体ロッキードのF104の事故の状態を、これは政府委員からでもいいですから説明願いたい。
  50. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) F104ジェット戦闘機の事故が、去る四月の十日から、大事故それから小さい事故合わせまして三件でございましたが、その原因のいずれを問わず、まことに遺憾至極にたえないところでございまして、国民に対して深くおわび申し上げるところであります。去る四月十日の事故のありました後に、衆参両院の内閣委員会に出まして、みずから進んでその詳細を報告いたしたのでございますが、104の墜落事故の主なる原因は機材の欠陥にあったことは、前にも申し上げたとおりでございます。しかしながら、主たる原因が機材の欠陥にあったのでございまするが、副因として、パイロットの操縦に万全が尽くし得られておりまするならば、あのような事故が発生しなかったと判断をいたしておるのであります。次いで起こりました二つの事故は、全くパイロットの、操縦上の過誤に起因するものでございまして、これらに対して自後万全の措置々講じておる次第でございます。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体四月十日に西三佐が事故死をするという事故のあと、五月に三件頻発しておるのですが、簡単でいいですから、局長からでもその概要をひとつ説明願いたいと思います。
  52. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) お答え申し上げます。  四月十日の事故につきましては、約一万メートル上空でスロットル・レバーが全開のまま動かなくなったという報告がございました。このことは御承知のように、スロットル・レバーはワイヤーによりまして燃料の加減をいたしまして、エンジンの回転数を増減する装置でありますが、この装置が百パーセント全開のまま停止した、こういう報告が約一万メートルの上空であったわけであります。自後、両君はその飛行機をあやつりまして、その後の連絡によりますと、今から緊急着陸をするということを約四、五分後に言ってきております。そのときに、本来ならば少なくとも六千フィートの高度を維持すべき地点に参りました際に、高度が四千フィートに下がっております。なお着陸寸前におきまして、旋回をして着陸する旋回期におきまして、通常でありますと約四十五度の角度で回ってゆるく旋回着陸すべきところを六十五度の急傾斜で回っております。そのように着陸間近になりまして、高度が低くしかも、角度が非常にシャープであったということが、何によって起因したかというところに問題があるわけでありますが、第一原因はもちろんスッロトル・レバーの故障が第一原因でありますが、先ほど長官が、操縦士に万全の措置をとる余地があったと申されましたのは、着陸近くなりまして、スピード・ブレーキ々引き上げてからエンジンをとめるべきところを、スピード・ブレーキを引き上げずにエンジンをとめたものでありますから、スピード・ブレーキが出たままエンジンが停止いたしまして、そのために普通以上に沈下率というものが加速度的にふえまして、高度が下がり、かつ旋回も急に着陸したものと推定しております。原因はそのようにはっきりしておりますので、ことにスロットル・レバー全開のための故障につきましては、推定点も二、三明瞭になっておりますので、それぞれ改良の措置を講じております。  なお、御指摘の五月十五日の事故並びにその後の事故につきましては、非常に風の強い日でありまして、御承知のように飛行機は後輪から着陸いたしまして、しばらく接地してから前輪で着陸させるというふうな操縦方法になっておりますが、当時は横風が非常に強く、十八ノット前後の日で、御承知のように104の尾翼の方向舵が非常に大きうございますので、風によりまして方向舵が曲りまして、方向を調節する能力を失ったということであったのでございます。それはどういうふうにして調整できるかと申しますと、原則的には、この飛行機は横風二十ノット程度がリミットでございます。当時は十八ノット前後であります。角度は少し直角のスピードがありませんので、さらに軽微なノットは差し引く必要がございますが、いずれにしても、比較的リミットに近い風でございました。そういうことでございましたが、そういう風の強い日には後輪から着陸しまして、直ちに前輪をつけるという規則になっております。それをその二件とも操縦士は二、三百フィート前輪を上げたまま走っております。そのために方向が急に曲りまして、いざ、まっすぐに前輪をおろしたところが、方向の調整がつかなかった。本来は、すぐに前輪をおろしまして、前輪としっぽの方向舵とが連動装置になるように、ある種の操作をしなければならないことになっておりますが、その操作に手落ちがあったことは明瞭になっております。したがいまして、先ほど長官から申し上げましたように、この二件はパイロットの過誤であることが明瞭であります。  それから残るもう一件、事故ではこういうのは軽微なものでありますが、前部が非常に振動いたしまして、方向を少し誤ったという事例でございます。これは油圧系統の中に空気が若干入ることになっております。この空気が非常にたくさん入りますと、油圧の力が弱りまして、その方向を調節する機能がにぶくなる。これにつきましては点検方法を改善いたしまして、十分空気を抜き取る点検を頻繁に行なうということで解決しております。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今説明されましたのですが、私はまだ納得ができない点が数点あるのですが。しかし、時間がきましたので、これに触れておると肝心のところが言えませんから、結論的に申しますと、私は、ロッキードを選ばれた際、第二十九から第三十三国会までに、国会がもめにもめ抜いて実はロッキードにきめたのですね。あまつさえ源田調査団まで派遣されたのですが、その当時の議事録を読んでもらったらわかると思うのですが、日本のこの地理的関係あるいは気候の関係からロッキードのような、きわめてバランスのとれないこういう飛行機では無理である。むしろ安全性から言えば、グラマンのほうがいいのではないかという論議が相当された。一応グラマンにきまったやつが、これがまたロッキードに変えられた経緯がある。私はいろいろ聞きましたけれども、やはり日本の飛行機のF104の機種としては、当初は相当完備をしていたようでございますけれども、あの滑走路から見ても私は無理だと判断しておることも視察いたしました。アメリカで優秀であったと言われるけれども、もうアメリカではそれを使っておらない。日本に持ってくるときにはそれを開発をして、全天候に開発をして日本の地理的環境に合わすようにすると言われたのですが、私はそれは無理である。とにかくもう安定しようがないのですよ。翼を見ましても、胴体は十六メートル六九あって、主翼は、長さがその約三分の一の六・六八メートルしかない。速度を増すためにこうせざるを得ない。こういうものを実は戦闘機にして使われることについては、戦闘能力については私は専門家ではありませんからわかりませんが、安全性から言うと、おそらく無理である。しかし、操縦士についても、私は訓練は十分でないと言えるかもしれません。しれませんけれども、やはりこれを選んだときに、すでにもう出発点に間違いがあったと思うのです。この点について、今志賀長官は、どういうふうに考えられますか。
  54. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) F104を決定するにつきましては、当時の状況を私も承知いたしておるのでありますが、十分に安全性を確認いたした結果決定せられたものでありまして、今日もそのように心得ておるのであります。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはF86Fのときの例があって、そのときでも事故があったのだから、今度もあるのはあたりまえだという意味の内閣委員会の説明を私は聞きましたけれども、これは今後の問題にしておきましょう。志賀長官が、F104はこの日本に適している、りっぱなものであるという今の御答弁であると思いますが、将来私は問題が起こります。現にこの千歳基地のF104の飛行隊長の小川二佐が辞表を出したというじゃないですか。この理由はどうなのですか。この真相は。
  56. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) かつての千歳飛行隊長の小川二佐の辞表が出ておりますことは承知いたしておるのでございます。御承知のとおり、F104の日本初めての新編部隊でありまして、おそらく名パイロットであります小川君は、非常に苦労せられたことと承知いたしておるのであります。ところが、心労の多いところに持ってきまして、ただいま申し上げました、去る四月十日のF104の大事故が発生いたしまして、どうもこれ以上このような重責にたえ得ないという理由のもとに私のところに辞表を出して参ったのでございますが、私は、航空自衛隊に非常に大きな寄与をいたしておる小川君をすぐやめさせるという気持はないのでございまして、しばらく休養させている間にいろいろ慰留をして、また小川君の意見も十分聞きたいと思っておったのでございます。
  57. 横川正市

    ○横川正市君 関連して。今の山本君の質問に関連して、伝えられるところでは、生産計画についてさらに百機追加をするという計画を持っているということを伝えられておりますが、防衛庁としては、第二次防衛計画の第一線機の104の生産計画についてどういう考え方を今持っておられるのか。第三次防衛計画の第一線機について、すでにアメリカでは100、102にかえて105を国内の飛行場に配置をいたしておりますけれども、そういうような状況から勘案してみて、依然として第三次防衛計画の中で104を主力戦闘機として生産計画をしていくか。それからもう一つは、乗員の訓練養成という点で、今回の場合も事故のうちの大半は養成の問題にかかっているのじゃないかと思うのですが、その養成について今後どうするのか。さらに三番目に、事故が起きて跡始末をしてもこれは何にもならないわけで、事故を出さないで、実際上その任務につかせるための具体策は持っておられるのかどうか。この三点についてお伺いしたい。
  58. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 第一点のお尋ねでございますが、104のの継続生産は現在考えておりません。またしたがって、第三次防が策定せられる場合を予想いたしまして、どういう戦闘機が主力に適当であるかということも一まだ考えておりません。現在防衛庁として研究をいたしておりますのは、今後の日本の防空のあり方というものを研究をするのが先決でございまして、したがって、104の継続生産も、また、第三次防に予想せられる主力戦闘機のことも現在考えておらないのでございます。それから第二点は……。
  59. 横川正市

    ○横川正市君 搭乗員の養成。
  60. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 搭乗員の養成は、事故の防止は機械の整備に万全を尽くすと同時に、パイロットの技能面における向上、資質の向上ということが相並んで、これが並行して初めて事故の防止ができるのでございまして、まず機械の整備点検、それから操縦士の訓練、特に先ほど教育局長からも申し上げましたが、F104の二つの事故のごときは安全性の基本となるべきパイロットの指針でございますが、教範というものがございます。この教範というものを励行することがどうも薄い、そういう安全性の基本の問題をぶち込んで参りたい。これが私どもの現在努力をいたしておる焦点でございます。それからもう一つ……。
  61. 横川正市

    ○横川正市君 事故を起こさないための処置はどうするか。
  62. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) それはただいま申し上げたことのうらはらになることでございまして、事故を出してから調査委員会を設けて、ああでもない、こうでもないといろいろ議論しても始まらないことでございまして、私は、少なくとも104の大事故または続く小さな事故にかんがみまして、航空自衛隊が一丸となってこの問題に目下取り組んでおる最中でございまして、どうかわれわれの努力をひとつしばらくごらん願いたいと思うのでございます。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今のF104の継続生産はやらないという言明をされましたので、これは私再び追及いたしません。ただ小川二佐隊長がいわゆる辞表を出され、非常な責任感から出されたということでありますが、やはり長官となればその裏も見なければいけないと思う。西独、フランスでは、このロッキードについては航空参謀ですらもうこれに乗るのだったら飛行士をやめたいという、これは雑誌の報道ですから真偽はわかりませんが、そこまできらわれておるようであります。開発が非常によかったと言われますが、愛機を守るために機とともになくなられた西三佐には非常に気の毒でありますが、あの開発をするときに、自動脱出装置をやるということを私はその当時聞いておったのですが、その指示をやられたかどうか。
  64. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 104にはパイロットの脱出する装置が完全にでき上がっておるのであります。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、ちょっと……。これを地上からレーダーでやるでしょう。その指示をされたかどうか。
  66. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) この点は地上からは指示いたしませんが、当時戦闘訓練をいたしておりました僚機の小林操縦士が、この際脱出せられたらどうかということを再三にわたって西君に勧告と申しましょうか、友情を披瀝したそうでございまするが、西君はどういう責任感だったか知りませんが、絶対に自分は自信を持って空中滑走で飛行場に着陸できるから、自分はあくまで脱出はしないということを、何回も僚機の小林君に向かって連絡をいたしておるのであります。地上に向かっては、したがって本人は、そうした決意で、事故が発生した後においても飛行を続けておるのでございますから、地上の指揮管制塔に向かって脱出したらどうかということの指示を求めておらないのであります。
  67. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 山本委員の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  68. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、瀬谷英行君。
  69. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 三月の予算委員会から今度の予算委員会までの間に、特に国鉄関係のできごととしては大体三つあると思います。一つは東海道新幹線の工事費の不足が表面化したということ。その次に諮問委員会の答申が五月七日発行されたということ。それから総裁が新しくかわられたということであろうと思います。   〔委員長退席、理事平島敏夫着着席〕  そこで、私はきょうは、国鉄の新総裁には初めてお目にかかるわけでありますが、国鉄の諮問委員会の答申というのは、国鉄経営のあり方について述べているわけであります。また、新総裁は諮問委員会の委員をやっておられたわけでありますから、諮問委員会の答申についてはやはり責任を持っておられると思います。新総裁に敬意を表しまして最初にお伺いしたいのでありますが、この諮問委員会の答申の線でもって今後国鉄経営の任に当たられるお気持があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  70. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) お答えいたします。私は諮問委員会の委員であったのでございます。諮問委員会の答申につきましては、私は諮問委員としての資格において関与したのでありまして、国鉄総裁としての資格において関与したのではありませんので、諮問委員会の結論即国鉄総裁として必ずしも同意をするということでないのであります。
  71. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総裁になったら話は別だというふうに聞えるわけです。あなたはやはり諮問委員会の委員として答申がいいというふうに確信を持ってお答えになったのだろうと思います。ところが、答えが出てみて、自分が総裁になるとちょっと待ったというふうに言われるのではちょっと解せないのです。一体この諮問委員会の答申については不十分だというふうにお考えになるのですか、よろしいというふうにお考えになるのですか、どちらですか。
  72. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) 私は、諮問委員会の結論に対しましては、大体において賛成なんであります。けれども、国鉄が、総裁といたしましてこれを実行するについては、さらにまた国鉄総裁として十分に検討いたしまして、確信のある案を得た上で実行に移したい。あのまま移すということについてはこの際申し上げかねるのであります。
  73. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 問題があるなら、どういう点が問題になるのかお聞かせ願いたいと思います。
  74. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) 大体、諮問委員会の出た結論に対しましては、あの案は、国鉄の将来の情勢ということについては、私は大体においてあのとおりじゃないかと思います。ただし、詳細の点につきましては、ことにどういう案を持ってあの解決に当たるかということにつきましては、これからひとつおもむろに検討いたしまして、確信の案を得たところで実行に移りたいと、こういう工合に考えておるのであります。
  75. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、細部については、われわれもいろいろ問題はあります。しかし、大体よろしいというふうにお考えになっておる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  76. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) 大体においてよろしいと申し上げていいかしらぬが、大体の国鉄のいく将来の姿というものは、大体においてああいうところにいくのじゃないか、こういうことに私は考えております。それでよろしゅうございますか。
  77. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 またあとで出でもらいますが、政府は新しい総裁を迎えるにあたりまして、いろいろと人事に苦慮されたようであります。総裁も押しかけ女房みたいに自分から志願してきたわけじゃなくて、政府が三顧の礼を尽くして総裁を迎えたというふうに私どもは理解をしております。そうしますと、この諮問委員会の答申を、政府としても尊重をする気があるのかどうか。方針としては一体どうなのかということを所管大臣である運輸大臣からお答えを願いたいと思います。
  78. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) お答えいたします。諮問委員会の報告書は、国鉄の総裁に出されておりまして、国鉄におきまして新総裁のもと、鋭意研究しておると思います。その結論を私のほうへ報告してくるはずで、いまだその報告に接しておりませんので、各個の問題について、ここでお答えすることはできません。
  79. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 報告に接してないということは、事務的な手続の問題にすぎないのであって、その内容を運輸大臣が知らないということはないと思う。運輸大臣が全然知らないのか、知っておってもまだ見解を表明できないのか、どっちなんですか。
  80. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) お答えいたします。全然知らないとは申しません。新聞その他で大体は知っておりますが、ほんとうに責任ある意見というものはまだ国鉄総裁から出ておりませんから、それを待ちましてお答え申し上げたいと思います。
  81. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総裁は大体よろしいというふうに言っておる。その総裁を運輸大臣が一生懸命引っぱり出して総裁に迎えたわけでありますから、その総裁の方針を、運輸大臣が今さらいけないということは言えない立場にあると思います。しかし、まあそれはさておきまして、この諮問委員会の答申の中から問題点を取り上げてみたいと思うのですが、総裁は、通勤・通学定期のことをいろいろと言っておられます。通勤定期を上げなければならぬというのが結論であります。この答申の中にも結論として「通勤・通学定期の割引率を、取りあえず法定の限度にとどめること。」、具体的に言えば、値上げをするということになる。「その結果として起る通勤者・通学者に負担増を、もし政府は避けたいと思うなら、その分を国鉄に補償すること。」、こういうふうに書いてあります。ですから、通勤・通学定期を上げるか、それが困るというならば政府が補償をするか、どっちともやらずに現行のまま推移をしていくのか、いずれの道を選ぶのか、運輸大臣から、お答えを順いたいと思います。
  82. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は、現在の国鉄は、公共性とそれから企業性にはさまれまして、非常に経営が苦しくなっておる。この現状をいかに打破すべきかということについて、国鉄の監督者として日夜苦心いたしております。その一つの方法として、通勤運賃をいかに上ぐべきかということを国鉄に命じまして、その検討をいたさせておるのが現状でございます。
  83. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは値上げのための準備をしておられるというふうに解釈をするわけであります。しかし、ここで私が触れなければならぬことは、今日の通勤者の実態はどうかというと、特に東京周辺に例をあげるまでもなく、東京-上野間、あるいは新宿-東京間の混雑はおそらく世界一だろうと思うのです。外国の例をよく知りませんけれども、話によると、ああいうものすごい込み方というのは諸外国に例がないそうであります。通勤者はだれも好きこのんで満員の電車にすし詰めになって乗っているわけじゃない。できるならば歩いて通いたいという気持は持っておると思います。それが、政府の住宅対策なり、都市計画の立ちおくれから、いやおうなしに遠いところから通わなければならぬようになって、やむを得ず通勤をしておるわけです。おまけに、今物価高で消費者物価が上がる一方で、下がったためしがない。そこへ持ってきて、通勤費を値上げをするということになりますと、これはまさに勤労者に対して追い打ちをかけるようなことになると思います。こういうような状態では、第一通勤者そのものが気持の上で納得できまいと思うのでありますけれども、この答申に書いてあるように、政府が「その分を国鉄に補償する」といったような方法をとることがよろしいと思っておられるのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  84. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) いまだ結論に達しておりませんので、今ここで、それを政府が補償すべきか、すべからざるかということにつきましてお答えは差し控えたいと思います。
  85. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 結論に達していない、検討中であるというのは、一番都合のいい逃げ言葉なんでありますけれども、しかし、答申はすでに発表されております。この答申にも書いてあるように、このままの状態で昭和四十五年までいくと国鉄の経営は完全に破綻をする、こういうことが書いてあります。そういうことがわかっておりながら、いつまでも検討をしておったり、あるいは考えておったりするわけには私はいくまいと思います。矢は弦を離れたのでありますから、この問題に対する見解をすみやかに明らかにすることを私は望みたいと思います。  そこで、今度は東海道新幹線工事費の問題について国鉄総裁にお伺いをしたいと思います。当初千九百七十二億円であったというのが二千九百二十六億円になった。さらに約八百億足りない、また百五十億足りない、こういうようなことで、とどのつまりは、東海道新幹線の工事費というのは四千億になろうとしております。これだけの膨大な予算を使って東海道の新幹線に今着手をしておるわけでありますが、予算の不足等については、衆議院におきましてもさんざんもう述べられておりますから、あらためて私のほうから繰り返して攻撃するということは避けます。しかし、こういうような状態で、はたして来年十月の開業までにさらに足を出さずに済むのかどうか、その辺の見通しについてお聞かせを願いたいと思います。
  86. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) 九百五十四億の追加をお願いして日なお浅きにおいて、さらにまた膨大な追加をお願いしなければならぬというようなことにつきましては、まことに申しわけない次第であります。  それから、ただいま御質問の、一体これで所期の期日までにできるかどうかということでございますが、幸いに追加の予算が御承認を得まするならば、ただいまの情勢においては、まず所期の期日までにはできるという十分の自信を持っておるのであります。もちろん、その上にさらにまたふえやせぬかということにつきましては、これは、かりにふえましたところで、また頭を下げなければならぬような、そんな莫大な数字は出ないということについて確信を持っております。
  87. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 頭の下げ方が大きいか少ないかだけの話で、ひょっとすると少し頭を下げなければならないかもしれないというように聞き取れるのでありますが、それはそれとしまして、今度は経済企画庁長官にお伺いいたしたいと思います。この答申の内容を見てみますと、国鉄の第一次五カ年計画が狂ったということは経済企画庁の見通しの誤りによるところが大きいという意味のことが書いてあります。つまり、「国鉄は、現実には政府の監督指示によって動いている機関である以上、その経済見透しは政府の機関である経済企画庁の見透しに従わざるを得ない。ところがその経済企画庁の見透しによる日本経済の成長率は、年率五%とか六・五%とかいうものであった。」のに、実際は一〇%もその上も成長をした。だから、国鉄の輸送需要が過小見込みとなったのはいたし方ないことである。このように書いてあります。これは、経済企画庁の見通しに従っていったところが、実際には、日本の経済の成長が非常に早かったために取に残されてしまって、第一次五カ年計画がそもそも狂ってしまった、こういう意味なんです。そうすると、今度の場合でも私は同じようなことが言えるのじゃないかと思うのでありますが、土地価格が非常に暴騰した、だから、ついこの間は二千九百何億でできますと言ったところが、間に合わなくなってしまった、こういうことなんですね。しかも、今後の経済の見通しについて言うならば、きのうの予算委員会の質疑の中でもいろいろと論議がかわされましたけれども、物価が下がる、あるいは安定をするといったような太鼓判は押されなかったような気がするのであります。一体、このままの状態でいって日本経済の今後の見通し、物価の動向、それらの問題が東海道新幹線といったような大量の予算を必要とする工手に影響を及ぼさないで済むかどうかという点について経済企画庁長官の御答弁をお願いしたいと思います。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のようなことが答申に確かに書いてございます。経済の見通しは、見通しというものの当然の制約はあるにいたしましても、はなはだしく現実とそれがはずれたということは、これは私どもその責任を免れないところだと思いますので、このように答申が指摘をされたことについては、実は一言も反発することができないように思います。  それから、地価についても、やはり答申の中に「用地買収費並に土建関係労務者の賃金において」云々ということが書いてあります。物価上昇の影響が第二次五カ年計画に相当影響がある、こういうことが出ておりますが、これも事実であろうと思います。昨日もるる申し上げましたところで、私どもできる限りの努力を今後もいたして参ることはもちろんでありますが、それでも何がしかの物価なり労銀の騰貴ということは、これは避けがたいであろう、したがって、国鉄において計画を立てられるときに、ある程度そういうものは盛り込んでおられるのではないだろうか、現実的な計画を立てられるとすれば、やはりある程度のものは盛り込んでいただかなければならないだろう、こういうことを申し上げるのはまことに残念でありますけれども、しかし、それが遺憾ながら私は事実じゃないかと思うのであります。
  89. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 事務当局でけっこうでありますが、経済企画庁の数字をもとにしていったならば計画が狂ってしまったということが過去にあった。これからも、経済企画庁の見通しに従っていったところが東海道の新幹線の工事でまた足を出して、おこられるのは国鉄であり、計画を狂わしたのが企画庁であるというのでは、間尺に合わない話であるということになると思うのでありますが、一体、国鉄としては今後も企画庁の数字をもとにして計画を立てられていくのか、それでよろしいというふうにお考えになっているのか、お答えを願いたいと思います。
  90. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) お許しを得まして私から御答弁を申し上げます。  ただいま企画庁長官からお話がございましたとおり、私どもが企画庁の数字を使わしていただいておりますのは、主として将来の輸送量の伸びの見通しでございます。もう一つは物価の問題で、二つの点でございます。  まず第一の輸送量の伸びにつきましては、国全体の旅客、貨物の輸送量の伸びの問題と、その中で国鉄がどれだけの輸送の分野を受け持つかという問題の二つの問題があると思います。今までも若干、諮問委員会で指摘されました企画庁の数字よりも、国鉄の輸送の伸びが多かったということは、国全体の輸送の伸びが多かったと同時に、鉄道の輸送分野自体も思ったより縮小されず、むしろ予想以上に、何と申しますか、トラック、船等の関係があったにいたしましても、その分野が割に減らなかった、この二つの点から企画庁の数字と若干の食い違いを見せて、それが現実に鉄道の旅客、荷物の殺到になってきた、こういうふうに考えます。今第二次五カ年計画を進捗中でございますが、いずれ最近の経済情勢に見合いまして、近いうちにもう一ぺん将来の輸送量を推定いたしまして、それに基づいて計画を立て直すべき時期に参っていると思いますけれども、やはり私どもといたしましては、日本の最も信頼すべき数字をあらゆる方面から検討しておられる経済企画庁の数字、それは先ほども申しましたとおり、日本全体の物の伸び、経済の伸びと同時に、その中で国鉄がどれだけの分野を受け持つかという、その二つの点につきましても、やはり経済企画庁のお見込みを拝借し、また私どもといたしましても、十分私どもなりに検討いたしますが、やはり最後にはいろいろ企画庁と御相談申し上げて、いろいろ教えていただきまして、最終的には、政府でおきめになった、国鉄は将来こういう数字を分担しろという意味のきまった数字を目標にいたしまして、それを消化するためにどういうふうに輸送力をつけて象るか、こういうふうな作業の順序になって参るかと、こう思います。
  91. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今度は大蔵大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、この諮問委員会の答申の最初のほうには、「「第一次五カ年計画」以前の状況」として、「政府予算事情を理由に公労法の精神を生かさず、」と、こう書いてある。「組合は政治化して非合法なる闘争を敢てするという状態であった。」と、いろいろこの点は問題があるところでしょうが、要するに、公労法の精神を生かさずに、仲裁裁定を完全に実施しなければならぬのに、事実は、俗な言葉で言えば、値切ってしまった。そのために組合の闘争も非合法化せざるを得なかった、というふうにここに書いてあるように私は感ずるわけであります。その点は、これは昔の話なんでありますけれども、仲裁裁定の完全実施ということであります。今裁定が出ておりますが、仲裁裁定の完全実施を行なうという点については、おそらく異論はないと思うのでありますが、その予算措置、それから、これらの東海道新幹線の工事費が思いがけない膨大な不足を来たしたといったような事柄から、これらの予算措置はどのように考えておられるのか、大蔵大臣からお聞かせを願いたいと思います。
  92. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 国鉄側では、一部流用、なお事業費の繰り延べ、企業の合理化、業務の効率化等によって生じたもので十分まかなえるということになっております。
  93. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 新幹線の問題についても……。
  94. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 新幹線の問題につきましては、先ほど運輸大臣からも答弁がありましたが、現在大臣命令で監査権が発動せられておりますが、この監査報告を待って運輸大臣からしかるべき予算要求その他があると思いますので、その段階において考慮いたしたいと、このように考えます。
  95. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 予算の補正は行なわないが流用でやっていく、改良費その他が流用されるということになってくると思うのでありますが、こういうようなことで、国鉄の今後の保安の問題、あるいは通勤地獄の解消の問題、現在進行中の五カ年計画の進捗計画等について支障がないのかどうか。支障なく利用者の求めに応じていくということができるのかどうか。この点については国鉄総裁からお伺いしたいと思います。
  96. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 多少数字のことになりますので、お許しを得まして私からお答え申し上げます。  ただいま御質問の、とりあえずの新幹線の予算の不足を補いますために、二百五十億程度のものを改良費から一時流用させていただくということを今お願いいたしておりますが、これは今先生の御指摘の、たとえば一番問題になります鉄道の輸送の安全の確保、すなわち昨年三河島その他でいろいろと国民に御迷惑をおかけしました保安の対策、あるいは直接に輸送に響く線路の複線化、あるいは電化、そういった国鉄の輸送そのものに関連する仕事は、極力支障の少ないように、今具体的に各工事につきまして、工事の目下における進捗状況並びに今後の今年度内の資金の手当の状況等、一件々々具体的に当たっておりまして、その方針といたしましては、ただいま申し上げましたように、まず運転の保安には一切影響させない、電化についても極力おくらしたくない、それから複線化等輸送力に直接関係するものにつきましてもできるだけ影響を少なくいたしたいというような角度から、今全般の工事につきまして具体的に検討いたしている次第でございますが、そういった趣旨で、できるだけ影響の少ないようにいたしまして、一方、新幹線のほうはただいま大蔵大臣からお話がございましたが、私どもといたしましては、ほんとうに今度の予算についておわびを申し上げた上で、新しい不足額だけを何とか次の国会で補正していただきたい、こういう気持で現在やっております。
  97. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いずれにしても、国鉄の現状というものは容易ならぬものがあると思いますが、しかし、今後の国の動脈の問題でありますから、答申の内容がどうあれ、一応基本線としては現状を脱却をして、からを破っていくということが必要であろうと思います。総裁は、いろいろな週刊誌等に談話を発表しておられたり、あるいは対談が載ったりしておりますけれども、国の政策のために国鉄が犠牲になっている、今日までこういうことをしきりと強調しておられます。国鉄が犠牲になっているということは、言いかえれば具体的には国鉄の労働者がそのしわ寄せを食って一番割の悪い思いをしているということになりますけれども、労務対策、労働者の待遇、給与等の面について組合と十分に誠意をもって話し合うお気持がおありになるかどうか、この点をお聞かせを願いたいと思います。
  98. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) お答えいたします。  国鉄が国の政策のために犠牲になっておるということは、その諮問委員会の報告にも述べ、いわゆる公共負担、たとえば通勤通学のごときは大体五割というものを割引せよということに鉄道法は書いてあるのでありまするが、実際は、通勤につきましては八割二分、通学については九割一分というような非常な割引をしておるのであります。それがために、国鉄の収支の状況というものは、ときに運賃値上げをしなければならぬというようなことで、なかなか苦しい場合がある。しかし、それがために国鉄にそれがしわ寄せして労務者にかかっておることではないと私は思います。なるほど国鉄労務者に対する年末手当というようなことは、国鉄の収支状況によって相当左右せられるのでありますからして、そういう意味においては労務者にしわ寄せしておる点なきにしもあらずでありますが、普通のいわゆる給与のベースにつきましては、私はそういうことはないと思う。   〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕  それでまた、年々の昇給率につきましては官公吏と同じような工合になっておりますので、これは御心配に及ばぬことと確信しておりますし、今後とも私の国鉄総裁としての任務は、四十五万の国鉄職員の幸福ということを頭に置かざるを得ない。これは大いにこの点については心を配りまして、決して労務者の犠牲においてどうというようなことは絶対にしないということを考えております。
  99. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今、総裁は、昇給等においても官公吏と同様であると言われたけれども、同様じゃないのです。これは総裁は現状を知らないからそういうことを言っておる。もう少しこれから勉強してもらいたいのですけれども、しかし、今時間がありませんから、この昇給問題には触れません。特に今通勤通学定期の問題について言及されましたが、ここで取り上げられておるのは通勤通学定期が取り上げられておりますけれども、「公共負担額の実績」というのを、この「国鉄経営の在り方についての答申」を見ますと、通勤通学定期の負担の実績は三十六年度で四百六十九億、学生割引が二十七億、新聞雑誌が七十九億、貨物の割引が計百二十六億、都合約七百億になっております。それで、この中で新聞雑誌のほうは約八十億ですね。通勤通学の定期のように取りやすいところからむしり取って、そのほかの問題には触れないというのはちょっと解せないのでありますけれども、私は新聞雑誌の約八十億、貨物の百億余といったような問題に対してはどのようにお考えになっておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。
  100. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) 通勤通学の割引というのは、つまり五割と実際の割引率との差でございます。それで、私がこれまで新聞雑誌あたりで申し上げておることは、まず第一に是正すべきものは通勤の問題じゃないかということなんであります。ということは、通勤者の大部分は各企業の従業員である。各企業の従業員の足代というものは、大体各企業の負担になっておる。だからして、これに対して大きな割引をするということは、一般旅客の犠牲において各企業のために奉仕するということになる。これは私は是正すべきまず第一の問題じゃないかと思います。それから貨物の問題でございますが、これは大部分は農産物で、農産物の運賃につきましては、大体運賃の等級というものは非常な下のほうで安いのでありますが、国の農業政策のためにさらにその上に割引をしておる。しかもこれは時限立法でありまして、一年なら一年ということを限定しておるのでありまするが、期限が参りまして国鉄としてはぜひこれをひとつもとに返してくれということを懇願これ努むるのでありまするが、議会において絶対に御承認下さらぬということが現状です。これはひとつさらにお考え願わにゃならぬのでありまするが、まず第一私がやりたいのは、今申し上げたような通勤の問題です。ただ、通勤の問題につきましては、各企業の従業員でありまするが、またそのほかに独自の人がおる。中小企業の従業員というものがおる。これをどうするか。でき得るならばそういう人に対しても割引是正というものは大いに考慮しにゃならぬのじゃないか。また、やるにいたしましても、一ぺんにやるということは、これは急激な変動を来たしておもしろくないからして、かすに相当の時をもってして順を追っていったらどうかということを考えるのでありますが、いずれにいたしましても、この具体的な問題につきましてはただいま検討中でございますので、今どうということは申し上げかねる立場にあるのであります。
  101. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 新聞雑誌は。
  102. 石田礼助

    説明員(石田礼助君) 新聞雑誌のほうは、これはあまりはっきり言うとあれですが、なかなかやかましいですからね。文教政策の点から言いましても、これはなかなかデリケートな問題なんです。まあひとつできるなら一番攻めるにやすいところで皆さんが御同意下さるようなところでいきたいということが私の希望であります。
  103. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連。ちょっと伺いますが、そういう今のような問題が、国鉄の企業自体として合理的であるか非合理的であるかということから、合理性を求めて新しい改革を検討されるのはこれは自由であります。しかし、今物価の値上げの問題が当面の問題となっているときに、国鉄自身が態度を決定してしまってから、あとから政府がこれをどう扱うかというようなことをするのは、私は非常にタイミングとしてはいかがかと思います。むしろ物価上昇の抑制を検討するという今の立場で政府自体がやはり全般的な経済動向との関連で、十分国鉄とは別個に検討を要する問題と思いますが、企画庁長官、いかがでありますか。
  104. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨日総理大臣からお答えいたしましたように、政府として終局的な態度をきめておりませんわけでありますが、もとよりこのような案件は重大な案件でございますから、政府として方針をきめるべきものと考えます。
  105. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今国鉄総裁から通勤パスについては企業の負担が多いんだからという意味のことを言われましたが、それならば、中小企業なり零細企業の従事員はどうかというと、大企業の場合はなるほど通勤費を支弁をしておるという例があるかもしれませんが、中小企業以下になると、なかなかないのです。そういうことを考えてみると、通勤費は使用者負担ということを法的に規制をする、法的措置を講ずるということにしないと、私は不公平になると思うのでありますが、そのようなお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  106. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) ただいまの通勤費の問題でございますが、確かに通勤費を使用者が支出負担をいたしておりまする例は相当あるようでございます。しかし、私どもは、これはやはり労働の条件の一つと考えておるのでございまして、これらの問題は、現在の労働法の建前といたしましては、労使間の自主的な話し合いによって団体交渉によってきめていただくべき事柄である、かように考えておるのでありまして、ただいまのところでは、これについて法的規制というようなことは全く考慮いたしておりません。
  107. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 法的規制までやらないことには、国鉄総裁がさっき言ったように、何らかの措置を講じなければなんという何らかの措置ができないことになる。そこで私は言ったのでありますが、これは研究をしてもらうことにいたしまして、最後に鉄道建設公団関係について質問したいと思います。  昨日の運輸大臣の答弁によりますと、大竹委員が質問されているのでありますが、一体この新線建設の場合には、二十三条でありますけれども、鉄道建設公団は有償で払い下げるのか無償で払い下げるのかどっちなんだという質問に対して、新線は赤字だと思うけれども、思ったより早く黒字になるかもしれない、こういう意味のことを言われた。なるべく有償にしていきたいというふうに聞こえるのであります。まだ議事録がありませんから、確認できませんけれども、きのうの答弁はそうなんですが、一方、三月二十七日の本会議における大臣の答弁は、でき上がった鉄道を有償にするか無償にしてやるかということは、もちろん無償を原則といたします。採算がとれるようであれば有償にしますが、無償を原則といたします。こういうふうに言っておる。一体、本会議の答弁のほうがほんとうなのか、きのうのお答えのほうがほんとうなのか、どっちなのかお答えを願いたいと思います。
  108. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 法律の建前は、きのうも申しましたように、有償を原則といたすのです。ところが、実際問題として大部分が赤字ですから、例外がむしろ原則になりはしないかということを実際問題を私は本会議で答弁したのでございまして、できることなら赤字線を早く解消しまして、建設中に解消ができるようにいたしまして、そうして有償でやりたいのです。が、しかし、実際は赤字ですから、例外がむしろ原則になるような意味を私は申し上げたのでございます。
  109. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと関連して一つ。  今の瀬谷質問の中にありました――運輸大臣にお聞きいたしますが、当初の計画から倍以上の予算を必要とするというような現況を招いたこの新幹線の計画というものについては、これは責任ある立場の者の責任が追及されるものなのか、それとも、これは必然性があって責任が追及されないものなのか。いずれにしても、あまりにも大きな金額の支出になりますので、その点を運輸省当局はどう考えておるのか。  もう一点は、四千億というような幅になるようでありますけれども、ことしの経済の計画の中には二・八%程度の物価の値上がりが見込んであります。実際に四千億という計画を立てたときの計算は、どういうふうな計算で出された数字なのか、その点もひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  110. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 国鉄新幹線の予算が予想しておった以上に膨大になりますことにつきまして、監督上の責任は私に全部あり、私の深く遺憾とし、さようなことのないように厳重に国鉄総裁に戒告を与えております。  それから次の積算の基礎につきましては、国鉄総裁からお答えいたします。
  111. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 数字の問題ですから、私からお答え申し上げます。  当初今年の通常予算でお願いいたしました九百五十四億の増額の際の物価、労銀等は、予算編成が御承知のとおり昨年の七月ごろから始まっております。実際に使いました数字は、大体三十六年の暮れから三十七年の初めくらいの数字が物価、労銀の基礎になっております。今回それがこういうことになりまして、いろいろ最近、ことに労銀の値上がり等を考えまして、最近お出しいたしました三千八百億の数字は、昨年の暮れないし本年の一、二月ごろの、物価よりもむしろ労銀のほうでありますが、労銀を主として計算し直したものでございます。
  112. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 運輸大臣の答弁が、きのうの答弁では原則だったが、本会議の答弁は現実の問題としてというふうに言われました。しかし、有償という答弁があったり無償という答弁があったり、時計の振子みたいに見当がつかないと困るので、私は念のために聞いたわけでありますが、ただいまのお答えによりますと、現実の運用面においてはこれは無償にならざるを得ないと思うので、そのことを本会議で述べてあるのだというふうに言われました。  それでは田中大蔵大臣にお伺いしたいと思うのであります……
  113. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちょっと、すぐ来ます。
  114. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ただいまの運輸大臣の答弁は、現実の問題としては、これは無償にせざるを得ないだろう、こういう意味のお答えであったのでありますが、田中大蔵大臣が衆議院の予算委員会で答弁をされている内容は、ペイするものは有償で貸し付け、より違う政策目的によって当然長い間赤字になるという鉄道に対しては無償で貸し付ける、その理由は、赤字が出る場合には無償である。こういうふうに言われたのでありますが、このことを今の運輸大臣の答弁と同じように解釈してよろしゅうございますか。
  115. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) おおむねそのとおりでよろしゅうございます。
  116. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは、最後に公共性の考え方についてお伺いをしたいと思います。国鉄の持つべき公共性の基本というのは、この答申によりますと、株主の利益のためという考慮なしに、国家国民の利益だけを目標として遂行していくことが公共性の基本の考え方である、したがって、それらの考え方は、独算制公共企業体の性格であるから、バス事業等でも同様である、このように述べておりますけれども、公共性の考え方は以上のような考え方でよろしいのかどうか、今後も国鉄の経営に際してこのように理解してよろしいのかどうかという点を運輸大臣からお答えを願いたいと思います。
  117. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) さように考えております。
  118. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 けっこうです。終わります。
  119. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 瀬谷委員の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  120. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、和泉覚君。
  121. 和泉覚

    ○和泉覚君 そろそろと台風シーズンが近づいて参りましたが、きょうは特に低地帯の防災態勢というものについてお伺いしたいと思うのですが、まず先日の二号台風の豪雨によるところの浸水家屋等も相当にあったと承っておりますが、この被害の状況は一体どの程度であったのか、関係の建設並びに自治のほうにお尋ねしたいと思うのですが。
  122. 三輪良雄

    政府委員(三輪良雄君) お答えをいたします。  六月四日夕刻から五日にかけまして、台風第二号が本邦の南東海上を通過いたしましたために、実は六月一日ごろから前線による長雨が続いておりましたのに加えて、これが参りましたということで、関東南部地方を初め各地に集中的な降雨があったのでございます。被害は実に三十七都府県に及んでおるのでございますが、昨日午前九時までに集計いたしました報告によりますと、死者十八名、このうち十一名はがけくずれによるものでございます。七名は溺死をされたのでございます。行方不明一名、負傷者四十八名、建物の全半壊、流失約百二十棟、それから床上浸水、床下浸水合わせますと約四万一千棟でございます。罹災世帯は約五千世帯、二万三千人が罹災をいたしておるのでございます。以下の数字はそれぞれ専門の各省の数字のほうがよろしいかと思いますが、受けております報告では、水田の冠水等が五万七千ヘクタール、畑の冠水等が九千ヘクタール、道路の損壊が七百二十カ所、橋梁の流失が二百七十一カ所、堤防の決壊が三百二十一カ所、山くずれが九百二十カ所、鉄道軌道損壊が六十一カ所というふうになっております。これに対しまして、警察官は全国で一万三千出動させまして、避難誘導、人命救助等に当たったのでございます。
  123. 和泉覚

    ○和泉覚君 従来のこのような被害の状況は、ちょっとこれに関係がありますから、ちょっと調べようと思ってこの間も聞いてみたんですが、家がこわれてしまうというと建設省であって、床上の浸水のほうだと警察のほうだというんですが、今のような被害の調査、そういうものの一貫性というものはどちらでやっておられるんでしょうか。
  124. 三輪良雄

    政府委員(三輪良雄君) お答えをいたします。  人的被害並びに家屋の被害等につきましては、警察がそれぞれ現地の調べを集めておるのでございます。なお田畑、橋梁、道路等につきましては、やはり警察があとう限り調べておりまするけれども、これはそれぞれ所管の省でお調べになる数字が的確かと考えるのでございます。
  125. 和泉覚

    ○和泉覚君 次に、建設大臣並びに運輸大臣にお尋ねをいたしますが、災害というものは忘れたころによくやってくるといわれますが、台風の被害はもちろん、ところによっていろいろと想定のもとに対策というものは違っておりますがゆえに、一がいに参りませんが、きょうはまず一千万都民を有するところの東京の場合を例にとってお尋ねしたいと思います。  台風シーズンというものが近づいてきますというと、荒川だとか中川、月島の周辺、新中川、江戸川、綾瀬川等の沿岸の地帯、あるいは江戸川の河口から羽田空港に至るところの海岸線までの住民、特に江東方面のデルタ地帯といわれておるところの住民は、万一伊勢湾台風級の高潮があったならばと、常に脅威を感じておるところでありますが、現在の高潮地帯におけるところの高潮対策は、どのような想定のもとに対策がとられておるものであるのか、この点を聞きたいと思うんです。
  126. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えします。  東京湾の場合におきましては、大正六年十月の高潮が過去におきまして一番大きな、また水かさの高いものであったようでございます。したがいまして、建設省といたしましては、一応この大正六年十月の高潮を対象としてこれまで高潮対策をやって参りました。この対策は昨年をもって一応、これまで東京湾として参った高潮につきましては一応完成をいたしております。ところが、今お話しのように、この程度ではまだ不十分であるかもしらぬということで、今お話しの伊勢湾台風の例によりますと、これよりもさらに一メートルぐらい高いことになっております。しかし、まあ御承知のとおり、東京湾のように中に入り組んだところに伊勢湾のような台風がそのまま来るか来ぬかということはいろいろ議論もあると思います。しかし、いずれにしましても、政府といたしましては、一メートル高くてもよろしい、伊勢湾台風程度でもよろしいというものを備えなければいかぬだろうということで、今年からこれに対して緊急対策に入っておるわけであります。これが今後三カ年間にこの緊急対策をぜひやりたいということで、努力いたしておるということであります。
  127. 和泉覚

    ○和泉覚君 今の、ひとつ運輸大臣にも。
  128. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) お答えいたします。  今、建設大臣が申されましたように、東京湾の高潮対策につきましては、伊勢湾台風より一メートル高い防波堤を作ることを想定にいたしまして、三十八年度から着手いたしまして、本年はたしか二十五億円をもって大体江東方面の防波堤の何はできるものと考えております。
  129. 和泉覚

    ○和泉覚君 それでは、今からの三年間の緊急の対策、これが完成されるならば、伊勢湾台風というようなクラスの台風があっても大丈夫というような企画の上に立てられた対策でございましょうか。
  130. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) そのとおりでございます。大丈夫と思います。
  131. 和泉覚

    ○和泉覚君 運輸大臣のほうは大丈夫だとおっしゃられますが、建設のほうも大丈夫でございましょうか。
  132. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知かもしれませんが、将来の風潮対策といたしましては、従来と変えまして、今、東京湾に幅百メートルの道路を作ります。この道路は同時に防潮堤を兼ねたもので作ります。で、これをもってまず潮を押えまして、それからしばらく川の中に入ったところに堤防で入って参りまして、水門でこれを押えていくということを設計の根拠にしてやっておりますので、それが完成いたしますれば、まあ伊勢湾台風は絶対に心配ない。  ただ、問題は、地盤沈下がどういうことになってくるかという問題だと思うのであります。そこで、御承知のとおりに、関東震災のあとで埋め立てをいたしました当時は、これでよかろうということで埋め立てをいたしました江東地区が、今すでにもうゼロメートルの地帯になっておるということでございますから、そこで目下は、その一方において高潮対策と同時に、地盤沈下の対策として地下水のくみ上げを禁止するということの方面で押えておるわけであります。したがって、この法令を作りましてこれを押えましてから、地盤沈下のほうも順次効果を現わして、最近は地盤沈下は非常にスピードの度合いは落ちてきておりますから、まずまずこれで両々相待っていけるのじゃないかと考えております。
  133. 和泉覚

    ○和泉覚君 今、道路ができるという計画をこの間もちょっと承ったのですが、あの道路というのは、羽田に通ずる道路だけで、その三年以内にこちらのほうの側のデルタ地帯のほうの道路も完成なんですか。
  134. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 羽田に参ります道路とは全然関係がありません。今、羽田に行きます道路は、これは道路を立体にしてやっております。一部はもう全部使えます。そうではございませんで、東京湾の、羽田のほうに参りません、月島から葛飾のほうに至る前面に埋め立てをして、そうしてそこに百メートルの道路を作ろう、こういうふうにして、それを防潮堤の第一線にしようということを企画して、せっかく東京都との間に今進行中であります。
  135. 和泉覚

    ○和泉覚君 ちょっと聞いたのと違うようなんですが、この緊急三カ年対策というものはその内容とは違うんではないですか。緊急三カ年対策の中にそれが含まれておりますか。
  136. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 結論を申し上げたのでございまして、今申し上げるとおりに、その堤防と道路とを併用して参るということにしておるわけでございます。現実に申しますと、埋め立てをして、そこに防潮堤を作り、その防潮堤の上には百メートルの道路を作ろう、こういうことにいたしておるわけでございます。
  137. 和泉覚

    ○和泉覚君 今ちょっと聞いて、私の聞いておることにちょっとあれなんですが、この緊急三カ年対策というのは、今言うた大正六年の災害というものを予想して、水位が非常にかさまってきた、そこでいわゆるその水位の問題だけを考えて施行されるのが緊急いわゆるかさ上げ工事というか、緊急三カ年対策というふうに承っておるんですが、その道路というのは、将来の計画なんですか、その三年の計画なんですか、この点がはっきりわかりません。
  138. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほどお答え申し上げましたとおりに、今までの水防計画は一応完成いたしました。それは今お話しのようなことでできております。でき上がったわけであります。そこで、今度はもう少し、非常に大きなやつが来たときに備えて、根本的にいこうじゃないかということで、私が建設大臣にたってから企画いたしました。そこで緊急三カ年計画を立てたわけであります。そのときに、今の東京湾に埋め立てをして、そうして防潮堤を作ると同時に、そこに百メートルの道路を作る計画と一緒にいこうじゃないかと今やっておる、こういうことでございます。
  139. 和泉覚

    ○和泉覚君 先ほどの東京都の予算が二十五億、補助金が七億五千万らしいのですが、その三カ年計画で、あとは二十二億しか残っておらないそうですが、それでそんな大きな道路ができるという計画がちょっと、全然緊急三カ年対策とは違うような気がするんですが。
  140. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほどは運輸省関係の予算をおっしゃったのでございます。建設省関係の予算は別に三十億あります。御存じでしょうが、これは港湾につきましては運輸省でやります。それから河川のほうにつきましては建設省でやります。したがって、そこに両方の予算というものを加算することになっております。
  141. 和泉覚

    ○和泉覚君 今、だから、その建設省の予算で大きな道路ができるというわけですか、三カ年の間に。
  142. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私のほうは、防潮堤をかねて、そこに東京都は埋め立てを行ないます。その埋め立てを、防潮堤をかねて道路をその上を走らせるということにして、そうして一環して千葉-東京の間をつなぐ計画、こういう道路計画を持っておるわけであります。
  143. 和泉覚

    ○和泉覚君 この間の新聞にも、同じくこれまた建設と運輸ですが、新聞の報道によるというと、伊勢湾台風クラスというものが東京に一たび上陸するというと、現在の外郭堤防というものは一たまりもなくのみ込むことができるし、というふうにも報ぜられておりました。また、現地の声からいうならば、まあ今お話があったように、港湾関係、すなわち運輸省の関係と建設省の関係とに施行、企画が分かれておりますが、港湾のほうの企画は割合に自信があるけれども、いわゆる高潮になって、潮があの荒川、隅田川等にずっと入ってきた場合には、現在の程度であるならば一たまりもなく水の海と化すというような不安で一ぱいでならないという声が非常に強いのでありますが、先ほどの地盤沈下対策の問題は、あとでまた申し上げるといたしまして、かりに伊勢湾台風というものが上陸したとしたならば、被害というものは一体どのように考えておられるのか。また、そういう伊勢湾台風というようなものを想定して、恒久的な対策というものを立てて、万全の策を講ずべきだと思うのですが、この点はいかにお考えですか。
  144. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、建設省といたしましては、従来、過去の記録によりまして、一番高い場合を想定して、これに対する対策を立ててやって参りました。それが昨年で完成をいたしました。しかし、これは伊勢湾台風の例を見ますと、伊勢湾台風よりも一メートル低い目標になっております。しかし、これは一部の学者意見によりますと、伊勢湾と東京湾とは事情が違うから、伊勢湾のような高潮は東京湾にはないだろうという意見もございます。しかし、いずれにいたしましても、過去の一番これの高いものを対象にして一応の案は完成いたしましたので、さらにそういう伊勢湾のようなものを考慮に置きまして、さらに一メートル高いものを想定いたしまして、伊勢湾台風を想定いたしまして、目下緊急三カ年計画に入っております。これが建設省の対策でございます。
  145. 和泉覚

    ○和泉覚君 伊勢湾台風が上陸したとするならば、いろいろのものに、新聞にも出ておりましたし、また国会図書館の国土交通調査室の資料等を見ましても、浸水区域というのは十の区に及ぶし、また被害は二百五十平方キロになるし、被災者というものは三百万の被災者を出すであろうというような資料が出ております。現在の三カ年対策でもって、伊勢湾台風クラスの台風が来ても絶対に大丈夫なんだというように承知してよろしいわけでございましょうか。
  146. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 現に実施に入りました緊急三カ年計画が完成いたしますれば、伊勢湾台風程度のものならば東京においては絶対心配はないというものを目標にして案を立てているわけでございますから、心配はないと思います。
  147. 和泉覚

    ○和泉覚君 現在あの土地へ行って聞いてみますというと、大臣あるいはまたお偉い方々は大丈夫だと言っておりますが、下のほうは、三カ年の間に来なければいいですよ、三年間待ってくれればいいですが、台風というものは周期的にやってくるともいわれるし、今年はちょうど五年目で、大きな台風があるのではなかろうかというような報道もされております。したがって、また江東方面の、特にあのデルタ地帯というものは、ちょっと雨が降るというと、すぐ浸水するし、先ほどのあれにもありましたように、東京都内においても相当の浸水家屋がありましたが、水門がちょっと故障するとすぐ浸水するというように土地が低くて、なおこの前の伊勢湾台風の経験にかんがみまして、あの貯水場の問題なんですが、いわゆる現在いろいろの、木場の方面の貯木場がありますが、あのようなものがあったために、この前では非常に被害が大きかったというようなことがあるのですが、現地においては、貯木対策として、貯木揚を早期に建設してほしいというような声もあるのです。これに対する対策は現在どのようになっているか、お尋ねしたいと思います。
  148. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 現在の状態における貯木場につきましては、改良と申しましょうか、措置をいたしまして、将来ふえるものにつきましては、今後その増加の情勢に応じてやろうという考えになって、貯木場に関する範囲におきましては、現在の貯木状態に対する対策は一応できております。
  149. 和泉覚

    ○和泉覚君 次は、先ほど建設大臣からも話がありましたが、確かにデルタ地帯の防潮堤等は、毎年々々十八センチないし二十センチというような地盤沈下がある。この高潮対策として、地盤沈下の問題というものを抜きにして計画することはもちろんできませんが、この地盤沈下対策にも、一応、なぜそのようになるかというならば、現在工場地帯が、復興とともに非常に発達しておるということが原因であって、これに対しては、これは通産省ですか、工業用水法というものが作られ、施行されました。それが実施の状況、規制の状況並びにそれの効果というものは現在どのようになっておるか、この点を通産大臣にお尋ねしたいと思います。
  150. 福田一

    国務大臣(福田一君) 仰せのように、工業用水法に基づきまして、地下水のくみ上げの制限、それから工業用水道の建設促進というようなことをやっておるわけでございます。東京都の江東地区におきまする地下水のくみ上げの規制につきましては、昭和三十六年以来、墨田区、江東区、荒川区等において、工業用水法に基づく地下水のくみ上げの制限を実施しております。  また、江東地区における工業用水道につきましては、三十九年度末までに、一日当たり約三十三万トンの給水能力を有する水道を完成する予定で、その建設を進めておりまして、三十八年度末には、一日当たり約十四万トンの一部給水が可能になりますので、江東地区のうち総武線以北の地域については、可及的すみやかに地下水から工業用水道へ転換するよう推進をいたしたいと考えております。  なお、江東地区における工業用地下水のくみ上げは、現在一日当たり二十二万トンでございますが、三十九年度に一日当たり三十三万トンの工業用水道が完成し、引き続き地下水から工業用水道への転換を促進をして参りますなれば、江東地区における今後の地盤沈下は、ほぼ完全に防止できるのではないか、こういうような計画で実施をいたしておるわけでございます。
  151. 和泉覚

    ○和泉覚君 今のはそれに関連した問題で、工業用水の問題になるのですが、工業用水法というものを作って、それを実施したことによって、地盤沈下というものが現実において緩慢になってきたとかいうようなその効果というものは、どの程度あるかということは、これは通産のほうではわからないですね。したがって、ただ工業用水法として、工業用水の補給だけを考えておるのが、通産省だけの立場なんですか。地盤沈下対策として、その効果という問題は全然考えずにやっておられるのですか。
  152. 福田一

    国務大臣(福田一君) 工業用水法には二つの目的がございまして、安くて豊富な工業用水を工業に提供するという目的と、今まで地下水でやっておりました工業用水が地盤沈下を来たしますので、その地盤沈下を防ぐという目的、二つを兼ねてこれを実施をいたしておるわけでございます。
  153. 和泉覚

    ○和泉覚君 次は、経企庁のほうに、長官にお尋ねいたしますが、政府は最近公害対策に本腰を入れる、そのために総理府に公害対策の本部を置く案があるというように発表されておりましたが、現在経済企画庁の中にあるところの地盤沈下対策審議会というものがあるわけなんですが、これは現在どのような構成メンバーでどのように活動しておられるか。今のような通産のほうの工業用水の問題、ああいうような問題がどのように効果があったかなかったか、またもう一つは、建築用水等の規制の問題等もありますが、そういう方面の審議の状態というか、効果といいますか、何かそういうものがあったら知らしていただきたいと思います。
  154. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 地盤沈下対策審議会は、昭和三十四年でございますか、発足をいたしまして、学識経験者十名と関係各省の次官九名をもって組織をしておるわけでございますが、その間今日まで御指摘の問題について、たとえば工業用水法でいたしておりますような規制、それから建築物用地下水の採取の規制に関する法律というのが成立いたしておるわけでございますが、これも同じような目的を持っております。そういう立法措置を講ずることによって地下水を保護して地盤沈下対策とすべきである、こういうことを昭和三十四年以来何回かにわたって答申をいたしております。で、その答申に基づいてそのような法的措置はとられるに至っておるわけでございます。
  155. 和泉覚

    ○和泉覚君 そうすると、工業用水のほうの規制は通産であるし、建築用水のほうはどちらのほうの関係になって、そことの調節の関係と、それから今の地盤沈下対策に関するところの審議会との関連性といいますか、統制するというか、連絡するというか、調整機関というか、どういうようなことか、その点をひとつ。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 審議会は、地盤沈下対策に関する、地盤沈下を防止する方策について審議会としての意見を申すとともに、それに関する重要な事項を審議するということになっておるわけでございます。そこで、そういうこれは一種の対策を考える機関でございますので、審議会からすでにそういう答申が何回かなされまして、工業用水法は御指摘のように通産省の所管でございますし、建築物用地下水の採取の規制に関する法律は建設省の所管でございます。そこで、今後もそういうふうにして地盤沈下対策に関しては何をなすべきかというようなことをこの審議会が考えている、こういう構成になっております。
  157. 和泉覚

    ○和泉覚君 この地下水の問題に対しては、目に見えての災害でないがゆえに、ややもすればこのようにおくれがちにもなるし、先ほど申し上げました公害対策に本腰を入れて公害対策本部を作るなんというような問題も少し何だか手ぬるいし、あまりにおそ過ぎる感があるんですが、現実に、先ほど申し上げましたように、高潮対策のために高い堤防が作られてみても、年間に十八センチないし二十センチという沈下があるならば、三年計画で今作られてみたところで、今のようにどんどんと沈下する結果になるならば、大きな問題だろうと思うんですが、今のように工業用水を規制しても、その効果というか、この点がはっきりしなければならないと思うんですが、その効果の点からしてもなおさら、規制を強くすべきか、あるいはもっとゆるやかにすべきかという問題はもっと検討していかなければならないと思うんですが、この方面の将来の対策として、審議会としての活動への希望といいますか、あるいは対策と申しますか、この点をひとつお願いします。
  158. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたような、現実に法制化されましたような措置を審議会としては従来答申をしておったわけでございますが、なお地盤の水準測量、収縮量の分布の調査、地下水位の測定、地下水揚水量の測定などの調査を計画的にやって基礎的な資料を整備すべきである、こういう答申をいたしております。
  159. 和泉覚

    ○和泉覚君 時間の関係で、一つの東京方面だけを例にとって考えてみましたけれども、いわゆる全部に通ずる問題だと思います。今言うようないろいろな所管が異なることによって、一貫性を欠いておるようなことも見受けられるわけですが、私、これに対する一々の所見を承りたいと思いましたが、時間の関係上省略いたしまして、次に今度は米価問題について少々お尋ねいたしてみたいと思います。  この三、四年来の消費者の物価というものの値上がりは、社会問題となっており、本委員会においてもいろいろと取り上げられた問題でありますが、このようなわれわれの生活にとって最も密接な関係のあるところの米価の問題は、昨年の消費者米価の値上げは、私鉄運賃等いろいろな値上がりによって、国民生活というものに非常なる脅威を与えておるところでありますが、この間の新聞におきましても、あのアンケートには、池田内閣に一番望むものは何というても物価の安定であるというところの答えが七〇%を占めておった、このように出ておりました。大蔵省は本年の米価の検討を始められておる、この間消費者米価と生産者米価に対してあのスライド方式がとられるということが新聞に出ておりましたが、これは事実であるのかどうか、国民の関心の的でありますがゆえに、大蔵大臣並びに経企長官からお答えを願いたいと思います。
  160. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 米価に対しましては、まだ農林省と正式に打ち合わせをしているわけではございませんから、全く大蔵事務当局としてのただ試算程度でありまして、公表する段階ではございません。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 政府の方針がきまっておりませんことは、ただいま大蔵大臣のお答えのとおりでありますが、私といたしましては、消費者米価の引き上げをこの際考えることは不適当なことだと考えます。
  162. 和泉覚

    ○和泉覚君 時間がありませんから……。この間の新聞に出ておりましたのは、大蔵省でもってそのようにスライド方式をもって検討を始めて消費者物価の値上げもスライド方式によって上げるというようなことが出ておりましたが、それは、じゃ、新聞社のほうの観測であって、大蔵大臣のほうから出たものでないと承知してよろしいかという問題と、なおこの際、消費者米価というものは、消費者の構成というものの大半が低所得者のものであるということを考えて、昨年も問題になりましたが、低所得者に対するところの社会保障というような意味からしても、今年度は絶対に消費者米価の値上げというものは見送るべきだというように考えております。これに対して、また米価の、主要農作物というもの、これが他の成長作物とのつり合いがとれなくて、農業の選択的拡大を妨げるという意味でもって、農業の生産者米価を抑えようという傾向もありますが、むしろ生産者の擁護の立場からも、こういうものも食管法のごとき保護対策の政策を拡大して、格差の補給というものを考えるべきであると、このように考えておりますが、これに対して物価政策の立場から経企長官はどのようにお考えか、また大蔵、農林大臣はどのようにお考えか、お答え願いたいと思います。
  163. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたように、政府としての最終的な方針がきまっておるわけではございませんので、その点はそのようにお含みおきいただきたいと思います。消費者米価につきましての私の考えは、ただいま申し上げたとおりでございます。  それから、お尋ねの意味が、あるいは二重価格制をしけと、こういうことを言われましたか――実は現在でも、生産者米価と消費者米価は、やや逆ざやになっておると思います。一般的な意味での二重価格制を、政策として意識的に行なうということは、私はどうも適当ではないように考えます。
  164. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、米価につきましては、政府も大蔵省の意見も固まっておりません。  それから、なぜ新聞に出たかという事情は、新聞社の諸君と雑談をいたしておりますときに、農業団体は九百円と言い、農林省は、少なくとも六、七百円で抑えなくちゃならぬというようなことを言っておるのですが、大蔵省の事務当局からは上がってきませんかと言うので、まだ上がってこないという考えで、そういう考え方を話をいたしまして、どんなにやっても大蔵大臣は、じゃ、四、五百円どまりですなというような考え方をお互いがしゃべっただけでありまして、先ほど申し上げたように、政府及び大蔵省の考え方は、現時点においては全然まとまっておりません。これをまとめる場合には、米審の機関等に諮って決定せらるべきものであります。しかし、仮定の問題でありますが、生産者米価が相当上がるというようなことになれば、財政負担の問題もありますので、広範な立場から、物価対策その他いろいろな立場からも考えなければなりませんが、生産者米価を上げて消費者米価は据え置くべきだという御発言、いわゆる二重価格というような問題は、大蔵省の立場としてはとっておりません。  それから、食管制度の問題につきましては、より新しい立場に立って、食管制度をより広い立場で検討していただきたいということで、調査会法案の提出を予定いたしておるわけでありまして、政府、関係者だけではなく、より広い有識者の間において早急に検討せらるべきものであると考えております。
  165. 和泉覚

    ○和泉覚君 それでは値上げにならないものだと承知して、質問を終わります。
  166. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 和泉委員の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  167. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次は、市川房枝君。
  168. 市川房枝

    ○市川房枝君 第一番に、子供の営利誘拐の事件に関連いたしまして、厚生大臣にお伺いしたいと思います。  警察当局の努力並びに国民の協力にもかかわらず、誘拐されました吉展ちゃんの消息がまだ不明でございまして、御両親はもちろん、国民全体が非常に心配をいたしております。私ども国会に議席を持っておりまする婦人議員といたしましては、党派にかかわらず、特に全国のお母さんたちの代表といたしまして、この種の子供の問題の解決に努力をすべきだと考えまして、先般来、会合を持って話し合いをいたしております。そして、吉展ちゃんが台東区の児童遊園地に遊んでいて誘拐されたという事実から、まず児童遊園地の問題を取り上げ、児童遊園地には、緑のおばさんのような人たちでもよろしゅうございますから、必ず補導員を置くこと、児童遊園地がだんだん減っていく現状では困りますので、これを減らないようにする、いや、もっと増加するように法的に規制し、その予算措置も講じていただきたい。こう話し合いまして、去る五月十七日、世話人の名で厚生大臣にお目にかかってお願いを申し上げました。ところが、大臣は、四日置きました五月二十一日の閣議でこの問題をさっそくお持ち出しいただいて、着々この問題の解決にお骨折りをいただいておるようでございまして、みんな非常に喜んでおります。それで、この席上で、この問題についての大臣の御決意と今後の御計画、来年度の予算措置などにつきまして、全国民、特にお母さんたちにお聞かせを願いたいと思います。
  169. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 吉展ちゃん事件につきましては、まことにお気の毒な次第でございまして、しこうして、それで児童公園の中で起こった事件でございまするが、実は一応あなた方から陳情も受けましたし、それよりも前に、どうしても児童の健全育成のためには児童公園が必要であろう、こう考えておったやさきでございますし、また、厚生省だけで年間――ことしでございますと百四十カ所の児童公園を作る計画になっております。そういうようなことではありましたが、さらにいろいろお話しもございましたので、今後のことは考えつつあります。大体児童公園の今までの立て方は、正直なところ、各省ばらばらと申しますか、あまり計画性がないのであります。児童公園につきましては、厚生省の所管しておる児童福祉法による児童公園を作るもの、都市計画法によって建設省で児童公園を作るもの、その他民間で作る自発的なもの、こういう三つになっておりまするが、厚生省で作るものにつきましては、大体児童厚生員という制度があります。しかし、この制度も、これは民間の有志の方にお願いをして、公園で児童を補導してもらうということなので、別にサービス料を出しておるようなわけではございません。しかし、今年度から新たに行ないました児童館につきましてこの児童厚生員を置きますが、それにつきましては国から三分の一の措置費を出そうということになっておるわけでございます。いずれにいたしましても、制度もばらばらでありますし、また、最近においては、特に交通事故のために年間に一万四、五千人の方々がなくなりまするが、非常に児童と年寄りの方が多いのであります。そういうような点からいきましても、ぜひとも今後計画的にひとつ児童公園を作りたい、かように思っておったわけでございまするが、まだ政府部内で十分な討議はいたしておらないのでございます。一応やはり計画的にやる、計画をもってやる、法律にいたしましても、それぞれ法律の調整をしなければならぬだろう、また、補助にいたしましても、従来の私のほうでやっておる児童公園に対する補助は、その施設の補助だけでありまして、土地の補助がないわけでございます。こういうような点につきましても、今後も国家の補助というようなことも考えられまするが、これは政府部内で十分な討議が行なわれておりません。いずれにいたしましても、その数におきましても、その内容におきましても、十分児童の健全育成になるようにと、ことに、また、事故が起こらないようにということを十分考えてやらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  170. 市川房枝

    ○市川房枝君 ぜひひとつ具体的にお進めいただいて、予算も十分お取りを願いたいと思います。  なお、今お話しの中にありましたが、児童行政がそれこそいろいろな省にまたがっておって、必ずしも連絡がうまくとれていない。そういう児童行政の連絡統一といいましょうか、そういう問題について大臣は何かお考えになっておりましょうか。
  171. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 児童行政の一元化と一口に言いましても、なかなかこれは簡単でないのでございまして、実は、今のところ、立て方は、福祉行政については厚生省、教育については文部省、あるいは治安の関係については法務省、警察等がありまして、それぞれやっております。したがいまして、それを一元化するということは、これはなかなか容易なことではないと思いまするが、要するに、やはり相互に十分な連絡をとっていかなければならぬのは、最近児童の問題の重要性から見まして、新しい観点でやはり調節をとらなければならぬと思っておりまするが、まあ幼少――学童前の児童につきましては、これは厚生省と文部省だけでございまするから、ことに最近は厚生省では保育所をどんどん作っておる。一方、文部省関係に幼稚園が所属しておる関係等がありまして、これらの点につきましては、これは一一元化もひとつ考えてみたい。これはまだ文部大臣とも相談はいたしておりません。いずれにいたしましても、もう少し緊密に連絡をとりまして、ひとつやらなければならぬのじゃないか、まあかような考えを持っておる次第でございます。
  172. 市川房枝

    ○市川房枝君 第二番目は、選挙に関連した問題で自治大臣にお伺いしたいと思います。  先般の東京都知事の選挙をめぐっての醜状は、イギリスのエコノミスト誌にまで、きたない日本の選挙として詳しく報道されておりまして、日本は、経済は二十世紀であるが、選挙、政治は十八世紀だという世界的な評価を裏書きするような材料を提供したことになりまして、まことに遺憾に存じております。しかし、私の自身の四年前の東京地区における参議院の選挙のときの経験から申しますと、あのときすでに証紙の偽造ではありませんけれども、穴あけ機の偽造によるポスターのはんらん、はがきの転売、泡沫候補による応援と妨害等々、歴然としていたものがそのままに放置されて参りました。それが今度は違反として摘発され、検挙されておるわけでありまして、私からいえば、今度の選挙だけが特にひどかったというふうには思えないのであります。それだけに、私は、東京地検の河井特捜部長、山室副部長以下の検察当局の努力敬意を表したいと思っているわけであります。しかし、この違反が、現在の権力者である自由民主党の大幹部に関係がありますだけに、どこまで追及できるか、大きい魚は逃がして、ざこだけつかまえる結果に終わるのではないかという心配を私もしておりますし、国民がみんな持っております。自治大臣が国家公安委員長でもおいでになりますので、その点についてのお考えを伺いたいと思います。これは法務大臣にも伺うべきであったのでしょうけれども、ひとつ篠田大臣からそれについて伺います。
  173. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) イギリスの雑誌であるエコノミストが、日本の今回の選挙を批判しまして、十八世紀的であるといったということは、今次のように、イギリスの選挙のように整然と模範的に行なわれておるところから見れば、まさにそういう批評もあながち過言ではないと、私はそう考えます。従来、御承知のとおり、地方選挙、国会の選挙は、参衆両院とも、相当警察、検察庁等も真剣にその取り締まり等やったのでございますが、ややともすると、地方選挙は、その取り締まり等も、国会の選挙に比較いたしまして、多少何と申しますか、緩慢な点があったということは、御承知のとおりでございます。  そこで、選挙の粛清という問題からいくならば、これは国会とか地方とかという問題ではなくて、むしろ関係する人々が、あるいは候補者にいたしましても運動員にいたしましても、地方選挙のほうが国会よりも非常に多いわけでございますから、もとを正すということが必要であるということで、政府といたしましても御承知のとおり、選挙の公明化並びにその取り締まりにあたりましては、従来の地方選挙よりも今回の地方選挙のほうが非常に厳重であり、また啓蒙連動も盛んであったということは、これは事実でございます。そこで、いろいろな事犯につきましては、現在検察庁におきまして捜査中でございますし、私自体、国家公安委員長の仕事というものは、そういう直接の犯罪捜査であるとか、取り締まりを指揮する立場にないということは、もう御承知のとおりであります。そういうことでございまして、すでに検察庁特捜部においてこの事件をやっておりますから、今後それがどの程度に発展するものであるかということは、もちろん私にわかりません。しかしながら、法務大臣もしばしば言明しておるとおり、これは法務大臣がおられないから私が申し上げるのでありますが、法務大臣、法務省におきまして、あるいは政府として、そういうものに対してブレーキをかけるというようなことは絶対あり得ないことである、こう考えます。
  174. 市川房枝

    ○市川房枝君 自治大臣は、昨年の十二月十九日の公職選挙法改正に関する特別委員会の私の質問に対して、選挙の公明化を実現する責任の七、八分は選ばれる側にあると思うので、地方選挙公明化推進本部というものを作って、そして候補者側に対しての公明選挙連動を推進する、これはもう初めてなんだと、そうおっしゃってこの推進本部なるものができたようで、大臣がその本部長をしておいでになり、東京都知事なんかは筆頭の役員をしておいでになったわけであります。東さんは、また東京都推進本部というものの本部長をしていると御自身でおっしゃっておりましたが、この運動の経過、一体どういうその効果があったか、それを伺いたい。
  175. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 従来、選挙の公明連動は、主として選挙をするほうの側、言いかえるならば、国民の側に向かってPRをしておったわけであります。ところが、もちろん選挙民の側におきましてもそういうことはないわけではございませんが、私、いろんな選挙を通じて考えてみますと、やはり選挙の違反というものは、候補者並びにその運動員の心がけいかんによって、少なくも相当の数減らせるものであるという私は信念を持っております。そこで、今回の公明運動は、単なる国民に向かってのPRだけではなくて、候補者を公明運動の推進委員に入れるとか、あるいはまた運動員をその中に入れるとか、あるいはまた各市町村の議員に公明運動の推進本部の中に入ってもらうというようなことで、御承知のとおり、政府としても予備費の支出までいたしまして熱心にやったということだけは、これはお認めいただけると思います。その結果といたしまして、公明運動そのものは非常に盛り上がったということは、これは全国の府県並びに市町村におきまして、約二百近い市町村がいわゆる公明選挙都市宣言をやった。もちろんその中には、そういう都市宣言をやりながら非常な違反を起こした町村もあるわけでありますが、そういうふうにして非常に盛り上がったのでありますが、選挙そのものの実態は、それとはうらはらでありまして、非常に今エコノミストで書いたように、よごれた選挙になってしまった。しかし、これをもって公明運動というものが、もうむだであるというふうに考えるということは私は賛成をいたしかねるのであります。  先ほど来申しましたように、いろいろな原因もありましたし、まずもう一つは、どうも選挙違反というものに対する犯罪感というものが非常に低い。それは交通事故で人を殺したときに、ひいた運転手がすぐ自分が殺人したというような意識を持たない、それと同様に非常に選挙運動というものが悪質な犯罪の中に入れられておらない。今日の常識からいうならば、もう当然悪質中の悪質の犯罪ということができるのでありますけれども、長い間の習慣で、これは何か特殊な政治犯であるようなことを考えている人が多い。この意識といいますか、感覚というものを、まず根本から改めてもらわなければならぬということも一つございます。  それからまた、制度上の問題もございます。いろいろありますが、私はただいまの御質問のことにつきまして、私ももちろん自治大臣として、一生懸命公明化をやりました。東都知事も、当時東京都における推進本部のたしか会長であったと思います。一生懸命にやったということだけは、これは疑いを入れることができないところであります。その効果に至りましては、まことにお恥ずかしい結果になりました。しかし私は、それによって決して希望を失っておるものではないということを申し上げます。
  176. 市川房枝

    ○市川房枝君 今私が大臣にお伺いしたのは、候補者に対する公明選挙運動のことを伺ったのですけれども、これはあまり効果がなかったことは、東京の都知事の選挙を見れば、ある程度わかるのですから、これはいいのですが、いわゆる公明選挙運動というもの、これはまあ今度の地方選挙に対しての、有権者に対してのいわゆる公明選挙運動に対して、国からお金をお出しになったのは、今度が初めてですね。そしてその総額が、地方費を含めて六億円であったというわけですが、それでいて、今までになく悪い選挙であった、違反が多い選挙だったということになりますと、一体この有権者、納税者の立場からいえば、どうも納得ができない。公明選挙運動は、今、自治大臣おっしゃいましたように、自治大臣は、公明選挙運動に対して御熱心だったということも、私も十分認めておりますが、盛り上がったと、こうおっしゃっておりますが、しかしそれでどうして、じゃ効果がなかったか、むしろ悪かったかということになりますと、これは今までの公明選挙運動というものが、方向が間違っておった、いや、から回りをしておったのだということになるかもしれないのでありまして、これは大臣が、一体どうしたら公明選挙運動はいいのか、いろいろ御心配になっておりますが、私はほんとうに現状検討をして、そして具体的にどうしたらいいのかということを、もう少し建設的に、自治省あたりで計画をお立てなさってはどうかというふうに考えますが、いかがでしょうか。  それから六億円をどんなふうにお使いになったかということは、選挙局長から、ちょっと承らしていただきたいと思います。
  177. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) いろいろな公明運動のやり方があると思います。ところが、衆知を持ち寄るといいますか、いろいろな委員会もあります。推進本部もあります。各都道府県並びに市町村の選挙管理委員会もあります。そこで何万という人間が頭をしぼってやっておるのでありますが、なかなかいい知恵が出ない。いい知恵だと思ってやってみると、案外いい知恵でなかったり、あるいはまた結果が悪かったり、そういうようなことがありまして、どうも何か、特別にいい知恵が出ないものかということを考えておるわけでありますが、今度私、今回の事件にかんがみまして、ただその精神的な、あるいは啓蒙的な公明運動だけでは足りないということを考えつきました。ということは、はがきという制度があるから、はがきを売るやつがおるし、またポスターというものを勝手に張らせるから、にせ証紙を作るやつが出てくる。それはもちろん良心の問題ではありますけれども、そういう制度上の問題も、ひとつ考え合わしてみたらどうかということから考えまして、先般来衆参両院の委員会等で、いろいろ答弁をしておりますように、やはり選挙というものは、言論と文書図画等による文書戦と二つに分けることができる。言論はどうしても憲法に保障された言論の自由であり、自分の個人の言論でございますから、あるいは演説会、テレビ、ラジオ等を通じて、本人が出ていってやらなければしようがありません。しかしポスターを張ったり演説会場を作ったり、あるいはそういう文書戦の方面におきましては、選挙公報とともに、もっと徹底した公営を行ないまして、それによって、そういう違反ができないようにするということも一つの方法じゃないか。ポスターを公営にして、ポスターを全部選挙管理委員会なり何なりの公営にして張らせれば、ポスターの張り賃をどれだけ要求するとか、あるいはまた、先ほど申しましたようなにせ証紙を作るとか枚数をごまかすとかいうことはないわけであります。それからはがきをなくすれば、はがきを売るやつもいなくなるし、かりにはがきというものを売って三十万なり五十万なり、そこでもうけたといたしましても、今度は公営にいたしまして供託金をうんと上げれば、五十万円もうけても、供託金を法定選挙費用の半分くらい、衆議院においては、地方によって違いますが、少なくとも百万以上も納めさせる。それも何といいますか、今までは非常にあまいですね、没収の規定が。それをもう少し辛くして没収できるようにすれば、そういう泡沫候補であるとか、あるいは不心得な人間は、候補者は立たなくなる、そういうふうなことを考えまして、あるいはまた、その供託金の問題についても、政党がまず責任を持ち、個人の選挙から政党が責任を持つということになれば、政党自身が無責任に四人の定員のところに五人立てる、そういうことはなくなる、どうせ没収されることがわかりますから。そういうような方法をとっていったらどうかということをいろいろ考えまして、きょうは選挙制度審議会の第三の委員会がありましたので、そこへ私も参りまして、この意見を述べて、できるだけ早く国会においても、そういう問題についていろいろ研究をし、政府においても研究するが、選挙制度審議会としても、そういういかにすれば選挙が公明化され、違反が少なくなるかというようなことを早急にひとつ研究をして結論を出してもらいたい。できれば衆議院の改選が来年の十一月ということになっておる。しかし常識上十一月以前にあるというふうに考えるのでありますが、それに間に合うようにひとつ出してみてくれないか、そうすれば、来年の通常国会において選挙公営に要する予算というものを計上することもできるわけでありますから、そういうふうに、きょうはお願いをしてきたわけであります。  したがいまして、精神的な啓蒙運動、道徳的な啓蒙運動とともに、制度の改正によるいわゆる選挙違反をなくするということについて考えておるわけであります。
  178. 松村清之

    政府委員(松村清之君) お答えいたしますが、六億とおっしゃいましたが、政府として直接関係いたしましたのは九千五百万円、残りはいろいろな経費を含めて地方の財源となっておりますので、それぞれ地方において、現地の実情に応じたいろいろなPRをやったことと思います。政府の関係しました九千五百万円のうち、直接自治省でやりましたのは五千三百万円、あと四千万円は公明選挙連盟で行ないました。自治省としてやりましたものの金額的な大部分は、ラジオ、テレビによる啓発放送でございます。その他ポスターの作成、配布、これらが主でございます。公明選挙連盟におきましてはリーフレット、ソノレットを各部落市町村へ送ってPRいたしました。
  179. 市川房枝

    ○市川房枝君 公明選挙を実現するために、選挙法の改正を考えていると、今、大臣おっしゃいましたが、それは私もけっこうだし、そうしなければなるまいと思います。それと同時に、有権者の政治意識の向上といいますか、あるいは候補者の自粛というものが伴わなければいけないと思います。今お話のように、ことしの秋あるいは来年の春までに衆議院の選挙が行なわれると予定されておりますが、その選挙でも、いわゆる今日までの公明選挙運動というのは、やはりおやりになる御計画で、その予算なんかもお考えになっていらっしゃるのじゃないかと思いますが、それを伺わしていただきます。
  180. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) ちょっと、来年の春までに選挙があるということは申し上げたんじゃありませんが、来年の秋までには――十一月は改選期でございますので、それ以前にあるだろう、それに間に合わしたいということを申し上げたのであります。春にあるということは申し上げておりません。それから、それまでに、どういう予算措置をとって啓蒙運動をやっていくかといいますと、これは事務的な問題でございますが、常時啓発費として国が五億、地方が三億五千万円計上しております。
  181. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあ公明選挙運動は、どうすればいいかという問題、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、そして、それはまた適当な機会にお話し合いをしたいと思いますが、一口に言いますれば、やっぱり魂が入ってないと、少なくとも今の公明選挙運動に対してはお義理でする場合が相当に多くって、結局金ばかり使って私は効果が上がらないんじゃないか、まあ一口に言えば、そう言えるのじゃないかと思います。  最後に、文部大臣にちょっとお伺いいたします。日本としては、今、国費の外国人留学生をお招きになっておりますが、この五月の末現在で、世界の各国から三百二十人の留学生と、それからこのほかにインドネシアからの留学生が三百四十六名でありますか、そうしてその両方のために、三十八年度に約二億円支出をすることになっておるようでありますが、実はこの四月に東南アジア、中近東、欧州からの婦人の留学生四名が泊まるところがないからというので、実は私のところに泊めたのでございます。それで欧州からの二人は約二週間私のところにおりました。そうした後、京都と大阪の大学に参りましたが、その経験を通じて、また、本人たちからのいろんな感想を聞きました結果、一体日本政府は、何のためにそういう留学生を招いているのか。で、現状では、むしろ日本に対する反感といいますか、あるいは侮べつというようなことを持って帰国するのではないか、せっかく招いておきながら、実は受け入れ態勢ができていない、こういうふうに実は感じて非常に心配をいたしておりますが、この留学生の問題について、大臣は現状を御存じでありましょうか。あるいは現状で満足しておいでになりますかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。
  182. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答えいたします。現状は完全には把握しておりません。おおよそのことは存じております。たとえば渋谷にございます日本国際教育協会が経営しております留学生会館にも行って現場も見、留学生とも通訳入りで話してきました。さらに御承知の千葉の大学に留学生を主として収容しておりますが、これは現場は見ませんけれども、いろいろ実情等も聞いております。  結論的に申し上げますと、一とおりのことは受け入れ態勢に考慮をめぐらしてはおりますものの、なかなか末端にまで浸透しないうらみを感じております。ことに千葉大学ないしは東京の外国語大学におります限りにおいては、一とおりのことはやっているのだといえそうですけれども、地方の各大学に分散しております者につきましては、現実問題として当該大学が世話して民間の下宿屋をあっせんしておるというふうな状況でございますために、実態把握も困難でございますが、特にそういう方面で不平があるように聞いておるわけであります。もとより渋谷の寮も、あるいは千葉に今度作りましたやつも完全ではございません。もっと努力する必要があろうかと思っておるわけであります。
  183. 市川房枝

    ○市川房枝君 女の留学生の場合が、よけい悪いようですね。泊まるところも女の学生はないのです。今の国際教育協会は男だけでございますね。まあこれから、いろいろお考えをいただくことになるでしょうけれども、私はもっと予算をそのためにお使い下すって、そうしてほんとうの、これこそ民間の外交官でございますから、日本に対していい気持を持って帰すように、ひとつお骨折りを願いたいと思います。
  184. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 市川委員の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  185. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に田畑金光君。
  186. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は最初に、防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。  その第一は、バッジの機種選定の問題でありますが、この点については、すでに防衛庁においては長きにわたって検討を加えられております。いつごろ機種選定についての結論を出される予定であるか。
  187. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) お答えいたします。国会でも、しばしばお答え申しておるのでありますが、六月中に決定したい方針のもとに、目下作業を進めております。
  188. 田畑金光

    ○田畑金光君 当初防衛庁としては、四月末をめどに結論を出すつもりで作業を進めてこられたはずだが、五月に延び、さらに六月に延びたというのは、どういう事情でしょうか。
  189. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 実は私も、防衛庁に参りましてから初めてこの組織を勉強いたしたのでございますが、非常に複雑なものでございます。私は政治家としての感覚で、まあ大体この程度で作業が終わるであろうという見通しをつけて、四月、五月ということでございましたが、ところが、当時この三社のうち一社が、十分にまだ機材ができ上がっておらなかった事情もございまして、そういう次第で選定の期日がおくれて参ったわけでございます。
  190. 田畑金光

    ○田畑金光君 六月中に必ず結論を出されるのですか。それともまた、六月が延びるということも考えられるわけですか。
  191. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 六月末には決定いたしたいと思いますが、あるいは若干の予定が変更になる場合があるかもしれませんが、でき得るだけ六月末までに決定いたす所存でございます。
  192. 田畑金光

    ○田畑金光君 六月末に出されるというのは、これが十分技術的に、あるいはまた部内におけるいろいろな意見調整もできるというめどのもとに六月一ぱいを考えておられるのか、それともアメリカ予算の関係――かりに七月になりますと、六四会計年度がアメリカにおいては始まる、そこでアメリカの軍事援助を受けるという関係もあって六月というめどを立てておられるのか、この点はどれが本意でしょうか。
  193. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) アメリカの対日援助の問題も考慮に入れて、まあでき得るだけ早くきめたいということで、目下作業を進めておる次第でございます。
  194. 田畑金光

    ○田畑金光君 聞くところによると、今月の二十五日ごろアメリカ軍の要人が日本にやってくる。バッジとしては、少なくともその到着二週間前に日本政府の決定が通告できなければ話し合いがむずかしい、こういうことをわれわれは聞いておりますが、答弁のように、七月にもまた延びるということになってきますと、アメリカの対日援助の関係から見てもいろいろ問題があるかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  195. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) バッジに関しましては、アメリカの対日援助が、そうあまり厳格、窮屈じゃないのでございます。ただ、アメリカとしては、できるだけ早目に、六月中に決定せられることを期待しておるでございましょうが、対日援助の問題とはあまりかたく私は考えておりません。
  196. 田畑金光

    ○田畑金光君 かたく考えていないというのは、六月が延びても差しつかえないという意味なのかどうか。さらにまた、第二次防衛計画の中では、昭和四十一年度までにバッジ・システムの整備ということを計画されております。この予算の中には、当然アメリカの援助が何%か、あるいは何割か、こういうことで援助を予定されて予算が組まれておるとわれわれは理解しておりますが、その内容について同時に御説明願いたいと思います。
  197. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 第二次防衛力整備計画を策定いたしました当時におきまして、一応二百十六億を見積もっておるのでございます。で、そのうち日本の分担は……、ちょっと間違いました、必要な経費として二百八十一億円を計上しておるのでございまして、そのうち日本の分担分として百六十五億、それからアメリカの分担として百十六億を一応私のほうで考えておるのでございますが、最近のいろいろな情勢から、アメリカの分担金についてはあまり期待できないものと判断をいたしておる次第でございます。
  198. 田畑金光

    ○田畑金光君 昨年九月丸田空将補を長とする調査団がアメリカに渡って、バッジについての調査をやり、そのレポートはすでに上司に出されておると聞いておりますが、その内容はどうなっていますか。
  199. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 昨年の十一月に丸田空将補を団長とする調査団を派遣いたしたのでありますが、これはあくまでも各社のそれぞれの機種の現状の調査報告を求めたのでありまして、特定のものについて研究されたものではないのであります。
  200. 田畑金光

    ○田畑金光君 せっかく調査団を出されて、その調査の結果が何ら防衛庁の機種選定の上に反映していないというならば、何のために調査団を出されたのか。この調査団は向こうの会社の費用負担で行ったのか、それはどうですか。
  201. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 丸田調査団のレポートは、今日まで生きているのでありまして、これも重大な資料として討議作業を続けておる次第でございます。
  202. 田畑金光

    ○田畑金光君 重要なレポートでありまするから、その内容は何かと私は尋ねているわけです。どういう内容を含んで答申がなされているか。
  203. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先ほど申し上げたとおり、各社の機種についての現状の調査であります。この調査の範囲を出ないのでありまして、これがレポートの全部の内容であります。
  204. 田畑金光

    ○田畑金光君 それは事実に私は反すると思うのです。丸田調査団の報告は、当初GE社を支持したが、その後本省の内局から突き返されて、修正報告書の提出を求めたところが、今長官のお話のように、各社の実情の報告に終わっている、こういういきさつがあるはずです。これはどういうようにしてそういうことになっておるのか。
  205. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これも、ただいま申し上げたように、丸田調査団は特定のある一社あるいは二社の現状の調査だけをしたのじゃないのでございまして、各社のものについて詳細に調査いたしたのであります。ただ、当時ある一社の機種が十分に現物として整っておらなかったせいもありまして、資料が多少不十分でございまして、その資料などをあとから取り寄せまして丸田調査団の報告に仕上げたわけでございます。したがって、部内において議論をして突っ返した、そういう事実はございません。
  206. 田畑金光

    ○田畑金光君 その報告では、三社のそれぞれの実情の調査報告になったと言っておりますが、三社とは何か、さらにその内容はどのように報告になっているのか。
  207. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) その内容は、きわめて技術的なものでございます。また各社の秘密の事項に属しておるのでございますから、ここでお話し申し上げることは差し控えたいと思います。
  208. 田畑金光

    ○田畑金光君 すでに新聞でもわれわれは承知しているわけです。しかも、この問題は国の予算に関係する問題です。また、大きな防衛方針の充実、強化という問題につながるわけです。技術的にむずかしければ、内局の補佐役をして説明させて下さい。
  209. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは、ただいま申し上げたとおり、各社の常業上の機密に関することでございまして、こういう所でお話し申し上げることは差し控えたいと思うのであります。
  210. 田畑金光

    ○田畑金光君 三社とは、どういう会社ですか。
  211. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 第一はゼネラル・エレクトリック・カンパニー第二はリットン社、第三はヒューズ社、この三社の会社でございます。
  212. 田畑金光

    ○田畑金光君 防衛庁としては、しからばどういう角度から、この三社の製品と申しますか、あるいは三社のいろいろな設計その他について、どういう角度からこの問題に取り組んでこられたわけですか。
  213. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) わが国の防空上最も必要な一つの性能がおのずからあるわけでございます。われわれの要求する性能、それからまた、財政を無視してやるわけに参りませんから、調達価格の問題、それからまた補給整備の問題がどうなるか、あるいは信頼度の問題、またこれを運用する場合における教育訓練の問題、また維持費がどういうふうにかかるか、これらの点を総合分析いたしまして選定をいたしたいと考え、相当時日をかけて目下検討いたしておる最中でございます。
  214. 田畑金光

    ○田畑金光君 防衛庁としては、四月八日に、この三社に対して、何回目か存じませんが、第何回目かの見積書を出させましたですね。そうして、その見積書が四月二十七日防衛庁に出ておるわけです。その内容についてひとつ話して下さい。
  215. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これも、お話し申し上げればけっこうなんでございますが、やはり三社の営業機密に関することでありまするから、私から申し上げるのは遠慮さしていただきたいと思います。
  216. 田畑金光

    ○田畑金光君 そういうことをあなたが一々隠したって、わかっておるのですよ。たとえば、GE社の見積書は二百七億、リットン社は百七十億、ヒューズのやつは百三十億、そういうふうにはっきり報告が、だんだん値段が下がっておるのですが、なっておるのですね、どうですか。
  217. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 田畑先生のほうで御承知願うことまで私はとやかく申すのじゃないのでありまして、私から各社の営業に関する機密を公の席上で申し上げられないということだけ申し上げておるのでございまして、さように御了承願いたいと思います。
  218. 田畑金光

    ○田畑金光君 長官が先ほど、幾つかの基準で選考を進めておると言われましたが、大きく分ければ、値段の問題だと思うのです。言うならば財政、予算の問題からの検討だと思うのです。もう一つは性能、技術の問題だと、こう思うのですが、どうでしょうか。
  219. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先ほど申し上げましたように、これはきわめて精密な機械でございまして、単に財政面、いわゆる調達価格、それから性能だけでもこれは決定されないのでございまして、やはり信頼度の問題とか、あるいはまた維持費だとか、補給整備とか、総合的な観点からこれを分析しなければ決定されないのでございます。
  220. 田畑金光

    ○田畑金光君 この問題については、内局の場合は、すでに防衛局、装備局、経理局をあげて、ヒューズ社製のやつが値段が安いと、さらにまた技術面から見ても適当であるという結論を下しているわけです。航空幕僚監部においても、松田幕僚長を除くその他の部課長は、圧倒的にヒューズ社のやつを支持しておる。これは明らかな事実のようでありますが、この真相をひとつお話し願いたい。
  221. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私は、いわゆる内局あるいは空幕の幹部諸公に一々会って意見を聞いておるわけじゃないのでございまして、ただ私の責任は、防衛庁をあずかる責任があるわけでございまするから、両方でいろいろ議を尽くし、また検討分析をして、一つにまとまれば、これは非常にけっこうなことでございまして、また私のようなしろうとが見ましても、三社の機種には、それぞれ一長一短とでもいうような、どうもしろうとで判断しかねるようなものがあるのでございまして、こういう問題は、詰めてみればおのずから結論が出るものと信じて、目下最善の努力をいたして、これを一つに、性能の最もすぐれた、また調達価格も非常に適当な機種を選ぶことに努力をいたしておる最中でございます。
  222. 田畑金光

    ○田畑金光君 五月二十一日の空幕の緊急部長会議では、リットン社製を推しておるのは松田空幕長と丸田空将補だけだ、あとは各部長ともヒューズ社製を推しておる。技術部の関係はあげてヒューズ礼装を推しておる。その比率は二対八だ。こういうような歴然たる内部における検討があるにもかかわらず、松田空幕長だけがリットン社製を推しておる。これはどういうことですか。
  223. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私は、空幕でどういう議論があって、どういうふうになっておるか承知いたしませんが、会議において大いに討論をしてやることがフェアにきめることの一つの過程でございますから、大いに議論をやれということを私は希望いたしておるのであります。しかしながら、空幕長あるいは一部の者だけがこうであるということは承知いたしておりません。大いに議論を尽くせということは、いわゆる内局の諸君にも、空幕の諸君にも、私は強く希望いたしておるところでございます。
  224. 田畑金光

    ○田畑金光君 お答えになりませんが、五月三十一日の空幕会議で、松田空幕長は、航空自衛隊は三社製のうちリットン社製のものを採用するということを決裁して、これに反する者は自衛隊の服務規律違反者として規律する、こういうようなことを言ったといっておりますが、あくまでも技術的な、しかもいろいろな面から検討しなければならぬ問題について、服務規律云々というようなことで高飛車に出るということは、長官の意思ではないと思うが、こういうような点はどういうふうに考えておりますか。
  225. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 全く私は初めて承るので、そういうことはあり得ないことでございます。したがって、そういうことは何かの雑音であろうと私は考えるのであります。
  226. 田畑金光

    ○田畑金光君 これも雑音であるかどうか。五月三十一日の空幕会議に提案した空幕としての統一見解である上申書、これは分析検討書といっておるわけですが、これが空幕の各部長は全然知らない、それが分析検討として出されておるというようなことも伝わっておりますが、これはどうですか、これも全然知りませんか。
  227. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 空幕の会議が何回も開かれて分析検討をやっておることは、十分に私は承知いたしておるのであります。しかしながら、勝手にだれかがその分析検討書を全然人の知らぬ間に作るということはあり得ないのでございまして、十分に議を尽くされた結果に基づいての一応の分析検討書であろうと私は考えておるのであります。
  228. 田畑金光

    ○田畑金光君 このように、内局と幕僚部と意見が非常に対立して、調整が困難である。しかもまた、非常に大きな広範な問題を抱えておる。これを六月一ぱいにあなたは最終的な結論が出せるのですか。
  229. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは、防衛庁の役所の中で、いわゆる内局というのは、そういう言葉があるかどうか知りませんが、そういうところと空幕の間に議論のあることはきわめて好ましいと思う、これは。議論がなければ、かえってある場合にはおかしい。どんどん大いに議論をやるべし。その議論に基づいて、一本になるようにお互いに努力し、最後に私はその方向に持っていきたい。先ほどから、お前は六月一ぱいにきめられるかというお話でございますが、私はその方針で目下進んでおるのでございますが、しかし、やはりこうした非常に困難な物事でございまするから、あるいは若干のおくれがあるかもしれませんが、必ずやる、必ず防衛庁の方針を決定する、つまり機種を決定すると申し上げておるのでありまして、若干の日にちの食い違いあるいは延期がありました場合においては、あしからず御了承願いたいと、今からおわび申し上げておく次第であります。
  230. 田畑金光

    ○田畑金光君 もうすでに、そのようにあなたの言っておることが、方針がぐらついているわけです。聞くところによると、最終決定するまでにもう一度調査団をアメリカに派遣する、こういうような方針であると私は聞いておるのですが、すでにそのことは、本日加藤官房長から新聞記者にその旨発表されておると聞いておりますが、その真相はどうですか。
  231. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは、私がだいぶ前から考えておったことでありまして、今唐突に調査団を出そうということを考えついたんじゃないのであります。これも率直に、あからさまに申し上げますが、丸田調査団が派遣せられますことは、私の前任者の長官の時代に決定されており、私が四月に就任して八月、もう何もわからない時代に、いよいよ丸田調査団派遣ということで、私が出張名簿に判こを押したことになる。そこで、その調査団が帰って参っていろいろな報告などを受けて、やがて第二回目をやらなければいかぬなということを私はひそかにそう思っておった。また、心の中で計画しておったのであります。したがって、今日に至るまでの間、防衛庁のクラブの記者諸君にも、あるいはアメリカに再度調査団々派遣する場合もあり得るということはしばしば私は申し上げておるところでございまして、あくまでも公正に、そうして巨額の税金を伴う一つの設備でありますから、少なくとも私は安全を期して、なるほどと思われるものを全力を傾倒して決定する一つの手段として考えておるのであります。
  232. 田畑金光

    ○田畑金光君 あなたのその答弁は、七月改造にはおれは残るのだという前提がなければ成り立ちませんが、どうですか、あなた残るのですか。
  233. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) それは、私のかれこれ申し上げるところではございません。私は全力を尽して今月末までには目鼻をつけたいということを申し上げておるのでございます。
  234. 田畑金光

    ○田畑金光君 答弁になりませんがね。あなたがまた今度かわればどうなるのです。次の長官もまた、おれの知らぬうちに前長官がきめておいて、おれの知らぬうちにやってしまったから判を押しただけだと、そうなったらどうなるのです。
  235. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私は、それであるから安全を期しておるのであります。私のあとに続く防衛庁長官がほんとうに安心をして、これなら日本の防衛に当たり得るというものを決定しなければ、これはたいへんなことであります。そういう責任感から、私は最善の努力をいたしておるのでありまして、内閣に残るとか残らないとか、それはさまつなことでございます。
  236. 田畑金光

    ○田畑金光君 さまつじゃないのです。非常に大きな問題です。あなたは、すぐ、前の答弁では、六月一ぱいにきめると言った。だから、調査団は今月に行って今月中に帰って結論をあなたは出して、今月中にきめるのですか、どうです。
  237. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 何回も申し上げておるとおり、私は防衛庁長官としてこの問題を決定すると申しておるのであります。
  238. 田畑金光

    ○田畑金光君 調査団はいつ派遣されて、どのような構成で、いつごろまでに帰ってきて、それの報告はいつごろ出せる予定ですか。
  239. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは、今月中に決定すると私は申し上げておるのでありまするから、その線に沿っていろいろな段取りが進められるわけでございます。派遣する調査団の構成その他は、本日から目下検討をいたしておる最中であります。
  240. 田畑金光

    ○田畑金光君 お答えにはなりません。今月一ぱいに帰ってくるのかどうかということを私は聞いているのです。
  241. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 今申し上げたとおり、今月一ぱいを目途に決定する。したがって、それに間に合うように調査もし、また調査団が帰ってこなければならぬのでありますから、これは現在、何日に出発して、どういうところを歩いて、何日に日本に帰ってどうするかということは、まだ決定いたしておりません。最後の、今月に目鼻をつけたいということで目下そのおぜん立てを進めておるのであります。
  242. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ、それじゃその程度でおさめておきますが、これは一般論としてお尋ねしますが、このようなことは、内局と幕僚とこのように意見がいろいろ衝突する場合が、これからもたびたびあり得ると思うのです。その場合に、このような問題の調整をどうするのか。シビリアン・コントロールという原則もありますが、やはりこういうような場合は、内局の意見というものは優先するという立場で指導するのかどうか。
  243. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これはシビリアンが優先することは防衛庁の基本的な方針であることは、今さら申し上げることはないのであります。ただ、物事を具体的にきめる場合に、おれのほうは優先であり、お前のほうは優先でないということでは、日本の防衛力にならない。やはり、あくまでもシビリアンも制服も、日本の防衛という問題を念頭に置いていろいろ議論もし、そうして討議を尽くせば、おのずから帰するところがあると考えておるのであります。
  244. 田畑金光

    ○田畑金光君 時間が参りましたが、これから大いに質問したいと思っておるのですが、この種の問題の取り扱いについては、私はやはり希望として申し上げますが、私はいろいろな資料を持っておるのです。こういう問題については、防衛庁として、前のロッキードやグラマンのあの騒動や醜態を繰り返したくないというので、慎重な態度で取り扱ってこられたということは、われわれは率直に認めたいと思うのです。その努力あとは。しかし、このように内局と制服との意見が混線するにあたっては、やはりその中において相当政治的な圧力もあるやに私は見ておるわけです。こういう問題の最終決定は、私は防衛庁長官がなさるものだと思うのです。その間においてやはり不当な政治的な圧力も働いておる。たとえば、私の調査によれば、六月五日の昼には、帝国ホテルにおいて、リットン社の首脳部の副社長と防衛庁の幹部が一時間にわたり余人をまじえず会談をしておる、こういうようなこと等は、いろいろ誤解を招くことだと思うのであります。せっかくあくまでも公明正大に結論を出そうとして努力をされておるにかかわらず、防衛庁の内部においてこのようなことが起きてくるとすれば、いよいよこの問題の処理解決というものを混乱させるものだと私は見ておるわけです。私は長官に願いたいことは、この問題は多くの究明する点もありましたが、時間の関係でこれで終わりますけれども、どうかひとつ、あくまでもシビリアン・コントロール、文民優先の建前に立って今後この問題の処理に当たっていただきたい。これだけを特に希望して、時間の関係でやめることにします。
  245. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 田畑委員の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  246. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、須藤五郎君。
  247. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、物価問題について質問いたしたいと思います。例のごとく、私に与えられた時間はただの五分間でありますから、一括して三点について質問することといたしたいと思います。  現在、国民は消費物価の異常な値上がりのため、生活がやっていけなくなっています。それなのに、政府は、マグロではなくサンマやイワシを食えばよいと言いましたが、マグロどころか、サンマを食うためにはふろ代を節約しなければならないのだと国民はいっておるわけです。これが普通の家庭の現状です。しかも国民は、この現状だけではなく、将来も引き続いて物価が上がっていくのじゃないかと深刻な不安を抱いております。政府は、死んだ統計をいじくってごまかしを言うのでなく、この国民の生活の実態に触れ、その真の声を聞いて対策を立てるべきであります。私は、本委員会が、東京、大阪、名古屋、福岡等で大衆的公聴会を開く必要があると考えるので、委員長はこのことの実現に努力をしてもらいたいと思います。また、これには、池田総理と経済閣僚全員が必ず出席すべきであると思うが、経済企画庁長官は、これに応じ、国民の真の声を聞く決意があるかどうかをお聞きいたしたいと思います。  次は、消費物価上昇の根本原因は何かということであります。この点について、いろいろの人がいろいろと言っているが、しかし、だれも真の原因に触れていません。政府は、消費物価の中で上がったのは、生産性の低い生鮮食料品、サービス料金、中小企業製品だと言って、あたかも労働者、農民、漁民、中小企業家に原因があるかのように言っております。これは、現象と原因とをすりかえるものであります。政府責任を、すべて、労働者、農民、中小企業家と消費者に転嫁しようとするものであります。このような政府態度は、全く盗人たけだけしいと言わなければならないのであります。真の原因は、日本を含めて、世界資本主義諸国が、通貨価値の安定、物価の安定をもはや達成することができなくなった、それほど危機が深刻になったということであります。米、英、仏、西独、みなそうではありませんか。中でも、日本は特別にひどいのであります。なぜかと言いますと、これら資本主義諸国とだけ結合を深めようとし、アメリカから特別にきびしい自由化を押しつけられる中でめちゃくちゃな資本蓄積をやって、そのために、物価の上昇は異常に激しくなりました。危機が深まるにつれて、物価は今後も恒常的に上がり続けるに相違ありません。  ところが、政府は、真の原因を見ようとせず、また見ることもできず、物価対策に名をかりて、労働者には低賃金、農民には低米価、中小企業には倒産を押しつけることにやっきになっております。政府は、一体、まじめに物価を引き下げ、安定させるつもりがあるのかどうか、またできると断言できるかどうか、これをお聞きしたいと思います。  第三は、物価を長期安定させるためには、このような異常な物価高を必然にする政治、経済政策を根本的に変えなければ達成されるものではありません。一言で言えば、安保条約破棄、自主、平等、互恵に基づく社会主義国その他あらゆる国との経済交流、国民の生活向上、立場を貫くことであります。そして、この方向に向けて、当面第一に、独占資本本位の財政金融政策をやめる、独占利潤の制限、軍事費、治安対策費の削減、第二に大幅賃上げ、最低賃金制の確立、物価にスライドした賃金の確保、米価初め農業生産物の価格支持と安定、消費者米価の引き下げ、独占価格と公共料金の引き下げ、中小企業の自主的近代化の促進、社会保障の拡充と大衆のための大幅減税、これが最低限必要な国民のための措置であります。これは、国民生活を向上させる道であると同時に、国民のための真の物価対策であります。政府は、この国民要求を直ちに実行するかどうか、以上三点について、はっきりと答弁を求めます。
  248. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 公聴会云々につきましては、当委員会の御決定になることでございますので、かりにそういうふうに御決定になりましてから、政府としていかにすべきかということを申し上げましてもよろしいかと思いますが、国民の物価についてのなまの声はできるだけ聞くことが私どもの当然の義務と心得ております。  それから物価の安定につきましては、今後ともまじめに努力をいたして参る所存であります。
  249. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 物価に対しては、経済企画庁長官が述べましたとおり、長期安定的な方向で、政府をあげて対策を立てたいと存じます。  それから先ほどの御発言の中で、政府は財政、経済金融政策に対して独占資本を中心にという言葉がございましたけれども、そのような財政、経済政策はとっておりません。  減税につきましては、毎度申し上げておりますとおり、過去十年近い間に一兆一千億、過年度累計でもやっておりまして、しかも、中小所得者の減税を中心にずっとやってきております。三十九年度以降の問題につきましては、税制調査会等の答申を尊重して対処して参りたいと考えております。
  250. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 賃金の問題につきまして御質問がございましたが、政府といたしましては、貸金は労使の自主的な団体交渉によって決定をさるべきものであると考えているのでございます。ただしかしながら、不当なる低賃金を抑制し、賃金の適当なる水準を維持するということは、労働者を保護するために当然考えるべきでございまして、最低賃金につきましては、業者間協定を指導しながら、その額ができるだけ今日の実情に適合したものでありますようにいたして参りたいと思っております。ただ、さような意味におきまして、よほど早い時期にできた最低賃金の協定は、今日から見ますと、相当低きに失するというものもございますが、これにつきましては、行政指導によりまして、今日おかしくない貸金水準を維持させるようにいたしているところでございます。  なお、賃金のスライドの問題について御質問になりましたが、物価に並行して賃金が適切な額を維持するということは、これは望ましいことと考えておりますが、ただ、技術的方法といたしまして、スライド式で自動的に賃金が物価に応じて上げ下げをするというようなことは、現在のところ、なかなかこれが実行の点に難点がある次第であります。が、しかし、今後の問題として研究する価値のある問題だとは思っております。
  251. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 物価の安定につきましては、総合対策をしなければならないことはもちろんでございますが、物価の上昇は低所得者に対する影響がきわめて大きいのでございまして、厚生大臣としては、社会保障を進めるとともに、また、所管の事項につきましては、行政指導で十分善処いたしている次第であります。
  252. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 経済企画庁長官。
  253. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 時間が参りました。
  254. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 経済企画庁長官、あなたあんな不誠意な答弁をしてはだめです。物価統制してうまくやっていこうと申しますが、何ら方法が取られていない。私は、ちゃんと物価安定解決の方法を示しているんです。あなた利口な人だから、ちゃんとわかっていると思う。ところが知らぬ顔をしている。私の言うようにしなければ、物価問題は解決しない。もし解決の方法があるというならば、ここで具体的にその解決の方法を述べてもらいたい。――やりなさい。答えられないか。答えるべきですよ。それを私は質問しておるんですよ、あなたに。方法があるなら述べてもらいたい。私たちの言うこと以外に方法があるかどうか。その点、明らかにしなかったら問題にならないですよ。
  255. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 政府から御答弁はないようでございます。  以上をもちまして、質疑通告者の発言は全部終了いたしました。     ―――――――――――――
  256. 木内四郎

    委員長木内四郎君) この際、お諮りいたします。  この会期中に、予算執行状況に関する調査を完了することは困難であると考えられますので、閉会中も引き続き調査を行なうことにいたしたいと思いますが御異議ございませいんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  なお、要求書の内容及び提出手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  258. 木内四郎

    委員長木内四郎君) さらに、閉会中の委員派遣でございますが、本件の取り扱いについては、便宜委員長に御一任願っておき、必要ある場合は、委員長が理事各位と協議をいたし、派遣目的、派遣地、参加人員の人選等を定めてこれを行ないたいと存じますが、さよう取り計らうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会