○須藤五郎君 私の割当時間はきわめて短いので、一括
質問をいたしたいと思います。
総理のお手元に項目別
質問要項を差し上げてありますので、一つ一つについて明確な答弁をしていただきたい、このことを初めに要求して、
質問に入ります。
問題は、アメリカの原子力潜水艦日本寄港問題であります。
政府は、先日、中間報告なる文書を発表いたしましたが、これはわが党を初め、国会と
国民の要求している日米往復文書の原文の公開ではなく、外務省のごまかしの宣伝的作文にすぎないもので、絶対に認めるわけにはいきません。
政府は、原子力潜水艦日本寄港に関するアメリカの要求は、安保条約に基づくアメリカの権利であり、日本の義務であるという
立場をとっています。大平外務大臣の談話でも、
政府としては安保条約により、その寄港に
異議を唱える筋合いではないと言っており、国会答弁でも、しばしば安保条約上許可するとか許可しないとかの問題ではない、こう言っておるのであります。
政府がこういう
立場に立つ限り、
事態はまことに重大になります。
第一に、この原子力潜水艦は、安保条約と地位協定、つまり行政協定によって、他の在日米軍と同様に、包括的な権利、権能を持つことができることになります。
第二に、したがって、この原子力潜水艦は、一年中日本に出入りし駐留し得ることになるし、これを条約上、日本
政府は拒否できないことになります。中間報告で一カ月に一回、一週間くらいなどと言っていることは、単にごまかしにすぎません、また、この原子力潜水艦は、中間報告でいわれている横加賀、佐世保だけでなく、たとえば神戸港でも、大阪港でも、どこでも在日米海軍基地には、アメリカの都合で自由に入港することになりますし、日本
政府は条約上拒否できないことになります。
第三に、
政府の
見解によれば、在日米軍基地は、すべて直接、戦闘、作戦行動に使用する以外は、事前協議の
対象にならないことになっています。その
考え方でいくと、原子力潜水艦基地は、少なくとも直接、戦闘、作戦行動以外の軍事基地として使用することができることになります。だから、中間報告のごとく、乗組員の休養と補給のための寄港などということは、全く欺瞞にすぎません。しかも、実際には、潜水艦基地が戦闘、作戦行動に使われているかどうかということを認定することは、
現実的に不可能であるばかりか、アメリカの原子力潜水艦は、軍の命令によって、常に臨戦体制に置かれていることは、天下周知のことでありますから、実際には原子力潜水艦の基地が、戦闘、作戦行動に使われることは、きわめてはっきりしていることであります。
第四に、さらに重大なことは、この安保条約第六条は、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」となっています。つまり、
政府がアメリカの原子力潜水艦寄港要求を安保条約上当然の権利であり、日本の義務であるとする限り、
政府の宣伝とは全く逆に、在日米原子力潜水艦基地は、恒久的基地として、極東の平和と安全、つまりアメリカの極東戦略のための軍事基地となるのであります。これは明らかにアメリカの核戦略、極東戦略の一環として、日本が縛りつけられることを
意味します。このことは、
政府の中間報告にも、その一端が現われております。中間報告の寄港
目的には、日本の安全のためという言葉すら見当たりません。これは、今回の原子力潜水艦の寄港が日本の安全と何のかかわり合いもないことをはしなくも暴露しているのであります。問うに答えず語るに落ちるということは、このことだと思います。
以上私の四項目にわたる
指摘を、
政府は、安保条約及び行政協定上はっきり否定できるかどうか。もし否定できるならば、その根拠を明確に示していただきたい。
最近の
池田内閣の
政策は、アメリカの核戦略に基づく対日要求を積極的に受け入れ、これを進んで実行しています。そのために安保条約をあの手この手でごまかし、抜け穴を拡大し、安保条約のただ一つのごまかしである事前協議すらかなぐり捨てておるのであります。この
政府の態度は、日本の平和と安全をますます危険なものとしています。これに対し、当然のことながら
国民はあげて反対をしております。私は、明らかに核兵器である原子力戦水濫やF105戦闘爆撃機の日本配置を
政府が即時拒否するとともに、進んで日本
国民の災いの根源である安保条約を破棄することを要求し、答弁を求めるものであります。