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戸叶武君 最後に、
池田さんに
お尋ねします。私はやはり近代
政治というものは、ナショナル・ガバメントを通じてもっと強力な企画性と、てきぱきものをやっていくところの能力を持っていかなければいけないのじゃないかと思いますが、
池田内閣に私はそれを要望すると同時に、どっちかといえば、やはり資本の蓄積ということだけに重点を置いて、少数者の、税制その他においても、保護に傾いておるようですが、もっと私は大衆を
信頼しなければだめだと思います。エアハルト氏が言っているように、大衆の生産力、大衆の
購買力というものが
国民経済を拡大していくところの基礎だと私たちは思うのでありまして、その点においては
高度経済成長ということが私たちは必ずしも悪いとは思わないのですけれ
ども、それによって出てきたところのもろもろの欠陥というものを是正して、
池田内閣の国内
政治というものを私はもっと転換していくべきであるというのが
一つ。
それからもう
一つは、やっぱり中国問題です。
池田さんは、やはりアメリカから若干文句は出ても、ソ連や中国に対する
貿易は進めようという非常に用意周到であるが、やはり信念は曲げていないようですが、それたけでなく、私はアメリカは言えばわかる
国民だと思います。アメリカに対する誤解は非常に強いと思いますけれ
ども、それはやはりアメリカの権威に押されて、アメリカに真実のことを訴える見識と勇気を各国の指導者が欠いているからでございます。それと同時に、中国の問題ソ連とのいきさつというものは、私は終戦まぎわのヤルタ密秘協定以来、外蒙の主権というものを奪って独立して以来、やはり深い根があると私は見ておるのでありまして、ソ連と中共と対立するということも不幸なことですけれ
ども、今のようにアメリカの偏見とソ連の
考え方だけでもって何か中国はあぶない危険な指導者に満ちているというような見方、断定をしないで、やはり国際社会に窓を開いてくることが大切で、ナポレオンがやった大陸封鎖というものがナポレオンを自滅させたように、アメリカがキューバをいじめ過ぎているからキューバにかみつかれるのであって、窮鼠ネコをかむというような形で手こずっているのだと思いますが、やはり中国を国際社会のあるべき地位につけてやるということなしには、アジアの平和なり安定というものはできない。六億五千万からの中国人民を除いてアジア問題を解決することはできないし、特に核兵器を持ってからだと、なかなかむずかしい問題も起きると思いますが、私は、
日本がほんとうに中国問題を片づけて、そうして
日本と中国との
立場は違うけれ
ども、融合という実績を通じて、やはりアメリカなり西欧社会との結びつきをやるということが大切じゃないか、そういうふうな、重荷に過ぎて、なかなか現実はむずかしいかもしれませんけれ
ども、むずかしいことを開いていくというものが
政治家で、
池田さんももうずいぶん人相からいっても、前からいうとずいぶんよくなった。人相のことを言っちゃ悪いけれ
ども(笑声)やはり風格が出てきたと思う。これからあとは、私は歴史に残るような記録を作っていくということが
政治家としてのほんとうの面目だと思うのです。
政治家の生命は見識だし、
政治家の残していかなければならないのは経綸だし、その自分の足跡を通じて歴史を作るということが、やはり大
政治家として
一つの信念でなければならないと思うのですが、この問題に対して、特に
池田さんは、この行き詰まった、
日本だけじゃない、世界の外交における
日本の役割というものを、もっと明確に私は御
説明願いたいと思います。