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1963-03-30 第43回国会 参議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月三十日(土曜日)    午前十時五十分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十七号   昭和三十八年三月三十日   午前十時開議  第一 昭和三十八年度一般会計予   算  第二 昭和三十八年度特別会計予   算  第三 昭和三十八年度政府関係機   関予算  第四 漁港法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  第五 漁港法第十七条第三項の規   定に基づき、漁港整備計画の変   更について承認を求めるの件   (衆議院送付)  第六 農薬取締法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第七 国立学校設置法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議   院送付)  第八 中小企業振興資金等助成法   の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第九 中小企業近代化促進法案   (内閣提出衆議院送付)  第一〇 所得税法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第一一 法人税法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第一二 租税特別措置法の一部を   改正する法律案内閣提出、衆   議院送付)  第一三 中小企業高度化資金融通   特別会計法案内閣提出衆議   院送付)  第一四 日本航空株式会社法の一   部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第一五 電波法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一昭和三十八年度一般   会計予算  一、日程第二 昭和三十八年度特別   会計予算  一、日程第三 昭和三十八年度政府   関係機関予算  一、日程第四 漁港法の一部を改正   する法律案  一、日程第五 漁港法第十七条第三   項の規定に基づき、漁港整備計画   の変更について承認を求めるの件  一、日程第六 農薬取締法の一部を   改正する法律案  一、日程第七 国立学校設置法の一   部を改正する法律案  一、日程第八 中小企業振興資金等   助成法の一部を改正する法律案  一、日程第九 中小企業近代化促進   法案  一、日程第十 所得税法の一部を改   正する法律案  一、日程第十一 法人税法の一部を   改正する法律案  一、日程第十二 租税特別措置法の   一部を改正する法律案  一、日程第十三 中小企業高度化資   金融通特別会計法案  一、日程第十四 日本航空株式会社   法の一部を改正する法律案  一、日程第十五 電波法の一部を改   正する法律案  一、関税定率法等の一部を改正する   法律案  一、外貨公債発行に関する法律案  一、船舶職員法の一部を改正する法   律案  一、地方自治法第百五十六条第六項   の規定に基づき、鉱山保安監督署   の設置に関し承認を求めるの件  一、国民健康保険法等の一部を改正   する法律案  一、文部省設置法の一部を改正する   法律案  一、運輸省設置法の一部を改正する   法律案  一、厚生省設置法及び国立光明寮設   置法の一部を改正する法律案     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、昭和三十八年度一般会計予算、  日程第二、昭和三十八年度特別会計予算、  日程第三、昭和三十八年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。予算委員長木内四郎君。   〔木内四郎登壇拍手
  5. 木内四郎

    木内四郎君 ただいま議題となりました昭和三十八年度予算三案の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  昭和三十八年度予算は、政府説明によりますと、国際収支均衡を確保しながら経済各分野の均衡をはかり、長期にわたる安定的成長基盤充実強化していくことを、基本方針として編成されたものでありまして、新しい安定成長への地固めの年を目標に、社会資本充実産業基盤の強化、文教の振興社会保障充実等施策重点を置くとともに、租税におきましては、国民生活の安定に資するため、税負担一般的軽減をはかること、及び、現下の経済情勢にかんがみ、産業及び金融上の要請に対応するための措置を講ずることにより、平年度五百四十億円、初年度五百四十二億円の減税を行なうこととしております。  かくて、昭和三十八年度一般会計予算規模総額二兆八千五百億円と相なっておりまして、三十七年度の当初予算に比し、四千二百三十二億円の増加となっており、国民所得に対する割合は、三十七年度の一六・九六%に対し、一七・一二%と増加しております。  また、昭和三十八年度財政投融資計画規模は、外貨債を含め、総額一兆一千九十七億円でありまして、前年度の当初計画に比べ、二千四十五億円の増加と相なっております。  次に、昭和三十八年度特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、一般会計に準じ、経費の重点的効率的使用をはかり、事業の円滑な遂行を期することを主眼としております。  なお、三十八年度におきましては、新たに中小企業高度化資金融通特別会計を設くることとしておりますが、既存の特定物資納付金処理特別会計は、三十七年度限り廃止することとしております。これらの予算の詳細なる内容につきましては、すでに本議場におきまして大蔵大臣から説明がございましたので、省略させていただきたいと存じます。  本予算三案は、一月二十二日、国会に提出され、予算委員会におきましては、さきに一月二十八日、大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、三月二日、衆議院からの送付を待って、四日から審査に入りました。自来、委員会を開くこと十六回、その間、二日間にわたって公聴会を、また二日間にわたって分科会を開くなど、慎重に審議を重ねて参りました。  以下、予算委員会における質疑の若干のものにつきまして、その要旨を御報告いたしたいと思います。  まず、外交問題につきましては、当面の日韓会談日米綿製品交渉、低開発国援助問題、対共産圏貿易の問題をめぐり、活発な質疑が行なわれましたが、特に日韓会談の問題に論議が集中いたしまして、「韓国の政情は民政移管スケジュールをめぐり大きく動揺を続けており、国民は、不安定な朴政権相手として会談を続けている政府態度に納得していない。政府日韓会談を打ち切るべきではないか。請求権問題について合意された有償無償合わせて五億ドルというのは、形は経済援助であっても、実質的には先方の主張に大幅に屈したことにならないか。請求権問題についてわがほうが譲歩し、李ライン問題について先方の譲歩を期待するという考えは、韓国の現状では危険ではないか。また、請求権問題の解決が北鮮地域に及ばないという説明は、日韓国交調整条約に累を残すことになりはしないか。軍令三十三号による日本人の在韓私有財産没収陸戦法規の違反であり、個人損害賠償請求権は残るのではないか。漁船拿捕の問題を日韓会談の対象に取り上げているか。拿捕された漁船の数及び損害額はどのくらいか」等の質疑がありましたが、これに対しましては、総理大臣外務大臣から、「韓国民政移管スケジュールが延びることは遺憾であるが、先方から合理的建設的提案があればこれを断わる理由はない。したがって、現在の姿勢を変える考えはないが、先方政権の推移、政治勢力動向については、十分考えながら交渉を進めていきたい。請求権問題については、法律論で貫くことが事実上困難であるため、次善の策として、請求権はお互いにないことにしようということを了解し合ったのであり、請求権問題と経済協力は観念上全然別個のものである。北鮮地域に及ばないという点については、韓国国連決議により三十八度線以南を支配する合法政府とされている以上やむを得ない。在韓日本人私有財産没収陸戦法規を逸脱した行為としても、最終的に平和条約日本請求権を放棄したことにより消滅している。李ラインにおける拿捕漁船の総数は三百四隻、損害の見積もりは大体七十億円前後であり、漁業交渉の一環として取り上げられている」旨答弁がありました。  次に、経済政策につきまして、「所得倍増計画の予想した数字と実績とは著しく乖離しており、経済政策基準とはなり得なくなったが、根本的に改定の必要があるのではないか。総理は、今後の日本経済伸び率は何パーセントくらいが安定的で望ましいと思うか。高度成長から安定成長に移る場合、設備投資水準はかなり低くなると思うがどうか。また、日本経済がいつも極端な景気変動に見舞われるのは、政府経済運営が、投資生産拡大を重視し、需要面国民生活とのバランスを軽視しているためである。しかも、景気の激動による犠牲者は常に中小企業勤労者、農民である。雇用、賃金所得の増大を通じて個人消費支出拡大により均衡をはかるべきではないか。さらに消費者物価については、三十六年は五・三%、三十七年は六・三%と連騰し、三十五年基準で最近は一一七・五となっているが、政府所得倍増計画においてはこのような大幅な物価騰貴を予想していたのかどうか。政府計画では明年度二・八%の上昇となっているが、すでにその前提はくずれているのではないか」等の質疑がありました。これに対し、内閣総理大臣経済企画庁長官及び関係大臣から、「三十六、七、八年度国民総生産額は、国民所得倍増計画の予想した数字とある程度開きがあるが、その原因については政府においても詳しい分析を行ない、将来の指針とすることを考えている。今後の安定成長めどとしては、十年以内の倍増では七・七%で十分だと思うが、OECDが五%目標というのなら、日本は七、八%くらいはそう無理をせずにできると思う。設備投資水準は幾らが妥当かについては、まだ研究が行き届いていないが、この分析により何らかの手がかりは得られると思う。倍増計画において、消費者物価水準動向が必ずしもはっきり規定されていなかったし、検討が不十分だった点は認めざるを得ないが、最近の消費者物価上昇要因の九割は生鮮食料品であるので、政策よろしきを得れば二・八%でいけないはずはないと思う。政府経済運営にあたっての基本的な考え方拡大均衡であり、業種により供給力拡大が進み過ぎている面があっても、自由経済下ではいたし方ない。この意味で、三十八年度予算も、この供給力増加とのつり合いを十分に考えて編成したものである。個人消費支出先進国の例では六五%ないし七〇%となっているが、あまり国民消費が多過ぎると、国際収支相当影響がある、わが国設備投資その他の関係が十分でないので、六〇%くらいまではいくことが理想であるが、三十九年度に六〇%までいくのはどうかと思う」との答弁がありました。  減税問題につきましては、「政府減税案税制調査会答申を無視し、一般減税に振り向けるべき財源を大企業や大所得者のための政策減税に充当している。答申では、所得税累進課税になっているため、物価上昇があると、名目所得に対する税の負担実質所得に対する税の負担をこえて増加するので、特に低所得者については、その負担増加分調整しないと、実質的な増税になるといっているが、今回の減税では、その調整ができているのか。また、所得税住民税を合わせた場合は軽減になっていないのではないか。今後の減税についてはどう考えているか」等の質疑がありましたが、これに対して、大蔵自治の各大臣及び関係政府委員から、「今回の所得税減税によっても、所得伸び物価騰貴考えた実質的な負担増相当程度まで調整されており、前年度より所得伸びを六%、消費者物価上昇を二・八%と見た場合、標準世帯最高年所得百二十一万円までは、完全に実質負担増調整されている。また、所得税住民税を合わせた場合でも、市町村民税準拠税率が昨年度改正で今年度から一割程度引き下げられることになっているので、消費者物価上昇二・八%を考えても増税にはならない。減税は今後も税制調査会答申を待って大いに進めていく」旨の答弁がありました。  また、建設公債発行の問題につきましては、「道路建設については、政府も超重点施策として取り上げてはいるが、道路建設を飛躍的に促進するため、その財源の一部として道路公債を考慮すべきではないか。ガソリン税を見返りとした建設公債発行は、何ら健全財政主義にもとるものではないと思う。歴代の大蔵大臣外債なら健全財政主義に沿うが、内債はそうではないとされるけれども、金融と通貨に及ぼす影響から見れば、内債外債もそう違わない。また、国内金融の立場から考えると、今日ある程度国債市場に出るととが金融正常化見地から歓迎される時期に来ていると思うがどうか」との質疑がございました。これに対し内閣総理大臣及び大蔵大臣より、「ガソリン税を原資とする建設公債発行は、数年前政府でも考えたことはあるが、まだ踏み切れない。現在は二兆一千億円の第三次改訂計画実施中であるが、来年度予算編成期までにさらにこれを改訂する機運にあり、さらに、都市開発の問題、新産業都市の問題、港湾整備の問題なども総合的に検討する必要もあるので、その時期まで道路建設公債問題は慎重に考えたい。外債発行する理由は、外貨債発行すること自体日本国際信用のバロメーターにもなるし、発行額はおのずから制約を受けるという意味で、健全財政主義に沿うものと思う。国内金融調整見地から国債発行をしてよろしいという議論はあると思うが、本予算編成に際しても政府保証債を相当大幅に発行しており、これらの引き受け問題についても、公社債流通市場育成、公定歩合の引き下げ、買オペ制度創設等、昨年来金融正常化への努力を続けている。国債発行については慎重な態度で臨みたい」旨の答弁がありました。  農地買収者の問題につきましては、「政府はこれまで農地改革による農地買収は合憲であり、補償考えはないとしてきたにもかかわらず、最近に至って報償は必要だといい、明確を欠いている。政府の基本的な考え方を聞きたい。三十八年度予算に計上した調査費はどういう前提とどういう目的のために組んだのか。国が強制買収をしてまだ売り渡していない農地は幾らあるか。それらの農地は国がすぐ処分できるのかどうか。農地買収者の問題について調査が必要なら、海外財産を残して引き揚げた者に対する調査もなぜ考えないのか」等の質疑がありましたが、これに対しましては、大蔵、農林の各大臣及び総理府総務長官から、「農地改革による農地買収は、最高裁の判決もあり、適法であるので、法律上の補償は全く考えていない。しかし農地解放の行なわれた当時の事情や、特に二十九年に農地法改正され転用が認められた際、旧地主先買権を認めなかったなど、違法性はないが、配慮に欠けるところがなかったとはいえない。これがため数年来旧地主対策について論議が絶えないので、何らかの結論を下すために農地買収者に関する調査費予算を計上したものである。政府はこの問題については、「何らかの報償措置が必要だが」というところまで決定しているのであって、この調査の結果に待ち、国民の世論に聞いた後、政府措置しようとするのである。強制買収を行なったが売り渡し未済国有農地面積は約一万一千五百町歩であるが、この国有農地は、農地法自作農創設法の建前上、にわかに国が処分できるものではない。海外引揚者の問題については、すでに三十二年の審議会答申による五百億円にわたる措置で完了している」旨の答弁がありました。  次は、貿易自由化の問題につきまして、「わが国IMF理事会日本に対する八条国移行勧告決議を受諾する態度を明らかにしているが、これにより残存一二%の自由化についてはどのような品目から自由化していくか。その実施の時期はいつか。またウエーバー申請をし自由化適用除外とするものの配慮などはどうするか」などの質疑がありました。これに対し、池田総理大臣及び関係大臣から、「残り一二%の自由化についてもできるだけ早い機会に行なうのが望ましいが、国内産業に及ぼす影響も大きいので、これら産業育成をすることが必要であり、国際競争力がついたものについて自由化を進めていく。しかし相手国のほうが差別待遇をしていたのでは意味がないので、その辺をにらみ合わせて自由化をしていく。ここで、どの品目について、どのような順序でやるという段階にきてはいない。八条国移行の期間については、おおむねの目標として、来年五月に東京で開催されるIMFの総会の時期をめどにしながら、諸般の問題を整備したい」との答弁がありました。  以上のほか、外交、防衛関係につきましては、米原子力潜水艦の寄港と安全保障の問題、沖繩自治権財政援助の問題、米国の対外援助費削減方針影響産業政策につきましては、特定産業振興臨時措置法の問題、中小企業対策、鉄鋼、海運等不振産業対策砂糖自由化国内甘味資源対策酪農対策と乳価問題、公共事業関係につきましては、土地及び住宅対策水資源の活用と河川の管理、道路整備計画改訂、新産業都市指定国土総合開発の問題、その他、科学技術振興精薄児及び肢体不自由児教育生活扶助料引き上げ母子世帯の保護、移住行政公明選挙と政治資金規正問題及び新聞報道等質疑は広範にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて昨日をもちまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して北村委員反対、自由民主党を代表して川上委員賛成公明会を代表して小平委員反対、第二院クラブの大竹委員賛成民主社会党を代表して田畑委員反対日本共産党を代表して須藤委員反対の旨、それぞれ意見を述べられました。  討論を終局し、採決の結果、昭和三十八年度予算三案は、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。北村暢君。   〔北村暢登壇拍手
  7. 北村暢

    北村暢君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和三十八年度一般会計等予算三案に対しまして、反対討論をいたします。  まず第一は、高度成長政策のために起こった日本経済のひずみについて申し上げます。  世界をびっくりさせるような猛スピードの高度成長があったことは事実であります。しかし、反面、この高度成長のために国際収支の危機を招き、金融引き締めを余儀なくされ、現在の不況をもたらしたのであります。そして国民生活に多くの矛盾と欠陥を引き起こしているのであります。たとえば、不況にもかかわらず消費者物価上昇し、国民生活を圧迫していること、産業間格差地域間格差企業間格差個人間格差等、二重構造が拡大していること、あるいは設備投資の行き過ぎのために公共投資が立ちおくれていること、あるいは労働力需給のアンバランスが起きていることなど、例をあげれば限りがありません。高度成長国民生活矛盾をもたらしたばかりでなく、また無政府的な設備投資競争の結果、資本自体にとっても過剰設備問題が顕在化し、深刻な矛盾に逢着しているのであります。政府は、三十八年度経済見通しを、上期は停滞気味で、下期には次第にゆるやかな上昇過程に向かうだろうとしておりますが、最近では池田総理は、秋を待たずして景気は好転するだろうと、きわめて楽観的であります。しかしながら、高度成長の傷あとは意外に深く、日本経済の苦悩は相当長く続くものと予想せられるのであります。ここに日本経済転型期といわれ、これまでのような設備投資型の高度成長の再現はあり得ないし、また、あってはならないのであります。われわれが今後日本経済に期待するものは、国内消費水準上昇によって有効需要増加をはかり、経済のひずみを逐次解消しつつ安定的発展を期し、健全なる経済基盤の上に貿易振興に努めるべきであると思うのであります。しかるに、政府経済の実勢を無視し、次から次へとカンフル注射的景気刺激対策を強行しているのであります。われわれは、池田首相自己過信に陥り、日本経済を破局に導くことのないように、自重を要望するものであります。  第二は、予算規模についてであります。  昭和三十八年度予算は、一般会計二兆八千五百億円、財政投融資計画一兆一千九億円と、三十六、三十七年度に続き大型積極予算が誕生したのであります。その背景には幾多の理由があると思いますが、過剰生産設備顕在化によって不況深刻化、長期化したため、財政面から積極的に景気浮揚力を持たせようと企図したことは明らかであります。ここにおいて、当初の健全均衡予算編成方針は、完全に有名無実化したのであります。そして、予算財源確保のために、いろいろの矛盾に満ちた金づくり政策が強行せられたのであります。すなわち、政策的に経済成長率を一%引き上げ実質成長率六・一%とし、六、七百億円の税の自然増収を見込んだこと、昨年の一千億減税の公約から、わずかに五百四十二億円と減税額最小限度にとどめたこと、重油関税引き上げで四十九億円、消費者米価の値上げで五百億円を国民負担に転嫁したことなどが、あげられるのであります。さらに、一般会計の分で足りず、財政投融資計画金づくり政策発展しているのであります。この財政投融資計画金づくり政策は、国内公募債借入金一千三百三十二億円、前年度対比三百十億円増と、外債五百六十八億円、前年度対比百十二億円増であり、その内訳は産投外貨債二百三億円、電電公社等政府保証債が二百三十四億円、道路公団等世銀借款が百三十一億円であります。日本銀行の買いオペ方式によって公募債発行のためのインフレ防止策実施しておりますが、買いオペ方式は、運用を誤ると、政府保証債日銀引き受けと実質的には変わらず、さらに赤字公債引き受け発展し、インフレ要因を誘発する危険性があります。以上述べたような金づくり政策は、翌年に繰り越される余剰金の食いつぶしとなり、三十九年度財源難は必至であります。予算審議過程で、池田総理は「公債発行を罪悪視することは間違いであると」発言しております。このことは、三十九年度公債発行増加の予防線とも見られるのであります。本年度予算全体を見るとき、一切の財政措置が、対策という大義名分にすり変えられて容認せられているところに注目しなければなりません。われわれも財政景気対策的役割を持たせることは、本筋でないことを承知の上で、必ずしも反対ではありません。問題は内容であります。政府案は、その効果を大資本に限定し、経済発展に対し多くの矛盾拡大する内容をはらんでいることを指摘しておかなければなりません。  第三は、減税の問題についてであります。  その一は、政策減税についてであります。今回の政策減税は、利子所得に対する分離課税特例配当所得に対する源泉徴収税率特例措置を今後二年間存続することとし、さらに、両者の税率現行一〇%を五%に引き下げることにしております。これによって、利子所得課税の分七十六億円、配当所得課税の分百二十五億円、計二百一億円の減税実施しようとするものであります。実は、この二つの減税特別措置は、そもそも本年度末で期限切れになることになっていたのでありますから、減税恩典は二百一億円にとどまらず、期限切れになった場合に比べますと、利子所得の分三百六十億、配当所得の分二百十億、計五百七十億円に達する膨大な減税恩典を受けることになるのであります。しかも、過去における減税効果については、はっきりしたデータがないのであります。いずれにしても、今回の政策減税は、税負担の公平の原則を無視し、低金利政策のかわりの裏づけとして、担税能力のある銀行資本、大企業、高額所得者に対する不当な優遇措置であると言わなければなりません。  その二は、所得税減税であります。税制調査会は、所得税減税額を初年度三百九十三億円、平年度四百六十二億円を答申したのでありますが、政府は、これを初年度二百七十七億円、平年度三百二十億円に減額したのであります。それは、税制調査会答申の基礎控除、配偶者控除、扶養控除、専従者控除の各控除額一万円引き上げを、配偶者以下の控除額を五千円にとどめたことによるのであります。そのために、標準世帯の課税最低限は、給与所得者の場合、現行四十一万六千八百六十円を四十三万八千六百三十二円に引き上げられたにとどまったのであります。ところが、同じ世帯の配当所得者の場合は百六十五万円まで無税であります。額に汗して働く給与所得者は四十四万円で税金がかかり、寝ていて配当所得だけで生活をしている配当所得者は、百六十五万円でようやく税金がかかるというのでありますから、だれが見ても不公平であることは明らかであります。また、所得税納税者数は、昭和三十年度は一千万人であったのが、昭和三十六年では一千二百四十万人、三十八年度では一千八百五十万人に急増するものと推定されております。この点一つ見ましても、実質増税の実態がはっきりするのであります。  税制調査会長の中山伊知郎氏も、「三十八年度政府減税案は、消費者物価の値上がり分を埋め合わせることができず、実質的に増税だ」と、きめつけております。しかるに政府は、三十八年度の担税率は二一・五%と、三十七年度の二二・二%より低く、政府減税案は最善のものだとしております。担税率は、税制調査会の多くの意見として、二〇%が適当であるとしております。したがって、まだまだ減税の余地はあります。政府は、大資本、大企業に有利な三千億円になんなんとする租税特別措置減税の整理解消をはかり、減税の本質である所得税の大幅減税を断行すべきであります。  第四は、公共投資についてであります。  今回、景気対策として、公共投資は大幅に増額されました。高度成長下における私的民間設備投資は、無政府的合理化競争によって急速に伸びているのであるが、一方、道路、港湾、工業用水、工業用地等の産業基盤に対する社会的公共投資のおくれがひどくなり、せっかくの生産設備の拡大も、生産力を十分発揮できないというアンバランスを生じているのであります。したがって、今次予算において産業基盤整備のための公共投資重点的に取り上げられていることには必ずも反対はいたしません。しかしながら、今日、公共投資内容において、産業基盤整備と民生関係の生活環境整備とのアンバランスがはなはだしく拡大しているところに問題があります。すなわち、産業基盤整備は、大都市中心に、大企業に有利に行なわれており、生活環境整備のための庶民住宅、上下水道、教育文化施設、公園、病院、庶民用の道路、交通機関等は、はなはだしく立ちおくれており、義理にも文化国家とはいえない現状であります。三十八年度予算においても、一般会計公共事業関係費の内訳は、道路、港湾を中心とする産業基盤整備費は五千百三十三億円に達しているのに対し、環境衛生、文教施設、住宅などの国民生活基盤整備費はわずかに五百六十一億円であることからも明瞭であります。また、財政投融資計画公共投資を加えると、その差はさらに拡大することは言うまでもありません。高度成長の犠牲になっている民生安定のための生活環境整備費の画期的増額を断行すべきであります。  第五は、地方財政計画についてであります。  今日、地方財政計画の問題点の一つは、国の予算並びに財政投融資計画で、あらかじめ交付金、補助金、起債のワクがきめられ、これに地方財政計画を合わせるようにするのであって、地方住民のために必要な施策が国の政策に従属し、さらに、国の大資本本位の高度成長政策の下請的役割を演ずる仕組みになっているところに問題があります。三十八年度の地方財政収入は二兆六千三百三十六億円で、そのうち国に依存している割合は五四%であり、地方自治体の自主財源は四六%にすぎないのであります。また、三十八年度の国税、地方税合計三兆五千五百七十二億円のうち、国は七〇%の税金を取り、地方は三〇%である。そうして、これを使う割合は、国が三五%で地方が六五%になっているのであります。すなわち、国で税金を取って地方に分け与えるという形になっている。以上の因果関係によって、国は地方公共団体に対し財源のひもを握り、中央集権的支配を可能にしているのであります。したがって、地方自治を確立するためには、国と地方との事務の合理的な再配分を断行し、思い切って財源の地方委譲を行なうべきであります。地方財政再建整備が実施せられたころから、補助金の動向が公共企業重点が置かれ、最近ではさらに、国土保全のための投資よりも、道路、港湾、工業用地、工業用水などの産業基盤整備のための投資に急速に移りつつあります。教育、社会保障、保健衛生など、地方住民の福祉関係が取り残されているのであります。この事態は、国の公共投資重点産業基盤整備に置かれ、民生関係が軽視されているのと、全く軌を同じくしているのであります。次に、補助金に関連して、補助単価の否定が不当に低いため、補助不足を来たし、地方自治体の超過負担が地方財政を圧迫する結果になっていることが明らかであります。また、富裕団体に対し、補助金の削減あるいは打ち切り等をする問題が起きております。これらの問題はすみやかに実態に即し、改正もしくは中止すべきであります。  第六は中小企業対策についてであります。  中小企業対策については、今国会において中小企業基本法が審議中でありますから、多く述べることを省略いたしますが、中小企業対策費は百十八億円で、前年に比し二十六億円(二八・二%)増となっており、増加率は高く、努力のあとも、うかがわれるのでありますけれども、予算総額に占める地位はきわめて低く、貿易自由化を目前に控え、その対策の重要性が叫ばれていることからすれば、少額に過ぎるといわなければなりません。今日中小企業の大きな悩みは人手不足による求人難であります。中小企業者はやむにやまれず労働賃金の改善をはかり、その獲得のために努力しているのであります。しかしながら、福利厚生施設の面において大企業との間に相当な差があり、中小企業の不利は免れません。それかといって、単独でこれを整備することは困難であり、国の助成策が要望されているのであります。今次予算にはこの種の予算が全然見当らないことは遺憾であり、強く善処を要求する次第であります。  次に、中小企業団地化政策については、中小企業高度化資特別会計を新設し、あるいは設備近代化補助六億円を増額したようであります。しかしながら、自由化に伴う特定産業に対し、異常とも思われる政府の力の入れ方と比較すれば、あまりにも貧弱であり、今後予算の大幅増額をはかるべきであります。  最後に、政府予算編成態度について注意を喚起しておきたいと思います。予算編成権が政府にあることは今さら申し上げるまでもありません。大蔵事務当局は、財政法の定めるところにより、当初、健全中立均衡予算の方針を掲げていたのであります。しかるに復活折衝の段階では、またたく間に八百億円の復活要求が認められ、高度成長路線の積極予算に変わり、田中蔵相のきっぷのいい大ばんぶるまいの予算編成が展開されたのであります。かくて前年度に続き、大型たっぷり予算が誕生をしたわけであります。しかも、予算内容は、産業保護の不況対策、選挙対策用の国民健康保険給付内容の改善、教科書の無償配布等の自民党の政治要求、圧力団体の御機嫌とりの農地補償等、財界にも与党にも圧力団体にも、まんべんなくあいきょうを振りまいた、財源難どこ吹く風の総花べたつけ予算と酷評されているのであります。政府予算編成権は吹き飛ばされ、与党と圧力団体に振り回された空前のぶん取り予算になったのであります。特に旧地主農地補償調査費はわずかに一億八千万円でありますが、予算がまさに成立しようとする今日、なおその内容がはっきりせず、これに関連する報償という名の予算を伴う与党議員提出法案が、すでに衆議院議長の手元に届けられ、いつ出るかわからぬという状態は、民主議会に対する最大の汚点を残したものといわなければなりません。池田首相が民主政治家をもって自負するならば、圧力団体に耳をかす以前に、まず庶民のための減税、声なき消費者大衆保護のための物価対策等について、真剣に対処すべきであると思います。池田首相の猛省を促し、私の反対討論を終わる次第でございます。(拍手)     —————————————
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 斎藤昇君。   〔斎藤昇君登壇拍手
  9. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十八年度一般会計予算ほか二案に対し、賛成の意を表するものであります。  私は、冒頭、本年度予算の編成にあたり果たされました政府の努力と、その英知に対しまして、心から敬意を表したいと思うのであります。率直に申しまして、本年度予算案ほど問題のない予算案は少ないと言われているのであります。とかくの論議を展開されております野党の皆さんにおかれましても、内心は、今回の予算案に対し、大筋においては賛意を表しておられることと思う次第でございます。新聞報道は、予算案の委員会審議には、さしたる論議が見られなかった。あるいはまた、野党筋の勉強不足、突っ込み不足を伝える向きもあったのでありますが、これは野党諸君に対しまして、はなはだ礼を失する評言であります。それは決して勉強不足や突っ込み不足によるものではなく、来年度予算案そのものが当を得、格好の内容を持ったものであり、政府の諸施策おおむねそのよろしきを得ているからであると、私は考えます。しかも、わが党の公約は余すところなく盛り込まれており、大多数の国民諸君が本予算案に双手をあげて賛意を表しておりまする以上、反対の鋭鋒もまた鈍らざるを得なくなったものと断じます。  私は、かく観じまするがゆえに、野党諸君の反対論に正面切って反駁するおとな気なさを避けたいと存ずるのでございまするが、討論の性質上、いささか反論を試みつつ、本予算案に賛成するゆえんを明らかにいたしたいと存じます。  わが国が現在当面する重要問題といたしまして、産業体制の整備による輸出振興社会資本充実社会保障の確立による各種格差の是正、いわゆる人つくりの目的を達成するための文教政策の拡充等があげられているのであります。このたび編成されました予算案は、右のような眼目に基づき、健全なる均衡財政を堅持しつつ、積極的な財政投融資計画を打ち出したのが特徴の一つであります。すなわち、二兆八千五百億円の一般会計予算案は、前年度比一七・四%の増、一兆一千九十七億に上る財投計画の前年度比率は二二・六%の増となっているのであります。野党の諸君は、このような積極性ある予算案に対し、それはインフレに通ずる道であるということを指摘されるのでありますが、国民所得に占める一般会計予算の比率は一七・一%で、昨年度の一六・九%に比し、その間甲乙はありません。予算規模は、広く国民所得との勘案の上に確定されるべきものでありまして、予算総額がふえたからといって、直ちにインフレ論を持ち出すことは、軽率のそしりを免れないと思うのであります。  財投計画増加率二二・六%という数字は、確かに相当の伸びといわねばなりません。しかし、その大部分は、道路、港湾、住宅、環境衛生設備の整備費に当てられており、これはわが国経済活動の基盤をつちかい、国民の生活水準を向上させるために不可欠のものばかりでありまして、むしろ少なきに失するのではないかとさえ思われるのであります。適度の景気刺激となるべしとの好感をもって一般に迎えられておりますることは、御承知のとおりであります。決してインフレの要因となるものとは考えられません。  この際、一言いたしたいと存じまするのは、野党の一部の諸君の中には、本年度の財投計画に対して、これが「大資本を擁護し、大資本に奉仕するもの」と称されていることの誤謬であります。このようなことは、一部諸君の、他を論難される際に使用される慣用語となっておりまして、あえて反論に及ぶまいと思われるのでありますが、ややともすると大衆を誤らしめるおそれなしとはいたしません。あえてここに一言いたしたいと思う次第であります。財投計画中、大産業といわれる基盤産業、輸出産業関係は、わずか一五%であります。しかも、これは、わが国自由化の波を乗り切り、輸出を振興するための最小限の措置でありまして、しかも、これら基幹産業の隆衰は、直ちに多数の関係中小企業や労働者に波及いたして参るのでありまして、国民生活全般にも大きく影響を及ぼすものであります。このことを考えまするならば、むしろ、これこそが中小企業労働者を含めた日本産業基盤を強化するゆえんと考えなければなりません。それだけにまた、財投計画の対象となる産業関係者は、それだけの社会的自覚を痛めることもとより必要でありますが、これをもって大資本に奉仕する政策ということは、これは事実を知らないものと言わなければなりません。まして、財投の大部分である道路、港湾、住宅費その他の公共投資をもって資本家に奉仕するものなりというに至っては、全く論外と申さなければならないと存じます。来年度予算案は、現下の経済情勢に見合いまして賢明に編成され、各般の分野にわたって適切な施策を講じたものと言わなければならないと思うのであります。  また、来年度予算は、これを一口に申し上げまするならば、公共投資社会保障、文教並びに科学技術振興をいわゆる三本の柱として編成されたものであることは、御承知のとおりであります。公共事業関係費は、災害復旧費を除き、一般会計で四千五百六十億円余、三十七年度当初予算に比し二〇・六%の増加率を見せているのであります。さらに財政投融資として三千億円が計上されております。これを加えますれば、実に総計七千五百億円が公共事業に投ぜられることになるわけであります。政府は、本予算案の成立とともに、直ちに予算執行にかかり、これを促進するとともに、その効率的運用をはかる方針を固めておられるのでありますが、四月から六月にかけての払い超を千六百億円程度と見ておられる。これが前年度同期の約六百億円の増ということに相なります。この結果は、景気を刺激し、秋を待たずして景気上昇に転ずるものと思われるのであります。  次に、社会保障についてでありますが、同関係予算は三千三百十三億円、前年度に比し二一・七%の増、一般会計歳出予算額の前年度比一七・四%であることを考えまするならば、文教予算増加率たる二一%とともに相当の伸びであることを申さなければなりません。国民健康保険における世帯主の七割給付、生活保護の充実国民年金の充実、失業対策の刷新などに格段の配慮を払い、さらに、児童館の建設、母子休養ホームの新設、老人クラブの助成等々、いわゆる、かゆいところに手の届く施策が講ぜられているのであります。また、下水道、屎尿処理等いわゆる環境衛生の整備にも思い切った施策が講ぜられようとしているのであります。  文教施策につきましては、前年度に比し約六百億円増の二千五百七億円を計上、高校生急増対策の推進、道徳教育の徹底、義務教育教科書の無償配布、教職員の資質向上、文教施設の拡充、育英制度の充実など各般の施策が講ぜられているのであります。  本年度予算案を別な角度から見まするならば、それは、当面している日本経済の体質改善のための予算と申してよかろうと存じます。その端的な現われの幾つかは、農業構造改善の推進、石炭対策の展開、海運基盤の整備、中小企業振興対策等に見ることができると思うのであります。このうち二、三について言及いたしたいと存じます。  まず、中小企業対策費につきましては、一般会計において本年度一挙倍増を見たのでありますが、来年度予算におきましてもついに百億円の大台を突破し、百十五億円が計上されることになっております。しかして、その内容は、中小企業高度化資金融通特別会計、商業団地、中小企業投資育成会社、中小企業センター、管理者・技術者研修等々、各般の施策を推進するなど、多彩なものとなっているのであります。政府は、本国会に中小企業基本法案提出されておりますが、この基本法を足がかりといたしまして、今後流通革命に対処する中小企業対策のより大きく推進されんことを期待いたすものであります。  農業構造改善には約七十九億円が一般会計に計上され、農林漁業金融公庫の融資額五十三億円とともに百三十二億円が準備されておりまして、前年度に比し三倍近い飛躍的措置が講ぜられているのであります。  減税問題に一言触れまして私の討論を終わりたいと思いまするが、当初、世間の一部におきましては、政府は、本年度、いわゆる政策減税のみを行ない、所得税減税を見送るのではないかといわれておったのでありますが、しかしながら、政府は、いわゆる政策減税として二百四十七億円のほかに、所得税、法人税等の一般減税二百九十五億円を減税されることに相なったのであります。現在、資本の蓄積、社会資本充実のため、いわゆる政策減税は不可避のものであります。この不可避の政策減税を断行しつつ、なお他面において、一般減税措置を講ぜられました政府配慮は、賞賛に値するものがあると存じます。  さらに物価問題について一言いたしたいと存じます。物価は安いことに越したことはございません。しかしながら、経済の成長をはかり、国民所得増加を策する以上、物価のある程度の上昇は不可避であり、また、これを容認せざるを得ない性質のものであると存じます。ことに、生産性の向上をはかりがたいサービス料金の上昇は当然のものといわなければ相なりません。要は、物価上昇国民所得増加との比率の問題でありますが、過去数年の国民所得増加物価上昇をはるかに上回っておりますることは、数字の明らかに明示するところであります。わが党政府のとっております経済成長政策につきましては、物価の面から考えましても何ら憂うべきものがないと存じます。ただ問題は、所得の上界のいまだ少ない者にとって大きな苦痛であることは申すまでもありません。政府は、つとにこの点に留意し、あるいは物価対策において、あるいは社会保障において、あるいは産業その他のあらゆる政策において、この点に特に留意し、努力せられて参りましたことは、万民のよく認めるところでありまするが、今後さらに努力を重ねられるとともに、特に大衆生活に影響の多い生鮮食料品につきましては、急速に抜本的対策を立てられまして善処せられんことを要望いたします。  これを要するに、本年度予算案は、インフレに至ることなく、適宜に景気を刺激し、わが国経済の長期安定成長への道を開くとともに、自由化の波を乗り切り、輸出を伸張させる基盤をつちかい、国民の生活水準の向上と福祉の確保につき、これを絶え間なく前進せしめ、やがては万民豊かな生活と仕合わせな社会を作り上げるわが党の基本政策に合致するものでございます。  ここに私は、重ねて賛同の意を表し、討論を終わる次第でございます。(拍手)     —————————————
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 和泉覚君。   〔和泉覚君登壇拍手
  11. 和泉覚

    ○和泉覚君 私は公明会を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の三案に対しまして、反対討論をなさんとするものであります。(拍手)  反対理由は、まず第一に経済政策についてであります。  日本経済高度成長を遂げてきたことは事実であります。ところが、昭和三十五年、六年度と、高度成長が続きましたが、三十六年には国際収支の面からまず破綻を来たし、経済の引き締め政策をとらざるを得なくなったのであります。そして、長い調整過程を経て、景気は立ち直るかに見えましたが、こうした急角度の景気上昇と、その反動としての下落とは、いたずらに経済を混乱させるにすぎないのであります。すでに日本経済には、設備過剰によって多くの遊休設備をかかえ、また景気変動のあおり受け、苦境に追い込まれ、結果は倒産した企業さえ出たのであります。しかも、高度成長政策の陰には、国民生活を圧迫するような幾多の問題が提起され、昭和三十七年度の厚生白書に、「消費者物価の高騰などにより生活の不安や相対的な貧困感が強まりつつある」と述べられていることが、この事実を如実に物語っているものであります。当初においては、二重構造の格差を是正しようと考慮したものでありましょうが、現実は、政府自身も認めておられるように、生産性の格差は拡大の傾向を示しているのであります。これは、大企業等は租税特別措置等多くの恩恵を受ける機会はあっても、中小企業ではなかなか恩典に浴することができないことに基因しているものと考えざるを得ないのであります。本予算案の政策減税その他の施策は、中小企業と大企業との格差を一そう拡大し、中小企業をしてますます弱い立場に立たすであろうことは、火を見るよりも明らかなことであります。  次にあげられますことは、政府の無理な成長政策は、社会資本の立ちおくれや人口の過度の集中により、都市問題を惹起したことであります。大都市における住宅難、交通地獄、水資源の不足、スモッグ等々、重大な社会問題となっているのであります。一方、低開発地域においては、若い労働力の不足を来たし、ますますその格差が拡大しているのが現状であります。このような日本経済に内在する現実に眼をおおっている政府態度は、民衆の真の声の反映されたものでなく、国民のために無慈悲なものであると言わざるを得ないのであります。  次に、日本を取り巻く国際経済の環境を考えてみましても、貿易自由化の推進やIMF八条国への移行に伴う為替の自由化という重大な問題をかかえております。本予算案においては、この点に相当の重点が置かれたことは認めるところでありますが、その内容に立ち至ったとき、たとえば特定産業振興法だとか、中小企業投資育成会社法等、上質の企業の保護育成重点を置き、自由化の波をまともに受ける中小企業対策費は、わずかに八十四億二千万円にすぎないのは、承服しかねるところであります。  次に、減税について論じますならば、日本経済高度成長の陰には、国民の勤勉性が成長の基盤となっていることを見のがすことはできません。しかるに、その大多数の人たちは、いまだに重税にあえいでいるのであります。最近の税負担率の推移を見ましても、昭和三十二年度を頂点として、三十三年、三十四年と下がってきましたが、三十五年度ごろより順次上昇をして参っております。物価上昇もあり、国民のひとしく望んでいたものは大幅の減税でありました。先般の衆議院大蔵委員会において参考人として意見を述べた中山税制調査会長は、「三十八年度自然増収が三千億円を突破するということを答申の前に聞かされていたならば、もっと大幅な減税答申するはずだった」と述懐しております。その答申すらも無視されていることは、所得税に関する限り、最善を尽したとは言えないものであり、国民の大多数の期待を裏切ったものであると思うものであります。また、これに反して、大幅に取り上げられた政策減税は、大企業並びに高額所得者に対する減税であり、優遇の特別措置であります。したがって、低所得者階層には恩恵としてほとんど見るべきものなしと言えるのであります。政府は、景気を立て直す意味においても、一般所得税よりも政策減税に力を入れなければならなかったのだと弁明しておりますが、一般国民にとっては、景気は悪くても物価上昇をたどっているのでありますから、この程度の減税ではかえって生活は苦しくなっていくのであります。もっと国民生活を中心とした租税の制度の改革を要望するものであります。  次に、国民生活に密接な関係のある住宅問題について申し上げます。  大都市における住宅の困窮状態は、はなはだしい状態にあります。特に宅地価格の上昇は目に余るものがあります。これらの責任は政府の無為無策に起因していると言っても過言ではありません。ただ、所得倍増十カ年計画のムードに乗せて、十カ年に一千万戸の住宅建設を唱えておりますが、そのうち六百万戸は民間建設に依存したものであり、最初の五カ年間の目標は全体の四割に置くというがごときは、まことに現状にそぐわない政策であると言わざるを得ないのであります。本予算案におきましても、政府施策住宅は二十八万戸で、前年度に比較し、わずかに二万戸程度の増加にとどまる計画にすぎないのであります。その上、住宅建設を困難ならしめている宅地価格の高騰を抑制するために打ち出された宅地債券等は、とうてい低所得の階層の実情に即したものではありません。この際われわれは、十カ年計画を改め、民間建設の比重を軽くして、政府施策住宅を積極的に推進することを強く要望するものであります。  次に、社会保障の問題でありますが、政府社会保障制度の拡充は、重点政策の大切な三本の柱の一つだと強調されたことは、国民の耳新しいところでありまして、その具体策として、総額七百六億五千四百万円を計上した生活保護費を例にとってみましても、確かに一七%、二千円アップはされておりますけれども、一級地の標準四人世帯の月額は一万四千二百円で、はたしてどれだけの生活ができるでありましょうか。一刻も早くひとり立ちできるように、思い切って保護基準引き上げ、慈愛の手を差し伸べるべきであると主張するものであります。さらに、あめ玉代にしかならないと言われているほどの福祉年金は、総額三百九十億円で、前年より五十五億円の増額となってはおりますが、消費者物価の値上がりを考えるならば、もっと大幅に増額を期待したいところであります。また、いろいろの福祉施設に働く従業員の給与ベースも、特殊な環境に身を投げ打っての献身的な労力に対して報いているものとは、とうてい言い得ないものであります。涙ぐましい働きを単なる奉仕とさせることなく、積極的な待遇改善の手を差し伸べるべきことを切望するものであります。  次に、文教政策について申し上げます。教科書無償配布については、政府は、無償配布五カ年計画の第二段階として、本予算案では小学校三年生までとして二十七億円を計上しているわけでありますが、六、七十億円さえあるならば全員無償配布ができるのでありますから、すみやかに全員無償配布を行なうべきが当然であろうと主張するものであります。  次に、高校生の急増対策の立場からでありますが、政府は、本予算案では、進学率を一・八%引き上げ、建設単価も一割増しにしたが、教育に直接携わる当事者の声とは依然として差があり、十分な計画とは言えないのであります。進学率の認定の誤りはすし詰め教室を作らしめ、建設単価の格差は父兄の負担とならざるを得ないのであります。学校給食についても、義務教育は無償と言いながら、父兄負担を期待しているのであります。それは、とりもなおさず、PTA会費への期待や父兄負担の増大を呼ぶものであります。地方財政法第二十七条の三で設置負担の父兄負担への転嫁禁止により、父兄負担全廃への動向にありながら、高校生急増対策、学校給食等、父兄負担前提にしたとも言える予算案であって、これも反対せざるを得ない理由の一つであります。  最後に、外交問題についてでありますが、池田内閣の言うところの自主外交、国連中心主義の外交は、その実体というものは対米追随外交の域を出ておらず、したがって、アジア・アフリカ陣営の積極的な支持すらも受けられないのであります。また、日韓交渉にあたっても、見通しの誤りを犯す等がそのよき例であろうと思います。対共産圏との貿易の拡大を初め、政府の努力すべき事項が山積しております。政府は、まず、地球上のあらゆる国家、民族は一体であるということの理想のもとに、わが国独自の自主外交路線の確立された施策でなければならないと思うものであります。  以上の諸点により、公明会は、本予算案には反対いたすものであります。  これをもって私の討論を終わります。(拍手)     —————————————
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 田上松衞君。   〔田上松衞君登壇拍手
  13. 田上松衞

    ○田上松衞君 民社党を代表して、昭和三十八年度予算三案に対し、反対の意思を表明いたします。  反対理由の第一は、政府案がよって立つところの基本政策は、今や政府みずからが改訂せざるを得なくなり、本予算案についても、好むと好まざるにかかわらず、政府みずからが修正せねばならぬ羽目に陥ることが見え透いているからであります。すなわち、政府は、すでに経済審議会を招集して所得倍増計画改訂問題を持ち出しております。倍増計画は、経済成長率を年平均七・二%、最初の三年間は年平均九%と想定したにもかかわらず、三十六年度は実質一四%、三十七年度は実質四%という乱調子でありまするが、一面、消費者物価は、三十六、七両年連続して六%以上、上昇し、この計画遂行が国民の消費生活に多大の犠牲を強要する事実を隠蔽することはできませんので、ついに政府計画すなわち基本政策改訂に着手せざるを得なくなったことは明らかであります。私どもは、このような誤った根拠の上にあえて編成された本予算案を、そのまま承認するわけには参りません。さらに、政府は、去る二十五日に特定産業振興臨時措置法案を国会に提出されましたが、この案の実質は、特定産業国際競争力強化を名目とする大企業基本法案でありまして、現在の経済秩序とも称すべき独占禁止法に大穴をあける一般法規としての役割を果たすところにあります。総理は、今国会の劈頭、一月二十三日の施政方針演説の中で、経済政策としては格差是正と産業の高度化を強調し、特に中小企業基本法案提出して中小企業の近代化を進める根本方向を確定すると、声高らかに言明されたのでございました。しかるに、それから約二カ月後の三月二十五日には、この中小企業基本法案の目ざす方向を阻止し、格差拡大を促進するところの特定産業振興臨時措置法案を提出されたことは、まさに基本政策の朝令暮改でありまして、無定見、無責任のはなはだしいものと言わなければなりません。  私どもは、このように政府予算案のよって立つ基本政策がすでに抜けがらとなっておりまする事実に照らして、政府案反対せねばならぬことは当然だと考えているのであります。  第二の反対理由は、政府予算編成内容それ自体が、国民経済に資する方途でなくして、むしろ悪影響を招来する要因のほうが多いと思うからでございます。なるほど、政府案は、一般会計予算案において、公共事業、文教関係社会保障関係において、それぞれ六百億円を上回る増額を行ない、国民健康保険や中小企業設備近代化などについても一応の部分的改善を行なっております。しかしながら、これらの部分的改善は、遺憾ながら依然として政府の一貫した大企業本位の施策によって著しく効果を削減されております。すなわち、金融面における買いオペ政策、日銀公定歩合の再引き下げ、さらには一般会計予算案に計上されている産業投資特別会計への四百九十七億円の繰り入れ、外貨債発行増額、資本蓄積免税の断行など、これらは緊密に組み合わされて大企業の財務経理安定のための刺激策として貢献しようとしております。最近の機械発注額の上昇ぶりをとらえまして、これをもって景気上向の先行指標であるとみなす人々もありますけれども、私どもは、むしろこれは政府景気刺激策に刺激されました大企業設備投資競争の再現ではないかと憂慮せずにはおれません。政府は、一方においては、大企業設備投資拡大をもって経済成長の最大の起動力とする所得倍増計画の失敗と計画改訂の必要を認めながら、それにもかかわらず今や再び失敗の原因を作り出そうとしております。その失敗の原因こそが、明年度予算編成とそれに関連する財政経済政策にあることは、言うまでもございません。総理は施政方針演説において、本年秋には景気回復を実現するという、きわめて大胆な所信表明をされたのでありましたが、国の予算は短期的な景気刺激に奉仕するために編成すべきものではないと存じます。今や、わが国の工業生産力は飛躍的に拡大し、作れば売れるという時代から、作ったものが余るという状態に変転した、いわゆる過剰供給が現在のわが国経済の実態であることは、どなたも否定できないのであります。したがって、短期的には、景気変動による国民経済の損失を補償し、かつ予防し、長期的には、わが国商品の国際競争力を強化し、経済社会上の諸格差の是正と国民生活の向上をはかる点に、すなわち国民経済発展のための計画調整をはかる点に、財政政策の最大の任務と価値があると信じております。国の予算がこの重大な任務を果たすためには、国の予算規模が大型となって、経済政策全体の主導権を発揮し得るような態勢を整えることが必要でございます。政府案は確かに規模は大型化いたしました。しかしながら、その内容は、大企業の財務処理の改善に奉仕せんがための大型化でしかございません。その肝心な問題は、大型予算をもって国民経済のゆがみをいかに調整し、いかなる手段によって健全なる発展を促進するかにあるはずでありますが、この点、政府案国民の要望と期待に逆行しております。私どもは、政府案内容の、このような根本的欠陥に着目いたしまして、政府案をして真に国民福祉と経済格差是正に当たり得る予算案に編成がえするためには、いかなる具体策が必要かについて、真剣な討議を重ねた上、衆議院段階におきまして予算組みかえ要求の動議を提出したものでありました。私は今それをこの場で繰り返す愚を避けますけれども、政府予算編成についてまじめに反省してほしいことを要求せずにはおれません。すなわち、政府案に対して、第一に、社会保障と文教度の拡充、及び、中小企業と農業の経営近代化促進などによる経済格差の是正、第二に、不況産業と離職者対策の確立、第三に、財政投融資計画と市中金融との一体化の方向を目ざす金融調整、第四に、地方自治体の自主財源の増額、この四点をあらためて進言いたしまして、これについてもう一度再検討されるよう強く要望を付しまして、私の討論を終わります。(拍手)     —————————————
  14. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 須藤五郎君。   〔須藤五郎君登壇拍手
  15. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、三十八年度予算案に対する反対討論をするものであります。  そもそも本予算案の基本的なねらいはどこにあるか。一言で言えば、アメリカの新たな戦略に追従しながら、日本の軍国主義、帝国主義を復活強化すること、そのための経済的土台としての独占資本のいわゆる所縁倍増高度成長政策を、一そう急速に強行することであります。池田総理は、最近、口を開けば、日本は自由陣営の三本の柱の一つだと言う。三本の柱の一つだから一体どうしようというのか。突き詰めていえば、アメリカの中ソ封じ込め政策に積極的に協力し、そのために自衛隊を自前で核武装し、原子力潜水艦の寄港を許して、日本日本近海全体をポラリス潜水艦の基地に提供するということではありませんか。また、南朝鮮や東南アジアに向かって再び帝国主義的進出の野望を遂げようということではありませんか。本予算案は、まさしく、そのために、国民の血税から零細な積立金まで総動員し、それでもまだ足りぬとして、大規模国債発行しようとしたり、外国、特にアメリカからの借金を大幅に増そうとしているのであります。  まず、本予算案は、自然増収の名において膨大な税の増収を見込み、税の取り立てを強めるばかりでなく、人民に対しては、減税どころか事実上の増税をやっております。ところが大金持ちと独占資本に対しては、利子所得配当所得減税租税特別措置による数千億円に上る減免など、至れり尽くせりの減免措置をとっているのであります。そればかりではありません。財政投融資計画においては、郵便貯金や国民年金など、国民の零細な積立金を残らず動員して、独占資本のための産業基盤作りや、自由化対策と称する独占の集中合理化政策のために、湯水のようにつぎ込んでいるのであります。  こらして国民のふところからかき集めた膨大な血税と積立金、さらにアメリカからの借金を、政府は何に使おうとしているのか。そのおもな内容を見ますると、第一に、二千億円をこえる軍事費であります。アメリカの完全な指揮下に置かれ、一たん戦争となれば、その共同作戦のための助手としての役割を果たさせられる自衛隊の核武装と近代化のために、二千億円もの血税を無駄につぎ込んでいるのであります。第二に、いわゆる国づくりと称する公共投資であります。公共投資といえば聞こえはよいが、独占資本高度成長のために道路や港湾には膨大な予算を組んでいるが、国民の住宅や生活環境のためにはスズメの涙ほどの金でごまかしているのであります。第三に、いわゆる人づくりと称する文教政策であります。その最大の重点は道徳教育の強化を中心とする教育の軍国主義化と、独占資本の成長政策におとなしく協力する労働者を養成することに置かれております。第四に、自由化対策と称する一連の政策、たとえばいわゆる新産業秩序づくりのため、体制金融、延べ払い資金、石炭合理化や海運利子補給など、至れり尽くせりの独占資本擁護措置であります。第五に、その反面、社会保障費はほんのごまかし程度のものであります。名目額こそ幾らかふえているが、物価の値上がりを考えれば、実質的にはほとんど改善とはならず、逆に悪化するおそれすら多分にあるのであります。たとえば、失対労働者の賃金は四百八十五円と、わずか三十三円、七・八%しか引き上げられておりませんが、これでは今までの物価の値上がりですでに帳消しになっているのであります。そればかりか、政府は、高度成長のもとでは消費者物価の値上がりは当然だとして、これを押えるどころか、ますます野放しにしておこうとしているのであります。  このような予算案が実行されたら、結果はどうなるか。労働者には首切りと低賃金、人民には重税と物価倍増がもたらされる以外の何ものでもないことは、過去数年来、国民が身をもって体験したことによっても明らかであります。  わが日本共産党は、アメリカの戦争政策に追従しながら、帝国主義を復活強化し、独占資本高度成長のために労働者と人民への搾取と収奪を強めるこのような反民族的、反人民的予算案に対して、断固として反対するものであります。(拍手
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  三案全部を問題に供します。  表決は記名投票をもって行ないます。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名を点呼〕   〔投票執行〕
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖〕
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数    百九十二票   白色票      百二十票   青色票      七十二票  よって三案は可決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十名       森 八三一君    沢田 一精君       野知 浩之君    二木 謙吾君       大竹平八郎君    鳥畠徳次郎君       赤間 文三君    加賀山之雄君       増原 恵吉君    鈴木 恭一君       堀本 宜実君    上原 正吉君       松平 勇雄君    最上 英子君       小林 篤一君    岩沢 忠恭君       三木與吉郎君    佐藤 尚武君       太田 正孝君    笹森 順造君       中上川アキ君    森田 タマ君       山崎  斉君    丸茂 重貞君       源田  実君    栗原 祐幸君       熊谷太三郎君    久保 勘一君       川野 三暁君    天埜 良吉君       石谷 憲男君    植垣弥一郎君       徳永 正利君    井川 伊平君       鹿島 俊雄君    仲原 善一君       中野 文門君    豊田 雅孝君       天坊 裕彦君    竹中 恒夫君       鈴木 万平君    西田 信一君       山下 春江君    武藤 常介君       佐藤 芳男君    青柳 秀夫君       平島 敏夫君    鍋島 直紹君       堀  末治君    藤野 繁雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    木内 四郎君       杉原 荒太君    田中 茂穂君       小林 英三君    大野木秀次郎君       寺尾  豊君    植竹 春彦君       平井 太郎君    黒川 武雄君       西川甚五郎君    井野 碩哉君       重政 庸徳君    日高 広為君       大谷 贇雄君    上林 忠次君       田中 啓一君    野上  進君       温水 三郎君    木島 義夫君       岸田 幸雄君    谷村 貞治君       山本  杉君    川上 為治君       北畠 教真君    金丸 冨夫君       櫻井 志郎君    松野 孝一君       柴田  栄君    大谷藤之助君       江藤  智君    稲浦 鹿藏君       石井  桂君    吉江 勝保君       塩見 俊二君    井上 清一君       岡村文四郎君    加藤 武徳君       梶原 茂嘉君    小林 武治君       高野 一夫君    吉武 恵市君       高橋  衛君    小柳 牧衞君       杉浦 武雄君    小山邦太郎君       林屋亀次郎君    郡  祐一君       高橋進太郎君    鹿島守之助君       木村篤太郎君    津島 壽一君       斎藤  昇君    野本 品吉君       長谷川 仁君    村山 道雄君       田中 清一君    佐野  廣君       後藤 義隆君    林田 正治君       横山 フク君    前田 久吉君       白井  勇君    近藤 鶴代君       村松 久義君    宮澤 喜一君       下村  定君    小沢久太郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名      七十二名       渋谷 邦彦君    牛田  寛君       林   塩君    山高しげり君       鬼木 勝利君    石田 次男君       中尾 辰義君    浅井  亨君       奥 むめお君    和泉  覚君       市川 房枝君    二宮 文造君       小平 芳平君    白木義一郎君       辻  武寿君    矢山 有作君       野々山一三君    柳岡 秋夫君       瀬谷 英行君    稲葉 誠一君       吉田忠三郎君    林  虎雄君       豊瀬 禎一君    鶴園 哲夫君       武内 五郎君    柴谷  要君       小柳  勇君    北村  暢君       伊藤 顕道君    光村 甚助君       大河原一次君    秋山 長造君       松澤 兼人君    藤田藤太郎君       中村 順造君    加藤シヅエ君       阿部 竹松君    戸叶  武君       久保  等君    岩間 正男君       須藤 五郎君    鈴木 市藏君       小林  武君    松本 賢一君       佐野 芳雄君    杉山善太郎君       高山 恒雄君    野上  元君       安田 敏雄君    山本伊三郎君       基  政七君    横川 正市君       鈴木  強君    鈴木  壽君       占部 秀男君    森 元治郎君       田上 松衞君    永岡 光治君       藤田  進君    近藤 信一君       田畑 金光君    天田 勝正君       米田  勲君    成瀬 幡治君       小酒井義男君    中村 正雄君       村尾 重雄君    大和 与一君       岡田 宗司君    千葉  信君       羽生 三七君    曾禰  益君    ─────・─────
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、漁港法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  日程第五、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件(衆議院送付)、  日程第六、農薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長櫻井志郎君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔櫻井志郎君登壇拍手
  22. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 ただいま議題となりました法律案及び承認案件について、委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  まず、漁港法の一部を改正する法律案は、漁港審議会の委員から水産庁長官を除くとともに、特定第三種漁港の基本施設の修築費の国の負担割合を引き上げようとするものであります。  次に、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件は、現行の漁港整備計画を、漁業と漁港施設の現状を基礎とし、将来における漁業の推移その他を勘案して、これを全部変更し、指定漁港のうち、漁港施設の不足度の高いもの、あるいは経済効果の多いもので緊急整備の必要のあるものから、昭和三十八年度以降三百八十の漁港の基本施設等を整備するため、漁港法規定に基づいて国会の承認を求めたものであります。  本委員会におきましては、これら二件を一括して審議し、質疑にあたっては、漁港整備の目標、整備計画とその実行方法並びに漁業構造改善事業との関係事業予算負担割合及び起債区分その他が問題となりました。  討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって、法律案については原案どおり可決すべきものと決定し、また、承認案件については承認すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、農薬取締法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、法律の対象となる農薬の範囲を拡大し、水産動植物に有毒な農薬の登録を整備かつ規制し、「指定農薬」の制度を設け、都道府県知事は、指定農薬の水産動植物に対する被害を防止するため、これが使用を規制することができることとし、その他、農薬の被害防止に関する指導、農薬の登録及び表示、農林大臣の権限委任、防除業者等の監督、農業資材審議会の権限等の規定改正整備した等であります。  委員会におきましては、質疑にあたって、農薬の需給、農薬の毒性とその防除措置、PCPの漁業被害とその対策、指定農薬の使用規制の意義とその実施方法及び使用規制の影響とこれが対策、農薬に関する研究、農業資材審議会の構成その他が問題になりました。  討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  続いて、指定農薬に代替する農薬の使用及び生産並びに指定農薬の使用規制による農家の負担増の排除に努めるよう、政府の善処を求める趣旨の附帯決議を、これまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決定し、これに対し、政府側から努力したい旨発言がありました。  右報告申し上げます。(拍手
  23. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、漁港法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  25. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を問題に供します。  本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  26. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。      —————・—————
  27. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 次に、農薬取締法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  28. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  29. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第七、国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。文教委員長北畠教真君。   〔北畠教真君登壇拍手
  30. 北畠教真

    ○北畠教真君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、学術、技術の振興のため、昭和三十八年度から、埼玉大学に工学部を、東京芸術大学、お茶の水女子大学、横浜国立大学及び富山大学にそれぞれ大学院を、群馬大学に内分泌研究所を、京都大学に共同利用の数理解析研究所及び原子炉実験所を新設するとともに、国立大学の内部組織に関する規定を整備することといたしております。  また、中堅技術者の養成をさらに強化するため、昭和三十八年度に八戸、宮城、鶴岡、長野、岐阜、豊田、津山、阿南、高知、有明、大分及び鹿児島の十二校、昭和三十九年度に秋田、富山、米子、松江及び呉の五校の国立工業高等専門学校を新設することを規定いたしております。  委員会審議におきましては、国立大学と国立高等専門学校に関する諸問題について、熱心な質疑がありましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論もなく、直ちに採決の結果、本法律案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  31. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  32. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  33. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第八、中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法律案、  日程第九、中小企業近代化促進法案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。商工委員長赤間文三君。   〔赤間文三君登壇拍手
  35. 赤間文三

    ○赤間文三君 ただいま議題となりました二法案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  わが国経済における中小企業の重要性にかんがみまして、従来から種々の中小企業対策が講ぜられて参ったのでございますが、最近におきましては、貿易、為替の自由化、技術革新の進展等に伴いまして、中小企業の近代化を一そう推し進めることが強く要請されているのでありまして、両法案は、かかる要請にこたえるために提出されたのであります。  まず、中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法律案の要旨について申し上げますと、その第一は、法律の題名を「中小企業近代化資金助成法」に改めることであり、第二は、組合の共同施設の設置、工場、商店の団地化、中小企業の合併など、中小企業構造の高度化に必要な資金の貸付を行なう都道府県に対する国の助成については、従来の補助金の交付から貸付金の貸付に改めて、財政資金の効率的運用をはかりますとともに、その貸付対象を拡大することであります。  次に、中小企業近代化促進法案について申し上げますと、その要旨は、近代化が必要と認められる業種を指定し、その業種について、第一に、近代化基本計画、近代化実施計画を定め、第二に、近代化のため必要があるときは、中小企業構造の高度化、競争の正常化等に関して主務大臣が勧告を行ない得るものとし、第三に、近代化に必要な資金については、政府が資金の確保またはその融通のあっせんに努めるとともに、税制面でも、合併等の場合の課税の特例や、固定資産に対する特別償却を認めておるのであります。また、事業の転換を必要とする中小企業者に対しましても、適切な指導、援助を行なうことといたしておりまして、業種別振興臨時措置法の中小企業振興審議会にかわるものといたしまして、中小企業近代化審議会を設けることになっております。  なお、両法案とも、衆議院において修正がなされております。すなわち、中小企業者の範囲は、国の中小企業施策について基本となるべき方策を定める法律が制定実施されるまでは、暫定的に政令で定めるところによるという旨の修正であります。  以上のとおり、両法案は密接に関連しておりますので、商工委員会においては一括して審査を行ない、まず、衆議院商工委員長逢澤寛君並びに政府当局に対し、衆議院修正点を含めた両案の内容について多くの質疑を行なったのでございますが、その詳細は会議録によって御承知願うことにいたしまして、ここではそのおもな点二、三を申し上げますと、第一に、中小企業者の範囲というような重要問題を政令にゆだねたのはなぜか。第二に、従来の貸付金を高度化資金と近代化資金に分けたのなぜか。第三に、企業の合併協同化による近代化促進は、事実上零細企業の切り捨てになるおそれはないか。第四に、現在、業種別振興臨時措置法によって指定され、改善事項が告示されている業種は、すべて近代化促進法の指定業種に入れることはできないか。第五に、中小企業の実質金利を引き下げるため、歩積み、両建の禁止を行なうべきではないか等でありました。  かくて質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して近藤委員より、両案に賛成するとともに、中小企業近代化促進法案に対して、同法による業種指定は、中小企業業種別振興臨時措置法で指定を受け、改善事項が告示された業種をなるべく指定するようにすべきだという旨の附帯決議を付したいという発言があり、ついで自由民主党を代表して上原委員より、両法案及び近藤委員提出の附帯決議案に賛成する旨の発言がございました。  討論を終わり、両法案を順次採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、近藤委員提出の附帯決議案も、全会一致をもって当委員会の決議をすることに決定いたしました。  以上御報告を終ります。(拍手
  36. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。      —————・—————
  38. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十、所得税法の一部を改正する法律案、  日程第十一、法人税法の一部を改正する法律案、  日程第十二、租税特別措置法の一部を改正する法律案、  日程第十三、中小企業高度化資金融通特別会計法案、 (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長佐野廣君。   〔佐野廣君登壇拍手
  40. 佐野廣

    ○佐野廣君 ただいま議題となりました四法律案について、その内容委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、税制調査会の臨時答申を受け、さらに政府が検討、修正の結果、昭和三十八年度税制改正の一環として、中小所得者税負担軽減等をはかるため、平年度約三百二十億円の減税を行なおうとするものであります。  そのおもなる内容について申し上げますと、  第一は、諸控除の引き上げであります。すなわち、基礎控除を一万円引き上げ、十一万円にするとともに、配偶者控除、十五才未満の扶養控除額及び専従者控除額をそれぞれ五千円引き上げる等、その負担軽減しております。この改正により、夫婦及び子三人の家族の場合で所得税を課せられない限度額は、給与所得者につきましては、現在の約四十一万六千円より約四十四万五千円に、青色申告の事業所得者につきましては、約三十九万一千円より約四十二万二千円に引き上げられております。  第二は、少額貯蓄優越のため、利子所得軽減措置とも関連して、国民貯蓄組合法を廃止し、一人、一種類、一店舗に限り元本五十万円までの預貯金等について、その利子所得に対する所得税を免除する制度に切りかえるものであります。  第三は、海外事業活動の振興に資するため、外国税額控除の控除事業年度の合理化及び繰り越し、繰り戻し規定を新たに設け、その拡充をはかっております。     —————————————  次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、中小法人の税負担軽減等に資するため、同族会社の留保所得に対する課税につき、その留保所得から控除する金額を引き上げ、課税所得金額の一五%かまたは年百万円のいずれか多いほうをとることとしております。これによりまして、平年度約三十億円の減税額となる見込みであります。  このほか、所得税と同様、外国税額控除制度の拡充合理化をはかっております。     —————————————  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案もまた、昭和三十八年度の税制改正の一環として、現下の経済情勢に顧み、資本蓄積の促進、社会資本充実産業体制の整備等に資するため、租税特別措置法に所要の改正を行なおうとするものであります。  第一に、貯蓄奨励の見地から、利子所得及び配当所得の課税特例措置につきまして、税率を一〇%から五%に引き下げるとともに、期限を二年間延長することとしております。  第二に、社会資本充実等をはかるため、高速自動車国道など特定公共事業遂行により土地収用等が行なわれる場合、本年一月一日から三年間に限り、従来の制度に加え、収用等による譲渡所得のうち年七百万円以下の部分について免税とするほか、事業用資産並びに居住用財産の買いかえにつきましても、譲渡所得課税の特例を拡充しております。  第三に、中小企業等の振興のため、中小企業近代化促進法による指定事業を悩む中小企業者に対し、機械設備等の割増償却を認めるとともに、合併等に伴う課税の軽減を行なうほか、森林組合の合併、農業生産法人に対する現物出資等につきましても課税の特例を設けております。  第四に、貿易の振興等当面要請される諸施策との関連を考慮し、輸出所得控除制度並びに輸出割増償却制度等について適用期限の延長をはかるほか、海運企業の合併等に伴う登録税につき軽減措置を講ずる等所要の改正を行なっております。  委員会の審査におきましては、参考人より意見を聴取する等慎重審議を行なったのでありますが、おもなる質疑について申し上げますと、複雑難解な現在の税制を国民にわかりやすく改善する考えはないか。今回の減税で、はたして名目所得増加による実質増税調整できるか。将来間接税に対し減税する用意があるか等の諸点であります。さらにまた勤務先預け金の取り扱いに関して、最近放漫に流れ、弊害を生じている向きもあるので、監督官庁はすみやかに適正な措置を講ずべきではないか等の意見の開陳がありましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、三案一括して討論に入りましたところ、野々山委員より「政府案税制調査会答申から大幅に後退したもので、大衆の税負担軽減が足りない。資本側の軽減が大きく、低所得者側の税負担軽減が少なく、税負担の公平を乱している。財源不足を理由減税できないということは納得できない。租税特別措置は本来廃止すべきであるのにもかかわらず、措置の延長、軽減をはかっている。さらに間接税については、昨年引き下げを約束しながら軽減が行なわれなかった等の理由から反対する」との意見が述べられ、次に柴田委員より、「減税規模財政の現状より見て妥当であり、中小所得者、中小法人の税負担軽減がはかられている。自由化に備えて資本蓄積をはかる見地から、利子配当所得課税特例を強化することは適切である等の理由から賛成する」との意見が述べられ、次に永末委員より、「経済成長政策の恩恵を受けない低所得階層に対する税制上の配慮が欠けている。特別措置はその本来の使命を果たした今日、廃止すべきものである等の理由から反対する」との意見が述べられ、最後に鈴木委員より、「今回の改正案は、独占に奉仕する政策をさらに強めるもので、将来予想される税制改悪の方向を示すものである。その観点から現在の源泉徴収方法を撤回すべきものである等の理由から反対する」との意見が述べられました。  討論を終了し、三案一括して採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  最後に、中小企業高度化資金融通特別会計法案について申し上げます。  中小企業の近代化を一そう促進するため、中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法律が先ほど議決されましたが、本案は、その改正により中小企業高度化資金の貸付を行なう都道府県に対してなされる、国からの無利子貸付金の貸付に関する収支を明確にするため、新しく特別会計を設けようとするものであります。  委員会におきましては、中小企業高度化資金の貸付事業に対する国の助成を無利子貸付金とした理由、共同施設等に対する既往の貸付実績と効果、申し込みに対する充足率が低く、かつ不均衡となっている理由特別会計の繰り越し制度等について、質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、鈴木委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  41. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。      —————・—————
  43. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 次に、中小企業高度化資金融通特別会計法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  44. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  45. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十四、日本航空株式会社法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長金丸冨夫君。   〔金丸冨夫君登壇拍手
  46. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいま議題となりました日本航空株式会社法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  日本航空株式会社は、昭和二十八年に設立されて以来、その経営路線は、年を追って拡充され、国際航空界における地位を向上して参ったのでありますが、最近、国際間の競争はますます激化し、同社も今後における路線の維持伸張には多大な困難が予想される状況となりました。本改正案は、かかる事態に対処して、日本航空株式会社の経営上の調整をはかり、かつ、内外にわたる業務を強力に遂行するため、同社の経営首脳陣を強化する措置をとろうとするものであります。すなわち、この際、会長制度を新設するとともに、近く予想される日本航空整備株式会社との合併にも備えて、現行の取締役の定員十五名を十人名に増加しようとするものであります。  本委員会審議におきましては、日本航空株式会社の経営の現状と将来の見通し、日本航空整備会社との合併の効果並びに合併に伴う職員の処遇等、当面の諸問題について熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  47. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  48. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  49. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十五、電波法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長伊藤顕道君。   〔伊藤顕道君登壇拍手
  50. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のごとく、本件は、第三十九回国会に政府より本院に提出され、第四十回国会において可決の上、衆議院送付し、衆議院において審議未了となったものと、内容を一にするものであります。すなわち、本改正案の趣旨は、わが国海運企業の現状、最近における無線機器の性能の向上、船舶通信士の需給状況の逼迫等の実情にかんがみ、船舶無線電信局の運用義務時間を、海上における航行の安全の保持及び通信秩序の維持に支障を来たさない限度において、国際水準並みに軽減しようというのであります。  その改正のおもなる点を申し上げますと、  第一に、船舶無線電信局の種別の内容を改め、非旅客船については、そのトン数の大小を問わず、すべて運用義務時間を八時間以下とする局種にいたそうとするものであります。  第二は、国際遭難周波数の聴守義務時間に関するものでありまして、従来、船舶通信士によって常時または十六時間の聴守を要することといたしていた非旅客船の船舶無線電信局を八時間の聴守をもって足りることとし、残余の時間はオート・アラームによって聴守することができるようにいたそうとするものであります。  第三に、この改正によって公衆通信の疎通等につき、現状に急激な変化をもたらすことを避けるため、経過措置に関する規定を設け、新体制への移行の万全を期することといたしております。  なお、今回衆議院において、通信長の資格要件の一部について、及び経過措置において、現存船に限り三年間とあったものを、新造船を含めて四年間と修正しております。  逓信委員会におきましては、政府並びに日本電信電話公社等、各当局につき、海運企業の再建方策、船舶通信士の需給状況、無線機器の性能、特にオート・アラームの信頼度、公衆通信の疎通、海上保安業務、気象業務等に及ぼす影響とその対策、船舶通信士に対する職務体制の確立、経過期間中における諸対策の推進等、詳細にわたり質疑を行ない、慎重審議をいたしたのであります。  質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して野上委員より、「船舶通信士の軽減は、通信能力の低下を来たし、その結果、海上航行の安全を阻害し、公衆通信及び気象通報の疎通に支障を来たすのみならず、ひいては船員の士気に悪影響を及ぼすもので、海運界再建のための犠牲を通信士にしわ寄せするのは、本末転倒するもの」として反対、自由民主党を代表して新谷委員より、「日本の船員の素質は優秀であり、また、最近における無線機器の発達よりしても、主要海運国と同様、国際水準並みにすることは、むしろ当然である」として賛成、次いで、公明会を代表して中尾委員より、民主社会党を代表して田上委員より、日本共産党を代表して須藤委員より、それぞれ本案に対し反対する旨の発言がありました。  討論を終え、採決の結果、多数をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  51. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  52. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  これにて休憩いたします。    午後一時八分休憩      —————・—————    午後六時五十三分開議
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。参事に報告させます。   〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書が提出された。  関税定率法等の一部を改正する法律案可決報告書  外貨公債発行に関する法律案可決報告書  船舶職員法の一部を改正する法律案可決報告書  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鉱山保安監督署設置に関し承認を求めるの件議決報告書  国民健康保険法等の一部を改正する法律案可決報告書  文部省設置法の一部を改正する法律案可決報告書  運輸省設置法の一部を改正する法律案可決報告書  厚生省設置法及び国立光明寮設置法の一部を改正する法律案可決報告書      —————・—————
  54. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  関税定率法等の一部を改正する法律案、  外貨公債発行に関する法律案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。  大蔵委員長佐野廣君。   〔佐野廣君登壇拍手
  56. 佐野廣

    ○佐野廣君 ただいま議題となりました二法律案について、その内容委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における経済情勢の変化に対処するため、関税率及び関税制度について、所要の改正を行なおうとするものであります。  以下、おもなる改正内容について申し上げます。  第一に、バナナ等十三品目については税率を引き上げ、アンチモン等三品目については一部税率の引き上げ、すず等十八品目については税率を引き下げ、銅については関税割当制度を採用し、タングステン鉱については関税割当制度を廃止し、粗酸化ニッケル等二品目については分類を変更し、全部で三十八品目について関税率の改正を行なうこととしております。  第二に、本年三月末日で適用期限の到来する重要機械類等の暫定免税品及び暫定税率が定められているバター等四十一品目についての適用期限を、それぞれ延長することとしております。  第三に、石油につきましては、石炭対策の一環として、二年間に限り、原油の基本税率一キロリットル当たり五百三十円を暫定的に六百四十円に引き上げるほか、重油につきましてもこれに見合う関税の引き上げを行なうとともに、石炭の長期引取契約を行なっている電力業及び製鉄業において消費する重油については、従来の還付のほか、その引取量増加に伴う補てん措置として、今回の原油関税引き上げ分等に相当する額を特別に還付することとしております。  第四に、ガット締約国である外国が、わが国の輸出品に対して譲許の撤回等の緊急措置をとった場合、これに対抗するため、特定品目の譲許を停止して一定範囲内で税率を引き上げる等の対抗措置をとることとしております。  第五に、オリンピック大会等国際的な運動競技会で使用される物品で再輸出されるもの、及び、市町村が設置するごみ焼却設備用物品のうち国産が困難なものについては、関税を免除するほか、特定用途免税品の一部についてその用途外使用を規制する等、所要の規定の整備を行なうこととしております。  委員会の審査におきましては、貿易自由化の進展が産業経済界に及ぼす影響、ガット十一条国移行後における非自由化品目の処理についての見通し、今後の関税政策のあり方、緊急対抗措置租税法定主義との関係及び発動の実例、石油関税の引き上げ措置を講じた積極的理由自由化後のバナナ価格の推移、特定物品の用途外使用の規制を緩和する理由等について、熱心なる質疑応答がなされたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、鈴木委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、外貨公債発行に関する法律案について申し上げます。  本案は、経済自由化の流れに対処して、産業構造の高度化並びに国際収支の安定をはかる等の見地から、外債政策の基礎を確立し、健全な外資の導入を進めるため、外貨公債発行について恒久的措置を講じようとするものであります。  本案の概要について申しますと、政府は、産業投資特別会計の貸付の財源に充てるために、予算の定める金額の範囲内で、同会計の負担において、外貨公債発行できることとしております。  また、この公債の消化を円滑にするため、非居住者が買い入れた外貨公債の利子等について、非課税措置を講ずることとしております。  このほか、外貨公債発行による収入金を産業投資特別会計の歳入に受け入れることとする等、同会計法に所要の改正を行なっております。  なお、昭和三十八年度に予定されております外貨公債発行額は、六千万ドルすなわち二百十六億円でありまして、その発行収入金は産業投資特別会計から開発銀行及び道路公団に対して貸し付けられることとなっております。  委員会の審査におきましては、外貨公債発行権限に関する立法形式、将来の外債政策に対する政府の方針、自由化の進展に伴う外資法改正問題についての政府考え等につきまして質疑がありましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、鈴木委員より反対の意見が述べられ、次いで、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  57. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  58. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。      —————・—————
  59. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  船舶職員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。運輸委員長金丸冨夫君。   〔金丸冨夫君登壇拍手
  61. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいま議題となりました船舶職員法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、わが国海運企業の現状にかんがみ、海上航行の安全に支障を来たさない範囲で、船舶通信士の法定乗り組み定員を諸外国並みに改めようとするものであります。  この法律案政府原案は、第三十九国会に本院先議として政府より提案になった法律案と同一内容のものでありまして、本院は、その法律案を第四十国会に継続審査とし、同国会において修正可決の上、衆議院送付しましたが、成立を見るに至らなかったものであります。  本改正法案内容について申し上げますと、改正の第一点は、船舶通信士の法定乗り組み数を軽減し、旅客船以外については、これを一名としたことであります。ただし、急激な変化による各般の支障が生じないよう、本法施行後四年間については、新造船も含め、適用の特例措置がとられているのであります。改正の第二点は、乙種及び丙種船舶通信士の免許年令が現在満二十才以上でありますのを満十八才以上に改めたことでありまして、以上の二点が本法律案内容となっております。  本法律案は、衆議院において、経過措置に関し、期間を一年延長するとともに、新造船に対してもこの経過措置を適用する旨の修正を行ない、本院に送付されたものであります。  委員会審議におきましては、衆議院議員細田吉藏君より衆議院における修正部分についての説明を聴取した後、質疑に入りましたが、そのおもな点を申し上げますと、船舶通信士の定員を軽減することにより海上航行の安全に支障を来たすことがないか、適用の特例期間内において陸上及び船内の通信施設の整備に遺憾なきを期し得るか、本改正により、船舶通信士の雇用の安定を阻害することはないか、この法律案により海運企業の再建整備にいかなる貢献を期待し得るか等、各般にわたって熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、相澤委員は日本社会党を代表し、中村委員は民主社会党を代表し、浅井委員は公明会を代表し、それぞれ、本改正案は海上航行の安全性を低下し、かつ船舶通信士の雇用の安定に不安を来たすものである等の理由をあげて、反対する旨の意見を表明され、天埜委員は自由民主党を代表し、本改正法案は海運企業の現状にかんがみ、時宜に適した措置であるとして、賛成意見を述べられ、第二院クラブの加賀山委員は、通信士の雇用の安定等に関する政府配慮を要望して賛成する旨の意見を開陳されました。  かくて討論を終局し、採決の結果、本法律案は、多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  62. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  63. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      —————・—————
  64. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鉱山保安監督署設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。石炭対策特別委員会理事徳永正利君。   〔徳永正利君登壇拍手
  66. 徳永正利

    ○徳永正利君 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鉱山保安監督署設置に関し承認を求めるの件につきまして、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本件は、今回、通産省設置法が改正されまして、札幌及び福岡の鉱山保安監督局に鉱山保安監督署を置くことになりましたので、これに伴いまして夕張、岩見沢、滝川、釧路、飯塚、田川、直方、佐賀及び佐世保の九カ所に派遣してある現地監督班を、そのまま鉱山保安監督署にするため、国会の承認を求めようとするものであります。  本委員会におきましては、鉱山の保安状況、保安監督体制の強化改善、鉱業法の改正問題等について質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、次いで採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上報告を終わります。(拍手
  67. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  68. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は承認することに決しました。      —————・—————
  69. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  国民健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長加瀬完君。   〔加瀬完君登壇拍手
  71. 加瀬完

    ○加瀬完君 ただいま議題となりました国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、国民健康保険の給付内容の向上、各種医療保険の療養給付期間延長等を行なわんとするものであります。  委員会においては、特に全被保険者に対する七割給付の完全実施、低所得層に対する保険料の大幅減免措置国民皆保険下における医療保険体制の確立等の重要問題について、各委員より熱心な質疑が行なわれました。その詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終わり、討論、採決の結果、全会一致をもって本法律案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、委員会においては、藤田委員の提案により、全会一致をもって次の附帯決議を行ないました。    附帯決議  一、政府は、今回の改正法律の地方自治体に於ける実施状況を勘案し、必要ある場合にはさらに財政調整交付金の増額をすること。  二、政府は、世帯主の七割給付の完全実施を急ぐとともに、その家族についても可及的すみやかに七割給付を実施すること。  三、政府は、国民皆保険の実情にかんがみ、無医地域解消の為、一般と努力すること。  以上報告いたします。(拍手
  72. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  73. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  74. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  文部省設置法の一部を改正する法律案、  運輸省設置法の一部を改正する法律案、  厚生省設置法及び国立光明寮設置法の一部を改正する法律案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。  内閣委員長村山道雄君。   〔村山道雄君登壇拍手
  76. 村山道雄

    ○村山道雄君 ただいま議題となりました三法律案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を報告申し上げます。  まず、文部省設置法の一部を改正する法律案改正点は、第一に、国立青年の家の増設に伴い、その規定を整備するとともに、第二に、文部省の職員の定員を三千三百六人増員しようとするものであります。     —————————————  次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案改正点は、第一に、大臣官房に統計調査部を設置すること、第二に、都市交通に関する基本的な計画に関する事務を鉄道監督局から大臣官房に移管すること、第三に、運輸技術研究所を船舶技術研究所に、船員教育審議会を海技審議会に改組すること、第四に、設置期間二年の臨時鉄道法制調査会を新設すること、第五に、運輸省の定員を百四十三人増加すること等であります。     —————————————  最後に、厚生省設置法及び国立光明寮設置法の一部を改正する法律案改正点は、第一に、国立療養所に機能回復訓練または職能訓練に従事する者の養成所を、また、国立精神薄弱児施設に精神薄弱児の保護及び指導に従事する職員の養成所を付置することができることとすること、第二に、医務出張所の名称を地方医務局と改めること、第三に、厚生省の定員を四百三十九人増員すること、第四に、国立光明寮を北海道函館市に設置することであります。  以上三法律案に関する質疑の詳細は、委員会会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論もなく、三法律案につき、それぞれ採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上報告いたします。(拍手
  77. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  78. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって三案は全会一致をもって可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十五分散会      —————・—————