○小林武治君 私は、ただいま議題となりました選挙法の一部
改正案につき、主要な点につきお伺いするとともに、この際、選挙
制度上の若干の問題につきまして、提案者並びに
政府当局の所見を承りたいと存じます。
お話のように、選挙は民主政治の基盤であり、これを公正にし、明朗にし、ひいて政治を粛正するということは、
国民のひとしく要望するところでありまして、この要望にできるだけ沿わんとせられる提案者の意図はこれを了とするものであります。
以下、
質問は、まず御提案の選挙法
改正についてでありますが、第一点は、選挙運動に関する戸別訪問、署名運動等を自由にする、こういうことでありますが、戸別訪問による選挙運動の禁止は、選挙の公明と適正を確保する上から好ましくないとしまして、大正十四年のいわゆる普通選挙法の施行以来、違法行為の典型的なものとされておるのであります。本来、戸別訪問それ自体は、行為の性質から見て、決して違法性を有するものではないのでありまするが、選挙人の居宅その他、
一般公衆の目の届かない場所で、個々に選挙人と直接投票の依頼を行うことは、往々にして、買収、利害誘導、意志強制等、選挙の自由公正を阻害する温床となりがちであるのでありまして、したがって、
日本の
現状でこれを無制限とすることは、選挙人にとっても非常に迷惑であるばかりでなく、いわゆる人海戦術を助長し、いよいよ金のかかる選挙となることも懸念せられるのでありまするが、これらの弊を除去する適当なる方策がおありか。すなわち、もしこれを許すとしても、候補者本人に限定する等、いろいろの
方法等もあろうと思われるのでありますが、お
考えを承りたいのであります。
第二点は、選挙運動のためにする
文書図画の頒布についての規制のワクを広げて、自筆の信書等も認めんとすることであります。運動のための
文書図画の制限は、選挙運動の費用の軽減及び選挙の公正保持のため設けられたものと思うのでありまするが、このワクを取り払ってしまって、第三者が無制限に自筆の信書を発したり、または回覧板、プラカード等を持ち歩くというようなことにしましては、かえって選挙運動を混乱せしめ、また、
経費を増大せしめる等、その弊害が多いものと思うのでありまするが、所見を伺います。
第三点は、連呼の問題でありまするが、これは先年、世論の批判を受けまして禁止されたものでありまするが、私としては、参議院議員選挙の特質としまして、お話のように、地域が広く、かつ候補者も少数のため、これを復活いたしましても、さして世間に喧騒によるご迷惑をかけるものとは思われないでありまして、一昨年、本院において可決されました特例法におきましても、これが復活を認めたいきさつもあります。これに
賛成であるのでありますが、ただ
衆議院の選挙につきましては、参議院選挙と趣を異にするものがありまするので、連呼の復活は、参議院とか知事選挙だけに限定されてはどうかと思うのでありますが、この点いかがでございましょうか。
なお、第四点としまして、特にお伺いしたいのは、テレビ放送を選挙運動として取り入れることであります。従来テレビ放送は、その普及が十分でないとか、あるいは
経費が膨大にかかる、こういうようなことからちゅうちょされておったのでありまするが、もはやその時期が来たものと思われるのでありまして、これを選挙の公営の中に取り入れるということにつきまして、
政府当局や提案者の御所見を伺いたいのであります。
第五に、本案に
規定されていないのでありますが、後援会の活動についてであります。選挙運動につきましては、運動
期間の定めがあるのでありますが、昨今は、これは全く運動
期間の定めにおかまいなく、市
会議員等に至るまで、堂々と
事務所を開設いたしまして、いわゆる百日選挙を行っておるありさまで、その
経費も膨大に上ろうし、弊害は目に余るものがあるように存ずるのであります。したがいまして、これを何らか規制することが急務と思われるのでありますが、自治
大臣あるいは御提案者の御意見はいかがであろうか、お伺いします。
次に、本
改正案に関連いたしまして、選挙
制度上のことにつきまして二、三お伺いをいたします。
まず第一は、選挙
制度審議会との関係でございまするが、ただいまもお話がありましたが、選挙
制度の
改正につきましては、目下選挙
制度審議会におきまして検討中でありまするが、その
答申を待たないで重要な
改正をはかるということは、審議会との関係上もいかがと思われるのでありまするが、この点、提案者並びに
政府当局の御意見を承りたいと存じます。
次に、参議院の全国区制の問題でありまするが、これにつきましては、世上いろいろの批判があり、当初これを設けた
趣旨は、その後の選挙の
実施に従いまして、漸次失なわれつつあります。何らかの
改善を行うべしとの論が行なわれておるのであります。私どもも種々これには検討を加えておるのでありまするが、これをあるいはブロック制にしたらどうかと、こういうふうな説もあるのでありまするが、これは参議院議員選挙の本質的の問題であるのでありまして、提案者はこの点いかがにお
考えか、お伺いしたいのでございます。
なお、第三としまして、
公職選挙法のあり方の問題であります。
現行選挙法は、参議院と
衆議院と地方選挙を一括して一つの
法律におさめられているのでありまするが、元来、地方議員と
国会議員とは本質的に異なるものでありまするし、また
衆議院選挙と参議院選挙ともいろいろ異なる点がありまして、これを一括
規定しておるということは、そうでなくてもきわめて複雑な選挙法を、一そう複雑難解なものしておるのでありまするから、むしろこれを三つの選挙法に分割して平易簡明にすることがよいのではないかとの議論があるのでありますが、この点、提案者また
政府当局の御意見を承りたいのであります。
もう一つ、最後に参議院の政党化の問題でありまするが、参議院はもともと第二院としての機能を持つべきだと、こういうことが言われておるのでありますが、最近のような形の政党化は、自然、
衆議院の
延長になり、その自主性、独立性も失なわれはせぬか、こういうふうな心配もされておるのでありますが、これもあるいは
現行選挙
制度そのものから生ずる当然の結果とは思われるのでありまするが、この点につきまして提案者はいかがお
考えか、こういうことを伺いたいのでございます。
以上をもって私の
質問を終わります。(
拍手)
〔辻武寿君
登壇、
拍手〕